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1990-05-30 第118回国会 衆議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年五月三十日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 島村 宜伸君    理事 石橋 一弥君 理事 谷  洋一君    理事 西田  司君 理事 野中 広務君    理事 中沢 健次君 理事 元信  堯君    理事 小谷 輝二君       小坂 憲次君    中谷  元君       福永 信彦君    古屋 圭司君       星野 行男君    前田  正君       増田 敏男君    小川  信君       小林  守君    須永  徹君       谷村 啓介君    筒井 信隆君       安田 修三君    河上 覃雄君       伏屋 修治君    吉井 英勝君       神田  厚君  委員外出席者         参  考  人         (全国市長会副         会長益田市         長)      神崎治一郎君         参  考  人         (三笠市長)  能登 和夫君         参  考  人         (名古屋市立大         学経済学部助教         授)      山田 雅俊君         地方行政委員会         調査室長    渡辺  功君     ───────────── 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出第一四号)      ────◇─────
  2. 島村宜伸

    島村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人皆様から意見を聴取することといたしております。  参考人として御出席いただいた方々は、全国市長会会長益田市長神崎治一郎君、三笠市長能登和夫君、名古屋市立大学経済学部助教授山田雅俊君、以上三名の方々でございます。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  参考人皆様には、御多用中のところ当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、議事の順序は、初めに参考人皆様からそれぞれ十五分程度意見をお述べいただきまして、次に、委員からの質疑に対し御答弁をお願いいたしたいと存じます。  それでは、まず、神崎参考人お願いいたします。
  3. 神崎治一郎

    神崎参考人 私は、全国市長会の副会長をいたしております益田市長神崎でございます。  衆議院地方行政委員会の諸先生方におかれましては、日ごろ地方行政の諸問題につきまして、格別の御尽力を賜っておりますことに対しまして、心から感謝と厚くお礼を申し上げます。  本日は、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして意見を申し述べる機会を与えていただきましたので、直接都市行政に携わっております市長立場から、当面する諸問題について意見を申し述べさせていただきたいと存じます。  まず、現在審議されております地方交付税法等の一部を改正する法律案早期成立についてであります。  申し上げるまでもなく、地方交付税は、地方団体共有固有財源であり、地方団体自主性を維持しながら、地方財源均衡化を図るとともに、必要な財源の保障を行うことが制度基本であります。  今回の改正案は、平成年度における国の予算及び地方財政計画に計上された事業について財源措置を行おうとするものであり、改正案による普通交付税の決定がなされないといたしますと、たとえ国の予算成立をいたしましても、また地方団体を通じて行われる各省庁の施策につきましても、さらに地方独自の事業につきましても、その円滑な執行ができなくなりますので、本法案の一日も早い成立が緊要であります。  なお、仄聞するところによりますと、この地方交付税法等の一部を改正する法律案消費税とを絡めて議論をされる向きもあるやに伺いますけれども、私ども地方団体といたしましては、この点大変に心配をいたしているところであります。  申し上げるまでもなく、地方団体は、既に平成年度において消費譲与税消費税を原資の一部とする地方交付税の配分をいただいているところであり、今年度においても消費譲与税消費税を含んだ地方交付税歳入とした予算を編成し、財政運営に当たっているところであります。しかも、今回の改正案は、消費税にかかわる規定を改正するものではないと承知いたしております。  したがいまして、本法案につきましては、消費税問題とは切り離して審議を促進され、ぜひとも早期成立を図られますよう強く要望いたします。  次に、地方財政現状についてであります。  御高承のとおり、平成年度地方財政は、累積した多額借入金残高を抱えるなど引き続き厳しい状況にあることにかんがみ、おおむね国と同一基調により、歳入面においては、地方債の抑制に努めるとともに、地方一般財源所要額確保を図り、歳出面においては、地域住民福祉充実地域特性を生かした魅力ある地域づくり推進するために、限られた財源を重点的に配分し、かつ経費支出効率化に徹する節度ある行財政運営を行うことを基本としております。  地方財政計画規模は、総額で六十七兆一千四百二億円、対前年度比で七・〇%の増となっておりますが、国の一般会計伸び率九・六%よりは低いものとなっております。その歳入に占める一般財源比率は六九・一%と地方財政計画策定以来の高い比率となっておりますが、先ほども申し上げましたとおり、地方財政現状は、六十七兆円にも上る巨額の借入金残高を抱えるなど極めて厳しい状況に置かれ、個々の地方団体につきましても、公債費負担比率危険信号である二〇%を超える地方団体が六百七十二団体と、全体の約二割を占める実態であります。  また、地方財政は、国の財政構造とは異なり、義務的経費のウエートが高い上、歳入構造から見ても自主財源が極めて乏しく、その上、国の制度施策影響を強く受けるという特質を持っているとともに、三千三百団体余財政主体集合体であることなどを考えますと、現下地方財政実態は全く予断を許さない状況にあり、地方財政健全化はまだまだと言わざるを得ないと思います。  もとより、私ども地方団体におきましても、事務事業見直し、組織、機構の簡素化、職員の給与、定員管理適正化経費節減合理化等に努め、みずから努力をいたしているところであり、今後も引き続き一層の行政簡素合理化財政の効率的な運用を積極的に推進してまいる覚悟でございます。  何とぞ、諸先生方におかれましては、地方財政の厳しい実情を御理解をいただき、一層の御支援 を賜りますようお願い申し上げる次第であります。  次に、平成年度地方財政対策上の措置について若干の所感を申し述べたいと思います。  第一は、国民健康保険見直しに伴う措置についてであります。  国民健康保険制度見直しにおいては、暫定措置となっていた保険基盤安定制度について、国の助成の強化制度安定化が図られるとともに、高額医療費共同事業については現行暫定方式を三年間継続することとし、その地方負担額については、地方交付税特例加算等により対処することとされております。また、これに関連して、私ども市町村の長年の懸案でありました老人保健法加入者按分率の一〇〇%が実現することとなりました。  しかしながら、国民健康保険をめぐる状況は、高齢化社会進展医療費増高などによりますます厳しくなってきており、これが及ぼす国保財政への影響もはかり知れないものがあります。  つきましては、医療費適正合理化保険料負担水準平準化医療保険一元化等制度抜本的改革につきまして、引き続き諸先生方格別の御尽力を賜りたいと存じます。  第二は、国庫補助負担率暫定引き下げ措置についてであります。  これにつきましては、平成年度地方財政対策の中で、経常経費につきましては恒久的な地方一般財源充実を図りつつ、原則として補助負担率恒久化を図ることとされましたが、公共事業中心に一部の補助負担率につきましては、暫定措置を継続することとされたところであります。  この暫定措置による影響額については、平成年度においても所要財源措置がなされてはおりますが、いずれにいたしましても、我々地方公共団体平成年度までの暫定措置と考えておりまして、平成年度以降の補助負担率の取り扱いにつきましては、昭和五十九年度当時の補助負担率に復元するとともに、今後、安易な地方への負担転嫁を行わないよう強く要望いたします。  第三は、地域特性を生かした魅力ある地域づくりについてでございます。  御案内のとおり、昭和六十三年度から平成年度にかけては、全市町村地方交付税により一律一億円が措置され、各地域が広く住民の参加のもとに「自ら考え自ら行う地域づくり事業推進されており、これを契機として、それぞれの地域の特色を生かした、自主的、主体的なふるさとづくり取り組みが行われているところであります。  平成年度におきましては、さらに、魅力あるふるさとづくりと多極分散型国土の形成を図るために、地域づくり推進事業創設するとともに、地方単独事業については七%増とするなど、住民生活に身近な生活関連施策等の積極的な推進を図ることとされており、まことに時宜を得た適切な措置であると考えております。  第四は、財源対策債償還基金の計上及び交付税特別会計借入金の一部返済等措置についてでありますが、これらは、先ほども申し述べましたように、多額借入金残高を抱える地方財政状況にかんがみ、その中期的な健全化を図る見地から、いずれも必要な措置であると考えております。  次に、これは私からの意見のまとめということになりますが、この際、地方財政の長期的、安定的な財源確保し、地方自主性自律性を維持する観点から、特に、次の三点について御配慮を賜りますようお願いをいたす次第であります。  まず第一点は、地方税財源充実強化についてであります。  地方団体事務は、住民福祉の向上、公共施設整備、維持など住民に身近な経常的なものが多い上に、人口高齢化経済の一層の国際化価値観多様化などによって行政需要増加一途をたどっております。これらの要請にこたえ、地域特性多様性を生かし、魅力ある地域づくりを進めるためには、安定した財源が必要であり、さらに、地方財政健全性を回復するためにも自主的な地方税財源拡充強化がぜひとも必要であります。  先般の税制改革におきましては、来るべき高齢化社会への対応など、将来の展望を踏まえ、消費税創設を初めとする国税、地方税を通じた大幅な改革が行われ、これに伴う地方税財源の減収を補てんするため、消費税の約四割が地方一般財源として措置されたところであります。  以来、一年余が経過し、政府におかれては、このたび、消費税につき国民理解を深め一層の定着を図る観点から、食料品に対する特例非課税範囲の拡大などを内容とする所要見直し法案国会に提出され、一方、野党四党におかれましては、消費税廃止法案など関連法案国会に提出されているところであります。  私ども地方団体といたしましては、消費税の約四割が現に地方一般財源として配分されており、地方団体にとって極めて重要な財源になっていることなどから、消費税をめぐる今後の動向に重大な関心を抱いているところでありますが、いずれにいたしましても、地方団体収入中心をなす地方税充実強化地方団体共有財源である地方交付税総額安定的確保につきまして、諸先生方の特段の御配慮を賜りたいと存じます。  なお、平成年度地方税制改正におきまして、地方団体の貴重な自主財源である特別地方消費税ゴルフ場利用税及び入湯税が存続されましたことは、ひとまず安心をいたしておるところでございますが、特別地方消費税の五分の一を納税地市町村に交付する制度創設については、今回成立した地方税法改正案から削除され、事実上廃案となりましたことは、極めて残念に存じております。  特別地方消費税課税対象となる旅館、飲食店等における利用行為は、市町村行政サービスと密接な関連がある上、市町村におけるこれらの行政に要する経費も相当多額に上っていること、また、市町村における地域振興を一層推進させるためにも、本制度早期実現を強く要望いたします。  第二点は、国庫補助金等整理合理化についてであります。  国庫補助負担率の引き下げ問題につきましては、先ほど申し述べましたので重複を避けたいと存じますが、私ども地方団体が問題としておりますのは、単に費用負担地方に転嫁するという、そのやり方に対してでありまして、筋の通った整理合理化に対しましては、むしろ協力を惜しまないものであります。  すなわち、国庫補助金等整理合理化に当たっては、国と地方機能分担費用負担のあり方について、徹底的な見直しを行い、地方団体自主性にゆだねるべきものについては、その廃止一般財源化等を図るとともに、これに伴う所要財源については十分な措置が講じられるべきであると考えているところでありますので、よろしく御理解を賜りたいと存じます。  また、補助金等に係る超過負担解消につきましては、年々その解消措置がとられてきているところではありますが、引き続き御配慮を賜りますようお願いを申し上げます。  第三点は、地方団体への権限移譲についてであります。  私どもは、かねてから地方分権による地方自治充実強化を目指して、地方団体、特に都市への権限移譲を強く要請してきたところでありますが、その主張は、昨年十二月の新行革審の答申の中でも積極的に取り上げられているところであります。特に、一定条件を満たす地域中核都市に対して、大幅な権限移譲のための必要な制度整備を図ることとし、また、その他の都市についても人口規模等に応じ、各種事務権限移譲推進すべきであるとしております。これは、都市自治体への大幅な権限移譲について、一定の方向が示されたものであり、私ども地方団体といたしましてもその一日も早い実現を願うところでありますので、具体的な取り組みが早急に行われますよ う、諸先生方の御配慮お願いを申し上げる次第であります。  以上、当面する地方行財政の諸問題について、お願いかたがた忌憚のない意見を申し述べさせていただきましたが、とりわけ、私ども地方団体現下の最大の関心事は、地方交付税法等の一部を改正する法律案早期成立についてであります。  これにつきましては、先ほどるる申し上げたところでありますが、地方交付税地方団体の極めて重要な財源であることを改めて御理解を賜り、消費税問題とは切り離して、本法案を速やかに成立させ、私ども地方団体事務事業執行に支障が生じないようにしていただきますよう、重ねてお願いを申し上げて、私の公述を終わります。ありがとうございました。(拍手
  4. 島村宜伸

    島村委員長 ありがとうございました。  次に、能登参考人お願いいたします。
  5. 能登和夫

    能登参考人 私は、ただいま島村地方行政委員長さんから御指名をいただきました北海道三笠市長能登でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  平素当委員会におきましては、地方行政の円滑なる推進とともに、その充実、発展を期するため格別の御尽力をなされ、また私ども地方行政を預かる者に対しまして温かい御支援、御指導をいただいていることに対しまして心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。  三笠市は、明治十五年開基以来百七年間にわたり炭鉱の町として歩み続けてまいりましたが、昨年九月、ただ一つ残されておりました北炭幌内炭鉱閉山となりましたが、この閉山に当たり当委員会を初め政治、行政の各御関係機関皆さん方から大変な御心配をいただくとともに、温かい御支援、御協力、御指導を賜り、本当にありがとうございました。町の再生のために精いっぱい頑張ってまいりますので、今後とも何とぞよろしくお願い申し上げる次第でございます。  さて、私は、産炭地自治体の長としての立場から意見を申し述べさせていただきます。  戦後、日本経済の復興を支えた国内石炭産業は、昭和三十年代に至りエネルギーの変革により需要が減退し、深刻な不況に陥りました。こうした中、産炭地域におきましては炭鉱閉山合理化が相次ぎ、炭鉱離職者発生と滞留、石炭関連事業の衰退、商工業転廃業等によって地方財政にも多大な影響を与えるに至りました。その上、昭和六十年代に入って日本経済構造調整進展を受けた第八次石炭政策昭和六十二年度より実施され、既に五炭鉱閉山し、残る炭鉱合理化が進められており、産炭地域国内の好景気とは対照的に人口の激減とそれに伴う高齢化、厳しい雇用失業情勢とともに財政状況悪化等極めて深刻な打撃を受け、疲弊著しい状況にございます。  そこで、産炭地自治体の具体的な例として、北海道の中でも第八次石炭政策の実施により最も影響を受けている石狩炭田に所在する夕張、芦別、赤平、歌志内、三笠の五市と上砂川町の五市一町の実態についてこの機会に申し述べたいと思います。  まず、人口について申し上げますと、炭鉱不況に陥る前の昭和三十五年の国勢調査人口は、五市一町総計で三十五万七千人でございましたが、その後石炭産業の不振が続き、二十五年後の昭和六十年の国勢調査では十二万五千人と大幅に減少し、人口数で二十三万二千人の減、減少率では六五%の高率を示しております。ちなみに、同様比較による全国市町村平均では三〇%の増加でございますので、さらにはまた、全道市町村におきましても一三%の増加を示しておりますので、当地域人口減が極めて厳しいことが御理解いただけるものと存じます。さらに、昭和六十年の国勢調査人口平成二年三月三十一日現在の住民基本台帳人口との比較におきましても、住民基本台帳人口が十万三千人となっておりますので、四年ほどの間でさらに二万二千人が減少している状況にございます。  次に、税収入状況でありますが、これを収入総額に占める住民税割合について申し上げますと、昭和三十五年度の五市一町の平均は四七%となっておりますが、以後、六十年度一五%、六十三年度では一二%と低下を続けております。ここで全国市町村平均ではどうかと見てみますと、昭和六十年度が四〇・五%、昭和六十三年度では四二・三%と景気動向関連して年々増加を示しております。  このように人口減税収入減少によって当地域における自主財源は大幅に低下する反面、閉山合理化対策財政需要増加により財政力減少一途をたどっております。これらの実態を最近における財政力指数にどうあらわれているかについて申し上げますと、昭和六十年度におきましては、五市一町の平均が〇・二七二でございますが、これに対して全国市町村では〇・七四五、昭和六十三年度におきましては五市一町の平均が〇・二一六、これに対して全国市町村では〇・七五九となっており、全国市町村平均を一〇〇といたしますと五市一町平均は、昭和六十年度では三六、昭和六十三年度では二八程度にとどまっております。  以上、具体的な例を二、三申し上げて産炭地域財政事情を大まかに御理解いただいたことと存じますが、産炭地域に共通する問題といたしましては、一つには、産炭地は町の条件のいかんにかかわらず、その地に石炭資源が埋蔵されていたことにより、かつて産業が急激に発展し、人口が急増したため、その対策に集中し、計画的な町づくりが立ちおくれたことであります。二つ目には、石炭産業の後退に即応した産業配置進展しなかったことが挙げられます。三つ目には、産炭地は共通して地形、所在環境に恵まれないため、地域の回復には相当の期間が必要とされることであります。さらに四つ目には、北海道といたしましては特に積雪寒冷等気象条件等による影響がございます。以上、これらの点が考えられるわけでございます。  これまで産炭地対策につきましては新立法の制定、行財政運用上における支援対策をお考えいただき、私どもは非常にありがたく存じておりますが、さらにただいま申し上げましたような産炭地域地域事情と急激な社会経済の変化に対応できる地域対策あるいは財政対策を見出すことが急務であると考えております。  ここで、地方財政制度の中で最も重要とされる地方交付税制度について申し上げたいと存じますが、申し上げるまでもなく、本制度のねらいは地方公共団体自主性独立性確保しつつ、一つにはその財源均衡化を図ること、二つには地方行政の計画的な運営を保障することを目的とされておりまして、その目的達成のためには今後とも時宜適切な検討が加えられることを切望いたすものであります。  炭鉱閉山合理化によって地方交付税制度上顕著に影響するものといたしましては、一つには、先ほど申し上げましたとおり税収入が激減することであります。本市の場合、収入に占める税収入割合は、平成年度一〇・三%、さらに平成年度には八・六%と急激な低下が見込まれます。  二つには、離職者発生によって再就職問題が生じ、地元に就業の場が少ないために、他地域へ転出することによる人口減が生じます。本市の場合、昨年九月の閉山時から七カ月後の先月四月までに人口が千三百四十人減少し、総人口は一万七千九百三十六人でございまして、最高時であった昭和三十五年住民基本台帳の六万三千三百六十人に比較し三分の一以下となり、なお減り続けるものと心配をいたしております。  三つ目には、生活保護世帯増加することであります。本市の場合、昭和六十三年度保護率は三六・三パーミリとなっており、全国平均の一〇・四パーミリを大幅に上回っております。  四つ目には、高齢化現象の進行であります。産炭地域経済環境等条件から若年者の流出が続き、相対的に高齢者比率が高まる傾向が著しい状況にございます。本市の場合、平成二年三月三十一日現在で高齢者比率が二〇・三%となっており ますので、全国平均の推計一一%のほぼ二倍に達しており、我が国における二十年先の社会現象があらわれております。  以上、産炭地実情は極めて厳しい現状にありますが、この現状に対処するためにも、ぜひ産炭地域における財源対策充実強化急務であると考えます。したがいまして、普通交付税算定に当たりましては、次の諸点について意見を申し述べさせていただきます。  一つには、現行制度において人口減をもとにした産炭地域補正人口急減補正並びに短期人口急減補正についての継続、さらに児童生徒減少に伴う算入を含め、内容充実強化が必要であると考えております。  二つには、先ほど申し述べましたとおり、産炭地自治体特殊財政需要に対応するため、離職者発生数並びに高齢者数について測定単位創設等によっての算入が講ぜられることが必要と考えております。  三つ目には、税収入減少によって生ずる留保財源分二五%相当額についての財源措置が必要であると考えます。  四つ目には、生活保護費算定に当たって、保護率が高い自治体に対しての配慮が必要であると考えます。  さらに、産炭地域財政の安定を図る上からも、過疎債等元利償還金に対します交付税算入率引き上げ措置並びに閉山対策事業に対する特別対策として事業費補正への算入が講ぜられることが必要であると考えております。  以上、産炭地自治体実情並び問題点、さらには当自治体財政対策必要性について申し上げた次第でございます。何とぞ深刻なる実態を御確認をいただきまして、適切な御配慮を賜りますよう切にお願いを申し上げるとともに、今次の改正案早期成立されることを心から御期待申し上げて、私の陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手
  6. 島村宜伸

    島村委員長 ありがとうございました。  次に、山田参考人お願いいたします
  7. 山田雅俊

    山田参考人 御紹介いただきました名古屋市立大学の山田と申します。きょうはこのようにこの委員会意見を申し述べさせていただく機会を与えていただきまして大変恐縮し、また大変ありがたく思っております。  きょうは、日ごろ財政学あるいは経済学を学んでいる者として、現在地方交付税がこの委員会の議論になっているということですが、それに関係してもう少し広く地方行財政制度について、学んでいる者として考えるところ、思うところを申し述べさせていただきたいと思います。これから申し上げさせていただくところは、前のお二人の市長さんがお話しされたところとは、少し大上段の議論になりまして、私のような若輩の者が申すにはちょっと恐れ多いという感じもするのですけれども、少し大きな観点からの問題ということで意見を申し述べさせていただきたいと思います。その点どうか御容赦をお願いしたいと思います。  さて、地方財政あるいは地方自治体、地方政府という場合も同じですが、その最も基本的な機能は、言うまでもなく国がその国民福祉に寄与すべきだ、それと同じように住民福祉に寄与するんだ、それが目的であると思います。したがって、その行財政制度がどうであるか、いいか悪いかというのはすべてそのような観点から評価されるべきだと考えます。  地方行財政の姿がどういうふうにあるべきかということについて、それはもうかなり長い間の議論があると思います。先ほど益田市の市長さんもお述べになっておりましたが、自主性自律性を備えることが重要なんだということが長い間言われてきました。そしてそのような考え方は民主主義という考え方にまさに合致するということで、現在のいろいろな制度のもとになったと考えられます。特に地方行財政制度についてはそういう要素が強いかと思いますが、かなり昔になりますがシャウプ勧告において、あるいはその後何度も地方制度調査会というのが設けられていろいろな議論がされてきたと聞いておりますが、そこにおいてもその重要性が指摘され、確認されてきたと思います。  さらに、最近の世界あるいは日本の変化ということを見たときにも、そんな要素が我が国でも大切になってきているのだということがあらわれてきているのではないかと思います。その一つは、東側、東欧の諸国において昨年後半以来大きな変化があったわけですけれども、そのときにあらわれた変化あるいは動きの要素は、国からの統制ということを嫌ってそれに反して民主的な要素あるいは国民住民が自律的に決めたいのだという要素を要求する、そういうふうな動きのあらわれと見れるところがあるのではないか。それから我が国においても、現在この委員会でも関係している問題かと思いますけれども税制改革消費税の導入をめぐっていろいろな動きがあった。その動きについても、それに関係しては国民意見がいろいろな形であらわれたということがあるかと思いますけれども、その場合にもそういうふうな要素、その国なり社会なりを構成するそれぞれの人が意見を言って、その意見の反映として何かが決められるべきだということがあらわれたのではないかと思っております。  そういうふうな変化があるわけですけれども地方行財政制度につきましては、まだそんなことが表立って問題になるというところには至っていないと思います。それどころか、昨年のその税制改革に関係してですけれども、一部の地方の間接税あるいは関係した直接税である住民税等の税収が減るという形で地方の税収は逆に減るというふうに、自主的な財源あるいは一般的な財源と言われる地方税収入の全体の歳入に占める比率が減るという変化があったというふうに、ある点では逆の動きがあったというようなことがあるかと思います。しかし、そのような税制改革が行われたということに対しては、自治省の内部でも次には地方税ということに焦点を当てた税制改革地方自主性あるいは自律性を回復するという観点ということと思いますけれども、そういう観点税制改革をもう一度考えるべきだという意見があるというふうにも聞いております。  それから、そういうふうな方向、自主性あるいは自律性ということを求めたい、あるいは強くしたいというふうな動きが我が国でもあるのだというふうな変化というか動きとして、次のようなことが挙げられるのではないかというふうに思います。  その例の一つということですけれども、これからいろいろな形で、高齢化という問題も言われますし、特に高齢化ということに関係してかと思いますが、国民負担率がこれから次第に高くなっていくということが避けられないとしきりに言われております。そのことは、負担をしたのだから一方でその負担の見返りを求める考え方というか気持ちというのをだんだん強くさせるということになっていくのではないかと思います。そうすると、行政サービスのあり方がどうなのだということについて関心が次第に高くなるのではないか、そういうことが明示的なあるいは顕在的なものになるのではないかと思います。  二つ目の例ですけれども、やっと決着しそうだというような状況かというふうに聞いておりますけれども日本とアメリカとの間の貿易不均衡ということに端を発していろいろな協議が行われました。その議論の中で、日本はGNPの水準では非常に大きな国になった、しかしそれに比べて生活のレベルの方はなかなかそうではない、非常に地価が高いあるいは物価が高いということで生活のレベルはなかなかだというふうな認識がアメリカから指摘されたというふうなこともありますけれども、そんなことが広く新聞、テレビを通じて知られるようになったということがあるかと思います。そういうふうなことが認識されること、知られることは、やはり行政のあり方について国民の関心がさらに大きくなるということがあるのではないかというふうに思います。  そのような変化があること、そのような動きが あることは、それから将来に向けての財政のあり方を住民あるいは国民の要求に合わせるのだ、合わせるべきだという意見が高くなっていく、強くなっていくというふうに思います。その民主化ということは、いろいろな行政あるいは政府の歳出というのは市町村あるいは府県を通じてということがかなり大きなウエートで行われているわけですから、地方行財政の民主化ということが非常に重要な現代の課題であり、将来に向けての課題であるのだというふうに考えられると思います。  それで、そのような地方自主性自律性を達成するということを考えます。それは、ずっと長い間考えられてきたことではあるのですけれども一つは政治の制度行政制度をその目標に合うようにつくるということが一つの側面だと思います。  もう一つは、そういうふうな行政の仕組みあるいは政治の仕組みを保障するような財政制度をつくる、そういうことに関係して、あと少しそれを敷衍するような形で私の考え方を申し述べさせていただきたい。地方行財政自主性を確かなものにするのだ、あるいはそれをさらに強くするのだ、そういうときにどういう問題が大切なのか、その何が大切だという観点から現代の制度をどういうふうに見るのかというふうな形で少し申し述べさせていただきたいと思います。  私は、財政学を学んでいるということで、地方財政自主性確保というふうな問題の例から入りたいと思うのですけれども財政自主性確保するのだというためには、自主財源であり一般財源である地方税をふやせばいいのだ、それがまず第一だというのが非常に手っ取り早い考え方、あるいは依存財源ではあるけれども一般財源だ、使い方は自由にできるのだというふうに考えられる交付税を大きくするのだ、そういうことでいいのではないかという考え方が通常の意見ということではないかと思います。  私の前に二人の、今は実際に行政に当たっておられる市長さんがここにいらしているわけですけれども、その実際の行政に当たっておられる方からすれば、交付税であろうとあるいは国庫支出金とまとめて言われるいろいろな補助金であろうと、とにかくお金が入ってくることが大事なのだというお考え方は十分あるかと思うのです。それと比べると、一般財源がふえるあるいは自主財源がふえるということは、自主性確保自律性確保という観点から十分いいのだというふうに考えられるかと思うのですけれども、その十分いいと考えられるものであってもさらに問題点がないというわけじゃない、非常に厳密な意味あるいはもともとの自主性自律性という見方からすると問題がないわけではないということをちょっと申し述べたいと思います。  その例として挙げました交付税ですけれども、交付税は、よく言われますように、長い年月をかけて非常にきめ細かな仕組みに育ってきた、つくり上げられてきた。これは政府の努力とかいろいろな関係の方の努力があるのだと思いますけれども、しかし、そのつくり方、その制度の仕組みというものは、基準財政需要というものを据えて、それに対して財源を保障しようという考え方に基づいておる。ですから、それは使い方を示していない、決めていないとはいっても、基準財政需要を満たすのだという考え方がその基本、底にはあるのだということが一点あるかと思います。それからさらに、その仕組みを決めている法律の中でも、基準が余り下がると、国はあるいは関係の機関は地方市町村、府県に対してそのやり方に対して勧告ができるのだあるいはさらにその交付税を減らしたり払い戻させたりすることができるのだという決まりもあります。それは、一般財源である交付税であっても補助金と同じような性格を持ち得るのだというふうな問題があるのだということがそういう形で指摘されております。  それは普通交付金の場合ですけれども、特別交付金についてはさらに国の裁量で決められる部分が大きいのだということが、私は現場ではありませんので実態は必ずしもよく知らないというところなのですけれども、そういうことが大きいのだということが通常言われます。その交付税がそのような特徴を持っていることは、一方でそれは、財政力がいろいろな府県、市町村の間で差がある、その差を解消するのだという目的、それは当然どういうふうな仕組みになってもその必要性が残る点かと思いますけれども、そういう目的と、他方の地方自主性確保するのだという別の目的とが矛盾するという関係がどうしても残るということを示しているものだと思います。  それから、交付税はやはり自主財源ではなくて依存財源だという性格はどうしても残ります。これについては地方平衡交付金の時代からそういうふうな収入比率地方収入において余り高くなり過ぎると問題だろう、後ろに市長さんがいらっしゃいますので、こういうふうに申し上げるのはちょっとちゅうちょするところもあるのですけれども市町村の側で努力をして収入も上げる、それに対応した行政サービスを考える、そういう努力を鈍らせるという影響があるんだ、あるいは効果があるんだということはかつてから指摘されてきた、問題にされてきたところかと思います。  それから、財政自主性確保する手段として第一の方法というふうに考えられる地方税ですけれども、それだって、けちをつけようと思えばという感じになりますが、問題がないわけではない。それは、いかに地方税であっても国の税法の体系の中の一つとして決められる。それは本来の意味での地方自主性を満たすものというふうには言えないのではないかという問題が残るのではないかという点です。  しかし、最後に言いましたような言い方をしますと、そんなのは非常に純粋な理想論だ、理念だけの話だというふうな反発があろうかと思います。もちろんそういうふうに申しましたのは、そんなことを申したいから申し上げているわけではありません。そうではなくて、自主財源一般財源である地方税地方交付税であってもそういうふうな矛盾した性格を持っているんだという点を注意していただきたいということが先ほど申し上げた理由です。それは、地方行財政制度そのものがある矛盾した性格を初めから持っているんだということをよく理解していただくことになるのではないかと思います。  その矛盾した性格というのは、地方自治地方行財政制度は一方では国あるいは国民経済全体としての統一性、国の観点からの統制ということを要求される、そういう側面と、地方住民の代表、住民の要求に沿うべき地方の自治という側面と二つの面から成っている。したがって、常に二つの対立する要求の緊張関係の上に立ってでき上がっているのではないか、そういうふうな矛盾した性格を持ったものとして存在しているのではないかという点です。したがって、現実には何らかの二つの対立する要求のバランスを図って実際の制度、仕組みがつくられるということになります。そのように二つの対立するものをもともと基礎に持っているのだとしますと、そのバランスが図られた現実というのは、片一方が強く出ると他の要求は弱められる、不十分にしか満たされないということが必ず起こるということが理解できるのではないかということです。  それで、現在の我が国の行政財政制度ですけれども、これについては一般に国あるいは国民経済的な統一性の要求が強く評価されている、そういう側面が強く出ているのだと言われています。そして、そのようなことがありますから、それに対して地方への事務再配分が必要なんだという議論、そういう形の地方自主性の拡大ということも長い間言われてきたことかと思います。しかし、その逆の動きも現在ではあるのだと思います。それは、一つは広域行政都市圏が広がる、あるいは経済活動の広がりが大きくなる、それに応じてそういう要求が強くなっているという側面。あるいは社会資本整備ということが言われますが、それについてもあるいは国民健康保険制度についても、もっと国のレベルでそういう問題があるのではないかということが最近言われるよう になってきている。それは逆の側面かと思います。  ちょっと長くなったかと思うのですが、そういうふうに矛盾した存在だ、それを理解していただくことが、今地方行財政が抱える問題を将来に向けて解決していくために必要なのではないか、そういうことが基礎に置かれるべきではないかということ、それが私が申し上げたいことの最終の目的であるわけですけれども、その矛盾した存在についてどういうふうに解決を図っていくのか。その理念、考え方の部分ですけれども、それはやはり、言い古されてきたことですが、国と地方の間で行政の働きをどういうふうに分け合うか。分け合ってそれぞれの責任をちゃんと明確にすることが大切ではないか。最近、新しい世紀に向けて新しい仕組みを考えるべきだということがいろいろな分野で言われるわけですけれども地方行財政においてもそういう形でその問題があり、今申し上げました両者のバランスをどう図るかについて明確に意識し、それを常に考えていくことが大切ではないか、それが新しい地方行財政制度を考える一番の基礎になるのではないかというふうに申し上げたいと思います。  あと、現実にもそういうふうな動きが高齢化あるいは社会資本の整備ということに関係して問題になってきているのではないかという具体的な例を少し申し述べたいと思っていたのですが、ちょっと長くなったようですので、最後の点、その問題についてどういうふうに考えるかということが行財政制度をこれからどう考えていくかということの基礎に置かれるべきだということを最後に繰り返しまして、私の参考意見にさせていただきたいと思います。  たどたどしい議論を清聴いただきまして、どうもありがとうございました。(拍手
  8. 島村宜伸

    島村委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     ─────────────
  9. 島村宜伸

    島村委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  なお、念のため申し上げますが、参考人皆様委員長にお申し出をいただき、御発言をお願い申し上げます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前田正君。
  10. 前田正

    ○前田(正)委員 大阪二区から自民党から立候補し、当選をしました前田正でございます。  まずは、三先生方にはお忙しいところ当委員会に御出席をいただき、直接の御指示をしていただいておる現場の生の声を数々聞かせていただきました。非常に参考になりますと同時に、今地方の自治確立が大変問題になっておるところでございまして、いろいろと勉強させていただきましたことを厚く御礼申し上げる次第であります。私どもも、微力でありますけれどもこれからの地方自治確立のため、また発展のために一生懸命に勉強し努力をいたしてまいりたい、かように思っておるところであります。  私は今回衆議院で初めて当選をさせていただきました。こういう発言の機会を得させていただいたことも厚く御礼を申し上げるところでございます。何せ持ち時間が約二十分という非常に短い時間でございますから、早速に先ほどの質問に入らせていただきたいと考えるところであります。  現在自民党は、交付税法改正案をできるだけ早期成立をさせ、交付税法の定める原則のとおり八月決定ができるようにあらゆる努力をいたしておるところでございます。現実に地方行政に携わっておられる市長さんから見まして、交付税の八月決定というのはどういうふうな意味を持っておられますか。また、仮に八月決定が秋以降になる場合は財政運営にはどのような影響がありますか。益田市長さんと三笠市長さんにお尋ねをいたしたいと思います。
  11. 神崎治一郎

    神崎参考人 ただいまの交付税の八月決定、遅延した場合の影響という点でございますが、既に御承知のとおりでございますが、私ども地方団体におきましては、年間における計画的な財政運営を行っておるわけでございますが、そのためには、やはり重要な一般財源である地方交付税早期成立をし決定をしていただく、これは必要不可欠なものだ、こういうふうに考えておるわけでございます。  振り返って地方交付税法を見てまいりますと、その意味合いだろうと思いますけれども、十条の規定で、交付すべき普通交付税の額については、遅くとも八月末日までに決定をしなければならぬ、こういう規定もあるわけでございます。そのようにひとつお考えのほど願いたいと思っております。  私どもも、実際の財政運営に当たりましては、当初予算、年間予算を編成いたしますが、その肉づけをいたしますのは、国の予算成立等を見て、いわゆる九月議会におきまして肉づけの補正予算を編成をする、こういう形になるわけでございます。したがって、この九月補正予算の編成段階で財源の見通しが立たないということになりますと、極めて財政運営に支障を起こし、事業執行も困難になってくる、こういう実態にあるわけでございます。なかんずく積雪寒冷地帯等におきましては、この遅延によっておよそ事業執行が不可能に近くなってくるのではなかろうか、こういうふうに感じておりますので、ぜひとも八月決定を考えていただきたい、このように考えております。
  12. 能登和夫

    能登参考人 私も神崎市長さんと同じ意見でございまして、とりわけ自治体財政の仕組みを考えてまいりますと、まさに地方交付税は重要財源でございます。これをできるだけ早期に決めていただくということ自体は、その自治体財政を安定的に運営するための一大要件であるというふうに考えておるわけでございます。  私どもも積雪寒冷地帯でございまして、この交付税の決定がもしおくれるということになると大変なことでございますし、また住民福祉サービス、事業執行に大きな支障を来しますので、できれば決定時期を早めていただくべき方法があるならばそのようにしていただきたい、私はそんな気持ちでいっぱいでございます。  以上でございます。
  13. 前田正

    ○前田(正)委員 わかりました。できるだけ早期実現するよう私どもも努力をいたしたいと思います。  それでは、次でございますが、公共事業等の国庫補助負担率暫定措置の取り扱いが来年度予算の大きな焦点になると思います。この点についてどのようなお考えをお持ちでございましょうか。これもやはり益田市長さんと三笠市長さんにお尋ねをいたします。
  14. 神崎治一郎

    神崎参考人 ただいまの公共事業等についての負担率の問題でございますが、このことは平成年度見直しにおきまして、平成年度までの二カ年の継続という形になっておるわけでございますが、顧みまして、一体このような問題が生じたのはなぜかということでございますが、本来国の当時の財政難あるいは内需拡大による事業量の枠の拡大を目指していきたい、こういうところに起因をいたしておるように思います。したがって、これはまさに国の事情によるものではないか。しかも、二カ年間という約束事にも相なっておるように承知をいたしております。したがいまして、このことは、平成年度予算編成に当たりましては、ぜひとも五十九年度負担率に戻していただきたい、これは私どもすべての地方団体の願いであるわけでございますから、さよう履行願いたいと思っております。
  15. 能登和夫

    能登参考人 国の財政事情も極めて厳しい中での地方との財源配分の結果、そのようなことになったという認識を持っているわけでございますが、しかし、私どもは一日も早く本来の国と地方との負担割合の正常化を図るべきであるという基本的な考え方でございます。そしてまた、その補助金の影響地域あるいはまた住民福祉の面に非常に強くかかっているという実態がございますので、これは現在の国の財政問題あるいは地方財政をお考えいただいても極めて早期に本来の姿に戻すべきである、ぜひそうしていただきたいということを強くお願い申し上げる次第でございます。よろしくお願いいたします。
  16. 前田正

    ○前田(正)委員 次の質問に移りたいと思います。  昭和六十三年度からいわゆる一億円事業を起爆剤といたしまして、ふるさと創生を積極的に今推進をしてきておるところでございますが、この事業の成果とこれに対する地元の評価、また、今後の事業展開に当たっての御要望等がございましたら、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。益田市長さんと三笠市長さんにお尋ねをいたします。それからまた、山田先生には学者という立場から見られた御意見をひとつお聞かせをいただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
  17. 神崎治一郎

    神崎参考人 この問題は極めて地域的な問題も含んでおりますので、益田市、私が対応したことを最初に申し上げたいと思います。  私の益田市は室町時代の雪舟さんと大変ゆかりの深い土地柄でございまして、雪舟さんの終えんの地でもございます。そして雪舟がみずからつくりました庭が、医光寺、万福寺というそれぞれのお寺に二庭ございます。そういうようないわゆる益田の歴史と文化をはぐくんできた雪舟とのつながりを考えまして、私は、雪舟のかかれました益田兼堯寿像、これは益田城の十五代の城主でございますが、国の指定重要文化財、これを購入をいたしました。そして、これだけでは成果が上がりませんから、あわせて、ふるさとづくり特別対策事業をお認めをいただきまして、雪舟の郷記念館をただいま建設をいたしております。そして、雪舟を中心とした歴史、文化ゾーンの建設をただいま進めておるところでございます。将来におきます益田の歴史、文化の貴重な資産として非常に成果を上げ得たものと市民の方々も大いに歓迎をいただいて、今後の文化レベルのアップにそれを起爆剤にしてまいりたい、こういう考え方で対応をいたしました。  近隣の市町村でも、それぞれ成果が上がる施策を進められておるようでございますが、そのような形でそれぞれの自治団体自主性といいますか、発想に基づいて取り組み、実行する施策でございまして、今回御審議をいただいております交付税改正法案の中におきましても、地域づくり推進事業、この辺が含まれておるわけでございますが、広くはふるさと創生一兆円構想の計画もあるようでございます。それぞれの自治体が個性のある、特性を持った魅力ある地域づくり推進するためには、このような施策を一層促進をしていく必要があるのじゃないか。これが地方分権といいますか、そういう方向にもつながってくるように私は考えておりますので、今後とも継続方をよろしく願いたいと思います。
  18. 能登和夫

    能登参考人 このたびのふるさと創生の事業創設につきましては、地域の、またそれぞれの町にとって一つの大変大きな転機となったのではないかという印象を強くしているわけでございます。当初相当まごつきまして、どういうふうにやっていいのか、一部には、これはどうも思わしくない、こういうものはどうかというようないろいろなことがありましたが、私どもも市民のいろいろな意見を聞きながら積み上げてまいりました。実際のところ今確たる事業執行ではなくて、平成年度に合わせてその具体的な展開をする予定にしているわけでございます。  それは町づくり、人づくりということがございまして、特に町づくりの場合は人づくりをもとにした町づくりをやろうという発想でございます。私の市は、こういう機会に大変恐縮なんですが、まず億単位、一億年前の中生白亜紀層のアンモナイト化石を産出する化石の町でございますので、そういった特色を生かしてひとつ町づくりをやろうということでございます。ことしは特に七月には中国四川省の自貢市でございますが、恐竜、化石との合同展示会をやるわけでございますけれども、そういう方向を見ながら具体的にそれぞれの地方が特色のある町づくり、これがこれからの町づくりの方向だ、こう考えておるわけでございます。今のふるさと創生事業の中に一応いろいろと取り入れていきたいと思います。  さらには、できればそういうソフト事業の面にもっとお考えをいただくとか、あるいはまたそれぞれの町がいろいろ工夫や趣向を凝らしまして物事ができるような環境づくりというのでしょうか、要するに、私どもも非常に試行錯誤を続けてまいりましたが、自治体の発想をひとつ御採択をいただいてそれに御支援をいただく、そういう観点に立った運用をいただければ大変ありがたい、このように考えている次第でございます。
  19. 山田雅俊

    山田参考人 私も具体的に経験しておるわけではありませんので、評価というのはなかなか難しいところはあるのですけれども、プラスの面とマイナスの面に私たちは気がつくのではないかと思っております。  プラス面と私が思いますのは、それによって市町村が自分で努力をして自分の町のよいところをつくっていく、あるいはその市民、町民との関係を強くする事業に使う。そういうふうな面で、一つは自治を育てるという側面あるいは文化的なよさあるいはもっと産業的な側面とか、その長所を残すきっかけを与えるという側面があったのではないか、それはプラスの側面かと思います。  マイナスの側面と申しますのは、みんな一律にお金を分け与える、ばらまきということが言われますけれども、その点はどうなのかという問題が残るのだと思います。そういう点から見ますと、これは非常に抽象的で難しい問題ですけれども、国の立場としては国全体として地域的な発展のあり方をどういうふうに描いていくんだということが基礎にあって、その地域の発展なり、あるいは発展でない場所もあるのかと思いますけれどもそういうことを考えていって、その一つの手段としてそういうお金が配分される、使われるということがあっていいのではないか。  プラスの側面についてもう一つ関係してですけれども、それがきっかけになって、それを拡大的あるいは発展的な計画がつくれるところではさらにその補助金を拡大しようという方法もあるのかというふうに聞いておりますけれども、そういうふうにしてやられていくのであれば、先ほどのプラスの側面をさらに生かせるというところもあろうかというふうに思います。  以上です。
  20. 前田正

    ○前田(正)委員 ふるさと創生がそれぞれの市で大変根強く活動されておられること、よく理解をさせていただいたところでございます。  それでは最後の質問を行いたいと思います。平成年度財政計画は、地方団体が必要とする地域づくりのための経費を含む地方単独事業について七%増し。また国の高齢者保健福祉十カ年戦略にこたえて、地方における単独の社会福祉関係の一般行政経費を七・二%増しとした上で、中期的視野に立って地方財政健全化のための措置を講じているところでございます。  そこで、全般的に見て平成年度地方財政計画内容についてどのような評価をされるか、お聞かせをいただきたいと思います。これは益田市長さんと三笠市長さんにお尋ねをいたしたいと思います。
  21. 神崎治一郎

    神崎参考人 平成年度地方財政計画についての評価ということですが、私どもが評価というふうにはまいりませんでしょうが、先刻公述いたしましたように、私ども地方財政は膨大な借入金残高を抱えるなど大変厳しい財政状況というのは引き続いておるという状況にございますし、一方におきましては、住民ニーズからいいますと要望が大変複雑多様化いたしまして、行政需要は年々増大の一途をたどっておるという現状にあるわけでございます。  そういう中におきまして、今回の地方財政計画におきましては、先生御指摘になりましたようにいわゆるふるさとづくり推進事業とかを含めて単独事業の積極的な促進あるいは保健福祉十カ年戦略等に基づきます福祉施策充実に向けて、必 要な財源確保をされた上に立ちまして中期的な財政運営健全化を図るために、御指摘のような財源対策債の償還基金とか交付税特別会計に係ります償還金の措置とか非常に適切な対応がなされておる、こういうふうに考えて、私どもといたしましては非常に高く、評価という言葉はおかしゅうございますが、そんな感じを持っております。  しかしながら、今からの急速な人口高齢化の問題その他いろいろ多くの課題を抱えておるわけでございますので、これからの市町村経営という観点から考えてまいりますと、やはり地方税財源充実強化を図っていく、これは引き続いて極めて重要な課題である、こういうふうに考えますので、どうか今後とも格別な御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
  22. 能登和夫

    能登参考人 平成年度地方財政計画、極めて地方充実のための方策がとられているという率直な私の見方でございます。そしてまた財政内容も非常に改善されてまいりまして、これからの財政運営にもいろいろ配慮をされている、このように考えております。ただ、今の福祉十カ年計画あるいは地方単独事業が七%伸長するという、国の地方に対する財政指針という意味ですが、先ほど数多く申し上げましたように、私どももう極端に深刻な状態にありまして、そのようなことが実施できるような知恵を、そしてまた先生方のお力添えをこの機会お願い申し上げたい、このように考えている次第でございますので、何とぞよろしくお願いいたします。
  23. 前田正

    ○前田(正)委員 ありがとうございました。  時間も来たようでございます。御協力感謝申し上げますと同時に、三先生方のこれからの御活躍と御健闘をお祈りいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  24. 島村宜伸

    島村委員長 小川信君。
  25. 小川信

    ○小川(信)委員 御三人の参考人皆様方から大変貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。感謝申し上げます。  益田市長さん、三笠市長さん、それぞれおいででございますけれども、私、山口県の西の方の山口一区というところから出てまいりました小川と申しますが、お二人の市長さんからお話を聞いて、私自身非常に身につまされる思いがしたわけでございます。  益田市は山口線の始点でございまして、終点かもわかりませんけれども、日ごろから非常に交流の深いおつき合いをさせていただいている市でもございますし、山陰線沿線の長門市、萩市、益田市、さらには江津、大田、浜田、こういうふうなところと非常な共通した立地条件があって御苦労をされておること、我がことのように理解できるわけでございます。また、三笠市長さんから、産炭地として、非常な石炭政策の大幅な変更で、急激な市の、市というよりは地域全体が大きく激変したというようなお話を聞きましたけれども、私自身、山口炭田の中心でございます宇部の出身でございまして、石炭の質が悪いということで早々と閉山が行われて、そして産炭地の振興ということで苦慮をしておる立地だけに、このお話も本当に切実なものというような感じがしたわけでございます。  そういうふうな観点からそれぞれ市長さんに御意見を賜りたいと思うわけでございますが、特に益田市長さんは、地方行政では非常にベテランでもございますし、自治省御出身で地方の自治の現場も経験され、そして現在市長としてのお役目を持っておられるということで、そういう意味では極めて立派な市政をやっておられると思いますけれども、山陰地方といいますか、言うなれば日本の中小の市の共通的な課題だろうと私は思いますけれども地方の中小の市の方は、人口がだんだん減少していくというような中で、これという産業立地がない中で地域の活性化のために非常に苦慮されておられるというようなことだろうと思うのです。  益田市は、来年ですか、空港を開設されるということで、山陰地方の一大拠点としての方向づけを示されていると思いますし、また広島の背後地としての農業の振興等々でいろいろと御尽力をされておられるし、また津和野—萩を結ぶ観光の一つの拠点にしようということで、あれは蟠竜湖というのですか、そういうところを中心にしてのリゾート開発ということで御努力をされておられるように聞いておりますし、また拝見もしておるわけですけれども、そういうふうなことを考えてみますと、益田という、人口が約五万の規模の市で将来に向かっての発展を期すことを考えたり、それを実行されている過程の中では、財政的に非常に厳しい環境にあるのではなかろうかというふうに思うわけでございます。  こういうふうなものについて、交付税の問題について、先ほど全国市長会の副会長という立場でお話を賜ったと思いますけれども、現場の、そして厳しいというか、日本海側の中小の都市、山口でいえば萩とか長門とかいうようなところと同じような環境の中で空港を設置し、広島市場へ向けての地域産業を発展させ、そしてリゾートの開発もしていこう、こういうふうな積極的なお取り組みの中で、財政的な将来方向についての御計画なり、ビジョンといいますか、財政的な面からのお考えを聞かせていただければというふうに思うわけでございます。
  26. 神崎治一郎

    神崎参考人 小川先生から隣のよしみで大変親しく益田について御理解をちょうだいいたしました。ありがとうございました。  私も本日出席するのに宇部空港から参ったところでございます。実は、おっしゃるように、島根県内に出雲空港があるのですけれども、出雲空港へ行く時間よりか宇部空港へ参る時間が約一時間違うものですから、宇部を利用させていただいたということで、今後ともよろしく願いたいと存じますが、お話しのように、島根県の最西端にございますだけに、山口県とのいわゆる広域行政もあわせ考えて取り組んでおる中でございまして、益田市がお話しのとおり、六十年国調人口で五万四千でございました。例年人口三百人ぐらいの増という形ではございますけれども、実のところ、住民登録人口で考えると今が一番減少いたしております。と申し上げますのは、三月に高校を卒業する子供が、就職組の約八割が県外就職、益田へ残ってくれるのは二割程度でございます。そのために、住民登録で五月一日現在あたりが底になってくるわけでございます。そういうような実態の中で、これからの若者定着を一体どういうふうにしていくのか、この辺が私どもが抱えております一番大きな課題でございます。  お話しのような、そういう日本海側に面する都市との連関を持ちながら考えていかなければなりませんが、一番大きな課題は交通の利便性に欠けておった、こういうことに尽きる。それから派生をして経済、教育の問題等いろいろ課題を抱えておる、こういうのが実態でございます。したがいまして、先ほどお話がございましたように、現在益田市に石見空港を建設中でございます。平成五年七月開港ということで精力的に今仕事を進めております。そういうようなことを考えますと、空港ができただけじゃいけませんので、空港の開港に結びつけた受け皿づくりというもの、一次、二次、三次の産業、教育文化の問題、福祉の問題、最近でいえば広域観光リゾート開発を、狭い土地をいかに有効に利用しながら開発していくか、すぐれた自然環境を保全しながら開発できる土地についてはこれを開発していく、こういうような基本的な考え方に立って、昨年第三次の益田市の総合振興計画を立てて、それに基づいて仕事を進めております。  これらのことをあわせ考えていかなければならぬわけでございますが、一方におきましては、財政という面から考えますと、益田市のいわゆる自主財源比率は四四%でございます。したがって、依存財源比率が五六%、こういうような状況でございます。交付税を含めた一般財源比率で考えてみますと六七%、こういう状況でございますので、財政運営に当たっては特に計画的に取り組みをいたしますと同時に、総体的には健全財政を堅持する、これを基調にしなければなりませんの で、できるだけ事業の重点的な執行をいたしておるわけでございます。  地元市民からいいますと、何もかもという話が出るわけでございますが、何もかもというわけにはいきませんから、どれかこれか選択的な扱いをいたしておる。したがって、市民の皆さん方からはいささかもうちょっとというような声が出るものもございますが、しかしこれはできる仕事、一年待っていただいてやる仕事、筋が通らないからできない仕事、その辺の頭の整理をしながら取り組んでおりますけれども、ただいま申し上げたような、自主財源に乏しく、依存財源に大きくゆだねざるを得ない実態でございますので、財政運営の問題、行政運営についても行政改善等によりますいわゆる事務事業見直し等を行って効率的な経営に努めている、こういうことでございます。  中長期的な財政運営のあり方というのを計画づくりはいたしておりますけれども、これも先刻来申し上げておりますように、地方財政は国家財政あるいは地方交付税、これらにゆだねられるといいますか、かなり依存をしながら考えていかなければならぬ課題を抱えておりますので、そういう動向を見きわめながら、一応三年計画ぐらいを立てながら健全財政運営をしながら取り組んでおる、こういうことでございます。
  27. 小川信

    ○小川(信)委員 それでは続いて三笠市長さんにお尋ねしたいのですけれども、私も三笠昭和二十九年、幾春別の桂沢ダムでございますか、あれの建設工事途中、実はあそこの飯場に三日ほど泊まりまして、先ほどお話ございましたアンモナイトの化石をとりに行った思い出がある。当時のことを思い出してみますと、ある程度汚い感じはしましたが、三笠の町は非常に活気のあふれた町だった。これは山口の宇部、小野田と同じように、石炭産業の非常に盛んな時代、産炭地に共通した活気あふれた町を記憶しておったわけでございますが、先ほどお話を伺いますと、極めて厳しい環境に置かれておる。人口税収入等々の減少、しょせん交付税等々に頼らざるを得ないという市の財政、そういうような中で生活保護世帯もふえるし、高齢化もするし、失業、離職対策というようなもので非常に御尽力をされておられるということについて本当に大変だというふうな感じがしておりますし、市長さんがおっしゃったような交付税によるいろいろな補正、また、単独のいろいろな諸事業による地域の活性化というものが今こそ必要な時期ではなかろうかと思うわけでございます。  私が山口県の産炭地、さらには私のすぐ近くにございます筑豊地域産炭地の諸事情等を考えてみて、その中から実は市長さんのお考え方を聞かせていただきたいと思っておるのでございますけれども、中小の炭鉱跡地は、炭鉱閉山した後急速に何らかの新しい開発の方法で用地が処分されてくるわけでございます。大手の会社が持っておる産炭地閉山後は、市街地の非常に条件のいいようなところに持っておった社有地がそのまま現在も放置されて再利用されていないというのが山口にしても筑豊地域にしても非常に多いわけなんです。そういうような状況の中で、市なり町が独自に地域の開発、都市の再開発計画を立てて進めていこうとしても、大手の会社が持っている社有地、旧炭住跡地とか事務所跡、こういうふうなところでございますけれども、これが市の開発計画の中になかなかのってこられないというようなことで、開発計画が計画どおりに進まなくて市町村長さんが非常に困っておられるというような現状が西日本炭鉱跡地利用については多いわけでございます。昨年閉山された北炭幌内炭鉱の跡地も今からの地域の活性化のためにこれを再利用、再開発をしていかなければならないというような状況が必ずあるだろうと思います。また、そういうお気持ちがあるだろう。そのときに、市として先買いをして留保してでもこれを計画の中にのせていきたいというようなお気持ちがあるだろうと思いますが、そういうような状況について、企業側の対応に対するお気持ち、さらには先買いをしてでも確保しておきたいというお気持ち、それに対する財源はどういうふうなところに求めたいか、この辺について率直なお気持ちを聞かせていただければ、こういうふうに思うわけでございます。
  28. 能登和夫

    能登参考人 小川先生が私どもの地に御縁があったということを私も大変ありがたく、光栄に思っている次第でございます。何せダムができまして、そのダムができたところが、先ほどちょっと申し上げましたように一億年前の海底であった地層が隆起をいたしまして、当時の古生物の化石が産出される、まず何千万年単位、何億年単位の地でございますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。また、四月一日から九月三十日まで私ども三笠のアンモナイト化石と中国自貢市の恐竜化石の展示会がありますので、機会がありましたらぜひおいでをいただいてごらんいただければ大変ありがたく存じておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  炭鉱閉山で大変御心配をいただきまして、お世話になりましてありがとうございます。北炭幌内炭鉱は財務状態が非常に厳しゅうございまして、そのために現在所有している社有地は十五、六ぐらいの債権者の抵当権が設定されている状況にございます。したがいまして、炭鉱自体負債問題がまだまだ片づいておりませんし、さらにはまた、それらの資産問題を今後どうするかということ、現在いろいろな取り進めが行われているわけでございますけれども、おかげさまで心配をしておりました未払い労務債あるいはまた労務者に対します諸対策は完全に終結することができまして、市内も非常に平静のうちに今新しい町づくりを目指しているわけでございまして、この辺ありがたく思っております。  さて、そんな中で、私どもの市は面積が三百五平方キロぐらいなんでございますけれども、八五%が山林でございまして、その八〇%以上が国有林でございます。したがって、可住地が非常に少ないということでございますし、農業関係も千五百ヘクタールぐらいでございますけれども、農振法の網をかぶってなかなか動きのとれない、そんな土地利用環境にあります。炭鉱の所有している土地もかなりございます。そんな中では、この機会炭鉱が所有している土地を市有地として一括して買収する道がないものか、今通産省の石炭部の方といろいろと御相談も申し上げているわけでございます。何とか債権者の御同意が得られるのであれば、一定の価格で入手できる可能性が強まってございます。そういたしますと、これからの町づくりに非常に成果が上がると思います。  ただ、この場合に、かなりの財源を用意しなければなりませんので、それをどのように調達するか、今考慮中でございますけれども、先行取得債の問題もございますし、土地開発公社における資金調達によって買収をし、それぞれの目的に応じて行政的な財政措置の中で吸収をしていくという方法もございますので、それをしっかり詰めてまいりたい、こう考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、土地を買収する場合の財源措置等につきまして、もっと緩やかな制度が設けられていれば大変ありがたいのでございますが、特に地方の場合には、都会のように地価が高騰するという様子が今ございませんので、こういう機会こそ公共用地の先行取得を促進していただくむしろ絶好の機会ではないか、こう思っておりますので、そういう意味では、なお一層制度を精査いたしまして、早期にまとまった土地を買収をして町づくりを進めてまいりたい、このように考えている次第でございます。何とぞよろしくお願いいたします。
  29. 小川信

    ○小川(信)委員 最後の質問でございますけれども山田先生の御意見をいただきたいのですが、今国から地方への交付金を初め、性格は違いますけれども、各種の補助金が出されております。中には細切れ補助金だというような批判を受けるまで各種各様の補助金が出され、そして性格の非常に似通った補助金も出ておるというような状況でございますけれども、これらを、あるものは交付税に一括入れる、統合していく、共通するような ものは一つにまとめるというような問題等がよく議論の中に出てくるわけでございますし、主張もされるように聞いておるわけでございますが、これにつきまして先生の御意見を聞かしていただきまして、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  30. 山田雅俊

    山田参考人 今おっしゃられました補助金の中に非常に少額なものがある、あるいは名前は違う補助金であるけれども類似の事業に対して補助金がついている、それを一括化とか交付税化という問題についてお尋ねになったと思うのですけれども、今回税制改革で見られました補助率を一方で引き下げて、そのかわりに交付税の対象にする税金を新たに加えるという方法がとられましたが、それも恐らく地方の側から見ればそれはそれでよかったという面が一点あると思うのです。その額がもし均等であれば、同じだけの補てんがされていればよかったという面が恐らくあると思います。それは、昔から学者と申しますかそういう人たちが言っていました補助金の一般補助金化ということの方向に沿うもの、そういう点でも望ましいという点があると思います。それでそういうことを考えますと、交付税という形にしていくということは、それはそれで望ましい方向であるともちろん思います。  それから、少額の補助金については、これもずっと昔から議論されていることで、補助金を取るためのコストの方が高いのではないかという話がやはりあるわけですから、それについてはその補助金の性格というか意義づけをどういうふうに考えるかということはもちろんありますけれども、もし統合できるものがあればそれは統合していく。それから、交付税と置きかえても変わらないようなものがあれば、それは交付税に置きかえるという方向が、方向としてはもちろん正しいのだと思います。  さらに、先ほど申し述べる段階でいろいろちょっと私の方の不手際で申し述べられなかったことなのですけれども、補助金の問題も結局は、繰り返しになりますけれども、仕事の事務の配分ということとも密接に結びついている。その責任をどちらにするのだということがはっきり意識されるというか、そういうことが明確になれば、そういうことで補助金についてもこういう補助金があるべきだとかこの補助金はもうやめるべきだということがさらに明瞭になるのではないかという点は、そういうふうに思っております。  以上です。
  31. 小川信

    ○小川(信)委員 どうもありがとうございました。
  32. 島村宜伸

    島村委員長 小谷輝二君。
  33. 小谷輝二

    ○小谷委員 山田先生初め両市長さん、きょうはありがとうございました。遠いところを参考人として御出席をいただき、貴重な御意見を拝聴させていただきました。ありがとうございました。さらに、この機会市長さん、また先生方に参考になる御意見をお聞かせいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  まず最初に、山田先生から消費税導入をめぐる一連の税制改革によって地方の主要な自主財源である地方税収の地方歳入低下させられる結果となった、こういう御意見、いみじくもおっしゃったわけですが、このことについては我々もまことにこのとおりであろうと思っております。  そこで、両市長さんに現場の実態としてみずからその衝に当たっていらっしゃる御意見として、まずこの点について、消費税を導入された一連の税制改革の中で地方自治体として自主財源がどう変化してきたのか、税収は全体的に低下したのかどうか、その点、御意見をお聞きしておきたいと思います。
  34. 神崎治一郎

    神崎参考人 平成年度から消費税の導入がございました。今日一年余り経過いたしておりますが、私の市の中では現実的にそう消費税問題で大きなトラブルらしいものは生じませんで、比較的円滑に定着化してきた、こういうふうに理解をいたしておる中でございますが、それがために、いわゆる住民税でございますとか国民健康保険税でございますとかそういうような税収の収納率の低下をもたらす、こういうようなことは生じてはいないように考えておりまして、私どもといたしましては地方消費税がおおむね二億二千八百万程度予算計上しておるのが実態の中でございますので、円滑に推移をいたしておる、こういうふうに考えております。
  35. 能登和夫

    能登参考人 消費税地方財政に大きくかかわっていることにつきましては十分承知をいたしているわけでございます。ただ、本市の場合に、実際問題それがどう影響するかという内容でございますけれども、当然全税収を考えた上での財政計画を立ててございますので、そういう中ではこれらの内容が組み込まれているということに相なるわけでございます。ただ、私どもの方の財政状況につきましては、るる先ほど申し上げましたとおり、みずからの地域の変動等がございまして、消費税そのものが大きなウエートかどうかということになりますと、それは一概にはそう言える状態ではございませんけれども、全体の財政計画の組み入れの中では、このような算定の基礎として考えながら財政運営を目指しておるということでございます。
  36. 小谷輝二

    ○小谷委員 私がお尋ねしましたのは、所得税、国税の減税、それに伴う地方税住民税の減収、これは大幅にあった。さらに電気ガス税、これは国税に、消費税になり包含されて移管された、その見返りとして消費譲与税また交付税という財源として補おうとしているわけですけれども、平年度当初計画、地方財政計画から見ましたら約八千数百億の補てん財源がなくなったという状況なのです。  私がお尋ねしたのは、数字的にはそうなっているのですけれども、その分については自然増収、また地方行政改革等の努力によって何とか補いがつく、こういうふうな自治省等の説明もこれあり、実際に市長さん方にはどういう状況であるのかということもお聞きをしたわけでございますけれども、ちょっと御意見が違ったようでございます。  それはそれといたしまして、日米の構造協議などを通じて明らかにされたように、日本経済大国また生活大国という認識が広く国民に持たれるように現在なっております。山田先生には、この際参考のために御意見としてお聞きしておきたいと思いますが、そのよって来る主たる原因は何だとお考えなのか、また経済大国にふさわしい生活大国、この道しるべはどうあるべきなのか、この際ちょっと御意見をお聞きしておきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  37. 山田雅俊

    山田参考人 その原因についてですけれども、これは議論の中であるいはアメリカの方から指摘されてこうやるべきだと言われたその方向がそれを示しているのだと思います。やはり社会資本の整備が立ちおくれている、それはいろいろな形で資料が提出、提供されておりますけれども、下水道の普及率がどうだ、あるいは道路の整備率がどうだ、あるいは公園の整備状況がどうだという数字はいろいろあります。それぞれそれが原因になっているだろうということはそういうことで察しがつくのですけれども、ではそれをどこまで整備していくのだ。それは結局、生活大国になるための条件ですね、それをどういうふうに考えるのかということになるのだと思いますけれども、それは非常に難しい、恐らく簡単に答えることはできない問題だと思います。例えば、アメリカが置かれている経済環境と日本が置かれている経済環境。例えば地価を見ても非常に違う。そういう状況の中で道路の整備をどうするんだ、公園の整備をどうするんだということを、これはやはり手探りになるような気が僕自身はするのですけれども、一方でお金というか財源の問題と、一方で民間とのバランス、それから生活の条件としてのそういう社会資本の整備、その全体のバランスを考えていく中でしか生活大国のための条件というのは見えてこない。したがいまして、ここでこれがこうなればという形でちょっと申し上げにくいものですけれども、そういうふうなことの比較考量 という中でこれから見つけ出していくべきものだ。しかし、現状はそれがはるかに望ましい条件をつくるためには劣っているということだというふうに申し上げたいと思うのですが、ちょっとその辺で勘弁をしていただきたいと思います。
  38. 小谷輝二

    ○小谷委員 今地方財政、これは地方財政富裕論とでもいいましょうか、大蔵省を中心に一部にそういう意見があるようでございます。私はそうは思っておりません。今回、今審議しております交付税の一部改正の中にも、昭和五十七年並びに五十八年度に交付すべき交付税を交付せずに、財源対策債ということで地方にその責任を転嫁して地方債で補ってきたという経緯があり、やっと六年、七年たった今日においてそれを埋めているという状況であるので、決して地方財政が豊かであるなんて考え方は、これは認識の不足である、こういうふうに私は思っておるわけでございますが、現場の両市長さんの御意見、いかがでしょうか。
  39. 神崎治一郎

    神崎参考人 先生の御意見、まさに富裕論を唱える方々地方行財政実態について深い理解をされていない、先生の表現で使われたように私もそう思っております。本当に今日、地方財政は厳しゅうございまして、一方からいうと、国というのは単一の財政主体でございますが、地方の方は三千三百余のそれぞれの異なった団体集合体での、トータルとしての地方財政論がなされるわけですから、物差しのとり方が同じもので見るところに大きな誤解を招いてくるんじゃなかろうか、こう思っておりまして、富裕論というのはまさに認識不足だという先生のお考えに全く同感でございます。
  40. 能登和夫

    能登参考人 私も同意見でございます。特に国と地方との財源戦争というのが長い歴史の上にありまして、それぞれの言い方が出てくるわけでございますが、特に地方行財政を預かっている私どもといたしましては、まだまだいろいろな税制改正あるいはまた制度改正を御配慮いただいた上におきましても、地方実態としてはもう生活環境、福祉については立ちおくれが非常に目立っているわけでございます。今回、内需拡大等の問題等につきましても、その方向性としては大変過疎の地帯におきましては国を初めとする直接事業などの期待は持てるわけでございますが、もしそのことで地方の下水道事業等に大きな財政負担が強いられるということになると大変でございます。恥ずかしいお話でございますが、私どもの方はまだ下水道の供用は開始してございません。あと、第一期計画だけでも七年後くらいになるわけでして、早く都市整備を行わなければならぬ課題が山ほどございまして、特に財政富裕論などという考え方は、もう感触もないわけでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
  41. 小谷輝二

    ○小谷委員 よくわかりました。これから、今日米構造協議の中でも種々指摘されておりますように、日本公共事業の大幅な拡大を図ろうとされつつあるわけでございますが、過日の新聞に、大蔵省は地方財政が豊かなので公共事業の補助率のカットもさらに六十三年度以降も継続というふうな報道がございました。非常に問題になっておるわけでございますが、事実のほどはわかりません。この報道が正しい報道なのかどうかということは私自身も現在わかってはおりませんが、もしそのとおりにこの補助率カットが六十三年度以降も継続されるということになれば、地方自治体の受ける影響はどうなのか、御意見を聞いておきたいと思います。
  42. 神崎治一郎

    神崎参考人 先刻、他の先生の御質問でお答えをいたしたところでございますが、本来、この問題については二カ年間という約束でございました。およそ国家行政なり地方行政というのは、相互信頼の上に立ってまいりませんと、本当に豊かな地域づくりはできないわけでございますので、ただ単にそういうカット論を継続するというような、実態立場を論議をしないで軽々に論じられることは甚だ残念に思うわけでございますが、さらにこのような事態が継続をするとなれば、今日においてすら地方財政は極めて厳しい環境の中に置かれておりまして、しかもやりたい事業も、健全財政を堅持しなければならぬという立場から後送りをしている状況にもあるわけでございます。今後ますます地方財政は厳しく赤字への転落の方向へ向かっていくのではないか、それでは豊かな地域社会は形成できなくなってくる、大変私もいぶかっておるわけでございます。かかることのないように、ぜひとも平成年度で復元ということで御指導、御鞭撻とお力添えをちょうだいをしたい、こう考えております。
  43. 能登和夫

    能登参考人 現在、一定の期間だけという約束で補助金のカットが行われているわけでございます。先ほども申し上げましたように、一刻も早く本来的な負担割合に復していただきたいという念願でいっぱいでございます。そのことによりましてまた地方が、現在補助金として低位置に抑えられている財源負担分について、自主性、主体性を持った単独事業なり、それぞれの地域実態に合った行政推進のためにその財源が使用できるわけでございますので、一刻も早く復元されることを切望してやまない次第でございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。
  44. 小谷輝二

    ○小谷委員 最後に山田先生にお尋ねしたいと思いますが、地方分権について、行革審の答申もありますように、地方自主性自律性、これを満たすためにも地方分権は必要である。統一性、広域性を要求される機能は国へ、また地域性、地域の独自性にゆだねられることが望ましい機能は地方へ、こういう御意見を承ったわけでございますけれども、むしろ現在、国の権限というのは大幅に縮小をして、広域性を要求される機能についてはむしろ府県へ、こういうふうな意見が非常に多いわけでございますが、先生の御意見はいかがでしょうか。
  45. 山田雅俊

    山田参考人 先ほど意見を申し述べました中で、統一性、広域性が要求される仕事については国にというふうに申しましたのは、一般的なレベルで申しておりまして、広域性と言っているその範囲がどの程度かによって、広域性のその範囲、規模が非常に大きいものについては国だ、さらに、その広域性という場合でも、例えば大都市圏の開発だとかあるいは中小都市圏についての開発、そういうものについては府県のレベル、現在ある府県でとりますと幾つかの府県が集まったようなレベルで対応できる、そういう問題があるということは事実だと思います。
  46. 小谷輝二

    ○小谷委員 時間が参りましたので、終わります。どうもありがとうございました。
  47. 島村宜伸

    島村委員長 吉井英勝君。
  48. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 参考人の皆さんにはお忙しい中どうも御苦労さまでございます。私は、きょうは地方自治体の地方行政の分野で大変御苦労いただいておりますお二人の市長さんにいろいろお伺いしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  最近の決算を見せていただきますと、益田市の方では公債費比率が一八・七%ぐらいとか三笠市で一六・七%ぐらいですか、両市長さんとも非常に財政運営の面で大変御苦労なさっておられると思うのですが、行政を担当する責任者として、財政運営の面で特に市としての目標とされておられるもの、あるいは通常心がけていらっしゃること、そういうことについてお聞かせ願えればと思うわけです。またあわせて、公債費比率の上昇が公共事業それから市の事業を進める際に支障になっていないかどうか、率直なところをお聞かせ願いたいと思います。よろしくお願いいたします。
  49. 神崎治一郎

    神崎参考人 公債費比率、御指摘のような状況になっておるわけでございますだけに、市の財政運営も大変厳しい状況で、私ども年度予算の編成の過程におきましては、いわゆる義務的経費にかかるものですから、できるだけ健全財政ということで、公債費比率を高めることのないような配慮はいたしておるわけではございますけれども、現実的になすべき事業があるものですからその辺が若干上回っておる、こういうことに相なるわけでございますが、そういう意味におきましては、先ほど財源対策債の償還基金の計上等は、今後 におきます健全財政に大きく寄与いたしておるわけでございます。そういうような方向も中期的にもさらに考えていかなければならぬ、こう思っております。  私は、やはり財政という面ではございますが、市町村も経営でございます。したがって、健全な財政運営をいたしていくということを基調に予算の編成をいたしておりますのと同時に、事務事業執行に当たりましても重点的な事業執行、こういうようなことで、いろいろありますけれども、いわゆる重点性、緊急、緊要性、それと必要性、こういうものを念頭に置いて事業選択をしながら予算編成をしていく、こういう考え方でございます。
  50. 能登和夫

    能登参考人 私ども財政問題でございますが、昨年閉山ということになりましたので、財政環境、経済環境がまだ流動してございますけれども、その中にありましても閉山後の対策をしっかり講じながら新しい町づくりの目標を定め、そのためには何としても財政を健全な基盤で維持しなければならないという大変大きな問題があるわけでございます。入る範囲で支出をすればそれで健全化ができるのだというそんなことではございませんで、地域の町の実情にいかに対応しながら財政健全化して将来につなげていくか、ここが一番今重要なところであり、また頭の痛いところでございます。これまで総合的な財政運営を考えながら進めてまいりましたが、まず一つには財政力指数が非常に低下をいたします。先ほどちょっと申し上げましたが、財政力指数平成年度の見込みが〇・一九五ぐらいに想定をしてございます。  それからもう一つは経常収支比率でございますが、これは財政運営上の弾性値を見る指標でございますが、大変残念なのですが、元年度見込みが九二・一でございます。これから一時もっと進むと思いますけれども、ごく中期の見通しとしては何とか九〇%を切る方向で頑張ってまいりたい。これはいろいろな歳入の問題もありますしみずから歳出を抑制する。特に閉山が起きた場合には対策を要するために職員もたくさん必要としますけれども、その中で汗を流して頑張っていくのだという方向をとりながら、ぜひ将来続けていきたい。そのためにも、今回交付税の措置につきましても大変いろいろなことを申し上げたわけでございます。  それからもう一つ、公債費比率で一五%を超えると黄色の信号ということで、大変このことも心配になるわけでございますが、これはやはり収入減少することによって相対的に公債費比率を押し上げるという結果が出てまいりますので、この辺につきましては現在のところ予算の、あるいは日ごろの財政運営で一番そこを考えておりますのは、私どもは過疎地帯でございますから、財政援助の伴う起債を優先的に、この際町づくり対策債、過疎債、できれば私は産炭地振興債という新しい起債を創設していただいて、当面一般財源がないとしても地域整備なりそういうことができる道を開いていただきたいという願いがありますが、現状制度からいきますと、今の財政支援の伴う起債を中心にいたしまして、もろにかぶる一般単独債のような起債についてはなるべく抑制をしながら、地域実態と合わせながら事業の採択をしていく、そのような方向の中で財政運営を続けているわけでございます。何とぞよろしくお願いしたいと思っております。
  51. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 続いて公共事業の補助率の問題で暫定期間が今年度で切れる。当然来年度からもとの補助率に復元しなければならないわけでありますが、特にせんだっての日米構造協議なども受けて、国の方では来年度公共事業については予算も相当つけて事業の拡大を図るという方向にありますが、この際自治体として、先ほどもお話伺っておりますと下水道にうんと拡大して、それが自治体財政の中では福祉の面で心配になってくるというお話などもありましたが、どういう事業分野への公共事業の拡大を願っていらっしゃるかとか、あるいは国が実際にそれを進める上で補助金をつけましても、自治体自身がまたその裏負担というものが問題になってまいりますし、そういう面での希望していらっしゃることなどもあわせて聞かせていただければと思いまして、両方の市長さんからお願いしたいと思います。
  52. 神崎治一郎

    神崎参考人 御答弁いたします。  公共事業のうちいずれか、こういう選択議論でございますが、やはり市町村はバランスのとれた形でそれぞれレベルアップをしていかなければいかぬじゃないだろうか、私はこう考えております。公共事業だけでよろしいとして教育なり福祉のレベルがダウンしていいか、そうじゃない、いわゆる地域経営ということから考えますと、それぞれの分野においてバランスをとりながらレベルアップをさせていく、この辺が肝要かと私は考えておるわけでございます。したがって、公共事業についても下水はもとより道路、河川、住宅、いろいろあるわけでございますが、その辺につきましては先刻お答えいたしましたように、それぞれの事業選択で本年度はこの事業を優先的に取り上げる、この事業を後年度に回すとか、その辺の選択をしながら取り進めをいたしておりますので、今から日米構造協議で公共事業は相当大幅に枠拡大になろうと思っておりますが、そういう中で今残された課題をいわゆるひずみのない形で引き上げていく。私どもは道路、河川、住宅、いろいろ事業をやっておりますが、その辺をひとつ念頭に置いておるということで、具体的にどれこれということについては勘弁させていただきます。
  53. 能登和夫

    能登参考人 今回の公共事業の拡大に私どもの市としては大きく期待をいたしております。  その一つは、何せ北海道はまだ非常に開発がおくれてございます。先ほども申し上げましたように、特に産炭地につきましては、計画的な町づくりではなくて、どちらかといえば自然発生的な町ができ上がって、今その対策に非常に時間と労力を要しているというのが実態でございます。それから、産炭地は特に、このように斜陽産業でございますので、例えばテレビの映像にしても大変うら寂しい、そしてまた重苦しい場面が人々に影響を与えるということでございますが、私としては、できるだけ早くこの産炭地がさわやかできれいな町だというイメージにまず転換をしなければならない、それが今一番重点を注いでいるところでございます。  そんな中で、実は立ちおくれているインフラ整備をぜひ早期にやっていただきたい。まず国の事業でございますが、私ども地域は、石狩川の上流に幾春別川という大きな川がございますが、現在一つダムができておりますけれども、今回の閉山によりましてまた新しいダムが一つ二つ目のダムが事業採択をされているわけでございます。これからの水資源あるいは洪水調整あるいはまた工業の振興のための工業用水、それらに大きく貢献する総合開発事業を短期間のうちにぜひ完成をしていただいて、ひとつ地域の活性化に貢献をしていただきたいこともございます。さらに、原始河川で非常に環境が悪化してございますので、河川の整備、さらにはまた道路整備ども、国道、道道を含めて早いうちに環境整備をぜひ促進していただきたいという念願がございます。  一つの例を出しますと、私どものところに初めて縦貫道のインターチェンジが昭和六十二年に完成したわけでございます。北海道の高速道路はまだまだおくれておりますけれども、実は本年は旭川まで完成するわけです。その三笠インターチェンジのすぐ近くにある工業団地に、完成と同時に今まで不振を続けておりました企業立地が二年余りで一気に十社ぐらいの進出がなされまして、現在その工業団地は全部売り尽くした状態で、大変ありがたく思っているわけでございます。道路交通網が整備されたことによりまして、地域の発展に大きくつながるということを身をもって知ったわけでございまして、今後そのような国あるいは道の事業が促進されることを念願しているわけでございます。  ただ、市におきましては、下水道を中心にしながら公園整備だとかいわゆる荒れた環境の整備を 急がなければなりませんけれども、この場合に大変に心配になりますのは、先ほどの補助金のカットの問題があったり、あるいは交付税が沈んだり税収が落ちたりということで、一般財源の用意がございません。そんな中で、補助金はいただけても事業執行したことによって赤字になる、そのことで起債が許可されない、そしていろいろなひずみが出てくるということを懸念しておりますので、できればそれらの特別な対策といたしまして、過疎債のようなすぐれた起債を裏に考えていただくとか、特別な財源措置によってこのような脆弱な市町村についても同じような整備が進められるような形を実は期待しておりまして、我々も努力したい、こう考えておるわけでございます。
  54. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 大都市部におきましては、地価の異常な高騰が今日公共事業の面でも支障を来してきております。特に、何かをやろうと思っても用地確保をしなければいけないのですが、これは大変だ。こういう点では、将来の公共事業を見通した土地対策という点では現在どうなっているのかということと、それから、そういう将来の地価高騰を許さない先手を打つといいますか、先ほど閉山のところでの公共用地の先行取得のお話がありましたけれども、そういうお話とか、あるいは規制と誘導をどういうふうに進めていくかとか、その辺についてのお話も伺えればと思います。
  55. 神崎治一郎

    神崎参考人 地価問題は大変大きな課題でございます。先ほどの御質問の日米構造協議による公共事業の枠の拡大、こういうこと等から考えてみますると、今から社会資本の整備、特に社会基盤、生活基盤の整備ということから考えますと、この地価の高騰というのは今後の事業促進に極めて大きな影響をもたらすのではないか、こういうふうに思っておるわけでございまして、これらの規制、誘導というようなことについては、私ども地方公共団体ではなかなかできるはずのものではございませんで、どうか国会の場において十分御議論、御審議をいただいて、その抑制について格段の御配慮をちょうだいしたい、こう思っております。  私どもも、事業を進める上におきまして公拡法に基づく土地開発公社を設置しておるわけでございますが、公拡法に基づく土地開発公社というのは、いわゆる事業先行を行うのがなかなか難しい。法的な規制がございますものですから、いわゆる民法法人による土地開発公社の方が非常に弾力的な事業ができるのですけれども、そういう意味では、今先生がお話しのような問題を踏まえながら、公共事業促進をするためのいわゆる先行取得ができるように、そういう面での検討も課題の中に一つあるのではなかろうかな、こういうふうにも思っておるところでございます。
  56. 能登和夫

    能登参考人 土地問題につきましては、私どもはむしろ土地の評価額が下がるという逆現象ですが、自治体として土地問題をどう考えるかということについてちょっとお話し申し上げたいと思います。  公有地の拡大の推進に関する法律ができまして、一定の公有地を確保する方向が法律制定されたわけでございまして、それなりに成果は上がっております。ただ、それを実施する主体の問題につきまして、自治体として土地開発公社を設けたり土地開発基金を創設したりしながらやっておりますが、一つのことでは、税制問題が非常にそこに働いていないというんでしょうか、やりにくいというんでしょうかね。少なくとも公共用地として取得する場合であれば土地収用法の適用を全面的にやっていただくとか、それからまた買収するその組織体というんでしょうか、それがそういうことができる権能というんでしょうか、そういうことを与えていただけますと、いわゆるどこまで無税にするかというような限界や論議もございますけれども、そのことが譲渡所得に換算されないとするならば土地の値上げ抑制はできるわけでございます。土地はこういう自由社会におきましては売買実例によってお互いに作用し合って進行してまいりますので、よっぽどのことのない限り下落するということは無理でございますから、そうしますと、公有地の拡大の部分がそのような形で抑えられるとするならば、他の価格影響にも一応の成果が出てまいるのではないのかな、常日ごろ実務の中で考えておりますのはそのことでございます。あと大きな問題につきましては、国土利用の基本的な考え方をやはりこの際国の政策としてやっていただくことが一番必要ではないかな、そのような感じでございます。
  57. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 あと一分半になりましたので、国保について一言お伺いしたいと思います。  まず一つは、国保については市町村でなく都道府県が運営すべきであるという考え方もあるようでありますが、国保の運営主体についてどういうお考えを持っていらっしゃるか。またもう一点は、一部に国保料の料金体系で応能割、応益割を五〇対五〇にという議論なんかもなされてもおりますが、この点についてどういうお考えか、この二点に絞ってお伺いして質問を終わりたいと思います。
  58. 神崎治一郎

    神崎参考人 こういうような社会保険制度というのは、今は地域保険あるいは職域保険、いろいろばらばらでございますが、国保の安定的な経営というのを考えてまいりますと、国保の加入者というようなものは被保険者が高齢化の傾向にございます。それから一方では、所得階層区分という面からとらえてみますると、低所得階層が非常にふえてきておる、こういうのが私の方の実態なんです。そういうことを考えてみますると、やはり医療保険制度を一本化といいますか一元化をしていく、こういう方向に持っていくことがいわゆる保険という制度の仕組みだろうと思うのですね。できるだけ大きな形で統合的に実施することによって危険負担減少してくるわけでございますから、そういう方向に行くべきが筋ではなかろうか、こういうふうに考えております。しかしながら、現在の国保制度のあり方においては、今市町村が保険者でございますが、これを直ちに都道府県にこのままの制度の形で保険者を移しかえるということは適切かどうか、私は大きな疑問を持っております。  それから、保険料の応能割と応益割、これは本来的には御指摘のようにフィフティー・フィフティーということでございますが、実態としてはなかなかそうはまいりません。甚だ残念ながら、私どももそういうことを考えながら進めておりますけれども、応態割が今六三ぐらいの比率になっております。したがって、いわゆる保険基盤安定制度というものが、六割、四割の負担軽減についての公的負担ということで導入されたわけですから、本来これを十分に生かして、保険料なり保険税の軽減ということをするためにはフィフティー・フィフティーが適切だ、こういうふうに思っておりますけれども実態的になかなかそこまでいきませんので、今申し上げた公的負担のあり方についてもあわせて御検討をちょうだいできないものだろうか、こういうふうに思っております。
  59. 能登和夫

    能登参考人 国保の問題につきましては、ただいま神崎市長さんが申されたとおりで、私も同じような考え方でございます。今すぐ都道府県に保険区域をどうこうという問題については、まだそこまで考え方がいっておりません。とにかく市町村の国保運営の問題につきまして問題解決の方法を求めながら、広域的なあるいは全保険に関係する体制整備の方向に向かうべきではないのかな、そのような感じでいるわけでございます。
  60. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 終わります。
  61. 島村宜伸

    島村委員長 神田厚君。
  62. 神田厚

    ○神田委員 参考人皆さん方、大変貴重な御意見をありがとうございました。限られた時間でございますが、ちょっと質問をさせていただきたいと思います。  神崎参考人に対する質疑でございますが、神崎参考人行政実務の経験も大変豊富であるし、昭和五十一年以降連続四期市長さんをやっておられる、こういうふうに聞いております。地方行政のベテランであるとお聞きしておりますが、地方自治及び地方財政現状認識、今後の方向についてお伺いをしたいと思います。
  63. 神崎治一郎

    神崎参考人 大変基本的な理念にかかわる問題でございますが、私はこんなことを思っているのです。  日本国憲法と明治憲法、これを比較対比した場合に、それぞれが新しい日本国憲法には、明治憲法と異なった本質的な問題が幾つかございますが、その一つ地方自治の章が設けられておる。これは、今からの地方分権地方自治という立場においては、やはり我々はその趣旨というものを十分に生かしながら、いわゆる地方分権に向かって都道府県、市町村を通じながら力をつけていくと同時に、とりわけ都市自治体についての機能を確保していくようにしていかなければならぬ。その辺が私どもが主張しております都市自治体への権限移譲、こういうことにもつながるわけでございますが、まさにそういうことでございます。したがって、行政と議会と住民、この信頼の輪を一層深め、広げていくことがまさにその辺にあるのではないか、こう思って私は、市町村地方自治の原点である、こう通常言われておりますが、その原点のもとになる源泉というのは行政住民の信頼の輪の広がりにある、こんなことを念頭に置いて仕事をしておる、こういうことでございます。  地方財政につきましては、いろいろ論議がございますけれども、今申し上げた地方分権に基づいての地方自治確立ということになりますと、何といいましてもいわゆる自主財源拡充強化をして、みずからが行う仕事についてはみずからの財源で仕事ができるようにしていくということで、今後とも一層の地方税財源確保拡充強化について十分ひとつ御鞭撻とお力添えをちょうだいをしたい、こう考えております。
  64. 神田厚

    ○神田委員 能登参考人に対して、三笠市は炭鉱閉山等によって人口が急激に著しく減って過疎市町村と聞いておりますが、このため行政上一番御苦労されているのはどういう点であるか、また、地域おこしのためどのような施策を実施されておられるか、さらに、地域振興に対する国の行財政措置についての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  65. 能登和夫

    能登参考人 まず財政運営のことでございます。  やはり人口が減ることによりまして財源が減り、また、現在の財政制度もその人口関連する部分が大変多いということでございます。同じ過疎地でありましても、緩やかに減少あるいは増加する方向であればその対応は可能でございますけれども、急激に変化を来す地域情勢にはなかなか対応することができません。したがいまして、私どもは現在まで財政運営の上では、今日あるを考えましていろいろな手をずっと打ち続けてまいりました。御要望もしてまいりましたし、御支援もいただきました。  そんな中で、今回閉山という大きな問題が現実の問題となりましたので、応急的な問題につきましては各省庁連絡会等におきましても大変な御配慮をいただいて、それぞれの対応をいたしてございます。しかし、一時的には財政が非常に困難になることは覚悟しなければなりませんし、それに対応するための行財政運営の問題については、かなりシビアに経費の節減等を行いながら、ひとつそこを切り抜けていかなければならないと思っております。  その場合に、この地域の振興、開発をいかに進めるかということが非常に大きな問題でございます。そのためにいろいろ考えておりますが、まさに経済構造調整というのでしょうか、石炭産業にかわる産業をいち早く地域に誘致をいたしまして、やはり雇用の問題、経済の問題をそこに位置づけなければならぬということでございます。幸いにいたしまして、国道口に約五十ヘクタールの第二工業団地の造成の見通しがつきまして、国の御支援も道の御支援もいただいて近くその造成に入ってまいりますけれども、そういう一つの雇用問題。特に、今景気がよろしゅうございますので、一定の企業誘致が進むわけでございますけれども、ぜひ大きな企業、まとまった企業がその工業団地に誘致されますように、深い御支援をいただければ大変ありがたいと思っておるわけでございます。この企業誘致もなかなか大変でございまして、いろいろな条件がございまして困難を来すわけでございますが、どうかひとつ事情等を御賢察をいただきましてお力添えをいただければ大変ありがたく思っているわけでございます。  それから、先ほどちょっと申し上げましたように公共事業の積極的な推進を図っていただきまして、環境整備あるいは雇用の問題にも影響いたしますし、さらには新しい町づくりの基幹になるわけでございますので、そういうことをぜひ総合的に進めてまいりたい、こう考えているわけでございます。  なお、特色ある町づくりは、先ほど化石の問題などをお話し申し上げておりますが、どこへ行っても同じような町が並んでいる、そんな中では今後皆さん方においでをいただくような町にならないと思いますので、やはり文化や歴史、特色のあるそういう自然に恵まれた環境づくりというものを推進してまいりたい。特にその場合に、一番考えなくてはならないことなのでございますけれども、観光事業推進でございます。これは、行政サイドは基盤整備を行ってデベロッパーを誘致するということになるわけでございますが、そういう誘致の仕方にもいろいろの問題点がありますし、環境がよければそういうことも可能だろうということでございますので、そういったところも十分考えながら地域の振興策にも努力をしてまいりたい、こう考えております。
  66. 神田厚

    ○神田委員 山田先生にお聞きをしたいのでありますが、今日の地方財政は全体で六十七兆円を超える借金を抱えるとともに、個々の地方団体の公債費負担率も、警戒信号とされる一五%以上のものが五割以上にもなっている。一方、高齢化進展等により地方団体財政需要も増大しておりますが、山田参考人地方財政現状に対する考え方はどうか。また、今後のあり方についてはどういうふうに考えているか。  それから第二番目といたしましては、最近地方団体間の財政力格差が拡大傾向にあると思われておりますが、地方交付税制度のあり方についてどのようにお考えでありますか、お聞かせいただきたいと思います。
  67. 山田雅俊

    山田参考人 まず現状、公債費に依存する比率が非常に高い市町村があるということと、累積の債務がかなりの規模に上っているということについてでございます。  これは財政学をやっている者から見ますと、要するに、政府が支出するお金のうちで経常的な支出の部分と投資的な部分とやはり分けるべきではないか。そして、投資的な部分については、どれだけの割合を公債に依存するかという比率の問題がありますけれども、借金に依存するというか公債に依存するという形で将来の世代にも負担をしてもらうというやり方は、当然あってしかるべきだという考え方が一つあります。その割合をどう見るか、その割合との関連で現在の公債の状況をどう見るかということがあると思うのですけれども、どれだけの割合を将来世代の負担とすることが望ましいかということについては、余り具体的な議論が現在の段階ではされていないと思うのです。  したがって、現在七十兆円あるいは六十兆円を超える公債費が累積していることをどう見るかということは、ちょっと簡単に評価できないということがあるのですけれども地方の公債費については、そのかなりの部分が建前として投資的な経費に回されたものに対する債務、借金だ。そういうことですから、額が大きくなっていることについては問題という側面があるのだけれども、それを現在と将来に分けて負担するという観点からはそういう考え方が十分成り立つんだ、その比率をこれからもう少し明確にしていくということを考えていくべきではないかというふうに思います。それがどの程度がいいのかということについては、実はまだまだ自分自身でわかっていないというところです。  ただし、その公債に関係して支出する支出の比率が非常に高い市町村、県の団体の間で差がある、それが問題だという側面は確かにありまして、財政力が弱い市町村においてその比率が高くなる、それをどう考えていくか。それは結局財政力の格差という問題にもつながると思うのですけれども、その財政力の格差をどういう形でバランスをさせていくか。それは結局地域全体としての発展をどういうふうに考えていくかという問題としてとらえられるべきであろうと思うのです。  したがって、その財政力の差をどういうふうに解消していくか、あるいはバランスを図っていくか。現在の交付税あるいは補助金の制度もそういう格差を解消する一つの手段として存在しているのだと思いますけれども、それをどういうふうに位置づけていくか。それは、これも具体的なお話をするだけの知識を私自身が持たないわけですけれども、一般論としては、差があるそれぞれの地域を、日本の全体としての発展というふうに考えた場合に、どのような位置づけというか、どういうふうな発展があるべきだと考えるか。そういう考え方、そういう見方との関連で、財政力の格差の解消を図るための財源規模はこれだけは必要だというふうに考えていくべきではないか。  現状では、例えば交付税の場合ですけれども、税金の何%というふうに決まっているわけですが、そういうふうに固定的に考えるのがいいか、余り弾力的になると逆に市町村の方から信頼性がなくなるという問題があるかと思うのですけれども、しかし、一般論、建前論あるいは本質論としてはそんなふうに考えていくべきではないかと思っております。
  68. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  69. 島村宜伸

    島村委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  次回は、明三十一日木曜日、午前九時四十分理事会、午前九時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十八分散会