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1991-02-27 第120回国会 衆議院 大蔵委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年二月二十七日(水曜日)     午後一時開議  出席委員    委員長 平沼 赳夫君    理事 尾身 幸次君 理事 大石 正光君    理事 田中 秀征君 理事 村井  仁君    理事 村上誠一郎君 理事 中村 正男君    理事 早川  勝君 理事 日笠 勝之君       浅野 勝人君    井奥 貞雄君       石原 伸晃君    岩村卯一郎君       狩野  勝君    金子徳之介君       河村 建夫君    久野統一郎君       小坂 憲次君    住  博司君       戸塚 進也君    萩山 教嚴君       林  大幹君    細田 博之君       前田  正君    柳本 卓治君       山下 元利君    小野 信一君       大木 正吾君    佐藤 恒晴君       沢田  広君    仙谷 由人君       筒井 信隆君    富塚 三夫君       細谷 治通君    堀  昌雄君       渡辺 嘉藏君    井上 義久君       宮地 正介君    正森 成二君       中井  洽君    菅  直人君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      津野  修君         警察庁警備局長 吉野  準君         防衛庁参事官  内田 勝久君         防衛庁参事官  玉木  武君         防衛庁参事官  上原 祥雄君         防衛庁長官官房         長       日吉  章君         防衛庁防衛局長 畠山  蕃君         防衛庁人事局長 坪井 龍文君         防衛庁経理局長 村田 直昭君         防衛庁装備局長 関   收君         経済企画庁調整         局審議官    土志田征一君         科学技術庁研究         開発局長    井田 勝久君         科学技術庁原子         力安全局次長  長田 英機君         環境庁企画調整         局地球環境部長 加藤 三郎君         外務省北米局長 松浦晃一郎君         外務省欧亜局長 兵藤 長雄君         外務省中近東ア         フリカ局長   渡辺  允君         外務省経済協力         局長      川上 隆朗君         外務省条約局長 柳井 俊二君         外務省国際連合         局長      丹波  實君         大蔵政務次官  持永 和見君         大蔵省主計局次         長       小村  武君         大蔵省主税局長 尾崎  護君         大蔵省理財局長 篠沢 恭助君         大蔵省国際金融         局長      千野 忠男君         国税庁直税部長 山口 厚生君         厚生省生活衛生         局水道環境部長 小林 康彦君         通商産業省貿易         局長      堤  富男君         通商産業省機械         情報産業局次長 牧野  力君         資源エネルギー         庁石油部長   黒田 直樹君         郵政省電気通信         局長      森本 哲夫君         建設省河川局長 近藤  徹君  委員外出席者         会計検査院事務         総局第一局長  安部  彪君         大蔵委員会調査         室長      兵藤 廣治君     ───────────── 委員の異動 二月二十七日  辞任         補欠選任   衛藤征士郎君     住  博司君   中西 啓介君     金子徳之介君   柳本 卓治君     小坂 憲次君 同日  辞任         補欠選任   金子徳之介君     中西 啓介君   小坂 憲次君     柳本 卓治君   住  博司君     衛藤征士郎君     ───────────── 本日の会議に付した案件  湾岸地域における平和回復活動支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源確保に係る臨時措置に関する法律案内閣提出第四九号)      ────◇─────
  2. 平沼赳夫

    平沼委員長 これより会議を開きます。  内閣提出湾岸地域における平和回復活動支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源確保に係る臨時措置に関する法律を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大石正光君。
  3. 大石正光

    大石(正)委員 本日、大蔵大臣にぜひ今回の法案に対して質疑をさせていただきたいと思います。  多国籍軍地上戦を開始しましてちょうど三日目、クウェートが解放されたという報道が各地であるわけであります。そういう意味において、大蔵大臣は長年の間、この湾岸の平和に対して全力を挙げて努力をされてきたわけであります。この事実を踏まえて、大蔵大臣として御自身の今までの御努力の結果、そして今解放された現実の中でどのようにお考えであるか、御意見をいただきたいと思います。
  4. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 本朝の湾岸危機対策本部会合におきまして、昨夜までの情勢の報告を受けました。そして、今クウェートが平和を取り戻しつつあるということについては、ほっとする思いが一部にございます。  と同時に、その後、予算委員会そして大蔵委員会と継続いたしまして、本日に入りましてからの状況を私は確認をいたしておりませんけれどもイラク軍クウェートから撤退を開始したにかかわらず、国連決議の六百六十のみが引用されておりましたことに私どもは非常に危惧の念を持っております。正統な政府が復帰することをイラクは認めたのか、またクウェートという国が独立の主権を持つ国家であることをイラクは認めたのか、さらにクウェートの国内に非常に大きな破壊を、そしてまた人命の損傷まで伝えられている状況の中でイラクはその補償の責めに応ずるのか、こうした思いが一方ではなお大きな不安として残っております。そして、国連安全保障理事会六百六十から六百七十八に至る各十二の決議というものが完全に守られる状態の中でイラククウェートから兵を引いてくれていたら、その思いが今なお強くいたしております。
  5. 大石正光

    大石(正)委員 アメリカ国連の六百六十号の 決議によっていろいろとイラクに対して攻撃をしてきたわけでありますが、今日ブッシュ大統領発言によりますと、イラクフセイン大統領がいろいろな意味で積極的な攻撃をするということで、まだ不十分であると主張をされているわけであります。しかし、第一次世界大戦以後今日まで、アラブ中東においてさまざまな紛争が行われてきました。特にレバノン紛争は長い間のものでありますが、もしイラクがこのような形で政権としてフセインがなくなった場合、第二レバノン化になるのではないかという危惧もあるわけであります。  イランにおきましてもサウジアラビアにおきましても、そしてまたトルコにおきましても、それぞれ民族間の争いの中で一つの国境が引かれてきたわけでありますが、その力のバランスが狂うことによって大変大きな諸問題が起こるわけであります。そういう意味において、アメリカイラクフセイン大統領姿勢に対しての不信感というものは当然でありますが、今日まで国連というものを基本にした平和のために努力をしてきた我が日本としてみれば、これからもさらにその国連での活動基本とした平和をぜひアメリカにも求めていくことが必要である、私はそのように思うわけであります。  その点で、これからぜひともそういう面を積極的に大臣としてもひとつ御努力をいただきたいと思うわけでありますが、この平和回復活動のための緊急な九十億ドルの支援に対してのきょうの質疑でありますので、今日の湾岸支援財源措置について、大臣は次世代負担をかけないような形でやっていくということを前々からお話をされておりました。今回委員会としてこのような議決をする前に、ぜひその御所見をまずもってお伺いをしたいと思います。
  6. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 こうした大変不幸な事態の中、どうしてもクウェートから立ち退こうとしないイラクに対して、ついに多国籍軍が実力でこれを排除するという状態になりました。  そうした中におきまして、日本湾岸における平和と安定の回復のために多国籍軍に対する資金協力を行うことになったわけでありますが、その時点で私が考えました一つの大きな問題点は、ようやく私ども赤字公債依存体質から脱却したといいながら、なお本年度末には百六十八兆円という巨額の国債残高を残しているわけであります。そして我々は、この累増に何とか歯どめをかけなければならない、努力を続けてまいりました。国際社会の中において日本が応分の貢献をしていくためには、国力にふさわしい貢献をしてまいるためには、この多国籍軍に対する資金協力は私は必要だと思います。しかし同時に、財源の裏打ちを伴わない赤字公債というものにこれを依存することは、今我々の時代における平和と安定の回復のための費用を後世代ツケを回すことになり、これは私としてはとるべきではないと考え続けてまいりました。  そうした中において、一番最初に私は、この必要な経費というものをすべて国民臨時の御負担お願いをする形でと考えました。しかし、本院における御論議を伺いながら、我々としてもなお努力をしなければならないという思いの中で、平成二年度の予算におきましても、また今後御審議をいただき、成立を急いでいただきたいと願っておる平成三年度の予算におきましても、政府自身節減合理化努力をすることにより、少しでも新たに国民に御負担を願う部分を減らさなければいけないという思いの中で、平成二年度の補正予算並びにこれに関連する本日御審議をいただきます一括の法律案をまとめた次第でございます。やはり我々としては、後世代にこれ以上この異常な中で発生した負担というものをツケ回しをすることは避けなければならない、今真剣にそう考えております。
  7. 大石正光

    大石(正)委員 大臣お話しになった後世代に残さないという面は大変すばらしいことだと思うわけでありますし、特に今回の日本世界に対する貢献というものの中では、九十億ドルの支援は当然のことだと私は考えるわけであります。  その中において、大臣発言になりましたその財源は、平成三年度も含めた予算削減を含みながら、これからそういう新しい時代に向かっての緊急措置対処をしたと思うわけでありますが、その財源措置はどのような形で具体的に削減し、そしてまたどういうような御努力をされたか、その辺を御説明をいただきたいと思います。
  8. 小村武

    小村政府委員 今般の九十億ドルの追加支援財源措置については、ただいま大臣のお答えもありましたように、まず政府といたしまして歳出節減合理化等によって最大限の努力を行う、なお不足する財源については、新たに臨時的な税制上の措置を講ずることといたしたところでございます。  その歳出節減等につきましては、具体的には平成二年度予算既定経費節減、これは防衛庁を初め各省庁の御協力をいただきまして、百十六億円の節減をいたしました。さらに予備費減額二百五十億円、それから税外収入の増加千六百四十五億円、平成二年度におきましては合計二千十一億円の財源を捻出いたしました。  それから平成三年度予算につきましては、予備費減額二千億円、さらに国庫債務負担行為に係る平成四年度以降の支出額を含めまして、防衛関係費等から千九億円、平成三年度は合計三千九億円でございます。
  9. 大石正光

    大石(正)委員 そうしますと、二年度の予備費削減をしたわけでありますが、三年度の予算の中でまた国債基金へ繰り入れをするとか、臨時特別公債を発行するとかという形で今進めていると思うわけでございます。その中には石油税、そして企業の法人税に対する対処があると思いますが、これはどのような方向の中で基本的にお決めになったのか、その辺の御説明をいただきたいと思うのです。
  10. 尾崎護

    尾崎政府委員 国民皆様に今回臨時税負担お願いするに当たりまして、やはり内容がわかりやすいものであること、それから経済社会に対する負担ができるだけ少ないものであること、それから税収の確保が確かなこと、それから手続等が簡素であること、そういうようないろいろな要素を考えまして、石油税におきまして、現行の税率の半分の負担を一年間だけお願いする。それから法人税につきましては、中小法人に対する配慮をした上で、法人税額に対しまして二・五%の臨時負担を一年間だけお願いする、そのように考えたわけでございます。
  11. 大石正光

    大石(正)委員 今、石油税法人税に対して一年間という限定措置だということであります。緊急な措置でありますから、一年間に限定してやるということによって、国民はある程度理解すると思うわけでありますが、しかし、これは一年度限定という形で本当に財源になるのでしょうか。今日から九十億ドル支出をして、その後いろいろな面でうわさをされております復興資金の面が必ず出てくるわけであります。今政府としては、世界貢献する中で九十億ドルというものをまず前面にやって、それをやった後でまた改めて復興に対する政府の援助というものを考えるわけでありましょうし、それは国連があくまでベースで考えてくるわけでありますから、そういう点は国連との対応というものが出てくると思うわけであります。  しかし、この一兆一千七百億という九十億ドルの財源確保した場合、それは一年限りであるとし、もしまた新たに財源として確保する必要が出てくれば、当然臨時措置という形で進むのか、そうでなければ別な形で新しい財源を求めるのか、その辺のお考えはあるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  12. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先般来、各場面におきまして、この湾岸に平和が回復した時点における負担というものが論議をされております。しかし、実は一体どれだけの費用がかかるものなのか、またその破壊状況はどのような態様のものなのか、そうした点について実は全くつまびらかではありません。  そうした中におきまして、先般来予算委員会におきましては、私はこう申し上げてまいりました。  当然日本としてその復興に対して協力を惜しまない、これはそのとおりであります。また、さまざまな基金構想等が取りざたをされておりますけれども、例えば欧州復興開発銀行の設立に至る経緯を見ましても、新たな国際的な金融機関を創設するには二年近い時間がかかっております。そうすると、この湾岸の平和が回復した後における復興というものに果たしてそれだけの時間のゆとりがあるのかどうか。こうしたことを考えますと、やはりIMFあるいは世銀といった、現に既に存在する国際機関をフルに活用することによって対応することがまず先決ではなかろうかと私は考えております。  と同時に、もう一つは、今肝心のアラブ人たちから、どういう理想図を持ってその復興に挑むかという考え方は示されておりません。今世上に提起されておりますのは、あるいはアメリカにおける、あるいはECにおける、さらには日本における論議でありまして、肝心のアラブ方たちがどのような気持ちを持っておられるかについても、我々は知る必要があると考えております。  これらの声を集約する場が国連になりますのか、あるいはまた別途の支援グループのような形をとることになりますのか、今のところは全く分明ではありません。しかし、我々がその要望対応していくには、あるいはODAを活用する方法もありましょうし、さまざまな対応考えられると思いますが、現時点においては確たることを申し上げるだけ状況が落ちついておらない。しかし、我々はその場面になれば全力を尽くしてその再建に協力していく、そうした気持ちのみをきょうは申し上げさせていただきたいと思います。
  13. 大石正光

    大石(正)委員 ただいま大臣お話があったわけでありますが、今回二年度の補正の中で、税外収入特殊法人等、いろいろと財政の面で御努力をされてきたわけであります。その結果、これだけの一兆一千七百億という金額がされたわけであります。そして、今大臣お話しになったように、これからの先の見通しはまだついていない。要するに、アラブの諸国からの要望もあり、また国連活動もあり、そしてまたその中においてのこれからの日本対応もあるということで、まだ非常に不透明な事態であるというお話であります。それは確かでしょう。  しかし、今この九十億ドルの予算の中で、国民法人税の中で負担をし、また石油税負担をしながら、今日この九十億ドルに対しての理解を示しているわけであります。その理解をこれからも世界平和への貢献の中で求めていく中では、やはり一つ区切りとして、今回のこの一年限りというものはきちっとした区切りをし、そしてさらにこの次に必要な時期には、ODAやまた各種法人財源を求め、国民負担をなるべく少なくするという努力をして、大蔵省としても、また政府としても、多くの国民皆様方に御負担をいただく上においても、なるべく少なくして、はっきりとした説明をしていくという姿勢がやはり必要であります。  緊急財源として必要なことはよくわかっておりますし、去年からもう半年以上にわたって、平和法案を初めさまざまな面での努力をしてきたわけであります。しかし、結果的にここまで参りましたが、日本対応というのは大変おくれて今日まで来たわけでありまして、そういう面では、決して大蔵省がどうこうというわけではなくて、政府初め全体的な国民合意というものが、まだまだ努力が不足しておるということのあらわれではないかと思うわけであります。そういう点で、これからそういう面での国民合意を求めて、開かれた大蔵省として、よりわかりやすい、要するに目的というものを国民説明する機会をこれからもつくっていただきたいと心からお願いを申し上げる次第であります。  さて、新たな財源の中でこれから協議をするわけでありますが、いろいろな面で、新聞報道によりますと、現にクウェートの現状、そしてまたさまざまな意味での荒廃というものが、これから復興をどのようにするかという問題が大きくあらわれてくるわけであります。それは、今日まで我が国政府として努力をしてきた国連への協力の中の一環でもあると思います。その中で、今日まで努力をしてきた外務省が、これからこのような新しい復興の中でどのような姿勢を示していこうとしているのか、その辺の御意見をいただきたいと思います。
  14. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 お答え申し上げます。  私ども、現在は、イラククウェートに対する侵略によりまして発生いたしました現在の湾岸情勢につきまして、この平和が回復されるために全力を尽くすべきと思っておりますけれども、その平和が回復された暁には、さらに中東地域全体の長期的な安定と繁栄を確保するために、日本としても貢献をすべきものと思っております。  そのための分野といたしましては、経済面での復旧、復興、それから軍備管理武器輸出管理の問題、それからパレスチナ問題等の国際政治問題、さらには地域での安全保障問題等があると思っておりますけれども、できる限りこの域内の国々のイニシアチブ、努力を尊重いたしまして、それを支援するという方向対処していきたいと考えております。
  15. 大石正光

    大石(正)委員 去る二十六日のフセイン大統領クウェート撤退表明の中で、それぞれ各国がそれぞれの意見の中ではっきりとした意思表示をしているわけであります。その中において、当然我が国イラクに対する、撤退に対する意見があったはずであります。外務省としては、また政府としてはどのような意見として諸外国に対して正式に発表しているのか、その辺の御意見を承りたいと思います。
  16. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 イラクフセイン大統領声明につきましては、これがクウェートからイラク軍撤退させるということは申しておりますけれども、その後のクウェート独立国としての状況等についてどういう立場をとっているのか、非常にはっきりしてないわけでございます。このことは、また国連の議論におきまして、イラクの代表が安保理決議六百六十以外の決議について、これがもう無効になったとか意味がなくなったとかいう発言をしておることにもあらわれておるかと思います。問題の根本は、やはりイラククウェートを侵略し、併合したというところにございますので、この根本の問題が解決する必要がございます。そのために、これまで安保理が採択をしてまいりましたすべての決議イラクが受け入れて、問題を解決するようにという立場をとりまして、それをいろいろな機会に明らかにしておるわけでございます。  具体的には、例えば国連安保理で、これはしばらく前でございますけれども、私ども安保理のメンバーでございませんが、我が方の大使がその趣旨の発言をいたしております。
  17. 大石正光

    大石(正)委員 ブッシュ大統領がこのイラク撤退に対して発言をし、また英国の首相も発言をし、それぞれ各国の首脳が正式に諸外国に対して発表しておるわけであります。しかし、今のお話によりますと、しばらく前にこういう話をしたという形で今お話を聞いたわけでありますが、今日まで百日以上、平和法案から始まって外務省対応は大変苦労してきたと思うわけであります。苦労してきたと同時に、実際に行動の中にも非常に紆余曲折、一貫性がなかったように多くの国民から見られているわけであります。  今回、各国政府が正式にきちっとした意思表示をし、そしてその対応というものがきちっとあらわれている中で、外務省としてはいまだそういう面での諸外国に対する意思表示というものをされていないんでしょうか。勉強不足で申しわけありませんが、私はそういう点をはっきりとまだ伺ってないのですが、そういうようなことをどのように諸外国に対して我が国政府として声明をしているのか、その辺をちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  18. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 私どもといたしましては、例えば本日、それから昨日、それぞれ対策本部会合がございまして、その会合での内閣としての意思統一を受けまして、官房長官からその結果を発表いただいております。私どもといたしまして、これを外国にも十分周知するように手配をいたしております。
  19. 大石正光

    大石(正)委員 現に、ニュースではありますが、英国、フランス、ドイツ外務大臣アメリカを訪問し、そしてアメリカ政府協議をするというニュースが既に入っているわけであります。我が国は、ドイツと同じように財政面で拠出をしている国であります。そして、平和外交としてそれなりに国連活動の中でアメリカ貢献をしているというのが外務省主張だと思うわけでありますが、これからもう既に戦争が終わり、クウェートが解放されるという現実の中で、いまだかつてそういう面での具体的な対応というものは、やはり外務省として、国連アメリカとの協議というものの先の見通しはまだないのでしょうか。
  20. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 アメリカとの間におきましては、私ども昨年の八月二日以降いろいろなレベルで緊密な連絡をとっております。  御案内のように、この一月十四日には中山外務大臣に訪米していただきまして、ブッシュ大統領、べーカー長官以下と会談をしていただきました。これは、ちょうど結果的には多国籍軍軍事行動開始の三日前に当たるわけでございます。それから、ごく最近に至りましても、この二月の二十二日には中山大臣ベーカー長官電話お話をされておられます。それから、二十三日には海部総理ブッシュ大統領電話会談をしておられます。それから二十四日には、さらに中山大臣とベーカー国務長官と電話で話をしておられます。  今後のことについてでございますけれども、私ども、外交ルートを通じまして緊密な連絡をとっておりますが、先生の御指摘の点も踏まえまして、さらに検討させていただきたいと思います。
  21. 大石正光

    大石(正)委員 きょうは大蔵委員会でありますから、外務委員会でありませんから、外交問題を余り議論することはないと思います。しかし、今日までの流れを見てみますと、日本の外交の対応の遅さというものを如実にあらわしているわけでありますし、湾岸のあの石油で汚染されたときの対応の仕方も、大変外務省が積極的になって、通産や各省に対して協議を重ねた上、いろいろな面での対応をされたわけであります。しかし、そのオイルフェンスにしても、大変対応がおくれているということを私は痛切に感じておりました。戦況は刻一刻変わりますし、外交も刻一刻、日にちによって変わってまいります。その対応をしていきながら、やはり日本のとるべき道というものをつくっていくということは当然であります。  この新聞には、湾岸地域環境保護会議が、石油の回収船が実際に一隻十万バレルの原油を回収したけれども、さらにドイツから六隻以上の回収船が向かっているという報道が既にあります。戦争が既に終わり、そして、我が国の一番得意な環境汚染に対してやれる分野である平和協力というものがありながら、いまだかつてその具体的な平和協力復興に対して何らの意見もまとまってないということは、私は大変不満であります。  外務省努力をしていることはよくわかりますが、しかし、刻一刻の変化に合わせて機敏に対応することが私は一番だと思うわけであります。その機敏な対応がないからこそ、さまざまな諸外国からたたかれ、人的や物的な協力がないということで我々もアメリカの多くの議員からも言われ、先日もイギリスに行ってその悔しさを味わってきたわけであります。それは自衛隊の、平和という中での憲法九条という規定があるからこそそれができないわけでありますが、しかし、それ以外のことならば積極的にできるはずであります。それをやらないからこそ、我が国はいつまでたっても蚊帳の外と言われる。新聞に書かれるような現実になっていることを私はまず外務省にきちっと認識をしていただきたい。  そして、平和復興に対しての希望も、まず向こうの希望を聞かなければならないと言いながら、多くの国々は既にお医者さんにしても何にしても出しているじゃありませんか。聞かなければ何もできないというよりも、現実に今まで調べてわかっているではありませんか。そういう面を、もっと積極的に貢献する姿勢を示さなければ、世界第二位の経済国と言われながら、いつまでもただ金だけ出せばいいという形で終わってしまう。その悔しさをやはりきちっと外務省にもわかっていただきたいと思うわけであります。  今その中で、人道主義という形の中で、難民輸送というものが多く考えられてきました。そして今日まで来たわけであります。C130という自衛隊の、防衛庁からの輸送機を使ってぜひ難民救済をしようとしながら、いまだそれが実現をされていないわけでありますが、その辺が具体的にどのようになっているか、防衛庁からぜひ御答弁をいただきたいと思います。
  22. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 自衛隊の輸送機C130を難民救済という人道的な立場から、必要に応じこれを湾岸地域に派遣しようということで準備を進めてきたところでございます。しかし、これは御承知のとおり、IOMという国連から委託を受けた国際機関からの避難民救済の輸送の要請があって、そして我が国政府としての受けるべき、外務省となると思いますが、外務省からの御依頼がありましたときに、そして、なおかつ民間の航空機が活用できないという状況のもとでこれを派遣するという考え方のもとに必要な準備を鋭意進めておりますが、現在までのところ、IOMからの具体的な要請がまだ来てないという状況でございます。
  23. 大石正光

    大石(正)委員 要請が来なければ、当然政府としては出せないということでございましょう。しかし、現実クウェート地上戦が行われても、難民というものはそれほど出てこなかったわけでありまして、それでは具体的な人的貢献というものが済まないということになるのではないかと思いますが、一つの大きな憲法九条の枠の中で自衛隊というものを海外にやるという形、人道上であるにせよ、やはりその面は国民の意識的な抵抗があると私は思うのです。それは自衛隊の飛行機というその外見から見えるものと、内面もあるかもしれませんが。しかし、一般国民が飛行機を借り上げて、難民のために努力している姿勢もあるわけですね。そうすると、自衛隊機というものだからいけないのであって、もし自衛隊機が赤十字のマークをつけ、赤十字から借り受けられた飛行機であれば、その輸送は一体可能なのでしょうか。
  24. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 先ほども申し上げましたように、難民の状況の把握とか、あるいはそれの輸送の必要性ということにつきましては、国際的な専門の機関がいろいろございまして、特にこの輸送の問題につきましてはIOMという機関が責任を持ってやっておりますから、赤十字がどういう依頼の立場に立つ機関かということは、若干国際関係のことにも属しますので、ここで詳細に私お答えする立場にはございませんけれども、せっかくの御提言でございますので、内部で御意見として検討をさせていただきたいと思います。
  25. 大石正光

    大石(正)委員 私の説明が不足していたのかもしれません。私が言いたいことは、向こうから要請がなければできないという姿勢は大変おくれているということであります。こちらからどうやったら向こうに対して何か協力ができるのかということを我が国内のさまざまな問題の中で検討して、もっと積極的に進めなければ、世界じゅうで日本に求めてくるものが果たしてどれだけあるでしょうか。現に医師百人を送るといいながら、わずか数人しか送れず、逆に何となく敬遠されて、断られたみたいな形で帰ってきた。あの悔しさもあり、そういう形の中で平和に対する協力と、そのさまざまな諸問題に緊急に対応できる態勢と姿勢というものが最も必要だと思うわけです。  そういう意味では、アメリカに実際にあるような病院の医療の設備を十分整えた、病院船と言ったらいいかどうかわかりませんが、そういう施設等十分つくって、このような緊急時以外でも、地 域に医療の技術を指導しながらやっていくような形の、そういう積極的な平和への協力や海外の技術協力という姿勢こそが最も必要だと私は思うわけであります。そういう点で、そういうものがどこに所属し、どのようになるかわかりませんが、もし防衛庁の所属で、軍医を中心としたものがやるのであればそれはいいでしょうし、また新しい国連の平和協力団体ができた中でやるのもいいと思います。しかし、いずれにしても紛争というものは絶えず起きてくるわけでありますから、いつまでにやればいいではなくて、積極的に早急に、日本からの世界に対する貢献という姿勢を見せる姿勢を私はぜひ求めたいと思うわけです。  また、その中で一つの大きな話題になっておりますのが大気汚染としての石油の問題、そしてまた湾岸の石油流出の問題であります。この問題は、我々も、大臣も実際に瀬戸内海で御苦労されたことを聞いております。今回どのような形でこれに対処し、さらに地球環境の立場からどのようにこれから我々は貢献していけるのか、その具体的な案を持っているのであれば、環境庁からひとつお話しいただきたいと思います。
  26. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今、環境の問題にお触れになりました部分は、環境庁の方からお答えをいただきたいと思うのであります。  そこで、今委員が提起をされました幾つかの問題について、私なりにお答えをしてみたいと思います。  まず第一に、例えば韓国等、現地に相当数の医師団を派遣しておる国が現実にございます。ただ同時に、その医師たちが皆軍籍にある医師であるということをどうぞ御注目いただきたいと思うのであります。もし日本において自衛隊の医官を現地に派遣することを国民がお許しくださるのであれば、恐らく相当数の医師並びにその関係者を送ることが可能であると私は思います。しかし、自衛隊の医官を使うことを許されておりません今日の情勢の中で、国公立大学あるいは国立病院、公立病院、さらに民間の医師への協力お願いをし、チームをつくろうといたしますと、どうしても一人の方がそう長期間御自分の職をなげうって現地に滞在することができにくいということは、御理解がいただけると思うのであります。  私は昨年、ちょうど九月のG7でワシントンに参りましたときに、まさに日本が少な過ぎる、遅過ぎるとたたかれている真っただ中でありましたが、たった一機の日本航空の飛行機が現地に飛んでくれた写真が出ただけで、いかにアメリカの世論が鎮静化したかというものを身をもって味わってまいりました。  同時に、一月十七日、湾岸において戦闘行為が開始をされました直後、今度は同じくG7でニューヨークにおりました。このとき、この会合の席上でドイツが一番最初に発言をしたことは、周辺国支援の問題になった途端に、昨年とは違って今回我々はトルコにまで戦闘機を出しております、戦闘要員を出しております、この言葉でありました。そうした言葉が全く吐けなかった私が、その会議でどのような思いで時間を過ごしたかは御理解がいただけると思います。  そこで、今委員が御提起になりました病院船という考え方についてでありますが、三年度の予算編成に際しまして、政府としては、病院船というだけではなく、場合によっては災害救助その他多目的に使える政府の専用船の建造に向けての検討を開始したい、多目的船と仮に呼んでおりますけれども、こうした考え方のもとに検討費を計上いたしました。また、これにつきましてもよき御意見等お知らせいただければ非常に幸いでありまして、我々もそうしたものを持つ必要性を痛感いたしております。
  27. 加藤三郎

    ○加藤(三)政府委員 先生お尋ねの問題につきまして、環境庁の方からお答え申し上げたいと思います。  この湾岸におきます大量の油流出、あるいは昨今伝えられております油井の大量の炎上というものは、先生御指摘のように極めて深刻な環境問題、地球規模にも影響を与えかねない重大な問題というふうに深刻に私どもも受けとめております。  私どもといたしましては、この問題が表面化いたしました一月の末に、環境庁内に事務次官をヘッドといたしますプロジェクトチームをつくりまして、とりあえず情報の収集、分析、もちろん関係省庁の御協力のもとで、そういうことを行ってまいりました。  それで、たまたま一月の末にOECDの環境大臣会議というのが開かれまして、愛知環境庁長官もそれに一日だけ御出席いたしまして、この問題についてOECDの環境大臣協議をするとともに、個別の協議もいろいろとやってまいりました。  重ねまして、二月の初めでございますけれども、ジュネーブで先生御高承の国連環境計画、UNEPというのがございますが、ここでまずこの問題についての情報交換会がございまして、それに環境庁の地球環境部から担当課長を含めまして派遣をいたして、協議をさせております。  それで、現在いろいろなことを外務省を初めとします関係省庁とやっておるわけでございますが、湾岸での情勢が非常に変化いたしておりますので、これまで日本政府として行いましたオイルフェンスの供与に加えまして、環境の専門家を派遣するなど、そういったことを含めましてできるだけ積極的に取り組みたいということで、実は私ども環境庁内では、実際のリストアップ、専門家のリストアップ、行ける人のリストアップ、そういったことも含めまして、事態が許せば現地対応などができますように、いろいろと今準備を重ねているところでございます。
  28. 大石正光

    大石(正)委員 今、環境庁から、積極的に参加をしてその支援をしたいという表明があったわけでありますが、この新聞では、イラン西部が実際にクウェートの油田の放火によって大変真っ黒な雨が降り注ぎ、水利施設や牧草地、畑などに深刻な被害をもたらしているということで、汚染が大変深刻になっているわけであります。これがまたイラン西部からさらにもしインドまで広がってきた場合には、農作物に大変大きく影響するわけであります。これをどのように解決していくか、これはこれからの国連全体での協議に係ると思うわけであります。  そこで、ぜひそのようなものに積極的にこれから参加をし、世界貢献する諸問題の中で、大蔵大臣が本当に、人的貢献というものがなかなかできないときに、世界各国からのさまざまな意味での御苦労をされてきたわけであります。今回このような形で平和になるわけでありますから、この機会にそういう面での、政治的な緊急処置になるかどうかわかりませんが、環境庁が言ったようなその地域に対する環境の調査団や、そして、これからの積極的な貢献をぜひとも財政上からも大蔵大臣の方から政府に提案をいただいて、世界貢献することをはっきりと先取りをした形で意思表示をしていただくようにお願いをしたいと思うわけですが、その辺の御意見がいただければ幸いであります。
  29. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ちょうど環境庁創設の当時、厚生省の政務次官を務め、参画した一人として、環境行政の大事さというものは人並みには理解をしておるつもりであります。それだけに、今後環境庁から御相談があれば、真剣にその御相談に応じたいと思います。
  30. 大石正光

    大石(正)委員 今大蔵大臣からそのようなお話があったわけでありますが、環境庁として実際に国連環境計画会議というのがあって、大臣までお見えになってやっているようであります。そういう点で、これからそういうものに積極的に参加し、世界貢献するような一つの施策としての計画というものが具体的にあるんでしょうか。その辺の御意見をいただきたいと思います。
  31. 加藤三郎

    ○加藤(三)政府委員 この問題について幾つか国連の機関がございます。例えば海洋汚染、直接担当いたしておりますのは国際海事機構というのがございます。それからまた、ここが応急的な対応をいたしておりまして、湾岸での中長期的な環境 改善といったもの、行動計画をつくる仕事は国連環境計画、UNEPというものにその任務が与えられております。現在、UNEPがまさに今月末ぐらいを目途に、少なくとも行動計画の案をつくりたいということでございます。実は私どもの担当官も今一人、UNEPの本部がありますナイロビに行っておりまして、そこでいろいろと協議をいたしております。こういった国連環境計画を中心といたします全体的な、しかも中長期的な環境対策というのが一つあろうかと思います。  それに加えまして、これはむしろ外務省のお力でございますけれども、二国間でのいろいろな援助というのがあり得ようかと思っております。ですから、私ども環境庁といたしましては、外務省を中心といたします関係機関と一緒になりまして、国連ないしは二国間の協力というのを通じまして、できるだけこの地域の自然保護を含めまして環境改善に努めてまいりたいというふうに思っております。
  32. 大石正光

    大石(正)委員 ただいま環境庁からお話があったわけであります。私も環境庁のことはよく知っているわけでありまして、環境庁は相変わらず金がない省庁だと感じているわけであります。大蔵大臣が今お話しになったように、前向きで新しい姿勢で積極的に貢献をしていくという中で、私はぜひ大蔵大臣お話をもっと積極的に閣議の中でも出していただきまして、大蔵として世界貢献する一環をお進めいただきたいことを心からお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  33. 平沼赳夫

    平沼委員長 沢田広君。
  34. 沢田広

    ○沢田委員 今、与党が時間を大変延ばしまして、重要法案であることの認識を改めて我々野党にも示していただきました。極めていい前例をつくっていただきましたので、これからは私たちもそれを学んで、自民党で適当な処置が行われるまでの間、これはイラクではありませんが、行われるまでの間は時間は自由である、このように理解をしながら進めてまいりたいと思います。  最初に、法制局長官と予算委員会で今日までいろいろと議論をされました。その内容を私が繰り返すということはしたくないと思います。それで、法制局の長官が憲法に反しないと言われている根拠は一言で言えばどういうことになるのか、それだけお答えをいただきたいと思います。
  35. 津野修

    ○津野政府委員 お答えいたします。  予算委員会等を通じまして私どもの長官がお答えいたしましたのは、今回の資金援助と申しますのは、憲法第九条の禁止する武力の行使とは国家による実力の行使に係る概念でありまして、我が国が単に経費支出するというようなことはそのような実力の行使には当たらず、したがって、同条に違反するものではないというのが、まとめて言えば見解でございます。
  36. 沢田広

    ○沢田委員 お金も武力ではありませんか。金は武力とは見ないということですか。
  37. 津野修

    ○津野政府委員 実力の行使に係る概念ということでございまして、お金を出すというような単に経費を出すというようなことは、だれが見ましても、これは実力の行使ということには関係がない概念であるというふうに考えております。
  38. 沢田広

    ○沢田委員 それは、例えばミサイルになるにしても戦車になるにしても、金を出すことそれ自体は違反でないという解釈をしておる。しかし、戦費が武力になるという解釈は間違いないでしょうね。
  39. 津野修

    ○津野政府委員 繰り返して恐縮でございますけれども、武力の行使といいますのは国家による実力の行使に係る概念であります。したがいまして、そういった我が国が単に経費支出するというようなことにつきましては、実力の行使に当たらないということは明らかでありますから、したがって、従来から憲法第九条に違反することはないという御答弁を申し上げておるところでございます。
  40. 沢田広

    ○沢田委員 重複は避けていきたいと思っておるのですが、支出するところまではもちろんあなたのおっしゃっているとおりでありますが、支出した先が例えばそれが武力に使われている場合、これはあなたの解釈も、やはりそれは出た先は知りませんということですか、それとも出た先も保証しますということですか、それとも出た先は武力とはみなさないということですか、そのいずれですか。
  41. 津野修

    ○津野政府委員 我が国の行います行為と申しますのは経費支出をするという事柄でございますから、そういう意味では今回九十億ドル拠出するわけでございますけれども、そういった事柄は武力の行使ということには何ら関係がないということでございます。
  42. 沢田広

    ○沢田委員 これは予算委員会と二重に審議をしましても仕方がありませんが、とにかくその危険性、そういう解釈を与える余地を残しておる。あなたのおっしゃっておることが、将来やめてから実はそうではなかったんだなんということを、本音をいずれしゃべるときがくるだろうと思います。今は給料の手前そう言わざるを得ないのだと思いますから、一応それは了とします。  大蔵大臣に言うのはもう恐縮なんで総理に実は来てもらいたかったわけです。日本が政治の変革が行われるとき、あるいは憲法を破るか破らないかという瀬戸際にあるとき、心情的には私もよくわかるのであります。今日の日本が、資源のない日本がこれまでの繁栄を築き上げた。それは平和であった、勤勉であった、同時にまた世界各国からの協力というものが陰に陽に加わった、そのことに対して感謝をしようあるいは敬意を表そう、こういう心情については私もそのことを拒むものでもございません。  問題は、我が国には厳然と決められている憲法がある。その憲法を犯してまでも義理を尽くさなければならぬ、義理という言葉が適当かどうか別ですが、とにかくそういう気持ちに総理はなった。この結果が日本国民に与える影響がどういうふうになるにせよ、増税という形になり、あるいはこれからの湾岸復興資金に金を出すということにもなり、あるいはまた世界の平和に協力するということにもなっていく。そういう危険な道を歩んだ総理が、この法案の処理あるいは参議院まで終わった後、何らかの責任を国民に対して明らかにしていく、そういう気持ちがなかったならばこういう冒険をしてはならない、そういうふうに思うのであります。  言うなら、私からいえば牽強付会である、あるいは憲法を曲げて解釈をしておる。それが戦費になるということは明らかであります。そういう形をとって決めていく場合に、みずからの進退というものはやはり国民の前に明らかにして――海部さんは立派な人です。しかし、次の次に出てくる総理が、あるいは我々の中からどちらがなるのかは別にして、だれかがそういう強権を発動して、ハードルを越えていかないという保証はない。だから、そういう場合には必ず身を処して、そして心機一転して国民の支持を仰いでいく、こういうルールをつくっていくことが極めて必要なことではないか。  そういう意味で、実は私は総理にそういう気持ちを言って、総理がみずからの気持ちでそのけじめをつけてもらう。そのことがこういう重大なこと、国外には顔を立てたい、国内の法規には触れるにしても触れないにしても、そのすれすれの線上にある。その場合の処理の仕方というものは賢明であってほしい、こういうことですから、その点は、これは大蔵大臣に言ったって権限がないわけですから、いわゆる大臣の一人として――きょう来られない。私は十分残しておくつもりですから、その後で総理をひとつ出してもらいたいと思うのです。  大体、大蔵委員会のこの重要法案に総理が出てこないということは、まことにけしからぬ。福田さん以来どの総理大臣だって、歳入委員会の冒頭には必ず来て、租特まで来て、ちゃんと説明していっている。また、答弁にも応じてきているのですよ。委員長、この間でもいいですから、そういうルールを破るようなこと、これはとにかくあなた自身が歴史に残る汚点をつくっておることにな るのですよ。だから、委員長がそういうことなら、あの委員長のときには本当にだらしがなかった、大蔵は何をやっていたのだ、こういうことを言われることになる。だから、あなたの名誉のためにもぜひこれは、きょう、あした、わずか二日間の日程の中でしょうけれども、総理を出して、きちんと大蔵委員会説明をするという姿勢を出さなかったら、国民に税金をかけようというときに総理が昼寝しているようじゃ、これは話にならないですよ。昼寝はどうかわかりませんが、昼寝していると言われても、それはもうしようがない、大蔵委員会に出てこないようじゃ。  そういうことで、委員長は暫時そこを立ってもいいから、ほかの理事委員長席を譲って、総理がこの委員会に出てくるように全力を尽くして説得すべきだと思います。また、理事の諸兄も、甚だ申しわけないけれども、総理が来るまでは審議に入れませんと言うぐらいにならなければおかしいと思います、この法案は。これは国民法案ですから。これは議会内のルールを決めるだけのものじゃないのです。やはりそういうことをきちんとひとつけじめをつけてもらいたいと思うのです。  これは委員長お願いします。今すぐであった方がいいけれども、そこら辺ひとつ時を見て、ちゃんとその点手配をしてくれませんかな、いいですかな。
  43. 平沼赳夫

    平沼委員長 委員長から申し上げます。  理事会で既定の方針が決まっております。御意見として承らしていただいて、またいろいろ協議をさせていただきたいと思います。
  44. 沢田広

    ○沢田委員 これは委員長不信任を出すようなことにもなりかねないのだけれども、さっき立派な前例をつくってくれましたから、何時間頑張れるかひとつ私も頑張って、委員長不信任の意思表示とあわせて、これから質問させてもらいたいと思っております。
  45. 平沼赳夫

    平沼委員長 ちょっと沢田委員に申し上げますけれども質疑時間に関しましては、理事会でその持ち時間等決定をいたしております。先ほどの自民党の質問者は三分ほど超過をいたしました。これは許容の範囲であると私判断しておりますので、長時間それを引き延ばすということは、これは理事会マターでございますし、理事会で決まったことでございますので、それは御容赦いただきたいと思います。
  46. 沢田広

    ○沢田委員 委員長、それも一分とか三分とか五分という問題ではないのですよね。ルールを破るというところに問題があるのです。問題は分数の問題じゃない、秒数の問題じゃない。そういうものを破るというそのこと自身に問題があるので、その長さをもってはかることではないのですよ、これは。結果を見てから言ってくださいよ。  次の問題に入らしていただきますが、そういう立場で、総理としてはひとつ謙虚に身を持してもらいたい。きょうというわけではありませんが、この法案の経過にかんがみて対応してもらいたいと思います。  続いて、九十億ドルの支出について外務省にお伺いをいたします。外務省の関係はほかにもございますから、幾つか重複しますが、続けていきたいと思います。  一つは、九十億ドルの支出の仕方、どういう経路で支出をして、どういうことで確認をしていくのか。簡単に時間の関係で言ってしまいますと、大蔵省から金が出る、それはGCCに行く、GCCはそれを配分する。GCCには会計年度はあるのかないのか。できたばかりだから会計当事国も事務員もいないのかもしれませんけれども、言うなら、わけのわからぬ法人と言ってはいけませんが、いわゆる有名無実なのかもわかりませんし、実体があるなら事務所はどこにあるのか、それもあわせて。これは一つだけ例示をするのですが、外務省としてはどういう経路でその金を渡していくのか、その領収書はきちっとどういうふうにしてとるのか、その点ちょっと言っていただきたいと思います。
  47. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 最初にGCCについて簡単に御説明したいと思います。  GCCは、一九八一年五月に設立されましたしっかりした国際機関でございまして、事務所もきちんとございまして、私どもが了解しておりますのは、事務局の職員は二百六十名おりまして、事務局の予算は年間二千万ドルを超えております。  ただ、私どもが今回つくりましたのは、このGCCのもとに湾岸平和基金という基金を日本政府とGCCの合意で昨年つくらしていただきまして、既に十九億ドルを払い込ましていただいております。今回の九十億ドルにつきましては、もう先生既にお触れになりましたけれども、国会で御承認を得た後、日本政府とGCCの間で再度交換公文を結びます。その上で湾岸平和基金に九十億ドルを払い込むことになります。  湾岸平和基金は運営委員会というものが運営に当たっておりまして、この運営委員会は、GCC六カ国を代表しますGCCの代表と日本政府を代表しますサウジアラビアにおります日本大使がメンバーでございますが、この九十億ドルに関しまして、この運営委員会日本政府の意向も踏まえまして具体的な分野を決め、それからさらには各国からの具体的な要請を踏まえて審査をし、決定をし、そして各国に支払いを行っていくということになります。
  48. 沢田広

    ○沢田委員 聞かれないことは、原稿に書いてあるからといって読む必要はないですからね。念のためですが、聞かれたことだけに答えてください。  それで、九十億ドルの支出はそういう措置をされるとして、それの領収書は結果的には日本に送られてくるわけですか。これはイエスかノーかで答えてください。
  49. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 先生今領収書というお言葉を使われましたけれども、GCCと日本政府の交換公文上は報告という言葉を使っておりますが、今私が申し上げました運営委員会が具体的な要請を踏まえて具体的な支出を決めまして、それを支払った後、具体的にそれをどう使ったかという報告は運営委員会に行われます。運営委員会はそれらを日本政府に提出することになっております。
  50. 沢田広

    ○沢田委員 これは順番になりましたから大蔵大臣の方にも行きますが、戦後の復興に今後日本がどのくらいの負担を、さっきわからないというお答えでありました。だけれども、大ざっぱに何千億ドルとか、あるいは例えば三万人の捕虜の食事だけちょっと計算しましても、一日十ドルと計算して百日という計算をしても三千万ドルですか。これを全部出す出さないは別としましても、そのぐらいの費用がかかってくる。これは大変だなというふうに考えるわけですね、あの捕虜の食事代だけでも。  そういうことを考えると、我々は九十億ドルが戦費に使われないで、そういうものに使途されることを期待しているわけでありますが、されたとしても、これからの立てた日程では、もろもろを考えると相当な戦後復興資金というものはかかってくる。きょうの報道では、イギリスもアメリカもみんな寄ってたかって今度は仕事とりに歩いているという話も出ておりましたが、そのようにそれだけの資金が必要になってくるのだろうと思うのです。  そこで、この戦後の復興資金というものと日本との関係性はどうなってくるのだろうか、日本との関係は戦後の復興とどういう関連性を持つのであろうか。金額がわからないとしたら、その関連性についてはひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  51. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先ほどお答えを申し上げましたように、全く今のところ我々として想定する資料を持っておりません。さらに、被害の態様がわからないことが一層この問題を困難にいたしております。  例えば、イラク軍が爆破をいたしました自噴している石油の油井について、日本はその自噴している石油の油井の火災についての消火のノーハウを持っておらないと思いますけれども世界じゅうにもこれの専門家はそうたくさんいなかったと 私は記憶をいたしております。こうした被害を、まずその火を消し、続いて施設を復旧するのにどれだけの費用が要るか一つをとってみても、全くわかりません。  また同時に、昨年の八月二日にイラククウェートに侵入を開始いたしましてから、クウェート政府の資産、さらには個人の資産、こうしたものに対してイラク軍がどういう行動をとったかについても、全く状況は明らかではないわけであります。この辺は国連安全保障理事会決議六七四にも関連してくるところでありましょう。  要は、イラククウェートに対して、またその他被害を与えた国に対してどのような補償をする能力があるかということも問題でありましょうし、それと同時に、この戦闘が実際上行われた地域だけを想定するのか、周辺の諸国までをカウントに入れるのか、さらには、当該地域に相当数の労働者を送り、その送金によってそれぞれの国の経済を相当大きなウエートで支えておりましたような国々、こうした国々に対する協力までを含めて考えるのかによりましても、全くその対応は変わります。現時点において想定できないと申し上げましたのは、これは率直な話でありまして、大蔵委員会における御論議でありますので、私は率直に、今なぜ我々がそれについての見通しが立てられないかということについて申し上げました。  こうした点から考えましても、やはり私は、早急に対応するためには、IMFあるいは世銀といった専門の職員を持ち、相当程度のノーハウを持っている国際機関と協調しながら、我々が仕事をしていくことが必要であると考えている次第であります。
  52. 沢田広

    ○沢田委員 外務省外務大臣はこの戦後の復興についてどういう姿勢でこれから臨もうとしているのか。これも暗中模索ですか。
  53. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 私どもといたしましても、この戦後の中東地域の経済復興の問題というのは大変大きな問題であると考えております。そのほかに、これに関連いたしまして軍備管理の問題、それからパレスチナの問題、いろいろな問題がございますけれども、この問題に限りましては、今後やはり関係国、関係国際機関等とも協議をいたしながら、我が国として何が最も有効にできるかということに取り組んでまいりたいという考えでおります。
  54. 沢田広

    ○沢田委員 国連にもだれか行っているのでしょうから、それぞれ各国と話をしているのでしょうが、日本理事になれない原因はどこにあるのですか。
  55. 丹波實

    ○丹波政府委員 お答え申し上げます。  先生が理事とおっしゃっておられるのは、安全保障理事会の常任理事国の五ヵ国を指しておると思いますが、これは戦後国際連合憲章ができましたときに、連合国が中心となって、その連合国の中心である五カ国というものが当時の地位というものを憲章の中にあのような形で定めたというところが根源でございまして、憲章の改正は五カ国の常任理事国の同意が必要であるというところが実は問題でございます。  しかしながら、一言つけ加えさせていただきたいと思いますけれども、非常任理事国というものがございまして、日本はこれまで六回それをやっております。確かに先生がおっしゃるとおり、その点は常任理事国とはステータスは違いますけれども、しかしながら、なかなか六回というのも大変困難な選挙を通じて占めた地位でございまして、そういう中を通じて国際連合で日本としてもできるだけの努力はいろいろな面でしてきたつもりでございますので、ぜひ御理解いただきたい、こういうふうに考えます。
  56. 沢田広

    ○沢田委員 だから、金を出すというときにはやはりそういうものが、各国に話をしながら、九十億といわずあるいは時には百五十億になるかもしれぬが、そういうギブ・アンド・テークというものが外交なのであって、年じゅう渋々出して、結果的には金額は同じだったなんてことになったら身もふたもという形になるわけですね。  ですから、もう少し外交交渉というものについては、理事国になって日本の平和主義を訴えていく、そのかわり出すものは出し、協力するものは協力していく、そういう基本的な姿勢がどこか欠けているのではないか。あるいは歴代の総理が、外務大臣がお粗末だったということになるのか、その辺はどこに原因があるかわからぬが、やはり今日までの努力でいいということにはならぬ。だから、こういう重大なときであればあるほど、日本の国際的な地位を向上させながら、金も出すものは出しながら、そしてそういう地位について平和を希求させ、あるいはアメリカの行き過ぎも抑制させ、あるいはソ連にもあるいはイラクにもそれぞれ言えるように。  次の問題もあわせて申し上げますが、武器の輸出も、フランスもうんと売ったという、ドイツも売った、ソ連も売ったという。日本にも幾らか売ったのもいるらしいけれども、そういう国にペナルティーをつけることも大きく言ったらいいのじゃないか。それから同時に、国連武器輸出禁止の決議を求めていったらどうなのかということはどのように考えておられるのか。ちょっときのうの予算委員会の中で触れておられたようですが、国内の問題ではなくて、国際的にきちんと主張していくことはできるのかできないのか、そして、できるとすればどういうふうにするのか、お答えいただきたいと思います。
  57. 丹波實

    ○丹波政府委員 武器輸出の関連の御質問にお答え申し上げたいと思います。  基本的には先生の問題意識を私たちは共有しておるつもりでございます。つまり、今回のイラククウェート侵攻というものの背景の一つには、イラクに対する一部の国の大量の武器輸出があったということについての問題意識を申し上げておるつもりです。  先生あるいは既に御承知のところかもしれませんけれども、数字を一つだけ例示させていただきますと、アメリカ軍備管理軍縮庁の統計によりますと、一九八三年から八七年の間の累計ベースで、イラクは約三百億ドルに値する武器輸入を行っております。このうち主要な輸出国は、ソ連が約百四十億ドルで全体の四六%、フランスが四十八億ドルで全体の一六%、中国が三十三億ドルで一一%、これら三カ国で全体の何と七四%を占めておるという数字がその問題意識の根底にある原因を示しておると思います。  日本は、先生御指摘のとおり、武器輸出三原則というものを通じまして、武器の輸出に対して大変厳格な原則というものを持っておりまして、私たちは、こういう原則というものを通じてある意味で国際の平和と安全に寄与してきたということは、日本国民として誇っていいことではないかというふうに考えております。  他方、通常兵器の輸出というものは、各国が自衛のために必要な範囲内で行う調達、各地域における軍事バランスの確保といった複雑な要素が絡んでおりますので、一概にこれを全部禁止してしまうということが果たして――例えば、先生も御承知と思うのですけれども日本日本の安全というものを維持するために、アメリカから一定の武器を購入しておるわけでございます。そういうことを考えますと、なかなか一概に全部を禁止するということは、それなりの問題を持っております。  現に、国際連合は一九八八年の総会でこの問題の決議をしておりますけれども、当面、通常兵器輸出の透明性、それから公開性というものの増大を目指そうということで専門家グループをつくりまして、日本の大使もその中に一人入っておりますけれども、そういうスタディーグループをつくって現在研究を進めておりまして、ことしの夏に一つ報告書が出ることになっております。その報告書を私たちは見ながら、今後この分野でまさにどういうことができるかという研究を進めていく必要がある。特に、中東であのようなことが起こった後でございますので、この問題の緊急性というものは増大しておるという意味でも、私は先生の問題意識と同じものを持っておるということを再度申し上げたいと思います。
  58. 沢田広

    ○沢田委員 ODAも九千億に近いものを出しておるわけですから、ODAで出ていく金の先へ行って、何を日本は要請をしてくるのかということがある。ODAで出ていくときには、必ず今度は、じゃ、この武器の輸出についてはこうだ、あるいは麻薬の問題についてはこうだ、そういうようなことを日本からも要請をしながら、あるいは安保の理事国になるための要請もするとか、余り要請したらみんなゼロになるのですから、今年度は何を目標にするか、今までそういうことを要請してきたのかどうか。何か経済援助はしているけれども、見返りは何だったのだろうかということを考えると、もっと国際的に、じゃ、ことしはこれがターゲットでした、ことしはこれがターゲットでしたと言えますか。どうぞODAをやっているところで、外務省の方からひとつお答えをいただきたい。
  59. 川上隆朗

    ○川上政府委員 お答えを申し上げます。  ODAについて被援助国側に一定の意見を申し述べてきたかどうかという御意見と伺いましたが、先生御承知のとおり、ODA基本的にはその国の経済開発というものを目標としながら、人道的な考慮、相互依存の考慮に基づいて、軍事的用途には充てないという基本的な考え方でもって、それぞれの国に供与するという考え方でやっているわけでございます。  他方、今の御指摘のように、武器輸出あるいは軍事的な予算の割合が非常に大きいといったような国に対しまして、ODAの面でどういうような意見をこちらが言っていくかということにつきましては、基本的にはやはり我々被援助国側と政策対話ということをやっておりますので、そのようなコンテクストで我々としての意見を反映させていくということで、先方の善処を求めるというような姿勢をとることが正しいのではないかといったような考え方を踏まえまして、政府としては、今先生がおっしゃいましたような御意見を貴重な御意見として参考にさせていただきながら、今後本当にどうしたらいいのか。これは実は大変難しい問題も含まれております。  と申しますのは、武器援助をやっている途上国と申しますのは、実は非常に多岐にわたる途上国が実際は武器輸出をやっているということでございます。他方、途上国には貧困で非常に苦しんでいるたくさんの国民がいる。そういう国民に対して我々の援助は向けられているわけでございますから、そのような国民の貧困除去という援助の本来の目的というものを何らかの政治的な条件を付することによって阻害するようなことがあってもならないということで、その辺をうまく調整をとりながら、今後考えていかなければいかぬ問題ではないかというふうに我々思っている次第でございます。
  60. 沢田広

    ○沢田委員 今までは何も考えてなかった、これから考える、そういうことが問題なんでありまして、なぜ今までの間にそういう対応に悔いを残さないように、頭を下げるところは下げてもいいですから、こんな麻薬だけは何とかひとつなくすようにしようじゃないかとか、あるいは今度は武器輸出を一割削減することにしようじゃないかとか、ゼロにはできないにしてみても、そういう方向に進めていく外交努力というのが必要だ。ODAで金を出すことばかりではない。あるいは今度の場合に、今度は日本理事にさせてほしい、何かのときに協力してほしいということぐらいを、一年に一つ、一目標ぐらい達成していくというつもりで、まあ一つで三年ぐらいかかるでしょうけれども、三年ぐらいかかっても一つずつ解決していく努力目標がなければ、これは余り感心した今までの外交方針ではなかった。もう次の問題へ行きます、なかったものに言ったってしょうがないから。  続いて、大蔵大臣、国債をこの二月、三月までに出さなければ――六月までに出せばいいのだそうですから、六月までに出すものであれば、無理に今税金を取らなくてもいいのではなかったのかという気がするのであります。今、当面赤字国債で出しておくということだけで、あとの財源についてはより慎重に、今後の戦後の復興も含めながら、全体的なものとしてとらえて対応していくということは考えられなかったかどうか。九十億ドルのことを言っているんじゃないですよ、増税の問題について言っているわけですよ。その増税の問題はもっと後で考えていいのではなかったのか。今からでも遅くはない。今九十億ドルだけで、あとの財源の問題は後刻御審議を願いますと言えば、それで済むわけなんです。出してしまったものですからそうは言えないにしても、ここはつけなければならない理由は何であったのか、また、そのつける意味合いというのは何であったのか、それをお答えいただきたいと思うのです。
  61. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは委員が百も承知でお尋ねになっておられることですから、繰り返しになって大変恐縮でありますけれども、率直にお答えをさせていただきたいと思うのであります。  委員はこれは別の話だと仰せられますけれども、今回政府としてみずから努力をしながら、なお足らざる部分を新たな税負担という形で国民お願いを申し上げなければならなくなった原因というのは、まさにこの湾岸の平和と安定回復のために、湾岸平和基金に拠出をいたそうとしている九十億ドルの財源ということであります。これはまさに、平成二年度におきまして税外収入確保などを行うと同時に、平成三年度の一般会計予算歳出予算等の節減を図り、なお不足する部分につきまして法人臨時特別税、そして石油臨時特別税を創設し、一年限りで御負担を願おうとしているわけでありまして、これは、まずこれだけの財源確保するが、その前に、その拠出を行うためにつなぎの国債を短期で出させていただきたいという考え方でありまして、まさにこれを一括で審議お願い申し上げている理由は、そのとおりであります。  委員は増税措置については後送りでいいではないかとお述べになりますけれども、私はそれは考え方として、委員と同一の線上にはございません。やはり従来の特例公債と同じような形で、財源見通しなしにこの湾岸支援について国債を発行いたしますことは、私は、対外的にも大変安易な財源調達の手法というもので、我々を苦境に立たしめる場面もあろうかと思います。  また、そうしたことよりも、私はちょうど消費税のころから大変たくさんいろいろな方々がお手紙を下さるようになりまして、それが今も続いておりますけれども、先日愛知県岡崎市の竜南中学という中学の生徒さんたちが、一クラス全部のお子さんたちで、今回の措置について自分たちが思うとおりを書いて送ってくれました。もちろんこの中には、増税措置に反対のお子さんも何人かありました。しかし、圧倒的多数のお子さんが今回の措置について賛成をしてくれていると同時に、やはり今起きているこうした事態に対する負担は、今の大人たち時代で終わっておいてほしいという声をほとんどのお子さんが述べておられたことにも着目しております。  私は、やはりお互いの世代のうちにまさに予期せざる事態が起きたわけでありますから、それに対する負担は我々の世代のうちに返しておくことが本筋だと考えておりますし、その限りにおいて、財源の裏打ちのない国債を発行する意思はございません。
  62. 沢田広

    ○沢田委員 それも一つの理由だと思います。もしそうだとすれば、無理して宿舎の施設を減額したり、予備費減額したりしないで、一兆一千七百億プラス金利七百億ぐらいですか、だから一兆二千四百億ぐらいをそのままで、もしその論を取り入れていけば、増税でいかなければ筋が通らないのじゃないのかという気がするのですね。  だから、もしこの九十億ドルというものが国民に対してある種の教育的なもの、あるいは日本は苦労して出したんだという状態を示したいという方法をとるとすれば、増税の中身は別といたしまして、手法としてまず一兆二千三、四百億を取っていくという姿勢が必要じゃなかったのか。なぜ国債の利率はこの中に含めなかったのか。我々もこれを十年とか十五年とかと言っているんじゃな いのです。せめて戦後復興の分を含めて考えていくべきものではないのかと言っているわけですから、私たちの時代の間に物を解決していく手法は変わっていないわけであります。  ですから、二、三年の間に解決していくにしても、今ここで短兵急にこのことを予備費まで使ってつけていく、そして次の年度になったらさあどうなるか、そういう形をとるべきではなかったのではないかというのが今の私の提案なんでありまして、まず具体的な例は、これは大臣じゃなくて、利率はなぜこの中に含まれないで、単年度で返すとすれば、平成三年の四月から収入が入ってくるわけですから、四月から返していくにしてみても、利息の七百億は、じゃどこでだれが負担をしていくんだという論理なのか、お答えいただきたいと思います。
  63. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 技術的な部分につきましては政府委員から答弁をすることをお許しいただきますけれども基本的な部分については私からお答えをさせていただきたいと思います。  確かに委員も御指摘になりましたように、私は当初、平成三年度予算編成直後のことでもあり、さらに、平成二年度内においてもなお予見せざる事態の発生の可能性も否定できない状況の中で、国民生活に影響を及ぼさないということを前提に考えました場合には、平成二年度の残余の予算並びに平成三年度予算そのものに手をつけるという考え方を持っておりませんでした。そしてまた、財政当局として、昨年の夏、各省から概算要求を御提出をいただきましてから、それだけ精査に精査を繰り返し予算を編成してきたというつもりがあったことも事実であります。  そして、そういう考え方を本院におきましても御披露を申し上げ、国会での御論議に臨んだわけでありますが、今日までの御議論を拝聴していく中において、我々としても考えるところがあり、なお政府として努力をすべき点は最大限の努力をしてみたい。そうした中から、平成二年度にわずかに残っております予算の中からも、また、新たに御審議をいただこうとして国会で今御論議をいただいている平成三年度予算案につきましても、政府自身の手で修正を行う決断をいたしました。これはまさに国会の御意見というものに我々なりに真剣に耳を傾けて、その御意見を酌み入れて、改めてその部分を修正させていただいたということであります。  残余の部分につきましては、政府委員から答弁をさせます。
  64. 小村武

    小村政府委員 今回の措置は、まず歳出節減合理化等に最大限の努力を行い、なお不足する部分については国民に御負担お願いするという趣旨のものでございます。  その際、国債は、増税による増収等が追加支援支出の時期に合わないという、いわば資金繰りの事情から発行するものでございまして、その資金繰り、つなぎに要するコストは、通常の発行差減額繰り入れ等、現行のルールに従って繰り入れるということにいたしました。したがいまして、この部分についてまで増税の措置お願いをするということにはいたさなかったわけでございます。
  65. 沢田広

    ○沢田委員 じゃ、発行の利率は幾らですか。それによって、半年ごとに償還するとすればそれがどのぐらい、半々となってくれば金利が出てくるわけですが、その金額はどこで出すのですか。なぜこの会計で組まなかったのですか。
  66. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 この法案の成立を見ました後、九十億ドルの支出を早急に行うという観点から、臨時特別公債の発行につきましても速やかに対応をしてまいりたいというふうに考えております。  今回、割引の方法で期間の短い臨時特別公債を出すわけでございますが、具体的な利率ということになりますと、これを全額市中公募入札の方法によって発行することが適当と考えておりますので、その入札の時点、具体的な発行の時点における金融情勢等に応じた適正な金利水準というものになっていくというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、現段階で金利幾らのものということを申し上げるわけにはまいらないわけでございますが、最近同種の短期国債、いわゆるTB、これを入札いたしました前例を申し上げますと、二月五日に六カ月物で発行いたしましたものは七・四四五という平均利回りになっております。また、二月十四日に入札をいたしました三カ月物のTBは七・二六八%という平均利回りになっております。
  67. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると、この利息は補正予算もしくは来年度になるわけでありますが、この七百四十、だから私は七百億ぐらいかなということを言っているわけです。半年で償還される分がありますから、七百億ぐらいかというふうに想定したのですが、どうしてそれには負担のかけ方としてかけないのか。  どうも今の答弁では、大蔵大臣考えた発想と大蔵の方の事務当局が考えた発想と食い違いがあるんじゃないか。できるだけ出せるものを出しておいて、残りだけを国民負担を求めるという発想、一方は、安易なものでなかったんだという苦労の跡を世界の人に認めてもらおうという意味で、ここで増税を出したんだ、どうもその間には意見の相違、論理の相違があるような気がいたします。これはないと言われるでしょうからこれ以上は言いませんけれども、そういうふうに私には感覚的にとらえられるわけです。これからも今後は戦後の復興資金の場合があるわけでありますから、大胆にそういうものは明確にして、一貫性を持った方がいいんじゃないのかと思います。  続いて、法人税の場合に二百万を三百万に、これは公明党さんの強い御要請があったのだろうと……(「いや、それは違う」と呼ぶ者あり)ああそうですか、違うのですか。違うとおっしゃっておられますが、これを上げたという意味ですね。法人税、二百万ある。二百万あって、大体百万ちょっとが赤字法人、九十万とちょっとが黒字法人。その中から二百万減っても三百万減っても、恐らく半分以上減っちゃうんじゃないかという気がする。これは所得のあるところにかけるという意味でそうしたのだとすれば、これも一兆出すといったものとの精神から見たら、若干これは問題があるのじゃなかろうかなという気がしないでもない。  それからもう一つは、続いて石油税の問題で、さっきの質問でも、船が十隻か二十隻動いているでしょう。三月三十一日に横浜でも、一番近いところの長崎でもどこでも来て、とにかく三十一日に入れれば一円もない。しかし、四月一日に入関手続をとれば一円つく、こういうことと解釈してここはいいですか。  法人税についてと石油税について、そこまでとにかくお答えをいただきたいと思います。
  68. 尾崎護

    尾崎政府委員 御指摘のとおり、今回の法人臨時特別税につきまして、法人税額を課税標準とするわけでございますが、その課税標準とする法人税額は三百万円を引いたものということにしているわけでございます。法人税基本的に単一の税率が使われるわけでございますけれども法人税本法そのものにおきましても、中小企業のための特別の税率等いろいろと配慮がなされているわけでございまして、今回の措置につきましても、やはりある程度配慮することが必要かということから、三百万円の控除を設けたわけでございます。  それから、石油税についてのお尋ねでございますが、確かに三月三十一日に通関を済ませますと今度の臨時特別税がかからない、四月一日ですとかかるということになるわけでございますが、このような現象は間接税の税率を変更するときに必ず起きてくることでございます。したがいまして、御指摘のような混乱を防ぎますために、例えばたばこ税とか酒税におきましては、御承知のとおり手持ち品課税というのをやります。ただ、この石油税は原油課税でございまして、原油のまま手持ち品になっているということがほとんどないものでございますから、そのような措置を講ぜずに、四月一日からの輸入分につきまして課税する ということにしてあるわけでございます。
  69. 沢田広

    ○沢田委員 この法人税は、今言ったような金額以外の公益法人、生協等あらゆる法人に等しくかかる、こういうふうに理解してよろしいですか。
  70. 尾崎護

    尾崎政府委員 三百万円の控除が行われるという意味でございますか。――さようでございます。
  71. 沢田広

    ○沢田委員 これも税をかける方針として果たして妥当なのかなという気もしないものでもない。やはり法人には法人としての性格があって、社会的にそのために税率にも考慮をしてきているものがあったわけですね。ですから、そういう税率に配慮してきたものについて、まんべんなしに控除三百万で、それ以外は二・五とにかく取ろう、こういうことになるわけですから、その意味においての均等性といいますか、利益についてかけるにしてみても、なぜ法人に公益法人、その他普通法人と差をつけた税率がここでは作用しないで平等に取られていくのであろうか。その疑問は、この論理の展開ではなかなかまだ解釈し切れない問題じゃないかと思うのです。  それからもう一つ、これは通産省にお伺いします。  今、一バレル十七ドルぐらい、今後も安定すればもっと十六ドルくらいに、下がるかどうかわかりませんが、生活の方が苦しいから、どうしても下がるだろうと思うのであります。また、為替でいけば現在百三十三円。百三十円ぐらいになったと仮定しても、これは一円を消費者にかけなくともその中で十分相殺できるものであるというふうに思います。これは、原油引き渡しの価格の分は消費価格には影響しないで十分に採算性は可能である、納税は可能である、こういうふうに解釈しますが、通産省の意見はいかがでしょう。  まず主税局の方からお答えください。
  72. 尾崎護

    尾崎政府委員 法人税につきましては、御指摘のとおり、公益法人等につきまして特別の配慮がございます。その配慮が行われて、そして、決まりました法人税額につきまして今回の措置を講じますので、いわば考慮後のものについて課税が行われるということでございます。
  73. 黒田直樹

    ○黒田政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、石油製品の価格は、原油価格あるいは国際的な石油製品の輸入価格の変動に応じていろいろ変動するということはあるわけでございます。特に今回の湾岸危機が発生いたしました昨年の九月以降、私ども、石油製品の価格が便乗値上げにならないようにというような趣旨から、石油の元売会社、結局製品を卸売する会社でございますけれども、石油の元売会社が卸価格を設定する場合に、輸入する原油の価格の変動あるいは輸入する石油製品の価格の変動の範囲内で行うようにというような指導を行っているところでございます。  そういう中で、昨年の九月、十月は、かなり国内の石油製品の値上がりがございました。十一月は、元売会社の状況によりまして数十銭単位でマイナスになったところもございますし、数十銭単位でプラスになったようなところもございます。その後、十二月、一月、二月と石油製品の価格は値下がりになっているのが実情でございます。  それで、お尋ねの、今リッター当たり一円ぐらいの税であれば転嫁しなくてもいいじゃないかというお話でございますけれども、私ども、今回の石油臨時特別税と申しますのは、広く国民負担お願いするという観点から今回御提案申し上げている一つでございますし、当省といたしましては、こういう観点から、最終的には消費者に適正かつ円滑に転嫁されることが必要であると考えているわけでございます。こういう観点から、私ども各油種に等しく転嫁されることが適当であるというふうに認識いたしております。  それで、あと一つ実態的な状況でございますけれども、石油会社の経常利益の状況がどういう状況になっているかということでございますが、平成元年度の実績で見ますと、石油元売会社十一社の利益がリッター当たりでどれくらいになっているかということを計算いたしますと、〇・四円でございます。平成元年度は石油会社にとって状況も環境も若干よくなかった年でございますが、六十一年、六十二年、六十三年度を見ましても、〇・九円ないし一円というのが経常利益の幅でございます。  他方、石油を実際に末端で販売する企業、例えばガソリンスタンドがあるわけでございますが、この売上高経常利益率が昨年度○・三%程度でございます。したがって、これをリッター当たり当時のガソリンの値段で割り返してみますと、〇・三六円という試算ができるわけでございます。実態的にもそういうリッター当たり一円というのは非常に薄い。一円というのは一見小さい額でございますけれども、そういった企業の状況を見ますと決して小さなものではない、こういうことでございます。したがいまして、私どもといたしましては、今後とも関係省庁と御相談しながら、この石油臨時特別税の円滑かつ適正な転嫁を図るために所要の対策を考えてまいる所存でございまして、国民皆様方及び産業界の皆様方に御理解と御協力を求めたいと思う次第でございます。
  74. 沢田広

    ○沢田委員 今の法人税石油税にも論理の上に若干の矛盾がある。法人税は、所得があって、しかも三百万円を切ってその上の、恐らく二百万のうちの結果的には三十万ぐらいになるのじゃないか。もっと少なくなるかもわかりませんが、そういう法人に負担をかけよう。片一方の石油税は、広く薄くみんなに負担をしてもらうのだという論理。私はそれは吸収されてしまうのじゃないかと言ったのですが、もし利益が少なくなったとすれば、それは人手インフレですよね。人件費が高くなって人がいなくなっている。だから、どうしても多くの金を払わなければアルバイトも採用できない。そういういわゆる出先のガソリンスタンドの実情は、言うならガソリンの価格よりも人件費の上昇によって利益が減ってきておる、こういうことなのであって、その点はあなたの言うのは見忘れているところだと思うのです。  もう一回、これは指導するのかどうか。百二十三円、これは百二十四円にするのだ。これは一斉に指導して統一的に価格操作をやるわけですか、やらないわけですか。通産省、お答えください。
  75. 黒田直樹

    ○黒田政府委員 お答え申し上げます。  私ども、値上げをしろというような指導をする予定はございません。ただ、これまでに石油税のいろいろな御議論が新聞紙上等にあったわけでございまして、そういう方向に対しましては、もちろん販売価格政策というのはそれぞれの会社の方針の問題でございますけれども、多くの会社からその分転嫁するという方針が表明されていることも事実でございます。
  76. 沢田広

    ○沢田委員 実は、総理が来ればもう少し中心的なものでと思ったのでありますが、来ないということになりましたので、追加をした問題もございます。  そこで、場面はがらりと変わりますが、フセインが生存している限り各国に出されたゲリラ作戦、これは今後もさらに増幅されると見ているのか、あるいはこれで鎮静化されると見ているのか。このゲリラについては公安あるいは防衛も関係するのかもわかりませんが、公安で主としてお答えをいただきたいし、これは日本もその一翼を担った、向こうから見ればかたき役になるわけでありますから、当然そういうものが来るというふうに考えなければなりません。  若干その時代的な展望を見ますると、サミットがあったときに八十九件、大嘗祭があったときが百四十三件、その間は三十七、三十九、二十七、本年度は四件、こういうゲリラの実態も出ております。このゲリラがつかまらないというのも、これも極めて国民の不信を買っているところであります。それなりの原因があるので、時間がかかりますから言いませんけれども、果たしてこのゲリラに対してどのような対策とどのような方法をとろうとしているのか。当事者は公安でありましょうが、一応お答えをいただきたいと思います。
  77. 吉野準

    ○吉野政府委員 お答えいたします。  海外のいわゆる国際テロにつきましては、むしろ外務省なりほかの当局からのお答えの方が的確かと思いますが、せっかくの御質問でございますので、私の方から一言申し上げたいと思うのであります。  お断り申し上げておきますが、報道で承知しておる限りでございますが、現在までに世界各地で百二十件のテロ事件が発生いたしております。このテロというのは年じゅうあちこちで発生しているわけでございまして、背景がいろいろ異なりますので、百二十件ばかりが全部湾岸戦争絡みかどうか、ちょっと断定いたしかねますが、主なものはこういうことでございまして、アメリカ、イギリス初め多国籍軍参加国の権益を攻撃しておるというふうに承知いたしておりまして、今後やはり情勢のいかんにもよりますが、情勢によっては拡大してくるおそれがあるのではないかというふうに見ております。  一方、お尋ねの国内でございますが、極左暴力集団と呼んでおりますいわゆる過激派でございますが、湾岸危機以来大変騒ぎ立てておりまして、つい先日の二十三日、立太子礼の当日でございますが、三件のゲリラ事件が発生いたしております。これは今後とも広がっていくおそれがあると懸念いたしておりまして、私ども全力を挙げて対処することにいたしております。  対策としましては、何といってもつかまえることであろうと思いまして、今その捜査に全力を挙げております。その実績が余り上がらないのではないかというお話がございまして、そのときはなかなか現場ではつかまらないのでございますけれども、事後捜査を徹底いたしておりまして、昨年一年間では、極左暴力集団と呼んでおる集団の連中二百十一名を逮捕いたしておりまして、その中には、私ども秘密部隊と呼んでいますが、テロ、ゲリラをやる連中が二十八人含まれております。そういうことで徹底的に追及してまいりたいと思います。  なお、御指摘の国民の御協力というのはもちろん非常に大切な要素でありまして、今申し上げました二百十一名につきましても、かなりの部分国民の御協力を得て逮捕いたしておるわけでございますが、今後とも一層努力をしてまいりたいと考えております。
  78. 沢田広

    ○沢田委員 とにかく、罪もない国民が突然被害を受けることであります。通常のあだ討ちとかかたき討ちというなら一対一で、けんかならそれでわかるのでありますが、全然何も罪もない者が被害を受けるということですから、絶対にこういうことを避けていかなければならぬ。ひとつそういう意気込みで逮捕率の向上も心から念願しながら、今後の御奮闘を期待いたします。これで終わりですから、お帰りいただいて結構です。  それから、実は次に防衛庁にお伺いをいたします。  今回の湾岸戦争で、予算委員会も聞いておりましたが、それは余りなかったようでありますが、防衛庁は今までの経済制裁効果があった、こう言っておるのですね。だから、我が党の同士も本会議で、経済制裁に効果があれば、それを続ければとまったのではないのか、こうだれしも考え、やはり経済制裁に穴があいていたから、武力にいかなければ結果的にはおさまらなかったというのが実態なんじゃないのか、私はこの前もこう言ったわけです。この間はいわゆる総ざらいでやったときでしたけれども、今回はこの点については、経済制裁が効果があったと言えるなら、どうしてそれを徹底的にやって、戦争の道を歩まないで済ませられなかったのか、これは私はまだ理解できないことですから、この点は理解できるようにお答えをいただきたいのです。  それから、防衛庁の中で、今の戦争の状態を見て今の日本の防衛というものを考えたときに、注意するところとか相違点というものがあったのではないかという質問に対して、何もなかったと、こう言った。では、パトリオットは金額が高いからかどうかわかりませんが、トマホークは、これはイラクの問題ですが、スカッドは、そういうようなあり方というものを防衛庁としてはどういうふうに見ているのか。  第一、これは日本にはあるのですか、ないのですか。私もよくわかりませんが、聞くところによるとこれほどの正確なものはない、こういうふうに言われているわけであります。また、そんなものを用意する必要があるかどうかという問題も実はあるわけなのですが、そのことは一応別として、全然相違点がありません、大東亜戦争のときと、朝鮮戦争のときと、それからベトナム戦争のときと、これだけ幾つかやってきたけれども、今回やってもちっとも変わらぬという論理には私はいささか異論があるし、そういうふうに思っていないのであります。ですから、その点は防衛庁としてはどういうふうな位置づけで考えているのかということをお答えをいただきたい。  それから、これは答えられないのだろうと思うのですが、また改めてPKOがちょっと頭をもたげているようでありますが、防衛庁としては考えてないと言うだろうと思うのです。大蔵大臣は、これは答弁の所管外だと思うが、金を出さなければ行かれないのですから、これも出さないと言ってくれるのではないかという期待をしておるわけでありますが、この点はどのようにお取り計らいになられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  79. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 ただいま三点ほど御質問がございました。  その最初の、経済制裁が有効であったと言っているにもかかわらず、なぜ武力衝突というか武力行使につながっていったのかという点につきましては、私どもは、その経済制裁云々の問題につきましては防衛庁としては所管外でございますので、後ほど外務省等にお聞き取りいただきたいと思います。  第二点目に、今回の湾岸の武力行使活動におきます状況についての特色ということを御指摘になりました。確かに、そういう目で私どもがこういったものを見ていいのかどうかは別といたしまして、テレビを見あるいは新聞等の報道を見るにつけても、今までの戦争とはかなり違った様相を私自身率直に言って認識をいたしております。  それは、いわばハイテクを駆使した戦争だという印象を持っておりまして、例えば二つぐらい例を申し上げますと、一つは御指摘の中にもございましたように、イラクのスカッドミサイルに対するペトリオットの対応というものが、ある意味では非常に正確に機能しているという事実でございます。それからもう一つの点は、多国籍軍が空爆をいたしましたときに、夜間暗視装置というものを持っていまして、地形の上を地形に従って飛行ができる、かつまた照準が正確にできるといったような点を見ますと、かなりハイテク戦争の様相を認識いたしております。  それで、そういったものを踏まえて、我が国の防衛力整備に直に反映するといったことは別の問題と考えますが、御質問の中にございましたペトリオットを我が国は持っておるのかということでございます。これは、我が国において現段階で現実に配備されておりますのは、対空高射群といたしまして全部で六高射群ございますが、そのうち二高射群がペトリオットに換装されておりまして、四高射群はナイキでございます。ただ、予算的な措置がなされておりますのは、まだオンハンドされておりませんけれども、五高射群についてペトリオットへの換装ということになっております。  ただし、現在配備されております、ないしは配備予定のペトリオットが今回の湾岸戦争において使われましたペトリオットと同質のものであるかどうかについては、必ずしも使われたものの性能が正確にわかりませんので、比較が正確にはできるわけではありませんけれども、そういったものと同一のものではないということでございまして、これも新中期防の中で改善措置を検討している段階でございます。  それから三番目の点でございます。湾岸戦争終了後のPKOの問題の御指摘でございましたが、この問題につきましては、目的、任務が武力行使 を伴わないものでありますならば、自衛隊としてもこれに参加することは当然憲法違反というような問題にはならないわけでございまして、憲法上許されないわけではございませんが、自衛隊にこれらへ参加する法律上の任務規定が必要となるということでございます。いずれにせよ、国連の平和維持活動への自衛隊の参加といった問題につきましては、国際協力の推進あるいは平和への貢献といったような観点から、広く国民世論や国会における御議論を勘案しながら、これから検討していくべき問題というふうに考えます。
  80. 沢田広

    ○沢田委員 後段はその答弁だと思いますから、今後議論をするし、また、していかなければならぬ課題であるというふうに理解するから、早目にいろいろと先走りをしないように、今のうちに注意をしておきたいと思います。  それから、その前には、戦争の状況について前回の私の質問のときには、ほとんど相違点がありませんと答えたので、私もきょう言わざるを得なかったわけなんでありますが、今若干の違いを言いました。  それで、その次には、外務省としての経済制裁の効果の判定というのは、いつの時点でどう判定してむだだと判定したのか、その点をひとつつけ加えてお答えをいただきたいと思います。
  81. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 イラクに対します経済制裁につきましては、昨年の八月六日に安保理決議六六一というものが採択をされまして、これによって非常に広範な経済制裁が科されたわけでございます。これは国連加盟国ではないスイスまでも含みまして、国際的には非常に広く、厳格に遵守をされたというふうに私ども考えております。  これのイラクに対する経済的な効果の問題につきましては、これはいろいろな見方があり得るわけでございまして、実際に例えば基礎的な食糧物資が配給制に移行したとか、それから各種の工業施設の稼働率の低下が見られるとかいうようなこともございましたけれども、結局、問題は、この経済制裁はイラククウェートからの撤退と、クウェートの正統政府の復帰を実現するために行われていたわけでございますけれどもイラク政府は、これに対してそのような国際社会の要請にこたえる気配を全く見せなかったということで、結局いわばやむを得ず決議六七八に移行し、武力の行使が行われるという事態になったわけでございます。
  82. 沢田広

    ○沢田委員 今までざんごうの中にいたら、果たして水はどうだったのだろう、あるいは食物はどうだったのだろうか、こういうふうに考えたときに、評論家の言うことはテレビを見ていてどれも皆当たらないなということをつくづく感じましたが、とにかくどれも当たったのは一つもないということだけは間違いないようです。それで、結果的にもし経済制裁が今まで続いたとしたら、穴の中にいた人たちは果たして餓死していたのか、のこのことはい出たのか、いずれにしてもそういう状況になったのではないか。その点はどのように理解をしているのか。今もし戦争じゃなくても、いや応なしにもう十分に参ったと言って出てくるのではなかったのか、こういうふうに考えるわけですが、その点はいかがですか。
  83. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 先ほども申し上げましたように、経済制裁のその経済的な効果についてはいろいろな見方があり得ると思われます。実際に今回の事態が発生いたしました前に、例えばイラクがどれだけの食料品の備蓄を持っておったか、あるいは工業部品の備蓄を持っておったか、それからその後の農業生産がどうであるかというような事情がいろいろございますので、これは明確にこういうぐあいの効果があったと言うことはなかなか難しいと思います。  いずれにいたしましても経済制裁は現在も継続しているわけでございまして、それに加えて、さらに外交努力あるいは武力の行使、いろいろな手段がとられたわけでございますけれども、今日に至るまでクウェートの行方については依然としてはっきりしないという状況でございます。
  84. 沢田広

    ○沢田委員 さっきは軍事評論家の意見が実際と非常に合わなかったということを言いましたが、今の答弁もちっとも答えてくれてない。もし戦争をしなくとも、あのまま放置して経済制裁を続けていたとすれば、クウェートの中に行っている者、あるいは途中の穴の中にいる者、果たして生存し得たのかあるいは十分に活力を持ち続けられたのか、その見通しだけでもいいですからお答えいただけませんか。外務省ですね、これは。
  85. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 仮定の御質問でございますので、なかなかお答えしにくいようにも思いますけれども、ただ、現在の状況というのは、先ほども申し上げましたように、その後経済制裁は継続しておるわけでございますから、現在各種の報道機関等で報じられておりますような状態、つまり、種々の困難はあるいはあるかとは思われますけれども、そのことによって決定的な影響が政治的な意味で及んでいるというふうな状態では必ずしもないのではないかというふうに考えております。
  86. 沢田広

    ○沢田委員 これには若干意見もありますけれども、ここでやりとりしていましてもあれですので、またバトンを次に譲りますが、これは結果論であります。だから仮定論ではなくて結果論として、もし飛行機の爆撃をやっていただけで、何も血を流さなくとも、どっちかの血は流れたとしても、武力の介入をしなくともこのまま持続をしていたとすれば、当然それでも終戦になっていたのではないのか、そういう気がしますが、これは見解の差というものもありますから、この辺にとどめておきたいと思います。  続いて、湾岸の石油の問題であります。  先ほども質問がありましたが、早晩日本にも淡水化のプラントは必要になってくるだろう。沖縄も実際に五十六日も夏場になると断水が続く。これもそのまま放置しておったのでは、とてもではないですが沖縄の二百七十六万あたりの観光客にも支障を与えるし、まずその財源が減ってしまう。関東平野を見ましても、地盤沈下があり、ダムの建設は遅々として進まない。やはりこれも早晩断水という問題を迎えるであろう。  私がここで言おうとしていることは、今度の戦争をずっと達観してみて、多くの教訓を我々に与えてくれた。だから、いち早くその教訓というものを、今だから教訓になるのであって、のど元過ぎればこれは教訓にはならなくなってしまう。だから、海水の淡水化プラントも確かに高い。値段は今も一立米当たり五百円ぐらいするでしょう。もちろんダムの水でいけばその十分の一ぐらいの金額で済む。そういう価格の差はあるにしても、早晩そうしなければならなくなってくるのではないか。汚染の問題も含まれてきます。  ですから、そういう場合に、例えば今回せっかく飛行機で網まで持っていったのですから、なぜドラム缶一本ぐらい水を持ってきて水質検査をしなかったのか。じゃ、今飲んでいる水の水質検査はしているのかどうか。厚生省は何をやっているんだ、科学技術庁は何をやっているんだ、建設省は何をやっているのかと私は問いたいのですね。なぜああいう教訓をいち早く摂取して、日本が水がなくなってきた場合にはそれによらなければならなくなるわけです。そのときの貴重な材料として使おうという気はないのか。  これはほかの外務省も関係するだろうし、環境庁も関係するでしょうが、それぞれそういう教訓を生かすべきではなかったか、こういうふうに思います。そういう立場で、それぞれがこういう問題について、わざわざ網まで持っていったのだから、飲む水を持ってきたらどうですか。あるいはテレビでは、少なくともそれぞれのテレビ局からサウジアラビアにも記者が行っていたのですから、それから郵送してもらう方法もあっただろうと思うのですね。  ついででありますが、私はあと総理が出てくることを期待しながら、今予鈴を鳴らしたのですよ。委員長、もう一回努力してくれませんか。やはり総理がこの問題について逃げてはいかぬですよ。若い総理だから、疲れたなんてあれじゃない だろうと思うんだね。福田さんあたりまで出てきたんだから、やはり出て、堂々とみずからの信念を述べるということが国民に対する義務だと思うのですよ。来るのならここでやめて、時間を残さなくては。前の人みたいに延長しませんからね。ちゃんと終わらせますがね。ひとつ委員長理事会と語って努力してみてくれませんか。これは大蔵委員会一つの権威に関係することだと思うので、さらに努力お願いいたしたいと思うのです。あとありませんから、どうしてもだめだというなら質問を続けます。どうしてもだめなの。
  87. 平沼赳夫

    平沼委員長 理事会で一応了解をした事項でございますので、沢田委員の御意見はよく体しながら、今後またいろいろ検討もさせていただきたいと思いますが、決められたことでございますので、質問は続行していただきたいと思います。
  88. 沢田広

    ○沢田委員 それでは私の場合はこれであきらめますが、次の質問者については努力をしてもらいたい。沢田がいなくなればまた次はということになるかもしれませんが、気が変わるかもしれませんから、それで委員長は骨折ってもらいたい。  そこで、海水のプラントの問題に戻りますが、各省庁はそういう教訓をなぜ学ぼうとしなかったのか。どれだけの水質の違いがあるのか、その油によって今度は機械にどれだけの支障を与えたのか。あるいは日本だって、ゲリラがそういうことをやらないとは限らないのですから、そういう場合に油によってどれだけ水が汚れるのか、飲料水として適しないのは何なのか、pHなのかあるいは窒素なのか酸素なのか、どれなんだ、こういうことが言えるようにしなければならぬと思うのでありますが、その辺について建設なり厚生なり科学技術なり環境なり、それぞれの立場から、こういう教訓は二度とあり得ないのですから、やはりそれを生かさなければならぬと思うのですね。お答えいただきたいと思います。
  89. 小林康彦

    ○小林(康)政府委員 厚生省の水道環境部長でございます。  日本でも小規模なものでございますが、海水の淡水化によります水道水源は全国で三十ヵ所ございまして、既に簡易水道の補助対象事業等として実施をしております。大都市におきましても逼迫をしておる地域がございまして、現在、沖縄及び福岡市におきまして実施のための調査の段階に入っております。しかし、今までの実施例あるいは現在の検討の中で、今回見られましたような大規模な油によります汚染というものは想定しておりませんで、その可能性は日本においては極めて少ないという前提で計画実施をしておりますので、今回の事例につきましても私ども大きな関心を持って、今後知見の集積に努めていきたいというふうに考えております。
  90. 加藤三郎

    ○加藤(三)政府委員 本件の油流出は、先ほどもちょっとお答えさせていただきましたが、大変規模が大きゅうございます。どのくらいの油が流れたかにつきましてはいろいろな推定がございますけれども、少なくともこれまで経験したことのないけた違いの油の量が流れたのでないかというふうに私ども考えております。これが現在はまだペルシャ湾内にとどまっておるわけでございますが、ペルシャ湾は、先生御存じのとおりの半閉鎖性水域でございます。まだその中にとどまっているわけですが、そのうち外に出る可能性もあるということで、私ども専門家としてはそれなりの検討は進めておる次第でございます。  それから、どういう教訓かということでございますが、実は今回のような戦争によって大量の油が意図的に放出されるという事例は、これまでこんなに大量のものは経験したことがなかったわけですが、油がかなりの量流れるということは過去にもございまして、例えば平成元年三月に米国のアラスカ沖で、非常に大きなタンカーですが、エクソン・バルディーズ号と申しますものが座礁いたしまして、これによりまして約二十六万バレルの油が流出したことがございます。これはアラスカで起きまして、そこにすんでおりますいろいろな、海鳥でありますとかあるいはラッコでありますとか、そういったものに非常に大きな被害を与え、また水産業にも大きな被害を与えたことがございます。  まさにこの経験を生かしまして、現在、こういう油流出事故に敏速に対応できるように、しかも国際協力のもとで対応できるような条約づくりが進んでおります。これは我が国におきましては外務省あるいは運輸省、それから私ども環境庁なども加わりまして対応しておるわけでございますが、こういう今回の事例にかんがみましても、この条約の早期発効といったものの必要性が強く認識されているところでございます。私ども環境庁といたしましても、こういう条約の早期締結などを目指しながら、このような戦争によるこういった事例は非常に不幸な、遺憾な事例でございますが、平和時においても油流出ということはあり得ますので、そういうときに迅速な国際協力ができますように、体制づくりに力を注ぎたいというふうに思っております。
  91. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 建設省としての立場についての御質問としてどのように受けとめるか、二点お答えさせていただきたいと思います。  まずは、建設省としては河川管理者の立場から、治水対策とあわせまして、河川の流況の安定を図ることによって水資源を開発する目的で、多目的ダム、河口ぜき、流況調整河川の建設並びに湖沼の開発等を推進しているところでございます。  利根川のような流域で大渇水のときに、海水淡水化等の問題を検討したらどうかという御趣旨かと思いましてお答えさせていただきますが、まず、現在、特に異常渇水時においても国民生活、経済活動を維持する上で最小限必要となる水を確保するための渇水対策ダム事業等を進めておるところでございます。  海水の淡水化につきましては、先ほど他の省庁から御説明がありましたように、水利用者のサイドを中心として技術開発が進められておりますし、離島その他地理的条件によって、ダム等で対応できない地域において実用化されておると聞いておるところでございますが、これらはすべて小規模であるということ、エネルギー等の問題、コストの問題、それぞれあるようでございます。直ちに利根川のような流域でどうかということについてはいかがかとは思いますが、水利用者サイドの方の検討の進み方によりましては、我々も必要に応じて関係省庁と連絡をとって、水資源の安定供給の立場から努力してまいりたいというふうに考えておるところでございます。  それから、河川内に石油等いろいろな汚濁物質が流出したような水質事故時における対応でございますが、現在、一級河川の直轄区間におきましては常時水質観測を進めておりますし、また水質の異常事態等を発見した場合には、直ちに利水者との関係におきまして水質事故の連絡網体制をしいておるわけでございます。また河川内における汚濁物質、特に油等につきましてはオイルフェンスを常時用意しておりまして、直ちにその除去作業を行うことによって対応しているところでございます。
  92. 沢田広

    ○沢田委員 今まで述べたところでいろいろと違っているところもございますし、また、考え方がどうも政府部内の中でも一致しない面もあります、法人税の問題にしてもあれにしても。どうも負担を求めていく発想の原点が、極端に言うと、ただそこの部分から取るという発想であって、何か一貫した思想性というようなものにちょっと事欠くのではないか。これは後の質問者に譲ります。  それで、一つずつ聞きますから、外務省ちょっと立っていただきたいと思うのですが、即時無条件撤退は終わりましたか終わらないか、イエスかノー。そこに立ったままで答えてください、一問一答でいきますから。
  93. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 現在の時点におきましては、イラク政府は依然として六百六十以外の安保理決議を受諾しないという立場をとっておりますので、そういう意味では即時無条件撤退はまだ実現していないと判断しております。
  94. 沢田広

    ○沢田委員 じゃ、六百六十一号の包括的経済制裁措置はまだ十分でないと見ているのですか。
  95. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 決議六六一の経済制裁措置は、先ほども申し上げましたように、国際的には極めて広く、厳密に遵守されていると考えております。
  96. 沢田広

    ○沢田委員 それから、次は六六六になりますが、イラクへの医薬品、食糧の輸出の問題についてはどう評価されていますか。
  97. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 決議六六六は、決議六六一に基づきます経済制裁との関係で、食糧を人道的な見地から供給するにはどういう段取りが必要であるかということを定めた決議でございますが、最近に至りまして、この決議に従って国連、WHO、それからユニセフであったかと承知いたしますけれども、これが若干の食糧をイラクに供給したというふうに承知しております。
  98. 沢田広

    ○沢田委員 続いて、六六七のフランスの大使館の侵入事件については、これは賠償問題になるというふうに理解していいですか。
  99. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 お答え申し上げます。  賠償問題につきましては、別途六七四号という決議が……
  100. 沢田広

    ○沢田委員 いや、そうじゃない。私が言っているのは、フランス大使館の侵入事件というものの後始末は賠償問題となるというふうに解釈――ほかになるんだったらほかに答えてください、賠償問題を聞いているのじゃないから。
  101. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 この外交使節団に対する侵害につきましては、当然損害賠償の問題はあるわけでございまして、この問題もこれから片づけるべき問題でございます。
  102. 沢田広

    ○沢田委員 では続いて、六百七十のイラクの空域封鎖は継続中と解釈していいですか。
  103. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 空域封鎖も現在有効でございまして、継続中でございます。
  104. 沢田広

    ○沢田委員 続いて、六百七十七号の戸籍の保護というのは、これは相当な期間がかかるのだろうと思うのでありますが、これが完了しなければ終戦とは言わないということと考えるのですか。
  105. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 ただいま先生御指摘の決議は、クウェート政府イラクの侵略がありました時点で国外に持ち出しましたクウェートの戸籍につきまして、これを国連の事務総長に保管するということを決定した決議でございます。
  106. 沢田広

    ○沢田委員 それで一応終了したということになるわけですか。
  107. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 したがって、それを国連事務総長がこの決議に従って現在も保管をしておるということでございます。
  108. 沢田広

    ○沢田委員 はい、わかりました。  最後に、通信衛星、それから経済企画庁に戦後復興日本経済に与える影響を聞きたかったわけでありますが、戦後復興状況については、経済の負担なりあるいは世界復興資金見通しなりが不明でありますので、これはもう少しわかってからということにします。ただ、こういうものに対する見通しというものは早期に立てて、国民ができるだけ余裕を置いて検討できることが望ましいと思うのであり、アメリカが決めなければ日本は決まらないというのでは、いつになっても一人前になれないということで、これは苦言を呈しておきたいと思います。  それからもう一つは、通信衛星の利用について、先般のテレビなどをずっと拝見しておりまして、容量はあるんだそうでありますから、もっと世界各国意見、東南アジアの各国意見、中国の意見等々も、こういう機会に通信衛星を使って日本国民に十分に知らしめる、そういうことがあっていいんじゃなかったのかというふうな気が私はいたします。いわゆるアジアにある日本としては、アジアの諸国がどう考え、どう行動するかということを知ることも判断の大きな一つでありますから、アメリカの通信衛星で放送するとかあるいはソ連のものを利用するとかだけでなくて、こういう機会にもっとアジア諸国の状況を把握をする、そういうことの機会を与えてもらえるように政府において措置してもらいたい。また、そういうことが常日ごろ必要ではないか、こういうふうに思いますので、この点は郵政省からお答えをいただいて積極的に進められるよう期待しながら答弁を求めていきたいと思います。
  109. 森本哲夫

    ○森本(哲)政府委員 お尋ねでございます各国との国際通信は、先生御案内のとおり、各国の事業体が相手国とそれぞれ回線設定をして情報交換を行っているわけでございます。現在の通信手段としては、海底ケーブルそれから通信衛星、この二通りがあるわけでございますが、この通信衛星は、太平洋の上、インド洋の上、そして大西洋の上、こういうふうに置きますれば各国が共同して国際通信ができるわけでございますので、現在百十の国が加盟をいたしまして国際電気通信衛星機構、こういう共同体を組織してやっているわけでございます。  現在、日本各国との間は、従前のKDDのほかに、新たに二つの事業体が参画をいたして国際通信をやっているわけでございます。現在のところ、この回線の問題について不足はないというふうに私ども判断いたしておりますが、御指摘のような形で国際交流が盛んになりますので、回線の確保については、今後とも政府としても十分事業体を指導してまいりたいと考えておるところでございます。
  110. 沢田広

    ○沢田委員 一つは、アジアにおける、日本海における衛星というものが必要になると思う。これはソ連がうんと言うか、どこがうんと言わないかという問題がある。しかし、そういうものによってこれからの冬の気候とかあるいはその他の通信とか――ソ連のウラジオに行ってもモスコーの放送をやって、夜中でもサッカーをやっているのですから、それはやはり向こうでも欲しいのだろうと思うのですね。ですから、そういう意味日本海に一つどうしても必要だ。  それから、南太平洋に台風の時期に向けてどうしても通信衛星を浮かべてというか、台風の移動というものをさらに的確に把握をしていくということも必要です。戦争ばかりじゃありません、そういう利用もあるのですから、ぜひひとつ積極的に、これは大臣もひとつ聞いていてください。そういうことも平和手段としても十分利用できるのですから、これはやっぱり大臣から答えてもらった方がいいですね。あなたでは任が、肩が重いでしょう。だから大臣から、そういう視点もあるということを含めて、そういう利用の方法でアジアにおける通信、それからまた台風の時期における気象通信も含めて、もっと正確に国民理解できるような対策を講じておく。もう一つ言えば、台風の進路を変えるぐらいのものをひとつ見つけてやってもらわなければ困る、こういうふうに思います。今の段階では、これは冗談で言っているわけですが、大臣からお答えをいただいて、私は二十四分ですから、大体これで終わります。どうぞお答えいただきたいと思います。
  111. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 なかなかおもしろい御指摘だなと思いながら拝聴いたしておりました。殊に山登り屋の私にとりましては気象衛星の大切さは骨身にしみておりまして、興味深く拝聴しておりました。ただし、予算はそう簡単につくとは思いません。
  112. 沢田広

    ○沢田委員 終わります。
  113. 平沼赳夫

    平沼委員長 富塚三夫君。
  114. 富塚三夫

    ○富塚委員 沢田委員の方からも申し上げましたが、この法律案は、きのうの本会議で趣旨の説明がなされまして、各党代表の質疑が行われ、夕刻から大蔵大臣のこの法案の趣旨の説明がさらにありました。     〔委員長退席、村上委員長代理着席〕  審議する前提といたしまして、この湾岸戦争に対する支援ということを、つまり財政支出財源措置について審議をするわけですが、戦争は外交の延長線上に極限に達したときに起きる、こう言われているのですけれども、外交問題の判断を抜きにしてこの法案審議できないと私は思っている一人です。外務大臣の出席、防衛庁長官の出席を要請したのですが、きょうは出席できないということなので、理事会が了承したので了解を してほしいという委員長からのお話がありましたが、大蔵大臣がすべて政府を代表して、すなわち、外務大臣防衛庁長官の見解という立場に立って答弁をしていただくということで結構でしょうか、まずお尋ねをいたします。
  115. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は大蔵大臣としてこの海部内閣に席を占めております。それ以外の立場として、国務大臣としての一般的な立場でお答えできる問題もあろうかと存じますけれども、専門分野につきましては、それぞれ専門家が参っておりますので、十分に御答弁を申し上げられるであろうと存じます。
  116. 富塚三夫

    ○富塚委員 政府は一体という原則が一つはあるわけですが、現実に各省庁の説明をされる方、説明員の方々の答弁だけで外交という問題あるいはそれぞれ防衛の所管に対処する問題など、これが果たして判断できるのかどうかということになると、私は、大蔵大臣は実質的にこの問題に対処してこられた中心的な方ですから、大蔵大臣に具体的に外交の問題点についてもいろいろお尋ねをして見解をいただくということで進めさせていただきたい、こう思います。  まず第一に、九十億ドル支出の問題が、ニューヨークで開かれたG7、すなわち先進七カ国の蔵相・中央銀行総裁会議の席上、プレイディ財務長官と橋本大蔵大臣の間で約束された、また、昨年の二十億ドル拠出を決めたときに、八月から十二月の米軍出資が百億ドル必要、その二〇%負担が暗黙の了解事項とされていると一部報道されているのですが、そういうことは真実なのでしょうか、大蔵大臣
  117. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 昨年八月の二日に突然イラククウェートに侵入を開始し、そのまま占領状態に立ち至ったことは委員御承知のとおりであります。  その直後、日本政府として、この湾岸の平和と安定回復のためにまず十億ドルの多国籍軍に対する資金協力を決定いたしました。しかし、その後に周辺諸国にも経済影響がだんだん出てくる情勢の中で、私は、たしか九月の、何日からでありましたか忘れました、八月の末に日本を飛び立ちまして、九月の初旬、フランス、ドイツ、イタリー、イギリス、欧州四カ国を回りながら、各国大蔵大臣たちとこの湾岸情勢について財政当局の立場での論議を交わしておりました。その欧州におります間に、プレイディ財務長官がブッシュ大統領の特使として日本を訪問されるということが確定をし、急遽私はイギリスから飛んで帰りまして、総理との会見、そしてその後今度は私とプレイディさんの会見、二つの会見をいたしました。  その際、確かに、あと十億ドルの多国籍軍に対する資金協力を得たい、また周辺国、ジョルダン、トルコ、エジプトの三カ国を指定して、その三カ国に対して支援を求めたい、自分たちとしては二十億ドル余りの資金が欲しい、それぞれの国と相談した結果でそんな感じであるという話がありました。ただ、その時点で、ヨーロッパ各国と相談をして帰りました私にはためらいがございました。というのは、旧植民地と旧宗主国との関係において、ヨーロッパの国々が周辺国として定義をする国にはそれぞれに違いがございました。それだけに、アメリカが例示として挙げました三カ国だけで周辺国支援がとどまるかどうか、その時点では判明いたさなかったわけであります。ですから、その時点で私は返事を留保いたしましたし、総理も今後検討ということを述べられ、個別に会談をされました中山外務大臣もそのような御答弁をされたと思います。  その後、日本政府部内において相談の結果、あと十億ドルの多国籍軍に対する資金協力と同時に、周辺国、これをジョルダン、トルコ、エジプトと三カ国に規定をいたしまして、とりあえずの周辺国支援というものをまとめたわけであります。ただし、それはその後周辺国がふえないという意味ではございません。その時点における三カ国という合意のもとに、今後なお影響がふえる国があるかもしれないということでこれが決定をいたしました。その時点においていつまでの負担という区分はございません。  しかし、その後だんだん情勢が変化をし、厳しい対応を迫られる空気に国際的にも変わりつつあります中で、さまざまな連絡が各国の間を駆けめぐっておったことは否定をいたしません。そして一月十七日、多国籍軍がついにクウェート領域内からイラク軍を実力で排除するという行動に出ました時点からまた様相が大きく変わりました。  私がG7でニューヨークに参りましたのはまさにその時期でありますが、G7の席上で多国籍軍に対する資金協力論議をされたという事実はございません。G7の席上で論議の対象になりましたのは、多国籍軍についてではなく周辺国支援についての問題でありました。これは、影響がどの程度広がるか、また、それぞれの国が関心を持つ相手国が違いましたために、結論めいたものまで至らなかったというのが実態であります。  委員がお述べになりました話は、恐らくプレイディ財務長官と二十日の日、G7に先立ちまして個別会談を行ったときのことであろうと存じます。この席上、確かに湾岸危機への支援について日本協力の重要性というものについてはお話がございました。私の方からも、我が国としても日本国際社会における地位というものに相ふさわしい協力をする用意があるという発言はいたしましたし、意見交換はいたしております。ただし、その時点で九十億ドルという数字が出たのかというお話であれば、これは出ておりません。そして、当時の報道等をお調べいただきましても、直接の証明にはなりませんけれども、当時アメリカにおいて数字的に確定したものはなかったという事実を申し上げるにとどめたいと思います。  この数字が決定をいたしてまいりましたのは、私が日本に帰国をいたしました後、それぞれG7に参加しました各国の代表と個別に情報の交換もいたしましたし、アメリカの判断もさまざまな角度から聞いておりましたし、そうしたものを総合的に総理に御報告し、その後政府・与党首脳会議を開き、最終的に総理が決断をされた、九十億ドルというものを決定されたということであります。
  118. 富塚三夫

    ○富塚委員 二〇%の負担ということが大変気になる問題なんですけれども、ある報道によると、九十億ドル支援はプレイディ財務長官から橋本蔵相ということで、まさに実力者に照準を当ててこの問題を決着をつけよう、また自衛隊機の派遣はアマコスト駐日大使から小沢幹事長に、こういったぐあいに、それぞれ日本のいわゆる中枢の実力者に話を呼びかけてなされたと一部に報道されているわけです。私は、やはり二〇%、二割負担が今後もずっとそういう問題につながっていくのではないか、あるいはそういうことの約束があるのではないかということを非常に懸念するわけですけれども、それは数字の上では具体的な問題にはなっていないのですね。
  119. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 日本二〇%負担論というものがしばしばマスコミ等をにぎわしておることは私も聞いております。ただ同時に、この数字の話が当初報ぜられましたころ、アメリカ日本に二〇%、ドイツに一〇%というふうに数字が伝えられておりました。いつの間にかそのドイツの話は消えてしまいまして、日本の二〇%という話だけがいまだに世上つぶやかれております。  しかし、日本はむしろ全く人的な貢献ができないままに九十億ドルの多国籍軍に対する資金協力に踏み切ったわけでありますが、ドイツは、アメリカ一カ国に対し五十五億ドル、イギリスに対して五億四千万ドル、合計六十億四千万ドルを負担いたしておりますし、さらに、日本と同じように憲法上の制約があるとはいいながら、NATOのエリアの中ではドイツ軍を動かすことができる立場を利してトルコまで戦闘機部隊を派遣し、トルコから発進をする多国籍軍機がイラク軍機の攻勢にさらされた場合にはともに防衛につく準備を整えてトルコまで兵士を派遣いたしております。一〇%と二〇%という組み合わせが論議をされておりましたのがいかに事実と違うかという実例で御 判断をいただきたいと思います。
  120. 富塚三夫

    ○富塚委員 今回の法律案の第一条に九十億ドル支援の趣旨が書かれています。「湾岸地域における平和回復活動湾岸地域における平和と安定を回復するために国際連合加盟国が行う活動)」、こう規定をしてあるんですけれども、この「平和」というのは停戦を指していて、「安定」というのは復興意味しているのかどうかということについて、この法律のいわゆる定義の問題についてちょっとお聞かせいただきたい。
  121. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 もし私の理解が間違っておりましたなら事務方の専門家から訂正をしてもらいたいと思いますが、私は、今委員がお述べになりましたようなものではないと心得ております。  ただ単に停戦ということでありますならば、主権国家でありましたクウェートという国の独立回復いたしません。また、クウェートという国がイラクから侵略を受ける直前まで存在をしておりました合法的な政府クウェートに復活をいたしません。ここに意味するものは、大国イラクが小国クウェートを侵略し占拠し、その国土を破壊し、資産を奪い、そうした状況の中でたび重なる国連安全保障理事会決議により、イラククウェートから退去するとともに正統な政府の復帰を認め、クウェート独立、主権というものを認め、さらに与えた被害というものに対して賠償を行う、こうした要素を含んだ国連安全保障理事会の六百六十から六百七十八に至る一連の決議の内容すべてを包含しておるもの、私はそのように考えております。
  122. 富塚三夫

    ○富塚委員 九十億ドル以上の支出の問題がいろいろ議論されているわけです。つまり、地上戦に突入をした、九十億ドル負担では我が国の援助は足りないのではないか。ある自民党さんの実力者も、場合によってはたばこ税を考慮すべきであるなどとも言われているわけですね。結局どのような拠出の定義といいましょうか、今回考えていくべきかという点が非常にあいまいなままに受け取られているということについて、また、恐らく地上戦が停戦になる、そして新たな停戦後の復興対策としてさまざまな課題に援助しなければならないという問題も出てくるのではないかというふうにも見られている。だから、この第一条の定義にある「平和」とは、「安定」とはという問題はやはり非常に大事な定義の問題であろう。この法律を読めば、もうこれ以上の支出はないのだ、もう一切これで終わりなのだというふうに受けとめられても間違いないんじゃないか、私はそう思うのですが、その点はいかがなものでしょう。
  123. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、国連安全保障理事会決議六百六十から六百七十八にかけての十二本の決議意味するものは、イラククウェートから撤兵をするだけではなく、クウェートという国の独立した主権を認め、その正統な政府の存在を認め、再び国境を越えて侵犯を侵すようなことはしない保証を行うとともに、クウェートに与えた被害というものをみずから償う、こうした一連の行動を含んでおるものと思います。そして、その限りにおいてこの法律が想定いたしておりますものは、まさに八月二日以降湾岸に起きておりました異常な情勢、すなわち大国の一方的な小国への侵略と占拠、合法的な政府の覆滅といった行動に対しその是正を求め、そしてそれが幾ら国際社会の意思として通告されても従わないイラクという大国に対し実力をもってこれを排除する行動が現在起こされ、続行中であるという状態、ここまでの部分を考えておるものと思っております。  そして、その限りにおきまして少なくとも私は、平成二年度うちに追加の支出を行わなければならないような状態が来るとは思っておりませんし、また、湾岸において平和が回復した後において、破壊された国土の再建ということについて、あるいはこの湾岸における異常事態の影響を受けた、これは周辺国だけではございません、御承知のように労働者を多数現地に送り、その送金によって国の経済を支えていた国も多数あるわけでありますから、こうした影響までを見定めて日本として協力をしていくという部分になれば、これはまた私はおのずから別な問題であろうと思います。
  124. 富塚三夫

    ○富塚委員 一日五億ドル、三月までで四百五十億ドル、まあその二割負担という一つの流れがある。しかしこの法律では、九十億ドル支援財源を生み出すための法律として、今言いましたようにいわゆる平和と安定ということを明確にしている。また、次に出てくる問題が一体どうなってくるのかということを考えてみるときに、もっと政府の態度というものは明確にしていく必要があるのではないかと私は思っています。  次に、一日五億ドルで三カ月四百五十億ドルの積算は非常に過大な見積もりではないのかということの問題についてお尋ねをいたしたい。  これはアメリカの海軍協会の発行するプロシーディングス誌の一月号に掲載されたもので、日本の横須賀を母港とした巡洋艦ウォーデンの艦長も務めたJ・E・リーブマンさん、海軍大佐、退役された方のこの問題提起なんですが、アメリカでは非常に価値ある問題提起として評価されていると実は聞いています。数年前まで海軍省海上戦計画資金部長であったというこのリーブマンさんの提起ですが、戦費あるいは非戦費、一般に戦闘費に使われるのは戦費、あるいは復興や避難民の救済に使われるのは非戦費という点で、これは明確にして積算をすべきであるとこの方が提起されている。  で、彼が指摘しているのは、「アメリカの議会や納税者の要求は、この戦争がなかった場合と比較してどれだけ余分に戦費を支払わなければならないのかということであり、チェイニー国防長官が湾岸作戦の準備、すなわち砂漠の盾に一カ月十四億ドルから十六億ドルかかり、戦争になれば数倍になると言っていることは、どうしても理解ができない。例えば、この戦争によって人命損失の数が膨大にならない限り、数倍に膨張される理由とはならない。それとも、これを機会に軍艦や爆撃機を大量に建設する気持ちになっているのか。」と疑問も投げかける一方で、いわゆるこの「戦争が終わったときに、現在のような米ソの関係を続けるとするならば、軍事力を現在水準に維持する必要はなくなってしまう」のじゃないか。また、「コストを高く見積もって、」、何かアメリカではB2爆撃機のようにコスト高見積もりが問題にされているそうなのですが、「大きな数字を宣伝することが、果たして戦争終結のとき軍事費の大削減となってはね返ってくることも考えておくべきではないか」と警鐘を鳴らしていると言われているわけです。  「戦費とは何か」ということの問題で、「今使われているミサイル爆弾あるいは食糧などの兵たんの大部分は、この湾岸戦争のため現金を出して調達したものではなく、すべて今までに調達し備蓄していたもので、既に過去の予算支出したものである。軍艦も飛行機もすべてこの戦争が始まってから建造したものではない。したがって、破壊される軍艦や飛行機を補充し、消耗した弾薬などを補充するといったものではないから、新規調達をしない限りこんな膨大な金額は必要としない。」と述べているわけです。  また、「国防長官が、湾岸戦争が開始されたら現在の数倍の戦費がかかると述べているが、これは全く根拠がない積算だ」というふうに指摘しておって、「この戦争で余分な支出となった金額を「戦費」と呼ぶとすれば、兵隊の給料では危険手当相当部分、作戦行動の関係では飛行機など出撃回数の増加に伴う燃料など消費部分だけだ。」  これは間違いなくこういうことなのであって、まさにこの見積もり額が過大ではないかと指摘されている。  そういうことを考えてみると、どうもこの四百五十億ドルの積算という問題も、本当に全体、つまり今参加をしている国連安保理事会の決議に基づく多国籍軍の関係者の間でそういう理解が十分されているのかどうか、ちょっと大蔵大臣の所見を、考え方をお聞かせいただきたいと思うのです。
  125. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今委員が御紹介になりました方 の論拠を私は十分に存じません。しかし、先ほど申し上げましたように、少なくともG7で私がニューヨークに参りました時点で、正確な試算というものは存在しなかったということを私は申し上げました。  御参考までに、バウシャーという会計検査院長が一月四日に下院で証言をいたしております証言がございます。これは湾岸の戦闘開始前の数字でありますから、そして戦争がない、そのまま対峙の状態が続くことを前提にした試算だと思われますが、この方は、約三百億ドルという数字を口にのせておられます。また、一月十五日に議会の予算局が試算をいたしました数字は、二百八十億ドルから八百六十億ドル。ただしそれは、一九九一年度分と九二年以降が入っておりますけれども、一九九一年分で申しますならば、百七十億ドルから三百五十億ドルという幅を持っております。九二年以降に続くものは、百十億ドルから五百十億ドルまでの幅を持っておりまして、合わせて二百八十億ドルから八百六十億ドルという非常に幅の広い数字になっております。また、ホワイトハウスが補正予算関係で記者発表をいたしました資料、これは二月の二十二日に発表されたものでありますが、一九九〇年の十月から一九九一年三月までの分、これを約四百億ドルプラス戦闘にかかる費用としておりまして、その戦闘にかかる費用については現時点では確定できないということになっております。  いずれにいたしましても、今委員がお述べになりました四百五十億という数字に当たるものは、会計検査院長の下院証言におきましても議会予算局の試算におきましても、また今回発表されましたホワイトハウスの補正予算関係記者発表資料の中にも出てまいりません。非常に幅のある数字が出されているということを御理解いただきたいと思います。
  126. 富塚三夫

    ○富塚委員 私が言いたいのは、その四百五十億ドルという問題の積算、つまり一月から三月までを想定してそれだけかかる。もちろんそれには空爆も地上戦も想定をして、多国籍軍にかかる費用としてそれだけのものを想定をして積算をした。しかし一方では、今申し上げたようにアメリカの中で、じゃ戦費とは、軍費とはというようになったときには、今までの予算で全部つくられてきたものを、それを使っているんじゃないのか。ということになると、一体その戦費の積算の根拠というものは、何か大づかみに話を決めて、そして日本にも割り当てるみたいなことになっているのではないかという点で、そういう点についてのいわゆる戦費の積算の問題にどのように我が国がかみ込むといいましょうか、そういうことの中に我が国の見解なりあるいは意見を示しているのかということについて尋ねたいのです。
  127. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 まず第一に申し上げたいことは、我が国は戦費を負担をいたしておるという考え方ではございません。我が国が今国会に御審議お願いし、御了承が得られるならば、政府自身努力の上に国民にも追加的な臨時の御協力を得たいと願っておりますものは、あくもでも湾岸の平和と安定の回復のために国際的に日本負担するにふさわしいだけの金額を支援したい。たまたま今実力によるクウェートからのイラク軍の排除という行動が出ておりますから、戦闘が現実にあるということはそのとおりでありますけれども、あくまでも湾岸平和基金に我々は拠出するのでありまして、しかもその九十億ドルの全額がアメリカが使えるものではございません。これは委員既に御承知のように、昨年第二回目に、補正予算の御審議を願い、日本が拠出をいたしました十億ドルが、細かい数字は外務省の諸君から説明してもらっても結構ですけれどもアメリカはもちろん一番多数の兵士を現地に送っておりますから一番大口の使用者ではありますけれども、たしか十カ国ぐらい配分をされているということを申し上げなければなりません。今回の九十億ドルの支出湾岸平和基金において各国からの要請を踏まえて配分が決められるわけでありまして、圧倒的に米軍が多いわけでありますから、多国籍軍の中で米軍における配分が大きくなると思いますけれども、それ以外の国も対象になるものであるということをまず御理解を願わなければなりません。  そして四百五十億ドルという数字、確かに私もマスコミその他で四百五十億ドルという数字を拝見をいたしました。しかし、アメリカの下院における、議会における会計検査院長の証言、また議会予算局の試算、ホワイトハウスの補正予算関係の記者発表資料、それぞれを今例示で申し上げましたように、四百五十億ドルとして固定された数字は、議会においてもまたホワイトハウスからも出ておらないということであります。
  128. 富塚三夫

    ○富塚委員 今国民がこの法案の決定を非常に注目しているという中に、政府の答弁が繰り返し繰り返し変わっているという一つの事実。それはどういうことか、私の見解ですから……。  九十億ドルは軍費に使わず、食糧や輸送、医療、通信費などに使わせることにしたい、この資金はそういうふうにしたい。しかもそれは、この法律第一条にも明記されていますように、資金の拠出する先は「湾岸アラブ諸国協力理事会に設けられた湾岸平和基金」に拠出する、こう明記されているわけです。しかし、これはもう二番せんじの議論になるかもしれませんけれどもアメリカ政府補正予算案、議会提出の中の報道によると、一括してアメリカの国防予算会計に組み込まれるということを言われているので、そう見られているので、これが、湾岸平和基金に拠出するということと、アメリカからの答弁も、予算委員会の答弁を見ますと、前段の段階から、後段はいわゆる非戦費に使うかのようなそういう答弁に変わってきている、見解に変わってきている。しかし、今政府は再び、第一条に湾岸平和基金に拠出すると明記しておきながら、なぜそのようなアメリカ側の対応が出てきているのかということについて、国民はやはり真実を知りたい、こういうふうに私は思うのです。そういう点を、この法案を採決するに当たってはやはり明確にしていただきたい、こう思います。
  129. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 多少言葉が過ぎればお許しをいただきたいのでありますが、私は日本の閣僚として、日本の国会において、しかも大蔵委員会という権威ある委員会において日本政府としての考え方をきちんと申し述べております。アメリカアメリカとしてのルールでいろいろなことをお考えになるのかもしれません。そして私も、予算書の附属資料に今委員が述べられたような記載がされておることも承知をいたしております。これは現に国会で御審議中のために、多国籍軍に対する資金拠出として日本政府が予定している九十億ドルのうち幾らがアメリカに配分をされることになるのかが未確定な状況の中で、我々流に言いますなら、いわば枠取りのような形で九十億ドルという数字を仮置きしているのではないかと思いますが、いずれにしても、日本政府は多国籍軍に対する資金協力湾岸平和基金を通じて行うのでありまして、アメリカの国防総省であれ財務省であれ国務省であれ、そこにじかに拠出をいたすわけではございません。そして、湾岸平和基金においてその使途は相談をされ、ルールに従ってそれぞれの国に定められた枠が配分をされていく中で、圧倒的に多い米軍でありますからアメリカに向けられるものが大きな分野になるとは思いますけれども、全部がアメリカに行くわけではないということは、事実をもって外務省からも説明をお聞きいただきたいと思います。  そして、ベーカー国務長官の議会証言の中にも、たしか一回は全部おれのところに欲しいという話があったと思いますが、その次のときには、その九割ぐらい、九〇%ぐらいは自分の方に欲しいという発言もありますし、私のカウンターパートでありますプレイディ財務長官の予算委員会における証言の中には、アメリカ以外にも、イギリスとフランスの国名を挙げておられましたが、等に配分されるということを述べておられまして、九十億ドル全部がアメリカに向けられるものではないということは、現ブッシュ政権の主要閣僚自身が議会で証言をいたしております。
  130. 富塚三夫

    ○富塚委員 国民の税金、血税を拠出をして、そして湾岸戦争に貢献をする。だから、政府が言ってきたように、非戦費に支出をするという明確な立場と、この資金の拠出先というものに困難が起きないように明確に対処していく。それは大臣は、アメリカアメリカ対応日本日本対応、いろいろ言われましたけれども、しかし現実には湾岸の平和基金の中に拠出をするということが明確にされなければならない。それは同時に、日本は戦費に充てないということの考え方を打ち出しているのだから、そこのところをはっきりさせていくように私はすべきであると思っています。そういう点は、何か私の感じでは、予算委員会のやりとりの中でも随時変わってきて、明確な統一見解は出されたとしているけれども、どうもそういった一つの流れについて国民不信感を持たざるを得ないという実態については、やはり反省をしてきちっとしていただきたい、こう思います。
  131. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今御審議をいただいております第一章総則第一条の中におきまして、明確に「湾岸アラブ諸国協力理事会に設けられた湾岸平和基金に対し」と拠出先を明示をいたしております。委員政府の答弁が二転三転したと言われますが、一転もいたしておりません。最初から同じことを申し上げております。  ただ、もしそういう意味での誤解が生ずるとすれば、湾岸平和基金からどのような形で資金が流れるかについて、繰り返し政府は答弁をいたしておりますけれども、本委員会において細かく申し上げた機会がありませんので、お許しをいただけますならば外務省からその点についてはっきりお話をさせていただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。
  132. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 従来湾岸平和基金に対しまして日本は十九億ドルを拠出しております。最初の九億ドルが九月で、その次の十億ドルは十二月でございますが、この十九億ドルの流れについて申し上げます。これが基本的には今回の九十億ドルにつきましても当てはまるものでございます。  この十九億ドルは、先ほど大蔵大臣お話しになりましたように、日本政府よりGCCの中に設けられました湾岸平和基金に払い込まれております。湾岸平和基金の運営委員会、これは、GCC六カ国を代表いたしますビシャーラ事務局長日本を代表いたしますサウジアラビア日本大使が構成しておりますが、この運営委員会におきましてこの具体的な使途、国別配分を決めてきております。従来は資金協力とそれから物資協力の二本立てでございますが、この資金協力に関しましては輸送関連経費ということを決めて、この資金協力のお金は輸送関連経費に充てるということをこの運営委員会を通じてしっかり確保してきております。これは、資金協力は従来十カ国でございましたけれども、最近さらにふえまして十三カ国を対象にしておりますが、全体として資金協力及び物資協力合わせて十三カ国になっておりますけれども、この十三カ国に対しまして、それぞれの国がそれぞれのメカニズムでやっております。  アメリカの例で申し上げれば、湾岸平和基金から財務省の口座、これは防衛協力基金と呼ばれておりますが、財務省の口座に払い込まれ、そしてアメリカ政府は、この湾岸平和基金からこのお金は輸送関連経費として受け取ったということを国内的にもはっきりさせておりまして、議会にもその旨通報しております。そして、その結果輸送関連経費に使ったということを湾岸平和基金の運営委員会に報告してまいりまして、それを、日本政府もその報告を受けております。  同じようなメカニズムが今回の九十億ドルについても該当するわけでございまして、今度は資金協力一本でございますが、具体的な使途は、総理が衆議院の予算委員会で繰り返し申し上げておられますけれども、今申し上げました輸送関連経費に加えまして、医療関連、食糧、生活関連、事務関連等でございますが、今と基本的には同じメカニズムでこの具体的な使途を決め、かつ具体的に日本が払い込みました拠出金がその使途に充てられるように確保してまいりたい、こう考えております。
  133. 富塚三夫

    ○富塚委員 法案に明記されているように、明確にやはり不信を除くような、そういう誤解があるとするなら誤解を除くような政府対応をきちっとしないといけないと思います。そこは私はそういう要請をしておきます。  次に、うちの佐藤委員が質問しました経過の中で、戦時特別会計の設置という問題が、昭和十二年日中戦争が始まったときに戦費調達ということで、第二次世界大戦が終わるまで戦費調達の窓口としてこの特別会計制度が設置された。歳出、歳入、つまり百九十七億がオーバーの支出になった。法律的には廃止されている。実態的には未決算のままに放置されておって、大蔵省も苦慮している、こう言われている。国民の中には、九十億ドルの支援策に関連して今回提案された法人や石油の各臨時増税は、多国籍軍という特定の目的に使われるために、またその戦時特別会計みたいな復活を懸念する声も現実に一部にはあります。だから、佐藤委員の質問に、未決算になっており、いずれ整理したいと答弁されたということを伺っておりますが、これはいつの時期ぐらいにこの問題が整理されようとするのか、お聞かせいただきたい。
  134. 小村武

    小村政府委員 御指摘の臨時軍事費特別会計でございますが、これは決算が昭和二十一年二月二十八日をもって完結をしております。その後、決算終結後の支払い等がございまして、その整理をして、現在一般会計の歳入歳出決算に添付してその金額について御報告を申し上げているところでございます。  ただ、委員御指摘のように、最終的なこの未済の状況になっておりますので、この点については好ましくないということはもちろんでございます。したがいまして、他の戦時処理とあわせまして私どもその解決に今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
  135. 富塚三夫

    ○富塚委員 やはりこれも国民の懸念している問題ですから、ひとつ十分に対処していただくことを要望しておきます。  それで次に、アラブの停戦の問題で、新たに今最大の山場を迎えようとしているという時期に来ているわけですけれども、我が党の筒井委員からもいろいろ本会議で質問をいたしましたが、ゴルバチョフ大統領の停戦調停、八項目から六項目に修正された問題もありますが、ゴルバチョフ大統領は、ぜひ日本アメリカに対して仲介役をとってほしいと、こういうふうに要請をされたにもかかわらず、何となくその点がソ連に対してはあいまいな回答のままになっておって、ブッシュ政権にほとんどアプローチしていないというふうに受け取れるんですけれども、この点は外務省、どういう経過をたどっているんでしょうか。
  136. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、ソ連を中心にいたしまして幾つかの提案が出たわけでございますけれども、二十三日に発表されましたいわゆる六項目提案というのが一番最後の公の提案であるわけでございます。それでこの提案は、冒頭に、イラククウェートからの即時撤退を求める安保理決議六六〇を遅滞なく無条件で実施するということを申してはおりますけれども、その後に幾つかの条件がついておりまして、特に一つは、撤退が停戦の翌日に開始されるということだけでございまして、その停戦がいつになるか、どのぐらいの期間になるかその他について明確でないということと、それからさらに、実はこの方が問題であろうかと思いますが、撤退完了後すべての安保理決議の理由が失われ無効となるという項目がございます。この意味は結局、例えば安保理決議六六二、これはイラククウェート併合を無効とするべきことを求めている決議でございますが、これが無効となってしまうということになりますので、さかのぼりまして問題の根源になりますイラククウェート侵攻、併合の問題が全く解決されないまま残ってしまうということになるというふうな問題が残るというのが私どもの判断でございます。私どもは、今回の事態につ きましては、イラククウェート侵攻、併合に対しまして安保理が採択いたしましたすべての決議がやはりイラクに受け入れられなければ問題の最終的解決にならないという立場でございます。  そこで、二十四日に海部総理がゴルバチョフ大統領と電話会談をされましたが、その際に、ゴルバチョフ大統領のこの努力については評価を表明されましたが、以上申し上げたような我が国として見たこの問題点を明確に大統領に述べられまして、ゴルバチョフ大統領が一層努力をされて、むしろ国連決議に従ったイラククウェートからの即時無条件撤退を実現させるように努力を願いたいという話をされたわけでございます。ゴルバチョフ大統領の方は、我が国のソ連の考え方に対する支持を求めるということでございましたけれども、実はその後、今度はソ連の方も、イラクとの間で実質的な話はアジズ・イラク外相がソ連に来た段階でもうとめておるということを言っておるというような状況でございまして、現在に至りましても、その後フセイン大統領声明、それから国連安保理におけるいろいろな議論が行われておりますが、やはり六六〇以外の安保理決議についてこれを認めないというイラク基本的な立場は変わっておりませんので、むしろこれを改めてすべての決議を受諾するようにイラクに訴えるということがやはり基本的な問題ではないかと思っております。     〔村上委員長代理退席、委員長着席〕
  137. 富塚三夫

    ○富塚委員 アメリカとソ連で、いわゆる湾岸停戦に持ち込む一つの底辺にある、底流にある考え方として、アメリカは、チェイニー国防長官の言うように、サダムが死んでもだれも涙は流さぬだろうといった個人的なそういう憎悪感、気持ちはわからぬではないわけですが、フセイン政権の影響力を根絶するということがアメリカ考えている基本的なねらい。ソビエトは、フセイン政権の存否はイラク自身が決めることだということを考えている。  きのうのある新聞に、外務省の首脳は、国連決議フセインの打倒は含まないと見解を述べたと伝えられているわけです。武力制裁を求めた決議六百七十八号は、イラクの侵略の排除、クウェートの正統政府の復帰を目的とするものと理解をしている、各国の、つまり多国籍軍に参加している各国の指導者もそう理解していると思うと述べたと伝えられているのですが、それはそのとおりでいいんですか。
  138. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 だれが言ったのかよくわからぬものですから、外務省の諸君、因っておりますので、一般的に私からお答えをさせていただきたいと思います。  今委員がお述べになりました外務省首脳というのがだれを指すか私にもわかりませんけれども、確かに国連決議というもの、安全保障理事会の十二本の決議の中に、サダム・フセイン打倒とかあるいはサダム・フセインの排除とかいうことを決めていない。そして、イラクの政権をどのような形態にし、その指導者としてだれを選ぶかはイラク国民の権利であるという部分については、これは外務省首脳ならずといえど我々としても同様のことを申し上げるであろうと存じます。
  139. 富塚三夫

    ○富塚委員 海部首相が繰り返しテープレコーダーのように言っているのは、国連決議に基づく行動を要求していると執拗に何回となくそう言っているわけですね。それなら日本は、ソビエト側のゴルバチョフ提案に基づくそういう提案についてもっと積極的に受けとめて対処することが必要だと思うのですが、どうですか、外務省
  140. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 先生の御指摘を冒してむしろ繰り返しになるかもしれませんが、やはり国連安全保障理事会決議イラク軍の即時無条件の撤退、それからクウェートの正統政府の復帰、その他幾つかの条項が要求されております。それで、これは単に国連安保理決議が要求しているからということではございませんで、私どもとしては、国際法に違反したある国の他国に対する武力による侵攻というものがそのまま認められるということでは今後の国際社会の原則が崩れてしまう、そういう立場からこの安保理決議にいわば結集されました原則に従って問題が解決されるべきであるということを言っておるわけでございます。したがいまして、その延長線上で、先ほど申し上げましたようにソ連の六項目提案であれその後のイラク立場であれ、国連安保理決議の六六〇と言われるもの以外は認めないという立場については、その立場を変えてほしいというのがむしろ私ども主張なわけでございます。
  141. 富塚三夫

    ○富塚委員 私は、これ以上イラクを追い詰めると、窮鼠猫をかむじゃないですが、まさに化学兵器を使って大変な人類の殺りく戦に入っていったら大変なことになりはしないかと懸念する一人で、だから日本政府の節目節目の外交の持ち方について非常に疑問を持っている一人なんです。どうも答弁を聞いてもあいまいですね。  だから、国連安全保障理事会決議によってまさにクウェートからの完全撤退を求めることにあるとするなら、ソ連のゴルバチョフ提案が正しいのじゃないですか。それを受けて積極的な外交の展開をなぜ日本政府はしようとしないのかということについて、今改めて報道されていますように、このソ連の三項目新和平提案、すなわち安全保障理事会による撤退日の設定、短期間での完全撤退完了あるいは無条件撤退というものを、国連調停の判断で停戦に持ち込みたいと今考えていることについて外務省は、外務大臣はどんな対応をしようとしているのですか、日本政府はどんな対応をしようとしているのですか、お聞かせください。
  142. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 政府ということでありますので、私からお答えをさせていただきたいと思います。  そしてその上で、これは昨日の午後五時、フセイン大統領が行った演説の一部でありますが、イラクの一部であり、過去イラクと連結していたクウェートは、我々の撤退以後はそのときの状態に戻るであろう、これは撤兵ということでありましょう。しかし同時に、そのすぐ後ろに、イラククウェート法律上も憲法上もまた実際上も一九九〇年八月八日にイラクの一部となったことを覚えているし、決して忘れることはない。  これは、安保理決議の六六〇のみに固執するイラクの態度とあわせて考えました場合には、クウェート独立した主権を今後とも認めないというイラク意思表示ととられても仕方がないのじゃないでしょうか。六百六十一は、経済制裁の話と同時に、御承知のように正統政府の復帰の問題を含んでおります。イラクが撤兵という行為、私は本当にこれは前進だと思います。しかし同時に、八月二日以前は厳然として独立国であった国を一方的に占拠し、その状態を今日まで続けてきた、それを撤兵の後に改めて独立国として認められない状態のままうやむやにすることはできないんじゃないかと私は思います。  そして、私が知る限りのことで恐縮でありますけれども、ゴルバチョフ大統領と海部総理との会談の中にも、イラクに対して強い影響力を持つソビエトがよりイニシアチブをとって国連決議全体をイラク理解させるように、遵守させるように努めてほしいという努力海部総理は払われたと聞いております。また、昨日のイグナチェンコ・ソ連報道官の記者会見においては、安保理決議十二本の履行というものをイラクに求める、ソ連もそういう言葉を吐いております。そうした中で、六百六十の無条件の了承のみであとの国連決議というものに対して全く態度を表明していないイラクというものに、やはり説得できるとすればソ連の外交努力というものを我々も期待するところは大でありますし、そうした意味海部総理もゴルバチョフ大統領にさらなる努力をという要請をされた、そのように私は理解をしております。
  143. 富塚三夫

    ○富塚委員 やはり日本政府が節目節目の外交の展開ということについてアメリカ側の顔色ばかりうかがっておって十分な有効な対応をしてないということについて、国民は大きな不満を持っている、私はそう見ている一人なんです。  今大蔵大臣から答弁ありましたけれども、改めていわゆるソ連の新和平提案というものは国連の 場で調停をしようということで、改めてそういう提起をして、一日も早く完全撤退をさせたい、こういうことを提起をしているわけです。それならそれに飛びついて、日本政府が積極的に、国連の場にあるいはアメリカに対してあるいは多国籍軍に参加している国に対して、なぜそういう態度をとろうとしないのかということが、アメリカの判断の様子待ち、アメリカは徹底的にイラク攻撃しよう、フセイン政権を根絶しよう、こういう考え方があるから日本は出ていけない、日本政府は物が言えないというだけでは、これは一体どういうことなのかということで私は疑問に思えてならないのです。だから早急にこの問題についてどう政府対処するかひとつ明らかにしてもらいたいということを私は言っているわけです。
  144. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 繰り返し申し上げて恐縮でありますが、委員国連安全保障理事会決議六百六十を非常に強くお述べになっておられます。しかし、六百六十は撤兵だけでありまして、イラクが八月二日に侵略を開始する前にはこの地球上に厳然として存在していたクウェートという独立国の主権を回復するという条文は含んでおりません。このクウェートという国に厳然と存在した政府を復帰させるという問題はこの中には含まれておりません。アメリカが提起する、ソ連が提起するにかかわらず、大国が隣接する小国をある日突然侵略し、その国民を殺傷し、そこを占拠し、そこにそのまま居座り、その国の資産を無断で使用しと申しましょう、無断で使用し、世界じゅうの国々がその行動を不法なものとして糾弾し、無条件で撤退することを要請し続けても、数カ月にわたってその状態を変えず、結果として多国籍軍の実力による排除という行動まで起こった過程を考えましたときに、今委員がお述べになりましたような六百六十という決議一つに準拠したのでは、クウェートという独立国イラクという侵略国が認めるのか認めないかということはそのままになるのです。クウェートにおける正統政府が自国に復帰して存立し得るかどうかの保証はございません。ですから、私は、実は先ほど昨日のフセイン大統領の演説のクウェートに関する部分を御紹介をしたわけでありまして、サダム・フセイン大統領の演説の中には、撤兵に関する部分と同時に、八月八日以降、憲法上も実際上も我々イラクの一部であった、それを忘れないということを言っております。これは、クウェートという国がイラクから認められることになるのでしょうか。イラクは、撤兵のみすればクウェートという国の存在は認めないのでしょうか。我々が日本政府としてイラクに求めるものは、クウェートという独立国の存在を認めること、そこに厳然として存在していた政府が改めてその国において政権の座を取り戻すこと、そして隣接するイラクという国が再びクウェートを侵略しないこと、その保証を求めているわけであります。  先ほど来御論議がありますソ連の提案、またきょうまでのイラク主張というものの中に、国連決議六百六十を認めるところは確かにございます。前進だと思います。しかし、その後に続く決議というものを依然として認めていないという状態に変わりはないのです。これはゴルバチョフ大統領に対し海部総理からさらなる努力お願いした、要請をしたそのポイントであり、日本政府としては、あくまでもクウェートという現にこの地球上に存在をしていた主権国家が再び主権国家として安定した地位を占めることを心から願う、それがこの問題に対する基本的な態度であります。
  145. 富塚三夫

    ○富塚委員 空爆から始まって地上戦に突入した。イラクの戦力は著しく減退した。フセインは今や完全に参ってしまっている。一方では、いや、そうじゃない。今大臣が言っているように、イラクそのものに対する不信感というものが非常に強い。しかし、この世界的な状況湾岸における状況を今判断したならば、やはり積極的にここで停戦をさせるという日本の役割というものは、日本独自のいわゆる外交政策によって出てきていいのではないか。今までのしがらみといいましょうか、そういうものの中にあるということについては十分理解はできます。しかし、そこのところを一歩も二歩も前に出てやるということができないのかどうか、私はそう思うのです。  私は、実は、第二次世界大戦のときは十五歳でした。天皇陛下を神と仰いで、それで東条内閣の聖戦を信じて、大本営発表も信じてきました。鉢巻きと竹やりでアメリカ軍と戦って、死してやまず、莞爾として悠久の大義に生きようと思って、自分はそんなことを考えておったときでした。しかし、戦後になって日本の敗戦の記録を読んでみると、日本は広島、長崎に原爆が投下される前に敗北の宣言をする大きな流れになっていた。にもかかわらず、まだだめだ、広島、まだだめだ、長崎だと、こうやって、あの悲惨な結果を招いたことを私は身をもって体験をしている一人なので、私は決して反米ではありませんが、今のイラク状況からするならば、あの湾岸の戦争からすると何かそういった二重写しが出てくるような感じで私はならない。だから、これから先のもっと不幸な事態を避けるために、人類の殺りくを避けるためには、今のこの場の外交というものが非常に重要な局面にあるのではないかと、私はそう思っているわけであります。ですから、そういう点でいろいろ政府の判断についても聞きました。聞きましたけれども、やはり私はこの委員会で言っておかなければならないという気持ちでこのことを申し上げています。  さて、問題は、湾岸停戦後の対ソ、対米の関係についてどういうふうに考えていくのかということをやはり冷静に我々は議論をしてみる必要があるだろう、こう思います。四月にはソ連のゴルバチョフ大統領が来日されると予定されています。国会を出ると、大蔵省のあの別館のところに「ひらこう日ソ新時代」という大きな垂れ幕のスローガンが掲げられています。私などの気持ちからすると、ようやく日ソ友好の新時代がやってきて、モスコーの空港で厳しいチェックを受けなくても済むなと、何となくそんなほのぼのとした感じになります。もちろん、日本は当然北方領土の返還というものも要求するだろう、あるいはソ連は経済の協力を要求してくるだろう、こういうふうに思われます。しかし一番大事なことは、昨年の米ソ中心の新デタント時代、つまり、軍縮によって国民生活の向上や経済の発展を目指そうという共通の世界の流れを変えるようなことがあってはならないのではないかと私は念願している一人です。昨年来のあの米ソ中心の新デタントが本物になってから、国会議員の先生も、池田大作さんも、笹川良一さんも、あるいは大新聞のリーダーを先頭に財界の指導者たちも次々にモスコーに入りました。そしてゴルバチョフ新思考に共鳴をして、ペレストロイカを称賛をしてきました。  今のような状況のまま推移をして、この湾岸停戦後に対ソの関係、対米の関係、つまり米ソのバランスなりそういう対応が崩れることによって日本は新たなそういった対ソの関係に迫られてくるのではないかと懸念をするのですが、湾岸停戦後のアメリカの関係、ソ連の関係、とりわけ日ソの関係についてどういうふうに外務省は見ていますか。
  146. 兵藤長雄

    兵藤政府委員 今先生御指摘の米ソ関係の中で、これからの我が国の対ソ関係についてまず私の方からお答えさせていただきたいと思います。  先生もお述べになりましたように、四月にゴルバチョフ大統領の訪日があるわけでございます。私どもは、このゴルバチョフ訪日に向けまして今ソ連政府といろいろな形での準備あるいは話し合いを行っているわけでございますが、その中で私どもは、日ソ関係の抜本的な改善のためには、先生仰せのとおり北方四島の返還を実現して平和条約を締結する、そのことによってあらゆる分野で質的に新しい日ソ関係を構築するということがぜひ必要だというふうに認識をしておるわけでございます。そのことがまさに日ソ間のこれまでに欠けていた平和的な安定した基礎をつくっていく、それがさらにアジア・太平洋における平和の増進に寄与していくという日ソ関係と、それから国際政治の中における意味と、二つの面からぜひとも この問題の突破口を開いていきたいという話し合いをソ連側としておるわけでございます。
  147. 富塚三夫

    ○富塚委員 二十五日にワルシャワ条約機構は、来月の三十一日までにワルシャワ条約軍を解体するということを決めたと伝えられています。EC共同体や全欧州安保協力会議に加盟をする動きも模索してくるのではないかとも見られています。  私が一月末にポーランドのワレサ大統領に会ったときは、ソ連のリトアニアなどの三国の問題は恐らく民主的に独立していくだろうと見解を述べていました。彼の個人の見解ですが、言っていました。ソ連も国内問題を抱えておることは御案内のとおりです。しかし、どの国でも、改革のプロセスでは局部的な紛争は起こり得ると私は思います。それには、民主主義的な解決の形成が必要だと思います。  問題は、これから先、ソ連との関係の改善を積極的に進めていく、そのためにまた、東欧のあの変化についても対応して、積極的に援助を進めて友好関係を保っていくという点で日本も大きな外交路線を敷こうとしているのだと思うのですけれども、この湾岸停戦の結果の問題からくる懸念という点で、今から除去できる障害というものはやはり排除しておく必要があると思うし、同時に、ソ連や東欧に対する経済的な援助の問題は、大蔵大臣状況の推移を見て拡大を考えようとするのか、あるいは様子を見るということになるのか、その点は一体どうでしょう。
  148. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 外交全体につきましてお答えを申し上げる資格はございませんけれども、私の守備範囲内における問題点について述べさせていただきます。  近いうちにEBRD、欧州復興開発銀行が発足をいたします。まさにこれは、東ヨーロッパの劇的な変化の中で、計画経済から市場経済への移行をたどろうとする各国に対し支援の手を差し伸べるためのものでありました。そして、この途中において、ソビエトをどう扱うかという論議が出、初めの三年間はみずからの出資の範囲内という制限の付された形で、欧州復興開発銀行は間もなくスタートしようといたしております。  財政当局の立場からいたしますと、東ヨーロッパの各地域というものに対し、我々は歴史的にもまた地理的にもそれほど緊密な連携を持っていたとは申せません。それだけに、この欧州復興開発銀行というものを支えていくことにより、我々は東ヨーロッパの経済復興に対して力を合わせていこう、基本的にそういう考え方を持っております。  それと同時に、昨年、そのヨーロッパの大蔵大臣たちと話しましたときに、欧州各国の持っておりますそれぞれの地域に対するノーハウと日本の技術力、資本とがうまく組み合わせられて支援の形にできないものであろうか、こうした論議も交わしてまいりました。そして、昨年九月のIMF・世銀総会の際、ワシントンで会いました東ヨーロッパ各国の関係者にも、日本政府としてそのような考え方も持っている旨お伝えをしております。その中に、多少芽吹きつつあるものもあるようであります。  ソ連につきましては、多少問題の質が異なってまいりますのが、一つは北方四島というものの存在でありました。そして、昨年のヒューストン・サミットにおきまして、対ソ経済支援というのは非常に大きなテーマの一つとなったわけでありますが、その結果、サミットの首脳の共通の意思として、ソ連の経済情勢分析をIMF、世銀、OECDそしてEBRD、この国際四機関の作業によって行ってもらおう、それを見て対ソ経済支援というものについては改めて議論をしようということになり、昨年十二月、この四国際機関によりますソ連経済調査報告が出てきたわけであります。この内容につきましては、一般的な対ソ金融支援というものは、経済改革の包括的なプログラムが存在し、また、連邦と共和国の責任関係が明確にされるなどの前提条件が満たされない限り有効ではないといたしておりました。  こうした一般的な問題がある中で、それでも相当積極的な対ソ経済支援についての考え方もG7各国の中にはございましたので、本年一月に開かれましたG7では、対ソ経済支援の問題は一つの大きな論争のテーマたり得る、そういう想定のもとに私もニューヨークに参りました。  ところが、ちょうどG7の始まります約三十分前にリガにおける殺傷事件が報道されまして、G7の空気は非常に大きく変わりました。そして、対ソ経済支援に最も熱心でありました国までを含めて、現時点においてソ連に対する経済支援を議論する雰囲気ではないということから、一月の二十日、二十一日と開かれましたG7においては、四機関の報告が出されました後の最初の財政当局の責任者の会議でありましたが、対ソ経済支援というものは、ソ連の国内情勢がもうしばらく落ちつくまで見届けようという各国合意とともに、先延ばしになっておるという状況でございます。  我々は今、北方四島の問題を抱えながら、第二次世界大戦後初めてソ連の大統領を迎えようとしている時期であり、ソ連との間のさまざまな関係というものを拡大均衡の形に持っていきたいという気持ちはもちろん持っておりますけれども、やはり金融支援という問題になりますと、非常に慎重な対応が必要でありますし、国際四機関の分析にも出てまいりますような状況の中では、現在検討できる状況にあるとは申せない、率直にそのような感じを持っております。
  149. 富塚三夫

    ○富塚委員 昨年来の米ソ中心のああした新しいデタントというものはヨーロッパのあのような変化を生んで、ヨーロッパの共存共栄の体制をつくっていこう、今さまざまな対応について模索してやっているわけですけれども、やはり日本は、とりわけ東欧圏に対してしっかりとした支援をしていただきたいというのが私の気持ちなんです。そして、そういう流れを少し大事にしていただきたいということを要請しておきたいと思うのです。  防衛庁に質問します。  今申し上げましたようにソ連と新しい時代をつくる、友好関係をつくっていきたい。今まではソ連を仮想敵国として日本の防衛計画がつくられてきたように思います。戦後四十年、日米安保条約のもとに年間四千億円の経費を在日米軍の駐留に負担をしたり、あるいは年間四兆円を超える巨費の防衛費、そして三十万人の自衛隊を擁して今日に来ました。ソ連の対日侵攻の脅威を想定をして、自民党政権は防衛力の増強を図ってきたと見ます。  問題は、ソ連が仮想敵国でなくなりつつある、つまり恒久平和を確立できる日本の千載一遇のチャンス、この好機を見逃してはならない、私はそう見ている一人です。また、今も申し上げましたけれども、昨年の欧州における東西両陣営の不戦宣言あるいはパリ憲章、そういったものの中でまさに変わりつつあろうと思うのですが、当然この防衛費の削減、防衛力のあり方の問題について積極的に検討していく時期に来ていると思うのですが、その点について防衛庁はどうお考えでしょうか。
  150. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 ただいまの御質問にお答えする前に一つお断りしておきますが、ただいまのお話の中に、ソ連を仮想敵国とみなして防衛力整備を行ってきたという御発言がございましたが、我々は、ソ連も含めましていかなる国をも仮想敵国と考えてきたことはございません。  そこで、ただいまの御質問に対するお答えを申し上げます。  五十一年に策定されました防衛計画の大綱というものに従いまして、私どもは防衛力の整備を進めてきたわけでございます。この大綱といいますのは、我が国がみずから適切な規模の防衛力を保持するということと、それから日米安保体制というものを前提といたしまして必要最小限のものを整備するということでございまして、当時の国際情勢の判断といたしましても、安定化へ向けての努力が進んでおるということから、大規模な武力衝突に至る可能性は少ないという判断のもとに、平時において十分な警戒態勢をとり得る体制を整 えるということと、それから限定・小規模の侵攻に対して対処し得るという、いわば基盤的なものを整備するという考え方に立っていたわけでございます。  確かに委員御指摘のとおり、今日国際情勢は大きく変革をいたしておりまして、特にヨーロッパを中心として東西関係の根強い対立というものが解消され、特に軍事面におきましてもそのようなことが総じて好ましい方向への変化が見られることは事実でございます。そうであるがゆえにこそ、また、この東西の大規模な武力衝突に至る可能性というのがより少なくなってきているということでございますので、我々としては、安全保障会議の数回における議論を経まして、やはり五十一年に策定されましたこの防衛計画の大綱の考え方に基本的に従って着実に、しかしある意味では正面装備を抑制的にしながら、国際情勢をも踏まえつつ、こういう着実な防衛力整備を進めていくという考え方を示しているところでございます。  それで、この平成三年度を初年度といたします新中期防衛力整備計画というものを策定し、それにのっとった形で平成三年度の予算お願いをしているわけでございますけれども、この結果をごらんいただきましても、非常に抑制された形になっておりまして、例えばその新中期防衛力整備計画におきましては、現在の中期防が五年間の平均的な伸び率が五・四%であるのに対しまして、今度の新中期防は三%の伸び率であります。  それからまた正面装備におきましても、これは契約ベースでありますが、五年間に契約を許す額というものが、現中期防においては七%の増加でありましたものがマイナスの二・三%という形になっております。  個々の装備品につきましても、期間中に取得する数量が減少しているものもございますし、それから勢力ベース、つまりストックベースで見ても減少しているものもあるわけでございまして、正面装備については極力抑制する傍ら、これまで非常におくれておりました後方面につきましては充実を図るという形で整備を図っているところでございます。
  151. 富塚三夫

    ○富塚委員 時間がありませんから簡単に申しますが、昨年は西アジア・太平洋において、米ソの太平洋艦隊司令部がウラジオとサンジエゴ双方へ軍隊の親善訪問をしたという問題なども画期的と評価されて、デタント行為の一部だと一つは言われています。あるいは、米ソの冷戦終結の動きと相まって、中ソの友好あるいは中ソの国境沿いの軍隊を大きく削減する方向、あるいはカムラン湾や外モンゴルの撤退や、米国もアジアの基地から一〇%削減をしたい、こう公言をいろいろしているわけですね。  やはり日本は、防衛力の見直しと防衛費の削減という流れは、当然の帰結であって、避けて通ることができない問題だと思います。私は、そして社会党が提起していますように、大型の装備なんかやるべきではない。そして、防衛費をどう削減していくのかという問題が、今回政府の提案によって防衛費に初めて切り込んでいくという方針が出てきました。やはり積極的にそういう流れに沿って対応するというそういう姿勢はぜひとっていただきたい、こういうふうに要望しておきます。答弁は要りません。  最後に、時間がありませんので、ぜひ大蔵大臣政府を代表していろいろお尋ねいたしたいと思うのであります。  対ソ関係についてはいろいろ申し上げてきましたが、一方ではアメリカとの良好な関係をどうそのまま持続していくかということの問題があります。停戦後想定される経済摩擦の攻撃、これをどう最小限に食いとめなければならぬかという問題。アメリカも、さまざまな議会の動きがいろいろあるように報道されています。したがって、これからの湾岸停戦後の具体的な対応について、日本アメリカとソ連と三者で協議をして具体的な復興の枠組みに協力をする、あるいは資金の援助のあり方などについて指導的な役割を果たしていくということについて、政府は積極的に努力をしてもらいたいと私は思います。  そのために、一つは、ゴルバチョフが来日を予定されております四月の時期にソ連の側と虚心坦懐にこの問題の話し合いをする。また、日米首脳会談でも日本立場主張してこの問題の成熟を図っていくように努力していただきたい。そして、その根回しをやはり関係省庁は積極的にしてもらいたいと思うのですが、どうでしょう。大蔵大臣湾岸停戦後を想定して、いわゆる経済復興などの支援をしていくということの問題について、先ほどから申し上げている対ソ、対米の関係を大事にしながら日本が積極的に貢献する役割を果たしていくということについて、そういう点について努力をしていただけないかという点について、いかがでしょうか。
  152. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今日までも、第二次世界大戦後の日本にとりまして、対米関係と申しますものは外交上最も大切なものでございました。今、それぞれの部分におきましてさまざまな日米間の摩擦の種は残っておりますし、個別に、例えば我々の役所をとりましても、アメリカ側と壮絶な議論をしておる問題もございます。しかし、そうした流れの中で全体としては日米両国の友好というものはしっかりと根づいたものと私は考えておりますし、今後もまたそうあるべきもの、努力をしていかなければならないと思います。  一方、ソ連につきましては、何と申しましても、やはり日本にとりまして北方領土問題解決という大きなテーマがあることは、日米間と大きくそごをする問題だと思います。同時に、ソ連自身が現在改革の途上であり、その改革も今いずれの方向に向かうのかに非常に疑念の発せられておるような状況であります。国際四機関の経済調査の結果を見ましても、さまざまな問題点をはらんでおるわけであります。しかし、極めて近い距離に存在する大国が混乱をすることを我々は決して好みませんし、安定した発展を遂げてくれることを願っております。そうした限りにおきまして、日ソ間の友情というものも拡大されながら今後育っていくでありましょう。そうした中において、米ソ両国の間において日本が果たし得る役割というものが存在するならば、日本として今後積極的に努力をしていくことに否やはありません。
  153. 富塚三夫

    ○富塚委員 六月か七月かに予定されているサミット、先進国首脳会議が、大きなこの湾岸停戦後の問題についての経済復興協力の仕方とかの協議をする場になるんじゃないかと想定されるわけです。たまたまゴルバチョフ大統領が四月に来られる、日米首脳会談も延期されることを予定される。いろいろな動きがこれからアメリカ側からも出てくるし、ソ連の側からもいろいろな要請があるだろう。しかし、日本がソ連とアメリカとしっかりと合意をした上でサミットに対処していってもらうということが望ましいのではないか、私はこう思うわけです。そういう点でひとつ積極的な努力政府に求めたいと思うのですが、いかがでしょう。
  154. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは大変申しわけありませんが、政府としてではなく私個人の感じで申させていただきますと、実は、サミットの場所において日本がかわりに語るべき国は、恐らく私はソ連ではないと思います。私はサミット、一回しか経験がありませんけれども、昨年のサミットにおきましても、ソ連の立場については欧州の大陸国が皆力説をされました。しかしアジアの、また、現在天安門事件以来国際的に孤立しております中国に対して語る立場の者は、日本を除いてはございませんでした。そして、海部首相以下、中山外務大臣、私、それぞれの場において積極的に中国問題とアジアの問題を提起してまいりました。今、その後世銀その他が少しずつ動き出しておりますことにひそかな満足感を持っております。  今、委員は対ソ関係というものを非常に強調してお話しになりましたし、私は、今回の湾岸情勢の変化する中においてソ連の努力というものを評価しないのではありません。しかし同時に、やはりバランスをとって世界経済を論議してまいります場合に、恐らく私は、ソ連について我々が言い 出す前にドイツなりフランスなりが騒然と議論を出されるだろうと思いますし、我々はやはり、より身近に存在をしているアジアの問題を積極的に提起していく役があるのではなかろうか、率直にそのような印象を持ちました。  ただ、富塚委員の御指摘は、私は一つの見解とし、外務省の事務方の諸君も外務大臣にお伝えになるでしょうが、私からも外務大臣に富塚委員の御意見としてお伝えをしたいと思います。
  155. 富塚三夫

    ○富塚委員 結局ことし一年は、第二次世界大戦に次ぐと言われる大きな戦争が起きて、この結果についてどういうふうに世界各国対応していくのかということが大きなポイントになるだろうと私は思います。同時に、日本は、大臣が言った西側の一員であって、アメリカとの関係を大事にしなければいけないという問題、それはよくわかります。しかし私は、先ほどから言っているように、ちょっとアメリカが強引過ぎはせぬか、なぜこの局面でもっと積極的な停戦のことを、それに日本はなぜ加担して外交の展開を図っていかないのかと思っている一人なのです。そうすると、やはりゴルバチョフの来日あるいは日米の首脳会談やサミットという問題は、日本にとっては大事な問題だし、国民の側にとっては、やはりこのことに注目をしていくというのは当然あるべき姿だと思うのです。  私は、海部総理も出るとか中山外務大臣も出る予定でいろいろ考えていたのですが、何か出られなくなって、まあ五月政変説とかどうとか言われていますが、そんなことはないだろうと思いましていろいろ準備してきたのですが……。  最後に一つ。総理も、例の十月の法案の廃案後に、新たな国連国際社会への対応、PKOについて具体的な対応の問題を政党間合意を得て早く出したい、こういうふうに盛んに言っているわけです。新聞論調じゃないけれども、何をもたもたしているんだ、何をと、こういうことが一般の見方ですよね。自衛隊の海外派兵ということに自民党がこだわっている限りこれはちょっとまとまらないんじゃないかと私は見ている一人なんですが、ここのところを外して、社会党も含めて政党間協議をしていくということの問題については、これは大蔵大臣、私は、そのことを一体政府はどう考えるかについてお尋ねをして、終わりたいと思います。
  156. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今御指摘の問題は、内閣官房で作業いたしております。私も今国会にくぎづけになっておりまして、その作業の状況を存じませんので、委員から御指摘がありましたことを、率直に官房長官にお伝えをいたします。
  157. 富塚三夫

    ○富塚委員 先ほど冒頭に言ったように、アメリカの一部のマスコミでは、日本の実力者橋本大蔵大臣ということで、九十億ドルを決めたいきさつもいろいろ書かれているわけですけれども大蔵大臣、ぜひひとつ日本を背負ってもらうという観点で――私が冒頭言っているように、きのう本案が提案されて初めてここで審議するわけですからね、委員長。本来なら、総理も外務大臣防衛庁長官も出て議論するのが私は筋だと思うのです。まあ社会党が非力のために申しわけないのですけれども……。  いずれにいたしましても、大蔵大臣、積極的にこの湾岸停戦後の局面をどう打開していくか、これは日本にとって、二十一世紀に向けて極めて重要な問題でありますので、大蔵大臣の御健闘を祈念をいたしまして、私の質問を終わります。
  158. 平沼赳夫

    平沼委員長 日笠勝之君。
  159. 日笠勝之

    ○日笠委員 最初に、防衛庁にお聞きいたします。  C130の自衛隊輸送機に関連することでございますが、国会に提出されました一般会計歳出予算補正(第2号)の各目明細書、防衛庁関係を目を通しましたけれども、いわゆる特別手当ですね、湾岸危機に伴う避難民の輸送ということで行かれる場合は、これは特別手当を新しくつくらなければならないと伺っておるわけでございますが、どこを見てもその特別手当が計上されておりません。ということは、三月いっぱいまでは、特別手当が計上されておりませんので、輸送機は飛ばない、こう理解していいのでしょうか。
  160. 坪井龍文

    ○坪井政府委員 お答えいたします。  避難民輸送の依頼を受けまして中東に自衛隊機が派遣されることになった場合に、隊員が誇りを持って安んじて業務に従事できるようにするということは大変重要なことであるというように我々は考えております。  その場合の隊員に対する手当等につきましては、先般も先生のお尋ねにお答えしたと思うのですが、業務の内容とか性格を踏まえまして現在政府部内で検討しているというのが実情でございまして、現在まだその内容等につきまして申し上げる段階にないということでございます。したがいまして、その手当等に係る経費につきましても、派遣の前提となるような具体的な要請が現在ないわけでございまして、輸送計画も固まっていないというようなことから、それを見積もるということは困難であるために、補正予算には計上してないということでございます。
  161. 日笠勝之

    ○日笠委員 補正予算には計上してない。急にIOMから要請があって飛ぶ、それで特別手当をつくる、間に合いませんね、これは。恐らく飛べない。手当がないのじゃこれは飛べませんというふうに理解をせざるを得ません。  防衛庁、お聞きするのですけれども、手当を創設する場合、一般職の場合は人事院の承認が要るわけですが、防衛庁の場合は特別職でございますが、新たな手当をつくる場合はどういうふうな手続が要るのですか。
  162. 坪井龍文

    ○坪井政府委員 お答えいたします。  先生御案内のように、防衛庁職員につきましては、防衛庁職員給与法という法律で給与や手当等が規定されておるところでございます。したがいまして、今の手当の問題につきましては、その手当自身をどういう形で創設するかということも含めまして、現在検討中ということでございます。  一般的に申し上げますと、法律で新しい手当を規定するということももちろんございますし、また現在の法律の枠内で、政令等で委任されているといいますか、例えば特殊勤務手当みたいなのがございますけれども、そういったものの種類がいろいろあるわけでございますが、その中のそういった業務の特殊性というのに着目して創設するということも可能だと思いますが、現在まだどういう形の手当になるのかということもまさに検討中だということで、お答えは差し控えさせていただくというか、その程度でございます。
  163. 日笠勝之

    ○日笠委員 仄聞しますに、もう訓練はできた、砂漠に対するいろいろな装備もできた、手当だけがまだ検討中、検討中ですね。先ほどおっしゃられたように、平成三年は手当は計上してない、その辺を総合的に勘案すると、これは飛べないということだ、このように私は理解をしたいと思うのですが、大変外野席からも、飛ばさないという、それはもちろんそうでございますね、飛ばそうにも飛べないというふうに私は理解をしたいと思うのです。  それで、この特例政令を撤回をする条件というのはどんなのでしょうか。特例政令が撤回ないしは自然消滅するというのはどういう状態をいうのか。停戦になったらこの特例政令はもう即自然消滅になるのでしょうか。それとも、停戦の後にも難民が、避難民の方が出てくるから、これはまだ猶予期間がある、当面の間ですからね、当分の間。どういう条件なら自然消滅ないしは撤回をされるか、これをお聞きしたいと思います。
  164. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 委員御承知のとおり、この政令におきましては、期間については特に定めはございません。「当分の間、」というふうに書いてございます。  そこで、どういう状態になったらこれが自然消滅するかという点でございますけれどもイラククウェートに対する侵攻及び占領に始まる湾岸危機に伴い生じた避難民の本国等への輸送ということになっておりますから、その必要性がなくなった段階、存在する期間はこの有効性が続く。逆に言えば、そういう必要性がなくなれば、実質 が、実体がなくなったということで、いわば自然消滅の形になるということでございます。
  165. 日笠勝之

    ○日笠委員 もう少し議論したいところですが、時間もありませんから……。防衛庁さん、結構です。ありがとうございました。  それから、今回の特例公債約九千六百八十九億円を発行するわけでございますが、名称もこれは臨時特別公債と新たなネーミングのものでございます。それで、歳入歳出予算書を見ましたら、臨時特別公債金という項立て、いわゆる部、款、項でいう項立てをされておりますね。ところが、国債整理基金特別会計の予算書を見ますと、これは目立てになるのだそうですね。項ではなくて目ということですが、これは明確にするということで、あえて名前も臨時特別公債金と、こうした。ところが、歳入歳出予算書には明確に出てくるけれども、それを受けるところの国債整理基金特会では出てこない。目の方で出てくる。項じゃなくて目で出てくる。これはなぜこういうふうにされたのでしょうか。私は、国債整理基金特別会計も明確に項立てをすべきである、公債金、そして臨時特別公債金と、こう二つに分けて項立てをすべきである、こう思うのですが、どうでしょうか。
  166. 小村武

    小村政府委員 今回の公債金について臨時特別公債金という名称をつけて、歳入に計上する際に項立てをいたしました。これは、一つには、建設公債でもなし、また従来の特例公債でもないという意味において、明確化するために講じた措置でございます。  それから、特別会計におきまして項を立てていないということでございますが、これは他の公債金に倣って同じように目立てで処理をさせていただいたということで、これは技術的な処理の一つとして御理解願いたいと思います。
  167. 日笠勝之

    ○日笠委員 技術的な問題なんですが、せっかく臨時特別公債金ということを一般会計予算書にはちゃんと項立てでしておるわけですね。はっきりしておる。これはもうまさに湾岸危機に対する、国民皆様に、これは今までの特例公債とはちょっと性格の違うものだということで明確にしている。ならば、同じく特別会計も明確にされた方がいいのじゃないでしょうか。  と申しますのも、租税は款ですね。その下の項は法人臨時特別税というふうにちゃんとこの特別会計でも明記されています。四千三百六十億円。石油臨時特別税二千百六十億円。ところが公債金になってくると、ここは一緒くたになっちゃっているわけですよ。目まで見なければいけない。しかし、私たちがいただくこの予算修正書を見たら、これは出てこないわけです。出てこない。各目明細書も出てこないでしょう。どうですか、各目明細書には出ていますか。
  168. 小村武

    小村政府委員 国債整理基金特別会計におきまして、今回の臨時特別公債につきましては、先ほどは一般会計は歳入のところでございまして、款、項に分かれている項で受け入れをさせていただきますが、こちらの方は歳出になります。歳出の方は、特別会計の歳出は国債整理基金支出という項が一つでございます。この頃の中で従来各種の歳出を取り扱っております。今回、予算参照書におきまして、臨時特別公債償還費という名称で目を立てて、その歳出の際の経理を明確にしているということでございます。
  169. 日笠勝之

    ○日笠委員 私も予算書を持ってきていますからね。要は、明確に特別会計も項立てをした方がよりわかりやすいのじゃないか。明確にするということで、この甲号の歳入歳出予算補正臨時特別公債金とあるわけですから、それに対応する特会もそうすべきではないか、こう申し上げておるわけであります。技術的な問題だ、こうおっしゃるかもしれません。  なぜ言うかというと、これ、非常に見たってわかりにくいのです。皆さんの先輩の河野一之さんも「予算制度」という本を書かれておりますけれども予算書はわかりにくい、こうはっきり書いていますよ。大先輩のプロの方がおっしゃるぐらいですから、私のような素人はどこを見てもわからない、これは。国民にわかりやすい予算書をつくってもらいたい、こう思うわけです。  そこで、次にお聞きいたしますのは、今度はカウンターパートというのですか、それに対応する一般会計補正予算書の甲号の歳入歳出予算補正書は先ほど言いました。ところが、これは湾岸平和基金拠出という項立てがないのですね。項立てがない。どういうふうな項立てをしておるかというと、国際分担金其他諸費の中に入ってしまっているのですね。一兆一千七百億円、どこを見ても湾岸平和基金へ拠出したということはわかりません、これでは。こういうことをはっきり国民の目に、これだけのお金をいただいてこういうふうにするのですよということを、予算書を見ても明確にすべきじゃないか。  これはもう大臣ですよ。項立て、目立て、新しくつくるのは大臣の決裁が要るんでしょう、新しい項を立てる、新しい目を立てる場合は。大臣そうですね。どうですか。そういうふうに明確にした方がよかったんじゃないでしょうか。だからといって反対するというんじゃありませんから、安心して答えてください。
  170. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 率直に申しまして、非常に専門的な知識を有しておられる御質問で、私は傾聴して聞いておりました。
  171. 日笠勝之

    ○日笠委員 だって、大臣が、新しい項、目をつくるのは許可をしなければいけないはずですよ。だから、こういう臨時特別公債金という新しい項をつくるんですというときには許可をされたはずですよ。ならばこれは、この外務省支出が「国際分担金其他」じゃなくて、やはり新しい項をつくるべきではないか、こういうアドバイスがあってもよかったんじゃないでしょうか。そういうことを言っているわけですよ。どうでしょうか。
  172. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 いや、大変申しわけありませんが、私は、うちの事務方の仕事に疎漏があると思いませんので、彼らの説明するままにそのまま了承いたしました。また、反論するほどの、委員ほどの知識を持っておりませんでしたので、先ほどから非常に傾聴しながら拝聴いたしております。
  173. 日笠勝之

    ○日笠委員 これは、私、通告しておったはずですけれどもね。私が申し上げたいのは、わかりやすい予算書、明確にこれだけのお金を国際平和貢献をするんだということがわかるような予算書であるべきではなかろうかということであります。それで、その次に、じゃ予算説明書を見たらわかるのかということですね。まあ予算書は難しいからさておきましょう。予算説明書に、この湾岸平和基金へ今までトータルで幾らしたかということが出ていますか、どうでしょうか。
  174. 小村武

    小村政府委員 予算説明におきましては各年度、あるいは補正予算については補正予算についておのおの予算説明を出しております。その中に、当該予算において処理されたもの、これについては予算説明において説明をしておるということでございます。御趣旨は、例えば予備費等で対応した場合に、これは当該補正予算なり当初予算において対処していないということでございますので、予備費等については別途予備費調書等で提出をしてお諮りをしているということでございます。
  175. 日笠勝之

    ○日笠委員 ですから、予算書が難しいから予算説明書ですよ。この説明書を見ましたら、三ページに湾岸平和基金拠出金、二年度成立予算一千三百億円、補正第2号追加一兆一千七百億円、合計一兆三千億円。  じゃ、これは外務省にお聞きしますが、GCCには、今幾ら湾岸平和基金に拠出していますか。日本円でお願いします。
  176. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 今まで二度にわたって拠出しておりますが、総額は約二千五百二十九億円でございます。
  177. 日笠勝之

    ○日笠委員 それにこの一兆一千七百億円をつけ加えるわけでしょう。どこを見ても出ておりませんよ。ですから、国民が見たって、一体日本政府は今まで幾ら拠出したのか、また拠出しようとしておるのかということがわからない。予算書は全然出てこない。説明書も出てこない。これで区切りを、臨時特別公債金、また法人臨時特別税、 石油臨時特別税と、わざわざ法律をいっぱい今回つくって、明確にしよう明確にしよう、直入までする、返すお金も明確にしようという中にあって、予算書を見てもわからない、説明書を見てもわからない。これは一体全体、ここにいらっしゃる大蔵委員の皆さんはよくわかっておられるからそういう疑問が出ないかと思うのですけれども、私は素人ですからわからない。明確に幾ら、こういうふうに今までしました、またしますというものが予算説明書ぐらいにはあってしかるべきじゃないか。注釈ぐらい加えたっていいじゃないですか。それが親切というものじゃないですか。小さな親切大きなお世話かもしれませんけれども、どうでしょうか。
  178. 小村武

    小村政府委員 今回提出いたしました平成二年度補正予算(第2号)につきましての予算説明におきまして、その「歳出」の欄に「湾岸平和基金拠出金」ということで、一兆一千七百億円の追加ということを明示しております。成立予算については千三百億円という表示がございます。こうした説明をしておりますが、なおここで不足をしておりますのは、予備費等で対処したもの、こういったものについてここに親切な記載がないという御指摘だろうと思います。こういった点、将来できるだけわかりやすく説明をするように努力してまいりたいと思っております。
  179. 日笠勝之

    ○日笠委員 よくわかりました。  じゃ続きまして、法案の逐条解釈といいませんけれども、細かく一、二お聞きしたいと思います。  まず、この議題となっています法案の第一章総則、第一条「趣旨」でございますが、「この法律は、湾岸地域における平和回復活動」、ここが大事なんですが「(湾岸地域における平和と安定を回復するために国際連合加盟国が行う活動をいう。)を支援するため、」云々、早く言えば湾岸平和基金に拠出しますよということですね。この規定でいきますと、国際連合加盟国以外の国、例えば韓国であるとかまた国際機関であるとか国連機関であるとか、こういうところへは湾岸平和基金からは支援はできない、このようにとれるんですが、そういう理解でいいんでしょうか。
  180. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 先生がおっしゃるとおりでございます。  ただ、念のため申し上げますと、安保理決議の六七八号の二項に基づきまして今回平和回復活動が行われておりますけれども、この二項は、加盟国に対し、国際の平和及び安全を回復するため、あらゆる必要な手段をとる権限を与える、こういう形になっております。それを踏まえまして、ここに国連加盟国に言及をしている次第でございます。
  181. 日笠勝之

    ○日笠委員 そうなってくると、もう少し丁寧な書き方をされた方がいいんではないかと思うのですね。「国際連合加盟国が行う活動」というその前に、国連決議に基づき国際連合加盟国が行う活動とかですね。  なぜ申し上げているかというと、国連平和協力法、あのとき私も理事で少し汗を流させていただきましたけれども、あの法律とこの法律を見ると、いろいろと違うんですね。それから、特例政令を見ましても「湾岸危機」として、括弧して「イラクのクウェイトに対する」云々と、非常に細かく書いておる。この第一条の趣旨はあくまでも、増税するよ、いろんな特別な規定を設けますよということで、私に言わすと、今までの法律等々と見比べるとちょっと手抜きをしているのかなというふうな気もいたすんですね。  もう一つ言いましょうか。ならば、「この法律は、」という後に、湾岸危機に対して湾岸地域における平和回復活動支援するためとあってもいいんです。特例政令がそうなっているんです。  そういうようなことで、ここでわかったことは、湾岸平和基金から資金を出して支援をするのは国連加盟国でなくちゃいけない、限定されておる、こういうことですが、ならばお聞きしますが、その湾岸平和基金には運営細則とか会計規程とかいうのはあるんでしょうか。
  182. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 現在、湾岸平和基金の運営管理は運営委員会が当たっておりまして、運営委員会が具体的な使途その他について決定を行っております。今先生が言及されましたような形での内規はございませんけれども、この運営管理には運営委員会がしっかり当たっております。
  183. 日笠勝之

    ○日笠委員 じゃ運営規則とか細則にはこれは明定してないということですね。じゃ、武器弾薬には使用しないというのも、その運営規則とか細則というんでしょうか、そういうふうなものにもないんでしょうか。
  184. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 運営委員会は、今先生が言及されました具体的な使途に関しまして、従来、決定を二つ行っております。従来の十九億ドルに関しましては、これは資金協力と物資協力でございますので、それぞれの使途について決定を行っております。資金協力に関しましては、航空機及び船舶の借り上げ経費、その他の輸送関連経費を対象とすると、ここではっきり輸送関連経費であるということが決定されております。それから、念のため申し上げますと、もう一つの物資協力は、これはちょっと長くなりますから簡単に申し上げますけれども、防暑機材、水関連機材等々ということでこれも具体的に決めておりまして、この中には今先生が言及されました武器弾薬は入っておりません。
  185. 日笠勝之

    ○日笠委員 湾岸平和基金はお二人の方が運営委員会でやっておられるようですが、監査人というのはいるんですか。日本からの会計検査はできないというのがこの前のこの委員会での御答弁でしたけれども、その運営委員会には監査人といいますか、監査する人がいるのでしょうか。
  186. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 先生今御指摘のような意味での監査委員というのはおりませんけれども、念のため申し上げたいと思いますけれども、交換公文におきまして、今私が申し上げました具体的な使途を運営委員会確保する義務を負っておりまして、その上で運営委員会は、具体的な使途が運営委員会に関係国政府から報告が参りますと、それを日本政府に通報するという形になりまして、今私が申し上げましたのは今までの十九億ドルについてでございますけれども、十九億ドルの資金が具体的にどういうふうに使用されたかということは日本政府として確認できる体制になっております。
  187. 日笠勝之

    ○日笠委員 私の町内会でも、わずか百世帯ほどの町内会でも町内会運営規則があって、会計監査がいて、わずか年間何十万かの金を扱っているだけでもやっているんですね。こんな一兆何千億円というお金を扱うのに、監査人はいない、ただ通報を受けるだけだ、こういうふうなお話を聞くと、何となく大丈夫なのかなというような気がします。  そこで、局長湾岸平和基金の運営細則というのですか、規則というのですか、それと会計規則ですか、これは資料をいただけますか、後ほどでも結構ですから。
  188. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 今私触れましたこの運営委員会の決定事項全般について申し上げますと、これは残念ながら不公表ということになっておりますので、その決定事項そのものを差し上げることはできませんけれども、先ほど御説明申し上げましたように、重要な事項につきましては国会の場で報告をさせていただきたいと思います。今私が申し上げました従来の十九億ドルの具体的な使途も、これは重要なことでございますので国会で報告させていただいている次第でございます。
  189. 日笠勝之

    ○日笠委員 停戦が早まりまして、今回拠出します一兆一千七百億円に不用額が生じた、こういう場合はどうするか。既に運営規則とか細則とかいうようなことでもう明確になっているんでしょうか。不用額が生じた場合の対応の仕方です。
  190. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 私ども、不用額が生じるということは想定しておりません。
  191. 日笠勝之

    ○日笠委員 これは、大蔵大臣、私も予算委員会でずっと座っておりますけれども、お聞きしておりますが、たしか、不用額が生じた場合は湾岸復興の方へ使うというふうに総理はおっしゃったの じゃないでしょうか。大蔵大臣もお隣に座っておられたからお聞きでしょう。私もそう聞いておりますが、不用額は生じない、湾岸復興には使わない、こういうことなんでしょうか。
  192. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 たしか、私は予算委員会において二つの流れの御質問があったと記憶をいたしております。一つは、この九十億ドルの金額では足りない、その追加支援が来るのではないか、その追加支援要請に対してどうするんだ、どうするんだというお尋ねがひとしきりございました。そして、そのひとしきりの流れが終わりました段階で、今度は不用額が生じたらという御質問が出たことを覚えております。そして、そのとき総理がお答えになりました正確な言葉を記憶いたしておりませんが、日本湾岸平和基金に拠出をする、当然湾岸の平和と安定の回復のために使われる経費として、戦闘行為が終結した段階においては復興その他の費用として使われるであろうという趣旨の答弁をされたと理解しております。
  193. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 今大蔵大臣が申されたことに私からあえて追加させていただくことはないのでございますが、私は、先生が不用額とおっしゃられたのは文字どおり不用に立てるという意味での不用額というふうにとりましたので、そういうことは想定していないということを申し上げましたが、今回の九十億ドルに関して申し上げれば、これはまさに湾岸におきます平和回復活動に対して与えられるわけでございまして、仮に戦闘行動が早期に終わりまして平和が早く回復いたしまして、私どもはそういう日が一日も早く来ることを期待いたしておるわけでございますけれども、戦闘行動終結後の平和維持活動、それから戦後復興等に充当するということは考えております。そういう意味で、そういうことにも充当した後に何ら必要もないお金があるかという御質問かと思いましたので、そういうことは想定していないとお答えした次第でございます。
  194. 日笠勝之

    ○日笠委員 そういう趣旨で使われる可能性もあるということで理解をしておきます。  続きまして、今回の一兆一千七百億円につきましては、大幅な歳出削減税外収入、なお不足する財源臨時特別税、こういうことで、防衛費も約一千億円カットということで、その労を多とするところでございますが、税外収入、これはもうちょっとほかにあったのじゃないか、こう思うのです。  例えば中央競馬会の特別積立金とも申しますし、剰余金とも申すのですが、何か五千億円以上ある、こういうことなんだそうですが、今回は、売り上げの一割ということで五百二十億円。これは法律事項で自動的に売り上げの一割。これをオグリキャップ効果というのですか、そういうことで自然に入ってきちゃった。しかし、それを差し引いてもなおかつ、特別積立金が、剰余金とも言っておるそうですが、名称は私ははっきり知らないのですが、五千億円以上ある。これは使い道が余りないんだそうですね。今度中央競馬会法を変えてそのうちの五%は賞金に充てるということですが、それでもなおかつ使い切れない。こちょこちょスタンドを直したり場外馬券場を整備したくらいではとても使い切れない、こういうようなお話もあるのですが、この際、競馬ファンにも国際平和貢献ということで、この剰余金というのですか、特別積立金、少しいただいたらいいんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  195. 小村武

    小村政府委員 今回税外収入確保を図った中に御指摘の中央競馬会納付金がございます。これにつきましては五百二十億円計上をさせていただいております。  競馬会の納付金につきましては、第一納付金と第二納付金がございまして、第一納付金は御指摘のように売り上げに比例したものでございます。従来、競馬納付金は畜産振興と社会保障という二つの目的をもって納付をされております。ただ、今年度におきまして、年度途中の増加ということでこの湾岸協力のために使用させていただきました。  さらに、中央競馬会に特別積立金がある、これを取り崩すべきではないかという御指摘でございますが、従来から国会でもさまざまな角度からこの積立金につきまして御議論がありました。この特別積立金の大部分が競馬開催に必要な土地建物等の固定資産等であること、また、これ以外の流動資産につきましても、競馬開催中止といった不測の事態に備えた準備金、あるいは当面必要な設備投資に充てるための積立金、あるいは経営不振により将来赤字が生じた場合のてん補等として保有していると聞いております。その取り崩しはなかなか容易なものではないと考えております。  なお、金額につきましては、御指摘のように、元年度末におきまして五千五百億円というふうに聞いております。
  196. 日笠勝之

    ○日笠委員 後ほどやりますが、中東復興でまた恐らく日本はいろいろな意味で資金援助をしなければいけないと思いますが、そのときに国民から即税金をストレートにというのじゃなくて、そういう特別積立金もあるということをひとつ主計局次長の頭に入れておいていただいて、少しそれを国際平和貢献税ということでお願いすることも考えられるということを私は提案を申し上げておきたいと思うわけでございます。  それから、仮称中東復興基金、これについてお伺いします。  と申しますのも、国連憲章五十条に、ちょっと長いかもしれませんが読んでみます。「安全保障理事会がある国に対して防止措置又は強制措置をとつたときは、他の国でこの措置の履行から生ずる特別の経済問題に自国が当面したと認めるものは、国際連合加盟国であるかどうかを問わず、この問題の解決について安全保障理事会協議する権利を有する。」とあります。これは、私どもの弁護士さんに聞くと、今回のような湾岸危機があった、それから起こるいろいろな強制措置がとられたわけですね、いわゆる国連決議、経済封鎖、武力行使容認。そういうことで、経済的に特別に問題が生じた場合は協議できる。早く言えば、国連で経済協力といいましょうか、復興協力といいましょうか、そういうことをやりなさいという第五十条だそうでございます。ということなれば、これはもういや応なく、国連中心主義でいく我が日本中東復興に相当の、これはやはりいろいろな意味資金協力をせざるを得ないということに相なろうかと思います。  そこで大蔵大臣、お聞きしますが、竹下元総理がそのことで、酒、たばこを増税したらどうか、こういう講演を某所でされておるそうでございますが、ちょっと私は、先ほど言いましたいろいろなことを考えなければいけません。酒、たばこ増税となりますと、私のような年代でもすぐ戦費調達、酒、たばこというのは、戦争中にお金が要ればすぐたばこの税金を上げる、酒の税金を上げるということでずっと来たわけです。そういう意味では、ストレートに中東復興資金が要るので酒、たばこというのはいかがなものかな、かように私は思うのですが、率直な御感想をお聞きしたいと思います。
  197. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 同じような御質問が予算委員会でもありまして、簡潔に私は見解を述べましたが、大蔵委員会の場でありますので改めて少し詳しく私の考え方を申したいと存じます。  なぜ少し詳しくと申し上げるかと申しますと、クウェートという国が非常に大きな資産を現に有している国であるということが一点であります。そして同時に、クウェートが自国の領域を回復し主権を回復した時点において、当然のことながら、現在クウェート日本に保有しております資産も、今凍結をいたしておりましたものも解除し、正統な政府が使える状態になります。  こうした点を考えましたときに、クウェート一国で考えました場合にはどの程度の資金需要が出てくるのかということについては、自力の部分が相当あり得るということもありまして、どういう形態になるのか見通しがつきません。さらに、イラクが故意にその主権を侵している間において破壊をしあるいは略奪したものは、当然のことながら賠償責任を生ずるでありましょう。それが今イ ラクが支払えるかどうか、これはまた別の問題です。そういう意味では、戦闘行為が行われた地域限定して考えましたとき、私はそれほど、言われるような大きな資金需要というものがすぐに出てくるという印象を必ずしも持っておりません。  なぜなら、多国籍軍行動も停止するわけでありますから、多国籍軍に対して、例えばサウジにいたしましてもクウェートにいたしましても、拠出している資金というものはその後は継続しないわけであります。同時に、むしろ周辺の国々並びにアジアを含めまして当該地域に相当数の労働者等を送り、その送金によって経済を維持してきた国々がございます。そうした国々の経済を支えるための努力というものは当然行わなければならないと思います。しかしそれは、必ずしも中東限定した基金あるいは国際金融機関を創設した場合にその対象地域に入るとは限りません。同時に、新たな国際金融機関の創設には、EBRDの例を見ましても相当な日数を要します。問題はそこまで行く期間、非常に焦眉の急の時期における資金需要にどう対応するかということでありましょうから、その場合は、私は、IMFとか世界銀行といった既存の国際金融機関を中核にしながら関係諸国が相談してその支援に当たるのが最も適切であると思います。特に関係のアラブ人たち意見が今全く出ておりません。この混乱が終結した段階においてアラブの人自身がどのような図面をかこうとするのか、我々はこれには十分敬意を表し、注意を払い、その内容を検討していく責任があろうかと思います。  ですから私は、相当な期間がかかる問題でありましょうし、その場合の費用負担がどれぐらいになるかによりましてはいろいろ新たな努力考えなければならないかもしれませんが、今早急に特定の税目を挙げてこれがいい、あれがいいと申し上げるほど将来についての自信を持った見通しが立てられないでおるという実情であります。
  198. 日笠勝之

    ○日笠委員 大臣の言うことはよくわかるのですね。しかし、中東地域全域を含めれば、世銀とかIMFというものは、いわゆる食糧とか水の関係とかは既に組織があって、出資だけすればぱっと行きますけれども、しかし今後、恐らく二十一世紀中には復興できないのではないかという話もこれあり、そういう意味では、ベーカーさんも中東復興銀行構想なんということを打ち上げておられます。  それに絡んで大臣にお聞きしたいのは、七月にサミットがありますね。とにかく早く停戦になることを願うわけですけれども、七月のサミットを待たずして、停戦になれば即日本大蔵大臣としてG7に呼びかける。いわゆる中東復興の青写真をかきましょう、シナリオを私たちで書きましょう、すぐできるもの、将来的に銀行とか基金をつくるもの、これを大臣の方からG7ならG7に呼びかけて、それは国連という場もあるかもしれませんが、とにかくG7にでも呼びかけて、そういう一つのシナリオ、青写真を日本国が提案する。提案したからにはそれ相応の、それこそ総理がよくおっしゃる応分の負担をする。こういう積極的な、停戦後は即大臣が呼びかけて、中東復興に一汗も二汗も日本国は国際国家として汗を流したい、こういうふうなことがあってもしかるべきでないか。提案の一つでございますが、いかがですか。
  199. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは日笠委員の真剣な御提案ですから、改めて私自身も勉強してみたいと思います。  しかし同時に、私は今率直な感じを申し上げるなら、少なくとも財政当局の責任者として国際的にイニシアチブをとり、この復興について物を言うことに非常にじくじたるものがございます。  それはなぜかと申しますと、昨年の九月のG7のとき、湾岸に兵力を展開しておらない国は日本と当時の西独、ドイツでありました。そして各国が、我々はこれだけの兵力を湾岸に出している、我々はこれだけの兵力を出していると言う中で、本当に内心じくじたる思いといいますか寂しい気持ちでその場におりました。  本年一月のG7の際には既に地上における、航空戦という形でありましたが、クウェートから実力でイラクを排除しようという行動は始まっておりました。そして周辺国支援の問題が出ましたときに一番最初に発言を求めたのはドイツでありまして、昨年の九月の時点とは違い、我々はトルコにまで現実に戦闘可能な部隊を展開している、我々ももうあなた方と同じ立場になった、周辺国支援について我々の負担を軽くしてくれ、率直に言えばそういうことです。しかし、そういう言葉を使わずに、NATOのエリアの中で行動のできる我が国の憲法のもとでトルコまで我々は戦闘部隊を展開しているということを誇らしげに発言をし、各国がそれにうなずいた姿というものが私には忘れられません。同時に、それは事情をよく御存じのない方の発言ではありましたけれども、我々は我が国の若人の血で自由をあがなおうとしている、日本は金だけかと言われたつらさも私の心にしみついております。  そうした雰囲気がある中で、仮に日本が善意でありましても、復興についてのイニシアチブをとる経済的な部分での発言をいたしました場合、はね返りがどのように来るか、率直に申して私は自信がありません。  しかし、その問題は大切な問題でありますから、改めて私自身も勉強してみます。ただ、そうした空気があるということもどうぞ御理解をいただきたいと思います。
  200. 日笠勝之

    ○日笠委員 大臣は、きょうはえらい時間を気になさって、それ以降の御答弁されませんでしたが、予算委員会でおっしゃいましたね。そのときに、我が国武器輸出をしておりません、こうおっしゃったんでしょう。手が汚れてないという意味のことを言った。それだけが非常に喜ばしいことだった。だから、ドイツドイツで、NATO諸国の防衛ということでトルコに出したのでしょう。掃海艇も出したということです。我が国はまさに武器輸出では手が汚れていない国だ、こういう観点。  それからもう一つは、PKOも、きょうも富塚先生も、自衛隊より別個の組織なら一緒に乗ってもいいというような旨のお話をされましたので、これは極力早く、やろうと思えばすぐできるわけですから、そういう意味で人的貢献はできる。こういうことを踏まえれば、資金のことを言うとはね返りがきついと言われるかもしれませんけれども、しかし、まさかこれで日本は資金援助ができませんとは言えないと思います。だから、そういう意味では、リーダーシップをとられる、できればドイツと一緒にとられたらいいのじゃないかなと思うのです。これは私の提案ですから、先ほど検討されるとおっしゃったのですから、ひとつ御検討を前向きにお願いしたいということを申し上げておきます。  そこで、その資金、財源ですね。これはいろいろあると思うのです。竹下元総理がおっしゃるように、酒、たばこもいいでしょう。健康のためにもいいかもしれません。しかし、これも提案になるのですが、私、二つほど提案したいのです。  一つは、基金をつくります。国際平和基金でもよろしい。そこへ寄附金をしてもらう。そして、寄附した方は寄附金控除で少し税金が返ってきます。これも一つの手ではないでしょうか。と申しますのも、今回アンマン―カイロに自衛隊機を飛ばさせないぞということで、たくさんの義援金というのでしょうか、集まりました。やはり日本国民とすれば、世界の孤児にはなれない、一国平和主義ではいけない、恐らく今回の湾岸危機で多くの国民がそういう理解をしたと思うのです。そういう意味では、中東復興基金でもよろしいし、国際貢献基金でもよろしい、そういうところへひとつ寄附をしてください、そして寄附金控除で少しは税金の面でお返ししましょう、こういうふうなものが一つ。  それからもう一つは、平成四年一月一日施行される予定の地価税です。土地の地価税、これはここでもこの前やりましたね。そのとき大臣は、これれから審議を願う地価税について、それを財源 にするということはとても言えませんとおっしゃいました。しかし、地価税も三千億円から四千億円の税収になる、こういう予測があるわけですから、こういうものも、はっきり申し上げればお金持ちの資産家からいただく税金です。某経済団体のトップの方も、こういう国際貢献、平和貢献はまずお金持ちから義援金をもらうんだ、そして足らずを増税で薄く広くお願いするものだと非常に哲学的におっしゃっておられました。そういうことを考えれば、地価税はまさに資産家からいただくものでございますし、三千億円から四千億円あるわけです。  この二つの提案ですね。特に地価税については、大臣から前向きな御答弁をいただけるようなことであれば、私ども、地価税の法案を早く上げてもいいんじゃないか、ただ税率とか控除の問題いろいろありますけれども、かようにも思うわけでございますが、この二つの提案について御感想をお聞きしたいと思います。
  201. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 本当に地価税をあすにでも通してやると言われれば、本当に私どもとしては幸せでありますが、問題は、その地価税の今考えられるような税収で対応できる程度の負担であるかどうかということもあろうと思います。また、税制調査会からこの地価税というものについて御提言をいただきました中に、その税収をどう使った方がいいんではないかという御助言もいただいております。こうしたものも私の立場としては考慮に入れなければなりません。しかし、そうしたことをも踏まえながら、積極的に今後考えていくべきテーマの一つであろう。まだ国会で御審議をいただく前でありますから、この程度の感想にとどめさせていただきたいと思います。  また、基金のお話がございました。これは、民間の善意を集めるという意味において一つ考え方であろうと思います。しかし問題は、例えばソ連からやけどの坊やの最初の一人が運ばれてきたとき非常に多くの善意の募金が寄せられた。二人目のお子さんが送られてきたとき金額は大幅に減った。三人目のお子さんが同じようにやけどで日本に送られてきたときにマスコミもほとんど報じませんでしたし、実はそのお子さんに対する寄附というものも余りなかったと聞いております。これはいいことなのか悪いことなのか、私にもわかりません。しかし、そうした気質が我々の国の中にあることもまた事実であります。そうしますと、一つの御構想として私は考えてみたいと思いますが、余り大きな期待をここにかけることも難しいのかな、率直にそんな印象を持って拝聴しておりました。
  202. 日笠勝之

    ○日笠委員 大蔵大臣というお立場ですから、それは当然そういう御答弁になると思いますね。ただ、大臣、私、別にここで反論するつもりはないのですけれども、コースチャちゃんのことで、北海道へ来たというのは、これは寄附金控除がなかったらしいですね。寄附金控除がない。それからもう一つ、郵便貯金の利子の一部がボランティア団体への支援ということで新しくできましたね。これは今非常に好調なんだそうですね。利子の二割ですか、あれ。いいですよという方が多いんだそうですね。もちろん郵政省の皆さんの一生懸命な努力もあったと思うのですが。そういう意味では、これは、そういう国際平和基金なり国際貢献基金なりは寄附金控除をつける。そして、先ほど郵政省の利子の一部を云々というようなことを見れば、これは一つの参考にはなるんじゃなかろうか、こう思いますので、これは御指摘だけ申し上げておきたいと思います。  さて、あちこち飛びましたけれども、もう時間があと七分ほどでございますから、今度の法案で私一番心配をいたしますのは、先ほど申し上げました国債整理基金特別会計の歳入欄に法人臨時特別税四千三百六十億、石油臨時特別税二千百六十億と、明確にこれだけはいただこうということで、償還をするということで出ておりますが、一つは、もし税収がこれほど入らなかった場合、いわゆる予定どおり入らなかった場合は一体どうされるのか、一つ。二つ目は、反対に予定より税収が多かった。いつも敬意を表しております大蔵省主税局が見積もったものでございますからぴたっとこのとおりにいくかとは思いますけれども、しかし一説によりますと、銀行系のシンクタンクによりますと、平成三年の法人の収益は五%台、減益になるのではないか、こういうふうな報道も出ておりました。そういうものもあわせて、この法人臨時特別税、そういうリセッション、景気が少し後退して、いろいろなシンクタンクの報道などを見ても来年度、平成三年度は非常に減益になるのではないか、こういうことで報道されておりますが、大体この程度は間違いなく入るのか、入らなかったらどうするのか、反対に多かったらどうするのか、その辺ちょっとお聞きしたいと思います。
  203. 小村武

    小村政府委員 税収につきましては適正な税収見積もりを行っているところでございますが、結果として臨時特別税の税収見積もりとその実績の間に差額が生ずるという場合がございます。そうした場合の技術的な調整といたしまして今回の法律におきましては、まず税収実績が見積もりを下回る場合には、総合的減債基金である国債整理基金によって補てんをすることを考えております。それから税収実績が見積もりを上回る場合には、税収のすべてを臨時特別公債の償還財源にまず充てます。一方、一般会計からの繰入金の予定をしておりますが、これについては減額を行わず、余った部分は従来の特例公債の償還財源に充てるというふうに規定をしております。
  204. 日笠勝之

    ○日笠委員 見積もり。
  205. 尾崎護

    尾崎政府委員 法人臨時特別税の見積もりについてのお尋ねでございましたが、法人臨時特別税は法人税の税額を基礎として課税をするわけでございますが、例の三百万円の控除などがあるものでございますから、平成元年の実績をもとにいたしましてその分の計算をいたしまして、その後の経済情勢などを勘案して適切に見積もったつもりでございます。  確かに今後の企業の収益についてのいろいろな見通しがございます。私どももそれを存じておりますが、御指摘のようなシンクタンクの見通しにつきましても経常利益で行われておりまして、御承知のように経常利益と税務上の課税標準となります所得には差がございます。特別損益の調整をいたしましたり、あるいはわかりやすいもので申し上げますと例の交際費などの扱いが違うわけでございまして、そのままぴたりということでもないということ、御承知のことと存じますが、やや違うという点もございます。
  206. 日笠勝之

    ○日笠委員 いや、心配しますのは、あれは昭和五十九年でしたか、酒税が増税になりましたね。そのときに、当時竹下大蔵大臣だったと思うのですが、増税すると酒税は税収が減りますよ、こう私が申し上げたときに当時の大蔵大臣は、大蔵省が見積もった最善最高のものでございます、こうおっしゃいました。一年後に、まさに一〇%以上税収が狂ったんですね。そのときに大蔵大臣は、もうただただこうべを垂れておわびをするのみです、こう言われた。ですから、いろいろ不透明なこういう環境でございますから、このとおりにいくのかなという心配をして申し上げておるわけでございまして、足らなかったらちゃんと対応ができるということでございますから、もしこの税収どおりいかなければ特例でもう一年延ばしてしまおう、二年間もこれを延長しようという気はない。法律を改正しなければいけませんからね。こういうふうに理解をしてよろしいんですね。
  207. 尾崎護

    尾崎政府委員 課税の期間は法律上明記されてございます。
  208. 日笠勝之

    ○日笠委員 最後に、この法案の五十四条でございますが、一番最後の条文でございますが五十四条に、「政府は、この法律の趣旨及び内容について、広報活動等を通じて国民に周知を図り、その理解協力を得るよう努めるものとする。」こうあります。  そこで、外務省大蔵省に最後にお伺いしたいのは、具体的にどのような方法、手段また内容をもって国民に広く周知徹底をされようとしておら れるのか、これをお聞きしたいと思います。
  209. 尾崎護

    尾崎政府委員 お尋ねの広報活動などの具体的な細目につきましては、関係省庁間で密接な連携をとりながら本法律の成立後にさらに詰めることといたしたいと考えておりますが、現在のところ次のような措置をとりたいと考えております。  まず第一に、大蔵省・国税庁が納税義務者に対しまして新税に関する説明会を開催して相談に応ずるほか、パンフレット、ポスターを作成するなど広く広報活動を行いたいと考えております。  それから二番目に、各省庁が関係業界、団体等に対しまして広報活動等を行うほか、各省庁の地方支分部局の窓口などにおきまして相談などに応ずることといたしたいと考えております。  三番目に、湾岸危機対策本部におきまして、総理府の協力を得ながら、この法律の趣旨や背景につきまして広く国民に対して周知に努めたいと考えております。
  210. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 外務省といたしましても、今まで、今回の九十億ドルの追加支援の背景、その必要性につきまして、関係省庁と連絡をとりながら国民皆様理解していただくようにマスメディアを通じまして努力してきた次第でございます。  例えばでございますけれども、一月三十日には総理みずから「総理と語る」というテレビ番組に御出席いただきまして、総理の口からもこの点を指摘していただいた次第でございますが、そのほか、外務省幹部がいろいろなテレビ番組にも出ておりますし、それから講演、座談会、討論会等を通じましてさらに国民皆様の御理解を得るように努力してまいりたい、こう考えております。
  211. 日笠勝之

    ○日笠委員 では、一日も早い停戦を祈りつつ、質問を終わりたいと思います。
  212. 平沼赳夫

    平沼委員長 次回は、明二十八日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時七分散会