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1990-05-31 第118回国会 衆議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年五月三十一日(木曜日)     午前九時五十一分開議  出席委員    委員長 島村 宜伸君    理事 石橋 一弥君 理事 谷  洋一君    理事 西田  司君 理事 野中 広務君    理事 中沢 健次君 理事 元信  堯君    理事 小谷 輝二君       小坂 憲次君    田辺 広雄君       中谷  元君    長勢 甚遠君       福永 信彦君    古屋 圭司君       星野 行男君    前田  正君       増田 敏男君    松岡 利勝君       小川  信君    小林  守君       須永  徹君    谷村 啓介君       筒井 信隆君    安田 修三君       河上 覃雄君    伏屋 修治君       吉井 英勝君    神田  厚君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君         自 治 大 臣 奥田 敬和君  出席政府委員         大蔵大臣官房総         務審議官    篠沢 恭助君         大蔵大臣官房審         議官      濱本 英輔君         大蔵大臣官房審         議官      石坂 匡身君         大蔵省主計局次         長       藤井  威君         大蔵省理財局た         ばこ塩事業審議         官       山口 厚生君         国税庁次長   岡本 吉司君         国税庁税部長 福井 博夫君         国税庁間税部長 竹内  透君         自治大臣官房審         議官      紀内 隆宏君         自治省行政局長 森  繁一君         自治省財政局長 持永 堯民君         自治省税務局長 湯浅 利夫君         消防庁長官   木村  仁君         消防庁次長   島崎  実君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第三課長   大武健一郎君         厚生大臣官房政         策課長     横尾 和子君         厚生大臣官房老         人保健福祉部老         人福祉課長   辻  哲夫君         農林水産省経済         局農業協同組合         課長      岩村  信君         食糧庁管理部企         画課長     高木 勇樹君         地方行政委員会         調査室長    渡辺  功君     ───────────── 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出第一四号)      ────◇─────
  2. 島村宜伸

    島村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。須永徹君。
  3. 須永徹

    須永委員 おはようございます。須永徹でございます。  最初に、地方税課税ミスの問題についてお伺いをしたいと思います。  先日、新聞によりますと、横浜市で固定資産税などの課税ミスがあったというふうに報道されておりましたが、その金額は九百五十九件で一億二千八百万に上る、こういう中身があったわけでありますけれども、その事実関係等につきましてお聞かせいただきたいと思います。
  4. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 横浜市におきます固定資産税課税誤りにつきましては、実は、横浜市では平成元年度から固定資産税納税通知書課税資産内訳添付することにしたわけでございますが、この課税資産内訳添付したことによりまして、納税者から課税内訳についての問い合わせがいろいろございました。それを調査いたしました結果、課税誤りがいろいろと判明したということでございます。  横浜市からの話によりますと、この課税誤り内容は、ただいま御指摘のとおり、課税誤りの総件数が九百五十九件、それにかかわります税額が一億二千八百万円でございます。このうち七百六十件につきましては、五千七百万円の税額でございますが、これは全額還付したわけでございますけれども、残りの百九十九件につきましては消滅時効にかかわる部分がございまして、三千四百万円については還付したわけでございますが、時効によって還付できない金額が約三千七百万円になったわけでございます。  この課税誤り原因につきましては、家屋が既になくなっていたというものがまだ課税台帳に残っていたというような課税台帳整備漏れとか、あるいは所有者誤りなどが多いというふうに聞いているところでございます。
  5. 須永徹

    須永委員 課税資産内訳を昨年度から横浜市では実施した、こういうふうに今お話があったわけでありますが、政令指定都市では横浜市が初めてのようでございますけれども、それぞれ市町村ではもう既に実施している市町村もあるというふうに伺っておりますが、まだまだその資産内訳をやっていない自治体も非常に多いと思います。いわゆる住民の側から見れば、資産内訳というものが知らされるということは極めて重要でありますし、今後その方向がとられるということは非常に必要だろうというふうに私は思います。そういう観点に立って、今後市町村がそれぞれ課税資産内訳を郵送するということになったときにこのようなケースがまた起きるのではないか、このように心配されるわけでございますが、その辺につきましてもお聞かせいただきたいと思います。
  6. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 御指摘のとおり、固定資産税につきましては、本来は市町村納税者に対しましていわば賦課をして税を納めていただくという建前のものでございまして、この賦課をするに際しまして、課税内訳等につきましては、法律上は課税台帳縦覧制度がございますので、これを見ていただくということを前提にいたしまして、税法上は課税資産内訳添付することまでは求められていないわけでございます。しかしながら、実際上の問題として、納税者方々課税台帳を市役所に見に来られるというようなことは、なかなか言うべくして難しいということもございまして、私ども市町村と相談をしながら、できるだけ納税者方々課税内容をわかりやすくしていこうという趣旨から、課税資産内訳添付してもらうように今御協議をしているところでございます。  その中で、横浜市もいち早くこの課税内訳添付をしていただいたわけでございますが、これを実施している団体は、御指摘のようにまだ非常に少ないわけでございます。私どもは、できるだけ早い機会に多くの市町村にこの課税資産内訳添付してもらうように、これからも御指導してまいりたいという考え方でございます。  そうしますと、御指摘のように、課税誤り納税者方々からの指摘でわかってくるということが当然考えられるわけでございますけれども、それはむしろ、今後の課税誤りをなくすという意味からいきますと、これは一回は通らなければならない道だというふうに考えますので、課税誤りを恐れてこの内訳添付をやめるというようなことはすべきでないということで、今後とも市町村とはこの問題について積極的に取り組んでいかなければならないというふうに考えているところでございます。
  7. 須永徹

    須永委員 本当にそういう指導を強化していかなければならないと思います。そしてまた、先ほど地方税法上五年という期間が限られている、三千七百万ですか、還付ができない、こういうことが答弁でございましたが、それら還付できない部分時効五年となっていますが、それ以前についてはどのように考えていらっしゃるのか。また、これは法律で決まっているわけですからもうそれっきりですよということに、木で鼻をくくったようなことだけでいいのかどうなのか。また、今後こういうケースが起きる可能性もありますし、そういう意味におきましても、大臣はどういうふうに考えていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  8. 奥田敬和

    奥田国務大臣 横浜の今のミスの場合でございますけれども、ほかの市町村に先立って内容までつけたということは画期的なことで、これはもう本当に全国自治体もそれに見習ってほしいなと思っています。ところが、いいことをしたのですけれども、そういった過去にさかのぼって大変な、極端な例を言うと二十八年もたくさん取り続けておったというような形のミスも発見できたということになるわけです。これはもう先生の言われるとおり、法律上は時効五年とか、あるいは最高裁の判例等々がありまして、これを覆すということはなかなか困難であろうと思います。しかし、明らかな行政ミスです。特に、二十八年間という形、知らずに言われるままにたくさん納めておった人たちの気持ちになってみると、これは全く釈然といたしません。ですから、ここはひとつ横浜市当局ともよく相談して意見も聞いて、何かいい知恵がないわけじゃなかろう。こういった形の、明らかに市側は不当利得しているわけですし、片方はもう、だまし取られたという言葉は当てはまりませんけれども、ともかくミスによって取られ過ぎてきたわけですから、これに対しての何かの措置を講じたいものだということで、ひとつ本当にこれは口だけの言いわけじゃなくて、具体的に何らかのいい知恵がなかろうかということで、今折衝させております。
  9. 須永徹

    須永委員 今大臣からそういう前向きな答弁をいただいたわけでございますが、これからのことを考えますと、先ほどもさらに地方自治体に指導していくというお話もございましたし、そういう観点から立ってみれば、やはり何とかならないのか。いわゆる納税者の側からしてみると、今も大臣いみじくも申されましたけれども、取られた側にしてみれば、市の方だけが得して何だ、こういうことになるわけでございまして、ぜひ御配慮をいただきたい、このように思います。  また、このようなケースというのは、今までやはり新聞等でもあったと思いますが、自治省の方でも、全国でこのような課税ミスといいますか、そういうものがどのくらいあったのか、お聞かせいただきたいと思います。
  10. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 全国市町村賦課をして住民から税をいただくというものとしては、大きなものは住民税とかあるいは固定資産税というものがあるわけでございますが、最近新聞報道等で見られるケースを見ますと、やはり市民税課税額を誤って納税通知を出したとか、あるいは固定資産税課税誤りがあったというような事件が、全体としては極めてわずかではございますけれども、いろいろな機会指摘されていることは事実でございます。最近私どもが聞いたケースでも、新聞報道等によりましても数件出ておりますので、こういうミスがあってはならないということで、今後とも市町村には十分注意を喚起してまいらなきゃならないと思っております。  それらの原因を考えてみますと、最近はやはりコンピューターへの入力ミスの問題とか、あるいは先ほど横浜市にも出ましたような固定資産税の場合ですと、現況把握というものが十分行われていなかったというようなものがどうも課税ミス原因としてよく挙げられているケースのようでございます。
  11. 須永徹

    須永委員 数件全国でもあったというふうに今お話があったわけでありますが、そしてその原因といいますか、それにつきましても今コンピューターというお話もございました。確かに入力ミスといいますか、そういうのもございましょう。あるいはまた本当に単なる記帳ミス、こういうのもあると思います。そういう意味では、仕事量も大変ふえているのではないかな、こんなふうに実は私は思えるわけであります。コンピューター導入にしても、これはこの一、二年で導入されたのではなくして、相当もう長い間に導入されているわけであります。そういうコンピューター導入もあるわけでありますが、しかし、そのコンピューターよりも私はやはり仕事量がふえているのではないか、そんな気もしているわけであります。  最近の地方税務職員数変化、あるいは固定資産税納税者の数等の変化、その辺につきまして、数字でおわかりでしたらお聞かせいただきたいと思います。
  12. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 市町村におきます徴税吏員の総数でございますけれども、私ども調査した結果では、昭和六十三年度で六万二十五人でございます。十年前の五十三年度では五万九千六百九十三人ということでございますから、ほとんど職員数は変わっておりません。  一方、この固定資産税納税義務者数というものを見てみますと、これは土地家屋償却資産納税義務者を単純に合計したものでございますけれども、六十三年度では約六千六百万件、それから十年前の五十三年度では五千四百万件ということで、確かに納税義務者数は相当ふえているということは言えようかと思います。  最後に御指摘の、この固定資産税課税業務に従事している職員数はどのくらいあるかという点につきましては、そこまで私ども市町村からの統計をとっておりませんので、はっきりしたことは申し上げられないわけでございますが、今申しましたように全体の職員数は変わっていないし、課税件数は十年間で、固定資産税だけ見ましても一千万件以上ふえているというような状況でございますから、課税件数そのものは相当ふえているというふうに考えていいのではないかと思っております。
  13. 須永徹

    須永委員 税務職員数についてはほとんど変わっていない、また固定資産税納税義務者数は今ふえていらっしゃる、こういう答弁がございました。税制調査会の資料によりますと、昭和四十九年度と五十九年度の比較で見ますと、八万八千二百九十六名から八万五千七百六十四名に減になっているわけです。増加割合で見ますと、〇・九七ということになるわけですが、それに比較して納税義務者数でいきますと、一・四七ということでふえているわけです。そういうふうに一方では職員数が、現状では仕事量はふえているわけですから、そういう意味では相対的には減っているというふうに答弁から見ても言えると思います。  これらのことを考えますと、先ほど答弁でもありましたけれども、よく現状を把握されてなかったからこういうミスが起きたんだ、こういうお話もあったわけであります。そういう意味では、仕事量がふえてそして人員が減っている。調査しなければならない、課税作業が大変ふえているということから起きているミスがある。そこに原因があるのではないか、こんな気がするわけであります。  そういう意味で、課税体制適正化といいますか、人員をふやしていくあるいはまたそのためのチェックといいますか、二重、三重のチェック機能をその段階で行っていくという体制が行われなければ、住民から行政に対する信頼といいますか、それは十分行っていくことはできない、実はこのように思うわけです。そういうことから考えますと、これからも人員増といいますか、課税が適正に行われるような状況をつくる必要があると思いますが、そのところについての見解をお伺いしたいと思います。
  14. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 地域の経費を地域の皆さんが負担し合うということで地方税制度というものがある以上、その地方税が的確に課税され、納税していただくというようなことをするためには、住民課税をする側との間の信頼関係というものがどうしても必要だと思います。そういう意味からいって、課税誤りということが今後あってはならないことでございますから、この課税誤りをなくすために、税務を担当する我々としては、これをいかになくしていくかということを常に考えて税務行政を執行していかなければならないと思います。  そういう考え方から、いろいろなミスを防止するためのチェック体制の確立というようなものを考えていく必要がございますけれども、御案内のとおり、昨今の地方行政改革を推進するという上から職員定数増はそれなりに限界がございます。むしろ、定数増を図らないで何とか的確な課税をできるような方法がないかということを私どもはまず考えていかなければならないと思うわけでございます。その場合に、今御指摘のような現地調査の徹底をする。これは、ただ人海戦術だけでやるのではなしに、例えば航空写真を利用して空から的確に家屋状況を捕捉するという方法もございましょう。また、電算システムというようなものをもっともっと活用するという方法があるのではないかということも考えられます。こういうようなチェックシステムを私ども市町村一緒になって考えていく余地がまだあるのではないか。  それと同時に、先ほど問題になりました資産課税の場合には、この課税内訳というものを納税者に通知することによりまして納税者御自身に課税の適否というものをチェックしていただく、こういうことも今後のチェック体制の大切な一つではないかというように考えているわけでございます。  そういうものを総合的に考えて、今後とも適正な課税が行われるように、私ども地方団体一緒になって考えてまいらなければならぬと思っているところでございます。
  15. 須永徹

    須永委員 人員をふやすのは大変難しい、こういう話もあったわけでございますが、交付税あるいは基準財政需要額の中でこの徴税費部分も少なくなってきているのではないか、こんな気もしているわけです。交付税全体から見ると、徴税費部分割合からすれば少ないのでしょうけれども、しかし、算入状況を伺いながらそれをさらに拡大していく、こういうことも必要ではないかというふうに思うのです。その辺につきましてもぜひお聞かせいただきたいと思います。
  16. 持永堯民

    持永政府委員 地方交付税算定におきましての徴税費でございますけれども、減っているのではないかという御指摘もございましたが、数字で申し上げますと、昭和五十四年度と十年後の平成元年度を比較いたしますと、これは標準団体でございますが、県分につきましては、五十四年度が約二十六億、元年度が約四十五億でございまして、倍率といたしましては一・七一倍になっております。市町村につきましては、これも標準団体で申し上げますと、五十四年度が約二億、元年度が約二億八千万でございまして、一・三五倍になっております。これは毎年、給与単価の引き上げでございますとか、いろいろな物件費等についても物価の状況等々をにらみながら、適正な単価を決めて算定しているわけでございます。  それから、先ほど来特にお話がございました人員につきましても、この算定に当たりまして一定の人員前提として算定するわけでございますが、県分については五十四年度が三百二十一名、元年度は若干減少しておりますけれども三百十八名で、ほぼ同じでございます。市町村については、五十四年度、元年度ともに四十三名、これも標準団体でございますが、そういうことになっておりまして、人員についてもおおむね横ばいで来ておるわけでございまして、あとは、単価問題等については毎年の実情に即して算定しているつもりでございます。今後とも適切な算定をしてまいりたいと考えているところでございます。
  17. 須永徹

    須永委員 県分市町村分の話が今あったわけでございますけれども県分部分では若干減っているというお話がございました。仕事量部分はふえているわけですから相対的には減っているというふうになるのだろうと思いますので、そういう意味では、人員確保、そのための算入等もぜひ要望しておきたい、このように私は思っております。  次に、固定資産税関係に移らせていただきたいと思います。  来年一月に固定資産税評価がえが行われるわけでございます。その評価がえに当たって、昭和六十一年七月から平成元年七月の三年間の地価動向基準になって評価がえが行われるのだろうと思いますが、それと同時に、その後、平成元年後の地価動向も加味すべきであるというようなお話も聞いておるわけでございます。そういたしますと、昭和六十一年から平成元年七月の三年間の地価動向もさることながら、その後の地価動向というのは大変狂乱的な状況にあるわけでございまして、住民の側でも大変心配されるわけでございます。評価がえを進めるに当たっての基本的な考え方を、どう進められていくのかを含めましてお伺いしたいと思います。
  18. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 固定資産税評価がえは三年に一回ということで、明年四月がこの評価がえの時期になるわけでございます。そういう意味で、土地評価家屋評価を中心にして現在検討を進めておるところでございますけれども、ただいま御指摘のように、土地の場合につきましては、平成元年七月から三年をさかのぼった地価動向一つの参考として、これを基礎として評価がえを行うということになるわけでございます。  そこで、その間の地価動向を見ますと、東京の都心に端を発しました地価の高騰が大都市地域商業地住宅地に広く及んできておるという状況が一方にあるのに対しまして、他方、それ以外の地方中小都市地域では平成元年七月ごろまでは比較的安定していたというような、いわば地価上昇が二極分化しておるというような状況が今見られるわけでございます。そういうことが従来の地価動向とは非常に違った動きではないかということでございまして、これらの地価動向平成年度土地評価がえにどのように反映させていくかということで、今、地方団体関係者と連日協議を続けておるところでございます。  この評価がえの問題につきましては、地価動向を十分考えていかなければなりませんけれども、この固定資産税評価を考える場合には、固定資産税性格というものを十分考えながら評価していくということを私ども考え方一つの基本に置いております。それは、固定資産税というのは、土地あるいは家屋を持っておるという方々とその人たちがそれを持つことによっての地方行政から受ける行政サービスというものとの受益関係に着目して、継続してその資産を持っておるということを前提にして税負担をしてもらうということでございます。決して追い出し税的なものではないわけでございまして、継続して持っておるということを前提にして税負担をお願いするという性格のものでございますから、不正常な、例えば投機的な要因とか値上がり期待というようなものによって生じました地価をそのまま固定資産税評価に置きかえるわけにはいかないのではないか、そういう要素は除いて評価をしていくべきだ、こういう基本的な考え方に立ちまして、現在、関係地方団体との間で鋭意協議を進めておるところでございます。地域間の均衡化の問題もいろいろ指摘されておりますし、また、地価公示との間で余りにも開きがあり過ぎるのではないかという指摘もございますけれども、そういうものも念頭に置きながら、固定資産税性格というものをよく考えながら、明年度評価がえに向けて作業を進めてまいりたいというふうに考えております。
  19. 須永徹

    須永委員 今、不正常要因といいますか、地価のいわゆる投機的なものだとか、そういうお話もあったわけでありますが、今のこのような土地騰貴あるいはまた狂乱的な状況というのは、それぞれの地方自治体の中でもあるわけでございますが、それぞれ売買実例や県が行っている地価調査を加味しながら正常価格を決めていっているというふうに思いますが、それぞれ地方自治体でも大変苦慮しているというような話も聞いております。自治省の方としても、その不正常要因の除去というものに対して、あるいはまた正常価格をどう決めていくか、こういうことについて考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  20. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 ただいま御指摘のとおり、固定資産税における土地評価については、現実の実勢地価というものをそのまま評価額とするということではなしに、不正常な要因として考えられる投機的な要素でございますとか期待利益というような要素を除いていくということが必要になってくるわけでございます。  抽象的な理屈の上ではそれを除くということはわかるのでございますが、それでは一体どういうふうに計数的にそれを詰めていくかということになりますと、これはなかなか容易なものではございません。不正常要因というものが、その性質上、それぞれの地域が画一的に一律にこういうことでできるというようなものではないわけでございまして、地価の非常に高騰している地域であるとか、土地の需給関係が非常に安定している地域によりまして不正常要因というものはそれぞれ違うわけでございますから、そういう不正常要因を除く問題につきましても、各自治体において精通者の意見などを十分勘案しながら、具体的にケースごとに判断をしていかなければならないというふうに考えます。  私ども全国的な均衡化を図る上で従来からやっております一つ方法といたしましては、四十七都道府県の県庁所在地の最高地価の地点の地価を国が決める、それをもとにして各都道府県は市町村ごとの最高地価を決めてやる、それを受けて関係市町村がそれぞれの地域評価に入るというような形で全国的な均衡を図るというようなこともやっているわけでございますけれども、個々具体のケースということになりますと、やはりそれぞれの自治体が、それぞれの地域に応じた不正常な要因というものをよく勘案しながら評価をしていくということに尽きるわけでございまして、具体的なケースについて御相談のあるものは私ども市町村一緒になって考えていく、こういうようなやり方で現在も進めているところでございます。
  21. 須永徹

    須永委員 県の最高地価を決めてという話もありましたが、今回の評価がえから、来年の二月末ですか、それぞれの市町村長が価格を決めるわけでございますが、平成元年の十二月ですか、閣議決定をされたその内容を見ますと、その「基準地等」ということで、標準地も含めて公開をするというような指示が出たというふうに伺っているわけであります。そうなりますと、その公開をどのようにやるのか、例えば公報で出すのか、印刷物で出すのか、あるいは縦覧するのか、いろいろなやり方があるのだろうというふうに思いますが、今から準備を進めていくということで、それぞれの地方自治体も苦慮しているような話も伺いますが、その辺につきまして当局の考え方もお聞かせいただきたいと思います。
  22. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 評価適正化あるいは地域ごとの均衡化というものを図っていくために市町村課税当局がいろいろ努力をしているわけでございますが、現在の段階ではその中身が一般の市民の方々にわからないというような御批判も随分ございまして、次の評価がえからは、一度に全部路線価を示すということまでなかなか作業的に難しいかもしれませんけれども、ともかく一部でもやっていこうではないかということで、今関係市町村と御協議をしているところでございます。その公開の範囲等についても、非常によく整備をしている市町村と、正直言ってまだまだ、もう少しというようなところもございまして、一律にここまでということはなかなか現段階で難しいことも事実でございます。  そういうこともございますので、平成年度からの路線価の公開がどこまでできるかということについて今関係自治体とも御協議をしながら、やり方、それからどういう地点まで公開できるかということについて今鋭意御協議をしているところでございまして、まだ確たることを申し上げることはできないわけでございますが、方向といたしましては、昨年の十二月の土地対策関係閣僚会議に示されましたとおり、基準地等にかかわる路線価の公開を行うよう地方団体と御協議をしていく、こういう基本的な考え方で来年の三月までにその具体的な内容を詰めてまいりたいというように考えております。
  23. 須永徹

    須永委員 自治体によっては、ポイントがないところといいますか、小さいところはあるでしょうし、また十万都市ぐらいになりますと三百ポイントぐらいあるというような話も伺っています。そういう意味では、それを全部公開するという作業になりますと相当の作業、人手も必要になってくるというふうに思います。そういうことも含めても、先ほど来話が出ていますように、人員の確保というものは大変重要じゃないかな、こんなふうに実は思うわけでございまして、今申し上げましたように、住民にそれを知らしめるということも当然必要ですし、一方、その体制をつくるということも非常に重要だろうというふうに思います。そういう観点でぜひお願いしたい、このように思います。  もう一つ、農用地の関係でございますが、御案内のとおり、米価にしても据え置きとか引き下げという状況でありますし、あるいはまた牛肉等の酪農の関係につきましても、来年からはもう自由化というふうな状況にありまして、いわば構造的な不況業種というのですか、昨日ですか石炭の話もありましたけれども、そういう状況にあるわけでありますから、この固定資産部分につきましても何か特例といいますか、そういうものも農用地にあってもいいのではないか、こんな気もするわけでございますが、なかなか難しいのでしょうけれども考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  24. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 先生御案内のとおり、土地評価に当たりましては地目ごとにその評価基準をそれぞれ決めておりまして、宅地、あるいは農地の場合ですと田、畑それから山林とかというようなそれぞれの土地の地目によって評価基準を定めているところでございます。そういう意味で、最近のこの農地の問題につきましては、田畑の価格の動向でございますとか、あるいは宅地等ほかの地目との間の均衡の問題とか、あるいは一般農地の場合には実際に売買されるものが非常に小規模なものが多くて、いわゆる切り売りとか買い足しというようなものが通常であるというようなこともあって、売買実例価額が比較的割高に出ているというようなこともございまして、そういう事情を考慮して補正をするというようなことも今までもやっております。そういうこともございまして、農地の場合には宅地に比べて評価におきましてもかなりいろいろな配慮を加えながらやっていることでございますので、今後とも御指摘のような事情も十分考慮しながら、評価均衡化適正化という問題について努力をしてまいりたいというふうに考えます。
  25. 須永徹

    須永委員 もう一点、小規模住宅用地の関係でございますが、御案内のとおり二百平米以下、四分の一の特例というのがあるわけでございますが、都市計画税の部分についてこの特例というものを考える、いわゆる四分の一の部分と同じように特例を考えることはしているのかいないのか、お聞かせいただきたいと思います。
  26. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 都市計画税は、御案内のとおり、都市計画事業を実施するために都市計画区域内にある土地家屋に対して一定の課税をお願いするという制度でございます。そういう意味でよく目的税とか言われておりますけれども、都市計画事業に充てるために特にその市町村課税をお願いするという仕組みになっているものでございまして、そういう税の仕組みというものから、あるいは税の目的というものから考えますと、その地域内にある土地家屋というものはやはり同じ条件で一律に課税されるということがこの税の性格に適合しているのではないかということで、従来から住宅用地に係ります課税標準の特例措置は固定資産税だけに限定しているわけでございます。この点を固定資産税のように特例措置が設けられないかという点につきましては、この税の性格というものを考えてみますと、なかなかそのように制度的につくるということは難しいのではないかというふうに考えるわけでございます。
  27. 須永徹

    須永委員 きょうは農林省の方も見えておりますので、農業問題について一点お伺いをしたい、このように思っております。  御案内のとおり、農畜産物の市場開放、自由化問題というのは今大変大きな問題になっているわけでございまして、食糧問題をどう考えるか、こういう観点に立っても岐路に立たされている状況にあるわけでございます。特に生産者の立場に立って考えますと、そのことは大変深刻な状況にあるわけであります。ウルグアイ・ラウンドの問題やガットの問題を含めて、市場開放、米も行われるということになればまさに死活問題にまでなるわけでございますが、先ごろ山本農林水産大臣が、日本の米市場開放を米国が期待するのは内政干渉に当たる、こういうような発言も実はあったわけでございますが、山本大臣さすがというふうに私は感じまして、私は山本農林水産大臣と同じ群馬県でありますから、特にそういう意味では評価をしているところでございます。本当に日本農業をしっかりと守っていかなければならない、こういう気がするわけでございます。  そういう観点に立って、先ごろ農政審の答申を受けて、「自主流通米の価格形成の場」検討会というのが四月末報告を出されたわけでありますが、その要点とそのねらい、その辺のところにつきましてお考えを聞かせていただきたいと思います。
  28. 高木勇樹

    ○高木説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話ありました検討会報告、これは四月の二十七日に報告を出したわけでございます。その検討の背景といいますかは、自主流通制度、御承知のとおり昭和四十四年産米から発足をしているわけでございますが、ちょうどといいますか二十年余を経過してきております。それでその間、発足当初は主食用のウルチ米の占める流通量としては五%くらいでございましたけれども、その後、関係者の意欲的な取り組みとか各種の奨励措置もございまして拡大をしてきております。この元米穀年度におきましても、主食用ウルチ米の流通量の六割程度になってきておりまして、まさに米の流通の大宗を占める、また元年産の集荷ベースでは七割を占めるに至っておりまして、そういう自主流通米の拡大という事態に対応いたしましていろいろな検討を行ってきたわけであります。  特に価格形成とか流通につきまして、そもそも自主流通米につきましては、民間流通のよさを生かすという、消費者ニーズにこたえるというようなことをねらいにして発足をしたわけでございますが、需給動向に弾力的に対応するという点、それから取引においても透明性とか公平性という点で問題が種々出てきているというようなことを背景にいたしまして検討が行われて、報告が出されたということでございます。  ただ、この価格形成の場はあくまでも食糧管理制度の枠組みの中で行うものでございまして、自主流通米の取引については現在でも自主流通協議会方式ということで行われているわけでございますが、これについていろいろ問題が指摘されているわけであります。特に、売り手、買い手の間で競争原理が働いていないという点、そういう点で透明性とか公平性に欠けているという点がございまして、それを改めたような新しい仕組みにしていくことによりまして、産地品種銘柄ごとの需給動向とか品質評価が価格に的確に反映されて、取引の指標価格というものがつくられるということを目的にしているわけであります。  それがねらっているところは、生産者には自分の生産した米の評価がわかるわけでございまして、経営を考える場合には一つの指標になるということでございますし、流通面では、やはり仕入れの段階でいろいろと選択の拡大とか多様化ができるということによって流通が活性化する、それから消費者にとっては、産地品種銘柄ごとの品質評価とか価格といったような情報が提供されますので、適切な選択が可能になるということをねらいにしているわけであります。  そういうようなことを内容にした報告がなされたということでございます。
  29. 須永徹

    須永委員 食管制度を守りながらということだというふうに思いますが、しかし今もお話ありましたように、市場原理を導入する、こういうことでありまして、特に売り手と買い手というところで、私はもっと言えば、団体交渉じゃないですけれども、売り手と買い手が交渉をして一本になって価格を決めていく、こういうことが望ましいのじゃないかなというふうに実は思っていました。そういう意味では、今まで全農が全部、九五%まとめて、話し合いでその価格形成を卸と一緒にやってきたわけですが、今度の検討会の報告を見ていますと、全農から今度は各県の経済連へ移すというような中身もあるように伺っています。そういう意味では、売り手をばらばらにするわけですから売り手と買い手の関係が変わってくる。そのことが今度は買い手側が主導権を握るというふうな形に移りはしないだろうか、こんな心配もされるわけであります。さらに、米の取引所での数量も百万トンですか、そういうような膨大な数になるわけでありまして、そういうことから考えますと、食管制度を形骸化させるといいますか、そういう方向に流れはしないだろうか、こんな心配をしておるわけでございますが、どのように思っていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  30. 高木勇樹

    ○高木説明員 先生今お話がありましたけれども、売り手、買い手の複数化の問題につきましては、まさに今現在、実質的には全農と二百八十五の卸、一対二百八十五というようなことでございますが、それで売り手と買い手が複数になって交渉するといいますか、入札というような形で値を決めていくことによってまさに価格が適正にできてくる、こういう考えでございます。特に、原則として都道府県の区域の米を集荷している二次集荷業者にするということが検討会報告で言われましたのは、現在、産地品種銘柄というのはおおむね都道府県単位になっております。例えばよく言われるように新潟県産のコシヒカリとか秋田県産のあきたこまちとかということになっていることから、原則として経済連にしているということでございまして、御理解をいただきたいと思っております。  それから数量について、百万トンというのも、これは例示として掲げてございまして、これぐらいの数量でないと、四百万トンというのが今の自主流通の全体の量でございますから、やはり需給動向や品質評価を反映して適正な価格が出てくるにはそのぐらいの量が必要ではないかということで、検討会報告から一つの例示として出されているものでございます。  食管制度が崩れるのじゃないかということでございますが、先ほど来申し上げておりますように、食管制度の枠組みの中で、需給及び価格の安定を図るという枠組みの中で、またもう一つは生産調整というものの実施を前提にいたしまして、この価格形成の場をやっていくわけでございます。この価格形成の場のねらいは、再度申し上げますが、産地品種銘柄ごとの需給動向や品質評価を価格に的確に反映させるということでございますので、私ども、今申し上げた食管制度の基本、それから生産調整を実施するという前提の中でこれは仕組みとして動いていけるものだと考えているところでございます。
  31. 須永徹

    須永委員 需要に応じた生産誘導といいますか、今の生産調整の部分も含めてでございますが、生産調整をしていく。ただ、需要に応じた生産誘導を進め、産地間競争がこのことによって激化されていく、こういうことになるのじゃないかなと思います。そのことによって生産調整が困難になっていくことも考えられるのではないかというふうに一つは思います。  それから、農政審の報告の中に国内自給を基本とするというのが大きな柱としてあるわけでありますが、この国内自給という部分につきまして、いわゆる主食用米だけなのか、あるいは他用途米も含めた国内自給というふうに考えていらっしゃるのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  32. 高木勇樹

    ○高木説明員 お答え申し上げます。  ただいまの米の国内産での自給方針の関係でございますが、もう御承知のとおり米は国民の主食でございますし、我が国農業の基幹をなすものだということ、それから水田稲作は国土や自然環境の保全とか地域経済上不可欠の役割を果たしているということで、こういった米、水田稲作の格別の重要性にかんがみまして、国会における御決議、数次にわたるものがございますが、その趣旨を体して国内産で自給するという基本的な方針で対処するのが大きな考え方でございます。  その場合、今御指摘の他用途利用米等の低価格による加工用米への供給が、今生産量としては大体五十万トンぐらい全国でなされております。これはまさに主食用米と加工用米、他用途利用米が一体となりまして稲作の生産体系ができているわけでございますし、そういうことからいいますと、私どもとしては、米につきましては、主食用についてはもとより、他用途利用米といったような加工用米につきましても、国内産で自給するという基本的な方針で対処するという考えでございます。
  33. 須永徹

    須永委員 他用途利用米の部分につきましては、もう一部、沖縄県等でも泡盛ですか、しょうちゅうの原料、そういう部分で入っているというふうに言われているわけでございますが、先ほど来の市場開放の部分等を含めますと、ますますそういう形で入ってくるという心配があるわけでございまして、今もお話がありましたように、食管制度の基本的な役割をきちっと堅持しながら、そして国内自給というものをさらに拡大していく、こういう方向でぜひお願いをしたいと思います。  最後に、食糧の問題で、今消費者と生産者の関係をどうつくっていくのかというのは、そういう意味で非常に大きな課題だろうと思っています。消費者の側に立ってみれば、安全で安心な食糧というものを多くの消費者が求めているのは御案内のとおりでありまして、今までの農協の農政の中では大規模農政というものが一面うたわれておったわけでございますが、そのことによって化学肥料あるいは農薬等を使った食糧がつくられてきた。しかし、今消費者の側に立ってみれば、そうではなくして安全で安心できる食糧というものを求めている。そういう意味では、畜産もそうだと思いますけれども、消費者と生産者を結びつけた小生産あるいは多品目にわたっての生産というものを考える必要があるのではないか。  同時にまた、私は群馬県でございますが、牛乳の部分で、低温殺菌牛乳というのが東毛酪農というところでつくられておりますけれども、その低温殺菌牛乳が東毛酪農とある生活協同組合との連携の中で大変効果を上げているというのですか、まさに非常な拡大を今しているわけであります。そういう意味で、農協と、いわゆる単協なりそういう農協組織と生活協同組合との連携といいますか提携というものをやはり一面考えていく必要があると思います。その農協と生活協同組合との提携という部分につきましても考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  34. 岩村信

    ○岩村説明員 農協と生協との提携の問題についてですけれども、これについては既に、今お話がありましたように、生協等への直接販売をやるとか宅配便の利用による販売に農協が取り組んでいる事例については我々も聞いておりますし、また一昨年の全国の農協大会におきましても、安全、高品質な農産物の生産あるいは生協との提携等、消費者に接近した販売戦略というものを決議し、具体的な取り組みに着手しているというのが現状でございます。  農林水産省といたしましても、今後、農協系統の販売事業の展開に当たりましては、食料品に対する安全性への関心の高まりなどの消費者ニーズに的確に対応していくことが基本的に重要であると考えております。このような観点から、必要な指導を行っていきたいと考えております。
  35. 須永徹

    須永委員 もう時間がなくなってまいりましたので、最後に一点だけ御質問をさせていただきます。  「高齢者保健福祉推進十か年戦略」の関係についてお伺いをいたします。  御案内のとおり高齢化社会を今後迎える、そして二十一世紀には四人に一人が六十五歳以上の高齢者となるというふうに言われておるわけでございますが、特にこの十カ年戦略に当たって総事業費が六兆円というような数字も出ていますし、特に今度の平成年度の予算の中におきましても、この間の委員会の中でも質問等があったわけでございますが、ホームヘルパーですとかあるいは在宅福祉に対して具体的な予算措置がとられているわけでございます。その事業主体は、厚生省が具体的に行っていくということは当然でありますけれども、今度のその中で町村に事務を移管する、移譲するということも出てきているわけでありまして、地方公共団体が実施する部分というのが非常に多くなってきた。そういう意味では自治省としてもその基本的な考え方、あるいはまた六兆円という大きな金額、その中における国費と地方費、あるいは受益者や民間負担、そういう負担割合はどうなっていくのか、さらには補助事業と単独事業との区分はどうするのか、その点につきまして一括して御質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
  36. 持永堯民

    持永政府委員 高齢化時代を迎えまして、在宅福祉を初めとして各種の高齢者対策が非常に重要な課題であることは御指摘のとおりでございまして、自治省といたしましても、厚生省の所管ではございますけれども、実際その仕事をやっておりますのは市町村になるわけでございますから、当然我々といたしましても高齢者対策については積極的に取り組んでまいる、まずそういう基本姿勢であるわけでございます。  具体の問題でございますけれども、総事業費約六兆円と言われておりますが、その内訳でございますけれども、国が二兆円台の半ば程度、地方負担が二兆円強、その他民間の社会福祉法人等が一兆円台の半ばくらい、こういう見込みでございまして、全体で六兆円程度という見込みになっております。  それから補助、単独という御指摘でございますけれども、全体で六兆円あるいは今申し上げましたそのうちの地方の二兆円強というものはすべて補助事業でございまして、ホームヘルパーでございますとかあるいは養護老人ホームでございますとか、全部そういう補助事業分でございます。単独についてはこの六兆円の中には入っていないわけでございまして、ただ、十カ年戦略を決めました際にその十カ年戦略でいろいろと、例えばホームヘルパーを十万人にするとか書いてありまして、一番最後のところに「以上のほか、地方公共団体地域の特性に応じて自主的に実施する高齢者保健福祉施策を支援する。」という文章がございます。ですからまず補助事業をずっと並べて書きまして、具体的にホームヘルパー何人というふうに並べまして、最後に今申し上げました文章が一言入っているわけでございます。六兆円というのはその前の部分でございまして、単独分については、単独事業という性格からして、例えばホームヘルパーを十万人にするとか老人ホームを何床にするとか、そういう具体の目標を決めて数字をセットするということはいたしていないわけでございます。といいますのは、まさに単独で我々考えておりますのは、市町村によってホームヘルパーとか老人ホームとかショートステイとかいうものではまだカバーできない、もっときめの細かい、例えばボランティアを育成する経費であるとかあるいは福祉関係の社会福祉協議会等々の団体等もございますし、そういうものを支援するとか、もっと細々したものがいろいろあるだろうということで、そういう単独分を補助事業分とは別途措置していこうという発想でございまして、そういうことを踏まえて平成年度地方財政計画におきましても、補助事業分とは別に約七%の増加でもって福祉関係の単独の経費を措置するようにしている、こういうことでございます。
  37. 須永徹

    須永委員 ありがとうございました。時間が来ましたので、質問を終わります。
  38. 島村宜伸

    島村委員長 筒井信隆君。
  39. 筒井信隆

    ○筒井委員 何点かお聞きをしたいと思います。交付税、譲与税、いずれも消費税に係る点、さらには地方税の問題についての質問でございます。  まず前提問題として確認をしておきたいのです。平成年度の現行消費税見込み額が六兆七千三百七十五億円、そして見直しによる減収額が八百七十五億円、差し引きが六兆六千五百億円となるわけですが、譲与税はそれに二〇%を掛けた一兆三千三百億円、交付税がそれの八割に二四%を掛けた一兆二千七百六十八億円。当たり前の話ですが、こういう数字の理解でよろしいですね。
  40. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 譲与税につきましては今御指摘の一兆三千三百億のほかに、これは非常に技術的な問題でございますけれども年度間の見込み剰余額の増減がございますので一兆二千六百三億円が予算計上額になっております。
  41. 筒井信隆

    ○筒井委員 この見直しによる減収額を八百七十五億円見込んでいるわけですが、この見直し案については、参議院がああいう状況でほぼだめになる、確実だというふうに思っているわけですが、それを見直し案が通ることを予測して、前提にして計算していることについて御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  42. 持永堯民

    持永政府委員 政府として改正法をお願いしているわけでございます。それで、これは今回の消費税の改正法に限らず、毎年でございますけれども、税の関係法律を初めとしていろいろな予算関連法案をお願いするわけでございますが、その際にも、予算を編成したりあるいは地方財政計画をつくったり交付税の計算をしたりという場合には、いろいろお願いをする法案を前提としてやっているわけでございます。これは毎年そういう形でやっておるわけでございまして、今回の場合も政府としてお願いしている法案を前提にして予算も計算をし、地方財政計画も計算をしている、こういうことでございます。
  43. 筒井信隆

    ○筒井委員 形式的にはそういう形になるのでしょうが、今までなかったような事態が今生じているわけで、地方財政計画が本当に厳密な見通しのもとにやられるとすれば、今までとは違った対応が必要だと思いますので、その点をお聞きしたわけでございます。  それから、八百七十五億円という見直しによる減収額、大蔵省の提出資料によりますと場合によっては八百七十億円というふうに記載されているものもあるのですが、その違いがなぜ生じたのか、その点の説明をしていただきたいと思います。
  44. 持永堯民

    持永政府委員 特段の理由があるわけではございませんで、端数整理の結果がそういうふうになっている、こう聞いております。
  45. 筒井信隆

    ○筒井委員 そういうふうにお聞きしているのですが、五億円という差で、大蔵省にとってみれば大した金ではないから資料によっては端数として切り捨ててしまう、そういう計算もしておられるのだろうと思うのですが、国民の感情からいうと五億円というのは極めて巨大な額でございます。それを場合によっては端数処理をして切り捨ててしまう、場合によっては処理しないでちゃんと出している、これはやはり国民感情から見ると変えていただきたいなと思うのですが、その点はどうでしょうか。
  46. 持永堯民

    持永政府委員 二つの資料がございまして、一つは予算の参考資料かと存じますが、主税局がつくりました「平成年度 税制改正の要綱 租税及び印紙収入予算の説明」という資料の中で、八百七十五、こうなっておりまして、一方税制改正の内容を説明したその後の資料で八百七十、こうなっておるわけでございます。確かに五億円が小さいという意味ではございませんけれども、後に申し上げました資料は、全体的にラウンドナンバーが大体十億単位でずらっと並べておりますし、前に申し上げました資料は非常に細かく数字を出しておりまして、そういったことからたまたまそういうような整理がされたというふうに理解をしております。
  47. 筒井信隆

    ○筒井委員 理由はわかるのですけれども先ほど言いましたように、五億円という金額を、そういう場所によっては切り捨ててしまったり何かすることは国民感情に反しないかという質問でございまして、ちょっとこれは外れるかもしれませんが、自治大臣、もし御意見がありましたら……。
  48. 持永堯民

    持永政府委員 これは自治省としてつくった資料ではございませんので、的確なお答えを申し上げにくいわけでございますが、先生のお説の点は大蔵省にも十分伝えたいと思います。
  49. 筒井信隆

    ○筒井委員 地方自治の立場からいいますと、一番望ましいのはもちろん自主財源の比率が高まること。二番目に、一般財源の比率が高まること。最後は国庫支出金の比率があると思うので、その順序で、自主財源の比率が高まることが地方自治の立場からいうと一番望ましいというふうに考えておりますが、その観点から見ますと、平成元年度、つまり消費税導入後と導入前では、自主財源の比率が大きく下がってしまったわけでございます。  六十三年度ですと約六〇%の自主財源比率があったのが、元年度からは四五%ぐらいの自主財源比率に大幅に下がってしまった。やはりこれはいろいろな理由があったとしても、地方自治の観点からいえば望ましくない。もちろん交付税とか譲与税でもって見込んだわけですから、一般財源比率は上がっているわけですが、自主財源比率は下がっているという事実は、これは紛れもない事実であるわけでございます。  そういうものを正す観点からちょっとお聞きをしたいわけですが、その自主財源比率を下げた点からも、また消費税そのものが持っているいろいろな欠陥、この点からも消費税というものは廃止されるべきであるというふうに考えておりますが、消費税のいろいろな欠陥を全部挙げるのはやめます。しかし、前にも質問しました、税金が途中で消えてしまう。この途中で消えてしまう税金の金額についても、大蔵省の資料によりますと、六十三年度ベースで約五千億円という額を出しているわけです。ただ、これもちょっとその数字の点でわからないのですが、免税点による減収額が約三千億円、簡易課税が二千億円、限界控除が一千億円で、これを計算すると計六千億円になるのですが、各欄において四捨五入しているために五千億円だというふうな大蔵省の報告資料があるわけです。これはもうちょっと免税点、簡易課税、限界控除それぞれについて、今ここで出せるならば厳密な数字を出していただきたいと思うのです。出せなければいいです。
  50. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 まことに申しわけありませんが、その内訳、私どもちょっと把握しておりません。
  51. 筒井信隆

    ○筒井委員 それは前もって言っていないので、やむを得ないです。  それから、逆進性に関しての大蔵省の資料によりますと、旧間接税制についての資料が出されているわけですが、所得階級別の税負担表で、第一階級は旧間接税の実収入に対する割合が二%、第十階級が一・〇八%、負担割合が約二倍に低所得者層において上がってくるわけです。これは旧間接税に関してもそうですから、今度の消費税は生活必需品の多くについてもかけられておりますから、もっとこの逆進性は強まっているわけでございます。だから、この逆進性を解消するためには生活必需品全部を非課税にする必要がある。そして、税金が途中で消えてしまうという状態、これはもう税に対する信頼関係を完全に失いますから、全面的に解消しなければならない。  それから、今の消費税というのは全流通段階にかけられておりますから極めて複雑。複雑性を解消するために帳簿方式をとった。それがまたいいかげんその理由になっている。だから単段階課税にすべきである。それから、先ほど申し上げました地方の自主財源の比率を高めるという観点から、地方税とすることも考えるべきではないか。  そういうふうな要請をすべて充足する税とすれば、物とかサービスに対して小売段階でかける単段階課税、そして生活必需品は全部非課税にする。アメリカ型の小売売上税のようなものがそういう欠陥を解消するのに最も適しているのではないかという感じを持っておりました。その点に関しては、あの小売売上税のような税金を採用した場合にどういう問題点が起こって、どういうメリットがあって、どういうデメリットがあるか。この点について、まず地方税として導入した場合どうかという点、自治省の方からお聞かせいただきたいと思います。
  52. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 今回の税制改革におきまして、新しい間接税でございます消費税を導入するに当たりまして、今御指摘のような課税ベースの広い間接税のあり方について、どういう方式がいいのかということについて税制調査会でもいろいろと御論議がなされました。地方税にするか国税にするかという前の問題といたしまして、この課税ベースの広い間接税というものをどういう仕組みにしたら国民に一番受け入れられやすいか、負担の公平が求められるかという観点からこの問題は論議が進められたというふうに私どもは承知しているところでございます。  その場合に、この課税ベースの広い間接税を導入するに当たりましては、税制調査会におきましても、消費に薄く広く公平に負担を求めるべきであるということ、あるいは簡素でわかりやすく取引慣行に配慮したものでなければならないとか、納税者とか納税関係者の事務負担に配慮したものでなければならない、あるいは産業経済に対して中立的でなければならないとか、国際的な摩擦を招かないものでなければならない、こういうような一つ基準税制調査会でも設けまして、単段階の間接税がいいのか多段階の間接税がいいのかという論議が行われたということでございます。  その段階で、小売売上税についても種々の観点から論議がなされたわけでございますけれども、この単段階課税につきましては、納税のための事務負担を特定の取引段階や業種に偏って求めることになるのではないかというような問題が指摘されまして、そして現在施行されております消費税のような多段階の課税で、そして前段階の税額を控除していく累積排除方式というものが一番適切であろうという形で、この課税ベースの広い間接税というものの導入が図られたわけでございます。  したがいまして、国税にするか地方税にするかという前の段階の、望ましい税体系のあり方という観点から、消費税という体系が我が国にとって一番望ましいのではないかということで導入された関係で、その段階で、地方税で仕組めないかという問題もございましたけれども地方税で仕組むことによりまして、納税者あるいは納税関係者の事務負担がさらに複雑になってくるとか、簡素な税制という点から見て問題があるのではないかということで、これを国税とすることによってそういう問題点を除くというふうになったわけでございます。  そのかわり、それに伴って減りました地方税収については、地方交付税とかあるいは譲与税という形式で財源的にはきちっと措置をしてもらう、こういう考え方で今回の税制改革が行われたと理解をしているところでございます。
  53. 筒井信隆

    ○筒井委員 国税として採用した場合どうかということを大蔵省にお聞きしたいのですが、恐らく今と同じような答えでしょう。一応、大蔵省としてのメリット・デメリット、それをお聞かせいただきたいと思います。
  54. 大武健一郎

    ○大武説明員 ただいま税務局長がお答えになったとおりでございます。
  55. 筒井信隆

    ○筒井委員 予測どおりでしたが……。  今度の消費税の段階でも前の売上税の段階でも、一番苦労されたのが免税品目あるいは免税サービス、何を、どのサービスを免税にするか、そういう点が非常に大きな問題になっているわけでございまして、野党が出している個別間接税の場合でも同じ苦労をもっとしなければならない。それで、何を免税とするかといえば、最低生活、健康で文化的な最低限度の生活を営むために必要な物とかサービス、これはやはり課税すべきでない、こういう原則で考えていくべきだろうと思っております。その場合に、今の生活保護行政というのは、まさに最低生活費を確定して最低生活費を支給しているわけでございまして、生活保護法の規定の対象になるようなものはすべて免税とすべきである。例えば生活保護法では、生活扶助として「衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもの」とか、それから教育扶助として「義務教育に伴って必要な教科書その他の学用品」とか、それ以外に住宅扶助、医療扶助、出産扶助、葬祭扶助、こういうものを出しているわけでございますが、これと連動した形で、客観的な基準を生活保護法のもとに置いて免税品目、サービスを決定すべきだと考えておりますが、そういう形で生活必需品全部を非課税にすれば、今の消費税なんかよりずっと逆進性は緩和される、こういうふうに確信しておりますが、その点についての御意見、さっきのように同じですという場合には結構ですが、大蔵省、自治省、それぞれにお聞かせいただきたいと思います。
  56. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 今回の税制改革におきまして、間接税を個別間接税から課税ベースの広い消費税に改めるに当たりましては、負担の公平という観点から、個別間接税のいろいろな限界という問題点を払拭するには、消費一般について広く薄く、そのかわりできるだけ例外なく課税をするということがむしろ消費税という体系から見ると適切ではないのか。その場合に、御指摘のとおり逆進性という問題がございますから、この点については、例えば所得税、住民税の減税を行う、それから所得税、住民税の減税の恩恵をこうむらない方々については、例えば生活保護費の充実を図るとかいうような形で、税制あるいは歳出面全体を総合的に考えて逆進性をできるだけ払拭するような税制を今回構築したというふうに私は理解をしているところでございます。  そういう意味からいきまして、仰せのとおり、基礎的なものについて非課税にすべきではないかという御議論もございました。それに基づいて、消費税の前の段階の売上税の段階では、今度は余りに非課税品目が多過ぎてそれがかえって不公平だという批判を招くというようなこともございまして、この売上税のときの教訓をもとにして消費税が仕組まれたというふうに理解しているところでございます。その消費税におきましても、基礎的に生活に必要なものについては非課税措置を講じているところでもございますし、また今回の見直しにおきましても、一定のそういう非課税あるいは税率の軽減措置というようなものも講じまして、見直し案として御提出をしているというように私ども理解しているところでございます。
  57. 筒井信隆

    ○筒井委員 同じでしょうからいいです。  消費税で生活必需品をそれほど大きく非課税にできなかったからその分所得税を減税した、あるいは所得税を払っていない人については他の措置をとった。私は、問題になっている税体系そのもので逆進性を最大限に緩和する努力をやるべきだというふうに思っておりました。ここではできないからほかでやる、こういうことではなくて、そこでさらにできないかということをぜひ考えていただきたいと思います。  消費税はそれ以上非課税品目、免税品を多くすることができない、さらに混乱してしまうという今のお答えでしたが、その消費税のひな形といいますか、理想型であるEC型付加価値税の場合には、生活必需品は非課税にしたり免税にしたりあるいはゼロ税率にしたり、あるいはイギリスのようにぜいたく品に関しては割り増し税率をつけたり、大型間接税でもEC型の場合にはそういうふうに逆進性緩和の物すごい努力をしているわけでございまして、その努力を消費税は全然していないということがまず前提として言えるだろうと思うのです。  ただ、今ここで聞いているのはそういう質問じゃないのです。今ここで聞いているのは、先ほど言いましたような生活必需品全部を免税にする、それを消費税という形じゃなくて、小売段階だけに課税する単段階課税の場合に生活必需品を全部免税にする、そうすれば逆進性はほとんど解消されてしまうのではないかという質問でございました。確かに多段階課税の場合には、例えば食料品でも問題になりましたけれども、食料品を非課税にしたら、農家がその前の仕入れ段階にかかる税金を控除できなくなってしまうというふうないろいろな問題が起こってくるわけですが、単段階課税の場合にはそういう問題がなくて、単純に非課税なら非課税にすることができる。そういう面では生活必需品を非課税にするのは、単段階課税の方がより容易だというふうに言えるだろうと思います。その単段階課税において、先ほど言ったような生活必需品を全部非課税にすれば、逆進性は大幅に緩和されるだろうという質問でございます。
  58. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 単段階課税のやり方が適当かどうかという点につきましては、先ほど答弁申し上げましたとおり、税制調査会におきましても、課税ベースの広い間接税を導入するに当たってどういう方式がいいかということで検討した結果、特定の取引段階、業種に偏ったものになる、あるいは産業経済に対して必ずしも中立的でなくなるのじゃないかということで、単段階の課税は適当でない、むしろ今ヨーロッパで行われている多段階課税の方が適当だということで、税制の仕組みとして多段階課税が我が国の場合にも適当ではないかということで制度改正が行われたということでございます。  その場合に、御指摘のような逆進性という点について、単段階課税の方がすっきりとわかりやすいのではないかという御議論も一方ではあろうかと思いますけれども、税制全体として、あるいは歳出面を含めた税財政全体として逆進性というものをできるだけ払拭するということで、税制全体の整合性をとりつつ、しかも間接税としては多段階であった方が公平であるということからこういう税制を導入したわけでございまして、そこの点をひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  59. 筒井信隆

    ○筒井委員 質問の趣旨が全然違うのでして、なぜ多段階課税を採用したかということを今ここで聞いているのです。なぜ消費税を採用したかということを聞いているのではなくて、小売段階に単段階課税にすれば、生活必需品全体を免税にするのは多段階の場合より、より容易になって、結果として逆進性はほとんど解消されるのではないか、そういう点の質問でございます。
  60. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 ちょっとお答えになるかどうかわかりませんけれども、この新しい課税ベースの広い間接税というものは、基本的には例外なく課税をする、広く、薄く負担を求めるということが望ましい税制の方向ではないかということで仕組まれたと考えるわけでございます。そういう結果で起きる逆進性というものは税制全体の中で払拭するべきではないかと考えて導入されたものだと考えるわけです。  御指摘のように、小売売上税でやった場合にどこまで非課税範囲を拡大するかということは、逆に言いますと、現在の消費税におきましてもどこまで免税対象を広げるかという問題と軌を一にする問題でございまして、できるだけ例外なく課税をするということを仮に小売売上税で行うとすれば、やはり同じような問題が出てくるのではないかなという感じがするわけでございます。
  61. 筒井信隆

    ○筒井委員 小売段階の単段階課税の、税率は別に三%でも結果としては同じでございますから三%のままでもいい。そして免税業者は、年間の売上高が三千万円以下の業者はそのままでもいい。限界控除に関しても、六千万円未満の業者を限界控除の対象にする。簡易課税は、これは単段階にすれば極めて簡単でありますから、まさに売上高に○・六%ですか、掛ければいいという簡単な計算ができるようにするために簡易課税をしたわけでございまして、単段階の課税にすればまさに売上高にパーセントを掛ければいいわけですから、簡易課税制度が必要なくなってくる。そして、免税業者と限界控除の業者の場合には軽減あるいは納付額が免除されるわけですが、その分は消費者に転嫁できないという形にすれば税金が途中で消えてしまうという事態も解消されると思うのですが、その点はどうでしょうか。
  62. 大武健一郎

    ○大武説明員 今の先生の御質問に関しましてちょっと一点申し上げたいと思いますのは、実は小売売上税という税金につきましても、単段階の課税ではあるのですが、全事業者に対していわば証明といいますか、そのようなものを確保しなければならないという意味では、各段階でいわば一種の登録、証明というものが必要になります。と申しますのは、相手が消費者であるか事業者であるかを確認しなければならないわけで、特に製造業者、卸売業者でも消費者に対する販売については課税にしなければならない。そういう意味では、全事業者を登録させて証明書を交付するといったような仕組みが必要になるのだろうと思うのです。  先生が今税の漏れということをお話しになられましたので補足させていただければ、税務当局から見ますと、その証明が正しいかどうかというのは、実はその反面調査をしないとその人が実際は消費者なのではないかということがわからないわけでございます。そういう意味では、税務の執行面で若干問題があるのではないだろうかという気がいたします。  そういう意味でもう一つ補足させておいていただきますと、レーガンが税制改革を行いましたときに財務省報告というのがございます。その中で国税としての付加価値税というのを実はレーガンも検討したわけですが、そのときにも今申したように、事業者間の取引についての課税関係の設定が容易だ、あるいは、むしろ小売段階での租税回避が少ないという理由から、もし付加価値税あるいは小売売上税という消費に着目した税金を国税で設ける場合には、むしろ付加価値税の方が既に州税として定着している小売売上税より好ましいのではないかという御議論もあったやに聞いております。
  63. 筒井信隆

    ○筒井委員 レーガン税制改革が出てまいりましたが、レーガン税制改革では、今の逆に、大型間接税、EC型付加価値税を検討いたしましたが、結論的には、これはやはりいろいろな逆進性を解消できない、あるいは大きな政府をつくってしまう、そういう理由で一切採用しないということで今のような状態になったわけでございまして、今出されたアメリカの財務省報告はまさにEC型付加価値税、大型間接税を否定する論拠になるわけでございますが、途中でちょっと横へずれますけれども、それがなぜそちらの方の理由として挙げられているのですか。
  64. 大武健一郎

    ○大武説明員 ただいまの先生の御質問が消費税といわゆる小売売上税を比較された議論であったのであえてそれを申し上げさせていただいたわけです。  それでは、アメリカが何で大型間接税といいますか付加価値税を導入しなかったかというのは、いろいろありますけれども、事務当局で確認するに、要は州税として確立した小売売上税というものが既に例の大恐慌の際の財政再建のときに設けられている、これは厳然として地方税として確立してしまっている、それを同じような主体をもう一ついわば所得税にかえて消費税という形で入れることがいいかどうか、そういう御議論もあったやに聞いております。
  65. 筒井信隆

    ○筒井委員 事実を曲げて説明しないでいただきたい。州税で小売売上税があることが大きな理由でEC型付加価値税を否定したわけでは決してない。カナダだって州税としては間接税があるのに国税ではまた大型間接税があるわけでございまして、その二重の例がないわけではない。アメリカがなぜ否定したかというのは、州税であるからではなくて、先ほど言いましたように一番大きな理由は、どんなにしたって、食料品全部非課税にしたって逆進性が解消されない、そして大きな政府をつくってしまう、大きな政府をつくる可能性が強い、これが最大の理由でやめたわけで、それがまさに日本の場合にもそのまま適用されるわけでございまして、先ほどの説明だと――そっちへいくとまた別になりますからそれはいいです。  先ほどの質問に戻りますが、私は執行上の税の漏れを質問したのではなくて、現在の消費税というのは制度上消費者が納付した税金が国に納められない形になっている、これは税の漏れでも何でもない、免税業者は納付しないでいいけれども転嫁していい、だからその転嫁した分に関しては完全に国、税務署に納められないことになっているわけでございまして、制度的に税金が途中で消えてしまうという点を問題にしているので、それを解消するには、単段階の課税にして免税業者とか限界控除の業者が税金を免除あるいは軽減された分については消費者に転嫁できない、そういう形にすべきである、そうすれば税が途中で消えてしまうという根本的な欠陥は解消されるのではないかという質問でございました。もう一回答えていただきたい。
  66. 大武健一郎

    ○大武説明員 お答えさせていただきます。  小売売上税あるいは消費税、いずれも要は免税業者をつくるかどうかというところに問題があるのであって、いわゆる消費税であるかあるいは小売売上税であるかという点ではないのではないだろうかと思います。
  67. 筒井信隆

    ○筒井委員 免税業者が転嫁できないという形は不可能であるということを前提にされているのでしょうか。免税業者は納付しないでいいわけですが、その免税業者が現在転嫁していいというかすることを奨励されているわけですけれども、転嫁できないという方式にすることは可能でしょうか、不可能でしょうか。
  68. 大武健一郎

    ○大武説明員 現在の消費税におきましては、免税業者に対しても仕入額分だけ……(筒井委員「現在の消費税ではなくて単段階課税にした場合」と呼ぶ)それにつきましても同じでございまして、要するに、仕入れに税金がかかっていればそれだけを転嫁するかしないか、免税業者についてはそれを免税を認めるか認めないか、そういう問題だと思うのでございますが。
  69. 筒井信隆

    ○筒井委員 現在の消費税であれば、仕入れ段階にもう消費税がかかっておりますから、免税業者でも全面的に転嫁しないわけにはいかない、これはいいのです。今聞いているのは、小売段階を単段階課税にした場合に、仕入れの段階ではかかっておりませんから、だから免税業者は転嫁しなくても一切損はしないわけです。だから、単段階課税にした場合に、免税業者は転嫁できないという形にすればいいと私は思うのです。まずそうすることが不可能であるみたいなことを先ほど前提にされているようなので、それは可能でしょう。
  70. 大武健一郎

    ○大武説明員 小売売上税の場合でも消費税の場合でも、要は免税業者をまずつくるかどうか、その免税業者が、先生言われますとおり小売売上税の場合には単段階だという意味でございますから、いわばその方が三%丸々払うか払わないか、そこでいわば上乗せするかしないかの問題になるわけです。他方、消費税の方は、免税業者という制度を認めた場合には、仕入れにかかった分だけを乗せるかどうか、それだけの問題でございまして、そこはあくまでも免税という制度をつくるかどうかだけの問題ではないだろうかというふうに思います。
  71. 筒井信隆

    ○筒井委員 免税業者という制度をつくれば、自動的に転嫁することを前提にしている限りは完全に税金が途中で消えてしまうわけでございますが、しかし、免税業者は転嫁できない形にすれば、免税業者の人たちは消費者から三%分の小売売上税を取らないわけですから、単段階にすれば仕入れ段階にはかかってないわけですから、だから、単段階にして免税業者は転嫁できないという形にすれば、税が途中で消えることは完全に解消されるのじゃないか、それは単段階であれば可能ではないかという質問です。
  72. 大武健一郎

    ○大武説明員 ちょっと議論がかみ合ってないかもしれませんが、要するに、免税業者の場合には免税部分についてはあくまでも価格には上乗せしないわけでございますから、その意味では小売売上税の場合にその免税業者の方については三%乗せないのは当然だろうと思うのです。同時に、消費税につきましても、免税業者の場合には丸々三%乗せないというのでは、これはまさにかぶっちゃうわけですから、要するに仕入れにかかった税金分だけを乗せていただくという仕組みにしているということでございます。
  73. 筒井信隆

    ○筒井委員 消費税についての現行の理解もちょっと違うのですが、それはまた問題が広がるのでいいです。今のお話だと、単段階課税にした場合に免税業者は消費者に転嫁できない、転嫁しない形にした場合には、消費者が支払った税が途中で消えてしまうという状態は完全に解消されますね。
  74. 大武健一郎

    ○大武説明員 どういう仕組みをお考えなのかよくわかりませんけれども、小売売上税の場合の免税業者は多分消費者から取っておりませんから、当然税額が入ってないので転嫁も生じないわけでございます。同じように消費税だっていわば仕入れにかかってきた税金だけを消費者がお払いいただくわけでございますから、その意味では同じ問題なんじゃないだろうかというふうに思います。
  75. 筒井信隆

    ○筒井委員 単段階課税にした場合、今のお答えでわかりました。消費税についての認識が違うのですが、現在免税業者を含めて、単に仕入れ段階にかかったものだけではなくて丸々三%転嫁せよという指導、例えば運輸省は個人タクシーにもやっておられたようだし、それでまた現実に三%丸々転嫁していい、消費者から取ってもいいという形になっているのじゃないですか。
  76. 大武健一郎

    ○大武説明員 価格設定というのは自由にされますので、その意味ではいろいろあるかもしれませんけれども、あくまでも消費税の三%につきまして免税業者も全部一律三%上げろという指導をしているところはないと思います。
  77. 筒井信隆

    ○筒井委員 その問題を長くしていると、きょうは五十分前に必ずやめるという御指示でございますので、次の問題に移ります。  先ほど言いましたように自主財源の比率が高まるのが地方自治にとって一番望ましいと思いますが、その次は交付税とか譲与税を加えた一般財源の比率が高まることが望ましいと思います。その一般財源の中でも譲与税よりは交付税の方が地方自治の立場からいうとより望ましいと考えておりますが、自治省、その点についてはどうですか。
  78. 持永堯民

    持永政府委員 御質問の趣旨は恐らく、譲与税の場合は、本当に一般財源である譲与税もございますけれども、目的財源的なものもございますから、そういった意味からいうと交付税の方がまさに一般財源、そういう観点からの御質疑かと思います。そういう意味から考えれば確かに交付税の方が金の使い方という面ではよりフリーであるということが言えると思いますけれども、ただ譲与税と交付税は基本的に仕組み、考え方が違います。ですからこれを、例えば譲与税から交付税へ移すとかあるいは逆に交付税から譲与税へ移すというような性格のものではないというふうに思っております。
  79. 筒井信隆

    ○筒井委員 今言われた点からもそうですが、譲与税の場合には、富裕団体であろうが何であろうが大体平均して配付をされる。例え金が余っているところでも交付される。しかし、交付税の場合はまさに金が足らないところに行くわけでございまして、現在の状況を見ますと、東京とか神奈川は地方税の比率も一般財源の比率もおおむね七〇%ぐらい、徳島とか沖縄は地方税の比率が十数%、これは交付税等によって四五、六%になっているわけですが、やはりまだ一般財源の比率が地域によって非常に違う。東京、神奈川は七〇%以上なのに徳島とか沖縄は四五%ぐらい。一般財源の比率の格差が非常に大きいわけで、やはり一般財源の方を譲与税よりももっとふやす必要性がある。譲与税は、今でいえば東京とか神奈川、こんなに富裕でもやっぱりそっちにも行くわけでございます。そういう意味から譲与税よりも交付税の方がより望ましいのではないかというように先ほど主張したわけでございます。  所得税とか酒税とか、そういうものについては三二%ですかの交付税率が決まっている。しかし、消費税に関しては、消費税総額の八〇%のさらに二四%と低い。これをせめて、全体として一緒でもいいのですが、譲与税の部分の一部を交付税の方に振り分ける、消費税の八〇%の三二%、所得税とか酒税とかそういうものと同じ比率にする、こういう考え方についてはどうでしょうか。
  80. 持永堯民

    持永政府委員 譲与税の場合は二つございまして、今御指摘の消費譲与税、これはまさに一般財源的なものでございますが、あわせて道路譲与税みたいなものもあるわけでございます。道路譲与税の場合は目的財源でございますから、そういったものを財源調整としての交付税に持っていくのは非常に問題があると思います。  もう一点の、今の御指摘の消費譲与税についてのお話でございますが、これは確かに財源調整をより強化するという観点と申しましょうか、そういうことからすれば御指摘のようなことも考え得るわけでございますけれども、この消費譲与税が生まれてきた由来は、御承知のように地方間接税を縮減あるいは廃止をする、それにかわるべき財源として制度をつくったというような経緯もございますので、そういう経緯からいたしますと、やはり裕福なといいましょうか、東京とか神奈川にもそれなりの措置をしていかなければならないということは現にあるわけでございます。しかし、この問題については数年先と申しましょうか、将来に向けて考えた場合には、何年先ぐらいと具体的に申し上げることはできませんけれども、長期的に考えた場合には御指摘のような点も考えていくべき時期があるいは来るのかなという感じは持っております。
  81. 筒井信隆

    ○筒井委員 それはそのお答えで結構だと思います。  最後に、地方自治にとっては国庫支出金の比率ができる限り低い方がいい。これはちょっと誤解しないでいただきたいのですが、国庫支出金を下げろという趣旨ではなくて、財源全体が同じであればその中の比率としては国庫支出金の比率はなるべく少なくて、一般財源とか自主財源の比率は高い方がいいというふうに考えるわけですが、これについて地方制度調査会等で、前からやはりそういうふうな観点から答申を何回か繰り返していると思います。  一つ目としては、「奨励的補助金の整理」、これは零細補助金に関してもやはり整理すべきだと思います。それから「地方に定着同化している事業に係る国庫補助金等の地方一般財源への振替え」、「補助金の統合メニュー化、交付手続の簡素合理化」、「維持管理費に係る直轄事業費負担金の廃止」、こういうふうな国庫支出金にかかわるいろいろな改革、これが必要であるということをずっと答申しているわけで、私も大賛成なんです。それぞれの項目についての自治省考え方、それから、この答申に沿ってどういう努力を現実にされているか、それもそれぞれの項目についてお答えをいただきたいと思います。
  82. 持永堯民

    持永政府委員 今御指摘がございました地方制度調査会の答申の幾つかの項目についてお話がございましたけれども、それぞれの項目についての答申の考え方は、私どももそのとおりに考えております。そういう方向であるべきだと考えております。  そこで、具体的にどういう努力をしているかということでございますが、これは毎年でございますけれども、予算編成に当たりまして、そういった国庫補助金の整理合理化について、積極的に対応していただくように国庫当局に申し入れをすると同時に、各省庁にもそういう要請をしてきているわけでございます。  そこで、具体的な結果といたしまして、例えば整理合理化の一つとしての一般財源化の問題としては、例えば保健所の運営費交付金でございますとかあるいは義務教育の旅費とか教材費を一般財源化するとかいうようなこともございます。あるいは農業改良普及員の関係の経費について交付金化する、従来補助金だったわけでございますけれども、これを交付金化していわゆる使いやすい形にする、使い道を幅広く自由にするというような問題あるいは公害監視の補助金でございますとか農業生産体質強化対策事業補助金、こういったものについてメニュー化をしていくという問題、それから零細補助金の問題につきましても一応零細補助金の基準があるわけでございまして、その引き上げをするとかあるいは公共事業について補助採択基準、つまり、非常に規模の小さいところは単独でやるようにして補助基準を引き上げていく、そういうようなことを年々してきているわけでございます。しかし、してきておりますが、それで十分かと御指摘になれば十分とは言えないと思いますので、これからもそういう方向で努力をしていかなければならないと思います。  これは率直に申し上げまして、関係省庁というのはやはり補助金に大変執念が強い面もございますので、一気かせいにというのは率直に申し上げまして難しい面がございますが、とにかく一歩ずつでも前進していかなければならない、こう思っております。
  83. 筒井信隆

    ○筒井委員 最後と言いましたが、まだ五分ほどありますので、自治省土地の、特に固定資産税先ほどちょっと質問が出ましたが、これに関連してお聞きしたいと思います。  よく聞いているのは、現在土地の保有課税強化をすべきであるという声が非常に強いわけですが、自治省固定資産税の強化という形での土地保有課税強化、これには極めて消極的であるというふうにお聞きをしているのですが、そうであるかどうか。そうであるとしたら、その理由をちょっと説明をいただきたいと思います。
  84. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 固定資産税は、固定資産のあるということと市町村行政サービスとの間の受益関係に着目して、毎年毎年継続して保有をするということを前提にして税負担をお願いするというものでございまして、市町村行政経費を賄うために納めてもらう、こういう性格のものでございます。  そういうことから考えますと、この固定資産税というものは持っていることによって税負担ができなくなるような、そういう大きな負担を固定資産税に求めるということは、税制そのものの性格から見て私どもはいかがなものかというふうに考えているわけでございます。この強化というものをどういうふうに理解するかという点はあろうかと思いますけれども固定資産税についての基本的な考え方からすれば、やはりこれからも長年その町に住んでいただくということを前提にして、住民方々から税負担を求めるということを基礎にして、固定資産税の負担水準というものは考えるべきではないかというふうに考えます。  ただ、最近、保有課税の中にも、例えば市街化区域農地の問題につきましては、これは届け出だけすれば簡単に農地を宅地に転用できるというもの、これを農地並みに課税するということは課税上不公平ではないかというような問題点が指摘されております。あるいは低・未利用地について、今の固定資産税の負担で果たしていいのだろうかという、これは土地政策上の問題も出ているわけでございます。  そういう観点からの税制の見直しというものはぜひ今後考えていかなければならないと思いますけれども固定資産税全般といたしましては、やはり固定資産税の基本的な性格から見て、負担というものを十分考えて制度の運用を図っていかなければならないと考えております。
  85. 筒井信隆

    ○筒井委員 今言われたそこに住んでいる人、つまり、通常の居住用地とか事業用地、これらについて上げるのはまずい、私もまさに大賛成。しかし、その小規模の居住用地等を除いた部分に関しては、今の固定資産税評価額はまさに実勢価格と全くかけ離れているわけですから、それに関して今のままではやはりこれは不都合であるということも言えるだろうと思うのです。  そういうふうに考えてみますと、居住用地とか事業用地に関しては、使用を前提とした物すごい低い価格で評価すべきである。それ以外の土地に関しては売買を前提にした高い交換価格で評価すべきである。この二元的な評価方式というのをとるべきではないかというふうに私は考えておりまして、実際に現在、農地の相続税に関してはそうなっている。農業投資価格というのが決められる、これは農地としてこれからも使うことを前提にした場合の価格で極めて低い価格、農地として使う限りはその農業投資価格で相続税が決定される。そうじゃないやや通常に近い価格との差額に関しては、二十年間農地を続ければ免除される。  詳しい話はやめますが、そういうふうに農地に関しては、農地として使用していく限りにおける使用価格と、そうじゃない交換価格との二元的な設定をされているわけですが、これを他の宅地とか何かについてもやはり広げていくべきではないか。居住地として使用を継続する場合の極めて低い価格と、それ以外の土地の時価に近づけた高い価格、それに基づいて固定資産税とかほかのいろいろな土地税制も築き上げられるべきではないかというふうに考えておりますが、その点についてはどうでしょうか。
  86. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 固定資産税につきましても、土地の使用目的によりまして宅地のほかに農地、田畑とかあるいは山林とかというような、その地目ごとによる評価考え方を決めて評価をしているということは現にやっているわけでございますけれども、同じ宅地のものを、例えば面積の少ないところと、それ以外のところとを評価基準考え方を変えて評価するということは、これはやはり固定資産税性格から見ましても、また、技術的に見ましてもなかなか難しいのではないかという感じがするわけでございます。  したがいまして、例えば低・未利用地について、土地政策上もう少し税負担を強化すべきではないかという点から考えれば、そういう問題はそういう問題として、別の税体系からこの問題に対応していく、例えば特別土地保有税をこういう場合に適用するかどうかというような考え方で対応していくのが適切ではないかというふうに私どもは考えているわけです。
  87. 筒井信隆

    ○筒井委員 五十分になりそうなので、ここで終わります。ありがとうございました。
  88. 島村宜伸

    島村委員長 午後零時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十分休憩      ────◇─────     午後零時三十二分開議
  89. 島村宜伸

    島村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小川信君。
  90. 小川信

    ○小川(信)委員 それでは、ちょうど一時間ということでございますが、十三時三十分には御答弁も終わるように質問させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  先ほど須永委員の方から最後に一言御質問申し上げました老人福祉対策と地方自治体の役割、今後の課題等々について御質問したいと思いますけれども、既に御存じのように、現在の日本社会は国際化、情報化、そして自由化と同時に高齢化ということが言われて久しいわけでございます。日本は現実にヨーロッパ等と違いまして速いスピードで高齢化社会が進行しておる。二〇二二年がピークだと言われておりますが、ちょうど三十三年先になります。四人に一人が高齢者だ。二三・六%は六十五歳以上ということですから、まさに我々が皆その部類に入る時代にはどうなるかということで我が事のように非常に心配をしておるわけでございます。その時点に高齢者になる我々も含めまして、その時代の状況に対して政府として、特にこれは厚生省が中心になりますが、非常に進んだ高齢化社会というものに対してどのような御認識を持っておられるか、まずお尋ねしたいと思います。
  91. 横尾和子

    ○横尾説明員 大変高率の高齢者を擁する社会というのを、従来ともすれば高齢者がふえるということをもって大変活力が失われた社会というふうにとらえられてきた経緯がございますが、私ども今二十一世紀を展望いたしますときに、第一には高齢者の多い社会が暗い社会ではなくて若い時代と同様に明るい活力に満ちた社会であり続けるということが可能ではないかと考えております。そのための準備というのは大変必要ではございますけれども、そうしたイメージを持つ高齢化社会をどうつくっていくかということを広範な分野で御相談をさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  92. 小川信

    ○小川(信)委員 とはいいながら、現実十年先には現在のヨーロッパ並みになってくるというようなことを想定してみましても、現実に現在の社会は核家族化してきておりますし、ということは家庭における高齢者の福祉機能というものは低下している。さらには、そういうような状況でございますので、お年寄りがお年寄りの面倒を見なければならないという、いわゆる高齢者が高齢者の介護をするということが現実の状況としてあるんではないか。同時に、地域社会そのものが高齢者コミュニティーといいますか、高齢化の社会というものになってくるというふうに考えられるのですけれども、この点についてどのようにお考えなのか。
  93. 横尾和子

    ○横尾説明員 まず地域における高齢化の問題でございますが、これは現実の問題として各市町村ごとの高齢化比率が大変異なっております。御指摘のように、これに加えまして家族の状況というものもまことに異なっておりますので、恐らくこれからの施策を進める上では、地域の実情に応じた柔軟な対応ができるような施策であるということが必要なのではないかというふうに考えております。  それから高齢者が高齢者を支えるということでございますが、それは例えば年配の方をその配偶者が支える場合を想定いたしましてもなかなか困難な問題が生ずるわけでございまして、それを家族内だけの扶養ということにはゆだねられない事態が来るわけでございまして、社会的に家族全体を支援するという方向が必要なのではないかと考えております。
  94. 小川信

    ○小川(信)委員 今御答弁いただいたような趣旨で六十三年の十月に長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的な考え方と目標が示されまして、いわゆる福祉ビジョンによる緊急整備、これが打ち出されたのだろう、こういうふうに思うわけでございます。しかし、ちょうどそれから約一年たったところで改めて「高齢者保健福祉推進十か年戦略」というものが出された。私は、これはある意味では総選挙を想定されての自由民主党からの要請による一つの戦略として出されたものだろうというふうに思いますし、また、この十カ年戦略の趣旨のところに「消費税導入の趣旨を踏まえ、」こういうふうな表現を使われておるというふうなことから、わずか一年の間に今御答弁いただいたような社会の情勢の変化、高齢化社会が到来することを想定しての方向と目標が設定されたものが十カ年戦略として掲げられたということでございますけれども、これは基本的に施策の考え方なり中身が変わったのか、変わっておればどこがどのように変わったのか、それから改めて十カ年戦略を打ち出したねらいは何なのか、そのあたりを御答弁いただければと思います。
  95. 横尾和子

    ○横尾説明員 六十三年の十月にお示しを申し上げましたいわゆる福祉ビジョンでございますが、これは高齢化社会を展望いたしまして、厚生省と労働省が共同でこういうことをすることが必要なのではないかという形でお示ししたものでございます。したがいまして、そこに掲げられます事項も大変広範囲でございまして、医療保険、年金、雇用、福祉サービスという分野でございますし、取り上げられました内容も、高齢者対策のみならず、障害者対策、子供の問題といったことも含まれているわけでございます。この福祉ビジョンはその当時としては比較的踏み込んだ内容になってはおりましたけれども、それぞれについて具体的な数値を掲げるというところは比較的少ない状況でございます。  その後、この福祉ビジョンの中で、そのラインに沿いまして、年金法の改正案でありますとか、幾つかの動きがあったわけでございますが、福祉分野におきましても大変国民の御要請が強くなってまいりまして、特に医療保障、年金保障に比べて介護の保障というのがおくれているのではないかという強い御指摘をいただいたわけでございます。  それで、今般のゴールドプランは、この高齢者の福祉、とりわけ介護というところに着目して、それを抜き出しまして、ビジョンよりもさらに詳しい達成目標を掲げるという位置づけをしたものでございます。
  96. 小川信

    ○小川(信)委員 とはいいながら、ビジョンと十カ年戦略の中で大きく変わっておりますのはホームヘルパーの数が五万人が十万人になったところで、ショートステイなりデイサービスセンター、これの箇所はビジョンと十カ年戦略が変わっていないというようなところから、どうも消費税、選挙戦略、こういうようなものの影がどうしても頭に残ってなりませんけれども、しかし前進はしておる中身であるということでは、数字的なものは評価できると思います。  しかし、この十カ年戦略にかかわる事業費、先ほども御質問の中にもございましたけれども、十カ年間で約六兆円。過去、昭和五十五年から元年までの十カ年を見ますと、一兆七千億円くらいが使われておる。約三倍の事業費ということでございますけれども、これは国庫の負担の総額、残りは県、市町村地方自治体の負担、こういうことになってくると思います。このことについては、先ほど自治省の方からもお話がございましたので、さらに重ねて御質問する必要もないかと思いますけれども、この六兆円の中身について厚生省の方から御説明いただきたい。
  97. 横尾和子

    ○横尾説明員 六兆円という総事業費の財源ということになろうと思いますが、大まかな推計を申し上げますと、国費が二兆円台の半ば、地方費が二兆円強、その他事業の設置者負担等でございますが、一兆円台の半ば、こういう配分になっております。
  98. 小川信

    ○小川(信)委員 今お話もございましたけれども、まだまだ内容が詰められておるものではないということでしょうが、十カ年戦略は在宅福祉、そして地域における施設福祉、こういうところの充実のために、いわゆる在宅福祉三本の柱に重点が置かれておるということですけれども、その実施の責任、だれがどのような形で、どこがどのように責任を持ってこれを実施するのか、この辺が必ずしも明確でないというような感じがしておるわけです。それで、国の責任と役割はどこまで、ここまで持つのだ。そして県、特に市町村が受け持つ役割と責任はどのように分担してやっていくのかということでございますね。この辺を明らかにしていく。特に国の責任をはっきり示した上で県、市町村の役割そして責任というものを示さないと、この事業に取り組んでいこうという、市町村長さんたちは自信を持って将来にわたっての取り組みができないのではないか、こういうふうに思うわけでございます。  この十カ年戦略については、自治大臣も大蔵大臣も事前に協議をされて了解をしたというふうな経緯があるように聞いております。そういうふうな面から、この問題についてまず自治大臣のお考えを聞かしていただき、そして厚生省の考え方も聞かしてもらいたいというように思います。
  99. 奥田敬和

    奥田国務大臣 この十カ年戦略の遂行に当たっては、もちろん一義的な所管は厚生省でございますけれども、こういった財政的な措置に関しては、もう自治、大蔵が地方自治体を含めて御迷惑をかけないという形で財源的な措置を万全の体制で講じていくということが合意されておるわけでございます。  委員御指摘のように、本当にこれからの時代を思うときに、自治体行政の中でもこの高齢者対策、これを中心にした福祉というのがまさに市町村自治体の基幹的な、大事なお仕事になってくるわけでございますし、財政的な措置は万全にやったとしても、これから、言われたようにホームヘルパーなりあるいはデイサービスセンターのそういった介護を受け持っていただく人たちのマンパワーと申しますか、人的な確保なり、そういった形も大変困難な面もあろうと思いますけれども、やり遂げねばならぬ大事なことでございますから、私たちとしては、結局高齢者のもう一番先端のサービスということになると、これは自治体がすべて協力して遂行しなければ実は上がらないわけでありますから、これらの形が支障なく、十カ年戦略が今回の老人法改正に伴って遅滞なく、しかも内容的にも決していいかげんな形じゃなくて本来の目的を達成でき得るように万全の措置を講じてまいりたい、基本姿勢でございます。
  100. 辻哲夫

    ○辻説明員 十カ年戦略の推進をいたします上での国、地方の役割分担についての考え方を申し上げます。  基本的に、十カ年戦略、これから地域ケアあるいは在宅処遇ということを非常に重視いたしておりますが、これは住民に最も身近な自治体としての市町村、この市町村地域の実情をきめ細かく把握する、あるいはその地域の皆様の理解のもとで施設、在宅を通ずる福祉サービスを一元的に実施していく、このような方向が基本であると考えております。  一方、市町村の規模もまちまちでございまして、福祉サービスをどの地域においても均てんさせていくためには、都道府県が広域的な観点から、福祉サービスやその必要なサービスの整備のための施設、これにつきまして広域的な調整や技術的援助を行う、こういうこともぜひとも必要でございます。また、国におきましては、このような地方における福祉サービスの総合的、計画的な推進が図られますように技術的な、そして財政的な援助を行う、こういった考え方でございます。  こういった考え方に立ちまして、この役割分担をより明らかにした老人福祉法等の法律改正案を出しておりまして、特に国の責任ということとの関係では、今回在宅福祉サービスを法律で位置づけますときに、その国の補助率を法定するといった改正内容も含まれております。
  101. 小川信

    ○小川(信)委員 いろいろと今基本的な考え方をお聞きしたわけですけれども、うがった考え方で言いますと、いわゆる老人医療費が非常にふえてきておる。国民医療等の推移を見ましても、医療費の中に占める老人医療費というものが約三〇%近くになっておる。さらには平成十二年、二〇〇〇年には四〇%近いものになってくる。膨大な老人医療費の負担をしなきゃならぬ。一方で、お年寄りの方々の入院日数というのは平均して三十七日ぐらい、一年を超える方々もたくさんおられる。こういうふうに外国に比べてお年寄りの方々の入院日数等も多い。医療費の負担を何とか軽減するために、おまえたちは医療費はだめだ、こう言われないから、在宅方式、地域ケアという形で地方の自主的なというか自発的なという大義名分のもとにこれを置きかえて、そして、財政負担そのものを全体的には軽減をしていこうというようなものがあるような気もしてならないわけです。素直でないのかもわかりませんけれども、そのような感じがしてならない。とはいいながら、現実、福祉ビジョンというのを打ち出されておりますけれども、これは平成元年度を初年度としてやっておられます。計画に対して実績がどうなっているのか。三本柱のホームヘルパー、ショートステイ、デイサービス等々について実績を聞きたいと思います。
  102. 辻哲夫

    ○辻説明員 いわゆる在宅三本柱の事業についての実績でございますが、まず、十カ年戦略に先立ちます六十三年度における在宅三本柱の整備につきましては、ホームヘルパーにつきましては、予算上は二万七千百五人であるものが、実績は二万五千八百六十人と少し下回っております。ただ、ショートステイのベッド二千三百七十四床、デイサービスの六百三十カ所については実現されております。  それから、元年度における三本柱の予算でございますが、ホームヘルパーは三万一千四百五人、ショートステイにつきましては五千二百七十四床、それからデイサービスにつきましては一千八十カ所でございますが、この実績につきましては、現在集計中でありますので正確な数字は申し上げられませんが、ほぼ予算の数字が整備できるものと考えております。
  103. 小川信

    ○小川(信)委員 今お話がございましたように、一番介護を要する人たちの一番身近なところで活動していかなければならない家庭奉仕員という名前のホームヘルパー、これがなかなか確保できないというような問題が現実の問題としてあるのではないかと思うし、今こういうふうな、まだ一年間ですからはっきりしませんけれども、この経験を踏まえて十カ年戦略の達成が可能というふうに素直な気持ちでお答えをいただきたいと思いますが、できるかどうか……。
  104. 辻哲夫

    ○辻説明員 このたび国会に老人福祉法等の一部改正案を御提案させていただいておりますが、そこでは、在宅福祉サービスを法律できちっと位置づけると同時にこれを積極的に推進する。そしてまた、市町村、都道府県におきまして計画を策定して計画的に推進するといった内容が織り込まれておりまして、今後の高齢化に伴いましてそのニーズは急速に増大する。一方、国民的な期待も高まるといったことで、このような改正案における制度面での措置も踏まえまして、目標の達成に向けまして最大限の努力をいたしたいと思っております。
  105. 小川信

    ○小川(信)委員 努力をされるのは当然だろうと思いますけれども、十カ年先にとは言ったがお金がなかった、人がいなかった、結果的にはやれなかった、私がさっき言ったような消費税の問題等、選挙の問題のためにしかならなかったということのないように、本当にこれが老人福祉にとってよかったというものになっていくように御尽力をいただきたいと思います。  同時に、現在国会に出されております老人福祉法、これが成立すれば、するかしないかわかりませんけれども、今でも極めて大きな責任を持って取り組んでおる市町村の責任が、さらに厳しい大きな責任を市町村が持つようになれば、もちろん、福祉施策というのは住民に密着しておりますものだけに、いわゆる一番基礎になる自治体であります市町村に事業なり機能というものを一元化していくということは、ある意味では非常に大事なことであるし、よしとされますけれども、問題は、必要な財源、それから、先ほど大臣がおっしゃった人材の問題です。お金は出せるけれども人材をどう確保するか、この財源と人材、これが保障されなければ市町村長としても責任を果たすことはできないのではないかというふうなことですし、中途半端な権限の移譲で財源も人的な確保もできないというようなことであれば、かえって期待を裏切り、サービスの低下にもつながるのではないか、こういうふうに考えておりますけれども、政府としての厚生省はこの問題について自信が持てるのかどうかということ。それから、大きく責任を持たされようとしております地方自治体市町村の問題について、福祉行政というのはやはり公的な責任でやるのだということをはっきりさせる必要があると思いますけれども、この点について自治省としてのお考えを聞かせていただきたいと思います。まず、厚生省の方から。
  106. 辻哲夫

    ○辻説明員 今回の老人福祉法の改正案では、特別養護老人ホーム等の入所事務等の都道府県から市町村への移譲、それから在宅福祉サービスを積極的に推進していくということ、それから計画的な福祉行政市町村において行うことといったような市町村の役割がさらに積極的に続けられるような改正が含まれております。このような市町村における福祉サービスの一元的あるいは計画的な提供を行える財政的、人的な体制を整えますために、国といたしましても、平成年度の法施行までの間に必要な予算措置及び地方交付税措置について、厚生省といたしまして関係省庁とも協議しながらその確保に努めてまいりたいと考えております。
  107. 持永堯民

    持永政府委員 法的な責任をはっきりした上でという御指摘でございます。先ほど来御議論ございます中で、老人福祉法の改正が今度出されておりまして、その中で市町村の役割というものもかなり明確になってくる、こういうことでございます。  そこで、法律の改正がされました場合におきましては、それを踏まえまして、例えば市町村が将来入所の措置もするということになっているわけでございますので、そういった場合におきましては、その措置費の一部を市町村が持つということも出てまいりますから、当然その分については交付税で措置していく。それから同時に、そういった事務も新しく出てまいりますので、その事務費あるいはその必要な人員問題等についても、これは厚生省所管でありますが、厚生省とも十分御相談しながら、各市町村の事務に支障が出ないように、人員の面、経費の面で的確な措置をするようにしてまいりたいと考えております。
  108. 小川信

    ○小川(信)委員 福祉行政はやはり国、県、市町村というそれぞれの公的な責任でこれをやるのだということを明らかにされた上で、いろいろなボランティアなり団体やいろいろなところの協力があって進められていくべきであろうというふうに思っております。行政としての責任を明らかにしていただきたいということでございますが、現実の在宅福祉サービス、十カ年戦略にしてもビジョンにしても目標数字は設定をされております。しかし、これは数字を並べて数字合わせでできたというものじゃなくて、やはり質的な内容の充実がなければ介護を受けるお年寄りの方々のニーズにこたえることはできないし、またお年寄りを抱えておられる家族や地域社会の期待にこたえることはできないというふうに思っております。先ほどの中でも、いろいろ施設的なものは割に計画どおりいくわけですけれども、一番大事な人間、動いてもらうホームヘルパー、この問題が一番大事だと思いますが、数としてもなかなか確保できない。しかし、数以上に大事なのは、このホームヘルパーの質の問題だろうと思いますけれども、このことについて、質的充実を図るためにどのような措置を考えられておるのか、その辺を……。
  109. 辻哲夫

    ○辻説明員 ホームヘルパーさんの質の確保につきましてでございますけれども、そもそもホームヘルパーさんが対象とされる虚弱なお年寄りあるいは寝たきりのお年寄り、このような方々は心理的、社会的、肉体的なそういうさまざまな状況を持った方々でございまして、その方々に対して的確な判断ができる、そしてまた的確な対応ができるということは、これはなかなか大変な仕事でございます。特に、これからは介護と申しますか、寝たきりのお年寄りといったような要介護状態のお年寄りの問題が大きくなりますと、ますますその資質の問題は重要になる、こういう認識を私どもも持っております。  そのために、一つには、介護そのものを位置づけますために、昭和六十三年度から新たに介護福祉士制度という、国家資格と申しますか、そのような介護の専門性というものを位置づける資格制度が導入され、それに基づきまして専門職が育ちつつございます。それから、ホームヘルパーさんの事業そのものにつきまして、昭和六十二年度から本格的な採用時の研修それから定期的な研修といった研修制度を国の補助金をもちまして導入いたしておりまして、そのような流れで、私ども精いっぱいの努力をいたしておるところでございます。
  110. 小川信

    ○小川(信)委員 今言われるように、三百六十時間コースとか七十時間コースというような形で、研修はしたから資質が高まっていくというんじゃなくて、やはりホームヘルパーというものはもっともっと大事な役割を持っておるんじゃないか。言うなれば、一人暮らしなり寝たきりの方々の家事全般についてのお手伝いをしなきゃならない、それから入浴の手伝いとか、おしめを取りかえるとか、いろいろなそういうふうな対人的なケアもあるでしょう。それから社会的なケアとしての、かわっていろんな社会の対外的なものとの対応をしていかなきゃならぬというような、家政婦さんプラス保健婦さん、そして親がわり、子供のような役をしていかなきゃならぬというような非常に大事な重い仕事をお持ちだろうと思います。  それからもう一つは、きょう行ったけれども次の日は違った人がというのでは困りますし、いわゆる継続性というものがなければいけない。それから、いつも決まった日には必ず来てもらえるということが必要になってくるだろう。それから、この介護を要するお年寄りにはこういうふうな介護が必要だということを計画的に進めていかなきゃいけないというような問題もありましょうし、お年寄りの方に対応するためには、高齢者のための諸制度というものについても一定の知識水準を持っておかなければ、それから情報も得なければならないというようなこと等考えてみますと、さらには、家庭に入り込んでいろんなお世話をする、時には貯金なんかの資産の管理もかわってやってあげなきゃならない、こういうことになりますと、秘密がきちんと守れるような守秘的なものが必要になってくるだろうと思いますので、そういうふうなホームヘルパーの現状をお聞かせいただきたいと思います。  私は、非常に大事なホームヘルパー、現在おられる方々がどういうところに所属されておるのか、自治体か、社協か。そして、その人たちの身分がどうなのか。そして、いわゆる労働条件、待遇がどういう状況になっているのか、その辺の現状をお聞かせいただきたいと思います。
  111. 辻哲夫

    ○辻説明員 ホームヘルパーさんの所属でございますが、まず市町村職員としての方がおおむね六四%、それから社会福祉法人としての社協、社会福祉協議会の職員という方がおおむね三六%ということでございます。  それから、その勤務の形態でございますが、常勤、非常勤がほぼ半々といった形になっております。  それから処遇でございますが、これは国の予算上ということになるわけでございますけれども、国の予算上は、平成元年度におきまして、それまで年額百五十七万円ということになっておりましたものを、介護中心型の者につきましては二百三十六万円という形に引き上げたという状態でございます。
  112. 小川信

    ○小川(信)委員 今説明されましたように、行政職員ということになっておるのが約六割、社協の職員が約四割ということですし、非常勤の方々等が半分を占めておる。こういうふうな身分的に、客観的に見てもまだまだ不安定な状態が大部分だ。月給でなくて時給の方々もおられるだろうと思います。そういうふうに身分も、そして労働条件、いわゆる待遇も必ずしも十分でない。そして、そういうふうな十分でない状況の方で、ボランティアだから、家庭奉仕員だから、いわゆるサービスというような形で大事な役割を押しつけてしまうのではないかと思っております。  そうすると、厚生省で考えられるホームヘルパーとしての役割、要件、私は先ほど幾つかのものを申し上げましたけれども、そこまで期待しておるのではないのだ、だから待遇もこのくらいなんだ、身分も今言ったような身分の範囲で満足しているんだ、十分だというふうにお考えなのかどうか、その辺を聞かしていただきたい。
  113. 辻哲夫

    ○辻説明員 ホームヘルパーさんの業務そのものにつきましては、先ほど申しましたようにこれからは相当程度の専門的知識や技術が必要であるといった状況にありますので、その質の確保のための措置を講じておるところでございますけれども、これを進めます場合に重要なことは、先ほども御指摘ありましたが、保健婦さんとの関係とか生活上のさまざまな相談とかいうことがあるわけですが、私どもはそのそれぞれの専門職の役割分担に基づいたチーム方式というものを導入していくということで、市町村高齢者サービス調整チームといった形を導入させていただきまして、そしてケースワーカーさんや保健婦さんやホームヘルパーさんがチーム方式で円滑に役割を果たす中で、その役割を果たしていく。それから、これからはホームヘルパーの業務の内容から申しましても、研修といったことを前提といたしますが、欧米の例に見られますようにパートヘルパーといった形態も必要である。そのような形態を合理的にチーム化する中で、それぞれの役割分担を果たします中で、よいサービスが提供されるように確保してまいりたいと思っております。
  114. 小川信

    ○小川(信)委員 今話がありましたように、欧米のパートヘルパー、欧米はパートであろうと正規の機関の職員としてきちんと位置づけられておりますね。そういうふうにパートであろうと、時間的にこれに従事しようと、それから専門的に従事しようと、身分的なものをきちんとするということは、今から十カ年戦略で十万人のホームヘルパーをつくっていこうという上では非常に大事だろうと思いますし、さらには先ほど話がありましたように、ホームヘルパーは研修をやらなければならない。いろいろなものがあるわけですので、ただ機械的に一人の人間が一週に何回どこどこへ行かれるというようなものじゃなくて、一時間で介護が済む家もありましょうし、半日はおらなければならないものもある。単純に算術計算的にいくものじゃないというようなことから見ますと、十万人の数は、私は現実まだまだ欧米諸国に比べても少ないのじゃないか、さらには身分的にも待遇的にも弱いのではないかというふうに考えております。  そういうふうなことも考えながら現状を思いますと、福祉のサービスの水準、これは残念ながら、我が県を見ましてもそうですけれども、本当はあってはならないのですけれども自治体間の格差、相当取り組みの格差があるというのが現実だというふうに思っております。  これはやはり県なり市町村の間の福祉サービス、高齢者福祉というものに対する認識の差もあるかもわかりませんが、財政的な力量の差が大きなものとしてあるのではないかと私は思いますが、この辺について、自治省の御認識はいかがでございますか。
  115. 持永堯民

    持永政府委員 財政事情によって格差と申しましょうか差があるのではないかというお話でございますが、財源措置をいたします場合におきまして、基本的には交付税制度を使ってやっているわけでございますけれども交付税制度を通じた上で福祉関係の経費についてもそれぞれ所要額を算定はしているわけでございまして、そういった意味からしますと、地方交付税によって財源調整がされているわけでございますから、その中でなおかつばらつきがあるとすれば、それはそれぞれの市町村の実情でございますとか市町村の皆さんの考え方でございますとか、そういうことも大いに影響があるのではなかろうかと思います。しかし、これからは、先ほどお話がございましたように、老人福祉法が改正されれば法律的にも市町村の責任なり役割がはっきりしてまいりますから、よりそれに添った財源措置もきちっとしていかなければなりませんし、ある程度は地域の実情等によってやり方が違うというようなことはあると思いますけれども、基本的に行政サービスに極端に差が出るとかいうことであってはならないわけでございますので、そういうことにならないように、つまり、財政力が弱いから法律で決められた仕事ができないというようなことには決してならないような措置をとっていかなければならないと思っているわけでございます。
  116. 小川信

    ○小川(信)委員 よその県のことはわかりませんので、私の出身の県のことを申し上げるのですけれども、この高齢者対策について各種の単県の事業をやっているわけですが、それの実施市町村を見ますと、山口県は五十六市町村ありますけれども、これに取り組んでいるのがそのうちの三十幾つということで、約二十ぐらいの市町村は現実に参加できていないということがあるわけです。ですから、法律によって国の事業としてやるものは義務的な形としてやられるけれども、単県事業、さらにその上で単独事業という形になってくると、単市や町村独自の事業ということになるとさらに難しくなってきて、それらが全体的に格差として住民の皆さん方の目に映るようになってくるのではないかというふうに思うわけです。特にこの高齢者福祉サービスというのが緊急な課題でございますけれども、この緊急の中でさらに特に重要な早くやっていかなきゃならない町村を見ますと、いわゆる高齢化率が非常に高い町村。これを見ますと、山口県の実情は、高齢化率は一四・七%ということで全国で七番目というように非常に高いのですが、六十三年を見ますと、その中で過疎町村は二三・八%というふうに二四%、既に二〇二〇年の水準に過疎町村はいっているということです。それから、後期高齢者が占める割合なんかも、県全体が六%、全国は四・五%ですけれども、町村部は八・四%というふうに非常に高い、こういうふうなことです。いわゆる高齢化世帯がだんだん物すごい勢いでふえているのは過疎地域で過疎町村だということなんです。それからまた、いわゆるその過疎町村というのは、重ねていきますと農村になります。農家調査の推計から見ましても、農家人口の中に占める高齢人口の割合の高い県は山口県が日本一高いのですけれども、広島、高知、愛媛、鹿児島、岡山、何か中国、西日本に偏っておるというようなこともあるわけなんです。ちなみに、総人口に占める農家人口の割合は一六%ですけれども、六十五歳以上の人口のうち農家人口が占める割合は二六・七%、過疎地域そして農村地域というのが非常に急を要するところになっている。しかし、そこは残念ながら独自の税収入等も少ない、いわゆる自主的な財源が少ないというところであることは否定できない事実だろうと思うのです。  交付税の改正案の中で高齢化対策に対して対応していきます、一〇%程度の伸びを示しておりますというふうにやっておられますけれども、その具体的な内容はどうなっておるのか。そして、今申し上げたような力の弱い、急いでやらなければならない町村に対して特別の補正的なものを交付税の中で行う必要があると思うわけです。いわゆる高齢化率補正というようなものを急いでやっていかなければならないと思っております。それが福祉サービス水準の均衡化を図る上で非常に大事だと思いますが、この辺について自治省のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  117. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 お話がございましたように、福祉の施策につきましても、国庫補助事業はともかくといたしまして、県の単独事業にかかわるものあるいは市町村単独事業について、財政力の弱いところではなかなか取り組みにくいような財政事情にあるということも確かに考えられます。  しかし、交付税算定について申し上げますと、御承知のとおり、社会福祉につきましては人口を測定単位の数値としておりまして、基本的には人口に比例するような計算ということに相なっておるわけでございますけれども、実際に老人関係の経費につきましては、県分の計算におきましても、あるいは市町村分の計算におきましても、いずれも人口の六十五歳以上の者の割合というものを使った補正を行っておりまして、老人対策経費を割り増しして算定するということに相なっております。  それから、いろいろ数字を挙げて御説明がございましたが、おっしゃるように、高齢者比率が高いところは農山村地域であったり過疎地域であったり、こういうところがかぶるわけでございます。これは社会福祉に限ったことではございませんけれども、一般的にそういう団体は規模が小さいわけでございます。したがって、測定単位の数値、この場合は人口でございますけれども、そういうものの規模が小さくなればなるほど行政経費は割高になるような要素もございます。そういう事情に着目して段階補正というものを施しておりまして、一人当たりの単価を割り増しして計算するという仕組みもございます。  さらに、過疎地域の話が出ましたので申し上げますと、先般この委員会の皆様方の共同提案によりまして成立いたしました新しい過疎法によっても、これは施設面でございますけれども、高齢者の福祉関係の施設につきましては、従来のそれよりもかなり幅広に取り上げて、単独事業等も幅広く取り上げていくということにいたしております。そういたしますと、御承知のとおり、過疎債はその償還に当たって交付税に算入されるということに相なりますので、結果としてはこれも交付税面でそういうところに寄与するような働きが期待できるものと考えております。  現状はこういうことでございまして、財政力の弱いところにつきましても福祉の施策におくれをとることにならないように、私どもとしては適切に措置しておるつもりでございますが、今後ともそのような方向で取り組んでまいりたいと考えております。
  118. 小川信

    ○小川(信)委員 一般的な積算の算定の中では今おっしゃるようなお話でございますけれども、特にハード面は過疎対策とかいうような形で過疎債の問題等もやられるのでしょうが、今一番問題になっておりますものは、先ほどから私が申し上げておるようにホームヘルパー、いわゆる家庭奉仕員、これが非常に必要だ。そして、都市部と違って、こういうところは散在しておるというような形の中で、非常に厳しい環境条件の中で、一番緊急に求められておるのがこのような地域だということであれば、このことについて特定しての交付税での積算方法、積算というものを特別のものとして考える必要があるのではなかろうか。でないと、十カ年戦略、自治大臣も了解、同意して十カ年先に十万人の人員を設置しようということでございますが、私は十万人は少ないと思いますけれども市町村独自でそれにさらに上乗せする要員の配置をということになると、思い切った、このことに限っての財源的な裏づけというものを考える必要があると私は思っております。重ねてその辺についてお考えを聞かせてもらいたいと思います。
  119. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 先ほど来お答え申し上げておりますように、老人福祉法の改正案が現在提案されておりまして、それが成立した暁におきましては、市町村において何をしなければいけないかということも明らかになってくるわけでございまして、もちろん、おっしゃるように人材の充実ということがその中でも核心になることと思います。ただ、これもお話にございましたように、人材の育成につきましては一朝一夕に物にならない点がございまして、必ずしもお金だけの面では進んでいかない点もあろうかと思います。しかしながら、そういう点も克服しながら、徐々に人材面の手当てが進んでまいりますとすれば、その実情に即して適切に措置をしてまいりたい、私どもこのように考えます。
  120. 小川信

    ○小川(信)委員 次に、福祉サービスというのは永続的なものでなければいけない、経済的な変動とかいろいろな変化で福祉サービスというものが中断されたり縮小されたりするということはやはり大きな問題がある。そうしますと、いわゆる財政的な保障措置、これの問題についてですけれども、財政的な保障措置としてやるのは、一つ交付税というもので対応するということの保障もありましょうし、それから、直接国庫負担として法律で明記してでも国としてこれだけのものは負担をするんだというやり方もありましょう。  特に、市町村の段階でもう一つ考えられるのは、県、市町村というか地方自治体で高齢者福祉基金というようなものをつくって、そして十兆なら十兆でも積んで、これを原資にして安定した財源を確保する、こういう措置等も考え方によっては考えられるのじゃないかと思います。国段階では、社会福祉医療事業団に六百億円の追加をして七百億というようなものがあるようですけれども全国市町村が安定した財源として必要な基金といえば何兆円というような金を積まなければならないと思いますが、こういうふうな、県、市町村、いわゆる地方における高齢者福祉のための基金づくりというふうなものも必要だろうと思いますけれども、この辺について、自治省厚生省、それぞれお考えを聞かせていただきたいと思います。
  121. 持永堯民

    持永政府委員 在宅福祉の財源の永続性といいましょうか、安定性ということからのお尋ねでございますが、今度お願いしております老人福祉法の改正でございますけれども、その中でも、国と都道府県、市町村の負担を決めるようなことになっておるわけでございまして、いずれにしても、国と地方が協力をして、両方が責任を分かち合いながらやっていくということが必要だろうと思っております。そこで、国が持つ分は結果的には国の補助金という形になりますし、地方の持ち分は交付税で措置するという役割分担、費用分担になっていくものでございます。  それから、基金の問題でございますけれども、例えば老人ホームをつくるとか老人ホームの運営費とかホームヘルパーの人件費とか、そういう毎年度の経費というのは、基本的には毎年度のフローの財政需要として、地方財政計画でありますとか補助金でありますとか交付税という形で措置をしていくというのが基本だろうと思っております。平成年度の場合におきましても、そういった形で、例の「高齢者保健福祉推進十か年戦略」にかかわる分についてもそういう措置をさせていただいているようなわけでございますが、御指摘の基金の問題でございますけれども、これは一つの検討すべき課題ではあろうと思っております。  具体的にどう扱うかということにつきましては、これからの毎年度の財政状況でございますとか財政需要の動向でございますとか、特に福祉にかかわります、地方団体がどういうような対応をされていくのか等々勘案しながら検討して、その上で判断をしてまいりたいと思っておりまして、一つの検討課題、研究課題ではあると思っております。
  122. 辻哲夫

    ○辻説明員 これからの高齢化に伴います福祉サービスとして、やはりきめ細かさということは大切でございます。そういう観点から、私ども国といたしましては、基幹的なといいますか、基本的な福祉サービスについて補助金を出させていただいて整備を進めておりますけれども、もとより地域独自のさまざまな取り組みが進むことはさらに必要なことであるというふうに考えております。
  123. 小川信

    ○小川(信)委員 五分前になりましたので、最後の質問になりますけれども、実は新日本製鉄、千代田生命、日本生命、清水建設、長谷工、NTT、伊藤忠、第一生命、味の素、西武百貨店、東急、神戸製鋼、平安閣グループ、麻生セメントというふうな会社の名前があります。これは実はシルバーサービスを既にやっておるなり、今から始めようということで計画をしておられる民間の企業でございます。いわゆる業種を問わず、たくさんの企業がシルバーサービス部門に民間として入っていこうとしておる。それから、介護費用保険なんかを損保の各社が一斉に始めておるということですね。これは、高齢化社会への対応に対しての公的責任に対する不安があるからこういうふうな民間企業の参入が可能になる。金持ちはこれで済むのかもわかりませんけれども、普通の人間はこういうふうなシルバー産業にお世話になるということはできない。やはり公的な福祉サービスに期待をせざるを得ないと思います。またそれが普通であるというふうに思いますが、やはり高齢化社会への対応の基本は、公的責任というものを何としても確保しなければならぬということが、先ほども申し上げましたけれども、大事だというふうに私は思います。  高齢者福祉の最前線で努力しておられるのが市町村の首長さんであり、職員である、そしてその対象となっておるのは市町村住民の皆さん方ですけれども、この最前線での市町村が安心して将来にわたって全力を挙げて取り組んでいけるような環境をどうつくっていくか、こういうことについて自治省は、市町村の立場に立って厚生省に対して、関係省庁に対して強く要求していただくことが必要だろうと思います。  最後に自治大臣の御決意を聞かせていただきまして、質問を終わりたいと思います。
  124. 奥田敬和

    奥田国務大臣 この高齢者十カ年戦略も含めて、これらの諸施策を推進していくためには、本当に私たちとしては適切な財源措置がなされるという形が、これが一番基本に大事なことでありますし、この問題については既に昨年の七月、自治省として厚生省にもしっかり申し入れておるところであります。  なお、委員が御指摘のように、必要な要員確保、この面に関しても本当に教えられるところが多かったわけでありますけれども、所管省である厚生省もいろいろな多彩なアイデアでチームづくりにも努力されるということでございますから、これらの措置が万全の形でやっていけるように、第一線の市町村自治体に対してお手伝いしてまいりたいと思っております。  なお、先ほど委員言われましたけれども、公的なこういった整備はもとより大事でございますが、やはりそれぞれの多彩なこういった形での老齢化社会に対応するメニューがあっても私はおかしくないのじゃなかろうか。しかし、市町村自治体がこれらの高齢化戦略に、一番の責任者である自治体で万全にできるように最大の措置を講じてまいりたい。決意を表明しておきます。
  125. 小川信

    ○小川(信)委員 それでは、これで終わります。
  126. 島村宜伸

    島村委員長 午後二時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時三十分休憩      ────◇─────     午後二時三十七分開議
  127. 島村宜伸

    島村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中沢健次君。
  128. 中沢健次

    ○中沢委員 二十四日から交付税の審議が始まりまして、私は事実上の最後の質問者になりました。一時間半の時間をいただいておりますけれども、委員会運営に協力をする意味で、四時までには終わりたいと思っております。  さて、私自身は四月十七日の委員会で産炭地の財政問題を中心にして質問に立ちまして、大臣からも懇切丁寧な非常に積極的な御答弁もいただいてまいりました。話は少し横道にそれると思いますけれども、実は今度の選挙で引退されました我が党の細谷大先輩、党派を超えて地方行政の神様、こう評価をされておりまして、引退されて非常に残念なのでありますけれども、神様がいなくなっても仏様はたくさんいらっしゃる、そういう思いでいっぱいでございます。大臣にしても、委員長にしても、各党の理事の皆さんや委員の皆さん、確かにいろいろ議論はするけれども、お互いの党派の違いはあるにしても、地方行政、財政について非常に心配をされて、優しく、温かく、何とか地方のためにしたい、神様はおりませんが仏様がたくさんおる、こんな思いでいっぱいでございます。  それは一応別にいたしまして、実は昨日参考人三名の方の出席をいただきまして、いろいろ貴重な御意見をちょうだいして委員会審議をいたしました。私どもとしては北海道の産炭地の三笠の市長に参考人に来ていただきまして、産炭地の自治体の首長としての行財政全般にわたる非常に率直な、しかも切実な、現場の責任者でありますから非常に率直な御意見をいただきました。恐らく私だけではなしに、関係されている委員の皆さんもいたく感銘をされ、それぞれの胸にいろいろな思いを残されているのではないかな、このように推察をするわけであります。  さて、そこでひとつ大臣に決意のほどをお聞かせをいただきたいのでありますが、実は三笠の市長からは二つほど具体的な希望も含めてお話がございました。炭鉱が閉山になると町が非常に暗いムードに覆われて行財政全体が危機に直面をする。町づくりを含めて、これから明るい三笠の再生を期したい。そのためには、ことしの七月の一日から九月の三十日まで三笠におきまして「中国恐竜と三笠アンモナイト展」、これを実施をする。たまたまあそこは、北海道あるいは全国的にも有名だと思いますが、化石を産出をするところでございまして、文字どおりそういう特色のある町おこしとして、ソフト面としては非常にすばらしいアイデアであって、立派な計画であるというふうに私は評価をいたします。  市長の方からありましたのは、このことについて特別に自治省から補助金が欲しいとか、そういう具体的な話ではございませんでしたけれども、一般論としては、産炭地自治体財政に対して、例えば人口急減の短期補正の問題ですとか、あるいは過疎債の優先配分の問題ですとか、あるいは交付税について普通交付税、特別交付税を含めて、そういう意味での政治的な配慮をぜひお願いをしたい。そういう総体的な財政のてこ入れを受けて、この博覧会についても成功させたい。こういう趣旨の発言があったわけであります。したがって、昨日大臣は直接ここには出席されておりませんでしたけれども、そういう市長の非常に切実な希望に対して、私は率直に受けて、いろいろ大臣としてもやっていただきたいと思うのでありますが、そのことについての大臣の見解をお示しをいただきたい。  あわせて、昨年の九月の炭鉱閉山跡地でございますが、北炭が持っておりました会社の土地、これは抵当権に入っておりまして、そう簡単には市の方では買収できないのであります。しかし、実は所管の通産省とも私も橋渡しをいたしまして、いろいろ今買収についての話を進めております。恐らく全部ではないと思いますが、八十ヘクタールぐらいで、固定資産評価額でいうと六億円程度でありますから、東京あたりではびっくりするくらい安く買える要素があるわけです。ただその場合に、ああいう財政事情でありますから自主財源がなかなか出てこない。そうすると、公用地の先行取得債の問題ですとか、さまざまな自治省としては配慮の余地があるのではないか。この辺についてもひとつ大臣の方から見解を聞いておきたいと思うのです。  それとあわせまして、私の出身の夕張。この間の委員会では別件も含めて夕張にもお越しいただける、こういうことで地元的には大変お待ちをしておりましたけれども、残念ながら予算委員会の審議に関連をいたしまして、大臣は北海道にお見えになりませんでした。この際ですから、ひとつ時期を別にして、やはり産炭地の自治体財政あるいは行財政全般について、自治大臣としても、ぜひひとつ直接現地を訪れていただきたい。  もっと言いますと、夕張もちょうど選挙のさなかでありましたけれども、フランスにアボリアッツというところがございまして、これは観光地、国際映画祭で非常に有名な場所でございます。夕張もソフト事業として、あのアボリアッツの国際映画祭を一つのモデルにしてぜひひとつやろうということで、例のふるさと創生の一億円を思い切ってこれに投資をいたしまして、約一億八千万規模の国際映画祭を既にこの二月にやっております。恐らくこれは毎年やるということになると思います。そうすると、大臣が強調されておりますふるさと創生一兆円構想、とりわけ交付税で措置をされますソフト、ハードを含めて約五千億程度の財政的な側面から、あるいは特別な財政的なてこ入れにつきまして、そういう範囲を広げた展開についても改めて、大体三つくらいになると思いますが、大臣の見解をぜひお聞かせいただきたいと思います。
  129. 奥田敬和

    奥田国務大臣 中沢委員の産炭地への大変な社会的激変に寄せられる郷土愛と申しますか、そういうのはかねがね尊敬しておりますけれども、本当に私もあなたのそういったお気持ちには高い評価をいたします。  結論から申しますけれども、今幾つか言われた問題点の措置に関しては、あらゆる形でそのようにやってまいりたいと思っております。  冒頭に、御引退なされた細谷先生のお話が出ました。私はそのことも胸の中に熱いものが込み上げてくるのです。実は十五年前、ちょうど自治政務次官で初めてこういった形で地行の委員会に出たときに、温厚な細谷先生に何かと御指導をいただいたことをまるできのうのように思い出しておったわけであります。  地方行政の神様、まさにそのとおりでありましたし、晩年の引退寸前まで池行と予算をかけ持ちされまして、地方行政に最後までお力をいただいておったということで、党派を超えて尊敬する政治家の一人として今のお話を大変熱い気持ちで承っておりました。  どうも委員はいつも人を泣かせるような質問をされるわけでありますが、きのうも三笠のそういった背後事情もお聞きいたしました。先般は幌内中学――三笠市長といえば幌内中学を思い出し、幌内中学を思い出せばあの「閉山・三年A組の春」という形でのNHKテレビのドキュメントをまた思い出すということで、そういった前段の形で熱いものが込み上げている中で幾つかの要求を出されたわけですが、そういった形になりますと、私としてはこれは全面協力をせざるを得ないわけであります。  いろいろございました。イベントのこともありましたし、ふるさと創生にまつわるソフト、ハード面でいろいろ努力されておられる。いじけず、たくましくというあの幌内中学の先生の言葉どおりに、ふるさとづくりに三笠市長さんらも頑張っておられるんだなとつくづく思いました。  そういうことで、先般は夕張の方も視察をするという約束をしておりながら、やむを得ない事情で取りやめになったということも申しわけなく思っております。委員から夕張の市長さんにも、本委員会の席をかりて、地方視察をキャンセルしたことを本当に申しわけなく思っているということを伝えていただきたいと思っております。  いずれにしてもいろいろな御要望すべてが、過疎債の特例的な優先配分とか特交その他に関しての問題あるいは先行取得の土地の問題、イベントを年々やられる。ソフト事業でそういった形でやられるなら、これはやはり単発的なものではなくて継続的にやって、そのイベントとしてその地域の本当にいいお祭りにしていただきたい。また展覧会もやられるということでもございまし、化石の何か博覧会もやられる等々あるわけでございますけれども、これはそういった意味先ほど申し上げたとおりの結論で、私は全力を挙げてお手伝いを申し上げます。  なお、短期の急減補正の適用延長の問題についても指摘されましたけれども、これらについても適切に、御趣旨に沿うような形で措置してまいりたいと思っております。いろいろ具体的な形についてはもうちょっと、数字的な問題も挙げられたわけですから、政府委員からもお答えさせることができますけれども、どうかひとつ先生の産炭地に寄せられる熱情で、繰り返すようですけれども、たくましくふるさとが再生して活性化していただくように心から願っております。
  130. 中沢健次

    ○中沢委員 正直言いまして、私が期待をした以上に非常に熱意あふるる、情のこもったお答えをいただきました。ぜひひとつ政府委員の皆さんも、改めて答弁は求めませんけれども大臣の心情なんかも深く御賢察をいただきたい。かねがね私も言っておりますが、ぜひまたよろしくお願い申し上げたいと思います。  さて、しんがりの質問でありますけれども、もう大抵のことは今まで議論がされた感じもしないわけではありません。しかし、大事な点につきまして確認の意味も含めて、あるいは若干角度を変えまして、以下、時間が許される範囲内で具体的な点を幾つかお尋ねをしたいと思います。  まず第一には、地方財政についての認識は、結論としては、大臣も我々も、少なくとも地方行政委員会関係する方は基本的には一致をしている、私は結論的にそのように受けとめておりますけれども、もう少し具体的な事実を含めて再確認の意味で質問させていただきたいと思います。  よく言われておりますように、地方財政は非常に大変だ、国の財政の場合は単一構造であるけれども地方の財政は重層構造であって、三千三百、さまざまな問題がある。これは私も全く同感であります。そこで、それをもう少し具体的な事実を含めて掘り下げをして確認をしたい。このことを前提にいたしまして、一つ地方債残高、これは全国数字、例えば五十年決算時、六十年決算時、平成二年の見込み、これは普通会計が中心になるかもしれません。しかし、従来から委員会で議論をしておりますように、それ以外に企業債の普通会計の負担分、それも上積みをして、もっと言えば交付税特会で借りている残高も上積みをして、古い数字は別にいたしまして平成二年の見込みが最終的に幾らになってくるか。五十年と六十年と二年、推移と最終的なトータルの数字を改めてお聞かせをいただきたいと思います。
  131. 持永堯民

    持永政府委員 ただいまの御質問にお答えする前に、先ほどの中沢委員からの御質問、それから大臣の御答弁につきましては、我々事務方としてもしかと受けとめさせていただきまして努力してまいりたいと思います。  ただいまの御質問でございますけれども、普通会計の地方債残高、また特会の借り入れ、それから企業債の中で普通会計で将来負担すべきもの、これを合わせましたトータルで申し上げたいと思いますが、五十年度におきましては、これは補正後の数字でございますけれども、十四兆でございます。それから六十年度が、これは当初の段階でございますが、五十七兆二千億でございます。平成年度の当初の、今お願いしております法案なり予算が上がりましたことを前提にいたしますと、六十七兆三千億、こういうことでございます。
  132. 中沢健次

    ○中沢委員 それと同じような感じでお尋ねをしたいのは、公債費の負担比率問題、これは自治省の統計としては五%刻みでずっと全国の実態を把握をされている。私はかねがね委員会でも指摘をしておりますように、特に負担比率が二〇%を超える自治体というのは、自治省も認めておりますように自治体財政としては危険信号だ。黄色から赤に変わるのだ。そうならないようにいろいろな適正化の指導をやったり、自治省の権限の及ぶ範囲内でさまざまなことをやっているという話を聞いております。しかし、若干の数の減少はありますけれども、依然としてかなりの自治体が二〇%を超えている、こういう事実は明確だと思います。改めて全国の傾向がどうなのか、六十年と六十三年で結構でありますが、私の出身の北海道がどうなのか、それから大臣の出身の石川県がどうなのか、大変失礼かもしれませんが、この三つを取り上げて具体的な推移、数字をお聞かせいただきたいと思います。
  133. 持永堯民

    持永政府委員 公債費負担比率が二〇%以上の団体でございますけれども、まず昭和六十年度の決算でございますけれども全国で千三十六団体ございまして、全団体に占める割合が三一・四%、おおむね三割ということでございます。それから北海道の市町村につきましては、道は入っておりませんが、市町村について申し上げますと百十五団体でございまして、全市町村数の中の五四・二%、半分以上ということでございます。それから石川県につきましては十五団体でございまして、全市町村の中の三六・六%、四割弱という感じでございます。それから六十三年度決算でございますけれども全国で六百七十二団体割合が二〇・四%、北海道につきましては六十四団体で三〇・二%、石川県が八団体でございまして一九・五%、こういう数字でございます。
  134. 中沢健次

    ○中沢委員 今改めて数字を示していただきました。確かに六十年から比べると全国的にも、あるいは今の北海道、石川にしても、財政状況は好転をしている、こういう数字、傾向が示されているとは思います。ただ、全国平均に比べて北海道は二〇%以上も地方団体が多い、こういう現実の姿。石川の場合は、いろいろな事情があるのでしょうけれども、大体全国平均に横並び、こういうことが事実問題としても明らかになったと思うのです。  そこで大臣に改めてお尋ねをいたしますが、これ以上にもいろいろ財政分析のルートはあると思うのでありますけれども、それをやりますともう時間がありませんので、やめます。したがって、地方債残高が現在六十七兆を超えている。ただ、これは正直言いまして、最近第三セクターに各自治体がいろいろな形で参加をしている。第三セクターの、つまり債務でいうとなかなか把握し切れない、隠れ借金と言っていいんじゃないかと思うのですが、そういうものもプラスアルファとして相当程度存在をする。そういう量の問題で一つの大きな問題がある。  もう一つは、三千三百の自治体、それぞれさまざまな格差を持っている、これは明確だと思います。短時間のやりとりでもそのことは明確で、これはだれも否定ができない事実だと思います。したがって、四時からの大蔵大臣とのやりとりは恐らくいろいろあろうかと思いますが、自治大臣として、そういう実態を踏まえて、地方財政についての認識を改めてお伺いをさせていただきたいと思います。
  135. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今全国平均、北海道、石川ということで具体的に財政実態の大まかな数字でございますけれども、お取り上げになりました。確かに三千三百という自治体の中で、ある意味においては富裕な自治体もあります。しかし、大方は大変厳しい実情を抱えておることも事実ですし、特に過疎に悩まれる市町村においては、財政もさることながらすべての面で、いろいろな面で住民ニーズにこたえていくために大変御苦労なさっているという現状もよくわかっております。今日、六十七兆という多額借金を抱えるとはいいながら、確かにここ一年の経済好調に支えられまして財政状況は好転してきておるということだけは事実として否めないわけであります。特に一般財源、交付税とて一般財源ですから、国の税収全体の好調の余波というものは当然還元されて地方財政の一つの健全化に寄与することは当然な帰結でございますから、そういった傾向は認めざるを得ません。  しかし、かといって、それでは余裕があるかというととんでもない話であります。今言われましたように、それぞれの地域が本当の意味の活性化を目指し、福祉対策の充実を目指していくという諸施策をやっていくとするならば、地方の財源は本当にまだ幾らあっても住民のそういったニーズにこたえていくことはできないくらい山積した課題、業務を抱えておるという実態もよく認識をいたしております。  したがって、今日における地方財政の現状認識いかんということになれば、依然として基調は厳しい、しかしそうかといって、一時的にしろ財政の健全化を目指す、そしてなおかつ必要なものに対しては財政措置にできるだけの応援をして、それぞれの自治体が個性的で魅力あふれる自治体として基盤を充実させていただきたい、こういったことで、基調はやはり厳しいという認識の点に立っておるということだけをはっきりさせておきたいと思います。
  136. 中沢健次

    ○中沢委員 再確認の意味で聞きましたけれども、そういう大臣の認識、見解をこれからもしっかり持ち続けていただいて、恐らくはこれから大蔵大臣との間でいろいろやりとりがあると思いますけれども、頑張っていただきたいと思います。  さて、次の問題に移りますが、これもかねてから論議がされてはおりますけれども、補助率の復元問題についてです。私も、昨年の委員会でも当時の大臣に対しましていろいろ指摘もさせていただきました。経過は一々申し上げません。昨年度は経常的経費の固定化ということを確定しましたし、投資的経費について言うと、平成年度は復元をする、元年度、二年度の二年間は継続をする、こういう政府内部の合意がありまして、それに対してはいろいろ意見がありましたけれども、私としては当時の坂野大臣に対しまして、いずれにしても残された投資的経費の復元については大臣としては全責任を持ってひとつ頑張ってもらいたい、大臣も、今後ともひとつぜひ頑張りたい、こういう答弁をいただいた記憶もあるし、議事録もございます。  そこで、大臣、前にも御答弁をいただいておりますけれども、実は五月二十三日の日経新聞報道というのは意外と全国にいろいろ影響を与えております。私もまだそんなに地元を歩いておりませんが、いやこれは日経新聞のようになっては大変だ、一体どうなんでしょうということを非常に深刻なまなざしでお尋ねを受けるのでありますけれども、しかし、先週のこの委員会の大臣の決意などがありましたからそれを紹介して、少なくとも自民党の中でも実力のある自治大臣が言うのだし、まあざっくばらんな話、大蔵大臣とは同じ派閥の関係なのだからそこのところはひとつ信頼をしていいじゃないか、私はそういうふうに党派を超えて言ってまいりました。そこで、ひとつ改めて大臣にその辺の決意をしっかり承っておきたいと思います。
  137. 奥田敬和

    奥田国務大臣 二年間の暫定措置、平成年度から六十一年度の率に復元するという形は、これは大蔵、自治両大臣の合意でもございます。したがって、これが補助率の問題の議論のスタート台であって、私としてはこれは最低のスタート台であって、本来、自治体にはあの五十九年ベースに復元してもらうのが本筋である。しかし、今仰せのように、地方自治体の工事量確保と、いわゆる特に、はっきり言うと財政力基盤の整っていないところは、ある意味においてはやはり公共事業というのがあらゆる意味での基幹産業的な面も持っておりますから、やはり各自治体の長はそれぞれの形で事業量の面も確保したいという御意向も強いようでございますから、これらの御意向もよく踏まえましてさらに大蔵大臣とこの問題については詰めてお話をさせていただきたいということでございます。したがって、その面については、暫定の二年間に関する限りは、少なくとも議論のスタート台は六十一年ベースの復元がまずスタート台である、本筋五十九年ベースであるという気持ちで折衝に臨むつもりであります。
  138. 中沢健次

    ○中沢委員 大臣の方から率直な決意も含めてありました。これは恐らく、同僚の委員からも指摘をされた際に、絶対守るものとこれを目指してやるものという大臣の本音が余り出過ぎまして、若干その受けとめ方に評価の分かれ方があったと思いますが、私は、やはり六十一年のラインというのはもうだれが何と言おうがこれはしっかり守ってもらいたい、これは全国の首長の切なる思いだと思うのです。できればということも含めて、それは立場上いろいろな言い方をされる人おりますけれども、五十九年まで守れと言う人もいるし、しかしそうはいっても五十九年もぜひ目指して頑張ってほしいと言う方もいろいろいらっしゃると思うのです。私はあえて私の意見は申し上げません。ぜひひとつ大臣として、これから今おっしゃったようなことを中心にしながら、六十一年、五十九年も目指して頑張っていただきたい、このことを重ねて申し上げておきたいと思います。  次の問題は、消費税についての論議というのは衆議院の税制特別委員会も設置をされましたし、私もその委員に指名を受けておりますから、そちらの方でひとつじっくりやらせていただきたいと思いますが、きょうは消費税の地方における転嫁問題を少しく取り上げてお尋ねをしたいと思います。これは昨年の六月の委員会でも私は取り上げまして、随分議論をした記憶もございます。  そこで、まず具体的にお示しをいただきたいのは、昨年の四月一日に消費税が導入をされた、地方財政にはさまざまな影響を与えた、歳入面、歳出面、どういう状況であったか、金額を含めて改めて具体的にひとつ示していただきたいと思います。  あわせて、せっかく御答弁に立つわけでありますから、これもかねて指摘がありますように、平成元年は歳入歳出も明確に数字が出ていたわけですね。平成年度の場合は、いろいろありまして数字は示すわけにはいきません、かなりアバウトであればいろいろ分析の余地があるでしょう、こういうお話だったと思うのでありますけれども平成二年についてももう少し具体的な内容のある答弁を私は期待したいと思うのでありますが、この二点お願いいたします。
  139. 持永堯民

    持永政府委員 まず、消費税の導入に伴います地方財政への影響でございますけれども、税制改革に伴う収支は別といたしまして、地財計画上の影響について申し上げますと、平成元年度ベースで歳出で六千三十四億円、これは主として投資的経費等でございますけれども、六千三十四億円の歳出増になります。歳入では国庫補助金でございますとか地方債等がふえてまいりまして、歳入の増が二千六百五十四億円。差し引きネットで約三千四百億円の影響が出るということでございます。それから平成年度でございますけれども、これは前にも申し上げたかと思いますが、平成元年度の予算あるいは平成元年度の地財計画は消費税の実施前につくったわけでございまして、その場合は消費税による単価の上昇見込み額を上乗せする形で計算いたしました。そこで、消費税相当分の上乗せ分を集計いたしまして、そして、先ほど申し上げたような数字を掌握することができたわけでございますけれども平成年度の予算なり地財計画は消費税実施後に編成したわけでございまして、元年度の場合と異なりまして既に消費税がいわば溶け込んでいる、そういう単価をもとにして計算をしておる。したがいまして、結果としては、消費税以外の要因によりますいろいろな単位の変動等もあるわけでございまして、そういった意味で今回の予算なり地方財政計画の中での消費税相当分が幾らかということを掌握することはなかなか難しいということでございますので、大変恐縮でございますが、そういう御理解をいただきたいと思う次第でございます。  それから、ざっと計算すれば出るのかどうかという点につきましては、これは恐らく税制改革に伴う地方財政の歳入面の御指摘かと思いますけれども、歳入面につきましても税制改革が行われました六十三年度ベースでは全体で地方財政の収支がおおむね八千八百億円の減収超過ということは前から申し上げているわけでございますけれども、元年度あるいは二年度におきましてはこの税制改革がもう実施をされているわけでございまして、そこで仮に税制改革がなかったとした場合の税収見積もりがどうなるかということにつきましては、先般も申し上げましたけれども、大変難しい問題でございまして、また事実そういう計算もしてないということでございまして、そういった意味で元年度あるいは二年度ベースでの減収分は掌握いたしかねるわけでございます。いずれにしても、そういうことでございますが、そういうもろもろの問題を踏まえながら元年度にしてもあるいは二年度にしても全体として財政収支が合うような形では地財計画をつくらしていただいている、こういうことでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  140. 中沢健次

    ○中沢委員 今、平成元年度の具体的な影響額について数字を改めて示されました。これは去年来のやりとりの中では何回かそういう数字も出されておりますから重ねて指摘いたしません。ただ、昨年の場合も結局歳出面で約三千四百億円地方にとっていうと被害を受けている。歳入面でいうと八千八百億円ぐらいの被害を受けている。だから、歳入歳出を足しますと一兆二千億ぐらいの、自治体の立場に立てば、被害と言うことはなかなか認めないと思いますが、影響を受けている。これをどうするかという議論を去年やりましたね。あの際はやはり地方についても相当の税の自然増があるだろうからそれで最終的な処理をしてもらう以外にない、こういう結論だったと思うのです。  さて、それと同じことを平成年度の今回に置き直しをして本当は議論をしたいのですよ。どうしてそういう数字が出せないのか。例えば学者から言わしたら、学者というか学問的に言うと、相当大ざっぱであっても数字はそれなりに出てくると僕は思うのですね。ただ、このことを責任ある自治省という立場で言うと明確に、アバウトな数字であろうが何であろうがなかなか出せないという立場は全くわからないわけじゃありませんよ。わからぬわけじゃないけれども、少なくとも私どもとしては、平成二年の消費税が導入された状態の中で地方財政にどういう影響があるか、これはやはり検証したいのですよ。ですから、本来であれば、立場はわからぬわけじゃないけれども、それをひとつ乗り越えて数字を示していただいてきちっとした議論をして、結果的にやはり平成年度も影響がかなりある。もっと言えば一兆円を超える影響があると私は思うのですよ。であれば、それは非常に申しわけないけれども地方の自然増収で賄ってもらう以外にない、そういう議論も一切なしに、あいまいにしたまま何となくこの問題を避けて通るようなことは、果たしてこの委員会として責任ある立場で議論をしたことになるのかどうか。  私は、別に精神訓話を言っているつもりはありません。少なくとも地方行政委員会というのはそういう問題を相当真剣に議論をして、地方の皆さんにも、そういう全体像と具体的な影響についてはしかじかこういうことになる、しかしこれはひとつ自然増で我慢をしてもらいたい、そういうやりとりをしなければちょっとまずいんじゃないかと僕は思うのですが、その辺はどうでしょう。もしあれでしたら大臣からお聞かせいただきたいのです。
  141. 持永堯民

    持永政府委員 御趣旨は十分理解できるわけでございますけれども、まず技術的な面から申し上げますと、例えば税収の見積もりと申しますか、仮に税制改正がなかった場合はどうなっておったかという見積もりをするといたしました場合に、住民税で申し上げますと、所得の刻みが三段階ということで非常に粗いものになったということもございます。改正前の仕組みは七段階の税率であったわけでございまして、そういう刻みが変わったことでもって推計が非常に難しいという問題がございましたり、あるいは障害者とか老人などの非課税限度額の引き上げがございましたりして、そういったことから納税義務者から外れていった方もおられるわけであります。そういったところが把握できない技術的な問題もいろいろあるわけでございます。  それからいま一つは、六十三年度ベースでいっても八千八百億と三千億幾らということで相当な被害といいましょうか、そういう御指摘でございますけれども、これは国税、地方税全体として二兆数千億のいわば国民負担の軽減をしたわけでございますから、その軽減をした中で地方は八千八百億、おおむね住民税の減税分に相当するものをかぶったと言いましょうか、そういうことになっておるわけでございまして、これはやはり国民の租税負担の軽減という観点があるわけでございますので、確かにそのことだけを見ますと地方団体が犠牲と言うとあれですけれども、かぶったような形になっておりますが、減税も必要性ございますし、地方だけが一方的に犠牲を強いられたというなら別でございますけれども、国もしかるべきそういうかぶりもし、地方も相応のかぶりをしたということでございますので、そこは御理解いただきたいと思います。  同時にまた、そういうことをいたしました後におきましても、平成元年度あるいは平成年度においてその影響はどうかという具体的なことはなかなか申し上げにくいし、計算もできないわけでございますけれども、最終的に、そういうもろもろの措置の結果を踏まえて歳入歳出を調整して地方財政が円滑に、支障のないように運営できるようにしていくことは重要なことではなかろうかと思っておるわけでございまして、そういった意味では、確かに一つ一つ分析してあれはどう、これはこうと言うことはなかなか難しいわけでございますけれども、要はその後の毎年度の財政運営が支障がないようにいくかどうかということではなかろうかと思います。そういう観点でぜひ御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  142. 中沢健次

    ○中沢委員 御理解をお願いしたいという財政局長のお話でありますが、正直言って、これはなかなか議論としてはかみ合わないと思うのです。私自身はなかなか納得ができない。しかし、どうしても数字が出せないし、議論をしたくてもできないわけでありますから、これはきょうのところはやむを得ないと思うのです。  さてそこで、今まで各委員の方からは余り指摘をされていなかった地方における消費税の転嫁問題について、具体的にお聞かせをいただきたいと思います。  昨年の六月の委員会では、あの時点の全国状況の資料をいただきました。ことしに入りましても、四月一日現在の各地方、都道府県別、政令都市あるいはその管内の市町村の実態、非常に膨大な資料もいただいたわけであります。消費税が入りましてもう十四ケ月、予算委員会その他の議論では、消費税は定着をした、こういう政府側の見解が統一的に出されている。私はそのことについては随分意見がありますけれども、きょうはそのことはさておきまして、地方における消費税の転嫁の状態が昨年の六月とことしの四月に約一年間ぐらいの時間差がありまして、どういう推移をしているか、大ざっぱな内容で結構でありますから、お聞かせをいただきたいと思います。
  143. 持永堯民

    持永政府委員 いわゆる公共料金等への転嫁の状況でございますけれども、昨年の六月との比較という御指摘でございましたけれども、私ども昨年の八月現在という数字とことしの四月の数字があるわけでございますが、これを比較いたしますと、一々細かく申し上げますと大変時間がかかりますからあれでございますけれども、総じて言いますと、ほぼ横ばい、若干はそれはパーセンテージ、一%とか〇・何%とかぐらい変わっているところもございますけれども、おおむね変化はない、こう御理解いただけばよろしいかと思います。
  144. 中沢健次

    ○中沢委員 私のいただいた資料も、この四月現在の細かい中身をいただきました。  今お答えがありましたように、昨年の八月に比べて余り大きな変化がない。これはどういうことを意味しているかというと、結局地方におきましては、昨年の場合四月議会あるいは六月議会で消費税の導入に伴って転嫁という条例を出す、議論をしながら決めたところ、継続審議のところ、いろいろあったと思うのですね。ところが、ことしの四月一日現在ということでは、確かにことしの四月議会を目前にしてということなんでしょうが、ほとんど転嫁の状況変化がないということは、逆に政府が言っている消費税が定着をしたということと裏腹に、地方でいえば消費税の転嫁が非常に難しい、住民の理解と協力が得られない。例えば公営住宅の家賃だとか上水道の水道料金だとか下水道の料金だとか、これはやはりそれぞれ住民にとっては大変な影響があるわけでありますから、住民の意向を聞いて、議会側では、仮に理事者から提案されてもそれは納得ができぬ、こういうことでずっと送られてきている、これが実態だと思うのですよ。  さてそこで、そういう事実については立場が違いましても、これは事実でありますから、やはり認識としては余り違わないと思うのです。問題は、自治省として昨年来いろいろやられていたと思うのでありますが、地方に対して消費税転嫁をもっときちっとやりなさい、私から言えば余りやってはいけない指導を去年来あるいはことしにかけてやっているのかいないのか、これから先この問題についての自治省としてのどういう指導方針をお持ちなのか、具体的にお聞かせをいただきたい。
  145. 持永堯民

    持永政府委員 転嫁についての指導でございますけれども、これはもう申し上げるまでもないわけでございますが、現に今消費税法という法律があるわけでございますし、また、その法律の中で転嫁をすることが必要であるという規定もあるわけでございます。また、地方団体はこの税制の円滑な推進に資するための環境整備もしなければならない。いろいろな立場があるわけでございますので、この法律の趣旨に従って転嫁することが必要であるという指導をしてまいっておりまして、かなりのところでは適切な転嫁も行われているわけでございます。  しかし、ただ、今お話がございましたように、いろいろな難しい情勢がございまして、政治情勢等もございましょう、そういうことで現実に転嫁ができないところも事実まだかなりあるわけでございますが、私どもとしては、消費税そのものについていろいろ御意見があることは承知しておりますけれども、やはり行政官といいましょうか行政を執行する立場の者としては、現に法律がある限りにおいては法律の規定に従って転嫁というものをしていただきたいということを申し上げておりますし、これからもそういうことを申し上げなければならない。その際におきましても、住民の皆さんの御理解を十分得ながら、そういうことに努力を引き続きしていくようにということを、今後とも申し上げてといいましょうか、指導をしてまいる必要があると考えております。
  146. 中沢健次

    ○中沢委員 今財政局長の方から行政府の立場として指導はやっていくのだ、こういうお答えでございました。私は一〇〇%そのことについて批判はいたしません。ただ、実態として、導入されてからもう十四ケ月経過しながらも、地方的にいえばさまざまな問題で転嫁ができていないという事実が厳然とあるわけですね。ですから、仮に地方に指導するにしても、やはり地方自治体の自主性を損なうような強制的な脅迫力を含んだ指導というのは、そういう意味でいうとぜひ避けるべきである、このことだけを指摘をしておきたいと思います。  さて、もうあと三十分ぐらいしか時間が残っておりませんので、この問題については、いずれ税特の場でもいろいろ議論もさせていただきたいと思います。  さてそこで、きょうは厚生省の方からも担当の課長さんに出席を求めております。私の前の質問の中で約一時間、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」を中心にしていろいろ意見の交換、指摘に対するお答えもいただいてまいりました。同じことをお尋ねすることはできるだけ避けたいと思いますが、少し角度を変えまして、特に自治省の財政措置なんかも含めて、具体的に厚生省と自治省に対して、以下お尋ねを申し上げたいと思います。  さて、今年度から十年計画、十カ年戦略、ゴールドプラン、いよいよ本格的に始動をする。私は個人的に言うと、これはやはり一歩前進であるという評価をしたいと思うのです。しかしながら、内容的にはまだまだ十分な内容になっていない、こういうことも当然あるわけでありまして、そのことをひとつ前提にして、まず厚生省に改めてお尋ねをいたします。  一つは、十カ年戦略の総体計画、それと具体的な事業推進、先ほどいろいろありましたので、詳しい中身は別でありますけれども、端的に総体計画と具体的な事業推進、とりわけ財政規模を改めてお示しいただきたいと思います。
  147. 横尾和子

    ○横尾説明員 全体の姿を端的に申し上げますと、これからの高齢者の処遇を充実するという観点から幾つかの柱を立てております。  一つ先ほど来御論議のあります在宅福祉対策の緊急整備、二番目が寝たきり老人ゼロ作戦、三番目が在宅福祉等充実のための長寿社会福祉基金、四番目が在宅に反対側の立場にあります施設の緊急整備等を柱としておりまして、そのほかに生きがいづくりでありますとか科学研究といったものを組み合わせているわけでございます。  特に、中心となっております在宅福祉対策について申し上げますと、ホームヘルパーを十万人、ショートステイを五万床、デイサービスセンター一万カ所といういわゆる在宅三本柱を掲げまして、これに加えまして、新しい施策の形として在宅介護支援センターを一万カ所ということを掲げてございます。  施設の緊急整備の方でございますが、この柱のもとに特別養護老人ホームを二十四万床、老人保健施設を二十八万床ということでございまして、十カ年でおおよそ五十万人を超える施設の整備を考えております。これに加えまして、新しい施策を二点つけ加えておりまして、ケアハウスを十万人分、過疎地のための過疎高齢者生活福祉センターを四百カ所、こういったことが概要でございます。  財源について申し上げます。  総事業費約六兆円強、うち国費が二兆円台半ば、地方費二兆円強、その他一兆円台の半ばということが大まかな試算でございます。
  148. 中沢健次

    ○中沢委員 御答弁ありがとうございました。  さて、そこで今ありました事業費の総額六兆円強という中身の問題。十カ年戦略でありまして、相当アバウトな財政計画にならざるを得ないということはわからないわけではありませんが、六兆円強の内訳でいうと、国費、地方費のほかにその他一兆円台半ばというのがあるわけです。その他で一兆円台半ばということは、先ほどの説明では施設の設置者等を含めてという話がありましたけれども、もう少し詳しい計画があればこの際、その他の内容についてお答えをいただきたいと思います。
  149. 横尾和子

    ○横尾説明員 その他の大きな部分を占めますのが社会福祉施設の設置者負担分及び老人保健福祉施設の設置者負担分でございまして、これは補助金で行きますものの残りを設置者が負担することになっております。それの部分につきましては、老健施設は一般運営費が支払われますので、その中で手当てをしていただくことになりますし、社会福祉施設についても同様でございます。なお、そういう運営費の中での手当てのほかに、こうしたその他負担に対する支援措置を設けておりまして、これはこの六兆円の中には含まれておりませんが、一般的に特別養護老人ホームでございますとか老人保健施設を設置される場合の融資の措置を設けているところでございます。こうしたことを総体として、その他負担分についてもある程度の支援ができているものではないかと考えております。
  150. 中沢健次

    ○中沢委員 さて、そこで十カ年戦略の内容でいいますと、これはまだ本会議に正式に法案も出ておりませんが、恐らく法案が出ますと社会労働委員会を中心にいろいろ議論がされてくると思います。そこで、平成年度の総事業費でいいますと、いただいた資料でいうと総事業費が三千六百億、国費、地方費、その他と分かれてそれぞれ数字が示されておりますが、その中で特に地方費の八百億円がどういう形で措置をされるのか、自治省に聞く前に、厚生省の考え方をお聞かせをいただきたいと思います。
  151. 持永堯民

    持永政府委員 平成年度地方負担、約八百億でございます。それにつきましては、老人ホームをつくるとか、いわゆる投資的経費もあるわけでございますので、それについては一部地方債を充当いたしまして、残額については、四百三十億円でございますけれども、これは全額地方交付税算定の基礎に算入をする、こういう措置をとる予定をいたしております。
  152. 中沢健次

    ○中沢委員 厚生省も、所管省としては恐らく同じようなお答えが出ると思いますので、以下、質問を進めさせていただきます。  そこで、今局長からお答えのありました八百億円というのは、交付税措置で四百三十億円、それから残りの恐らく三百七十億円ぐらいでしょうか、地方債の充当でということだと思うのですよ。さて、今度の戦略の基本は、行政的に言うと、都道府県の持っていた権限を町村に移譲する、そしてそれに伴う財政措置も国の責任と地方の分、地方の分について言えば交付税等起債で手当てをする、大ざっぱに言えばそういう枠組みだと思うのです。であれば、交付税で四百三十億、地方債で三百七十億ということは、私は地方債計画を改めて見てみたのでありますが、例えば平成年度地方債計画の八兆八千億の中に、厚生福祉施設整備事業ということでもう金額が出ています。ただ、これは前年度に比べて四十九億円しかふえていないのですね。  つまり、私の聞きたいのは、三百七十億起債で手当てをする。これはどういう起債で手当てをするのかということの具体的な内容を、自治省としてどういうふうに検討されているのか、あるいはこれから本格的に検討してこの地方債計画の中にはめ込んでいくのか、その辺ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  153. 持永堯民

    持永政府委員 起債の手当ては、原則的には今お示しございました厚生福祉施設の起債と思います。ただ、過疎地域等においては一部過疎債を使う場合があると思います。今のふえてないという御質問でございますけれども、実は十カ年戦略の計数のつくり方にも原因があるわけでございますけれども、新しく老人ホームや何かをつくるというものについては、去年と比べて幾らふえた、そういう数字ではなくして、新しくつくるものは根っこから十カ年戦略の数字に入っておりますから、そういう意味で、去年と比べて起債の額がふえてないということでございますが、増加額ではなくして、結局根っこから十カ年戦略の計数に入っておるということでございます。
  154. 中沢健次

    ○中沢委員 もう少し時間があれば専門的な角度でいろいろやった方が本当はいいと思うのでありますが、今局長からありましたように、それは地方債計画の中に組み込まれている、主として福祉の中に入っている、単純な増加は少ないけれども、全体計画で最初から入っている部分があるから、この戦略を具体的に平成年度で実施をする場合には、少なくとも交付税地方債でいえば支障がない、こういう受けとめ方でいいのですか、改めて。いいですか。
  155. 持永堯民

    持永政府委員 はい。
  156. 中沢健次

    ○中沢委員 それでは具体的にお尋ねをしたいと思います。  先ほど厚生省の方から、特にホームヘルパー、交付税で二十六億、四千五百人の財政措置をしている、こういうことなんです。問題は、厚生省も本年度から思い切って介護中心のホームヘルパーの人件費は相当大幅にふやして二百四十万円ぐらいにした、しかし、家事中心のホームヘルパーは百六十万円程度であるということだと思うのですね。  先ほど介護福祉士というお話がございました。これは福祉士法で、恐らくまだ一年か二年しかたっていないかもしれませんが、一つは、その介護福祉士が全国で何人配置をされているか、数字がわかれば教えていただきたいし、それと同時に、家事中心のホームヘルパーと介護中心のホームヘルパーの費用について、格差ということは余り適切でないかもしらぬけれども、ランクを別々にした。私は、これは決してだめだとは思いません。だめだとは思いませんが、ホームヘルパーの状況からいうと、全体的に常勤が半分で非常勤が半分だ、つまり、非常勤というのは不安定雇用労働者だというふうに僕はランクづけしていいと思うのですよ。  しかし、ホームヘルパーの仕事というのは、夕張だとかあちこちにもたくさんおりますけれども、待遇はよくない、仕事は大変だ。お年寄りの介護というと、これは肉体労働ですよ。介護技術でいえば、福祉の心という精神的な問題も当然大事ですけれども、やはり相当力がなければ介護できない、つまり、ホームヘルパーとしてはなかなか難しい。  であれば、現状においては確かに若干の上積みをしたということは評価をするのですけれども、もっと言うと、今全国的には大変な人手不足だと思うのですね。外国人労働者をああいう状態で雇うという都市部の実態、産炭地の場合は炭鉱閉山になって一時期雇用情勢が非常に悪くて失業者がいる、ということは、ミスマッチはありますけれども全国的に見ると人手不足、雇用状態が非常にシビアである。  その中で、十カ年戦略で、せっかくホームヘルパー四千五百人ふやす、待遇も若干改善をする。先ほど指摘がありましたように、研修の問題、量の確保ができるかどうか、質の問題も含めて、これは相当速いテンポでホームヘルパーに対する具体的な待遇の改善というのをやっていかなければ、予算上あるいは財政措置上は数はキープできても、現場の実態としてはホームヘルパーになり手がない、こういう実態になりはしないかと思うのですよ。  そこのところは、やはり厚生省としてはしっかり、いろんな現場の実態なんか把握をされていると思いますけれども、今日の現状から見て、今私が指摘をした将来のそういう問題についてどういうふうに認識をされているか。そういう問題が起こらないためにどういうふうにこれからやろうとしているか。もっとテンポを速めて、やはり数もふやして待遇をよくして、本当に寝たきりだとか介護の必要なお年寄りをしっかり面倒見る、こういうふうにやるべきだと思いますが、厚生省の考え方をまずお聞かせをいただきたいと思います。
  157. 辻哲夫

    ○辻説明員 まず、介護福祉士の人数でございますけれども、今まで二回試験が行われておりまして、第一回目が二千七百八十二人、第二回目が三千六百六十四人介護福祉士の試験に合格しておられます。  それから、ホームヘルパーのこれからの増員についての考え方でございます。  まず、御指摘ありましたように、基本的に処遇の改善が必要だということで、私どもといたしましては、これから介護型というのは非常に重要でございますので、平成元年度に五割アップの二百三十六万に引き上げさせていただいたということで、二年度予算案におきまして活動費の引き上げというものも織り込ませていただいておりまして、引き続き改善に努めておるというわけでございますけれども、確かに一般的な人材難の中でヘルパーの確保というのは本当に可能か、この点につきまして、ヘルパーを希望する者がそもそも一般的な人材難の中であるのかというような問題があるわけでございますが、基本的には、弱いお年寄りのお世話をするということは非常に大切な、社会的に評価される仕事だという国民の御理解をいただく中で発展させていくという意味で、社会的評価の向上やPRといったことを国として積極的に行わねばならないといったこと。  それからさまざまな工夫も必要だと思いますが、やはりこれから介護型と申しますときに、これまで市町村の直営あるいは社会福祉法人への委託をやっておりましたが、介護をやっている施設としての特別養護老人ホームに介護型といったものについて委託の道を開くといった形で多様な供給体制を確保いたしますとか、それからホームヘルパーの取り組みの進んでいる北欧と同様に、非常勤のホームヘルパーさんも、もちろん研修といった手当てをきちっといたしながら参入していただくといった形で、さまざまな方策を尽くしながら確保に努めてまいりたいと考えております。
  158. 中沢健次

    ○中沢委員 大臣に聞きたいのですけれども、今いろいろやりとりをやっておりました。非常に大事な政策であるし、マンパワー、人的配置、施設の拡大をこれからどんどん積極的にやる。自治省としてはそれに対する財政措置、平成年度で八百億、くどいようでありますが、交付税では四百三十億、あとは地方債なんです。地方債というのは、もう言うまでもありません、これは借金なわけなんですね、地方的に見ると。返さなければいけない。  さてそこで、私は、直ちにきょうの委員会で八百億の質的な問題でどうのこうのということは余り積極的に検討はできないのでしょうけれども、私自身の理解の仕方としては、理解というか認識としては、やっぱりこの際、この種のものは基本的には交付税措置でやるべきではないかと思うのですよ。平成年度におきまして三百七十億地方債に持っていかざるを得ないということは、全体的な国と地方の財政問題などを考えますと一面やむを得ないかもしれませんけれども、これは十カ年戦略ということでこれからどんどん続くわけでありますから、同じようなベースで行きますと地方債がどんどん膨らんできて借金が残る、こういうふうになっていくんじゃないかと思う。積極的に交付税措置をどんどんふやしていく、こういう見解というか立場に立っていただきたいと思うのでありますが、いかがでしょう。
  159. 持永堯民

    持永政府委員 私の方から、事務的な問題もございますので、ちょっと先に申し上げさせていただきます。  確かに八百億の金を全部交付税で見た方がいいんじゃないかというのは、そのとおりだと思います。基本的にはそうだと思います。ただ、現実に地方債といいましょうか、投資的経費、つまり、老人ホームをつくるにしても全部の市町村が毎年つくるわけではございませんで、年によって非常に限られたところがつくっているわけでございますので、それを交付税上入れましても、なかなか実際にそれをつくる市町村の財源措置としてフィットしないという問題がございますので、そういう意味からしますと、経常的な経費は割合とこの交付税にぴたっとはまるのですけれども、投資的経費は、年度間、団体間で非常にばらつきがございますからはまりにくい、そういうことで地方債で措置するということでございます。  同時に、地方債で措置いたしますが、この地方債の償還が将来いずれ出てくるわけでございますけれども、それについては当然またずっと先の地財計画なり公債費という形での手当ての中で措置はしていくということになるわけでございます。  それから八百億の中で、いかにも交付税地方債の割合が、どうも交付税の方が少ないなというお感じもあるいはお持ちじゃないかと思います。これは、十カ年戦略が始まったばかりでございまして、どうしても始まった最初のうちはハードの事業の方が割合と多い、先になればなるほどハードの仕事は終わりまして、ソフト、ホームヘルパーの人件費とか老人ホームの運営費とかそういうソフトの分にだんだんシフトしてまいりますから、先になればなるほど交付税に依存するウエートは高まっていくことになると思います。そういうことがございまして地方債と交付税の振り分けをしているわけでございまして、決して国と地方の財源状況がどうこうだからということではなくして、そういう技術的な問題もありますので、そういう措置をさせていただいている。将来は、それはやはり当然公債費や負担については措置をしていくべき問題だ、こう思っております。
  160. 中沢健次

    ○中沢委員 ちょっと大臣答弁の前に関連して。  そこで、局長、今専門家の方からお話がありました。私のいただいた資料で、四百三十億の内訳というのは、経常経費、主としてマンパワーを中心にすると百三十億。若干の施設関係がある。投資的経費だけで二百十二億入っているのですよ。だから、局長の言うような、投資的経費を地方債ということでリンクをするという説明では、僕自身はよく理解ができない。もっと言えば、地方でいえば、自治体は非常に注目していますから。権限が移譲されてくる、どうしてもやらざるを得ないということになってくると、その財政措置がどうなるんだろう。全額交付税で来るんだろうか、あるいは一部起債ということで地方債の認可を受けて返さなければいけないのか。もっと言えば、過疎債であれば八割交付税措置がありますから二割ぐらいならということがあるかもしらぬけれども、全部過疎債なんということにならぬと思うのですよ。そこのところをもう少し具体的に、大臣答弁の前に専門家の方から内容をもう一度聞かせていただきたいと思います。
  161. 持永堯民

    持永政府委員 投資的経費でたしか、今お話ございましたような、八十億ぐらいを交付税で見ております。これは、実は投資的経費の中にも二通りございまして、といいますのは、先ほど申し上げましたように、地方債が三百何十億あるわけでございますけれども、その中にはいわゆる病院に相当するもの、つまり我々の会計の種類でいえば公営企業に相当するものも七十億程度ございまして、これは全額地方債でございます。これはちょっと外して考えていただいた方がよろしいかと思います。その他のいわゆる老人ホーム等々につきましては、結局、先ほども申し上げましたように、これは市町村と都道府県で若干充当割合は違いますけれども、おおむね七五%なり八割程度を地方債で見て、残りは一般財源で見る、こういう形をとっておりまして、その一般財源分を八十二億でこの中に入れているということでございます。
  162. 中沢健次

    ○中沢委員 それで、大臣、大変申しわけないと思いますが、今のようなやりとりで、いずれにしても、自治省側としてもかなり積極的であるという印象は率直に今の局長の答弁を聞いて理解をいたします。つまり、できるだけ交付税で措置をする、交付税で措置できないような中身は地方債で措置をして、それは償還のときにはまたいろいろ配慮するということでありますから、これはもっと先に行っての話だと思います。  いずれにしても、せっかく政府が打ち上げた十カ年戦略。やはり自治省としても財政措置をしっかりする、そういう総論としての大臣の決意をお聞かせをいただきたいと思うのです。数字は結構でありますから。
  163. 奥田敬和

    奥田国務大臣 十カ年福祉戦略、これは基本的には国の福祉施策であります。実戦部隊が地方自治体ということで、それは弾や兵糧は国が面倒を見るのは当たり前の話で、それで、ちゃんと厚生大臣との合意においても、この十カ年戦略に当たっては財政措置は自治体にしわ寄せしないようにという形をきつくお互いに申し入れておるわけです。今度の場合のものは、私も聞きました。スタート年度ですから、まあ八百億でもいいでしょう。それは、金額は大したことじゃありませんけれども。ただ、その内訳のうち、四百三十億だったかな、いわゆる交付税措置をするのは。あとは地方債だと言うから、私も同じ質問をしました。地方債だったら借金じゃないか。そうしたら、いや、これはちゃんと返す時期には一たん返してもらうけれども、また後で何か手当てするとか言っておりましたけれども、そこの形は後で、これは財政局長はどういう手を使うのか聞いてもらえばいいですけれども。ともかくハードとソフト、スタートのときですから、ハードはそれは全部国の所有なり自治体所有にはっきり帰せられるもの以外に、また第三セクターとかいろいろな施設面のハード面もあるようですから、ハードの面はスタート時だけに要るものであって、それが十カ年に限らず二十年、三十年に使われていくものですからいいでしょう。ですけれども人的なマンパワーに対する措置は、これは全部交付税で見るべきである。これは基本姿勢です。それは見る、見るんだということを言っておりますから、それは間違いないと思う。  そういった基本姿勢で、もうともかく実践的なサービス、本当のお世話、人のお世話から実際の形は全部、まあ自治体がそういった入所措置権まで含めて今度は市町村がやることになったわけですけれども、そっちの方ははっきりと、お金の方は、特にソフト面、今さっきから委員が御心配なさっている、本当はこれは人だと思うのですよ。施設じゃないのですよ。ところが施設が前段階にないと困るものだから、そっちのハードの方はいろいろな理屈をつけて、一部負担もあるようですし、社会福祉法人あたりの施設負担もあるようですから、それはそれとして、ソフト面は全面的に見ていくということで理解しております。
  164. 中沢健次

    ○中沢委員 さて、もう時間が参りましたので、最後に一つだけ、質問というよりも私の意見を申し述べて、大臣の方からまた改めて御見解もお示しをいただきたいと思います。  私はあえて福祉の十年戦略を取り上げましたのは、これからの日本の国レベルの政治、地方の政治も含めて非常に大事な柱である。しかも自治省としてはそれに対する財政措置、今大臣から話された中身であれば、恐らく一般的には納得できると思うのです。しかし、地方債で手当てをしても、その後一体どうなるかという地方の心配事がやはり残ると思うのですね。そこのところはきょう直ちにきちっと議論ができない、時間的に不足していますので議論ができないかもしれませんが、大臣がおっしゃったように、そういうツケは地方には回さぬ、国の政策なんだから国が責任を持つ、こういう基本でこれからもひとつお願いをしたい。  それからもう一つ質問として本当はやりたかったのでありますが、日米構造協議との関連でいいますと、これから例の地方における公共事業、どんどんどんどんいや応なしに拡大をしてくると思う。そうすると、これまた制度的には地方の負担が裏でついて回りまして、非常にまた地方財政にいろいろな影響が出てくる。ここのところも先ほど指摘をいたしました補助金のカットの復元の問題と当然連動するとは思いますけれども、公共事業を積極的にやるというのは国の政策でやるわけでありますから、地方に対してそれもできるだけ、若干の影響が出てももうできるだけ国が責任を得ってカバーをしていく、こういう決意でこれから自治大臣としても、重要な福祉の政策と公共事業に関連する政策については改めて決意のほどをお示しをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  165. 奥田敬和

    奥田国務大臣 結論だけでお許しを賜りたいのですけれども、基本的には、大事な国の施策であるという観点に立って、地方自治体にはそういった財政的な措置においては御迷惑をかけないという基本姿勢で臨みます。  それで先ほどの、ぜいたくなハードをつくるとか、施設でもいろいろあるでしょうから、このハード面の地方債、投資的経費ですね、これに対する対応に関しては、私もやはりそれも全部国が見るということは、ちょっと今ここで、前向きに言いたいところなんですけれども、これはひとつ財政局長に、地方財政需要に影響のない形で措置をするということを私には言っておりますけれども、どういう形で手当てするのか、そこは局長から答弁させていただきます。
  166. 持永堯民

    持永政府委員 十カ年戦略のハードの施設にかかわりまして地方債を起こした場合でございますけれども、その地方債の元利償還金については、当然、償還時におきまして地方財政計画の公債費にカウントをして、それに見合った全体としての地方財源を確保して地方財政措置をする、こういう仕組みになるわけでございます。
  167. 中沢健次

    ○中沢委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  168. 島村宜伸

    島村委員長 これより大蔵大臣に対する質疑を中心に議事を進めます。  質疑を続行いたします。安田修三君。
  169. 安田修三

    ○安田(修)委員 橋本大蔵大臣、きょうは当委員会御出席、大変御苦労さまでございます。  初めに大蔵大臣の方にお聞きいたしますが、ここ三年間ほど日本経済は円高で、しかも物価が、昨年からは上がってまいりましたけれども、安定してまいっておる。金利も安く、経済も伸びてという一応の安心感が実はあったかと思うわけです。しかし、今年からいろいろの予測が飛び交いまして、そこへ日米構造協議とも絡みまして国民に一抹の不安も出てまいっておると私は思っておるわけでございます。  さて、税収の方は、内需拡大による景気の好調に支えられまして大変ずっと伸びてまいりました。これからの税収の予測を見るにしましても、まず、景気が一体どの程度まで持続されるのか、経済予測はどうなるかということが重要なポイントになります。皆さんの方も中期の財政計画等は出しておられますが、これも景気の予測によって左右されるということは注釈がついたわけでありまして、そういう点で、まず大臣に、そこら辺についてお聞きしたいと思います。
  170. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 ちょうど昭和六十一年の十一月に我が国の経済は底を打ったわけでありますが、それ以降既に四十二カ月、岩戸景気と並ぶ長期にわたる景気拡大が続いております。ことし年が明けましてから、債券市場、証券市場あるいは為替市場において多少の乱高下の状況があったわけでありますけれども、それにもかかわらず、現在の我が国の経済情勢を見てまいりますと、国内物価動向判断の基礎となります国内の卸売物価は、四月の前年同月比が〇・七%、極めて安定した状態でありまして、おかげさまで物価が非常に安定して動いております。また、個人消費も四月の大型小売店販売額が前年比一五・七%、非常に堅調に推移いたしておりますし、設備投資も製造業、非製造業ともに増勢を続けるなど、内需を中心としたインフレなき景気拡大が続いております。  景気の先行きにつきましても、大蔵省の景気予測調査などによりますと上昇基調が続くという見方が強く、個人消費、設備投資につきましても、所得の堅調な伸びに支えられ、引き続き増勢が続くと見込まれておりまして、我が国の経済につきましては、今後も引き続き内需を中心としたインフレなき拡大が持続するものと考えております。先日、予算委員会に参考人として出席をされました日銀総裁からも同様の視点が述べられております。
  171. 安田修三

    ○安田(修)委員 そこで、今大臣から景気の上昇基調が続くという見通しを立てられました。昨年の春ごろから卸売物価、小売物価、ともに上がってまいっておるわけでありますが、先ほどおっしゃったのは、ことしはそういう点ではまだ安定しておる。消費税の導入という問題も絡んでおるとは思いますが。  そこで、円安傾向がずっと続いておるわけですが、これは一体一過性のものであるのかどうか。もとに戻るのか。これによりましても、日本のこれからの鉱工業生産その他にもかなり影響してまいりますし、その点でそういう見通しはどうでしょうか。
  172. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 確かに、昨年消費税の導入におきまして物価が多少上がったことは事実でありますが、これは一過性のものでありましたし、大体政府の予測の範囲におさまっておりました。その後が引き続いて非常に安定して動いておりますことは、委員御承知のとおりであります。  また、今為替の水準についてお触れをいただいたわけでありますけれども、私どもの立場からいたしまして、具体的にその水準について申し上げることは差し控えなければなりませんけれども、四月のパリにおけるG7、またちょうど五月の六日にワシントンで行われましたG7におきましても、その共同声明の中におきまして円の状態というものについて一定の言及がなされておりましたことは、委員が御承知のとおりでありまして、やはり世界の経済が安定した成長を遂げていくために、いわば我が国のファンダメンタルズを反映した円のレートというものが望ましいということは、G7各国の共通した認識として示されたところでございます。  その後における為替の状況は委員御承知のとおりでありますが、私どもとしては、引き続きG7各国との協調体制を堅持しながら、その推移というものに常に目を配っていきたいと考えているところであります。
  173. 安田修三

    ○安田(修)委員 そこで、きょうこちらの方は経済予測についてこれ以上議論するという必要もございませんので、大臣の見通しに立ちまして後ほどまたいろいろなことをお伺いしたいと思います。  そこで、大臣御承知のように国庫補助負担率の削減が今日までずっと続いてまいっております。このために地方は財政特例債で実はしのいでまいっておるわけであります。言うなれば、これはタコ配みたいなものでございまして、その特例債はみずからの交付税でまた埋めておる。固有の、本来もらえる自分らの財源である交付税で埋めておる、こういうことになっております。  地方債の残高、現在六十七兆二千九百八億円、これは平成年度末になるわけであります。巨額の借金があるわけでありますが、この中に占めます例えば財源対策債、これは五十年代に出たお金であります。臨時財政特例債、これは国庫補助負担率の削減等に伴って出てまいったわけであります。言うなれば、国の赤字国債に該当するようなこの種のものが、この十年間の推移を見ますと、私は五十三年度からとってみたわけでありますが、五十三年度がこれに占める割合が一六・七%、参考までに聞いていただきたいのであります。五十八年度は一九・〇%、六十三年度は二〇・五%、何で六十三年度で切ったかといいますと、決算ベースだけで見たわけであります。  実はこのように年々増大してまいっておるわけであります。このために地方の方では仕事はやりたい、後ほど述べますが、実は国の方からも公共事業等肩がわり等がありましたので、たくさんの仕事はやりたい、しかし先送りしたという現状であります。  さて、赤字国債発行から脱却された大蔵大臣としまして、この地方の財政状態についてどのようにお考えになっておられるかということをひとつお伺いしたいと思います。
  174. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 国におきましては、現在参議院において御審議をいただいております平成年度予算におきまして、歳出の徹底した見直し、合理化に取り組むことなどで、昭和五十年以来十五年間にわたりまして続いた特例公債依存体質というものからようやく脱却を実現できたところでございます。そうした意味から申し上げますと、地方財政におきまして、委員が御指摘になりましたようなさまざまな手段が講ぜられてきたことは存じておりますけれども、国の特例公債に相当するものとして、交付税特会の借入金、また財源対策債の発行というものがございます。しかし、交付税特会の借入金につきましては、当初ベースで昭和五十八年度、補正ベースでは昭和六十一年度補正を最後に、また、財源対策債につきましては昭和六十二年度を最後に、新規の借り入れまたは発行を解消されたところでありまして、いち早くフロー面での特例公債依存体質からの脱却を実現されたわけであります。  またさらに、ストックの面で考えてみましても、国に先駆けて、交付税特会の借入金につきましては六十二年度補正予算以降五回にわたって繰り上げ返済を行い、その残高も、ピーク時の六兆一千四百四十三億円から、二年度末の見込みでは一兆五千七百四十億円まで減少することになっておりますほかに、財源対策債につきましても、元年度補正予算及び二年度予算におきまして償還基金の積み増しを行っておられまして、残高も、ピーク時の六兆九千五百十六億円から、二年度末見込みで三千二百四十一億円にまで減少することになっております。  その意味では、地方財政におきましては、国と異なって、フロー面ばかりではなく、いわゆるストック面におきましても特例公債依存体質からの脱却が図られてきたものと考えますけれども、いずれにいたしましても、実は、財政の健全性を確保して国民負担率の増大を抑制するということにつきまして、国と同様、地方財政におきましても、引き続き極力歳出の抑制を図っていただくことが必要であろう、そのように考えておるところであります。
  175. 安田修三

    ○安田(修)委員 大臣は日本の財布を握っていらっしゃるわけですからすべておわかりのところでございますが、一応話の取っかかり上申し上げておきますと、普通公共団体が三千二百九十二ありますが、それぞれ大きいところ、小さいところ、仮に一般家庭にしましても、十万円収入の家庭にとって五万円の借金は大変つろうございますが、百万円の収入の家庭にとっては二百万円の借金はそんなにつらくない、細かいところが寄り集まっての実は六十七兆二千九百億円であります。  六十三年度決算ベースで見て、例えば〇・三未満の財政力指数の団体数は、三千二百九十二のうち実に一千三百三という数になっております。そのほとんどは、都道府県十二を引きますと市町村でございます。それ以上、〇・三から〇・五、〇・五というのは比較的いいところ、〇・五以下になりますとほとんど占めてしまうわけであります。こういう状態の中で、実は〇・三未満の財政力指数の団体で公債費負担比率一六・八、これが十二団体、それから一九・四という非常に高いところが一千二百九十一、合わせまして一千三百三ということで、実に〇・三未満の団体になりますと大変大きい公債費負担比率になっております。  私ちょっと計算してみますと、例えば、公債費負担比率一〇%未満になりますと五百八十八、一〇%から一五%が一千四十九、一五%以上という危険信号を超えているものは一千六百五十五ということになってまいります。したがいまして、そういう点では地方の場合には財政の中身は大変厳しいものが依然続いておる。  しかも、先ほど大臣は特例のそうした赤字地方債というのはなくなったとおっしゃっておりますが、確かに今形からいいますと、後ほど述べますが、交付税特会の返済やらいろんなことになっております。しかし、依然として国庫補助負担率の削減からくる、ことしも実は財政特例債は七千八百二十億円発行しております。これは自治大臣の認可があれば、建設地方債という名前になっておりますが、本来なればこういうものは黒字ならなくしてしまうのが財政の定石だと私は思うのですね。依然としてこれを発行しながらつじつまを合わせていかなければならぬという、そういう点で異常な事態がなお続いているということを財政当局としてぜひ認識してもらわなければならぬのじゃなかろうかと私は思いますが、大臣どうでしょうか。
  176. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 確かに、例えば私自身が自分の郷里の各市町村を振り返ってみましても、その財政力には非常に格差があるわけでありますし、それを国ベースに直してみれば、委員が御指摘のとおり三千三百地方団体の集合体でありますから、それぞれの財政状況にはかなりの相違があるということはそのとおりでありましょう。それだけに、地方財政と申しましても、その財政状況というのを一口で申し上げるのは非常に難しい問題点があると私は思います。しかし、あえてそこで地方財政計画のベースで考えてみまして、例えば全体として最近の地方財政の状況ということになりますと、確かに見方によりまして高いという視点があることはそのとおりでありましょうが、公債依存度あるいは公債費比率などの指標は従前よりかなり低くなっているということもまた事実でありますし、平成元年度、二年度を通じまして大幅な財政余剰が見込まれているということも事実であり、そういう意味では健全な財政状況になりつつあると言うこともできると思います。  その地方団体の財政状況、確かに委員が御指摘になりましたように、公債費負担比率が二〇%以上の団体の数が六十三年度で全団体の二〇・四%ということも承知をいたしておりますけれども、六十二年度二九・四%ありましたものから見ますと、随分その数が減ってきたなということも言えましょう。私は、実はそういう部分をとってあっちがいい、こっちがいいと申すのは余り望ましいことだと思いません。むしろ国と地方というものが車の両輪として、ともにそれぞれ行財政改革というものを積極的に推進していくことが必要でありますし、また臨時行政改革推進審議会の答申に沿いまして、国も、地方財政もまた歳出規模の伸びを抑制していくと同時に、団体間の財政格差につきましても所要の是正方策を講じていくべきものであろうと考えております。  いずれにしても、国と地方というものは車の両輪でありまして、どちらがつらいと言い争ってみましても、あるいは、こういうところに着目すれば前から比べてよくなっているんだということをあげつらってみましても、私は余り意味がない、率直にそんな感じで、むしろお互いに力を合わせながらそれぞれの財政の健全化に努めていく、そう考えております。
  177. 安田修三

    ○安田(修)委員 車の両輪であることをきょうはおっしゃっておりますので、今後もひとつ両輪の片方の車が外れぬように、ぜひお願いしたいと思うところであります。(橋本国務大臣「間違いなく」と呼ぶ)お似合いでございます。  さてそこで、国庫補助負担率の見直しの問題でございますが、これは大臣、どういうことになりましょうか。
  178. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 これは大変危険な御質問でありますので、答弁資料のとおり正確に読み上げさせていただきます。  「(答)一、公共事業等の補助率等については、①国の財政はなお厳しい運営を迫られるものと考えられること②事業費確保の要請に当面基本的な変化はないと考えられること等から平成年度までの暫定措置として昭和六十三年度の補助率等を適用することとしている。二、なお、暫定期間終了後の補助率等の取り扱いについては、現在関係省庁間で検討会を設置して社会経済情勢の変化、国と地方の機能分担・費用負担のあり方、財政事情等を勘案しつつ、幅広い観点から検討を行っているところである。」  ついでに申し上げます。  さらに、委員が六十二年度引き下げ分を復元しないのかという御質問があるであろうという想定のもとに、  「公共事業の補助率等の暫定期間終了後の取り扱いについては、関係省庁間の検討会において国と地方の財政事情、公共事業の事業費確保の要請等を踏まえ、総合的に検討しているところであるが、検討に当たっては、「昭和六十二年度引き下げ分については平成年度から昭和六十一年度の補助率等の水準に復元するものとする」とされている覚書の趣旨をも踏まえ、適切に対処してまいりたい。」  以上であります。
  179. 安田修三

    ○安田(修)委員 まことに、大臣も時々予算委員会でも事務方にしかられるという発言もありますが、最近は自治大臣、今の奥田大臣は時々ノートを外してしゃべっていらっしゃることがありますけれども、どうもノートどおりになりますとどっちにとっていいかわからぬような答弁が出てまいります。裏から見ても表から見ても同じようになって見える答弁でございます。  さて、そこで一つの問題は、皆さん見直しの途中ということでございますから、それでそういうことになっていくのでございましょうが、一つは何としてもやはり復元を図ってもらいたいという、これは地方団体の強い要望でありますし、それから先ほど大臣がおっしゃった経済の見通しからして、経済が依然として好調な基調を持続していくということであれば、当然国庫補助負担率の見直しを機に復元するということが財政的にもまず一つじゃないか。約束という問題は別にしても財政的に、そういう経済の好調さを堅持しておるという状況の認識であれば、私は当然財政面からもまずは復元するということが必要ではないか。それは、一つは御存じのように、当初六十年度に入ったときには一年限り、それから六十一年度からは三年限り、それが次にまた公共事業費の負担は暫定的な取り扱い、こうなっております。  さて、いつもいわゆる約束事が守られない。まあ自治大臣はちょいちょいおかわりになりますから、今の大臣は余りそういう責められ方はされておりませんけれども、こういう問題がありますといつも与野党から党派を問わず、ここで大臣は何をしておるかといって責められなければ年が明けない、こういうことに実はなってまいっておるわけです。それは何としましても、やはりいつも大体大蔵、自治、あるいはそこへ厚生が入ったりして覚書はつくられても、その覚書はいまだに守られたためしがない。そういう点で、実は国と地方の間の信頼関係というものが大変損なわれていくのじゃなかろうかということがみんな心配でなりません。  そういう点では、やはり以前もこういう財政の基本的な関係に関するものは変更はしないという約束も当初はあったわけでありますから、やはり一たん約束された以上はそれをもとに戻す、その上に立ってどうするか、また出発をするということが必要ではないか。そういう点で、今度の見直しに当たられましても、その結果が出た暁にはこの前の覚書どおりにひとつ運んでもらいたいと思うのですが、きょうは大蔵大臣地方行政の皆さんがいらっしゃる委員会でございますので、ぜひそこら辺を明確にお答えいただきたいと思います。
  180. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 大蔵大臣もちょくちょくかわるわけでありまして、自治大臣だけがかわるのではございません。そういう意味では、ただし我々は政府というものの継続性の中において、前任者の約束でありましょうとも、その約束は当然踏まえていかなければなりません。  ただ、今委員がお述べになりましたように、確かに今我が国の経済は非常に好調であります。そして、我々としてはその好調が一日も長く持続することを願うわけでありますけれども、同時にお考えをいただきたいことは、平成年度でようやく赤字国債依存体質というものから我々は脱却したと言い条、平成年度末には国債残高は百六十四兆円に達すると見込まれておるわけであります。しかも、なおこれからしばらく、私どもが注意をしていきましても、その残高は累増する可能性を持っておるわけであります。  我々とすれば、赤字公債から脱却できたことが、それで財政の健全性を取り戻したものだとは考えておりません。むしろ我々としてはいかにしてこの国債残高の累増に歯どめをかけ、後世代に残す負担を少しでも減らすかという、これから続いての目標に取り組んでいかなければならないわけであります。そして、その公債残高の累増に歯どめをかけると同時に、ピーク時におきましては三〇%を超えておりました公債依存度をようやく八・四%にまで引き下げたわけでありますけれども、これを引き続いて五%以下にまで抑え込む努力をしていかなければなりません。要は、財政再建はようやく第一の段階を越えたところでありまして、これからなお国の財政として極めて厳しい状況が続いていくわけであります。  そうした中におきまして、先ほど私は委員から御指摘を受けます前に、覚書の趣旨をも踏まえということをきちんと申し上げてきたわけでありまして、国と地方とが両輪でありますと同時に、国の財政の健全性を取り戻すために、今我々としては引き続いて努力をしていかなければならない状況にあることも御理解をいただきたいと思うのであります。
  181. 安田修三

    ○安田(修)委員 そこで、国の方も、二年度末に百六十四兆円の残高になるということでは利子負担だけでも二一%ですか、占めていくわけですから、そういう点では大変厳しいことは依然として続きます。  問題は、だからといって地方の方も今の国庫補助負担率の削減問題だけで実は犠牲をしょっているわけではなくて、その他にもあるわけですね。したがって、私は、こうした補助負担率という問題は、それは国と地方の仕事をする上の一つの取り決め事ですから、そういう点では、そういうものを暫定的、暫定的ということで延ばしておくことはよくない。財政が以前から見れば国の方もよくなってきておるわけですから、そうすれば地方の方に対しても削減してきたことに対して復元してやっていく、そういう思いやりがあって初めて車の両輪ということが言えるのではなかろうかと私は思うわけです。  そこで、かつて景気浮揚のために地方がかなり公共事業の肩がわりをしてまいりました。これは今の内需拡大問題等緊急施策の場合でもそうでございました。しかも、この国庫補助負担率の削減分でもって実は補助公共事業の裏負担をして、そして拡大をしてきたわけですね。これが大体限界になりましてから、地方の単独事業が順次ふえてきておるという傾向になっております。  さて、御存じのように、今までの地財計画では、大ざっぱに言って義務的経費というのは大体五〇%程度、厳密に言いますと五〇%をちょっと切っておりますが、目の子勘定で言って五〇%程度。それが一応一、二%ローリング等がありますけれども、大体そんなものですね。投資的経費はおおよそ三〇%程度ということで、これはずっと従前から財政の均衡というものは崩れないで参っております。ちなみに平成元年度の構成比は投資的経費三二・八%、今年度、二年度は三一・八%ということで、実は一%下がっておりますが、ここらあたりというのは全体の歳出の規模等に絡んで多少の動きがあるものだと思っております。  さてそこで、日米構造協議等にもあります公共投資がこれから増大ということになってくるかと思いますが、この投資的経費、この枠というのは構成比として一体ずっとふえていくのかどうか、ここら辺はどういうことになりましょうかということでちょっとお聞きしたいと思います。
  182. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 公共投資の十カ年計画につきましては、現在経企庁が中心として作業を続けておられるところでありまして、私も実はその作業内容について承知をいたしておりません。でありますから、将来の傾向について今お尋ねをいただきましたが、大変申しわけありませんけれども、経企庁の最終的にはじき上げました数字が確定いたしますまで、その点については留保させていただきたいと思います。
  183. 安田修三

    ○安田(修)委員 ちょっとこれは自治省の方に質問通告してありませんが、今大蔵大臣がそうおっしゃったので、自治省の方は日米構造協議の中間報告の中に、地方公共団体に対する影響ということで検討しておられた向きがあるのですが、大臣でも局長でももしあれば、質問通告してありませんのでわかる範囲で……。
  184. 持永堯民

    持永政府委員 御指摘の日米構造協議に基づくところの公共投資の問題につきましては、今大蔵大臣からもお答えございましたけれども、現在経企庁でいろいろ作業をされておられるわけでありまして、私どもはその作業状況を見ながら、その中で地方の負担なり地方の事業というのはどうなっていくかということを見きわめた上で、またその時点で財源の方策を考えていく、こうなろうかと思いまして、まだ現段階ではそこいらが作業中という段階でございますので、的確なお答えはしにくい段階でございます。
  185. 安田修三

    ○安田(修)委員 そこで、これは当然ふえていくものだ。どの程度ふえるかということは、今おっしゃったようにわからないわけですが、当然ふえていかなければおかしいことですから、ふえていくと思うのです。  さてそこで、公共事業の中の普通建設事業費ですが、その中で最も主力になるのは何と申しましても土木費でございます。この十カ年ほどの推移を決算ベースで見ますと、こういうことになっております。普通建設事業費に占める土木費の率でございますが、五十三年度は四九・二%、これが五十八年度は五〇・九%、六十三年度は五六・四%、年々ふえてまいっております。  これを補助事業と単独事業別で区分けをしてみますとこういう結果になります。補助事業が、五十三年度は六〇%、五十八年度は五五%、六十三年度は四四%ということに逐年ダウンしてまいります。逆に単独事業は、五十三年度は二一%、五十八年度は三九%、六十三年度は四八%、これは決算ベースです。こういうぐあいに、今度は単独事業は十年ほどの間にぐっと二倍以上に膨らんでくるわけであります。今年度は補助事業の伸び率が〇・一%、単独事業が七・〇%でありまして、平均の投資的経費の伸び率が三・九%という数字になっております。  今申し上げましたこの数字、今後公共事業は当然伸びていかなければこれはおかしいし、また当然そういうことになるだろう。その中で、今までの傾向から追っていきますと、単独事業を主体にして伸びていくのかな。もう一つは、それがもし地方にこれから事業主体のウエートを強めていく、例えば地方分権という立場からも強めていくんだ、補助事業よりも地方がやっていくということで強めていくんだということになっていくのか。そういう点でこの単独事業というのはふえていくのかな、地方が主体になっていくのかな、こういうことを実は思うわけであります。  そこら辺、今言いましたこの傾向から推して、また先ほど日米構造協議等そういう観点では、公共事業の投資はまだ経企庁で作業していてはっきりわからぬという段階ではございますけれども、そこら辺の見通しについてお伺いしたいと思います。
  186. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 これは大変恐縮でございますが、本当に私も今何とも申し上げようがございません。  というのは、もう委員よく御承知と思いますけれども、今度の公共投資の十カ年計画、これは今後十年間の公共投資の総額を示すわけでありますが、その中にはいわゆる長期計画を持っております十五本の事業、そしてそのうちの八本が平成年度でその期限が到来するということから、この八本について平成年度以降の、五カ年計画になりますのか何カ年計画になりますのか、長期計画を立案する作業と、同時に平成年度以降にも継続をいたします七つの長期計画は、今日定められている内容によってそのまま着実に実施されるわけであります。そして、それぞれ期限が到来した時点で残ります期間内の計画が策定されることになるでありましょう。  しかし、それを全部足し算して終わりでありませんのは、例えば公立文教における施設整備費あるいは社会福祉施設整備費等これに加えていかなければならないものがございます。そのほか、今委員が御指摘になりましたような地方の事業でありますとか第三セクター等々この中に含まれていくわけでありますので、経済企画庁の作業が今各省庁からのヒアリングを終わり作業に着手した段階におきまして、私どもとしてその内容を想定して申し上げることが何ともできない状況にあります。この点はどうぞ御理解をいただきたいと思います。
  187. 安田修三

    ○安田(修)委員 その点は大臣わかります、そういうぐあいにまだ今作業中ということで。  ただ、私が申し上げておりますのは、今この十年ほどの普通建設事業費、景気浮揚ということでかなり地方が公共事業を肩がわりしてきた。その中で特に主力であった普通建設事業費、その中のまた軸である土木費、この傾向を見ると、こういうぐあいに補助事業がだんだん減って単独事業がふえてきておる。私は国の全体のそういう仕事、国全体の公共事業というよりも地方の財政の上から見たこういう公共事業費の問題を実は述べておるわけです。  そういう点で、普通建設事業費の中の主力は土木費、土木費の中の補助事業と単独事業のうち、補助事業の比率は少なくなって単独事業はずっとふえてきた。この傾向はこのままずっといくのじゃなかろうかといった場合に、それはかねてから言っているように地方に事業主体を置いた、要するによく言いますが、国はお金が二入って地方が一、出るときは地方が二、国が一。そういうような言い方をよくしますが、そういうぐあいに地方はだんだん事業の主体は強くなっていくのかなという傾向について実はお聞きしておるわけであります。  そこでもう一つ、次のことを申し上げてお聞きしたいわけでありますけれども、実は私、地方財政計画と土木費、それから単独事業の関係で比べてみますとこうなります。地財計画からしますと、五十三年を仮に一〇〇とすると、五十八年が一二二、六十三年が一六八という伸び方になっています。それで、今度は今の土木費を伸び率で見ますと、五十三年が一〇〇で、五十八年が一二一、六十三年が一七二、ほぼ同じような伸び方なのです。ところが単独事業を見ますと、五十三年を一〇〇にしますと、五十八年が一三五、六十三年が二三九ということで、実に十年間に二倍以上の伸び方だ。これでいきますと、実は補助事業の減少を単独事業がずっとふえて埋め合わせしてきたということになるわけですね。  そこで、ここで問題はこういうことになるわけです。この結果として実は国庫補助負担率の削減という問題があったわけですが、国庫支出金の著しい減少というのは地方財政の中に出てまいっております。大臣も御存じの比率からしますと、五十四年が実に二五・八、五十八年が二一・九、六十三年が一七%、これは地方財政に占める国庫支出金の率でございます。ぐっと少なくなったわけですね。今年度は一五・三%ということでまた少なくなっております。これを建設事業債のいわゆる補助負担金の方からしましても、実は五十八年九・一%、六十三年は五・九%、今年度は五・一%ということでまた少なくなっております。これは地方の財源が大きくなって国庫支出金が小さくなったなら喜ばしいのでございます。ところが、全体の財源は大きくならないけれども、国庫補助負担率が削減されて国庫支出金が小さくなってきた。そして同時に補助事業も小さくなって、地方のお金が全部そこで穴埋めになってきておる。  したがって、これを地方税でいきますと、いや、国税も伸びていますよ、率が大きくなっていますが、大臣地方税の伸びというのはずっと大きいですね。今ここで数字を申し上げる時間もございませんし、なおかつ、これは御存じのとおりでございますが、物すごい伸びです。したがって、これは別の面からいったら、いや、これだけ地方税だから減税せい、こうなります。今さら、財政再建途上ということで、いろいろ税制改革なり減税をやっていますから、ここでそれだけ地方税が大きくなれば減税と言いません。そういう声があることは事実でございます。  そういう点で、今、お金、財政の枠の中からいいますと、一つは、地方が一般財源で投資的経費を賄っておるという傾向がずっと続いてきた。そこで、本当に地方がお金も仕事も主体になってやっておる、そういう時代に来ておるのなら私は結構だと思いますし、ぜひそういうことで進んでいってもらいたい。ところが、そうじゃないではないか、地方はお金の面で大変こういう無理をしているのではないか、こういう意味合いをぜひひとつ知っていただきたいし、また知っておられるだろうと思います。  そういう点で、これだけ投資的経費の方で地方のお金、仕事がふえておるのだから、本来は地方財政計画というのはもっとずっと大きくなっていい、国の公共事業をかなり肩がわりしておるのだから、私は国の予算規模よりも地方財政計画というのはもっとずっと大きくなってもいいのではないかと思うのです。ところが、遺憾ながら肩を並べております。実は、五年前、十年前と見ますと多少地方財政計画は、国よりも何兆円、二兆円、場合によったら五兆円、あるときは三兆円と規模が大きくなっておりますが、その比率からしますと今年度あたりも決して大きいことにはなっておりません。そういう点で、地方に仕事させるのなら、金の面ももっとやらせてもらいたい。  先ほど大臣は、特会の返済問題に触れられました。五十年代の財源対策債、今年度予算で五十八年までの分がなくなることになります。私はそういう不良の借金は先に返すことは当然賛成でございますが、ただ、先ほど言ったように地方がやりたい仕事も繰り延べしておるときに、後代の負担を今全部ばたばた返さなければならぬということが必要だかどうか、その整合性、兼ね合いというものをやはり十分しんしゃくしなければならぬときではなかろうかな、私はこう思うわけです。というのは、まだまだ生活基盤環境の投資の弱い現在において、慌てて今の借金、特会会計をばたばた返す必要があるかどうか、その量の問題で私は疑問に思っております。これは、今言ったのは派生的。先ほど言いましたように、まず財源の配分の問題、それから地財計画をもっと大きくしてもいいのではないかという点について、これは大蔵大臣、自治大臣、ともにお聞きしたいと思います。
  188. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 先ほどからの御議論を通してお述べになりましたところを振り返りながら申し上げますと、確かに過去十年の地方財政計画の投資的経費に占める地方単独事業の割合というものが上昇していることは委員の御指摘のとおりであります。しかし、これは基本的には、非常に厳しい国の財政事情のもとで国が公共事業につきましても非常に厳しい歳出抑制措置をとり続けてまいりました中で、地方財政計画上は地方単独事業につき全体としては相応の伸びを確保してきたという考え方も私は成り立つと思います。  そういう中で、今後について委員がお触れになったわけでありますけれども、これは一つの問題として先ほどから私がお答えができません理由は、従来それぞれの長期計画を進めてまいりました中で社会資本整備という視点から考えますと、我が国は国民生活の質の向上という視点から見たときに、なお今後の十年に相当規模の投資を必要とする分野があることも当然事実でありますけれども、その整備状況には相当なばらつきがございます。例えば水道のように比較的普及率の高い事業、まだまだ整備の必要な分野、それぞれの伸びには跛行状態が存在するわけでありまして、今後の公共投資十カ年計画の中において、その国民生活の質の向上という視点から考えます場合にどういう部分に重点が置かれていくか、これが今作業中でありますために、私はその中における地方財政計画の中でのお引き受けをいただく部分、さらにその中における単独事業というものについて今見通しを申し上げられない。率直な感じを申し上げてきたわけであります。  しかし、同時に、先日参議院の予算委員会におきましては、委員の御指摘とはまさに逆さのお話でありますけれども、現下の土地政策という視点から、現在地方財源として存在しております幾つかの税制の中から、土地関係のものをむしろ国税として国がバランスをとることを考えるという御指摘が出てまいりました。そのとき私はそれについて賛成というお答えをしておりませんことを申し添えますけれども、一方には全く違った政策視点からそうした御意見が存在することも事実であります。事ほどさように、私は国と地方の税財源の配分の問題というものにつきましてはさまざまな議論があるということを一つは申し上げたいと思います。  同時に、それはまさに国と地方との機能分担、地方交付税や国庫補助金などさまざまの制度のあり方に関する問題でありまして、今後ともに国と地方の機能分担のあり方あるいはその費用負担のあり方等を常に見直しながら、同時に国と地方の財政状況というものを踏まえながら、幅広い見地から検討を行っていくべき問題であると思っております。殊に、今委員から御指摘になりましたような、例えば投資的経費における直轄補助事業、単独事業の割合といったものは、私は各年度の予算編成の過程におきまして、そのときどきの国と地方の財政事情だけではなく、むしろそのときにおける経済情勢というものも当然十分考えなければなりませんし、また分野別の公共投資の必要性等を総合的に勘案し、判断をすべきものである、固定して考えるべきものではないのではなかろうか、率直にそんな感じを持っております。  しかし、また申し上げますとしかられるかもしれませんけれども、私は国の経済に与える影響というものを考えたときにも、むしろ国と地方というものはまさに公経済の車の両輪でありますから、私どもとして常にそうした意味での見直しを行い、また御相談をしながら進めていくという考え方について決して変わるものではございません。
  189. 持永堯民

    持永政府委員 財源の配分の問題等、国の予算と地財計画の規模の問題のお尋ねでございます。  まず、財源の問題につきましては、やはり基本的には国・地方間の事務配分がどうなるかという問題でございますとかあるいは役割分担がどうなるか、そういった問題とあわせて検討をしていくべき問題だろう、このように思っております。  その際に、私どもの立場といたしましては、やはりお話の中にもございましたように、地方団体が権限の面におきましても、あるいは財源の面におきましてもなるたけ自主的、自律的に仕事がしていけるような、そういう方向での改善と申しましょうかが必要である、このように考えておるわけでございます。そういった意味では、財政面で申せばやはり地方一般財源の充実が必要であろう、こう思っております。  それから、財政規模についての地財計画と国の予算との関係でございますけれども、これは規模の問題につきましては、必ずしも国と地方との役割分担でございますとかあるいは補助金がどうなるという問題でございますとか、そういうことだけで決まる問題ではございませんで、国の場合は、例えば地方の歳出にはかかわりのないODAでありますとかあるいは年金の経費でありますとかというものがあるわけでございます。一方、地方財政を考えますと、国に比べて割合特徴的なことを申し上げますと、地方の場合はやはり学校の先生とかお巡りさんがたくさんおりますので、人件費のウエートが高いということから人件費が上がる、下がることは余りないのですけれども、例えばベースアップがどうなるかということによってかなり影響が出てくる、そういうことでございます。  そういうことからいたしますと、国の予算規模というものと地方財政計画の規模というものを直接に比較して、どちらが大きくなければならないとかあるいはどちらが小さくなければならないということには必ずしもならないのではなかろうか、このように思っておるわけでございます。  いずれにしても必要なことは、地方財政計画は地方財政計画として、あるいは国の予算は予算として毎年度所要の歳出を的確に見込んで予算編成なり地財計画の策定をしていくということが重要なことでございまして、確かに数年間、大体同じような規模で結果としては来ておりますけれども、それを直に比較して云々ということには必ずしもならないのではなかろうか、このように思っておるわけでございます。
  190. 安田修三

    ○安田(修)委員 いや、私はそんなことを言っているのではないのですよ。  要するに、事業量がふえてきた、国と地方との関係で補助事業が少なくなって地方の単独事業が多くなってきた、地方の事業量は多くなったのですね。数字の上からいったら、その面ではかつては肩を並べていたが、今は全部逆転してしまったのです。そうすれば当然地方の財政規模というのは大きくなってしかるべきではないか、こう言うのです。もちろん、既定経費の節減もありますよ。例えば人件費率が下がってきたとか義務的経費の圧縮ということもありますが、しかし大方は、私はかつて国の財政の一番厳しいときに、この数年前まで続いておったわけですが、いわゆる地方の歳出がかなり抑えられたと思います。五十九年の特会会計の十二兆円だったですか、あれを地方と国とが分割して繰り入れたときにあれからぐっと引き締まってきた、歳出がかなり抑えられたと私は思うのですね。  したがって、片方では景気浮揚で公共事業はふえる。その公共事業の主力は単独事業だ。にもかかわらず、財政規模が多くないということは、それだけ窮屈な運営をやってきたということになるのではないですか。そういう点で地方財政計画というものはもうちょっと伸びておってもいいのじゃないか。これからももっと伸びる必要があるのじゃないのか。無理に抑えつける必要はないのじゃないか。その抑えつけるというのは結局、特会会計に今ばたばたと返していっておる原因になっておるのじゃないでしょうか。本来はもっと使っていいのじゃないでしょうか、そういう点を私は言っているわけなんです。これは別にこれ以上皆さんと議論する必要もないのでして、事実私が言った数字が物語っているわけですから、そういう点で御理解いただきたいと思います。  そこで、もう一点付言しておきますと、実は公共事業がこういうぐあいに伸びておる中に、しかも、数的には補助事業というのは、先ほど言いましたように、ことしは〇・一%の伸び、単独で七・〇%、平均三・九%、ところが、昨年から消費税が入りましたので、消費税の中の元年度の投資的経費に占める消費税の影響額というのは四千七百八十三億円占めておったわけですね。二年度は幾らか。二年度はどうも大蔵省の方は、それはもう溶け込んでしまっておるから計算でき得ないというお話だということで、これはこっちは資料を要求しましたが、出ません。予算委員会の方も何かそのようでございます。  そこで、去年とことしと御存じのように投資的経費が三・九%の伸びでございますから、それから大体推しはかってきますと、去年が四千七百八十三億円ならことしは五千億円程度かな、それが投資的経費の中の消費税分かな、それだけ去年、ことしは税金分が食われてしまっているわけですね。そうしますと、推して知るべし、全体の十二兆円ほどやる地方公共事業の中に五千億円かなということになるかもしれませんが、それほど事業の中身は、お金の上ではなくて中身は欠落している、これまた一つ問題になってくるわけでございます。  そういう点でひとつ、先ほど大蔵大臣は経済情勢を考えながら、そして固定した考えではならない、しかし、車の両輪だからと。もちろん、それは経済情勢に即応して公共事業をふやしたり縮めたり、景気調整にもこれも重要なかなめでありますし、それからまた、生活基盤、社会資本整備の上からいっても重要な役割を果たしておりますから、当然のことでございます。  ただ、私はそこでもう一つ、財政の流れの中から先ほど言っておるのは、地方がそういう仕事の主体を担っていく、地方の時代、地方の時代と言われたが、今自治省もふるさと特別対策事業から、地域づくりの事業からいろいろなことをやっておりますが、問題は、そういう地方が主体になっていく時代というような財政のいわゆるあり方ということになっていくのかどうか、仕事がそのようになっていくのなら財政もそのようになっていくのかどうかということをお聞きしておるわけなんですね。これは将来の財政見通しよりも仕事と財政の基本的な事項でございますから、私は今の傾向からすれば、仕事の方が先走りしておるけれども財政が少し追いついていない、こういう感じを受けるわけでございます。  そこで、次のところに進めていきます。  国と地方の間の租税の配分というのは先ほども言いましたが、入り口は国が二で地方が一というのが一つの常識論になっております。出口は逆に国が一で地方が二。そこで、国税、元年度の場合は六四・三%、地方税三五・七%。ところが、出ていく方からしますと、国が三五・四、地方が六四・六ということで逆転する。これが二対一であり、出口が一対二だと言われる原因でございます。  さてこの際、いろいろな国の財政再建ということで、税財源の問題というのは厳しいということになってまいりますが、税財源の再配分は行政改革にとって重要なことだと私は思うのです。ただ、しがらみはいろいろなことがあるのでしょうが、私は重要なことだと思います。そういう点で、税財源の再配分ということについての、これは税制改正のときにはこの点を十分地方の問題も考慮すべきだったのでありましょうが、地方の方はどちらかいったら素通りしてしまった、そういう点で私は大蔵大臣にお聞きしておきたいと思います。再配分ということについての考えはないか。
  191. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 私は、税制というものは不断に見直しをしていく必要性のあるものだと考えておりますし、その旨何回も国会でも御答弁を申し上げてまいりました。それにつれて、国と地方の配分といったものが論議をされる場合はありましょうけれども、今委員のお述べになるような意味で、意識的にその税財源配分を変更するといった考え方を持っておるわけではございません。
  192. 安田修三

    ○安田(修)委員 これは、政治改革あるいは行政改革という、いずれにしましても避けて通れない問題でありまして、後ほどまた多少触れますのでこの程度にしておきますが、大臣は行う必要はないというお考えのようでありますが、しかし、当然これは迫られてくるという問題でございます。そういう点では、いずれにしても避けて通れないことであるということだけをぜひひとつ御認識いただきたいと思います。  さて、国税の租税特別措置による地方税の減収というのは平成元年度で四千三百九億円、これはもちろん皆さんの方では広告課税の特例の増の分がありますので、それを差し引きますとこれは小さくなったわけでありますが、あの増は増として減収分が四千三百九億円、地方税の非課税措置等による減収は四千七百二十億円、合わせて九千二十億円に実は及んだわけであります。今年度の場合は、国税の特別措置によるものが四千九百六十七億円、地方税自身の非課税措置によるものが五千百二億円ということになってまいります。  そこで、これは地方団体自身も実は悩みの種でありまして、ぜひ国の方で措置してもらいたいという声も強いのでありますが、私たちとしてもそのように考えますが、国税で政策上特別措置を設けて、住民税の法人税割とか事業税に直接響くこうした租税特別措置につきまして、ひとつ地方税に影響しないように税制を変えてもらいたいものだと思うわけでありますが、先ほど税制はそのときそのときというお話ありました。ぜひ見直してもらいたいと思います。どうでしょう。
  193. 石坂匡身

    ○石坂(匡)政府委員 御答弁申し上げます。  租税特別措置と地方税との関係のお尋ねでございますが、御承知のように、租税特別措置は特定の政策目的を達するために講ぜられておる措置でございまして、中身は、中小企業対策でございますとか技術の振興、エネルギー・資源対策あるいは地域振興対策とか環境対策とか、そういったことのためにとられておるものでございます。しかし、これはあくまでも特別な措置でございますので、従来から、この経済社会の情勢が変わる、それにあわせまして絶えず見直しを行っていくという性格のものであるというふうに考えております。また、平成年度におきましてもそうした見直しを行っておるところでございまして、そうした特別措置が拡大しないように、実情に即したものであるようにということで努めておるというのがまず基本でございます。  この問題と地方税との関係でございますけれども、これはあくまでも国の措置でございますから、それをどう地方税の中で考えるかということは、ただいまお話がございました住民税、これは法人税割でございますし、それから事業税は法人所得というものを基盤にするわけでございますけれども地方税の問題としてまた法律的な措置というものをお考えになるということも可能ではあるという問題でもございます。  ただ、国の問題といたしまして、租税特別措置そのものにつきましては、絶えず情勢に即した見直しを行ってまいりたいというふうなことを私どもは基本にしておるところでございます。
  194. 安田修三

    ○安田(修)委員 今、地方税の影響について、地方税のことになればそれは地方税の方で考える。そうしますと、自治省、きょうは税担当者出ておられますか。それではひとつ、今の大蔵省のお答えからしますと、自治省の方で遮断することも可能ということなんですが、そうなんですか。
  195. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 国の租税特別措置と地方税との関係につきましては、国の税と地方の税というのは性格が違うわけでございますから、できるだけこれは遮断できるものは遮断していくのが基本的な考え方かと思います。しかしながら、国の租税特別措置の中には、地方税におきましても同様に軽減措置を行うことが適当なものもございますし、それからまた、国の租税特別措置を地方税で回避する場合に、課税技術上非常に難しいという問題もございます。特に今御指摘の法人関係税につきましては、所得の計算あるいは特に法人税割の場合には法人税そのものが課税標準でございますから、これを遮断するということは技術的になかなか難しい、こういう問題も一方にあるわけでございまして、これらを十分勘案しながらこの問題は対処していかなければならないと思っております。  いずれにしましても、御指摘のとおり、地方税におきましても、この租税特別措置については常に見直しを行いまして、今後ともできる限り整理合理化をしていかなければならない、こういう基本的な考え方で私どもも対処してまいりたいと思っております。
  196. 安田修三

    ○安田(修)委員 私も、ここでもよくこの問題は議論になっているところでありまして、遮断しがたいから、やっぱり国税の特別措置の方はどうも地方税にそのままかぶってきておるというぐあいに認識しておったわけでありますが、先ほど大蔵省の方は、何かこちらはできるようなことでございますが、事実上はそれは、理屈と現実の差ということなんでしょうか。税制の技術上不可能なことなんだろうと思いますね。そういう点では、やはりこれは大蔵省の方でひとつ処置してもらわないと困ることではなかろうかと私は思います。  さて、不交付団体に対する差等補助金の問題ですが、今、東京都、愛知県、神奈川県、大阪府の対象四都府県に対しまして差等補助金制度を、制度と言うべきでしょうか、適用しているわけですが、新たに川崎、名古屋、大阪の三政令都市にも拡大して、対象補助金も三十件ほどに拡大すると言われております。これはどういう計画になっておるのか、大蔵省。
  197. 藤井威

    ○藤井(威)政府委員 補助金につきましては、御承知のとおり毎年毎年不断の見直しをやっております。我々財政当局が補助金に対して見る見直しの視点としてやはり基本に置きますのは、補助金の性格とか内容、そういうものに即応しまして、それらをできるだけ財政資金として効率的に使いたい、こういう基本的な観点から見直しをやっておるわけでございます。従来、そういう観点から、地方公共団体の財政力を勘案した後、御指摘のとおり財政力指数の平均が一を超えるというような都道府県につきまして若干の調整を行うという制度を維持し、また最近では若干ずつ見直してまいりました。  平成年度についてでございますが、政令都市というものにつきましても、政令都市の財政規模は非常に大きいというようなこと、あるいは都道府県に準じた権限が与えられているというようなこと、したがって都道府県と同様の扱いで補助金を交付されるということも多いというようなこと、いろいろ考えまして、昭和六十二年度から平成元年度までの三年間の財政力指数の平均が一を超えている三つの市、御指摘のとおり川崎と名古屋と大阪でございますが、これらの三市に、財政力を勘案した措置、従来やっておりました補助金の措置を拡充するという措置を新たに講ずるという措置をとっております。  それからもう一つ平成年度では、このような財政力に応じた補助金の調整ということをやる補助金そのものにつきましても、個々の補助金の性格とか内容とかを勘案いたしまして、若干の対象補助金の拡大を行うことといたしております。
  198. 安田修三

    ○安田(修)委員 不交付団体のそういう都府県、それから、今度、政令都市のうちでまた新たに不交付団体の方に適用を拡大していこう。こういうところは財政的には確かに富裕なところが多いと思いますし、そういう点では財源も持っております。しかし一方、昼夜人口の差でありますとか、その他大都市特有の社会現象によりまして財政的に追われているところもこれはまた事実であります。  いろいろここで議論しましても、私たちは、弱小というとちょっと言葉は変ですが、先ほど言いました、財政力指数の極端に低い町村、特に過疎地の町村を交付税でどうするか、財政でどうするかといつも議論しておると同時に、一方の悩みは、それではこの大都市特有の昼夜人口の非常に差の激しい、そしてそのために、例えば下水道、道路、交通施設、消防施設あるいは学校施設、大都市特有の問題で悩まされている、そうしたところに対しての対策をどうするか。まさに相反するようなことがいつも、その矛盾をどうするかということで悩まされるわけであります。そういう点で、実は財政的にもやはり大都市自身追われているところがたくさんあります。  さて、そういう点で、対象補助金のうち、今度は、ことしは消防施設等、これはことしでしょうか、去年でしょうか、消防施設等整備費補助金人口急増分の特例補助率の見直し等も含むということでございますが、私は、こうなりますと、例えば大都市の消防施設なんというのは、これは、例えば化学消防車、はしご消防車あるいは常駐の消防署、いろんな点で消防施設というのは大変な問題点が実はありまして、ビル火災等がありますと、田舎の場合はマル適のいろんなことでよく議論しておりますが、大都会の場合は、かつてのニュージャパンのような問題で一躍大災害が起きますので、絶えず議論になるところでございます。さて、そういう点で問題のある特例補助率まで含んでおるということになるようでございますが、そういう点では、私、これは大変おかしいんではなかろうか。  もう一つ。これは、地方の財政力問題についての財政の差、いわゆる格差是正というのは、自治省交付税を中心にしてやってきておるところです。私は、こういうぐあいに、勝手というとおかしいですが、法律や政令によらないからといって、このような差をつけて補助金政策をやるとすると、一つは、補助金そのものの持つ、例えば政策誘導的な補助金という場合にも、じゃそれでは大都市の場合に、おまえのところには金があるからといって消防施設等については手を緩めていいのかという理屈にもなりますし、実は補助金の持つ性格そのものもひとつ疑われてくる。それから、自治省がやるいわゆる地方自治体の財政力の格差については、それを交付税を中心にして調整してくるというその調整機能そのものを片方から崩していくということ。いろんな意味で、私はこれは実は問題の大きいやり方ではないだろうか。そういう点で私は大蔵省、自治省、双方にお聞きしたいと思います。
  199. 藤井威

    ○藤井(威)政府委員 確かに一定の補助金につきまして、先ほど御説明申し上げましたように、補助金の性格内容に応じましていわゆる不交付団体につきまして補助金の調整を行うという施策を行っております。先ほど申しましたように、我々は一つ観点として、補助金を支出する場合の資金の効率的使用という、できる限り効率的に使用して所要の補助効果を得たい、そういう不断の見直しの視点からやっておりますと同時に、また、これは不交付団体を対象とするものでございますから、不交付団体が持つ財政格差の是正というような点も若干頭の隅に置きながらやってきておるわけでございます。我々としましては、こういう措置が補助金の適正使用、効率的な補助制度という観点から許されるものではないか、御理解が得られるものではないかという観点でやっておるわけでございまして、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  200. 持永堯民

    持永政府委員 補助金にもいわゆる負担金と奨励補助とあるわけでございますけれども、基本的には、負担金につきましては、相手方が金があるとかないとかによって区別をすべき問題ではないと思っております。ただ例外的に、義務教育については法令に基づいてそういう措置がとられておりますけれども、基本的にはそういうことだと思います。  それから、いわゆる奨励補助についてでございますけれども、現在措置されておりますいわゆる差等補助の扱いでございますが、これは大蔵省からもお話ございましたように、いわゆる財政資金の効率的な使用という観点からそういう措置をとっているということでございまして、言うなれば、平たく言えば、やはり予算の枠にも限度があるわけでございますので、その枠の中の予算というのは財政力の弱い方に優先的に使う方がよかろう、そういうお考えではなかろうかと思います。そういう観点からそういう措置をとられておることについては、それはそれなりの一つ方法であろうと思っております。  ただ、お話にもございましたように、これはそのことが余り大規模なものになってみたり、あるいは国と地方との財源調整とか地方団体間の財源調整というような性格のものまでになるとなれば、これはいささか問題があると思いますけれども、今申し上げましたような財政資金の効率的な使用を図るという観点からとられておる、現在はそういうふうになっておると思いますが、そういう観点のものであれば御理解をいただけるかと思っております。
  201. 安田修三

    ○安田(修)委員 自治省はこの種のことについて事前に大蔵省から話を聞いておるのですか、こういうことをやることについては。
  202. 持永堯民

    持永政府委員 率直に申し上げまして、予算編成の段階でそういうお話を伺うものもございます。しかし、物によっては予算編成段階ではなくして予算執行の段階で、各省の段階でそういう措置がとられることもあるいはあるのではなかろうかと思っておりますが、そういった意味ですべてについて私どもは掌握しているかどうかという点は必ずしも自信がないわけでございます。しかし、少なくとも、主要なものと申すとあれでございますが、おおむねのものについてはお話を伺っておるというふうに思っております。
  203. 安田修三

    ○安田(修)委員 もし自治省があらかじめ事前にそうしたことの協議を受けて承諾するということになれば、これはまた新たに問題が出てくると私は思うのですね。特に消防施設等整備費補助金人口急増分の特例補助率の見直しという問題になりますと、これは自治省が消防庁を所管しているわけですから、一つの問題を将来に残す芽である、こう私は思います。  それから、それはまあどこか平場の方の話で、法律や政令によらない補助金を対象にしておりますので、それは上層部で知らなかったということであれば、財政調整は自治省地方団体のことについてはやっておるんだから、これは大蔵省の方で財政力のどうのこうのということでやられるということになれば、私は行政の秩序そのものを乱していくということになると思うのですね。ですから、大蔵省の方がそういう出方をされると、私はやはり、とかく基準とかあるいは何々になじまないとか、そういうことではおかたい大もとがそういうことになると、これは大変変だということになると思うのです。  そういう点では、もしやるんなら、一つ自治省は事前にこのことについて協議を受けるように、やはり自治省自身大蔵省に私は要請してもらいたい。それから、この種のことをやらなきゃならぬのならば私はやはり基準をつくってもらいたい。例えば、財政力指数に応じてこういうことをやる、それがいいかどうかは別ですよ、いいかどうかは別として、やはり何らかの基準がなければならぬ。そこの方で恣意につかみ取りでということになれば、これは自治体の財政力調整という点からしますと大問題であると私は思います。そういう点では、私は御理解願いたいとおっしゃってもこれは理解するわけにいかない。きょうは大蔵大臣出ていただいて、我々としては大蔵省の皆さんに直接議論申し上げるのはこの時間しかないものですから、余り長いこと申し上げておるわけにはいきませんが、そういう点では、私は自治省はまず大蔵省にこの点についての対処をしてもらいたいと思いますが、自治省はどうですか。
  204. 持永堯民

    持永政府委員 先ほども申し上げましたけれども、大方のものは予算編成段階でお話を伺っていると理解しておりますけれども、それが全部かどうかというのは必ずしも自信がございません。御指摘いただきましたので、今後その全貌についてよくお知らせいただくようにお願いを申し上げたいと思います。
  205. 安田修三

    ○安田(修)委員 次に、超過負担のことで、これも大蔵大臣、自治大臣ともによく陳情を受けて御存じのとおりでございます。  超過負担の解消について、自治省はもう毎年努力し、各省庁とも努力しておられるということについてはいろいろと文書もいただいておりますが、しかし依然として、地方団体の方からは何とかしてくれという悲鳴が聞こえてまいっております。特に最近は、大都市の方が地価高騰、建築費等の増高等もあってでございましょう、大きいところから特にそういう声が強うございます。  ちなみにちょっと一、二例を申し上げますと、保育所の措置費、子供一人当たりの月額で、ここで十一市の平均値で実は出しておるのを引用しますと、補助基準が二万二千四百三十一円、実施見込みが四万七千三百九十八円、超過負担が子供一人当たり二万四千九百六十七円、補助基準の約倍はかかる、こんなようなことが実は学校にしろ保育所建設にしろいろいろな点で出ておるわけでございます。  先ほど大臣は、財政厳しき折と盛んに出ておりますけれども、厳しいことは厳しいとして、しかし厳しいからといってかかるものを、おまえのところはこの半分出してそれで全部終わったぞというやり方もこれまた大変逆に厳しいやり方でございまして、そういう点では、超過負担は解消に向かってぜひやっていただかなければ、地方団体は、おまえのところはやっておるぞと言われただけで何の補整もないということになりますので、ひとつ尽力をしていただきたいと思いますが、どうですか。
  206. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今までも私ども超過負担の解消に一生懸命努力をしてきたつもりでありますし、それなりの努力は委員からもお認めいただけると思います。これからも社会経済情勢の推移を見守りながら、適正な単価、適切な単価の設定というものに努めてまいりたいと思います。
  207. 安田修三

    ○安田(修)委員 そこで、時間が大体もう五分ほどしかありませんので、ちょっと一つ質問を飛ばしまして一番最後に、実は政府税制調査会土地税制小委員会が二十九日、土地税制見直しの基本構想を発表いたしました。そして、土地税制見直しの視点として、一つは「資産に対する適正な課税」、二つ目は「土地政策の一環としての土地税制」のあり方を求めておるわけでございます。  先ほど大臣は途中で余談として、参議院予算委員会で固定資産税の問題が出たのでありますが、固定資産税問題は国で全部やれという意見があったとしても、これは税制の中身としては政策上いろいろ問題が違いますので、そういう意見の人もありましょう。だが一般的には、今の地方の安定した財源としてそれは一番いいのじゃないかというのは、私は定着しておると思うのです。それを例えば、今この土地政策に固定資産税というものが主力になるかどうか、こうなりますと、土地税制には、それは関与してきても決して主力となるような税制ではないと思います。  そういう点では、自治省の方に御見解を聞けば一番いいと思いますが、さて大蔵、自治ともに途中のそういう基本構想の発表段階ではございますが、見解を承っておきたいと思います。
  208. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今回、税制調査会土地税制小委員長が取りまとめられました「土地税制見直しの基本課題」、相当長文でありますのでその全部を引用することは控えさせていただきたいと思います。  ただ、ここに至ります経緯を振り返りますと、御承知のように土地基本法が制定されまして、公共優先という一つの原則を引いていただきました中で、土地税制というものを根本的に見直していきたいということから、税制調査会に小委員会をおつくりをいただきました。その際、私の方からお願いをいたしました視点として二つの視点をお願いしたわけであります。  それは一つは、土地価格の高騰の中で国民の中に持てる者と持たざる者という声から不満が起こり、資産格差の拡大に伴って資産課税適正化を求める声が非常に強くなってきている事実。またもう一つの視点は、大変素朴な申し方でありますけれども、この大都市でとにかく一生懸命働けば自分の家が持てるのだという国民の夢をかなえるための土地政策、その中における土地税制の役割とは何か。こういう二つの視点を持ってお願いを申し上げたわけであります。  そうして、今回の「基本課題」の中で、「土地問題の所在」というものを「地価高騰の結果としての資産格差の拡大の問題と、地価高騰の要因でもある土地の不均衡な利用あるいは非効率な利用の問題の二つに集約できる」とされました上、「土地問題は、大都市集中や土地神話、投機的取引などが複合的に作用したことにより生じたものであり、」と指摘をされております。  次に、同じメモで、このような土地問題に対処するためには、土地税制以外の諸施策を含めた土地政策の総合的な推進が不可欠である、これを強調されまして、具体的な施策を挙げてその強力かつ適切な推進を求めておられます。  その上に立って、「土地税制の見直しは、」一つは「資産に対する適正な課税」、二つは「土地政策の一環としての土地税制」という「二つの視点から進められるべきである。」としておられ、これは私ども適切な指摘であると考えております。  このうち、「資産に対する適正な課税」につきましては、「経済・社会の健全で均衡ある発展あるいは税制への信頼感の確保のためには、」「課税の公平の観点から土地という資産に対し適正な税負担を求めることが極めて重要である。」と考え、また、「土地政策の一環としての土地税制」については、「税制だけで土地問題をすべて解決することは困難である」としつつも、税制は「土地資産としての有利性を減殺することを中心に、投機的土地取引を抑制しながら土地の有効利用の促進を図る」機能において土地政策の中で極めて重要な手段の一つであるという位置づけをされておりまして、これも私どもとしては非常に大切な御指摘であると考えております。  いずれにいたしましても、土地税制の見直し、具体的方向というものは、まさに新しい税体系をつくり直すのか、それとも現行制度の手直しを行うのかということも含めまして、今この「基本課題」の中で二つの視点をお示しいただいたわけでありますが、これを踏まえて論議をしていただけるものと私どもとしては期待をいたしております。
  209. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今まで土地税制というのは土地政策の補完的なものだという形の認識でおったわけでありますけれども、先般、土地政策の見直しの基本課題が示されました。これははっきり言って半歩踏み込んだと申しますか、土地政策の極めて重要な手だての一つとしてしかるべき役割を果たせというような形の中で述べられておるように認識いたします。  ところで、私は余り先生のように税制に精通していませんから間違うかもしれませんけれども、基本的な基幹税だという形で、市町村自治体にとっては固定資産税というのはそういうものであるということから、これは政策税制としてはなじまない、長い間の保有ということを前提にしておりますから。ただし、宅地並みとか大都市区における農地の宅地並み課税とか遊休地に関する特別土地保有税とかといった政策税制が今後の土地政策の手だてに有効に活用されるのかな、その意味の結論というものも近く出していただけるようでございますから、またそういった形の中での制度化された時点で土地税制審議が進められていくことになると思います。ちょっとおかしいかな……。
  210. 安田修三

    ○安田(修)委員 それでは大蔵大臣、きょうは大変御苦労さまでございます。地方のことについては、国の財布を握る大蔵省、大蔵大臣として格段の御尽力をまたお願いしたいと思います。  それでは、終わります。
  211. 島村宜伸

    島村委員長 小谷輝二君。
  212. 小谷輝二

    ○小谷委員 きょうは、閣僚の中でも特にお忙しい橋本大蔵大臣に来ていただきまして、質問の機会を得ましたことを喜んでおります。どうか的確な御答弁をお願いしたいと思います。  最初に、大蔵省の一部で地方財政富裕論というべきものがあるやに承っておるわけでございますが、橋本大蔵大臣に、地方財政に対する認識をお聞きしておきたいと思います。
  213. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 先刻も御答弁をしたことの繰り返しになりますけれども、委員よく御承知のとおり、地方自治体と申しましても三千三百を超える団体の集合体でありまして、それぞれの財政状況にはかなりの差異がございます。それだけに、地方財政と申しましても、その財政状況を一口で富裕であるとかないとか決めつけることには相当な無理があると私は思います。  ただ、あえてそれを申し上げるといたしますと、地方財政計画ベースで全体として最近の地方財政の状況を考えます場合に、公債依存度、公債費比率などの指標には従前よりかなり低い水準となってきているところがございます。また、平成年度、元年度を通じて大幅な財源余剰というものも見込まれているわけでありますから、そういうところから論議を組み立てるなら、健全な財政状況になってきていると申し上げることもできると私は思うのです。また、地方団体ごとの財政状況ということを考えてみますと、確かに、公債費負担比率が二〇%以上の団体の数が、六十三年度で全団体の二〇・四%ということでありますから、これは大変重いと申し上げることもできると私は思います。しかし同時に、六十二年度はその比率は二九・四%であったわけでありますから、それに比べると随分減少してきているということも言えます。  そういう意味では、私どもの中に富裕論というのを申し上げた者があるかないか私は存じませんけれども、こうした比率から物を申しますならば、地方財政の状況は改善されつつあるということは言えると思いますが、いずれにしても、国も地方もまさに車の両輪でありまして、国民のために仕事をしていくということから申しますならば、あえて富裕であるとかないとか、あるいはこの数字をとると改善されているとかいないとかという論議は、余り生産的ではないなというのが率直な私の感じであります。
  214. 小谷輝二

    ○小谷委員 非常によくわかりました。  御承知のように、国と地方とを直ちにそのまま、国の財政赤字がこれだけあるから地方と比べてどうのこうの、このように比較することは適当ではないというように思っておるわけであります。特に地方といいましても、今大蔵大臣お示しのように、超過財源のかなり大きい東京都、また最も弱小な町村、まさに過疎で活性化に非常に苦慮しているという地域等々三千三百余の団体があるわけでございますので、地方団体は幾分財政状況が好転しつつあるといえども、今までの状況から見れば、現在の状況を見ましてもかなり厳しい状況にある、このように判断するのが正しいのではないかなというように思っておるところでございます。特に、国の方は税制面におきましてもみずから改正のできる状況にある、地方の場合は何一つ自由にならない、がんじがらめの状況にあるということでございますので、今現在、ここ二、三年かなり地方財政状況が好転したからといって、一律に地方財政富裕論というような見方をするのは軽々であり、適切でない、このように申し上げておきたい。  また、地方債の残高にしましても、企業債の普通会計の負担分、また特別会計借入金の合計額等々合わせましても六十七兆三千億近くもまだ抱えておるわけでございますので、引き続き非常に厳しい状況にあるということを申し上げて、その点は大蔵省としても大臣もきちっと認識をしておいていただきたい、このように思うわけであります。特に先ほど大臣からもお話がございましたけれども、今現在でも公債費負担比率が、警戒信号と言われる一五%以上の団体が五割、半分ですね。それから赤信号、危険信号と言われる二〇%以上の団体が二割という状況があるわけでございまして、まさに地方自治体は大変な状況であるということを申し上げておきたい。何といいましても、地方の時代と言われて長いわけでございますけれども、これから地方財政の健全化がますます必要な時代が迫ってくるのではないかな、このように思っております。  そこで、今各方面からいろいろ申し上げましたけれども、大蔵大臣地方財政の現状に対するこれからの対応、臨まれるものをお聞かせいただきたい。
  215. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 大変難しい御提起でありまして、下手な答弁をしますと郷里の町に帰りまして怒られそうな感じもいたしますけれども、私は、先ほど申し上げましたように、地方財政というものを一つにまとめて申し上げるのには非常に無理があると思っております。そして、委員が御指摘になりましたように、非常に厳しい自治体が現実に存しておることも事実でありますし、また、それなりに地方財政の中に今後に課題を残しておる部分があることも承知をいたしております。  ただ同時に、先ほど私はそういう議論は余り意味がないという感じを持っていると率直に申し上げましたのは、別に私は国と地方を対峙した形で物を申し上げるつもりはございませんけれども、国の財政状況というものも、平成年度末で百六十四兆という公債残高を抱え、そしてその累増にどこで歯どめをかけていくことができるか、そして若年労働力が非常に大きく減少する二十一世紀が到来するまでに、その時代に借金をどこまで残さずに済むかということは非常に大きな課題でありまして、財政の厳しいという点においては、国もまた財政健全化の途上にあるということであります。国も地方もまさに国民のために努力を続けていく責任を持つわけでありますから、やはりお互いに行財政改革に不断に目を配り、歳出の不断の節減合理化というものにも努めていく責任が国民に対してある、私はそのように考えております。
  216. 小谷輝二

    ○小谷委員 大臣の基本的なお考えにつきましては十分理解できるわけです。  そこで、交付税を現在論議しておるわけでございますが、まず交付税を論議するための基本的な問題といたしまして、交付税地方の固有財源であって自主財源、国が自由にすべきものではない、このように認識をしておるわけでございます。まず、大蔵大臣のこれに対する考え方をお聞かせください。
  217. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 地方交付税というものが、地方団体がひとしくその行うべき業務を遂行することができるように、数多くある地方団体の財源の調整のために国から地方に交付する使途制限のない一般財源である、そして、その交付税というものの総額が国税三税の三二%及び消費税の二四%、たばこ税の二五%と法律によって定められているということはよく承知をいたしております。そして、このように定められております国税の一定割合法律により地方団体に当然帰属する、いわば地方の権利のある財源であるという意味におきましては、地方の固有の財源であると言われることも差し支えないであろう、そう思っております。
  218. 小谷輝二

    ○小谷委員 今回の地方交付税の一部改正案の中にも、地方財政の中期的健全化のために今年度地方財政対策として財源対策債の償還基金二兆七百五十三億円を設けてあるわけでございます。これは、昭和五十八年度、五十九年度の国税三税の大幅な減収に伴って財源対策債を大量に発行して交付税の不足分を補てんした、こういう経緯があるわけでございますけれども、これを償還するための基金が出されておるわけです。これは認識論として、本来ならばこのような大幅な財源対策債を発行するよりも、このように交付税の不足額が生じた場合には、要するに当時、五十八年度地方交付税法第六条の三第二項の規定に基づいて地方交付税の国税三税の三二%を引き上げるべきではなかったのか、そうしてその時点で処置すべきものではなかったのか。それを今日までかなり前送りして、繰り延べして、今日になってやっと返済するということですが、これは大蔵大臣のお考えはどうですか。
  219. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 私は委員に論争をしかけるほど地方財政問題に見解を持っておるわけではありませんけれども、まず申し上げておきたいことは、地方交付税というものは国が地方に交付するものでありまして、本来地方が徴収すべきものを国がかわって徴収しているという性格のものでないということはまず申し上げておきたいと思うのであります。  地方財政というものにつきまして、従来から、毎年度地方財政計画の策定を通じて、円滑な運営に支障のないように所要の措置は講じてまいりました。今五十八年度、五十九年度というものに御指摘がありましたが、当初ベースで見て、五十八年度につきましては、財源不足額三兆三千三百四十六億円に対しまして、交付税措置としては二兆百億円でありましたが、地方債措置で一兆三千二百四十六億円の措置を講じ、昭和五十九年度につきましても、財源不足額一兆五千百億円に対しまして、交付税措置三千四十九億円、地方債措置一兆二千五十一億円の措置を講じて、各年度地方財政の円滑な運営に支障がないようにしてきたところであります。  また、昭和五十九年度におきましては、国と地方の財政運営の中期的な展望に立って、地方財政の健全化に資すると同時に、国・地方の円滑かつ着実な財政再建を確保するための地方交付税法六条の三、二項に基づく地方行財政制度の改正として、交付税特会の新規借入金措置を今後原則として廃止するなど、一連の地方財政対策の制度改革を行ってまいりました。  いずれにしても、政府としては、地方交付税法の御趣旨などを踏まえまして、地方財政については各年度適正に対応してきたところでありまして、これから先も引き続き毎年度地方財政計画の策定を通じまして、それぞれの年度における地方財政の円滑な運営に支障がないように適切に対応してまいりたいと思います。
  220. 小谷輝二

    ○小谷委員 地方交付税法第六条の三の二項、この規定を自治省ちょっと説明してください。
  221. 持永堯民

    持永政府委員 これは地方交付税法に基づく地方交付税の総額と各団体の財源不足額の合算額との間に開きがあった場合のことを書いてあるわけでございまして、それが引き続き著しく開いた場合には交付税率の見直しあるいは行財政制度の改正を行う、こういうことになっておるわけでございます。その「引き続き」というのは、ある年度においてそういう状態になり、しかもまたその次の年、もう翌年、つまり三年間続いてそういう状態になるということ、「著しく」というのは、普通交付税の総額の一割程度のものが過不足が出る、こういうことというふうに解釈をいたしております。
  222. 小谷輝二

    ○小谷委員 大臣、今自治省の方から説明したように、地方交付税法第六条の三の二項、地方財源が基準財政需要額基準財政収入額、このバランス上著しく財源不足が生じたときには、要するに国税三税の税率を変えるとかいう形で安定した財源を確保すること、こういうことのように思っております。今説明をされた。したがって、この当時のことを今申し上げるのは私はどうかと思いますけれども、要するに国が対処すべき地方財源を、財源対策をやらずに、これも一つの対策かわかりませんけれども、財源対策債として地方に起債を認めて借金させて、後に交付税で見ていきますということは、この交付税法第六条の三の基本的な考え方に沿わないのではないかなと思うわけであります。したがって、今後も財源対策債の発行等を地方団体に求めるべきではないのではないかと思うわけですが、いかがですか。
  223. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 地方交付税法第六条の三第二項、これは今自治省の方からもお話がありましたけれども、一定の要件が満たされました場合、「地方財政若しくは地方行政に係る制度の改正又は第六条第一項に定める率の変更を行うものとする。」となっております。そして、制度の改正というものにつきましては、昭和五十三年三月十四日の内閣法制局見解というものによりますと、「いかなる内容地方行財政制度の改正を行うべきかについては、法律は広い選択を許しているのであって、例えば経済情勢が変動期にあるため将来に向かっての的確な財政の見通しが予測し難い状況にあるような場合には、さしあたり当該年度地方交付税の総額を増額する特例措置を講じ、あるいは、総額を増額する特例措置を講ずるとともにこれに伴う借入金の将来の償還額の一部を一般会計において負担する旨を法定化することもまた、ここにいう地方行財政制度の改正に該当するものと解される。」となっております。  これをそのまま考えてみますと、私は今委員が御主張になりましたように、仮に一定の要件を満たしたからといって、必ずしも交付税率の変更によって対応しなければならないということではないように思うのです。私はそんな感じがいたします。
  224. 小谷輝二

    ○小谷委員 今後、昭和六十二年度の財源対策債三千二百四十一億円、これは各自治体が起債として借金しておるわけでございますけれども、これの対応はどのようにやる考え方を持っていますか、これは自治省ですね。
  225. 持永堯民

    持永政府委員 六十二年度に発行いたしました三千億円余りの分でございますけれども、これは現段階におきましては、毎年度地方団体の償還時期におきまして交付税基準財政需要額に算入することによって対応していく、こういう考え方を持っているわけでございます。
  226. 小谷輝二

    ○小谷委員 ちょっと質問を変えますけれども、大蔵省は地方財政が好調であることを理由に、日米構造協議にも問題になっております公共事業に対する補助率を来年度昭和六十一年度の水準に復元しない方針を固めた、このように新聞で報道されております。これは五月二十三日の新聞報道でございますが、これは事実なのか、大蔵大臣いかがですか。
  227. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 この暫定期間終了後の取り扱いにつきましては、関係省庁間の検討会において総合的な検討を行っておるところでありまして、御指摘の報道のように、大蔵省としての方針を固めたという事実はないと私は心得ております。
  228. 小谷輝二

    ○小谷委員 これは、私が申し上げるまでもなく、新聞報道されたようなことがあってはならぬ、このように思っておるわけでございます。これは平成元年予算編成のときに、平成元年の一月十八日ですか、大蔵大臣と自治大臣及び自民党の政調会長の三者で交わされた補助負担率の見直し措置についての覚書に明らかに反するということになるわけでございます。この点については大蔵大臣、この約束はまさかほごにされることはないと思いますが、いかがでしょうか。
  229. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 まず第一に、この新聞記事の内容につきましては、よほど私が事務方から何も教えてもらえていない大臣であればともかく、多少とも報告を受けておるとするならば、こういう方針を大蔵省は固めたという報告を私は一切受けておりません。  そしてまた、今委員がお述べになりましたようなことも私も存じております。現在関係省庁間の検討会において総合的に検討しておるところでありますので、以上その事実関係を申し述べておきます。
  230. 小谷輝二

    ○小谷委員 過日、この委員会におきましても奥田自治大臣は、橋本大蔵大臣に対する信頼は非常に厚いようでございまして、大蔵大臣はこの覚書に平気で違背するような人ではない、このようにかたく信じておられるように承っております。  この覚書そのものにつきましては三千三百数十の地方自治体との約束でもこれある、このように思っておるわけでございますので、この点についてもう一回、大蔵大臣の今現在の考え方、この約束を守るのか守らないのか、もう少し明確にお答えをいただきたいと思うわけですが、いかがですか。
  231. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 そこまで申されますならば、やむを得ず事務方の書いた答弁資料そのままを読み上げさせていただきます。  その総合的に検討しているという後につけ加えておりますものは、なお「検討に当たっては、「昭和六十二年度引き下げ分については、平成年度から昭和六十一年度の補助率等の水準に復元するものとする」とされている覚書の趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたい。」  以上であります。
  232. 小谷輝二

    ○小谷委員 まだ時間がちょっとあるようなので、一言最近の問題について簡単にお尋ねをしておきたいと思います。  と申し上げますのは、今不公平税制の是正問題につきましては国民の世論でもあり、また税制問題の論議の中で与野党間で随分論議をされ詰めてこられた問題、その中に医師、医療法人等の社会診療報酬に対する優遇措置というものがあるわけでございます。これはいろいろな理由があってそういうことが行われておる。それはそれなりの理由もあり、是正すべき点は是正しなければならぬ、こう思っておるわけでございますけれども、この医療法人というのはたとえ利益がどれほどありましても株主に配当してはならない、これは医療法で明確になっております。ところが、これを相続する場合に、配当のできない株、配当してはならない株を相続する場合、要するにそれに対するどんな特別な配慮がなされておるのか、ちょっと御説明をいただきたい。
  233. 福井博夫

    ○福井政府委員 医療法人に対します出資持ち分の評価方法の問題の一つについての御質問でございますので、私から答弁をさせていただきます。  ただいま御指摘いただきましたとおり、医療法人の出資の評価に当たりまして、その配当というものをどういうふうに考えるかということが一つの大きな問題としてあるわけでございます。これを考えます場合に、現在制度的に配当というものができないというシステムになっておりますので、これを単純に通常の場合と同様に、業績が悪いためにゼロであるという形で組み込んでいくことはなかなか難しいであろうというふうに私どもは考えております。  ただ一般的に申し上げまして、医療法人の出資持ち分の評価に当たりましては先生御存じのとおりでございまして、五十九年に一般の中小企業の事業承継といったことを考慮いたしまして種々の措置を講じてきたわけでございます。その中には類似業種比準方式の適用を認めるとか、また類似業種比準方式の適用に当たりましては、その取り入れる株価につきまして弾力的な措置をとるといったことでこういった問題の対処をしておるということになっておるわけでございます。  ただ冒頭申し上げましたように、制度的に配当がございませんので、それをそのまま業績の悪いのと横並びにいたしましてゼロであるという形でこの配当の評価方法の中に組み込んでいくことは難しいのではないかと考えておるところでございます。
  234. 小谷輝二

    ○小谷委員 これは医療法そのものは別としまして、大臣、お医者さんで、医療法人で診療報酬は非課税なりしてかなり収益が上がってきた、それは病院の施設を充実し、高度な医療器具を整備する、こういうものに充てなさい、決して出資者とか株主に配当してはなりませんよ、こういうことになっておるわけです。これはそれなりの意義があると思うのです。ところが、相続する場合は一般の営利会社の株の相続と何ら変わらない。配当はできない。これで、それなら相続を受けたものの一部を売却することはできるか、これは許されない。では、全く個人の自分の給料から税金を払わなければならぬ、相続税を払わなければならぬということで、これは一遍見直す必要があるのではないかな、こう思うのですが、大蔵大臣、いかがですか。
  235. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 これは大蔵省の見解としておとりをいただきますと困ります。私個人の、むしろ社会労働委員会に所属をしておりました当時から、今委員が御指摘になりましたような視点と世間から医療機関に向けられます眼、さらには社会保険診療報酬に関する租税特別措置をいわば悪用しているケース、こうしたもののはざまで非常に苦慮した問題点の一つであります。そして私は、現在、社会保険診療報酬の租税特別措置というものは改善に改善を加えてまいりました結果、まさに離島あるいは僻地、さらに本当に町のお医者さんとして住民の身近におられる小さな医療機関のみが利用できる制度になり、それなりに改善が加えられてきたもの、そのように考えております。  ただ、その間において、日本の医療制度の変革の中で個人開業医が減少し、医療法人に切りかえられるものが非常にふえてまいりました。それはそれなりにこの医療法人という制度に魅力を感じて変化をされたものと考えております。ところが、今大学医学部における医学教育の実態から専門医志向が強まり、それは同時に勤務医志向に連動いたしまして大病院に若い医師が集中する傾向が定着をしてしまい、むしろプライマリーケアを行っていただける医師が我々の身近に不足しつつあります。それは開業医の平均年齢の上昇というものを一つ原因としておることもありましょう。そうした中で、今日になりまして、むしろ当時は非常に魅力を感じ医療法人の資格を取られてきた方々の中から、今まさに委員が御指摘になりましたような声が非常に多く出てくるようになっております。まさに税制というものが不断の見直しを必要とする一つの証左でもありましょう。  今国会、私は正確に存じませんけれども、政府、厚生省として医療法の改正案を提案をしておられると思います。これらの御審議の中においてこうした問題に対する解答のかぎが見出されることを私としては期待をいたしておるところであります。
  236. 小谷輝二

    ○小谷委員 時間が参りましたので、終わります。どうもありがとうございました。
  237. 島村宜伸

    島村委員長 吉井英勝君。
  238. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 私は、まず、先ほどの大蔵大臣答弁の中でも議論がありましたけれども、ことしの四月十九日の衆議院本会議答弁の中で地方財政余裕論についてということでお話がありまして、「平成元年度、二年度を通じまして大幅な余剰も見込まれておりまして、比較的健全な状況にあるのではないかと思われます。」それがいわゆる地方財政余裕論の一つの根拠ではないか、そういう御趣旨のお話でありました。  そこで、この大幅な財源余剰の問題ですね、これは、大幅の余剰ということについては具体的に何を指して言っていらっしゃるのか、この辺のところをお聞きしたいと思います。
  239. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 平成年度地方財政収支見通しにおきましては、臨時行政改革推進審議会の元年十二月二十日に出されました「国と地方関係等に関する答申」の趣旨に従い極力歳出の抑制に努めてまいりましたこと等から、平成元年度二兆三千四百六十五億円に引き続き大幅な財源余剰、三兆四千八百五十九億円となったところでありまして、この点を踏まえて、今委員が御指摘になりました本会議におきましても平成元年度、二年度を通じまして大幅な財源余剰も見込まれておりますというお答えを申し上げたところでございます。
  240. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 繰り返すようですが、今おっしゃったのは、要するに、交付税特別会計の借入金の繰り上げ返済に充てた額、これは昨年度、当初と補正合わせて二兆七千六十一億円、今年度は、予算で見ますと、繰り上げ返済に充てた分と財源対策債償還基金に充てた額の合計になりますが、三兆四千八百五十九億円、こういうふうに二兆七千億とか三兆四千億余りとか、つまりこれが財源余剰という具体的な内容だ、今の御答弁というのはそういうふうに理解させていただいていいわけですね。
  241. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 元年度の財源余剰二兆三千四百六十五億円につきましては、交付税特会借入金の返済に一兆一千三百六十億円、財源対策債償還基金の設置に九千六百億円、地方債の縮減に二千五百億円を措置いたしております。また、平成年度財源余剰三兆四千八百五十九億円につきましては、今委員が触れられましたように、交付税特会借入金の返済に一兆四千百六億円、財源対策債償還基金の積み増しに二兆七百五十三億円を措置しております。
  242. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 せんだっての議論の中では、今のところについて「中長期的に見て財政の健全性を確保し国民負担率の上昇を抑制するためには、臨時行政改革推進審議会の答申に沿いまして、国と同様、地方財政におきましても、歳出規模の伸びを抑制していくべきものであると考えております。」ということでお話があったわけですが、その今の臨時行政改革推進審議会の方の話です。  これは、昨年の十二月四日に出された小委員会の報告、それから、今もお話ありました十二月二十日の答申、引き続いて十二月二十九日に閣議決定とすべて同じ内容で、三点につきましては、それは「地方財政の制度・運用の改革と団体間財政格差の是正」ということで、「一 地方財政の制度・運用の改革」、今この会議録などで、また先ほど大臣お話ありましたのはこのアの部分ですね。その三点のうちの「中長期的にみて、財政の健全性を確保し、」云々の中で「地方財政計画の歳出規模の伸び率は名目成長率以下とすることを原則とする。」こういう内容のことを御趣旨としておっしゃったと思うのですが、要するに同じことでしょう、先ほどおっしゃったのはそういう意味ですね。アの部分ですね。  その後、イの部分を飛ばしましてウの部分で「地方の財政状況の推移等に応じて、地方交付税法第六条の三第二項の規定により国・地方間の財源調整を行う。」これは大蔵大臣も出席された閣議での決定であります。問題は、この第六条の三第二項ということになりますと、これは先ほども少し御議論がありましたが、「毎年度分として交付すべき普通交付税の総額が引き続き同法第十条第二項本文の規定によって各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なることとなった場合においては、地方財政若しくは地方行政に係る制度の改正」または第六条第一項に定める率の変更を行うものとする、こういうことですね。  それで、要するにこの意味は、交付税総額と地方財政の財源余剰ないしは不足ですね、これとの間に乖離が出た場合には制度の改正を行うか、それとも交付税率の変更を行うということです。つまり、財源余剰の時代ですと、制度改正で地方交付税の総額を減らしていくのか、それとも交付税率の変更によって総額を抑え込んでいくのか、こういうことになるのではないかと思われるわけなんです。私はこの点では、この十二月二十九日の閣議決定というのはもちろん大蔵大臣も御出席なさってのもとでありますし、この閣議決定でなされたこの部分意味、これは私が今申し上げましたように、財源余剰ということが先ほど前段にお話がありました、この財源余剰の中では、制度改正で地方交付税総額を減らすということもあり得る話なのか、あるいは交付税率を引き下げてこれで交付税総額を減らすという、そういう方向のことも考えての意味なのか、この点を伺いたいと思います。
  243. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 大変ひっかかりやすい質問でありますので、恐縮ですが、事務方のまとめましたペーパーどおりにこれは読み上げをさせていただきます。  「答一、元年十二月二十九日に閣議決定された「国と地方関係等に関する改革推進要綱」においては、「地方財政の制度・運用の改革」として、「ア 中期的にみて」」ここは飛ばします。それからイも飛ばします。「「ウ 地方の財政状況の推移等に応じて、地方交付税法第六条の三第二項の規定により国・地方間の財源調整を行う。」と述べられているところである。言うまでもなく、地方交付税法第六条の三第二項は、財源対策を講ずる前の普通交付税の総額の各団体の財源不足額(基準財政需要から基準財政収入を控除した額)の合計額に対する割合が二年連続三年目以降も一割以上乖離する状態が続く場合には、地方財政もしくは地方行政にかかる制度の改正または交付税率(三税の三二%、消費税の二四%、たばこ税の二五%)の変更を行うものとするとの趣旨を述べているものである。」  「三、したがって、仮に地方交付税法第六条の三第二項に該当する事態になった場合には、公経済の車の両輪としての国と地方の財政がともに円滑に運営されるよう、国と地方の行財政関係全体を勘案しつつ、適切な財源調整策を検討することといたしたい。」  以上であります。
  244. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 なかなかこの事務方の作文というのは、私の方も引っかかり――引っかからないようにということでのお答えでしょうが、お伺いしておって、要するに素人的に、国民的になかなかわかりにくいお話なので、そこで、もうちょっとかみ砕いて翻訳をした方の御回答でいただきたいと思うのです。  要するに、これは財源余剰が出ても、少なくとも交付税率の引き下げとかそういうことによる交付税総額の圧縮は行わない、ほかはいろいろ考えられるにしても、交付税率の引き下げによる交付税総額の圧縮は行わない、そういうことはちゃんとお考えいただいているものなのかどうか。この点をいま少し、大臣も長年やっていらっしゃて専門家でございますから、ちょっと国民にわかるように翻訳をお願いしたいと思います。
  245. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 本当にひっかかりやすい御質問であります。わかりやすくと申されますならば、そういう事態が参りましたときには、地方自治体を代表されるお立場の自治省さんとよく御相談をいたすということであります。
  246. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 最初に、大臣の方は財源余剰についておっしゃいました。引き続いて、この分についてはなかなか微妙なところなんですが、自治省とよく御相談なさるということであります。  これは自治大臣、先日、御答弁いただいたところでは、交付税率の引き下げなどは絶対困るのだということでおっしゃておられたわけでありますが、この点はまさにそのとおりですね。
  247. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今のところ、国の税収好調にも、景気にも支えられて地方財政は多少健全化の兆しは出てきているということは否めません。しかし、今日の地方財政の実態、また、これからまさに地方の時代と言われる中で、住民ニーズを抱えて大変な仕事を果たしてもらわなければいかぬ現状を考えるときに、交付税率を下げるという方向で、私がそんなことは……(吉井(英)委員「困るとおっしゃたのですね」と呼ぶ)下げるという方向もあるって……(吉井(英)委員「この間の議論ではね」と呼ぶ)そんなのはとても考えていませんよ。
  248. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 交付税率を下げるなんというようなことは困るということですね。ということで、この間もそれは絶対困るとおっしゃいましたので、まさに今おっしゃたとおりで、ひとつ大蔵大臣自治省とも、自治省はそういう見解でございますので、こういうことはないように対応していただきたいというふうに思います。  時間が残り少なくなってまいりましたので、公共事業の国庫補助負担金カットの暫定措置の問題について、残された時間でごく簡単にお伺いしたいと思います。  既に議論がありましたように、例の昨年一月十八日の「覚書」ですね、その二項、ここで言っているのは、昭和六十二年度引き下げ分については平成年度から復元するものとする、何かこれもまた適切に対処というなかなかわかったような、わからぬようなすぱっといったお話ではありませんでしたけれども、六十二年度引き下げ分以外はこの間の検討で復元という場合もあれば、引き下げということもあり得るのかな、そういうふうにもとれるわけでありますが、当時、村山大蔵大臣は当委員会でも、その期間が過ぎたらもとに戻すとは言っていないというふうな答弁もありまして、結局、どこへどうなるのかな、こういうことになるわけでありますが、六十二年度引き下げ分以外についてはどういうふうに措置をされるのか、これも伺っておきたいと思います。
  249. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 検討中であります。
  250. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 それで前回の検討の場合は、これは補助負担率の暫定的なものを恒久化する、この検討の中で、国と地方の役割分担や費用負担のあり方、そして、両方の財政事情を考慮して検討ということでいっていたのですが、前回のときは関係省庁にさらに地方代表、学識経験者も入れての検討でありました。今回は伺うところ、関係十一省庁だけで検討していらっしゃるようなので、公共事業の性格について検討しても地方の声が反映しているのかと思われることがありますし、また、国と地方の財政問題の観点だけからの検討になってしまっては困るということもあるわけでありますが、この点は先ほども伺っておりますと、国と地方の役割分担や費用負担の方もあわせて考えるというふうな御答弁であったように私は理解したのですが、この点はそういう面も含めての検討ということで理解しておいていいでしょうか。
  251. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 公共事業の補助率と申しますものは、創設時の事業の重要度、受益の範囲などの状況やその後の経緯などを踏まえてバランスのとれた社会資本整備を図るという観点から決定をされてまいっております。また、従来から、公共事業に係る現行制度の根幹を踏まえて、国の施策としての重要度、受益範囲の特定性、事業の緊要性などを勘案しながら、その負担の検討を行ってまいりました。  大蔵省として申し上げますならば、先ほど引用されました国と地方関係などに関する答申、こうしたものを踏まえまして、補助率の体系化、簡素化の観点を含めながら見直すと同時に、事業の性格内容、補助などの目的等を勘案しながら総合的な見直しを推進するということは大切なことだと考えております。  しかし、今委員から地方の声というお話がありましたが、自治省の諸君というのは論争相手としては極めて強烈でありまして、地方の立場に立って、なかなか国の立場を考えてくれないときすらあるぐらいに強力な論敵であります。その自治省が代表として加わっておられますので、地方の御意見というものはそこに十分反映されると考えております。
  252. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 時間が来ましたので、終わります。
  253. 島村宜伸

    島村委員長 神田厚君。
  254. 神田厚

    ○神田委員 大蔵省に対する質問をさせていただきます。  まず一番目は、消費税見直しの予算の計上についてであります。  政府提出の消費税見直し法案によって、初年度は国税分で消費税の非課税範囲の拡大などで三千七百八十億円の減収、消費税の仕入れ税額控除の制限等で二千九百十億円の増収、すなわちトータルで八百七十億円の減収となっております。一般会計では、そのうち五分の一が譲与税として地方に回るので七百億円の減収となっております。平成年度の政府予算案の歳入部分には、この七百億円の減収分もカウントされて全体の税収が計上されております。  しかし、今日の国会状況等を考えますれば、政府提出の見直し法案は成立する見通しがないにもかかわらず強引に本予算に盛り込むことは問題ではないか、こういうふうに思いますが、政府の見解を明らかにされたいと思います。
  255. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 国会に今提出をさせていただいております消費税の見直し法案につきましては、消費税に対する国民各層の御指摘を踏まえたものでありまして、私どもとして最善の努力を尽くしたものと信じており、現在も私どもとしてはその成立に向けて最大限の努力を払いたいと考えているものでございます。  毎年度の予算編成に当たりまして、従来から政府が提案いたしております税制改正法案というものを含む予算関連法案を前提として積算を行っておるところでありまして、平成年度の税収予算につきましてもこのような考え方の上に立ち、消費税の見直しを含む平成年度の税制改正を織り込んで積算をさせていただいたことでありまして、適切なものであると我々も考えておりますし、むしろ消費税見直し法案というものをできるだけ早く御審議をお願いしたい、私どもとしては心からそう願っております。
  256. 神田厚

    ○神田委員 消費税の中途半端な見直しについてでありますが、食料品を小売で非課税、その他は一・五%というやり方は大変世界にも類を見ないようなものでございます。これは、自民党内の紛糾した論議の結果、足して二で割るというような折衷案であり、なぜ中途半端な改正を行うのか。どうせやるのなら食料品は全段階で非課税とした方がまだ国民にとってもわかりやすかったのではないかというふうな考え方を持っておりますが、その点、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  257. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 消費税見直しに際しまして、私は国民に対し、皆さんの消費税についての御意見をじかにお聞かせいただきたいということで呼びかけをし、一万九千通に近いお手紙をちょうだいいたしました。その中には、賛否それぞれの御意見を、またそれぞれの視点から非常に一生懸命述べていただいております。私どもは、それらの御意見も十分に私どもの糧としながら、消費税の見直しの作業に取り組んでまいりました。  今委員から御指摘いただきました点につきまして、消費者の立場から多く寄せられました、食料品のように毎日買うものについて特別な配慮をすべきではないか、そういった御要望、あるいは消費税の持つ所得に対する逆進性の緩和という視点からも、食料品については特別の配慮をすべきではないか、そうした御指摘にこたえますと同時に、消費者の購入価格の引き下げを図りながら事業者間の円滑な取引を確保するためにどうした方式がいいか、そうした観点からさまざまな議論を重ねました上、私どもとして今回の見直し案のような考え方が最善のものと考えたわけであります。  すなわち、飲食料品のようにその流通が転々とする物品について、仮にその取引のすべての段階を非課税といたしました場合に、例えば仕入れ額控除ができない、非課税とされた物品の価格に控除できない税額が残るが、商品の種類や製造方法、流通経路等の違いによってその税額割合がまちまちになる、その結果、製造・卸等の事業者が適正な転嫁に不安を生ずる、また、消費者にとって適正な値下げを監視することが困難となる、こうした問題も生じます。また、全段階非課税の場合には、仕入れに税負担を含んでおりません輸入品の方が国産品より有利となってしまう、その結果、食料品加工業者などの競争条件を攪乱させる可能性がある、あるいは飲食料品を非課税といたしました場合に、その仕入れ価格には製造・卸売段階でのさまざまな課税、仕入れにかかる税負担が含まれているので、従来の税抜きの仕入れ価格よりは高くなってしまう、一方では、レストランなど、提供するサービスには課税が行われる、しかしその仕入れる飲食料品がすべて非課税であります以上、その税負担相当額の仕入れ控除ができなくなってしまう、したがってレストラン等にとりましては、結果的にコストアップとなってしまう、むしろ飲食料品が課税対象になっております場合よりも値上げをしなければならないような状態も惹起する、こうした問題点が生ずるわけであります。  こうしたことを解消いたしますために、私どもは小売段階を非課税にいたしますと同時に、事業者間取引について特別低税率制度を設けたものでありまして、これはぜひ御理解をいただきたいと思っております。
  258. 神田厚

    ○神田委員 時間の関係で細かい議論ができないで大変残念でありますが、私どもとしましては、この全段階での非課税の方針というのをこれからも大蔵省の方にお願いをしていくというふうに考えております。  続きまして、小売業者へのしわ寄せの問題でありますが、小売業など流通業者にとってレジやソフトの切りかえを初め、事務負担が大変大きくなっております。しかも食料品につきものの包装、配達などの経費は三%課税のままであります。これらは価格に転嫁できるのか不安が生ずるところであります。また、商品の混在する店舗では、仕分けなど煩雑さが倍加されることになると考えられます。これらの不安にこたえる万全の対応策を政府は持っているのかどうかという問題が一つあります。  また、小売の定義では問題を引き起こす懸念がありまして、法案の第六条においては、実態面から小売業者と言えるところは事業者みずからが税務署に届け出をすることになっております。いわば自己申告制という形になっておりますが、これではあいまいではないのかという問題がございます。政令等に委任することになりますが、完全な定義というのは不可能ではないのか、そういうことで御意見を伺いたいのであります。
  259. 石坂匡身

    ○石坂(匡)政府委員 食料品の小売業者の問題についてのお尋ねでございますけれども、確かにこの食料品の小売業者が飲食料品等の小売販売場におきますところの飲食料品等の譲渡、これが非課税となります。それに対応します仕入れ税額、これを転嫁しなければならないという問題が出てまいります。しかし、今回のこの小売段階非課税という措置につきましては、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、消費者が食料品を小売段階、末端で非課税にしてほしいという要望が非常に強かったわけでございます。そうした国民の御要望に沿ってそういう措置をとらせていただくというふうな案としてつくらせていただいたわけでございます。したがいまして、そういうことを踏まえつつ、また小売業者の御理解も得ながら、この円滑な転嫁ができますように関係省庁間で緊密な連携をとりながら努力してまいりたいと思っております。  それから、事業者の方に何らかの事務的な負担をお願いするというふうな問題がどうしても出てまいるわけでございますが、この点につきましては、税制上におきましても、一定のレジスターとか小型電子計算機の取得費用につきまして、一時に損金算入できる措置を平成三年九月三十日まで一年間延長させていただくこととしておりますし、それから消費税の納税に関する事務を処理するために支出するソフトウエア開発費用、これにつきまして任意償却できる期限、これを平成三年三月三十一日まで延長をするというふうな措置もとらせていただくこととしておるところでございます。
  260. 神田厚

    ○神田委員 次に、消費者に対する税隠しと言われている問題でございますが、食料品非課税といっても、丸々三%分の消費税がなくなるわけではないわけでありまして、大蔵省のモデル試算では、一・三五%の消費税分を消費者が負担する、こういうことになっております。しかも非課税だから、食料品小売段階の非課税化には必然的に内税となり、本当に値下がりするのかどうか、保証も全くありません。場合によっては、前と同じ価格がそのまま続けられれば見直しの効果は生じない、こういうことになってまいります。見直しの効果は全くないことになってまいります。消費者にとりましては、非課税となることで税隠しとなって、かえって不透明感が高まる懸念がある、こう批判をされておりますけれども、どのようにお考えでございますか。
  261. 石坂匡身

    ○石坂(匡)政府委員 小売段階非課税と消費者との関係につきましてのお尋ねでございますけれども、売り上げに課税されない、つまり非課税ということになりまして、そして仕入れに含まれている税額分、これはコストの中に入ってくるというふうな形になる、これが非課税という措置の内容でございます。これはどういう段階で非課税にいたしましてもそういうふうな形になるわけでございまして、一般に物品、サービスを非課税とする場合には必然的に生じてくるところでございます。したがいまして、これは結局消費者の立場からいいますと、食料品のように毎日買うものは特別な配慮をしてほしいとか、あるいは逆進性を緩和してほしいとか、そうした要望にこたえるというふうな措置をとらせていただく結果でございますので、ここは御理解をいただきたいと考える次第でございます。  それから、その値下がり等の透明度の問題でございますけれども、これはこの制度が、つまり小売業者の段階で見ますと、小売業者が卸から買う段階まで、ここは三%の税率が一・五%に下がります。したがいまして、その分価格が下がるということになります。それにあわせまして小売業者の段階での付加価値、マージンといったものが非課税になるわけでございまして、それを加えたものが値下がりになるわけでございます。したがいまして、これは非常に粗く言いましてのことでございますけれども、総じて言えば一・五%を上回るくらいの値下げ効果があるというふうな形になるわけでございまして、そうした措置をとらせていただいたということを御理解を賜りたいと考える次第でございます。
  262. 神田厚

    ○神田委員 時間が来ましたので、終わります。
  263. 島村宜伸

    島村委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十五分散会