運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1991-10-01 第121回国会 衆議院 国際平和協力等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十月一日(火曜日)     午前十時三十分開議 出席委員   委員長 林  義郎君    理事 柿澤 弘治君 理事 田原  隆君    理事 谷垣 禎一君 理事 中川 昭一君    理事 船田  元君 理事 石橋 大吉君    理事 上原 康助君 理事 串原 義直君    理事 山田 英介君       逢沢 一郎君    今津  寛君       上草 義輝君    小澤  潔君       大石 正光君    岡田 克也君       高村 正彦君    鴻池 祥肇君       斉藤斗志二君    園田 博之君       武部  勤君    中谷  元君       福田 康夫君    増子 輝彦君       町村 信孝君    松浦  昭君       光武  顕君    宮下 創平君       村井  仁君    伊東 秀子君       上田 卓三君    上田  哲君       緒方 克陽君    沖田 正人君       川崎 寛治君    五島 正規君       田口 健二君    山中 邦紀君       吉田 正雄君    東  祥三君       遠藤 乙彦君    山口那津男君       渡部 一郎君    東中 光雄君       古堅 実吉君    柳田  稔君       和田 一仁君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         内閣総理大臣  海部 俊樹君         外 務 大 臣 中山 太郎君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)坂本三十次君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 池田 行彦君  出席政府委員         内閣審議官         兼内閣総理大臣         官房参事官   野村 一成君         内閣法制局長官 工藤 敦夫君         内閣法制局第一         部長      大森 政輔君         内閣法制局第二         部長      秋山  收君         防衛庁長官官房         長       日吉  章君         防衛庁防衛局長 畠山  蕃君         防衛庁人事局長 坪井 龍文君         防衛庁経理局長 村田 直昭君         外務省経済協力         局長      川上 隆朗君         外務省条約局長 柳井 俊二君         外務省国際連合         局長      丹波  實君         海上保安庁次長 小和田 統君  委員外出席者         国際平和協力等         に関する特別委         員会調査室長  石田 俊昭君     ————————————— 委員の異動 十月一日  辞任         補欠選任   和田 一仁君     柳田  稔君 同日  辞任         補欠選任   柳田  稔君     和田 一仁君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際連合平和維持活動等に対する協力に関する  法律案内閣提出第五号)  国際緊急援助隊派遣に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第六号)      ————◇—————
  2. 林義郎

    ○林委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案及び国際緊急援助隊派遣に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。町村信孝君。
  3. 町村信孝

    町村委員 町村信孝でございます。  きょうは若干のお時間をいただきまして、ただいま議題になりました通称PKO法案につきまして幾つか質問をさせていただきたいと思いますが、その前に、きょうの新聞を見ると、総理の「重大な決意」ということで大変世上騒然としているところでございますが、本法案とは直接関係ございませんが、現在の総理の心境というかお考えをちょっと一言伺いたいと存じます。
  4. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 御承知のように、海部内閣政治改革を進めるということを重大な、最も重大な政策課題としてスタートをした内閣でありました。私はそういった意味で不退転の決意で取り組んでまいりました。今具体に御指摘になったことは、昨日その法案の取り扱いについてのあのような姿を見て、私は政治改革をさらに前進させていくために重大な決意を持って取り組んでいくと申しました。今後とも政治改革の火を消さないで政治改革を進めていきたいと、強い決意のあらわれでございます。
  5. 町村信孝

    町村委員 これ以上は、もうあえて伺いません。  さて、法案のことですけれども、大分この法案の細かい内容については議論が行われているところでありますから、私は、このPKOの背景にあります国際連合の現状とか問題点とか、そうしたことについて若干の質問をさせていただきたいと思うのですが、実に国連全体がうまく機能しなければこのPKOも有効に機能しないであろう、そういうことから、法案とは少し離れますが、広い意味国連の姿についての質問をさせていただきたいと思います。  今さら教科書的なことを言うつもりもございませんが、現在の国際連合は一九四五年十月に五十一カ国の批准により発足をした。要するに、戦前国際連盟の失敗を繰り返さないようにということで、実は戦時中からアメリカやらソ連やらイギリスやらが中心となって構想が練られていた、こんなふうに記憶をしております。残念ながら国際連盟はうまく機能しなかった。非常に高い理想を掲げたけれども、残念なことに、当初からアメリカソ連参加をしなかったとか、日本ドイツイタリアが中途で脱退をしたとか、全会一致主義で何の意思決定もできなかったとか、加盟国拘束力がなかった、いろいろな課題があり、その反省の上に立って現在の国連があるのだろうと思いますけれども、こうした戦前国際連盟との対比で、現在の国際連合特色というのが一体どこにあるのか、大変に中学か高校の教科書のようなことを聞いて申しわけないのですが、その違い、国連特色というものをちょっと伺いたいと存じます。
  6. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 御指摘国際連盟は、第一次世界大戦後に、平和の維持並びに通商、労働その他の分野での国際協力の達成を目標として設立された国際機関でありました。国際の平和を維持するという大きな目標を掲げて任務としてはおりましたが、結局、加盟国からの委託を受けて、戦争が生じそうな事態が発生したとき、その解決に努力をする、公正かつ適当と認められる勧告を含む報告書を作成する権限を持っておりましたけれども決定的なことは、国際連盟設立当初からアメリカソ連の二大国参加していなかったということと、国際連盟拘束力のある決定を行う権限を有していなかったということであります。これは教科書的な御返事で申しわけありませんが。  続いて、今日の国際連合について申しますと、やはり基本的には国際連盟と同様に国際の平和と安全の維持を主たる任務としておりますけれども国際連合においては、その機能権限国際連盟に比べて大幅に強化されており、また米ソ両国も当然参加をしております。  一番大きな違いは、憲章の第七章において、平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に対して加盟国が共同で対処するための行動が定められ、安全保障理事会が必要に応じて加盟国に対し拘束力を有する措置をとることができることになっている、この点が国際連盟と今日の国際連合の一番大きな相違点ではなかろうか、こう思います。
  7. 町村信孝

    町村委員 私も、今総理が言われました、国連の本質とも言っていいと思いますが、その一つは、今の第七章のいわゆる国連軍に関する規定、軍事的な強制措置規定があるということ、さらにその裏打ちとして憲章の二十五条に、「国際連合加盟国は、安全保障理事会決定をこの憲章に従って受諾し且つ履行することに同意する。」ということで、各国を拘束するという点にあるんだろうというふうに思うわけであります。  ところで、自衛隊国連軍派遣をするという問題、これについては既にいろいろな議論国会でもなされておりますし、また答弁も行われておりますから、それを一々繰り返すつもりもございませんが、一番典型的な答弁というのは、昭和五十五年十月二十八日の衆議院における稲葉議員質問主意書に対する答弁書というのが一つの典型なんだろうと思います。要するに、なかなか目的とか任務が違うから「参加の可否を一律に論ずることはできないが、当該「国連軍」の目的任務武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないと考えている。」こういう答弁があるわけでございます。  私は、これに入る前に、実は先日、昭和二十一年に憲法制定国会において私どもの大先輩がいろいろな議論を真剣にされておられるその姿をちょっと勉強する機会がございました。大変有意義であり、かつ充実した議論が行われていたということに私は深く感銘を受けたわけでございまして、若干引用をさせていただきたいと思います。  例えば昭和二十一年六月二十六日、日本社会党鈴木義男議員、この方が衆議院の本会議において既に国連による平和の維持ということを、もちろん憲法もまだですし国連加盟はまだその役なんですが、既にその昭和二十一年の段階で社会党鈴木義男議員がこれに触れておられるわけですね。ちょっと部分的に読ましていただきますけれども、「将来幸ひに国際連合等加入を認められまする場合に、国際連合安全保障を求め得られるであらうと云ふことを期待致すのであります」云々と、こうなっておりまして、なお、大変興味深いのでちょっとその後も読ましていただきますが、「殊に永世局外中立と云ふものは前世紀の存在でありまして、今日の国際社会に之を持ち出すのはアナクロニズムであります。今日は世界各国団結の力に依って安全保障の途を得る外ないことは世界の常識であります。……我々は、消極的孤立中立政策等を考ふべきでなくして、飽くまでも積極的平和機構への参加政策を執るべき」であります。こういう、今聞いても非常に前向きのそういう質問がございます。  また、同じ六月二十八日、衆議院会議日本共産党野坂参議員が述べておられることも大変私は関心を呼んだんですけれども、「戦争一般抛棄と云うことが憲法原案には書かれてありますが、戦争には我々の者へでは二つの性質の戦争がある。」一つは正しくない不正の戦争であり、もう一つは正しい戦争である。この憲法の草案は戦争一般を放棄したという形で書いてあるけれども、「我々は之を侵略戦争抛棄、斯うするのがもっと的確ではないかこ「日本国は総ての平和愛好諸国と緊密に協力し、民主主義的国際平和機構参加しこ云々、こういうことで、共産党野坂参議員も、積極的にこの国際平和機構に参画をする、国連参加をしていこうということを述べておられる。ちなみに、日本共産党はこの憲法原案に当時は反対をしておられたという特色があるわけでございます。  それからもう一つは、同じく昭和二十一年八月二十七日衆議院会議における南原繁教授、後に東大の総長になられまして、当時の吉田総理から曲学阿世の徒である、こういう罵倒を受けた方でありますが、この南原先生が大変すばらしいことを言っておられます。「国際聯合に於きまする兵力の組織は、特別の独立の組織があると云ふことでなしに、各加盟国がそれぞれ之を提供すると云ふ義務を帯びて居るのであります。土地に御尋ね致したいのは、将来日本が此の国際聯合加入を許される場合に、果して斯かる権利義務をも抛棄されると云ふ御意思であるのか、斯くの如く致しましては、日本は永久に唯他国の好意と信義に委ねて生き延びむとする所の東洋的な諦め、諦念主義に陥る危険はないのか、寧ろ進んで人類の自由と正義を擁護するが為に、互に血と汗の犠牲を払ふことに依って、相共に携へて世界恒久平和を確立すると云ふ積極的理想は卸て其の意義を失はれるのではないかと云ふことを憂ふるのであります。」  こういうようなことで、昭和二十一年という日本が大混乱にある戦後間もなくの時期、そしてこの憲法をどうやって制定をするかという内容を審議しているときに、既に国際連合のこの国連軍というものを念頭に置きながらの議論が展開をされていたというところに私は大変な実は感銘を受けました。我々の大先輩は、要するに集団、今の言葉で言えば集団的安全保障必要性というのを真剣に論じ合っているということでございます。  私は、すぐ近い将来に国連軍ができるとも思いませんし、また確かにまだ国連軍というのは現実のものとなっておりませんからして、余り詰めた議論をするのは難しいわけでございますが、しかし、私は、日本国連に積極的に参加をしている、かつ、憲法前文にあるように、国際的に「名誉ある地位を占めたいと思ふ。」という決意の表明もあり、かつこれから日本はでき得れば安保常任理事国にもなりたい、そういう気持ちを持っているのであれば、私は今までのような、まだ現実のものとなっていないとか、非常に、端的に言えば逃げたような答弁だけでこれから国連の中で世界の平和をつくるために重要な役割日本が担うことができるだろうか、もっと真剣に考えなければならないし、どっちかというと、逃げの答弁をこれからも繰り返していたんでは、なかなか私は世界に貢献する国家日本ということにはならないんではないだろうか、こんなふうに思うわけでありまして、その憲章第七章の国連軍自衛隊参加することについて、従前の憲法解釈を変更するとか、あるいは私は、その憲法前文憲法九十八条すなわち条約の誠実な遵守という項目からこの国連軍自衛隊参加するということの解釈というものも十分成り立つのではないだろうか、こんな考えさえ持っておりますけれども、その点についてのお考えを伺いたいと存じます。
  8. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 憲法制定当時の速記録等についていろいろお述べになったような御意見を、私も読ませてもらったり、あるいはそのほかの立場に立って国連中心主義あるいは国際協調主義とは何であるかということについてもいろいろ研究検討もしたこともございました。     〔委員長退席柿澤委員長代理着席〕  きょう今日、日本が戦後の四十五年を振り返ってみて、一時期、片隅の幸福を追求する国家として、人に迷惑をかけないで、自分の国だけ額に汗をして働いて一生懸命生活内容を充実させていきたい、追いつこう、追い越そうというような国民的合意のもとに駆け抜けてきた時期も確かにございました。けれども平和国家として国際協調社会の中で生きていこうとするためには、それだけではいけないということは御指摘のとおりであります。したがって、私どもはあらゆる分野国際協調国際協力をするとともに、片隅国家ではなくて、小ぢんまりと自分の国だけにつじつまを合わせていけばいいということではなくて、やはり世界の中における日本役割、そしてそれをどのように分担していくか、いろいろな議論研究しながら、今、日本の許される限度の中でなし得ることは何かということをいろいろ考えながら、きょうこうして国連平和維持活動参加するための準備の法律国会にお願いしておるところでございます。  国連が、今いろいろとお示しになったような、国連自体もまだ第七章に基づくいろいろな組織は固定化されておりませんし、いまだかつてできたこともありませんし、いろいろな悩みや問題を抱えておることも御承知のとおりと思います。しかしながら、そういったことと同時に、発足以来きょうまで四十五年の間に、憲章には具体的には載っていなかったけれども各国寄り集まり、いろいろな積み重ねや努力や体験の中から、やはり紛争を未然に防止するとか、あるいは紛争が再び起こらないように平和を維持していくとか、いろいろな必要に応じて体験的に生み出されてきたのが平和維持活動であったと考えておりますから、これがいわゆる第六章半の部隊とか第六章半の行動と言われるゆえんであると思います。     〔柿澤委員長代理退席委員長着席〕  私は、そこに入り込むということは、これは日本としても当然でき得る範囲の協力でありますから、積極的に参加をしていかなければならない、こう考えてこの法律をお願いしておるところであります。  国連の将来、そういったものについては、今世界冷戦構造発想も乗り越えたところであります。日本もしかるべきときに国連安全保障理事会の選挙に立候補して非常任理事国に当選したいという意思も持っております。きょうまで参加してきたこともございました。そういった一連の活動を通じて国連組織をもっと強化し、そして、すべての人々がこうなったらいいなと思ったようなすばらしい国連権限強化というか組織の充実というものに日本もいろんな面で協力をしていくべきだと考えております。  いろいろなことは、今いろいろな立場において研究検討が進められておると承知しております。
  9. 町村信孝

    町村委員 今総理が述べられたことに全く私は異議はございませんが、いろいろな検討の中で、確かにその今の国連軍についていまだ具体的になっていないのも事実でございますが、法律解釈その他も含めてさまざまな検討のそのうちに、私はこの国連軍に対する日本参加協力の仕方ということについてもひとつ積極的な御検討をいただきたい、このことを申し上げておきます。  今ちょうど国連総会、第四十六回ですか、開催中でございまして、つい先般も外務大臣、忙しい日程を差し繰って御出席をされました。成田から真っすぐこの委員会に駆けつけられた姿も私拝見をいたしまして、いや外務大臣というのは体が幾つあっても足りないもんだな、その割にはと言っては失礼だけれども大臣は非常に額の色つやも鮮やかでいらっしゃるしお元気なので、いつも敬服をしているところでございますけれども、今この国連総会、新しくバルト三国、南北朝鮮半島の二カ国が参加をしたりと、いろんな意味で注目を浴びておりますし、また、イラクの不当な侵略に対して国連が的確な決議等を累次行ったという意味国連というものが今脚光を浴びている、こんなふうに私も理解をいたしております。  確かにこれまでは、冷戦構造のもとですから、大国拒否権ということで機能しない面も随分あったと思います。私は、こういう国際機関というものを日本としてどういうふうにとらえたらいいのかな、ややもすると、例えば私も小さいころ学校で国連というものを教科書で習って、こんなにすばらしいものがあるのかという何か理想的なイメージを小さいころは描いておりましたが、だんだんその実態を知るに従って、大したことないなと、こんなふうに思ったりもいたしました。余り過大な期待を持ち過ぎることもよくないでしょう。特に、この間イラクの問題について非常に的確に行動ができたというのは、ちょうどソ連ががたがたときてアメリカのいわば一極支配みたいな形になったという非常に特殊な恵まれた状況であったからこそうまく機能ができたので、ああいう特殊な恵まれた環境がこれから五年も十年も続くなどということは保証の限りではないと私思いますから、そういう意味で、余り過大な期待楽観主義を持ってはいけないと思います。  他方、あんまり大したことないわといってほっぽらかしにしておいたりあるいは関心を払わなかったりということもまたよくないのだろうというふうにやはり思いますから、国連機能し得るようにその活性化を図るという努力、あるいはむしろ日本立場国連あるいはその他の国際機関をうまく利用していく、活用していくというような発想国際機関と接し、臨んでいく必要があるのではないのかな、こんなふうに思うわけです。  日本外交を見たときに、外交青書その他必ず、国連中心外交日本外交の柱である、こういうふうにいつも述べてこられたわけですが、本当に国連中心主義だったのかな。まあスローガン、お題目としてはよくわかるのですけれども、その実態、例えば日本からどれだけの人員を投入しているかとか、あるいは予算の面で、確かに日本は大きく協力はしておりますが、本当に十分だったのだろうかとか、あるいは実際の具体的な問題について日本が積極的に十分取り組んできたのだろうか、こんなようなことを考えると、本当の意味国連中心主義を貫いてきたと言えるのかどうなのかというような感じも率直に言っていたします。  その点の評価につきまして、外務大臣から御見解があれば承りたいと存じます。
  10. 中山太郎

    中山国務大臣 国連は、率直に申し上げて、第二次世界大戦が終了したときに、この戦争参加した戦勝国といいますか、それらの国々が、再び多くの人たちが戦禍によって生命を失うことがないという、新しい理想世界を求めてつくり上げたのが私は国連であったと思います。それは国連憲章前文にその大きな理想が書かれていると思います。また、我々が国家安全保障のために結んでいるいわゆる日米安全保障規定にも国連に関するものがそこに明文化されているということで、安全保障の面でも、日本国家というものは国連とのかかわりというものは極めて明確に日米安全保障条約に書かれていると思います。  そして私どもは、この国連というものの機能が、設立されて以来、当初は機能したのでしょうけれども、その後の米ソ対決によって、拒否権というものを安保理事会常任理事国がその権利を行使するということで、国連全体が一致して理想を追うということができなかった。それが、この米ソ対決が終わる、こういう中で、安全保障理事会常任理事国拒否権を発動しないで国連の総意のもとで国際紛争を解決するという方向が出始めてきたということは、昨年の湾岸戦争を契機に非常に特筆すべき事態が起こってきたと思っております。  そういう意味では国連というものがこれからさらに強化をされていくべきでございますが、問題は、四十五年前につくられたこの戦争終了時の当時の国連加盟国というものと、今日百六十六になった国連加盟国との間には、百カ国近い多くの新加入国が実は出現しているわけでありまして、また、世界全体もこの四十五年間に大きな変化をいたしたと思います。経済力の面から見れば、戦敗国であった日本ドイツ、イタリーというものもこれは経済力を復興してきた、こういう中で、現在の国連憲章というものが設立当時のままで存在していることに我々は大きな異議を唱えているわけであります。  こういう新しい二十一世紀に向かっての国連機能強化していくというためには、この憲章自体を改正することがどうしても必要である、またその中のいわゆる常任理事国の数もこれからはふやしていく必要がございましょうし、あるいはまた、新しい世界のために必要なものをここへ詰め込んでいくということが大切だろうと思います。そういう意味で、この国連憲章に掲げている旧敵国条項、こういったものもまさに歴史的な遺物であると、私はさきの国連総会でも、昨年の総会に引き続き今回も主張をしてまいりました。今回の総会では、イタリアデミケリス外相も同様の趣旨を総会演説で述べております。  こういったようなことで、私は、国連というものは新しい機能のために新しい組織を充実することは必要であると思いますと同時に、国連総会というものに集まっている外務大臣国連の場を利用して、いろいろな国の外務大臣がそこで各国外相とその国との関係の協議を行う国際外交の舞台であるということで、私は、ここで非常に大きなそういう別の意味での、国連総会というものは世界外交を展開する重大な場所である、またその重大な時期であると考えておる次第でございます。
  11. 町村信孝

    町村委員 今、国連憲章改正のお話が外務大臣からも出されました。私も、四十五年たっているんだからいろいろな意味実態とそぐわない点もある、あるいは先ほど総理答弁されたように、PKOという、確かに規定にはないけれども総会決議によって現実にそういう機能、効果を発揮しているものもある、全部憲章に書かなければならぬとは思いませんが、しかし、そういうことも憲章上の位置づけがあってもいいんだろうかな、こんなふうにも思っております。  したがいまして、確かにこの国連憲章の改正は、憲章百八条ですか、三分の二以上の国が賛成をし、かつ五常任理事国を含む全加盟国の三分の二で批准ですか、なかなかこれは手続の面で厳しいものがあるだろうと思いますし、それから、日本立場からすれば今の旧敵国条項とかあるいは常任理事国の追加ということが出るのでしょうが、これまた急激にふえた発展途上国の立場からすると、また我々が想像もできないようないろいろな要求があるとも伺っておりますから、確かにパンドラの箱をあけるようにもう大混乱になるんじゃないか、だから余り手をつけない方がいいんじゃないかという議論もあるようですが、私は、この憲章の改正の問題というのを国連のしかるべき機関で積極的に取り上げるように日本としても働きかけをしていく必要があるのではないだろうか、そんな感じがいたしております。  さっき大臣述べられましたように、非常に幅広い分野活動がある。確かに安保理は拒否権があったりなんかして機能しない面もたくさんありました。それから、経済面で見ると、むしろ国連の機関よりはガットとかIMFとか世銀、第二世銀等々の専門の国際機関機能していて、余り経済の面で国連機能していたとは私は思いませんし、余りそういう機能が二重三重になってもややこしいですから、国連はそういう分野からは少し手を引いていった方がいいんじゃないだろうか、こんな感じもいたします。  他方、人権問題とか、例えば麻薬の問題とか、環境の問題とか、あるいは婦人の問題でありますとか、こういう問題で、私は、国連は長い目で見ればそれなりの評価を上げてきたのだろう、分野によって成果を上げ得た分野、上げ得なかった分野もあると思います。その辺の評価についても伺いたいと思います。  それから、私もかつて役人をやっておりましたときに国連会議にいろいろ出たりもいたしましたが、まあその能率の悪いこと、ペーパーの多いこと、この人たちが一番熱帯雨林を使い尽くしているのではないかと思うほど膨大なペーパーが出てくるわけですね。きのうも同僚の議員から翻訳がないという、先般もありましたが、あの膨大なものを全部翻訳したらば、今度また日本がそれと同じ分だけ紙を使わなければなりませんから、これは大変なことになるだろう。信じられない量のぺーパーワークが国連の中では行われております。  また私も、これは一昨年十月でしたが、ちょうど文部省の政務次官を拝命しておりましたときに、政府代表ということでユネスコ総会にも参加をさしてもらいました。その場に行って驚いたのですけれども、私の前にキューバの代表が立っておりまして、持ち時間三十分のところを約一時間、延々と反米演説をやるわけですね。ユネスコの議論とは何の関係もない反米演説を延々とやるとか、こんな非常にばかばかしい運営をやっていたり、あるいは物すごいスタッフがいて、かつそれらがかなりのいい給料であるといったような問題、そういう実態を見て、国連の財政問題あるいは行政機構の改革、そんなようなことも憲章の改正と同時にやはり日本としては提起をしなきゃならないのかなと思いました。  今から五、六年前、たしか当時の安倍大臣が、さすがに立派な外務大臣でございまして、ワイズマングループをつくってそういう国連の機構その他の見直しをやるべきであるという提言をされ、実際にワイズマングループができ、提言も出された、こんなふうにも聞いておりますが、そうした国連活性化、改革のためにいろいろやるべきことがあると思いますので、担当の国連局長さんで結構ですが、国連改革のポイントとでもいいましょうか、あるいは将来やるべきことはどんなポイントがあるとお考えになるのか伺いたいし、特にPKO国連事務総長の統括のもとに入る、こういうことですから、事務総長というのも大変重要な仕事だろうと思います、でき得べくんば将来日本から国連事務総長が出ればいいな、こうも思っておりますが、事務総長の権限強化といったようなことで何かうまい方法があるかどうか、そんなあたりも、ちょっと幅の広い質問になってしまいましたが、お聞かせ願いたいと思います。
  12. 丹波實

    ○丹波政府委員 お答え申し上げます。  先生がおっしゃった国連におきますところの行財政面での浪費あるいはその放漫財政と申しますか、そういう問題が非常に深刻な問題であることは、御指摘のとおりだと思います。それから、ユネスコにつきましても、ユネスコの財政が非常に放漫であるということ、それからその政治化、政治の場にしてしまうという、その二つの理由でアメリカとイギリスがユネスコから脱退していることは御承知のとおりだと思うのです。  日本役割という観点から申し上げますと、まず過去に、一九八五年に、まさに当時の安倍外務大臣の提唱によりまして、国連本部におきます行財政面の改革ということで賢人会議の設置ということを提案いたしまして、それがもとになって一定の行財政の改革が行われたということは先生御指摘のとおりです。  それからもう一つ、現在、ユネスコの改革ということで日本提案が国際社会の中で話題になっております。ユネスコの行財政面における特に浪費ということをなくするためにどうするかということで、日本中心になってユネスコに改革の提案をいたしております。これは、まさにことしの秋の総会その他で推進すべく、関係各国と毎日のように協議を行っているのが今日の状態でございます。  それから、もう一つお触れになられた事務総長の権限強化、先ほど先生、連盟との違いということを御議論されましたけれども、実は国際連盟国際連合のもう一つの違いは、事務総長というものを非常に重視しているというのが国際連合でございまして、私たちとしては、事務総長の権限を何とかもう少し強化できないかということで、これは日本のみならず国連加盟国が取り組んできた課題でございまして、国連安全保障面におきます課題は、現在日本でもこういうぐあいに議論されていますPKOと申しますのは、戦争があるいは紛争が終わった後の処理をどうするかというのがPKOの局面だといたしますと、もう一つは、紛争をそもそも未然に防止するために国連として何かできないか、そういう観点から事務総長の権限強化できないかというのが二つ目の問題でありまして、これとの絡みで一九八八年に紛争予防宣言というのが総会で採択されております。  この宣言というものをもう少し具体化できないかということで、ことしの総会日本も共同提案国になりまして決議案を提案しようとしておりますのが、事務総長を中心といたします国際連合の事実調査の宣言ということで、ファクトファインディングと申しますか、煙が出てきたときにその煙のところに調査を送ってその煙の原因は何かということを早期に事実調査するという宣言をことしの総会にかけようとしております。そのフォローアップといたしまして、日本といたしましては、それでは具体的にそういう紛争を予防するシステムとしてどういうものがあり得るかという検討をしようじゃないかという提案を実は国連にいたしておりまして、この点は先般の外務大臣の演説でも触れておりますけれども、そういう分野日本役割というものを今後とも探求してまいりたいというふうに考えてございます。
  13. 町村信孝

    町村委員 先般の国連総会大臣の演説も大変に好評であった、こんなふうにも聞いておりますし、また、来年からですか、日本の負担金、分担金の割合も名実ともに第二位ですか、比率が上がってなる、こんなようなことで、日本役割は特にまず資金面で大変大きい。また、人の面で言うと、国連を含めて国際機関にいる人の数が非常に少ないというのがかねてからの指摘であり、外務省も特別のセンターをつくったりなんかして努力はされておられるようですが、まだまだ不足ぎみである。こうした面での政府の一層の努力もお願いをしたいし、また、大臣が先般の演説で言われました、今局長の方からも答弁のあった紛争の未然防止とか、あるいは兵器の移転についてその制限を図るとか、あと、大臣のお話ではPKOへの協力等々いろいろ有意義なお話があったというふうに報道などで聞いております。  その後、いろいろな各国大臣ともお話し合いが行われたと思いますけれども、今言った大臣の演説に対する反応なり、あるいは、特に日本PKOの今ここで審議をしている状態を諸外国も知っていると思いますが、国連総会の中で各国大臣と会われて、その辺について何か反応があったかどうか、御記憶にある部分で結構ですから、外務大臣の所見を伺いたいと思います。
  14. 中山太郎

    中山国務大臣 国連におきまして、まずデクエヤル事務総長にお目にかかって表敬の際に、事務総長から、日本ではPKO法案が審議されている、国連PKOがますます人も必要になってくるし資金も必要になってくる、これについてぜひ日本協力をしてもらいたい、こういう強い要請がございました。  また、カンボジア和平というものが当面大きな問題でございます。これも、十月三十一日にパリで和平会議の署名が行われるということが内定しておりましたが、これも早まるような情勢になってまいりました。こういうふうな情勢の中で、シアヌーク殿下にもお目にかかった際に、ぜひひとつ日本から協力をしてもらいたい、SNCがプノンペンに設立されたときにはぜひひとつ日本PKO協力も求めたい、また経済的な協力も求めたいという要望がございましたし、現政権のフン・セン首相も日本協力を求めておられた。  こういったようなことで、国際連合全体として、事務総長の意見は、PKOがますます重要になってくるし必要になってくる、こういう強い御意思を聞いてまいりました。
  15. 町村信孝

    町村委員 それでは、最後に一点だけこの法案内容について伺いたいと思いますけれども、私は、この法案全体には賛成ですが、一点だけ、どうも個人的にはどんなものかなと思っているところがあります。それは第七条の「国会に対する報告」というところでございます。  これはあくまで私の個人的な見解で、党の見解とはもちろん違うのですけれども、私は、実施計画の決定、変更、業務の終了そして期間の変更、こうしたものを先般来の総理その他の御答弁を聞いていてもかなり詳細に報告をされる、事前、事後に報告をされる、こういう御発言があったわけですけれども、そこまでされるのであれば、なぜ国会承認というものを事前、事後求めないのかな、こんなふうに実は考えるものでございます。私は特に特定の政党によかれと思って言っているわけじゃございませんで、これはどう考えても国会の承認マターではないだろうかな、要するにこれはシビリアンコントロールの最も典型的な姿なんだろう、こう思うわけでございますし、もともと、釈迦に説法ですが、やはり立法府と行政府のチェック・アンド・バランスというのがこういう形で行われているのは他にも幾らでも例があるわけでございます。  結局シビリアンコントロール、一義的には文民である内閣総理大臣により制服組、自衛隊をコントロールするということですが、もっと幅広いシビリアンコントロールを考えると、まさに国民によって選ばれた我々が直接、間接制服組の行動をコントロールするというのが本来的な幅広い意味でのシビリアンコントロールではないだろうか、私はかねてからこう思っているわけであります。  話は若干それますけれども、私は、国会の中で防衛の専門家であるところの制服組の人がなぜ答弁に立たないのかな、参考人でも何でもいいのですけれども。これは別に質問じゃないのですけれども、私の意見ですけれども、諸外国ではみんな防衛の専門家であるところの制服組の人が国会に立って堂々と発言をする。しかし、どうも日本では、何か制服組の人を国会に呼ぶこと自体が、軍国主義の復活だとは言わないまでもそんなニュアンスのことでそれを認めないということがある。これは私は非常におかしいのだろうというふうに思っておりまして、いずれ安保持、安全保障特別委員会も常任委員会になるという決定が近々国会でなされると思いますが、そういう折をつかまえまして、例えば統幕の議長でありますとか各幕僚長ぐらいは国会に来て発言を認める、許すということを、これは政府もお考えをいただきたいし、我々国会の方もそういうことについては前向きに考えていく必要があるんじゃないのかな。  いずれにいたしましても、国会承認ということになりますと、時間がかかるとか、あるいは余り外国にも例がない、こんなお話もあるのかもしれませんが、私は、そんなに一日二日を争って派遣をしなくては、決定しなくてはならぬという事態はそうやたらあるとも思いません。むしろ、例えばカンボジアの話にしても、将来仮にPKOに出ていくにしても相当事前の時間があるわけですね、考える時間、情報を収集する時間、要請があってからの時間。したがいまして、迅速性をたっとぶ必要があるから報告の方がいいとか、あるいは外国に例がないという話もあったけれども、しかしそれは外国は外国、日本日本でありますから、日本日本のシステムでいいんだろう、こんなふうにも思いますから、私は、なぜこの派遣について国会承認ではなくて報告の方が望ましいと判断をされたか、御見解を伺いたいと存じます。
  16. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 この法案第七条をめぐっての議員の御意見は、私としても御質問される趣旨はそれなりに理解をいたしますが、おっしゃることは国会のチェック機能というものをきちっとしておけ、シビリアンコントロールというものは国会の意見の反映であるということに焦点を置きますと、この法案自体を国会で枠組みをつくっていただいて機能を与えてもらうわけですから、その授権の範囲内において行政府は国連平和維持活動協力するための協力本部をつくり、いろいろな実施計画をつくるわけです。ですから、計画そのものにもうこの国会で与えられたかじと枠の範囲内でやっているという大きな枠組みがあるということも一つでありますし、それからもう一つは、国会に閣議決定をしました実施計画は遅滞なく報告をいたします。  なぜそうなのかとおっしゃいますが、それぐらい国会議論というものを大切に考えておる。そして、立法府から授権された範囲内で、授権の枠組みの中でこの計画は進めておりますよ、今やっておることもこの枠内でありますよということを絶えず遅滞なく議会に報告をし、議会で適切な御議論がいただけるものと思います。その検討を踏まえながら、それでもいろいろな御指摘のあるときは、シビリアンコントロールの立場に立ってその意見を十分反映しながら、あるいは計画変更の端緒にもしたいという、それぐらいの大事に受けとめるという考え方でこの七条はつくり上げられておるわけでありますから、国会のシビリアンコントロールとしてのチェック機能を尊重しておる建前の結果である、このようにお受けとめをいただきたいと思います。
  17. 町村信孝

    町村委員 そういうお考えも確かにあろうかと私は思いますけれども、しかし、国会意思を尊重しようということであるならば、それの一番典型的な姿は国会承認ということにかかわらしめることが一番素直な姿なのではないだろうかな、こんなふうにも思います。  いずれにいたしましても、私はこの国会PKO法案が本当は成立すればいいのだろうと思います。まあ難しいのかもしれませんが、できるだけ早い機会に、このPKO活動というものに日本が一刻も早く参加できるような状態をつくり上げることこそが今我が国に求められている一つの大きな国際貢献の要素である、このように考えておりますので、そのことだけを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  18. 林義郎

    ○林委員長 次に、岡田克也君。
  19. 岡田克也

    ○岡田(克)委員 本法案の質疑に先立ちまして、きょうで四日目にこの委員会はなると思いますが、この特別委員会に連日参加をさせていただいて、そして与野党の先輩の先生方の質疑を聞いておりましたその率直な感想をまず一言述べさせていただきたいと思うわけでございます。  本委員会で本法案憲法の問題ということが一つの焦点になっております。もちろん立法機関である国会法律を審議する際に、その元締めである憲法との関係について、その憲法の範囲内かどうかを慎重に議論をするということはこれは当然必要なことでありますから、十分たる審議をしていただきたい、こういう気持ちでございます。しかし、他方で、審議を聞いておりますと、どうも憲法との議論にやや偏りがあり過ぎるのではないかな、率直に申し上げてそういう気持ちがすることも事実であります。  本来最も重要なことは何かと言えば、憲法との関係、これももちろん重要でありますけれども、その前に議論としてあるべきは、この法案がどうして必要なのか、言葉をかえれば国連PKO活動に対して我が国が参加をすることが国家国民の見地から見て必要かどうかというその議論がまず第一義的にあるべきだと私は思うわけでございます。今、私の考えを細かく述べるつもりはございませんけれども、現下の国際情勢とそして我が国の置かれた立場というものを考えれば、私は国際連合中心とした国際平和活動のための努力に対して、お金と物だけではなくて人の面でも一歩進んで貢献をすべきことは当然である、こういう気持ちでいるわけでございます。  この点につきまして果たしてこの場での質疑をされた皆さんかどういう気持ちでおられるのかというのが、質疑をお伺いしている限りでははっきりしない部分があったのは大変残念なことでございます。まず国連PKO活動に対する我が国の参加という問題を一体どう考えるのかという根本論があって、その点について共通の認識がなければ、私は、憲法との関係とかその他いろいろな問題を議論したところで結局はそれはかみ合わない、本質的な意味での歩み寄りは見られない、こういう気がしてならないわけでございます。  もし我が国がPKO活動に積極的に参加すべきである、そういう共通の認識ができたのであれば、それじゃその上で、今の憲法でこれが許されるのかどうか、こういう議論をすべきだと私は思います。私はもちろん現行憲法上でこの法案が十分に枠内に入っている、こういうふうに確信をしておりますけれども、もし、そうじゃない、現行憲法上この法案がはみ出している、そういう御意見をお持ちの方がいらっしゃるのであれば、そしてなおかつ我が国が国連PKO活動参加することが必要である、そういうふうにお考えであれば、それはむしろ憲法を変える、そういう考えだってあっていいのかもしれません。私はそれが本筋の議論だと思うわけでございます。  要するに、ずっとこの議論を聞いておりましてどうもよくわからないのは、何か今の憲法というものが絶対的な存在としてまずあって、そしてその枠内で読めるのか読めないのかということが極めて技術的にあるいは法解釈的に議論されている、こういうふうに思われるわけでございます。私は戦後生まれの世代の一人でありますけれども、同世代の友人とこのPKO法案について、国会の質疑についていろいろ議論をしておりますと、どうも国会のやっていることはわからないな、こういう意見が多いわけであります。  本来、憲法というのは国民が制定したものであります。そして、そのときどきの時代的な変化に応じてもっと柔軟に、解釈もそして場合によっては法文そのものも変えていくべきものであると私は思います。間もなく戦後半世紀を経るわけでありますけれども、この間一字一句たりとも修正を加えずに五十年前の憲法をそのまま引きずっているということに私はむしろ奇妙な感じを抱くわけでございます。憲法改正を口にすると、それだけで、いや憲法は絶対であるとか、憲法改正を口にすることが何か反動的なような印象でとらえられるということは私にとって非常に残念でありまして、むしろそういう風潮こそが我が国の民主主義の根の浅さというものをあらわしているのではないか、そういう気がするわけでございます。憲法が不磨の大典である、神聖にして侵すべからず、これは戦前考え方であります。それはまさしく戦前の帝国憲法考え方であって、議会制民主主義の国においては、憲法のあり方について常に議論をする、それが本来の姿であると私は思うわけでございます。  これは憲法九条に限ったことではありません。いずれの条項であれ、もっと自由にこの国会の場でも議論できる、そういう雰囲気が私は欲しいと思うわけでありますし、先ほど戦後生まれの者に何がわかるかというお話もありますけれども、それであれば、我々は国民の負託を受けて国会議員として出てきているのでありますから、我々に黙れと言うのと同じであります。それが果たして民主主義と言えるのでありましょうか。また、そういう自由な議論をするという雰囲気の中で、初めて本来の意味での憲法を尊重する、そういう感覚が国民め間でももっと浸透していく、養われていくのではないか、こういう気が私はしているわけでございます。  そろそろ本論に入りたいと思います。  さて、今の憲法六十五条は「行政権は、内閣に属する。」こういうふうに明確に規定をしているわけでございます。そして、同じく憲法第七十三条は、具体的に、例えば法律の執行でありますとか国務の総理でありますとか外交関係の処理、こういった事柄を内閣権限として、職務として個別列挙をしているわけでございます。そして、その中で条約の締結に関しては第三号ただし書きによっていわば例外が置かれておりまして、国会の承認を必要とする、こういうふうに書かれているわけでございます。  すなわち、この憲法六十五条と七十三条を貫く考え方といいますのは、私の理解によれば、行政権というのは本来内閣権限である、そして法律の執行に当たっては本来国会の承認は必要がない、こういうことが大原則としてその思想としてある、私はそういうふうに思うわけでございます。本来、今の憲法で立法権限国会に、そして行政権限内閣にそれぞれ専属させているわけでありますけれども国会内閣役割を明確に区分してそれぞれの責任の所在を明確にしているというのがその基本的な考え方である、私はそう思うわけであります。  この観点からいいますと、本来内閣が責任を持つべき事柄についてむやみに国会の承認にかからしめるということは、国会内閣との間の責任関係を不明確にする、そういう大きな誤りを犯すことになるのではないかと私は思っております。こういう観点から、私は、本来行政権限に属することを国会の承認にかからしめることは極めて限定的に考えるのが筋ではないか、こういう立場に立つ者でございます。  そこで、具体的にお伺いをしたいと思いますけれども、現行法上で国会の承認を必要とする場合として、自衛隊法第七十六条の自衛隊の「防衛出動」のケース、それから同じ自衛隊法七十八条の「命令による治安出動」のケースが参考になると思うわけでありますけれども、その二つのケースはなぜ国会の承認を必要としているのか、御答弁をお願いしたいと思います。
  20. 池田行彦

    ○池田国務大臣 お答え申し上げます。  我が国の憲法下において立法府と行政府との関係というお話がございました。そういった観点と同時に、自衛隊行動につきましてはシビリアンコントロールの観点からの国会のかかわり合いという問題も出てくるわけでございます。  最初の問題につきましては、私の立場から御答弁を申し上げることは差し控えさせていただきますが、シビリアンコントロールの観点から申しますと、御承知のとおり自衛隊行動についてすべてを国会の承認にかかわらしめるということではございません。シビリアンコントロールの本質と申しますのは、軍事に対する政治の優先というものをいかに確保するかということでございまして、それを確保するためにいろいろな段階でのコントロールはございます。自衛隊の最高の指揮官でございます内閣総理大臣は文民でございますし、防衛庁長官もさようでございます。そういったもとでいろいろ動いているわけでございます。さらに、政府の中におきまして国防に関する重要事項につきましては安全保障会議の議を経るとかいうようなこともございますし、防衛庁内部の運びにおきましても、防衛庁長官がいろいろな決定等をやってまいります場合に、参事官制度というものがございまして、いわゆる内局のいろいろな補佐を受けながら行動していくわけでございます。  さて、そういうことでございますけれども、最終的なシビリアンコントロールの担保というのは、やはり立法府である国会の御判断を仰ぐということになっております。それはまず、法律であるとかあるいは予算というものを通しまして大枠についてその御判断を仰いでおるわけでございます。それからさらに、個別の問題につきましても、防衛出動あるいは命令による治安出動、ただいま委員から御指摘がございましたが、こういうものにつきましては、その事柄の重大性にかんがみまして、法律における一般的な枠組みだけではなくて、一つ一つのそういった決定を下しますときに国会の御判断、御承認を仰ぐこととしております。  そういったことになっております趣旨というものは、そもそもこの防衛出動を要する事態あるいは命令による治安出動をしなくちゃいけないという事態は我が国にとって極めて重大な事態でございます。そういうことと同時に、またそういう事態になりますと、国民の権利義務にいろいろな制約が加わるといったような関係が生じてまいります。そういったことで慎重を期しまして、行政府の判断、一般的な立法府からの授権のもとにおけるそういう行政府の判断に加えて、国権の最高機関である国会の御判断を求めるということにしておるものと、このように理解しておるところでございます。
  21. 岡田克也

    ○岡田(克)委員 ただいま長官から、一つは我が国にとって非常に重要である、そしてもう一つは、国民の権利義務に大きな影響を与える、その二つの観点から国会の承認にかからしめている、こういう御説明がございましたけれども、それではこの法案の場合には、そういった治安出動あるいは防衛出動の場合と比べて同じような状況にあるのかどうか、その点について御説明をお伺いしたいと思います。
  22. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  ただいま、防衛出動、治安出動との関連におきまして、この法案での枠組みについての御質問がございました。  PKOは、そもそも紛争当事者間の合意が成立しまして、紛争当事者がPKO活動に同意していることを前提に、中立・非強制の立場で、国連の権威と説得によって停戦確保等の任務を遂行するものでございまして、これに対して我が国が協力するというのが今回の法案の仕組みでございます。したがいまして、PKOへの協力につきましては、そもそも基本的な性格からいたしまして、先ほど防衛庁長官より答弁のございました防衛出動あるいは治安出動のごとき我が国にとっての重大な事態への対応ではないということ、また、国民の権利義務との関係におきましても直接関係する面はない、そういうふうに考えておる次第でございます。
  23. 岡田克也

    ○岡田(克)委員 ただいまの御説明、私もそのとおりだと思うわけであります。特に防衛出動や治安出動の場合には、我が国国民の権利義務に直接に影響を及ぼす、そういうところがあるわけでありますが、今回の法案の場合にはそこまでの国民の権利義務に対する影響はない、こういうことだと思います。  加えまして、私はもう一つ違いがあるように思うわけでありますが、それは、防衛出動とかあるいは命令による治安出動の場合には、いずれもその権限の発動に当たって内閣総理大臣にかなりの、幅で判断の余地というものを認めているのではないか、こういう気がするわけであります。  例えば七十六条の「防衛出動」の場合には、「外部からの武力攻撃」または「外部からの武力攻撃のおそれのある場合」に出動を命ずることができる、こういうふうになっております。このうちの「外部からの武力攻撃」というのは、ある程度これは認識として明確に認識できる、こういうことかもしれませんけれども、「外部からの武力攻撃のおそれのある場合」というのは、ある意味で抽象的な判断であります。高度な、政治的な判断ということもあるわけであります。そこに裁量、判断の余地がある、こういうふうにも思えるわけでございます。  同じく七十八条の場合には、一般の警察力をもってしては治安を維持できない、こういう場合に出動することになっておりまして、ここにも、果たして一般の警察力をもってしては治安が維持できるのかできないのかという一つの判断の余地があると思うわけでございます。  これに対して、今回の国際平和協力業務を我が国として実施する場合にありましては、これはもう既に何度も議論されていることでありますけれども、この法律上細かくその実施できる条件というものが書かれているわけであります。すなわち、国連総会または安保理での決議が必要であるとか、紛争当事国の合意が要るとか、あるいは中立性を確保しなければいけないとか、そういった具体的な条件が法律に書かれている、裁量の余地は極めて限定されている、こういうふうに思うわけでありますが、この点についての御認識をお伺いしたいと思います。
  24. 野村一成

    ○野村政府委員 今先生御指摘のとおり、基本的な枠組みといたしましては、国連との関係等、あるいは我が国のそれに対する国連との協力等の関係におきましてなすべき協力等につきまして、枠組みを設定しておるというふうに考えております。
  25. 岡田克也

    ○岡田(克)委員 次に、これは昨日も外務省の方で御答弁いただいたと思いますけれどもPKO活動参加する場合に、非常に緊急性を要する場合が多い、こういうお話でございました。この点につきまして再度、具体的な事例を挙げて詳細に御説明をいただきたいと思います。
  26. 丹波實

    ○丹波政府委員 お答え申し上げます。  このPKOは、紛争の解決の時期を失うことのないように、停戦が成立した後速やかに現地に展開することが必要とされる活動なわけでございます。それで、これまでのPKO活動は、御承知のとおり、安保理なり総会決議で成立して、それで国連事務局が各国派遣の要請をして展開するということでございますが、例えば一九五六年の十一月にできましたUNEFという部隊がございますけれども、この場合には、総会決議とその第一陣が到着するまでの間が九日、それから一九六四年の三月にできましたサイプラスの平和維持隊の場合には、やはり安保理決議活動の開始の間が約九日ということで、あとは省略いたしますけれども、大体一週間とか十日とか、そういう日にちの以内で展開が行われているというのが過去の例ではないかというふうに思います。
  27. 岡田克也

    ○岡田(克)委員 以上要しますに、一つは、私が最初に申し上げました立法権と行政権の役割分担の問題、そして二番目には、先ほど長官から御説明もいただきました、自衛隊法で定める二つのケースとの明確な違い、すなわち国民の権利義務に重大な影響を及ぼすかどうか、あるいは裁量の余地があるかどうか、こういう明確な違いがある。そして三番目に、タイミングの問題として、制度はつくったけれども現実にそれが間に合わなかったら一体どうするのか、かえってそれは国際社会において信頼を失うことになるのじゃないか、そういう三つの点から、先ほど町村議員の御質問もありましたけれども、私といたしましては、国会に承認を求めるということは妥当ではない、こういうふうに思っているところでありますが、総理の御所見をお伺いしたいと思います。
  28. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 私は、町村議員にもお答えを申し上げましたように、現在の司法、立法、行政という三権分立の世の中で、立法府がやはり国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関であるという、その立場を非常に重く受けとめておりますし、したがいまして、立法府で審議していただくこの法律によって、国際連合平和維持活動参加していいか悪いかという、いいという許容の枠組み、そういったものを御議論願っておるわけでありますから、立法府でつくっていただく法律に従って、先ほど来申し上げておりますように、内閣は、その授権の範囲内で実施計画をつくって国会にまたそれを御報告します。  国会ではそれについていろいろな議論がございましょう。それを当然尊重してまいりますけれども、この法律を審議していただくこと自体で、行っていいか悪いかという基本的な原則の枠組みは決めていただくわけでありますから、シビリアンコントロールの枠内で行っていくのが至当であろう、こう考えておりますので、そこの枠組み、いただいた枠組みの限度内ということと、そこから逸脱しておりませんよということを報告によって担保していこうという気持ちでおるわけでございます。
  29. 岡田克也

    ○岡田(克)委員 では、次の質問に移りたいと思いますが、法案の二十四条三項の運用に当たりまして、二十五日の本委員会における答弁で、束ねるという表現が用いられたわけであります。このことが部隊としての武器の使用を意味しているのではないか、そういう指摘が一部のマスコミ等にもあるわけでありますが、私がこの場で聞いておりました印象では、そういうことではもちろんないというふうに受けとめたわけでございます。この点につきまして、再度明確な御答弁をいただいて、そういった誤解が生じないようにしていただきたい、こう思うわけでございます。  例えば、具体的な例を挙げますと、個々の自衛官が二十四条三項の要件を満たしていないと判断している場合に、上官の命令によって武器を使用するということが果たして許されるのかどうか。この具体的事例に対する御答弁も含めて、御答弁をいただきたいと思います。
  30. 池田行彦

    ○池田国務大臣 お答え申し上げます。  法案二十四条三項で認められております武器の使用、これは、その主体は法文にも「自衛官」と書いてございますし、個々の自衛官が判断をし、個々の自衛官がまた使用の主体でもあるわけでございます。したがいまして、部隊としての武器の使用というものはございません。  それで、私が束ねてということを申し上げましたけれども、この言葉自体の当否というものは、いろいろ御議論もございますのであえて申しませんけれども、私が申しましたのは、個々の自衛官が武器を使用してもいい、すべきだ、こう判断した、そういう状況におきましても、さらに慎重を期して、上官でございます経験の豊かな自衛官の判断をさらに加える、そういうふうに念には念を入れて慎重に対応することが適切なケースがある、こういうことを申したわけでございます。  さて、その逆の場合でございます。今具体的に御質問がございましたけれども、個々の自衛官が使用すべきであると判断していないにもかかわらず、上官の方から命令して使用させるかという御質問でございましたが、そういうことはございません。個々の自衛官の判断がない限り、上官が命令して使用させるということはこの法文上できないわけでございます。
  31. 岡田克也

    ○岡田(克)委員 今の御答弁で明確になったと思うわけでありますが、個々の自衛官がこの二十四条三項の要件を満たしていると判断をした場合であってもそれを制限することがあり得るのであって、その逆のケースは、つまり個々の自衛官が二十四条三項の要件を満たしていないと判断しているにもかかわらず、上官がそれを満たしていると判断して命令をして武器を使用させるということはあり得ない、こういうことだと理解をいたしました。ありがとうございました。  それからもう一つ、私が審議を聞かせていただいておりまして、ちょっとよくわかりにくかったかなと思う点がございます。それは、いわゆるコンゴの国連軍型の平和維持隊、それからその他の場合との区別の問題でございます。もちろん、この二つ、明確に区別すべきであると思っているわけでございますが、この点につきまして、これも一部のマスコミに、説明が十分できなくなるのじゃないかとかそういう記事も出ておりましたので、ひとつ国民の皆様にわかりやすいように再度御説明をいただきたい、こう思うわけでございます。
  32. 丹波實

    ○丹波政府委員 お答えを申し上げます。  コンゴにつきましては、コンゴ平和維持隊というものが展開し活動する過程で、コンゴの中で内紛というものが発生いたしまして、国連としては新たな事態に当面することになりまして、それを受けて安全保障理事会が、そのコンゴの内戦を防止するために国連平和維持隊は最終的には武力の行使を行うこともやむを得ないという追加的な決議を行ったわけでございます。それによりましてコンゴ平和維持隊はその任務一つとして武力の行使ということも安保理事会によって認められることになった。このように任務の中に武力行使が入っている、明示的に入っているということは、そのほかのこれまでの平和維持隊の活動にはないことでございますので、私たちはコンゴの平和維持隊の例というのはほかのケースと別に議論されなければならない性格のものになったのではないかということを御説明申し上げてきたつもりでございます。
  33. 岡田克也

    ○岡田(克)委員 今の御説明でありますと、今後この法案が成立をしたと仮定をいたしまして、そして我が国からPKOあるいはPKFへの参加があった場合に、たとえ当初の国連からの依頼があったとしても、武力行使容認決議が付加されているような場合、こういうことは今まではないと思いますが、任務の中に武力行使が入っているような場合には、もちろん我が国はこれに参加ができないし、それから、一たび参加をした後に事態の変化によって安保理なり国連総会武力行使容認決議が行われた場合には、その時点で我が国の参加というものは中断をし、あるいは撤収をする、こういうふうに理解をしてよろしいのでしょうか。
  34. 丹波實

    ○丹波政府委員 PKO活動につきましては、国連事務局が派遣の要請をした場合、加盟各国はそのすべての要請を受諾しなければならないということにはなっておりませんで、あくまでも関係加盟各国の自発的な決定によりまして参加していくということでございますので、日本といたしましては、今の先生がお挙げになりました二つのケースについては、あるいは当初から参加せず、あるいは途中から離脱する、そういう選択をとることになろうかと思います。
  35. 岡田克也

    ○岡田(克)委員 この法案の第六条で、「内閣総理大臣は、我が国として国際平和協力業務を実施することが適当であると認める場合であってこ云々、こういう書き方になっているわけでありますが、ここで言う「適当である」というその中身の一つとして今のお話が入ってくる、こういう理解でよろしいのでしょうか。
  36. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  業務を実施するかどうか、あるいは場合によっては期間を延長するというようなこともございます。そういった点についての判断をどうするかという点が入ってくるというふうに考えております。
  37. 岡田克也

    ○岡田(克)委員 ちょっと今の御答弁よくわからなかったのですが、この第六条の「適当である」に、我が国として参加をするかどうかという判断、今具体的に申し上げたような武力行使が含まれているか含まれていたいか、そういう判断が入ってくる、こういうことでございますね。
  38. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 御質問の御趣旨のとおりでありまして、内閣総理大臣は、そういった点を見て、これならば五原則、すなわちいただいておる枠組みの中で対応できると判断したときは、実施計画の作成をいたします。
  39. 岡田克也

    ○岡田(克)委員 よくわかりました。  次に、やや法案の中身にわたって御質問をさせていただきたいと思いますが、この法案の六条二項に「実施計画」で定める中身が具体的に列挙してございます。そして他方で、八条で、「実施要領」で定めるべきものが書いてあるわけでございます。法案上、法文上はこの実施計画については国会に対して報告しなければならない、こういうことになっているわけでありますが、それじゃ、この実施要領と実施計画というのはどういう考え方に基づいて区別がされておって、具体的事例として、例えばどういうものが実施計画、そして実施要領に書かれるのか、この点について御説明をいただきたいと思います。
  40. 野村一成

    ○野村政府委員 御説明申し上げます。  今先生御指摘のこの実施計画と実施要領、これはこの法案の仕組みの基本をなすものでございます。  御指摘の実施計画、これは「国際平和協力業務の実施に関する基本方針」とか、あるいは「協力隊の設置」「国際平和協力業務の種類及び内容」等、業務の実施に当たりまして重要また基本的な事項を定めるものでございまして、閣議で決定するということにいたしております。決定があった後、法案の第七条に基づきまして「遅滞なく、国会に報告」するということになってございます。  それに対しまして実施要領と申しますのは、閣議で決定になりました実施計画に従いまして、それを実施するための具体的な内容を本部長が定めるということでございます。  具体的な例を申し上げますと、実施計画においては例えば派遣先国とかあるいは派遣期間が定められるわけでございますが、そのうち、その具体的な内容の業務につきましては、例えば派遣先国であっても、どこの地域で何をするかという具体的な地名とかあるいはその具体的な地域における業務に着目した具体的な期間というようなものが実施要領で定められるわけでございます。  したがいまして、私どもこの実施要領につきましては、基本的には、実施計画に従いましてその業務に着目した場合に、我が方の要員が、隊員が行動する、その行動を具体的に定めた一種の指令書のごときものである、そういうふうに理解いたしております。
  41. 岡田克也

    ○岡田(克)委員 最後になりますけれども、この法案に対して外からの評価といいますか、期待といいますか、こういうもの、あるいは場合によっては懸念というものもあるかもしれませんが、そういうものがいろいろ寄せられているように聞いております。  まず、この法案に対して、当事者である国連の事務局、これは外務大臣、先ごろ国連総会に行ってこられましたのでいろいろその際にも話が出たと思うわけでありますけれども、その事務局での意見、あるいは当面のその対象となりそうなカンボジアの当事者の皆さん、一体この法案に対してどういう感想といいますか、気持ちといいますか、期待といいますか、こういうものをお持ちであるのか、お伺いしたいと思います。
  42. 中山太郎

    中山国務大臣 先ほども町村委員にお答えをいたしましたが、デクエヤル国連事務総長は、PKO必要性がこれからますます高まってくる、それはいわゆる冷戦構造後の地域紛争が多発してくるということに対しての国連一つの大きな懸念であります。もう一つは、このPKOを動かす場合に資金が要る、ところがなかなか資金が集まりにくい、こういったことで、日本は独自でこのPKO立ち上がりのための特別のファンドを国連の中につくっているということも、この際に申し上げておきたいと思います。いわゆるPKO立ち上がり基金でございます。これは大変高く国連の中で評価をされております。  また、先ほどお触れになりましたカンボジア問題につきましては、カンボジアの和平が、十月の三十一日にパリで和平会議が行われる、署名式が行われると言われておりましたが、私の手元にげさ入ってきた情報ではこれが早くなるということでございますから、このカンボジア和平が署名が終わるといった時点が参りますと、このカンボジアの中にSNCの本部が置かれる、そして、国連のカンボジア暫定機構というものがございます。ここでこの要請が発出されることが出てくるわけでありますが、そういうことを考えますと、このカンボジアのSNC関連のシアヌーク殿下あるいはまたフン・セン首相も、日本PKO及び経済的な協力に極めて大きな期待を寄せられておったということを申し上げておきたいと思います。
  43. 岡田克也

    ○岡田(克)委員 今この法案に対する国連事務局の、あるいは事務総長の期待とかあるいはカンボジアでの期待というものをお伺いしたわけでありますけれども、そういった期待に早くこたえるためにも、私は、この法案を一日も早く成立をさせる、こういうことが極めて重要であると思うわけでございます。  他方で、この法案に対してアジアの一部の国々には慎重な姿勢をとる国もある、私はマスコミの報道でしか承知しておりませんが、そういう報道もなされております。もちろん、それは過去の日本の行為に対する不信、心配、そういうものもあるかもしれませんし、あるいは例えば中国を例にとれば、今までのカンボジアとの歴史、最近のいろいろな出来事、それを通じて、我が国とカンボジアとのPKO参加を通じたつながりというものに対する、言葉は適切かどうかわかりませんけれども、若干の警戒心みたいなものもあるいはあるのかもしれません。  しかし、いずれにいたしましてもこの法案考え方というものが正しく理解をされて、そして、より大事なことは、この法案の背景にある我が国の国際的な貢献をこれから人の面でもしていくのだという、そういう基本的な考え方がきちんと理解をされるということが私は極めて大事だと思いますので、この点につきまして最後に総理のお考えをお聞かせいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  44. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 岡田議員の御指摘の点は極めて大切な点だと考えます。  私もきょうまでアジア諸国の首脳ともいろいろお話もいたしましたし、また、中国やシンガポールにおいて政策演説をいたしますときも、国連中心平和維持活動日本としても参加をすることはアジア・太平洋地域の平和と安定のためにも役立つのです、また日本はそういったことをしたいのですということも強く申し上げましたし、他面、そのような考え方や国連中心考え方はよく理解できるとアジアの国々も理解をしてくれるのですが、ただ一点、過去の歴史の厳しい反省に立って考えてみますと、我が国の行為によって耐えがたい苦しみを、そして苦痛を与えられたという感情のある国は、どうしてもそれに対して懸念を表明される。  そういう懸念を表明されるということを我々は理解をし、謙虚にそれは受けとめなければならないと思っておりますから、首脳会談のときでも、今後ともあらゆる場を通じてこれらのことについては、きょうまでと同様に、日本のやろうとしておることの真意、武力による威嚇ではありません、軍事大国になろうとしておるのでもありません、過去の厳しい歴史の反省に立って、それでも日本自分だけよければいいということではいけないので、近隣諸国のためにもでき得る限り協力をし、役割を分担していきたいのですというこの率直な気持ちの正しい認識を求めて努力をしていかなければならぬということは、御質問の御趣旨を十分体していきたいと考えます。
  45. 岡田克也

    ○岡田(克)委員 ありがとうございました。
  46. 林義郎

    ○林委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  47. 林義郎

    ○林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。沖田正人君。
  48. 沖田正人

    ○沖田委員 報道などによりますと、政治改革等三法案が廃案になると伝えられておりますが、海部総理は重大な決意でこの事態に臨む姿勢を示したと言われておりますが、この「重大な決意」とはどのような意味合いと内容を持っておられるのか、明らかにしていただきたいと思います。社会党立場から特にお伺いをいたしたいと思います。
  49. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 御指摘のように、昨日、政治改革法案というのは御承知のとおりの結末が報道されました。私は党の四役や政治改革本部の幹部とのいろいろ話し合いをいたしましたけれども、これは、政治改革は進めなければならない。私も就任以来、党の政治改革大綱に従って不退転の決意でもって法案もお願いをし、審議も続けてきたところでございます。きのうの結末のままではっておきますと政治改革が消え去ってしまうのではないか、これではいけない、重大な決意を持って今後の政治改革の道筋づくりのために私は全力を挙げていかなければならぬ、こういう決意を持っておるところでございます。
  50. 沖田正人

    ○沖田委員 今決意をお述べいただきましたけれども、失礼でありますけれども、一時的な感情的な発言ではないでしょうね、このことをお伺いしておきたい。
  51. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 私があの厳しい状況の中で自由民主党の総裁に選ばれ、先輩方が決めてきた政治改革大綱を受け継いで、この二年間、精いっぱい、力いっぱい、微力ですが努力をしてまいりました。一時的な感情その他で物を言っておりません。心からこの政治改革の前進を目指していかなければならぬ、強い大きな決意を持っております。御理解願いたいと思います。
  52. 沖田正人

    ○沖田委員 もう一度突っ込んでお伺いをいたしたいと思いますが、重大な政治決断の予備的発言でございましょうか、お伺いをいたします。
  53. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 政治改革を進めていく、そういうことについて私は重大な決意を持って取り組んでいかなければならぬということをみずからに言い聞かせておるわけであります。
  54. 沖田正人

    ○沖田委員 総理自身の責任の重さに照らして、進退を明らかにすべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
  55. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 私は、政治改革を前進させて新しい道筋をつくるということが私の大きな決意であり、決断でございます。
  56. 沖田正人

    ○沖田委員 今国会召集の最大目的でありました政治改革法案が否決された今、きのうまでの審議で……(「否決じゃないよ廃案」「否決じゃないぞ」と呼ぶ者あり)多くの問題点指摘をされているところであります。失礼をいたしました、廃案になったわけであります。否決ではありません。また国論を大きく二分をしているこのPKO法案を審議し続ける意味合いは一体何なのか、このように疑わざるを得ないわけであります。率直にお答えをいただきたいと思います。
  57. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 国会に提案しました法案は審議を尽くしていただきたいというのが私の基本的な考えてありますし、議会制民主主義からいけば、お互いに各党が、法案を出していらっしゃったならば、会期中その法案を十分御議論をいただくのも一つの議会制民主主義のルールであると思いますから、このPKO法案も、先生も今質問をして、これから質問していただけるわけでありますから、どうぞひとつ審議を尽くして御理解を賜りたい。提出した法案は政府としては通していただきたい、こういう強い願いでお願いしておるわけでありますから、どうぞよろしく御審議をお願いしたいと思います。
  58. 沖田正人

    ○沖田委員 九月の二十四日に本会議で趣旨説明がございました。ところが、十月四日の国会終了日まで延べ日数で十一日間、土曜、日曜を除きますと九日間になることは御案内のとおりです。十月一日のきょうまで審議日数はわずか四日間、こういう状況の中で十分に意を尽くした審議をできると思われますか、どうですか、お伺いいたします。
  59. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 私は十分に意を尽くして、真摯な御質問もいただいておりますし、私どもも精いっぱいお答えを申し上げておる、このように受けとめております。
  60. 沖田正人

    ○沖田委員 余りにも審議日数が短過ぎるのではないかというふうに考えるわけであります。政治改革、証券取引法関係、そしてまたPKO関連二法案、余りにもそういう意味では詰め込み過ぎといいましょうか、拙速で急ぎ過ぎと言わざるを得ないわけでありますけれども、この点についていかようにお考えでしょうか。
  61. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 法案、今いろいろお挙げになりましたけれども、それぞれの法案にはそれぞれの背景と役割があって、必要性を認め提案をするわけでありますし、また、国会の審議その他のことについては、いつ今御指摘の本会議で趣旨説明をしていただくとかいろいろなことは、各党各会派の御協議で決めていただいたとおりに政府は従っておるわけでございます。したがいまして、私の記憶では、今までほとんどなかったろうと思うように、例えば政治改革法案は本会議で三日間、私は趣旨説明に答弁に立ちました。そういった濃密な審議も、皆さん方が重要法案だと思えばこそ党で相談をされ、院でお決め願ったものではないでしょうか。そういうふうに私は理解をいたしておりますから、今後ともその日程に従って進めてまいりたいと思います。
  62. 沖田正人

    ○沖田委員 いろいろ審議の方法やスタイルを変えてみたところで、こんな大事な重要な法案をどうしてこんなに急がれるのか、疑問でならないわけであります。非常にわかりにくいわけであります。なぜこんなに急がれるのか、この理由をもう少しお聞かせをいただきたいと思います。     〔委員長退席、船田委員長代理着席〕
  63. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 証券取引法が提案された背景は、一連の証券不祥事に対して緊急に是正すべきものは何かという考えに立って、これは政府として国民の皆さんに誓ってやらなければならぬということで提案をした次第でございます。  また、御審議をいただいておるPKO法案は、昨年の国連平和協力法の審議未了、廃案を受けて、公明、民社、自民三党の合意を踏み台としながら、それらの協議等も踏まえつつ、国際情勢の大きな変化の中で、やらなければならぬことだと確信をして行いました。特に国際社会の問題について、私は、いろいろな方やいろいろなところで遅過ぎるという批判を受けたことも謙虚に受けとめさしていただいて、でき得ることはきちっと適切にやっていかなければいけないという考え方に立って法案の審議もお願いをいたしておる次第でございます。  政治改革法案については、平成元年五月に党が政治改革大綱を決め、その後二年間にわたって三百回を超える会議の結果、基本要綱が決まり、法案骨子が決まり、政府はそれを法案化作業を急いで進め、そして国会に提出をさしていただいた。  それぞれにそれなりの必要性と経過と背景と理由はそのように違っておりますけれども、出して、お願いをしておるところでございます。
  64. 沖田正人

    ○沖田委員 国連外交に対する思惑でこんなに急がれるのですか、率直にお答えをいただきたいと思います。
  65. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 国連外交に対する思惑とかそういうことじゃなくて、日本の国が戦後四十六年目を迎えて、今日では御承知のとおり世界の中で経済的には大きな地位を占めるところまで来ました。そして世界の国々から、国際協調主義の理念を唱える国ならば、もう少し自分の国のことだけ考えないで国際社会協力をする、むしろ、きょうまで私は貢献という言葉を使ってまいりましたが、貢献するという言葉はどうも外国から見ると何か国際社会と距離を置いておる物の言い方のように聞こえる、もう一歩中へ入ってきて、お互い一員としてともに生きるというならば、役割の分担という考え方に立たないか、その方がいいということを私の諸外国の友人なんかも忠告を込めて言いますし、また、国際社会というのは実はそういうものであろうと思っております。  そういった意味で、新しい秩序づくりの中に日本も果たせる役割をできる限り果たしていきたいということで、日本立場というものの自覚と反省に立って提案をしておる次第でございます。
  66. 沖田正人

    ○沖田委員 もう一つ、大変失礼でありますけれども海部総理の今度のような提案のなさり方というのは、どうも本当にせっからで、余りにも慌てておられるように見えてなりません。これはやはり、自民党の総裁選挙が近づいておりますけれども、このことへの一つ期待と思惑がやはり潜んでいるのじゃないかと、大変御無礼でありますけれども、疑わざるを得ないわけであります。率直にお伺いいたします。
  67. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 全く関係のないことでございまするる御説明したように、国際社会における日本立場とか、きょうまでどういう批判を受けてきたとかいうようなことを率直に省みて、でき得ることはしたいということ。政治改革だって、これはもうやらなきゃならぬという国民の皆さんの世論、そして各界の指摘、そういったものにこたえて政治改革はしていかなければならぬ。証券の取引法の問題にしても、ああいった不祥事に対して、公正な社会の理念という面から改革をし、解決をしていかなければならぬという社会的な要請。これはみんなそれぞれの立場の公の要請であり、例えば証券の問題だって、単に国内のことのみならず、世界の三大市場の一つにまできておる責任もあるわけですから、国際的にも、内外の投資家や内外の信頼を確保するために、日本としてはやはり思い切ってここで改革をしなければならぬ問題である。皆それぞれそういう別の次元の大きな問題があるわけでございます。  そういったことを踏まえて一つ一つ着実に解決をしていかなきゃならぬ、こういう願いで法案の提出をしておるわけであります。
  68. 沖田正人

    ○沖田委員 本当に余りにも急いでおられますから、いろいろ説明をされますけれども自衛隊を海外に派遣しなければならないという本当の意味がつかめてこないわけであります。何かどこかでお約束があるのか、早く出さなければならない、つまり派遣をしなければならないということの予定があるのか、この辺のところをしっかりお聞かせをいただきたいと思います。
  69. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 約束などはございません。日本の国として、国際社会においてこれだけ大きな世界のGNPや貿易上の地位やあるいはG7の一国としての政治的な立場役割を与えられ、諸外国から大きく期待をされておることは、議員も御理解いただけると思います。同時に、そういうときに、日本憲法も平和主義であり、国際協調主義であり、そういった理念を具現化していくためにも、日本はなし得る限りの協力をみずからしたいという日本の国の判断、しなければならぬという判断、それに立っての行為でございます。よその国との約束とか、しなければならぬ理由とか、そういったことは、日本の国として考えたものでございます。
  70. 沖田正人

    ○沖田委員 中山外務大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、中国や韓国の外務大臣への了解は本当に取りつけられたんだろうか、こういうことをやはり心配せざるを得ないわけであります。いろいろお答えをいただいているようでありますけれども、今なお依然として中国や韓国が強い対日批判を続けていることは御案内のとおりであります。東南アジアや多くの国々も、大変この法案の行方について注目し心配をしておられることは御案内のとおりであります。  なぜこんなに急いで、慌てふためいているとしか受け取られかねないような、こんな状況というものを、どのように外務大臣は中国や韓国や東南アジアの諸国の皆さんに説明をされてきたのか、本当の意味での了解というものが得られたのかどうか、もう一つ突っ込んでひとつお答えをいただきたいと思います。
  71. 中山太郎

    中山国務大臣 私は、昨年の湾岸戦争日本国家として体験をしたその経験に基づいて、資金だけで国際的な平和のために貢献をすることも大事でありますけれども、人的に国際平和のために貢献をするということが極めて重要であるということを強く印象づけられました。  日本は最初に二十億ドル、九十億ドルの湾岸への基金を拠出いたしました。これは全く平和のための基金を出したわけでありますけれども、そのクウエートのニューヨーク・タイムズにおける感謝の広告の中には日本の名前が載っていなかった。私は、やはりそこで、人間が一番大切なものは何か、それはやはり人命であります、続いてお金である、こういうことを考えると、人命をかけてまで平和のために貢献をする、あるいは身に危険があるようなことでも国際社会のために貢献をすることによって、国際社会は敬意を払い尊敬をするというのが、私は現在の社会の通念ではないかと考えております。  私どもは、このPKO法案にしても、あるいはまた国際緊急援助隊法にしても、全く危険がないという仕事ではございません。そのためには、参加される隊員のためにできる限りの最悪の事態に備えての準備と、そして最悪の事態が起こった場合の、その方あるいは遺族への補償制度というものを確立する必要があり、それがなければ、この国際協力のために人的貢献をするということは私は決してやってはならないことだというふうに考えております。  こういう考え方の中に立って、韓国あるいは中国、ASEANの外相たちにもいろいろと率直に話をいたしました。資金だけの協力で済まない国際社会において、人的な貢献を日本としてもやるという考え方が今日国民の過半数を超えるような状態になってきた。そういう中で、我々は国会で審議をしておりますけれども目的はあくまでも国連決議によるものである。そして、停戦が成立をしている、そしてこの地域に平和維持活動が行われることを当事国あるいは当事者が了解をしている、そして国連事務総長の要請する条件に基づいて行動するという原則を我々は確立して、そして国際貢献をするということを今審議をしているということを申し上げました。韓国の外相からは、日本考え方はよく理解をできる、しかし自衛隊派遣するということについては慎重にひとつ事を運んでもらいたい、こういう御意見がございました。中国の外相からも同様の御意見がございましたが、私は銭其シン外相に、最後にお別れするときに申しました。日本のやることは、中国が国連常任理事国として重大な拒否権まで持っている、この国連決議をする、その決議に基づいて事務総長が要請した場合に、日本国がその要請にこたえるかどうかということを主権国家として考えるわけでございますから、その点はひとつ御理解をいただきたいということを申してまいったわけでありまして、我々は国家として何をなすかということは、日本国みずからが国民の合意に基づいてこれは行うべきで、独立国家としての主権にかかわる問題だと考えております。
  72. 沖田正人

    ○沖田委員 どうもよくわからぬのですが、このいわゆる慎重にという発言の中に、やはり自衛隊派遣には賛成できないという意図が明らかに読み取れると私は解するわけでありますが、この点についてはいかがでしょう。
  73. 中山太郎

    中山国務大臣 私はそのようには感じませんでした。自衛隊派遣する場合には、派遣することに関する法律的な規制あるいは上限はどうか、あるいはそれが国連事務総長の要請するところの条件にのっとっているかどうか、相手国の要請があるかどうかといったことを踏まえて行えば、国際社会また国連はこれを歓迎すると言っているわけでございますから、私はそのようなことは決してあり得ないと考えております。
  74. 沖田正人

    ○沖田委員 今の外務大臣の発言が、今後の中国や韓国や、さらには東南アジアの近隣諸国との外交面において差しさわりにならないことを、ならないように私は期待をするわけであります。大変心配をするわけであります。  そこでお伺いをするわけでありますけれども、政府筋は自衛隊法三条の改正について前向きの答弁をされているわけでありますけれども、さてこの答弁の真意はどこにあるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  75. 池田行彦

    ○池田国務大臣 お答え申し上げます。  現在御提案申し上げております法案におきましては、国際的な役割というものを日本としても果たしていく、そしてその場合に自衛隊の有しております力というものを活用していく、そういう考え方にのっとりまして、御承知のとおり、自衛隊法につきましては三条を改正するのではなくて、百条の七、それから緊急援助隊法の関係では百条の六という、条文を異にしておるところでございます。
  76. 沖田正人

    ○沖田委員 百条のいわゆる付加的な解釈で事を済まそうとするよりも三条改正の方がいいのではないかという発言に触発をされたかのように、言うなれば三条改正というものが検討され始めているのではないでしょうか。このことはやはり私どもは客観的に見て、いわゆるこのたびのPKO法案の準備不足であり、さらには、もっと言えば政府部内の不統一のあらわれではないかと思いますが、見解をお伺いいたします。
  77. 池田行彦

    ○池田国務大臣 政府といたしましては、今回御提案しております両法案のような、その考え方で一致しているわけでございます。
  78. 沖田正人

    ○沖田委員 今後いわゆる三条改正というものには取り組まないということがはっきり言えるのですか。
  79. 池田行彦

    ○池田国務大臣 現在御提案申し上げておる法案というのは、先ほど来るる申し上げますように、三条の改正というものは考えておりません。  今後というお話でございますが、将来自衛隊のあり方をどう考えるかということは、これは広く国民の中でいろいろお考えいただきまして、将来自衛隊の位置づけというもの、あるいは自衛隊役割というものに、現在ございます国の防衛という一番中心的な主たる任務はもとより今後将来にわたっても変わることはございませんが、さらにそれに加えて、自衛隊の本来的な任務としてつけ加えるという議論があり得るということまでは否定はできないと思います。しかし、現在政府として提案しております法律案というものは、先ほど来申し上げるとおりでございます。
  80. 沖田正人

    ○沖田委員 国連外交を標榜しておられる海部総理のねらいというものは、真に国際貢献ではなくて、このPKO法案提案については、単に自衛隊の海外派遣を急いで強引に進めようとする企てであると思いますが、いかがお考えですか。
  81. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 沖田議員がそのようにお考えになっておるということはわかりますけれども、私は、真の国際貢献であり、国連平和維持活動は、加盟国みんなが力を合わせて平和を維持していくという、この崇高な目的を達成するためにやらなければならないことだ、私はそのように考えております。
  82. 沖田正人

    ○沖田委員 少しく具体論に入ってみたいと思います。  外国の平和維持軍の持っている武器や装備はどんなものか、お聞かせをいただきたいと思います。
  83. 丹波實

    ○丹波政府委員 現在四つのPKFが存在しておりまして、そのうち一つはまだほとんど発足したばかり、あるいは組織中ということでございますので、現実活動しておる三つのPKFは、一つ国連兵力引き離し監視団、もう一つ国連のサイプラス平和維持隊、それから国連レバノン暫定隊。この三つにつきまして申し上げますと、第一番目の国連兵力引き離し監視団につきましてはピストル、自動小銃、軽機関銃、それから国連サイプラス平和維持隊につきましてはピストル、自動小銃、軽機関銃、軽対戦車砲、軽迫撃砲、それから国連レバノン暫定隊につきましてはピストル、ライフル、サブマシンカン、軽機関銃、重機関銃、バズーカ砲、対戦車無反動砲、軽臼砲、中臼砲、重臼砲ということでございます。なお、装甲車につきましては、上記の三つについて全部持っていかれておる。ちなみに、レバノン暫定隊は、従来の平和維持隊の中でも、どちらかといえば重装備の平和維持隊ではなかったかというふうに考えます。
  84. 沖田正人

    ○沖田委員 いろいろ事態が変転をいたしますから、事務総長から要請される武器なり装備なりというものは変わってくるだろうと思いますけれども、しかし、日本のPKF隊が参加をするとすれば、その外国の平和維持軍との間に武器や装備の相違点が出てくるのではないかという気がいたしますが、その点はどうでしょう。
  85. 丹波實

    ○丹波政府委員 これは基本的には国連事務当局との打ち合わせと申しますか話し合いで決まっておることでございまして、各国の例を見ますと、各国によりまして持っていく装備にはばらつきがあるというふうに承知いたしております。
  86. 沖田正人

    ○沖田委員 ゾーンごとに、それぞれの守備範囲といいましょうか、任せられる地域は限定されるようにお伺いをするわけでありますけれども、しかし、ゲリラなどから見てみれば、言ってみればこの日本隊も外国の平和維持軍も同じように見られてしまうのじゃないでしょうか。だから、非常に武器なり装備なりの違いがそれぞれあるということでありますならば、重装備を持っているものと考えられて相当な攻撃をしかけられるということも覚悟して行かなければならぬのじゃないかと思いますが、この点いかがですか。
  87. 丹波實

    ○丹波政府委員 この点につきましては、一定のPKO設立される、国連の事務当局から要請がある、その場合に、事務当局の話を聞きながら、現地の状況その他の状況を考えながら、国連事務当局と、日本としてはこの程度の武器を携行したいということで話し合いが行われる。  先ほど申し上げましたけれども、レバノン暫定隊とキプロスの平和維持隊を比較いたしますと、キプロスの平和維持隊は、そういう、何と申しますか、発砲的なケースは非常に少ないケース。これは、確かに七四年というのはこれは前提が崩れたケースですから別ですけれども、それを取りますと、非常にそういう発砲事件が少ないケース。レバノンにつきましては、どちらかと言えばやはりちょっといざこざが起こっているケースではないかというふうに考えます。
  88. 沖田正人

    ○沖田委員 事務総長の派遣要請については、どこまで具体的に詳細に提示をされるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  89. 丹波實

    ○丹波政府委員 私たち全部のケースを詳細に調べたわけではございませんけれども、どういう地域、まずどこでそういうものが設立されるか、それから、例えば歩兵部隊を出してほしいと言ってくるのか、あるいは後方支援的なものでいいと言ってくるのか、そういういろいろな違いがございますし、それから、いつまでに出してほしいとか、そういういろいろな事務的なことも含めて要請が行われるというふうに承知いたしております。
  90. 沖田正人

    ○沖田委員 もう少し詳しく説明を伺いたいわけでありますが、携行する武器、装備、機材、部隊の人数など、どこまで具体的詳細に指示されるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  91. 丹波實

    ○丹波政府委員 お答え申し上げます。  申し上げるまでもなく、日本は今まで参加したことはございませんので具体的な詳細のケースは私たちの問題としては把握してない、当然そうですけれども、把握してないわけで、私たちは、国連事務当局に聞いたり、関係各国に聞いたりして知識として持っているわけですが、その知識の一端として申し上げますと、先ほど申し上げましたように、部隊としてはどれぐらいの人数、あるいはどういう分野活動してほしいとか、いつの期間までに出してほしい、装備としてはこれぐらいではないか、そういったことが中心となる要請であるというふうに私たちは知識として理解しておるということでございます。
  92. 沖田正人

    ○沖田委員 事務総長の要請が出てくれば、歯どめも限界もなく、際限なく応じるつもりですか。
  93. 丹波實

    ○丹波政府委員 これはPKO活動の本質にかかわる問題と関連するわけですが、要するにPKO活動は、PKFの活動を含めまして、基本的に国連加盟国の自発的な参加によってできているものでございますので、国連事務当局が要請をしてきた場合に、そもそもそのPKFに参加するかしないかというところから始めて、非常に参加国の決定という為のが尊重されるべき活動だと思うのです。しかし、一たん参加するということになった場合には、確かに国連の要請を吟味していろいろ話し合わなければならないわけですが、無際限であるということは、武器につきましても活動内容につきましても、私たちはそういうふうには考えておらないわけでございます。
  94. 沖田正人

    ○沖田委員 事務総長の要請を受けるかどうかという判断基準について明らかにお願いをいたしたいと思います。
  95. 丹波實

    ○丹波政府委員 日本政府として判断する場合の最大の基準は、この法案の中身であると思います。
  96. 沖田正人

    ○沖田委員 とするならば、政令も、詳細な説明も、十分な審議日数もないままに、国会の審議に任せるというような言い方は少し非礼ではないですか。きちっと資料を提出した上で我々に審議をしろとおっしゃるならばまだわかるけれども、今の発言は穏当を欠くと思いますが、いかがですか。
  97. 丹波實

    ○丹波政府委員 もう少し敷衍して申し上げますと、この法案の中には、例えば三条ですとか、いろいろなところに重要な原則、重要な考え方が記されておりまして、それが非常に大きな基準になって、政府として、当然総理が本部長として判断されるわけですけれども、最終的には、その判断が行われる、そういう意味で申し上げたつもりでございます。
  98. 沖田正人

    ○沖田委員 今の発言は非常に乱暴だと思います。したがって、明らかに申し上げておきますが、資料も丁寧に提出を願っておりませんし、政令を具体的に説明を受けておりませんし、その上でこのPKO法案の提案がなされて審議を急いでおられる。全く国民の皆さんも理解に苦しまれるだろうと思います。やみくもに自衛隊の海外派遣を急いでいるとしか国民の皆さんの目には映らないのじゃないでしょうか。私自身がそう思いますから、国民の皆さんも同じようにお考えではないかと思うわけでありますが、もちろん私の独断と偏見で申し上げているわけじゃなくて、町の中に出ていろいろお話を伺っても、そのように国民の皆さんからお伺いをするわけであります。  いわゆる国益を第一義的に考えて出動について判断をされるのか、国際貢献を第一義的に考え派遣をされるのか、その判断基準について総理からお伺いをいたしたいと思います。
  99. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 先ほどから申し上げておりますように、国連の果たすべき平和維持活動には、日本もできるだけ積極的に、なし得る限り貢献をしなければならぬという考え方は、結局、日本が戦後四十六年間、これだけの高い生活水準を維持しながら、安定的なそして平和な生活を営めるということは、世界の平和と安定した自由な枠組みの中で日本もここまで来たわけであります。相互依存関係は極めて大きいわけであって、世界の秩序や枠組みから孤立して、日本一国でここまで成長し、日本一国でここまでやれたというものではないと思います。そうして、そういったまた世界の、争いのない、新しい平和で安定した秩序をつくっていく、どの地域でも平和が確保されるようにするということは、これは間接的にも直接的にも日本の平和であり安定になると、私はこういうふうに世界の情勢の中の日本というものを見るわけであります。  そして、こういった国際秩序づくりに日本も積極的に協力をしていくというのが、国連中心主義外交をとっている日本としてはこれは当然考えるべきことであり、そのように日本国際社会で認められること、憲法前文にも書いてありますように、誠実に国際平和を希求し、世界で「名誉ある地位を占めたいと思ふ。」という日本憲法前文の理念にも合するわけでありますから、これは双方の面においてやらなければならないことであると、私はこう考えております。矛盾したことではございません。
  100. 沖田正人

    ○沖田委員 三条の四号で、「国際連合等に対して、その活動に必要な物品」の提供ができるというふうになっているわけでありますが、その内容について具体的詳細にお伺いいたしたいと思います。
  101. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  今先生御指摘になりましたのは物資協力についてでございまして、これは例えば人道的な国際救援活動につきましても、この同じく三条の三号の中で、例えば被災民に対する生活関連物資の配布というのがございます。これは、配布というのは物理的に現場で渡すわけでございますが、他方、この生活関連物資なんかにつきましては同じくそういう物資が物資協力によって提供されるということと合わさって初めて効果的な活動になる、そういう考え方でございまして、例えばこの法案の第二条の中で基本的な原則が掲げてございます。その第一項におきまして、この法律に基づきます国際平和協力業務の実施、それから物資協力も掲げてございますが、そういった幾つかの点を適切に組み合わせることによりまして我が国の協力をより効果的になさしめる、そういう仕組みでございます。御理解いただきたいと思います。
  102. 沖田正人

    ○沖田委員 私は、活動に必要な物資協力内容についてお伺いしたわけでありますから、例えばどういう品物が提供できる、提供される、要請される、そのように具体的なお話を伺いたいと思うわけであります。  それでは伺いますが、端的に申し上げて武器とか弾薬とか装備とか、そういうようなものは含まれておりますか、おりませんか。
  103. 野村一成

    ○野村政府委員 含まれておりません。
  104. 沖田正人

    ○沖田委員 事務総長から要請があったときにはどうなさいます。
  105. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  そもそも事務総長からそういう要請があるということを想定いたしておりませんし、もし、仮定の問題ですけれども、ありましたとしましてもお断りするということになります。
  106. 沖田正人

    ○沖田委員 いわゆるPKO法案にかかわる必要な予算額はどの程度と推計をされておりますか。
  107. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  この法律が御承認いただきますと、この法律のもとで本部長総理大臣以下事務局が恒常的な組織として設立されるわけでございまして、それについての予算上の措置というのがございます。これは今鋭意進めておるところでございますが、他方、一番の、恐らく先生の御指摘のポイントに関係するかと思いますけれども、この法律の仕組みによりますと、個々に国連等の要請がございまして、その具体的なニーズ、それで総理大臣がこれにこたえるべきであるというふうに判断いたしました場合に、そのときに個々に実施計画を定めまして協力隊も編成する、そういうことでございますので、そのときの国連等からの要請のニーズの中身と申しますか、そういうのをよく見ながら具体的な予算措置をその時点で適切に考えていくということでございますので、一概に予算額がどれだけになるということを申し上げられないのが実態でございます。
  108. 沖田正人

    ○沖田委員 同じようなお答えをいただく結果になるかもしれませんが、国際緊急援助隊にかかわる予算は一体どの程度推計をされておりますか。いずれにいたしましても、やはり予算編成をなさるときにはある程度の概算的な推計をなさるのが当然だろうと思いますが、この点お答えをいただきたいと思います。
  109. 川上隆朗

    ○川上政府委員 お答え申し上げます。  緊急援助隊の派遣体制が整備されることになりました六十一年度以降でございますけれども、外務省所管の予算でございまして、JICAに対する、国際協力事業団でございますが、これに対する交付金の中で関連予算十億円が計上されております。平成元年のみは、ただし十一億五千万円ということになっております。
  110. 沖田正人

    ○沖田委員 今の十一億五千万という数字は、国際緊急援助隊にかかわる予算ですね。
  111. 川上隆朗

    ○川上政府委員 緊急援助隊関連の予算でございます。ただし、十一億五千万円は平成元年だけでございまして、ほかは十億でござしいます。
  112. 沖田正人

    ○沖田委員 これからPKO派遣に伴う予算については、これほどこの省庁の会計に属することになるのでしょうか。いわゆる国際緊急援助隊については、従来どおり外務省、こういうことになるのですか。この点をお答えいただきたい。
  113. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  この法案についてのみちょっとお答えさせていただきますけれども、具体的な予算計上につきましては、先ほど申しましたように個々の要請に対応する業務の内容に基づいて、その業務についての費用の負担はそれぞれの関係する行政機関の中で計上することになります。  例えば例を申し上げますと、総理府が負担するもの、これは当然総理府には本部が置かれるわけでございますので、本部にかかわる、本部長以下事務局にかかわる予算がまず入ります。また、先ほど先生御質問ございましたけれども、物資協力にかかわる予算等も関係いたします。それから海上保安庁が負担するものといたしましては、この法案の九条三項に基づいて保安庁長官が海上保安庁の船舶または航空機の乗組員でございます海上保安庁の職員に行わせる平和協力業務関係がございます。また防衛庁につきましては、法案の九条四項に基づきまして防衛庁長官自衛隊の部隊等に行わせる平和協力業務というのが該当しようかと思います。  以上でございます。
  114. 沖田正人

    ○沖田委員 漠然としてわかりにくいわけでありますが、例えば関係行政庁の支出負担額というものをトータルいたしますというと、トータルでPKO関係予算、さらには国際緊急援助に関する予算総額、こういうものは合計どの程度と推計されるでしょうか。
  115. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  先ほども私お答え申し上げたのでございますが、この法案の成立後の情勢を踏まえまして、具体的な要請のニーズに応じまして実施計画を定めて、何分その時点でどの程度の予算が、費用がかかるかということでございますので、全体につきましても見積もりを申し上げるのは困難な問題でございます。  他方、恒常的な機関といたしましてやはり事務局というのを当然設置することを掲げておりますので、今それにつきましては鋭意検討を進めておるところでございます。
  116. 沖田正人

    ○沖田委員 本当に心配するのは、この防衛予算一%枠ということとの絡みでやはり心配が出てくるわけですよ。御承知のように、外国の国防軍つまり外国の平和維持軍などについては、国防費の中からやはり支出をしているわけですね。そういうところもあります、いろいろあるわけでございますけれども。ともあれ、トータルいたしますというと一%をはるかに超えている。国民の負担というものが膨張するのではないか。もう一つ言えば、そのことがいわゆる日本の軍事大国をさらに助長しているというふうに世界的に見られるのではないかということを心配するわけですが、この点についてお伺いをいたします。
  117. 池田行彦

    ○池田国務大臣 お答え申し上げます。  基本的に申しまして、今回PKO、PKFも含めまして、それに自衛隊参加いたします、こういった場合の経費がどうなるかということでございますが、基本的に現在自衛隊が持っております人員なりあるいは装備なりそういった能力というものを活用していくということでございますので、これに参加するということを口実にして防衛費をどんどんふやしていくなんということは考えていないところでございます。  それから、それを逆の面から申しますと、例えば今回PKO活動参加します自衛隊員の給与なんというものは、基本的に防衛庁から支払いますのでもちろん防衛関係費になるわけでございますが、しかしそれはこのPKO参加しようとしまいと支弁しなくちゃいけないものでございます。それからまた、装備なんかにつきましても、基本的にこのPKO参加の有無にかかわらず保持し、またそれを運用していかなくちゃいけないものでございますから、そういった意味で防衛関係費から支払いますけれども、そのことが特に防衛関係費の増高を招くとかいうこともないという関係になっておるわけでございます。
  118. 沖田正人

    ○沖田委員 いずれ具体的に明らかになるだろうと思いますが、ともあれ国民負担が膨張することのないように、そういう意味では防衛予算の削減の方向で考えていくべきであろうと考えるわけでありますから、特にこの点を申し上げておきたいと思います。
  119. 池田行彦

    ○池田国務大臣 このことを口実にして防衛関係費を増額しようなんということは考えていない、こういうことを申し上げましたけれども、このことに参加するから防衛費を削減の方向で考えろとおっしゃるのは、ちょっとどういうことを意味しておられるのか、理解に苦しむところでございます。
  120. 沖田正人

    ○沖田委員 まあ反論なさるなら改めて後のところでお伺いをいたしますけれども世界が軍縮の方向に進みつつあると重大な発言がありました。そして中期防についても三年後に見直しをするということを示唆されているじゃないですか。そういうことから考えて、やはり防衛予算は膨らむよりも削減、縮小の方向へ進む方が国民負担は少なくて済むわけじゃないですか。世界各国も、中国も韓国も東南アジアの皆さんも安心していただけるのではないでしょうか、そういうことを申し上げているわけです。問題は、やはり防衛予算が突出することについては非常に危険視をするわけでありますから、篤とこの点を申し上げておきます。  そこで、別の点からお伺いいたしますが、陸上自衛隊十八万人、海上自衛隊四万六千八十五人、航空自衛隊四万七千五百五十六人、合計二十七万三千六百四十一名、これがいわゆる現在の自衛隊の定数だというふうに承知をしておりますが、間違いありませんか。
  121. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 突然の御質問でございますので細かい点まではただいまのところ確認できておりませんが、おおむねおっしゃるとおりの数字で間違いないと思います。
  122. 沖田正人

    ○沖田委員 いわゆる自衛隊の定数と現状における充足数、充足率についてお答えをいただきたいと思うわけであります。さらに、海上保安庁について同じように充足率や充足数について、または定員等についてお示しをいただきたいと思います。
  123. 坪井龍文

    ○坪井政府委員 お答えいたします。  平成三年六月三十日現在のところで、陸上自衛隊が八四・一%、それから海上自衛隊が九三・七%、航空自衛隊が九四・〇%というところでございます。それから統合幕僚会議が一〇〇%ということになります。
  124. 沖田正人

    ○沖田委員 海上保安庁、どうですか。
  125. 小和田統

    ○小和田政府委員 お答えいたします。  海上保安庁の定員は現在一万二千百三十四名でございますが、現在員は、今手元に資料がございませんけれども、若干この定員と差があるとしても、ほんの数名程度のものだと承知しております。
  126. 沖田正人

    ○沖田委員 業務に支障のない範囲で協力をするということになっているようでありますが、業務に支障のない範囲とはどういうことなのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。自衛隊と海上保安庁、それぞれお答えをいただきたい、このように思います。
  127. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 業務に支障のない限りと申しますのは、いわゆる自衛隊法第三条にございます主たる任務に支障を生じない限度ということでございまして、それは、具体的なことということになりますと、その場その場に応じて検討するということに相なろうかと思います。
  128. 小和田統

    ○小和田政府委員 海上保安庁の場合、御承知のとおり国内で海難救助あるいは航行安企業務といったようなことを日常やっておりますので、そういうことに支障を生じない限度においてという趣旨でございますけれども、具体的には、例えば海難の多い時期であるかどうか、あるいはまた現在雲仙に私ども巡視船を二隻配備しておりますけれども、そういった国内の業務需要があるかないか、それからまた領海警備等の問題がどのくらいあるかといったような個々の状況に応じて判断することになると考えております。
  129. 沖田正人

    ○沖田委員 自衛隊の、いわゆる防衛庁の関係についてはそのときどきに判断をすると言っているわけですが、そのときどきに判断する基準を示してください。漠としてわかりません。
  130. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 本件の法律案が仮に通りましてこれを実行するという段階になりましたときに、まず第一義的には防衛庁長官がその事務に支障のない限りかどうかということを判断いたしますが、最終的には本部長が実施計画の段階で、そこで決定をするという形になっているわけでございます。その場合におきまして、派遣の規模あるいは国連からの要請の内容、それぞれを検討いたしました上で、どの程度であれば自衛隊の持っています本来の任務の遂行に支障がないかということについて判断をするということでございますので、今すべての与件を別にしてただ具体的にと仰せられましても、直ちにはそれに具体的にお答えするのは困難でございます。
  131. 沖田正人

    ○沖田委員 二千人の定員が決まっているわけでありますけれども、二千人命すぐ出せと言われたときには、それは出せません、五百人出せと言われたときには、それなら出せます、そういうふうな判断根拠というものは一応想定してあるわけでしょう。その基準をお示しいただきたい、こう言っているのです。
  132. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  今先生の方から二千人、この従事している数の総数についての根拠という御質問でございます。私ども、この二千人という数でございますけれども、これは現実に、いつの時点をとりましても国際平和協力業務に従事している隊員の総数が二千人を超えないという、そういう意味でございまして、まず過去の、例えば国連等において派遣されておりますPKOの事例というのが一つございます。また、こういう同じような考え方で総数の上限を定めている国がございます。例えばスウェーデン等北欧の国、スウェーデンにつきましては二千人、デンマークにつきましては九百五十名、ノルウェーについては千三百三十人、フィンランドについては二千人以下、そういったことでございまして、それと合わせて私どもの方でどれだけの人数が現実問題として要員として割き得るかということとの関連もございます。  いずれにいたしましても、日本といたしましては最大限二千人までというふうな規模にいたしておきますれば、国連等からPKO協力への需要、それから人道的な国際救援活動についての需要という、その双方につきまして十分対応できるのではないか、そういうふうに判断いたした次第でございます。     〔船田委員長代理退席、柿澤委員長代理着席
  133. 沖田正人

    ○沖田委員 私のお伺いしたいのは、例えば五百人要請があったとした場合に、業務に支障のない範囲で考えるわけですから、いわゆる海上保安庁から仮に二百人、自衛隊から三百人、それぞれ動員をした場合に、支障のない範囲と判断をする基準。二千人でもいいです。八百人でもいい。その判断基準を明らかにしていただきたいと言っているわけです。そのときの御都合主義で、今忙しいからお断りしますということができますか。
  134. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 先ほど来申し上げておりますように、例えば、今御設例で挙げられました五百人にしろ三百人にしろ、その内容が、例えば医官で五百人というのか、三百人というのも、どういう職種、どういう仕事をするべきものとして要請があるのか、そしてどの期間、どこに、そういうような具体的な事情が一つないと判断ができかねるというのが一つございます。  それから、それでは自衛隊側の方はどうかといいますと、日常の訓練計画に、年間の訓練計画に基づいて訓練を行っているわけでございますし、そのほか、警戒、監視といったような日常の業務を行っているわけでございますから、それらと照らし合わせまして、条件がい次第、それは事務に支障のない限りというふうに判断するわけでございまして、抽象的にそこで基準というようなものは、ここで申し上げることは物理的に困難でございます。
  135. 沖田正人

    ○沖田委員 海上保安庁はどうですか、海上保安庁。
  136. 小和田統

    ○小和田政府委員 海上保安庁の場合におきましても、具体的な要請を受けまして、その都度、派遣の期間あるいは派遣の時期等を勘案して具体的に決定することになると考えております。
  137. 沖田正人

    ○沖田委員 二千人までは引き受けられるということを言うならば、いつでも対応できるようにしておかなければならないし、どういう事情が起こってもそれだけは確保しておかなければならぬということになるんだろうと思うのですよ。今こういう事情だからお断りいたしますということは、仮に理屈の上ではあったとしても、国際貢献を標榜しておられるならば、一定の目安というものはやはりつけておかなきゃならぬ、そのことを申し上げておるわけでありまして、その基準が明快でない。  これは全くあいまいな形のままで、漠然と二千人だけ上限を決めておけばいいという、そういうふうな提案の仕方じゃないかと思いますが、いかがですか。
  138. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  私先ほど答弁申し上げましたのは、常にこの業務に従事する数が二千人でなければならないという、そういう趣旨で申し上げたものではございません。あくまで二千人という上限、上限を定めておきますれば、そうしますればいろいろな、PKOにつきましてもあるいは人道的な国際救援活動につきましても国連等からのニーズには十分こたえ得るであろう、そういう趣旨で申し上げたのでございます。
  139. 沖田正人

    ○沖田委員 時間がありませんから、次の観点かもさらにお伺いしたいと思いますが、自衛隊の身分とPKOの部隊員との身分の併任ということについて、その利点と欠点についてお伺いをいたしたいと思います。どのように認識をされているか。
  140. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  欠点ということにつきまして、私ども、この法案についてそういう意味で欠点があるとは認識いたしておりません。  利点として指摘させていただきたいのは、やはりこの国際の平和と安全の維持のための活動に適切かつ迅速に協力するためには、それはPKOもそうでしょうし人道的な国際救援活動につきましても、やはり長年自衛隊が蓄積してきた技能、経験、組織的な機能を活用することが適切であるというふうに認識しておるわけでございまして、そのために、それらの活動双方におきまして、平和協力隊員の身分をあわせ有する自衛隊員から成る自衛隊の能力を活用するというのが適当であるというふうに考えるに至った次第でございます。  また、私ども、本委員会での御審議の過程で篤と説明させていただいておりますけれども、この法案の中で重要な要素といたしまして、まず閣議で決められる実施計画、それから、それの具体化でございます。本部長内閣総理大臣が定めます実施要領というのがございます。その実施要領が、まさに本部長といたしまして、この平和協力業務が的確に円滑に遂行されておるということを確保するための重要な要素でございます。したがいまして、常に実施要領が現地の事情等に照らしまして適正に変更等がなされることが必要でございまして、まさにそのため、協力隊員の身分におきまして、業務のニーズの把握あるいは業務の効果の分析に従事せしめるということになっております。これが本部長にとりまして基本的に重要な点でございます。  さらに、この身分をあわせ有するということになりますと、国際平和協力業務が一時的あるいは短期的なものを予定していることもございますので、自衛隊員の身分関係を安定させるという意味もございます。     〔柿澤委員長代理退席委員長着席
  141. 沖田正人

    ○沖田委員 外国における日本の大使館、そこに派遣しておられる防衛武官、これは防衛庁を一時退職をされて外務省の職員として入っておられるわけですね。  今度のPKO協力隊の場合は、なぜ自衛隊をやめて、防衛庁の身分をやめて、例えば外務省の身分になれないのか。これは私どもの主張でありますから意見が異なるとは思いますけれども、別の組織にして、自衛隊の身分を外して平和協力隊という形で御努力いただく方が自然じゃないだろうか、このように考えるのですが、所見をお伺いいたします。
  142. 野村一成

    ○野村政府委員 私先ほど答弁申し上げたんでございますが、やはり国際の平和と安全の維持のためには、自衛隊が長年にわたって蓄積してきました技能、経験、それから特に組織的な機能を活用することが適切である、そういうふうに判断しまして、自衛隊の能力を活用するというのがこの法案の仕組み上必要であるというふうに判断した次第でございます。
  143. 沖田正人

    ○沖田委員 ということは、やはり民間人の志願とか参加とかいうことは最初から考えておらないのじゃないか、このように考えざるを得ないわけですが、最初から、海上自衛隊やその艦船や飛行機などにも民間人は乗せないというふうに考えておられるわけですね。
  144. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  この法案に基づく輸送業務というのがございます。また、この国際平和協力業務以外にも輸送の委託というのがございます。いずれにつきましても、もちろん乗組員は別でございますけれども、その輸送の対象といたしまして今先生御指摘の方々をお乗せするということはあります。
  145. 沖田正人

    ○沖田委員 民間人を乗せるんですね。もう一遍答えてください。
  146. 野村一成

    ○野村政府委員 必要に応じまして、輸送の対象といたしましてお乗せするということはございます。
  147. 沖田正人

    ○沖田委員 この今度のPKO法案というものは、自衛隊員の海外派遣を主たる目的として提案をされているように理解をしているわけでありますが、ともあれ輸送の問題についてお伺いをしていきますけれども、例えばC130Hは装甲車一台輸送できる、こういうふうにお答えをいただいたように理解をしているわけですが、十五機今保有しておられるように承知をするわけでございますけれども、これで十分対応可能かどうか、お答えをいただきたいと思うのです。
  148. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 C130を十五機保有していることはおっしゃるとおりでございます。そのうちの必要な機数を用いまして、要請に応じた形でもって可能な限り対応ができるということでございます。
  149. 沖田正人

    ○沖田委員 私の申し上げているのは、この十五機全部、ヘリを持ってきてもらいたいという要請があったときに、130Hについては十五機で大丈夫ですか、装甲車十五台を十五機に搭載することは可能ですか、こういうことをお伺いしているのです。  あわせて伺ってしまいますが、その場合に、もし不可能であるならば輸送艦などを使うというふうにもお答えをいただいたようにも思いますが、この点も関連してお伺いしておきます。
  150. 池田行彦

    ○池田国務大臣 これもやはり具体のケースで、一体どのような装備を、あるいはどのような要員をどの程度の規模でということを考えなくちゃいかぬわけでございますけれども、それを輸送します場合、我々がまず考えますのは、輸送機でございますと今申しましたC130というのが十五機ございます。それからまた、そのほかにも輸送艦というのは、これは二千トン型、千五百トン型、それからまた数百トンのもございますが、そういうのがまず輸送の任務に当たるんだ、こう思います。それは具体のケースによって、何を運ぶかにより、またどの程度のタイミングで行かなくちゃいかぬ、そういうことを考えながら組み合わせていくということになろうかと思います。  また、装甲車なら一機で一台だ、こういうお話でございますが、それはそうでございましょうけれども、私の記憶では、たしかC130というのは物資でいいますと二十トン、そして人員でございますと九十人、こういうことになっておると思います。もし人員輸送用の装甲車を考えると、確かにそれは一機につき一台であるけれども、例えばこれがジープなんていうことになりますと、これは数台搭載できるのじゃないかと思いますし、また、ヘリにもいろいろな大きさのものがございますけれども、比較的小型なヘリでございましたら、このC130でもその輸送は可能であるというふうに理解しております。  いずれにいたしましても、輸送手段は、船とか輸送機とかそういうものを組み合わせながら、具体のケースに応じて考えてまいりたい、こう思っております。
  151. 沖田正人

    ○沖田委員 先日の審議の際にもいろいろ能力の差が議論されたわけですが、バングラデシュにおける救援のときに、アメリカのホバークラフトは一船で五十トン、一回で五十トン、日本の場合は残念ながらヘリは一週間で三十トン程度の輸送能力しかなかったというふうに聞いているわけでありますけれども、これに間違いがないかどうか。
  152. 川上隆朗

    ○川上政府委員 御質問の点についてちょっと手元に正確な数字が持ち合わせがございませんけれども、米軍は五百名近い人間を使いまして二十七機のヘリコプター、ホバークラフトを使用して空輸を行った。ちょっとトン数については正確に数字がございません。日本の場合は、御案内のとおり、消防から提供のございました小さなヘリコプターでございますが、二機を使いましてピストン輸送体制を行ったということでございます。
  153. 沖田正人

    ○沖田委員 要するに私が申し上げたいのは、急ぐ急ぐとおっしゃって国会の承認も求めないままに報告だけで済ませて、そんなに急がれるという、そういう状況であるならば、果たしてこの輸送能力というものについて心配をしないでいいのだろうか、こう思うわけです。だから申し上げているわけですが、自衛隊とかさらには海上保安庁とかいうところに頼んで、そして物資並びに部隊の輸送、こういうようなものを進めていく場合に、それだけで足りるだろうかという心配が出てくるのだろうと思うのですね。急ぐ場合には民間に委託することもできるのではないかと思うのですが、このことについてはどう考えておられるか、お伺いをいたしたいと思います。
  154. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  まさに先生御指摘の民間との関係につきましては、この法案の二十六条に規定いたしておりまして、本部長が、第三章の規定による措置、すなわち関係行政機関が中心となって行う措置によって平和協力業務を十分に実施することができないと認めるときには、今申しました役務の提供等につきましても協力を求めることができるということになっておりまして、そういう意味で必要が生じますれば、民間の協力をお願いするということができる仕組みになっております。
  155. 沖田正人

    ○沖田委員 民間輸送に委託をする場合に、その民間人については、これは二千名の定員の中に入るのか入らないのか、お答えをいただきたいと思います。
  156. 野村一成

    ○野村政府委員 ただいま御説明申しました民間の協力につきましては、この平和協力業務の外でございますので、隊員としての発令はございません。
  157. 沖田正人

    ○沖田委員 いわゆる日本の民間会社に輸送委託をするのみならず、それで足りないとするならば外国の会社に委託輸送を求めることができるのかできないのか、この点お伺いいたしたいと思います。
  158. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  この法案二十六条で「民間の協力等」という項目で掲げられておるわけでございますが、その中で書いてございます「国以外の者」という中には、民間それから地方公共団体、それから外国の企業も含みます。
  159. 沖田正人

    ○沖田委員 そのときにこの輸送を委託いたします物資並びに物品等について、その範囲を明らかにしていただきたいと思います。私は、弾薬や兵器や例えば装甲車などを含めて民間に輸送委託をするのではないか、そういうことがあるのかないのか、明らかにしていただきたいと思います。
  160. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。二十六条の規定をごらんになっていただければと思うのでございますが、まさに第三章、まず国際平和協力業務の実施との直接的な関連でございます。先ほども答弁申し上げましたけれども、この国際平和協力業務という枠の中には今御指摘のございました点は含まれておりませんので、したがいまして、そういうことにつきまして民間の協力等をお願いするということはございません。
  161. 沖田正人

    ○沖田委員 もう一度だめを押したいと思いますが、弾薬や兵器や装甲車など各種の機材をその中に入れるということはありませんね。
  162. 野村一成

    ○野村政府委員 ございません。
  163. 沖田正人

    ○沖田委員 例えばアメリカのいわゆるギャラクシーなどのような大型の輸送機を輸送委託に使うことはありますか。
  164. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のギャラクシーというのは米軍の軍用機がと承知しておりますけれども、そういうものにつきましてこの二十六条に基づく協力を求めるということは考えておりません。
  165. 沖田正人

    ○沖田委員 アメリカの軍用機でなくて、アメリカには民間会社が大型の輸送機を保有して弾薬とか武器、兵員などを輸送している例があるというふうに聞いたものですからあえてお伺いをしたわけでありまして、軍用機を委託するなどということを質問しているわけじゃありません。再度お答えをいただきたい。
  166. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  個々の状況に応じまして、どういう飛行機の種類によるのかということでございますけれども、あくまで外国の民間企業ということを考えておりますので、その具体的なニーズに応じまして、輸送の実態等を考えながら決めていくということになろうかと思います。
  167. 沖田正人

    ○沖田委員 私が心配をしておりますのは、いわゆる後方支援に当たるような行為をおとりになることのないようにということを実は率直に心配をするわけでありまして、その点から質問いたしたわけであります。御理解をいただければありがたいと思います。  そこで、民間に委託をされる場合に、その民間の会社の労働組合や従業員との合意というものが十分取りつけられるとお思いになりますか、その点お伺いいたしたい。
  168. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  あくまでこの二十六条の規定は、関係行政機関の努力の中で、それで十分に実施することができないという状況でございますので、そういう前提のもとでの民間の協力でございます。したがいまして、今御指摘のございましたような点につきまして十分問題のないように、現実の輸送なら輸送の契約を結ぶ段階において決めていくということになります。
  169. 沖田正人

    ○沖田委員 民間委託する場合には、そこの従業員とか労働組合との合意というもの、協力というものが十分取りつけられなければうまくいかないことは御案内のとおりであります。しかし、いろいろ民間の企業なり民間の皆さんをお手伝いにお願いするということになれば、面倒なことがいろいろ起こるだろう。だからそういう面倒なことを起こさないためにも、ある場合には自衛隊をやはり一番最初に、お手軽にと言ってはなにかもしれませんが、便宜的に自衛隊を使う、こういう方向で検討しているのじゃないでしょうか。  それからもう一つ、そういう煩わしいことがないために外国の企業に委託をする、そのことをやはり一つ考えているのじゃないでしょうか、あわせてお伺いをいたしたいと思います。
  170. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  この法案全体、やはり紛争に起因する状態につきまして、紛争に関連してPKOなりあるいは人道的な国際救援活動ということでございますので、主としてこの法律の第三章に掲げてございます「国際平和協力業務」の枠の中で実施されるべきものであるというふうに考えております。その点おのずから民間については協力をお願いするにつきましても限度があろうというふうに認識しておるわけでございます。  したがいまして、基本的には、民間の方に肩がわりさせるとかそういうことをこの法案の中では考えているわけでは全くございません。
  171. 沖田正人

    ○沖田委員 イージーに民間委託を考えるとか外国の企業に輸送委託を語るとかお願いをするとかいうようなことを行わないように、はっきりこの点はしておいていただきたいと思います。その点どうですか。
  172. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  先ほど御答弁申し上げましたとおりに、基本はやはり関係行政機関等の努力によって行われるべきでございまして、むやみやたらに民間の協力等をお願いするということはいたしません。
  173. 沖田正人

    ○沖田委員 現在、自衛隊の皆さんの中でPKOやPKF、つまり自衛隊の海外派遣についてどのように考えておられるだろうか。いわゆるPKO参加してほしいという指示を出されたときに、自衛隊員の皆さんは喜んで参加される状況にあるんだろうか、こういう点について防衛庁長官にお伺いいたします。
  174. 池田行彦

    ○池田国務大臣 この法案が成立いたしましたならば、このPKO、PKFも含めて、それに参加するという任務自衛隊任務一つとなるわけでございます。自衛隊員たる者は皆その任務に誇りとまた自覚を持って参加する、携わるという心構えを全体として持っておりますので、新しい任務が与えられるならばそれに自覚を持って携わってくれるものと確信しておる次第でございます。
  175. 沖田正人

    ○沖田委員 いわゆる良心的拒否権というようなものは存在しませんか。
  176. 池田行彦

    ○池田国務大臣 良心的拒否権とおっしゃるのは、今の任務との関係でどういうかかわりになるのかちょっと私十分把握できないところでございますが、先ほども申しましたように、自衛隊員は一般的に任務には自覚を持って携わるという心構えができております。もとより、こういった新しい任務でございますから、具体的にその要員の選考をいたしますときには、その適性であるとかあるいはいろいろな個別の事情についてもしんしゃくをしながら選考していくということにしなければならないと思っております。
  177. 沖田正人

    ○沖田委員 今の自衛隊員の中にはPKOやPKFに参加寺ることについての抵抗感はないんだろうか、このことを心配をいたします。  仄聞するところによれば、今カンボジアにすぐ連れていかれるんじゃなかろうかという心配があるようにいろいろ取りざたをされるわけですね。したがって、隊員の皆さんの中には、非常に政情不安定ということからして、やはりあそこには行きたくないという抵抗感があるように仄聞をいたします。したがって、私は、こういう点についてはどう考えておられるか、あわせてお伺いをいたしたいと思います。
  178. 池田行彦

    ○池田国務大臣 いずれにいたしましても、この法案を成立さしていただいてからの話でございますし、また、初めての任務でございますので、それに参加するためにはきちんとした、適性、能力だけでなくて、きちんとした教育なり訓練も必要なわけでございます。そういったことは十分にやりまして、任務に携わる場合には十分にそれを全うできるような姿にしなくてはならない、こう考えております。  それから、非常に政情不安なところであるからいろんな気持ちがあるんじゃないかということがございましたけれども、これは自衛隊員だからどうということではなくて、やはりPKO参加なさる方皆さん、この任務の困難性というものをいろいろお考えになるという点はあると思います。しかし同時に、その任務の重大性、重要性というものを考えながらそれに参加していかれる、こういうことになるんじゃないかと思います。
  179. 沖田正人

    ○沖田委員 自衛隊員の意識調査を実施されたことがございますか。おありになるならば、具体的な事実に基づいて御教示をいただきたいと思います。同時にまた、PKOやPKFに参加することについての意識調査をおやりになる用意があるかどうか、このことをあわせて伺います。
  180. 池田行彦

    ○池田国務大臣 国家公務員全般もさようでございましょうけれども自衛隊員も、自分たちが公務員である、そうして自衛隊員である、そういった自覚を持っております。そうして、与えられた任務を遂行していくという気持ちを常日ごろから持っておるところでございます。そしてそれは、この法案が成立した暁に新たに任務になるものについても原則として同じことだろうと思っておりますので、強いてこういったことについて意識の調査とかそういうことをすることは考えておりません。
  181. 沖田正人

    ○沖田委員 将来に照らして御検討いただければ幸いだと思います。  次に、我が党は、政府が去る九月二十七日国際理事会において提出をいたしました「武器の使用と武力の行使の関係について」の統一見解を断じて認めることはできないわけであります。その内容は、政府の従来の見解を著しくゆがめたものとなっているからであります。特に、国連平和維持軍に派遣される自衛隊の武器使用を自然権として、武力の行使と区別しようとする憲法解釈は詭弁と言わざるを得ないわけであります。我が党は、政府のこのような憲法解釈を認めるわけにはいかないのであります。今後の法案審議を通じて統一見解の矛盾点を徹底的に解明していくことを強く表明しておきたいと思います。  この立場から総理にお伺いをいたしますが、当委員会における我が党の上原議員質問に対するいわゆる武器の使用と武力の行使についての政府統一見解についてお伺いをいたします。  この政府統一見解の第二項で、自然的権利というものを持ち出してきているわけでありますが、一体この自然的権利とは何でしょうか。明らかにお答えいただきたいと思います。
  182. 工藤敦夫

    ○工藤(敦)政府委員 お答えいたします。  ここで「自然権的権利」というふうに申し上げておりますのは、生命、身体の安全、こういうものは最も重要な基本的人権として確保されなければならない、こういう意味で申し上げたものでございます。ちなみに法律学辞典などでは、自然権というのは自然法によって個人におのずから備わるとされる権利、こういうふうなことを言われているところでございます。
  183. 沖田正人

    ○沖田委員 小火器とは言いますけれども、武器を携帯して国内において組織的訓練を受けた自衛隊が危険に対応するときの概念あるいは法的根拠が自然的権利というのは全く理解できません。PKO自体の行動には訓練された組織行動をとり得る自衛隊こそがふさわしいと一方で言っていながら、危険対応、武器の使用はすぐれて個人的対応だという説明を繰り返すことの矛盾を、自衛隊を統括する防衛庁長官が感じておられないわけではないと思うわけでありますが、所見をお伺いいたします。
  184. 池田行彦

    ○池田国務大臣 今回のPKO活動において、その中のPKF活動において特にでございますけれども自衛隊のこれまで積み上げてまいりました経験、知識あるいは組織としての能力というものを活用していこう、こういうことを一つ考えておるわけでございますけれども、その組織としての活動ということが自衛隊の特性の一つであるというのはそのとおりでございます。しかし、それを生かして活用していこうというのは、PKO活動、その中で、PKFの活動も含めてでございますが、その任務そのものを遂行する上においてそういった力を活用しようということでございます。具体的に申しますと、例えばPKFの活動としては、いろいろな緩衝地帯の巡回であるとかパトロールであるとかあるいは検問であるとか、いろいろなその役割考えられておるわけでございますが、そういったことをする場合に、やはり組織的な訓練を受けた自衛隊の動きというものはお役に立つであろう、こういうことでございます。  しかしながら、一方で武器の使用という概念の方は、これはPKFの任務ではないわけでございます。これまで繰り返し申し上げておりますように、また、法案にも書いてございますように、要員の生命なり身体なり、その危険が迫ったときにそれを防護するために使うわけでございますから、決して任務の遂行じゃございません。それで、それはあくまで組織としてのあるいは部隊としての活動ではないわけでございまして、あくまで個々の隊員の判断に基づく個々の隊員の使用ということになるわけでございます。
  185. 沖田正人

    ○沖田委員 今のような解釈で具体的に自衛隊の隊員の皆さんはPKO、PKFの任務をやり遂げるという気持ちになるでしょうか、この点を明快にしていただきたいと思います。  先日来からいろいろお伺いしておりますが、判断を束ねてというようなあいまいな表現で行動させられるということについては非常な不安があるのじゃないか、こう思いますから、この二つの点についてお伺いをいたします。
  186. 池田行彦

    ○池田国務大臣 基本的にPKOが行われる場はどういうところかということは、もうこれまで繰り返しこの審議の中で出てきておりますが、紛争当事者間の停戦の合意がなされて停戦が成っておるわけでございます。そういうところでございますから、基本的に武力の行使なんというものは想定されない場所なんでございますね。  そしてまた、その中でもいろいろございますけれども、武器の使用という場合も、我が国から参加いたします場合には厳格に要員の生命あるいは身体の防護のために必要な場合に限定されておる。国連のこれまでのPKFのありようによっては、任務の遂行か妨げられる場合に武器の使用を許されるケースがある、そういった場合には、場合によって、あるいはいわゆる我々憲法上許されないところの武力の行使につながるおそれがあり得るということの懸念もありまして、そちらの、任務の遂行を妨げられるから武器の使用をするというところは我々は外しておるわけでございます。あくまで生命、身体の防護のための武器の使用に限定されておるわけでございます。だから、そういう意味で申しまして、これは決して組織的なあるいは部隊としての行使ではないということは御理解いただけると思います。  そして、そんなことで不安がないかとおっしゃるのでございますが、これは最初に申しましたように、そもそもPKO活動が行われる状況というのを考えれば余りそういったことはないということ。それから、もし仮にそういうことが、危険がありましたとき、あるいは前提が壊れて、かなり大規模と申しましょうか、武力の行使なんということが起きてくる可能性があるという状態になってくるならば、我が方としては中断、あるいはそういったものが早期に回復しない場合にはさらには業務の終了という、一方においてそういうふうな道もとっているわけでございます。そういった何段もの安全装置があるということを考え、それからPKOの業務の性格というものを十分に理解するならば、これに参加する自衛隊員も、その任務の重要性を考えながら確信を持って任務参加してくれるもの、こう思っております。
  187. 沖田正人

    ○沖田委員 今のような実態を無視した法解釈で提案をされている本法案が、日本国憲法とその根源的なところで乖離をしているからではないかと思うわけであります。例えば、海部総理は口を開けば、安全なところなんだ、こういうことをいろいろ言われておるわけでありまして、危険なところには行かせない、こうおっしゃってきたと思うのです。ところが一昨日のテレビの討論の中では、大島官房副長官は、安全なところではなくて、きつい、厳しいところに行ってもらうんだ、こういう表現を使っているわけですね。明らかにやはり一定の想定をしているように私は思うわけであります。したがって、やはり今防衛庁長官のおっしゃったような解釈というものは、大変失礼だが非常にのんきな解釈だろう、隊員にとっては無責任な発言じゃないか、こういうふうに思わざるを得ないわけですが、再度お答えをいただきたいと思います。  さらに、見方を変えて総理にお伺いいたしますが、自衛隊の隊員が危険にさらされたとしたときに、彼自身の判断、すなわち、まさに個人的判断による武器の使用でございますが、これは本法案で当然認められていいわけですね。お答えをいただきたいと思います。
  188. 池田行彦

    ○池田国務大臣 危険であるとかないとかいろいろお話がございますけれども、基本的にこれはもう、これまでの審議でも、例えば戦場なんという言葉が出ましたけれども、戦闘が行われているとかあるいは武力紛争があるとか、そういう場所ではないわけでございます。しかしながら、やはりかつて紛争のあった地域でございますし、また、国とか大きな組織でないとしても、そのほかに生命の危険をもたらすような事柄が生起する可能性は否定できない地域であるという意味での厳しい環境であるということは言えるわけでございます。  であるからこそ、武力を行使するものでは絶対にないのだけれども、しかしその厳しい環境の中で生命、身体に危険が及ぶ場合には、これを防護するために必要な武器の携帯あるいは武器の使用というものも認めるということになっておるわけでございます。
  189. 沖田正人

    ○沖田委員 総理答弁をお願いしたいのです。
  190. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 個人個人の判断でみずからの生命に危険がある、その判断があったときは、みずからの生命防護のために武器使用をすることを隊員に認めておるわけでございます。
  191. 沖田正人

    ○沖田委員 それでは、隊員個人の判断が誤っていたときはどうなるのか。日本の国内においては、我々が人を殺してしまえば刑法によって裁かれるわけであります。その殺人によって、いわゆる正当防衛を主張するならば、それは殺人についての正当防衛性について証明されなければ刑法による刑罰が科せられることは当然であるわけであります。その判断は裁判所がするわけでありますから、PKFに参加された隊員の皆さんが不幸にしてこういう状況に陥った場合に、その殺人の正当性、正当防衛の正当性はだれが判断をされるのですか、このことをひとつ伺いたいと思います。
  192. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 お答え申し上げます。ただいま理論的な問題につきましてお尋ねがございましたので、私の方から若干制度面を中心にお答えさせていただきたいと存じます。  御存じのように、国連事務局におきまして、昨年いわゆるモデル地位協定案というものを作成した経緯がございます。その案に示された考え方によりますと、PKOに従事する者が受け入れ国との関係で有するいわゆる特権・免除などにつきましては、国連と受け入れ国との間で締結される地位協定によって定められるわけでございます。そして、派遣国から提供される要員は、国連派遣国との間の何らかの取り決め、あるいは広く枠組みと言っていいと思いますが、そのようなものを通じましてこのような地位協定の定める特権・免除等を享受するということになるわけでございます。  ただいま御指摘の、PKFに参加する要員が御指摘のような事案に直面した場合にどうなるかという点でございますが、ただいま申し上げましたモデル協定案に即して見ますと、PKFの構成員、これはいわゆる軍事構成員ということになると思いますが、そのような構成員は、この受け入れ国において犯すことのあるすべての刑事犯罪につきまして、それぞれ本国の専属的裁判権に服するという考え方でございます。これはあくまでもモデル協定案でございますから、これがそのまま適用されるということではございませんけれども、このモデル協定案に示されたいろいろな原則あるいは慣行というものは、これまで実際に締結されたいろいろな地位協定に盛られておりました一般的な原則あるいは慣行というものを踏まえて作成した地位協定モデル案ということでございまして、今後はこれを参考に締結していくということでございます。
  193. 沖田正人

    ○沖田委員 それじゃ、PKO派遣された隊員には国内法規が適用されるというふうにおっしゃるのですね。  それから、今モデル協定とかなんとかおっしゃったけれども、そういうふうな資料は我々の審議資料として当然事前に提出されてしかるべきじゃないでしょうか、こういうふうに思いますが、見解を伺います。
  194. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の点、二点あったと思いますが、適用される法令は何かという点でございますが、先ほど申し上げた事例につきまして、派遣国本国の専属的裁判管轄権に属するということでございますれば、派遣国本国、我が国の場合でいえば日本の裁判所に事案が係属するということになれば、当然日本国の裁判所は日本国の法令を適用するということになるわけでございます。  それから第二点でございますが、モデル協定案につきましては、必要に応じまして資料として御提出することはできます。
  195. 沖田正人

    ○沖田委員 今最後におっしゃったように、このモデル協定案については資料として提出していただくようにお願いをしておきます。全部よろしゅうございますね。今の資料のことについて、いいですか。
  196. 丹波實

    ○丹波政府委員 お出しいたします。資料としてお出しいたします。
  197. 沖田正人

    ○沖田委員 派遣前に地位協定を結べばその点がクリアされるというふうに言われるし、そう思いますけれども、このPKOの部隊の派遣の際に必ず地位協定が結ばれているでしょうか。地位協定を結ばずに派遣された例もあるんじゃないでしょうか。もしそうだとすると、我が国のPKO派遣については新たな条件、前提条件をおつけになるんでしょうか、この点をお伺いをいたします。
  198. 丹波實

    ○丹波政府委員 私たち調べましたところ、完全かどうか必ずしもあれですけれども、今まで地位協定が締結された例は過去に八つございまして、平和維持隊につきましては四つございまして、シナイ半島に展開しておりますUNEFというのが一つ。それから西イリアン保安隊と呼ばれていますけれども、UNSFと言われておりますのがあります。それからもう一つはサイプラスのケース、これは国連とサイプラスが結んだものです。そからナミビアの平和維持隊、UNTAGと呼ばれていますが、これは国連が南アと結んだものです。最初の方、失礼いたしました。UNEFにつきましては国連とエジプトが結んだもの、それから二番目に申し上げたのはインドネシアとオランダが結んだものと承知いたしております。  以上はPKFでございますけれども、あと監視団につきまして四つございまして、レバノンに展開されておりますUNOGILと言われておりますけれども、これは国連とレバノン、それからイエメンに展開しております監視団、UNYOMと呼ばれていますけれども、これは国連とサウジアラビア、それからUNIIMOGと呼ばれていますけれどもイラン・イラクの監視団、これは国連とイランそれから国連イラク、最後になりますが、ONUCAと呼ばれております中米監視団、これは国連とニカラグアのケースです。  以上八つでございますが、過去、現在設立中のものも含めて二十三ということでございますので、その二十三のうち八つだけが結ばれていて、残ったものは必ずしもそういうふうにはなっていないということでございます。
  199. 沖田正人

    ○沖田委員 今の八つの協定についても資料として提出いただくようにお願いいたしたいと思います。ただし日本文でお願いします。
  200. 丹波實

    ○丹波政府委員 八つたしか全部あると思います。チェックした上で、あるものにつきましてはお出しいたしたいと思います。
  201. 沖田正人

    ○沖田委員 もう一度くどく申し上げますが、日本語できちっと翻訳をした上で提出を願います。  引き続いて伺いますが、ブッシュ大統領の一方的な核軍縮の発言というものは、ソ連におけるゴルバチョフ大統領の歓迎の意向表明とともに、フランスやドイツ、EC各国の賛成の意思表明で、世界に大きな平和と核軍縮のうねりとなってその影響を大きく与えていると思うわけであります。単に米ソ冷戦構造の変化にとどまらず、武器輸出の国連への届け出と登録、化学兵器、生物兵器等、通常兵器、武器などを削減をし、再び武器をとって人類同士が殺し合うことのない世界が近づいてくるのではないか、また近づけさせる努力をしなければならないと思いますが、総理にその見解をお伺いしたいと思います。
  202. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 御指摘のように、ブッシュ大統領が今回行いました核兵器に関する一方的なイニシアチブというものは、ソ連も基本的にこれを肯定的な評価をしておる、同時に、それに関連して周辺国にもこの動きを歓迎する動きが強まっておることは御指摘のとおりであります。  私は、それらが今後着実に、ソ連がそれに対応する姿勢を積極的に示してくれることをこの間強く期待をいたしましたけれども、同時にその他の地域においても、こういった問題についてアメリカのイニシアチブに従った連動する行為が行われるように、同時に、核兵器のみならず、今議員お触れになりました通常兵器の移転の登録制あるいは限度ある通常兵器の確保ということについては、国連日本政府としても提案もいたしますし、同時にまた五月の国連の軍縮会議でも、参加国にこれは私から基調演説等を通じて強く要請をし、G7等でもその旨の発言をし、支持を得ておるところでありますから、積極的にその方向の政策が浸透していくように、同時に各国とも努力が重なっていくように努めてまいりたいと心得ております。
  203. 沖田正人

    ○沖田委員 今提案されておりますPKO法案などは、明らかに軍縮の流れに沿って非軍事面を中心とした内容にならなければならないと考えますけれども、再度総理の所見と決意をお伺いをしておきたいと思います。
  204. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 今回お願いをしているこの法案は、明らかに平和維持活動に対する協力と、国連平和維持活動というものをより一層定着させ、成功させていきたいという強い願いを持ってのものでありまして、これが世界にとって、軍縮の方向、それは平和が定着していくということによって各国それぞれ理解をし、軍備管理・軍縮の方向に向かっての検討考え方も強まっていくという大きなねらいもあるわけでありますから、この法律を通すことによって、またこれによって世界のそういった傾向に日本としても積極的に協力をしていきたいという願いであります。このように私は考えております。
  205. 沖田正人

    ○沖田委員 この際、世界の大いなる軍縮時代に先駆けて、社会党がさきに提唱しておりますところの常設機関としての別組織を創設をしたり、さらにはまた軍縮局などを設けて、平和を具体的に進め、武器なき平和の時代を、日本がリーダーシップをとりながら世界の平和に貢献すべきではないだろうか、このように思いますが、総理の所見をお伺いをいたします。
  206. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 軍縮問題につきましては、我が国でもこれを専門的に取り上げ、そしてまたいろいろな角度から研究し、検討もいたしておりますし、先ほど申し上げましたように、五月に京都で国連軍会議を提唱して、その中でいろいろなイニシアチブも行ってまいりました。今後とも、国連等を通じ、あるいはG7の会合等を通じて、軍備管理・軍縮に向かっての努力を強く主張してまいります。  また、新たに組織一つつくれという御提言でございました。新たに組織一つつくるということにつきましては、これは政府部内でもいろいろ議論はいたしましたけれども、しかし、今新たに組織をつくるということも御調としてはあるでしょうけれども、今ある組織の能力や機能を使うことによって十分効果的にしかも迅速に対応できる、こういう考え方に立ちましてこの法案のお願いをしておるところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  207. 沖田正人

    ○沖田委員 少なくとも世界の軍縮の流れにさお差すようなことだけは絶対にやめてもらいたい、このことを強く要請しておきたいと思います。  いろいろ質問をいたしましたが、このPKO法案は、つまり自衛隊の海外派遣法案とも言われるようなこの法案というものは、国連の予定している国際貢献ではなくて、単に自衛隊を海外に派遣しようとする法律案ではないか、このように断ぜざるを得ないのでございます。したがって、私はこの法案に反対の意思を明らかにいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  208. 林義郎

    ○林委員長 次に、東祥三君。
  209. 東祥三

    ○東(祥)委員 公明党・国民会議を代表いたしまして質問させていただきます。  まず初めに、素朴な疑問を投げさせていただきたいと思うのですが、今までの仕事の関連上、多くの外国の友人を持っております。日本では、韓国の人、あるいはまたオーストラリア、フランスの人、またワシントンの友人やトルコの友人とこのPKO参加論議について話しますと、決まって次のように答えます。当然参加すべきだ、と同時に、日本平和国家ではないのか、平和国家であるとするならば平和の重要性というものを知り尽くしているんじゃないのか、PKOというのは回復された平和を維持していく極めてとうとい国連活動である、こういう活動参加することに積極的でない人が政治家を含めて多いということに関して信じることができない、このようにおっしゃいます。これに対して総理はどのようにお考えになりますか。  第二次世界大戦の苦い経験に由来するのか、あるいは日本はやはりよく言われているとおり異質な国なのか、あるいはまた日本自分の国さえ平和でよければいいと本当に思っている国なのか、あるいはまた自分も含めて国会議員が、選挙の票に得にならないということでこれまで日本国際社会における位置づけというものを怠ってきたのか、世界の中の日本の位置づけというこの問題に対して真摯に闘ってこなかったのか、あるいはまた、ただ単に国連PKOに関しての理解が不足しているのか、あるいはまた国民の自衛隊に対してのアレルギーが余りにもあり過ぎるのか、教育の問題なのか、あるいは憲法論争のあり方が問題なのか、幾つも問題点指摘することができると思うのですが、総理、この辺も踏まえた上で、どうぞ十分に総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  210. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 東議員がかつて国連に職員として奉職され、いろいろな地域でこういった活動に献身的に努力をしてこられたということに、私は率直に敬意を表しますし、同時に、そういったことを通じて各国の人々との間で、平和を守るということは口だけではなくて、本当に皆さんのように現地へ行っていろいろ御努力をなさる方々のそういった努力の積み重ねである。しかも、今お願いしておりますこの国連平和維持活動というのは、もう百も承知のあなたに言うのはいささか失礼な答弁になるかもしれませんけれども国連発足したときには具体的に想定しておらずに、したがって憲章の中に条文として明らかになっておらなかったけれども、累次いろいろな出来事に当たって努力をして、その経験と実績と積み重ねの中で生み出されてきた、平和を維持していくためのとうとい平和維持活動であると私は信じております。そういったことに対して日本が積極的に参加していくことが大切だということは、私は議員考えと全く軌を一にいたします。  同時に、これもいささか、私が自由民主党の青年局の議員として行ったころの経験でありますが、二十数年前に日本青年海外協力隊というのを組織して、アジアやアフリカやその他途上国に、生活と労働をともにするために、延べにして一万人、今でも二千人近くの人が諸国へ行って途上国で汗を流して頑張ってくれますが、そういった行動に対しても非常に高い評価を受けておるわけでございます。したがって、日本はいろいろなところで人の協力も汗を流す協力もきょうまでしてはきましたけれども国際社会においてはまだまだ不十分な面があった。特に、国連中心外交を言い、国連機能がますます重要になってきた今日においては、これはいま一歩日本としてはできることを整備したいというのが、この法案をつくってお願いをしたそもそもの背景でございます。  それは教育に原因があるのか、いろいろなことをおっしゃいましたが、ずばり率直に申しますと、過去の第二次世界大戦の反省に立って、厳しい反省を日本はいたしました。そうして、二度と再び人に迷惑をかけてはいけないということを心の底で皆が厳しく体験をしました。近所に迷惑をかけちゃいかぬ、同時に、自分の国は一生懸命汗を流して働いて、追いつけ追い越そうという当時の国の目標を達成できるように努力をしてまいりました。  その間、ややもすると片隅でひそやかに幸福を追求しておる。これを世界の人から見ると、何だ君は、自分の国さえよければいいのか、もっと前へ出てこい、片隅の幸福国家じゃだめだ、世界とともにいるんだろう、世界の秩序を利用しているんだろう、貿易だって世界の仕組みを利用してうんと君の国は生活が向上してきて所得も上がっておるじゃないか、それならこの秩序、枠組みをみんなで守ろう、みんなで支えようというときは、組織の中の一員だというぐらいのつもりで、ともに生きる日本というならば、ともに入ってきて、こういうことができます、役割分担の気持ちぐらいは言ったらどうだというのが、私の友人たちの私に対する率直な言い分でもございました。  そういったことを踏まえて、今後は積極的に日本はできる限りのことはする。そのかわり、きょうまで日本が犯してきた歴史の中の影の部分、暗い部分、繰り返していかない部分については謙虚な反省をいつまでも厳しく持ちながら、未来に向かっての明るい部分、しなければならない部分には積極的にでき得ることはしていかなきゃならぬ、こう考えておるのが私の基本的な気持ちでございます。
  211. 東祥三

    ○東(祥)委員 自由、平和、繁栄を獲得した日本、そしてまた第二次世界大戦という悲惨でかつ最も残酷な体験をした日本、そして紛争解決の手段としての武力行使を捨て去った世界に冠たる平和憲法を持つ日本が、戦争あるいは紛争参加するのではなく、また戦争紛争協力するのでもない、紛争が再び起こらないようにするためのとうとい国連による平和維持活動参加するかどうかを決めるこの法案審議というものは、極めて私は重要であると思っております。  その意味で、以下、雑駁ではございますけれども、できるだけこれまでなされた質疑と重複しないように質問させていただきたいと思います。  初めに指揮権、そしてまた武器の問題、さらにまた中立性という問題について、そういう角度から質問させていただきたいと思います。  まず初めに、先ほど総理がおっしゃいましたけれども、今回のこの法案というのは、国連による平和維持活動への日本参加のための法案であって、日本独自の平和維持活動をするのではないというふうに私は承りましたが、いかがですか。
  212. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 御指摘のとおりでございます。そして、国連決議が成立をし、そして国連紛争当事国との間でいろいろな派遣に対する合意や、あるいはそういった要望等をおまとめになり、そして国連が行うという事務総長の要請を受けて、日本はそれに参加できるか、あるいは能力があるか、そういったことを判断して、国連事務総長に日本としても協力をするということを初めて申し出るわけでありますから、国連が行う行事である、こう思います。
  213. 東祥三

    ○東(祥)委員 そこで問題になるのが、まず第一点がPKO法案と指揮権、法案の中では「指図」という言葉を使っておりますが、この関係について質問させていただきたいと思います。  日本の指揮権と国連の指揮権がそれぞれ発揮される場合について、PKO派遣からそして帰還まで、具体的に例示していただければと思います。
  214. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の、この法案八条第二項で国連のいわゆるコマンドを「指図」と呼んでおります。これは日本の国内行政組織上のいわゆる指揮権とは違った位置づけでございまして、その意味でそういうふうに呼ばしていただいておるわけでございます。  基本的には、PKO活動参加している要員、部隊を有機的に結びつけて一体としまして機能させるために、各国からの部隊を有機的に結びつけて一体として機能させるために配置や移動等のオペレーションを行う権限ということでございまして、したがいまして、具体的には、国連事務総長の指定を受けまして、その委任のもとで現地で国連の司令官がおる。他方、その場合に、私ども現地では部隊の責任者というか隊長がおるわけでございますが、その国連の司令官のもとにと申しますか、その中に各国からの連絡員と申しますかそれも派遣されておるということでございまして、常に国連の指図、それから部隊の行動というのが調整されながらうまいぐあいに運用されていっているのが実態でございます。  そういった点がこの法案におきましても確保されておりまして、現実にはこの国連の指図に適合するように実施要領というのは作成及び変更がなされないといけない。先ほども私申しましたように、実施要領と申しますのは、業務に着目しますと、部隊の行動を具体的に定めた本部長の指令書のようなものでございまして、それを具体的に常に国連の指揮官の指図に適合するように行うということ、そういうことを確保することによりまして、常に全体といたしまして国連のいわゆるコマンド、それから部隊の活動というのが円滑に履行される、そういうふうになっておる仕組みでございます。
  215. 東祥三

    ○東(祥)委員 法案の中身に書かれている派遣のそれぞれの指揮権の指図の違いについて、すぐ言っていただくというのは難しいのかわかりませんが、次のように理解してよろしいですか。  事務総長の要請に基づいてある程度の業務内容がわかる、業務内容についてはこの法案の中に書かれているわけですが、それに基づいて実施計画をつくり、さらに実施要領をつくり、そしてその実施の段階に進んでいくわけですが、もし派遣する場合、派遣時においては日本のあくまでも指図に基づいて派遣する、そして現場に到着する。現場に到着した場合、国連事務総長から派遣された事務総長の代理の司令官の中に日本隊が含まれることになる。そこに、五原則に基づく日本国連PKO参加するに当たっての一つの条件が崩れ去ってしまったときに、計画の変更があり得る、その場合は日本の指図が働く。そしてまた、それがない場合は、その業務の最終的終了時まで再び国連の司令官の指揮のもとで動く。そして、業務終了と同時に日本の指揮権が働いて帰ってくる、このように理解してよろしいですか。
  216. 野村一成

    ○野村政府委員 ただいま先生御指摘のとおりでございます。
  217. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうしますと、日本の指揮権と国連の指揮権とがぶつかり合うということはありませんか。
  218. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  今の点につきましては、この法案の八条の二項でございます。「前項第六号に掲げる事項」、これは行うべき中断のことでございます。「に関し本部長が必要と認める場合を除きこ国連の「事務総長の権限を行使する者が行う指図に適合するように行うものとする。」ということにはっきり書いてございまして、まさに中断につきまして本部長が総合的な判断のもとに指揮を出す、その場合を除きましては、国連の指揮官の指図に適合する、そういうことになります。
  219. 東祥三

    ○東(祥)委員 このような業務というのは頻繁に多分起こり得るだろう、ある意味では極めて危険な仕事であると私も思っているわけですが、そこで起こり得る可能性のあるものというのは、例えば日本隊のメンバーが誘拐されてしまう、当然あり得ることです。日本隊のメンバーが紛争当事者の一方によってもし誘拐されるようなことになった場合、この誘拐された人を取り返す指揮は一体だれがとるのか。日本なのか、あるいは国連の現地の司令官なのか。
  220. 丹波實

    ○丹波政府委員 お答え申し上げます。  業務に従事しておりますこの日本の隊員が、先生おっしゃるように誘拐されるような事態が生じることのないようまず私たちは努めなくちゃいかぬと思っておりますけれども、もし不幸にしてそういう事態が生じた場合には、派遣されている国の当局及び国連事務局と十分な協議、調整を経て、協議しながら、その隊員の安全確保、速やかな解放について、日本としても在外公館がございますから、まあない場合はまた考えなければいけませんけれども、在外公館を通じて可能な限りの手を打つ。一義的にはやはり国連が責任を持って相手側あるいは相手国と交渉、協議、まあ交渉だろうと思いますけれども、誘拐された者を取り返すための交渉をするわけですけれども、いろいろなその状況によりましては、日本としても国連事務局と話し、あるいは出先の国と話すというようなことを私たちとしてもやっていきたいというふうに考えております。
  221. 東祥三

    ○東(祥)委員 この場合、もし日本隊のメンバーが紛争当事者の一方によって誘拐されるようなことになるということが起こった場合、これは日本派遣の業務の中断を決定する上において重要な要素になりますか、どうですか。
  222. 丹波實

    ○丹波政府委員 これは先生、抽象的に質問されましたけれども、なかなかそういう抽象的な状況設定、大変難しいので、まさに紛争的な状況の中で起こるのか、単に普通の状態であるけれどもある一人がそういう状況になったのか、いろんな状況によってやはり対応も異なってこようと思います。しかし、重要なことは、いかなる状況であれ、全力を挙げてそういう事態を解消するために国連その他と協議して事を運ぶということだと思います。それは、日本政府として必ずそういう対応をとると思います。
  223. 東祥三

    ○東(祥)委員 仮定の問題ですから、例えばこの場合、国または国に準ずる組織が誘拐したとなると、これはそもそもPKOそれ自体の、日本国連PKO参加する前提条件が失われるわけですから、これはある意味で中断の可能性があるのではないのか。しかしながら、もしこれが国あるいは国に準ずる組織ではなくて、また、そこにいる国連日本PKOの存在、PKOそのものをよく知らなくて、不満分子がたまたま誘拐してしまうという場合もある。多分後者の場合は中断の要素にならないと思うのですが、前者の場合だったらどうなるのか。
  224. 野村一成

    ○野村政府委員 ただいま先生御指摘の中断のケースでございますけれども、中断につきましては、この法案でも八条の六号で書いてございますけれども、基本的には、停戦の合意、それから受け入れ国等の同意、それから中立性と申しますか、そういう原則が崩れた場合ということでございます。したがいまして、今、国または国に準ずるものの場合を想定してのお話がございましたが、それでありましても、基本的には、私はこの第一、第二、第三原則のもとで、具体的な状況と先ほど国連局長答弁いたしましたけれども、それを見まして総合的に第一、第二、第三の原則に照らしまして中断すべきケースかどうかというのを判断することに相なろうというふうに考えます。
  225. 東祥三

    ○東(祥)委員 次に進みます。  これは先ほども、繰り返すようですが、あくまでも日本国連PKO参加する、そういう前提のもとで武器論争というのがずっとここで行われているわけですけれども、まず、自衛手段としての武器の概念、内容というのは、基本的には私は国によって異なるのだろうというふうに思っております。日本においては、自衛手段というのは、基本的には何も持っていない、素手なわけですね。私が八〇年代前半にいたホンジュラスというところ、これは皆さん御案内のとおりエルサルバドルのちょうど内乱があったその近くにおりましたけれども、そこに住んでいる人々は約一メートル五十ぐらいの山刀を常に振りかざしておりました。これはサトウキビを切ると同時に、やはり危ないですのでこれを持って抜き身で歩いている。そこの前を歩くというのは極めて怖いわけですけれども、スイスに行けば、永世中立の国でございますが基本的に武装申立ですから、それはスイスの家庭に呼ばれて地下室を見さしてくれと言えば、そこには二十連発の機関銃を皆さんお持ちなわけですね。ベリーズに行けば六連発のピストルを持っている家庭が多い、ある場合はマグナムも持っているという場合もある。そういう意味では、各国それぞれにおいてその自衛手段としての武器というのは当然異なる。したがって、したがってと言う前に、まず、各国それから各地域における状況によってこの自衛手段としての武器というのは異なるのではないのか、いかがですか。防衛庁、局長ですかね、総理でも結構です。
  226. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 御意見を聞いておって、そうだろうと思います。それぞれの国の文化とか環境とか社会の認容度とかいうものによって、それぞれ今御指摘になったようなことが確保されておるわけでありますから、国によっていろいろ事情は違う、御質問を聞いておってそうだと私は思います。
  227. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうすると、PKO法案関連でいきますと、当然紛争があった地域によって携行する武器というのは異なっていいはずですね。その意味で、具体的にこれまで二十三回PKOが行われている。武器携行しているのは九回になるのかどうかわかりませんが、その場合、具体的な例で、この場合はこういう武器を持っていった、この場合はこうだった、それを例示していただけますか。
  228. 丹波實

    ○丹波政府委員 最近当委員会で引用させていただいておりますのは、現在四つのいわゆる平和維持隊が現存しておりますけれども、最後の一つは現在組織中といいますか、組織されたばかりでございますので、ずっと現存しております三つにつきまして例をお示し申し上げておるわけです。  一つは、ゴラン高原に展開されております国連兵力引き離し監視隊、この場合にはピストル、自動小銃、軽機関銃。それから、国連サイプラス平和維持隊の場合には、ピストル、自動小銃、軽機関銃それから軽対戦車砲、それから五番目として軽迫撃砲。それから、UNIFIL、レバノン暫定隊ですが、ピストル、ライフル、サブマシンガン、軽機関銃、重機関銃、バズーカ砲、対戦車無反動砲、軽臼砲、中臼砲、重臼砲。以上三つ申し上げましたが、装甲車につきましては、以上三つとも配備されているということでございます。  しかしながら、各国がここに例示しているものを全部それぞれ持っていくかと申しますと、それはそうではございませんで、各国とも持っていくものは異なってございます。それは各国の判断と、その判断に基づいての国連との話し合いにおいてそういう状況になっておる。日本といたしましては、先般来御説明申し上げてきておりますとおり、従来の例から判断して、ピストル、自動小銃、機関銃、装甲車程度でほとんどの場合は機能できるのではないかという判断であるということを御説明申し上げてきている次第でございます。
  229. 東祥三

    ○東(祥)委員 次は、この関連でいきますと、中立性の意味でございますが、五原則における第三番目、これは第三条の一号において「いずれの紛争当事者にも偏ることなく実施されるもの」というふうに書いてあるのですが、意味不明なんですね。言語明瞭ですけれども意味不明である。この中立性の概念について説明してくださればと思います。
  230. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  これは、今先生御指摘の中立性という原則につきまして、「いずれの紛争当事者にも偏ることなく」という表現で法案上書いたわけでございます。  基本的には、この条項で想定しておりますのは、国連平和維持活動がいずれの紛争当事者にも偏ることなく実施されなくなるような状況と申しますのは、安保理決議百六十一号によりまして内戦防止のため最後の手段として武力行使任務を付与され、コンゴから分離独立を主張しましたカタンガ州に対しまして、内戦防止のため実力をもって対抗しようとしましたいわゆるコンゴ国連軍のような事例がございますが、そういった事例のように、安保理決議によりまして平和維持活動に対しまして特定の紛争当事者を支援するような任務が与えられることなどによりまして、平和維持活動の、先ほど申しました中立的性格と申しますか、あるいはいずれかの紛争当事者に偏ることなく実施される、そういった原則と申しますか考え方が満たされなくなった場合というのを念頭に置きまして書いておることでございます。
  231. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうしますと、中立性を担保しているものは一体何なのかといいますと、それは国連の安保理あるいは総会決議に基づいて紛争当事国における停戦があって、そして国連から派遣されるPKOが来て構わないという、そういう同意を受ける。そこで行われる業務内容に関しても、すべて当該諸国、当該地域での活動内容について認めてもらう。その範囲内においてはそれは中立性が保たれる。別の言葉で言えば、ある意味で不偏性、内政干渉的な意味を持つ、このように考えていいのですか。  ということは、別の言葉で言えば、一番初めの質問と関連しますけれども日本の指図、日本の意向でもって現場でもって動くことができない、ある意味で、日本の意向でもって国連安保理の決議内容を超えるようなことをしてしまえばそこで中立性が崩れる、このように理解してよろしいですか。
  232. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  基本的には今先生御指摘のとおりでございまして、やはりこの法案の第三条一号で掲げてございます国際連合平和維持活動の定義ということの中で書いてございますのは、まさに平和維持活動そのもの、例えばPKFならPKFが組織されますが、その基礎となるのがやはり安保理決議であり、また総会決議でございます。  そういう活動主体が、やはり特定の紛争当事者に偏った活動をする、そういう任務を与えられるというような場合を想定しておるわけでございまして、私、一つの例としましてコンゴ国連軍のことについて触れましたが、その後の国連平和維持活動におきましては、私の承知する限りにおきまして、まさにそういう中立性の原則というのが堅持されてまいっておるというのがPKO活動の実情であるというふうに理解しております。
  233. 東祥三

    ○東(祥)委員 視点を変えまして、人道的な国際救援活動について質問させていただきます。  初めに質問しておけばよかったのですが、いわゆる五原則と、それから事前、中、後の報告義務というのは、他のPKO活動全体、総称してのPKO活動にすべてかかわる原則としてまずとらえてよいですか。
  234. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  ただいま人道的な国際救援活動といわゆる基本方針の五原則ということの関連についての御質問がございました。人道的な国際救援活動として行われます国際平和協力業務の実施に当たりましては、やはり人道的な精神にのっとった活動であるという業務の性格を反映しつつも、この法案、ごらんになっていただければわかるのでございますが、法案の立て方を見ていただければ御理解いただけますように、基本的には、PKFと申しますか、参加についての基本方針の五原則が適用されるという考え方でつくってございます。
  235. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうしますと、この人道的な国際救援活動というのは紛争当事国においても行われますか、それとも周辺国だけに限られますか、あるいは、状況によっては両地域で行われることがありますか。
  236. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘の点につきましても、この法案三条の二号、「人道的な国際救援活動」というところで定義いたしておりますが、紛争との関係では、当事国でない国に対しましては武力紛争の継続中であってもその国の同意があればできる。これは今先生御指摘紛争周辺国というカテゴリーに入るんではないかと思います。現実のニーズにいたしましても、やはりこの場合が最も多いのではないかというふうに思います。  他方、紛争当事国につきましては、この定義でも書いてございますけれども、やはり「武力紛争の停止及びこれを維持するとの紛争当事者間の合意がある」という大前提を付してございます。
  237. 東祥三

    ○東(祥)委員 この法案の最後のところに別表があるわけですが、人道的な国際救援活動、安保理を含む国連決議あるいは別表に掲げている国際機関の要請に基づいて行われると法律には明記されているわけでございますが、それ以外の要請に対してはこの活動は行われないということですか。
  238. 野村一成

    ○野村政府委員 先生御指摘のとおりでございます。
  239. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうしますと、人道的な国際救援活動における業務遂行中、中断ということはあり得ますか。理論的に想定することができますか。もし具体的な例を明示することできましたらお願いします。
  240. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  基本的にはあり得ます。と申しますのは、先ほど私、基本的には五原則が人道的な救援活動についても反映されるように法案をつくっておるというふうに申し上げましたが、その中で申し上げましたように、まず五原則の二番目の、受け入れ国の例えば同意という原則がございます。これは、私ども人道的な国際救援活動参加しておりましても、その同意が得られない場合、急に同意が得られなくなった場合というのはその一つの例でございましょうし、また、紛争当事国で停戦の合意等がある場合に行っているような場合に、その停戦の合意がまさに崩れるというふうなケースもその一つの例であると思います。基本的には、人道的な国際救援活動を行っておる場合にありましても、中断ということがあり得るということでございます。
  241. 東祥三

    ○東(祥)委員 総理にお伺いしますが、さきの湾岸戦争のとき、その結果として、あるいは経過中、御案内のとおりクルドの難民が大量流出いたしました。一方はトルコ、一方はイラン、この現象を見て、国際的な物すごい声が高まって、ある意味アメリカを動かして、そして、これはイラクの同意が得られていないわけですけれどもイラク北部にそのクルド難民の命を救うということで保護地域が形成されました。そして、アメリカ軍のプレゼンスによって、そこにいる限りクルド難民の生命が守られる、そういうことになったわけですけれども、ある意味でこれは初めての現象なんだろうというふうに思います。  人道的な問題というのはこれからますます重要になってくることは言うまでもないわけですけれども、この人道問題というこういう視点から考えた場合、このような新しい現象が生まれてきた。また、この人道的な国際救援活動をずっと推し進めていこうとするならば、また推し進めていかなければならないそういう必要性があるわけですけれども、例えばイラクにおける北部地域で保護されたクルド難民に対して行ったアメリカ軍のような、国の同意を得ないでもって行かざるを得ないという、そういう状況も出てくるのではないのか。この法案においてはそれはできないというふうに言っているわけですけれども、この人道問題に関しての発展の状況を見られていて、総理としてどのようにお考えになられますか。
  242. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 この法案におきましては、あくまで当事国の同意を得て行うわけでありますが、今具体にお示しになったあの湾岸戦争末期のクルド族の現状というものは、御指摘のとおり人道的見地から非常に緊急を要する、ことであった、私はそう思います。  しかし、あそこへ入っていきます場合には、いついかなる状況が起こるかもしれないという非常な高度の蓋然性を持った危険も予測されるわけでございます。これは、やはりそのケース・バイ・ケースで考えなければなりませんけれども、この法案においては、そういったことを説得によって当事国の同意をやはり条件としなければならぬというのが日本のこの法律立場でございます。
  243. 東祥三

    ○東(祥)委員 総理、あのときもう一点失ってならないことは、一つの国が主権を持ってその地域に入ってしまいますと、先ほどの中立性の議論とも関連してくるわけですが、当然相手国の同意というものが必要になってくる。そういう意味では民間の動きというのは極めて大切になってくるのだろうと思います。  クルド難民の場合を見ておりますと、約八十名ぐらいのスウェーデン部隊、これは民間でございますが、民間の人々が医療隊としてあそこに即座に八十名ほど入って、悩み苦しまれる人々のために闘った、このようなことがあるわけでございます。今すぐというのは無理かもわかりませんけれども、このような形で、ただ単に国のみならず民間の団体も動き出すようになってきておる、日本も将来政府だけではなくて民間ももっと活発化して、また民間を育成させるような形での支援というものは当然必要になってくるのではないのか。  PKO協力法案とのかかわり合いの中で、この人道的な国際救援活動に対しての民間部門の育成ということでどのようなことをお考えになっておられるのか、御所見を賜りたいと思うのですが。
  244. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 日本の場合も、緊急援助隊があの問題に関してはイランの方へ出てきた人の問題で行っておることも事実でございますし、また、民間の団体の方が救援物資等を持ってクルド族難民救援のために行っていただいたという報告も聞いております。  ただ、お帰りになってからのお話では、どのようにして秩序を保って、どのようにして本当に等しく持っていったものを置いてくるかということに、むしろ逆に持っていった方々がそれをどう処理していいかということは、運搬手段とかみずから自分たちの野営する手段といいますか宿泊手段とか、そういった機動的な能力や秩序を維持していく手段がないととても厳しい、難しい状況であったという行った方の御報告等も聞いてまいりまして、今後はますますそういう民間の方の活動については、どんな角度から御協力ができるだろうかという点についても大いなる研究材料をいただいた、私はそう受けとめております。
  245. 東祥三

    ○東(祥)委員 人道的な支援に関連して、輸送機を送る場合というのも当然考えられるわけですけれども、例えば周辺国に輸送機を送る場合、当該地域においてまだ戦争が行われているとする。周辺国に飛ぶことを考えた場合、危ないということは当然予想されます。輸送機を護衛する飛行機を同時に飛ばす、そういうことはこの法案において許されておりますか。
  246. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 自衛隊機を使って輸送の委託をするという場合に、それに護衛がつくか、護衛機が別途つくかという御質問として御理解申し上げて私の方からお答え申し上げますと、そういう事態は全く想定いたしておりません。
  247. 東祥三

    ○東(祥)委員 PKOへのNGOの参加についてでございますが、PKOへもっとNGO、非政府機関あるいはその人々を参加させていくために、政府というのは一体具体的にどういうことを考えていらっしゃるのか、この点についてお聞きしたいと思います。
  248. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 広く志を持っていらっしゃる民間の方々も御参加をいただくならば喜んで参加を受け入れたい、こう思っております。また、民間の団体の方にしてもらう分野というものもいろいろございますから、そういった意味でぜひ御協力をお願いしたいと思います。
  249. 東祥三

    ○東(祥)委員 大蔵大臣に本当は質問したかったのですが、きょう別の委員会に出られなければならないということで、申しわけありませんが総理からお答え願いたいのです。  湾岸戦争のときにも申し上げたことなんですけれども、基本的に日本のNGO、どんどん発展してきていることは間違いありません。さらにもっと育成し、もっと活用させるためには、どうしてもNGOの基盤をつくり上げていかなければならないのだろうというふうに思っております。その基盤整備の一番重要な核をなすのが、ある意味で財政問題なんだろうというふうに思われます。  指定公益法人になっているNGOは、拠出される支援金に対してこれは非課税の措置が与えられております。そういった視点から考えますと、ある程度の一定の資格を持っているNGOに支出されるその寄附あるいは支援金に対しては無税にしてあげたらどうなのか、要するに非課税対象にしてあげたらどうなのか、こういうことを再三再四申し上げておるのですが、この点について御見解を賜りたいと思います。
  250. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 法人が支出します寄附金については、拠出先を問わず一定の限度枠内の損金算入が認められておりますけれども、このほか経済協力や社会福祉などの公益性の高い事業を行う公益法人に対する寄附金については、これを支援するため指定寄附金制度及び今お述べになりました特定公益法人制度によって配慮を行っております。  また、具体に海外の難民救援活動等につきましては、日本赤十字社を通じる一定の寄附を指定寄附金とすることや、あるいは開発途上国への経済協力目的とする法人を特定公益増進法人とすることなどによって現在は配慮されておる、こう受けとめております。
  251. 東祥三

    ○東(祥)委員 国際緊急援助隊に関して質問させていただきます。  武器は携行しないと法律に明記されているわけですけれども、それで今後予想される要請にこたえることが果たしてできるのか、お答え願いたいと思います。
  252. 川上隆朗

    ○川上政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、国際緊急援助隊派遣に関しましては、法律の性格上も運用上も、従来より武器を使用しなければ派遣人員の生命等の安全を確保できないほど治安の悪い国へは派遣しないという方針があるということは、きのうも御説明申し上げたとおりでございます。このような方針を堅持いたしておりまして、今度の自衛隊の援助隊への参加を可能とする法改正によってもこの点は変わるところがございません。この点につきまして、閣議決定でも述べておりますように、したがって、緊急援助活動またはこれにかかわる機材の輸送を行う人員の生命の防護等のために被災国内において武器を携行することはないということでございます。  このような基本的な方針に基づきます我が国の緊急援助活動というものは、少なくとも我々が従来見ております限り国際的にも高く評価を得ておるというふうに考えておるところでございますが、自衛隊等の能力をさらに活用いたしまして緊急援助活動を充実すれば、諸外国よりの期待にさらに一層こたえることが可能になるのではないかというふうに私ども期待しているところでございます。
  253. 東祥三

    ○東(祥)委員 これまでの外国の例で、武器を携帯した場合の具体例というのはありますか。
  254. 川上隆朗

    ○川上政府委員 御指摘の点でございますが、各国が緊急援助活動に軍隊を投入する際の武器の携行につきまして、主要七カ国につきまして、先進国でございますが、調査いたしましたところ、武器の携行に関しまして法令に規定を設けている国はないわけでございますが、イギリス、イタリアを除きまして、緊急援助活動の性格といったものにかんがみて、基本的には武器を携行しないというふうにいたしております。ただし、米、仏につきましては、護身の目的で必要があると判断した場合には、ケース・バイ・ケースで武器を携行することとしておるようでございまして、例えば米軍は、最近の例で申し上げれば、クルドの避難民支援、それからバングラデシュのサイクロン災害等、七件に軍隊が出動しているようでございますけれども、これらの出動に際しましては武器を携行していた可能性もある、こういうことでございます。この点について一々具体的には調べておりません。  また、イギリスにつきましては、自己防衛のために若干武器を携行するとしており、最近の例で申し上げれば、クルドの避難民支援、バングラ・サイクロン災害等、英軍が出動した際も武器を携行していたものと推定されます。  イタリアにつきましては、そもそも安全確保の問題がある場合のみ軍隊を派遣するというシステムのようでございまして、そのため武器は携行できるということで、これは我が国とは違った考え方でございます。
  255. 東祥三

    ○東(祥)委員 カンボジアヘのPKO派遣について質問いたします。  UNTAGじゃなくてUNTACですか、現在、準備段階であると想像しておりますけれども、どのような状況であるのか、説明していただけますか。
  256. 丹波實

    ○丹波政府委員 御承知のとおり、この包括的和平へのプロセスというのが非常に最近急進展していることは御承知のとおりでございまして、十月の末にもパリ会議が開かれる。  その中で、このいわゆるUNTAC、先生がおっしゃったカンボジア暫定機構という平和維持隊本隊の、非常に複合的な、ナミビアに前例がございますけれども、いわばナミビア的な構想がございますけれども、カンボジア四派と申しますかは、本格的なUNTACの展開前にも監視団を送ってほしいと言っておることは、先生もお聞き及びと思うんですが、そういう意味で二つのPKOというのが絡んできている。  で、今二つのと申し上げましたけれども、このまず監視団をというのが恐らくPKOとして実現するんだろうと思うんですけれども、そういう二つのPKOが絡んできておりまして、国連としても事務的には少しずつ検討を始めておると思います。しかし、その具体的な要請その他の段階にはまだ至っておりませんので、私たちも今後国連と情報を密にして、日本がもし参加できるとすれば、どのような局面でどのようなものに参加できるのかということを、国連からも情報をもらいつつ検討していかなければならないなというふうに考えている段階でございます。
  257. 東祥三

    ○東(祥)委員 現在、準備段階であるわけですが、この準備段階においても、何らかの形で日本参加していくお考えはありますか。  さらにまた、包括的なUNTACがつくられるということが明確になった場合、そこに日本は入っていくお考えですか。
  258. 丹波實

    ○丹波政府委員 この前段階の監視団のことになりますと、恐らく停戦監視的なものになるんであろうかと想像いたしますけれども、いわゆる軍人というもので構成される監視団ということになれば、この現在御審議いただいておる法案との関係で、もし成立していない、あるいは成立していた場合でも、そのタイミング的に訓練その他でどうか、これは監視団ですから、その場合には個々の上級士官が参加するわけですけれども、そういう問題があろうかと思います。  それから、本格的なUNTACにつきましては、私たち国連の事務当局から承知しておりますところでは、次のような任務のものが考えられておる。  一つは、停戦の合意の遵守状況の監視、それから軍隊の再配置等の監視、それから武装解除の監、視、そういったものに加えて選挙監視、行政監視、それから避難民の帰還の支援といったようなことでございまして、もし、要請があった場合、この法案との関係日本の準備状況、いろいろなことを考えながら、それから、日本国内外におきます世論、そういったものを考えながら、このうちのどれに参加するかということを決めていくということになろうかと思います。
  259. 東祥三

    ○東(祥)委員 時間もなくなってきてしまったんですが、もう一度国連平和維持活動法案に戻らさしていただきますが、一つ湾岸戦争が終わった後、政府は掃海艇を法律改正なしになし崩し的にある意味で送ってしまったわけでございます。その意味において我々も断固反対したわけでございますが、この掃海艇派遣というものはこの平和協力法案の中に想定されておりますか、いかがですか。
  260. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  基本的には、この法案の枠組みで、幾つかの原則と、先ほど申しました基本方針の五つの原則が盛り込まれておりますし、それから、具体的に我が国が行うべき国際平和協力業務につきまして、特にPKF、PKOにつきましては三条の三号で書いておるわけでございます。  私、基本的にこの掃海艇の派遣というのがこの項目の中でどこで出てくるのかということでちょっとこうにわかに判断しがたいわけでございますけれども考え方といたしまして、もし、そういうのが国連決議云々の中でPKOで出てくるということがありますれば、それに対応し得も余地があるんであろうというふうに考えております。——申しわけございません。訂正いたします。  三条の三号の二で「放棄された武器の収集、保管又は処分」ということでございます。その中に該当する限りにおいて、あるいは入ってくるということでございます。  申しわけございませんでした。
  261. 東祥三

    ○東(祥)委員 最後に外務大臣に伺います。  一昨年は日本はODAにおいて世界ナンバーワンでございました。昨年の実績を見ますと、DACの統計を見ますと、二位に下がってしまいました。  一つの国の変遷を見ますと、平和時において徹底的にODAを活用して貧しい国々を豊かにしてあげれば、基本的には紛争というものは少なくなってくるんだろうというふうに思います。  そういう意味においては、ある意味で予防的な角度から考えるならば、まさに平和時において、貧しい、また、苦痛にあえぐ国々を発展させていかなければならない。しかし、その平和な国が内乱あるいは紛争によって秩序が破壊されてしまう。残念ながら、日本はその秩序回復のための行動はとれない。その後、停戦を合意する。その後、まさにPKO活動というのが、紛争のため、戦いのためではなくて、回復された平和を維持するために活動する極めて重要な活動だと思うんですが、その意味でもう一度、平和時におけるODAのあり方というものを改めて見直してみなければならないんだろうというふうに思うんです。  この紛争とのかかわり合い、また、内乱を勃発させる視点というかかわり合いで、このODAの問題というものをどのようにお考えになっているか、これを最後に質問させていただきます。
  262. 中山太郎

    中山国務大臣 今、委員お示しのように、日本のODAというものは昨年度は第二位になったわけでございますが、私はやはり紛争が解決した後の復興、このような場合にODAを日本としても発展途上国の場合は強化していくということが必要だろうと思います。  目前の問題はカンボジアでございまして、十月二十三日に和平会議の調印式が行われるときょうは報道されておりますけれども、そうなりますと、先般シアヌーク殿下ともお話し合いをいたしましたことは、カンボジアのいわゆるSNCがプノンペンに本部を置く、そういうことになった場合の復興、これにつきましては、日本政府としては積極的に協力をしてまいるということをお約束をいたしております。
  263. 東祥三

    ○東(祥)委員 ありがとうございました。
  264. 林義郎

    ○林委員長 次に、東中光雄君。
  265. 東中光雄

    ○東中委員 私は、PKOの武力の行使と武器の使用について集中して質問をしたいと思います。  今度の法案の審議に当たりまして私たちは資料要求をいたしましたが、その十番目の要求で、これまでのPKOについて標準作戦規定武力行使についての規定、今までのPKOについてのそういう規定を出してほしいという要求をいたしました。それに対しまして外務省から出てきましたのは、「武器使用の原則」ということで二九六四年四月十日付けのキプロス平和維持軍の任務活動に関するメモ・パラ16〜19」、これが武器使用のPKOの従来の規定なんだ、こういうことで出されたと思うんです。  それで国連局長に聞きたいんですが、このキプロス平和維持軍の武器使用の原則として挙げられておる内容を要約して言ってください。
  266. 丹波實

    ○丹波政府委員 お答え申し上げます。  この一九六四年四月十日付のエードメモワール、これは当時のウ・タント事務総長の工ードメモワールでございますけれども、かつ公開されておるものでございますが、資料でお出しいたしましたけれども、要約とおっしゃっておられますけれども、基本的には、いかなる場合に武器の使用ができるかということについての記述をした部分でございます。  主要なところだけあれしますと、当時の言葉で、「平和維持軍の要員は武器使用のイニシアティブをとってはならない。武器の使用は自衛の場合にのみ許される。「自衛」とは次の場合を含む。」ということで、「武器を用いた攻撃を受けた平和維持軍の監視所、施設及び車両の防衛。」「武器を用いた攻撃を受けた他の平和維持軍要員の救援の場合。」というところから始まって、基本的にはいかなる場合に武器を使えるかということを列挙していく、そういうことになっておるわけでございます。
  267. 東中光雄

    ○東中委員 今読まれたのはパラグラフ16という部分を、外務省の私たちに示された文章どおりに言われたんです。ところが、これがどうもおかしいんです。どうしてこういう「平和維持軍の要員は」、「要員」というようなものが主語になってくるのか、それから「武器の使用」というふうになるのかということで、原文を調べてみました。  そうしたら、何のことはない、「平和維持軍の要員」と言っているのは「トループス」です」部隊は、です。平和維持軍の部隊は、「武器の使用」じゃなくて「ザ ユース オブ アームド フォース」、明白に「アームド フォース」、武力を行使するというふうに普通は訳しているんです。要員が武器を使用するんじゃなくて、部隊が武力を、アームド フォースを使用する、部隊が武力を使うという場合と書いてあるのです。こういう訳というのはありますか。私の言ったこと、間違ってますか。
  268. 丹波實

    ○丹波政府委員 お答え申し上げます。  この「トループス」につきましては、先生の御疑問はもっともな点がございまして、実は私たちも、この「トループス」、どういうふうに考えるべきかということで、この問題と申しますか、PKFに過去参加してきたある国に対しまして、どういうふうに考えたらいいものかということを聞いてみたんです。そこの国の国防省の部長さんが、UNIFILのそういう文書の中には「トループス」という文言が使用されているけれども、この意味するところは、個々のソルジャー、兵士であって、アメリカの俗語で言うところのトループスというのはソルジャーまたはGIを言っておるということで、その個々の要員のことを言っておるんだということ宣言っておるものですから、私たちは、ここのところは要員ということでいいんではないかということで「要員」としてみたわけでございます。あくまでも仮訳でございますけれども。  それからもう一つは、「ザ ユース オブ アームド フォース」ですね。そういう英語が確かにあることは先生のおっしゃるとおりで、それから「フォース メイビー ユーズド」というような言葉があることもおっしゃるとおりですが、ここで言われておりますこの「フォース」といいますのは、まさにセルディフェンスにしか使ってはならない、それから、バラ10、資料でお出ししてない、前のところの公表された紙ですけれども、これも「セルフディフェンス」、自衛のためのみしか使ってはならないということで、全体の文脈を見れはこれは武器の使用のことを言っているというふうに解釈いたしまして、私たちは「武器の使用」という表現をそこで使ったわけでございます。
  269. 東中光雄

    ○東中委員 全くのでたらめですよ。「トループス」と書いてあって、それが個々のソルジャーになるんだ、そんな解釈、英語の解釈としてはあり得ますか。私のような英語のよくわからぬ者でも、字引を引いてみたってどこにもそんなこと出てこないです。部隊か、あるいは群れをなしているとか、語源からいってそういうことですよ。  それから、「ザ ユース オブ アームド フォース」、これを武力の行使と訳さなくて、それじゃ武力の行使というのは、英訳したらどういうふうに言うんですか。
  270. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 武力の行使と申しますのは、例えば国連憲章などで出てまいりますけれども、その場合の英文は「ユース オブ フォース」というふうになっております。
  271. 東中光雄

    ○東中委員 武力の行使はユース オブ フォースだ、いわんや「ザ ユース オブ アームド フォース」ということになったら、武装した兵力を使う、これを武力の行使と言うんですよ。それをやるのは個人じゃなくて部隊がやる。それを武力の行使と言うんです。こういう、どこの国かも言えないような、だれかも言えないような、何かある国のだれやらに聞いてみたらそういうふうにソルジャーだと言っている、こういう無責任な外務省国連局の態度というのは許されぬと私は思います。  同時に、ここで言っているのはセルフディフェンスのことだというふうに今局長言いましたけれども、セルフディフェンス、もともとがこの条項は「武器使用の原則(仮釈)」というんじゃなくて、原文では「プリンシプル オブ セルフディフェンス」、自衛の原則ということでこの16以下が書いてあるんですよ。これもまるっきり変えているんですね。  そして、もう一つ聞きましょう。パラグラフ18のところで、武器使用に際してあるいは武力の行使に際してだれが武力行使をやれという判断をするかということをこの条項では書いてありますが、パラグラフ18、その前半を、各項じゃなくてもいいですから前半を読んでください。
  272. 丹波實

    ○丹波政府委員 このいわゆる資料としてお出しした分の(ハ)のところでございましょうか。(ハ)でございますね。いわゆる自衛の要件ということで、「自衛のための行動をとる場合には、最小限の実力行使の原則が常に適用されねばならず、説得による平和的手段がすべて功を奏さなかった後に武器使用が行われるものとする。こうした状況のもとで武器使用を行うかどうかの決定は、現地司令官の判断にかかっている。……」これは省略ですが、「要員が武器使用を許される例として次のものがある。」云々云々、こういうことでございます。
  273. 東中光雄

    ○東中委員 なぜその「……」として省略、書かなかったんですか。「……」として省略してある中身は実際はあるでしょう。その内容を言ってください。
  274. 丹波實

    ○丹波政府委員 お答え申し上げます。  そのところのセンテンスをもう一度読み上げて両者を対照させていただきたいと思いますが、「こうした状況のもとで武器使用を行うかどうかの決定は、現地司令官の判断にかかっている。……」略、「要員が武器使用を許される例として次のものがある。」これほどこを省略したかと申し上げますと、「こうした状況のもとで武器使用を行うかどうかの決定はこ次が省略されているわけです。「発砲する必要のない事件であるか、部隊が武器の使用を認められる状況であるかの区別に主要な関心を有する現地司令官の判断にかかっている。」そこのところが省略されているわけでございます。
  275. 東中光雄

    ○東中委員 発砲するかしないか、トラブルが起こった場合に発砲する事件になるのか、あるいは発砲しないでおくのか、それは現地の司令官の判断でやるんだということをわざわざ書いてあるんですよ。だから武力行使、発砲というのは現地司令官の命令でやるんだ、その判断をするのは司令官なんだということなんですね。その肝心のところを落としてしもうて、この法案では自衛官が個人個人で判断をして発砲するかどうかを決めるんだと言っているわけでしょう。だから、現地司令官が判断するということになっておったんではぐあいが悪いわけです。  だから、この分だけ……などといって、なぜ省略とも書かずに、我々に渡した、国会へ出した資料ですよ。訳と言って出して、その資料でその一行だけ……でごまかしているんですよ。しかも、それは今問題になっておるでしょう。部隊として、PKOの部隊が武力行使をやるのか、あるいは個々の構成員が単に武器を使うのか、これが今重大な争点でしょう。そのときに、その出してきた資料の訳によれば、本来ならば「トループス」、部隊が、そして「ザ ユース オブ アームドフォース」、要するに武力の行使と普通に訳すればそうなっている文章を、要員の武器の使用に書きかえているんだ。  そして、発砲するかしないかの判断を決めるのは現地の司令官なんだということをわざわざ念を入れて説明してある部分を外すんですね、……と。省略とも書かないで……と点が六つほど並んでおる。こういう外務省、言語道断ですよ。国会を何と思っておるのかと言いたくなりますよ。  外務大臣、こういうことでいいでしょうか。こういう資料で、そしてどこの国のどういう人に聞いたかわからぬけれどもトループスというのはソルジャーだと言うた人がおる、そんなことで国会審議をやっていこうというのですか。どう思われます。
  276. 丹波實

    ○丹波政府委員 まず、なぜ省略したかという点、先生がなぜ省略したかと御質問、私はもっともなことかなと考えます。——いや、ちょっとお待ちください。ちょっとお待ちください。  それで、これは私の部下の一人が資料として訳したんですけれども、実はこのころ京都大学の香西先生の本が出版されまして、その中で、このエードメモワールがまさに注の部分で該当部分が日本語になっていましたので、これをせっかく、立派な先生でございますので、できるだけ参考にさせていただきながら資料提出の日本語の仮訳をつくったというのがこれは事実でございます。  それでその香西先生の文章の中で、まさにこの外務省が略したところを先生も略しておられるので、その担当官はここのところを略してもいいのではないかという判断で略したということで、先生にそういう疑問を持たせたのはまことに申しわけないと思いますけれども、これは実は事実なんです。香西先生の本でもそこの同じところが略されているのでそこを略したというのが事実でございます。他意はなかったわけです。
  277. 東中光雄

    ○東中委員 一個人の著書の中の訳がそうであったから、外務省が国会に対して出す文書はそれに倣うてやった、係官の不始末でで済みますか。こういう姿勢が今度の場合全部貫いているんですよ。平和維持軍とずっと使ってきたのを平和維持隊というふうに名前を変えてみたり、部隊を要員に変えてみたり、武力行使を武器の使用に変える、こういうやり方は、これは外務省の言っていることを信用していけないですよ、一々元に戻らなければいかぬということになります。  いかにごまかそうとしているかということだと思うのですが、結局PKOは、武力を行使するときは現場の指揮官の命令によって武力を、武器を使用する、そうして部隊として武器を使用する、だから武力の行使、こういうふうに言うというふうに言わざるを得ないわけです。日本のやつじゃないですよ、PKOのこのマニュアルでいけばそういうことになる。そうじゃありませんか。
  278. 池田行彦

    ○池田国務大臣 日本がこの法案が成立しました暁にどういうふうなPKO活動参加するか、どういうふうなPKFに参加するかでございますけれども、その具体的なPKOにつきまして国連との間にいろいろ取り決めができるんだと思います。それに従って行動するわけでございますが、いずれにいたしましても、この法律に基づいて日本自衛隊がPKF活動参加いたします場合、武器の使用については法案二十四条に定めるところによって行うわけでございます。それで、あくまでそれは個々の自衛官がその使用の主体であるわけでございます。部隊として使用することはございません。  そしてさらに申し上げますならば、先ほど国連局長答弁の中で、トループスとかあるいはアームドフォースとか、こう書いてあるけれども、その実態を調べてみたところ、それはソルジャーというような意味であったりあるいは武器というような意味であった、実態的にそうであるならば、今回我々が提案しておりますような法案に基づいたPKFの参加というものは別に支障は生じないものと考えるところでございます。
  279. 東中光雄

    ○東中委員 防衛庁長官が、そういう実態が、ある国のだれかはわからぬ将校に聞いてみたらそういうことだった、それでそれが日本の防衛庁なり外務省なり国家としての認識になっていくんだ、これはもう本当に言語道断です。  私が今言っているのは、この法律でどうなっているかという点じゃなくて、実際にPKOとして武器を使い、部隊として武力を行使する。その場合はどういう場合かということについては、先ほど国連局長が言うたように、武力の行使は自衛のためだけに許される。しかし、自衛という表現は次のことを含むということを言って、武力攻撃のもとにある国連の駐屯部隊、建物及び車両の防衛のためにもトループスとしての武力の行使をするんだ、それが自衛なんだ。それからもう一つ、武力攻撃のもとにある平和維持隊の他の要員の支援のためにもこの武器を使う。要するに、参加国、それぞれ部隊があるわけでしょう。それぞれの部隊があるけれども、どこかが攻撃を受けているということになれば、違う他の部隊も、その攻撃を受けて戦っている、自衛をしている部隊と一緒にやるんだ、こういうふうになっているのです。これは今国連局長が読んだ文章をじっくり読めばそうなっています。  そういうことを、日本から派遣される自衛隊一つの部隊としてPKO参加してそれと同じことをやったら、これは武力の行使になって憲法上許されない、そういうことになるんじゃないかというふうに思うのですが、法制局長官、そうなりませんか。ほかのところがやっているようにやれば憲法違反で許されぬのでしょう。
  280. 工藤敦夫

    ○工藤(敦)政府委員 お答えいたします。  委員指摘でございますが、この法案にございますように、我が国はあくまでも二十四条、もう十分議論されたところでございますので詳しくは申し上げませんが、二十四条という形で武器の使用を規定しておりますし、そういう形で我が国は行動する、こういうことでございます。したがいまして、ただいまの、あるいはマニュアルがというふうな御指摘ございましたけれども、我が国としましてそういう行動、二十四条のような行動をする、こういうことでございます。
  281. 東中光雄

    ○東中委員 二十四条のような行動しかできないように法制をつくったということを言っていると思うのですけれども、今の、現実にある平和維持軍は、自衛のための武力行使として、国連局長が説明したようなそういう内容で、他人のためにも、それから施設のためにも自衛だといって武力行使をする、組織的に武力行使するということでほかはやるわけですね。日本がそこへ参加してほかがやっているようにやるとすれば、今、国連平和維持軍で現にやることになっておるように日本が仮にやるとすれば、自衛隊がやるとすれば、それは憲法上許されないことになるから、そういうことはやれないように法律をつくったのだ、こういうことではないですかと聞いているのです。法制局長官どうですか。
  282. 工藤敦夫

    ○工藤(敦)政府委員 大変恐縮でございますが、私、マニュアルの原文を読んでおりませんので、何とも今の前提に、委員の御指摘にそのとおりであるとお答えするまでの自信はございません。ただ、我が国といたしまして五つの条件を設定いたしましたときに、五つの条件の中の一つとして、我が国部隊の要員の生命等の防護を図る、これが一つの条件としたことは間違いございません。
  283. 東中光雄

    ○東中委員 この前の、去年の国会では、国連平和維持軍というのは武力の行使を目的とするものではないけれども、間々といいますか、概して言えば武力の行使を伴うことがあるからと言うたのは法制局長官自身ですよ。その内容はどうかと言えば、こういう今述べましたようなルールになっておるから武力行使に当たることになるので、憲法の観点から見たらそれには参加はできませんと、こう言ってきたのでしょう。そうじゃないんですか。  だから、今の国連平和維持軍に参加している他国の部隊も、停戦合意と、それから受け入れ同意と、そして中立原則、こんなものはどの平和維持参加者も皆同じことを条件にしているわけですから、そんな五原則なんて大して意味ないんですよ。問題は、そうして参加して攻撃を受けた場合、自分たちだけで、隣のほかの国の部隊にかかってきてももう知らぬ顔しているけれども自分たちにかかってきたときだけ撃つんだということを言わなきゃ憲法違反になってできないからそうしたのじゃないか、こう言っているのです。国連平和維持軍に参加をするんでしょう。あの三条の定義の中で、イ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘまでの行為というのは、国連平和維持軍、PKFに参加をするという内容でしょう。そうしたら、国連平和維持軍としての武力の使用についての定義がある、しかし日本だけは、それをやったのでは憲法違反になるから、それをやらないようにするんだと言って特別の法律をつくったのじゃありませんか。こんな、正当防衛と緊急避難の場合以外は、持っていっている武器で相手方に損害を与えたらいかぬのだというようなことを決めているPKO参加国でどこか一国でもありますか。  私はそういう点で、今武力の行使に加わることが、国連のマニュアルで言い、局長が説明した、外国の、ほかの国の部隊の支援もやる、それは自衛行為だ、武力行使ができるのだという立場には立つわけにはいかない。もしそれをやれば、それは集団的自衛権の行使にもなるでしょう。何よりも武力の行使になるでしょう。だから憲法上許されない。だから、こんな現実性のない自然権的などといって武装した部隊が海外へ出ていって、軍事紛争地域の中へ割って入って、そして正当防衛のときでなければ武器は使えないのだ、しかもその武器は機関銃が入るのだと言って政府自身が認めているじゃありませんか。重機関銃も入るのでしょう、三人も四人もでやる、そして操作して撃つのが正当防衛だ、正当防衛以外には撃てないのだ、そんな武器の使用というのはあり得ないですよ。そういうことについて全然矛盾を感じない、これは法制局長官の前の答弁と現在の答弁とではまるっきり整合性がないと言わざるを得ないのです。どうでしょう。
  284. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 法制局長官から御答弁があると思いますけれども、私の方から一点だけ補足させていただきたいと存じます。  先ほど武力の行使は英語で何というかというお尋ねがございましたので、例えば国連憲章では「ユース オブ フォース」というふうに言っているというふうに御答弁申し上げました。  一点だけ補足いたしたい点は、それでは逆に「ユース オブ フォース」というのは常に武力の行使というものを意味するかというと、それはそう、ではないということでございます。  御承知のとおり、この「フォース」という英語は大変広い意味を持っております。力、一般的に力あるいは実力、さらには部隊その他いろいろ意味を持っております。(東中委員「戦力」と呼ぶ)戦力という意味もございます。あるいは労働力というような意味で、レーバーフォースという場合には労働力というような意味でございます。いろいろな意味がございます。  したがいまして、このような「ユース オブフォース」あるいは「ユース オブ アームドフォース」というような言葉につきましては、それぞれの文章の文脈のもとで解釈すべきものであると思います。私は、この場合におきましては、この文章につきましては「武器の使用」と訳したのは適切であるというふうに考えます。
  285. 東中光雄

    ○東中委員 時間ですから終わりますけれども、武器の使用と訳した根拠は何かといえば、ある国の——国の名前も言えない、ある何か軍人の意見を聞いて実態を知ったらこう訳してもいいと思うた、こんな無責任なことがありますか。こんなことで、自衛隊という武装したもの、武装部隊、軍事組織であることはもう明白です、それを海外へ出すんでしょう。紛争が終わったと言うたけれども、軍事紛争の当事国の間へ入っていって兵力の引き離しをやる、ちゃんと書いてあるんですよ。完全にそれが確定しておるんだったら行く必要ないんですよ。確定させるために行くんでしょうがな。そういう説明を海部首相自身がこの前はしてきたでしょう。そういうことは憲法上できないんだと言って、前回は言うたじゃないですか。  私は、そういう点で言うならば、全く事実をびん曲げてそして独自のことをやるということは、これは当然許せない。こういう、何といいますか——私は撤回を求めて、質問を終わります。
  286. 林義郎

    ○林委員長 次に、柳田稔君。
  287. 柳田稔

    柳田委員 まず最初に、シビリアンコントロールについてお尋ねをしたいと思います。  民社党が資料を要求しまして、昨日付で政府が提出をしていただきました「政府のシビリアン・コントロールについての考え方」という文書がございます。この文書の中で質問をさしていただきたいんでございますけれども、まず第一に、「政府のシビリアン・コントロールに対する基本方針」、まずこれが書いてございます。次に、「防衛出動、治安出動とPKOのシビリアン・コントロールの考え方」ということが書いてございます。  この2の中に(1)というところで「防衛出動及び命令による治安活動について」「防衛出動については、自衛隊法第七十六条により、内閣総理大臣が、原則として、事前に国会の承認を得なければならない旨を規定しており、また、命令による治安出動については、自衛隊法第七十八条により、内閣総理大臣が、事後に国会の承認を得なければならない旨を規定している。」これからがちょっと問題なんですが、「これらの事態は、そもそも我が国にとって重大な事態であり、また、国民の権利義務関係するところが多い面もあることから、慎重を期して、行政府の判断のほか、国権の最高機関である国会の判断を求めることとしたものである。」慎重を期して行政府の判断のほか国会の判断を求めるというふうに書いてございます。  この文章を読んでおりまして、どう考えても行政府、そしてその横かその下に国会があるような、付録で国会の判断があるような感じにしか私には読めないんであります。私の考えでは、シビリアンコントロール、国会の判断が行政府と同じ、同列だ、または慎重を期して伺うものだというものではなくて、シビリアンコントロールをするのは国会そのものだというふうに思うんでありますけれども、いかがでございましょうか。
  288. 池田行彦

    ○池田国務大臣 シビリアンコントロールの最終的な担保というものは、もとより国権の最高機関たる立法府、国会の判断でございます。そして、その大枠がございまして、その中でこの部分は行政府に任していいなというのを国会意思として例えば法律でお決めいただきます。そして、その法律の中でも、ただ行政機関随時やれというんではなくて、例えば、行政に任すけれども、この部分は閣議の決定によってそれを決するべきである、あるいはこの部分については内閣総理大臣の判断によってやるべきだ、あるいは防衛庁の判断でやるべきである、そういうふうに、行政府にゆだねるとしてもなお国会意思としていろいろな各階段のその歯どめが決められている、こういうことになっていると思います。  そういうことでございまして、ここにございます表現も、あるいは表現が十分こなれてないかもしれませんけれども、決して私ども行政府と立法府を並列にして、あるいは本来行政府の判断でいいんだけれども、まあ念のため、あるいは慎重を期して国会に語るんだよ、そういう趣旨じゃございません。むしろ、法律の形で国会が行政府に授権を下さいますときに、その際に、これは慎重を期すべきものだな、行政府に全面的にゆだねてしまっていい話ではないなとお考えになって、法律の中で慎重に、これはまた個別の事態に応じて、防衛出動をする、あるいはしようとするときには国会の判断を仰いでこいよ、そういうふうに法律の中で慎重にお決めいただいておるんだ、そういうふうに御理解いただければと思っております。
  289. 柳田稔

    柳田委員 今の話を聞いておりますと国会がやはり最終的な最高機関であるという感じなんですけれども、この文章を読むとどうもそうとれない。ということであれば——ちょっと変えますが、この文章を大臣お読みになりましてそのようにとれませんか、素直に読んでいただきまして。
  290. 池田行彦

    ○池田国務大臣 私も素直に読みまして、決して行政府の方が、本来勝手に我々の判断でやってもいいんだけれども、まあ念のためにだというふうには必ずしも読めるとは思いませんけれども、しかし、その表現の仕方として、先ほど私が申しましたように、シビリアンコントロールの最終的な担保はやはり議会の御判断なんだ、その中でいろいろ行政府に授権を賜っておるんだ、そういうふうなことをあるいは書いておいた方が誤解を招くおそれがなかったかな、そういう感じはいたします。
  291. 柳田稔

    柳田委員長 できましたらば、誤解のないようにこういう文書を出していただきたいと思います。  次に、PKOのことに関して質問をさしていただきます。  ことしの六月に、政経第五班ということで各国を訪問さしていただきました。いろいろと勉強さしていただきました。いい経験をさしていただいたと思いまして、心から感謝申し上げます。  行きましていろいろな国の御意見を賜ったわけでありますが、今回のPKO各国それなりの意見を持っております。  例えば、スウェーデンでありますけれども、「国連PKOへの積極的協力安全保障政策の基本である。それは自国」スウェーデンですが、「自国の防衛政策と並んで国防の根幹をなしている。スウェーデンのように小国であり、中立国である国にとっては、世界紛争のないことが最善であり、そのために国連の権威が高まり、世界が力ではなく国際法によって支配される状態を熱望している。このためPKO参加国が増えることは国連の権威を高める物として捉え、日本等の参加を歓迎している。」こういう旨のスウェーデンのお話がございました。  さらに、今度はカナダでありますけれども、「カナダは世界中から移民を受け入れており、外国貿易に大きく依存しており、世界の出来事に関心を持ち、これに係わっていかざるを得ない。紛争の平和的解決を望んでおり、国連及びPKOを含め国際の平和と安全の維持を促進するため国連を重視している。」こういう観点からPKOにいろいろと協力をされておるということであります。  また、今回、昨年の湾岸危機以来いろいろなことも日本国内で議論をされたわけでありますが、あるところで雑談をしながら聞いたことになるかもわかりませんけれども、カナダやスウェーデンはPKO参加をしておる、参加をしておるけれどもいろいろな場面で貴重な人命も失っております。その人たちは自国の利益のためではなくて、国連国際平和の犠牲となっております。こういうPKOに際して、日本PKOの文民分野、まあ前方支援、後方支援、前方、後方という言葉もあるかもわかりませんけれども、後方支援、それだけに参加するとすれば、今後、日本は嫌なことは引き受けない、危険はやろうとしない、こういう批判も日本には来ますよという率直な意見も私は聞いてまいりました。  世界の平和、そして新しい秩序づくり、意見をお持ちのようであります。まずこのことについて御見解を賜りたいと思います。
  292. 丹波實

    ○丹波政府委員 たしか国連の明石次長などもまさに先生が今おっしゃったようなことをいろいろなところで言っておられまして、このPKO参加しても、あるいはPKFに参加しても、後方支援的なところしかやらないんだという考え方が世界に示されれば、やはり日本というのはそういうことしかしないんだなという、そういう批判の対象になりますよということを、彼は国連の職員ですが、他方日本人ということで、日本のあり方を心配していろいろな講演その他のときにもそういう発言をしておられる。それなりのやはりお考えではないかと私たち受けとめております。
  293. 柳田稔

    柳田委員 いろいろな国も、PKOには参加すべし、今回そういうことも感じて日本PKOには参加しようということで法案をお出しになった。私としてもこのことは大変評価をしておりまして、早急にPKOには人的貢献をすべきだというふうに感じておる一人であります。  ただ、いろいろな今回のPKO法案議論を聞いておりますと、このPKO参加するという本来の趣旨はどこに行ったのかなという気がいたしてなりません。ですから、先ほど一番最初に申し上げたのは、それが本来のPKO参加する趣旨ではないのか、まずこの大前提を議論して、そしていろいろなところに移っていく、これが話の筋ではないかなと思うのですが、いろいろなところに行っているようであります。  大局的な見方ということで、冷戦崩壊後やはりいろいろな地域で紛争がこれから起こるであろう、その紛争が起こらないように、さらに起こっ         た場合それをおさめるためにも、国際的な平和秩序の確立のためにも、国連活動に支援をしていこう、これはまず第一の大きな議論ではないかなと思うのであります。  先ほど来から、憲法九条、武力使用とまた武力行使の違い、いろいろと議論されておりますけれども、実際行って聞いた立場からしますと、特に国連の中でありましたけれどもPKO武力行使関係についてという質疑もさせていただきました。その中でお答えが、多くのPKOは原則非武装である、武装していないというお答えであります。ただ、中には、その作戦上PKOが武器を携帯できるよう事務総長が安保理に要請をして、許可を得て作戦に当たる。さらには、その軽武装でさえ自己防衛の最後の手段としてのみ武器の使用が認められる。さらに言いますと、PKO紛争当事者の同意に基づいて派遣されるものであり、敵はいないんだ、ゆえにPKOが直接戦争に巻き込まれることはまずありません、PKOは申立てあり、力ではなく国連の権威に依存をして平和維持活動を行っておるんだ、こういうことでPKO武力行使関係について御説明がありました。その辺のお話を聞きながら、さらにいろんな実際に行った人のお話を聞きながら、武力行使、こういうことが起こることはまずないなというのが、行った者、そしていろんな人の話を聞いた実感であるわけなんです。  そういうことも考えまして、一年生議員としては、なぜPKOに行くんだという議論にもっと多く時間をかけて、その必要性をできれば政府から国民に訴えてもらいたいようた立場から言っておるんでありますけれども、この審議、いかが感じられますか。
  294. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 今柳田議員が御指摘になった点は、このPKOという活動国連憲章の条文にきちっと載っていないにかかわらず、皆が努力をし、積み重ね、その成果を認め、そして実質的に定着させてきて、今や国連平和維持活動として多くの国々の支持を得ておる。そのことは参加した国のみならず国際社会の高い評価も受けて、ノーベル平和賞も去る八八年に受賞をした。  そういうことでありますから、私は新しい国際社会の秩序というのは、特に最近の東欧、ソ連の変化を踏まえて、力の対決、力による解決という問題から、何か冷戦時代の発想はもう乗り越えつつある、新しい国際秩序がつくられつつある、それは、やはり国連機能中心にして、みんなが力を合わせてそれぞれが平和を維持していくようなことに努力をすべきであるという方向性もきちっと出てきておると私は思うのです。  そういった意味でこの平和維持活動というものがあるなれば、日本としても、戦後きょうまでこれだけ世界の平和と自由の秩序の中で、それを満喫して大きくなって、質的に向上もしてきた国でありますから、今度は世界の一員として、世界の中に入ってなし得る役割を分担していくにおいては、この国連平和維持活動というものは最もふさわしいものである、私はそう考えておりますし、そういった意味からこの法案もお願いしたわけであります。  御指摘のように、中立・非強制の立場国連の権威と説得により任務を遂行するのであって、これはやはり戦わない部隊とか敵をつくらない部隊とな言われておりますのはまさにそういうところに当てはまるわけでして、必要に応じて、また皆に認められながらできてきた活動でありますので、これをひとつ日本もできるなれば参加をして、一緒になって世界の平和維持をやっていこうという考え方について御質問いただきまして、まことにありがとうございました。
  295. 柳田稔

    柳田委員 一応PKO役割、また任務なり、すべきことという点は私も一致しているというふうに思うのであります。  だんだん違ったところで相違点が出てくるわけでありますけれども、今回いろんな作戦地域といいますか、派遣する地域もあります。それで、そこはほとんどがやはり、戦時中とはいいませんが、やはり武力が何らかの関係をしている地域であるというのは否めないと思うのです。停戦になった、だから引き離しをした、そこにPKOが行くということもありますが、危険がすべてゼロということもまた一方では言い切れないと思いますし、さらには、何ゆえにPKOが行くのかといいますと、その任務も大変なものを背負っていくのが行く人たち任務だろうと思うのです。  その行く人たちの人柄、人格、どういうものが必要だというのもいろんなところでお聞かせ願いまして、ちなみに挙げますと、忍耐強い人、そして人と協調をする人、そういうふうないろんなことが挙げられまして、これは大変な人を人選していかなきゃならないなという気もいたしましたが、ただ、その危険性があるということも忘れられないので、やはり自衛隊が担う分野は多いであろう。そしてまた、今回いろいろとPKO活動ありますが、PKFもあるでしょうし、そして停戦監視団もあるでしょうし、また、それのロジ部隊といいますか補給する部隊、カナダではほとんど軍人を使用しておりますという話もありました。その理由は、言葉が通じるのもあるでしょうし、軍人であればスピーディーに物資の輸送もできるというお話もありました。今回のカンボジアのことを考えたり、国連のカンボジアに対する考えをお聞きしますと、日本からもそれ相当の精鋭、訓練を積んだ自衛官が行ってもらわなければ、世界からよく日本はやってくれたという評価が得られないんではないかという気持ちもあります。  そういうふうにPKO自衛隊に海外に行っていただいて世界の平和のために仕事をしていただく、これは私はすばらしいことだと思うのですが、先ほどもちょっと言いましたように、いろいろな地域がある。地域によっては危険なところもある。または楽な、自衛隊が行かなくても、軍人が行かなくても済むところもある。いろいろなところがあるわけであります。  さらには、今回の自衛官の海外派兵についていろいろ新聞がアンケートをとっておりますが、国民の多数には危機感もあるわけでありまして、日本が新しい試みをする、がしかし、私は戦後生まれなのでちょっと鈍いのかもわかりませんが、まだまだ危機感を抱いている方が多い。  こういう状況下にあるということを考えますと、一番最初に申し上げましたシビリアンコントロールの考え方、国民の意思判断、意思が表現できる唯一の機会は国会しかないわけでありますのできるのだったら毎回そのたび国民投票をやって、そこはだめだ、行けるということになれば、国民の意思がすべて出るわけでありますが、国会の場しかない。さらに、回りながら各国の人がおっしゃっておったのですが、日本はできることをやればよろしいのですということもおっしゃっておりました。日本ができることをやるということは、国民が、このことはできますという判断をしたことをやればいい。国民がこのことはだめだと言ったらできないということにもなるんではないかと思うのです。  そういうことからして、今回の新しい、試みと言ってはいけませんが、行うPKO、国民がまだまだ危機感を抱いておるPKO。しかし、かといって、日本として、国際社会で生きていかなければならない日本としてはやらなければならないPKO、その辺をもろもろ考えますと、やはり国会の承認が必要ではないかと私は考えるのでありますけれども、いかがでございましょうか。
  296. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 御調や御心配は私もよく柳田委員のお考えが伝わってくると思うのですけれども、そうであれはこそこの法律にはそういったようなことを全部踏まえて日本の国だけのいろいろな要件が書き込まれておるわけでありまして、国民のとおっしゃいましたが、国民の代表である国会の御審議をいただいて、このような枠組みの中ならば派遣してもいいぞという全体の大枠を決めていただくのがこの法律だと思っております。  そして、法律で決めてもらったこの枠組みの中で、上限も決まっております、大原則も決まっております、その中で要請に応じて、具体の要請に応じて実施計画というものを作成をいたします。その実施計画というものをつくったときに初めて具体的な要請とそれにこたえる具体的な姿が出てくるわけでありますから、そうすると、それがこの授権の枠組みから離れておるのか離れておらないのかということを、もう一回、国民の皆さんの声を尊重しろというお立場でいけば、遅滞なく御報告をいたします。  報告をすれば、手続は国会の方でお決め願って、いろいろな御議論があろうと思います。その御議論を踏まえて今度は私どもの方は実施計画を、その御議論の中で、そんな当てはまらないようなことは決してしない、この枠組みの中で出すつもりでおりますけれども、それがもしどうしてもだめだということになれば、計画変更の端緒にもさせていただく、それぐらい国会の御議論というものを重く受けとめておりますということを申し上げ続けてきておるわけでございますから、どうぞシビリアンコントロールというのはそこできちっとしていただく、国民の皆さんの声は、この議会においていろいろ政府側の報告を受けたり、あるいはここの計画を変えたらどうかというような御議論のありますときは十分拝聴いたします。大切にいたします。
  297. 柳田稔

    柳田委員 大切にいたしますということでありました。いろいろと議論を通じながら計画を変えていきますと、遅滞なくという言葉がまずおかしくならないでしょうか。報告を、こういう作戦をします、こういうことで計画を組みました、行かさせていただきますと。しかし、国会に報告する、議論を通じて修正すべきところは修正しますと今おっしゃいましたですね。御意見を拝聴して大事にいたします、必要ならば計画も変更しますと今お答えになりました。そうしますと、遅滞なくという言葉が、我々の要求する修正をのめば、遅滞なくという言葉ではなくて、皆さんが納得できるような報告といいますか、計画をつくって報告ができるまで議論をしますということなんでしょうか。
  298. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 そうではございません。最初申し上げておりますのは、これだけここでいろいろ御議論を願っております。御議論の結果、我々がお願いしておるこの枠組みを認めてくださいということもお願いしているわけです。この我々の枠組み、国会から授権された範囲の中で、この中で政府は実施計画をつくるわけです。つくった実施計画を御報告をする、そういうことでございます。  そうしますと、今度はそれに従っていろいろ御議論願って、我々国会が政府に渡した枠組み、授権からこれは外れておるではないかとか、これはおかしいではないかとかいうようなことが、我々はそうではないと思って出すのですが、もしあった場合には、それを謙虚に受けとめて計画変更の端緒にもさせていただきます、こういうことを申し上げております。
  299. 柳田稔

    柳田委員 PKOが行く場所ですけれども、いろいろなところがございます。それで、その場所というのは危険の度合いもいろいろ違いますし、国の内情も違いますし、性格も宗教もいろいろな面が違うわけであります。そういうところに今後派遣をするということを考えますと、今回のこの法案がすべてそれをカバーできるだけの中身があるのかどうなのか。一つずつ詰めていきますと、では例えばコンゴはどうするんだ、レバノンはどうするんだ、そういう問題まで入っていくような気がしてならないわけであります。そうすると、どこの地域にも適用できる、カバーできる法案になってくるのか、果たしてそれが本当に言えるのかどうなのか、私は疑問があるのですけれども総理大臣は疑問ございませんか。     〔委員長退席、船田委員長代理着席〕
  300. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 それはこの全体の枠組みをいただいて、具体の要請があった場合、例えば今具体に言われたコンゴというような例が来ますと、ここで示しております原則に反するわけでありますから、それは残念ながら我が方は要請が来てもお受けができないということになります。その原則が決まっておるわけですので、この原則に当てはめていたします。同時にまた、この原則の枠組みで委任された範囲内においてしか日本のPKF活動というものもPKO活動というものもないわけですから、その授権の枠内で、原則に従って一々具体的に判断をいたします。
  301. 柳田稔

    柳田委員 もう時間もなくなったのですが、例えばコンゴ、これは矢面に立つ人は武器使用というのがあったわけですけれども、補給はどうなるでしょうか。補給は武器を使用しませんけれども、やはりその部隊の食糧なり必要なものを運ぶわけであります。それは武力行使には当てはまりません。しかし、その地域はもう武力行使をしているわけですよね。そういう難しい判断になってきたときはどのようなふうに考えればよろしいのでしょうか。
  302. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 武力行使をしている場所へ、現に武力行使が行われているところへ入っていくということは、これはこのPKF活動の前提でありませんし、この法律によって議会からいただこうとしておる授権の枠外の問題でありますからそういったことは私どもはいたしませんし、武力行使が現に行われているところを何とかということはFKF活動と別の次元の問題になると私は受けとめております。あくまで停戦合意が成立をし、紛争当事者のすべてが合意をし、中立・非強制の立場で平和を維持するということでありますから、私はそれはあり得ない想定だと言わせていただきます。     〔船田委員長代理退席、委員長着席
  303. 柳田稔

    柳田委員 コンゴのPKOは実際に武力行使を行っていたわけでありますね。ただし、そこにやはり補給しないといけない、その補給は武力行使を伴わないわけでありますので行けるのかどうなのかなという感じがあります。そのことまで今回の法案規定しているんだろうか。私は、してないんではないかと。つまり、PKOに行っています、ところが地域の状況を考えますと、行ったPKFは武力の行使も認めざるを得ないということでやっていたわけであります。そのPKFの軍隊に対して補給するのはどうなるのか、そういう細かい議論までしていくと、今回のこの法案はそこまでカバーをしてあるんだろうかなという気がいたしております。  もう時間がなくなったわけでありますけれども、最後にちょっとお尋ねをしたいのであります。  いろいろと回ってきたときに、PKOというのは、行った隊員の皆さんがそれなりの活動をして、その成果を上げてほしいということで行っていただくわけでありますけれども、そうしますと日ごろの訓練が大事になるんではないかな。つまり、日常的に訓練をしておかないと遅滞なく送るということは非常に難しいんではないか。さらには、要請が来てもその地域の言葉なり宗教なり政治なり状況、いろいろ説明、教育をしていかなきゃならない。あるところで言っておりましたが、二割の軍人で八割の外交官、だから教育が必要なんだということもおっしゃっておりました。まあ、どれほどその外交官に仕立てるために期間が要るかわかりませんが、前もってのPKOの訓練というのは非常に必要になるかと思うのですけれども、この辺についてはもう既にお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
  304. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 教育、訓練、研修といったものについては二通りの種類があると思います。  一つは、実際に要請があって任命されました後にこの本部において行う研修、これが法案に書いてございます。  御質問のただいまの御趣旨は、それ以前に、要するに自衛隊なら自衛隊が出ていく場合に、事前に教育訓練を十分に周到にやっておく必要があるではないかという観点からの御質問と受け取りまして私ども考え方を申し述べさしていただきたいと思いますが、私どもといたしましては、まだ法案が成立していない段階でございますから非常に具体化するには制約がございますけれども、机上のプランとして今考えておりますのは、いろいろ検討いたしておりまして、外国におきます実態の調査、これを先般来実施をいたしました。その中でも教育体系がどうなっているかということも見聞してまいっているはずでございます。そういうものを踏まえまして今後いろいろな形でもって対応してまいることになろうと思いますけれども一つ考え方といたしましては、核となる、教育訓練の指導者となるべき者を実際に北欧の訓練センターに派遣をいたしまして、そこで所定の期間教育をさせまして、それが帰ってきて核となって部隊の教育をするというようなことを考えております。それは必ずしも一定の限られた人数といいますよりも、候補者となるべき人数を想定いたしまして、ローテーションをもって訓練を繰り返していくというような考え方を現在検討中でございます。まだ最終的に決まっているわけではございませんが、一つ考え方としてはそのような教育体系を念頭に置いて検討しているところでございます。
  305. 柳田稔

    柳田委員 どうもありがとうございました。
  306. 林義郎

    ○林委員長 次に、楢崎弥之助君。
  307. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 毎回私ども一生懸命質疑を繰り返しておりますが、政府の答弁なり意見がすぐくりくり変わるのですね。いや、言ひねられるなら実際あれしましょうか、私がまとめたやつを。今までのやっと去年の暮れのやっと今度のやっと、三回全部変わっているですよ。そう長い期間じゃない。  一つだけ挙げましょう、今までのやつで今回関係あるやつを。いいですか、目的任務が武力の行使を伴わないものであれば参加することは憲法上許されないわけではないが、ここまでいいですよ、隊法上、自衛隊法上そのような任務が与えられていないので参加することはできない、こういう答弁だった。つまりこれは今度も問題になりました自衛隊法第三条の問題。いいですか、三条が「わが国の平和と独立」となっているでしょう。あれが我が国の独立と世界の平和ならわかるのですよ。変えなくてもいい。しかしそれがない。「わが国の平和と独立」になっているから、自衛隊法上、自衛隊任務として海外に派遣することはできない、こういうことになったのです。  それで今度はじゃどういうことが起こるか。これは去年の暮れ問題にした。自衛隊法の五十三条、それに引き継ぐ自衛隊法施行規則三十九条、宣誓をさして入れているでしょう、自衛隊員を。その宣誓文は第三条になっているのですよ。第三条に、「私は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚しこれが宣誓文です。今度行くのについて、ああ自分が宣誓したこととこれは違うな、つまり契約したことと違うな。拒否してもいいですね、そういう考えのもとに、参加を。
  308. 池田行彦

    ○池田国務大臣 法律に根拠がなくてはならないと申しますのは、必ずしも自衛隊法第三条に規定されなくてはならないということではございません。自衛隊法あるいはその他の法律に根拠がなくてはならないということでございます。そして、今回のそのPKO参加する任務につきましては、今御審議をちょうだいいたしましている法案におきまして、このPKO協力法案あるいは緊急援助隊法案そのものにその自衛隊任務として入れるわけでございますし、また、その附則の方で自衛隊法につきましても百条の六あるいは百条の七という規定をいたしまして法律の根拠を与えておるわけでございます。それが第一点でございます。  それから第二点でございます。自衛官としての宣誓は三条の問題だけではないか、そうすると今回の与えられる任務については拒否ができるかということでございますけれども、これは法律におきまして自衛隊任務となります以上、これはその自衛官たる者はその任務の重要性を自覚いたしまして、それに参加を求められた場合には参加してまいると存じます。  しかしながら、要員の選考に当たりましては、いろいろ個別の人間の適性であるとかあるいは能力であるとかというものと同様に、個人的なもろもろの事情につきましてもしんしゃくしていくということになろうかと存じます。
  309. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そんなに、この自衛隊法や、自衛隊法の全部じゃないんですよ、第三条を中心に据えたその討議をあなたがおらぬときしたんだ、ちゃんと過去。そんなこと言ったってだめです、そんな広げて。  次に、じゃこれはどうなりますか。いいですか。これは去年のことです。よく聞いておってくださいよ、外務大臣も。去年はこうだった。去年の統一見解は、平和維持軍の方は、どちらかというといわば紛争が再発した場合の抑圧というふうなことまで考えたものです、こうなっておる。去年ですよ。それで平和維持軍的なものに対しては参加することが困難な場合が多い、これは去年の十一月六日の特別委員会、こうなっておったのです。  ところが今度はどうなっていますか。今度はこの一月前、八月二十日、予算委員会だ。平和維持軍への参加は慎重を期して去年の法案には盛り込まなかった。慎重を期して盛り込まなかったんだ、平和維持軍への参加は。それでここからです。任務の遂行を実力をもって妨げる企てに対抗するための武器の使用ということになると、灰色の部分もあるのではないか、法制局長官、あなたのよく使うところの灰色の部分もあるのではないか。わずか。一カ月前はこういう答弁だった。  そして、きのう私が言ったことにまじめに答えてなかった。私はきのう、八月五日の自民党の外交・国防関係合同部会で政府側が説明した、その中で、柳井条約局長は、これは今までもそうだったんですよ、武力の行使というのは、国または国に準ずる組織に武器を使用するのが武力行使、こうなっておった、今までは。国または国に準ずる組織に武器を使用する。今回のあなた方のこの統一見解にはその文言が一つもないんじゃないですか。八月五日はこうなっている。柳井局長は、憲法に禁じた武力行使と、まさに今問題になっている維持軍での武器使用との区別について、わざわざ御丁寧に答弁なさった。どう違うか、国または国に準ずる組織に武器を使用するのが武力行使であって、したがってゲリラ行動などへの自衛的な武器使用は武力行使に当たらないと外務省側は御答弁なさった。  ところが、それから一カ月、九月二十五日、このごろでしょう、このごろですね、九月二十五日、今度は工藤さんどう言っているか。ゲリラやテロのことですよ。ゲリラやテロに対する武器使用も国または国に準じる組織、いわゆる外敵に対する対抗という意味武力行使になる、今度はこうなっている。その紛争の相手方が非常に紛らわしい場合も武力行使に当たるおそれがないとは言えない。そうでしょう。  どうしてこんなに違うんです、たった一月ぐらいで。何のために我々はこういう審議をしているのかわからなくなるじゃありませんか、一々こんなに変えられたんじゃ。今のはどっちが正しいんです。だれでもいいから。
  310. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 ただいま自民党での私の答弁を引かれましたので、その点につきまして私の方から御説明申し上げたいと思います。  あのときいろいろな御議論がございまして、その中で、武器の使用と武力の行使はどう違うのか、同じ点があるのかという御議論がございました。私の方からも、先ほどどちらからお引きになったか存じませんけれども、たくさんの答弁をいたしております。お引きになった点は、必ずしもその私の答弁の全部が報道されたというものではないと思います。  私が申しましたことは、まず一つは、武器の使用がすべて武力の行使に当たるものではないということでございまして、確かに武力の行使の中には武器の使用という要素があるであろう、そしてこれが国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為を行うようなことになれば、それは武力の行使と評価されることであろう。しかしながら、他方においてテロとかゲリラというようなお話もございました。しかしながら、それはそれぞれの実態に即して見なければわからないけれども、例えば犯罪者集団のようなものに対して武器を使用するというようなことは、これはいわゆる国家間の武力の行使というものではないということを御説明したわけでございます。  したがいまして、私は、法制局長官がおっしゃっていることと私がそのとき申し上げたこととの間に矛盾はないというふうに考えております。
  311. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 確かめておきますよ。そうすると、工藤さんがおっしゃったことが政府側の態度、つまりゲリラやテロに対しても武器を使うことは武力行使に当たる余地がある、そういうことですね。それをはっきりさせておきますよ。  それから、これも答弁なかったですね、工藤さん。刑法の三十六条、何回も言うが、国の財産に当たるものは対象になる、正当防衛あるいは緊急避難の。私がなぜこれを問題にするかというと、国の財産、つまり医薬品とか食糧とか武器とか、そういう倉庫が急迫不正の侵害を受ける可能性が絶無とは言えない、そのときに使用する武器は違うのではないか、違わざるを得ないのではないかという懸念があるから私はそれを問題にしたが、あなた方は正確に答えない。あくまでも体のことばかりおっしゃるんですよね。  それで最後に聞いておきます。防衛庁長官自衛隊が今度これにもし行かれるとしたら、自衛隊の制服を着て行って、施行令の一条の二の自衛隊旗を掲げて行かれるのですか。そしてほかの部隊は、つまり民間人の方はどういう旗を持って行くのです。総理大臣、日の丸を持って行くのですか、自衛隊だけ自衛隊の旗を持っていくのですか、はっきりしておいてください。
  312. 池田行彦

    ○池田国務大臣 講和が成立して派遣されます場合、どういうふうな制服で参るか、あるいは国旗はどうするかという点でございますけれども、これは国連との話し合いもあるわけでございますけれども、これまでの各国の例、そうして私ども考えておりますところでは、自衛隊員の場合には自衛官としての制服を着用してまいります。しかしながら、国連PKOの一員でございますから、よくブルーヘルメットという言い方をされますけれども、そういうふうにPKOの要員であるということを示すようなヘルメットあるいはワッペンというようなものも着用することになろうかと思うわけでございます。  それから、自衛隊の部隊が出てまいります場合には国旗は携行してまいります。しかしながら、それを……(楢崎委員自衛隊旗」と呼ぶ)旗でございますね。それは国旗は携行してまいりますが、それを現地で使用するかどうかということは、それは国連との話し合いということでやってまいりたい、こう思います。
  313. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ありがとうございました。  重ねて一言だけ。今度出された統一見解は、ああいう見解を出したんじゃ武力行使なんということは出てきません。全部武器使用になってしまうのです。あんな見解は私どもは了承できない、それだけもう一遍申し上げておきます。  終わります。
  314. 林義郎

    ○林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十八分散会