○沢藤
委員 だんだんと認識が近づいてきたなという感じはするのですがね。
よく、
学校教育法の文言そのままに、「
高等学校には、前項のほかこ云々とあって、「
実習助手を置くことができる。」「
実習助手は、
実験又は
実習について、
教諭の
職務を助ける。」「助ける。」というところにいろんな解釈が出てくるような気がするのですよ。私は、余り時間がないので、きょうは詳しく言えないのですけれども、よく
実験・
実習の場合の準備とか後始末が
助手の主な仕事だみたいなことをおっしゃる人がいますけれども、これは違うのです。私は
理科実験の教師をやっていましたから、
助手と一緒に
実験に当たってきた。また農業
教育の免状を持っていまして、農産加工の
実習もやってきましたから、農業学校の
実習助手とのペアを組んで
生徒指導に当たってきた。この実態は私よく知っているつもりであります。これは両方いなければ成り立たないのです。
例えば、農業
実習を例にとりますと、総合
実習という単位がございまして、十四単位、その中の六単位は、実は学科と離れて、いわゆる農場に行っていろんなものに接し学ぶということで、例えば
教諭がこっちの方で座学をする、あるいは
職員としてのいろんな仕事があるときに、常に接触しているのは
実習助手なのです。それから宿直当番というのがありますね、泊まって
実習に当たる。これの
指導はほとんど
実習助手なのです。それからこういう例もあるのですね。カリキュラムの上の
実習、正規の
実習の場合に、出席をとって全体指示をやるところは
教諭だけれども、後はもう
実習助手と
教諭が一体となって
実習教育が展開されているという実態があります。それから今度カリキュラムの中に、例えば工業の場合は
平成四年から
課題研究というのが入りますね、二単位入る。これは
原則として
生徒一人一人が
課題研究をするわけですよ。しかし実際
職員が足りないから、結局は
教諭と
実習助手とが力を合わせて、何個班かに編成して複数の
指導をしなければならない。これは試験的に実施している学校に行って見てきたのですけれどもね。それは当然ローテーションを組む場合には、
教諭と
助手が一体となって組んでいるわけです。またそうしなければ成り立たない。こういうことからしまして、
実習助手の
職務内容は、明らかにこれは
教諭と一体のものとして
実習教育が展開されているということを、まだまだ資料はありますけれども、そのことをぜひ御理解を願いたいと思うのです。
さてそこで、法体系の中で
実習助手の
扱いが一体どうなってきたかということを振り返ってみたいのですが、これは確認をお願いしたいのですけれども、
学校教育法がいつも問題になるわけですが、
学校教育法が制定されたのは、
昭和で言えば二十二年三月三十一日、この時点では
実習助手という言葉がありませんでした。
技術職員というのが入っていますね、最初から。つまり終戦前から実態として、何といいますか、職人さんみたいな方が
実習のお手伝いをする。鋳物をする場合には、鋳型をつくるとか、そういったところで入ってきた
技術職員というのが
学校教育法の当初から入っていますけれども、
実習助手という言葉がないのです。しかし、実態はそうじゃないぞということになったのでしょう。二十三年、一年後の
高等学校設置基準には、第十二条「
高等学校には、
校長、教頭、
教諭、
事務職員のほか、
実習助手及び
生徒の
養護をつかさどる
職員を置かなければならない。」必置の条項として出てきているわけです。
そして、それから約十年たって、産業
教育手当、
給与の問題が持ち上がってきたときに、
昭和三十二年、初めて
教育職
俸給表の中に
実習助手が位置づけられた。
教育職の
俸給表ですよ、
教育職として位置づけられた。そして産業
教育手当支給法や、それを受けての政令の中で、かなりはっきりと
実習助手についての
職務をうたっているわけであります。ちょっと読んでみますと、「
実習助手は、
実習を伴う科目について
教諭の
職務を助けて行う次の各号に掲げる
職務」云々とありまして、その各号というのは、「一
実習の
指導並びにこれに直接必要な準備及び整理」。
指導に当たるのですね。
指導ということは
生徒と接触するということですよ、もちろん準備も整理も入ってきますけれどもね。二番目、「
実習の
指導計画の作成及び
実習成績の評価」。
実習助手が
指導計画作成に携わる、評価に携わるのだ。実際問題とすれば、
実習の評価というのは、常に接している
実習助手を除いては評価はできません。私は農業
高校におりましたが、
実習科目の評価は、特に総合
実習等の評価は、七割から八割、あるいは八割から九割方までは
実習助手の方の意見、話し合いによって評価が決まっていくのです。こういう実態があるからこそ、この産業
教育手当支給法あるいは支給規則の中で、
実習助手というのは
実習の
指導をやるんだよ、
指導計画をつくることにも成績の評価にも携わるんだということをうたっているわけですね。
ところが、ずっと来て、
学校教育法の
改正があって、初めて
学校教育法の中に
実習助手という言葉があらわれたのがずっと後の
昭和四十九年。つまり
学校教育法が生まれた
昭和二十二年から四十九年まで約二十何年間、三十年近くある。そして初めて
実習助手という言葉が学校法の中に出てきた。しかし、実態はどんどん進んでいますから、学教法の一年後の
高等学校設置基準に始まって、先ほど申し上げたような経過を経て、十年たって、
職務内容が産業
教育手当に関して政令できちんと出てきた。それから十六年たって、
学校教育法に
実習助手という名前が出てきた。私は、
学校教育法、随分長い間冬眠してきたなという感じがします。事実を追認もいいところ、四十数年、四十年くらいたっているわけですね。恐らくそこに並んでいる方はお生まれになっていない方が多かったと思う。
そういう
学校教育法なり法体系を見た場合に、学教法というのが
実習助手に関しては随分冷たいなと思うし、しかし、それにもかかわらず、学教法と学教法の約三十年の間には、実態を認めざるを得ないということがあって、
高等学校設置基準が必置として出てくる。そして産業
教育手当の
内容でもって、
実習助手は
教育に参加するんだということもはっきり打ち出している。この認識をきちんとしてもらいたい。どうですか。