○
武部(勤)
委員 私は、そこが
自民党の濶達ないいところだ、こう思うのです。すなわち、
自民党が今日まで長らく政権を
国民の信頼を得て維持してきたというのは、
国民の多様なそういう意見を体して、我々が党の
政策、党を中心に、しかし
国民一人一人の
民意を左から右まで吸収してその体現の努力をしてきたからだ、こう思うのです。
この
政治改革大綱、私も
選挙区制のことを除いて賛成しているのです。これは党議決定、党議決定とおっしゃいますけれども、三十七ページのうち小
選挙区制については二ページしかつづっておりません。しかし、その二ページの問題だけでもこれだけ大きな論議があるわけであります。しかも、これは
総理というよりも総裁という立場でお聞きいただきたいと思いますけれども、先般の総務会の論議の状況を見ましても、私は、今回論議を尽くして、そして最終的には党議に服しますよということを
選挙制度調査会でも申し上げました。しかし、今度は少し無理をして出されたのではないか。私は、断固小
選挙区制
反対と言っているのではないのです。論議を尽くして党内の合意が得られるならば、とりわけこれは野党の皆さん方との協議も必要でありましょうし、そういうことを踏まえて出すのがやはり一つの
政治的な責任ではないか、かように思うわけであります。このことは私の意見として指摘だけしておきたいと思います。
それから、きょうの新聞に「廃案なら
辞任の腹」という見出しで、
自民党本
部長、また本
部長代理の記事が出ているのです。私は、伊東先生も後藤田先生も非常にすばらしい方だ、人格、識見ともにすばらしい方だと深く敬意を表しているのでありますが、ただ、この
質問に当たりまして多少勉強し、新聞の記事等を読んだときに愕然としました。その一部を読んでみます。これは日経新聞の一九八九年八月十三日の佐々木毅さんと内田満さんの対談の中で、「小
選挙区軸に改革論議」という中で後藤田先生がインタビューに答えているところがあるのです。ちょっと読みます。「私の
選挙区では、自民三人、
社会、公明各一人ですが、私は
社会党や公明党を攻撃したり悪口を言ったことがない。言っても票が増えないからです。攻撃は全部
同士打ち。同じ党ですから
政策論争にはなりません。ふだんのサービス合戦になる。これにカネがかかる」。大先生たる後藤田先生が何ということを言っておるのか。
私の北海道五区は、
自民党四人、
社会党一名です。前は
社会三、自民二だったのです。それが四人が切磋琢磨して、そしてお互い努力をして、皆我々の同僚は
自民党の
政策を訴えています。そして
選挙では
社会党や共産党や各党の防衛
政策あるいは経済
政策等々を断固批判して、そして支持を得て出てきているのですね。私は、後藤田先生のこの新聞に書いてあることが事実だとするならば本当にこれは情けない。これは
制度の問題じゃなくして
政治家の資質の問題です。やるべきことをやらないで、みずからの姿勢を正さないですぐ
制度、仕組みを
改正すれば
政治はよくなる、それは
国民に対して非常に失礼な考えだ、こう思います。
次に、私は、先ほど来お話がありましたけれども、
自民党が今日これだけの勢力を得て努力しているというのは、党を中心に、党の
政策を中心に、しかし党より人という要素で出てきている。私は、
総理、不快に思うかもしれませんが、
総理のところにも五十八年の
選挙に出るときごあいさつに参りました。党公認の問題についても御支援をお願いいたしました。私は、手前みそでありますけれども、道
会議員四期をやり、そして広報
委員長、幹事長代理と道連の役職を務めて、
自民党の広報
活動をよくしなくちゃいけないということで株式会社自由広報センターというのを資本金三百万でつくって、これは今非常に立派に機能しているのです。それから毎週土曜日は土曜キャンペーンとして、大みそかの日も一回も休まず一時間広報
活動をやりました。演説をやりました。しかし、道連は私のその
活動を認めているから公認申請しましたけれども、残念ながら党は公認を与えてくれなかったという、こういう問題があるのです。何も
自分のことを棚に上げて言うわけじゃありませんが、やはり党改革とか
国会改革、これをきちっとやって、
国会が挙げて、また我々
政治家がみんなして
政治改革に努力しているという実を上げて、そしてこの
選挙制度の問題は、まずやはり
国民の合意を得なくちゃいけないんじゃないですか。そういう必要性を痛感するのであります。例えば
国会改革、この間の論議を見ても、全然
質問のない大臣がここにいなければならない、そういったことから改めるべきだ、こう思うのです。
さような意味で、これはもう少しじっくり、しかも現職の
国会議員だけじゃありません。区割りの問題一つとっても大きな問題がある。ある
選挙区は、これは野党の皆さん方に
関係ないかもしれないけれども、党の中で
議論して、これは総裁としてお聞きいただきたいのですが、どういうふうにして区割りをするのか。ある
選挙区の私の
先輩は、年が一つでも上だったら外へ行く、当選回数が一回でも上だったら国がえだ。当選回数は同じだから、年齢がわずか二つしか違わない我々の
先輩が
自分の県からさえ出られない、全く国がえの国がえ。大阪へ行くかどこへ行くか。こういう不合理なことをやっちゃいけないと思うのですね。やるとしても、よほどそういう方々の気持ちを納得をしていただいてやるべきだと思うのです。それには少しく拙速過ぎる。私のことを、
武部君はいいじゃないか、君は総論
反対、各論賛成だろう。そんなことでこの大事な議員の身分にかかわる問題を簡単に片づけてはいけないわけであります。私はこのことを指摘しておきたいと思います。
そこで最後に、これは
質問として申し上げます。
もう
選挙区では非常に動揺が起こっております。
後援会は大変です。特に私の北海道五区は広いから大変なんですよ。少し十勝へ行く日が少なくなれば、おれたちを見捨てたのか、そういう話がもうたくさん出てくる。その逆もあります。したがって、私は、これは
委員長にも申し上げたいと思いますが、ここに至って、この問題をもっと
国民の合意を得ながら、そしてこれをぜひ実現させようというふうな考え方に立つならば、この際一度振り出しに戻すべきだ。これは積極的に廃案にして、継続というお話がありましたが、継続が大変なんです。継続ということはこのままの形でなるなと思うから、無用な混乱が各
選挙区で起こるのです。ですからこの際、簡単に言いますと廃案ということになるが、廃案というそういう言葉は私は使いたくない。一度これだけの
議論をしたということはこれは決して悪いことではありません。非常に大事なことでありますし、
政治改革や
選挙制度について大きな関心を与えたわけでありますから、国連平和協力法のときもこれは一たん廃案になった。あのときに私どもはえらい衝撃を受けましたよ。しかし、今PKO
法案という非常に前向きな法律を出しているわけでありますから、この際は
政治的な御判断のもとに出直しを図ってはいかがかということを私はお伺いしたいと思います。
総理のこの
法案に対する取り扱いについて御決意を聞かせてください。