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1992-06-11 第123回国会 衆議院 国際平和協力等に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年六月十一日(木曜日)     午前十時三分開議 出席委員   委員長 林  義郎君    理事 大島 理森君 理事 金子原二郎君    理事 中川 昭一君 理事 船田  元君    理事 与謝野 馨君 理事 石橋 大吉君    理事 上原 康助君 理事 串原 義直君    理事 草川 昭三君       逢沢 一部君    井出 正一君       伊吹 文明君    石川 要三君       上草 義輝君    衛藤 晟一君       小澤  潔君    岡田 克也君       北川 正恭君   小宮山重四郎君       斉藤斗志二君    鈴木 宗男君       武部  勤君    中谷  元君       二階 俊博君    西田  司君       萩山 教嚴君    福田 康夫君       増子 輝彦君    町村 信孝君       松浦  昭君    三原 朝彦君       光武  顕君    秋葉 忠利君       伊東 秀子君    伊藤 忠治君       小澤 克介君    緒方 克陽君       岡田 利春君    五島 正規君       沢藤礼次郎君    松原 脩雄君       元信  堯君    山中 邦紀君       遠藤 乙彦君    山口那津男君       山田 英介君    渡部 一郎君       児玉 健次君    東中 光雄君       和田 一仁君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         内閣総理大臣         外務大臣臨時代         理       宮澤 喜一君         法 務 大 臣 田原  隆君         大 蔵 大 臣 羽田  孜君         文 部 大 臣 鳩山 邦夫君         厚 生 大 臣 山下 徳夫君         農林水産大臣  田名部匡省君         通商産業大臣  渡部 恒三君         運 輸 大 臣 奥田 敬和君         郵 政 大 臣 渡辺 秀央君         建 設 大 臣 山崎  拓君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     塩川 正十郎         国 務 大 臣         (内閣官房長官         )       加藤 紘一君         国 務 大 臣         (総務庁長官)         労働大臣臨時代         理       岩崎 純三君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      伊江 朝雄君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 宮下 創平君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      野田  毅君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      谷川 寛三君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 中村正三郎君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 東家 嘉幸君  出席政府委員         内閣審議官         兼内閣総理大臣         官房参事官   野村 一成君         内閣法制局長官 工藤 敦夫君         内閣法制局第一         部長      大森 政輔君         内閣法制局第二         部長      秋山  收君         防衛庁長官官房         長       村田 直昭君         防衛庁防衛局長 畠山  蕃君         防衛庁教育訓練         局長      小池 清彦君         防衛庁人事局長 坪井 龍文君         環境庁長官官房         長       森  仁美君         法務省刑事局長 濱  邦久君         外務大臣官房文         化交流部長   木村 崇之君         外務省アジア局         長       谷野作太郎君         外務省経済協力         局長      川上 隆朗君         外務省条約局長 柳井 俊二君         外務省国際連合         局長      丹波  實君         大蔵省主計局次         長       涌井 洋治君         海上保安庁次長 小和田 統君  委員外出席者         参議院議員   岡野  裕君         参議院議員   峯山 昭範君         参議院議員   田渕 哲也君         衆議院法制局長 和田 文雄君         衆議院法制局第         一部長     内田 正文君         参議院法制局長 中島 一郎君         参議院法制局第         一部長     田島 信威君         参  考  人         (参議院議員) 高井 和伸君         国際平和協力等         に関する特別委         員会調査室長  宮崎 正之君     ――――――――――――― 委員の異動 六月十一日  辞任         補欠選任   小澤  潔君     萩山 教嚴君   秋葉 忠利君     伊藤 忠治君 同日  辞任         補欠選任   萩山 教嚴君     小澤  潔君   伊藤 忠治君     秋葉 忠利君     ――――――――――――― 六月十一日  PKO協力法案国際緊急援助隊派遣法の改正  案等廃案に関する請願外一件(外口玉子君紹  介)(第四五二一号)  同(土井たか子紹介)(第四七二八号)  PKO法案廃案に関する請願長谷百合子君紹  介)(第四五二二号)  同(外口玉子紹介)(第四七〇八号)  憲法違反PKO協力法制定反対に関する請願  (江田五月紹介)(第四五二三号)  同(小沢和秋紹介)(第四七〇九号)  同(金子満広紹介)(第四七一〇号)  同(木島日出夫紹介)(第四七一一号)  同(児玉健次紹介)(第四七二一号)  同(佐藤祐弘紹介)(第四七二二号)  同(菅野悦子紹介)(第四七一一四号)  同(辻第一君紹介)(第四七一五号)  同(寺前巖紹介)(第四七一六号)  同(東中光雄紹介)(第四七一七号)  同(不破哲三紹介)(第四七一八号)  同(藤田スミ紹介)(第四七一九号)  同(古堅実吉紹介)(第四七二〇号)  同(正森成二君紹介)(第四七二一号)  同(三浦久紹介)(第四七二二号)  同(山原健二郎紹介)(第四七二三号)  同(吉井英勝紹介)(第四七二四号)  PKO法案廃案憲法を生かす国際協力の実  現に関する請願斉藤一雄紹介)(第四五二  四号)  同(斉藤一雄紹介)(第四七二七号)  自衛隊海外派遣反対国連平和維持活動協力  法案廃案に関する請願外一件(伊東秀子君紹  介)(第四七二五号)  同外二件(長谷百合子紹介)(第四七二六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国際連合平和維持活動等に対する協力に関する  法律案(第百二十一回国会閣法第五号)(参議  院送付)  国際緊急援助隊派遣に関する法律の一部を改  正する法律案(第百二十一回国会閣法第六号)  (参議院送付)      ――――・―――――
  2. 林義郎

    林委員長 これより会議を開きます。  第百二十一回国会内閣提出参議院送付国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案及び国際緊急援助隊派遣に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  この際、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案に対し、楢崎弥之助君から修正案が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。楢崎弥之助君。     ―――――――――――――  国際連合平和維持活動等に対する協力に関する   法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私は、進歩民主連合を代表いたしまして、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。  その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。  国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案に対する修正案趣旨を申し上げますと、  第一に、自衛隊部隊等が行う国際平和協力業務及び輸送の委託に関する規定を削除すること、  第二に、国際平和協力本部に、国際平和協力業務実施協力隊員教育訓練国際平和協力業務の使用する船舶、航空機等管理等を行う協力隊を常設するとともに、個々の国際平和協力業務実施計画の定めるところにより、当該業務を行うために編成される協力隊部隊である派遣隊により実施されること、  この第一と第二は、言うならば自衛隊とは別組織、つまり自衛隊法の適用を受けない協力隊という意味であります。  第三に、内閣総理大臣は、実施計画の決定があったときは、速やかに、国際平和協力業務を行うことにつき国会承認を得なければならない。国会の閉会中は、速やかに臨時会を召集する。衆議院の解散の場合は、参議院緊急集会を求めて承認を得ること、  第四に、内閣総理大臣は、国際平和協力業務国会承認を得た日から一年を超えて引き続き行おうとするときは、その三十日以内に、業務の継続につき国会承認を求めなければならないとともに、不承認の議決があったときは、遅滞なく、当該業務を終了させなければならないこと、  第五に、協力隊派遣される自衛隊員は、派遣の期間中、自衛隊員の身分を保有するが、自衛隊員の職務に従事しないものとすること、  第六に、国際平和協力本部が、派遣員構成員たる協力隊員の安全のため保有し、隊員の貸与する装備はけん銃に限るものとすることであります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  4. 林義郎

    林委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  この際、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。内閣官房長官加藤紘一君。
  5. 加藤紘一

    加藤国務大臣 衆議院議員楢崎弥之助君、進民運提出に係る国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案に対する修正案については、政府としては反対でございます。     ―――――――――――――
  6. 林義郎

    林委員長 ただいま議題となっております両法律案及び修正案について議事を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤晟一君。
  7. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 平成元年十二月から翌平成二年初頭にかけて、マルタにおいて、米ソ首脳会談を初めとして軍縮及び環境というまさに世界の直面する二大テーマにつき、米ソ大国の間で実りある論議が行われたことは記憶に新しいところであります。マルタにアメリカのブッシュ大統領そしてソビエトのゴルバチョフ大統領の両巨頭が集まり、冷戦構造が崩壊した後の世界のあるべき姿、そして新しい世界秩序について話し合ったのであります。ここからまさにポスト冷戦の偉大な第一歩が始まったと言って間違いないというぐあいに思います。  このやりとりの中で、軍縮なくして環境問題の解決あり得ず、そして冷戦構造の崩壊に伴い多発し激化するであろう地域紛争に対する有効な対応なくして軍縮あり得ずという関係が明らかにされました。この意味で、マルタサミットによって形づくられたと言われますいわゆるマルタ体制は、単にポスト冷戦時代の幕をあけるというものにとどまらず、まさに国際社会の直面する今日的課題を先取りするものであっだと言えるのではないでしょうか。  現在、世界は、年間一兆ドル、百三十兆円の軍事費を支出しています。これが半減されれば、年間五千億ドルの資金社会基盤整備に使えるのであります。今、ブラジル・リオデジャネイロで行われています地球サミット国連環境開発会議で、年間千二百五十億ドル、十六兆円の必要資金論議をされています。まさに、平和と軍縮実現なしにはこれらの資金は創出できないことは明白であります。日本国際協力、貢献の基本は、もっと言えば日本世界に対する存在理由は、まさにこの一点に集約されるべきであろうというぐあいに思います。世界平和戦略地球環境保全こそが日本世界に向かって果たすべき役割であります。  総理は本年一月の施政方針演説において、冷戦後の時代は新しい世界秩序構築する時代の始まりであるとの認識を示しておられますが、来るべき新しい世界秩序に対する総理のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  8. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 過般の施政方針演説でも申し上げたことでございますが、ただいま衛藤委員の言われましたような、マルタ会談によりまして象徴されますようなその後の世界動きというものは、明らかに冷戦というものは終結をした。それによりまして、大きな流れとしては、御指摘のように長い間軍備のために大国も小国も非常に大きな負担をしていた、その負担から解放されましたエネルギーをいわゆる平和の配当として南北問題あるいはいわゆる地球規模の問題、ただいま仰せになりましたような問題でありますが、そういうことに人類が初めでそのようなエネルギーを集中して注ぐことができるようになる、そのような可能性というものが非常に大きくなってきたと考えるわけでございます。我が国は、戦後軍事大国にならないことを標榜してそういう道をみずから歩んできた国でございますから、このような大きな流れがさらに推進されるように、その先頭に立ってこのような世界動きを推進すべきである、そのように考えております。
  9. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 ありがとうございます。まさに戦後最も平和の恩恵を受けたのは我が国であります。その平和の実現のためにこれから日本世界に向かってリーダーシップの役割を果たしていく、そして地球環境保全に大きな役割を果たしていくということがこれからの日本の使命であろうかというぐあいに思います。世界に向かって、顔がないと言われる日本がこれから初めて大きな役割を私は果たすことができるというぐあいに思っています。大きな期待をいたしておりますので、総理、頑張っていただきたいというぐあいに思います。  さて、軍縮にせよ、環境にせよ、その目的は、人類に対する脅威を取り除き、平和と繁栄を享受し得る状況をつくり出していくことにほかならないのではないでしょうか。ポスト冷戦時代にあって、国際的な安全保障体制すなわち国連中心とするところの集団的安全保障体制の意義はますます高まるばかりであろうかと思われます。国連が新秩序構築の担い手として中心的な役割を果たしていることについては異論がないものと思われます。  今年一月に総理みずから御出席されました安保理サミットにおいても、国連の果たす役割国連中心とする集団安全保障体制重要性につき共通の認識が得られたと承知をいたしておりますが、総理自身のお考えを改めてお伺いしたいと思います。
  10. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 このような時代になりまして、国連期待される役割は非常に大きいわけでございますが、その一つは、米ソ対立というものがなくなりました結果、従来長いこと国連米ソ対立に関する限り有効に機能し得なかったうらみがございます、それが、そのような制約から逃れて国連がより自由に行動できるようになったということは、例えば湾岸戦争の場合に我々はそれを見たわけでございます。また、しかし同時に、米ソ冷戦が終わりました結果、かえって各地域地域的な紛争が起こりやすい状況になった。民族であるとか宗教であるとかいろいろな問題がございますけれども、その例を我々は今日たくさん見るようになりました。そういう場合に、この紛争を処理するに当たって、殊に紛争を何とか解決をして後平和維持をしたいという場合の国連役割というものが、これはただいま御審議を願っております法案そのものに関係するのでございますけれども、非常に増大をしてきた。この二つの変化が国連の果たすべき役割について起こってきたということを申し上げることができると思います。  しかしながら、そこで、衛藤委員の言われましたように、そのような局地的な紛争に対して、紛争が起こらないようにする方法はないのか、紛争があった後平和維持も大事でございますけれども、事前にこれを起こらないようにするために国連としてはもっと有効な機能を果たすべきではないかということは当然だれもが考えることでありまして、それがことしの一月の国連安保理事会サミットの議論の一つ中心になった。そのことは、つまり紛争が起こりそうな状況事務総長が的確に把握をして、そしてそれによって紛争が起こる前にその紛争の原因を話し合いなり調停なりによって除去する、そのような国連機能が大事ではないか、こういう問題意識は私はまさにそのとおりであろう。ただ、国連がにわかに大きな役割を担うに至りましたので、国連そのものの仕組み、あるいはその他の機能がこれだけの大きな仕事をにわかに担うのに十分であるかどうかということは問題でございまして、そのために国連機能をいろいろに強化しなければならないではないかということが、ことしの一月の会議におけるいわば出席者が多く発言した点であったわけでございます。
  11. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 その安保理サミットにおいて、国連中心とした新しい世界秩序構築において、平和維持活動とともに今総理からありましたように平和創生活動、すなわち国連事務総長中心としたところの調停、仲介あるいは事実調査を通じての紛争平和的解決あるいは紛争未然防止を図るといったことの重要性総理みずからが指摘をされたというぐあいにお聞きいたしております。  平和維持活動PKOピースメーキングPMOともいうべきものであると思いますけれども、この両者、あたかも車の両輪のごとく世界の平和と安全をつくり出し、そして維持していくということから考えられるのだろうと思います。まさにこの安保理サミットにおいて世界平和実現のための車の両輪としての位置づけが明確になされたということは、我々、世界平和を実現するためには大変好ましいことであるというぐあいに考えています。いわゆるPKOなくしてやはりPMOはあり得ないし、PM〇なくしてPKOはあり得ないという事実がある以上、その両者を大切にはぐくんでいくことこそ国際社会全体の責任であるというぐあいに思います。また、平和で安全な世界を次の世代へと引き継いでいくべき我々一人一人の責務ではなかろうかというぐあいに思います。  改めて総理から、このPKOPMO役割について御見解を賜りたいというぐあいに思います。
  12. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 御指摘のように、PKOというのは現実紛争が起こりました後、当事者紛争を中止するという合意をした場合に国連にその後の平和の確保を要請するという、そういう国連機能考えておるわけでございますけれども、むしろそのような紛争が起こる前に国連が有効に機能いたしますならばもっとよいではないかということはだれもが考えることでございます。そのためにはいろいろ大事な条件がございますけれども、紛争当事国が、あるいは当事者当事国と申し上げておきますが、国連のメンバーであった場合に、いろいろな状況というものを国連事務総長にかねて十分に報告をすることが大事である。各国ともなかなか紛争の種になりますようなことを公にしたがらないということから、国連事務総長世界紛争危険性について十分に知らされていないというのが実は現状でございます。ですから、そういう意味での国連事務総長が持つべき情報あるいは情報収集機能というようなものが第一に非常に問題であろうと思われるのであります。  それから、仮にそのような危険が察知されましたときに、国連として危険を未然に除きますために有効に行動しなければならないわけでございますけれども、そのための国連の一般的な機能というのはいまだ十分でない。それは、従来余りそういう場というものが国連に与えられておりませんでしたのでやむを得ない点もございますけれども、これを充実しなければならない。また、財政的な基盤国連自身まだまだ十分ではない。いろいろ国連を強化しなければ、ただいまおっしゃっていらっしゃいますピースメーキングに十分な能力を発揮し得ないという問題がございまして、それがせんだっての安保理サミットでもいろいろに議論されたところであり、これからこれは緊急にやはり考えていかなければならない問題であると存じております。
  13. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 ありがとうございます。まさにそのとおりだと思います。そして、今、後ろからもありましたように、そういう国連の強化に向かって、ぜひ宮澤総理先頭になってやっていただきたいというぐあいに心から期待をいたしています。  さて、世界の平和と安全を確保するために国連憲章が予定していた集団安全保障体制は、国連憲章の第七章にあるとおり、場合によっては、国連の旗のもとに組織された国連軍をまさに中核的なアイデアとするものでありました。しかしながら、戦後、国際政治冷戦構造の中でそのような国連軍はいまだ実現するに至っていません。これにかわって、国連の長年にわたる慣行を通じて編み出されてきたのがPKOというものではなかったのでしょうか。国連権威によって、力でなく説得によって平和を維持していくPKOこそ現在の世界の平和を支える最大の現実的手段であり、新しい世界における平和のシンボルであるというぐあいに思います。  そこで、総理に、今日の世界平和維持におけるPKO位置づけについてお尋ねを申し上げたいと思います。
  14. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 先ほどから申し上げておりますように、PKOというのは、いわば国連憲章そのものと申しますよりは、むしろ自然発生的に長いこと、歴史の中から誕生してまいりました。これまで二十七件が設立されておりますけれども、最近だけでも八件というようなPKOの設立がございました。世界の八十カ国以上の国々から五十万人以上の人々が参加をしたと言われております。そしてノーベル平和賞も受けた。それは、国連の、中立・非強制といういわば国連権威において、説得によって平和の維持回復を図るという活動であったわけでございます。それだけの大きな実績を残してまいりました。  確かに、御指摘のように国連軍という独自の、国連のいわば国際公務員としてのそのような部隊を持つことができますならば、それによってピースキーピングも可能であるのみならず、先ほどからお話しのピースメーキングの方も場合によってはできるかもしれないということは考え得る点でございますけれども、御案内のように、この国連軍というものはいまだに具体的に考えられたことがございません。憲章でもその点については触れておりますものの、その場合には各国特別協定を結ぶというようなことも書かれておりまして、それがどのようなものであるかについてもかって例がございませんので、国連軍というものは今の段階ではいまだに具体的な姿としてとらえ得ない。したがいまして、可能なのが国連平和維持活動ということになるわけでございまして、それによって国連各国からこれの参加を得て平和維持機能を果たす、それ以外に現在の国連としては行く道がないということでございます。  しかし、このピースキーピングというのは非常に大事な先ほどから申しましたような活動でございまして、殊に近年、そのピースキーピングを要請する紛争があっちこっちに多い。我が国としても、これは憲法がむしろ希求いたしますところの平和の維持、増進のための国連活動でございますので、これに貢献をすることが我々としてなすべき道である、このように考えまして法案の御審議を願っておるわけでございます。
  15. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 つい先日、ある雑誌に「PKOとは何か」ということを簡単に書いたものがありまして、これは西村さんの私的論文であるということで出ていましたが、どうもPKO議論の中で、PKOPKOという言葉が先行して、具体的な中身が我々に伝わりにくい、国民の皆さんに伝わっていないのではないかという感じがしますので、若干それを読ましていただきたいと思います。  そもそも、国連平和維持活動、いわゆるPKO活動とは何か。それは武力紛争をやめることにした者に、公平な措置がとられるという安心感と時間を与え、やっと生まれた平和への希望を根づかせる活動である。停戦の合意を監視すると書いています。  「このほかにも、合意に反して武器が運び込まれないかを監視する。また、放棄された武器を処分したり、緩衝地帯に駐留したりする。こうすることによって、停戦に合意した当事者は、敵がこちらを出し抜いたり、密かに軍備を強化したりすることはないと安心できる。なぜなら、敵がそうしたらPKO、すなわち世界全部が監視しているからだ。」まさに非常にわかりやすい文章でありますけれども、PKO議論の中でどうも、PKOとは何なのか、ただピース・キーピング・オペレーションということだけを言ってもわかりづらいような感じがいたしますので、ぜひ政府としても、これを国民の皆さんにわかりやすいように今後アピールしていただきたいというぐあいに思っているところでございます。  さて、次の質問に移りたいと思います。  私どもはPKOについて議論をする場合、観念的な問題に終始することは許されないというぐあいに思います。平和は天から当然に与えられるものではなく、それぞれの国、それぞれの国民が絶えざる努力を払い続けてこそ手にできるものだというぐあいに思います。PKOを通じての平和の維持とても同様であります。安保理がPKOの設立を決議すれば自動的に目的がかなうというわけではありません。そこでPKOの要員として活躍するさまざまな人々、それら一人一人の献身的努力と地道な働きがあってこそ輝かしい成果が保証されるというぐあいに思います。  今回の法案に関する議論を通じて、PKOの実態についてさまざまな角度から説明がありました。そのような実態を正しく把握してこそ地に足のついた議論が初めて可能になるという観点から、ここで改めて幾つかの点を確認しておきたいと思います。  まず第一に、冷戦終結後の国際情勢の流動化、それを受けての地域紛争の勃発に伴い、世界の多くの地域においてPKOのニーズが高まっています。一九四八年に創設されたPKOも今では二十七カ国に及んでいます。マルタ会談前後より一気にPKOへの国際的ニーズは高まったと言われていますが、わかりやすい説明を求めたいと思います。  また、UNTACの明石代表からも種々のお話をお伺いいたしましたが、その中で、PKOに対する国際的ニーズは高まっているけれども、資金と要員の不足が今後の大きな問題であるとの認識もお聞きをいたしました。実態はどのようになっているのか、御説明をいただきたいと思います。
  16. 丹波實

    ○丹波政府委員 先生おっしゃるとおり、これまでの四上二、四年間を通じまして世界で二十そのPKOが設立されております用地域的には、中東、それからアジア、アフリカ、中米、ヨーロッパということで、全世界的な展開地域ということでございます。この二十そのうち、現在も活動しているPKO活動は十一になりまして、その十一のうち、いわゆるPKFと呼ばれるものは六つでございます。  それで、世界各地におきまして近年このPKOのニーズが高まっているということは、例えば一九八八年から設立されましたPKOを数えますと十二あるということでございますので、その四十三、四年間の歴史のうち二十七つくられた、しかし、過去四年間でその半分がつくられているということは、いかに最近になってこのPKO重要性が非常に増しているかということを明らかにする数字だろうと思うのです。それからもう一つは、昨年からことしにかけて八つできているということも、同じようにそういうニーズが急激に高まっているということを示しているのだろうと思うのです。  なぜ、最近そういうニーズが非常に急に高まったかという点につきましては、先ほど総理の御説明にもございましたけれども、大きく分けて二つの理由根源的には一つの理由なんですが、冷戦というものが終わった、かつて冷戦なりイデオロギーなりが背後にあって紛争が起こり、しかし、そういうものが冷戦が終わったということで、その紛争の処理のためにPKOが出ていっている。これがカンボジア型と言っていいのかもしれません。  もう一つは、そういう冷戦中にはイデオロギーで抑えつけられていた、民族、領土、宗教等をめぐる対立が潜在化していたものが、冷戦が終わったために噴出してきて、それがもとで紛争が起きて、その処理のために出ていっている。これはユーゴ型と言っていいのかもしれません。そういう理由が背後にあってこのニーズが非常に高まってきているということで、現在、PKO活動というのは、国連の中における非常に大きな主要な任務になっております。  先生、財政のことをおっしゃいましたけれども、国連は通常予算の問題でも非常に今財政難でございますが、このPKOの財政についても非常に大きな困難を抱えておりまして、現在の数字では九億ドルぐらいの赤字を抱えておるというふうに承知いたしております。
  17. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 ありがとうございました。  この四年間に何と二十そのPKOのうちの半分の十三が設立されたという事実と照らしたときに、まさにポスト冷戦の中で一つ世界平和戦略の行く筋が見えたような感じがいたします。  それでは、これまでのPKOについて、例えばこの場での議論でも、カンボジアにおけるUNTACの活動状況を初め、その具体的なイメージが明らかになるような説明もありましたけれども、そこで、一体どれだけの数の人たちがこの名誉ある活動参加しておられるのか、例えば現在展開中のPKOの幾つかにつき、何カ国から合計何人程度が参加しておられるのか、概数で結構でございますので、紹介していただきたいと思います。
  18. 丹波實

    ○丹波政府委員 先ほど申し上げましたように、現在の活動中のPKOは十一ございますけれども、概数を各PKOについて挙げさせていただきますと、一番古いゴラン高原に展開しておりますUNTSOと呼ばれる国連休戦監視機構、パレスチナ、スエズ運河とかゴラン高原に展開していますが、約三百名ぐらいの要員を抱えております。  それから、インド・パキスタン軍事監視団というのがございますけれども、これは規模が小さい監視団でございまして、約四十名ぐらい。  それから三番目に、UNDOFと呼ばれますゴラン高原に展開しております、国連兵力引き離し監視隊と呼ばれておりますけれども、PKFですが、これは約千三百名ぐらいになります。  それから、サイプラスに展開しております平和維持隊につきましては、約二千百名ぐらいになろうかと思います。  それから、UNIFILと呼ばれております、南レバノンに展開しております国連レバノン暫定隊と呼ばれるものにつきましては約五千八百名ぐらい。  それから、昨年の春設立されましたイラク、ク」ウエート間のUNIKOMと呼ばれております国連イラク・クウエート監視団は約五百名ぐらい。  それから、国連西サハラ住民投票監視団、MINURSOと呼ばれておりますけれども、約三百五十名ぐらいでございます。  それから、エルサルバドルの監視団というものがございまして、これは約六百名ぐらい。  それから、アンゴラに国連の監視団がおりますが、約三百四十名ぐらいになろうかと思います。  それから、御承知のとおり、ユーゴに現在国連保安隊と呼ばれるものが、クロアチア共和国の南地帯に約一万名ぐらいの軍事要員が展開されております。  それから最後に、国連カンボジア暫定機構というものが約九千名ぐらい、UNTACですが、九千名ぐらいに現在なっていると思います。  トータルで申し上げまして、恐らく五十カ国ぐらいになるかなと思いますが、トータルで約三万人ぐらいの要員ということになろうかと思います。
  19. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 ありがとうございました。  そうしますと、過去におきましては二十七回設立をされ、そして八十数カ国五十万人の方々が協力をし、現在においても五十カ国三万人の方々がこれに協力をされているということであるわけでございますが、まさにこのようなPKOに対して我々も早急に協力ができるようにというぐあいに考えているところであります。このような今日の国際社会における平和と安全確保のために最も重要な手段たるPKOに対して、今お話がありましたように、実に多くの国々からの、また実に多くの人々が参加をしていることが明らかになったわけでありますが、そのようなPKOに対して、しかもPKOへの世界的なニーズが高まる中にあって、効果的な協力を行うことこそ我が国の使命であろうかというぐあいに考えます。  憲法との関係は後ほどお伺いいたしますけれども、まず総理より、我が国の姿勢の問題として、国際協力、国際貢献を唱える以上、PKOに対し、あとう限りの協力を行うことはむしろ当然だろうというぐあいに思いますけれども、総理の見解を、考え方をお伺いいたしたいと思います。
  20. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 我が国は、憲法のもとに軍事大国にならないという決心をいたしまして、今日までその道を歩んでまいりました。また、今後もそうでなければならないと思います。そのような我が国の歩みの中で、これは戦後しばらくの間はやむを得なかったことでございますけれども、世界の平和というもののいわば一方的な受益者であった。これは、援助も受けておった国でございましたし、やむを得ないことでございますけれども、長いこと受益者である立場を続けてまいりまして、世界の平和に積極的に貢献をするということは大変に少なかった。軍事的に貢献できないことは当然でございますけれども、これだけの経済大国になった場合にもっと貢献をすべきではないかということは、自然に我が国が成長するとともに世論の中に起こってまいりました。  ODAはその一つの道でございます。これは確かに我が国として、今や世界一、二のODAの供与国になったということは、我々の協力一つの道でございますけれども、それでもなお、日本は繁栄するに従って世界の平和にただ乗りをしているのではないか、必要な保険料を払わずに保険だけを受けておるのではないかという批判は、我々がしばしば長いこと受けてまいったところでございます。しかし、それでも軍事的に協力をすることはできない、このことは今日まで明白にしてまいりました。  しかるところ、米ソの間の冷戦が終わりました。その段階であのようないわゆるガルフ戦争が起こりました。ガルフ戦争というものが、お互い記憶いたしておりますようにサダム・フセインという人の侵略が非常に明白でありましたために、国連が安保理事会においてこれに対応するということが現実に起こってまいりました。これは米ソの間の協力関係が生まれたからでもございますけれども、余りに侵略が明らかでございましたので、国連安保理事会は十幾つの決議を重ねてこの侵略を排除いたしたわけであります。その状況日本国民は見ておったわけでございますけれども、したがって、その国連に対して財政的な援助をしなければならないというコンセンサスは比較的国の中で早く生まれておったと思います。  が、しかし他方で、たまたまあの地域我が国に対する石油の大きな供給源であったということもございまして、金だけで済むのだろうかということは、国外からも批判がございましたけれども、国内でも国民の間で大きな議論になったわけでございます。その場合、初めてと言っていいほど、我々国民が平和の一方的な受益者であっただけでよろしいのか、こういう場合にさらに積極的に貢献する道はないのか、殊さら、この紛争の処理の中心にありましたのが国連安保理事会でございますので、これに対して我々は何もできないのだろうか、しなくていいのだろうかという議論は非常に国内に高まったわけでございます。  そのようなことから、我々が金だけでなくさらに人的な貢献をいかにしたらできるのか、またそのことが適当であるかないかといったような国内の議論の中から、当初政府が御提案いたしましたような人的寄与の考え方が生まれてまいりました。それにつきましては、国会でいろいろ御議論があり、また各党でいろいろな御検討がありました。その結果といたしまして、ただいま御審議をいただいておりますような国としての人的な貢献といったようなものをすべきではないかという、そのような問題意識を持ちましてこの法案を御審議いただいておるわけでございます。  つまり、四十何年の国の繁栄の歴史の中から、我々が憲法で許される範囲で世界の平和に国連中心としてどのように寄与すべきかという問題についていろいろな議論が行われました。憲法で許されておりませんことは、これはやってはならないことであります。しかし、そうであるならば、憲法で許される精いっぱいのことは我々としてしているということによって、何ゆえにそれより先のことはできないかということをむしろはっきり世界に申すべきである、また、それを申すためには許されることはきちんとやっておるということが、我々が世界の平和に誠実に貢献をしているということを示すゆえんであろうというふうに考えております。
  21. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 総理の、日本のこれからのあり方、また世界に対する協力、貢献についてかたい決意のほどをお聞きいたしまして、頼もしい限りでございます。ぜひ頑張っていただきたいと思います。  我が国がその使命をまさに全うするためには、何よりも我々自身の確固たる決意と重い責任感とが重要であるということは言うまでもありません。それと同時に、世界の平和と安全というまさに国際公益の根本にかかわるものである以上、国際社会の友人たちの意見にも十分耳を傾けるべきであろうかと思いますが、かかる観点から、我が国の隣人、アジア諸国の本法案に対する反応を伺いたいと思います。
  22. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 お答え申し上げます。  国連の行いますPKOへの参加に関します日本政府考え方につきましては、総理自身あるいは外務大臣等からいろいろな機会にアジア諸国に説明をなさっておられます。そういうこともありまして、ASEAN諸国、アジアの中でのASEAN諸国につきましては、ほぼ日本政府考え方については理解が得られておるというのが私どもの理解でございます。  カンボジアからは、本委員会でも御答弁いたしておりますように、シアヌーク殿下みずから、自衛隊参加につきまして強い期待が表明されておるということも事実でございます。  他方、韓国等からは、総理が一月に韓国にお越しになりましたときに盧泰愚大統領から、日本のこの面での貢献は非軍事的な、経済を中心にしたものであってほしいというようなお話もございました。  中国のことがよく話題になりますが、中国の反応は、要するに一口で申し上げれば我が国の、いわゆる海外派兵と言うわけでございますけれども、海外派兵についてはいろいろ心配な点があるということを言われます。しかしながら、申すまでもなく、この今御審議法案のもとで進めようとしておりますのは自衛隊PKOへの参加ということでございまして、海外派兵という文脈でとらえるものではございません。そのようなことを中国には引き続き説明してまいりたいと存じます。
  23. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 よくわかりました。  じゃ、念のためにお伺いいたしますけれども、ASEAN諸国、中国、南北朝鮮等、PKOへの彼ら自身参加実績はあるのでしょうか、それをお尋ねいたします。
  24. 丹波實

    ○丹波政府委員 先生、先ほどPKO分担金の未払い額、私九億ドルと申し上げましたけれども、四月現在で八億ドルでございますので、ちょっと訂正させていただきたいと思います。  それから今の先生の御質問は、アジア諸国のうちASEANについてはブルネイを除くインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール及びタイの五カ国がこれまで次のとおりPKO参加いたしてきております。  インドネシアにつきましては、UNIKOMそれからカンボジアのUNTACにつきまして軍事監視員を派遣いたしております。それに加えまして歩兵部隊を第一次、これは過去のことでございますけれども、国連緊急隊UNEFIそれからUNEFⅡというものに派遣し、かつ現在UNTACに派遣中である。  それからマレーシアにつきましては、軍事監視要員をUNIKOM、それから先ほどのMINURSO、それから第二次国連アンゴラ監視団に派遣し、現在UNTACに派遣しておる。歩兵部隊もマレーシアは派遣いたしておりまして、一昨々年のナミビアにおける国連活動派遣し、現在UNTACに派遣しておるということです。  フィリピンでございますけれども、UNTACに軍事監視員を派遣し、それからUNTACに海上部隊派遣いたしております。それから、随分昔になりますが、コンゴの国連活動国連軍に対しまして航空要員を派遣いたしております。  シンガポールでございますけれども、軍事監視員をUNIKOMとそれから先ほどのアンゴラ監視団に派遣いたしております。  タイにつきましては、UNIKOMに軍事監視員を派遣し、UNTACに工兵隊を派遣しております。  中国につきましては、既に次のとおりのPKOへの参加を行ってきております。一つ先ほど申し上げました国連休戦監視機構に対し軍事監視員を派遣し、次も軍事監視員の派遣先ですが、イラク・クウエートの監視団UNIKOM、それから西サハラの住民投票監視団MINURSOに対して、それからUNTACに対して軍事監視要員を派遣いたしております。そのほか、御承知のとおりUNTACに中国は工兵隊を派遣いたしております。  南北朝鮮につきましては、国連の加盟国になったのが極めて最近のことで、御承知のとおりでございまして、これまでPKO活動には参加してきておりません。しかし、国連加盟国になったわけですから、今後はいずれは参加していくんではないかというふうに考えております。  以上です。
  25. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 アジアの諸国もまたその大半がPKOへの積極的参加を果たしているとのことでありますけれども、しかりとすれば、世界の各地において、我が国の国民がそれらアジアの人々とともに手を携えて世界平和のために汗を流し、共通の目標達成に向けてPKOを支えていくこと、それによってまさに一層の理解と信頼とが培われていくことになるのではないかというように思います。  私は、我が国の国際平和協力隊の人々が、まさに各地での行動を通じて、ともに働く他国のPKO員との友情を育て、そして相互信頼に最大限の意を用いられるよう心から期待をし、また要望する次第であります。  きょうまでの間、PKO法案について、国会の内外で活発な論議が行われてまいりました。その中の大きなテーマのいま一つは、我が国憲法との関係が取り上げられてきたことは言うまでもありません。しかし、憲法の言わんとするところを正しく把握するには、その歴史的背景をいま一度見詰め直す必要があるのではないかというように私は思います。  憲法にはこう書かれています。「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてみる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」第九条「戦争の放棄、戦力及び交戦権の否認」というのがあります。一、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」二、「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」というぐあいにあります。  さて、そしてまた、パリ不戦条約には、こういうことが書かれています。パリ不戦条約は、第一次世界大戦が終わった後、何とかして世界の平和ができないものだろうかということで、ブリアン・ケロッグ規約とも呼ばれ、アメリカ、フランスが中心になってこの提案ができ上がり、そして世界各国が条約批准をいたしました。これは「国際紛争解決のために戦争に訴えることを非とし、国策の具とする戦争を放棄することを各自の人民の名において厳粛に宣言する」と規定しています。二条では、「締約国は一切の紛争または衝突はその性質または起因のいかんを問わず、平和的手段によるのほかこれが処理または解決を求めないことを約束する」と宣言しています。すなわち、締約国は、戦争を放棄し、紛争を平和的に解決することを約束したのであります。しかし、連盟の制裁として行われる戦争及び自衛のための戦争はこの限りではないという了解は、あらかじめ当事者国の間で存在していたと言われています。これがパリ不戦条約の実体であります。そしてその限界の中から第二次大戦が起こったという反省にかんがみ、国連憲章ができ上がりましたことは御承知のとおりでございます。そしてその中から先ほど申し上げました日本憲法ができ上がったことも御承知のとおりでございます。  このパリ不戦条約並びに国際連合憲章そして日本憲法というものを透かして見るときに、我々の行くべき道ははっきりするというぐあいに思うのであります。これらの規定から明らかなとおり、退けられるべきは国際紛争解決の手段としての武力の行使及び国権の発動たる戦争でありますしかりとすれば、国連PKOへの参加をも憲法九条が禁止しているという主張は歴史的に根拠を持ち得ないというぐあいに思います。  念のために、この法案のもとでPKO協力することは憲法第九条の禁ずる国際紛争解決の手段なのかどうか、そして国権の発動たる戦争に当たることなのかどうか、総理より簡潔な答弁をいただきたいと思います。
  26. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 大事な問題でございますので、お答えを申し上げたいと思います。  この法案の御審議に当たりまして、この法案憲法違反ではないかというお尋ねはしばしばございました。で、お答えをしてまいりましたけれども、何ゆえに憲法違反なのかということの御指摘は、私は今日まで明確に承ったことがございません。  まず第一に、そんたくをいたしますと、この法案自衛隊を海外に派遣するのであるから、送るのであるから、自衛隊は……(発言する者あり)
  27. 林義郎

    林委員長 静粛に願います。
  28. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 自衛隊は違憲である、自衛隊は違憲であるから自衛隊が云々と。海外に行くということは、これはもちろん違憲である、こういうお話でございますれば、それは自衛隊が違憲であるかどうかという御議論でございます。   私どもは、自衛隊というものを違憲だと考えておりません。国民の多くもそう考えておられませんと思いますので、したがって、この点は私どもは賛成をするわけにいかない。  次に、次の問題は、自衛隊が参りましたときに平和維持活動に当たる、そのときに平和維持活動が、紛争が一応終わったにもかかわらず紛争が再発するような場合には平和維持活動が妨害をされるおそれがある、そのときには武力を使ってそれを排除するということになれば、我が国は、その維持活動の一部でございますから、それは武力行使にならないかというお尋ねでございます。  これは、法案にございますように、また、かねて国連平和維持活動というものは、発砲するようになってはもうそれは交戦当事者に堕してしまうので、そうなればもう失敗だと言われておりますとおり、そのようなことは平和維持活動として最も避けるべきことでございますけれども、それでも観念的にはそういうことがあり得るわけです。そのときには我が国は、国連のいわゆるスタンダードコードにもかかわらず我が国は行動を中断をする、あるいは平和維持活動から撤退をするということを我が国独自の判断で行い得るということがこの法律案の中に明記してございます。この点は、武力行使に当たってはならないという憲法の精神を忠実に、万が一にも抵触することがないようにという考え方でございます。  その次に、武器の使用の問題がございます。  これは、平和維持活動に従事している者が先方から攻撃を受けましたときにどの程度に武器を使用し得るかということでございますけれども、本来、国連考え方は排除し得るという考え方がございますけれども、我が国の場合には、しかしそれが一歩を誤りますと武力行使と疑われる心配がある。したがって、武器の使用というものは自分の正当防衛以外になされてはならないということをこの法案の中に明記してございます。  以上三点を総合いたしますと、まず、自衛隊が違憲であるという御議論ならばこれは別でございます。私どもはそう思っていないと申し上げておきます。  第二に、武力行使に当たるということを、万々一の危険を避けますために、そのような場合には中断し得る、撤退し得る。それから、仮に先方から攻撃を受けましても、それは自衛の場合にしか武器を使うことができないということを厳しくこの法律で……(発言する者あり)そういうことができるかよとおっしゃるほど、自衛隊の諸君に対して実は苦労なことをこの法律は強いておるわけであります。しかし、そこまでして憲法規定はやっぱり守らなければならない、そう考えておるわけでございます。  町に出ますと、時々、この法案が何か、我が子を再び戦場に送るなという声を聞きますが、第一、この法案自衛隊を戦場に送るのではありません。戦場であったものを平和な土地にしたいための平和維持活動をするのであります。  次に、我が子を云々というのは、これは国民を戦前の時代に、いわば意識的に誤らせようという考え方だと思います。今の憲法で何人も我が子をどこへも送らせる義務はありません。このことは新憲法で明らかである。
  29. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 ありがとうございました。  まさに総理の簡潔にして明快な答弁をお聞きしまして、安心をいたしました。まさに憲法に書かれておりますように、このPKOは国際紛争解決の手段でもなければ、またそして、国権の発動たる戦争でもなければ武力の行使でもないということは明々白々であります。  現在、自民党の小沢調査会においてもさまざまな論議を闘わせておられます。そこで、PKOというよりもむしろ国連軍、まさに国連憲章の起草者が念頭に置いていた国連軍への参加につき意見が交わされているところでもありますが、今私が申し述べました歴史的経過に照らしましても、国連軍への参加憲法の禁ずるところではないとの見方があってもしかるべきではなかろうかと思われますが、国連軍への参加問題は将来いつか必ず真剣に論議されるテーマであると私は認識いたしておりますので、それだけ述べまして、次に入りたいと思います。  さて、このような国連軍は、いわばハードな国連を代表する顔であるとするならば、PKO、そして先ほど申し上げましたところのPM〇は、国連憲章第七章の措置とは一味違うところのソフトな国連を象徴するものではないかというように思います。  そもそもPKOというのは、力ではなく、国連権威説得により平和を維持するというものと伺っております。この法案に示されておりますいわゆる五原則という歯どめに照らしても、この法案のもと我が国PKO協力していくことに憲法上の問題は生ずるはずはないというぐあいに思っていますが、この点は従来何度も説明のあったところであると思いますが、この機会に改めて修正案の発議者各位、そして総理より確認をいただきたいと思います。
  30. 岡野裕

    ○岡野参議院議員 衛藤先生、時間が何分あるのでありましょうか。――ないと思います。  要するに、世に言うところのPKO、PKF、先生がおっしゃいましたPMOあるいはPBOでありますか、いろいろであります。しかしながら、我々が本法に基づいて参画をしようというPKOは、この本法の中に、第二条、武力の行使あるいは武力による威嚇、こういうことはあってはならないとか、あるいは五つの原則というものがそれぞれ明記をされているとか、あるいは計画について国会に報告をするとか、同時に、一部についてはその承認をするとかというような条件を全部満たしたものについて参加をするということであります。  そういうことでありますならば、我々が参画をしますところのPKOは、立派に、憲法に違背するところではない、先生がお話しになりました前文等の意向をそのまま生かす行動であるというように確信をしている次第であります。
  31. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 お答えいたします。  PKOの問題につきましては、先ほどから大分御議論ございました。先ほどその後段の部分につきましては、多少いろいろな問題がありますのであれですが、いずれにいたしましても、このPKO、いわゆる国連平和維持活動参加するという問題につきましては、もう既に八十カ国、五十万人以上というお話もございましたし、またノーベル平和賞の話もたびたび出てまいります。  重要なことは、総理も今おっしゃいましたが、このPKOというのは、少なくとも戦争が目的ではないということ、したがって武力行使なんということは、もうそういうことは考えてはいけないことであるということ、そしてあくまでも平和が目的であって武力の不行使が大前提であるということ、これが私は一番重要な点である、こういうふうに思っております。  したがいまして、私どもも、先ほどお話ございました九〇年代、九〇年、九一年、九二年どこの三年間、非常に百年に一遍という激動の時代を迎えました。私どももこの問題について真剣に議論をいたしました。その結論といたしまして、このPKO参加するということは我が国憲法前文あるいは平和主義に合致するものである、そして憲法違反を言う人々はそのPKOの本質に対する理解がまだ不十分なのではないか、こういうふうに私は思っております。  この法案では、こうした不安や不信や、日本では初めてPKO参加をするということでありまして、念には念を入れまして五原則を法案に盛り込んだような次第でございます。
  32. 田渕哲也

    ○田渕(哲)参議院議員 お答えいたします。  先ほど先生が触れられたパリの不戦条約、それから国連憲章我が国憲法、これに対する先生のお考え方は、私もそのとおりだと思います。  平和の理念というものは、私は普遍性のあるものでなければならないと思います。日本の平和に対する考え方あるいは国際社会の平和に対する考え方、これは普遍性がなければ、平和というものは一国だけの関係ではなくて、一国と他の国との関係あるいは広く国際社会との関係を言うわけでありますから、普遍的でなくてはならない。その意味で、我が国憲法に盛られた平和の理念は、パリの不戦条約の理念、それから国連憲章の理念と基本的には同一のものである、このように私は考えております。  そして、具体的にPKO参加について申し上げますと、憲法第九条に言うのは、国際紛争解決する手段としての戦争と、武力による威嚇または武力の行使を禁止しておるのでありまして、つまり侵略戦争を禁止しておるのであります。自衛のための武力行使を禁止したものではありませんし、また国連平和維持のための活動を禁止しておることでもありません。これは、憲法制定当時の立法の意図とか立法の経緯から見て明らかだと思います。特に、PKO活動は中立・非強制の立場で国連権威説得によって平和を回復しようというもので、我が国がこれに参加する場合、武器の使用も要員の生命または身体の防護のため必要最小限のものに限られており、憲法に反するものではございません。
  33. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 さて、六月の下旬に我が国においてカンボジア復興会議が開催されます。このような会議をホストすることは、まことに名誉なことであるというぐあいに私は考えています。我が国としても、UNTACに十分な協力を行える体制を一日も早く整えるべきであるというぐあいに思います。このことは、国際社会に対する我が国の責務であろうというぐあいに思います。一日も早い法案成立への総理の決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  34. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 カンボジアの復興のための会議をいたしたいと各国に御連絡をしておるところでございますが、その趣旨は、この法案を成立させていただきまして、UNTACの活動に全面的に協力をいたしたいと考えておりますことのほかに、その外におきましても、カンボジアの今後の復興については大変に多くのことがなされなければならないと思います。  それは、我が国ばかりではございませんけれども、我が国としてはやはりアジアの近い国として、そのためにはできるだけのことをいたさなければならないと思っておりますし、また実はこれによってインドシナ半島に平和が来るということでございますので、周辺の国々がみんなこれを機としてお互いにさらに友好関係を深めよう、カンボジアを援助することは何も我々だけの務めでございませんで、周辺の国々がみんなそういう意識で、ひとつカンボジア援助のために力を合わせようではないか、それは将来のアジアの繁栄にもつながることでございますので、そのような意味合いを持つ各国間の協力をつくっていきたい、その御相談をこの会議ですることができれば幸いだ、こう思っておるわけでございます。
  35. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 ありがとうございました。
  36. 林義郎

    林委員長 次に、伊藤忠治君。
  37. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 委員長に、まずはっきりしていただきたいことがございます。  それは、一昨日の強行採決があってみたり、強行突破があってみたり、非常に異常な状態ですね。それで、私が今から質問をいたしますが、私のこの質問、その途中に審議打ち切り、強行採決、よもやこういうことは委員長はやられないと思うのですが、私の質問権、審議権を保証していただけるのかどうか、この点をまず第一点、はっきりいただきたいと思います。
  38. 林義郎

    林委員長 私の顔をごらんになればおのずからおわかりだと思います。
  39. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 委員長はそういう発言をされるのですが、にっこり笑って人を切るということもございますからね。これは言葉ではっきりしてくれなきゃ私は保証を受けたということになりませんからね。はっきりしてください。
  40. 林義郎

    林委員長 先ほど申し上げたとおりでございます。  伊藤君、どうぞ御発言をお続けください。
  41. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 いずれにしても、そういうことがやられるということであれば、私は審議権を守るためにそれこそあらん限りの努力をいたしますから、そのことをはっきりまず申し上げたいと思います。  次に総理に伺います。  田邊委員長から党首会談を申し入れたわけでありますが、聞くところによりますとお断りになった、このように私は聞き及んでおります。どうしてでしょうかね。非常に重要な段階に来ておりますだけに、言うならば野党第一党の党首である田邊委員長総理に会談をいたしたいということで申し入れているわけですが、これは絶対お受けになりませんか。まずそのことをお聞きしたいと思います。
  42. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 野党の公党の第一党であられます党首とは、いつでもお話を申し上げたい、承りたいという気持ちでおります。  ただ、ただいま御案内のように、この法案がこの委員会において御審議中であり、また国会の会期もそうたくさん残っておりませんので、まずこの法案の御審議に対して政府として誠意を持って全力を挙げてお答えを申し上げなければなりませんので、そのことを優先させていただきたいと思っております。
  43. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 審議の合間を見れば、お会いなさる時間というのはとれると思いますね。党首会談が二時間も三時間もやられるということは聞いたことがございませんが、そういう点から考えますと、きょうのこの委員会審議が例えば終わった段階で、時間があればお会いなさる、そういう気持ちはお持ちなんでしょうか。明らかにしてください。
  44. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 この法案の御審議は、社会党のみならず、各党がおやりになっておられまして、それに対して政府はお答えをいたしておるわけでございますので、各党のこの法案についての御意見というものもございましょうと思います。したがいまして、この法案につきましての御審議を、私としては優先をさせていただきたい、かように思っております。
  45. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 この問題、はっきりしておきたいと思うのですよ、事が事だけに。ですから、絶対会わないということは言わないけれども、時間がないから会えない、こういうことなんですか。
  46. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 時間の問題もございますけれども、この法案については各党、皆さんが御審議をなさっておられるのでございますから、それを承ったりお答えをするということが私としてのまず優先した仕事であると思っておるところでございます。
  47. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 法案審議をやっているのじゃないのですよ、党首会談ですからね。総理にお会いをしていろいろ会談をいたしたいという、そういう意向を総理に申し上げているわけですから、それもはっきり断られると、はっきりしてくれればいいのですよ。イエスかノーかはっきりなさればいいのですから。国民は注目していますからね。総理は、とにかく社会党の委員長が党首会談を申し入れた、全然理由なくこれをけったと、国民は注目していますよ。はっきりしてください。その点はどちらでもいいんです。はっきりしてください。
  48. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、野党第一党の党首とはいつでもお話を申し上げ、承りたい、そういう心構えでございます。
  49. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 いずれにしても、それは逃げとしか映らぬですね。一国の総理が社会党の委員長に党首会談を申し込まれて、全然理由も示さずに会わないというようなことは、これはどういうふうに映るんでしょうか。これは総理がやはり逃げられた、こういうこととしか映りませんよ。いずれにしても、次に移りますが、そういう姿勢というのは改めていただきたい、我々としては絶対納得できないということを明らかにしたいと思います。  次に、修正案についてお伺いをしたいと思います。  修正案の中の見直しの中で、このような条文になっております。凍結解除は、この法案に賛成した各党の合意を踏まえて行う、三年後に見直す、このため二年後に協議機関を設置する、昨日の議論でもあったと思います。  私が一点聞きたいのは、ということになれば、賛成した各党ですから、反対した党はこれはお呼びじゃない、こういうふうに常識的には考えますが、実はこういう、つまり修正案の中身というのは私は極めて問題であると思っているわけです。それはつまり、本来法案というのは議員の発議権、議員立法というのが基本だと思っています。そうして、それが法案として実っていく。アメリカの議会を見てもヨーロッパの議会を見ても、いわゆる先進国というのはそのように議会そのものが成熟しているわけですが、我が国においては、こういうことが白昼堂々とまかり通るというようなやり方、これは個人が持つべき発議権というものを、党という言うならば政党次元でもって縛っていこうということじゃないですか。そういう意味で、私は極めてこれは問題だと思っております。多数派形成の仕組みなんです。それを固定化していくということにつながっていく、このように私は考えているわけであります。その点からいいましても大変これは問題なんで、賛成をする党は参加ができるが、反対をしたような、あるいはしているような党はそれに加えないということについて、明確にひとつ答弁をしていただきたいと思います。
  50. 岡野裕

    ○岡野参議院議員 先生今見直しについてのお話だ、こういうお言葉でございました。見直しにつきましては、私ども附則の中で、第三条でございます、「政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律実施状況に照らして、この法律実施の在り方について見直しを行うものとする。」という修正提案をいたしました。これは無論、三党合意といいますものを踏んまえての修正であることは事実でありますが、その三党合意、私が手元にありますのをそのまま読み上げますと、六番目であります。「三年後に法律実施のあり方につき見直すことについて、意見の一致をみた。このため二年後に協議機関を設置することについても意見の一致をみた。」これが三党合意、見直しのくだりでございまして、協議機関にはどの会派が入るというようなことは一言半句も触れておりません。どうぞよろしくお願いいたします。
  51. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そうすると、私が手にしていますこの合意事項というのは、これはどういうことなんですか。そういうふうな議論がなされて、つまり修正案として実ったんじゃないんですか、どうですか。
  52. 岡野裕

    ○岡野参議院議員 先生、申しわけございません。私のは、三党合意の見直しのくだりでございます。先生のは、見直してはなくて、凍結解除でございましょう。(伊藤(忠)委員「そうなんです。だから、それを言っているんです」と呼ぶ)だから、私、答弁の冒頭、先生がおっしゃいますのは見直してございますねとだめ押しをいたしました。(伊藤(忠)委員「違いますよ。私は解除のことを言っているんですよ。解除を言っているんですよ」と呼ぶ)そうでございますということでございましたから。  解除につきましてのものは別のくだりでございまして、これは今お話をしました三条ではございませんで、これは附則の二条の方であります。これは最終のところでは「別に法律で定める日までの間は、これを実施しない。」これがいうところの凍結に値しますところの我々の修正提案文言でございます。これにつきましての三党合意といいますのは、これは三番目でございます。「PKF本体については、当分これを法律で凍結し、その解除は別に法律で行うこと及びその発議はこの法案に賛成した各党の合意を踏えて行うことで意見が」致した。」凍結のくだりはそういうふうになっております。(伊藤(忠)委員「聞いているんじゃない。ごまかすんじゃない、あなた」と呼ぶ)いやいや、先生の御質問にそのままお答えをいたしまして、見直しのくだりについて答弁をいたしました。凍結のくだりでありますならば、別であります。
  53. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 これは一体だから言っているんですよ、私は。詭弁を弄したら困りますよ。  つまり、一番問題なのはPKFの凍結なんでしょう。それがポイントなんですよ。これは公明党さんの意向を踏まえてそれが入ったんですよ、流れは。これが一番ポイントなんですよ。だから、それの解除をするときには、この法案に賛成をした党は入れるけれども、反対した党はこの協議の中には入れない、これが前段にあって見直しにつながっているわけでしょうが。あなた、それを切って、全く別個の問題で処理をするというのはおかしいじゃないですか。そのことを聞いているんです。  いずれにしても、答弁は要りませんから。私たちが言っているのは、とにもかくにもこういうふうなことを三党が合意をされて、そうしてこれに反対をする、あるいは問題を提起している、こういう政党は排除をするということなんですね。こんなことがあり得ていいのかということを私たちは言っているわけでありまして、そのことははっきりこれからも問題点として追及をしていきたいと思っております。  こういうことに絡むんですが、今の政治が、特に憲法、国是にかかわる基本的な問題でしょう。そのことについて国論が二分しているんです。だから、我々としても極めてこれは慎重審議をやらなきゃいけないし、もちろん法案を提案をされておる、修正案の三党の皆さんだってそういう国論というものをきっちり踏まえて、政府もまさしく総理先頭にそういう立場に立って問題解決に当たっていただきたいということを私たちは訴えてきているわけです。  実は、民社党の米沢書記長は、七日、長崎市で開かれた同党県連大会のあいさつの中で、国連平和維持活動協力法案に抵抗する他の公党に向かって、それは「日本人じゃない」こういう発言をしているんですね。ある論説ではこのようにも言っていますよ。この発言をとらえて、「戦前・戦中の「非国民」を思わせるような言葉が、書記長という要職にある人の口から」出るというのは、まさにこれは驚きだ、こういうことを論評していますよ。  こういう公党の、一党の書記長が、反対する人を、これは日本人じゃないというような言い方、これはあなた、渡辺外務大臣が時々見せしめだとかなんとも言われますが、次元が違いますよ。もっと重要な問題を含んでいますよ。国民はどう思いますか、国民は。日本人じゃないんですか。非国民なんですか。こういうばかなことがまかり通るというのは、これはまさに戦前を思わせる、そういう発言をやっても通っていく、こういうふうな考え方というのは極めて危険である。そういう発言については私たちは改めて別の場所で問題にしたいと思いますが、このことだけははっきり訴えておきたいと思います。  次に行きますけれども、カンボジアの問題について、これはPKO法案が今審議をされているわけですが、アジアの中ではホットスポットが二つある、そう私は考えています。一つは朝鮮半島の問題だと思います。もう一つはやはりカンボジアだと思いますね。とりわけカンボジアが、これからは本当に平和になっていってほしいし、そのためにみんなが頑張ろう、アジアの平和を築く上で極めてこれは重要な私たち直面してますPKOの課題なんじゃないでしょうか、そのように位置づけております。  で、この法案が、言うならば、成立を前提に政府考えられていると思うのですが、当面はカンボジアになる。ですからこれまでの議論もそこに集中してきたと思うんですが、防衛庁としては、もしカンボジアにいち早く、当面はカンボジアですから、そういう考え方に立って準備をされていると思うんですが、現地調査はやられているのか。二点目、派遣の訓練はやられているのか。三点目、部隊編成はどのように考えられているのか。この点について、まずお伺いをしたいと思います。
  54. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 お尋ねは三点ございましたが、まず、調査をやっているかということでございましたね、第一問は。この点は、調査といってもいろいろな段階がございまして、私どもは、当国会におきましてこの重要法案審議されている最中でもございますから、直接我々の防衛庁の職員をカンボジアに派遣してまだ調査はいたしておりません。しかし、この法案がこういう段階になりまして、成立さしていただけるという状況になれば直ちにこれは、公布、施行が三カ月以内となっておりますけれども、重要な任務が与えられるわけでございますので、調査団を派遣したいということは本院でもたびたび申し上げております。そういうことで、この調査の目的その他は、具体的にカンボジアヘの派遣国連から要請されるという前提でございますし、現にそういう国会で議論がなされているわけでありますので、最も可能性の高い地域一つとして私は考えております。  それから二番目の派遣訓練でございますけれども、もちろん、この法案が成立いたしまして、国連からの要請があり、そして我が国の主体的な意思判断で国際平和協力本部長から私の方に御下命があれば、これは行くという建前になっております。しかしながら、政府としてこのような重要な法案を出しているわけでございますから、出している以上は、部隊を変えるとかいろいろそういう組織編成上の問題はいたしておりませんけれども、既にキプロスへの、あるいはほかの地域への自衛官の数人の派遣をいたして、その調査等もいたしておりますし、それからまた訓練といっても、これは非常に広範ないろいろの要素を含みます。例えば英語でありますとか、いろいろPKOの本質でありますとか、そういうことは可能な限り隊員が周知することは必要であると存じておりますから、こういった点は一般論としてやっておることは否定できません。ただ、組織をそういうものとして変えるとか、そういう建前でやっておるものではございません。  それから、第三番目についても今お答えしたわけですね。部隊編成やっているかどうかということでございますが、このための特別な部隊編成等はやっておりませんが、しかるべき要員がグループで研究調査をし、これを準備万端おさおさ怠りなしということをやっていることは、これはもうはっきり申し上げておきます。
  55. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 今のようなこの状況なんですね。現状を言われると、言われることなんですね。そういう現状だと、例えば法案がいつ結論が出るかわかりませんが、これが成立するとしますか、仮に話が。そうすると、カンボジアはすぐ行くわけでしょう。行かなきゃいかぬわけでしょう。これまでの議論で、私も議事録読みました。そうすると、一年ぐらいかかるのかな、本格的な部隊派遣には一年ぐらいかかるのかなというふうなくだりもありますし、しかし、そうだとしたら、長官御承知のように、UNTACというのは来年の四月から五月にかけまして総選挙がやられますね。それから、シアヌーク殿下だとかUNTACの明石代表も言われておりますように、選挙が終わって、さよならと言って帰るわけにいかぬでしょう。そうしますと、残留期間というのを考えなきゃいかぬかな。それは二カ月か三カ月かというふうなことだって言われているわけですね。すると、準備に一年もかかったら、これはもうUNTACの行動には間に合わない、こういうことになりますが、どうですか、その辺。
  56. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 私が、半年ないし一年間通常の場合要するであろうというような趣旨の答弁をしたことがございます。これはもちろん、この法案が昨年からやっておられまして、三月にUNTACができる以前の私は答弁だったと存じますけれども、一般的に、新しい任務でございますから、やはり少なく見積もっても半年か一年は通常の場合必要でしょう、場合によれば北欧のPKOセンター等に教官となる人たちの派遣考えてみたいというような趣旨のことを申し上げております。  他方、UNTACは三月中旬にできまして、今委員の御指摘のように、十一月ごろまでには六月十三日からの兵力引き離しその他を終了を一応めどにしたい、それで選挙を来年の五月ごろにしたいということでございます。  私どもとしては、私が申し上げた一般論としての期限、これをカンボジアに直ちにそのようになるということを申し上げたことは一度もございません。実はカンボジアにやる場合にも、今度PKFのいわゆる凍結というような修正が加えられますものですから、これらを勘案いたしまして至急調査団を出したいと思っておりますが、その結果いかんによっては直ちに、まあ直ちにと言ってもある程度の短い期間で対応し得る面もございましょう。それからまた、どうしてもそんなに急がれても、ある一定の期間訓練その他をやって、隊員の安全確保その他を考えていかなければなりません。そういう場合もございましょう。  したがって、一義的に半年、一年とカンボジアの場合には私は言えないと思います。UNTACの方からの具体的な要請、後方支援の具体的な要請ですね、こういうものがどのようなものであるか、それらをよく判断をして、できるものから早期にやりたい、このように思っておるわけでございまして、もう具体的な今度は隊員派遣でございますから、しかも具体的な地域ということになりますと、まず調査をして、そしてそれにしかるべく、段階的であっても私は仕方ないと思いますけれども、可及的にこの要請にこたえていくという体制をとっていかなければならない、このように思っておるところでございます。
  57. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 具体的には後方支援ということになるんですね、本体凍結ですから。上限二千名、ローテーションで組んで行かれるんでしょう、きっと。そうすると後方支援の場合には、本格派遣だと八百名。現地に八百名行くと、待機が八百名要る。それからあとは何かを見なければいかぬということになると、マックス二千名の中でほとんどが自衛隊のメンバーが占めるということにならざるを得ないと思うのですね。  それで、問題は、この上限二千名が派遣をされることになるわけですが、そうした場合に、自衛隊の本体組織がありますね。本体組織のどこを削ってこの後方支援の部隊編成をなさるのか。そのことについて、簡単で結構ですからお答えいただきたいと思うのです。
  58. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 ちょっと今委員の御質問の中で不明確な点がございますが、上限二千人は、これは自衛官だけで占めるものではございません。これは選挙監視あるいは警察活動の補助、行政指導等の要員等も含めての二千名でございます。それが第一点。  それから第二点は、今委員が八百名という仮定の数字を言われましたが、八百名出した場合に、八百名また交代要員が要るではないか。これは二千人には入りません。現実派遣される上限が二千人であるということでございます。  それから、本体組織をつくる場合にどういうような方法でやるのかという御下問でございますけれども、これはUNTACの要請に応じまして編成をするわけでございます。それで特に、このたびPKFがいわゆる凍結になって、それ以外の後方支援業務ということでございますが、これらは、例えば施設その他の機能を果たすということであれば大体既存の施設大隊その他が中心になろうかと思いますが、その際そのものが出るわけではございません。そうして私どもは、この派遣する人たちの資質、能力、あるいは、やはりここでも議論されております忍耐心とかいろいろな面が必要でございますし、英語のある程度の能力も必要でございましょう。そういうものを広範に、これを募集といいますか、選択いたしまして、本人の意向等も私は考えるべきだと思いますが、そうして編成をしていくということでございますから、今固定的に申し上げるわけにはまいりません。  これはUNTACの要請に応じて、どのような業務、どのような規模、どのような期間というようないろいろの具体的なものが提起された場合に初めて我々として、部隊としてどのような編成で行くかということが決まってくるわけで、そして決まった場合には実施計画実施要領に従って、これは本部長のもとできちっとした閣議決定をして、そうして出動をする、こういうことになるわけでございます。
  59. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 抽象的に説明をされているわけですが、具体的に私はお聞きをいたしますが、そういう構想が、つまりこの会期を仮定しましょうか、二十一日から準備にかかったらいつごろにはその構想が固まって、閣議はいつごろをめどに準備が進められていくのか。その中に、今言ったように、派遣部隊というのはもちろん明らかになるでしょうが、持っていく母体の方は、これは本体でありますから、本体のどこからそれははぎ取って後方支援の部隊なりあるいはそのほかの部隊を編成するのかということは、これは国会に明らかになるのですか。
  60. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 今の委員の御質問の中に、いつごろ閣議決定するかというのは、これは全般に関することでございまして、自衛隊だけが出動するわけではありませんから、実施計画実施要領を策定する時期について私が具体的に答弁する限りではございません。しかし、二十一日に国会が終わって、準備をして、いつごろ可能かということも、抽象的といっておしかりを受けるかもしれませんが、これは現実でございまして、いかなる要請があるかによって違ってまいります。そうしてまた、例えば医療でありますとか、あるいは輸送、通信等々ありましょう、あるいはまたインフラ整備等もございましょう。それらが、いずれが我が国にどの程度の規模でやってほしいということが具体外的に出て、そういうニーズがはっきりいたしませんと我々としてもその編成はしようがございません。  そこで、どこから、本体から出すということでございますが、あくまでこの法案趣旨自衛隊の任務遂行に支障のない限り協力するということが明文ではっきりされておりますけれども、とにかく今の冷戦構造終結の中で直接侵略が直ちにあるわけでもございません。それから、訓練の仕様もある程度これを抑制しても、この問題に出して、自衛隊の任務遂行に支障がなければ構わないわけでございます。そういう判断のもとにこれを出すわけでございますから、今確定的なことは申し上げられない点は委員も十分おわかりいただけるのではないかと存じます。
  61. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 私の聞いておるのは、とにかく本体の業務があるんですね。だから、この本体の業務から人を都合しなければ出ていけないわけですよ、そうでしょうが。だから、本体の業務との開運ですね。どの部隊の何名がこちらに行くんだということが明らかに国会でもされなければ、これはもう全然議論もしょうがないし、シビリアンコントロール、事前承認と言われますが、具体的にはそういうことだと思うんですよ。シビリアンコントロールというのは抽象的じゃないんですよ。  具体的には、いうならばPKO法案を前提に話をすると、本体業務を割いてそちらに派遣をされていくわけでしょう。そうすると、出先のことだけをやってみたって出す方のもとが一体どうなっているのか、そして本体業務がどういう影響を受けるのかということがわからなければ、これは本当のトータルの議論にならぬでしょう。そこのところを言っておるわけで、時期の問題は、もちろんそれは仮定の話でしょうから、仕組みの、あるいは国会説明をなさる、そういうのは全然考えてないと言われるのか、それはきちっとけじめをつけて説明をいたしますと言うのか、そこのところだと思いますよ。
  62. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 本院でもたびたび議論されておりますように、そういった具体的な問題はすべて国際平和協力本部長である内閣総理大臣のもとで実施計画実施要領を策定いたしまして、特に実施計画については国会にこれを報告するということになっておりますから、具体的に自衛隊が何名出てどういう任務をいつまでの期間やるというようなことは、具体的にそこで記述されて国会に報告になりますから、そこで十分なまた御議論もいただき、変更という手続もございますから、そこで国会の意思は反映できるものと思っておるところでございます。
  63. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 じゃ、再度念を押しますが、そういう具体的なことも国会に出される、事前に出される、だから国会で議論ができるんだ、こういうことですね。
  64. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 これは、ただいま申し上げたとおり、実施計画の中で具体的に定めまして、そして国会に報告するということでございますから、これは法文上明らかにされておるところでございます。
  65. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 もう一度念を押します。抽象的な計画ではなくて、本体と出るところをきちっとこれがトータルになって、何名こちらに派遣する、この何名は本体のどこから何名すっ持ってきてここへ編成をしたんだと、具体的にそれは出されるということですね。
  66. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 実施計画でどの要素まで書き込むかという点については、これはまだ内部で調整がとれておりませんし、具体的なとにかく要請がないわけでありますから、これはお答えする限りではございませんけれども、しかし、よしんば派遣する部隊だけの人数その他任務だけ記述いたした場合でも、必要があればどの部隊から何名出したというようなことは私は御説明できるんではないか、このように思っております。
  67. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 私が心配するのは、実施計画でしょう、実施要領でしょう、実施要領は、安全に関する部分はいろいろ対外的なことがあって、その部分はどうしたって全部というわけにいかないという議論がありますよ。答弁されていますね。それとこれとは違うということを言っておるわけですね。ですからこれは数字の面なり、どこから来たのか、その人がここに入ってこのように行くんだなということが国会で議論の資料としてそういうものがきちっと提起をされないことには、これは本当にシビリアンコントロールにならぬわけですからね。そのことを詰めているんですが、よろしゅうございますか。
  68. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 法律的には、今申しましたとおり、実施計画実施要領等で、特に実施計画については国会に報告をいたすことになっておりますから、当然報告をしっ放しということではなくて本院においてどのような形でこれを受け皿として議論されるかわかりませんけれども、議論される際に、今委員のおっしゃったようなもろもろの要素についての資料要求がございますれば、これはオープンでやっていい話でありますから、私どもの方としてはできる限りの資料を提出して御理解を求めてやりたい、このように思います。
  69. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 今の答弁確認いただきたいと思います。  それで、次に移りますが、これまでのPKOの例ですが、さまざま議論の中でも取り上げられておりますけれども、今展開中のPKOが二十六カ所ですか、派遣期間も資料を見ましても、最長四十四年間かかっているんですね。レバノンで十四年間。カンボジアにしたって、これは武装解除の問題は、私も現地に行って避難民部落にも足を踏み入れましたが、大変な状況なんです。うまくいけばそれにこしたことはないんですが、それがかなり泥沼化するということは現に展開中のところが教えているわけですね。死者も、一番多く出ていますのはレバノンで百七十名ですか、キプロスが百四十九名、ヨルダン、イスラエルが、これは四十四年間展開しているんですが、二十八名亡くなっているんですね。ゴラン高原が二十四名、こういうことなんです。つまり、そういう状況になるということですね。一たん参加をするということは、そういう状況になるということを想定しておかなければいけない、こう思うんです。  何が何でも自衛隊ということが、ほとんど自衛隊が行くわけですからね、それ以外の分野でやれる方は比率は非常に少ない、このように考えますと、PKOのこの役割というのが本体業務よりも非常にこれはウエートがかかっていくと思うんです。ところが、本体業務自衛隊法の第三条できちっと任務でうたわれております。ところがPKOの国際貢献の場合には、今回の法案によりまして第一条の目的で明らかになっておるんですが、これは自衛隊の言うならば目的・任務と国際貢献に携わります人たちのこの国際業務とは目的がはっきり違うと思うんです。目的がはっきり違うにもかかわらず、つまり自衛隊法の雑則で規定しているわけですが、これじゃ海外に胸を張って出ていくという皆さんはたまらぬと私は思うんですね。何か事があったときに一体それにふさわしい言うならば国としての処遇がされるのかどうか、こういう点から考えましても大変問題である。  だから、本来これは、予算の問題でも防衛予算一くくりの中で要求していくことになるわけですよ、別組織じゃないんですから。その中で防衛庁の権限のもとに融通をしまして運用されていくということであったら、これはある意味ではごまかしじゃないですか。本来、目的違うんですから。皆さん、言われるんでしょう、PKOというのはノーベル賞をもらった世界に冠たる、みんなこれは賛成しているんだ。そういう言うならばハト派の行動と、一方では国土防衛、戦争のために日夜訓練を……(発言する者あり)そういうことですよ。それが前提なんですよ。でなければああいうふうな三K職場にならぬわけですから。任務はおのずから違うんです。  だから、私が言いたいのは、これははっきり……(発言する者あり)そうじゃないですか。大体、あなた、募集に行ったってなかなか集まらないんだよ。だから困っているわけですよ。そうでしょう。ちゃんと私資料を持っていますが、やじに答える必要はありませんがね。そういう状況なんです。だから、自衛隊の皆さんもそういう意味では苦労しているわけですよ。そうでしょう。でなきゃみんな隊員に入れるんです。通勤しているんじゃないですか。そこはそうなんですよ。だから、そういう実態の中で片方にはこういう崇高な任務があると言うんだったら、その法律、法体系を別につくって、そうしてそこに権限と言うならば予算をきちっと仕切って持たせていくというのが当然じゃないんですか。  このことについて政府はどう考えられていますか。何もかも一緒くたにして防衛庁のテリトリーの範囲内でやっていこうなんというのは全く私は時代錯誤だと思いますし、そういうふうなのも一つ、これはごまかしですよ。憲法九条の解釈改憲と一緒、やり方が一緒なんです、発想が。きちっと仕分けていけばこれはやはり行く人だって、おれはこのために行くんだ、で、もし長期化したってそれが崇高な任務のためであれば私は行くんだということになるんですが、何かどちらがどちらかわからね、御都合主義で動かされてそして行くというのじゃ、これはたまらぬと思いますよ。どうですか。
  70. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 今委員の御質問の中に幾つかの重要な点が含まれています。委員の誤解に基づくものではないかと思われる点もございますので、多少お時間をいただきまして説明申し上げたいと思います。  まず第一は、自衛隊法三条の本来的任務、これは直接侵略、間接侵略に対抗する我が国自衛隊の専守防衛の立場を明記してございます。しかし、これになければ自衛隊の任務でないかといいますと、そうではございません。今雑則だから軽く扱われておると言われておりますが、これは雑則の中にも非常に大きな、いろいろ重要な任務が負荷されておりますね。例えば、民生協力のための災害派遣等々、これは三条の本来業務とあるいは言えないものでございましょう。別個に規定がございます。しかし、自衛隊の任務といいますか、与えられた任務であることは間違いございません。そういうことでございまして、今度この国際的な崇高な平和協力業務も、八章には百条の七として、自衛隊の任務遂行に支障のない限りこれに従事するということが書かれて、自衛隊法の改正が行われておりますが、決して事柄の性質の価値判断を、こちらが価値が低くて本来のものが高いんだということを意味しているものではないと私は法律的にもそう思いますし、実態的にもそう存じます。  そして同時に、ごまかしということでございますが、これは自衛隊の能力、経験、組織等を活用するための貢献でございますから、そういう活動の貢献でございますから、自衛隊の本来の業務になるわけですね。本来的など言っていいでしょう。三条ではございませんが、本来的な業務になりますから、防衛関係費の中で私どもは処理すべきものだと思っております。  ただし、非常に規模が大きくなっても上限は二千人、私は二千人が、今先生がシビリアンの方は非常に少なくて自衛隊がほとんどじゃないかという予見をされましたけれども、私は必ずしもそう思いませんけれども、まあいずれにいたしましても、その派遣の規模あるいは派遣の期間、あるいは現地において行う職務、任務等によって予算の問題等もいろいろ変わってまいります。期間が短ければ予算も少のうございましょう。現に、話は違いますが、ペルシャ湾における海上自衛隊の機雷処理は追加的費用が十三億円でございました。これは既定経費の中でやりました。人件費等はもちろん防衛庁の本来の人件費の中に含まれております。この平和協力隊の任務も人件費その他はすべて防衛庁で賄う仕組みになっております。平和協力隊も、部隊として行く場合は平和協力隊の手当も自衛隊で処理するようになっています。  そういう仕分けをきちっとしてございますから、決してごまかしやいいかげんなことでこれをやろうとするものではありません。こういう任務が与えられた以上、経費も必要であれば私どもはここで申し上げておりますように予備費の使用あるいは追加的な、補正の機会があれば追加的な要求をいたしますし、またUNTACの場合、今御指摘のように来年まで続くという場合は平成五年度の予算で要求をするということも当然でございますが、あくまで防衛関係費の中で部隊としての経費は処理してまいります。個人としては総理府の計上になる面もございます。  なお、私が今ちょっと誤解を与えたかもしれませんが、災害派遣は八十三条で書いてございまして、私は雑則の八章ということを申したつもりはございませんけれども、そのように三条以外でもいろいろの条項によって自衛隊の任務が与えられておる、そしてそれは決して軽いものでないということを申し上げておきます。
  71. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 あのね、法的な根拠がなければ行動は起こせませんよ。そんなことを聞いているんじゃないです。私が言っているのは、こういう任務が明らかに違うんでしょうと、任務が明らかに違うのを一つ法律の中で便宜的に処理するというのは、これはこれからの国際時代には整理をしなければいけない問題でしょうということを僕は言っているわけですよ。だから、待遇のことは当たり前ですよ。そんな保障がなくて国が出ていけと言えますか。そんなことは愚問なんです。そういう答えは要りません、聞いていませんから。だから、私が言いたいのは、とにかく雑則の中では運動競技会に対する協力も国賓等の輸送もあるんです。いろいろありますよ。それから国内のレスキューも、言うならば本来業務と附帯業務に分ければ、附帯業務の中では非常にウエートが高いというので、条文の構成から見てわかりますよ。現に雲仙・普賢岳ですか、年間これだけ行っているんでしょう、国内レスキューでは、資料で明らかなとおり。平成三年度で九万九千九百六十四名、件数は七百四十七件ですよ。車両だって二万七千十二両も動いているわけですね、現に。そうでしょうが。そうでしょう。だから、本来そういうものもこれは貢献なんです。国内の貢献なんです。国際貢献なんです。そういうものもひっくるめて、働く分野、目的が違いますから、こういうものは一つの法体系にするのが私はきちっとした体制だろうと言うのです、目的が違って動くわけですから。でなければそこで一命を賭して、不幸にしてそういうふうな悲劇が起こったときに、本当にそこで、どういうのですか、家族はどうなる、こういうことなんです。  だから私は言いますが、これは自衛隊のインタビューのくだりを持ってきていますよ。こういうふうにある幹部は言われているわけですね。つまり「災害派遣がこれからの自衛隊の本務がなと思い始めた」「部内には戦闘訓練以外を任務と認めない古手が多く、求められる自衛隊像をはっきりさせてほしい」「募集難で現状維持さえ難しいのに、国際貢献だ災害派遣だと言ってやっていけるのか」こういうのがありますよ。インタビューでは、家族の奥さんに聞いたら、私はそういうつもりで嫁に来たんじゃない、ところが、ある日突然持っていかれたら不安てしょうがない、出ていく御主人の隊員も、家族のことが心配だ、こう言っているわけですよ。  何もかもごっちゃにやるからこういうことになるの。その辺はきちっと別組織をつくる必要がある。あえて申し上げますが、それができないのは、私は、この役所、官僚機構の縄張り意識じゃないかと思うんです。それがあると思うんです。だから、防衛庁にしてみれば――国際貢献庁をつくれというのは私たちの主張ですよ。国際貢献庁をつくりなさい、平和協力庁というものをつくりなさい、そういう省を別につくって、そこで言うならばPKO全体を仕切るということをやればいいんです。ところが、一番初めに恐らく反対するのは防衛庁ですよ。おれのテリトリーからこれが切り離されたら権益がなくなるということなんだよ。こういう官僚国家日本が、言うならばそのもとで要請をされて出ていく人が大変すっきりしない。あいまいなんだ。だから、こういう発想というのは、憲法九条ではきちっとあるけれども、解釈改憲で知らぬ間にどんどんどんどん進められてくるんです。  私ははっきり申し上げますが、公明党の委員長は一九九〇年の十一月の十四日に何とこれは言われておるんですか。那覇市内の街頭演説でこのようにきちっと言われています。「国際平和協力に関する合意覚書」というのをつくったんですね。「公明党がいる限り、新しい世界的貢献は平和的手段で達成させる。自民党の中から自衛隊を入れようという動きがあれば、これを必ず粉砕する決意で臨む」、お笑いですよ。これは一体どうなったんですか、あなた。こういうふうに政党が一つ一つ変節をしていって、憲法第九条を何とかこれを合憲のようにしながら解釈改憲でもってここまで来たんですな。その流れの脈絡が三党合意なんですよ、皆さん。  何でこんなに簡単に変わるのですか。私は、そのことが非常に私個人としても疑問なんです。人間ですから、もちろん十年前の考え方が今日も変わらないということはないでしょう。しかし、こういう基本にかかわる問題で、党の方針として見えを切られておるが、今日もう全然違うのですね。全然違うのです。それが、事が国是にかかわる基本的な問題であるだけに私はそのことを問題にしておるわけです。(発言する者あり)別に耳をふさいでもらっても結構です、私が勝手に言っているのですから。しかし、これは国民が聞けばどのように映りますか。民社党の米沢さんの発言にしても、公明党の石田委員長のこれとの関係にしても、一体どのように国民は考えるのでしょうね。  戻ります。今のことについて答弁してください。
  72. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 後半の問題は、野党間、公明、民社のことでございますから、後で御答弁いただきますが、二、三点だけ、前半に述べられた点でもう一回申し上げておきます。  自衛隊法の三条の本来任務に規定すべきではないかという御趣意の質問でございます。これは私どもとしては、将来問題としてこういった国際平和貢献が必要であればそういうことになるかもしれませんよ。しかし、現実に今この三条の中に入れるということになりますと、当然それに即応した体制、つまり大きな船も必要でしょう、それから飛行機も必要でしょう、長い距離を持った。そういうやはり体制をきちっとしませんと本来業務にはなりません。したがって、自衛隊の任務の遂行に支障のない限りと自衛隊法に書いてあるわけですから、その点は御理解ください。  それから、隊員の処遇の問題は、これは不安感の点を一部述べられましたけれども、私どもとして、隊員の安全と家族の不安感をなくしてこの協力業務に従事させるということは一番大切なことだと私自身考えておりますし、そのような対応を今考えているところでございます。その点だけ申し上げておきます。
  73. 林義郎

    林委員長 伊藤さん、こちらの答弁いいですか。
  74. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 いいです。(発言する者あり)
  75. 林義郎

    林委員長 御静粛に願います。御静粛に願います。
  76. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 私は答弁要求してませんよ。(発言する者あり)
  77. 林義郎

    林委員長 御静粛に願います。
  78. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 答弁を要求してません。質問はしてません。私は事実を述べただけであって、別に公明党さんに答弁をしてもらおうとは思いません。私は事実を言っただけです。事実を言っただけです。(発言する者あり)
  79. 林義郎

    林委員長 御静粛に願います。御静粛に願います。伊藤さん、よく聞こえないので、私が……(発言する者あり)御静粛に願います。御静粛に願います。伊藤さんにお尋ねしますが、答弁は要求しておられないということでございますね。わかりました。
  80. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 長官に伺います。  それで、結局今の答弁聞いていますと、自衛隊法の本来業務と、言うならば附帯業務に分ければ、これは雑則でやっているということは附帯業務みたいなものなんですよ。長官は私の質問に対して、それは本来業務として扱えるようにこれからは検討していこうという趣旨の答弁だったのですが、僕はそんなことを言っていないのです。目的が違いますから、自衛隊法とは切り離して、国際貢献庁を別につくって、この法律は目的が違うのですから国際貢献庁の法律ですよというふうにきちっと仕組みを分けていくべきであると考えるが、長官のお考えはイエスですか、ノーですかということを聞きたいわけです。
  81. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 委員の御指摘の国際貢献庁なるものは一体いかなる性格であるか、社会党の提案する文民……(伊藤(忠)委員「それは関係ないです。そんなことは聞いてないです」と呼ぶ)国際貢献庁をつくって自衛隊と同じような、自衛隊員派遣されると同じような組織、訓練をやるには手間がかかりますし、また輸送の能力も必要でございましょう。航空機も、艦船も必要でしょう。そういうことでありますならば、経費的にもかなり膨大なものがかかりますし、いわゆる第二自衛隊と言われるようなものになる、そういうことは好ましくないということははっきり申し上げられると思います。(発言する者あり)
  82. 林義郎

    林委員長 御静粛に願います。
  83. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 これは、私が言っておるのは、長官のその考え方はそれなりに立場でしょう、私が言っておるのは、目的が違うんですから、やはり別の法体系をつくられる、そうすればこれは別の組織をつくらなければいけませんし、予算もつけなければいけませんし、権限もそうなるでしょう。その方がすっきりするんじゃないですか。何もかも自衛隊法の中に全部寄せ集めて、本来業務は国土防衛、そのほか附帯業務はオリンピックもあるしPKOもあるよと言われたんじゃ、これは何でもかんでも一つのどんぶりでやっていくというのはいかぬことじゃないですかということを言っているわけですから、いや、それは応じられないと言うんだったら、それでいいんです。別にそれでいいんです。社会党の言う非軍事、文民とかなんとか言ってないですよ。そんなこと聞いてないんです。
  84. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 趣意はよくわかりましたが、自衛隊が即この平和協力業務に出るわけではございません。これは、国際平和協力本部というものを総理大臣でつくりますから……(伊藤(忠)委員「わかっている」と呼ぶ)おわかりになっていらっしゃるならいいです。自衛隊員はあくまで併有して、その組織内の命令によって出るわけですから、身分として併有するということでございますから、先生のおっしゃったような権限争いとかなんとか、各省庁の縄張りとかそういうことでないということは、これは御理解いただけると思います。  平和協力本部をあくまで設置をいたしまして、自衛隊員ばかりでなくて、二千人の中には、さっき申しましたように各省庁から、海上保安庁も出るでしょう、あるいは自治省からも選挙協力で出るでしょう、そういったことで編成したものの中の一員として我々自衛隊参加する、こういうことははっきり申し上げておかないと、自衛隊がいきなり出るような何か御趣意のようにも承れますので、改めて申し上げておきます。
  85. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 長官に聞きます。  PKOということになりますね。それで、自衛隊が出ることになりますね。いずれにしても出ることになるわけです。これが、そういうシステムができますと、多国籍軍に参加をするというケースが私は十分考えられると思うのです。そのことについて、長官はどうお考えですか。
  86. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 いわゆる国際連合平和協力法との一番の基本的な相違は、多国籍軍への後方支援という点がございまして、当委員会で採決に至らず廃案になったことは御案内のとおりでございます。これは現に戦闘行為が行われている場面の後方支援でございます。  しかし、本法案はあくまで、五条件がいろいろ言われておりますように、停戦ということが行われておりまして、停戦の合意があり、そして以下は申し上げませんけれども、五条件に基づいて派遣するものでございますから、多国籍軍への参加、これは絶対ありません。この法律で厳重に歯どめがかけられておるということでございます。
  87. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 多国籍軍への参加は絶対あり得ないという防衛庁長官の今の答弁は、ここで確認をさせていただきます。  休憩の時間が来ましたので、ここでとりあえず。
  88. 林義郎

    林委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時九分休憩      ―――――・―――――     午後一時一分開議
  89. 林義郎

    林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両案審査のため、本日、参考人として参議院議員高井和伸君の出席を求め、御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 林義郎

    林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  91. 林義郎

    林委員長 質疑を続行いたします。伊藤忠治君。
  92. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 カンボジアの現地の状況でございますが、UNTACの計画は武装解除を六月十三日からスタートする、このように聞いているわけですが、報道なんかによりますと、停戦協定に四派が調印をしまして、停戦そのものが成立をしているわけですが、ポル・ポトの動向が必ずしも、その後の動きを見ておりますと、かなり抵抗を示しているというふうに聞いているわけであります。ということになれば、UNTACの展開というのは一変をしまして、非常に厳しい状況、あるいは場合によっては危険なものになるのではないか、このように私たちは危惧をするわけですが、その点に関して、これは外務省になるのですか、現状把握、最近の状況についてお答えをいただきたいと思います。
  93. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 現地におきまして、シアヌーク殿下あるいは明石代表の和平に向けての努力が引き続き行われているわけでございますが、ただいまお話しのように、二日後に、六月十三日をもってUNTACは停戦の第二段階に入るということになっております。  御説明申し上げれば、ここでは各派の軍隊の再結集、主要地域におきましてUNTACの管理下のもとに各軍隊を置くわけでございます。そして武装解除、動員解除というふうに進みますけれども、ただいま仰せのように、そういうプロセスに入る段階におきまして、残念ながらポル・ポト派が必ずしも協力的な態度ではない。一定の地域を支配しておるわけでございますけれども、そこへのUNTACの立ち入りを現状では拒否しておるという段階でございます。しかしながら、それにもかかわりませず、けさの新聞にも出ておりましたけれども、明石代表は予定どおり、すなわち明後日からいわゆる停戦の第二段階にそれはそれで入ろうという決定をされたようでございまして、そういう決定を受けて、引き続きポル・ポト派に、クメール・ルージュに対しましては、国連の関係諸国、それから日本も含みまして、これがより協力的な態度になっていただくように、外交努力を継続いたしておるところでございます。
  94. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 具体的に武装解除をやる場合どのような行動になるのかということなんですが、私は現地でもお聞きしたんですが、UNTACの責任者などの意見交換の中でこのように聞いているわけです。もし私の理解が間違っていたら御指摘をいただきたいと思いますが、まず歩兵部隊が、武装解除の前提としては、相手の部隊を一応並べなければいかぬですよね。そして、武装解除ですから、武器を全部一定のところに、放すというか、自分から外して置くことになりますね。例えばその部隊が五十人編成であれば、だれだれは武器を放棄した、だれだれも武装解除オーケーだということで、監視団のメンバーが歩兵と付き添ってチェックをし、しかもそれを名簿にきちっと登録というか記載をするというか、そういう役割がこの監視団の役割である。だから、監視団は丸腰で実は同行する、こういうふうに私は考えているわけですが、そういう理解でよろしいのかどうか。つまり、歩兵とセットで武装解除の場合には行動をする、こういうふうに聞いておりますが、そういう理解でよろしいかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  95. 丹波實

    ○丹波政府委員 第二段階で行われますところの武装解除の問題ですが、御承知のとおり、SG報告では四派の正規軍が二十万、それから民兵が二十五万という数字が挙がっていますけれども、基本的に、四派の部隊が宿営地に集められまして、そこでUNTACの管理下に置かれまして、武装の解除及び動員解除が行われる、UNTACはこの一連のプロセスを監督、監視し、また武装解除の結果集積された武器の管理に当たるということでございますが、そのやり方につきましては、先生が今お述べになられましたことは基本的にそうだろうと思います。歩兵部隊と軍事監視要員がセットになって行動し、監視要員はもちろん丸腰ですが、この場合、人数を数えたりそれから武器の数を確かめたり、そういうことを監視要員は任務として当たる、そういうことで、先生が基本的に述べられたことはそのとおりかと思います。
  96. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そうしますとこの監視団は、この法案によるところの複合してしか実行できないケースには入っていないんですね、この監視団。乱そういうふうに理解するんですが、そういう理解でいいですか。
  97. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生複合という言葉を使われました。これは私昨日の委員会で申し上げましたいわゆる凍結とかあるいは国会の事前承認の対象になる業務との関連で申し上げたわけでございますが、これは先ほど国際連合局長から指摘ございましたけれども、まさに丸腰の個人参加の停戦監視団のことでございますので、複合の問題は起こらないというふうに考えております。
  98. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 個人で参加をするから、業務上はセットで動かなければいけない停戦監視団であるけれども、複合のケースには当たらない、しかし、今答弁があったように、これは事前承認の対象にはなる、こういう理解ですか。
  99. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  先ほど国際連合局長が申し上げましたように、部隊としてやる場合につきましては、それは先ほどのいわゆる凍結とかあるいは事前承認の対象になるわけでございますが、ここの場合にはあくまで個人参加の場合でございますので、そういう問題は起こらないということでございます。と申しますのは、先ほど私、複合ということで昨日答弁いたしましたが、あるいはいずれにいたしましても、自衛隊部隊参加部隊参加している場合のことを言っているわけでございます。
  100. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 事前承認は。
  101. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  事前承認についても同じでございます。
  102. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 対象にならない。
  103. 野村一成

    ○野村政府委員 複合ということで御質問がございまして、その複合の問題につきましては、いわゆる凍結、事前の国会承認の問題につきましても、あるいは部隊参加の場合のみについてのお話でございますが、対象にならないという理解でございます。
  104. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 これはまだ、きょうは時間が足りませんから、とても私の時間の範囲内でできません。相当これは問題を含むと思いますよ。  部隊でもって編成されて行く場合にはこの複合して行う業務であるかないかの対象になるけれども、個人で行くからその対象からは外れる。個人で行くといいますけれども、個人で行くのはこれは直接、つまりUNTACのコマンドに入るわけですね。これはそうでなければ、個人で判断するということは、実際に現地行動できませんからね。個人で行くんだから対象外というんでしょう。個人で行くような任務というのはあるんですか、個人で行くような任務というのは。個人で行くんだったら、オフィサーでなくて、これはシビリアンのNGOみたいなものですな。
  105. 丹波實

    ○丹波政府委員 先生にお答え申し上げます。  実は衆参両院のこの委員会で個人でという言葉を随分いろいろな方がおっしゃっておられますが、正確には、もちろんこれはプライベートに行くわけではございませんで、正確な表現は個人単位でという、それが正しい表現で、個人単位で、部隊として行くんではなくて個人単位で政府から派遣される、そういう意味でございます。
  106. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 これは詰めればかなり時間かかりますよ。  それで、もちろんそれは私人として行くわけじゃありません。それはそうだと思いますよ。この法律の適用を受けて、その範囲内で行動するんでしょうが、しかしそれは、個人というのは、その本人の携わる業務が停戦監視という任務達成のためには個人で参加、丸腰で参加をするという特色があるんですね。特色があるんですよ。だからそれは個人なのであって、じゃ部隊として停戦監視業務参加をするという形をとってないだけの話なんですね。そうじゃないですか。それを、何かそのことを非常に大きな理由にして対象から外すというのは、これはどうでしょう、実態的でないと思いますし、それはやはりさまざまそこから誤解なり問題が派生するのではないんでしょうか。私はそう思いますよ。
  107. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  参議院修正で出てきておりますいわゆる凍結あるいは国会承認の対象につきましてですが、これは私どもの理解している限りにおきまして、自衛隊部隊等がこのイから、三条三号ですが、イからへまでに掲げる業務またはこれらに類するものとしてレで定めている業務という、それについての話である、それをあくまで対象にして、それがいわゆる凍結あるいは国会承認ということである、そういうふうに提起されている、そういうのが参議院修正趣旨であるというふうに明らかに理解しておりますし、そういうふうに修正をごらんになっていただきますれば明らかに読めるわけでございまして、したがいまして、今、先ほどしました、いわゆる個人参加の自衛官につきましてはその対象に入っておらないということでございます。
  108. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そうすると、これは国会承認の対象にもならないし、凍結の対象にも当然ならぬわけですね。
  109. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  私が政府の方としまして参議院修正を理解する限りにおいて、そのとおりでございます。
  110. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 だから、外務省にしてみれば、私、大変これは筋の通らないことをわかっていて答弁されているから非常に苦しいんじゃないかと思いますね。私たち常識的に考えても、今言ったような疑問がすぐ出ますよ。そういう矛盾をはらんだ中身があの修正案なんですね。これは非常に政治的にまとめられたからこういう格好になったんだと私は思います。勝手に解釈をさしていただきますが、私はそう思いますね。  そうすると、これは監視団として行かれる方を、一体どこへ行くのか、承認の対象にもならぬ、凍結の対象にもならぬとしたら、あなた、勝手にあっちこっち行くことができるんじゃないですか。そんなばかなことは、私は、システムとしてつくるということであるのは前提ですが、これはうんと言うわけにいきませんね。これは大変問題です。これは大変危険性がありますし、シビリアンコントロールが全くこれはかからないわけですから、大変問題がある。どうぞ答弁があったら言ってください。
  111. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  まず私申し上げたいのは、これも参議院修正を理解する限りにおきましてでございますけれども、この停戦監視団というのは丸腰で行く、そういう任務であるということにぜひ御留意願いたいと思います。それから同時に、どこにでも行けるかという話でございますけれども、これは個人参加の自衛官でございましてもやはり実施計画実施要領にのっとって対応する、その中において明らかにされる、そういうふうに理解願います。
  112. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 何か面倒くさい答弁みたいにやらぬでくださいよ。重要な問題なんですよ、あなた。面倒くさい質問しやがってなというようなことで答えるからそういう表情になるんです。冗談じゃない、あなた。まあこれは時間がありませんから次へ行きますけれども、もう少しやはりそれはきちっと答えるべきですよ、あなた。当然のこれは疑問なんでしょう。  次に、この地雷処理なんですね。これは外務大臣がこういう趣旨の答弁をなさっています。後方支援の場合に道路建設の障害になる地雷は撤去する、このように答弁されているわけですが、地雷処理というのは、これはこの法案に言うところのFではないんですか。私は、三条三号の二項でいいますとこれはFだと思いますが、どうですか。
  113. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  地雷の処理につきましては、この法案は何分業務に着目いたしまして作成いたしておりますので、この三条の三号、列挙してございます。その中に二というのがございます。「放棄された武器の収集、保管又は処分」、この「処分」という中で、これを部隊として行う、そういったぐいの業務であるというふうに理解しております。
  114. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 これは複合業務ですか。
  115. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の複合の点につきましては、実は昨日たしか山口先生の御質問に答えまして、詳しく参議院委員会の段階で論議になった点を政府としてまとめた諸点を明らかにさしていただきました。現実自衛隊部隊等が行う業務ではございましても、やはり、例えば道路建設を部隊としましてやるという場合にも、地雷がたくさんあって、やはりその地雷の処理というのも、つまりここで掲げてございます三条第三号の二の業務というのもあわせてやらないといけない、つまりその業務と複合してしか実行できないようなケースは、やはり法的には今申しました第三条三号の二の業務は、これはいわゆる凍結あるいは国会承認の対象となっておるわけでございますので、その結果道路建設の業務も事実上同じ扱いとなるという点が第一点でございます。  それからもう一つは、とは申しましても、やはり道路建設をやるという場合でも、その場合には地雷というのが一応撤去されている、そういう前提で行っておりましても、隊員の生命または身体の安全を確保するため地雷等の有無を確認し、その結果偶発的に発見された地雷等の処分を行う行為、これまでも禁止するというのは、やはり隊員の生命または身体の安全を確保という見地からよろしくないというふうに考えられるわけでございまして、その点につきまして、やはりそういう業務につきましては、この道路建設の例でございますけれども、それの業務の一環、その業務に含まれるものとして扱うというのが第二番目の点でございます。  それで、やはりそういった点をなぜ申しましたかと申しますと、この実施計画というのの中には、けさほども議論ございましたけれども、どういう要員が、構成ですね、どういう装備、武器も含めてでございますけれども、持っていくということをはっきりさせるわけでございます。また、国会にも報告するわけでございますので、その場合に、やはりきちんと、偶発的に発見された地雷等の処分というそういうのに相応する、そういったことがはっきりと実施計画に明確に、かつわかりやすく記載され、またそれが国会に報告されているということがやはり重要、必要であるというふうに考えた次第でございます。
  116. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 それも結局グレーゾーンになるのですね。それはケース・バイ・ケースなんだ、具体的な実施要領で事前の議論をしていただくからということになっちゃうのですね。だから、なかなか、どういうのでしょうか、想定をして決めるとなったらいろいろな問題が出てくる。しかも、この道路建設に当たって、地雷が埋設されているかどうかということも探知しなければいけないという仕事をこれもセットでやっていこうとなったら、どうしたってこれは地雷処理班をそれなりに自衛隊が連れていかないことには安心できないというところまで行くのですよ、これは。  そういう状態を、まず危険な状態をどのようにしてなくしていくかということが前提でなければこの修正案というのは実行できないです。非常に無理な修正案になっていますから、実態に適応できるかどうかとなったら、今おっしゃったようなこういうケースもあるから、これはここで言っていることとは例外的に処理しないことにはなかなか行けないですねというようなことがどうしたって出てくると思うのです。やはり無理が出ますよね。  その点が非常に問題だし、実際に地雷といいましても、皆さん御承知のとおり四百万ともそれを超えるとも言われているわけですね。私もプノンペンヘ行きましたけれども、市内ですら、若者だとか子供が、足がなかったり足首がなかったりという人が非常に目立つわけですね、犠牲者の姿というのが。特に子供の姿は、私は痛ましいと思いますよ。これは別に大人の責任であって子供の責任じゃないのですが、いずれにしても、地雷原と言われるように、これも大体二十州ある中の三州か四州ぐらいです、カンボジア国境に隣接しておる州ぐらいなんですが、そこに集中している。時にはジャングルの中にもこれがまかれているわけでしょう。  そうすると、何といっても、これはUNTACが支援をするといっても限界があると思います。それは、やはりその国の人が中心になって長い時間かけてこれは撤去作業をやっていくという、一つの贖罪と言ってもいい面しゃないでしょうか。私はそのように考えたいと思うのです。  ですから、何かいきがって、自衛隊が今のグレーゾーンがある中を、いや、これぐらいは実施要領で出せば大体多数決でいくだろうということでどんどんやっていったら、自衛隊の諸君は私は不安てしょうがないと思いますよ。そういう技術というのは確立されていないし、大体戦車を対象にして地雷なんというのはつくっている、正規戦を対象にしてやっているわけですからね。ゲリラのつまり地雷なんでしょう。ですから、これはとてもじゃないけれども、ケース・バイ・ケースで難しいというのが自衛隊の皆さん、私も聞いていますよ、実際。それは伊藤さん、長官はああいうふうに国会で答弁しているけれども、我々の立場に立ってみたらそんなのなかなかできぬし、そこへ行けと言われたらカンボジアの人にやってもらわぬことには、自分にやれと言われたらそれはできる問題じゃないというのが自衛隊の諸君の偽らざる心情じゃなかろうか、このように私は思っているわけです。  そこで、長官に聞きますが、それでも行けと言われたら、自衛隊の諸君は行かなければいかぬ。非常に危険があるなということをわかっていても行かなければいかぬというのがこの法律なんですね。ところが、この自衛隊の諸君というのは、これは法第三十九条によりまして隊員の宣誓をきちっとやらなければいかぬことになっているわけですね。宣誓をして行くわけです。大変これは言ってはならぬことですが、もしそういう不幸に見舞われたという場合に、それにふさわしい言うならば処遇というのはやられることになっているのですか。
  117. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 委員の御指摘のように、私どもこの任務を遂行するに当たって自衛隊派遣をするにつきましてはまず安全確保、それから万々が一そういうことがあってはならないわけでございますが、しかし制度としてはきちっとやはりできてないと安心できません。したがって、先生の御指摘はあるいは賞じゅつ金等の問題であろうかとも思いますが、これはたびたびここでも申し上げておりますとおり、今まで自衛隊の賞じゅつ金は同じような業務に従事して殉職した場合でも千七百万円が限度でございましたが、他の消防あるいは警察職員等と非常にアンバランスであるということが言われておりまして、この平成四年度予算でマキシマム五千万円まで出せるようにいたしました。  そういう手当のほかにこの法案自体で平和協力手当を支給することになっておりますが、これはまだ額等は決定しておりませんが、これは財政当局あるいは関係省庁と総理府、私どもと協議してできるだけ手厚いものにしたい。それから、国家公務員でございますから、災害補償法、国家公務員の補償法の問題等の適用もあとう限り有利な扱いをしていく。あるいはまた、機雷掃海の場合にはその勤務の特殊性に応じまして特殊勤務手当的なものの支給もいたしましたけれども、そういうものは可能かどうか、あとう限りそういった隊員の処遇の問題はきちっとやっていかなければならない、このように存じております。
  118. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 答弁をお聞きすればするほど、これは国際協力隊という別の組織があって、その目的に沿ってそして出ていくということであればともかく、自衛隊の附帯業務で、まあこういうことになったから出ていく。家族にしてみれば、国土を守るために夫と結婚したのだけれども、附帯業務で向こうへ行った、こういう目に遭っだというのでは、これは浮かばれません。ですから、そのように整理をされなければいかぬというのが私のこれは持論でございますので、これはぜひとも政府で真剣に検討いただきたい、私はこのように思います。  時間もありませんので最後に総理に申し上げたいと思いますが、今までの議論の中で、総理は、最近の姿勢を見ておりますと、何が何でもこの法案の成立を図るんだ、非常に高姿勢に転じられまして、そういう姿勢をありありと私たちは見聞をしているわけでありますが、いつから総理はそういう考え方に変わられたのかなと。これは別名変節と申し上げますが、私は、全く総理の今日のそういう答弁ぶりに失望をしているわけであります。  総理はこの発言をよもやお忘れでないと思います。  これは、私が生まれ育ちました津市で、九一年七月の二十二日に講演にお見えになりました。この中で総理は、国連平和維持活動への自衛隊参加問題について、人を殺傷することがわかっているところに自衛隊は出せないと述べ、平和維持軍に参加する場合も、武力行使を伴う自衛隊参加には反対考えを明らかにされました。さらに、憲法を変えようとか兵隊を送ろうとかというようになると、長年の決心を改め、軍事大国になるが、戦後四十数年間歩いてきた道は間違っていなかった、今後も自信を持って歩くべきだと考えている。つまり、軍事的貢献は行うべきでないということを強調されているわけであります。記者団の質問に対して、それじゃ世界はどういうふうに言いますかな、こういう質問に対して、決してこれは日本として恥ずかしいことではない、誇ってよいことだ、このように津市で実は講演をなさっているわけであります。よもや総理はこのことをお忘れではなかろうと私は思うわけであります。  自公民と三党合意が成立しまして、発議されて、政府がこの案を出された。何が何でも自衛隊ありきということで貫かれているわけですが、私たちとしてはそういう考え方に同意することはできません。反対であります。私は、国際貢献というのは背伸びするものではないと思っているわけです。それこそ国民合意のもとに進めるというのが国際貢献の基本だと考えております。  カンボジアに行くチャンスに恵まれまして、ことしの一月と四月に現地を訪れることが私はできました。あのカンボジアの中で、クラスでいいますと、日本のホテル基準でいえば三つ星がな四つ星にいくところかなという、そういうレベルの、名前はカンボジアーナというホテルがただ一つあります。このホテルには、各国の大使館やあるいはプノンペンを訪れる外国の皆さんがほとんどそこで投宿をするわけですが、そのロビーや食堂の風景を見ておりますと、次のようなことが目につきます。  まず第一点、目につくのは各国大使館、その関係者であります。その次に目につくのは、UNTACのオフィサーやあるいはポリスの幹部諸君であります。迷彩色に身を固めております。第二に目につくのが何と日本の観光者、観光客。これはアンコールワットヘ、つまりツアーでもって、大体現地は二泊三日の日程で、タイのバンコクからまずこのホテルヘ入って一泊しまして、そこからアンコールワットに行って、二泊三日で実はツアーをやりましてまた戻って帰るという、こういうコースが非常に多いわけです。こういう皆さんがだんだんふえております。大体、どうでしょうか、そのうちに月五百人から七百人、千人というふうにふえていくのじゃないでしょうか。これが二点目に目につきます。三番目に多いのは商社マンです。この人たちは日本とアジア系の皆さんが多いと私は判断をいたしました。こういう、言うならばホテルロビーで目に入ってくる光景でございます。  一方、NGOは、日本から六グループが実は自己犠牲をしながら現地で活動をしているわけであります。私たちもそのグループの皆さんと実は意見交流をする機会を、外務省の計らいもございましてチャンスに恵まれましたけれども、この中の一つに幼い子供を救う会というのがございまして、実は青年が一人日本からやってきて、民家で言うならば部屋を借りて生活をしているわけですね。その方はちょうど二カ月前にある県庁をやめて来たというのですね。そういう非常に貢献、NGOに言うならば心を燃やしている青年なんです。こういうNGOの人たちは、実際市民生活に触れて本当に地についた支援活動をやっている。立派なこれも国際貢献だと私は思うのですが、そういう人たちに対する政府の体制があるのかといえば、これはなかなか行き届かない、極めて不十分な状態にあると思うわけです。  したがって、私が言いたいのは、国際貢献に対する世論の現状というのは、日本の場合、これはまだ未成熟な部分を抱えていると言わざるを得ない。その現状を変えていくのが政治の責任ではなかろうか、政府役割ではないのか。にもかかわらず、ここで自衛隊派遣にこだわるような、そこに的を絞って強行すれば問題の解決が図れるなんというような考え方をするとするならば、今後私たちが二十一世紀に向けて日本の国際貢献というのは一体どういうことになるのか。そこに哲学がない、理念がない、ただ今回の法案を通せばいいんだということになりますと、自衛隊だけがどうしても前へ出てしまう。そうすると、国際政治の場では……
  119. 林義郎

    林委員長 伊藤君に申し上げます。伊藤君に申し上げます川お約束の時間が参りましたので、結論をお急ぎください。
  120. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 終わります。国際政治の場では、つまりこういうふうな声だって出るんじゃないでしょうか。  もう終わりますが、つまり日本というのは国連の常任理事国になりたいと思っているんじゃなかろうか。アジアではUNTACがこういうふうなことに今やっているが、カンボジア問題でひとつ日本は実績も踏まえて、そうして今後国際政治国連の場に踏み出そうと考えているんじゃないのか。そうしたら、いろいろあるから、まあ、お金も経済大国で払いっぷりもいいから、会もしょわせ、何々もしょわせということになってきたら、本当に皆さん方は、総理はそのように考えてみえないと思いますが、そうだとするならば、そういうふうに見られないようにしていくためにも、今ここで私たちが何を大切にしなければいけないのか、このことを私は訴えたいわけでございます。  したがって、今回の法案は、ほとんどが自衛隊で占めて、出ていくことになるわけですが、それが本当の意味で、日本の平和憲法をもって、その憲法を踏まえた国際貢献策になるのか。非軍事、文民、民生と私たちは言いますが、それの側面での、言うならば重視をした国際貢献というのはどれだけやってもいいと思います。そのことがほとんどこれでは具体的に出ないわけでしょう。そこのところを私たちは問題にしているわけでありますから、そういう意味からも、私たちは絶対この法案には同意することはできません。  ですから、多くの答弁はいただきませんが、総理、その点で私が今申し上げた、変節という言葉も使いましたから失礼かもわかりませんが、もし総理がそうでないとおっしゃるんだったら、どうぞひとつ総理、所信をお述べいただいても結構でございます。私はそのようにしか見えぬ。その辺はどうでございましょう。
  121. 林義郎

    林委員長 お約束の時間が来ておりますので、できるだけ簡潔にお願い申し上げます。
  122. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 異存がございます。私の考えは、戦後きょうまで変わっておりません。  先ほど紹介になりました新聞の記事でございますか、比較的正確でございます。私、それに近いことを言っております。  すなわち、第一に、人を殺傷する可能性が高い、そのような行動に参加することはいけないということを言っておりますのは、これは武力行使をすることはできないと言っているのです。ですから、いわゆる多国籍軍に我々が参加できるかどうかという問題がございましたね。これはやはり人を殺傷する蓋然性が高こうございますから、それは私は参加できないんだという意見であります。  次に、自衛隊をよそに出すときに武力行使をするようなことがあってはならないというふうに言っておると引用されておりますのは、そのとおりであります。この平和維持活動は、武力行使を前提にしているものではありません。
  123. 林義郎

    林委員長 次に、小澤克介君。
  124. 小澤克介

    小澤(克)委員 本案について修正案の発議者に対しまして順次お尋ねしたいと思いますが、その前に二つだけ御質問したいと思います。  先ほど、我が同僚の伊藤忠治副書記長の御質問に対しまして、総理は我が社会党の田邊委員長からの党首会談の申し入れに対して受けるのか受けないのか、もう一つはっきりしなかったわけでございますが、これを受けるお考えがあるのかどうか、明確にしていただきたいと思います。
  125. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 公党の委員長の申し入れでございますから、喜んでお受けをいたし、お話を、意見を交換するというのが私の考え方の原則でございます。
  126. 小澤克介

    小澤(克)委員 原則はそうだとして、現時点で具体的に申し入れがあるわけでございますが、これについてお受けしていただく考えがおありでしょうか。
  127. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 各党が御一緒になってこの大事な法案を御審議中でございますので、ただいまのところそういうことはちょっと考えにくうございまして、この法案の処理が済みますればまた喜んでお目にかかりたいと思います。
  128. 小澤克介

    小澤(克)委員 誤解をしておられるようです。  本法案について提出者としての立場で御答弁されておられるわけです。我々もそれについて質問しているわけでございます。我が田邊委員長が党首会談を申し入れているのは、本法案についての事柄ではございません。次元が違います。現下の政治状況において――現下の政治状況、大変国会でもいろいろございましたし、また国民に信を問うべき状況、事態である、こういう認識に立っているわけでございます。法案の提案者としての総理にお会いしたいということではなくて、政党の党首としての総理にお会いしたいと、次元の違う話でございますが、いかがでしょうか。
  129. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それでは、当面この法案の処理というのは非常に緊急だと考えておりますので、これを終了いたしまして、しかるべきときにはお目にかからせていただきます。
  130. 小澤克介

    小澤(克)委員 本法案のことも含めまして、本法案について質問しているのではありませんよ、本法案を含む現下の政治状況について申し込んでいるわけです。そのような御答弁では納得できません。早急に受けるべきであると思います。あなたは最大の数を誇る与党の党首であられるのですよ。野党第一党の党首から会談の申し入れがある。これは逃げ図らずに堂々とお受けするのが当然ではないでしょうか、いかがですか。
  131. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私も原則としてそのように考えております。
  132. 小澤克介

    小澤(克)委員 原則論ではなくて、現に今申し入れているこの件について早急に党首会談を実現する、そういう決断を大政党の総裁としてしていただきたい、強くお願いを申し上げておきます。  もう一点だけ、本論に入る前にお尋ねをしたいと思います。  加藤官房長官、昨日我が党の同僚から例の共和事件の破産問題に絡みまして、一千万円授受の疑惑といいますかに絡んで、平成二年二月八日から九日にかけての行動について明らかにしていただきたい、こういうことをお願いし、調査の上明らかにする、こういう答弁をいただいているわけでございます。  そこで、二月十日でございますが、宮城県に行った、こういう記憶にあるという御答弁でございました。もう少し記憶を喚起していただきたいのですが、この日は気仙沼で菊池福治郎候補の応援演説に行かれたのではございませんか。
  133. 加藤紘一

    加藤国務大臣 そのとおりでございます。
  134. 小澤克介

    小澤(克)委員 この日、十九時から個人演説会に出て演説をされて、そしてそこを出て車で一関へ向かい、そして新幹線で東京に戻られた、こういうことではございませんか。
  135. 加藤紘一

    加藤国務大臣 彼ほど詳細に時間とか場所等とかを調べて御報告いたしますが、そのときは新幹線に乗っておりません。翌日秋風に行く予定でございますので、一関に泊まっております。
  136. 小澤克介

    小澤(克)委員 この点については、お約束どおり記憶を喚起して明らかにしていただきたいと思います。  それでは、本論に入ります。  国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案に対する修正案、これについて発議者に伺います。  これは委員長に御要望でございますが、修正案でございますので、当然発議者にお尋ねいたしますので、万が一にも間違った答弁者の指名をしないでいただきたいと思います。
  137. 林義郎

    林委員長 はい。
  138. 小澤克介

    小澤(克)委員 まず最初に、発議者の田渕参議院議員にお尋ねいたします。  この修正案では、第六条に七項を設けて、ここでいわゆる国会の事前承認の制度を修正してつけ加えたわけでございます。その中で、その事前承認の対象となるものについて、「第三条第三号イからへまでに掲げるもの」そして「又はこれらの業務に類するものとして同号レの政令で定めるものについて」これを事前承認の対象とする、こういう修正案となっているわけです。  ということは、レの政令で定めるものについて、これをイからへまでに掲げるものに類するものと、それから、へですからトですか、ト以下に類するものと、この二つのカテゴリーに分けて、そしてイからへに類するものについてはこの政令で定めた業務について国会の事前承認を得る、こういう構造になるわけでございます。  そこで、イからへに類するものとして政令で定められる業務とト以下の業務と、これを分けるメルクマール、判断基準をお示し願いたいと思います。
  139. 田渕哲也

    ○田渕(哲)参議院議員 承認の対象をイからへまでの業務並びにそれに類する政令で定める業務、このようにしたわけですけれども、このイからへまでの業務というのは、いわゆるPKF本体の業務とされるものでありまして、例えば緩衝地帯に対する駐留、あるいは放棄された武器の収集、保管、あるいはいわゆる武力紛争停止の監視、こういった軍事的業務が行われるわけであります。それ以外のヌからタの業務というのは、それに対する後方支援の業務もありますけれども、他の被災者の救援とかインフラ整備の業務もありまして、直接的な軍事的業務ではないと判断されるわけです。したがって、本体業務というのは、もちろん戦闘のための武力行使は行いませんけれども、仕事そのものは軍事的業務に属するものである、そういう観点からこのように分けて、本体の部分のみを国会承認の対象にしたわけであります。
  140. 小澤克介

    小澤(克)委員 結論といたしまして軍事的業務に類するものがイからへで、それ以外のものがト以下に類するもの、こういうことでございますか。確認させてください。
  141. 田渕哲也

    ○田渕(哲)参議院議員 俗に言う軍事的業務ということであります。
  142. 小澤克介

    小澤(克)委員 事前承認の対象になるかならないかという境目の問題でございますから、俗に言うなどということでは困るわけでございまして、その判断基準を明確にしていただかなければなりません。軍事的業務であるか否かをメルクマールとするならば、部隊参加でト以下の業務参加するもの、これは軍事的業務でないという御理解ですか。
  143. 田渕哲也

    ○田渕(哲)参議院議員 まず、この法律ではそういう表現ではなくて、具体的な業務の内容で示しておるわけでありまして、個々のこういう業務承認の対象になる。はっきりしていないのは、レで言うこれに類するものということでありますけれども、それがどういうものかということは、大体現在想定されるPKO業務の中はすべて網羅的に、個々の業務ということでイからへまで示しておるわけであります。  しかし、今後PKO活動をする中で、これに羅列していない仕事が出てくるかもわからない。その場合にそれがPKF本体の業務がどうか、いわゆる俗に言う軍事的な業務に当たるかどうかによって、このレのものは区分けされるということでございます。
  144. 小澤克介

    小澤(克)委員 ですから、俗に言う軍事的業務に当たるか当たらないかなどというあいまいな判断基準では困るわけです。いいですか。今おっしゃったように、レに基づく政令ですね、これはイからタまで全部に類するものが政令として決められるわけです。その政令を二つのカテゴリーに分けるわけでしょう、イからへまでに類するものとト以下に類するものと。それによって、どちらのカテゴリーに入るかによって事前承認の対象になるかならないか、分かれ目なんですよ。国会の事前承認が要るか要らないかという大変重要な分かれ目ですよ。その判断の基準を修正者として当然明確になった上で提案をしておられるのだろうと思いますよ。はっきりさせてください。田渕さんにお願いいたします。
  145. 田渕哲也

    ○田渕(哲)参議院議員 これは今までも国会論議の中でいろいろ出ておりますけれども、いわゆるPKF本体の業務ということで、例えば緩衝地帯における駐留とか、放棄された武器の収集、処分、武装の解除の監視等を挙げておりまして、これらは普通、歩兵部隊が主体となって行われるものであります。したがって、自衛隊の場合にも普通科の部隊ということになるわけでありまして、それ以外のものでもこれに類するものというのは、ここに書いてありますように、例えばそれは歩兵部隊が主になってやる業務であるとか、あるいは……(発言する者あり)いや、具体的な業務がそこに挙げてあるわけであります。これ以外の業務というのは大体後方支援、例えば輸送とか医療とか、あるいは通信とかいう業務でありまして、そういうものに類するもののレは含まない。そして、本体の業務に属すると具体的に判断されるものは、たとえレであっても承認の対象になるということであります。
  146. 小澤克介

    小澤(克)委員 この二つのカテゴリーを分ける明確なメルクマール、もっとはっきり言ってください。今のでは何のことか結局わかりません。若干の例示があっただけでございます。こういう判断基準をもって分けるのである、歩兵部隊業務に属するものがイからへに類するものというカテゴリーである、こう理解してよろしいですか。
  147. 岡野裕

    ○岡野参議院議員 先生は法律御専門でいらっしゃいますものですから、法文をちょっとひもといていただきますならば、それに基づいて御説明が申し上げられる。  先生御承知のとおり三条三号、これに、私どもこの法律に基づきまして、協力業務ということで可能な業務をずっとイから始まりまして、先生がおっしゃるレまでございます。これを分類をいたしますと、まず……(発言する者あり)私、小澤先生にお話をいたしておりますので。  まず、イとロをごらんを賜りますならば読んで明瞭でございますけれども、まず「武力紛争」、これは全部読んでいくと長くなるのを御勘弁をいただきたいのでありますが、「武力紛争の停止の遵守状況の監視」……(小澤(克)委員委員長、発言を許してください、委員長」と呼ぶ)「又は紛争当事者間で合意された軍隊の再配置若しくは撤退」……(小澤(克)委員委員長委員長、貴重な時間なんです」と呼ぶ)「口 緩衝地帯その他の武力紛争の」……(小澤(克)委員「大体、私は指名していないんです。発言を許してください、発言を許してください」と呼ぶ)「設けられた地域における駐留及び巡回」……
  148. 林義郎

    林委員長 小澤君。
  149. 小澤克介

    小澤(克)委員 今私に指名されました。やめてください。今指名されたんです。
  150. 岡野裕

    ○岡野参議院議員 「ハ 車両その他の運搬手段又は通行人」……
  151. 小澤克介

    小澤(克)委員 衛視、衛視、手を入れてくれ。私が指名されているのに何ですか。衛視、追い出してくださいよ。
  152. 岡野裕

    ○岡野参議院議員 「紛争当事者間の捕虜の交換の援助」……
  153. 林義郎

    林委員長 岡野さん、ちょっととめてください。岡野さん、締めなさい。
  154. 小澤克介

    小澤(克)委員 衛視、何してるんだ、衛視。
  155. 岡野裕

    ○岡野参議院議員 先生の御指名の後に委員長から私が御指名を賜りましたので、それに基づきまして答弁を申し上げた次第であります。
  156. 小澤克介

    小澤(克)委員 委員長の指名に基づいて質問いたします。委員長の指名に基づいて質問いたします。田渕さんに質問いたします。  イからへまでの類型とトからタまでの類型、これを分けるメルクマールを端的に言ってください。例示ではだめです。
  157. 田渕哲也

    ○田渕(哲)参議院議員 まず、この法律には業務を全部具体的に挙げてあるわけです。そしてその中で、イからへまでの業務というのは御承知のように直接紛争を起こしておる部隊に関する問題であります。したがって、その仕事はたとえ武力の行使でなくても軍事的な業務に属するものであります。それから、トからリまでは、これは大体文民の仕事であります。それから、ヌからタまでは、これは後方支援並びに被災民の救済、その他輸送、建設、通信等の仕事でありまして、直接紛争部隊の処理にかかわる問題ではありません。その意味で、レにおいてもそういう分け方でできるのではないかと思っております。
  158. 小澤克介

    小澤(克)委員 そういう分け方でできるのではないか、何ですか。基準を示してくださいと言っているんですよ、基準を示してくださいと。  歩兵部隊が行う類型はへまでですと言うのならそれは一つの基準になりますね。それから、軍事的業務がイからへまでである、これは一つの基準になりますよ。そのように明確に基準を示してください。そうじゃないと、国会の事前承認が要るか要らないかという極めて重要な分かれ目なんですよ。田渕さん、お願いいたします。事前承認は民社党なんだから……。
  159. 田渕哲也

    ○田渕(哲)参議院議員 イからへまでは通例歩兵部隊が行いますが、例えば二に該当する地雷の処理、これは工兵部隊がやります。だから歩兵部隊には限定されませんけれども、通例歩兵部隊が主としてやるということが言えると思います。そして、これらの内容は、おわかりいただけるように軍事的な業務であります。それから、それ以外の仕事は、それそのものが直接軍事的業務とは言えない業務である、このように分けることができると思います。
  160. 小澤克介

    小澤(克)委員 これは事前承認にかかるかかからないかの分かれ目でございます。原則歩兵だが工兵も含むであるとか、通例軍事的であるとかないとか、そのようなあいまいな基準では困るわけです。国会承認にかかるかかからないかの問題です。国会議員として関心持つのは当然でしょう。明確な基準を文書で出していただきたい。お願いいたします。これ、理事さん、お願いいたします。
  161. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 お答えいたします。  ただいまの問題につきましては、要するにこの凍結した部分、国会承認の部分がこの法律の中でどういうふうに明確になっているか、それが明確になっていないという今御質問だろうと思います。それを、それでは法律に基づいてどういうふうに明確になっているかということを御説明さしていただきます。  第六条の第七項を見ていただきますと、まず初めに、この国際平和協力業務というのは、先ほど田渕さんからも御説明ございましたように、いずれにいたしましても、この業務の内容はすべて業務の種類できちっと分けているということがまず第一点であります。そして、細かいことは説明しません、時間がかかりますから。  それから、今回私どもが政府原案に基づきましてこの修正案を出しましたのは、自衛隊部隊が行う国際平和協力業務であって、しかも第三条第三号イからへまで掲げるものを、きちっとしたいわゆる国会承認、凍結の範囲と明確にしたわけでございます。もちろん先ほどのこれらに類するいわゆるレの政令の問題がございますが、それもつけ加えて申し上げますとそういうことになります。これで明確であります。
  162. 小澤克介

    小澤(克)委員 今のは何の答えにもなっていない。問題は、レの政令について二つのカテゴリーに分けるんだから、そして、二つの類型に分けて、その一方は国会事前承認の対象となる、そうでないものはならない、その分け目を、明確なメルクマールを示してくれ、こう言っているんですよ。
  163. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 この点も明確でございまして、これはまず政府原案が、要するにこの国際協力業務というのがどういうふうな業務であるかということにつきましては、今御質問者がおっしゃいましたように、こういうふうにイからタまで明確にしているわけであります。しかしながら、このレの項目はなぜこういうふうに設けていたのかと。私どもが法案をつくるときには案外こういうふうなことが出てくるわけでございますが、例えば政令で定めるものでもし具体的にわかっているならば出せという議論が出てくることがありますが、少なくとも私どもが聞いている範囲では、現在の段階でいわゆるこのレに入る、例えば政令で定めるこれらの業務に類するものということを何か推定できるものがあるかと。現在の時点では、私どもが聞いている範囲では想定されるものはない。したがって、これから実際にFKO活動あるいはPKFに参加してみて、そして具体的に何か出てきたときには、その時点で具体的にこの業務の内容に基づきましてきちっと判定をしよう、そういうわけでございまして、具体的に今まだ参加してもおりませんし、また、法が成立してもおりませんので、その点ではこれからの時点で明確に判定をする、こういうわけでございます。
  164. 小澤克介

    小澤(克)委員 これは法律審議であります。あらゆる場合を想定して審議するのが法律案審議です。  そこで、レについて、まだ今のところ具体的に想定されるものはないというお話がございましたが、具体的に想定されるかされないかは別として、将来できる政令について何をもって分けるのか、そのメルクマールだけは法案審議の段階で明らかになっているべきでしょう。文書で明らかにしていただきたい。これは文書で明らかにしなければ、国会承認にかかるかかからないか、この分かれ目なんですから、今のようなわけのわからない答弁では困ります。文書で明確にしていただきたい。委員長お願いいたします。
  165. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 それは先ほども御説明させていただきましたように、この三条三号によりまして、明確に、イからへまでの部分とハそれからトからリまでの部分と、それからヌからタまでの部分とはそれぞれメルクマールとしてきちっと法案の中に明確にうたわれております。したがって、これが判定の基準になると私は明確に考えております。
  166. 小澤克介

    小澤(克)委員 まさにそのメルクマールを聞いているのですよ。文書で明らかにしてください。
  167. 林義郎

    林委員長 峯山参議院議員、今の御質問に対する御答弁をお願いを申し上げます。
  168. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 これは先ほどから何回も説明いたしておりますように、この問題につきましては参議院でもいろいろ議論がありました。そして今までもいろいろな角度から答弁をさせていただいております。したがいまして、この三条、先ほどから申し上げましたように、我が国国際平和協力業務参加するに当たりまして、いわゆる自衛隊部隊として行う業務の場合、業務の種類で明確に分類をいたしております。それは先ほどから何回か説明させていただきましたように、イ、ロ、ハと一つ一つ説明はいたしませんが……(小澤(克)委員説明してください」と呼ぶ)例えばイは、「武力紛争の停止の遵守状況の監視又は紛争当事者間で合意された軍隊の再配置若しくは撤退若しくは武装解除の履行の監視」、これがイであります。それから口に「緩衝地帯その他の武力紛争の発生の防止のために設けられた地域における駐留及び巡回」、これはいわゆるパトロールであります。  ですから、こういうふうにいたしまして、業務の種類ごとに一つずつ明確に分類がされております。そして、例えばト、チ、リにつきましては、これは文民で実施するものということで、例えば「公正な執行の監視又はこれらの管理」、あるいはチは「警察行政事務の監視」、リにつきましては「行政事務に関する助言又は指導」、こういうようなのが文民でやるものと明確になっております。  それから、ヌ以下につきましては、ヌは医療でございます。ルにつきましては被災民の捜索、それからヲにつきましては、被災民に対する食糧その他衣料、医薬品のいわゆる配布であります。ワにつきましては、被災民を収容するための施設設備の設置であります。カにつきましては「紛争によって被害を受けた施設又は設備であって被災民の生活上必要なものの復旧又は整備のための措置」、ヨにつきましては「紛争によって汚染その他の被害を受けた自然環境の復旧のための措置」ということで、それぞれいわゆるPKF本体が行う業務、そして後方支援として行う業務というふうに明確に分けておるわけでございまして、しかも、今御質問の趣旨の、七項目のいわゆるレの政令で定めるものにつきましては、先ほど答弁をしたとおりであります。
  169. 小澤克介

    小澤(克)委員 イからタまでは読めばわかるわけであります。それを読んでも何の意味もありません。問題は、へとトの間に類型的な違いがあるわけでしょう、その違いの基準を明らかにしてくれと言っているのです。それによってこの政令の区分もできるわけですからね。どういう類型的な違いがあるのか、その違いの、分ける判断基準を明らかにしてくれと言っているのですよ。一つ一つ読んだって何にもなりません。文書で明らかにしてください、文書で。文書で明らかにしてください。
  170. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 今御質問の方は、へとトの違いが、要するに間が明確でない、だからそこを明らかにしろという御質問でございます。したがいまして、へにつきましては、先ほども御答弁させていただきましたように、イからへにつきましては、自衛隊部隊部隊として行う業務ということで法案の中に明確でございます。それからト、チ、リにつきましては、自衛隊がやらない、参加しない分野でございまして、したがって、これは文民で行うものでございますから、これは明確でございます。  以上。
  171. 小澤克介

    小澤(克)委員 ヌ以下については、自衛隊部隊部隊として参加するんですよ。そのくらい御存じでしょう。だから今の基準では区分ができないんです。
  172. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 お答えいたします。  質問者が先ほどへとトの間とおっしゃるから私はそうお答えしただけで、ですから今、今度はリとチとの御質問者の趣旨でございますと、これはいわゆるヌの医療からいわゆるこのタまでの輸送、保管に至る部分につきましては、法案の中でも明確に書いておりますように、少なくとも「人道的な国際救援活動」というのが大体ヌからタになるわけであります。したがいまして、前段のPKFの本体としてやる部分とは、これはもう全く類型が違うものでございますから、その点は明確でございます。
  173. 小澤克介

    小澤(克)委員 類型が違うのはわかっています。違うからこそ区別したんでしょう。その類型の違いを明確にしてくれと言っているんです。  今までに出た言葉では、軍事的業務であるか否かという一つの言葉が出ました。それから、歩兵部隊が行うかどうかというのが一つ出ました。それから、部隊部隊として行うか否かであるということが一つ出ました。それから、本体業務であるか後方支援であるかという言葉が出ました。これら、どれなんですか、あるいは全部なんですか。こういういろんな言葉が勝手に出てくるんではわからないんです。しかも、先ほどから繰り返して申し上げておるとおり、これが国会承認にかかるかかからないかのまさに分かれ目なんです。これは文書で明確にしていただかなければ、この修正案の評価ができません。文書でやってください。
  174. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 これは、先ほどから何回か説明をさしていただいておりますが、もう少し具体的に申し上げますと、この法案の、私どもが修正案で出しましたレですね、同号レの政令で定めるものにつきましては、その前のこれらの業務に類するものとして同号レの政令に定めるものにつきましては、もう少し具体的に申し上げますと、このレの業務につきましては、イからタの業務に類する業務が今度出てきた場合には、結局それぞれイからタのどの業務に類するかということをきちっと判断をして、そして国会承認の対象にするかどうかを決めるということになると思います。  以上です。
  175. 小澤克介

    小澤(克)委員 ですから、へまでに類するものとト以下に類するものとどう分けるのかと、単純なことを聞いているんですよ。その分ける基準を明確にしていただければいいんです。軍事的業務であるか否かで分けるという答弁もありましたし、歩兵部隊によるか否かということで分けるという答弁もありましたし、部隊部隊として行うか否かによるという答弁もございましたし、本体業務か後方支援かによって分けるという答弁もございました。これでは何のことかわからないんです。文書で明確にしてください。委員長、これは文書で明確にしてください。
  176. 田渕哲也

    ○田渕(哲)参議院議員 一言で言いますと、PKF本体業務と後方支援、その他の業務というふうに分かれると思います。それを説明しますと、本体業務というのは軍事的業務であって、通例は歩兵部隊が行う、こういうふうに言えると思います。
  177. 小澤克介

    小澤(克)委員 本体業務か後方支援が、その分かれ目はどうやって分かれるのか、依然としてわからないわけです。これは委員長、ぜひ文書で明確にしていただきたいと思います。要請いたします。理事会で諮ってください。
  178. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 ですから、これは先ほどから何回も説明をいたしておりますように、この問題につきましても、私何回か参議院におきましても答弁をさせていただきましたが、要するに、「国際平和協力業務 国際連合平和維持活動のために実施される業務で次に掲げるもの及び人道的な国際救援活動のために実施される業務」ということで、具体的にこの後半の「人道的な国際救援活動のために実施される業務」というのは「次のヌからレ」というふうに、それぞれこの法案の中で明確に分けております。  これはいずれにいたしましても政府原案です。政府原案の中に業務で、いわゆるPKO活動の中身が明確に分けられておるわけです。しかも、PKO本体がやる業務につきましてはイからへということで、これも明確になっております。したがいまして、イからずっと順番に書いてありまして、タまであるわけでございますが、これがイからへ、そしてトからりが文民、そしてヌからタというふうに具体的に分かれておりますから、それぞれこれは明快でございまして、何らわからないところはない、そういうふうに私は考えております。  また、レの問題につきましても、先ほど申し上げましたように、具体的にレの項目として出てまいりました場合に、その新しい業務ですよ、その新しい業務がいわゆるイからタのどの業務に類するかということを具体的に判断をして、そして、この国会承認の対象にするかどうかということがその時点でなるわけでございまして、これはもうそこら辺のところは私は明快になっている、こういうふうに考えております。
  179. 小澤克介

    小澤(克)委員 一向にわからないわけでございますので、これについては文書で明確にすることを強く要望いたしまして、そのことを留保しつつ、これだけでまだ一問目の質問ですので、とりあえず次の質問に移らせていただきます。  次に、修正案の、国会での承認を求める時期でございますが、「自衛隊部隊等の海外への派遣の開始前」、このように記載がございますが、この「海外への派遣の開始」とは具体的にどのような時点を指すのか。なお、修正前では「実施計画が決定された日」、これは閣議決定されるわけでございますが、この日をもって基準にしていたわけですけれども、これとの前後関係はどのようにお考えなんでしょうか。これも事前承認についてですから、民社党の田渕先生にお願いいたします。
  180. 田渕哲也

    ○田渕(哲)参議院議員 お答えいたします。  開始前と開始後の区切りというのは、我が国よりその自衛隊部隊が海外に出発する時点、これが境になるわけであります。  それからなお、実施計画の決定があった場合に国会に事前承認を求めなければならない場合というのは、実施計画の決定または変更があった時点から海外へ派遣する時点までの期間の一部が国会の開会中にかかっておる場合は、事前承認の対象になる。すべての期間が国会が閉会中または衆議院が解散されておる場合は、これは事後承認でもいいということになります。
  181. 小澤克介

    小澤(克)委員 海外に派遣とおっしゃいましたが、海外というのは定義規定によりますと「公海を含む」ということになっております。そうすると領海を通過するか否か、これが開始前か開始後かを分ける基準になるわけでしょう。
  182. 田渕哲也

    ○田渕(哲)参議院議員 そのとおりです。
  183. 小澤克介

    小澤(克)委員 それでは、国会承認以前にもう港を出発するということがあり得る、こういうことになるわけでございますね。これを修正前は閣議決定という極めて明確な日にちを基準に置いていたわけですけれども、これを変更して、派遣の開始前か開始後かに分けた理由は何でしょうか。
  184. 岡野裕

    ○岡野参議院議員 委員長の御指名がありましたので、私からお答えをいたします。  今問題になっておりますところの次の十項のところで、「第七項の国際平和協力業務については、同項の規定による国会承認を得た日から二年を経過する日を超えて」、この部分が、いみじくも先生おっしゃいましたように、政府原案が当院において修正されますときに、実施計画の決定の日ということから起算、こうなっておりました。それを私どもが再修正をします際に、今度、先生からいろいろお話がございました国会の原則事前承認、例外的には事後承認もあるべしということに変えました。そういう意味合いで、今までは国会承認がありませんでしたので実施計画の決定の日ということにいたしましたけれども、シビリアンコントロールというような意味合いから国会承認ということが前提になりました以上、符節をこれに合わせるべく、今の読みましたくだりも、実施計画の決定の日ではあらずして、「国会承認を得た日から」、こういうふうに改めました次第でございます。
  185. 小澤克介

    小澤(克)委員 そんなことを聞いたのではなくて、国会承認を得るのについて、「海外への派遣の開始前に」というふうにしたわけですね、今回。なぜ実施計画決定前にというふうにしなかったのか、こういうことを聞いているわけです、これを変えられたのかと聞いているわけです。
  186. 岡野裕

    ○岡野参議院議員 在来も、実施計画につきましては国会に報告を申し上げる、それを中心にいたしまして議会の方でいろいろ御討議があるであろうということでございました。しかし、これを竿頭一歩を進めまして承認ということにいたしましたが、事実的な経過からいたしますならば、やはり承認を求めるときには実施計画の報告というものも同時に行うというようなことの方が円滑裏に事が運ぶのではないか、こういうように解釈をしていただければ結構であります。
  187. 小澤克介

    小澤(克)委員 要するに、実施計画を決定して中身が明らかになってから国会に報告し、承認を求める、こういう趣旨ですね。そういうふうに最初から言っていただければわかりが早いわけなんですけれども。  それでは次にお尋ねしますが、「国際連合平和維持隊」、これが何の定義規定もなしにいきなり出ている。このことは参議院でも大変議論になったわけでございます。それで、それも大変疑問でございまして後で聞くつもりでございますけれども、それ以前に、ここで「基本的な五つの原則」という言葉が突然として出てくるわけでございます。  法律の基本原則というのは、普通、法律の比較的初めの方にまとめてうたうのが通例でございまして、本法についても第二条で「基本原則」なるものが四項挙がっているわけです。このことかと思いましたら、これとは全然別の、法案全体に散らばっている条文を寄せ集めて、これをもって基本原則であると、まさに突然出てくるわけでございますが、これはいかにも奇妙で奇異な感じを受けます。全体に散らばっている条文を寄せ集めて、これをもって「基本的な五つの原則」などと言うことは、あり得ない立法例だと思います。  これはどういうことなんでしょうか、御説明願いたいと思います。この点については、やはり事前承認ですから、民社党の田渕先生、お願いいたします。
  188. 田渕哲也

    ○田渕(哲)参議院議員 このPKO派遣に対する原則は法案のいろいろなところに書いてあるわけでありますけれども、その中で特に重要な点というのが、国会審議を通じても、五つの原則ということで政府の方からも言及されております。  その一つは、紛争当事者間の停戦の合意でありまして、これは法案で言うならば第三条の第一号に書いてあることであります。  それから二番目は、国際平和維持隊の活動及び当該平和維持隊への我が国参加に対する紛争当事者並びにそれが属する国の同意、これが第二原則。これが三条第一号及び第六条第一項第一号というところに書いてあるわけであります。  それから第三点が、中立的立場の遵守ということでありまして、これも第三条第一号にうたってあります。  それから第四は、派遣の終了及び業務の中断。これは、今までに申し上げた三つの前提条件が崩れたときには業務我が国の判断で中断することができるし、その状態が回復しないときには撤収することができるということでありまして、これは第六条第十三項第一号その他にうたってあるわけであります。  それから第五というのは武器の使用でありまして、第二十四条で、要員の生命、身体の安全を図る場合、そういう場合にのみ武器の使用ができる。  この五つの点が、重要な原則として、審議の過程で政府の方からたびたび言われておることでありますので、このように書いたわけであります。
  189. 小澤克介

    小澤(克)委員 それでは、それが五つの原則だというふうに理解するといたしまして、しかし、審議の過程を全部議事録ひっくり返して見ないとわからないなどということが「基本的な五つの原則」なんということは、普通、法律ではないことなんですね、六法を読めばわかるものでないと。  極めて異常な条文であるということを指摘しておきたいと思いますが、それにしても、今お述べになった五つの原則というのは、何も国連平和維持隊に参加するだけの原則ではないのですね、維持隊が何であるかはともかくといたしまして。国連平和維持活動のために実施する国際平和協力業務全般の原則となっているはずでしょう、この法律では。これは間違いでしょう。何でこれ、限定的に書いたのでしょうか。
  190. 岡野裕

    ○岡野参議院議員 先生、これは全体に通ずる原則であろうというお話ございました。そのとおりでございます。  しかしながら、私どもが国会承認にかけようといいますのは、広いPKO活動の中で、先ほど来お話が出ておりましたところの、自衛隊部隊として行うところのPKF本体業務だ、この点だけを承認にかけるわけであります。その承認をいただく場合に、照らさなければならない柱が二つあります。一つは本法の目的であり、そのもう一つが、今お話が出ておりますところの五つの原則であります。  そうして、六法全書じゃない、議事録を開いてみなければわからないという先ほどの先生のお話ございましたけれども、これがもし可決成立を賜りますならば、「五つの原則(第三条第一号、本条第一項第一号及び第十二項第一号、第八条第一項第六号並びに第二十四条の規定趣旨をいう。)」これは六法全書に載りますので、議事録をごらんにならなくても、市販の六法全書をごらんになればわかる。法律の専門家の先生に対して申しわけございませんが、そういう次第であります。
  191. 小澤克介

    小澤(克)委員 国会承認を受ける範囲については、先ほど指摘したとおり、レについてはよくわからないのですけれども、一応この修正案規定されているわけですね。そしてその上で、これらがいわゆる五つの原則に適合しているかどうかということを判断するということであれば、何も、いわゆるPKFという観念でしょうが、に限定する理由は全くないわけですね。五つの原則というのは全般にわたる原則ですから、私はこれは形式的にも間違いだと思いますよ、この条文は。  それからもう一つ、これら五原則及びこの法の目的に照らして国会承認を経なければならない、とあるわけです。ところが、この五つの原則を読みますと、いわゆる撤収、中断、これらが含まれておりますね。これから出かけるという段階で、撤収、中断について何を判断するのでしょうか。矛盾も甚だしいと思いますが、いかがでしょうか。
  192. 岡野裕

    ○岡野参議院議員 我が国が、PKO部隊が現地に出かけます場合に――お笑いでございますが、何でございましたのでありましょう。要するに、五つの原則に照らしまして、そうして行くべきか行かざるべきかを判断をするわけであります。その五つの原則の中に、いわゆる合意、同意、中立性というようなものが崩れました場合には中断をし、それが長引く場合には業務の終了をする、こうなっておりますので、そのことが十分徹底をしているな、五原則は守られるものであるな、それならば出していい、いや、守られないならば出してはならない、こういう御判断の基準という意味合いで五つの原則を出しました。したがいまして、条件が崩れた場合には撤収をするということが担保されなければ、うん、よし、行っていいとならないということには相なるのじゃないかと、こう思っております。
  193. 小澤克介

    小澤(克)委員 要するに、これ、国会で何を判断するのかが全く不明確なんですよ。いいですか。この政府原案ですか、まあ衆議院修正されたのは別といたしまして、ここでは閣議決定で、その第六条ですね、「内閣総理大臣は、我が国として国際平和協力業務実施することが適当であると認める場合であってこそして「次に掲げる同意がある」場合、つまり、政策的に適当であるという判断と、そして要件を満たしている、この二つの判断があったときに閣議決定を求める、こうなっているわけですね。これらの判断が正しいかどうかを国権の最高機関である国会としてさらに確認をするということであれば、まさにこの同じ判断基準であるべきだと思うのですよ。  ところが、この五つの原則などというのは、撤収であるとか中断であるとか、それから、例えば武器使用の原則なんというのも含まれているわけですね。これ、個別に、今回出す場合について改めて武器使用の原則はどうなっていますかなどということは判断外でしょう、法律で、もうそれは決まっていることなんだから。いつ出す場合にでも武器使用についてはこの法律の制限内であることはもう明々白々でありますから、そういう条件があるかないかとかということを判断することはおよそナンセンスだと思いますし、それから、先ほど繰り返し言いましたように、まだ派遣前の段階で中断、撤収について原則に適合しているか適合していないかなどということを判断するなどというのは、全くナンセンスそのものではありませんか。私は、これは法律の体をなしてないと思います。いかがでしょうか。
  194. 岡野裕

    ○岡野参議院議員 派遣をしてしまってから、条件でありますところの撤収、中断の前提が崩れるか崩れないかというようなことは、これは派遣をされた上でのことでありますけれども、そういう事態になった場合に、立派に中断あるいは業務の終了ができるか否かということは非常に重要な問題だと思っております。  そういう意味合いで、この計画ができます場合、あるいは実施要領というようなものにつきましては、その辺のくだりにつきましても細かな規定を置く。例えば、先ほどお話が出ましたように後方支援業務とPKF本体業務、言いますならば複合した業務しかできないという場合には云々というのがございましたが、この辺のくだりも、先生からお話がありましたように、誤解を招かないように細かく書いておくというふうになっております。  そういう意味合いで、やはり国会の御審議をいただく場合に五つの原則及びこの法律の目的というものに照らし合わせて御判断を賜る。賜ります判断は、行くべきか行かざるべきか、この二つのうちのいずれかの御判断を賜りたい、こういいますのが私どもの修正案趣旨でありますので、よろしくお願いをいたします。
  195. 小澤克介

    小澤(克)委員 結果的に行くべきか行くべきでないかを判断するというのはわかりますよ。その判断の材料として何を資料として判断するのか、国会で討議の対象となるのかということを今お尋ねしているわけですね。  そして、例えば武器使用の原則などというのは、どの派遣の場合にも共通の原則ですし、この法律でこうであるべきだと決まっているわけでしょう。今回の派遣については武器使用はこれこれとか、今回はまた違った武器使用とかいうことはないわけです。ですから、そもそも個々の派遣の際に個別に判断することになじまない事項なんですよ。それが一つ。  それから、派遣前の段階で判断するのに、中断、撤収の原則が守られるかどうかなどということは、これまた判断になじまない事柄なんですね。そうでしょう。第六条で閣議にかける際に、派遣の要件があるかどうか、派遣の必要性があるかどうかを、政策的判断も含めて判断する、このことについて国会がさらにオーソライズするというなら、私はよくわかるのです。そもそも判断になじまない事柄を、この「照らし」てということで事前承認の対象にしろ、私はこれはもう全く法案の体をなしていないと思います。いかがですか。
  196. 林義郎

    林委員長 岡野さんに申し上げますが、その席に着かれてからゆっくりと御答弁をお願いいたします。
  197. 岡野裕

    ○岡野参議院議員 ゆっくりやっておるつもりでございますが、はい。  五つの原則の中には、合意でありますとか同意でありますとか中立性というような問題がございます。果たして、本件について合意が得られているものであるか否か、あるいは同意がちゃんと存在をしているものであるか否か、とりわけ日本国のPKO部隊が行っていいということで要請があるか否かなどというようなことは、当然先生方、国会承認に当たっての御判断の柱になろうかと存じております。  また、武器使用の問題等につきましても、これは先生、実施計画の中に装備という条項がございます。それぞれ、自衛隊部隊として参ります場合、海上保安庁がやはり参ります場合、そうでない、いわゆる文民が参ります場合、どういうような装備であるところの武器もしくは小型武器、これを持つかというようなことはこの実施計画で定められている、それから実施要領がどのくらい先生のお手元に届くかどうかはその時点によって定まるわけでありますが、そういう意味合いで、先ほどお話をした、複合業務でなければ云々というたぐいも出てくるというような意味合いで、やはり御判断をいただけるのではないかな、こういう次第であります。
  198. 小澤克介

    小澤(克)委員 どんな装備を持っていくかによらず、武器使用については原則がもう決まっていて、これ以上、この法律以外にはあり得ないのですよ。だから、個々の派遣の際に判断することになじまない事項なんです。そうでしょう。これはもう全く法律としての、大変失礼ですけれども、体をなしていないのです。判断できない事項についてどうやって、照らして判断するといったってどうやって判断するのですか。中断や撤収なんて、これから先のことでしょう。今から行くというときに、どういう条件があれば中断するとか撤収するとか、判断になじまない事項なんですよ。私は、全くこれはナンセンスそのものだと思います。これは、こんなものをつくったら恥ずかしいですよ。  第八項ですか、国会承認でございますが、この「七日以内に、それぞれ議決するよう努めなければならない。」これは素直に読めば努力義務が規定されているというふうに読めるわけでございますが、これはどのような法的効果を持つのでしょうか。
  199. 田渕哲也

    ○田渕(哲)参議院議員 これはあくまで努力規定でございまして、七日以内に議決をする努力をそれぞれの院がしなければならないという意味でありまして、院の審議期間を拘束するものではございませんし、また、その期間内に審議が終わらなければ無効というか不承認になるというような性格ではございません。
  200. 小澤克介

    小澤(克)委員 ない効果についてはお答えがあったわけですけれども、では、ある方の効果、どの程度の効果があるのか。すなわち、院を構成する各議員が努力をする義務を負う、このように理解してよろしいでしょうか。
  201. 田渕哲也

    ○田渕(哲)参議院議員 議員が努力をする義務はあると思います。
  202. 小澤克介

    小澤(克)委員 国会はそれぞれの院において複数の案件を抱えております。そして、それぞれの案件について、その重要度であるとかあるいは緊急度であるとか等々を勘案しながら、議会運営委員会あるいは委員会に付託されれば委員会理事等が合目的的に判断するわけです。自主的に判断するわけです、各院が。これを法律でもって拘束するなどということは、私はあってはならないことだと思います。こんなことがどうしてできるのか、憲法上の根拠を明らかにしていただきたい。
  203. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 お答えいたします。  この問題につきましては、昨日も御議論がございましたし、参議院委員会でも相当御議論がございました。それで、これは私ども、今、立法府の私どもを拘束するような規定を出したんじゃないかということで大分おしかりをいただきましたけれども、そういうようなことがあってはいかぬというのが基本的な原則でございまして、その点につきましていろいろな角度から検討させていただいたわけでございます。そういうふうな意味で、あくまでも両院の努力目標を規定したものでありまして、国会審議期間を規制するようなものではない、そういうふうに考えております。  また、今この七日間の問題につきましてもいろいろお話がございました。おっしゃるように七日間という問題がいいか悪いかという問題があると思います。これは、我が国がこれからのPKO活動にどういうふうにこたえていくかという問題にも関係する問題でございまして、日にちの問題につきましては、これはもう御存じのとおり政策判断の問題として、私どもは具体的に諸外国のPKO状況をお伺いをして、国連の要請に各国がどのくらいでこたえているかという具体的な実情を調査をいたしまして、その上で立法府の私ども自身が寄り寄り相談をいたしまして、いろいろな角度から検討した結果、大体両院それぞれ七日間が適当ではないかというふうにさせていただいたような次第であります。
  204. 小澤克介

    小澤(克)委員 各院において複数ある法案を、法案に限らず議案をどのような順序で審議し、そしてある特定の議案についても重要度あるいは緊急性を判断してどの程度の審議を行うか、これは各院が自主的に判断することなんですよ。それを法律で、縛るなどということはあり得ないことなんです。  今私が質問したのは、憲法上どこに根拠がありますかと聞いたのです。憲法上の根拠について一つもお答えがなかった。私の方から指摘しましょう。憲法の――ちょっと待ってください。  それでは、まず憲法上の根拠をお答えください。
  205. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 私どもは、この法案を作成するに当たりまして、憲法上問題があるかどうか、この法案をつくった後、私どもは参議院でございますから参議院の法制局に議案審査をしていただきました。その結果、憲法上一切問題ないということでございました。
  206. 小澤克介

    小澤(克)委員 憲法上の根拠を聞いたんですけれども、お答えがなかった。どこかの法制局がどうこうなどということは問題外です。法制局というのは各院の皆さんの補助機関にすぎないのですよ。それがどう言ったからといって、発議者が答弁できないなどということはあり得ない話です。  憲法五十八条には「両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め」ることができる。つまり、おのおのの院は、衆議院参議院は、その議事手続についてはみずから決め得ることなんですよ。そうでしょう。法律というものは、これは両院の意思が一致して初めてできるものですから、結局これは両院の意思が一方の院を縛ることになるわけですね。こんなことは、この五十八条に明示されている両院の手続の独立性に完全に違反することになりますよ。  例えば、もっとわかりやすく言いましょう。これは「七日」となっています。我々衆議院が、七日では短過ぎる、せめて二週間欲しいと考えたとします。そして、二週間にする改正案を出したといたします。参議院がノーと言えば、これは通らないわけですよ。そうすると、参議院の意思によって衆議院の議事手続が拘束されてしまうわけです。衆参逆にしても同じことです。これは、それぞれの院の独立性を保障した憲法に明らかに矛盾するのです。こんなことはあり得ない。憲法上根拠がないところか、憲法の精神に反しているのですよ。お答えください。
  207. 岡野裕

    ○岡野参議院議員 先生、「努めなければならない。」ということになっておりまして、議決しなければならないということと意味は違う。したがって、努力規定であり訓示規定であるというところまでは御理解をいただいたと思いますが、憲法とどうかというお話にお話の中身が進んだようでございます。  このほかの例でございますけれども――ごめんください。今七日ではできない、八日かかる、九日かかるというようなのは、努力をなされてかかるということでありますならば、これはいたし方がないことでございます、いみじくも「努めなければならない。」だけでありますので。  ほかに例でありますが、各議院の議事手続に関することにつきまして国会法以外の法律に書くことが法的にできないわけではない、こういうように私どもは思っております。例えばこのような例としては、公庫の予算及び決算に関する法律第七条、会計検査院法第四条二項がある。  この中身でありますが、公庫の予算及び決算に関する法律第七条でございます。「公庫の予算の国会の議決に関しては、国の予算の議決の例による。」とし、「参議院が、衆議院の可決した」公庫の「予算を受け取った後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。」こととしている。「三十日以内に、議決しないときはこと言っている。  また、会計検査院法四条二項は、「検査官の任命について、衆議院が同意して参議院が同意しない場合においては、日本憲法第六十七条第二項の場合の例により、衆議院の同意を以て両議院の同意とする。」「衆議院が」同意の「議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院がこ同意の「議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。」  これはいみじくも立法府自身が立法府を拘束をしているといいますか、行くべき道を規定をいたしている、この例だと存じております。
  208. 小澤克介

    小澤(克)委員 国会の手続について、国会法以外の法律で何らか規定を置いてはいけないなどということは私は申しておりません、国会法だって一つ法律なんですから。  また、今御指摘の分は、両院の関係の問題です。両院関係の問題です。だから法律で決めざるを得ないのです。各院の独自性に任せることはできないのです。だから、まさに両院関係として法律で決めたわけです。私が言っているのは、そんなこととは全然別問題です。それぞれの院において自主的に判断すべきことを、どの程度の日数をかけ、どのような順序で、どう審議をすべきか、それを法律で決めるということは、院の独立性を保障している憲法五十八条の趣旨に真っ向から矛盾するものだ、こういうことを言っているわけでございます。この点については、全くあってはならない条文である。削除を求めます。いかがですか、発議者。
  209. 岡野裕

    ○岡野参議院議員 これは先生、もう何度もお話をしているわけでありますけれども、この努力という、「努めなければならない。」という言葉をあえて私どもは挿入をいたしました。その経緯につきましては、昨日この委員会で私どもの方からも答弁をしたことを先生御存じのとおりであります。  ついでに言いますならばほかにも例があるわけで、国会みずからが、あるいはそれぞれの院に対し一定の制限を法律で課す例は、例えば「会期の延長は、常会にあっては一回、特別会及び臨時会にあっては二回を超えてはならない。」あるいは「各議院において、召集の当日に議長若しくは副議長がないとき、又は議長及び副議長が共にないときは、その選挙を行わなければならない。」「各議院は、他の議院から送付又は提出された議案と同一の議案を審議することができない。」いずれも私ども国会が他律ではありませんで自律をする規定がここにあるということであります。  多くは言いませんけれども、「努めなければならない。」というようなことでありますので、先生せっかくの申し出でありますけれども、この修正案を撤回をする意思はさらさらございませんことを御了承賜りたい。
  210. 小澤克介

    小澤(克)委員 今の根拠は全く根拠にならないわけです。会期というのは両院に共通する事項ですから、法律で決めるのは当然でしょう。  それから、先ほど努力規定だから云々とありましたけれども、先ほど明確におっしゃったでしょう、各院を構成する議員を拘束するのだと、努力すべきだという努力義務を規定したものだと。そういう法的効果のある規定だというふうにさっきおっしゃったわけです。ですから、七日努力したけれどもだめだったということを先ほど申し上げたのじゃないのですよ。衆議院が、努力規定だとしても、七日で努力せよというのは無理である、十四日で努力すべきであると考えたとしても、衆議院だけの意思では変えられないわけですよ。そうでしょう。これは、どう考えても各院の独立性、独自性を保障している憲法趣旨に明確に反するのです。これは削除していただきたい。いかがでしょうか。
  211. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 ですから、先ほどから何回も説明をいたしておりますようにこの「七日」という問題が、先ほど委員もおっしゃいましたように、七日がいいのか八日がいいのか十日がいいのかあるいは一カ月がいいのか、そこら辺の問題はそれぞれ調査をして、私どもはいろいろな角度から検討させていただいたわけでございまして、この七日という問題と、この六条八項の問題は、いわゆる二つ問題があるわけです。日付の問題と、もう一つは「努めなければならない。」という問題と二つあるわけです。  「七日」という問題は、我々はこれはそれぞれいろいろな角度から検討させていただきまして、その上で決めさせていただいたことであるということです。それから「努めなければならない。」というこっちのここのところは、あくまでも両院の努力目標を規定したものでありまして、決して国会審議期間を制限することにはならないし、また訓示的なものでありまして国会審議権を制約するものではない、こういうふうに考えております。
  212. 小澤克介

    小澤(克)委員 この条文は全く法的効力のないものだと思います。憲法趣旨に全く違反するものです。削除しなければ、法案それ自体が全く体をなさないと思います。  時間が迫っておりますので、まだたくさん聞きたいことがあるのですけれども、あした以降の同僚の議員に譲るといたします。  修正案の二条についてお尋ねしたいのですが、これはちょっと後回しにいたしまして、今回のこの修正案に含まれなかったところに非常に大きな問題があるわけです。それが指揮権の問題。民社党さん、大変このことを問題にしておられながら、結局この八条二項について何らの手を入れないままに終わってしまったわけです。これはなぜそうなのか、なかなかわからないのですけれども、これに関連いたしまして、これは運輸大臣にお尋ねいたします。  自衛隊法八十条、ここに海上保安庁を自衛隊の統制下に入れることができる、防衛出動の場合ですけれども、こういう規定がございます。そして、その二項に「内閣総理大臣は、前項の規定により海上保安庁の全部又は一部をその統制下に入れた場合には、政令で定めるところにより、長官にこれを指揮させるものとする。」と書いてあります。ここで言う「長官」というのは防衛庁長官のことです。この場合、海上保安庁の職員に対して防衛庁長官は服務規律等についての権限を持つに至るのでしょうか。運輸大臣、お願いいたします。
  213. 小和田統

    ○小和田政府委員 御指名でございますので、私の方からお答えさしていただきます。  運輸大臣が海上保安庁長官を指揮監督するという海上保安庁法の条文は、ただいま先生お読みになったケースにおいても引き続き有効でございますので、懲戒権等につきましては運輸大臣に残っております。
  214. 小澤克介

    小澤(克)委員 自衛隊の指揮下に入っても、統制下に入っても、そして防衛庁長官に指揮をさせるとしても、服務規律については運輸大臣に残るという御答弁でございました。  防衛庁長官、いかがですか。同じ答弁でしょうか。
  215. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 委員の御指摘のように、自衛隊法の八十条と政令によりまして、政令は、防衛庁長官が海上保安庁の長官を通じて指揮をするということが書かれておることは御指摘のとおりでございますが、これはその海上保安庁の全部または一部をその統制下に入れる、つまり防衛出動等に対しての緊急性にかんがみましてそのような措置が講ぜられておるものでございまして、この規定は海上保安庁の本来の所掌事務、権限を変更するものではございません。これは今海上保安庁次長が別の表現で答弁されたとおりである、このように思います。
  216. 小澤克介

    小澤(克)委員 要するに指揮権には作戦指揮権と行政指揮権、言葉をかえれば行動支配と人事支配という言葉もございましたけれども、そういう二つの側面があるわけです。この作戦指揮権のみをとらえた場合にも指揮という言葉は使っているのですね。自衛隊法八十条がまさにその例です。だから、服務規律を含まないから指揮という言葉を使わないで指図という言葉を使ったという論理は完全に破綻しているわけですけれども、そのことはもう言葉の問題ですから深入りしませんが、問題は、そのような言葉の問題以上に、その作戦指揮権について国連に移譲するのかしないのかなのです。移譲するのかしないのか。八条二項はどう考えても国連に移譲しないことを前提とした規定なのですよ。だからこそ、国連のコマンドに適合した実施要領をわざわざつくって、その実施要領に従って行動する、こうなっておるわけですね。  なぜこの点を民社党は看過したのか、修正しなかったのか、ぜひお答え願いたいと思います。八条二項についての御理解をまず教えていただきたいと思います。
  217. 田渕哲也

    ○田渕(哲)参議院議員 お答えします。  民社党がこの指揮権の問題について問題を提起をした意図は、一つは、派遣された我が国部隊が完全に国連のコマンドの枠内で業務をするのかということです。その枠をはみ出してやるということになれば、我が国の勝手な行動が海外で行われるということでありますので、それは好ましくない。したがって、国連のコマンドの枠内に完全におさまっておるかどうかということが一つ。それから第二は、派遣された我が国部隊我が国憲法並びに法律の枠内での活動にとどまるのか、この点が確認されるかどうか。それからもう一つは、この国連のコマンドと我が国法律による枠、これが完全に整合するかどうかという問題があります。  そこで、我々の見解としましては、派遣された自衛隊並びに我が国部隊活動は、あくまでも国連のコマンドの枠内の活動ではみ出すことはない。同時に、我が国が定めた法律の枠をはみ出すこともない。そしてその場合、もう一つ問題が生ずるのは、二重指揮の問題が出てこないかということであります。しかし、これは国会の、委員会の質疑を通じてただしましたところ、指揮命令系統は明確になっております。あくまでも国連事務総長のもとにこの活動はありまして、事務総長は、権限を委譲した国連の司令官、そしてその司令官のコマンドに適合するように実施要領が作成されます。それは我が国の本部長がそれを作成して、その実施要領に従って現地の部隊活動できるように防衛庁長官自衛隊を指揮する。このように命令系統も一本化されておりますから、二重指揮になるおそれはない。こういうような判断で民社党は指揮権の問題にのいて法案修正の必要はない、このように判断したわけであります。
  218. 小澤克介

    小澤(克)委員 国連の指揮下に、作戦指揮面について国連に指揮権をゆだねる、移譲するということになれば、それだけで別の組織になるということには私は賛成できません。なぜなら、行政指揮権の方が国内に残るからです。しかし、少なくとも作戦指揮権について国連に移譲すれば、それだけ属国性、国に属する要素が希薄になり、より国連の行動としての側面が強くなる。そのことは、私はそのとおりだと思うのです。そうであれば、国内的にそれが自衛隊か別組織がということはやや相対的な意味しか持たなくなる、そういうふうに私も思います。だから、この作戦指揮権について国連にゆだねるべきだという御指摘は極めて正しい指摘だったと思うのです。  ところが、この八条二項は残念ながらそうではないわけですね。これは御存じのとおりです。  これはオーケストラに例えれば、指揮者が指揮をしている。各国から集まった演奏者がその指揮に従って演奏をしている。しかし、日本から行った演奏者の前にはもう一人おかしな指揮者がいて、そして本来の指揮者のタクトを見ながら、同じ、それに矛盾しないといいますか、適合するタクトを振っている。そして日本から来た演奏者は、そのもう一人のタクトに従って演奏している、こういう非常に技巧的といいますか、奇妙な指揮系統なんですね。  私は、軍事組織がこのような極めて技巧的、複雑な指揮系統では恐らく機能しないだろうと思うのです。私は、ここはもっと端的に、要するに作戦指揮権は国連にゆだねる、しかし何か問題が生じたら、状況がまずくなってきたら、その国連の指揮から離脱する、日本側の指揮権が復活する、その離脱の要件と手続を明確にしておく。国連に単なる通告でいいのか、事前協議が要るのか。そして何月何日の午前零時なら零時をもって国連の指揮に入る、何月何日の何時をもって国連の指揮から離脱する。このような単純明快なシステムになぜしなかったのか、大変残念なんです。私は、我が社会党の案がもう廃案になってしまいましたから大変残念なんですけれども、この政府案及び修正案にのっとって議論するとしても、ここは今のようにもっと明快な指揮権に整理すべきだということを思います。指摘しておきます。  時間がなくなってまいりましたけれども、自衛隊法との関係についてお尋ねしたいと思います。  本法案は、自衛隊部隊として活動をすることを前提にしておりますが、それでいて、自衛隊法規定とは非常に異なった行為規範に従うわけです。まず、指揮系統が全然違います。自衛隊本来の指揮は防衛庁長官、その上に総理大臣がいるのは別といたしまして、防衛庁長官の指揮のもとに行動しますが、この法案によれば、本部長実施計画実施要領に従う、その制約のもとで防衛庁長官が指揮するというふうに指揮系統が全く形態が違います。装備についても、持っていく装備については国内で専守防衛に当たる場合とは違っている。武力行使についても、武器使用についても、全く違う行為規範に従うわけです。  そういたしますと、これは自衛隊法の、ある意味で特別法という形になるかと思いますけれども、これは余りにも法的整合性に欠けると思います。同じ自衛隊部隊でありながら、自衛隊本来の行為規範と全く違う行為規範に従う。そうであれば、むしろ別の法体系を用意するのが法的に整合性も持ちますし、第一、参加する自衛隊隊員諸君がどっちだかわからないようなことになろうかと思います。これは別系統のものに整備すべきだと思うわけです。  これは、ただその法的整合性あるいは参加する方の意識の問題だけではなくて、政策的にも、自衛隊というのは本来専守防衛のための存在です。外敵に対してはこれを撃退するだけの実力を備えている。ところが、海外でPKO参加するとすれば、全く違う業務につくわけですから、そういたしますと、本来の大きな実力を備え、しかしその行動範囲が限定されているものを、その組織を、たとえ行為規範が違うといっても外国にそのまま出す。これは政策的判断として、アジア諸国民の目等々を考えますと、全く政策的判断としてもまずいかと思うわけです。ですから、自衛隊法とは別の行為規範に従う別の組織をつくるべきである。そしてそれがこの法案の骨子に従って協力業務を行うということの方が、これを土台に考えてももっと合理的であり、よろしかろうと思うわけです。  この点について、時間が終了して大変恐縮ですけれども、参考人の力わざわざ来ていただいていますので、連合参議院の方からPKO庁をつくるべきであるという御主張あるいは修正案が出ております。それから進民運からも似通った修正案がきょう出たようでございます。これらについて、別組織論、お考えを述べていただきたいと思うわけであります。
  219. 林義郎

    林委員長 高井さんに申し上げますが、お約束の時間がもう経過しておりますから、要点よく、要領よく御答弁のほどをお願い申し上げます。
  220. 高井和伸

    ○高井参考人 私、連合参議院の政審会長の高井和伸でございます。  私ども連合参議院がこのPKO法案に対応する第一の目的は、国民がみんなこぞって合意のもとで送り出せる、そういう平和協力でなければならないという観点が第一でございます。そして、今いろいろ問題があります、自衛隊丸ごとあるいは組織ごとあるいは隊員そのものというような参加の仕方は、参議院における昭和二十九年の自衛隊を海外へ出動させないという決議、それは憲法九条の問題、そして実質的に平和維持活動が武力行使にわたるという非常に厳しい環境にある、そういった疑義をクリアするために、ひとまず日本はできるところから謙虚にひじを固めてだんだん広げていく方向で行くべきだ、そういう面でPKF抜き、そして別組織ということを第一にしました。そして、PKO庁というものを考えました。これは総理府のもとに置きまして、現在の法律案にございます国際平和協力本部、これをPKO庁という格好にすべきだというように考えましてやりましたが、連合参議院、予算を伴う法案の提出議員が不足しておりまして、修正案という格好で臨みました。  そのときの骨子は、やはり国際平和協力隊そのものを別組織にし、そこに自衛隊の方、服を脱いでいただいて休職・出向で来ていただく、そして関係行政庁の方にも来ていただく、地方公共団体からも来ていただく、さらに民間からも来ていただく、そして、そこできっちり訓練して、ユニットにして送り出す、これが本来的な画民全体の合意だろう、こういう考えから唱えました。その中に、マンパワー論、コスト論、そして第二自衛隊論もございますけれども、国民こぞって送り出せるこのPKO隊こそ、今、日本における国民のコンセンサスを得る第一次的な、立派な修正案だろう、そういう理由でもって提出いたしましたけれども、残念ながら参議院修正された格好になっております。  以上でございます。
  221. 林義郎

    林委員長 次に、遠藤乙彦君。
  222. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 このPKO法案審議も大詰めに近づいているようでございまして、考えれば考えるほどこのPKO法案、大変歴史的な法案でございます。私は、若干、今までのこのPKO法案並びにそれに先立つ国連平和協力案等の問題を振り返りながら質疑を進めていきたいと思っております。     〔委員長退席、中川委員長代理着席〕  この冷戦が終わった後の日本、大変な国際的な試練に直面をしてまいりました。特にこの湾岸戦争以降、具体的にさまざまな決断を要する問題に迫られたわけでございまして、多国籍軍に日本から参加するか否か、あるいは九十億ドルの支援問題、さらにはこのPKO法案、いろいろ決断を迫られる問題に逢着したわけでございます。こういった中で常に我々が持っていなければならない問題意識、これは、こういう大きな変革の時代には、決して決めつけ、先入観、あるいは枝葉末節にとらわれた議論ではなくて、あくまで骨太な議論をしていく必要がある、二十一世紀における日本のあり方、日本の針路を過つことのないために骨太の議論をしていくべきでないかと強く感じた次第でございます。  こういった観点から、我々もさまざまに議論をしてまいりましたが、振り返ってみますと、いろいろな骨組みがあったと思います。  一つは、冷戦の終了、これをどうとらえていくか、これが一つの重要な枠組みでございます。続いて、日本国有の問題として、憲法と国際貢献の接点、これをどう探っていくかという問題でございます。それから三つ目に、そういう枠組みの中で、国際的にも評価され、また国民の合意も得られるような、そういう選択をしなければならない。大変難解な、複雑な、困難な問題を強いられたわけでございます。  まず、この冷戦の終了の意味、これをやはり深く考えてみる必要がある。国際情勢が百年に一度と言われる激変をしたわけでございます。特に、この平和の問題に限って言えば、冷戦の間というものは、米ソという二つの軍事超大国がそれぞれ核兵器を持って対峙してくる、そういう軍事大国主導型のいわば秩序の維持のあり方であった。そういった中におきましては、我が日本はほとんど発言権はなかったし、実際に果たし得る余地もほとんどなかったと言っても過言ではないと思います。冷戦の陰の中で経済大国を目指して努力をしてきたというのがその実態であったかと思います。  しかしながら、この冷戦の終了、これが大きな平和の環境の変化をもたらしました。何よりも今までの冷戦時代における最大の平和の脅威は核戦争の脅威だったわけです。いつ米ソが核兵器を発射し合って地球が滅亡するか、そういった非常に核戦争の恐怖が最大の平和の脅威だったわけですけれども、ベルリンの壁が崩壊し、ソ連が崩壊し、ソ連の脅威が消滅をしていった。そういった中にありまして平和の問題も大きくその本質が変わってまいりました。核戦争の恐怖が大幅に遠のいたかわりに、これにかわって地域紛争の恐怖というものが逆に出てきている。現実の問題として起こってきている。いろいろ専門家の見方によりますと、世界じゅう六十カ所以上の地域現実にそういう地域紛争可能性があるということでございます。  また、今までのこういった冷戦時代米ソ二大軍事超大国の主導のもとにおけるそういった秩序の維持から、今度は国連を軸とした、国際社会協力をしてどう新たな平和維持のシステムを構築していくか、そういった時代に入ったわけで、こういった基本的な平和環境、平和の問題の変化に伴って、また日本としても果たし得る役割が大きく出てきた。資金の面であるいは人員の面でさまざまなそういう日本役割というものが問われるに至ったわけでありまして、まず、こういう冷戦の終えんのもたらす我が国の平和の問題、世界の平和にどう貢献するか、やはりこれを深く考え認識を整理していく必要があることが第一でございます。  日本の議論を見ると、なかなかまだそういう点における透徹した議論が非常に少ない。冷戦時代の思考そのままで進んでいるようなところがありまして大変残念に思うわけでございますが、ぜひとも国民的な討議の上で、そういう冷戦時代の変化というものを、何を意味するかということを、まずしっかりと本質を認識していくことが大事ではないかと思っております。  こういった大きな枠組みの変化の認識のもとに、もう一つの大事な問題は、我が国固有の問題として憲法と国際貢献の接点、これを探るという問題でございます。この問題は、戦後四十数年にわたって、ある意味では凍結されてきたわけでございまして、それがこの冷戦の終えんとともに凍結を解除せざるを得ない、そういう状況になった。多くの人々が議論に混乱するのは当然かもしれません。今まで、憲法上どこまで許されるかということはほとんど議論されることはなくて、特に、自衛隊法の問題も、自衛隊法規定してないということですべていわば逃げてきたわけでございますけれども、それが許されないという時代になった。憲法の枠内でどこまでできるか、国際貢献はどこまでやるべきか、その接点を探るということが重要な作業になってきたわけでございます。  そういった意味で私たちは、片や日本憲法の精神をどこまでも堅持しながら、軍事大国になってはならない、二度とあの悲劇を繰り返してはならないという憲法の精神、また憲法のそういった魂というものを堅持しながら、他方、経済超大国としての日本役割、果たすべき国際貢献をどこまでできるか、この二つの接点をぎりぎり探るというのが重大な我々の作業だったわけでございます。  そういった中で、具体的には、国連平和協力法案の際には、多国籍軍に自衛隊が後方支援の形で参加する是非が問われたわけです。また九十億ドルの支援の問題、そして今このPKOの問題が問われているわけでございます。私たちもそういう骨太な議論をどこまでもやってきたつもりでございまして、その結果、今回このPKO法案が成立すれば、この冷戦後の世界における日本の平和貢献のあり方についての一つの範例ができ上がる、基本的な枠組みができ上がるものと私はこれを考えておるわけでございます。  それで、その個々の対応がどうなってきたかということを若干振り返ってみますと、まず国連平和協力法案、湾岸危機勃発後問われたものでございますが、あのときの政府考え方は、多国籍軍の後方支援に自衛隊を使おう、こういう考え方でございました。私たちも大変議論をいたしましたが、結論的には、これは多国籍軍というのは戦争を前提にした軍隊そのものであって、たとえ後方支援といえどもそこに自衛隊参加をしていくことはやはり武力行使に巻き込まれる可能性が高い、たとえ当初は派遣という形で自衛隊を出したとしても、現代の戦争においては前方、後方、区別がつかない、必ずや武力行使に巻き込まれる可能性が高いということで、これはいずれ派兵になる可能性が高いし、また憲法の禁ずる、目的・任務に武力行使を伴うということに触れる可能性が非常に高い、そういう判断を持って、憲法の厳護という上からこれを公明党は強く反対をし、その結果、衆議院委員会の段階でこれは廃案になったということは御承知のとおりでございます。今にして思えば、これは非常に正しい選択であったと感ずるわけでございます。  また、九十億ドルの問題、これも率直に言って大変私たちの党内、大きく議論が分かれたところでございます。しかし、この九十億ドルを多国籍軍に支援するという問題、これは、片や多国籍軍は国連の枠組みの中で国連決議のもとにイラクの不法な侵略を排除していく任務を持っている。しかしながら日本憲法からすれば、自衛隊がこれに参加することはこれは憲法に反するものであるけれども、資金的な支援をしていくということはやはりこれは国際社会のむしろ責務であろう、そういう観点に立って条件つきの賛成を公明党が打ち出して、そのとおりにまた実現をしたわけでございます。これが二つ目の判断。  三つ目に、このPKOの問題がございます。これにつきましては、私たちも当初は、このPKOという問題がよくわからない時点におきましては一時懐疑的な時期があったわけでございますけれども、やはり調査なくして発言なしという精神に立ちまして、国連から意見を聞き、また各地に議員を派遣しまして実態を調査をしました。紛争地域に行きまして、本当にそういった紛争に悩む庶民の苦しみをじかに聞き、また現実に展開をしているPKOの人々の意見も聞き、調査すればするほどこれはむしろ大変すばらしい任務である。この冷戦後の世界にあって国連が軸となって紛争を平和的に解決する、まず政治的に話し合って停戦させる、その後にこのPKOが行ってフォローアップして本格的な平和を樹立する、しかも武力行使をしないで非暴力、非強制の精神に沿って平和主義、人道主義に基づいて平和を構築する。この実態を知れば知るほど、大変崇高な任務であってむしろこれは平和憲法の精神そのものではないか、憲法の非常に志の高い部分をこれは実現していくものではないか、そのような私たちは判断に立ったわけでございます。  その後、さらにこのPKO、詳細に議論をいたしました。確かにこのPKO国連の行っておるPKO自体には、概念規定として必ずしも明確な部分がない。政府側からの説明もありますように、PKO自体がそのときどきの国際情勢に従って進化発展をしているというのも事実でございまして、極めて厳密に理論的に検討すれば、九九・九%はよくても〇・一%ぐらいは武力行使に巻き込まれる可能性はあり得る。そういったことでさらに議論を積み重ねまして、五原則の問題、さまざまないろいろな原則を取り込みまして、日本独自としてこのPKO憲法に抵触することなく参加できる枠組みというものを明確にこれを決め、これを法律に盛り込み、さまざまながんじがらめのいわば歯どめをつけてこれを今検討したわけでございまして、我々も徹底的な検討、研究の結果、現在のPKO法案、特にこの修正を経たPKO法案には憲法上何ら問題がないと強い確信を持つに至ったわけでございます。  そういうことで、このPKOにつきましては、もともとこの凍結がない部分につきましても、これはもう我々の判断としては憲法上問題がない。しかしながら、これはまだ国民にとって極めて新しい現象であり、わかりにくい問題でもあるので、やはりステップ・バイ・ステップということが政治的には賢明であろう。そういった世論の理解が進むということ、進めるということを考えながらこういう凍結ということを言ったわけで、決してこれは凍結されている部分が憲法上問題があるということでは全くないということを、ここに申し述べておきたいと思っております。  こういうことで、非常に話が長くなってしまいましたけれども、冷戦後の世界における日本の平和への貢献のあり方、具体的に、多国籍軍への自衛隊参加はだめ、それから多国籍軍への財政支援、これは条件つきでよい、そしてPKO、これはむしろ積極的に推進すべしという明快な一つの範例がここで成立をしたと私は考えております。これは、今後の冷戦後の世界にあって日本がよるべき一つの基準、明確な基準を設定したものであると私たちは考えておりまして、特にこういった範例あるいはお手本の設定に当たって公明党が非常に重要な役割を果たしたということも、私たちは自負をしておる次第でございます。これは、必ず歴史が証明することであろうし、歴史の試練に耐える選択である、そういう骨太な選択であるものと確信をしておりますし、また、何よりも日本の国際化という観点から見ても、こういった選択は極めて重要なものであると私は確信をしているわけでございます。  そこで、非常に長広舌になってしまいましたけれども、こういう一つの基本的な考え方、冷戦後の世界における平和貢献のあり方についての哲学、考え方を我々は主張してきたわけでございますけれども、これに関連して、先ほど伊藤忠治委員の方から、若干公明党に対する批判的な発言がございました。それは、石田委員長国連平和協力法案の際に自衛隊派遣は絶対にだめだと言っていると、それなのに今回PKOについてはこれを認めている、短期間のうちに何という変節だということを言ったわけでございますけれども、これは全く何といいますか、知的な混乱と言う以外何物でもないものでございまして、そもそも前回、石田委員長自衛隊派遣はまかりならぬと言ったのは、戦争を前提とする多国籍軍に対してであって、それが前提である、それはもう当然でございます。これはもう憲法の精神からいって、やはり武力行使を伴う可能性があることからしてこれは断じて許せないということで言ったわけであって、他方、今回は、このPKOは戦争が終わった後に、また武力行使をしないで非暴力の精神で平和を樹立する大変とうとい任務である、むしろこれは憲法の精神からいってぜひやるべきだということであって、この二つの主張には一点の矛盾もないということを理解すべきではないかと思っております。まさか野党第一党の社会党が、戦争を前提とする多国籍軍とPKOを本質を区別できない、混同視するほどの知的混乱にあるとは思いにくいわけでございますけれども、この点はぜひ社会党の皆さんには御理解をいただきたいと思うわけでございます。  まず、こういった基本的な考え方を前提にしまして、さらに質問を進めていきたいと思っておりますけれども、先般、五月の五日から十三日にかけまして、私ども石田委員長を団長としまして、カンボジアそしてタイ、マレーシアを訪問してまいりました。特にカンボジア問題に関しての視察、そして意見交換がその主眼であったわけでございますけれども、今回実際に現場を見て、ますます今申し上げました私たちの立場が正しいということを確信をしてまいりました。特にこのPKOにつきましては、ぜひともこれは成立させなければならない、これが今日本の置かれた責務であるということを強く確信をしてまいったわけでございます。  特に、幾つかの感想を持ったわけでございますけれども、一つは、カンボジアあるいはタイ、マレーシアも含めて、そこの指導者もあるいは国民も含めて、日本の貢献を切実に求めている。自衛隊も含め、自衛隊も文民も問わずぜひ来て、カンボジアの平和のために、復興のために頑張ってもらいたい、切実なそういった要求があったわけでございます。特にカンボジアの現況は、瀕死の重傷を負ったけが人あるいはもう死にかけた病人が、何とか助けてほしい、水を飲ましてほしい、何とか命を長らえてほしい、そういった切実な叫びにも似た要求であったわけでして、ぜひとも日本としてはそういう声にこたえていかなければならないということを痛感をいたしました。  また、実際にカンボジアの現状を見るにつけ、これはすさまじい状況であって、戦争が終わって間もなく、飲料水にも事欠く、食糧の不足もある、あるいはまた寝るところもない。また、いろいろな疫病もある、あるいは治安も全く悪い、そして医療設備もない、こういった状況。また、非常に過酷な気候風土のそういう中にあって、単なる善意のボランティアとか文民だけではほとんど対応が不可能であるということがよく認識できたわけで、やはりこういった状況において有効な平和維持活動をするためにも、自己完結的な支援体制を持ったそういう自衛隊のような組織が行かなければ対応は不可能であることを痛切に感じてまいった次第でございまして、そういった意味でも、ぜひこのPKO法案実現をさせていく必要があると感じておる次第でございます。  そこで、特に今回カンボジアの訪問を通じて感じたことでございますが、そういった日本の今後の国際貢献、いろいろ総合的な貢献をしていかなければならないと痛感をしておりますけれども、一番その星は何か、一番重要なキーワードは何かということを考えますと、それはやはりこの人的貢献ということであって、特に顔の見える協力、ともに汗を流す協力、そして心の通い合う協力だ、こういうことではないかと思っております。こういった協力を通じて本当に我が国の、何といいますか、国際的な評価を高め、信頼をかち得て、平和大国日本というものをつくる道になるわけでございまして、ぜひともこういう考え方で進めなければならないと思っておるわけでございます。  そこで、総理への質問でございますけれども、こういった私たちの考えを申し述べましたけれども、PKOへの我が国参加についての基本的な考え方につきまして、総理の所見を改めてお伺いをしたいと思います。
  223. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ただいま御審議を願っております二法案につきまして、これを国際情勢の変化並びに我が国の国内の状況を背景にして、この法案一つの展望のもとに置いていただいた、どのような歴史的な意味を持つかということについて、ただいまお話がございました。御説は、私が従来委員会において申し上げてまいりました考え方と大きな流れにおいて一致しておりますことを、大変感銘しながら伺ったところでございます。外交問題について御造詣の深い遠藤委員の御発言として、感銘しながら承りました。  すなわち、世界情勢がこのように冷戦後と言われる時代に変わってきたということが一つ。その間に局地紛争があって、国連というものが前面に出てきた、そのような国際情勢の変化。他方で、湾岸戦争のこともございまして、我が国憲法我が国がなすべき国際貢献との間の接点をどこに求めるべきか、こういう国民的な議論が起こった。こういうことをまず序説としてお述べになりまして、その間に公明党がとられました政策決定というものは、第一に、湾岸戦争の際の多国籍軍に我が国協力すべきかどうかということについては、たとえ後方支援であってもこれには、現実に戦争が行われますので自衛隊参加することは問題がある、それについては否定的な立場をとられたという点でございます。この点は私も、今日も答弁を申し上げましたが、あの場合の多国籍軍に我が国参加するということは、私自身やはり問題があるという立場を当時から考えております。  次に、九十億ドルの支援をしたということについては、これは公明党としても、しかるべきことであろう、日本としても貢献すべきだという決断をなさった。これはやはり湾岸危機の解決が、国連安保理事会がその中心になって、決議を積み重ねて、そのマンデートのもとに行われたということにも関係があると存じますが、この点も私は同感でございます。  それから第三に、さてそこで、人的貢献と言われるPKOの問題でございますが、基本的にはやはり憲法の許す範囲において人的貢献をすべきであろうという公明党の御所見である。ただ、その場合に、現地も視察せられましたし、また我が国憲法の持っておる制約との関連もあって、五原則等々の提唱をされました。また、政府の提案に対しまして修正も御提案になった、こういうふうにただいまのお話を承りました。  私がしばしばこの委員会でも申し上げておることでございますが、冷戦後の新しい世界流れと、また、いわゆる経済大国となった我が国、従来一方的な平和の受益者であったことから、平和に積極的に貢献をしなければならない我が国の立場として、私どもも財政的貢献のほかに、ただいま御審議願っておりますような法案を成立をさせていただきまして人的貢献をいたしたい。しかし、御指摘がありましたように、それは我が国憲法というものがございますので、その枠内において最大限なすべきことをしなければならぬ、また、かりそめにも憲法を危うくするような危険はあらかじめ法案の中で取り除いておかなければならない、こういう御説でございまして、まことに私どもも同感に存じております。
  224. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 続いてカンボジア問題に関連して伺っていきたいと思うのですが、今回、カンボジアを実際に視察をしまして、もうこれは大変重大な問題だな、我が国にとり大変大きな試練だなということも感じてまいりました。  まず何よりも第一に、カンボジアの置かれた地政学的地位からして、この地域の安定、民主的な政府が樹立をされて安定をするということが、東南アジアひいてはアジア全体の平和に不可欠であるということを、大変強く痛感をしてまいりました。  それから二つ目に、我が国の貢献のあり方、今までは物、金中心の貢献だったわけですけれども、これからは人的貢献を含めた総合的な国際貢献というものが求められることは御高承のとおりでございまして、いわばこのカンボジアはそういう我が国の総合的な国際貢献のテストケースである、試金石であるという感じを強く持ったわけであります。カンボジアの場合には、もちろん平和の問題、復興の問題、さらにはまたさまざまな問題を抱えておりまして、いろいろな面で支援をしなければならない。そういった意味で、この総合的な国際貢献を我が国がこれから進めていく上において、重要な試金石であるという気がいたしました。  また、国連にとってもこれは大変重大な問題であって、今回UNTACも二万二千人という人的要員、さらには二十五億ドルにもなんなんとする資金が要請されていると言われておりまして、史上最大のPKOが展開をされております。そういった意味で、平和裏に国連の枠組みの中で地域紛争解決する、冷戦後の世界にあって地域紛争解決するというやはりモデルケースである。  しかしながら、このカンボジアの情勢をかんがみると決して予断はできない。特に、来年選挙が行われるかどうか自体もまだ非常に予断を許さない面があるし、またポル・ポト派等の動向にかんがみると、中長期的な政治的な安定性、これも非常に予断は許さない問題であって、我が国としても中途半端な姿勢ではこれはならないだろう、やはりこれは本格的な平和と復興のために我が国も全力を尽くすべきではないかという感じがいたしました。  特にこのカンボジアが、それまでは大変緑豊かで牧歌的な農業の豊かな国であったわけでございますけれども、一九七〇年の軍事クーデター以降、内紛とそれから超大国の介入があって大変悲惨な目に遭ったわけでして、多数の難民が発生し、またポル・ポト派の政権下、七五年から七八年にかけて三百万人とも言われる国民が虐殺をされている。本当に胸の痛む思いがしました。また、地雷が四百万発も埋められている。あるいはまた、この地雷で足を失った人が十万人もいる。また、数知れない孤児が存在をしている。そういった人たちの姿を目の当たりにして深い胸の痛みを覚えたわけでございまして、同じアジアにある同胞の日本としても、やはりできる限りの支援をしていくべきだと痛感をして帰ってまいりました。  それは感想でございますけれども、それを踏まえて今度は外務省にお聞きをしたいわけでございますが、このカンボジア情勢の見通し、動向、特に、この六月十三日からいわゆるUNTACの第二局面、セカンドフェーズに入るわけでございますけれども、ポル・ポト派が武装解除を拒否しているというような状態、またポル・ポト派の動向がこれからの大きなかぎになると思いますけれども、政治的にポル・ポト派を疎外してしまえばまた山にこもってゲリラ活動をやってかえって危ない、また他方、政治的に復権を認めるわけにもいかない、大変難しい政治的な課題でもございます。  こういったことも踏まえながら、カンボジア情勢の見通し、特にポル・ポト派の動向の見通しにつきまして、外務省から御意見をお聞きしたいと思います。
  225. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 ただいまるるお話がございましたように、カンボジア和平というものが東南アジアひいてはアジアの平和と安定に大変大切なことであるというのはお説のとおりでございます。  そこで、ただいまカンボジア情勢、特にポル・ポト派の動向についてのお尋ねがございましたけれども、御記憶のようにパリ協定が結ばれたのが昨年の十月でございますから、はや半年以上になるわけでございますが、その間の和平の一定のプロセスを踏まえまして、午前中も御答弁いたしましたところでございますけれども、いよいよ明後日から停戦の第二段階に入るわけでございます。  これは要するに武装解除、関係の部隊の武装解除あるいは動員の解除というところへ、いよいよ最も重要かつ困難なところへ行くわけでございますけれども、そのやさきに、ただいまお話がございましたようにポル・ポト派が確かにこの和平のプロセスにいま一つ積極的に協力してくれていないということがございます。自分から支配しております地域へのUNTACの立ち入りの拒否、あるいは現段階では武装解除自体に積極的ではございません。  そういうことでございまして、そういう状況を受けて明石代表は、しかしながらこれは予定どおり明後日から第二段階に入ると言われておりますけれども、関係諸国、日本も含めまして、そういったいま一つ積極性を欠くポル・ポト派に対しまして、和平に向けて協力的になるようにいろいろなところで懸命な働きかけを行っておるところでございます。  見通しと仰せでございますけれども、これは何とか関係方面の協力を得て、それから何よりもカンボジアの指導者の方々の確かな志をもって、予定どおり明春には総選挙にぜひ持っていかなければいけないと思っております。
  226. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 続いて、UNTACの問題なのですが、現在まだUNTAC、活動を開始したばかりで、これから第二局面を迎えるという状況でございますが、ちょっとまだ早まった議論かもしれませんけれども、果たしてこのUNTACは、来年の例えば五月、選挙までが一応UNTACの存続の期間、マンデートとなっておりますけれども、今のカンボジアの情勢から見て果たしてそれでうまくいくのかという、大変疑問を持たざるを得ない。特に中長期的に非常にこのカンボジア情勢厳しいものがございまして、恐らく来年の選挙以降もUNTACの駐留が必要な状況がやはり出てくるのではないかということが懸念されるわけでございます。  やや先走った議論になるかもしれませんけれども、やはり今のうちからそういった可能性考えておく必要があるのじゃないかと思っておりまして、このUNTACの、もしさらに継続させるとなれば、資金的にも人的にも大きな負担があることは間違いないわけでございますけれども、この点につきまして総理の御所見を伺いたいと思います。
  227. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 何分にも十三年間戦争をしていた四派が一つの傘のもとに集まるということでございますので、幸いここまでは何とかやってこれたわけでございますが、今政府委員が申し上げましたように、一つ、二つのことはなおあるかもしれない。しかし、考えてみれば十三年間戦争をやっていたことが無益であったということは関係者がみんな痛感をしておるところでございますから、私は、結局やはり多少の曲折はありましても、ここはやはりSNCが機能をして、そしてUNTACが手伝いをするということにならざるを得ないであろう、ぜひまたそうあってほしいと思います。  その結果が、御指摘のように、殊にもう雨季にもなってまいりますので、予定のとおりの避難民の、何と申しますか、生業への復帰といったようなこと、あるいは最後まで見通しますれば選挙というようなこと、多少のスケジュールのずれというものはあるいはあり得るかもしれない。存じません、これは何とも言えないことでございますけれども、しかし、せっかく十三年間の争いというものはもうやめなければいけないというコンセンサスだけはできたわけでございますから、ここはもう忍耐強くSNCを中心に国づくりを助けていくということが大事なことではないかと考えております。
  228. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 続いて地雷処理の問題なんですけれども、さっき申し上げましたように四百万発とも言われるような地雷が埋められている。これも大変重大、深刻な問題でございます。  一つは、既に足を失った方々への義足の提供という、まあ対症療法といいますか、それをぜひ進めなくちゃいけない。我々も現地にいる間に、タイの博士が新しい義足の開発をしておりまして、これに対して財団に寄附をしてまいりました。ぜひこのカンボジアの足のなくなった人たちのために軽くて安くて強い、そういう義足の開発を進め、普及ができるように財団の設立を支援をすることをやってまいりました。これもぜひともやはり国民的にも進めていきたいと思っております。  もう一つ、その原因となる地雷でございます。やはりこれの処理ということは本当に人道的な問題であると痛感をしてまいりました。確かに、今のPKO法案の枠組み、特にまた修正案の枠組みでいけば、自衛隊が行って直接地雷を大量に処理していくことは、これは凍結の対象になることでありましょう。しかし長期的に見て、やはりカンボジア自身が地雷を処理していかなければならないでしょうし、それに対してさまざまな技術協力といいますか、新しい地雷処理技術を開発をして、有効な技術を開発をして、これを教えるということは、これはやはり何ら問題がないと私は感じておりまして、特に日本としては、こういう地雷処理技術ですね、非常にきめ細かな、ああいう対人地雷を探知し、これを処理していくさまざまなセンサー技術あるいはロボット技術ですね、日本の持てるそういった技術を最大限に活用してこういうシステムを開発をすれば、これは大変また大きな貢献になり得るのではないかと感じている次第でございます。  若干冗談みたいな話でございますけれども、実際に現地で見聞した話としまして、地雷処理、今のような対人地雷、プラスチック製や木製の地雷ですね、ほとんど決定的な技術がまだ開発をされていないということでございまして、現時点で一番うまい案というのは、どうもこれはニュージーランドの人が発案したそうなんですが、一定の面積を囲い込んで、そこに羊を放牧をする、一定時間半がいろいろな面積を歩けば、それによって地雷を探知をするという、これが今考えられている最もうまいアイデアだということらしいんですが、早速英国の動物愛護協会から強い反対が出まして、この案はっぶれたということでございます。  それほどに今のカンボジアの地雷処理に対しては決定的な技術がない、非常に絶望的な状況でございまして、ぜひ我が国日本の持てるそういった非常にきめ細かいハイテク工業力、技術力を駆使をして、非常に効率的に地雷を処理していくシステム、技術というものをやはり一生懸命開発をしたらどうか。これはぜひ政府に提案をしたいわけでございまして、そんなに大きな予算がかかるわけでもないでしょうし、例えば防衛庁あたりが中心となって関係省庁とも協力をしながらそういうシステムをぜひ開発をしたらどうか、これは強く提案をしたいと思うわけでございます。  こういった考え方につきまして、防衛庁長官のお考えを伺いたいと思います。
  229. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 今御説の中でPKO本体の、放棄された地雷の処理は、これはいわゆる凍結ということになりますので、これはできません。しかし、先ほど来御議論のございますように、いわゆるPKFの後方支援業務実施する場合に当たりましても、隊員の生命、身体の安全を確保するということは、これは大変重要なことでございます。したがって、例えば施設的な部隊派遣してそういう業務に従事した場合に、その地雷等の有無を、一応はクリアされたといっても、これはわかりません。したがって、その結果偶発的に発見される地雷等がある場合には、この処分する行為はやはり私どもは認められるべきものというように考えております。  他方、今委員の御指摘のハイテク技術を使ってセンサーみたいなものを開発したらどうか、これはカシボジアだけでなくて、私どもも地雷のいろいろの技術を専守防衛の立場からも必要だとしてやっておりますから、ひとつこれの一助としてこういう機会に、そうコストのかかるものでは、仰せのようにございません。したがって、そのいわばロボット式なもので探知する、そしてそれが破壊されてもコストはそんなに高くないものを利用すれば可能だという委員の御指摘、これはまことに私も傾聴に値すると思っております。そういう面での開発は、やはりやっていくべきものかなというように私は感じます。
  230. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 大変防衛庁長官から理解あるお言葉を賜りまして感謝をしておりますが、恐らくこれは我が国としても非常に貢献し得る分野であると思いますので、ぜひひとつ力を入れて、予算獲得も一生懸命ひとつ応援をいたしますので、進めていただければと思っております。  続いて、今度はPKOの問題に関する国民の理解という点について少し触れてみたいわけでございます。  何といっても、こういった新しい世界の中の日本の選択をするわけですから、国民的なコンセンサスができるということは重大なことでございます。しかしながら、このPKOという問題が今までほとんど、過去一年半やっと議論され始めたぐらいで、それまでは我が国の場合ほとんど見たことも聞いたこともないというような状況でございます。PTAとかTKOとか、似たような言葉がありまして、区別がつかないというのが、恐らく現時点においても多くの方々の率直な気持ちではないか。要するによくわからない、何が問題点かよくわからないというのが恐らく今の現状ではないかと思っております。  しかしながら、このPKOの問題、きちっと説明をし、また対話をしていけば、また必ずわかってもらえるという確信も私は持っております。随分私も各地に説明に参りまして、選挙民の方々とひざ詰めで対話をしてまいりました。その範囲では大部分の方に御理解をいただいたものと私は確信をしておる次第でございます。  そこで、何といいますか、一番ひっかかる、PKOということを聞いて一般に非常にやはり感情的な反応が多いわけでございまして、特にこのPKOが軍事要員、軍事部門が非常に重要な役割を果たしているわけであって、軍と聞くとやはりどうしでも、何といいますか、もう感情的に頭から反発をする、すべてだめだという、そういう感情を持っているということがやはりこの日本におけるPKOの真実の理解を妨げている大きな要因ではないかと思うわけでございます。  特に社会党的な発想、批判したくはないのですけれども、何点か問題があるとすれば、まず、このPKOの本質理解というものを誤っているのじゃないかということを感ずるわけでございまして、特にこのPKO役割、重要な部分がいわばその軍事的な部門によってなされる、しかもそれは、何といいますか、武力行使ではない、武力行使をさせないために、戦争の再発を防止するために軍事的なノウハウ、情報を使うということであって、これはよく知れば知るほど卓抜した逆転の発想であるということを理解できるわけなんです。  そういった、国連の関係者あるいはカナダ、スウェーデン等のすぐれた人々が、どうしたら国連が本当の意味で平和主義、人道主義的な平和の貢献ができるかということで考え出したのがこのすぐれた知恵であって、まさに軍事的な、本来武力行使のために訓練をした、蓄積をしたそういったノウハウというものを、武力行使をさせないために百八十度目的を転換をしてこれを活用する卓抜した逆転の発想であるということが言えるわけであって、この点を特に社会党が理解をしていないところが非常に不幸なことではないかと考えるわけでございます。  また、自衛隊につきましても……(発言する者あり)
  231. 中川昭一

    ○中川委員長代理 御静粛に願います。
  232. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 頭から、要するに自衛隊それ自体が違憲という考え方ではもはや時代おくれであって、何といいますか、自衛隊そのものが違憲であれば結局すべてが違憲なのであって、それでは議論にならないということになると思います。  例えば、その自衛隊の災害派遣、あるいは日航機の事故への救済に出る、あるいは不発弾の処理、すべてが違憲ということになるわけであって、これではやはり建設的な議論はできないだろうと思うわけでございまして、ぜひともこういった点につきましてもう一度社会党の皆さんの現実的な見直しというものを求めたいと思っておる次第でございます。  そういうことで、社会党の場合には非軍事、民生あるいは文民ということを言っておりますけれども、一見耳ざわりがいい言葉であるけれども、子細にこれを検討するならば、やはり物事の本質をよく理解をしていない、また、ある意味では非常に空想的な平和主義、人道主義ではないかということを感ずるわけでございまして、やはりこれからの日本は、もっと世界的視野に立った平和主義、あるいは何といいますか、行動する平和主義、そして実践的な人道主義というものが求められるわけであって、そうでなければこれから日本はますます国際社会から理解を受けないであろうという感じがするわけでございます。  そういった意味で、ぜひともこれからこのPKOの真実について、その本質をどう理解させるか、どう対話をするかということを、ぜひ政府としても知恵を絞り、努力をしてもらいたい。これはもうすべての政治家がやるべき話でございますけれども、ぜひ政府としてもそういう努力をすべきだろうと感ずるわけでございます。  しかしながら、時間の経過とともにPKOに対する認識が徐々に深まっているということも事実でございまして、これは非常に心強い点である。やはりじっくりと物を考え情報提供をしていけば、そういう国民の世論は正しい方向に動いていくということは、また心強いことでございます。  そこで、まず質問でございますけれども、昨年以降の国民のPKOの本質に対する理解あるいは自衛隊の活用に対する理解がどの程度動いてきたのか、どの程度深まってきたのか、そういったことにつきまして政府側の認識をまず伺いたいと思います。
  233. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘のこのPKO活動の基本的な性格という点、特に、中立・非強制の立場で国連権威説得によって任務を遂行するものである、この法案我が国PKOへの参加というのは、我が国憲法の理念に沿って、かつその枠内で行うものである、そういった基本の点につきましては鋭意、例えば国内の各地における講演会の実施とか一般広報、パンフレットあるいはテレビその他マスコミ、マスメディアの活用あるいはPKOセミナーの開催等いろいろな広報活動を積極的に行ってまいりました。  今後とも、これらの努力を継続しまして、PKOに対する国民の理解と支持を一層得られるように努力してまいりたいと思っております。  ちなみに法案でも、やはりこういった成立の暁には、これに基づく実施というのがあるわけでございます。その中で、平和協力本部、その所掌事務の中に、国際平和協力業務実施についての知識の普及、これが一つの項目として掲げられておるわけでございまして、ぜひ国民の理解を十分得ながらこういう協力をやっていくというのが基本であろうというふうに認識しておる次第でございます。
  234. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 この国民との対話ということで、私自身の経験を若干申し上げたいわけなんですが、私自身、このPKOの問題を理解をしていただくために各地に説明に行ってまいりました。特に沖縄の経験が非常に私自身は印象に残ったわけでございます。  沖縄といえば、当然、この戦争中不幸な戦争の舞台となり、多くの住民が悲惨な犠牲になったところでございまして、軍というものに対して、あるいは戦争に対して、自衛隊に対して大変な反発、反対があることは事実でございます。また、このPKOにつきましても極めて激烈な反対がある地域でございまして、私はあえてその地に説明に行ったわけでございます。  一時間ぐらい説明をしまして、会場から今度は質問をとったところ、一人の老婦人が立ち上がりまして、三十分ぐらいにわたりまして延々と反対の大演説をされたわけでございます。特にこの方は、ひめゆり部隊そのものではなかったのですけれども、同じような状況に置かれて、高等女学校の学生でありながら看護活動に動員をされて大変悲惨な目に遭って、多くの同級生が殺され、自分も九死に一生を得て助かったという方でございまして、その方が大変悲惨な戦争の現実を延々と語られながら、戦争は絶対反対である、またPKOなんかとんでもない、自衛隊参加は絶対反対だ、大変激烈な反対をされたわけで、そして、本土の人間には沖縄の心はわからない、私は絶対許さないという大変厳しい実は意見を述べられたわけでございます。  私も一時その方の大変な迫力に押されましてすぐには返事ができなかったわけでございますけれども、しばらくしてその方に対して、戦争を憎む心、また平和を愛する強い心には深く感動しました、また、実際に沖縄戦の厳しい体験をした方でなければあの悲惨さはわからない、大変貴重なお話を伺って本当に心から感銘をしましたと申し上げた上で、そこで、ちょっと待ってください、そこで、先ほど沖縄の心とおっしゃったようでございますが、私の聞いた、理解した範囲で、沖縄の心というのは二度と戦争を起こさせない、二度と罪のない住民を悲惨な戦闘に巻き込ませない、住民をどこまでも守っていく、これこそが沖縄の精神ですねと伺いましたところ、そのとおりだということをおっしゃっておられました。そこで私はさらに、まさにその沖縄の心こそこのPKOの精神なんですよ、PKOの精神こそ、紛争地域の住民を守って二度と戦争を起こさせない、また住民が安心して生きていけるように住民を守るために行くんだ、国連のためでもない、日本のためでもない、ましてやアメリカのためでもない、まさに住民を守るためであって沖縄の心そのものなんだということを申し上げました。  そこでその老婦人は一瞬絶句をしておられましたけれども、そこから本当の対話が始まってさまざまな質疑をまた交わしました。最終的にはその方も、自分もPKOの任務の重要性はよくわかった、また自衛隊を活用することの必要性も自分としては理解するつもりである、自衛隊がこのPKO参加することが派兵にならないように厳重な歯どめが置かれるのであれば私も理解をします、そういった発言をしていただきまして、その会場の方々の多くが理解を共有していただいたわけでございまして、このことを通して、やはりどうしても日本の国民、特に沖縄の方々も含めて悲惨な戦争体験があるわけであって、軍とかこういったPKOとか、こういったものに対しては感情的に反発する、これはもう当然だと思います。  やはりそれを十分わかった上で、どのようにじっくりと対話をしてこのPKOの真実を訴えていくか、これはやはり非常に大変な努力が要ることであって、安易に広報資料を配ったからということぐらいではなかなか解消しないだろうということも認識をしておく必要があるかと思っております。そういうことで、これは我々が、政治家がやはりすべてが取り組んでいかなければならない問題であるかと思いますけれども、政府には一段とそういう広報の必要性、対話の必要性というものを理解の上、さらに知恵を凝らしてこのPKOの真実というものを訴えていただきたいごとを強く要望をしておきたいと思っております。  そこで、次の質問に参りたいわけでございますけれども、現在参議院における修正案が付されたものが審議をされておるわけでございますけれども、改めて政府としては修正案のついたこの法案をどのように受けとめておられるか、これは総理にお伺いをしたいと思います。     〔中川委員長代理退席、委員長着席〕
  235. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 参議院における修正案でございますが、発議者の提案理由を伺い、またその内容を検討いたしておりますが、一言で申しますならば、政府原案の基本的な考え方と枠組みは維持しながら、その上でただいま仰せになられましたような点、つまり、この法律案に対する一層広範な国民の理解と支持を得ていく、このような趣旨修正の提案がなされたものというふうに受けとめております。
  236. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 一日も早くこのPKO法案を成立をさして、国連の平和を維持するための活動に積極的に協力すべしと考えるわけでございますけれども、重ねて総理にこの法案の成立にかける御決意を伺いたいと思います。
  237. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 冒頭に遠藤委員が、変化しつつある国際情勢並びに湾岸戦争以来の、殊に国内におけるもろもろの議論を踏まえられまして、公明党における政策決定の過程を御説明せられました。また、その中からこの法案がどのような位置を占めるかということについても御主張がありまして、それは私、全面的にお話について同感の意を表したところでございます。  すなわち、このような状況におきまして、我が国として、いわば世界の経済大国と言われるようになりました今日、単に平和の一方的な受益者にとどまることは許されない、やはり財政的にもまた人的にもなし得る貢献は、国連のために、国連平和維持のためになすべきである、こういうふうに考えておりまして、国会におきまして既に何回かの会期を通じて御討議もいただき、また修正の御意見も出ております。願わくば、本院におかれまして、かなり長い御審議もいただいておりますので、この法案について御賛成を賜りまして、かねて国民の考えておりますいわゆる人的貢献につきましても、我が国としてなすべきことを実行していきたい、またそれによりまして国際の期待にもこたえたいというふうに考えております。
  238. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 次の質問としまして、先ほど冒頭に、一昨年秋の国連平和協力法案と今回のPKO法案の違いについての我々の考え方を述べたわけでございますけれども、政府としてどうこの違いを認識をしておるか。これはPKO準備室に伺いたいと思います。
  239. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  何分政府原案をベースにして答えさせていただきたいのでございますが、今回のPKO法案それから一昨年の国連平和協力法案、特に次の二点において大きな違いがございます。  一つは、本日も議論ございましたいわゆる多国籍軍への協力を含めていないこと、もう一つは、PKFと申しますか平和維持隊本体に対する協力を行い得ることとしたこと、以上の二点が主な相違点でございますが、このほかに指摘さしていただきたい主な点、特に今回の法案で新たに定めたものという点といたしましては、一つは、本部長が作成、変更いたします実施要領というのがございます。まさにこの自衛隊部隊が出ていきます場合も、この本部長あるいは防衛庁長官が指揮をする場合も、この実施要領に従って指揮が行われる、そういう仕組みにいたしております。それから、御案内のとおり、いわゆる五原則というのをきちんとこの法案に明記しておることでございます。それから、やはり特に国会報告条項、第七条でございますけれども、これを設けたこと。あるいは全体の枠組みとしまして総数二千人という人的な一つの枠を設けたこと。それから最後に、私ども、これはいろんな機会に主張されるわけでございますけれども、やはり訓練、研修というのが非常に重要でございまして、そういう意味で、この法案におきましては独立の条項を設けましてこの研修の重要性を特に強調いたしておる。そういった点をあわせて指摘さしていただきたいと思います。
  240. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 続いて、このPKO法案が成立をした場合、実際に自衛隊の方々が出ていくわけですけれども、やはり実際に参加をされる自衛隊員の立場に立っていろんな配慮をしていくことがぜひとも必要かと思います。さまざまな啓発、教育訓練、あるいは補償の問題、あるいはそういった方々への名誉、顕彰、こういったことはぜひ力を入れてやっていただきたい。本当に志の高い、そういう自衛隊員の方々をぜひ育成し、また活躍の場を与えていただきたいと思うわけでございますが、こういったPKO参加をしていくであろう隊員の方々への処遇につきまして、防衛庁長官の所見をお伺いしたいと思います。
  241. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 今委員指摘のように、この平和協力業務自衛隊参加することになりますれば、隊員が本当に名誉と考えてこの平和業務に従事する、心ある国際協力協力するんだという意識がやっぱりまず基本になければなりません。そのためには、隊員の名誉、参加する隊員の名誉を重んじ、同時に、この処遇の問題もきちっと措置しなければなりません。安全も確保しなければなりません。そして、万々が一起こり得るような事態に対しましては、これは平和協力手当は一般に支給されますけれども、この国家公務員災害補償法の補償措置でありますとか賞じゅつ金でありますとか、また勤務の特殊性に応じた諸手当でございますとか、そういった待遇面と両者あわせて、本当に隊員が誇りを持って出動できるようにぜひともしたい、このことは大変大切なことであると考えております。
  242. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 また、当然のことながら、このシビリアンコントロールということが大変重要な問題でございまして、我々も長い時間を費やして議論をしてまいりましたが、このシビリアンコントロールにつきましてこの法案ではどういう配慮がなされているか、改めて御説明をいただきたいと思います。これは準備室にお願いしたいと思います。
  243. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  シビリアンコントロール、いわゆる政治の軍事に対する優先と申しますか、それは我が国が人的側面で国際的な貢献を行っていく上で、いささかもおろそかにしてはならない、そういう考えでございます。この法案におきましては、そういった点から、まずいわゆる五原則というのがきちんとこの法案で明記されて、法文化されているということ、それから国会との関係につきましては、先ほど申しました第七条で報告という条項が設けられておるわけでございます。さらに、これは衆参両院における段階で修正ということで、政府原案に、私どもといたしましては御理解いただいた上で、さらにより慎重にするということが適当であるといった見地から、衆議院におきましては、平和維持隊のいわゆる本体業務を二年を超えて継続する場合には、その継続することについて国会承認を求めるということ、それから参議院修正におきまして、平和維持隊のいわゆる本体業務を行う場合に、事前または場合によって事後に国会承認を求める、そういった修正がなされておる。  そういった若干の指摘でございますけれども、いずれにしましても、そのシビリアンコントロール、これをいささかもおろそかにしてはならないという基本的考え方でこの法案をつくり、またそれを実施していくというのが基本であろうと考えております。
  244. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 ほぼ持ち時間を終了いたしましたので、これで質問を終わりたいと思いますが、大変、冒頭申しましたように、このPKO法案我が国の歴史的な法案であり、また二十一世紀を目指しての日本の選択の過ちをないように、ぜひとも今国会におきまして成立を期して、全力を挙げて取り組んでいただきたい。そのことを総理以下に要望いたしまして、私の質問とさせていただきます。  以上でございます。
  245. 林義郎

    林委員長 次に、東中光雄君。
  246. 東中光雄

    東中委員 最初に委員長にお伺いをしたいのでありますが、本委員会の運営につきまして、昨日来、自公民の幹事長・書記長、国対委員長なんかが会合をして、きょう質疑打ち切り、採決をやるんだとへ委員会の運営を三党で勝手に決めておる。しかも公開の場所で、テレビなんかが入っておるところでそういうことを言っている。これは、正規の国会委員会の運営に対してけしからぬことだと思うのですが、委員長、まさかこういう三党の会合の結論に従って質疑打ち切り、採決、こういうことをやるべきでないと思いますが、やらないということをひとつはっきり言っていただきたい。
  247. 林義郎

    林委員長 東中君にお答え申し上げますが、今のお話は、本日の理事会でもお話が出ました。その席に私はお答えをしておりますから、東中さん所属の代表の方もおられましたから、その方からお返事をお聞き取りいただきたいと思います。  東中君、質問を続けてください。
  248. 東中光雄

    東中委員 聞いておりますが、それは理事会で言っておるとおりだというだけであって、何も具体的なことを言っていない。実際上そういう形で三党の決定に従っていくということになれば、議会をいわば自公民で支配していくといいますか、そういうことにもなりかねぬ。毅然とした態度をとることを求めます。どうですか。
  249. 林義郎

    林委員長 東中君にお答え申し上げますが、先ほど申し上げたとおりでございます。
  250. 東中光雄

    東中委員 それでは繰り返しません。  昨日の私の質問に対して、政府PKOの前提としている停戦合意、これが大前提だという論議をやっておるときに、今度は国連PKO特別委員会においては、紛争の起こり得る地域PKOを事前に展開する、あるいは紛争初期の段階で、停戦協定のない段階でPKOが出ていく、こういう論議がされておる、それについて日本の代表はどういう立場をとったのか、そういう停戦合意を抜きにやっていく方向を意思表示をしているじゃないかということについて質問をいたしました。総理は私の質問に対して一切外務大臣代理としてもお答えにならなかった。そして、国連局長が質問をそらすような答弁ばかりをしておりました。その後で、私の質問が終わってから、民社党の質問の段階で、東中さんの質問もあったがと言って、総理、答弁しましたね。全くひどい話じゃないですか。  しかも、そこで言われた宮澤外相代理の答弁の内容は、特別報告の会議録は読んでいない、報道で読んだ程度であります、こういうことを言われましたね。そして、PKO特別委員会での提案は現実的な意見ではないまだ決定されたものではない、そういう方向に話が発展しそうにない、こういう答弁をされましたよ。されましたね。私はそのときも申し上げました、報告書を読んできたんだと。ここへ持ってきました、全文。外務省に報告書を出すようにということを要求しても、まだ来ていませんといって出さないのですよ。日本外務省はそんなに卑劣な態度をとってきたのです。私たちはこれを読んできて、そして聞いているのですよ。それに対しては答弁しないで、ほかの人の質問に対して答弁して、何と現実性のないものである、全く報道に基づく感想みたいなことを言っている。これが外相代理のやることか。  私は報告書の内容をはっきり言いましょう。報告書の結論部分、総会への勧告ということを書いてある中で「PKOの発展」という項の十二項にこう書いています。「予防措置としてのPKO、すなわち侵略行動をおこしそうな者を抑止するためにPKOを展開する措置をとるため、国連が防止外交を推進する一つの方法として発展させ、明確化する必要がある」、これは国連の特別委員会の総会に対する勧告、結論部分に書いてあるのです。あなたの言うたような報道に基づく感想みたいなことじゃないのです。国連の機関が、日本代表もおって、こういう勧告をするということを決めているのですよ。これは明らかにPKOの、停戦合意を前提にして初めてPKOを出すんだと言っておるが、国連は違う方向に行っているじゃないか。現にそういう勧告、出ておるのですよ。全く外相代理の答弁は無責任きわまる。むしろそういうPKOの実態あるいは国連委員会の実態をごまかしている、報道によればなどというようなことを言って。現実にはそう書いていない。こういうやり方というのは、法案を通すために時間が過ぎればいい、こういうことになっているんだと言わざるを得ないのです。  私は、そういう点で、ここに物がありますけれども、この際、当委員会にはっきりとこの文書、「平和維持活動のあらゆる分野におけるすべての問題の包括的検討、国連平和維持活動特別委員会の報告」報告者イハーブ・ファウジ氏、この文書を資料として取り寄せること、そのことを委員長に要求します。  同時に、この特別委員会日本代表として出席をしております角茂樹というのですか、日本代表を参考人としてここへ出てもらって、総理が報道によればと言ってまるっきり違うことを答弁しているような状態であるから、参考人をここに呼んで国連PKO、事前PKO派遣についての実態を審議されることを望みます。委員長において参考人の招致を求めます。
  251. 丹波實

    ○丹波政府委員 まず、事実関係につきまして二、三御説明させていただきたいと思いますが……(東中委員「そんなこと聞いておらぬ」と呼ぶ)まず報告書でございますが、先生に英文のものを、昨日だったと思いますがお届けしてある、そのとおりでございます。(東中委員「遅い、遅い、そんなもの」と呼ぶ)それから報告書の中で、まさに例えば次のような表現があるわけです。「ある代表団は潜在的紛争の抑止のため平和維持の要素を事前展開するシナリオを探求すべく検討が行われるべき旨を示唆した。」他の代表団もそういうことを言っているわけです。(東中委員委員長、そんなことはわしか言ったことじゃないか。何を言っているんだ、時間つぶしをするな」と呼ぶ)しかし、例えば同意の問題につきましては、その当事国による同意がない場合でもそういう活動をしてはどうか、こういうことに対しまして別の代表団は、同意というものはやはり重要だということを言っておりまして、そういう議論を受けまして、その予防外交としてのPKOの使用について今後議論をしていくことが有益、であろうということを言っておるわけでして、一つの議論に、一つの結論に集約されて一つの結論が出てきたというふうにはなってないわけでございます。それが事実関係でございます。
  252. 東中光雄

    東中委員 言語道断ですよ。私がきのう言うたことを今繰り返しただけじゃないですか。そして、きょう言うたその結論、勧告になっているということについては言わない。そして時間つぶしをやっている。そういうことを言う外務省だから、特に丹波局長というのはそういういいかげんなことばかり言っている、だから原文を委員会に取り寄せて、そして、角氏を参考人として呼ぶということを私は提起しているのですから、それについて委員長、取り計らってください。
  253. 林義郎

    林委員長 委員長から申し上げますが、丹波君、質問に的確にお答えください。丹波国際連合局長
  254. 東中光雄

    東中委員 いやいや、要らぬ。委員長委員長、そんなばかなことありますか。
  255. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 東中委員のお話を伺っていますと、何か大変なことが起こったように思っていらっしゃる。少しもそうでない。その特別委員会がそういう報告書を出しただけで、今お話を伺っていますと、国連がそういう方にいくんだと。そこのところがいかぬのですよ、いつもお話が。そうじゃないので、そういう報告書が出た、報告書が入り用とおっしゃいますから、委員長委員会に提出いたします。提出いたしますが、これはちっとも大したことじゃない。お考えになってみてください、大体。国連平和維持活動が交戦当事者の了解がなしに入っていって、何ができますか。それは、将来国連というものが紛争をなるべく未然に処理したい、その気持ちはわかりますけれども、みんなが戦争をしているところへのこのこ出かけていって、何ができますか。そんなことが今現実に行われると私は思いませんよ。
  256. 東中光雄

    東中委員 出すと言うたがら出しなさい。  そして、何ができますかというのはあなたの主観でしょう。国連の特別委員会が総会に対して勧告をするということを決めた。その勧告の内容は、私が先ほど読んだように、「侵略行動をおこしそうな者を抑止するためにPKOを展開する措置をとる」、まさにその混乱を起こすような方向へ行くことをやろうとしている。そういうふうに、特別委員会日本代表がおってこれに賛成したんですよ、この勧告に。そういう方向へ行っておるものを、それは違うんですと、新聞の報道によればなんというようなことを言って、私は無責任だと思います。それはあなたはそういうふうにならないだろうと思ってるかもしれぬ。しかし、そういう方向へ国連の特別委員会は進んでいるんだ。総会への勧告として書いてあるじゃないですか。結論が出ただけじゃなしに、特別委員会としては、総会への勧告としてそれを決めているのですよ。そういう強弁をしたり、ごまかしたりするのはいけません。  これで時間をとってはかないませんから、その月参考人の喚問についてはどうですか。委員長委員長として、委員会として決めてくださいよ。
  257. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 報告書を提出せよとおっしゃいますから、できるだけ早く報告書を提出をいたします。
  258. 東中光雄

    東中委員 報告書を提出する、それは結構です。  委員長に参考人招致の私たちは申し入れをしますので、委員長の方で後で取り計らってください。
  259. 林義郎

    林委員長 お預かりいたします。
  260. 東中光雄

    東中委員 時間がなくなりますので、続いて次の質問に入ります。  私は総理大臣にお伺いしたいのですが、PKO法案というのは、憲法の基本原則にかかわる自衛隊を、自衛隊というのは国際法上は軍隊である、その軍隊を海外に武装して部隊として派遣するということを中心にした法案である。これはもう異論はないと思うのです。そういう法案、戦後初めてのそういう法案です。その法案を今つくっておるという中で、その中心的部分である部隊として国連平和維持軍に参加をする部分は、別の法律で定める日までこれは実施をしないというのですね。まだこの法案は成立してないのです。成立してないんだが、成立したらそのときから三年先になったら実施について見直しをするんだということを今決めているのです。法案修正しているのです。  国の軍隊を海外に派遣するかどうかという法律というのは、これは大変な法律ですよね。特に、日本の場合は憲法上の大問題でしょう。その中心部分を、成立する前に、別の法律でやるまで実施をしない。そして、まだ実施もしてないのに、成立したら三年たったら見直しを、今からするということを法律で決める。これは日本の百年の議会の歴史、立法の歴史の中でも、古今東西を問わず、こんな奇妙な、軍隊の派遣について中心部分は実施しない、そして、実施してから――何を実施するのかというのはもう周辺のことですね。それを見て見直しをするんだということをあらかじめ決めなければいかぬ、こういうとんでもない法律というのは、これは後世の史家が見たら、こんなものを通したら、そのときの総理大臣は一体何だったんだと私は言われやせぬかと思いますよ。そういう点はどうでしょう。中心部分は実施しないまだ実施もしてないのに、三年たったら見直しということを法文に書いてこれから出発をする。奇妙じゃございませんか。どう思われますか。
  261. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それは、修正案の発議者にお尋ねをいただきたいと思います。
  262. 東中光雄

    東中委員 そうしか言えないのだろうと思います。その修正案の発議者の中心は自由民主党であります。その自由民主党の総裁である宮澤総理、外務大臣代理が、自分ではよう答えない。まことに答えられないのですよ。これは格好悪うて、恐らく世界の史家が批判をするでしょう。そのことだけ、まず申し上げておきます。  次に、国会の事前承認についてでありますが、自衛隊の海外派遣について国会の事前承認を求めることが昨年の十一月十二日の衆議院会議で、民社党の大内委員長が事前承認やれということを発言された。そのときに総理は、それは参加そのものがいわば条件つきになる、これでは不安定なことになるので事前承認なんというようなことはできません。これは内閣総理大臣としての答弁だったわけであります。そして同じ本会議の、前日の本会議ですが、公明党の委員長は事前承認反対ということを明確にして、それをやれば結局法律の、この五原則をつくっている法律の形骸化になるんだ、だから事前承認というのは許されないんだと。ここでも、百二十二国会で、この委員会で公明党の代表の方が約一時間余、貴重な時間を使って、いかに事前承認はだめなのか、それをやったら大変なことになるんだという質問をここでされました。それが今、自民党と公明党と民社党も加わって提案をされたんですね。  これはどういうことなんですか。変わったんですか。しかもそれに、承認と言わないで期限つき、それから承認の基準をつけるということまでつけ加えた。国会承認に条件をつける。先ほど来議論がありますように、そんなものは憲法の建前からいっても許されぬことです。しかし、反対してきた人たち、自民党も公明党も何か無条件承認じゃ困るというので条件づけたんでしょう。そうじゃございませんか。はっきりしていただきたい。
  263. 林義郎

    林委員長 だれですか、答えるのは、東中さん。
  264. 東中光雄

    東中委員 決議案を修正した人たちに言っているんです。
  265. 岡野裕

    ○岡野参議院議員 先生、先生は私の逓信の大先輩でございます。電電法のときの三法、あれも提案をするときから、三年、五年後には見直そうじゃないかということを御記憶だろうと思っております。無論、電電公社の場合と軍隊の派遣の場合とはこれは違う、こうは存じますけれども、御記憶にあることは御存じだろうと思っております。  なぜ見直すことになったかといいますと、これはやはり、もう前々からお話をしておりますけれども、PKO部隊というのは私ども初めて参加をしようということであります。やはり経験というものを生かしていかなければいけないのではないかということと、それから、先生はいみじくもお話しになりましたが、PKO、いろいろ変わっているというようなお話がございました。だとすれば、その経験だとか変わりぐあい等を見まして、一定期間を置きました上で、ひとつ広く見直してまいろうというような意味合いで見直しの規定を置いた次第でございます。  それから、前は国会の報告でいい、計画を報告をすればいいということでありましたところ、なぜ今度は国会承認ということになったのかというお話でございました。  これは、私どもとしては国会報告ということでシビリアンコントロールの確保は十分だ、こう思っておりましたが、私どもも、衆議院からいただいて参議院で、百五時間にわたりまして質疑をちょうだいしました。その中で、いろいろ意見がある中で、より広く内外の皆様の御理解を得ることがより必要ではないかなというような観点に立ちまして、私どもといたしましては国会承認というようなことを新たに修正提案をさせていただいた、そんな次第であります。  まだ申し上げなければいけないことがありますが、時間がと先生おっしゃいますので、一応の答弁は以上のとおりだということで御理解を賜れば幸せであります。
  266. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 国会承認の問題についての御批判でございます。私ども公明党が国会の事前承認は要らない、こういうふうに言っておったのに事前承認を認めたのはおかしいじゃないか、こういう御意見だと思います。  私どもは、国会承認という問題はシビリアンコントロールの中でも非常に重要な問題であると考えております。したがいまして、私ども公明党がこのシビリアンコントロールが必要ないと言ったことは一回もありません。むしろ、PKO自衛隊参加に当たりましては厳格なシビリアンコントロールが必要である、こういうような観点に立っておりまして、したがいまして、そのシビリアンコントロールをどういうふうに確保するかという問題は、これはいろいろな問題が、いろいろなやり方があるわけでございまして、私どもは法案の中に明確にこのシビリアンコントロールの原点となる分を埋め込んだ方がいい、しかも憲法に反する、いわゆるそういうことができないように法律に盛り込んだ方がいい、そういうような意味で厳格なこの五項目という問題を法案に盛り込むことにしたわけであります。それだけではまた問題もあるんじゃないかということもありまして、これは実施計画を直ちに国会に、実施計画ができましたら国会に直ちに報告をさせるとか、あるいは二年後の国会承認という問題も、これは衆議院修正をされたわけでございますし、また事後の国会報告をする、こういうふうないろいろな一つ一つの問題それぞれが、これはシビリアンコントロールとの関係でいわゆるその一つ一つが十分機能される、されるようにするということが大事なことでございまして、私どもは初めそういうふうに考えたわけでございます。  しかしながらその後、御存じのとおり、今東中委員の方からもお話がございましたように、それぞれの政党にはやはりそういうようなことよりも事前承認の方がいいという方もいらっしゃるわけでございまして、これは、この法案修正しっくる場合に各党の意見をそれぞれ持ち寄りまして、それぞれ相談をいたしまして、よりこのシビリアンコントロールがいい方向に進んでいく、そういうような意味で私どもは、私どもの政策の範囲内であるということで今回この事前承認をこの修正案の中に盛り込んだわけでございます。
  267. 東中光雄

    東中委員 今の答弁は全く事実と違うということを申し上げておきます。  といいますのは、昨年の百二十二国会衆議院のこの委員会で、民社党が国会の事前承認に関する修正案を出したでしょう。そのときに、自民党も公明党も反対して否決したじゃありませんか。要らぬと言うたことはないなんというようなことをどうして言いますのや。出されたときに否定したじゃないですか。しかもこの委員会で、当委員会でやったのですよ。そういうことをしゃあしゃあと言うというのはもってのほかです。しかも、それに反対する理由もちゃんと言うたじゃないですか。先ほど言ったように、総理大臣であると同時に自民党総裁である宮澤さんは、参加そのものがいわば条件つきになる、そういう不安定は避けたい、だから事前承認というのは反対おんだと言って、そうやったのですよ。そうしたら今度は、それは前からいかぬとは言っていたのじゃないんだ、シビリアンコントロールは必要だ、そんなばかなことを、大体ここの、当委員会審議を何と思っておるのですか。本委員会でやったことを参議院でひっくり返して、そしてしゃあしゃあと当たり前みたいなことを言っている。全く言語道断だと思うのです。  民社党に聞きたい。前国会においては、衆議院では事前承認について、実施計画についての事前承認を求める修正案を提案をされました。そうしたら、自民党、公明党があの強行採決の中でも反対をして、そして否決をされた。そういうことではこのPKO法案には賛成できぬ、反対という態度を示したのでしょう。ところが、今回出された修正案は、実施計画国会承認条件とはしていない。実施計画は報告、実施について承認を得る。明らかに昨年民社党が出した、そして否決された案と違う。実施計画承認を求めるという案と違った案で今出してこられたのはなぜですか、民社党にお伺いしたい。
  268. 田渕哲也

    ○田渕(哲)参議院議員 確かに衆議院で出した修正案は、実施計画について国会承認を得ることになっておりました。しかし、その法案の内容で、実施計画の中に、法案第三条第三号のイからへまでの業務、あるいはレに定めるこれに類する業務が含まれておる場合はというふうな条件がついております。したがって、その趣旨は、イからへまでのいわゆるPKF本体の業務についての承認を求めるという趣旨であります。そして、今回の修正で、実施計画ではなくて、この業務、イからへまでの業務を行うことについて承認を求めることにしたというのは、実施計画にはそれ以外の業務、我々が本来国会承認の必要な事項ではなくて、それ以外のこともたくさん盛り込まれておるわけでありますから、実施計画についての承認よりもその特定のイからへまでの業務についての承認を求めた方がより正確である、これが第一点であります。  それから第二点は、法案全般の統一性を保つという観点から、衆議院修正部分としまして、第六条の第十項にあります、これは二年を経過する日を超えて引き続き実施しようとするときは、その引き続き業務を行うことに対して承認を求めなければならない、これと平仄を合わせるという意味もあって、業務実施についての承認を求めることにしたのであります。  なお、その業務実施について国会承認を求める際に、政府でつくられた実施計画は同時に報告されることになっておりますから、実施計画についての論議国会で行い、その上でイからへまでの業務についての承認を行う、このようなことになっておるわけであります。
  269. 東中光雄

    東中委員 実施計画は閣議決定するから具体的に決まるんです。それを報告するだけでなしに、それの承認国会に求める、無条件に国会承認がなければだめだというのが民社党の昨年の正式に出された案です。何の条件もついてない。ところが今度は、それに反対した自民党と公明党の意見を入れて、実施計画承認じゃない、閣議決定の内容の承認じゃなくて、実施についての承認と、何のことかわからぬ。部隊派遣についての承認でもない、計画についてでもない、実施についての承認というふうになっているんです。そして、不安定な状態が長く続いたら困るということを宮澤さんが本会議で答弁しておった趣旨があって、七日以内に承認を求めなければならないというやつを三党の案として出したんでしょう。余りにも露骨な憲法違反だから、それはできませんといって法制局から言われて、三党合意は「努めなければならない。」という格好とったんでしょう。  実態はどうかといったら、国会承認事項、防衛出動でも治安出動でも、国会承認するというのは、あらゆる問題を見て国権の最高機関である国会承認するんですよ、あるいは不承認になるんですよ。その国会承認権について、七日以内だとか、あるいは何とか何とかの基準に照らして、それも国連平和維持隊への参加という新しい概念を入れて、その基準に照らして国会承認するかしないかを議決せい、こんな横暴なことがありますか。  民社党の当初の主張がゆがめられて、そして反対しておった自民党と公明党で、国会の議決権を制限するようなこういうものを出してきたんです。これこそまさに憲法上許されぬ。自衛隊部隊としての海外派遣憲法上許されないというだけではないんです。こういう承認事項についてさえ憲法の原則に反するようなことがのうのうとやられておる。こういうことは許されません。余りにもここでの論議国会論議が一体何なんだ、勝手に変えていくんじゃないか。  総理はそれは発議者に聞いてくれと言われました。そういう性質のものなんですか。総理自身が公に発表した見解と違うようになってきたら、なぜその違うやつでいいんだということを言わなきゃいかぬじゃないですか。言わぬでもいいというのですか。はっきりしてください。
  270. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 国会法の定めるところに従いまして、政府政府の御提案いたしましたものを最善と考えておるわけでございますけれども、しかし、立法府におかれまして、国民全体をお考えのより高い立場から、国権の最高の機関として別の御意見をお持ちになられるということであれば、政府はそれに対して謙虚でなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  271. 東中光雄

    東中委員 自民党が提案をしたことについて、議院内閣の自民党総裁である総理大臣が本会議で答弁をしたそのこと自体を犠牲にする、そして自民党自身が否決をしたものを、今度は変わるについて、ただ三党合意であるから。これは通りません、これは通りません。  もう一つ申し上げましょう。時間がありませんが、そもそもの国連平和協力法が廃案になった後、九〇年の十一月九日の深夜に自公民三党の合意ができました。それは自衛隊とは別個に組織した、そういうPKF参加ということでありました。  このときに私たちは、この三党合意は自衛隊とは別個の組織と言っているけれども、それは自衛隊派遣するための迂回行為だと、こういうふうに三党合意を批判しました。そのときに市川公明党書記長は、この別個の組織ということは、自衛隊というのはだめだということだとテレビでも発言しましたね、別個の組織に自衛隊が入るということはだめなんだと。もし、その別個の組織に自衛隊が入ってくるというようなこと、政府がそういうことを言ってくるならば、これを粉砕するために断固闘うんだと公明党の委員長は発言したじゃありませんか。小沢幹事長もそのとき、自衛隊とは別個の組織なんだ、自衛隊じゃないんだという趣旨のこと、これもNHKテレビで発言をしています。  そのものが、この三党合意に基づいてやるんだと、自衛隊じゃないものにするんだと言っておったのが、明けて一月二十五日、政府は、自衛隊はだめという、別個の組織でやるんだということで、施政方針演説で、一日も早く新たな国際協力のあり方について成案を得たい、こういうことを施政方針演説で言っています。だから合意の内容は自衛隊でない、自衛隊が入らない別個の組織なんだということだったんです。  ところが九一年の八月二日に政府が案件をつくって中間報告を出した。このときは、前の十一月のときの合意と明らかに内容が、同じ三党合意でも内容が変わったのであります。ということは宮澤総理大臣がちゃんと五月二十七日の参議院審議の中で認めておられます。変わったわけですね。  変わったものが出てきたときに公明党は、中間報告は、これは自衛隊の使用が前提となっているではないか、完全な別個の組織でないものを持ってきている、形式的に本部をつくっても実体は自衛隊というのではだめだ、新組織が実体を持つものにすべきである、自衛隊のこの案はだめだと言っておったのです。これは公式に言っていたのですよ。ところが、ころっと変わってしまって、この法律を認めた。法律賛成の側に立った。批判がきついから、今度は凍結するんだというのでしょう。PKFについては凍結をすると言った。そのPKFについての凍結が、凍結というのは法案になれば実施をしないと書いてあるのですね。実施をしないんだったら、法案を成立させなければいいのです。削除すればいいのです……
  272. 林義郎

    林委員長 東中君、お約束の時間が来ておりますので簡潔にやってください。お願いいたします。
  273. 東中光雄

    東中委員 しかし、この削除はしないで凍結をする。凍結をしても、凍結ということは、結局解凍するということでしょう。解凍するということは、実施をするということじゃありませんか。  こういう変遷から見れば、そういう変遷から見ればこれは政府の公約にも反する。三党合意によってやるんだという、そういう十一月の三党合意によってやるという施政方針演説の公約ですね、にも反するし、公明党の変転の中で出てきたものであった。  私たちは、こういう国民を欺罔するような形で国の基本にかかわる、憲法の基本にかかわる問題を変えていく、こういうことは断じて許せぬ。凍結をして成立させる、こんな立法どこにありますか。断じて許せない。廃案にすべきだ。強く要求をいたします。
  274. 林義郎

    林委員長 答弁は、答弁は要りませんか。答弁は、答弁はどうするのですか。
  275. 東中光雄

    東中委員 質問したとおりです。
  276. 林義郎

    林委員長 質問でいいのですか。
  277. 東中光雄

    東中委員 質問を合いたしました。
  278. 林義郎

    林委員長 だから、答弁だれですか。――終わりですね。
  279. 東中光雄

    東中委員 答弁したかったら答弁したらいい。
  280. 林義郎

    林委員長 答弁者はだれですか、答弁者。
  281. 東中光雄

    東中委員 凍結について、公明党の態度は有為転変があった。そして極めて合理性を持っていない、むしろ削除すべきだということを公明党に言っているのです。
  282. 林義郎

    林委員長 答弁要りませんか。  では、次に、和田一仁君。
  283. 和田一仁

    和田(一)委員 大変御熱心な討議で大分タイムオーバーになっております。私は、きのうに引き続いて四つ五つ質問したいと思いますけれども、できるだけ正常ダイヤに戻していきたいと思いますので、答弁の方も簡潔にひとつ御協力をお願いしたいと思います。  私はきのう、PKOの予算面で総理にお尋ねをいたしましたけれども、宮下防衛庁長官から御答弁がありました。しかし、いま一つ明確でなかったので改めてお尋ねをいたしますが、PKO法案が成立した場合に、すぐにでもカンボジアヘの派遣という問題が出てこようかと思います。この自衛隊派遣について予算面でどのように措置されているのか、給与の点等についてはわかっておりますが、しかし新たに派遣に当たっての必要な経費、例えば物資の購入であるとかあるいは必要な燃料であるとかそういったようなもの、さらに装備、こういうものについてどういう手当てをしていこうとしておられるのか、それが本来業務に支障を来すようなことがあるかどうか、その辺がお尋ねしたいところの一つであります。(発言する者あり)
  284. 林義郎

    林委員長 御静粛に願います。
  285. 和田一仁

    和田(一)委員 それから、あわせて、私どもはPKO派遣される隊員の立場というものを常に念頭に置いて十分議論をしてきたつもりでございますけれども、この費用に関連して、派遣される隊員の手当であるとかあるいは事故に伴う補償、賞じゅつ金も含めてこういったものの対処が明らかに周知されていないといけないと思うのですが、この点について御答弁をお願いします。簡明にお願いします。
  286. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 昨日の委員の御質問に対しまして、本業務は防衛庁の本来の業務として百条の七で追加されるわけでございますから、当然我々、当該業務に係る経費も防衛関係費から支出するということを申し上げました。そして同時に、給与の問題についてはもうおわかりでございますから説明をいたしませんが、個人の場合は給与等は防衛関係費から出しますが、それ以外は総理府で出しますということを申し上げました。  今委員のお尋ねの点は、派遣に際しての物資購入あるいは燃料、装備等はどうするんだということでございますが、これは今度の改正法によりまして、この任務遂行は自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において行うという趣旨が百条の七で追加されております。私どもは、あとう限り、その規模あるいは期間等々によります、あるいは任務によります、しかし既存の予算の中でできるだけ措置していきたいと思います。しかし、できない場合もございます。期間が長くなったり、あるいは規模が大きくなってみたり、限度はおのずからございますけれども、しかし、その任務の性質によってはあるいは経費に既存の予算の中で無理があるという場合もあるかもしれません。そういう場合は、当然予備費の支出を大蔵大臣にお願いするとか、あるいは補正の機会があれば追加的な支出を要望するということもあることを申し上げたわけであります。  第二の、隊員の処遇の問題は、これはたびたび私も申し上げているように、この本来崇高な任務、国際的な平和協力業務という新しい任務に自衛隊がつくに際しては、誇りを持って、そして家族も安心して行ける必要がございます。そういう面から名誉を重んじ、同時に処遇については平和協力手当というのがこの法律案に書かれています。この額はまだ決定しておりませんが、これはできるだけ厚くしたいと思っておりますし、そのほか、国家公務員災害補償法の補償の手当の充実の問題でありますとか、あるいは賞しゅつ会も、自衛官について、今までちょっと警察官あるいは消防隊員よりも劣遇しておりましたが、平成四年度では合わせて五千万円くらいまでマキシマム出せるようになりましたので、それらの点を総合的に考え、なお必要なことがあれば、各省協議の上手厚い保護はしていきたい、このように思っておるところでございます。
  287. 和田一仁

    和田(一)委員 大蔵大臣にお尋ねいたしますけれども、防衛庁長官からお答えがありましたが、せっかく自衛隊PKO派遣して世界平和維持、国際貢献の一端を担う、極めて意味のある活動にこれから入ろうというわけでありますけれども、そういうときに予算面からそういった活動に制約がかかってはいけない、私はそういう観点で大臣にお尋ねをしたいのですが、この点いかがでございましょうか。特に、国連PKOの財政事情というものは大変深刻な状況である、こういうふうに伺っております。そういう意味では日本への期待もまた非常に大きいのではないかと思いますが、財政当局としては大変ではございましょうけれども、せっかく今回人的派遣が可能になる、そして世界貢献ができる、こういうときにそういう制約がないようにひとつしていただきたいという思いでお尋ねいたしますが、いかがでしょうか。
  288. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 今御指摘がございましたように、やはりこの法案が通りましてPKO活動をしなければならない、それに制約がないようにしていかなければならない、これは私どもとしても考えていかなければならぬ問題であろうと思っております。ですから、法案の成立後の情勢を踏まえまして、私どもといたしましては、必要がありますと実施計画を定めて海外派遣等を行うことになっているということから、仮に海外派遣などの平和協力業務、これを行うに必要が生じた場合には、その具体的な予算措置につきましては、その時点で私どもは適切に対応していくことを申し上げておきたいと思います。
  289. 和田一仁

    和田(一)委員 私は、参議院修正をされました発議者の皆さんに大変御苦労であったと思うわけでございますが、皆さんにお尋ねをしたいと思います。  各党それぞれのお立場があり、主張がある、そういうものを踏まえながら合意点を見出して修正されたということは、その御苦労を私は心から多とするものでございます。そこで、審議の過程を通して十分なお答えをいただいてはおりますけれども、なお国民の理解を深めるために、御意見があればお述べいただきたいと思うのでございますが、この質疑の過程で、この法案成立を目指す者は、民主主義に反し、民主主義を否定するものだというような意見がございました。私は、民主主義というものは、まず異なる意見があるということが前提である、このように認識しております。その異なる意見をそれぞれが開陳し合って、その中で結論を導き出す英知こそが私は民主主義ではないかと、こう理解をいたしておりまして、決してエンドレスな平行線ではない、このように考えております。一つの意見しかない社会というものは民主主義ではない、私はこう思うわけであります。自分の意見が一〇〇%通らなければすべてがノーであるということであってはならないものだと思っておるものでございます。  民主主義のルールに従って、一人でも多くの理解と賛同を得たいものだという努力をしてこられた皆さんが、発議者としてまだ申し上げたいということがあれば簡単に、そういう御希望の方はお答えをいただきたい、こう思います。(発言する者あり)
  290. 林義郎

    林委員長 御静粛に願います。御静粛に願います。
  291. 岡野裕

    ○岡野参議院議員 私どもは、人的貢献の必要性はかの湾岸紛争のときから切実に思っておりました。しかし、これは七千キロのかなたにある湾岸でございました。しかし、今回問題になっておりますのは、カンボジアの問題であります。  我々日本の外交の方針は三つあります。一つは、国連中心の平和主義であります。一つは、自由主義陣営のもとで働くということであります。もう一つは、アジアの一員であるということであります。このカンボジアのUNTACは、我がアジアの言いますならば友朋であります。いま一つ、民主的な国家をつくろうということであります。同時に、国連傘下のPKOであります。このUNTACにぜひとも参画をしたいということでありますならば、ぜひこの法律をつくり上げたいものだ。先生のおっしゃいますように、いろいろの御意見を聞いて、今回の結論ということで修正案を出させていただいた次第であります。  もう一点であります。先ほど、凍結をしている、それを解凍ができるだろうと。チンとやれば自然に解凍ができるのではありません。三年後、改めて法律で定めた日までであります。法律を定めた、先生方の御協力によりまして、法律の定めるその日までという意味であります。これは、やはり一つの民主主義の理論だと思っております。  以上でございます。よろしく御賛同を賜りますようお願いいたします。
  292. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 これまで長い間衆参両院におきまして……(発言する者あり)
  293. 林義郎

    林委員長 御静粛に願います。
  294. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 PKO協力法案は、我が国が国際貢献をどうするかという新しい課題にこたえようとするものであります。したがいまして、産みの苦しみといいますか、新しい未知への不安も多くあります。しかし、これは避けて通ることのできない課題であります。各党にとりましても、国民にとっても真剣な論議が必要であり、長時間の国会論議で国民の認識、理解も深まったものと私は確信をいたしております。  先ほどの御議論におきまして、公明党の判断が一年半で変化しているとの御指摘もありましたが、むしろ変化しない方がおかしいほど国際情勢も変化し、我が国の国際的立場や期待も高まってきております。PKOの本質を勉強し、調査し、党内で活発な論議を重ねて、新しい法案、新しい対応を検討していくことはますます重要になってきていると思うのであります。また、午前の質疑の中で、石田委員長の発言も引かれての御批判がありましたが、我が党が党内論議を重ね、公開し、手続を踏んで、また各政党との協議を重ねて本法案作成に至ったことはこれまで御説明してきたところであります。  自衛隊憲法違反である、したがって自衛隊の活用もまかりならぬ、この法案憲法違反だと言うことは簡単であります。しかし、それでよいのか。そういう立場では協議ができない、入り口で行き詰まってしまうことになります。私は、今回の審議を通じて、野党第一党の社会党と真剣に協議し、一緒に法案づくりや国際貢献について話し合い、協力できなかったことがまことに残念であります。我々の修正によってPKO法案で、社会党などの主張も踏まえ、凍結、国会承認、見直し等を行ったのであります。したがいまして、社会党におかれても十分この点は御理解をいただけるのではないかと私は考えております。この法案に基づき、PKOが実際にカンボジアなどに派遣され実績を上げることを確信いたしております。そうなれば、国民の支持、理解もますます深まり、アジア諸国民の心配も払拭されることは明らかであります。社会党の皆さんも御理解いただけると信じております。  私は、このPKO法案が、日本の新しい国際貢献の第一歩となる極めて意義ある法案であると考えております。戦争だとか武力行使だとか海外派兵だといった従来の冷戦型マイナス思考ではなく、平和、国際貢献をどうするかという論議を本格的に行うべきときに来ているとの感を深くいたしております。(発言する者あり)
  295. 林義郎

    林委員長 御静粛に願います。御静粛に願います。御静粛に願います。
  296. 田渕哲也

    ○田渕(哲)参議院議員 和田委員の質問の中で述べられた、民主主義とはこうあるべきだという御趣旨は全く同感であります。民社党もこの法案につきましては、国会承認ということが、事前承認ということが法案に盛り込まれなかったので衆議院では反対いたしました。こういう重要な法案は各党それぞれの立場から意見が異なることが多いと思いますけれども、私は、このような重要な法案は、できるならば、過半数があるからといって、少数の政党だけでなくて、できるだけ多くの会派とか党の賛同を得て成立させるのが望ましい。そういう意味から、我々としましては、国会承認のみならず凍結の問題も、また三年後の見直しも、できるだけ幅広い各会派の御理解を得られたらという願望のもとにこれを認めたわけであります。また、我が党の大内委員長も、社会党さん、公明党さん、また連合参議院、こういうところと協議を重ねまして、できるならば合意点を見出したいという努力をしましたことは皆様方の御承知のとおりだと思います。  ただ、結果においては、この激しい対立の中で国会で処理をされるという状態に参議院はなりました。これは、厳しいところに派遣される自衛隊員やあるいはその他の協力隊員の方々が本当に苦労されることを思いますと、やはり国民みんなが喜んで送り出してあげるというような体制をつくることが非常に重要だと思います。衆議院におきましてもいい形で成立をさせていただきますようにお願いをしまして、私の所信を述べさせていただきたいと思います。
  297. 林義郎

    林委員長 ちょっと待ってください、和田さん。  大変議場に傍聴人がたくさんおられますが、傍聴人の方は傍聴席のところの前の方までお下がりをいただきたい。お下がりをいただきたいと思います。議事の整理をさせていただきます。議事の整理をさせていただきます。議事の整理をさせていただきますから、どうぞそこのところまでお下がりください。お下がりください。議場整理の問題でございますから、委員長の方から各党の理事に御協力をお願いします。見ておりますと、社会党の先生方、非常に多いようでございますから、上原理事さん、串原理事さん、理事さん、お願いをいたしますから、ぜひ議場の整理に御協力をお願い申し上げます。御協力をお願い申し上げます。整理をしてください。(発言する者あり)御静粛に願います。御静粛に願います。私でも、発言者の言葉が聞き取れないぐらいでございますから、多くの委員の方々は、なかなか聞き取れないのではないかと思います。したがいまして、私は……(発言する者あり)したがいまして、私は、もう少しお下がりいただきたい。これをぜひお願いします。  それでは、質疑を続行いたしましょう。和田一仁君。
  298. 和田一仁

    和田(一)委員 それでは、最後に総理にお尋ねをいたします。  世界情勢のこうした激変の中で、これからの日本の将来を左右するかじ取りの役をしておられる総理大臣におかれまして、この法律にかけた御決意と、そしてこれからの日本の方向についてどう日本を持っていかれようとしているか、総理の御所見、御決意を伺って、私の質問を終わらせていただきます。
  299. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 冷戦後の国際社会が新たな秩序を模索しております中で、我が国といたしまして、世界の平和と繁栄のために国際社会と協調しながら、財政的貢献だけでなく我が国憲法のもとでできる限りの人的貢献も最大限にいたしたいと考えております。貢献の道はいろいろございますが、御審議中のPKO法案は、国連平和維持活動、人道的な国際救援活動に対して、我が国としてなし得る最大限の貢献を行う上で必要な体制を整備するものであると存じております。したがって、我が国の国際貢献の上で重要な意義を有するものと考えております。  国会におきましても、長いことこの法案について御審議を重ねてこられましたが、一日も早い法案の成立を受けまして、我が国としてできる限りの国連平和維持活動に対して協力をいたしたいと念願をいたしております。よろしくどうぞお願いを申し上げます。
  300. 和田一仁

    和田(一)委員 ありがとうございました。これで終わります。
  301. 林義郎

    林委員長 次に、楢崎弥之助君。
  302. 楢崎弥之助

    楢崎委員 提案されておりますこの法案は、解釈改憲、憲法を変えないで解釈だけで憲法を逸脱する、そういう内容ですから、私は冒頭に、この法案は単純なる二分の一の賛成多数ではだめだ、三分の二以上の賛成がなくてはいけないという性格を持った法案である、このようにまず指摘をしておきます。  それから、昨日私は、昭和四十年二月十日予算委員会から始まりました三矢作戦計画のことを取り上げました。それは非常に論議は本質的には、質的には今行われておるものと同じなんですよ。シビリアンコントロールの問題、これがユニホームのコントロールになるのではないか。あるいは海外派兵問題で憲法違反の問題があるのではないか。  ここを見渡してみますと、閣僚席で四十年のこの三矢作戦の審議を経験されたのは宮澤総理と渡辺外務大臣二人です。その次、塩川大臣が古いですが、四十二年ですものね。四十年のときおられなかった。だから、渡辺さんがおられないから閣僚では宮澤総理一人なんですね、この経過を知っておられるのは。こちらの方で大分やじられましたが、この人たちもまた若いから知らない。  それで、提案者の岡野さん、あなたは五十八年に参議院に出てこられましたね。それから峯山さんと田渕さんは四十三年ですね、たしか。だから四十年当時おられなかった。公明党の皆さんは昭和四十二年に初めて衆議院に来られた。民社党の皆さんは、塚本さんにきのう確かめましたけれども、一番古いのは塚本さんで、四十年のときには塚本さんはバッジをつけておられませんでした。  それで、あのときの審議を知っておれば私はもう少しまじめな審議になり得たのではないかという感じがするのです。  それで、ちなみに防衛庁長官、きのうあなた、勉強するとかなんとかおっしゃっていましたが、念のために言っておきますけれども、これは図上研究になっておるけれども、実際はそうではなかった。いいですか。それで、これはその四十年の五月二十七日、札幌地裁の恵庭事件の証人として田中義男元陸将が出られた。この田中陸将という人がこの三矢作戦の統裁官になった。その人が証言をした、裁判所で。こう言っておる。「三矢研究を作成した目的は、自衛隊の防衛計画に資するためで、当然第二次防衛力整備計画や、それ以降の防衛計画に影響を与えるに足るものだ。また、アメリカや日本政府に研究内容の実施期待する資料である。」まさにこれが今生きてきている。私はそれを言いたかったのですよ。それをですね、いや、あなたはまだ後からゆっくり答弁させるから。それで、私は、本当に重要な段階だと思っています。  それで、外務大臣は大変残念です。早くよくなられるように祈りますが、総理が兼務されておるそうですからお伺いしておきますけれども、昭和五十八年十二月二日、条約が発効いたしました。こういう条約です。昭和五十七年の六月九日に批准されて五十八年の十二月二日に発効した条約、過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約、いわゆる特定通常兵器条約と言っております。これの内容を御存じでしょうか。――いや、総理兼外務大臣に町いているのです。あんたが知っておるのは当たり前だよ。
  303. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 政府委員からお答えいたします。
  304. 楢崎弥之助

    楢崎委員 御存じないのですね。いいです、時間がないから。御存じない。
  305. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 事実関係について……
  306. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いや、おかしいよ。こういう条約を御存じかどうかだけ知ればいいのです、私は。渡辺さんも御存じなかったのです。  そして、四月の何日ごろか忘れましたが、ある雑誌で、渡辺副総理兼外務大臣はインタビューに応じて、PKOを通さないかぬ、カンボジアには数十万の地雷がある、この地雷除去のために自衛隊をぜひ派遣せないかぬ、こう言われた。それから金丸不信、不信じゃないね、金丸信、済みません、副総裁も中国の江沢民総書記と会われたときに同じことを言われた。カンボジアに地雷がたくさんあるからPKOを通さないかぬ、こう言われました。  ところが、これからよく聞いておってください、勉強のためになるから。この条約に地雷のことがあるのです。この条約に地雷のことがある。  そしてまず、今度のPKO法案、それから国際緊急援助隊法ですか、それと自衛隊法改正、この三つの改正によって自衛隊は完全にその性格が変わった。もう名前から変えないけない。専守防衛であったのが軍隊になったんじゃないですか、文字どおり。それを裏づけたんでしょう、この前、五月二十一日に。ぶんぶんと言うたってだめよ、あなた。五月二十一日の安保委員会で、いいですか、この今の条約の第六条、これは日本は義務がありますね。守る義務がある。それで、この附属議定書がある。この附属議定書、「自国の軍隊に周知させるため自国の軍隊の教育の課目にこの条約及び当該附属議定書についての学習を取り入れることを約束する。」日本は約束しております。この六条の「軍隊」に自衛隊は該当しますかと言ったも、そのとおりですと言われたでしょうが。だから軍隊でしょう。そのとおりでしょうが。そう言っているのだから、政府側が。  そして、いいですか、私があれに聞いた。宮下さん、覚えておるでしょう。地雷除去、除去というけれども、カンボジアの地雷はどういうあれがあるか、種類は。そうしたら、こう言った。旧ソ連製、米国製、中国製、四番目にカンボジア独特の地雷。この四番目が問題だ。これは何じゃと聞いたら、主として木製の地雷です。それで、私は聞いた。それを探知する能力は自衛隊にあるか。七一式の地雷探知器で木製のあれはできないでしょうが。ぶんと言いよるけれども、そうでしょうが。あなた、地雷探知能力は自衛隊にないでしょうが。それで、やっとことし、四年度の予算に地雷原を処理する車をシステムとして購入するようになって、それがいよいよ動き出すのが五年度、来年度からですよ。わかっておりますか。それで、こんなことも知らずによくも、地雷を除去するためにPKOを出すなんてよくも言えたものだ。  だから私は、失礼ながら、間違っておったら後で謝罪をいたします。何か宮澤総理は、PKOのことについて江沢民総書記は余り御存じないのではないかということを言われたということを新聞で読みました。何か後であれば謝罪されたようなこともちょっと聞いておりますが。実は、江沢民総書記が知らぬのじゃなしに、日本政府の首脳が知らぬのでしょうが、こういう地雷のことについて。何で人の、よその国の、あなた、首脳に対し、でそんなことを言うあれがありますか。まず、その点からお聞きしておきますわ。
  307. 林義郎

    林委員長 楢崎さん、だれに答弁ですか。
  308. 楢崎弥之助

    楢崎委員 総理です。
  309. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 地雷のことを余り、確かに私は詳しくございません。
  310. 楢崎弥之助

    楢崎委員 だから、余り御存じない方が、総理は正直ですけれども、御存じない方が知ったふりして、地雷を除去するために自衛隊やらないかぬなんていうようなことは今後言わないことですな。わかりましたか。  それから、もう一つ聞いておきますが、せっかく三方おられますから。  あなた方の修正案の中に、我が国がPKFに参加するという、「参加」という言葉が出てきた、初めて「参加」という言葉が。本法に「参加」という言葉はありますか。全部「協力」でしょう。どうですか。何で「参加」が出てきたの。
  311. 岡野裕

    ○岡野参議院議員 私どもの修正案の中に「参加」という言葉が出ておりますことは先生御指摘のとおりであります。しかしながら、政府提案の法律案の中に先に「参加」という言葉が出ておりますので、それを使わしていただいた次第であります。条文の御指摘を申し上げるならば  まだよろしゅうございますか。
  312. 楢崎弥之助

    楢崎委員 わかりました。そう答えるであろうと思っておりましたが、政府案の「参加」という意味は、あなたたちが使っている「参加」と意味が違うんだ。冗談言っちゃいけませんよ。まずそれを言っておきますわ。  それともう一つ、せっかくですから、せっかく見えておるから……
  313. 林義郎

    林委員長 楢崎さん、お願いいたしますが、お約束の時間が既に経過しておりますので、結論をお急ぎください。
  314. 楢崎弥之助

    楢崎委員 もう一問にします。もう一問にいたします。  PKFと……
  315. 林義郎

    林委員長 結論をお急ぎください。
  316. 楢崎弥之助

    楢崎委員 pKFと後方支援体制をあなた方は分けていますね。戦争を知っておる者は、前線と後方と分けるなんというようなことはナンセンスだ。あなたは戦争を知らぬから。いいですか、後方があって初めて前線がある。――まだ求めてません。慌てなさんな、慌てなさんな。  それで、いいですか、後方支援体制は国会承認の外になっておる。後方とは前線から距離はどのくらいのことを言うんですか。
  317. 岡野裕

    ○岡野参議院議員 先生、おまえは戦争を知らないだろうというお話でありますが、私どもは戦争に参加することを考えておりませんで、平和の、言いますならば使い手でありますところの、戦わざるところの軍隊であるところのPKO参加をするということでございますことを、ぜひ御理解を賜りたいと存じます。
  318. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私は、今のは間違っているから言っているのですよ。私は、後方と前線と戦争というものは分けることはできないんだよと、それを言っているだけです。それを言っているだけです。  それで、答えてください。後方はどのくらいの距離を言うのかと聞いているのですよ。
  319. 林義郎

    林委員長 楢崎さん、お約束の時間が来ておりますから、これにてやめたいと思います。
  320. 岡野裕

    ○岡野参議院議員 先生、協力業務の中にイからタまでずっとございます。その中で、言いますならば、PKFの本体業務と後方支援というようなことがございます。これは、私ども修正案の中で出てきた概念ではございませんで、政府原案の中に出てくる言葉でございます。そういう意味合いで、どうぞ政府の方に御質問を賜りますように。
  321. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それじゃ政府どうぞ。政府どうぞ。政府どうぞ。
  322. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  具体的に距離で云々という整理はいたしておりません。これはこの法案第三条……(楢崎委員「大事なことなんだ、これは」と呼ぶ)ちょっと聞いてください。第三条第三号におきまして、具体的にイからレまでの業務の整理を行っております。その中で、まさに先ほど申しました、これは何回も出ている話題でございますけれども、イからへ、自衛隊部隊等が行う業務でイからへまでの業務及びそれらに類するものとして政令で定める業務、それがまさに今参議院修正の対象になっておる業務、そういうふうに理解しております。
  323. 楢崎弥之助

    楢崎委員 距離はと言っておろうが。  やめますが、あなた、非礼な答弁しなさんな。
  324. 林義郎

    林委員長 これにて質疑を終局いたすことに賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者あり)     〔賛成者起立〕
  325. 林義郎

    林委員長 起立多数。よって、可決されました。     ―――――――――――――
  326. 林義郎

    林委員長 討論の申し出がありませんので……(発言する者、離席する者多し)委員会、静粛に願います。(発言する者あり)委員会は静粛に願います。(発言する者あり)静粛に願います。静粛に願います。整々、静粛に願います。(発言する者あり)そういったようなものを、そういったようなものを出すことは、そういったようなものを出すことは絶対に困ります。議場の秩序を……(発言する者あり)議場の秩序を保つために絶対に困りますから、まず質疑続行というのが、これが……。おろしてください。(発言する者あり)それはおろしてください。(発言する者あり)それから、理事以外の方々はお席に着いてください。理事以外の方はお席に着いてください。理事以外の方々はお席に着いてください。理事以外の方はお席に着いてください。(発言する者あり)そんなものは認められません。そんな暴力的なことは認められません。暴力的なことは認められませんから……(発言する者あり)絶対に暴力的なことは認められません。(発言する者あり)静粛にお願いいたします。(発言する者あり)静粛にお願いいたします。社会党の皆さん、ここは国会の場ですから、(発言する者あり)国会の場ですから、ぜひ静穏、静穏……(発言する者あり)ぜひお願いをいたします。(発言する者あり)ぜひお願いを申し上げます。(発言する者あり)お願い申し上げます。(発言する者あり)ぜひお願い申し上げます。これだけ寄られたらどうにもなりませんので、これだけ寄られたらどうにもなりませんから、皆さんお席にお帰りください。(発言する者あり)お席にお帰りください。(発言する者あり)お席にお帰りください。お席にお帰りください。お席にお帰りください。お席にお帰りください。(発言する者あり)とてもではない、こんなことでは委員会質疑続行できません。質疑続行もくそもありません。とてもじゃない、できませんから。まずお席にお帰りください。(発言する者あり)お席にお帰りください。お席にお帰りください。お席にお帰りください。お席にお帰りください。(発言する者あり)絶対にだめだ。絶対認められません。絶対にこれは認められません。そんな暴力には私は絶対に屈しません。絶対にこんな暴力には、多数の暴力には絶対に屈しません。私は絶対に屈しません。(発言する者あり)絶対にそれは認められません。絶対にそんなことは認められません。(発言する者あり)私はこういったような形で委員会が開かれることは絶対に困ります。あえて私から申し上げます。この状態を一体何と考えられますか。何と考えられますか。一発言する者あり)皆さん方、まずお席にお帰りください。お席に絶対お帰りください。こんなことであったら私は一切要求を聞くことはできません。要求を聞くことは絶対できません。なぜお帰りにならないんですか。一発言する者あり)平穏に話をしようじゃありませんか。平穏に話をしようじゃありませんか。平穏に話をしようじゃありませんか。話をしておるんですから……(発言する者あり)絶対にそんなことは認められません。困るじゃありませんか。社会党の皆さん方、共産党の皆さん方、一体何事ですか、これについては。何事ですか、一体これは。(発言する者あり)これでも国会議員ですか。何ですか、一体これは。嘆かわしい話ですよ。嘆かわしい話です。嘆かわしい話ですから。(発言する者あり)質問は、きょうの日程は全部こなしたんです。こなしたんですから、私は全部皆さん方が退場されるまでは一切応じません。(発言する者あり)休憩しません。こんなことでは、こんなことでは私は国会議員として恥ずかしいと思います。(発言する者あり)私は国会議員として恥ずかしいと思います。ぜひ御退席ください。(発言する者あり)まず、まず席に着いてからです。まず席に着いてから、まず席に着いてから。着かない前に……(発言する者あり)どうですか、どうですか、そんなことじゃありません。絶対に、絶対にこんなことは聞きません。こんな状態ではどうにもなりませんから。(発言する者あり)衛視は入ってください。衛視を入れてください。これではどうにもなりません。これは絶対に困ります。(発言する者あり)こんなものをたくさん出されて、一体何事ですか。これでも国会ですか。こんなもので国会ですか、一体。何事ですか。(発言する者あり)とんでもない話じゃないですか。とんでもない話じゃないですか。とんでもない話じゃないですか。とんでもない話だ。とんでもない話だ。とんでもない話です。(発言する者あり)ちょっと後ろまで下がってください。下がってください。下がって、下がって、下がって。(発言する者あり)見ますけれども、見ますけれども、そんなものを、大きなビラを出されてやられたんではどうにもなりません。(発言する者あり)私は絶対に困ります。私は絶対に困ります。私は絶対に皆さん方に負けません。どんな暴力でも負けませんよ。委員長権威において、委員長権威において、そんなものは取ってください。(発言する者あり)お席に入ってください。お席に入ってください。お席に、お席に帰ってください。(発言する者あり)席に帰ってください。皆さん、皆さん方、ちょっとお席にお帰りください。お席にお帰りください。お席にお帰りください。そんなことでは……(発言する者あり)帰らない、帰らない、帰らなければ、帰らなければどうにもならないよ、どうにもならない。それでは……(発言する者あり)それは絶対だめだ。絶対だめだ。委員会では大変もうやったわけですから……(発言する者あり)絶対にやりません。そんなものだめだ。こんな状況では絶対できません。(発言する者あり)お下がりになっていただいて、お下がりになっていただいてから、それで決めましょう。お下がりになってから決めましょう。(発言する者あり)いや、とっても、とってもじゃない、ちょっと、とっても、やらない、やらない、やらない。それはやらない。そんなことじゃ、とってもどうにもならぬじゃないですか。そんなことじゃどうにもなりませんよ。こんなことじゃどうにもなりません。(発言する者あり)こんなことじゃどうにもなりません。(発言する者あり)いや、いや、いや、そんなような形じゃどうにもならぬじゃないですか。こんな状況で一体どうするんですか、一体これは皆さん。恥ずかしい限りですよ。(発言する者あり)私は恥ずかしい限りだと思うのです。本当に、本当に、本当に、本当に私は……(発言する者あり)それはだめだ。そんな、こんなような状況ではとてもじゃ、できません。私はそんなことは絶対に聞きません。(発言する者あり)  質疑は終局いたしましたから……(発言する者あり)質疑は終局いたしましたので、採決に入ります。(発言する者あり)採決に入ります。(発言する者あり)  まず、楢崎君提出の修正案について賛成の諸君の起立を求めます。――起立少数。よって、楢崎君提出の修正案は否決されました。(発言する者あり)  次に、国際連合平和維持協力に関する法案について賛成の諸君の起立を求めます。――起立多数。よって、本案は可決されました。(発言する者あり)  次に、国際緊急援助隊法の一部を改正する法律案につきまして賛成の諸君の起立を求めます。――起立多数。よって、本案は可決されました。(発言する者あり)  以上の委員会の報告は委員長に御一任あらんことをお願いいたします。賛成の諸君の起立を求めます。――起立多数。よって、さよう決しました。(発言する者あり)     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  327. 林義郎

    林委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十七分散会