○針生雄吉君 ありがとうございました。公約に近いものであり、品格ある
文化大国としてのあかしという、そういう御所見をお伺いいたしまして、ますます心強く感ずる次第でございます。
二十一世紀を迎える
世界の潮流といいますか、
流れといたしましては、
世界のリーダーたらんとする国は、軍事力で恫喝しようなどという
姿勢はもう論外でありまして、また経済力オンリーでも
世界の国々を心から納得せしめることはできませんし、
世界のリーダーたり得ないという
時代に入っていると思います。まさに
大臣の言われるような心の
時代であり、ソフトパワー重視の
時代が展開されつつあると思います。あくまでも国際間の協調、調和を旨としつつ、平和のうちに
文化、
教育の力を基礎としていかなければならないと思います。
また、
国づくりという場合の国という
言葉を
世界、地球という
言葉で読みかえるべき
時代に入っていると思うわけであります。そのような
意味におきまして、
世界の中の
日本として
我が国における
教育の果たすべき役割はますます重大となってきておりますし、その中における外国人留学生対策の重要性の比重も増大してきていると思うのであります。
蛇足ながら、ある経済雑誌の中にある経済人の考えが述べられておりますので御紹介したいと思いますが、要するに経済というハードパワーを
文化、
教育というソフトパワーでコントロールすべき
時代に入ったという、そういう前提、前置きで述べている文章でございますけれ
ども、
国家予算の中で
文部省予算が八二年以来ゼロシーリングであるのに、ODA
予算は国防費とともにゼロシーリングを免れている。しかもODAにおいてはむだ遣いが極めて多い。その上、ODAには質の高い人的資源やノーハウの提供が伴っていない。ODA
予算の二〇から三〇%を大学振興、特に基礎研究の
充実に充て、そのかわり開発途上国にその国が最も必要とする研究者や技術者を派遣する、あるいは逆に若い研究生を受け入れるなど、科学技術、
学術の振興に役立てればODAの目的を立派に達成することになるという、そういう趣旨の文がありましたけれ
ども、まさにそういう
意味においては
我が国が、ある
意味においては
日本の一時的には目前の犠牲のように見えるかもわからないけれ
ども、そういう外国人留学生を受け入れて育ててあげるということが真の国際貢であるというふうにも私は思うのであります。
巷間、せっかく来巳しても、そして留学しても反日家にしてしまうというようなこともよく耳にいたしますけれ
ども、確かにいろいろな条件を持って外国人留学生はいらっしゃるわけでありますし、また、さっきもちょっと触れられましたけれ
ども、特に発展途上国においては一流の頭脳は欧米へ向かって、
日本には二流、三流の人材しか来ていないというような悪口も耳にするわけでありますけれ
ども、もしそうだとしても、来日する留学生というものは
日本に御縁があって来たわけでありますし、あるいはまた見方を変えれば、
日本から頭脳が海外に流出するのとは逆にそういう頭脳が
我が国に来たわけでありますので、そういう頭脳を開発し、その
可能性を育ててやろうという、そういうような懐の深い見方も大切ではなかろうかと思うのであります。
日本語という特異な語学の構造といいますか、そういう特異性あるいは生活しにくい生活環境等々、多くの
障害があるのも現実でありますけれ
ども、そのような悪条件の中においても、
関係者の皆様の御努力によって外国人留学生に対する実績を示しつつあることも事実であると思います。
文部省といたしましても、これらの
国民的努力を育ててバックアップする立場から、さらなる誘導的施策を強力に推進していただきたいと心から願うものであります。
大臣のおっしゃった心豊かな国際的なソフトパワーで
予算獲得というハードパワーをクリアしていただきたい、こういうふうに思う次第でございます。
次に、留学生の受け入れ、留学生の
日本における生活に関連して、二、三のことについて御教示を
お願いしたいと思います。
留学生にとりまして、まず第一に大切なことは、あるいは
日本において困難なことは、安心して住める宿舎の確保ということが大切な問題でありますけれ
ども、特に東京などの首都圏あるいは大都市部の留学生にとっては
最大の難問題でもあるわけでありまして、賃貸料が高いとか、敷金や権利金といった
日本独特の経済慣行があるとか、あるいは特に開発途上国の
方々に対する人種的な偏見等があるなどという問題があるわけでございます。
現在、国立大学においては留学生宿舎の建設が行われているわけでありますけれ
ども、私立大学や公益法人等の設置する留学生宿舎の
我が国における現状はどうなっておりますでしょうか、お示しをいただきたいと思います。