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1991-09-18 第121回国会 衆議院 厚生委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年九月十八日(水曜日)     午前十時五分開議 出席委員   委員長代理 理事 野呂 昭彦君    理事 粟屋 敏信君 理事 石破  茂君    理事 加藤 卓二君 理事 丹羽 雄哉君    理事 網岡  雄君 理事 池端 清一君    理事 遠藤 和良君       岩屋  毅君    小沢 辰男君       岡田 克也君    木村 義雄君       北村 直人君    坂井 隆憲君       鈴木 俊一君    住  博司君       戸井田三郎君    平田辰一郎君       岩田 順介君    岡崎 宏美君       沖田 正人君    川俣健二郎君       小松 定男君    五島 正規君       外口 玉子君    土肥 隆一君       永井 孝信君    大野由利子君       児玉 健次君    柳田  稔君       菅  直人君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 下条進一郎君  出席政府委員         厚生省生活衛生 小林 康彦君         局水道環境部長  委員外出席者         環境庁企画調整 長谷川正榮君         局企画調整課長         環境庁自然保護 橋本善太郎君         局計画課長         環境庁大気保全 丸山 晴男君         局企画課長         大蔵省主計局主 渡辺 裕泰君         計官         通商産業省立地         公害局環境政策 湯本  登君         課公害防止指導         室長         通商産業省基礎         産業局化学品安 鷲見 良彦君         全課オゾン層保         護対策室長         通商産業省機械         情報産業局総務 今野 秀洋君         課長         通商産業省機械         情報産業局電気 青柳 桂一君         機器課長         通商産業省生活         産業局紙業印刷 増田 達夫君         業課長         運輸省自動車交         通局技術安全部 上子 道雄君         管理課長         厚生委員会調査 高峯 一世君         室長     ————————————— 委員の異動 九月十八日  辞任        補欠選任   野呂田芳成君    北村 直人君   三原 朝彦君    木村 義雄君 同日  辞任        補欠選任   木村 義雄君    三原 朝彦君   北村 直人君    野呂田芳成君     ————————————— 九月十八日  廃棄物適正処理等に関する法律案浜本万三  君外五名提出参法第一号)(予) 同日  難病患者などの医療生活の保障に関する請願  (中西啓介紹介)(第一五八号)  同(岡田克也紹介)(第一七二号)  同(宇野宗佑紹介)(第二〇一号)  重度戦傷病者と妻の援護に関する請願中西啓  介君紹介)(第一五九号)  同(越智伊平紹介)(第二〇二号)  同(新井将敬紹介)(第二四四号)  老人保健法改正、特養ホームの増設に関する請  願外一件(後藤茂紹介)(第一六〇号)  公共の場所の禁煙・分煙の法制定に関する請願  (中西清紹介)(第一六一号)  同(矢追秀彦紹介)(第三〇六号)  老人保健法改正保健婦等の増員に関する請  願(永井孝信紹介)(第一六二号)  重度身体障害者終身療護保養施設の設置に関  する請願山元勉紹介)(第一七三号)  重度身体障害者年金者救済措置に関する請  願(細川律夫紹介)(第一七四号)  老人保健法改正などに関する請願木島日出夫  君紹介)(第一八八号)  老人保健法改正等に関する請願金子満広君  紹介)(第一八九号)  同(小沢和秋紹介)(第二九〇号)  同(金子満広紹介)(第二九一号)  同(木島日出夫紹介)(第二九二号)  同(児玉健次紹介)(第二九三号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二九四号)  同(菅野悦子紹介)(第二九五号)  同(辻第一君紹介)(第二九六号)  同(寺前巖紹介)(第二九七号)  同(東中光雄紹介)(第二九八号)  同(不破哲三紹介)(第二九九号)  同(藤田スミ紹介)(第三〇〇号)  同(古堅実吉紹介)(第三〇一号)  同(正森成二君紹介)(第三〇二号)  同(三浦久紹介)(第三〇三号)  同(山原健二郎紹介)(第三〇四号)  同(吉井英勝紹介)(第三〇五号)  老人保健法改正反対等に関する請願金子満  広君紹介)(第一九〇号)  老人保健法医療法改正反対等に関する請願  (金子満広紹介)(第一九一号)  老人保健法改正等に関する請願吉井光照君紹  介)(第一九五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  廃棄物処理及び清掃に関する法律及び廃棄物  処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出、第百二十回国会閣法第六八号)      ————◇—————
  2. 野呂田芳成

    野呂委員長代理 これより会議を開きます。  委員長指定により、私が委員長の職務を行います。  第百二十回国会内閣提出廃棄物処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡崎宏美君。
  3. 岡崎宏美

    岡崎(宏)委員 岡崎です。社会党は去る十一日に参議院の方に廃棄物適正処理等に関する法律案を出したわけですけれども、私たちが、今回政府提案をされております改正案によって現状改善をされていく、そういう意義については理解をしているにもかかわらず、やはり与野党逆転参議院で対案を出してでもなおかつ改善を図りたい、そんなふうに決意をしております理由は、今ごみ戦争だとかあるいは不法投棄列島だとか言われるそういう現状に対して、政府案程度では改善になお実効が上がらないのではないか、そんなふうに考えるところがあるからです。  特に製造事業者責任という点については非常に甘いのではないか、弱いのではないかという指摘の声も各方面から上がっているところですけれども、今急増しておりますごみの問題について、関心は高まっていることは間違いありません。ですから、特にムードだとか理念だけではなくて、再生現場やその周辺の実態、あるいはそれを仕事として、また運動の中心として携わっている人たち実態というものを視野に入れての解決であるために、社会党の案と比べての立場からきょうは何点がお尋ねをしていきたいと考えております。  まず、今回政府案製造事業者責務として新たに加えたんだ、加わった点について改めて紹介をしていただきたいと思います。     〔野呂委員長代理退席石破委員長代理着席
  4. 小林康彦

    小林(康)政府委員 改正法案におきまして、今までの事業者責務に加えまして、新たに事業者一般的責務といたしまして、「廃棄物減量その他その適正な処理確保等に関し国及び地方公共団体施策協力しなければならない。」旨の規定が設けられております。  また、製造事業者等事業者具体的責務といたしまして、新たに、適正処理が困難な一般廃棄物処理に関し市町村に必要な協力を行うこと、廃棄物処理センターの業務に関する基金に対する出捐について必要な協力を行うこと、製品容器等への材質またはその処理方法の表示、その他必要な措置を講ずること等が規定されたところであります。  さらに、排出事業者責務としましては、多量に排出をいたします事業者は、当該廃棄物処理に関する計画の作成を行うこと等が規定されており、今回の改正において、製造事業者排出事業者責務の全般的な強化が図られたところでございます。
  5. 岡崎宏美

    岡崎(宏)委員 それでは、今実際に市町村がその処理について大変苦労をしている問題、できればメーカーの側、製造業界協力をしてほしい、こういうふうに考えている問題について幾つか具体的にお尋ねをしていきたいと思います。  まず、市町村のいろいろなところに道路があるわけですけれども、その上に何カ月も放置をされている自転車あるいは単車自動車、これらのものについて、道路管理者立場からしてもあるいは廃棄物処理担当者立場からしても、製造及び販売業者回収あるいは処理などの協力要請をすることが多いと思います。仮に関係業界が、市町村が何とかこれを除いてほしい、回収をしてほしい、こういう要請をした場合に、いや、おたくだけというか、そういう特定の市町村においてだけ協力をするというふうなことはできません、協力しがたい、こういうふうなことで否定的な態度をとることが通常多いと思われるわけですが、これに対して厚生省としては、市町村に対して一体どういう支援をすることができるのか、しようとしているのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
  6. 小林康彦

    小林(康)政府委員 放置されております自動車につきましては、御指摘のとおり最近社会的問題にもなり、廃棄物処理行政の上からも大きな問題になりつつあります。  放置されております自動車につきましては、ナンバー等によりその放置をした者を確認いたしまして、その者に撤去させるということが原則でございます。しかしながら、放置した者が判明しないケースもございまして、やむなく市町村廃棄物として処理を行うあるいは行おうという場合もございまして、こうした場合に協力をするために、日本自動車工業会等がその処理費用を負担する制度、この制度厚生省指導も踏まえまして実施に移されたところでございます。  同時に、このような自動車放置を防止いたしますために、販売店廃棄車両等を引き取り、専門の処理業者に引き渡す制度実施に移されております。  こうした動きは、廃棄物処理法改正あるいは社会的な世論の高まりを背景にして実現してきたものでございますが、こうしたメーカー側協力を得た制度が円滑に運営されますよう指導いたしますとともに、放置自動車の適切な処理とその放置防止のために今後とも努めてまいりたいと考えております。
  7. 岡崎宏美

    岡崎(宏)委員 放置されています自転車単車自動車、これは一体どこから廃棄物として見ていくのか、どこまでを再生資源として見ていくのかというふうなこともかかわってくる問題でもありますし、では、厚生省としてどこまでが管理できるものであるのか、通産省が管理するものであるのか、こういうところが大変大きな問題になってくると思うわけですけれども通産省の方として、今工業会の方も自主的な回収ルートを始めているとか、経済的な支援によっての協力とかいうことも出ていると思いますが、通産省としての方針はどうなっているのでしょうか。
  8. 今野秀洋

    今野説明員 お答え申し上げます。  使用後の製品廃棄物、これの適正な処理ということにつきましては、根本原則としては排出者責任を持たなければならない。そういたしませんと、いわば捨て得ということになりまして、これは非常に好ましくないと考えておりますけれども事業者につきましても、自主的にみずからの販売システムを活用するということで、回収協力することが重要であると考えております。  ただいま御答弁にございましたけれども、この関係では自動車製造業者販売業者などが二つの措置をこのたび七月一日からとることを決定いたしております。一つは、廃棄希望自動車原付自転車も同じでございますけれども、これをユーザーが販売店等に持ち込みますと、これを販売店等回収協力してあげるという販売店等を通じました回収体制、これを整備いたしました。それからもう一つは、放置自動車等でございますけれども、これにつきましては市町村回収をするわけでございますけれどもメーカー等回収のための資金協力を行う、こういう制度を整備したところでございます。  私どもといたしましては、こういった制度を通じまして、不法な放置自動車問題が解決に向かうということを強く期待しているところでございます。
  9. 岡崎宏美

    岡崎(宏)委員 今回の改正案の中には、至るところに「協力しなければならない。」だとかあるいは協力を「要請することができる。」であるとか、そういうような文言があちこちに出てくるわけですけれども、ぜひその協力というものの中身について具体的に出していただきたい、こんなふうに考えておりますので、通産省の方も最後までおつき合いをお願いしたいと思います。  なぜこういうところにこだわっていくかということなんですが、これまでのこの委員会の審議、それから連合審査会のときも大変多くの方が指摘をされているように、先ほども申し上げましたけれども協力を求めるとかあるいは要請をするとか、そういうことがあるわけですが、これは本当に抽象的であり、一体協力とは何ぞやというと、ううんというふうに、今考え込む人が受け取る側としては大変多いわけです。仮に製造業者協力が得られない、お願いしますよ、こういうふうに言ったけれども、いや、どうも難しい、こういうふうに言われる場合、協力が得られない事態になっても市町村長関係大臣法律上はどうすることもできないのではないか、こういう危惧を持つ人が大変多いのです。私たちもそれは持っております。  特に改正案に関して言えば、適正処理困難物厚生大臣指定をすることができる、こういうふうに今回されているわけですが、それを受けて措置を求めることができるとなっている。適正処理困難物指定をされれば措置を求めることができるとなっているわけですけれども、逆に言うと、適正処理困難物指定されなかったものについて、また今自治体は、特にそれぞれの実情に見合わせて独自に、これはうちはとることができない、処理することができないというふうな措置のあり方があるわけですけれども、それらについて大変混乱が起きてくるのではないかというふうに考えられます。  そこで、この適正処理困難物指定ということについて幾つお尋ねをいたします。まず、適正処理困難物として具体的には一体どういうものを指定をしようと考えておられるのか、お尋ねをいたします。
  10. 小林康彦

    小林(康)政府委員 適正処理困難物につきましては、市町村における一般廃棄物処理状況調査いたしまして、一定の要件に合致するものを指定することとしております。現段階におきまして具体的にこれこれのものを指定をする、こういうふうに言える段階にはございませんけれども全国廃棄物を扱っております市町村が構成をしております全国都市清掃会議から出ております要望大型テレビ大型冷蔵庫等、これらの大型家電製品スプリング入りマットレスタイヤ等要望がございまして、これらの品目調査対象の候補になるのではないか。これらも参考にしながら調査対象を決め、その先の指定段階に入っていきたいと考えております。
  11. 岡崎宏美

    岡崎(宏)委員 今全国都市清掃会議調査の結果も引き合いに出されておられるようで、私たちもあの調査というのは大変重要だなというふうに思っております。今調査をしてからでないと指定をできないから、それ以上余り具体的なことを言える段階ではない、こういうお答えだったと思うのですが、やみくもに実際調査をするというわけにはいかないと思いますし、おおよそどんな法律改正案提案をする際にも、あるいは新しいものをつくろうとするときでも、大体のものというものはあらかじめそれをつくろうとする責任のある役所の方は持っていてしかるべきと思いますので、今具体的に挙げられた例えばマットレスであるとか自転車であるとか、そういったものは間違いなく入ってくるのでしょうと思うわけですが、例えば指定について一体どういう手続で行っていくのか、あるいは調査というものをどういう内容でやろうとしているのかについて、いま少し詳しく御報告をいただきたいと思います。
  12. 小林康彦

    小林(康)政府委員 調査につきましては、「市町村における一般廃棄物処理状況調査しこということが法律要件になっております。今まで実際に廃棄物を扱っておられる方、その他の方々からこういうものをという強い御要望もございますし、私どもも予備的な調査も行っておりますので、それらをもとにいたしまして法律に基づく調査を行うことにしておりますけれども、この指定のための調査内容につきましては、市町村の設備及び技術に照らして、その適正な処理全国各地で困難となっているかどうか、これを十分把握できるように、調査対象といたしました一般廃棄物種類ごとに、その排出量市町村における処理の実績の量とその処理具体的状況、それから処理が困難とされている理由及び程度などを調査することが必要であるというふうに考えております。  具体的に法律に基づく調査要件という点につきましては、今後十分検討をして、適切な指定が行えるようにしていきたいと考えております。
  13. 岡崎宏美

    岡崎(宏)委員 今お答えをいただいたわけですが、先ほど小林部長が取り上げておられた都市清掃会議が行いました一つ調査の結果がございます。この全国都市清掃会議がやった調査中身というのは、全国の五百二十八の市町村対象となって回答を寄せているわけでして、市町村のそれぞれの人口あるいはごみ収集量ごみ受け入れ基準制定などを一方で調査し、そしてもう一方で、特に今どこの自治体大変関心を持っております品目、この中では粗大物に関するものとして、スプリング入りマットレス大型テレビ大型冷蔵庫FRP船原動機付自転車オートバイタイヤ、そして危険物、非衛生物に関するものとしては、家庭用大型ガスボンベ、それから最近よく出回っている使い捨ての小型ガスボンベスプレー缶、紙おむつ、ペイント缶各種溶剤容器の五品目、さらに有害物に関する事項として、蛍光管プラスチック製品、薬品・農薬の三つの品目対象に各自治体に対して調査をしているものです。  この中でもかなり具体的な回答が寄せられていると思うのですが、今この調査の時点で、市町村が私のところは受け入れられない、受け入れないというふうに定めているもの、例えば粗大ごみ部分であれば、タイヤを受け入れない、こういうふうにしているところが四一・五%の数に上っている。オートバイは二六・三%、ガスボンベは一五・一%というふうに、特にタイヤオートバイは受け入れられない、こういうふうに決めているところも多いのです。これは逆に、こういうものなら受け入れられますと言っているのとは全く逆の回答になっておりますし、それが受け入れられないという理由、これは自分のところの施設になかなか合わないからだということが一番大きいように思います。  無理にそういった大きなものあるいは危険なものを収集する過程でも、大変事故も起きている。特に収集運搬過程で、実に全体の事故の発生が千七百二十一件というふうに挙がっていますけれども、九百九十九件までが収集運搬過程で起きているということもありますし、また受け入れてしまってからも、破砕機がきちんとないだとか、自分のところの施設ではどうしても燃焼させることができないだとか、大変細かい事情がこの中には挙げられておりまして、今の自治体が抱えている様子というものが非常にはっきり出ているのではないかというふうに思います。  実際、これから調査をされるにしても、こうした現場で実際に抱えている問題を踏まえた上で、恐らく厚生省の方には自治体からのいろいろな要請が上がってきていると私は思うのですけれども、ぜひそれをきちんと受けとめていく、尊重した立場での調査であってほしいし、そこに挙げられてきた品目については、適正処理困難物として指定がされていくということをぜひお願いも含めてしたいと思います。逆の場合の不安感が強いということ、先ほども申し上げましたけれども適正処理困難物指定をされなかった場合の扱いについて、もう少し具体的にお尋ねをしたいと思うのです。  さっきも、この調査結果の中で、市町村が独自にこれは受け入れられない、こういうふうに決めている品目もありました。この中で仮に厚生大臣指定するものとならないものが出てきた場合、これがどういうふうになるかということなのです。なぜこういう疑問が出てきているのかということについて厚生省としてのお考えをお聞きしたいと思うのです。指定をされなかったものについて、これから各自治体はどういう措置をとることができるか、独自の措置を今までしてきたものはこれからもすることができるのかどうか、こういった点についてお尋ねをしたいと思います。説明をしてください。
  14. 小林康彦

    小林(康)政府委員 お話がございましたように、全国市町村で、市町村の手に余る廃棄物について大変苦労をしている実情がございます。それぞれの市町村ごとにいろいろの工夫をし、業界の努力を求め、その解決の道を探っておるところもあるわけでございますが、個々の市町村の対応では十分でない、全国的な制度として、全国的な問題は全国的な問題として解決ができるように、こういう強い御要望がございまして、従来の規定に加えまして、今回の適正処理困難物指定規定を入れたところでございます。  規定内容は、先ほどお話がございますように、適正処理困難物指定制度を設けたわけでございますが、これ以外の廃棄物につきましても、改正案におきまして、再生を含めて適正処理を確保するために、厚生大臣は物の製造等を行う事業を所管しております大臣に対して、その製造等にかかわる製品材質あるいはその処理方法を表示させること、その他必要な措置を講ずるよう求めることができることとしておりまして、所管大臣を通じての要請ルートを開いたわけでございます。  また、製造業者等を含めた事業者一般的責務といたしまして、廃棄物減量その他適正な処理確保等に関しまして国及び地方公共団体施策協力しなければならないこととしておりまして、これらの規定を踏まえまして、厚生省といたしましても事業者等ができる限り市町村要請にこたえられるよう配慮してまいりたいと考えております。
  15. 岡崎宏美

    岡崎(宏)委員 くどいようですが確認をいたしますが、適正処理困難物指定されたもの以外でもできるということは、今回のこの法律によってとこの部分を根拠にしてそれができるということになるか、お答えください。
  16. 小林康彦

    小林(康)政府委員 事業者一般的責務といたしまして、「廃棄物減量その他その適正な処理確保等に関し国及び地方公共団体施策協力しなければならない。」というところで、「地方公共団体施策協力しなければならない。」というところがその方向を明記をしたところでございます。
  17. 岡崎宏美

    岡崎(宏)委員 ちょっとここに実際にトラブルが起きている問題がございますので、では、こういう場合であればどういう指導なりができるのか、協力要請ができるのかということについてお尋ねをしたいと思います。  これは、ことし七月の二十五日、朝日新聞に出ていた記事なんですけれども消火器をめぐって大阪市とメーカー側で実はトラブルが起きているという、こういう記事なんです。事の発端といいますか、大阪市が廃棄された消火器の引き取り処理メーカー側にあるいは販売店に依頼をするようになったのは、一九八八年、粗大ごみ回収をされた消火器、この積みかえ作業をしていたところ、突然爆発をして破片が飛び散って大けがをした、こういう事故があったことがきっかけです。  このことから大阪市は、原則としてこの廃棄消火器自治体としては回収をしない、けれども、間違って一般家庭から出てきたものについては、いつまでも道路上に放置しておくことはかえって危ないから、それについてはやむなく回収してくるけれども業界側処理をしてほしい、こういうことを要請をしてきまして、その当時は業界の方も事故が起きたということもあって、無料でその処理を引き受けてきた。それが大体年間で三千本ぐらいになっているそうです。ところがメーカ側が、廃棄される消火器の数がどんどんふえていく、こういう事情もあり、また人手不足だとか設備投資の関係理由にして、もう無料ではなくて有料で処理をしたい、こういうふうに言い出した。  ところが大阪市の側は、それを伝え聞いて、いや、本来処理製造者が行うものであって、我々は回収はできないんだ、こういうふうに反論をしたところが、業界側と市側が今まだ現在この時点で話がついていなくて、業界の側は文書でもって廃棄消火器は引き取らない、さらに、どうしても処理をさせたいなら有料だというふうに言った。しかし大阪市は、自分のところでもできないし、当然メーカー側だということを言っているわけですが、やはり知らずに出てくる消火器というのは相変わらずふえておりまして、これの処理に大変苦慮をしているという事態が生まれている。  ここでこの消火器適正処理困難物指定をされた場合、これは関係の、これは消火器だったら通産省とか消防庁になるのでしょうか、そういうところの大臣要請して、それなりの措置をとることもできるかもわかりません。ところが、消火器が適正困難物に指定されなかった場合、厚生省としては例えば大阪市から一体どうしよう、こういうふうに相談を持ちかけられた場合、どういうふうな指導をすることができるのでしょうか。
  18. 小林康彦

    小林(康)政府委員 お話がありました消火器を初め市町村処理が困難な状況になっているというものがございます場合に、それが全国的な課題、全国的に処理が困難な状況になっているかどうか、市町村処理施設処理し切れない部分がどの程度あるものかどうか、そういう点につきまして十分検討をいたしまして、適正処理困難物に該当いたしますものにつきましては指定をして、それなりのルートをつくるという方法が一つでございます。  二つ目は、適正処理困難物指定いたしませんでも、市町村が受けかねるような状態のものにつきましては、ただ単に受け取らないというだけでは、廃棄物適正処理という観点からは全国的な行政としては不十分な点でございますので、どういうルート、どういう処理体制をとれば円滑にその廃棄物処理ができるか、そういう方策を具体的に考えまして、事業所管大臣を通じてその業界に対する要請を行うなり、個々具体に即しての適切な処理体制の確立を図る必要があるというふうに考えております。  もし、問題がその地域だけの問題、全国的でないという場合には、個々の市町村あるいは都道府県と相談をしながら適切な指導を行い、その地域での問題解決を図る、こういうことになろうかと思います。
  19. 岡崎宏美

    岡崎(宏)委員 結局その適切な指導というのは何であるか、本当に規制をする力があるかどうかということが実際にトラブルが起きてきた場合には大変大きな問題になってくるだろうと思うのです。ただ、困難物に指定されようがされまいが、厚生省としては責任を持って指導をする体制があるということですから、この適正処理困難物指定というのは一つ間違うといろいろなところで混乱を起こす、それで結果的に廃棄されたものがやみからやみへといいますか、不法投棄をさらに引き起こしていく、そういうことにも混乱が大きくなればなるほどなっていくものですから、それが指定をされる段階、あるいはされてからも、あるいはされなかったものについても、ぜひ厚生省としてはきちんと責任を持ってその対処をしていただきたいと思うわけです。自治体がこれまでとってきた独自の措置も含めて、なおそれは変わらなくできるものであること、あるいは厚生省としてその措置について責任を持ってやっていくということについて、ぜひ大臣から明らかにしていただきたいと思います。     〔石破委員長代理退席、粟屋委員長代理     着席〕
  20. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 処理の困難な品物につきましての指定の話が中心だと思いますが、この点につきましては、この法律が通り次第、直ちに全国の都道府県に対しましてその御要望実情調査することにいたしております。このことは先ほど説明の中にもあったと思いますが。そういうことによりまして、具体的に何を指定するかの検討をなるべく早くいたしたいと考えております。  その場合には、今御指摘ありましたような通常の品物、タイヤとかあるいは粗大ごみだとか、その他のものが入ってくると想定されますけれども、これは各県の状況によりまして必ずしも画一でないということでありますが、それらの状況の報告を調査いたしまして、なるべく早い時期にまとめた指定をいたしたいと考えておるわけでございます。  また、それに外れましたものについての御懸念もございましたけれども、このことにつきましては事業者が国または地方公共団体施策協力するという規定がございますし、それらの関係から、また厚生省といたしましても十分指導しながら適切なる処理が行われるように努力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  21. 岡崎宏美

    岡崎(宏)委員 困難物の指定についてはぜひそういうふうに努力をしていただきたいと思うのですが、先ほども出ました事業者責務部分です。これは現行法にも事業者責務というのはあるわけですが、その二項では、「製品容器等廃棄物となった場合においてその適正な処理が困難になることのないようにしなければならない。」実際にはこういうふうにあるわけです。けれども、もう再々いろんな方も御指摘なさっているように、現状を見れば、どうもやはり実効ある措置というのはとられなかったのではないか。一般的に「事業者責務」と規定をされても、実効ある措置がとられなかったのではないかと思うわけですが、これについてなぜなのか。そのとられなかった現状というものをだれも否定することはできないと思うのですけれども厚生省として、いわば現行法の総括、実効が上がらなかったということの総括というものを出していただきたいと思います。
  22. 小林康彦

    小林(康)政府委員 処理が困難な廃棄物の問題に関しましては、昭和五十八年十一月に生活環境審議会からの答申の中にも触れていただいておりまして、それを受けまして専門委員会を設け、六十二年に報告をいただき、その報告をもとにガイドラインを作成をいたしまして、製造等に当たっての廃棄物の配慮、いわゆる事前のアセスメントに関係をいたしますがイドラインを作成をして、技術マニュアルも添付をいたしまして、都道府県あるいは社団法人の全国都市清掃会議あるいは社団法人経済団体連合会に通知をして、事業者によります製品等の廃棄物処理困難性自己評価の実施の推進に努めてきたところでございます。  ガイドラインの内容は、対象事業者一般廃棄物として排出される製品の最終段階製造、加工を行う者とし、また一般の消費者が自由に入手できる新製品を自己評価の対象とするとともに、自己評価の基本的考え方として、適正な処理が困難な廃棄物の発生の未然防止を掲げ、その自己評価のための手順を明確にしたところでございます。このマニュアルに沿いまして自己評価を行っていただいておる事業者もございまして、例えばビール会社におきましてプラスチックリターナブル瓶に関して実施をしたケースでございますとか、あるいは家電協会におきまして廃家電品の減量化、再資源化、処理の容易化等を促進するための製品アセスメントマニュアルの作成作業に着手をしておられる、こんなような実例もあるわけでございますが、現在の規定では必ずしも製造の隅々までその精神が行き渡っていなかった、今後この点での事業者の一層の努力を求める必要があるというふうに考えたところでございます。
  23. 岡崎宏美

    岡崎(宏)委員 今の幾つかの報告というのは、事業者による製品等の廃棄物処理困難性自己評価のためのガイドラインに沿ってというか行政指導されてきた、そこでつかんでいらっしゃる幾つかの例の一つだと思うのですけれども通産省の方にもお尋ねをしたいと思うのです。  今厚生省一つの総括として、こうやってやってきたけれども、その精神が業界の隅々まで行き渡っていなかったんだ、こういうふうに答えられているわけですが、このガイドラインの策定のときも、既に関係者の中から、ガイドラインを自己評価としてつくっただけで果たして本当に意味があるんだろうか、つくった限りは具体的にこのガイドラインに沿っでどのような行政指導が行われたか、あるいはそれを受けて業界の中ではどういう動きがあったのか、どういう事例が起きて、どういう結果が起きたのかということを報告をしなければ、そういう情報を公開しなければ、ガイドラインはつくったって、あくまでも自分の勝手の中でしかできないものだから意味がないんじゃないか、こういう指摘があったと思うわけです。特にメーカー側業者側を指導されていく、そういうところにある立場通産省として、さっきの厚生省の、業界の隅々にまでその精神が行き渡っていなかったということの総括について、通産省としてぜひ見解を伺いたいと思います。
  24. 湯本登

    ○湯本説明員 お答えをいたします。  事業者が生産段階において廃棄物減量化あるいは再資源化、処理の容易化のための事前対策を講ずべきことについては、昨年十二月の産業構造審議会廃棄物処理・再資源化部会答申においても指摘されたところでございます。通産省としましては、事業者に対し、自主的に事前対策を十分行うよう指導の徹底を図っておるところでございます。  また、事前対策の内容につきましては、製品の特性等を踏まえ、事業者が自主的に適切な対策を講ずることが基本というふうに考えており、その内容について一律に事業者に報告をさせることにつきましては、膨大な製品の数、製品ごとにその特性が異なり、対策の内容程度に大きな差異があること、さらに中小零細な企業が多いこと、対策によっては企業の秘密等にかかわる事項も含まれ得ること等の事情を総合的に勘案いたしますと、事業者に過度の負担を課すことになり、産業活動全体に支障をもたらすおそれが大きく、適当ではないというふうに考えておるところでございます。
  25. 岡崎宏美

    岡崎(宏)委員 世間の一般の人たちから見れば、本当にこのガイドラインが新しい製品を生み出していく場合に生きているものであれば、次から次から出てくる新しい製品がもう大変な包装であったり、あるいは便利だというふうに言われたら必ずその中には電池が組み込まれているものであったり、何だかわからない薬品が使われていたりということがあるわけないではないか、こういうのが普通の人たちの持つ感覚です。そういう意味で言えば、私は、厚生省一つの総括というのは、苦しいところではあると思いますが、そういう人たちの、普通に受けとめている人たちの気持ちではないかと思うんですね。もうこれから、とにかくそれぞれの企業の秘密もあるだろうからということで、一律に例えば行政がきちんとした指導ができないとか、結果について報告を求められないとかいうことでとまっていれば、もう日に日に廃棄物の問題というものは深刻さを増している、そこを変えようと思えば、ぜひ通産省の姿勢というものも、この際思い切った変化というものをしなければいけないのではないかと思います。  今回改正案の中で、「廃棄物減量その他その適正な処理確保等に関し国及び地方公共団体施策協力しなければならない。」この規定に対してこれが新たに入ったわけですけれども、では、今ガイドラインの効果一つにしても一律に求められないとかいろんなことが出てくる。でも、なおかつ私たちはこの規定を生かしたい。ならば、ここで言うところの「協力」というものは一体どういう内容を指しているのかということは、これは実際に仕事をしている人たちにも、また大変関心を持って運動している人たちにも具体的に示さなければならないのではないかと思いますし、また非協力的な事業者に対して、その所管の大臣を通じて必要な措置を講ずるということについて、どういう措置を講ずることができるのかということについて、やはりお尋ねをしておかなければならないと思います。  これは、今回の法律でも、多くの人たちごみの問題についてはもっと意識を高めてほしい、こういう呼びかけもしているわけですから、それに対して責任を持ってやっていくためにも、協力内容、具体的な講じられる措置について、厚生省あるいは通産省お答えをいただきたいと思います。
  26. 小林康彦

    小林(康)政府委員 改正法案におきましては、製造事業者排出事業者の具体的な責務、「国及び地方公共団体施策協力しなければならない。」も受けまして、具体的な責務といたしまして、まず厚生大臣指定をいたします。般廃棄物適正処理を補完するために必要な協力を行うこと。二点目に、廃棄物処理センターの業務に関する基金に対する出捐について必要な協力を行うこと。三番目に、製品容器等への材質またはその処理方法の表示、その他必要な措置を講ずること。四番目に、多量排出事業者市町村長または知事の指示により当該廃棄物処理に関する計画の作成を行うこと等が新たに規定されておりまして、製造段階から廃棄物処理施設の整備あるいは廃棄物の具体的処理に至るまで、事業者の国及び地方公共団体施策に関する具体的な協力内容、このようなものを予定しているところでございます。
  27. 湯本登

    ○湯本説明員 通産省といたしましても、個別の事情について十分調査検討を行った上で、厚生省関係の省庁とも連絡をとり、必要な、適切な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
  28. 岡崎宏美

    岡崎(宏)委員 今度三条の部分は三項がつけ加えられて、事業者責務というものがそこで求められているんだ、これによって実効を上げていきたいんだ、こういう決意があらわれているんだろうと思いますけれども、決意に終わらせないためには、やはりここの部分というものはきちんとやっていただきたいと思いますし、結局関係をしてくる省庁が、まあできることしかできぬわ、こういうふうな姿勢では生きてきませんので、今厚生省とも協力をする、こういうことでありますから、通産省も含めてぜひやっていただきたいと思います。これは本当に国民の皆さんに約束をしていただく、こういうことでなくてはいけないと思います。  それと、先ほどのガイドラインですが、ぜひ具体的な報告を、きょうでなくても結構ですから、つかんでおられるものは報告をいただきたいと思いますし、今後、結果の報告というものはやはり求め続けていくというか、行政として結果の報告というものをきちんとしなければならない、求めに応じて出さなければならないということを私はあえてつけ加えさせていただきたいと思います。  一つ、ちょっと今度お尋ねをしたいと思いますが、フロンガスの抽出の問題でございます。  例えば、廃棄されている自動車のクーラーだとか冷蔵庫の中から出てくるフロンガス、これの抽出をして、そして適切に保管あるいは再生利用してほしい、つまり大気に、環境に放出をしないようにしてほしい、そういう要望市町村長関係業界要請をした場合に、厚生省としては市町村あるいは業界に対してどういう支援をすることができますか。  それと関連をして、私たちは、このフロンガスの抽出、回収処理というものについては、業界がぜひ責任を持ってこれを行うべきではないか、こういうふうに思うわけです。関連をしまして、いわゆるフロンガス規制法というものを改正をして、製造事業者に義務づけ谷、こういう方向を求めたいと思いますが、それについて通産省、環境庁にその考え、見解を求めたいと思います。
  29. 丸山晴男

    ○丸山説明員 オゾン保護法の関係は、我が国は世界に先駆けて制定いたしまして、しかもモントリオール議定書におきましては、既に使用したものに対する特段の規定を設けずに、今後西暦二〇〇〇年までに製造量を全廃するということになっておりますけれども、我が国のオゾン保護法におきましては、我が国の積極的な措置といたしまして、特定フロンなどの使用事業者によります排出の抑制、使用の合理化の努力義務を規定いたしております。これに基づきまして、既に環境庁といたしましても、共同告示といたしまして、特に特定フロンの全使用量の二分の一を占めている使用量の多い洗浄分野等におきますものにつきましては、排出抑制・使用合理化指針を策定いたしまして、主務大臣から関係業界への指導が行われたわけでございます。  先生御質問の家庭用冷蔵庫につきましては、一九八六年の新設台数は約三百七十万台でございまして、使用された特定フロンは約千二百トン、全フロン使用量の約一%と見積もられておりますが、特定フロンが残っている冷蔵庫が廃棄、解体されて大気中に放出されることになりますと、オゾン保護のためには好ましくないわけでありまして、できるだけ排出を抑制されることが望ましいと考えております。  私どもは、冷蔵庫等を廃棄する際の特定フロンの回収あるいは再利用のために技術的、社会的な課題の調査を行うとともに、その回収、再利用の方策につきまして関係省庁とも連携をとりながら検討を進めてまいりたい、かように考えております。
  30. 鷲見良彦

    ○鷲見説明員 冷蔵庫につきましては、現在その代替フロン化が進められておるとともに、回収技術についてもその確立に取り組んでおるところでございまして、大手電機メーカーの多くは、フロンの全廃目標をモントリオール議定書の期限でございます二〇〇〇年から一九九六年前後に前倒しをするという方向で取り組んでおるところでございます。  通産省といたしましても、冷蔵庫に使われておりますフロンを初めといたしまして、今後とも一層の代替フロンの導入、それから回収技術の確立を初めといたしまして、フロン対策を積極的に進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  31. 小林康彦

    小林(康)政府委員 オゾン層保護法によります規制の効果を見守りながら、廃棄物の側での必要が生じました場合には、フロン等を含む廃棄物について適正処理困難物指定に関する調査実施することを考えておりまして、その結果、適正処理困難物指定されました場合には、六条の三に基づき、回収等に関し事業者協力をできるだけ得るようにしてまいりたいと考えております。今後の動向を見守りながらという状況でございます。
  32. 岡崎宏美

    岡崎(宏)委員 ぜひ環境の破壊を引き起こすことがないように、環境庁の方の見解ですと、フロンガスの規制法の改正も方向としてはあるかなとも受け取れますが、共管をしております通産省の皆さんの方も、この問題についてはやはり関係のところと協力をし合って、せっぱ詰まっている課題ですから、市町村が実際困ることがないように、もう本当に、いろいろな現場に行っていただいたらわかりますけれども、山の際に冷蔵庫がぼんと青空保管をされていたりということもあるわけですから、ぜひ困ることがないように措置をしていただきたいと思います。  次に、一つお尋ねをしたいわけですが、この間、福井県の敦賀市の域外からの大量のごみ搬入の問題について、これも大変多くの皆さんから指摘がありました。敦賀に限りません。域外からの大量投棄に悩んでいる、苦しんでいる自治体というのは大変多くありますし、原状の回復をいかにするか、どうやって急いでするかということと同時に、こういう問題が起きてきた背景といいますか、法的に違法でないという状態の中で引き起こされた問題であるということも、これは放置できないのではないかというふうに思います。ごみを持ち込む側、搬入自治体と持ち込まれる側、受け入れ自治体の協議を法で規定をしていくということ、あるいは一般廃棄物処理を民間委託する場合の委託自治体責任を明確にさせることということが、これは必要不可欠というふうに言わざるを得ませんが、特に委託自治体の方は、最終処分場が一体どこであるか、私のところは実は何々市のどこどこの処分場に持っていっております、こういう報告をぜひみずからの議会にせめてしなければならないということも含めて、必要な措置というものを急いで講じる必要があると思いますが、これらについてどういうふうに考えておられるか、お聞きしたいと思います。
  33. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 廃棄物は、その市町村の中で原則的に処理するのが一番望ましいわけでございますが、場所によりましては、必ずしもその市町村の独自のところで処理が困難な場合もあります。したがいまして、その受け入れ側の市町村との関係についてのお尋ねかと思いますが、受け入れ側の市町村に過大の負担のかからないように、事前に十分協議をしていかなければならないという基本的な考え方でございます。  市町村が行う一般の廃棄物処理につきましては、まず排出抑制、それから再生減量化及び最終処分場の確保等計画的に行いまして、市町村がみずからの区内で処分できることが原則である、こう考えております。しかし、今申し上げましたように、その当該の市町村でそのような最終処分場を設置することが困難な場合には、ごみの焼却灰等の埋立処分等を他の市町村で行う場合がありまして、このような場合には、厚生省といたしましては、受け入れが円滑に行われるように、事前に関係市町村で十分話し合うよう指導を行ってまいりたいと考えております。このために廃棄物処理法改正案では、市町村一般廃棄物処理計画策定に当たりまして、関係市町村の「一般廃棄物処理計画と調和を保つよう努めなければならない。」ということを新たに規定したところでございます。  また、話し合いに当たりましては、搬入する側の市町村が搬入の方法やその見通しの量及びその搬入を行う業者についての資料を準備するなど、十分な情報を提供することによりまして、受け入れ側の市町村に対しまして過大な負担を課することのないように、きめ細かな指導をやってまいりたいと考えております。
  34. 岡崎宏美

    岡崎(宏)委員 ぜひ今の大臣お答えが生きてくるようでなければいけないと思うのですが、あえてといいますか、一つ確認をさせていただきたい問題がございます。  実はいろんな人たちがこの今回の改正案については関心を寄せておりまして、例えばこんな場合、例えばこんな場合というふうに心配の種というものを持ってまいります。その中で、これは一つ間違うと非常に大きな問題になるんじゃないかという心配事がありましてお尋ねをするわけですが、今おっしゃった改正案の六条の部分ですね。六条の四、「市町村は、その一般廃棄物処理計画を定めるに当たっては、当該市町村の区域内の一般廃棄物処理に関し関係を有する他の市町村一般廃棄物処理計画と調和を保つよう努めなければならない。」何かこれまでの説明では、いわゆる調和条項というか、格上げをしたんですよ、これまでもやってきたことですが、改めて格上げをしたんですよというような説明も聞いたことがあるわけですが、この「調和を保つよう努めなければならない。」という部分が、持ち込む側にとって、必ずこういうことをちゃんとしなさいよ、そうでなければいい話し合いができませんよということとして規定されるのであれば、それはそれでいいわけですが、受け入れる側にとってこの「調和を保つよう努めなければならない。」ということが一体どんなふうにかぶってくるのか。かぶらないということが当然だというふうに思うのですが、こういう疑問を持つ自治体もないことはありませんので、ここのところぜひ答えていただきたいと思います。     〔粟屋委員長代理退席、石破委員長代理     着席〕
  35. 小林康彦

    小林(康)政府委員 お尋ねの第六条の四項の部分の「調和を保つよう努めなければならない。」ということでございますが、話し合いに当たりまして、搬入する側の市町村が搬入の方法、量及び搬入を行う業者につきましての資料、情報を準備するなど、十分な情報提供を行うことによりまして、受け入れ側の市町村にとりまして過大な負担にならないよう指導してまいりたいと思っております。
  36. 岡崎宏美

    岡崎(宏)委員 実際敦賀も八月に、この四月から六月の間にごみを持ち込んだ全国の二十の自治体の名前を公表しているようですけれども、もうとにかく敦賀にごみの持ち込みはお断りをしたい、こういうふうに理解を求めている。にもかかわらず、やはりまだこれだけの自治体が搬入を続けている、こういう事実が実際あるわけです。十分な協議というものが行われなければ、敦賀というのは、嫌だと言っても、やはりどんどんごみが入ってくる。  あるいは、よその自治体でも同じような事情を抱えているところがあるわけですから、これは大変大きな問題でありまして、受け入れる側が常に持ってくる側のごみのことを考えてやらなければいけないのか。それが調和を保たなければならないことであるのかというふうなことになってきましたら、それぞれ自治体というものは独自に行政を進めているわけですから、そこにまで何かをかぶせるものになっては、これは大変ですからね。ぜひここの部分は、厚生省が意図することはわかりましたから、ぜひもう一度大臣にこの調和条項の持つ意味、持ち込む側が何をやらなければいけないのかということについて、簡単で結構ですから決意をいただいておきたいと思います。誤解がないようにぜひしていただきたいと思います。一〇下条国務大臣 今御指摘のところは大事なところでございまして、持ち込む側の市町村が、持ち込まれる市町村の間で十分その環境とかその取り扱いの内容の納得できる条件を整えているかどうかについて、これからも調和ある形で話し合いがつくように、私たちの方も誠心誠意指導をしてまいりたいと思っております。
  37. 岡崎宏美

    岡崎(宏)委員 では、それはよろしくお願いをいたします。  次に、同じ六条なのですが、六条の二の五項の部分です。この中に、最後の方ですが、「その他必要な事項」という部分がありますね。「市町村長は、その区域内において事業活動に伴い多量の」という部分です。その最後に「当該一般廃棄物運搬すべき場所及びその運搬の方法その他必要な事項を指示することができる。」という部分ですが、この「その他必要な事項」の中におおよそどういうものが含まれているか。分別や保管の方法あるいは処理方法というものがこの「その他必要な事項」の中に含まれているかどうかということをお尋ねをいたします。
  38. 小林康彦

    小林(康)政府委員 御指摘の条項におきまして、事業一般廃棄物の多量排出者に対しまして、新たに廃棄物減量に関する計画の作成、その他必要な事項を市町村長が指示することができることとしておるところでございます。  この内容といたしまして、紙ごみ再生利用の実施廃棄物排出量を削減するための具体的方策、これらを含む計画の策定を排出事業者に指示することができ、また、必要に応じて事業者みずから廃棄物の処分を行うことを求める等、従来の運搬場所、運搬方法以外の内容についても指示することができることとしたところでございます。  なお、雑居ビルにつきましても、廃棄物処理がビル全体として一括して行われております場合等については、市町村の判断に基づいて必要な指示ができるよう、この条項を運用してまいりたいと考えております。
  39. 岡崎宏美

    岡崎(宏)委員 かなり広くこの「その他必要な事項」というものが適用されるというふうに考えていい、こういうことですね。実際、収集を皆さんされていましたら、その収集をしたごみの中にたまたま水と反応すると発火する化学薬品が混入をされていて、収集車がわっと燃えて大変大きな事故になったり、けが人が出たりというふうなこともありますし、それは逆に言うと、ごみを出す側がきちんと意識をして、分別をして出すということが義務づけられていけば当然なくなっていくことでありますから、そうしたこともしていただくということも含めて、この「その他必要な事項」というものが生かされていってもらいたいと思います。  特に雑居ビルの関係、今おっしゃっていただいたわけですが、大きなビルは比較的責任者というものがありますし、ごみの保管場所というものも設置をされていることが多いわけですが、都会の中でよく起きるその問題の一つに、比較的小さなビルで、しかも小さなテナントが入る、食堂もあれば小さなオフィスもあるというふうなところでは、もうどんなごみが出るかわからないし、またビルの前の道路ごみを山のように置いていて、悪臭もすれば場所もとるというふうなことも出てきます。こういう雑居ビルに対しても、ごみの管理責任者というものを置くことができれば随分改善もされるのではないかと思いますが、こういったものも含めてぜひ検討をいただきたいと思います。  いま一つ雑居ビルのごみ管理者というもの、これはぜひこの中に含めて考えていってほしいというのが私たちの強い希望なんですが、含まれるということをお答えいただければ。
  40. 小林康彦

    小林(康)政府委員 お話のございましたようなケースにつきましては、第六条の二第四項に、市町村が定めます一般廃棄物処理計画に従い、「廃棄物を適正に分別し、保管する等市町村が行う一般廃棄物収集運搬及び処分に協力しなければならない。」という規定を置いておりまして、これによりましてすべての排出者市町村処理計画に従いながら適正処理協力をするという義務を課しておるところでございます。第五項につきましては、多量に排出をする者に個々具体的な計画策定を求めることができる規定を置いたところでございます。  この二つの規定を活用いたしまして、お話のございましたように、責任者が不明確になりやすい雑居ビルのごみ排出等につきまして、その適切な排出ができるような体制づくり、これを市町村指導できるようにしていきた、と考えております。
  41. 岡崎宏美

    岡崎(宏)委員 それはもうぜひ実行に移していただきたいと思います。  それで、いま一つお尋ねをいたします。これは前の国会でいわゆるリサイクル法が成立をしていることとも関連をしてくるわけですが、最初にもお尋ねをいたしましたが、再生資源廃棄物の区分、さらにリサイクルの役割とその責任の所在を明確にすることが求められてきている、こういうふうに思うわけです。  適正処理困難物指定に絡んでの質問もしましたけれども適正処理困難物として指定されると思われるものは、リサイクル法の中では再生資源として扱われてくるというものでもまたあるということです。これは同じものというか、一つの物が二つの顔を持っている、こういうふうに言えると思うんですね。再生資源として活用されていくのは、これはこれでいいことなんですけれども、しかし、この二つの顔を持っているということは、一万の顔を隠れみのにして不法な投棄、よく言う青空保管、野焼き、こういう状態が起きてくる可能性というものを含んでいるということが言えると思います。  また、業界の団体によります自主回収というものがこれからもふえてくる、こういうふうに思うのですけれども、この二つの顔を持っている一つのものの廃棄物、それから再生資源、どこからどこまでがどう、どこからどうなるのか、この線引きというものをやはり明らかにしていかないと、ある部分では、いや、これは再生資源だから通産省だよ、いやいや、これはごみだから厚生省だよ、こういうふうになっていくと本当に困るんでして、ぜひこの責任の所在というものを明確にしていっていただきたいのです。  また、その業者に絡みましても、これは一廃の業者なのかあるいは再生業者なのかということも迫られてくる場面がある。それはどちらの所管であるのかということが結果的には迫られてくるのがあるわけですが、いろいろな回収ルートがありますので、ちょっと申し上げてお尋ねをしたいと思います。  カレット、ガラスくずの回収、これはある大手のメーカーが、全国どこでも運賃を取らないかわりに対価も支払わない、こういう方針で廃ガラスの受け皿をつくっております。これには町のお酒屋さん、消費者グループあるいは大規模の排出元、それから行政の分別収集の場所を回るというふうなことも含めてやっている。つまり、お金を支払わないから資源として受け取るのではなくて、ごみとしてまずは受け取るという、そこから回収ルートが始まっている。しかし、ガラスの場合は、これはカレットの混入率というものを決めてきていますから、リサイクルというか資源として実は使われていく。また、アルミ缶の回収もそういった形で今起きてきている。  それから、自動車の解体もそうですね。自動車工業会の幹部の発言というのがよく新聞なんかで取りざたされていますけれども、これまでの解体業者部分と競合するような形になっていく。また、あるいは大型家電がありますね。  それから、兵庫県であるものですが、プラスチックのリサイクル、発泡スチロールのトレーの回収。これも一般の住民の人たちに、スーパーなんかで買い物をした後、残るトレーを四分の一にぱんぱんと折って、県内の十カ所の地域を指定するから、そこへ置いてくれれば回収をしますよというのを業者がやる。これは当然対価を支払うわけではなくて、ごみとして、協力して洗って出してもらったものを集めていってやる。それにある意味で行政がかんできている。  また、牛乳パックの回収に今いろいろな人たちが取り組み始めているわけですが、これもある自治体で、牛乳パックもごみとして皆さんが出すものではあるけれども、しかし最後は紙としてまた生きてきているでしょう、だからこういう運動をやる人は、再生資源業者としてぜひ手続をとってもらいたいというふうな話まで出てくるような、もうありとあらゆる自主回収ルートが実は起きてきているわけなんです。  こういうルートの中で私たちが非常に関心を持つのは、一体何をどこまでやろうとしているのか。例えばこの中で発泡スチロールの回収にしましたら、兵庫県という広い県内で十カ所の回収場所なんですね。本当にこの十カ所で本来の回収というふうになるのかどうかということも実際あります。今そのことをとやかく言うつもりはありませんが、いろいろなメーカーがとにかくちょこっちょこっとやっていて、やったということで本当に済んでいくのかどうなのか、あるいは業界が直接それをするのか、あるいは業者に委託をしてやっていくのか、あるいはその集めたものがその後どうなるのかという回収の流れについてどこがどう責任を持つのか。実験段階としてやっている部分がまだ多いわけですが、途中で、いや、やはり採算とれないからもうやめた、こういうふうに業界側が一方的にやったときに、その後一体途中まで集められていた、集めようとしていたものはどういう扱いになるのか、大変不明確な部分が実はまだまだ残されていると思うのです。リサイクルの過程で出てくる廃棄物処理というものを一体どうするのかということも大変大きな問題です。  時間が来たようですので、もうやりとりがなかなかできないですけれども、しかし、これからどんどんふえていくであろうこういう回収ルートに含まれる問題点、それはとりもたおさず一つのものが二つの顔を持つ、そのことに対してなかなか線引きができないということが大きな要素を占めていると思いますので、厚生省が今後こういう部分についてどんな役割を果たそうとしているのかということを最後にお聞きをして、また、たとえどこか途中の部分再生資源であったとしても、やはり最終的にその中から出てくる廃棄物部分があるということを含めて、厚生省としては最後まで責任があるということを、ぜひ大臣から決意なりいただくことができればと思います。
  42. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 今度の法律改正の中の重要な項目は、リサイクルということを重点的に考えておるわけでございます。そのためにはメーカー段階から協力関係官庁にお願いするという立て方を考えておりまして、そういう意味で今の再生に伴ういろいろな道筋を明らかにして、それが可能になるようにということの協力をいたし、製造段階からそのようなリサイクルにつなげるように持っていきたいと考えておるわけでございます。  また、その体制といたしましては、住民や事業者も参加されるような廃棄物減量等推進審議会というものを活用し、かつまたリサイクル活動を推進する地域住民のリーダーとなる廃棄物減量等推進員を市町村に設置するなどいたしまして、その御協力、また住民運動を活発にしながら、厚生省とのタイアップの中で成果の上がるように持ってまいりたいと思っておりますし、またおわせて、都道府県知事による優良な廃棄物再生事業者の登録などの制度も設けて、その制度の充実を図ってまいりたい、このような形で所期の目的を達成してまいりたいと考えている次第でございます。
  43. 岡崎宏美

    岡崎(宏)委員 終わります。
  44. 石破茂

    石破委員長代理 外口玉子君。
  45. 外口玉子

    外口委員 私は、ごみ問題は地球環境問題の中でも最も重要なテーマであり、現在の大量生産、大量消費のメカニズムを根本的に変え、資源循環型の社会システムをつくることなしには解決不可能な問題であると認識するものでございます。そして、長年ごみ問題に取り組み、その先駆的実践を地域で続けてきている方々とともに、また、地球環境とごみ問題を考える市民と議員の会の活動を通して、廃棄物の発生を抑制し、減量化と再生利用を促進する仕組みづくりを目指してまいりました。そして、現在のごみ問題を解決する方法として、第一に、市民生活にとって不必要なもの、再利用、再生利用できないものをできる限りつくったり使ったりしないこと、第二に、再利用、再生利用を徹底して行うこと、この二つを促進する積極的な政策が必要であることを確かめ合ってまいりました。  既に本委員会においても、先輩、同僚議員がさまざまな角度から全国各地で起こっているごみ問題を指摘し、本改正案のさらなる改善に向けて質疑を行ってまいりました。しかしながら、政府の答弁では、環境保全に対し、私たちの暮らしの転換を図るような政策提起とはなり得ていません。しかも、市民グループや地方自治体行政、廃棄物清掃に従事する人たちの経験を生かした実効性のある改正とするには、まだ多くの疑問と懸念を持たざるを得ません。本改正案の目的、事業者責務、有害廃棄物の管理と責任、産業廃棄物の規制における行政指導適正処理困難物指定廃棄物処理センターの設置などについてまだまだ私どもとの間に大きな隔たりがあることを残念に思います。特に地方自治体の役割や事業者責務などについては、もう一歩踏み込んだ責任ある御答弁を本日はぜひともお伺いしたいと思います。  こうした立場から、私はまず、本法改正に当たっての大臣の基本的認識を問いたいと思います。
  46. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 廃棄物の問題は今大きな社会問題となっておりまして、現状廃棄物処理法ではとてもこれを処理できない部分がたくさん出てまいりました。  そのために、まず、今委員の御指摘のように、そもそもその後において廃棄物を発生せしめないように製造段階から考えて物をつくるという考え方、さらにまた、できました物が再生利用に回るように考慮していく。すなわち、家庭廃棄物の例をとりましてもその約四割が紙である。これは十分再生利用ができるわけでありますし、その他の物につきましても、再生利用できるものは十分そういう形で各段階協力をしていく。  特に、そのためには分別収集の徹底を図る。また同時に、その後の廃棄物処理につきましては、焼却場の充実あるいはまたできました灰の処分場の問題等についても、各関係市町村協力を得てトラブルの起こらないようにするとか、あるいはまた産業廃棄物につきましての新しい処理制度を設ける、あるいはまた事業者のそれぞれの国または市町村に対する協力責務を設ける等々の制度を充実いたしまして、家庭廃棄物事業廃棄物あるいはまた産業廃棄物それぞれにわたってのきめ細かな対応策を講じまして、現在抱えております廃棄物に伴う諸問題の解決に前進してまいりたい、このように考えている次第でございます。
  47. 外口玉子

    外口委員 本改正案の骨子を形づくっているとも言われる昨年十二月の生活環境審議会の答申は、冒頭に次のように述べております。「我が国は世界でも類を見ない速度で経済規模を拡大してきた。その途上で、物質的には極めて豊かな社会を実現した反面、大量消費、使い捨ての生活をあたり前のこととし、「もの」を大切にしない風潮が生じてきた。このような社会的背景の変化の中で、産業、生活両面から排出される廃棄物は、量の増大、質の多様化のため、適正な処理がますます困難となっている。」そして、「二十一世紀を目指した廃棄物対策を確立するため、この報告書を取りまとめた。」としています。この答申内容を本法案に十分明定できたとお考えでしょうか。大臣の御見解をお伺いします。
  48. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 我々は、審議会にお諮りいたしまして今後の方針を御検討いただいたわけでありますので、審議会の答申につきましては最大限尊重するような考えで取り組んでおる次第でございます。
  49. 外口玉子

    外口委員 ごみの発生の抑制、再生利用の促進は緊急の課題であり、思い切った対策を講じなければ耐えがたい環境負荷を招くことはだれの目にも明らかです。  そのような認識に立つならば、まず表題ですが、相変わらず「廃棄物処理」となっていましす。しかも廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部改正とセットになっています。なぜでしょうか。諸外国の廃棄物問題を調査研究、検討した上での法案提出と伺っております。大臣、諸外国の廃棄物対策の研究成果をこの改正案にどのように生かされたのでしょうか。例えばドイツの廃棄物回避の制度のような、製造者の責任を問う仕組みを盛り込むなどの方策が必要なのではないでしょうか。お答えください。
  50. 小林康彦

    小林(康)政府委員 廃棄物処理法改正の作業に当たりまして、諸外国の状況を改めて調査、整理をいたしますとともに、職員によります相手国政府の事情聴取等も含めまして、諸外国の動向も考え、日本で最も適切な廃棄物処理のあり方という観点で検討してきたものでございます。  お話ございましたドイツの廃棄物回避及び廃棄物処理法も私ども入手をいたし、その中で回収可能な製品のリサイクル、処理が困難な廃棄物のリサイクル、リサイクルしやすい製品づくり、分別収集の徹底等の規定も承知をしておるところでございます。  今回の改正法案におきまして、我が国では目的規定に分別、再生を明記しましたこと、市町村の分別収集の推進を図ることとしたこと、従来の製造事業者等責務に加えまして、事業者による市町村等の施策への協力責務を追加しましたこと、適正処理が困難のものについて市町村長から製造者等への回収ルート確保等に関する協力要請等も織り込んだところでございます。  名称につきましては、別途通産省等から提案をされました再生資源利用促進法の新しい法体系もございますし、今の目的規定を追加したということもございまして、従来の名称のままいくのが適当という判断をいたし、たまたま五カ年計画の根拠法が期限が切れます点から、同時に改正案という形で提出をさせていただいたものでございます。
  51. 外口玉子

    外口委員 改正案には「廃棄物排出を抑制しことあり、目的の第一に排出抑制をうたっています。法律の目的には排出抑制、処理生活環境保全という順になっているにもかかわらず、表題が依然として「廃棄物処理及び清掃」となっています。これはなぜでしょうか。表題を改めるべきだと考えますが、大臣、御見解をお示しください。
  52. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 廃棄物処理法法律の名前は、これは非常に長い形でございまして、従来からの経緯からこのようになっておるわけでありますが、これはもちろん、廃棄物の量がこのようにふえておりますので、それを排出段階から抑制していくという考え方が前提にあるわけでありまして、この法律の形であえて名称を変える必要はない、私たちはこのように考えております。
  53. 外口玉子

    外口委員 では次に、本改正案の作成過程協力関係にあった環境庁の報告書がここにございます。「東京湾地域の開発と環境保全に関する基本的方策について」であります。その三十四ページに、やむを得ず廃棄物で東京湾を埋め立てる場合でも、「あらかじめ発生抑制、再資源化、減量化を徹底したうえで計画的に処分するなど安易に海面埋立てを行うことのないよう総合的な対策が講じられなければならない。」としています。このような姿勢は、東京湾に限らず、どこの湾岸域でも当然のこととしてとられるべきだと考えますが、厚生省はこの報告に示されている見解をどのように受けとめておられるのでしょうか。
  54. 小林康彦

    小林(康)政府委員 御指摘の報告書におきまして、東京湾の利用と保全に当たり、東京湾は首都圏に残された重要な環境資源であり、環境保全に十分配慮しつつ、持続的な利用を図る必要があるとの基本的考え方を取りまとめられたものと承知をしております。  廃棄物処理との関連では、東京湾において廃棄物の最終処分を行います場合には、ただいまお読み上げいただきましたように、あらかじめ発生抑制、再資源化、減量化を徹底した上で計画的に処分するなど、安易に海面埋め立てを行うことのないこと、東京湾の新規埋め立てについては埋立用材として廃棄物を利用することを原則とすること等の提案がなされております。厚生省といたしましても、基本的には報告書と同じ方向を目指すべきものと考えております。
  55. 外口玉子

    外口委員 徹底して減量化に努めるという同じ方向を目指すという大変心強い御答弁をいただきました。  では、排出予測と減量目標についての御見解を伺っておきたいと思います。  この改正法案では、発生抑制、再資源化、減量化の徹底にどれだけ寄与するか、具体的に各自治体ごみ減量計画をどのように促進するのか、そのための仕組みづくりが重要な課題であると考えます。厚生省の資料では、全市町村のうち資源の自治体回収実施している市町村は二割、総排出量の一%にすぎません。この悲惨な数値は、今回の改正によって大きく変えることができるとお思いでしょうか。厚生省として資源回収の具体的な目標をも含むガイドラインをつくるべきだと考えますが、いかがでしょうか。また、第七次五カ年計画に盛り込まれることになる廃棄物排出量の予測と減量の目標についてもお答えいただきたいと思います。
  56. 小林康彦

    小林(康)政府委員 まず、第七次五カ年計画におきます状況でございます。  第七次五カ年計画は平成三年度から七年度の五カ年間の計画でございますが、この期間中、今までのペースでいきますと、ごみ排出量は年三%程度の伸びになると予測をしております。この伸びを、減量化の努力をすることによりまして七次五カ年計画では一・五%に抑え、平成七年度のごみ排出量全国で五千六百三十七万トンに抑制することを計画の基本に置いて、減量化の目標としたいというふうに考えております。  市町村におきます資源ごみ回収、あるいは集団回収等によります瓶、古紙等の回収等につきまして、現状としては御指摘のございましたような普及の状況でございますが、今後市町村一般廃棄物処理計画の中で再生のための計画及び分別収集計画を立てるということにしておりますし、そのため、地域との連携を強化するための審議会あるいは推進員という制度も設けておりますので、新たな法体系のもとで全国的にお話のようなリサイクルの動きが普及をし、定着をしていくものと考えております。  個々の目標につきましては、今後状況等を見ながら、私どもとしても市町村に対して必要な情報の提供、個々の計画を立てます上で参考になります事柄等をまとめまして、市町村支援をしてまいりたいと思っております。
  57. 外口玉子

    外口委員 ここに環境庁から本年六月に出されました循環型社会システム検討会第二報告書がございます。西暦二〇〇〇年に一般廃棄物を予測量の一二%、産業廃棄物を八%減量するとしています。品目別には、紙六〇%、缶七〇%、カレット六〇%という方向を提案しています。東京都も同様な目標を提示しています。私は、生ごみのコンポスト化などを含めれば、この目標をさらに上げることができると考えます。これまでの環境庁の積み重ねをむだにしないように、厚生省はこの目標をさらに上げるべく、環境保全を中心に据えた施策を推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。まず環境庁からお伺いし、その後厚生省の方からお伺いしたいと思います。
  58. 長谷川正榮

    ○長谷川説明員 御説明いたします。  ただいま先生御指摘になりました環境保全のための循環型社会システム検討会におきまして、第二回目の報告書というのが出されておりますが、この検討会というのは、環境庁におきまして、大量消費、大量廃棄によりまして有限な地球の環境資源を浪費し、環境問題を引き起こしている現在の経済社会のあり方を見直すことが必要であるという認識のもとに設置いたしまして、環境保全型社会づくりの一環として循環型社会を検討していただいてきたところであります。  御指摘いただきました第二報告書におきましては、先生が御指摘いただきましたように、今日の大量消費、大量廃棄社会を見直して、循環型社会を実現するための道筋の第一段階として、一人当たりの廃棄物処理必要量をふやさないようにするにはどの程度リサイクルを進めることが必要かということで目標が試算されたものであります。この目標につきましては、非常に限られたデータをもとに算出されているということでございますので、この分野の最終結論ではなくて、そのまま公的な目標として扱うということは必ずしも適当であるとは私どもといたしまして考えておりません。しかし、この試算がきっかけとなりまして、今後関係省庁、地方自治体事業者等関係各方面でリサイクルの目標についての議論が進み、リサイクル関係のデータの整備が進められることを期待しております。
  59. 小林康彦

    小林(康)政府委員 御指摘のございました報告につきましては、ただいま御説明がありましたとおり、廃棄物の発生量をふやさないという観点から、廃棄物排出量を一九九〇年レベルで安定させるにはどの程度という試算というように承知をしております。  一方、第七次五カ年計画では、現実に増加をしております廃棄物状況等に対処するための施設設備という観点もございまして、目標の意味合いが多少は違うものというふうに理解をしておるところでございますが、廃棄物減量化という基本的な考え方に差があるものではございませんで、厚生省といたしましても今後減量化、再生利用を改正案内容に沿いまして積極的に進めてまいりたいと考えております。
  60. 外口玉子

    外口委員 次に、この間四野党並びに関連二団体によって本法案を検討する過程で重要課題として取り上げられてきましたが、本改正案に十分貫かれなかったと思われます事業者責任についてお伺いいたします。  事業者責務に関して、一般廃棄物に占める事業ごみの比率が増加していると聞きますが、その現状はいかがでしょうか。
  61. 小林康彦

    小林(康)政府委員 事業系のごみ全国的に増加をしておりまして、特に大都市におきます伸びが顕著でございます。また、事業ごみに占めます紙ごみの増加もここ数年目立つところでございまして、廃棄物の発生量の増大に紙ごみの増加というものが大きな要因になっていることが実情でございます。
  62. 外口玉子

    外口委員 事業一般廃棄物は都市のごみの大きなウエートを占めています。そして、この間の大都市におけるごみの際立った増加は、主として今お答えいただきましたように事業系の一般廃棄物によるものと言えます。この点について大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  63. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 委員指摘のように、事業系の廃棄物が最近とみにふえておることはそのとおりでございます。それで現在は、一般廃棄物の場合は市町村責任を持ってやっておりますけれども事業系はそのようにかなりの量を出しておりますものですから、今ほとんどのところでは有料というような形で処理をするなどして、一応対応しておるようなことでございます。これに対しまして、今回は事業者の国、地方公共団体に対する協力責務を新たに規定として設定したわけでございまして、これはとりもなおさず廃棄物適正処理に関して事業者の果たす役割が非常に大きいからだ、こういうことを考えておるわけでございます。  この改正法におきましては、例えば市町村の分別収集への協力に関しましては、新たに事業者による市町村施策への協力責務を明文化いたしましたし、それからまた、多量の廃棄物排出事業者に対する廃棄物減量計画の策定を指示する等の事業者責任規定を盛り込んでおるわけでございます。そのような形で、今後増大を予想されます事業系の廃棄物についての処理の段取りを規定した次第でございます。
  64. 外口玉子

    外口委員 どうも現行法では、この事業一般廃棄物に対して有効な対策が打たれていないと思います。現行法第三条は事業者排出責任責務規定として設けているものの、具体的な措置を明定していないために、その減量も分別すらも自治体が有効に指導できないのが現状です。そしてその原因は、現行法が訓示規定しか持っていない限界を明らかに示していると思います。この点の認識はいかがでしょうか。
  65. 小林康彦

    小林(康)政府委員 現行法では、方向性あるいは考え方を示すにとどまっておった部分が多いわけでございますが、今回は市町村の策定をいたします。般廃棄物処理計画の中に再生あるいは分別という規定を明確に入れまして、その計画に基づいて排出事業者が家庭、事業系を問わず市町村清掃事業協力をしていただく、こういうことにいたしましたので、事業一般廃棄物につきましても、その再生利用を含め、積極的な取り組みができる状態になっております。  また、事業廃棄物を多量に出します者に対しましては、市町村長減量計画の策定を求めることができるという規定を置きまして、具体的に大口の多量発生の一般廃棄物排出事業者に対する指導の根拠としたところでございまして、従前に比べまして考え方及び具体的な指導のあり方、方法を明確にしたところと考えております。
  66. 外口玉子

    外口委員 その点ですが、改正案第三条第三項の事業者責務規定でも「協力」、第六条の二第四項の分別、保管に関する規定でも「協力」、第六条の三第二項の適正処理困難物でも「協力」となっていて、市町村事業者に対する場合はすべて協力を求めるにとどめられています。市町村一般廃棄物処理計画に盛り込まれる分別収集への事業者協力を義務化するなど、もっと事業者の国、地方公共団体への協力内容を強化すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
  67. 小林康彦

    小林(康)政府委員 今回の改正法におきまして事業者協力につきましては、適正処理困難物のほか、国及び地方公共団体施策協力しなければならないということで、ただいま御指摘のございましたような協力規定を置いておるところでございます。  一般廃棄物につきましては、おおむねのところ市町村処理施設で受け入れているというのが実情でございますので、計画の中に明定をし、かつ実施段階での市町村指導といいますものは大変強力なものがございますので、協力という規定で十分市町村計画に沿っての処理の確保ができるものというふうに考えております。  この協力を一歩進めまして、勧告、公表、命令、罰則、こういうような手段まで進むという意見もあるわけでございますが、現在協力にとめました部分は、廃棄物処理関係者の理解と自発的な努力という点が極めて重要でございますし、その協力が得られません場合には市町村として廃棄物が受け取れないというような状況をつくり出すことも可能でございますので、協力規定で実効を上げることが適切と判断をしたところでございます。
  68. 外口玉子

    外口委員 ただいまの御答弁で、事業者協力については、条例により指導、勧告、次の公表、これが大切だと思います。公表などを規定し、協力を担保することは可能だと受けとめてよろしいでしょうか。また、協力しない事業者に対する命令、罰則を科すことが可能であると理解してよろしいのでしょうか。
  69. 小林康彦

    小林(康)政府委員 法律規定をしております協力規定といいますのは、その性格からいたしまして、ただいまの勧告、公表、命令、罰則等を想定をしていない規定というふうに理解をしております。したがいまして、この協力という表現のこの部分を根拠に、よりどころにいたしまして勧告、公表、命令、罰則等を伴う条例を制定することは、協力の範囲を超えるものでございまして、困難なことではないかというふうに考えております。しかしながら、廃棄物処理法改正案におきまして、厚生大臣は、事業所管大臣に対しまして、製品容器等材質処理方法の表示など、必要な措置を講ずるように製造者等への指導要請できることとしておりますので、この規定も活用いたしまして、事業者から必要な協力が得られるようにしてまいりたいと考えております。
  70. 外口玉子

    外口委員 私は、極端な協力義務違反のケースや常習的な協力義務違反については、何らかのペナルティーを市町村が科せるようにすべきだと思います。市町村処理処分を拒否することができる程度措置は最低限必要だと思います。法律規定されていることに関して、自治体の裁量権を高めることができるような具体的対策が必要と考えますが、それをここで確認できたと考えてよろしゅうございましょうか。
  71. 小林康彦

    小林(康)政府委員 市町村の自主的判断によりまして規約あるいは条例をつくるということは十分可能でございますが、この協力規定を根拠にして罰則に至るまでの規定を織り込むことは困難というふうに考えております。
  72. 外口玉子

    外口委員 納得できませんが、次も厚生省の同じような姿勢が問われるところだと思いますので、次に進ませていただきます。  先ほど岡崎委員も触れましたが、不法投棄を多発させて、この二十年来大変問題になっている適正処理困難物についてでございますが、この指定についての大臣の基本的な考え方、そして、さらに具体的に指定品目について今どのように考えておいでなのか、お聞かせください。
  73. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 適正処理困難物、これは大変にいろいろなものがあるわけでありまして、従来、法のもとでは特に指定をしておりませんので、各市町村現状に応じてそれぞれのところで扱いを決めておるというのが現状でございました。  今回これを明らかにするということで、困難物の指定のために、この法律が通りましたら政令によりまして直ちに調査措置をいたしまして、各都道府県の協力を得て実情を把握した上で指定をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。全国市町村でその処理困難なものの調査の中におきましては、実情を把握するためにも事業者協力がぜひ必要でございますので、その調査協力要請してまいりたいと考えております。  また、その他の廃棄物につきましても、改正案では、再生を含めた適正な処理を確保するために、厚生大臣といたしましては事業所管大臣に対しまして、製品等の材質またはその処理方法を表示させる等の協力を求めることができることと相なっております。  そこで、今この処理困難物の指定の問題でありますが、今申し上げましたように、これから調査をして具体的に決めるという段取りでございます。一応考えられるものといたしましては、大型テレビとか大型冷蔵庫とかあるいは大型家電製品、スプリング入りのマットレスタイヤ等が想定されますが、またこのほかに範囲は拡大されるものと想定されておりまして、法律が通り次第なるべく早く調査をした上で決定してまいりたいと考えておる次第でございます。
  74. 外口玉子

    外口委員 ただいまの御答弁で、調査してからということでございますが、ここに今から十年前の一九八一年四月二十八日の第九十四回国会参議院の運輸委員会での委員会報告がございます。いわゆるフェニックス法案ですが、広域臨海環境整備センター法案が審議され、産業廃棄物の発生や処分がその大きな争点となりました。  当時の園田厚生大臣は、安恒議員の質問に次のように答えています。「数字を的確につかんでないということからいろいろ心配事が出てくるわけでありまして、まず廃棄物の量の抑制というより先に、産業廃棄物の中の毒物、危険物、こういうもののより分け等が的確にやられていないんじゃないかという心配が第一に出てくるわけでありますから、これはいままでのことも十分調査をしますが、今後的確に都道府県に対する指導、監督、こういうことをやるようにいたします。」これに対して安恒議員は、実態が十分に把握されていない以上、不法投棄や廃棄物処理法違反がかえって広域になり、処分場ができるから改善するというより、逆に悪化してしまうのではないかと危惧の念を十年前に呈しています。そして、当時でさえ、廃棄物処理法全体の検挙件数が四千五百四十二件になることが明らかになっています。  それから十年の月日が経過しています。この十年間、厚生省そして政府は園田厚生大臣の答弁をどのように政策化してきたのでしょうか。本改正案においては、再び不法投棄が多発しないように具体的な対策、例えば最終処分場のモニタリング、台帳の永久保存などなどを確実なものとしなくてはならないと考えます。厚生行政の責任者として、大臣、この十年の廃棄物対策のあり方を概観して御答弁をお願いいたします。
  75. 小林康彦

    小林(康)政府委員 ただいまの御指摘がございました以降、厚生省といたしまして、廃棄物処理実態、そのあり方につきまして真剣に取り組んできたところでございます。  具体的に申し上げますと、今回法律に入れることを御提案をしておりますマニフェストにつきまして、廃棄物の流れを的確に管理をいたしますために創設をいたしまして、指導ベースでございますが、実施に移しているところでございます。それから、建設系の廃棄物あるいは医療系の感染性の廃棄物等につきましてガイドラインを策定し、その業界ともども適正処理に努めておるところでございます。  具体的な事業といたしましては、大阪湾におきましてフェニックス計画を推進しておるところでございますが、そこにおきます受け入れ管理あるいは市町村大阪湾センターとの間の協定に基づきます有害廃棄物の取り扱い等、具体の事業にただいま御指摘の考え方を生かしながら事業指導をしておるというところでございます。
  76. 外口玉子

    外口委員 では、二九八七年十二月のいわゆる自己評価ガイドライン、これは事業者による製品等の廃棄物処理困難性自己評価のためのガイドラインですが、ここにおいては適正処理困難物をどのように定義づけておりますでしょうか。
  77. 小林康彦

    小林(康)政府委員 正確なところは必要がございましたら今調べてお答えをいたしますが、その物の形状からしまして、大型あるいは重量がございまして取り扱いに極めて苦労の多いもの、その処理に当たりまして分解、中間処理等の処理過程市町村の能力を超えるようなもの、それから、その製品の中に有害物質を含んでおりまして、その取り扱いに特別の管理、注意を要するようだもの、こういう観点から検討したであろうと私は記憶しております。  必要がございましたら、正確に後ほど申し上げます。
  78. 外口玉子

    外口委員 正確なもの、持っております。「「適正な処理が困難な廃棄物」とは、市町村等において、処理技術的、設備的又は経済的に不可能又は困難な廃棄物をいう。この場合、技術的に処理が困難という概念には、「施設を損傷する」、「労働安全衛生上問題がある」という概念も包含されている。」としてあります。  この改正法案では、この定義を踏襲していると理解してよろしいでしょうか。
  79. 小林康彦

    小林(康)政府委員 ただいまお読みいただきましたような内容をガイドラインは規定しております。こうした検討を踏まえまして、今回提出しております適正処理困難物規定になったものでございます。
  80. 外口玉子

    外口委員 そういたしますと、今の御説明によれば、適正処理困難物先ほど問題になりました点、つまり、市町村によって地域ごとに異なるという前提をお認めになる、そう受けとめてよろしゅうございますか。経済的な困難性は自治体によって異なりますし、ある種の廃棄物排出比率によって技術、設備上の困難性は異なるはずだと思いますが、いかがでしょうか。
  81. 小林康彦

    小林(康)政府委員 市町村において困難という条件がございますが、市町村、大変数が多い状況でございますし、その処理の能力、区々ばらばらでございます。そのすべての市町村に対してということではなく、全国的にという形容詞をつけておりますように、全国的に見て市町村処理が困難になっているというところで、多少例外的に処理の体制が整っているようなものでございましても、全国的に困難なものはこの要件に合致する、そういう規定でございます。
  82. 外口玉子

    外口委員 この点が大変問題だと思いますが、本改正案では経済的事情というものを削除し、わざわざ、今御説明されましたように全国各地で困難というように、全国に同時多発的でないと指定できないように著しく後退させているように思われます。  厚生省水道環境部計画課編著の「コメンタール逐条解説廃棄物処理法新版一九八八年刊」ではこれをどのように規定しておりますでしょうか、お答えください。
  83. 小林康彦

    小林(康)政府委員 恐縮でございます。ただいま持参しておりませんので、正確なところについては御容赦をいただきたいと思います。  ただ、その解説につきましては、現行法での適正処理困難という解説でございまして、今回の厚生大臣指定をする部分とは、概念といいましょうか、ねらいが多少のずれがございますことを申し上げておきたいと思います。
  84. 外口玉子

    外口委員 五十九ページに「市町村清掃事業にとって処理困難な事態を招くような廃棄物となる製品、容器、包装等に関して、地方公共団体は、事業者に対して処理困難となることのないよう勧告し、又必要に応じて回収その他の措置によって市町村清掃事業協力させる等の行政指導を行うことができる」とされています。このコメンタールでは、主語はあくまでごみ処理の当事者である自治体、それに間違いありませんね。市町村適正処理が困難かどうかをみずから判断できると受けとめてよろしゅうございましょうか。やはり改正案規定は現行法よりも後退しているのではないかと懸念するところがこの点でございますが、もしそうでないとするならば、改正案では、自治体適正処理困難物指定にどのようにかかわることができるのでしょうか、お答えください。
  85. 小林康彦

    小林(康)政府委員 適正処理が困難という部分につきまして、ただいまお読みいただきました部分の主語は市町村であろうと思います。今回、その規定をも考えながら、全国的に処理が困難なという形で指定制度を入れましたのは、個々の市町村が個々に製造者等と交渉いたしましても、全国的に流通をし、販売をされております製品に対して、なかなか実効のある進展が見られにくいというような状況もございまして、全国的に流通をしておりますもので、かつ処理の困難性のあるものにつきましては、全国的な制度としてそれを確立をし、市町村廃棄物処理責任をそれによって果たしていくのが適切、ぜひそういう制度にしてほしい、こういう市町村の強い要望も受けまして全国的なシステムづくりを目指したところでございます。  処理が困難かどうかにつきましては、一般廃棄物につきましては、その廃棄物の性状及び市町村処理能力、これらを勘案して判断すべきものと考えております。指定に当たりまして全国的な調査を行うことにしておりますので、その中で市町村の意向は十分反映できるつもりでございますし、その調査を待たずとも、例えば全国都市清掃会議全国組織を通じての御要望のような形での市町村の意向反映のルート幾つかございますので、市町村から御要望がありました場合には、厚生省といたしましてもそれにつきまして十分な配慮、検討を加えていきたいと考えております。
  86. 外口玉子

    外口委員 ただいまの御答弁によりまして、厚生大臣適正処理困難物指定する際に、当事者である自治体立場を十分に反映するとのことでよろしゅうございましょうか。制度的に自治体の条例規制の上乗せあるいはまた横出しなどの措置が確保されると受けとめてよろしゅうございますね。それでよろしいでしょうか。
  87. 小林康彦

    小林(康)政府委員 市町村状況、意向につきましては、十分それに対し配慮していきたいと思っております。条例で制定いたします範囲につきましては、その条例の中身廃棄物処理法のねらいあるいは規定ぶりとの関係がございますので、一概に横出しあるいは上乗せ、どの範囲までということはなかなか明確に言いにくいものでございますが、市町村が条例によりまして廃棄物処理に当たる部分があることは確かでございます。
  88. 外口玉子

    外口委員 水道環境部長、私の手元にありますことし一月末の日付の厚生省原案、廃掃法の第六条の四にある特定一般廃棄物規定はどうなっておりますでしょうか。
  89. 小林康彦

    小林(康)政府委員 御指摘の資料につきましては、政府部内で法案を協議をしております過程のものであろうと思いますが、政府部内の内々の協議の段階でございますので、その内容につきましては御容赦いただきたいと思います。
  90. 外口玉子

    外口委員 どういう事情で変更になっていったのか、その経過もこの審議の対象としてとらえてよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  91. 小林康彦

    小林(康)政府委員 厚生省の最初の御提案、議論の素材といたしまして、事業者の特定一般廃棄物にかかわる処理につきましての議題を出しております。  市町村が適正に処理することが困難な廃棄物につきまして製造事業者等に対しましてどのような協力を求めるか、これにつきましては政府案決定までの間に種々の意見があり、種々の検討を行ったところでございますが、結果といたしまして、現段階では、現実的で最も実効の上がる方策として御提案をしておりますような、厚生大臣市町村におきます一般廃棄物処理状況調査をし、適正処理全国各地で困難となっていると認められる一般廃棄物を選ぶ、そして、当該一般廃棄物になる前の製品等の製造等事業を所管する大臣の意見を聞いて指定をする、この制度が最も現実的な、実現可能かつ効果が上がりやすい方策という結論に達したところでございます。
  92. 外口玉子

    外口委員 ここに原案のコピーがありますが、御確認いただければと思います。私は今御説明を伺っていて、各省庁との間で法律案が変質していくということは、生活環境審議会の答申から後退した内容法律案がなることよりも大変重要な問題だと考えております。もし開かれた国会審議が前提となるのであれば、その各省庁への説明と、その後法律案が変更になった経過についても私どもに御説明していただきたいと思います。この件に関しましては厚生省の今の御説明では十分納得いきませんので、なぜこの規定が最終改正案では消えたのか、あるいはまた、厚生省は必要があるからこの規定を新設したと考えますが、この規定を新設した意図はどうしてなのか、そのようなことにつきましてぜひとも次回の委員会までに御報告いただきたいと思いますので、お待ちして、次に入らせていただきます。  私が先ほど冒頭に引用いたしました生活環境審議会の答申でも、「適正な処理が困難な廃棄物の引取りや処理コストの負担」として、「一定の要件の下に、市町村製造者等に引取りを求めること記されています。この答申を受けて厚生省は特定一般廃棄物規定を設けたと私の方は受けとめておりますが、それが今申し上げましたように削除されたということは、何のための審議会なのかということがわからなくなります。審議会というものは、市民の参加の機会が極めて少ない我が国の政治状況の中におきましては、貴重な意見具申の機関の一つと考えます。その答申の原点に立ち返って復活させるべきではないかと思いますが、これは大臣、いかがお考えでしょうか。お聞かせください。
  93. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 法案をつくる場合には、各般の状況を前提にいろいろと討議をしておりますので、物によりましては試行錯誤の面もございます。ただ、委員指摘のように、審議会の意見は最大限尊重していくのもまた建前といたしておりますが、その調整の中で今回のような改正案に相なったと理解しております。
  94. 外口玉子

    外口委員 せっかくの法改正が、お話をお聞きするほどに後退していっているように思えてならないのですが、ここで再度お伺いいたします。  第六条の三の一項、適正な処理全国各地で困難となるというところを削除して「市町村の経済事情に照らし合わせ」と改めるべきと思いますが、いかがでしょうか。大臣改正提案理由説明で、「現行の廃棄物処理制度を基本的に見直す」とおっしゃっております。後退はよもやあるまいと、その御努力に私ども期待してきたところでございますが、率直な御意見をぜひとももう一度お伺いしたいと思います。
  95. 小林康彦

    小林(康)政府委員 廃棄物処理の基本は、一般廃棄物につきましては市町村に置いておるところでございます。したがいまして、市町村の能力あるいは意向というものは最大限に尊重されなければならないものと私ども承知をしております。しかし一方、製品製造販売、消費といいますものは、市町村の区域を越えて全国的なネットで動いているというのが実態でございますので、そうした全国的な流通、販売状況を考えますと、市町村の意向を尊重しながら全国的なシステム、対応を整えていき、それに対して市町村も適切な対応をとる、これが廃棄物適正処理にとって必要な状況になっているというふうに考えております。  したがいまして、全国的に処理が困難なものにつきまして厚生大臣指定をし、その対応策をまとめていくという施策につきましては、市町村適正処理に資する重要な施策に今後なるものと考えておりまして、市町村の自主性あるいは適正処理の推進の方向に十分役立つ規定というふうに考えております。
  96. 外口玉子

    外口委員 時間がありませんので、適正処理困難廃棄物との関連でいわゆる自主アセスメント、事業者による製品等の廃棄物処理困難性自己評価のためのガイドラインについてお伺いいたします。  まず、一九八七年十二月のこの通達に基づき自己評価を行った事業者からの報告は、厚生省に何件届けられておりますでしょうか。
  97. 小林康彦

    小林(康)政府委員 自己評価の例といたしまして、ビールの製造会社のリターナブル瓶に対する評価がございますし、そのほかフィルム、ペットボトルあるいはステイ・オン・タブ、缶のふたが缶本体に残るステイ・オン・タブでございますが、そうしたものにつきまして製品開発に当たりまして事前の評価を行い、廃棄物について配慮されたという状況を私ども把握しております。
  98. 外口玉子

    外口委員 前向きな試みを指示しても、予想できる結果というのは、日本の生産流通システムをこのままにしていれば、何も出てこないというのは非常に考えられるところでございます。私も東京都に問い合わせたところ一件もないということなのですが、この事前評価が十分になされるような方策となるように、通知、指導など何らかの対応が行われたのでしょうか、お聞かせください。
  99. 小林康彦

    小林(康)政府委員 経済団体に対しまして、製品の開発に当たりまして廃棄物に十分配慮いただくよう要請をしたところでございます。
  100. 外口玉子

    外口委員 どうもこのことは、厚生省自身のこれまでの行政努力、行政責任が最も問われているところだと感慨を深くいたします。事業者は面倒なことはできる限り避けよう避けようとします。したがって、こうした重要な課題はやはり法律に明記すべきだと思いますが、大臣、いかがお考えでございましょうか。
  101. 小林康彦

    小林(康)政府委員 現行法に基づきます要請ではまだ弱いところがあるというのは、御指摘のとおりでございます。このため、改正法案におきまして、国、地方公共団体施策への事業者協力規定を置きましたこと、及び厚生大臣から事業所管大臣適正処理を確保するため事業者措置を講ずるよう要請することができるとの規定を織り込んだところでございまして、これらを活用することなどによりまして、製造販売業者における廃棄物処理の観点からの製品等の事前評価が十分行われるよう指導要請してまいりたいと考えております。
  102. 外口玉子

    外口委員 これも先ほど御確認いただきました厚生省原案にはあったものです。最終案では削除されているのですが、その理由はお聞かせいただけますでしょうか。
  103. 小林康彦

    小林(康)政府委員 私どもは、廃棄物処理立場から最初に原案を作成し、協議をしておるわけでございますが、日本全体の経済活動から見まして、そこまでの規定、まだ日本としてその機が熟していない、やはりそれぞれの事業所管大臣を通じて積極的にその方向での要請指導をし、その方向での効果を上げていくのが適当ということで政府としての意見の一致を見たところでございます。
  104. 外口玉子

    外口委員 機が熟していないという御答弁、大変残念ですが、これまでも行政指導、通達では効果が上がらない現実にお悩みになったからこそ、法律改正を必要としたはずだと思います。したがって、今回のせっかくの法改正の折にこそ法律に明記する必要があるかと考えます。一九八三年の生活環境審議会からの課題であり、この点については審議会答申でも必要だとしているのですから、復活すべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  105. 小林康彦

    小林(康)政府委員 現実的に効果の上がる方法ということで現在の規定改正法をお願いをしておもわけでございますが、この改正法を積極的に活用することで、実際的な効果が上がるように努力をしていきたいと考えております。
  106. 外口玉子

    外口委員 その御努力に期待いたしまして、次に、産業廃棄物に移らせていただきます。  時間が押してまいりましたので早口になりますが、改正案第十二条第五項において、多量の産業廃棄物排出者の作成する処理計画の中に減量規定されていないのはなぜでしょうか。改正案第六条の二第五項において、多量の一般廃棄物排出者減量に関する計画を作成するとされているのと比較いたしまして、どうもバランスを失っているのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  107. 小林康彦

    小林(康)政府委員 産業廃棄物の多量排出者に対しまして処理計画を作成させることといたしましたのは、排出事業者排出をする廃棄物について十分に把握をさせ、廃棄物排出の抑制、再生利用の促進等による減量化及び適正な処分の確保を図ることを目的としたものでございます。したがいまして、この処理計画には減量化の計画が含まれるものでございます。  一般廃棄物と表現を少し変えましたのは、一般廃棄物は、その処理のかなりの部分市町村処理施設に頼っておりまして、排出事業者がみずから焼却、埋め立て等を行うのはむしろ例外的なものでございます。それに対しまして産業廃棄物は、自己処理の形で排出事業者みずから処理をしているケースも多いわけでございまして、そのため、一般廃棄物と産業廃棄物計画の名称を減量化、処理と使い分けたところでございまして、産業廃棄物処理計画の中に一般廃棄物でうたっておりますような減量化の計画も含めての計画ということで御理解をいただきたいと思います。
  108. 外口玉子

    外口委員 多量の排出者には、特別管理産業廃棄物と同様に管理責任者を置き、処理報告を都道府県知事に提出させる必要があると考えますが、いかがでしょうか。
  109. 小林康彦

    小林(康)政府委員 多量の廃棄物排出者に対しましては、その処理の体制を通常の人よりは強化をし、責任体制を強めていただく必要があると思っております。しかしながら、特別な管理を要する廃棄物はこの処理基準がより厳格であり、専門的な知見も必要であるということから管理責任者の規定を置いたところでございますが、多量の排出者に対しましては、知事が処理計画の策定を指示できるほか、報告徴収あるいは立入検査も可能でございますので、これらの権限の行使を通じまして多量産業廃棄物の管理の徹底を図ってまいりたいと考えております。
  110. 外口玉子

    外口委員 どうもお話を伺っておりますと、市民の暮らしを守るために厚生省の皆さんが御奮闘されているにもかかわらず、どうも市民だけに責任の重さを押しつけ、この産業廃棄物に関しましては、まだまだ事業者責務についていろいろな確保をしていかなければならないということを感じさせられます。  最後になりましたが、今申し上げましたように、事業者責務についてはどのように確保していくお考えなのかということをまずお伺いしてから、最後に入りたいと思います。
  111. 小林康彦

    小林(康)政府委員 事業者責務に関しましては、一般廃棄物になります製品製造しております者に対しては、その製造段階から廃棄物に十分配慮した生産活動を行うよう、国及び地方公共団体廃棄物施策協力をするよう、そういう規定を置いたところでございます。産業廃棄物につきましては、その産業廃棄物につきまして適正な処理が確保されるよう、規定のさらなる整備を図ったところでございます。
  112. 外口玉子

    外口委員 最後になりましたが、大臣、本日の私からの質問をどのようにお受けとめいただけましたでしょうか。大量生産、大量消費、そして大量廃棄という一方通行の経済システムのあり方が、まさにごみに姿を変えて私たち生活をも埋め尽くそうとしているのです。冒頭にも申し上げましたとおり、その一部はアジア諸国に対しても輸出という形で押し出されております。我が国の環境保全をめぐる深刻な事態が、アジアの国々において新たな問題としてクローズアップされてもいるのです。  折しも、今月の十四日にフランスのアンジェで開催されていた四極通商会議では、環境保護が理由ならば貿易制限も認められるという、環境と貿易の四原則が中尾通産大臣によって提案されたと報道されております。生活環境審議会の答申でも、「我が国においても廃棄物の輸出入に係る規制について法制化を図っていく必要がある。」また「国内の廃棄物対策との一体性を確保することが必要である。」としています。我が国が環境保全問題において国際的な協調関係をつくり、地球規模での循環型社会の形成を促進していこうとするならば、本改正はまさに絶好の機会であると言えます。  日本は自然の恵みの豊かさに依存しながら発展してまいりました。そして、今開発中心の経済活動の連続には限界があるのだということを、だれもが気づき始めております。本日のこの審議にも大勢の方々が加わってくださっていることでも、このことがはっきりとおわかりかと思います。傍聴席の方々お一人お一人の御意向を受けとめる意味でも、大臣、本改正案で環境保全を促進し、循環型社会をつくり上げるシステムが可能になるとお約束できますでしょうか。今回の法改正によって、本当にアジアや日本各地で行われている不法投棄はなくなるようになるのでしょうか。本改正案の実効性が大変に懸念されるところでありますが、二年ないし三年の猶予期間を置いてなおまだ不法投棄を防ぐことができなかったならば本改正案の見直しをしなければならないと考えますが、この見直しに対してぜひともここの場で大臣にお約束いただきたいと思います。大臣、お願いいたします。
  113. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 今回の法律改正に伴う委員のいろいろな重要な御指摘、貴重な御意見として拝聴しておったわけでありますが、今四極会議においての、いわゆる国境を越えての廃棄物処理に対する協力のあり方、これは非常に大事なことだと存じます。そのためのバーゼル条約の批准問題があるわけでありますが、この問題につきましては、国内法の整備の面でどのように対応していくかということの詰めがまだ残っておりますし  一例を申し上げましても、これを貿易管理令でやるのか、あるいは別な法律の中でうたっていくのか、あるいは単独立法でいくのかということがありますので、そういったことを関係官庁と協議をし、そしてさらに、条約でありますから、外務省との協力の中で最終の結論を得てまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、廃棄物が国際的に非常に大きな課題になっておることは事実でございますので、日本といたしましても責任ある立場でこれに取り組んでまいりたい、このように考えております。  それから、今回の改正で将来どうかというようなお話でございますけれども、私たち現状において考えられる最善の措置を講じていこうという見地から、いろいろな皆様の御意見を尊重しながら今回の改正案提出しているわけでございますので、この改正案によりまして今の廃棄物処理の、あるいはまた廃棄物が出るその前提からの総合的な対策を充実してまいりたい、このように考えているわけでございます。
  114. 外口玉子

    外口委員 今の大臣の答弁ではちょっと納得できませんので、私きょうは時間の都合で触れませんでしたが、最終処分場の閉鎖と跡地管理の規定が不十分であるという点とか、特別管理産業廃棄物収集運搬、処分時に第三者に被害を加えた場合、損害賠償責任制度に関する規定を盛り込むべきではないかとか、まだまだ重要な点、あるいは廃棄物処理センターの設置を各都道府県にするというふうに言われていますが、これについても一体どのような、今でさえ土地がないあるいは他府県からの拒否がある、さまざまな問題が山積みな中で、これを実際に行っていく上でのさまざまな措置ということに関しては大変危惧されるところでございます。  したがって、私が先ほど最後に強調させていただきました本改正案の実効性を高める意味で、二年あるいは三年の猶予期間を置いて、私どもも、また本日傍聴席におられる諸団体の方々の活動にも支えられながら実効性を高めていく、そういう猶予期間を置いて、あるいはまた行政の御努力、先ほど来の答弁の中での積極的な姿勢を貫いていただいて、実行に移していただき、もしそれでもなおまだ今全国各地で多発しているようなごみ問題が起こるような状況であったならば、本改正案の見直しをするというふうに大臣からお約束をいただきたいと思いますが、もう一度お願いいたします。
  115. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、政府といたしましては、今のごみの問題を非常に大きな社会問題あるいは経済問題その他の問題として受けとめておりますので、この問題を処理するには最も適切な改正案提出しておるわけでありますので、この改正案を御審議いただき、御可決いただいた上は、この法律に基づいて最善の努力をしてまいりたいと考えております。
  116. 外口玉子

    外口委員 見直しをしていく方向で努力されると確認してよろしいでしょうか。しつこいようですが、もう一度お願いしたいと思います。
  117. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 当面の状況におきまして最大の努力をしてまいるつもりでございます。
  118. 外口玉子

    外口委員 先ほど十年前の政府答弁の中で、鋭意調査し、努力すると言って、あの状況よりもずっと悲惨な状態になっているということが私たち共通の認識だと思います。その点について、ぜひとも本法案の実効性を高めるための御努力を積み重ねられて、そして、それが不可能な場合には、見直しをできるだけ早期にしていくことが必要ということを私は強調いたしまして、終わらせていただきます。
  119. 石破茂

    石破委員長代理 午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十九分休憩     —————————————     午後一時三十一分開議
  120. 石破茂

    石破委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大野由利子君。
  121. 大野由利子

    ○大野(由)委員 先日、一般廃棄物を主にいろいろ質問させていただきましたので、きょうは主に産業廃棄物、そして有毒廃棄物について質問をさせていただきたいと思います。  初めに、産業廃棄物の不法投棄が年間どれぐらい行われているか、その件数と不法投棄されたものの内訳、また、その理由の内訳等について教えていただきたいと思います。
  122. 小林康彦

    小林(康)政府委員 警察庁の調べによりますと、産業廃棄物の不法投棄につきましては、平成元年に二百四十六の事件を検挙し、その不法投棄されました量は全体で八十六万九千トンと報告されております。種類別の内訳でございますが、建設廃材が七十五万二千トンで全体の八六・六%を占めておりまして、建設業関係の不法投棄が多い状況でございます。不法投棄の理由でございますが、処理費節減のためというのが最も多いというふうに報告されております。
  123. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今回、特別管理産業廃棄物の処分に管理票が交付されるようになりまして、マニフェストシステムが導入をされたのは一歩前進かと思いますが、このマニフェストシステムの導入の一番の目的が不法投棄を防ぐことにある、そういうことが目的ではないかと思います。産業廃棄物のうちでも最も不法投棄の多い建築廃材に今回このマニフェスト制度の適用をされなかったその理由について述べていただきたいと思います。
  124. 小林康彦

    小林(康)政府委員 不法投棄の事前防止の策といたしまして、今回の改正案におきましては、特別管理廃棄物につきまして規制を強化したこと、廃棄物処理業者の資格要件の強化を図ったこと、事業者等にかかわる委託基準の強化を図ったこと、罰則の強化により不法投棄の防止に係る措置を強化すること、これらの措置を講じたところでございます。  その一環といたしましてマニフェストを特別管理廃棄物に適用したわけでございますが、マニフェストの対象を検討するに当たりまして、廃棄物処理に要します事務的負担が過大なものとならないで、合理的な範囲にとどまる必要があると考えましたことと、諸外国の事例を見ましてもマニフェストシステムの適用が有害廃棄物の範囲に限られている、これらの世界的な動向を見まして、産業廃棄物のうちで人の健康または生活環境にかかわる被害を生ずるおそれがある特別管理産業廃棄物についてのみ、法律に基づくマニフェストの使用を義務づけたところでございます。  御指摘のございました建設廃材等その他の産業廃棄物につきましても、従来から行政指導で行っておりますマニフェストにつきましては引き続き指導に努めまして、そのマニフェストの普及定着に努めますとともに、普及定着の状況を踏まえて、今後この制度の適用範囲についてさらに検討してまいることとしておるところでございます。
  125. 大野由利子

    ○大野(由)委員 建設廃棄物処理ガイドライン、平成二年の五月に出されましたガイドラインの中にマニフェストシステムを実施することが掲載されているわけでございまして、平成二年度に既に感染性廃棄物、また二番目に建設業から排出される産業廃棄物にも適用、そのようなガイドラインが出ているにもかかわらず、今回この法案に書かれなかったということは、既に一年、二年たてば十分この指導、徹底は徹底されるのじゃないか、今回の改正案の中にこのマニフェストが導入されなければ本当の、先ほどおっしゃった中にも八六・六%が建築廃材の不法投棄である、そういう実情を見ましても、この建築廃材にマニフェストが適用されなければ不法投棄を防ぐことに大きな力を発揮でき得ないのじゃないか、そのように思います。  今後検討をされるというお話を伺いましたけれども、今後検討されて、大体見通しはどういう見通しを考えていらっしゃるか、教えていただきたいと思います。
  126. 小林康彦

    小林(康)政府委員 御指摘のように、建設事業に伴います廃棄物、不法投棄も多い実情でございます。現在、行政指導によりましてマニフェストの普及定着に努めておるところでございますが、事業者全国にわたり、かつ多数にわたりますこと、その規模が小さなものもあること等から、ここしばらく指導によります普及定着を図って、その普及定着の状況、あるいは問題点等ございましたら、それの解決方策等を検討もした上で次のステップを考えたい、こういう手順を予定をしておるところでございます。
  127. 大野由利子

    ○大野(由)委員 一日も早い適用をぜひ要望をしておきたいと思います。  それから、産業廃棄物処理業者、許可を受けていらっしゃる業者全国でどれぐらいいらっしゃるか、そのうち処理施設を持っていらっしゃる業者の数はどれぐらいいらっしゃるか、教えていただきたいと思います。
  128. 小林康彦

    小林(康)政府委員 産業廃棄物処理業の許可を受けております者は、平成元年四月一日現在、全国で六万四千百六十一業者ございます。この中で処理施設の数でございますが、中間処理施設が、処理業者所有の分が千五百三十四、最終処分場が千四百七十七、合計三千十一施設ございます。このほかに事業者及び地方公共団体が所有しております施設がございますので、それらを全部合わせますと、全国で産業廃棄物処理施設、一万一千五百十八施設でございます。
  129. 大野由利子

    ○大野(由)委員 産業廃棄物処理業者全国で六万四千いらっしゃる中で、処理施設を持っていらっしゃる方が非常に少ないというか、ただその収集運搬をするだけの方が非常に多いのじゃないかなという感じがいたしますが、産業廃棄物を単に収集運搬するだけでなくて、適正処理に関する意識とか能力というものを高めるとともに、処理技術の水準を向上させることが大変大切だと思います。そういうことに関してどのような御努力をされていかれるのか、どのように育成をされるのかについてお伺いしたいと思います。
  130. 小林康彦

    小林(康)政府委員 お話しのとおり、産業廃棄物処理業者、特に優良な処理業者の育成ということが適正処理の上で大きな課題になっております。廃棄物処理法改正案におきましては、産業廃棄物処理業者につきまして業の許可を更新制にするとともに、許可に当たりましての欠格要件を強化するなど、悪質な業者の参入の排除等に努めるとともに、特別管理廃棄物を加えまして、その特別管理廃棄物処理する処理業者制度も設け、優良な処理業者の育成を法の規定の上でも期待をする制度にしたわけでございます。  平成四年度の予算の概算要求におきまして、産業廃棄物処理業者がまとまって総合的な産業廃棄物処理施設の整備を行います場合に、低利の融資や税制上の優遇措置を講じるよう現在要望しております。それに加えまして、これら施設の整備のための資金の借り入れにつきまして、債務保証や利子補給等の事業振興措置を行う財団を新たに設立をいたしまして、この財団に対して税制上の優遇措置を講じるよう要望しているところでございます。  技術管理のレベルにつきまして、技術管理者につきまして改正法の技術上の基準の遵守、施設の維持管理に従事する職員の監督等の責務を明確に規定することにしておりまして、これらの規定実施ができる人材につきましては、今後とも認定講習会の一層の充実等を通じまして、その育成に努めてまいりたいと考えております。
  131. 大野由利子

    ○大野(由)委員 アスベストを含む廃棄物について伺いたいと思います。  アスベストの粉じんを吸うと肺がんになったり、悪性の中皮腫になったり、じん肺になったり、人体に対する発がん性が大変問題になっております。このアスベストは、建築物の断熱建材を初め建築材として八〇%余りが使われております。特に昭和三十年代以降の建築物に多く使われており、それらが解体された後の廃材はどのように処理処分されているかについて教えていただきたいと思います。
  132. 小林康彦

    小林(康)政府委員 アスベストの毒性が注目されるようになりまして、廃棄物処理に伴いますアスベスト対策も急がれていたところでございます。このため、飛散性アスベストを含有する廃棄物につきましてはガイドラインを作成いたしまして、その除去等の場合の守るべき基準、方策について適正処理指導を行ってきたところでございます。今回の法改正で特別管理廃棄物という区分をつくりまして、基準でございますとか処理の体制を整えることにしてございますが、ガイドラインで対応してまいりました飛散性のアスベストにつきましては、特別管理廃棄物対象として検討することにしております。
  133. 大野由利子

    ○大野(由)委員 一九八八年の七月にこのアスベストの廃棄物に関するガイドラインを出されているわけでございますが、この三年間でこのガイドラインがどこまで徹底をされてどこまで守られているか、把握をしていらっしゃるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  134. 小林康彦

    小林(康)政府委員 建設業界協力を得ましてガイドラインの徹底を期しておるところでございますが、現在までのところガイドライン発効後大きな問題を生じたという報告を受けておりませんし、順調にガイドラインの普及徹底がなされつつあると考えております。
  135. 大野由利子

    ○大野(由)委員 この基準に違反した場合は当然改善命令を出されると思いますが、では、今のお答えですと、改善命令は出された件数があるんでしょうか、ないんでしょうか。
  136. 小林康彦

    小林(康)政府委員 改善命令につきましては都道府県知事等の権限でございますが、アスベストに関しまして改善命令を出したという報告は私ども受けておりません。今回の改正法で特別管理廃棄物指定をされますと、現状よりは法律に基づくなおきっちりした処理指導が行われることになりますので、適正処理の一層の推進が図れるというふうに考えております。
  137. 大野由利子

    ○大野(由)委員 このガイドラインは守られていると思う、したがって改善命令は一件も出されていない、そういうお答えでございましたが、先ほど、不法投棄の最も多いのは建築廃材である、八六・六%が不法投棄されている。しかもその不法投棄している原因は、処理費、経費節減のためということが五割以上の理由になっているわけでございます。ということは、有害なアスベストも建築廃材と一緒に廃棄されているものがかなりある、そう予想されて当然ではないかと思うのですが、これはいかがでございましょうか。
  138. 小林康彦

    小林(康)政府委員 飛散性のありますアスベストについては社会的関心も高こうございますし、建設事業を行います。界あるいはその建物の所有者等も関心の高い部分でございますので、ガイドラインに沿っての処理が行われつつあるというふうに私ども理解をしておるところでございます。しかしながら、今後のことを考えますと、さらに適切なる体制を整えるということが重要でございますので、特別管理廃棄物といたしまして、排出から処分に至るまでの管理の徹底、特別の処理基準の設定等によります適正処理の確保に万全を期すという方針で、今後作業をしていきたいと考えているところでございます。
  139. 大野由利子

    ○大野(由)委員 私が取材したところにおきましても、アスベストは一般廃棄物と全く同じように捨てている、捨てられている、そのように聞きました。ガイドラインはっくってはみたけれども実際には全く野放し状態、そういう現状ではないか、そのように思います。これはもう不法廃棄物の八六・六%が建築廃材であるということから考えても、そこに当然アスベストが不法投棄されているんじゃないか、そういうことを考えてその対処方法を考えるのが行政ではないか、そのように思うわけでございます。報告がないから守られているというのであれば、余りにもこれは市民、国民の健康を、また環境を考えた行政では決してないんじゃないか、そのように思います。  これから特別管理産業廃棄物指定を考えていらっしゃるということでございますので、このアスベストの処理が厳重に行われるように。既に北欧諸国では、アスベストを一九八〇年代の初めに禁止をしております。アメリカでも九六年までに製造禁止をもう既に決定をしております。ところが日本は、昨今の建築ブームでアスベストの輸入量が逆にふえている、そういう状況でございます。逆に輸入量がふえていて、しかも不法投棄がされている、野放しであるということでは余りにもお粗末なのではないか、余りにも環境後進国なのじゃないか、そのように思いますので、どうかこの辺、厚生省さんとしましても積極的にアスベストの管理、アスベストの廃棄を厳重にチェックをするという方向で検討をしていただきたいと思います。  それからもう一点、同じアスベストの七%近くが現在自動車に使われております。そのうち六〇%がボディーの断熱材に使われているわけですが、車の解体に当たって行政はどのように対応されていらっしゃるか、指導していらっしゃるか。アスベストをより分けられているのか、それとも車体と一緒に解体、シュレッダーにかけられているのか、実態はどのようになっているか、把握していらっしゃるかについてお尋ねをいたします。ガイドラインをつくっていらっしゃるかどうかについてもお聞きしたいと思います。
  140. 小林康彦

    小林(康)政府委員 アスベストにつきましては、ただいま御紹介いただきました吹きつけアスベスト等の飛散性アスベストについてのガイドラインをつくり、指導しておるところでございます。  御指摘自動車に使用されましたアスベスト材料につきましては、破砕等の処理に伴う飛散に関しての問題でありますことから、その飛散の防止等について今後調査検討を行いたいと思っております。現在のところ、全国的に統一してこの方法でという具体的な、統一した処理方法までには至っておりません。現在及びこれからの検討を踏まえまして、飛散性アスベストの範囲につきまして検討してまいりたいと思っております。
  141. 大野由利子

    ○大野(由)委員 車の廃車のシュレッダーに際しまして、非飛散性のアスベストも、粉々に解体される際に飛散性のアスベストになり得るということが当然考えられるわけでございますし、解体業者の中には、このアスベストの有害性、またどのように防御するかということについても、詳しい知識を持ち合わせていない人もいらっしゃるんじゃないかと思いますが、解体のときにどのようなことに注意をすればいいのか、どのように扱えばいいか、これも早急にガイドラインをつくって、そしてアスベストをどのように扱うかについて検討していただきたい。  この車のアスベスト等についても、特別管理産業廃棄物指定されるかどうかについてお伺いしたいと思います。
  142. 小林康彦

    小林(康)政府委員 御要望の点を含めまして、自動車におけるアスベストの使用の状態、その解体に当たりましてアスベストの分離の技術的な可能性、あるいはシュレッダーによります破砕の際の実態、あるいはその健康に対する懸念、それらを含めまして私どもとしても検討を進め、解体事業者あるいは関係をいたします人たちに対する情報の提供、あるいはお話ございましたように特別管理廃棄物にするのが適切かどうか、それらも全体として今後検討もし、方向づけをしていきたいと考えております。
  143. 大野由利子

    ○大野(由)委員 先日乾電池のことについて若干お尋ねをいたしましたが、もう一度乾電池のことについてお尋ねしたいと思います。  ボタン型電池の水銀含有量と総生産量、トータルの水銀使用量についてお尋ねをしたいと思います。そのうちの回収量、どれだけ回収されて、どのように処理されているかについてもあわせてお尋ねします。     〔石破委員長代理退席、野呂委員長代理     着席〕
  144. 小林康彦

    小林(康)政府委員 社団法人日本乾電池工業会の統計によりますと、一九九〇年の水銀電池の総生産量は二千六百万個でございます。また、国内流通量は一千百万個であり、そのうち回収量は百三十五万個となっております。国内流通量に含まれます総水銀量は一五・二トンであります。また、アルカリボタン電池の総生産量は一億五千七百万個でございまして、国内流通量が二千五百万個、その総水銀量は〇・三トンとなっております。  市町村が関与いたしまして回収をいたしました水銀入りの電池につきましては、北海道にございます水銀の回収専門工場におきまして、水銀の回収及び無害化の処理が行われているところでございます。
  145. 大野由利子

    ○大野(由)委員 ボタン型電池について通産省さんにお尋ねしたいのですが、北海道のイトムカに持ち込まれて、これが回収されているのがどれぐらいあるかについてお尋ねしたいと思います。
  146. 青柳桂一

    ○青柳説明員 お答え申し上げます。  回収されました水銀電池は、全量イトムカに持ち込まれて処理されておるということでございます。ですから、百三十五万個分全部イトムカに持ち込まれておるということでございます。
  147. 大野由利子

    ○大野(由)委員 そのうちのボタン電池はわからないのですか。
  148. 青柳桂一

    ○青柳説明員 水銀の含有量で申し上げますと、ボタン電池全体の中の九五%がすべて水銀電池に集中しておりますので、そういう意味からしますと、水銀電池から回収される水銀の量というのは、ボタン電池全体の水銀の量とほぼ同じであるというふうに考えられるのではないかと思います。
  149. 大野由利子

    ○大野(由)委員 全体のパーセントで申しますと何%になりますか。
  150. 青柳桂一

    ○青柳説明員 水銀の含有量で申し上げますと、ボタン電池全体の中の水銀電池で使われております水銀の使用量が九五%、そのほかのボタン電池については五%ということでございます。
  151. 大野由利子

    ○大野(由)委員 補聴器に使われてます水銀電池を空気ボタン電池に切りかえようと推進されているようでございますが、水銀電池使用の補聴器の値段と空気ボタン電池使用の補聴器の値段の違いについて教えていただきたいと思います。
  152. 青柳桂一

    ○青柳説明員 基本的には、水銀電池と空気電池につきましては代替可能でございます。それから電池の値段で申し上げましても、まあほぼ同一というふうに思っていただければというふうに思います。したがいまして、ごく一部の補聴器を除きましては、ほとんどすべての補聴器が両方の電池が使用可能となっております。
  153. 大野由利子

    ○大野(由)委員 大変毒性の強いカドミウムを含有いたしましたニッカド電池についてこの前ちょっとお尋ねいたしましたが、実際リサイクルできない電池が全体の四割を占めておりますが、ニッカド電池を取り外し可能な製品に設計変更することが一点。二点目は、このニッカド電池を使用していることを知らない消費者も多いものですから、使用している製品にはその旨を表示して、廃棄するときは必ずその電池分を取り除いて廃棄することを表示する、そして、その電池を含んだ部分販売店または業者回収してもらう、そういうことをきちっと製品に表示をすべきじゃないか、そのように思いますが、通産省さんの御見解を伺いたいと思います。
  154. 青柳桂一

    ○青柳説明員 ことしの八月に産業構造審議会廃棄物処理・再資源化部会におきまして、ニッカド電池につきましては、その利用形態が多岐にわたっておりまして回収が十分に行われていないということから、ガイドラインの中に新たにニッカド電池を追加したところでございます。このガイドラインに従いまして、業界においては、機器に内蔵されておりますニッカド電池の回収を促進するため、ニッカド電池内蔵の機器ごとに取り外しか容易となるような構造設計あるいは組み立て方法等、さらには御指摘の適正な表示等も含めまして、積極的に検討していくこととしておるところでございます。  私ども通産省といたしましても、このガイドラインによりまして、機器に使用されておりますニカド電池め回収が促進されますよう、積極的に指導してまいりたいと思っております。
  155. 大野由利子

    ○大野(由)委員 ニカド電池にあわせてお伺いいたしますが、今回生活審議会の答申の中に「製造者等は、その製品等が廃棄物となった場合の処理の困難の度合い、資源化の可能性等についてあらかじめ評価し、必要な対応を講じていくことが必要である。」そのように述べられているにもかかわらず、この項目が法案の中から抜け落ちているのが非常に残念なわけでございます。製品廃棄物になった場合の回収及び再生利用に努める等の責務製造業者は負わなくてはいけないんじゃないか、そのように思いますが、このことについて厚生省さんと通産省さんの御見解を伺いたいと思います。
  156. 小林康彦

    小林(康)政府委員 御指摘の点につきましては、物の製造をする段階廃棄物になりましたときを考慮して、適正な処理が困難にならないように物の製造販売に努めなければならないという事業者一般的責務規定しておるところでございます。個々のケースにつきまして問題のあります場合には、厚生大臣は、事業所管大臣を通じまして製造業者等協力を求めることができる規定を置いておりまして、これらの規定を活用することによりまして、廃棄物処理立場製品、流通、販売過程にも反映していくことができるものと考えております。
  157. 青柳桂一

    ○青柳説明員 家電とか乾電池とかその分野におきましては、ただいまの厚生省さんの意見と全く同じでございます。
  158. 大野由利子

    ○大野(由)委員 昭和六十年の七月に厚生省が使用済み乾電池は他のごみと一緒に処理しても問題はないという安全宣言と思われる発言をされて、それ以来市民団体の人たち地方公共団体人たちの分別収集の熱意が急激に薄れてしまったわけでございますが、水銀の含有量の非常に多いボタン電池とか、補聴器に使われています水銀電池とか輸入電池とかニカド電池とか、こういうものの取り扱いを一体どうされるのか、また、スプレー缶とかボンベ等はどう扱われるか。これはこうした有害廃棄物、つまり特別管理一般廃棄物指定されるのか、それとも適正処理困難物指定されるのかについてお尋ねをいたします。
  159. 小林康彦

    小林(康)政府委員 乾電池中の水銀につきましては、専門家会議の報告によりまして、通常のごみ処理の中での処理で周辺環境に影響が生じている事例がないという報告を受けておるわけでございますが、その報告の前後を通じまして、市町村によります乾電池の回収、それほど大きな落ち込みはなく、市町村が分別して回収いたします場合の適切なる回収及び処理ルートを整備してきたところでございます。  お尋ねの特別管理一般廃棄物でございますが、これは人の健康や生活環境に被害を生ずるおそれのある一般廃棄物指定をいたしまして、厳格な管理を行おうとしているものでございますが、御指摘の水銀ボタン電池あるいはニカド電池など有害物質を含んでおります廃棄物につきまして、有害物質の含有量あるいは排出状況を勘案して、指定すべきか否かの判断をしたいというふうに考えております。  なお、適正な処理が困難な廃棄物厚生大臣指定をするいわゆる適正処理困難物の概念がもう一つあるわけでございます。この適正処理困難物は、有害性をその直接の指定の判断の根拠とするものではございませんが、特別管理廃棄物になりますものについても適正処理が困難という観点から調査対象になることもあり得る。具体的に申しますと、二重の規制もあり得るというように考えております。
  160. 大野由利子

    ○大野(由)委員 ニカド電池もカドミウムの含有量が非常に多くて、これが一般の土の中に埋め立てられるとどうなるのか。かつてのイタイイタイ病だとかいろんなことを考えたときに、今のお答えのような、回収ルートに乗っているものと思われるというようなのんびりしたことは決して言えないんじゃないか。もっと深刻に受けとめていただきたい。回収を徹底するために、有害物を含んだものだけでもデポジット制度を導入するとか、また、場合によってはごみ処理税等々があって、そういうものを考慮して徹底して回収をするということが検討をされなければならないんじゃないか、そのように思いますので、もう一度お答えをいただきたいと思います。
  161. 小林康彦

    小林(康)政府委員 有害物を含んでおります一般廃棄物につきましては、その有害物の含有状況あるいは人体、環境に与える影響等を考えまして、その適切な処理を検討していかねばならないというように考えております。  後段でお触れになりましたごみ処理税等特別の財源あるいはそれによります処理への誘導策についてでございますが、有害廃棄物という特別の廃棄物自体に着目をして課税いたしますという制度につきましては、税の負担を製造者、販売者、消費者、処理業者、これのいずれの主体に課するのか、それから有害物の範囲、含有量との関係で課税の対象をどのように定めるのか、それから徴収をいたしました税の使途をどうするか等さまざまな検討課題がございまして、廃棄物や環境問題に関します税制全般の中で、幅広い観点から研究すべき課題というように私ども心得ております。
  162. 大野由利子

    ○大野(由)委員 最後に、廃棄物からエネルギーを生み出すという観点からお伺いをしたいと思います。  今回の改正案ては資源化とか再利用という観点がなかなか薄い、そういう印象があるわけです。やはりごみ処理するという二元的な部分が非常に印象が強いわけですけれども、単にごみを焼却するというだけではなくて、廃熱を利用しまして、温水プールとか保養施設のおふろとか、また地域の冷暖房とか、さらに道路の融雪等、また発電等に活用をしていらっしゃる例が少しずつふえてきておりますけれども、発電をやっていらっしゃる廃棄物処理施設全国で何カ所のうち何カ所あるかについてお尋ねをいたします。
  163. 小林康彦

    小林(康)政府委員 全国市町村の焼却施設の中でごみ発電を行っております施設は、平成二年度末におきまして百二カ所ございます。その発電能力の合計は三十二万三千キロワットで、一般家庭に換算をいたしますと約九十四万世帯分の電気を発電をしておる状況でございます。このごみ発電の全体に占める割合でございますが、施設の数からいきますと約五%、焼却能力でいきますと約二八%を活用しての発電でございます。
  164. 大野由利子

    ○大野(由)委員 このように、利用されているといいましてもまだまだ利用率が低い。廃棄物処理の副次的に行われているわけでして、電力供給の一翼を担っているというところまではとてもいかないんじゃないか。  先日もこの厚生委員会廃棄物処理施設を視察いたしましたが、その折にお話をお聞きしたときにも、熱エネルギーの一〇%程度しか活用していない、もっと活用しようと思えば能力は十分あるけれども、電力会社さんに遠慮してか、いろいろ事情はあるかと思いますが、電力を売るところまではいっていない、そういうことでございました。今、火力発電とか原子力発電は地球規模での環境汚染等々が非常に問題になっておりますが、このごみ発電のエネルギーというものをもっともっと積極的に活用をして、電力を買ってもらう、売るということをもっと積極的に取り組まなければいけないのではないかと思いますが、厚生大臣の見解をお伺いいたします。
  165. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 結論的に申し上げれば、委員のお考えと全く同感でございます。ごみ処理施設が今非常に不足しておりますので、これからどんどんと新しいものを建設したいという希望が全国で殺到しておりますが、そういう場合の企画を聞いてみますと、やはり委員の御指摘のように、ごみ処理による施設の余熱を利用して多角的ないろいろな計画を考えている。その中の一つとして発電の計画もあるというように承っております。これは余熱の利用ということだけではございませんで、また同時にこみ処理の経費負担の軽減にもなりますし、さらにまた、エネルギーの有効活用によって地球の温暖化の防止等、非常に各般の面においての効果があるわけでございますので、こういう見地から大変重要なことであると認識いたしております。  厚生省では、従来から余熱利用施設を国庫補助対象にしているところでございます。現在、学識経験者、関係団体代表者等から成る委員会を設置いたしまして、ごみ焼却余熱の有効利用、この中には当然発電の問題も入っておりますが、さらに促進方策について検討を行っているところでありまして、その結果を踏まえながら関係省庁とも十分協力の上、ごみ焼却余熱を利用し、発電の一層の推進を図ってまいりたい、このように考えております。
  166. 大野由利子

    ○大野(由)委員 電力という観点と、もう一つ、アメリカでは電気事業が自由化された全米各地で、効率よく経済性にすぐれたコジェネレーションシステムとして、火力発電では普通捨てられています六二%の熱エネルギーを冷暖房や給湯に使っている。そして、熱エネルギーの八〇%を有効に活用しているようでございます。そういった意味で、今回そろそろ施設の建てかえの時期になっているわけですけれども、電力という面とコジェネレーションシステムの導入ということについてもっと積極的に進めていっていただきたいと思いますが、このことについて最後にもう一度お考えを伺わせていただいて、終わりたいと思います。
  167. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 コジェネレーションの点につきましても委員指摘のとおりでございまして、大変重要なことだと考えております。
  168. 大野由利子

    ○大野(由)委員 ありがとうございました。
  169. 野呂田芳成

    野呂委員長代理 遠藤和良君。
  170. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私は、最初に大臣にお伺いをしたいのでございますけれども、先日、東京湾にございます東京都の最終処分場を見てまいりました。そこにはたくさんのごみが捨てられておりましたけれども、もう満杯状態でございまして、あと一年十カ月しかもたないのじゃないかという危機感があるのですね。  そこで一番心を痛めましたのは、今使い捨て時代だと言われているのですけれども、使わずに捨てられている新品のごみがいっぱいあるということなんです。あるスーパーマーケットが、価格を維持するために値段のついたままでTシャツを捨ててある、あるいは学生服を捨ててある。あるいは食品メーカーは、まだ賞味期間なのにそれをそのまま捨ててある、こんな状態がありました。中には子供さんの絵がトラックに一杯ぐらい捨ててあるのですね。よく見ると交通安全の標語の絵だんですけれども、これを全国の小学校の皆さんから募集したのでしょう。そして、いいものだけ展示して、選に漏れてしまったのは全部捨ててしまったわけですね。こういうふうなごみの捨て方がされている。  これはまさに企業のモラルが問われているわけですが、そこの現場の方々が言っておりました。貝塚というのがありますね。昔、貝殻だとが食べたものを捨てたところですけれども、今それを発掘すると、その時代の文化というものがどういうものであったかがわかる。ところが、今の日本の最終処分場を後世の人たちが発掘すると、一体その時代の日本の文化は何だったのか、こんなことを感ぜざるを得ないのではないか。あるいは、日本は資源がない、そして外国から資源をどんどん輸入をしておる。しかし、その資源がまさに使われないまま、製品のまま捨てられている、こういう実態を見ると外国の方々はどんな思いをするだろうか、こんなこと宣言っておりました。それから、こういった企業の価格維持のために新品のごみ処理しなければならない、その処理の費用が税金で賄われている、これは私たちとしては理解ができない、こんなことも現場の皆さんが言っておったわけでございます。  この日本のごみ問題でございますけれども、これは日本の今の一つの文化の象徴でもあるかもわかりません。非常に大切な問題なんでございますけれども、こうしたごみ現状につきまして、大臣の基本的な御認識から伺ってまいりたいと思います。
  171. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 今委員指摘のように、ごみがこの日本の生活の中で社会問題になっておることは御承知のとおりでございます。そして、今御指摘の、東京湾の埋立地にある、我々としては非常に慨嘆にたえないと申しましょうか、残念なような形で新品がそのまま捨てられておるという姿は、私も見てまいりまして非常にショッキングなことだと思った次第でございます。  これはやはりごみの問題だけで解決する問題ではなくして、人間の考え方、生活のあり方、そういった基本的な問題と絡んでくるのではなかろうかと思います。かつて、委員も子供のころ、あるいは我々の子供のころは、御飯のお茶わんについていた一粒の米も残しちゃいけない、大事にしろとおふくろに言われた時代があったわけでございますが、今は聞いてみますと、若い方や子供さんは、おなかがいっぱいなのに余計食べて、おなかを壊す方がいいのかどうかという反論をするそうでございます。そういうような時代でございますから、今のような、ごみに対する基本的な考え方があるところに行き過ぎたために、このような我々が理解に苦しむ、あるいはまた物資の不足な国から見た場合には慨嘆にたえないような状態が起こっておるのではなかろうかと思う次第でございます。  したがいまして、今やごみはそういう個々人の営業の考え方、あるいは個人の事情によって勝手な形で放棄されてよいものではないわけでありまして、やはりこの法律改正の中で主眼点としてお願いしております、ごみの発生をなるべく少なくするようにしなければならないというまず原点に立ち返って、社会公共一つの秩序を守るためにいかに取り組むべきかという基本的な考えを果たした上で、我々国民全体が共同の利益を守るために取り組んでいかなければならない問題である、このように考えておる次第でございます。
  172. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 そこで、今回の改正案に入るわけでございますけれども、企業の処理費用負担の義務化をするとか、あるいは回収責任を明確化するとか、あるいはオフィスの紙ごみを産業廃棄物にするんだ、そう指定するんだ、こんな意気込みが伝えられてきたわけでございますけれども、今度の改正案にはそういうものが見られない。少し後退をしているのではないか、このように理解ができますけれども、その後退した理由は一体いかなる理由によるものですか。
  173. 小林康彦

    小林(康)政府委員 ただいまお話のございました部分は、主として一般廃棄物にかかわる部分かと思います。一般廃棄物の中でも廃棄物の量を押し上げております大きな部分が、事業所から出てまいります紙ごみでございます。その紙ごみの扱いにつきましては、法律の事項ではございませんで政令の事項でございますが、廃棄物処理法改正を検討する上で、生活環境審議会の答申もございましたので、一般廃棄物のままに置くか、産業廃棄物として区分をし直すかという課題を私ども持っておったわけでございます。  紙ごみにつきましては、その収集運搬あるいはリサイクル、処理というルートが既に定着をしておりまして、その実態を超えて一般廃棄物から産業廃棄物に切りかえるには大変混乱が予想されること、それから紙ごみそのものは、リサイクルにいたしましても焼却等の処理にいたしましても、有害物質等とは違いまして普通のごみと同じ性状でありますこと、それから市町村処理をいたします場合に、その処理に要した費用を勘案をいたしまして、適正な処理手数料を条例で定めることによりまして事業者の適切な負担を求め得ること、これらの事情がございますので、オフィスから出ます紙ごみにつきまして、一般廃棄物に置いたままその規制の強化、費用負担の徹底を期す、こういう提案になったわけでございます。  事業者責任責務の持ち方でございますが、廃棄物になりました段階での処理状況を考えて製品製造販売をしていただくという一般的な責務のほかに、処理の困難なものにつきまして全国的な対応が必要なものにつきましては、厚生大臣適正処理困難物として指定をし、製造者等の協力を求めることができるという規定を置きましたほか、全般的に国及び地方公共団体の行います施策に対する協力規定を置きまして、事業者責任責務の強化を図ったところでございます。
  174. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それで、適正処理困難物というのは、では一体何を念頭に置いていますか。
  175. 小林康彦

    小林(康)政府委員 制度の上では、厚生大臣全国的に処理が困難になっているかどうかという点を調査しました上で指定をすることにしておりますが、具体的な候補といたしましては、全国都市清掃会議等で掲げられておりますように、大型のテレビ、冷蔵庫のような大型電気製品あるいはタイヤガスボンベ、これらのものが例示的な候補として挙げられるかと思います。
  176. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 自動車とかバイクはどうですか。
  177. 小林康彦

    小林(康)政府委員 自動車適正処理困難物に該当するかどうかにつきましては今後の検討課題でございますが、市町村処理体系に入らずに企業の側での回収のシステムが確立をいたしますれば、適正処理困難物指定するまでもなく適正処理が図られるところでございますし、その状況になりますと全国的に市町村処理が困難という状況とは認められなくなりますので、そうした制度が定着をし、十分効果を発揮いたしますれば、自動車自動車としての処理体系で適正な処理が図れるものというふうに考えております。
  178. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 今、自動車の保有台数は日本全国で五千五百万台、そして一年間に廃車される数が四百六十一万台ですか、これは八九年度の統計ですけれども。それで、放置自動車が大体二万台から三万台くらいあるのではないかと言われているのですが、私の郷土でも、山の中から川の上流からたくさん放置自動車が見受けられますね。これは個人が捨てたのもあるでしょうし、あるいは業者が捨てたのではないかと言われるものもあります。これは日本全国相当の大問題になっているわけでございますが、これについて抜本的な、放置自動車をなくする、こういうことはできるのかどうか、これを伺いたいのですけれども、この対策というのは一体どこがやるのでしょう。
  179. 小林康彦

    小林(康)政府委員 放置自動車につきましては、先進的な都市の取り組みあるいは厚生省指導も踏まえまして、日本自動車工業会等が路上放置処理協力会を設けまして、処理費用を負担する制度を本年七月から実施に移しているところであります。  この制度では、放置自動車の所有者が判明しなかった場合のように、やむなく市町村がその処理を行おうとする場合におきまして、市町村要請に基づき、この協力会が路上放置車の処理費用に見合う金額を負担することとしております。またあわせて、自動車放置を防止するため、日本自動車販売協会連合会等四団体の参加会員によりまして、お客の廃棄希望車両の処理を引き受け、専門の処理業者に引き渡す制度実施に移されているところでございます。これらの制度が円滑に運営されますよう指導しますとともに、自動車放置の防止と放置自動車の適切な処理に努めてまいりたいと考えております。
  180. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 その資料、私の手元にあるのですけれども、七月一日から実施したわけですね。これに対して実際に現在の状況はいかがですか。かなり効果を上げているのですか。
  181. 小林康彦

    小林(康)政府委員 制度が発足したばかりでございますし、全国的に周知徹底を図っている段階でございますので、まだ私どもどの程度の実績がという調査まで至っておりません。しかしながら、このシステムは十分検討された上のものでございますし、市町村廃棄物処理としても十分協力できる体制のものでございますので、しばらくこの制度の円滑な実施、その普及促進に廃棄物行政としても努めてまいりたいと考えております。
  182. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それでは、しばらく見て、これがうまく運用されていればそれでよしとする、もし運用されなかった場合はやはり適正処理困難物としての指定もあり得る、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  183. 小林康彦

    小林(康)政府委員 制度の円滑な定着を期待しておるところでございますが、仮定の話でございますが、その制度から漏れる放置自動車がたくさんございまして、それが全国的な廃棄物処理上の課題、市町村にとりましての課題という状況になりますれば、規定からいきまして適正処理困難物調査をする必要についての検討が必要になろうかとは思っておりますが、現在のところそこまでいかないで、制度そのものが円滑に定着していくという期待を持って指導、周知徹底に努めているところでございます。
  184. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 わかりました。制度がスタートしたばかりですから、私もそれを見守っていきたいと思います。  しかし、地方自治体が一番悩んでいる問題は、放置された自動車があるんだけれども、それが一体個人の所有物であるのかあるいはもう全く廃車されるごみなのか、この認定ですね。これを非常に悩んでいるわけですね。個人の所有物を勝手にごみとして処理してしまうと後で問題になりますから、これに対して明確な認定のあり方を示してあげなければ、地方自治体としても大変困るのではないか、このように理解するのですけれども、何か妙案がありますか。
  185. 小林康彦

    小林(康)政府委員 放置自動車の扱いにつきまして一番解決せねばならない点が、先生御指摘の点であろうと思っております。言いかえますと、廃棄物として認定をする条件あるいはその手順でございまして、時代とともに廃棄物の概念といいましょうか、従来予想しなかったものが廃棄物になって出てくるというような状況も出てきておりますので、放置自動車廃棄物として認定をする条件及び手順につきまして、学識経験者の御意見も聞き、関係省庁とも十分御相談をしながら、私どもとしての考えもまとめていく方向で努力をし、その情報を市町村にも提供していきたいと考えております。
  186. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 横浜市が放置自動車及び沈船等廃物判定委員会というものをつくろうとしているわけでございます。これは、所有者が不明のものについてはこの委員会の判定にゆだねる、そして、この判定を参考にしまして市長が廃棄物と認定をする、そして処理を行う、こういうふうなことになっているわけでございますが、やはり国としてある程度きちっとした基準をつくってあげないと、各自治体は随分困っている問題でございまして、横浜市はかなり前向きに、この問題は深刻であるからだと思いますけれども、行っています。  問題は、これをやった後、その判定委員会そのものが訴訟をされたりすることがないとも限りませんから、その辺のことを国としてもやはり十分に考えていく必要があるのではないか、このことを申し上げたいのでございます。
  187. 小林康彦

    小林(康)政府委員 お話しのように、処理をしました後、所有者が名のり出てのトラブル等も十分予想されるところでございますので、そうした点も含めまして、それから、先生お話ございました横浜市が条例で制度をつくりつつございますので、そうした事例も十分参考にしながら、全国的に適切な情報提供あるいは指導の方針を固めていきたいと思っております。
  188. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 運輸省に聞きたいのですけれども、現在この廃車する手続、いわゆる登録を抹消する手続でございますけれども、これは第十五条の永久抹消という制度一つある。これには解体証明書が必要であると伺っています。それから、第十六条の方は一時抹消ですけれども、これにはそうした書類は必要ない、このようになっているようでございますけれども、実際はこの第十六条で一時抹消した後、永久抹消されているケースがかなりあるのではないか、このように心配されるわけですね。  したがって、私の意見といたしましては、一時抹消にも例えば下取り証明書のようなものをつけて、それが適正に下取りされているということが担保された上で一時抹消ができる、このようにすべきではないかと思っているわけです。といいますのは、抹消しない限り税金を払わなければいけないわけでございまして、そういうふうな制度があれば、いたずらに放置したり捨ててくる、こういうものがなくなるのではないか、このように理解をするわけでございますが、そんなことは考えられませんですか。
  189. 上子道雄

    上子説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、道路運送車両法には十五条及び十六条という抹消登録の制度がございまして、十五条抹消につきましては車が減失したとかあるいは解体したとか、その場合に行うもので、解体証明書の添付を義務づけているところでございます。  一方、御指摘の方の十六条抹消につきましては、十五条抹消と違いまして、自動車は使用可能な状態にあるわけでございますけれども、所有者が何らかの理由により一時的に運行の用に供することをやめたときに、所有者の意思により登録を抹消する制度でございます。現在、十六条抹消では、申請書に一時使用中止である旨の記載をしていただきまして抹消しているわけでございますが、その際、先生御指摘の下取り証明書、そういったような書面を添付させることによってその確認をするということにつきまして、放置防止対策上との関連におきまして、その実効性などにつきまして研究してまいりたいと思っております。
  190. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 やはりきちんとした手続を踏まなければ登録を抹消できない、要するに廃棄処分できない、こういうふうにすべきだと思うのですね。そうすると、その放置自動車が所有者がいるのかいないのかという幽霊的な存在がなくなると思うのですね。これは非常に今地方自治体が頭を痛めている問題でございますから、ぜひ運輸省さんもそうした放置自動車を解消する一つの手段として考えてもらいたい。これは要望にとどめておきたいと思います。  それから通産省に聞きたいのですけれども放置自動車がこれだけたくさんあるということについて、製造しているメーカーはいかなる責任があるのかということでございます。
  191. 今野秀洋

    今野説明員 お答え申し上げます。  廃棄を希望します自動車につきましては、基本的には従来から販売業者などによりまして下取りというような格好で回収されまして、これが市場メカニズムを通じて処理するということで動いているわけでございます。  この不法放置車の問題でございますけれども、これにつきましては、まず基本的には、法律に違反して自動車放置するという者の責任が当然問われるべきでございますけれども、同時に、私どもといたしましても不法放置車問題の解決にできるだけ協力するという観点から、自動車販売業者等を指導いたしまして、先ほど御議論のございました自主的な協力制度というものをつくったところでございます。
  192. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 これは私のアイデアなんですけれども、今自動車廃棄処分にするときの最終処分費用というのは、大体一万五千円ぐらいかかるんじゃないかと言われているのですね。その費用がかかるから捨ててくる。しかも、それもナンバープレートとそれから車検証だけ持っていって、十六条で抹消すれば簡単にできますから、それを野山に捨ててくる、そういう人が若干いるのではないかと思うのですね。そういうものをなくするために自動車のデポジット制度、例えば最終処分費用が一万五千円だと、自動車廃棄処分すると二万円ぐらい返ってくる、そしてその中から最終処分代が払える、こういうふうにすべきではないか。新車をつくるときに既に最終処分代も含まれている、こういうふうな制度をしておけばこの放置自動車がなくなるのではないか、こんな考え方をいたすわけでございますが、この自動車の最終処分まで考えたデポジット制度、こういうものを通産省として考えることはしておりませんか。
  193. 今野秀洋

    今野説明員 デポジット制度についてでございますけれども自動車につきましては、新車を買いましてから廃車に至りますまで相当長期間ございますし、同時に、所有者もいろいろ変転をするというケースが多々ございます。したがいまして、預かり金制度というのは、つくるのが実務的に非常に難しいのではないかというのが率直な見解でございまして、そのためもございまして、この七月一日以降、販売店を通じて廃車を回収するという制度を今回つくったところでございます。
  194. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 新車からどんなに転売されても、新車そのものに最終処分の費用が含まれているということになれば、普通はそれが最後まで行くのではないか。税金の問題がありますけれども、それに対して例えば消費税がかかるとか、税金がかかって大蔵省は喜ぶかもわかりませんけれども、最終処分まで含めたそういう制度というのは、これは自動車ばかりではないのですけれども、例えば適正処理が困難なものについて、そういうふうなものまで含めた価格体系をつくっていく、こういうこともごみをなくす一つのアイデアであろうと私は思いますね。  自動車についてもぜひ検討をしていただきたい。今の流通経路ではなかなか難しいということでございますけれども、諸外国の例もどういう例があるか検討していただきまして、ぜひ検討はしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  195. 今野秀洋

    今野説明員 諸外国の例等、いろいろ勉強させていただきたいと存じます。
  196. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それで、あと船なんですけれども、グラスファイバーでつくったプレジャーボートだとかあるいは小型の漁船だとか、そういうものが放置されている例があるのですね。これはなかなか処理が困難なんですね。これに対する対策を何か考えておりますか。
  197. 小林康彦

    小林(康)政府委員 近年、船舶の素材として、お話のございました強化プラスチックによりますものが多く使用されるようになってきておりますが、このFRP船、耐用年数から見まして、今後徐々に廃棄される量が増加すると予想しております。  廃棄されましたFRP船の船舶につきましては、大きくて重いという形状、重量の点、それから収集が非常に難しいという点、また、中間処理過程におきましても粗く破砕をするなどの前処理が必要、あるいはその焼却に当たりましても問題がある等、処理上の問題が多いものでございます。このため、今後処理技術の確立が必要なだけではなく、不法投棄に対します対応も含めた処理ルートの整備が必要でございまして、現在のところまだ具体的な方策には至っておりませんが、改正法案規定も踏まえまして、適切な対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
  198. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 先ほど適正処理困難物の中に犬型の家電製品ども入る予定だというふうな話がありましたが、もし入った場合は、これはメーカーに例えば下取りの制度をつくりなさいとか、あるいはその処理をするのにお金が要るから出しなさいとか、こういう形になるわけですね。
  199. 小林康彦

    小林(康)政府委員 適正処理困難物になりました場合の製造者等の協力のあり方につきましては、お話のございましたようにメーカー側回収ルートを整備する、あるいは市町村収集をしましたものを途中から引き取る、あるいは廃棄物処理センター等で市町村が共同してその処理設備を整備し、処理をする場合に応分の負担を行う、幾つかの形態が考えられますので、廃棄物種類ごと全国的にどういう協力形態があり得るか整理をいたしまして、そうした全国的に適当な方式に基づきまして市町村協力を求める、こういうことを予定しております。
  200. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 建設廃材の越境移動というのが大変問題になっているわけですけれども、建設廃材そのものは産業廃棄物なのですが、建設残土、例えばビルを掘ったときに出てきた土だとかトンネルを掘ったときに出てきた土だとか、こういうものの扱いは今どうなっていますか。
  201. 小林康彦

    小林(康)政府委員 残土につきましては、自然状態の土砂を廃棄物として規制するのは適切ではないということで、通常の土砂としての扱いをしておるところでございます。ただ、トンネル工事等で非常に水分の多い汚泥状のものにつきましては、これは汚泥として、産業廃棄物として取り扱っております。
  202. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 地方の地域には建設残土が大量に捨てられている。それは産業廃棄物の規制を受けませんから、一般の土なんですね。しかし、これはやはり建設廃材と一体になっているものではないのか、こういう理解もできるわけでございまして、建設残土の扱いについても再考すべきではないのかと思うのです。  やはりこれを投棄するときにも、建設廃材と同じように受け入れをする知事さんと事前協議をして、そういうものが行きますがよろしゅうございますか、結構でしょうという話があって行うべきではないのか、こう思うのですけれども、建設残土が全く法の網がかかりませんものですから、どんどんと地方に越境移動して捨てられている。これもそうした処分場ではなくて、一般の田んぼだとか山だとかというところに投棄されている、そういうケースが見られるわけでございますが、これに対してどういうふうに考えていくのか。ぜひ厚生省としても考えてもらいたいと思うのです。
  203. 小林康彦

    小林(康)政府委員 土砂一般を廃棄物として扱うことに関しましては、土地造成その他土木工事全般が対象になるという事情もございまして、現在のところ廃棄物としての規制はかけていないところでございます。しかしながら、建設工事に伴って生じます土砂が必ずしも適切に処理をされないために、その先で問題を起こしているという事例も私どもは聞いておりまして、土砂は土砂としての適正な対応をとっていく必要があるというふうに考えております。  直接的には建設業あるいは建設業を所管されております省庁の指導、対応にまつところが多いわけでございますが、私どもその点も含めまして、例えば建設省と定期的に協議をし、お互いに対応を考えよう、こういう体制も整えておりまして、関係省庁ともども取り組んでいきたいというふうに思っております。
  204. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 先ほどの同僚議員の質問にもありましたけれども、不法投棄の多くの部分が建設廃材である、こういうこともございましたり、これに建設残土まで含めますとかなりの量になるわけでございますから、これに対してやはりきちっとした行政指導のガイドラインをつくるとか、こういうことをぜひやっていただきたいと思います。  それからマニフェストシステムですけれども、マニフェストシステムというのは、有害なもの、人体の健康に害を与えるもの、こういうくくりになっているわけですが、特に一番深刻なのは医療廃棄物だと思うのですね。これは事故がたくさん報告されております。この医療廃棄物というものについて専門業者を育成していくということは言われてきたわけでございますが、これはかなり育成されているのですか。
  205. 小林康彦

    小林(康)政府委員 医療関係機関から通常排出されます廃棄物の中では、病棟で発生をいたします給食の残渣や古くたったシーツなど、いわゆる生活系のものが大きな量を占めておりまして、これらのものは通常の処理業者市町村により処理されております。  感染性の廃棄物につきましては、厚生省調査では医療関係機関の廃棄物の約一割、全国で一日当たり約三百五十トン程度の量にすぎませんが、平成元年十一月に厚生省として医療廃棄物処理ガイドラインを取りまとめ、指導に乗り出したということもございまして、専門の業者が育ってきている段階でございます。業者内容といたしまして、例えば保冷車を用いて病院から感染性廃棄物だけ収集運搬をし、処理をする業者、あるいは専用の焼却炉を設置し、そこでの焼却を行う業者など、全国各地で感染性廃棄物処理システムが整備をされてきている段階でございます。厚生省といたしまして、改正法案の特別管理廃棄物一つとしてこの感染性廃棄物指定をし、その適正な処理を確保したいと考えており、それとあわせまして感染性廃棄物処理業者の質の向上などを図ってまいりたいと考えております。
  206. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 時間がなくなりましたのでちょっと質問を割愛して、最後になりますが、いわゆる今度の法律改正では、かなり法律の規制を厳しくした面あるいは前向きに対処する面、評価できる面があるわけでございますが、もっと大事なのはやはり予算の問題だと思うのですね。それから、いわゆる静脈産業と言われる産業をいかに支援をしていくか、こういった面が大変大事になってくるのではないかと思うのです。  大臣に聞きたいのですけれども、今度のこの法改正と一体不可分になって予算が裏づけをされる、あるいは静脈産業を厚生省としても他省庁とともに育成をしていく、こういうふうに一体として取り組んでいかなければその実が上げられないと思うのですけれども、その辺の決意を伺っておきたいと思います。
  207. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 委員指摘のように、今回の改正の実効を期するためにも、それ相応の予算の確保は極めて重要なことでございます。また同時に、静脈産業の育成も不可欠な問題でございます。この静脈産業のことにつきましては、御指摘のとおり、社会の静脈部分を担う廃棄物処理業や再生事業の健全な育成は重要な課題でありまして、改正案におきましても、処理業の許可について更新制を導入するなど許可要件を強化するとともに、再生事業者の登録制を導入するなど、関係事業者の質の向上を図ることといたしております。また、平成四年度の概算要求におきましても、産業廃棄物処理施設を総合的に整備する事業に対するNTT・Cタイプ融資や税制上の優遇措置を要求しておるところでありまして、これらの規制と育成の両面から必要な対策を推進してまいりたいと考えております。 また、予算につきましてさらに詳細申し上げますと、四年度の概算要求におきましては、他省庁の分もあわせて計上いたしますと、廃棄物処理施設整備費といたしましては八百九十一億円、対前年比七・七%増を要求するという格好になっております。また、今申し上げました生活関連重点枠といたしましては、百二十七億円を要求しているところでございます。また、ごみ減量化、再生利用対策を総合的に推進するために、都道府県による広域的な取り組みを支援するとともに、市町村における分別収集等のシステムの整備、リサイクルセンター等ごみ再生利用施設の整備を推進するために、廃棄物処理総合対策事業費等補助金を要求しているところでありまして、来年度の予算確保に向けて最大限の努力をしてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  208. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 どうもありがとうございました。  せっかく通産省にお越しいただきましたので、最後に一つだけ。  古紙の問題なんですけれども、この間も古紙を回収しているいろいろなボランティアグループの皆さんが心配しておりましたのは、古紙の値段が非常に変動が激しい、これを何とか高値安定をしていただけないものか、こんな話がありました。私は、リサイクルというものがやはり法律の規制ではなくて、経済原則に従って動いていくというふうなことも視野に入れながら、経済原則でこのリサイクルが進んでいく、こういうことに行政は配慮していかなければならないのではないかと思うのです。  そこで、この古紙の高値安定をどういうふうな努力で行うのか。たくさんの再生紙が利用されるようになればスケールメリットがあるわけですけれども、例えばもっと郵便はがきに再生紙を使うとか教科書に再生紙を使うとか、たくさん使うものについてもっとどんどん再生紙を利用できるようにしていったらどうか、こういうことを考えているわけでございますが、その辺もあわせて、この古紙の問題について通産省さんはどのようなお考えであるのか、最後にお聞きしたいと思います。
  209. 増田達夫

    ○増田説明員 ただいま先生の方から非常に貴重な御指摘をいただきました。確かに古紙の回収はどんどん進んでほしいわけでございますけれども、大きな問題は需要でございます。御指摘のように、本当に古紙の需要がふえまして、再生紙がどんどん使われるようになればもっともっと大きな流れになりまして、恐らく価格の面でも安定する方向に行くと思いますけれども、需要の開拓というのは大変難しい問題でございます。  私ども現在の施策の大きな柱としまして、需要の開拓、普及に努めておりまして、具体的には、まず政府機関が指導しまして再生紙を使うことを申し合わせて、現在実行しております。また企業に対しましても、オフィス古紙の回収に努めること、また特に小中学生等にもよく認識をしてもらおうということでグリーンマーク制度をつくりまして、例えばノートですとかあるいは便せんですとか、そういうものに再生紙を使いますと、その量に応じて苗木を贈って、それを奨励するということもやっております。いずれにしても、幅広い国民運動を通じまして再生紙の利用拡大に努めていく必要があると思いますので、今後ともその方向で頑張っていきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
  210. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私、具体的な例として郵便はがきの例をちょっと挙げたのですけれども、これは再生紙を利用するような計画は進んでいますか。
  211. 増田達夫

    ○増田説明員 郵便はがきにつきましては、ことし方向としてそれを導入することが決まっておりまして、平成四年か五年には再生紙が導入されるという運びでございます。
  212. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 教科書はいかがですか。
  213. 増田達夫

    ○増田説明員 教科書につきましては、文部省とも御相談はしておりますけれども、結論としてまだ決まっておりません。事情としましては、特に教科書というのは何度も何度も毎日使うものであって、相当強度が要求されております。古紙が入りますと、かなり使いが厳しいときにまだまだ強度で問題があるということで、この点で現在まだ明確な結論が出ておらない状況でございます。今後とも相談をしていきたいと思っております。
  214. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 どうもありがとうございました。以上で終わります。
  215. 野呂田芳成

  216. 児玉健次

    児玉委員 きょうは産業廃棄物の最終処分場の問題について質問をしたい、こう思います。  先日、長野県に調査で行ってまいりました。私たちこの間、長野、静岡、それから福井、瀬戸内海の幾つか、そういうところを手分けして回ったのですが、長野は処分場の問題で御苦労なさっている県の一つだ、こう感じました。長野県には最終処分場が八十一カ所あります。そのうち安定型で三千平米以上のもの、そして管理型で千平米以上のもの、これが合わせて四十四カ所、残る三十七カ所は厚生省が政令で定めている基準以下の処分場です。  厚生省は、基準以下の処分場の全国実態をどのように把握されていらっしゃるでしょうか。
  217. 小林康彦

    小林(康)政府委員 最終処分場のうち一定規模以下の最終処分場につきましては、届け出の対象にしておりませんので、全国的に箇所数を集計していない状況でございます。
  218. 児玉健次

    児玉委員 今のお答えの中に、最終処分場に対する厚生省の態度が一つ凝縮されていると思いますね。  二月に静岡県に行ったのですが、沼津市は分別収集その他で全国的になかなか先駆けた努力をなさっているところです。この沼津市では、三千平米以上、一千平米以上の処分場については、今部長のお答えのように届け出制になっているし、さまざまなくくりがありますが、小規模のものが一番始末が悪い。そこで沼津市は、私たちがお邪魔した直前ですが、ことしの一月二十九日に沼津市産業廃棄物最終処分場に関する指導要綱というのを独自につくりました。これは三百平米以上の処分場について、業者に対し沼津市との事前協議を義務づけ、立入検査の項目を設ける。指導を非常にきめ細かく実施しております。  今度の改正案では、最終処分場の設置は届け出制から許可制になりました。結構だと思います。しかし、政令で定めている面積基準以下の処分場についても、厚生省として指導を徹底すべきではないかと思うのです。沼津市のような自治体の努力を国として支えて、最終処分場の規模に関する面積基準を現在の実態に合わせて、とりあえず引き下げるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  219. 小林康彦

    小林(康)政府委員 廃棄物の埋立処分に当たりましては、埋立地の規模を問わず、廃棄物を処分する行為について処分基準を適用しておるところでございます。  処分基準につきましては、廃棄物が飛散、流出しないようにすること、処理施設の設置に当たっては、生活環境の保全上支障を生ずるおそれのないようにすること、処分場所には周囲に囲いを設け、廃棄物の処分の場所であることを表示すること、埋立地からの浸出液によって公共の水域及び地下水を汚染するおそれのある場合には、そのおそれがないように必要な措置を講ずること、埋立地の外に悪臭が飛散しないように必要な措置を講ずること、これらを規定しておりまして、これらを守ることによりまして適正に埋立処分を行わせることとしております。  この処分基準に違反をしまして不適正な処分が行われました場合には、都道府県知事は、不適正な処理を行った者に対して改善命令を発することができる土ともに、生活環境の保全上支障が生じ、または生ずるおそれがある場合には、廃棄物の撤去、汚染拡大の防止などの措置命令を発することができることとしております。これらの処分の基準がございますので、小規模なものにつきましてさらに強い指導等が必要かどうかにつきましては、それぞれの地域の判断に任せてもいいというように考えておりまして、ある規模以上のもの、につきまして全国一律での届け出、これを今回許可制にすることにしておりますが、制度という形での運用妥当なものと考えております。     〔野呂委員長代理退席、粟屋委員長代理     着席〕
  220. 児玉健次

    児玉委員 今は基準以下の面積の処分場で、廃棄物処理その他に不適正なものがあった場合は措置命令を出すと言われたけれども、この五年間、今部長がおっしゃったその措置命令は何件出しましたか。
  221. 小林康彦

    小林(康)政府委員 不法投棄の原状回復等にかかわります命令の件数は、昭和六十年度から平成元年度まで五年間で十四件命令を発しております。
  222. 児玉健次

    児玉委員 私の承知するところによれば、その十四件の措置命令というのは不法投棄に対する措置命令であって、最終処分場に対して厚生省はこの五年間一件も措置命令を出していない、こういうふうに承知していますが、どうですか。
  223. 小林康彦

    小林(康)政府委員 ただいま申し上げましたのは不法投棄でございまして、最終処分場にかかわる事件に関する命令は、知事等はこの五年間発しておりません。
  224. 児玉健次

    児玉委員 事実はそうですね。  そこで申したいのですが、私は厚生省指導を前進させていただきたいという立場から述べておるのですが、先ほどあなたがおっしゃった問題というのは、厚生省の方針としてはそのようなものがあると私も知っております。ところが、実際に都道府県に行った場合それがどうなっているか、静岡県の例をちょっと挙げたいのです。  静岡県の産業廃棄物対策室に伺ったのですが、厚生省としてはそういう政令基準以下の小規模処分場について一定の基準があるということは、よく御承知です、静岡県。しかし、実際にどういうふうにしているかというと、基準以下の処分場については、市町村の土地利用委員会の審査を受けてもらう。土地利用委員会の審査は、まず農地法との関係、森林法との関係、河川法等との関係、それらをクリアしているかどうかを見ているのですよ。そして三千平米、一千平米以上になったとき、初めて廃掃法における処分場に対するくくり、そこが生きてくる。ですから、沼津の指導要綱にも書いておりますが、三百平米以上にした理由として、まず沼津市の土地利用指導要綱でどうかということを見、沼津ではそれに合わせて廃掃法との関係をチェックすると言っているのですですから、これまで不十分だったということは、今後思い切って改善すればいいことなのですから、面積基準以下の部分についても周辺の住民に被害が及ばないような指導の強化をしていただきたい、こう私は思うのですが、いかがですか。
  225. 小林康彦

    小林(康)政府委員 最終処分場の設置の届け出の受理、今後は許可ということになりますが、許可に当たりまして他法令で大きな違反、不適合がございますと問題がございますので、そうした点も含めて審査に入るというのは、県としても妥当な姿勢であろうと私どもは考えております。  最終処分場として構造その他の審査を行うかどうかにつきましては、許可の対象物件であるかどうかによって変わりますし、現在小規模なものにつきましては構造基準の適用をせずに、処分の基準の適用をしておるところでございますので、排出事業者あるいはその行為の実施者に対して廃棄物処理がどのように行われているか、適正な処理実態把握、不適正な場合の指導、そのルートで適正な処理の確保ができるものと考えております。  今後、多量に排出します者に対しては、個別に都道府県知事は排出事業者に対して廃棄物処理計画の策定を求めることができるという事前の具体的な指導ルートもつくったところでございますので、適正な処理が行われるよう、排出事業者に対する指導の徹底を今後さらに強化してまいるつもりでございます。
  226. 児玉健次

    児玉委員 その努力は強めていただきたいと思います。  そこで、次の問題ですが、一九八八年十月二十一日に関東地方知事会の名前で、「「廃棄物処理及び清掃に関する法律」の整備等についての要望」という要望書が出ていると思います。その要望書の三項目のところを御紹介いただきたいと思います。
  227. 小林康彦

    小林(康)政府委員 昭和六十三年十月二十一日付で関東地方知事会から厚生大臣等に提出をされました要望書のことと存じますが、その第三項には   安定型最終処分場については、適正な分別処  理が行われないことなどから、地下水汚染等問  題が生じている場合が多いので、最終処分に対  する排出事業者責任の明確化を含め、産業廃  棄物の最終処分場のあり方について見直しを行  い、適正な処理ができるよう適切な措置を講じ  ることと述べられております。
  228. 児玉健次

    児玉委員 私たち調査でも、この関東地方知事会の御心配と厚生省に対する要望というのは、全く事実に即していると思うのです。  それで、安定型処分場の事故件数を示していただきたいと思います。
  229. 小林康彦

    小林(康)政府委員 都道府県からの報告によりますと、昭和六十一年四月から平成元年十二月までの間に安定型処分場に関する事故事例は、全国で十二件でございます。
  230. 児玉健次

    児玉委員 その中に長野県と千葉県と京都府の計八件の事故があると思うのですが、それぞれの事例について、非常に簡潔にでいいのでずが、事故内容、その原因、とられた対策について明らかにしていただきたいと思います。
  231. 小林康彦

    小林(康)政府委員 長野県、千葉県、京都府におきます事例八件につきまして、事故の概況といたしましては、有機物質が多い、具体的にはBOD等の高い汚水の排出が認められたもの八件、さらに、そのうち悪臭等の発生があったもの一件でございます。その事故の原因はいずれも不明とされておりますが、対策といたしましては、水処理施設の設置、廃棄物の一部の撤去等の措置が講じられたと報告されております。
  232. 児玉健次

    児玉委員 それぞれについて、どんな事故が起きて、どういう対策を立てて、どうなったかと私たちも一部については調べておるのですが、この際強調したいことは、以上の八件についていろいろと推測はありますよ。この前からここの委員会で議論しているように、廃棄される廃棄物に、やれハムが入っていたとか入っていないとか、弁当がらに食べ物が入っていたとか、そういう推測されるべき幾つかのことはありますけれども、原因が確たるものとしては明らかにされておりませんね。今の八件はそうです。  そこで、例えば長野県の場合、昨年六月一日以降に新たに設けられる安定型処分場については、排水処理施設の設置を義務づけるということを県として独自に行われた。安定型の多くは、地面を文字どおり素掘りですね。そして、持ってきた廃棄物は露天の状況で埋めていく。厚生省によれば、持ち込まれるものは安定品目だから、本来事故が起きるはずはないということなんですが、そこで事故が多発している。これに対する対策というのは非常に急ぐ必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
  233. 小林康彦

    小林(康)政府委員 個々の事例につきましての原因、因果関係は明らかになっておりませんが、安定型の処分場において汚水等が発生をいたします原因につきましては、お話がありました安定型処分場に本来埋立処分されるべきでない汚泥あるいは腐敗性のあります一般廃棄物が埋め立てられる、こういうことも原因の一つと考えられております。  安定型処分場には、建設廃材等廃棄物を限定して処分することとしておりまして、不適正な廃棄物の排除について既に都道府県に指示しているところでございますが、本来管理型処分場で処分すべき廃棄物が入っている場合がございますれば、報告徴収や立入検査を徹底することにより、搬入される廃棄物のチェックについてさらに強化をしてまいりたいと思っております。
  234. 児玉健次

    児玉委員 今度の改正案の第九条の四に、法律用語ですが、要するに、廃棄物の最終処分場を設置した業者と設置の届け出をした市町村は「当該一般廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び増進に配慮するものとする。」こういう部分があります。そして、これは第十五条の四で産業廃棄物処理施設についても準用する、こういうふうに明記されております。私は、これは当然のことだと思います。周辺地域の生活環境の保全及び増進にできるだけの配慮をしなければ、この廃棄物処理事業は進みません。そのためには関係する自治体や住民の理解、そして協力が必要だ、信頼をから得ることが必要だ、そういうふうに思います。この点どうでしょうか。
  235. 小林康彦

    小林(康)政府委員 廃棄物処理処分に当たりまして、周辺環境を汚染しないこと、汚染をしない確実な信頼性のある施設を整備し、的確に管理運営をすること及び周辺の皆さんの理解と協力を求めて施設の設置、運営をしていくことは極めて重要な案件と考えております。
  236. 児玉健次

    児玉委員 今回の改正案の中で自治体ごみ処理の問題に強い関心を持っていらっしゃる住民の皆さん方が注目しているものに、特別管理産業廃棄物に関するマニフェストの制度がございます。マニフェストの範囲をさらに広げるべきだという議論がありました。私もそれに同感なんですが、ここでは重なるから、それには触れません。  私が指摘したいのは、自治体やその地域の自治会、住民の皆さん方に対してマニフェストの内容を必要があれば示す、そのことが先ほどの九条の四で言う周辺の安全、そして私が強調した住民の理解、それを進めていく上に非常に有益ではないかと思うのですね。マニフェストの公開の問題について厚生省のお考えを端的に述べてください。
  237. 小林康彦

    小林(康)政府委員 マニフェストは、排出事業者処理責任を強化し、不法投棄の防止、事故等による環境汚染の防止を図るために、排出事業者が特別管理産業廃棄物処理の委託に当たりまして処理業者等に交付をし、当該業者から回付を受け、処理が適正に行われたことを確認することを義務づけたものでございます。また、改正法では、マニフェストに関する報告書は都道府県知事に提出しなければならないとしたところでありまして、これに基づきまして都道府県において必要た指導監督が行われることになります。  なお、処理業者が所有いたしますマニフェストの伝票を公開することに関しましては、排出事業者の私的取引にかかわる事柄でもあることから困難であると考えられますが、先ほど申し上げました都道府県の指導監督によりまして、適正なマニフェストの運用及び廃棄物処理適正処理の確保を図ってまいりたいと考えております。
  238. 児玉健次

    児玉委員 そこで、さらに具体的に伺いたいのですが、先ほど申しました沼津市の産業廃棄物最終処分場に対する指導要綱第十四条にこういう部分があります。「市長は、事業実施状況を把握するため、必要により事業状況報告書を事業者から提出させることができる。」この紙も再生紙を使っておりまして、なかなかきめ細かな配慮だと思います。その第十四条、第九号様式という書式がこれで、「事業状況報告書」となっておりまして、そして届出者の氏名、住所、電話、そして「通知のあった事業について沼津市産業廃棄物最終処分場に関する指導要綱第十四条の規定により、下記のとおり報告します。」とあって、搬入期間が何年の何月から何月までか、搬入品目はどのようなものか、そして搬入量はどれだけであったかということを示して、「添付書類」として「搬入台帳若しくは搬入伝票の写」、こうたっておるのですね。  それで、沼津の担当者に私はこの点で直接伺ったのですが、特別管理産業廃棄物の場合は、当然マニフェストが最終的には処分場のある都道府県の知事のところに来ることになるでしょう。それで、ここで言う「搬入伝票の写」というのは、特別管理産業廃棄物の場合はマニフェストの写しをあなたたちは期待していますかと言ったら、そのとおりですというふうに言われるのですよ。そうなりますと、この沼津市の「事業状況報告書」が今運用されているのですが、実際に特別管理産業廃棄物が搬入された場合、マニフェストの写しか求められることになりますが、厚生省としてはどうなさいますか。
  239. 小林康彦

    小林(康)政府委員 最終処分場の設置者あるいは管理者と当該市の間で約束事、協定が結ばれますれば、その約束事に基づいて情報が提供されるということは十分あり得ることだろうと思っております。その情報提供の内容が最終処分場の設置者の範囲を超えて廃棄物排出する者の情報まで及びますときには、例えば具体的には、こういう情報は公開されます、こういう約束といいましょうか、そういう状況を知らせた上で契約をしておりますれば、この三者の間での約束事として問題ございませんので、関係者の間、当事者の間で了解が成り立って、情報がその約束に従って出ている限りについて、特段問題になる事柄ではないと考えております。
  240. 児玉健次

    児玉委員 今の点は部長の御答弁として確認しておきたいのです。その上で、そのマニフェストの公開をさらに今後の地域やそして都道府県や厚生省の努力の中で広げていくために努力をしていただきたい。これは私、要望として申しておきます。  三つ目、最後の問題ですが、最終処分場で埋立処分が終了した後どうするかという問題です。これについては時間を節約するために、私も、厚生省がお出しになった一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める命令、その最終処分場を閉鎖するときについて、厚生省がどういうことを指示なさっているかということはよく承知の上で質問したいと思います。  そういう手だてをした上で最終処分場が閉鎖された。しかるが後に、何らかの原因で有害な物質が混入した水が周りに広がっていくだとか環境汚染を及ぼす例、これはぜひともそういうことがないようにしなければなりませんが、ゼロだとは言えないと思います。そうなったときの賠償責任といいますか、環境汚染に対する責任をだれがとることになるのか、お答えいただきたいと思います。
  241. 小林康彦

    小林(康)政府委員 お話しのように、適切な措置を講じた上で閉鎖をし、トラブルを未然に防ぐというのは第一原則でございますが、万が一閉鎖後に事故が発生をいたしました場合には、民法の規定に従って、当該処分を行った者や当該土地の所有者または管理者事故責任を負うことになると思われます。また、措置命令の要件を満たします場合には、当該処分を行った者に対して廃棄物の除去等を命じることができると考えますが、いずれにいたしましても、それぞれのケースごとに判断されるべき事柄であろうと考えております。     〔粟屋委員長代理退席、野呂委員長代理     着席〕
  242. 児玉健次

    児玉委員 産業廃棄物の処分ということで先輩であるアメリカなどでも、この問題は随分深刻な社会問題になっております。我が亡き後に洪水は来たれという有名な言葉がありますが、そういう事態を起こしてはならない、こう考えますね。  それで、今の厚生省お答えだと、処分業者それから廃棄物排出した者、そして地権者も加わることになるわけなんですが、この点で私は、かなり事柄の性質は違うけれども、鉱業法におけるくくりをこの際ひとつ参考にしてみる必要があるのじゃないかと思うのです。  厚生省も、例えば三井金属鉱業株式会社が引き起こしたカドミウム汚染、例のイタイイタイ病です、その事態についてはよく御承知、経過を深刻に眺めていらっしゃったと思うのです。御承知のことですが、鉱業法における鉱害の賠償は、いろいろありますが、損害の発生時における鉱業権者が負う、それから、既に鉱業権が消滅している場合は鉱業権の消滅時における当該鉱区の鉱業権者、租鉱権者が負うというふうになっておりますね。  処分場が閉鎖された後どのくらい経過して事故が起きるかというのは、これは世界的に見てもわかってないし、何年も経過して事故が起きたとき、原因者、事業者が行方不明になっている、そういうときのためにどういう対策をとるのか、これはこの法改正がまだ手をつけていない重大な課題だと思うのですが、いかがでしょうか。
  243. 小林康彦

    小林(康)政府委員 鉱業法におきまして無過失賠償制度等が定められていることは、私ども承知をしております。この制度廃棄物に適用するのが適当かどうかにつきましては、この鉱業法におきましては、民法の不法行為責任の例外をなすものとしての規定でございまして、廃棄物に導入するか否かについては慎重かつ十分な検討が必要であると考えております。
  244. 児玉健次

    児玉委員 処分場閉鎖のときの事業者を明確に押さえておくこと、そして、皆さん方の命令にもありますが、台帳の保管、もっと言えばマニフェストで、何という製造業者がどういう産業廃棄物をいつどれだけの量をそこに搬入したかというあたりは、後日のために非常に重要な資料になると思うのですね。  そういう問題を抱えている例えばアメリカでは、スーパーファンドという制度をつくっている。そして、過去に不適切なごみ処理が行われたことによる環境汚染を起こした処分場の浄化作業等、莫大な経費がかかります。これを地権者に求めるというのはとても無理です。それこそ鉱害の場合も、御承知のように、無資力、原因者が無資力である場合は事業団が肩がわりを行うということになっておりますが、スーパーファンドの場合は、排出者の自己処理原則を基本にしながら、将来起こり得る事態に備えてさまざまな手をアメリカでは打っておりますね。基金を設けています。それについて、日本でも将来に備えて直ちに対策に入るべきではないかと思うのですが、これは非常に重要な問題なので大臣のお考えを伺いたい、こう思います。
  245. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 最終処分場の問題についての絞った御質疑でございますけれども、この最終処分場は、先ほどお話がございましたように、その建設につきましても今度法律によって許可制ということで、厳重な管理をいたすことになっておりますので、万いろいろな事件の起こらないようにということを期待しておるわけでありますが、予想せざる事態も一〇〇%発生しないということもまた言えないかと思います。そういう意味において、国民の生活環境の保全を図る上で、廃棄物の最終処分場の適正な維持管理を図ることは極めて重要な課題であると考えております。  このため、改正法案におきましては、最終処分場についても今申し上げたように届け出制から許可制に改めまして、許可の際には、構造、設備及び災害防止計画についても十分審査すること等の措置を盛り込んでいるのであります。また、廃棄物処理業者が設置する最終処分場については、特定災害防止準備金に係る税制上の優遇措置を講じることにより、埋め立て終了後における災害防止措置に配慮することといたしております。これらの措置によりまして最終処分場の安全性、信頼性の確保を図り、適正な処分場の管理に努めてまいりたいと考えております。また、資料の公示等行いまして、今御指摘のような、どういうものをいつ何を埋めたかというようなこともわかるように公開するようになっております。  なお、最後の御指摘の基金の造成につきましては、拠出を求める範囲、補償の対象等いろいろと問題がありますので、今後慎重に検討をしてまいりたいと思っております。
  246. 児玉健次

    児玉委員 じゃ、その検討を急速に進めていただきたいということを要望して、質問を終わります。
  247. 野呂田芳成

    野呂委員長代理 柳田稔君。
  248. 柳田稔

    ○柳田委員 まず最初に、ごみ処理場建設について質問をさせていただきます。  現在、全国で二百三十カ所余りのごみ焼却場、粗大ごみ処理施設、埋立地などのごみ処理場が建設中であります。これらの施設の建設に対して国の補助金は総額で幾らなのか、まず最初にお答え願いたいと思います。
  249. 小林康彦

    小林(康)政府委員 平成三年度予算におきまして廃棄物処理施設整備費といたしまして、他省庁で計上している分も含めまして総額八百八十億円、平成二年度に比較いたしまして一二・七%増の予算が計上されております。
  250. 柳田稔

    ○柳田委員 いろいろな地方自治体から声が出ておるのですけれども要望も多分厚生省の方にいっておるかと思うのですが、その要望の額をトータルするとどれぐらい今あるのですか。
  251. 小林康彦

    小林(康)政府委員 平成三年度に事業をしたいといいます市町村要望は、合計いたしまして千二百七十七億円と把握をしております。
  252. 柳田稔

    ○柳田委員 そうしますと、予算が八百八十億円で各自治体からの要望合計が千二百七十七億円、その差が大分あるような気がいたします、ざっと見て二対三ということですから。多くの自治体が建設または建設中、新設、大分困っているというのが、現状としてこの数字から読み取れるわけであります。ごみ処理施設建設のためには国の補助金がその事業を左右する。現在、今言った数字で大変左右をされているというふうに感じているわけであります。  厚生省ごみ処理施設に対する補助金の分配内容を見ますと、一九九〇年、九一年度の二年間で、建設が計画されていた百七カ所のごみ処理施設等について、完成させるのに必要な金額が不足して、完成が来年度以降に先送りになっているという現状もございます。また、九二年度以降に完成予定であった五十五施設についても、予算不足から、厚生省は補助金を減額せざるを得なかったため、完成がおくれる可能性も強く出てきております。こういう現状状況を見まして、厚生省、さらには大蔵省はどのように考えていらっしゃるのか、教えてください。
  253. 小林康彦

    小林(康)政府委員 廃棄物処理施設の整備についての市町村要望は、昭和四十年代後半に整備をいたしました施設が更新期を迎えていますことや、近年のごみ排出量が急激に増加したことを背景にいたしまして、予算額を上回る状況になっております。このため、平成三年度の継続事業分につきましても、一部事業の先送りを前提として、お話がございましたように、少し事業を先に延ばすということを前提にした内示を行わざるを得なかったところでございます。  しかしながら、廃棄物処理施設の整備は市町村にとりまして緊急な課題でございまして、多くの市町村から、予定どおり今年度中の事業実施を求める声が強いという状況がございますので、厚生省といたしましても、それにこたえるべく現在関係省庁とも協議を進め、具体的には地方財政措置によります対応を含めまして、平成三年度のごみ処理施設の建設に支障が生じない方策を現在検討している段階でございます。
  254. 渡辺裕泰

    ○渡辺説明員 ただいま厚生省の方から御答弁のあったとおりでございます。
  255. 柳田稔

    ○柳田委員 大蔵省さんに再度お尋ねをしたいのですけれども生活関連枠という予算がありますけれども、この中に今回の、今言っておりますごみ関係施設に予算が配られておるのか、そのときにその根拠になる考えはどのようにしてそういう配分をされたのか、お答えをいただきたいと思います。生活関連枠の予算がありますね。二千億円とか言われておりますが、その中には今回のこういう施設のために費やされる予算というものはなかったんでしょうか。
  256. 小林康彦

    小林(康)政府委員 廃棄物処理施設に関しまして生活関連枠から五十三億三千万余の配分を受けまして、予算に計上しております。
  257. 柳田稔

    ○柳田委員 五十三億配分があったということであります。総枠の中で五十三億、これで十分なのか不十分なのかという考えがあるかと思うのですけれども、今のこのごみ問題を考えておりますと、もっと重点を置いてしかるべきことではないかなというふうに私は感じるわけでありますが、こういう数字になった理由というのを、あれば教えてください。
  258. 渡辺裕泰

    ○渡辺説明員 お答えを申し上げます。  昨年度、先生御指摘のとおり、二千億円の公共事業費、それから非公共事業のうちの施設費等のための生活関連の特別枠というものをつくったわけでございます。これは、四百三十兆円の公共投資を実現するためと、そのときに特に生活に密着したものに重点を置いて配分をしていこうということから、公共事業、あるいは施設費の全体ではございませんで、生活に密着したものにできるだけ重点を置いて配分していこうということで考えたものでございます。その際に、廃棄物処理施設生活に密着し、大変重要な予算でございますが、また同時に、他の生活に密着した公共事業等もございますので、それらの間のバランスを見ながら配分を決めたということになっておるわけでございます。  廃棄物処理施設につきましては、従来に比べまして、いわゆるシェアは若干そこで上がっておりまして、結果的には、先ほど厚生省からも御答弁ございましたように、平成三年度の廃棄物処理施設整備費の予算は、公共事業費の全体の伸び率が五・三%でございましたけれども廃棄物処理施設につきましては一二・七%増と大幅に上回る伸び率を確保したところでございます。ただ、先生御指摘のとおりに、昭和四十年代の後半につくりましたものの更新期が来ている、あるいは近年ごみ処理量がふえているといったことから、今年大幅に予算を増額いたしましたけれども、それがなかなか市町村の御要望に追いつかないという実情にあることもまた事実でございます。
  259. 柳田稔

    ○柳田委員 今お答えがありましたとおり、更新期を迎えた。非常に多い予算が必要になっているということもお答えのとおりであります。そしてまた、ごみ処理の問題も早急に解決をしなければならないという問題ももう一方あるわけでありまして、今後の取り組みとして、私自身は補助金をもっとふやすべきではないかというふうに考えておるのですけれども、この点はいかがでしょうか。
  260. 渡辺裕泰

    ○渡辺説明員 四年度予算につきましては、概算要求を受け取ったばかりの段階でございます。これから予算編成が始まるわけでございますけれども、四年度の予算は、最近の法人税収が前年を実額でかなり下回っておりますことからおわかりいただけますように、厳しい財政事情の中での編成になろうかと思います。そのような中で、これから要求内容をよく検討してまいりたいというふうに思っております。
  261. 柳田稔

    ○柳田委員 今、検討してまいりたいというお答えであったわけでありますが、私が地方自治体へ行って感じるところでは、もうこのごみ処理問題は目いっぱいといいますか、早く手をつけなければ大変なことになるというところまで追い込まれておりますという感じを受けておりますので、このごみ処理施設の整備のための補助金、ことしか一二・七%増ということでありましたけれども、さらなる大幅増額、御努力を大蔵省の方にはお願いをしたいと思います。  次に入りますけれども廃棄物処理場について質問を幾つかさせていただきます。  全国二千三百カ所余りの一般廃棄物の管理型処理場は、管理運営がほぼ各市町村に任されております。その基準は法律、政令で規制されておるところでありますけれども、不適切な処理場が多く見られるという声も聞こえてまいります。これらの不適切な処理場の実態についてどの程度把握しているのか、御説明をお願いします。
  262. 小林康彦

    小林(康)政府委員 一般廃棄物の最終処分場の設置、維持管理に関しましては、設置者に対し施設の設置の届け出、構造及び維持管理の基準の遵守等の規制を課しているところでございます。これらの規制は、廃棄物処理法に基づきまして都道府県知事が実施することとなっており、都道府県においては環境衛生指導員が置かれ、一般廃棄物処理施設への立入検査及び廃棄物処理に関する指導実施していることから、都道府県において実態を把握する、こういう制度になっております。  厚生省におきましては、廃棄物処理施設整備のための国庫補助事業に関しまして、技術上の観点から廃棄物最終処分場指針を策定をし、これに適合した施設の整備を図ることとしております。このような指導あるいは施策を通じまして、一般廃棄物の最終処分場はおおむね適正に設置、維持管理されているものと認識をしておりますが、一般廃棄物の最終処分場について改善命令が出された例が平成元年度に一件報告されておりますことから、今後とも一般廃棄物最終処分場の一層の適正管理について、十分指導を行ってまいりたいと考えております。
  263. 柳田稔

    ○柳田委員 十分指導を行ってまいりたいというお答えでありました。この一般廃棄物処理場、ここに捨てられる中にはカドミウムや鉛、そして水銀など、有害物質も多く含まれておるのではないかな、そういうふうに考えますと、周りの環境汚染も深刻にならざるを得ないだろう。そういたしますと、今のお答えでなるほどという感じはしないのです。さらにもっと強く行政指導を進めるべきではないかなという気がするのですけれども、いかがでございましょうか。
  264. 小林康彦

    小林(康)政府委員 一般廃棄物の最終処分場からの浸出液によります公共用水域の汚染防止に資するために、必要に応じまして遮水工あるいは集水設備及び浸出液の処理設備を設置することが義務づけられております。また、管理に当たりまして、放流水の水質あるいは周縁地下水あるいは周辺水域の水質について市町村が定期的に検査を実施するように指導いたしますとともに、その検査結果についても、都道府県において一年に一度報告を徴収することを指導しておりまして、市町村一般廃棄物の最終処分場による汚染が生じないよう、従来から指導してきておるところでございます。今後、環境汚染を生ずるような一般廃棄物の最終処分場が出てきました場合には、適切に対処するよう都道府県、市町村指導してまいりたいと考えております。  また、今回の法改正におきまして特別管理一般廃棄物の区分を設けまして、より環境に配慮した適正な廃棄物処理の推進が図られるよう規定を置く予定でございます。
  265. 柳田稔

    ○柳田委員 環境庁が作成を進めております土壌環境基準、この中身と、今廃掃法の中でさらに規定をしておるというお話がありましたけれども、どちらが厳しいんですか。
  266. 小林康彦

    小林(康)政府委員 環境庁の公害対策基本法に基づきます土壌の環境基準では、最終処分場は対象から除かれていると承知をしております。特別管理廃棄物の基準はこれから策定するところでございますので、現時点での基準の比較という点はこれからの課題、これからの事柄でございます。
  267. 柳田稔

    ○柳田委員 これからの課題ということでありますけれどもごみ処理場があるところ、その周りの環境、さらにはほかの、今回土壌環境基準、物は対象は違えども、その影響を受けるのは皆さん一緒でありますので、環境庁が進めております土壌環境基準の方がさらに厳しい、今回の廃棄物処理法で決められておりますような、新しく決められるようなものを含めても土壌環境の方がさらに厳しいというのでは、ちょっと私は理屈が合わないというふうに思いますので、この廃掃法を修正しろというわけではないんですけれども、土壌環境基準がさらに厳しい、環境のためになる法案ができるようであれば、見直しも、またそれと同様な政令なり指示なりを厚生省の方から発するということも考えていただければなというふうに思います。  要は、どちらが厳しい、厳しくないというのではなくて、影響を受ける我々は一緒なんですから、廃棄物処理場が含まれてないということであれば、廃掃法の改正ではなくて、いろんな手を尽くして、同じようなレベルになるように努力をしていただきたいというふうに思います。  また、廃棄物の最終処理場跡地の問題でありますが、その管理と跡地利用について今回の法改正では何か規制をされておるんでしょうか。
  268. 小林康彦

    小林(康)政府委員 まず、土壌の環境基準との関係でございますが、土壌の環境基準は一般的な土地を対象にしているものという性格がございますし、最終処分場の跡地はそれなりの施設、対応を講じた上での場所ということがございますので、それぞれの特性を考慮しながら特別管理廃棄物の基準等を今後検討していきたいと考えております。  跡地の管理と利用につきまして今回の法改正でどうなっているかというお尋ねでございます。最終処分場につきましては、埋め立て終了後も、生活環境保全上及び公衆衛生上配慮いたしました適正な管理が必要でございます。  そのため、今回の改正案におきまして、最終処分場設置の許可要件といたしまして、災害防止のための計画の作成を義務づけますとともに、埋立処分が終了いたしましたときその旨を都道府県知事に届け出なければならないこととし、都道府県知事は最終処分場の台帳を調製し、関係人の請求に応じ、閲覧させねばならないこととしております。これらの規定によりまして、埋め立て終了後の土地の適正な維持管理及び利用を確保するとともに、第三者が不測の損害をこうむることを防止してまいることとしております。
  269. 柳田稔

    ○柳田委員 跡地利用につきましては、今、生活環境、環境汚染を考慮して努力をされるということでありますので、さらなる努力をお願いをさせていただきたいと思います。  次に、産業廃棄物処理施設の設置について二つ質問をさせていただきますが、国立公園、国定公園、自然環境保全地域の中にこういう産業廃棄物処理施設があるんでしょうか。
  270. 小林康彦

    小林(康)政府委員 公園区域に廃棄物処理施設が設置をされている例がございます。
  271. 柳田稔

    ○柳田委員 国立公園、国定公園、自然環境保全地域、その中に産業廃棄物処理施設があるということであります。そういうふうな実際にあるということを考えますと、今後もさらにそこに設置をされるという可能性もあるわけであります。この設置に際しては環境アセスメントの義務づけといいますか、もっと厳しいものにすべきではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  272. 小林康彦

    小林(康)政府委員 環境アセスメントにつきましては、政府全体として昭和五十九年閣議決定を行い、それに基づきまして実施をしておるところでございまして、一定規模以上の最終処分場につきましてこの対象になっているところでございます。  産業廃棄物処理施設につきまして、改正法案におきまして施設の設置を届け出制から許可制に改めることとしておりますし、施設の設置に当たりまして地域の特性を踏まえて生活環境保全上の配慮が必要な場合には、施設の設置の許可に生活環境保全上必要な条件を個別に付すことができるようにしているところでございまして、周辺環境に対する配慮を行いながら、信頼性、安全性のある施設の整備を図ることとしておるところでございます。
  273. 柳田稔

    ○柳田委員 この施設の中で最終処分場も、この先ほど申しました中にあるというふうに聞いておるわけでありますけれども、原生自然保護地域、自然環境保全地域、国立公園、国定公園内に設置するときにはそれ相当の規制を、最終処分場でありますが、すべきだというふうに思うのですけれども、この点はいかがでございましょうか。
  274. 小林康彦

    小林(康)政府委員 最終処分場そのものが公害の発生源ということでもございませんので、廃棄物処理の側からは、生活環境の保全上支障が生じないような施設整備、管理を行うことが重要というふうに考えております。国立あるいは国定公園、自然環境保全地域等におきます開発規制として最終処分場をというお話がございましたが、それらにつきましては、これらを規定いたします法令により適切に措置されていくべきものと考えております。
  275. 柳田稔

    ○柳田委員 今の同じ質問なんですけれども、環境庁の方はどのように考えられますか。
  276. 橋本善太郎

    ○橋本説明員 お答えいたします。  国立、国定公園内あるいは自然環境保全地域等に最終処分場を設置いたします場合には、自然公園法または自然環境保全法によりまして、土地の形状変更または工作物の新築として環境庁長官または都道府県知事の許可等が必要でございます。  それで、最終処分場でございますけれども、自然環境の保全上あるいは公園の利用上からも、これは好ましいものとは言えないわけでございまして、原則として人為を加えることが禁止されている原生自然環境保全地域、これは場所によりますと立ち入り制限地区を設けて、人の立ち入りまでを制限しているところでございます。こういうところはもとよりでございますが、国立、国定公園内の特別地域内あるいは自然環境保全地域内におきましても、極力排除すべきものであるというふうに考えております。
  277. 柳田稔

    ○柳田委員 時間が来ましたので質問を終わらせていただきますが、前回の質問のときも最後に申し上げたのですが、ごみの問題は大変重要な問題になっておりますので、これからも厚生省が中心になりまして解消ができるように努力をしていただきたいと思います。  終わります。
  278. 野呂田芳成

  279. 菅直人

    ○菅委員 この委員会廃棄物処理法の審議が進んでいるわけですけれども、まず大臣にちょっとお聞きしたいのですが、大臣は生き弧とか死に瓶という言葉は御存じですか。御存じでなければ御存じでないと答えていただければいいのです。
  280. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 余り耳にしておりません。
  281. 菅直人

    ○菅委員 あるいはリターナブル瓶と言えばおわかりいただけたかもしれませんが、リサイクルをやっているグループといろいろ話をしますと、生き瓶というのは、つまりは再利用ができるような瓶ですね、例えばビール瓶とか一升瓶。死に瓶というのは再利用がそのままじゃできない、つまり、割ってカレットにしなければできない瓶のことです。例えば、ウイスキーの弧とかワインの瓶なんというのは大体そういうものなわけです。  私は、今回の法案は、基本的にはリサイクルという考え方をかなり盛り込もうとされているという、そういう方向では一定の前進ではあるというふうに評価をいたしております。しかし、リサイクルというものの考え方が厚生省にしっかり根がつくには、これまでも余りにも時間がかかっておりますし、今回の法案も、本当のところどこまでそういう考え方に基づいて行政を進めようとしているのか、私などにとってはかなり疑問が多いわけです。  結局、何か厚生省の態度というのは、とにかく大量に出てくるごみをいかに処理をするか、つまり、出てくるごみそのものをどうしたら処理できるか、最終処分地が足らなくなったから仕方ないから少し減らしてもらえないか、そういうところからリサイクルということにつながってきているようですけれども、これから考えなければいけない問題というのは、ごみ処理が難しいからリサイクルをというところではなくて、社会全体のあり方として、何といいましょうか、単なる効率とか便利さとかということの軸ではない、大量生産、大量流通、大量消費、そして大量廃棄という形そのものを根本的に考え直す時期に入ってきているのではないか、このように思うわけです。こういった点について、大臣はリサイクルという問題についてはどんなふうにお考えですか。
  282. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 ごみの問題についての御議論でございます。その中での委員指摘のリサイクルについてどのように考えるかということでありますが、今度のごみ法律改正の主要点は、やはり最初にごみを出すことを抑制していく。このまま放置すれば、今お話しのような消費は美徳であるということの関係から、使い捨てがはやり、あるいはまた、使用できるものでもむだにしているというような状態が、ごみをさらにふやすことに加速をしているということも考えられますので、まずごみを出すことをいかに抑制するかということ、それからまた、その出てきた製品ごみにしないで、さらに製品化につなげるという意味で、例えば一般家庭廃棄物の中にあります紙は約四〇%でございますから、そういう四〇%をできる限りリサイクルにつなげていく。ごみにしたいということとか、あるいはまたさらにその後の廃棄物をそれぞれ適切に産業廃棄物あるいはその他の区分けをいたしまして、適切な処理を図るようにいたし、最終的に足りない処分場の充実をして適切な廃棄処理をする、こういう一貫した考え方に立って今回の法律改正をお願いしているわけでございます。  そこで、廃棄物関係でのリサイクルの推進でありますが、これはもう今の一環の中で極めて重要な考え方でありますので、改正案におきましては、法の目的としてそのような考え方を取り入れ、市町村一般廃棄物処理計画排出の抑制、減量化とあわせまして分別収集に関する事項を定め、優良な廃棄物再生事業者を知事登録として再生協力させること等を盛り込んでいるのであります。  また、平成四年度の概算要求におきましても、市町村における資源ごみの分別収集を推進するための事業などに対する補助の大幅な充実を要求しているところでありまして、今後、改正法案の趣旨にのっとりまして、国民の理解と協力を得ながら、今御指摘のリサイクルの積極的な推進に努めてまいりたいと考えております。
  283. 菅直人

    ○菅委員 今から約十年前にフェニックス法案というのが当時の社会労働委員会に出まして、私も質疑に立った覚えがあるのです。そのときも結局、リサイクルのことを私も指摘をしたのですが、いわゆるリサイクルといいましょうか、資源化をしてごみを減らすという考え方がほとんど入らない予測になっていたわけです。どうでしょう、最近の資源化率といいましょうか、リサイクル率というのはどういうふうな状況にあるのか。あるいは今度の法案で、今後この程度にはリサイクルの率をしたいのだ、今、紙については四〇%という、我が国は紙は世界でもかなり進んでいるということを私も承知をしておりますけれども、そういう一つの目標のようなものがあればお聞かせをいただきたいと思います。
  284. 小林康彦

    小林(康)政府委員 廃棄物の再資源化、再生利用の状況でございますが、現在古紙、紙につきまして四八・七%、スチール缶につきまして四三・六%、アルミ缶につきまして四二・五%、ガラスのカレットとしての回収率四七・五%でございまして、近年伸び悩んでいるというのが状況であろうと思っております。  廃棄物処理対策といたしましては、出てきました廃棄物をそのまま受けとめて、焼却等の中間処理、最終処分という事後的な処理にとどまりませず、排出の前段階からリサイクルを念頭に置いた社会経済システムを構築することが重要との認識に立ちまして、リサイクルしやすい製品制度づくり、こういう観点から御指摘の点があろうというふうに存じております。  今回の廃棄物処理法におきまして、前回の広域臨海環境整備センター法の審議以降、状況の変化あるいは種々御指摘の点も踏まえまして、審議会の議を経まして改正法をまとめておるわけでございますが、リサイクルの推進を図りますために、排出の抑制、再生品の使用、分別しての排出など、国民に国や地方公共団体施策への協力責務を新たに課し、かつ事業所管大臣を通じまして、製造者等に対する指導要請制度及び製造者等にも廃棄物処理協力を求める制度を創設することとしたところでございます。このような制度を活用いたしまして、国民、事業者、行政が一体となってリサイクルの推進を図ろう、こういう意図のもとでの改正案でございます。
  285. 菅直人

    ○菅委員 趣旨そのものは大変立派な趣旨だと、今話を伺っていても思うわけです。  そういった制度づくりを進めたいということですが、従来からその制度づくりの手法の一つとして、例えばデポジットの問題があります。あるいはきょう他の委員の皆さんも指摘をされておりましたが、製造者そのものが最終的な、特に有害物のような場合は処理費用の負担をあらかじめしておく。デポジットという形では必ずしもなくても、何らかの形でそれをしておくとか、あるいはその回収責任そのものも製造業者が持つ、こういった幾つかの具体的な制度が考えられると思うのですけれども厚生省としてはその具体的な制度としてはどんなことをお考えですか。
  286. 小林康彦

    小林(康)政府委員 適正処理困難物厚生大臣指定をいたしまして、それと同時に具体的な製造業者等協力のあり方も探りまして、製造業者等によります回収ルートの整備あるいは市町村の分別収集に対します協力市町村が設置をいたします処理施設に対し、あるいは廃棄物処理センター処理施設の整備に対します資金的な負担、それら現実的に妥当で可能な方策を探り、協力を求めていきたいというふうに考えております。そうしたルートといいましょうか道筋を今回改正案でつけようということでございまして、その具体の内容につきましては、その製品廃棄物状況に応じまして、これから丁寧な検討をしていきたいと思っております。
  287. 菅直人

    ○菅委員 それと、最近事業所系のごみが非常に急増している。私の地元の市でもそういうことが言われておりまして、これについてもいろいろと議論があったわけですけれども、その対策あるいはその費用負担をそういう事業所そのものに持たせるといったような問題を含めてどんなふうにお考えか、お聞きしたいと思います。
  288. 小林康彦

    小林(康)政府委員 大都市を中心といたしまして、お話にございましたように事業所系の廃棄物が増加をしておりまして、特に紙ごみでございますが、廃棄物処理を困難にしている状況がございます。従来から各種事業者団体等に対しまして、事業系のごみ減量化推進につきまして要請を行っているところでございますが、平成四年度の概算要求におきまして、地方公共団体実施をいたします事業者に対する指導、研修を含むごみ減量化、再生事業に対し、新たな補助制度を要求しているところでございます。  制度面につきましては、今回の改正法案におきまして、市町村長が多量の事業一般廃棄物排出する者に対しまして、減量計画の作成や自家処理実施等、必要な事項を指示することができるという、具体的な指導ができるという根拠を設けたところでございまして、補助事業実施とあわせまして、紙ごみ等の事業ごみ排出の抑制及び再生利用の推進によります減量化に向けまして、市町村事業者に対する指導支援に努めてまいりたいと考えております。  費用負担につきましては、事業系のごみにつきまして、その処理に要した費用を勘案をして市町村処理手数料を定めるという規定を明記をいたしまして、事業ごみに対します排出事業者の費用負担の方向を条文の中で明らかにしたところでございます。
  289. 菅直人

    ○菅委員 それと、若干話が飛ぶのですけれども、今いわゆるごみ収集車は、主に東京などではディーゼルエンジンのトラックが使われているわけです。ある意味で環境を守るという活動の一方で、その収集そのもので相当の排気ガスを出すというようなことがあって、できれば低公害車を使いたいんだけれどもなかなか使えるような車がなくて困るんだ、こんなこともいろいろな自治体担当者から話を聞いております。こういった点で、これは直接厚生省の仕事になるのかどうかわかりませんけれども、広い意味でこういった問題、例えばそういうことに対する応援を何らかの形でできないか、その点について何かありましたら、お知らせをいただきたいと思います。
  290. 小林康彦

    小林(康)政府委員 厚生省といたしましても、従来から電気自動車等の低公害車の導入を積極的に推進をしたいということでやってきたところでございます。昭和六十三年度に、快適で良好な生活環境を求める国民のニーズの高度化を踏まえまして、クリーンタウン事業という補助対象事業を創設をしたところでございますが、その一環といたしまして、電動ごみ収集車の整備を行うところがございますと、補助対象にするという方策を取り入れたところでございます。平成四年度の概算要求におきまして、電動ごみ収集車及び充電装置の整備等を推進するための予算を新たに要求しているところでございまして、調査研究、技術開発を含めまして、その普及促進の方向を探っていきたいと考えております。
  291. 菅直人

    ○菅委員 時間ですのでもうこれで終わりにしますけれども、私もいろいろな資料を読んでみると、例えばスイスなんという国は周りに海がないこともあって、そして非常にきれいな国だということもあって、徹底的なリサイクルをやって、ごみごみでなくするといいましょうか、事実上ごみを出さないといいましょうか、ごみにしない形をとっている。例えばチューリヒなどは十三種類に分けて資源回収をするとか、あるいはどうしても燃やさなければいけないものはその余熱を蒸気や電気にするとか、徹底した活動をやっておることが紹介をされております。  我が国はそういう国に比べると、先ほど来の議論もありましたように、まだまだそういった余地が、余地ところか基本的な考え方が大量廃棄を前提として社会構造が組まれていると思いますので、この法案を契機に、厚生省ごみ処理という発想から、まさにごみをなくするという発想に変わっていただくようにお願いをして、質問を終わります。
  292. 野呂田芳成

    野呂委員長代理 次回は、来る二十日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十八分散会