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1989-11-14 第116回国会 衆議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成元年九月二十八日)(木曜日 )(午前零時現在)における本委員は、次のとお りである。    委員長 近藤 元次君    理事 笹山 登生君 理事 杉浦 正健君    理事 保利 耕輔君 理事 松田 九郎君    理事 柳沢 伯夫君 理事 串原 義直君    理事 水谷  弘君 理事 滝沢 幸助君       石破  茂君    衛藤征士郎君       川崎 二郎君    菊池福治郎君       小坂善太郎君    田邉 國男君       武部  勤君    玉沢徳一郎君       鳩山由紀夫君    原田  憲君      二田 孝治君    三ツ林弥太郎君       宮里 松正君    村山 達雄君       谷津 義男君    保岡 興治君       山口 敏夫君    山崎  拓君       五十嵐広三君    石橋 大吉君       沢藤札次郎君    田中 恒利君       竹内  猛君    前島 秀行君       武田 一夫君    玉城 栄一君       藤原 房雄君    吉浦 忠治君       永末 英一君    藤田 スミ君       山原健二郎君 ────────────────────── 平成元年十一月十四日(火曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 近藤 元次君    理事 笹山 登生君 理事 保利 耕輔君    理事 松田 九郎君 理事 柳沢 伯夫君    理事 串原 義直君 理事 水谷  弘君    理事 滝沢 幸助君       衛藤征士郎君    菊池福治郎君       小坂善太郎君    田邉 國男君       武部  勤君    玉沢徳一郎君       鳩山由紀夫君    二田 孝治君      三ツ林弥太郎君    谷津 義男君       保岡 興治君    山崎  拓君       五十嵐広三君    石橋 大吉君       沢藤礼次郎君    田中 恒利君       竹内  猛君    前島 秀行君       武田 一夫君    玉城 栄一君       藤原 房雄君    吉浦 忠治君       神田  厚君    藤田 スミ君       山原健二郎君  出席国務大臣         農林水産大臣  鹿野 道彦君  出席政府委員         外務省経済局長 林  貞行君         農林水産大臣官         房長      鶴岡 俊彦君         農林水産省経済         局長      塩飽 二郎君         農林水産省構造         改善局長    片桐 久雄君         農林水産省農蚕         園芸局長    松山 光治君         農林水産省畜産         局長      岩崎 充利君         農林水産省食品         流通局長    鷲野  宏君         農林水産技術会         議事務局長   西尾 敏彦君         食糧庁長官   浜口 義曠君         林野庁長官   甕   滋君         水産庁長官   京谷 昭夫君         通商産業大臣官         房審議官    庄野 敏臣君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      山口 公生君         文部省体育局学         校健康教育課長 石川  晋君         文化庁文化財保         護部伝統文化課         長       小林 孝男君         厚生省生活衛生         局食品保健課長 野村  瞭君         厚生省生活衛生         局食品化学課長 内山 壽紀君         農林水産省経済         局統計情報部長 海野 研一君         農林水産委員会         調査室長    青木 敏也君     ───────────── 委員の異動 十月二日  辞任         補欠選任   原田  憲君     村岡 兼造君   村山 達雄君     宮澤 喜一君 同月十一日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     金子 満広君 同月十三日  辞任         補欠選任   金子 満広君     山原健二郎君 同月十六日  辞任         補欠選任   石破  茂君     砂田 重民君   衛藤征士郎君     奥田 敬和君   山原健二郎君     金子 満広君 同日  辞任         補欠選任   奥田 敬和君     衛藤征士郎君   砂田 重民君     石破  茂君 同月十九日  辞任         補欠選任   金子 満広君     山原健二郎君 同月三十一日  辞任         補欠選任   石破  茂君     田澤 吉郎君   衛藤征士郎君     原田  憲君   山原健二郎君     金子 満広君 同日  辞任         補欠選任   田澤 吉郎君     石破  茂君   原田  憲君     衛藤征士郎君 十一月一日  辞任         補欠選任   金子 満広君     山原健二郎君 同月十四日  辞任         補欠選任   永末 英一君     神田  厚君 同日  辞任         補欠選任   神田  厚君     永末 英一君     ───────────── 九月二十八日  本邦漁業者漁業生産活動確保に関する法律案石橋大吉君外十五名提出、第百八回国会衆法第一号)  果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律案田中恒利君外四名提出、第百十三回国会衆法第四号)  森林保健機能増進に関する特別措置法案内閣提出、第百十四回国会閣法第六五号)  農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案内閣提出、第百十四回国会閣法第六九号) 十一月七日  米の輸入自由化反対に関する請願沢藤礼次郎紹介)(第一八七号)  園芸施設共済における共済目的の拡充に関する 請願園田博之紹介)(第二五五号)  水田農業確立後期対策に関する請願魚住汎英紹介)(第二五六号)  農業政策等に関する請願園田博之紹介)(第二五七号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  農林水産業振興に関する件      ────◇─────
  2. 近藤元次

    近藤委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産業の実情を調査し、その振興を図るため  農林水産業振興に関する事項  農林水産物に関する事項  農林水産業団体に関する事項  農林水産金融に関する事項  農林漁業災害補償制度に関する事項 について、本会期調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 近藤元次

    近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ────◇─────
  4. 近藤元次

    近藤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  第百十四回国会内閣提出森林保健機能増進に関する特別措置法案の審査のため、明十五日、参考人として全国森林組合連合会専務理事泉総能輔君、鳥取県日南町長高橋篤史君及び島根大学農学部教授森巖夫君出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 近藤元次

    近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ────◇─────
  6. 近藤元次

    近藤委員長 次に、鹿野農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。鹿野農林水産大臣
  7. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 去る八月、農林水産大臣を拝命いたしました鹿野道彦でございます。  農林水産業をめぐる内外の諸情勢が厳しく、また、農林水産行政について種々議論がなされております時期に農林水産大臣を拝命し、その責務の重さを痛感している次第であります。  農林水産業は、申し上げるまでもなく、国民生活にとって最も基礎的な物資である食糧等安定供給するという重要な使命を担っているほか、活力ある地域社会の維持、国土自然環境の保全、生きがいの充足等我が国経済社会国民生活の土台を支える重要な役割を果たしております。したがって、私は、このような役割を担う農林水産業の健全な発展なくして我が国経済社会の調和ある発展はあり得ないと考えております。  しかしながら、牛肉・かんきつの輸入自由化決定農産物価格の引き下げないしは据え置き等農林水産業をめぐる諸情勢の急速な変化により、農林漁業者の方々には、将来に対し大きな不安を抱いておられる方も多いと存じます。したがって、今後政策決定に当たりましては、これまで以上に十分手順を尽くして行いますとともに、よりきめ細かな配慮と正確な情報の提供に努め、生産者に信頼される農林水産行政確立するよう全力を傾注する所存であります。  今後の農林水産行政につきましては、与えられた国土条件等の制約のもとで、最大限生産性向上を進め、国内での基本的な食糧供給力確保を図りつつ、農林水産業経営の安定を確保するとともに、国民の納得できる価格での食糧安定供給に努めることを基本として推進していくことが重要であります。  また、農林水産業は豊かな自然環境の中でこれにかかわる者の創意工夫を存分に発揮できる職業であり、技術進歩の余地が多く、魅力ある産業となる可能性を十分に秘めていること、また、農山漁村は緑と水に恵まれた、ゆとりある生活空間として都会にはないよさを備えていることなどの特徴を十分に生かして、文化の薫りのする明るい農林漁業及び農山漁村づくりを目指していくことが必要と考えております。  私は、農林水産行政責任者として、以上の観点に立って、我が国農林水産業に新たな展望を切り開いていくよう最大限努力をする決意であります。皆様の一層の御支援を心からお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。(拍手)      ────◇─────
  8. 近藤元次

    近藤委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柳沢伯夫君
  9. 柳沢伯夫

    柳沢委員 ただいま鹿野農林水産大臣から就任のごあいさつをちょうだいいたしたわけでございますが、鹿野大臣には、まずもって大臣就任に心からの祝意を申し上げますとともに、現在日本の農林水産業が置かれている状況が大変厳しいだけに、その重責を、大臣お持ちの若さ、行動力、識見といったようなものを総動員されて、ぜひ御健闘あらんことをまず御期待申し上げておきます。  たまたまこの平成元年の秋なんですけれども農政の方も何となしに節目の時期かな、こういう感じが私、強くいたしております。一つは、昨今新聞紙上でも既にちらほらと記事が出ておりますけれども農産物長期需給見通し、こういうものが改定の年になって、その準備が図られている、こういうことでございますし、また、我々が進めてきた水田農業確立対策が、三年の前期を経過しまして後期対策に取り組まなければならない、こういう時期に当たっておる。さらに言えば、あしたからでしょうか、大臣も御出席になられるわけですけれどもウルグアイ・ラウンド閣僚折衝も行われるようで、長く続けてまいりましたこのウルグアイ・ラウンド農業交渉も、いわば第四コーナーを回ってホームストレッチに入る、こういう最終段階、こういうことでございまして、いろいろな意味農政節目の時期に当たっている、こういうように考えておりまして、そういう時期であるだけに、大臣にはぜひここのところで強力なリーダーシップを発揮していただいて、ぜひこの難しい農政のかじ取りに遺憾なきを期していただきたい、このようにも思うわけでございます。  そこでまず、後で同僚の松田理事の方から当面の諸問題についてまた詳細な御質疑があるようでございますので、私は、今申し上げた節目に当たるようないろいろな事項につきまして、基本的な問題についてお尋ねをしておきたい、このように考えるわけでございます。  まず第一は長期見通しのことでございますけれども、これは本当に私ども、毎年毎年の農産物価格決定交渉等においても、このところ農家農民皆さんから出る言葉は異口同音に、当面の価格であるとかそういった問題に対する関心以上に、自分たち関心農業が将来どうなるかというその長期展望を明確に示してもらいたい、こういうことに非常に強い要望が出されるわけでございます。そういう意味合いで、私ども、この農産物長期需給見通しが今回改定になるということは非常に大事な問題である、こういうように受けとめておるわけでございます。  そこで、その見通しですけれども、私は現実無視はもちろんだめだと思うのです。現実を無視したいろいろな展望をしたところで、これはだめ。しかしまた、現実べったりでどこに目標があるのかというようなことが判然としないのも、こう いったものとしては私は落第だと思うのです、正直言って。このことが一つ。そこで、目標現実的な可能性のあるぎりぎりの高みをねらって設定していただきたい。そうして、それと我々が抱えている問題の多い現実との架橋を、非常に強い、めり張りのきいた政策でブリッジをかけていく、こういうことが私は必要だ、こう思うわけであります。  そこで申し上げますのですが、私は、最近ちらほら新聞紙上等で報道されている長期見通しを見ると、どうも、これは農政審専門家の御意見も聞いているのでしょうけれども、やや元気が足りないのじゃないかな、このところ農政、非常に難しい局面に来ていますから慎重を期さなければならぬということもわかるのですが、やや元気が足りないのじゃないかということを率直に思っております。これが第一点。それからもう一つ、第二点は、ビジョンでございますから、目標ですから、みんながわかるようにしてもらいたい、このことなのですね。先ほど申したように、農家農民長期展望を示してくれと言っておりますし、それから現に我々は農産物長期需給見通しについてもちゃんとした見通しを持っているのですね。ところが、それを農家農民皆さん、あるいは団体皆さんは本当の意味長期展望として、力強いものとして受けとめてないという現実が私はあるのだろうと思うのですよ。そういう意味で、今度の長期見通しに当たっては非常にめり張りのきいたものにしてもらいたい、こういうことでございます。それでやはりみんなが、そうか、そこが目標であるかということをぱっと理解できるように、ぜひネーミングあるいはセールストーク、こういったことにも力を注いでもらいたい。  どうも正直申しまして、農林省の諸政策あるいは目標提示等に当たっては難しいのですね。まあ厚生省あたりは今度逆に漢字の方がいいなんと言って戻っていく傾向もありますが、正直申してセールストークですから、ほかの省庁が政策を訴えたり目標を訴えたりするときは、このごろはかなりハイカラにやるわけですね、それで結構それが売れている。それに対して農林省の諸政策はどうも、例えば水田農業確立対策なんという非常に難しい、みけんにしわが寄るような言葉遣いもありまして、どうもその辺ちょっと一工夫要るじゃないか、こう思うのですね。  それで、余り長ったらしく話をするわけにもいきませんので御質問させていただきますが、そういう意味で、土地利用型の農業、これは米と麦と大豆なのですね。米と麦と大豆、これについて私は、米は一〇〇%、麦は五〇%、大豆も五〇%というような、そういう十、五、五というような自給率、こういうようなものを次は目標にするぞというような形での目標の設定ができないだろうかということをこの際大臣に率直に伺っておきたい、こういうことでございます。
  10. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 ただいま激励をいただきましてありがたく思っております。  今先生から御質問いただきました麦や大豆について適切な振興を図るべきではないか、こういうふうなことでございますが、麦、大豆は、地域条件に即した合理的な輪作体制を構成する基幹作物として、また主要な転作作物として極めて重要な役割を果たしておる作物であります。このようなことから、今後とも、ただいま先生おっしゃられたとおりに、土地利用型農業の健全な発展並びに水田農業確立に資するべく、生産性向上なり生産コストの低減なり、あるいは実需者のニーズに即した品質改善等を通じて適切な振興が図られるようこれからも努めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  11. 柳沢伯夫

    柳沢委員 長期見通しで第二の点は、若干政策のことにかかわるわけですけれども、仄聞するところによりますと、土地利用型の農業なんかも、中核農家の場合、経営規模が二ヘクタールが大体倍増して四ヘクタールになる、こういうような見通しも立てられていらっしゃるようでございます。それで私は、こういうようなことが単純な見通しということではなくて、やはり政策の後押しが当然なければならないと思うわけでございますが、その場合、経営規模拡大についても、例えば土地をめぐるいろいろな制度の中に必ずしもこういう規模拡大整合性のとれていない政策が今もって残っているという難しい問題が実はあるように私は思うのですね。これは恐らく農業基本法制定当時の自作農重視主義の残滓みたいな形で、その後いろいろ考え方が変わって農用地利用増進法なんかが制定されたにもかかわらず、それとの整合性がとれていない政策が残ってしまっているということがあるのかもしれませんけれども、私が指摘したいのは、ここで土地絡みの問題で、主として税制ですけれども、例えば土地譲渡所得特別控除額が、収用にかかった場合あるいはほかの第二次産業絡みのいろいろなプロジェクトにこれが譲渡される場合などに比べて、農地保有合理化関係のいろいろな団体にこれを譲渡する場合には控除額が極めて少なくなっている、小さくなっている。こんなことは、農地の集約をし規模拡大をしていこうという場合には明らかに逆行しているのですね。私はこれは昨年、五百万を八百万にするということのために随分努力もしたのですが、これも期限が来てしまうという問題がございますね。  それからもう一つは、農業者年金なんかも、引退する先代の農業者がこれを賃貸に出すと農業者年金受給資格に欠陥が生じてしまうという問題がありますね。それから相続税延納というような問題についても、賃貸をしてしまえばこれは停止条件にかかってしまって延納資格を失うというようなことがありまして、こういうようなことはいずれも、今回長期見通しをはっきり出して経営規模拡大していくというような場合には完全に見直しをしてかからなければ、アクセルとブレーキを一緒に踏むような変な格好になってしまうのではないか、私はこう思います。その辺について御見解を承っておきたい、このように思います。
  12. 片桐久雄

    片桐政府委員 稲作等土地利用型農業生産性向上体質強化を図るためには、農地売買とか貸借、また農作業の受委託とか、そういうような農地流動化を促進いたしまして、中核的な担い手規模拡大または生産組織化というものを進めていくことが重要であるというふうに考えております。  その際に、先生指摘のように、できるだけ売買による流動化を促進するための手法といたしまして譲渡所得についての特別控除という手法がございますけれども、これにつきましても先生方努力によりまして五百万円から八百万円という増額をしたわけでございますけれども、私どもといたしましては、これをさらに延長いたしまして、また八百万円をできましたら一千万円に拡大したいという要望を現在続けている次第でございます。  それからまた、御指摘移譲年金受給の際に、後継者が親から借り受けました農地を第三者に使用させるということになりますと年金支給停止という問題がございますけれども、この問題につきましても、今度農業者年金基金制度改正ということを現在検討いたしておりまして、本当に中核的な担い手に転貸されるというような場合にはそういうものも認めてもいいのじゃないかという観点から、現在いろいろ検討を進めている次第でございます。できましたら、この年金制度改正につきましても次期通常国会提出いたしたいというふうに予定しているところでございます。  それからまた相続税納税猶予の問題でございますけれども、これにつきましては、この特例は農業経営を維持させるというような観点からこの制度ができているということでございまして、相続税納税猶予の対象になっている農地について転貸を認めるというのはなかなか難しいというのが実態でございます。
  13. 柳沢伯夫

    柳沢委員 最後の問題については、その困難性の御指摘は私どももよく承知するところですけれども、前二者については前向きの御検討がいただける、また、特に譲渡所得特別控除額について はこれを拡大するということは、私どもとしてもこれは努力をせぬといかぬ、こういうように思っております。  次に、後でまた松田理事の方からも御質疑があるわけですが、後期対策について一、二点お尋ねを申し上げておきたいと思います。  私は、今度の後期対策文字どおり水田農業確立対策であってほしい、つまり、単なる需給調整施策というようなことではなくて水田農業の将来展望につながるような形での対策を打ち出していかなきゃいけない、こういうように強く思っておるわけであります。そして、この後期対策に当たっては、まず需給在庫水準の問題についてしっかりした精査をしなきゃいけないと思うわけでございます。  特に、ただいまも我々、党の方でいろいろな論議をしてきたわけでありますけれども、米の消費拡大についてはこれは正直申しましてやはり本腰を入れた取り組みをしなければいけないということなのですが、私はどういうことを感じておるかというと、米の消費、米のマーケットがだんだん縮小していっているわけですけれども、これは実は品質問題と非常にかかわりがあるのじゃないか、こういうように思うのです。もちろん消費の形態、例えば自衛官に古々米食わせるなとか、あるいは小中学校の給食にいい米を提供して米がうまいことを知らせるとかというようなことで、そのことももちろん大事なのですが、それ以上にやはり私は、実は先般党の方で麦の問題について委員長をさせていただいたのですが、麦については随分品質問題というものを農家サイドにも非常にそれが大問題なんだということを今度伝えたわけですね。お米についてはもちろん銘柄米とか等級間格差とかということでそれは伝えてはいるのですが、これがマーケット全体の大きさを維持するために本質的な問題なんだよということをもっと強くメッセージとして生産者側に伝えなきゃいけないのじゃないか、私はこのように強く思っています。これはほかのいろいろな第二次産業の製品なんかについても同じで、品質についてうかつなことをしておくと、ほかにいろいろな競争品というのはたくさん出てきますから、どんどん自分マーケットが小さくなっていってしまうんですよね。こういうことについての認識をもっと厳しく持たぬとだめになってしまうのじゃないかと私は思っておるわけです。  そういう意味でちょっと思い出すのですが、「今後の米政策及び米管理の方向」という農政審の報告が出ておるわけですけれども、ここには、この品質の問題を生産者にもっとじかにシグナルとして消費者側需要者側の意向というものを反映させていかなければいかぬじゃないかということがあるわけですね。ここで提案されているようないろいろな改善方法というものをそのまますぐに実施することについてはなかなか難しい問題もあることは十分わかるわけですが、少なくともここに出ておるような、今言った品質の問題が極めて重要だということを生産者側に伝えていくシステムを導入してくるということについては、やはりこのあたりで真剣に考慮しなければならない事柄ではないか、こういうように私は思うのでございますけれども、このあたりについての大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  14. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 農政審の報告は、米の生産なり流通なりあるいは消費が大きく変化しておる、そういうふうな中で基本的には、こういう諸問題に対処するために、米の需給及び価格の安定を図るという食管制度基本的な役割を維持しながら、市場原理がより生かされる仕組みとしていくというような観点から取りまとめられたものであります。この報告に沿った具体的な施策につきましては、価格形成の場の設定につき検討に着手するというふうなことなど鋭意取り組んでいるところでございまして、今後とも十分検討の上、条件整備を図りながら進めていく必要があるのではないかと思っております。
  15. 柳沢伯夫

    柳沢委員 自分たち生産したものについて消費者がどのような評価をしておるかということを知ることによって、自分たち農業経営についていろいろな選択をしていく、こういう態度がもっと直接的な形で出てくるということが不可欠であろう、私はこのように思いまして、条件整備をしながらこれを進めていきたいという大臣の御答弁、私は賛意を表せざるを得ないわけでございます。  次に、後期対策の問題でございます。  転作に伴う助成金でございますけれども、これにつきましてもやはり、従前のようなやや後ろ向きのものではなくて、さっき申したように水田農業長期展望に沿ったような形でこれを再編していくということが欠かせないだろう、このように私は思うわけであります。中核農家あるいは生産組織あるいは集団化、こういったものについてより厚い助成をして、今申したような長期展望に立った方向にこれを誘導していくということがどうしても不可欠である、このように思うわけであります。  その場合、財政資金を出すときに、減反の助成の場合なんかは割に気にされない方なんですが、正直申して、財政資金は非常に公のものだ、だから相手もかなり公の色彩を持ったものでなければこれを支給するということにはやはり問題があるんだ、こういう考え方が従前からずっとあるのです。個人に対してあるいは個別の利益に対して補助を与えちゃいけないというのは財政の原則と言っていいわけですけれども、これも従前どおり画一的にそんな原則にただのうのうと乗っていくというのは私は見直さなければいかぬと思うのです。農業全体が地盤沈下と言っては語弊があるわけですけれども、非常に苦境に立たされているというときに、選手が出てきて、エリートが出てきて、おれが農業のために頑張ってみせるぞ、こういうような人が出てきた場合に、その選手を育成、助成すること自体が公益なんですね。私はこういう発想の転換をしなければだめだと思うのですね。ですから、そのあたりは財政当局にも考え方をきちっとのみ込ませて、個別的な助成ということについても、これを単に公の資金なんだから公の組織でなければだめだ、兼業農家も二、三人入れてそこで組織をつくってからでなければ助成金とか補助金は出せないなんというような、そういうコンベンショナルな余りに旧套を墨守したようなことはここで見直すべきだ、こういうように思うわけでございますが、そのあたりの助成金のあり方について御見解を承っておきたい、このように思います。
  16. 松山光治

    ○松山政府委員 御案内のように、水田農業確立対策は単なる米の需給調整措置ということではございませんで、水田で生産されます作物生産性向上、それから地域輪作農法の確立普及といったようなことを通じまして、今先生から御指摘のございました将来展望につながり得るような足腰の強い日本の水田農業確立、定着を図るのだ、こういうことで進めてまいっておるわけでございます。前期対策におきましてもそういう考え方のもとに、基本額のほかに規模拡大加算でございますとか生産組織加算といったような新しい加算も設けまして、加算を重視して構造政策的視点を入れていく、こういうことで取り進めてまいったわけでございますが、今私ども、来年度から始まります後期対策検討におきましてもこういった考え方を継承いたしまして、御指摘のありましたようなしっかりした転作営農を誘導するという考え方のもとに物を考えていきたいというふうに思っておるわけであります。  特に、この前期対策の過程を通じて各地でいろいろな取り組みが行われておりますが、そういう取り組みの実践を踏まえながらいろいろと今反省し合ってやっておるのですけれども、その場合にポイントになるところは、地域輪作農法をさらに面的に拡大するとともに、質的な向上を図っていく必要があるだろう。そして内容的には、転作田の集団化なりあるいは稲作と転作を通じました中核農家あるいは生産組織といったようなもののしっかりした担い手に集積して、効率的な生産単位の確立を図っていくといったようなことが非常 に重要なポイントではなかろうかと思いまして、そういう観点から助成体系について必要な見直しを行っていきたい、このように考えておる次第でございます。  なお、個別助成のお話がございましたが、既に転作助成金の世界は個々の農業者にも助成するという形にはなっておりますけれども、要は望ましい転作営農の確立という観点からいかなる助成の仕方が望ましいか、こういう観点で物事を検討していきたい、このように思っております。
  17. 柳沢伯夫

    柳沢委員 時間が参りましたので、最後にウルグアイ・ラウンドにつきまして一言御質疑を申し上げておきたいと思うのです。  ウルグアイ・ラウンドにつきましては、四月に高級事務レベル協議での中間合意がなされた。これは、モントリオールの閣僚会議で合意ができないで、その後に行われた事務レベルで中間合意がなされた、こういうことになっているわけですけれども、この中で我が国が主張した食糧安保のために基礎的食料品について格別の配慮が要るということについては、非貿易的関心事項という表現で合意の中にこれが盛られて、いわばこれからの最終段階での交渉に当たっての足がかりができた、こういうことになっておると理解をいたしておるわけでございます。  私は、今世界で農業ということにつきましては非常に大きな見解の対立があるように思います。工業化された、徹底的に合理化された農業でいいのだ、最近出ましたライシャワー博士の「日本の国際化」というような本があるわけですが、私、ライシャワーさんは別に農業問題の専門家ではないと理解しておりましたからそんなに注目していなかったのですが、農業問題に言及しているということを教えてくれた人がいますからちょっと目を通してみたのです。実はかなり広範に、工業的な農業で構わないのだというような立場からの詳細な議論が行われているのですよ。なかなか手ごわい議論だなというようなことを率直に私も感じたわけです。しかし、そういうようなことになった場合には、現在環境問題に対する関心が地球規模で広がっておるのですけれども、私はこれは人類史的な大間違いをするのではないか、このように思っておりまして、我々としては、あくまで農業というのは非常に多面性を持つ人間活動である、こういうことで、断固経済外的な関心事項にこだわっていかなければならない、このように思います。  この問題についてはECあたりでも、最近来ておるいろいろな団体あるいは閣僚の皆さんもかなり強い発言もされておりますので、彼らとともに語らってこの検討をぜひ深めていただいて、我々のこの交渉に当たっての所期の目的を断固完遂していただきたい、このように思っておりますけれども大臣の決意のほどを最後に承っておきたい、このように思います。
  18. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 今先生申されたとおりに、我が国としてウルグアイ・ラウンド農業交渉を進めていく上に当たりましては、農業のいわゆる生産の持つ特殊性なり、あるいは食糧安定供給なり国土保全、環境保全のために農業の果たす重要な役割というふうなものを十分配慮しながら進めていくことが大切なことであり、また、今申された食糧安保の観点からも私ども基本的な考え方を九月の農業交渉グループ会合におきましても打ち出させていただいておりまして、さらに今年中に詳細にわたってそのような考え方を提示してまいりたい、このように考えておるのでございます。
  19. 柳沢伯夫

    柳沢委員 ありがとうございました。
  20. 近藤元次

  21. 松田九郎

    松田(九)委員 海部内閣の発足によりまして、去る八月に鹿野道彦農林水産大臣就任をされた。考えてみると新大臣は、従来から国会の内外を通じ、特に自由民主党では農村振興のためのいわゆる先頭を切って、農村振興議員協議会の幹事長などもやって、大変に日本の農政、また農民のためにも希望を与えてきた。そういう新しい活力のある、若いやる気のある大臣就任をしたということで、我々は日本列島農業関係者を含めて多大の期待感を持っておりますが、今農政を取り巻く諸問題は大変に厳しい。減反の問題、米価の引き下げの問題あるいは転作の問題、あるいは転作に対する今後の補償を一体どうするか、いろいろな問題で内外多事多難である。そういうときに、従来の経験をもってして、また政治理念をもってして、米どころであり、特に食糧の供給源でもある山形出身でもある大臣がこの険しい今後の日本の農政の中で、今ややもすれば農民が夢を失っておる、そしてあすの農業は一体どうなるかという心配感を持っておるが、そういうことについてまず冒頭に、私は一問一答式でやるから、ひとつ簡略に大臣の決意のほどを伺っておきたいのであります。
  22. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 私どもは、今日の農林水産行政を取り巻く情勢の厳しさというものを十分承知をいたしておるわけであります。そういう中で、とにかく私もみずから、農政不信というふうなことが言われている中で、このような状態の中では農林水産行政を着実に推進していくことはできない、やはり生産農家の方がどういうふうな考え方に立って、またどういう気持ちでおられるのか、そういうところも率直に話も聞かさせていただいて、そしてともに農林水産業の重要性を改めて認識し合ってやっていかなければならない、このようなことから行動もさせていただき、そういう中で将来に対する不安をどうやってなくしていったらいいか、こういうふうなところを中心としてこれから懸命なる努力を払ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
  23. 松田九郎

    松田(九)委員 現在、我が自由民主党では、いわゆる水田の後期対策、転作の問題、減反、価格、こういう問題を主議題として連日いろいろな意見が集約をされておる。既に去る十日には、今後これらの問題を恒久的かつ正確に、適切に具体案を出すために三年間は据え置いて、この間に抜本的な、適切な、具体的な、内容のある恒久対策を打ち出すことにしなければいかぬということを党が決定をいたしておる。さらに明後日の十六日に、自由民主党ではこれらの問題についてさらに突っ込んだ意見交換をした中で党の不退転の決意を内外に示すと同時に、全国の農民に対しても所要の具体的な方針を示しながら農政のあり方について指導していこう、今そういう進み方で自民党はあるけれども、今申し上げたとおりの考え方の中で、党のいわゆる三年据え置きという問題について大臣は一体どう考えておられるか。もしそういう方向で国会の内外でその世論、その意見が決まったとすれば、もちろん大臣はあらゆる困難を押し切ってやってもらわねばいかぬが、その決意、その見通し、その所見についてこの際伺っておきたいのであります。
  24. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 自由民主党の農業基本政策委員会におきまして、小委員長から、後期対策の作成に際し政府が検討すべき基本事項として、転作等目標面積については、党の大方の意向が現行八十三万ヘクタール三年間固定であることを踏まえ、米の需給事情及び単収の動向を十分に精査した上で、生産者団体が取り組もうとしている米消費拡大努力の効果等も念頭に置いて、米の需給均衡を図るために必要な面積を計算する、転作助成については、前向きの転作誘導を図るとの観点から見直し、望ましい営農を行う農家の手取り水準を維持するとともに、額の総体についても本年度並みを確保する必要があることなどが提示されておる、このように承知をいたしております。  政府といたしましては、これらの要請を十分念頭に置きまして、基本的な考え方を今週中に結論を得るべく最終段階の詰めを急いでおるところでございますが、努力をしてまいりたいと思っております。
  25. 松田九郎

    松田(九)委員 大変力強い大臣の答弁をいただきまして感じ入っております。党を通じて、あるいは政府を通じて、一体感の中で、今日の危急存亡とも思える日本農民のあすに夢をつなぐために、専門家でもあり活力ある大臣の勇断のある今後の対応をこの際ぜひお願いをしておきたいのであります。  さて、以下、具体的に所要の問題を二、三取り上げていきたいと思います。  まず、先日自民党の中でやりましたけれども、所要の資料を食糧庁長官等からもらった。言うなれば作柄である、ことしはいわゆる全国作柄が一〇一%である。昔から言われるとおりに、豊作貧乏、喜んでいいのか、あるいはまた困ったなと思っていいのか、ちぐはぐな気持ちで一〇一%を聞いた。  ところが、その内容だけれども、一体食糧庁あたりはどういう根拠で、どういう手づる、組織を使って全国各府県の作柄の指数を出しておるのか。私はその席でも長官に言ったことだけれども、例えば長崎県なんか昨年よりも上回って豊作だという数字が出てきておる。どこを押せばそんなことが出るのか。私も一・六ヘクタールを耕しておるが、一・六ヘクタールで大体百二、三十俵とらなければいかぬところを九十六俵、それも合格品は三十七、八俵しかない。あとは等外だ。なぜか、虫害があり、同時にまた、ことしは未曾有の台風災害で一昨年に続いて大変な被害を受けておる。五島域などは全滅である。どうすれば一〇一%なんということが、九州の隣県がみな一様に昨年よりも作柄が落ちて一〇〇を割っておるときに、一番豪雨災害のひどかった、とうとい人命が四人も失われておる、大変な重傷患者が二十八人も出ておる、そういう県でどうすれば豊作という数字が出てくるのか。私は県の知事にも、おまえさんも少しそこに関心を持てよと厳しく注意を喚起したところだが、こういう資料というのはどうしてつくっておるのか、だれが責任を持ってそれを提示をしておるのか。  このことは重大なんだ、今後の農業共済にあるいは補助金に融資にその数字は直ちに案分比例をしてかかってくる。だから私は厳しく聞いておるわけだ。そのよって来るところの係数のはじき方について、食糧庁長官あるいは局長等にその意見を聞いてみたい。
  26. 海野研一

    ○海野説明員 お答え申し上げます。  十月十五日の予想収穫量でございますが、これは北の方の刈り取りの進んでおりますところでは坪刈りの結果によって数字を出しております。南の方の刈り取りが十月十五日現在でまだ十分進んでいないところでは、刈り取られたものにつきましては坪刈りをやっておりますが、その他のものにつきましては稲の粒を数えたりそれまでの天候その他によって肥大状況を見たりというようなことでやっておりまして、これは全国に三百二十六カ所ございます農林省の統計情報事務所の出張所の職員が手分けをいたしまして、そのような坪刈りないしはそれまでの生育状況で数字を出しておるわけでございます。  したがいまして、特に長崎県の場合はほかの県と非常に事情の違った面がいろいろございますので、ちょっと長崎県について……(松田(九)委員「時間がないから簡単でいい」と呼ぶ)長崎県はまだ刈り取り半分でございますので、これはあくまでも予想だというふうに考えていただきたいと思います。(松田(九)委員「確定した数字じゃないんだな」と呼ぶ)まだ予想でございまして、確定数字は十二月末に全部の収穫が終わった段階で出るわけでございます。  特に長崎県の場合、一方で台風、一方で干ばつとの闘いでございます。したがいまして、例えば昨年のような被害の少なかった年、この年には四百八十一キロというふうな史上最高の豊作が出ておりますが、その前の年には三百四十六キロというような低い作柄になったということもございます。本年は台風十一号の被害がございましたけれども、長崎県としては過去の被害の多かった年、少なかった年を見れば、やはり被害の少なかった方の年に属するというようなことでございまして、その後の登熟その他についてもよかった方の年であるわけでございます。  特に長崎県の場合は、一つの県と申しましても立地条件の非常に違う地域を含んでおりますので、その結果、十月十五日現在の予想でございますが、地域によっては五百キロを超えるような地域から三百キロそこそこの地域まであるわけでございます。県全体平均いたしますと四百六十四キロ、去年に比べますと四%減でございますが、長崎県の場合、特に平年とは何だというのは非常に難しいわけでございますが、いい年と悪い年との平均的なものとして私ども平年収量四百二十六キロと言っております。それに比べれば、一〇九という作況指数になるわけでございます。  いずれにいたしましても、先ほど申しましたように、最終的には全部のところについて刈り取りが終わる段階でその刈り取りをして公表いたしますので、的確な刈り取りによって適正な数字を発表いたしたいと考えております。
  27. 松田九郎

    松田(九)委員 私は、我田引水的に私のところを取り上げた理由というのは、別に私のところがけしからぬと言っているのではない。そういう統計というものを厳密に正確にやってもらわぬと、いろいろ今後の対農民との共済問題を含めて大変な独走が出てくる。だから十分に正確なものに持っていくように努力の上にも努力をしてもらいたい、そういう意味で私は言っておるのだから、十分ひとつ今後は心してやってもらうように。  それで文部省、だれか来ておるか。——あなた、階級は何か。課長か。課長ではわからぬけれども、私は大臣に出てこいと言っておいたのだけれども大臣どうして出てこぬのだ。おまえさんに言ったってわからぬけれども、しかしおまえに言っておくから、帰ったら大臣にこの次は部会に出てこいと言っておけ。  ところで、文部省というのは、これは課長聞いておるかね、米の需要拡大というのを全然やってないのじゃないか。米の需要拡大は横ばいというか、だんだん今下がってしまっておるのだよ。日本国民というのは米が主体の国だ。三千年の昔から瑞穂の国だ。お祭りがある、水田があって観光価値がある。今や減反に次ぐ減反、それで拡大運動は一つもしない。文部省は、子供たちの嗜好がパンだからといってパンをやればいいというものではないぞ。少なくとも一週間に一回くらい、あるいは二回ぐらいは米を食べさせるくらいの学校給食をやるべきだ。そういう指導は一体どうしておるのか、簡単に答えろ。  これはつけ加えておくが、学校の教員の中には、とにかく副食をつくることに手間暇かかるから、これを省くためにパン食を従来推奨してきた経緯がある。そういうことを含めて、一体どうなっておるのだ、現場は。
  28. 石川晋

    ○石川説明員 お答え申し上げます。  まず、学校給食の米飯の実施回数でございますが、全国平均で、学校給食、週五日やっておるわけでございますが、そのうちの二・三回が米飯給食という現状でございます。これは昭和五十一年から始めまして、当初週二回という目標でスタートしたものが現在ここまで来ているということでございますが、現在の行政的な目標は、これを何とか週三回まで持っていきたい……
  29. 松田九郎

    松田(九)委員 ちょっと待て。重大な発言だ。週二・三回、どこにやっておるか。そんないいかげんなことを言うな。私のところで調べてみろ、よその県を調べてみろ、福岡でも岩手でも。日教組の教員の多いところは二・三になっておるか。そんな重大な発言をおまえさん、ここでしたらいかぬぞ。後でこの発言は取り消させてやらなければいかぬから、委員長、はっきりそういうことをやってもらいたい。  続けろ、答弁を。
  30. 石川晋

    ○石川説明員 今先生おっしゃいましたのは、全国のすべての学校給食を実施している学校のデータを平均いたしますと二・三回。現実に、例えば具体的な例を出しますと、都市周辺で神奈川県の相模原市とか、まだ実施していない市もございます。あるいは、もっと多くは大都市でございますが、いわゆる政令指定都市、札幌から始まりまして福岡まであるわけでございますが、こういうところの実施回数は大変低うございます。例えば札幌市は昭和六十三年度にやっと学校給食での米飯を始めて、現在〇・五回であるとか、おおむね一回から一・五回のあたりにそういうところが入ってい る。こういうものを含めた平均が二・三回ということでございますので、私ども大都市での米飯給食の実施回数をどうふやしていくかというのが現在の政策的な努力課題になっておる、こういう現状でございます。
  31. 松田九郎

    松田(九)委員 課長、二・三、本当にあなたの言うとおりに全国平均がなっておればこれほど大きな声は出さないのだよ。いいか、もうちょっと真実に近いもの、正確なものを言いなさい、こういう委員会では。国民の重大関心事なのだ。私が調べた資料では、一週一回もやっていない学校が山ほどあるぞ。具体的に私が出してみせようか。そういうところを調べないで二・三ございますなんて、のうのうとそんなことを言っておるから文部省は指導していないのじゃないか。だから後で、私はまた別の機会に今の数字を示して、ここでおまえさんとやりとりするよりも私はいつか大臣と話してやる。もうよか。  通産省、来ておるか。——君は階級は何か。
  32. 庄野敏臣

    ○庄野政府委員 貿易局の審議官でございます。
  33. 松田九郎

    松田(九)委員 通産省というのは、もうかればいいというて、貿易摩擦と言いながらとにかく無制限に輸出輸出、それこそノーチェックで、自主規制はせぬで。これもあらゆる機会に言っているが、全然規制せぬな。自動車なんかは売りたいほうだい。一日八千台も売っているが、そのしわ寄せが農村、農民の減反問題にまで響いてきておる。一体、通産省はこういう輸出拡大方向をノーチェックでやっておるが、どのように考えてノーチェックなのだ。もうかればいいというものではないぞ。経済大国といったって、一握りのそういう企業家がやっておるだけのことで、一般の国民大衆、特に農民は週休二日制どころの騒ぎではないぞ。朝から晩まで働いて、それで土曜日曜もないぞ。そうして働いても、うだつが上がらぬ。そのしわ寄せは全部貿易摩擦、黒字八百億ドルだ。少しは通産省も規制をしたらどうだ。規制の現状についてお伺いしたい。
  34. 庄野敏臣

    ○庄野政府委員 お答えいたします。  輸出規制論ございましたけれども、かつて集中豪雨的な輸出があったということを踏んまえながら、現在、節度ある輸出を確保するという観点から、自動車、鉄鋼、工作機械などの品目に関しまして輸出の自主規制措置を実施いたしております。  例えば、今お触れになりました自動車でございますけれども、これは一九八一年五月から対米向け乗用車につきまして輸出自主規制を実施しておりまして、八九年度におきましては御案内のとおり二百三十万台という数字を掲げてございます。またそのほか、乗用車のほかにNC工作機械なりあるいは繊維、鉄鋼、それから対EC向けにつきましてはフォークリフトなどがございます。  以上でございます。
  35. 松田九郎

    松田(九)委員 審議官、ちょっと。今あなたの説明では規制しておりますということだが、それならば具体的に数字を言ってみろ。ここ二、三年内の数字、一体いつから規制を始めて、これはこれだけ減りましたよという、自動車だけでもいい。ほかの工作機械その他の問題は別にしていいから、その方の資料も私は持っているけれども。はっきり年次別に言ってみなさい、ここ二、三年内の自動車台数の輸出件数が減ってきた件数を。それだけで私は納得するから。
  36. 庄野敏臣

    ○庄野政府委員 正確な実績につきましては今統計数字持ち合わせてございませんけれども、八一年から八三年度まで百六十八万台でございました。三年間の措置の後、八四年度は百八十五万台、それから八五年度以来ずっと二百三十万台で横ばいになっております。  以上でございます。
  37. 松田九郎

    松田(九)委員 ちょっと待て。君は何を言っておるのだ。百六十五万台、百六十八万台と言っておって、今二百三十万台で横ばいになっている。君は三と六の計算がわからぬのか。どっちが数が多いのだ、二百三十万と百六十万と。何を言っているのだ、ふえているじゃないか。私が言ったのは減らせと言っているのだ。ふやせと言っているのではないぞ。しかも、きょうはこのことで質問するから出てきてくれるということを要請しておるのに、正確な数字がわかりませんなんて、委員会を君たちは何と思っているのだ。そういうことだから通産省は横着なのだ。よしこれもいつか機会を見て通産大臣を呼んで意見を聞かなければいかぬ。とんでもない話だ。  もう一回言ってもらおう。今の数字、確認しておこう。百六十五万、百六十八万から二百三十万に今なっております。君はどういう話をしているのだよ。早く言え。もう時間がない。誠意のないことおびただしいじゃないか。
  38. 庄野敏臣

    ○庄野政府委員 私先ほど申し上げました数字につきましては、自主規制措置の台数の目標でございます。実際、おおむねこのとおりの数字が輸出されたと理解しておりますけれども、最終的に、例えば八八年度二百三十万台につきまして、何万台という数字は、まことに申しわけございません、ただいま持ち合わせておりませんけれども、おおむねこの数字であったと理解しております。  以上でございます。
  39. 松田九郎

    松田(九)委員 ここでそのことに突っ込んで意見を聞いてもしようがない。  最後に、時間がありませんから一つお聞きをしたいのですけれども、これは経済局長か何かの所管と思います。私は減反についてかねがねいろいろな機会に意見を申し上げておるのだけれども、食管制の問題、意見が賛否両論いろいろありますね、これを改廃することについて。あるいは減反の問題、転作の問題を含めていろいろ意見がある。また、良質米を今後一体どのように拡大するかという是非論もある。要するにその中で我々が今総合して考えておることは、減反について、離島、山間僻地、こういうふうな、転作しようにも転作の方法がない、企業誘致をしようにも企業誘致ができない、農民は職業訓練もしていないし失業保険ももらわない、退職金もない、そういうところで従来のような減反政策をとったならば四百万に近い農村人口は路頭に迷うのだけれども、私が言いたいのは、今転作するなり転用すれば直ちに工業用地にもなるし住宅地にもなる、すべての施設に適するような市街地周辺の農地が山ほどある。俗に言う太平洋ベルト地帯だ。そういうところの農地を、市街化調整区域などというものもあるけれどもこれは緩和すること、やり方を変えて、減反やむを得ないとするならば、現在の百五十万トン体制というものがさらに豊作等において、需要が伸びないことによってどんどんふえるということも考えなければいかぬが、そういうときに減反の方向は、私が今言っているように都会周辺の直ちに転用できる農地を優先してやる。もしそれに従わないという農民があれば、指導上ある程度強制的に、場合によっては系統資金などもそういう農地については適用させないというぐらいの思い切った政策をこの際やるべきであると思うが、一体それについて局長、どう思っておるかな。
  40. 片桐久雄

    片桐政府委員 農地の利用転換の問題でございますけれども、特に大都市近郊の農地につきましては市街化区域という線引きをいたしておりまして、この市街化区域の農地につきましては農業委員会に対する届け出のみで転用ができるという形になっておるわけでございます。この市街化区域の中につきましては、建設省等で積極的に町づくりという観点から宅地供給を促進するという方策の検討を現在進めている次第でございます。  また、市街化区域の外側につきましても、ことしの三月に農林省農地転用許可基準、それから農業振興地域の中の農用地区域の運用基準を改定いたしまして、農地を多面的に利用するということを現在展開している次第でございます。
  41. 松田九郎

    松田(九)委員 委員長、最後に恐縮ですが、局長、私が今聞いたのはそういう意味じゃないのだよ。私が言いたいのは、いよいよ減反やむを得ない場合は、直ちに坪当たり何百万もするところをつぶして転用、転作をすべきだという意味なのだよ。そういうことについての方向づけをあなたたち農林省食糧庁としてはどう考えておるかということを聞きたいわけだ。もうとにかく、自分たちの食べる食糧自分たちでつくるんだからとい う大義名分のもとに、二反とか三反とか小さい田んぼを市街地のど真ん中に、こんなところへ田んぼがあるのかと思うくらいのところに田んぼが幾らでもあるんだよ。この世知辛いときには、どうしても減反やむを得ないというならば、そういうところを優先してどんどん提供してもらって他に転用してもらう。それを一つも指導していないのじゃないかというのを今私は言っておるのだ。それについて答えなさい。
  42. 松山光治

    ○松山政府委員 後期対策の実施に当たりましては、今先生から御指摘がございましたように、地域条件に即しまして多様な水田農業の展開を図るということとあわせまして、多面的な水田利用を図っていく。これは転用を含めての話でございます。そういう意味では、今構造改善局長からお答え申し上げましたような既に許可基準の改正等は済んでございますので、いろいろな手段を通じてそういうことの普及浸透を図りながら、的確な土地利用が図られるということを頭に置いて進めていきたい、このように考えておる次第でございます。
  43. 松田九郎

    松田(九)委員 今の局長の答弁では余り納得しないけれども、時間がないから、また別の機会に意見を交わすことにいたします。  委員長、発言許していただいて大変ありがとうございました。
  44. 近藤元次

    近藤委員長 御苦労さまでした。  次に、田中恒利君。
  45. 田中恒利

    田中(恒)委員 大臣に御質問いたします。  参議院選挙が七月二十三日行われました。政府・与党は惨敗をいたしました。この参議院選挙の政策上の一つの問題に農業問題があったと言われておりますが、大臣は、今生産者消費者を含めて日本の農業政策に対して大きな不信がみなぎっておると思いますが、これをどういうふうに受けとめていらっしゃるか、まずお尋ねいたします。
  46. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 農政に対する批判というものは、参議院選挙の結果というふうなものにおきまして私どもも厳粛に受けとめておるところであります。これは、米を初めとする農産物価格の抑制的な決定あるいは引き下げ、また牛肉・オレンジの自由化の決定というような、いわゆる農業者の将来に不安を与えるような急激な変化がなされ、そしてそういう中で農業外からの農業批判というふうなものも重なってしまった。そのようなことから、農業切り捨てではないか、こんなふうに受けとめられてしまったというようなところに大きな原因があるのではないか、こんなふうに思っております。  そこで私どもは、農政を着実に推進していくには、やはり手順を尽くしたつもりでも手順が尽くされてなかったんだというふうな、あるいは、もっときめ細かい配慮を持ってやっていかなければならない、確かな情報というものも提供していかなければならない、そういうことによって信頼を回復していくことが大事なんだ。そのようなことから私自身が、生産農家の人が本当にどう考えておられるのか、本当の生の声を聞かせていただくというふうなことが大事なことだということで、先頭に立って各地域を回って、いろいろな対応を率直にやってまいった。このようなところが今日の私ども基本的な姿勢である、このように御理解いただければ幸いと存じておるところでございます。
  47. 田中恒利

    田中(恒)委員 この問題は、参議院選挙が終わってから衆参の本会議、予算委員会で各委員が政府にいろんな角度で質問をいたしておりまして、大体今大臣がお答えになったような、これまでの農政について、やり方、進め方などについて十分理解を得られていない、こういう趣旨の御答弁でありまして、今も手順を考えなければいけないとか、農民の間に不安を巻き起こしているのでその辺についてさらにきめの細かい施策を考える必要がある、こういうような御意見を出されたわけでありますが、それで済むのかどうか。正直言って、これまで政府がとられてきた諸施策について考えなければいけない点、変えなければいけない点、むしろ農業全体が、あるいは食糧全体が大きく変わってきております。農業の動きも、農林省では握られていない側面でたくさんの新しい動きが出てきております。それらを含ませて、いわゆる観点というか視点というか、農政の中身を抜本的に切りかえなければこの問題は決着がつかぬ、こういうように私は思っておりますが、大臣の今の御答弁を聞くと、手順論とか生の声をもう少し聞いてとかいうようなお答えにとどまっておるわけであります。もう少し具体的に、あなたは農林大臣としてどのような施策をお考えになっておるのか。  堀之内前農林大臣が、今はおやめになっておりますが、当時の総理大臣宇野さんに、参議院選挙が終わった後に、当面、例えば農家の負担金問題、土地改良区の負担金問題、減反の後期対策あるいは米の自由化を中心とする開放問題、こういう問題について堀之内さんのお考えを大臣に伝えた、こういう新聞も選挙直後すぐ出てきたわけでありますが、これは前の大臣でありますが、今の大臣はいろいろあちこち行かれましたね。生の声を大分お聞きになった。私の県にもお見えになった。私も関係者から逐一聞いておりますが、どういうような中身でこれから政策を進められていくのか、もう少し詳しく具体的にお答えいただきたい。
  48. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 基本的には農業というものを魅力ある産業にしていかなければならない。要するに、引き続いて産業政策をしっかりと確立をしていく。それからもう一点は、農村に住む魅力、都会の人が農村に行った場合も、ああ、また来てみたいな、そういう明るい魅力ある農村づくりをやっていかなければならない。すなわち産業政策地域政策、この二本柱でこれから政策を進めていかなければならないのではないか、こういうふうに考えております。  そのためには、農地の貸し借りとか農作業の受委託とかそういうふうなことによって経営規模拡大をしていく、農業構造を改善をしていく。そしてさらに、技術なり経営の指導の強化を実践的な研修教育の充実などによって担い手をしっかりと育成していく。また、バイオテクノロジー等の新しい先端技術の開発普及、そういうふうなものを推進していく、こんなことで農業生産を展開していく。そしてもう一点は、先ほど申し上げましたとおりに、集落道なり集落排水なりあるいは農村公園なり、そういうふうな農村の生活環境を整備して、工業導入等々による就業の機会というものをつくっていく、あるいはリゾート施設等の整備によって就業機会の確保をしていく。このようなことを通じて農山村の活性化を図っていく、こんな考え方を持っているところでございます。
  49. 田中恒利

    田中(恒)委員 大変問題が大きいわけでありまして、いろいろ私も考えさせられるところが多いわけですが、産業政策というと非常に大きいし、地域政策ということも今問題になっておりますので、一つだけお尋ねしておきますが、私は、農業者の今の農政不信の背景には、一体農業がどうなるのか、自分のうちの経営が続くのか、こういう追い込められた実態があると思うのです。  私は昨日は遅くまで大阪におりましたが、一昨日は自分の地元で、私と五十年来一緒に農村運動をやってきた、しかもその地域の実質的なリーダーでありますが、そこの家で二、三人と懇談いたしました。彼ももうやめると言うのですね。息子にやれと言えない。借金が少しある、これは生活はどうにかやってきたが教育につぎ込んだ金だ、もうどうしてもやれぬのでやめるという話で、隣におったのも、二、三人、皆そうでしたね。つまり、もうやれない、私たちの年ごろの連中まではまだやっておりますが、これからの若い人にやらすわけにもいかぬし、やる人もそんなに多くない、こういうことでありまして、そういう状態に追い込まれておるわけであります。  その実態というものをよっぽど私たちは腹にたたき込んでいないと、私などは野党ですから正直言って遠慮ないことを言わせてもらっていますが、それでも農村や農家の諸君の前に立ったら突き詰められて答えるすべを知らぬという状況にあるのですよ。私は、今の農村というのは単なる霞が関の農林省の頭のいい方の発想だけで問題が処 理できるような甘いものじゃないと思う。だから視点を大胆に切りかえていかなければいけない、こういう考え方を持っております。  そして今、例えば行革審というものがある。新しい行革審ができておる。まだ最終的なまとめは出てきておりませんけれども、十一月二日に公的規制緩和に関する報告が出されております。これを見ると相変わらずですね。例えば減反の奨励金は、今度の後期、三年後にはやめてしまえということでやめるというようなこととか、市場開放はもっとやっていかなければいかぬとか、あるいは内外価格差をできるだけ縮める、こういうものが相変わらず同じ路線で投げかけられてきておりますよ。海部さんはこれを受け入れて進める、こう言っておる。あなたも海部内閣の閣僚であります。これが進められていったら、今の事態を乗り越え、あすの農業に対する希望を持つような状況は出てこないのですよ。ますます後退以外に道はないのです。  地域の問題をおっしゃいましたけれども、例えば竹下さんのときにふるさと創生事業というのをやりましたね。ふるさと創生論、非常に大きな政策アピールを出した。これは相当にぎやかに取り組まれております。ところがこれが今度、海部さんの活力ある地域づくりに関する懇談会ということになりましたね。この懇談会のメンバーを全部聞きましたら、二十二名いらっしゃいますが、これどういうことですか、学者が五名、一番多いのは企業の経営者で六名ですか、そしてあとは地方の自治体から三名、マスコミが三名、女性が二名、労働界が二名、青年が一名。農業界はだれも入っておらぬ。私たちは、ふるさと創生というのは農山漁村だと思っている。ほとんど全国的に大半だと思う。農業や林業や漁業を無視してふるさと創生はないと思うが、農林省は大体どういうかかわり合いを——これ、内閣の直轄のような形でしょうし、国土庁などは官庁としてはあれかもしれませんが、中身としては農林漁業問題というのが中心だと思うが、これに対してほとんど農林漁業関係者というのは姿を見せていない。これは一体どういうことですか。  この問題については、自民党政府は一体どういうつながりを持っていらっしゃるのか。私はよくわからぬものですから、改めて地域という問題を考えて、生き生きとした地域をつくらせていくということになれば、ふるさと創生論については私たちは一定の見解もあるし、必ずしも賛成いたしておりませんが、しかしやはりいいところはあるのですよ。それはどんどん伸ばして、地域に任せて、地域から力強いものを出していく、この着想は正しい。私は大きくしていったらいいと思いますよ。しかしねらいが本当にそういうことなのかどうか、そういう心配はございます。ございますが、中身がこういうことになって、私が聞いた範囲では日経連の鈴木さんが会長だというように聞いている。ほとんどこれ財界ですよ。これでやっていけるのかどうか。農林水産省のこれに関与するかかわり方と考え方をお聞きしたいと思います。
  50. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 お尋ねの懇談会は、地域の活性化について幅広い立場から御意見をお伺いする、いわゆる利益代表という立場から人選が行われているのではないというふうに聞いております。ただ、先生指摘のとおり農業団体の関係者は含まれておりませんけれども、農村地域に所在します地方公共団体の首長経験者が含まれております。また、同懇談会の議論では農林水産業農山漁村地域の活性化のための議論が活発かつ多面的に行われるというふうに聞いておるところでありまして、農村が軽視されているというふうには理解しておりません。
  51. 田中恒利

    田中(恒)委員 そんな答弁をせられるから私たちは納得いかないのですよ、何か中身は全く違うあれで、内容は農村地域活性化のためにやれることはどんどんやっていくとか、関係の首長さんが出ておるとか——自治体の人は出ておるけれども、二十二人の中で何人出ておるのですか。自治体の関係者で出ておるのは三名ですよ。日本の財界の親分衆が六人出ておるのですよ。その半分、それだけですよ、農村地域と称されるものを持っておる地方自治体の代表者は。そのくらいでどれだけのことができますか、親分は日経連の責任者だということでありますが。だから構わぬのだ、いいと思っておるというようなことでこれはやれますか。これは来年の予算の、ある面では自民党の選挙政策かもしれませんが、目玉にしようとしておるわけでしょう。何で農林水産省がもっと大胆にこういうものの中に入って、一番よく知っておるわけでありますから、今日の農業の実態や生き生きした農政をつくっていく地域づくりをするためにもこういうものが必要であるというものを出さなければ、出すところがないじゃありませんか。そういうことで言われたって、私なかなか納得するわけにいかない。大臣、どういうふうにお考えですか。
  52. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 基本的には、総理自身が所信の中におきましても農林水産業の重要性というふうなものを明確に打ち出されておるわけでありますから、そのような認識でおられるということには何ら変わりないもの、このように思っております。
  53. 田中恒利

    田中(恒)委員 最初に申し上げた臨調小委員会の中間の取りまとめの方向というのは、海部内閣の国務大臣として、あなたもそういう方向で考えていくということでございますか。
  54. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 ちょっと私の方から大臣の答弁の前にお答えさせていただきます。  確かに臨調、行革審でいろいろな議論がされておるわけであります。私ども、臨調、行革審の答申を尊重することは当然でございますけれども、やはり農業振興、それとの調和を図りながら対応していく必要があるということで、具体的な問題の対応につきましては、農業経営の安定あるいは農業振興、農村の活性化ということを踏まえて具体的な問題の対応はしていきたいというふうに考えております。
  55. 田中恒利

    田中(恒)委員 それでは次に移らせてもらいます。  政府の長期見通し、これがぼつぼつ漏れておりますね。私ども社会党は、この国会の劈頭の代表質問、土井委員長と河上民雄議員の一陣、二陣の代表質問に、いずれも自給率の問題を中心にした質問をいたしましたが、なかなか明示をすることは難しい、数字で示すことは難しいということで、明確なものが出てまいりませんでしたし、引き続いて予算委員会で、今度は山口書記長がまたこれについてやりとりをいたしております。が、そのときは今作業中だということでありましたが、作業の大体の内容のようなものがぼつぼつ漏れております。西暦二〇〇〇年、平成十二年になるのですか、その段階で我が国自給率は今の作業の過程で一体どういうふうになっているのか、改めてお尋ねをいたします。
  56. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 今、農政審の小委員会で御論議をいただいているところでございます。全体の需要あるいは生産につきまして、経済成長でありますとか食生活の動向、あるいは今後展開が見込まれます技術の発展というものを踏まえまして御検討をお願いしているわけでございます。  ただ、その結果、見通しの数値としまして自給率が出てくるわけでございますけれども自給率につきましては、米の消費が減少する一方、畜産物の消費の増加など、国民の食生活の変化が急速に進んでいるわけでございまして、御案内のとおり国土資源に制約のある我が国では、畜産に必要となる飼料穀物の大部分を輸入に依存せざるを得ないというようなことから、現在の自給率になっているわけでございます。  飼料穀物を国内で生産することにつきましては、我が国農業生産構造やあるいは生産性から見まして輸入飼料穀物価格に比べ相当割高なものになるということから、畜産農家の利用には率直に言って無理があると思います。そういうことで、我が国畜産の健全な発展を図り、さらに国民に良質で安価な畜産物を供給するということからいたしますと、安価な飼料穀物の安定的な輸入ということが不可欠であると思っています。  それで、私どもとしましては、飼料穀物につきましては輸入に依存をせざるを得ないというふうに考えておりますけれども、米につきましては自給するということを基本に据えまして、その他の作物につきましても、消費者ニーズ等需要の動向に対応して極力生産性向上を進めながら、国内生産の維持拡大を図れるものについては積極的に図っていくという方向で、現在検討をしておるところでございます。
  57. 田中恒利

    田中(恒)委員 新聞によると、農水省は十日開いた自民党農業基本政策委員会農産物の需要と生産長期見通し案を示した。これによると、今言われたような内容があって、数字が出ておる。穀物自給率は二八%から三〇%程度、こういう範囲内の数字が示されておるわけでありますが、これをそのように理解してよろしいですか。
  58. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 自給率を考える場合にいろいろな見方があると思います。従来から総合自給率でありますとかカロリー自給率でありますとか、あるいは穀物自給率というようなことがあるわけでございますけれども、穀物自給率につきましては、釈迦に説法かもわかりませんが、食用の穀物と飼料用穀物というふうに大別して分かれるわけでございますけれども、食用につきましては、先ほども申し上げましたように米は自給を基本とし、小麦等につきましても、従来から日本の小麦需要に充当しましためん用小麦について極力生産、供給をしていくというふうな建前に立っております。飼料につきましては、輸入に依存をせざるを得ないというふうな立場に立っておるわけでございます。
  59. 田中恒利

    田中(恒)委員 あなた、さっぱり数字を言わぬからいけないんだ。私、それもいただいてちゃんと持っておるんだ、ちゃんと書いておるんだよ。自由民主党に言って、国会では言えぬということなんですね。これは数字が出なければだめなんだよ、わからないんだ。  それで、大臣、あなたこの間予算委員会で、自給率はこれ以上下げてはいけない、上げなくてはならないとおっしゃいました。間違いありませんね。
  60. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 私は、何とか歯どめをかけたいな、こういうふうな切なる願いの気持ち、そんなようなことを申し上げた、こういうことでございます。
  61. 田中恒利

    田中(恒)委員 まことにせつない娘心のようなものではこれは困るのでありまして、やはりこれは農政基本ですよ。  そこで、これはまだ検討中ということですから確定しておるわけではありませんが、政策的に自給率をこの程度にしたいというものはあってしかるべきであるし、政府のこの長期需要見通しの中にそれは織り込まれるべきであると私は思いますが、その最終決定の際に、今の自給率よりも——これはいろいろありますよ、自給率というのは。だから、あえて私は穀物とも言っていないが、その自給率よりも、これから平成十二年、二〇〇〇年に至る場合には上向かすということは間違いございませんか、その点だけ。
  62. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 国内生産での供給というのは、品目ごとに需要の動向に応じて日本の土地条件あるいは気象条件その他技術展開等に即してやるもので、私どもはやはり個別に何はどういうふうに持っていくというふうな形で明らかにしたいというふうに考えております。
  63. 田中恒利

    田中(恒)委員 あなた助け舟出すから、あなた長ったらしくやるからよくわからぬのだ。私は政策決定者である大臣お尋ねするわけですが、大臣はこれ以上下げてはいけない、上げたい、それは極めて切なる我々の思いであると言うが、切なるというのは、やりたいと思ったけれども今言われたような諸般の情勢を見ていったら計算上はなかなか上がるわけにいかぬ、こういうことになってしまったんじゃこれは水の泡になるので、やはり食糧自給率を高めるということは我が国農政基本ですよ、だれに言わせたって。それが下がるようなことでしたら、今の農村の危機なんかはますます深刻になって農業は倒れるわけですよ。ですから私は、政策決定者である大臣としては上げる、こういうふうにここでこの際言明をしておいていただきたい、こういうふうに考えるのですが、そのお気持ちはございませんか、ありますか。
  64. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 自給率が下がっておる話は今先生からのお話のとおりでございまして、そういうふうな中でこれから何としても自給率を、先ほど申し上げますとおりにこの辺でその低下傾向に歯どめをかけたいな、こういうふうな気持ちを申させていただいておるものでございまして、また、農政にかかわる者としてそのことが偽らざる気持ちでございます。そういう中で今日作業を進めておるということでございます。
  65. 田中恒利

    田中(恒)委員 今もお答えがあったようでありますが、改めて水田転作の後期の展開について政府のお考えをお聞きしたいと思います。
  66. 松山光治

    ○松山政府委員 水田農業確立後期対策につきましては、地域輪作農法の普及確立等を軸といたしまして足腰の強い水田農業確立を図る、それとともに需要に応じた米の計画的な生産を推進するという観点に立ちまして、関係者の意見も聞きながら慎重に検討を進めてきておるところでございますが、できるだけ早く結論を得るべく最終段階の詰めを今急いでおるところでございます。
  67. 田中恒利

    田中(恒)委員 これは今与党の方もおっしゃいましたが、関係団体だれに聞いてもこれ以上の減反はもうお断りです、それに従うわけにはまいりませんというふうなことを農協なども明確に言っておりますし、農業団体農業者はもちろんであります。私たちも現行八十三万ヘクタールを上回るような減反は当然考えられない。むしろ私たち社会党は、これから二十一年かけて先ほど質問いたしました穀物自給率を今の倍にしていくという長期目標を掲げて、えさ米なり裏作麦なりあるいは穀物飼料を大胆に、特に食用以外の作物をつくる水田に考えていくというような観点に立った政策を、決定ではありませんが既に中間報告としてまとめておるわけでありまして、これ以上の減反というものはともかくもうやるべきではないということで、これはほとんど各党が一致をしておると思うわけであります。  そういう場合に、穀物の自給率を高めるために必要ないろいろな施策や手法が、今さっき局長さんは地域輪作農法といったようなことを言われましたが、改めて本格的にこれは検討していかなければいけない。地域の輪作農法と同時に農家経営計画というか、そういうものまで踏み込んだものをしなければいけませんが、その際私たちは一つの課題としてえさ米という問題を出しております。この飼料作物、特にえさ米について、これは農政審などからももう数年前から課題として政府に提起もされておる経過もあるわけでありますが、技術会議でどのようなえさ米の開発、多収穫米の研究が済んでおるのか、この際お示しいただきたいと思います。
  68. 西尾敏彦

    ○西尾政府委員 技術会議でございます。  飼料用作物の試験研究、特に水田における飼料用作物の試験研究につきましてお答えをいたしますけれども、まず主食用以外の米の利用の幅を広げようというような目的で、私ども昭和五十六年から十五年計画で超多収に関する試験研究を実施しております。これまでに二割ないし三割増収する、例えばハバタキ、オオチカラというような品種を育成してまいっております。さらに飼料作物についてでございますけれども、水田に生育する、つまり耐湿性の強い品種ということで、例えばギニアグラスのタミドリというような品種を育成してまいっております。  そういうことで今後とも試験研究をさらに進めてまいりたい、多収品種さらに飼料作物の品種改良を進めてまいりたいというふうに思っております。  以上でございます。
  69. 田中恒利

    田中(恒)委員 今やっておる部分的に地域畜産と結びついた水田を活用した転作作物というものが、一定のところまで、大したことはありませんが、済んでおりますね。済んでおりますが、品種はほとんど在来種ですね。私は、これはやはり、もしえさ米というものを考える場合にはえさ米の専用 の品種が設定されなきゃいけぬと思うのです。その研究は、私たちが聞いたら、今二〇%から三〇%と言われたが、私はもう少し高いというふうにも個別の研究者からは聞いておるのであります。既に実用化はやればやれる、こういうこともはっきり言うわけでありますが、早くそういう専用品種を設定していく、一つにはいかないのでしょうけれども、方向に向かって努力をしてもらいたいと思うのですよ。  米の減反、米つくるな、こういう指導というか、そういうムードが続いてきておったわけですから、余りこの方の研究は、こうだああだということはちょいちょい聞きましたけれども、全体としてそういう方向に向かって動いていくという状況はこれまでできておりませんが、えさ米の問題はいろいろありますよ。私どもよく聞くのだ。日本人の文化観点からいって、食べる物を家畜の腹に入れるのはどうだとか、経済性の問題とかアメリカとの関係とか、いろいろございますよ。ございますが、日本の最大の資源である水田を活用して、そしてそこに稲作を定着させるためには、やはり食用米だけでない、別途な他用途米のあり方というのは研究して、できることなら実現させていかなければいけないわけですよ。私たちは一定の見解と一定の確信を持っておりますけれども、研究機関として私はもう大体一定のまとめの段階に来ていると思うので、ぜひまとめていただきますように特に要望しておきます。  そこで後の話題に入ります。ガットでありますが、ガットの今の交渉の状況はどういうふうになっておるか、概略お伝えいただきたいと思います。
  70. 塩飽二郎

    ○塩飽政府委員 ガットのウルグアイ・ラウンド交渉は、御承知のようにもう約三年近くなったわけでございますが、一九八六年の九月にスタートいたしたわけでございます。交渉の項目は、農業は当然その重要な一項目になっておるわけでございますが、そのほか全部で約十五ぐらいの交渉の分野がございました。それぞれの項目ごとにそれを主として取り扱うグループが設立をされておりまして、検討をやってきておるわけでございます。  特にことしの四月、ウルグアイ・ラウンド全体を統括する貿易交渉委員会というグループが設けられておりますが、そこで今後の交渉の残された期間の取り組みについての基本的な合意を行ったわけでございます。これは中間合意と言っておるわけでございますが、農業につきましては、保護の撤廃をすべきであるというアメリカなどの主張もございましたけれども、中間合意では、保護は段階的に相当程度引き下げていくべきであるというような内容での合意が行われ、あわせてことしじゅうに各国が交渉についての具体的な提案を出すというスケジュールが決まったわけでございまして、このスケジュールに基づいて、年内に多分あと一回、今月の末に予定されている交渉グループの会合がございますけれども、その場あるいはひょっとしたらそれ以外にもあるかもしれませんが、交渉の提案を各国が出して、それに基づいて来年末に予定をされております交渉の最終期限までに合意に向かって努力をしていくということで交渉が展開されつつあるわけでございます。
  71. 田中恒利

    田中(恒)委員 そこで、今月の末、これは第十七回目ぐらいだと言われておりますからそのくらいやっておるのでしょうが、我が国政府がこの間の交渉で、基礎的食糧についてはそれぞれの国の判断というか、それを重視していくようなものを中心としたガットのルールというか、そういうものが必要だという食糧安保論を中心とした考えを出しております。しかし、今度本格的にそれについて細かい細部のいろいろな要素をお出しになると聞いておるわけでありますが、そういう場合に、この基礎的食糧、特に各国ともこれは日本では米だ、こう言っているわけでありますが、この米については国内で完全に自給をしていく、こういう立場に立って日本側の具体的な細目を出すということだと思っておりますが、いかがでしょうか。
  72. 塩飽二郎

    ○塩飽政府委員 お話がございましたように、基礎的食糧、そういった非常に重要な位置づけにある食糧農産物につきまして、ガット上特別の措置が講ぜられるような措置を確保していこうというのが我が国の主張でございます。先ほど申し上げました四月の中間合意でも、そういう食糧安全保障あるいは国土の保全といったような、農業が果たしている必ずしも経済的あるいは貿易的な考え方では律し切れない幅広い役割というものをストレートに受けとめた制度をつくっていこうという考え方は一項目挿入されたわけでございまして、私どもそれを足がかりに今先生からお話があったような提案の具体化に向かって現在検討を進めているわけでございますが、基礎的食糧というのはガットの加盟国にいわば横断的に適用すべき概念でございます。また、そういう基礎的食糧に適用されるべき措置、これは主として国境上の措置になろうかと思いますが、それもいわばガット上の制度として予定をするものでございますので、具体的なその措置によって保護すべき国内生産水準というのは、その国の基礎的食糧が何になるかということにかかってくるわけでございます。したがって、常に国内生産水準というのが一〇〇%ということにはならないわけでございますが、少なくとも我が国の米については、これは我が国の基礎的食糧に当然なるわけでございますし、米についての立場は再三にわたって国会でも大臣あるいは総理からも国会の議決を踏まえて国内自給で対処するという基本的な方針が確立をいたしておりますので、それを反映したような提案に当然なるべきものであるというふうに考えておるわけでございます。
  73. 田中恒利

    田中(恒)委員 これは外交交渉でいろいろな国の動きなどもあるわけでありますから余り細かい詰めはできないわけでありますが、大体大要を、何となく薄ぼんやりと我が国政府の姿勢を感じたような気はいたしております。  そこで、多少大きな問題になりますが、これまでの中間の過程の中で、やはりガットというのは、いろいろ言ったってアメリカとECとを中心にして貿易経済圏の拡大を意図して、それぞれの国の要求というか利害というものを中心にしながらぶつかり合うてきておる。オーストラリアは横にあって、日本はそれでなかったが、最近食糧安保論というものを出して以降多少注目をされてきておるが、例えば第一勢力がアメリカであれば第二勢力はEC、第三がケアンズ・グループ、新しく食糧輸入国の立場で我が国がガットの交渉の中で第四グループ的な位置づけになるような状況になっておるのか、あるいはそういうものをつくるような形の動きがあるのかどうか、その辺、もし構わなかったらお知らせをいただきたい。  それからもう一つ、これは大臣にちょっと申し上げたいわけでありますが、私は先ほど自給率の問題を申し上げましたが、やはり食糧安保で、ガットに対して、食糧というのは国の生命線なんだからこれはそれぞれの国で一定の段階は任せてもらわなければいけない、ざっと言えば、そういうものを言っておるわけでしょう。そういうものを言っておきながら我が国食糧の自給というものは逆にどんどんどんどん減っていく、こういうことも何か矛盾しておると思うのですね。むしろ我が国食糧自給率を、カロリーで言うたら七割なら七割、八割なら八割、穀物自給率で言えば六割なら六割、五割なら五割、そういうものは最低ぎりぎりのものとして持っておりますよ、だからそれはガットの中でも認めてもらわなければいけないし、各国はそれぞれの国のそういう自主的な食糧自給の原則を確保してもらわなければいけません、こういう形で進めないと、これはちょっとおかしくなるのじゃないか、こういう感じを私は持っておるのですよ。ですからあえて今の問題と絡んでお尋ねをしておるわけでありますので、もし大臣にお感じがありましたら、ガットの動きと絡んでお答えいただきたいと思います。
  74. 塩飽二郎

    ○塩飽政府委員 農産物交渉に参加している主要国のグループの位置づけみたいなお尋ねだったと思うわけでございますが、御承知のように農産物の貿易の中では、アメリカですとかカナダ、豪州、そういった農産物の主要輸出国があるわけでござ いまして、これらの国は、やはり貿易の自由化という方向では一つの非常に明確な立場を主張する国としてあるわけでございます。お話ございましたように、最近ではECも一つの大きなブロックとして、単一の交渉ユニットとして関係してきているわけでございますが、御承知のようにECは大輸入国でもあるわけでございますが、とりわけ一九八〇年の初頭からは域内における農産物生産力が非常に向上した結果、今や輸入国よりも輸出国の性格が強くなったわけでございます。どちらかというと輸出国としての立場、具体的には域内で生産された過剰農産物を輸出補助金で現在世界に向かって輸出をしておるわけでございますけれども、そういった地位をウルグアイ・ラウンドの中で確保していきたいという立場が非常に強く出てECの主張がなされるわけでございます。  一方、輸入国としては、御存じのように日本は最大の農産物の純輸入国としての立場がございます。日本以外にスイスですとかあるいはオーストリー、北欧といったような比較的農産物の輸入に依存をしている度合いの高い国がございますけれども我が国に比べると人口規模あるいは輸入の規模がかなり小さいわけでございまして、そういった国々の主張も我が国と近い面はございますけれども、例えば食糧安全保障の確保のための手段をどのようにガット上位置づけていくのかということにつきましては、具体的な手段面では必ずしも我が国と主張を共有するものではないというふうに受けとめておるわけでございます。しかしながら我が国としては、我が国の主張を理解させるためにもこういう輸入国との共同の立場というものをできるだけ確保する必要があるというふうに考えておりまして、あらゆる機会にこれらの国々との意思の疎通を図っているというのが我々の現状でございます。
  75. 田中恒利

    田中(恒)委員 大臣は答えますか。
  76. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 自給率の減少傾向についての原因につきましては官房長から申し上げたわけでありますが、その中で何とかこの辺のところで歯どめをかけたいなという切たる気持ちを持っておりますということを申させていただいているところであります。
  77. 田中恒利

    田中(恒)委員 そこで、ガットでもう一つだけちょっと御要請しておきますが、今度のガットの交渉の項目の中に、動植物の検疫制度をガットとして検討していくというのがあるようでありますが、これは、それこそ輸入国である我が国にとってはいわゆる食品輸入の安全性の問題に関することでありまして、どういうような目安、どういう基準、どういう体制で動植物の検疫というのを見ていくのか、非常に関心の高いところであります。この点については、特に日本の消費者にも今外国からたくさん入って心配だというのが満ちておるわけでありますから、政府として厚生省も非常に関係があるわけでありますが、十分連絡をとって、動植物の検疫制度というものが何か非常に厳しいところもあるし、その下もあるし、真ん中をとるということになれば全体としては私は後退だと思うので、検疫制度というものこそ、特に貿易品目というのは安全性の問題に一つの大きな心配があるわけでありますから、やはりやるとすれば一番厳しいところに持っていかなければいけないのでしょうし、いろいろ意見があると思いますから、特にこの点については力を入れて目を配って対応していただきたいということを要請しておきたいと思います。  そこで、もう時間が余りありませんので、一、二問だけお尋ねしておきます。  農業者年金でありますが、この農業者年金については、当初は農民に恩給をということで佐藤総理のときに言い出したのだと思いますが、二百万ぐらい入るだろうと言っておりましたが、今はたしか加入者は七十万人で受給者が六十万人、こういうことになっておりますね。そして、経営移譲年金が五十万人を割って、老齢年金が三十五万人といったようなことで、年金財政というのは非常に厳しいから、年金理論、年金財政論でいくとなかなかこれは一番難しい年金になっていますね。だから、今農林水産省の方では、担当局でこの検討を始めて、次の国会に何か、恐らく給付を下げていくというようなことでしょうが、これはさっき以来申し上げました農村の今日の状態というものを考えた場合に、果たして農業政策農業問題だけで処理できるのかどうかという議論が一方にありますし、ヨーロッパなどの例を見ると、そういう形で環境の保全であるとかあるいは年金であるとか、あるいはその他の社会保障制度を通して農村の地域社会を健全なものにしていくということが国土なり国家の存立にとって非常に重要だ、こういう認識でほぼ国民的コンセンサスができて、さまざまな政策がとられておるわけですね。私は、農業者年金というのは、そういう視点に立って、思い切って、国が責任を持って進めていくという状況に向けなければいけないと思っておるのです。そういう意味では、そういう方向に向かって年金制度のあり方というものを検討していただくように、これもこの際大臣の御見解をいただいておきたいと思います。  それから、もう時間がありませんから一括いたしますが、オレンジ・牛肉の自由化がありましたね。この自由化でもって、日本の和牛、特にいい牛の値はそんなに下がらないですね。高値、特に子牛の高値は、不足払いをつくりましたけれども非常に高いですね。この状態でいくと、恐らく今高い牛を買って育てて、そして出すころ、つまり九一年四月から牛肉完全自由化になるわけでありますが、この時点ごろにぶつかってまいりますね。そうなると、せっかく何とか生き抜いてやろうかという空気が出ているところへ大変な価格暴落が出てくるのじゃないかという心配を多くの人がしておりますね。こういうことに対応する畜産政策というものを自由化後の対策として考えていただきたいということが一つ。  それからオレンジの問題は、減反ということを中心にいたしまして、減反の奨励金を出しましたね。税金などで努力されたことはよく知っておりますが、一般的に、私のところはミカンの産地でありますけれども、ともかく後ろ向きの政策だと。やめる者に補助金を出していく。米もそうでしたけれどもね。これも一つ意味はありますけれども、そうしたら生き残った連中は一体どうしたらいいのか、これが明確でない。全然ゼロとは言いませんが、大したものじゃありませんよ。やはり生き残って国際的に対応できる農業をつくっていくという諸君に対して、具体的にどういう手を打っていくのかというものをもっと大きく大胆に打ち出していかなければいけない、こういうふうに思っております。そういう点についてお考えがありましたら関係当局の方からお答えをいただきまして、私の質問を終わります。
  78. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 農業者年金の問題につきましては、先生今申されたとおりに、近年、農業者の兼業化やあるいは高齢化の進行によりまして、加入者が減少する一方受給権者が増加しておりまして、年金財政の長期安定化を図ることが緊急となっております。こうした状況に適切に対処できるよう、現在、本制度の今後のあり方につき関係方面の御意見を聞きつつ、さまざまな角度から検討を行っているところでありまして、その結果を踏まえ、次期通常国会を目途に改正法案を提出する予定でございます。
  79. 岩崎充利

    ○岩崎政府委員 子牛価格の問題でございますが、牛肉の輸入枠撤廃に伴います子牛価格の低落問題につきましては、昨年成立を見ました肉用子牛生産安定等特別措置法、これによりまして基本的に対応できるというふうに考えておりますが、ただ先生指摘がありましたように、最近時の高水準の価格で素牛を導入した肥育経営牛につきまして、その最終生産物であります肥育牛の出荷段階で枝肉価格が下がったときどうするんだというお話でございます。  私ども、このような事態に対処するために自由化関連緊急対策の一環としまして、新しい今の子牛価格安定制度を発足前に導入された子牛が出荷されるまでの間において肥育経営の所得が一定の水準を下回った場合には、その影響を緩和してそ の後の経営を継続させるための負担軽減措置を講ずるという措置を講じているところでございます。
  80. 松山光治

    ○松山政府委員 かんきつの輸入自由化対策といたしましては、御案内のように総額一千億円を超える対策費を予定いたしまして、生産、流通、加工、消費、各般の面にわたる対策を実施しておるところでございます。  今御指摘のございました園地再編対策の問題につきましては、ミカン園の立地が比較的急傾斜のところに多いといったようなことで、ミカン以外に適当な作物がない。そういうことで廃園等がかなりのウエートを占めておるということで、今御指摘のような印象があったのかと思いますけれども、この対策基本は、需給均衡の回復を図るということのほかに、基本的には通地通産の考え方を基本といたしまして、条件の悪い園地につきまして他作物への転換等を進めてもらう、それで優良園地を存続させる、そういうことで国際化に対応し得る足腰の強いかんきつ農業をつくり上げていく、これを基本にする対策でございますし、そういう観点から園地の再編整備を進めるためのハードの事業その他もいろいろと準備をしておるところでございます。私どもとしては、各産地が私どものそういう考え方をよく御理解いただきまして、それぞれの立地条件に即した足腰の強い産地づくりを目指して頑張っていただきたい、このように考えておる次第でございます。
  81. 近藤元次

    近藤委員長 次に、五十嵐広三君。
  82. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 今それぞれ先輩議員からお話がございましたように、後期対策における転作面積は、もうとてもこれ以上強化されてもどうにもならぬ、地域によっては、これ以上強化されるというようなことではもう返上するというような厳しい声があるわけで、当然これらを踏まえて各党においても、現行の八十三万ヘクタール以上についてはまかりならぬ、少なくても据え置くようにということが一致した意見ではないかというふうに思うわけであります。  こういう点を踏まえて、先般来大変御苦労をいただいているわけでありますが、もう二、三日で最終的な決定になるというふうに思うわけで、ぜひ大臣におかれては、これらの農民の声あるいは各党の見解というものを踏まえて、据え置きという方針に決めていただきたい、こういうぐあいに思いますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。     〔委員長退席、保利委員長代理着席〕
  83. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 今日、後期対策につきましては、先生御案内のとおりに詰めの段階に入っておりまして、関係者の意見を聞きながら慎重に検討を進めておるところでございますが、基本的な考え方の結論を得るべく最終段階に入っておりまして、詰めを急いでまいりたい、このように考えておるところでございます。
  84. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 あわせて御要望申し上げ、また見解もお伺いしたいというふうに思うのでありますが、今それぞれ農家が大変な経済的に厳しい状況にある。殊に主業農家がそういう面では、最近の自由化であるとか農産物価格の切り下げだとかあるいは転作の強化等の中で、非常に危機的な経営あるいは生活の実態になっているというふうに思うわけであります。そういう中で、後期対策において転作奨励金が万一切り下げられるというようなことになってはゆゆしいことだというふうに私どもは思うわけであります。ぜひこの奨励金の、現行で千七百億ぐらいであったかとも思いますが、この総枠は少なくとも維持してほしい。本来であれば、転作の環境を改善していくというような中から増額が望ましいというふうに思うのでありますが、少なくても現行の総枠は確保してほしい、このように思うわけであります。  同時に、ちょっとお伺いをしていると、加算額を重視して基本額を切り詰めていくというような傾向のようであります。そういう一つの方向というものについては理解をいたしたいというふうに思いますが、しかし、何といったってこの基本額に関しては、これは農家の所得にストレートに入るわけでありますから、ここのところが急激に切り下げられるということになると、先ほど申しましたようになかなか容易でない農業経営の中で非常に厳しさを増すということにならざるを得ないわけで、この点については十分な配慮が必要でないかというふうに思うので、これらについての御意見を伺いたいと思います。
  85. 松山光治

    ○松山政府委員 水田農業確立対策は単なる米の需給調整措置ではございませんで、足腰の強い水田農業確立に向けて誘導していくための対策ということで、今先生から御指摘がございましたように、これまでも加算を重視して望ましい転作営農の方に誘導するという観点からの見直しをやりながら今日まで至っております。  今、私ども後期対策の詰めを急いでおるところでございますが、これの助成のあり方につきましては、これまでの実績あるいは経験を踏まえながら、基本的な考え方としては、地域輪作農法の確立なり定着あるいは合理的な土地利用を進める、そういうことで我が国水田農業を望ましい形に誘導していくという観点からの必要な助成措置の見直しというのをぜひやりたいというふうに思っております。今いろいろと御指摘がございましたが、私どもも、そういうことを頭に置きながら必要額の確保に努める、こういうことで臨んでまいりたいと思っております。
  86. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 この前、大臣は北海道に現状の御視察をいただいて、お礼を申し上げたいというふうに思います。  あのときにも御食味をいただいたようでありますが、きらら三九七など大変食味のいいものも今北海道では開発され、しかも非常な勢いで普及を見ているわけであります。確かに従前、そういう食味の上であるとかあるいは収量の安定というような点では反省すべき点があったというふうに思うのでありますが、 最近の関係者の努力で非常な勢いでこれが改善を見ている、食味のよい耐冷性の品種が広く普及しているということは、大臣、直接ごらんをいただいたというふうに思うわけであります。     〔保利委員長代理退席、委員長着席〕 同時に、特別自主流通米等につきましても、従前とは異なって、積極的な関係者の取り組みで、今年は限度数量の五割というラインを超えるのではないかというふうにも思うわけでありますし、今後も急速に拡大することは確実であろうというふうに思うわけであります。特に、消費純増の拡大政策等については、みずから一生懸命努力をして成果を上げているのも御存じのとおりであります。  一方で、言うまでもありませんが、その経営面積は都府県から見ると著しく広いわけで、一戸当たりの平均水稲面積は都府県の約六倍、それから、五ヘクタール以上層で見ると約八倍に及んでいるわけで、当然この生産コストは着実に低減されてきている。大幅な転作のもとでも、現状、都府県平均から見ると八割を切るコストになっているわけであります。こういうふうに北海道は主業農家が米生産の大宗を担っていて、生産性が非常に高い。おいしくて安い米を供給できる大きな可能性を持っているわけで、関係者は、そういう意味では官民挙げて一層の努力を今しているのは、これも御承知のとおりだと思うのであります。北海道のこういう稲作が、すぐれた専業的農家の意欲的な努力を得ながら、我が国の米の主産地の一翼を担う地位を確立すべきものとして今日あるというふうに私なんかも確信をしているのでありますが、大臣は、こういう北海道の稲作の位置づけ、将来展望等についてどういうぐあいにお考えになっているか、御見解をお伺いしたいと思います。
  87. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 今先生申されたとおりに、私も北海道へ参りましていろいろと実態を見させていただきました。水田面積及び水稲作付面積とも我が国の都道府県の中で最も広く、都府県に比較して一戸当たり作付規模が大きいことから、生産性の高い稲作が行われておるというふうなことを目の当たりにいたしたわけであります。  また、北海道の米につきましては、これまた先生申されたとおりに、いい米をつくっていきたい ということで、私もきららをごちそうになりましたが、関係者が一体となって取り組んでおられる、このような努力に対しましては高く評価されるところではないか、このように思っております。  これらの積極的な取り組みによりまして、北海道の水田農業は今後とも、高い生産性等を生かしつつ、我が国水田農業の一翼を担っていくものと私どもも考えておるところでございます。
  88. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 ぜひひとつ政府におかれましてもそういう見解で、北海道の水田農業の今後について各面からの強力な御支援をまたお願い申し上げたいと思うわけであります。  そこで問題なのは、北海道の転作目標面積なのであります。現状、本州主産地から比べますと、平均の約三倍、それから都府県平均の約二倍にも及ぶ転作配分がなされている。その傾斜配分も甚だしい傾斜配分で、それはもう北海道で大臣も聞かれたと思うけれども、我々も農家を回ってこういうことに対する憤りというものは非常に大きなものがあるわけであります。せっかく北海道が持っているこういうスケールメリットをみずから減殺しなければいけないということになるわけで、しかも転作作物もいずれも生産抑制を受ける。全体の畑作に対するしわ寄せ、需給への重大な影響というようなものもあるわけであって、こういう余りにも過酷な、極端な傾斜配分についてはぜひ是正をしていただきたい、これが北海道の農民の一致した意見であります。この点について、ぜひひとつ前向きの御配慮をいただきたいと思うところでありますが、いかがですか。
  89. 松山光治

    ○松山政府委員 ただいま大臣からも御答弁がございましたように、近年の北海道の良質米生産等への積極的な取り組み、私どもとしても高く評価しておるところでございますし、かつまた今御指摘のございましたように、都道府県の中でも相当高い転作率の中でいろいろと御苦労いただいているという事情も承知をいたしているわけでございます。そういう現状につきましてはそれなりのいろいろな事情があったということも事実でございますし、また、全体といたしまして近年米の需給ギャップ、消費の減退なりあるいは生産力の向上といったような状況の中で、引き続き今後とも消費拡大努力を含めまして相当の需給調整努力を必要とする実態にあるということも我々としては認識せざるを得ない事情があるわけでございます。  こういうことをいろいろと考えてまいりますと、今後とも北海道におきましても応分の調整努力はお願いしなければいけないし、またそうすることが日本の水田農業の健全な発展につながるということで、ひとつ御理解を賜りたいと思っておる次第でございます。
  90. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 ぜひひとつ、前段申し上げた北海道のさまざまな努力というものの評価もしていただきながら、配分に当たっては納得のいくような配分の御配慮をいただくように重ねて御要請を申し上げておきたいと思います。  それで、同時に非常に頭の痛い重要な一つでありますのは、土地改良事業の地元負担金の償還問題であります。  これは今までも本委員会で私も何回か指摘し、御要請を申し上げてきているところでありますが、償還のピーク期を迎えて、自由化あるいは農産物価格切り下げあるいは転作の強化等さまざまな厳しい環境の中で、しかも当初計画から見ると完工おくれということで工事費が二倍にも三倍にもなっているという中で、どうにも対応のしようがない、払いようがないということが各地で起こっているわけで、農家土地改良区もあるいは農協も含めて、地域が本当に危機に瀕している、非常に深刻になっているわけであります。  そこで、農水省におかれてもこれらを踏まえて、六十三年度は償還円滑化対策事業を創設いただいた。それから平成元年はリリーフ資金制度を創設いただいた。それぞれ一定の成果を上げていると思うのでありますが、しかし実際に農家と話をすると、率直に申し上げてどうも焼け石に水だ、こういう声もまたあるわけであります。そういう中で堀之内前農水大臣が、一千億ぐらいをこの土地改良の農家負担軽減のために投入して抜本的対策をとろうじゃないかというようなことを言ったことがあるのでありますが、私は大いに農家皆さんと期待をして、それがどう具体化するかということを楽しみにしているわけなんでありますが、一体それはどんなことになっているかということであります。  同時に、農産物価格引き下げ等の関連あるいは自由化等の関連もあって、周辺対策としても重要な問題ということで、これから数年にわたって各年百億円を基金として造成しながらこれを運用して、かつその基金そのものも取り崩しながら思い切った負担軽減のための制度を設けよう、いわゆる土地改良負担金総合償還対策事業の創設を今検討中というふうに伺っているわけでありますが、この機会にその概要等について御説明をいただければ幸いだと思います。
  91. 片桐久雄

    片桐政府委員 土地改良事業の農家負担金の軽減問題につきましては、先生指摘のように六十三年度、平成元年度いろいろ対策を講じてきたところでございますけれども、最近の厳しい農業事情を勘案いたしまして、平成二年度からもう一歩踏み込んだ対策を実施したいということで、現在、土地改良事業実施地区約五千五百地区につきまして調査をいたしたところでございます。この調査結果を踏まえてまして、具体的な平成二年度からの実施すべき対策の内容について検討を進めているところでございます。  来年度から対策を実施しようとするその対策の具体的な中身につきましては現在検討中でございますけれども、その考え方の骨子は、先生今御指摘のように、必要な資金を数年かかって造成をして、負担金の償還が困難な地区に対しましてその資金を使いまして償還の平準化のために必要な助成措置を講ずる、こういう方向で検討をいたしている次第でございます。
  92. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 今の段階ですから、余り詳しい御説明がいただけないのはやむを得ないというふうに思いますが、ぜひ実態に即した制度にしてほしい。殊に限度額のライン引きに当たっては、十分に農家の実情に合うように設定をしてもらいたい。制度がせっかくできてもどうもちっとも我々には縁がないというような声の出ないように御配慮いただきたい。まあ昔から何だか一俵くらいが大体限界だというようなことは常に言われてきているのでありますが、そういう意味では、どうぞひとつ、今までのようにせっかくつくったけれども焼け石に水だなんということでない、よかったな、本当に御心配いただいているな、頑張ろうじゃないかという気持ちを農家皆さんが持てるような制度を設けていただきますように、この点を強く要請をしたいと思います。特にまた、今度転作で遊休化している水利施設等の問題があるわけですね。これらにつきましても、改めて言うまでもないのでありますが、十分な国費での配慮等措置を講じていただきたいということ等も申し上げておきたいと思います。  大事なときでありますので、農水省を挙げて我が国農業あるいは農家の暮らしを守る上で全力を尽くしていただきますように御要望申し上げて、質問にかえたいと思います。どうもありがとうございました。
  93. 近藤元次

    近藤委員長 午後一時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ────◇─────     午後一時十五分開議
  94. 近藤元次

    近藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。串原義直君。
  95. 串原義直

    串原委員 初めに、農産物長期需給見通しに関連して伺いますが、これは基本的な問題ですから、この問題は大臣からひとつお答えをちょうだいしたいと思っているわけであります。  まず最初に、来年度から始めて平成十二年を目標とする長期見通しは、大臣、いつごろ確定したいと考えておりますか。
  96. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 今年中に打ち出したいと思って おります。
  97. 串原義直

    串原委員 そういたしますと、その答えが出て国民に公表するのはそんなに時間がない、こういうことになるわけでございます。  そこで、基本的な問題でありますからまず大臣に、独立国といたしまして自給率問題がいろいろ議論になっておりますけれども、私はこの際あえて基本である穀物自給率に絞って伺うわけでありますが、大臣は、我が国としてはどの程度が望ましいと考えておるのか。先進諸国、アメリカは当然ですけれども、イギリス、フランス、西独等々、ほとんど一〇〇%を超えているわけです。ところが我が日本は現在三〇%。ちょっとこれでは将来心配だな、大臣、こう思いませんか。
  98. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 率直に申し上げまして、できましたらば自給率向上させていきたい、こういうふうな気持ちを持っておるわけでございます。  ただ、今先生が申された国との違いは、やはり国土条件の制約なりあるいは生産構造の違い等で畜産に対する飼料穀物というふうなものがどうしても割高にならざるを得ない、こういう状況から輸入に依存せざるを得ない、こういうふうなことであります。  そのような状況の中でどう国内生産と組み合わせをしていくかというのが基本的な考え方になってくるわけでありますけれども、気持ちの上では、この辺のところで自給率に対して歯どめをどうしてもかけたいな、こういうふうな考え方を持っておるわけでありますが、今日の日本の生産体制の状況からして、いろいろな面で非常に難しい問題を抱えておるのではないかと率直に考えておるところでございます。
  99. 串原義直

    串原委員 大臣我が国の諸条件が難しい立場にあることは私も承知をしているつもりです。その点は大臣と私も同感ですよ。  ところが、できれば上げたいけれども難しいと大臣言われた、その答えにもう一度踏み込んでもらって伺うわけでありますけれども、よく言われますところのイギリスの例ですね。戦前イギリスは四〇%近くに穀物自給率が下がった。これは大変だというので、以来自給率を高めることに随分と努力をしてきた。とりわけイギリスが戦後EC諸国に加盟するという状態になってから、より自給率を高めてきた。今日では百十数%と言われていますね。これは御承知のとおりであります。  つまり、大英帝国がいろいろな歴史があってそうなったことでございましょうけれども、とにかく条件としては島国である日本とイギリスはそんなに違わない。山は若干日本の方が多いでしょうね。それにいたしましても、諸条件がそれほど違わないと考えられるイギリスの場合、そういう歩みを続けてきた。これはいかに食糧自給を重視したかということがよく理解できるわけですね。この歩みを今こそ我が国も、一遍にはいかぬでしょうけれども、やはり歩まなければならぬのではないか、こう思うのです。  大臣、今たまたま答弁の中で、できれば自給率を上げていきたい、こうお答えになりましたが、イギリスがやったのですから、イギリスのような歩みを我が国もやるような努力をしたい、しよう、これは腹の問題です。やろうという気になるかならないか、政治姿勢の問題だと思う。そういうことをお感じになりませんか。
  100. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 自給率の中でも、先生一番御案内のとおりに、いろいろなとり方がございまして、特にその中で基本的になるのはカロリーベースの自給率、こういう中で、国の基本でありますから歯どめをかけていささかなりとも上げたいというふうな気持ちは、私ども農政にかかわる者として偽らざる気持ちでございます。  穀物自給率につきましては、先ほど申させていただいたとおりに、国のいろいろな制約あるいは生産構造等の問題もございまして、なかなか自主的に自給率を高めていくということは大変困難な問題があるのではないかなと率直に思っておるわけでございまして、その点は先生一番今日の状況というふうなものを承知をされておるわけでございますが、私どもといたしましては、なかなか難しいなというふうな、こういう気持ちであります。
  101. 串原義直

    串原委員 やはり国の方針として穀物自給率を上げていこう、政府が腹を据えて国民にその同意を得ていく、コンセンサスを得ていく、この姿勢がまず最初になければならぬ。難しいなと言っていればいつまでも後退する以外にない、こう私は思う。前進していくために何をすべきか、どう腹を据えるべきか、ここがまず第一ページだと思うのですよ。ということを私はここで強調したいというのは、これから平成十二年に向かって長期計画を立てようとする時期でありますだけに、特に強調を申し上げているわけです。非常に大事なところだと思うのですよ。今の御答弁にもう一足前へ出て答弁をすることはできませんか。
  102. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 先ほど来から申させていただいておるわけでございますが、気持ちといたしましては、自給率が減少傾向にある、こういうふうな中において、カロリーベースの自給率を中心としてこの辺のところに歯どめをかけたい、本当にそういうふうな気持ちでございますけれども、なかなか今日のいろいろな状況なり条件なりというものを考えた場合に、特に飼料穀物につきましては果たして本当にそれだけの生産体制をつくりあげることができるのかな、こんなことを思いますと、穀物自給率を上げていくというふうなことにつきましては正直申し上げましてなかなか困難ではないかな、こんなふうに思っておるところでございます。
  103. 串原義直

    串原委員 次期の長期見通し、平成十二年に至る長期見通し、これは二%でも三%でも高めていく努力をするであろう、私は実は期待をしているわけなのですよ。そういうものを策定するであろう、こう期待をしているわけです。  ところが、まだこれは検討の過程ですから結論ということにはなっていないでございましょうが、ある新聞の報道されるところによりますと、穀物自給率は現在より、今大臣が答弁された立場よりさらに後退する、自給率二八%程度になるのではないか、こういう報道があるわけです。今それぞれの立場で、苦しいけれども自給率を高めよう、こういう議論をしておりますときに、次期長期計画では穀物自給率二、三ポイント下げていくという長期計画をつくるということは、これは大臣いかがなものでございますか。こんなものをつくるのですか。
  104. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 現在、農政審の小委員会で御検討をお願いしているわけでございますけれども、やはり農業生産は、その国々を取り巻いております自然条件とか気象条件とか国土条件、これによって最も適するものを生産していくということが基本ではなかろうかと私ども思います。先ほどイギリスの話がありましたけれども、イギリスの場合には麦というもので、イギリスに最も適する作物であったわけです。日本の場合は米でございますけれども、米につきましては自給を基本としてやっていく。それからまた、日本に通しております野菜でありますとか果物でありますとか、そういうものにつきましても国産の供給量を極力高めていくというような方向をとっておるわけでございます。また畜産につきましても、最近の畜産物の需要の増大に応じまして、畜産物の振興をそれぞれ大家畜から中小家畜までやっていくという施策をとっておるわけでございますけれども、えさにつきましては、畜産物を安価な価格国民に供給するという立場から、国内で生産というのはなかなか容易でないということで安い飼料穀物を安定的に輸入するという立場に立ってやっておるわけです。自給問題というのは、やはり個々に積み上げて見ていくということが基本ではなかろうかというふうに考えております。
  105. 串原義直

    串原委員 私はよくその辺は承知しているつもりですよ。例えば今、えさ、飼料の話があった。安い飼料を安定的に輸入していくという話があったが、できなかった場合を想定しなければいかぬということを私は裏返して言っているわけです。いつまでも、どんな時代になっても安いえさが、飼料が、あるいは食糧が安定的に輸入できるという保証はない、世界情勢は。そんな甘っちょろいも のではない。特に、食糧に関する限り将来は常に心配を伴っていかなければいかぬ、こう考えておりますから、私はそう強調しているわけです。自給率はできるだけ汗を出して上げていこう、これが国策でなければいけませんよ、こういうことを言っているわけなのです。  でありますから、せっかくの答弁ですけれども大臣、改めて申し上げますが、できるだけ高めていこうという願望を大臣として持っている、しかし条件は厳しゅうございます、こういう話でございます。しかし、次期の長期計画は現在の自給率よりも二、三%下がるであろうというような、一足下がった長期計画を立てるべきではない、こう私は考えているのです。この点について、大臣の考えを伺います。
  106. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 先ほども申し上げさせていただいておりますが、農政にかかわる者として自給率の減少傾向を何とか歯どめをかけたい、これは本当に偽らざる気持ちでございます。しかし、これから長期見通しの中で、経済情勢なりあるいは食生活の動向というふうなことによっていろいろな形で変動が起きてくるわけでございまして、そんな中で総合的に見通しを立てあるいは今日の生産構造、今日の我が国国土条件の制約等々を考えた場合に、なかなか穀物自給率を上げていくということは本当に困難なことなのだなというふうなことを今思っておるところでございます。
  107. 串原義直

    串原委員 まだその長期見通しの結論が出ていないようでございますから、せっかく努力を願って、次期長期見通し、悔いのないものを立派なものを樹立されて国民の前に示してもらいたい、強く要請を申し上げておきたいと思います。  そこで、これと関連して伺っておきますが、この現在の長期見通し、計画と実績を比べてみますと、いろいろな感慨を持つわけでございます。その質疑は他日に譲ることにいたしますが、特にこの中で、この際一言触れておきたいと思うのですけれども、この生糸の需給見通しの違い、一体これは何であったのか。私は率直に申し上げて、ここ十年来の蚕糸政策は実は政府の失敗であった、こういうことが言えるだろうと思う。  一口に、基準価格は一万四千円であったのが一万円を切って九千八百円に下げる、こんなことをしたのでは養蚕に熱の冷めることは当然ですね。でありますから、ここに数字が出ておりますけれども生産量は昭和五十三年に二十七万俵あったものが六十二年には十三万俵、半分以下に減ってしまった。そして日本で糸がなくなりまして、中国へ頭を下げて何とか売ってくれませんかとお願いしても、なかなかそう思うようにならない状態になってきた。そして事業団の在庫はゼロに近くなってしまった。市場の糸はばか値と言われるほど一時高かった。今はちょっと下がっていますが、高くなった、暴騰したということを繰り返している。私は、まことにちぐはぐであったと思うのですよ。これはいかように弁解をしようとも、政府の政策が適当であったとは思わない。どう反省していますかということと、この反省の上に立って、今後長期計画を立てます場合に蚕糸政策いかがいたしますか。増産しなければならぬでしょう。いかがいたしますか。
  108. 松山光治

    ○松山政府委員 御指摘ございましたように、長期見通しと実際の動きとの間にかなり大きな乖離の認められた品目の一つが生糸でございます。くどくどとしたことは申し上げることはなかろうかと思いますけれども、急激な需要の減少を背景にしながら過剰状態が続くという実態がやはりあったわけでございますし、一時期は十七、八万俵に及ぶような事業団在庫を抱えたということもございました。そういう状況の中で、できるだけ需要の動向に即したような弾力的な価格政策ということで、一定の価格政策が行われたという事情もあるわけであります。  他方、山村地域におきます高齢化の進行といったような生産構造面の変化もございまして、生糸生産がかなり減っておるということは事実でございます。昨今の状況から判断いたしますと、幸いにして需要面では一定の下げどまりと申しましようか、多少根強い動きもございますし、また新しい需要の要素ということも出ておるわけであります。また、生産面では新しい品種の開発あるいは飼育方法の開発といったような動きもございます。そういう意味では、私どもといたしましては需要に見合った生産ということを頭に置きながら新しい先進国型の養蚕を確立していく、そういう基本的な視点に立ってこれからの養蚕業を考えていきたい。また、そういう考え方でこれからの長期見通しに臨んでいきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  109. 串原義直

    串原委員 そこで具体的に伺いましょう。  今トン数で言いますと年間およそ二万八千トンぐらいでしょうか。当面どのくらいに生産量、増産をするために目標を高めていこうと考えていますか。
  110. 松山光治

    ○松山政府委員 今手元に具体的な数字を持っておらぬのですが、ことしの最終的な生産量が固まるまでにはまだちょっと時間がかかろうかと思いますが、今御指摘ございましたように大体三万トンは切るということではなかろうかというふうに思っております。今私どもとしては、できれば四万トン程度のものはまずは確保する。それを、しかも生産性の高い形でできるだけコストダウンを図りながら実現していただく、そういう意味での体質改善努力を引き続き続けなければいかぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。
  111. 串原義直

    串原委員 四万トン生産目標、結構。努力してください。  ところが、これもなかなか、数字を出せば簡単ですけれども、二万八千トンを四万トンに生産量を高めるのはそう簡単ではないと私も思う。そのためには、いささかの施策も伴わなければならぬ。そこで、これこれという細かい施策は別といたしまして、まず養蚕意欲を高めていくためには、価格問題をいま一度点検しなければいかぬと思います。  私は何としてもこの際、ひところの一万四千円から順次下げていって九千八百円に下げたということは先ほど申し上げました。だから熱が冷めた。これを一遍に一万四千円に戻すことは難しかろうけれども、ひところの一万二千円、期待を持たれた、安定した価格としてみんな認めたキロ一万二千円くらいですね、この価格にはしてあげないと熱が出てこない。熱ということは、養蚕をやろうという熱意が出てこない。これは非常に大事なところだと思うのですよ。これは考えていかなければならぬと思いますが、いかがですか。
  112. 松山光治

    ○松山政府委員 価格問題の難しさは、余り高い価格でありますと需要面に影響を及ぼしましてお客さんを失ってしまうという点があるわけでございますけれども、さりとてまた、生産者生産意欲にこたえ得るものでなければならない、こういうふうに考えております。  ことしの春の価格決定の際に、御案内のように最低価格につきましても最高の安定価格につきましてもそれぞれ所要の引き上げを行いまして、今上位価格の方は一万三千五百円という水準に相なっております。一時期これも大分上にいっておって心配しておったのでありますが、現在のところは大体この価格帯の中で、今先生おっしゃいました一万二千円を上回る水準でここのところ大体推移しているかというふうに承知しておるところでございます。
  113. 串原義直

    串原委員 だから、実勢価格がそこまでいっているわけですから、政府の保証する価格というものは、ここまでは大丈夫だというきちっとした保証を与えるために、政策価格は一万二千円にすべきではないのか。実勢価格は今御答弁をいただいたとおり。したがって政府の保証価格は、もう少し上げることによって初めて養蚕家もそれではということで腰を上げるであろう、私はこう思うのです。だから、それをやりませんかと言っているのですよ。実勢価格はもうお話のとおりですよ。大した難しいことではない、あなた方の腹だけだ。いかがです。
  114. 松山光治

    ○松山政府委員 御案内のように、現在の価格安定制度、一定の価格帯の幅の中で需給実勢を織り 込みながら変動させる、そういう一定の価格帯の中におさめるという形をとっておるわけでございまして、先ほども申し上げましたように、ことしの春の価格決定の際にそれなりの見直しが行われまして、価格水準の引き上げも行われておるところでございます。これからの価格政策の運用に当たりましても、需給実勢というものを見ながら、あるいは生産の動向も踏まえながら適切を期していきたい、このように考えておる次第でございます。
  115. 串原義直

    串原委員 ここで時間をとるわけにいきませんけれども、養蚕家がいま少し畑づくりに熱意を持てるような施策を講じていくべきだということを強く申し上げておきます。  次に、中山間地域農業振興対策について触れます。  私は、自給率を高めるべきであるという立場に立って大臣に強調いたしました。この食糧自給率を高めてまいりますためには、つまり日本農業を守って国土保全を図っていくということになるわけでございますが、そのためには中山間地域農業振興対策が今後ますます重要視されてくるべきだと思っています。  私ども社会党は、この点につきまして今画期的な施策を立てているところです。十一月の末あたりには御理解をいただけるようになろうかと思っておりますが、特にここでは、農林業を基盤といたしました地域活性化総合対策事業として、国はメニュー方式による助成援助の方式を策定、推進すべきである。そのためには特に過疎対策にきめ細かい配慮をした政策を進めるべきではないか。これが一つ。二つ目は、そのために地方自治体は具体策を作成すべきである。自治体の具体的な作成にあわせて先ほど申し上げました国のメニュー方式による助成援助方式を結合させるならば、成果を上げていく、こう考えているところでございますが、政府は山と共存する山村農業というものをどのようにこれから活性化させようと考えておられるか、お答えを願います。
  116. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 中山間地域は立地条件その他の制約が一方にありますけれども、特に日本の場合、南北に長いとか標高差がある、それから各地各地でそれぞれ条件が違うということで、最近の多品目、本物志向といいますか、そういう多様なニーズにこたえた農林水産物生産の場として、今後交通網の発展その他情報網の発展によりまして期待できる地域ではないか、そういうふうな農業生産としての位置づけをいたしております。また、休養でありますとか、先ほど先生が御指摘のように、レクリエーションの場でありますとか、さらに国土保全とか水資源涵養等の重要な役割を果たしておりまして、その健全な発展を図っていくことが必要であるというふうな認識を持っております。  それで、従来からの山村振興でありますとか過疎対策等々の事業のほかに、平成二年度予算におきましても、農林省の重要施策の一つとして、林、農あわせた基盤整備でありますとかあるいはその上物施設、これは農業生産施設あるいは販売施設、さらには都市生活者との交流施設でありますとか宿泊施設、それら一定の対象はありますけれども、そういうものにつきまして市町村で計画をつくって振興をしていただく。またさらに、米であれば特段の良質米でありますとか、特産野菜あるいは花卉花木とか特用林産物の産地形成を図るためのマーケティング活動でありますとか、栽培技術の普及指導、基盤の整備その他の施策を充実すべく、来年度予算で要求しておるところでございます。
  117. 串原義直

    串原委員 それでは大いにその具体的な内容について期待されるものを出してもらうことを待っているわけでございますが、しかるべき時期にまた内容をお示し願えると思う。  そこで大臣に伺いますが、今の御答弁、来年あたりは予算化して積極的にこの問題に取り組む、こういう御答弁をちょうだいをいたしましたが、私は今お答えをいただいたことに加えて先ほど申し上げましたように——今お答えを願ったこと、ぜひ具体的なものに思い切った予算を計上して進めてもらいたいが、私がさっき申し上げましたように、過疎地域、山村地域農業には別に方程式はないと思う。したがいまして、国の方ではメニュー方式によって援助をいたしますよ、その地域の山村農業を育てますよ、だから地方は自分たちが自信を持ってつくり得る方策、計画を立てなさい、持っていらっしゃい、それにお手伝いいたしましょう、こういう方式を中心にしていくべきだと思う。一定の方程式を先に国の方で示して、こうでなければ援助いたしませんよではない、そういうものでないものにすべきだと考えているのですけれども大臣のお考えはいかがですか。
  118. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 中山間地域対策等につきましては大変重要な課題であるということで、今官房長から申し上げましたとおりにめり張りのきいた予算、こういうふうなことの中でも重点的に要求をいたしておるわけであります。  今先生言われたとおりに、自治体の方が主体性を持って取り組んでいく、こういうことは非常に大事なことだと思います。そういう中で国としてどういう施策を講ずるのかというふうなことを明確に打ち出していくことも、これまた大事なことだと思いますので、そのような考え方に立ちまして概算要求もさせていただいているところでございます。
  119. 串原義直

    串原委員 次に、肉牛振興策について伺います。  中山間地域農業振興について国も積極的に来年度から考えていくということですから期待をいたしますが、その具体的な事業の中で、肉牛振興というのはとても重要な課題だというふうに私は思っているわけであります。ところが、これも報じられるところの資料によりますと、次期長期見通しを見ますならば、畜産の中で肉牛振興、牛肉生産は、平成十二年度の長期見通しの数字を見ますと、牛肉は現在の消費のおよそ二倍余にふえるであろう。数字をちょっと申し上げますと、平成十二年には消費は百九十万トンぐらいになるだろう。現在は九十万トン前後であるということで、倍余にふえるのではないか。ところが国内生産はほとんど伸びない。現在の自給率が、六十二年度ですけれども牛肉の自給率が六四%程度、それが長期見通しによりますと四五%程度に落ちてしまうのではないか、五〇%を割るというのであります。これでは大変なことだなということをこの数字は教えているように思います。どうですか、こんなことでは困りますね。もう少し国内生産を高める努力をしなければいかぬ。いかがですか。
  120. 岩崎充利

    ○岩崎政府委員 具体的数字につきましては現在作業中、検討中でございますが、ただ、全体的な牛肉の需給問題について見ますと、需要は食生活の高度化とか多様化に伴いまして最近ではかなり高い伸びを示しているということでございます。一方、国内生産は、昭和五十八年度以降の雌牛の屠殺増加の影響もありまして肉専用種の生産が若干減少、これを乳用種で補う、それで全体として微増というような状況でございまして、確かに牛肉の自給率そのものは年々低下しているのが実態でございます。  これからどうなるかということにつきましては、牛肉の需要量はかなり根強いものがございまして、所得の向上というようなこと等によりまして堅調に増加すると見通されますが、他方、我が国の肉用牛の生産は繁殖経営規模が零細だ、規模拡大につきましても非常に難しい問題があるということで、急激に進めることはなかなか困難な面がございます。それからまた、一年に一子を生産する、生産から初分娩までにも二年くらいかかるというふうな形で、肉用牛特有のふやすのに難しい問題等々がございまして、私ども生産振興のためには最大限努力をしたいと思っておりますが、それであってもなかなか需要の増大には対応し得ない。言いかえますと、需要の伸びに対しまして私ども生産拡大を図っていきたいと思っておりますが、その拡大のテンポというのは需要の拡大に追いつくような形にはなかなかならないというような見通しでございます。
  121. 串原義直

    串原委員 したがいまして、長期見通しを今立てているところであるだけに、あえて私たちはこ こで強調しておきたいのですけれども、従来、日本の牛肉というのは高級肉生産志向であったと思う。輸入肉がふえてきて需要がふえるということは、これは言葉が適当かどうかわかりませんけれども、つまり大衆肉、従来の高級肉でない大衆肉ですね、赤肉と言ったらいいでしょうか、そういうものの需要がふえるということになるわけですね、そう思われます。そうじゃありませんか。そうであれば、日本の牛肉生産の指導方針、そういうものをいま一度再検討をして、大衆肉を生産するための畜産振興計画、肉牛振興計画を改めてこの際つくるべきではないのか、策定すべきではないのか、こう思うのであります。  大衆肉を生産するためには我が国の中で何をなすべきか。幾つかの方法があるでしょう。きょうはここでは議論いたしませんけれども、あるはずだ。それを含めて肉牛生産の立場でも長期計画を立てるべきではないのか、なかなか難しゅうございますだけでとめておくべきではない、こう思う。その辺はいかがですか。
  122. 岩崎充利

    ○岩崎政府委員 我が国の肉用牛生産につきまして、大きく分けて二種類あろうかと思っております。一つは和牛と言われるものでございまして、これにつきましてはやはり肉質のよさというようなことで、どちらかというと穀物を多用する、どうしてもコストがかかるというものが一つございます。それからもう一つは、主として乳用雄牛でございますが、酪農経営から生じます乳雄を肥育いたしまして、できるだけこれを安いコストで大衆肉的な形の中で消費していただくという方法があろうかというふうに思っておるわけでございます。特に、酪農経営から生じます乳雄を中心としたものにつきましても、乳雄につきましてはこれをできるだけ肥育に回す、また乳肉複合経営等々の推進も図るというような形の中で、いずれにいたしましても、できるだけ安いコストで生産を図って消費者の皆様方に提供するというようないろいろな形で、先生の御指摘も踏まえつつ、また生産対策を立てていかなければいけないだろうというふうに考えておる次第でございます。
  123. 串原義直

    串原委員 新しい立場で肉牛生産振興計画は立てるべき時期に来ていると思う。ぜひ検討をいただくことを強く要請しておきたいと思う次第であります。  この畜産問題とちょっと関連しまして伺いますが、かねて私、この委員会で岡山の場外馬券売場のことを伺いました。そのときに、地元に大変な反対が強い、地元の合意を得られない限り地元の事業も進めません、こういう答弁がありました。しかし、このごろ話を聞きますと、大変な勢いで日隈が仕事をやる。建物は三階建ての千二百坪、敷地は四千坪近いそうでありますけれども、もうそろそろ建物も完成に近いというところまでいっているようでありますが、そうだとすると、農林水産省、中央競馬会、日隈、水面下で何か話がついているのではないかみたいな話も伝わるようであります。余りいいことではない。この前の御答弁のように、地元の話し合いがまとまらなければ政府は全然対応する気はないということなのか。何かどこかでこれは話ができているのか。この際、これをひとつ明確にお答えを願っておかないと、建物はもう完成に近いということになる、何かおかしいではないかという話が出ておりますので、明確にしておいてもらいたいと思う。
  124. 岩崎充利

    ○岩崎政府委員 一般的に場外馬券場の設置につきましては、中央競馬会が農林水産大臣に申請をして、農林水産大臣がこれを承認するということでございまして、ただその前提としては、地元の調整を了するということにいたしております。  先生ただいま御指摘の岡山市の場外馬券場の問題につきましては、今の岡山市の実情からいたしますと、私どもといたしましては地元の調整が了しているというようなことではないと判断いたしておりまして、競馬会の方から現在その申請が上がってくるというような情勢でもないし、また仮に上がってきたとしても、今のような情勢のもとで農林水産大臣承認するという情勢にはございません。
  125. 串原義直

    串原委員 これは最後の質問になりますが、水田転作について伺います。  時間が参りましたから端的に伺いますが、水田転作後期対策、これは報道によりますと、減反面積はほぼ現状に据え置くということで政府も腹を据えつつあるようでございますから、ぜひそれで決めてもらいたい。これ以上減反をふやしてもらいたくない、ふやすべきではない、強く要請をしておきますが、この後期対策の中で、私二つ伺っておくわけでありますけれども、水田転作作目をいま少し広めて考えるべきではないのか。そうしないと、転作といってもなかなか思うようにならない。一つ節目ですから、対応を柔軟にすべきである、これが一つであります。  いま一つは、八十三万ヘクタール減反面積据え置きということになりますと、在庫の増加、この問題が議論になるでございましょう。しかし、私はその議論の前に政府に強く要請をし伺っておきたいのは、米の消費拡大にもっと真剣に取り組めということであります。学校給食の問題もそう、アルコール化の問題もそうでありますが、日本型食生活を守ってまいりますためにはいま少し——先ほど御答弁がありましたが、牛肉の消費がうんとふえるだろう、肉の消費がふえる、それは結構なことではございますが、そうであればあるほど日本型食生活は崩れていくわけですね。好ましいことではないと思う。したがって米の消費拡大は放置できない問題であるのに、今までちっとも実績が上がっていないじゃありませんかと申し上げたいのであります。消費拡大について具体的な対策をどう進めようと考えているのか伺います。
  126. 松山光治

    ○松山政府委員 後期対策の問題につきましては、目標面積の扱いも含めまして、今鋭意検討を急いでおるところでございますが、お尋ね転作作物の扱いの問題でございます。  現在の扱いといたしましては、できるだけ地域の実情に即して弾力的な選択を可能にするようにということで、原則として作物間の取り扱いに差を設けないで、選択を農業者にゆだねるという形をとっておるわけでありますけれども、一部需給上の問題が生じかねないようなものにつきまして、これを対象にしないといういわゆるネガ作物扱いにするというような状況が一つあるわけでございます。  私ども後期対策検討に当たりましては、その後の需給事情の変化などもにらみながら、かつまた、できるだけ地域創意工夫を生かした形で取り組んでもらうといったようなことで、転作対象作物の扱いにつきましても拡大できるところは拡大するようにするといったようなことで、今見直しを全体として行っておるということでございます。
  127. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 米の消費拡大の問題でございますが、これまで農林水産省といたしましては、米についての正しい知識の普及開発あるいは地域の米祭り等々の米消費拡大対策、さらには先生指摘の米飯学校給食の計画的推進を文部省ともども実施をしてまいりまして、特に三番目の学校給食等に関連いたします値引き等によりまして、予算上でも二百億を上回る予算を計上いたしまして対策を講じてまいったところでございます。  先ほどこれまた先生指摘のように、米の消費が減退していきます分を分析してみますと、一つは年齢的にいきまして若い層、一つはやはり女性層というようなことでございますので、そういった意味の若い女性に的を絞った対策といったようなものを昨年から実施をしておりまして、特にヤングレディ・ライスクッキング・コンテストというようなことで、ことしも鹿野大臣みずから御出席を賜って実施をさせていただいておるところでございます。各地域におきまして米需給均衡化対策の中でいろいろなアイデアが出てまいっております。純米酒の推進であるとか、さらにはまた入浴剤の推進等もその一つでございます。こういった実績を踏まえて、地域に密接した取り組みの中から新しい方向づけというものもしていかなければいけないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、これまた先生指摘 のように日本型食生活というものが日本人に一番ぴったりするわけでございますから、健康によく、栄養のバランスの面からもこの点をPRしながら、積極的に開発活動を行っていかなければならないと考えておる次第でございます。
  128. 串原義直

    串原委員 時間が来ましたからこれで終わりますけれども、重ねて申し上げておきますが、食糧自給率は高めるということを全力を挙げて努力する、骨が折れるけれども努力していく、このことをより一層心を配っていただきますように大臣に重ねて要請をして終わることにいたします。  どうもありがとうございました。
  129. 近藤元次

    近藤委員長 次は、竹内猛君。
  130. 竹内猛

    竹内(猛)委員 農林水産大臣に当面の農業、農村、農民食糧、こういう四つの角度からいろいろなことを質問いたしたいと思います。  第一に、前回うちの委員から質問がありましたが、何といっても過ぐる七月の参議院の選挙で、北海道の二名、一位、二位、並びに三位が自民党で、四位が日本共産党という形で選挙の結果が出たし、一名区において三年前には二十五議席を自由民主党が占有したけれども、今度は逆に二十三議席が社会党と連合により議席が得られた、三議席だけが自由民主党になったということは、従来自民党に投票していた農村の有権者の皆さんが今度は社会党に投票されたということになります。そういう点で、私たちはこの選挙の結果というものを非常に重要視している。自由化のもとで牛肉もオレンジも、やがて米もやられるのではないか、もう既に自民党の中には渡辺前政調会長のように五%ぐらいはやむを得ないと言う人がいる。これを取り消したことはない。世間ではやはりやるのかな、こういうふうにも思っているし、前の外務政務次官の浜田さんもイスラマバードの会議で、やはり五%ぐらいのことについてはやむを得ないのではないかという話もされたことがある。あるいは総理大臣のその御発言の中にも、米は完全に国内で自給をするけれども、市場開放について反対をするというようなことはなかなか言われない。そういうところを見ると極めて不安な面もある。  そこで、東北地方も自民党が全滅したわけだが、山形県もやはり負けて、当地農村の御出身である農林水産大臣は、先ほどからの答弁を聞いていると、まだ本当の農民の心、土を耕す農民の心というものについて触れていない。ぜひこの際、もう一度この原因について、何が原因をしたのか、どうしたらよくなるのかということを、党派を超えて日本の美しい自然と水と緑ときれいな空気、そして環境を保全するために、農業というものは必要なんだ、農林水産業は大事な産業なんだということをきちんと述べてもらいたいと思います。いかがですか。
  131. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 参議院の選挙の結果につきましては、私も当時自由民主党の総務局長という選挙対策責任者でありましたゆえ、厳粛にその結果につきましては受けとめておるところであります。  この問題につきましては、私も大臣を拝命した後におきましても申し上げておりますが、やはり米を初めとするところの農産物価格の引き下げ、あるいはただいま先生お触れになりました牛肉・オレンジの自由化の決定というふうな、いわゆる農業者の将来に不安を与えるような、そういう急激な変化がある。そういう中で農業外から農業に対する批判も重なってしまった。そんなところから、農業者の方々から切り捨てではないか、こんなふうにも受けとめられる。こんな結果になったことも、参議院選挙におけるところの一つの敗因ではないかと私どもは厳粛に受けとめさせていただいておるわけであります。  そのようなことから、農政を推進する上で、まず私自身が農業者の方々から直接お話を承り、また率直に意見交換をいたしていく、こういうふうなことが大事であり、また農林水産業、第一次産業の重要性というふうなものをあらゆる機会を通して私自身が申し述べていくことも大事なことではないか、こんな基本的な考え方で今日努力をいたしているところでございます。
  132. 竹内猛

    竹内(猛)委員 朝日新聞の世論調査によると、三年前の山形県の農村の支持率は、九三が自民党で、六がその他でありました。今度の場合には五二対四三、このように自民党は一〇%の差まで追い詰められたというのが実情なんです。  そういうことを背景にして、大臣就任以来各地をお歩きになった。佐賀県から始まって北海道、愛媛、各地をお歩きになったが、現地の声というものを一体どのように受けとめられ、それがこれからの政策にどのように展開をされるのか、その点についてお伺いします。
  133. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 私自身、九州、四国、関東、北陸、東北、それから北海道、そんなようなところを回ってきておるところであります。  まず、いろいろ率直なる意見の交換をさせていただいてきたわけでありますが、一つは、やはり正確なる情報というふうなものをもっと提供すべきではないかな、こういうふうなことを率直に感じておるわけであります。やはり、いろいろな施策を講じて、そしてそれを農業者の方にいろいろと承知をしていただいて実行に移して、そして生産に励んでもらう、こういうふうなことになるわけでありますけれども、なかなかそういうふうな一つ一つの施策というものが農業者直にすべての点で周知されておるというふうなことが行き届いておらない点もあるのではないか、こんなことを率直に感じたわけであります。そのようなことから、きめ細かい配慮をこれからもやっていかなければならないな、手順を尽くしていくことも本当に大事なことだな、こういうふうに受けとめておるところでございます。  そんな中で私どもも、農業そのものの産業政策、そして農村の活性化、こういうふうなことについても、特にいろいろと要請、要望、お考えも出されておるわけでありますから、そのような農林水産行政全般にわたって御提言をいただいておるわけでございますので、これから農林水産業振興農山漁村の活性化、このようなことからいろいろと実情に即した行政の推進にさらに努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
  134. 竹内猛

    竹内(猛)委員 選挙の結果、また農村をお歩きになって今のようなお答えですが、実際に、先ほども田中委員からもお話がありましたが、十月二日に海部内閣総理大臣が施政方針の中で、農業に関しては、いろいろな農民の方々が貢献されたことに対しては高く評価をするけれどもというようなことを言いながら、四つの点についてやりたい、こういうふうなことを言われました。それは、国会の決議を尊重する、そして長期見通しを立てる、農業の多様な役割についてそれを大事にしよう、それから、米は国内で自給をしていくということであったわけですが、先ほども質問がありましたように、十月二十七日、この日は、農協の政治活動の関係者が主体になって仙台で政党討論会をやったその日であります。これは十一月八日には西日本でもやられましたが、その日の新聞で、二〇〇〇年の展望のもとに穀物の自給率は二八から三〇、十年間先ですから現状より下がる状態であり、カロリーについても四七から五〇ということですから、これも現状維持か下がるという形になる。  現在の自給の状態の中でこれだけの批判を受けている自民党の政府が、十年間現在のままを肯定をし、延長する、こういうことで一体本当に反省をされたと言えるのか、言えないのか。これはいかがですか。     〔委員長退席、笹山委員長代理着席〕
  135. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 二〇〇〇年を目標年次としての長期見通しにつきましては今策定中でございまして、その点は御理解をいただきたいと思います。
  136. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それならば、十月二十七日に公表をされた日本農業新聞のあの発表を取り消してもらいたい。取り消さない限り、黙っている限りは、世間ではあれが見通しの審議をしている一つの中身である、こういうふうに見て、一般にそうなっている。世の中にはそういうものを発表しておいて、国会ではそれは審議中などと言ったって それは通らない。どうですか。
  137. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 農業新聞の記事は私どもが発表したものではございませんので、私どもの方から取り消すとかということにはちょっとならぬのではないかと思います。
  138. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それでは一体、現在審議している農政審議会に持ち込んでいる内容はどういう内容ですか。どんなことを議論しているのですか。
  139. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 経済の見通しとかあるいは食生活の変化その他、それから所得水準の向上等々からの需要を見込みまして、また生産につきましても、一定の技術革新等を織り込んで、将来単純な見通しと、さらにそれを生産の革新等も見込みました意欲的な見通し、数字がどうなるか、それを論議いただいておるところでございます。
  140. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それではいつごろまでに作業が終わるのですか。
  141. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 年内に取りまとめるように考えております。
  142. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それならば、日本農業新聞に発表されているあの問題について正式に取り消さなければならないじゃないですか。農林水産省は、あれは農林水産省のものじゃないのだ。世間ではもう既に、穀物の自給率が二八から三〇、それからカロリーにして四七から五〇、国土の利用率は五百二十万ヘクタールという形になっている。そういうようなものについて、黙ってそれを見ているということは一体どういうことです。これは責任じゃないですか。
  143. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 やはり新聞は取材活動あるいは報道活動は自由でございますので、私どもの方からあの新聞に向けてそういう発言をするのは適当ではないのではないかというように考えております。
  144. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それでは、あの文章はインチキ文章ですか。根もない葉もないものを持ってきて日本農業新聞がトップで発表するなどということはないでしょう。
  145. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 私どもが出した数字ではございません。ただ、数字につきまして小委員会で御議論いただいておりますので、そういう議論の素材としては私ども提供しておりますけれども、まだまとまった報告を得ておりませんので、私どもが発表したとかなんとかいうものではございません。
  146. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これ以上議論しないけれども大臣、これは重大な問題ですよ。総理大臣は、四つのうちで見通しはどうかと言ったら、見通しというのはそのときの経済情勢、そのときのいろいろな状況によって変わるものであるから見通しは出せない、こういうふうに国会で答弁している。ところが、二〇〇〇年にはこれだとこういうふうに数字を出している。現状を維持をする、それよりももっと悪くなるということは、これはやはり輸入がふえてくるということなんだ。そういうことでしょう。だから、あれは日本の農業を現状より後退をさせるという内容のものですよ。総理大臣長期見通しを立てると言いながら、長期見通しはこれは立ててないじゃないですか。長期見通しというのはあしたからの話ではないのだ。やはり農政審議会、農業基本法の第八条、これに基づいてそういうものを立てなければならない。いかがですか。これはひとつ大臣の方から答弁してもらいたい。
  147. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 総理御自身の答弁の中におきましても、いわゆる自給率の問題につきましてはそのときの経済情勢なりあるいは食生活の動向によっていろいろと変動するというふうなところから、なかなかそれをあらわすということは難しい問題もございます。  しかし、そういう中におきましても、長期的にどうなるのか、こういうふうな、やはり農業者農業を営んでいく中におけるところの見通しというものを打ち出していかなければならないのではないか、このようなことから、今日、目標年次二〇〇〇年にどうなるのかということを踏まえて今鋭意作業をいたしておるところでございまして、作業の中において具体的にこうでありますというふうなことは私どもの立場から申し上げるのはいささか問題ではございますので、その点は今作業中でございます、こういうふうなことで御理解をいただきたいと思います。
  148. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もうこれ以上は申し上げませんが、年末から来年の春はまた選挙ですよ。選挙のときには当然このことが問題になる。そんなにいつまでもいつまでも温めて、討議をしているわけにはいかない。あの文章は、少なくとも企画室なり官房なりどこかで議論をしているはずなんだ。農業新聞が黙って出すはずがない。だから、そういう答弁ならそれで結構だから、そのように我々は正確に伝えます。これ以上この議論はしません。  そこで、昭和三十五年、かつて八二%あった穀物の自給率が現在は三〇%になり、七八%あったカロリーが現在では四九%と、年々下がっております。ところが、一九七二年にECに加盟をしたイギリスは、共通農業政策に守られて、七七年に五九%の小麦が一九八七年には一三〇%に、大麦は一四〇%に、バターは三二%から一一二%に前進をしております。そして、一九八二年には一〇〇%を超え、イギリスは大量の食糧輸入国であったものが逆に食糧を輸出をする。これに比べて、同じような島国の日本が逆にだんだん自給率が落ちている。カロリーも穀物も自給率が落ちている。こういう国が一体世界のどこかにありますか。あったら教えてください。
  149. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 日本と比較的似通った国はスイスであろうか。スイスも日本よりは高いと思います。
  150. 竹内猛

    竹内(猛)委員 あれは山国だよ。日本と同じような国があるのかというんだ。
  151. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 自給率の場合に、私ども考えますには、畜産の振興をどう考えるかということにかかっているのではないかと思います。  もう私が言うのは釈迦に説法かもわかりませんが、農業基本法制定以来、需要が伸びる作物生産を伸ばしていくということで、選択的拡大ということを柱に政策を進めてきたわけでございます。そういうことで、幸い養豚でありますとか養鶏等中小家畜はもちろんでございますけれども、大家畜であります酪農あるいは肉用牛につきましても、それなりの展開が行われてきたわけでございます。ただ一方、価格面につきましては、国民の納得する価格での供給ということで、安定したできるだけ安い価格で畜産物あるいは畜産製品を供給するというようなことから、どうしても生産コストの大宗を占めます飼料につきましては、安価な輸入、安定的な輸入によって畜産振興を図ってきたわけでございます。そういう、畜産振興を図ってくる、しかも国民に納得する価格で供給するというところで、飼料穀物を輸入し、自給率が下がったわけでございます。  ただ、主食につきまては、米につきましては完全需給基本とするというようなことでございますし、また小麦等につきましても、従来から日本の小麦の需要先であります日本めん用につきましては、極力供給するという体制で振興をしてきたわけでございます。
  152. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私が聞いているのは、日本のような島国、イギリスのような島の国で非常に変わった形のものができているのに、そういう類似したものが、今の畜産振興の問題は我々も異議がないことだけれども、先進資本主義の国で同じような状態の国があるのか。一方のところでは輸出をするほど生産が高まっているのに、日本の場合にはますます減退をして、なおこれから十年も、あの文章が仮ににせものであったとしても本物であったとしても、農林省の筋から出ていることは間違いないのだから、そうなれば十年間はもっともっと悪くなるということになるじゃないですか。それはいかがです、そういう国があったら教えてくれと言っているんだ。
  153. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 手持ちの資料でお答えさせていただきますと、日本より低いのはオランダぐらいかと思います。  ただ、イギリスの例を引かれたわけでございますけれども、これもまた私が申し上げるのはいか がかと思いますが、農業生産というのは自然条件とか気象条件に左右される。やはりその国、その風土に適した作物をつくっていくということで、イギリスの場合は、トウモロコシとかああいう日本で言う飼料穀物をつくっているのではなくて、先生指摘のとおり麦を、適作物である麦をつくってきた結果だと思います。日本の場合には、温帯性の、しかも降雨量の多い、そういう意味で水に恵まれたところとしましてはやはり穀物で適しておりますのは水稲だと思います。水稲、米につきましては自給を基本として、沖縄に一部ありますけれども、一〇〇%自給ということでやってきているわけでございまして、そういう点でえさと食糧と一緒にして穀物自給論をするのはちょっと、もう少し分けてした方が私どもとしてはいいのではないかというふうに考えております。
  154. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この議論はこれ以上しても余り成果はないな。では次の方へ移っていきます。  食糧自給の問題で先ほどから議論があるが、社会党では七月六日に宮崎で土井委員長食糧自給率について六〇%というものを発表したときに、堀之内農林水産大臣は、土地が狭い、金がかかる、できっこない、こういう厳しい批判をされました。それにもかかわらず、その宮崎県においても社会党公認の候補が勝ったじゃありませんか。その地元でも。そういう状態というものを考えてきたときに——社会党自体の政策だって決していいとは言えません。やはり責任を感ずるから、できるだけ多くの英知を絞って、地方の声もすくい上げながら、非常に難しい状態ではあるけれども今日まで作業を続けてまいりました。多くの方々に協力をいただいて、社会党は第一次の食糧自給率向上させ、地域農業を進めるための一つの素案を出して、今検討中でございます。  そういうような状態の中で、なお依然としてアメリカからは米を買え、開放しろという要求がある。そのアメリカで、いいですか、「ニューズウイーク」によると、一万一千の農家に対して、一戸について一千万円の補助金を出している。これを十年後にはやめようというようなことで関税制度に切りかえようということを提案したときに、既にアメリカ国内の農家皆さんが、農業者皆さんがそれは反対だということを言っている。ウエーバー制度のもとに自分の国の農業食糧については嫌というほど保護をして、日本の農家に対してこれほど減反を押しつけ、土地改良の負担金を要求し、米の価格を下げ、そして跡取りも残らないような、嫁の来手のないようなそういう状況のもとで、なおこれ以上減反をしようとしている。  どうしても気になるのは、やはりあの二十七日に発表されたそれですね。百万ヘクタールの減反をするというのが出ている。うそであれば結構だけれども、これではなかなか賛成し得ないし、特に前川レポートが出て以来、農林水産省が農政審で議論をする中で、従来盛り込んであった食糧安保、こういう言葉もなくなった。国内における自給力という言葉もなくなった。そして自給力は供給力に変わっている。また、海外に行ったときには、ガットの会議では食糧安保ということを言っているけれども、国内の中にはそれが抜けた。こういうことは、これは行革審の中の影響力がいまだに農林水産省の中に大きな基礎、政策立案の基礎になって動かないものになっていると思われるわけですが、これは一体どうなんですか、その点については。そういうふうに変わっていったのはどういうことです。
  155. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 私どもは、一昨年秋策定されました農政審報告に基づいて施策を進行しているところでございます。先ほどお話がありました自給力とか供給力につきましても、意味するところは変わってないわけでございますけれども、自給力を上げるにつきましてもやはり全国民的な同意が要るというようなことで、国民の納得する価格で供給するというような視点を入れてああいうふうな言葉農政審議会で使用されたということで、私どもとしてもそういうのが適切ではなかろうかということで使っているわけでございます。
  156. 竹内猛

    竹内(猛)委員 行財政改革の中で、ある委員の発言を聞いていると、農業と工業との比率というものは九五対五だと言っている。工業が九五で農業は五だという発言だ。こういう物の見方というものがいまだに抜け切っていないんじゃないですか、それはどうしても。だから、自給力という言葉、私たちは自給力という言葉にも疑問を持っている。自給率という言葉にしなきゃいけないと思っているが、どうしてもそれはあなた方聞かないじゃないか。自民党も聞かない。だから自給力という形にした。そしたらいつの間にか供給力になった。  そして、ある雑誌でいろいろ話し合いをしたときに、自給力も供給力も同じだと言う。そんなばかなことはない。同じだったら、なぜ一体自給力から供給力に変えたんだ。違うでしょう。自給力というのは、その国の土地で、その国の水と労働力でつくって国民に供給していくというのが自給力である。供給というのは、どこから入ってきたって、物を消費者に与えていけばそれでいいじゃないですか。そういう違いがあるでしょう。いかがですか、それは。
  157. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 自給力と供給力、おっしゃるような意味言葉としてあろうかと思いますけれども、供給力を使う場合には我が国でつくるということをまくら言葉にしておりまして、そういう意味では変わりはないと思います。  ただ、先ほど申し上げましたように、農業政策あるいは農業につきましても国民的な理解を得るということで、国民の納得する価格で供給していくというようなことで国内での供給力という言葉を使っているわけでございます。本質的には自給力と変わらないというふうに思っております。
  158. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これ以上この議論をしない方がいいからやめますがね。  そこで、もう一つ質問をしますけれども、これも余り興味がないかもしれませんが、ことしの三月の段階で非常に世界の気象条件が狂ってきた。アフリカにおいてもアメリカにおいても、各地でいろいろな重要な変化をしております。まあ日本でも余りいい気候とは言えませんが。  そこで、もし一たん不慮のことがあった場合に、それは気候だけじゃありませんね、いろいろな事故があった場合に、確実に、今の場合には主として穀物の輸入はアメリカですから、アメリカを中心とした諸国から農産物が入ってくるという約束ができているのかいないのか。ソ連とアメリカの間には穀物協定というものがあるはずだ。日本とアメリカの間に、何か協定、約束、条約、そういうものがあるかないか、その点はいかがですか。
  159. 塩飽二郎

    ○塩飽政府委員 一九七五年八月に、当時の農林大臣でございました安倍大臣と米国のバッツ農務長官との間で、アメリカから日本が大量に買ってございます小麦、飼料穀物、大豆につきまして、三年間、年間の取引目標を設けるといったようなことを内容とするいわゆる安倍・バッツ協定というものが取り交わされたことがございます。これは、当時のいわゆる食糧危機と言われたような需給状況というものを反映してそういう合意にまで至ったわけでございますけれども、一九七八年に合意期限が来まして失効して以降、この種の政府間の数量を一つ目標として示したような協定は、現段階では存在していないわけでございます。  しかし、毎年一回、日米農産物定期会合といったような名前で呼ばれている会合を開催しておりまして、既にことしも、ついこの間、アメリカからアメリカの農務省の担当者が東京に来ましてそういう会合を持ったわけでございますけれども、そういう場を通じまして日米双方で、穀物を中心とします農産物需給動向なんかにつきましてお互いの情報を交換して共通の認識を持つ、そのことを通じて円滑な農産物貿易の推進を図るというような手だてをとっているわけでございます。  それからまた、関連する事項といたしまして、御案内のように一九七三年にアメリカは大豆の輸出規制を行いましたし、またその後一九八〇年には、アフガニスタン侵攻問題に関連してソ連に対するアメリカからの穀物輸出を部分的に禁止するという措置をとったわけでございます。これにつ いては、主としてアメリカの農業関係者から大変な大きな不満、批判が出たわけでございます。また、我が国は七三年の大豆の輸出規制によって最も影響を受けたわけでございます。この種の問題については、安定供給を期待する我が国の立場から見ても非常に問題であるということを主張した経緯がございます。  現在では、アメリカは、主要な輸入国に対してアメリカからの農産物の供給に不安があってはならない、安定供給者としての信用を傷つけてはいけないということに大変な反省をいたしているわけでございまして、このような禁輸措置は発動しないというようなことも表明をいたしておるわけでございます。
  160. 竹内猛

    竹内(猛)委員 安倍大臣のときに私がここでそういうような質問をしている。だからそのことは覚えていますが、それ以来、依然としてやはりこの問題は信頼関係というような形に置きかえられているような感じがしますが、日本の穀物自給率というものが低下をして外国に多くの生産を握られたときに、今のような円ドル関係というものがあって、円高のような状態だから安く入ってくるという形になるけれども、いつまでもこういう経済が続くという保証はないでしょう。そのときには価格の面でも量の面でも、それから仮に戦略的、政略的にやられた場合でも、確実に消費者に対して安全で良質で新鮮なものが届くという保証はどこにありますか。
  161. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 私ども基本的には、国内で国民の納得できる価格で供給できるものにつきましては、できるだけ生産性を上げて国内で供給をしていくという姿勢でおるわけでございます。また、安全性の問題につきましては、厚生省と連携をとりながら、国民に不安を来さないよう配慮していきたいというふうに考えております。
  162. 竹内猛

    竹内(猛)委員 先ほどの「ニューズウイーク」の、アメリカの一万一千の農家に対して一農家平均一千万円の金を出して保護をしていて、そして日本の国内では丸裸にしてぶったたくということについてどういう感情を持ちますか。これは官房長の答弁はいいです。官房長の答弁は余り上手過ぎてはぐらかして言うから、ひとつ大臣からその点について感想を聞きたい。
  163. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 農業政策におきましては、それぞれの国が大変重要な政策課題としてそれぞれの国に合った形でいろいろな施策を講ずることだ、このように理解をいたしております。
  164. 竹内猛

    竹内(猛)委員 今アメリカのやっていることは、いいですか、アメリカの中の一万一千の農家に対して一農家に一千万円の金を出しているということを「ニューズウイーク」が報道しているのですよ。そして、それが三世帯あれば三千万だ。そういうような大金を米をつくる農家に補助をしておきながら、日本の農家へは減反をしろ、価格を下げろ、そして米をつくったらあれやこれやややこしいことばかり言ってふん縛って、農家を押さえつけている、こういうことが感情的に許されると思いますか。政治家としてどうです。アメリカに対してやはり何か物を言わなくてはいけないのじゃないですか、感情として。いかがですか。
  165. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 今申し上げましたとおりに、アメリカのそういうふうな状況に沿った形での施策、こういうふうなことでございますし、また私どもは私どもとして農業の国内生産体制の強化というふうな意味においていろいろな施策を講じていく、それぞれの国がそれぞれの事情に沿った形でそれぞれ政策選択していく、このような形ではないか、こんなふうに認識をいたしております。
  166. 竹内猛

    竹内(猛)委員 米の減反の問題に関連をしてお伺いをいたしますが、減反が始まってから二十年たちますね。この二十年の間に、農家が安心できるような定着した作物として何があるか、農林水産省としてその確信があったらその作物と、どこでそれを安心してやっているか、これを教えてもらいたい。
  167. 松山光治

    ○松山政府委員 転作の定着を図り生産性の高い水田農業確立していくという観点からは、地域条件に即しまして適切な転作作物が導入される、そしてその生産性向上が図られていくということが非常に重要だというふうに思っております。  どこか具体的な事例はないかというお話でございますが、今手元に具体的な資料をちょっと持っておりませんのであれですが、各地域でいろいろな取り組みが行われておるというふうに承知をいたしておる次第でございます。また私どもといたしましても、いろいろな条件整備なりあるいは研究開発、普及指導といったような各般の面でそういった各地域の積極的な取り組みを今後とも支援していきたい、このように考えておる次第でございます。
  168. 竹内猛

    竹内(猛)委員 松山局長は茨城県の農林部長をやった。茨城県のことは詳しく知っているはずだ。霞ケ浦のレンコンは皆さんが安心してつくっていますよ。それから筑波の芝生も安心をしてやっていますよ。それから県北の納豆大豆もしっかりやっていますよ。行方郡のミツバも安心をしてやっている。結城市へ行くと、ここは野菜がもう安定をしてやっている。一つの県の中だってそれだけのことがちゃんとわかるじゃないですか。それは単収二十万ですよ。米よりいいですからね。そういうようなところがあるんだ。それにもかかわらずその例が出ないなんて話はないはずだ。地方農政局があるでしょう。だから、それは画一的に何でもやろうとするからそういうことになる。これはいけませんね。  それで、後期対策基本的方向についてお伺いしますが、今のような状態で水田を活用して田畑論換的な方向をとってやれば、それをうまく需給調整をしていけば、米からその地域の重要な基幹作物を軸にして複合経営で畜産なり果樹なり野菜なりというものを含ませながら農家経営をしていくという方式をとらなければ、現在はもう専業農家というものはだんだん減っていくでしょう。それで兼業農家がふえているでしょう。農外所得がふえていますよ。そういう農家構造になっているのです。だから、これからの後期対策基本についてもう少し知恵が働かないかどうか。いつでも米が余ったら減反だ。米がとれるように指導しているでしょう。土地改良をする、品種改良をする、技術改良をする。とれるようにして、そして今度は米が余れば、先ほども松田委員が学校給食をやれとかいろいろ言った。それもやらなければならない、消費拡大も。そしてなお余れば、金がかかるからそれは減反だと言って、また農家に、あるいは農協に、地方自治体に責任をかぶせる。能がないじゃないか、こういうふうに言っているんだよ。僕が言うんじゃないんだよ。だから声も大きくなるし、勢い言いにくいことも言わざるを得ない。これは農民の声なんだ。どうします。こういう後期対策について、もう少し知恵が働かないものかどうかということなんだ。
  169. 松山光治

    ○松山政府委員 たまたま私、先ほどの答えの中で、資料を持っておらないので具体的な事例をちょっと差し控えさせていただきたいと申し上げた次第でございまして、今先生の方から御紹介いただきましたように、全国各地域で相当積極的な取り組みが行われるという事例が多々あるということを承知をいたしておるわけでございます。  それから、今減反というお言葉があったわけでございますけれども、米が余るという状況の中で、需要に見合った米の計画的な生産を行うというのが水田農業確立対策における非常に重要な眼目の一つではございますけれども、単なる需給調整措置としてこれを行っておるのではございませんで、先生からも御指摘のございましたように、我が国が足りない作物を、あるいは地域の実情に応じました米以外の作物をそれぞれ水田に導入をいたしまして、稲その他の作物それぞれにつきましての生産性向上を図りながら新しい水田農業確立を図っていこう、そういう政策として行っておるのがこの水田農業確立対策でございます。  私どもといたしましては、後期対策の策定に当たりましては、そういう意味で、地域輪作農法の普及確立等を軸といたしまして足腰の強い水田農業確立を図る、同時に需要に見合った計画的な 米の生産を進めていく、こういう基本的な考え方で取りまとめに当たってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  170. 竹内猛

    竹内(猛)委員 大臣にお伺いしますが、古々米、古米、そしてまたことしの作柄も一〇一%であって、十万トン過剰する。備蓄もしなければならないが、それだけではどうも米が余ってしようがない、減反もまた余儀ない。九十万ヘクタールくらい減反をしようということを出したけれども、農協の関係がずっと各地で討論をしてきて集約をして、これはもう受けられません、大臣も北海道へ行って、地方を回ってそのことはよく聞いたと思うのですね。それで、目の前に選挙もあるから、じゃあ三年間は自民党は凍結しようじゃないか、大河原委員会がそういうことを発表した。しかし、農林水産省と大蔵省はまだそれに対してそうかと了承していないようですね。さて、当面の責任大臣として、その間に挟まっていかがされますか。判断はいかがでしょうか。
  171. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 後期対策の問題につきましては、今、関係者の意見を聞きながら検討を進めているところでありまして、早く結論を出すようにという農家の側の声もございますので、なるべく早く結論を得るべく、最終段階において詰めを急いでおるところでございます。
  172. 竹内猛

    竹内(猛)委員 早いというのはいつですか。あしたも早いし、一週間たっても早いし、一カ月の中で十日目も早いんだが、その早いというのは大体いつごろまでに出しますか。
  173. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 基本的な結論は今週中くらいに、こういうふうに考えております。
  174. 竹内猛

    竹内(猛)委員 今週中に出すというとどういう方向で、凍結を認めるという方向に、腹の中はそうなっておりますか、どうですか。その辺は言えないですか。
  175. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 今詰めさせていただいておるところでございます。
  176. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それにしても在庫は動かしがたく残っているわけです。その在庫処理についてどうされるか。私の考えでは、食管の会計も、我々が最初に国会にお世話になったころ、四十七年ごろは農林水産省の予算の中で少なくとも四〇%以上はあったはずです。現在は一三%台でしょう。ここまで切り詰められてきてもなお米で頭がいっぱいだと言う。減反もかなりやっておりますね、水田の三分の一は減反をしている。三年に一遍は農家は田をつくらない状態というものが出ている。そういう中で、米が少しくらい余ったからそれじゃ減反。つまり、金の方から物を考えるのではなくて、農民の側から物を考えるということはできないものかどうか。汗水流して物をつくっている、それを、委員長も秋田県だ、委員長、秋田県で黙っていてはいけないんだ。どうなんです、山形県、秋田県そろって。大事なことですよ、これは。農民の顔を見て、選挙のときにお願いする顔を見て、そしてこれはどうするかということぐらい決めたらどうです。大蔵省にもっと金を出せ、そして米はこういうふうに処理をする、古々米、古米の処理をします、他用途米も使います、なぜそれが言えないのか。それほど農民というものに対して甘く見ているのかどうか。そこら辺大事なところですね。いかがですか。
  177. 松山光治

    ○松山政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、今行っております水田農業確立対策は、かつての生産調整の初期の時代に見られましたような、休耕でもいいからとにかく米をつくらないでほしいといったような政策ではございませんで、一定の需要に見合った米の生産を行う一方で、不足しております農産物を中心といたしまして各地域条件に見合った米以外の作物を水田に導入する、先ほど先生から複合経営というお話もございましたが、まさにそういう意味での複合化を進めながら日本の水田農業の新しい展開を図っていこう、こういう政策でございます。私どもとしては、そういう政策が円滑に進むように必要な予算措置についても万全を期していきたい、このように考えておる次第でございます。
  178. 竹内猛

    竹内(猛)委員 構造問題について若干御質問をしたいと思います。  先般、十月二十日に公表した六十三年度の農業の粗生産、これによりますと、年々落ちてきていますね。五十九年には十一兆七千億あったものが、六十三年には十兆五千三百四十八億と落ちてきている。これは減反もあるでしょう、価格の引き下げもあるでしょう、生産調整もあるでしょう。物価というのはやはり上がっているし、生活費も上がっている。農家収入は落ちている。それを分けて見ると、米と麦で三兆四千三百五十億、これが二八・八%、それから畜産が二兆八千六百四十三億、これは大体二八%くらいになりますか、それから野菜と果樹と花卉で合わせて三兆四千八百二十四億、これは三二%くらいになりますか、こういうふうに合わせてみると——ちなみに、北海道はちょっと比較になりませんが、本土第一の農業県の茨城県の状態を見ると、同じ年に米、麦で三二・一、野菜が三九・一、畜産が二七・二です。このように五徳の三つの足のように分かれて一つ生産ができ上がっている、農業所得が構成をされております。もう既に米は中心ではなくなってきてはいる。野菜が軸になっていることはこれを見ればわかる。  野菜、果樹、それに花卉、そういうときに、市場問題やあるいはいろいろな調整、温度の調整、予冷倉庫、輸送、消費者との関係、そういうのは指導をどのようにやられていこうとしておるのですか。
  179. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 繰り返しになるかと思いますけれども農業生産自身は自然条件土地条件、それにさらに今先生指摘のように市場関係等から、都市近郊地帯から軟弱野菜あるいは蔬菜、それから平場地帯での普通作、それから園地へ行きまして果樹、あるいは遠隔地、北海道等ではそれなりの畑作経営というような展開になっておるわけであります。それぞれ産地で生産振興のためのいろいろな施設整備その他施策をやるとともに、流通関係でも、新しい技術を導入とか共同化するためのいろいろな施設等につきまして、各種の構造改善事業でありますとか各種の生産対策等で助成あるいは融資等で実情に合った整備を進めていただいているとともに、革新的な技術につきましては試験研究の関係で振興を図っているところでございます。
  180. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もう一つ、農水省の発表を基礎にして質問したいわけですが、農家所得というものについて、これは全国の平均が五十年の段階で、四・五七人の家族で一町一反三畝、それに農業収入が百十四万六千円、農外所得が二百二十六万八千四百円、それから年金とか贈与が五十四万六千三百円、その合計が三百九十六万七百円。それが六十二年になると、四・三二人の家族で一町二反八畝五歩、農業収入が九十四万三千八百円、それから農外所得が四百六十六万八千円、年金、贈与等が百五十五万一千四百円、計七百十六万三千三百円というのが平均の所得だと報告されています。  そのときに北海道は、これは六十二年を言いますと四・四七人、十町九反八歩、約十一町歩、それで農業所得が三百二十八万九百円、それから農外所得が百六十三万六千三百円、それから年金その他が百四十六万八千七百円、計六百三十八万五千九百円となっている。家族がほぼ同じで面積が十一町歩もありながら、全国平均からしてみると北海道は八十万ほど低い状態にある。では茨城県はどうかというと、茨城県の六十二年は四・四八人、一町三反一畝、それで農業は百二十五万六千三百円、農外が四百六十一万六千九百円、贈与が百四十三万一千九百円で計七百三十万五千百円。これはまさに全国平均でございます。ところが神奈川県、都市近郊、五・一三人、八反三畝、農業所得が百二十二万三千円、農外が七百四十七万二千八百円、贈与が百五十二万九千七百円、合計して農家所得が一千二十二万五千五百円、こうなっていますね。奈良県でもほぼ同じ状態です。  そうしてみると、もはや農家というものは農業所得だけでは収入になり得ない。農外所得や年金や贈与や、そういうものと合わせてやっていくと いう形になっている。こういうことがますますはっきりしてきて、北海道のような土地利用型の畑作地農業では、面積は広くても所得は少ない、神奈川県、奈良県のように、面積は狭くても所得は多いという形になっている。これはお認めになるでしょう。農林省、どうですか、官房長
  181. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 今先生から御指摘のありましたように、都市近郊、遠隔地帯あるいは農業地帯、地帯別にいろいろ相違はございますけれども、かなり農外所得に依存している農家が多いというのは事実でございます。しかも、農業所得に多くを依存しているところほどいろいろな影響を受けておるというふうに承知をいたしておるところでございまして、私どもとしましては、そういう農業地帯で農業を主体にやっていく基幹的従事者がおるような農業経営につきまして、農外所得に依存度の高いところから耕地の流動化等を通じてそういう基幹的従事者がおるところに基幹経営農家規模拡大し、できるだけ機械その他の効率的な操業によりましてコストを引き下げながら体質を強めていくというふうに政策を進めていきたいと考えております。
  182. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そういう状態のときに後継者の問題と嫁の問題が問題になっている。農林水産省は、何か都会の人々と交流をして、嫁おいでおいでという形で、補助金を出して列車に乗せて旅行させて、どこかで顔を見合わせて嫁を探すということに対して、新しい計画等措置をするようですね。ところが、農家自体がこういう状況の中で後継者がだんだん減ってきて、もう既に三千五百から二千百になってきた。あと五年たったら後継者はいなくなってしまうという状態のときに、そんな嫁おいでおいでなんということに金を出すのではなしに、黙っていても嫁が来るような、そういうところにお金を出して、そして農村が活性化する、中山間地帯がしっかり都会の人たちを抱え込めるようなことにこそもっと金を使うべきじゃないか。何か目新しいことをやってみていいなんということにはならぬじゃないか。そういう計画はどこでやっているのですか。
  183. 松山光治

    ○松山政府委員 農村におきます若者の問題を考えますときには、今先生から御指摘のございましたように、基本的には農業を魅力ある産業として育成し、住みよい農村をつくっていく、そこで農業後継者が配偶者にも恵まれながら意欲を持って農業にも取り組めるようになる、こういうことが基本的に重要だと思っておりますし、私どもといたしましても、そういったことのための条件整備に引き続きいろいろな意味での努力を重ねていきたいと思っておるわけでございます。  たまたま配偶者問題に関連してのお尋ねでございますので私からお答えさせていただきたいと思いますが、配偶者問題は極めて個人的な問題であるというふうに考えております。ただ私ども、今度の平成二年度の予算要求で、都市の青年と農村の青年とが交流する場をつくるような予算要求も実はしておるわけでございますが、これは配偶者問題も一つ頭には置いておりますが、同時に、都市と農村の間の交流をいろいろな形で深めることを通じて新しい農村づくりへの条件づくりにしてはどうか、その中で農村の若い方々がいろいろな経験をしていくということは非常に有益なことではなかろうか、こういうふうに考えてそういうことをしておるわけでございます。
  184. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それは悪いとは言わないけれども、そんなところに重点を置くのではなくて、農村にもっと愛情を持って、農業生産者に愛情を持って、黙っていても嫁が来たがるような農業をつくらなければだめだ。  そういうときに、今度は法人だ。会社だ。キリンビールがハイブリッド、経済連と組んで自主流通米をやる、あるいはほかの会社が野菜をつくるというように、一方で一生懸命米の生産制限をしていて、会社がどんどんやる。あるいはまたリゾートですね。日本開発銀行が八つの目標をつくって、今度は山の中に憩いの場所をつくるという。林野庁が一生懸命苦労して山の空間を守ろうなんという法律を出しているときに、日本開発銀行が、お金持ちが山の中に入っていって八つのメニューをやる。そんなことを黙っていていいのですか。農林省、そんなことをやらしたらおかしいじゃないですか。どうです。そこにみんな偉い人がいるのだけれども、こんなことは抑えなければだめですよ。いかがです。
  185. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 農業分野への企業参入につきましては、比較的資本集約的な経営が可能な、養鶏とか養豚等の畜産分野で御指摘のとおり見られるところでございます。これは、中小経営の養豚経営あるいはブロイラー等につきましては生産単位の大規模化によるコストの低減というようなことで、企業的経営役割について一定の評価をしていく必要があるのではないかと考えております。ただ、その進出が、今御指摘がありましたように家族労働力を主体とする既存の農業経営に大きな影響を及ぼさないことが重要であり、また現在、これらの経営部門につきましては、需給が緩和していることから需給調整をそれぞれに合った仕組みでやっておるわけでございます。そういうものに協力していただくということが必要なのではないかと考えております。  また、稲作等の耕作部門につきましては、農地法によりまして株式会社が農地を取得することはできないというふうにもされておりますので、商社等の企業がこれらの部門に直接進出することは考えがたいのではないかというように了解しております。
  186. 竹内猛

    竹内(猛)委員 きょうは大分厳しいことを申し上げましたが、これは社会党が農業政策をつくりプロジェクトをつくっていくときに、我々も下部から突き上げられていく。おまえら三宅坂にいて何やってんだ、もっと農林省、霞が関を突き上げろ、やってしまえ、こういう勢いなんだ。だからこれはあぜ道の声なんだよ。それをそのまま伝えねばならない。  そこで大臣、さっきの話を聞いていて、役所の皆さんはやはり椅子をずっとお歩きになって、それぞれのところで事なかれでしっかりやってもらえば結構なんだ。しかし皆さんが御指導をしていただいた補助金をもらい、いろいろなものを自分で判こを押して出したその借金というものは、まだうんと残っているんだよ。そして借金をどうしてくれるんだという話もあるんだ。それから、つくった施設が余り役に立たない施設もあると言っている。だけれどもこれもやむを得ないというようなことである。農村には若い者がいなくなっちゃった、五年たったらだめになってしまうだろう、財界はもう指導しなくてもいいと言っている、こういうようなときに、食糧の安全保障としての農業、それから国土を守り、水や緑やあるいは環境を保全する農業、古い文化と伝統を持つ農業、これをどうしていくかということはもう農民自体では決められない。やはり大きな社会問題であり、政治問題なんですね。それにはやはり哲学を持ってもらいたい。そういうものを守るという哲学が欠けているのじゃないですか。法律がこうだからああだからじゃない、法律がだめならその哲学に沿って法律を変えればいいんだ。そして大蔵省の言いなりにばかりならないで、農民の声を大蔵省に反映させるように我々も頑張りますよ。野党だって頑張るんだ、参議院じゃ多数派ですからね。今や国会は衆議院だけじゃない、参議院というものもある。消費税だってそのうち吹っ飛んじゃう。こういうような状況ですから、ひとつ哲学を持ってもらって、もう少し愛情のある、血の通った農政を、特に山形県御出身の鹿野農林大臣にお願いをしたいと思うし、そこに委員長として座っている秋田県の先生にもぜひこれはお願いしたいと思う。私は秋田におととい行ったばかりだ。あの農村の皆さんがなぜ六五%社会党の細谷に投票したかといったら、やはり農村に哲学を求め、愛情を求め、そして何とか村が、集落が絶えないように、若い者が残るように、嫁が来るように、そのことを期待をしている。そのために、ODAの金もいいけれども、やはり農村にもお金のかかるところには回してもらいたい。お米が少しくらい余ったらすぐに減反、これはきついなということを言っ ていますよ。大臣いかがですか。ちょっと御感想を聞いて、私は終わります。
  187. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 私どもも、農林水産業の重要性というものをさらなる認識を持って、激励もちょうだいしたわけでございますから、懸命になって取り組んでまいりたいと思っております。
  188. 竹内猛

    竹内(猛)委員 終わります。
  189. 笹山登生

    笹山委員長代理 武田一夫君。
  190. 武田一夫

    武田委員 鹿野大臣に質問します。隣の山形県でありますから、親しみを込めて丁重にやさしくやりたいところでありますが、きょうはちょっとそういかぬ事情がございますので、厳しさを乗り越えていくかもわかりませんので、その点御了解の上、ひとつ簡単明快に答えていただけば結構です。  三問、質問します。  一つ後期対策です。先ほど我が党におきましては、水谷局長を中心にしまして、水田農業確立後期対策に関する申し入れ八項目について、しかと申し入れをしたわけでございますが、この八つをきちっと守って実行してもらえば、これからの後期の、いや二十一世紀の農業の方向というものは開けてくるという確信を持っているのでありまして、この点しかと実行方をお願いしたい、こういうことをまず要望しておきます。  後期対策におきまして三年間の減反の凍結というのを打ち出しているようでありますけれども、これははっきり決定しているわけではないようであります。いつこのことをしかと農家皆さん方にお約束をいたすか、まずそのこと。できるなら私は永久に凍結をしなさいと言いたいのであります。そしてこれからは、やはり自主減反にしてもそれなりに減反というのは進むというふうに私は考えています。というのは、これまでの目標面積というのは大体オーバーしておりまして、七十七万が今八十三万ですか、おのおのその地域によっては減反というものをやっている地域もあるわけでありますから、今後は自主減反に任せて、八十三万、もうこれは今後減らさないよということを明確に打ち出してほしい。選挙目的ではないと私は思うのですが、そういうようなことを勘ぐりながら、今疑い深いです。私の地元もそういうことで、これまた選挙前の甘い汁じゃないか、警戒しろといって非常に疑心暗鬼でありますので、大臣からこのことをひとつ明確にそこでお話をしていただきたい、これが一番目の質問であります。
  191. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 後期対策の問題につきましては、今一生懸命取り組んでおるところでございまして、関係者の意見も聞きながら検討を進めております。今週中には結論を得べく、詰めて急いでまいりたい、このように考えております。
  192. 武田一夫

    武田委員 今週中に結論を出して間違いなく凍結をして、これが永久に凍結につながるというところまで頑張ってほしい。というのは、歴代の農林大臣の中で一番若いわけでありますから、これからは若い人がやらぬと私はだめだと思うのですね。そういう意味で、若さでいろいろな抵抗を振り分けながら、本当に農家の期待にこたえられる大臣として末長く大臣の場で頑張ってほしい、こういうふうに思います。  そこで二番目に質問するのは、米の消費拡大でございますが、これまで十年間消費拡大にお金をどのくらいかけてきたか、この点。そしてその結果どうなったのか。この点をひとつ簡潔に説明してください。
  193. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 米の消費拡大の予算は、これまで申し上げましたように二百億を超えるということでございまして、この数字は大体一年の国費でございまして、五十一年から実行しておりました数字だけを概略考えますと、大体その十倍、二千億ということでございます。  なお、この数字の主なものは学校給食の値引き売り渡しの部分でございまして、それが二百億の圧倒的な部分を占めております。これにつきましては、午前中から文部省からの御報告がありましたように、かつては五回ある給食のうちを二回ということでございまして、六十年には目標を五回のうちの三回というところに占めておりますが、現在、全国平均、加重平均でならしますと二・三回まできた、こういうことでございまして、もちろんこの学校給食にかかりますお金はかなり膨大な数でございますけれども、量的にいいますと、五回ありましても、一回当たり大体五万トンでございますので二十五万トン程度のものではございますけれども、若い青年、若い少年たちが将来の大きな国民の主流になっていくということを考えますと、ここでそういういわゆる米の生活ができることは、大きなことになっていくだろうと思います。なおそのほか、各地域におきます米祭りであるとか、あるいは先ほどお答えいたしましたように、ヤングレディー・コンテストというような形で十分焦点を絞りまして実施をさせていただいているところでございます。     〔笹山委員長代理退席、柳沢委員長代理着席〕
  194. 武田一夫

    武田委員 それで消費減退ですね。このままでいいとは思わないのだけれども大臣、そういういろいろなことをやってきて消費減退。大臣は、これはどうしたら消費拡大するか。私が前にもいろいろ質問すると、そういうお金をかけていろいろやってきたから減る量がこのくらいでおさまっているのだ、そんなことで言いわけをしているのですから、それは許されないと思うのですね。どうでしょうか。こうやれば私は消費拡大できるという大臣の日ごろ研さんなさり、経験豊かな自分の私案があれば、ひとつ教えてもらいたい。
  195. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 消費拡大につきましては、私も就任後どうしてもやらなければならない、新しい展開が求められているな、こういうふうな感じであります。今一生懸命取り組んでおるところでございます。  それでまず何といいましても、米に対する正しい知識をやはり国民の皆様方に理解をしてもらう、こういうふうなことが大事だと思います。その中で特に、これからの日本型食生活とよく言われるわけでありますが、それをつくり上げていっていただくのは若い女性の方であります。そのような意味から、若い女性の方を対象としたヤングレディー・ライスクッキング・コンテストというふうなものもやらさせていただいているのもそのような趣旨でございまして、私はそのような考え方から、とにかく米に対する正しい知識をいかにして啓発運動を展開していくかというこのことから、お米の料理サミットといったような新しいアイデアも盛り込んで、これから懸命になって努力をしていきたい、このように考えておるところでございます。
  196. 武田一夫

    武田委員 それは一つのお考え、結構です。  私はこれは国民的な大問題だと思うのです。これは農業がつぶれる一つの原因になりかねない、米がこのままいきますと。御承知のとおり、水田というのは世界最高の土地である、財産だと言われ、我々もそう思っている。その効用というのは、食糧提供だけでなくて、自然環境、水保全等々含めると、大変な投資をしたそういうものに匹敵する大切な財産です。そういう意味で、これは国民は全部、あらゆる機関、階層が積極果敢に取り組む問題であって、私たちも、大臣も御参加になっている、二百五十名近くいる米消費拡大議員連盟、毎年のようにやっており、願わくは各地方でも拡大したいという長谷川会長のそういう考え等もあってこれまで進めてきているのでありますが、とにかくそういういろいろなあらゆる努力を傾注した上でやらなければならない。  そこで私は提案したいのでありますが、一つは栄養面、健康面の問題が取り上げられる必要がないか。これは栄養士やお医者さん等々の働きというのは相当大きな力があるのじゃないか。実はこれは、一九七五年にアメリカ上院のマクガバン栄養特別委員会というのが提言していますね。その中で、米を中心とした日本人の食生活は極めて理想的である、我々は無精白の穀類や芋類が主体だった二十世紀初頭の食生活に回帰すべきだという提言、すなわち二十一世紀の世界的主食は小麦から米への転換をすべきだという提言、これが あってからアメリカではあの日本食ブームが起こったと言われ、しかも、フランスのサラバンという、これは生理学者あるいは詩人等いろいろな博学多才の方だそうですが、国家の盛衰というのは国民の栄養のいかんにかかわっている、こういう言葉も言われているわけでありますが、やはり栄養、健康面の中において日本食が非常に世界的にすぐれた存在である。ですから、数年前から日本型食生活ということを言いながら、しかしながらこれは一部でしかまだその中身というのはしっかりされていないというようなことを考えますと、これはそういう栄養、健康の面に関係ある方々の話、理論的な説得力というのは大きいと思わざるを得ない。こういう方々の御協力が必要ではないか。それからもう一つは、マスコミの力がこれは偉大であります。第四の権力と言われているだけに、マスコミの与える影響というのはまことに大きい。こういうマスコミの協力、またはそういう方々の理解をさせる、そういう努力が足らぬのではないか、こういうふうに私は思う。それに学校教育もございましょう。あるいは料理講習会等々もありましょう。米祭り等々もありましょう。あるいは生産者団体努力等々、いろいろあります。そういう総合的なものを委員会等をつくるなりして、国民の一大財産としての米をしっかり守ろう、それを食して日本の繁栄のために頑張ろうじゃないかという、そういう一大国民運動が展開されてしかるべきだと私は思う。  特に私はそういう意味で、最近「脳と栄養のメカニズム」ということで大阪大学の中川先生という方が指摘しているのでありますが、大体、国民栄養調査によりますと、二十歳から二十五歳の成年男子が十人のうち三人まで朝食抜きだ。これはその下の階層なんかを見ると私はもっとふえるのじゃないかと思います。そうするとどういうことになるかというと、一日三食とるというのは、脳のエネルギーが不足しないようにやるということの一番の原点だそうであります。ただ眠っている間でも我々の脳というのはエネルギーを消耗する。だから朝食をとらないということは、仕事や学習等々の面で能率が低下するというマイナス行為である、栄養学的に。脳というのは偏食でして、ブドウ糖しかとらないというのです。御承知のように、ブドウ糖というのはでん紛が分解されていく、米というものが一つの大きなエネルギー源となって脳の細胞に活性化を与えて、仕事でも健康の面でもあるいは学習の面でも非常に大きな力になる。例えば、こういう一つ先生の話があるわけであります。  こういうようなことをいろいろと煮詰めてみれば、国民が長生きをして健康で生きるということはこれから二十一世紀にかかわる大事な問題であるとすれば、食生活のよしあしというのが大きくそういうものにかかわっていると思わざるを得ないということを私は考えると、今ここでそういう各界の協力の中で本当に日本型食生活というものが世界の最たる理想的な食生活であるというアメリカの委員会自体が言っていることを我々は注目しつつ、しかとした対応をすべきではないか、こういうことを考えるのでございますが、その件について大臣はいかがお考えでございましょうか。
  197. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 今先生申されたとおりに、米というものの重要性並びに栄養面、健康面からも大変すぐれたすばらしいものである、こういうふうなことを国民皆さん方に理解していただく、そういう点であらゆる努力をやっていかなければならないのじゃないか、まさしくそのとおりだと思います。そういう意味におきまして、広報の面で当然でございますけれども、さらに私どもは、これからの日本型食生活を展開されるところの若い人たちに、よりそのような認識をしてもらうという意味において、料理サミットもやりたい、こういう企画をいたしておるのもそのような趣旨からでございまして、また大浜政務次官が幸いに医者でございますので、そのようなことで医者の立場からも一生懸命取り組んでもらっているところでございまして、おっしゃるとおりにこれからも引き続いて努力をしていきたいと思っておるところでございます。
  198. 武田一夫

    武田委員 やっても効果がないのはだめですよ。それで私は、そういうことをやるならば提案しておきます。  米祭り、大臣行ったことありますか。見に行ったことありますか。
  199. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 田舎の米祭りは行っております。
  200. 武田一夫

    武田委員 行って何か感じることないですか、見られて、米祭りに行って。
  201. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 ただ見てきたというふうなことでございます。
  202. 武田一夫

    武田委員 だからだめなんですわ。米祭り、これは担当はどこ。どういう内容でどういうことをやっているか、大臣に説明してやって。
  203. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 米祭りにおきまして食糧庁が関与しておりますものは、先生指摘のように地域の米祭り、都道府県の米祭り、それから最近大臣にはっぴを着て東京のデパートでやっていただきましたけれども、東京サイドの米祭りもございます。それぞれの地域におきまして特色を持たせた形でございますが、ことしは特に鹿野大臣登場ということもございまして、一番ナウイという言葉でしょうか、トレンディーという言葉でしょうか、そういう意味で大阪のコシノヒロコさんあるいは芸大を出た方々で、米を大いに食べるということはもちろん中心でございます。それから日本の文化ということも中心でございます。さらに、今武田先生おっしゃったような栄養学的な健康診断みたいなものに合わせたということもございましたが、現在の新しい食べ方といいますか、そういったことも含めましての展示をやらせていただきまして、大臣には陣頭を切っていただいてテープカットをしていただいた、こういう状況でございます。
  204. 武田一夫

    武田委員 大臣、テープカットだけでなく中身をよく勉強してほしい。  それで、米祭りというのは大体一日か二日でしょう。私の宮城県の場合は、私はしょっちゅう行くんだけれども、大体デパートだ。しかも余りさえないところでやるんだな。ほかはわからないよ。もう少し祭りらしく派手に一週間ぐらいぶっ通しで、デパートが十あれば全部でやるとか、そこに来た人においしい米を食わせてやって、コシヒカリやササニシキ、大臣そうでしょう、そこで一キロか二キロただで差し上げて、大々的にそのときに、今言った米の栄養の問題とかいろいろなそういうものを徹底して、その中へ入ってきた人が吸収できるような場をつくらなければだめだと思うのですよ。ちょこちょことやってどのぐらい入りますかと言うと、このデパートの三十分の一も来ません、こんなのでは何のためにやっているのかと私は思うのです。ですから、若い御婦人方に対するいろいろな取り組みにしても、これはやるときは全国一斉、例えば八月八日は米の日とかなんとか決めているらしいのですが、毎日が米の日だと思ってやるくらいのイベントでなければ効果が出てこないと私は思うので、これは提案です。そのくらいのすごい迫力でひとつ大臣やってもらいたい。大臣も全国駆けめぐって、その効果はどうなんだと、終わった時点できちっとまとめをして、どこがまずかったのかという反省の中でまた次に向かっていく。恐らくやりっ放しで、金だけつぎ込んでという形跡が多過ぎる。行けば毎年同じことをやっている。それは私の地域ですよ、ほかはわからぬけれども。  そういうことを見れば、毎年同じことをやっていれば同じような人しか来ない。これではいかぬと思うのです。新しく人を呼び出し、若い人がどんどん来て、一番いいのは十一時半ごろからやればいいのですよ。お握りを街頭で食わしてやりなさい。若いのは黙っても来ますわ。おいしいのを、おしんことお握りを二つ三つやってごらんなさい。黙っていても銀座なんか千人、二千人集まってくる。その証拠に、銀座に米を持ってきてササニシキを売ると一日何十トンでも売れる。このまま売らしてもらえば本当にいいんだがなと農協の皆さん言っている。買っていくわけです、現実には。そうでしょう。そういうようなことで、ひとつ 消費拡大の実りある、成果ある対応をしてほしい、こういうふうに思います。大臣よろしくお願いしますよ。  時間ないので、最後に山の問題。法案がまた出てきますね。それと関係もあるのですが、最近あちこち歩きますと相談受けることがあるのですが、分収育林が、林野庁としてはいろいろ進めているんだけれども、長官、なかなか進まない地域があるでしょう。もっとやってほしい。北海道なんか行ったら、余り進んでいない。だから協力はしたいんだけれども、どうも国有林、国が我々に協力してくれない。宮城県でもあるのですが、一億ぐらい分収育林投資してもいいんだ、だけれども、我々がちょっと国有林の問題でお願いしても余り話聞いてくれぬという苦情があるんです。やはり地域の活性化ということを考えると、市町村もあるけれども、そこに住んでいる住民の要望というのを前向きに検討してもらいたいということもひとつ提案しておきたい。  それは、一つは国有林と民有林の交換分合の話です。何か以前にそれで汚職だかがあったということで、そういうことがあると、民間の方々に利益を提供するのは国としていかがなものかなんて、そんなことを現場の人間は言うけど、これはとんでもないと思うのです。それによって国有林も価値が出て民有林も価値が高まっていくなら、そしてその地域の活性化に貢献するなら、大いに進めるべきでしょう。そういうケースが多い。そういう要望があったときは、前向きに検討すべきではないかというふうに私は思う。それが一つ。  もう一つは、もう国有林のある地域は、どう考えても現状ではこれは二束三文。しかしながら民有林とうまくドッキングしてやればかなり価値が高まって、高く処分ができ、あるいは使えるという地域が結構あるわけです。沢のどうしようもない一角とか、その上に民有林がある、そういうのを積極的に、もう要望があったら、調べておいて払い下げをする等々のような、いわゆる地域の住民のニーズというものをもう少し尊重した取り組みを要するにお願いしたいなと思うのです。その点について長官からひとつ御答弁をいただきたい、こう思います。
  205. 甕滋

    ○甕政府委員 ただいまお話ございましたように、国有林はその多くが農山村、山奥に近いところに分布をしております。したがいまして、地元でございます農山村の生活あるいは産業の上にいろいろ役立っていくように心がけなければいかぬということでございます。またそういう観点から、国有林野の活用につきましては、これまでも地域の要請に応じまして、公用、公共用等はもちろんでありますが、農林業の構造改善、その他産業振興、住民の福祉の向上といった面で優先的に売り払いを含む利活用を図っておるところでございます。なお、これ以外でございましても、孤立小団地でございますとか、境界を整備する必要があるものでございますとか、現に林木育成の用に供していない、将来もその見込みがない、こういったようなものにつきましては、国土保全といった面への配慮は当然でございますけれども、公売等で積極的に売り払いを行うという対応をしてきております。  お話の中で交換につきましてお触れになりましたが、国有林野と民有林の交換につきましては国有財産法で、国が公共用、公用等の用に供するために自分で必要があるものを取得するという手段として実は決められておりまして、その意味では、そういった財産処分の一般的なルールに従わなければならないといった面がございます。そこで現実には、交換につきましては、錯綜しております境界を整備する場合でございますとか、一団地の国有林野の中に民有地が介在しておりまして管理経営上支障になっているというような場合に限って行っておるところでございます。  いずれにいたしましても、これは個別個別のケースに応じて判断していく、こういう事柄でございますので、今後とも国有林の適正な管理処分と地元との調整といったことは適切に心がけながら運営してまいりたいと考えております。
  206. 武田一夫

    武田委員 もう質問をやめようと思ったのだけれども、長官、それはあくまでも国が中心の、国の財産だからそれはそうだけれども、国の考え方なんだよね。個別個別というけれども、最初に出てくるのはやはり、法律でそういう規定をされておると。だけれども地域皆さん方が協力をしてその地域をよくしていくというときに、民間の方々がかなり入り込んでいる地域があって、それがネックになってできないという地域があったとき、山を守るのは地域の住民の協力がなければならないわけだ。国有林だからといって民間の方々をないがしろにしておけばその影響はあるわけだから。そういう点で、しかと民間にも、何ももうけさせるとかなんとかではなくて、それを持っている人は財産価値として高めながら保全をしていく、あるいは利用していくということの方にもっと目を向けなければ、協力を得られない。私は、このことはあちこち歩いて痛感するものですからこの問題を特に提起したわけでして、御答弁は要りませんから、今後対応に当たってはそのことを頭に入れて、現場の担当者もよく相談に乗ってやるようにということはきちっと指導していただきたい。入り口で必ず、長官が今言ったことで話を聞かない、担当者がばしっと切っちゃうのです。ですから、もう少しゆっくり中身を聞いてあげて、そういう方々の要望がどうすればかなえられるかというところまで知恵とか経験を差し上げるということで、地域住民、山を持っている方々の協力を得て緑山がきちっと守られる。私は東北、北海道を歩いて痛感するものですから、御提言を申しながら質問したわけでございますので、大臣、この点は長官等々の中でしかと現場の方に丁重に丁寧に相談に乗るように。今後は間違いなくリゾートとかその他いろいろな問題で、見ているとやはり山が主体ですから、海というのはなかなか進んでいませんからね。山、畑、大体それがリゾートなんかの場合も中心です。民間と市町村もかかわってきますが、必ず土地持ちあるいは山を持っている方々、出てきますので、私はそういう点でのお願いと提案をして質問をしたわけでございますから、御検討の上、善処をしていただきたい。このことをお願いして質問を終わります。よろしくお願いします。
  207. 柳沢伯夫

    柳沢委員長代理 藤原房雄君。
  208. 藤原房雄

    藤原(房)委員 きょうは午前中から同僚委員からもいろいろお話がございましたが、私も減反問題、後期対策をめぐります諸問題、それから魚価低迷に泣いております漁業問題、このことについて、わずかな時間ではございますがお伺いをしておきたいと思います。  最初に農林大臣、本日力強い就任のごあいさつがございました。内外の非常に厳しい中にありまして、農業の持つ重要性や今後の問題につきまして、農業に対する不信払拭、こんなこと等で、信頼回復のためには事前に手順を踏んできめ細かな配慮と情報の提供等、きめ細かにしなければいかぬというようなこと等、あいさつの中にございました。非常に大事なことだと思いますし、また、若い大臣としましてはぜひひとつ新しい発想のもとに大きな転機を迎えるように英断をもって政策を推進していただきたい、このことを冒頭に申し上げておきたいと思います。  大臣が積極的に各地を回られて多くの方々とお話ししている現状につきましては心から敬意を表するものでございます。過日北海道にいらっしゃった様子、地元の新聞でよく見ました。そして、北海道できららをお食べになって非常においしいと言ったということも記事に出ておりました。私も参議院の全国区で山形県もよく存じておりますが、米どころの東北から北海道に行きますとまた一段と様相が変わって大規模化が進んでおりますし、減反が五割に近いという中で大変悪戦苦闘している現状等、いろいろお話があったろうと思います。また、現地でそれをごらんになって感ずるものが多かったのではないかと思います。あのおいしいきららをつくるまでにはどれほど多くの方々が大変な御努力をしてきたか。今までの議論の中で北海道の米はおいしくないということで、 食味のいい米、おいしい米をつくるのはそれだけ減収になるのだけれども、やはりおいしい米を今つくらなければならぬ。それからまた、共補償をしながら特別自主流通、こういうこと等で何としても比海道のスケールメリットを生かした合理化を——合理化といっても、合理化をしようとすれば減反を強いられ、そしてそのために合理化の足を引っ張られる。そういう中でどうこれを進めていくかという、組合を初めといたします指導的な立場の方々の大変な御努力の中に新しい品種のものが出て、そしてまた新しい北海道的な対策を講じられてきております。こういうこと等、実際に北海道へいらっしゃってお感じになられた点についてお伺いをしておきたい。一粒の米とはいいながら、その陰に多くの方々の大変な努力があったことをお感じになったのではないかと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  209. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 私も北海道に参りまして、今先生申されたとおりに、研究をいたしておる試験場にもお伺いいたしまして、またいろんな施設も視察をいたし、またいろいろな今日までの取り組みにつきましても御説明をいただいたわけであります。そしてまた、農家の人たちが懸命になって今日努力をしているお話も、またそういうふうな実態をも私目の当たりにいたしまして、生産と同時にいい米をつくりたいという意欲に燃えながら努力をしていただいておる姿に対しまして敬意を表したい、このように思っておるところであります。
  210. 藤原房雄

    藤原(房)委員 一年に一作しかできない、そのための努力、こういうことですから、農林省でいろいろな方針を立てられましても来年からすぐそれは実行して結果が出るという形にはなかなかまいりません。二年、三年、時間の経過が必要である、他産業とは違うこういう悪条件の中、少しずつその成果が実りつつあるという実態、ごらんになったと思うわけであります。後期対策、これは確かに国全体ということからしますと需要、供給のバランスの中でそろばんをはじいてどうするかということになるかもしれませんが、スケールメリットを生かして大規模化で合理的にということで、最大の努力をして今何とかはい上がろうとする、努力をして結果を出そうとしているその中にありまして、この後期対策でまた減反を強いるようなことになったり、そしてまたこれからの北海道のこれ以上の減反ということは、畑作に大きな影響を及ぼすことになるわけでありますし、その影響力の大きさということについては現地を視察になって十分に御存じのことだろうと思います。こういうこと等を考え合わせまして、転作目標面積というのは安易に拡大してはならぬということを初めといたしまして、米の備蓄量、転作の助成金等、現行水準を継続すべきであるということや、低コストの米づくり、こういう体制整備、こういうこと等を合わせまして、先ほど公明党の農林水産部会として申し入れをいたしたところでございますが、これは北海道等各地を回られて実際大臣もお感じになっていらっしゃることだろうと思いますし、こういうことにつきましてはぜひひとつ十分に、この申し入れ事項一つ一つについては強い実施方をお願い申し上げたいと思う次第であります。  農業サイドから言うとこういうことなんだと思いますが、これが実際政策ということになりますと、それの裏づけになります財源がどうなるかということになろうかと思うのであります。国家財政という観点からしてこれをどうするかということは、私どもも頭に置かなければならない重大問題でありますが、ごらんになったとおりの現状の中で、ここしばらくは農民の必死の努力に対して国もそれ相応の対応をしなければならないだろうと思います。閣僚の一員といたしまして、大蔵から言われたからとか財政当局がどうとかということでなくて、ごらんになった農民を失望させることのないような、さらにいろいろとまたお話ございましたように、後継者の問題等たくさんの問題がございますが、ぜひひとつ視察をしたことを実際に生かすことのできるような今後の農政確立のために御努力をいただきたいものだと思います。これは要望としてお話を申し上げておきます。  さて、また北海道へまいりまして、大きな問題としましては土地改良事業の固定化負債、このことも面積が大きいだけに水も多くを使うわけでありますし工事も大きいということで、これがまた大変な足かせ手かせになっていることも実態であります。かつて北海道は酪農が大変で次畑作、稲作は比較的安定状況にあったわけでありますが、五十年代に入りましてからにわかに稲作が非常に負債が大きくなる。これは半分転作しなければならないわけですから畑作のための機械を入れなければならない。こういうこと等、負債がだんだん大きくなる。田畑輪換を初めとしましていろいろな土地改良等につきましての工事費が高騰する。これも農林省に何度か申し上げておりまして、いろいろ対策を講じてきてくださっておるようでございますが、今までは後送りみたいな制度でありまして、これはぜひ根本的に農家の方々の努力が報いられるような制度にこの固定化負債の問題につきましては対処していただきたいと思うわけでございますが、農林省としましては、明年に対しての政策がございましたらお伺いしておきたいと思います。
  211. 片桐久雄

    片桐政府委員 土地改良事業費の農家負担金の軽減問題につきましては、六十三年度、平成元年度いろいろ対策を講じてきたところでございますけれども、最近の厳しい農業情勢を勘案いたしまして、平成二年度からもう一歩踏み込んだ対策を実施したいということで、現在土地改良事業実施地区約五千五百につきまして負担金の実態等を調査したところでございます。この調査の実態を踏まえて、平成二年度から具体的な土地改良負担金の軽減対策について現在検討を進めているところでございます。来年度から実施しようとしている負担金対策の考え方といたしましては、負担金の償還が困難な地区に対しまして、償還の平準化に必要な助成措置を講ずる方向で検討している次第でございます。
  212. 藤原房雄

    藤原(房)委員 この問題については非常に大きい問題で、いろいろお伺いもし、そしてまた私どもも言いたいこともたくさんあるのですが、時間もございませんので後日に譲りたいと思います。  次、魚価問題でございますが、魚価の低迷している現状については農水省もよく御存じのことだと思います。よって来る魚価低迷、低落の原因、この対応をどうするか、このことについてお伺いしておきたいのでございますが、北海道ではイカ、サンマ、サケ、異常に下落をして漁家の方々の経営の不振を招いておるところでございます。これに対して、魚価の低迷についての原因をどう見るかということでありますが、時間もございませんから、二、三問続けて申し上げたいと思いますが、一つは、豊漁が契機となっているということや、昨年からの持ち越された在庫、これも大きな要因であるということだろうと思うわけであります。過剰在庫、これは輸入によることが非常に大きい、こういうことで農水省にも関係団体からいろいろな陳情があったろうと思うのでありますが、輸入を規制するなどということはできるわけがありませんが、漁業者は輸入を需要に合わせたものにしてほしい、こういうことでございまして、魚価に著しい影響がないように輸入の秩序化、こういうことを望んでおるわけであります。これは業者同士で、業者の中で話し合えばいいのかもしれませんが、それぞれ利害の絡むこういう状況なわけでありますから、なかなかそうはまいりません。そういうことで、行政が中に入りまして輸入業者と話し合いの場をぜひつくっていただきたい。そういう中である程度の秩序化というような話し合いがつけば、いつもいつもというよりも、魚価に著しい影響が出てきたときそういう問題について話し合う。こういうこと等については水産庁にも要請があったと思うのでありますが、このことについてはどのような対応を御検討なさっていらっしゃるか。これはぜひ実施していかなければならぬことだと思うのでありますが、どのようにお考えでしょう。
  213. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 ただいま御指摘ございましたよ うに、一部の魚種につきまして魚価の低迷が続いておるという現象が出ております。イカ、サンマ、サケ、マスのたぐいということでございますが、魚種によりまして若干状況が違うと思いますが、イカ、サンマにつきましては、私ども基本的には過年度からの在庫累積、さらにまた新年度に入りましてからの国内生産の増加ということが圧力になりまして価格が低迷しておるというふうに考えております。したがいまして、この面につきましては私ども、関係する生産者団体におきまして需要の状況に応じて生産の調整をしていくということについてもう少し踏み込んだ相談をしていく必要があるということで、特にイカの場合には、御承知のとおり大変多種多様な漁業種類が関与をしておりますので、私どもが従来以上にイニシアチブを持ってこの生産調整問題に現在取り組んでおるところでございます。まだ来年の漁期に向けての努力目標というものについて結論を得ておりませんけれども、今月中には何とかめどをつけていきたいというふうに考えております。  それからサケ、マスでございますが、これも基本的には過年度からの在庫累積、新年度に入ってからの生産量の増加ということが要因としてございますけれども、イカ、サンマの場合に比べてやや輸入の要因というものが強く働いているのではないかというふうに私ども考えております。したがいまして、これは生産者、加工業者、流通業者全体をめぐりまして、全体の需給情勢についてもう少し共通の認識を持っていただく、その上でいろいろな行動計画を持っていただくことが大切であるということで、従来やっておりませんでしたいわば川上から川下を通じた関係者の共通認識づくりのための場を今月中に設けまして、来年の需給期に対応したそれぞれの行動計画をそれなりに考えていただく体制づくりということを考えておるわけでございます。  それから、通じて申し上げなければいけないことは、魚価低迷に関連をして輸入問題がいろいろ議論をされておりますけれども、実は御承知のとおり魚の世界だけではなくて全体としての食品マーケットが、需要の変化ということもございまして大変競争が激烈になっておるわけでございます。その中にありまして最近の水産物需要の動向を見ますと、中高級品に対する需要が、何といいますか非常に強くなっておる。したがって、中高級品を中心にして需要が増加している状態に対して、国内の生産がこれは必ずしも十分に伸びないということがあって輸入が増加しております。一方、中高級品の需要増加の中で、その範疇に入らないような、端的に申しますとイカ、サンマのたぐいあるいはイワシ、そういう浮き魚系統のものについては需要そのものがなかなか伸びがたい状況にある。最近の食品市場の中で頭打ちの傾向が非常に強い。したがいまして、加工なり流通面におきましてもう少し付加価値を高めて、マーケットそのものを広げる工夫が必要ではなかろうかということで、これまた、私どもの知恵にも限界がございますので、加工業者あるいは流通業者の皆さん方のお知恵もかりながらマーケットの維持拡大に努めていく必要があるということで努力をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  214. 藤原房雄

    藤原(房)委員 もう時間もあれですが、では一括全部いきます。  円高によりまして最近は魚の輸入が急増をいたしております。一兆四千億とか言われておりますが、それがいろんな影響を及ぼしておりまして、魚価の低迷とか漁業経営の不振とか、今長官からお話もございましたようにいろいろなことがあるわけでございますが、近海の資源の枯渇、こういうようなこと等をあわせまして抜本的な漁業構造の再編成、こういうことが言われておるわけでありますが、全漁連等におきましては、緊急対策として新しい抜本的な漁業構造を再編成するために努力しなければいかぬ、そのことのために水産物の関税の一部、こういうものによりまして国際化に対応した漁業体制をつくる、こういうことで基金構想、こういうようなことを発表いたしまして、これを推進したいというようなこと等についてはよく御存じのことだろうと思います。今までのやり方でこういう変化の激しい今日、同じことを手直し、こんなことではならない時代に来たような感じがいたしまして、これは非常に示唆に富んだ、検討しなければならぬことではないかというような感じがするわけであります。関税ということになりますと、これは水産庁だけでできることではないのかもしれませんが、財政当局の抵抗もあろうと思いますが、漁船漁業を初めとして漁業がどんどん締め出されております今日、近海の資源の枯渇、こういうことを考えますと、どうしてもこういう大きな基金構想ということも一つの考え方であろうかと思うわけであります。これはぜひひとつ大臣、真剣に御検討いただきたいことだと思います。  それから、国連等におきまして流し網の問題が問題になっておりますが、このことについては多言を要しないと思いますけれども、これは日本の今後の漁業にどれほど大きな影響を持つことになるか、はえ縄等につきまして、日本の漁業の根本にかかわる問題としまして、これはしっかり対応しなければならないだろうと思います。相手のあることでありますけれども、関係国に対する働きかけ等をひとつしっかり進めていただきたいものだと思います。  これからまた行われます日ソ漁業交渉、これもまた現状を下回ることのないようにぜひひとつしっかりお取り組みをいただきたい。  それから、今こういう時代になりますと、もう日本海なんというのは一つの湖みたいなもので、日本海の資源調査ということは非常に大事なことだと言われておりますし、皆さん方もその認識は同じだろうと思います。これは日本だけじゃなくて、ソ連や韓国や北朝鮮もそれぞれ関係することでありますが、日本としましてもどうしても日本海の資源調査、少なくともセンターを設けてなすべきであるということは、時折私も主張し続け、また水産庁につきましての御見解等を承っておりますが、これらのこと等につきまして、御見解とまた推進の方途について真剣にお取り組みをいただきたい。激励の部分とお伺いする部分とございますが、順次お伺いいたしたいと思います。     〔柳沢委員長代理退席、委員長着席〕
  215. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 まず最初に、全漁連等でいろいろ論議をされております経営安定等へ向けての抜本対策の問題でございますけれども、私どもも、来る十七日に予定をされております全漁連の大会におきまして論議すべき事項についていろいろ話が進んでおるということを聞いておりますが、先生指摘になりましたような問題について、まだ具体的に私ども聞いておりません。  確かに、昨今の漁業をめぐる状況を考えますと、いろいろ将来の課題というのは少なくないという認識を持っておりますけれども、やはり基本的には、外にあっては国際漁業についての再編成問題をどう考えていくか、それからまた内にありましては、周辺漁場においてつくり育てる漁業の育成、資源管理型漁業への移行、それに対応した各漁業経営の体制づくりということが必要であることは言うまでもないことでございます。既存の政策の見直しを含めて、私ども、関係団体とともども検討を進めまして、効果のある政策展開を図っていきたいと思っておるわけでございます。  それから、日ソの漁業交渉でございますが、御承知のとおり、これは双方の二百海里内で相互入り会いという形で行ういわゆる地先漁業の問題と、ソ連産のサケ、マスを公海上において日本がとるといういわゆるサケ・マス漁業、この二つがございます。前者につきましては、今月の末からモスクワにおいて交渉を行っていきますが、これにつきましては、先方としてはやはりみずからの国内資源をできるだけみずから利用したいという意向を持っておりまして、なかなか厳しい交渉が予想されております。また、サケ・マス漁業につきましては、これまた御承知のとおり、昨年の交渉の際に一九九二年以降は沖取りサケ・マス漁業を禁止するという宣言を先方は行っております。い ろいろな機会を通じてその撤回を求めておりますけれども、確たる返事はないということで大変厳しい状況でございまして、このサケ・マス漁業についての交渉は恐らく来年の二月か三月ごろから始められることになろうと思いますけれども、大変予断を許さない状況であるわけでございます。  それから、日本海の漁業資源の重要性の御指摘でございますが、私どもも全くそのように考えております。御承知のとおり、日本海の資源調査については、私どもの日本海区の水産研究所が中心になり、関係する都道府県の試験研究機関と一体となりまして資源の把握に努めまして、その結果を踏まえながら栽培漁業の推進でありますとか、あるいはまたいろいろな漁業調整を行っておるという状況でございます。さらに調査の内容を充実し、必要な施策の整備に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
  216. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 流し網に関する国連決議の問題につきましては、我が国としましては科学的根拠に基づき冷静な話し合いにより解決すべき問題であるとして、決議案の提出を見合わせるよう私の方から在京の米国大使、ニュージーランド大使に書簡を出しますなど、再三にわたり米国、ニュージーランド両政府に対して申し入れを行ってきたところでございますが、去る十一月二日に米国、ニュージーランド等が、公海における流し網漁業の即時停止あるいは一定期間後のモラトリアムを求める決議案の提出に至りました。このような動きに対しまして我が国としては、流し網の問題については科学的な根拠に基づき対応すべきであるという観点に立った決議案を提出したところでございまして、現在米国、ニュージーランドなどの決議案と日本の決議案の一本化の努力を進めるとともに、これが不調の場合に備え、日本案に対する各国の支持の取りつけに努力を払っているところでございます。
  217. 藤原房雄

    藤原(房)委員 終わります。
  218. 近藤元次

    近藤委員長 次は、玉城栄一君。
  219. 玉城栄一

    玉城委員 私は二点ほどお伺いをいたします。一点は病害虫の異常発生の問題、それから沖縄の赤土流出による海域汚染の問題。時間が二十分でございますので、大急ぎでお伺いいたします。  大臣、一点目の病害虫の問題なんですが、大臣も沖縄に行かれた経験もおありと伺っております。芭蕉布、御存じでしょうか。「芭蕉布」という歌もあります。芭蕉布の原料はイトバショウ。イトバショウの繊維によってこの芭蕉布をつくるわけです。これは文化庁の無形文化財にも指定されております。そのイトバショウが九月ごろからいわゆる病害虫の異常発生によって葉っぱが全部食われてしまいまして、残っているのはイトバショウの筋だけです。しかも、このイトバショウの下に子株というのがある。この子株というのは来年、再来年の原料になるわけです。今食われているものは繊維をとればいいわけですから葉がなくても多少は間に合うわけですが、この子株までやられているわけです。しかも、沖縄亜熱帯果樹、バナナ栽培、今農水省も奨励しております。そういうことでバナナの栽培は沖縄本島中北部、宮古島あるいは八重山等、先島にたくさんあって、バナナセセリという害虫はバナナの実も食べるわけであります。そこに飛び火する可能性がありまして、非常に憂慮されておるわけですね。そこで、これは私もおととい行って視察しましたが、一週間、十日できれいに葉っぱを食ってしまうわけです。それこそ無残な姿です。それでこの防除対策は緊急を要すると思いますので、私もいろいろ法律を調べてみましたが、植物防疫法十七条、緊急対策、これは大臣が指定されて防除対策をされるわけですが、今度はまたその法律以外に、予算措置による病害虫総合制御技術推進特別対策事業、あるいはまた特殊病害虫特別防除事業等、そういう既存の農水省の持っている制度を動員して早急にこの防除対策をやっていただきたいと思います。これはいろいろなことへ波及していく可能性もありますので、いかがでしょうか。
  220. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 今の問題につきましては、沖縄県が発生状況及び被害状況の調査を行っておる、こういうふうなことでございますので、現在行っておる調査の結果を見きわめ、県からも相談があればそれに応じてまいりたいと思います。  なお、詳しくは農蚕園芸局長の方からお答えをさせていただきます。
  221. 玉城栄一

    玉城委員 大臣がお答えされたように、今県が調査をしておる、その実態を見てというお話ですね。ですから、これは県も、地元の大宜味村という役場がありますが、そこも調査を始めております。今申し上げました植物防疫法十七条とか、いろいろな既存のそういう病害虫の防除対策事業がございますね。ですから、そのどれを適用して緊急に防除対策をやるかということは、これは県から緊急に防除対策をしないといかないわけですから、上がってきてというのも並行して、やはり農水省のそういう病害虫の専門家、たくさんいらっしゃると思うのですよ、直接派遣されまして、あるいは県と一体となりながらでも、じかに農水省としてもどういう実態なのかということを調査をして、それに基づいて何々の制度が適用されるのかということ、これは当たり前だと思うのですが、いかがでしょうか。
  222. 松山光治

    ○松山政府委員 私どもの方もバナナセセリの問題、今大臣から申し上げたような状況にあるということを承知いたしておるわけでございます。こういう場合の防除問題への国と地方との関係の問題も一つあるわけでございますが、御案内のように従来から広範に発生いたします病害虫につきまして、発生予察等を通じまして国が必要な指導をやっていくという、ただ地域的な問題についてはまずは各地域でひとつお取り組みいただき、それに対して国として必要な支援、御相談に応じていくという形でやってきております。大臣からもお答え申し上げましたように、今せっかく県が調査に入っておる段階でございまして、私どもの方にもまだ、私どもの方からも連絡をとりつつはございますけれども、特段のあれもございません。それで今後の御相談の中で要請がございますれば、今御指摘のございましたような専門家の派遣も含めまして検討はさせていただきたいと思っております。  ただ、ちょっと今お話のございました植防法に基づきます緊急防除の問題でございますけれども、この緊急防除というのはほかに蔓延いたしまして重大な被害を与えますおそれのある病害虫につきまして、その害虫を根絶するということを目標にいたしました移動規制でございますとか、あるいは寄生植物、今の例でいきますとイトバショウ自体を除去してしまうとか、そういったことが主体の措置でもございます。そういう意味では、このバナナセセリの場合に適用することが適当なのかどうか、ふさわしいかどうかといったような問題はあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、これからまた県の話もよく聞いてまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  223. 玉城栄一

    玉城委員 局長さん、今の植防法十七条の緊急防除の問題にしましても、あなた方はその実態も何もわからないで、そこで今結論めいた話をされること自体おかしいのですよ。どういう被害の実態なのか、例えばこの害虫のバナナセセリという実態も、あなた方わからないんじゃないですか。そういうデータもないという話でしょう。ですから、ここで私は申し上げましたが、緊急を要すると県から上がってくるのもいいんでしょうが、農水省としてもこの際、この芭蕉布という文化財に指定された貴重な伝統工芸品ですから、織物ですから、それが危機に瀕しているということは、この委員会で私申し上げているわけですから、そこを県が来るのを待って相談しながらという、それも大事ですが、直接専門家を県と一緒になって派遣して実態を調べるというのは当たり前の話で、もう一遍局長さん答弁してください。
  224. 松山光治

    ○松山政府委員 地域にとって重要な文化財であればなおのこと、やはり地域における取り組みというのを尊重する必要があろうと思います。お話のございましたように、県ともよく相談しながら、必要に応じて専門家の派遣についても考えていき たい、このように考えております。
  225. 玉城栄一

    玉城委員 これは緊急を要する問題ですから、法律やいろいろな既存の制度を適用する場合の判断としても、農水省もじかに実態を見ておいていただきたいわけです。農水省は職員がたくさんいらっしゃるわけでしょう。今大事なことは現場主義ですよ。そこから上がってくるそれを参考にするということは当然ですが、じかに一人、二人専門家を派遣するということは、農水省という役所の組織の中では別にそんなに大したことではないわけですから。大臣、いかがですか。
  226. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 ただいま局長の方から答弁申し上げましたとおり、県からも相談があれば応じてまいりたいと思っておりますし、専門家派遣の要請があれば検討してまいりたいと思っております。
  227. 玉城栄一

    玉城委員 文化庁にもお伺いしたいのですが、文化庁も昭和四十九年に芭蕉布を無形文化財として指定されている。今申し上げましたように、その原料が害虫によって危機的な状況にある、だから来年、再来年は生産が相当減退するということが予想されるわけですから、そういうものを含めて、文化庁としてはどういう見解を持っていらっしゃいますか。
  228. 小林孝男

    ○小林説明員 お答えいたします。  沖縄の喜如嘉の芭蕉布といいますのは、先生今御紹介がございましたように、イトバショウの繊維を糸にして織った布でございます。すべて天然の材料によりまして手仕事で制作され、繊維は粗い平織物でございますけれども、特別の魅力を備えた織物として高く評価されているわけでございます。このため、昭和四十九年に喜如嘉の芭蕉布ということでこの制作技術が国の重要無形文化財に指定されまして、同時に喜如嘉の芭蕉布保存会が保持団体に認定されたところでございます。文化庁では、同保存会の伝承者養成事業に対しまして毎年助成金を交付いたしまして、そのわざの保護、保存に努めてきたところでございます。  文化財の保存伝承のためには、必要な原材料の確保がなされることが極めて大切なことでございますが、文化庁といたしましても、今回伝えられております害虫によるイトバショウの被害につきましては非常に残念に思っているところでございます。私どもも、沖縄県の教育委員会等を通じまして被害の実態状況等を把握するとともに、必要に応じまして、害虫駆除などの適切な対応策の実施について関係機関にお願いしていきたいと考えておるところでございます。
  229. 玉城栄一

    玉城委員 ただいま文化庁からもそういう御意向が表明されましたので、大臣、しかと受けとめていただきまして、芭蕉布という非常に貴重なものですから、この原料確保がそういう危機的な状況にあるという御認識のもとに手を打っていただきたいと思います。  時間がございませんので、もう一つ。これも大臣御存じと思いますが、沖縄県の赤土、土砂の流出による海域汚染という問題があるわけです。  御存じのとおり、八重山、石垣の空港がずっと十何年来建設されない。いわゆるサンゴの問題がありまして、それほど沖縄の海というものはきれいであり、サンゴとか環境問題が非常に大事な財産とも言えるものがあるわけです。ところが、これは農水省だけではありませんが、一番大きなのは構造改善局によるいわゆる農業生産基盤整備に伴う土地改良事業。これだけではありません。例えば宅地造成とか、道路工事とか、砕石の問題とか、観光レジャー施設、それからゴルフ場の建設の問題とか、もう一つ大きなものは米軍基地施設の建設による赤土の流出とか、そういうさまざまな原因があります。しかし一番大きな問題は、これは構造改善局にお伺いしたいのですが、農水省がやっていらっしゃる土地改良事業等による赤土の流出問題が非常に大きな問題になっているわけです。ですから業者の方に聞きますと、いや、私たちは農水省の規格どおりやっていますから、私たちのせいではない、そういうふうに言う人もいるわけです。ですから、例えば沖縄で土地改良をやる場合の規格というのは本土と同じじゃないか、一律の規格でやっているのではないか。本土の場合と土が違いますから。沖縄の場合、島尻マージという酸性土壌です。これは雨が降りますと、周囲が海ですからだあっと流れていくわけです。そういうことで、一つ大きな問題は、土地改良とか、そういういわゆる構造改善局のやっていらっしゃる問題で、一体どういう対策をしておられるのか。これまでいろいろな要望等もあったと思いますけれども、この赤土が流出しないように一体どういう対策をしておられるのか。予算の問題なのか、今言う規格の問題なのか、あるいは業者の問題なのか。その対策をちょっとお伺いしておきたいのです。
  230. 片桐久雄

    片桐政府委員 農業基盤整備事業の実施に当たって赤土が流出するという問題につきましては、沖縄県が昭和五十四年に土砂流出防止対策方針というものを設定いたしましていろいろ努力をしてきたところでございますけれども、その後この対策を強化するために実態調査それから対策調査等を行いまして、本年十一月にこの防止対策を見直したところでございます。その見直しの要点といたしましては、自然地形を活用した土砂流出防止対策を推進するとか、また土壌保全管理に関する営農指導を推進するとか、またこの土砂流出防止対策に関する試験研究等を推進するということでございます。  私ども農林水産省といたしましても、海域の汚染が生じないように、地区の実情に応じまして例えば流末端の自然地形を活用した沈砂池を設置するというようなことをいろいろ考えておりますけれども、そういうような方法を講じましてその防止につき十分配慮するよう沖縄県等を指導してまいりたいと考えております。
  231. 玉城栄一

    玉城委員 この沖縄県の赤土流出による海域汚染は、いわゆる養殖なんかをたくさんしているので漁場が死滅をする、そういう例があるわけです。これはもう従来から沖縄で非常に重大な社会問題になっているわけです。さっき空港の問題も申し上げましたけれども、それ以上に海を汚染しているのは土砂の流出である、こういう意見があるわけです。今局長さんがいろいろおっしゃいましたが、大臣はどういう御認識を持っていらっしゃいますか。重大な問題としては受けとめておられませんか。
  232. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 大変重要な問題だと思っております。
  233. 玉城栄一

    玉城委員 水産庁の場合は漁場が汚染されるわけですから被害者の立場でありますので、水産庁としてはどういう対策を考えていらっしゃるのかお伺いいたします。
  234. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 この沖縄地域での赤土流出問題というのは、先生指摘のとおり、赤土の流出によりまして漁業資源の再生産への影響、それからまた漁網、漁具の汚染の問題というふうな意味で、漁業サイドはいわば被害者的な立場にあるわけでございます。私ども、この問題が顕在化しました昭和五十二年、三年にわたりまして、まず実情を把握する必要があるだろうということで、沖縄県に委託調査をお願いいたしまして実情把握をしたわけでございます。その結果に基づきまして、先ほど構造改善局長から御答弁申し上げましたように、五十四年に沖縄県のいわば指導方針というものをつくっていただきまして、それに沿って各種の開発行為に対する一定の指導を進めてきたわけでございます。その後いろいろな実情の推移もあるわけでございますが、なかなか事態が急速に改善されないということもございまして、この十一月に新しい指導方針というものを沖縄県につくっていただき、今後この新しい基本方針に基づきまして早急に指導の効果が実現されるよう、我々としては現在期待をし、またその推移を見守っていきたいと考えております。これが一時的な現象としてある限りにおいては、根本的な影響というものも防げると思いますけれども、いずれにしましても、大変貴重な水産資源の培養でありますとか、あるいは当面する漁具汚染の問題等について、問題がありますればまた我々としても沖縄県と十分連絡をとって必要な努力をしていく必要があると いうふうに認識をしておるところでございます。
  235. 玉城栄一

    玉城委員 最後に大臣にお伺いいたしますが、大臣の所管の中の水産庁も被害の立場ですね。ですから水産庁も含めまして、一番土地改良事業を所管していらっしゃる構造改善局、これはまた林野庁等にも関係しているわけです。ですから、省内のそういう赤土流出問題に対する防除対策をきちっとしていただくと同時に、もう一つは、さっき申し上げましたとおり道路建設とか宅地とか観光、そういう施設の建設に伴うものとか、あるいはゴルフ場とかあるいは米軍とか、いわゆる省外のものもあるわけですね。ですから、何らかの機会をつくっていただいて、そういう沖縄県における貴重な土地の流出をさせない、貴重な海を汚さない、そういうことを厳重に注意をさせる機会を持っていただきたい、このように思いますが、どうでしょうか。
  236. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 赤土流出問題の発生源である各種の開発行為について適切な指導が行われ、漁業に対する影響が過大なものにならないように、沖縄県を通じていろいろと相談をしながら各般の努力を払っていきたいと思っております。
  237. 近藤元次

    近藤委員長 次に、吉浦忠治君。
  238. 吉浦忠治

    吉浦委員 昨年の第百十三回国会におきまして当農林水産委員会で起草いたしました遊漁船業の適正化法案が去る十月一日から施行となったところでございますが、届け出等の進捗状況などについてまず現状をお尋ねいたしたい、こう思っております。  遊漁船業の届け出でございますけれども、本年の十月一日からその受け付けが始まったわけでございますけれども、法律では十一月三十日まで、今月の末までに届け出を済まさないとその後の営業は法律違反、こうなるわけです。そこで、三万に近い、三万以上とも言われておりますけれども、遊漁船業者がこの二カ月間に届け出をするということ、これは初めてのことでもありますので大混乱をしているんじゃないかなと心配をいたしておりますが、各都道府県等でもこの説明なり掌握なりに大変な作業をした、こういうふうに思うわけです。現在どのくらいの業者から届け出があったのか、この点をまず御報告していただきたい。
  239. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 お話ございましたように、昨年の国会におきまして議員立法によりまして成立をいたしました遊漁船業の適正化に関する法律、ことしの十月一日から一定の準備期間を置いて施行しておるわけでございます。法律施行後一カ月をたちました十月末時点での届け出の状況、件数で二千五十件、対象の船の数が二千六百六隻という報告を受けております。  御指摘のとおり、いわゆる遊漁船業者の推定総数、第八次の漁業センサスによりますと約二万八千ほどあるのではないかという推定を私ども持っておりますけれども、それに比べてまだ法律施行後一カ月時点での届け出状況、大変低率でございます。私ども準備期間において関係者に対する指導なりPRに努めたつもりでございますけれども、なお努力を要するという気持ちを持っております。ただ、いろいろ実情を聞いてみますと、特に北方の方でございますけれども、いわゆる遊漁船業として活動するシーズンを若干過ぎたということで、慌てて新しい法律による届け出をしなくても、次のシーズンの営業開始までに届け出をすればいいのではないかというふうなお気持ちも関係者の中にあるやに聞いております。確かに形式上、法律施行後二カ月たった時点で届け出をせずに営業を行った者については罰則が適用されるというふうな規定はございますけれども、極力この期間内に届け出を済ませるような指導をしたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたような事情もあるものですから、残された一カ月、今月いっぱいの期間の届け出を促進させるべく最大限努力をすると同時に、来シーズンに営業を再開するというころ合いをとらえて届け出の推進に努力をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  240. 吉浦忠治

    吉浦委員 届け出期間があと二週間ばかり、こうなっているわけですから、今お答えを聞きますと二千五十件、船にして二千六百六隻、こういうことで、これはほとんど進んでおりません。十二月一日から届け出してない者は法律違反で、罰則ができておりまして三十万円以下の罰金に処せられることになっているわけで、そういう事態ができるだけ起こらないように水産庁としても早急にまた各業者に行き届くように法律の内容を徹底させる必要がある、こう思うのです。今のような長官のお答えでは私は納得できないので、だから来シーズンまでにやればいいじゃないかというようなていにも聞こえるし、そうじゃないでしょうけれども、この届け出期間というものをきちっと設定して法律で決めた以上、この期間内にやらせるのが水産庁の役目であって、そういう長官の答弁みたいなことを言われたのじゃ困る。  それで、どのように対応なさるのか、もう一歩突っ込んでお答えをいただきたい。
  241. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 先ほども申し上げましたとおり、遊漁船業としての営業が継続される者については、当然法律上許された届け出期間内に届け出が完了しなければならないというふうに考えております。したがいまして、都道府県を通じての指導なりあるいは関係団体を通じてこの届け出をできるだけ早急に済ませるべく私ども今月いっぱい、大変残された期間は少のうございますけれども最大限努力をしたいと思っております。  ただ、先ほど申し上げましたように、末端の遊漁船業を営む者の中でも、この届け出期間が終了した後、現実の営業が行われないという方々も少なくないというふうに聞いております。もちろんその方もできるだけ早く届け出を、可能な限り届け出許容期間内にしていただくことが望ましいわけでございますけれども、いろいろな考え方があるようでございますので、少なくとも届け出期間終了後において届け出を行わずして営業を行うというような事態が起こらぬように、さらに指導を徹底してまいりたい。少なくともまた時間を置いて営業を行うとすればそれ以前に届け出を厳正に行っていただくように指導をしていきたいというふうに考えるところでございます。
  242. 吉浦忠治

    吉浦委員 ちょっと次に移らせていただきます。この起草した場合の私どもの根本精神、大事な点がここにあったわけですが、安全性の確保について、この点が一番重要でございますので伺っておきたいと思うのです。  この法律を起草した契機というものが、遊漁船と御承知の「なだしお」の潜水艦との事故が起こったために、このことを契機として遊漁船の安全性の確保について、特に安全性を大事にしたこの法律をつくったわけでありまして、漁業を所管する水産庁とそれから船舶一般を所管する運輸省、いわゆる海上保安庁、こういう所管の問題もありましょうけれども、この法律の中に十分に盛り込むことができなかった嫌いもあるわけです。私は法案を起草する場合にこの点を盛んに詰めてまいりましたけれども、なかなか難しかった点はこの安全の問題であります。しかし、現在において遊漁行政の中で最も重要なことでありますのは、人の安全、それから生命の安全をいかに確保するかということでありますから、水産庁としてせっかく遊漁についての単独法ができたわけでありますから、ここで遊漁船については水産庁が中心となって責任を持って安全確保対策というものを進めるべきではないか、こう考えているわけです。この点についてお答えをいただきたい。
  243. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 ただいまの御指摘のとおり、この法律制定に向けての大きな背景といたしまして利用者の安全性確保という問題があったことを私どもしかと認識をしておるつもりでございます。確かにお話ございましたように、船舶の安全性については総括的には運輸省が関係法令を所管し責任を負っていただいておるわけでございますが、遊漁船そのものについての利用者を含めた安全性確保のために、本法の運営に当たります水産庁としても十分責任を持って対処するよう、法律の中に規定してありますように、安全性確保のための一定の行為を遊漁船業者に義務づけております。また、それを確保するために所要の営業規程の中 におきまして一連の指導を行っておるところでございまして、御趣旨に沿って、私どもも運輸省とも連絡をとりながら、私どもの仕事として安全確保最大限努力をしてまいりたいというふうに考えるところでございます。
  244. 吉浦忠治

    吉浦委員 次に、登録についてちょっと質問をいたしておきたいのですが、登録件数がわずかであるという点で、今私は大変憂慮しているのですけれども、この登録制度についてあるスポーツ新聞などで反対の趣旨の意見が出ておりました。その内容を見てまいりますというと、いろいろあるようですけれども中心的なものは、保険料が二倍から三倍にはね上がるのじゃないか、いわゆる業者の負担がふえるのじゃないか、それがまたはね返って遊漁者の負担になる、そうなるとお客が減る、こういう悪循環になりはしないかということが書いてありました。私は、遊漁者が安心して釣りを楽しむために遊漁船の安全確保と万一の場合に備えて保険、また営業する者として一定の負担は欠かすことはできないだろう、こう思います。遊漁者もまた身を守るためには低度の保険料負担はやむを得ないのではないか、こういうふうに思っているわけです。  そこで、水産庁として、この法律に基づいて事故が生じないように指導することはもとよりでありますけれども、いわゆる関係者に保険の必要性をもっと説明して、そしてまたあわせて、加入拡大することによって危険も分散するし保険料の引き下げにもつながると言う努力も必要ではないか、こう思うのです。現在一部業者の中にあると言われております不満をどのようにとらえておられ、またどのように対処しようとしておられるのか、簡潔で結構ですからお答えいただきたい。
  245. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 お話ございましたこの新しい遊漁船業適正化法についていろいろな御批判なり意見があることは私ども耳にしております。これにつきましては、私どもとして繰り返しこの必要性、妥当性について説明、指導してまいりたいと思っております。また、この問題と関連をしまして保険料の問題、新しい制度の発足に対応いたしまして、実は従来から行っておりました民間保険と並行いたしまして、十月一日から漁船保険においても新しい保険を発足して関係者の危険負担の適正化というものに私ども対応しております。ただ、この際に民間部門で従来から行っておりました保険につきまして保険設計を新たにやり直しをして保険料を若干引き上げたという経過がございまして、そのことと関連をして新しい法律、制度についての批判が出ておる、やや誤解が生じておる点があることは事実であります。その辺の誤解を解いて、御指摘のとおり、新しい登録制度をベースにしながら、保険制度の活用を通じていろいろな危険負担の適正化というものを図っていくことの必要性について、関係者の理解を得べく、私ども引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
  246. 吉浦忠治

    吉浦委員 せっかく当委員会でこの法案をつくっても、その運用の段階になって問題があることはよくわかっておりますけれども、それはやはり水産庁が責任を持ってこの運用を図っていただかないと、取り組み方が何か遠慮しいしい、船業者の方を余りやるとやられはしないか、私は直接いろいろな会合に行っておりますので、当面その責任の一端としてやられていることは事実でございますけれども、水産庁がもう少し責任を持って推進をしなければ、当委員会の発議としてこの法案を作成したわけですから、当委員会の責任においても私ども責任があるわけですので、この施行の方法については、長官、全責任を持ってひとつ取り組んでいただきたい。要望を申し上げます。  時間がございませんのでもう一点だけお尋ねをしておきたいのですが、先ほど同僚議員の藤原議員の方から最近の魚価低迷については話がありましたので、別な面で足腰の強い漁業の確立という点でお願いをし、またお答えをいただきたいと思うのですが、先般の第八次漁業センサスの調査結果概要を見てまいりますと、二百海里後の日本漁業の変化を如実にとらえた報告が出ております。私も実感として数字で裏打ちされたなと思ってこれを読ませていただきましたけれども、一例を挙げますと、漁船のトン数や漁獲金額が階層別の漁業生産構成では中小、大規模のシェアが大変低下をしておりまして、沿岸漁業層のシェアが拡大をしております。また、操業区域を漁船のトン数で見ますと二百海里以遠での操業が昭和五十三年には五二・九%であったものが六十三年には四二・九%に減少しておりますし、その分だけ十二海里内での操業がふえております。いわゆる沿岸の時代になったことを私はこの数字から見ても実感できるわけでありますが、その中で、沿岸漁業者では一隻当たりのトン数、馬力数とも増加をして、特に沿岸の馬力数は大幅に増加しております。最近、いわゆる沿岸の資源が枯渇していると言われておりますが、この辺に原因があるのではなかろうかと推察をいたします。このような現状から日本近海の資源は取り返しのつかないことになりはしないかと心配をいたしております。いわゆるセンサスには老齢化の進展、漁業就業者の減少など極めて重要な結果が見られるわけでありますけれども大臣、このような二百海里後の日本の漁業、特に沿岸水域の漁業の変化についてどのようにお考えになっておられるか、この点だけ伺って終わりにしたいと思います。
  247. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 今先生申されたとおりに、二百海里体制の定着に伴いまして国際規制が一層強化される中で、我が国二百海里内を漁場とする沿岸漁業等の振興を図ることがますます重要になってきておると思っております。このため、漁業を取り巻く厳しい状況を踏まえまして、一つは漁港を初めとする生産、流通基盤等の整備をやっていく、つくり育てる漁業の推進を図っていく、また、資源の水準に見合った漁業生産体制の再編整備をやっていく、また、鮮度志向等の消費者ニーズに適合した水産物の供給体制の整備を図っていく、このような観点に立って努力をしてまいりたいと思っております。
  248. 吉浦忠治

    吉浦委員 終わります。
  249. 近藤元次

    近藤委員長 次に、水谷弘君。
  250. 水谷弘

    水谷委員 長時間にわたりまして大変御苦労さまでございます。  鹿野大臣就任のごあいさつが先ほどございました。大変重大な決意、覚悟で臨んでおられることはよくわかります。問題はその覚悟や決意を、今当面している例えば二〇〇〇年農産物長期見通し、さらには間もなく結論を出されるとおっしゃっておられる水田農業確立後期対策、その中に具体的に農業者皆さん方ひいては国民全体が納得のできる形としてあらわしていただかなければならぬわけでありまして、どうかひとつそのことを踏まえてお取り組みをいただきたいと思います。同僚委員からも新進気鋭の大臣に対する大変期待のこもった激励の言葉があったわけでありますから、しっかりお取り組みをいただきたい。  まず、この長期見通しの中といいますか我が国農業長期展望、これが今先が見えない、元気が出ない、こういうふうに言われる。そして、どうもその方向性は農産物、食料品の輸入拡大の方向に日本全体が向かっているのではないか。現在相当の食料品の輸入になったわけで、私も八八年の統計しか見ておりませんで二百七十億ドルという数字を頭に入れておいたのですが、十月十三日のジェトロの発表によりますと、前年より二六・九%の大幅な増加となって既に三百九億三千万ドルに達している、これだけの農産物食料品の輸入という大変な現状になっております。そういう意味では、この傾向に歯どめをかけられるような良質な農産物、そして我が国農地を有効利用して選択的に生産拡大できる部分、そういうところにしっかり的を絞って、さらに国内自給を高めていくというその方向性をしっかり模索していただきたい。そういう意味では、私どもが前々から何度も主張しております高品質のいわゆる穀物を含む粗飼料の自給体制、ホールクロップサイレージ、二十一世紀初頭には少なくとも二十五万ヘクタールぐらいの水田にそれらを栽培できるような体制を整えるべきだ、こう主張しておりますが、それ らも含めてお取り組みをいただきたいわけであります。先ほど来、自給率を高めてまいりたい、そういう願望を申されておりますけれども、どうか願望ではなくて具体的にどこでどれを拡大すれば自給率が高まるか、今までの発想をもう一回白紙に戻して、そうして、将来の我が国農業のあるべき姿を描く今大事なときですから、この時期を間違えますと将来大変な禍根を残す、私はそのことを憂えるので申し上げるわけでありますが、先ほどのごあいさつを踏まえ、そして今申し上げたことの中から大臣のお考えがありましたら、まず最初にお答えをいただきたい。
  251. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 自給率の問題につきましては、そのときの経済情勢なりあるいは消費動向というふうなものによって変動する、このようなことからそれを具体的な形であらわしていくというふうなことについてはなかなか難しい点があるわけでございますが、そういう中におきましても、今日自給率が低下をしている中で何とかこの辺で歯どめをかけたいなというのが農政にかかわる者としては偽らざる気持ちでございまして、そのようなことでこれからも長期見通しの中においてそれをどういうふうな形であらわすことができるか。しかし、日本の国内生産構造の問題あるいは国土条件の制約等々考えますと大変難しい問題等ございまして、この辺のところを今長期見通し検討していただいているところでございます。
  252. 水谷弘

    水谷委員 大臣も私と同じ認識だと思いますが、この農産物長期見通しというのは、いわば農業の将来ビジョンを相当固定化する重要な性格のものです。そういう意味でその決定に当たっては、いろいろな制約もあり、また経済環境、国際情勢いろいろあると思いますけれども国民世論をしっかり引っ張っていけるような、ある面ではリーダーシップをとれるようなものまで大胆に踏み込んで、これは十一年先の計画でありますから、十年計画ですから、その間のすべてがここで大変影響を受けていくわけであります。その点をもう一度申し上げておきたいと思うわけであります。  次に、後期対策については、先ほど来同僚議員からも質疑がございましたし、また、大変お忙しい中大臣には時間をとっていただきまして、水田農業確立後期対策に関する申し入れを先ほどさせていただきました。昭和四十四年に水田の生産調整が実施されて以来既に二十年経過をしておりますが、この生産調整対策はますます強化されこそすれいまだに解決の見通しは立っておりませんし、政府はこの後期対策においても、転作面積については今鋭意検討をしておられるはずでありますが、しかし、若干拡大をするのはやむを得ないのかもしれないというような声も一部漏れ承っております。選挙を前にした当面の施策ではないかなどという大変厳しい批判をされておられる方もいるわけでありますけれども、既に八十三万というもうそれこそぎりぎりのところまで努力をしておられる、このことをしっかり踏まえて、この拡大が行われませんように改めて私は申し上げておきたいと思います。  そこで、備蓄量の問題についても先ほど申し入れをいたしましたし、さらには良質米に対する考え方、さらにまた現在の農家が持っておられる負債の対策問題等についても触れました。ここで特に新行革審が触れております点について、これは私は大臣からはっきり承った方がよろしいかと存じますけれども、新行革審答申、昭和六十三年十二月一日、食糧管理制度の問題についての中で、「米の生産調整については、水田農業確立対策期間終了時において転作奨励金依存からの脱却を図る。」と明確にそれが指し示されているわけであります。現在の水田農業確立の中での転作問題、そしてそこにおける転作奨励金の位置づけ、これはもう最低ぎりぎり、どうしても、これが一角でも崩れていったならば転作そのものが大変失われるという問題であります。いよいよ後期対策の骨格を発表される。そこで大臣にこのことをしかとお約束をいただきたい。後期対策終了時において、ここでは転作奨励金依存からの脱却を図るという指標が示されておりますが、努力は一生懸命するのは当たり前ですけれども、とてもとてもこんなことはできる相談ではない、私はそう思います。大臣はどうお考えですか。
  253. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 新行革審におきます考え方、奨励金からの脱却というふうなことについては私ども承知をいたしております。今後この奨励金問題につきましては、関係者とも協議の上慎重にこれから決めてまいりたい、このように考えております。
  254. 水谷弘

    水谷委員 それ以上踏み込んでの発言ができないということもわかりますが、やはり農政の担当の最高責任者として、私が今申し上げましたこととそれぞれの生産者皆さん方の実情、また水田農業確立への推移、それらもしっかり踏まえてこれだけは、農業サイドからこのような指針を実行に移すことは不可能であるという主張を繰り返し貫いていただきたい。お約束できますか、主張を繰り返すこと。
  255. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 これから急いで詰めてまいりたいと思っております。
  256. 水谷弘

    水谷委員 具体的な問題といたしまして最近生産者団体の幹部から、後期対策のスタートに当たって、転作奨励金の中で現在麦は一般作物としての位置づけがあります。その麦の中の六条大麦、二条大麦について、特例作物扱いにその助成金のレベルを落とすというような議論が出ておるようだけれども、大変心配しておる。そのようなことは断じてあっては困る、こういう大変皆さん御心配をされるような議論があったのかないのか、私はつぶさには聞いておりませんけれども、この点についてそのようなことはあるのかないのか。麦の中で位置づけを将来とも、少なくとも後期対策三年間ぴしっと位置づけをしておくのかどうか、その点についての御答弁をいただきたい。
  257. 松山光治

    ○松山政府委員 後期対策につきましては、今作物の扱いを含めまして検討を急いでおるところでございますけれどもお尋ねの麦の問題でございますが、言うまでもなく水田農業確立を図っていきます上での基幹的な土地利用作物でございます。そういうものといたしまして、転作上はこれまでも一般作物として位置づけてきておるわけでございます。後期対策におきましても、私どもといたしましては、そういう意味では前期対策と異なる扱いを今のところ予定しておらないところでございます。
  258. 水谷弘

    水谷委員 次に、厚生省おいでいただいておりますので、お尋ねをいたします。  ポストハーベストについての基準づくりについて、厚生省、本年度は鋭意その調査等お取り組みをいただいているわけでありますが、これはぜひ早急にその基準づくりをやっていただきたい。ある機関の調査では、アメリカでは収穫後に使われる農薬に栽培中に使う農薬をそのまま使っておる、これは米国ではごく当たり前のこととされている。五十八品目にも及ぶ農薬が認められているということ、米にはポストハーベストとして十七の農薬が使用許可となっている、さらには自由化が決まったオレンジの場合はポストハーベストとして十六種類、小麦は十六種類、サクランボで八種類、大豆は八種類、こういうポストハーベストが使われている実情がわかってきておるわけでありますが、厚生省にお尋ねをいたしますのは、まず、現在までの調査、具体的にどういう調査をしておられ、どういう方向の取り組みをしておられるのか、基準づくりの見通しは今どうなっているのか、そのことについて簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  259. 内山壽紀

    ○内山説明員 お答えいたします。  厚生省では、平成元年度から予算が計上されたことに伴いまして、ポストハーベスト農薬衛生対策といたしまして、輸入農産物における残留調査と安全性に関する情報の収集等を行ってポストハーベスト残留農薬基準を整備していくこととしております。具体的には、国立衛生試験所、地方衛生研究所等関係者の協力を得て、輸入時点の農産物や市販食品について農薬の残留実態を調査するとともに、ポストハーベスト農薬に関する国際機関や欧米諸国における基準等の情報を収集しまし て、基準の設定を進めていくための基礎資料を集積している段階にございます。  なお、見通しでございますが、私どもといたしましては、小麦、大豆等の主要農産物につきましては平成三年を目途に残留基準を整備していきたいというように考えております。また、その他の農産物につきましては年次計画により順次基準整備を推進してまいりたいと考えておるところでございます。
  260. 水谷弘

    水谷委員 実際に国内の植物検疫を潜ったもの、いわゆる水際のものについて、相当その水際でも今薫蒸等が行われておるようでありますが、国内、国外問わず、そういうものを全部網羅したしっかりした基準づくりで取り組んでいただきたいと思います。  次に、ゴルフ場における農薬使用の安全性の問題についてお尋ねをいたします。  最近全国的にリゾート開発ということに絡んで、ある面では国民全体から見て一体このままでいいのか、こんなにゴルフ場ばかりできてこれでいいのか、そういう素朴な国民全体のお気持ちはあることは事実であります。全国のゴルフ場の数がもう二千カ所以上、総面積で二十万ヘクタール、ゴルフ場総入場者数も延べ八千万人になんなんとしている、こういう実情であります。ところが、これでとどまることなく、今度はこれから心配するのは、今まで水源涵養地域だと言われたような山奥にもリゾート開発という名のもとにゴルフ場ができていく。今まで平場でできたときはそれほど問題でなかったようなことが水源地帯にまで起きていく。大変な心配まで起きてきている。そういうときに、ちょうど二重写しになってゴルフ場で農薬が、農地において使用されているようなある程度節度のある、安全基準をきちんと踏まえた上で使われているのならいざ知らず、ゴルフ場で使われている農薬の使われ方は大変心配である。はっきり言いまして、農家皆さん方が長い経験に基づいて使用基準をしっかり守って農薬を使っているのと全然違う。今まで農薬を取り扱ったことのない人がゴルフ場において農薬を使う。その使用のマニュアルすらも手元に明確にない。そういうことで全国のゴルフ場周辺の住民の皆さん方からは、一体このままでどうするんだ、こういう厳しい御指摘がここ数年来起き、そしてそれに対して農水省は、私は遅きに失したと申し上げざるを得ませんが、昭和六十三年八月二十五日農蚕園芸局長通達で、ゴルフ場における農薬の安全使用についてという通達をお出しになりました。  そこで私は、この問題については、やはり地域住民の皆さん方が本当に納得し、安心できるようにしっかりとした厳重な安全性の確保、農薬を主管しておる農水省としては、その責任は極めて重い、こういうふうに思うわけであります。現在、各都道府県や市町村ではそれぞれ鋭意取り組みをしておられます。しかしながら、現状はなかなか事業者に責任をほとんどお任せをしてあるという実情であって、本当にその実態が明確に安全性の使用基準並びに使用要綱等にしっかり適合して行われているかどうかの監視体制や、それに対する厳しい行政指導等については相当不足しているという私の認識でございます。その意味で、現在農水省としてはこの問題についてどのように対処しておられるか、今後どういう対処をし、そこにおける使用の安全性の確保を図ろうとしておられるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  261. 松山光治

    ○松山政府委員 農薬は、その使用方法いかんによりましては国民の健康なり生活環境に重要な影響を及ぼす、こういうものでございますから、そういったことがないように、農薬取締法に基づきまして安全性を確認した上で適正な使用方法を定めまして登録をいたしておるわけでございます。したがいまして、ゴルフ場に限らず農耕地においても同じでございますけれども、登録された農薬が適正に使用されるということが極めて重要である、このように考えておるわけでございまして、従来から都道府県等とも連携して農薬の安全使用基準の遵守等の指導に努めておるところでございます。  ゴルフ場の問題につきましては、今先生の方からお話のございましたような形で、特に昨年来都道府県を通じての指導の強化、その徹底に当たってきたつもりでございます。若干、都道府県段階等におきます指導の実情について御報告させていただきたいと思いますが、いろんな形でおのおのの地域の実情に応じた取り組みが行われております。例えば、市町村なりゴルフ場、農薬の販売業者等に対しまして、文書による指導を行っておるとか、あるいはゴルフ場の管理者等を対象といたしましたり、あるいは農薬の販売業者を対象といたしました講習会を開催する、またゴルフ場に対する現地指導もやる、ゴルフ場に対する指導要綱を制定して指導に当たっておる、そういうところもあるわけでございます。また、ことしの八月には、民間の関係者によりますゴルフ場等の緑地におきます農薬の安全対策を推進する団体といたしまして、緑の安全推進協会という任意法人が結成されております。私どもといたしましては、こういった団体との連携も図りながら、こういった緑地におきます適正防除の確立と農薬の安全使用の徹底ということのために、より一層の指導強化に努めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  262. 水谷弘

    水谷委員 どれだけやってもやり過ぎということはありませんので、この安全性の確保の問題についてはどうかしっかり取り組みをしていただきたいと思います。環境破壊、これが長期にわたって、今の世代ではなく将来の我々の子孫にまで重大な影響を与える問題であります。そういう意味では、単に要綱をつくったり指針を発表したり、それだけで済む問題では決してございません。各都道府県においてもその監視体制、さらには水質の問題等についての調査監視体制も含めた総合的な取り組みをしていただくように、農水省としてもしっかりとした取り組みをお願いしたいと思います。  以上で終わります。
  263. 近藤元次

    近藤委員長 次に、滝沢幸助君。
  264. 滝沢幸助

    滝沢委員 委員長、御苦労さまです。大臣以下政府委員皆さん、御苦労さまです。  実は先般、仙台に与野党農政討論会というのでしょうか、農業新聞の主催する討論会に出てまいりまして、そのとき実はまくら言葉に申し上げたのでありますが、民社党は先ほど農業先進国ビジョンというものをまとめまして発表いたしました。つまり私が申し上げたいのは、政府は農政長期ビジョンをきちんと立てなさいということでありますが、我が党は、非常にまだ未消化のものがありとはいいながら一応定めさせていただきました。これは実は本日は見えていただきまして、私が前座のようなものでありまして、後で真打ちをやっていただきます神田先生、そして長野県の小沢貞孝大先生、そして、先般亡くなられましたが福岡の稲富稜人先生という、いわばこれは民社党にとりましては農政の神様でありまして、私は最近この委員会理事をお願いしました。これは私は神主みたいなものでありますから、その神様のお言葉も要するに神主が翻訳するわけでありますから。そこで私たちが申し上げているのは、減反というものについて、いつまでもだらだらではいかぬじゃないか。二十年間減反を政府のおっしゃるまにまに協力をしてきたのです。そして今水田農業確立後期対策というようなことが言われまして、これはいつまでにどのように策定されるかは——しかし、これをめぐりまして、実は今もお話がありましたが、総選挙目当てのものではないのかとか、いろいろと言われているわけであります。  ところで、私のところへ最近、きょうですが、「粒々辛苦」という川柳集が参りまして、そうしましたらこんなことが書いてありますよ。「農民は選挙が済めば忘られる」、そして「総裁にだれがなっても米余り」というのですよ。これはやはり、政府・自民党と言うと自民党の先生方にちょっとなにでありますけれども、無責任と無能を農家はやはり知っている。先般の参議院選挙は、リクルート、消費税プラス農政、こう言われたわけで ありましたが、農民は既に自民党——自民党と言うほかないのですが、農林省農政を信じていないということだと思うのですよ。どうかひとつ厳しく受けとめていただきまして御答弁を賜りたいと思うわけでありますが、なお参考までに、私は最近、「減反の世に総理のみ二毛作」、こうつくりましたら、二毛作がさらに三毛作になってしまいまして、本当にこれは大変なことであります。  そうした中で端的にお伺いしますが、二十年間減反を協力してきました。あと何年間減反を農林省のおっしゃるとおりに協力していったならばもう減反をやらなくたっていいよ、全部つくってちょうだいという日があるのですかないのですか。つまり私が申し上げたいのは、この町に仮に十町歩の田んぼがある、これを基盤整備をしてあげるから、補助金も出すけれども農家も負担してちょうだい、その借金を二十年間農家は払うのでしょう。そのときに、何年たっても、いわば三〇%なり何なりの減反を解除することができないならば、十町歩あったら七町歩さえきちんと四角の田んぼにすればあとはつくらなくたっていいじゃないですか。四角の田んぼにして借金をして金を返しながらなおつくってはいけない。厳し過ぎますよ。それを何年やったら全部つくれるか、こう言っているわけであります。はっきりあと何年間農林省のおっしゃる減反に協力すれば全部つくらせていただけるのか。その見通しがないならば、三〇%の減反ならば七〇%の田んぼだけ整備をしたらいかがですか。お伺いします。大臣、いかがですか。
  265. 松山光治

    ○松山政府委員 生産調整がいつまで続くのかというお尋ねでございますけれども、米の消費の減退あるいは生産力の向上といったような状況の中で、一時的な米の供給過剰ではございませんで、ある意味では構造的な大きな米の需給ギャップが存在をしておるというのが現状であろうかと思います。そういう意味では、需要に見合った米の計画的な生産を図っていくというのは今後とも必要な事態ではないかと思います。よほど米の消費拡大が飛躍的に進むといったようなことで需給ギャップが解消すれば別でございますけれども、そうでない限りはやはり需要に見合った米の計画的な生産というのは必要になるのではないかと思います。  問題は、その場合のそういった事態への対応の仕方ではなかろうかと思うわけでございます。今やっておりますのも単なる米の需給調整のための措置ということではございませんで、一方で余ります水田に米以外の作物を入れていただいて日本の農業の供給量を高める、あるいはまたいろいろな工夫を凝らしながらできるだけ水田でつくられる米と他の作物生産性を上げていただき、定着的な水田営農ができる方向へ持っていく、こういう方向で事柄を進めていくわけでございまして、私どもといたしましては、生産者のあるいは生産団体の主体的な取り組みといったようなものを基礎といたしながら、今のような形でなくて米の需要に見合った生産が確実に行われるという事態が一日も早く来るのを期待しておる次第でございます。
  266. 滝沢幸助

    滝沢委員 そういうことを聞いているのじゃないですよ。だから私は遠慮しながら自民党と言ったのでしょう。一体日本の政治は官僚の主導のもとに大臣が名義人となって進められていくのですか、それとも政党政治と言われるときに政党が官僚を指揮して政党の論理によって政党の政策によって進めていくのですか、私は疑問を持っている。つまり、大臣、私はだから先ほどあの参議院選挙の結果も申し上げ、自民党のいわば国政というものが今日の批判の対象である、わけてこの農政が批判の対象であると申し上げたわけであります。お役人さんのお話を聞いてもわかるものじゃない。要するに、ならば何で四角の田んぼを十町歩つくるんだ、三町歩つくれて十町歩全部つくれる日はいつなんだと言っているのだ。つくれない田んぼならばなぜに借金させてまでつくるんだと言っているわけです。大臣、いかがですか。
  267. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 米の消費拡大等々につきまして今懸命な取り組みをいたしておるわけでございますけれども、そういう消費、需要の動向というものがこれからどうなるかというふうな問題もございます。そういう中で今日の流れから見ますと、その需給ギャップというふうなものはある程度拡大の傾向にあるのではないか、こんなことが予測されるわけでございますので、引き続いて需給調整努力というふうなものを図っていく必要があるのではないか。その中でいろいろ地域地域のそれぞれの農業というふうな地域農業があるわけでございますから、地域条件を生かした多様な水田利用を展開していくとか、あるいは地域輪作農法というふうなもので面積を拡大していくとか、そういうふうなことによりまして稲作及び転作を通じた水田農業の定着、確立を着実に図っていくことが大事なことではないか、このように考えております。
  268. 滝沢幸助

    滝沢委員 大臣、そんなことを聞いているのじゃないですよ。米がいつになったら一〇〇%今の基盤整備事業をやったところにつくれるのですか。その見通しがないならば、この基盤整備事業というものを必要なだけの田んぼをつくることにしたらいいのではないか、四角の田んぼに孫末代カボチャをつくるのですか、こう聞いているわけです。それはきょう答弁できないらしいから、後で質問主意書を出しますから、きちんとあと何年間——二十年やったのですよ、二十年。最初から二十年とおっしゃったのじゃないのです。当分の間が二十年続いたわけでありますから、これから何年間それに協力したならばと言っているわけです。せめて基盤整備事業のいわゆる借金の返済を全部つくれるまで免除したらいかがですか。いろいろとありますから、後で質問主意書を出させていただきます。  次に、食糧が世界でアンバランスになっている。しかし今、軍備、防衛の問題も世界じゅうで東西が話し合おうというときでしょう。そして大空のオゾン層保護の問題、わけても環境の問題、すべてが国際的に国連等を中心にして処理されるときてしょう。五十億の人口の中で三分の一が飢餓国民なのです。ところが、三分の一が太り過ぎて米、麦、大豆が余り過ぎて困っている。ならばどうしてこれを飢えたる国々に上げることができないのか。これがために国連があるのじゃありませんか。そしてそれができないならば、私は、日本及びアメリカを中心とした先進国の外交というのはまことに無責任にしてかつエゴに満ちているものだろう、こう思うのでありますが、これは農民の不思議なことなのですよ。難民問題、先ほど法務委員会でいろいろと議論してきましたが、ばたばたと飢え死にしているのでしょう。ばたばたと飢え死にしているあの人々に、余っている国々の食糧を提供することができないのは何ゆえなのか、農家は全然わからぬですよ。テレビを見ながら、せめて余っていると言われるこの米をあの方々に差し上げることができたらな、これは本当に私は人間にとって当然の願いだと思います。どうしてだめなのです。素人も農家もわかりやすく説明できますか。
  269. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 ただいま先生は、援助の問題といいますか、その前にヒューマニズムに基づく飢餓農民に対する対応の問題を提起されました。これは個々人が善意に基づきといいますかヒューマニズム的な気持ちでおやりになる分については、現実に極めてわずかでございますけれども、そういう実行は行われると思います。問題は、政府が援助米というような形で現在の過剰米の処理という一環の中で行うことの問題でございます。これはまず状況としまして、最近米をめぐる、特に日本の市場へ向けての米をめぐる問題は日々国際的に厳しくなっております。さらに、この援助問題につきましては、FAOの余剰処理原則というものがございまして、援助を受ける国の農業生産を阻害しないように配慮すること、さらにまた援助を受ける国への通常の商業輸出を行っている関係国へ悪影響を及ぼさないように行うことが定められております。それとの問題がございます。さらにつけ加えさせていただきますと、現状にお きます国際的な価格差という問題がございますが、主に第二点の関係から、国内で生産された米を政府が買い入れて援助することについての大きな問題があるということでございます。
  270. 滝沢幸助

    滝沢委員 そのようなことは何十回もお伺いもしているし、新聞でも見ているわけです。そんなことを書いて全国の農家にお手紙をやってください。まことに結構、そうでしょうなんて言ってよこしませんよ。そんなのを処理するのが政治でしょう。外交でしょう。そうじゃありませんか。ベルリンの壁すらも撤去されるときですよ。個々に個人が飢えたる人に上げるのはできます、そんなのは当たり前でしょう。個人が個人に上げるのは命を上げたって何も差し支えない。そんなことで日本とアメリカが中心になって世界のというようなことになりますかと言っているのですよ。大臣、どうなのですか。こういう貧困なる外交しか今日の日本の外交は、そして農政はできないのですか。いかがですか。時間がありませんから、もう一つ課題がありますから、一言で結構です。
  271. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 我が国も国際協調の中で生きていかなければならないわけでございますので、今食糧庁長官からFAOの余剰処理の原則について報告がありましたとおりに、また食糧援助規約におきましても、余剰の食糧農産物の処理については途上国の農産物を優先する、こういうふうなことも盛り込まれておるわけでありますので、そのような中でやはり私どもといたしましても対応していかなければならない、このように考えておるところでございます。
  272. 滝沢幸助

    滝沢委員 そんなのがFAOだったらばこれをはっ飛ばせ、これが神様のおっしゃることだと私は思いますよ。  そこで、実は会津に博士山という高峰がございます。その博士山は全部国有林ですが、その国有林はきれいに切ったものだ。もう九九%切ってしまって、私に言わせれば、全国至るところの国有林がそのとおりでございまするけれども、林野庁の諸君の給料になったと申し上げても決して過言ではないと私は思う。林野庁が植えたのは三十五歳が最高の年輪でしょう。だから、これは売れやしませんからせんだって分収何とかというようなことでやって、そのとき私は反対しましたけれども、全国のだれでも、ひとつ後で売れたときにお金を返すからみたいなことになっているわけですよ。それはそれにして、博士山の原生林を切ることに対して住民が反対ののろしを上げているわけであります。これはやはり一つの大変な、自然を守るか、それとも林野庁が切って給料としていただくか。これは会津の漆器、木工の材料を提供するなんとおっしゃいますが、それはきれいなお話でしょう。今まで切らなかったときだって会津はちゃんと漆器も木工もしていたのですから。これはどのように対処されるわけですか、今回のこれらのことに対して。やりようによっては大変な反政府運動みたいなものにもつながりかねない様相ですが、いかがなさいますか。
  273. 甕滋

    ○甕政府委員 ただいまお話ございました博士山でございますが、これは会津の柳津町字小谷滝国有林に所在をいたしております。この博士山の森林施業につきましては、山頂を囲む森林の二百二十四ヘクタールは風致保安林に指定をしておりまして、風致の維持に努めてきております。また、これを取り巻くすそ野側でございますが、周辺の森林についても、自然環境の保全等の公益的な機能に留意した施業をやってきておるつもりでございます。それで、本年度実はその周辺森林の一部の十五ヘクタール程度につきまして伐採計画もございましたが、お話のございましたように地元からの要請を受けまして、現在これは坂下営林署という地元の営林署が町等に対しまして十分計画についての御説明をしております。結論的に申しますと、まだどうするかという結論を出しているわけではございません。ただ、地元との話を十分詰めまして自然保護等にも配慮をした施業を行うというのは私ども基本としてございますけれども、あわせて地元の産業あるいは木材供給といったこともございますので、そこは十分話し合いの上で対処したい、一方的にこれを切っていくというようなことは考えておりません。     〔委員長退席、保利委員長代理着席〕
  274. 滝沢幸助

    滝沢委員 では、話し合いがつかなければ切らぬというふうに理解をして帰ります。材料はほかにもどんどんありますから、地元の材料提供を大義名分にしてこのようなことをなさるのではなしに、もっと自然保護ということを環境庁が中心になって、そして、今の世紀的課題だというならばその方に重きを置いてなさった方がよろしいと私は思いますよ。  以上申し上げさせていただきまして、神田先生に交代させていただきます。委員長、各政府委員皆さん大臣、御苦労さまでした。
  275. 保利耕輔

    保利委員長代理 神田厚君。
  276. 神田厚

    神田委員 本日大臣就任のごあいさつがあったというふうに伺っておりますが、今私も地方に参りまして農家にお伺いしますと、ほとんどの農家の人が将来の農業に対しまして非常に不安を持っている。ただいま減反のお話がございましたが、この間会いましたある専業農家の人は、ちょうど自分が学校を終わって農業に入ってからずっと二十年間減反ばかりだ、これから先も自分の人生の中で農業と取り組んでいってずっと減反ばかり、そんなふうな農政になるのだろうかと大変真剣に心配をしておりました。  そこで、大臣にお伺いしますが、農家が希望を持てるような農政を展開すべきであるというふうに考えますが、どのようなお考えをお持ちでありましょうか。
  277. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 おっしゃるとおり、将来どうなるのかというふうなところが一番の問題だと思っております。そのような観点から二〇〇〇年を目標年次といたしまして、需要、生産、どういうふうになるか、こういう見通しを打ち立てていく、農業者がそういう将来を見通しながら農業を営んでいくことができるようにしていくことが大事なことだ、こういうことで今努力をいたしておるわけであります。その際、これからの農政を進めていく上において大事なことは、やはり何といいましても農業というものを魅力ある産業にしていかなければならない、そういうふうなことで産業政策をしっかりとやっていく。同時に、地域政策、農村そのものを魅力ある地域としてこれからつくり上げていかなければならない、農村政策、この二本柱を掲げながらこれから懸命なる努力を払っていきたい、このように考えておるところでございます。
  278. 神田厚

    神田委員 今一番農業について国として考えをしっかりとさせなければならないときでありますから、大臣、せっかくの御就任でありますので、日本の農業を立派な産業に再編成できるように努力をしていただきたいと思います。  さて、食糧管理制度の問題につきまして二、三お伺いをいたします。  最近食糧管理制度のあり方について、各界各層から多くの提案、提言が行われておりますが、特に経済団体等が提示している部分管理への移行については、米の生産調整の強化あるいは米の市場開放問題等とも絡み、関係者に大きな不安と動揺を与えております。こうした中で本年五月十一日、農政審議会企画部会は「今後の米政策及び米管理の方向」を報告しておりますが、この報告に基づき、政府の食管制度に対する基本的な考え方をお聞きしたいと思います。  まず第一点は、この報告におきましてその基本認識として、需給及び価格の安定を図るという食管制度基本役割を維持することが必要だ、こういうふうに言っておりますが、現在政府が考えている食管制度基本、根幹という言葉で置きかえられると思いますけれども、これはいかなるものか、抽象的ではなく、具体的事例を列挙して説明していただきたいと思います。
  279. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 先生指摘の今回の農政審の報告の問題でございますが、食管法の第一条におきましても「国民食糧確保国民経済ノ安定ヲ図ル為食糧ヲ管理シ其ノ需給価格ノ調整並ニ流通ノ規制ヲ行フコトヲ目的トス」という文言がござ います。今回の答申の中におきましても、今先生が引用されましたような根幹あるいは基本といったような言葉から、今回の報告のポイントは、まず第一に国内自給を基本とする、第二に需給及び価格の安定を図るという基本的な役割を維持し、多様な需要に対応した生産、流通が行われるよう改善を図り、市場原理がより生かされた仕組みにするという提言になっているわけでございます。  ところで、先生指摘の、しからば食管の基本的な役割は何かということでございますが、今の点について別の言葉で申し上げますと、これは既にこれまでの農林水産大臣が議会におきまして申し上げておりましたとおり、食管制度基本ということにつきましては、国民食糧国民の主食である米を政府が責任を持って管理することにより、生産者に対してはその再生産確保し、また消費者に対しては安定的にその供給を果たすということであるというふうに考えておるところでございます。
  280. 神田厚

    神田委員 何度か議論した問題でございますから、一応見解だけお聞きをして先に進みます。  次に、自主流通米についていろいろ言われておりますが、需給動向や品質評価を価格に的確に反映させるための価格形成の場の設定を提言しておりますけれども、具体的にどのようなものを価格形成の場として考えているのか、現在の検討状況を説明していただきたいと思います。また、この問題についてはいつごろまでに結論を出すのか、お答えをいただきたいと思います。
  281. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 ただいま先生の御提起になられました価格形成の場でございますが、まず結論的に時期的なことを申し上げますと、ことしの九月から開催をいたしまして、学識経験者の方にお集まりをいただいて二回の会合をさせていただいております。今月の末に三回目の会合をさせていただきたいということでございます。まず、時期的にこの御検討の一応の結論というものをできれば今年度中、三月中にいただきたいものだというふうに考えておるところでございます。  この内容でございます。市場とかマーケットとかとよく言われておりますけれども、現在あります自主流通米におきましての場は、全農を主体にいたしまして卸との協議会というものが全国各地に五カ所設けられております。主として東京、大阪という交渉が行われておりまして、年間大体基本的に一回だけの交渉が行われておるわけでございます。そういうものにつきまして、これから需給の動向とか品質の評価というものを価格に反映させるような場というものを考えていくべきではないかという御提案でございまして、ある意味におきましてかつての正米市場といったようなものを例にとりましても、既にそういう御経験のある方が少なくなっております。また、いろいろな意味で米というのは格別に重要なもので、今のベースの協議会といったものをどういうふうに発展するかにつきましては、必ずしもはっきりした方向が提言されているわけじゃございません。そういう意味言葉価格形成の場の設定ということで、今お集まりの方々に二回やっていただきましたけれども、これから御議論を賜りたい。具体的な問題といたしましては、当面するところ参加資格あるいは取引方法、設定の場所というものをどういうふうにイメージするかということでございまして、今二回目が行われた段階でございますので、これから御議論をしていただきたい、早急に御結論といいますか御提案をしていただきたいという段階でございます。
  282. 神田厚

    神田委員 この点に関連しまして、価格形成の場の設定はその運用の仕方によっては大幅な価格変動をもたらす、こういうようなことが心配されております。これは食管制度の根幹である価格の安定機能を崩すことにならないかという心配があるわけでありますが、その点はどのように考えておりますか。  また、現在政府は価格形成の場としては現物市場のみを想定しているようでありますけれども、この市場を開設することは先物市場を必然的に発生させるではないかというような意見もございます。先物市場においては不特定多数の者が売買に参加し、これが食管法の根幹の一つである流通業者の特定を崩すことになると思われますが、この点につきましてはどのように考えておりますか、お答えをいただきたいと思います。
  283. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 マーケットといった場合におきます、あるいは先進国におきます例えば牛肉とか、そういったようなものにおきましてのお話を先生御提起のように、ヘッジの問題ということで先物の例というのがあることを承知しております。ただ、この問題の提起の農政審の答申の中にもはっきりと、先生指摘のような食糧管理制度基本役割を維持しつつというたががきちっとはめられての提案だというふうに思っておりますし、さらにまた、この中におきましては「投機的行為による価格の乱高下を防止する必要があり」というようなくだりもあるわけでございまして、ただいまの御議論で私ども、それが現物だけというふうな検討ということはいたしておりませんけれども、御提起になりましたこの農政審の精神といったようなものを踏まえまして御議論を賜っていくことになろうというふうに思っております。
  284. 神田厚

    神田委員 次に農政審のことでありますが、農政審は米の需給調整については生産調整の民間主導型への移行を提言しております。このことは、この報告が別に提言している米流通の一層の自由化をあわせて考えますときに、米作の地域間競争を激化させまして生産調整を実行不可能にするのではないか、こういうふうに指摘する向きもありますが、政府としてはどのように考えておりますか。また、大潟村のやみ作付と流通の実態及び取り締まり方針等とも関連をしてお答えをいただきたいと思います。
  285. 松山光治

    ○松山政府委員 生産調整のあり方に関連いたしまして、転作の限界感ということも背景にしながら、もう自由に米がつくれるようにした方がいいじゃないかというふうな御議論も一部にはあるわけでございますけれども、今回の農政審議会の報告はまさにそういう考え方ではございませんで、生産調整を行わないで需給調整を市場原理のみにゆだねれば、今の米の需給状態からすると大変大きな価格の低落なり変動なりをもたらすおそれが強い、その結果、国民の食生活の安定なり稲作農業の健全な発展に支障を及ぼすことになりかねないから、やはり生産調整をやって需給及び価格の安定を図る必要がある、こういう考え方でございまして、ただいま食糧庁長官の方から御答弁ございました食管の基本を維持していくという考え方と軌を一にしておるものというふうに理解をしておるわけでございます。  問題は、その場合の進め方の問題といたしまして、御指摘にございましたように生産者ないしは生産者団体の主体的な努力を基礎にしていくべきだ、こういうふうな考え方も示されておるわけでございます。やはりどの産業分野におきましても、需給調整問題が起こりましたときには、まずそれをみずからの問題として受けとめて、どうしていくかというところから議論が始まるわけでございますが、残念なことに、ともすれば我が国の場合にはそれがまず行政の問題であって、それに生産者が協力していくといったような形で受け取られがちであったところに今のいろいろな難しい問題も出てきておるのかなというふうに思うわけでございますが、私どもといたしましては、現実の問題といたしましては、こういった農政審の問題提起をきちんと受けとめまして、現に今水田農業確立対策の前期対策の推進においてもそういう考え方をとってございますけれども生産者なり生産者団体なりの主体的な努力というものを基礎にしながら行政ともになってこれを一体的に進めていく、そういう形で展望のある水田農業確立努力していく必要があるのではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
  286. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 先生御提起の大潟村の不正規流通対策の関連でございます。  この結論といたしましては、食管制度のもと基本を維持するということ、さらにルールを守る農家が損をすることにはならないようにすること、 不正規流通業者が得をすることにならないようにするというような考え方に基づきまして、食管法の運営等において厳正に対処するという方針で臨むつもりでございます。現にこの問題に関連いたしましては、既に農協系統組織等々現地におきましての集会あるいは説得工作というようなものが続いております。この対策の取り締まりといったようなものにつきましては、食糧庁の組織を挙げまして総力でやることはもちろんでございますけれども国民合意の支持のもとに運輸関係の方面とも十分連絡をとって対応していかなければならないというふうに考えております。それで、不正規流通の現存形態といたしましてあらわれてくる形でございますが、一つは小口で出てくるという問題、あるいはトラックという問題もございますが第一義的な小口の問題は現在のところ、ことしの出来秋の米については基本的には不正規米は防止できているというふうに考えております。あとトラックの問題等についても、全力を挙げまして厳正に対応する考えでございます。
  287. 神田厚

    神田委員 作付の段階できちんとした指導、対処がなされないということが一番の問題であるわけでありますから、その辺のことについては農林省としてもしっかりした考え方でよくやってもらわないと、正直者がばかを見るような、そういう形になってしまうわけであります。  次に、水田農業確立後期対策についてでありますが、この後期対策の策定時期はいつごろになりますか。
  288. 松山光治

    ○松山政府委員 基本的な諸点につきましては今週中にも結論を得たいという方向で、今鋭意検討を急いでおるところでございます。
  289. 神田厚

    神田委員 後期対策に対する生産者団体の要請は、現在の調整面積実質八十三万ヘクタールを拡大しないこと、それから二つに、奨励金の現行水準を維持すること、三つに、政府の責任において百五十万トンの備蓄を確保することなどでありますが、こうした要請をどのように受けとめておりますか。
  290. 松山光治

    ○松山政府委員 目標面積の問題につきましては、消費拡大努力を含めまして相当な需給調整努力の必要な実態にある、こういう状況を踏まえながら、関係者の意見も聞き、現在どういうふうな形の設定をするのが適当であるのか、需給両面にわたって精査を急いでおるところでございます。  それから奨励金の問題でございますけれども水田農業確立対策の趣旨を踏まえながら、地域輪作農法の確立、定着と合理的な土地利用を進めまして、我が国水田農業を望ましい営農に誘導していくという観点から必要な見直しの作業を行っているところでございます。
  291. 神田厚

    神田委員 十一月十日に自民党は生産者団体の要請に沿った後期対策についての方針を決定したと伝えられておりますが、農林省との間でそういう形での事前の話し合いはあったのでありますか。
  292. 松山光治

    ○松山政府委員 自由民主党の基本政策委員会、何回かこれまでも開かれておりまして、私ども出席して状況の説明も行い、御意見の拝聴もしてきておるわけでございます。御指摘の十一月十日の取りまとめは、それまでの小委員会における御議論を踏まえられて小委員長が取りまとめられたもの、このように承知をいたしておるところでございます。
  293. 神田厚

    神田委員 特にこういう時期でありますから、生産者団体の要請に対しまして誠意を持っておこたえをいただきたいというふうに要望をしておきます。  そこで、後期対策に関連しまして特にお伺いしたいのは、米の適正在庫水準の問題であります。最近政府は百万トン程度でよい、こういうことを言っておりますが、その根拠は一体どういうことなのか。昭和五十五年産米のように作況指数が八七になったような場合にゆとりのある需給操作ができるかどうか、この辺は非常に問題のあるところであります。従来どおり在庫水準を百五十万程度とし、場合によっては多少の財政負担がかかっても一部を棚上げ備蓄するような方式をとるようなことについて、政府としてはどのような考え方に立っているのか明らかにしていただきたいと思います。
  294. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 前期対策におきます米の適正在庫水準につきましては、政府米の持ち越し在庫の水準におきます新米と古米の売却比率というものの関係を考えまして百五十万トンをその上限とし、適正在庫は百万トンであるというふうにしてきたわけでございます。この百万トンは、ただいま先生指摘のように最近におきます最大の不作でありました昭和五十五年の大冷害の作況指数八七を頭に置きまして、米の供給に不安を生ずることなく持ち越し在庫を円滑に売却していけるということから考えたものでございます。一方、百五十万トンの方でございますが、当時におきます政府の月々の売却の数字、これは大体三十万トンというふうなことを予定しておったわけでございますが、そのものを七割を古米を入れて梅雨までに売るということを前提にしていた数字でございました。  ところで、現在のこの百五十万トンに関連するデータでございますけれども、政府の月々に売ります売却は、自主流通米の増大ということに関連をいたしまして約二十万トン程度になっております。さらに、古米の比率を七割といったようなことは現行の良質米あるいは新米志向といったようなものになかなか合わないという実態がございます。現に政府はことしの十月末の在庫で百五十万トンの水準になったわけでございますが、そのうち、いわゆる古々米が七年ぶりに四十五万トン発生したという事態がございます。そういったことを念頭に置きまして、後期対策全体の中で政府の在庫の考え方というものを決めていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
  295. 神田厚

    神田委員 農政審の報告においては、在庫調整機能は民間の自主流通米においても分担すべきである、こういうふうにいたしまして自主的な在庫調整を指摘しておりますが、後期対策の策定に当たりどのように考えておりますか。  このことに関連し、農協は平成元年度から米需給調整特別事業を実施をすることにしておりまして、本制度の円滑な推進が図られるよう政府の助成を要請をしておりますが、本事業に対する評価とあわせて助成についての対処方針を明らかにしていただきたいと思うのであります。
  296. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 農政審の報告におきましては、自主流通米が全体の中でかなりの大きなウエートを占めてくるというようなことからランニングストックというようなこと、あるいは、作況変動等にあるいは投機的行為による価格の乱高下を防止するといったようなことも含めまして対応する必要があるというような提言がなされているところでございます。この自主流通米自体の安定供給確保するという意味におきましては、報告が提起されておりますように、計画的販売と在庫の形成というものも必要だというふうには一方では考えているところでございます。  なお、農協系統が提唱しております先生指摘の米需給調整特別対策の問題でございますが、これは、当初生産者団体の考え方といたしまして、短期的な需給調整のための事業というふうなことであったようでございますけれども、途中におきまして、事業拡大対策等々を繰り入れる変更を行いつつあるということが伝えられておりまして、具体的内容につきまして、十分またお話を承りながら対応の方途を考えていきたいというふうに考えているところでございます。
  297. 神田厚

    神田委員 ですから、これは農協の方針に沿って政府の方でも、予算の時期もありますし、具体的にこれを助成をするという方向で検討していくのですか。
  298. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 ただいま申し上げましたように、具体的内容についてまだ変更の途中にあるというふうに私ども聞いておりまして、なお中身の点につきまして十分お聞きをした上、対応策について検討してみたいというふうに考えているところでございます。
  299. 神田厚

    神田委員 次に、転作の地域配分についてでありますが、農政審の報告は、需給動向や市場評価が反映される方向で検討するなどと指摘をしておりますけれども後期対策の配分に当たっての具体的基準を説明をしていただきたいと思うのであります。配分要素は前期対策と異なるのかどうか、この点につきましてお答えをいただきます。
  300. 松山光治

    ○松山政府委員 後期対策目標面積の配分基準をどうするか、これは面積自体をどのように設定するかという問題とも密接に絡む問題でございまして、今私どもあわせて検討を急いでおるところでございます。農政審からの指摘もございます。また、いわゆる良質米地帯からは現在行っております傾斜配分をさらに強めろという御意見も伺っておりますし、他方、その他の地域からはもう少し画一的なといいますか、そういった方向での配分を考えろといったような相反する御意見もいろいろと承っておるわけでございまして、私どもといたしましては、こういった各方面からの御意見をいろいろと聞きながら、言ってみれば調和のとれた形にしていきたいな、こういう方向で今検討を急いでおるところでございます。
  301. 神田厚

    神田委員 もう少し端的にお答えをいただければ、前期対策とかなり異なったニュアンスといいますか、かなり異なった点が考えられるのですか。検討の要素としてはそういう要素が入っているのですか。
  302. 松山光治

    ○松山政府委員 前期対策の際には、たしか十の配分要素で配分をしておるわけでございますけれども、その七十七万ヘクタールの配分の上に現在緊急対策ということで六万ヘクタール相当の数量が配られておる、こういう実態があるわけでございまして、やはり今の七十七万というのが恐らく一つのベースになった上で一種の再配分が行われるということに相なりますれば、大宗のところは前期対策における配分要素が生きてくる、残りの部分をどういう形で配分するか、こういう観点での検討になろうかというふうに思っております。
  303. 神田厚

    神田委員 次に、後期対策を考えるに当たりまして最も大切な力を入れなければならないのは米の消費拡大対策でありますが、新たに何らかの方策を考えているのかどうか、さらにこの点、他用途利用米の数量、平成元年度産約五十万トンについては今後どの程度の需要を見込み、どの程度生産させる方針か、この点につきましてお答えをいただきたいと思います。
  304. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 米の需給拡大の問題でございますが、これまで米についての正しい知識の普及啓発、あるいは地域における米消費の米祭り等の拡大対策、さらには文部省を主体にやっていただいております米飯学校給食の計画的な推進等につきまして、農林水産省といたしましても年間二百億を超えます予算の計上を行ってきたところでございます。今後の新しい道をということでございますが、昨年から、現在の米の消費動向あるいは年齢構成等々から見まして、若い女性の方々に焦点を絞ったヤングレディーコンテストというものを実施をしてまいりましたし、先ほど大臣からのお答えにございましたような新たな方途といったようなものも含めまして、できる限りいろいろな実態に応じまして対応を考えていかなければならないものだと考えております。なお、昭和六十三年度及び平成元年度に実施しております米需給均衡化対策の一環といたしまして、あるいは純米酒の推進であるとか入浴剤の推進等々、各地の地域創意工夫を生かされた形で行っております。そういうような実績を踏まえて実施をしていかなければならないというふうに考えているところでございます。  ただいまのところは主としまして米の一番主流であります食用の問題でございますが、あと、原料として使います、先生指摘の他用途米の問題でございます。他用途米生産につきましては、一つは需要の拡大ということとも関連をいたしますが、いろいろな意味での米菓の問題、せんべい、あられ等の問題、あるいはみその問題、しょうちゅう等への数量の拡大等々にかかわりまして実施をしてまいりました。現在のところ、五十九年にやられたわけでございますが、当初二十七万トンがスタートでございました。それが六十二年に始まりました水田農業確立対策の初年度は三十四・八万トンになりました。昨年度におきましては四十六・八万トンまで拡大しております。この中には在庫調整の部分というものも含めまして約五十万トンという数字でございまして、用途拡大の、量拡大のテンポというのは、ここへ来ましてやや胸突き八丁に来ているかなということでございますが、十分また各県あるいは各地域、業者間の要望等々を集約いたしまして対応策を決めてみたいというふうに考えております。
  305. 神田厚

    神田委員 それでは次に、米の市場開放問題についてお尋ねをいたします。  ジュネーブにおけるウルグアイ・ラウンド交渉において米国が十月二十五日、一つ、非関税障壁の関税化、二つ、輸出補助金の五年以内の撤廃、三つ、国内支持政策の十年以内の撤廃などを柱とする新提案を行っております。これは去る四月のジュネーブでの中間合意内容を無視したものであると思われますが、政府はどのように受けとめ、対処しようとしているのか。米国提案に対するECの感触などを交えて説明をしていただきたいと思うのであります。そして、まず大臣にお伺いしますが、米の輸入自由化についての大臣の考え方、政府の考え方についてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  306. 塩飽二郎

    ○塩飽政府委員 十月のガットの農業交渉グループヘアメリカが、ただいま先生からお話がございましたように農業交渉に臨む包括的な提案を出したわけでございます。四月の中間合意で各国は、これは農業だけではございませんけれども、交渉に臨む提案をことしじゅうに出すべきであるということが合意をされております。アメリカはその線に沿って、その合意に基づいて包括提案を出したわけでございます。その内容は、ただいま先生からお話があったように、例えば関税を十年間でゼロまたはそれに近い低税率に下げていく。それから、関税以外の国境で取られているその他の例えば輸入課徴金ですとか、あるいは輸入割り当てといったような非関税障壁についても、一たんこれを関税に切りかえた上で、同様に十年がかりでゼロもしくはそれに近い水準に切りかえていくといったようなことがその主な内容でございます。かつ、アメリカは、そこへ至る交渉の具体的なプロセスといいますか、実行のやり方についても詳細な提案をしたわけでございまして、農業分野では最も包括的な提案をしたのはアメリカであるということで、その内容は従来からアメリカが主張してきた線をより具体化したものでございまして、従来のラインと変わってないわけでございますけれども、改めて、今回の農産物の交渉にアメリカが非常に強い姿勢で臨んできているということがわかるような内容の提案であろうというふうに受け取っているわけでございます。  他方、このアメリカの提案は、非常にドラスチックな反面、例えば関税に切りかえる場合にも、いきなり一定の関税ということにいかないで、関税割り当て制度を導入しつつ最終的には一本化された関税に持っていくとか、あるいは、十年間の移行期間に輸入が前年に比べて急増した場合には途中の段階でも関税を再び高い水準に戻すことができるとか、あるいは、国内で各国がやっておりますいわゆる国内措置につきましても、一律にこれを撤廃に持っていくということではなくて、貿易に対する影響の度合いに応じまして国内措置を三つのグループに分けて、影響の少ないものについてはこれを残していくという、そういうアプローチをとっているわけでございまして、アメリカの立場から見れば、ドラスチックであるけれども農産物交渉に臨むに当たっての各国の農業なり農業政策にはそれなりの配慮をしたという立場をとっているんだろうというふうに推察されるわけでございます。  しかし、本体は、いずれにしても非常に急激な改革を求める内容であることは間違いないわけでございますし、また、今お話がございましたように、四月の中間合意では、農産物の保護はこれを 撤廃ということではなくて、段階的に相当程度軽減をしていくんだということで合意をされているわけでございますから、その合意の文言から見るといかにもそれに合致しない提案をしてきた、中間合意よりもさらに前に戻ったという感じを非常に受けるわけでございます。当然、このアメリカの提案には、それぞれの国の農業の置かれた状況に応じましていろいろな反応があるわけでございますけれども、ごく大ざっぱに申し上げますと、農産物の輸出に依存をしている度合いの強いケアンズ・グループなどの国はもろ手を挙げて賛成をいたしております。また開発途上国も、専ら交渉から自分たちは得るだけであるという認識でおりますので、このアメリカの提案には賛成の意向を示しております。ECは、極めて非現実的な提案であるということで、今後の交渉の基礎にはならないという表現で反発をいたしております。私どもも、日本の農業を守っていく立場から見ても、このような提案をベースに交渉を行うことは極めて困難である、現実的な交渉を進める見地から非常に問題のある提案であるというふうに認識をいたしているわけでございます。
  307. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 米の問題につきましては、我が国農業の基幹をなすものでございまして、その重要性にかんがみ、また、両院におきましても決議をしていただいていることから、その趣旨を体して国内産で自給するという考え方を貫いていきたいと思っております。  そのような観点に立ちまして、ウルグアイ・ラウンド農業交渉の場におきましても、本年の四月の中間合意におきまして食糧安全保障を取り上げることが合意されたわけでありまして、これを踏まえて、食糧安全保障あるいは国土環境保全等といった農業の果たす重要な役割を主張しつつ交渉に臨んでいきたいと思っております。そのようなことから、九月の農業交渉グループ会合におきまして、食糧安全保障等に関する我が国基本的な考え方を提示したところでありまして、さらに今年中に詳細な提案を提出すべく検討を進めているところでございます。
  308. 神田厚

    神田委員 実は、農産物長期需給見通しの策定などに大変問題がありますし、さらに、土地改良事業負担金の軽減等については全国的な運動が起こっておりまして、これらの問題についてもお伺いしたかったのでありますが、時間が来ましたので、次回に譲りまして終わります。
  309. 保利耕輔

  310. 山原健二郎

    ○山原委員 ただいま問題になりました米自由化の問題ですね。明日から非公式の閣僚会議が開かれるという事態の中で、ジュネーブにおけるアメリカの提案というものが非常に大きな不安の要因になっております。この点について最初にお伺いしたいのですが、政府としては、ガット交渉に当たって、米の市場開放はしない、部分的自由化といえどもこれを認めない、こういう基本方針で対処されるのかどうか、最初に大臣に伺っておきたいのです。
  311. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 米は我が国農業の基幹をなすものでありまして、その重要性にかんがみ、また、国会におきますところの、両院におきまして決議もしていただいているわけでありますから、その趣旨を体して国内産で自給する、こういうふうな考え方を貫いていきたいと思っております。そういう方針でウルグアイ・ラウンド農業交渉にも臨んでおるところでございます。
  312. 山原健二郎

    ○山原委員 ガットの協議のいかんにかかわらず、米の市場開放は認めない、そういうお立場だと思いますが、そういうふうに理解してよろしいですか。
  313. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 本年の四月のウルグアイ・ラウンド貿易交渉委員会の中間合意に、食糧安全保障を含む貿易政策以外の要因も議論の対象となることが、我が国の粘り強い交渉の結果盛り込まれたわけであります。これを踏まえまして、食糧安全保障、国土環境保全といった農業の果たす多様な役割を十分主張しつつ交渉に臨んでいきたい。そのような観点から、今年の九月におきまして食糧安全保障というふうな問題を中心として私ども基本的な考え方を提示をいたしておるところでございまして、今年中にさらに詳細な提案を提示したい、このように考えております。
  314. 山原健二郎

    ○山原委員 ECの場合は、今も塩飽さんから紹介がありましたように、交渉の基盤たり得ないと批判をしておりますね。そしてその際、EC共通の農業政策を捨てるつもりはない、こういうふうに言明をいたしております。このECの態度は、共通農業政策を守るという方針を貫くという姿勢をいわば確固として示したものだと思うのですね。だから、眞木審議官の発言もありますけれども、ECとしてははっきりしているのは、今の共通農業政策の骨組みに触れられるのは絶対困る、こういう態度であると思います。ECにとりまして、共通農業政策はEC統合に向けての根幹をなすものであって、この政策には手をつけさせないというのが基本だと思います。     〔保利委員長代理退席、委員長着席〕 我が国の場合も、米の市場開放を認めないというのは、今大臣がおっしゃったように、衆参両院の国会決議にもなっておりますし、我が国農業食糧政策の根幹をなすものでございます。したがって、この政策には手を触れさせない、ガット協議から米自由化問題は除外するべきであるという態度を明確にこの際すべきだと思いますけれども、この点についてはどうお考えでしょうか。
  315. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 ウルグアイ・ラウンド交渉におきましても、私どもの考え方が確保されるように全力を尽くしてまいりたい、こういう考え方でおるところであります。
  316. 山原健二郎

    ○山原委員 これはECの態度とかなり違う感覚を受けるのですが、ECの場合は手を触れさせないという姿勢ですね。同じ根幹に関する問題、日本の場合はそうではないというふうに理解してよろしいのですか。
  317. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 先ほど来申し上げますとおりに、米の重要性にかんがみ、国内産で自給するという考え方を貫いていく、こういうふうな考え方に沿って、そしてウルグアイ・ラウンド交渉の場におきましても私ども基本的な考え方が確保されるように最善の努力をしてまいりたいと思っております。
  318. 山原健二郎

    ○山原委員 この点について、これからだんだん論議される問題だと思いますけれども、今までガットについての日本政府の態度というのが、これは個人の発言を活用して恐縮ですけれども、例えば当時の浜田外務政務次官の発言は、米自由化を絶対にノーと言って交渉が出発できるわけがない、入れるか入れないかは議論の中身の問題だというような御発言もあるわけですね。それから、これは非公式閣僚会議の席での発言でありますけれども、当時の羽田農林大臣ですね。ガット協議で一つの方法がお互い話し合った結果出たとしたら、日本はそれを認めませんよと言うことはなかなか難しいと思う、こういうふうに述べられておりまして、こういう経過から見ますと多少の不安が生じてくるわけです。また渡辺元政調会長の発言も、米は全然輸入していないから難しい。交渉が難しいという意味でしょう。需要量の五%程度の輸入に道を開くべきだとおっしゃっているわけでございまして、この考え方があるいは政府・自民党の空気の反映ではなかろうかというふうなことを憶測されるわけでございますけれども、しかし米の自由化については国会の決議も明確にありますし、私は、そういう意味でこの米という日本の農政の根幹、あるいは日本国民食糧の問題については、本当に断固たる姿勢を国民あるいは国会を背景にして政府が貫くという立場をとらないとこれはまた問題が起こりますし、場合によっては牛肉・オレンジのような事態が生じかねないというふうな心配があるものですからあえて御質問申し上げているわけですけれども、その点は大丈夫なのでしょうか。
  319. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 国会でも決議をしていただいておるわけでありますから、その趣旨を体してガットのウルグアイ・ラウンド農業交渉に臨んでおるわけでありまして、私ども基本的な考え方が確保されるように全力を尽くしてまいりたいと 思っております。
  320. 山原健二郎

    ○山原委員 私の党としましては、衆参両院議長に対しまして、米問題はガットの協議から除外すべきであるという国会の決議をされてはどうですかという提起をしたわけです。これはここで結論の出せるような問題でありませんけれども、そういう提起をしているわけでございます。それだけのことが今国民の意思としてはやはり求められているのじゃないか。このままでいったらどうなるかという不安が日本の農政展望に対する不安の根幹にあるわけですよね。そこのところが今日本の国会にも問われておるし、日本政府にも問われている。だから少なくともEC程度の強い姿勢を示すべきであって、場合によっては協議に乗りますよ、協議の結果が出たらこれはもうどうにもならぬよということになることを心配しているわけです。  きょうはこれ以上申し上げませんけれども、そのことをあえて申し上げまして、鹿野大臣がその点で明日から会議にも出られるわけでございますから、やはり私は、日本国民の意思を背景にしてこの問題では闘う、いかに日米間の友好が大事といえども、日本の農政の根幹を揺さぶるようなことに対しては断じて許さないという決意が必要だろうというふうに思っておりますので、そのことをあえて申し上げたいと思います。  次に減反問題ですが、これはどこへ行きましても、きょうも朝からこの問題でこの委員会はずっと質疑答弁が続いているわけですけれども生産農家の声を聞きますと、これ以上の減反はとんでもないという声ばかりですね。したがって、減反拡大はやるべきではないと考えるわけですが、この点はいかがでしょうか。
  321. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 水田農業確立後期対策につきましては、今日関係者の意見を聞きながら慎重に検討を進めているところでございまして、今週中ぐらいに結論を得るべく最終段階の詰めを急いでおるところでございます。
  322. 山原健二郎

    ○山原委員 現在の減反実施面積は実質八十三、八十万ヘクタールというふうに先ほどから出ております。しかし、前期対策は減反面積七十七万ヘクタールでスタートをしまして、これは動かさないということで来たわけですね。八十八年度に米需給均衡化緊急対策が実施に移されました。それで減反面積が実質的に拡大された結果、こういう八十三、八十万ヘクタールという数字が出てきたわけです。しかしこの緊急対策は、米消費拡大や在庫調整、農家生産者団体努力などにより米需給ギャップ縮小に取り組むというものであって、それでもなお不足する分については生産者による転作を行うこととするというものでございました。つまり、七十七万ヘクタールを超える減反分は生産者と自主的な取り組みの結果上積みされたものであります。したがって、減反面積を上乗せするしないのベースとなる数字はやはり七十七万ヘクタールでなければならないと私は思うのですが、この点は食糧庁長官の見解を伺っておきたいのです。
  323. 松山光治

    ○松山政府委員 お話ございましたように、水田農業確立前期対策の当初決めました目標面積は七十七万ヘクタールということでございましたが、その後の消費が予想以上に落ち込んだということ、豊作が続いたといったようなこと、そういう状況の中でこれ以上の需給の悪化を避けるということで、今先生からお話のございましたような形の需給均衡化対策が行われて今日に至っておるわけでございます。私ども、今回の後期対策の策定に当たりましては、そういう経緯を十分踏まえながらこれを検討していく必要があると思っておりますけれども生産者団体の方からの要望を見ましても、現行の目標面積というのは、前期対策需給均衡化緊急対策の分を含めました八十三万ヘクタールである、こういうのが皆さん方の一般の認識になっておる、このように承知をいたしておるところでございます。
  324. 山原健二郎

    ○山原委員 考え方の基礎としてはやはり七十七万ヘクタールの前期対策の姿勢を貫くべきであるという考えを持っておりますが、時間の関係で次へ移ります。  これもきょう随分出ました転作奨励金についてでございます。臨調行革のもとで転作奨励金が大幅に削られてきました。ぎりぎりの生産調整のいわば支え棒となっているこの転作奨励金をこれ以上削減するようならば、米過剰対策は一層困難になることは目に見えております。したがって、転作奨励金の拡充こそすれ、これ以上削減などはすべきでないと考えますが、この問題についていま一度御答弁をお願いしたいと思います。また、三年間の後期対策以後は奨励金依存体質からの脱却を図るという方針は撤回すべきであるというふうに考えますが、この二点について見解を伺っておきたいのです。
  325. 松山光治

    ○松山政府委員 御案内のように、これまでも望ましい転作営農への誘導を図るという観点から、加算額を重視するという形で奨励金の問題を考えてきておるわけでございます。後期対策におきましても、水田農業確立対策基本的な考え方を踏まえながら、地域輪作農法の面的拡大なり質的な向上、さらに転作田の集団化と稲作転作を通じました中核農家規模拡大や、あるいは生産組織化によります効率的な生産単位の育成といったようなことを図る観点を踏まえまして、助成金体系についての必要な見直しを行っていきたい、このように考えておる次第でございます。  奨励金依存からの脱却という点についての御質問でございますけれども、いわゆる個々にばらまいていく形での奨励金への依存からはできるだけ早く脱却していくというのが望ましい姿であろう、そういう形の依存がなくても済むような水田営農の定着、確立に向けてこの後期対策をしっかりと頑張らなきゃいかぬ、このように考えておる次第でございます。
  326. 山原健二郎

    ○山原委員 次に、米の過剰問題対策として、米の需給計画をもっとゆとりのあるものに改めるべきであるというのが我が党のかねてからの主張でございます。一九七四年の食糧危機当時、政府は必要持ち越し在庫水準を二百万トンと言っていました。それが百五十万トンになり、最近では百万トンと言っています。一部には七十万トンでよいというような意見さえ出ているわけですが、米の供給は豊作、凶作による変動が避けられない、こういう問題を含んでいるわけでございまして、持ち越し在庫水準をもっとゆとりのあるものにすべきだと考えますが、この点はどうお考えでしょうか。
  327. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 在庫の問題におきましては、やはり適正在庫といったようなものがおのずから考えられるべきものだと思います。前期対策におきましては、政府米の持ち越し在庫の水準について新米と古米の売却比率の限度を考慮いたしまして百五十万トンをその上限といたしまして、適正在庫は百万トンであるとしてきたところであります。この百万トンあれば、昭和五十五年のような不作の場合、作況指数八七であったわけでございますが、この場合におきましても米の供給に不安を生ずることがなく、また持ち越し在庫を円滑に売却していけるものと考えておるところであります。本年におきましてほぼ百五十万の水準になったわけでございますが、御案内のとおり、このうち四十五万トンが、七年ぶりのことでございますけれども二年古米といいますか古々米になったわけでございます。こういったような状況を踏まえまして、水田農業確立対策後期対策におきましても、作柄の変動に備え、円滑な回転操作と米の安定供給を図るという基本的な考え方に立ちまして、適正な水準の在庫を保有するという方針のもとにその水準を決めていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
  328. 山原健二郎

    ○山原委員 減反、転作がこれだけ困難な問題となっているのは、一つ農産物輸入自由化が進められ、また転作作物価格も引き下げられているという不安定な状況に置かれておりまして、減反、転作しようにもつくるものがない、何をつくっても引き合わないという事態があるわけです。これは長年の農政のもとでつくられてきた問題だと思うのですね。こういう事態を招いた政策を転換を して転作条件の優先的整備が必要だ。その一つとして、例えば土地改良事業の農家負担の軽減対策が重要となっていくのでございまして、この点について最後の質問をいたしたいと思います。  それは土地改良事業負担金軽減対策ですが、これは先ほどお話のありました、先日仙台と滋賀県の大津で各党討論会が行われまして、その席上、平場の中から出てくる意見は一番この問題が大きいのですね。土地改良事業の農家負担金対策として農水省は来年度概算要求で百億円を組みまして、一定レベル以上の負担金を抱えている地区について後年度に負担を繰り延べて償還の平準化を図るなどの対策を講じる予定となっております。しかし、工期の大幅な延伸と事業費の増大など、農家の責任でない理由から負担金が膨らんできていることを見ましても、単に負担の平準化で済ますことのできない問題だと考えます。農家負担割合の縮小、償還金の利子負担の抜本的軽減など、より根本的対策を講ずるべきであり、そのための予算措置も、百億円程度でなくもっと思い切ったものにすべきだという意見がありますが、この点についてはどうお考えですか。
  329. 片桐久雄

    片桐政府委員 土地改良事業の負担金の軽減につきましては、昭和六十三年度それから平成元年度いろいろ対策を講じてきたところでございます。その中でも特に平成元年度予算においては、基幹的なかんがい排水施設の整備については高率の国庫負担を行う新しい国営事業を創設する等、農家負担の軽減を図っているところでございます。さらに、本年、土地改良事業実施地区約五千五百について負担金の実態を調査いたしまして、その結果を踏まえて土地改良負担金の軽減対策を一歩踏み込んで講ずるべく、平成二年度予算においていろいろ検討している状況でございます。
  330. 山原健二郎

    ○山原委員 極めて公共性の高いダムあるいは水路、あるいは道路、橋梁などは農家負担を課さないようにするなど抜本的軽減措置をとるべきだと思いますが、この点はどうかという問題。さらに、土地改良事業などによって県に整備された幹線農道などは、一般的に事業終了後に市町村道に編入されております。ところが、これらの事業費についても農家に負担をかけるなどの事例も見られるわけでございます。こうしたやり方については直ちに改めるよう指導すべきだと思いますが、この点はいかがですか。
  331. 片桐久雄

    片桐政府委員 土地改良事業は、その公共性の程度に応じまして適切な国庫負担を行っているわけでございますけれども、事業によりましては利益が個別農家に帰するという面もありますので、受益の農家にも応分の負担をしていただくことになっているわけでございます。先生指摘の幹線的な農道等につきましては、既に地域におけるその公共性に応じた公的負担がなされておりまして、農家負担がほとんどない場合も多いというふうに聞いている次第でございます。
  332. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  333. 近藤元次

    近藤委員長 次に、藤田スミ君。
  334. 藤田スミ

    藤田委員 私は、先日成田空港の検疫所を視察してきました。輸入食品の扱い状況を調査したわけです。改めて、輸入食品の安全性を検査する体制が極めて不十分なままに大量に輸入食品がふやされてきているという実態をまざまざと見たわけです。検疫所の関係者はもう悲鳴を上げているのです。人手も足りない、検査機器もない、施設も足りない、足りない尽くしだ、こう言っているわけですが、実際、残留農薬の検査機器も成田空港にはありません。それから、五十九年と六十三年、この間の検疫所の検査件数を見てみますと大体四倍強にふえているのですが、食品衛生監視員は一・八倍、こういう状況であります。ここはことし九月に冷凍エビだとかカニだとか冷蔵マグロからコレラ菌が検出されました。だから成田空港の検疫所では、これはえらいこっちゃというので、常時そこに配置していた食品衛生監視員の職員にもう二人助っ人をつけまして、そうして食品検疫特別班と名前をつけてその食品のコレラ菌の検査を強化したわけです。そのこと自身はいいわけですが、その助っ人に来た二人というのは他部署からの引き抜きですから、引き抜かれたところがもうバンザイするというような状態になっております。成田空港は、今全国一の漁港と言われているのです。きょうは随分漁業不振の問題が取り上げられましたけれども、成田空港で扱われる魚の金額は三兆円と呼ばれていますから、まさに最高なのです。サクランボは、シーズンに入りましたら八千トン入るといいます。最初の日は検査待ちの車、サクランボを積むために、保冷トラックというのですか、それが二百五十台並ぶというのです。私は、サクランボの産地の農民が見たらどんな思いをするだろうな、そういうふうに思いました。  大臣は、こういう成田の空港の検疫所などごらんになったことございますか。
  335. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 まだ見ておりません。
  336. 藤田スミ

    藤田委員 私は、少なくとも農水省こそまさに国民食糧に責任を持つ省なのですから、その大臣たる地位にいらっしゃる方はそれこそ今こういう現場を真っ先に調査をしていただくのが常識ではないかというふうに思うのです。  成田に参りまして、ちょうどその翌日でした。実はびっくりするようなニュースが飛び込んできました。それは、アメリカでことし二月から四月まで四件、実に百二名が中国産のキノコによる食中毒を起こしているという事件。そしてアメリカはこの食中毒事件の後、中国のキノコ加工場が全体的に黄色ブドウ球菌に汚染されている可能性が強いとして、中国産キノコの輸入を全面禁止した、こういうニュースが飛び込んできました。ところが、日本は年間二万トンも輸入しておりながら、アメリカがそのような措置をするまで全く無警戒に輸入を続けていたわけであります。  きょうは厚生省にも来ていただいておりますが、厚生省にお伺いいたしますが、アメリカで中国産キノコの食中毒事件が起こっていたことがなぜわからなかったのか。当然アメリカ大使館には厚生省からも大使館員が派遣されていたはずでありまして、その点どうであったか、まず明らかにしていただきたい。
  337. 野村瞭

    ○野村説明員 お答えを申し上げます。  中国産キノコの黄色ブドウ球菌汚染の問題につきましては、我が国におきましても必要な検査を既に行いまして安全性を確認したところでございます。  そこで、この問題につきましていつから情報を得たのかということでございますが、このたびの米国政府が全面的に中国産キノコの輸入禁止をとる以前から米国においてこのことが問題になっていることは承知をしておりましたが、日本におきましては、この中国産キノコによる食中毒事件の届け出もなかったということもありまして、その後の米国における状況を見守っていたということでございます。
  338. 藤田スミ

    藤田委員 安全性を確認したのは、私が先ほど御紹介したアメリカのニュースが入ってからなんです。その前に知っていたと言うのでしょう。しかも食中毒事件の届け出がなかった。そうしたら、届け出があるまでは何もせえへんということなんですか。そんなものですか。国民が食中毒を起こさなければ何もせえへんのですか。
  339. 野村瞭

    ○野村説明員 食中毒事件の届け出が我が国でなかったという以外に、アメリカにおける食中毒の内容を調べましたところ、先ほど先生指摘になりましたけれども、四件で約百名ということでございました。このうちで入院された者というのが約十六名というように聞いておりまして、食中毒の内容も考え合わせまして、我が国で直ちに中国産のキノコについて綿密な調査をする必要はないというように考えたわけでございまして、その後の米国での状況を先ほど申し上げましたように見守っておったわけでございます。
  340. 藤田スミ

    藤田委員 入院した人がわずかだとか、それで調査をする必要はない、アメリカを見守っていたと言うけれども、アメリカの方はわずかの入院患者であっても、四件百二名を非常に重視して徹底的に検査を強めた結果、輸入を全面ストップする、こういうふうにいったわけですから、その点では厚生省の食品の安全性に関する軽視が随分よく出 ているというふうに言わざるを得ません。  厚生省はアメリカの措置を受けて先ほど検査をされた、こういうことですが、時間がかかりますので私はあらかじめ聞いておりましたから言いますが、黄色ブドウ球菌は確かに出ませんでした。しかし、雑菌に汚染されていた中国産キノコが出てきたわけです。食品衛生法に基づく規格基準では、中国のキノコはこの対象になるわけですが、加熱加圧食品は原則無菌であること、有毒、無毒にかかわらず無菌であること。ところが北海道では十件、名古屋では七件、黄色ブドウ球菌は非産生性と、何かややこしいですが、そういうことで余り中毒にはならないという菌だそうですが、それも一件加わっていたわけです。そういうふうに全く何もなかったわけではないわけです。検査をしたらやはりそういうことになってくるのですよ。アメリカの措置がなければ国民は雑菌に汚染されていたキノコを食べさせられていたではありませんか。そしてこのようなものが平気で国内に輸入されている状況というのは、輸入の検査体制は全くざる状態になっていると言わざるを得ませんが、現状の深刻さについてどう認識していらっしゃるのか、明らかにしてください。  もう一つは、特に検査機器の設置状況について、厚生省からこれも事前に資料をもらっています。委員長、申しわけありませんが、大臣にちょっと見ていただきたいので、お許しいただいて……。
  341. 近藤元次

    近藤委員長 はい、どうぞ。
  342. 藤田スミ

    藤田委員 この資料を見ますと、検査機器の整備状況としまして、主要な検査機器ということで七つ、ガスクロマトグラフその他、七つの検査機器の名前が出ています。ところが、放射能測定器、それもガンマ線しかわからない、そういう非常に簡易な機器です。チェルノブイリの事故以来問題になっているセシウムをつかまえていく機器、これは放射能精密分析器と申しまして、放射能測定器の隣に書いてある分です。ガンマ線をとらえる放射能測定器という実に簡単な機器は、全国の二十一の検疫所どこにもございます。しかし、東京空港、新潟、広島、長崎、四つの検疫所はこれしかないわけです。先ほども同僚議員が質問をしておりますが、今ポストハーベストの問題で残留農薬のチェックというのが国民の中からも非常に厳しく要求されております。これをたちどころにキャッチするのが一番端にありますガスクロマトグラフ・マススペクトログラム、そういう機器なんですね。これに至るや横浜と神戸しかございません。とにかく七つそろっているのは横浜と神戸だけ、そして残留農薬をキャッチする機器も横浜と神戸だけ、あとは本当にお粗末な状態のままなんです。せっかく人がいてもこういう検査機器が整備されていなければどうしようもないわけで、これは早急に解決をすべき課題だと私は考えますが、二点お答えください。
  343. 野村瞭

    ○野村説明員 先生指摘になりましたが、最近の食品の輸入件数は非常に増大をいたしておりまして、その安全性の確保が極めて重要な課題であると認識をしている次第でございます。そういうことで、従来から検疫所における食品衛生監視員の増員、検査機器の整備等、検査体制の充実強化を図ってきたところでございますが、これらにつきましては、今後ともさらに強化すべきものと考えておる次第でございます。  また、検査機器の整備につきまして御質問がございましたが、確かに一般的な検査機器につきましては、すべての食品監視をしている二十一カ所ございます検疫所、ここに整備をしておるわけでございますが、比較的高度の検査機器につきましては、農産物輸入が集中する横浜でありますとか神戸の検疫所を中心に整備をしていくということでございまして、これ以外は今後整備をしないということではございません。その他の検疫所におきましても必要な検査機器については段階的に整備を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
  344. 藤田スミ

    藤田委員 別に神戸、横浜だけが輸入農産物が集中しているのじゃないのですよ。そうでしょう。私は大阪港の方も近くですからよく参りますけれども、あそこは物すごいですよ。だからそういうふうな言い方をされない方がいいと思うのです。この一覧表を見ても、大体基本的なものがそろっているとおっしゃいますが、それもさっき言ったように、二十一カ所中の四カ所は決してそんなに小さい港じゃありませんが、ガンマ線の放射能測定器しかないじゃありませんか。そこへ座ってからうなずかないでくださいよ。こういう機会だからこそ、もっと積極的にこういう問題解決のために取り組むんだ、農水大臣も応援してください、本当にそれぐらいのことを言ってください。
  345. 野村瞭

    ○野村説明員 繰り返して御答弁をいたしますが、神戸、横浜を段階的にまず整備をするということでございまして、その他の検疫所につきましても今後必要な検査機器については整備をしてまいりたいというように考えております。
  346. 藤田スミ

    藤田委員 ところで、この中国産キノコの事件で私がとりわけ厚生省の姿勢について憤りを感ずるのは、このアメリカで措置されたというニュースが出てきた十日ほど前に、実は中国から輸入されている山菜が非常に非衛生的であり、もっときちんと取り締まるべきだということを要求したのです。これは日本母親大会連絡会や食と健康を守る全国連絡会の皆さんと御一緒に厚生省に参りまして要求をいたしました。そのときは、大した問題じゃない、こういう態度であったわけです。  委員長、まことに恐縮ですが、もう一度これを大臣に見ていただきたいと思います。  この中国から輸入されている問題のキノコ、山菜類は、二、三年も前から横浜港にも参りまして実際に見てきていました。雨ざらしのままで、塗料がはげて赤さびになっていてもそこに積まれている。ところが、この問題に非常に関心を持ったお母さんたちや運動団体の人たちが、その山菜を積みに来たトラックについてどこまで行くのかということでずっと見ていったわけです。そしたらそれが、こういうふうに加工される。私は県の名前もここでは言わないことにいたしますが、こういうふうな加工場へ行きました。野越え山越えして行ったのです。そうしたら、こういうところに来たわけです。ここではやはり工場の周辺にはげた赤さびの缶がずっと積まれておりまして、カビが生え腐敗していてもその箇所だけ取り除いて製品化しているばかりか、その製造工場では、中国から輸入されている山菜には、毛髪、くぎ、ヘアピン、輪ゴム、昆虫あるいは糸くず、ビニール袋、こういう異物が混入しているのが多いということで、今大臣にお示しをいたしましたのがその混入物のサンプルです。そういうものを現場の作業者に見せて、こんなものが入っているから注意せよということで取り除かしているわけです。混入物のサンプルを業者がつくるほど異物混入は常態化していた、こういうふうに言わなければなりません。  厚生省、このような異物が入っている食品が輸入される場合、食品衛生上どうなのか、また、長時間野積みをし、その結果生じた腐敗、カビなどを除いたものが製品化されても食品衛生上問題がないと考えておられるのか、明らかにしてください。また、全国の中国産山菜の輸入、流通実態の調査をしていると聞いておりますが、その内容を明らかにしてください。
  347. 野村瞭

    ○野村説明員 中国産の山菜について御質問がございました。  先生御存じだろうと思いますが、食品衛生法第四条の第四号におきましては、「不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を害う虞があるもの」に対しましては製造販売等を禁止することになっております。また、法の第二十二条によりまして、それらの廃棄、危害を除去するために必要な措置等をとることになっておるわけでございます。したがいまして、中国産の山菜の中に異物が混入している場合につきましては、その種類、形態、性状、さらには混入量等をもとにいたしまして、個別事例につきまして健康への影響を総合的に判断することになると考えるわけでございます。したがいまして、状況によりましては法第四条違反として、先ほど申し上げましたように 法第二十二条の措置の対象の場合もあると考えております。  以上が法的な解釈でございますけれども、少なくとも本来異物が混入すべきはずのないものにそういうものが混入しているということでございますので、当該品の製造が十分な衛生管理のもとに実施されているとは考えられないわけでございますので、法的な解釈はともかくといたしまして、好ましい状況にあるとは言えないというように考えておる次第でございます。  それから、野積み状態で放置されていることについて、食品衛生法上問題ないのかという御指摘があったわけでございますが、同じく食品衛生法の第二十二条におきまして、腐敗した食品あるいはカビが発生をした食品等、食品衛生法の第四条に違反した不衛生な食品に対しましては、先ほども御説明いたしましたが、廃棄または食品衛生上の危害を除去するための必要な措置を命じることができることになっております。したがいまして法令上は、腐敗した部分やカビの発生した部分並びにその周辺にある正常な部分も含めましてその相当量を除去する、さらに十分な衛生管理のもとで厳重に精製をするということであれば、再度製品化するということも理念的には可能と考えられるわけでございます。しかしながら、食品の安全確保基本ということになりますと、清潔で衛生的な材料を用いて十分な衛生管理のもとで製造でありますとか加工、調理、さらには保管等の措置を行うことでありますので、そういう意味からいいますと、御指摘になりましたようなものについては好ましくないわけでございますので、今後とも関係の食品営業者に対しまして必要な指導を行ってまいりたいと考えておる次第でございます。  それから最後に、中国産山菜の輸入並びに流通の実態について御質問がございました。昭和六十三年の厚生大臣あての輸入届書に基づく集計結果によりますと、中国産の塩蔵、これは塩漬けでございますが、塩漬け野菜の輸入の実績は二千八百二件、十二万八千四百三十四トンに及んでおりまして、これは我が国の年間の漬物製造量、約百十二万トンございますが、この一一・五%に相当しております。これらの塩漬けの野菜を漬物の原料として使用しております主な六府県の十七漬物の製造施設でございますが、ここにおきまして、先生指摘になりましたような異物の混入の実態を現在調査中でございまして、まだ結果がまとまっておりませんけれども、現在の段階で把握している範囲でございますけれども、木片でありますとか頭髪、それから石ころ、虫等の異物の混入があるというように報告を受けている次第でございまして、中国における食品衛生管理の現状が必ずしも好ましい状態にないというように推測をいたしている次第でございます。
  348. 藤田スミ

    藤田委員 漬物製造量の一一・五%、漬物は毎日私たちの食卓に上りますから随分なものだと思いますが、各地の観光地で、こういうお土産で売られております。我慢ならないと思いますのは、これは、どこにも中国産なんて書いてませんが、これは子供たちの学校給食に使われているのですよ。だから、先ほどからさんざん長い長い御答弁で、しかし、木のくずだとか頭の髪だとか虫だとか、もしそんなものが、おうどん屋さんへ行って一杯の中に一本の髪の毛でも入っていてごらんなさいよ、もうたちまち店を畳まなならぬようなことになりますよ。虫なんか入っていたらもう大変ですよ。それを私は物すごい安易な姿勢だなというふうに思うのです。だから実際に、中間の調査中ではあっても、もう既にそういうものが出ているわけですから、これは子供たちも食べさされるというようなことも考えたら、もちろん子供たちの学校給食にはもうこれは使わないというふうにしていただきたいわけですし、それから、こういうような状態ですから、私が申し上げたようにやはり異物の混入が常態化しているわけです。だから中国産の山菜の輸入については、もう抜本的にその改善が見られるまでは輸入についても見直す考えはありませんか。それから、私は、一体商社はどうしているのだろうなというふうに改めて思いますが、商社の責任についてどう考えていらっしゃるのか、お聞かせください。
  349. 野村瞭

    ○野村説明員 先ほど申し上げましたとおり、現在、中国産の山菜を主原料といたしております主要な山菜製品等の生産県におきまして、その実態を調査中でございまして、これらの結果を踏まえまして、中国政府に対しまして衛生水準の向上を要請することを考えておる次第でございます。また、輸入業者等の関係業界を通じまして、中国の製造者に対しましても衛生管理の向上につきまして注意喚起を促すことも考えているところでございます。また、商社の責任の問題について御指摘がございましたが、基本的には輸出国における衛生対策が肝要と考えておりますけれども、自主的な衛生管理という観点から、輸入業者も含めました関係業界に対しまして適切な対応を指導してまいりたいと考えております。
  350. 藤田スミ

    藤田委員 大臣、お聞きのとおりなのです。だから、中国政府に対して製造段階における衛生管理の向上を要請することを考えている、つまり検討しているとおっしゃいましたが、これはぜひとも要請をするべきだというふうに私は考えますし、商社に対する指導ももちろん言うまでもありません。しかしそれにしても、これは私たちが大まじめで食べているわけですから、こういうものこそアメリカの措置に倣って本当に厳正にしていかないと、国民は不安でたまらないわけです。私はこのごろワラビ類の入ったものは一切食べないことにしておりますけれども、しかしこういうことになってくるわけですよ。一体農民の方は何をつくればいいんだと言い、消費者は何を食べればいいんだと言うような世の中になったらどうするんですか。だから私は、成田の検疫所などそういうところにも大臣足を運んでほしいというふうに考えますし、農水大臣だからということで食品衛生についても軽視をすることなく、だからこそ余計にそれを重視する、それの推進の先頭に立っていただきたいというふうに考えるわけであります。  最後に私は、こういう中で消費者が今、安全な食糧は日本の大地からと言っている言葉大臣御存じかどうか、もう一度この言葉をかみしめてください。安全な食糧は日本の大地からなのです。だから消費者も、食糧自給率を引き上げ、安全で新鮮な食糧で食生活を営むことを切に願っているわけです。にもかかわらず、午前中から議論になりましたが二〇〇〇年の農産物長期見通しの原案では、食用農産物の総合自給率は現在の七一%から六六ないし六八%に引き下げるのだというふうに言われています。そして海部総理は輸入大国を宣言され、農水省自身がこういうふうに自給率の引き下げを進めていくとしたら、まさに輸入大国化路線を歩んでいると言わざるを得ません。自給率をどうするかということは国の基本の問題です。だから、細かいことは別にしても少なくとも今後自給率を引き上げる、この大原則ぐらいは当然堅持するべきだと考えますが、安全性の問題と、この自給率の引き上げ、これは国民的な要求にこたえることなんだという立場から御答弁を求めたいのでございます。
  351. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 食品の安全性確保につきましては、輸入食品を含めまして厚生省におきまして適切に対応していただいたと考えております。またこれからも対応していただけるものと思っておりますが、農林水産省におきましても、安全な食糧国民に供給する立場から重要な問題である、このような認識に立ちまして努力をしてまいりたいと思っております。  また、目標年次二〇〇〇年長期見通しというものを今策定すべく作業をいたしておるところでございますが、自給率の問題につきましては、農政にかかわる者といたしましては、自給率が低下している中で何とかこの辺のところで歯どめをかけたいな、このような気持ちになるところは偽らざる気持ちでございます。しかし飼料穀物の問題等々考えますと、国内の生産構造の問題なりあるいは国土条件の制約等々から、なかなかそういうふうな問題につきましては現実的な問題として難 しい問題があるんだな、こんなふうに考えるところであります。しかしながら、今鋭意将来の見通しにつきまして作業をいたしておるところでございます。
  352. 藤田スミ

    藤田委員 これで終わりますが、大臣がこの辺で何とか歯どめをかけたいな、そういう大変弱気な御答弁を極めて残念な御答弁というふうに受けとめておきたいと思います。  きょうは農地の宅地並み課税の問題についてこそ質問をするべき私の立場でありましたが、質問できません。しかし報道によると大臣は、宅地化する場合は企業の買収などで投機的な動きを防ぐべきだというふうに御発言になったそうですが、それ自身が私は甘いなと思いました。今もしこの宅地並み課税で農家農地を放すようになったら、それこそ火を見るような勢いでもっともっと土地は上がっていくでしょう。そしてそのとき都市から農地がなくなっていったら、それは防災上の問題からも、それから何よりもその都市に住む人たちの食卓に新鮮な野菜が上らなくなるという問題からも、重大な禍根を残すという点で農地の宅地並み課税は絶対にやってはならない。自由を口酸っぱく選挙になったらおっしゃる方ですから、どうぞ農民の生きる自由、農業をやり続けたいという自由を守っていただきたいということを申し上げて、きょうの質問を終わりたいと思います。
  353. 近藤元次

    近藤委員長 次回は、明十五日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会をいたします。     午後七時十七分散会