運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1989-06-15 第114回国会 衆議院 環境委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年六月十五日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 熊川 次男君    理事 今枝 敬雄君 理事 小杉  隆君    理事 園田 博之君 理事 武村 正義君    理事 持永 和見君 理事 川俣健二郎君    理事 春田 重昭君 理事 北橋 健治君       鈴木 恒夫君    平沼 赳夫君       水野  清君    村田敬次郎君       金子 みつ君    新村 勝雄君       前島 秀行君    遠藤 和良君       斉藤  節君    岩佐 恵美君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 山崎 竜男君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       渡辺  修君         環境庁企画調整         局長      安原  正君         環境庁企画調整         局環境保健部長 目黒 克己君         環境庁自然保護         局長      山内 豊徳君         環境庁大気保全         局長      長谷川慧重君         環境庁水質保全         局長      岩崎 充利君  委員外出席者         科学技術庁原子         力安全局防災環         境対策室長   酒井  彰君         外務省北米局安         全保障課長   重家 俊範君         厚生省生活衛生         局企画課長   小沢 壮六君         厚生省生活衛生         局指導課長   丸田 和夫君         厚生省生活衛生         局水道環境部水         道整備課長   坂本 弘道君         通商産業省基礎         産業局化学品安         全課長     橋本 正義君         通商産業省機械         情報産業局電子         機器課長    本田 幸雄君         環境委員会調査         室長      川成  昭君     ————————————— 委員の異動 六月十五日  辞任         補欠選任   岩垂寿喜男君     前島 秀行君   金子 みつ君     新村 勝雄君 同日  辞任         補欠選任   新村 勝雄君     金子 みつ君   前島 秀行君     岩垂寿喜男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  水質汚濁防止法の一部を改正する法律案内閣  提出第七三号)      ————◇—————
  2. 熊川次男

    熊川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出水質汚濁防止法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新村勝雄君。
  3. 新村勝雄

    新村委員 水質汚濁防止法が今般改正強化されて、特に地下水規制を強力にやっていくということでありますが、今問題になっております地下水汚染中心は、トリクロロエチレンテトラクロロエチレン、これを規制をし、井戸あるいは水道水汚染を防止する、こういうことであろうと思いますが、まず地下水汚染現状トリクロロエチレン等汚染現状について概要を伺いたいと思います。
  4. 岩崎充利

    岩崎政府委員 トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンによります地下水汚染現状はどうかということでございますが、トリクロロエチレン等によります地下水汚染につきましては、五十七年度と五十八年度に環境庁が実施いたしました地下水汚染実態調査の結果、全国にわたり広範な汚染が判明いたしました。さらに、五十九年度以降各地方公共団体が行いました地下水汚染実態調査の結果を見ましても、これは六十二年度までの四年間に約一万六千本ほどの井戸調査をいたしておりますが、トリクロロエチレンにつきましては三・二%、テトラクロロエチレンにつきましては三・九%の井戸水道水暫定水質基準を超えます濃度検出されておりまして、地下水汚染が各地で見られているところでございます。また、そのうち一般飲用に供されております井戸について見ますと、今の水道水暫定水質基準を超えておりますものにつきましては、全体で調査井戸七千五百本のうち、トリクロロエチレンにつきましては二・九%、テトラクロロエチレンにつきましては四・〇%の井戸基準を超える濃度検出されているということでございます。
  5. 新村勝雄

    新村委員 トリクロロエチレンテトラクロロエチレンについては従来からその毒性が認められ、この問題については関係者からこの処置について要望され、あるいはまた懸念されていた問題でありますが、今回指定をされたということで一歩前進をしたわけであります。その一番重要な点は、何といっても発がん性がある。発がん性疑いというか、既に動物実験等においては明らかに発がん性があるということが認められているということでありますが、その動物実験における結果はどういうことになっておりますか。
  6. 岩崎充利

    岩崎政府委員 トリクロロエチレン発がん性の問題でございますが、これはマウスを用いました高濃度長期経口投与試験で肝細胞がんが有意に増加したという複数の報告があります。また、テトラクロロエチレンにつきましても、同様にマウスを用いました高濃度長期経口投与試験で肝細胞がんが有意に増加したという報告がございます。
  7. 新村勝雄

    新村委員 そうしますと、人体に対してどういう影響があるかということについては実証的に証明はできないと思いますけれども、少なくとも動物実験でそれだけの結果が出たということは、人体に対しても相当の影響があると考えざるを得ないわけでありまして、十分な注意、管理が必要だと思うのです。  先ほどのお話によって、かなり広範に全国的に検出をされているわけでありまして、これを今後どうするかということはかなり大きい問題だと思います。今回の措置によって、これが検出をされた場合には所要の応急措置を講ずる、こういうことになっておるようですが、この物質による汚染が出た場合に、応急措置というのはどういうことが考えられるのか、また、その措置によって回復がどの程度期待できるのかという点を伺います。
  8. 岩崎充利

    岩崎政府委員 有害物質によります地下水汚染が発見されました場合には、従来から関係部局とも連携をとりながら、直ちに関係住民に対しまして飲用指導を行うなど、被害発生防止のための措置が講じられてきているところでございます。また必要に応じまして、汚染物質の使用、事業場への立入調査とか周辺井戸水質調査等が実施されてきているところでございまして、今後とも汚染発見時に適切な対応が図られますよう都道府県指導してまいりたい、また、現実地方公共団体でそういうよう指導を行うことによりまして適切な措置が図られているということでございます。
  9. 新村勝雄

    新村委員 ですから、汚染された場合に、回復するまでの時間がどのくらいかかるのか、またどういう措置をとればいいのか、そういう点ですね。
  10. 岩崎充利

    岩崎政府委員 汚染されてからの回復措置ということでございますが、現実にそれぞれ地域地域によってかなり事情を異にしております。また、どういう形での地下水汚染かということもございまして、なかなか一概には難しいかと思いますが、例えば、先生御存じよう君津事例等におきましては、ともかくどういう形で汚染がなさて汚染源がどこにあるかというようなことを地方公共団体事業場等々で協力しながら調査をしたというような形の中で、どういう形で汚染されているかということを突きとめた結果、またその中で必要な、例えば土壌が汚れているという部分につきましてはひとつその土壌も取りかえるというような、いろいろな形での対応があろうかと思っております。また期日、その時間等につきましては、その調査の結果等々もございまして必ずしも  一概には言い切れないということもございますが、地方公共団体におかれまして、今のよう汚染原因解明調査等々をやりながら、どういう形で対応をとっていったらいいかということを地域実情に即して行っていく、こういうことでございます。
  11. 新村勝雄

    新村委員 ちょっとはっきりしないのですが、汚染をされた場合に、それを回復をするということが必要なわけですよね。ですから、一たび汚染をされた場合には、これは例えば放射能じゃありませんけれども、その影響が半減するにはどのくらいかかるのか、いわゆる半減期というとおかしいのですが、半減期はどのくらいかかるのか。そういう時間的なものがまだ把握されていないのかどうかということなのですね。それで、一たび一定地域地下水汚染された場合にそれがもとに戻るのはどのくらいかかるのかということなのですけれども、それはわかりませんか。
  12. 岩崎充利

    岩崎政府委員 ただいま先生御質問の点につきましては、私ども非常に重要な関心は持っているのでございますが、地下地下水脈とか地下水帯状況とかなかなかわかりにくい面があるということで、このくらい時間をかければというようなことがなかなかわかりにくい。私ども、そういうこともございまして、現在地下水汚染機構解明につきましていろいろな形で調査もしておりますし、事例も集めているということでございますが、なかなかわかりにくいというのが現状でございます。
  13. 新村勝雄

    新村委員 この問題は、表流水の問題と違って地下水の問題ですから、実態がなかなかつかまえにくいということは言えると思うのです。また、地下水水脈あるいは地下水動き、その方向地下水盆と言うそうですけれども水盆の形態、そういったことについていろいろ言われておりますけれども、この地下水汚染については最近問題になったことでしょうから、十分に解明のできない、解明されていない点があると思います。  そこで、これは地殻構造といいますか地層構造等とも関係があるわけですから、そういう点で、千葉県ではかなり大規模に系統的に調査をしておりますが、国においても地殻構造地下水動態研究する必要があると思うのです。今までも地下水動態動き、そういったものについてはもちろん研究をされた成果があると思いますけれども、いかがでしょうか。
  14. 岩崎充利

    岩崎政府委員 私ども地下水汚染解明調査ということでかねてから調査いたしております。当初は、地下水汚染の実例というものを全国的に集めまして、それの分析をする。もう一つは、室内実験的に、例えばトリクロロエチレン等がどんな挙動で地下へ入っていくかということで調査をいたしております。例えばトリクロロエチレン等の場合には、地下に出た場合には大体垂直の方向に落ちていく。それから、その場合、土壌の粒子の大きさによってどのような違いが出てくるかというようなことを室内実験的に今までやってきたところであります。  そのような室内実験的なことをやりましたこととあわせまして、現在モデル的な地域を選びまして、現実にどういうよう地下構造のときにどういうような水の流れがあって、どういうようトリクロロエチレン流れがあるかということについて調査をしているということでございます。
  15. 新村勝雄

    新村委員 今までの国の調査によりましても、五十九年から六十二年までの調査ということで、一万六千の井戸のうち、トリクロロエチレンが五百本、テトラの方が六百本、こういう調査の結果がありますけれども、一万六千ですからかなり数は多いのですが、これは抽出でしょうから、まだ完全な調査ではないわけですね。特に首都圏関東地方千葉県等においてはかなりの数が出ておるわけですが、調査についてももう少し徹底した調査が必要ではないか。また、この汚染疑いがある地域については、井戸等についてはできれば全数の調査が必要ではないか、悉皆調査が必要ではないかというふうに考えるわけです。特にこれは水道水に混入される危険があるわけですから、それらについてももう少し徹底的な調査が必要だと思います。地下水が都市の用水として約三分の一使われておるということでありますし、その水道を利用している住民が三千万人、また井戸飲料水としている人口が八百万人です。これは大変重要な問題でありますから、さらに一層の徹底的な調査が必要と考えますが、いかがでしょうか。
  16. 岩崎充利

    岩崎政府委員 まず、私ども水質調査というか地下水質監視につきましては、今回の法改正におきまして法律的には今度初めて取り上げて、これからどういう形でやっていくか、これまた地方公共団体からいろいろな形で意見をお聞きしながら決めていくというようなことでございますが、私ども考えておりますのは、地下水質調査も一応三つの調査があるというふうに考えております。  一つは、一般概況調査ということで、一般的に網をかける。これは粗いかもしれませんが、どんなところでどういう問題が起きているかということで一般的に網をかけて調査をするということ。もう一つは、汚染が見つかった場合に、そこでの周辺どのくらいの広がりがあるかというような形での調査。それから、その後いろいろな形で対応策がとられていきますが、どんな形になっているかという経年的な調査を総合的にやりながらやっていくというふうにいたしております。  特に、先生から御指摘がありましたよう飲料水地下水質の問題は、私どもも非常に重要な問題というふうに受けとめておりまして、そういう意味からも、今のよう調査につきまして一番適切な方法監視をやっていきたいという所存でございます。
  17. 新村勝雄

    新村委員 調査についても通り一遍のというか、表流水と違いますので、地下水の水系を徹底的に調査をしないとなかなか実態がわからない。また、近所にこれを使う施設等がないからといって安心ができない。非常に複雑な動きをするわけですから、それなりにやはり監視体制が難しいわけですね。  千葉君津市における東芝コンポーネンツの工場に関する地下水汚染、これが非常に問題になったわけでありますが、この問題については地元の市、県と協力してかなり系統的な徹底的な調査をしたようであります。それによりますと、地下帯水層の形、それから傾斜等によって物質地下を伝播していくということがわかったわけでありますが、この物質はもちろん自然界にはないわけでありますから、地下水から検出されたものはどこかの工場なり事業場から排出をされたもの、汚染源が必ずあるということになるわけであります。  そういう前提のもとに地元では調査されたようでありますけれども、最初からあそこが汚染源だということを特定するのではなくて、周囲の地域にたくさんの井戸を掘り、いろいろの地質学的なといいますか地下状況を実験的に実際に調査をした、その結果を総合し帰納するというか、そこから結論を出していったという非常に科学的な方法でやったようであります。それによりますと、汚染源からどういうふうに地下に浸透していったかというようなこともかなり明確にわかったようであります。  ほかの地域でもこういう調査はやっていらっしゃるかどうか。それから、こういう地元調査について国ではどういう指導なり協力なりをなさっておられますか。
  18. 岩崎充利

    岩崎政府委員 先ほどちょっと申し上げましたが、地下水汚染機構解明調査ということで、モデル的に市町村というのか地域を選定いたしまして、地下構造がどんな形になっていて、その水の流れがどうなっているか、それからその場合に汚染がどういう形でなっているかということについて、現在モデル的な地域を選んで調査をしている。私ども委託調査という形でやっていただいて、今現在その機構解明調査をやっているというのが現状でございます。  それから千葉県につきましては、県ともいろいろ打ち合わせばいたしておりまして、現在、県さらには市町村という形の中で、いろんな形でお互い連携をとりながら、今のような形でしっかりした調査がなされているということでございます。
  19. 新村勝雄

    新村委員 そこで井戸管理ですが、井戸については従来地下水についてのこういう事態というのは余り予想されていなかったわけですけれども地下水汚染ということが問題になってきた以上、やはり個々の井戸についても、事衛生に関する問題でありますから、行政的に指導あるいは管理をする必要があると思いますけれども、そういう点についてはどういう方針でいらっしゃいますか。
  20. 岩崎充利

    岩崎政府委員 いろんな形で監視、測定を都道府県が計画を立ててやっておりますが、汚染された井戸につきましては、これは飲用指導等をすぐやるようにということで指導の徹底を図っております。
  21. 新村勝雄

    新村委員 それと、先ほどから伺っているわけですが、地下水が一回汚染をされた場合にそれを旧に復する方法ですね、旧に復する方法はどういうことを考えておられるのか。今、全国的にかなり広範に実際に汚染があるわけですけれども、この汚染を旧に復する技術的な方法は確立をされておりますか。
  22. 岩崎充利

    岩崎政府委員 現在、どういう形で地下水汚染がなされているかという、その機構そのもの解明というのがなかなかできてないというのが現状でありまして、私どもこの辺のところは現在一生懸命その調査等々行っているところでありますが、現実技術解明そのものにつきましてはまだなかなか立ちおくれているというのが現状でございます。
  23. 新村勝雄

    新村委員 立ちおくれていると言いますけれども、実際に汚染が起こった場合に手の打ちようがないということですか。手の打ちようがないということでは困るわけでありまして、実際にそこから検出をされた、その一定地域汚染されているということがわかった場合に、何らかの方法があるはずですけれども、その方法はどういう方法なのでしょうか。
  24. 岩崎充利

    岩崎政府委員 現在汚染が発見されたというようなときには、先ほど申し上げましたよう飲用指導とかその他いろいろなものでやっておりますが、これは地域実情に合った形で汚染対策を進める必要があるということがございまして、基本的にはどんな形でどんなルートで汚染がなされたか、そこのところの機構解明をしつつ地域実情に即した形で対応策をやっていくことになるということでございます。  先ほど申し上げましたが、君津の場合は、地方公共団体、県、市町村中心となりまして、そういうよう機構解明をしながら一番いい対応策をとっていくということでございます。
  25. 新村勝雄

    新村委員 ケース・バイ・ケースということもあるでしょうけれども、例えば君津ような場合には、その機構がほぼ明らかにわかっているわけです。いわゆる帯水層の形が盆のような形になっていて、その盆の端の方に汚染源があった場合にはそこから地下に入って地下水に到達する。帯水層が第一、第二、第三ぐらいまであるようですけれども、上からの浸透でその帯水層に達した場合に、地下水流れともちろん同じよう方向に、その流れに従って下の方に汚染が広がっていくということはわかっているわけです。  それで、地図を見ますと、汚染源があって、恐らくこれはこういう形に盆のよう帯水層地層がある。そうしますと、汚染源がここにある、傾斜がこういう方向になっているという場合に、こちらの方には何本井戸を掘ってもどの層からも全然汚染は認められない、傾斜の下の方の井戸からは至るところ汚染が出ている、こういうことが実際に削井調査の結果わかっているわけです。この汚染源中心にして、下の方には扇状にずっと地下水をたどって汚染物質が及んでいるということはわかっているわけです。  そうしますと、これは地下水の、点ではなくて、汚染源中心にして傾斜の下の部分にその地域一帯汚染物質が広がっているということがわかっているわけでありますから、その場合にどうするか、これは手がないということでは困りますし、そうかといって自然に毒性が消滅をするまで地下水利用を控えろというわけにもいかないと思いますね。そこらの点がどうなるかということなのです。
  26. 岩崎充利

    岩崎政府委員 先生、ただいま御説明のように、千葉県の君津の場合には県、市町村挙げていろいろな形で調査をした結果、第一次報告書、第二次報告書という形で先生が今お話しになりましたよう報告書が出まして、地下水汚染機構がほぼ解明されてきた。それに基づきまして現在市町村の方では事業所指導して、そこの当該汚染土壌につきましてはこれを除去するという作業を現在やっているというような形の中で、全体として地下水対策をやっているということでございます。そういうような形の中で、ともかく機構解明というものを進めながらどんな形でやったら一番地下水汚染対応策がうまくいくかということを検討した上で、今のような形の対策がとられた、こういうふうに理解している次第でございます。
  27. 新村勝雄

    新村委員 一たび汚染をされた場合の対策については甚だどうも心もとないわけでありまして、地下水をくみ上げるといっても地下水脈を全部くみ上げるわけにはいかないわけですから、これは非常に難しいと思うのですね。地下水を大量にくみ上げて、それで希釈されるのを待つということですか。そうなると、これは地元住民としては非常に困るわけです。そうかといって、これを薬剤を注入して中和するというわけにもいかないのでしょうから、そこらの点はもう少し、応急対策応急措置を講ずるということにはなっておりますけれども、どういう有効な措置がとれるかということになりますと、大変心もとないわけでありますが、いかがでしょうか。
  28. 岩崎充利

    岩崎政府委員 千葉県の君津の場合は、ただいま申し上げましたよう応急措置としましては飲用指導とか、それから事業所に対します施設改善等々の措置を講じたことは当然でございますが、それとあわせまして機構解明につきまして県、市町村かなり濃密にやっておられまして、その結果として、どこのところが汚染源としてどういう形になっているかということをほぼ解明してきた。その中で、一つの問題といたしましては、先ほどのかなり高濃度土壌汚染が見つかったということがありまして、そこの部分につきまして今対応策を講じているということでございまして、今後ども県、市町村等々との連携の中でさらに一番いい方法は何かということを検討しながら対応策がとられている。現在講じられているところは、そういう土壌汚染が見つかったところにつきまして一生懸命そこの除去対策を講じているというのが現状でございます。
  29. 新村勝雄

    新村委員 新しい経験でしょうから、今その対策について局長を追及してもしようがないことでありまして、今後できる限り応急措置をとる、その措置はどういう措置をとればいいのかというようなことについてひとつこれから十分御検討をいただきたいと思います。それから、千葉県における汚染機構といいますか、プロセスといいますか、そういうものはほぼわかったわけでありますけれども、これも完全とは言えないわけでありますから、今後とも汚染機構、経過ですね、これについての徹底的な解明をやはり国の指導あるいは技術協力によって徹底的にやっていただくということと、こういう場合の応急措置をどうしたらいいかということについての御研究は、今後の問題として十分やっていただきたいと思います。  そこで、汚染というのは言うまでもなく汚染源がありまして、汚染源から汚染が及んでいったわけでありますから、汚染責任ということが当然出てくるわけですけれども、その問題についてはどうお考えですか。
  30. 岩崎充利

    岩崎政府委員 汚染をした者に当然責任があるということでございます。
  31. 新村勝雄

    新村委員 責任はあると思いますけれども、どういう責任を持ってもらうのか。これは地元住民にしてみれば大変な迷惑を受けたわけでありますから、損害をどう評価し、計算をし、それに対してどういうふうな形で補償なりなんなりをするのかという点では、国としてはどういうお考え指導されますか。
  32. 岩崎充利

    岩崎政府委員 当然汚染をした者に責任があるということでございまして、ただ、その汚染実態というのが地域によってそれぞれいろいろな形がございますので、どんな形でそこのところをしつかりやらせるかということにつきましては、汚染機構解明とあわせながら、一番地域に適したやり方をとっていくというのが私どもとしては一番いいやり方ではないかと思っております。
  33. 新村勝雄

    新村委員 今回の法改正がありまして、こういった有害物質管理を厳重にするということについては問題の一歩前進でありまして、これは評価をされると思いますけれども、一たび汚染をした場合にそれをどう原状回復するのか、あるいはまたそれに対する責任をどうするのかということについては必ずしも明確ではないわけです。ですから、そういった点について今後の研究に待つ、あるいは御努力に待つ点が多いわけですが、特に責任の問題をどうするかということが、これは地元から、関係住民からすれば厳しく問わなければいけない問題です。この点をひとつ十分検討願いたいと思います。  それから今後の問題でありますけれども、自然に昔から掘った井戸を利用しているところが相当まだあるわけです。私のところもそうなんですけれども、今までは非常にいい地下水だということで安心をして利用していたところが、いつの間にか地下を通って汚染をされている。これはそこに生活をしている住民には全くわからないわけでありますから、何キロも何十キロもの上の方から汚染されてくる場合があるわけでありますから、現在飲料水に使っている井戸についてはできる限り早く全部の井戸について調査を願いたい。  それから、千葉県の問題になっている地域では井戸の台帳をつくるということを言っております。全部の井戸を市役所に登録して、そして定期的に検査をするという井戸台帳というものをつくるということが今論議をされておりますけれども、その程度にやはり生活用水をくみ上げる井戸については管理をしていく、監視をしていく必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
  34. 坂本弘道

    ○坂本説明員 トリクロロエチレン等によります地下水汚染が広範囲に見出されているということでございますので、飲用、飲み水に使っております井戸等でございますが、この衛生確保という観点から、厚生省といたしまして昭和六十二年一月に飲用井戸等衛生対策要領というものを策定いたしております。この要領に基づきましてただいま、各都道府県等の飲用井戸等の設置場所等に係る情報の収集、それから設置者に対する適正管理、定期的な検査の実施、こういうものを指導することとしております。現在都道府県におきまして、広報の実施だとかそれから巡回指導等、本要領の推進に努めているところでございますが、今後とも都道府県等を指導いたしまして本要領の徹底をしていきたい、このように存じております。
  35. 新村勝雄

    新村委員 最後に大臣にお願いをいたしますが、今お聞きのよう状況なわけです。今回法改正によって一歩前進はするわけですけれども、まだまだ安心はできません。厳しく有害物質についての管理を願いたいと思うわけであります。  そうして、問題点は幾つかあるわけですけれども、そのうちで、一たび汚染をされた場合にどうしてこれを原状に復するかという問題が今明らかになっていないわけでありますから、それについてできる限り原状回復方法研究してもらいたいということですね。  それから、汚染した場合に汚染を起こした者の責任をどうするか、また被害を受けた者に対する補償というか、それをどうするか、その辺をやはりもう少し体系的にはっきりしておいていただきたいわけです。  それからもう一つは、現在飲用水に利用している井戸あるいは水道の水源については厳しく管理監視をしていくという体制を行政の立場から確立していただきたいということを特にお願いしたいわけですけれども、いかがですか。
  36. 山崎竜男

    ○山崎(竜)国務大臣 お答え申し上げます。  今先生おっしゃられたようないろいろな問題点がございますが、環境庁といたしましては、有害化学物質による環境汚染を未然に防止する、国民の健康を守っていくことは、環境行政の最重要課題の一つであると認識しております。このため、化学物質による環境汚染状況の把握、各排出規制等を行うほか、必要な調査研究を推進しているところでありますが、今のお話のように、いろいろなまだ未解決の点がございますので、今後とも各関係省庁あるいは地方自治団体との密接な連携をもとにして、総合的な予見的な政策を展開していかなければならぬと思っております。中央公害対策審議会の答申もございますし、また地下における物質の挙動の解明等の研究を進めなければなりませんし、中長期的な問題についてこれからも積極的に検討、推進していく所存でございます。
  37. 新村勝雄

    新村委員 終わります。
  38. 熊川次男

  39. 前島秀行

    前島委員 私は静岡でございますので、特に富士山のふもとがこの種の問題で大変汚染されて大騒ぎになっていますので、今回御無理を言ってこの審議に参加させていただいたわけでございます。  そういう面で、今回水質汚濁防止法が改定になって、発がん性のあるという二物質を法のもとで規制監視する、そういうことと、それから水質汚濁防止法で穴になっていたと言われた地下水監視の対象にするということについて、私は大きな前進だろうと思うし、私たちも賛成をしたい、こう思っているのです。  ただ問題は、法改正をして終わるのではなくして、その目的、趣旨をより具体的に実践することによって完全にこの二物質による汚染がなくならなければ、しかも飲み水でありますから、そこが重要だと思っています。特に、地下水として三千万人の人が飲料水として利用しているという現状でありますので、そういう面で具体的に、それを完全に汚染をなくすという面で質疑をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それで、まず、常時監視というふうになっているわけでありますけれども環境庁としてはどういうことをしたら常時監視といえると思うか、何をお考えになっているのか、具体的にひとつ明らかにしていただきたい、こういうふうに思います。
  40. 岩崎充利

    岩崎政府委員 現在、水質汚濁防止法の十五条で常時監視ということを言っております。この法律上の常時監視と申しますのは、実際の監視行為を一刻の切れ目もなく連続的に行うということまで要求しているということではございませんで、法律上といたしましては、地下水の水質の監視義務が常時知事に帰属するということでございます。  それでは具体的にはどうするんだということでございますが、具体的な地下水質監視につきましては、地域実情に応じました適切な内容で行われるということが必要であるということでございますので、各都道府県知事が地域実情に即して定めた測定計画というものに従って実施されるということでございます。環境庁といたしましても、こうした地方公共団体の行う監視につきましてもある程度全国的な統一性を確保することが必要であろうということもありまして、これは地方公共団体等の御意見も伺いながらしっかり検討してまいりたいと思っておる次第でございます。
  41. 前島秀行

    前島委員 その常時監視の対象になるのが地下水状況だけだということですね、この法案でいきますと。今度の改正の目的が、この二つの物質発がん性があって、しかもそれに汚染されているということ、今度の改正の出発点はそこにあったと僕は思うのですよ。そうすると、常時監視の対象をそこのそもそもの汚染源のところまで対象にしないと、今度の法改正の目的がないと思っているのです。そういう面で、特定施設もこの常時監視の対象にしなかったということは正直言って不十分であり、不満なんです。単に届け出ればいいんだとかあるいはそれが不十分であったならばその改善命令をするということになって、その命令等々が不十分であって結果的に汚染されてしまった後さあ大変だということになったら、僕は改正の趣旨というのは意味がないと思っているのです。例えばクリーニングにしても、活性炭一つをとっても、これはつければいいというだけじゃなくして、どれだけの頻度をもって取りかえるかが本当に守られるかどうか、汚染を防止できるかどうかということですね。そういうことを考えると、ただ水の状況だけを常時監視の対象にしていたって意味がないと言わざるを得ないというふうに私は思っているわけなんです。  法的にはそうなんで、そうすると問題は、的に県を指導するときに、あるいは各業界を指導するときに、本当に汚染をなくすためには、常時監視の対象は一応法的には水質だけだけれども、その原因者たる特定施設にどう指導するか、どう具体化させるか、どう現場に踏み込ませるくらいのあれをするかということが私は大切だと思うのです。そういう面で、特定施設に対してどう具体的に監視させようとしているのか、そのことをもう少し具体的に説明を願います。
  42. 岩崎充利

    岩崎政府委員 私ども、まさに気持ちとしては先生と同じ気持ちでございます。  それで、今申し上げましたように十五条の方の水質監視につきましては、井戸の水質を監視していくということでございますが、あわせまして、今回の法改正一つの柱が、これは特定事業場有害物質を含む水を使う事業場での地下浸透を図るような場合には、その届け出義務を課する。届け出義務を課した場合に、おかしい場合には計画変更命令が出せるという形をとりますとともに、また既存の施設でございましても、報告徴収なり立入調査なりというようないろいろな形の中で特定事業場指導の徹底というものを図ってまいりたいというふうに考えております。
  43. 前島秀行

    前島委員 今の法のあれからいいますと、違反があったり守らなかったら立ち入りする云々という、そこが僕は不満足だと思うので、常時監視を水だけで終わらせないように、特定施設にも、いろいろな指導という形の中で常時監視できるような形をぜひ具体的に指導してほしいということをお願いしておきたいと思っています。  それと、そもそも二つの物質を使っていなければ汚染が出ないということはこれは間違いないわけで、そういう面では、逆の見方をするとそれを使っているところが発生源という疑いがあるよ、こういうことになるわけですね。少なくともそのものを使っているところは特定できるわけですから、届け出るわけですから、本当になくす、常時監視を強めていく、あるいは水だけを常時監視じゃなくして、別なところもそれに類するよう指導をするんだということになってくると、必然的に監視をしたり目を光らせたりするところはわかるわけですね。そうすると、一般的に常時監視しろという形じゃなくして、地点的なといいましょうか、面的なといいましょうか、そこをある程度具体的に規制をする、監視する指導というものがあっていいではないか、具体的にそういうふうに指示をしてもいいではないか、一般的ではなくして具体的に地点的な指導をすべきではないか、こんなふうにも思うのですけれども、それについてのお考えを伺いたい。
  44. 岩崎充利

    岩崎政府委員 現在、公共用水域の方の監視の問題としては、大体年間に九万件ぐらい立入調査をしている。大体年間で見ますと、これは全国平均でございますが、全事業場数の三分の一くらいを監視している、立入調査しているというふうな形でございます。  ただ、先生御指摘のように、例えばトリクロロエチレンとかテトラクロロエチレンを使うようなところにつきましては、そこを重点的にどんな形で取り上げるかということもまた非常に有意義なことではないかというふうにも考えておりまして、これまたこれからいろいろ地方公共団体の御意見を伺いながら、全体として監視をどんな形で進めていくかということを検討していくところでございますので、そういう検討過程の中で十分研究していきたいと考えております。
  45. 前島秀行

    前島委員 そういう面で、単に一般論じゃなくして、その物質が原因である、その管理が不十分であれば汚染するということは調査の結果わかっているわけですから、そういうきめの細かい具体的な指導をぜひ今後検討していただきたいということを強くお願いをしておきたいと思います。  同時に、トリクロロエチレン等地下汚染の原因だ、こうなっているので、それを未然防止するという意味で、この水質汚濁法が対応する範囲というところをちょっとお聞きしたいのですけれども、要するに私がお聞きしたい趣旨は、いかにゼロに近づけるか、限りなくゼロにするかということだと思うので、少なくとも発がん性というあれですから、そういう面ではこの二物質監視するあるいは規制するということは常にやらなくちゃならない。そういう意味で、この水質汚濁法の適用される範囲というのがまず二物質の生産の段階にも及ぶのか、あるいはタンク等々を含めた保管、管理まで対応できるのか、あるいはこの二物質を運搬する過程等々までこれが及ぶ範囲なのか、この辺のところをひとつお聞かせを願いたいと思います。
  46. 岩崎充利

    岩崎政府委員 私どもが今回改正水濁法で規制対象といたします地下浸透は、有害物質を含みます特定地下浸透水の地下への浸透ということの規制でございますので、具体的には、例えば浸透升等を設置して浸透させる方法とか、あるいは素掘りの貯留槽とか沈殿池から地下浸透させる方法とか、いろいろ意図的に浸透させるもののほかに、例えば事業場の床面のひび割れとか排水系統のパイプの破損とか、そういうような非意図的に地下に浸透するようなこともあわせて規制することにいたしております。  ただ、先生今御指摘のございましたトリクロロエチレン自身の生産、保管あるいは管理及び運搬という問題でございますが、ここにつきましてはそれぞれ化審法なりそれから廃掃法なりということがありますので、私どもは、そういうものと相まちまして地下水汚染の未然防止が効果的に図られるようにということで、全体あわせて総合的な形の中でやっていくということにいたしております。
  47. 前島秀行

    前島委員 環境保全ですから非常に大切だと思うし、その環境保全の責任を負う官庁が環境庁でありますから、本来ならこの種のことが問題になって化審法で第二種特定に指定されるものなんですから、ここは本来なら全面的に、生産からすべての段階に環境庁のもとで監視しながら対処して初めて限りなくゼロに近づくだろうというふうに僕は思うのですけれども、現在の体系がそうということになるとそれから先は環境庁がどれだけ先頭に立ってやるかという環境庁の姿勢が問われてくると思うので、その点ぜひゼロに近づけるという意味での、及ばない点について積極的な御努力をお願いしたい、そういう点で要望にとどめておきたいと思っています。  それから、細かな点でございますが、そういう監視をしたり指導をしたりする段階の中で、そのうちの一つで、浸透禁止と排出の場合の管理目標値が、排水ですと十倍になるわけですね。私は、そこのところについてはちょっと間違えるととんでもないことになるということを非常に心配するわけなのです。例えば公共用水域に流せばいいんだから、それは十倍薄めていいよということになって川へぽんと流す。恐らくその川というのは水が流れているという前提でいくだろうと思うけれども現実の川なんていうのは水が流れている面積の方が少ないし、全然流れてない沢というところもいっぱいある。最近はそういう地域に先端技術の工場が出て流しているというのが実態だろうと私は思うのです。とんでもない高い地域に今度の汚染が出ている。私は後で具体的に私の地域の名前を挙げて言いますけれども、富士山の根っこですよ。海抜何百メートルというところからも環境基準を超えるような数値が出ているわけですね。そうすると、単に川へ流せばいいんだ、公共用水域だから十倍に薄めればいいよということを言って、そのことが逆に大義名分になって、川という名前さえついていれば全部流していいんだということに対する危険性を物すごく感ずるわけです。同時にまた、川を使って農業用水に引いたり上流水に引いたりという側面も現実にあるわけなのですよ。  そういう面で、本来なら浸透と排出というのに十倍の差をつけたということについては私は大きな疑問を感ずるわけですけれども、そういう公共用水域に排出された水は地下浸透の禁止の対象にならぬのか。要するに水が流れてなければ地下浸透と同じ現象になるわけなのですね。その辺のところはどうなんですか、ちょっと細かいことなのですけれども
  48. 岩崎充利

    岩崎政府委員 今回の改正水濁法の地下浸透の問題につきましては、今の河川区域のところは対象にはしておりません。ただ、私どもが排水基準を決めます場合、これは公共用水域、例えば河川への排水基準を決めます場合には、当然川が流れているということを頭に置いて決めておりまして、私ども決めていますのは、ナショナルミニマムというような形で全国一律的に決めるというようなことでございます。  確かに全国的に見ますと、ただいま先生が御心配になられたよう事例というのもある可能性もございます。こういうような場合には、都道府県におかれまして上乗せ基準ということで、より厳しい基準を課すこともできるわけでございますので、そういうような形の中で対応いたしますし、具体的にどんな形でどういうようなところでおかしい問題が起きてくるかというのは、これはケース・バイ・ケースの問題もあろうかと思いますので、それはまたそれで、そういうよう事例に応じまして適切な指導をしてまいりたいというふうに思っております。
  49. 前島秀行

    前島委員 ぜひそういう面できめ細かな具体的な指導を今後してほしいということをお願いしておきますが、別に片一方で、環境庁の今度の法案の改正の趣旨から見て、また環境行政として見て、地下水汚染に対してどう積極的になるかという一つのバロメーターというのは、金の問題なんです。率直に言って金の問題があると思うのです。  といいますのは、自治体に行きますと、この二年間、三年間、国から県から検査しろと言われて一生懸命努力をしているのです。そして、ほかの水質検査等々も義務づけられていますから、四苦八苦してやっているというのが実態なんです。そしてこの種の検査というのは、一回やれば一方から二万くらいの予算をしなければできないというのも現実実態なんです。私の地域の自治体のところの環境対策室等々の皆さんに聞くと、今年度は正直言ってこのための予算化がしてありません。十一月一日から施行される具体的なあれに対して、ない。したがって、よそのところの予算を削ってきてやるのが正直言って今年度のやれる精いっぱいです。ただし、この汚染されている実態から見ると、ましてや法改正があった、政令改正があったという形になると、従来以上に注意をしなければいかぬなということがある。住民からも非常に関心が持たれる。具体的にここをやってくれ、この井戸をやってくれという要望が出されているということになると、正直言って地方自治体の財政というのは大変な事態になっていくわけです。  そういう面で、法改正を機会にこの二物質汚染源から完全に守るという意味で一体どの程度予算化しているのか、これで胸を張って環境庁でございます、こう言えるような用意がされてあるのかどうなのか、また今後そんな気持ちがあるのか。環境庁の姿勢を見る一つのバロメーターですから、その辺のところ県に対してどういうふうな、自治体に対してどういうふうな配分を考えているのかというところをちょっとお聞かせ願いたい、こういうふうに思います。
  50. 岩崎充利

    岩崎政府委員 なかなかの厳しい御指摘でございますが、私ども平成元年度に初年度の新規ということで、初めて新たにとった予算でございますが、新規として一千二百万円ほど予算を計上いたしております。私どもの予算全体の額からいきますと、これはいろいろ大きい小さいということはございますが、私どもとしては思い切って新規でとったというような形でございます。ただ初年度ということもございまして、またこれから一生懸命努力していきたいというふうに思っております。  また、配分をどうするかということなのでございますが、都道府県が今度法に基づいて、測定計画に従って地下水の水質の調査に要する費用ということでございますが、この法成立後、各自治体からの正式な要望を受けまして配分していきたいというふうに思っております。
  51. 前島秀行

    前島委員 私は、一千二百万を一千二百億かなと思って——本当にやる気になってやる、後で言いますけれども水脈調査するとかちょっと細かなことをやったら、大変な経費がかかる。発がん性、命にかかわる、身体に影響があるということは、最大限の努力をし、財政的にもやらなければならぬことはしなければいかぬと私は思うのです。初年度だからといえばそれはそれまでですけれども、今後その辺の努力をお願いしておきたいというふうに思います。  それから公表の問題ですけれども、私の地域でもいろいろありました。全国的に散らばっている。そして当然、二物質を使っている工場というのは、だれが言わなくたってわかっている。そういう状況の中で自治体は黙っていたのです。そうしたら、住民の皆さんが自主的に自分で金を出して検査をしたら出てきたぞということになって、周辺の自治体が渋々発表をしたというのが経過の実態なんです。  その発表の仕方にもいろいろ問題があると私は思うのですが、今度の法案の中でいわゆる公表ということをはっきりうたっているわけです。そうすると、だれが、いつ、どこまで発表するのかということが非常に重要なことだと私は思うのです。というのは、現実住民がひどく不安がっているという状況の中で、住民協力というものも得なければこの種の問題はゼロに近くするということはできないと私は思うのです。そうすると、私の方の地域の経験からすると、何でこんなものを発表しなかったのかなということが逆に大騒ぎになっているというか、余計不安を駆り立てているということもなきにしもあらずという例があるわけです。  そういう面で、公表の仕方、だれが、いつ、どこまでするのか、その点について基本的にどういうふうに考えているのか、ちょっと見解を示してほしいと思います。
  52. 岩崎充利

    岩崎政府委員 今回、公表の問題につきましては改正法の十七条で入れるということにいたしました。法的にやりますのは今回の法改正ということでできる、こういう形になるわけでございます。  そこで、具体的には、各都道府県におきまして測定計画に基づく年間の最終の測定が終了した後、速やかに測定結果を取りまとめて当該都道府県地下水質状況を把握できる範囲で公表する、これは都道府県知事が行うということになっておる次第でございます。
  53. 前島秀行

    前島委員 今度の一連の調査の過程の中で、例えば直接調査をしている、検査をしている自治体に行きますと、県が、国がと出てくるわけです。今度は県の段階に行くと、いや国がとか、地方自治体が現地のいろいろな状況の中でとか、お互いになすり合いっこをしているわけです。それが住民にとって非常に逆に不安になったりして、不信感になったりしている原因なんです。少なくとも今私がここで確認をしたら、国はこうしろ、こうするなと県なり市に言わせない、口実を与えないようなことはしますか。
  54. 岩崎充利

    岩崎政府委員 公表、測定、どんな形で測定するかということとあわせまして、どんな形で公表をするかということも一つの大きな課題でございますが、ただ、これにつきましても、私ども、これから地方公共団体の意見もよく徴しながら、どんな形で公表するのが一番いい方法であるかということを検討していきたいというふうに思っております。
  55. 前島秀行

    前島委員 では、逆に市町村住民の要求等々もある、市町村の独自の判断もあって、市町村が独自に発表しようとすることには文句言いませんね。文句言いませんねというのは言葉は悪いですけれども、それは自治体に任せていいですね。自治体の独自の判断でやることについて、やれ、こう言っているのですよ。そうすると、国が、県がと、上の方がついてくるもので、いかにも自治体は、私たちはしたいんだけれども、こうなるのです。だから、逆に言うと、自治体が独自で判断することにまで余計なことを言ってもらいたくない。独自でやることについてはいいな。どうですか。
  56. 岩崎充利

    岩崎政府委員 今御指摘の点でございますが、市町村が独自に井戸等調査した場合に、その結果の公表につきましては、これは当該市町村の独自の判断によるべきものであるというふうに考えております。
  57. 前島秀行

    前島委員 わかりました。  それで、いろいろ御意見を伺ってみますと、プライバシーといいますか云々という問題が出てくる。僕はこれはあながち否定はしないのです。特に個人の問題はそうだと思うのです。ただし、企業というのは社会的責任があると私は思っているのです。しかもそのものをつくっている。使っていなければそもそも汚染しないわけですから。そうすると、環境庁としたら、企業の論理をとるか住民の論理をとるか。しかもそれが発がん性があり、人体影響するようなことだと私は思っているのです。この発表の仕方の問題云々、私はこれ以上の言葉を求めようとは思わぬけれども、これからの検討課題としてこれは重要なことなんですから、企業の論理を乗り越えて、人体影響する発がん性のあるものはなくしていくんだという姿勢を環境庁は基本的にとってほしい。そして住民に不安を与えないようにしてほしい。それはちゃんと事実を公表することが出発点だと私は思っていますので、これ以上答弁を求めようと思いませんけれども、企業の論理を乗り越えて環境庁はやるんだという姿勢だけはぜひ貫いてほしい、これから具体的な公表のあり方の問題について示してほしい。これは厳重な関心を持ってこれから見守りたいと思います。いろいろ起こっておりますから、その点を、公表のあり方の問題についてぜひお願いしたい。もう一つ、この公表のあり方については、私は住民参加と公表の原則、こうあってほしいと思うのです。この点だけは要望として明確にお願いをしておきたいというふうに思います。  それから、あとは具体的に業者についての指導の問題ですが、厚生省、クリーニング関係の問題ですね。これは量からいくとそうでもないのですけれども、件数からいくと、ドライクリーニング業者が取り扱っている件数が圧倒的に多いわけですね。そういう面で非常にここが注目されるし、この指導というものが重要だと私は思っているわけであります。  私もいろいろ聞いてみますと、かなり努力はしている。厚生省がここ数年にわたって具体的な通達等々で指導をされている、それを受けて県なり各業界の中で非常に努力をしているということは私もよくわかっている。ただ、問題は、具体的に処理装置がどれだけ設置されているかということだと思うし、それともう一つ、いろいろ聞いてみますと、国、県等々の指導が本当の末端の業者まで徹底するかという点が一つあるのですね。同業組合、業界を通じてはこれは比較的通りいいですね。静岡の方でもことしに入ってから何回となく県が組合を呼んで講習をしているという事実は、私知っております。しかし、組合に入っていないところ、個々のところはかなり落ちこぼれているというのが実態なんです。静岡県の廃液処理装置の実際の設置率を見ると、そういう指導の徹底しているものとしていないものとの設置率はがたんと違ってくるわけなんですね。  そういう意味で、業界にどういう指導をしてきたか、簡単に言ってもらいたいということと、それから組合員数、設置率等々について、もし現時点で具体的に数字までわかったら説明を願いたい、こういうふうに思います。
  58. 丸田和夫

    ○丸田説明員 まず、全国のクリーニング所における廃液処理装置の設置状況等でございますが、昭和六十一年で約三二%、六十二年で約四五%、六十三年で約六四%のクリーニング所におきまして廃液処理装置を設置いたしましたりあるいは産業廃棄物処理業者にその廃液の処理を委託している状況で、毎年設置は進んでいるのではなかろうかなと思っているところでございます。  それで、クリーニング営業者に対する指導の問題でございますが、クリーニング業におけるテトラクロロエチレンの使用管理につきましては、昭和五十九年の八月に保守管理マニュアルというものを定めまして、都道府県あるいは全国タリーニング環境衛生同業組合連合会、こういった団体を通じましてその使用、管理の適正を図るよう指導しているよう状況でございます。具体的には、廃液処理装置の設置とか講習会の開催、蒸留残渣物等の収集、運搬、処分体制の整備等についてやっておりますが、その後いろいろな面で十分でないこともありまして、昨年十二月に改めて全国の関係のところへ通知しているところでございます。  それで、業者に対する指導、これにつきましては、都道府県の県庁におきましてクリーニング営業者に対する講習会の開催とか立入検査、こういったものを通じてやっております。組合に対してもやっておりますが、それ以外のクリーニング営業者の団体も各種ございます。またクリーニング資材商等の団体もございますので、そういったところを通じまして指導を図っているところでございます。
  59. 前島秀行

    前島委員 産廃処理の方の問題ですね。これは、いろいろな指導マニュアルを見ますと、クリーニング等が産廃処理業者のところに届けたところで報告義務が終わっているのですね。それから先が正直言って実態的には問題なんです。  これは卑近な例ですけれども、いろいろな地域で産業廃棄物、今度の問題だけじゃなくて、それがどう処理されているか、適正に処理されているかということが大きな社会問題になっているのです。暴力団介入の要因にもなっているのですよ。現実になっているのです。そうすると、今度の問題も、ただ業者に預けて、はい終わりという形じやなくして、その業者が具体的に最終的にどこまで処理したのかということが大切だと私は思っているのです。厚生省はぜひそこまで指導を徹底してほしいということと、それから環境庁にしても、本当に環境保全というならそこまで監視しないといけない。ここが一番大事なんです。最終的にどこへどう処理するのかということが大事なんで、途中抜いちゃってぽんと捨ててしまったら、これは何の意味もないのです。地下浸透と全く同じ現象、こうなるので、最終的な末端の処理まで監視をする、報告義務を持たせる、こういうふうにぜひしていただきたい、またすべきであるということを要望としておきたいと思っています。  それから、通産省の方にちょっと伺います。  今度の化審法によって第二種特定化学物質に政令指定されたわけですね。そのことによって具体的に規制をどう変えようとしていくのかという具体的な対応、それから、この二物質の総量規制的なものを考えているのか、大体このくらいが限度だぞという生産目標値を考えているのか、その二点だけお聞きしておきたいと思います。
  60. 橋本正義

    ○橋本説明員 お答えをいたします。  最初の、第二種特定化学物質になった後、具体的にどんなことをされるかという点ですが、化審法上の第二種特定化学物質の取扱事業者に対する環境汚染を防止するための対策としまして、法第二十七条に基づく技術上の指針の遵守ということをまずさせる、及び第二十八条に基づく容器等への表示の徹底をさせたいと思っております。  技術上の指針につきましては、現在検討を重ねているところでございまして、早ければ今月、六月中にもこれを取りまとめ、公表したいと思っております。また表示の方ですが、これはガット・スタンダード協定加盟国への通報手続が必要でございまして、この手続を現在行っているところでございます。加盟各国から同表示に対して特段の意見がなければ速やかに公表したいと思っております。  それから第二点目の、総量的な規制という点の御質問ですが、これは第二種特定化学物質の製造及び輸入予定数量の変更命令ということだと思われますが、これにつきましては、今申し上げました二十七条に基づいて公表されることになる技術上の指針、あるいは第二十八条に基づいて告示されることになる容器等への表示、こういう環境排出抑制措置の効果、さらに本日御審議いただいておるわけですが、水濁法の改正等他法令による規制措置の効果というものを勘案いたしまして判断することにしておりまして、つまり、これらの措置によっても人の健康に係る被害防止のための環境汚染の改善がなお十分でない、こういう場合には法第二十六条に基づく第二種特定化学物質の製造及び輸入予定数量の変更命令を発動するということが基本的な考えでございます。
  61. 前島秀行

    前島委員 その辺のところはもう少し細かく詰めたいのですが、時間がありませんからいいです。  あと、罰則と賠償の問題。先ほど新村先生の方からもありましたけれども、賠償の問題、十九条の問題ですね。これは、汚染源の特定が定められない、要するに汚染源が確定されない限りは賠償の責任は負わないというのが十九条の考え方でございますね。そうですね。そうすると、それまでされなかったところはだれが責任を持つのですか。
  62. 岩崎充利

    岩崎政府委員 今回私どもの改正法におきましては、やはり罰則ということになりますと、相当因果関係が出てこないと罰則がかかるとかあるいは賠償とかそういう形のものにはなかなかなりがたいということでございますが、私ども今回の法改正の一番大きな一つの柱といたしましては、有害物質を含むおそれがあるときにも施設の改善命令なりなんなりということをかけられるような仕組みをつくったわけでございます。おそれがある段階でともかく行政措置命令等々かけまして、そういう形の中で何とか未然防止を図っていきたいというようなこと、先生前からおっしゃいますように、地下水質汚染に対する未然防止が何よりも大切だという形の中で一生懸命対応していくというようなことでございます。
  63. 前島秀行

    前島委員 その未然防止はこれからのあれだから、努力を願うのでいいのですけれども、現にあったり、あるいはその汚染源が特定されない間に被害が生ずる場合だってあり得るのですよ、これからも。  例えばこういうことが私のところで起こっているのです。あるところでもってその市の水源が汚染された。その検査をしたら暫定基準値以上の濃度が出た。市は慌ててそれを水源からとめて、ふたをして水源から外したのです。これができたのは、たまたまそこが非常に水の豊富なところだったもので、別の水源地があったから、それで用が足りたからとめられたわけですね。これはよかった例ですが、現実に起こっている。例えば、個人の井戸から基準値以上を超える、これから絶対これは使ってはいかぬよ1現に君津ではそういう事態が起こっているわけですね。起こった、当然市とか行政はこれは使ってはいかぬ、こうなってきます。その井戸水でもって水を賄っていた、さあ水道を引かなければいかぬ、どうしよう。その経費はだれが持つのですか。これからもあり得るでしょう。原因が特定されなければ十九条は賠償の責任が発生しないのでしょう。これが特定されない間に僕はこういうことは起こり得ると思いますよ、現に起こっているのですから。君津でも私のところでも起こった。それはもう閉鎖しなければいかぬ、しかし代替の水を用意しなければいかぬ、それには金がかかる、こういう事態が生じたときに、自治体なんですか、本人なんですか、国なんですか、県なんですか。
  64. 岩崎充利

    岩崎政府委員 基本的な問題といたしましては、やはりその汚染機構解明という形の中で汚染源がどういったところにあるかということの特定をしていくということが基本的な考え方でございますが、ただ、現実に今先生おっしゃいましたような形のものがいろいろ出てきております。これにつきましては、君津の例でもありますように、やはり県なり市町村なりが中心となりまして、一番地域実態に合った、汚染をどんな形で回復していったらいいかという対策をとっていくということでございまして、そういう過程の中で私どもいろいろな形で相談を受けたりあるいは指導したりということで、全体として地域実情に合った一番いいやり方をそれぞれの地域でとっていくということであろうかというふうに思っております。
  65. 前島秀行

    前島委員 十九条は何の意味もないということですよ。要するに泣き寝入りしなさいということでしょう、結果的には。先ほど言いましたように、自治体のこの種の状況は、検査するその金を引っ張り出すのが精いっぱい、こういう状況でしょう。国も今年度予算一千二百万しか組んでないという状況の中で、結果的には水は毎日飲まなければいけませんもので、企業の汚染源特定には何時間時間かかっても関係ないかもしれないけれども井戸水を閉鎖されたら一日も生きていられないですよ。これが実態でしょう。そういうことになったときに、十九条は何の意味もないし、現実にここは重要な問題ですから、その自治体に任すとか現地に合った状況で処理してもらうなんということを言われたら私は困るのです。発がん性があるのでしょう。人体影響するという断定をしたのでしょう。ここは、その地域実情に合わせてうまくやれなんということを環境庁が言ってもらっては困りますよ。それだったら環境庁なんて要らなくなってしまいますよ。それだったらなまじっか十九条なんか存在しない方が、直接加害者と想定される企業とやり合って、力ずくで取ってきた方が現実処理ができるかもしれない。しかし十九条というのが存在をしているから、特定されない限りは私たち責任ありませんと逃げてしまったら、そういうふうに悪く解釈しかねないですよ。そういうふうにうまく実情に合わせてやってくださいと言うなら、そう言わざるを得ないと私は思うのです。どうですか。
  66. 岩崎充利

    岩崎政府委員 君津の場合には、まさにいろいろな形で、例えば水道への転換等も図る、曝気装置をつくったりその他調査に要する経費なりあるいは土壌除去の費用等々につきましてはこれは企業に持たせたという形で対応いたしております。私どもといたしましても、やはりいろいろな形でこれからの研究課題として受けとめながら、国といたしましても地下水汚染機構解明は大いに努力してやらなければならないことであるというふうに受けとめている次第であります。
  67. 前島秀行

    前島委員 これ以上言いません。同時に、先ほど新村先生も言われました現に汚染された地域回復も同じことですから、その点あわせて私も改めて真剣に取り組んでもらうことを強く要望しておきます。  それから、それと関連して、地下水管理、保護、この法体系というのは全然整備されてない、こういうのが実態でいろいろな経過があるということを私伺いました。やはりこれだけの問題を起こし、その地下水汚染を防止するといったら、基本的にはだれが、どこが責任を持ってこの地下水というものを管理するのかということを明確にしない限りはだめだと思うし、その管理責任を負ったところが時間をかけても系統的にこの水脈動態というものを調査する。そうしなければ、正直言っていつまでたってもその原因が特定できないですよ、私はそう思うのです。  この静岡の例だってそうなんです。南の方で汚染があれば汚染源は、水は下から上へ行くなんてあり得ないのだから、あちこちにいっぱい企業があるのが見えているのですから。そうすると、この地下水管理、保護、地下水系というのをちゃんと整備する。いろいろ聞きますと技術的には不可能じゃない。ただし、時間と金が必要だということなんです。そして、すぐれてまた環境行政に戻ってくるのです。この状況の中で、やはり環境庁は、環境を守ろうという面でこの地下水管理、保護、それの体系を積極的に整えていく、調ベていくということでもう少し先頭に立つべきだ、前に出るべきだと思うのですけれども、その辺どうですか。出る決意がありますか。長官でもいいですけれども
  68. 岩崎充利

    岩崎政府委員 私どもも、地下水質保全のためには今一生懸命努力をしておるということでございます。今回初めて法改正に踏み切った。中身は地下水質の保全のための法改正ということでございまして、現時点で総合的なというところまでは至っておりません。やはり地下水質の保全を図るためには、私ども一生懸命これからも大いに努力しなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  69. 前島秀行

    前島委員 最後に私は、ちょっと私の地域実態報告しながら長官に伺いたいのですけれども、要するに私の富士山、富士山といえば世界に聞こえるこの地域一帯汚染されたのです。これはもう富士山ろく一帯と言っていいと思うのです。  その中で大騒ぎになったのが柿田川水系の汚染なんです。ここは三市二町の飲み水なんです。現実に三市二町、三十六万人に、飲料水としてそこから出ているのです。そして、その柿田川水系の一日の湧水量というのは百万トンである、こう言われているのです。この柿田川湧水群というのは環境庁が名水百選に指定していただいているところなんです。そしてこの柿田川水系と全く同じ水系の上のところが御殿場なんです。永塚水系のところで先ほど言った基準を超えるものが検出されたのです。これは全くみんな同じ水系なんです。御殿場ですから、南の三島の方におりていくのと同じ水系。永塚水系、貯水池ですけれども、そこから暫定基準値以上のものが検出されたのです。私の富士宮市は別な富士山からの水系です。ここに湧玉池というのがありまして、これが天然記念物に指定されている名水の一つなんです。ここからも検出された。  この柿田川湧水とか私のところの湧玉池水系というのは、我々地域の、富士山ろくの者にとってみれば精神的なシンボルみたいなものなんですよ。文化的なシンボルみたいなものなんですよ。そこから発がん性のあるものが検出されて大ショックを受けたというのが現実です。そういう状況の中で、今まで私が指摘してきたように、いろいろな生命とか発がん性とかという危険性があると同時にこういう名勝地、地域の精神的なシンボルになっているところまで汚染されたということは非常に重要だと私は思っているのです。それを環境庁はしかと受けとめてほしいということなんです。  同時に、その前提に立って今私が言ってきたように、この水濁法だけだって私から見れば常時監視は水だけだということは不満です。その他のいろいろなものも監視の対象にしなければゼロには近づけない、私はこういうふうに思っているし、今言ったような賠償の問題にせよあるいは公表の問題にせよ、私はいろいろ問題点があると思っているのです。そして一番大切な地下水管理、保護、これも正直言っていろいろな行政との縄張りの中で十年たっても一向に進まないというのが現実だと思うのです。環境庁が環境を守る行政なんだ、庁なんだといったならば、それを乗り越える努力をするかしないかというところが今まさに私は問われているような気がするのです。  過去のことは言いたくないけれども、公健法のあの改定によって、私の地域の富士地域が公健法指定地域から解除された。現に公害患者がその後も出ていることは間違いない事実です。この事実は環境行政の後退だと言わざるを得ないと私は思っているのです。そうすると、この法改正を機会にしてやはり環境庁ここにありと言われるためにはかなり本腰を入れてやってもらわないと、環境庁なんか要らないと言いたくなってしまうというのが現に汚染されている地域住民の声なんですよ。そこのところをちゃんと認識をしてもらって、長官、本当の決意といいましょうか、やるから心配するなというふうにぜひ私は答えてもらいたいのです。
  70. 山崎竜男

    ○山崎(竜)国務大臣 お答え申し上げます。  柿田川の例を出されておっしゃられましたが、前島委員おっしゃるよう地下水は身近にある大変貴重な水資源でございまして、この地下水汚染されることを未然に防止を図ることが極めて重要だと認識して今回の水濁法を出したわけでありますから、今回の水濁法で地下浸透の規制あるいは地下水質監視等について法整備を図ってその着実な実行を図るとともに、今後ともなお一層の地下水保全対策を推進してまいりたいというのは当たり前のことでございますが、環境庁としては、地元自治体と十分な連絡をとりながら、必要な対策を図るべく善処してまいりたいと思っております。  今お話のありました環境庁ここにありということは、前島委員も御承知でございましょうが、幸いなことにことしは環境元年ということで、先ほど東南アジアの環境大臣が来られましてアジア環境シンポジウムをつくる、九月には地球環境保全に関する東京会議が開かれることになりましたので、世界的な環境問題ということがクローズアップされてきた。したがって、政府の中でも環境庁に対する考え方が今までと違ってまいったということがありますので、この機をとらえて、この水濁法その他に関しても環境庁の発言力が今までよりはよくなってくるものと私は確信しておりますので、その点に十分努力をいたします。
  71. 前島秀行

    前島委員 終わります。
  72. 熊川次男

  73. 金子みつ

    金子(み)委員 私は、本日の議題になっております水質汚濁防止法の一部を改正する法律案の審議に入ります前に、今前島委員の御質問の最後に環境庁長官が御答弁になりましたように、現在では環境問題というのは、ただ単に一つの国の環境問題ではないということでございます。そしてこの問題は地球規模に考えられるというふうに、殊に最近はその問題がだんだんと大変に顕著になってきたと考えられると思うのでございます。私は初めにその関係について少し伺いたいことがございますので申し上げたいと思います。  実は青木前環境庁長官が所信表明をなさっていらっしゃるのですね。それで青木長官のときに質問させていただきたかったのですが、折がございませんでした。それで御新任の山崎長官にお尋ねする格好になるのですけれども、就任早々だから困るねとおっしゃるかもしれません。しかし仕事は引き継いでいらっしゃると思いますので、その引き継ぎなさっている範囲内で、そしてまた長官の独自のお考えもおありだろうと思いますので、そういうことなどをあわせまして少し聞かせていただきたいことがございます。  この所信表明の中を拝見いたしておりますと、「環境問題は、近年、国内、海外を問わず大きな関心を呼んでおり、環境重視の思想は、世界的な潮流と言っても過言ではありません。」というふうにはっきりおっしゃっていますが、私も確かにそうだと考えております。そして、地球環境問題について青木前長官が出席なさったハーグにおける環境首脳会議の問題もあるわけでございますし、それから先ほど長官が前島委員にお答えになりました、この秋に地球環境保全に関する国際会議を東京で開催するということも既に政策として入っているということもわかったわけでございます。  そこで、こういうことが大変に活発になってきているというのを申し上げてみたいと思うのですが、昨年、一九八八年の十月でございますが、国連の第四十三回総会というのが開かれております。この四十三回総会で、今までにない出来事だったと言われておりますが、それは出席された各国の首脳が一斉に環境問題を本格的に取り上げて討論をなさったということです。従来ですと、この国連の総会に出てくる問題というのは軍縮の問題ですとか核廃絶の問題ですとかといった問題がいつも中心テーマになっていたのに、昨年の四十三回総会では環境問題をみんなが一斉に取り上げたということが報道されております。イギリスのハウ外相は、演説の冒頭、今地球を襲っている大規模な自然災害を列挙することから始められたということでございますし、カナダのマルルーニー首相は、自分の持ち時間を半分以上も使って、人類の生存そのものが危機にさらされているということの警告の演説をなさったということでございます。また、突然ソ連も大変に変身だというふうに考えられるというのですけれども、シェワルナゼ外相の演説が、オゾン層の破壊の問題、これを非常に強調され、そして酸性雨だとかあるいは死滅する森などの環境破壊のことをずっと申し述べられて、核兵器と同列の脅威だというふうに力説されたと言っておりました。  こういった北側の国々のほかに今度は南側のナイジェリアの外務大臣、ヌワチュクさんとおっしゃるのですが、この外務大臣は、ヨーロッパ各国の産業廃棄物や放射性廃棄物がこの国に無断で投棄されているということに非常に怒りを持って演説をされたそうでございます。これは何もナイジェリアだけだとは思いませんけれども、そのころに、これは新聞の報道でございましたけれども、「有毒廃棄物海中投棄か」というのがございまして、これはアメリカの環境保護局が調べたものですけれども、インド洋に、積み荷の焼却灰の中にダイオキシンだとか砒素だとか水銀など、こういった有害物質が含まれているものを捨てていったという問題を大変大きな問題として国連の総会でも取り上げているわけです。さまよえる何とかなんということを書いてあったこともございます。どこに捨てていっていいか、どこの国へ行ってもみんな断られるから、捨てるところがなくてうろうろうろうろ地球上の海の上をぐるぐる回っている船があるというような話もあるくらいでして、こういうようなことが非常に大きな問題になってきているわけです。ですから、先進工業国であふれた危険な廃棄物が途上国に大量に投棄されている。確かにその問題も例示されて、この国連の会議では非常にみんなが関心を深く持っていたということでございます。  ですから、そのように世界の指導者たちのレベルで、しかも国連という場で、環境問題は国境や社会体制の違いを越えて広がり、放置できない段階に来ているということをみんなが認識し始めている。このことは大変にいいことだと思うのです。結構なことだと思います。だから、認識しているだけじゃなくて、それをいかに改善するかということの努力をどこの国もしなければいけないというふうに考えるわけでございます。  日本の場合はたまたま島国ですし、ほかの国とつながっていない、周りに全部海があるというように、いろいろな条件がほかの国と違うのですね。酸性雨の問題でも、日本の国までは酸性雨は降ってこないとか、いろいろ問題があるかと思いますけれども、しかし、日本は現在経済大国になっていて、そして地球環境にやはりそれだけ大きなかかわりを持っていると思うのです。しかも、日本はどちらかといえば資源をたくさん使っている国ですね。日本でできないもので、よその資源をたくさん使っている国です。日本が材木を入れるから東南アジアの森林がだめになるのだというような話もあるくらいです。そういうような立場にある日本としては、この問題はやはりほかの国と同等に、あるいはそれ以上に関心を持って取り組まなければいけないというふうに考えることができると思います。  今お話しした四十三回の国連総会の環境論議を踏まえて、この議論を受けとめてというのでしょうか、オランダのハーグで環境サミットが行われたというふうに私どもは聞いております。このオランダの環境サミットには青木前長官がお出ましになったわけですけれども、私がお尋ねをしたいと思いますのは、ハーグで行われた環境サミットでハーグ宣言というのがつくられたというふうに聞いております。中身は詳しく存じませんけれども、ハーグ宣言の中の特徴のあるものがあったらお話しいただきたいと思います。  いま一つは、このハーグ宣言に関係してですけれども、いろいろ議論があったというふうに聞いているのです。そこで、その議論の結果何が決まって、そして何が決まらないで、将来の課題として残ったのは何かということを知りたいわけなんです。それと同時に、そのことに対して日本の立場、日本は役割としてどういうことをしたらいいのか、考えるべきなのかということも、環境庁は日本の立場でどういうふうにお考えになっていらっしゃるのかを聞かせていただきたいと考えるわけでございます。  それと関連して東京会議、東京会議という名前かどうか知りませんが、東京で開く予定がおありになると先ほども長官はおっしゃっていらっしゃいましたが、そういう計画がおありになるということでございますので、ハーグのサミットと東京会議との関連、これもあわせて聞かせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  局長の御説明は後から聞かせていただきますけれども、一番最後の東京会議というのは国としての一つの大きな政策でございますから、この点は長官から直接伺いたい。
  74. 山崎竜男

    ○山崎(竜)国務大臣 段々のお話ございました。東京会議の前にパリのサミットでやはり環境問題が討議されるということでございますから、東京会議にもそれが十分反映されるのだと思いますが、東京会議はハーグの宣言と直接の関係を有しているわけではございませんで、今おっしゃったように地球の温暖化の問題あるいは熱帯林の問題あるいはオゾン層の問題、そういう問題に関して専門家に集まってもらって国際会議を開いて議論してまいりたい、こういう会議でございますので、ハーグのよう関係各国の首脳が集まって宣言を出すというよう会議ではございませんが、今言いましたようなことを世界各国の専門家の方々、学者の方々が集まっていろいろな討議をしよう、こういう会議でございますので、環境庁といたしましては今その準備をいたしておるところでございます。
  75. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 ことしの三月にオランダのハーグにおきまして、フランスの首相等の提唱で開会されました地球大気に関する首脳会議に関するお尋ねでございます。過去のことでございますので、私の方から事務的に御説明いたしたいと思います。  この会議は、世界から二十四カ国の首脳等が集まりまして、先生からお話がございましたように、日本からは青木前環境庁長官が竹下前総理の代理ということで出席したものでございます。この会議では、最終的な結論としては、先生のお話にございましたようにハーグ宣言という形で、その会議に集まった方々、首脳が合意したのがハーグ宣言という形で取りまとめられたものでございます。  このハーグ宣言の中身でございますが、細かいこともございますが、大きなところを申し上げますと、地球温暖化の問題に取り組むために、国際的な仕組みといたしまして、対策の実行のために有効な決定を行い得るような強力な組織的権限、それから開発途上国に対する援助の仕組みを整備する必要があるということを内容といたしましてハーグ宣言がまとめられたということでございます。英語の文章を直訳しますと、今申し上げましたように、対策の実行のために有効な決定を行い得るような強力な組織的権限ということでございまして、砕いて申し上げますと、地球温暖化防止のための新しい機関をつくるか、あるいは既存の国際機関を強化するか、いずれにしましても新しい権限を付与した何らかのものが強力に取り組んでいかないとこの地球温暖化問題は片づかぬでしようということでございまして、何かそういうものをつくる必要がある、そのものは新しい機関になるのかあるいは既存の機関になるのか、それは今後いろいろ検討するにしましても、そういう何らかの新しい強力な組織的権限を持つものが必要であるということは一つのポイントでございますし、もう一点は、途上国に対する援助の仕組み等についてもつくる必要があるということがハーグ宣言の中身の一番大事なポイントであろうというぐあいに思っております。  日本におきましてはこの会合におきまして、同宣言の内容の実現に当たっては幅広い国々の支持が必要である、さらに組織的権限や開発途上国に対する援助の仕組みの問題につきましては、この具体的なあり方などにつきましてはIPCC等の場におきましていろいろ検討されておるわけでございますので、そういう検討をも踏まえ、あるいはその検討の場においてやることが必要であるということを主張いたしまして、この宣言の中にそのような内容が盛り込まれた、反映されたところでございます。  このハーグ宣言と申しますのは、温暖化対策の将来のあり方に関する大きな方向を示した政治的な宣言でございまして、その方向をどのような形で具体化していくかにつきましては特に決めたわけではございません。今後の検討にゆだねられているところでございます。我が国や他の署各国におきましても、その後このハーグ宣言に盛り込まれました考え方を発展させられるように努力してまいったところでございまして、例えば先般行われましたUNEPの管理理事会におきましては、この宣言の趣旨も踏まえまして地球温暖化に関する決議が採択されたところでございます。この決議におきましては枠組み条約の検討スケジュールなども含まれているところでございまして、ハーグ宣言の具体化が一歩進んだというぐあいに受けとめておるところでございます。  日本といたしましては、今後、この決議も尊重いたしまして、温暖化対策の国際的な枠組みづくりにも積極的に貢献してまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
  76. 金子みつ

    金子(み)委員 ありがとうございました。それはわかりました。  そこで、今最後におっしゃった日本としてはというのがあるのですが、問題はそこに来ると思うのですけれども考えていきたいというお話ですね。具体的なものは宣言には示されていないから、UNEPの決議を尊重しながら日本としてはこれから考えていく、こういうお話のようなのですが、これから考えていって実現されるのはいつのお見通しなのですか。そういうものはどういうふうに考えるわけですか。これから考えるのはわかりますよ、今すぐできるわけじゃないから。しかし、それはどの辺を目標に、いつごろを目標に実施できるように進めていかれるのかということは考えられるでしょうか。
  77. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 今のお尋ねは国際的な枠組みづくりに関するお尋ねでございますが、この国際的な枠組みづくりにつきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、IPCCの中の対策ワーキンググループの中におきましても検討が進められているところでございます。そういう面で、IPCCの活動に日本もかなり強力に加わっておるということでございまして、そういう面での検討が進められておる。  それから、このUNEPの管理理事会では、そのIPCCの報告が出た時点以降におきまして国際的にそういう検討をやろうという話になっておりますので、そういう面では、準備段階としてIPCCの活動を今やっておる、それで日本はいろいろな形で協力しておりますということになるわけでございますし、それから先生御案内のとおり、そういう温暖化問題あるいはオゾン層等いろいろな地球温暖化問題に対しまして日本としてどう取り組むかということにつきましては、閣僚会議をつくって、そこで各省のコンセンサスをまとめながらこれから対策を進めていこうという大きな仕組みにはなってございます。  それから、環境庁の内部で申し上げますと、環境庁の中にも推進本部というものをつくりまして、いろいろそれぞれの問題について検討し、今後取り組むべき方向についても明らかにしておるということでございまして、そういうようないろいろ細かな話があるわけでございますが、そういう面で国際的な活動の中にも加わるし、それから国内的におきましてもいろいろな分野で、それぞれ担当分野におきましていろいろ検討する。あわせて、ことしの予算あるいは来年度予算におきましても必要な予算については引き続き確保し、いろいろ対策あるいはいろいろな科学的知見というものの収集を図ってまいりまして、国内的にも体制を整え、国際的にも協力してまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
  78. 金子みつ

    金子(み)委員 今、お話を承ったとおりでございますが、今後の問題というのは一生懸命に頑張っていただきたいわけです。  というのは、日本はかつて公害列島と言われた時代がございまして、ああいった大変好ましくない体験を持っているわけですから、それだけに各国が日本を大変に監視しているというふうなことも考えられます。ですから、この際、そういう問題、汚名をそそぐという意味もありましょうし、そのほかの意味もあると思いますが、今度の問題では日本は日本の立場をしっかりわきまえて、そして、立場以上にという言い方はおかしいかもしれませんけれども、非常に力を入れてやっていっていただきたいと考えます。先ほど長官おっしゃいましたように、最近は環境庁の位置づけも大分変わってきたようだというようなお話がありましたが、それが事実だとすれば大変結構なことだと思いますから、そういうところも大いに活用して、私ども考え方からいっても環境庁の仕事こそ一番大事な仕事というふうに考えておりますので、ぜひ実現させていただきたい、御要望を申し上げておきたいと思います。  それでは、この問題はその程度にいたしまして、法案の問題について少し話を進めさせていただきたいと思います。  今度のこの法案は、先ほども何人かの質問者に対して御答弁がありましたように、確かにいろいろ問題はまだ残ってはおります。ただ、問題は残っておりますけれども、ここで踏み切って改正をなさったという点は評価することができるというふうには考えます。ですから、改正されることは結構なのですけれども、そのことが効果的に実現されなければ改正した意味がないということになりますので、その辺を十分注意していただきたいと思います。それについて、先ほど来何人かの質問もあったわけでございますが、私も質問者同士打ち合わせをしておりませんでしたからダブつた面があったりしますので、そういうものは外しますが、私もひとつ取り上げたいと思いましたものに財政問題があります。  この法案が改正されますと、都道府県知事の仕事が多くなることがずっと列挙してあって、いろいろな仕事が知事の責任になってまいりますでしょう。それだけの責任を果たしていかなければならない自治体の長として知事は大変な仕事を引き受けているというふうに思うのですが、それだったらそのことのために国から財政援助がないのかということを実はお尋ねしたがったのです。そうしたら、先ほど御答弁の中に、ことしは千二百万組んでいるのだというお話があって、えっ、一つゼロが違うのじゃないかとみんなが思うぐらいの感じだったのですけれども、事実はそうだとすると、これはやはりもっと思い切ってやっていただかなければならないな。ですから、この法改正と同時に予算措置も一緒に考えてなさったのだと思うのですが、随分倹約なさったものだなと思ったりしたわけです。  というのは、一つ例を挙げますと、常時監視というのがありましたでしょう。常時監視は私も非常に関心を持ったわけなんです。常時監視というのは先ほどの御答弁でわかりましたからここで繰り返しませんけれども、物によって常時監視のあり方は随分違うと思うのです。例えば病院の中の集中治療室などの常時監視というのは、それこそ文字どおりでございまして、毎時間あるいは三十分、十五分というふうな刻みに監視をするわけですね。ですから、そういうのとはまた違うとは思いますけれども、常時監視するためにはやはり人が必要になりますね。マンパワーというのでしょうか、これが必要になると思いますし、それから監視する人が素人じゃしようがないのです。やはり監視するだけの知識を持っていなければならないし、あるいは技術も持っていなければならないし、専門家でなければならないのじゃないかなというふうにも考えられるわけです。ですから、常時監視するために必要な適格な人を採用するための費用とか、あるいは必要ならばそれに訓練をさせるとかというための費用が必ずあるのじゃないかと思うわけです。そういうものが今ないのじゃないでしょうか。  だから、私が手に入れましたのは、君津市の問題で、千葉県がこの問題に取り組んでいるわけですね。この資料によりますと、トリクロロエチレンなどの扱いについて大気汚染防止法と水質汚濁防止法による届け出のあるのが県内約一万五千の事業所だというのですね。千葉県内一万五千の事業所を対象に調査をするということになると、これはえらいことだと思うのですよ。とても県の能力ではできないと思います。それで千葉県はどうするかといったら、この一万五千の事業所に対して民間の機関に調査を委託する、こういうのですよ。そういうことをしよう千葉県は言っているのですね。民間委託することが一概に悪いとは言いませんけれども、民間に委託して県はそのままというのもどうかと思うし、民間に委託した結果を受け取ってそれが県のものでございますということにするのもどうかと思うし、そしてやはりこれは県に財政能力がなくて民間に委託する、こういうことになっているのではないかと考えられます。  だから、そういう意味もございますので、私は財政問題というのは非常に重要だというふうに考えたわけです。それで、これはことしの問題になりませんから来年度の問題になると思いますけれども、来年度予算を編成なさいます場合にはそのことを十分に考慮していただきたいということを、これは要望になりますのですけれども、ぜひお願いしたいと思います。  その次は、この改正法律の中にいろいろな新しい規定ができていますね。一つずつ申し上げると時間がかかりますから申し上げませんけれども、そういったいろいろな新しい規定ができておりますが、そのことの実効性を期待するために一つ方法として、地方自治体や住民と企業との間で公害防止協定というものを結ぶのは非常に有効だということは、実は昨年の参議院における環境の委員会の中で私どもの党の田渕委員がその問題について質問をしておられます。そして、その質問に対して環境庁の御答弁があっているわけですね。公害防止協定というものについて環境庁の安原局長が御答弁なさっていらして、この協定をつくるということは「環境庁といたしましても大変意義のあるものと考えております。」そして同時に「地方公共団体と密接な連絡をとりまして適切な特性のある公害防止協定がそれぞれの地域で定着していくように今後とも努力をしていきたいというぐあいに考えているわけでございます。」というふうに御答弁なさっていらっしゃる。  そこでお尋ねしたいと思いますのは、大変に意義のある公害防止協定だということは認められたわけですけれども、それが今後定着していくように努力をしていきたいとおっしゃっていらっしゃるのですが、それはどの程度に進められてきたのかということがわかっていらっしゃったらお尋ねさせていただきたい。  この問題は、先ほど前島委員の質問の中に出てまいりました例の公表の問題とか、それから十九条の関係の、これは責任の問題ですね、不特定責任の問題、こういった問題とも関連してくるのじゃないでしょうか。責任のなすり合いをするのがどうのこうのと、先ほどそういう質問が出ておりましたでしょう。そういうことが起こらないためにも公害防止協定というのは役に立つんじゃないでしょうか。そういうことなども考えながらこの公害防止協定というものをつくられたらいいのじゃないかなと私は思っておりますけれども、この公害防止協定がもう既に幾つかの県段階ではできているようでございますけれども、その後どんなふうに進められてきているのか。あるいは、先ほども読みました局長の御答弁のように、どんどん努力を進めていますというお話でしたから、どの程度の努力を進められて、どの程度できてきたのかなということがわかれば大変にありがたいと思いますけれども、おわかりでいらっしゃいますか。
  79. 安原正

    ○安原政府委員 金子先生御指摘のとおり、昨年の十月の参議院環境特別委員会で、私の方から公害防止協定は「大変意義のあるものと考えております。」ということを御答弁申し上げております。そこでさらに、それが定着をしていくように努力をしたいということを申したわけでございます。  具体的にどういう努力をしたのかというお尋ねでございます。それを受けまして、本年の一月でございますが、全都道府県を対象にいたしまして、それぞれの都道府県内にございます市町村におきまして締結されている協定のうち、業種ごとに典型的なものとかあるいは特徴的な協定のケースを収集していただくように依頼をしたわけでございまして、現在その資料を取りまとめ作業中でございます。このまとめができましたならば、それを各都道府県にまたフィードバックいたしまして、公害防止協定づくりの重要な参考情報ということで活用していただくようにしたいと考えておるわけでございます。  公害防止協定がどの程度ふえてきているかということでございますが、最近の数字を申しますと、六十二年九月末で全体の協定数は二万七千九百八十二ございました。それが一年たちまして昨年の九月末で二万九千六百五十七ということで約千六百ほどふえているわけでございます。
  80. 金子みつ

    金子(み)委員 ありがとうございました。  その問題に関係してですけれども、この法案の中には載っておりませんでしたけれども、具体的に、例えばそういう公害防止協定をつくるにしてもどうやってするかということについてのガイドラインのようなものをお示しになるおつもりはおありになるのかどうか。あるいはもう既になさったのかどうか。  それからもう一つは、今の協定を県条例にするのがいいのかどうかという問題を検討なさったでしょうか。
  81. 安原正

    ○安原政府委員 公害防止協定づくりのためのガイドラインについてどうかというお尋ねでございますが、公害防止協定と申しますのは、それぞれの地域における特性とか企業の業種形態等によりまして、地方公共団体あるいはそれとの相手になります企業との合意に基づいて締結されるという性格のものでございますので、その内容は種々ございます。そこで国が何か一つのガイドラインを設けまして一律に協定づくりを指導するということは必ずしも適当でない面がございますので、今画一的なガイドラインを定めてそれを地方公共団体にお示しするということは考えてないわけでございます。そこで、先ほど申しましたように、各地域における具体的な公害防止協定の実例を整理いたしまして、そして他の団体でどういうことをやっているかということがよくわかるように情報を提供して、それで地方公共団体自身にあるいは企業自身に考えていただくということで対応しておるということでございます。  それから次の御質問は、各都道府県におきまして条例等の根拠を持ってやるということについてどうかというお話でございますが、これにつきましては、条例の中に根拠条文を設けておる団体といたしまして今二十五の道府県がございます。それぞれの地方団体の考え方でそういう条例に基づいてやった方がいいという御判断でやられているのでございますが、それはやはり地方公共団体御自身が判断してやられるのが適当だというぐあいに考えておりまして、これにつきましても私ども、こういう条例で必ずやらなければならぬとか、そういうことで画一的な指導をやる考えはないわけでございます。
  82. 金子みつ

    金子(み)委員 わかりました。  条例を強制する必要はないと思いますけれども、条例にした方がいいとお考えになるかどうかというのはどうですか。しない方がいいですか。お考えをお聞かせください。
  83. 安原正

    ○安原政府委員 公害防止協定づくりを進めていく一つの手法としまして、条例に根拠を持つということは一つ方法かと思いますが、そういうやり方でやるのがその地域実情に即しているという判断をされるのは、地方公共団体御自身だというぐあいに考えております。
  84. 金子みつ

    金子(み)委員 次の問題、一つお尋ねしたいことがあります。それはこの法案の中に触れてないことなんですけれども、事故を起こした場合、当該地域住民の健康被害調査というのはどうなっているかという問題です。そして、被害の実態が明確になった場合には補償問題をどうするのでしょうかという問題です。企業に持たせるのか、原因者負担ですね、あるいはどういう形になさるのか。アメリカあたりの例を見ますと、企業にみんな持たせていますね。企業にやらせる、企業が逡巡しているときには国が裁判にかけてその結果を企業に払わせるというようなぐあいにして、非常に強い姿勢で国が臨んでいるというのがわかるのですけれども、日本の場合どうなっておりますか。
  85. 岩崎充利

    岩崎政府委員 まず健康被害の問題でございますが、有害物質によります地下水汚染が発見された場合には、その汚染の程度とか地下水の利用の状況等、地域実情により、必要に応じて地方公共団体において住民の健康調査が実施されていくということでございます。  それで、昨年問題となりました君津市におきましても、昨年の十一月と十二月の二回にわたりまして健康調査を実施したということでございます。これはトリクロロエチレンによります異常は認められていないということですが、そういう形で必要に応じて地方公共団体の方で住民の健康調査が実施されているということでございます。  それから、被害が起きた場合の補償でございますが、これは汚染原因者が行うということが原則であるということでございます。
  86. 金子みつ

    金子(み)委員 今のお話はわかりましたけれども、それじゃ今までに実態として、事実としてそういうことがありましたか。健康調査をした結果実態がわかったときに、その企業に持たせて治療費だとか、あるいは何かあったかもしれませんけれども、何が起こったかわかりませんが、過去にそういう実態はございましたか、ございませんか。
  87. 岩崎充利

    岩崎政府委員 現時点で、今のような形での、特に水質汚濁を通じまして人に健康というか、今のトリクロロエチレン等におきましても健康被害が起こったというような形もございませんので、現実にそういうよう事例というのは私ども承知いたしてないということでございます。
  88. 金子みつ

    金子(み)委員 それでは、もう時間がおしまいになりましたので、最後に長官にお願いしたいのですけれども、今度改正されようとするこの法律案は、先ほども申し上げましたように、改正するというふうに踏み切られたことは大変に結構なことだったと思いますので、これが有効的に実施できるような形に進めていっていただかなければならないというふうには考えております。しかし、まだ問題が幾つも残っておりますので、それらを解決しながら進めていただきたいのですが、いろいろなものが幾つか出てまいりますし、最初に申し上げた地球規模の公害の問題もございますし、いろいろなことを考えあわせますと、環境庁長官としてこれからの問題をどのようにとらえていらっしゃるかということと、特にこの法律案に関しましては、地下水の水質保全の問題ですね。これはきょうは細かいことまで申し上げませんでしたが、井戸水だけしか持っていない家だってあると思います。そんな場合のことも考えあわせて、水質保全に対する環境庁としての基本的な姿勢のようなもの、あるいは長官の御抱負とでも申しますか、それをお聞かせいただいて終わりたいと思います。
  89. 山崎竜男

    ○山崎(竜)国務大臣 先ほども申し上げたところでございますが、地下水は身近にある貴重な水資源でありますので、地下水汚染の未然防止を図ることが極めて重要だと認識しております。  このため、従来から各種調査を実施するとともに、関係各省の協力を得て、行政指導による対策を講じてきたところでございますが、さらに今回の水濁法の改正によって地下浸透の規制地下水質監視等について法制度化を図り、一層の地下水質保全対策の推進を期してまいりたいと思っております。御要望にこたえるように私ども努力をさせていただきます。
  90. 金子みつ

    金子(み)委員 終わります。ありがとうございました。
  91. 熊川次男

    熊川委員長 この際、休憩いたします。     午後零時十五分休憩      ————◇—————     午後二時二十九分開議
  92. 熊川次男

    熊川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。春田重昭君。
  93. 春田重昭

    ○春田委員 私の方からは、本日のこの法案の審議の前に、若干イタイイタイ病につきましてお尋ねしたいと思います。  このイタイイタイ病は、御存じのとおり昭和三十年代の初め、富山県の神通川流域に住む出産経験のある中年以上の婦人を対象として、全身に激しい痛みと骨折を伴う腎性骨軟化症であると言われております。日本四大公害病の一つでもあります。この原因につきましては、地元の萩野医師が、三井金属神岡鉱業所から排出されるカドミウム説を発表いたしました。我が党といたしましても、当時参議院議員で現在衆議院議員になっておりますが、矢追秀彦さんが国会でも取り上げまして、厚生省も昭和四十三年、これを取り入れまして公害病として認定したものであります。  ところが、この財団日本公衆衛生協会のイタイイタイ病及び慢性カドミウム中毒に関する総合的研究班という、そういった研究報告がこの平成元年の四月の八日出されているわけでございますが、この報告ではこのカドミウム説が後退しております。これは年数を経過し風化しつつある中でいまだ苦しむ患者の方たちを見捨てることになるのではないか、切り捨てにつながるのではないかと心配しているわけでございますが、環境庁の御見解をお伺いしたいと思います。
  94. 目黒克己

    ○目黒政府委員 先生御指摘のこのカドミウムの健康影響に関します研究につきましては、五十一年度から始めたものでございます。この研究につきましては私ども、発表された後この研究の内容が結論から申し上げますとなお調査研究を継続、実行する必要がある、このようにしているのでございます。したがいまして、環境庁といたしましては、この調査研究の結果を踏まえまして今後もこのカドミウムの健康影響を究明すべく必要な調査研究を推進いたしますと同時に、従来どおりイタイイタイ病患者の公正な救済に努めてまいりたい、このよう考えているところでございます。
  95. 春田重昭

    ○春田委員 今後の研究次第では、現在認定患者に補償されております例えば一時金とか年金とか、それから医療手当等のそういった補償がなくなることもあり得るのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  96. 目黒克己

    ○目黒政府委員 現在、公害健康被害補償法に基づきましてこれを認定いたしておりまして、さらにそれに引き続き、補償協定等に基づきましてこれの救済を実行しているのでございます。現在十六名の患者さんがおられるわけでございますけれども、当然この方々の認定患者につきましては従来どおりの救済を続けていく、こういうことでございます。また、制度が存続いたします限り、そのよう方向で公健法に従って適正に救済を続けていく、こういうことでございます。
  97. 春田重昭

    ○春田委員 現在研究が行われておるわけでございますが、その研究の段階で猿を使っている。この実験猿には若い猿を使っているということでございますが、先ほど言ったように、患者が女性で中年で、そして出産経験のある、こういった特定の方たちに限定されるだけに、私は正確を期すためにも若い猿でなくして妊娠猿を扱うべきではないか、こう思いますが、どうでしょうか。
  98. 目黒克己

    ○目黒政府委員 御指摘の研究内容にかかわる点でございますけれども、この猿の点でございますが、猿を含めまして高等動物の妊娠ということにつきましては大変難しい問題でございまして、妊娠させるということ自身が大変難しい。しかも、それを実験として研究として行うためには非常に技術的に困難でございます。したがって、これまで非常に難しかったというように聞いているのでございます。  私どもいろいろ研究内容について専門家の間に御質疑があることは承知いたしておりますけれども、いずれにしても、この研究は一流の専門家によって行われておりますので、具体的な研究方法研究の内容にかかわりますことは、私どもは学問上の問題というふうに考えておりまして、先生のこのような御指摘のあったことについては研究班の方へ伝えるようにいたしたいと思っております。いずれにいたしましても、学問上の問題だというふうに私どもはとらえておるところでございます。
  99. 春田重昭

    ○春田委員 この財団には調査研究費が国から支給されておりますけれども、大体年間どれくらいなんですか、御説明いただきたいと思います。
  100. 目黒克己

    ○目黒政府委員 今回のこの研究に関しましては、五十一年度から六十三年度まで調査研究費の合計が約十億六千万でございます。そして、最近では年間約七千万ぐらいずつ、例えて申しますと六十一年度に七千八百万、六十二年度に七千三百万、六十三年度に六千九百万といったような委託費を計上いたしまして、この五十一年度から六十三年度の間、総計十億六千万円という額を委託しているのでございます。
  101. 春田重昭

    ○春田委員 この研究班は、当然財団でございますから企業からのそういったいろいろな援助もあろうかと思いますが、企業の中で三井金属からそういったこの財団に対する何らかの援助が過去にあるのかどうか、その辺を御説明いただきたいと思います。
  102. 目黒克己

    ○目黒政府委員 私ども、御指摘のような事実はないというふうに聞いております。
  103. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにいたしましても、相当年数がたっておるわけでございますので、この問題がこういった形で出てくることにつきましては相当な影響があるわけでございますので、あくまでも環境庁はそういった患者の立場に立った公正な行政を行うことを強く要求しておきたい、このように思っております。とりあえず、この問題につきましては質問を終わりたいと思います。  それでは、本題のこの水濁法の一部改正の問題について御質問させていただきたいと思います。  今回の法改正で新たな有害物質規制の対象となったわけでございますが、この有害物質規制につきまして、地下水とそれから公共用水域においてどのような形で規制になるのかどうか、この辺をまず御説明いただきたいと思います。
  104. 岩崎充利

    岩崎政府委員 今回の法改正によりまして、トリクロロエチレンテトラクロロエチレンを含めて有害物質を使用する特定施設からの有害物質を含む水の地下への浸透ということを禁止するということにいたしまして、この禁止措置を担保するために届け出とか、あるいは届け出された場合の計画変更命令なり、あるいはこれまでの施設で有害物質を含むおそれがあるというものにつきましては改善命令等々が出せるというような形の法改正をお願いしている。これは地下水質です。  他方、この両物質につきましては本年三月水濁法上の有害物質に指定いたしました。公共用水域の排水規制を実施するための政令改正を行ったところでありまして、これによりまして本年十月一日からトリクロロエチレンにつきましては〇・三ミリグラム・パー・リッター、テトラクロロエチレンにつきましては〇・一ミリグラム・パー・リッター以下という排水基準を適用する、こういうふうにいたした次第でございます。
  105. 春田重昭

    ○春田委員 地下水については一切これら有害物質検出されない、禁止する、公共用水につきましては従来の一つの排水規制でいく、こういうことでございます。  それで、環境庁は過去、トリクロロエチレンテトラクロロエチレン有害物質地下水に含まれる、そういった実態調査を行っておられますが、その調査結果につきまして簡単に御説明いただきたいと思います。
  106. 岩崎充利

    岩崎政府委員 トリクロロエチレン等によります地下水汚染につきまして、五十七年度と五十八年度に環境庁が実施した地下水汚染実態調査の結果、全国にわたり広範な汚染が判明した。さらに五十九年度以降各地方公共団体が行いました地下水汚染実態調査の結果を見ましても、六十二年度までに、これは四年間でございますが、一万六千本の井戸調査をいたしておりますが、トリクロロエチレンにつきましては三・二%、テトラクロロエチレンにつきましては三・九%の井戸水道水の暫定基準を超える濃度検出されているということでございます。
  107. 春田重昭

    ○春田委員 これら有害物質の二物質地下水検出されたのは、大体いつごろですか。
  108. 岩崎充利

    岩崎政府委員 私どもが初めて調査いたしましたのが五十七年ということでございますので、五十七年度の調査ということでございます。
  109. 春田重昭

    ○春田委員 五十七年度以前では調査してないわけですが、何らかのいろいろなそういった資料等で地下水にもこういった有害物質が含まれているぞということが報告されていることがありますかどうか、その点お聞きします。
  110. 岩崎充利

    岩崎政府委員 日本では私どものやった調査が初めてだというふうに承知いたしております。
  111. 春田重昭

    ○春田委員 これら地下水飲料水として利用している人口は、大体どれくらいですか。
  112. 岩崎充利

    岩崎政府委員 飲料水を見てみますと、水道を通じて約三千万人分に相当する量が供給されている。そのほかに、そのままあるいは簡易な処理のもとで約八百万人に利用されているというふうに推定されております。     〔委員長退席、小杉委員長代理着席〕
  113. 春田重昭

    ○春田委員 約三千万の方が飲料水として地下水を利用しているわけですね。その地下水が先ほど説明があったように暫定基準を約三%ないし四%オーバーしている。これらの物質発がん性があるということで強く指摘されているわけでございます。しかも先ほどの説明で、昭和五十七年の時点でわかったということでございますから、今から約七年前でございますね。今回やっと法改正規制の対象になったわけでございまして、私はそれなりに評価いたします。しかし、これら物質は、特にトリクロロはハイテク産業で多く使われている。我が国は世界的にハイテクの産業先進国です。そういった我が国が七年前にわかっていながら、今回の法規制は非常に遅きに失したのじゃないか、そういった苦言を呈したいと思います。  米国では一九八〇年代の初め、また欧州では一九七九年に有害性の認定を判断しておるわけです。そういった欧米から比べた場合、日本のは相当おくれているわけです。今回の法改正そのものはそれなりに大きな前進かもしれませんけれども、そういったいわゆるハイテク産業として我が国が当然世界の中でも先にこういった規制をやるべきなのが、遅きに失したという感を免れないと私は思います。そういった意見に対して環境庁はどういったお考えを持っていますか。
  114. 岩崎充利

    岩崎政府委員 私ども五十七年、五十八年に環境庁として調査しまして、その後五十九年に、行政指導ということで関係省庁も含めまして指導に当たったということでございます。先生の御指摘というのは私どもに対します。ある意味では御鞭撻、御指導、こういうことではないかと思いまして、非常にそのことを受けとめながらこれから水質改善のために一生懸命努力いたしたいと存じております。
  115. 春田重昭

    ○春田委員 私はかねてからこの規制の強化を主張してきたわけでございまして、ちょうど昨年の九月十三日の当委員会でも、要するに行政指導ではだめだ、管理目標を設けて行政指導をやっていながら環境基準といいますか一つ暫定水質基準をはるかにオーバーするのが三%ないし四%あるわけですから、行政指導でやってきましたと言いながら全然いってないじゃないですか。化審法でやっとこの三月に有害物質に認められたから、環境庁としても水濁法を一部改正してそれを有害物質と認めて、従来の行政指導から規制の対象にすると一歩踏み込んだ強い行政になったわけでございますけれども、そういった面で、この問題に限らず、環境庁というのは通産省や厚生省の顔色だけを見ながら後追い的な行政をやってもらいたくない。やはり人間の健康、生命を守るためには、常に前向きで積極的でやっていくのが環境庁の立場であろうし使命であろうといろいろな機会に言っているわけでございます。  そういった面で、先ほどから御質問があるように、環境庁は環境問題については常に他省より大きく前に出て、むしろ通産省、厚生省また建設省を説得するような強い姿勢が大事じゃないか、こう思いますけれども、ひとつ長官の御所見をお伺いしたい。
  116. 山崎竜男

    ○山崎(竜)国務大臣 先生おっしゃるとおりでございまして、先般からの世界的な環境行政に対する期待、殊に東南アジア各国、そういうものの期待を私この間環境週間でつぶさに拝聴したわけですが、そういうのを見ておりましても、先生おっしゃるように、環境庁としては今まで以上にその国々の期待にこたえるためにも努力をし、政府の中でも発言を強くしなければならぬと思っております。
  117. 春田重昭

    ○春田委員 さて、トリクロロエチレンは洗浄剤としてハイテク産業で、テトラクロロエチレンはドライクリーニング業界で使用されておりますが、これら有害物質を使用している事業所数は大体全国的にどれくらいあるのか、お伺いいたします。
  118. 岩崎充利

    岩崎政府委員 私どもの概略的な調査によりますと、特定事業場数というのが全国で二十八万一千ほどございますが、そのうち、トリクロロエチレンテトラクロロエチレンを使用している特定事業場は大体一万二千事業場程度というふうに推計いたしております。
  119. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、これらの事業所で使用した有害物質はどんな理由で地下水に浸透してきたのか、その辺のメカニズムを環境庁としてはどう分析されているのですか。
  120. 岩崎充利

    岩崎政府委員 トリクロロエチレンテトラクロロエチレンにつきましては、有機塩素化合物の中でも使用量の多い物質である、また金属洗浄等比較的開放系用途での使用が多く、環境への侵入率が高い、それから一般に難溶性ではありますが、問題となるレベルに比べますと非常に溶けやすい物質であるというようなことから、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンによる地下水汚染が発生したのではないかというふうに考えております。
  121. 春田重昭

    ○春田委員 事業所数が全国で約一万二千件ということの御説明が先ほどございましたけれども、特にドライクリーニング業界というのは、中小というか、むしろ零細企業の方が多いわけですね。このように中小零細企業の方が非常に多い中で、地下水に浸透させないということは、今後、法の運用が非常に大きなかなめになってくるのじゃないかと思うのですね。どんなに法律で立派なことを決めたとしても、運用次第によってそういったトラブルといいますか事故を起こしかねない。従来はそういった管理目標で一つの行政指導でやっていた、これが今回は規制対象になったということだけで、中小零細企業の方たちが非常に多い中で地下水にこういった有害物質が全く検出されない、そういったことが果たして可能かどうか。環境庁としては、万全である、そういった御自信がございますか。
  122. 岩崎充利

    岩崎政府委員 先ほどからも先生御指摘なさいましたように、今回初めて法改正に踏み切った。今まで行政指導でやってきたところでありますが、なかなか行政指導では対応し得ない部分もあった、また事業所あるいは事業場の方々につきましてもなかなかこれに対応し得ない部分もあったのではないかというふうにも私どもとしては思います。  これからは、いろいろありますが、今回の法改正ということを契機に、これは私ども地方公共団体、また事業者が、地下水質保全のために一生懸命努力していかなければならないことである。また、これも先生おっしゃいますように法の運用ということは非常に重要でございますので、これはまだ法改正にいってませんが、法の運用につきましてもそれぞれ力を合わせながらしっかりやっていくという体制を築き上げていきたいというふうに思っております。     〔小杉委員長代理退席、委員長着席〕
  123. 春田重昭

    ○春田委員 環境庁は手足がないわけですから、今回の法改正でも地方自治体の協力というものが非常に重要になってくると思うのですね。  そこで、法案の中では、事業所地下水の水質汚濁の状況を測定し記録することになっている、こういうことで非常に抽象的なのですね。要するに、測定し記録することは年に何回ぐらいやるのか、どんな手法でやるのか、大企業も中小企業も零細企業も一緒なのかどうか、その辺が全く明快になっていないわけでございます。環境庁は地方自治体の方にお願いしていくというお考えみたいでございますけれども、どんな手法で測定し記録していくのか。その辺のところ、環境庁がお考えになっている点を御説明いただきたいと思います。
  124. 岩崎充利

    岩崎政府委員 水質汚濁防止法の第十四条一項で「排出水を排出する者は、」「当該排出水の汚染状態を測定し、その結果を記録しておかなければならない。」ということを定めております。これを受けまして総理府令におきましていろいろ測定すべき項目とか測定法を定めておりますが、現実には、頻度その他の細目は都道府県指導にゆだねているということでございます。実質的には都道府県地域実態に合わせながら、あるいは法律上は、中小企業、大企業という形の中ではこれは区別した取り扱いはいたしておりません。ただ、現実に必要があれば、都道府県がその地域実態に合わせながらいろいろ指導をしてやるというような形で、都道府県指導をゆだねているということでございます。     〔委員長退席、持永委員長代理着席〕
  125. 春田重昭

    ○春田委員 測定する、調査する、記録する、このための一切の費用というのは大体どのくらい見積もっておるのですか。
  126. 岩崎充利

    岩崎政府委員 全国で都道府県がそういう形の中でどの程度そこに使っているかということは、私ども承知はいたしておりません。ただ、例えば四年間で全体として、地下水質トリクロロエチレン等調査につきましては、大体一万六千本ほどの井戸調査しているということでございます。  そういうことを受けながら私どもは、本年度の新規予算で何とか地下水質監視のために、測定のために予算をとろうということで、一千二百万円ほどの予算を講じた。初年度ということでございまして、これからも大いに努力していかなければならないだろうというふうに受けとめております。
  127. 春田重昭

    ○春田委員 そうではなくて、現実一つの企業がそういった測定調査をやるのに大体どのくらいかかるのかということです。実費ですね。
  128. 岩崎充利

    岩崎政府委員 うちの方で確かな数字はつかんでおりませんが、一本大体一、二万円くらいはかかるのではないか。ですからそれに応じまして、何回やるかということでございますが、それに回数を掛けた額が負担ではないかというふうに受けとめております。
  129. 春田重昭

    ○春田委員 そうしたら、毎月やるとすれば大体十二万円から二十四万円くらいになるわけですね。そこで中小企業もあるわけでございますから、中小企業等が毎月やるためには相当費用がかかるわけですよ。そういったものは一切合財地方自治体に任せるということでございまして、そうなれば、ある県によっては毎月やりなさい、ある県によっては例えば年一回でいいですよ、ある県によっては、大体大企業が非常に汚染の条件は大きいわけですから、大企業だけやって中小零細企業についてはやらないでいいとか、そういったばらつきが出てくるのじゃないかという心配をするのですね。そういう点で私は、ある程度の一つのガイドラインをやはり環境庁としては決めるべきではないかと思うのですが、その辺どうですか。     〔持永委員長代理退席、委員長着席〕
  130. 岩崎充利

    岩崎政府委員 私、先ほどちょっと勘違いした部分がございますが、先ほどの一千二百万円の予算措置というのは、全体の井戸の常時監視の方の監視測定ということでございます。  それから、先生今おっしゃいましたのが自主測定ということでございまして、その自主測定につきましては今都道府県にその指導をゆだねているということでございますが、また先生のお考えも今聞いたところでございまして、これから少し、どういう形で指導したらいいかということも含めて検討させていただきたいというふうに思っております。
  131. 春田重昭

    ○春田委員 その場合には当然中小零細企業については十分な配慮をしていただきたい、そういった財政的な負担が余りかからないようにしていただきたい、このように要望しておきたいと思います。  さらに、化審法で有害物質となっている中で、フロンの原料になっております四塩化炭素がございます。これも地下水への浸透が懸念されているわけでございますが、今回の規制対象にはなっていない。この四塩化炭素につきまして環境庁はどういうお考えなのか、お尋ねしたい。
  132. 岩崎充利

    岩崎政府委員 四塩化炭素につきましては、現在までのところ河川水中に問題となるよう汚染実態はないということでございます。また、使用の方法も九割程度が先ほど先生申しましたようにフロンの製造ということで、クローズドの使用というふうな形になっておるというようなことから、過般の中央公害対策審議会からは「水環境の汚染を通じて人の健康に及ぼす影響についてさらに検討を続けるとともに、当面、工場事業場からの排水について指導を行い、併せて水環境中の濃度の推移について十分に監視していくことが必要である。」という答申が出たところであります。私ども、この答申を踏まえまして、本年四月二十日付で「四塩化炭素の排出に係る暫定指導指針」というものを定めて関係自治体に通知いたしました。  それで、この指導指針におきましては、四塩化炭素を使用する工場事業場を対象に、四塩化炭素を含む水の地下浸透は禁止するとともに、公共用水域への排出に係る管理目標を定めておりまして、これは〇・〇三ミリグラム・パー・リッターというものを設定しておりまして、この指導指針に基づいて行政指導を進めてまいりたいというふうに考えております。
  133. 春田重昭

    ○春田委員 先ほどから御答弁があるように、この有害物質につきましては昭和五十七年から環境庁調査をやられているわけでございまして、物質名もトリクロロエチレンテトラクロロエチレン、1・1・1トリクロロエタンの三物質でございます。そういった面で、この四塩化炭素につきましてはやはり発がん性疑いがあるということで有害物質になっているわけですから、私は、今後の環境庁のモニタリング調査におきましてもこの四塩化炭素を含めまして調査をしたらどうかと提案しておきますが、どうでしょうか。
  134. 岩崎充利

    岩崎政府委員 四塩化炭素につきましても、私ども今後十分調査等もしてまいりたいというふうに考えております。
  135. 春田重昭

    ○春田委員 私はこの四塩化炭素につきましては、従来規制物質が九、今回の法改正が二つで十一になるので、十二番目の規制物質にすべきじゃないか、こう主張したいわけでございますけれども、余り汚染状況はないということでございますから、今後のモニタリングをやりながら、その時点が来れば当然そういった規制の対象物質にしていただきたい。トリクロロエチレンにしてもテトラクロロエチレンにしても、行政指導で従来対処してきた、しかし、行政指導で対処したけれどもどうもやはり年々広がってきているということで、やっと規制対象になったわけでございますから、予防措置のためにも、こういった疑いのあるものにつきましては、たとえ一つの環境基準があってそれ以下であったとしても予防策として規制物質に含めていくのがいいのではないかと思いますけれども、今後の推移を十分調査しながら、その辺でひとつ御判断いただきたいと思っているわけでございます。  それでは、時間があと五分ぐらい余りましたけれども、最後にもう一度、大臣の御見識をいただきまして、終わりたいと思います。  いずれにいたしましても、大事な大事な人間の生命と健康を守るのは環境庁だけでございます。そういった面で、地下水汚染の問題、これからいろいろな有害物質が出てくるおそれもあるわけでございますので、他省庁とのバランスも必要でございますけれども、生命を守り健康を守るためにはどうかひとつ大いに積極的にやっていただきたい、このように要望し、大臣の御見解をいただきまして、質問を終わりたいと思います。
  136. 山崎竜男

    ○山崎(竜)国務大臣 今、春田先生おっしゃったように、環境庁といたしましても化学物質による環境汚染問題は重大な関心を持っております用地下水汚染についても、今回のトリクロロエチレンテトラクロロエチレン以外にも今のお話のよう規制すべき物質があるか否か調査研究を進めながら、今後とも幅広く環境の監視等知見の収集に努めてまいりたいと存じております。
  137. 春田重昭

    ○春田委員 終わります。
  138. 熊川次男

    熊川委員長 遠藤和良君。
  139. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私は、本論に入ります前に確認をさせていただきたいことがあります。  例のタイコンデロガの水爆、日本近海に落っこちて、しかも二十四年たって公表し渋々認めるという、日本国にとっては大変迷惑な事件がありました。このことで海洋の汚染が大変心配なわけでございますけれども、これについて、まず確認をさせていただきたいと思います。  宇野総理が外務大臣のときに、日本の国としましても独自の調査をぜひやりたい、できれば専門家による検討会議を開きましてこの調査について検討を進める、こういうことを確約しているわけでございますけれども、その後のこの検討会議の進捗状態から確認させてもらいたいと思います。
  140. 重家俊範

    重家説明員 政府といたしましては、この事故が起きたという報道が、これが五月八日でございましたが、報道されました後、直ちに米国政府に対しまして我が方の極めて重大な関心を伝えるとともに、事実関係につき照会を行った次第でございます。これに対しましてアメリカ側から事故の概要につきまして説明を受け、さらに五月十五日発表させていただきましたが、安全性について、爆発は決して起こり得ない、また環境への影響はないという趣旨の説明を受けたところでございます。私どもといたしましては、この米御説明は、それとして重みはある説明というふうに考えている次第でございます。  他方、国民の皆さんの不安を除去するため、関係省庁におきまして緊密に連絡をとりつつ、専門家の意見を伺いながら対応しているところでございます。具体的には関係省庁の方からお答えがあるかと思いますが、現在、関係省庁におきまして具体的な検討、調査が行われているというふうに承知しております。
  141. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 科学技術庁が、この原子力については特に詳しいので調査していると伺っておりますが、どうですか。
  142. 酒井彰

    ○酒井説明員 本件の事故につきましては、既に米側から環境への影響はないとの回答を得ているところでありますが、科学技術庁といたしましても、地元住民の不安を除去するため、海上保安庁、水産庁等の関係省庁とも緊密に連絡をとりつつ、専門家の御意見を伺いながら現在対応しているところでございます。  対応の内容といたしましては、従来から我が国で行ってきております海洋環境放射能の過去のデータの調査、整理、そうしたものを通じまして何か異常があるかどうかというチェック、それから低レベル放射性廃棄物の試験的海洋処分に関する環境安全評価の際に用いた安全評価のモデルがございますが、このモデルを用いて被曝線量が試算できるかどうか、そういった検討、それから、過去の放射能調査の際に採取いたしまして、灰として残っている試料がございます。その関係機関に保存されております海産生物試料の灰の再分析、そうしたことについて現在実施しているところでございます。また、地方自治体から要望があります沖縄県、鹿児島県の近海における海産生物や海水につきましても、新たに採取してこの分析を行うべく、現在調査の準備を進めているところでございます。
  143. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 国民にとって一番心配なことは、やはりこれが生命の連鎖を呼びまして、人間が食べる魚等に放射能が含まれているのではないか、これが一番気にかかるところではないかと思うのですね。今お話がありました鹿児島県から科学技術庁に魚介類の調査依頼があったと聞いておりますけれども、これの公表、あるいは近海県がそういう依頼を今後科学技術庁に行うような気配があるのかどうか。やはり、そういった国民生活に直接関係のある部分から早急に環境汚染があるのかないのかはっきり示していくべきだ、公表すべきだ、このよう考えられますが、いかがでしょうか。
  144. 酒井彰

    ○酒井説明員 本件につきましては、科学技術庁としても初めて経験する問題でございます。科学技術庁としては従来原子力の平和利用に徹してやってきたわけでございますが、しかしながらそういった知見をもとにいたしまして、本件につきまして科学技術庁としてもできることをするということでやっております。公表につきましては、しかるべきときに、調査検討が済み次第公表するようにしたいというふうに考えております。
  145. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 環境庁長官にお願いしたいのですが、この件は大変国民が注目していることだと思います。従来環境庁の所管は原子力関係は所管していないのだ、外だというふうなものがありますけれども、今お話がありましたが、まだ調査が遅々として進んでおらぬ。本当にこういう大きな問題なのに、政府は一体何をやっているのだ、こういうのが国民から見た素直な実感じゃないかと私は思うのですね。ですから、アメリカの政府の環境汚染は心配ないという発言をうのみにするのじゃなくて、日本国政府で独自に調査した結果、確かに心配はありませんよという宣言をしなければ国民は不安でたまらないわけです。そこのところのリーダーシップをぜひ長官にとっていただきたい。これを強く要望しますが、どうですか。
  146. 山崎竜男

    ○山崎(竜)国務大臣 今おっしゃいますように、放射能のことは環境庁と直接関係ございませんが、今日の事故について汚染に不安を感じている住民の気持ちは十分理解できますので、環境庁としましても重大な関心を持っております。これまで環境問題で蓄えてきた知見や対応というのが、環境庁にもノーハウがございますから、そういうもので適宜対応できるものは対応していきたい。もちろん各省庁とも相談をしながら、なるべく早い機会に国民の皆様に安心していただけるような方策を講じていかなければならぬ、こういうふうに思っております。
  147. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 アメリカの政府の説明によりますと、環境への影響については、本件関連の核物質の溶解性を測定するために海中試験を行ったが、その結果、核物質は比較的短時間で溶解することが判明した。また、核物質の高い比重のゆえに溶解物は極めて素早く他の堆積物とともに海底に沈殿する。したがって環境への影響はない。このような見解ですね。  この核物質が何であるかというのは特定されていないわけでございますが、例えばプルトニウムであれば、その半減期は二万年以上あるわけです。そういう長期間にわたって人間に近い環境に出てこないという保証はないんですね。現に学者の意見では、深海といえども海流はある、あるいは深海に住んでいる動物もいる、植物もある。それに対して生命の連鎖があって、人間の口に入らないとも限らないわけです。こういう意味からぜひ独自の調査を日本政府としては行う、そのことを閣議のたびに長官は国務大臣の一人として強く主張する、こういうお話を承りたいと思いますが、いかがですか。
  148. 山崎竜男

    ○山崎(竜)国務大臣 関係省庁とも督促をいたしまして、閣議の席でも発言する機会があれば発言したいと思っております。
  149. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 ぜひ積極的な姿勢を要望します。  それでは、本論に入ります。  まずこの水質汚濁防止法の一部を改正する法律案でございますけれども、この中で本法案の趣旨でございますが、「有害物質を含む水の地下への浸透を禁止することであります。」というのがこの改正案の趣旨だとされておりますが、間違いありませんか。
  150. 岩崎充利

    岩崎政府委員 そういう趣旨でございます。
  151. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それではお聞きしますけれども法律案を読みますと、禁止するという言葉はどこにもないんですね。むしろ改正する前の法律にありました。十四条の5「排出水を排出する者は、有害物質を含む汚水等(これを処理したものを含む。)が地下にしみ込むこととならないよう適切な措置をしなければならない。」とありまして、一応禁止の項目ですね。この法律では今度はなくなりましたね。  そして、それに対応するものといたしまして第五条の2「工場又は事業場から地下有害物質使用特定施設に係る汚水等(これを処理したものを含む。)を含む水を浸透させる者は、有害物質使用特定施設を設置しようとするときは、総理府令で定めるところにより、次の事項を都道府県知事に届け出なければならない。」とありまして、一から八までありますが、七項目目に「特定地下浸透水の浸透の方法」これを届けなさいということは、法案を読む限りにおきましては、今度の法案は地下の浸透を許しているじゃないか。そういう方法を届け出して、それが許可になればオーケーですよというふうに法律を読みますと理解いたすわけでございますが、この経緯はどうなっていますか。
  152. 岩崎充利

    岩崎政府委員 今回の法律改正で、確かにわかりにくくなっていることは事実でございます。先生今御指摘がございましたように、改正前の法十四条五項では、「有害物質を含む汚水等が地下にしみ込むこととならないよう適切な措置をしなければならない。」という規定がございます。ただ、この改正前の十四条五項自身が、いわば罰則も、その他の改善措置命令なりそういうものと連動しない訓示規定というようなことでございました。今回は、先ほどからも申し上げておりますように、有害物質を含むおそれがあるようなときには改善措置命令が出せますし、それに違反すれば罰則もかかるというような形のいわば強行規定でございますので、実は十四条五項の「有害物質を含む汚水」というものについて何らかこれをはっきり書かないといけないというような法技術上の問題がございまして、今度の法十二条の三にございますような「有害物質使用特定事業場から水を排出する者は、第八条の総理府令で定める要件に該当する特定地下浸透水を浸透させてはならない。」という規定を設けた。そして、この「総理府令で定める要件」の中に、一定の検定方法、こういう検定方法有害物質検出されることというものを定めますので、検出されればいけないということになるわけでございます。そういうことを規定することによりまして、有害物質を含む特定地下浸透水の浸透は禁止されることになるわけでございます。  今先生が御指摘の五条の関係は、これは、有害物質の使用特定施設を設置するようなところの事業場が、今言った有害物質を含まない水を流すような場合というふうに読むわけでございまして、法律的に矛盾するということではございません。     〔委員長退席、小杉委員長代理着席〕
  153. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 総理府令で定めるということでございますが、その総理府令でどのように定めるか。その案は、この法案とともに提出されていますか。
  154. 岩崎充利

    岩崎政府委員 当然この御審議のところでございますので、今の、私が申し上げたそういうことで総理府令は定めたいと思っておりますので、また必要があれば総理府令の制定見込み事項というような形の中で御提出させていただければというふうに思っております。
  155. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それは質問をして初めて、総理府令の案はこうなっていまして、それによると絶対に一滴たりとも地下に浸透はしないようにします、こういうふうな担保ができることは間違いないと思うのですが、国会というのは法律を審議する場なんですよ。総理府令を審議する場じゃない。  そこで私は言いたいのですけれども、言ってみれば、例えば悪いけれども、ざるの目がどのくらいかというのは総理府で決めるわけですね。我々はざるの形をつくるわけですよ。法律という体系をつくりますが、実際その法律の目からこぼれないのかこぼれるのかというのは、総理府令で決めるわけですね。総理府令は行政府の皆さんが決めるわけだ。ということは、私は考えるのでございますけれども、この法案を提出しました、そしてそのときに、有害物質を含む水の地下への浸透を禁止しますというふうな趣旨説明でございます。しかし法律を見ると、実際総理府令がどうなるかによってそれは担保できるか担保できないかわからぬわけですね。それじゃ国会で何を審議しているんだ、本当は国会で総理府令はいかにあるべきかということを審議しないと、禁止することになるのかならないのかわからぬわけですよ。そこを私は言いたいのです。したがって、この法律の実効性が担保できるかできないかということは非常に大事なことでございますから、総理府令の案というものを法律と同時に出していただかなければ審議できない、このように思うわけです。
  156. 岩崎充利

    岩崎政府委員 まことに御指摘のとおりだというふうに思っております。  私どもは、当然総理府令で今のような形のものを規定するつもりでございましたので、その中身を含めて国会でこういう形で御答弁申し上げたりなんかしているということでございまして、ここまではっきり申し上げているところでありますので、その辺のところは御理解願いたいと思います。さらに必要があれば、総理府令については今申し上げましたように、一応今排水基準の検定方法ということで、JISK〇一二五によってやるというようなことで検出されるかどうかを決めるというような内容の総理府令を予定しているということでございます。
  157. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 今回のことは御答弁でよくわかりましたから、次回からこういう場合はぜひ総理府令の案も法律とともに出していただかないと困る、こういうことを私はお話ししておきたいと思います。  法律案を読みますと、都道府県の知事が行うことがずっと羅列されている印象を受けるわけでございます。例えば、都道府県知事が届け出義務のある特定施設に報告を求めたり立入検査ができたり、あるいは届け出に対して計画の変更、廃止を命じることができたり、また有害物質を含む水が地下に浸透するおそれがある場合には、特定施設の改善命令それから使用の一時停止命令を行える、あるいは地下水の水質汚濁の状況を常時監視したり、測定計画を作成したりその結果を公表しなければならない、あるいは事故のときには事業者は知事に届け出の義務を負い、知事は事故の防止のために必要な措置を命ずることができるとしているわけですね。あたかも知事さんがこうしなさい、こうできますということを書いた法律でございまして、じゃ一体国は何をやるんでしょうかということを考えるのでございますが、国は一体何をされるんですか。
  158. 岩崎充利

    岩崎政府委員 今回の改正法、これは水濁法そのものの体系がそうでございますが、やはり一番よく現実をつかまえることができる知事にいろいろな形で権限を与えるというのが今回の改正法の趣旨でございます。私どもは、この改正法が成立しましたものを受けまして、先ほど申した政省令なり施行通達というものを出しまして、十分都道府県指導していくということでございます。  また、これからの問題といたしまして、いろいろな形で御指摘があります地下における物質の挙動の解明等の研究等々もございまして、そういうものもあわせまして、これら中長期的な課題についてもまた国としても検討を進めていくということで対応していくということでございます。
  159. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 少なくとも僕は、じゃ予算のことは国が面倒を見るよというようなことを言ってもらいたいのですが、知事ばかりにやらしてしまりて、国の平成元年度の補助金は一千二百万円ですね。それで補助率が三分の一だということですから、事業量でいえば三千六百万円になると思いますが、自治体の負担する分は二千四百万円になりますね。そうすると、自治体としては仕事もふえたしお金も要るということになりませんか。
  160. 岩崎充利

    岩崎政府委員 補助金につきましては、本年度初めて新規で計上させていただいたものでございますが、初年度ということもありまして一千二百万円ということでございます。これからも予算の拡充等々につきましては大いに努力してまいりたいというふうに思っておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。
  161. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 環境庁としては一生懸命頑張った、大蔵省がかたいんだ、そういう意図ではないかと思いますけれども、法律はつくったんだけれどもそれが実行されるかどうかというのは、予算がつくかつかないかということが大変大きな意味があるわけですね。元年度は十月施行ということですから時間がない関係もあると思うのですけれども、来年度は大体どのくらい取る決意ですか。
  162. 岩崎充利

    岩崎政府委員 これから予算要求ということでございますので、私ども要求の段階でできるだけのことはしたいということで考えておりますが、具体的な数字まではまだ詰め切っておりません。
  163. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 せっかく法律をつくったんだけれども都道府県でやらないところがいっぱいあるというのでは困りますし、事故があったときだけ有効な法律になるというのでもおかしいし、常時監視したりして、シリコンバレーのような例にならないように事前にきちっと対応できるような十分な予算措置がとれるようにぜひ御努力いただきたいということを要望します。  それから、厚生省さんお越しいただいていると思いますが、先ほどもお話がありましたが、テトラクロロエチレンをお使いになるのはドライクリーニングのお店ですが、大体その処理施設の設置状況、午前中の質疑で伺いましたが、六十一年は三二%ですか、それから六十二年が四五%、六十三年が六四%というふうに伺っております。これは、設置されているかあるいは産業廃棄物業者に委託をしている数がこういうパーセントですね。それ以外の方々は今どういう状態に置かれているのか。それから、設置状況が一〇〇%になるのはいつごろの見込みですか。この辺の見通しを含めて、クリーニング業界における処理施設の現況と展望ですね、これをお聞きしたいと思います。
  164. 丸田和夫

    ○丸田説明員 お答えいたします。  現在のところ、昨年、六十三年におきましては、廃棄処理装置の設置状況は六四%でございますが、それ以外の方はまだこういった設備は設置していないという状況でございます。ただ、クリーニング業にも大きなところから非常に小規模なところまでございますが、小規模なところは、ある程度貯蔵しまして処理業者に委託するとか、そういうところもございます。そういうものは六四%の中には入っておりません。ただ、非常に細かいものでございますので把握できない面もございます。  それから、一〇〇%になるのはいつの時点かということでございますが、今申し上げました細かいものも含めまして、なるべく法律の施行に伴いまして設置が推進されるよう指導してまいりたいと思っております。
  165. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 もう一点伺いたいのですが、日本全国で今六四%と言っているのですが、地域的な格差というのはありますか。
  166. 丸田和夫

    ○丸田説明員 各都道府県ごとに一応出しておりますが、大体平均的な形になっていると承知しております。
  167. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 この処理施設そのものはそんなにお金の張るものではないらしいのですけれども、やはりドライクリーニングというお店自体が零細でございますから、なかなか設置ができない状態がある、こういうことを伺っております。いろいろな対策あるいは行政指導等行われると思いますけれども、ぜひ特段の配慮を要望したいと思います。  それから、第二十六条の関係で、国がやる仕事は研究の推進等をやるんだということがありました。地下水の水質の汚濁ということはなかなか今まで研究が進んでいないんじゃないかなという印象を受けるわけですね。もう一つは、今回対象にいたしましたトリクロロエチレンテトラクロロエチレンにつきまして、総量規制を行う方向があるのかどうか。あるいは、将来展望でございますけれども、代替品の開発研究等について国は大体どういう姿勢で臨んでおるのか、確認をしたいと思います。
  168. 岩崎充利

    岩崎政府委員 まず調査研究についてでございますが、環境庁といたしましては、今まで、汚染事例の収集なりデータの解析、また室内実験を行うことによりまして、地下水汚染の特徴なり地下水中での物質の挙動というようなものに関します基礎的な知見を得てきております。現在は、汚染源の特定なり汚染現象の解明というもののために、モデル地域を選定いたしましてボーリング調査による汚染の垂直分布の把握なり地下水質の継続調査なり、表面土壌汚染分布状況の把握を行うというような形の詳細な検討をやっておるということでございます。ただ、地下中の物質の挙動の問題ということでございますので、十分明らかとなっているということはなかなか言えないところでございまして、今後ともさらに調査研究が必要であるというふうに受けとめまして、これについての努力をしたいと思っております。なお、総量規制のお話が出ました。また、代替品の開発の問題につきましては、これらの物質よりも有害性の低い代替品が開発されるということは望ましいことでありますので、関係省とも十分相談しながら知見の充実に努めてまいりたいと思っております。  総量規制の問題そのものにつきましては、これは化審法の世界でございまして、この辺のところはまた通産省とも十分、どういうよう対応になるかということにつきましては、連携をとりながらどうするかということではなかろうかと思っております。
  169. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それから、知事が測定計画を立てる際のガイドライン、あるいは測定結果を公表する際のガイドライン、こういうものを環境庁さんとして考えていらっしゃるかどうかを確認したいのですが、法律を読みますと、測定計画もそうでございますが、その発表についてはあくまで各知事さんが独自の判断で行うようになると思うのです。各県ばらばらだと、あそこの県はえらい詳しいところまで発表したがうちのところはどうのこうのだとか、そういうことが出てくると思うのです。特にハイチク工業は誘致された工業が多いものですから、誘致した県としてはできるだけ穏やかに発表したいというのが働きかねない。こういうこともございますので、発表の仕方についてある程度国の統一したガイドラインをつくるべきではないか、このよう考えますけれども、そういう考え方はありますか。
  170. 岩崎充利

    岩崎政府委員 今回の法改正都道府県知事は地下水汚染状況を測定し公表する、こういうことでございます。これにつきまして実は中公審の答申にもありまして、「地下水汚染状況が把握できる範囲で関係者の正当な利益の保護との関連も考慮し、公表方法については適切な方法で行うことが必要である。」というような答申が出ております。私どもこういうものを受けながら、中公審の答申も踏まえながら施行通達等において何らかお示しできないかということで、この辺につきましては都道府県の意見も徴しながら十分検討してまいりたいというふうに思っております。
  171. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 ある程度、例えば公表のマニュアルというか最低水準といいますか、少なくともここまでは公表しなさいよというものはつくるべきであると私は考えるのですね。それ以上詳しくやるかどうかというのは自治体の裁量である。こういうふうに思いますけれども、いろいろ先ほどの質疑でもありましたが、プライバシーと企業の社会的責任をどう考えるかという話だとか、あるいはこの公表に当たってはどこの基準以上のものについてやるのか、あるいは根こそぎ全部公表してしまうのか。情報公開あるいは住民にできるだけ早く数値を教えるということがやはり大事なわけでございますから、できれば基礎資料そのものを公表するようなことも時によっては必要ではないかな、このよう考えるわけでございますが、その辺の公表の基準ですね、この辺をどのよう考えておりますか。     〔小杉委員長代理退席、委員長着席〕
  172. 岩崎充利

    岩崎政府委員 中公審の答申にも御指摘があるのですが、これは公共用水域とちょっと違いますのは、個人の井戸を対象として調査しているということでございますのでおのずと限度があるということもあります。したがいまして、私どもそういうような特殊の事情も考慮しながら、先生のお考えも踏まえながら、どんな形のものが一番適切であるかということにつきまして、これは地方公共団体の意見を聞きながら一番適切な方法を検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  173. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 以上のことを確認をいたしまして、具体的な問題をちょっとお願いしたいのです。  先ほどもちょっとありましたが、静岡県の柿田川の件でございます。これは富士山ろくからの地下水が噴出しておる。私どももこの間四月十一日でございましたか、視察してまいりまして、環境庁長官に十八日に七項目の申し入れをさせていただきました。この申し入れについて、この法律案が通ったらしかるべき措置をダイナミックに実行したい、こういうふうな当時の長官からのお話がございました。間もなく法案は通ると思いますが、特に、柿田川の問題について具体的に環境庁はどういうリーダーシップをとっていただけるのか、それを確認したいと思います。
  174. 岩崎充利

    岩崎政府委員 先般、先生からもいろいろな形で柿田川のお話は大臣のところでお聞きしたところでございます。  改正法が有害物質を含む汚水等の地下浸透を禁止することもございまして、私どもといたしましては、改正法の成立を期しまして指導の徹底等を図ってまいるということで、未然防止を図るということは当然でございますが、柿田川につきましては特に周辺自治体が非常に熱心でございまして、静岡県東部五市四町地下水汚染防止対策協議会というものを結成いたしまして保全活動を進めているということでございます。私どもといたしましても、地元自治体と十分連携をとりながら、柿田川の問題についても真剣に取り組んでまいりたいというふうに存じております。     〔委員長退席、武村委員長代理着席〕
  175. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 これは大臣に申し入れた要件でございますし、特に環境庁関係があるのですね。名水百選に選んだところでございますし、この柿田川に基準値以下ではありますけれども有機塩素剤が検出されている、こういうことでございますから、ぜひ大臣のリーダーシップを柿田川について特定いたしましてお願いいたしたいのですが、御決意はいかがですか。
  176. 山崎竜男

    ○山崎(竜)国務大臣 この名水の保全につきましては、その趣旨からも地元住民の御理解、御協力の上、草の根運動的な地域活動が期待されているところでありますが、柿田川につきましても、先ほどの局長の話のよう地下水汚染防止対策協議会というのが地元に設置されたと聞いておりますし、御陳情もございましたので、環境庁としましても地元自治体と十分連絡をとりながら、必要な対応を図るべく努めてまいりたいと思っております。     〔武村委員長代理退席、委員長着席〕
  177. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 話が全く変わるわけでございますけれども、佐渡のトキの話を最後にちょっと確認したいと思います。  トキの保護の問題につきましては、環境庁は長年取り組んできたわけでございますが、だんだんと減っておりまして、私どもも去年の十月二十八日佐渡に行きまして、向こうの所長さんである近辻さんともいろいろ懇談をしてまいりました。どういう方法がトキを絶滅から救う方法になるのだろうかということを考えてきたわけでございますが、その一つ方法といたしまして、日中間の協力を強化したい、こういうふうな話があったわけでございます。  現在、雄のホアホアを譲り受けているわけでございますが、まだ子供を生むというところには行っていません。この間北京の動物園の園長さんが佐渡に来ましたときに、北京の動物園に雌の青青がいるので、あと一年ぐらいたったら生殖能力を持つようになるから、そのときに日本に貸与してもいいようなお話をしておりました。日本に今雄のミドリというのがいるわけですね。これとペアリングをしたらどうか、こういうふうな話があります。  ところが、北京は先日来大事件がありまして、今そういったお話が十分にできないような状態にあるのではないかと非常に心配されるわけでございますけれども、日中間のトキ保護にかける協力ということは大事なことでございますので、どういう事態があろうとも推進していくべきではないかな、このよう考えるわけでございますが、今回の事件がこの問題について大きな障害になっておりますかどうか、あるいは今後この計画というものが挫折することなく、日本に来るか日本のトキが中国に行くかは別の問題でございますけれども、そういう協力が展望できるのかどうか、それを今の時点におきまして確認させていただきたいと思います。
  178. 山内豊徳

    ○山内政府委員 事務的な点だけ御説明させていただきますが、おっしゃるように、六十年以来日中トキ保護協力をいただいておりまして、特に今お話にありましたホアホアは、中国側の好意によりまして一年延長されまして、ことしまでお預かりしておるわけでございますが、残念ながら確かに産卵に至っていないわけでございます。  お話のように、私どもの方からも、雌トキをぜひ貸与していただきたいことを昨年の段階で中国政府に正式に要請しております。このような事態ではございますが、私どもとしてはその中国政府に対する要請は有効であると思っておりますので、今後、事務的にも最大の努力を尽くしながらその実現に努力したいと思っているのが現状でございます。
  179. 山崎竜男

    ○山崎(竜)国務大臣 おっしゃられるとおり、トキはニッポニアニッポンという、これは中国のトキもそう言うのだそうでございますが、我が国のシンボルとして大変重要な鳥であると思っております。種として絶滅させてはならないというふうに考えておるわけでありますが、このため、中国に生存するトキの保護に関する協力を求めて、今まで協力をお願いしてきたところであります。  自然界の鳥でございますので、雄と雌と置いておけばそれでまぐわうというものでもなさそうでございますから、そこはいろいろ手をかえ品をかえ、最後には人工授精などということも考えながら絶滅を防ぎたいというふうに考えておりますが、今の中国の情勢の落ちつくのを待ちながら、その時点で早速私どもの方からコンタクトをとりたいと思っております。
  180. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  181. 熊川次男

    熊川委員長 北橋健治君。
  182. 北橋健治

    ○北橋委員 民社党・民主連合の北橋健治であります。同僚委員の質疑内容と若干重複する点があろうかと思いますが、御容赦をいただいて、以下水質汚濁防止法の一部を改正する法律案につきまして政府の見解をただしてまいりたいと思います。  まず、トリクロロエチレン等対策の全体像についてお伺いするわけであります。今回の法改正におきまして有害物質使用特定施設から地下トリクロロエチレン等が浸透していくことを禁止するという措置が講ぜられるわけですが、今回の法改正とあわせて講ぜられているトリクロロエチレン等対策の全体像について、まずお伺いしたいと思います。
  183. 岩崎充利

    岩崎政府委員 今回の改正法と並行いたしまして、トリクロロエチレン等によります環境汚染の防止を図るために、その製造、使用、排出、廃棄等の各般にわたって適切な規制が実施されるよう関係法令の整備が図られているところでございます。  具体的に申しますと、製造、使用段階の規制といたしまして、トリクロロエチレン等につきましては、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づきまして、第二種特定化学物質に指定されて所要の規制が行われるということになっております。また、排出、廃棄の段階の規制といたしまして、水質汚濁防止法と下水道法上の有害物質として公共用水域及び下水道への排出規制というものが実施されますとともに、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づきまして、トリクロロエチレン等を含む廃棄物の最終の処分基準の設定等によりまして所要の規制が実施されることになっておるわけでございます。
  184. 北橋健治

    ○北橋委員 そこで、規制のそれぞれの対応につきまして、以下お伺いしてまいります。  今回の改正によりまして、トリクロロエチレンテトラクロロエチレンにつきましては地下への排出を禁止するための具体的な措置が今後講ぜられていくわけでありますが、具体的に工場事業所ではどのよう対策が必要になってくるのでしょうか。
  185. 岩崎充利

    岩崎政府委員 水銀とかシアン等の従来から指定されております有害物質等使用している事業場にありましては、現行の水濁法上の十四条五項というものがございまして、有害物質を含む汚水等については地下にしみ込まないよう適切な措置をしなければならないこととされておりまして、これは訓示規定だったわけでございますが、そういうことでございまして、このとおりなされているということで従前と同様の適切な措置をとっていく必要があるというふうに考えております。  ただ、トリクロロエチレンテトラクロロエチレンにつきましては新たに有害物質として指定されたということでございまして、これにつきましては五十九年から行政指導ということで排出抑制ということをとっておりますが、行政指導では完全に地下浸透まで禁止したということではございません。したがいまして何らかの形で、例えば地下浸透しているというものもございますので、そういうものにつきましては今回の法改正に伴いまして有害物質を含む地下浸透を禁止するということで、この辺のことが今回新たに対応が必要となってくる、こういうことでございますが、私どもの感じといたしましては、全体としてはそう大きな負担をかけるということにはならないのではないかというふうに考えております。
  186. 北橋健治

    ○北橋委員 全体として多大な負担を新たにかけることにはなりそうにないというお答えでございますが、トリクロロエチレン等の使用実態についてお伺いします。クリーニング店を初めといたしまして、総じて中小企業において相当程度使われているとお伺いしますが、実態はどうでしょうか。
  187. 岩崎充利

    岩崎政府委員 化審法に基づいて把握されております製造、輸入量で見ますと、昭和六十二年度の実績で、トリクロロエチレンが約六万五千トン、テトラクロロエチレンが十三万二千トンというふうに承知いたしております。  私ども環境庁の概略的な調査によりますと、トリクロロエチレンテトラクロロエチレンを使用している事業場は、これは全国で特定事業場そのものが全部で二十八万一千ほどございますが、そのうちの一万二千事業場程度というふうに推計いたしております。このうち、事業場数の多い業種が洗濯業、ドライクリーニングでございますが、これが七千六百事業場ということでございまして、ほかには金属製品等の脱脂とか洗浄を行う事業場があるというふうに考えております。これらの中には、洗濯業を初めといたしまして中小企業も多く含まれているものというふうに考えております。
  188. 北橋健治

    ○北橋委員 局長の御答弁にもございましたように、かなりの中小企業の事業所が今回の法改正によって具体的に法を遵守する措置を講ずる義務を負われるわけでありますが、今後今回の法の趣旨にありますよう規制の実効を上げるためには、適切な中小企業の対策が重要になろうかと思います。これまでも、数年来政府も行政指導の形においていろいろと試行錯誤を積んでこられたわけでありますが、実際に中小企業の多くが規制措置を講ぜねばならないという事態を迎えるに当たりまして、十分対応が可能とお考えでしょうか。
  189. 岩崎充利

    岩崎政府委員 トリクロロエチレンテトラクロロエチレンの排出抑制ということにつきましては、昭和五十九年以来の行政指導の実績があるということでございまして、特に中小零細企業の多いドライクリーニング業におきますトリクロロエチレンの使用管理につきましても、事業所管省であります厚生省において五十九年度から行政指導が行われているということでございまして、このために、今回の法改正に伴いまして直ちに大きな負担を伴うよう対応を必要とする事業場はそう多くはないということで、十分可能なものではないかというふうに考えております。  また、公共用水域への排水規制についてでございますが、御指摘のよう規制対象業種の中には中小零細業者も多いということでございますが、事業所管省庁とも十分な協議をして、法規制実施までに六カ月間の準備期間を置いた。これは、私ども三月末に政令改正をいたしまして有害物質としたということでございますが、即実施ということではなくて、六カ月ほど猶予期間を置きまして十月一日からの実施ということにしたわけでございます。当初行政指導を五十九年から始めまして、今回政令改正をいたしましたが、これにつきましてもさらに六カ月の猶予をするという形でかなりの猶予期間を置いているということでございますので、中小企業につきましても十分対応し得る期間的な余裕はあるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  190. 北橋健治

    ○北橋委員 先般のアスベストの規制に関する法案審議のときも御指摘いたしましたけれども、やはり規制の対象になる事業所かなり中小企業者が多いということで、法を円滑に施行するに当たりましてはそういった面での温かい配慮というものが適宜必要になろうかと思います。そういった意味で、法の施行までの間十分時間もございますし、中小企業者に万全の措置が円滑に講ぜられるよう、適切な配慮をくれぐれもお願い申し上げたいと思います。  さて、今回の改正におきまして、地下浸透の禁止を具体的に担保する措置としてどのようなことがなされることになっているか。特に違反行為が出た場合、どのような手段で発見、原因者が特定されるか、お伺いしたいと思います。
  191. 岩崎充利

    岩崎政府委員 先ほど先生御指摘ありました中小企業対策等々につきましては、特に関係省庁とも十分連携をとりながら努力さしていただきたいと思っております。  地下浸透禁止のための担保措置ということでございますが、私ども四つの点からこういうような形の担保措置を講じている次第でございます。  その一つは、届け出義務を規定するということでございます。これは有害物質を使用いたします特定施設を設置する特定事業場から地下に水を浸透させる者につきましては、その者が有害物質を使用する特定施設を設置をしようとするときには、特定施設の構造なり地下浸透の方法というようなものを届け出なければならない。まず届け出義務を課するということが第一でございます。  それから第二は、計画変更命令等を規定しているということでございまして、都道府県知事は、そのような届け出があった場合に、有害物質を含む水が地下に浸透するというふうに認めるときには特定施設の構造とか汚水の処理の方法に関します計画の変更とか廃止を命ずることができる、いわばおかしいときには計画変更命令を課することができるというような形で、第二番目には担保するということでございます。  それから第三番目といたしましては、改善命令というのを規定いたしております。この改善命令につきましては、都道府県知事は、有害物質を使用する特定事業場から水を排出する者が有害物質を含む水を地下に浸透させるおそれがあると認めるときには、特定施設の構造とか汚水等の処理の方法等の改善なり地下浸透の一時停止を命ずることができるということにいたしておりまして、先ほど申し上げました第一、第二が届け出を義務づけて、届け出のときに計画変更命令というものをかけられるということと、それから、一度施設ができ上がっても後からいろいろな形で有害物質を含む水が地下浸透をするのではないかというおそれがあるときには、その施設の改善命令を課することができるのだということで、おそれがあるときでもかけられるという形にいたしたような次第でございます。  それから第四に、立入検査について規定いたしておりまして、都道府県知事は、有害物質を使用する特定事業場から水を排出する者に対しまして特定施設の状況、汚水等の処理の方法その他必要な事項に関して報告を求めたり、またはその職員に特定事業場に立入検査をさせることができることにいたしております。これにつきましても、やはりそういう有害物質を使用する特定事業場等につきましては、随時立入検査あるいは報告徴収という形のものをとりながら、地下浸透禁止の実効性の担保措置を図っていくということでございます。  先生がお話しになりました違反行為の発見や原因の特定というのか、そういうものについてはどうかということにつきましては、違反行為の発見等につきましては、これは法第二十二条に基づきます立入検査によります現場でのチェックというものが中心となるのではないかと考えております。この場合、立入検査に入った方は、目視による漏出の有無の確認や水質検査の実施というようなことによりまして有害物質地下浸透の有無をチェックするということでありまして、随時あるいは計画的に立入検査等々を行いまして、漏出があるかないかということも含めていろいろな形で検査をする、調査をするというような形の中で違反行為の発見とかあるいは予防行為も含めてやっていく、こういうような仕組みになっている次第でございます。
  192. 北橋健治

    ○北橋委員 違反行為があった場合の対応については、政府のお考えでは、立入検査という方法中心にきめ細かく対応されるという趣旨だと理解をいたしますが、実際にその手足となって調査をされる方は自治体の方々だろうと思うのです。都道府県の自治体の財政負担といいますか、その辺は万全なんでしょうか。
  193. 岩崎充利

    岩崎政府委員 自治体と申しますか、現在までに地下水質監視なり測定につきましては、これは法律には基づいていないのですが、五十九年から六十二年度までに大体一万六千本ほどの井戸調査をしているということでございまして、都道府県といたしましては現在までにそれなりにその体制の整備を図っているのではないかと思っております。  今回の法改正に伴いまして、法に基づきまして地下水質監視というようなことをやるわけでございますが、私どもとしては、今までの監視測定の延長線上の中でどういう形で一番効率的にできるかということもあわせて考えていきたいと思っておりますので、それなりに都道府県としては対応し得るのではないかと考えておる次第でございます。
  194. 北橋健治

    ○北橋委員 万全を期して御努力を期待したいと思います。  さて、地下水汚染のメカニズムについては、汚染源を究明するといってもなかなか容易ではないと伺っておりますが、環境庁におきましても、これまで調査研究についてはいろいろと御努力をされてこられたと思います。その調査研究の御努力は今後ともますます重要になってくると思いますが、基本的な対処方針について、まずお伺いします。
  195. 岩崎充利

    岩崎政府委員 調査研究の話でございますが、これまで汚染事例の収集なりデータの解析なり、また室内試験を通じまして地下水汚染の特徴、地下水中での物質の挙動に関します基礎的な知見をこれまで得てきております。  この結果といたしまして、トリクロロエチレン等によります地下水汚染につきましては、その平面的な広がりは、最も大きな事例では十キロメートルにも及ぶというものもありますが、多くは大体一キロメートル以下だ、スポット的な汚染が多いということと、地下水流れに沿って汚染が移動していくと考えられること等の特徴を有しております。それから一方、地下に浸透いたしましたトリクロロエチレン等は速やかに土壌中に浸透落下する、それから、帯水層上部に停滞して、徐々に地下水中に溶出していくものと考えられます。また、水に溶解した場合は、帯水層中を水と同様に流動するというようなこと等の挙動を示すことが明らかになってきているところでございます。  現在は、汚染源の特定なり汚染源解明のために、モデル地域を選定いたしましてボーリング調査によります汚染の垂直分布の把握とか地下水質の継続調査とか、表面土壌汚染分布状況の把握を行うというような形での詳細な検討を実施中であるということでございます。ただ、地下中の物質の挙動でございますのでなかなか解明が難しいということで、現時点で十分に明らかとなっているとは言えないところでございまして、特に汚染が発見された場合の汚染源の特定等につきましては、より簡易、迅速に汚染源の特定ができる手法の開発というようなことも含めて今後ともさらに調査研究が必要ではないかというふうに考えております。
  196. 北橋健治

    ○北橋委員 先ほど同僚委員の質疑にもありましたが、環境庁には手足がないというお話がありました。その分、優秀な頭脳がカバーされているんで大丈夫だと思いますが、それにしましてもこのような重要な政策課題を遂行するに当たりましては、やはり十二分な予算の確保も大事だろうと思います。これまで行政改革絡みで一律にシーリングを設定いたしまして、特に重要な新規事業に予算をつける場合でもなかなか困難であった。ですから、社会環境の変化によりまして必要になってきた新規事業について仕事を進めるというのはなかなか予算面で苦労されていると聞いております。  この地下水汚染のメカニズムをさらに研究する必要があるとの御答弁でございますが、それにはやはりできるだけ短い時間で効果を上げることが要請されてくると思いますし、それに必要な万全な予算措置を講ずる必要があると思いますが、一律シーリングのもとで大変御苦労されていると思いますけれども、この面での調査研究費の確保についてはどのようなものでしょうか。
  197. 岩崎充利

    岩崎政府委員 平成元年度の予算につきましては、地下水汚染対策関係として、一つは、ただいまの調査研究関係といたしまして地下水質管理及び保全総合対策調査費ということで、予算規模としては大体二千三百万円ほど用意いたしておりまして、地下水汚染物質の発生源対策なり汚染実態とその機構解明、水質目標の検討ということを行いまして、総合的な地下水質保全対策について検討するという予算を組んでおります。  これとあわせまして、今度は地下水質監視分、先ほどからいろいろ御指摘がありましたが、これは本当に私どもの水質保全局の中でも新規とるのもなかなか大変なんでございますが、地下水質監視ということで、平成元年度新規ということで一千二百万円ほどを準備したところでございまして、水質汚濁防止法に定める有害物質について、都道府県知事等の行う地下水質調査に要する費用に対して補助を行うというような予算を組んでいる次第でございます。いろいろなことがございますが、なかなか予鈴厳しい中ではございますが、そういうような形の中で必要な予算は私どもとしては確保してまいりたいということで対応している次第でございます。
  198. 北橋健治

    ○北橋委員 予算の額を聞いてびっくりなんです。非常に少ないので驚いたわけですが、とにかく人間の命と健康にかかわる問題でございますので、予算確保については万全を期していただきたいと思います。  山崎長官に決意のほどをお伺いしておきますが、ことし、夏にはまた概算要求の段階がやってまいります。シーリングというのはある意味じゃやむを得ない政府の措置なのかもしれませんが、その硬直的な考え方を打破して重要なものについては優先的に予算を確保すべしと言い切れるのは政治家の役目でございまして、概算要求段階、予算編成に向けまして、財政当局との間にこういった重要な予算の確保について大いに頑張っていただきたいわけでありますが、長官の決意のほどをお伺いしておきたいと思います。
  199. 山崎竜男

    ○山崎(竜)国務大臣 我が省の予算について御協力をくださいますことを心から感謝申し上げます。予算のシーリング、殊に新規の予算は非常に難しいものでございまして、私も何回か新規の予算をつけたことがあるのですが、大蔵省に言わせると、一たんついた予算は長年にわたって削ることができない、なくなることはないんだ、だんだんふえていくだけだから、せめて新規のときには文句を言わさせていただくというのが大蔵省の言い分でございます。わずか千二百万でもこの水濁法の関係予算をとったということは、それなりに意義のあることじゃないかと思っておりますが、今先生おっしゃったように七月末から恐らく予算シーリングが決まりまして概算要求が始まるわけでございます。今の環境庁の置かれている立場は、もう世界的な視野で物を見なければならぬというような立場になってきたわけでございますから、今までとまた視野を変えた予算の要求をさしていただいて、それに努力をしていきたい、そう思っております。
  200. 北橋健治

    ○北橋委員 ぜひ御努力をお願いしたいと思います。  さて、今回水質汚濁防止法の改正案の提出とあわせまして、トリクロロエチレンテトラクロロエチレンにつきましては、水濁法あるいは廃棄物の処理及び清掃に関する法律、それぞれの施行令の改正によりまして有害廃棄物として規制されることになるわけですが、こうした有害物質の追加というのは久しぶりと聞いております。科学技術がどんどん進歩し、経済社会も大いに変化をしていく中で、これからも次々とこういった対応が迫られてくると思いますが、環境庁としては積極的に新しい化学物質規制についても万全を期すべき必要があると思いますが、基本的な姿勢についてまずお伺いをいたします。
  201. 岩崎充利

    岩崎政府委員 御指摘のとおりだというふうに思っておりまして、有害化学物質によります環境汚染を未然に防止し、国民の健康を守っていくということは、環境行政の最重要課題の一つだというふうに認識いたしております。環境庁といたしましては、化学物質によります環境汚染状況の把握、各種排出規制を行うということのほかに、必要な調査研究を引き続き推進するとともに、有害化学物質の総合的な管理手法など、中長期的な視点を踏まえた対策のあり方についても検討しているところでございます。今後とも、関係省庁との密接な連携のもとに、総合的、予見的な政策というものを展開してまいりたいというふうに考えております。
  202. 北橋健治

    ○北橋委員 そこで、具体的な話に移りますが、今回化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、化審法におきまして、トリクロロエチレン等と同時に第二種特定化学物質になりました四塩化炭素について、今後どのように取り組まれるか、お伺いしたいと思います。  そしてまた、法曹界におきましても、今回の法改正に当たりまして、トリクロロエチレンテトラクロロエチレンと同様に1・1・1トリクロロエタンあるいは1・2ジクロロエタン、その他の化学物質についても今後の検討課題に指摘しているところがあるやに聞いております。政府の見解をお伺いしたいと思います。
  203. 岩崎充利

    岩崎政府委員 まず、四塩化炭素についてでございますが、現在のところ、この四塩化炭素につきましては河川水中に問題となるよう汚染実態がない、またその用途も九割程度が化学品の製造、これはフロンガスの原料だということでございますが、そういうことから、水環境中の汚染を通じた人の健康に及ぼす影響についてはさらに検討を続ける必要があるほか、当面は工場事業場からの排水について指導を行い、あわせて水環境中の濃度の推移について十分監視していくことが必要である、過般、中公審からも答申を受けたところでございます。  そういうふうなことで、四塩化炭素そのものについては現在水濁法上の有害物質という形にはいたしませんが、環境庁といたしましては、この答申を踏まえまして本年の四月二十日付で四塩化炭素の排出に係る暫定指導指針というものを定めまして、関係自治体あてに通知したところでございます。この指導指針におきましては、四塩化炭素を使用する工場事業場というものを対象に四塩化炭素を含む水の地下浸透を禁止するとともに、公共用水域の排出に係る管理目標、〇・〇三ミリグラム・パー・リッターを設定しておりまして、この指導指針に基づいて行政指導を進めてまいりたいというふうに考えております。  それから、1・1・1トリクロロェタンでございますが、先ほど先生が申しましたジクロロエタン等々につきましては、まだ環境中にいろいろな形での汚染という状況にはないということでございます。ただ、1・1・1トリクロロエタンにつきましては、トリクロロエチレン等々がいろいろな形で規制されてくると、この二物質の代替物質だというようなこともありまして厚生省においては環境中に出てくる可能性もあるということで、水道水暫定水質基準が設定されているということから、私どもトリクロロエチレンテトラクロロエチレンとあわせて工場事業場に対しまして排出抑制の指導を行政指導で今まで行ってきたところでございます。  ただ、1・1・1トリク口口エタンはトリクロロエチレン等に比較しますと毒性が低いということで、それではなぜ行政指導をしたかと申しますと、水道水にまじってきますと異臭味があるということから、水道水暫定水質基準もその異臭味に着目して設定されたものであるということで、私どもといたしましては、有害物質には指定しないで、ただ現行の指導の徹底には努めなければならないということでございます。なお、化審法においても1・1・1トリクロロエタンは指定化学物質にも指定されていないという物質でございます。
  204. 北橋健治

    ○北橋委員 こういう化学に詳しい方はともかくといたしまして、一般市民にはなかなか毒性であるとかそういったことは実感としてよくわからないのであります。多くの方々に不安も持たれておりますし、どんどん科学技術が進歩してまいります。どうか積極的に、新しい化学物質についても人体に悪影響が出ないように、諸般の規制対策について今後とも万全を期していただきたいと思います。  以上、水濁法の改正案につきまして順次御質問してきたわけでありますが、山崎長官にお伺いいたします。  今回の改正は、確かに地下水汚染を防止するために大きな前進であると私たちは率直に評価をするわけでありますが、それですべて終わったわけではない、今後さらに前進をさせる必要があると思うわけであります。その意味で、今後とも地下水対策について調査研究を進めて施策の充実に努める必要があると思いますが、長官の基本的な姿勢についてお伺いをしておきたいと思います。
  205. 山崎竜男

    ○山崎(竜)国務大臣 仰せのとおり地下水は身近にある貴重な水資源であり、地下水汚染の未然防止を図ることが極めて重要と認識しております。このため、従来から各種調査を実施するとともに、関係各省の協力を得て行政指導による対策を講じたところでございますが、さらに今回の水濁法の改正により、地下浸透の規制地下水質監視等について法制度化を図り、一層の地下水質保全対策の推進を期してまいりたいと存じております。
  206. 北橋健治

    ○北橋委員 今度はちょっと視点を変えまして国際的な観点からお伺いをしたいと思いますが、有害廃棄物の越境移動問題についてでございます。  水質汚濁に密接な関連のある廃棄物問題については、先般有害廃棄物の越境移動に関するバーゼル条約が成立したと聞いておりますが、この条約の背景、内容及び我が国の対応についてお伺いしたいと思います。
  207. 岩崎充利

    岩崎政府委員 有害廃棄物の越境移動の問題でございますが、ここ数年、アフリカや中南米諸国で、ヨーロッパや米国からの有害廃棄物の越境移動に伴う環境汚染事例が発生いたしております。  これに対しまして、UNEP、国連環境計画のもとで一九八八年二月以来、有害廃棄物の越境移動の適正化に関する国際的取り組みについて検討が続けられていたということで、本来の三月二十二日に有害廃棄物の越境移動に関するバーゼル条約がスイスのバーゼルにおいて採択されました。本条約は、廃棄物は原則として発生国で処分しなければならないとの考えに立った上で、越境移動が許可される場合の手続として、輸入国と通過国へ事前通報するということを骨子としているところでございます。  我が国は、地球的規模の環境問題の貢献を進めるという立場から条約案の策定作業に当たって積極的に参画してきておりまして、本条約の早期加入に向けて、現在、政府部内で国内実施の体制等について検討をしているというところでございます。
  208. 北橋健治

    ○北橋委員 早期加入に向けて検討を開始していくという基本的な方針でございますが、条約を批准するに当たっては、いろいろと国内で合意を得るのに難しい問題があるのでしょうか。
  209. 岩崎充利

    岩崎政府委員 国内的にどんな体制でこれを受け入れるかという国内体制の問題もございまして、その辺も含めまして、関係省庁で現在いろいろな形で検討しているということでございます。
  210. 北橋健治

    ○北橋委員 アスベストのときもそうでございますし、また今回の規制についてもそうなんですが、これは事実かどうか私にはよくわからないのですが、基本的に環境行政において一定の有毒物質規制する場合に、ともすればWHOあるいはアメリカのEPA、そういうところでのデータというものが社会的に大変注目されて、それに日本が追随をしていくような感じで日本の行政の姿勢が受けとめられている。そのこと自体が事実かどうかは別にしまして、そのように受けとめている人たちも我が国には結構いるようであります。そういった意味で、環境庁としては関係省庁とのすり合わせにおいて積極的に早期加入に向けて旗を振っていかれるという立場だと理解してよろしいのでしょうか。
  211. 岩崎充利

    岩崎政府委員 私どもとしてはそういうつもりで一生懸命やっていきたいというふうに考えております。
  212. 北橋健治

    ○北橋委員 ぜひ御尽力をお願いしたいと思います。  最後に、山崎長官にお伺いをしたいと思います。  有害廃棄物の越境移動に見られるように、水質汚濁や廃棄物の問題についても、地球的規模の問題の広がりが見られてきております。私も先般アスベストの規制に関しまして、日本国内でアスベストの規制をしていく場合にそれがかえって危険な労務作業については海外の方に企業が進出をして、そこから逆輸入をするという傾向も出てきているというふうに指摘申し上げたところでありますが、そういった意味で、このような環境問題というのはまさに地球的規模で取り組んでいく必要があると思います。山崎長官の基本的な姿勢をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  213. 山崎竜男

    ○山崎(竜)国務大臣 お答え申し上げます。  オゾン層の破壊や地球の温暖化、開発途上国の環境問題等の地球環境問題は、人類共通の重要な課題であります。我が国は、その国際的地位にふさわしい貢献を世界から求められており、地球環境保全に関する関係閣僚会議を設置して、政府一丸となって各般の施策を推進していくこととしております。  環境庁としましては、平成元年度予算において地球環境保全への貢献を重点施策として位置づけているほか、事務次官を本部長とする地球環境保全企画推進本部において、本年五月に、地球環境問題への取り組みに関する中間報告を取りまとめたところでございます。さらに、ハーグ会議、uNEP管理理事会等の国際的な検討の場にも積極的に参加しているところであります。このほか、本年五月末から六月にかけてオゾン層保護アジア太平洋地域セミナーを開催し、アジア諸国に対してオゾン層保護条約及び議定書への加入等を促したところであります。また、六月にはアジアの環境大臣等によるアジア地域国際環境シンポジウムを開催し、アジア地域における持続可能な開発の実現のための環境協力の重要性について国民の意識の向上を図ったところでございます。さらに、本年九月には地球環境保全に関する東京会議を開催し、世界を代表する有識者を一堂に会し、地球環境問題に関する最新の科学的知見を集約するとともに、今後の対応のあり方について検討することとしております。  今後とも、地球環境保全に私どもは全力を投じてまいる所存でございます。
  214. 北橋健治

    ○北橋委員 終わります。
  215. 熊川次男

    熊川委員長 岩佐恵美君。
  216. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 一昨年、千葉県の君津市で地下水汚染が発見され、昨年になって市民に公表され、大問題になりました。私も現地へ行って、東芝コンポーネンツの半導体工場を視察し、市や県からも話を聞きました。昨年の十月、決算委員会で質問いたしましたけれども、その後汚染の原因ははっきりしたのでしょうか。  それから、最近の報道によりますと、工場敷地の地下から三五万ppmのトリクロロエチレン検出された、こういうことでありますけれども、これは事実でしょうか。三五万ppmといえば三五%、原液を三倍に薄めただけの超高濃度です。ですから、これはもう原液をそのまま捨てたのではないかというふうに思われる事態なんですが、この点について、その後のこととあわせて伺いたいと思います。
  217. 岩崎充利

    岩崎政府委員 地下水汚染機構調査結果につきましては、君津市におきまして本年の一月十五日に地下水汚染機構調査第一次報告書、それから四月十八日に第二次報告書が取りまとめられました。その結果によりますと、地質構造帯水層を確定いたしまして、地下水流れ物質流れを明らかにして汚染源を特定いたしております。東芝コンポーネンツ君津工場、こういうことでございまして、現在この結果を受けまして、工場側と地下水汚染回復対策の実施について協議を行っているほかに、公害防止協定の締結等についても検討中であり、また地下水質調査等については継続的に実施していくということにいたしております。  それから、三五万ppmということで、これは確かに相当な高濃度でございます。それで、検出された井戸は東芝コンポーネンツ君津工場内のボーリング観測井で、井戸の底から試験的に採取した、ところが水に廃液状のトリクロロエチレンが約三分の一まざった状態で検出されたというふうに私ども承っております。現場は工場内のガラス捨て場だということになっておりまして、過去に廃溶剤を捨てていた疑いがあり、これが浸透して地下にたまっていたものというふうに推定されております。  対策といたしましては、事業者において汚染土壌の除去を行うことといたしておりまして、君津市の指導のもとに、既に汚染土壌の除去を実施中であると承っております。
  218. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 今の御説明を伺っても、どうもガラス容器に入れたまま原液を捨てたのじゃないかというような想像ができるわけですけれども、いずれにしても、今までこういう有害物質について非常に危険な取り扱いの状態だった、つまり野放しだったということなわけですね。ですから、君津の例でも明らかなように、地下水汚染は大変重大であります。これまで規制対象になっていなかった地下水規制、これは当然必要なことですし、私たちも要求をしてきたことであります。同時に、地下水は一たん汚染されてしまいますと、浄化するのが極めて困難であります。ですから、汚染されてから対策をとる、これは後追い行政になってしまうわけですね。やはり汚染を未然に防止する対応がぜひ必要だと思います。  そこで、最初に大臣に、その基本姿勢についてお伺いをしたいと思います。     〔委員長退席、小杉委員長代理着席〕
  219. 山崎竜男

    ○山崎(竜)国務大臣 お答え申し上げます。  お話しのとおり、環境保全のためには汚染の未然防止を図ることが何よりも重要だと存じております。特に地下水は一たん汚染されると回復が難しいので、中公審の答申にもあるように、未然防止を図ることが極めて重要であると認識しております。今回有害物質を含む水の地下浸透の禁止と、これを担保する諸措置を定めた水濁法の一部を改正する法律案を御提案申し上げたのもこのような趣旨によるものでございます。
  220. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 法案では、政令で定める有害物質地下への浸透を禁止することになっています。この有害物質についてですけれども、三月に新たにトリクロロエチレンテトラクロロエチレンが追加されました。しかし、1・1・1トリクロロエタンや四塩化炭素は指定をされていないわけです。先ほどからも繰り返し指摘をされておりますけれども、これらも指定をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  221. 岩崎充利

    岩崎政府委員 本年三月の水質汚濁防止法施行令の改正によりまして、トリクロロエチレンテトラクロロエチレンの二物質有害物質として追加したところでございますが、ただいまの1・1・1トリクロロエタンと四塩化炭素につきましては、現在規制対象物質の追加ということは予定いたしておりませんが、今後とも調査検討を行いまして、必要があれば、またこのほかにももし必要があれば、追加指定ということも行うということでございます。  四塩化炭素につきましては、汚染実態が少ないということから直ちに法に基づく規制の対象とはしておりませんが、人の健康に影響を与える可能性があるということで、中公審の答申を受けて行政指導は開始いたしております。  それから1・1・1トリクロロエタンにつきましては、これは水道水暫定水質基準が設定されておりますが、発がん性の観点ということではないので、特に有害物質ということの指定はしていなかったという事情でございます。
  222. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 アメリカのシリコンバレーの事件で最初に問題になった物質は1・1・1トリクロロエタンだったわけですね。トリクロロエチレン規制されれば必然的に1・1・1トリクロロエタンに切りかえる工場も出てくるというふうに思います。私たちが君津市に行って東芝コンポーネンツで聞いたところでは、やはりここの工場も1・1・1トリクロロエタンに切りかえているわけですね。ですから、使用量がふえれば汚染の危険も増大をしていくということになると思います。四塩化炭素については、トリクロロエチレンなどと並んで化審法の第二種特定化学物質に指定をされていて、有害性という点では灰色ではなくて黒であるということであります。また、この二つの物質は成層圏のオゾン層保護の関係からもその使用、排出の削減が問題になっているわけで、これらは当然追加指定をされるべきではないかというふうに思います。  今挙げた二つの物質を含めて、今後ハイテク産業などの発達によって新しい化学物質による汚染の心配があります。地下水の場合その浄化が困難なだけに、公共用水域の場合に比べて一層後追いにならないような機敏な対策が必要だと思います。公共用水域と地下水との規制対象を同じ有害物質ということで指定するのではなくて、地下水については、準有害物質とでもいいますかそういう指定をして、より広く対応して規制をしていく、こういう考え方も必要なのではないかというふうに思いますけれども、その点について伺いたいと思います。
  223. 岩崎充利

    岩崎政府委員 やはり地下水も水でございまして、表流水の方で汚染される場合は大体地下水も同じよう汚染の危険性があるということで、私どもとしては今同じような形で規定しているということでございます。  さらに、いろいろな形での物質が出てきますが、私どもは全体としてどんな形で環境上の汚染があるかというようなことにつきましては、十分監視、モニタリング等を続けながら、必要に応じて必要な措置を講じてまいるという体制を整えていきたいというふうに考えております。
  224. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 お答えいたします。  1・1・1トリクロロエタンそれから四塩化炭素について、オゾン層との関係先生お話ございましたように、現在のモントリオール議定書におきましては先生御指摘の二物質については規制の対象になっておりません。しかしながら今後、規制対象でございますフロンなりハロンの削減が進むにつれまして、先生御指摘の1・1・1トリクロロエタンあるいは四塩化炭素の物質がオゾン層の破壊に及ぼす影響は相対的に増大していくということは、従来から学者がいろいろ言っているところでございます。そういうことで、先月の上旬にヘルシンキで開かれましたモントリオール議定書の第一回締約国会議におきましても、フロン、ハロンの全廃のみならず、これら二物質につきましても規制、削減を実施可能な限り早く実施することが、同会議に出席したすべての国によりまして合意されているところでございます。  私どもといたしましては、このような国際的な動向、あるいは我が国におきます知見等を踏まえまして、御指摘のこの二物質につきましては、モントリオール議定書の規制対象とする問題につきましても、環境保全の立場からいろいろ検討してまいりたいというぐあいに考えております。
  225. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 使う量、総量との問題ですので、ぜひそこら辺はきちっとしていっていただきたいと思います。  地下浸透の禁止について、法案では有害物質を含むものの基準を総理府令で定めるということになっています。どういう基準にするかが非常に重要だと思います。十分低い値にしないと、水で薄めてから浸透させればいいということにもなりかねないわけです。また、有機溶剤は地下で化学変化をしたり他の物質を吸着したりして毒性濃度が高くなる場合もある。そういう状況ですから、なおさらきちっと厳しく規定をしていかなければいけないというふうに思います。その規定について、どういう数値になるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  226. 岩崎充利

    岩崎政府委員 トリクロロエチレンテトラクロロエチレンを含むということにつきましては、一定の検定方法により定量限界を上回って検出されることをいうということで規定するつもりでございますが、具体的な定量限界値につきましては、これは排水基準の検定方法と同じように、JISのK〇一二五による定量限界ということを予定いたしております。
  227. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 それは暫定基準と比べてどういうふうになりますか。
  228. 岩崎充利

    岩崎政府委員 十倍以上厳しい値になるのではないかと思っております。
  229. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 第十四条で事業者に汚染状態の測定、記録の義務を負わせていますけれども、排出水の場合は排出口で測定すればいいわけですが、特定地下浸透水の場合は浸透弁やトレンチのところで測定することになると思います。そうすると、地下浸透を計画していない事業者は地下浸透水の測定の義務はないというふうになってしまいます。こういう事業者も予測しない漏水等によって地下水汚染を起こすことはあり得るわけですので、こうしたことを未然に防ぐということで、例えば最近つくられた熊本県や千葉県の指導要綱では、トリクロロエチレン等を使用するすべての事業者に事業場内の井戸水の定期測定を義務づけているわけです。こういう措置をとるべきだと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  230. 岩崎充利

    岩崎政府委員 井戸調査ということにつきましては、私どもはやはりこれは環境の問題だということで、都道府県なり地方公共団体でやるのが適切ではないかというふうに思っております。事業者がやるべきことは、自分の排水がどんな形になっているかということでございますので、今先生が申されたような形で義務的にやらせるのはそういうところであろうかというふうに思っております。ただ、それ以上の段階でやるということにつきましては、事業者の意識を高めるという意味からもそれはそれで意味があるというふうには考えておりますが、全国一律的にそこまで義務づけるということまでは考えておりません。
  231. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 自治体に強力に指導していくとか、そういう対応がぜひ必要ではないかというふうに思います。  自治体が計画変更命令を行うためには、施設の安全性についての基準が必要だと思いますけれども、政府として基準ようなものを示すのでしょうか。例えば漏水のおそれのある地下タンクや地下埋設配管を禁止する、そういう必要があるのではないでしょうか。     〔小杉委員長代理退席、委員長着席〕  例えば東京都の環境保全局が一九八六年に出した地下水汚染防止指導指針、ここでは「廃液管・排水管は地下に埋設しないものとする。」と書いてあるわけですね。それから、通産省監修の「「トリクロロエチレン等適正利用マニュアル」の解説」でも同様の指摘をしているわけであります。環境庁としてもこういうことについては検討していくべきだと思いますけれども、どうでしょうか。
  232. 岩崎充利

    岩崎政府委員 地下タンク、貯蔵所ということの問題につきましては、これはむしろ製造とかあるいは生産とかそういう形になってきますので、化審法上でガイドライン等々で同様な指導基準をつくってやるということでございますので、この辺のところは通産省とも十分相談しながら適切な措置が図られるようにしていきたいというふうに考えております。
  233. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 第十七条ですけれども地下水の汚濁の状況を公表することにはなっているけれども、現在行われている自治体の測定結果の発表では、具体的な汚染地点は公表されていない場合が多いわけですね。また、君津市の例でもあったように一年以上も汚染が公表されない、こういうこともあります。こういう点はぜひ改善をすべきだと思います。     〔委員長退席、園田委員長代理着席〕  昨年の事故後、君津市では調査した井戸の住所、それから所有者名まで挙げて汚染状態を公表していますけれども、別に問題は起こっていないということであります。むしろ市民からは、実態がよくわかっていいと評価をされている。熊本市では以前から基準値オーバーの地下水については町内名を公表しているということです。井戸は私有であっても地下水そのものは公のものでありますから、汚染の場所の公表はすべきだと思いますけれども、その点についていかがでしょうか。
  234. 岩崎充利

    岩崎政府委員 地下水汚染状況の公表の問題でございますが、中公審答申でも「地下水汚染状況が把握できる範囲で関係者の正当な利益の保護との関連も考慮し、公表方法については適切な方法で行うことが必要である。」と言っております。特に、私的所有者の井戸でございまして、そこが汚れているのもその人の責任でないところが原因で汚れているということもございますので、具体的に井戸名まで挙げて公表するということには一般的にはなりにくいという事情も御理解願いたいと思います。具体的にどんな方法でどこまで公表するかということにつきましては、また都道府県とも意見も聞きながら検討してまいりたいと思っております。
  235. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 地下水汚染されてしまうと浄化困難であるということははっきりしていることですけれども、原状回復のためにもかなり費用がかかるのですね。汚染原因者の責任で原状回復を行うわけですが、汚染者不明の場合は行政がかわって行って、後で汚染原因者が判明したら費用を請求する、そういうシステムもつくっていく必要があるのじゃないかと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  236. 岩崎充利

    岩崎政府委員 一つのお考えではあろうかというふうに思っておりますが、ただ、私どもといたしましては、何せ汚染機構解明が難しいということでありますので、環境庁といたしましても汚染機構解明ということにこれから全力を挙げていきたいと思っております。ただいま先生御指摘の面につきましては、今後の研究課題ということで検討させていただきたいと思っております。
  237. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 汚染が起こった場合の原因調査あるいは対策などについて、市町村の財政的負担がかなり大きなものになる、これはもう先ほどからも指摘をされているところであります。また、事業者の中にもクリーニング店など零細な業者も多いわけです。自治体への補助や零細事業者への融資あるいは税制上の措置など、改善すべき点がかなりあるのではないかというふうに思います。特に自治体に補助金を新規に一千二百万ですか、増加をするということで、新規の事業でということでありますけれども、この額はいかにも少ないのじゃないかということで、私たちもそういうふうに思います。これはぜひもっとふやしていかなければいけないのじゃないかと思いますけれども、その辺あわせてお考えを伺いたいと思います。
  238. 岩崎充利

    岩崎政府委員 私ども、本年初めて一千二百万円の補助金というものを計上したところでございまして、今後引き続き拡充に努めてまいりたいと思っております。  それから、特に中小企業等々につきましては、環境衛生金融公庫なり中小企業金融公庫による融資等がございますので、そういうものが活用されましてできるだけ排水とかそういう系統での施設等々が設置されることになればと考えておる次第でございます。
  239. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 厚生省に伺いますが、水道法でトリクロロエチレン等有害物質に指定する、そういう見直しを行うべきではないかということで言ってきているわけですけれども、その点についてはどう対応しておられるでしょうか。
  240. 坂本弘道

    ○坂本説明員 トリクロロエチレンにつきましては、昭和五十九年二月の部長通知によりまして暫定的な水質基準を定め、指導を行っておりまして、トリクロロエチレンについての飲用水の安全性は確保されているところであります。厚生省では、近年の各種微量化学物質による原水の汚染が懸念されていることにかんがみまして、水道の水質基準全体の見直しを行うことといたしまして、そのための改定検討費を平成元年度予算に計上しているところであります。トリクロロエチレンの扱いにつきましても、この水質基準の見直しの際に検討する考えであります。
  241. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 平成元年度から何年くらいの見通しで行うのですか。
  242. 坂本弘道

    ○坂本説明員 現在のところ三カ年で予定をしております。
  243. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 上水道の水源井戸汚染が発見されてもすぐに厚生省に報告をされないということで、一年に一回しか報告されないということが君津の事件でも大変大きな問題になりました。昨年の質問でもこの点を改善するように求めておりますけれども、その後厚生省として報告の仕方を改善されたかどうか、伺いたいと思います。
  244. 坂本弘道

    ○坂本説明員 厚生省におきましては、トリクロロエチレン等による汚染実態を把握するため、先生今おっしゃいましたように、これまで定期的に報告を求めてきたところでありますが、本問題に関する世論の関心の高さを踏まえまして、今後水道水等におけるトリクロロエチレン等汚染が見られました場合には迅速に報告するよう、本年二月の全国生活衛生主管課長会議等を通じて指導したところであります。
  245. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 君津市では汚染された地下水が市営プールで使用され、大問題になったわけですね。何かプールに水を張っておくと蒸発するからいいんだとかいうことで地下水がプール等で使用された。ところが、かなり濃度のものが使われてしまった。それから、目を洗ったりうがいをしたりそういうものも全部地下水で賄われていたために、汚染を落とそうと思って余計汚染された水で洗ってしまったという結果になってしまったわけです。これも昨年指摘をしてきたところでありますけれども、その後どういう対応をとられたのか、伺いたいと思います。     〔園田委員長代理退席、委員長着席〕
  246. 小沢壮六

    ○小沢説明員 プールの水質につきましては、御案内のとおり、昭和六十一年の通知におきまして必要な基準を定めまして指導を行っておるところでございますけれども一般的な基準に入っておらない例えばこのトリクロロの問題でございますとか、こういった問題につきましては個別に必要な指導を行っていきたいというのが基本的な考え方でございまして、昨年のお尋ねの際にも、君津からの御照会に対しましては水道水と同じような水質で考えていただきたいというような回答を行ってきたところでございます。  現在、昭和六十三年度から開始いたしました健康リビング推進対策という事業を私どもやっておるわけでございますが、これは建築物におきますいろいろな問題につきまして総合的に検討していこうということでございます。それの中で、給水及び排水に関する実践ガイドラインの作成というのを現在やっておる最中でございまして、その中で私どもといたしましては、プールについて水源として水道水の使用を勧奨するといったような必要な事項を盛り込んでいきたい、そのよう考えているところでございます。
  247. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 次に、通産省に伺いたいと思いますけれども、これもやはり昨年の質問のときに通産省としてお答えいただいたことですけれども、全国の半導体工場などの実態調査、それから取り扱いマニュアルの徹底、こういうことについておやりになるということを約束されたわけですけれども、その後どういうふうになっているのか、伺っておきたいと思います。
  248. 本田幸雄

    ○本田説明員 全国の半導体工場におきますトリクロロエチレン等の使用実態調査につきましては、既に全国調査を実施しておりまして、現在取りまとめ作業中でございますが、今までのところ集計では、一部の事業場、約二割でございますが、一部の事業場においてトリクロロエチレン等適正利用マニュアルの整備に不十分な点がありました。それらの事業場に対しまして、順次改善指導を進めていくこととしております。
  249. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 原局である通産省が厳しく対応していただくということが大事でありますので、ぜひ引き続きやっていただきたいと思います。  次に、地下への浸透を厳しく規制をすることによって、トリクロロエチレン等の大気中への排出がふえることが考えられます。この面での規制はどうされるのか。
  250. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 トリクロロエチレンテトラクロロエチレンによります大気中の濃度の問題でございますが、六十一年度に実施いたしましたIC一貫生産工場におきます排出口及び周辺環境におきます調査結果があるわけでございますが、これによりますれば、トリクロロエチレンテトラクロロエチレンにつきましては、排出口の直近におきましては比較的高い濃度検出されている事例はあったわけでございますけれども周辺環境における濃度は押しなべて低い数字でございまして、労働環境の管理濃度と比較いたしますと約七千分の一以下のレベルでございました。  そういうことでございまして、私どもとしましては大気中の濃度の推移を長期的に把握する必要があるという観点から、今年度の予算によりまして未規制大気汚染物質モニタリング事業の対象ということで、これから隔年的に継続的に監視測定を行ってまいりたいというぐあいに考えております。なお、このようないろいろな調査結果等も踏まえまして、今後環境汚染を未然に防止する観点から必要な措置を講じてまいりたいというぐあいに考えております。
  251. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 だんだん大気の方に逃げていくということと、それからもう一つは、工場が結構住宅地にあったりして小さい。小さいというか、敷地が狭くなって住宅地に近接をするというようなことで、今後こういう面でのいろいろな問題が予測をされますので、ぜひきちんと対応をしていっていただきたいというふうに思います。  以上、いろいろ指摘をしてまいりましたけれども、今までなかった地下水への規制が法制化される、このことは私どもも主張してきた、要求してきたことでありまして、大変重要な前進であるというふうに思っています。ただ、いろいろとやりとりをしてまいりましたように、不十分な点もかなりあるわけです。このままでは汚染が発生してから対策を行うという後追い行政の域を出ないんじゃないかという、最初に大臣から基本姿勢をお伺いいたしましたけれども、どうもいろいろ議論をしてみてもやはりそういう域を出ないのではないかという心配もあるわけです。今後法律の運用、あるいはさらに改善するべき点、行政指導上の問題もあると思いますけれども、そういう点で環境庁が本当にこの問題について強い指導力を持って法律の遂行を行うということが大変重要になってきているというふうに思います。その点、環境庁長官の御意見を伺いたいと思いますし、また、最後に、何かありますれば局長のお考えも伺いたいと思います。  まず局長の方から伺いましょう。
  252. 岩崎充利

    岩崎政府委員 私ども、きょういろいろな形で御意見等をいただきました。その御意見等々につきましても、なかなか難しい問題もありますが、私どもとして精いっぱい事務的に努力してまいりたいと思っております。
  253. 山崎竜男

    ○山崎(竜)国務大臣 お答え申し上げます。  仰せのとおり、地下水は身近にある貴重な水資源であり、地下水汚染の未然防止を図ることが極めて重要な問題だと認識しております。今回の水濁法の改正によって地下浸透の規制地下水質監視等について法制度化を図り、その着実な施行を図るとともに、今後ともなお一層の地下水質保全対策の推進を期してまいりたいと思います。  また、先生の御要望に関しましては、環境庁を督促して御要望に沿えるように努力をいたします。
  254. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 終わります。
  255. 熊川次男

    熊川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  256. 熊川次男

    熊川委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  水質汚濁防止法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  257. 熊川次男

    熊川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  258. 熊川次男

    熊川委員長 次に、ただいま議決いたしました本案に対し、持永和見君、川俣健二郎君、春田重昭君、北橋健治君及び岩佐恵美君より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。川俣健二郎君。
  259. 川俣健二郎

    ○川俣委員 私は、ただいま議決されました水質汚濁防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につき、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     水質汚濁防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項につき適切な措置を講ずべきである。  一 未規制の水質汚濁物質について、その健康影響、排出実態等を十分調査するとともに、その結果に基づき、必要かつ適切な措置を講ずること。  二 地下水汚染の未然防止のため、地下における物質の挙動及び地下水文の解明等の研究を積極的に促進すること。  三 地下水の重要性及びその特質にかんがみ、地下水汚染物質の除去技術の開発を促進すること。  四 本法施行により、都道府県地方公共団体の財政負担が増加しないよう特に配慮すること。  以上でありますが、その趣旨につきましては、案文中に尽くされておりますので、説明を省略させていただきます。  何とぞ、委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。  以上であります。
  260. 熊川次男

    熊川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  261. 熊川次男

    熊川委員長 起立総員。よって、持永和見君外四名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、山崎環境庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。山崎環境庁長官
  262. 山崎竜男

    ○山崎(竜)国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。ありがとうございました。     —————————————
  263. 熊川次男

    熊川委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  264. 熊川次男

    熊川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  265. 熊川次男

    熊川委員長 次回は、来る二十日火曜日午前十一時二十分理事会、午前十一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十分散会