○山口哲夫君 あなたの解釈はこの法律第七十三条の解釈に余り正しくないんじゃないですか。私の考えから言わせれば、あなたの考えの方が正しいです。今言った、
公務員の福祉を守る、先に出てきます。それが能率増進にもつながる、そう解釈すべきだ。
第七十三条「能率増進計画」を読んでみましたら、「内閣総理大臣及び
関係庁の長は、職員の
勤務能率の発揮及び増進のために、左の事項について計画を樹立し、これが
実施に努めなければならない。」、そして職員の保健の問題、レクリエーションの問題、職員の安全保持の問題、職員の厚生問題。これを読んでみますと、職員の
勤務能率を高めるためにやっているんですね、この健康診断は。職員の人権を守って職員の健康、今あなたがおっしゃったように、職員の福祉を高めていくんだという、そういう
考え方というのはないんですよ。
実はここに岡山地裁津山支部のある事件に対する判決文の解説があるんですけれ
ども、こういうふうに書いてある。津山の税務署の職員である原告は、「当該税務署長の
実施したいわゆる
一般定期健康診断を受け、その際結核の予防、発見等のための胸部X線間接撮影については、右署長の嘱託する保健所で受診した。この間接撮影フィルムには原告が結核にり患していることを示す陰影があったが、これは看過され、原告のり患が発見されたのは、翌年六月の定期検診においてであった。そこで原告は、右り患を早期に発見せず、適切な事後措置を講じなかったのは、税務署長、国税
局長及びこれらの補助者の故意又は過失によるものとし、そのために長期療養を余儀なくされた損害として国に対し金七四〇万円を請求した。」、これは請求者側の請求した
内容を解説したものなんですね。
これに対しまして、ここが問題なんですが、「これに対し、国は、定期検診は、国が職員の
勤務能率の発揮、増進のためにするものであって、職員が自己の疾患を早期に発見できる利益を得たとしても、それはいわゆる反射的利益にすぎないから、個々の職員との間で不法行為を構成する余地はないこと、」「国がその責任を負うべきいわれはないことなどを主張して争ったが、本判決は右主張をいずれもしりぞけて原告の請求を認容した。」。
簡単に言いますと、健康診断を受けたら結核だったのが、それが見過ごされてしまった、それで非常に結核が重くなってしまった、どうしてくれるんだ、損害賠償せいと、こう言ったわけですね。そうしたら国がこの裁判で、それは定期健診というのは職員の
勤務能率の発揮、増進のためにするものなんだ、職員の人権を守ったり、あなたが言った福祉を守るためにやるんじゃなくて、職員の能率を向上させるためにやるんだ、だから健康診断の結果、たまたまそういう病気だということが発見できたとしても、それは反射的利益にすぎない。大変難しい言葉ですけれ
ども、要するに、僕の言葉で言えば、そんなものは附属的なものなんだ、目的は違うんだということなんですね。こういう
考え方を当時の国側は持っていたということが歴然としているわけです。
どうですか、こういう今の文言、ずっと聞いて感想を聞かせていただけませんか。