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1989-06-21 第114回国会 衆議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年六月二十一日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 東家 嘉幸君    理事 北川 正恭君 理事 北村 直人君    理事 古賀  誠君 理事 野中 広務君    理事 東   力君 理事 中村  茂君    理事 古川 雅司君 理事 西村 章三君       粟屋 敏信君    石破  茂君       榎本 和平君    遠藤 武彦君       大原 一三君    金子原二郎君       笹川  堯君    田村 良平君       武村 正義君    中山 成彬君       野呂田芳成君    松田 岩夫君       松田 九郎君    小野 信一君       木間  章君    小林 恒人君       三野 優美君    大野  潔君       伏木 和雄君    小沢 貞孝君       辻  第一君    中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 野田  毅君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       公文  宏君         建設政務次官  木村 守男君         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省都市局長 真嶋 一男君         建設省道路局長 三谷  浩君         建設省住宅局長 伊藤 茂史君  委員外出席者         建設委員会調査         室長      佐藤 毅三君     ————————————— 委員の異動 六月十六日  辞任         補欠選任   小野 信一君     武藤 山治君   三野 優美君     堀  昌雄君 同日  辞任         補欠選任   堀  昌雄君     三野 優美君   武藤 山治君     小野 信一君 六月二十一日  辞任         補欠選任   金子原二郎君     石破  茂君   桜井  新君     粟屋 敏信君   松永  光君     笹川  堯君 同日  辞任         補欠選任   粟屋 敏信君     桜井  新君   石破  茂君     金子原二郎君   笹川  堯君     松永  光君     ————————————— 六月十九日  道路法等の一部を改正する法律案内閣提出第  五〇号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  道路法等の一部を改正する法律案内閣提出第  五〇号)(参議院送付)  請 願   一 過疎地域振興のための新立法措置に関す     る請願園田博之紹介)(第三五号)   二 尾瀬分水反対に関する請願佐藤隆君外     一名紹介)(第一六七号)   三 河川維持流量の確保に関する請願(井出     正一君紹介)(第一一七〇号)   四 同(小川元紹介)(第一一七一号)   五 同(小沢貞孝紹介)(第一一七二号)   六 同(唐沢俊二郎紹介)(第一一七三号  )   七 同(小坂善太郎紹介)(第一一七四号  )   八 同(中島衛紹介)(第一一七五号)   九 同(宮下創平紹介)(第一一七六号)  一〇 同(村井仁紹介)(第一一七七号)  一一 同(若林正俊紹介)(第一一七八号)  一二 同(串原義直紹介)(第一四四六号)  一三 同(清水勇紹介)(第一四四七号)  一四 同(中村茂紹介)(第一四四八号)  一五 高速道路料金値上げ反対に関する請願     (安藤巖紹介)(第二三六〇号)      ————◇—————
  2. 東家嘉幸

    東家委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付道路法等の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。木村建設政務次官。     —————————————  道路法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 木村守男

    木村(守)政府委員 ただいま議題となりました道路法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  市街地における幹線道路整備につきましては、近年、代替地取得難等により、道路用地取得が困難な地域が生じてきておりますが、事業緊要性にかんがみ、このような状況を打開し、事業の進捗を図ることがますます必要となっております。  また、市街地における適正かつ合理的な土地利用を図るため、幹線道路整備とあわせて、その上下空間を含めた周辺地域一体的かつ総合的な整備を行う必要性も高まっているところであります。  この法律案は、このような状況にかんがみ、市街地における道路整備促進し、あわせて適正かつ合理的な土地利用を図るため、道路法都市計画法都市開発法建築基準法等を改正し、道路建築物等とを一体的に整備する制度を創設しようとするものであります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  第一に、道路法におきまして、道路の区域を立体的に定めること等により、道路上下空間建物利用に供するとともに、道路建物とを一体的に建築、管理することができることといたしました。  第二に、都市計画法におきまして、地区計画に関する都市計画に定めることができる事項として、道路建築物等との一体的な整備に関する事項を新たに設け、道路整備とあわせた良好な市街地形成を図ることといたしました。  第三に、都市開発法におきまして、再開発地区計画に関する都市計画について、地区計画に関する都市計画におけると同様の措置を講ずるとともに、市街地開発事業について、道路施設建築物との一体的な整備を行うことができることといたしました。  第四に、建築基準法におきまして、地区計画等において道路建築物等との一体的整備に関する事項が定められた場合における道路内の建築制限合理化等を図ることにより、道路上下空間建築物建築することができることといたしました。  その他、これらに関連いたしまして関係規定整備を行うこととしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨で あります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  以上であります。
  4. 東家嘉幸

    東家委員長 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
  5. 東家嘉幸

    東家委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三野優美君。
  6. 三野優美

    三野委員 ただいまから道路法の改正問題について質問いたしますが、その前に委員長に確認しておきたいのです。  私は、前委員長のときに、奄美、小笠原群島振興法を審議したときに、委員会として調査するという約束があるのですが、それの引き継ぎを受けておいでですね。委員長以下、理事の皆さんで調査をする気はありますか。もう会期も終わるわけですが、確認したことを実現しなかったら困りますので、その点だけ聞いておきたいと思います。
  7. 東家嘉幸

    東家委員長 理事懇もしくは理事会において協議して御返答いたしたいと思います。
  8. 三野優美

    三野委員 御返答では困るのだよ。前委員長が約束したわけですから。だから、やってください。それだけ要望しておきます。
  9. 東家嘉幸

    東家委員長 承っておきます。
  10. 三野優美

    三野委員 よろしくお願いいたします。  さてそこで、道路法等の一部を改正する法律案について質問いたします。  政務次官、この法律案を見せていただきますと、従来の道路法とは性格が根本的に変わってきた。とりわけ四条は基本的に変わっているわけです。この法案を見る限りは、これによってこれから本格的に市街地における道路建設を進めよう、こう言うのですが、これは緊急だからやったのだと思いますが、この法案が通ったら建設省としては当面一体どういう路線で、どこの箇所で取り組もうと考えているのか。そしてこの法案の成立によって日本の道路建設のこれからの進め方は、従来とどう違った意味で進行させていくのか。これらのことを冒頭に聞いておきたいと思います。
  11. 三谷浩

    三谷政府委員 予定箇所等を御説明させていただきます。  この法案趣旨そのもの都市内において非常に交通渋滞が発生しておりまして、土地が高くてなかなか買えないあるいは代替地がないということで、良好な市街地環境維持しつつ適正かつ合理的な土地利用促進するために、幹線道路整備とあわせて、その周辺を含む一体的な整備を行う必要があるということで、この立体道路制度を創設いたしまして、円滑な道路整備と良好な環境を備えた町づくりを行う、こういうものでございます。  平成元年度以降考えております具体的な箇所を御紹介申し上げます。  一つ外郭環状道路和光地区でございます。これは地盤面下整備されます東京外郭環状道路の上に住宅駐車場等施設道路一体的に整備しようというものであります。  二つ目には名古屋環状二号線喜多山地区でございますが、これは名古屋環状二号線と名古屋鉄道瀬戸線交差部におきまして、道路上の駐車場道路整備一体的に行おうとするものであります。  それから首都高速道路箱崎地区でも考えておりまして、箱崎地区では、首都高速道路駐車施設管理施設オフィスビル一体的に建設して、首都高速道路パーキングエリアの拡充を図ろうというものでございます。  また、他の地区においてもいろいろ調査を推進しております。
  12. 三野優美

    三野委員 政務次官、この法案は、中身を見てみると、用地買収その他なかなかしにくいので、道路建設側の都合で、高い土地を安く利用するためにもその道路部分だけ使おう、こういう意図があって、いわば土地所有者の側に立った考え方が少し弱いのじゃないかという気がするのですが、あなた、そう思いませんか。  もう一つは、市街化地域に集中するということを考えたのですが、道路一般にこれを適用するという考え方はないのか、その点をお伺いします。
  13. 木村守男

    木村(守)政府委員 三野委員にお答えいたします。  率直に言ってこの法律は、特に大都市周辺市街地の良好な環境維持あるいは建設していく、こういうことは今道路局長から説明があったとおりでありまして、そのためには、土地の高騰の現況にかんがみて今までのような手法だけではいかがなものか、そういう視点に立っての検討の結果これが提案されたのであります。先生御案内のとおり、一体化することによって道路建設促進、良好な環境あるいは交通渋滞解消等、そういうことでの試みでありまして、地権者については今までより選択の幅がふえた、公共に御協力願いながらも場合によっては一体化のもとにそこに住むことができる、そういうことにも相なりますので、その辺は御理解いただけるのじゃなかろうか、こう思っております。  それから、これが既存の道路にも幅広くという先生の御指摘、御示唆でございまして、それは私も基本的にはごもっともだと思います。しかし当面は、今度のこの法案の範囲は、主たる願いは、市街化の今言うたような状況の緩和あるいは良好な環境促進ということでありますから、そこを旨としますが、それから一歩も出ないつもりではありませんで、今までもそうですけれども鉄道道路が交差しているところもございますが、そういう場合に線路部分以外の道路部分の上にふたをするという方法とか、そういうようなことは地方であってもあり得る、こういうことに私は理解いたしております。よろしくお願いいたします。
  14. 三野優美

    三野委員 今の政務次官の解釈はかなり柔軟にお答えになっているのですが、これは重要な部分ですからまた後で少し詰めたいと思います。  さて、従来は道路建設の場合には、建設する側が、道路管理者側全面買収という形でやってきた。今度はそうではなしに、土地所有者から、全面買収ではなくて、いわば道路として使用する空間部分だけ、地上であったり地下であったりしますが、空間部分だけ利用することで協定書を結んでやろうではないか、いわば借地しようじゃないか、権利を借りよう、こういうことなんですが、全面買収するか、いやそうではなしに、土地所有権はそのまま従来の地権者が持っている、道路部分だけお使いなさいというか、このどちらを選択するかという選択権はどちらから始まるわけなんですか。道路側が主張するんですか。いや、所有者がおらんくは売らぬわね、だから利用部分だけを使ってくれと言ったら、それに全面的に応じるということなんですか。それはどうなんですか。
  15. 三谷浩

    三谷政府委員 基本的には道路整備に当たりましては、用地を全面的に買収して行うというのが原則だろうと思っております。  この法律趣旨にありますように、例えば市街地幹線道路をつくる、土地買収がなかなか難しい、あるいは代替地がなかなか見つからない、そういうようなことで、このような道路建物が共存して整備をしていく、こういう方策について考えたわけでございます。したがいまして、まず用地全面買収するということが基本だと思いますが、このようななかなか用地買収ができない、そういうところで道路整備を推進していくため必要な場合におきましては、市街化区域等地区計画等を定めまして立体制度を活用するのがこの制度趣旨であります。  それから、先ほど一般的にはどうだという御質問がございましたけれども、先ほど先生からも御指摘がございましたように、四条の問題あるいは三十二条の占用、こういう規定、これについてはもちろんあるわけでございますから、従来認められておりますトンネルの上であるとかあるいは高架道路の下の建物、こういうものについて適切かつ合理的な土地利用促進を図るため必要があると認めたときには、市街化区域に限らず全国的に適用ができる、こういうことでございます。
  16. 三野優美

    三野委員 局長、それはまた後からしますが、 その前に私が言っているのは、いわば全面買収でいくのか、いやそうではなしに、この土地地権者が従来どおり確保したい、したがって地区計画を設定して、とにかく道路利用部分だけを道路管理者に貸すから、それで契約しようというその選択権は、まず地主側にあるのですかと聞いているわけです。  あなたの方ではなしに、地主側が主張すればそれには原則的に応じる、拒否はしない、こういうことなんですか。あるいは、もうとにかくおらんくは、僕のところは買ってもらうわねと言えばそれも応じる。いわば、どちらを選ぶかは地主土地所有者選択権がすべてあるのですか、拒否はしませんね、これはどうですかと聞いているわけです。
  17. 三谷浩

    三谷政府委員 まず道路計画を立てますのは、これは私どもの責務だと思いますので、例えば市街地のこういうところについてはこういう道路をつくる、この計画がまずありきということでございます。それで、もちろん全体の計画として、それから用地買収をするにしてもいろいろなことをするにしても、地権者等との合意を求めるべく十分いろいろなお話し合いをするわけでございます。例えば今回のこのお話も、これは両方の合意なくしてはとてもできるものではございませんので、選択権がどちらというよりも、やはりこれはお話をして決めていくことになろうと思っております。
  18. 三野優美

    三野委員 いや、だからお話をして、話がつかなくて、私の方はあくまでも所有権は残しますよ、そこで、立体的に活用する気持ちがあるから、とにかく道路使用部分だけあなたのところに権利を貸しましょうと言ったところが、いわば建設する道路管理者側はそれは困るといって合意をしなかった場合にはどうするんですか。収用法で一方的にいくのですか。いや、それは土地所有者選択権だけはある、けれども道をつけることだけは合意してもらわなければいかぬわね、どっちにするかしらぬけれども選択権地主側にあるのですかということを聞いているわけです。全面買収かあるいは空間だけ使うのか、どっちにするのか、選択権があるのか。
  19. 三谷浩

    三谷政府委員 この制度を活用することは、まず原則は、私ども一般道路をつくる場合は、当然ながら全面買収でございますから、これはまず基本としてございます。しかし、例外的な処置として、市街地等について、こういう場合におきましてはこういう制度を取り入れる、こういうことでございます。もちろんその際に、道路計画とあわせて良好な市街地形成をするために例えば専用道路について地区計画を定める、こういうことがございますから、こういうものが整わないと我々のこの制度が活用できませんことも、これまた事実でございます。  もちろん今先生の御指摘がございましたように、一方的にこちらがこういうふうにするというようなことは、道路整備では従来もなかったと思いますし、この制度適用におきましても、当然地権者の方と十分御相談をいたしまして、例えば道路一体建物については協定を結ぶわけでございますから、これは完全に合意のもとでやらせていただくものですから、その点については御理解を願いたいと思っています。
  20. 三野優美

    三野委員 局長、あなたはすべてが円滑にいった前提で物を考えているわけです。それであればもう収用法というのは要らないわけです。それがうまくいかなかったときのことを想定して、いわば選択権はどちらにあるのかということを聞いているわけなんですから、この地区計画を設定する段階にもちろん市町村、都道府県の行政機関意見も聞くでしょうが、そのときに、ややもすると、やはり道路管理者が設定をして、それに基づいて地権者合意するかどうかになる危険性があるので、だから私は、そうではなしに、どちらを選ぶかというのはすべて地権者にあるのかどうかということを聞いているわけなんですから、もう一遍答えてもらいたいのが一つ。  もう一つは、これをやる場合に、既に建設省としては住都公団など半ば公的な機関がやる場合のことも頭に入れておるだろうと思うのですが、土地所有者が小規模の一般住宅が密集しているところ、そうすると、これはかなり時間がかかる話、都市の再開発とあわせてやるものですから。そういうことも予想されているのかどうか、これをひとつ聞いておきたいと思います。  それからもう一つは、余り時間がたってもいけませんけれども、ついでですから聞いておきたいのですが、道路に必要な土地空間部分利用されるんですね。これをひとつ聞いておきますが、何車線までを想定しているんですか。二車線ですか、六車線なんですか。それとも高さは幾らを想定してその空間部分利用しようとしているのか、これもこの際聞いておきたいと思うのです。最高幾ら最低幾らまで。
  21. 三谷浩

    三谷政府委員 一つは、道路地権者の方が売りたい、こうおっしゃるのなら当然我々は買います。  それから二つ目には、例えばこの立体道路制度ができて、しかもそういうような条件が増して、こういうことでお願いをしたい、例えば道路の方ではなかなか代替地が買えませんからこういうことでどうだろうという御意見は、最大限尊重しようと思っております。  それで、もちろん私どもこれは実態的にケースバイケースで判断しなければいけませんのは、例えばそういう土地でないけれども売りたくないとか、いろいろなケースがございますから、全部が全部どうだ、こう言われてもなかなか返答に苦しむのはちょっと御理解をいただきたいと思っております。  ただ基本は、今までのように道路全面買収をして云々という制度ではなくて、道路建物との共存を図る、こういう観点からこの制度をつくったわけでございますから、我々は地権者方々の御意見をより聞いて、なおかつ道路整備ができるというのがこの趣旨でございますので、そういう点は地権者方々の御要望に沿った一つ解決策であるというふうに考えております。  それから幅の問題でございます。これは道路計画にもよりますので、例えば六車線以下とか十車線以下とかという、そういう数字を決めておるわけではありません。ただ、道路一体建物の対象となりますのは、例えば自動車専用道路でございますから、これは例えば余り狭い道路自動車専用道路というようなことはございませんから、おのずからその幅がそこで決まってくると思います。  それからもう一つ、その道路維持管理に必要な幅をその車線にプラスされた数字として確保しなければいけない、こういうことでございます。
  22. 三野優美

    三野委員 土地地上部分地下部分、いわば道路必要部分ですね。まず高さ、あなた言わなかったので、ちょっと高さを聞いておきます。高さは最高どこまでというのは決まっておるでしょうから、それまでは確保しなければならないというのがあるでしょうから、それを聞いておきます。  そこで、この空間部分の一部を道路として使う、管理者契約を結んで借地する、その補償基準はどうなんでしょうか。例えば、具体的に聞きましょう。平米当たり二百万の土地、五百万でもいいですよ。二百万の土地、そこで空間部分を使うわけですが、一立方当たり空間部分ですから、それを利用する権利補償基準というのは地価の何%くらいを見ていますか。これをちょっと聞いてみましょう。
  23. 三谷浩

    三谷政府委員 失礼しました。高さ等についても、数字でもって限定をするというわけではございませんけれども道路構造物そのものがそんなに高いところを通るわけではございませんから、常識的な数字だろうと思っております。  そこで、今の補償の問題ともちょっとあれをいたしますので、実例で御説明をさせていただきたいと思っています。この立体道路を活用して道路整備を行います場合には、地上または地下を問わず、道路が通ったことによりまして空間が阻害されるわけでございますから、その空間につきましては区分地上権、これを設定して対処することと いたします。したがいまして、この区分地上権対価をどう考えるかという、こういう問題でございます。区分地上権対価は、当該土地の正常な取引価格にその地上または地下を使用することによって土地利用が妨げられる程度を勘案して決めることになります。  一つの試算をちょっとやってみますと、例えば、最有効建物地下二階、地上六階、これが容積率、建ぺい率を勘案して最も経済的な建物で、その地区においては二階、六階、こういうようなことだったと思います。これを利用の面で見ますと、建物利用割合では八割、それからその地下利用する割合が、例えば一割くらい、それからその建物のさらに高いところ、これは一割。こういう地域におきまして、例えばそこへ道路が四階のところから上を四、五、六と占領する。こういうふうに見ますと、その建物が三階になってしまう。こういうものについて、これは細かい計算はちょっとやや専門的になりますので割愛させていただきますが、この補償率が大体三三%くらいになります。それから、地下トンネルによりまして地下利用が阻害される、こういう場合の補償率計算してみますと二七%。これは数字でもって計算をするとこういうふうになる。もちろん、補償そのものは、これはまた契約によって結ぶわけでございますので、ケースバイケースだと思います。
  24. 三野優美

    三野委員 地下で二七%、地上で三三%というのですね。これはもちろん地価評価額とのかかわりが出てきて、一つ一つの物件それぞれ違いますから一概にはいかぬと思うけれども、実際にはなかなか難しいと思う。道路というと、その空間を使う、この区分地上権をやるというのはもう半永久的ですからね。そういう点では難しいと思うのですが、ひとつこれは参考までに聞いておきましょう。  さてそこで、道路建物一体にやる場合に、いわゆる建築基準法の改正によって一体的整備をやるわけですね。この場合に二つのことがある。道路構造建物とが全く一体的になっている、あるいは道路部分建物とが別な構造物になっているという場合がありますね。一体的になる場合に、これが将来、建築物の改修もしくは改築道路の補修もしくは改築がある場合の補償というのはどちら側がしなければならぬのか、あるいはこれは補償はなしでいくのか、この点の協定の内容がどうなっているのか、ひとつ聞いておきたいと思うのです。  それと、もう一つ聞きたいのは、一体的な構造になりますと騒音、振動、排気ガスが心配されるんですが、この場合の騒音は、一体的にした場合にそのすぐ隣の部屋で何ホンまでに抑えるということが可能なのか、またその基準をどこに置いているのか、振動はどうなっているのか、この点についてひとつ聞いておきたいと思うのです。
  25. 三谷浩

    三谷政府委員 まず最初の御質問でございます、道路一体建物で例えば道路建物改築する場合の負担関係、どうなるかということでございますが、道路一体建物についての道路または建物改築する場合の工事調整それから負担関係につきましては、協定によって決めることになっております。道路改築する場合で建物に御迷惑をかける、さっき申し上げましたように、例えば建物一体構造なんというようなときは恐らくそういうことになると思いますが、こういうことについてはもちろん道路側が費用負担をする、こういうことになろうかと思います。それから、道路一体建物建物を例えば改築をする場合、こういう場合については、協定を再度締結して建物改築について要する費用の一部を負担することになるわけでございますけれども、現実の問題といたしましては、最初の協定のときに、その建てかえをする場合はそういうことになるから、建てかえについて道路管理者と協議して再度協定を結び直そうということを当初の協定に盛り込もうということでそういうことが防げるのではないか、こう思っております。  それから、二つ目環境問題でございます。環境問題は、道路建築物一体整備において、環境対策それから防災対策については事前に十分な検討を行いまして対策を講じることは重要であります。環境対策においては、計画設計段階で騒音、振動、排気などの予測を行い、必要に応じて道路建築物などの構造等について対策を講じることにより環境の保全を図りたいと考えております。  考えられる問題といたしましては、騒音問題あるいは振動問題等があろうかと思っております。  騒音問題につきましては、道路側の方はいわゆる環境基準、これが一つのベースになろうと思っております。環境基準は、ちょっと細かくいろいろ分かれておりますけれども、例えば、商業、工業地区が多いかと思いますが、商業、工業地区ですと夜間六十ホン。これはもちろん車線数とかいろいろ細かく出ておりますから、数字がおのおの違っておりますけれども、ただ、それにプラスしまして例えば室内騒音、こういうものを低減させるために道路建物の構造に配慮する、あるいは窓の配置であるとか遮音壁とかこういうものが考えられるわけでございます。  それから、振動についても要請基準が決められております。これはいろいろな地域ごとに決まっておりまして、例えば夜間の六十五ホン、こういうようなことがございますが、構造的に見ますと、建物道路の共振を防止する、あるいは道路の支承、つまりジョイントのところですが、こういうところで配慮することによって振動レベルを下げることができるだろう、こう思っております。
  26. 三野優美

    三野委員 住宅局長一体的な建設をする場合に、普通、一般的な建築基準法に基づいてこの環境基準は保持されますか。それとも、全く道路一体になっているんですから、長距離トラック、二十トン車がどんどん走っちゃうんだけれども、特別な構造を必要とするんですか、どうなんですか。それについてはどう考えておりますか。
  27. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 建物の側から申し上げますと、今回の制度はまず地区計画市街地環境を守るように決められております。それからもう一つは、建築基準法上で政令で基準をつくることにしております。さらに、その基準に基づきまして特定行政庁が認定をする、こういう三段構えになっておるわけでございます。したがいまして、今先生お話しのように、道路一体的に整備されます建築物が振動であるとか騒音であるとかいろいろな環境問題があるわけでございますけれども、幾つもの段階でそのことを考え、最終的に認定の段階でもチェックができる、こういうことになっておるわけでございます。特に振動につきましては建物の中で人体に感じない程度の基準というのは決まっておりますので、それにならないような設計構造のものにするということで、大まかな基準は政令で決めますけれども、さらに最終チェックの段階でそれは十分にチェックされるものというふうに考えております。
  28. 三野優美

    三野委員 道路一体的なものと、従来住宅であったものが今度は道路になっちゃって一体的になるわけ。そこで、すぐそこで生活しなきゃならぬわけですから、睡眠が十分とれ得る条件というのは私は六十ホンではないと思うわけなのです、夜間部分においては。したがって、それが三十であるのか二十であるのか、日常生活に支障を来さない基準というものはやはり建築許可をする住宅局の立場からいえば設定しなければならぬし、そのための構造は従来の建築基準法に基づく構造ではだめなんですよ、こういう特別な措置が要りますよというのはあるはずなんです。それを示してもらわぬことにはどうにも進まぬわな。そのための費用はすべて道路側が負担するということの協定その他を結ばれるのかどうか、この点もひとつ明確にしておいてもらいたい。どうですか。
  29. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 先ほど申しましたように、いろんな段階でチェックがあるわけでございますが、その際には建物側からいいまして当然に、建物の壁でありますとか床の構造とかそういうものに検討を加えまして、騒音とか振動が伝わらない形のものはないか、あるいは遮音壁をどうしたらいいかというようなことは十分考えていかなきゃならないと思っていますので、ケースバイ・ケー スでチェックをいたしたいと考えます。
  30. 三野優美

    三野委員 いや、これは法律が通った、後はケースバイケースなんだと言ったら、それはやはり住んでいる人たちなり土地所有者なんていうのは不安でかなわぬよ。こんなものでこの法律を通されたら困る。もっと明確にしてもらわなきゃ困る。  したがって、私は道路建物一体的にするのはかなり無理があると思う。少なくとも、本来ならば、できれば別の構造物がいいに決まっている、振動、騒音その他からね。しかし、それはやるというのですから、その場合の基準はこれ以下に抑えます、絶対に保証します、そのためには構造物にこれこれこれの特殊な構造の工事が必要なんです、その費用は全部道路側で負担します、こういうことが明確にならないと、法律は通ったわ、そこらは全部尻抜けで後からぼつぼつ考えますわなんというのではどうにもならぬですからね、審議する側からいうと。これは少し明確にしないと、私はこれをずっと読んでみていていろいろと問題点があるなと思った。複雑なだけに、この点は後でひとつ明確にしてもらいたいと思います。時間がないから次に進みますが、今の人、答えてください、もっと。  そこで、例えば一体的にやる場合でも、また一体ではないけれども建物を建ててしまう。それで、その建物の耐久年数もあるし、地主側によれば十年、二十年後に改築する場合もあるでしょう。そのときに、道路に損傷を与えた場合、あるいは道路の一時使用を停止しなきゃならぬ。あるいは道路側の工事、改修もしくは改築によって建物に損傷を与えるあるいは被害を与える場合の協定というのは、中身はどうなるのでしょう。これも聞いておきましょう。
  31. 三谷浩

    三谷政府委員 道路一体建物につきまして、道路側とそれからもちろん一緒に共存をしていただく建物側とが協定を結ぶ。これは協定を結ばなければまさにこの制度は発効しないわけでございますから、環境問題についても当然十分お話をしなければいかぬと思っております。私が先ほど申し上げましたのは、道路側として環境基準があると  いうことでお話をしたわけでございます。  ただ、今おっしゃるような建物、我々は一つの例として例えば有料道路等についても防音助成の考え方とかそういうようなことでいろいろデータの蓄積もございます。したがいまして、環境基準、これは道路側からのそういう音については、当然我々の方はしかるべき負担をして、そういう協定を結んで、そういう構造になるようにしてお話し合いをして合意を得ていく、こういう格好でやりますものですから、それについてきちっとやりたい、こういうふうに考えております。
  32. 三野優美

    三野委員 局長、聞いてみるとやはり道路のサイドだけでしか考えていない、そこに住む人の立場の基準が明確でないことをまず指摘しておきたいと思う。  少し話が変わるのですが、主として市街地等、当面やるのは三カ所なり四カ所、路線なり箇所を提示しましたね。私、これは地元のことで非常に申しわけないのですが、瀬戸大橋を渡って四国横断・縦貫道路ができていますね。善通寺—高松が今着工しているわけです。善通寺と高松の中間町、もう御存じだろうと思うのです。中間町から今度は東を向いて、徳島の方を向いて十一号線の上に二階建てでいこう、こう言っていますね、高速道路。これはどうなんですか。やはり道路建設の側の立場で、できるだけ高い金を出さないで空間部分だけ使おうという考え方があるのですが、高松の中間町まで来て、中間町から十一号線に乗る間、ちょうど空間部分を使うわけです。これをひとつ地下へ入れたらどうですか。道路をできるだけ安くするということもいいけれども周辺に対する環境の保全ということも考えて地下に入れたらどうだ。これは上部分だけ使って下は買わないよ、売らぬと言ったらおいてもいいよ、田んぼをつくろうと、鶏小屋を建てようといいよということで考えたらどうだというのが一つ。  もう一つは、十一号線に入って高速道路が二階建てでいくでしょう。これは御承知かどうか知りませんが、地元から反対運動が出ているわけです。おれの住んでいる町に二階でごんごん走っちゃって、観光バスはみんな吸い殻をほうってくれるわ、缶々をほうってくれるわ、これはかなわぬわねということで反対だ、こう言っているわけです。これもどうですか、地域環境保全のために市街地部分だけは地下に入れるということも考えたら円満にいくと思うのですけれども、これは私は一つの例を挙げたのですが、全国的にそういうことは出てくると思う。  今度のこの法律をつくる前提がどうも道路側中心で、土地を買わずに安くつけようなんて考えているようですが、もちろん土地を持っている側も自分の所有地を道路によって分断されるわけですね。こちらにも向こうにも残っちゃった。それを一体的に利用するためには地下に入ってもらう、地下部分を貸す、これは一つの方法として考えられると思うのです。いわば区分地上権で貸す。その貸す貸し方は一括一時金で補償するのか、それとも利用している間は分割式で補償してもらえるのか、この点もひとつ聞いておきたいと思うのですが、これはどうでしょう。
  33. 三谷浩

    三谷政府委員 一つは、四国横断自動車道の問題でございます。これは先生御承知のとおり、高松市の十三キロについて基本計画区間ということでございます。現在四国地方建設局が整備計画策定のための必要な調査を行っております。この区間の調査をいろいろ進めておりますけれども、地形、周辺土地利用道路網の状況を総合的に判断をいたしまして高架構造により計画しているところでありまして、もちろん環境影響評価を行ってから都市計画変更という格好になろうかと思っております。  今お話がございましたように地下構造にできないか、こういう問題でございます。もちろん土地利用計画とかとの関係もございます。それから、交通の走行では、地下にしますと交通安全の問題とかいろいろございます。もちろん経済性もあろうかと思いますが、それに加えまして、この区間につきまして技術的に私どもいろいろ検討をしておりますが、例えば御案内のとおり、この地域は大変地下水位が高いところでございますし、冠水した例もございます。それから、土地利用との関係でございますけれども、当然農業用水への影響が懸念されるということ、あるいは、これは道路計画面のやや専門的な検討事項でございますけれども、例えばインターチェンジからランプで周辺道路と高速道路との連結とかを考えなければいかぬわけですけれども、インターチェンジにおいてランプが設置できなくなる、こういう技術的な問題もございまして、なかなか地下構造化というのは難しいと考えております。  それから用地補償の問題でございます。これは一時的に支払うことが基本でございます。もちろん、契約の中身によって、契約の相手側との話し合いによって、今先生おっしゃったような検討もあろうかと思います。
  34. 三野優美

    三野委員 時間が来ていますので、これで終わりますけれども、これは私のところに限らず、高架にした場合は全国いろいろ出てくると思います。それは、そのときの地下水の問題あるいは立体との関係それぞれ出てくると思うのですが、そういう技術的なことが克服できればそういうこともあり得る、こう考えていいですか。  最後に、この際大臣に聞いておきたいのですが、今申しましたように環境問題その他についてまだ詰められない部分、答えられない部分がある。いわば土地を持ってそこで住んでいる人たちが、土地は提供するが、利用してもらうが、そこに住みたいのだよと言っている。居住するわけです。居住するための環境基準を保持するためには、一体その環境基準幾らなのか、そのための構造はどうなければならないのかという点が今の答弁では全然詰まってないわけですね。  これでは、法律は通ったけれども、後に問題を残してしまう。本来なら、これは継続にして十分議論させてもらいたい。しかし、会期末でこれを 直ちに処理しなければならないということで合意しているのだろうと思いますが、それらの点のこれからの扱いについて、これは非常に複雑な問題です。従来と根本的に道路の性格が変わってくるわけなのです。したがって、これは単に市街化地域だけではなくして一般道路にも適用されるということでなければならないし、そういうことも考えられるわけなのですが、この点について最後に大臣の決意のほどを聞いておきたいと思います。
  35. 野田毅

    ○野田国務大臣 先ほど来、いろいろ大事な御議論をちょうだいいたしました。今度の法案は、先ほど来お話がございましたように、少なくとも道路建築物とを一体的に整備しよう、こういうことでかなり限定された適用が考えられておりますし、また実際にやる場合にも地区計画あるいはそういう具体的な側面においてより厳しい環境面、防災面の配慮を加えていかなければいけない、これは先ほど来御答弁申し上げたとおりであります。  しかし、その上になおかつ具体的ケースに即して、今種々御議論をちょうだいしました観点を踏まえて、そういう住民あるいはそこで行われておりますいろいろな事業をやる方々との調和を図りながらやっていかなければいけない、このように思っております。種々御議論をちょうだいしました点を十分踏まえて、これから具体的ケースに即して考えていきたいと思っております。
  36. 三野優美

    三野委員 終わります。ありがとうございました。
  37. 東家嘉幸

    東家委員長 古川雅司君。
  38. 古川雅司

    ○古川委員 ただいま議題となっております道路法等の一部を改正する法律案につきまして若干の質問をいたします。  最初に、このたび成案を得て提案をなさっているわけでございますが、道路建築物等一体的な整備という新制度につきまして、これまで原則禁止だった上空開放、地下の有効利用につきまして一つの方向を示したわけでございますが、このことに対しましては、従来、いわゆる地価高騰の前から、経済界あるいはデベロッパーあたりからかなり強い要請があったと聞いております。建設省はそれに対して非常に慎重であったというか、むしろ消極的であったと感じているわけでございますが、その辺の事情はいかがでございますか。
  39. 三谷浩

    三谷政府委員 現行の道路法等では、道路上下空間での建物建築は、適正な道路管理の確保あるいは良好な市街地環境の確保の観点から原則として禁止する制度でありました。  このたびの立体道路制度、これは著しい交通渋滞にかんがみまして、適正な道路管理と良好な市街地環境の確保を図りつつ、市街地におきます道路整備促進するための特例として新しく設けられたものでございます。この立体道路制度の創設につきましては、従来いろいろ御議論がございまして、道路審議会の建議あるいは都市計画中央審議会の答申が行われておる、あるいは昨年度の土地臨調答申、総合土地対策要綱などにおいてもその必要性指摘されておるところでございまして、これらも踏まえまして今回こういう制度の開始について踏み切ったわけでございます。
  40. 古川雅司

    ○古川委員 そこで、以下この新制度が果たして有効に機能していくのかどうかということについてお伺いを進めていきたいと思うのでございます。  まず、用地取得の問題でありますけれども、相手が、土地所有者が民間の企業である場合、住宅都市公団というような団体である場合、あるいはまた中小規模の地主が多い低層の店舗や住宅街、多数の住民が住んでいる過密地域、そういったものを含めた既成の市街地といったような場合では、対応にもかなり大きな差が出てくると思うのでございますが、その辺はどうお考えになっていらっしゃいますか。
  41. 三谷浩

    三谷政府委員 今回の制度道路建物のいわば共存を認めて道路上下空間建築物等の自由な利用に供しよう、こういう制度でございます。したがいまして、この方式は従来の方式に加えまして、地権者方々にも新たな選択の道を開くものでありまして、道路の立体区域以外の上下空間利用基本的に自由であるため、地権者の協力が得られるものと私ども期待しております。  小規模地主の場合等の御質問がございましたけれども土地の大小を問わず、今回の制度土地所有者等と話し合いによって道路整備を進めようというものでございます。したがいまして、一般の居住者にとりましては、従来の道路用地買収に加えまして、これは全面買収ということで今まで進めてまいりましたので、これに加えまして、権利の一部を保有しながら現地に継続して居住する道、こういうものも開くものでございます。
  42. 古川雅司

    ○古川委員 この用地取得ということはいずれにしても非常に困難な問題だと思いますけれども、この新制度市街地区に道路の建設というものがこれからどう進捗していくのか。当面、この法律が成立をいたしますと、建設省としては東京都の協力で東京汐留から特許庁の間、いわゆる環状二号線の用地、これをまず取り上げて周辺住民に働きかけるのだというふうに聞いておりますが、これはそのとおりなのかどうか。  ここで懸念されますのは、二年ほど前でありますが、東京都におきましてスーパーブロック構想というものを打ち出しているわけです。これはやはり周辺住民との関係でまとまらずに、いわゆる成功はしなかったわけでございますが、そうした同じような障害もこれからいろいろあると思いますけれども道路建設を進めていく上での今後の問題点も含めて、果たしてこの法律でどれだけ進捗していくのかということについて御答弁をいただきたいと思います。
  43. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えいたします。  東京都市計画道路環状二号線は、虎ノ門−新橋間の約一・三五キロメートルにつきましては未整備となっているところでございます。この区間は、東京都心の交通の緩和に極めて有効であるとともに、汐留の貨物跡地とか東京臨海部の開発にとっても重要な路線でございまして、整備を推進する必要があるというふうに考えております。  しかしながら、この区間の整備を通常の用地買収方式で実施するということは、地元地権者方々の現地の残留希望というものが非常に多いということと、あるいは当然のことながらその用地費が莫大になるということが予想されるのでございます。こういう事情下にございますために、今回御審議を願っておりますこの立体道路制度ということがこの道路整備の有効な手法になり得るというふうに考えているところでございます。  なお、お話がございましたスーパーブロック手法でございますが、これは沿道街区を規模の大きな街区に整備することによって地域内の細街路を集約いたしまして幹線道路用地を生み出そうという手法でございますが、これにつきましては具体的にどこに適用するというところまでまだ議論は進めておりません。  以上でございます。
  44. 古川雅司

    ○古川委員 従来、都市部の道路の新設というのが、往々にして町並みであるとか市街地を分断するとかそういうことが問題になってまいりまして、しばしば住民の反対を受けてきたというケースが見られるわけでございますが、そういう点ではこの法案はどのように配慮されているのか、その点はいかがでございますか。
  45. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えいたします。  この法律は極めて限定的な、土地利用が合理的で適正に行うことが必要であって、そういうところで道路建物一体的にやろうという地域に限定してやろうということでございまして、例えば多様な土地需要が競合いたしますとか、道路整備によって地域が分断するとか、そういう地域についての適用を頭に置いているものでございます。  そして、この適用に当たりましては、その地域周辺地域の良好な市街地環境が十分に確保されるように、都市計画法地区計画または再開発地区計画という制度がございますが、これを使っていきたい。そして、その際、建築物に必要な地区内のアクセス道路の配置とか、建築物周辺の適正 な空間を確保するための公共空地の配置の仕方、それから建築物の壁面の位置の指定とか建築物の高さ、そういうことに関する詳細な計画を定めるということを講ずることにいたしております。
  46. 古川雅司

    ○古川委員 そこで、市街地区の道路建設がどの程度進むかという問題点の一つとして、道路管理者としては従来の全面買収に比べて用地費が極めて割安で済むのじゃないかということをお考えになっているようでございますが、これはかなり大きな効果を見込んでいるのかどうか。その用地費の割安部分を例えば周辺整備に充てるというようなことも含めて、この法律の構想の中にはきちんと示されているのか、その点はいかがでございますか。
  47. 三谷浩

    三谷政府委員 都市部の道路整備は交通需要に対応しては非常に立ちおくれておりまして、私どものいろいろな交通調査等でも非常に混雑度が増しておるわけでございます。具体的に、例えば都市部の幹線道路整備は非常に急務でございますけれども用地費の高騰もございますし、それから代替地要求ということも地権者方々がよく言われることでございまして、用地買収難航ということで著しい困難に直面しているわけでございます。 確かに、例えば東京都内等で幹線道路等を整備します事業費に占める用地費の割合は、例えば東京外郭環状道路のある区間では八割、こういうような数字もございます。したがいまして、今回のこの制度の導入によりまして建物道路が共存をするという格好で整備を進めていこうということでございます。もちろん、用地費の低減云々だけを目途としたわけではありませんけれども、本制度を活用いたしますと都市部の道路事業費が安くなる、あるいは用地買収促進が図れることは確かに道路整備促進の観点から大変意義が大きいということでございます。  本制度の活用によりまして節減された事業費は、当然当該の道路あるいはその周辺道路整備を含めました道路網の整備促進に充当いたしまして混雑の解消に努めてまいりたい、かように考えております。
  48. 古川雅司

    ○古川委員 そこで、この新制度、すなわち道路建築物等一体的な整備でございますが、いわゆる事業実施という段階になったときに、当然懸念されるのが自動車公害それから騒音であるとか振動あるいは排気ガスの問題等があると思いますし、また、事故発生時の安全対策ということ、これも一つの問題にはなると思います。建設省がこれまでこの制度に踏み切ることに慎重であったとすれば、そういった点も一つの懸念材料ではなかったか。これは諸外国等も含めてそういう前例であるとか参考例等をお調べになった上だと思いますけれども、この辺の対策はどう考えていらっしゃるのか、その点はいかがでございますか。
  49. 三谷浩

    三谷政府委員 一つには、道路建築物一体整備におきまして環境対策それから防災対策、これも事前に十分な検討を行いまして対策を講じることが非常に重要でございます。  環境対策におきましては、計画設計の段階で騒音、振動、排気などの予測を行いまして、必要に応じまして道路建物の構造等について対策を講じまして環境の保全を図りたいと考えております。  それから防災対策、これも非常に重要な面でございまして、例えば建物の中を道路が通る、こういう構造の場合を想定いたしますとこれはトンネル構造に準じた構造となっておるわけでございますから、こういうものについては、現在私ども道路トンネルにつきまして道路トンネル非常用施設設置基準というのがございます、この基準に準じました道路内の防災対策というものを講じます。それから必要に応じまして道路空間を鉄筋コンクリートの壁で囲う、こういうような防災対策、これは道路上の例えば火災の危険防止とかこういうものも考えておるわけでございます。  なお、この制度を導入するに当たりまして、私どもも諸外国のこういう問題についての実例をできる限り調べたわけでございます。諸外国では、アメリカのウォッシュブリッジビルであるとか、あるいは西ドイツのシュランゲンバーダー住宅であるとか、あるいはフランスのペラーシュ総合ターミナル、こういうのがございます。もちろん、こういう実例におきまして、いろいろな対策、先ほど申しました環境問題あるいは防災問題、こういうものについてもいろいろ調査をいたしました次第であります。
  50. 古川雅司

    ○古川委員 今後の問題でありますけれども、続けて二、三点問題点を伺っておきたいと思います。  一つは、既存の道路の上空や地下開放には結びつかないということでございますが、これは今後ともそういう方向で進めていかれるのか、あるいは多少そういった点は解釈を広めていくのか、この点が一つ。  それから二番目に、この事業が成功するかどうかということはやはり地権者土地所有者との交渉の進め方だと思います。地主エゴという言い方は非常に失礼な言い方かもしれませんけれども、その辺の政府あるいは自治体の取り組みの問題、これをどう考えていらっしゃるか。  三点目には、この一体的整備必要性というのが、いわゆる道路管理者が具体的な地点を認定をしあるいはまた計画提案をしていくという仕組みになっておりますけれども、これは、そういう管理者主体ということになっていくとその計画の内容についてかなり構想が狭まっていくのじゃないか、もっと広い知恵なりあるいは工夫というものが阻害されるのじゃないかという感じがいたしますが、この点はいかがでありましょうか。  続けて伺いますが、四点目に、この事業がもし成功していけば東京に限らず大阪、名古屋あるいはまた県庁の所在都市、そういったところも含めてお考えになっているようでございますが、この点の促進をされていく見込みはどうなっていくのか。  まとめて伺いましたけれども、以上四点でございます。
  51. 三谷浩

    三谷政府委員 まず、既存道路への適用問題でございますが、今回の制度道路の立体的区域の決定は既存の道路については行わず、新設または改築を行う場合に適用する、こういうふうになっております。  これは、既存道路適用いたしますと、現行の占用許可を初めといたしました道路管理行政、こういうものに無用の混乱を生じるということが一つでございます。  それから二つ目には、道路の上空はオープンスペースでございます。そういうことを前提としまして沿道の土地利用が形成されているわけでございますので、従来ある道路にも自由にできるというようなことにいたしますと市街地環境上極めて重要な問題が生じるというおそれがあるものですから、既存道路については適用しておりません。今後とも既存道路適用するという考えは今のところございません。  それから、この制度適用いたします場合に、いろいろな都市におきまして幹線道路整備をしてまいります場合に、土地買収あるいは代替地の要求、こういうものがありましてなかなか進まないことも勘案して今回の制度をつくったわけでございます。もちろん道路計画を策定いたしますのは我々側でございますし、その際にまた今回の立体道路制度適用いたします場合には地区計画等を定めることとなっておりますので、これについては市町村の意向を十分反映していかなければいかぬ。つまり地区計画、市町村決定と、こういう格好をとりますものですから、地方公共団体の意向が十分配慮されるわけでございます。したがいまして、もちろん地権者とも十分お話をして、例えば成案が出たときには協定を結ぶという格好になりますが、これらのように皆様の合意形成がやはり従来の道路整備と同様必要でございますので、そういう一方的な観点で整備を進めるというようなことのないはずでございます。またあってはならないと考えております。  それから地方都市適用できるかどうかという問題でございますが、地方都市についても都市幹線道路整備は非常に急務でございます。この制 度自身は大都市圏の幹線道路のみを対象としているわけではございませんで、地方都市幹線道路整備にも活用して地方都市の幹線道路整備の積極的な促進を図るところでございまして、現実の問題といたしまして地方都市においても現在地方の県庁都市等で、例えば新潟であるとかあるいは広島であるとかというところで調査を進めておりまして、その際に立体道路適用ができるかどうか、こういうこともあわせて検討しております。
  52. 古川雅司

    ○古川委員 大臣にお伺いしますが、この法は実施段階に入ってなお数々の懸念を残していくと思います。いずれにいたしましても市街地の交通困難の緩和という点では大きな期待が持たれるわけでございますが、大臣としてこの制度に取り組む御決意なり御所感を伺っておきたいと思います。
  53. 野田毅

    ○野田国務大臣 今お話しございましたように、特に新たな道路をつくっていきます場合にいろいろな利害関係が錯綜する、そのことによって非常に大事な幹線道路整備がおくれたり、特に東京圏におきます。あるいは大阪圏におきます。そういった交通渋滞をいかに早く解決していくか、こういった意味でも非常に大事な問題でございます。そういった中で道路とそういった建築物とを一体的に整備をしていく、これが今本当に避けて通れない大事な課題であります。先ほど来御指摘をちょうだいいたしておりますいろいろな環境問題あるいは防災対策、こういったことにも十分な配慮を加えながら、本制度が有効に活用されますように我々も一生懸命頑張っていきたいと思います。どうぞよろしく御協力をお願いしたいと思います。
  54. 古川雅司

    ○古川委員 多少法案から離れて恐縮でございますが、一問お伺いをしておきます。  大都市圏を中心にした建設の廃棄物でございますが、この問題は今悪化の一途をたどっているわけでございます。これは例えば建設八団体廃棄物対策連絡会といったような機関で適正処理を調査研究をしている段階、あるいはまた厚生省の首都圏廃棄物対策協議会、そういったところで対応をしている。特に厚生省におきましては、最近、二〇〇五年における廃棄物の処理不能量を発表いたしまして大変話題を呼んだところでございます。  いずれにいたしましても、こうした廃棄物の処理は厚生省あるいはまた業界の役割に依存をしていくという傾向が非常に強いというふうに感じられるわけでございますが、この産業廃棄物の中でも、特に建設業が出す廃棄物につきましてはそのウエートが非常にふえているわけでございます。技術的にもシールド工法などの技術の進歩によって内容、質、量ともに非常に変化をいたしております。形態も異なってきております。あるいは今後建造物の老朽化による再開発あるいは建てかえによる廃棄物の量の増大、そういったことも含めまして、これは簡単にお伺いするのはかえって大変失礼なのでございますが、今後の建設行政、特に大都市におけるこうした建設事業を進めていく上で重大な問題になっていくと思います。決して厚生省任せあるいは民間の企業の役割任せということにはならないと思うのでございますが、御当局である建設省としてはどういうお考えを持っていらっしゃるのか、きょうは時間がございませんので、大筋だけをお伺いしておきたいと思います。
  55. 望月薫雄

    ○望月政府委員 昭和六十年の厚生省調査によりますと、全国で建設廃棄物五千七百万トンという数字が出ております。ちなみにこれは全産業廃棄物の一八%を占めておる、こういう大変多い数字になっておりますが、今お話しのように、この産業廃棄物がさらに大都市を中心にしてふえる傾向にある、あるいは多様化する傾向にある、こういったことでございます。  私ども今後建設業あるいは建設事業というものを的確に進めていく上で、この産業廃棄物対策、あるいは今お話にありましたように建設残土対策、両方含めて非常に重要な課題である、こういうふうに認識しておるところでございまして、率直に言いまして、この産業廃棄物対策につきましても、私どもは関係業界なりあるいは公共団体に対してもいろいろと濃密な御指導も申し上げている、と同時にまた直轄事業の発注等に当たりましても個別、具体の指導もしている、こういった現状であります。そうはいっても、今先生お話しのように非常に問題も多いという中で、この問題を決して軽視できないわけでございまして、私どももそれなりに真剣に取り組みたい、こういう気持ちでおります。  建設業団体におきましても、今お話しの建設八団体の廃棄物対策連絡会というのがございますけれども、こういったところでも非常に熱心に研究活動をしておりますし、何とか具体の対策を見出したいということのあらわれとして、先般も建設業界あるいは解体業界、廃棄物処理業界、こういったところが一体になりまして、イージェックという会社でございますが、廃棄物処理を専門に行う新しい組織もつくって積極的に取り組んでいこう、こういったふうなことも出てまいっております。私ども建設行政を進める上でもこれは大変好ましい動きであるというふうに歓迎申し上げながら、できるだけの御支援もしていかなければならぬな、こうも思っております。  いずれにしましても、産業廃棄物、あるいは先ほどお話しのように建設残土の問題、両方含めまして、私ども建設事業を預かる立場として非常に根幹的部分であるという認識の中で、業界に対する指導と同時に我々なりの研究も進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  56. 古川雅司

    ○古川委員 大臣の御所感を一言伺って、質問を終わります。
  57. 野田毅

    ○野田国務大臣 ただいま局長から申し上げましたとおりであります。これは建設省としても真剣に取り組んでいかなければならぬ問題だと考えております。
  58. 古川雅司

    ○古川委員 終わります。
  59. 東家嘉幸

    東家委員長 西村章三君。
  60. 西村章三

    ○西村委員 初めに大臣にお伺いをいたします。  昨日、六十三年度の道路交通センサスの結果が建設省から発表されました。全般に年々交通量が増大をいたしておりまして、特に都市部におきましては道路渋滞状況というものが著しく悪化をいたしております。昨日の発表内容によりましても、国道はラッシュ時に七割以上渋滞して車の平均速度はわずか二十三・一キロだ、こういうことが発表されているわけでございます。道路整備が交通量に追いつかないこの実態というもの、現在道路整備の立ちおくれの原因、これはどういう認識を持っておられるのか。さらには、渋滞緩和について今後どのように対処をされるのか。大臣の基本的な御認識と見解を伺いたいと思います。
  61. 野田毅

    ○野田国務大臣 御指摘のとおり、現在のモータリゼーションの状況道路整備状況がうまくかみ合っていない、なかなか道路整備が十分に進んでいないということが今日の大変な渋滞の原因だと思っております。したがって、これらに対処するためには、もう既に御案内のとおり、環状道路あるいはバイパス、そういった基本的な骨格部分整備を早急に進めなければなりません。そういった趣旨からも今回の道路法等の一部を改正する法案をお願い申し上げ、一刻も早く速やかにそういった道路整備を進めていきたい。  同時に、もう既に御案内と思いますが、先般、渋滞対策緊急実行計画、アクションプログラムを策定いたしまして、全国、地方都市に至るまで緊急な渋滞緩和対策を現在講じておるところであります。
  62. 西村章三

    ○西村委員 建設省としては道路管理者の立場からいろいろと御腐心をいただいているわけでありますが、車の保有台数は十年前に比べておよそ一・五倍にふえております。十年前はおよそ五千万台、それが今日七千四百万台から五百万台、一・五倍にもふえております。運転免許証の取得者数も最近は急激にふえておるわけでございます。それに伴っていわゆる道路交通需要が非常に増大をしておる。道路整備率はそう進捗をしない。この道路需要の増大と道路整備率との関係、これをどのようにとらえて道路整備五カ年計画、今次は第十次でございますか、これにどのように反映をさせておられるのか。  また、おくれております最大の理由は、地価が異常に高くて道路用地の確保が思うようにいかないということにあると思うのでありますが、都市部における道路整備事業費のうち用地費や補償費の占める割合、これが一体どれくらいなのか、お答えをいただきたいと思います。
  63. 三谷浩

    三谷政府委員 お答えいたします。  道路につきましては、昭和二十九年以降五カ年計画を発足させまして、逐次その整備を進めてきたわけでございます。今先生からお話がございましたように、社会経済活動の発展や道路交通に対するニーズの多様化等で道路交通需要は道路整備を上回る速度で増大をしておりまして、その対応においては、我が国の道路は今なお質量とも非常に不十分な状況でございます。  昨年度から発足をさせました第十次道路整備五カ年計画におきましては、総投資額五十三兆円をもちまして国土構造の骨格を形成する高規格幹線道路から地域社会の日常生活基盤としての市町村道に至るまでの道路網の体系的整備に努めているところであります。道路財源の確保、有料道路制度の活用を図りつつ、今後とも道路整備を積極的に推進してまいる所存であります。  また、都市道路整備にかかわります。地補償費の割合は、一例を挙げますと、東京外郭環状線、これは練馬−和光の間でございますが、ここで八〇%、それから環状二号線では九九%という率でございます。名古屋地区では、名古屋環状二号線の例で申し上げますと四六%となっております。
  64. 西村章三

    ○西村委員 年々道路整備事業費のうちに占める用地費、補償費、これは増大をいたしております。さらに渋滞も増大をするという中で、今回新しく道路建築物一体整備を図られるという趣旨で今日の道路法の一部改正が出てきたわけでございますが、この制度を創設されるに伴う効果をどのように期待しておられますか。
  65. 三谷浩

    三谷政府委員 この制度は、近年の非常に用地費が高い、あるいは道路整備を緊急に促進しなければいけない、こういう状態のもとで著しい交通渋滞を解消するとともに、周辺市街地一体的、総合的な整備を図ることを目的としたわけでございます。この制度におきましては、道路の区域を立体的に決めることによりまして道路建物のいわば共存を認めまして、道路上下空間建築物の自由な利用に供して、地権者との弾力的な話し合いによって道路整備促進することにしております。したがいまして、この制度適用によりまして、特に市街地道路整備は相当程度促進されるものというふうに考えております。
  66. 西村章三

    ○西村委員 局長さんの方から、この法律適用することによりまして道路上下空間が使える、相当な整備ができる、進むというお話がございました。それを数量的にどの程度読んで予想されておりますのか。また、その渋滞緩和にはこの法律一体的整備によってどの程度資することとなるのか。数量的にあらわすことが可能でございますか。短期と中長期でも結構です。
  67. 三谷浩

    三谷政府委員 全部を数量的に把握するということはなかなか難しゅうございます。一つの例としまして、用地費の問題等についても、これはケースバイケースでございますが、例えば建物の六階建てのところに四階以上のところに道路が通って区分地上権を設定した場合、その割合は三分の一というようなことがございます。このとおり用地費が三分の二安くなるという数字にはなりませんけれども、かなりその意味では事業費の活用ができるかと思っております。  それで現実の問題といたしまして、都市内の渋滞対策といたしまして、先ほど大臣からもお話がございましたように、私どもいわゆる渋滞対策緊急実行計画、いわゆるアクションプログラムを取り上げておりますが、この中で施策区分といたしましては一般道路の改良整備ということで、日常込んでおりますところの交差点改良とか、あるいは自動車専用道路の改良整備、これも特に東京都市圏におきましては環状道路整備、こういうものが非常に重要でございます。それから、既存道路のソフトウエア、これは情報の問題であるとか、あるいは道路工事方法の改善とか、こういう多種ないろいろな対策を講じておりますが、先ほどの一つの例といたしまして、全部を合計して中期、短期というような数字はなかなか把握できませんが、例えば首都高速の例を今の渋滞対策の一環として申し上げますと、いわゆる首都高速道路は真ん中の環状線しかないわけで、そこへ非常に多くの交通が集中いたします関係から放射状から環状道路への取りつけ部分が非常に込んでおる、したがいまして今首都公団がその外側に中央環状線を建設しております。これは四十六キロのうち二十キロが完成しておりますけれども、この現在事業中であります板橋足立線七・一キロあるいは中央環状新宿線、こういう整備につきましてもこの制度を活用して早急に整備を進めたいというふうに考えております。
  68. 西村章三

    ○西村委員 この立体道路整備制度におきましては、従来の道路整備と異なりまして、いわゆる地権者道路整備後も従前の場所から離れずに居住ができるあるいは事業が営めるということになっておるのでありますけれども、しかしその一方で、道路一体建物整備費用を負担することにもなるわけでございます。建築物利用等についての制限がまた課せられる、こういう一面もございます。そこで、従来の道路整備制度と比較いたしまして、地権者にとってこの制度が特に有利になるのかあるいはまた不利になるのか、この点についてはどういう見解をお持ちでございますか。
  69. 三谷浩

    三谷政府委員 この制度は、土地所有者等との話し合いによって道路整備を進めようという制度でございますので、地権者にとりましては、例えば全面買収というような道路用地買収に加えまして、権利の一部を保有しながら現地に居住できる道が開かれるわけでございます。したがいまして現地居住の要望の強い地権者の方、こういう方々には大きなメリットとなるというふうに考えております。
  70. 西村章三

    ○西村委員 それぞれにメリットもありデメリットもあると思うのでございますが、この道路一体建物整備に当たって地権者がどの程度の負担をするのか、それがどうも明確ではございません。費用負担につきましてはいわゆる協定で定めるということになっておるわけでございますが、具体的にどのような基準で行われるのか。かつてこの制度のできる以前に大阪の阪神高速道路の下における船場センタービルの建設でありますとか、あるいは朝日新聞社ビルの建設に伴う道路の通過、こういう問題もケースとして今まで例外措置として認められてきたわけでございますが、これらの事例に基づくような補償の内容になるのか、あるいは費用分担になるのか、その辺はいかがでございましょうか。
  71. 三谷浩

    三谷政府委員 現在までの実例ということでは、先ほど先生から御指摘がございましたように、例えば船場センタービルとかあるいは東京シティ・エアターミナル、こういうようなものがございました。これはちょっとケースが違うのもございますけれども土地所有権を持っておりまして、占用で、これはもちろんごく場所にもよりますが、そういう条件で特例的に占用許可を受けて建物を建てたわけでございまして、今回につきましては、それにつきまして法律上立体区域を決めたり、あるいは道路一体建物については協定を結んで施工する、こういう格好になっておりますので、例えば道路一体建物、こういうものにつきましては地権者建築するものでございますから、この建築に要する費用は建築主が負担することとなります。しかし、道路一体建物につきまして申し上げますと、道路一体建物制度道路一体でございまして、道路を支持する、サポートする、こういう建物でございますから、道路の橋脚としての役割も果たすものであります。したがいまして、道路を支持をする、そのための柱が仮に要ったといたしますと、そういうものについた費用あるいはその基礎に要した費用の一部、こういうものは道路側が負担することになろうと思っております。その負担額のことにつきましては協定を定めるものでございます。  船場センタービルの場合は若干異なっておりまして、柱の補強費のみを負担しておりました。したがいまして、今回この協定でやりますと、道路が柱をつくったとしたら必要な費用、こういうようなものが負担の計算一つ考え方に入ってこようと思いますから、若干その点は異なることもあり得ると思います。
  72. 西村章三

    ○西村委員 時間がありませんので次へ進みます。  先ほどから議論が出ておりました、今度の法律は新設または改築される道路のみに適用される、あるいは自動車専用道路及びそれに準ずる道路適用対象を絞ったということでございす。それはそれなりに先ほど来の答弁を承っておりましたのですが、私は一般道路の上空あるいは既存の高速道路の高架下、こういった既存の道路でも有効に適用し得るところがある、いろいろなケースが考えられる、かように思うわけでございます。  例えば、既存の高速道路の下に渋滞を解消するための一つの方策として立体駐車場、これも今非常に強く言われておる問題でございますし、あるいは一般道路の下におきましても地下駐車場の建設が非常に叫ばれておる。これは単に私だけが申し上げているのではなしに、今建設省の中でも道路地下空間利用研究委員会、この中で地下空間を積極的に活用しようという中間報告まで出ておるわけでございます。どうしてこの法律に限って、いわゆる既存道路適用しないあるいは一般道路適用しないということになったのか。今申し上げたような立場から既存道路あるいは一般道路でも活用の余地がある、かように思うわけでございます。揚げ足を取るわけではございませんが、先ほど三野先生の御質問に対して政務次官は、なるほどそれはもっともだ、しかし当面の間は、こういう言葉も使われているわけでございますが、この点についてはいかがでございますか。
  73. 三谷浩

    三谷政府委員 既存道路につきましては、この上に立体的な建物云々ということにつきましては、今の道路が全面的に権原を取得して十分な道路管理を行っておりますので、これを変更するということは占用許可及び道路管理行政に無用の混乱が生じることから、既存道路については適用するのは適切でないと考えております。  ただ、今回の制度建物道路が共存をして立体的にお互いに自由使用を認めよう、こういう建前でございますので、今までの占用制度、これとはちょっと趣旨が違うわけでございます。したがいまして、今お話のありました事例等につきましては、現行の占用制度道路上下建物を設置できる場合、もちろんいろいろな条件がございまして極めて限定的に行われております。例えば高架下のいろいろな構造物。資源の有効活用という点から今のようなケースが出てくるわけでございますので、当然それは現在の道路法の三十二条、占用の関係、こういうものについて従来どおりの取り扱いにしてまいりたい、かように考えております。
  74. 西村章三

    ○西村委員 それはそれなりに理屈があるわけでございますが、今土地特別委員会土地基本法、この審議が始まっております。土地は公共物だ、こういう観点でありまして、その有効利用は図らなければならないということが大前提でございます。したがって、道路管理に支障のない範囲で、かつ一定の条件のもとで、土地所有者地権者の立場から土地有効利用の要請があればこれにこたえることが必要であると私は思うのであります。本法律につきましての弾力的運用について、大臣、  いかがでございますか。
  75. 野田毅

    ○野田国務大臣 この法律を弾力的にどこまでいけるかはまだ検討課題だと思いますが、当面新たな道路をつくるあるいは改築をしていくということに絞ってやっていかなければならぬだろうと思っております。  ただ、西村委員指摘のとおり、道路といえどもその土地の有効利用、いろいろなことに活用していかなければいけない。その場合に、道路管理者としての立場あるいはそれが果たすオープンスペースあるいは環境保全上さまざまな役割が一方であります。そういった中で、それがあるから後ろ向きだというのじゃまずいだろう。そういったことを踏まえながら、一方でその土地の有効的な活用方策というものを道路といえども考えていかなければいけないと思って内部でいろいろ検討をしておるということでございます。
  76. 西村章三

    ○西村委員 ちょっと資料配付を、委員長……。
  77. 東家嘉幸

    東家委員長 はい。資料を配付いたします。
  78. 西村章三

    ○西村委員 最後に地元の問題と関連をいたしまして若干お尋ねをいたしたいわけでございますが、現在、御承知のとおり関西新空港の建設が大阪の泉州沖五キロの地点で着々と進んでおります。護岸、埋め立てが急ピッチで今施行されております。同時に、新空港と地域の共存共栄を目指しまして、大阪府におきましては、空港機能の支援と地域環境整備のために新空港対岸の内陸部に空港と一体となった埋め立てによる新しい町づくり、この町は通称りんくうタウンと呼んでおるわけでございますが、これを計画をいたしまして、これまた現在建設中でございます。  そして、このりんくうタウンは、世界に広がる新空港の玄関口として国際交流の拠点として空港機能と高度情報を兼ね備えた臨空都市、新しい日本の未来都市を目指しておるわけであります。それだけに町づくりの青写真は、著名な学界あるいは産業界、官界代表三十人で構成される大阪府の土地利用計画委員会が二年四カ月の議論の末にまとめたものでございます。その青写真の中には多くの中心事業が含まれておりますが、いずれも未来都市づくりのシンボルとして提案されたものばかりでございます。  その一つがツインタワーを結ぶいわゆる空中回廊構想あるいは人工地盤構想でございます。空中回廊構想は、りんくうタウンの駅ビルに予定をされておりますツインタワー、ゲートタワーの間の下の部分を結ぶつり橋のような空中の通路ゲートでありまして、ましてやその下を自動車専用道路あるいは鉄道が通り、空中回廊がその上をまたぐ格好になるわけでございます。この大阪府の構想計画に対しまして建設省は現行法上は極めて難色を示しておる、こう伝えられておるわけでございます。配付の資料のとおりでございます。  しかし、今審議をいたしております道路建物一体整備、こういう制度ができますれば、これは道路法建築基準法都市計画法、いろいろと問題点がございますけれども、それなりに総合的に判断をいたしますならば、この空中回廊の取りつけも可能となるのではないか、私はそういう意味でこの新制度適用について検討できるか、まずお尋ねをしたいと思います。
  79. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 お話しのツインタワーの空中回廊の件でございますが、詳細な中身につきましてまでは聞いておりませんけれども、この下の道路自動車専用道路というふうに聞いておりますので、今回この法律が通りますれば当然に制度の対象になるということで検討の対象にもなるということであろうと思います。
  80. 西村章三

    ○西村委員 前向きの御答弁をちょうだいいたしまして非常にありがたいと思っております。道路自動車専用道路、近畿自動車道の延伸でございますから、これは当然自動車専用道路だということを申し添えておきます。  このツインタワーゲートの空中回廊構想、これが可能でありましたら、この際、この周囲は人工地盤として整備される計画となっているものでございまして、地区計画を立てることによって、いわゆる道路建築物の複合空間として整備をすることが適切であると私自身は思うわけでございます。このような整備方法についても検討するお考えはございませんか。
  81. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 先ほどのタワーの周辺全体を人工地盤として複合的に建築物とそれから公共的な施設利用しょう、こういう計画であるように聞いております。先ほど申しましたように、詳細な中身は私は存じておりませんけれども、その道路というのは今度は自動車専用道路だけではなくて一般道路も入っておりますので、現行制度のもとでは相当な制限がございますけれども都市空間を立体的に利用していくということで、鉄道 でございますとか道路の上空空間を活用しまして広場上の人工地盤を整備をする、同時に建築物も総合的に建てていく。こういう事業を、実は平成元年度予算で複合空間基盤施設整備事業という新しい事業手法を私ども制度創設いたしておりますので、中身を十分検討させてもらう必要はございますけれども、この制度適用について検討してまいりたいというふうに思います。
  82. 西村章三

    ○西村委員 時間が参りましたけれども、最後にもう一問だけお許しをいただきたいわけでございます。  やはり時代は非常に動いておるわけでございます。時代を先取りした新しい町づくり、これも極めて重要な課題ではないかと思うのであります。そこで、最後に大臣にお尋ねをいたします。  関西新空港は、我が国唯一のいわゆる二十四時間世界に開かれた本格的な国際空港でございます。その空港建設と一体であるりんくうタウンづくり、この充実というものは国にとっても重要な課題だと感じておるわけでございます。国際化の進展と新しい未来都市実現に向けて、今後建設省といたしまして、この空港並びにりんくうタウンの町づくりについての大臣の御決意と協力体制についてのお尋ねをいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  83. 野田毅

    ○野田国務大臣 このプロジェクトは大阪のみならず関西地区にとっても非常に大事なプロジェクトであります。この計画の具体的な進捗に応じて、私どももできるだけ好意的な配慮を加えていかなければいけないと思っております。具体的な計画が進んでいく過程においていろんな問題点が出てこようかと思いますが、これは一緒になって検討して、できるだけ事業が進むように我々も協力をしていきたいと思っております。
  84. 西村章三

    ○西村委員 ありがとうございました。終わります。
  85. 東家嘉幸

    東家委員長 辻第一君。
  86. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、道路法等の一部を改正する法律案について最初に質問をいたします。  今回の改正で、我が国の道路史上初めて法的に道路建築物等一体的に整備をする制度がつくられることになります。道路の機能については、いわゆる交通機能とともに空間機能があるわけであります。長い道路の歴史で、道路上空に設けられたものは、渡り廊下など極めて限定したものしか道路上空への建築物等の設置が認められなかったのであります。それは空間機能の重要性から来ていると思います。  そこで大臣にお尋ねをいたしますが、道路空間機能の重要性についての考え方についてお尋ねをいたします。
  87. 野田毅

    ○野田国務大臣 特に市街地における道路は、単に通行の場というだけではありませんで、非常時における避難路あるいは消防活動、こういった上でも大事な役割を果たしておるわけでありますし、また一方、日照とかあるいは採光、通風の確保、こういった重要な機能を有しておるということは御指摘のとおりであります。
  88. 辻第一

    ○辻(第)委員 今、簡単ではありますけれども空間機能の重要性について大臣からお答えをいただいたわけであります。  道路審議会の建議の中にも、一部分、このように書いているのですね。「道路の機能は、大きく交通機能、空間機能に分けられる。」そして「さらに、道路には空間機能というもうひとつの重要な機能がある。とくに都市においては、道路はコミュニケーションの場であり、都市の骨格を形成するとともに緑とうるおいを与える空間である。また、火災の延焼を遮断する防災空間であり、電気、ガス、水道、地下鉄などの公共公益施設の収容空間でもある。」こういうふうにも記載しているわけであります。「採光・通風・防災のための空間機能」というような表現もあるわけであります。  空間機能というのは大変大事だと私は思うわけでありますが、この道路空間機能の維持と、今回の道路法改正による立体道路整備制度との関係についてであります。この間の臨時行政改革推進審議会や総合土地対策要綱など、土地の有効利用、高度利用ということで空中及び地下利用を掲げ、幅広く空中及び地下の活用を言っているわけでございます。今回、法改正が行われますと、広く道路上下空間建築物等の建設が可能となり、こういうことがどんどんやられるということになりますと道路空間機能を損なうことになるのではないかと心配をするわけでありますが、大臣の見解を伺いたいと思います。
  89. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 私の方から、多少技術的なことを含めて申し上げさせていただきます。  道路は、市街地における貴重なオープンスペースでございますことは御指摘のとおりでございます。このため本制度は、適正かつ合理的な土地利用促進を図るために、道路建物とを一体的に整備することが適切な地域に限って適用するというふうに考えております。例えば、多様な土地需要が競合して土地の有効高度利用促進すべき地域とか、道路整備による地域分断を防止すべき地域について適用すべきだと考えております。  この際、当該地域とその周辺地域の良好な市街地環境が十分確保されるよう、地区計画または再開発地区計画におきまして、建築物に必要な地区内のアクセス用の道路の配置、それから建築物の周囲の適正な空間を確保するための公共空地の配置とか、建築物の壁面の位置の指定、建築物の高さ等に関する詳細な計画を定めること等の措置を講ずることとしておるのでございます。  さらに、道路内の建築物につきましては、当該道路とは別に接道すべき道路が必要でございまして、その道路との関係で市街地環境の確保を図るために、建築物につきまして斜線制限というものが当然適用になってきますし、さらに、個々の建築計画に対しましては、特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めたときに限って建築を可能にするということにいたしたいと思っておりますので、市街地環境の確保について十分意を用いてまいりたいと考えております。
  90. 辻第一

    ○辻(第)委員 いろいろ限定をして、意を用いてというお話でありましたが、今回の改正では、道路の新設また改築立体道路整備を行うことができるということになっていますね。ここでいう改築とはどんな工事なのか。それから、もちろん道路建築物一体的整備すべてを否定するものではありませんけれども改築ということになりますと非常に幅が広いと思うのですね。そういうことになりますと、どんどんと立体道路整備が得られるということになりますと、道路空間機能の維持が非常に阻害されるということを心配するわけであります。いかがですか。
  91. 三谷浩

    三谷政府委員 道路改築でございますけれども、例えばその道路の拡幅の場合でございますが、先ほど来申し上げましたように、その既存の道路の上にこの制度適用するということについては、その占用許可を初めといたします道路管理行政に無理な混乱であるとか、あるいは今お話がありました道路の上空はオープンスペースであるということですから、沿道の土地利用がそういうことを前提として形成されているために、市街地環境上いろいろな問題が生ずるという懸念があるために、既存道路には適用しないというふうなことにしておるわけでございます。したがいまして、この制度適用道路管理者が新たに土地に関する権原を取得して工事を行う道路部分に限られ、既に道路として供用されております既存のものは対象となりません。
  92. 辻第一

    ○辻(第)委員 道路空間機能というのは本当に大切にしていただきたい、重ねて要望しておきます。  次に、東京外郭環状線の問題でお尋ねをいたします。  この関越道以南は練馬、杉並、武蔵野、三鷹、狛江、世田谷の人口密集地を通過し、二十年に及ぶ反対運動が続けられている道路計画であります。この道路の建設計画推進について、東京都と今年度じゆうにも話し合いたいとの意向があると建設省の関東地建の担当課長が述べているとのことであります。そのように進める考え方をお持ちなのかどうか。  それからもう一つ、ここでは二十年に及ぶ住民の皆さんの反対ですね。大気でありますとか、騒音でありますとかの公害、環境破壊、そして地域の分断、こういうことで反対運動をされているようでありますが、しかも、この二十年間の都市化の進行を見たときに、外郭環状線はまさに名実ともに人口密集地の中を貫通する道路であります。一時凍結というような状態もあったようでありますが、こういう事実を十分踏まえまして、地域住民の要求を無視した無理な建設計画の推進はやるべきでないと考えますが、御答弁をいただきたいと思います。
  93. 三谷浩

    三谷政府委員 東京外郭環状道路でございますけれども、これは東京の都心から半径約十五キロメートルの地域を結びます延長八十五キロの幹線道路であります。都心方向に集中する交通を適切に分散、導入するとともに、都心に起終点を持たない交通をバイパスさせるなど、東京都市圏の均衡ある道路網体系の確立にとって必要不可欠な路線でございます。  現在、東京都区部では一日約七百万台の交通が流動しておりまして、このうち百六十万台が都区部に出入りをする車、二十万台が都区部を通過するだけの交通でありますけれども、これら大量の交通の分散、導入など適切な交通処理を行うためにも東京外郭環状道路整備が必要不可欠でございます。現在、練馬−世田谷のうち練馬区分の約一・五キロについては、関越道練馬インターから常磐道三郷インターに至ります延長三十キロの一環としてこれを道路公団で事業をしております。それから蘭越道以南のその他の区間については、桐密な市街地を通過することから、環境に配慮した道路構造整備手法について今検討しております。今後東京都を初めとします関係機関と密接な連絡調整を図りながら調査の推進を図ってまいるところでございます。
  94. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間がありませんので次へ進みますが、無理な建設計画をぜひやらないように、十分地域住民の人の要求を聞いてやっていただきたいと思います。  それから、高速道路のサービスエリアやパーキングエリアの問題について伺います。  前にもお尋ねしたことがあるのですが、殊に関係のトラック労働者の皆さんは、トラックの駐車場不足という状態についてこのように言っておられるのです。「高速道路における仮眠施設駐車場の不足は深刻なものとなっています。また、車両を進入させなければ利用状況がわからないなど、施設の改善が必要になっています。」こういうふうに言っておられるわけでございます。  高速道路利用者はどんどんふえておるわけでありまして、基本的にその仮眠施設駐車場の増設、こういうことが必要なことは言うまでもないのですが、先ほどトラック関係者のお話にもありましたように、車両を進入させないと、パーキングエリアとかあるいはサービスエリアに車両が入っていかないと、そこがいっぱいなのかすいているのかわからないということがあるのです。ですから、そこへ入ったわ、いっぱいだわということになりますと、バックするにしても何するにしてもそこで大変いろいろな問題がありまして、入る前にわかる方法はないのか、あいているのか、いっぱいなのか。そういうことをぜひ検討していただきたい。パーキングエリア等に車を進入させないと利用状況がわからないと指摘をされておるということ。何らかの表示方法を検討いただけないか。それは電光表示でありますとかあるいはハイウエーラジオなど方法はあると思いますが、いかがでございますか。
  95. 三谷浩

    三谷政府委員 東名、名神高速道路等におきましてその利用交通量が非常に増大してきておりますし、また長距離トラックの増加、それから物流構造の変化に伴いまして休憩施設利用度が非常に高まってきておりまして、都市近郊では相当混雑しているのは御指摘のとおりであります。  これに対応するため、東名、名神高速道路の混雑の著しいサービスエリア等については、逐次駐車スペースの拡充整備を進めてきております。その結果、東名、名神高速道路の大型車の駐車升総数は、供用当初は千二百七十四台でございましたけれども、昭和六十三年度末で二千七百五十二台ということで二・一六倍に拡充しております。  現在、東名高速道路については海老名のサービスエリア等十二カ所、名神では多賀サービスエリア等六カ所、その他の道路については四カ所、計二十二カ所の改良事業を行っておりまして、これによって大型車の駐車升がさらに千三百十七台分増設される予定でございます。  それから仮眠施設の問題にちょっと触れますと、これは利用者のニーズの多様化、高度化に対応して、既に東名高速道路の足柄サービスエリアあるいは名神高速道路の多賀サービスエリアにレストインを設置したわけでございます。  サービスエリアが非常に込んでいるので前もってわからないか、こういうお話でございました。  これはサービスエリアの駐車場の混雑状況を手前で表示する、あるいは休憩施設の混雑情報板等については、平成元年度から東名、名神緊急改良事業の一環として、東名高速道路の東京近傍の休憩施設において試行的に設置を予定しております。
  96. 辻第一

    ○辻(第)委員 トラック労働者の労働条件、健康を守る上でも、また交通安全の上でも大変重要な問題であると思いますので、さらに積極的に進めていただきたいと要望して、次に移ります。  最後に私ども、この法案に対する我が党の態度を表明して質問を終わりたいと思います。  道路上下空間は、都市環境上オープンスペースとすることを原則とすべきものであります。道路建築物一体的整備については、有効な場合もありますが、それらは現行法でも不可能ではありません。  今回の改正は、限定的である道路建築物一体的整備自動車専用道路一般に拡大するものであり、道路のあり方としては問題があります。また、大都市の密集市街地自動車道路の建設を進めること等で、環境破壊など犠牲を拡大するものであり、反対であります。  時間が来ましたので終わります。
  97. 東家嘉幸

    東家委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  98. 東家嘉幸

    東家委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  99. 東家嘉幸

    東家委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  100. 東家嘉幸

    東家委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、野中広務君外三名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提出による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。古川雅司君。
  101. 古川雅司

    ○古川委員 ただいま議題となりました道路法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨説明にかえることといたします。     道路法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 市街地における道路交通混雑の増大が国民生活や産業活動に深刻な影響を与えている現状にかんがみ、道路整備の一層の推進に努めること。  二 立体道路整備に当たっては、道路一体建物内及びその周辺の居住者等の生活環境の保全に十分配慮すること。  三 地区計画及び再開発地区計画の策定に当たっては、当該計画地域の活性化に資するものとなるよう社会経済動向の変化に十分留意するとともに、土地利用等に関する地域住民の意向の把握に努めること。  四 都市の再開発の推進に当たっては、土地の高度利用促進を図るほか、特に健全な居住環境の確保・向上に十分配慮すること。 以上であります。  委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  102. 東家嘉幸

    東家委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  103. 東家嘉幸

    東家委員長 起立多数。よって、野中広務君外三名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。     —————————————
  104. 東家嘉幸

    東家委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 東家嘉幸

    東家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  106. 東家嘉幸

    東家委員長 この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。野田建設大臣。
  107. 野田毅

    ○野田国務大臣 道路法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいま議決になりました附帯決議の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  どうもありがとうございました。(拍手)      ————◇—————
  108. 東家嘉幸

    東家委員長 次に、請願の審査に入ります。本委員会に付託になりました請願は十五件であります。  請願日程第一から第一五までの各請願を一括して議題といたします。  まず、審査の方法についてお諮りいたします。  各請願趣旨につきましては、請願文書表によりまして既に御承知のことと存じます。また、先ほどの理事会におきまして慎重に御検討いただきましたので、この際、各請願についての紹介護員からの説明聴取は省略し、直ちに採否の決定をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 東家嘉幸

    東家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  採決いたします。  本日の請願日程中、過疎地域振興のための新立法措置に関する請願一件、河川維持流量の確保に関する請願十二件、以上の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 東家嘉幸

    東家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 東家嘉幸

    東家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  112. 東家嘉幸

    東家委員長 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付いたしましたとおり、東京外郭環状道路及び首都圏中央連絡自動車道建設促進に関する陳情書等三十一件であります。      ————◇—————
  113. 東家嘉幸

    東家委員長 次に、閉会中審査申し出の件についてお諮りいたします。  第百七回国会、伏木和雄君外二名提出、中水道の整備促進に関する法律案  建設行政の基本施策に関する件  都市計画に関する件  河川に関する件  道路に関する件  住宅に関する件  建築に関する件  国土行政の基本施策に関する件 以上の各案件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 東家嘉幸

    東家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  また、閉会中審査案件が付託になり、閉会中審査のため、委員会において参考人から意見を聴取する必要が生じました場合、人選、日時その他所要の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 東家嘉幸

    東家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中審査案件が付託になり、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、その手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 東家嘉幸

    東家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時七分散会      ————◇—————