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1991-12-13 第122回国会 参議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十二月十三日(金曜日)    午後三時二十分開会     ―――――――――――――    委員異動  十二月十三日     辞任        補欠選任      大島 慶久君    合馬  敬君      久保  亘君    森  暢子君      本岡 昭次君    櫻井 規順君      安恒 良一君    肥田美代子君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長        竹山  裕君     理 事               大河原太一郎君                野末 陳平君                前畑 幸子君                白浜 一良君     委 員                石川  弘君                大浜 方栄君                合馬  敬君                斎藤栄三郎君                中村 太郎君                藤井 孝男君                藤田 雄山君                赤桐  操君                久保  亘君                櫻井 規順君                鈴木 和美君                肥田美代子君                村田 誠醇君                森  暢子君                和田 教美君                近藤 忠孝君                池田  治君                三治 重信君   国務大臣       大 蔵 大 臣  羽田  孜君   政府委員       大蔵政務次官   青木 幹雄君       大蔵大臣官房審  小川  是君       議官       大蔵大臣官房審  石坂 匡身君       議官       大蔵省主計局次  涌井 洋治君       長       大蔵省関税局長  吉田 道弘君       大蔵省理財局長  寺村 信行君       大蔵省証券局長  松野 允彦君       大蔵省銀行局長  土田 正顕君       大蔵省国際金融  江沢 雄一君       局長       農林水産大臣官  今藤 洋海君       房審議官       農林水産省経済  川合 淳二君       局長   事務局側       常任委員会専門  下村 純典君       員   説明員       通商産業省貿易  岡本  巖君       局貿易保険課長       中小企業庁計画  田島 秀雄君       部金融課長     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○平成年度歳入歳出決算上の剰余金処理の  特例に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○農業共済保険特別会計における農作物共済、  果樹共済及び園芸施設共済に係る再保険金の支  私財源不足に充てるための一般会計からする  繰入金等に関する法律案内閣提出、衆議院送  付)     ―――――――――――――
  2. 竹山裕

    委員長竹山裕君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、安恒良一君及び大島慶久君が委員を辞任され、その補欠として肥田美代子君及び合馬敬君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 平成年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案日本開発銀行法の一部を改正する法律案及び農業共済保険特別会計における農作物共済果樹共済及び園芸施設共済に係る再保険金支払財源不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案の三案を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。羽田大蔵大臣
  4. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) ただいま議題となりました三法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、平成年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  平成年度におきましては、租税及び印紙収入が、最近までの収入実績等を勘案すると、当初予算に対し大幅な減収となることが避けられない見通しとなりました。このため政府は、補正予算編成に当たり、既定経費節減等最大限努力を払うとともに、追加財政需要につきましても極力圧縮し、災害関係経費給与改善費等時に緊要となった事項について措置を講ずることとしたところであります。さらに、大幅な税収減に対応するためのやむを得ざる措置として、災害関係経費追加等に対応するものを含め、建設公債追加発行を行うことといたしております。  しかしながら、これらをもってしても、なお財源不足することから、本法律案は、臨時異例措置として、平成年度歳入歳出決算上の剰余金全額補正予算不足財源に充当することができるよう財政法特例を定めるものであります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  財政法第六条第一項においては、各年度歳入歳出決算上の剰余金の二分の一を下らない金額翌々年度までに公債または借入金の償還財源に充てかければならないこととされておりますが、平成年度剰余金については、この規定は適用しないことといたしております。  次に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  日本開発銀行業務につきましては、毎年度財政投融資計画編成に際して、融資分野の厳しい見直しを行い適正な出融資規模となるよう努めておりますが、平成年度におきましては、社会資本整備推進等のための日本開発銀行に対する旺盛な資金需要が当初の計画見込みを大幅に上回る状況にあります。  政府といたしましたは、このような資金需要に的確に対応すべく、年内にも日本開発銀行出融資規模の拡大を図るため、弾力条項の発動により所要の財政投融資計画追加を行うことを予定しておりますが、これにより同行出融資の額が現在の限度額を超える見通しとなることから、本法律案は、同行業務の円滑な運営に資するため、貸し付け等限度額の引き上げを行おうとするものであります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  日本開発銀行法第十八条の二においては、日本開発銀行借り入れ等限度額自己資本の額の十一倍とされ、また、貸し付け等限度額自己資本の額及び借り入れ等限度額合計額、すなわち自己資本の額の十二倍と定められておりますが、借り入れ等限度額を従来の自己資本の額の十一倍から十二倍に引き上げることによって、貸し付け等限度額自己資本の額の十三倍とすることとしております。  最後に、農業共済保険特別会計における農作物共済果樹共済及び園芸施設共済に係る再保険金支払財源不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  平成年度におきまして、暴風雨、低温等による水稲、リンゴ、園芸施設等被害が異常に発生したことに伴い、農業共済保険特別会計農業勘定果樹勘定及び園芸施設勘定の再保険金支払いが著しく増大するため、これらの勘定の再保険金支払い財源不足が生ずる見込みであります。  本法律案は、これらの勘定の再保険金支払い財源不足に充てるため、平成年度において一般会計から二十五億六千六百二十七万五千円を限り、農業共済保険特別会計果樹勘定繰り入れることができることとするとともに、同特別会計農業勘定及び園芸施設勘定積立金をそれぞれこれらの勘定歳入繰り入れることができることとしようとするものであります。  なお、この一般会計から同特別会計果樹勘定への繰入金につきましては、後日、同勘定におきまして決算上の剰余が生じ、この剰余から同特別会計の再保険金支払基金勘定繰り入れるべき金額を控除してなお残余がある場合には、この繰入金に相当する金額に達するまでの金額一般会計に繰り戻さなければならないこととしております。  以上が、三法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。  以上であります。
  5. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 村田誠醇

    村田誠醇君 私はまず、台風災害に関連して、農業共済保険会計から質問をさせていただきます。  この提案理由を読みますと、果樹勘定園芸施。設勘定にそれぞれ補てんをするという内容になっております。二、三お聞きをしたいのでございますが、この共済保険のうちの果樹勘定については、平成年度百三十億組んでいた、二年度になって七十五億円に減らし、三年度も七十五億円できたわけです。しかし、この予備費は、本年度はちょっと別といたしまして、ほとんどというよりまるっきり使っていなかった。今回、異常な台風災害で、逆に言いますと予備費が足りなくなっちゃった。考え方からすると、百三十億組んでいて実際使ったのがゼロだから減額をしたという理由はわかるんですが、減額したら途端に今度は足りなくなってしまったというものでございますが、この予備費計上の仕方というんでしょうか見積もり、その点についてはどういうふうに計上するのが一番合理的なやり方なのか、ちょっと御見解を聞かせていただきたいと思います。
  7. 川合淳二

    政府委員川合淳二君) 今御指摘のように、農業共済の再保険特別会計におきましては、各勘定予備費計上させていただいております。御承知の点でございますけれども支払い財源不足するような予見しがたい予算不足が生じたときに、一定の範囲まで予算を補正することなくこの特別会計自体で自主的、弾力的に対処できるように計上させていただいているわけでございますが、この予備費の額につきましては、予測しがたい災害による場合でございますので、なかなかその計上の額をどうするかというのは難しいわけでございますが、近年の引き受けの実績あるいは再保険金支払い実績などを基礎として計上しているものでございます。     ―――――――――――――
  8. 竹山裕

    委員長竹山裕君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま本岡昭次君が委員を辞任され、その補欠として櫻井規順君が選任されました。     ―――――――――――――
  9. 村田誠醇

    村田誠醇君 それでは、実態をお聞きしたいんですけれども、ちょっと古い数字で申しわけないんですが、この特別会計果樹勘定については、歳入に対する不足率というんでしょうか、要するに予算で組んだものよりも実際に入ってきたものが過去がなり低かったということが指摘されているわけです。そういう意味での歳入不足率がかなり高い特別会計と言えるわけでございますが、現時点では、例えばこの二、三年、歳入に対する不足率、これはどのくらいの数字になっているか、ちょっと実態を説明していただけますでしょうか。
  10. 川合淳二

    政府委員川合淳二君) ちょっと率の計算はしてないので実額で答えさせていただきたいと思います。  予備費は、今御指摘がございましたように、六十二年から百三十億、六十三年百三十億、元年が百三十億、二年七十五億、三年七十五億という数字でございますが、例えば六十三年でございますと、支払い保険額は百三十億に対しまして十九億六千三百万、約二十億、それから元年も百三十億に対しまして十九億、二年度が七十五億に対しまして十七億というような水準でございました。
  11. 村田誠醇

    村田誠醇君 そうすると、果樹勘定歳入実績、ずっと過去何年間のものを表をいただいて見てみますと、果樹勘定だけに関していえば加入率がだんだんだんだん下がっている、金額ベースでいきますと随分落ちてきている、こういうことが見れるわけです。この減少傾向というのはいろいろな人に聞きますと、再保険中身制度そのものにいろいろな問題があるから加入率がだんだん落ちているのだということを言われる方がいるわけです。  その中身については、農水委員会での本来の論議でございますので、我々は、申しわけないんですが、あくまでもお金勘定の方だけに限定させてもらうと、この漸減している傾向というのは農水省としてはどういうふうな点に原因があって加入率というか、金額ベースで言う減少が起こっていると判断なさっているんでしょうか、簡単に教えてください。
  12. 川合淳二

    政府委員川合淳二君) 御指摘のように、引受率につきましては、全国平均ですと果樹の場合は二二%ということでかなり低いと言わざるを得ないと思っております。ただ、地域ごとあるいは樹種別にかなり差異があるということが一つ特徴的に言えるかと思います。果樹農家は同じ地域におきましても経営内容が他の作目に比べまして比較的多様化している。例えば栽培している樹種とか品種の違い、あるいは収穫の時期などもいろいろでございます。昨今では、御承知いただけると思いますが、温室栽培みたいなものがございまして、それぞれの経営リスク負担金に対します考え方、あるいはリスクに対する経営での受けとめ方などに差があるということが一つこの引受率を低くしている原因ではないかというふうに考えております。  それからもう一つは、近年災害が比較的少なかったということもその要因の一つではないかというふうに私ども考えております。
  13. 村田誠醇

    村田誠醇君 そうすると、基本的なことをちょっとお尋ねして申しわけないんですが、法律用語役所用語というんでしょうか、今回繰り入れ金額一般会計に繰り戻しをすると書いてあるんですが、今のような果樹勘定状況でいくと、一体、この額を返済する、一般会計に返すのにどのくらいの時期を見ていれば完納できるのか。それとも、ここに書いてあるのは余ったら返せという意味で、表現が悪いんですが、なければそのまま残って踏み倒してもいい性質のものなのか、よくわかりませんのでそこら辺も教えていただきたい。
  14. 川合淳二

    政府委員川合淳二君) 当然のことながら、繰り入れいただきました繰入金につきましては、繰り戻しするということが当然のことでございます。残念ながら、果樹勘定につきましては、発足が四十八年でございまして、こうした制度にどうしても宿命的につきまといます保険設計成熟度が低いというようなこともございまして、また発足当初十年ぐらいの間に連年の災害が起こったということで、その間に繰り入れていただいた額が二百七十億余に累積してきているというこどでございます。  その後、私どもこうした状況の中から大きな改正を五十五年あるいは六十年にいたしまして、その結果、近年、特に五十八年以降は、若干ではございますけれども剰余金を出すというような比較的健全な経営に移行してきたわけでございます。  そうしたやさきの本年の災害でございまして、先生御承知のように、本年の災害はこれまでにほとんど例を見ない未曾有の災害でございました。そうしたことから繰り入れをお願いせざるを得ないという状況になったわけでございます。もちろん、今後の経営を通じまして少しでも早く繰り戻しかできますように私ども努力をしていかなければならないと思っているところでございます。
  15. 村田誠醇

    村田誠醇君 今回の災害はかなり規模も大きく、いろんなところに被害を与えたという意味で、この保険会計赤字が出てもしょうがないんだなということで、中身については、私専門じゃございませんのでこのくらいにいたしまして、続いて剰余金処理特例の方に質問をさせていただきます。  こういう特例は、私も完全じゃないんですが、いろいろ会計六法等を見てみましたら、昭和四十八年からたびたびやっているわけでございます。そうすると、こういうことを繰り返し行わなければいけない、二分の一の繰り入れを五分の一にした場合もありますし、完全にゼロにした場合もあるわけでございますが、こういう状態が起こったときは必ずといっていいくらい、いわゆる赤字公債、要するに特例公債と呼ばれていたり、いろいろな手を使って歳入をふやす努力をしているわけでございます。  そこで、お伺いをしたいんですが、いろいろ歳入不足が起こっている等々言われておるわけでございますけれども政府がこういう政策をとるときには、今までを見てみますと、必ず日本電電公社からの剰余金を入れたり、たばこの剰余金を入れたりしてやっておった。この二、三年は外為会計から繰り入れをしたりあるいは日銀税外収入計上したり、競馬剰余金を充ててみたり、それから古くさかのぼると自賠責会計から剰余金を入れてみたり、俗な言葉で言えば、いろいろな隠しポケットからお金を引っ張り出してきて埋めている。  そこで、お伺いをしたいんですが、今回税収不足歳入不足と言われている金額は、今私が言ったようないろいろなところの剰余金あるいは現在決算中、進行中のものもあるわけですが、そこら辺のある程度の剰余金を見込んでも現在言われているような歳入不足の額に達するのか、それともこういった会計からの剰余金を当てに現在はしていない数字としてカウントされているのか、その辺倒説明いただけますでしょうか。
  16. 涌井洋治

    政府委員涌井洋治君) 今回の補正予算、それから剰余金特例法でお願いしているわけでございますけれども、それに際しましては、やはり二兆八千億円の税収減に対しまして、歳入面では税外収入につきましても日銀納付金等増額等税外収入も全般的に最大限見直し努力を図って確保したところでございますけれども、他方、災害あるいは公務員給与改善等追加財政需要、これもぎりぎりのところで見ているところでございます。また、既定経費節減も八千八百三十七億と、最大限努力した上でどうしても財源不足するものでございますから、剰余金特例をお願いしているところでございます。
  17. 村田誠醇

    村田誠醇君 前回湾岸協力のときに、中央競馬会からの第一国庫納付金とさらに第二国庫納付金と呼ばれる金額、それから外為特会からの一般会計への繰り入れをしているわけです。この二つの会計は、現在進行中のものもありますし、もうじき中央競馬会のように決算に入るものもあるわけですが、この辺の決算状況についてはどの程度把握しているんですか。
  18. 涌井洋治

    政府委員涌井洋治君) 中央競馬会納付金でございますけれども、ここ近年競馬ブームで、数年大変売り上げが伸びてきたわけでございますけれども、最近の売り上げ状況を。見ますと、その伸びが鈍化しております。三年度納付金実績見込みにつきましては、現段階では若干当初予算を上回る可能性はあるかもしれない、しかしどの程度出てくるか、その確実度が極めて現段階では低い状況でございますので、補正予算でございますので確実な収納が認められるものしか組めませんので、現段階ではこれは補正予算計上していないところでございます。
  19. 村田誠醇

    村田誠醇君 確定した数字じゃないから見込めないというのはよくわかるんです。しかし、前回外為会計では、期の途中で、決算もしていないのに一般会計に一定額繰り入れたんです。だから、補正予算を組むのであればこれらの会も、前回やったんですから、当てにしていいんではないかなと思うんです。特に日銀などはこの上期の決算では純益金が一兆三千億円強出ている。だから補正予算相当多額日銀税外収入計上することができた。下期も多少落ちたとしても相当見込めるんじゃないか。この辺が一つと、もう一つは、外為会計からも相当見込めるんではないか。その辺についての見込み見通しについてはいかがでございましょうか。
  20. 江沢雄一

    政府委員江沢雄一君) 外為特会でございますが、湾岸関係支払いの際には、二月時点繰り入れでございまして、この時点では収支をかなり詰めた形で見込むことができたということでございますが、現在の時点におきましては、今後金利の動向がどうなるか、また経済全体の動向がどうなるか、なかなか見通しができないわけでございまして、これを繰り入れるということはできないことを御理解いただきたいと思います。
  21. 村田誠醇

    村田誠醇君 外為特会積立金を取り崩すとやっぱりまずいんでしょうか。具体的に聞いちゃ申しわけないんですが、三千億程度を取り崩した場合、外為会計に重要な影響といいましょうか支障が出るということがあるんでしょうか。
  22. 江沢雄一

    政府委員江沢雄一君) 外為特会積立金につきましては、外為特会特会法第十四条の規定によりまして、外為特会赤字になりましてその決算のために補てんをする必要がある場合を除きまして取り崩すことはできない、ということにされているわけでございます。この積立金と申しますのは、外為特会が持っております外貨評価損見合いとして積み立てておるものでございまして、これを取り崩しました場合には外為特会健全性を損なうというおそれが強いわけでございます。  外為特会は現在積立金とほぼ同額の外貨評価損を抱えておるわけでございます。これは、過去に介入等で取得しました外貨円高になりますと目減りをしてくるということに伴って生ずる評価損でございまして、これに対しては適切な積立金見合いに積み立てておく必要があるということでございます。
  23. 村田誠醇

    村田誠醇君 そこで、大臣にお伺いをしたいのでございますか、過去バブル経済税収が予定した額よりもどんどんどんどんふえたときに、何とか基金と称していろいろお金を積み立てているわけでございます。スポーツ振興基金二百五十億とか日米親善交流基金四百億とか鉄道整備基金で三千億とか。東京都も同じように余った金をいろんな名目で基金に積み立てているんですが、このところへきて、東京都も税収が落ちるということでこういう基金の取り崩しをしようということがあるわけです。お金が余って景気のいいときにためておいたものを、ぐあいが悪くなったら取り崩す ぐらいの方針をとらないと、要するに足りないときはツケは国民に回して増税にしていくんだ、お金はもう入っちゃったら最後絶対に出しませんということでは、国民の理解が得られないと思うんです。  こういった各種基金についてどういうふうに今後、例えば取り崩すのか、あるいはこのままいくのかを含めて、基本的な姿勢で結構でございますが御説明いただきたいと思います。
  24. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 御指摘がございましたように、確かに、これまでそのときどきの諸情勢といいますか一つの時代の要請、こういったものに対応する、それによって国民生活の向上ですとかあるいはそういった目的を達成するためということで、いろいろと我々の方としても精査した上で予算というものを計上してきておるというふうに承知しております。  今回の補正予算につきましては、税収につきまして二兆七千八百億という大変大きな減収を見込んだということで、既定経費の徹底した節減を行った上、また建設国債まで発行したというようなことで、なおまた財源不足するということから、こういった純剰余金、これを臨時特例措置でやむを得ず全額不足財源に充てるということにしたわけでございますけれども、こういったものをやめちゃうといいますか、取り崩しちゃったらどうだという御意見でございますけれども、そういった御意見を私も御意見として承っておきたいというふうに存じます。
  25. 村田誠醇

    村田誠醇君 最後の方でもう一度聞きたいと思うんですが、財政法六条の特例措置をやめるということは、通常、今までの経験から言えば、年度当初の定率繰り入れも大体停止しているんです。歳出部分をカットする、そうすると、赤字だからしょうがないじゃないかということで赤字公債を出す。それはいいかもしれないんですけれども、今度は逆に考えてみれば、返済する方という観点から見ていけば、返済に使うお金がどんどんどんどん減っていく。しかも、片方ではNTTの無利子の民活事業お金もそっちから出していくということになると、平成年度予算審議の際に大蔵省が出した「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」、これはずっと一定の額を繰り入れていくという前提で計算しているわけです。この計算が完全に狂ってくることになるし、片方では、出すか出さないかわかりませんけれども特例公債をもうちょっと出そうかということも論議されているとすれば、こういった措置をぱしゃっととっちゃうと、本年度はいいのかもしれませんが、来年度以降ボディーブローといいましょうか、かなりきつくなってくるんではないかと思うんです。この辺についての仮定計算、シミュレーションはやり直す必要があるんでしょうか、それとも一時的なもので、軽微な影響で済む程度のことなんでしょうか。
  26. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 程度ということでありますけれども、今御指摘がございましたように、定率の繰り入れが行われておるということでございまして、国債整理基金の残高そのものが現在は二兆二千七百億円程度あるというふうに見込んでおるということでございます。そういうことで、剰余金につきましてはその二分の一を下回らない金額、これを公債償還財源に充てなければならないということでありますけれども、現在の整理基金の事情、これを踏まえれば、将来これを何回もやるということになると問題でありますけれども、今回の剰余金繰り入れられなくても償還には支障がないであろうということで、このたびはこういう措置をとらせていただいたことであるというふうに御理解をいただければと思っております。
  27. 村田誠醇

    村田誠醇君 景気の落ち込みが恐らく予想以上にきついんだろうと私は思っているわけでございますが、そうすると、政府見通しよりも歳入不足がもっと生じるのかもしれない、多少赤字公債特例公債を出したとしても。その場合に、今の制度としては決算調整資金の制度があるわけです。ところが、この会計には現在お金がありませんから、仮に本年度予算を締めたときに赤字が出たとすれば、このツケはずっと回り回って国債整理基金会計の方からお金を持ってこなきゃいけないようになっているわけです。だから、二重の意味においてこの二分の一の繰り入れを停止したというのは響くんじゃないかなと思うんですけれども、その辺は政府の方の判断で、本年度は快調会計を使うような事態にはならないという判断に立ってこういう措置をとったんでしょうか、その辺をお聞きしたい。
  28. 涌井洋治

    政府委員涌井洋治君) 今回お願いしております補正予算におきまして、税収については二兆八千億の減収ということで、現段階では決算として赤字になるということは想定しておりません。
  29. 村田誠醇

    村田誠醇君 それでは質問項目を変えまして、増税の話が出ておりますが、そのことについて一、二お伺いをしたいんです。石油臨時特別税をつくって、一年限りということになったんですが、これに関連してお聞きをします。  今年の六月七日の石炭鉱業審議会の答申で、原油等の関税に関する部分が出てまいりまして、段階的に縮小しろということでございますが、これに対して、この原油等の関税の部分に関して来年度この答申に沿って引き下げる方向なのか、ある。いはどういう方針をとるのか、ちょっと御説明いただきたいんです。
  30. 吉田道弘

    政府委員(吉田道弘君) 先生お尋ねの件でございますが、石炭対策につきましては現在第八次の石炭対策が今年まで実行されております。明年から新しい対策の期間になるわけでございますが、原油関税の引き下げという方向で関係省庁を含めて関税率審議会で現在具体的な内容の御検討をいただいているところでございます。  ただ、従来から関税率審議会におきましては、基本的なエネルギー源である原油については関税は基本的に無税であるべきであるという答申が出されておりまして、この点も踏まえて検討しておるところでございます。
  31. 村田誠醇

    村田誠醇君 これはたしか石炭会計に対する特定財源でございますよね。漏れ伝え聞くところによると、これを一般財源化して、税収不足の際にさらに別枠で取ろうかというような御意見もあるやに聞いておりますけれども、増税が言われている折から、一つでも減税になる部分を頑張ってやっていただきたいと思います。  それで、質問しなきゃいけないことがいっぱいありますので、ほかにお聞きをしたいんですが、ことしの補正予算の中に中小企業の関係の融資等についての予算枠がくっついておるわけでございますが、経済状態が急激に悪化してまいりまして、一都三県の信用保証協会上半期の代位弁済が百四十二億円、全国のベースでいきますと七百十五億円発生して、いずれも対前年度比約二倍近い急増である、こう言われているわけでございます。来年度はさらにこの状況が悪化するだろう、こう言われております。  そこで、二点ほど中小企業庁の方にお伺いをしたいんですが、中小企業向けの制度融資、国の融資枠、これは十分確保されているのかどうか。また、来年度はどういうふうな対応を打とうとしているのか、これが一つ。  それからもう一つは、銀行の国際的な約束でありますBIS規制との関連で、不必要な中小企業者にまでもこの信用保証協会の保証を必ずつけろ、要するに、中小企業から見ますと負担が多くなると同時に、保証をつけることによってBIS規制をクリアしようという動きが強くなってきているわけでございます。こういうのは不必要な行為としてかなり中小企業からクレームがついているわけでございますが、その辺の実態なり指導なりについて簡単に御説明いただけますでしょうか。
  32. 田島秀雄

    説明員(田島秀雄君) お答えを申し上げます。  まず第一点でございますが、最近の金融情勢を見ますると、民間金融機関のBIS規制への対応、あるいは金融自由化が全体として推進をしておるといったようなこと等々から、中小企業者、民間金融機関の借入依存度が高いわけでございますが、資金調達が従来よりは難しくなるといったような局面が懸念されると私ども考えております。  通産省といたしましては、これまでも中小公庫等政府系金融機関を通じた良質かつ安定的な融資を行うことなどによりまして、中小企業者の資金ニーズに質量両面で的確に対応してまいったところでございます。本年度政府系中小企業金融機関の資金につきましても所要の資金規模を確保しておるところでございまして、現在までのところこうした政府系金融機関に対する資金需要は堅調でございますが、落ち着いた動きになっておるところでございますが、なお、我が国経済の拡大のテンポが減速しつつあるといったようなことも踏まえまして、中小企業対策に万全を期する意味から、今般の補正におきましても中小公庫及び国民公庫に対して総額四千二百億円を超える財投の追加計上しておるところでございます。今後とも、中小企業をめぐる状況を注視しながら、中小企業に対する安定した資金供給については特に努力をしてまいる所存でございます。  第二点目につきましてお答えを申し上げます。  信用保証協会の代位弁済額の推移でございますが、従来は年間二千億円程度で推移をしてまいりましたけれども、今次景気拡大局面の中で、六十年度二千百九十四億円をピークにいたしまして、平成年度の八百七十八億円まで減ってまいりました。しかしながら、最近の倒産の増加等を背景にいたしまして、今年に入りましてから前年度を上回るペース、大体前年度比九割ぐらいの増加ということは御指摘のとおりでございます。こうした状況のもとで、幸いにいたしまして、保証残高が伸びてきたこと、あるいは代位弁済が減少したこと等々で保証協会の収支も改善をしまして、基金準備金も積み上がっておるといったことがありますが、私どもとしては、こういう時期、収支がいい時期にも一貫して基金補助金の確保、融資資金の確保等で保証協会の経営基盤の強化には努力をいたしておるところでございまして、今後ともこういう姿勢で臨む考えでございます。  それから、BIS規制との関係でございますが、金融機関がBIS基準をクリアすることが求められておることは先生の御指摘のとおりでございます。こうした状況のもとで、中小企業への借し出しに当たりまして、信用保証協会の保証を金融機関がより選好するといったようなことが考えられるところでございまして、近年保証が確かに堅調に伸びておりますが、こうした背景にもそういった事情があるというふうに承知をしております。  私どもの立場からいたしますと、そういうことであればなおさらに信用保証協会の意義がその分だけ大きくなっているんではないかと考えら九るわけでございまして、こうした面を含めて今後とも信用保証協会がときどきの金融経済情勢の中で中小企業の資金調達ニーズに円滑に対応し得るように経営基盤の強化等に引き続き努力をしてまいる所存でございます。
  33. 村田誠醇

    村田誠醇君 ぜひ中小企業対策をよろしくお願いをいたします。  次に、同じく通産省関係の予算の中に、貿易保険特別会計二百二十五億円の繰り入れが行われたわけでございます。これについてお聞きをしたいんですが、御存じのとおり、日本は八八年度で九十一億ドルのODA援助を行っているわけです。日本が行っている援助、相手国から見て第一番目というのが二十九カ国、ほとんどのアジアは、特定の幾つかの国を除けば日本の援助が最大を占めているわけでございますけれども、問題はその中身が二国間による円借款が圧倒的に多いわけです。しかし、国際的には贈与をする援助の形の方が多いわけでございまして、先進国の中で比較してみると日本の贈与比率の割合は低い。そして、このところへきまして、いろいろな要請を受けまして、公的債務を削減しようという動きがかなり顕著になってまいりましたし、いろんな形で約束をさせられるようになってきたわけでございます。ところが、今まで日本政府は償還が確実なところ以外には融資をしないというのが前提条件。国民の税金を使っているのであるから、税金をただでくれてあげるような、過去の借金をまけるというわけにはいかないという意味で頑張ってきたわけですけれども、エジプト、ポーランドを含めまして公的債務五〇%の削減にG7で同意をした。  そこで、まず実態をお聞かせ願いたいんですが、これら公的債務、いろんな種類があると思いますが、具体的に言えば輸出入銀行、海外経済協力基金借款あるいは貿易保険、これらの部分のうちで公的債務削減を承諾したというんでしょうか、国際的に約束した国名及びその金額、大体五割削減なのか三割削減なのか、その額がどのくらいにいくのか、ちょっと実態を教えていただけますでしょうか。
  34. 江沢雄一

    政府委員江沢雄一君) 委員指摘のとおり、最近公的債務の削減を国際的に求められるケースがふえてきております。委員指摘のエジプトそれからポーランドにつきましては、これはそれぞれ特殊な事情によりまして公的債務の負担が非常に大きいということで、原則五割の債務削減ということを国際的に決められたわけでございます。  それから、このほかいわゆる最貧国につきまして、トロント・スキームという債務削減のスキームがございます。これは、アフリカ等の最貧国に対しまして、公的債務の負担が非常に大きいという場合に、一定の経済再建策を前提といたしまして債務の救済を行うという仕組みでございます。この適用国としましては十九カ国ほどございます。いずれも最貧国でございます。このスキームによりますと、一応債権の三分の一までを削減するということが行われております。  ただ、この債務の削減につきましてはいろいろな方式がございまして、元本を削減する場合あるいは金利を軽減する場合、または返済期間を長期化するという場合、いろいろな方式によりまして、債権国の一番やりやすい方式で債務の救済をやっていくという仕組みになっております。
  35. 村田誠醇

    村田誠醇君 大臣御存じのとおり、エジプト、ポーランドの公的債務削減は、湾岸戦争を契機にして一番影響を受けるところだからということでいろいろ論議されて対象国が決定したんです、経過は多分御存じだと思うんです。  これは新聞等の報道によると、両国合わせて九〇年の十一月末の公的債務は五千四百八十一億、そのうちエジプ十分が三千五百九十一億、ポーランド分が千八百九十億、この五割をカットする。そうすると、これに対する補てんは今回の措置の二百二十五億では足りな過ぎると思うんです。ごういつ。た国際的に約束をした部分について、この予算措置はODAの予算措置の中でやるのか、それともそれぞれ貿易保険なり海外経済協力基金なりそこが単独でやるべき性質のものなのか、一般会計で面倒見るべき性質のものなのか、基本的には大蔵省としてはどういう方法で公的債務を削減した、棒引きした部分の補てんをする方針なのか、まずこの原則についてちょっと御説明をいただきたい。
  36. 江沢雄一

    政府委員江沢雄一君) 委員指摘のとおり、我が国といたしましては、債務の公的削減につきましてはまじめに債務を返済している国に対する影響が非常に大きいとか、あるいは公的な債務を削減いたしますと債務国にとってのいわば最後のよりどころであります公的資金の新規供与が難しくなるというふうなことから、極めて慎重に対応すべきだということできたわけでございますが、委員指摘のとおり、国際的な枠組みで協力をせざるを得ないというケースが出てまいります。これはケース・バイ・ケースの判断でやむを得ず公的債務削減に応じるということでございますが、その場合の海外経済協力基金、輸銀、貿易保険等各機関の収支に与える影響につきましては、これは先ほども御説明いたしました債務の削減の方法あるいは各機関の収支の状況にもよるわけでございまして、これに対してどういう対応をするかあらかじめ一義的に決めておくということは非常に難しいわけでございます。したがいまして、各機関の運営が円滑に行えるようそれぞれの機関の全体の収支の問題として処理をしていくというのが基本的な方針でございます。
  37. 岡本巖

    説明員(岡本巖君) 補足して御説明をさせていただきます。  補正予算でお願い申し上げております貿易保険特別会計二百三十五億円をお願い申し上げておりますが、先生今御質問のこれで足りるかという点につきましては、貿易保険特別会計の場合にポーランド及びエジプトに対して合計三千億の債権を持っております。これの二分の一が削減されるということでございますが、その具体的なやり方は、多年度にわたります債務の返済繰り延べ計画、いわゆるリスケジュールというものをそれぞれの国と合意をいたしまして、向こう十数年、長い場合には二十年を超える期間にわたって年々返済計画を立てて、その上で毎年のリスケ金利、通常ですと八%ぐらいをもらうわけですが、これを相当思い切って減免することによってその合計が現在価値に引き直して半分元本を削減したのと同等になるという、そういう形で債務削減をやりますものですから、今年度につきましては補正予算で今お願い申し上げております二百三十五億円あれば貿易保険特別会計の削減による減収分は十分に補てんされるものと私ども考えておるところでございます。
  38. 村田誠醇

    村田誠醇君 この貿易保険会計赤字なんでしょう。来年の四月に値上げをする、保険料率を引き上げるという方向でやっているわけですよね。それはだれが負担するんですか。結局企業が負担するわけでしょう、輸出企業、業者が。しかし、その赤字は、企業の原因で発生した部分もあるし、相手の企業あるいは相手の国の経済状態のために支払いが停止して出た部分、それと今回私が質問している公的削減によって政府がもういい、減免してあげる、そういったことで発生してくる赤字と、三つあるわけです。  原因を区別しないで、赤字だから料率を上げますということを言われたら、民間企業怒り出すのはこれは当然のことだと思うんです。だから、政府が責任を持って発生させた赤字であれば、これは一般会計でやるのか、ODA予算の贈与として計上して特別会計に入れるのか、ここら辺の原則はきちんとしておきませんと、何もポーランド、エジプトだけじゃないわけでしょう。これから続々、金持ち日本面倒見てください、まけてくださいという要請はいっぱい来ているんですから。その都度その都度総理が行くのか、大蔵大臣が行くのか、まけてくる方は極めて肩身が広いといいましょうか、胸張って行くからいいんですけれども、帰ってきてお金の手当てができない、それは民間企業で保険財政の中で面倒見てくださいというのではこれは話が合わないと思うんです。  だから、そういう意味で、どっちの原則で、国の責任でまけた分あるいは発生する赤字については原則どういう考え方をしているのかということを聞いているんです。その辺についてもう一度お伺いします。
  39. 岡本巖

    説明員(岡本巖君) 御説明申し上げます。  貿易保険特別会計、昨年度で約千百五十億円の赤字計上いたしております。この赤字原因は、昨年度までにつきましては、一部最貧国の債務削減でありましたけれども、累積債務国がリスケジュールという債務の返済繰り延べを要請してまいりましたことを国際的に認めたことによる保険金支払いというのが圧倒的に大きな部分を占めております。  今、先生御質問のポーランド及びエジプトに対する債務削減による貿易保険特会の減収分については、これは一般会計から毎年度貿易保険特別会計に相当額を資本繰り入れをしていただくという形で一般会計の負担において私どもそれを補てんしていただくようにお願いを申し上げてきたところでございます。  他方で、私ども今、先ほど申しましたような収支の状況でございますので、貿易保険を利用していただいている関係の業界の方々に、保険料の値上げを来年四月一日から実施するということで関係業界との間で調整を進めておりますが、これは先ほど申しましたリスケジュールを中心とする貿易保険の大幅な赤字、それから将来に向けてもなお事業収支の赤字が見込まれますので、これは保険会計自体が収支相償という大原則で運営すべしということに位置づけられておりますので、私どもとしては関係の業界にもみずからの御努力として料率改定をお願いしているところでございます。
  40. 村田誠醇

    村田誠醇君 今の答弁ですと、大臣、国の責任で公的債務を約束したものについては一般会計から毎年度確実に入れるという答弁でございましたが、もう一度、お金がないからできるできないは別として、その方針で対応していくと、こういうことでよろしいんでしょうか。
  41. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 今お話がございましたように、確かに民間の中で問題が起こる、これに対するものについては、今お話がありましたように、料率を考えながら対応していくということが必要でございましょうけれども、公的な債務につきましては、今お答えしましたように、一般会計から繰り入れてきたということでございまして、今後ともこういった問題について財政状況等を考えながらも対応していかなければいけないであろうというふうに思っております。
  42. 村田誠醇

    村田誠醇君 わかりました。  それじゃ、この保険会計そのものについてちょっとお聞きをしたいんですが、九〇年度末で約四千億円の累積赤字がたまっていると言われているわけでございますが、そこにさらにIJPCの部分が加わると約一兆円ぐらいに達するだろう、こう言われているわけでございます。それからイラン・イラク戦争、イラク・クウエート戦争、これに伴ってもかなり大量に出るだろうということで、要するに請求があるんだけれどもまだ支払っていない、未払いというんでしょうか、この金額は一体現在どのくらいに達しているのかちょっと御説明いただきたい。
  43. 岡本巖

    説明員(岡本巖君) 御説明申し上げます。  先生の今のお尋ねは、昨年イラクが債務の返済を湾岸危機の発生以降全面的にストップいたしましたものですから、その関係で貿易保険が付保をいたしております民間の商業債権、さらには民間がオシリスタで保険への付保なしに持っております商業債権について、その返済が期待できなくなるという事態が生じたわけでございますが、全体で約七千億ぐらいのイラクに対する商業債権を持っております。私ども、貿易保険につきましてはそのうち約三千億ぐらいが保険に付保をされております。  お尋ねの未払いの点でございますが、私ども保険特会を運営するにつきましては、大きな赤字は抱えておりますけれども、事故が万々一起きた場合には迅速に保険金をお支払いするということを基本的な考え方といたして運営をしておりますところでございまして、イラクの関係につきましても、昨年度、さらには今年度既に約一千億円余の支払いをいたしておるところでございます。民間の被保険者の方々が私どもに請求をされるにつきましては、当然のことでございますが、十分な証票類をそろえてお出しいただくということになっておりますので、その証票の整理のために時間が被保険者の側においてかかるということはあろうかと存じますが、私ども請求が出てくれば厳正な審査の上でできるだけ迅速に保険金はお支払いをしていくつもりでございます。
  44. 村田誠醇

    村田誠醇君 IJPCのは請求が出ているんでしょう。だから、そういう意味で、請求が出ている未払いの部分の金額がトータルでどのくらいいっているのか。それから、現在までの累積している赤字額、約四千億前後と言われていますけれども、その辺の数字についても説明していただけますか。
  45. 岡本巖

    説明員(岡本巖君) IJPCにつきましては、既に七百七十七億円を今年度保険金支払いました。  それから、これまでの赤字でございますが、一九八二年ぐらいからいわゆるリスケが頻発するようになりましたので、これまでの累積は平成年度末で私ども資金運用部から借り入れを行う形でつないでおりますものが三千六百九十八億円でございます。この運用部からの借り入れが今年度に入りまして、先ほど申しましたイラクの保険金支払いでありますとかIJPCの保険金支払い等々によりましてさらに積み上がっているところでございます。
  46. 村田誠醇

    村田誠醇君 それだけ大きく膨れ上がった赤字というか財投からの借入金額、伝えられるところによると保険料率を三〇%引き上げる方針で対応していきたいというんですけれども、先ほどの農業共済じゃないけれども、賄えるんでしょうか。つまり、保険のシステムでいくともっとこれは料率を上げなきゃいけない。表現を悪くすれば、借金を抱えたまま、赤字を抱えたままずっとこの保険財政が続く、保険会計が続くというふうに理解するんでしょうか。それとも、収支バランスが今のところどの辺でバランスをとれるというふうに通産省の方では考えておられるのか、ちょっと御説明いただきたい。
  47. 岡本巖

    説明員(岡本巖君) 保険料率の改定につきましては、先生御指摘のとおり、約三〇%ぐらいの保険料を値上げするという方向で今関係業界と最終的な調整をいたしておるところでございます。  他方で、先ほど来御説明申し上げておりますような赤字、それを資金運用部からの借り入れという形でファイナンスをしていただいているわけでございますが、そういう抱えている保険特会ではございますが、来年度以降の保険金支払い見通し、それからここでの料率改定によります増収、それから私ども一兆円余の債権を持っておりますので、この債権を債務国との関係で極力回収を早目に行うということに向けて最大限努力をやっているわけでございますが、さらにこれを加速することなどをあわせまして、できるだけ早く貿易保険特会の単年度収支を黒字に持っていくべく今総合的な努力をしているところでございます。
  48. 村田誠醇

    村田誠醇君 これは通産に聞くのか大蔵に聞くのかよくわからないんですけれども、この保険会計は、資金調達手段は今言った借入金のほかに、法律の規定では融通証券の発行ができる、こう書いてあるわけですが、現在までこれは発行した実績がないわけです。借り入ればかりふやすんじゃなく、この証券の発行も考慮すべきではないかと思うんですが、実績がゼロだというのは何か特別な理由なり障害なりがあるのか、その辺について御説明いただけますか。
  49. 岡本巖

    説明員(岡本巖君) 御質問の融通証券につきましては、これまで発行の実績はございません。貿易保険特会、数年前まではかなり黒字を計上するというような時期もございましたものですから、最近に至って収支の極端な悪化が顕在化してきているわけでございますが、これまで大蔵省の御理解をいただきながら、もちろん、先々の私どもの収支改善の見通しをあわせ御提示申し上げながらでございますが、資金運用部からの借り入れという形で資金ギャップを埋め合わせるということは可能でございましたので、融通証券の発行は行っておりません。
  50. 村田誠醇

    村田誠醇君 今お隣のソ連で大分激動が続いて、情勢がどうなるかよくわからないわけでございますが、この貿易保険を使っての対ソ緊急支援策というのを先般政府で決めたわけでございます。そうすると、いいか悪いかは別として、今までの分は別として、これからだれが支払うのか非常によくわからない状況のもとで、政府が打ち出しました対ソ緊急支援のうち、全部じゃありませんけれども、この貿易保険関係についてはどういう対応をなさるのか。  政府の方針を読んでみますと、返済が滞りなく行われるというのが前提条件ですよというのがくっついているわけです。ところが、ソ連の方の話では、もう外貨がないから少し支払いが滞るかもしれないということを言っているし、そのおそれが十分あるというふうに言われているわけでございますので、政府の前提条件がそこで崩れると、この緊急支援策は発動しないのか、それとも政情が見きわめがつくまで凍結しておくのか、既定方針どおりやるのか、その辺をちょっと御説明いただけますか。
  51. 岡本巖

    説明員(岡本巖君) 十月八日に二十五億ドルの当面の対ソ支援パッケージということで政府として決定をいたしましたが、その中で、貿易保険で当面十八億ドルのクレジットラインを設定するということが同時に発表されたわけでございます。  これまで主として短期の貿易保険の引き受けというのを中心にやっておりますが、これにつきましては連邦対外経済銀行の信用状、LCと申しておりますが、これの発行があるものに限り私どもお引き受けをするということでやってきておりまして、連邦対外経済銀行のLCについてはこれまで順調に決済をされるているところでございます。  先生御指摘のように、今ソ連の国内の情勢というのは大変流動的な様相を呈しておりますので、私どもとしては事態の推移を慎重に見守っているところでございます。先般のクレジットラインの設定の際には、今先生も言及なさいましたとおり、ソ連側に適切な支払い保証措置を求めるということを私どもあわせてはっきり申しておりまして、この件につきましては、私どもとしましてソ連側の情勢変化を日々注視いたしますとともに、各国保険当局と連絡を密にしながら慎重に分析、検討いたしているところでございます。
  52. 村田誠醇

    村田誠醇君 大分時間が来ましたので最後にお聞きしたいんですが、この緊急援助の枠のうち水産加工など小さい件数については貿易保険の枠の使用を認めた、額の小さいのに限って緊急的に認めたというんですが、これは逆にいえば中小企業、要するに小さい方のプロジェクトでございますから、影響するところが大きいと思うんです。これはもう既定方針どおり実施する、保険の適用を認めだというのは、既定方針どおりやるということで御確認してよろしいんですか。
  53. 岡本巖

    説明員(岡本巖君) 先生お尋ねの点は、ソ連に対する民間の投資についての私どもの海外投資保険の引き受けの件かと存じますが、十八億ドルのクレジットラインの中で私どもソ連に対する投資保険の引き受けを再開しますということを発表いたしました。それを受けまして、先般、水産加工と木材を伐採して製材をする事業でありますとかアルミの再生地金をつくります事業とか、いずれも中小規模の案件でございますが、六件につきま、して、合計で出資総額が六億強でございますが、投資保険の引き受けにつきまして私どもとして内諾を申請者に対して与えました。今後正式な保険申請が出てまいりますれば、私どもこれにつきましては内諾を与えた案件でございますので、引き受けを行っていく考えでございます。
  54. 和田教美

    ○和田教美君 まず、一般の財政問題について二、三大蔵大臣の見解を聞きたいと思います。  今回の平成年度補正予算案では、大幅な税収の落ち込みを補てんするために建設国債を限度いっぱいまで一兆三千八百七十億円増発しております。我が国の財政は平成年度特例公債から脱却した後、次の財政再建の目標として公債依存度を当面五カ年程度で五%以下の水準にするというふうになっていたはずであります。大蔵省が毎年作成する財政の中期展望においても、建設公債発行額を毎年度四千五百億円ずつ機械的に均等減額して、平成年度には五%を下回る水準になるという姿が示されております。  ところが、平成年度補正予算において建設公債を限度いっぱいまで増発することによって、公債依存度は当初の七・六%から補正後では九・五%となっております。平成年度予算編成でも恐らく大幅な歳入不足のため建設公債の増発は必至だと見られております。したがって、現在の経済状況から見て、五年程度の中期的目標として公債依存度を五%以下にするというのはもはやほとんど不可能ではないかというふうに考えます。  大蔵省としても中期展望の見直しを考えているようですけれども、具体的には公債依存度の五%という目標を引き上げるのか、あるいは五年程度という期間の延長を考えるのか、この辺の点について大蔵大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  55. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) ただいま御指摘がございましたように、今度の補正予算でも目いっぱいの建設公債を発行するということ、また平成年度におきましても、私どもとしましては基本的には歳出を抑制する、そのための対策を今これから予算編成期に当たって講じていかなければならないというふうに考えております。ただ、実際にそういったものをすべてやった中にあってもどうしても依存しなければならないということがありますけれども、いずれにしましても、私たちは基本的には特例公債というものは出さない、二度と出さないんだという基本に立ってやっていかなければいけないというふうに思っております。  しかし、そういう中に、今申し上げましたように建設公債等につきましては発行しなければならないという状況にありますけれども、今お話しのございました中期的なものについて、もう五%というのはあきらめてこれを引き上げるのかという御指摘でございましたけれども、しかしこの新目標というものは今まだ私たちは考えておらないということを申し上げておきたいと思います。
  56. 和田教美

    ○和田教美君 変更をね。
  57. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) はい、変更はしたくないということであります。
  58. 和田教美

    ○和田教美君 政府・自民党の中で国際貢献税という構想が急浮上しておると伝えられております。これは自民党の三役が大蔵省に申し入れたということで、この国際貢献税というのは、言ってみれば湾岸戦争支援のときに実施した法人臨時特別税だとかあるいは石油臨時特別税に相当する新税を設ける、あるいはまたそれにたばこ税の増税、酒税の中のビールヘの課税の強化というふうなものを含めて大体一兆三千億円ぐらい財源を確保するという考え方のようであります。  まあいろいろと自民党の中にも議論があるようでございますけれども、大蔵省としては、大蔵大臣としては基本的にこの国際貢献税という構想についてはどういう態度で臨まれるのか、どういう対応をするのか、お聞かせ願いたいと思います。
  59. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 御指摘の国際貢献のための財源を新たな税に求めたらどうだろうかという話、これは私どもも事務当局が党の三役と話したときにこれを受けたという報告を受けとめておるところであります。ただ、内容等について細かいことは実は私どもまだ伺っておりません。ただ、ことしも補正で二兆八千億ぐらい減収するという現状がありますし、また明年度平成四年におきましても、税収がこれを土台にしていくわけでありますからその趨勢としてはどうしても税収が減るであろう、要するに見込みというのは厳しいものであろうというふうに私たちは考えなければならぬということだろうと思っております。  しかし、宮澤総理も、生活大国ということと同時に、今日ここまで来た日本の国が、国際的な役割の分担というものをしていかなければいけないということでございます。そういうことからいきましたときに、私ども平成年度予算を仕組もうとしますときに、いろんなものを縮減していくわけでありますけれども、なかなかこの分野について、例えば我が国のODAというものを一つの例としますと、これを縮減するといったって実際にこれはなかなかできないということでありましょう。また、今御質疑がありましたように、国際的な要請というものが非常に高まってきておるということで、新たな分野というものも生まれてくるということが世上も実は言われておるというのが現状であろうと思っております。  そういう中で、この厳しい財政状況に対応するためには何らかの方法を考えなければいけないんじゃなかろうかという中で、今税調の中でもいろいろと御議論いただいておりますけれども、また違った次元でこういうことを考えてくださっておるということであろうというふうに思っております。私どもとしても、辛い厳しい作業というものに対して私たちはどういう方法があるのか、これから党と十分に議論していかなければいけないと思っております。  いずれにしましても、私どもとしては、そういう御意見があるということを尊重といいますか大切にしながら対応していきたいというふうに思っております。
  60. 和田教美

    ○和田教美君 国際貢献のために相当な金を出さなきゃいかぬというのは、これはまあほとんど異論のないところだと思うんです。問題は、どういうやり方をするかということだと思うんです。いろいろ問題があると思うんですけれども、まず第一に、こういう目的税的なもので、毎年とにかく、やれ国際貢献だとか来年は地球環境のための環境税も必要だというような議論も出ておるようです。そうすると、また来年は環境税というふうな一つの枠をつくる、そうして新しい基金をつくる、国際貢献資金というふうなものを枠としてとってしまうというふうなやり方をしていると、結果的にそれが財政の硬直化あるいは財政の膨張というものにつながっていく危険性も十分あり得ると思うんです。  それと、第一に考えなければいけないのは、国際貢献という場合には国際情勢、緊張緩和というふうな新しい国際情勢の激変という状況を踏まえなければいけないと思うので、私は、防衛費は減らす、それがまず前提であって、そういう前提のもとに歳出のスクラップ・アンド・ビルドがあって、そしてこういう新しい目的のために重点的に使っていくどいうふうな構造でなければこれはいけないというふうに思うんです。そういうふうな点について十分慎重にひとつ御検討いただきたいと思います。  次にもう一つ。大蔵大臣、この間、三日の大蔵委員会で、消費税三%の問題について、私の在任中に三%の税率を引き上げることは絶対にないとは言えない立場を理解してほしいというふうな趣旨のことを答弁されたということから、マスコミではいろいろ、これはいよいよ政府は三%の税率を引き上げるんではないかというふうな報道がなされております。私は、あのときの委員会を開いておりまして、大蔵大臣考え方は必ずしもそうではないというふうに理解をしたんですけれども、そういうふうな観測なり憶測がいろいろ出ておるということも事実であって、それを完全に打ち消すためにも、この際、在任中は三%の引き上げをしないと明確にひとつ発言されたらどうかと思うんですが、いかがでございますか。
  61. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 御質問のございました財政事情が厳しい、そして厳しい中でいろんな時代の要請というものがある、こういったものに対して次から次と目的税みたいなことを考えるということは厳に慎むべきである、むしろ既定の経費、特に国際情勢が変わる中で防衛費ということの御指摘があったわけでございますけれども、いずれにいたしましても、私どもといたしましては今日まで歳出しておるもの、これの制度等につきましてもすべてやっぱり洗い直してみる必要があろうということ、これがまず基本であろうと思っております。当然、防衛費なんかにつきましてもそういったものの対象になってくることであろうと思っております。  ただ、御案内のとおり、防衛費といいましても、例えば今度の人勧によって隊員の皆さん方の給与が上がるとか、あるいは住宅なんかも相当厳しい中で生活されておるということで、こういったものの営繕ですとか、そういうことの経費というのが非常に大きい。それと、当然増といいますか契約してあるもの、これの支払いなんかが占めておるというふうなことで、なかなか実はカットしていくというのは非常に難しいわけでありますけれども、しかし国際情勢がこういう変化があるということでありますから、当然そういったものについて率直な話し合いというものがこれからされていかなければならないであろうというふうに思っております。  いずれにいたしましても、新しい税をただ求めるということよりは、まず既定のものについてもう一度見直していくということ、これが大切であるということを私ども肝に銘じていかなければいけないと思っております。  それから消費税について、今先生の方からも、あのときの感じはそんなあれじゃなかったけどなというお話であったんですけれども、今のように、私もやっぱり一票によって立場を得ている人間でありますから、もう自分はなるべく難しいこと言わずに済ましていってしまう、これはいいんですけれども、ただ私が一番あれしますことは、こういったことをしゃくし定規に言うというのは見識としてどうなのかということなんです。  ですから、私が今考えていることは、いずれにしましても、この十月に議員立法によって決定された現状というものを定着をさせていくといいますか、そういう中で国民の皆さん方の御理解をいただいていくということが一番重要なんであっで、今三%の税率を上げるとかなんとかということを考えることは、これはよくないなということを私も実は思っておるということであり、なるべくそういったことのないようにこれから努めていくことは当然なことであろうと思うんです。ただしゃくし定規に、私の在任中はとか、だれだれ内閣の間はと言うのは見識としていかがなものかな。と、一般論として申し上げておるということでございまして、少しあのときの説明も、丁寧に説明したために、一部分だけとると何かそんなふうに聞こえたんじゃなかろうかと思って、大変残念に思っておるところであります。
  62. 和田教美

    ○和田教美君 次に、議題になっております日本開発銀行法の一部改正案の関連ですけれども、大蔵省は財政投融資計画を今年度大幅に上積みする、年内に一兆七千五百四十一億円を追加配分するということを発表しました。自民党や経済界から景気刺激への財政支出ということを要請される、しかし金がない、そこで財政投融資でとにかくこれを活用するという、こういう苦肉の策だというふうに報道されておるわけです。  私も、年内最大と言われる財政投融資の追加配分の計画表を大蔵省から取り寄せまして検討しましたけれども、確かに、日本開発銀行三千億円程度、それから日本輸出入銀行三千五百億円程度などなど、かなり思い切った追加になっておることは事実ですけれども一つお聞きしたいのは、この中に、本来景気浮揚効果が一番あると言われておる公共事業関係、道路あるいは住宅、下水道、そういったものはゼロです。そうすると、これは景気対策ではないと大蔵省は言っているそうですけれども、一般には景気対策だと言われておる。そういう観点から見ると、必ずしも即効性のある配分の仕方ではないんではないかと思うんですけれども、そういう公共事業関係はゼロだということは一体どういうことなのか、その辺のところをひとつ御説明を願いたいと思います。
  63. 寺村信行

    政府委員(寺村信行君) ただいまの御指摘のとおり、本年、年内の財投の追加は一兆七千五百億円でございます。主として日本開発銀行あるいは国民金融公庫等の政策金融機関への資金需要に的確に対応することによりまして、内需を中心とした経済の持続的な成長に資することを期待している、このように御説明を申し上げているところでございますが、公共事業関係だけでございますと、実は災害復旧の関連で地方公共団体などにも災害復旧事業の裏負担の起債でいくものがございまして、一兆七千五百億のうち三千五百億円ぐらいは、今まだ計数は精査中でございますが、一応予定されているところでございます。  ただ、公共事業の実施機関に対します財投は、当初計画におきまして、公共投資基本計画の趣旨に沿いまして社会資本の着実な整備を図るという観点から、対前年度比で九・六%という大幅な伸びを確保いたしているところでございまして、各機関の資金需要に対しましては十分な手当てを当初計画段階において図っているところでございます。現在の人手不足の問題や用地確保の困難性等を考慮いたしますと、災害復旧等を除きますと財政投融資計画追加を行うような状況にはなっていない、こういう認識でございます。
  64. 和田教美

    ○和田教美君 もう時間もなくなりましたから開発銀行法の一部改正について一つだけ御質問いたしたいんですけれども、開発銀行に対する資金需要が非常に旺盛だということをさっきも大臣おっしゃったわけでございますけれども、一体どういう分野、どういうプロジェクトが非常に旺盛なのか、その主な点をちょっとかいつまんでおっしゃっていただきたい。  それから、さっきもちょっと出ておりましたけれども、BIS規制、これの基準の達成のために民間金融機関が貸し渋っておるから、だから開発銀行が少し出ていくんだというふうなことを言われておるわけですけれども、しかし、私もちょっと調べてみると、開発銀行の今度の融資枠の拡大というものの中には、地方の開発プロジェクトなどについてかなり細かいものにまで出ていくというものも含まれておるようで、下手をすると民間の金融機関を圧迫することがないかどうか。基本的には開発銀行というのはあくまで民間の補完でございますから、その辺はどうなのかということ。それからもう一つ、日本輸出入銀行についてはこういう法律の改正を必要としないのか。つまり、与信限度内に日本輸出入銀行の場合には今度の追加を加えてもおさまるということなのか、その辺のところをひとつ御説明を願いたいと思います。
  65. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) このたび開発銀行法の改正をお願いしておりますのは、最近における開発銀行に対する資金需要の増大に対応するためということでございます。  それで、具体的に現在想定しておりますのは、電力とか都市開発とか情報通信、そのような分野におきまして資金需要が当初計画見込みを大幅に上回るものと見込んでおる次第でございます。  次に、民間との関係、殊に地方関係につきましてのお尋ねでございますが、これは物の考え方といたしましては、開発銀行法の第二十二条にございますが、「金融機関との競争禁止」、「日本開発銀行は、第一条に掲げる目的にかんがみ、その業務の運営により、銀行その他の金融機関と競争してはならない。」、こういう精神規定がございますが、具体的にはいろいろ個別のプロジェクトにつきまして融資比率を設け、また民間の金融機関とも協調融資を組んで融資を実行しておるわけでございます。今後とも民間との協調関係については十分配意しなければならないと考えております。  次に、輸出入銀行の方はどうかということでございますが、日本輸出入銀行法にも第十八条の三として同様の規定がございます。ただ、倍率につきましては、現在借り入れ等の限度については自己資本の十倍、したがいまして貸付保証等の限度については自己資本の十一倍とされておるわけでございますが、まだ限度額に余裕がございますので、引き上げをお願いするということがなくても特に支障はないと考えております。
  66. 和田教美

    ○和田教美君 まだ質問ありますけれども、終わります。     ―――――――――――――
  67. 竹山裕

    委員長竹山裕君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま久保亘君が委員を辞任され、その補欠として森暢子君が選任されました。     ―――――――――――――
  68. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 今の銀行局長の答弁で、資金需要の分野、電力、都市開発、情報通信という答弁がありましたけれども、その各分野の比率はどれくらいなのか、そして融資規模の拡大を図るというんですが、具体的にその融資先ほどのように決まっておるのか、まずお答えいただきたい。
  69. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) このたび改正をお願いしておりますのは、最前も申し上げましたように、開発銀行法に対しまして殊に電力その他につきまして当初計画を大幅に上回る資金需要が見込まれるということでお願いをしているわけでございますが、追加的な貸付枠につきましては現在その把握に努めているところでございます。できるだけ多くの資金需要を吸収した上で判断したいと考えておりまして、金額の確定にはなお時間を要しますが、少なくとも三千億円程度は積み上がるものと見込んでおります。現在のところ、なおその内訳その他につきまして数字をもって申し上げるような作業の段階には至っておりませんが、現状少なくとも三千億程度は積み上がるものといたしますと、現行法によって対応できる枠内を突破いたしますので、開発銀行について予信限度倍率の拡大が必要ということでお願いをしておるわけでございます。
  70. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 大枠の各分野への融資の比率もまだ決まっていない、また具体的な融資先並びに金額も決まっていないと。これいつごろ決まるんですか。
  71. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) ただいま民間銀行との協調融資その他の関係を含め積み上げ作業を急いでおるところでございます。極力急ぎまして、できれば年内にもということでこの総枠の積み上げ作業を急ぎたいと考えております。
  72. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私も事前に具体的な中身を聞いたんですが、わからないということなんです。  今、年内という話もありましたけれども大臣、もう十二月の夫なんです。これはあれでしょう、先ほどの趣旨説明では、平成年度において資金需要が多くて、上回ると。あと三カ月で年度終わっちゃうんです。この段階でこの程度のことだというと、果たして当委員会として、こんな資金需要が果たしてあるのかどうなのか判断しょうがないんです。御承知のとおり、開銀の扱う資金というのは、これは資金運用部資金ですから、国民の金です。この金融機関は、金融機関の性格と同時に、あわせて国民の金をどう配分するかというんだから、財政的機能です、そういう性格を持っていますよね。  となりますと、委員長、当委員会としては財政機能に対するチェックなんですから、中身も決まっていない、しかももう年度末が近づいておっても具体的なことが言えないとなりますと、果たしてこの法案、審議に適しているんだろうかと思うんですが、どうなんですか。もうちょっと具体的に、少なくともさっき言った三つの分野の比率ぐらい、おおよそこれぐらいだとわかれば、いやもっとこういう分野があるんじゃないかとか、開銀の目的としては生活基盤にも融資をするという新たな改正もあるわけですから、となれば、もっとこの分野が多くていいんじゃないか、あるいはこの分野は多過ぎるとか、こういったことは当委員会の私は責務だと思うんです。そこが全然明らかにならないまま、ただなるはずだと、こんなので審議できますか。引き延ばすつもりはないんだけれども、どうですか。
  73. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 確かに、御指摘のお気持ちというのは私どもわかるわけですけれども、いずれにしましても補正予算をどうしても、例えば人勧によるものを年内支給しなければいけないとか、こういう一つの今度補正予算を出さなければならない必然性というものはどうしてもあるものですから。  しかし、その問どういうものがあるのかということを今懸命になって精査しているところでございまして、ただ私どもとしてはやっぱり相当なものがあるであろうという感触は得ておるという中でこういったものがつくられているということをひとつ御理解いただきたいと思います。
  74. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 大臣なり銀行局長はあるであろうと言うんですが、我々あるんだかないんだか、あるであろうというところを信用して審議せよというのは、私はやっぱり最高機関であり、財政民主主義のもとで財政機能に対するチェック機能を持っている当委員会に対する法案としては早過ぎるんじゃないか、まだ熟していないんじゃないか。補正予算、今この時期に出しておかないと機会を失しちゃうと言うかもしれませんけれども、それからでもいいんじゃないかなというように思うし、我々、具体的な中身が明らかになれば、じゃこれはもうちょっとこういうぐあいに資金を回すべきじゃないかということを議論した上で賛否を、まあもともと反対なんですけれども、賛否をこれは決めるという――いや、ほかの方々は賛成なさるようだけれども、私はまだそういう判断の材料が示されないまま今ここで採決に入ろうとしているのは極めて遺憾であるということを申し上げて、委員長もし御見解があれば。
  75. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) 作業が補正予算提出の時期に間に合っておらないということで、その点は事柄の性質上、作業のタイミングから見まして年末近くまでかかります点は御容赦いただきたいと思うのでございますが、一つだけ申し上げますと、今度のこの法律の改正をお願いすることによって、例えば、先ほど少なくとも三千億程度と申しましたが、三千億程度の追加融資を可能にするようにお願いしたいということではございません。これは立法技術的な問題でございますけれども、この倍率を一倍ふやしますことによりまして、現在自己資本、大体八千八、九百億ほどございますから、枠内で融資を可能にする金額というのはその同額、すなわち八千八、九百億円広がるということでございます。  その中でどのような計画を組むかということは、これは当初予算の場合には事業計画を参考資料としてお出ししております。ただ、補正予算の場合には、これは開発銀行の補正予算の組み方といたしまして、収支予算弾力条項とか経費間の流用、予備費の使用、そのようなもののいずれの措置によってもカバーし切れないような予想外の事態が発生した場合には補正予算をお願いする、そうでない場合にはお願いいたさないということでございますので、今回は補正予算の中で開発銀行というものを直接お願いするようなことはいたしておりません。  ただ、当初の予算に添付いたしました事業計画の枠内でははまらず、かつそれが少なくとも三千億程度はあり、それを実行しようとすれば現在の法律で定めるところの限度を超えるということでございますので、やはり、補正予算と同じような一体の、緊急性のあるものとして御審議をお願いしている次第でございます。
  76. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 限度を超えると言うけれども、我々それを判断する資料は示されていないということだけ申し上げて、次は剰余金の問題です。  これは臨時特例措置としてということです。これ、昭和五十一年にもこの議論をしたときに、私はもともとそういうような二分の一繰り入れ制度があるんだから、これはやっぱりこの制度の趣旨からいってもきちっと返すことが大前提ではないか。そうしないと、これは国債に対する国民の信頼を失うんだということを言いましたら、当時の大平大蔵大臣は、いや、近藤さんの言うことはもっとも、そのとおりなんだと。ただ、一回限りの、今回限りのことなんで、何とか理屈は理屈として認めてほしい、こう答弁、アーウー言いながら言ったんです。  ところが、その後余ったときが大分あるんですが、そのうち臨時特例措置をとったのが六回、通常、法律どおり返したのが八回、五十五年以降見てみましたら半々です。こんなの臨時特例措置と言えるんだろうか。半々だったら両方ですよ、どっちが本物がわからなくなっちゃう。ということは、この制度そのもの、もう二分の一繰り入れ制度そのもの政府みずから堂々と破っているんじゃないか、もう半分やっているんだから。ということは、私は国民の国債に対する信頼を失うんじゃないか、こう思うんですが、見解を承って質問を終わります。
  77. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 大平元総理の御発言を引用されてのお話でございまして、私どもは今度の場合には一回だけということではなくて、臨時異例措置であるという実はあれをとっておるわけでございますけれども、もう既にお話がございましたような事情の中で、どうしても私どもとしては縮減するものはした、あるいは建設公債についても非常に累増している、残高が多い中にありましても、できるものについてやった。そういう中でまだ必要であるということで、臨時異例措置としてやらせていただくということでございまして、その点について御理解をいただきたいというふうにお願いします。
  78. 池田治

    ○池田治君 私は、農業共済保険特別会計繰り入れについて、村田議員に続きまして若干補足の質問をしたいと思います。  台風十九号は全国的に被害をもたらしまして、その被害者救済が必要であることは申すまでもありません。特に、私は愛媛県というミカンの産地でございまして、これも大々的な被害を受けましたので、ぜひ特別会計繰り入れをしてミカン農家を救済していただきたい、かように感じておりますが、若干繰り入れと繰り戻しには保険制度上の問題があろうかと思いますのでお尋ねをする次第です。  まず、過去の例をちょっと見ますと、五十一年度には農業勘定果樹勘定一般会計から繰り入れがあります。そして積立金繰り入れ農業勘定になされております。五十四年度には果樹勘定、五十五年度には農業勘定果樹勘定、そして農業勘定には積立金繰り入れもございます。五十六年度には農業勘定果樹勘定繰り入れ。五十八年度には農業勘定、六十三年度には農業勘定平成年度果樹勘定農業勘定園芸施設勘定、こういうものに繰り入れられていると思いますが、このうち繰り戻しかできたものはどれどれか、繰り戻しかなされてないのはどういうものがあるか、これをお教え願いたい。
  79. 川合淳二

    政府委員川合淳二君) 農業共済の各勘定におきまして、幾度か一般会計よりの繰り入れを受けているわけでございます。  今お話しのように、農業勘定につきましては、農業勘定自体昭和二十二年から事業を行っております非常に長い歴史のある勘定でございますけれども繰り入れの回数は十五回に及んでおります。総額で申しますと三千百五十九億という額を繰り入れていただいておりますが、その後のこの勘定経営におきまして、繰り戻しを行い、現在の残高といたしましては一般会計からの繰り入れ残高はないという状況になっております。  それから、果樹勘定につきましては、先ほど来お話がございますように、何度かの繰り入れをいただいておりまして、総額二百七十七億六千二百万が繰り入れられておりますが、非常に残念なことでございますが、これが初期の段階に毒なっているということもございまして、最近健全の基調に立ち至っているとは思いますが、いまだ繰り戻しがなされないままで推移してきているという状況でございます。
  80. 池田治

    ○池田治君 果樹勘定につきまして、繰り戻しかできてないのは何年度繰り入れ分がなされてないんですか。
  81. 川合淳二

    政府委員川合淳二君) ただいまお話し申し上げましたように、今回繰り入れをいただくようにお題いしていますのを除きますと、初期、この果樹勘定、先ほど申しましたように四十八年でございますが、それから十年ぐらいの一番最初の段階繰り入れられておりまして、この分がすべてまだ繰り戻されていない、そういう状況になっております。
  82. 池田治

    ○池田治君 そうしたら、ほとんど繰り戻しはできてないということじゃないですか、四十八年の初期のが返ってないということになりますと。
  83. 川合淳二

    政府委員川合淳二君) ただいまお話し申し上げておりますように、この果樹勘定におきます繰り入れにつきましては、残念ながらまだ繰り戻しということが行われておらないわけでございます。
  84. 池田治

    ○池田治君 そうしますと、今回の法律案にありますように、「決算上の剰余を生じた場合においてこ「再保険金支払基金勘定繰り入れるべき金額を控除して、なお残余があるときは、当該繰入金に相当する金額に達するまでの金額一般会計繰り入れること」ということですが、剰余金がいつまでたってもなければ、いつまでたったって払いっ放しということになってしまうわけですが、これでも保険制度としての機能を持つとお考えでしょうか。
  85. 川合淳二

    政府委員川合淳二君) 先ほど来申し上げておりますように、果樹共済につきましては昭和四十八年から本格実施にあるわけでございます。こうした制度の宿命と申しますか、制度が成熟していない時期におきましては、どうしても赤字が累積するという傾向がございます。特に果樹につきましては、四十八年の発足以降、連年にわたりまして台風などによります異常な災害が発生したということで、五十年代の半ばまで毎年収支に赤字計上したということでございます。  このため、私ども制度見直しを数度にわたり行っております。五十五年、それから六十年に大きな改正を行っているわけでございます。その結果、五十八年以降につきましては収支が好転しまして、昨年度までは剰余金を生むまでに至っていたわけでございます。したがいまして、五十八年以降は黒字基調になりつつあったというふうに私ども認識しているわけでございますけれども、今年度災害は一先生御指摘のように非常に大きな災害、異常な未曾有の災害でございまして、その結果、多額の支払い財源不足を生ずるという結果になったわけでございます一非常に初期の段階の累積が大きいわけでございまして、その負担は重いわけでございますが、そういうようなことで基調といたしましては黒字基調になりつつあるわけでございますので、私ども何とか努力をいたしまして、少しでも繰り戻しかできるというような状況にまで持っていきたいというふうに思っているところでございます。
  86. 池田治

    ○池田治君 黒字基調になれば結構な話でございますが、ここに積立金からの繰り入れというのがございますが、これは、積立金繰り入れをさせてなお足りない場合は一般会計からの繰り入れがなされると思うんです。ところが、五十四年、五十六年、五十八年、六十三年というのは、積立金からの繰り入れはゼロということでございますが、これはどういう理由でございますか。
  87. 川合淳二

    政府委員川合淳二君) 今お話し申し上げましたように、初期の段階赤字基調というようなこともございました関係で、積立金が積み上がらなかったということが主たる原因でございます。
  88. 池田治

    ○池田治君 初期の段階といいましても、四十八年から六十三年度といえば十数年たっているわけですから、初期の段階赤字が累積したというだけでは解決できない問題だと思います。  そこで、私考えますのに、掛金でもって一定の金額をプールして、自然災害があったときには危険を分散して救済するというのがもともとの保険制度なんです。掛金でためたものを返すというのが原理なんですよ。そうでなくて、一般会計からどんどん入れなきゃいけない、なかなか繰り戻しも思うようにできない、こういうことは、保険制度そのものが健全な運営がなされていないと思うんです。それはいかがですか、大蔵大臣はどう考えますか、
  89. 川合淳二

    政府委員川合淳二君) この制度保険事故は、御承知のように自然災害であるわけでございます。したがいまして、通常の保険のように単年度で収支を償うというわけにはいかない性格のものでございますので、私どもこうした保険設計をいたしますときには、二十年間という長期にわたります収支を保険設計の土台にしているわけでございます。したがいまして、民間ではなかなかこうした形の保険というものは実施できないわけでございますので、半分にも及びます国庫の負担を掛金にいただきましてこの制度を運営をしているということでございまして、長期に収支を償っていくというそういう設計ででき上がっている制度でございます。
  90. 池田治

    ○池田治君 長期というのはわかりますけれども、四十八年からことしまでではもう十八、九年になるじゃないですか。二十年間を基礎とすれば、二十年間はあと一、二年です。そんなのんびりしておれませんよ。  そこで考えますのに、私は、一般会計から次々に繰り入れなくちゃならないような保険制度なち、これを抜本的に見直す必要があると思っております。どうせ国家が面倒を見るということならば、もう保険への繰入金はやめて、補助金にでもしたらどうですか、私はそう思いますが、大臣ばとう思われますか。
  91. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 今、農水省の川合局長の方からもお話があったわけでございますけれども果樹共済については、五十五年とそれから六十年、二度の改正があったという中で、今健全化しつつあるということであって、ことしの場合にはこういう異常な状況があったということがあるんだと思います。  ただ問題は、果樹共済の場合に、加入率は二二・どのくらいでしたか、加入率がまだ非常に低いという点があるわけです。そういったことで、今日までも共済に入っていただくということを果樹農家の皆さんにも呼びかけておるわけでありますけれども、やはり保険というのは、今御指摘のとおり、保険料によって賄われていくというのが本来なんでございましょう。ただ、農業のような自然というものが相手なものであるということ、こういった中で特別な一般会計からの補てんというものが行われてきたわけでありますけれども、しかし、いずれにしましても、やっぱり会員の数というものがふえるということが基本でございましょうから、そういった点の努力もさらにしていかなければいけないのではなかろうかというふうに思っております。
  92. 池田治

    ○池田治君 まだいろいろ言いたいことはございますけれども、時間でございますので終わります。
  93. 三治重信

    ○三治重信君 私は、財投関係の収支がどうなっているかということをお尋ねしようと思っておるわけなんです。資料をいただいたので、この資料によって大体の了解のところを説明して、そして財投というものをどういうふうに今後運用されていくかをお聞きしたいと思っております。  まず、財投資金の方で、資金運用部資金が圧倒的に多い。七八%ほどあって、これは恒常的な原資が得られる。ところが、あとの一番増加しているのは、簡保資金が六十二年には一二・七%なのが一六・九%。簡保資金だけはえらいずっとふえている。そこで最後の調整策が政府保証債ということになっておるんですが、この政府保証債というものについて、財投原資の中でどういうふうに位置づけておられるのか。政府保証債というのは減らしたいのか、あるいは一定の金額はやっていっても、民間資金を利用するに非常に弾力的に運用できるんだからいいというふうに考えられるか、それが一つ。  それから、使う方ですが、これはやはり初めの方では余り変化がないような数字になっております。それで、一番ふえたところは資金運用事業、これは六十二年に新設されたそうですが、六十二年は、初めは低かったから二一・四%ですが、現在では二〇・九%、こういうふうになっておるんです。そしてこの財投計画の中で、支出の方だと、資金運用事業というのは、資金運用部資金の拠出者に対するサービスというんですか、自主運用を期待しておられると思うんですが、これは将来ともまだ増加をさせていかれるのか、限度はどの辺なのか。その二つをお聞きしたいと思います。
  94. 寺村信行

    政府委員(寺村信行君) まず、政府保証債についてのお尋ねでございますが、これは、過去、時系列に見ましても、財投全体の原資のいろいろ変遷ございます。その中でどう位置づけていくかということで、そのときどきの事情によってかなり変動いたしております。ただ、基本的には政府保証債の市場をある程度維持するためにはある一定額はやはり発行する必要がある。ただし、その他の資金でそのときどきの事情によってどの程度必要かというのはその他各年度状況に応じて判断をしていく、こういうことでございます。  それから、資金運用事業についてのお尋ねでございます。資金運用事業、例えば郵便貯金の金融自由化対策資金でございますが、これは金融自由化に適切に対応した健全な郵便貯金事業の経営の確保に資するために六十二年度から設置されたものでございまして、資金運用のためのファンドでございまして、金融商品への運用を行うことによって金融自由化に対して郵便貯金事業が適切に対応できるような、そういう資金を設けたということでございます。  それから年金につきましては、年金の給付に要する費用の財源を確保いたしまして、厚生年金保険事業及び国民年金事業の財政基盤の強化に資するために設立されたものでございまして、やはりこれも資金運用のためのファンドでございます。金融商品への運用を行うことにより利回りの向上を目的として、いずれ将来の年金財源補てんする、こういう目的で設立されたものでございます。  今後の資金運用事業の枠の問題につきましては、これはやはり財政投融資の原資の事情、それから財政投融資に対します資金需要、そういうものを総合勘案して毎年適正な水準に定めていく必要はあるのではないかと考えております。
  95. 三治重信

    ○三治重信君 それから、この日本開発銀行法の改正にも関連して、日本開発銀行が融資を非常にふやすということになっています。ところが、中身を見ると、一般の産業投資、今度の追加は電力とか、都市開発も公共事業は公共事業みたいなものですが、情報なんかは産業投資ということになるわけなんですが、どうも開発銀行が融資の対象として公共事業関係にだんだん重点が移っていくような気がするのですが、それと元来の公共事業の実施機関への財投の金との関係はどういうふうに見ておられますか。元来の公共事業の実施機関へ財投の金を出していくのと日本開発銀行がだんだん公共事業の関係へ金を出していかれるのと、その調整はできているのですか。
  96. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) 開発銀行はいわゆる政府系の金融機関として政策金融を実施しております。その対象は、要するに民間の企業体でございます。ただいま御指摘のように、そのときどきの政策課題に対応するという建前でございますが、近年、一言で申せばインフラ関連と申しますか、国民生活の基盤となる社会資本整備を最重点分野として取り組んできておりまして、例えばこれは平成年度の当初の計画でございますが、この出融資合計を一〇〇%といたしますと、その中で生活・都市基盤整備、基幹交通整備社会資本整備促進というような、いわばインフラ関連のものを三項目集計いたしますと三七・四%という非常に大きな比重を占めておるということでございます。なお、近年の融資実績の伸び方を見ましても、その伸びている部分の中の非常に多くの部分をこのインフラ関連が占めております。  これと公共事業系統の財投との仕切りの問題は、例えば公共事業の方は道路公団とか首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国公団というような公共法人は政府の財政投融資の対象であり、それから民間の企業体は開発銀行の融資対象であるということで整理をしておるつもりでございます、
  97. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 以上で三案に対する質疑は終局いたしました。  これより三案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  98. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、平成年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案及び日本開発銀行法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  平成年度剰余金特例法案は、健全財政の立場から、決算剰余金が生じた場合、翌々年度までに、その二分の一以上を国債の減額のために充てなければならないという財政法規定特例を設け、その全額を今年度補正予算財源に充てようというものであります。  しかし、特例公債の発行は行われなくなったとはいえ、残高百六十八兆円に上る国債は我が国財政を大きく圧迫しており、早期に脱却しないと利払い等国債費が今後の財政を一層縛ることになります。また、政府は公務員の給与改善や災害対策のためにやむを得ないと言っていますが、それらのための財源不足した最大の原因は、税収が当初の見込みどおり上がらないということにあります。その点でまず、政府みずからがバブルをあおってきたこと、そしてその破綻を見通せなかったことが問われるべきであります。また、災害が当然予想されたにもかかわらず、当初予算予備費の大半を湾岸戦費のために先取りし、わずかしか予備費計上しなかったことや追加支出したことも問われなければなりません。  次に、日本開発銀行法の一部改正案についてであります。今回の三千億円の開銀への財投資金の追加内容について、政府は雷カベ都市開発、情報通信などの分野を挙げていますが、主な事例として挙げられているのは、東京湾岸の開発、横浜のみなとみらいなど大企業中心のビッグプロジェクトであります。今、企業大国から生活大国へと日本経済を根本的に転換することが求められているとき、開銀の融資内容もこの課題に沿って大きく切りかえられなければなりません。また、開銀の与信限度は開銀の融資規模が過大にならないように制約をかけているものであり、景気拡大等のために融資規模を大幅拡大し、その結果与信限度を突破することや、限度そのものを拡大することなどは問題であります。  以上、二法に対する私の反対討論といたします。
  99. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより順次三案の採決に入ります。  まず、平成年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  100. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  101. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、農業共済保険特別会計における農作物共済果樹共済及び園芸施設共済に係る再保険金支払財源不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  102. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十分散会      ―――――・―――――