○下田京子君 私は、日本共産党を代表して、
冷害問題並びに
農業政策の基本について
質問します。
質問に先立ち、
被災農家の皆さんに心からお
見舞い申し上げます。
総理、まず申し上げたいことは、
農業政策の基本は、国民食糧の安定供給と
農民の経営と暮らしを守り、その
向上に努めることだと思います。ところがどうでしょうか。世界に例を見ない食糧自給率の低下、国民の胃袋を全面的に外国に依存する輸入
自由化政策で、国内
農業の存在そのものが危なくなっております。それに追い打ちをかけているのがことしの
宮城、福島など
東北地方を
中心とする
冷害です。
私は、福島県下各地の
実態調査に入り、その余りのひどさに驚いています。
政府米二百俵を
契約しているが、三十俵とれるかどうか、学校給食費はどうし
ようか、国保税はとても払えない、借金はどうしたらよいかなど、深刻な
状況が次々に出されています。事態は重大です。一九八〇年、八三年の
冷害で借金がまだ残っているのにことしの大
冷害。土地改良費も払えず離農する
農家が既に出ています。従来の
延長にとどまらない抜本的
救済対策が必要です。
総理の基本的な御認識をお聞かせください。
既に我が党は緊急
対策を
農林水産大臣に申し入れ、また同僚議員からも指摘されておりますが、以下五点について特に明確な
答弁を求めます。
第一に、
天災融資法、
激甚災害法の
発動を直ちに行い、必要な
資金対策をとるべきです。また、
農業共済金の
早期支払いはもちろん、
損害評価に当たっては、収穫後の実績に基づき
損害評価の
特例の適用を図るべきです。
第二は、お米の買い入れ問題です。
政府は、お米の過剰を理由に、
被害に遭ったお米、つまり
規格外米を買い入れの対象にしない、また、
自主流通米のルートで販売する場合に、一俵六十キログラム当たりわずか七十八円の補助をつけるという方向で
検討していると聞いています。しかし、
規格外米、等外米といえども全量買い上げることは食糧管理法上
政府の当然の責務と
考えますが、いかがですか。
第三に、さらに問題なのが加工原料用のお米、すなわち他
用途利用米の
取り扱いです。
冷害で
主食用のお米を
契約数量分も出荷できない
農家に、
主食用と同じ
品質の他
用途利用米を一俵九千六百六十円という
主食用の半値近い価格で無理やり出荷させるのは全く理不尽です。食糧庁長官通達でも、
作柄の変動等やむを得ない事情がある場合、他
用途利用米の予約取り消しが可能とされています。この異常
冷害時です。当然、他
用途利用米の無理な出荷はやめさせるべきです。
第四に、お米以外の
農作物、野菜、果樹、加工トマト、葉たばこの
災害についても
救済対策が必要です。特に葉たばこ
災害の認定に当たっては公正を期す
よう日本たばこ産業株式会社を
指導されたいと思います。
第五に、
被災農家の国保税、
地方税、
所得税などの
減免についてです。特に、国保税は国の補助率
引き下げ等によって負担額が大幅にふえています。過去の例に倣って速やかに
減免を図る
よう指導を行うべきと
考えます。
以上、明確な
答弁を求めます。
次に指摘したい点は、過去の
冷害の教訓をどう生かすかという問題です。
東北地方の
冷害対策といえば昔からやませ
対策と言われてきましたが、以下三点についてお聞きします。
一つは、
農業気象観測の予算をふやし、
冷害対策に役立つデータがとれる
よう農業気象担当の専門官を
東北に配置するなど、観測体制の充実強化を要求いたします。
二つ目に、
冷害に強く味もよく
収量も多い品種の育成や、新しい
冷害対策技術の開発をさらに進めることです。
三つ目には、それでも、やっぱりお天気勝負の
農業生産です。売らんがための無理なお米づくりが
被害を大きくしていることも見落とせません。こういう状態を解決するためには、
米価引き下げ、減反面積の
拡大と規模
拡大一辺倒の
農業政策を改めることです。
答弁を求めます。
さらに指摘しなければならないのは、
転作条件の
整備の柱でもある土地改良事業などの
農民負担が耐えがたいものになっていることです。例えば、国
営農地開発事業、福島県雄国山麓総合農地開発では、
農家の年償還額が水田で何と十アール当たり五万三千五百五十円と試算されています。ことしの
ような
冷害年でなくとも到底返済不能な負担です。
また、外国の二、三倍も高い
農業生産資材を買わされているために、お米の
生産コストのうち肥料、農薬、
農業機械の三部門だけで第一次
生産費の半分近くを占めています。
総理、こうした
実態にメスを入れ、抜本的な
対策こそ必要と思いますが、
答弁を求めます。
今、
冷害に苦しんでいる
農家をさらに絶望のふちに追いやろうとしているのがお米の
自由化問題です。
経済同友会は去る三日、お米の
生産と
流通について、五年以内に、
生産コストを現在の半分にする、
政府買い入れ米を備蓄用の百万トンにする、現在約三百五十万戸に上る米作
農家を十万戸にするなど、
自由化を前提とする提言を出しました。とんでもありません。
総理はこれらについてどの
ようにお
考えですか、
お答えください。
また、この間の日米交渉で、ヤイター通商部代表が日本に三十万トンの米輸入を要請したと伝えられていますが、そういう事実があったのかどうか。これは、輸入枠の設定や
拡大に通じ、お米の
自由化に道を開くものではないかと心配です。お米は日本国民の
主食です。お米の輸入
自由化はもちろん、輸入アクセスの改善などと称して事実上お米の輸入に道を開く譲歩を一切行わないことを改めて強く要求いたします。
さらに、「おいしいアメリカ」をキャッチフレーズに日本
全国を回っているアメリカン・トレインのねらいが、
自由化が決定されたばかりの果樹や牛肉・オレンジなどアメリカ農産物の輸出促進にあること、また、その焦点を児童生徒に置き、学校動員までかけるなどしていることは重大です。
戦後間もなく、米を食べれば頭が悪くなるなどという宣伝とともに日本
全国を走り回り、アメリ
カ小麦の対日売り込みに大きな力を発揮したキッチンカーを思い起こさせるものです。これを農水省や外務省、文部省などが後援し、竹下
総理も歓迎の談話を寄せているのは、アメリカの言いなりで、
農民を足げにする
ようなことではありませんか。
お答えください。
また、安全な食糧は日本の大地からとの国民的要求が高まる中、
米国産トウモロコシから発がん物質であるアフラトキシンが検出されたことについて、
総理はどの
ように
考えておられますか。お聞かせください。
最後に、竹下内閣が国民の求めるリクルート疑惑解明をあいまいにし、
生産と消費のすべてに税をかけて、
営農と
農民の暮らしを一層窮地に追い込む公約違反の消費税を強行することは断じて許すことができません。我が党は、国民の食糧と健康を守り、日本
農業を守るために全力を挙げることを決意し、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣竹下登君
登壇、
拍手〕