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1990-06-22 第118回国会 衆議院 外務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月二十二日(金曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 柿澤 弘治君    理事 愛知 和男君 理事 園田 博之君    理事 浜田卓二郎君 理事 浜野  剛君    理事 上原 康助君 理事 山田 英介君       小杉  隆君    坂井 隆憲君       塩谷  立君    福島 譲二君       福田 康夫君    山口 敏夫君       井上 一成君    岡田 利春君       松原 脩雄君    遠藤 乙彦君       古堅 実吉君    永末 英一君       和田 一仁君  出席国務大臣         外 務 大 臣 中山 太郎君  出席政府委員         外務大臣官房長 佐藤 嘉恭君         外務大臣官房領         事移住部長   久米 邦貞君         外務省アジア局         長       谷野作太郎君         外務省北米局長 松浦晃一郎君         外務省経済局次         長       須藤 隆也君         外務省経済協力         局長      木幡 昭七君         外務省条約局長 福田  博君  委員外出席者         外務大臣官房審         議官      高島 有終君         外務委員会調査         室長      藪  忠綱君     ───────────── 委員の異動 六月二十二日  辞任         補欠選任   和田 一仁君     永末 英一君 同日  辞任         補欠選任   永末 英一君     和田 一仁君     ───────────── 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  国際情勢に関する件  請 願    一 子ども権利条約批准に関する請願(古堅実吉紹介)(第二二五四号)    二 同(山原健二郎紹介)(第二二五五号)    三 同(宮地正介紹介)(第二三〇八号)    四 同(山田英介紹介)(第二三〇九号)      ────◇─────
  2. 柿澤弘治

    柿澤委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂井隆憲君。
  3. 坂井隆憲

    坂井(隆)委員 ちょうどあすが日米安保条約の三十周年の記念日になるわけでありまして、そういう意味日米安保条約について一言大臣に御質問したいと思っております。  政府特使として訪米中の安倍晋太郎自民党幹事長日米安保三十周年の記念昼食会において、安保批准当時の思い出、野党を中心とした徹底した抵抗、そういう中で当時の岸総理のそばにあって政治的信念を貫いたということについても触れられました。ベーカー国務長官を初めとして各界の皆様方の高い評価を受けたと聞いております。  安保条約という選択が正しかったことは、我が国が戦後平和のもとで今日の繁栄を築き上げたということからも明らかだと思いますが、昨今、戦略兵器削減交渉などについて基本合意がなされるなど、米ソ関係が著しく好転しているように見受けられますし、そういうことから日米安保条約意義について疑問を持っている人も出てきている。しかし、一方では社会党の機関紙である社会新報なんかでは、日米安保解消論を転換して新しい第三の道を提唱するなど、非常に評価する声も出てきておりますし、きょうの朝刊でも各社で社説の欄で日米安保条約意義について述べられているわけであります。  日米安保条約は、防衛のみならず経済貿易などを含む日米関係基本でありますし、訪米中の安倍幹事長の言葉をかりれば、日米安保条約の新たな使命として三点挙げられております。第一が抑止の確保、第二に平和のための対話の役割、第三にアジア太平洋地域の安定と発展のための最も重要な役割を果たす、これらの使命を有する安保条約は、今後とも極めて重要なものだという発言をされているわけでありまして、この記念すべき年に当たり外務大臣日米安保体制に対する認識をお伺いしたいと思います。  また同時に、今後のその堅持についての決意をお聞きいたしたいと思います。
  4. 中山太郎

    中山国務大臣 今委員指摘のように、今年は日米安保条約が改定されてちょうど三十年の記念の年に当たるわけでございまして、政府からは国民及び政府の代表というような形で安倍特派大使がワシントンを訪問された、こういう状況の中で、私どもは今委員の御指摘のように、三十年間平和の維持の中で我々の国が経済的にどのように繁栄できたかということを国民みんながここは一度振り返ってみる必要があるのではないかと考えております。  一人当たり国民所得安保が改定された三十年前と比べてみると、日本は一人当たり三百八十六ドルでございましたが、今年は一万八千二百六十八ドル、四十七倍に実は伸びております。アメリカ所得伸びは二千五百九十五ドルから一万七千七百二十九ドル、六・八倍に伸びております。こういう中で日本GNP世界におけるシェアほどうなったかといいますと、一九六〇年では四百四十四億ドルでございまして、世界の中では三%、それが一九八八年では一三・九%でございます。そのように日本経済規模は極めて大きく拡大をしてきました。一方、米国は世界に対するGNPが一九六〇年は三四%でございましたが、現在は二三・七%に下降をしているということも見逃せない事実でございます。  こういうことで、アメリカとの経済的な摩擦が起こっておりますが、一九六〇年当時には日本貿易収支は対米関係では四億七千万ドルの赤字を計上しておりました。ところが今日では四百四十九億ドルの黒字を計上いたしております。つまり、我々の国は、その政策の正しさによって、平和のうちに経済繁栄を遂げることができたということで、私どもは改めて日米安保条約意義というものを国民皆様方とともにここでじっくり考える必要がある。さらにこれからも日米安保条約を堅持しつつ、日米関係中心日米欧というトライアローグの形で国際社会貢献をしていかなければならない、このように考えております。
  5. 坂井隆憲

    坂井(隆)委員 どうも懇切丁寧な御答弁ありがとうございました。私もやはり日米関係中心として日本国際社会の一員としてますます世界の中で重要な役割を果たしていくことを心から祈念する次第であります。  ただ、ちょうど今問題になっておりますのは、実は農業問題を初めとするウルグアイ・ラウンドの問題でありまして、この点についても大臣に対して御質問いたしたいと思います。  ことしはウルグアイ・ラウンドの四年間に及ぶ交渉最終年であるわけでありまして、自由貿易にみずからの繁栄の基盤を有する我が国にとって、このウルグアイ・ラウンド成功というのは 不可欠であります。また、我が国国際貿易における積極的貢献を示す重要な機会でもありますし、同時に、世界経済のダイナミックな発展のための原動力が市場原理中心とした自由貿易体制であることは、昨今のソ連東欧改革動きからも明らかでありますし、その維持強化を図っていくことが不可欠であることは言うまでもないと思います。ソ連東欧国内改革動きを一層促進するためにも、ウルグアイ・ラウンド成功させて、自由貿易体制の正しさを示す必要があります。政府において最大限の努力を行っているとは思いますけれどもウルグアイ・ラウンド交渉現状を見るに、農業繊維、新分野等で困難な問題に直面しているやに聞いております。また、我が国にとってセンシティブな分野もあるわけでありまして、国益に適切に反映されることが極めて重要だと思います。  政府は現在、ウルグアイ・ラウンド現状をどう認識されて、またいかなる対応を行っているのか、今後の見通しについて所見をお伺いいたしたいと思います。
  6. 中山太郎

    中山国務大臣 ガットウルグアイ・ラウンドのこれからの進展状況並びに現況というものについてお尋ねでございますが、先般四月にメキシコで行われましたガットウルグアイ・ラウンドの非公式の閣僚会議におきましては、この七月末に各国ジュネーブにおいてTNC会議大枠合意するように各国政府努力をするという申し合わせをいたしたわけでございます。御案内のように、我が国ガット恩恵を最も多く受けている貿易国でございまして、そういう意味で、このガットウルグアイ・ラウンド成功日本政府としては努力をしなければならないという考え方を堅持いたしております。  なお、このガットウルグアイ・ラウンド最終会議は、今年十二月に行われると考えられておりまして、そこまでにこの会議成功させるということで各国努力をする。今委員指摘のように、このガット会議の場におきましては、農産物の問題、また繊維の問題、あるいは熱帯産品の問題、あるいは先進国においては知的所有権をめぐる問題、いろいろな問題が議論をされておりまして、十五項目にわたるすべての項目マキシマムパッケージでこれをまとめていくという政府考え方、これは各国ともそういう考え方合意をしているわけでございます。
  7. 坂井隆憲

    坂井(隆)委員 ウルグアイ・ラウンド交渉最大の焦点は、その十五項目、いろいろな問題の中でも、やはり農業問題をどう決着させるかということにあるかと思います。農業交渉は、その長期目標を一層公平かつ市場指向的な農業貿易制度設立支持保護相当程度の漸進的な削減の実施を行うということになっていると聞いておりますけれども、このような長期目標の設定に当たって、政府努力によって、食糧安保というような観点、そういう非貿易的関心事項へも配慮することが認められたと聞いておりますし、その点については高く評価したいと思います。農業交渉をまとめることは重要でありますけれども、かといって、そのために我が国の利益を失うことがないように配慮してほしいというのが農業関係者の切なる願いでありまして、特に私の地元佐賀県などは農業の非常に重要な地域でありますので、その点について強く要望したいと思っております。  現在のところ、OECD閣僚理事会でも見られましたように、農業交渉についてはアメリカECの利害が対立している、両者の意見は一致するに至っていないけれども、今大臣の御答弁にありましたように、本年十二月末までに成功裏に終わらせるためには、特に農業交渉グループにおいて七月二十三日の週に開催される予定である貿易交渉委員会合意大枠を達成することが必要であると思います。それは大臣答弁にありましたけれども、本当に大枠を達成することが可能であると考えられているのか、またどのような大枠ができると考えられているのか、見通しをお伺いいたしたいと思います。
  8. 須藤隆也

    須藤政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、ウルグアイ・ラウンド農業交渉ジュネーブで毎月行われているわけでございますが、交渉内容といたしましては、三つ分野に分けてそれぞれ検討していくということになっております。  三つ分野と申しますのは、第一に、内国支持と申しまして、国内補助金その他農業貿易歪曲的な補助金について、その歪曲効果を減少させていくためにいかなることをすべきかということが第一の分野でございます。それから第二の分野といたしまして、国境措置と申しまして、特に輸入制限の問題にどう対処するかということでございまして、先ほど先生指摘のとおり、アメリカから関税化提案というのがございまして、それに対してECからも、考え方は大分違いますけれどもEC関税化考え方というものが示されておりまして、そういう提案中心にただいま議論が行われているところでございます。それから第三の分野といたしまして、輸出競争ということで、特に輸出補助金の廃止問題を含めた扱い方について議論が行われているところでございます。  我が国といたしましては、先ほど来先生指摘のとおり、農業問題というのは、工業品と同じように全く経済原理だけで律すべきではないという立場に立ちまして、農業が果たしている多様な役割、特に非貿易的関心事項への配慮が必要であるということを強く主張してまいりまして、その趣旨は、プンタデルエステの中間合意、あるいはOECD閣僚理事会のコミュニケにも入っているわけでございますが、特に米のような基礎的食糧につきましては、所要の国内生産水準維持するために必要な国境調整措置を講ずることが認められるべきであるという提案を行って、粘り強く交渉に臨んでいるところでございます。  それから、七月のTNCにおける合意大枠がどういうことになろうかということでございますが、大枠の枠組みとしては、ただいま申し上げましたように、内国支持国境措置及び輸出競争三つ分野に分けて、それぞれ七月以降十二月に向けてどういう枠の中で交渉していくかという大枠が示されるということだと思いますが、具体的にどういう内容になるかについては、まさに現在交渉中でございますので、現段階で具体的に予測することはなかなか難しい状況でございます。
  9. 坂井隆憲

    坂井(隆)委員 我が国は今日までガット体制のもとで自由貿易主義によって多大の恩恵を享受してきたことは事実であろうかと思います。ただ、今日まで身を切るような思いで牛肉・かんきつ類を初め、既に相当農産物市場開放措置を一方的に講じてきたわけでありまして、その結果、我が国世界最大農産物の純輸入国になった。世界農産物市場の安定に大きく寄与する一方、食糧自給率先進国の中で最低の水準にまで低下してきているところであります。このような状況の中で、農業保護削減という現在の交渉方向ただいたずらに流されることになれば、食糧安定供給、健全な地域社会維持、国土、自然環境保全等、そういうことを考えますと、大きな影響が及ぶものと懸念されるわけであります。  こう考えてみますと、農業交渉において我が国がとり得る選択の幅は、本当にナイフの刃の上を歩くように極めて狭く厳しいものがあるわけでありますが、本交渉における我が国対応の仕方をどのような決意でされるのか。それによって二十一世紀における我が国農業の将来を決定づけるものになるわけでありまして、そのような重大な局面に置かれている状況において、守るべきところは守るという姿勢で、大臣の、政府決意をお聞きいたしたいと思います。
  10. 中山太郎

    中山国務大臣 委員指摘我が国食糧問題は、この非公式閣僚理事会におきましても、日本政府としては、たび重なる国会の御決議を踏まえて、米の問題につきましては、米及び稲作の格別の重要性にかんがみて、今後とも国内産で自給するという基本方針主張し続けております。
  11. 坂井隆憲

    坂井(隆)委員 農業交渉の中では、特に米の問題の取り扱い最大の問題になることは言うまでもないわけであります。米はほかの農産物と異なって国民の主食という特殊な地位にあるわけであ りまして、伝統的に稲作日本社会文化的面においても主要な役割を担ってきたことから、みずから生産すべきというのが国民世論になっていると思います。私も自民党の中で農林部会へ顔を出していまして、麦のときあるいはこれから始まる米価の問題の中で、必ずそのような意見農林部会委員の中での大勢主張となっているわけであります。もちろん今後とも稲作生産性向上、コストの低減を通じて、国民の納得のいく価格での供給に努めていくことは必要でありますけれども、その上に立って国内自給方針を貫いていく必要があるということについては、大臣にも十分認識していただきたいと心から要望する次第であります。  最近、ECでも可変課徴金関税化に前向きに対応する模様でありまして、我が国を取り巻く交渉環境は厳しくなっているのではないかという意見も聞かれますが、そのような交渉環境がどうなっているだろうか。そしてまた、きょうの全国農業新聞などには、「BCも「関税化」案」というような記事が出ておりますけれども農業交渉グループでは関税化大勢となっていると聞いておりますけれども、米については基礎的食糧であるので、その関税化は認めないという日本のスタンスを貫くことができるのかどうか、その点についてもお聞きいたしたいと思います。
  12. 須藤隆也

    須藤政府委員 先生指摘のとおり、ただいま、先ほど申し上げました三分野のうち国境措置につきましては、アメリカ関税化提案というのがございまして、それに対してECからもEC関税化に関する考え方というのが出されておりますが、いずれの提案も技術的な詳細につきましてはまだかなりあいまいでございまして、はっきりしたところはわからない状況でございます。特にアメリカ提案につきましては、一次輸入枠を設定して、それをだんだんにふやしていく、それから二次関税を当初は内外価格差をそのまま置きかえることで設定するわけですが、それをだんだんに減らしていくというような提案になっております。他方、EC提案には、一次輸入枠というようなものがございませんで、可変課徴金を二つの部分に分けて、固定部分修正部分というような形で、可変的な考え方がある程度残っているということでございまして、いずれにしても、詳細は未定でございますけれども、特に関税化した場合には、農産物国際価格変動とか、それから為替レート変動が直接関税に影響してくるというような側面もありますし、それから同じものをとりましても、国によって品質が違いますから、どういうふうに内外価格の差を品質との関係で決めるのかというような点につきまして、非常に細かい議論が行われております。  日本といたしましては、最終的にはそういうような細かい点をすべて詰めた上で判断する必要があるわけでございますが、米のような基礎的食糧については、自給方針というものがございますので、関税化にはなじまない、関税化をすることは困難だというふうに考えており、そのような主張をしているところでございます。
  13. 坂井隆憲

    坂井(隆)委員 七月には先進国サミットが開催されるわけであります。サミットにおいて、今まで述べられたような農業問題、これについてはどう取り扱われる予定であるのか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
  14. 須藤隆也

    須藤政府委員 七月のサミットにおきましては、大詰めを迎えますウルグアイ・ラウンド交渉につきまして、その年内妥結成功のために非常に活発な意見交換が行われるのではないかと予測されます。その場合、ウルグアイ・ラウンドの中でも最重要分野の一つとみなされております農業問題につきましても議論が行われる可能性は非常に大きいと思いますが、サミットは、その性格上、首脳間の非公式かつ非常に自由な意見交換趣旨とすることでもありますので、現時点において具体的に農業問題がどういうふうな取り扱いになるのか、どういう話し合いになるのかということを申し上げられる状況にはないと思われます。
  15. 坂井隆憲

    坂井(隆)委員 これからのサミット、それから七月二十三日の週からの貿易交渉委員会、さらにまたウルグアイ・ラウンドと、これから米問題を中心とする農業問題は極めて重要な局面を迎えてくると思いますので、今後とも大臣におかれては、国民世論を背景に守るべきところは守るという気持ちで頑張ってもらいたいと心からお願い申し上げます。  最近、食糧安保ということの中で、総合安保ということがだんだん言われなくなってきましたけれども、次に我が国安全保障確保という観点から、人道的配慮相互依存基本理念としているODAについて、これを有効に利用することが重要と考えられますから、その視点から質問を行ってみたいと思います。  まず第一に、従来から我が国ODAひもつき援助と言われてきたわけでありますが、商売のためでない、世界のための援助にしていくためには、ODAアンタイ化を進めていく必要があると考えられます。その点についてどう取り組んでいかれるのか、お聞きいたしたいと思います。
  16. 中山太郎

    中山国務大臣 委員お尋ねODAにつきましては、七八年以来、円借款の部門で一般アンタイド化に努めておりまして、八八年の交換公文ベースでは、約八割が既に一般アンタイドとなっておりまして、DAC諸国の中で最も高いアンタイ率を示しております。円借款の実際の契約受注を見ると、他の先進国及び開発途上国企業の占める割合は増加をしておりまして、既に外国企業受注が五割を超えております。とりわけ一般アンタイド化された円借款につきましては、日本企業以外の受注が七割を上回っております。  第二に、無償資金協力につきまして、契約者交換公文日本企業とされているものにつきましても、ほとんどの場合、合意により第三国の資機材を調達できることになっております。その結果、例えば施設、物に要する資機材につきましては、現地調達率は五〇%以上にも達していると認識をいたしております。また、無償援助の場合は、各国とも一般アンタイド化まで行っておりませんが、我が国の場合、一九八七年度より実施している構造改善努力支援無償資金協力アンタイドとしており、この点は国際的にも高く評価されていると思っております。  以上のように、日本といたしましては、我が国ODAプロジェクトへの外国企業参加の道を開いておりまして、今後ともこの方向努力をいたしたい、このように考えております。
  17. 坂井隆憲

    坂井(隆)委員 ただいま大臣答弁の中で円借款のことがちょっと触れられましたけれども円借款に関しまして、世界の安定という観点から中国孤立化中国経済不安定化というものが好ましくないと考えられるわけでありまして、第三次対中円借款の再開についてどのように取り組んでいかれるつもりなのか、また今後のヒューストンサミットではどのように対応されるつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  18. 中山太郎

    中山国務大臣 対中の円借款につきましては、昨年の天安門事件以降、一応この協力状況が停滞しておることは事実でございます。しかし、日本国政府といたしましては、中国を孤立さすことは国際社会に決して好ましくないということで、かねがね各国首脳には日本政府考え方を伝えております。また、日本政府といたしましても、中国政府に対して改革開放路線を進めることを強く要請をしております。先般サンフランシスコで行いました日米外相会談におきましても、私からベーカー長官に対して日本政府考え方を強く主張をしたわけでございまして、私どもといたしましては、ヒューストンサミットにおきましても、この日本政府考え方を積極的に披露をしていきたい、このように考えております。
  19. 坂井隆憲

    坂井(隆)委員 中国の問題に絡みまして東欧のことなんですが、最近、東欧において経済自由化民主化動きというものがありました。世界にとっても望ましい方向に進んでいると考えるわけであります。我が国としては、この東欧諸国に対してどのような支援を行っていくつもりなのか。この点に関して東欧諸国に対する援助が国際的にはODAとして取り扱われていない状況にあ ると聞いておりますけれども我が国が十分な支援を行っていくために、東欧への援助ODA化についてもっと積極的に働きかけを行っていくべきではないかと考えますけれども、この点についてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  20. 中山太郎

    中山国務大臣 東欧援助に関しましては、ポーランド、ハンガリーはいわゆるODA対象国リストであるDACリストに掲載されておりません。このようなことで、政府といたしましては、この二国に対する援助については、G24の会合において協議をいたし、先般パリで行われました欧州開発銀行、これの設立にも日本参加をし、署名をいたしております。これを通じまして、この東欧諸国に対する援助を行っていきますと同時に、二国間においても積極的な協力を行っていきたい、このように考えております。
  21. 坂井隆憲

    坂井(隆)委員 どうもいろいろと懇切丁寧な御答弁をいただきまして、本当にありがとうございました。いずれにしても、日本の国が国際社会でこれから大きく働いて伸びていく、それなりの責任を果たしていくという場合に、やはりまず農業問題を中心とした国益を守って、これから大臣が御活躍されることを心から祈念いたします。  また、世界経済情勢の非常な流動化の中で、諸外国、カンボジア、中国あるいは東欧諸国に対して、日本の国がもっともっと積極的な役割を果たされることを心から祈念いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。本当にどうもありがとうございました。
  22. 柿澤弘治

    柿澤委員長 松原脩雄君。
  23. 松原脩雄

    ○松原委員 明日は安保改定の三十周年になります。そこで、この間、三十年間の安保を振り返ってみますと、やはりこの条約の根幹のところにはソビエトの脅威といったものが存在をしておるのは、これは明白であります。ところが昨年のマルタ会談を契機にしまして、アメリカとソビエトの間のいわゆる冷戦時代は終結をして、時代はまさに米ソ協調の時代に入った、こういうふうに区切りをつけることができると思います。事実、今月の初めには米ソ首脳会談におきまして、戦略核戦力の半減を目指す戦略兵器削減条約の基本合意ということも合意をされております。また、ヨーロッパに続いてアジア太平洋地域でも、緊張緩和と軍縮の波というものが押し寄せてくることが確実に見通せるようになったと考えます。六月四日、ゴルバチョフ大統領はスタンフォード大学において、アジア太平洋地域では、長い間対立、軍拡が続いていたが、今アジアには新しい風が吹いているということを述べて、政治的、軍事的対立の解消を呼びかけたわけであります。この呼びかけた翌日に韓ソ首脳会談が行われるという歴史的な事実も出現をしたわけであります。一方アメリカでも、一九九一会計年度国防報告におきまして、ソ連の国防費の規模は依然として西側に潜在的脅威をもたらすという表現はありますが、すべてをソ連の脅威論で割り切ろうという姿勢は消えておるわけであります。また「アジア太平洋地域の戦略的枠組み」、この国防省報告では、今後十年間においてアジアからの米軍の削減、撤退計画というものが出されておりまして、その第一段階では、当初三年間、日本、韓国、フィリピン等の駐留米軍の一〇%程度の削減、そして第二、第三段階では、ソ連軍事力の動向を見きわめるというふうになっておりますので、今後米ソの軍縮交渉が進展していくその程度によっては、大規模な削減、撤退をする可能性が高いというふうにみなされているわけであります。  そこで、このようなアメリカとソビエトの目下の動向を見ますとき、二十一世紀に向かう今後十年間、日米安保条約といったものは、従来のソ連脅威論に立脚した組み立ては、もはや維持し得ないのではないか、そういうふうに考えるわけであります。  そこで、これは外務大臣にお伺いをしたいわけですが、二十一世紀に向かうこの十年間、日米安保条約ソ連の脅威論を依然として維持した上で、これを組立みてるということが実際できるのかどうか、あるいはそうでないとしたらどういうふうな見通しを持つべきなのか、外務大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  24. 中山太郎

    中山国務大臣 この一九九〇年から二〇〇〇年に至る十年間で、日米安保条約というものに対する政府考え方をどのように考えるか、それをめぐる現在の国際政治情勢あるいは米ソ首脳会談、韓ソ首脳会談を踏まえてのお尋ねでございますが、率直に申し上げまして、私どもは一日も早くこの地域に平和と安定が来ることを心から望んでおるわけであります。しかし、ただいま現在では、我々の周辺の北方領土にはソ連軍が引き続き占領を続けておりますし、アジア・太平洋におけるソ連軍の展開も、一部その削減が行われているとは言われるものの戦力は向上しているというのが現実の姿ではないかと思います。しかし、このような状態がこれからどう展開していくか、これはこれから慎重にこの推移を見なければならない、事いやしくも我が国の安全に関する問題でございますから。私どもは、アジアにおける変化がヨーロッパのような形で起こってくるとは考えにくいわけであります。軍事同盟にいたしましても、ワルシャワ条約機構とNATOとの一元的な対立がございますが、アジアにおいては二国間の軍事同盟がそれぞれにあるという現実も踏まえて、私どもはこの米ソのアジア・太平洋におけるこれからの協力状態、またソ連軍の兵力削減問題、このようなものを、安全保障の条約を結んでいるアメリカとの間に十分情報を交換しながら、これから新しい世紀へ向かっての日本の政策を検討しなければならない重要な入り口に立っていると認識をいたしております。
  25. 松原脩雄

    ○松原委員 このアジア・太平洋におきましては、いわばアメリカの海軍力がソ連の海軍力を圧倒しておる。そして、核ミサイルを積載した艦船が、潜水艦も含めましていわばうようよしているというような状態であります。したがって、このアジア・太平洋における緊張緩和あるいは米ソの協調というものの課題は、この海における核軍縮といった点が非常に大きな課題になるだろうと思うのであります。実際、海における核軍縮に向けた動きが、例えばどうもアメリカとソビエトの軍艦がことし相互に相手方の国を訪問をするというふうなことも決まったようであります。いわゆる信頼醸成措置といったものも現実に米ソの間でこの太平洋において進んでおるわけでありますが、この具体的な海の核軍縮につきまして、今後米ソ間において具体的にどういう展開をしていくのか、その辺の見通しと、それから大臣が海の核軍縮について今後日本として何かアメリカあるいはソビエトとの間で一つの提案なりあるいはイニシアをとるとかいうふうなお考えがないのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  26. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先生御承知のように、海上発射巡航ミサイル、SLCMに関しましては、これはSTART交渉との関連におきまして米ソ間で話し合いが行われておりまして、START交渉とは別でございますけれども、START条約の有効期間中政治的に拘束力を有する宣言の中で扱うということが基本的に米ソ間で合意がされているわけでございます。しかしながら、あくまでもこのSLCMはSTART交渉との関連において話し合いが行われているわけでございまして、先生が御指摘になりました海軍軍縮全般に関しまして、それではアメリカがどういう態度をとっておるかということでございますけれどもアメリカ基本的に、ソ連は大陸国家である、それに対しアメリカは海洋国家である、したがってアメリカといたしましては、国家安全保障上、海軍力が有する重要性というのがソ連と根本的に異なっておる。それからまた、西側の同盟諸国との間が海洋により隔てられている。それだけアメリカにとりまして海軍力というのは重要であるということになるわけでございますが、そういう点からアメリカは、海軍軍縮提案に関しましては、極めて慎重な態度をとってきておりまして、私どもはこのようなアメリカの慎重な態度を支持しているところでございます。
  27. 松原脩雄

    ○松原委員 私は、今後十年間を見通し安保条約につきましては、いわゆるソ連の脅威論といったものによって維持をしていくということは非常に困難になるだろう、まさに軍縮の時代をずっと進んでいくだろうというふうに考えております。そうしますと、日米の安保条約は質的に変化をしていくという新しい議論が生まれてこなければいかぬわけでありますが、その場合でも、今後十年間を見通して、いわゆる国会論議の中できちっと確認をされてきました非核三原則は、将来も揺らぐことのない日本の国是として確認をしていてよろしいでしょうか。これは大臣にお願いします。
  28. 中山太郎

    中山国務大臣 非核三原則は日本の国是でございます。今後ともこれに変わることはございません。
  29. 松原脩雄

    ○松原委員 そうしますと、非核三原則中の核の持ち込みという、持ち込ませない、これについて、核積載艦の寄港や領海の通過もまたこれらは許されない、そして、そのようなアメリカが核を持ち込むというふうな場合には事前協議が必要である、こういう従来の政府のお立場は、やはりこれもまた将来において変わることのない原則というものとして確認をしてよろしいでしょうか。
  30. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 今大臣が御答弁申し上げましたように、非核三原則は政府として今後とも堅持するという立場をとっておりますが、今先生指摘の、安保条約上、艦船によります核兵器の持ち込みを含めまして、これはすべて事前協議の対象になっておりまして、また核持ち込みについての事前協議が行われた場合、政府としては常にこれを拒否する所存である、こういう立場をとっておるわけでございます。これは私どもは今後とも堅持する所存でございます。
  31. 松原脩雄

    ○松原委員 そこで、アメリカ空母のミッドウェーが二度の爆発を起こして乗員の二人が死亡した、十六人が負傷したという報道がなされ、横須賀に今帰港、戻ってきたわけでありますが、その点についてちょっと聞いておきます。  このミッドウェーの爆発事故について、その原因、既に政府はこれを承知しておられるのでしょうか。おられるようでしたら、ちょっと明らかにしていただきたい。
  32. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 ミッドウェーの今回の事故に関しまして、昨日来国会のいろいろな委員会でも御質問ございまして説明してまいりましたが、一昨日以来私ども、事故の原因に関しまして早急に究明してもらいたい旨、米側に繰り返し申し入れております。今まで私どもが承知しておりますのは、いろいろ当初混乱がございまして、何が起こったのか正確にわからなかったわけでございまして、アメリカ側も火災と爆発があったとかいろいろ発表しておりましたけれども、現時点で私どもが連絡を受けておりますのは、爆発があった、火災は必ずしも起こっていなかったということでございます。  ただ、それでは、その爆発が何で起こったかということでございますけれども、これは決して火薬類等の爆発ではございませんで、どうも高温、高圧の蒸気が何らかの理由で漏れていた可能性があるようでございまして、その結果ドアなどが吹き飛んだ、それによる爆発が二度あったということのようでございますが、それ以上に出まして具体的な事故の原因に関しましては、現在米側が徹底的な調査を行っておりますので、その結果を待ちたい、こう考えております。
  33. 松原脩雄

    ○松原委員 横須賀に帰港しておるわけです。そこで私は、その事故がさらにこれ以上——横須賀には帰港中ですよ。帰港中、さらに他に誘爆をするというふうなおそれはないのかどうか。それも横須賀の市民が一番今心配をしているわけですから、誘爆するおそれはないのか。もしそれが誘爆のおそれが仮にないとしたら、その保障措置なんというものはちゃんとアメリカの方からとっておられるのでしょうか。
  34. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先ほど申し上げたようなことで、高温、高圧の蒸気により何らかの事故が起きたようでございますけれども、二十一日の零時三分までには完全に事態はもとに復しておりまして、完全に冷却化された、その上で安全を確認の上、二十一日の午後二時半ごろ横須賀に入港したと私ども連絡を受けております。私ども、先ほど事故の究明に関しまして、米側に繰り返し申し入れをしたということを申し上げましたけれども、その際、当然でございますが、あわせて安全対策はしっかりとってもらいたいということは申し入れてございまして、米側もその点は十分念頭に置いた上での入港でございます。
  35. 松原脩雄

    ○松原委員 では、もう一つ聞いておきますけれども、そのときにミッドウェーに積載しているかもしれない核兵器への誘爆というような恐るべきことについては、これをお問い合わせになったでしょうか、いかがですか。
  36. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 繰り返しでございますが、一般論で申し上げておりますように、今回の事故に対しまして万全の安全対策をとるようにということは繰り返し申し入れているわけで、それに対しまして米側より、安全対策はとって、それを確認の上であるということでございます。  核持ち込みの問題に関しましては、先ほどまさに御答弁申し上げた点でございますので、今回は省略させていただきます。
  37. 松原脩雄

    ○松原委員 私は、この点について前回からずっと、前々回から聞いておるのですが、核積載艦の寄港問題につきまして、いま一度ちょっとお伺いをしたいと思います。  このたびアメリカの国立公文書館で安保改定時の公文書が公開され、その中でアメリカは、安保の改定に際して、核積載艦の日本寄港や領海通過は自由であって、したがって事前協議の対象とはならないということを一貫して主張してきたことを明らかにする、そういう公文書が今度明らかになったわけであります。  こういうアメリカの立場、第一回の交渉の当時から日本政府にはちゃんと、寄港については自由ですよ、事前協議の対象にはなりませんよと主張してきた。それから交渉の途中でも、その点を日本政府にきちっと了解させる必要があるというふうなたぐいの文書が出てきたわけですね。そういう意味で非常にアメリカは、この自由寄港というものについては、改定の当時から大変こだわっておったというふうになるわけです。  そして、この点をずっと考えてみますと、やはり八一年のライシャワー、元駐日大使ですね、このライシャワー発言というものにもう一度返らざるを得ない。そのときにライシャヮーさんは、核搭載艦船が日本領海を通過することは自由であり、核の持ち込み、イントロダクションですね、この禁止には反しない、この点については一九六一年三月以前に、つまり彼が大使に着任する以前に日米両政府間の口頭了解ができていたという発言がなされておるわけでありますが、これと結びついてくるというふうに私は思うのです。なるほど、もしライシャワー発言が正しいとするならば、その間に、例えば七四年十月にはラロック元海軍少将が言っていますね。核積載可能な米艦船はすべて核兵器を装備し、日本へ寄港する際、取り外すようなことはないというラロック発言とか、あるいは七八年二月の米下院軍事委員会でクレーター米海軍長官の、空母ミッドウェーは米戦略抑止力の一部である核攻撃用母艦の役割を果たしてきた、こういう証言等あわせていきますと、アメリカでは、まさに核積載艦が日本に立ち寄る、寄港することについては、もう当たり前のことのようにして情報が出てきている。しかも出てきていることについて、ラロック証言に戻ると、どうも日本が了解をしていたのではないかということがあるからこそアメリカでそういう発言等が出てきているというふうに考えられるわけであります。そして、今度の公文書は、まさにその辺についての一つの重要な一種の傍証を与えているのではないか。したがって、従来の国会答弁等で政府が言ってきたことに対して重要な疑問を私は投げかけたと思うのです。  そこで、私はもう一度この間の質問を続けていきますけれども、今度公開され報道されたこの公 文書ですね。特に第一回改定交渉から、核積載艦の寄港については、アメリカ側はもう事前協議の対象から外して、自由ですよ、そういう主張をしていたということ、並びに会談の終了間際にも、やはり同じような念つきのいわゆるマッカーサーからダレスあての文書といったものが実は公開されておるわけですが、外務省として、ここで書かれていた、公文書の指摘した事実については、これを確認することができるかどうか、もう一度私はお伺いをしたいと思います。
  38. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先般来の先生の御指摘に対しまして累次御答弁を申し上げておりますが、条約交渉の過程に関しましては、私ども外交上の慣例によりまして、云々することは避けたいと思っておりますし、今回米側の報道されましたような文書の性格等を私ども承知しておりませんので、これらの文書に対するコメントも差し控えたいと思います。  基本的に重要なことは、これも先般来申し上げていることでございますけれども安保条約に関します日米両国間の合意内容でございまして、その交渉の一過程における当事者のそれぞれの立場ということではなくて、あくまでも日米両国間の合意内容でございます。それは先般来申し上げておりますように、事前協議の対象である核持ち込みの中に、寄港、通過が含まれているということについては、交渉の結果得られた現在の事前協議に関する交換公文の規定及びいわゆる藤山・マッカーサー口頭了解から十分に明らかになると考えております。この点に関しましては、先生がいろいろ言及されましたラロック発言、ライシャワー発言等が話題になりました際にも、国会の場で御説明申し上げたことでございますけれども、ライシャワー発言に関しまして先生から明示的に最初に言及がございましたので、あえて申し上げますが、八一年五月二十日に行われました園田大臣とマンスフィールド大使の会談におきまして、このライシャワー発言は一私人として発言したものであるということがはっきり当時のマンスフィールド大使から行われていることを御披露させていただきます。
  39. 松原脩雄

    ○松原委員 私は前の委員会でも申し上げましたけれども、ライシャワーさんは確かにその発言当時は一私人ですよ。だけれども、今回はアメリカの公文書として出されたものですから、その扱いは当然違うはずです。ライシャワー発言のときだって、当時の鈴木首相は、すぐにこれは調査すると最初言ったではありませんか。その後、今言ったような私人扱いでもう調査しない、こういうふうになりましたよね。ところが今度は公文書です。したがって、性格が全然違いますから、公文書を至急取り寄せて、そして外務省のこれに対するコメントというものを当然やるべきではありませんか。それまでしなければいかぬと私は思いますけれども
  40. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先般来、先生から同様の御指摘をいただいておりますが、その都度申し上げましたように、今回報道に言及がございますアメリカの公文書の性格、内容等について私どもは承知しておりませんので、コメントができないわけでございますが、いずれにしましても、私どもは現時点でこのような公文書等に関して米側に照会するという必要は全くないと考えております。
  41. 松原脩雄

    ○松原委員 全くそうやってふたをするような態度というのは、私は非常に問題だと思うのです。これは外務大臣、この間の御答弁でも、やはり日米安保三十年を契機として日米安保改定に関する日本側の資料をいずれは公開していきたいというたぐいの発言をされたと思うのです。まさにそういう情報の公開といったものが非常に重要であるわけですね。一方でアメリカからどんどん出てきているわけですから、そのアメリカから出てきた相当重要な内容を持っておる公文書を取り寄せて、そして、その上で外務省としてこれに対するコメントをする、それぐらいのことをやらなければいかぬと私は思うのです。それで外務大臣としてはどういうふうにお考えなのか、ちょっとお聞かせを願いたいと思います。
  42. 中山太郎

    中山国務大臣 私は、安保条約に関連する記録の公開につきまして、この間の委員会でも御答弁をいたしておりますが、記録公開制度の原則に照らして、今後適宜検討していくこととなりますけれども、何分にも我が国安全保障にかかわる重要な問題がございますので、これは慎重な検討を要するということは御理解をいただけるものと思っております。その検討のためには相当の時間を要するということを御理解いただきたいと思います。
  43. 松原脩雄

    ○松原委員 私は公開について日本側文書のことを言っているのではないのです。アメリカ側の公開された公文書をとにかく取り寄せて、そして、それに対して外務省として、これが言っていることが本当かどうかという判断を下すということが必要なのではありませんかというふうに外務大臣に聞いているのです。
  44. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先ほど来申し上げておりますように、私どもにとりまして重要なことは交渉の結果でございます。したがいまして、交渉の過程の問題に関しまして報道がいろいろあるからといってアメリカ政府に確認を求める必要はないと考えております。
  45. 松原脩雄

    ○松原委員 私どもにとって必要なのは、安保の改定に当たって実際どういうことがなされていたかということが大切なんです。ライシャワー発言、そして、これを裏づける有力な状況証拠となるこの公文書、こういったものをつづり合わせていきますと、国会の答弁では、米軍の核艦船寄港については、実際に事前協議の対象になるというふうに今なっていますけれども、実際は逆じゃないか。自由に入ってきてよろしいという約束を日本が当時もう出していたということになるわけですから、それは国民に対して政府がうそを言っていた、欺瞞を言っていたということになるわけなんです。そういう外交姿勢がまさに問われているわけです。だから国民はこの辺のところを聞きたいわけです。  言うまでもなく、先ほど確認しましたように、非核三原則は今後も守らなければいかぬし、それから寄港も含めて事前協議の対象にするという一種の国是は、今後も守られなければいかぬと思います。しかし、大事なことは安保改定交渉をやったときの外交姿勢です。国民に対してどう対応したのか。一種の欺瞞をやっていた疑いが出てきているからこそ、国民に対してそれを明らかにするために、しかるべき措置をとるべきなんじゃないかというふうに私は申し上げているのです。  もう一度外務大臣、この点について、公文書を取り寄せてしかるべき判断をするという点について、外務大臣のお考えを私はお聞きしたいと思います。
  46. 中山太郎

    中山国務大臣 今北米局長が御答弁申し上げた考え方というものは、外務大臣が外務省として認めて答弁をさせているわけでございますから、考え方としては変わるものがございません。
  47. 松原脩雄

    ○松原委員 質疑時間が終わりましたので、大変残念な政府対応であるというふうに私は思います。今後この点につきまして、前向きな展開をするように強く要望いたしまして、私の質疑を終わりたいと思います。
  48. 柿澤弘治

    柿澤委員長 上原康助君。
  49. 上原康助

    ○上原委員 最初にお尋ねしますが、米第七艦隊の果たしている役割を外務省はどのように御認識していらっしゃいますか。
  50. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 安保条約との関係で申し上げますれば、第七艦隊を含めまして在日米軍は、日本の平和と安全のため、さらには極東の平和と安全に寄与するためでございます。ただ、第七艦隊の任務といたしましては、御承知のように、かなり広い任務を持っておりますけれども日本との関係安保条約との関係で申し上げますと、今私が申し上げたようなことになります。
  51. 上原康助

    ○上原委員 そこで、皆さんがよく例として出された抑止力、抑止効果というのは相当果たしているとお考えですか。
  52. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先ほど来外務大臣安保条約意義について御説明されました中に、全体として 日米安保体制が抑止の役割を果たしてきているということがございますが、まさに在日米軍は第七艦隊を含めまして全体として抑止の役割を果たしてきていると認識しております。
  53. 上原康助

    ○上原委員 そこで、外務大臣にお答えいただきたいのですが、抑止という、抑止力を果たしている、抑止効果があるというプレゼンスがある。そうなりますと、当然核の傘というのも含まれますね。
  54. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 全体として申し上げまして、日本アメリカの核抑止力に依存しております。
  55. 上原康助

    ○上原委員 今の常識的なことでもわかるように、全体としてアメリカの核の抑止に依存をしている、傘の中にあるとすると、第七艦隊の旗艦とも言えるミッドウェーの存在というのは、だれが考えても、これは核を装備している航空母艦、またアメリカ自体もそれを認めている。その認識はどうなんですか。
  56. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 アメリカ政府は、御承知のように、核の存在に関しましては肯定も否定もしないというNCND政策というのをとっておりますので、先生が今言及されました第七艦隊、さらにはミッドウェーという具体的なことに関しては、私どもは承知しておりません。
  57. 上原康助

    ○上原委員 聞いている方がいつまでこういう議論をやりとりするのかなと思うと思うのですね。私も何遍かそういう答弁は聞かされた。もう少し実態と合った質疑応答というか答弁をしていただかないと困る。  核の存在について肯定も否定もしない、そういう政策をアメリカはとっている。これも何回も皆さんが言うとおり。それならなぜ事前協議というのがあるのですか。先ほど来議論になっているこの矛盾性をどう解くの。外務大臣安保条約は改定されてあしたで満三十年、いみじくも、私は大変残念な事故だと思うのですが、ミッドウェーがああいう事故を起こしている。多くの疑惑が今持たれている。安全性がまだ確認されていない。核弾頭あるいは核兵器、核爆弾をミッドウェーが装備をしているのは、これは常識ですよね、だれが考えても。それが七三年ですか、七三年以降横須賀を母港にしている。万が一核兵器、核爆弾に誘発をしたというような大事故が起きた場合、一体どう責任を持つの、皆さん。このことが今問われているのですよ、非核三原則の問題。  ですから、アメリカは核の存否については肯定も否定もしないと言っている。日本側は事前協議だと言っている。三十年間も事前協議が一遍もないということに外務大臣は本当に疑問をお持ちになりませんか。アメリカ世界戦略というのはまさに日本を含む核体系なんですよ。米軍のプレゼンスというのは。その常識的なことが、何回やっても非核三原則を守るとか国是でありますと言って、次から次と新しい証拠が出てきても認めようともしない、確かめようともしない、確かめる必要もないなんて一体これ何事ですか。そういう答弁では納得できませんよ。三十年間一遍も核の持ち込みあるいは事前協議がないということについて疑問に思いませんか。その一つに答えてください。
  58. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先生今御指摘のように、安保条約に基づきます事前協議が行われておりませんけれども、この行われてないという事実があるからといって、事前協議が行われるような事態は起こり得ないとかあるいは現在の事前協議制度が無意味であるということには決してならないと私どもは思っております。  先生が先ほど来御指摘のNCND政策との関連でございますけれども、これも国会の場で何度も申し上げてきたことでございますが、我が国への核の持ち込みに際し事前協議を行うことは、日米安保条約及び関連取り決め上の米国の義務でありまして、仮に今これと抵触する内容の米国の国内法があったといたしましても、国際約束上の義務が優先するものでありますことは一般国際法上当然であります。まして法的な規範力を持たない政策が国際約束上の義務に優先するということは全く考えられないところでございまして、このことの関連で念のため申し上げておきたいと思いますのは、米国政府は事前協議に基づく米国の義務の履行を妨げるような米国の国内法はそもそも存在しないということを明確に確認をしております。したがいまして、米国のNCND政策のゆえに核持ち込みの事前協議は行われ得ないということはないと私どもは考えております。
  59. 上原康助

    ○上原委員 まさにそこが安保の虚構なんですよ、あなた、事前協議というものの。いつまでそんな偽りを押し通そうとしていかれるのですか。  外務大臣にもう一度確かめたいのですが、一体国是とはどういうことですか。あなたさっき国是でありますとおっしゃったんだ。国是とはどういうことですか。
  60. 中山太郎

    中山国務大臣 国是とは国家の基本的な考え方であると私は認識をしております。
  61. 上原康助

    ○上原委員 それは実効が伴わなければいけないわけでしょう。アメリカ側に守る義務がある。アメリカ側の言い分は、アメリカは守っているかもしれない、そこが問題なんだ、ポイントは。私たちはそれは守られているとは思いませんね、日本政府が言うようには。特に持ち込ませず——国是とは「一国をあげて支持され、確定している政治の方針。」と。今もう国是、国是と言うものだから漢和で引いてみた。「一国をあげて支持され、確定している政治の方針。」であるならば、なぜこういう疑惑が次から次と生まれるのですか。これはもう安保条約を改定した後、そして沖縄国会でも、核問題というのはさんざん議論されてきたことなんです。  そこで、先ほども松原委員からもございましたが、要するに日米間の核持ち込みに対する事前協議の認識あるいは解釈の違いが今日の矛盾と混乱を来しているのじゃないかということなんですね。もうあれこれ引用するまでもなく、さっきも御引用ありましたように、せんだってNHKさんが、要するにアメリカの公文書においてこれが発覚されているということを私たちは重視をしているわけです。安保改定前の当時のマッカーサー駐日大使が、米国艦艇の通過、寄港は安保条約の事前協議の対象外、いいですか、対象外、これは日本側に通告をした、これが発覚されているわけですよ。だからアメリカ側としては、領海あるいは一時寄港、そういうものは事前協議の対象にならないという解釈を一貫してとってきている。日本はだましだましに次から次と解釈やいろいろな理屈をこね回して、アメリカ側が一度も事前協議しないから核は持ち込まれていない、こんな子供じみたばかげた答弁が一体いつまで通用するのですか。ぜひこれは明らかにしていただきたい。私たちは断じて守られているとは思わない。一体、日米間にそういう解釈の相違があるのかないのか。秘密協定がなければ口頭了解はあったはずなんです。まさに今安保条約繁栄論だけ言っておりますが、そういった矛盾について、あるいは国民が大変疑惑を持っていることに対して答えるのが外交の基本姿勢じゃないですか。  せんだって外務大臣は、国際的に信頼される日本外交を樹立していきたい、やっていきたいということでしたね。こんなことで日本政府がやっていることをだれが信用しますか。信頼しますか。だれだってこういう議論に疑問を持たない人はいないと思いますよ。アメリカの艦船なりあるいは航空機でも、B52にしてもそうでしょう、そういう核装備のできるような兵器体系を保持しておって、核が持ち込まれてないというこの欺瞞性、うその固めは、もう国民は納得しない。安保三十年を起点にして、この点は政府として明確にすべきだ。これは大臣からお答えください。
  62. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先ほどマッカーサー元大使に言及がございましたけれども……(上原委員「簡単に言って」と呼ぶ)はい。何分にも三十年前のことに関しまして、記憶に基づいて大使が発言しておられると思いますが、いずれにしても、全体像を私ども承知しませんので、マッカーサー元大使の発言に関しますコメントは差し控えたいと思います。  今先生指摘の、日米間に当時何らかの約束が あるのではないかという点でございますけれども、これは従来から申し上げておりますように、核持ち込み問題に関しましては、安保条約第六条の実施に関する交換公文、いわゆる岸・ハーター交換公文がございます。及び交換公文の解釈を日米両国間の了解事項として交渉当事者が口頭で確認したいわゆる藤山・マッカーサー口頭了解がすべてでございまして、それ以外に何らの取り決めがあるという事実はございません。
  63. 柿澤弘治

    柿澤委員長 政府側、答弁を簡潔にしてください。
  64. 上原康助

    ○上原委員 そういう岸・ハーター交換公文なんて私も何回も読んだし、何回も聞かされた。納得しない、できないんですよ。次から次と新しい証拠が出てきているんじゃないですか。冗談じゃないですよ。今マッカーサー元大使はまだお元気でしょう。皆さんは、ライシャワーさんにしてもラロックさんにしても、都合が悪くなると、一市民だとかなんとかいって逃げるのだけれども、そんなことは許されませんよ。確かめなさいよ、それがあったのかどうか。何であなたの独断で、外務省の独断で確かめる必要もないなんて断言するのですか。国民はそれを知りたいんですよ。外務省はなぜそれに答えないの。大臣、納得できない、それは。
  65. 中山太郎

    中山国務大臣 一国の安全保障に関する条約を締結している相手国との間に、条約上の取り決めによって核を持ち込む場合にはすべて事前協議の対象になるという義務を相手国は持っているわけでございますから、その相手国から事前通告がない場合には、核の持ち込みがないと信頼をしていかなければならないというのは基本的な立場であろうと私は思います。  委員が盛んに疑わしいとおっしゃっておりますけれども、もしこの安保条約の精神を疑うということがありますれば、我々の国家が危急に際した場合に、果たしてアメリカ日本を守るかどうかという不信感を逆の場合に持つわけでありますから、私は、我が国の安全について条約上の義務を持っている米国の行動について信頼をしていくということが、日本安全保障にとって極めて重要であるという認識を持っております。
  66. 上原康助

    ○上原委員 失礼ですが、それは一方的片思いというものですよ。私はそういう三段論法でこの問題をうやむやにすることはいかがかと思いますよ、外務大臣。相手側が義務で、我が方からそれを確認もできない、日本側から査察もしない、そんな一方的な条約の義務とか——今対等平等と言っているわけでしょう。国民が知りたいのはその点なんですよ。それに答えるのが外交。それに答えるのが日米の真の友好であり、条約でなければいかないと思うんですね。このことは岸・ハーター交換公文とかなんとかいう前に、我が方からもいろいろそういうことは出ているのです。  七五年五月十七日、木村俊夫元外務大臣は、あのラロック証言が出たときに、たしかこれは朝日新聞でしたか何かでこういうことを語っておられる。「あのラロック証言でクローズアップされた核持ち込みは、本当だ。しかも、領海内の通過もしている。もし野党から「領海内通過は事前協議の対象にならないという文書による確認があるか」と聞かれたら、政府は立ち往生するところだった」今立ち往生していらっしゃる。ただ信頼関係だけで国民に信頼しなさい、信用しなさいと言っても、これは信用できないですよ。三十年間一度も事前協議がないから核が持ち込まれていないなんて、こんなうそはもう通らぬ。アメリカの核の傘に依存をしている、第七艦隊は核抑止を含めての抑止力をもっているということを今冒頭言ったじゃないか。だから私は聞いたのです、防衛庁呼んでなかったけれども。これは常識的なことなんです。そういう言い分があるということ。  さらに、ですから領海内通過、いわゆる核を陸揚げするとか貯蔵をするとか、核兵器、核体系、単なる弾薬だけといういろいろな議論はありますけれども、陸揚げすることは持ち込みに入るけれども、一時寄港とか領海通過、領空通過というものは対象にならないということは、厳然たる口頭了解か何らかの秘密協定かない限り、アメリカもこれだけ国会でも問題になりマスコミからも取り上げられて何のあれもしないということはないと思うんですよ。なぜそれに真剣に答えようとしないのですか。——ちょっと待ってください、もうあなたの答弁は大体わかる。  しかも、木村元外相は、だれの目にも明らかな核持ち込みを、さようなことはございませんとうそをつき通すことは耐えられないので、今後は事前協議の上、一部の持ち込みを認めるということをアメリカと話し合おうとした、当時の田中総理は、それをやってくれという返事だった、それで外務省もその気になった、アメリカ側もそれについてはよかろうということも話したと回顧録なりいろいろな面でこう指摘をしていらっしゃるのですね。だから、木村さんというのは確かに人格者だった。国会で野党から詰められていつまでもうそを通すのは良心の苛責で非常に無理だと。恐らく中山外務大臣だって心の中ではそう思っていると思うのです。上原君、そこまで言わぬでくれ、おれの気持ちをわかってくれと思っていらっしゃるかもしらぬ。あなたの政治家として、外務大臣としての名誉にかけて、その面解明してくださいよ。  それが、アメリカ側ともう一遍すり合わすことによって日米関係というのは本当にそんなに崩れるのですか、ガラスみたいに。そうじゃないでしょう、それは。しかし私たちは、あくまで皆さんが守っているというわけだから、守られているかをぜひ確認したいわけなんです。その前提に、この日米間の解釈の食い違いというものについて、この際明らかにしなければいかぬ。外務大臣、これはたびたび問題になってくる、これからぼろぼろ出ると思いますよ。どんどん出てくると思いますよ。改めてアメリカ側にこのことについて確認をするということと、日米間でこの解釈について、政府として、海部内閣としてやるべきだと思うのですが、いかがですか、大臣。北米局長はもういい。あなた条約局長じゃないでしょう。
  67. 柿澤弘治

    柿澤委員長 松浦北米局長、簡潔に。
  68. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 申しわけございませんが、もう一度先生に申し上げたいのですけれども、核持ち込み問題に関して日米間の了解は、先ほど引用させていただきましたこの岸・ハーター交換公文と藤山・マッカッサー口頭了解の二つでございまして、それ以外に何らかの密約があるということはございませんので、これは念のため強調させていただきたいと思います。  それから、核持ち込みのいわゆるイントロダクションの中に、先生指摘の寄港、通過が入るかという点でございますが、これが含まれているということば、私が今言及しましたこの交換公文と口頭了解からして十分明らかでございまして、この点に関しまして日米間の了解の違いはないと考えております。したがいまして、先ほど中山大臣が強調されましたように、安保条約のような国の安全保障の根本にかかわる条約は、日米間の確固たる信頼関係が絶対の条件でございまして、この関連取り決め上明らかなことにつきまして、アメリカの義務の不履行を前提として改めて確認を求めるということは不適当と考えます。
  69. 上原康助

    ○上原委員 それは、あなたはそう思っても、国民は納得しないのです。上原康助一人が言っているのじゃないのです。国民はそれで納得しませんよ、この問題は。しかも、国是とは一国を挙げて支持され確定している政治の方針でしょう。外務省や自民党の一部だけが、自民党の皆さんだって良識ある方々は疑問を持っていらっしゃると思うよ、このことに。どう考えても、どう聞いても松原さんや私が言っている方がこれは当たっている、論理性がある、正直申し上げて。冗談じゃないですよ。  外務大臣、あなた方は恐らく今までは持ち込まれていないといううそで固めてきた。しかし、アメリカ側に改めて現時点でそれを問いただすと、アメリカに、いや、それは一時通過とか寄港は了解されていましたよと言われたら、あなた方の立つ瀬がないから、論理が崩れるから、それを恐れ てやらないわけでしょう。自信があればなぜやってみないのですか。大臣。——いやいや、いいです、もう時間がないから外務大臣答えてください。
  70. 福田博

    福田(博)政府委員 御質問の点は、大別いたしますと三つぐらいあると思います。  一つは、日米間の合意として何かあるかというと、今問題になっているところについては、安保条約第六条と岸・ハーター交換公文とそれに関する藤山・マッカーサー口頭了解、そういうものがあって、それでちゃんと運用されておって、核の持ち込みについては事前協議の対象になるということがはっきりしておって、その持ち込みというのは寄港とか通航を含むわけでございます。  それから第二が、先ほど来先生が御質問でありますのは、米国の核の抑止力に依存しているということと非核三原則の関係であると思います。これは、核の抑止力に依存していることは確かでございますが、日本の防衛のためにそういうものが使用され得るということが抑止力になっておるわけでございまして、それと日本アメリカの核兵器が持ち込まれるかどうかという話は、全く別の問題ではないかと思います。  第三に、文書公開等の際にいろいろなことが出てきている、それを調べるべきではないかというお話につきましては、要するに、ほかの条約と全く同じでございますが、安保条約に関する合意内容についても、交渉の一過程における当事者間のそれぞれの立場ということではなくて、結果として合意されたことで判断されるべきと考えます。
  71. 上原康助

    ○上原委員 それは絶対納得できませんね。結果としてというのは、あなた、経過があるから結果があるのでしょう。交渉の経過の中でこうこうしかじかがあったということが出ているから問題にしているのですよ。経過があるから結果が生まれるのでしょうが。そういう三百代言でだまそうとしたって、それは無理だ。  外務大臣、やはりこの非核三原則の問題というのは、今度のミッドウェーの事故を含めて、これでは国民は納得しませんよ。少なくとも政府として、安保改定三十年の節目ということと、これだけ新たな疑惑が出たということ、しかもミッドウェーが核装備されているという、これは常識、現に事故が起きている、万が一のときには大変な事態になる、こういうことを考えた場合には、やはり核持ち込みということについて日米間で現時点においてもう一度、今私たちが指摘をしたような問題を含めて国民の疑惑に答えていく、疑問に答えていくというのが信頼される政治であり外交方針だと私は思うのですね。あなたがおっしゃる外交の基本理念だと思う。いかがですか。本当に。これはこのままうやむやということにはまいりませんよ。ぜひ決意を明らかにしておいてください。
  72. 中山太郎

    中山国務大臣 先ほども答弁申し上げましたが、重ねてのお尋ねでございますけれども、私は、条約局長が御答弁申し上げた、いわゆる条約上の問題、さらに条約にはいわゆる文言だけでございますけれども、文言以外に信頼関係というものがなければならないということが外務大臣としての外交を預かる立場でございますから、今日米国の日本に対する安全保障というものに対して私は信頼をしておる、こういうことを言う以外に私は外務大臣としてこの国の安全を守っていくことは難しい。はっきり申し上げておきたいと思います。
  73. 上原康助

    ○上原委員 えらい開き直ったようなお答えですが、そうしますと、核が持ち込まれておってもそれはいいということですか。そう受けとめられますよ。——いやいや、そうなりますよ。信頼しなさいと。信頼しなさいと言うだけで、事実関係を不明にしてうそで固められた信頼であってもそれはいいのですか。事実に基づいた、真実に基づいた信頼でなければ真の信頼関係じゃないんじゃないですか。そこが今問われているのですよ。今の大臣や外務省のお答えからすると、いや、アメリカが事前協議しないんだから信用してくれ、これが我が国安全保障にとって大事なんだ、そういうことを一々聞いたりすると、万一の場合に、我が国の安全に支障を来した場合に本当に支援してくれるかどうか困るから。そんなのはまさに片思いですよ、失礼ですが。今の御答弁では、信頼してくれ、持ち込まれてもそれはやむを得ないというふうに聞こえますよ。そうしかみんな受けとめないんじゃないですか。その疑惑を晴らしてくれと私たちは言っているのです。疑問に答えるのが外交じゃないかと言っているのです。いつまでこういう片道通行というかすれ違い論議をしなければいけないのですか。皆さんが本当にアメリカ側に確かめることによって片づく問題じゃないですか、現時点において。それをしないということは、何か秘密があるか、立場が悪いからできないわけでしょう、外務大臣。そのことをはっきりさせてくれと言っているのです、国民は。我々も何十回もこういうことをやってきて、何十年もやってきて、こういう議論だけで引き下がるわけにいかない。白か黒か決着をつけなければいけない。それが、信頼関係というだけで信用しなさいと言ったって、持ち込まれている疑いがもう非常に強い。持ち込まれていないはずはないというだけのいろいろな情況証拠があって、そういう御答弁では納得できません。
  74. 中山太郎

    中山国務大臣 今委員から持ち込まれている疑いがある、だから確かめるという御指摘であります。私どもは、持ち込む場合には事前協議を必ずするという義務を相手は持っている、義務を履行している、これを信頼する。もし持ち込む場合には事前協議をするわけでありますから、その場合には、日本政府としては常にこれを拒絶するという国の方針を堅持しているわけでありますから、私どもはそういう考え方の中で今日日米関係というものを整理をしているというふうに認識をいたしております。
  75. 上原康助

    ○上原委員 時間ですから終わらざるを得ませんが、そういう御答弁では、この問題は、大変例えは悪いかもしらぬが、結局核爆弾をここへ持ってきて、これが核だと、あるいはどこかで破裂でもしない限りは、大変悪い例ですが、持ち込まれているかどうかわからぬというのでは、これは問題ですよ、大臣。恐らく遠からずまた新たな証拠が出てくるでしょう。じゃ、そのときまたやりましょう。  終わります。
  76. 柿澤弘治

    柿澤委員長 遠藤乙彦君。
  77. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 冒頭大臣にお伺いをしたいのですが、米自由化問題です。これは事前通告はしていないのですが、先ほど坂井委員からも御質問がありまして、私も大変重大な関心を持っている点でございますので、大臣の御所見を伺いたいと思っております。  ウルグアイ・ラウンドにおきまして米自由化問題、客観的に見ますと、我が国は大変苦しい立場に追い込まれているわけでございますけれども、米自由化を受け入れざるを得なくなった場合に、農家の救済策は考えるのかどうか、この点につきまして大臣の御所見を承りたいと思います。
  78. 中山太郎

    中山国務大臣 私は、ガットウルグアイ・ラウンドの非公式閣僚会議におきましては、四月のメキシコの会議で、また昨年の十月東京で開かれました会議におきましても、この国会の御決議を踏まえて、米等の主要食糧について自給するという基本的な政府の姿勢を明確にやってまいりました。食糧安全保障論についてもやってまいりました。先般のOECD閣僚会議におきましても、これがコミュニケに非貿易的関心事項という項目で入れられているということを御理解をいただきたいと思いますし、現在も政府代表は、このジュネーブTNC会議におきまして、日本政府主張を続けているというふうに御理解をいただきたいと思います。
  79. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 もう一点、関連しますけれども、客観的には大変厳しい状況に追い込まれているわけでございまして、自由化された後救済策を考えるということでは、後手に回るのではないかという意見もあるわけでございますけれども、この点につきまして、いかがでございましょうか。
  80. 中山太郎

    中山国務大臣 現在まだ我が国主張を変えないで交渉中でございます。七月のTNC会議でどのような結論が出ますか、私どもマキシマムパッケージでこれをまとめていくという形で努力をしている過程でございますので、もしこれが認められなかった場合という前提に基づいてここで御答弁を申し上げることは、差し控えさせていただきたいと思います。
  81. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 私はつい最近フランスのストラスブールで行われました日・EC議員会議に一員として出席をしてまいりました。倉成団長のもと自民、社会、公明三党の十一名の国会議員が行ってまいりました。ちょうど欧州が激動のさなかでございまして、大変収穫の多かった出張であったわけでございます。特に私自身の感じたことは、今般欧州が大変な激動、EC統合からドイツ統一、さらにはソ連東欧情勢の激変といったさなかにありまして、またいよいよ大欧州が遠からず出現してくる、そういった感慨を持ったわけです。  そういった中で、特にこれから、先ほど大臣も言われました日米欧の三極の対話、特に日・EC関係の強化ということが言われて久しいわけですけれども、この大欧州の出現ということを背景にしまして、特に我が国としても対欧外交の強化に全力を尽くさなければならないという感慨を持って帰ってまいりました。そういう印象を踏まえまして、特に対欧外交の強化という観点から御質問させていただきたいと思っております。  まず、全欧安保協力会議、CSCEは世界安全保障にとってどのような意味を持つものと考えておられるか、御所見を承りたいと思います。
  82. 中山太郎

    中山国務大臣 CSCEにつきましては、全ヨーロッパの安全保障議論する場ということでとらえております。しかし、先般行いましたサンフランシスコの日米外相会談ベーカー長官は、これがすべての安全保障ではない、やはりNATOというものの補完的機能を果たすものであるというお考えを私に率直に述べられたことを、この機会に申し上げておきたいと思います。
  83. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 このCSCEは、米ソを含む新たな安全保障の枠組みづくりの一つの場であると考えるわけでございますけれども、こういった中において欧州とアジア・太平洋の安全保障問題というものは分けて考えられないと思うわけでございますけれども、この点につきましてお考えを伺いたいと思います。
  84. 中山太郎

    中山国務大臣 CSCEの事務局が経済部門についてはOECDに設置されるということでございまして、私どもOECD加盟国の日本としては、そのような場をとらえて、この全欧安保の問題の情報あるいは考え方というものを的確にとらえながらアジア・太平洋における平和の構築に努力していかなければならない、このように考えております。
  85. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今経済の面というのは確かにそうだと思いますけれども、他方、安全保障そのものにつきましても、ウィリアムズバーグ・サミット我が国はいわゆる安全保障の不可分性という問題にコミットしているわけですけれども安全保障プロパーの問題に限っても、このアジア・太平洋と欧州の問題、大臣はどのようにお考えになりますか。
  86. 中山太郎

    中山国務大臣 今日本としては、G24という組織の中で、このヨーロッパの新しい情勢に対応する一つの場を持っていることは委員御承知のとおりでございます。将来、このCSCEが常設事務局や定期外相協議を持つようなことになる等機構が整備される場合には、日本も有機的にこれに関係を持つというような努力をしなければならない、このように考えております。
  87. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 このCSCEにつきましては、既に現在の時点から我が国も、例えばオブザーバーのような資格で参加すべきではないかという意見我が国のみならず海外にも一部あるようでございますけれども、この点につきましてはいかがでございましょうか。
  88. 中山太郎

    中山国務大臣 我が国がヨーロッパの中にないという地理的な条件から、このCSCEの正式メンバーとして加盟するということは少し困難ではないかという事情にあると思いますけれども、この会議が催すようないろいろな会合等には外務省の高級レベルで絶えず接触を続けていかなければならない、このような認識を持っております。
  89. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 このCSCBのこれからの会議でございますけれども、ヨーロッパの枠にとどまらない非常にグローバルな意味があると思っております。特にこのCSCEで行われるこれからの議論というものは、いわば東西関係の変質に伴う新しい世界安全保障システムないしは国際システムを考える場であるということ。それからまた、安全保障の不可分性という問題です。欧州でのデタントは当然アジア・太平洋にも何らかの形で波及をしてくるという意味。それからまた、我が国東欧改革とそれから民主化に、これから本格的に支援をしていくということになっております。そういった意味でも、当然CSCEの会議の問題というものは、我々にとっても大きなかかわりを持ってくるわけで、ぜひともオブザーバーとして参加すべきではないかという議論もあるわけでございますが、承るところによりますと、政府としましては、このオブザーバー参加につきましては消極的な御意見をお持ちなようでございますけれども、その点なぜかということにつきましてお聞かせをいただきたいと思っています。
  90. 高島有終

    ○高島説明員 ただいま委員が御指摘になられましたように、CSCEが今後ヨーロッパの新しい安全保障秩序を形づくっていく上でより一層重要な役割を果たすであろうという認識は、私ども全くそのように考えているところでございます。しかし、このCSCEは、基本的には欧州諸国と、それから戦後NATOという形で西欧の防衛に特別の立場を持ってまいりましたアメリカ、カナダを加えた形で欧州の抱える問題を検討する、そういう地域的な協議の場という意味合いは、今日におきましても失っていないというふうに考えております。まさにこういう観点から、ただいま大臣答弁申し上げましたように、我が国としては、これに直接参加するという形は適当ではないというふうに考えているところでございます。  他方、CSCEが今後さらに機構化されていくというような場合には、我が国としても、この機構化されたCSCEとの間で有機的な関係を持つことの重要性は十分に認識しているところでございます。
  91. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 いずれにしましても、このCSCE、大変我が国にとりましても重要なかかわりがある点でございますので、情報収集等を含め十分なフォローアップをお願いしたいという希望を表明して、次の質問に移りたいと思います。  次は、日・EC閣僚会議への我が国の取り組み姿勢の問題でございます。  日・EC閣僚会議は、言うまでもなく日欧対話の最も重要なチャネルでございますけれども我が国が、日欧関係強化という言葉とは裏腹に、過去の日・EC閣僚会議の開催はやや不満足な状態ではないかと考えております。特に先般の閣僚会議は、本来ならば毎年開かれるべきはずのものが、我が国の事情によりまして延び延びにされて三年半ぶりである。しかもせっかく開催したにもかかわらず、大臣の御出席等が、国会の非常にタイトな日程もありまして、また飛行機のトラブル等もあって非常に不満足な結果に終わった。大臣御自身も不本意なものであったとおっしゃっていたと記憶しておりますけれども、やはりこういったことでは、ECに対しても非常に悪印象を与えるわけであって、本来我が国が日欧関係の強化を訴える以上は、ぜひとも最も重要なこの日・EC閣僚会議につきましては、もっときちっとした有意義内容を伴った、また外交重視の姿勢を十分に印象づけられるような開催をすべきであると考えております。その点、大臣におかれましても、この国会への十分な根回しも含め、話し合いをされた上で、ぜひとも外交重視の姿勢で今後はこういった外交日程に臨んでいただきたい、そのように期待をしたいと思います。この点につきまして、大臣自身の御所見を承りたいと思っておりま す。     〔委員長退席、園田委員長代理着席〕
  92. 中山太郎

    中山国務大臣 日本EC閣僚会議は実は三年半ぶりに開かれた。この一月にEC本部を訪問したときに、ドロール委員長から日本ECを軽視しているという話が実はございまして、私ちょうど海部総理のおそばに座っておりましたが、決してそうではない、日本の政治的な事情で過去のいわゆる会合はキャンセルせざるを得なかった、今年は五月末までに必ず実施するという約束をしてきた経過がございます。  そういうことでこの間開いたわけでありますが、残念ながら国会の審議の日程から、出席をいたしましても議論をする時間がほとんどない。これはまことに大ヨーロッパに向かう、日本のヨーロッパに対する外交姿勢としては極めて劣悪な外交姿勢であった、私はそのように考えておりまして、今後は十分これを注意して、定期的に十分議論をするような会議を持つことが日本の外交にとっては基本的に重大な問題であるという認識をいたしております。出席いたします閣僚は、自分の命を削るようなつもりで、極めて超人的な旅行日程をやっておりますけれども、やはりその前後にせめて一日ずつでも余裕があれば、関係各国の外相との二国間会談が開かれる余裕が持てるわけでありまして、そういうことはぜひこの国会においても御理解をいただかないと、これからの日本の外交には大きな障害が起こってくると思います。事実、この先般の日本EC閣僚会議で持つことができなかった日本ECトロイカも、実はこの七月の四日のG24の次の日かあるいは前日に行う、こういうことで補足しなければならない、こういうこともよく御理解の上で、ひとつ今後の外交活動には格段の御理解をちょうだいしないと、国益上大きなマイナスが起こる可能性があるということを申し上げておきたいと思います。
  93. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 次いで、ストラスブールの総領事館設置問題ということでございますが、このフランスのストラスブール、御承知のように欧州議会が置かれております。かつてはアルザス・ロレーヌ地方の中心都市で、いわば独仏抗争の舞台だったわけです。それが今や欧州統合の象徴である欧州議会が置かれております。今回参加した日・EC議員一行の全員の共通の見解として、特に今後の欧州統合が進む過程で、この欧州議会が大変重要になってくる、また多数の域外の要人も出席をしてスピーチを行う等大変欧州における重要な拠点になっておるわけでして、我が国もぜひともこの総領事館を設置して、この欧州議会の動向等を含め十分なフォローアップをすべきであるというのが今回十一名の議員全員の強い意見でございました。この点につきまして御見解をお伺いしたいと思っております。
  94. 中山太郎

    中山国務大臣 私も委員と同じように、入閣する前には日本EC定期の国会議員の会合に常任のメンバーとして出ておりました。ストラスブールにも随分行きましたけれども、ここに総領事館を設置したらどうかという御意見については、極めて重要な御指摘ではないかと考えておりまして、十分これから検討させていただきたいと考えております。
  95. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 続いて、ベルリンの日独センターの件です。  私も今回ベルリンに訪問の機会がございまして、日独センターの視察をさせていただいたわけですけれども、私の感想としまして、特に最近の欧州情勢の進展、特にドイツ統一の進展ぶりから見て、この旧大使館を日独センターとして開設したことは非常に先見の明があったと私は評価するものでございますけれども、ただ、問題は今後の運用ぶりでございまして、せっかく立派な箱物をつくっても、運用が十分でなければ宝の持ちぐされになってしまうという感もしたわけでございまして、特にベルリンが今後統一ドイツの首都になると当然視されていることのみならず、何といっても西欧と東欧の接点として大変重要な交流の場でもあるという認識でございまして、ぜひともこのベルリン日独センターの十分な活用を期待するわけでございますけれども、どういう活用方針、それから計画でこれを運営していかれるのか、御説明をお願いしたいと思っております。
  96. 高島有終

    ○高島説明員 御指摘のベルリン日独センターにつきましては、日独政府間の合意に基づきまして、文化、学術、政治、経済等の広い分野におきまして、単に日独間のみならず、日欧、さらにはもう少し範囲を広げた国際的な交流の促進と支援を目的として設立された財団法人でございまして、その運営は日独で共同してこれを行うということに合意いたしております。  御指摘の運営の方針ということになりますと、現在考えておりますのは、今御説明をしました文化、学術、政治、経済等非常に広い分野におきまして、学術会議の企画、その実施、あっせん、それから研究者等の人物交流の実施と支援、各種展示会の開催等、さらにはヨーロッパにおきます日本関係の資料のセンターといったような機能の強化を今後運用の重点的な方針として、このセンターが日欧交流の拠点となるような形で運用していきたい、かように考えておるところでございます。
  97. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今回欧州に参りまして、さまざまな人と対話をしたわけでございます。その中で一つ非常に私が印象に残ったことは、欧州の人々の口からソ連の脅威という言葉が全く聞かれなくなったということでございます。それにかわりまして欧州の人たちの一番の関心事項は、ソ連が解体していく危機への恐怖とでもいいますか、これが非常に中心的なテーマをなしておりまして、特に今連邦政府が日々コントロールを失って弱体化していく、個別の共和国がそれぞれ自己主張を始めていく、あるいは民族紛争が広がっていく、こういった中でソ連の解体の危機が非常に危惧されておりまして、例えばゴルバチョフ書記長が失脚をして、個々の共和国がそれぞれ自己主張をし、またさまざまな問題が噴出して、ソ連自体が限りないカオスに陥っていく。これに対して非常に恐怖を感じておる次第で、例えば民族紛争が全般的に燃え盛る、あるいはまた個別の共和国の手に核兵器が拡散していく、こういった問題が非常に現実的な恐怖感を持って議論をされておったのが非常に印象的でございました。欧州におきましては、ソ連の脅威という問題からソ連の解体に対する危機意識、こういった問題、非常に何といいますかドラスチックな変化が印象的でございました。特に我が国におきましては、いまだソ連の脅威という問題が中心議論が行われておりますが、大きなギャップを感じた次第でございますけれども、この点につきまして御見解をお聞かせいただければと思っております。
  98. 中山太郎

    中山国務大臣 自国の安全保障にとって一番問題は、周辺の軍事超大国が能力を持っているか意図を持っているかという二つのポイントがあると思います。その能力の点においては、私は、引き続きソ連はまだ軍事的なスーパーパワーであり続けている、しかし、意図については、そういう意図は最近減殺されている、むしろ国内のペレストロイカを進めるために新思考外交を展開して、このペレストロイカの成功のために外交を新しい軸に基づいて動かしているという認識を持っておりまして、そういう意味では脅威は薄らぎつつあると思いますけれども、一方ソ連経済がうまくいくかいかないかという点につきましては、やはりヨーロッパと同様に、日本にとりましても巨大な隣国でございますから、国内政治がどのような方向をたどるか、これは引き続き関係各国と情報を交換しながら、かつて我々が経験しないような事態に推移する可能性もあるわけでありますから、そういう点では外務省としては十分注意を払っていかなければならないと考えております。
  99. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 それから、もう一点非常に印象深かったことは、NATOそれからヮルソー条約機構、この性格の全くドラスチックな変化だと思います。ストラスブールで社会主義グループの人たちと懇談をする機会があったのですが、私の方から、特にNATO同盟の性格、それから米軍の欧州駐留についてどう思うかということを聞いた わけですが、社会主義グループの人たちですら、これは何か四月にソ連に行って意見交換をした際のことを引用しながら言っていたわけですけれどもソ連の当局者すら四月の時点でNATOの存在、それから欧州における米軍の駐留継続は、これは安定要因であると評価をしていた、これは本音の話だと思うのですが、大変率直な意見を聞いておもしろかったわけでございますけれども我が国認識としましても、NATOそれからワルソー条約機構、この性格、今後どのように変わっていくと認識しておられるか、御意見を伺いたいと思っております。
  100. 高島有終

    ○高島説明員 ただいま御指摘ございましたように、欧州は戦後東西間の軍事的な対立が非常に顕著な地域でございましたが、昨年以来東欧諸国民主化改革、あるいはこれら東欧からのソ連軍の撤退開始、それから欧州通常戦力交渉の進展、さらにはドイツ統一といった新しい状況のもとでワルシャワ条約機構そのものは軍事的な意味合いを大きく減じつつあるという状況が確かに一方にございますし、まさにこのような状況に応じまして、NATOにおいても、その政治的な役割を強めていかなければいかぬというような考え方が強まってきていることも御指摘のとおりでございます。ただ、そういうような状況におきましても、依然としてソ連が大きな軍事的能力を持っているという事実は変わっておりませんので、欧州におきます抑止力を維持していくという観点から、また新しい欧州の秩序をこれからつくり上げていくという中で、安定を確保していく必要がある、そういう観点からもNATOの枠組み自体は今後とも堅持されていくというふうに認識しているところでございます。
  101. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 先ほど大臣の方からペレストロイカの成功は重要であるということをおっしゃっておられましたが、その点に関連しまして、新聞報道によりますと、ゴルバチョフ大統領が大変日本の戦後復興のプロセスに強い関心を持っているということでございます。何か先般の訪米の際に、レーガン政権のアドバイザーであったミルトン・フリードマン氏からアドバイスを得たときに、ペレストロイカの成功については、戦後の日本の復興が大変参考になるということを聞いたそうでございまして、国内に戻ってもこのことをゴルバチョフ大統領みずから語っておったそうでございますけれども、そういった意味で大変日本に対して強いまなざしで見ていることは明らかであると思います。我が国もこういった関心にこたえて、特にソ連からの経済調査団を二度にわたって受け入れておりますが、私の考えとしまして、ソ連がこの日本に期待しておることは、我々が考えている以上にもっと大きいのではないかということでございまして、そういった点からぜひ、単に調査団の受け入れというにとどまらず、むしろ日本の方からイニシアチブをとって、戦後日本の復興の経験をソ連に教えていく、あるいは市場経済への移行に手助けをしていく、こういったことの観点からもう少し大規模な知的協力のプロジェクトを日本側から提起してはどうか、あるいはまた、これに含めて多数の関係者を日本に呼んで実態を見せる等のプログラムを含めて、こういう対ソ知的協力をもう少し大規模に進めてはいかがかと考えておりますけれども、この点につきまして御見解をお聞きしたいと思います。
  102. 中山太郎

    中山国務大臣 先ほど元自民党幹事長であった安倍代議士が一月十五日にゴルバチョフ大統領に会われたときにも、八項目提案をされまして、三年間で千人近い官民の人たちを交流させたい、こういうお考えでございますが、政府といたしましても、積極的に人物交流を行うとともに、知的協力も積極的に行っていくという考えでございます。
  103. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 次は、ゴルバチョフ大統領の政治的基盤の安定性につきましてお聞きしたいと思うのですが、随分ゴルバチョフ大統領の立場は弱まってきているとの印象を受けております。特に軍部がペレストロイカに対する不満を非常に強くしておりまして、また特に軍部が東欧駐留の軍人が国内に帰って住宅難もあって住宅に入ることができず、モスクワ郊外でテントを張って将士それから家族が生活をしている大変悲惨な状態が伝えられておりまして、当然軍部が強い不満を抱いているということは想像にかたくないわけでございますけれども、そういった点から、特に軍部あるいは共和国との関連におきまして、ゴルバチョフ大統領の政治的安定性につきましての所見をお伺いしたいと思います。
  104. 高島有終

    ○高島説明員 現在のゴルバチョフ政権は、確かに御指摘のとおり、ロシア共和国の主権宣言あるいはバルト三国の独立への動き等の民族問題ないしは連邦制そのものを将来どうしていくのだというような難しい問題にも直面しておりますし、さらにもっと難しい問題と言われております経済困難等非常に大きな困難に直面していることは御指摘のとおりでございます。軍内部の状況につきましては、確かに正確な状況を把握するというのはなかなか難しい問題でございますけれども、この点につきましても、党の権威そのものが非常に低下している、さらには経済的な困難が軍人の生活にも非常に大きな影響を与えているということ、そして軍需から民需へ資源を移転しなければいかぬということ、さらには御指摘の一部にもございましたように、東欧からの引き揚げを含めまして軍事力を減らしていかなければいかぬ、そういうような動きに対しまして軍部がかなり大きな不満を有しているであろうということは、私どももそのように見ているところでございます。  御説明申しましたように、非常に大きな困難に直面しているということで、ゴルバチョフ大統領の政局運営は今まさに正念場にあるというふうに考えておりまして、今後とも党大会にかけましての各派の動き、あるいは連邦制に関する議論の行方、さらには経済改革経済そのものの状況等を私どもとしても慎重にフォローしていきたいと考えているところでございます。
  105. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 最後に、一つお伺いしたいのは、フィリピンにおける在留邦人の誘拐事件でございます。  我が方の民間の農業指導専門家が先般誘拐をされまして、いまだによく状況はわかっておらないようでございますけれども、現在の状況、解決の見通し、再発の防止等につきまして、外務省から御説明をいただきたいと思います。
  106. 久米邦貞

    ○久米政府委員 フィリピン政府はアキノ大統領以下、本件に非常に大きな憂慮を払っております。アキノ大統領は事件発生直後にラモス国防長官及び現地の州知事等に直接自分でこの水野さんの安全救出に全力を挙げるようという指示を出しておりまして、目下フィリピン政府がこの指示に基づいて全力を挙げて努力をしているところでございます。十八日にはラモス国防長官が現地をわざわざ視察に参りまして、その結果、現地におきまして、現在、州知事と現地の軍の司令官、それからNPAと非常に緊密な関係がございます教会の関係者、そういった関係者から成る官民の特別委員会というのを設置いたしまして、相互に調整をしながら安全救出に向けての努力をしているところでございます。この委員会が設置されました結果、六月二十日から三週間、事件発生の場所及びその周辺について軍の活動をしばらく停止して、その間に犯人側との接触、交渉を容易にすることを図るということで現在努力中でございます。  政府といたしましても、邦人保護観点から水野氏の早期救出についてはフィリピン政府と緊密な連絡をとってきておりまして、事件発生直後に現地の田中大使から官房長官に対して要請をいたしております。現地には、現在、在フィリピン大使館の公使及び総括参事官が交互に指揮をとるべく行っておりまして、そのもとに六名ほどの館員が赴いて現地のホテルに泊り込みで連絡に当たっているということでございまして、本省におきましても、担当官を一人現地に派遣しておりますし、また領事移住部の中に対策会議を開きまして二十四時間態勢で対処しております。
  107. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 無事救出に全力を挙げていただきたいことと、今後この種の事件が頻繁に起こる ことが予見されるわけでございますけれども、ぜひともそういった問題を回避すべく総力を挙げていただきたいということを希望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  108. 園田博之

    ○園田委員長代理 古堅実吉君。     〔園田委員長代理退席、委員長着席〕
  109. 古堅実吉

    古堅委員 明日、六月二十三日は日米安保条約発効三十周年に当たります。一昨日二十日、ミッドウェー空母の重大事故が発生いたしました。その日から自衛隊との合同演習が始められるはずでありました。それも中止されたようですが、このミッドウェーは、だれからも核兵器を搭載している艦船であろう、このような疑惑が持たれた艦船であります。その疑惑の持たれている核空母での爆発事故、これは安保条約三十年の危険性を改めて国民の前に明らかにしたものではないか、そのように考えます。それで、以下質問をいたします。  アメリカ国防省核兵器庁、エネルギー省合同核事故調整センターが作成した「核事故処理能力一覧表」というのがございます。これは、六月六日の参議院における質問の中で松浦北米局長が述べられたように、「核関連の事故が発生した場合にこれに対処するための装備等の有無について把握するため」のものだ、こう言われておりまして、このリストによりますと、横須賀に第五爆発兵器処理移動隊横須賀分遣隊がおります。今回のミッドウェーの事故にこの部隊が緊急派遣されたのではないかと思われますが、確認しておりますか。
  110. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 今回の事故につきましては、先ほども御説明申し上げましたけれども、当初爆発と火災等といろいろございましたが、結局高温、高圧の蒸気の関係でドァなどが吹っ飛んで爆発が二度起きたということで、これはミッドウェーの艦船の中で至急いろいろ対応して、その結果残念ながら二名の死亡者等生じたわけでございます。(古堅委員「そのことを尋ねておるのではない、それが派遣されたかどうか尋ねておるのですよ」と呼ぶ)それ以上のことは私どもは承知しておりません。
  111. 古堅実吉

    古堅委員 事故発生直後にミッドウェーから特別事故処理部隊の出動要請があったと新聞でも報道しておりますが、そういう立場でそれらについての確認をするという作業もしていないのですか。
  112. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先ほど申し上げましたように、今回の事故は米軍の艦船の中の事故でございまして、米軍のいかなる部隊が調査を行っているかは承知しておりませんけれども先生が今御指摘のような核爆発処理部隊が調査しているということはないと承知しております。
  113. 古堅実吉

    古堅委員 これは米軍から確認を求めたのですか。
  114. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 今私が申し上げましたのは、米軍からの連絡に基づいたものでございます。
  115. 古堅実吉

    古堅委員 横須賀から処理特殊部隊の派遣がされたということは調べてないわけですか。
  116. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先生指摘のようなことは聞いておりません。
  117. 古堅実吉

    古堅委員 横須賀にそういう特殊部隊が存在しているということについては認めますか。
  118. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 具体的な御質問でございますので、米軍内部の問題でありますので、私どもは承知しておりません。
  119. 古堅実吉

    古堅委員 あなたは六日の参議院予算委員会で核関連の事故が発生した場合に対処するための装備の有無について把握するため、そういう部隊が存在するということについては認めておるわけでしょう。
  120. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 当時の私の答弁に関しましては、私も今手元に記録を持っておりますけれども、申し上げましたことは、八七年版の一部に基づいて申し上げたわけでございますけれども、この文書は全米軍施設に対しまして出しましたクエスチョネアに対する回答を集大成したものである、核関連の事故が発生した場合に、これに対処するための装備等の有無につき把握するために作成されたものである、そしてこのリストに掲載されている施設等が核を保有しているか否かの観点からはそもそも作成されたものではないというふうに答弁申し上げた次第で、記録に残っておるとおりでございます。
  121. 古堅実吉

    古堅委員 ミッドウェーにも核事故処理能力はある、このように公にされている文書を通じてはっきりさせられている問題であります。それにかかわらず、米軍が今回の事故にかかわり、横須賀の方から部隊を要請するように求めたということになれば、その事故がいかに重大な内容をなす事故としての受けとめがあったかということを裏づけるものだというように考えます。それについて調査されますか。
  122. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先ほど御答弁申し上げましたが、私どもは承知しておりませんけれども、事故の原因に関しましては、一昨日以来米側に対しまして徹底的に調査するよう申し入れておりまして、米軍もまさに鋭意調査している段階でございます。
  123. 古堅実吉

    古堅委員 重大な事故と思われるがゆえに、また地元の横須賀はもちろん全国的にも今回のミッドウェーの事故というのは改めて核兵器との関連において国民の懸念を多くかき立てる一因になりました。それですからあえてお聞きしておるのです。  今の部隊の派遣、そういう要請があったというかかわりなどについて調査されますか。質問に答えてください。調査しないのだったらしない、するのだったらすると。
  124. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 米側がそういうことをしていないということは、先ほど申し上げたとおりでございますので、日本側が調査すべきかどうかという点に関しましては、これは米軍の艦船の中で起きた事故でございますので、米軍が調査すべきものと考えております。
  125. 古堅実吉

    古堅委員 米軍が調査すべきであることはこれは当然でしょう。日本政府国民のこういう疑惑にかかわって、こういう重大事故にかかわる今、質問があるわけですから、日本政府がその問題にかかわって調査をされますかということを尋ねておるのです。
  126. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先ほど来申し上げておりますように、米側に対しまして原因の調査を求めておりまして、日本側で調査する考えはございません。
  127. 古堅実吉

    古堅委員 先ほど来ずっと質問が繰り返されましたが、核兵器にかかわる問題は、ただ単に基地一般でも装備一般のものでもない、民族的な規模で、地球的な規模において人類がどうなるか、そういうことにもつながっています。ですから、悪魔の兵器、核兵器については、一発も残さずこの地球から一日も早くなくそう、こういう運動が粘り強く続けられるのです。こういうことにかかわる問題であるだけに、国民のこういう疑惑に政府としてどれだけこたえていくことができるか、これは努力方向としての大事な点だと思います。こういう指摘をされても調査する必要がないなどということは、核兵器の疑惑そのものにかかわる国民の願いにいささかもこたえようとする立場がないことを改めて明らかにするものです。まことに許されない問題だというふうに考えます。  それで、先ほども同僚議員から御質問がございましたが、私も関連して重ねてお聞きしていきたいというふうに考えます。  日米安保交渉の米国側の直接の当事者であられたマッカーサー元駐日大使が六月十五日の共同通信との会見で、一つには、米核搭載艦の日本寄港は事前協議の対象とならない。二つ、米側のその方針は、安保改定交渉の一九五八年十月四日第一回交渉日本側に通告されている。アメリカ側の態度というのは交渉全体を通じて終始変わるものではなかった。三つ、藤山外務大臣もそれを了解していた。そういう大体三点にわたることが明らかにされました。そのような安保改定時の日米交渉の隠された内容をNHKテレビでも六月十七日に明らかにしています。  そこで、一九五八年十月四日の第一回交渉でのマッカーサー大使の通告について、外務省の記録で確認できますか。
  128. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますが、交渉経緯につきましては、外交の慣例上明らかにできないということを御了解いただきたいと思います。
  129. 古堅実吉

    古堅委員 国民を欺くためのあいまいもことしたそういう態度については、国民をだます立場から明らかにするというのに、問題を明らかにしようという立場からの日米間のそういう交渉については、三十年たった今日もなぜ明らかにできないのですか。それが明らかにされれば何か悪いのですか。直接交渉に当たられた一方の当事者はあまねく報道関係に明らかにしておるじゃありませんか。なぜ日本側はできないのですか。
  130. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 これも既に御答弁申し上げておりますけれども、外務省の記録公開という点から答弁申し上げますと、この安保条約等の関連する記録の公開につきましては、記録公開制度の原則に照らし今後適宜検討していきたいと考えております。しかしながら、何分にも我が国安全保障に直接かかわる問題でございますので、慎重な検討を要するわけでございます。また、記録も膨大に及びますので、その検討のためには相当の時間を要することが必至でございますので、当面結論を得ることは困難であろうと考えておる点、御理解いただきたいと思います。
  131. 古堅実吉

    古堅委員 そんなことが了解できますか。一方の当事国であるアメリカは解禁文書でもう既に明らかにしている。直接交渉に当たられたマッカーサー元駐日大使もそのことについて遠慮なく明らかにしておられる。なぜ日本だけが国民を欺く立場でそういうことをいつまでも隠し立てしようとするのですか。そんなことは了解できません、もう一度。
  132. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先ほども申し上げたことでございますけれども安保条約に関します日米両国間の合意内容につきまして、交渉の一過程におきます当事者それぞれの立場ではなくて、あくまでも交渉の結果得られた両国の合意というのが重要でございまして、それに基づいて判断されるべきであると考えております。
  133. 古堅実吉

    古堅委員 それじゃ、改めてお聞きしますが、日米交渉に基づいてマッカーサー元駐日大使が通告したという寄港などは事前協議の対象にならないというふうなことは、交渉の過程であって、あの日米安保条約の改定についての合意に達したときには、別の結論が合意に達した内容であったということですか。
  134. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 事前協議の対象でございます核持ち込みの中に、寄港、領海通過が含まれていることにつきましては、この交渉の結果得られました事前協議に関する交換公文及び藤山・マッカーサー口頭了解から十分明らかであると考えております。  また、先ほども申し上げたことでございますが、この二つの了解以外に密約等があるという事実はございません。
  135. 古堅実吉

    古堅委員 何を聞いても、最初から主人公である国民のための政治をどうするかということに立ってまじめに答えるつもりなどさらさらないわけですから、時間の浪費になってしまいます。時間が切れてしまいました。  しかし、安保三十年がたった今日において、なお、この安保条約を一方では称賛しながら、一方では国民にそういう一大危険をもたらす、しかもそのことをこういう国権の最高機関である国会における質疑を通じても国民に明らかにしようとせず、隠し立てしようとする、こういう政治こそ糾弾されなければいかぬ、許されない政治の本当に典型的なものだというふうに言わざるを得ないと思うのです。国民の立場から断じて許せぬ。核兵器に関する限り、今のような態度を直ちに改めて、国民の疑惑にこたえられるような態度を日本政府が改めてとるべきであるということを厳しく指摘して、終わります。
  136. 柿澤弘治

  137. 永末英一

    永末委員 外務大臣に伺います。  来月上旬サミットが行われ、日本政府も出席するわけでございますが、ソ連経済状態は極めて破滅的でございまして、したがってソ連の安定のためには、サミットでヨーロッパ諸国からはソ連経済に対する援助提案があると思われます。日本政府はこれに同調し、賛成し、実行されますか。
  138. 中山太郎

    中山国務大臣 サミットにおいていかなる議題が議論されるか、ただいまシェルパの間で協議をされている過程でございますが、今委員指摘のような問題も提起される可能性は十分あろうかと思います。しかし、我が国の立場としてどのような立場をとるか、会議に臨む前に、総理を初め、まだ協議をしなければならない問題が多々あろうかと思いますが、我が国には、国会のたびたびの御決議にもございますように、北方領土の問題が未解決でございまして、この問題が我々の国家の一つの大きな民族的な課題である、こういうことは、我々は、もしそのような議題が出た場合には、政府として主張することがなければならない、このように考えております。
  139. 永末英一

    永末委員 北方領土問題は、日ソ間、二国間の問題だけではなくて、今やアジア・太平洋の緊張緩和のために解決をしなければならぬ重要な問題になっておると思います。  私は、過般五月二十三日の朝、カイロで行われました社会主義インターの理事会、八十の政党、団体が来ておりましたが、そのときにそういう主張をしてまいりました。  さて、サミットソ連に対する経済援助が問題になったときに、あなたは、我が国ソ連に対して北方領土問題を持っておるんだ、この解決がなければ経済援助には参加できないという態度で臨まれるのか、どうされるのですか。
  140. 中山太郎

    中山国務大臣 当然のことながら、このソビエトの経済的な混乱に対して我が国がどのような協力ができるか。我が国は、現在でもペレストロイカの正しい方向性を支持するために、知的な協力として経営調査ミッションをたびたび受け入れております。また今後とも引き続き拡大をしていかなければならないと思います。経済協力そのものにいたしましても、その相手の国家にあるいは相手の国の社会に資金を活用するだけの十分な知的能力がなければ、この経済援助は一体どのような結果になるかということを考えてまいりますと、日本政府としては、やはり領土問題を主張する一方で、知的に——領土問題の解決さえ相手方が、ソ連が前向きに取り組むという積極的な姿勢で日本に対する交渉に臨んでこられれば、日本政府としても、その時点で日ソ間の協力というものは新たな展開が見られるでありましょうけれども、現在の時点におきまして、我が方政府サミット加盟国の一国として、もしサミットでそのような議題が出た場合、なし得る限界があろうか、このように考えております。それは知的協力、それが我々のとり得る手段ではないかと考えております。
  141. 永末英一

    永末委員 今外務大臣は、この問題が出た場合の日本政府の対処に限界があると申されました。そして、知的対処はできるかとおっしゃったが、経済的対処はできないという腹構えですな。
  142. 中山太郎

    中山国務大臣 我が国政府としては、国民の願望を定かにして、今日まで戦後ずっと我が方の古来の領土の返還を要求してきた相手国でありますから、今ここで、相手国の社会体制、経済体制が崩壊する寸前にあるという条件の中で、我が国がかねて国民の願望であった四島の一括返還の要望を取り下げて、積極的に経済協力をするという姿勢をとることは、国民に対して申しわけがない、このような考え方を持っております。
  143. 永末英一

    永末委員 その方針を貫いてください。  さて、そのサミットでもう一つの問題。昨年はフランス革命二百年でございました。直前に北京の天安門事件がございましたから、人権の問題が取り上げられ、中国に対する経済制裁がサミット間で合意を見ております。さて、我が国は今まで棚上げしておりました第三次円借款についてやろうやろうという態度であり、日中友好議連と中国側との間においても似たような意向を中国に伝えておる。さて、今回のサミットでこの問題に対して、人権の問題ということでかかっている問題で はございますが、日本政府としては、そのサミットにおいて他の参加国をいわば納得さして、この円借款を実行するという決意で臨まれますか。
  144. 中山太郎

    中山国務大臣 政府は、かねて中国に対して改革開放路線を進めてもらうことが極めて重要である、また我が方と同じように自由主義、民主主義を国是としているアメリカとの、米中間関係の改善も、国際社会の中では中国改革開放路線の姿勢を示すものとして極めて重要であるということを私は指摘をしてまいりましたが、サミットにおきましても、かねて日本政府が、中国孤立化さしては国際社会の安定のために好ましくないという主張を続けておりますけれども、そのような考え方を持って、サミットでは、参加各国首脳に対して、中国を孤立させないことが世界の安定のために大きく貢献するということを主張したい、このように考えております。
  145. 永末英一

    永末委員 先ほど申し上げましたカイロの社会主義インターの理事会におきましても、中国孤立化させるな、孤立化させないで、中国民主化に対する変化を待てという主張を私は加盟政党の代表に申し上げてまいりました。サミットは演説するだけではだめですわね。やはり結論をきちんとやる。我が国政府円借款をやるんだということであるならば、サミットの場で納得をせしめて実行する、演説ではなくて実行するんだ、そこまできちんと足を踏み出してやらなければならぬ舞台だと思います。その決意と自信はおありですか。
  146. 中山太郎

    中山国務大臣 既に第三次円借款内容につきましての予備的事前調査政府としては終了していることは、委員御承知のとおりであります。また、私は先日の日米外相会談においても、日本政府の従来の考え方ベーカー長官にもよくお話を申し上げております。サミットにおきましても、この一つの大きな問題をどのように各国首脳と協議をしながらいい方向に持っていくかということについては、全力を挙げて努力をいたしたいと考えております。
  147. 永末英一

    永末委員 これからサミットまでの間に中国側に何らかの行動を条件と考えておられますか。今のままの姿で、今おっしゃったような努力をし、やっていくというお考えですか。
  148. 中山太郎

    中山国務大臣 日本政府は条件というようなものを具体的に示してきたことはございませんが、もし条件というものがあるとしますならば、それは人権を尊重し、民主化開放路線を積極的に進めてもらうということが一番大きな条件ではないかと思います。また、西側諸国と胸襟を開いて話し合ってもらうことも大きな条件の一つであります。特に、米国及び西欧の各国との間の意見の調整、理解、そういうものが十分行われない時点におきましては、国際金融機関におきましても、対中経済協力というものはなかなか進んでいかない、こういう問題もございますので、私どもといたしましては、この場をかりましても、引き続き中国サミットまでにさらに積極的な姿勢を示すことを心から期待をいたすものでございます。
  149. 永末英一

    永末委員 我が方と中国との間には具体的な問題はありません。民主化、開放を求める。しかし、最後に外務大臣が言われましたように、これから何らかのという話でありますが、アメリカは方励之教授が北京のアメリカ大使館におるという具体的な一つの米中間におけるネックを持っておるわけであります。あなたはアメリカともよく相談してという意味の話をされましたが、アメリカ中国の条件は条件である、我々と中国の条件が、この段階でこのままの状態をよしというならば、それは堂々と主張すべきであって、アメリカ中国との間で解決がつかないから、だから日本はということでは、これは自主外交とは言えませんね。いかがですか。
  150. 中山太郎

    中山国務大臣 私は委員に御理解をいただいておきたいことは、日本サミット加盟国の中で自国の主張というものを強く主張するつもりでございます。それだけは御理解をいただきたいと思います。
  151. 永末英一

    永末委員 日本アメリカとの間は日米安保条約で、新しい安保条約でも三十年の歴史がたったわけでございますが、日本の考え、アジアにおきます対中国関係は、アメリカ中国関係とは違った面が我々にはあるわけでありまして、したがって、その点は十分に我が方の立場を説明し、納得をせしめて、我々のやりたいことをやっていくという路線をはっきりとやっていただきたい。  さて、次期防の相談が始まっておりますけれども、今まで政府は外務省を含めまして、ヨーロッパでは緊張緩和になっておるんだ、しかしアジア・太平洋ではそこまでいってないんだ、別だということを言い通してこられております。しかし、米ソともに太平洋・アジアにおきます軍縮の一方的提案はされておる。次期防というのは、兵力量を決めるわけでございますから、したがって、どういう軍事量をつくるかということについては、アメリカとの関係、また相手方であるソ連との関係も見合ってこれはやらざるを得ない。そのときに、今までのように一九七六年、昭和五十一年につくった防衛計画の大綱で述べた国際情勢と同じだなんて、そんな骨とう品みたいなことを言っておったんでは、二十一世紀へと生きていくことはできない。  さて外務大臣は、今ヨーロッパを舞台として行われておる米ソ関係の緩和がこのアジア・太平洋でも起こるという見込みで情勢を見ておられますか。
  152. 中山太郎

    中山国務大臣 私はかねて委員会でも御答弁申し上げておりますが、地政的な条件あるいは宗教的な違い、また民族的な問題、こういう問題を踏まえて、ヨーロッパの変化が即同じような形でアジアに起こるとは実は思っておりません。しかし、米ソのあの激しい対立から対話、協調への時代に向かいつつある中で、アジアにおいては、既にモンゴルが共産党一党支配の社会主義国からいち早く民主化路線を進めてまいりました。またミャンマーにおいても、既に民主的に選挙が行われております。また韓国大統領とソ連大統領との会談が先日行われたという、この大きな一つの歴史的な変化というものは十分その兆しを示し始めている。これから次期防が決定される今年末までに、私は、これから先の国際情勢、特にアジアにおいてどのような政治的な変化が起こるかということは、予断を持って見るわけにはまいらないという考えを持っておりまして、この七月二日に行われるソ連の共産党大会の経過あるいは七月四日に開かれるG24、引き続き行われるヒューストンサミット、このような中にソ連経済体制、政治体制がどのような変革を起こしていくのか、あるいは韓ソ大統領会談の結果を踏まえて、朝鮮民主主義人民共和国の政府がどのように政治的な政策転換を行われるのか、あるいは中国がどのような方向をとられるのか、これからは慎重にこのアジアの変化を十分見詰めながら、これからの外交努力をしていかなければならない、このように認識をいたしております。
  153. 永末英一

    永末委員 日本安全保障は当然アジアにおける変化、それにまつわるソ連アメリカ等の変化も見なければなりませんが、次期防をつくるに当たってモンゴルやらミャンマーが大きな影響があろうとは思われません。それは別な話です。要は、米ソ間の関係がヨーロッパでヨーロッパ諸国が把握しておるような変化、それは緩和への変化、それがアジア・太平洋にもあると思って考えるかどうか、ここの一点だと思います。  もう時間が来たようでございますので、一言伺いたいのは、安倍太郎さんがアメリカへ行きまして、そして在日米軍の費用はもっとどんどんふやすことを自民党としては考える、こんなことを言ったようでございます。さて政府は、地位協定を変えずに特別協定を二回使いまして、この在日米軍のために勤務している日本人労働者のための、勤務員のための費用を大分持ってまいりました。伝えられるところによれば、円建てのやつは皆日本が持てという意見もあり、日本政府にもその用意があろうという報道もございますが、日本だけで全部持つということになればいよいよ本給にかかってきます。地位協定を変えなければならぬ。地位協定を変えてでも一層の負担をやるつも りですか、外務大臣。伺います。
  154. 中山太郎

    中山国務大臣 在日駐留米軍の経費の負担につきましては、政府としては、今日までも日米安保条約の効率的な運用のために自主的に努力をしてまいりましたが、これからもやっぱり自主的に努力をしていかなければならないと考えておりますが、委員指摘の問題につきましては、現在のところ考え方が固まったという段階ではまだございません。
  155. 永末英一

    永末委員 政府で決まっておらぬことを党の代表、次期総理・総裁になりそうな気配を見せている人が言うてきていいんですか。政府で決まっておるから言うておるんでしょう。私が聞いておるのは、そうだとするならば、地位協定を変えなくちゃできない。地位協定を変えるとすれば、地位協定には問題が山ほどあるわけだからどうするんだと聞いておるのです。まだ決まっておりませんでいいんですか。最後にお答え願いたい。
  156. 中山太郎

    中山国務大臣 次期防の協議が今始まったところでございまして、私どもは、この協議の過程において政府がどのようにこれから考え方を整理するか、そういう立場に今あると考えております。しかし、委員指摘のような点は極めて大きな問題でございますので、政府としては慎重に考えていかなければならない、このように思っております。
  157. 永末英一

    永末委員 慎重に考える、我々もよく聞きますから、決着をつけねばならぬのは、ことしの十二月まででございますので、急いでやらなければなりません。  質問を終わります。      ────◇─────
  158. 柿澤弘治

    柿澤委員長 次に、請願の審査に入ります。  今国会、本委員会に付託されました請願は四件であります。  本日の請願日程を一括して議題といたします。  まず、請願の審査方法についてお諮りいたします。  各請願の趣旨につきましては、請願文書表によりまして既に御承知のことと存じます。また、先刻の理事会におきまして慎重に御検討いただきましたので、この際、各請願についての紹介議員よりの説明等は省略し、直ちに採否の決定をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 柿澤弘治

    柿澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  採決いたします。  本日の請願日程、子ども権利条約批准に関する請願四件の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 柿澤弘治

    柿澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 柿澤弘治

    柿澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  162. 柿澤弘治

    柿澤委員長 この際、御報告いたします。  今国会、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してありますとおり四件であります。      ────◇─────
  163. 柿澤弘治

    柿澤委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  国際情勢に関する件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 柿澤弘治

    柿澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中の委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。  閉会中審査案件が付託され、委員派遣の必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣の承認申請を行うこととし、派遣委員、派遣期間及び派遣地等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 柿澤弘治

    柿澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十三分散会