運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1989-11-30 第116回国会 衆議院 社会労働委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月三十日(木曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 丹羽 雄哉君    理事 伊吹 文明君 理事 高橋 辰夫君    理事 野呂 昭彦君 理事 畑 英次郎君    理事 粟山  明君 理事 池端 清一君    理事 貝沼 次郎君 理事 田中 慶秋君       粟屋 敏信君    石破  茂君       稲垣 実男君    今井  勇君       小沢 辰男君    尾形 智矩君       木村 義雄君    古賀  誠君       佐藤 静雄君    笹川  堯君       高橋 一郎君    竹内 黎一君       津島 雄二君    戸沢 政方君       中山 成彬君    三原 朝彦君       持永 和見君    山下 徳夫君       大原  亨君    川俣健二郎君       多賀谷真稔君    永井 孝信君       渡部 行雄君    新井 彬之君       伏屋 修治君    吉井 光照君       塚田 延充君    児玉 健次君       田中美智子君    大橋 敏雄君  出席国務大臣         内閣総理大臣  海部 俊樹君         厚 生 大 臣 戸井田三郎君         労 働 大 臣 福島 譲二君  出席政府委員         総務庁人事局次         長       服藤  収君         大蔵省主計局次         長       小村  武君         厚生大臣官房総         務審議官    加藤 栄一君         厚生大臣官房審         議官      森  仁美君         厚生大臣官房老         人保健福祉部長 岡光 序治君         厚生省児童家庭         局長      古川貞二郎君         厚生省年金局長 水田  努君         社会保険庁運営         部長      土井  豊君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部長    七瀬 時雄君  委員外出席者         社会労働委員会         調査室長    滝口  敦君     ───────────── 委員の異動 十一月三十日  辞任         補欠選任   河野  正君     多賀谷真稔君 同日  辞任         補欠選任   多賀谷真稔君     河野  正君     ───────────── 十一月三十日  平成元年度における国民年金法等年金額等改定特例に関する法律案大出俊君外二名提出、第百十四回国会衆法第一〇号) は委員会許可を得て撤回された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  国民年金法等の一部を改正する法律案内閣提出、第百十四回国会閣法第六六号)  被用者年金制度間の費用負担調整に関する特別措置法案内閣提出、第百十四回国会閣法第七七号)  平成元年度における国民年金法等年金額等改定特例に関する法律案大出俊君外二名提出、第百十四回国会衆法第一〇号)  平成元年度における国民年金法等年金額等改定特例に関する法律案大出俊君外二名提出、第百十四回国会衆法第一〇号)の撤回許可に関する件      ────◇─────
  2. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  第百十四回国会内閣提出国民年金法等の一部を改正する法律案被用者年金制度間の費用負担調整に関する特別措置法案及び第百十四回国会大出俊君外二名提出平成元年度における国民年金法等年金額等改定特例に関する法律案の各案を議題といたします。  これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。粟山明君
  3. 粟山明

    粟山委員 本社会労働委員会におきまして、各法案が大変熱心にかつ実のある質疑が行われましたことは、本当に喜ばしいことでございまして、本日はそのいわば締めくくりとして海部総理に御出席願いまして、当委員会総理が御出席になったのは六十年以来だそうでありますが、短い時間ではございますけれども、ひとつ総理のいろいろな面の御所見を伺いたいと思います。時間が非常に限られておりますし、また総理でございますので、基本的なことを一、二問お伺いしたいと思います。  第一が、高齢化が進展いたしまして、公的年金が果たすべき役目は、もう言うまでもなく大変重要なことでございます。そこで、本委員会でこのあるべき姿が大変いろいろな角度から論議がなされました。つきましては、これからの高齢化社会における公的年金役割総理はどうお考えになっておられるか、またさらに長期的展望、これはどうでありましょうか、その御所見を伺いたいと思います。
  4. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 御指摘のように、これから我が国には高齢化社会が今まで諸外国で経験したよりももっとスピードが速く到来すること、御指摘のとおりでございます。そして、高齢者皆さんにとってこの公的年金制度というのは、世代間扶養という仕組みを通じて、物価スライドや賃金、生活水準の上昇に応じた給付改善を行いながら、やはり二十一世紀の本格的な高齢化社会においても、その役割を十分に果たしていかれるように制度を長期的に安定したものにしていかなければならない、このように基本的には考えております。
  5. 粟山明

    粟山委員 さて、今回提出されました法案につきましては、大筋におきまして我が自民党の主張と申しましょうか、考え方国民皆様理解を得られたものと思います。そして、給付改善あるいは保険料率改定、そしてまた調整法案におきましては、この一元化基礎を築いた、また、今危機に瀕しております鉄道共済につきましても救済措置が行われた、こう私は理解をするものでございます。  さて、厚生年金支給開始年齢につきましては、私どもは、これは必ずややらなければならないものだ、こう考えているところでございますが、これも大筋においては各野党の皆様にも御理解を得られた、しかし五年後の財政計算時に持ち越される、それまでに論議をし、内容を詰めよう、こういうふうに私は理解しているところでございます。  そこで、その間におきまして一番焦点となりましたのは、六十歳代前半雇用確保されるかどうかということであります。しかし、今現在、この年金制度をさらに将来に向かって確実なものとしていくためには、まず、その基礎となる経済がしっかりと安定的発展をしていかなければなりません。これが今現在は大変経済情勢がいい。逆に、そのために雇用の面でむしろ人が足りないというような現象まで起きております。しかし、残 念ながら、六十歳代前半方々は働きたくてもなかなか働く場がないということも現実の姿で、一方は人が足りなくて困っている。中には外国人労働者の問題までその一環として出ております。     〔委員長退席畑委員長代理着席〕しかし、方針としては、現在の年間二千時間の労働時間をさらに千八百時間に縮めようという方向も定められております。そういった点から見ますと、これからの高齢者の、高齢者というより壮年層と申しましょうか、そういう方々雇用の場をもっと確保しなければならない、そうしなければこの日本の経済は成り立っていかないというような感じもするわけでございまして、そういう場合に、やはりこれは厚生省あるいは労働省といった限られた面だけではなくて、社会全体の構造を変えていかなければならないのではないかと私は思うわけでございます。  例えば、住宅であるとかあるいは交通手段であるとか道路とか、こういう建設省の問題もございます。あるいは工場、生産設備、こういった通産省の問題もございます。あらゆる面からこの来るべき高齢化社会に対する社会構造考えていかなければならないという時代が参っております。そうなりますと、六十五歳定年制はおろか、むしろ定年制を外してもいいぐらいの時代にならなければならない、こんなふうに考えるわけでございます。  そこで、総理はこの来るべき高齢化社会にふさわしい経済社会システムあるいは社会をどのように構築していただけるか、そういうことをどう目標に考えておられるかを、ぜひこの際御所見を伺いたいと思います。
  6. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 高齢化時代になりましたときに、やはり健やかに高齢時代を迎えていただきたいということがもちろん第一でございますから、委員指摘のように、働こうという意思と働く能力をお持ちの方に雇用機会をなるべく多く提供していくように努力していくことは、これは当然のことと考えます。また現在、労働省においてもそういった高齢者雇用問題について、雇用審議会の方にその答申を求めておるさなかであると我々は理解しております。  さらにまた、一般社会一般企業皆様にもぜひお願いを申し上げて、数学の数字のような何歳定年ということを余り固定的にお考えにならずに、それぞれの意思能力に応じた定年延長とか、六十歳代前半雇用問題については広く各界の皆さんの御理解と御協力も得なければならぬと思います。     〔畑委員長代理退席委員長着席〕  さらに、そういった高齢者皆さん生きがいと申しますか、ただ単に雇用のみならず生きがい対策についても、高齢者皆さんがどのようにして世の中を生きていっていただけるのか、心豊かな社会というのは生きがいつき社会福祉政策であると言っても言い過ぎではなかろうと考えておりますので、いろいろなことを担当の各省にもお願いをして、高齢化時代にふさわしい安定した社会にしていかなければならないと思います。けれども、そういった施策を講じていきますためにも、やはり国全体のといいますか、あるいは社会経済全体の活力があるということも極めて大切でございますから、国全体の経済政策としても活力のある社会、明るい社会、豊かな暮らしというものを安定的にきちっと仕組んでいくことも、将来に向かって大切な施策でありまして、これらのことを全部踏まえて総合的に努力をしていきたい、このように考えております。
  7. 粟山明

    粟山委員 もう時間でございますので、最後にこれはお答えをいただかなくて結構でございます。  ただいま六十歳あるいは六十五歳という年齢の問題も議論をされております。総理は今五十八歳でいらっしゃいますか、もうじき六十になられると思いますが、そのときに年金生活にというようなことはよもやお考えはないと思います。もう来年になりますと総選挙もございます。私は、我が自民党が勝利を得るものと確信をしております。そうなりますと、総理はやはりこれからさらに二年、三年と総理の座をしっかりと守っていただかなければなりません。そのときにこそ、将来の十年先二十年先の、ただいま論議をされました、あるいは今御所見をいただいた内容基礎をしっかりつくっていただくように切にお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  8. 丹羽雄哉

  9. 川俣健二郎

    川俣委員 今総理最後の答弁のところでございますが、結局この年金がこれほどまでにおくれた、提案されたのは前の総理のその前の総理のときでございまして、もう七ヵ月になる。ところがその後、年金審議会社会保障制度審議会、私も制度審の委嘱を総理から受けておるわけでありますが、労働団体の三人がそれぞれ年金審議会制度審も退場の騒ぎがあったというのは、その辺に問題があったわけです。  ところが、昨夜与野党理事皆さん方の大変な御労苦で、深夜遅くまで交渉した結果、その問題は処理されたということでございますので、そういう観点から、私はもう少し確認したいと思っているのを拾って質問したいと思います。  まず大蔵省の方ですが、結局は、とどのつまりは、社会保障に対する国庫負担の対国民所得比長期低落傾向、限りなく落ちている。これはこの前、この委員会論議されたし各委員からも出されました。私は資料も出して、このとおり落ちている、こういうように指摘したのですけれども、この実情を全然報告されていないのですが、大蔵省いかがですか。
  10. 小村武

    小村政府委員 社会保障予算につきましては、年々一般歳出よりも高い伸び率予算編成をしてまいりました。ただ先生指摘のとおり、先般六十三年三月に厚生省大蔵省提出いたしました資料に記載しておりますように、社会保障に対する国庫負担の対国民所得比は、六十年が四・四、六十三年が四・一と減少していることは確かでございます。(川俣委員平成元年は」と呼ぶ)平成元年等について、同じベースで私どもまだ計算はしておりません。昭和七十五年にはこれが五カ二分の一程度、八十五年、平成二十二年には六から七%、これから高齢化に向けて上昇していくものと推計しております。
  11. 川俣健二郎

    川俣委員 総理、こういう状態です。もう限りなく落ちております。  私のところの資料によりますと、ここ七年間、一九八三年から四・七、四・六、四・四、四・三、四・二六、四・一、平成元年はどうかと言ったら、まだ出していないというのだけれども四・〇。国民所得三百兆の見通しですから、〇・一がいわば三千億でございます。この三千億をめぐる問題も、こんなにおくれたということでございます。したがって、けさの新聞を取り上げるわけではないが、防衛費は限りなく上がっている、また六%前後上がるだろうという新聞の一斉の見出しでございます。この下がる傾向について総理、一体どう歯どめをかけようとしているのか、その辺を伺いたいと思います。
  12. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 御議論を承っておりまして私も国庫負担推計の表を眺めましたが、今委員指摘のように、最近は下がる傾向を示してきておったことはそのとおりだと思います。ただ、恩給費など全額国庫負担の経費の対象者が減少しているという事情とか、いろいろ考慮する必要があるものと思いますけれども、限りなく未来に向かっていつまでもいつまでも下がっていくということではないようでありまして、我々の方の推計によりますと七十五年度には国庫負担は大体五・五%程度になる、これは上がっていくわけでございますので、長期的に見ると国庫負担率は上がっていく、しかし、それはこたえていかなければならぬ問題だ、こう受けとめさせていただきます。
  13. 川俣健二郎

    川俣委員 それでは大蔵省、もう一回聞きますが、結局基礎年金が将来の一元化ベースになるわけですけれども国庫負担率をもっと上げろということを私たちは長年主張してきました。この三分の一を引き上げることによってどのような支障があるのかということをここで問いただしたい と思います。
  14. 小村武

    小村政府委員 年金に対する国庫負担につきましては、六十年改正前は各制度まちまちでございました。それを六十年に基礎年金の三分の一ということで各制度を公平な制度に構築したわけでございます。  この基礎年金国庫負担三分の一を引き上げるにどういう支障があるかというお尋ねでございますが、私どもとしましては、基礎年金国庫負担引き上げることにつきましては、やはり年金制度は受益と負担関係が明確な社会保険システムをとりながら今後とも維持をしていく必要がある、それから社会保障給付費というのも、国庫負担は今後の高齢化社会に向けまして年金だけではなしに医療や社会福祉の面、そういった面でも大変な伸びが予想されるところから、社会保障の中のバランスを保つ意味でも、限られた財源の中で現在の国庫負担を維持していき、高齢化社会バランスのとれた社会保障制度を構築していくのが適当ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  15. 川俣健二郎

    川俣委員 論議をすると時間がありませんので、そこで御担当厚生大臣にこの問題に関連して伺いますが、これまで長年政府は、憲法二十五条、生存権最低保障生活保護制度であるとしてきた、これに対して私たちは、たとえ資産や所得があったとしても、高齢障害などのハンディのある人々の消費生活基礎的な部分については国が責任を持つべきだ、こういう哲学論まで各委員方がここで展開してみえました。我々はこの立場から基礎年金全額国庫負担化を主張しておるのですが、政府見解厚生大臣の御所見を伺いたいと思います。
  16. 戸井田三郎

    戸井田国務大臣 委員指摘基礎年金国庫負担増額につきましては、たびたびお答えいたしておりますとおりに、さき改正、六十年改正のときに、将来の一元化に向かってまず基礎年金制度を導入しよう、基礎年金制度を導入いたしまして、その基礎年金補助金を一括して投入して三分の一という負担をすることにしたわけでありますが、この三分の一というものは同時に、御承知のとおり、分母である年金受給者というものがこれからどんどんふえていくわけであります。そういうことになってくると、やはりこの将来というものは非常に大きな負担にならざるを得ないということを考えております。そうなってくると、今財政当局からもいろいろとお話がありましたように、非常に国庫負担を大きく引き上げるということは困難であると私ども考えます。  そして一方、財政面からいって、先ほど御指摘のように、今は恩給者であるとかあるいは老齢福祉年金受給者であるとか、そういった減っていく世代のものもありますけれども、そういうものを越えて新しい時代を迎えたときには非常に高い負担率を負うようになってくると思います。  今憲法で保障されているということを言われましたけれども、もしこれを憲法の精神に基づいて、その負担最低保障生活保護をやっておりますが、それに対して見合うようなものということになってきますと、これは大体今まで私たち社会保険方式をもってこの年金制度をやっておりますけれども、それを税方式に改めるということになると大変大きな改革でありまして、そういった意味では当然国民的な合意を得なければならない、こういうふうに考えますので、当分この国庫負担増額するという面におきましては、金額からいえば増額をしていくわけでありますから、率を高めていくということは大変困難なことだと思います。
  17. 川俣健二郎

    川俣委員 次に、六十五歳引き上げ云々については昨夜の与野党の話し合いでついたことですから、あえてと思うのですけれども、私たちはこれで片づいたとは思っていない。  ところが、本年三月に長寿社会における年金雇用に関する閣僚懇談会がようやく設けられた。厚生年金保険法本則が六十五歳支給開始としている以上、この閣僚懇高齢者雇用促進のためのプログラムがあってしかるべきなのだが何ら示されていない。そうなると、やはりここで今後のためにどうするつもりなのか、プログラムが一体あるのか、いつごろ出すのか、こういったことも労働省なり総理なりの御見解を伺いたいと思います。
  18. 福島譲二

    福島国務大臣 今委員指摘長寿社会における年金雇用に関する閣僚懇談会、既に三月と七月の二回にわたりまして開催をいたしまして、長寿社会における年金雇用連携確保と、それぞれの施策の総合的な推進を図るために種々議論をいたしたところでございます。  労働省といたしましては、現在、人生八十年時代にふさわしい雇用あり方というものを御審議いただいておるところでございまして、年度内には長寿社会雇用ビジョンというような形におきまして、人生八十年時代におけるこれからの高齢皆様方雇用あり方についての御答申をいただき、これを待ちまして適切に対処してまいりたいと思っております。  なお、別途、雇用審議会におきましても、六十歳から六十五歳の六十歳代前半方々雇用あり方あるいはこれに対して法的にどう対処するか等につきましても、今既に三回ほど会合を持って議論をいただいておりまして、あと年内に二回ほど会合を開催していただきまして、年金雇用連携をいかにスムーズに確保していくかということを含めまして御議論をいただき、これにまた労働省として立派に対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  19. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 労働大臣がお答え申し上げましたことに尽きると思いますけれども、私といたしましては、内閣にあります閣僚懇談会においても、本格的な高齢化社会の到来を迎え、六十五歳までの雇用機会確保は極めて重要な課題だ、こう認識しておりますので、閣僚懇談会を活用をしてこの問題についても十分に意見交換を尽くしていただきたい、そして、年金雇用連携確保という重要な問題についても御議論を尽くしていただきたい、このように考えております。
  20. 川俣健二郎

    川俣委員 同じような問題で、公務員定年延長の問題について総務庁に伺いたいと思います。  日本独特の定年制でございますが、公務員共済年金制度改定問題に係る雇用問題検討委員会、こういうので検討しておるようですが、今後の検討スケジュールというのはどういうものですか。
  21. 服藤収

    服藤政府委員 共済年金につきまして、将来厚生年金支給開始年齢同種措置が講じられるような場合に生じます公務員雇用問題につきましては、先生御案内のとおり、関係省庁局長クラス構成員とします検討委員会をこの四月に発足させまして、同時にその下部機構として設置されました関係課長クラスによる幹事会をも活用しながら種々観点から調査研究し、検討を進めてきているところでございます。今後とも同委員会におきまして、雇用に係る制度運用あり方共済年金に係る制度運用あり方民間企業における同種制度運用状況、諸外国における同種制度運用状況等について鋭意検討を進めていくことといたしております。  なお、今後のスケジュールについてでございますが、いつごろまでに結論を出すかというようなことにつきましては、今申し上げましたように、当面民間や諸外国におきます諸制度事例等の把握にまず努めるといたしておりまして、民間対応状況等も見ながら検討を進めていくこととしておりまして、現時点では確かなことは申し上げられないわけでございます。その点、御理解を賜ればと存じます。
  22. 川俣健二郎

    川俣委員 高齢者雇用年金の問題ですが、在職老齢年金についてさらに支給範囲拡大を図らないと高齢者雇用促進にならないのではないのかという考え方もあり、この点、厚生大臣どうでしょう。
  23. 戸井田三郎

    戸井田国務大臣 御指摘在職老齢年金支給範囲拡大せよというお話でございますけれども、御承知のとおり、今回の法改正において現行の二十万円から一段階引き上げて二十二万円といたしたところでありますけれども、御指摘の点を踏まえまして、在職老齢年金支給範囲拡大を図ることとして、平成二年の四月よりさらに一段階 引き上げて二十四万円と設定することといたしたいと思っております。
  24. 川俣健二郎

    川俣委員 財調法に入る前にひとつ確認しておきたいのですが、やはり厚生大臣に確認したいのですが、学生の国民年金の適用についてこの場でいろいろ論議がありました。親との同居関係の違いによって負担の格差が生ずるというのはいかがなものだろうかという疑問でしたが、再度大臣見解を伺いたいと思います。
  25. 戸井田三郎

    戸井田国務大臣 御指摘の点は、さき年金審議会から「親の保険料負担が過大とならないよう、適切な配慮がなされるべきである。」といった答申をいただいておりますが、この御指摘の点を踏まえまして保険料免除制度の適切な運用を図ってまいりたいと思っております。
  26. 川俣健二郎

    川俣委員 では次に財調法に入りますが、政府はどういうわけか終始一貫、今回の年金改正案財調法案は切っても切れないセットだ、セット法案である、こういうことを主張したし、そういう空気づくりをされておったので我々もセットかな、そのように不思議に思っておったのですが、年金改正案の中の負担給付関係セットだというのならわかる、改正案の中の負担給付関係セットだ。この二法案セットとして全く同時に取り扱わなければならないという論拠はないのじゃないですか。いかがでしょうか。
  27. 戸井田三郎

    戸井田国務大臣 この点もたびたび御質問がありましたが、年金改正法案におきまして、給付改善保険料引き上げによる財政面の安定を図ることを目的といたしておるわけであります。一方、制度調整法案の方は、被用者年金一元化に向けてその地ならしとして、当面急がなければならない被用者年金制度間相互間の負担調整を行うことといたしておるわけであります。  その結果、厚生年金からは持ち出しとなることが見込まれておりますけれども、このような制度調整が円滑に実施されるためには、厚生年金財政面の安定も同時に図られることが前提になってくることは当然であります。年金改正法案の成立がそういう意味ではどうしても不可欠で一体になるということであります。このような意味において、二法案セットとして同時に成立をさせていただきたい、こういうふうに願っている次第であります。
  28. 川俣健二郎

    川俣委員 私はどうもこれは納得いかない、すとんと落ちないものがあります。  そこで、例えばこういう考え方もあります。これは感情だけじゃなくて、総理、ちょっと総理の気持ちはどう思いますか。鉄道共済年金の救済という問題はわかります。それは分割・民営のときに国の責任でという、議事録をひもといてここでやる時間はないが、ところが、全然縁もゆかりもないと言っては悪いけれども、ほかの制度から貸してくれ、無担保、無利子で貸してくれというなら、これはまだ提案の話はわからぬわけではないが、人がため込んでいるものを法律で拠出しなさいということはどうも理解ができないというのは、私だけじゃなくて各委員から指摘されたのでありまして、これは政府も苦し紛れにこういうものを出したということはわからぬでもないが、やはりこの点は反省しておいてもらわないと、いや、反省ではなくこれは当然だという態度なのか、総理見解をここで聞いておきたいと思います。
  29. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 政府公的年金制度全体の長期的な安定を目指して、昭和五十九年二月の閣議決定により公的年金一元化の方針を出しておるところでございます。  今先生指摘のように、鉄道共済以外の方にもいろいろ御協力をお願いする趣旨になっておりますけれども、これは同じ人間同士だ、もっと言えば同じ日本国民同士だということで、縁もゆかりもないなんということでなくて、どうか御理解と御協力をいただいて、この公的年金一元化の方針に御協力いただき、その平成七年という目的に向かっての地ならしとして負担調整措置というものを閣議決定をしたわけでございますから、どうぞ御理解をいただきたいと思います。  そして今回の措置により、結果として現在現役世代負担が特に重い鉄道共済費用負担が緩和されることとなりますが、これはすべての公的年金一元化観点から被用者年金制度に共通する給付部分に係る負担調整が行われることによるものでありますが、もちろん最初にまず鉄道共済自身の自助努力が最大限に必要であるという基本的な考え方に立って、既裁定年金のカットを含む年金給付の見直しとかJR各社の特別負担など大変厳しいものといたしておるわけでありますから、こういったことすべてをひとつ包含してお考えをいただきまして、ぜひ御理解をいただきたいと考えております。
  30. 川俣健二郎

    川俣委員 今回は三年をめどに、三年時限立法のような形で与野党が御努力されて落ちついたようですが、じゃ、制度調整の見直しに関する検討の場の設置に関する問題をここで確認しておきたいと思います。  「制度調整について見直すにあたり、被用者年金制度の被保険者(組合員)などの意見を十分反映させるため、政府検討の場を設けることとし、その構成は、被保険者(組合員)、事業主(使用者)、学識経験者とする」、これが確認されたようでございますが、この点、政府考え方をまず、与野党で確認したことに対しての見解を伺いたいと思います。総理からひとつ。
  31. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 ただいま御指摘になりました昨日の与野党四党の折衝においてお決め願いましたこと、委員指摘の方向で対処いたす所存でおります。
  32. 川俣健二郎

    川俣委員 それから自主運用についてこの際厚生大臣見解を伺っておきたいと思いますが、年金積立金の自主運用、長年私たちが主張して、やっとわずかながら糸口がついた。この運用額の拡大を図るべきだと思いますが、時間がございませんので大蔵省には伺いませんが、厚生大臣考え方を。
  33. 戸井田三郎

    戸井田国務大臣 自主運用は、財政観点からいたしましても、年金財政の上からいきましても非常に重要なことでありますので、御指摘のとおり十分努力をしてまいりたい、そういう意味財政当局とも折衝をしてまいりたいと思っております。
  34. 川俣健二郎

    川俣委員 さらに厚生大臣に伺いますが、厚生年金国庫負担の繰り延べについては速やかに繰り戻しされるようにするとともに、今後このような繰り延べ措置は行うべきではない。これは国会でもかなり論議をされてこういう措置をとったが、私はこのようなことは今後やるべきではないと思っておりますが、大臣はどう思いますか。
  35. 戸井田三郎

    戸井田国務大臣 御指摘のとおり、速やかに返済が行われるよう、今後とも財政当局と協議してまいります。そして、平成年度におきましても、この予算編成の過程を経て協議してまいりたい、かように思っております。
  36. 川俣健二郎

    川俣委員 それから厚生大臣に伺いますが、公的年金一元化、これは我々が長年提唱してきた。これは単に黒字になっている組合を赤字の方と一緒にして処理するという財政調整じゃない、もっと一元的に掌握する、こういう考え方を私たちは言っておるわけでございます。したがって、ここの論議で私も主張さしてもらったが、もう年金庁というか、こういう時代ではないだろうか。総理にも聞いておいてもらいたいんですが、年金担当大臣という名前だけでございまして、財布を持っているわけではない、グループは全然違う。そういうことではなくて、やはり一元化を本当にやるというなら年金大臣または社会保障制度審議会、こういうのに責任のあるセンターというようなものを考える必要があるんじゃないのかな、やるべきではないだろうかな、こう思うのですけれども、こういったことをひとつ伺いたいと思います。
  37. 戸井田三郎

    戸井田国務大臣 大変貴重な御意見を拝聴して、そういう意味理解をいたしておりますが、厚生省といたしましては、年金審議会の意見書を受けて、既存の機関の活用を含め、どのような対応が可能であるのか検討を進めてきたところでありますが、御提言の趣旨は十分御理解できるわけ でありまして、引き続き関係各省と相談しつつ、具体的な対応については検討さしていただきたいと思っております。
  38. 川俣健二郎

    川俣委員 それから個別の問題ですが、個別でも非常に大きな問題は沖縄厚生年金の問題です。  総理もおられますからあえて言いますが、沖縄としては大変な問題でございまして、私も大原委員と社労委員会に同席して視察に行った際に、西銘知事が、今回の陳情はあえて一件しかない、そういうことを主張されて、沖縄厚生年金の格差というのは復帰のときからほったらかされておる、こういう問題が切実にあり、関係議員からも国会に反映されておりました。そして、この委員会にも出ました。そして、私たちは正式に与野党折衝に出さしてもらいました。この点について、厚生大臣から具体的に、ただ前向きにやるというだけでは私はちょっとおぼつかないので、確認したいと思います。
  39. 戸井田三郎

    戸井田国務大臣 この問題につきましては、さきにも委員から御指摘がございましたし、また、御承知のとおり本委員会にも二回も請願が出ていることでもありますし、それぞれ地元からも陳情もいただいております。そして、前回の先生の御質問には前向きで善処する、積極的に善処するというお話をいたしましたけれども、その後検討をいたしまして、本土と沖縄の厚生年金の格差を是正するために、本土復帰時に受給資格期間短縮の特例の対象となった者について、短縮された期間の年金額を保険料特例納付によって補てんをして、本土の中高齢特例並みの年金額を保障する措置を講ずることといたしたいと考えております。  具体的には、復帰時の資格期間短縮の特例措置の対象となった者であって、当該特例措置による老齢年金の受給資格期間を満たしている者について、報酬比例部分の年金額が本土の加入者並みの十五年分に達するまで、保険料特例納付を認めるものといたしたいと思っております。  納付する保険料額は、昭和四十五年一月における標準報酬月額に当時の本土の保険料率の六・二%のうち、本人負担分すなわち二分の一に相当する三・一%を乗じた額を年利五・五%で複利計算した額といたしたいと思っております。  特例納付期間は平成二年四月一日から五年間とし、納付を完了した翌月から年金額を加算する。  加算される年金額は、保険料の算定の基礎となった昭和四十五年一月における標準報酬月額を再評価した額に乗率及び保険料特例納付月数を乗じた額といたします。  そして、以上の措置は、大体沖縄の復帰に伴う厚生省関係法令の適用の特別措置等に関する政令の改正によって行いたいと考えております。
  40. 川俣健二郎

    川俣委員 ありがとうございました。  それから、最後になりますが、結局与党も野党も決着には非常な努力をなされた、お互いに相手があるわけですから、敬意を表するわけですが、そこで社会保険庁に最後に聞いておきたいと思いますけれども、問題は、年金受給者が一日千秋の思いで待っているわけですが、これできょう衆議院の場合は採決になる運びになると思いますけれども、そうなると、厚生年金は二月一日ですか、国年は二月十五日、これは大丈夫なものでしょうか、作業的にいかがでしょうか。
  41. 土井豊

    ○土井政府委員 新年金額と改定差額の支給時期でございますけれども平成二年二月の一日に厚生年金、十五日に国民年金を支払うべく、参議院の方のお許しも得まして私ども準備作業に入らせていただきたいというふうに考えております。
  42. 川俣健二郎

    川俣委員 ありがとうございました。終わります。
  43. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 吉井光照君。
  44. 吉井光照

    ○吉井委員 まず最初に、昨日の与野党四党の折衝におきまして、「制度調整について見直しするにあたり、被用者年金制度の被保険者などの意見を十分反映させるため、政府検討の場を設けることとし、その構成は、被保険者、事業主、学識経験者とする」旨の確認が行われたわけですが、この点についての政府考え方をお伺いしておきたいと思います。
  45. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 御指摘制度調整の見直しに関する検討の場については、昨日与野党四党の折衝において御確認いただいたと承っております。先生指摘のような方向で対処いたす所存でございます。
  46. 吉井光照

    ○吉井委員 まず合意形成のあり方についてお尋ねをしておきたいのですが、政府は、公的年金制度役割は長期にわたる老後の所得保障にある、このように位置づけられて、その財源の仕組みの特色は世代間扶養にある、このようにおっしゃっているわけですが、こうしたことはいわば社会連帯の制度であるわけですから、そこには制度に対する国民の信頼というものがまず根本になくてはならないと思います。そのためには、何よりもこの合意形成のための努力というものが極めて重要であると思います。  前回の昭和六十年の改正は、昭和五十年代の初めから約十年間にも及ぶ改革論議が、関係審議会であるとか各政党、各種団体、また、有識者等の間でいろいろ行われたわけです。いわば国民の意見を反映させるためのそれなりの努力があったわけでございますが、しかし、今回の改正案にはこうした合意形成のための努力の跡がうかがわれないと思うのです。厚生大臣はこの点についてどのようにお感じになっておるのか、まずお伺いをしておきたいと思います。
  47. 戸井田三郎

    戸井田国務大臣 御指摘のとおり、年金制度というものは国民すべての者に共通をする重要な問題でありまして、将来の所得保障をする大事な法改正であります。今回の年金改正案の策定に当たりましては、国民各層を代表する有識者で構成されております年金審議会において約一年半近く慎重かつ精力的に御審議をいただき、昨年の十一月に意見書の取りまとめをいただきました。そして、この意見書に基づきまして政府案を取りまとめ、さらに改正案国会提出に先立って年金審議会及び社会保障制度審議会に諮問をいたし、その御了承をいただいた上で国会提出したところであります。それで、国民各層の御意見を反映させるために最大限の努力をいたしたところであります。さらに、国会で連日大変御熱心な御討議をいただいているところであります。
  48. 吉井光照

    ○吉井委員 それなりの努力はされた、こういうことでございますけれども、いずれにしろこうした問題は、先ほども申し上げましたように、非常に大きな問題であります。また今後、こうした根本的な問題の改革といいますか改正といいますか、そういった問題もいろいろと起きてこようかと思いますけれども、どうかひとつ十分な国民の合意が取りつけられるように、さらに努力をしていただきたいと思います。  次は、人口構成の問題の取り組みですが、政府資料によりますというと、我が国の出生数と合計特殊出生率、この実績はここ十数年ですか減少し続けておるわけですけれども、ことしの出生数は、速報値から推定をいたしますというと百二十八万人台に落ち込む、また特殊出生率も一・七人程度である、このように言われております。しかし、将来の推計を見ますというと、一九九八年ごろは戦後三度目のベビーブームがやってきてほぼ現在の水準に自然に回復する、こういう見方もあるわけですが、その一方、この政府見通しはほとんど合理的な根拠に乏しいのではないか、甘いという指摘をする研究機関もあるわけでございます。むしろ、出生率は将来にわたって下がり続ける一方ではないか、年金、医療保険制度がこれによって果たして支えていくことができるのだろうか、やがては日本経済にも壊滅的な打撃を及ぼすのではないかという予測も出ているわけでございます。  その原因は、たくさんあろうかと思いますが、何といいましても住宅事情の悪化、こういったことに一番大きい原因があるのではないかと思いますし、また、年金問題も実は根本的にはやはり人口構造の問題だ、このように思うわけでして、こうした意見には大いに耳を傾けていく必要があるのではないか。いずれにいたしましても、二十一世紀における人口構造の問題は大きな政治課題だ と思いますが、総理はこの問題に対してどのような認識をされておるのか、また、どのように取り組んでいくおつもりなのか、その決意をお伺いしたいと思います。  あわせて、こうした観点から我が党が長年推進してまいりました児童手当制度の強化策についてお伺いいたしたいと思うのですが、新聞報道によりますと、次期通常国会に個人負担を盛り込むなどの実質後退したような内容改正案政府提出する方針だ、このように聞いておりますけれども、四〇%突破目前の国民負担率考え、かつ、教育費それから養育費の負担の急増等を考え合わせますと、これらの負担を少しでも軽減して支給額の改善をした内容にすべきと思いますが、この点につきましても総理の御見解をお伺いしておきたいと思います。
  49. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 今いろいろと事実を挙げて、将来二十一世紀の人口構造の変化に伴うお話がございました。私も、最近の人口構造の推移というものは議員御指摘のとおりだと思います。  今年満百歳を超える御高齢の方が三千七十八名になられた。長寿社会が来ることはいいことだと私は思っておりますけれども、それは医療とか年金の問題だけじゃなくて、生きがいを持って心豊かに過ごしていただくような長寿社会はどのようなものであろうか、これが考えていかなければならぬ重要なテーマであることは当然であります。  また逆に、生まれてくる子供の数が少なくなっていくではないか、これも御指摘のとおりで、私の記憶に誤りなければ、成人式に二十を迎えた方がたしか百八十七万人前後だったと思いますが、お生まれになった方は百三十一万人前後ということでありますから、これだけもう減少しておる。将来に向かってこういった傾向が続いていくことを何とかしなければならぬというので、いろいろな施策もとられているとは思いますが、この大きな大きな人口の流れというものは政策的にそう簡単に、手の平を返すように変えるのは難しい問題ではないかと思っております。  したがいまして、少なくなっていくこれらの人々を、子供たちをどのような環境で育てていくのか、子供が育ったら今度はどのような環境で教育していったらいいのか、あるいは福祉や年金の問題に入っていきますと、これらの人々に将来を支えてもらうわけでありますから、支えるときに必要以上な負担がかからないような制度、仕組みとはどんなものであろうかとか、いろいろ考えていかなければならぬ問題がたくさんあろうと思います。そういった意味におきまして、高齢化対策とともに、生まれてくる子供をいかに健やかに育て、そして社会の一員として社会に送り出していくかということも、これからの二十一世紀に向かっての政治の大きな宿題であろうと考えております。  また、後半で御指摘になりました児童手当の問題につきましては、これは厚生大臣から詳しくお答えをしていただきます。
  50. 戸井田三郎

    戸井田国務大臣 人口構造の問題につきましては今総理が御指摘のとおりでありまして、長寿社会に向かって年金制度を安定させていこうとするならば、どうしても世代間扶養の仕組みにおける年金制度そのものを安定させていかなければなりません。そして、その年金制度を支えていく基盤の安定ということは、同時に、今総理が御指摘になりました人口構造の問題もあります。そういう意味で、特に次の世代の働き手になる児童の育成ということについては非常に大きな問題の一つだろうというふうに思います。  委員指摘の児童手当制度の創設は、児童の養育とか家庭の生活安定、児童の健全育成、資質の向上、そういったものを目的として実施されたものであります。今後の制度あり方につきましては、今御指摘のありました出生率の低下の問題あるいは女性の社会進出の問題、児童や家庭を取り巻くいろいろな環境の変化、こういったものを踏まえて中央児童福祉審議会において幅広く御審議をいただいて、その結論をいただいて、それに基づいて見直しをやっていきたい、来年にも見直しを実施していきたい、かように思っております。
  51. 吉井光照

    ○吉井委員 今総理から御答弁をいただいたわけですが、確かに総理がおっしゃるように、急激に見直しということは非常に難しいかもしれません。しかし、いずれにいたしましても、この人口構造の問題というのは今我が国が抱えている最大の政治課題と言っても過言ではないと私は思います。そうしたことで、そういったいろいろな施策が講じられるわけでございますが、少なくとも今行われているいろいろな施策の中において、出生率の改善を図っていくとかいったものについて見直さなければならない問題があるとするならば、これは早急に見直す必要があるのではないかと私は思います。  そうした中で、保育制度あり方ですが、現在八百万人を超すパート労働者を初め、今も厚生大臣がおっしゃいましたけれども、女性の働く人が非常にふえてきた。労働形態も非常に多様化してきたわけです。特に夜間の勤務とか土、日の勤務の場合、乳幼児を預かってくれる施設が非常に少ない。御承知のように、サービス業が今どんどん盛んになってくる。そうなりますと、どうしても土曜、日曜といった日にパートで働きたいという方がふえてきているわけでございますが、公立の保育所あたりは土曜日、日曜日になりますと門を閉ざします。したがって、子供を預けるところがない。したがって、最近ではベビーシッターというのが非常に盛んになってきている。だから、そういった点からも見直しをして、働きやすい環境づくりの視点からこうした点も改善をしていかなければならないのではないかと私は思います。  また、住宅年金、住みかえ手当制度の創設なんですが、去る十一月二十七日に発表されたある不動産研究所の九月の調査結果によりますと東京の地価が再び上昇し始めた、こういうふうに報道されておるわけでございます。こうした都市部を中心とした地価の高騰によって都市サラリーマンのマイホームの夢はもう絶望的であります。そしてアパート代も、大卒の初任給は大体十五万三千円と言われておりますが、その半分以上の八万円はこのアパート代にかかるのではないかと言われております。こうした若い人たちにも老後生活に明るい希望が持てる政策として、同じ四十年の加入期間を必要とするのであるならば、多くの問題は当然あるとしても、現金給付のかわりに住宅給付年金制度があってもいいのではないか。  それから、高齢者の住宅問題もまた非常に深刻であります。老朽化したアパートの建てかえといったことに伴って転居を迫られるケースが非常にふえている現状に対応して高齢者の住みかえ経費、新旧家賃の差額、敷金、礼金、仲介料を補助する住みかえ家賃補助制度、これをスタートさせようとしておる自治体、これには東京の江戸川区があるわけでありますが、こうしたケースは今から都市部にはどんどん多く見られるのではないかと思います。したがって、特にひとり暮らしの高齢者の住宅保障のために、この制度に対する国の幾らかの援助ぐらいは考えてこれを支援をしていくべきだと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  52. 戸井田三郎

    戸井田国務大臣 今委員指摘の問題は、一つは保育の問題、一つは住宅保障の問題、それからいわゆる都会における住宅環境の融資制度等についてでございましたけれども、特に夜間保育につきましては、最近大変女性の社会進出が多くなりまして、勢い夜間勤務なんかもあったり、あるいは時間の延長勤務があったり、そういった中で保育をされていかなければならない子供さんたちの環境が非常に厳しくなっていることは御指摘のとおりであります。昔、いわゆるベビーホテルなんというものが出てきて大騒ぎをしたことがありましたけれども、やはり公的な面でそういった設備が十分行われないというと、どうしてもそういう不安定な環境の中で子供さんが苦労しなければならない。不幸な保育の状況の中に置かれなければならない。こういうことがないように努力をしておるところであります。  特に夜間保育については、延長保育等についても努力をしているわけでありますが、実際にこの保育を行おうとすると、そこで働く保母さんの問題であるとかいろいろな面が、逐次このごろでは改善されてきておりますが、これからも一層先生指摘の方向に努力をしてまいりたいと思っております。  特にまた、休日保育の問題は検討を要する問題だろうと思います。特に看護婦さんのように休日を勤務したりあるいは夜間勤務したり、こういうような者がその任務を全うする上でどうしても保育に欠ける子供が出てくることは好ましくありません。そういうためにもいろいろ検討の対象にしていきたい、かように思っております。  そしてもう一つは、御承知のとおりお年寄りが安心して暮らせる住まいの確保の問題でありますが、厚生省といたしましては、家賃を補助するという計画はありませんけれども、シルバーハウジングであるとかケアハウスの整備を進めたり、あるいは住宅の中でいろいろと改造をしたり、そういった安心して暮らせる住まいを確保するための援助はこれからも努力をしていきたい、かように思っております。そして、年金制度において住宅を保障するという仕組みを採用することは困難でありますけれども、積立金を活用した年金住宅融資の拡大等については、これからも十分に努力してまいりたいと思っております。
  53. 吉井光照

    ○吉井委員 では次に、消費税の福祉目的税化について総理の御見解をお伺いしたいのですが、そもそも政府では、消費税を法制化する前の段階で、二十一世紀の高齢化社会に向け、安定した財源の確保のため福祉目的税の創設が必要だ、こういうことで福祉目的税試案というものをまとめられたはずであります。この試案によりますというと、基礎年金国庫負担及び老人医療費公費負担を対象として、そして税率の改正は人口の高齢化率、年金の成熟化率等を基準として一定期間ごとに行う、このようになっていたはずでございますが、いつの間にかこれが消えまして、なおかつ消費税を福祉目的財源に使うということさえも最後には消えてしまったわけです。それがまた参院選後には見直しの目玉として再浮上をしてきたというわけですが、総理は、この消費税の福祉目的税化についてどのようなお考えをお持ちなのか、お聞かせを願いたいと思います。
  54. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 政府といたしましては、これまで国民福祉の充実等に必要な歳入構造の安定化に資するために、大幅な減税とあわせて消費税の導入というものを考慮してまいりました。消費税は目的税ではありませんが、消費税導入の趣旨を踏まえて、優先して国民福祉の充実に充てるという考え方をとってまいりました。そうして、まさにそのことについてどのような扱いをするかということで、去る二十四日には政府税調のフォローアップ小委員会において中間報告をいただきました。その中間報告の中に示されております論点等を踏まえて、さらに国民皆様の納得のいただけるような方向でただいま検討しておるところでございます。
  55. 吉井光照

    ○吉井委員 では、これも委員会や本会議でいろいろと論議されました問題ですが、いわゆる厚年、国年の積立金の自主運用拡大についてでございます。  去る十一月九日の衆議院本会議において、年金積立金の運用問題について、私の質問に対しまして総理は「着実に運用額の増大を図っており、その努力を積み重ねているところでございます。」こういう御答弁をいただいたわけでございます。努力を積み重ねているということは結構なことなんですが、問題は、年金資金が年金に還元されるように均衡のとれた運用がなされているかどうかということでございます。厚年、国年の運用状況を見ますというと、財政投融資協力が九割、そして自主運用は一割。他の年金制度と比較をいたしますと、一番不均衡な運用がなされております。少なくとも積立金総額の三分の一程度までは自主運用確保があってしかるべきだと思うのですが、いかがでしょう。
  56. 戸井田三郎

    戸井田国務大臣 自主運用に対する総理の御答弁は、私どもも同じようにそうした方向に目指して努力をいたしているわけでありますが、委員指摘の趣旨と大体同じ方向に、積立金の三分の一程度を目標として今後とも自主運用拡大に努力をしていこうと思っております。
  57. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、基礎年金国庫負担率引き上げの問題ですが、これもたびたび出てまいりました。これにちょっと関連をいたしまして、昨日、昨晩ですか、この問題についてのいわゆる与野党合意が行われております。それを新聞報道で見ますと、厚生年金保険料率は、平成二年の一月から十二月までの引き上げ幅が一・九%、それ以降の引き上げ幅が二・一%となっております。ところが、これは厚生年金でありまして、国民年金については全然述べられていないのですが、この点はどうなっていますか。
  58. 戸井田三郎

    戸井田国務大臣 昨日の合意では、御指摘のとおり負担については最初の一年間が一・九、そして二・一、すなわち本人負担は一・〇五ということで与野党間の四党で合意をしたということを私も聞いております。しかし基礎年金につきましては、御承知のとおり国庫負担で賄えという御意見でございますけれども、私どもといたしましては、年金一元化の方向に目指して、六十年改正において御承知のとおり今回の基礎年金を導入し、そのときの負担が三分の一、すべてに共通した三分の一で国庫で支えるということにしたわけであります。しかし、これは将来に向かってやはり、その基盤である受給者というものの高齢化が非常に急速に進んでいくということになってくると、国の負担をさらにふやしていくということは大変困難な負担になってくるだろうというふうに考えるわけであります。定額ではありませんので、そういう意味で私は、この負担につきましては国庫負担をこれ以上ふやすということなく御了解願いたいということでお願いいたしたわけであります。
  59. 吉井光照

    ○吉井委員 時間もございませんが、最後に、この年金の支給年齢の問題と高齢者雇用の問題、これはもう切っても切り離せない問題でございますが、まず総理御自身の高齢者雇用ビジョンについての御意見、これをお伺いをしておきたいと思います。  そしてもう一点は、六十五歳までの雇用機会確保がいろいろと言われておりますが、厚生省としても長寿社会雇用ビジョンですか、そうしたものを作成すべく検討中であるということでございますが、これはいつごろを目途に発表されるのか、この点もあわせてお聞きをしたいと思います。
  60. 七瀬時雄

    ○七瀬政府委員 最後質問について、労働省長寿社会雇用ビジョンの策定を検討いたしておりますので、その点について御説明申し上げます。  私どもといたしましては、将来の経済社会あるいは労働力の需給の展望なども含めまして、長寿社会雇用ビジョン研究会に検討お願いしておりまして、年度内を目途に御報告をいただき、それをもとに、早急に長寿社会雇用ビジョンを策定する所存で鋭意努力をいたしておるところでございます。
  61. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 高齢者皆様方の中に、働こうという希望を持ち、そして働く能力を持っていらっしゃる方にできる限り雇用の場を提供していくということは極めて重要な課題であると受けとめておりまして、そのような方向に向かうように努力を続けさせていただきます。
  62. 吉井光照

    ○吉井委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  63. 丹羽雄哉

  64. 田中慶秋

    田中(慶)委員 この年金問題は、今回受給者二千五百万人の受給対象として、老後の生活に欠かすことのできない大変重要な問題であるわけであります。特に年金雇用というのは表裏一体であるわけでありますけれども、今回この厚生年金の問題で、六十歳を六十五歳の支給開始、こういう形になっているわけでありますが、昨日来のそれぞれの与野党の話し合いで、今回は削除されました。しかし、問題として前提となるのは、高齢化の問題を含めて将来六十五歳の雇用確保が明確に ならなければならないと思います。  その前段として、現在六十歳の定年という問題がまだ六二%台であるわけでありまして、そんなことを含めて、一つには六十歳定年を義務化なり制度化を明確にする必要があるだろう。もう一つは、六十五歳定年実現に向けて、これは一つには法律的に不可能であるならば、六十五歳の雇用確保に対する政府としての提言や、あるいはまた大きな社会全体の六十五歳の定年ということに対する認知をする意味で、政府として雇用等の問題について明確にすべきではないかと思いますが、総理見解をお伺いしたいと思います。
  65. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 本格的な高齢化社会の到来を迎えておりますので、今委員指摘のように、六十五歳までの雇用機会確保をするというのは、政府といたしましても極めて重要な問題であると受けとめさせていただいております。そうして、その問題につきましては、長寿社会雇用ビジョンの策定の検討を進めますとともに、法的整備のあり方も含めて、六十五歳までの雇用機会確保のため、今労働大臣から雇用審議会に諮問をいたしておりますけれども、今後とも高齢者雇用対策につきましては、政府として全体を挙げて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  66. 田中慶秋

    田中(慶)委員 その前段として、現在の社会的な定年は五十八歳が平均であります。そして先ほど申し上げたように、六十歳定年でさえもまだ六二%。ですから私は、将来の六十五歳を考えるときに、その基礎である部分の六十歳という問題を、義務化なりあるいはもっと積極的に進める措置というものが必要ではないかと思うのです。そのことについて、政府としての全体的な啓蒙や義務化を進める意味での取り扱いというものが必要ではないかと思うのです。  これは通告にありませんから、そういう点を含めて、この六十五歳の前段としての取り組みの六十歳を、もっと積極的に義務化なり法制化なり、いろいろ問題があろうかと思いますが、それを推進する、その基礎をつくっていかなければ、六十五歳というものを幾ら絵にかいたところでできないと思います。ですから、六十歳というのが言われてもう既に久しいわけですから、それを義務化をさせる、そういう決意があるかどうか、総理見解をお伺いしたい。
  67. 七瀬時雄

    ○七瀬政府委員 ただいま総理からお答えがございましたように、六十五歳までの雇用機会確保する、そのために積極的に取り組んでいくというのは私ども労働省の使命であると思っておりますが、その前段としての六十歳定年一般化、あるいは定年制がある場合に、六十歳が最低限常識である、そういう社会意識を形成しながら、現在、高齢者雇用安定法に基づく各種行政措置を積極的に展開しながら、六十歳定年の定着化ということに積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  68. 田中慶秋

    田中(慶)委員 続きまして、老後の所得保障をする公的年金制度の根幹部分は基礎年金制度である、これは明確であります。財政事情を度外視して考えるならば、基礎年金部分は国庫負担を中心として行うというのが、これは一つの考え方でありますし、私どもはその方がよりベターであろうと考えているわけであります。  海部総理は、消費税による財源は福祉に充てるべきだという考え方をお示しになっておる。福祉というのは、御承知のように年金、医療そしてそれぞれの例えば重度障害者の問題を初めとする施設づくりの問題であろうと思います。ところが、今回の問題でも明らかなように、国庫負担は現在三分の一。すなわち、かつての直接税を中心とした税体系の中から行われているわけであります。広く国民大衆が負担する消費税が入ったという前提で、税体系もやがて変わっていくであろう。新しい税体系のもとの年金国庫負担に対する新たな考え論議するべきではないかと思います。  そういう中から考えてまいりますと、将来のことも含めて私どもは、この三分の一の基礎年金部分の国庫負担というものは、将来は二分の一にすべきではないかという考え方を持っているわけですけれども総理見解をお伺いしたいと思います。
  69. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 基礎年金に対する国庫負担につきましては、先ごろの年金改正において、全国民を通じて負担の公平を期するために基礎年金の三分の一に集中したことは御承知のとおりだと思います。現行の三分の一の国庫負担率でも、今後の高齢化の進展に伴う受給者数の増加や給付改善に伴う給付費増加により、国庫負担額は相当かさ上げされていくものと見込まれており、今後とも国の財政状況は極めて厳しいものと見込まれております。  今、委員指摘の消費税の問題について、これは福祉に優先して使うと政府は言っておるではないか、そのとおりでございます。福祉に優先して使わせていただく、そういった考え方でおりますが、現在の国の福祉関係経費の規模というものは、消費税の税収の国に入る分をかなりの額上回っておりますので、それで同じ次元で論ぜられる問題ではございませんので、国庫負担率を今消費税が入ったからといって直ちに引き上げることは極めて困難な問題であると受けとめさせていただいております。
  70. 田中慶秋

    田中(慶)委員 その辺に対する総理見解と私の見解は若干ニュアンスが違うと思います。四%の経済成長率をキープし、かつまた税体系が、従来は直接税を中心とした中での三分の一、そして新しい税体系に変わる中で、将来この基礎年金部分の国庫負担というのは二分の一のあるべき姿ということを、やがて来る福祉国家、福祉社会制度の中の基本的な考えとしてそうあるべきだと私ども考えているわけです。ですから、今回も私たちがこの負担率の問題の中で考えている二分の一、政府から出された中で二・二というアップ率については、三分の一を従来の基本的な税体系の中で行ってきたわけであります。そういう点で、二分の一という前提で考えてまいりますと、逆算をすれば一・九、こういうことを含めて私どもは一・九という問題についてそれぞれ考えて取り組んできたわけでありますから、そういう背景があるということはこれからもぜひ御認識をいただいて取り組んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。  そこで、政府平成七年に公的年金制度一元化を目指しているが、今回の被用者年金制度財政調整に対する提案はその一歩だということは理解しております。ただ、鉄道共済の場合においては特殊性があり、今日の鉄道共済の赤字を招いたのは国の責任であるということは認識をしなければいけないと思うのです。例えば戦後の処理の問題あるいはまた満鉄の問題等々を含めた、そういう一連の問題があってこの赤字という問題があるわけでありますから、この国の政策責任について総理はどう認識をされているのか。それは鉄道共済の将来にわたる大きな問題でありますから、その辺を含めて取り組んでいかなければいけないであろう、こんなふうに思っておりますけれども総理見解をお伺いしたいと思います。
  71. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 鉄道共済年金問題、その赤字の原因には、鉄道共済年金問題についての有識者による懇談会の報告書でも指摘されておりますように、退職時特別昇給の年金額への反映あるいは保険料引き上げ不足など、旧国鉄共済時代制度運営に起因する側面があるということ、またモータリゼーションの進行など産業構造の変化、人口の高齢化に起因する側面があるということ、この二つの点が指摘されておったことも私は思い起こすわけであります。  今回の鉄道共済年金問題の対応は、これらの原因を勘案しつつ取りまとめたものでございまして、政府といたしましては、鉄道共済年金の支払いに支障が生ずることのないよう最大限の努力をし、諸般の対策を講ずることが政府の果たすべき責任であると認識いたしております。今回も年三千億円に上る平成年度以降の鉄道共済年金赤字対策として、鉄道共済自身の自助努力等と、公的年金一元化の地ならしとしての被用者年金制度間の負担調整措置により対応することとし、今回所要の法律案提出して皆様に御議論をいただき、 お願いをしておるところであります。
  72. 田中慶秋

    田中(慶)委員 限られた時間でありますので、この辺についても、それぞれ今までの質疑の中で明らかになっておりますので、その辺もよく議事録を読んでいただいて、その辺を含めて御理解をいただきたいと思います。  そこで、急速な高齢化が進む中で、国民の中には年金、医療、福祉に対する不安感があることは事実であります。この不安感を払拭する意味で、我が党は、従来からの多くの問題点を総合的に判断をしながら、新しい福祉ビジョンというものを打ち出してまいりましたし、海部総理としても高齢化社会に対する取り組みという問題を積極的に行われると思いますけれども、この辺の見解を明確にしていただきたいと思います。
  73. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 政府が昨年十月お示ししたいわゆる福祉ビジョンというのは、昭和六十一年の六月に閣議決定いたしました長寿社会対策大綱を踏まえて、年金、医療、福祉等につき、例えば在宅介護サービスの大幅な拡充など、具体的に掘り下げたものをお示ししたつもりでございます。この福祉ビジョンに基づいた各般の施策を実施しつつ、このビジョンの内容について国民皆様方に一層御理解をいただけるように、また政府としても挙げて取り組んで努力を続けてまいりたい、こう考えております。
  74. 田中慶秋

    田中(慶)委員 政府の打ち出している福祉ビジョン、私も読ませていただきました。しかし、それは大変大きな網であって、具体的な中身の問題になると乏しい部分、財政的な裏づけの問題になると乏しい部分等々があるわけでありますから、やはり国民の不安感を解消する意味ではある意味でのロマンや具体性、こういうことが必要でありますから、総理は、そういうことを含めてこれから具体的な問題としての取り組みも御指示を検討していただきたい、要望しておきます。  そこで、実は今度の年金の問題で、二十歳以上の学生の、年金の従来の欠陥部分の見直しというものが今回されたわけでありまして、そういう点ではこのことに対する期待は大変大きいわけであります。ただ、学生そのものが、総理も御存じのように、それぞれ地方から出てきてみたり、いろいろな形、環境が違うわけでありまして、そういう点では、今教育費は全般的に負担が大変大きい、そういう中でこれを学生に負担をさせる、あるいはまた親に負担をさせるというのはさらに大きいわけでありますから、そういう点では、制度上は理屈としてもよくわかります。そしてまた、減免措置を含めたわかりやすい手続というものが必要であろうと思います。例えば、地方自治体にそのことを任せるといったところで、非常に難しい。こういう一連の問題を含めて、学生たちが不公平感を生じないように、みずから提出した、みずから申請したような形の中における制度上の取り組みというものが必要ではないかと思うのですが、これらに対する見解をお伺いしたいと思います。
  75. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 学生を国民年金の適用対象とするに当たっては、さき年金審議会から「親の保険料負担が過大とならないよう、適切な配慮がなされるべきである。」との答申がなされておるところから、この趣旨を踏まえまして、御指摘のように状況はいろいろ違いますし、あるいはまた、親のところへストレートで負担が来るケースもそれはございましょう。これらのことを考え保険料免除制度等の適切な運用を図ってまいる考えでおります。
  76. 田中慶秋

    田中(慶)委員 ぜひ努力をしていただきたいと思います。  そこで、実は今回の年金制度の問題の中で、それぞれ議論をされた諮問のあり方について大変問題を残しているわけであります。従来の社会保障制度審議会、これは四十年にわたる大変すばらしい歴史を持っております。それには、三者構成として、学識経験者、保険者、被保険者、そしてその結論はいつも一本化、大体一致を見て答申をされておりました。今回の年金制度の問題については、年金審議会の中における一つのあり方として、すべてを学識経験者扱いにしておりますから個人の資格でもありますし、そして、その結論についても、労働者側の委員が退場したにもかかわらず、その検討答申というものが大方一致を見たというような展開であったわけであります。こういう一連の問題というのは、国民年金であります、イデオロギーじゃありません。こういうことを含めると、これは一本化ということが必要なわけであります。そういう中で私どもは、今回の質疑の中でもこういう問題について、次に年金や国鉄共済の問題を検討するに当たって、少なくとも事業主や労働組合の代表や学識経験者を踏まえた新たな機関をつくって、年金という問題を改めて検討する場が必要であろう、こういうことを議論させていただきました。こういうことも含めてぜひ見解をお伺いしたいと思います。  あるいはまた、鉄道共済年金の問題については、御承知のように三千億の赤字だと言われておりますけれども、その基礎たる算出基準というものは余り明確でありません。なぜならば、昭和六十三年十月にそれぞれ検討して昭和六十五年度以降にわたる検討基礎データをつくったものでありますから、当時と社会環境や土地の環境やすべてが違ってきている。そういう点ではこの三千億という数字そのものについて見直しが必要であろう。こんなことから私たちは今回、鉄道共済等を含めて、三年間見直し条項を含めて取り組みさせていただき、そしてその中で、少なくとも次の財政計算の時期を含めて、あるいは財政計算を含めて検討すべきではないか、こういうことを議論させていただいたわけであります。  そんなことを含めて総理のこれらに対する見解を求めるものであります。
  77. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 いろいろ問題を解決するために、合意を得るため三者構成の話し合いの場を設けていけという御趣旨のようでございますが、きょうまでそういったことはいろいろな他の面で行われてきた、経験のあることだと私も承知しております。  具体的には、今回の年金制度調整の見直しに関する検討の場の設置に関しましては、昨日、与野党四党の折衝において、その場をつくるということ、同時にその場には被保険者、事業主、学識経験者の三者の代表が集まるようにするということ、それが御確認されたということを私も承っております。政府といたしましては、御指摘の方向で対処していく所存でございます。  なお、三千億の算出の基準につきましては厚生大臣からお答え願います。
  78. 小村武

    小村政府委員 私ども共済を所管しております大蔵省といたしましては、年金数理、各データに基づいて算出したものでございます。
  79. 田中慶秋

    田中(慶)委員 言っておることはようわかりません。  やはり今回の鉄道共済を含めての見直しの問題は、少なくともそういう基礎データの問題を含めておやりになるということでありますから、そのことを含めて、皆さん自分でつくったデータですからこれは誤っておりますなんということはありませんでしょう。しかし、六十三年十月というときの環境と現在とでは違っておりますよ。ですから、将来のことを含めて、そういうことで見直しという問題が、お互いに合意を得たのですから、そういう点を含めて見直しになっているのですよということをぜひ理解していただきたい。  時間が来ましたから、限られた時間でありますので、それは従来の質疑の問題を含めて、このことも大変重要な問題でありますので総理もぜひ一読していただいて、これからの鉄道共済の問題あるいは全体の年金の問題についてもぜひ御理解いただきたいと思います。  以上で終わります。
  80. 丹羽雄哉

  81. 田中美智子

    田中(美)委員 私のきょうの質問は十五分ですので、総理お願いしたいのですが、五項目にわたって質問いたしますので、簡潔に御答弁願って、五項目すべてが質問できますように御協力願いたいと思います。  まず最初に、物価スライド分と再計算によってのアップ分、これを本体の改悪を成立させるために人質にとってこれまで支給をおくらせてきたことは大変遺憾なことだと思います。消費税のもとで非常に苦しんでいるお年寄りたちは、わずかなお金ではありますけれども、待ち焦がれていたわけです。もう待つ時間は限界に来ておりますので直ちに給付すべきだと思います。一体いつこのお金がお年寄りの手に届くのか、その日時を教えていただきたいと思います。
  82. 水田努

    ○水田政府委員 平成二年、明年の二月一日に厚生年金、十五日に国民年金の支払いを行う予定でございます。
  83. 田中美智子

    田中(美)委員 支給を六十五歳からに延ばすということは、定年制が六十五歳になる保証が全く見えない中でこれは断じて許せないものだと思います。その上に、長時間過密労働の中で定年制が延びたとしても、体がずたずたになってもう働き続けられない、こういう実態がある中で六十五歳に延ばすことは絶対に許すことはできないと思うのです。  私は、愛知県にありますトヨタの労働者に集まっていただきまして話を聞きました。ところが、ほとんどの方たち、圧倒的多数の人たちが言っているのは、家のローンや子供の教育費の負担がななければ、もう体が大変だから五十五歳でやめたい、五十五歳から年金をもらいたい。それは西ドイツなどは五十五歳からという、そういう国もあるわけですが、そういうことを言っております。(発言する者多し)委員長、妨害をやめさせてください、時間が少ないのですから。その上、総理、トヨタは六十歳になっておりますので、薬を飲みながら、通院しながら、年休を使って病院に行きながら必死に働き続けているんだと言っているのですね。ですから、六十歳でもとても大変なのに、これを六十五歳にするということは死ねということかという声がいっぱい私に届いたわけです。こういう意味で絶対に許すことはできません。  六十歳支給を将来にわたって堅持すべきだと思いますが、この点について、きょうは総理質問ですので、総理にお答え願いたいと思います。
  84. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 年金給付水準を維持しつつ後代の負担を適正なものにとどめるためには、支給開始年齢問題も避けて通れない課題でございますので、政府といたしましては、高齢者雇用対策につきましては政府を挙げて努力をして取り組んでまいりますので、この問題についてはどうぞ御理解も賜りたいと思います。
  85. 田中美智子

    田中(美)委員 幾ら御理解を求めると言いましても、六十歳定年制の保証が全く見えないし、長時間過密労働の解決が全く見えない中で、ここで言うことは逆じゃないか。まずこれをやってから、本当にそれができてから考えるべきであって、全く見えないのに六十五歳にするということは何としても許すことはできません。空白の間まるでクマのように冬眠せよと言うのか。こういうむちゃなことを自民党政府はやっていると言わざるを得ません。  次の質問に移りますが、今、長期にわたって安定させるためにというふうに総理は言われましたけれども、現在の基礎年金保険料は八千円です。これが毎年四百円ずつ上がっていくわけですけれども、現在でも滞納と免除者が三割近く、ほとんど三割になっております。これがどんどん上がっていくということになりますと、滞納者は急激にふえていくということが目に見えていますし、今までの社労委員会でもこの問題は質問で詰めてきたというふうに思うのです。これが、四〇%、五〇%滞納者が出るということになりますと、安定的な財源などと、そんなのんきなことを言っていられなくて、この制度自体が崩壊してしまうというふうに思うのですが、これについて総理は大丈夫だと思われるのですか、お答えください。
  86. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 今回御提案申し上げております国民年金保険料は、御指摘のような問題が生じないよう引き上げ幅も小幅で、かつ段階的に行っていくこととしておりますので妥当なものである、こう考えますし、なお、滞納の問題は、これは御理解いただいて、滞納が今後も生じないように一層努力をしていかなければならないと受けとめさせていただいております。
  87. 田中美智子

    田中(美)委員 ないそでは振れないという言葉がありますけれども、払えない人が今三〇%近くもいるというのに、総理が幾ら努力したからといって、どういう努力をしてこの滞納が減るというのですか。今の八千円でも払えない、夫婦で一万六千円、毎月ですからね。お金のあるあなた方にはわからないかもわかりませんけれども、完全にそれができるなどというようなことは何の保証もないのに、これはちゃんと払えるように努力できるのだ、そういう言い方はないでしょう。このようにして努力するんだというならわかりますよ。それは、全く八千円や一万六千円月に払うことなどは何ともないという立場の人の言葉であって、現実に年金は欲しいけれども、先が不安だけれども、今払えないんだ、こういう人たちをどうするんだということを聞いているのです。払わないのではないのです、払えないのです。払えない人たちをどうするんだと聞いている。これが今三〇%いるのではないですか。これさえ減らせないのに、四〇%、五〇%になったら崩壊するじゃないですか。どうやったら四〇%も五〇%も滞納や免除があって崩壊しないという保証があるのかということを聞いているのです。ただ払わせるように努力するということは、それはあれですか、まるで赤紙を張るようにして取っていくということですか。
  88. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 制度、仕組みの中には、分けますと、参加してもらう方にはやはり払い込んでいただかなければならぬというのが制度が成り立っていく大前提でありまして、それに対する給付も十分な給付になるように努力しておることは先生もお認めいただけると思うのです。  ただ、問題は、本当にいろいろな事情があってお気の毒なお方に対しては、ただいま免除制度等もあるわけでありますから、そういったときは事情を御開陳願って、こういう理由で払えないのだということで免除制度を御利用いただくべきではないでしょうか。私は、そう受けとめさせていただきます。
  89. 田中美智子

    田中(美)委員 総理は、現状をよく御存じない。これはもう免除だって、免除をしてほしいと言って行ってもなかなか実際には免除してくれないんですよ。ですから、どんどん滞納がふえているんですね。まあ、このように現状をおわかりになっていないということがわかったということは、一つのここでの審議の前進だと私は思います。  次の質問にいきますが、前の社労委員会でも申し上げましたが、現在、女性の年金は男性の六〇・六七%です。この格差はいつになったらなくなると、大臣はお思いになりますか。
  90. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 御指摘年金額の男女差というのは、おっしゃるように結果においてそのような差が目につくと思いますけれども、しかしこれは、男女雇用機会均等法の施行によって男女の賃金格差というものもだんだん解消されてくると思います。  同時にまた、きょうまでの年金額の男女差というものは勤務年限の長さとかいろいろな条件で決まってくる年金額でございますので、その差があったということと今後努力をしていこうということと、どうぞあわせてお考えを賜りたいと思います。
  91. 田中美智子

    田中(美)委員 大臣は女性の問題を全くおわかりになっていらっしゃらないという感じがいたしました。  というのは、サミットに参加する国の中で男女の賃金格差が広がった国は日本しかないのです。だんだん均等法によって縮まった、こういうふうにお思いになっていらっしゃるかもしれませんけれども、実際にはこれはどんどん広がっているのです。今少し広がっているんですね。こういうことを考えますと、女性の年金というのは、今のよううな制度の中では半永久に男と同じような年金に はついていかないということですね、そういうことを一つお教えいたしておきますから、今後きちっと御勉強いただきたいというふうに思います。  その次に、基礎年金で、これは一番基本の問題ですので、総理よく聞いていただきたいのです。  基礎年金まで保険料の掛けた金額と掛けた期間によって年金額が決まる、こういうことを基盤にしてできている現在の年金制度は、国がまるで年金保険会社を経営しているものだと私は思います。スウェーデンのように基礎年金は国と企業が全責任を持つという基盤、こういう年金制度社会保障的な年金制度に変えていく、思い切った発想の転換をする必要があるところに来ているのではないか。金持ち日本と言われていながら……(発言する者あり)妨害はやめさせてください、委員長。静かに聞いてください。大事な話をしているのです。あなたたちがよくわからないことを教えているんですよ。ちゃんと聞いてください。  日本の社会保障は、社会保障などと言えるものではない。年金社会保障なんと言えるようなものになっていませんよ。せめて基礎年金は国と企業が責任を持って、すべての日本人に責任を持つということになれば、無年金者だって百万近くもいるという人を救うことはできます。それから、男女の年金格差もずっと縮むことができます。その上に厚生年金とか共済年金というものが二階建てにいく、これが世界の社会保障の行き方だと私は思うのです。ところが、日本のこれは社会保障じゃないですね、政府が保険株式会社をやってもうけている、そういう感じの問題だというふうに、私はまさにそういう感じに思うのです。  ですから、海部総理、私は今すぐそうせよとは言いません。しかし、今言った女性の格差の問題にしたって、無年金者にしたって、滞納者にしたって、この滞納者は次の無年金者になっていく人たちなんですよね、そういう意味ではこういう方向に、社会保障的な年金にしていけばこれを改善することができる。いますぐやれと私は言いません。しかし、あなたは若いということを言っているわけですから、今までの総理と比べれば若いわけですから、思い切って発想の転換をして、こういう線で検討の第一歩を進めるということを決断していただきたいと思う。あしたからやれと言ってません。検討の第一歩を進めていただきたい。これを心から私は期待するのですが、大臣の決断をお伺いしたいと思います。
  92. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 基礎年金制度は既に国民の中に定着している社会保険方式を堅持していくべきもの、こう考えます。  国庫負担につきましては、さき年金改革において全国民を通じて公平の負担を期するため基礎年金の三分の一に集中したところであります。無年金者が生じないよう滞納防止に今後も一層努力をしてまいる、そういった考えでおります。
  93. 田中美智子

    田中(美)委員 そうすると、海部総理大臣は、年金制度社会保障的なものにする気持ちが全くないという御回答だと思いますけれども、金持ち日本として非常に残念なことだと思います。  ちょうど時間になりましたので、私の質問を終わらせていただきます。     ─────────────
  94. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 この際、お諮りいたします。  ただいま審査中の平成元年度における国民年金法等年金額等改定特例に関する法律案につきまして、提出者全員より撤回の申し出があります。  これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────
  96. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 以上で両案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  97. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 まず、国民年金法等の一部を改正する法律案について議事を進めます。  本案に対し、高橋辰夫君外三名及び児玉健次君外一名から、それぞれ修正案が提出されております。  提出者より順次趣旨の説明を求めます。高橋辰夫君。     ─────────────  国民年金法等の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  98. 高橋辰夫

    高橋(辰)委員 ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  修正の要旨は、第一に、国民年金厚生年金年金額の実質改善について、改正案では本年十月から実施することとされていたものを本年四月にさかのぼって実施すること。なお、児童扶養手当等の額の引き上げについても、同様の措置を講ずること。  第二に、厚生年金在職老齢年金の支給割合を改正案の五段階から七段階に増加すること。  第三に、厚生年金保険料率改正案より引き下げることとし、平成二年一月分から十二月分までについては改正案より千分の三引き下げ、平成三年一月以降分については改正案より千分の一引き下げること。  第四に、老齢厚生年金支給開始年齢引き上げ及び繰り上げ支給制度の創設等に関する規定を削除し、別に、老齢厚生年金特例支給については、次期財政計算の際に、財政の将来の見通し、高齢者の就業機会確保等の措置の状況等を総合的に勘案して見直し、これに基づく所要の措置は別に法律をもって定めるものとする旨の規定を置くこと。  第五に、国民年金基金及び国民年金基金連合会が積立金の資産運用等について契約する相手方として、改正案の生命保険会社及び信託会社のほか、新たに全国共済農業協同組合連合会または全国共済水産業協同組合連合会を加えること。  第六に、改正案の施行が、当初予定していた平成元年十月一日を経過したこと等に伴い、改正事項の施行期日について所要の整理を行うこと等であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  99. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 児玉健次君。     ─────────────  国民年金法等の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  100. 児玉健次

    ○児玉委員 私は、国民年金法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、日本共産党・革新共同を代表して、その趣旨を説明します。  消費税の導入によって年金受給者の生活は一層苦しくなっており、物価上昇に見合った年金額の引き上げと、政策改定の四月にさかのぼっての実施は全国の年金受給者の切実な要求となっております。  我が党は、物価上昇に見合った年金額の引き上げと政策改定を本改正案から切り離して直ちに実施するよう要求してきましたが、今日に至るもいまだに実現していません。  政府提案の国民年金法等の一部を改正する法律案は、多くの容認できない問題点を持っております。  まず、支給開始年齢の六十五歳繰り延べですが、これは平均寿命が八十歳として、これまでであれば二十年もらえるはずの年金の四分の一に当たる五年分をカットし、金額で約一千万円を取り上げようというものです。六十歳定年制を採用している企業が六割にすぎない今日、多くの労働者が、退職後年金を受給できるまでの間に収入空白の老後が生じることに対して深刻な不安を抱くのは当然のことです。この問題を先送りにすることは将来に火種を残すものであって、国民の不安は解消されません。  次に、保険料の大幅引き上げは、年金財源を専ら国民の新たな負担で賄おうとするもので、既に国民年金加入者の三割近い方が掛金の未納または免除となっている現状では、今回の値上げが滞納、無年金者の増大に拍車をかけることは明白です。  国庫負担を当面基礎年金の二分の一とし、労使の負担割合を変更することが急務であると言わなければなりません。  現在、任意加入になっている二十歳以上の学生を強制加入にして、新たに年間十万八百円を学生、親から取り立てようとしていることも重大な問題です。政府は、親の保険料負担が過大にならないよう配慮すると答弁していますが、その内容がはっきりしておりません。  また、法案は、基礎年金に上乗せする新たな制度として、国民年金基金制度を創設しようとしています。これは公的年金を私的年金で補おうというもので、保険料が払えず苦労している多くの国民にとっては絵にかいたもちに等しいものです。今、年金改革で求められていることは基礎年金の大幅な改善であります。  被用者年金制度間の費用負担調整に関する特別措置法案で、鉄道共済財政破綻を労働者に負担を肩がわりさせようとしています。鉄道共済財政破綻は、自民党政府が強行した国鉄の分割・民営化によるものであり、政府とJRの責任で解決すべきです。  日本共産党・革新共同は、国民が強く反対している厚生年金支給開始年齢六十五歳への繰り延べ、保険料の大幅引き上げなどを削除するとともに、年金額の改善を四月にさかのぼって直ちに実施してほしいとの年金受給者の要求にこたえ、以下のような修正を提案するものです。その内容をごく簡単に申し上げます。  第一は、年金額及び手当額の引き上げ年金額の自動スライド制、年金支払い回数の改善及び在職労齢年金支給の五段階制を除いて、他は削除することとします。  第二に、十月からの年金計算に伴う年金額の引き上げを四月にさかのぼって実施することとします。  第三に、施行期日は、公布の日から施行し、平成元年度四月一日から適用することといたしております。  以上が修正案提案の理由及び内容です。  慎重審議の上、御賛同くださるよう要請します。
  101. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  この際、両修正案について、それぞれ国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。戸井田厚生大臣
  102. 戸井田三郎

    戸井田国務大臣 ただいまの自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の御提案による修正案については、政府としてはやむを得ないものと考えます。  ただいまの日本共産党・革新共同の御提案による修正案については、政府としては反対であります。     ─────────────
  103. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 日本共産党・革新共同から討論の申し出がありますが、理事会において協議の結果、御遠慮願うことにいたしましたので、そのように御了承願い、直ちに採決に入ります。  まず、児玉健次君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  104. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 起立少数。よって、本修正案は否決いたしました。  次に、高橋辰夫君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  105. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  106. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     ─────────────
  107. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 この際、本案に対し、高橋辰夫君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。池端清一君。
  108. 池端清一

    ○池端委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     国民年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について適切な措置を講ずるよう配慮すべきである。  一 平成七年を目途に実施する予定の公的年金一元化の全体像を可及的速やかに明らかにすること。  二 基礎年金の水準と費用負担あり方については、今後の社会経済情勢の推移等を踏まえ、次の財政計算期までの間に総合的に検討を行い、必要な措置を講ずるよう努力すること。  三 学生の国民年金の適用については、関係者の協力も得ながら、その趣旨を周知徹底するとともに、保険料負担が過大なものとならないよう保険料の免除基準につき、適切な配慮を行うこと。  四 地域型国民年金基金の創設については、自営業者の二階部分の年金としての機能を十分発揮しうるよう適切な運用を図ること。  五 在職老齢年金については、高齢者雇用、賃金体系との関係を勘案して、その改善を図るよう合理的な方策を検討すること。  六 高齢者雇用促進を図るため、早期に高齢者雇用の長期ビジョンを策定するとともに、雇用年金連携に配慮しつつ、法的整備の実現に努めること。  七 年金の毎月支払については、支払通知の簡素化を含め事務処理体制等の整備を図りつつ、その実施について検討するとともに、あわせて本格的な年金時代に対応した年金相談体制の充実強化に努めること。  八 沖縄の厚生年金については、早期に本土との格差を是正する措置を講ずること。  九 年金積立金の自主運用については、運用額の拡大に最大限努力すること。  十 厚生年金国庫負担の繰り延べについては、速やかに繰り戻しされるよう努めるほか、今後、このような繰り延べ措置は行わないこと。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  109. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  高橋辰夫君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  110. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 起立多数。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。     ─────────────
  111. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 次に、被用者年金制度間の費用負担調整に関する特別措置法案について議事を進めます。  本案に対し、高橋辰夫君外三名から修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。高橋辰夫 君。     ─────────────  被用者年金制度間の費用負担調整に関する特別措置法案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  112. 高橋辰夫

    高橋(辰)委員 ただいま議題となりました被用者年金制度間の費用負担調整に関する特別措置法案に対する修正案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  修正の要旨は、第一に、日本鉄道共済年金財政対策に関して、日本国有鉄道清算事業団の特別負担の追加等による自助努力の額の拡大が行われることを踏まえ、平成年度から平成年度までの間、日本鉄道共済年金への調整交付金の減額措置を講ずることとし、当該減額相当額について厚生年金保険等の調整拠出金の減額を行うこととすること。  第二に、政府は、平成年度までの間に、制度調整事業について、その運営の状況等を勘案して見直しを行うこととすることであります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  113. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。     ─────────────
  114. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 日本共産党・革新共同から討論の申し出がありますが、理事会において協議の結果、御遠慮願うことといたしましたので、そのように御了承願い、直ちに採決に入ります。  まず、高橋辰夫君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  115. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  116. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     ─────────────
  117. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 この際、本案に対し、高橋辰夫君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。池端清一君。
  118. 池端清一

    ○池端委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     被用者年金制度間の費用負担調整に関する特別措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について適切な措置を講ずるよう配慮すべきである。   制度調整措置の見直しに当たっては、被用者年金制度の被保険者(組合員)などの意見を十分反映させるため、政府に被保険者(組合員)、事業主(使用者)及び学識経験者からなる検討の場を設けるものとすること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  119. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  高橋辰夫君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  120. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 起立多数。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。戸井田厚生大臣
  121. 戸井田三郎

    戸井田国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力いたす所存でございます。     ─────────────
  122. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 この際、お諮りいたします。  ただいま修正議決いたしました両案につきまして、字句などに整理を要するものがありましたときは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  また、ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  125. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十分散会