運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1989-11-21 第116回国会 衆議院 建設委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成元年九月二十八日)(木曜日 )(午前零時現在)における本委員は、次のとお りである。    委員長 東家 嘉幸君    理事 北川 正恭君 理事 北村 直人君    理事 古賀  誠君 理事 野中 広務君    理事 東   力君 理事 中村  茂君    理事 古川 雅司君 理事 西村 章三君       榎本 和平君    遠藤 武彦君       大原 一三君    金子原二郎君       桜井  新君    田村 良平君       武村 正義君    中山 成彬君       野呂田芳成君    牧野 隆守君       松田 岩夫君    松田 九郎君       小野 信一君    木間  章君       小林 恒人君    三野 優美君       大野  潔君    伏木 和雄君       小沢 貞孝君    辻  第一君       中島 武敏君 ────────────────────── 平成元年十一月二十一日(火曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 東家 嘉幸君    理事 北村 直人君 理事 古賀  誠君    理事 野中 広務君 理事 東   力君    理事 中村  茂君 理事 古川 雅司君    理事 西村 章三君       榎本 和平君    遠藤 武彦君       大原 一三君    金子原二郎君       桜井  新君    田村 良平君       武村 正義君    中山 成彬君       松田 岩夫君    松田 九郎君       小野 信一君    木間  章君       小林 恒人君    三野 優美君       小沢 貞孝君    辻  第一君       中島 武敏君    松本 善明君  出席国務大臣         建 設 大 臣 原田昇左右君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 石井  一君  出席政府委員         国土政務次官  自見庄三郎君         国土庁長官官房         長       北村廣太郎君         国土庁土地局長 藤原 良一君         国土庁防災局長 市川 一朗君         建設政務次官  木村 守男君         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設大臣官房総         務審議官    木内 啓介君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省都市局長 真嶋 一男君         建設省河川局長 近藤  徹君         建設省道路局長 三谷  浩君         建設省住宅局長 伊藤 茂史君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局経済部団         体課長     知久多喜真君         公正取引委員会         事務局審査部第         一審査長    鈴木  満君         外務大臣官房文         化交流部文化第         二課長     塩口 哲朗君         厚生大臣官房老         人保健福祉部老         人福祉課長   辻  哲夫君         厚生省社会局施         設課長     横田 吉男君         気象庁予報部長         期予報課長   嘉味田宗治君         労働省職業安定         局特別雇用対策         課長      九重 達夫君         建設大臣官房技         術審議官    玉田 博亮君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     中道 文基君         建設委員会調査         室長      吉沢 奎介君     ───────────── 委員の異動 十月十八日  辞任         補欠選任   榎本 和平君     大坪健一郎君   遠藤 武彦君     大野  明君   金子原二郎君     奥田 敬和君   武村 正義君     小渕 恵三君   中山 成彬君     粕谷  茂君   松田 岩夫君     瓦   力君   松田 九郎君     渡辺美智雄君   三野 優美君     上田 利正君 同日  辞任         補欠選任   小渕 恵三君     武村 正義君   大坪健一郎君     榎本 和平君   大野  明君     遠藤 武彦君   奥田 敬和君     金子原二郎君   粕谷  茂君     中山 成彬君   瓦   力君     松田 岩夫君   渡辺美智雄君     松田 九郎君   上田 利正君     三野 優美君 同月十九日  辞任         補欠選任   小林 恒人君     上原 康助君 同日  辞任         補欠選任   上原 康助君     小林 恒人君 十一月九日  辞任         補欠選任   中島 武敏君     経塚 幸夫君 同日  辞任         補欠選任   経塚 幸夫君     中島 武敏君 同月十六日  辞任         補欠選任   三野 優美君     沢藤礼次郎君 同日  辞任         補欠選任   沢藤礼次郎君     三野 優美君 同月十七日  辞任         補欠選任   榎本 和平君     塩川正十郎君   遠藤 武彦君     大塚 雄司君   金子原二郎君     佐藤  隆君 同日  辞任         補欠選任   大塚 雄司君     遠藤 武彦君   佐藤  隆君     金子原二郎君   塩川正十郎君     榎本 和平君 同月二十一日  辞任         補欠選任   辻  第一君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   松本 善明君     辻  第一君     ───────────── 九月二十八日  中水道の整備促進に関する法律案伏木和雄君外二名提出、第百七回国会衆法第五号) 十一月二十一日  不動産経営管理士業務資格認定に関する請願(青木正久紹介)(第六五五号)  同(鴻池祥肇紹介)(第六五六号)  同(平沼赳夫紹介)(第六五七号)  同(三ツ林弥太郎紹介)(第六五八号)  同(山崎拓紹介)(第六五九号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 東家嘉幸

    東家委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  建設行政基本施策に関する事項  都市計画に関する事項  河川に関する事項  道路に関する事項  住宅に関する事項  建築に関する事項  国土行政基本施策に関する事項 以上の各事項について、本会期中国政に関する調査を進めたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 東家嘉幸

    東家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ────◇─────
  4. 東家嘉幸

    東家委員長 建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、原田建設大臣石井国土庁長官木村建設政務次官及び自見国土政務次官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。原田建設大臣
  5. 原田昇左右

    原田国務大臣 この八月に、建設大臣を仰せつかりました原田昇左右でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  改めて申し上げるまでもなく、建設行政基本的使命は、住宅社会資本整備等を通じて、国土の均衡ある発展促進し、活力ある経済社会と安全で快適な国民生活を実現することにあります。  建設省としては、こうした基本的な要請にこたえると同時に、内需主導型経済成長の定着を図るため、住宅社会資本の計画的かつ着実な整備推進していかなければなりません。  こうした考え方のもとに、平成二年度の建設省関係予算概算要求においては、財政投融資資金活用等により、公共事業費の確保、拡大を図ることを基本として、事業費で前年度を上回る要求を行っているところであります。  特に、今後の建設行政推進に当たっては、国民一人一人が心にゆとりとやすらぎを感ずることができるような地域づくりを目指して、地域活性化のための基盤づくりとあわせ、地域の個性と創意工夫を生かした潤いのある緑豊かな美しい町づくりを積極的に推進してまいる所存であります。  また、大都市地域においては近年の地価の高騰により、勤労者が良質な住宅を新たに確保することがますます困難な状況になっております。このため、大都市地域における住宅宅地供給促進するための新たな施策を強力に推進してまいる所存であります。  さらに、本年九月に開始された日米構造協議においては、土地利用問題、入札談合問題等が議論されているところであり、一年以内の取りまとめに向けて、適切に対処してまいる所存であります。  委員長初め委員皆様方の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げます。  以上、簡単でございますが、所信の一端を申し述べまして、就任のごあいさつとさせていただきます。(拍手
  6. 東家嘉幸

  7. 石井一

    石井国務大臣 国土庁長官石井一でございます。  土地問題、住宅問題等が深刻化している中で、豊かで住みよい国土づくりを進めていくことは極めて重要であり、私は、以下の施策を強力に推進してまいる所存でございます。  まず、土地問題につきましては、先日、衆議院におきまして、土地基本法案及び国土利用計画法の一部改正法案を御審議の上御採決いただき、参議院に送付される運びとなりました。皆様方の御支援、御協力に対しまして、この機会に改めて御礼を申し上げますとともに、一日も早い成立をお願いしたいと考えております。また、両法案の制定後は、政府一体となって、総合的な土地対策をより一層推進してまいる決意でございます。  次に、土地問題を初めとする諸問題を解決するための基本的課題としては、一極集中を是正し、多極分散型国土の形成を図ることが重要であり、このため、第四次全国総合開発計画に基づき、各般の施策推進してまいります。  このうち、地方振興につきましては、地方開発促進計画の策定及びその推進を図るとともに、振興拠点地域開発整備リゾート地域整備過疎地域振興対策等の諸施策推進し、引き続き、個性豊かな魅力ある地域づくりを積極的に支援してまいりたいと考えております。  さらに、大都市圏の秩序ある発展を図るため、業務核都市整備等の諸施策推進してまいります。また、国の行政機関等移転につきましては、去る八月二十四日の国の機関等移転推進連絡会議取りまとめの趣旨を踏まえ、移転の円滑な推進を図ってまいりたいと存じます。  また、安全で潤いのある国土を形成するため、長期的な視点に立って総合的な水資源対策推進するとともに、災害未然防止、迅速的確なる応急対策復旧対策推進など、災害対策の総合的かつ積極的な推進に努めてまいる所存でございます。  委員長を初め委員各位の御指導、御鞭撻をお願い申し上げまして、私のごあいさつといたします。(拍手
  8. 東家嘉幸

  9. 木村守男

    木村(守)政府委員 再び建設政務次官を拝命いたしました木村守男でございます。よろしくお願いいたします。  微力でありますが、原田大臣のもとで皆様方の御指導をいただきながら、誠心誠意建設行政推進のために今後とも努力を重ねていきたいと思います。  委員長初め委員皆様方の御指導、御鞭撻をよろしくお願いして、ごあいさつといたします。  ありがとうございました。(拍手
  10. 東家嘉幸

  11. 自見庄三郎

    ○自見政府委員 国土政務次官の自見庄三郎でございます。  微力でございますけれども石井国土庁長官をお助けしながら、国土行政推進のため、全力で取り組んでまいる決意でございます。  委員長初め、委員各位の御指導、御協力をお願い申し上げまして、ごあいさつにかえさせていただきます。  よろしくお願いいたします。(拍手)     ─────────────
  12. 東家嘉幸

    東家委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として日本道路公団理事中道文基君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 東家嘉幸

    東家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────
  14. 東家嘉幸

    東家委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三野優美君。
  15. 三野優美

    三野委員 若干建設省に対してお尋ねしたいと思います。  一つは、今問題になっておりますいわゆる建設業界談合事件についてであります。正式には談合と言わないそうでありますが、我々は談合事件と言っているわけであります。  せんだって、米軍横須賀基地工事談合事件について、アメリカ側からこれが強く指摘されまして、日本建設会社百四十社が米側から要求されております金額が五十億円、こういうふうに報道されたわけですが、けさ見てみると、何か四十七億円ぐらいで話がついたのではないか、こういうことが報道されておりますけれども、これらの事実についてまずお尋ねをしておきたいと思うし、こういう談合事件があったことについては、建設省もその事実について確認をし認めたのかどうか、これをお尋ねをしておきたいと思います。
  16. 望月薫雄

    望月政府委員 お答え申し上げます。  米軍工事安全技術研究会、いわゆる星友会という会の名称を持っておるものでございますが、この会員等米国海軍極東建設本部の発注する建設工事につきまして受注予定者を決定したということを理由にして、六十三年十二月八日、公正取引委員会から同会の会員等百四十社に対しまして、今後同様な行為を行わないようという文書警告をなされたわけでございます。と同時に、そのうちの七十社に対しまして課徴金納付命令がなされたという事実がございますが、このいわゆる星友会事件に関しまして、同会の会員であった者等に対しまして米国政府から、同政府が同事件によって五十億二千四百七十八万円以上の損害をこうむった、したがってこの支払いを求めるという催告書関係会社に出されているということを聞き及んでおります。  また、このうちの一部の企業に対しましては、別途米国の反トラスト法によります訴訟を検討中である、この場合には、損害額三千七百万ドルと言われておりますが、この三倍に相当する損害賠償を課される可能性がある旨の米国司法省書簡関係会社に届けられているということを承知いたしております。
  17. 三野優美

    三野委員 さて、米側からそういう要求があって、今話し合い最終段階に来ている、あるいはもうついたのかもしれませんが、この談合事件について、建設省としては談合の事実があったと認めたのか、確認したのか、その経過について建設省独自で調査したのかどうか、どういうところに問題があったのか、その点をお尋ねします。
  18. 望月薫雄

    望月政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、公正取引委員会から、談合の事実があったということで独禁法による処分がなされたわけでございます。あわせて、私どももその後、建設業法によります関係会社に対する聴問を行いまして、その事実は確認いたしました。その上で、当然のように業法に基づく指示処分等も行っておるわけでございまして、その意味におきましては、私ども談合の事実は確認いたしております。
  19. 三野優美

    三野委員 建設省も、この横須賀基地工事について談合の事実があったということを認めたようでありますから、もちろんこの点についてはこれから順次聞いていきますが、そこで、今、米側要求に対して、星友会を中心にしながら百四十社が五十億円を一つのめどとして話し合いをしているようであります。現時点でどこまでついたのか、ついてないのか、あるいは四十七億円という話もありますが、ついたのか、ついてないのか、どの時点にあるのか、聞いておきたいと思います。
  20. 望月薫雄

    望月政府委員 この事案につきまして、私ども基本的スタンスでございますけれども、率直に言いまして、この事案は当事者間で解決すべき民事上の問題である、こういう構えでおるわけでございます。そういった中で、いわば事態の推移を今見守っておるところであるという現状でございまして、御質問のように、それで話がついたのかどうかなどのことにつきましては、一々私どもも伺っておりませんので、今静観中、こういう次第でございます。
  21. 三野優美

    三野委員 建設省自身も静観するような事件ではないと思うのですが、それはそれでいいでしょう。  そこで、建設大臣お尋ねいたしますが、建設大臣はせんだって来、先月と今月の二回にわたって、ヒルズ米通商代表部代表とお会いをしておるわけです。報道によりますと、ヒルズ代表の方から議会へ持ち帰って回答ができるようにという話もあったようでありますが、その二回の会談の際に、この問題について向こうからどういう話があって、建設大臣はどういう回答をしたのか、その経過お尋ねいたします。
  22. 原田昇左右

    原田国務大臣 今お尋ねの横須賀基地談合問題に関しては、ヒルズ代表との間で何ら話はありません。
  23. 三野優美

    三野委員 この談合事件については全然話がなかった。そうしますと、アメリカ側企業日本への参入問題については話はありましたか、ありませんでしたか。
  24. 原田昇左右

    原田国務大臣 そのとおりであります。米国企業日本に対する参入について、日本市場をオープンにしてほしいというのがアメリカ基本的なスタンスでありまして、それに対して私どもは、日本市場内外無差別だ、また、日米合意を誠実に実施してきておるのだからその成果も着々と上がってきておる、そういうものを見ながら、日米相互理解協力がさらに進展するようにやっていこうじゃないか、こういうふうに発言をしておるわけであります。これに対してヒルズ代表は、我が方の努力に感謝する、評価するということは申しながらも、さらに談合防止のための一層の措置をしてもらいたいとか、新聞に出ておりましたが、指名基準を明確にしてもらいたいとか、こういう五項目について提案がございました。  そういうのが我々の会談の内容でございます。
  25. 三野優美

    三野委員 この問題については話がなかったというけれども、今建設大臣談合問題についてそういうことはないようにしてくれというヒルズ代表からの話があったことをお認めになったのですが、やはりあっただろうと思うのです。  そこで、建設大臣日本市場を開放しておるのだからということを言ったようでありますが、それで納得しましたか。例えば、去年の日本企業アメリカ受注された事業アメリカ日本建設業界において受注した事業の差などについて詰めた話はなかったのかどうか、あるいは実績はどうだったのか、建設省に聞いておきたいと思います。
  26. 望月薫雄

    望月政府委員 両大臣の間の話し合いの中で、そういった数字をめぐっての具体的なやりとりというものは、率直に言って、ございません。  せっかくのお尋ねでございますから申し上げさせていただきますと、一九八八年度の我が国の米国での受注実績というのは、三千億円を超える実績を上げております。それに対してアメリカ企業がどうであるかということでございますが、おおむね一年間ということで若干アバウトなところがございますけれども、ほぼ一年間の期間でアメリカ側は六百億円を超える受注実績も上がっておる、アメリカ企業日本受注しておる実績はそんなことでございます。数字だけ見れば、そういった意味では日本企業は大変大きな仕事をアメリカで行い、またアメリカ企業日本では少ないということは通常アメリカ関係者が口にすることでございます。
  27. 三野優美

    三野委員 今、日本企業アメリカ受注した金額アメリカ企業日本受注した金額との差が出たわけです。これについては恐らくヒルズ代表から、もっと参加しやすいような状況をつくってくれという話があったのだと思いますが、それに対して建設大臣はどういうお答えをしたのですか。改善しておりますよと言うだけであって、これからの改善策について、建設大臣として談合問題も含めてこう改善したいという話はなかったのですか。
  28. 原田昇左右

    原田国務大臣 先方は、先ほど申し上げましたように五項目についてぜひとも日本側努力してもらいたい、こういう話でございます。私の方は、それはそれとして、日本アメリカ制度が違いますから、日本制度はこうであるということを事務レベルで少し詳細に説明した方がよかろうと いうことで、十一月の八日、九日でしたか、ワシントンで詳細な説明をいたしまして、事務レベル協議をやりまして、誠心誠意日本の意のあるところを伝えたわけですね。  それからまた、ヒルズさんが九日でしたか日本においでになりましたので、そのとき私のところをお訪ねいただいたときにお話ししたのですが、我々としても引き続いて努力はしていくけれどもアメリカ側もひとつ日本市場に、例えば十七プロジェクト日米合意プロジェクトがございますが、まだまだアメリカがやろうと言って手を挙げてきてないのもたくさんあるわけですね。本当に向こう側がやっていきたいという分野、そういうところで合意のあるところがあるわけですから、もっとどしどしアメリカ側努力していただきたいな、こういうことを申し上げておったのが実情であります。今後引き続いて協議を続けていきたい、こういうように私どもは考え、日本制度とかやり方、こういったのも向こうにも理解を十分していただきながら、また我々も向こう側の意のあるところを十分酌み取りながら、お互いに友情を深める、日米間の友好を保つ上にできる限りのお互い努力をしよう、こういうことになっておるのが実情であります。
  29. 三野優美

    三野委員 開放しているのだからどんどん来てくれと言っても、実際に手を挙げてこない。  そこで、アメリカ側からは日本の今日までの建設業界指名入札制度あるいは保証制度などについて参加しにくい状況にあるという指摘はございませんでしたか。今の日本制度そのままで結構ですということだったのか、それとも、この制度そのものが極めて閉鎖的であって、談合などを助長するような条件がその中にある、こういう指摘はございませんでしたか。
  30. 望月薫雄

    望月政府委員 御承知のとおり、この日米間の建設交渉というのは昭和六十一年の春から始まってきているわけでございますが、御案内のとおり関西空港問題が契機になっているわけでございます。それが六十三年、昨年でございますけれども、五月に合意を見たのが第一段階と思っておりますけれども、その間におきまして、今先生御指摘のように日本制度をめぐってのいろいろの御意見がございました。しかし、昨年の五月に合意したときには、お互い公共事業発注制度というものはそれぞれの国で定着している制度である、これをどうこうということについては、これは基本的に多国間の問題であるわけでございまして、そういった中で日本制度というものを、尊重という言葉がいいかどうかあれですが、それを前提にして、それになれるための一つ合意特例を行ったのが昨年の五月であるわけです。  以来今日まで、大臣も申し上げましたように誠実にやっておるというのが基本スタンスでございますが、その中において、最近のやりとりとして日本制度がどうであるということについての意見は直接はございません。ただ、日本に先ほど来出ておりますような談合等が多いというふうなことからする、制度というよりも一つの慣行といいましょうか体質といいましょうか、こういったことをめぐっての意見がかなりある、こういうふうに認識いたしております。
  31. 三野優美

    三野委員 そこで、ひとつこの際公正取引委員会お尋ねしたいのでありますが、公正取引委員会はこの事件調査して、談合事件はあった、こういうように考えておるようですね。  そこで、その談合事件が発生をした今日の日本建設業界が持つ体質あるいは指名入札制度そのものについて、この調査をする過程の中でどういう見解を持ちましたか。今のままでいいと考えたのか、今日のこの仕組みの中にそういう談合事件が発生する条件が存在すると考えたのか、その点ひとつ聞いておきたい。
  32. 原田昇左右

    原田国務大臣 今の話は公取の方からございます。  実は私、先ほどヒルズさんが来られたのが九日と間違っておりました。十日が事実だそうでございますので訂正させていただきます。
  33. 鈴木満

    ○鈴木説明員 御説明申し上げます。  今の御質問は横須賀の基地の問題に関してでございましょうか。  横須賀の基地の問題は、米国発注制度というのは日本と若干異なりまして、一般競争入札を基本としております。したがいまして、日本で主流になっております指名競争入札ではないわけでございまして、その点に特徴があると思います。そこにおいても談合が行われたわけでございまして、一般競争入札にしろ指名競争入札にしろ、談合というのは行われるわけでございまして、アメリカ日本の差というのは余り認識しておりません。
  34. 三野優美

    三野委員 では、制度の差ではない、建設業界が持っている体質の問題である、こういう考え方ですか。そうですね。制度の差ではない。制度を変えてみてもどうにもならないので、それは制度の問題ではなしに体質の問題だ、こういう考え方ですか。
  35. 鈴木満

    ○鈴木説明員 談合問題は海外でも非常に問題になっておりまして、制度も多少、指名競争入札の方が入札に参加する者が限られるという意味で一般競争入札よりも競争の範囲が狭められるわけでございますが、こういった談合問題というのは日本に限らず国際的にも問題になっているということを申し上げたいと思います。
  36. 三野優美

    三野委員 受注者の工事施行に伴う保証制度の問題については、公取委員会としては何ら問題があるとは思いませんでしたか。
  37. 鈴木満

    ○鈴木説明員 横須賀事件を審査しまして、工事完成保証人という日本制度とかわりまして、アメリカの場合にはボンド制度というものをとっておりまして、そこが特徴があると思います。このボンド制については我々詳しくは存じませんので、日本工事完成保証人制度とどういうふうに違うのかじっくりは検討しておりません。
  38. 三野優美

    三野委員 さらに公取委員会お尋ねしたいのですが、あなたのところが昭和五十九年二月二十一日に「公共事業に係る建設業における事業者団体の諸活動に関する独占禁止法上の指針」というのをお出しになりましたね。この出したねらいは、何を考えてお出しになったのですか。あなたのところがこういうことはやってもいいよということをお出しになったのだろうと思うのですが、公取委員会としての性格、任務からして、これを出す必要はあったのでしょうか。何をねらいにして出したのですか。
  39. 知久多喜真

    ○知久説明員 お答えいたします。  まず一つは、御指摘のガイドラインを出しました経緯でございますけれども、これは、さかのぼりますこと二年前に静岡県下でいわゆる談合事件がございまして、これを契機に建設業界の中でも、あるいは社会的にも、建設業界と独占禁止法に関する認識が高まってきたということがございます。  それから、あえて公共工事に係る建設業についてガイドラインを出すことにしたというのは、そもそもこうした公共工事に係る建設業は一般産業とちょっと違いまして、特性がございまして、例えば単品受注請負型であるとかあるいはそのほとんどが中小企業でありますとか、あるいは先ほどちょっと御議論ございました指名制度とか予定価格制度とかいった官公庁の発注に係る競争入札制度のもとにあるとか、そういったことがございますので、既に五十四年にできておりました一般産業向けのガイドラインを公共事業に係る建設業向けにさらに補足する必要がある、あるいはそういう御要望も高かったということで、こうしたガイドラインを建設業向けに出すことで、談合を初めとする独禁法違反事件未然防止に役立つのではないかということで、五十九年に作成、公表したものでございます。  中身的には、一般ガイドラインを踏まえつつ、建設業にわかりやすい形で書いたつもりでございます。
  40. 三野優美

    三野委員 私は、公正取引委員会というのは、国民が納税した税金が効率的にしかも公平に公正に使われているかどうか、あるいは業者間におけるいわゆる談合などによって被害を受けているよ うなことはないのか、こういうことを厳正に調査する機関だと考えていたわけですね。ところがこれを見ておりますと、一定のルールに基づいてやればいいよということでもって、各官公庁の発注工事実績に関する情報、発注予定工事に関する情報、あるいは建設資材の価格等積算の基礎となる事項に関する情報、受注実績受注計画等を任意で話し合うことは結構なんですよ、こういうふうに言っているわけですね。どうして公取委員会が、これはやってもいいですよ、これとこれはやりなさいなどということを、こういうガイドラインをつくらなくてはならないのか。  率直に言いまして、例えば価格等の積算の基礎というのは建設省から出しているわけですね。これが県や市町村に回って、それが業者に流されて、これを基礎に入札しなさいよ、こういうことをやっているわけですよ。これだって納税者の側からいえば問題がないとはいえない。それを基礎に、建設省なりそれぞれの官公庁は落札金額を決めちゃうわけですね。これでやっているのですからこれでやりなさいよと。これはある意味においては発注者側と業者との関係の談合でもあるわけですね。こういう基礎、基準で勉強して入札しなさいよということまで、なぜあなたのところが指示をしなければならぬのか、あるいはそういうガイドラインをつくらなければならぬのか。私は、公取委員会の態度というのは非常に問題があると思う。問題は、公正にやられているかどうか、そういう事実があったかどうかを調査し勧告し、再発防止のために公取委員会というのは存在しているわけなんです。ここが出発で談合が始まるわけでしょう。それについて何の疑義もありませんか。
  41. 知久多喜真

    ○知久説明員 団体における情報交換自体は、先ほどちょっと申し上げました、五十四年にできました一般産業向けの一般ガイドラインの中でも、競争に影響のないような、経営の効率を高めるような情報交換はむしろ好ましいことであると申しております。ただ、先ほど申しましたように建設業界は特殊な業界ということもありまして、じゃあ何が情報交換としていいのかというところをはっきりしてほしいという要望がございまして、それで先生御指摘のような項目を、こういうものに限っては独禁法上問題がないと思いますということで載せてございます。  ただ、載せてある項目というのは、先ほど御指摘のように、例えば官庁から既に公表されておるものでありますとか、あるいは賃金とか資材とかといったもの、一般の業界紙等で調査なりあるいは何かの調査を引用するなりして公表しているもの、そういうものを団体で取りまとめ会員に見せたりする、そういうことなら構いませんという趣旨で載せているわけでございます。
  42. 三野優美

    三野委員 労務賃金及び建設資材の価格等積算の基礎となるものまで情報交換をしてもいいよ、しなさい、それをなぜ公取委員会がしなければならぬのか。率直に言って、賃金だって東京と私の四国と違いますね。材料も違うでしょう、運賃その他コストのことがありますから。  建設省は、既に資材その他について試算表を出しているわけです。これは公開のものか非公開のものか知らぬけれども、出している。これは県、市町村に行く。それで、県、市町村の職員も含めて、建設省の出先も含めて、試算して見積価格を決めるのでしょう。これが出ているから、これで皆さんは試算をして入札しなさいよ、こういうことをこの勉強会ではやるということなんでしょう。それはやってもいいですよと。そしてできるだけ見積金額あるいは敷札で、近い部分でやっていいですよということにつながるわけです。そこのところまでどうして公取委員会がやらなければならぬのか。私は、公取委員会の持つ性格とこれを出した意図というものがどうしてもわからないのです。  これはまた後からお尋ねしますけれども、なぜ出さなければならなかったのか、なぜ公取委員会がそういうものまで出す性格を持っているのか、これはひとつ明確にしてもらいたいと思います。
  43. 知久多喜真

    ○知久説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、要は、既に公表されているとか客観的になっている限りの情報においてよろしいということで、もちろん、それを使って例えば価格あるいは見積もりについて団体内で合意するとかいうことになると途端に独禁法違反ということになるわけでございます。ガイドラインで示しておりますのは、独禁法違反にならない限りにおいて、こういう客観的な資料を集めることだけなら構いませんよということでございまして、そういう客観的情報の収集ということは、別に建設業界に限らず一般産業、一般ガイドラインの方でも認めているところでございます。
  44. 三野優美

    三野委員 これ以上質問してもしようがないみたいだけれども、公取委員会はそのことを出す必要はない。公取委員会は具体的な事実に対して、具体的な事件に対して、それが独禁法に違反するのかどうか、談合であったかどうかということを調査すべきであって、ここまではいいよ、ここまではやりなさいなんてことをすべきではないということなんです。そこから談合が始まるわけなんです。だから、そういう点では公取委員会の任務を逸脱しているというのを私は指摘しているわけなのです。あなたの方でそれ以上答えることはどうもできないらしいですからこれ以上質問しませんが、これはぜひ公取の中で検討してもらいたい。  さて、そこで建設省お尋ねしますが、今日まで幾つか次々と毎年毎年談合事件というのは表面化するわけですね。これは建設省指摘した事件というのは一件もないのでしょう。全部外から指摘されたものばかりなのでしょう。あなたのところが指摘してこういう事件を発見してこういう処分をしたというのがあったら出してくださいよ。あなたのところからしたのはないでしょう。あったら出してみてください。あるいはあなたの出先も含めて、あったら出してくださいよ。ありますか。
  45. 望月薫雄

    望月政府委員 過去におきまして、大変残念でございますが、幾つかの談合事件というものが起こっているわけでございます。それらにつきまして、建設省が発注者である場合、発注者でない場合、それぞれございますけれども、いずれの場合についても、私どもの方からこれが独禁法違反であるというようなことを積極的にやったということはございません。  と申しますのは、事は極めて技術的にも大変な分野であるわけでして、私どもにおきまして事実上、立入調査等々行ってやるという体制ができていませんし、またそういった情報等を収集するチャネルというものが完備していないというようなこと等々の事情によりまして、いずれにしても御指摘のとおりでございます。
  46. 三野優美

    三野委員 県には監察室みたいなものがあるのですが、建設省もあるのだろうと思いますが、そこは技術上の監察だけしているのですか。あるいはこういう入札その他の制度の中で、談合その他の不正がないかどうかについて監察する任務があるのかないのか、これを聞いておきたいと思います。  あわせて時間の関係で聞いておきます。今日まで毎年毎年出るのですけれども、例えば過去五カ年間に談合事件として建設省関係の指摘された事件が何件あって、それに対する処分内容についてお尋ねをしておきたいと思う。指名停止その他で一番短いのが幾らで一番長いのが幾らで、あるいは指名停止以外の処分があったのかどうか、この点、聞いておきます。
  47. 望月薫雄

    望月政府委員 監察の御質問でございますが、これはあくまでも私ども内部の行政執行にかかわる監察体制でございます。したがいまして、今おっしゃったような意味での談合等々については監察というものは及んでおりません。言うまでもございませんけれども、発注者としての建設省の立場で、いわゆる談合あるいは談合的なものに関する情報があった場合、これは発注者において適時事情聴取等々行って、その都度対応しているということがあることは申し上げるまでもございません。  それから、過去におきましての建設業関係の談 合事件でございますが、三件ございます。
  48. 三野優美

    三野委員 処分処分内容。
  49. 牧野徹

    牧野(徹)政府委員 ただいま経済局長からお答えしたとおり、三件のことを申し上げますが、処分とおっしゃっている中で、多分先生、指名停止等の措置だろうと思いますので、建設業法上の処分というのも別途ございますが、便宜私から、指名停止についてお答え申し上げます。  まず一つが米軍工事安全技術協会、いわゆる星友会事案でございます。これについては、事案の内容はよろしゅうございますね、処分でございますが、指名停止の業者数が百五社で、指名停止期間は一カ月が九十四社、二カ月が十一社でございます。  それからもう一つはシャッター製造業者にかかわる事案がございます。これはシャッター製造業者が千葉県、富山県等で価格カルテルを行いまして、シャッターの価格維持等を行ったとして独禁法違反の審決を受けた事案でございます。これにつきましては七社でございますが、指名停止期間は一カ月でございます。  それから最後に海上埋立土砂建設協会、いわゆる海土協、これも事案の内容は省略いたしますが、指名停止業者は六社でございまして、指名停止期間は一カ月、こうなっております。
  50. 望月薫雄

    望月政府委員 今、官房長から御答弁申し上げました事案に関しまして、あわせて建設業法上の処分を行っております。  その内容をざっと申し上げますと、まず星友会関係でございますが、八十九社に対しまして建設業法上の指示処分を行っております。シャッター事件につきましては十社に対して指示処分、それから海土協、これにつきましては六社に対して指示処分、と同時に、二社に建設業法に基づきます勧告を行っております。
  51. 三野優美

    三野委員 この三者が表に出たわけですが、地方においては毎年毎年次々と出るわけです。一つは、先ほども言ったように、次々起こってくる談合事件というものが発注者側、建設省なりあるいは地方であれば県なり自治体が指摘をして問題になったというのはないのです。ここに私は、ある意味においては、発注者側である建設省及び地方自治体も含めてそういう体質を持っているということが世間様では言われているわけなんです。ある意味においてはそこに談合の起こる条件というものが存在する。発注している専門家である建設省は、なぜ過去一件も発見することができなかったのか、あるいは指摘することができなかったのか。そこの体質に問題がある。できないのではなしに、しなかったのではないかという意見さえないでもないわけですからね。  例えば監査体制がありますね。内部だけではなしに、内部と同時に、みずからが発注する工事が正当に受注され、計画されたのかどうか、そして完了したかどうかも含めて、監査体制というのは広い意味で監察をすべきではないか。そこのところは目にふたをしているというところも、今日の建設省の中にある監察制度が機能を果たしていないところだと思う。これも同時にその体質だろうと思うのですが、この点についてどう考えるか。  あるいは、今三件についてそれぞれ処分されたのは、ほとんどが一カ月ないし二カ月で、普通は一カ月ですね。あなたのところの処分内容を見て、自治体においても大体こういう処分になる。ところが、しばしば言われることは、事件が発覚をしてそれからその処分をするまでには、いつも必ず期間があるわけです。期間を置かれるわけです。その期間を置かれる間に、処分前に既に仕事を発注して、処分を受ける業者が受注したという例もないでもない。それで一カ月や二カ月で処分期間は終わりますが、それが済んだらまたさらに指名される、こういうことが繰り返されておると世間も言うし、私もそう見ているわけです。  例えば、事件が起きたらその処分をする、一カ月なら一カ月する。それまでの間の契約についても破棄するということはできませんか。それはできないのか、あるいは今後する決意があるかどうか。事件が発生した。表に出た。調査をした。談合があったという事実が指摘された。あなたのところはしないのですから、よそからされた。それから処分をする。処分から一カ月やる。処分通告する。その間に契約があった者は今後一切契約を破棄するという決意があるのかどうか、そういう制度を考えるかどうか、この点も聞いておきましょうか。
  52. 牧野徹

    牧野(徹)政府委員 何点かございましたが、まず指名停止をする時期でございますが、これは私どもが恣意的にいつからにしようということではなくて、自動的に、審決があればトタでやるということにしております。  それから、その前に合法的に手続を行っていた事案について破棄するかと言われますと、それはできないのではないかと思います。  それから前段が、監察制度といいますか内部監察だけで対外的な業者の、例えば建設業者の動向等もチェックせよというお話ですが、先ほど経済局長から答弁したようなこともございますし、それはそれなりにそういう法律を所管されている担当のセクションもあるわけですから、そこまでの機能を私どもの監察官に負わせるということは、これもできないのではないかと私は考えております。
  53. 三野優美

    三野委員 官房長の話を聞いておると、何もできません、このままいきます、ほおかぶりでいこうと思うというように聞こえざるを得ないのです。ただ、この際、大臣あるいは建設省にもお願い申し上げておきますが、こういう国際化社会に入りまして、外国の参入あるいは日本も行ってやっていますね。そういう事態の中で、既に報道されていますように、建設業界自身はこのままではもう通らなくなってしまった、したがって、みずからアメリカに代表団を派遣し、調査をし、そして今後どう対応するかということについて、もちろん対米のことを考えているのだろうと思いますが、やろうとしている状況の中で、今までのような状況ではもういかないだろう。これはアメリカが参入してくれば、もちろん韓国なり中国なりその他の国々もそれぞれ参入を求めてくるでしょう。いわば国際化と言われる状況の中で、もっと国際的に通用する入札制度というものを考えなければならぬと思うのです。  今申し上げましたように、率直に申しまして、戦後ずっと談合事件が次々起きてきても、建設省自身指摘したのは一件もない、こういう事態。そういう意味では、業者間における談合もさることながら、発注者側と受注者側の関係においてももっとすっきりしないといかぬではないか。率直に言いまして、建設省のOBの方もそれは退職したらどこか就職する方がいいですよね。民間の方その他行っているでしょう。かなりの地位についていますよね。これも中央地方を含めてあることなのです。ですから、それだけに制度の改革というものをやらないと、単に対米問題ではなしに、これは同時に国内問題である。アメリカの仕事を受けるときにこういう指摘をされたけれども、国内でもあそこは日常的にやっておるのではないか、こう国民は見ているし、既にマスコミの側もそのことを指摘されているわけです。  そこで建設省としては、これについて大改革をやるその手順なり、そういう決意があるのかどうか、あるいはどんなことを考えているのか、この際ひとつ建設省としての見解を聞いて、この問題は一応おきたいと思うのです。
  54. 望月薫雄

    望月政府委員 お説のとおり、談合防止のことについては、何も外から言われるがゆえにどうこうということではなくて、私ども自身、本当に真剣に考え、真剣に対処していかなければならぬという認識を強く終始持っているところでございます。そういった中で、先ほど来出ておりますように、いろいろ先生から御指摘のように、あるいは若干の問題を残しているかもしれませんが、とにかく再発を防止することを基本に据えながら、独禁法による処分にあわせて業法上の処分あるいは指名停止等、我々としてはかなり厳しいものを行っていると認識いたしておりますけれども、さらに引き続き、厳正な姿勢で臨んでいくというこ とが基本でございます。  と同時に、先般来の、具体的に言いますと星友会事件以来のいわゆる大型といいましょうか、具体の談合事件を契機にいたしまして、私ども、業界指導を一層強めているさなかでございますが、そういった中におきまして、業界団体におきましても今真剣に建設経営の刷新検討をやっているさなかでございます。こういった民間の動きも相まちまして、我々としては行政として対応できる線をさらに強めていきたい、具体的に対処していきたい、こういう構えでおります。
  55. 三野優美

    三野委員 今局長の方からお話ありましたが、私は、これは単に外から指摘されるだけではなしに、これを機会に建設省あるいは業界内部自身としてみずから改革していかなければならぬと思うのです。そうでないと、これはもう政治不信を募らせるだけであって、国際的にというだけでなしに国内問題として重要な問題だと思いますから、この点は大臣もぜひこれを機会に本格的に取り組まなければ、過去何回やってみても同じことを繰り返しているわけですから、ひとつ体質改善について具体的に取り組んでもらいたいということを要望しておきたいと思います。  続いて、実はこれは建設省の全体のことなのですが、四国のことを例に挙げて申しわけありませんけれども、皆さんの努力で公共工事が非常に年々歳々拡大していくわけです。先ほども建設大臣の所信の中に、来年度はことしを上回る予算を求して保したい、こう言っているのですが、予算確保はしていただいているのですけれども、実はそれを執行するに当たって職員の配置について少し問題な点があると思うのです。  これは全国的なことなのですけれども、例えば私のところの四国の香川県などを見てみますと、過去十年間に事業費は一・九倍、約二倍になっているのです。私のところは、御承知の本四架橋の方に関係する問題がありますので集中的に今までやっていただいているのですが、要員は反比例して〇・九四ということで逆に減っていく、香川工事事務所はそういうことになっているわけですね。  そこで、よく見ているとどういうことが起きているかというと、どうももう建設省の職員だけで対応し切れない。長時間労働というか、一方で時間短縮などと言いながら、残業というのはすごいわけです。ちょっと調べてみますと、例えばこれは四国でも徳島の工事事務所らしいですが、契約官の人が六十三年三月に一カ月に三百二十六時間超勤したというのです。これはもう考えられないようなことがあるのですね。月に五十時間以上ぐらい超勤しているのはいっぱいあるわけです。そこで実は次々病人が出てきてしまって、香川工事事務所などを見ると、課長、係長、重要な部分が二人一遍に病院に入ってしまうとか、常に三人、五人入っているわけです。こういうことが起きて業務に支障が出てくる。かといって予算を消化しなければならぬものですから、今度は業務委託という形をとる。職場によりますと、職員数に対して委託しているのが四八%ぐらいに上っている、半分近くまでが業務委託している人だ、こういう事態が起きているわけですね。もちろん、これは委託を受けて派遣している人が能力がないとかそういうのではなしに、やはり建設省の職員であることとないこととの責任なりあるいは仕事に対する取り組みなり、責任度合いが違うと思うのです。  実は、これは私の地元で申しわけないのですが、今もずっと国道十一号線のバイパスをやっていただいているのですけれども、用地買収をしてもらった、その用地買収について現場へ来ている人に、こういう約束が入っておったのですけれども、ここの入り口はこうなっている、隧道はこうなっているのですが、どうでしょうかと聞いたら、いや、それは私はわかりません、よその者ですから、こういうことになってしまうのですね。いわば業務委託が地権者なり周辺に対するサービス低下にもつながっている、同時に不信感ももたらしている。買収のときにはいろいろと約束してくれたけれども、今度現場へ行ったら、私は違いますとか、それはまた帰って言っておきますといって返事がないとか、こういうことが頻繁に起きて、単に職場の中で問題が起きるだけではなしに外に問題を起こしているという状況があるのですね。  私、前にこれを取り上げたことがあるのですが、そのときには、いや、事業がふえているからふやすよ、こう言っていただいたのが、ふえてない、減るばかりで、もしふえたとしても四国なら四国地建で何人か事務屋さんがふえてしまって、現場の方は減っていく、こういうことなのですが、もちろん全体の行革の計画はあるのでしょうけれども、それを一般化してはいかぬと私は思うのです。外務省はふやしているわけでしょう。これはやはり必要なのでしょうね。建設省もこれだけ公共事業をふやすとするならば、やはり外務省並みにその事業量に応じて人員を配置する、こういうことについてはどういう話し合いが省庁内部でできているのでしょうか。そこらひとつ聞かせてもらいたいと思うし、一体これからのこの事業の円滑な執行のために、現場における人の配置についてどういうことを考えているのか。このままどんどん減っていくのでしょうか、ふやしてくれるのでしょうか。ここらあたりを聞いておきたいと思います。
  56. 牧野徹

    牧野(徹)政府委員 いろいろ多角的な御質問でございますが、まず最初に四国地建というお話ですが、定員の方はおおよそ当たっておろうかと思いますが、事業費の方はたしか一・九倍と今おっしゃいましたが、私どもの四国地建全体では一・二五倍です。念のため。  それから、全般的なお話で、確かに建設省は、政府全体の定員削減計画が四十三年度から始まりまして、ただいまは第七次定削を進行中なわけですが、この間定数が約一万人強削減されたことは事実でございます。これはどういう話し合いになっているかということでございますが、定削計画は政府全体として決める中で、それに対して、しからば事業がふえていく場合に建設省はどう考えるのかということだと思いますが、まず一つは仕事のやり方そのものを極力簡素合理化する、仕事の量をスリムにするということだと思います。それから、当然定削計画は五カ年で何人と決まっているわけですが、それは実行すると同時に、どうしても必要な新規増員の確保に全力を挙げるというのがもう一つの方法。それから、先ほど先生も御指摘がございましたが、業務委託を活用する、業務委託は当然のことながら単純な業務あるいは補助業務に限って委託をする、そういうことで今後とも極力対処していきたいというのが私どもの考え方でございます。  それからなお、超勤のお話ございました。確かに四国で、あれは六十三年でございましたか、三百二十六時間という、私もやや驚異的な数字だと率直に思います。そこで、それはそれなりに、たしかあれは契約担当の職員だったかと記憶しておりますが、やはり健康問題が第一でございますので、これは全部の地建にわたって職員の健康管理にも十分注意するように、それから、災害のときとかあるいはダムの工事の最盛期等に百時間を超す超勤が出ることもあるわけですが、百時間を超す超勤というものは極力注意している結果、少しずつですが減っておるという状況にもございますので、念のため申し上げておきます。
  57. 三野優美

    三野委員 例えば、四国では給料日は定時に帰りなさいと放送しているところがあるというのですね。いわば定時に帰りなさいと放送しなければいかぬほど異常な職場の状況があるということも、この際知っておいてもらいたいと思うのです。予算をふやしていただくのはいいですけれども、それに伴って人員の配置をしてもらわなければならぬのです。  そこで、今あなたが言われた業務委託ですが、鉄道弘済会というのはどういう構成でどういう業務内容なのですか。ここに年間に建設省が業務委託しているのはどのぐらいありますか。それから、もう時間の関係がありますから一気に申し上げますが、この構成も含めて、あるいは建設省からOBその他でここに天下りで行っている人は何人お りますか。これは全国にあるわけですからね。
  58. 牧野徹

    牧野(徹)政府委員 先生、今鉄道弘済会と……(三野委員「失礼、建設弘済会」と呼ぶ)建設弘済会ですね。  建設弘済会というのは、御指摘のとおり、すべての地建単位にございます。これはほとんどが三十八年から四十三年にかけて建設大臣認可で設立された社団法人でございます。したがって、社団法人ですから個々の人がメンバーですが、現在はその八つの弘済会で五千六百八十人ほどが会員の数でございます。  仕事の目的は、これもお話ございましたが、長年建設省に勤務して退職した人の知識、経験、技術を生かすことにより建設事業の円滑な推進に資する、退職者及びその家族の福利厚生を図ること等でございます。  先ほど申し上げたのは社団法人の会員ですが、そこでお仕事をしている職員は四千三百九十人でございまして、事業の規模は六十三年度決算で、八団体合計総額二百九十四億円ぐらいでございます。なお、職員が四千三百九十名と申し上げましたが、その中で私どものOBの数は四百九十五名、一割ちょっとでございましょうか、そんな感じでございます。  主な業務内容は、先ほど言いました目的に従って、公益事業としては河川の美化あるいは道路愛護運動の実施、水防演習、震災訓練実施等、要するに建設事業の広報、それからもう一つは技術業務あるいは調査業務等の受託をするということになっております。
  59. 三野優美

    三野委員 さて、最後に言った分の技術業務、調査業務の受託をやっているわけです。いわば業務委託の部分がこの建設弘済会にかなりゆだねてある。二百九十四億が八地建の中で出されておるわけです。私は率直に申しまして、人員確保をしないまま次々事業量がふえてくる部分が建設弘済会に業務委託をされていく。もちろん今までの知識、経験を生かすのは結構なんですが、ここには建設省のOBの方、しかも幹部級の方が四百九十五名、五百名近い者が配置されておる。こういうことになってしまうと、一体こちらに仕事を渡すのに力を入れているのか、あるいは人員確保に力を入れているのかということさえ心配せざるを得ないわけです。  あなたのところがそういうことを示すものですから、県は県でまた職員のOBの方が出資してコンサルタントをつくりまして、かつて県の土木の幹部であった人が社長なり専務で次々行く、そこへだんだん仕事を出していく、こういうことが繰り返されるわけなんです。実はさっき指摘した談合事件に通じる体質は、ここにもあらわれているということを私は指摘せざるを得ないと思うのです。  そういう点からいいますと、国民の税金を預かって公共事業を発注するわけですから、それを極めて効率的に円滑にするためには、当然責任ある国の職員がその執行に当たるべきである。いや、上で監督していると言うけれども、これほど事業が出されて業務委託されて、ところによると職員数の半分近い人が委託者である、机を並べてやっている、あるいは現場へ出ているということになると、私は、余りに度が過ぎているのではないか、ここに今日の問題点があるような気がしてならぬわけです。ですから、そういう点ではぜひ大臣の見解を、人の配置の問題あるいは業務委託の限度の問題について聞いておきたいと思うのです。
  60. 原田昇左右

    原田国務大臣 今、委員指摘のように、政府においては行政改革を厳正に実施しておりますので、我々の方も四十三年以来七次にわたって定員削減を実施してまいっておるわけであります。一方、内需拡大の要請等から所管公共事業費が増大しておる。したがいまして、現行の第七次定員削減計画においては、このような事情を踏まえまして、六次計画に比較して削減率を引き下げる等の配慮をいたしたところでございます。  しかし、今日の建設省の定員では事業の円滑な執行を図る上でかなり厳しい状況にあるということは御指摘のようなところもあるわけでありますが、そうかといって、では四国地建の香川の工事を減らそうということになったらやはり委員は御満足いかないだろうと思いますから、できるだけ工夫いたしまして、新規増員につきましても関係機関の理解を得るべく努めておるところでありまして、今後とも我々としても必要な定員の確保にひとつ特段の努力を払ってまいりたい、こう考えておりますから、よろしくお願いいたします。
  61. 三野優美

    三野委員 これで終わります。大臣、余り脅迫せぬといてください。実は、通告の方では河川の問題について通告しておりましたが、時間の関係で取りやめます。  ありがとうございました。
  62. 東家嘉幸

    東家委員長 木間章君。
  63. 木間章

    ○木間委員 八月九日に海部内閣が発足されまして、原田建設大臣石井国土庁長官が就任されまして、所属委員会で本格論議が始まるのはきょうが最初でございます。そういった点では両大臣と私どもとのお見合いということになるわけでありますが、両大臣建設行政国土行政にかかわる力いっぱいの任務の遂行を、まず期待申し上げるところであります。  最初に、これも初仕事の部類じゃないかと思いますけれども、九月二十二日に常磐新線法の施行をめぐっての閣議が持たれまして、そしてその一部がマスコミに流れております。最初に両大臣の、この常磐新線を問題としてではございますけれども、所信をお尋ねしたいと思うのであります。  このマスコミ報道を見ておりますと、常磐新線の施行とのかかわりの中で、原田建設大臣は、首都圏で宅地は不足しておるとはいうが、未利用地がかなりあり、それを利用する総合対策を打ち出したい、このように発言されたと報道されております。確かに、今日まで土地区画整理事業やさまざまな事業の遂行をされておるのでありますが、宅地としての未利用地もかなり残っておるところであります。これから建設行政を遂行されるに当たりまして、この未利用地をいかようにして宅地化されていこうとするのか、今日まで歴代大臣はそのことに意を用いてこられたのでありますが、現状はたくさん残っておるわけです。ですから、新任の大臣としていかようにされようとするのか、まずお考えをお尋ねしておきたいと思います。
  64. 原田昇左右

    原田国務大臣 委員指摘のように、大都市地域において宅地開発を進める必要性があることは、今さら申すまでもないと思うわけであります。四全総におきましても多極分散型の国土をつくるということになっておりますけれども、同時に大都市地域においては住宅宅地問題の解決をしていかなければならない、こういうことが指摘されておるわけでありまして、東京圏では四万ヘクタール程度の宅地を生み出す必要があるということになっておるのは、御承知のとおりであります。  そこで、それを実現していくのに、まず常磐新線を建設し、宅地開発と一体として宅地の新しい大量供給を図るということも大変大事でございますが、同時に、今御指摘の未利用地、例えば市街化区域内の農地とかあるいは工場跡地等の未利用地、あるいは埋立地等の公有地、こういった国公有地を活用して住宅宅地の供給に役立たせるという施策を総合的に展開する必要があろうと思います。  そこで、私どもこの前も国土庁長官の主宰で土地関係閣僚会議がございまして、そこでも総合的なアプローチをやろうではないかという申し合わせをいたしたわけでありまして、目下鋭意建設省におきましては、省を挙げてこの問題に取り組んで成案を得ようということで頑張っておるところでございます。
  65. 木間章

    ○木間委員 具体的な中身は追ってという含みだろう、こう理解をするものでありますけれども、安い土地をサラリーマンにどのようにして提供するか、極めて大事な問題であります。  それで、首都圏での宅地の未利用地が非常に多い、これもお話のとおりでございまして、きょうの一部新聞だったろうと思いますが、建設省は農地の宅地並み課税を今鋭意お考えになっておるとか、こういうことが報道されたところであります。 大変注目すべきところでありまして、こういったことについてのお考えあるいは進捗状況についてあれば、この機会にお示しをいただきたいと思うのです。
  66. 望月薫雄

    望月政府委員 大臣御答弁申し上げましたように、東京圏を中心とします大都市地域住宅宅地対策、これは本当に喫緊の課題であるということで、今建設省、省を挙げて勉強しておるさなかでございます。  そういった中でいろいろ道筋があるわけでございますが、大きなテーマとして市街化区域内農地、個々に介在します農地をいかにして有効に宅地利用に転換するかということは、我々大変重い課題と思っております。もとより市街化区域内農地のすべてを宅地化するという認識は持っておりませんが、いずれにしても宅地供給をする上で大変貴重な空間である。それであるがゆえに、まず大事なことは、秩序ある宅地化の誘導ということがなければならない、また土地所有者にとっても意欲のわく新しいシステムというものが要るんじゃないかというようなことなどを踏まえまして、現在、いろいろと方策を検討中でございますが、その中では、例えば土地利用計画でございます用途、容積に関する特例の道を開くとか、あるいはまたその前提としては逆線引きあるいは保存すべき農地の確保策について改善をするとか、いろいろな政策を多面的に検討しておるさなかでございます。そういった中で、私ども宅地並み課税というものもこのまま続けていいんだろうかという基本的考え方を持つわけでございまして、宅地化すべきところについては、それ相応に市街化区域内農地のあり方、税制のあり方というものは対応していく必要がある、こういう認識に立って今勉強中でございます。
  67. 木間章

    ○木間委員 良好な住宅地の拠出、提供は、いろいろな手法でこれからもできるとは思いますけれども、問題は、価格の問題なんですね。さきの閣議の中で石井長官は、今のままで宅地を供給しても庶民には手が届かない、金融業者や不動産業者に回ってしまうのじゃないか、このように指摘をされております。この種の問題についても、かねがね私たちも委員会で議論をしてまいりましたのですが、長官のお気持ち、そして、それをどのようにしてサラリーマンに提供できる方法があるのか、そういったことについてお考えをお聞きしたいと思います。
  68. 石井一

    石井国務大臣 鉄道と宅地の一体化の法案成立の過程で、木間委員がその審議に積極的に参加されております議事録も拝見いたしてまいりました。  そこで、最近起こっております状況といいますのは、優良な宅地が出ますと、五十倍、六十倍、七十倍というような中に抽せんが行われる。また、ここが将来発展するというような情報が流れるだけで土地の暴騰が起こっておるというような異常な状態が起こっておるわけでございますから、まず基本的には、やはりごく一部の宅地開発、供給ということでなく、この際抜本的な対策を打ち出しまして、大量の宅地を供給するという、そういうような短期的あるいは中期的あるいは長期的展望に立った政府の姿勢というものを土地基本法ができました段階において打ち出す必要がある、そのように考えておるわけでございます。  その中には、例えばこの常磐新線というのももう既に着工の日程が進んでおり、これに対します社会還元をどうするかというふうな問題もございます。これらの手法も今後具体的な方法をとっていかなければいかぬと思いますが、それ以外にも一時間少々の地点で調整区域を宅地化するという可能性のある場所もたくさんございますので、これらに対しましても将来展望を示していく必要があると思います。しかしながら、展望が示された段階で先買いが起こりますとかあるいは投機的投資、仮需要というものばかりが起こりますと、何のためにこういうことをやるかということになるわけでございますから、宅地供給と同時にそれに対します厳しい、新しい施策というものも要求されておるのではなかろうか。  国土利用計画法の中に、監視区域だけでなく規制区域という制度もございます。これは伝家の宝刀としていまだ抜き切り得ない状況でございますけれども、今後監視区域制度を強化するとともに、場合によってはこのような場所に対してはもっと厳しいそういう目を向けていくことによって、実際に通常の所得によりまして庶民の夢がかなえられる、このような形に私はどうしてもしなければ、いかにこの国が豊かだと言われましても、どこに豊かさがあるのか、こういう問題に変わってくるだろうと思いますので、この点、ひとつ与野党ともに協力をしてこの推進のために御支援を賜りたい、そうこいねがっておる次第であります。
  69. 木間章

    ○木間委員 いま一つの問題は、首都圏にせよあるいは常磐新線沿線にせよ、庶民がマイホームを持つ、極めてすばらしいことでありますし、少しでも安いものということになりますと、希望が殺到するわけであります。  それはそれといたしまして、そうなりますと、国土庁でいま一つ基本的な手法で東京一極集中是正という大事業に取り組んでおられるところであります。このときの審議の中で、議論の中で大蔵大臣は、そういう状況でどんどん人を呼び込むことがあるいは一極集中是正に逆行するんじゃなかろうか、素直に気持ちを述べられておるのであります。したがいまして、積極的にこれからも住宅政策あるいは土地政策をやっていただくわけでありますけれども、この一極集中是正という問題とやはり絡んでいくのではなかろうか、私はこう思えて仕方がないわけです。  そこで、極とは何なのか、圏とは何なのか、このことにも思いをいたすわけでありまして、先ほど調査室の方に聞いてみますと、二十三区内は大体極と表現されておる。それで、圏とはそこを中心にしてかなり広い範囲、小学校でよく習ったのでありますけれども、東北地方とか関東地方とか、その大きい範囲を大体圏と今まで文言上は言われてきておるわけであります。常磐新線沿線の宅地化にせよ、またきょうのマスコミに出ておりますけれども、新たに多摩ニュータウンを上回る大きな団地構想が秋留台に、計画に着手をされたような記事も出ておるわけであります。私は、この一極集中是正にこだわるわけじゃございませんけれども、他の圏域との兼ね合いもあります。国土の均衡ある発展国土庁の大きな使命でもありますから、こういったことについて整合性といいますか、石井長官のお考えをお聞きしたいと思います。
  70. 石井一

    石井国務大臣 確かに、国土行政の根幹として一極集中を是正し、多極分散型国土を形成する、その場合に、関係閣僚会議で大蔵大臣指摘いたしましたようなやや二律相反する問題の提起があるわけでございますが、かといって、現実の姿を見ますと、それではそのような大前提に立った理論が現実に機能するのかということになりますと、いささか問題が起こってくるような感じがするわけであります。  したがって、ベストの道がとれなくてもベターの道を選んでいくということになってまいりますと、まず、ただいま委員指摘の、広域な回りで圏という地域があり、その回りに核という地域があり、そしてさらにその核の中心の一点というものがあるというふうに考えました場合に、東京圏と二十三区、それから最後に中央三区と申しますか、中央、港、千代田というような形に相なっておるのではないか。それで、最近国土庁が打ち出しました政府機関の地方移転の問題に関しましても、確かに本当の意味地方へ出たのは四機関であり、あとの七十五機関は、今申しました圏の城に大体配置を決めたわけでございます。     〔委員長退席、北村委員長代理着席〕 私は、これでも一歩、二歩前進だ、そういう評価もできる一面もあるのではないか。まあ中央の一点が一坪一億円なんというような、もう外国人に話をしてもわけのわからぬ相場にまでなっておるものを徐々に和らげていき、分散化を進めていき、そして業務核都市なんというふうなことを言っておりますけれども、東京圏の中に徐々に情報であるとか文化であるとか新しい機能を備えたところ をつくっていく中から、必ずしもUターンができなくとも徐々にそういう体制をつくっていき、その核の一時間あるいはそれ以上のところに快適な住宅をつくっていく中に、お互いに調和のとれた、時間をかけても都市形成、こういうような方向に持っていかざるを得ないのではないか。目標は高く、現実は厳しく具体的に対処していく、こういう形にやっていかなければ現実の道は険しい、そういうことを感じておる次第であります。
  71. 木間章

    ○木間委員 両大臣建設行政国土行政に関するまあさわりの部分でございますけれども、お聞きをしたわけであります。それぞれ言うはやすく行うはかたし、大変厳しい状況下にありますが、力いっぱい御活躍をお願いするところであります。  次に、先般起こりましたサンフランシスコの地震との関係でそれぞれお尋ねをしたいと思います。  このサンフランシスコ地震は、我が国にとっても他山の石ではないと思っております。あの状況は、既に御承知のところでありますけれども、ベイブリッジは壊れましたし、高速自動車道は崩れました。多くのビルが火に包まれて、とうとい人命も失われたわけであります。そして、電気、ガス、水道はストップし、コンピューターもダウンをした、都市機能は完全に麻痺をしたと報道されました。私は、この席をかりまして、地震で亡くなられた人たちの御冥福をお祈り申し上げるとともに、一日も早い立ち直りを心から御期待申し上げるものであります。  この地震の状況は、東京を初め、我が国の都市にも多かれ少なかれかかわっておるだろうと思いますし、また、サンフランシスコと東京との共通点を私なりに探ってみました。一つ目は、地震の多発地帯であるということ、二つ目には、埋立地に市街地が広がっておるということ、そして三つ目には、都市の急速な膨張で災害に弱くなっておるということ、こういったことなどが類似をしておるのではないだろうかと思っております。したがいまして、この地震から私たちは何を学ぶべきなのか、あるいはどのように教訓を生かすべきなのか。ただいま政府の方は、建設、国土を中心にいたしまして、それぞれ調査員を派遣されておるやに承っておるわけでありますが、まず最初に、防災会議の責任者としての石井長官あるいは都市建設の責任者としての原田大臣それぞれから、何をこの地震で得られたのか、所感をお聞かせいただきたいと思うのです。
  72. 石井一

    石井国務大臣 このたびの地震は、大変多数の死傷者でありますとか災害状況を拝見いたしましたときには、大地震でありますし、また、我々日本人にとりましてサンフランシスコという町は非常に親しみを感ずる場所でもある、そういうことから大変大きな教訓を与えられたのではないか、責任者の立場としても災害対策の重要性をひしひしと痛感いたした次第でございます。  私の手元に一つの消防庁の調査が来ておるわけでございますけれども、本年の八月とサンフランシスコ地震が起こりましてから十一月とに、千名と三千名を対象に都民の防災意識に対する調査をいたしておりますが、これに対しまして非常に大きなインパクトが国民の間にも出ております。これまで関心を持っておらなかったという人が地震に対する関心度を急激に上げておりますだけでなく、ボランティアには協力をすると答えた者も急激にふえ、八〇%を超えておる。また、懐中電灯でありますとか携帯ラジオでありますとか、そのほか、備えあれば憂いなしという形で今後そういう問題に対処していく、こういう国民意識が出てきております。向こう災害に乗って、こういう状況だというようなことを責任者として答弁することもいささか不謹慎かもわかりませんが、忘れたころにやってくるというような災害を考えましたときに、今回のサンフランシスコの地震を貴重な教訓として今後取り組んでいきたいと思うわけであります。  そこで、委員も御指摘になりましたように、現在、十六名の専門家で成ります調査団が、各界の精鋭をそろえまして調査を進めておるところでございます。これは相手方の事情もございますのでいろいろ心を配りながら、最終的に、構築物、橋梁、そのほか液状化の問題もございますが、地震先進国、多発国と言われた我が国において学ぶところが多い、したがって、単なる調査団ではなく、具体的、技術的に水準の高い問題についての解明を与えてもらいたいという要望にこたえて、これを派遣いたしておるというのが現状でございます。私もその壮行の会に出まして、この十六名の方を強く激励したわけてありますけれども、その調査結果等をも踏まえて、今後我が国の防災対策に資してまいりたい、そのように考えております。
  73. 原田昇左右

    原田国務大臣 委員指摘のように、サンフランシスコ地震に大変我々としてもお悼み申し上げる次第でございますけれども、我々にとって非常に大きな教訓を与えるものと思います。  十一月十六日から政府調査団を派遣しておりまして、建設省関係からも土木研究所の次長、この人は団長でございますが、それを初めとして、耐震工学、建築工学の専門家六名が参加しております。  なお、我が国では公共建築物あるいは一般の建物がどうかということについて一言だけ申し上げたいのですが、我が国の場合は設計上耐震性に十分配慮しておりますので、関東大地震クラスの大地震、これはマグニチュード八ぐらいになると思いますけれども、先ほどのサンフランシスコ地震はマグニチュード七・一と聞いておりますけれども、その関東大地震程度に対しても所要の安全性は確保されておる、我が国の公共土木施設及び建築物はM八に対しても大丈夫だ、こういうようになっておりますので、まず当面そういう面からの心配は御無用だと思います。  ただ、建設省では従来から、建設省地震対策推進本部を設け、所管施設の耐震対策を推進中でございまして、今回の調査団の成果を待ちまして、教訓となるものについては十分活用してまいりたいと考えております。
  74. 木間章

    ○木間委員 調査団が現在派遣中でありますので、帰られて、その報告を待ってまた委員会に報告もしていただけると思いますし、それを中心にまた議論も発展するだろうと思います。  そこで、建設大臣の方から、関東大震災クラスは設計上も大丈夫だ、当面は心配御無用、こういうような決意もあったわけでありますけれども、その決意もいささかどうかという心配もあわせてするわけです。ですから、若干の問題について私なりに気になるところを、あるいは点検していただきたいことなどを申し上げて御意見をちょうだいしたいと思うのであります。  一つは、今ほどもありましたように液状化との関係です。  埋立地が、水分も当然多いわけでありますから、地震などで揺さぶられますと砂と水とがまじり合ってシロップ状況になる、これを液状化現象というようでありますが、我が国で液状化を地震で初めて経験したのは昭和三十九年の新潟地震だと聞いております。  そこで、まず問題は、この液状化現象を防ぐにはどうするのか。例えば水面を埋め立てるときに土と砂とを使っていくわけでありますけれども、どういう仕組みといいますか、建設省国土庁で検討はされておると思いますけれども、このことは極めて大事だろう、こう思っておるところです。ですから、これからウオーターフロント計画など矢継ぎ早に進められていこう、既に計画段階にも入っておるわけでありますけれども、新たに埋め立てるときにどこに注意をすればいいのか、研究の成果等が出ておろうと思いますが、お聞かせをいただければと思っております。
  75. 市川一朗

    ○市川政府委員 液状化の問題は、課題といたしましては比較的新しい問題でございまして、学問的にもまだ十分に解明されてない部分もあるということでございますので、国土庁といたしましても、学識経験者等を中心といたしました液状化対策検討会で今学術的、技術的検討も深めていただいておりますし、それから各施設の管理者を所管 しております各省庁との連絡会議等も設けましていろいろ検討しておる段階でございますが、昨年、関東大震災クラスの地震が南関東に起きた場合にはどうなるかという被害想定を国土庁が行いまして、それを公表したものがございます。     〔北村委員長代理退席、委員長着席〕  そのとき検討した結果といたしましては、ただいま先生の方の御指摘にもございましたような地域も含めまして、河川の周辺部とかあるいは海岸の埋立地等で地下水位が非常に高く砂地盤となっているところは、すべてではございませんが局所的に液状化の可能性が高いのではないかというような結果が出てまいっております。こういった問題につきましては、現時点では、各施設を管理する立場の管理者が設置に当たりましていろいろ対応してまいっておることでございますが、総括的な理解といたしましては、まず地盤改良等をしっかり行うということ、あるいはそういうことによりまして液状化がその場面で起こらないような配慮をする、あるいは液状化が起こった場合の被害が生じないように基礎ぐい等をしっかりと打ち込む、そういったような対応を一般的にはしておると理解しておる次第でございます。
  76. 木間章

    ○木間委員 液状化対策はいろいろなやり方があると思いますが、私はやはり点としてとらえるのではなくて面全体としてとらえる必要があろう。ですから、施設管理者だけの範疇の問題ではなくて、広い一つの団みたいな、そういう中で全体的にとらえていかないといけない、こう考えるところであります。  後ほどまた、昨年公表されました南関東の見通しなどの結果があるようですからお示しをいただきたいと思っておりますが、このサンフランシスコの地震の被害は、特に湾岸を埋め立てられた特定地域に集中してきております。そこで、大きな被害の出たマリーナ地区は、おおよそ七十年前に埋め立てて造成をされておると聞いております。東京は比較的軟弱なところへどんどん市街地化が広まりまして、固有名詞を挙げてはなんでございますけれども、荒川や江戸川などのゼロメートル地帯もたくさん抱えておるところです。  そこで、この地域の安全性について、先ほど建設大臣は大丈夫なんだ、こうおっしゃっておいでるところでありますけれども国土庁の調査などについて胸を張って言えるのかどうか、このこともひとつお聞かせいただければと思っております。
  77. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 先ほど埋立地等におきます液状化現象の地盤面のお話を国土庁から答弁申し上げましたが、建築規制上どういう措置がとられておるか、大臣先ほど関東大震災級でも大丈夫だと申し上げましたが、それは建築基準法上裏づけがされておるということかと存じますので、若干御説明を申し上げたいと思います。  基準法におきましては、建築物は自重、積載荷重及び地震力等に対しまして安全な構造でなければならないということでございます。したがって、確認申請の際にそういうことでチェックをするわけでございますが、特に一定規模以上の建築物に対しましては地盤調査を義務づけております。したがって、地盤調査を行いまして、その地盤がどういう状況の地盤かということでございます。  そして、液状化現象の起こりそうな地盤というものにつきましては、いろいろな過去の事例にかんがみまして、おそれのある地盤というものをこういうふうに言っております。地表面から十五メートルの深さ以内にあること、それから純粋な砂の層で粒の径が均一な中粒砂、地下水位が水でほとんど飽和しておるというような状況のところが一番危ない、こういうようなことになっておりまして、砂質地盤について綿密な調査をすることになっております。そしてその場合に、そういう地震時に液状化するおそれのある地盤につきましては、液状化のおそれのない地盤を建築物の支持地盤とする、要するにそこまでくいを打つ、こういうことになると思います。それから、締め固め等有効な地盤改良をするというようなことを義務づけております。  今言いましたのは一定規模以上の建築物でございますが、それ以外の、例えば木造建築物につきましては、布基礎を一体の鉄筋コンクリートづくりとするというようなことで、液状化現象に対して安全な構造面をチェックいたしておるところでございます。
  78. 木間章

    ○木間委員 これからの建築物をつくるときの状況については、今局長がおっしゃったような状況だろうと思うのですけれども、既に数十年前から都市化されまして、液状化現象などに対応できるような手法はなかなかとられていなかったのじゃなかろうか。つまり、江戸川や荒川などが市街化されていったときの建築行政の基準は今日ほど厳しくなかったのじゃなかろうか、こういうことも実は懸念をされます。ですから、これからの手法については、地盤の調査などをしっかりとやるぞ、そうでなくてはいかぬと思いますけれども、マリーナ地区も七十年前に埋め立てられたところに液状化現象が起こった、こういうことで報告されておりますから、危惧する一人であります。かといって、余り不安をばらまいてもいかがなものかと思ってもおる一人でございますけれども、ぜひ万遺憾のないように御指導をお願いいたします。  そこで、地盤調査をしっかりとやって、くい打ちなども同時に施工が前提になっておるようでありますけれども、最近、ウオーターフロントの開発などが過熱化されております。そういったときに、従来の高層ビル、超高層ビルが登場したころにはかたい地盤の建設が大前提であったのだが、最近はどうもこの前提が崩れつつあるのじゃなかろうか、こういうことを指摘される向きもあるようです。ですから私は、液状化、あるいは不同沈下などを考えたときに、原点に戻るべきではないか、こういうことをまず訴えたいのであります。同時に、ハード面の対応もさることながら、ソフト面でも総点検をこの機会にお願いをしたいと思いますが、お考えをちょうだいしたいと思います。
  79. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 先ほど、過去の建築物に対して液状化現象が起こった場合に非常に不安であるというお話でございましたが、この点につきましては毎年二回定期的に実施しております防災査察等を通じまして、特に公共的な建築物が主になると思いますけれども、液状化による倒壊等の被害を防止するために、耐震性の診断でありますとか地盤の改良等を行うよう指導を強めておるところでございます。  今先生おっしゃいました、これから大規模な開発をする場合に、むしろ軟弱な地盤を避けて、本来のかたい地盤の上に建てるというふうに方針を変更すべきではないかというお話でございますが、ここのところは技術の進歩とそれから防災面のいろんな配慮、経験を積んできておりますので、そういうものの兼ね合いだろうと思っております。  先ほど申しましたように、それぞれの一定規模以上の建築物については綿密な調査をすることになっておりますし、地盤ごとにいろいろな計算の方法も固めてきております。したがいまして、高層ビルにつきましても、地盤に対する調査が技術的に進んでおる、それに対する建築物の構造も技術的に進んでおる、こういうふうに思います。  ただ、東京都心の臨海部の開発といったような非常に大規模な開発が予想されております。しかも、そこに超高層の建築物が林立するというようなこともこれから大いに予想されるわけでございますが、これは私どもとしましては、今までに経験のないところもあるわけでございます。したがいまして、建築物の構造的な安全性を高めるために、実はことしから東京都と共同して必要な調査を綿密に開始しようということで勉強に入ったところでございますので、その結果をまって技術的な検討を行いたいと考えております。
  80. 木間章

    ○木間委員 次に、自動車道の問題も気になるところの一つであります。  首都高速は縦横に張りめぐらされておりますし、今東京湾では横断道の建設にも入っておるところであります。この首都高速あるいは横断道、これはまさに動脈にもなるわけでありまして、横 断道になりますと、まさに海面、水面に建設するわけであり、この液状化あるいは不同沈下現象を、手抜きじゃございませんけれども、まともにぶつかるものであろう、こう思うところであります。まだ建設途上でありますから、特に横断道あたりについても十分に配慮しなければならぬわけであります。この点についての対応はされておると思いますけれども、この機会にお示しをちょうだいしたいと思います。
  81. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  東京湾横断道路は、川崎とそれから千葉県の木更津を結びます十五キロの幹線道路でございます。川崎から約十キロの区間がシールドトンネル、それから残りの木更津側の五キロ、これが橋梁でございます。トンネルの中央部と、それからトンネルと橋梁の結節点は人工島が築造される構造となっておるわけでございます。  地質関係でございますけれども、東京湾横断道路のトンネル区間の地質でございますが、これは洪積層や粘土層でございます。トンネルの区間については洪積層や粘土層でありまして、液状化のおそれはないというふうに見ております。ただ、木更津の人工島それから木更津側の橋梁の区間には、液状化の可能性のある粒子の小さな均質な緩い砂質地盤が一部、こういうことでございます。地質調査は私どももいろいろやっておりますが、その結果、地震に対する抵抗力、地盤の抵抗力でございますが、これは十分ありまして、液状化をしないというふうなことが確認はされております。  一方、不同沈下でございますが、これは橋梁や換気塔では、十分な強度を持つように支持層までのくい基礎を採用しております。木更津人工島の盛り土部では、十分な支持力が得られるように、地盤改良を今しております。そのほかにも必要な対策を講ずることにしております。  それからトンネル自身でございますが、トンネルは中が中空ですので、地盤にかかる荷重は、トンネルをシールドで掘ったときに取り除いた土砂よりも軽くなります。不同沈下を生ずるおそれはないと思っております。もちろんまだ本格的なトンネルの工事にかかっているわけではございませんが、現在、より詳細な地質調査を行っておりまして、その結果、液状化あるいは不同沈下についての対応が必要と判定される場合は所要の対策を講じてまいる所存であります。
  82. 木間章

    ○木間委員 首都高速が着手されたのは三十七年と聞いております。液状化を経験したのは三十九年でございますので、設計基準その他についても今日ほど厳しくなかったのではなかろうか、こう懸念をされます。そういった点で、首都高速についてもぜひ点検をお願いしなければならないのではないだろうか、こう思っております。質問は先へ進ませていただきます。  いま一つ、四階建ての木造建築の問題が懸念されます。我が国は四階建ては認めていないのでありますけれども、さきの日米交渉では四階建ての木造建築の採用を強く迫られた、このように報道をしてきております。建設省はそれについてノーという拒否をされたとも聞いておるわけでありますけれども、この地震の多発地帯で、あるいはまた国土の半分以上が豪雪地帯でもありますから、いわゆる災害の多いところで住民生活も接点を持っておりますから、そういったことについても、私は建設省の考え方を支持するものでございますけれども日米交渉とこの四階建ての問題について、この機会に明らかにしていただきたいと思います。
  83. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 先生御指摘のとおり、四階建てにつきましては、現行制度のもとでは高さ十三メートルまたは軒高九メートルを超える建築物、それから百貨店、劇場等の特殊建築物で三階建て以上のもの等につきましては、防災、防火上の観点から木造建築物とすることを禁止してございます。それで、耐火建築物でつくらなければならない、こういうことでございます。  私どもとしましては、技術的な研究を重ねて水準が上がってまいりますれば、当然にこういったいろいろな基準は時代に応じて変化していくものだと考えております。したがいまして、例えば準防火地域の三階建てなんかにつきましては、木造でもつくれるというような建築基準法上の改正を先般来国会にお願いして、通って、現行でやってございますが、そういうようなことはこれからも起こり得ると考えております。  問題の四階建てでございますが、耐火建築物でなければならないということになっておりますので、現状の木造の建築技術でそれが可能かどうかという勉強も別途やっております。壁、床等の主要構造部には、少なくとも一時間の耐火性能がなければならない、こういう基準になっておりますが、現状の技術ではこれを満たす木造建築物の建設は困難でございます。しかし、これを何とかできないかということで、六十一年度から平成二年度の五カ年計画で、建設省の総合技術開発プロジェクトで新木造建築技術の開発ということでやってございます。  その際に、今現在考えておりますのは、三階建ての木造建築物を念頭に置きまして、一時間の耐火、加熱に耐えられる壁、床等の区画部材ができ得るかどうかということを技術的に検討しているところでございます。したがいまして、まだこの成果が出ておりませんので、今のところ、可能性について何ら言及することはできないわけでございますが、こういう勉強を続けてまいりたいと思っております。
  84. 木間章

    ○木間委員 まだ日米交渉では拒否をしておるのですね。
  85. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 まだ全くの平行線でございまして、継続して協議を続けていくことになっております。
  86. 木間章

    ○木間委員 次に、都市が今日ほど発展いたしますと、大変もろくなっておるというのもサンフランシスコ地震は教えてくれたと思うのです。電気、ガス、水道、こういったものが全面的に供給ストップになりましたし、電話もほとんどかからなくなった、あるいはコンピューターもダウンしてしまった、こういうことでありまして、我が国では狭い土地に木造がひしめき合って建っておる、こういう状況でございます。こういったところで一たん火災が起こりますと、地震で水道管も壊れるでしょうし、消火活動もままならぬという状況も発生をしてまいります。そこで、聞くところによりますと、都内もどんどん広まっておりますからガスや水道の保全管理が十分に対応し切れないのではないか、こう心配もするところでありますが、所管は異なると思いますけれども、このガスや水道の保全について国土庁はどのように思っておいでになるのか、お考えをお示しいただければと思っております。
  87. 市川一朗

    ○市川政府委員 御指摘のありましたように、サンフランシスコで発生しましたロマプリータ地震の場合、ガス管の破壊によりまして市内のマリーナ地区で火災が発生しておりますし、また市域ほぼ全域で停電となりました。そういったライフラインの被害の状況は、現在政府調査団が詳細に調べてまいっておるところでございますが、こういった問題につきましては我が国でも早くから問題意識がございまして、ライフラインのそれぞれの管理者が、いわゆる耐震化のための努力を常日ごろからやっておるわけでございます。  具体的な例といたしましては、例えばガスの問題につきましては、万一の場合の緊急遮断装置を設置したり、あるいは地域ごとに被害の程度に応じまして具体的に対応できるように、供給地域を余り広範囲な一元化ではなくてブロック化をいたしましたり、そういうような配慮をしております。また、電気につきましても、送電路の多ルート化とか電力会社間の相互供給応援体制等をやっておるわけでございまして、こういった問題は、災害対策基本法等で義務づけられております防災計画というのがございまして、例えば東京都の場合ですと東京都の地域防災計画を定め、それから東京電力や東京ガスはそれぞれ防災業務計画を立てておりまして、具体的にその対応策を講じておるわけでございます。  しかしながら、御指摘のように一たん地震等がありました場合には、地震の規模、場所等にもよりますけれども、やはりある程度の被害は避けられない。そういった場合に、復旧計画あるいは緊急の場合の動員態勢等、いろいろきめ細かく決めてはおるわけでございますが、実際に起きた場合にそれが被害の程度によってはどういうふうになるか非常に不安な部分は市民各位もあるわけでございますし、我々持っておるわけでございますので、今回の政府調査団の調査結果等も踏まえまして、さらに具体的に改善策等も取り組んでまいりたい、基本的にはそういうふうに考えておる次第でございます。
  88. 木間章

    ○木間委員 いま一つの問題は、パニック状態をいかにして抑えるかという問題があろうと思うのです。  サンフランシスコの場合には電話はほとんどかからなかったと言われております。時間がたってわかったようでございますが、かからなかった大半は、緊急の公用電話回線を確保するために一般の回線を制限したのだ、こう言われております。ところが、実際に災害に出会った場合に一般の人たちの心理状態はどうなるのだろうか。私自身に引き当てて考えてみますと、自分が安全だとわかりますと、次に家族や友人がどうなっておるだろうかが気になるところです。さらに情報がどうなっておるだろうか、極めて大事でありまして、こういったものがパニックをより大きくするかあるいは鎮静化させるか、この情報が極めて重要なポイントを握っておろうと思います。  そこで、このサンフランシスコのような状況で公用電話を優先的にするために一般の情報源であります電話の制限をした、こういうことになりますと、鎮静化とは裏腹に拡大に火をつけるのではなかろうかと心配をするところであります。ですから、災害時の情報の提供というのは極めて大事でありますから、テレビといっても電気が切れますと効用は出てきませんし、ラジオが頼みでございますけれども、いま一つはこの電話回線の活用というのも大きなファクターを持つだろうと思うものでありますが、こういったパニックを静める作用、極めて大事でありますから、電話線のさらなる確保とか、こういったものについての対応をお聞かせいただきたいと思います。
  89. 市川一朗

    ○市川政府委員 御指摘ありました電話回線の万一の場合の利用方法につきましては、我が国でもNTTが定めております防災業務計画の中で、万一の場合、公用の電話回線を優先するといったような考え方で万一の場合の計画を定めております。  現実の問題としてそれがうまく機能するかどうかにつきましては、私どもはやはり日ごろの防災訓練をしっかり行うことがまず大事だということで、機会あるごとに各施設管理者等にも呼びかけておりますが、御案内と思いますけれども毎年九月一日には全国的な規模の総合訓練等も行っておる次第でございます。  そういった訓練で反復訓練いたしまして体に覚えていくといったこととあわせまして、やはり子供のうちからそういった問題に関する教育をしっかりやっていく必要があるという考え方から、防災に対する教育のあり方の問題等も昨今いろいろ指摘を受けておるわけでございまして、御指摘ありましたような自分の身の安全を守ることを含めますが、さらに地域社会への災害時における貢献の仕方といったような問題も含めまして、いろいろ勉強する必要があるなと関係者として考えておる次第でございます。
  90. 木間章

    ○木間委員 地震などの災害に遭遇したときにどういうことが必要なのか、日ごろからの教育は極めて大事だ、こうおっしゃられました。また、冒頭長官の方から、最近の統計ではボランティアに参加をする国民の意思表示もどんどん高まりつつある、極めて肝要なことだろうと思っております。  米国ではパニックも非常に少なかった、こう言われておるその最大のものは、今ほどあったように絶えず教育訓練をやってきた成果であると言われております。新聞なども、地震特集あるいはそれに対応する心構え、電話帳にまでこれらを載せておると報道されておるのであります。また、現実に年寄りを救出したのもボランティアの皆さんであったし、電源が切れて信号が作動しない、そこへボランティアの皆さんが出かけていって交通整理をした、こういった防災教育の徹底が功を奏したのだ、こう報道されておるところであります。私たちは年間を通じてこの永田町かいわいに何日間居住するのでしょうか。私たちの目の前では余りそういったことなど知らされない、聞かれない、経験していないのでありますけれども、こういった訓練もさることながら、日ごろからの教育面でぜひ十分にやってもらいたいと思うのでありますが、現状はどうなっておるか、これからの心構えを含めてお示しをちょうだいしたいと思います。
  91. 市川一朗

    ○市川政府委員 現在、例えば学校教育におきましては、小学校の低学年段階から安全に関する教育というものを社会とか理科とかいった科目の中でカリキュラムとして組んでおりまして、そのレベル、レベルに応じて安全に関する考え方を植えつけておられるようでございますが、まず基本的には、先ほどもちょっと申し上げましたように、災害が起きました場合に災害の程度に応じてどういう形をとって自分たちの身を守るかといったような、いわゆる安全教育が中心になされております。  また一方、地域社会におきましては、先ほど申し上げました全国的な訓練のほかに、各地域に防災センターというのができておりまして、その中でいろいろ防災に関する教育も行う。それから、消防庁が中心となって全国に自主防災組織というのができておりまして、例えば東海地震の発生が懸念されております静岡県におきましては、すべての市町村において自主防災組織ができておりまして、組織率も九六%を超えておるというようなものがございます。そういった組織の中で日常活動を通じまして訓練等は行っておるわけでございますが、私どもも含めまして、一日じゅう東京の中心部で生活して地域社会へは寝泊まりだけに帰るという者でございますと、そういったものにもなかなか参加できないというような問題があることは事実でございます。
  92. 木間章

    ○木間委員 訓練もさることながら、やはり日ごろからの教育が大事だろうと思います。過密化したこの東京あたりは、隣は何をする人ぞ、こういう気風も蔓延をしております。ですから、そういったところでは文書活動等を通じて教育徹底をすることが極めて大事だろうと思います。  時間も参りましたけれども、最後に予知問題で、これも所管じゃないとは思いますが、一言お尋ねをしておきたいと思います。  サンフランシスコ周辺には四百を超える観測機器がめぐらされておった、しかしあの地震を当て得なかったのであります。ですから、この地域でも、地震多発地帯でもありますから、こういったものについて十分対応されておると思いますが、まだまだそういう予知についての結論は出ていないと思いますけれども、こういったものに対する十分な対応、その決意をひとつ最後にお聞かせいただきたいと思います。
  93. 市川一朗

    ○市川政府委員 地震予知の問題につきましては、我が国では文部省にございます測地学審議会で昭和三十九年に地震予知計画の建議がございまして、それ以来計画的な予知の研究が進んでおるわけでございますが、基本的には基礎的研究の裏づけと常時監視の体制等が必要でございまして、いろいろ難しい問題を含んでおるようでございます。  現在の科学技術水準では、東海地震につきましては、一つは海洋型のマグニチュード八クラスの巨大地震でありまして、いろいろな前兆が必ずあるということ、それから二つ目には、地震発生のメカニズム、仕組みがほぼ解明されておるということ、それから十分な観測体制が整っておるというようなことで、地震の前兆現象を把握することが可能であるというところから、東海地震につきましては地震の予知は可能であるというふうに考えられておりますけれども、その他の地震、特に 発生が予想されております南関東地域における直下型地震、これはM七クラスとされておるようでございますが、こういったものにつきましては、まだ基礎的研究も十分進んでおりませんし、常時監視体制もできておりませんので、これからの課題ということにされております。  いずれにいたしましても、地震に関しまして予知できるかできないかということが次の対応のために非常に重要な問題点であることは御指摘のとおりでございますので、私どもも現在関係者合わせまして真剣に取り組んでおる次第でございます。
  94. 木間章

    ○木間委員 一日も早い成果を期待申し上げて、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  95. 東家嘉幸

    東家委員長 中村茂君。
  96. 中村茂

    中村(茂)委員 三十分しか時間がございませんので、私もできるだけ要領よくお尋ねいたしたいと思いますから、要点を得て御回答いただきたいと思います。  まず最初に、建設土木業、いわゆる土建業界にかかわっている問題について、関連して二、三点御質問いたしたいと思います。  労働省が発表した昭和六十三年度の技能労働者需給状況調査によりますと、全産業で一〇・一%の労働者不足だ、この状況は昭和五十年以降最高の不足率を示しています。特にその中で、建設業界は二六・七%という最高の不足率を示しているわけであります。その中身を若干調べてみますと、職人の不足、技能工の不足、これが建設業界の非常に深刻な状況をそれぞれ醸し出している。  そういう中で、建設省と労働省が各県の建設業協会を通じて若年建設従事者入職促進協議会の設立を進めているという状況でありますが、簡潔にこの内容について御説明いただきたいと思います。
  97. 望月薫雄

    望月政府委員 お説のとおり、建設業をめぐります労働環境はかなり厳しい状況にございます。とりわけ最近の民間建築投資の活性化等々の中で、御指摘のような技能工の不足というものが出ているわけでございまして、そういった中で私どもも、若年建設従事者、とりわけ技能工の確保、育成ということが大変重要な課題である、こういうふうに考えております。  そういった認識の中で、御指摘のように、現在、若年建設従事者入職促進協議会というものを各都府県の建設業協会において設けているという次第でございまして、言うなれば若者を送り出す側である教育界と、これを迎え入れる建設業界といったところがともに意見を交換し合おうということによって建設業の雇用改善と入職促進を進めていこう、こういう趣旨のもので、現在活動中でございます。
  98. 中村茂

    中村(茂)委員 特に、今の深刻な人手不足という中で魅力ある建設業界を、体質を含めてどういうふうにつくっていくか、非常に重要な協議会だというふうに思うのですが、今お話ありましたように、その協議会に学識経験者とか教師とかそれから行政担当者、こういう者で組織されていますが、現場で働いている労働者、そういう組織もあるわけでありますから、私は、そういう代表を含めてもっと実りある審議ができるような対応をしていただきたい、こういうふうに思うわけですが、その点はいかがでしょうか。
  99. 望月薫雄

    望月政府委員 現在この協議会は、十月末でございますけれども、十六の県で設置されております。また、本年度中には十三くらいの県が追加されるという状況でございますが、いずれも先ほど御答弁申し上げましたように、教育界と建設業界、こういったところが相集うという格好で運営されております。個々具体の協議会をどう運営するかということについて、私ども立ち入ったことを申し上げるのはちょっと差し控えなければなりませんけれども基本的にはやはり構造改善を進める上で非常に重要な場である、こう思っておりますが、ともかく個別の分野につきましては、私ども各県レベルのそれぞれの事情等もあろうかと存じますので、そこら辺に任せておきたいと思っております。  ただ、おっしゃるように、労働雇用条件の改善ということを考えるときに、御指摘のような点が非常に大事であるということはもう私どもいたく認識しておるところでございまして、現在、中央建設業審議会あるいは建築審議会、こういった場には労働界の代表の方々も積極的に御参加いただいているという現状でございます。
  100. 中村茂

    中村(茂)委員 中身を見ますと、建設省ではその関連の建設業振興基金から五十万円の設立補助金、それから、労働省からはその関連の雇用促進事業団の雇用改善推進事業助成金から一千万円を限度として助成するという内容になっているようであります。したがって、建設省ばかりではなしに労働省も入っているという関連で、雇用関係が非常に重要だ、ただPRだけではどうにもならぬというふうに思うのです。県に任せているというふうに言うけれども、いずれにしても建設省、労働省がかかわっているわけでありますから、よく県と話をして、今申し上げた労働者側の代表が一緒に参加してできるような対応を前向きで指導し、検討していただきたい、こういうふうに思うのですが、もう少しそこら辺のところをはっきりお答えいただきたいと思います。
  101. 九重達夫

    ○九重説明員 労働省としましては、建設業におきます若年者の入職促進、これは非常に重要な現下の課題だと考えております。こういう考え方に立ちまして、業界の自主的な取り組みに対しまして、建設雇用改善助成金を助成対象といたしまして助成金を支給しておりますけれども協議会の構成につきましては、直接労働省が御意見を申し上げる立場にないということもございます。そういうこともございますが、働く方々の意見がこの協議会の運営に反映されるということは非常に重要なことであろうかと思いますので、協議会の運営につきましては、今後建設省協力しながら推進してまいりたいというふうに考えております。
  102. 望月薫雄

    望月政府委員 先ほども御答弁申しましたように、現在十六の都府県でつくられていて、本年度中に十三ほど追加されるという状況でございますが、申し上げたいことは、とにかくこういう格好でいわば事業者、専門工事業者等も含めてでございますが、事業者と教育を預かる側が同じテーブルに着いて率直に意見交換をしながら一つのいい方向を見出そう、こういう段階でございますので、先生の御趣旨のこと、これからの課題としては頭に置かせていただきますけれども、とりあえず、私ども先ほど申したような姿勢でやっていきたい。と同時に、やはり具体的には各県それぞれの事情等々も、熟度等いろいろございますので、そういったところに応じて、それぞれの個別のレベルで御判断をいただくということで考えていきたいと私ども思っております。
  103. 中村茂

    中村(茂)委員 もう発足していますから、一斉にというふうに言ってもなかなか、それで各県と協議をして、できるまたは受け入れられる、こういうところについては前向きで対処していただきたいということを強く要請しておきたいというふうに思います。  それで次に、外国人労働者、これがやはり建設業界の人手不足と裏腹の関係で非常に関係しているのではないか、こういうふうに私は思っていますが、最近の外国人労働者の状況を見ますと、不法就労問題というのが非常に大きな社会的な問題にまでなってきている。芸能とかタレントとかホステスという女性層が非常に多かったというふうに言われていましたが、ここ二、三年は土木作業員とか工場労働者、いわゆる男性の進出が非常に多くなってきて、女性よりも最近は男性の不法労働者。そういう中でまた、学生で留学で来るという中にもそれを兼ねながら就労という、今非常に複雑な不法就労の問題が起きているのではないか、こういうふうに思います。  そういう中で、先般衆議院において出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案が参議院に送られました。その附帯決議がここにあるわけでありますが、その二の中では「雇用主等に対する処罰規定については、同規定が悪質な雇用主・ あっせん者等の取締りの必要性から設けられた経緯にかんがみ、その運用に当たっては、いやしくも濫用にわたることのないよう、十分に配慮すること。」こういう状況ですから、処分規定の中で悪質な雇用主またはあっせん者、こういうものはきちっと取り締まってけじめをつけていくことが非常に必要ですからこの法案があるわけですけれども建設業界の実態を見ますと、恐らく建設業界の中で一般の労働者というか、そういうところで働いているのは下請またはその孫請、本当に末端のところでそういう人たちが働いている状況が散見されるわけであります。それが処罰に該当ということになってまいりますと、また末端のところでその雇用主が処罰される、こういう関係が出てまいりますから私は指摘するわけでありますけれども建設業界というのはあらゆる面で重層になっている。それで、孫請からその下まであるというようなことを言われている。  確かに、他の産業界、自動車とか電機でもいいですけれども、これは非常に整備されてきました。末端にいる労働者も元請のところにいる労働者も、賃金も労働条件もそう変わりない。ところが、外国人労働者とあわせてこの重構造の建設業の実態を考えてみれば、産業界のところは職場は一つです。だから、環境もよくできるし一緒にいても一緒によくできる。ところが、建設業界というのは職場は仕事によって全部違うわけであります。仕事ができればそこが職場になるという、全く変わった職場現象というものがあるわけですから、そういう問題で非常に難しい。こういう問題が出てきたときも、その対象になるのは末端だ、上の方がのほほんとしているということではどうにもならぬ。あらゆる問題を考えてみた場合に、この格差の開いた重層をどういうふうに縮め、全体的によくしていくかということは重大問題だと思うのです。そういう意味を含めて、これは親の方も責任を持つというような整理をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  104. 望月薫雄

    望月政府委員 簡潔に申し上げまして、先生がおっしゃるように、建設業の実態というのは大変複雑な構造で形成されているという今日でございます。そういった中において、お話のようないわゆる外国人労働者、とりわけ単純労務者が結構入り込んでいるという姿、いわゆる不法残留者に対する法務省の摘発の状況を見ましても結構数がふえているということについて、私どももこの事態を深刻に受けとめております。  基本的には、私ども、単純労務者が建設業に入ってくるということについては、我が国のこれまでの方針あるいは建設業の現在抱えている本当にこれからあすに向けての構造改善というものを進める上で極めて問題である、こういう認識に立って業界指導もしているさなかでございますが、そういう中で、お話のような入管法の改正が現在御審議いただいているわけでございます。私ども、この法律が通りました暁についてでございますけれども、もう言うまでもありませんが、新しく盛り込まれますいわゆる雇用主罰則等々の規定に伴いまして、こういった違反事犯が出ますれば、建設業法によって対処するということがまず出てまいります。これについては、当然罰金刑あるいは禁錮以上の刑等々の条文が七十三条の二にあるわけでございますが、禁錮刑以上の者が出た場合には現在の業法でも対処するということになるわけでございますけれども、そういった中で、先生が今おっしゃったように、元請、下請の関係等々も大変重要な問題というふうに我々は認識しております。  特に現在の建設業法においても、元請は下請の雇用について指導しなければならぬという義務規定まであるわけでございまして、私ども、この入管法の改正がなされました暁におきましては、法務省当局等とも御相談しながら十分な業界指導、とりわけ元請も含めての指導というものを一層強くしてまいりたいと考えている次第でございます。
  105. 中村茂

    中村(茂)委員 参議院を通った場合には、今のお話のように、建設業法で対応していただきますようお願いを申し上げておきたいと思います。  それから、この附帯決議の四の中にも今後の問題について触れているわけでありますが、単純労働者の受け入れという問題は将来は何とか解決しなければならない国全体の大きな問題ではないかと私は思っております。そこで、私どもが考えている二、三の点を申し上げて、これからも皆さんとともに研究していきたい、こういう気持ちであります。  人間でありますから、金や物とは全く違う。したがって、そこに人権問題という問題が起きてくる。そういう中で、特に建設業の場合には、末端で働いている建設労働者は条件も悪いし賃金も非常に低い、こういう劣悪な状態に置かれているわけでありますから、そこへ単純労働者がどんどん入ってくるということになれば安い賃金の労働者、こういう裏腹の関係が出てきて、日本の低賃金、労働条件の悪いところの労働者がますますそういう状態に置かれていくという関係が出てくるわけでありますから、まず一つは、外国の労働者であろうと日本人の労働者と賃金においても労働条件においても差別のない、同等の待遇をしていくというような条件をつくっていかない限り、さまざまなそういう問題が出てくるのではないかと思います。  それから、特に建設労働者の末端で働いておる皆さんに聞いてみますと、日本語がわからないということがほかの企業と違って一番困るのだ、あそこのところは危ないぞと言ってみても日本語が通じないからどんどん手をつけてしまうとか、これが他の職場と違って非常に困るところだ、こういう話を聞いております。ですから、日本語の教育というか、そういう教育問題も慣習になれるために必要になってくるのではないか。あるいは宿舎とか住宅とか、こういう問題が当然出てまいりますし、長く働いていれば、日本人と同じように労働災害に対しての制度または年金保険制度という社会保険制度も当然問題になってくるでしょう。こういう後段に申し上げたのは、西ドイツあたりではトルコの人たちを多く雇って、そこのところが今一番問題になっておるということも聞いておるわけでありますから、短期、長期にわたる制度をきちっと確立した中で、受け入れ体制をきちっとつくった後にこういう問題を取り上げていくべきではないか。  しかし、先ほども申し上げましたように、遅かれ早かれの問題だと私は思います。日本の今の状況を見ても、不法に就労しておるというような状態はもう許すことができないわけでありますから、国と国との国際的な問題からしても、きちっとした条件と、国際間の整備された中できちっとした労働者を受け入れる、このことが急務になっておる問題でありますから、強く要請しておきたいと思います。  次に、三省協定の問題ですが、これは私はこの委員会で何回か取り上げてきておりますから、内容や細部について申し上げるというふうにはきょうは考えておりません。  ただ、最近のいろいろな情報なり新聞なりを見ていきますと、特に公共事業については、入札が不調に終わったとか、そういう中でも、人手不足や建築資材が高くなってきておるためにそれが影響しておるのではないかとか、公共事業に対してのさまざまな問題が出てきております。もっと卑近な例は、公営住宅についてもなかなか受けるところがない。それから整備公団の公団住宅においても、もう少し単価をよくしてもらわなければとてもじゃないが苦しくてどうにもならぬ。こういう公共事業に関連する政府、公団等の発注についてもそういう問題が出てきておるわけです。  ですから、もとをなす、発注の試算になる三省協定を、確かに調査してきちっとやっておりますけれども、どこかで調整というか見直すということを考えていかなければこういう問題がさまざま出てくるのではないか。したがって、根本的な見直しを強く要請しておきたいと思います。いかがでしょうか。
  106. 望月薫雄

    望月政府委員 お話のとおり、最近、特に建築 関係の仕事をめぐりまして、いわゆる入札不調等の事案も出ておるということを率直に認めざるを得ないわけでありますが、そういった背景には、先ほどから出ておりますように、本当に建築系統の民間も含めての投資の活性化の中で、いわゆる型枠工、鉄筋工といった特定の職種が非常に不足しておる、こういった現状がございます。これに対しまして私どもも、実態等を踏まえながら極力現実に合わせるようにということで、官民の建築懇等も持ちながら、できるだけその辺の改善の努力をしておるさなかでございますが、そういった中で、今先生御指摘の三省協定の問題でございます。  これはもう先生には何遍も御指摘されておるところでございますので、繰り返しは恐縮でございますので避けますけれども、いずれにしても、現在の公共事業発注に当たっての賃金というものの単価が適正でなければならぬというのが予決令で決まっている基本でございまして、私ども、こういった観点から、毎年毎年十月に膨大な数の実態調査をもやって、そういった単価を決めているという今日でございます。  ただ、その際に、何分とも残念なのは、非常に現象的にはお話のようなことがあるわけでございますが、我々厳正な調査を前提にしてそういった単価を求めるわけでございますけれども、賃金台帳等が必ずしもどうも十分うまく整備されてないということがありまして、ことしの場合は、そういった意味で、賃金台帳を正しくつけるキャンペーンというものを大々的にやって、十月一日に行ったわけでございます。そういったことで、私ども、少しでも賃金台帳の正確な登載という中で、この予決令等で求めています適正な単価というものを導く努力を最大限させていただきたい、こんな現在でございます。
  107. 中村茂

    中村(茂)委員 私がきょうずっと取り上げてきたのは、冒頭申し上げましたように、建設業界の人手不足、一口に言えばそういうことですけれども、大変な事情があり、さまざまなことが行われようとしている。  建設省の北陸地方建設局から送られてきました「けんせつ ほくりく」というのをきのうもらったのですけれども、ここにも非常にすばらしいことが印刷でいっぱい出ています。「どう映りましたか?土木の世界」「建設界のイメージアップ」「魅力ある建設界を創造するために」、これは特集で、人を頼んだりいろいろして、すばらしい、すばらしいといっぱい書いてあるのですけれども、もとは建設業界の末端で働いている職場なり、そういうところが魅力が出てこなければ、どんなに紙に書いてもどうにもならぬわけです。そういうことについて、もう細々申し上げませんけれども大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
  108. 原田昇左右

    原田国務大臣 建設業を魅力のあるものにするには、建設業自身が魅力のある職場であらねばならぬというのは、委員お説のとおりであります。  我々は、建設業というのは、国民生活と産業活動の基盤づくりを担う基幹産業であるわけでありまして、その近代化、合理化を図っていくことは極めて大きな政策課題と認識しております。平成元年度を建設業の構造改善元年と位置づけまして、構造改善推進プログラムを実施中であります。  具体的には、まず第一に、不良不適格な業者を排除する、第二に、総合工事業界と専門工事業界との間の近代的、効率的な役割分担のルールを確立すること、第三に、生産性を向上させること、第四に、雇用条件の改善を図りつつ、産業としてのイメージの向上にも努めること、こういうようにしておりまして、官民挙げてこれらの課題に取り組むことによって若者に魅力ある産業づくりに努めていく所存であります。  ただ、若者の方も最近、どちらかというと泥まみれになったり汗の出るような職場はできるだけ敬遠して、事務の方がいいというような風潮が出てきておるということは、私ども大変憂慮すべきことではないかと思います。これは学校教育あるいは家庭のしつけ、また建設業の方のイメージアップ作戦も大事だと思いますが、そういう根本的な社会風潮あるいは教育環境といったものも、我々としてはこれから政治家の一人として、果たしてそれでいいだろうかということを考えていかなければならぬのじゃないかというように思っております。
  109. 中村茂

    中村(茂)委員 もう時間が二分ばかりになりましたけれども、確かに現在の風潮で若者というものを対象にして考えてみた場合に、勤労のとうとさというものが失われつつあるということ、これは建設業界ばかりではなしに全体に憂慮すべきことだし、これからは教育問題を含め、社会の問題を含めて考えていかなければならない重要な問題だというふうに思いますから、せっかくの御努力をお願い申し上げたいと思います。  最後に、住宅宅地政策について、簡潔に私どもの考え方を触れておきたいと思います。  いろいろ言われてまいりましたが、土地の基本法についても、宅地の供給をどういうふうにするかということがいろいろ論議され、そういう中身を含めて参議院に送られたという経過もございます。先ほどもずっといろいろ論議されてまいりました。そこで私は、特に三大都市圏を中心にする大都市については、公的賃貸住宅、公共住宅を含め、そのもっと幅を広げた公的賃貸住宅推進というものが中心になっていかなければならないのではないかというふうに思うわけであります。六十三年度の新規の住宅戸数を見てまいりますと、総戸数で百六十六万三千戸、これを一〇〇%にして見ますと、持ち家が二九・九%、借家が五〇・六%ですが、このうち民間借家が四四%ですから、その差は六・六%、戸数にして十一万戸。そして、この十一万戸のうち公共住宅と言われるのが五万一千戸ですから約半分、そのほかは住宅金融公庫等の、民間と兼ね合わせたいわば公的というか、そういう中に含まれる。それと、給与住宅が一・五%、社宅、官舎、職員住宅。それから、分譲住宅が一八%。この十一万戸のうちの公共というのが先ほど言ったように五万一千戸。そして、その中身を見ていくと、公営住宅が七六・六%、地域特別賃貸住宅が一・三%、改良住宅が五・六%、公団賃貸が一四・九%、公社賃貸が一・六%。全体から見ても、百六十六万三千戸のうち五万一千四百八十七戸という公共賃貸は、これは全国ですけれども、これからの三大都市圏の中ではもっともっとこれをふやしていかなければいけないのではないか、これが一つです。  二つ目には、給与住宅と言われている社宅、官舎それから職員宿舎、それに該当するので、労働省も来ていますけれども、時間がありませんから答弁は必要ありませんが、雇用促進住宅、そのほか若干あります。何人かというのはまだ検討中ですけれども企業の千名以上就労しているところについては、社宅と言っていいかどうかわかりませんけれども住宅を相当つくってもらう、こういう手法を大きく取り入れていく必要があるのではないか。特に三大都市圏等については企業住宅について責任持つ、こういう関係を要請しておきたいというふうに思います。  それから日本の場合には、家賃というもの、住宅所得というものが原価主義ですから、応能主義になっていない。応能主義になっているとすれば公営住宅だ。そのことを考えてみれば、私どもはずっと前から住宅保障法を出してそこら辺の基準を定めろというふうに言ってきたわけですけれども、これは住宅基本法なり住宅保障法というところまでいかなくても、何らかの行政なり方法で、家賃というものはこういうものですよ、いわゆるガイドラインをどういうふうにつくっていくかという研究にぐらいは入っていただかなければいけないのではないか、こういうふうに思っているわけであります。  若干時間が過ぎて申しわけありませんけれども、数点を申し上げて、これは私の意見にしておきたいと思いますから、せっかくの御努力をお願い申し上げたいというふうに思います。
  110. 東家嘉幸

    東家委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十一分休憩      ────◇─────     午後一時三十二分開議
  111. 東家嘉幸

    東家委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。古川雅司君。
  112. 古川雅司

    古川委員 若干の御質問をさせていただきます。  最初に、厚生省からおいでをいただいておりますので、高齢者のための住宅対策ということを中心に伺ってまいりたいと思います。  申すまでもございませんが、いよいよ本格的な高齢社会を迎えまして、先日、私ども広島県の御調町というところで、高齢者介護のあり方をテーマにシンポジウムを開きました。この御調町にございます公立御調総合病院では、院長の山口昇先生を先頭にいたしまして、長年、包括医療体制に取り組んでこられました。いろいろ御苦労をなさり、試行錯誤を重ねまして、今日では一つの全国的なモデルケースとして注目をされているところでございます。  これは高齢者の介護につきまして、いわゆる地域ぐるみで、医師、看護婦、PT、そして保健婦さん、ホームヘルパー、ボランティア、そういった人材を得られまして、町当局あるいは地域ぐるみで、県、そしてまた厚生省のバックアップ、御指導を得ておりますし、またふれあいの里、福祉センター、そういったところと一体になってこの課題に挑戦をしているわけでございます。ただ、今後ともいろいろたくさんの課題を含んでおりますけれども、その中に住宅問題もその一つとして挙げられるわけでございます。  時を同じゅういたしまして、同じく私ども家庭におけるいわゆる在宅のお年寄りの介護に関するアンケート調査も地元で実施をいたしました。いろいろ項目を設けて御意見また実態を伺ったわけでございますが、おうちで介護をしていらっしゃる皆さんの実に九割に近い八六%の方々が介護施設への入所を希望していらっしゃるという実態もあるわけでございます。こうしたところから高齢者の住みやすい住宅づくりあるいは増改築ということが今後大きな課題になっていくのではないかと思いますが、幸いにして厚生省の方では来年度に向けまして、ねたきり老人ゼロ作戦という方向を示して、既に予算要求をしていらっしゃるということでございます。  以下、厚生省の方から、ねたきり老人ゼロ作戦を含めて、高齢者の住宅問題についてどういうお考えを持っていらっしゃるか。これまで十分な資料もいただきまして、また御説明もいただいておりますので、特に今後の展望と申しますか見通し、そういったことも含めて、まず御説明をいただきたいと思います。
  113. 辻哲夫

    ○辻説明員 お尋ねについてでございます。  ねたきり老人ゼロ作戦、こういう予算を来年度に向けて要求させていただいておりますが、昨今、寝たきり老人の問題が大変大きな問題になっておりますけれども、やはりこれからはできる限り自立する、少しでも自立しているということが老人にとって一番大切でございますので、寝たきりの状態をゼロにしていこう、こういう願いを込めまして新たな予算要求をさせていただいております。  例えば、脳血管性障害を防ぐとか転倒を防止するとかといった防止策から、リハビリテーションを強化する、さまざまな問題がございますが、あわせまして住宅改造、こういう問題もこれからは寝たきりゼロにするために必要であるというような非常に幅の広い展開でございます。  特に住宅の関係についてお答え申し上げますけれども、まずゼロ作戦との関係で申しますと、これからは病院から在宅へ、なるべくおうちへ帰れるようにということですが、住宅構造が非常に大きな制約になっているということが指摘されておりまして、例えば段差をなくしたり手すりをつけたりして、車いすで生活できるようにする、あるいは外に出やすくする、こういうことが非常に大切でございまして、住宅構造というものをこれから改めていくような政策をとらなければならない、これが第一点でございます。この点につきましては、建設省と連携させていただきまして、私どもの福祉サイドであります高齢者総合相談センターに住宅改造の専門相談員というものを設けまして、あわせて建設省サイドと連携させていただきまして地元工務店の関係者にもそのような方法についての研修をさせていただくといったことと相まちましてこの政策を進めさせていただきたい、こう願っております。  それから、二点目といたしまして、これも建設省と提携させていただきまして、シルバーハウジング・プロジェクトという住宅対策と福祉施策を連携した政策を進めさせていただいております。これにつきましては、建設省サイドで高齢者向けに整備させていただきました公営住宅等と厚生省サイドの福祉サービスが連携いたしまして、ひとり暮らしで過ごすことが非常に不安であるというようなお年寄りが安心して地域で住めるようにするというものでございます。具体的には、建設省サイドで既にそのような住宅整備を進められておりまして、ぼつぼつできる状況にございます。  したがいまして、厚生省といたしましては、地域の福祉サービスの拠点として整備いたしておりますところのデイサービスセンター、これを福祉サイドで俗に言う在宅三本柱の一つとして大切に整備させていただいておりますけれども、ここにライフサポートアドバイザー、生活指導員とも援助員とも申しておりますけれども、この方をここからシルバーハウジングとして整備されました住宅に派遣させていただきまして、そしてお年寄りの相談、緊急時の対応、安否確認あるいは困ったときの病院や福祉サービスとの連携、こういうものをさせていただくということで、この予算につきまして、住宅がぼつぼつでき上がります時期に焦点を合わせまして、来年度予算として要求させていただいておるところでございます。  以上、よろしくお願いを申し上げます。
  114. 古川雅司

    古川委員 今、厚生省の方から御説明をいただいたわけでございますが、お聞きのとおり、これは建設省との非常に綿密な連携プレーによってこれから推進をしていただかなければならない、そういう非常に大きなポイントがあると思います。今後新規の施策として新しく建設をされる公営住宅あるいは公団住宅あるいはまた公庫住宅といったところに当然そういった配慮が必要になってくるわけでございますが、既設の公営住宅等についてもどういう配慮をしていけばいいのか、これはなかなか大がかりな事業になっていくのではないかと思います。  さっき申し上げた御調町におきましては、実際には病院の方からPTがそれぞれの家へ赴きまして、退院間際のお年寄りのために手すりから、段差をなくすスロープをつくる工事、そういったものすべて、それこそ金づちを持って手がけていく。専門の立場でございますからそれができるわけでございまして、非常に効果を上げておりますけれども、これはやはりそういうお年寄りの身になって、あるいは医療者の立場をよく理解してそうした施策を進めていかなければならないと思うのでございます。  建設省としては、今御説明のありましたシルバーハウジング・プロジェクトを初めといたしまして、ケアつき住宅あるいはそういった諸施策について詳細は先ほど申し上げましたとおり資料も説明も十分いただいておりますけれども、今後の方向、こうした事業を拡大していけるのかどうか、さらに強力に進めていけるのかどうか、そういう体制にあるのかどうか。先ほど御説明をいただいた厚生省との情報交換あるいは連携、そういった現状も含めてひとつ御報告をいただきたいと思います。
  115. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 我が国の場合、高齢化が急速に進んでおることは御案内のとおりでございます。  まず、お尋ねのシルバーハウジング・プロジェクトでございますが、六十二年度におきまして五事業主体、百三十一戸、六十三年度におきまして七事業主体、百五十六戸の事業計画を策定しております。さらに平成元年度は七事業主体、計百七 十五戸の事業計画を策定する見込みでございます。なお、既に完成をして入居済みの戸数は全国で四十八戸という状況にございます。  これは今厚生省から御説明がありましたように、厚生省の在宅福祉対策の三本柱の中のデイサービス事業という中の一つでございます。今後とも公共団体がそれぞれの市町村の中で、そういうケア住宅を必要とする老人がどのくらいいるかというような実情を押さえながら、厚生省とも連携をとりつつシルバーハウジング・プロジェクトを進めてまいりたいというふうに考えております。  それからもう一つ、既存の住宅を高齢者向け住宅に増改築をする、リフォームするということで、相談員制度につきまして厚生省の方でいろいろと概算要求をなさっておるようでございます。私ども住宅リフォームの推進ということで、実は各県に住宅相談所というものを設けておりまして、増改築相談員制度というものを登録をして消費者サイドの利用の便に資しておるわけでございます。  したがいまして、これらの増改築相談員が、こういう高齢者対策、高齢者向けの住宅にリフォームするということについての知識を十分持っていただく、特に介護機器とかそういったものが住宅に入ってきた場合に、どんな問題があって、どういうふうに住宅を直さなければいかぬかというような知識を十分持つ必要があろうかと思います。  したがいまして、この相談員の、実際は工務店の方々がその相談員になっておるわけでございますけれども、この工務店等の研修に当たりましては、厚生省とも相談をいたしまして建設省協力をして実施をしていくということで、厚生省と打ち合わせをいたしております。今後、詳細を詰めてまいりたいと存じます。  それから、在宅福祉対策ということで三本柱があるわけでございますが、やはりこれからの高齢化社会で住宅の中に家族と一緒に住む、三世代居住というような形がまだまだ日本は多いわけでございますけれども、絶対数としては老夫婦二人だけで住んでいく、あるいは単身の老人世帯がふえるというような傾向にございます。したがいまして、住宅対策全体として、住宅そのものを、高齢者が住む場合に、そういうものを高齢者が住みやすいように直していくことも非常に重要であろうかと思います。そして、在宅しながら厚生省の方の在宅福祉対策のサービスを受けながら自分の家で生涯を終える、こういうことがこれから望まれるのではないかと思うわけでございます。  したがいまして、この住宅サイドでどういうことが一番大事なのかということにつきまして、最低限必要なものは必ず実施をしなければいけませんし、そういうような方向で今後とも厚生省サイドのいろいろな対策を勉強させていただきながら連携を強めまして、高齢者が安心して住まえるような住宅整備に努めてまいりたいと考えております。
  116. 古川雅司

    古川委員 大臣、甚だ簡単ではございましたけれども、概略お聞きのとおりでございまして、既に高齢社会に突入をしているわけでございまして、これは非常に緊急重要な課題の一つであると思います。  根本的に私は、それぞれのプロジェクトにいたしましても、今後事業を進めていく上におきましても、人材、人を得ることが一番大切であり、また非常に困難なことであると思いますけれども実情はあくまでもこれは緒についたばかりでございまして、これからの大変大きな課題であります。特に厚生省、建設省が中心ということになると思いますけれども、ひとつ大きな問題について大臣の所信、御決意を伺っておきたいと思います。
  117. 原田昇左右

    原田国務大臣 古川委員の非常に高齢化社会へ向けての御熱心な御研究、大変敬意を表する次第でございます。我が国の人口構成の高齢化というのは、欧米各国に比べて急速に進展すると見込まれておるわけでありまして、高齢化社会への対応というのは住宅政策においても極めて重要な課題であると認識いたしております。  このため、高齢者が生きがいを持って家庭や住みなれた地域で生活ができるように、まず第一に、機能が低下したことに対応する設計、設備を有する住宅というものを考えていかなければならぬのじゃないか、例えば階段の問題とかいろいろ工夫をしなければならぬ問題があろうかと思います。  それから第二に、子供世帯との同居とかあるいは高齢者のみの世帯といったような多様な住まい方のニーズがあろうかと思います。三世代同居世帯あり、あるいは高齢者だけでお一人住まわれる方もおられるでしょうし、そういう多様なニーズに対応した住宅を供給しなければならない。  それから第三に、在宅福祉対策との連携をとった住宅、今のシルバープロジェクト等の供給を進めていくことが極めて大事だ、こういうように考えております。  今後とも住宅政策における高齢者対策の重要性にかんがみまして、福祉施策等との連携を密接に保ちながら施策の充実に努めてまいりたい、こういうように考えております。よろしく御指導願います。
  118. 古川雅司

    古川委員 大臣からただいまのような御答弁をいただいたところで、この問題を終わらせていただきます。厚生省、ありがとうございました。  次に移らせていただきます。  最近、会計検査院からいろいろ指摘事項がございまして、その中から二点ほど取り上げて建設省の見解を伺っておきたいと思います。  一つは、昭和六十三年度の決算検査報告の作成審議段階ですが、橋梁工事などの設計ミスが急増しているということで、建設省の補助工事指摘が大幅にふえているということが挙げられております。これは非常に気にかかりますのは、こうした設計の不適切な事態というのは、先ほどサンフランシスコの大地震がございましたけれども、構造の震性などの強度の問題にも非常に影響しているところでございます。こういう不適切事態がふえているということ、これはやはりどういうことに起因をしているのか。この指摘をまつまでもないと思うのでございますが、設計業務そのものをいわゆるコンサルタントに大半を委託しているという実態、あるいは職員の人手不足などということも一つの問題点だと思いますが、建設省としてはこの辺をどうとらえて、どう対応しようとしていらっしゃるのか。  もう一つ指摘につきましては、これは住宅局の方になりますが、公営住宅等の家賃の滞納の問題、これは行政の責任であるという指摘を受けておりまして、いわゆる手抜き業務として非常に厳しい指摘があったわけでございます。建設省としては早速これに手を打たれたということでございますけれども、果たしてこれは一片の局長名の通達等で済まされていく問題なのかどうか、この取り組み。この二点についてそれぞれ御答弁をいただきたいと思います。
  119. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  橋梁関係のことでございますけれども、先生今お話がございましたように、昭和六十三年度の建設省の所管の道路事業にかかわります会計検査院の検査におきまして、地方公共団体が施行いたしました橋梁工事の設計に不適切な点が指摘されましたことは、私ども大変遺憾でございます。  内容等につきましては、例えば橋台の鉄筋の径につきまして、三十二ミリの鉄筋を配置すべきところを過って二十五ミリの鉄筋を配置するということで設計施工したということで、これは処置はしたわけでございますけれども、いずれにいたしましても四件ございまして、これらの指摘された原因を見ますと、数字の書き違え、非常に不注意なミスによるものが大部分であります。  したがいまして、確かに今先生のお話がございましたコンサルタント等で設計をしたものもかなりあるわけでございますけれども、こういう事態が生じないように、いわば調査方法の充実、こういうものについて一段と拡充をするべく検討しておるわけでございます。さらに、地方公共団体に対しまして、部内のチェック体制の強化を図るよう指導してまいる所存でございます。
  120. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 公営住宅の家賃滞納問題についてのお話でございます。新聞報道ですと、会計検査院が指摘をした、こういう報道になってございますが、今のところ正式の指摘ということではございませんで、会計検査としては、タームを決めまして、何年かに一回必ずこういった公営住宅についての管理問題を取り上げております。  私どもも、公営住宅の管理は、公営住宅自体が低額所得者の生活の安定のために必要な公共的な住宅でございますので、管理を適正にするということは非常に重要なことでございます。したがいまして、常日ごろから公営住宅の適正管理についてしばしば担当者を集めて研修会をやりましたり、適正管理についての通達も何度も出しておるわけでございます。  最近におきます公営住宅の滞納状況を見ますと、六十一年度に本来納めていただくべき公営住宅の家賃収入の額が三千五百九十九億円余あるわけでございますが、それに対しまして滞納額が四・三%ということだったわけでございます。六十三年度は三・四%というふうに、各年度を見ますと減ってきておる傾向も出ておるわけでございます。  そういうことで、今回も会計検査院が公営住宅の家賃につきましていろいろとお調べになったということで、公共団体からもいろいろな報告を受けておりますので、私どもも再度この滞納問題につきましてより具体的な通達を流しまして、滞納の整理あるいは防止を図りたいということで、今までの通達に加えまして改めて出した次第でございます。今後ともあらゆる機会を利用しまして公営住宅の管理の適正化に努めてまいりたいと存じます。
  121. 古川雅司

    古川委員 大臣、お聞きのとおりでございますが、いずれも事例としてここに取り上げたわけですけれども、従来から決して手を抜いていたわけではない、十分注意をしながらこういう指摘を受けるような事態になっているということでございます。住宅局長の方からの御答弁で正式な指摘ではないというお答えもございましたけれども、新聞報道では既に住宅局長から通達を出すということまで報道しているわけでございます。  いずれにしても、実態は今御答弁をいただいたようなとおりでございますので、建設省としてはかなり覚悟を持って対処していただかなければならないと思うのですが、大臣の御所感を伺っておきたいと思います。
  122. 原田昇左右

    原田国務大臣 今御指摘ございましたような案件につきましては、そういう事態がありますことはまことに遺憾千万でありますので、今後ともこういうことのないように十分注意をさせますし、また、未然に防止する方策等について十分な検討を行うように指示するつもりでございます。よろしくお願いいたします。
  123. 古川雅司

    古川委員 最初に挙げました会計検査院指摘の橋梁工事などの設計ミスが急増ということに関連をいたしまして、道路公団においでをいただいておりますので、中国自動車道を事例といたしまして、その事故防止対策についてひとつ伺っておきたいと思います。  中国自動車道というのは山岳道路の宿命でございまして、カーブの連続、そしてそれがまた下り坂であるというような設計が非常に多いわけでございます。昨年の七月でございましたか、境トンネルの大惨事は記憶に新しいところでありますが、そのほか、このルートではいわゆる事故多発地帯というものがしばしば指摘されておりまして、公団としてもあるいはまた建設省としてもいろいろ知恵を絞っていらっしゃるところだと思いますけれども道路公団の広島管理局あたりのコメントを伺いますと、今後注意を喚起していく、例えば車間距離であるとかスピードであるとか、あるいは標識を見直していくとか、やれる限りのことはやった、後はドライバーの注意だ、そういう印象を受けるようなところが間々あるわけでございます。  一方では、例えばハイウェイ・セーフティー研究所の加藤正明所長によりますと、ここは危険だというのはいわゆる結果論であって、道路の性格といいますか道路のあり方そのものにも問題があるのではないかという指摘をしていらっしゃるわけでございます。  事例を挙げますと、事故多発地帯としては、東城町の帝釈峡パーキングエリアあるいは千代田町付近の安佐サービスエリアあるいは北房インターと新見インターの間、そういったところが指摘をされておりますが、道路公団としては、この辺今後どういう対応をしていかれるのか。さらに、先ほど橋梁工事の設計ミスのことを伺ったばかりでございますが、いわゆる設計の段階で問題はないのかということをひとつポイントとして伺っておきたいと思います。
  124. 中道文基

    中道参考人 お答えいたします。  本年における交通事故件数等は最終的に警察庁が取りまとめて公表しますけれども、当公団、道路管理者として現在把握しているところでは、今年九月までの中国自動車道の事故発生状況は一千六百六十四件、対前年比八%増、死亡者三十八人、対前年比二三%増となっておりまして、事故率等につきましては高速道路の平均を下回っておりますけれども、非常に残念なことだと私は思っております。  先生御承知のように、中国道は山岳道路で地形が非常に厳しく、気象条件の変化が激しいところでございます。交通安全対策は、交通の実情と事故の実態を調査いたしまして、交通安全施設として防護さくの改良、標識の整備等を従来より行ってまいっております。特に先ほど御指摘の六十三年の境トンネルの事故あるいは六十三年における事故の増加といったことを受けまして、交通安全施設の緊急点検を行っております。その結果、トンネルにこれから入るぞといったような予告板、あるいは今自分がどのようなところにあるかという車間距離の確認のための標識、あるいは注意喚起のための視線誘導設備等を充実してまいってきております。  また、平成元年におきましてもなお増加傾向が続いているという状況にかんがみまして、道路線形が厳しい箇所に事前に注意を促すための標識の設置、あるいは視線誘導標の設置、それからスピードを出し過ぎたり居眠り運転その他を防ぐために普通の道路の上に、そこを通るとがたがたっと眠け覚ましを起こすというような、これは薄層舗装といっているのですけれども、そういったもの、あるいは、これからまた冬季に入りますけれども、交通を確保するためのチェーンベース等を設置して、交通安全対策を重点的に実施してまいりたいと思っております。  さらに、平成二年度から三年間かけまして交通安全対策緊急三カ年計画を策定いたしまして、交通管制システムの整備、あるいは夜間照明の整備、あるいは中央分離帯にぶつかっても乗り越えられないような強化型の防護さく、そういったものを推進してまいりたいと思っております。  また、交通安全の啓蒙として、ポスター、チラシ、横断幕等によりまして一般の利用者あるいはお客様に呼びかけております。なお、これから冬季に入りますと、ますます重点的にそういったことの広報を行ってまいりたいと思っております。  以上です。
  125. 古川雅司

    古川委員 道路局長にお伺いいたしますが、こうした問題はまさか公団任せということではないと思いますが、これからもこうした高規格道路の建設というのはどんどん進められていくわけでございます。単にスピードの出し過ぎとか車間距離のとり方が少ないとか、そういうドライバーの注意を喚起するということだけでは済まされないいわゆる構造的な問題が多々あると思うのですが、非常に難しい問題ではあると思いますけれども建設省としてはこういったことにどう対応していかれるのか。厚生省でも、先ほどのお話じゃありませんが、ねたきり老人ゼロ作戦という施策を進めていこうとしているわけでございますので、今後こうした高速道路がますますふえていく、また交通量もふえていくというところから考えますと、やはりこれは相当本格的に本腰を入れて取り組ま なければならない課題だと思いますが、この点いかがでございますか。
  126. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  高速自動車国道の伸展に伴いましてやはり走行台キロもふえてまいりましたけれども、大変残念なことに事故の多発傾向があることは事実でございます。道路公団からも先ほど御答弁がありましたように、高速自動車国道というのは交通安全を一層重視して整備をしているわけでございますが、道路標識であるとか、あるいは道路交通情報提供装置あるいは安全施設、こういうものの整備をするとともに、安全パトロールあるいは適切な維持管理、道路巡回、こういうものをやっておるわけでございます。  高速自動車国道時代を迎えまして非常に高速自動車国道が普及してまいりましたので、現在これらの道路網の整備というのは、道路構造令等によりまして、地形、地質の制約の中で平面、縦断線形の調和に配慮してできるだけ安全な走行ができるようにというようなことで設計を進めてきておるわけでございます。もちろんそのほかの安全施設等につきましても十分考慮して整備を進めてきておるわけでございます。  しかし、先ほどから申し上げましたように、最近の交通事故の急増の実態を踏まえまして、交通の実態等、それから道路構造、交通事故発生状況、こういうものを分析いたしまして、既にできた道路につきましては一層の安全対策を整備する。さらに新しく建設をいたします場合には、平面線形、縦断線形の調和に十分配慮をして安全な設計をできるようその結果を反映してまいりたいと思っております。もちろん、例えば公安委員会等々と協力して安全対策の徹底を図ることも当然でございます。
  127. 古川雅司

    古川委員 大臣、お聞きのとおりでございますが、高速道路もどんどんふえていくわけでございます。建設省が担当しているいわゆる公共工事、その中で事業量がどんどんふえていくということは大変国民のニーズにかなっていることでありますけれども、一面、いわゆる生活関連、生活環境整備にかかわるような公共工事に比べて、こうした高規格道路、高速道路といったものの比重の方がだんだん重くなってきているのじゃないか。しかもその担い手が、建設省のそれぞれのベテランの職員の方々ではなくて、先ほどの検査院の指摘にもございましたけれども、いわゆるコンサルタントであるとかあるいは第三セクターであるとか、そういうところにだんだんゆだねられてきているわけでございます。  そういった実態も背景にしながら、こうした高速道路の安全性、ドライバー、通行者の生命を守るという観点から、この事故防止対策についてもこれまた建設省としてはさらに真剣に取り組んでいただきたいと思うわけでございますが、御所感を伺っておきたいと思います。
  128. 原田昇左右

    原田国務大臣 交通事故につきましては確かに最近年間一万人を超えるような死者数でいっているような事態になってまいりまして、我々これは放置できないということで、建設省に交通事故の対策本部を緊急につくりまして対応を図ろう、閣議でも私も発言いたしまして、海部内閣としてもこの交通事故対策をひとつ取り上げて内閣の重要な柱として推進しよう、こういうことについこの間なったばかりでございます。  そういう趣旨で私どもも高速道路の問題も取り上げてみたいと思いますが、そもそも高速道路というのは、一般の対面交通のある道路よりは事故は少ないものなんですね。統計で見ましても少ない。ところが最近の情勢は、やや交通量の増加よりは事故の増加の方が高速道路においても多くなっておりまして、これは放置できないな、こういうように思っておるところでございます。  なお、先ほどの設計ミスとかいろいろな点については、今後ともそういうことのないように十分指導してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
  129. 古川雅司

    古川委員 そこで、建設省にとりましても、こうした事業の増大、あるいはまた国民生活に直接かかわりのある、殊に生命にかかわりのある課題が急増をしているわけでございます。これに取り組んでいく建設省の職員の皆さんも大変だと思うのでございますが、近年、殊に建設省を中心に申し上げますと職員の人員の不足ということが非常に大きな問題になってきておりまして、果たしてこうした事業量はふえていく、あるいは課題は次々に山積をしていく、そういった中で職員のいわゆる勤労意欲というのが確保できるのかどうかということが懸念をされるわけでございますが、まずその点について御所感をいただきたいと思います。
  130. 牧野徹

    牧野(徹)政府委員 先生御指摘のとおり、昭和四十三年から始まりました政府全体の定員削減計画で建設省の定数が現在までに一万人強減ったことは事実であります。それから一方、内需拡大と申しますか、そういう要請によりまして仕事の量というものもふえてきております。そこで、それを現実に処理していただく各地方建設局の現場の第一線の職員の方には大変御努力をいただいております。  そこで、意欲の保持というようなお問いただしだったと思いますが、私どもは、そうした中で大変第一線の職員は意欲を持って仕事を消化していただいているというふうに考えております。
  131. 古川雅司

    古川委員 非常に意欲を持って職務に取り組んでいらっしゃる、これは特に最前線の現場になればなるほどそういう意味では大変な御苦労をしておられるわけでございます。  しかし、その意欲にも限度がありまして、かなりこれは精神的な、また肉体的な負担もかかってきているわけでございまして、そうなりますと、これだけ事業量がふえていく、そしてまた、仕事の内容そのものも非常に高度化をしていく、そういった中で職員のいわゆる増員をする必要があるのかないのか、あるとすればどういうところに増員をしなければならないのか。これは大変失礼な言い方でございますけれども、本庁におけるそういう実態、その数倍して考えなければならないのがやはりそれぞれの出先である、現場であると思うのでございますが、その辺はどうお考えでございますか。
  132. 牧野徹

    牧野(徹)政府委員 先ほど申し上げましたような状況でございますので、そこで総合的にどうするかということですが、常々申し上げておりますように、私どもは業務執行のあり方をできる限り簡素合理化、効率化するということがまず一つあると思います。と同時に、新規の増員も可能な限りとっていくということも必要でございますし、一方、外部委託を進めていくという大体三本柱で対処したいと思っております。  それから、一定の範囲の増員というものが獲得されてきた際にどういうふうに配分するかという問題、これはそれぞれ本省、地方建設局、附属機関等々いろいろございますけれども基本的な考え方を申し上げれば、やはり地方建設局といいますか、第一線の方々の方に配慮するといいますか、そのことも念頭に入れて定員の配分をしているつもりでございます。
  133. 古川雅司

    古川委員 どうも得心がいかないわけでございますけれども、他省と比較をするのもどうかと思いますけれども、この第七次の削減計画の中でも大蔵省等は事情もありましてこれは増員をしているわけですね。建設省としてはそうした増員の必要があるのかないのかということを再度お伺いをしておきたいと思うのです。  増員の必要がない、これはあるいはこれから御答弁をいただくことであると思いますけれども、いわゆる補助的な業務について業務の委託あるいはアルバイトということでこれを補充しているということになると思うのでございますが、この数が実に一九八六年の調査におきましても人数にして六千三百二十二人、これに充てる予算も膨大なものになっております。そういった実態を考えまして、さらに、いわゆる補助的業務でありますから、これは臨時あるいは緊急であるべきものが、ほぼ恒常的な実態になっている。しかも、これは設計あるいは積算あるいは現場の監督と、本来は 建設省の本職員が責任を持って携わるべき業務にまでこうした業務委託とかアルバイトの方々が従事せざるを得ない、これが現場の実態であるというふうに指摘をされているわけでございます。こういったアルバイトにしても業務委託にしても、これは決して継続性のあるものではございません。  そういうことを考えますと、これは増員というのはどうしても必要だと言わざるを得ないのでありますが、建設省自体としてはそれをお認めにならないのかどうか、どうこれからお考えになって大蔵当局なり政府全体としてお考えを進めていくつもりなのか、その点いかがでございますか。
  134. 牧野徹

    牧野(徹)政府委員 私どもが必要な定員の増を要求するということは、要求も現にしておりますし、数も認められておりますから、これは必要なものは必要なもので要求もしますし、獲得していきたい、全力を挙げてそうしたいと思っております。ただ、一方で定員削減計画というものがかかっておりますので、その点については、これは政府の一員として従っていくということの結果であろうかと思います。  それから、補助業務かしらぬが委託しているというお問いただしがありましたので、この業務委託の進め方ですが、基本的に例えば設計、積算、工事監督などに係るいわゆる補助業務とか、あるいは庁内清掃、賄い、電話交換等の単純業務、私どもでいえば補助業務、単純業務に限って委託を進めているというふうに私どもは考えております。
  135. 古川雅司

    古川委員 今の御答弁でございますが、私どもが現場の声として聞いておりますのは決してそういうことではなくて、果たして業務委託あるいはアルバイトにここまでの仕事を任せていいのであろうかというところまで事態は非常に切迫しているということでございまして、これはこのまま放置しておいていいのかどうかということを重ねてお聞きをしたいわけでございます。  さらに、こうした業務委託等に要する経費でございますが、これだけの経費があれば財政的には十分それなりの職員の増員ができる、こういう考え方もあるわけでございまして、閣議で決定をした政府の方針もこれは大事でありましょうけれども、建設業あるいは公共工事の実態、あるいは建設省が責任を持って進めているこうした諸事業を的確に進めていくためには、これはどうしても本腰を入れて取り組んでいかなければならない、このように考えるわけでございます。この点について、ひとつ大臣の所感をきちんと伺っておきたいと思います。
  136. 原田昇左右

    原田国務大臣 政府の行政改革の実施に伴いまして、私どももこれに沿って七次にわたる定員削減を行ってまいったわけであります。しかしながら、一方において内需拡大のために所管の公共事業費をふやしていかなければならぬ、こういう要請がありまして、そこでお説のような非常に厳しい状況が出てきておることは承知いたしております。  しかしながら、我々といたしましても第七次の削減計画におきましては、このような事情を踏まえて第六次計画に比較して削減率は引き下げられるというような配慮をしたところでありますが、なおまた今後の新規増員については関係機関の理解を得べく努力をしておるところでありまして、現場によっては確かに厳しい状況もございますけれども、管理者の方はいろいろ創意工夫をいたしまして合理化も図り、また、いろいろな工夫をしながら職員に頑張っていただくということもやっておりまして、今後とも必要な定員の確保には万全を期したいと思っておるわけであります。  いずれにしましても、今後の公共工事を円滑に実施しながら、しかも能率を上げていくという両方の要請にこたえて、全力を尽くして頑張る所存でございます。
  137. 古川雅司

    古川委員 せっかくの大臣の御答弁でございますが、重ねてお伺いをしておきたい、確認をしていきたいと思うのです。  現状はお認めになる。また、先ほど私が会計検査院の指摘一つの事例として申し上げました。そういう実態を考えますときに、補助的な業務ということで消化していくということで果たしていいのであろうか。社会資本整備は一体どこがやるのだ、建設省はこれからどうなるのだという意味では、増員を要求したけれどもそれが受け入れられなかったということだけで済まされる問題ではないと思うのです。これまでもその点は随分強力に配意されていたと思いますけれども、これまで以上に相当な覚悟でこの増員問題に取り組み、なおかつ職員の皆さんの勤労意欲あるいは技術的な質の向上等を図っていただかなければならないと思うわけであります。さらに力強い御決意のほどをお示しいただきたいと思います。
  138. 原田昇左右

    原田国務大臣 お説のとおり、職員にやる気を起こさせることが一番大事でありまして、私どももそのように、定員の確保の面も含めまして大いに頑張ってまいりたい、こういうように考えております。
  139. 古川雅司

    古川委員 甚だ不満ではございますが、時間が参りました。残された時間はわずかでございますが、もう一問通告をいたしております。要点だけをお尋ねいたしまして、これは大臣の御答弁をいただくだけで結構でございます。  午前中も質問がございましたが、いわゆる日米建設協議の問題でございます。  結論といたしまして、我が国の建設業の国際化はどうしても避けられないということ、しかし、実態として長年続いてきている建設業界の構造的な問題、特に国際的な競争力をつけなければならないという問題、さらには、いわゆる重層構造的な体質、元請、下請、孫請という組み立て、あるいは比較的低い生産性、そういったことがこれからこの急激な内外の要請に対して対応していけるのかどうかということでございます。この点について、きちんとひとつ大臣としての御所感をお示しいただきたいと思います。  この日米建設協議については、既にいろいろ報道されております。けさほどの質問、答弁のやりとりでもいろいろ伺いました。ただ、米国側のいわゆる新しい提案と、日本がそれに対し改善策を示した、そこにはかなりの米国側の不満が残されているわけでございまして、これは双方に事情があるわけでございます。そもそもこの構造協議というもの、アメリカの言葉ではSIIトークと言われているそうです。構造的なというのがS、障害をというのがI、最後のIはイニシアチブという意味だそうでございまして、そのイニシアチブという点では日本はどうもおくれをとっているのじゃないかというような指摘が盛んにされているわけでございます。  いずれにいたしましても、これまでの米国企業の参入状況もまだ緒についたばかりというか、非常に経験も浅い、これからという感じがいたしますし、また、先ほど構造問題について触れましたけれども、いわゆる日本の閉鎖性というふうなことも盛んに言われております。本格的にアメリカ調査に着手する、そしてまた、そこから新しい実態が浮かび上がってくる、閉鎖性ありと彼らが断定すれば、またスーパー三〇一条というような強硬手段も考えられるといったこと、いろいろ申し上げましたけれども、いずれにしても、先ほど指摘のあった我が国の談合の問題とかいろいろな問題がございまして、そういう背景もございますし、アメリカの方としても、特にアメリカを取り上げますけれども、強硬な背景が幾つか挙げられているわけでございます。今後、これは非常に大事な問題でございますし、特に建設省として、公共工事を抱える、建設業を抱えていく担当省として、なかんずく大臣の御所信あるいは御決意というものが重大になってくると思いますので、その点をひとつこの際お示しおきいただきたいと思います。
  140. 原田昇左右

    原田国務大臣 御承知のように、日米間で構造協議が持たれるようになりましたのは、日米の大きな貿易不均衡を正していくには為替レートの調整等々のマクロ経済的な手法だけでは貿易のバランスが回復しないのではないか、お互いに構造問題を協議し合って日米の経済関係を良好に保って いこう、こういうことで始まったわけでありまして、我々としても、建設市場においてアメリカ側がどんどん入ってくるということについては、内外無差別という原則のもとに大いに歓迎をいたそうというのが基本線であります。  そこで、もちろんこちらからもアメリカ市場に入っていく、向こうからも入っていただくということでやろうではないかという基本的な考え方のもとに、そうかといいまして建設は、御承知のように現場はそれぞれの慣習とか法制度のもとでやらなければならないわけでございますので、なかなか工場生産のようにうまいぐあいにはいきません。そこで、昨年五月に日米間で合意をいたしまして、幾つかのプロジェクトについてアメリカ側に習熟をしていただこうということでやり出しておるわけでありまして、我が国は誠実にこの合意を実施してまいっております。今日までのところ、特例プロジェクトのみならず、リゾート等の民間プロジェクトについてもアメリカ側の着実な実績が上がりつつあるわけであります。  そういう中で、この前、USTR代表のヒルズさんがおいでになりまして、五項目の提案をしていかれたわけであります。我々もこれらについて、日米相互理解を深め、日米のさらなる協力協調を促進するため、日米間で率直な意見交換を行っておるところでありまして、こちらもこちらのいろいろな条件を十分向こう理解していただき、向こう側日本側に対して率直な注文をするという形の中で協議を進めていけば必ず問題の解決に資していくのではないか、こういうように考えておるところでございます。
  141. 古川雅司

    古川委員 時間が参りましたので、また後日の質問に機会を譲らせていただきますが、いずれにいたしましても、どうしてもアメリカ側に非常に強いイニシアチブがあるという感じを免れないわけでありまして、これはやはり双方向の、相互のディスカッションというものがこれから積み重ねられていかなければならない。そういう意味では、日本もそれなりの強いイニシアチブを持って今後望んでいっていただきたいということを重ねてお願いをしておく次第でございます。  なお、午前中に指摘のありました談合問題につきましては、米横須賀基地の工事をめぐる談合で和解の方向を打ち出したということでございますが、これも建設業界談合の実態の根深さというものをさらに浮き彫りにしたわけでございまして、これまでの当局の姿勢ではこれは何ら問題の解決にならない。これも非常に大きな課題ではあると思いますけれども、そしてまた国際信用上からも今後強力に談合排除の努力を続けていかれるように要望いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  142. 東家嘉幸

  143. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 冬季オリンピックの招致に関連して、主として道路行政、外務省その他の局も若干関係がありますので、それについて御質問いたしたいと思います。  本年六月に、一九九八年の冬季オリンピックに向けて長野が日本の代表として立候補することが閣議了解をされました。このことについて厚くお礼を申し上げる次第であります。また、内閣総理大臣はもとより、衆参議院の議長を初め各大臣や各省庁の幹部の方々にも御参加いただいた全国組織としての招致委員会も結成され、本格的に世界に向かって招致活動を進めているところであります。外務大臣建設大臣も顧問として参加されていることは御案内のとおりであります。  そこで、最初は外務省にお尋ねしたいわけですが、一九九一年六月のバーミンガムにおけるIOC総会で開催地が決定される、こういう運びになっております。今のところは、立候補予定地はスウェーデン、ソ連、アメリカ、スペイン、イタリア等々であります。  まず政府、特に外務省にお尋ねしたいことは、この招致に外務省としてどのように協力していただけるか、こういうことであります。私が伝え聞いたところによると、先般のソウル・オリンピックの際には名古屋が立候補したのですが、国内の体制がつくられていなかったせいかどうかよくわかりませんが、日本の在外公館はこの招致運動にちっとも協力しなかったというような話も聞いたわけです。この名古屋の敗北にかんがみて、特に外務省は力を入れてやっていただきたい、こう思うのですが、まず外務省の御所見をお聞きしたいわけであります。
  144. 塩口哲朗

    塩口説明員 外務省といたしましては、第十八回オリンピック冬季競技大会を長野に招致する閣議了解を受けまして、長野招致に向けまして可能な限りの側面的な協力を行う方針でございます。既に、在外公館に対しましては、それぞれの国の関係者の御理解、御協力を得るため、必要に応じまして各国の政府担当者、それから投票権を有します国際オリンピック委員会委員などに対する長野招致支持のための働きかけ、情報収集、広報活動を行っております。また、ほかの立候補都市の招致活動の情報収集も行っております。  また、国際オリンピック委員会日本側委員、それから日本オリンピック委員会委員の方々、長野招致運動関係者の方々が海外出張の際の先方関係者とのアポイント取りつけなどの便宜供与なども行っておりまして、既にそのように指示をいたしております。  今後とも、長野冬季オリンピック招致委員会が新たに設立されたことも踏まえまして、同委員会での御議論、関係者の御意見を踏まえつつ必要に応じ適切な対応を図ってまいりたいと考えております。
  145. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 体制を整えてやっていただくということで、大変ありがたいことであります。ただ、ソウル・オリンピックで名古屋が敗北したのは、オリンピック委員を一人一人マークして、選挙運動じゃないが、しっかり在外公館が取り組んでいただかなければならぬ、こういう教訓だったようでありますので、ぜひ外務省挙げての御支援をお願いいたしたいと思います。これはお願いだけですから、もう結構です。  このオリンピックの主会場である長野市からスキー競技の会場である志賀高原及び白馬側に至る道路については、オリンピック開催時までには、世界の国々のお客様を迎えてGNP世界第二位の国として恥ずかしくないような道路整備しなければならぬ、こういうふうに地元も燃えているわけであります。大変抽象的ですが、それについて道路局長はその整備についてどのように進めようとしておりますか、その辺をお尋ねをいたしたいと思います。
  146. 三谷浩

    ○三谷政府委員 オリンピック冬季競技大会の開催は、国際親善、スポーツの振興等に大きな意義を有するものであり、先ほどお話がございましたように、平成十年第十八回冬季オリンピック競技大会を長野に誘致することにつきましては、六月六日に閣議了解されたわけでございます。  お話がございましたように、オリンピックの開催につきましては、その円滑な実施を図るための関連する道路整備が非常に重要であるわけでございまして、現在、長野県など関係する地方公共団体において、冬季五輪に関連する施設計画等を検討中と聞いております。  いろいろ伺っておりますのでは、例えば会場が長野市、志賀高原及び白馬に予定されておりますから、会場へのアクセス道路として例えば志賀方面には国道二百九十二号線あるいは主要地方道の中野豊野線、白馬方面には国道十九号であるとか主要地方道の長野大町線等の整備が必要とされております。  長野市での開催が正式決定されれば、現在お話をいたしました長野市から志賀高原あるいは白馬に至ります関連道路について地方公共団体と協議、調整を図りつつ必要な整備推進していく所存であります。
  147. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 今御発言のようなことをせっかく進めていただきたいと思いますが、地元で非常に問題にしておる点があります。  それは、中京や関西方面及び首都圏の一部や南関東方面からジャンプ競技場の白馬に対するお客さんが非常に多いではないか。中央自動車道及び 松本空港を経て、松本空港も整備される予定になっておりますが、松本空港を経て松本から白馬に入ってくる、こういうお客さんが非常に多いではないか、こういうように言われております。このルートは国道百四十七号、百四十八号などになっておりますが、豊科インターチェンジまでの中央自動車道長野線の供用によって、今でもスキーシーズンにおいては大変な渋滞で、わずかな距離を何時間もかかる、こういうような状態であります。  後で質問いたしますけれども、またこの沿道に新たに国営アルプスあづみの公園の計画もあるわけであります。したがって、このルートの整備というのは、これは非常に重要なことではないか、こういうように考えられます。  地元では、百四十七号、百四十八号の改良等ではとても間に合わない、渋滞はさばき切れない、これは関係市町村挙げての声であります。中央道松本インターからでもあるいは豊科インターからでもいいわけですが、例の糸魚川インターまでこれを高速道で結べ、こういう声が地元では圧倒的であります。そのルートも、地元の者はいろいろのルートを考えておるようですが、これを県が対応して調査をする、こういうことではとても冬季オリンピックには間に合わない。これはだれが考えても間に合わないではないか。そこで、国の直轄調査といいますか、そういうようなことをしてまでも、この高速道なるものを建設していただきたい、こういう要望が非常に強いわけであります。その辺いかがでしょうか。
  148. 三谷浩

    ○三谷政府委員 松本と白馬を結ぶ道路は、今お話がございましたように国道百四十七号線と国道の百四十八号線でございます。この二つの路線はいずれも二車線で整備されておりますけれども、百四十七号の松本から穂高あるいは百四十八号の大町市の市街地、この区間について特に交通混雑が発生しておるわけでございます。そのため大町については昭和六十一年度より大町バイパスを平成四年度完了目途に実施しております。  それから、今お話がございましたように、松本から穂高の町までの整備につきましては、長野県で今年度調査に着手をしております。松本大町地域交通網計画調査ということでやっております。  いわゆる中央道の松本からあるいは豊科インターから糸魚川のインターまでを高速道路化すべきではないかというお話がございました。私ども四全総が目指しております多極分散型国土の形成を図るための高規格幹線道路網という考え方は、いわゆる高速交通サービスの全国的な普及、主要拠点間の連絡強化、それから地方発展の核となる地方都市及びその周辺地域等からおおむね一時間程度で到達できるように一万四千キロメートルの高規格幹線道路網を設定しているわけでございます。もちろん、この高規格幹線道路網を重点として建設省整備しておりますけれども、これとのアクセス強化ということが非常に重要なことは御案内のとおりであります。  それで、その関連する道路整備ということで、松本、豊科それから糸魚川の間、こういうものについては高規格幹線道路網と一体となって機能をする、本地域振興活性化に資するべく国道の整備、こういうことになろうと思います。  ただ、国道百四十七号、百四十八号の整備でございますけれども、特に長野県におきましては、百四十七号の梓橋の工区あるいは百四十八号の大町の工区あるいは中土の工区の整備をしておりますけれども、百四十八号の小谷については昨年度直轄の権限代行ということで着手をいたしました。この辺の当該地域道路網あるいは高速利便性の向上に一層努めてまいる所存であります。
  149. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 せっかくいろいろお考えいただいておるようですが、県がこれに取り組んでおったのでは、とてもではないが、ちゃちな改良か何かしかできない。これは住民が皆、異口同音に言っているわけです。だから、これは唐突な質問で大変恐縮ですが、調査というのには国の直轄調査みたいなものがあるのではないか。そういう大所高所からやっていただかないと、今の渋滞でさえどうにも処置がない。こういうことなんで、これは要望になるかもしれませんけれども、国がみずから直轄調査をやって松本から、あるいは豊科から糸魚川インターまで高速道で結んでいただくようなことをぜひ考えていただきたいと思うわけです。  それから、今ちょっと御発言がありました百四十八号の小谷において直轄調査でやっていただいて、ことしから直轄工事で始めていただいております。これも感謝を申し上げますが、何しろついている予算がまるでちゃちな予算で、こんな予算のつけ方では十年もかかるのではないか。現場でも八年ぐらいとは言っておるけれども、これをもう少し予算をつけて、五、六年で上げるようにしていただきたい。村を挙げて、あの地区挙げての大騒ぎであります。それもついでに御質問したいと思うのです。
  150. 三谷浩

    ○三谷政府委員 まず調査関係でございます。  調査関係は、県の方で松本大町地域交通計画調査ということを平成元年度から三年度までやっておりますけれども、冒頭に申し上げましたとおり、長野市での開催が正式に決定されれば、今いろいろ案を関係団体でつくっているようでございます。これは、この関連道路関係も含めて十分御相談をしなければいけませんし、また今、県等でやっておられます調査の結果、これは私どもも十分参考にさせていただきますし、またその関連の地域の、我々の関連したいろいろな調査の資料等も使いまして、十分遺憾のないように調整して、決定をしたときにその計画を確定をしたいと思っておりますので、御了承願いたいと思っております。  一方、小谷の工事が非常に金が小さいというお話でございます。  確かに昭和六十三年度から直轄代行になりましたが、この工事、私自身も何回もあそこを通っておりますが、地形が大変急峻でいろいろな調査等が必要でございます。私ども道路整備のこういう事業を始めますと、最初の年あるいは最初の期間はいわゆる測量試験費で、いろいろな試験とさらに設計、一部用地も見ておりますけれども、二億円ということで事業費をつけております。これは、こういう計画が定まれば、本格的な工事になればそれだけの予算を用意する、こういう仕組みでございますので、いずれの事業についても当初はそういうような形でスタートしております。
  151. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 本格的な道路整備に着手するのは、先ほど申し上げたように当然一九九一年六月のイギリスのバーミンガムにおけるIOC総会で長野が開催都市として決定された後、こういうことになるのはやむを得ない、そう思います。だけれども、閣議了解事項ではこういうふうに言っています。「道路等オリンピック冬季大会の開催に関連する公共事業については、その必要性等について十分な検討を行い、その規模を通常の公共事業費の中での優先的配分により対処し得るものにとどめ、国庫補助負担率引上げ等の国による特別の財政措置は講じない」  まあ、えらいことを決められてしまったみたいなことなのですが、それはそれとして、地方都市の長野においてはこれは大変厳しいものだ、こういうふうに考えます。県では、ことしからか来年から県債を発行してもやっていこうということで、腹を固めて進めておるわけですが、建設省としてはこの関連公共事業推進には、そういう決定はあるけれども特段の配慮をいただきたい。これもちょっと要望みたいになるけれども、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。ちょっと大臣、何か言ってください。
  152. 原田昇左右

    原田国務大臣 今、小沢委員からお話のありました道路等の公共施設の整備でございますが、何といっても長野県の高規格道路網の整備あるいは幹線道路整備、大変大事なことと認識いたしておりまして、現に私もこの間、長野県に参りましたら、驚いたことに二方向の高速道路、これを道路公団が鋭意建設中でありまして、しかも国道事務所では、国道はとにかく一人当たり一億円ぐらいの、百五十人、百五十億ぐらいの規模でやって おるという、長野事務所だけでもそういうことであります。大変なスケールで今、長野の建設が行われておると承知しておりまして、もちろんこれからオリンピックが決まればさらに拍車がかかる、こういうような状況ではないかと考えております。  精いっぱい努力しておりますので、ひとつぜひその辺をお酌み取りいただきたいと思います。
  153. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大臣のそういうせっかく御答弁がありましたが、地方社会資本整備は大変おくれておるわけで、何も長野県ばかりじゃありません。昭和六十三年四月一日現在で、例えば長野県を例にとると、一般国道の改良率は全国が八六・二%、それに対して本県は七八・八%。都道府県道は全国が五三・五%に対して本県は四二・九%、約一〇%ほど低いわけです。都市計画道路の改良率に至っては全国四二・六%に対して本県は二四・六%。下水道普及率に至っては全国三九%に対して約二〇%、半分であります。多極分散型の国土の形成に向けて、長野県に限らず、地方社会資本整備をなお一層進めなければならぬ、数字はそういうことを物語っているわけで、これはひとつ大臣の御決意といいますか:::
  154. 原田昇左右

    原田国務大臣 まさに御指摘になりましたように、長野県は確かに山地が多いし、天然条件が非常に厳しいこともあって、社会資本整備が若干立ちおくれておったというお話でございますが、そのとおりかもしれません。しかし、現在それを取り戻すべくいろいろな工事が着々と行われておるということを私は申し上げた次第でありまして、高速道路を二方向からやっておりますし、トンネルも、最近取り上げました中部縦貫道路の安房トンネルも着手になりましたし、あるいは飯田から南へ出る三遠南信の青崩峠も着手しましたし、南アルプス公園も今度は来年度からぜひ着手したいというので私ども予算要求をいたしておりますし、数えますと大きなプロジェクトがメジロ押しであるわけでございますので、ひとつぜひこれからのことを大いに御期待をいただきたい、こういうふうに申し上げた次第でございます。
  155. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 先ほどもちょっと触れましたが、国営アルプスあづみの公園、これについて御質問をいたしたいと思います。  当公園は、昭和六十二年度から計画調査に入って、本年度基本計画の策定の運びとなると聞いております。また、建設省では、平成二年度国家予算の概算要求にもその整備費を計上された、こういうことを聞いておりますが、感謝を申し上げる次第であります。  国営公園の設置については地方建設局管内に当面一カ所、こういう暫定措置があると聞いておりますが、アルプスあづみの公園の計画地域は、首都圏を初め名古屋圏、近畿圏、三大都市圏に近接しておりまして、中央自動車道等の整備が進むことによって地建の枠を超えた広域的利用が図られるわけであります。また、日本の屋根と言われる北アルプス連峰を背景としてその山ろくに広がる高原地帯、ふるさとを連想させる田園風景、かつ温泉等、日本を代表する山岳とすぐれた自然環境を有した他に例のない国営公園として国民の自然、レクリエーション志向に沿ったもので、その存在価値は非常に大きいもの、こういうように考えられます。  一方、長野県においては、六十二年度から国営公園を核とした周辺地域のリゾート形成を目指して、国営公園の計画と整合を図りながら松本市、大町市など二市三町十カ村の広範囲に及ぶ周辺リゾートエリア整備構想を進めているところでございます。このリゾート地域の拠点となる国営公園の早期実現に長野県が挙げて熱望しておることは御案内のとおりであります。  さらに、県、地元市町村においては、景観の保全、一部用地の確保、地価の上昇等への対応策の検討等、国営公園の誘致に向けて一層の最善の努力を進めているところであります。  以上、当地への国営公園の建設の必要性は極めて大きいと思われます。どうか、平成二年度に整備費を計上したと聞いておりますが、これがぜひ着手できるように強く要望をいたしておきます。これは大臣、要望ですからひとつ前向きな御答弁をいただければと思います。
  156. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 国営アルプスあづみの公園、仮称でございますが、これにつきましては首都圏を初めといたしまする広域的なレクリエーション需要に対応するため、北アルプス連峰、それから安曇野の田園風景等のすぐれた自然環境、レクリエーション資源というものを生かしまして、山地型のレクリエーション地域の形成を図るために平成二年度から整備に着手したいということで予算要求をしているところでございます。
  157. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大臣、これだけの熱望が地元にはあるのだから、来年の予算の問題は、これはできるだけ実現するように努力する、こういう御答弁をいただきたいところでございます。
  158. 原田昇左右

    原田国務大臣 来年度の予算のことを余りコミットするわけにもいきませんけれども、私としては最大限の努力をいたしますので、小沢委員にもぜひひとつ御助力をお願い申し上げます。
  159. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ありがとうございました。  最後に、これは冬季オリンピックとは直接関係がないが、長野自動車道の目下工事中の豊科インターと麻績インターの間に四賀村という、これは町村合併をした村があるわけであります。これは、かつて錦部村、五常村、中川村、会田村という典型的な過疎四カ村が合併したわけで、過疎ばかり合併してもやはり過疎が活性化するわけではなくて、この七月だと思いましたが、この四賀村が村長以下、村を挙げて活性化のために全村民総決起集会、我々も呼ばれて一言あいさつせざるを得ない、こういうことになって、そのメーンは何かというと、この豊科と麻績インターの間に四賀村にもインターチェンジをつくれ、これがメーンの要求であります。全村民が署名を持って県へ要望した、こういうことを聞いておるわけです。  そこで、それについてお尋ねをしたいが、今豊科インターと麻績インターは現に工事中であるが、工事中には、設計変更だか何かして途中でインターをつくる、こういうことは不可能なことか、これはできることか、この辺をまずお聞きしたい。  工事が終わってからということになると、またこれはなかなか難しい問題で、伝え聞くところによると、何とか開発インターだとかなんとかいうことで地元負担がうんとかかる、みんな地元負担だとかいう話も県の高速道局よりちょっと聞いているわけです。だから、今工事中ならば建設コストも安いし何とかならぬものかな、こういうふうに考えるわけで、今の二点についてちょっとお答えをいただきたいと思う。
  160. 三谷浩

    ○三谷政府委員 中央道の長野県の豊科から麻績間は、平成四年度の供用を目指して工事中でございます。今お話がございましたけれども、この区間の長野県の四賀村に追加インターチェンジの要望があるということは私ども伺っております。  それで、いわゆる追加インターチェンジは基本的には国土開発幹線自動車道の整備計画の変更になります。したがいまして、手続としては審議会の議を経るということが必要になろうかと思います。格好はそういうことになりますが、いわゆる追加インターチェンジ、これは一般論でございますが、周辺の道路網の整備の見通しとか地域の利便性とか向上度とかインターチェンジの間隔、それから採算性、こういうものを勘案して検討することになるものですから、先ほどお話がございましたように、国幹審の議を経て整備計画を策定するということになりますが、その前に今のような検討が必要であろうかと思っております。  現在、御要望が出ておりますこのインターチェンジにつきまして、今のようないろいろなことを踏まえまして検討をしてまいりたいと思っておりますが、この一月の国土開発幹線自動車道建設審議会におきまして、やはり追加インターチェンジというのが整備計画の変更で十六カ所決まっております。それで整備を早くやるということでございますので、開発インターという先ほどお話のございました方式で決定をいたしました。その際も先ほどのような検討をしてやることになろうかと 思っております。  工事費云々でプラスアルファではないかというお話もございましたけれども、いずれもこういうような手続をしてやることになると思いますので、やはりそのインターチェンジの必要性あるいは妥当性、こういうものを検討する、さらに審議会の検討、こういうようなことが必要でございますので、これはやはりどうしてもそれを踏まえた検討をする必要があるかと思っております。
  161. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 まあそうかもしれませんし、周辺の向上や何かの事情も勘案する、こういうことのようですが、鶏が先か卵が先か、そこにインターができればこうなるんだ、どうしてもそういうような因果関係になってしまうのではないか、こう思うわけで、いろいろ整備計画その他のこともあるだろうけれども、県から要望が出たらひとつぜひ検討してもらうように、これは要望にとどめておきますけれども、お考えいただきたい、こういうように思います。  では、ありがとうございました。以上で質問を終わります。
  162. 東家嘉幸

  163. 中島武敏

    中島(武)委員 きょうは、私は、建設省の定員削減問題についてお尋ねいたしたいと思っております。  まずお伺いしたいのは、第四次定員削減計画が始まった昭和五十三年度末の建設省定員と、平成元年度末の定員は幾らでしょうか。
  164. 牧野徹

    牧野(徹)政府委員 五十三年度末は建設省が定員二万九千二百人、それから平成元年度末は二万五千二百八十五人、こういうことでございます。
  165. 中島武敏

    中島(武)委員 つまり、比べてみますと三千九百十五人減っておるということになります。定員削減が始まったのが昭和四十二年ですから、このときと平成元年度を比べてみますとどうなりましょうか、何か数字ばかり聞いて恐縮ですけれども
  166. 牧野徹

    牧野(徹)政府委員 今のは四十二年度末をベースにして四十三年度から始まったというふうに理解しておりますが、そういうことで今の先生の御質問で、四十二年度末の定員は建設省全体が三万五千七百十九人ということでございます。
  167. 中島武敏

    中島(武)委員 平成元年度は先ほどの御答弁でありましたから、これでこの間に一万四百三十四名減っているということになります。  次に伺いたいのは、平成元年度だといいのですけれども、まだ補正予算が決まっておりませんので昭和六十三年度でお尋ねいたしたいと思いますが、昭和五十三年度と昭和六十三年度の建設省関係の公共事業費はどうなっておりますでしょうか、国費ベースで結構ございます。
  168. 牧野徹

    牧野(徹)政府委員 五十三年度の建設省関係公共事業費の国費ベースでございますが、これは当初と、大体の年度が補正がございますが……(中島(武)委員「補正を含めてください」と呼ぶ)それでは当初と補正とを含めて、五十三年度が三兆九千九百四十億、それから六十三年度が五兆三千九百四十四億。ちょっと端数は四捨五入しました。
  169. 中島武敏

    中島(武)委員 今お答えいただきましたように、昭和五十三年度と六十三年度を比べてみますと、公共事業予算は一・三五倍にふえております。ところが、この間の定員は昭和六十三年度末で計算しましても逆に三千六百二十二名減っている、こういう結果が出るわけでありまして、これは大変なことではないかという気がするわけです。  なぜかと申しますと、職員の皆さんは超過勤務に次ぐ超過勤務、残業に次ぐ残業というのが実態でありまして、昭和六十二年、六十三年と連続して職員の健康管理についての通達を建設省は出しておられるほどであります。この残業の実態、どんなふうに激増しているかということについて御存じでしょうか。御存じならちょっとおっしゃっていただきたいのですが。
  170. 牧野徹

    牧野(徹)政府委員 残業のことをお答えする前に、今先生が地方建設局といいますか建設省の定員と対比した意味で予算のことを申されたような気がしますが、建設省関係予算と言われたものですから、私も実は補助とかそういうものも含んだ数字で申し上げましたので、正確を期するために私どもの定員との関係で言うと、直轄事業費の方が正確だと思いますので念のために直轄事業の同じく国費ベースで申し上げておきますと、先ほどベースが五十三年でございましたね、五十三年で九千二百九十七億、それから六十三年で一兆二千七百八十億ぐらいということでございます。念のために申し上げておきます。  それから超勤でございますが、これは余り過去にさかのぼっての数字を私今持っておりませんが、六十一年、二年、三年で申し上げますと、建設省ならしてマクロの全体でございますが、六十一年は月に三十時間、六十二年が三十二時間、六十三年が三十一時間、そのうち地方建設局で見ますと三年とも平均で三十二時間ということで推移しております。
  171. 中島武敏

    中島(武)委員 平均ということで官房長に御答弁をいただきました。実は私も非常に関心を持って、どういうところがどうなっているのかと思っていろいろ調べてみたのです。そうしますと、やはり聞きしにまさる実態が場所によってはあるということが非常にはっきりしてきました。  実は、これは四国のあるダム建設についての実態なんですけれども、六十三年度、一人の監督官が三十七件の工事を受け持っていて、年度末の三月には六件の工事を同時に監督しなければならない、こういうことになっております。こんなこと本当にできるのかなというのが私の偽らざる率直な感じであります。     〔委員長退席、野中(広)委員長代理着席〕  それから、これは近畿地建の月百時間以上の残業という状況ですが、これは労働組合が調べたものでありますけれども、何と延べ三百五十一人、実人員で申しますと二百二十五人です。近畿地建全体の総数は約二千五百名で、超勤の対象となる者が管理職を除いて二千百七十七名といいますから、もう一割を超える人たちが月百時間以上の超過勤務、こういうことを私ども聞いているわけでありまして、健康破壊が進むのも当然ではないかなというふうに思うわけです。聞くところによりますと、最高どれくらいの人がいるのかというと、二百三十三時間という考えることのできないような実態があることを私ども聞いておりまして、実にすさまじいな。今、官房長、平均でおっしゃっていただきましたけれども、平均はそうなのでございましょうが、しかし、やはり現場の特に大変なところではこういう実態にあるのかなということを感じた次第であります。  政府は六十二年の十月二十三日に閣議決定をやっておりまして、これは「国家公務員の週休二日制について」という閣議決定であります。その中に「公務能率の一層の向上を図ることとし、超過勤務時間についても短縮に努める。」こういうことが実は書いてあります。さて、これほど残業をいろいろやって大変なのに、さらに「公務能率の一層の向上を図ることとし、」というのですけれども、果たして、これでこれ以上能率を上げるというのでは一体どういうことになるのだろうということを思いますと同時に、超過勤務の短縮に努めると閣議決定をしているわけですけれども、超過勤務を少なくするために建設省は一体どんな方針をとっておられるのか、こういう点についてお伺いをいたしたいと存じます。
  172. 牧野徹

    牧野(徹)政府委員 ただいま先生お話しの超勤の実態でございますが、私どもももちろん実態は把握しております。先ほども、たしか四国の事務所で六十三年度で最高三百二十六時間というお話もございましたけれども、まさに高い数字だと思います。そうしたこともございますので、ただいま先生は百時間を超すというところに一つの基準を置いて御議論をされておりますが、私どもも、やはり長時間の労働をするということは、職員の健康はもう何よりでございますから、そこで冒頭にお話ありましたように、健康管理には万全、遺漏のないようにという課長通達でございますが連年出しまして注意を払っております。  それと同時に、長時間の超勤というのは、健康管理に配慮する必要という意味からなるべく減ら したいという指導をしているつもりでございます。私どもの調べでまいりますと、ちょうど百時間を超す方は、全体のやった方を分母にしてそういう方を分子にして計算いたしますと、六十三年度においては一・五%程度かなというのが、まあマクロでございます。もちろんこれはあくまでマクロで議論しても、個人個人の方は災害のときとかその他いろいろございますから、あるいは積算業務とかあるいは契約業務が忙しいときに、確かにこれは個々人にとれば大変重要な問題で、一人一人が長い時間というのはあろうかと思います。その辺は大変現場の職員の方々には頑張っていただいているなと思っております。  そういう私どもの果たすべき使命もあるわけでございますので、先ほど言いましたように、非常に長い超勤というものはなるべく減らすようにということで、管理職も気をつけてやっているというのが実態でございます。
  173. 中島武敏

    中島(武)委員 今、官房長言われましたけれども、本当に超勤はもっと減らすというふうにやっていきませんと、真っ当に仕事の監督をするとかあるいは業務を遂行するという上においても非常に差しさわりも出てくると思うのですね。そういう点では、ぜひひとつ強力に超過勤務を減らすということを実施していただきたい、指導を強化していただきたいと思うわけです。  それからこれに関連して伺いたいのは、やはり定員だけではどうしようもないというので業務委託をしていらっしゃると思うのですね。この業務委託の問題について伺いたいんですけれども、業務委託をどの程度やっていらっしゃるかという人数と、それからアルバイト、つまり事務補助職員、これの人数を昭和六十一年度とそれから直近の資料である六十三年度でおっしゃっていただきたいのです。
  174. 牧野徹

    牧野(徹)政府委員 業務委託と事務補助者の数でございますが、まず業務委託の数でございますが、六十三年度では五千四百七十八名でございます。今先生、一年飛ばして六十一年度とおっしゃいましたが、六十一年度は実は恐縮ですが詳細な統計がないんですけれども、ほぼ同じようなことで考えてみますと約四千人程度かなというふうに考えております。  それからいわゆる事務補助でございますね。これらの方の人数は、六十三年度が千二百八十五人、六十一年度が千八人ということになっております。
  175. 中島武敏

    中島(武)委員 もう一つ伺います。  今六十三年度のお答えがありましたけれども、このうち現場技術関係は一体何名いるものか。また、それは六十一年度ではどうなっていたかということについて伺いたいのです。
  176. 牧野徹

    牧野(徹)政府委員 六十三年度は、五千四百七十八のうち、現場技術業務は千四百五十六人でございます。ただ、先ほど私が申し上げました六十一年度、実はこの現場技術補助業務というものの詳細なデータが今ないものですから、それ以外の方が二千六百六十人、そこに足し込めば約四千人かなということで御答弁を申し上げた、そういうことでございます。
  177. 中島武敏

    中島(武)委員 そうしますと六十一年度大体千四百人くらいということになろうかと思うのですけれども、どっちにしても相当な膨大な数を委託しているということになります。  実はさっき述べた四国のあるダムというところを見てみますと、職員数三十三名なんですね。ところが業務委託は二十九名なんです。だから、ほぼ職員数に匹敵する、それに近い業務委託がなされている。そのうち現場技術関係が八名、積算補助が六名というふうになっています。それで、私はさっき監督官一名で大変な仕事を受け持っているということを申し上げましたけれども、その監督官一名のもとに業務委託者が五名いるんですね。これは六十三年度です。今年度はどうかというと、六十九件の仕事を予定しているわけですけれども、これは監督官二名で業務委託が八名。ところによっては、場所によっては、現場によっては業務委託が非常に多いわけであります。  具体的にお尋ねしたいのですけれども、現場技術の業務委託についてなんですが、どういうところに業務委託をされるんでしょうか。
  178. 玉田博亮

    ○玉田説明員 お答え申し上げます。  まず、現場技術業務委託というのは、概要ごく簡単に御説明申し上げますと、建設省におきましては、事業量の増大等にかんがみまして、直接国の判断を伴いません単純業務それから補助業務などにつきましては、業務を効率的に執行する、かつ機動的に執行する、そのような観点から、外部委託の活用を進めてきておるわけでございます。  現場技術業務委託につきましても同様でございまして、その内容につきましては、まず第一に積算関係でございますが、積算に必要な現場条件等の調査、あるいは図面それから数量表の作成をするといった分野。それから第二点は、工事の出来形の検測、品質管理、それから工程の進捗状況の管理に必要な資料の作成、整理及びこれらについての監督員との連絡等の補助業務、これらに限定いたしまして委託しているものでございます。委託先は、コンサルタントあるいは建設協会といったところが中心になってございます。
  179. 中島武敏

    中島(武)委員 重ねて伺います。ずばり伺いますけれども、この業務委託料というのは年間一人当たりどのくらいになりましょうか。
  180. 玉田博亮

    ○玉田説明員 昭和六十三年度の現場技術業務委託の例で申し上げます。直轄工事でございまして地建合計でこれに要した委託費用が約百二十九億円でございます。人数の方が、現場技術業務委託でございますが、千四百五十六名ということに相なっております。これを単純に一人当たりの年間平均契約額にいたしますと約九百万円となってございます。
  181. 中島武敏

    中島(武)委員 九百万と申しましても、私が聞きたいのは一人当たりの単価を聞きたいんです。長く契約される方もいらっしゃるし、短く契約される方もおりますのではっきりしませんが、一月一人当たりの単価は一体幾らになりますか。     〔野中(広)委員長代理退席、委員長着席〕
  182. 玉田博亮

    ○玉田説明員 ただいま申し上げました九百万の中には、直接的な人件費のほかに、当然これは業務委託契約でございますので間接費も含んでございます。したがいまして、私どもはこの数字が適切な価格ではないかというふうに判断している次第でございます。  また、ただいま先生から単価について一人幾らだ、こういうことでございますが、この一人当たりの単価と申しますのは、先生御承知と存じますが、私どもの予定価額の基礎となる数字でございまして、これはすべての工事につきまして機密保持という観点から従前より公表は差し控えさせていただいているものでございます。よろしく御理解のほどをお願いいたします。
  183. 中島武敏

    中島(武)委員 ずばりの金額ということになりますとそうかもしれませんが、どういうふうにして計算、算定をするのかということについてお尋ねしたいと思うのです。
  184. 玉田博亮

    ○玉田説明員 一人当たりの人件費、単価というものは私どもは内部で持っております。これを業務の態様に応じまして期間を、いつごろ人を張りつけていただくかという期間を選定いたします。そこからまいりますと直接の人件費が当然積算されてくるわけでございます。委託業務契約は、この直接の人件費とこれらの方々の雇用に要する間接費でございますね、こういったものを合算して契約をさせていただくという方式をとってございます。
  185. 中島武敏

    中島(武)委員 どうも私はわからないのですよね、今の答弁だけでは。  実は、私、全建労という労働組合が出しているビラを読んだのです。そうしますと、その現場技術業務委託、全国で八百十三名、これは実は八百十三名でないということがわかりました。千四百五十六名だということが先ほどの答弁からわかったのですけれども、一人当たりの年間契約額千五百万円、こういう数字が出てくるのです。私もびっくりしたのです。一人の契約料が千五百万円、そんなにかかるのか、本当かなと思って、私、実は 率直に言って非常に驚きました。  それで、どこかにその積算の基準となるものがあるはずだと思って、実はいろいろ調べました。手に入ったのです。それでそれを読んでみて、ちゃんときちっと出る方式があるのですね。非常に驚きました。ここではそれは申し上げません。けれども、全建労が出している数字というのは決して間違っている数字じゃないということを確信しました。これは認めますか。
  186. 玉田博亮

    ○玉田説明員 委託業務の内容にもよりますが、単純作業の場合と若干高度な技術的判断が必要な場合ということで、張りつけをしていただく人たちの内容が若干変わってまいります。そういったことで、ただいま先生から千五百万という数字をお示しになられましたが、私どもの積算基準で、ある場合を想定いたしまして積算いたしますと、それに近い費用が出てくるというケースは確かにございます。
  187. 中島武敏

    中島(武)委員 これはどうも高い方のケースではないようでございますけれども、大体はお認めになられた。全建労が計算しているのです。  さらに、このビラによりますと、その現場技術業務委託費用で実はどれだけの定員をふやすことができるか、そういう計算をしているのです。国家公務員の平均賃金、それから共済の長短期の事業主負担、それから四十年勤続での退職金試算、こういうものをきちんと計算をいたしますと公務員一人の年間給与試算が出されます。これは幾らになるかといえば、五百六十五万円、こういうふうになっております。それで、今大体お認めになったような点で計算をしますと八百十三名という現場技術業務委託、これは実は八百十三名じゃないのです、もっと多いのですけれども、これで仮に定員をふやす、職員を雇う、職員でやってもらうというふうにすれば二千百五十八名ふやせるではないかという計算がされているわけであります。  私は今のお話でよくわかったのですけれども、一体行革というのは何だったんだろうか、何なんだろうかということを思うのです。国家公務員の定員は減らして、仕事はふえて定員ではやっていけない、民間に業務委託をやる、ところが、べらぼうに高い価格で業務委託をやる、こういうことがやられるのですね。今聞いておっておわかりのとおりです。ところが、建設現場に来ている委託をされた労働者は一体どうかというと、低賃金であえいでいるのです。私は率直に言いますけれども、これは全く絵にかいたような民間のいろいろな企業を富ませるやり方ではないだろうかという気がしてならないわけです。もっと言葉をかえて言えば、やはり非常なむだ遣いになっているのではないだろうか、こういうふうに思わざるを得ないわけであります。やはり定員を実態に合わせてふやすべきではないだろうかというふうに思うのです。  建設省は非常に大事な仕事をやっているわけです。道路にしろ河川にしろダムにしろその他にしろ、非常に大事な仕事をやっているわけでありまして、その建設省が定員がどんどん減っていく。大蔵省はどうかというと、大蔵省は逆にふえているのです。これは数字を挙げるまでもないと思うのですけれども、どんどんふえておる。消費税だとかいろいろなことをやって、国民から取り上げる方はどんどんふえる。国民のための大事な仕事をやっている建設省は定員がどんどん減っていく。しかもそれを補いをつけなければいけないから、今申し上げたように業務委託というような格好で高いお金を逆に使ってむだ遣いをしなければならない。こういう実態というのは、やはり本当に実態に合わせて定員をふやすということに踏み切らなければいけないのじゃないだろうか、この点では大臣にも相当頑張ってもらわなければいかぬと私は思うのです。大臣の所見を伺いたいと思います。
  188. 牧野徹

    牧野(徹)政府委員 先生おただしのとおり、私どもが担当しておる仕事がやはり内政の中でも非常に重要な柱の一つであるという気持ちは常々持っております。ただ、そうした中で、今お話しの中にもございましたが、四十三年から始まりましたこの定員削減計画で、その当時は行政改革計画第一次というようなことのようでございますが、ちょっと古い文言ですが、その中で「事務の民間委託」というような項目がございまして、「次のような行政事務のうち、経済性および能率性の見地から適当であり、しかも、行政目的達成上支障のないものについては、極力民間委託を図るものとする。」閣議決定が四十三年十月八日でございます。その中で「設計、計算等純技術的事務で行政判断を要しないもの」、私どもはそういう観点で、四十三年から始まりましたこの行政の改革でございますか、そういう線は政府の決定ですから、それは従うということにいたしました。  一方、だから増員を全然サボっておるとか、しないとかいうことではなくて、新たな行政需要も生じてきておることでもありますし、そういうものについて、必要なものは全力を挙げて要求し、関係機関の理解を得て一定の成果を上げてきているというふうに考えておる次第でございます。
  189. 原田昇左右

    原田国務大臣 今、官房長から御答弁申し上げましたように、社会資本の充実と内需振興という国民的な要請にこたえるためには、建設省所管事業が近時ますます重要性を増しておるという中で、一方において、政府全体として行政改革に沿って定員の削減を図りながら能率を上げていかなければならぬ、こういうことが我々の現状であります。  今、委員のおっしゃったように、何か行革というのは人を減らして委託の方に逃げてしまって、委託でうんと金を使っているのではないか、こういうお話でありますが、私は必ずしもそう思わない。委託しなければならぬものは大いに委託して、そして民間の活力を使うというのも一つの方法であろうと思うわけであります。  同時に、我々日本経済がどうしてここまで発展してきたかということを振り返ってみますと、やはり労働の生産性が上がったということが非常に大きな原動力でありまして、官庁の仕事といえどもやはり生産性を上げていくということが、民間に比べて役所はとにかく予算に応じて人員もふやすのだと言っておったのでは全く工夫のない話でありまして、やはり能率を上げるということ、徹底的に合理化を図るということをやりながら、同時に新しい需要に対して必要な増員も要求するということでなければならないと思います。本当に必要なものは私どもも大いに要求をいたしまして、同時にいろいろ工夫を凝らして、地方によってはおっしゃるように厳しい情勢があるところも先ほど来古川委員の御指摘で、また委員の御指摘もありますので十分検討しまして、職員に大いにやる気を起こしていただいてみんなで頑張ってまいりたいというように思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  190. 中島武敏

    中島(武)委員 もう時間ですから終わりますけれども、能率、能率と申しますが、大臣、先ほど申し上げたような実態の中での能率というのは大変なことだということをよく御認識いただきたい。それからまた、民活というのは一体何なのかということについても、大臣の御答弁ではありますけれども、やはり考え直すべきところへ来ているのじゃないかということを申し上げまして、私の質問を終わります。
  191. 東家嘉幸

  192. 松本善明

    松本(善)委員 建設大臣に、東京などの都市水害の問題で伺いたいと思うのです。  ことしの夏に、東京は大変な水害に見舞われました。例えば、八月一日は、石神井川、善福寺川、妙正寺川、神田川、目黒川などで濁流があふれまして、合わせて千五百戸余が床上浸水、約二千九百戸が床下浸水というようなことになりました。被害も深刻であります。床上浸水ということになると、商品が全部だめになるし、畳もだめになるし、下水が来ますので異様な臭気が残る、本当に大変な被害であります。それについて、八月一日の場合には渋谷、中野あたりでそれぞれ七十四・五ミリ、七十ミリ、それから八月十日にも杉並あたりで七十九ミリ降っている、一時間あたりの雨 量。七十ミリ以上、七十五ミリ以上の雨が十日間を置いて続けて降った。ちょっと前にさかのぼってみますと、七十ミリ以上の雨というのは八五年、四年前に降っているし、その前は八一年、その五年前。だから九年間に三回も七十ミリ以上の雨が降って、被害が起こっているのですね。  この問題について建設大臣にお聞きする前に気象庁に、九年間で三回も降っていますが、こういうことを見ましても、今後七十ミリ、八十ミリ、百ミリというのが当たり前の現象になるのじゃないだろうか。異常気象白書と言われている「近年における世界の異常気象と気候変動」という気象庁の出したものによりますと、「温室効果気体増加による気候変動」ということで「降水量は七〜一五%増加する。」というようなことも書いてございます。異常気象がこういうふうに起こる問題点について簡単に説明してほしいのです、こういうことが将来とも起こるのじゃないかと思うのですか。
  193. 嘉味田宗治

    ○嘉味田説明員 御説明いたします。  先生の御質問は、今後も異常気象がふえるのではないか、今おっしゃられたような七十ミリ以上の非常に局地的な大雨が今後都市地区でふえるのかどうかということだと思うのですが、それにつきましては非常に難しゅうございまして、現在の気象学的な知見からいたしますと、ちょっとその予測は困難であると申し上げたいと思います。
  194. 松本善明

    松本(善)委員 そういう答弁ですが、今紹介をいたしました異常気象白書では「平均降水量は七〜一五%増加する。」ということが書いてございます。  これとの関係で、私は質問主意書を出したことがあるのですが、五十ミリ対策ということで今やられております。建設白書によりますと、中小河川については五年に一遍あるいは十年に一遍という確率で五十ミリの対策をやっているという状況のようであります。しかし東京の場合には、東京都の河川では五十ミリは三年に一回、七十五ミリというのが十五年に一回、建設省のものよりははるかに高い状況で想定してやっています。といいますのは、東京などの水害というのは一時的に、三十分ぐらいの間の溢水なのですね。それで被害が出るのですよ。東京都も建設省全体のものよりはもっと厳しく見ています。それから、今申しましたように七十ミリ、七十五ミリ、九年間で三回なのですよ。これは五十ミリ対策でやっていますということでは東京都民は絶対納得しないのですよ。これはどうしても七十ミリ以上の対策に根本的に見直すということが必要なのじゃないか。その問題点については建設大臣はいかがお考えになっているか、お聞きしたいというふうに思います。
  195. 近藤徹

    ○近藤政府委員 五十ミリ対策について進めている事情について御説明させていただきます。  全国の河川で、いわゆる中小河川についての整備率を、仮に時間雨量五十ミリという想定でどの程度安全に流せる河川の区間があるかといいますと、昭和六十二年度末で大体二九%程度でございます。個々の河川につきましては、過去における降雨の実績災害実績、あるいは地域実情その他を踏まえましてそれぞれの河川について一定の計画をつくり、例えば五十ミリ以上のものを設定して進めておるわけでございますが、こういうような整備の水準が極めて低い状況では、一定のある将来計画に基づいて区間ごとに仕上げていくという方式よりも、その全体を例えば五十ミリという基準で眺めてみましたときに能力の落ちているところを五十ミリの水準まで上げていくということによって、全体の水準を一定に上げつつ次の段階へ進めていくという方式をとっているわけでございます。東京都の場合においても、一応時間五十ミリの設定をしておりますが、計画的にはそれぞれの河川の長期計画に基づいて実施している状況でございます。
  196. 松本善明

    松本(善)委員 ちょっとやや不明確なんですが、やはり建設白書では「重要な都市においては、時間雨量八十ミリの降雨に対する整備推進する。」ということも書いてあります。東京なんかの場合はまさにそういうことになるのじゃないかと思うのですが、そういうふうに伺ってもいいのでしょうか。
  197. 近藤徹

    ○近藤政府委員 時間雨量五十ミリという状況ではまだ完成に至っておりません。しかし、計画については八十ミリという将来構想を持ち、例えば用地の問題あるいは遊水地の設定その他においては、例えば八十ミリという設定をしつつ五十ミリの能力の不足している区間について優先的に採択して実施し、可能な限り早い時期に全体として五十ミリの水準を確保し、その次の段階になりましたらまた計画の中で次の段階に引き上げられるものについて優先的に実施しよう、そういう考えで進めておるわけでございます。
  198. 松本善明

    松本(善)委員 どうも歯切れが悪くて、やはり五十ミリをやってそれからという感じなんですね。大臣、国際防災十年事業推進というのを政府の方では決めていますね。ところが、おひざもとの東京でこういう事態が起こっているというのは、これはまことに恥ずかしいことではないかと私は思うのですよ。  やはり建設白書で見ますと、オランダなんかは一万年に一回の規模の高潮による被害を防止する、その整備率は完成しているというのですよ。オランダなんかの状況と比べてみますと姿勢が全然弱いのじゃないか。後で細かくやりますけれども、一時的な溢水ですからオランダと比べればはるかに容易にできなければならぬはずだと私は思います。そういう決意はやはり政府の方で、建設大臣のこれはどうしてもそういうことは防ぐのだという基本方針が大きく出れば、私は全体が動いていくと思うのです。とにかく今は五十ミリで、七十ミリ以上降っても我慢しろというのでは、これはとても国民は納得しないと思うのですけれども、一体政治的に建設大臣はどう考えているか、お聞きしたいと思います。
  199. 近藤徹

    ○近藤政府委員 まずオランダとの比較ということになりますと、気象条件等、我が国は台風常襲地帯とかそういうこともありますし、また地形的にも非常に急流河川が多いということで、常時の流量と集中豪雨時の流量との差が、そういうオランダ等と比べて非常に違っているという意味で、自然的条件がかなり違うのではないかと思っております。  それから、先ほどからも御説明しておりますが、例えば今先生のおっしゃる七十ミリとか八十ミリという計画を当分捨てておいて五十ミリだけをやっているということではございませんで、七十ミリ、八十ミリという計画に達するための規格というものを踏まえつつ、現在五十ミリで不足しているところを早急に五十ミリの効果を引き上げるようにするという形で進めておるのでございまして、七十ミリ、八十ミリという計画についていささかもおろそかにしているわけではございませんということをつけ加えさせていただきます。
  200. 松本善明

    松本(善)委員 もちろんオランダとは違うし、オランダは高潮だし東京の場合はそういう一時的な溢水なんですよ。私は、政治姿勢として一切そういう水害を受けないように保障していくという政府の姿勢と決意が要るのじゃないかということを聞いている。オランダと気象条件も違うのは当たり前なんですよ。その姿勢を建設大臣に聞きたいと思うんです。
  201. 原田昇左右

    原田国務大臣 今、河川局長から御答弁申し上げましたように、我々はともかく五十ミリのものを五十ミリに早く引き上げ、さらに八十ミリのところは八十ミリにしようということで懸命に努力しておるわけでありまして、何もその計画ができないからもうほっとくというようなことではございません。都市水害の防止に有効な方策は、検討の上、可能なものについては計画の段階いかんにかかわらずどんどん着手するように努力いたします。
  202. 松本善明

    松本(善)委員 それでは具体論に入りますけれども、実際に私は現地調査もし、東京都が東京で進めているいろいろの施設その他も全部見ました。例えば、環状七号線の地下に大規模な貯留池を計画をしているということで、環七地下河川、 こういうことでやっているわけですよ。やっているのは承知なんだけれども、例えばそれも予定どおりいっても今から三年後になってしまうんですね。それから、水の取り入れ口の用地取得もまだできてない。だから官側といいますか役所の方の説明では、それまで待ってくれ、その前に七十ミリの雨が降ったらどうしようもないというのが現状なんですよ。そうすると、雨が降ってきますとその辺の住民はもう寝られなくなるんですよ。それでみんな水害に遭う、三十分ぐらいで一挙に来ますからね。本当に大変な被害なんですよ。  それで、今皆さんの要望しておることは、そんな大規模なものでなくていい、すぐそば、例えば道路の下とかに貯留池、遊水池をつくってくれ。渋谷に、小さいんですけれども新道公園というのがありまして、そこが今住民の要望によって貯留池、遊水池ができまして、千三百立方メートルの容量で工事中だったんですが、今度の水害のときにはそのまま水を入れるということにして二千三百立方メートル入って、周りの人たちは非常に助かったんです。小さくてもいいから、下水があふれるわけですから、すぐそばに遊水池をつくってくれ、それをどんどんやるということをすべきだと思うんです。  例えばの話ですけれども、東京で言いましたならば、立正佼成会の敷地がありまして、そういうところに貯留池をつくってくれという要望もある。そういうようなことについて積極的に官が動くとかいうことが必要になってきているんです。大きな遊水池では済まないんですね。そういうようなところに国が補助をするとかいうことで進めていくということがどうしても必要なんです。今のままでいけば、とにかく我慢する以外にないという状況です。そういうようなきめの細かい対策をお進めになるという考えがないかどうか、大臣の御決意について伺いたいのです。
  203. 近藤徹

    ○近藤政府委員 神田川の事例について御説明させていただきますと、神田川につきましては昭和四十一年度に河川改修に着手しまして、国庫補助事業として進めておるところでございます。  御承知のとおり、都心を貫流する河川でございますから、たびたび水害に遭っているわけでございますが、用地の確保等、極めていろいろな制約のある中で、現在までに高田馬場分水路、江戸川橋分水路水道橋分水路を既に完成させ、現在御茶ノ水分水路を実施中でございます。またさらに、妙正寺川等では多目的遊水地事業、流域貯留浸透事業等可能な限りの手段を講じておるわけでございます。  この流域貯留浸透事業というのは、先生がおっしゃいましたように単に河川改修をして河道を拡大するのみならず、流域からの流出を一時的に貯留して抑制するという趣旨でございまして、流域内における公共用地等の中に、あるいはまたいろいろな施設の管理者の理解を得ながら、集中豪雨時の雨水を一時的に貯留するような機能を持とうとするものでございまして、これらを国庫補助事業として既に進めておるところでございます。  さらに、昭和六十三年度からは、これは従来の構想では、時間雨量五十ミリの上の段階の時間雨量七十五ミリという構想の中で検討してまいりました環状七号線の地下調節池工事を先取りいたしまして、これに着手をいたしておるところでございます。  今年夏に発生した区間につきましては、本来は河道拡幅を時間雨量五十ミリの構想の中に含めておったわけでございますが、現在の用地確保の状況から見ると、かなり先に延びるということから、この時間雨量七十五ミリの中にあった構想を先取りいたしまして現在地下調節池工事を進めておるところでございまして、流域の流出抑制並びに河道の拡幅、遊水地の確保等を含めまして、神田川の治水の安全をできるだけ早期に発現できるように努力しているところでございます。
  204. 松本善明

    松本(善)委員 河川局長、私それは全部見たのですよ。あなたの説明したようなことは全部見ました。全部見たけれども、では聞くけれども、七十五ミリの雨が降った場合に、いつ住民は安心できるようになりますか。
  205. 近藤徹

    ○近藤政府委員 今申し上げましたが、七十五ミリの構想の中に企画しておりましたが、神田川の今回の中野区の水害発生箇所は極めて河道が狭く、しかも送電線あるいは地域住宅が非常に密接している等用地拡幅に時間もとられるところから、地下調節池工事に着手した次第でございます。ただ、これは地下の工事ではございますが、単に予算だけということでなくて、いろいろ機能的な制約もございますので、目下この工事を可能な限り強力に進めておるところでございます。一応平成四年度程度には第一期の効果が上げられるべく、第一期の地下調節池の完成を目指して努力をしているところでございます。
  206. 松本善明

    松本(善)委員 だから三年後なのですよ。努力をしていると言うけれども、取り入れ口はまだ用地取得もしていないのです。そういうことだから、これはもう来年雨が降ったらどうするか、今すぐ雨が降ったらどうするんだと言ったら、我慢してくれと言う以外ないわけです。それは通らぬだろうと私は思うのです。これは本当に大変ですよ。  例えば洋品店なんかで被害を受けると、全部だめになりますからね。浸水したら本屋さんも全部だめになります。それで千五百万ぐらいの被害があっても保険で五%だと言っていますよ。それは本当に気の毒です。大都会の、大東京の真ん中でこんなことがあるのかという状況なんです。  これは政府の姿勢が、大号令がぐっといくとやはり促進されるのですよ。用地取得だって、建設大臣がこう言っていたと言ったら、よしすぐかかろうということになると思うのです。そのほかに大規模で環七の下と言うのだけれども、こういう大規模なものだけでなくて、今住民の要求しているのは、今すぐ安心して寝られるようにしてくれということなんです。そうなると、さっき言ったような小さいものでも何でも、できることはみんなやるということにしないといけないのです。  今、私、問題点をちょっと言いますが、例えば東京電力の送電線があるから河川の改修はなかなか進捗しないとか、貯留池事業について国がもっとバックアップをする問題とか、それから将来の防止対策としては官公庁や政府関係機関の建物、施設その他の所有地に必ず浸透施設、貯留施設、そういうものを義務づける。これをやるだけで相当違います。  今、舗装がどんどんきいているものだから、それで浸透しないで下水が逆流するのですよ。それから都内の大企業の敷地もありますし、今の立正佼成会のようなところもあります。そういうようなところをやってもらうように促進するとか、場合によっては義務づけるとか、それから開発する場合に、そういう遊水池その他の施設を義務づけるとか、そういうような根本的な施策が要るのですね。  細かいことは河川局長に聞きたいのですが、大きな方針として、本当に水害で困っている人たちの悩みを解決するような施策をやはりやっていかなければいかぬ。それは大臣がそういう姿勢を示されるかどうかで決まっていくと思いますので、大きな政治姿勢としては大臣、今言いました細かいところはひとつ河川局長に答えてほしいと思います。
  207. 近藤徹

    ○近藤政府委員 私どもの使命は水害を防除するということでございますから、その観点に立ちますと、まず河道の拡幅等によって治水の能力を上げるということもございますが、なおさらに流域の中に降った雨が川の中に流出してくる時間をおくらせる、いわゆる流出抑制策でございます。  先ほど先生がおっしゃいました、いろいろな企業、官公庁の用地等に一時的に水をためる策もあるのではないかということでございましたが、そういうことも含めて流域貯留浸透事業という形で、流域内の一定規模の用地の中で、施設の管理者の理解を得られたものについては洪水時に一時的に水をためさせていただくような施設も含めて、流域全体で治水の安全度が確保できるようにさまざまの施策を進めておるところでございます。
  208. 原田昇左右

    原田国務大臣 今東京都でも、一定の面積以上の建物なりなんなりを開発する場合には、貯留槽なりなんなりを義務づけるという制度が行われておると思うのですけれども、これももう少し下げるとか、いろいろ検討していかなければならぬと思いますし、また浸水性の舗装というお話がありましたが、そういうのもぜひ検討する必要があろうと思います。  いずれにしても、限られた用地の中でやらなければならぬわけですから、できるだけそういう予防策をとる。そして民間の方にもやっていただき、それをある程度減価償却で税法上の特典も与えるとか、そういう総合対策をやると同時に、現在水害で非常に困っているところは、確かに壮大な計画ができるまでちょっと待てと言うわけにもまいらないでしょうから、少し小回りのきくこともあわせて考えて総合的に施策を講じていくべきである、こういうふうに考えております。
  209. 松本善明

    松本(善)委員 小さいのは、さっき紹介をいたしました新道公園というところのは工事費一億三千万なんですよ。いろいろな河川で、広げるなんといったら大ごとですけれども、ちょっとした努力でごく安くできるのですね。私は大臣に一回現地を見ていただけないか、実情と今の施設がやり方がそれだけでいいのかどうかというのを足を運んで見ていただけないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  210. 近藤徹

    ○近藤政府委員 前半の部分についてお答えさせていただきますと、河道改修というのは非常に予算もかかり時間もかかるわけですし、流出抑制の調整池というのは比較的少額ではございますが、効果の面になりますと、やはり基本的には河道拡幅が一番大事だと思っておりますし、流域の中で貯留していただくというものは、相当数のものが集まって、それで河道の効果はどうかということになりますから、やはり河道改修も含め、また流域の貯留浸透、抑制も含めて進めていくのが必要ではないかと思っております。  その件につきましては、また大臣にも十分御説明させていただきたいと思います。
  211. 松本善明

    松本(善)委員 現地視察はいかがでしょうか。
  212. 原田昇左右

    原田国務大臣 また河川局担当の者ともよく相談いたしまして、考えてみたいと思っております。
  213. 松本善明

    松本(善)委員 これは私は問題提起ですけれども、東京の場合には河川の改修というのは用地が高くてなかなか容易じゃないです。やはり貯留池、遊水池をどんどんつくるということで大きく発想を転換しないと、いつまでたっても解決しない。これは今は答弁求めませんけれども、問題提起をしておくので、建設省で考えてほしいと思うのです。  もう一つ災害救助の問題です。災害救助で、中野区というところは災害救助法が適用された。けれども、家一つ、道一つ隔てた杉並区とか渋谷区とかは適用されないのですよ。これはやはり流域でやるというふうに考えるべきではないだろうか。それから、これは実際上は、都市計画がどんどん、舗装がきいてきて、そういう状況の中でのいわば人災なんですね。個人の災害、今個人がどのぐらいもらうかというと、区から二万とか三万とか床上浸水でもらうのです。そんなものは畳二、三枚で終わってしまうのですよ。本当に被害はそのままになっております。この災害救助法の改正を現実に合うようにすべきではないかということを厚生省に伺うと同時に、政治家として、管轄ではないけれども大臣にお考えを伺いたい、こう思うわけでございます。
  214. 横田吉男

    ○横田説明員 御説明申し上げます。  災害の際の応急救助につきましては、先生御承知のとおり、第一次的には市区町村が実施責任を持っておりまして、これを実施することになっているわけでございますが、災害の規模とか程度によりまして市町村だけに任せておいたのでは実施体制ですとか負担が重くなり過ぎるというようなものにつきましては国、都道府県が実施し、費用も負担するというような形になっておるわけでございます。  災害救助法の適用につきましては、先生の御質問にもございましたように、市区町村の区域の人口規模なり災害の規模に応じまして要件が定められておるところでございまして、例えば人口五千人の市区町村でございますと滅失家屋数が三十世帯以上、人口三十万人以上というような区に該当いたします場合には滅失家屋世帯数が百五十世帯以上というような場合に適用されることになっております。  今回の東京都における集中豪雨の場合でございますが、中野区の場合、床上浸水が五百三十五戸ございまして、これを滅失家屋数に換算いたしますと、三分の一の百七十八戸ということで適用になったわけでございますが、例えば杉並区の場合には床上浸水百八十四戸ということで、家屋数に直しまして六十一戸に相当するということで、この基準に適用にならなかったということでございます。災害救助法の趣旨はそういったことで、大規模な災害について国、都道府県が費用を負担するということでございまして、災害救助の必要そのものを判定するものではございませんので、こうした災害救助法が適用にならないような災害におきましても、区におきまして、中野区と杉並区におきましても同様の応急措置を講じているというふうに聞いております。  したがいまして、現在の災害の責任体制というものは第一次的には市区町村にあるということでございますので、これを直ちに河川流域というものに広げるというのは無理があろうかと思っております。ただ、非常に広域的な災害で都道府県全体が大きな被害を受けたというような場合につきましては、こうした市区町村ごとの戸数も大幅に緩和する要件もございますので、こうした要件の活用で対応してまいりたいと思っております。  それから、もう一つございました災害の場合の個人の財産の補償をどうするかということでございますが、現在の災害救助法はあくまで災害の応急救助ということで、避難所の設置でございますとか食料品の給与という当面の措置について定めておりまして、個人の財産補償というようなものについて公の責任をもって行うという考えは入っておりません。これは現在の我が国の法体系からいってなかなか難しいことではないかと考えております。  以上でございます。
  215. 原田昇左右

    原田国務大臣 お聞きになったように、個人の災害補償については大変問題があるところであります。我々建設省としては、ともかく災害の復旧の方でございまして、こちらの方は大いに予算を獲得して整備を早急に図る、そして災害の復旧をする、こういうことに全力を挙げておる次第でございます。
  216. 松本善明

    松本(善)委員 終わります。
  217. 東家嘉幸

    東家委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十八分散会