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1988-10-07 第113回国会 参議院 本会議 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十月七日(金曜日)    午前十時二分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第七号   昭和六十三年十月七日    午前十時開議  第一 国務大臣報告に関する件(低温等による農作物被害について)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、請暇の件  一、特別委員会設置の件  一、皇室会議予備議員及び皇室経済会議予備議員選挙  以下 議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  林健太郎君から海外旅行のため八日間の請暇の申し出がございました。  これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 御異議ないと認めます。  よって、許可することに決しました。      ─────・─────
  4. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) この際、特別委員会設置についてお諮りいたします。  不公平是正及びリクルート等税制に関する諸問題を調査するため、委員四十五名から成る税制問題等に関する調査特別委員会設置いたしたいと存じます。  本特別委員会設置することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  5. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 過半数と認めます。  よって、税制問題等に関する調査特別委員会設置することに決しました。(拍手)  特別委員は、追って議長において指名いたします。      ─────・─────
  6. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) この際、  皇室会議予備議員及び皇室経済会議予備議員各一名の選挙 を行います。
  7. 柳川覺治

    柳川覺治君 皇室会議予備議員及び皇室経済会議予備議員選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
  8. 鈴木和美

    鈴木和美君 私は、ただいまの柳川君の動議賛成いたします。
  9. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 柳川君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 御異議ないと認めます。  よって、議長は、皇室会議予備議員山内一郎君を、  皇室経済会議予備議員西村尚治君を、 それぞれ指名いたします。      ─────・─────
  11. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 日程第一 国務大臣報告に関する件(低温等による農作物被害について)  農林水産大臣から発言を求められております。発言を許します。佐藤農林水産大臣。    〔国務大臣佐藤隆登壇拍手
  12. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 本年の低温等による農作物被害状況等について御報告します。  本年は、六月に一時低温があり、七月中旬以降、東北関東中心として、七月末まで顕著な低温日照不足が続きました。また、八月中旬から九月にかけても雨の日が多く、日照が少ない不順な天候が続きました。  このよう異常気象影響を受けて、東北太平洋岸、北関東中心として農作物生育に大きな影響が出ております。  水稲については、障害不稔やいもち病等が多発し、生育もおくれ、これらの地域では作柄が大幅に低下しており、統計情報部作況調査によると、九月十五日現在、全国的に九八のやや不良、東北地方は九一の不良、中でも宮城県は八四、福島県は八六となっております。  野菜については、生育遅延収量減少等から作柄は平年をかなり下回る産地が多くなっております。  また、豆類、芋類、コンニャク、葉たばこ等畑作物飼料作物、果樹、桑等についても、生育のおくれ、収量品質低下等が見られています。  これらの状況を踏まえて、農林水産省といたしましては、深刻な影響が懸念されております東北関東について、管轄農政局農作物異常気象対策本部設置し、状況把握関係県に対する指導に努めているところであります。また、農林水産省本省にも災害対策本部設置したところであります。  技術指導といたしましては、不順な天候に応じた水稲作の管理、いもち病防除等を行うよう農政局を通じその徹底に努めてまいったところであります。  また、これまでに講じた具体的な対策といたしましては、農業共済制度に関しましては、農業共済損害評価の適切な実施早期支払いを行うよう指導したほか、金融制度についても、既に貸し付けている農林公庫資金等制度資金償還条件緩和について、被害農家実情に応じ弾力的に措置するよう関係機関指導いたしております。  さらに、一部地域において、次期作用種子確保が懸念されている水稲及び大豆について、営農支障を来さないよう、その確保について指導をしてきたところであります。  私も、先般取り急ぎ特に作況指数の悪かった宮城県下に赴き、深刻な被害実態をつぶさに見て回り、また被災農家初め関係者の声を聞いてまいりました。  今後、被害状況早期把握に努めまして、関係機関とも緊密な連絡をとり、被害状況等に応じて、天災融資法及び激甚災害法発動農業共済制度損害評価特例措置自作農維持費金の融資枠の確保等について検討し、各般災害対策をできるだけ早い時期に講ずるよう万全を期してまいる所存でございます。  報告を終わります。(拍手)     ─────────────
  13. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。大河原太一郎君。    〔大河原太一郎登壇拍手
  14. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、冷害長雨等異常気象災害につきまして、総理並びに関係大臣に対して質問をいたし ます。  初めに、天皇陛下の御病状を案じ奉り、また、速やかなる御快癒を心からお祈りするところでございます。  さらに、今回の異常気象によりまして激甚な災害を受けられました被害農家方々に対しましては、心からお見舞いを申し上げるところでございます。  さて、本年日本列島を襲いました異常気象災害につきましては、東北地方中心として冷害長雨という形で直撃をしたわけでございます。稲作生育期間等におきまして異常なる低温、また日照不足長雨。我々は農作物に対する影響を懸念していたところでございますけれども、懸念は不幸にして現実のものと相なったところでございます。ただいまは佐藤農林水産大臣から作況なりあるいは被害、さらにはとりあえずの対策等について御報告がございましたけれども、私の見るところ、作況は一段と低下するものと思われ、また被害は一段と増大すると思うわけでございます。  我が党は先般、東北五県に対して調査団を派遣いたしまして、被害地におきまして、あぜ道等被害農家と語り合い、災害実態を詳細に調査し、また対策につきまして十分なる御意見をちょうだいしてまいったところでございますが、団員一同災害の厳しさ、また対策緊要性につきまして痛感をいたしたところでございます。米は余っているから対策は一通りのものでよいというような、安易な短絡的な姿勢は許されないのでございます。  そこで、政府としては今回の冷害等災害をどう受けとめておるか、またこれに対する基本姿勢についてどう取り組むのか、総理の所信をまず承りたいと思うわけでございます。  災害が激甚でございました昭和五十五年以上の災害と言われておるところでございます。したがいまして、万般の対策が行われるべきは当然でございますが、御案内のとおり、戦後、政府・与党、国会等関係方面の大変な努力によりまして、農作物災害対策については相当程度整備されておるところでございます。問題は、災害実態に即してきめ細かく、また早期に徹底的に行うことが必要でございます。さらに、農産物自由化問題の進展転作拡大米価引き下げ等厳しい情勢の中でさらに災害をこうむった被災農家の経済的、心理的打撃を最大限度回復する、また営農意欲の喪失を食いとめる、その対策が必要でございます。  以上の観点に立ちまして、具体的な対策について関係大臣に若干お伺いしたいと思うわけでございますが、重点に即し簡潔に御答弁をお願い申し上げるところでございます。  まず、被災農家の再生産確保するための営農資金融通につきましては、ただいまも佐藤農林水産大臣からお話がございましたように、天災融資法早期発動、これに伴う激甚地域の指定、さらには自作農維持資金特別枠設定等災害金融対策実施が急がれておるところでございます。また、被災農家所得の補てんのための共済金早期支払いにつきましては、これが必要であるとともに、それを円滑にする保険金並びに再保険金支出措置、あるいは、これも佐藤農林水産大臣報告で触れましたが、災害に伴う低品位米についての損害評価上の特例、これがぜひ必要であると考えるところでございます。  被災農家のうち販売農家については、多くの問題に当面しております。予約概算金返納の問題でございますが、これについては、利子減免、また返済期間延長等については、ぜひ前例に倣って行わなければ相ならぬと、さように思うところでございます。  さらに、本年特有の問題としては、他用途米の問題でございます。  被害の激甚な農家につきましては、予約限度数量の範囲内において主食用に転用する等の慎重な取り扱いについて、政府側検討を求めるものでございます。  さらに、本年の冷害にかんがみまして、六十四年度におきます水田農業確立対策に基づく転作目標面積の設定なり、あるいは需給均衡対策についてでございます。  二百万トンを超える流通在庫がございまして、需給関係が極めて厳しい中でございますけれども、これについての慎重な配慮を特に望むものでございます。  種子対策なり、あるいは越冬用飼料確保に万全を期すること、また、災害を受けた農家に対する国税地方税等災害減免措置等については円滑に行われることは当然でございますけれども、特に災害対策のために経費支出が増大いたしまして、一方、災害に伴う減収による関係地方公共団体の立場は大変困難でございます。このために特別交付税の増額なり、あるいは必要があれば起債の弾力的取り扱いがぜひ必要でございますので、御検討をお願いしたいと思うわけでございます。  本年の冷害の特色は、単なる気象障害型の災害だけではなく、いもちの大発生がございました。病害虫防除体制については今日一応の整備がなされておりますが、本年の災害につきましては、発生予察機能活用等について、あるいはそれに基づく適切な防除等について必ずしも十分ではなかったというよう意見があるわけでございますが、今後発生予察精度向上並びに防除体制整備については格段の努力をお願いしたいと思うわけでございます。  農業生産気象条件によって左右されます。その意味で、長期気象予報は大変重要でございます。一部からは、ことしの長期予報は甘かったというよう意見も出されております。我々は長期気象予報の諸般の面における制約は十分承知しておりますけれども、試験研究その他、一段と長期予報精度向上について御努力を願いたいと、さように思うところでございます。  また、特にこれとの関連におきまして、東北冷害の元凶でございますやませにつきましては、さらに試験研究を進め、また営農対策の強化についての御努力を、この際でございますから一段と強化していただきたい、さように存ずるところでございます。  以上、各般の面について災害対策について御質問を申し上げましたけれども、特に関係大臣の御答弁以外に、災害対策財政支出と密接な関連がございます。したがいまして、今災害に対する対策についての財政当局姿勢について、大蔵大臣に対してお伺いをしたいところでございます。  以上、災害については質問を終わらしていただきますが、最後に、先般アメリカ精米業者協会の新通商法に伴う米の市場開放についての重ねての提訴が行われたわけでございます。当院は既に、米国内の我が国に対する自由化要求の動きに対しましては、米の自由化反対に関する決議を行ったところでございますが、一方、転作面積拡大、他の農産物の自由化進展米価引き下げ等厳しい農業情勢のもとにあります被災農家を含めての全国農家は、この推移に対して重大なる関心を持っておるところでございます。政府は、すべからく当院の決議趣旨を尊重して、既定方針を貫くよう断固たる態度をもって臨むことを要望するものであります。  これについての総理大臣の御所見を承りまして、私の質問を終わります。(拍手)     〔国務大臣竹下登登壇拍手
  15. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 質問に入る前に天皇陛下の御快癒を祈念する旨の御発言がございました。私も同じでございます。  また、今般の異常気象に伴う東北地方中心とした被害農家方々に心からなるお見舞いを申されました。政府といたしましても、農林水産大臣からも現地視察報告をよく承っております。被害の深刻さに心を痛め、御同様、心からお見舞いを申し上げる次第であります。  今後は、被害実情に応じまして、災害金融制度でございますとか、災害補償制度でございますとか、各種災害対策をできるだけ速やかに講じていく、そして、先ほど農林水産大臣の御報告にもありましたように、各管轄ごと農政局対策本部もできておりますが、農林水産省本省においても対策本部設置したところであります。したがって、もとより農林水産省中心になるわけでございますが、御意見にもございましたように、各省庁挙げてこの対策に万全を期してまいりたい、このよう考えておるところであります。  さて、最後のお尋ねであります米の自由化問題であります。  米は、国民の主食であると同時に、我が国農業基幹作物であることは言うまでもありません。稲作地域経済や、なかんずく国土自然環境の保全上重要な役割を果たしておる、このようにいつも申し上げておるところであります。このような米の重要性にかんがみてみますときに、国会において決議をちょうだいいたしております。その趣旨を体して、生産性向上を図りながら国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいりたい、これが基本的な考え方であります。  米の貿易問題につきましては、ウルグアイ・ラウンドにおいて、各国の農業問題、制度について議論を行う段階において討議することが適切であろうというふうに考えます。  今般の米国精米業者協会提訴は、従来の経緯にかんがみ、米国政府が速やかに却下することを強く期待しておる、これが現在の実情でございます。  以上で私のお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤隆登壇拍手
  16. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 大河原議員の御質問お答え申し上げます。  まず、天災融資法発動等については、目下被害実情把握に全力を挙げているところでありまして、被害実情状況を十分に踏まえ、関係省庁とも協議しつつ早急に対処してまいる考えであります。  いろいろ制度資金についてもお触れになりましたが、自作農維持資金問題等につきましては、資金需要等を見きわめた上、適切に対処してまいりたいと思っております。  既貸付制度資金償還条件緩和、このことにつきましては、関係方面に対して既に緩和についての措置を十分配慮するように指示をしたところでございますが、この趣旨がさらに徹底するよう努めてまいりたいと思っております。  農業共済金早期支払いについては、現在農業共済団体等において悉皆調査等によりその被害実態調査いたしておるところであります。被害を受けた水稲等損害評価を迅速的確に行い、共済金支払い早期に行うよう農業共済団体等指導しているところであります。また、保険金、再保険金支払いにつきましても、共済金早期に支払うという観点から適切に対処してまいりたいと考えております。  農業共済損害評価特例措置につきましても、被害実態を見ながら適切に対処してまいりたいと考えております。  次に、米の予約概算金の金利の減免等については、前払いとして支払った概算金返納しなければならなくなった農家につきましては、天災融資法発動される被害程度に応じ、一定の基準により返納金利子減免を行うことといたしております。また、期限までに返済できない農家方々に対しましては農協等がかわって弁済することを認めておりますので、この仕組みを活用してまいる所存であります。  災害により発生する規格外米政府特例的に買い入れることについては、現下の過剰基調のもとでは困難と考えており、このよう規格外米につきましては、今後、集荷団体とも協議の上、自主流通米としての流通の道を開くことについて検討してまいる所存であります。  他用途利用米についてでありますが、災害により他用途利用米契約数量の出荷が困難となった場合には、いわゆる作況調整により契約数量の変更を行う道を開いております。これを超えて他用途利用米主食用へ転用することにつきましては、契約を結んでいる実需者との関係制度本来の趣旨に照らして困難な問題があります。しかしながら、特別に被害が著しい農家に対しては何らかの措置を講ずることができるかどうか、今後真剣に検討してまいる所存であります。  米需給均衡化のための対策につきましては、六十四年度の米需給均衡化のための対策、これは今後の作柄推移を見きわめる必要がありますが、米の持ち越し在庫が高い水準となっていること、消費の減退傾向が強まっていること等厳しい需給事情もあるので、三たびの過剰を回避する観点から、生産者生産者団体と行政が一体となって検討、推進していく必要があると考えております。  種もみ確保のための対策でありますが、来年度種子必要量確保については、農林水産省としても、地方農政局、県、団体との十分な連携のもとに万全を期してまいりたいと考えております。  越冬用飼料対策についても触れられましたが、本年の低温等により飼料作物について東北中心品質低下収量減少が見られます。このため越冬用飼料確保が困難な場合には、資金融通稲わら等利用についての組織的な収集あっせん事業活用余剰乾草についての情報提供等について、関係県とも十分連絡をとって対処してまいる所存であります。  発生予報精度向上についても触れられたのでありますが、いもち病等発生予報については、コンピューター利用による予報技術活用し、迅速かつ精度の高い発生情報を提供するとともに、いもち病等防除については、降雨時の粒剤利用、広域一斉防除等、効果的な防除法の普及に努めてまいる所存であります。  やませについても触れられたのでありますが、試験研究について真剣に取り組んでおるところでございます。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  17. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 被災農家に対しまする課税の問題でございますが、私どもといたしましては、実地に被害地域についての調査をいたしまして被害実態の的確な把握に努めるほか、また、被害状況につきましては、農業団体等意見をも伺いまして、実情に即しまして慎重に対処してまいるつもりでございます。  それから昭和六十三年の予定納税につきましては、前年分の農業所得よりは今年分の所得減少することになると存じますので、その場合には、予定納税減額承認申請書を出していただきまして、減額をすることにいたします。  次に、このたびの災害につぎましての財政心構えでございますが、各省庁でただいま対策を樹立中でございますが、財政としてもこれに十分対応する心構えでございます。必要な金は惜しまないつもりでございます。(拍手)    〔国務大臣梶山静六登壇拍手
  18. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 冷害等に対する税財政措置についてお答えをいたします。  災害発生し、被害が生じた場合には、その態様に応じて地方税納期限延長、徴収の猶予及び減免措置を講ずることといたしておることは国税と同じでございます。  今回の東北地方冷害被害に係る地方税取り扱いについては、被害状況を見きわめ、国税取り扱いも勘案しつつ、地方団体を適切に指導してまいる所存であります。  また、災害冷害等により被害を受けた地方公共団体においては、さまざまな財政負担の増加や財政収入減少を招くことが見込まれることから、災害復旧事業に要する経費農作物被害状況等を指標として特別交付税を配分するとともに、地方債についても、災害復旧事業等の執行に 支障が生じないよう措置しているところであります。  今般の冷害により被害を受けた地方団体に対しても、被害状況及び財政状況等調査の上、当該地方団体財政運営に著しい支障が生じないよう、今後、特別交付税地方債配分等を通じて適切な措置を講じてまいる所存であります。  以上です。(拍手)    〔国務大臣石原慎太郎登壇拍手
  19. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 気象庁におきましては、人工衛星など新しい観測技術によって得られる各種の広範囲なデータの活用並びにスーパーコンピューターの新規導入によりまして長期予報技術高度化を図ることによって、いわゆるやませの発生の予測や、他の長期予報精度向上に努めているところでございます。  やませとは、夏時分オホーツク高気圧から吹き出す霧を伴う冷たい風の由でございますが、残念ながら、ことしはやませの予報は外れました。  今後とも、一層調査研究の充実に努めてまいる所存でございます。(拍手)     ─────────────
  20. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 小川仁一君。    〔小川仁一登壇拍手
  21. 小川仁一

    小川仁一君 私は、日本社会党護憲共同を代表し、東北及び関東地方における冷害について質問し、あわせて我が国食糧政策のあり方についてお伺いいたします。  これまでの東北地方農業冷害の連続でした。岩手県で見ても、南部藩時代の四大飢饉と言われた元禄八年、宝暦五年、天明三年、天保九年では、それぞれ六万から七万人の餓死、疫病者が出たと言われております。昭和に入っても、六年、九年、十年、二十八年、二十九年、そして五十一年、五十五年、五十七年と冷害が続いています。そして、ことしもまた冷害です。  我が党は九月以来、各県段階で、中央本部は十月五日の岩手を皮切りに被災地を視察いたしました。聞きしにまさる惨状に嘆き、一刻も早い救済対策必要性を痛感いたしているところであります。東北地方農民にとって、冷害は絶えざる脅威です。詩人宮沢賢治が「サムサノナツハオロオロアルキ」とうたった農民の心情を理解し、対策に当たっていただきたいと思います。  総理、今回の冷害についてその特徴と原因をどのようにお考えになっておられますか。また、政府がこれまでとってきた措置対応策について一段と発展的なお考えがあるかないかをお尋ねいたします。  次に、農林水産大臣質問いたします。  九月十五日現在の水稲作況指数によれば、全国平均では九八のやや不良となっていますが、東北地方は軒並み下回っています。また、発表された指数に対しても、こんな数字は現場の実感と違うといった声が農民から大きく出されています。  八月十五日現在の作況指数と九月十五日発表の指数のずれの原因は何でしょうか。また、実際に耕作している農民実感と大きく食い違うことをどのよう考えておられるのか。作況指数算定方法に改善の余地があると思いますが、お考えをお伺いいたします。  戦後最大と言われた昭和五十五年の冷害では、作況指数が発表される都度悪化をしてまいりました。岩手県を例にとると、八三から六〇と二三ポイントも低下しました。今回の冷害についても、さらに作況が悪化することになることは必然です。確定収穫量及び作況指数をどのように見通しておられるのか、お伺いいたします。  次に、我が国基本的食糧である米についての政策についてお伺いします。  政府は、単年度需給均衡策をとっています。六十四米穀年度の米の需要をどの程度に予想しておられるのか。単年度需給を言うなら、六十三年度産米で六十四米穀年度需要を賄えるのか、お伺いします。  農民は、水害や冷害、二年続きの米価引き下げ、その上、減反に次ぐ減反で打ちのめされています。政府の行った農産物十二品目の自由化、牛肉・かんきつの自由化農民に追い打ちをかけている状況でございます。今回の冷害や過去の多くの農業災害の経験の示すものは、農業とは自然相手の産業であるというごく当然のことであります。このことを念頭に置いて農業政策をお考えいただきたいのであります。  かつて政府は、五十五年から五十八年と四年間米の不作で、ついに五十三年産米の超古米まで使わざるを得なくなり、あげくの果ては韓国から米の輸入という事態まで引き起こしました。その当時、だれ一人として不作が四年も続くとは予想もできなかったのです。今回の冷害も、今年で終わらずに二年、三年と続くことも考えられます。  昭和五十五年の冷害のとき、我が党の北山愛郎副委員長が当時の鈴木善幸総理に減反を政治冷害と指摘し、減反を凍結し農政の大転換を行うよう質問をいたしました。私は、改めて、政治冷害である減反をこれ以上行わないこと、また、三十万トンの米需給均衡化緊急対策を凍結するように求めるものであります。農林水産大臣のお考えをお伺いいたします。  米の問題について述べるとき、私はアメリカの米市場開放要求について触れざるを得ません。減反が政治的冷害であるなら、米市場の開放は米づくり農家にとっては滅亡を意味する氷河期でもあります。いかなる不当な圧力にも屈せず、米の市場開放はどのような形でもこれを行わない決意を総理並びに農林水産大臣に承りたいものと存じます。  次に、当面の対策についてお伺いいたします。  私は、先ほど南部藩時代の四大飢饉について申し上げました。苛烈をきわめた幕藩体制のもとでさえ、当時の為政者は年貢すなわち税の減免を行い、備蓄食糧の放出を行い、また種もみの給付等を行っております。  私は、まず被災者及び地域に対して天災融資法の適用と激甚災害指定を早急に行うことを求めるものです。総理のお考えをお伺いいたします。  冷害収量減少を招き、さらには品質の低下をもたらします。例えば、岩手県の六十三年産米の米穀検査の十月五日現在の状況を昨年同期と比較してみると、そのことがはっきりとあらわれています。検査の進捗率自体が前年同期に比べて五十分の一で、登熱不良、刈り入れのおくれを示しています。この時点での等級比率を見てみると、一等米が昨年では八〇・八%もあったのに本年は一三・七%と大きく減少し、逆に二等米、三等米がふえているのであります。品質の低下は歴然としています。  また、東北地方の被災農民は、やっと五十五年、五十七年の冷害のときの天災融資法の借入金を返し終わろうとしている時期でもあります。そこで、次の点について農林水産大臣のお考えを伺います。  第一に、農業共済については早期共済金支払いが行われるよう指導するとともに、損害評価特例措置すなわち品質低下部分の減収評価を適用すること。必要に応じて、保険事業による農業共済組合連合会からの保険金支払いのための指導農業共済基金による支払い資金貸し付けや債務保証のための指導、再保険事業による国からの再保険金支払い実施を行うこと。また、関係する機関の事務費については、農災法施行令に基づき国庫負担を行うこと。  第二に、自作農維持資金災害関連融資の利率引き下げ、償還期間の延長、貸付限度額の引き上げを行うこと。また、被害農家の民間資金返済の繰り延べのための指導、あっせん及び制度資金返済、土地改良等自己負担金支払いの繰り延べを行うこと。  第三に、被害農家の種苗確保対策として、国による種子の買い入れと被害農家への安値の売り渡しなどの助成策を講ずること。  第四に、災害により発生した規格外米については、適正価格で国が買い上げること。事前売り渡し申し込み数量が達成できない農家については、概算金返納特例措置を講ずるとともに、加算金の大幅な減額を行うこと。あわせて、被害農家が他用途利用米として作付した米は主食用米として買い上げ、事前売り渡し申し込み数量の計算に組み入れること。また、飯米の不足した被害農家に対し、特別な米の配給措置を行うとともに、その米代金は延納措置を講ずること。  以上についての御見解をお聞かせください。  また、冷害異常気象による被害は、米だけではありません。野菜類、トウモロコシや牧草なども大きな被害を受けています。これらの被害状況対策についてもお伺いいたします。  次に、建設大臣、自治大臣に、被害に遭った農家方々が雇用と収入の機会を得られるよう被害の大きい地域に対し、公共事業の重点的配分と前倒しを行うこと。また、被害額に見合う地方債の枠を決め、市町村を主体とした単独の建設事業を行えるようにすること。その際、国は、起債の元利償還の際に、後で地方交付税等でこれを負担することなど財源確保対策を行うべきと思いますが、お考えを伺いたいと思います。  大蔵大臣及び自治大臣にお伺いします。  被害に遭った農家には、税金の面からも手厚い対策が必要です。所得税、住民税等の減免措置をとるべきと思いますが、お考えを伺います。  冷害は、被害農家だけではなく、その地域にも大きな影響をもたらします。地域経済の活性化の対策や、農民に希望を持たせる農業政策の確立等に政府の積極的な対策を望みます。  最後に、被害に遭われた農民並びにその地域の皆さんに心からお見舞いを申し上げて、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  22. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、私に対する最初のお尋ねは、冷害の特徴に対する私の認識と、こういうことでございました。  私に専門的な知識があるわけではございませんが、私なりにいろいろ報告を受けております。すなわち、七月中旬以降の顕著な低温、さらには日照不足、こうした不順な天候によりまして、水稲においては障害不稔やいもち病等の多発、それが生育をおくらせ、作柄が大幅に低下しておる、こういうことであろうと思います。  このよう状況を踏まえまして、農林水産省災害対策本部設置する等によって、当面、状況把握あるいは指導、これに努めております。  今後は、被害状況に応じ、それこそ制度金融やあるいは災害補償制度、こういう問題、さらには農林水産省のみで解決できない問題、これらを早い時期に講ずるよう万全を期していくことが私に対する与えられた使命であると思っております。  次の問題は、米の自由化問題にお触れになりました。  米は国民の主食であります。我が国農業基幹作物であります。本院においても国会決議があっております。そうした趣旨を踏まえながら、生産性向上を図りつつ国内産で自給するとの基本的な方針で今後も対処してまいる決意であります。  次に、具体的な問題として、いわゆる天災融資法発動等にお触れになりました。  政府としては、実情に応じまして万全の対策を講じてまいります。天災融資法、また当然、激甚災害法発動、これらは被害状況を十分に踏まえて早急に対処してまいる、このよう考え方であります。(拍手)    〔国務大臣佐藤隆登壇拍手
  23. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 小川議員の御質問お答え申し上げます。  冒頭、自然災害農作物に与える影響等について歴史的な御所見を承りました。従来よりも随分その手当て、対応は進んできたなと思われますけれども、しかしそれで甘んずるわけにはまいらぬ、こういう気持ちで聞いておったわけでございます。  最初に、作況指数が低下した原因につきましては、主として東北の太平洋側及び関東・東山の一部で八月十五日以降も特に著しい日照不足等不順な天候が続き、不稔もみの発生いもち病等の多発のほか、登熟が不十分であることにより、これらの地域作柄が低下したためと考えております。  作況指数の算定についてもお触れになったわけでございますが、水稲作柄調査において実測調査及び巡回調査を行うとともに、広く情報を収集するなどにより、作柄を的確に把握するよう努めているところであります。  また、今後の作況指数の見通しについてでありますが、本年のよう異常気象のもとでは調査時点以降の気象条件等の推移により作柄の変動はかなりあり得ると考えられ、現時点で最終の作柄を予測することは困難でありますが、いずれにせよ、次回十月十五日現在の調査では、早場米地帯での刈り取りも進むため、全国的に確定値に近いものが得られると考えております。  なお、米の需給見通しについてでございますが、本年産米の作柄から米の生産量は当初予定した数量を下回るものと見込まれていますが、他方、本年十月末の持ち越し在庫は適正在庫水準を大幅に上回っており、また、米の消費の減退傾向も強まっております。したがって、来米穀年度においても米の需給は引き続き過剰基調推移するものと見込まれるところであります。  次に、米需給均衡化対策についてでありますが、六十四年度の米需給均衡化のための対策については、今後の作柄推移等を見きわめる必要がありますが、米の持ち越し在庫が高い水準となっていること、消費の減退傾向が強まっていること等厳しい需給事情にもあるので、三たびの過剰を回避する観点から、生産者生産者団体と行政が一体となって検討、推進していく必要があると考えております。  政治的冷害とお説を承りましたが、先ほどの冷害関連につきましても一言つけ加えておきたいと思いますが、政治的冷害と言われないように手厚い手だてをしてまいりたい、こう思っております。  また、アメリカの米市場開放要求について、これは総理からお答えになりましたので重ねて申し上げることになりましたが、米の問題については、ウルグアイ・ラウンドの場で参加する各国がそれぞれの抱える困難な農業問題及び制度について議論を行う段階になれば、我が国としても米の問題を含むあらゆる農業問題を討議するにやぶさかでない旨明言しており、我が国の米問題のこのよう取り扱いについては、日米両国政府の認識の一致を見ているところであります。  米国政府に対しては、これまでさまざまな機会をとらえて我が国の米の重要性について理解を求めてきたところであり、米は二国間協議の対象とはしないとの日米政府間の従来の方針のもとに、米国政府が本件提訴を速やかに却下することを強く期待いたしております。  もちろん、本院決議趣旨にも即して取り運んでおるところでございます。  次に、共済金早期支払い、このことにつきましては、悉皆調査等によりその被害実態調査しているところであります。被害を受けた水稲等損害評価を迅速的確に行い、共済金支払い早期に行うよう農業共済団体等指導しているところであります。また、保険金、再保険金支払いにつきましても、共済金早期に支払うという観点から、適切に対処してまいりたいと思っております。  農業共済基金の支払いのための資金貸し付けについてもお触れになりました。  共済金または保険金支払い財源の不足によって農業共済団体等から資金の貸し付け等の要請が ある場合には、適切に対応するよう十分指導してまいる所存であります。  なお、農業共済損害評価特別事務費につきましては、予算の範囲内において調査の実績に応じ助成したいと考えております。  自作農維持資金のことを含めて災害資金のことについてお触れになりましたが、自作農資金は長期低利の資金であり、さらにこの条件を緩和するのは困難と考えております。また、貸付限度額の特例については、農業者の被害実情等を十分に見きわめつつ検討してまいりたいと考えております。  既貸付制度資金等の償還条件緩和につきましては、そのよう措置をとるよう関係方面に対し既に指示したところでありますが、この趣旨の徹底が図られるようさらに十分指導してまいりたいと考えております。  種もみ確保の助成の問題についてお触れになりました。  来年度用の種子必要量確保については、我が省といたしましても、地方農政局、県、団体との十分な連携のもとに万全を期してまいりたいと考えております。  種もみ購入費に対する助成については、近年、農家種子利用の大部分が購入種子に依存する状況となっており、種もみ代も稲作経営費の一部として恒常化している事情等もあり、特別な助成をすることは困難であると考えております。したがって、これらの経費につきましては、営農資金に困っている農家に対する資金手当ての面で対応することが必要ではないか、こう考えておるところであります。  次に、規格外米の買い上げについても触れられたのでありますが、災害により発生する規格外米政府特例的に買い入れることについては、現下の過剰基調のもとでは困難と考えており、このよう規格外米につきましては、今後、集荷団体とも協議の上、自主流通米としての流通の道を開くことについて検討してまいる所存でございます。  農業共済損害評価特例措置につきましては、被害実態を見ながら適切に対処してまいりたいと思っております。  米の予約概算金の金利の減免等については、米の減収のため政府買い入れ代金の前払いとして支払った概算金返納しなければならなくなった農家につきましては、天災融資法発動される被害程度に応じ、一定の基準により返納金利子減免を行うことといたしております。  また、期限までに返済できない農家方々に対しましては、農協等がかわって弁済することを認めておりますので、この仕組みを活用してまいりたいと考えております。  他用途米についてでございますが、災害により他用途利用米契約数量の出荷が困難となった場合には、いわゆる作況調整により契約数量の変更を行う道を開いております。これを超えて他用途利用米主食用へ転用することにつきましては、契約を結んでいる実需者との関係制度本来の趣旨に照らして困難な問題があります。しかし、特別に被害が著しい農家に対しては何らかの措置を講ずることができるかどうか、今後真剣に検討してまいる所存でございます。  最後に、野菜等の被害状況についてお答えをいたします。  野菜につきましては、本年七月から九月にかけて天候不順が続いたため、平年作をかなり下回る産地が多い模様でありますが、今後早急に被害実態把握に努めるとともに、その対策については、豊作物全体の被害対策の中で適切な措置を講じてまいりたいと考えております。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣越智伊平君登壇拍手
  24. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 公共事業につきましては、かねてより不況地帯また開発のおくれている地域等を重点に置いて配分を行っており、六十三年度についてもそのよう観点から重点的な配分を行ってきたところでありますが、今後とも御趣旨に沿って努力をしてまいります。  なお、この地帯は冷害のみでなく、水害によって被害をもたらしております。この点につきましても、改良復旧あるいは災害関連事業等を取り入れて対処してまいる所存であります。(拍手)    〔国務大臣梶山静六登壇拍手
  25. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) お答えを申し上げます。  災害冷害等により被害を受けた地方団体については、これまでも災害復旧事業等の執行に支障を生じないよう地方債措置しているところであり、今般の冷害により被害を受けた地方団体に対しても、被害状況及び財政状況等調査の上、当該団体財政運営に著しい支障が生じないよう、今後特別交付税地方債配分等を通じて適切な措置を講じてまいる所存でございます。  また、災害発生した場合の住民税の措置については、期限延長、徴収の猶予及び減免があり、それぞれの事態に対応してこれらの措置を講ずることとしているところであり、今回の東北地方冷害被害については、被害状況を見きわめ、所得税など国税取り扱いをも勘案しつつ地方公共団体を適切に指導してまいる所存であります。  以上です。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  26. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 被災農家に対する課税につきましては、まず実地調査をいたしまして被害の的確な把握に努めなければならないと考えておりますが、その際に国の機関あるいは地方団体農業団体等からは十分に作況につきまして意見を聞かせていただくことにいたします。全体として慎重に対処をするつもりでございます。  なお、災害によりまして今年分の所得が六十二年分の所得よりもかなり減少する見込みのところが、納税者が多くおられるはずでございますが、そういう場合には減額承認申請を出していただきまして、予定納税につきまして減額措置を講じますことは先ほど申し上げましたとおりでございます。(拍手)     ─────────────
  27. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 刈田貞子君。    〔刈田貞子君登壇拍手
  28. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私は、公明党・国民会議を代表して、当面の緊急かつ重要な課題となっているこのたびの冷害問題について質問をいたします。  初めにまず、このたびの冷害被害を受けられた方々に対し、衷心よりお見舞いを申し上げるものであります。  改めて言うまでもなく、最近の農業を取り巻く情勢はまことに厳しいものがあります。対外的には諸外国から我が国農産物に対する厳しい自由化要求がなされ、国内にあっては減反政策の強化や二年連続の生産者米価の大幅引き下げに加え、今回の異常気象による農作物への影響が重なるなど、まさに農家は幾重もの苦しみにうめき、営農意欲を失いつつあります。  もとより、農業は自然に左右されることが最も大きい産業であります。特に我が国は気象変化の最も激しいアジア・モンスーン地帯に位置しており、そのため風水害、冷害等、種々の災害にしばしば見舞われて甚大な被害を受けやすいという宿命を持っていると思っております。その上、我が国農家は一般に零細な経営であることから、災害によってこうむる打撃は大きく、その損害を回復することがまことに困難な実情にあるのであります。  とりわけ、本年七月以降の異常気象は、東北地方の太平洋地域及び北関東地方農作物低温長雨日照不足を引き起こし、そのため稲、野菜、果樹、たばこ、桑などの作物の生育を阻害したのであります。  八月に入って、一時好天となり生育のおくれを若干取り戻したものの、その後また異常気象が続 き、農作物生育のおくれを取り戻すことができず、このまま推移するならば東北の太平洋側地域昭和五十五年の大冷害を上回る被害が生ずるのではないかと懸念されているものであります。中でも稲の場合、わせ物の障害不稔に加えて、いもち病等発生し、東北地方の一部の地域においては壊滅的な打撃をこうむっており、ひいては国民生活への影響も危惧されておるところであります。  このような事態を憂慮し、我が党は既に党本部に対策本部設置するとともに、政府に対して、九月十三日、七項目にわたる被害対策を講ずるよう申し入れをしたところであります。  さらに、九月二十八日、二十九日の両日、最も深刻な被害をこうむっているとされた宮城県下の角田市を初めとする一市四町及び岩手県雫石町、金ケ崎町の被害状況を精力的に視察いたしました。現地はまことに惨たんたる状況でありました。障害不稔のため実が入らず、穂が直立するばかりの水田を目の前にして、ある専業農家は、三十年農業をやっているがこんなことは初めてだ、これでは刈り取り、乾燥の経費も賄えないと悲痛な声で訴えかけていたのであります。  また、被害稲作のみならず、他の農作物にも及んでおります。被害額は、例えば党調査団が視察した宮城県丸森町では、水稲被害率五五%、その額約十三億八千万円、その他の農作物と合わせると十九億五千万円に上っていると言われています。宮城県下全体では、九月二十六日現在、水稲で四百四十四億円、その他農作物で六十三億円、合計五百七億円の被害額と報告をされております。一方、岩手県では、九月三十日現在、被害額は百四十二億円と報告されておりますが、異常気象は依然として続いており、今後の調査によってはさらに被害は広がることも予想されているのであります。冷害地の農家の皆様の不安はいかばかりかと胸が痛みます。  そこで、関係大臣に端的にお尋ねをいたします。  まず初めに、総理にお尋ねします。  政府は、この異常気象による災害に対し、これまで東北関東農政局対策本部を通じて対応し、昨日、やっと農林水産省本省災害対策本部設置されました。遅きに失する感があります。最近にない今回の大きな冷害をつぶさに把握し、政府規模で的確な指導措置を講ずるためにも当然のことと思いますが、この本部設置によって今後の対応はどのように変わっていくのでしょうか。  あわせて、被災地域から特に強く求められている天災融資法及び激甚災害法発動時期も含めて、今回の冷害に対する認識と対策について基本的な考え方を承りたいと思います。  次に、農林水産大臣にお尋ねをいたします。  今回の冷害によって、農家の中には農業所得が大幅に減少し、営農はおろか、生活資金にも事欠くところが出ております。農水省としては、自作農維持資金災害融資枠の拡大と限度額の引き上げ、また、既往の制度資金に対する償還猶予期限延長利子減免措置等に尽力するべきと考えますが、先ほど来御答弁がありましたが、実行を望みます。  さらに、農業共済の適切な損害評価共済金早期支払いの実現、これもしっかりお願いしたいところでございます。  また、被災地域では、規格外米及び等外米の政府買い入れ、また来年度用の優良種子確保に対する助成について切なる要望がありますが、具体的にどのように対応なされますか。  また、自治体では、異常気象によって病害虫が多発し、これらの防除に多額の経費を要している実情から、病害虫防除対策費に対する助成措置を講じていく必要があると考えますが、いかがですか。  さらに、来年度の転作面積及び米需給均衡化対策の緊急対策配分数量を見直すおつもりがおありでございましょうか。  なお、今回の冷害は消費地の野菜市場へも多大な影響を及ぼし、主要野菜は軒並み値上がりをしております。また、この時期の農作業としての野菜の種まき、定植等のおくれは今後の市場にもさらに影響するものと思いますが、消費地についての対策もお願いいたします。  次に、大蔵大臣にお尋ねをいたします。  被災農家の負担軽減を図るため、所得税等の減免措置を講ずるべきではないかと思います。お伺いします。  また、冷害に関する農業関係資金対策や、冷害対策のために不足する財政措置としての地方公共団体の起債枠の拡大等についても、十分な理解と協力をお願いするものであります。この点は総理から御答弁を願います。  運輸大臣にお尋ねをいたします。  アメリカの干ばつ、バングラデシュ等での大洪水など、ことしも世界の国々が異常気象に悩まされていますが、この地球的規模で発生する異常気象の予知及び原因の究明等については、世界各国との情報交換やその分析など共同研究を一層強力に推進する必要があるのではないかと考えますが、大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。  政府におかれましては、被害農家が今後とも営農に意欲が持てるよう、きめ細かな最善の努力をされることを強く要望するものであります。  ところで、この農家生産意欲を著しく減退させるものに、現在アメリカのRMAによる再提訴に端を発している米の輸入自由化問題があります。  そこで、この際政府の見解をただしておきたいのでありますが、先ごろ、パキスタンのイスラマバードで開かれたガットのウルグアイ・ラウンドの非公式の閣僚会議において、宇野外相の代理として出席された浜田外務次官は、基礎的食糧について話し合う際は、市場アクセスの問題についての議論を回避するものではない。ケアンズ提案の検討を含めてジュネーブでの交渉に臨むという発言をされた旨、三日、マスコミの報道がありました。  この発言が事実であるとするならば、この場合における基礎食糧とは米を意味するものであり、この米の市場アクセスとか一定の市場開放を図ることを内容とするケアンズ提案についても検討する用意がある旨の発言は、制限つきとはいえ、米の輸入自由化に一歩踏み出したことにはなりませんか。それは、昭和五十九年に米の完全自給方針を堅持する旨をうたった本院における決議と、その決議を再確認し今後のアメリカ国内からの我が国に対する自由化要求は認められない旨をうたった去る九月二十一日の本院における決議趣旨に反するものと言わなければなりません。この発言に関し、外務大臣と農林水産大臣の見解を求めるものであります。  また、事の重大性にかんがみ、この浜田外務次官の発言とアメリカ国内からの米の市場開放要求について、竹下総理は現在どのような御見解をお持ちなのか、明確な御答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  29. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず最初に、今般の異常気象による農作物被害について、農林水産省災害対策本部をきのう設置した、これは遅きに失した感を持つ、こういう前提のお話がございました。  お説にありましたとおり、各地域ごとの農政局において対応しておりましたが、今度は本部を農林水産省本省に置くと。しかし、これが効果を上げますためには、当然のことといたしまして、農林水産省中心になりながら、関係各省、各機関が十分に連絡をとることが必要であります。被害状況把握災害対策実施等に対してそういう精神のもとで万全を期してまいりたいと、このよう考えております。  次には、まさに御指摘がありましたように、異常気象によります今次の農作物等の被害は深刻そ のものであります。したがって、天災融資法及び激甚災害法発動を初めといたします諸対策については、被害状況を踏まえながら適切に対応すべきことは当然のことであります。  さらに、私に対する御指名がございました起債枠の問題でございます。  これは、当該団体の、地方自治団体財政運営上著しい支障が生じませんように、今後とも地方債の運用については弾力的に対応してまいる、これは申すまでもないことであります。  最後に、米の自由化問題について御言及になりました。  米は国民の主食であります。そして、まさにお説のとおり我が国農業基幹作物であります。地域経済や特に国土、自然環境の保全上重要な役割を果たしておるものと認識いたしております。今も御指摘がありましたように、国会における決議等の趣旨を体して、生産性向上を図りながら国内産で自給するという基本的な方針で対処してまいる考え方であります。  米の貿易問題につきましては、ウルグアイ・ラウンドにおいて各国の農業問題、制度について議論を行う段階において討議することが適切であると思料しております。  今般のRMAの提訴は、従来の経緯にかんがみまして、米国政府が速やかに却下することを私は強く期待しておるところであります。  具体的な問題については、御指名になりましたそれぞれの閣僚からお答えをいたします。(拍手)    〔国務大臣佐藤隆登壇拍手
  30. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 刈田議員の御質問お答え申し上げます。  ただいま総理からも答弁がございましたので、できるだけ重複を避けてと思っております。  昨日、災害対策本部設置いたしまして、いわゆる看板をかけました。看板をかけたのが遅過ぎるではないかという御指摘は甘んじて受けます。きのうよりもおとといの方がよかったと思っております。しかし、その内容、対応につきましては、決して従来の姿勢に劣るものではないと自負をしながら、真剣な対応を続けておるところでございます。  まず、自作農維持資金についてでありますが、このことにつきましては、資金需要等を見きわめた上、適切に対処してまいりたいと思っております。  次に、制度資金償還条件緩和等についてでございますが、既貸付制度資金については、それぞれの目的に即して既に低利に設定されており、その利子をさらに減免することは困難であると考えております。しかし、償還期限延長等の貸付条件の緩和措置については、これを行うよう関係方面に対し既に指示をいたしたところでございまして、この趣旨の徹底がさらに図られるよう十分指導してまいりたいと考えております。  農業共済金早期支払いについてでございますが、悉皆調査等によってその被害実態調査農業共済団体等がやっておるわけでございますけれども、被害を受けた水稲等損害評価を迅速的確に行い、共済金等の支払い早期に行うよう農業共済団体等指導しているところでございます。  また、災害によって発生する規格外米政府特例的に買い入れることについては、現下の過剰基調のもとでは困難と考えており、このよう規格外米につきましては、今後、集荷団体とも協議の上、自主流通米としての流通の道を開くことについて真剣に検討してまいる所存でございます。  来年度用の優良種子確保に対する助成についてでございますが、来年度種子必要量確保については、我が省といたしましても、地方農政局、県、団体との十分な連携のもとに万全を期してまいりたいと考えております。  なお、種子購入費に対する助成については、近年、農家種子利用の大部分が購入種子に依存する状況となっており、種子代も稲作経営費の一部として恒常化しておる事情等もあり、特別な助成をするのは困難であると考えております。したがって、その経費につきましては、営農資金に困っている農家に対する資金手当ての面で対応することが必要ではないかと考えております。  病害虫防除対策費につきましても、発生予報等の経費については都道府県に助成しているところでございます。  病害虫防除は栽培管理の一環として一般化していること等により、その経費に対する国の助成には困難が大きいと考えております。したがって、その経費につきましては、営農資金に困っている農家に対する資金手当ての面で対応していく。  次に、米需給均衡化のための対策についてでございますが、六十四年度の米需給均衡化のための対策については、今後の作柄推移等を見きわめる必要がありますが、米の持ち越し在庫が高い水準となっていること、消費の減退傾向が強まっていること等厳しい需給事情にもありますので、三たびの過剰を回避する観点から、生産者生産者団体と行政が一体となって検討、推進していく必要があると考えております。  さらに、冷害に伴う野菜の安定供給対策についてお尋ねがございました。  本年七月から九月にかけての野菜価格の高騰は、冷害など天候不順によるところが大きいわけでございます。このため栽培管理の技術指導、早取り出荷の励行、規格外品の出荷指導に加えて、前倒し出荷奨励事業等を行ってきたところでありまして、最近では卸売価格はやや落ちつく気配を見せておるわけでございます。今後とも、野菜の生育状況に応じて、引き続きこれらの諸対策を推進してまいりたいと考えておりますが、生産対策だけではなくて、流通、消費についても、当然のことながら万全を期してまいりたいと思っております。  最後に、いわゆる浜田発言についてのお話がございました。  今総理から御答弁がございましたが、私は、浜田外務政務次官の発言は、当省とも調整の上、米はウルグアイ・ラウンドで論議をするという我が国政府の従来の立場を述べたものであると理解をいたしております。閣内不統一はない、こう考えておりますし、当院における御決議もそんたくをしながら万全を期すという所信も申し述べたところでございます。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  31. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 被災農家に対する所得税の課税につきましては、先ほどから御答弁を申し上げておりますが、現実に現地を調査させていただきまして、なお関係団体からも十分作柄についての御意見も伺いまして、慎重に対処をいたすつもりでございます。  それから、災害によりまして今年分の所得が昨年分の所得よりも減少をするという向きに対しましては、予定納税減額の道がございますので、その際には減額承認申請書を提出していただきたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣石原慎太郎登壇拍手
  32. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 御指摘のように、地球的規模の異常気象の予知や原因の究明には国際協力が不可欠でございます。このために世界気象機関などが中心になって、世界気候研究計画を初め種々の国際的プロジェクトを推進しておりまして、我が国も従来これらに参加して重要な役割を果たしております。今後ともなお一層積極的に国際共同研究を推進してまいりたいと思っております。(拍手)    〔国務大臣宇野宗佑君登壇拍手
  33. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 浜田政務次官の発言に関しましては、既に総理及び農水大臣からも御答弁がございましたが、重複を避けまして、私からも御答弁を申し上げたいと思います。  イスラマバードにおける発言は、従来の我が国の立場で発言をいたしております。特に、基礎的食糧について我が国考え方を申し述べておりま す。申すまでもなく、基礎的食糧に関しましては、長期的な安定の確保が必要である、そのためには格段の配慮が必要である、こうした点を強調いたしておるわけでございます。そうした議論をいたしましょうと、そうした議論の中に市場アクセスも出てまいることでございましょうが、その市場アクセスにつきましても議論することを回避するものではありません、こういうふうに言っておるわけでございます。御理解を賜りたいと思います。  なおかつ、もう一件、ケアンズ・グループのお話もございましたが、率直に申し上げまして、中間レビューに向かいまして各国がいろいろ農業提案をいたしております。二つの大きな流れとして、アメリカとそしてECの間にはなかなか意見が一致しないという面もございます。したがいまして、そうした提案等々を踏まえまして、何か妥協点はないかと思って出されておるのがケアンズ・グループの提案でございます。これも御承知賜っておるところだろうと思います。  そうしたことで、世界的にも注目を浴びておる提案でございまして、一度参加各国がこれを検討ようということになりましたから、そうしたことを踏まえまして、他の同種の提案と一緒に我が国検討しましょうということを申し上げたのであると、かように御理解をお願いいたします。  以上であります。(拍手)     ─────────────
  34. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 下田京子君。    〔下田京子君登壇拍手
  35. 下田京子

    ○下田京子君 私は、日本共産党を代表して、冷害問題並びに農業政策の基本について質問します。  質問に先立ち、被災農家の皆さんに心からお見舞い申し上げます。  総理、まず申し上げたいことは、農業政策の基本は、国民食糧の安定供給と農民の経営と暮らしを守り、その向上に努めることだと思います。ところがどうでしょうか。世界に例を見ない食糧自給率の低下、国民の胃袋を全面的に外国に依存する輸入自由化政策で、国内農業の存在そのものが危なくなっております。それに追い打ちをかけているのがことしの宮城、福島など東北地方中心とする冷害です。  私は、福島県下各地の実態調査に入り、その余りのひどさに驚いています。政府米二百俵を契約しているが、三十俵とれるかどうか、学校給食費はどうしようか、国保税はとても払えない、借金はどうしたらよいかなど、深刻な状況が次々に出されています。事態は重大です。一九八〇年、八三年の冷害で借金がまだ残っているのにことしの大冷害。土地改良費も払えず離農する農家が既に出ています。従来の延長にとどまらない抜本的救済対策が必要です。総理の基本的な御認識をお聞かせください。  既に我が党は緊急対策農林水産大臣に申し入れ、また同僚議員からも指摘されておりますが、以下五点について特に明確な答弁を求めます。  第一に、天災融資法激甚災害法発動を直ちに行い、必要な資金対策をとるべきです。また、農業共済金早期支払いはもちろん、損害評価に当たっては、収穫後の実績に基づき損害評価特例の適用を図るべきです。  第二は、お米の買い入れ問題です。政府は、お米の過剰を理由に、被害に遭ったお米、つまり規格外米を買い入れの対象にしない、また、自主流通米のルートで販売する場合に、一俵六十キログラム当たりわずか七十八円の補助をつけるという方向で検討していると聞いています。しかし、規格外米、等外米といえども全量買い上げることは食糧管理法上政府の当然の責務と考えますが、いかがですか。  第三に、さらに問題なのが加工原料用のお米、すなわち他用途利用米取り扱いです。冷害主食用のお米を契約数量分も出荷できない農家に、主食用と同じ品質の他用途利用米を一俵九千六百六十円という主食用の半値近い価格で無理やり出荷させるのは全く理不尽です。食糧庁長官通達でも、作柄の変動等やむを得ない事情がある場合、他用途利用米の予約取り消しが可能とされています。この異常冷害時です。当然、他用途利用米の無理な出荷はやめさせるべきです。  第四に、お米以外の農作物、野菜、果樹、加工トマト、葉たばこの災害についても救済対策が必要です。特に葉たばこ災害の認定に当たっては公正を期すよう日本たばこ産業株式会社を指導されたいと思います。  第五に、被災農家の国保税、地方税所得税などの減免についてです。特に、国保税は国の補助率引き下げ等によって負担額が大幅にふえています。過去の例に倣って速やかに減免を図るよう指導を行うべきと考えます。  以上、明確な答弁を求めます。  次に指摘したい点は、過去の冷害の教訓をどう生かすかという問題です。  東北地方冷害対策といえば昔からやませ対策と言われてきましたが、以下三点についてお聞きします。  一つは、農業気象観測の予算をふやし、冷害対策に役立つデータがとれるよう農業気象担当の専門官を東北に配置するなど、観測体制の充実強化を要求いたします。  二つ目に、冷害に強く味もよく収量も多い品種の育成や、新しい冷害対策技術の開発をさらに進めることです。  三つ目には、それでも、やっぱりお天気勝負の農業生産です。売らんがための無理なお米づくりが被害を大きくしていることも見落とせません。こういう状態を解決するためには、米価引き下げ、減反面積の拡大と規模拡大一辺倒の農業政策を改めることです。答弁を求めます。  さらに指摘しなければならないのは、転作条件の整備の柱でもある土地改良事業などの農民負担が耐えがたいものになっていることです。例えば、国営農地開発事業、福島県雄国山麓総合農地開発では、農家の年償還額が水田で何と十アール当たり五万三千五百五十円と試算されています。ことしのよう冷害年でなくとも到底返済不能な負担です。  また、外国の二、三倍も高い農業生産資材を買わされているために、お米の生産コストのうち肥料、農薬、農業機械の三部門だけで第一次生産費の半分近くを占めています。  総理、こうした実態にメスを入れ、抜本的な対策こそ必要と思いますが、答弁を求めます。  今、冷害に苦しんでいる農家をさらに絶望のふちに追いやろうとしているのがお米の自由化問題です。  経済同友会は去る三日、お米の生産流通について、五年以内に、生産コストを現在の半分にする、政府買い入れ米を備蓄用の百万トンにする、現在約三百五十万戸に上る米作農家を十万戸にするなど、自由化を前提とする提言を出しました。とんでもありません。総理はこれらについてどのようにお考えですか、お答えください。  また、この間の日米交渉で、ヤイター通商部代表が日本に三十万トンの米輸入を要請したと伝えられていますが、そういう事実があったのかどうか。これは、輸入枠の設定や拡大に通じ、お米の自由化に道を開くものではないかと心配です。お米は日本国民の主食です。お米の輸入自由化はもちろん、輸入アクセスの改善などと称して事実上お米の輸入に道を開く譲歩を一切行わないことを改めて強く要求いたします。  さらに、「おいしいアメリカ」をキャッチフレーズに日本全国を回っているアメリカン・トレインのねらいが、自由化が決定されたばかりの果樹や牛肉・オレンジなどアメリカ農産物の輸出促進にあること、また、その焦点を児童生徒に置き、学校動員までかけるなどしていることは重大です。  戦後間もなく、米を食べれば頭が悪くなるなどという宣伝とともに日本全国を走り回り、アメリ カ小麦の対日売り込みに大きな力を発揮したキッチンカーを思い起こさせるものです。これを農水省や外務省、文部省などが後援し、竹下総理も歓迎の談話を寄せているのは、アメリカの言いなりで、農民を足げにするようなことではありませんか。お答えください。  また、安全な食糧は日本の大地からとの国民的要求が高まる中、米国産トウモロコシから発がん物質であるアフラトキシンが検出されたことについて、総理はどのよう考えておられますか。お聞かせください。  最後に、竹下内閣が国民の求めるリクルート疑惑解明をあいまいにし、生産と消費のすべてに税をかけて、営農農民の暮らしを一層窮地に追い込む公約違反の消費税を強行することは断じて許すことができません。我が党は、国民の食糧と健康を守り、日本農業を守るために全力を挙げることを決意し、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  36. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、冷害に対する基本認識のお尋ねがありました。  この被災農家の方に御見舞いをまず申し上げます。  政府としては、実情に応じて万全の対策を講ずる、これは当然のことでありますが、そのときに、お触れになりました我が国農政の基本的な方向に沿って行うべきことは言うをまちません。  次に、具体的問題として葉たばこ災害の問題にお触れになりました。  葉たばこの災害援助につきましては、日本たばこ産業株式会社とたばこ耕作者との間の葉たばこの売買契約において取り決められておるところであります。したがって、政府としては、日本たばこ産業株式会社におかれて、この契約に基づいて、ここのところは大事なところでございますが、耕作者の立ち会いのもとで被害程度の確認等が適正に行われるものと考えております。  なお、この国保税あるいは地方税全体、そしてまた異常気象等に係る所得税等に対する対応ということにつきましては、私どもは万全を期してまいりたい、このように思っておるところであります。  それから土地改良の負担が重過ぎるという御指摘がありました。  この負担金問題が農業情勢の中での重要な問題となっておることは私も承知しております。このため、経済的工法の工夫でございますとか、あるいは工期の短縮でございますとか、そうした事業費の節減に努めますとともに、計画償還制度、償還円滑化特別対策事業等の活用によりまして償還の円滑化を図ってまいる所存であります。  また、農業生産資材にもお触れになりました。  これは、円高等を反映いたしましてこれまでも引き下げられているところでありますが、今後とも関係団体、業界への指導に努めていく考え方でございます。  それから経済同友会の提言という問題にお触れになりました。  米問題についていろいろな御意見があることは私も承知しております。現在、農業関係者農業構造改革に向けて懸命に取り組んでおる。こうした努力に対する国民各界各層の御理解と御支援を心から期待しておるという立場でございます。  ヤイター発言にお触れになりました。  米問題についての三十万トン云々といいます話については、事実は私は承知しておりません。  何回も申し上げますように、おっしゃるとおり米は国民の主食であり、かつ我が国農業基幹作物であります。このような米の重要性にかんがみ、国会におけるところの決議等の趣旨を体して、生産性向上を図りながら国内産で自給するという基本的な方向で対処してまいる所存であります。  それからアメリカン・トレインのお話がございました。  これは、アメリカ及び米国製品を日本に広く知らしめ両国の理解を深めることを目的として、民間の発意で行われているものであります。日米各界の幅広い支援が寄せられておる事業であると承知しております。政府としては、日米親善及び日米貿易の拡大に資するという観点から後援を行っておるところでございます。  それからアフラトキシンの汚染問題にお触れになりました。  発がん性のある有害物質が付着した食品が輸入されませんように、従来から万全の措置を講じてきておるところであります。御質問のアフラトキシン付着のトウモロコシにつきましても、それが輸入されることがないよう検疫所において万全の措置が講ぜられておる、このように承知いたしておるところでございます。(拍手)    〔国務大臣佐藤隆登壇拍手
  37. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 下田議員の御質問お答え申し上げます。  まず、天災融資法発動については、しばしば御答弁いたしてまいりましたが、目下被害実情把握に努めているところであり、被害状況を十分に踏まえ、関係省庁とも協議しつつ早急に対処してまいる考えであります。  農業共済金早期支払い、このことについても従来たび重ねて答弁をしてきたところでございます。実態調査しておるところでございますが、さらに団体指導してまいりたいと。  損害評価特例措置につきましては、被害実態を見ながら適切に対処してまいりたいと考えております。  規格外米の買い上げにつきましては、災害により発生する規格外米政府特例的に買い入れることについては、現下の過剰基調のもとでは困難と考えており、このよう規格外米につきましては、今後、集荷団体とも協議の上、自主流通米としての流通の道を開くことについて検討してまいる所存でございます。  次に、他用途利用米主食転用についてでございますが、災害により他用途利用米契約数量の出荷が困難となった場合には、いわゆる作況調整により契約数量の変更を行う道を開いておることは御存じのとおりでございます。これを超えて他用途利用米の出荷数量を減ずることにつきましては、契約を結んでいる実需者との関係制度本来の趣旨に照らして困難な問題があります。しかし、特別に被害が著しい農家に対しましては今後とも検討してまいる所存でございます。  次に、野菜、加工トマトについてもお触れになりました。  農業災害補償制度への追加についてでございますが、露地野菜については、一般に野菜の価格変動は大きく、災害による収量変動を共済事故とする本制度になじみにくいこと、また、作付の適期も長いことから災害があっても再作付が可能なものがある等、保険の手法を用いておる本制度で扱いにくい問題がございますので、引き続き調査研究をいたしたいと考えております。  加工用トマトにつきましては、近年の生産動向、農家の保険需要等、種々問題があることから、引き続き調査を行いたいと考えております。  次に、農業気象についてでありますが、農林水産省といたしましては、常時、気象庁と接触し、的確なる気象情報を要請し、提供を受けているところであります。  品種育成及び新技術開発のことでございますが、耐冷性品種の育成、寒冷地における農作物の安定栽培技術の確立に関する試験研究を重点的に実施してきており、これまでに良質で耐冷性の強い品種を育成し、普及に移しているところであります。  また、本年度、東北農業試験場に担当の部を設置し、やませに関する試験研究体制を強化したところであり、今後とも冷害対策に関する試験研究の充実に一層努めてまいる所存であります。  さらに、農政のあり方についても触れろということでございました。  これもしばしば委員会等を通じて申し上げてきたところでございますが、農業をめぐる厳しい状況に対処し、生産性が高く産業として自立し得る農業を確立し、国民の納得し得る価格での食糧の安定供給を目指し、農政審議会報告を基本としつつも、報告後の事態の推移を踏まえ、今後の基本的な政策のあり方について検討を行い、先般、「国際化への対応と農業・農山村の活性化のための政策の基本方向」を取りまとめたところでございます。今後は、この基本方向に即し、関係方面意見も聞きながら、農業の長期展望の確立、需要の動向に応じた米の計画的生産農業構造の改善、農山村地域の活性化等諸般の施策を充実し、守りだけではない、より積極的な農政を展開し、農業者が将来に希望を持ち、営農にいそしめるよう努めてまいる所存であります。  最後に、総理からもお答えになりましたが、アメリカン・トレインの話でございます。重複を避けて一言お答え申し上げます。  アメリカの言うとおりにはなっておりません。しかし、日米は友好国であります。国家主権を守っております。私の所管をしておることにつきましても、主張すべきは整々と議論をしているということを付言しておきます。(拍手)     ─────────────
  38. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 勝木健司君。    〔勝木健司君登壇拍手
  39. 勝木健司

    ○勝木健司君 私は、民社党・国民連合を代表し、ただいま政府より報告のありました低温等による農作物被害について竹下総理並びに佐藤農林水産大臣質問を行うものであります。  質問に先立ちまして、天皇陛下御不例の報は全国民深く憂慮するところであり、私たちもまた陛下の一日も早い御快癒を心からお祈りいたすものであります。  さて、我が国農業は、今、農産物需要の低迷、減反面積の拡大農業労働力の減少と高齢化、生産構造の脆弱化及び農産物の内外価格差、輸出競争の激化による輸入圧力の増大などによって、極めて厳しい状況に直面いたしております。  そのような中にあって、ことしの冷夏、日照不足等の異常気象農作物生育に甚大な被害を与えておりますことは、先ほどの政府報告にありましたとおりであります。特にことしは北関東東北地方中心昭和五十五年、五十八年以来の大冷害となっております。被害額も、宮城県の場合、九月二十六日現在で農作物全体で五百七億四千万円と非常に深刻であり、農家経済、地域経済に悪影響を与えることは必至となっております。  また、冷害の与える影響について、青森県立三沢商業高等学校の竹中教諭がおまとめになられました「昭和五十五年の青森県の冷夏・冷害の教材化」によりますと、昭和五十五年の青森県の場合、農作物被害額は九百四十七億円に上り、我が国の実質経済成長率が五%増であったのに対し、二%増と非常に厳しい経済環境に立たされました。その結果、倒産件数は二百一件と史上最高を記録いたしております。  あわせて、同報告書は「被害を受けた農家の方は大変でした。食べる米がありません。次の年、植える「種もみ」がありません。農機具を買おうとしてもお金がありません。」とあり、続いて「冷夏・冷害は子供の心も傷つけました。被災農家の児童生徒はもちろんですが、稲作を実習している農業高校生、学校田を耕していた小中学生は、皆、無作の田を見てがっくり肩を落としました。」と述べています。冷害地域経済ばかりでなく、子供心にも悲しい傷跡を残すことがわかるのであります。  したがって私は、農家方々が半年もの間我が子のごとく慈しみ、辛苦を重ね育ててきたにもかかわらず、枯死寸前の稲や畑作物を見ますと、冷害にかかわる救済措置を講ずるのは政治として当然の責務であると考えます。  そこで、先ほどの政府報告でも一部ありましたが、農家への資金対策として天災融資法発動並びに激甚災害法の適用を行い、融資限度額の引き上げ、融資条件の緩和を含め早期貸し付けができるようにすべきであります。また、その間のつなぎ融資が借り受けられるよう配慮すべきであります。  地元の要望の強い農業災害補償法に基づく共済制度については、被災者に対する共済金早期支払い実施すべきであり、同時に、あわせて損害評価特例措置についても実施すべきであります。  そのほか、営農活動、生活に支障のないように十分配慮すべきであります。  また、救農土木事業として、災害復旧事業予算の増額、事業の早期着工による雇用拡大措置を講ずべきであります。  等外米及び規格外米政府買い入れを行うべきであり、水田農業確立対策による減反面積の配分について、被災地に対し配慮を行うべきであります。  そして、恒久対策として冷害回避技術を確立すべきであると考えますが、以上の七つの項目に対し佐藤農林水産大臣の明確なる見解をお伺いいたします。  次に、米を初めとする政府の農産物外交についてお伺いいたします。  難行を続けた日米牛肉・オレンジ交渉がトロント・サミットと時を同じくして六月二十日妥結し、本年二月の農産物十二品目のガット裁定受諾に引き続き輸入自由化政府は決定しましたが、私は、牛肉・オレンジの輸入自由化の経緯及びこれまでの政府のとってきた農産物貿易に対する政府の外交姿勢の歴史に対し、疑念を感じるものであります。  そこで、お伺いいたしますが、現在RMAが日本の米市場開放を求めてUSTRに再提訴しております。それに伴い、自民党三百八十五議員が提訴の却下を求めレーガン大統領に書簡を送ったそうでありますが、しかし、政府の米市場開放に対する姿勢に対し、今までの政府の外交姿勢の経緯から多くの農家方々が不安を感じております。改めて竹下総理に米市場開放に対する見解をお伺いいたします。  今までのように内と外とを、特にアメリカ向けと生産農家向けとを使い分ける政府の農産物外交は、生産農家に不安を与えるばかりでなく、日本農業の健全な発展を阻害するのではないでしょうか。したがって政府は、内と外とを使い分けるような理念なき場当たり農政は早急に取りやめ、産業として希望の持てる農業を構築していかなければならないのではないかと思います。  先般四月に発表されました六十二年度の農業白書を見てみますと、続く円高や、厳しさを増す国際農産物交渉の中で生きる国際化時代の日本農業として生き残るために、コストの低減化、高付加価値化、地域の活性化などの提案がなされております。  もちろん農家方々の立場を十分に配慮することは言うまでもありませんが、一方、より豊かでゆとりのある社会を築くためには、やはり消費者としての立場をも配慮した政策を打たねばなりません。そのためには、生産者、消費者双方の合意及び国際協調を同時に充足させる農政の長期ビジョンなるものを国民に提示し、コンセンサスを得ていく必要が今こそあるだろうというふうに思います。  現下の日本農業の危機を打開する道は、農家の前で詭弁を弄することではありません。輸入自由化は断固阻止する、産業として自立し得る農業を確立する、国土保全、公益的機能のためにも農業は必要などと述べているにもかかわらず、穀物自給率の低減を見ただけでもわかりますように、日本農業はマクロ的に見れば縮小傾向にあることは厳然たる事実であり、政府の施策に対し農家が不 安を感じるのは至極当然のことであります。  今後とも政府が従来のような言ってみれば二枚舌外交なり二枚舌農政というものを継続するならば、農家の農政不信を助長するばかりでなく、第一次産業から第三次産業のバランスある発展を阻害し、ひいては国益をも損なう結果を招来することは明白なる事実であります。  陽明学に「人生の大病はただこれ一の傲の字なり」とあります。つまり、政府・自民党は議席の圧倒的多数に安心し「傲」による外交姿勢を行い、このよう農家の農政不信を、ひいては国民の政治不信を拡大しているのではないでしょうか。農家はもちろん国民は、政府に言葉とたがわぬ真摯な農産物外交及び農政を求めているのであります。  以上、竹下総理の御見解をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  40. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、質問に入る前に天皇陛下の御病気の御快癒を祈る旨の御発言がございました。私も同じ気持ちであります。  さて、まずお尋ねの問題としては、米の自由化問題であります。  御説にもありましたように、米は国民の主食であります。かつ我が国農業基幹作物であります。と同時に、国土保全、自然環境の保全の重要な役割を果たしておる、これが基本的な認識であると思います。このような米の重要性にかんがみまして、両院においてそれぞれ国会決議等が行われております。この趣旨を体し、そして生産性向上を図りながら、国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいる所存であります。  米の貿易問題につきましては、ウルグアイ・ラウンドにおいて各国の農業問題、制度についての議論を行う段階において討議することが適切であると思料しております。  今般の米国精米業者協会、RMAの提訴は、従来の経緯にかんがみまして、米国政府が速やかに却下することを期待いたしておるところであります。  さて、農政の長期ビジョン、そしてまたいわゆる農政外交の姿勢について御鞭撻をいただきました。  確かに、農政の長期ビジョンというものが議論されて大変な時間もたっておりますが、私は、一昨年暮れに提出されました農政審議会の答申、これをまず基礎に置くべきものではなかろうかというふうに考えておるところであります。したがって、御説にもありました消費者、国際化、そうした問題も十分に考えながら、そして農業者が意欲的かつ主体的に経営改善に取り組めるように、長期的な観点からコスト低減等の目標となる地域ごとの技術、経営の指標を作成していこう、こういう考え方を今持っておるわけであります。今後とも、国際化への対応と農業、農山村の活性化を図りますための施策を一層強力に進めてまいる決意であります。  以上で私のお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤隆登壇拍手
  41. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 勝木議員の御質問お答え申し上げます。  まず、天災融資法発動等につきましては、目下被害実情把握に努めているところであり、被害状況を十分踏まえ、関係省庁とも協議しつつ早急に対処してまいりたいと考えております。  農業共済金早期支払いにつきましても、しばしばお答えしてまいりましたが、その実態に即して、特に被害を受けた水稲等損害評価を迅速的確に行い、共済金支払い早期に行うよう農業共済団体等指導しているところであります。  また、損害評価特例措置については、被害実態を見ながら適切に対処してまいりたいと考えております。  制度資金償還条件緩和にも触れられたわけでございますが、既貸付制度資金償還条件緩和については、十分に指導してまいったところでございますが、さらにさらに徹底するよう努力をしてまいりたい、こう思っておるところでございます。  救農土木というお言葉もあったわけでございますが、被災地域における農業基盤整備事業の実施という観点から、農村地域の活性化を図る雇用、不況対策としての効果をも有しておるこの事業につきましては、既にその実施段階にありますが、その執行に当たっては、被害実態、地元における就業の希望等を勘案の上、地元雇用の確保等にできるだけの配慮をしてまいりたいと考えております。  次に、規格外米の買い上げについてでございますが、集荷団体とも協議の上、特に自主流通米としての流通の道を開くことについて十分検討をしてまいる所存でございます。  転作等目標面積の配分にかかわることについてもお尋ねがございましたが、六十四年度の転作等目標面積については、米の需給動向、全国水稲作柄の推移水田農業確立対策等の実施状況等を踏まえ検討することといたしております。この場合、米の持ち越し在庫が高い水準となっていること、消費の減退傾向が強まっていること等厳しい需給事情もあるので、三たびの過剰を回避する観点から、生産者生産者団体と行政が一体となって検討、推進していく必要があると考えております。  試験研究の充実についても触れられました。  良質で耐冷性の強い品種を育成し、普及に移しているところでございますが、特にまた、本年度は、東北農業試験場に担当の部を設置して、やませに関する試験研究体制も強化したところでございます。今後とも冷害対策に関する試験研究の充実に一層努めてまいる所存でございます。  総理からもお答えがございましたが、場当たり農政ではないようにという厳しい御指摘もございました。激励と心得ております。  国際的には、孤立をせず、そして我が国の主張、考え方を整々とやってまいるということであり、国内では、生産対策だけではなくて、流通、消費の面にわたっても心しているところであり、さらに心がけてまいりたいと、こう思っております。  そういう観点から、従来の農政審報告、これを基本としながらも、私が就任以来いろいろ自由化問題等国際化の具体的な問題についてあるわけでございまして、私は、「国際化への対応と農業・農山村の活性化のための政策の基本方向」というものを長期的な視点に立って先月まとめ上げたところでございまして、さらにこれに肉づけをしてまいらなければならぬと、かよう心得ておるところでございます。  以上でございます。(拍手
  42. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これにて質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十分散会