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1991-03-15 第120回国会 衆議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年三月十五日(金曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 亀井 善之君    理事 鴻池 祥肇君 理事 佐藤 敬夫君    理事 武部  勤君 理事 二階 俊博君    理事 柳沢 伯夫君 理事 左近 正男君    理事 山中 末治君 理事 春田 重昭君       粟屋 敏信君    木部 佳昭君       坂本 剛二君    平泉  渉君       藤井 裕久君    古屋 圭司君       星野 行男君    増子 輝彦君       宮崎 茂一君    村田 吉隆君       山村新治郎君    赤松 広隆君       小林 恒人君    関山 信之君       常松 裕志君    早川  勝君       細川 律夫君    草川 昭三君       佐藤 祐弘君    高木 義明君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 村岡 兼造君  出席政府委員         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   大塚 秀夫君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部長      黒野 匡彦君         運輸省運輸政策         局長      中村  徹君         運輸省国際運         輸・観光局長  寺嶋  潔君         運輸省地域交通         局長      佐々木建成君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      松波 正壽君         運輸省貨物流通         局長      吉田 耕三君         運輸省海上技術         安全局長    戸田 邦司君         運輸省港湾局長 御巫 清泰君         海上保安庁次長 豊田  実君  委員外出席者         厚生省生活衛生         局食品保健課長 野村  瞭君         水産庁漁港部計         画課長     坂井  淳君         労働省職業安定         局特別雇用対策         課長      若木 文男君         運輸委員会調査         室長      長岡日出雄君     ───────────── 委員の異動 三月十三日  辞任         補欠選任   細川 律夫君     渡辺 嘉藏君   高木 義明君     米沢  隆君 同日  辞任         補欠選任   渡辺 嘉藏君     細川 律夫君   米沢  隆君     高木 義明君 同月十五日  辞任         補欠選任   魚住 汎英君     粟屋 敏信君   木部 佳昭君     星野 行男君   緒方 克陽君     早川  勝君 同日  辞任         補欠選任   粟屋 敏信君     魚住 汎英君   星野 行男君     木部 佳昭君   早川  勝君     緒方 克陽君     ───────────── 三月十五日  日本国有鉄道清算事業団法の一部を改正する法律案内閣提出第七四号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案内閣提出第六三号)  日本国有鉄道清算事業団法の一部を改正する法律案内閣提出第七四号)      ────◇─────
  2. 亀井善之

    亀井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。左近正男君。
  3. 左近正男

    左近委員 昨日、広島の新交通システム建設現場で大変大きな事故が発生いたしました。亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りをいたしますとともに、重軽傷、けがをされた方々の一日も早い御回復を願っております。  そこで、この広島の新交通システム運輸省としても工事の認可をされたわけでありまして、それなりに重大に受けとめていただきたい、このように思います。  現在、どのような対応運輸省としてされているのか、本件に対して大臣としてどういう所信を持っておられるのか、お答え願いたいと思います。
  4. 村岡兼造

    村岡国務大臣 昨日、広島事故報告を受けました。通常ああいう工事で考えられない大惨事が起きまして、運輸行政を預かる私どもといたしましても、まことに残念でございます。  いろいろまだ詳細、係官を派遣して事故原因究明に当たらせておりますけれども、いずれにしても今後このような事故が二度と起きないように注意すべく、従来、お聞きをいたしますと、ああいうような道路交通交通どめをしないで工事をやっておった、こういうことで、先ほど省内の方に、私どもで管轄しておりますいろいろな鉄道その他につきまして、厳重に事故の発生しないように、もしまた広島みたいな方法工事をやっているというのであれば、多少住民方々交通渋滞のためのいろいろな問題がありましても、工事施行方法、そういうものを見直す、こういうような通達を今出させているところでございます。  事故に当たりまして亡くなられた方々あるいは負傷者方々に、心から御冥福を祈るとともに、また、負傷者の一日も早く治ること、二度とこういうようなことのないように気をつけていきたい、こういうふうに思っております。
  5. 左近正男

    左近委員 委員長に要請いたしますが、この事故に対する原因も含めた報告書を当委員会提出をしていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
  6. 亀井善之

    亀井委員長 理事会において協議をいたしたいと思います。
  7. 左近正男

    左近委員 そこで、湾岸戦争が終結したわけですが、現在、日本商船隊としてペルシャ湾に何隻おりますか。
  8. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 本日現在でペルシャ湾には日本関係船舶が十五隻就航しているという報告を受けております。
  9. 左近正男

    左近委員 航行は安全ですか。
  10. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 武力行使が停止されました三月一日に、海運労使協議をいたしまして、イラクのクウェート侵攻以降講じておりました航行安全対策による規制の解除を決定いたしましたが、な おペルシャ湾の奥には機雷があり、あるいは流出原油があるということでございますので、これらについての情報収集に努める、それを就航船舶周知徹底を図って航行の安全に努めているところでございます。  なお、機雷につきましては、入湾した船舶がバーレーンにございますアメリカ海軍の拠点に連絡すれば、最新の情報を得られるというシステムになっております。  現在のところ、日本関係船舶航行先は、サウジアラビア側では主要な原油積み出し港でありますラスタヌラ、イラン側ではカーグ島までとなっておりまして、これらの区域につきましては航行に特段の支障は生じておらないと承知しております。
  11. 左近正男

    左近委員 運輸省としても今後万全を期していただきたいと思います。  今、機雷の話が出ましたが、海員組合などは油の問題を大変心配しております。結局、油の上を航海すればこれはエンジンも機能しないというような危険性もあるわけでして、運輸省としてこの油の除去の問題についてもっと積極的に対応すべきだと思いますが、いかがですか。
  12. 村岡兼造

    村岡国務大臣 ペルシャ湾岸の油の流出の問題につきましては、先生御承知のとおり、海上災害防止センターなどの協力を得まして、オイルフェンス運輸省関係としては十キロメートル出したわけでございますけれども、現在、ペルシャ湾流出原油防除環境汚染対策調査団を派遣いたしておりますが、運輸省から、油関係で二名、大気汚染に関する問題で一名、八日から出発をいたしておりまして、この十九日には調査団帰国予定でございます。第一義的には外務省であろうかと思いますが、この調査団帰国を待ちまして、それで対策をすべきものであれば、運輸省関係としては可能な限り、できる限りの協力を申し上げたい、こう思っております。
  13. 左近正男

    左近委員 今、大臣の力強い御答弁をいただきました。運輸省としてもひとつ積極的に協力体制をつくっていただきたいと思います。  そこで、湾岸戦争が終わりまして、今特に外航海運を担当している全日本海員組合の方では、「中東湾岸戦争終結に伴う復興支援貢献策について」というものをまとめられて、政府にもあるいは世間的にも発表しておるわけであります。特に、「難民の食糧輸送、貯蔵及び淡水製造能力を備えている遠洋トロール船冷凍運搬船の活用が最も適切な貢献策である」という立場をとっておるわけでありまして、具体的な貢献策として、「湾岸諸国への食糧輸送役務を行う。」あるいは「湾岸諸国港湾において食糧保管冷凍庫代わり役務を行う。」「当該船舶淡水化製造設備を活用し、淡水供給役務を行う。」これらの三つの具体的な貢献策について海員組合としても積極的に協力をする、こういう立場を表明いたしております。  私、昨年の国連特でいろいろこの輸送問題についてやりとりをいたしました。海部総理もなかなか民間協力が得られないということをこぼしておられたわけですが、平和的なことであればこのように積極的に協力をする態勢を持っておるわけでありまして、この海員組合三つの積極的な貢献策について、政府としてどういう受けとめ方をされておるか、またどうしようとされるか、これを具体的に御答弁いただきたいと思います。
  14. 村岡兼造

    村岡国務大臣 左近先生今おっしゃいましたように、我が方の寺嶋国際運輸観光局長に対しまして、全日本海員組合中西組合長さんから、現在多数の遠洋トロール船係船中であるが、これらは海水の淡水化装置を備えているので、我が国の中東復興支援策として、これらのトロール船クウェートに派遣し淡水を提供させてはどうか、こういうような申し込みがあったようでございます。なおまた、近日中に上記を含めた遠洋トロール漁業政府支援策につきまして、総理大臣運輸大臣及び農林水産大臣に陳情したい、こういう意向も聞いております。  我が方で調べましたところ、トロール船、主にすり身トロール船でございます。冷凍トロール船もございますが、これらは造水能力が毎日十トンとかでございますが、すり身トロール船は一日当たり百七十二トンから六百二十三トンぐらいまでございまして、ほとんどが今係船中、こういう状況でございます。  したがいまして、この問題を受けまして外務省に、こういうような問題が海員組合から来ております、こういうことを言いましたが、クウェート情報外務省としてはなかなか入ってこないので、現地においてトロール船による淡水供給を必要としているか否かについては現状では今わからない、こういう状況でございます。したがいまして、いずれにいたしましてもこういうような支援策とかそういうものにつきましては外務省がまとめておりますので、既に外務省にはこちらの方で申し込んでおります。外務省からまたクウェートからいろいろなものを、問題がありましてそういうことなれば、第一義的には漁船でございますので水産庁の問題だと思いますけれども、しかし海員組合さんからも言われておりまして、そういう状況が出た場合には運輸省としてもできるだけ協力をしていきたい、こう思っております。
  15. 左近正男

    左近委員 私はこの海員組合貢献策はかなり積極的な提言だと思いますので、今大臣が御答弁されたようにひとつ取り組みをやっていただきたいと思います。そしてまた、これらは当然日本政府支援というか財源で行うのが当然でございまして、その立場を踏まえて政府内部で論議をしていただくことを特に要望しておきたいと思います。  次に、法案内容について二、三お聞きをしたいと思いますが、この港湾整備の五カ年計画というのは昭和三十六年度からずっとやられておるわけでありまして、今日まで第七次、約二十年間でございます。総投資実績額幾らになりますか。
  16. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 お答えいたします。  第一次の計画から第七次までの五カ年計画、これが現在行われたわけでありますが、その総投資実績額、これは名目の累積でありますけれども十一兆七千億になります。
  17. 左近正男

    左近委員 あの計画をずっと積算していくわけにいかぬ。使ってないところは、計画だけなの。あの表では、別表ではもっと大きな金額になりますけれども。それ、どうかね。
  18. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 今申し上げましたのは港湾整備の総投資額実績額を足し上げたものでございます。
  19. 左近正男

    左近委員 それで、十兆円を超える巨大な金額ですが、今日まで港湾整備に対してどの辺までやれた、どんなことをやってきたのか、その辺の総括というか認識はどうされていますか。
  20. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 昭和三十六年の第一次から現行の第七次まで、いろいろそのときどきの経済計画あるいは国土計画上位計画といたしまして五カ年をつくり、経済社会情勢変化対応して計画実施に努めてきたということでございます。  各五カ年計画における重点施策、それにどういう問題の解決を図ってきたかというのを非常に粗っぽく申し上げますと、第一次、これは昭和三十六年でございますけれども、それから第二次が昭和四十年からでございますが、ここでは大体外貿船中心とする船込み現象というのが大変にございまして、これの解決に向けて大変な努力を払ったということが一つあろうかと思います。そして、昭和三十七年に新産都市法、それから三十九年に工業整備特別整備法、こういうものがございますが、新産・工特地域整備というものに大変重点を置いたということかと思います。  次の第三次、これは昭和四十三年からでございますけれども、このときは三大湾を中心とするコンテナ輸送の急増という問題に対応した。  第四次、これは昭和四十六年からでございますけれども、このときは全国レベルでの環境問題というのが大いに燃え上がりまして、特に大都市圏における都市廃棄物処理問題というような解決に大いに努めたということかと思います。  第五次、これは昭和五十一年からでございまし たけれども、このときは石油危機を契機とするエネルギー情勢への対応ということが大きい問題でございました。  第六次、これは昭和五十六年からでありますけれども定住圏構想、折から三全総がございました。この定住圏構想実現のため、地方港湾整備というようなことに重点的な投資が行われたわけであります。  そして現行の七次、昭和六十一年からでありますけれども、ここでは、時代の変化対応いたしまして、豊かさを実感できる多様な国民生活実現あるいは多極分散型国土形成を図るための港湾空間機能充実あるいは港湾相互ネットワーキング、こういうような課題解決すべく現在努力を払ってきている、こういう情勢にございます。
  21. 左近正男

    左近委員 そういう二十年間の経過を踏まえて今度新しく第八次の港湾整備五カ年計画、総事業費は五兆七千億、大変大きな金額でございますが、この五兆七千億を生み出すに当たって、どういうところからこの財源を生み出されるのか。私は、国の税金国費地方税金または地方債務国機関融資国機関の無利子融資事業者負担、こういう五つの項目を設定したわけですが、この割合に応じてどれぐらいの金額を見積もられておるのか。これはまだ精査はされてないと思いますが、大体の思惑というか見積もりを一度提示をしていただきたいと思います。
  22. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 第八次の五カ年計画、これからつくろうといたしておりますけれども、これの総投資規模は五兆七千億、そのうち港湾整備事業が三兆五千九百億、災害関連地方単独事業が五千四百億、それから港湾機能施設整備事業等が九千四百億、それに調整費六千三百億、こういうような内容になっております。  この財源構成、現在正確にそれを見積もるというわけにはいきませんけれども、現時点でこれを第七次計画実績について考えてみようかと思いますが、港湾整備事業について申し上げますと、実績二千七百七十億でありますけれども、この構成比国費が約五五%、それから財投が一・一%、地方費が約三九・八%、受益者負担分が四・一%、こういうような姿になっております。  地方単独事業は、地方単独でございますので全額地方負担地方独自の財源によっております。それから機能施設整備事業と申しますのは地方債による財源手当てであります。それから、民活に対しましては財投あるいは民間資金というようなものが充てられている、こういう状況にございます。
  23. 左近正男

    左近委員 その資料は提出してください。よろしいですか。
  24. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 承知いたしました。
  25. 左近正男

    左近委員 それではこの五カ年計画重点的な課題は何ですか。
  26. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 新たにつくります第八次五カ年計画でありますけれども事業重点的推進を図る施策といたしましては、近年の輸入貨物の増大に対応した外貿コンテナターミナル等輸入関連インフラ整備する。それからモーダルシフトの動向、これが大切でありますが、こういうものに対応した内貿ユニットロードターミナル整備する。関連いたしまして、幹線臨港道路整備し、さらに、国民生活の質の向上に資するための緑地、マリーナあるいは廃棄物を処理するための廃棄物埋立護岸、それに、地方離島港湾整備というようなものに重点を置いていきたいと思っております。  また近年は、内外航旅客船に対する需要の増加、あるいは地域観光資源を生かした地域振興、あるいは港湾へのアクセス交通確保するというようなために、快適な旅客交通体系形成ということが大切になってまいりまして、これを第七次五カ年計画以上に主要な施策として取り上げていきたい、こういうふうに思っております。
  27. 左近正男

    左近委員 そこで、この計画を見てみますと五兆七千億ですが、あなた方の方で概算要求されたときには六兆七千八百億円。この決定額計画額と一兆円以上の差があるわけですね。これはかなり大きな概算要求計画額の差だと思いますが、なぜこんな大きな差が出たのか。これだけ大きな差が出れば事業計画支障を来すのではないかと思うのですが、その点いかがですか。
  28. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 先生おっしゃいますとおり、昨年八月の要求時点におきましては、この五カ年計画要求規模は六兆七千八百億でございました。そして、いろいろ折衝して取りまとめて先般閣議了解されたその規模が五兆七千億であります。その規模で約一兆円の乖離があるということでありまして、要求に対して八割程度という形になっております。  今後、この五カ年計画内容、総枠はこれで決まりましたけれども内容をどう決めていくかと申しますと、計画決定までに、平成四年度の予算要求に合わせて、各港湾管理者から要望を十分伺いながらその内容をいかに重点的、効率的な内容にし得るかということでありまして、その過程において全国地域港湾整備に対する要望にこたえていけるものというふうに思っております。
  29. 左近正男

    左近委員 僕はそんなこと聞いてないわけや。この概算要求をあなたら、どんぶり勘定でやったんか。何もないところでやったんか。やはり、ある程度事業計画を頭に置きながら六兆七千八百億という概算要求をされたんでしょう。それが、閣議決定された計画では五兆七千億になった、一兆円の差があるやないか。それなら、何かの頭の中で描いておった計画計画の中には乗らなかったはずですよ。そうでしょう。それならあなた、六兆七千八百億というのはどこから出してきたんや。勝手に寝ながら出してきたんかい。
  30. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 おっしゃいますとおり、要求するときに六兆七千八百億、それなりに我々も根拠を持って要求いたしております。しかし、いろいろな情勢からそれが五兆七千億というふうに決まったわけでありますけれども、そうするとそのギャップ一兆円、確かにございます。これの内容を何とか埋めていくように我々努力しなければいけないので、そうしますと、そのとき港湾管理者から聞いて積み上げた内容をさらにもう一回聞きながら、重点的、効率的整備というようなことで、その内容を密度を濃くするというようなことかと思いますが、そういうふうにして対応を図っていきたい、こういうふうに考えているわけであります。
  31. 左近正男

    左近委員 まあいいや。  それでは、初年度の投資事業費というのは幾らになりますか。これはもうはっきりしてくると思う。その中で、さっき五兆七千億円のときに聞いたように、国の税金国費地方税金または地方債務国機関融資国機関の無利子融資事業者負担、これはかなり明確にお答えができるんじゃないですか、どうですか。
  32. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 平成三年度の予算原案におきます港湾整備事業予算は、事業費として六千五十九億を見込んでおります。この財源構成は、国費が約五五%、それから地方費、これは港湾管理者負担分でございますけれども約四〇%、それから財投が一%、受益者等による負担が約四%というふうに見込んでおります。
  33. 左近正男

    左近委員 この法案が成立した後、政府としては、運輸省としては、どういうようなスケジュールで具体的な整備五カ年計画を策定されるのですか。
  34. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 第八次五カ年計画の策定の今後のスケジュールでございますけれども、今国会で港湾整備緊急措置法の一部改正を御審議いただいた後、各港湾管理者意見を聞く、いろいろその内容についての御要望等を聞いていくわけでありますが、その港湾整備事業実施目標及び量について検討を行い、港湾審議会意見を聞き、関係省庁調整の上、計画案を作成いたしまして、本年秋ごろをめどに閣議において決定していただくというふうに考えております。
  35. 左近正男

    左近委員 それでは引き続いて、アメリカと約束をした二〇〇〇年までの十年間の公共事業四百三十兆円、平成三年度二千億円という枠でやられ たわけですが、港湾整備についてどれだけ割り当てられたのか、また今後、港湾整備事業に対してこれがどういうような形で位置づけられていくのか、その辺はいかがですか。
  36. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 平成三年度の政府予算原案に計上されました生活関連重点化枠、これは国費二千億でございますけれども、このうち、いわゆる公共事業への枠が千七百五十億でございました。このうち港湾整備事業に振り向けられました国費は約八十八億円でございまして、これに見合う事業費は約百八十五億円と勘定をいたしております。  新五カ年計画におきましても、公共投資基本計画にうたわれております生活関連分野への投資重点化に配慮して、生活物資及び日常生活の足の確保としての地域地方港湾整備、あるいは大都市圏における新交通システム整備、あるいは快適な生活環境確保としての港湾におきます緑地、広場あるいは快適なウオーターフロントづくり、そして廃棄物処分場整備というようなものにつきまして、三年度の予算案生活関連重点化枠の対象とすることが認められたわけでありまして、投資の一層の充実に取り組んでまいりたいと思っております。  さらに、物流の効率化あるいは安全の確保、さらに港湾再開発の推進というような港湾整備につきましても、地域住民の豊かな生活を支える重要な役割を有するということに留意いたしまして、これらの整備を大いに促進してまいりたい、こういうふうに考えております。
  37. 左近正男

    左近委員 一昨日ですか発表された数字を見ますと、公共分千七百五十億のうち運輸省は九十五億七百万円、非公共分二百五十億円のうち運輸省は二十二億二千万円、二千億円のうち百十七億二千七百万円、割合は五・八六%。これは、運輸省として多いか少ないか、あなた方どういう判断をされるかわかりませんが、私はもっと力を入れていただきたい。これは前回の質問のときにも大臣にも要望したわけでして、今後とも積極的にこの公共事業分確保のために努力をしていただきたいと思います。これは要望をしておきます。  そこで、この五カ年計画調整費の六千三百億円というのは、空港整備なり海岸事業なんかで大体一千七百億円程度予備費調整費でございますから、かなり大きな財源調整費として見積もっていますが、これは何か意味がありますか。     〔委員長退席、二階委員長代理着席〕
  38. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 先生おっしゃいますとおり、全体の中で調整費六千三百億というものを見込んでおりますが、これは、今後の経済社会の動向とか財政事情、事業の進捗状況等に弾力的あるいは機動的に対応するために設けているということであります。  これをどの程度に設けるのが最適であるかというのはなかなか一定の考え方を確立することは難しいのではないかと思っておりますが、この六千三百億といいますのは、総投資額五兆七千億のうち約一割ということでありまして、今後の予期せざる事態の変動をどの程度見込むかというときに、まあ一割というのはほぼ常識的に妥当な線なのではないかなというふうに考えております。
  39. 左近正男

    左近委員 それでは、この調整費の使われ方をどうするのか。あなたの方のさじかげんでやっていくのか、どこかの公的な機関の中でいろいろ港湾整備計画を練って、段階的にそういう必要経費だということで支出されるのか、そこらは私はちょっと疑問がいろいろあるわけですが、きょうはもう時間もございませんのでやめておきます。そういう点については、ちょっとまた後日説明してくださいよ。  次に、運輸省としては、この港湾整備の長期的な計画として昭和六十年四月に「二十一世紀への港湾」の策定をされました。また、平成二年十一月三十日には、港湾審議会の答申として「今後の中期的な港湾整備の基本的方策について」というものを答申がされておるわけですね。私はこの答申内容を見まして、その中の一つの項目の中で、三大湾、東京湾、大阪湾、伊勢湾、この「港湾整備を円滑に推進するための技術力の整備」という項目がございますね。その中で、この「湾域全体において総合的かつ広域的な施策実施していくための調査、研究を行う」、こういうことを提議をされておるわけであります。  そこで私は、この港湾管理区域の調整をどうするのかということについて、この機会に運輸省の見解を聞いておきたいと思います。例えばこの大阪湾の場合、それでは大阪湾の中で大阪市がどれだけの水先を管理するのかということについては、港湾法の二条三項と四条六項に規定されておるということを言われておるわけですが、私は、大阪湾というああいうおわん形の湾を幾つもの港湾管理者で運営するということについては、非常にこれは問題があると思うのですよ。もっと広域的な形で運営をしていかなければ、例えばフェニックス計画でも、それであれば大阪市域の水先管理区域は全部フェニックスの区間になってしまうような、将来ならざるを得ないような状況に置かれるわけですね。この点、港湾法自体も、今日の広域的な湾を管理をするという意味から見て、法律自体が古いんじゃないか、こんなフェニックスなんかを海を大量に埋め立ててやっていくというようなことは頭になかった時代の港湾法の発想ではないかと私は思うのですが、その点、皆さんの方ではどういうお考えを持っておられるか。私の言ったことは理に合わぬと思われるか、理が少しあるなと思われるか、その点どうですか。
  40. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 先生おっしゃいますとおり、確かに東京湾とか大阪湾、そういうような湾域は港湾がほぼ隣接し合っているというような状況にございまして、これを、湾全体を一体的に考えていかないと、いろいろ港湾相互間の矛盾が生じてくるというようなことはあろうかと思います。  そこで、例えば大阪湾ポートオーソリティーというような一体的な管理をするものをつくったらどうかというような御意見もありますけれども、これは港湾法で想定していることではなくて、現実にはなかなか難しいということでありまして、そのときどうするかということで、例えば大阪湾の中の各港の港湾計画をつくっていくというような、改定するというような時期になりますと、それぞれの港湾管理者全体で集まっていただきまして、全体の大阪湾をどういうふうにまとめるかという大阪湾の長期的な港湾整備構想というようなものをとりあえず全体の視野からまとめ上げ、その線に沿って各港湾計画を定めていくというようなことで、現在は矛盾がなく対応できるように考えているところであります。
  41. 左近正男

    左近委員 現在の運営では、私の言うたことなんかもうちゃんと解決しているという御見解ですか。
  42. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 かなりそういうやり方で相互調整は図れると思っておりますが、それが一〇〇%いくかというと、そうでないものも出てまいると思います。
  43. 左近正男

    左近委員 だからどうしてくれるんだ。
  44. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 それは個々の港湾整備実施する段階で、港湾相互間の調整、お互いに協調し合うということで解決ができるはずでありますが、それが非常に難しいというようなことであれば、その湾全体の基本構想にのっとりながら、運輸省の方で、こういう案でやったらどうかという案を提示するようなことはできると思っております。
  45. 左近正男

    左近委員 まあ私自身もこれは勉強不足ですが、私のこの指摘していることについても、理解はしていただいていると思うのですよね。私はそういう問題が—僕は大阪市の出身ですからそんなことを言うのかもわかりませんが、大阪市ですね、神崎川と大和川、こんな三角形で、平行のところだったらずっと行きますよ、地球の裏側まで。三角形の小さなこういう区域なんですよね。こういうところでフェニックスや何やかやいろいろやるのは難しいですよね。これは西宮ともいろいろやっていますよ、やっておるけれども、やはりもう少し広域的な湾管理をやっていく必要があるんじゃないかと僕は思うのですよ。  そこら、もうこれで十分やられているんだと言われたら、僕も、これでよっしゃわかったと質問 をおりるわけにいかぬので、私の提議していることについても一遍具体的な検討をしてくださいよ。どうですか。
  46. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 先生のおっしゃっております、こういうような比較的狭い湾域において港湾が密集しているような場合、具体的には、大阪の尼崎港との関係等非常に問題が生じやすい場所であることは間違いありません。これを、そういうような全体の湾の長期的な構想に基づきながら調整をしていくというのが、一つ我々としては現実的な道であろうと思いますが、それがなかなか進まないという点もございまして、それは、現実の港湾行政の中で、港湾管理者と双方協議しながら何とかその問題解決を図っていくということが必要なのではないかと思っております。
  47. 左近正男

    左近委員 僕はちょっといろいろまだ不満ですが、そういう課題があることについて、十分ひとつ認識をしていただきたいと思います。  そこで、少し質問が変わりますが、港湾法の二十四条の二では地方港湾審議会というのがあるわけですが、これは何をやるのですか。どんな構成になっているのですか。     〔二階委員長代理退席、委員長着席〕
  48. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 お答えいたします。  現在、地方港湾審議会は八十六設置されておりますけれども、この審議会の設置目的と申しますのは、港湾法の規定によりますが、重要港湾港湾計画あるいは環境整備負担金の徴収について審議するということでございます。
  49. 左近正男

    左近委員 この地方港湾審議会には労働組合の代表は入っていますか。入っているとすれば、全部入っているのか、その割合はどうですか。
  50. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 この地方港湾審議会に労働界の代表がお入りいただいております。現在、八十六審議会があると申しましたけれども、このうち港湾労働組合の代表にお入りいただいている審議会が三十二、海員組合の代表がお入りいただいているのが七十一、そのどちらか、港湾労働組合あるいは海員組合どちらかの代表がお入りいただいているのが七十三でございます。
  51. 左近正男

    左近委員 この地方港湾審議会というのはどれくらいの数でやられているかわかりませんが、二十名を超えるような数じゃないかと思うのですね。そういう二十名の中に、やはり海員組合港湾労働組合、この両方を、海と陸というのを入れるのが僕は常識じゃないかと思うのですが、その点まだ抜けているところが大分ありますが、運輸省としてこの地方港湾審議会には陸と海の労働組合の代表を必ず入れるという指導をきっちりやっていただけますか。
  52. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 この港湾審議会に労働界の代表がお入りいただくということは非常に大切なことだというふうに思っておりまして、その線に沿いまして、各港湾管理者に対してそういう考え方を十分入れるようにというような指導をいたしております。  ただ、今先生おっしゃいましたとおり、港湾労働界そして海員組合両方から必ず入れる方が望ましいのではないかというお考えに対しては、やはりその港湾で最も課題になっているようなものがどちらの側にあるかというようなことから、各地域の実情に応じてどちらかの代表がお入りいただいているというのが大方の場合なのではないかというふうに理解をいたしております。
  53. 左近正男

    左近委員 陸と海があるのだから立場はいろいろ違います。両方から入れてくださいよ。
  54. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 いろいろな代表が港湾審議会に、十五名とか二十名の一定の決まった数で構成された審議会の中に各方面からお入りいただいているわけでございますけれども、やはりそれは各地域の実情でどういう方にお入りいただくかということをお決めいただくのがいいのではないか。これを、必ず両方から入れるというふうに私どもの方で港湾管理者に言って、そういう方向に持っていくというのはなかなか難しいのではないかなというふうに思っております。
  55. 左近正男

    左近委員 僕は、この港湾審議会というのが条例か何かでできているんだったら言いませんよ。法律でできているんでしょう。港湾法二十四条の二、法律でできている地方港湾審議会に対して、政府が、運輸省が、こういう形で委員の構成を、審議会の構成をしなさいという行政指導をなぜできないのですか。そんな答弁じゃだめですよ。
  56. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 先ほども申し上げましたとおり、労働界の代表を港湾審議会委員にするようにという指導をいたしておりますけれども、その労働界の代表をどの分野にするかということを指導するところまで至っていないというのが現在なのであります。
  57. 左近正男

    左近委員 だから、現在はわかりました。八十六あるうち、どちらかが入っているのが七十三、今御答弁いただいたわけですよ。だから、これは八十六あるんだから、七十三だから、これを八十六全部入れてほしいし、入れる場合両方入れてください、そういう指導を今後努力してくださいと私は要望しているんですよ。こんなこと聞けませんか、あなた。
  58. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 先生の御要望の趣旨はよく理解いたしております。
  59. 左近正男

    左近委員 今後努力してくださいと私は頼んでいるわけです。しないのですか。
  60. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 先生の御趣旨はよく理解をいたしておりまして、そういうことが各港湾管理者の実情に照らしていいのかどうか聞きながら対応してまいりたいと思っております。
  61. 左近正男

    左近委員 対応するというのは努力してくれるということですか。
  62. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 そういう必要がある場合は、よく港湾管理者から事情を聞きたいと思っておりますが、その場合には、その方向で努力をしたいと思っております。
  63. 左近正男

    左近委員 あなた、こんな銭一銭もかからぬことを何でこだわるの。
  64. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 先生の御要望自体はよく理解いたしましたので、そういう方向で港湾管理者に伝えたいと思います。
  65. 左近正男

    左近委員 あなたはメッセンジャーか。伝えるということはどういうことですか。なめたらあかんぞ。
  66. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 先生の御要望、よく理解いたしましたので、そういう方向で努力をいたしたいと思います。
  67. 左近正男

    左近委員 最初からそのように言うたら、何も失礼な大きな声を出さぬのです。堪忍してや。  六十二年の十二月二十二日に運輸省港湾局計画課長から通達が出ておるのです。「港湾の開発、利用及び保全並びに開発保全航路の開発に関する基本方針の変更について」、この六項には何と書いてありますか。
  68. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 この港湾局の計画課長の通達でございますけれども、この記述は「「港湾の開発、整備にあたつては、港湾労働者の雇用問題について十分配慮されたい」旨の意見があつた」ということでありまして、こういう旨の意見があったので、「港湾計画の策定にあたつて、港湾関係業界、関係労働団体等の意見を聴取できるよう、地方港湾審議会の組織について今後とも配慮すること。」という内容の通達を出しております。
  69. 左近正男

    左近委員 運輸省として通達を出した限り、その通達に基づいてどういう現状になっているか、その点検はされましたか。
  70. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 先ほども申し上げましたとおり、地方港湾審議会八十六のうち、関係労働組合の代表者を委員としておりますのは七十三審議会ということでありますが……(左近委員「そんなこと聞いてない、何言っているんですか」と呼ぶ)失礼いたしました。この通達を出しまして、六十三年以降、港湾労働組合代表が新たに委員として任命された地方港湾審議会のふえた数は二つぐらい……(左近委員「何を言っているんですか。僕はそんなこと聞いていないでしょう。僕はそんな質問してないじゃないか」と呼ぶ)その後の変化ということで……
  71. 左近正男

    左近委員 何を言っているんですか。あなた勘違いするな。この六項というのは、雇用問題の配慮をせよということを書いているんでしょう。違 うのですか。
  72. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 地方港湾審議会意見を聞くということの通達を出したわけであります。
  73. 左近正男

    左近委員 「「港湾の開発、整備にあたつては、港湾労働者の雇用問題について十分配慮されたい」」これでしょう。だから、通達以降、「港湾労働者の雇用問題について十分配慮」、これの点検はどうなっていますか、港湾の労働者の雇用問題についてどういう配慮がされましたかということを僕は聞いているのです。それをあなたのところは運輸省として点検をされていますかということを聞いているのです。委員が何ぼやというのは先に片づいた。
  74. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 港湾計画を作成するときに、やはりそういう港湾労働問題を十分考えなければいけないということでありまして、そういう観点から港湾管理者を指導いたしております。その結果、どういう港湾労働に対する影響が出てきたかという点検については、私どもそこまで調査が至っていないという状況にございます。
  75. 左近正男

    左近委員 だから僕は、運輸省、これは大臣にも聞いておいてほしいのだけれども、この港湾問題、労働問題は労働省だ、事業をやる金もうけは運輸省だ、この縄張りでは港湾の全体的な問題は解決しないと思うのです。あなた方は、こんな通達を出した限り、通達の責任を持たなければいかぬのではないですか。雇用に配慮しろと書いておいて、配慮がどういう状況になっているのか点検するのが当然じゃないですか。余り怒らせるなよ。
  76. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 港湾計画港湾整備に当たりましては、港湾労働問題に十分配慮しなければいけないということはそのとおり我々も感じておりますが、何分にも、港湾労働行政というのは、港湾管理者の直接所管しているという問題よりもむしろ地方自治体の行政の範囲というようなことで、地域全体で対応する問題というふうに考えているところでありまして、なかなかその辺が直接的な点検というのが我々の方では難しいという状況にあるわけであります。
  77. 左近正男

    左近委員 僕はそれは少しおかしいと思うよ。もう僕は時間がないんだ。そういうような姿勢では僕は困ると思う。事業を円滑にやっていくためには、港湾は雇用問題と思うよ。雇用を円滑にやらぬ限り、港湾事業は円滑にいかないですよ。そういう認識をあなた方は持たぬと僕はだめだと思うのです。  だから僕は、今度新しい第八次の港湾整備五カ年計画ができる機会にもう一遍再通達を出してほしい、その辺、雇用問題をもう少し運輸省としても前向きで考えるような通達を出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  78. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 先生の御要望の御趣旨はよく理解いたしましたので、そういう方向で検討いたしたいと思います。
  79. 左近正男

    左近委員 ありがとうございます。  それでは、きょうは労働省に来てもらっておりますので、港湾労働法の適用港は幾つですか。
  80. 若木文男

    ○若木説明員 お答えいたします。  現在、六港でございます。
  81. 左近正男

    左近委員 その六港というのは法律ですか、政令ですか。
  82. 若木文男

    ○若木説明員 政令で定めております。
  83. 左近正男

    左近委員 港湾運送事業法の指定は幾つされていますか、運輸省
  84. 吉田耕三

    ○吉田(耕)政府委員 全国で港が千二十八ございますが、そのうち九十六港を港湾運送事業法の指定港として指定しております。
  85. 左近正男

    左近委員 労働省に聞きますが、港湾運送事業法では九十六港指定がされている、港湾労働法では適用港は六港だけだ。この違いはなぜですか。余りにも大きな違いですね。どういう理由ですか。
  86. 若木文男

    ○若木説明員 お答えいたします。  港湾労働法によります指定港湾、六港でございますが、この適用港湾につきましては、港湾の荷役量あるいは港湾労働者の数そのほか等々を考慮いたしまして、国民経済上に占めるその港湾の重要性と申しますか、あるいは必要労働力の確保そのほか港湾労働者の雇用の安定等に関しまして特別の措置を実施する、これは港湾労働法の趣旨でございますが、その必要性の高い港湾につきまして政令で指定をいたしたものでございます。  この指定に当たりましては、関係労使の御意向、そういったところを十分尊重し、また、私ども関係の審議会の御意見も伺いまして定めておるところでございます。
  87. 左近正男

    左近委員 この港湾の指定で特定重要港湾というのが二十あるわけですが、これは重要でない港湾も含んでいるのですか。
  88. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 港湾法によります国の利害に非常に関係の深いものは重要港湾となっておりますが、そのうち特に外国貿易に重大な関係のあるものを特定重要港湾というふうに指定しているわけであります。
  89. 左近正男

    左近委員 それなら、国として物すごく重要な特別な指定された港湾が二十あって、何で六つしか指定しないのか。少なくとも二十ぐらい指定しなければいけないのではないか。
  90. 若木文男

    ○若木説明員 先生御指摘の重要港湾ということでございますが、これは港湾関係の法律をもちまして重要港と称して指定をしておられるというふうに私どもとしても承知をいたしておりますが、私ども港湾労働法、別の法律に基づきまして、先ほど申し上げましたようないろいろな事柄を考慮いたしまして、そして特別の措置をする必要性の高い港湾ということで、審議会等の御意見、これは労働側の代表あるいは雇用主の代表の方、公益の代表の方、お入りいただいておりますが、そういったところで十分御意見を伺って決めたわけでございまして、少し理屈を申し上げますと、概念的に違うのではなかろうか、これは私どもとしてそういうふうに評価しております。
  91. 左近正男

    左近委員 私は、内航海運の荷役量、外貿の荷役量等々、これはかなり増加現象にあるわけでして、きょうは労働省は課長ですから、お客さんですから、ここで余りしつこく言いませんが、私の要望としては、やはり港湾労働法とこの港湾運送事業法のある程度整合性を持たせてもらいたい。だから六つだけ、これは法律だったらあれですけれども、政令ですからね。あなたのところのさじかげんで六港を七にしようとも八にしようともできるわけです。だから、少なくとも重要でも特定だというところぐらいはやはり港湾労働法の適用をさせるべきではないか。だから、今後一つでも二つでもふやすような努力をしていただきたい、私はこう思います。これは強い要望として一つ出しておきたいと思います。  そこで、新しい港が港湾整備計画でできた場合、港湾運送事業法は即適用されるのですか。
  92. 吉田耕三

    ○吉田(耕)政府委員 港湾運送事業法の法律の目的は、港湾運送に関する秩序の確立でございます。こういうような観点から指定港制度が設けられておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、全港のうち約一割ぐらいしか指定されていないという状況でございます。  こういう港湾の指定に当たりましては、その基準といたしまして、取扱貨物量が相当程度あるかどうかとか、それによって事業者の乱立による港湾運送秩序の混乱が予想されるかどうかなどを勘案しまして、総合的な観点から行っているところでございまして、新港ができれば直ちに指定するというような制度にはなっておりません。
  93. 左近正男

    左近委員 新港ができれば荷動きができるわけです。それなら、港湾運送事業法による指定をされるまでの間、一定の荷役ができるまで、取り扱いができるまで空間があるはずですが、この空間で無免許の者を商売させておいていいのか、法律違反じゃないのか。
  94. 吉田耕三

    ○吉田(耕)政府委員 先ほども申し上げましたように、港湾運送事業法の目的が秩序の確立ということでございまして、ある程度事業者の乱立が予想されるというような場合に初めて指定が行われるという制度になっておるわけでございます。この適用港に指定いたしますと、参入の規制だとか料金の規制など種々の規制が課せられることにな りますために、取扱実績が余りないにもかかわらず、いたずらに指定するということは問題があるのではないかと考えております。しかし、先ほど申し上げましたような秩序の確立というような目的に照らしまして、そういう点にも十分配慮しながら、今後同法を効率的かつ効果的に運用してまいりたいと考えております。
  95. 左近正男

    左近委員 まだまだ言いたいけれども、これぐらいにしておきましょう。  ILOの百三十七号を早期批准せいというのは大分前から言っていますが、これはなぜ批准しないのですか。世界では幾つ批准していますか。
  96. 若木文男

    ○若木説明員 お答え申し上げます。  今、先生御指摘のILO第百三十七号条約でございますが、先に批准国の数を申し上げますと、昨年十月現在でございますが、フランス、イタリア初め二十一カ国になってございます。  それから、批准をまだ行っていないではないかという御指摘でございますが、ILO百三十七号条約は、港湾におきます技術革新の進行する中にございまして、港湾労働者の雇用の安定あるいは所得の安定を図るために、常用化の促進あるいは登録制の導入等々、内容としていろいろ採択されてございます。それで、この批准に関しましては、国会において批准に向けての必要な条件整備に努めるようにという内容の附帯決議が行われていることも私どもとして十分承知をいたしておるところでございますが、現在、これに関する問題につきまして、総理府の方に設置されてございます港湾調整審議会、こちらの方の委員会でもちまして、労使お入りいただきまして、また公益の方にもお入りいただきまして、検討を進めているところでございます。
  97. 左近正男

    左近委員 これは一九七三年ですよ、もう十七年前にILOで採択されているわけですね。世界の中で日本が生き抜いていくためには、やはり日本はこれではだめだと思うんですよ。やはりもうこれくらいたったら批准をしていただきたい、私はこれを強く要望しておきたいと思います。  そして、労働省にもう一点要望いたしますのは、たかが六大港しか港湾労働法が適用されておらないにもかかわらず、厳格にこの港湾労働法が六大港で守られているんかい、守られておらない。実際やみ雇用なり外国人雇用がこの六大港の中では頻繁に行われているんですよね。やはりここらの実態について労働省としてもしっかりと掌握をされて行政指導をしていただきたい。よろしいですか。
  98. 若木文男

    ○若木説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のございましたいわゆるやみ雇用と申しましょうか、あるいは外国人雇用、そういった問題が生じたことがございます。それにつきましては、私どもとしまして、いわゆる港湾の雇用秩序の維持確立という観点から、関係行政機関、関係労使御一緒になりましての秩序連絡会議とか、あるいは十一月に設けてございます港湾労働法遵守強化旬間というようなものによりまして、港湾秩序対策実施いたしておるところでございます。もちろん、その実施旬間以外でも随時いろいろ事業所訪問も行いながら指導を行ってまいりたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  99. 左近正男

    左近委員 さらに努力をしていただくようにお願いをいたします。  そこで、今、運輸産業では労働力の不足が甚しいわけですね。ことしの運輸省の白書でもかなりの量でそのことを記載をされております。  僕はもう質問時間があと五分しかございませんので簡単にやりますが、きょうの新聞では、労働省は、きつい、汚い、危険、三K改善を目指すということで提議もされていますが、全産業平均で一一%の労働力の不足だというようなことを言っておられます。これは運輸関係では物流部門について今どういう状況ですか。全産業平均の一一%よりかなり上回っておるのか、その辺どうですか。僕はもうかなり労働力不足の声を労働組合からも、あるいは企業の事業者からも聞いているのですね。この辺の状況をあなた方は深刻に受けとめられておるのか、まあまあという感じなのか、どうですか。
  100. 吉田耕三

    ○吉田(耕)政府委員 物流業全体の労働力不足の現状でございますが、物流業全体では現在労働者数が百二十七万人と膨大な数に上っております。しかし、これが荷動きとの関係でどの程度不足しているのかということでございますが、我々は大変深刻な問題であると思っております。  一例でございますが、例えば路線トラックについて見ますと、六十三年度の数字で、六大都市のトラック一台当たりの運転手の数が〇・八六人しかいないというような状況でございます。これはもう大変深刻な問題であると思っておりまして、今後この労働力不足の克服に向けてあらゆる施策を講じていかなくてはいけないと考えております。
  101. 左近正男

    左近委員 やはり企業環境、厚生福利施設の改善問題、労働時間の短縮問題、きょうは労働時間短縮についてもちょっと聞こうと思っておったけれども、時間がございません。これは千八百時間に先日も与野党合意をしているのですね。運輸産業、物流部門なんかどうなりますか。今もう二千五、六百時間でしょう。これはやはり政府も責任があると思うのですよ。  だから、しっかりとここらを受けとめていただいて、やはり環境が、汚い、きつい、危険、そういうようなことではなかなか若者が集まらないですよね。だから運輸省としてももう少し現場の実態を十分掌握して、雇用の確保の問題あるいは労働時間の短縮、福利厚生、まだトラックの横で御飯を食べている人、たくさんおるのですよ。むちゃくちゃなんですよ。そういうものを改善していただくように努力をしてください。  もうこれで終わります。
  102. 亀井善之

    亀井委員長 次に、小林恒人君。
  103. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 同僚議員の質問に引き続いて、私の方からも港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案にかかわって若干の時間質問させていただきたいと思っています。  二十一世紀まであと九年、こういう状況の中で、基本的に我が国が置かれている位置づけ、加えて我が国をめぐる内外の社会的な、経済的な状況というものを考えてみた場合に、この期間にどうしてもやっておかなければならない課題、地球社会を取り巻いている変化状況というものを考慮しつつ、国内的には、一つは、昨年の日米構造協議という課題がございましたし、あわせて、私ども最近考えますに、日本海を隔てた対岸諸国の民主化動向、こういったものを長い目で見れば、新しい日本海時代が到来をする、こういう予感をするわけであります。四全総の中でも打ち出されておりますように、「交流ネットワーク構想」というものの中で、安全で潤いのある国土に、特色ある機能を有する多くの極を構成をして、地域間や国際間で相互に補完、触発し合いながら交流していくという、外国からの要因も港湾という部面ではもちろん加わるわけで、社会経済の体質改善は進んでいくことになるのだと思います。  国際的には、東欧改革やEC圏の統合といったことに代表されるように、既成の枠組みが大きく変化をしている、新たな国際社会の秩序形成に向けてダイナミックな対応が迫られていくのだろう、こういうぐあいに私なりに認識をいたします。  もちろん、港湾審議会等の中でもこういった議論というのは十二分に御賢察の上で一定の方向が打ち出されたと推察をいたしますが、何はともあれ、どんな社会趨勢の中でも活力のある状況というものを創出していく、こういうことは大切なことで、冒頭申し上げたように、とりわけ「二十一世紀への港湾」という総合的な港湾空間の創造をうたった、まさしく地域の極たるにふさわしい空間を目指す港湾相互ネットワーキングによる相互補完、相互誘発を理念に掲げて今日に至っているのだろう。  だとすれば、「二十一世紀への港湾」、いわゆる第七次の計画に基づく港湾整備状況はどれだけ進んだのだろうか、どういう形で具体化したのだ ろうか、まずこの点について、基本部分でございますから、お伺いをいたしておきたいと思います。
  104. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 先生おっしゃいましたとおり、いろいろな社会情勢変化、非常に大きく変化している、そういう変化対応すべく我々はどういう港湾整備を進めたらいいのかということで、昭和六十年に「二十一世紀への港湾」という考え方を取りまとめました。その中で、やはり総合的港湾空間をつくる必要がある、それから港湾相互ネットワーキングということを重視しよう、こういうことを言いました。  その後、少し社会の情勢も変わっているということで、これを見直しまして、平成二年にそのフォローアップをいたしましたけれども、そこでは、総合的港湾空間のさらなる質の向上が大切だし、国土の均衡ある発展を図る多極分散型国土をつくっていく、そういう意味での地域港湾整備というものに重点を置くべきであるというような考え方が盛り込まれまして、この「二十一世紀への港湾」というものに対応いたしまして、第七次、現行の五カ年計画をつくっていったわけであります。  その成果が直ちに上がっているというわけではありませんけれども、そういうような長期的な考え方を実現すべく、この第七次五カ年計画の中で港湾整備を図り、その成果が徐々に上がりつつあるということかと思います。
  105. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 徐々に上がっていくということ、大変結構なことでございます。  さて、日本海地域の発展というものをどうしても考えなければいけないのだろう。太平洋側地域との相互依存関係を基本に発展方向を展望することは確かに大切なことなんだと思いますが、さらに日本海地域が個性ある独自の発展を遂げていくために、新たな発想の転換が一つは必要でないのかな。その発想のヒントとなるのは、やはり一つは国際化でありますし、二十一世紀の環日本海交流圏というものを築き上げていく視点が必要かなという気がいたします。  港湾は、本来、人の交流、物の交流、それから情報、文化、こういったものの拠点でありまするから、我が国の国際化の拠点だと考えます。これは、空港と並んで非常に重要な役割を果たしていく部分だと考えるわけですが、港湾局としては、これからの動きにどのように対応をされようとしているのか、まず一つこれもお伺いをしておきたいと思います。
  106. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 ソ連のペレストロイカ以降の東北アジアの緊張緩和の動き、こういうものとともに、ソ連、中国、韓国、北朝鮮というような対岸との交流が日本海において盛んになりつつあるということで、貿易量も着実に伸びております。外貿コンテナ定期航路も相次いで新増設されている。そのほか、合弁事業が行われるのがふえたり、シンポジウム、あるいは客船の寄港、イベント、姉妹都市提携というような対岸との交流というものが次第にふえ、ますます増大することが期待されているのではないかというふうに思っております。日本海をめぐるいろいろな構想、環日本海構想あるいは日本海経済圏、新日本海時代等々、二十年近くいろいろな構想が打ち上げられてまいりましたけれども、今回はいろいろ情勢が非常に変わってきておって、いよいよそういうものが定着していくのかなというふうに理解をいたしております。  こういう情勢の中で、私どもといたしましては、対岸貿易あるいは対岸との交流の拡大ということは多極分散型国土形成にとって不可欠であるというふうに考えておりまして、北海道を含む日本海沿岸の各港の整備、あるいはこれは情勢が許せばの話でありますが、対岸諸港の整備に対する技術協力というようなものを通じながら、日本海経済圏のさらなる発展を積極的に支援していくというふうに考えております。
  107. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 大変結構なんですが、そこで、港湾そのものというのは、私もこの間何回か港湾行政というものを御質問もさせていただきましたし、身近に見せてもいただきました。非常に港湾整備にかかる時間、こういったものを考えますると、先の見通しを正確にしながらどれだけ先見性を持った五カ年計画を組み立てていくか、これは大変重要なんだと思っています。そういう前提を考えれば考えるほど、昨年の四月、港湾局において「「二十一世紀への港湾」フォローアップ」として「豊かなウォーターフロントをめざして」が策定されましたが、まことに意義深いことだと思いますが、その目的と内容はどのようなものになったのか、「二十一世紀への港湾」との整合性はどのようになっているのかということについてお伺いをしたいと思います。
  108. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 先ほども申し上げましたとおり、港湾の長期的な整備の考え方といたしまして、昭和六十年に「二十一世紀への港湾」というものをつくり、その後情勢変化を踏まえて、昨年「「二十一世紀への港湾」フォローアップ」ということで「豊かなウォーターフロントをめざして」というものをつくり上げたわけであります。  「二十一世紀への港湾」では、これも先ほど申し上げましたけれども、総合的な港湾空間をつくろうということ、それから港湾相互ネットワーキングが重要であるということ、大まかに言ってこの二つを取り上げたわけでありますけれども、このフォローアップにおきましては、特にそういうような「二十一世紀への港湾」で言っておりますことをそのまま重要目標として続けていくということでありますけれども、特に力を入れていくものとして、「総合的な港湾空間の質の向上」と「国土の均衡ある発展への貢献」、この二つを挙げているところであります。  この「総合的な港湾空間の質の向上」と申しますのは、幾つかその内容を挙げておりますけれども、使いやすく美しい港湾空間をつくろう、あるいは港湾空間における機能をさらに充実しよう、機能展開のための新たな空間の確保をしようというようなことであります。また、「国土の均衡ある発展への貢献」ということでは、ネットワークの充実による交流の促進あるいは臨海部における定住基盤の整備というようなことをその中に盛り込んでいるわけであります。
  109. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 「「二十一世紀への港湾」フォローアップ」の中で、使いやすさ、美しさの追求というのがありましたね。なるほどあちこちの港湾、横浜、神戸、私なんか北海道小樽市の居住ですから、小樽なんかも見たり、函館の港湾施設を拝見したり、こういう中で、きれいになったなという実感があるのです。それで、きれいになったなという実感を裏返しにしますと、港湾というのは薄汚い部分が非常に多かったということでもあるわけですね。  そういう意味では、近代的に、より美しく、より機能的に、時代の趨勢に合わせて、港湾を基軸とした活力のある経済活動がどんどん進んでいく、こういうことは非常に大事なことだと思うのですが、一方で、経済企画庁の経済運営五カ年計画、あるいは昨年の公共投資基本計画、さらに日米構造協議の関係も重要視をしていかなければならないものと考えますが、これらと新五カ年計画との関係はどのように整合性をとられたのか、お伺いしたいと思います。
  110. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 「世界とともに生きる日本—経済運営五カ年計画—」、経済計画でございますけれども、六十三年に策定されたものであります。今後の経済運営の指針となるということでございますけれども、その内容といたしましては、豊かさを実感できる多様な国民生活実現、産業構造調整の円滑化と地域経済社会の均衡ある発展、それから対外不均衡の是正と世界への貢献というものを我が国経済社会の課題として、その解決策の一つとして、多極分散促進のための高速交通ネットワークの整備、豊かさを実感できる経済社会の実現のための国民生活基盤の整備等による社会資本の充実ということをその中に盛り込んでおります。  これを踏まえまして、新しい五カ年計画では、港湾相互のネットワークを充実する、そういう意 味で物流、旅客交通、マリーナ等に係るネットワークの形成港湾相互の連携の強化に重点を置くということを考えております。そして、快適なウオーターフロントを形成するための緑地、イベント広場、海洋性レクリエーションの普及に伴うマリーナ等の整備地方における生活物資の安定供給や暮らしの足を確保するための地方港湾整備というようなものに重点を置いた計画を策定したいと思っております。経済計画との関連でいえばそういうところがあるかと思います。  二番目におっしゃいました公共投資基本計画、これは二十一世紀までの十年間の公共投資に関する枠組み、基本方向を総合的に示しているということで、昨年六月につくられたものでありますけれども、今後の公共投資の大幅な拡充ということがその中で考えられているわけであります。  この五カ年計画の目標及び量の設定に当たりましては、この公共投資基本計画で示されている国民生活の豊かさを実感できる経済社会の実現に向けて、豊かで潤いに満ちたウオーターフロントづくり緑地、イベント広場、マリーナ等の整備というような生活関連投資重点化を図っていきたいというふうに思っております。  日米構造協議につきましては、昨年六月に最終報告が出されておりますけれども、この中で、港湾を含む社会資本の充実を着実に図るということが言われておりまして、国民生活の質の向上に重点を置いた整備にできる限り配慮していくということになっているわけであります。また、輸入関係インフラの整備ということもその中にうたわれておりますが、新しい五カ年計画におきましては、こういうものに十分対応できる内容にしていきたいというふうに思っております。
  111. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 新五カ年計画における重点施策というものが示されているようでありますけれども、現五カ年計画との違いというのは、特徴的なものを挙げるとどういうものがありますか。
  112. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 今度の新しい五カ年計画につきましては、事業重点的推進を図る施策の柱といたしまして、昨年十一月に港湾審議会より答申をいただいております「今後の中期的な港湾整備の基本的方策について」というものがございまして、それを取り入れ、第一には効率的な物流体系の形成、第二には快適な旅客交通体系形成、第三には豊かで潤いに満ちた生活のための港湾、第四には資源の安定供給、地域の産業振興のための港湾、第五には海上交通の定定性の向上、第六には新たな利用可能空間を創出するための港湾、第七には港湾整備を円滑に推進するための技術力の整備推進したい、こういうふうに考えております。  その具体的な内容といたしましては、近年の輸入貨物の増大に対応した外貿コンテナターミナル等輸入関連インフラ整備、モーダルシフトの動向に対応した内貿ユニットロードターミナル整備、そして幹線臨港道路整備、国民の生活の質の向上に資するための緑地、マリーナ、廃棄物を処理する埋立護岸、あるいは地方離島港湾整備等にさらに重点を置いていきたいと思っております。  また、最近では内外航旅客船が非常に増大しており、その需要も大いに増加する見込みでありまして、地域固有の観光資源を生かしたような地域振興及び港湾へのアクセス交通確保するということで、「快適な旅客交通体系形成をめざした港湾整備」というものも新たな施策として取り上げていきたいというふうに考えております。
  113. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 あわせて、二十一世紀へ向けての地方港湾整備について、どんな考え方をもとに行われるのか、また現時点における整備動向はどのように御認識をされているのか、お知らせをいただきたいと思います。     〔委員長退席、佐藤(敬夫)委員長代理着席〕
  114. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 二十一世紀へ向けての地方港湾整備ということにつきましては、国土の均衡ある発展に貢献する港づくりという観点が大切かと思っております。このため、地方地域の活性化と定住基盤の整備を図っていく上で、地方の特色を生かした地場産業の振興、また離島とか半島地域における生活物資輸送、日常生活の足の確保などのために港湾整備が強く期待されている、こういうふうに考えておりますが、こうした要請を的確に受けとめ、地域の実情に応じた地方港湾整備重点を置いていきたいと思っております。  現時点まで、離島、半島地域を初めとする地方港湾につきましては、生活物資の輸送や日常生活の足の確保などの切実な要求にこたえるため、利用の安全性、安定性を向上させる防波堤の整備、フェリー等の連絡船ターミナル、小型船だまりの整備、さらには地方の活性化に資するための緑地やマリーナの整備などについて実施をいたしてきたところであります。  また、七次計画期間中には、地域の個性ある発展、活性化を図っていくためのプロジェクトづくりということも非常に重要でありまして、国、港湾管理者、地元市町村ということで共同いたしまして、ボートルネッサンス二十一とかコースタルリゾート計画、あるいはマリンタウンプロジェクトというようなプロジェクトづくりを開始いたしましてその推進を図ってきておりますが、そのほか、地方港湾活性化モデル事業というようなものを六十二年から行いまして、埋立護岸の一部を補助対象化するというようなことを行いまして、地方港湾の振興に力を入れているところであります。
  115. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 重点施策、特に重要港湾を軸にして考えなければならないこと、あるいは地方港湾についても考えなければならないこと、数多く列挙されましたけれども、簡単に言いますと、効率的な一つの物流体系確立というものを見た場合に、既存施設の維持補修をして有効に機能させる物流施設の再整備を行うと、非常に簡潔な文言処理をされているのですね。  しかし、船舶の大型化、機能的な業務運営、こういうことを考えてみた場合、こういう文言だけで処理でき得ない。重要港と地方港とのつなぎなんかを考えてみた場合、特に矛盾するもの、段差の大きいもの、目的が相当変わっているものもありますし、しかし可能最大限、均衡ある国土の発展という大義名分というものを考慮しつつ港の整合性を保っていくといいますか、そういったものが並行的に行われなければいけないわけですね。好むと好まざるとにかかかわらず、外貿埠頭なんというのはコンテナ化をされることによって整備をされていった。しかし必ずしも地方港湾はそれについていかなかった。  特徴的な言い方をしますと、これは港だけの問題でなしにアクセスの問題も含めて考えまするというと、道路が不整備、そうかと思うと三十トンコンテナが高速道路に上がれないという問題が飛び出してきたり、いろいろな矛盾があるわけですね。国内で整備をしてきたもの、国際的に通用するもの、しないもの、こういう部分が数多くあると思いますから、そういう意味では、整合性とかあるいは現状を整備しつつ新しいものにさま変わりをさせていく、こういうことというのは言葉で言うほど簡単ではないように思いますけれども、特に今度の五カ年計画の中でそういった事柄などを処理する上でお考えになられたこと、検討をされたことがございますか。     〔佐藤(敬夫)委員長代理退席、委員長着席〕
  116. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 いろいろ港を整備していく過程において、現実に使われている状態そして新たに発展していく港の間、こういうものになかなかうまい整合性、調和というものを図っていくことは難しい面があるということはおっしゃるとおりであります。特に近年、大港湾では内部のあたりにおきましてはいろいろ陳腐化が進んでいる、物流機能の陳腐化が進んでいるというようなこともあります。  そういたしますと、そこを再開発しなければいけない、しかし一方では物流というものも増大している、それに対応しなければいけないということになりますと、やはりその前に物流施設を別に つくっておきながらその内部を整備し、その間の流通をうまくするために臨港道路を整備していくというようないろいろな周到な手配が要るというふうに思っておりまして、そういう努力によってそういう矛盾を解決しながら調和ある港湾整備をさせていくことが大切かと思っております。
  117. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 いろいろ総論的にお伺いをしてまいりましたけれども、さきにも述べましたように、四全総でも述べている事柄でございますけれども、国土の均衡ある発展への貢献に今後とも港湾が果たす役割というのはますます重要になっていくんだと思っています。  第七次計画の進捗率、過去の五カ年計画から見まするというと異例の一〇八・六%となっておりますが、この達成率は今までにない結果だと言わざるを得ません。理由はどこにあったと考えておられるのか、今後の見通しとしてこのように推移する見通しなのだと考えているのか。過去は途中で計画をやめてしまったり計画を組みかえてみたり、はたまた八〇%台、第六次に至っては七四・九%、こういう結果ですわね。七次に限って一〇八・六%というのはどういうことだったのか、解説をしてみてください。
  118. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 先生おっしゃいますとおり、第七次の港湾整備五カ年計画港湾整備事業の達成率は一〇八・六%でございます。これは総額で四兆四千億、そのうち港湾整備事業は二兆五千五百億ということであったわけでありますけれども実績港湾整備事業としては二兆七千六百九十億ということで一〇八・六%になる見込みでございます。  これは、第七次五カ年計画の策定時において、国の財政事情等あるいは経済社会の動向により、弾力的に運用するために設けた調整費をふやして計画額をむしろ低く設定せざるを得なかったというようなことが一つあったのかなというふうに思いますが、それと同時に、昭和六十二年、このときは内需拡大ということを大いに図る必要があったわけでありますが、大型補正予算によって計画投資規模を上回ったというようなこともありまして、いろいろな条件が重なってこの約一〇九%というような達成率になったものではないかと推察をしているところであります。  一方、新しい五カ年計画、これは今後御審議をいただいた法律に基づいてつくられていくということでありますので、港湾整備事業の達成ということについては全力を尽くして取り組んでいくということが大切であるというふうに思っております。少なくとも調整費除きの事業費については一〇〇%の達成を図るということが最小限必要でありまして、調整費につきましても、今後の経済社会の動向とか財政事情等々、いろいろなものの変動に応じてそれを有効に使っていくということを考えたいと思っております。
  119. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 高度成長期から以降今日まで、それから今日段階で二十一世紀を展望した場合の成熟化社会というものを想定をした場合、あらゆる分野での要請が高度化、多様化であり、それに対応した港湾というものでなければならないのだろう。物流産業に係る機能を整備するということ、特に生活に係る多様な機能を積極的に導入をし、これらの総合的な港湾空間を創造する必要があるという、こういう認識については私どもそれなりの承知をいたしておりますけれども、民活法の特定施設整備事業、特定民間都市開発事業等、港湾関係の民活事業の現状はどのようになってきているのか、この部分について御説明をいただきたいと思います。
  120. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 港湾関係の民活事業についてのお尋ねでありますけれども昭和六十一年以降、民活による港湾整備の制度の充実を図ってきたところでありまして、最近制度が次第に定着をしているということで、全国各地でのプロジェクトの展開が盛んになってきております。  それはまず、民間活力を活用するということで、経済社会の基盤の充実に資する旅客ターミナル施設、港湾業務用施設、港湾文化交流施設などを港湾施設と一体的に整備して、港湾の再開発あるいは利用の促進を図ることができるということでありますが、この民活法の特定施設、現在までに十五プロジェクトが実施されております。  その次に、もう一つの分類でありますのが民間事業者が建築物と一体的に整備する道路とか緑地とか桟橋等の公共施設整備、これによって港湾の再開発の推進を図るという特定民間都市開発事業でありますけれども、これは昭和六十二年度から開始をいたしておりますが、現在までに二十六プロジェクトが実施されております。  平成元年度からは、港湾における多様な要請にこたえる新たな空間を創出するということから、従来からの港湾整備事業との組み合わせを図りながら、民活による沖合人工島の整備に着手いたしました。また、平成二年度からは、海洋性レクリエーションの進展に対応した港湾機能の高度化を図るためのウオーターフロントの開発の中核になります小型船の拠点の総合整備というようなものに着手したわけであります。  このほか、民活の関係といたしましては、関係省庁協力してリゾート法あるいは多極法に基づく民活事業というものもございます。
  121. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 私は民活法の審議でも質問させていただきましたけれども地方民活について考えますと、公共的事業への民間活力の導入は、施設の利用効率や他地域との競合性から大都市地域に比較して採算がとりにくい場合が非常に多いと思うのです。この点はどのように考えていますか。
  122. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 港湾関係の民活事業につきましては、そういう大都市周辺部分だけでなく、最近の傾向といたしましては地方のプロジェクトが増加するという様子が見受けられます。しかし、先生おっしゃいますように、地方のプロジェクトにつきましては、大都市近辺のプロジェクトに比べまして採算性等いろいろ困難な面があるということもそのとおりかと思っておりまして、それを何とか実現するという工夫が必要であります。周辺の公共事業等との十分な連携あるいは財投とか税制等の支援というようなことを充実いたしまして、これを成功さすべく現在努力を続けているという状態であります。
  123. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 それでは、新五カ年計画の中におけるこれら港湾関係の民活事業においては、どのような考え方をもとに取り組まれているのかという点です。
  124. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 民活事業制度も次第に定着をしてきております。それをなおその事業の成功に役立つべく充実を図るということは今後も続けていきたいと思いますけれども港湾に対する要請が高度化し多様化している、こういうような現況を踏まえますと、民間活力の活用ということに対する期待もまた高いものであるというふうに思っております。  このため、新しい五カ年計画におきましても、岸壁、臨港道路、緑地などの公共事業、それから埋立事業というのが別途に行われますが、こういうものとの調整を図りながら、相互にうまい連携を保った民間活力の活用というものを大いに推進していきたいというふうに思っております。
  125. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 ちょっと戻りますけれども、民活法の特定施設整備事業の幾つかの項目の中で、民活法に基づく特定施設の整備事業は、国際見本市の施設、国際会議場施設、旅客ターミナル施設、港湾業務用施設、それから港湾文化交流施設、ハーバーコミュニティーセンター、テレポート、物流高度化基盤施設及びこれらと一体となった施設の整備推進する、こういう項目整理がなされています。  一見しますと、民間活力をも導入をして、導入というよりはむしろ御協力もいただきながら、かつての港湾のイメージというものと、港湾を有効活用しながら大きく肥大化をさせるというか、効率化をさせるというか、利用しやすい条件というものを、自然条件に加えて人的な工事を加えることにより利用効率を上げよう、こういう考え方なんだと思いますけれども、これは、我が国独自の基本的な考え方、発想というものと、風俗習慣の 違う外国の港との関連からいいますというと、これだけ項目だけ並べてみても、現実としてこういうものが整うのに一体何十年かかるのかなという思いをせざるを得ないような気がするのですけれども、幾つかの箇所でそういうものが整備されるまでに、これがその見本だというものができ上がるのは、一体いつごろ、どこら辺にできると想定されますか。
  126. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 外国における整備の仕方というのは、詳細は私どもよく承知をいたしておりませんけれども、外国の古い港の再開発というのは、我々より十年か十五年先行してかなり進められております。我が国では、この六十年ぐらいから古い港の再開発をして、新たな交流拠点あるいはにぎわい空間というものをつくっていこうというのが大いに進められておりますけれども、確かに先生おっしゃいますとおり、これが本当に軌道に乗るまでは時間がかかるというように思っております。  典型的な例といたしましては、よく御存じだと思いますが、釧路の旅客ターミナル、フィッシャーマンズワーフというような通称で言われておりますが、これがもうでき上がりまして何年か大いに使われてにぎわいを見せているということがありますし、あるいは博多におきます、ボートタワーをつくり、博覧会とあわせて大変な人を呼び込み、地域の振興に大いに役立っているというような事例もありまして、むちゃくちゃに時間がかかる、十年もかかるということではなくて、数年でその効用を発揮してきているというような状況にあるものと思っております。
  127. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 ちょっとしつこいようですけれども、例えば、港空間を利用して手っ取り早くやられている博覧会のようなものがあちこちに存在しますね。ところが、博覧会が終わってしまうというと大半の施設は取り除かれてしまう。私どもの感覚からいえば、例えばイベント広場のようなもの、私の小樽なんかでは、相当金額をかけてすばらしい芸術的な舞台をつくったのです。やはり将来ともにそういうものが存置をされて、そこも一つの拠点になって港の大きなさま変わりへの出発点になるのかなと期待をしておりましたら、これは、市民の多くの皆さん方の存続要求をよそにして全部きれいに取り払われて、今は荒れ地になっているというこういう実態があるのです。  これは、港湾整備五カ年計画のような大きなものに乗っかって博覧会が行われるとは必ずしも限りませんから、結びつけて考える必要はないんだとは思いまするけれども、前段申し上げたように、幾つもの港の使い方、周辺の使い方というものを考えてみた場合、そういったものが存続できるような先の見通しを立てた利用計画というものがとり行われない限り、つくっては壊し、つくっては壊しということで、一体あの周辺はどういうぐあいに変化をしていくのかというのは、市民的に見れば全然見えてこないですね。そういうことを気づかれたことはございますか。
  128. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 私も小樽博の様子は身近に見て承知しておりますけれども、確かに立派な舞台がつくられて、それがその博覧会の間で取り壊されているということでありますが、その期間、人々はそこに集まり、その間の地域のにぎわいをつくり上げたという効果はかなりあるものだと思っております。小樽の場合に関して言いますと、あそこは木材のところを再開発によってマリーナに整備をしていって、現在かなりにぎわいを見せて大いに小樽の振興に役立っているのではないかというふうに私は理解しております。  さらに、先ほど申し上げました博多の博覧会、このときはポートタワーあるいはマリゾンという施設を民活によってつくり上げましたが、これは決してそのときで取り払ってしまう施設ではなくて、現在もそのまま残って人々が大いに集い、にぎわう場所となっておりまして、地域の振興に大変な効果を上げているというふうに私は理解いたしております。
  129. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 わかりました。  それでは、本法にかかわって具体的な内容について若干の御質問をさせていただきます。  まず最初に、新五カ年計画につきまして、平成三年三月一日閣議了解をされました。この閣議了解の目的及び内容はどのようになっているものか、御説明をいただきたいと思います。
  130. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 新五カ年計画は三月一日に閣議了解されたわけでありますけれども、この中身は、平成三年度から平成七年度に至る五カ年間の港湾投資規模を、港湾整備事業三兆五千九百億、災害関連事業地方単独事業五千四百億、港湾機能施設整備事業等九千四百億、調整費六千三百億、合計五兆七千億とすることでありまして、これは今後の経済社会の動向、財政事情等を勘案しながら弾力的にその実施を図っていく、こういうことが閣議了解されたわけであります。  御審議いただいております港湾整備緊急措置法の改正後、この新しい五カ年計画が策定されていくわけでありますけれども、この閣議了解の目的は何かと申しますと、新五カ年計画の基本を事前に明らかにしておいてその策定の指針とするとともに、新港湾整備五カ年計画の初年度としての平成三年度港湾整備事業の性格を明確にしているということにあると言えると思います。
  131. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 港湾施設等の建設、改良の事業と示されておりますね。どちらが大きな比重を占めますか。
  132. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 港湾施設の新たな建設と改良では、新たな建設という方が数量的には大きいウエートを占めると思いますが、改良あるいは再開発という新たな要請の部分に着目すると、そこの伸びは大きいかというふうに思っております。
  133. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 平成三年度の港湾整備事業の予算内容がどのようになっているのかということと、また、二年度と比べてどのような特徴が見られるのかという部分についてはいかがですか。
  134. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 平成三年度の港湾整備事業予算案につきましては、総事業費が六千五十九億でございます。平成二年度予算に比べまして四%の伸びということでございますけれども、その主な施策は、幾つか挙げてございますけれども、効率的な物流体系の形成を目指した港湾整備ということで千八百四十二億、快適な旅客交通体系形成ということで百三十三億、豊かで潤いに満ちた生活のための港湾整備として二千二十六億、資源の安定供給、地域の産業振興のための港湾整備として五百九十七億、海上交通の安定性の向上で千二十四億、新たな利用可能空間創出のための港湾整備として三百八十五億、港湾整備を円滑に推進するための技術力の整備として五十一億というようなことを予定いたしておりますけれども平成二年度の事業と比較いたしますと、まず、生活関連重点化枠というものが別枠で設けられたということが一つ言えるかと思いますが、日常生活の足の確保、快適な生活環境確保という観点から、所要の予算内容になっているかと思っております。  事業内容といたしましては、第一に、外貿コンテナターミナルや内貿ユニットロードターミナル整備、等二に、石炭火力発電所の立地等に対応したエネルギー港湾整備、第三に、自然との触れ合いや海洋性レクリエーション活動の要請に対応いたしましたアメニティーの高いウオーターフロントの形成のため緑地等を整備すること、そして第四に、大規模地震対策のための港湾整備というような面が平成三年度事業の特徴になっているかと思っております。
  135. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 伸び率六%とおっしゃいましたか。
  136. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 四%でございます。
  137. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 平成三年度の予算の内容をお伺いしましたけれども、四%の予算の伸び、これは初年度ということになるわけですが、この程度の伸びで新五カ年計画が達成できるとお考えでしょうか。
  138. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 確かに港湾整備事業の今度の規模計画伸び率は六・八%でありますので、平成三年度の伸びが四%といいますと、それに満たないということで、小さいのではないか、こういう 御指摘かと思いますが、この最初のスタートだけの伸びでこれが達成できないと考えてしまうのは、私どもとしては、早く判断し過ぎたかなというような感じをいたします。今後鋭意努力することによって、この五カ年計画の一〇〇%達成を図りたい、こういう努力をいたしたいと思っております。
  139. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 常識的に言いますと初年度というのは大きいのではないですか。どうも初年度小さいが、これから一生懸命頑張れば何とかなりますと言うけれども、従来の国の予算を拝見してみますと、前年度対比で大幅に伸びるというのは大変難しいのではないですか。ちょっとお答えとしては余りにもいいかげんなお答えに過ぎるのではないかという気がしますけれども、私は応援する立場で申し上げているので、せっかく五兆七千億という膨大な五カ年計画を組むのでしたら、もうちょっとはまじめに考えてももらわなければいかぬし、そんな答弁では、これはいかに私ども野党に籍があるとはいえ、そういう答弁ではちょっと不満です。
  140. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 先生おっしゃいますとおり、計画に比べて、決してそれで足りている、こういうふうに思っているわけではございませんで、これを何とか挽回すべく、今後の五カ年間において最大の努力を図っていきたい、こういう思いでございます。
  141. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 海洋国家日本と言われた時代から、どんどん低落傾向をたどって、ある意味では港湾というのは日陰の存在か、これはちょっとオーバーな言い方ですよ、しかし、そういう時期を経て、国際化社会の中で、あるいは経済活動の中で港湾の占める比重というものが認識をされて、五カ年計画を何回も繰り返しながら整備を図ってきた。前段にも申し上げておりますように、港湾というのは半年や一年でできる問題ではないだけに、十年後にどうなるのか、二十年後にどういう経済活動が展開をされるのかということを前提にして五カ年計画を組んできたわけでしょう。したがって、五カ年計画と五カ年計画のはざまで取り残されるということのないように、次から次へと新しい計画を上乗せして充実強化していくという、これが五カ年計画を繰り返してきた大きな目標だと私は思うのです。港湾局がしっかりとそこを見定めて進めなければならない課題なんだと思う。  そういうときに、七次計画、一〇〇%を大幅に超える業務量を達成した、これはまあある意味では結構なことでしょう。しかし、そういう経過はあったにせよ、新しくまた課題を設定して、非常に幅広く、国土の均衡ある発展をも含めながらこの八次計画が組み立てられる初年度に、四%の伸びでお茶を濁すなどといったことの特徴は、何かと言えば、景気の動向に左右をされながら五カ年計画が振り回されてきた、こう言わざるを得ないのですね。そう思いませんか。
  142. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 公共投資一般、一これは社会資本整備という意味では、一定の計画に沿った一定の伸び率で着実に整備していくというのが最大に望ましいというふうに我々は考えております。一定の目標を持って五カ年計画を定めたら、それが着実に一定の伸び率で整備されるということが一番望ましいわけでありますが、一方では、経済政策の道具としての役割ということもあって、その年々の経済情勢変化に応じて伸びたり抑えられたりという状況が出てくることもやむを得ないというふうに思います。  その両方の整合性というのがいかにうまくとられるかということが重要なのであって、我々は、一方では社会資本の着実な整備を望みながらも、一方では経済運営の道具としての公共投資にも一定の理解を示さなければいけない、こういう苦しい立場にあるということを御理解いただきたいと思います。
  143. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 私は苦しい立場は理解したくないのです。非常に信頼をされる行政府、チェック機能としての立法府の中でこの重要な課題を議論するに当たって、そういうお茶を濁すような話ではなくて、左右をされるということではなしに、これはやはり我が国の経済活動の重要拠点として組み立てられた五カ年計画というものの整々とした進捗を希望するがゆえに、余分なことを申し上げたのかもしれませんけれども、お答え以上にもう少しまじめな今後の御努力を期待したいと思うのであります。  そこで、五カ年計画実施における国と地方の費用分担はどのようになっているのか。
  144. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 五カ年計画の国と地方の費用分担をどう考えるかというのはなかなか難しいのでありますけれども平成三年度から五年間にわたって、昭和六十一年度に適用された補助率が五カ年間続くというふうに考えて推算をいたしてみますと、国の負担の比率が五三%程度ということで、現行の五カ年計画とほぼ同じになるかなというふうに思っております。
  145. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 それでは、引き続き二つの事柄についてちょっと御質問申し上げますが、一つは、五カ年計画における輸入関係インフラ整備の考え方、整備状況はどうなっているのかということと、五カ年計画における国内物流に対する対応についてどのような考え方をお持ちなのか、お答えをいただきたいと思います。
  146. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 新五カ年計画におきます輸入関係インフラの考え方でありますけれども港湾の取扱貨物量というのは最近堅調に増加しておりまして、平成元年は過去最高の三十一億六千万トンというようなことで、前年比四・二%増ということになっております。また、このうち外国貿易貨物量につきましては、コンテナが初めて一億トン台になるというようなことで非常に大きく伸びております。とりわけ、コンテナの中でも輸入貨物の伸びが高くなっておりまして、施設容量の確保とか船型の大型化、コンテナ化への対応ということで、いろいろ対応すべき問題がたくさんあるわけでありますが、こういうような要請変化に的確に対応して輸入インフラの整備を図っていくことが重要かと思っております。  この新五カ年計画の策定に当たりましては、日米構造問題協議で国際公約化したというような感じのございます外貿ターミナルの水際線延長約三十キロを整備するということを最重点施策の一つに考えたいと思っております。  それから、二番目にお尋ねの国内物流についてどう考えるかということでございますけれども平成元年度の国内貨物輸送量、これはトンキロベースでありますけれども鉄道が対前年度比七・一%の増、内航海運が五・七%の増、トラックが六・八%の増ということでありまして、従来トラックによる輸送のみが増加していてという状況が続いておりましたけれども、こういう情勢が一変しているかな、鉄道及び内航海運が減少してきたという情勢は変わりつつあるというふうに理解をいたしておりまして、これに何とか対応していく必要があるというふうに思っております。  また、内航海運は、近ごろ問題になっております労働力不足に対応した省力型でありますし、あるいは、道路混雑問題に対しては輸送効率がいいというようなこともあるし、二酸化炭素の排出量が小さいということからも環境に対してもいい影響があるということでこれを伸ばしていく、そのための港湾も十分施設整備を行い対応していくということが重要かと思っております。  このため、新五カ年計画の中におきましては、コンテナ船、ローロー船、フェリーなどのユニットロード貸物の増大ということが考えられまして、これに対応いたして、コンテナフレートステーションあるいは倉庫等を一体的に整備し、荷さばき、保管等の機能もあわせ持った内貿ユニットロードターミナルというようなものの整備重点項目の一つに位置づけていきたいと思っております。
  147. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 国内物流、おおよそで結構ですが、昨年実績はトンキロでどのくらいになりますか。
  148. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 ちょっと今調べております。後ほどお答えいたしたいと思います。
  149. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 大分古い数字だと五十七億トンくらいだったかな、そんなことから考えますと、大分ふえていますから、大ざっぱに六十億くらいかなという気がしますが、いずれにしても、輸入関連で三十一億六千万トンキロ、こんな数字が出てきたり、国内でもそれの倍以上ぐらいの国内物流になるのかなという気がしますけれども、そういうことを考えてみますると、全部が全部港湾にかかわるとは思いませんが、五カ年計画の中での港湾アクセスについて考えてみた場合、非常に重要な事柄かなと思わざるを得ません。取り組みについての考え方をお聞かせをいただきたいと思います。
  150. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 先生おっしゃいますとおり、アクセスの問題というのは非常に重要でございます。物流ターミナルを初め、旅客ターミナルの整備あるいはアメニティー豊かなウオーターフロントの整備というようなものに伴って、円滑に港湾にアクセスできるということが非常に重要かというふうに考えております。  この新しい五カ年計画におきましては、貨物の迅速な輸送を確保するための臨港道路の整備、これに力点を置きたい。さらに、利便性の高い旅客交通としての新交通とかあるいは海上バスに対応するための海上バスターミナルというようなものの整備も促進していきたいというふうに考えております。
  151. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 五カ年計画実施に当たって、アクセスも非常に重要ですが、最近国際的な課題になっております環境保全という問題も非常に重要になってきていると思うのですが、環境への対策についてはいかがですか。
  152. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 もちろん環境への対策、いい環境をいかにつくるか、あるいは悪い環境をいかに改善していくかということが非常に重要であることはお説のとおりであります。  環境の保全につきましては、港湾の開発に当たりまして、港湾計画の策定あるいは港湾工事実施に際しまして適切なアセスメントを実施し、関係者との調整を図るということで十分に配慮してきていると思っております。  また、良好な環境の整備につきましては、従来から実施してきております緑地整備あるいは廃棄物埋立護岸整備、浮遊ごみなどの回収、汚泥しゅんせつによる公害防止事業というようなものに加えまして、新しい五カ年計画におきましては、潤いのある豊かなウオーターフロントの創造というものにふさわしい海域をつくっていくということで、リフレッシュシーサイド事業というようなことで、ヘドロの上に良質な砂をかぶせて水域環境をよくしていくという覆砂工事、あるいは海浜造成を行うシーブルー事業というようなもの、さらには歴史的に非常に古い良好な歴史的な意味合いを持つ港湾施設というものも多数ございますので、それを活用した歴史的港湾環境の創造事業、あるいは環境というものを重視しようということで、港湾景観形成モデル事業というようなことで、よりよい港湾の環境、景観というものの創造を図っていきたいというふうに思っております。
  153. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 私はもともとこの港湾というものに非常に無知でしてわからなかったのですが、数年前に、今環境のお話を御説明いただきましたけれども、大阪湾のフェニックス法をめぐって審議に参加した経過がございまして、その後うまくいっているのかな、その後一度拝見をしなければいかぬなと思いつつ、多忙に紛れて現地を拝見することができないままでおるわけですが、今御説明のとおり、廃棄物問題というのも非常に重要な国内問題だと考えます。  五カ年計画の中での、特に東京湾のフェニックス事業の取り組み状況はどうなっているのかということと、あわせて廃棄物の減量化を図り、もっと長期的に海面処分ができるような指導を具体化すべきだと思いますけれども、この二点についてどのような方針を持たれているのか、御説明をいただきたいと思います。
  154. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 その前に、先ほどお答えできなかった輸送トンキロのことでございますけれども平成元年度で五千五十億トンキロでございます。  ただいま御質問の東京湾のフェニックス事業についてお答えいたしますが、東京湾域におきましては、主要な廃棄物の海面処分場が平成七年度までに受け入れ限度に達するというふうに見込まれております。こういうことから、昭和六十二年に私どもと厚生省で共同いたしまして「東京湾フェニックス計画の基本構想」というものを定めました。これを発表いたしまして、関係地万公共団体にこれをお示しし、その検討を依頼しているという状況にあります。  この「東京湾フェニックス計画の基本構想」におきましては、都心からおおむね四十キロの範囲内を対象地域といたしまして、平成八年から十七年度に至る十年間に、最終処分が必要となる約四億立方メートルの廃棄物のうち約一億一千万立方メートルを広域処分場で受け入れるということを考えまして、処分場の位置は横浜、川崎、東京、千葉等の港湾を対象に分散配置するというような構想内容にいたしたわけであります。  現在、六都県市首脳会議等というのがございますけれども、この場で私どものまとめました構想を含め広域処理について検討が進められておりまして、昨年十一月のこの六都県市首脳会議の場では、今後さらに検討を深めるという結論になっていると聞いております。このような検討結果を踏まえまして、東京湾フェニックス計画推進に向けて私ども関係機関と調整し、これを進めていきたいというふうに考えております。  二番目に先生のおっしゃいました廃棄物の減量化というような問題でありますけれども港湾の海面を廃棄物で埋める埋立処分場として利用していくということに関しましては、水域が非常に限られているというような観点がございまして、これをできるだけ長期に使えるようにすることが望ましいわけであります。  私ども、資源の有効な利用の確保廃棄物の発生の抑制、適正な廃棄物処理を確保する等のいわゆる再生資源利用促進法案、廃掃法改正案というのが現在提出されておりますけれども、そういうような観点に沿っている話であろうかというふうに思っておりますが、廃棄物の減量化につきましては、発生するところから最終処分場に至る過程において、再利用あるいは焼却等の形で相当な努力がされているわけでありますけれども、それにもかかわらず、なお相当量の海面処分場確保の要請が出てくるものと思っておりまして、これにいかに対応するか、これを我々は真剣に取り組まなければいけないというふうに考えているところであります。
  155. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 数字の確認ですけれども、五千五十億トンですね。トンキロ……
  156. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 億トンキロでございます。
  157. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 時間がだんだんなくなってきたので、はしょった質問をしなければなりませんけれども、沖合人工島の整備はどのように考えておられるのか、現在どのような整備状況になっているのか、今後の見通しを含めてお願いをしたいと思います。
  158. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 我が国経済社会の高度化、多様化という中で、港湾がいろいろな要請に対応していくためには新たな空間をつくっていく必要があるということで、沖合人工島の整備推進しているところであります。このため、従来からの港湾整備事業による整備というものに加えまして、いろいろな他の事業との連携を図りながら、民間活力を活用した沖合人工島の整備というものも実施することにいたしております。  現在、この民間活力を活用した沖合人工島の整備というものは、開銀からの融資とか無利子貸し付け、あるいは税制上の優遇措置というようなものがございまして、現在行っておりますのは和歌山下津港、あるいは二年度からは船越港においてこういう制度による沖合人工島の整備実施してきております。  新しい五カ年計画におきましては、和歌山下津 港など五港において沖合人工島の整備実施することを考えております。また、事業化の段階にあるプロジェクトにつきましては、事業化に向けての具体的な検討を行うということで、引き続き沖合人工島事業推進調査ということを実施しようとしております。
  159. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 次に、超高速貨物船、テクノスーパーライナーに対する取り組みはどのように考えておられるのか。
  160. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 従来の貨物船の概念を一新するような画期的な船として、このテクノスーパーライナーの開発は非常に大きい注目を集めていると思っております。  現時点では、九〇年代後半に実用化がされるというふうに考えられておりまして、私ども港湾局といたしましては、六十三年度からテクノスーパーライナー関連の調査に着手をいたしております。今後ともテクノスーパーライナーの開発の動向と連携をとりながら、この五カ年の対象期間中に新形式超高速船に対応した港湾のターミナルのあり方について詳細な詰めを行おう、こういうふうに考えております。
  161. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 あと一つ、五カ年計画の中における東京湾のような船舶のふくそう海域の安全確保についての取り組みなどについては、どのように考えておられますか。
  162. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 大型船あるいは危険物船が非常に多く航行している東京湾あるいは伊勢湾、関門海峡等の湾口部や海峡部では、船舶交通の安全を確保するということが非常に重要であるのは先生のおっしゃるとおりでありまして、現在、全国で十六の開発保全航路というものを政令指定しておりますけれども、その整備、それから保全を国みずからが行っております。  新五カ年計画におきましては、引き続き開発保全航路の整備を進め、船舶ふくそう海域の安全の確保を図りたいというふうに思っております。
  163. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 おおよその御質問をお答えいただいてまいりましたけれども、せっかくの機会でございますので、地元課題をちょっと一、二お伺いをしたいと思っているのです。  一つは、北海道開発局港湾部では、第五期北海道総合開発計画あるいは「「二十一世紀への港湾」フォローアップ」の趣旨を受けて、「豊かな北のくらしをめざすみなとづくり」を策定しました。その主な内容と、新五カ年計画ではどのように考えておられるのかについて、それからもう一つは、北海道における港湾整備状況と今後の見通しをお知らせいただきたいと思います。
  164. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 北海道開発局の港湾部で策定いたしました「豊かな北のくらしをめざすみなとづくり」というものがございますけれども、これは北海道開発局が策定いたしました第五期北海道総合開発計画、それから私どもの「「二十一世紀への港湾」フォローアップ」というものの趣旨を受けまして、今後の北海道の港湾整備の方向を示したというものであろうかと思います。  その内容は、輸送需要の変化対応した港湾をつくる、地域産業振興のための港湾をつくる、北国の快適な港湾空間をつくる、北国の市民生活のための港湾整備する、そして新たな事業制度の活用とその調査、研究、開発を続ける、こういうような五本の柱から成っておりますけれども、この全体の流れといたしましては、私どもの「「二十一世紀への港湾」フォローアップ」というものの趣旨に沿っておりまして、五カ年計画の中では不整合のない形で取り入れていけるものというふうに思っております。  第二の御質問は、北海道の港湾整備の方向だったと思いますが、北海道の港湾全体を一口で申し上げるのはなかなか難しいのですけれども、北海道が積雪寒冷地にあるということだけでなく、外海に面している港湾が多いということで、防波堤の建設などに非常に大きいお金がかかります。これまでこういうような大きな困難を乗り越えながら、最近の輸送革新あるいは国際化、情報化というものに対応してきているというふうに思っておりますけれども、最近は港湾取扱貨物量も順調に増加しているということでありまして、大型岸壁の不足あるいは港内静穏度が足りないということ、あるいは離島フェリーの安定性の確保が重要だというような問題があります。  さらに、地場産業の振興とか港湾再開発、海洋性レクリエーションへの需要等から、港湾整備への要望が北海道において非常に大きくなっているということがございまして、今後とも計画的に推進していきたいと思っております。  例として申し上げますと、小樽港につきましては、平成二年に中央地区の再開発、それから勝納埠頭の増深というようなことを盛り込む港湾計画の一部変更を既に行っておりますけれども平成三年度からはこれらの整備を積極的に進めていきたいと思っております。
  165. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 ありがとうございます。  今、調査研究の話が出ました。時代の要請に合ったものにするために必要不可欠なものだと思いますけれども、現在、運輸省としてどのような視点で調査研究を行っているのか、アウトラインで結構ですからお知らせをいただくと同時に、新五カ年計画でのこの調査研究に係る予算措置はどのようになっているのか、お知らせをいただきたい。
  166. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 このような変化の多い時代に対応していくためには、調査研究ということがかなり重要な意味合いを持ってきていると思いまして、私どもそれに力点を置いてきております。  まず、東京湾とか大阪湾、伊勢湾というような湾域全体については、総合的かつ広域的な施策実施していくために、全体を見通すような調査が必要であろうかと思っております。また、地方圏につきまして申し上げますと、地域の振興を目指したポートルネッサンス二十一調査あるいはマリンタウンプロジェクト、こういうようなプロジェクトのための調査をかなり前広に進めていくことが必要でありまして、地域の振興や活性化の拠点としての港湾のあり方を全国的に検討を進めたいというふうに思っているところであります。  こういうような調査を、新五カ年計画におきましては従来よりもより積極的に実施していきたいと考えているところであります。
  167. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 新五カ年計画の今後の策定スケジュールについてどのようにお考えなのか。
  168. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 新五カ年計画の今後のスケジュールでございますけれども、今国会で港湾整備緊急措置法の一部改正を御審議いただいた後、各港湾管理者意見を聞いて港湾整備事業実施の目標及び量についての検討を行います。そして港湾審議会意見を聞き、関係省庁との調整を経た後、本年秋ごろを目指して閣議において決定していただくということを考えております。
  169. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 いろいろお尋ねいたしてまいりましたけれども、最後に、今後どんな立派な港湾整備をするにも、実質的にはすぐれた人材の確保が必要だと思いますし、また育成も重要であろうと考えます。ますます港湾にかける国民の期待も多くなるのだと考えますが、運輸大臣の新五カ年計画投資額達成にかける決意を最後にお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  170. 村岡兼造

    村岡国務大臣 国土の均衡ある発展や豊かさを実感できる経済社会の実現を図っていく上で、港湾の果たす役割は大変重要であろうと思います。従来から見ますと、ただ物流だけではなくて、そのほかにいろいろ緑地とかイベント広場とかあるいは貨客船とかそういうものの要求が出ておりまして、御承知のとおり第八次五カ年計画、三〇%増しの五兆七千億、こういうことになったわけでございますが、各地域でも期待が大きい、こう思っております。  先ほど来、先生の御質問で、平成三年度四%ではないか、四百三十兆やっていくには六・六%ぐらいの伸びがなければならないのではないか、こういう御指摘もございました。実は私もそう思っておりますが、生活関連枠二千億、そもそもの額が小さいというようなことがございまして、しかしこの五カ年計画、各先生方あるいは小林先生の御要望もございまして、この前は第七次は港湾整 備計画約一〇九%、それは途中で、補正予算で増したというようなこともございますので、そういうようなことで、この新五カ年計画五兆七千億、確実に達成していきたい、こういうふうに考えておりますので、御指導、御協力をお願い申し上げます
  171. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 御健闘を期待しつつ、質問を終わります。ありがとうございました。
  172. 亀井善之

    亀井委員長 次に、草川昭三君。
  173. 草川昭三

    ○草川委員 草川であります。  まず最初に、新五カ年計画内容について、特に港湾整備事業のトータル金額についてお伺いをいたします。  第七次の五カ年計画のときの港湾整備事業は二兆五千五百億でございましたね。今度の新しい五カ年計画では港湾整備事業三兆五千九百億。先ほども大臣がおっしゃられておりますが、港湾整備事業としては他の省庁に比べて大変な伸び率だと思います。これはぜひ充実する港湾整備をしていただき、また海運の関係者の方々にも喜んでいただける、あるいはまた新しい国際社会に対応するニーズにこたえる港湾整備をしていただきたい、こう思うわけでございますが、新五カ年計画要求時には、たしか五兆二千億というような港湾整備では概算要求をしておみえになると思うのですが、その差は一体どこが問題点だったのかお伺いをしたい、こう思います。     〔委員長退席、佐藤(敬夫)委員長代理着席〕
  174. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 先生のおっしゃいますように、今度の五カ年計画の総額五兆七千億、このうち港湾整備事業三兆五千九百億、そして、その他災害関連あるいは港湾機能施設整備等、それに調整費六千三百億を加えて総計の五兆七千億ということに総額が決まったわけであります。  しかし、もともとの要求は六兆七千八百億ということを要求いたしまして、それから約一兆円下がった格好になっております。それは、いろいろ議論が行われて、これからの五カ年では結論としてこの程度投資額が適当なのではないかというようなことになったわけであります。その一つの論拠というのは、公共投資基本計画の伸び率が六・三%でありますけれども、この港湾整備事業の伸び率が六・八%とこれよりも大きくなっておりまして、全体的として見れば港湾整備事業の目的はこれで達成できるのではないかというふうな考え方でありますけれども、しかしそうはいっても、要求をいたしましたものから一兆円ほどの規模が下がっておりますので、今後港湾管理者の意向等をさらに聞きながら、投資重点化効率化ということを図ってそのギャップを埋めていくという必要があろうかと思っております。
  175. 草川昭三

    ○草川委員 調整費の六千三百億の性格あるいは規模でございますが、第七次の五カ年計画のときには七千九百億があり、それから第八次五カ年計画概算要求のときには、たしか、この要求というのはなかったのですか。概算要求にないものがここで六千三百億ついたということは、どういう経過があったのか、お伺いしたいと思います。
  176. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 私ども当初五カ年計画規模要求しているときには調整費なしで、港湾整備事業の、あるいはそのほかの項目の中に幅を見込んで額が決めてあればそれで十分対応できる、こういうふうに思ったわけでありますけれども、それよりむしろ従来の五カ年計画に倣って調整費を設けた方がいいというのが議論の過程で決まってきたということであります。
  177. 草川昭三

    ○草川委員 非常に大ざっぱな答弁ですけれども、それは五カ年計画という、単年度予算で確定したものを出すということではなくて、五カ年の間にそれでまさしく調整をする、そういう意味と理解していいのですか。
  178. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 五カ年の中で調整するという意味もありますけれども、基本的には経済社会条件の変動に対応してこれを使っていくということで、現在予定されております港湾整備事業の額では不足してくれば、これを取り崩して新しい要請に対応していくことができる、こういうふうに理解をいたしております。
  179. 草川昭三

    ○草川委員 では、長期的な港湾整備政策と今度の新しい五カ年計画との関係というのはどういうことになるのか、お伺いをしたいと思います。
  180. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 五カ年の計画もかなり長いものでありますけれども、五カ年計画をつくるに先立ちましては、もっと長期に港湾整備のあり方を考えておく必要があるということから、その前に作業をいたしまして、二十一世紀に向けて我が国は国際化、情報化、都市化が進展しているというふうに認識をし、昭和六十年に長期的な港湾整備の政策といたしまして「二十一世紀への港湾」という考え方を取りまとめております。  この政策の目標は、物流、産業、生活三つの機能が調和よく導入されて、これらが相互に連携し合い、全体として高度な機能が発揮できるというような「総合的な港湾空間の創造」ということを一つ挙げております。またさらに、このほかに「港湾相互ネットワーキング推進」という、相互の関連、連携、補完というようなことが非常に重要な意味合いを持ってくるということで、この「二十一世紀への港湾」をつくったわけであります。  その「二十一世紀への港湾」の長期的な考え方に対応いたしまして、昭和六十一年度を初年度とする第七次の、現在の五カ年計画が策定され、その整備推進してきているということであります。  その後、港湾をめぐる経済社会環境というものが大きく変化したということもありまして、「二十一世紀への港湾」というのを少し見直そうかということでいろいろ作業をいたしました。そのフォローアップ作業を平成二年に行いまして、「豊かなウォーターフロントをめざして」というふうにタイトルをつけました長期政策を新たにまとめたところでございます。  その重点施策の一つが「総合的な港湾空間の質の向上」ということでありまして、引き続き物流とか産業とか生活に係る機能を充実をしていくということが大切であるけれども、国民のニーズの多様化、高度化というようなものに対応して港湾空間のさらなる質の向上を図る。使いやすく美しい港づくりに重点を置くことが必要であるというふうに一つそこでも述べたわけであります。  さらにもう一つの点は、「国土の均衡ある発展への貢献」ということが大切であるということで、港湾相互ネットワーキングをさらに充実する。物流とか旅客交通、マリーナ、情報等に係るネットワーキング形成、それから港湾相互の連携の強化に重点を置いていこう。さらには、臨海部において定住基盤を整備することといたしまして、地方圏におきましては、地場産業やリゾート等新しい産業の育成、ゆとりある地域生活実現を図り、大都市圏では、交通問題への対応とか生活環境の改善を図るというようなことを考えたわけであります。  こういうような長期的な港湾整備の見通しに基づきまして、今度新しい五カ年計画を策定しようとしているわけでございます。
  181. 草川昭三

    ○草川委員 日米構造協議が長い間やられ、特に運輸省関係、これは港湾ももちろん入るわけですが、いろいろな要求があったわけであります。外貿ターミナルの水際線延長約三十キロメートルを整備する、こういうお話があったと思うのですが、この新五カ年計画の中にはどの程度それは組み入れられているのか、お伺いしたいと思います。
  182. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 日米構造問題協議の最終報告の中では、輸入インフラの整備ということで、「外貿ターミナル水際線延長約三十キロメートルを整備する。」こういうふうになっております。これはちょうど計画期間も一致するものでありまして、今度の新しい五カ年計画の中では、これは達成すべくその内容といたしたいというふうに思っております。
  183. 草川昭三

    ○草川委員 その外貿コンテナターミナルのことについてお伺いをしますけれども、これも大変重点的な整備が行われていると思うのですが、六大 港にそれは偏重をしているのではないかという意見があるのですが、その点はどのようにお考えになっておられるのか、お伺いをします。
  184. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 外貿コンテナターミナルにつきましては、これまで三大湾の港湾における整備中心に進めてきております。しかし、最近のコンテナ貨物の特徴といたしまして、その最終の発着場所、これが地方に分散する傾向があるということが見えてきておりまして、このため、既に現行の第七次五カ年計画におきまして、地方の中核となる港湾において外貿コンテナターミナルの整備を進めてきたところでありますが、新しい五カ年計画におきましても、ますます地方の拠点港湾における整備を進めていきたいというふうに思っております。
  185. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、今から少し具体的な問題に入っていきますが、今答弁がありましたように、それぞれ港にはグレードがあると思うのです。そのグレードに応じた設備あるいはまた新しい投資が行われているのですけれども、案外、陸上で言うならば交通安全というのですか、いわゆる安全確保について随分問題があるという意見を私は持っておるわけです。  まず、港則法という法律がありますけれども、港則法の第一条には「港内における船舶交通の安全及び港内の整とんを図ることを目的とする。」というように規定をされております。ところが港というのは、私も今まで知りませんでしたけれども、すべて運輸省所管だとこう思っておったのですが、違うのですね。港といっても、きょう農水にも来ていただいておりますが、いわゆる漁港というのは港則法の中で言うところの港じゃないんだそうですね。それからまた、港湾法に定めるところの港というのとまた違うジャンルなんだそうですね。  これは水産庁にちょっとお伺いをいたしますけれども、港則法の適用を受けている港というのは一体幾つあるのか、あるいは受けていない港というのは一体幾つあるのか、まず概念を知りたいと思いますので水産庁から答弁を願いたい、こう思います。
  186. 坂井淳

    ○坂井説明員 現在、漁港法に基づき指定されております漁港数が二千九百五十二港ございますが、そのうち港則法の適用を受けておるのが二百九十八港ございます。
  187. 草川昭三

    ○草川委員 要するに一割ある。そこはそれだけ大きな漁港であり、煩雑だとということだと思うのでありますけれども、港則法の適用のない港、それから港湾法に定める港というのは、港則法との関係でどういう位置づけになるのか、お伺いをしたいと思います。
  188. 豊田実

    ○豊田政府委員 ただいまお話にございました港則法でございますが、その法律の一条に目的が書いてございますように、港の中の船舶交通の安全あるいは港内の整とんを図るということを目的にした特別の交通ルールを適用する法律でございます。  この対象の港としては、今お話がありました漁港であるとか一般的な港湾というものの港湾の種類に関係なく、交通の安全という観点からその適用の対象にするかしないかということを検討しながら施行しておるというところでございます。
  189. 草川昭三

    ○草川委員 いやいや、だからもう一回聞きますけれども、港則法にかからない港はあるのでしょう。
  190. 豊田実

    ○豊田政府委員 港湾の中で、今申しましたような観点から特定の港湾に絞って適用しておるということで、お話しのように適用の対象になっていない港というものはございます。
  191. 草川昭三

    ○草川委員 ですから、適用を受けていない港というものを私少し例を挙げて申し上げたいと思うのですけれども、どの港であろうと、いわゆる船舶交通の安全というものは図らなければならないという原則があるというのは当然のことだと思うのですが、港則法にかからない港の場合にどういうような交通安全の指導をしておみえになるのか、それぞれお答えを願いたい、こう思います。
  192. 豊田実

    ○豊田政府委員 海洋の船舶交通の安全の確保のための一般的な法律としましては海上衝突予防法という法律がございまして、これは、一般的な海洋だけではなくて、港則法の適用になっていない港の中での交通につきましても、この海上衝突予防法に基づいて、例えば灯火を表示していただくとか一定の交通ルールを守っていただくということで対応しているところでございます。
  193. 草川昭三

    ○草川委員 今の答弁は、港則法という交通ルールを定めた法律に適用のない港があるけれども、それは海上衝突予防法という法律でカバーする、こういう答弁でしょう。  ところが、港則法という法律は、港内における船舶交通のルールを定めた、いわゆる基本的なことを定めているわけですよ。例えば十五条には、「汽船が港の防波堤の入口又は入口附近で他の汽船と出会う虞のあるときは、入航する汽船は、防波堤の外で出航する汽船の進路を避けなければならない。」いわゆる出船の優先の原則、いわゆる船の本当の原則というのがあるわけです。先ほど言われました海上衝突予防法にはそういうものはないわけです、目的が違うのですから。例えば十七条には、「船舶は、港内においては、防波堤、ふとうその他の工作物の突端又は停泊船舶を右げんに見て航行するときは、できるだけこれに近寄り、左げんに見て航行するときは、できるだけこれに遠ざかって航行しなければならない。」いわゆる右小回り左大回りの原則というのがあるわけです。だから、船の進め方の原則というのが港則法にあるわけですから、それを念頭に置いて船長は船の運転をするわけです。  海上衝突予防法というのはそういうことが書いてないわけですから、いわゆる船の運航をする原則というものを、なぜ漁港にもあるいは港湾法に基づくところの港の中にも適用されないのか、一元的な指導があってしかるべきではないだろうかというのが私のきょうの問題提起なのです。  この点について、ひとつ皆さん陸上に頭を置きかえていただきたいと思うのですが、皆さん方が運輸省という役所からここの国会にお見えになるときに国道を通ってきますね。全部、交通信号なりあるいは道路標識がありますから、それに従ってここへお見えになると思うのです。ところが、これが一たん外へ出て田舎に行った、あるいは県道へ入った、市道へ入った、町道へ入ったというときに、交通ルールはノンルールでいいかどうかということです。そんなことはないわけでしょう。日本の場合は、県道へ行こうと市道へ行こうと、きちっとした交通ルールがあって、その道路標識なり指導に従って皆さんは連行されるわけです。しかし、海へ入る、海で航行する場合に港へ入る、大きい港、小さい港、漁港、いろいろとありますけれども、その右小回り左大回りあるいは出船優先という基本原則、基本的なルールがなぜ港によって差があるのかということをお伺いしたいと思うのです。どうでしょう。その点はどこが答弁になりますか。
  194. 豊田実

    ○豊田政府委員 先ほどの私の答弁はちょっと舌足らずでございましたので、もう一度御説明させていただきたいと思います。  海上の船舶航行全体、これは場所を問わず、その安全を確保するための法律に海上衝突予防法という法律がございまして、一般原則として、例えば見張りの励行であるとか安全な速力の励行というような一般的な交通ルールが定められております。  今お話がありました港則法という法律は、これをさらに特別のルールを付加したという形でございまして、お話しのように港の付近での出船優先であるとか今の右小回り左大回りの航法というような特別のルールあるいは漁労の制限というようなものが盛り込まれているルールでございます。  私ども、基本的にはその港湾整備の進捗状況であるとか、船舶の出入状況というような交通の量的な面あるいは地理的な安全の面というようないろいろな要素を検討しながら、また、その地元の港湾管理者あるいは利用者である海事関係者、漁業関係者というような方々意見を十分踏まえながら、一港一港実態に応じたルールを適用して いきたいと思っております。
  195. 草川昭三

    ○草川委員 今の答弁はいずれにしても非常に不満ですし、それは全然おかしい答弁だと思います。いわゆる法律によってきちっと裏づけされる、そういうことでなければ船舶の安全航行なんというのはできませんよ。事実、私は陸上に置きかえてみて、陸上ではきちっとした道交法があり、あるいはまた条例がある。そういうことで日常生活が運営されておるわけですからね。  そこで、具体的な例を申し上げたいと思うのですが、兵庫県の家島諸島の家島港という港があります。これは港湾法に定める地方港湾です。この港は砂利を運ぶ船が非常に多く出入りをするわけです。いわゆるガット船というのですね。また、そのほかに漁船の利用が非常に多い。こういう港ですけれども、この港は港則法の定める航法の適用は法律上はない港になっております。このことだけまず聞きたいと思うのですが、そのとおりでいいですか。
  196. 豊田実

    ○豊田政府委員 家島港につきましては、御指摘のように港則法という法律の適用はございませんが、一般的な安全確保のための法律であります海上衝突予防法という法律の適用はあるところでございます。
  197. 草川昭三

    ○草川委員 それは衝突予防法はなければおかしいので、それはそれでいいのですが、具体的な事例で言いますと、昭和六十三年十二月二十日夕方ですが、無灯火のガット船の、何というのですか、はしけと称するようなものだと思いますが、それと灯火をつけた漁船が衝突をしました。これは家島港の出入り口付近なんです。この件の捜査を担当した姫路海上保安署は、家島港内においてどのような船舶交通のルールが適用されるかを検討したのかどうかわかりませんけれども、結論的に、双方見張り不十分という形でこの事件処理をしておるわけであります。  これは、私は実態がどうかこうかということについてここで議論をするつもりはありませんけれども、私が先ほどから申し上げておりますように、港の中における船舶交通のルールというものがきちっとしていれば、この家島のような、ただ見張り不十分、あるいは灯火をつけていない、片一方はつけている、こういう初歩的な事故というのは実際は発生しなかったのではないか、こう思うのです。  さらに問題なのは、先ほどもちょっと答弁がありましたけれども、この家島港では、昭和六十一年以来現地の漁業協同組合と砂利を運ぶガット船の組合とで役所立ち会いのもとにたびたび会合を持って、家島港の出入り口付近にどのようなルールをつくったらいいのか、あるいはまた航路をつくったらいいのか、その航路の幅はどうしたらいいかという申し入れをやっているわけです。そこに海上保安署も立ち会っていますし、県の港湾理事務所も立ち会っているわけです。だから、役所も十分承知をしておるわけです。そこで新しいルールを地元の方と相談しておる、それだけ事故が多いわけですから。  それだったら、きちっとした港則法の適用なら港則法の適用をして、いわゆる出入りの優先はどちらなのか、右小回り左大回り、こういう基本的なルールもそこで港則法に従って対応すべきだ、私はこういうように思うわけであります。いわゆる船舶交通のルールを地元で相談する、こういうあり方では、今のような事故が起き、そして事故原因についても、双方見張り不十分というような形でジャッジが下ってしまう、非常に問題ではないか、こう思うのですが、その点はどうですか。     〔佐藤(敬夫)委員長代理退席、委員長着席〕
  198. 豊田実

    ○豊田政府委員 今御指摘の事案については、まだ係争中のものでございますので評価については差し控えさせていただきたいと思いますが、事故の一つの原因としては、片方が無灯火であったということが考えられておりますが、その灯火をするという義務自体は、先ほど申しましたような一般的な海上衝突予防法でも義務づけていることでございます。  家島港につきまして、私どもいろいろ実態面で地元の港湾状況等の把握に努めておるところで、ございますが、お話しのように、かなり船舶量がふえているという実態にあることは私どもも承知しております。この港則法というのは、そういうふくそうした海域、港湾について適用してまいってきておりますので、家島港につきましても、地元の港湾管理者、それから、これは利用者にかなり義務づけをするルールでございますので、その利用者の利用のしやすさとか安全との調整というようなものを、地元の御意見等を十分踏まえながら、私どもとしては安全確保のために必要であれば港則法の適用について検討してまいりたいと思っております。
  199. 草川昭三

    ○草川委員 港湾法に定める港あるいは漁港等においても、港則法に定めるところの基本的なルールということはやはり海上関係者は従うべきではないだろうか、こういう立場から、しかも海上交通の安全上の問題が今非常に出てきておるわけですから、ぜひそのように指導をされたい、こういうように私は思います。  では次に移ります。  先ほども長期的な港湾整備政策で非常に具体的な展望があるということを言っておられますが、実際、各港の内容によっては随分格差があるのではないだろうか、こう思うわけであります。  それで、これも具体的な港の名前を申し上げますけれども、富山県の伏木富山港という港があります。これは港の格付ではどのような位置づけになるのか、これもまず運輸省から答弁を願いたいと思います。
  200. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 伏木富山港は、国に重大な利害関係を有する重要港湾の中でも特に外貿関係が非常に大きいウエートを占めるということで、港湾法上の特定重要港湾に指定されております。
  201. 草川昭三

    ○草川委員 今答弁がありましたように、特定の非常に重要な港湾だ、こういうことでございます。  きょう、厚生省にも来ていただいておると思うのですが、いわゆる検疫の錨地というのですか泊地というのですか、検疫錨地が最近非常に遠くへ移動して不便だというのが船舶関係者から言われているわけですが、富山県における検疫というのはどういう状況で行われているのか、お伺いをしたいと思います。
  202. 野村瞭

    ○野村説明員 お答えをいたします。  お尋ねのありました伏木富山港の検疫区域につきましては、昨年の六月、従来伏木区にありました区域を、東へ約五キロくらいの距離になりますけれども、伏木外港計画による北防波堤整備に伴いまして新湊区に変更いたしたところでございます。  なお、一般的に検疫区域の設定に当たりましては、検疫業務の遂行上危険性がないこと、また、停泊する船舶の安全性等を十分考慮し、さらには港湾、海事関係者と調整を図りながらその設定を行っているところでございます。
  203. 草川昭三

    ○草川委員 もちろんこの検疫錨地というのは、厚生省の検疫だけではなくて、大蔵省の税関あるいは法務省の入管の方々も当然そこへ行くわけですよね。危険性のないところで検疫を受ける、すなわち、そこでいかりをおろして船舶が泊まる、滞留するわけですよね、停泊するわけです。  最近どうですか。厚生省の検疫の係官が作業中に亡くなったというような例があるのではないですか。その点どうですか。
  204. 野村瞭

    ○野村説明員 ただいまお尋ねのありました事故でございますけれども、これは神戸の検疫所管内におきましてそういう事故があったことは事実でございます。  それから、ついででございますけれども、先ほど先生の御質問の中で、税関等が検疫区域に出ておるというお話でございましたが、これはあくまでも伝染病予防という立場から検疫区域を検疫法で定めているということでございますので、その点は先生誤解をされているようでございますので、お断り申し上げたいと思います。
  205. 草川昭三

    ○草川委員 まず最初に検疫を行われてから入 管、そしてその次に税関、そういう順番で申し上げたつもりで、検疫錨地には入らないと言うならそれはそれで結構ですが、いずれにいたしましても、この伏木富山港の場合でも検疫錨地の水深が非常に浅い。それで、検疫錨地のエリアというものがせいぜい八百メーターくらいの直径で、一隻か二隻しか泊まることができないというので、船舶方々からは不満が寄せられているのではないでしょうか。そのことについて運輸省はどのように受けとめておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  206. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 伏木富山の検疫錨地が狭いということで不満が出ているというお話、私ども港湾管理者の方から聞いていない状況にございます。
  207. 草川昭三

    ○草川委員 それはぜひ一回調べていただきたいと思うのです。  それで、私、海図を持っておりますけれども、先ほど言われましたように、伏木富山港というのは日本海沿岸で対ソ貿易も非常に大きくなりましたね。あるいはその他の外航船というのもどんどん入ってきまして、扱い量も非常にふえてきた。という意味では、水深も相当深いところを用意をし、そして検疫の時間も短くしてもらいたい、こういう要望があるのは当然だと思うのであります。しかし、先ほど答弁がありましたように、場所が移動した、沖合の方へ出た。そのために、当然のことながら検疫官が船に乗って現地へ行くのには大変時間がかかるわけですよ。私は、そういう点ではいま少し実態を調べていただいて、それから海運関係者の方々意見も十分調べて対応を立てていただきたい、こういうように思います。  なお、伏木富山港の場合には、いわゆるポートラジオというものの設備がない、こういうことが言われています。今このポートラジオというのは、もちろんオープンな情報でありますけれども、非常に便利な、多方面、多機能的な情報というのが船舶に入ってくる、あるいは港湾関係者がそれを傍受、いわゆる聞くことができる。ですから頭の中で、今港が大体どういう状況になっておるのかということは、港湾関係者は全部わかるわけですよ。特定の重要港湾でありながらこのポートラジオが伏木富山港にはない、こういうことをどのように承知をしてみえるのか、お伺いをしたいと思います。
  208. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 お話しのとおり、伏木富山港にポートラジオがないということは聞いております。定置網の切断事故を契機といたしまして、緊急時の連絡等を円滑に行う必要があるということで、ポートラジオの設置についての要望が船主協会の方から港湾管理者である富山県に出されているということでございまして、県は、関係者を集めて協議、検討を行っていく方針であるというふうに聞いております。  運輸省、私どもといたしましても、利用者の利便の向上を図るため、各種のポートサービスの充実ということが非常に重要であるというふうに考えておりまして、今後とも関係者との協議を進めながら、サービスの向上に努めるよう港湾管理者を指導していきたい、こういうふうに思っております。
  209. 草川昭三

    ○草川委員 私は、この五カ年計画とこの問題とが予算上結びつかないということは承知の上で物を言うわけですけれども、いわゆる新しい港、港湾整備ということは、その港を利用するユーザーの利便というのを図るということは当然そのサービスの前提だと思うのです。もちろん一義的には地元の管理者ということになるでしょう。国有の港ではないわけでありますから、都道府県なり管理組合の管理する港ということになりますが、そういう格差があるということを、運輸省港湾局なり、昔で言うならば海運局は指導をすべきではないだろうか、それが今日のあるべき将来の港のあり方ではないだろうか、私はこう思うのであります。  それで、今も言われましたように、少なくとも船主協会の方から、この伏木富山港の管理者は知事でありますけれども、ポートラジオの設置という要望が出ておりますが、特定重要港湾でありながらそういう設備がないというのもいかがなものかというような気がしてなりません。ぜひこれは運輸省が指導していただいて対応を立てていただきたいというように思うわけであります。  そこで私は、今具体的な事例を申し上げましたが、今度東京湾に新しい廃棄物等の埋め立てのフェニックス事業というのも出てくるわけであります。それに対する交通安全という立場からの質問もしたいわけでありますが、今、運輸大臣が戻られたので、ちょっと途中退席をされてみえたかどうかわかりませんが、先ほど来から私は、港といっても港則法の適用になってない漁港あり、あるいは港湾法に基づく港があるという整合性のない問題を提起しておるわけであります。ぜひ、港則法が適用されていない港についても、海上衝突予防法で規定されていないことについて何らかのルールを確立すべきだと私は主張しておるわけです。  先ほど海上保安庁の方からは、指導したい、あるいは許されるならば港則法の適用をしたいというようなことの答弁がございました。私は、もちろん港の中における漁業関係者の漁業という面も考慮しなければいかぬということは百も承知の上で言っておるわけであります。もし、港の中で漁業をするから港則法の適用は勘弁してくれと言うならば、それはまた違った対応を立てるべきであって、あくまでも港の中における交通安全というものは出船優先だとか右小回り左大回りの原則というようなことを明記した港則法のルール確立が必要だということを申し上げておるつもりでございますので、大臣からこの問題についてはひとつ答弁を願いたい、こう思います。
  210. 村岡兼造

    村岡国務大臣 先ほど失礼をいたしました。  今、草川先生のやりとりを聞いておりまして、港則法を適用する、しない、あるいは港の交通安全という問題をお聞きいたしました。局長からいろいろ話があったと思いますけれども、現状聞いておりまして、よく、今、草川先生の主張しておられますことを検討いたしまして、その対策を立てていかなければならぬな、こう思っておりますので、検討をさせていただきたいと思います。
  211. 草川昭三

    ○草川委員 では、東京湾のフェニックスの問題に行きますが、その事業内容はもういいです、先ほどの答弁が出ておりますから。  実は、東京湾のこの計画は、現在、船舶の側から問題を提起いたしますと、東京湾の灯標というのですか、これは何というのですか、いわゆる灯台があるわけですね。その口元のいわゆる第一航路、それからこの東側の第三航路、その航路ぎりぎりのところまで廃棄物等の海面処分が計画をされておるようですね。船舶関係者からいうと、とてもじゃないけれども、今でも東京湾というのは非常にラッシュだ、その中で大小の船舶が入りまじって、廃棄物の新たな処分場ができますと大変な事故が起きるのではないだろうかというので、海上保安庁あるいは一義的には東京都知事でありますけれども要望書は海上保安庁にも行っておると思いますが、船舶関係者、パイロット協会から航海士会あるいは全日本海員組合、こういうような海事関係者すべてそろってこの東京湾の計画について反対をしておるわけであります。  この問題を運輸省はどのように受けとめられるのか。これは地方港湾審議会の議を経て、運輸省の、運輸大臣の方にも上がってくると思いますが、見解を賜りたい、こう思います。
  212. 豊田実

    ○豊田政府委員 東京港の中央防波堤外側の埋め立てということで、東京都の港湾審議会の部会の方で検討した中間報告というものを聞いております。今お話しのように、東京浮標といいますか、東京港の重要な信号所に対しても影響のあるような構想になっております。  私ども、これからこの構想については港湾計画の策定という手続に移っていくと承知しておりますが、それまでの間に、今お話しのような船舶関係者初め海事関係の専門の方に十分この構想について船舶交通の安全の観点から検討していただきまして、もちろん私ども海上保安庁としても中身 について十分検討し、地方港湾審議会の段階から私ども船舶交通の安全の観点が十分反映されるように努力してまいりたいと思っております。
  213. 草川昭三

    ○草川委員 これも東京都の発表はもう随分前から発表しておりますので、これは、これだけの関係者が反対陳情をしておりますので、もう前倒しで、向こうの意見が固まらないうちに、事前にひとつ東京都の方あるいは東京都関係の審議会のメンバーにもその今の趣旨の答弁が伝わるようにぜひ私は行動をされたいということを強く要望しておきたいというように思います。  最後になりますが、少し私どもの地元の港湾関係のことについてお伺いをしたいと思いますが、現在、五港建で中部新空港のプロジェクトに対する環境アセスメントのシミュレーションのいろいろな研究をやっておみえになると聞いておりますが、その点の現在の取り組み状況についてお答えを願いたい、こう思います。
  214. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 現在、第五港湾建設局、これは名古屋にございますけれども、こちらの方でいろいろ伊勢湾について調査をしております。実験場におきまして水理模型実験を行いまして、伊勢湾全体に対する調査ということで平成三年に行っているものでございますけれども、水理模型実験をやって流況とかいろいろな面の予測調査を行っているわけでありますけれども、このとき中部新空港の地形というか、それもその中に入れて検討しているということでありまして、そのほかのいろいろな埋立計画あるいは防波堤計画とあわせてその検討を行っているということでありまして、中部新空港そのものの環境アセスメントをやっているというわけではございません。
  215. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、今、伊勢湾全体のことを念頭に置いて計画なりシミュレーションを行っているという御答弁だったと思うのでありますが、現在、名古屋港における外貿コンテナターミナル、先ほども最初のところで外貿コンテナターミナルのことについてお伺いをしましたが、この五カ年計画の中でどのような位置づけになっておるのか、お伺いをしたいと思います。
  216. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 名古屋港の外貿コンテナ貨物、これは現在非常な勢いで大幅に伸びているという状況にございます。こういうものに対応するために、現五カ年計画でありますけれども、四万トンの船舶を対象にした岸壁一バースを整備し、平成三年四月より供用を開始する、こういうような状況にございまして、今後とも外貿コンテナの増加が見込まれるということで、新しい五カ年計画におきましても所要のコンテナバースの整備に取り組む、こういう考えでございます。
  217. 草川昭三

    ○草川委員 コンテナも今貨物量が大変増大をしておるわけなので、ぜひその新しい計画の中でも対応を立てていただきたいということを要望しておきたいと思います。  同じように、名古屋港におけるこの稲永埠頭の再開発というのがあるわけでありますが、この再開発整備に対する新五カ年計画の位置づけ、取り組みというのはどういう状況になっておるのか、これもお伺いします。
  218. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 名古屋港の稲永埠頭は非常に古い埠頭でございまして、昭和三十年代に建設した埠頭でありまして、老朽化が進み、背後の用地も狭いということから非常に使いにくいような状況になっております。  このため、この既存埠頭背後を埋め立てまして埠頭用地を確保する、そして老朽化した岸壁等を再整備していくという要請が非常に強く出ておりまして、新しい五カ年計画におきましては、今ある施設の利用者との調整を図りながら稲永埠頭地区全体の再開発に取り組む必要がある、こういうふうに考えております。
  219. 草川昭三

    ○草川委員 あと二、三問あるわけですが、名古屋港における第一航路、第二航路というのが防潮堤の左右にあるわけであります。それで、その防潮堤のところに新しく埋め立ての予定をしておりまして、知多市あるいは東海市の沖合のエネルギー港湾をつくるときの土砂で、航路の下をくぐりまして埋め立てを現在行っておるわけでありますが、この第一航路、第二航路がその当時から非常に幅が狭いということで要望というのがあったわけであります。  この航路整備についての計画は、今のこの新五カ年との関係でどのようになっておるのか、お伺いをします。
  220. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 先生おっしゃいますとおり、名古屋港は第一航路と第二航路がございます。  第一航路は主航路でございますけれども、現在、水深がマイナス十四メートル、幅三百五十メートルで整備をされております。これはなかなか長い航路であるために、非常に大型の船が通る場合には他船舶航行が制限を受けるというような状況にございまして、これの解消が非常に重要な課題になっております。また、第二航路は港内の西側にございますけれども、水深がマイナス十メートル、幅二百二十メートルという状況でありまして、船舶の大型化に伴って港内に大型岸壁が整備される、こうなりますと、これに対応すべく、水深も増深しマイナス十二メートル、幅も広げて三百メートルという形に現在整備を進めている状況にございます。  新しい五カ年計画では、この海上輸送の安全性の向上を図るということから、引き続き第二航路の整備を図りますが、第一航路につきましては幅五百メートルに拡幅する整備に取り組むつもりでございます。
  221. 草川昭三

    ○草川委員 それから、時間がないといけませんのでこれを先に聞きますが、例の三河湾に中山水道というのが、これも十数年前から計画をされておるわけでありますが、この中山水道の航路の整備に対する新五カ年計画での取り組み、また、この整備した効果というものをどのように考えられているのか。  それから、この廃土ですね。事業量も全部発表していただきたいのでございますが、その中山水道の砂をどこに捨てるのか、そのことによる環境アセスの問題、あるいは当然のことながら地元漁業への影響、あるいはその漁業者との了解をどの程度とっているのか、お伺いをしたいと思います。
  222. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 中山水道は三河湾の湾口部に位置する水道でありますけれども、そこに最近大型の船の通航量が増大しているという状況にございます。そして、この水路の真ん中にはマイナス十メートル未満の浅瀬というものがありまして難所になっているという状況にございます、先生御承知のとおりかと思いますけれども。このため、三万トン級の船舶の安全航行確保するということが重要な課題になっておりまして、平成元年十二月に開発保全航路に指定をされております。  現在、航路整備のための漁業影響調査あるいは自然条件調査等を実施しておりまして、今後、漁業者との調整等ができて事業着手の条件が整いますと、早急に着手をしていくということが考えられております。  このしゅんせつの土砂処分でありますけれども、全体で約六百二十万立方メートルという土砂が見込まれておりますけれども、これは非常に良質な土砂でございまして、これを有効に活用して海域環境の改善を図っていこう、海底の土質が悪い部分、環境の悪いところに覆砂をして良好な環境をつくっていこうということで、三河湾のどこか適切な場所にそういう対策を施していきたい、こういうふうに思っております。
  223. 草川昭三

    ○草川委員 しゅんせつをした土砂の処分については、リサイクルというのですか、悪いのと入れかえをするというようなことも考えておられるようでございますが、ぜひその漁業者なり地元の環境対策を配慮して対応を立てていただきたいというように思います。  その次に、知多半島というのがありますし、三河湾というところがあるわけでございますが、その間に衣浦港というのがあります。この衣浦港にポートアイランド構想ということが言われているわけでございまして、特にこれは碧南市が中心になりまして、知多半島の半田市、東浦町というようなところと空間利用調査委員会というのをつ くってやっているようでございます。  この中にはリゾート施設等も含めた相当大がかりなもの、あるいは産業廃棄物等の処理場の整備、こういうものも含んだ相当大規模計画になっておるようでございますが、この計画について運輸省はどのように承知をしておみえになるのか、あるいはまた今後の展望をお示し願いたい、こう思います。
  224. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 衣浦港の埋立計画の中で、しゅんせつ土砂を処分する場所ということが一つ計画の中に考えられております。衣浦ではしゅんせつした土砂を処分する場所というのが非常に難しいわけでありまして、衣浦港内において廃棄物埋立護岸をいかに整備していくかということが非常に重要な課題になっているということはよく承知をいたしております。今後、この五カ年の中で十分な対応をしていきたいというふうに思っております。
  225. 草川昭三

    ○草川委員 その次に、同じくこの衣浦港でありますが、臨海道路の整備に対する計画というのがあるのですが、これもこの新しい計画の中でどう位置づけされているのか、お伺いします。
  226. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 衣浦港におきましては、貨物量が近年増大をいたしておりまして、それに伴って陸上交通が非常に増大をいたしております。背後地域あるいは埠頭間における港湾貨物の円滑な輸送をどうやって確保するかということが重要でありまして、昭和五十九年度から中央埠頭と武豊埠頭を結ぶ埠頭間連絡道の整備を進めてきております。  新しい五カ年計画におきましては、新たに中央埠頭と亀崎埠頭を結ぶ道路、東西中央埠頭を結ぶ道路、これはトンネルになりますが、の強い整備要望がございまして、この整備について計画的な整備が図られるよう努めていきたいと思っております。
  227. 草川昭三

    ○草川委員 今局長の答弁で、衣浦港の亀崎埠頭への道路の整備、こういうのがございましたが、同じく亀崎埠頭それから武豊埠頭の整備についてどのようにこの計画の中でなっているのか、お伺いをします。
  228. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 亀崎埠頭でございますけれども、現在、原木を中心にいたしました貨物が取り扱われております。最近その取扱量が増大している、また船型の大型化が見られるということから、新しい五カ年におきましては、大型岸壁、水深十一メートルでありますけれども、この整備要望が強く出ておりますので、計画的な整備が図られるよう考えてまいりたいと思っております。  また、武豊北埠頭、これは石炭を取り扱う岸壁として昭和三十年代につくられたものでございますけれども、施設の老朽化がかなり進んできている、また船舶の大型化に対応ができなくなっているということから、昭和五十六年から岸壁の大型化ということで、水深十二メートル、十メートル、そして七メートル五十の整備を進めてきております。マイナス十メートルの岸壁につきましては平成元年度に完成をいたしておりますが、新しい五カ年計画におきましても引き続きこれらの施設整備を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  229. 草川昭三

    ○草川委員 時間が来たようでございますので、最後に一問。  三河港におけるマリーナ整備、これは三河港に限っておりませんけれども、実は中部地方もマリーナが大変不足をしておりまして、そのために不法係留という問題もあり、地元とのトラブルもあるわけであります。どこかやはり新しい場所を提供し、ニーズにこたえる以外にはない、こういうように思うわけでございまして、そういう点では三河湾に対するマリーナ構想というものも非常に重要な時代に入ってきた、こう思います。このことについて局長の答弁を得まして、私の質問を終わりたいと思います。
  230. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 先生おっしゃいますとおり、全国的にマリーナの整備に対するニーズというのは非常に高まってきております。三河港におきましては、昭和六十一年から大塚地区にプレジャーボート約八百隻を収容するマリーナの整備を進めております。新しい五カ年におきましても利用者の要請に的確に対応すべくこの事業推進を図ることといたしております。
  231. 草川昭三

    ○草川委員 以上です。
  232. 亀井善之

    亀井委員長 次に、佐藤祐弘君。
  233. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 けさほども同僚委員から御質問もありましたが、きのう広島で新交通システム、これが、橋げたが道路に落下するという大事故が起きたわけです。通行どめにせずに工事をするというのは無謀きわまりない、論外だというふうに思うのですが、同時に、仮に通行どめがされておりましても、上の作業をしておられた労働者が転落をして五人も亡くなっておられるわけですね。  ですから、そういうことも含めて徹底的な原因の究明と、二度とそういうことが起きない、そういう万全の措置をとっていただきたい。これは大臣要望したい。といいますのも、実は私の方の地元で舎人新線というのがやはり新交通システムでやられることになっておりまして、早速地元の人からも私の方に問い合わせもあったようなことであったのです。  ちょっとついでのような感じで恐縮ですが、舎人新緑について現状どういう進行になっているか、簡潔にお答えいただきたい。
  234. 佐々木建成

    ○佐々木(建)政府委員 お答えを申し上げます。  舎人新線につきましては、昭和六十年七月の運政審の答申第七号におきまして「日暮里・舎人間については、輸送需要の動向等を勘案のうえ、新交通システム等を導入する」旨の答申がなされているわけでございます。  その後、同線の整備に関しましては、現在東京都において委員会を設けまして、新交通システム等の導入の必要性、需要見通し、それからルートの比較評価などの検討がなされているところでございます。これは近々報告書が出るというような段階になっていると聞いております。今後、この検討の終了後、東京都におきまして採算性や経営主体等についての検討が行われるというふうに聞いております。  運輸省としましても、本件の整備についての中心的役割を果たします東京都の検討を待って適切に対処してまいる所存でございますが、もちろん実施する場合には、今御指摘のありました安全の確保につきましては、昨日のようなことのないように気をつけてやるべきだと思っております。
  235. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 住民要望にこたえる形でぜひ進めていただきたいと思います。  法案の問題でありますが、第八次の港湾整備新五カ年計画を進めていくということであります。  端的にお伺いするのですが、昨年の日米構造協議、これが一つやはり背景といいますか土台になっているのではないかというふうに私は思うのです。構造協議で十年間で四百三十兆円の公共投資を進めていく。八分野にわたって五カ年計画で、五カ年では百八十二兆円ですか、そういうことも決めて、その一環としての港湾整備五カ年計画、こういうようになったものだというふうに承知をしております。  ここに構造協議の最終報告も持ってきておりますが、そこでは、「増大する外貿貨物及び船舶の大型化に対応するため、計画期間中」、ちょうどこの第八次と同じですね、一九九一年度から九五年度に「外貿ターミナル水際線延長約三十キロメートルを整備する。」ということが構造協議の結論になっている。今度の五カ年計画でもそれが非常に重要な柱になっているのではないかというふうに考えておりますが、そういう認識でよろしいのでしょうか。
  236. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 先生の仰せのとおり、外貿貨物の増大にいかに対応するかということは非常に重要な課題になっておりまして、日米構造協議の最終報告書に「外貿ターミナル水際線延長約三十キロメートルの整備」ということが挙がっておりますが、この五カ年計画の中においてもこの目標を達成すべく考えていきたい、こういうふうに思っております。
  237. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 アメリカ要求の背景には、ど んどん日本への輸出をふやしたい、そのためには大型船がスムーズに入れるような港湾整備とか迅速にやれるような整備というようなことがあるんだというふうに思っておりますが、今回の五カ年で三十キロというのは、これまでの整備のテンポに比べますと大変速いものになっているというふうに思うのですね。その根拠を、そう早急にやる必要が国内的にもあるのかどうか、そのあたりいかがですか。
  238. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 五カ年計画の中で外貿ターミナル水際線延長約三十キロメートルを整備するということになっております考え方の基礎というのは、現在、貨物量に比してコンテナターミナルあるいは大型バース埠頭の整備水準が低いということがございまして、これを、二十一世紀初頭までに欧米並みの整備水準を達成するということで、それに対応すべく三十キロメートルという整備目標をつくったわけであります。
  239. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 欧米並みの水準という抽象的なお答えでしたが、私が申し上げたのは、これまでの七次にわたる過程で、途中いろいろありますけれども、要するに現時点で整備されているのが六十七キロですか、八八年度末では六十キロですね。これまで七次ですから相当の期間だったわけですね、それを五年間でその半分をやろう、これはもう大変な計画だと思うのですが、そういう必要があるのか、根拠ということでお聞きしたので、欧米並みというのではちょっとよく理解できない。
  240. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 現行の五カ年計画では、多目的外貿ターミナルの水際線の延長十一キロを整備したということでございまして、それに比べますと三十キロというのはかなり大きい数字でございますけれども、これは、最近外貿貨物が非常に増大しているという傾向、それから、特に輸入貨物が増大している、そういうときに、埠頭の整備水準、これはもう見方が非常に複雑でなかなか一口で比較できないわけであります。バースの延長であります、あるいはその面積であります、あるいはそこに設置されております荷役機械の性能、型、いろいろなことの比較が難しいわけでありますけれども、大まかに言って欧米並みの整備水準に追いつく途中の過程としてこういう目標を設定したということであります。
  241. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私は、ずばり日米構造協議での結論、つまりアメリカ要求に沿ってということだろうというふうに思います。もちろん港湾整備というのは国民生活の上でも非常に大事なものだというふうに思うのです。しかし、今回のこの計画を見ますと、やはりそういうことで構造協議が土台になり、大企業優先といいますか、そういうことに傾斜し過ぎているなというふうに私は思うのです。  地域振興のための地方の港でありますとか離島、こういうところの港湾整備が手薄になるんじゃないか、しわ寄せを受けるのではないか、そういう点を危惧しているわけですが、そういう点はいかがでしょう。
  242. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 新しい五カ年計画におきましては、国土の均衡ある発展に貢献する港づくりということが非常に大切かと思っております。このため、地方地域の活性化あるいは定住基盤の整備を図っていく上で、地方の特色を生かした地場産業の振興、また、離島や半島地域における生活物資輸送や日常生活の足の確保というために港湾整備が強く期待されている、こういう状況にございまして、こういう要請を的確に受けていくために、地域の実情に応じた地方港湾整備重点を置いていきたい、こういうふうに考えている次第であります。
  243. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 抽象的な文言じゃどうもあれなのですが……。  ここに運輸白書を持ってきました。これは新しい運輸白書ですが、第七次港湾整備五カ年計画での進捗率というのがあります。それを見ますと、「エネルギー等資源の安定供給のための港湾整備」は進捗率が一六八・七%、それから「空間の利用の高度化をめざした港湾整備」、これは一四七・八%でありますが、他方、「地域の産業振興の基礎となる港湾整備」は七二・七%、非常に進捗率が低いという統計が出ております。  具体的な問題でお聞きをしたいのですが、地方港湾整備に力を入れるとおっしゃっておられますが、そうは必ずしもなってない。実は昨年、先ほど別のテーマ、問題意識で名前が出ました伏木富山港ですが、この問題で私たちも要請といいますか陳情も受けました。運輸省の方にもお話しした経過もございます。ここでは、あそこの地形の特色からいいまして寄り回り波というのがあって、岩壁が相当傷んでいるという実情があるわけです。それを何とか住民の利益のために解決をしてもらいたい。写真もつけて私たちは資料をちょうだいしたわけですが、相当岩壁の傷みがひどいという状況なんです。  この伏木富山港につきましては、問題提起もいたしましたから一定の措置はとっていただけたんじゃないかと思いますが、どうなっているでしょうか。
  244. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 一般的に日本海側の港というのは冬季風浪を受けまして非常に厳しい自然条件のもとにありますが、伏木富山は、先生のおっしゃるとおり非常に厳しい波、風を受けております。そういう意味で、ここの外郭施設の整備は港の安全を図るために非常に重要でありまして、我々、これを現在大いに推進をしている状況にございます。
  245. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 実態としてはそういう点が非常に手おくれになっている、手薄になつているという問題として私は指摘をしているのです。現地から具体的に写真もつけて、いろいろな資料を添えて要望が来ました。これは、きょうは時間が少ないですからこの一例しか挙げませんけれども、ほかにもいろいろあるのです、地方港湾整備不備の問題が。だから私は、そういうところにこそもっと力を入れるべきだということを申し上げておきたいと思います。  それから、今回の計画でもそうですが、先ほども進捗率で言いました「空間の利用の高度化をめざした港湾整備」というのも一つの大きなテーマに挙げておられるわけです。これは具体的にはどういうのが対象になるんだというふうにお尋ねしましたら、例えば「みなとみらい21」、やっておりますね、あれがその一つの例だというふうにもお聞きをしたわけですが、大臣は「みなとみらい21」、突然の質問ですけれども、現地ではMM21と言っているのですが、これはどういう意味でそう言われているか御存じですか。
  246. 村岡兼造

    村岡国務大臣 今聞きました、「みなとみらい」ということでMM21だと。
  247. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 実は「三菱みらい21」と言われているのですよ。あそこは三菱の造船所がありまして、莫大な敷地がある。そういうものと埋立地なども合わせた大規模プロジェクト、こういうことで進行しているわけです。相当今そういうやり方についての批判なども市民の間にもあるという状況があるのです。  私が申し上げたいのは、大規模プロジェクト、これは民活法も絡んでいろいろなことがありますけれども、どんどん物を建てていくのがいいのかどうかということがかなり国民的な議論にもなってきているわけです。  例えば東京の場合でいいますと、臨海部の副都心の計画が今いろいろ大議論になってきております。そこでも環境庁から相当厳しい指摘なども出ているのです。ここに、平成元年の「東京湾地域の開発と環境保全に関する基本的方策について」という中間報告ですが、持ってまいりましたが、こういう問題も港湾のサイドからも考慮しながら事を進めていく必要があるのではないか、十分考慮する必要があるということとして申し上げたいわけですが、こういう大事な警告が出ているのです。  とにかく東京の場合は、いわゆる一極集中が大問題であります。これは政府も、一極集中は何とか解決しよう、多極分散型国土形成とかいろいろなことを言っておられるが、実態は、逆に集中が ますます進むということでいろいろな矛盾が激化してきているという実情があるわけです。  都心部で見ても人工熱の発生量が年々急増していっている。このとおりで読みますと、「千代田区、中央区、港区の都心三区の人工熱発生量は、六十一年度には約七十万ギガカロリー、年・平方キロメートル当たりで」、とにかく「人工熱によって、地上に第二の太陽が存在するのと同様の状況となっている。」確かに都心は多摩なんかと比べますとふだんでも五度ぐらい温度が高いのです。そういうことも引きながら、「臨海部の大規模プロジェクトは、さらに大量のエネルギーを消費する」ということで、こういう問題について相当慎重に考えなければならぬ。  これは一つの側面からの指摘なわけでありますが、こういう大規模プロジェクトの問題は、いろいろなそういう問題点が今浮上してきておりますから、港湾の方で計画を進められる場合にも、そういう点についていろいろな側面から十分検討してやられることは必要じゃないかと考えるのですが、いかがでしょうか。
  248. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 先生のおっしゃいますとおり、港湾整備を進めていくときには、環境の保全、あるいは現在悪い環境であればそれをいかに改善していくかという観点、よい環境をどうつくっていくか、こういうような観点が非常に重要かと思っております。各港湾では港湾整備港湾計画というものをつくっておりますけれども、そういう港湾計画をつくるに際しましては、十分な環境アセスメントを行い、港湾審議会で審議をしていただいて、その長期的な整備の方向を定めているということであります。  そういうことで、我々の考えとしては環境対応は十分図っていくというのが基本的方向にあるということを申し上げたいと思います。
  249. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 短い時間でありますので、次のことをお聞きしたいのです。  五カ年計画重点事項の中にも、「豊かで潤いに満ちた生活のための港湾整備」という項で、快適なウオーターフロント、マリーナ、こういう問題が出ております。先ほどもマリーナについて若干の質問がありましたけれども、いわゆる不法係留問題は非常に深刻な状態だと思うのです。運輸省の方の調べでは、全国で十二万隻あるというふうにもお聞きしたのですが、海と河川とを別にして、それぞれどうなっているのでしょうか。
  250. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 私ども、確かに不法に係留されているというプレジャーボートが多くて、それは現在十二万隻あるというふうに我々は推計をいたしておりますけれども港湾と河川でどういうふうに分かれているかというデータは手元にございません。
  251. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 これまた運輸白書ですが、白書でも放置艇対策としてプレジャーボートスポットの数をたくさんつくっていく必要があるというようなことも出されておるし、計画にも入っているのだろうと思うのですが、この問題では、実は今月の八日でしたか、最高裁の第二小法廷で非常に珍しい判決が出たのです。御存じかと思いますが、浦安市が不法係留のくいを撤去したのですね。しかし、現在の法律では浦安市には権限がない、違法だということで訴訟が起きて争ったわけですが、緊急避難というか正当防衛、その概念を適用して、逆転して浦安市側が勝訴した。やむを得ない措置だとして、違法行為ではあるがやむを得ないと珍しい判決なんですが、そういうこともあったのです。  それほどに深刻な事態が広がっていて各自治体が対応に苦慮しているという状況があるのですが、こういうことについて運輸省としてはどういう指導方針で臨んでおられるのか、具体的におっしゃっていただきたい。
  252. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 海洋性レクリエーションのニーズが増大するに伴って船が非常にふえて、その結果、不法に係留している船もかなりある、こういうことはよく承知しております。  しかし、これを直ちに、これは違法である、不法であるといってどこかに持っていけ、こう言っても、持っていく先がないという状況にありまして、私ども、まず最初に多数不法に係留されているプレジャーボートを収容する場所を整備することが必要なのではないか、そしてその後、それを規制するのはその後の施策なのではないかというふうに考えまして、先ほどお話にありましたようなプレジャーボートスポットというような簡易な係留施設を静穏な場所につくっていこうとか、公共マリーナの整備を進めよう、あるいは民間のマリーナ整備を何らかの刺激策をもって促進しよう、こういうような施策をとっているところでございます。
  253. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 自治体によっては条例とかいろいろなやり方で違った対応を、合法的な対応をしておられるところもあるというふうに聞いておりますが、その辺について特別に何らかの指導といいますか、助言していくとか、そういうことは考えておられないのでしょうか。
  254. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 地域によってはそういうような規制措置をとっている場所があるかもしれませんけれども、一般的には先ほど私が申し上げたような方向で、まず入れ物をつくって、それから規制の方向を考えようというのが一般的な姿勢になっているかと思います。
  255. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 追っつけばいいのですけれどもね。プレジャーボートスポットの計画も見せていただいておりますが、八百カ所ですか、早急にとなっています。形態別の隻数では平成十二年で六万隻ですか、こういう見通しを一方で持ちながらということでは、これは追っつかないのではないかという感じも私は持っております。  その点は、ですから、スポットをつくる、またマリーナの整備というのが基本であるというのは私もそのとおりであると思いますが、浦安市の判決で逆転になったのも、くいが立っておることが一般の船の航行の妨害になる、夜間などはよく見えませんから。そういうことを回避するやむを得ない手段として認めたということですから、そういう危険性の問題もあるのですね。ですから、危険防止という観点からの対応も、施設の設置はもちろん基本として必要ですよ、しかし、当面の不法係留がたくさんあるという状況では、そういう対応についてももっと知恵を出してやっていく必要があるということを申し上げておきたいと思います。  関連して、またちょっと個別の問題になりますが、豊かな快適なウオーターフロントということにまるで反する事態が去年東京で起きまして、これは大変話題にもなったのです。御承知だと思いますが、やかた船の垂れ流しということがあったわけです。これは法的には規制はないのだということのようであります。しかし、だからといって、ほっておいていいというものではないというふうに思うのですね、いろいろな影響がありますから。しかも、東京湾に浮かぶやかた船のうち九十隻は関東運輸局の認可を得た、許可を得たものだ、そういうふうにも聞いています。そういうことからも東京都から運輸省に何とか対策をしてもらいたいという要望が出されたと聞いておりますが、その後どういう対応をとられたか、お聞きをします。
  256. 中村徹

    ○中村政府委員 ただいま御指摘のありましたやかた船につきましては、昨年の九月十日に東京都から運輸省に対しまして、水質汚濁防止対策推進についてということで要望が出されまして、これを受けまして、私どもは、九月十四日に運輸政策局から関東運輸局に対しまして、こういったふん尿の排出防止について許可事業者に対して指導をするように通達を出しました。これに基づきまして関東運輸局から指導を行っている、こういう状況でございます。
  257. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 どういう指導をしたのでしょうか。
  258. 中村徹

    ○中村政府委員 もともと条約におきましては、現在発効はいたしておりませんけれども、ふん尿の排出につきましては、海面下で排出する、あるいはふん尿のコンテナとか処理装置でございますね、一定の処理装置等を使用しろとか、こういう ような規定があるわけでございますが、それがまだ発効していないという状況でございますので、それが発効前であってもそういった形でもって海域の快適性を維持するような措置をとるように指導をいたしておるところでございます。
  259. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 要するにタンクをつけるということでしょう。(中村政府委員「はい」と呼ぶ)そのタンクに補助でも出して、タンクつきを奨励する、そういう考えはないですか。
  260. 中村徹

    ○中村政府委員 補助金というのになじむかどうかということは若干疑問があると思いますけれども、やはり事業として実施する以上は責任を持って対応すべきものだと考えております。
  261. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 最後のテーマになりますが、これは直轄事業の話ですが、港湾整備に伴って港湾建設の事業が非常にふえてくるわけですね。ところが、現場では仕事は多くなるのだけれども、定員の方は削減が続いていて非常にきつい、大変な労働強化だということで、何とかしてもらいたいといういろいろな要望が出ているわけです。  数字で申し上げますと、第七次五カ年計画の中で定員削減は四百八十八名。第一次の削減から二十三年たっておりますが、この間の定員削減は何と二千七百三十二名ということになっております。しかも、ことし一月一日現在でいいますと、その削減された定員数よりも実人員は百七十四名さらに不足しているというのが実態なんですね。その結果、非常に過重労働といいますか、いろいろな問題が起きておるわけですが、今私が申し上げたことに基本的に間違いはないでしょうね。
  262. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 多少の数字は除きまして、間違いございません。
  263. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 もう時間が大体終わりに近づいたようですから、これは大臣に最後お聞きしたいと思います。  これはちょっと遠くて見えないと思いますが、そういう状況の中で、超過勤務の状況がすごいのですよ。港によってアンバランスはありますが、特に工事事務所の中でも超過勤務が多い新潟、それからさっきの伏木富山、金沢、こういうところでは、月別平均時間というのが集計されているのですが、平均で四、五十時間以上の人がほとんど。最高の人は月に百七十六時間、そういう実態もあるのです、それは限定されたものかわかりませんが。  ですから、こういう状況があるということにも大臣も留意をしていただいて、今、労働時間の短縮は政府の重要な課題でもありますから、本当に安全で、安心して、健康で働けるような条件、しかも、定員割れしているというのは少なくとも定員が守られるように、さらに加えて、本当にこの定員削減が妥当かどうかということも早急に再検討して、労働者の労働条件を守るという方向で御努力をいただきたい、そう思いますが、いかがでしょう。
  264. 村岡兼造

    村岡国務大臣 片一方で第八次の事業量がどんどんふえるということと、それからもう一つは行財政改革ということでそういう問題もございます。したがいまして、港湾ばかりでなくて、コンサルタントとか建設関係におきましてもそういう不満をよく私も聞いておりますが、月に百何十時間とか、こういう残業時間と申しますか、そういうものが今後ないように、あるいは定員割れしているというようなお話も聞きました。よく検討して対処していきたい、労働条件の改善につながるように対処していきたい、こう思っております。
  265. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 終わります。
  266. 亀井善之

    亀井委員長 次に、高木義明君。
  267. 高木義明

    高木委員 港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案に関しまして質問をいたします。  我が国は港から栄えたとも言われております。戦後の港湾整備の時代的イメージといいますか、その移り変わりを見ますときに、十年ごとに大きな節があるように私は思えてなりません。  まず第一期の昭和二十年代、文字どおりの戦災復興の期でありまして、とりわけ埠頭の整備が急がれました。次いで第二期は昭和三十年代、大量輸送、大量生産の時代でございまして、いわゆる高度成長時代に向かっての臨海工業地帯の港の建設期であったと思っております。続く第三期は昭和四十年代でございます。このころになりますと、輸送革新への対応として、新しくコンテナあるいはフェリー、そのようなターミナルの建設が一つの課題でございました。そして第四期の昭和五十年代の調整期におきましては、オイルショックという強烈なパンチが加わりましたけれども港湾環境の改善期ということで、この時代には緑地とかあるいはまた広場の整備、こういうことが進んでおりました。そして昭和六十年代、平成の時代に入ったわけでありますけれども、第五期の今日におきましては、いわゆる安定成長期に入りまして、いわゆる人間のにぎわいの復活ということから、総合的な港湾環境の形成、そういうテーマを持っての対応が今迫られております。  すなわち、まず一つはウォーターフロントの再開発ということ、二つ目には、新しい高速船時代に入りまして、港湾機能の近代化、こういうことでございます。三つ目には、クルージング、客船ブーム、そういったことに対する基盤整備、こういうことでございます。まさにこれからの港湾整備はそういう視点から進んでいこうとしておると思っております。しかし一方では、栄える港は栄えても、地方の港はなべて格差が非常に広がっておるということも事実でございます。運輸省は、このような背景の中におきまして、御承知のとおり、昭和六十年四月の「二十一世紀への港湾」に次いで、平成二年の四月にはこのフォローアップといたしまして「豊かなウォーターフロントをめざして」という政策指針を発表されておりまして、まさにこれが平成三年度から始まる新しい第八次港湾整備五カ年計画に生かされていこう、このように思うわけでございます。  今回の提案理由にもありますように、今日的な時代の要請は、まさに効率的な物流と快適な旅客交通体系形成、あるいはまた港湾の利用の高度化、そしてまた地域の活性化等の必要性が増大しているということでございますけれども、以下、私は、確認の意味を含めましてお尋ねをいたしたいと思います。  まず、これまで進められてきました第七次の港湾整備五カ年計画の進捗状況、そして実施港湾数及びその主たる施策別の内訳等につきまして簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  268. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 現行五カ年計画の進捗状況等についてのお尋ねでございます。現行の五カ年計画は、総投資額四兆四千億ということで、このうち、港湾整備事業が二兆五千五百億の計画でありまして、その進捗状況としては、総投資額で八六%でございます。港湾整備事業では一〇九%というふうになっております。実施港数は六百三十七港でありまして、このうち特定重要港湾が二十港、重要港湾が百十一港、地方港湾五百六港となっております。  この港湾整備事業実施、すなわち一〇九%実施したわけでありますけれども、その額は二兆七千七百億というふうになっておりまして、その施策別の内訳といたしましては、物流の高度化に対応した港湾整備に約一四%、海上輸送の安定性の向上を目指した港湾・航路の整備に約二〇%、エネルギー等資源の安定供給のための港湾整備に約一一%、地域の産業振興の基盤となる港湾整備に約一三%、豊かな生活空間の形成を目指した港湾整備に約三四%、空間利用の高度化を目指した港湾整備に約七%、港湾整備の円滑な推進のための技術力の整備に約一%というふうになっておりまして、計画投資規模に対しましては、エネルギー港湾及び多目的外貿ターミナルの整備、それから空間利用の高度化を目指した港湾整備実施が上回ったというような状況にございます。
  269. 高木義明

    高木委員 新五カ年計画における重点事項ということについては、いかがお考えでしょうか。
  270. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 現行五カ年計画平成二年度をもって終わるということで、私どもでは「今後の中期的な港湾整備の基本的万策について」ということを港湾審議会に諮問いたしまして、昨年十一 月にその答申をいただいております。新五カ年計画はこれを踏まえて策定したいというふうに思っております。  まず基本的には、第一に、港湾の有する物流、産業、生活に係る三つの機能が調和よく導入されて、これらが相互に連携し合い、全体として高度な機能が発揮できる総合的な港湾空間の創造ということを引き続き推進するとともに、社会の成熟化の進展を背景に、一層質を高めている国民の要請にこたえるため、港湾空間のさらなる質の向上ということを図りたい、使いやすく美しい港づくりに重点を置きたい、こういうふうに思っております。  第二には、四全総の基本目標でございます地域間の交流の促進による多極分散型国土形成、それから、経済運営五カ年計画課題である豊かさを実感できる多様な国民生活実現ということを図るために、港湾整備を通じて国土の均衡ある発展に資するため、物流、旅客交通、マリーナ、情報等に係るネットワーキング形成港湾相互の連携の強化に重点を置いて、港湾相互ネットワーキング充実推進ということを図りたいと思っております。  次に、御指摘の重点施策であります。  第一に、「効率的な物流体系の形成をめざした港湾整備」ということでありまして、これは近年の外貿コンテナ貨物の増加あるいは船舶の大型化に対処するとともに、コンテナ貨物の地方分散の進展に対応いたしまして、外貿コンテナターミナルを全国的に整備していきたいと思っております。また、木材、自動車、穀物等の外航船の大型化ということがございますが、これに対応した多目的外貿ターミナルの整備推進したいと思っております。日米構造協議で最終報告に盛り込まれました「外貿ターミナル水際線延長約三十キロメートルの整備」につきましては、この五カ年の中で確実に達成していきたいというふうに考えております。さらに、内貿ユニットロードターミナルあるいは幹線臨港道路整備とともに、既存の施設の維持補修による活用を図っていくということも重点を置きたいと思っておるところであります。  第二に、新しい五カ年計画の新たな柱として考えておりますのは「旅客交通体系をめざした港湾整備」ということでありまして、これは、近年の国内外の各地を巡航するクルーズ船の増加あるいは高速旅客艇の相次ぐ就航ということに見られますように、海上旅客交通の再評価に対応したものでありまして、具体的には旅客ターミナルの整備推進したいと思っているわけであります。大都市圏におきましては、市民の港湾へのアクセスを高めるために、新たに新交通システム整備にも力を入れてまいる考えであります。  第三番目には、公共投資基本計画において示されました国民生活の質の向上を図るための社会資本への重点投資ということがございます。これに対応して「豊かで潤いに満ちた生活のための港湾整備」を図りたいということでありまして、具体的にはウオーターフロント整備の中核となる緑地、イベント広場あるいはマリーナ、海洋環境、地方離島港湾整備、さらにはごみの処理対策といたしまして生活・産業廃棄物、建設残土などの海面処分場整備などの推進を図りたいと思っております。  このほか、引き続きまして「資源の安定供給、地域の産業振興のための港湾整備」、あるいは海上交通の安定性、安全性向上に資するため、防波堤あるいは避難港の整備推進を図っていきたいと思っております。また、港湾の再開発あるいは沖合人工島等の整備というような新たに利用可能な空間をつくっていこうという点にも施策重点を置きたいと思っております。
  271. 高木義明

    高木委員 私は、一つの視点として特に地方港湾整備を重視すべきだというふうに考えております。特に、財政力の弱い地方自治体におきましてのこの事業実現というのは大変なものがございます。そういう意味で、離島、半島地区を含めた地方圏の港湾整備、この点について特に強い国の働きかけをお願いしたい、この点は要望を申し上げておきます。  さらに、事業量の確保というのが今後五年間最も大切な要件になるわけでありますが、今までも言われておりますように、いわゆる四全総、あるいは日米構造協議という外圧による社会資本の整備計画、あるいはまた運輸省が出されております「「二十一世紀への港湾」フォローアップ」、こういう指針に十分照らし合わせながらこの新五カ年計画が完全に地方の主体性を酌みながら実現をされるようにお願いをしておきたいと思います。時間がございませんので、この点については答弁は要りません。  次に、私は、地方の事例といたしまして長崎港のことについて少し触れてみたいと思います。  御承知のとおり、鎖国の時代の出島から日本の五大港と言われておりました長崎港でございますが、最近では高速鉄道網や高速道路、まあ徐々に進んでおりますけれども、比較的都会と比べますとその整備というのはおくれてきた、そういう中で、港の地位も次第に下がっておるというのが現実でございます。  しかし最近では、離島を含めた韓国の済州島あたりのジェットフォイルの就航とか、あるいは中国の上海フェリーの計画だとか、あるいは鹿児島と長崎を結ぶところの高速船の就航とか、こういう新しいプロジェクトもできておりますし、また実際に動いております。さらに、国際観光船の誘致ということにつきましても、これまで以上に活発に進めておるわけであります。  そういう意味で、今の港を再びよみがえらせるという意味の「ナガサキ・アーバン・ルネッサンス二〇〇一構想」、いわゆる二十一世紀に向けた港づくりという構想が今既に実施をされておりますけれども、この港湾整備計画についての運輸省としての取り組みと、そしてこの成功に向けた決意についてお聞かせいただきたいと思います。
  272. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 「ナガサキ・アーバン・ルネッサンス二〇〇一構想」、これは昭和六十年に長崎県が取りまとめられました長崎市の都心それから臨海地帯の再開発構想でございますけれども、松山総合運動公園から長崎港の松ケ枝地区までの地域についてコンベンション都市を実現していこうというプロジェクトが提案されたと承知しております。  この構想を受けまして、長崎港の内港地区、元船地区あるいは常盤・出島地区でありますけれども、こういうような再開発に関する港湾計画の変更を昭和六十三年に行いまして、平成元年十二月、工事に着工したところでございます。  現在、クルージング需要の増大とか旅客交通の高速化への要請に対応する旅客ターミナル、離島における生活物資の安定供給、それから日常生活の足を確保するための離島連絡の基地ということで、十メートルあるいは六メートル、五・五メートル等の岸壁の整備を進めておりまして、これまで元船地区のマイナス六メートルの岸壁、それからマイナス五・五メートルの岸壁、マイナス四・五メートルの岸壁がおおむね完成をいたしております。この結果、事業費ベースでは約三五%の進捗率ということでございますが、新しい五カ年計画におきましても、引き続きこれらの施設整備を促進していこうというふうに考えております。  また、国際観光船のお話がございましたけれども、松ケ枝地区において国際観光船ターミナル施設を建設する構想があります。現在、民間活力の活用によって整備をするということで、地元関係者がその実現に向けて検討を進めているところでございます。具体化した段階で、私どもといたしましても所要の支援対応をしていきたいと思っております。
  273. 高木義明

    高木委員 最後に、運輸大臣の御所見をいただきたいと思うわけでありますけれども、海洋国日本で、今日まで経済社会、いわゆる国民生活の全般において港湾が果たしてきた役割は大変重要だったと私は認識をしておるわけです。しかし、道路とか公園とか下水道、そういった社会資本に 比べますと、港湾というのはある意味では日常生活に遠いところにある、こういうことなどから非常に地味な存在だと思っております。  港湾予算というのは運輸省の中でも大きな部分を占め、まさに運輸行政の中では港湾というのはその根幹の一つだ、根幹の重要な局だと私は思っておるのです。そういう意味で、まさに地味なところで、日陰の部分もありまして、当局の皆さん方には苦労の割にはなかなか報われない、そういう御苦労は大変高いものがあると私は思って、非常に心配しながら、ある意味では敬意も表しておるわけでございます。  そういうことでございますけれども港湾というのはやはり先取りでございます。先駆けでございます。そういう意味で私は、今まさに港湾整備というのは党派を乗り越えて推進されるべき一つの課題だ、このように思っています。先ほどから私は事例として長崎の港のことについて触れましたけれども、そういう進捗の積極的な努力を含めて、運輸大臣の今後の考え方について、あるいは事業推進について御所見を賜っておきたいと思います。
  274. 村岡兼造

    村岡国務大臣 先生のお話を聞いておりますと、地方港湾の方も重視しろ、こういう論点であったかと思います。第七次でも五百六港を手がけておるわけでございますけれども、さらにこの第八次の五カ年計画で一生懸命やっていきたい、こう思っております。  ややもすると港湾の方は、その地域に住む人は重要性を感じておりますが、日本国民の全般としては、毎日目に触れるものではありません。御承知のとおり、日本が受け入れる物資、資材あるいは原料等九十数%は港湾によって受け入れられるわけでございまして、また、輸出するのも大部分が港湾でございます。さらに今後、物資の荷揚げ場というような感覚ではなくて、港に対する要望あるいは客船、先ほどのプレジャーボートの件もございましたので、第八次の、五兆七千億でございますけれども、この工事量の確保に努めまして、各地域も大変期待しておりますので、一生懸命やっていきたい、こう思っております。
  275. 高木義明

    高木委員 時間が来ましたので、これで終わります。
  276. 亀井善之

    亀井委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  277. 亀井善之

    亀井委員長 本案につきましては、日本共産党から討論の申し出がありましたが、先ほどの理事会協議により、討論は御遠慮願うことになりましたので、御了承願います。  これより採決に入ります。  港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  278. 亀井善之

    亀井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  279. 亀井善之

    亀井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  280. 亀井善之

    亀井委員長 次に、本日付託になりました内閣提出日本国有鉄道清算事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。村岡運輸大臣。     ─────────────  日本国有鉄道清算事業団法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  281. 村岡兼造

    村岡国務大臣 ただいま、法案を成立させていただきまして、ありがとうございました。  ただいま議題となりました日本国有鉄道清算事業団法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  日本国有鉄道清算事業団の債務の処理の問題は、日本国有鉄道の改革に残された最重要課題の一つであり、このため同事業団の所有する土地その他の資産について早期かつ適切な処分を行うことが必要不可欠であります。  土地の処分については、一般競争入札、随意契約による通常の土地処分のほか、地価対策に配慮して、地価を顕在化させない土地の処分方法実施に移し、着実に成果を上げてきているところでありますが、土地の処分をさらに一層推進するためには、汐留等極めて資産価値が高く、かつ、一体的開発を必要とする相当規模の土地の処分方法を確立し、実施することが緊要な課題となっております。  このため、このような土地の早期かつ適切な処分を図り、日本国有鉄道清算事業団の債務の処理を推進する方法として、同事業団が当該土地を現物出資することにより取得した出資会社の株式との交換を行うことができる権利を付した日本国有鉄道清算事業団特別債券を発行することができるよう所要の規定を定める法律案提出した次第であります。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、日本国有鉄道清算事業団は、運輸大臣の認可を受けて、同事業団が保有している株式であって、同事業団が行う土地の現物出資を受けて事業を経営する会社が発行するものとの交換を行うことができる権利を付した日本国有鉄道清算事業団特別債券を発行することができることとしております。  第二に、日本国有鉄道清算事業団特別債券について、投資者保護を図る観点から、企業内容等の開示について定める証券取引法第二章の規定を適用することとする等所要の措置を講じております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  282. 亀井善之

    亀井委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十九分散会