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1988-08-25 第113回国会 衆議院 決算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和六十三年七月十九日)(火曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次のと おりである。    委員長 野中 英二君    理事 魚住 汎英君 理事 近藤 元次君    理事 杉山 憲夫君 理事 鈴木 宗男君    理事 谷津 義男君 理事 渡部 行雄君    理事 草川 昭三君 理事 小沢 貞孝君       天野 光晴君    岡島 正之君       金丸  信君    林  大幹君       古屋  亨君    松野 頼三君       渡辺美智雄君    小川 国彦君       渋沢 利久君    新村 勝雄君       小川新一郎君    古川 雅司君       大矢 卓史君    野間 友一君 ────────────────────── 昭和六十三年八月二十五日(木曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 野中 英二君    理事 魚住 汎英君 理事 衛藤征士郎君    理事 杉山 憲夫君 理事 鈴木 宗男君    理事 谷津 義男君 理事 渡部 行雄君    理事 草川 昭三君       岡島 正之君    古屋  亨君       新村 勝雄君    小川新一郎君       古川 雅司君    大矢 卓史君       野間 友一君    山原健二郎君  出席国務大臣         文 部 大 臣 中島源太郎君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      伊藤宗一郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     見学 信敬君         科学技術庁科学         技術政策局長  石塚  貢君         科学技術庁科学         技術振興局長  緒方謙二郎君         科学技術庁研究         開発局長    吉村 晴光君         科学技術庁原子         力局長     平野 拓也君         科学技術庁原子         力安全局長   村上 健一君         法務省刑事局長 根來 泰周君         大蔵大臣官房審         議官      松野 允彦君         大蔵省銀行局保         険部長     赤倉 啓之君         文部大臣官房長 加戸 守行君         文部大臣官房総         務審議官    菱村 幸彦君         文部省生涯学習         局長      齋藤 諦淳君         文部省初等中等         教育局長    古村 澄一君         文部省教育助成         局長      倉地 克次君         文部省高等教育         局長      國分 正明君         文部省高等教育         局私学部長   野崎  弘君         文部省学術国際         局長      川村 恒明君         文部省体育局長 坂元 弘直君         文化庁次長   横瀬 庄次君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    下野 省三君         総理府賞勲局総         務課長     平野 治生君         公正取引委員会         事務局審査部第         一審査長    佐藤 一雄君         科学技術庁長官         官房会計課長  石田 寛人君         大蔵省主計局司         計課長     緒方 信一君         国税庁直税部資         産税課長    宇都宮康雄君         文部大臣官房会         計課長     吉田  茂君         通商産業省立地         公害局鉱山課長 横山  茂君         運輸省航空局飛         行場部関西国際         空港課長    相原  力君         会計検査院事務         総局第二局長  志田 和也君         参  考  人         (日本科学技術         情報センター理         事長)     下邨 昭三君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事)      福原 元一君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団環         境資源部付部         長)      福岡 勇雄君         決算委員会調査         室長      加藤  司君     ───────────── 委員異動 八月四日  辞任         補欠選任   近藤 元次君     衛藤征士郎君   野間 友一君     金子 満広君 同月九日  辞任         補欠選任   金子 満広君     野間 友一君 同月二十五日  辞任         補欠選任   野間 友一君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     野間 友一君 同日  理事近藤元次君同月四日委員辞任につき、その  補欠として衛藤征士郎君が理事に当選した。     ───────────── 七月十九日  昭和六十年度一般会計歳入歳出決算  昭和六十年度特別会計歳入歳出決算  昭和六十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和六十年度政府関係機関決算書  昭和六十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和六十年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和六十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和六十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和六十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和六十一年度政府関係機関決算書  昭和六十一年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和六十一年度国有財産無償貸付状況計算書 は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  昭和六十年度一般会計歳入歳出決算  昭和六十年度特別会計歳入歳出決算  昭和六十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和六十年度政府関係機関決算書  昭和六十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和六十年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管科学技術庁)、文部省所管〕      ────◇─────
  2. 野中英二

    野中委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野中英二

    野中委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事衛藤征士郎君を指名いたします。      ────◇─────
  4. 野中英二

    野中委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、決算の適正を期するため  一、歳入歳出の実況に関する事項  二、国有財産増減及び現況に関する事項  三、政府関係機関経理に関する事項  四、国が資本金を出資している法人の会計に関する事項  五、国又は公社が直接又は間接に補助金奨励金助成金等を交付し又は貸付金損失補償等財政援助を与えているものの会計に関する事項 以上の各事項につきまして、関係各方面からの説明聴取、小委員会の設置及び資料の要求等方法により、本会期調査を進めたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 野中英二

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ────◇─────
  6. 野中英二

    野中委員長 次に、昭和六十年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管科学技術庁及び文部省所管について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本科学技術情報センター理事長下邨昭三君及び動力炉・核燃料開発事業団理事福原元一君、環境資源部付部長福岡勇雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 野中英二

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  8. 野中英二

    野中委員長 次に、科学技術庁長官及び文部大臣概要説明会計検査院検査概要説明を求めるのでありますが、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 野中英二

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────    昭和六十年度科学技術庁決算に関する概要説明                  科学技術庁  科学技術庁昭和六十年度決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳出決算について申し上げます。  昭和六十年度の当初歳出予算額は三千二百九十五億二千八百六十三万円余でありましたが、これに予算補正追加額十億九千百二十八万円余予算補正修正減少額六十億三千三百五十一万円余、予算移替え増加額八千四十二万円余、予算移替え減少額四十三億九千百五十七万円余、前年度からの繰越額八億一千五百二十一万円余を増減いたしますと、昭和六十年度歳出予算現額は三千二百十億九千四十七万円余となります。この予算現額に対し、支出済歳出額三千百八十三億七千四百四十五万円余翌年度への繰越額十二億五千六百四十三万円余、不用額十四億五千九百五十八万円余となっております。  次に、支出済歳出額の主なる費途につきまして、その大略を御説明申し上げます。  第一に、原子力関係経費といたしまして一千七百三十六億三千三百八十一万円余を支出いたしました。これは、日本原子力研究所における原子力施設工学的安全研究核融合研究多目的高温ガス炉研究原子力船研究開発等原子力関連試験研究及び各種原子炉運転動力炉・核燃料開発事業団における高速増殖炉及び新型転換炉開発ウラン資源の探鉱、ウラン濃縮技術開発放射線医学総合研究所における放射線による障害防止及び放射線医学的利用に関する調査研究民間企業等に対する原子力に関する試験研究委託原子力安全行政強化等原子力平和利用促進を図るために支出したものであります。  第二に、宇宙開発関係経費といたしまして八百八十八億四千五百五十万円余を支出いたしました。これは、宇宙開発事業団における人工衛星及びロケット開発、打ち上げ及び追跡並びにこれらに必要な施設等整備航空宇宙技術研究所におけるロケット等に関する基礎的、先行的試験研究種子島周辺漁業対策事業助成等のために支出したものであります。  第三に、海洋開発関係経費といたしまして六十六億六千三百十五万円余を支出いたしました。これは、海洋科学技術センターにおける深海潜水調査研究潜水作業技術開発のほか、開係省庁の協力により実施した海洋遠隔探査技術開発研究等のために支出したものであります。  第四に、試験研究機関経費といたしまして、当庁の試験研究機関のうち航空宇宙技術研究所における短距離離着陸機研究開発を初め金属材料技術研究所国立防災科学技術センター及び無機材質研究所における各種試験研究及びこれに関連する研究施設整備等を行うための経費として百五十九億五千四百四十七万円余を支出いたしました。  第五に、科学技術会議の方針に沿って我が国の科学技術振興に必要な重要研究業務総合推進調整実施するための科学技術振興調整費、新技術開発事業団における流動研究システムによる創造科学技術推進事業等を行うための経費研究公務員等資質向上のための海外及び国内留学経費、理化学研究所及び日本科学技術情報センダー事業を行うための経費国際科学技術博覧会開催等のための経費として三百三十二億七千七百五十万円余を支出いたしました。  次に、電源開発促進対策特別会計のうち、科学技術庁所掌分歳出決算について申し上げます。  まず、電源立地勘定につきましては、昭和六十年度歳出予算現額は百六十四億六千八百七十万円余であります。この予算現額に対し、支出済歳出額九十四億七千六百八十三万円余、翌年度への繰越額二十二億四千三百六十九万円余、不用額四十七億四千八百十七万円余となっております。  支出済歳出額の主なる費途について申し上げますと、これは、電源立地促進を図るため、地方公共団体に対して交付する電源立地促進対策交付金及び電源立地特別交付金並びに原子力発電所等施設、設備の安全性を実証するための試験等を行うために支出したものであります。  次に、電源多様化勘定につきましては、昭和六十年度歳出予算現額は九百六十七億四千七百三十万円余であります。この予算現額に対し、支出済歳出額七百八十三億五百五十八万円余、翌年度への繰越額百七十二億八千八百五十二万円余、不用額十一億五千三百十九万円余となっております。  支出済歳出額の主なる費途について申し上げますと、これは、石油代替エネルギーの中核たる原子力に係る技術開発推進を図るため、動力炉・核燃料開発事業団における高速増殖炉原型炉建設新型転換炉原型炉運転使用済核燃料の再処理技術開発ウラン濃縮原型プラント建設等のための経費並びに原子炉解体技術開発委託等を行うために支出したものであります。  以上、簡単でありますが、昭和六十年度決算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほど、お願いいたします。     …………………………………    昭和六十年度決算科学技術庁についての検査概要に関する主管局長説明                  会計検査院  昭和六十年度科学技術庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────    昭和六十年度文部省所管決算概要説明                    文部省  昭和六十年度文部省所管一般会計及び国立学校特別会計決算概要を御説明申し上げます。  まず、文部省主管一般会計歳入につきましては、歳入予算額二十一億九千百九十四万円余に対しまして、収納済歳入額は三十九億二千四百五十九万円余であり、差し引き十七億三千二百六十五万円余の増加となっております。  次に、文部省所管一般会計歳出につきましては、歳出予算額四兆六千四百九十億九千四百四十六万円、前年度からの繰越額九十億五千八百四十一万円余を合わせた歳出予算現額四兆六千五百八十一億五千二百八十七万円余に対しまして、支出済歳出額は四兆六千二百六十五億三千五百八十九万円余であり、その差額は三百十六億一千六百九十八万円余となっております。  このうち、翌年度へ繰り越した額は六十三億七百九万円余で、不用額は二百五十三億九百八十八万円余であります。  支出済歳出額のうち主な事項は、義務教育費国庫負担金国立学校特別会計へ繰り入れ、科学技術振興費文教施設費教育振興助成費及び育英事業費であります。  次に、これらの事項概要を御説明申し上げます。  第一に、義務教育費国庫負担金支出済歳出額は二兆三千九百四十八億八千百万円であり、これは、公立義務教育学校教職員給与費等の二分の一を国が負担するために要した経費であります。  第二に、国立学校特別会計へ繰り入れの支出済歳出額は一兆七百五十億六千三百二十二万円余であり、これは、国立学校大学附属病院及び研究所管理運営等に必要な経費に充てるため、その財源の一部を一般会計から国立学校特別会計へ繰り入れるために要した経費であります。  第三に、科学技術振興費支出済歳出額は五百二十八億二千百四十五万円余であり、これは、科学研究費補助金日本学術振興会補助金文部本省所轄研究所及び文化庁研究所等に要した経費であります。  第四に、文教施設費支出済歳出額は三千八百七十八億一千三百九十五万円余であり、これは、公立小学校中学校特殊教育学校高等学校及び幼稚園の校舎等整備並びに公立学校施設等災害復旧に必要な経費の一部を国が負担又は補助するために要した経費であります。  第五に、教育振興助成費支出済歳出額は五千六百六十一億三千二百二十二万円余であり、これは、義務教育教科書費養護学校教育費国庫負担金学校教育振興費私立学校助成費社会教育助成費及び体育振興費に要した経費であります。  第六に、育英事業費支出済歳出額は八百三十五億二千四百十万円余であり、これは、日本育英会に対する奨学資金の原資の貸し付け、財政投融資資金の利子の補てん及び事務費の一部補助のために要した経費であります。  次に、翌年度繰越額六十三億七百九万円余についてでありますが、その主なものは、文教施設費で、事業実施不測日数を要したため、年度内支出を終わらなかったものであります。  次に、不用額二百五十三億九百八十八万円余についてでありますが、その主なものは、義務教育費国庫負担金を要することが少なかったこと等のため、不用となったものであります。  次に、文部省所管国立学校特別会計決算について御説明申し上げます。  国立学校特別会計収納済歳入額は一兆六千七百六十億九千五百九十八万円余、支出済歳出額は一兆六千百二十五億九千七百五十三万円余であり、差し引き六百三十四億九千八百四十四万円余の剰余が生じました。  この剰余金は、国立学校特別会計法第十二条第一項の規定により六十二億九千三百六万円余を積立金として積み立て、残額五百七十二億五百三十八万円余を翌年度歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。  次に、歳入につきましては、歳入予算額一兆六千百八十七億三千九百七十九万円余に対しまして、収納済歳入額は一兆六千七百六十億九千五百九十八万円余であり、差し引き五百七十三億五千六百十八万円余の増加となっております。  次に、歳出につきましては、歳出予算額一兆六千百八十七億三千九百七十九万円余、前年度からの繰越額百四十二億二千七十七万円余を合わせた歳出予算現額一兆六千三百二十九億六千五十七万円余に対しまして、支出済歳出額は一兆六千百二十五億九千七百五十三万円余であり、その差額は二百三億六千三百四万円余となっております。  このうち、翌年度へ繰り越した額は七十億五千百万円余で、不用額は百三十三億一千二百三万円余であります。  支出済歳出額のうち主な事項は、国立学校大学附属病院研究所施設整備費及び船舶建造費であります。  次に、これらの事項概要を御説明申し上げます。  第一に、国立学校支出済歳出額は九千二百三十五億七千二百五万円余であり、これは、国立学校管理運営研究教育等に要した経費であります。  第二に、大学附属病院支出済歳出額は三千八百九十六億四千百十六万円余であり、これは、大学附属病院管理運営研究教育診療等に要した経費であります。  第三に、研究所支出済歳出額は一千十八億六千八百五十三万円余であり、これは、研究所管理運営学術研究等に要した経費であります。  第四に、施設整備費支出済歳出額は一千四百六十五億七千五百六十七万円余であり、これは、国立学校大学附属病院及び研究所施設整備に要した経費であります。  第五に、船舶建造費支出済歳出額は十七億九千八百三十七万円余であり、これは、国立学校における実習船代替建造に要した経費であります。  次に、翌年度繰越額七十億五千百万円余についてでありますが、これは、施設整備費で、事業実施不測日数を要したため、年度内支出を終わらなかったものであります。  次に、不用額百三十三億一千二百三万円余についてでありますが、その主なものは、国立学校で、職員基本給を要することが少なかったこと等のため、不用となったものであります。  なお、昭和六十年度予算の執行に当たりましては、予算の効率的な使用経理事務の厳正な処理に努力したのでありますが、会計検査院から不当事項十件の御指摘を受けましたことは、誠に遺憾に存じます。  指摘を受けた事項につきましては、適切な措置を講ずるとともに、今後、この種の事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図る所存であります。  以上、昭和六十年度文部省所管一般会計及び国立学校特別会計決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。  何とぞ、よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。     …………………………………    昭和六十年度決算文部省についての検査概要に関する主管局長説明                  会計検査院  昭和六十年度文部省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項十件、意見を表示し又は処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。  まず、法律政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項について御説明いたします。  検査報告番号三号から八号までの六件は、義務教育費国庫負担金経理が不当と認められるものであります。  青森県ほか四府県内の一部の小学校及び中学校では、この国庫負担金算定基礎となる児童生徒数について、実際は、当該学校に入学又は転入学の事実がなく他の学校に在学していたりなどしているのに、これらの者を当該学校に在学していることとしたり、当該学校の通常の学級に所属しているのに、特殊学級に所属していることとしたりして、その数を実数に上積みし、事実と相違して過大に報告していました。しかるに、これらの府県では、これをそのまま用いて標準学級数及びこれに基づく教職員標準定数算定していたため、これらの数値が過大なものとなり、その結果、国庫負担金が過大に交付されていたものであります。また、兵庫県では、退職手当に係る国庫負担対象額算定に当たって、文部大臣大蔵大臣と協議して定めた算定方法の適用を誤り、退職時の給料に退職時の特別昇給に係る額を過大に算入したため、同じく国庫負担金が過大に交付されていたものであります。  また、検査報告番号九号から十二号までの四件は、補助事業実施及び経理が不当と認められるもので、公立文教施設整備事業において、補助対象とは認められないものを事業費に含めていたり、補助事業で取得した財産目的外使用していたりしていたものであります。  次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。  これは、義務教育費国庫負担金算定基礎となるへき地手当等に係る級別等指定見直しに関するものであります。  義務教育費国庫負担金算定基礎の一つであるへき地手当等は、都道府県法令で定める基準に従い条例で指定したへき地等学校に勤務する教職員に支給されるものでありまして、その支給率指定されたへき地等学校の種類又は級別によって異なりますが、北海道ほか十三府県へき地等学校二千五百七十校のうち四百三十二校について検査いたしましたところ、そのうち二百四十校が法令で定める基準より支給率の高い級別等指定されている事態が見受けられましたので、文部省において、へき地等学校級別等指定の各要素の状況の変化に対応して、適時適切に各都道府県指定見直しを行うよう所要の措置を講じ、もってへき地手当等に係るへき地等学校級別等指定の適正を期するよう改善の処置を要求いたしたものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。  これは、変圧器の効率的な設置に関するものであります。  北海道大学ほか二十一大学の二十八地区について変圧器の設置状況検査いたしましたところ、これらの大学では、設置してある変圧器の容量がこれにかかる負荷電力に対して著しく過大なものとなっているため負荷損が大きく、電力量料金が不経済になっており、負荷電力等の実態を調査の上、変圧器の容量をこれに適合したものに改める要があると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、文部省では、各国立大学に対して通知を発し、変圧器の設置が適正なものとなるよう、改善を図るための処置を講じたものであります。  なお、以上のほか、昭和五十九年度決算検査報告に掲記いたしましたように、国立大学における授業料免除の取扱いについて意見を表示いたしましたが、これに対する文部省処置状況についても掲記いたしました。  以上をもって概要説明を終わります。     ─────────────
  10. 野中英二

    野中委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡島正之君。
  11. 岡島正之

    岡島委員 六十一年の十月に国会に初めて出てまいりましたときに、この決算委員会で質問をさせていただきましたのも文部省関係でありました。今回も委員長の御配慮で文部省科学技術庁それぞれの質問をさせていただきますので、御答弁の明快なことを期待いたす次第であります。  初めに、まず文部大臣にお伺いをいたしますのは、これからの文部行政についてどのようにお考えになられているか、そのことを含めてお伺いをいたしたいと思います。  大臣は御就任以来極めて幅の広い教育、文化をつかさどる文部大臣として、特にまた芸術文化に造詣の深い大臣として御活躍されております。同時にまた、各文部省関係の皆さんの御努力で、教育改革について御精進をいただいておりますことをこの機会に心から感謝をいたすわけでございますけれども、教育改革に関する臨教審も、御承知のとおり、昭和五十九年の九月以来、総理の諮問を受けて以来精力的な作業を続け、第四次にわたって具体的な教育改革の提言が行われてきたわけであります。そういう答申を受けて教育改革の大綱が決定され、着々と推進を図られておりますけれども、その中には特に初任者研修の試行の問題、あるいはまた生涯学習の整備の問題、具体的な問題がそれぞれ進められておるわけであります。  先日、実は私の友人であります教育問題を専門に取り扱ってきたジャーナリストと会いましたときに、実はこんなことを言われたわけであります。彼が言いましたことは、極めて印象的でありますけれども、何かといいますと、このごろの文部省は極めて意欲的で、その活動はすばらしい、こういうことを言っておられました。とりわけ今回の生涯学習局の設置は画期的なものであり、とかく今まで一部において、臨教審が先行する教育改革だ、こう言われてきた中で、今回の生涯学習局の設置は極めて高い評価をするものだ、こんなことを実はその友人が言われましたが、私もこのことについては全く同じように考えております。これまで学校教育中心の文部省にとって、社会教育の拡充、そしてさらに、その中で生涯学習の整備はいわば明治以来の一大教育改革であると言っても過言ではない、そんな感じがいたします。これから文部省も、従来のどちらかというと事務官庁的な色彩が強かったわけでありますけれども、その役所から政策官庁としての役所へ脱皮を図っていく、そういう兆しだろう。同時にまた、教育改革それ自体を考えましても、もう審議の段階ではありません。具体的に施策を本格的に実施をしていく段階、こういうふうに考えるわけでございますけれども、そういう中で今日、文部大臣として、これからの日本の教育行政について、その改革について取り組まれるいわば基本姿勢といいますか、あるいはまたその意欲といいますか、そういうものについてまず冒頭お聞かせをいただきたいと思います。
  12. 中島源太郎

    ○中島国務大臣 岡島先生から文部省の姿勢をお褒めいただいたというか、御激励いただいて、大変光栄というか恐縮でございます。  まさに、先生も詳しく御存じでございますので、今までの臨教審答申並びに教育改革推進大綱の中身をよく御存じでございますように、その大綱の中でも第一番に挙げられましたのは生涯学習でございます。  御存じの上でございますから主な点だけ申しますと、ことしを教育改革の本格実施の年と私ども定めておりまして、その主なるものは、生涯を通じて八十年の人生をいかに意義ある社会人として過ごし全うするか、これが人間の目的であろう、そして社会は成熟度を増すと同時に多様化、個性化、国際化の時代である、それに即すような学生生徒並びに社会人を育てようというのが、一口で言って教育改革の目標でございます。そのために、百十二国会でも各委員の大変な御理解を得まして教育改革法案六法案を御提出をいたしました中で、初任者研修の制度、あるいは総合研究大学院大学の問題、あるいはその大学入試を改革しようという面での大学入試センターの入試に係る法案を可決成立をさせていただきました。これはすべて、人間の生涯目標を大きく持って、そして学校教育はその生涯学習の中の重要な基礎部分であるというふうに位置づけさしていただいておるわけでございます。そして生涯学習の上では、だれでもが、何歳の方でも、常に前を向いて、きのうよりはきょう、きょうよりはあす、さらに自分が充実し豊かになるために、新しい知見を吸収し、そして意義ある社会人としての生活を営んでいくという点にございます。  まさに、そこに教育のチャネルを合わしていこうということでございまして、青少年も、やがて二十一世紀を支えられるようなたくましく心豊かな青少年を育成するために、教育も多様化、個性化に合わしていくという、そういう面で最大限の努力をいたしておるところでございますので、一層の御指導、御鞭撻を賜りますようにお願いを申し上げ、大綱のみ申し上げさしていただきました。  ありがとうございました。
  13. 岡島正之

    岡島委員 大臣の、今文部行政全体にわたる、また具体的に幾つかの問題のお話でございましたが、そういう中でさらに積極的にお取り組みを賜りたいと思います。  しかし、大臣がいかに意欲を持ちましても、また教育に取り組む情熱がありましても、教育行政を考えてまいりますときに、やはり財政の裏づけといいますか、そのことが一番大事であるわけであります。教育がまさに国家興隆の根幹であるといいましても、要は財政的な問題が解決できなければどうにもならないわけであります。特に、今具体的に幾つかお話がございましたが、生涯学習の問題あるいはまた、後ほど御質問いたしますけれども四十人学級の問題、教員研修の問題、私学助成の問題、どれ一つとりましても極めて巨額な予算が必要とされているわけであります。しかし、現在の文部省予算全体を見てまいりますときに、いろいろな問題が実は考えられるわけであります。特に六十三年度予算を見てまいりましても、約四兆五千七百億という予算でありますけれども、その中の七六・五%が人件費であります。約三兆五千億円であったと思いますけれども、そういう人件費が全体の七六・五%を占めているという実態を考えましても、実際に政策経費として使える予算は五千五百億円程度であると私どもは伺っております。そういうものを考えますときに、せっかく政策活動の展開というものを文部省が前面に打ち出し、そしてまた期待されておりましても、実態とは逆現象の嫌いがあるだろう、こんなふうに思います。  教育は真に国家百年の大計であるとするならば、これらの点につきましてもやはり私は抜本的な対応、対策というものを考えていかなければならない、そういう時期が来ているだろうと思います。  そこで、文部行政あるいは文教政策の責任担当のいわば頂点に立つ文部大臣の立場において、これらの実態についてどのようにお考えになっておられるのか、そしてまた、特に六十四年度予算に向かってどのようにお取り組みをいたす考えでおられるのか、その辺についてこの機会にひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  14. 中島源太郎

    ○中島国務大臣 岡島先生おっしゃるとおりでございまして、文部行政は非常に幅広いものがございます。また、国家百年の大計といたしまして一日たりともこれを停滞させることはできないわけでございますが、しかし、一方におきまして相変わらず財政状況は厳しい中にございますし、おっしゃいますように文部省予算四兆五千七百六十六億円、そのうちの七六%強が人件費でございます。しかし、その中でも、生涯学習局を七月に発足をさせましたし、また初任者研修並びに留学生、やがて七十五年に向けまして十万人の受け入れ態勢、これも日々刻々充実をさせていかなければならない。大変そこに、はっきり申して苦慮する点が多いのでございますけれども、しかし、ODA予算その他を利活用し、かつ、内部調整をぎりぎり知恵を出しまして、将来に向けて、今日がまさに教育改革本格実施の年であるという自覚のもとに、さらに全力を挙げましてこの文部行政を遅滞なく、着実に、確実に推進できるように最善の努力をいたしておるところでございます。  また、六十四年度に対しましても、この不退転の決意で知恵を出し合って臨むつもりでございますので、一層の御鞭撻をいただきますように御指導をお願い申し上げつつ、私どもも一層の努力をいたすことをお約束いたす次第でございます。
  15. 岡島正之

    岡島委員 特にまた、六十四年度予算等につきましては、けさの新聞でも一部発表がされておりましたけれども、生涯学習局の問題あるいはまた、後ほど御質問いたしますが四十人学級の問題、あるいはまた初任者研修の本格実施等の問題を含めて、予算面においてひとつ十分な対策が立てられるようにお願いを申し上げる次第であります。  次に、義務教育学校教職員の定数改善、いわゆる四十人学級についてお伺いをいたします。  ゆとりある充実した教育の展開ということを掲げております文部省にとりまして、教職員の定数の改善というのは当面大きな問題だろうと思います。同時に、教育界全体の中で、それぞれ関係者が今注目をして、また期待をしている大きな一つの政策課題であります。既に昭和五十五年度からスタートして昭和六十六年度までの十二年計画が進められており、本年度はその九年目に当たるわけでありますけれども、ところがその進捗率を見てまいりますと、今日四二・七%である、こう言われております。これはもちろん昭和五十七年から六十年前後の予算の抑制の影響というものが大きくあっただろうと思いますけれども、当初の十二年計画、全体計画の中で、これからの三年間で果たしてこれの実施が可能かどうか、この辺が関係者が一様に憂慮しているところであります。そこで、この見通し等について大臣のお考えをお聞かせいただきたい。  あと幾つか関係することをお伺いいたしますが、特にその中で、養護教員、それから学校事務職員等の配置についてお伺いをいたします。この二つにつきましても、それぞれ達成率が極めて低いようであります。その点についての見通しも伺いたい。特に人口過密地帯、都市部におきましては、現状、全校配置あるいはまた複数配置等の深刻な問題がそれぞれ出ておりますから、これの促進を特にお願いしたいと思うわけであります。私はたまたま千葉県の出身でございますが、千葉県等におきましては、先般、学校事務職員、それから養護教員、それぞれ県単で補いながら全校配置が達成をしたわけでありますから、そういう事情も踏まえてお答えをいただきたい、このように思います。  それから、これらに関連して、ここ数年特に地方の教育界で問題になり、また一番関係者が心配しておりますことは、学校事務職員、栄養職員の給与についての国庫負担廃止の問題であります。この問題につきましても、けさの文部省予算要求の内容の中には明記はされておりませんでしたが、恐らくこれからの大蔵との折衝の中でまたいろいろな問題が出てくるだろうと思います。申すまでもなく、義務教育の国庫負担制度は教育の機会均等あるいはまた水準の維持向上を図る制度でありますけれども、六十年度予算から考えましても、教材費だとか教職員の旅費だとか、さらにまた、六十一年度では共済年金の負担金が二分の一から三分の一に引き下げられたということで、地方への転嫁がされておるわけでありますから、今度もまた六十四年度の概算要求の中でこの問題が再び話題として出てくるだろう、このように思っております。  まず、文部省としてこの問題についてどのように取り組んでいかれるのか。特にまた、この問題については全国の知事会あるいはまた全国の教育長会、全国の都道府県の議長会等でそれぞれ要請をしておるわけでありますから、この機会に文部省としての方向、考え方をひとつきちっと御明示を願いたい、こう思います。
  16. 中島源太郎

    ○中島国務大臣 事細かい御指摘でございましたので、私から総体的なことをまず申し上げて、政府委員からお答えさせたいと思います。  まず教職員定数の問題でございますが、これは先生もおっしゃいますように、実は五十九年あたりから非常に厳しい財政状況の中でやりくりをいたしてまいりました。達成度も先生おっしゃるとおりでございまして、私どもは六十六年度達成を目指しておりますが、だんだん年数も詰まってまいっております。これに対しまして、ぜひとも所期の目的を達成するように最大限の努力を今後とも続けてまいるという基本方針だけは申し上げておきます。  同時にまた、御指摘の中で特に事務職員、栄養職員の方々の国庫負担の問題、これはいつも年末に出てまいりましては御心配をかける問題でございます。この方々は教育上の基幹的な職員の方々でございますので、今後とももちろん国庫負担対象といたしまして要求もし、お守りをしていかなければならぬという決意のもとに今後も進んでまいるところでございます。できればこれはもう決着をいたしたいところでございますが、そういう問題、御心配の点が出てまいりました折には私どもは積極的に国庫負担対象職員であるということでお願いをし、確保してまいるつもりであるということをまず申し上げさせていただきまして、あとは政府委員に答えさせます。
  17. 倉地克次

    ○倉地政府委員 最初に、四十人学級の問題でございますけれども、この点につきましては、昭和六十三年度におきまして、小学校は児童減少市町村に該当しないその他の市町村の中にあります施設余裕校の第三学年まで、中学校は児童減少市町村内の施設余裕校の第三学年までをそれぞれ四十人学級実施対象にしているところでございます。そういうことによりまして四千二百一人の定数改善を行っている次第でございます。この結果、昭和六十三年度までの四十人学級の改善総数でございますけれども、これは一万六千五百三十九人に達しておりまして、進捗率は四〇・五%ということになっている次第でございます。  今後、文部省といたしましては、この小中学校の四十人学級の着実な推進につきまして最大限の努力をしてまいりたい、そのように考えている次第でございます。  それから、次の養護教諭と事務職員の問題でございますけれども、これにつきましては、第五次の教職員定数改善計画において、極めて小規模な一学級や二学級学校を除きまして、四学級以上の学校につきましてはそれぞれ一人を確保する、それから三学級学校につきましては四校につき三人を措置できるようにいたしまして、養護教諭につきましては五千百二十二人、事務職員につきましては六千三百九十二人の改善を図ることとしている次第でございます。  それで、この改善計画は、昭和五十五年、五十六年の両年度は予定どおり進められたわけでございますけれども、昭和五十七年度から行革関連特例法によりまして、特例適用期間は特に国の財政事情を考慮してその実施を抑制したことなどがございまして、昭和六十三年度までに養護教諭千七百八十人、これは進捗率三四・八%ということでございます。それから事務職員につきましては千四百二十三人で、進捗率は二二・三%ということになっている次第でございます。したがいまして、六十四年度以降、養護教諭につきましては三千三百四十二人、事務職員につきましては四千九百六十九人について改善措置を講ずる必要がある次第でございます。  文部省といたしましては、各年度におきます諸般の状況を総合的に勘案しながら改善計画の着実な実施に努めてまいりたい、さように考えている次第でございます。  なお、昭和六十二年度現在におきまして各学校に対する養護教諭、事務職員の配置率などを見てみますと、養護教諭につきましては八三・二%、それから事務職員については七八・一%となっている次第でございます。改善計画が完成いたしますと、養護教諭につきましては九六・八%、事務職員につきましては九六・四%ということになる見込みでございます。
  18. 岡島正之

    岡島委員 定数の問題につきましては計画どおり進むように、学校事務職員、養護教員等についても特にお願いをしておく次第でございます。また国庫負担の問題、今大臣のお話の中で、もう決着をつけておくということでございますから、そういう問題については早期に結論をつけて、毎年同じようなことの繰り返しがないようにひとつお願いをしておく次第であります。  次に、高等学校教育の問題について幾つかお尋ねをいたします。六十一年十月のこの決算委員会で、私は高校教育の問題、特に高校の中退者の問題について御質問を申し上げました。全国的に見て公私立の高校で年間約十一万人の中退者がおるわけでありますけれども、これは考えてみますと、一校当たりの定数が約千人といたしますと、年間で百十校分の生徒が退学しているということになるわけでありますから、これはやはり大きな問題になるだろうと思います。今、都市部におきましては建設費が約五十億かかる、あるいはまた百億かかると言われている状況でありますから、財政面から考えましてもこれは非常に大きな問題だろうと私は思います。  前回の質問のときに、たしか政府委員の西崎さんから御答弁をいただきまして、追跡調査を十分にしてまいります、そしてどういう理由で中退をされたのか、そしてまた中退された後どういう方向に行っているのか、その辺の追跡調査をして対策を十分に考えます、実はこんな答弁をいただきましたが、それらについて大筋で結構でございますから、その結果等についてこの機会に簡単で結構でございますからお話をいただきたい、こう思います。  それから、今定数の問題の御質問をいたしましたが、高校の四十人学級につきましてはどのように考えておられるのか。もちろん義務教育とは違いますから簡単に四十人学級の計画がどうというわけにはまいらないだろうと思います。特に高校の必要なのは都市部でありますけれども、人口集中の地域がここ数年からいわば生徒数の減少という事態に入るわけでございますから、そういう中で四十人学級の組み立てというのは極めて難しいだろう、こう思いますけれども、文部省の計画では義務教育と同じように五十五年から六十六年までの十二年計画を同時に立てておられますが、少なくとも六十七年以降の見通し、それについてはどのようにお考えであるのか、高校の四十人学級ということでひとつこの機会にこれまたお聞かせをいただきたい、このように思います。
  19. 古村澄一

    ○古村政府委員 高校中退者の追跡調査調査報告を御説明いたしますと、五十九年度の中退者を対象に行いました調査結果でございますが、調査時点におきます状況について見ますと、仕事をしていて学校へは行っていない子供が六一・七%、それから学校にだけ行っている者、各種学校でありますとかあるいは専門学校でありますとか、そういった学校に行っている者が一二%、それから仕事をしながら定時制高校等に行っている、あるいは各種学校に行っているという者が一〇%、それから完全無職というのが一五%というふうな状況でございます。  それで、いろいろな調査をやっていまして、学校へ行ってないという者のうちで将来学校で学びたいという希望を持っている者が三四%いるとか、あるいは高等学校の授業が難しかったという者が六〇%いるというふうないろいろな調査結果から見まして、中学校から高等学校への進路指導というものを十分にするというのは基本だと思いますが、ただ、高等学校のあり方、高等学校そのものの個性化ということを研究いたしておりますが、高等学校についてもいろいろな態様を持った高等学校をつくっていく、それによって子供がある程度選択をしていくというふうなことで今後対応していきたいというふうに思っております。
  20. 倉地克次

    ○倉地政府委員 高等学校の四十人学級の問題でございますけれども、現在、高等学校につきましては昭和五十五年度から昭和六十六年度までを計画期間といたします第四次教職員定数改善計画を実施している最中でございます。私どもとしては当面この改善計画の着実な実施に努力を傾注しているところでございまして、学級編制の四十人への改善につきましては、現在の改善計画の終了後、臨時教育審議会の答申も踏まえながら種々検討すべき課題であるというふうに考えている次第でございまして、今後十分勉強してまいりたい、このように考えている次第でございます。
  21. 岡島正之

    岡島委員 高校中退の問題の追跡調査は、今お話がございました。そういうものを踏まえた中で、一体全体それではどうするのかという対策が大事でありますけれども、私はかねてから、みずからの持論であります、高校教育の場合で一番大事なのは、普通高校の充実も大事でありますけれども、職業高校をしっかり見直していけということをかねてから私は言ってまいりましたけれども、今の追跡調査の結果を見ましても、職業高校の位置づけによってかなりの具体的な解決ができるだろうという感じもいたしております。そういうものも含めながら、要は、中退者が年間十一万も出るという実態を改善する対策をしっかり講じていただきたいということを特にこの機会にお願いしておく次第でございます。  次に、生涯学習の問題についてお伺いをいたします。大臣からも先ほど内容について若干お話がございました。高齢化社会ということが言われておりますけれども、そういう中で、社会教育の拡充策の一環として生涯学習体制の整備文部省の積極的な姿勢というものの中に行われておるわけでございまして、これは先ほどその面についての評価をいたしたわけでありますけれども、さらにこれからも、生涯学習局の設置等によって具体的な期待というものがより多く、教育界だけではなく社会全体の中に生まれるだろうと思います。  そこで先般、これまた新聞報道でありますけれども、文部省は長寿学園構想を打ち出しておられます。昭和六十四年度から老人大学形式によってこの計画を進めていく、そういうような内容が示されておりましたが、私は、生涯学習の整備というのは、従来の高齢者対策がどちらかというと社会福祉の面から考えられておるわけですが、そうではなくて、高齢者の積極的な社会参加をもとに社会教育の一環として位置づけられていこうとするところにこの問題の大きな意義があるだろう、私はこう考えておりますし、また文部省の生涯教育に取り組まれる概念というものもそこにあるだろう、私はこう思いますので、長寿学園構想についての基本的なものについてこの機会にお話を伺いたいと思います。  この際、参考までに若干申し上げますと、私の地元であります千葉県におきましては、老人の生きがい福祉対策として昭和五十年から千葉県老人大学校を開設いたしております。これはその後、五十三年に県下に三校増設をいたしまして、現在老人大学校四校があるわけでありますが、六十歳以上の人を対象にして、学科としては総合福祉科、生活学科、園芸科、陶芸科等があります。一般課程は二年制でありますけれども、さらに専門課程の二年制もあります。通信課程も二年制であります。応募状況はどうかといいますと、年間大体二倍強であります。六十三年度をお話し申し上げますと、定員が八百三十八名に対して千七百三十一名が受験しておりまして、これは原則として公開抽せんであります。ある時期におきましては四年制の大学にしようということで四年制の大学が実施されました。今専門課程になっておるわけでございますけれども、大体年間の運営費が、県で負担しておりますのが運営費が約二億円、建物は別でありますけれども、このことによって高齢者の方々が能力の開発の面、あるいはまた社会活動に積極的な参加をされていく、こういう点から生活の充実感というものをつくり上げ、これまた極めて好評であります。  そのほか、今各省の取り扱いの中で各地方において寿(ことぶき)大学あるいはまた高齢者のための施設を利用したいろいろな講座、そういうものがいろいろあるわけでございますけれども、私は、長寿学園構想が文部省の考え方によって生涯学習局を中心として進められていくのは極めていいことだろうと思いますし、大切でありますけれども、ただ、それぞれ同じような内容を所管する役所が違うわけでありますから、その辺の調整を含めて十分に取り運んでいきませんとこれまた妙な格好になる部分が出てくるだろう、こう思いますから、長寿学園構想の実施に当たりましては、そういう幾つか今現在行われております老人福祉の問題を含めた、あるいはまた老人学習を含めた、そういうものとの連携を文部省自体が調整機能を十分に発揮しながらやっていただく、このことをお願い申し上げておく次第であります。  放送大学の学長をやっておられます香月さんがこの前何かのことで言われておりましたのを見ましたが、何か目に入る、耳に届く、人間は生涯を通じて物を知る機会を求め続けていくものでありますということを言われておりましたが、私はここに生涯教育の少なくとも求めていく原点があるだろうと思いますから、そういう面から考えて、積極的な取り組みというものをお願いして内容をお伺いしたい、こう思います。
  22. 齋藤諦淳

    ○齋藤(諦)政府委員 文部省では従来から老人の生きがい対策事業、こういうものを行っておりましたけれども、それが非常に好評でありますが、ただもう少し計画的、総合的な勉強の機会を特に老人の社会参加、生きがいの立場からも助成をしてくれ、助長をしてくれという意見が非常に高いところでございまして、今までの高齢者対策事業を拡充いたしますとともに、今先生からお話しいただきましたような長寿学園の構想を目下練っているところでございます。少なくとも年限としては一年以上、それから一般教養的なものと専門的なもの、そういう二つのコースを考えながら計画をつくっていきたい、こういうことで目下構想を練っているところでございます。  なお、その執行に当たりましては、今先生からも御注意いただきましたようにそれぞれの経緯がありまして、過去に県の知事の部局でやっていただいたり、あるいは教育委員会でやったり、いろんな実施の経験がございます。何よりもやはりその連携・調整がどうなされるかということが非常に重要であります。文部省ではそういう意味で、生涯学習というのは教育委員会だけがやるのでなしに県なら県全体が挙げて連絡をとりながらやるという、そういう生涯学習の推進会議を進めているところでございますが、これが全県下で置かれるようになりました。市町村ではまだ必ずしも十分至っておりませんけれども、そのほか施設のネットワーク、そういうことにも力を入れながら、この長寿学園等についてもさらに有機的に活動できるようにさせていただきたい、こう思っておるところでございます。
  23. 岡島正之

    岡島委員 特に先ほども申し上げましたが、いろんな制度がありますから、十分そういうものとの連携をとれるようにひとつお願いをしておく次第であります。  参考までに言いますと、実は千葉県で老人大学校をつくりましたときに、学生いわば老人の方々が一番何を言ってきたかというと、大学に入ったという一つの印(しるし)をつくってくれ、こういうことで、私は当時県会でその問題をやっておりましたら、どうしてもバッジをつくれ、「大学」と入ったバッジをつくれ、こういうことで、実は「大学」と入った胸につけるバッジを今千葉県の老人大学校はつけておりますから、例えば長寿学園構想を打ち出しましたときに、長寿学園に学んだ、あるいはまたそういう印(しるし)になるようなものをつくってやることも、小さなことでありますけれども一つは大事なことであろうというふうに考えましたから、御参考までにお話を申し上げておきます。  次に、文化遺産の保存の問題等について一つお伺いをいたします。竹下総理が国民の期待の中に登場いたしましてからもう十カ月有余が経過してまいりました。総理は「ふるさと創生」ということを掲げて登場してまいったわけでありますけれども、私は総理の言われます「ふるさと創生」論の中には、生まれ育った郷土への愛着とともに、生活と活動の本拠地を持つ地域へのふるさと意識の高揚というものがあるだろう、こう思っております。そのことは同時に、その根源にあるものは、やはり私は日本人としてのいわば日本国家への創生の願いが、そしてまた日本人としての誇りを持っていくということがその根底にあるような気がいたしております。今私どもは経済中心の時代からどちらかというとやはり文化を中心とする時代へとそのハンドルを切りかえようとしておるわけでありますけれども、そういう中で、現在全国各地で都市化の進展あるいはまた開発事業の増大、それらによって古い埋蔵文化財が数多く発掘されております。それらの文化財の管理や史跡の保存などが極めて大きな行政の課題となってきておると私は思いますけれども、ところが地方においては自治体や文化団体においてその対応がやはり予算も伴いますから大変だということで、その実情にはそれぞれが苦慮しているわけであります。民族の文化として考えますときに、これらの文化財あるいは出土品等につきまして大切にこれを保存していくということが大切だろうと私は思います。  この間、実は建設省の役所の皆さんに話をお聞かせいただいたときに、建設省の六十四年度の重点施策の中でこういう考え方を聞いたわけであります。それは何かといいますと、歴史的な建築物等の文化的資産、ランドマークを活用し、魅力ある都市建築と空間の形成を推進する、こういうことを建設省の六十四年度の方向の中で重点施策としてうたっているということを聞いたわけであります。そういうテーマを聞いたわけであります。これこそ、いわば文化財の保存と同時にその活用によって地域を活性化していこうという、まさに竹下総理の言われる「ふるさと創生」という考えに立った一つのテーマだろうと私は思います。建設省ですらこれからの時代の対応の中でそういう政策への転換をしているという一つの証左だろうと私は思いますが、その面から考えますと、文化行政のまさに元締めであります文部省におきましては、さらにさらに積極的にこの問題についての取組みが必要だろうと思いますけれども、これについてどのように取り組んでいかれるのか、一つの基本的な姿勢というものをお示しいただきたいと思います。  これも参考までにちょっとお話を申し上げますが、私の出身であります千葉県の市原市において、昨年の十一月に、稲荷台一号古墳から発掘されました出土品から、「王賜」銘鉄剣という日本最古の鉄剣だと言われるものが実は発見をされたわけであります。恐らくこれは五世紀の中葉のころからのものだろうと言われ、日本最古の銘文であります。ところが、これが発掘されましたのは昭和五十一年、約十年以上そのまま捨ておかれていたわけでありますが、学者や近所の考古学研究者がその保管されておりますプレハブの中を一生懸命ほじくり返して探しておりましたら、たまたまそれが出てきた。十年以上プレハブの中へ捨てられていたわけでありますけれども、この辺が実は文化財の今置かれております実態を浮き彫りにしているような感じがいたします。同時に、その鉄剣が今は発掘された私どもの市原市にはありません。その保管はどこかといいますと、大臣も御承知のとおり佐倉の国立歴史民俗博物館、あそこで保管をしているわけです。発掘された市原市の市民がそれを見るためには遠く佐倉まで行かなければならないという、実はそんな実態でありますので、やはり自分たちの郷土の一つの文化であり、守っていく大事な文化でありますから、それにも接することができない、そんな不満が市民の中からあるわけであります。そういう点は単に私どもの市原市だけではなくて日本各地に同じようなケースがあるだろうと思いますので、そういうことから考えますと、やはり古代からの歴史文化でありますから、そういうものをしっかり守っていくための行政の施策というものがより大事なことだろうと思いますので、そういうものを含めながらひとつ文部省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  24. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 先生ただいま御指摘のように、史跡、歴史的な文化財につきましては我が国の歴史の成り立ちを具体的な形で語りかけてくれるものでもございますし、ふるさとの歴史の理解にとりまして非常に大切な意義を持つものであると考えております。  そこで、文化庁といたしましても、この文化財の保存・活用につきましてこれまでもいろいろ手を尽くしてまいりましたけれども、私ども現在、来年度の要求に向けまして、史跡のさらに具体的な立体的など申しますかそういう活用の仕方について、そういう事業について検討しているところでございます。ぜひ、ふるさとの歴史の具体的な理解にとって非常に役立つようなそういう事業ができるように努力をしたいと思っております。  それから、ただいまの先生の御地元でございます市原市の稲荷台第一号墳から出ましたいわゆる「王賜」銘の鉄剣でございますけれども、今お話がございましたように、現在は国立歴史民俗博物館、佐倉の博物館に保管されているといいますか、そして研究もされ、これはまださびがありまして、このままですとさびが進行するというおそれもございますので進行しないような保存処理を行って、そこで展示に適するような形にするというような研究をしているところでございます。そういった意味で、これは専門的な処理が必要でございますので、現在そういう専門的な研究機関に置いているわけでございまして、その方法について確立いたしましたらば、市原市と博物館が協議をなさいまして今後の保存方針を具体的に決めていくというふうに聞いておりますので、どうかそのように御理解をいただきたいと存じます。
  25. 岡島正之

    岡島委員 地元のことをどうこう言うと田んぼに水を引くようなことになりますけれども、市原市でも今その保存については市独自でいろいろ考えておりますし、また県とも相談をしておるわけでございますけれども、そういうケースは全国的に幾つかあるだろうと思いますから、ひとつ文部省、積極的にいろいろな面でのそういう場合の御指導をこの機会にお願いをしておく次第でございます。  次に、交通安全の問題についてお伺いをいたします。  先日二十二日に、総理府だったと思いますけれども、交通対策本部からことしの交通事故の実態について発表がされました。ことしの交通事故の死亡者が八月十四日現在で六千人を突破した、このままでは十三年ぶりに年間一万人を超えるペースであるということを発表されまして、これからの事故防止の具体的な緊急総合対策をやろうということを言われておりました。これまで交通事故の死亡事故の内容は、一つには交通弱者と言われる方々、子供さんとか老人という方々が非常に多い、また若者を中心とする二輪車の事故等が非常に多いということでありますけれども、交通安全対策につきましては、御承知のとおりこれ一発でいくよという特効薬は全くありません。  私は交通安全の問題については長い間取り組んでまいりましたが、交通安全に大事なのは何かというと、一つは警察の手による規制、取り締まりだ、一つは行政の責任による道路環境の整備だ、もう一つは交通安全教育の普及徹底だということを私は言ってまいりました。その中で、今日やはり交通安全教育の普及徹底が一番大事だろうと私は思っております。そういうものを考えますと、学校教育の中で交通安全教育に取り組まれることが非常に必要なことだろうと考えておるわけであります。もちろん文部省におきましても、交通安全業務計画というのを何か見せていただきましたが、それによりますと幼稚園、小学校中学校、高校それぞれの段階でそれぞれ適切な計画を立て指導されておりますから、それはやっておられると思いますけれども、今こういう緊急事態が発生したわけでありますから、さらに積極的に取り組みをいただきたいと私は思います。  先月の二十三日に例の水難事故がありました。きのう総理が出席されてその慰霊祭が行われておりました。これには心から御冥福をお祈り申し上げますけれども、一転、目を転じて考えますと、あのとき亡くなられた方以上の方々が毎日交通事故で命を落とされている実態を考えてまいるときに、交通事故対策についてもっとみんなが目を向けていくべきだし、また、その中で文部省学校教育の中で果たす役割も極めて大きいだろう、こんなふうにも考えますので、そういう意味でひとつお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  26. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 学校におきます交通安全教育につきましては、児童生徒の心身の発達状態に応じましてそれぞれ指導をしているわけでございます。最終的には自分、他人の生命を尊重するという基本的な理念に立って、身近な交通環境におけるさまざまな危険に気づいて、的確な判断のもとに安全な行動ができる態度を養うことを目指して、特別活動の学級指導、ホームルームあるいは学校行事を中心に、学校教育活動全般にわたりまして組織的、計画的に行うよう指導をしてきておりますし、そういうように学校も取り組んできているわけでございます。  ちなみに、幼稚園におきましては道路の歩行と横断、乗り物の安全な利用などについて、小学校及び中学校におきましては道路の歩行と横断、それから自転車の安全な乗り方などについて重点的に指導することといたしております。高等学校におきましてはこれら小中学校の指導を踏まえましてさらに前へ進めて指導をしているわけでありますが、特に最近、高等学校の生徒による二輪車による死亡事故が大変増加しておるということは先生も御指摘のとおりでございまして、そういうことを踏まえまして、私どもとしまして、つい先ごろ高等学校において、二輪車交通安全協会等の関係機関とも十分連絡をとりつつ、二輪車についての実践的な指導にも踏み込むようにという指導をしたところでございます。  これらの指導を効果的に行うために、私どもとしましては、中央、都道府県段階で教職員の交通安全教育のための研修を行っておりますし、一方、文部省で、小学校中学校高等学校学校種別ごとに交通安全指導の手引という手引書を作成いたしまして、各学校段階で、その手引書に沿って、地域の実情に応じた適切な指導をするように指導しているところでございます。今後とも、それらの施策を十分各学校段階で展開するように指導を徹底してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  27. 岡島正之

    岡島委員 それぞれ具体的に取り組むわけでございますけれども、やはり私は、交通安全対策の一番大事なのは何かといいますと、交通事故に対する考え方というのは全く違うわけで、交通違反、交通事故に対する考え方がどうも食い違っているという感じがいつもしております。それは何かと言うと、交通事故に遭ったときには、しまった、損をしたという、また、事故を起こしたときに、違反をしたときに、そういう感じが先で、罪悪感情よりも損得勘定が先だ、そんな感じがしておりますから、それはやはり学校教育全体の中で一つのあり方を求めていかなければならないだろう。だから私は、交通事故も交通安全対策もすべて教育だよ、そういう結びつけ方をよく言いますけれども、そういう点につきましても御留意をいただきたいと思います。  あと、留学生の問題、大学入試の問題がございますけれども、割愛をさせていただきまして、科学技術庁の問題について一、二お伺いをさせていただきたいと思います。  まず一つは、これからの日本の科学技術の問題についてどのようにお考えでおられるのか。科学技術の振興というのは経済社会の発展の基盤であり、産業活動の活性化、生活水準、福祉の向上に寄与しているわけであります。我が日本は、第二次世界大戦後のまさにゼロの状態から、内外の厳しい経済情勢の荒波の中を突き進み、このような豊かな社会を築いてまいってきたわけでありますけれども、我が国がこれまで、欧米諸国から技術導入を初めとする積極的な技術開発とその成果を利用して産業の振興に努めてきたことは申すまでもありません。今日目覚ましい経済成長をなし遂げておりますけれども、我が国にとりましては、今後、科学技術立国を基盤として位置づけていかなければならないと思います。  しかし、実態を考えますと、アメリカや西ドイツなどの主要国と日本との最近の科学技術の研究費の統計を比較してまいりますと、総額における政府負担研究費の割合が、アメリカでは四八・二、西ドイツでは三九・六、フランスでは五三・七となっておりますが、我が国では八兆円有余でありますけれども、しかし、政府の負担度はわずか二〇%程度であります。この辺が、我が国の科学技術の振興が民間企業の主導型だと言われるところだろうと思いますけれども、しかし、これから日本があらゆる分野で国際的な視野での活躍を期待される中で、科学技術を通して積極的に世界に貢献するということをよく言われますが、そういう日本の色彩を明確にしていくべきだろう、こう思います。  そこで、政府が中心となってこれからの科学技術の振興に向かって財政的にも大きく取り組んでいかなければならない、こう思いますけれども、科学技術庁長官のお考えをお聞かせいただきたい。  その次の問題としては、時間がそうありませんから続いて御質問申し上げますけれども、基礎研究の強化の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  科学技術の振興は我が国の重要政策の一つでありますけれども、とりわけその一番大事なのは基礎研究だ、みずからの力で革新的技術シーズを生み出していくことが必要だ、こういうふうに考えるわけであります。  そこで先般、ノーベル賞を受賞されましたMITの利根川教授に話を聞く機会がたまたまあの前後にあったわけでありますけれども、そのとき利根川教授が言いました言が私には印象的に残りております。何かといいますと、日本は科学技術の研究について言えばまず研究環境がよくない、こういうことを言われました。それはなぜかというと、本来研究に没頭しなければならない年代の連中あるいはまたそういう学者が、雑用に追われて研究をするような雰囲気じゃありませんよ、それをまずしっかり是正をしなければだめですよというようなことを言われまして、同時に、だから基礎研究がどうも十分できないんだ、そんなことを実は利根川教授が指摘したことを私は記憶しております。  そういう面から考えまして、科学技術立国を目指すということをかねてから各分野において言われておるわけでございますけれども、やはり先進国の一員として、今までいわば外国から受信的に受けていた、それをひとつ日本からの発信的な、そういう発想の転換といいますか、さらに受動的なものから能動的へという転換を少なくとも基礎研究の段階でしていくことが国際協力の中で必要だ、私はこんなふうにも思っております。そのためには、私は、従来の単なる教科書の中から学んでくるというそういう勉強だけではなくて、やはり新しい分野に切り込んでいく、また新しい進むべき道を見出していくという本当の意味の基礎研究というものが必要だろう、そしてそのことが全人類の一つの資産になる、そこに果たしていく日本の使命といいますか責任といいますか、そういうものが今日求められているという、それによってまさに皆さんが言われます国際社会に貢献し得る日本の技術開発が生まれてくる、こう私は考えておるわけでございますけれども、科学技術庁長官の以上二点についてのお考えをお示しいただいて、質問を終わらせていただきます。
  28. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 科学技術立国を目指さなければならぬし、今日日本がこのような姿にあるのも科学技術立国を目指して進んできた成果であるという御認識は全くそのとおりでございまして、同感の至りでございます。  また、問題点の御指摘につきましてもすべてそのとおりでございまして、科学技術立国を目指しながらも、科学技術庁予算というのは御案内のとおり昭和六十三年度で四千四百億円余りでございまして、四千四百億円ですべてやれと言われてもこれはなかなか大変なことでございます。六十四年度予算に向けまして今我々も一生懸命努力しておりますので、岡島先生を初め皆様方のこの上ともの御支援をぜひお願い申し上げたいと思います。  また、研究開発投資総額が八兆四千億円、これは自由世界ではアメリカに次いで第二位でございますけれども、これまた御指摘のとおり、そのうちの政府負担額は約二割の一兆六千億円でございまして、ほとんど研究開発投資は民間にお任せをしている、これでは到底政府主導型の科学技術の振興は図れないということで、この割合の水準のアップにもこれから努力をしなければならないというふうに考えております。  科学技術の振興が重要だということは国内外また政府内外、すべての方々に御認識を賜っておりますけれども、やはり先生御指摘のとおり、こういうことはすべて財政の裏づけ、予算の裏づけが第一番でございまして、我々も一生懸命頑張りますので、どうか声を大にして、科学技術庁予算が年間四千四百億円ということではこれはとてもその任にたえられないわけでございまして、ぜひ重ねて先生方の御協力をお願い申し上げたいと思います。  なお、利根川教授のお話を引用されましての日本の研究環境の問題についても御指摘がございました。これは文部大臣も今おいででございますけれども、文部省あるいは我々も協力いたしまして、ノーベル賞受賞者が日本の国内の研究でノーベル賞をもらえるように、また、そういう頭脳が日本の国内にとどまっていただいて若い方々を指導していただけるような研究環境をぜひつくり上げることが急務だと存じます。  ノーベル賞受賞者の研究成果をずっと見てみますと、大体三十代での研究成果でノーベル賞をもらっているわけでございまして、三十代の若い時代に思い切って伸び伸びと基礎研究に没頭できるような、そういう雑用あるいはまた、多少批判になりますけれども、大学制度というようないわゆる因襲にとらわれないで、若い研究者が伸び伸びと思い切って基礎研究に没頭できるようなはつらつとした、活力あふれる研究環境というものをぜひ文部省とも御協力申し上げてつくり上げてまいりたい、このように考えておりますので、なお一層の御協力をお願い申し上げたいと思います。
  29. 中島源太郎

    ○中島国務大臣 ただいま科学技術庁長官からお答えを申されたとおりでございますが、基礎科学部門の担い手といたしましては、大学の研究部門、これは重要な政策課題であるという認識のもとに行っておるところでございます。科研費の充実ですとか、若手研究員の研究体制、それから国際交流の充実、これに努めておるところでございますけれども、まさに国を挙げて、今経済大国と言われておる時代でございますので、今までは外に学ぶ時代、これからは世界に貢献する時代、これを基礎科学の部門で貢献をしていくということはまさに重要な部門だと思いますし、そのためには、先生おっしゃいますように研究環境を充実、これには開かれた学校の体制も必要でありましょうし、また世界的な視野で人材を集めて、そして日本に一時的ではなく定着をしていただいて、日本だから研究しやすいと言っていただけるような研究環境を整えていく、これは文部省を挙げまして努力していくことであるというふうに自覚をいたしております。今後とも努力をしてまいります。
  30. 岡島正之

    岡島委員 それぞれ幾つかの問題について的確に御答弁をいただきましてありがとうございました。文部行政、さらにまた科学技術の問題、それぞれさらにさらに積極的にお取り組みいただきますことを心から願いながら質問を終わります。  ありがとうございました。
  31. 野中英二

  32. 渡部行雄

    渡部(行)委員 まず最初に科学技術庁長官にお伺いいたしますが、その第一点は、日本が科学技術立国として二十一世紀を展望するとき、今日ほど基礎科学研究を強力に推進しなければならないときはないと思うわけでございます。したがって、長官は今後どのような構想を持ってこの基礎科学の推進を図られるおつもりか、これについてお聞かせ願いたいと思います。
  33. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 先ほども岡島委員の御質問にお答えをしたわけでございますけれども、また先生からも今御指摘がございましたけれども、我が国の今日の目覚ましい経済成長というのは、欧米からの技術導入を初めとする積極的な研究開発と、その成果を利用した産業の振興努力によるところが大きいわけでございまして、我が国の科学技術水準が産業技術面を中心に多くの分野で欧米と並ぶようになるとともに、国際社会での役割も極めて増大をしております。  しかし、今後とも国が二十一世紀に向けてさらに発展していくためには、先生御指摘のとおり、創造性豊かな科学技術の振興、特に基礎研究の強化が不可欠でございます。このことは政府としても重要と考えまして、昭和六十一年の三月に政策大綱を決める際にも、基礎研究の強化というのを基本的な柱の一つとして位置づけております。政府としても、創造性豊かな人材の養成確保、基礎研究活動を支える研究基盤の整備強化、組織、分野の枠を超えた研究交流の促進を図ってまいりましたし、今後とも図ってまいるつもりでございます。こういう考え方のもとに、また科学技術政策大綱に沿いまして、創造的な基礎研究の強化に全力を傾注してまいる所存でございます。  なお、具体的な項目につきまして政府委員の方から答弁をさしていただきます。
  34. 緒方信一

    緒方政府委員 ただいま大臣から御説明申し上げましたとおり、基礎的な研究が非常に重要なわけでありまして、これらの基礎研究の分野については大学に期待する部分も大きいわけでございますが、同時に、国立の試験研究機関等においても基礎的な研究を強化していくことが重要でございまして、科学技術庁といたしまして次のような施策を具体的に行っているところでございます。主なもの四つ、御説明をさしていただきます。     〔委員長退席、魚住委員長代理着席〕  第一は、国際フロンティア研究と呼ばれているものでございまして、理化学研究所が担当しております。これは、二十一世紀に向けて技術革新の根幹となるような新しい科学的知見の発掘を行うために、多分野の研究者を結集して、また、国際的にも開かれた体制で長期的な研究を行う制度でございます。現在、三つの課題、テーマを取り上げ、年間予算十五億円で実施をしておるところでございます。  二番目は、創造科学技術推進制度と申しておりますが、新技術開発事業団が担当してございます。これは、プロジェクトリーダーのもとに産・学・官あるいは海外のすぐれた研究者を一定期間組織化をいたしまして、独創的な科学技術のシーズをつくり出そう、こういう研究制度でございます。今年度は継続十テーマ、新規三テーマに取り組んでおりまして、予算額は三十八億円でございます。  三つ目は、科学技術振興調整費を用いました基礎的・先導的研究でございまして、これは国立の試験研究機関等が実施をしております。科学技術会議が決定をいたします方針に従って、産・学・官の有機的な連携のもとに、総合的に研究推進する基礎的・先導的な研究でございます。振興調整費総額で九十二億円ございますが、その中で実施をしております。  四番目は、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムでございまして、これは生体の持つすぐれた機能の解明を中心とする基礎研究を日本のイニシアチブのもとに国際的に共同研究推進しようというプロジェクトでございまして、現在その具体化に向けまして詳細な調査検討を行っている段階でございまして、今年度予算額はまだ三億円でございます。  以上が主なものでございますが、今後とも予算要求等を通じましてこれらの制度の充実を図るとともに、創造的・基礎研究推進のために鋭意努力を続けてまいりたいと考えております。
  35. 渡部行雄

    渡部(行)委員 非常に答弁は立派でございますけれども、実は、きのう私ども航空宇宙技術研究所に参って現実に研究の状態を見てきたんですが、その際、予算が最近だんだん減ってきているんですね。そして、どこが減っているんだと言ったら、研究員が少なくなったんです。いわゆる人件費を節約する意味で研究員を少なくしたんだろうと思いますけれども、それは言いかえると、あの航空宇宙技術研究所のノーハウを少なくしたことになるのですよ。この技術研究所というものの財産というのは研究員そのものなんです。決して機械でも何でもないのですよ。その研究員を少なくしていって、これが二十一世紀に対する基礎研究を強化する一つの方向だなどと言ったって、信用できなくなるのです。  それからもう一つは、あそこの研究で大変立派な研究がされてアメリカでも驚いておるというようなすばらしい研究が今基礎研究としてなされているんですよ。そして、その一つとして7J7という研究を今まで進めていたんだが、それが中止になった。これは恐らく民間とアメリカも入ってのプロジェクトチームがつくられていると思うのですが、そういう経済性、商品としてすぐに役に立たないものについては案外冷たく取り扱っておる傾向が日本にはあるんじゃなかろうか。  科学技術というのは、ちょうど砂を積み上げるようなもので、基礎が広くなければ砂を高く積むことはできないのですよ。やはり底面積に比例して高く積んでいくことができるんだから、日本の科学が科学技術立国として世界を先導していくような力をつけるには、もっとその基礎科学という底面積を広くしなくちゃならぬと私は思うのですが、その点について長官いかがでしょうか。
  36. 吉村晴光

    ○吉村政府委員 航空宇宙技術研究所のことについてのお尋ねでございますので私の方から御説明をさせていただきますが、航空宇宙技術研究所の職員につきましては、国の行財政改革の一環といたしまして定員削減計画というものがあるわけでございます。国の機関としてその線に沿って御協力をすることは当然であるわけでございますが、今先生御指摘のとおり、研究者、中心的に研究活動を行える人の確保が極めて大事であるということを私どもも認識をいたしておりまして、そういった削減をいたしますときには、むしろ研究者は充実をする、研究補助者とか行政職、そういったところで定員削減計画に応じていくという考え方でやっておるわけでございまして、主体的に研究を行います研究員につきましてはむしろ若干ふやすという感じで対応をしておるところでございます。  それから、予算の点について御指摘ございましたが、同研究所研究費につきましては、従来、短距離離着陸実験機「飛鳥」計画を進めておりまして、その関係もございまして、従来大変少なかった研究費が「飛鳥」計画の関係で大きくなったという経緯があるわけでございますが、「飛鳥」計画も製作段階から飛行実験の段階に入りまして、飛行実験も本年度末をもって終了する見込みということになっております。そういう事情もございまして、短距離離着陸機関係研究費が近年減少してきておるということでございます。それが全体に影響をしておるわけでございますが、それは減少しておりますけれども、それ以外の研究費につきましては増強をするように、毎年努力をしておるということでございます。  それから、先ほどせっかくの研究成果の実用化の段階でいろいろな事情から中止されているという御指摘でございますが、航空宇宙技術研究所につきましては基盤的な、基礎的な研究をやるということでございまして、その成果を踏まえて企業ベースで実用機の研究をするわけでございますが、その際には市場とか技術とか経済とか外国との関係とかいろいろな事情から判断をされるということもございまして、そういうことがあることは大変残念ではございますが、航空宇宙技術研究所としては、基盤を支えるという意味での研究は今後とも拡充をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  37. 渡部行雄

    渡部(行)委員 補助者とかそういう研究者を助ける役をしている人を切ったというのだけれども、これは必要でないなら仕方がないけれども、必要だから今までそういう人たちを置いたのでしょう。仕事をするには自分一人じゃできないんですよ。そういう縁の下の力持ちがいてこそ物事がうまく進むのであって、そういう考え方はどうしても私は賛成できないんです。やはり本当に研究に真剣になればなるほどいろいろな立場の人の協力が必要であって、またそれを援助する人が必要になるわけですよ。ですからそういう点で、先ほど岡島委員も言われましたように日本ではノーベル賞をもらえないんですよ。日本人がもらったというだけで、あれはアメリカのノーハウをもらってきてとったんでしょう。だから本当を言うならば、日本にはノーベル賞をもらった人はいないんですよ、ただ日本人がもらったというだけで。日本がもらえるような科学技術体制をつくらなくちゃ何にもならぬじゃないですか。これは愚痴みたいに聞こえるけれども、十分長官も考えてください。一応ここでお答えを願います。
  38. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 先生の御意見には全く同感でございます。御趣旨を踏まえ、また従来もその方針で進めてまいりましたけれども、基礎研究に政府が大きな役割を果たすように、予算面でも制度面でもあるいはまた研究環境の整備等の面についてもさらに全力を傾注してまいりたいと存じます。
  39. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それでは次に移りますが、時間が非常にないのでひとつ簡明なお答えを願いたいと思います。  まず原発の問題ですが、今後長期的にどういうふうな計画があるのか。つまり、新規に何基ぐらいを予定しているとかそういう点についてお答え願いたいと思います。
  40. 平野治生

    平野政府委員 お答え申し上げます。  我が国の原子力発電でございますが、現在必要な我が国の電力量の約三割を賄っておるわけでございます。原子力の長期計画によりますと、昭和七十五年、すなわち二〇〇〇年の時点におきましてこれを四〇%程度にまで高めたいというふうな計画でございます。現在発電所の数で言いますと三十五基でございますけれども、これを徐々にふやしていく、こういう計画になっておるわけでございます。
  41. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それから、今クリーンなエネルギーが大分研究され開発されていると思うのですが、例えば燃料電池とか太陽エネルギーの利用法とかあるいは潮流発電とかその他、最近また新しい石炭の火力発電あたりもいよいよ実用化されたというこの前の新聞にもありましたし、それからいわゆる超電導の研究等も進んで、将来こういうクリーンなエネルギーは、あるいは核融合とかそういうものを見渡してどういうふうになるんですか。これは実現が可能なんですか。可能とすれば大体どの程度のエネルギーをここから生産できるのか。
  42. 石塚貢

    ○石塚政府委員 いわゆる新エネルギーと言われておりますもの、主として自然エネルギーでございますとか地熱エネルギー等でございますが、こういったものの今後の長期的な需給見通しにつきましては、昨年の十月に通産省の総合エネルギー調査会需給部会で報告を取りまとめております。その数値によりますと、新エネルギーと言われておりますものの昭和六十一年度の実績は、トータルのエネルギーの中に占める比率が一・三%、これが七十年度では二・五%、七十五年度に四・五%、さらに昭和八十年度では、これは試算ベースでございますが、七ないし九%にまで引き上げたいというふうに報告では述べられております。  さらに、地熱につきましては別掲してありますが、現在〇・一%のシェアでございますけれども、七十年度には〇・四%、七十五年度には〇・八%、八十年度では約一%程度に高めたいという計画と伺っております。
  43. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そのようにしてだんだんとクリーンなエネルギー開発が進んできておるわけでございます。燃料電池なんかは実用段階に入るだろうというように聞いておりますが、そうした際に、なぜ世界的にみんなが嫌がる原子力発電を増設しなければならないのか。しかもエネルギーの四〇%にも二〇〇〇年にはさせていく。総体のエネルギーの使用量がふえるからこの四〇%は大変な数になると思うのですよ。そういうことが果たして国策としていいでしょうか。しかも今は原子力発電その他については国民投票までやっている国さえあるわけですよ。そして弊害についても、その反対運動というのはグローバル化していると言っても過言ではないわけです。私はすべて今やめろとは言いませんよ。原子力のいろいろな利用法もあるからそういう面の研究はどんどん進めていいけれども、最も危険だと言われる、万が一そこが汚染された場合なんかを考えると、しかもこれはほぼ永遠に害を残していくわけですから、代替エネルギーとしてでない考え方が今出てきているのですよ。だから、そういう点でエネルギーの転換方策というのを考えるべきだと私は思うのです。質的転換というものをもっと真剣に考えて、そして、むしろ金をどんどんとそういうクリーンな新エネルギー開発に使ったらどうかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  44. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 資源が乏しくて、我が国で使うエネルギーの八〇%を輸入に頼っておるわけでございますから、そういう我が国が石油等の依存度の低減を図ったり、またエネルギー全体の安定的な供給というものを確保するためには、先生御指摘のとおり、石油代替エネルギー開発推進していくことは必要であります。しかし、今も政府委員から御答弁を申し上げましたとおり、ただいま研究が進められております新エネルギーにつきましては、その発電規模、コスト等の面から見まして、地域的、補完的エネルギーとなることはできましても、石油代替エネルギーの中核には当面なり得ないものと認識をしております。  一方、原子力発電は供給の安定性、経済性、備蓄性、環境影響、化石燃料によって非常な汚染をされようとしております地球に対して、原子力発電は非常にいい環境に対しての影響を与えているわけでございますから、そういう面からもすぐれたエネルギーでございまして、そしてまた、我が国のエネルギーの構造的な脆弱性というものを克服するためにも非常に貢献する基軸エネルギーと我々は位置づけをしておりまして、もちろん先生再三御指摘のとおり安全性の確保というものはその大前提でございまして、安全性の確保にさらに集中的な努力を積み重ねながら、今後とも原子力発電の開発推進していくことが重要であると我々は認識をしておるところでございます。
  45. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これは本当にいろいろ資料を持っていて今もっとやりたいのですが、時間がありませんので、あと大体省略していきます。  この原発問題は、福島第一原発の四号炉は大丈夫かというこういうあれが出ているのですが、これには設計者が指摘しているのですね。圧力容器に非常に危険がある、変形したのをジャッキで直したのを使っているとか、いろいろあるわけです。そしてまた国際的に見た場合、フランスのラアーグでも大変な重大事実が発見されておる。こういうのはやはり原子力安全性というものが完全に定着していないということであって、それを裏づけるものですから、これは今後十分検討していただきたいと思うのです。  そこで、最近群発地震でみんな大変戦々恐々としておりますが、この地震予知については日本はどのくらい進んでいるのですか。この点を一点お伺いします。
  46. 吉村晴光

    ○吉村政府委員 地震予知につきましては、従来から大変重要な問題であるということで、地震関係の学者の先生方のお知恵をかりながら国としての政策を進めておるわけでございますが、現時点において私どもが認識をしておりますのは、東海沖での例のプレートテクトニクスの関係で起きます海溝型の大型地震につきましては予知が可能であるという考え方のもとに、それに対応いたします法制の整備、対策の準備等が進められておるところでございますけれども、それ以外の問題につきましてはまだ研究段階であるということで、それ以外の問題につきまして予知ができるように、観測網の整備とかいろいろな基礎的な研究を進めることが非常に重要であるということで、国全体としての研究の進め方につきまして、測地学審議会からいろいろな御建議をいただき、それを踏まえまして、関係各省協力をして進めておるという状況でございます。     〔魚住委員長代理退席、委員長着席〕
  47. 渡部行雄

    渡部(行)委員 次に、文部省に移ります。  まず、大学の入試制度が毎年毎年変わるというのはどういうことなんでしょうか。これは受験生が大変迷っているのですよ。どこに焦点を当てて勉強をしたらいいのかさっぱりわからない。これに対する基本的な考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  48. 中島源太郎

    ○中島国務大臣 具体にはまた政府委員からお答えをさせますが、基本的な考えということでございますので。  確かに大学入試、今文部省が変えていきたいと思っておりますのは、社会そのものが国際化、多様化、個性化をいたしております。そういう中で、教育そのものも多様化、個性化に即した教育であるべきだ、それには入試そのものが多様化、個性化に即して、そして受験者の潜在した人間性、創造性あるいは個性を引き出すようなテストに改革をしてもらいたい、こういうのが根本でございます。  そのために今二つございまして、一つは、大学の試験そのものを建学の精神に沿って独創的にそれぞれ改革をしていただきたいということであります。そのためには、大学の御努力と同時に、もう一方では、幾つかの良質の試験を御用意いたしましょうということで、大学入試センターで行いますテストを充実させて御用意する、そういう面が一つございます。  それから、もう一つはテストのあり方でございまして、いわゆる受験の機会の複数化ということから、六十二年度から連続方式というものがとられておりましたけれども、これをもう少し改善できるのではないかということで、六十四年度からは分離分割方式を導入する、この二つがございますものですから、両方一緒に見られると非常に複雑に考えられるということは事実あろうと思います。  しかし、受験機会の複数化というものは受験者にとりましてはごく必要なことであろうと思いますし、できればよりはっきりしたわかりやすい形に統合できないかということは私も本心から考えておりますが、今はその受験者の身になって考える、かつ、良識的な試験に移行する過程の段階であろうかな。今行われておりますものが万事これで一〇〇%いいと申し切れるものではございませんけれども、さらにそれに近づくように努力している中の一形態というふうに御理解をいただき、受験者の方々に受験に際して進路並びに受験方法がわかりやすく受け取っていただけるようにさらに努力をいたしてまいりたい、こう考えております。
  49. 渡部行雄

    渡部(行)委員 試験というのは何のためにやるのですか。私、非常に不思議でならないのです。大学に入学するとき、高校に入学するときは厳しい試験をやって選別しますけれども、卒業するときにはそれほど大した試験もなくどんどん皆卒業していくのですよ。それでは本当に大学のレベルの実力を持っているかというと、外国人と会話もできないのですね。この間、私スペインに行ったら、日本の語学教育だけはもっと話せる教育をしてください、試験用の教育でなくて、本当に外人と話せる教育をしてくださいと言われてきましたよ。外国に行くと、高校を卒業した程度の人なら大体英語を話せますね。日本では話せない。それはやはり教育の問題があると私は思うのですよ。  教育とは何なんだ。ただ一定の試験で選別されて、それで優秀なのは東大から早稲田、慶応と、いろいろずっと順序に並べられて、最後の方は今度どうなっているのかというと、こういう格差を認めながら試験をしても私は意味ないと思うのです。問題は、教育の機会均等をどういうふうに実現していくかということです。しかも、今マスメディアのこれだけ発達した世の中で、何も一々学校に通わなければ勉強できないなどというのはおかしい話で、そして実際には、あの教授なら私は講義を聞きたい、この教授の講義は聞きたくない、そういうのが現実にあるわけですね。しかし学校が違うために聞きたくても聞けないですよ。そんなのだったら、学校を皆オープンにして試験をなくして、だれでも聞けるようにしたらいいじゃないですか。そのかわり必要とする部門については国家試験をやったらどうでしょう。そうしたら、私は東大を出ましたなんて言う必要もないし、学校差というものは全然考えられなくなりますから、そうすると優秀な教授のもとには聴講者がどんどん集まるし、サボっている教授はもう生徒からはじき出されてしまう。そうすれば教授陣全体がもっと真剣になりますよ。論文ももっと書きますよ。ところが最近は、大学教授にさえ物すごい格差があると聞いております。だからそういう点で、試験制度というようなものは余り感心したものでなくて、期間をかけて、その実力があれば、例えば旋盤なら旋盤ですぐれた実力のある者に実力に応じた一つの免許を与えていけばいいじゃないですか。あるいは科学技術にしても、どういう才能を持っているかというその才能発掘のためにもっと国家が乗り出してやるべきじゃないかと私は思うのですよ。それなのに、こういう試験制度があるから、教育産業などと言われて教育に食い込んで金もうけするのがいっぱい出てくるのです。そういう点についてはどう思いますか。
  50. 中島源太郎

    ○中島国務大臣 先生のおっしゃる基礎的なお考えの御発言はよく理解できます。  教育というのは一体何なのか、また試験というのは何なのかということでございますが、つづめて言えば、限られた生涯と申しますか、しかし貴重な人生、これをいかに意義ある社会人として過ごし全うするかというのが人間の根本の目標でございまして、そのために、今学校教育というのが重要な基礎的部分を担う教育部門である、まして高校、大学は社会との接点でございますので、先生がおっしゃいますように、入試のために勉強をするという錯覚から、よき社会人として過ごすための知識吸収の場であるというふうに思っていただく、そのためには早いうちから自分の個性、能力というものを伸ばすべき進路、あるいはまたその進路指導に誤りなきを期す、そういう意味では高校あるいは各種専門学校、こういうところで、少なくとも自分の進むべき道に一番即した方法で自分の知識を吸収し自分の能力を伸ばしていく、こういうことがもっと自由に行われるべきであろう、まさにそういう学校教育体系を目指して今改革を進めておるところでございます。  したがって、先ほど申した入試も、五教科・数科目を画一的に行うというよりは、その中から一教科あるいは二教科に絞って、そして受験者の能力を引き出すようにしたらどうか、そういうことと同時にまた、大学あるいは学校に入るときは厳しいが出るときはどうか、こうおっしゃられるわけでありまして、まさに高等教育部門の活性化、充実をさらに進めなければならぬなということは、私どもも課題として十分考えておるところでございます。しかるがゆえに、現在、大学審議会におきまして大学、大学院の活性化、充実を含めまして御審議をいただきつつこれを進めていく。まさに先生おっしゃる根本の理念は私も理解できるところでございますので、一朝に変えるということはなかなか難しいことでございますが、その方向に向けて同じような考え方で教育を今改革しつつあるということだけは申し上げさせていただけるのではないかな、こう考えております。
  51. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、これは話せば非常に長くなりますから簡単に申し上げますが、今の日本の教育制度というものが果たしてこの社会が要請する教育目的、これを十分に支えているだろうか、こういうふうに考えると、私はやはり根本的に、教育目的というのは、これだけ複雑な社会の中でそれぞれその部署で十分働ける能力を養成することだろうと思うのです。そうした場合に、今の制度でそれを満足させることができるだろうか。しかも生涯教育という面から考えると、勉強したい人は幾ら年とっても死ぬ間際まででも勉強したいのです。そういうものをどういうふうに手助けをしていくかということを、もう少し細心なしかも愛情を持った気持ちで私は考えていただきたいと思います。そこで、これについてひとつ大臣のお考えをお伺いいたします。
  52. 中島源太郎

    ○中島国務大臣 まさに生涯学習を充実させるという一環で御指摘をいただいて、ありがたいと思っております。そういう意味では先ほどのいわゆる長寿学園構想もございますが、これはいつ何歳におきましても、きょうよりあすをさらに充実するために新しい知見を吸収していただくという意味で、また放送大学その他も大変生きがいのあることとして歓迎をされていただいておるわけでございますが、一方におきまして、一度社会に出た方がそれではそれぞれの地域で学ぶ、それからまた先生おっしゃいますようにある講座を聞きたい、こういうこともございますので、大学、高等学校におきましても公開講座、開放講座というものを広めておりまして、開放された学校ということを目指しております。また高等学校におきましても、単位制高校を発足させまして、三年なら三年と限られた中でなく、働きながらあるいは社会人として一単位ずつでも積み重ねていけるということも大変重要であろうと思います。  また、もう一つ付言させていただければ、大学入試が変わっていくことによりまして、そして、社会人をもう一度学校に迎え入れるという門が広まったということでも喜ばれておることはありがたいことと思っておりまして、そういう面を総合的に進めてまいりまして、先生がおっしゃるような方向にできるだけ即してまいりたいということを具体に今進めておるところでございます。
  53. 渡部行雄

    渡部(行)委員 私は中島大臣を非常に尊敬しておりますから、ぜひそういう方向でお願いいたします。  さてそこで、最近は大学を卒業して就職、こういう関係でいろいろと就職情報が非常な価値を持ってきておるわけでございます。そういうところから、この情報をまず把握するということは会社にしても何にしても非常に強みになっていく。そういう点で大学、高校すべて教育関係全部を統轄する文部省と、このリクルート問題でリクルート会社との共通する点、そういう点はどこにあるでしょうか。
  54. 中島源太郎

    ○中島国務大臣 特に個の名称をおっしゃられたかどうかはっきりいたしませんが、私どもとしては、先ほど申しますように生涯学習の中の一環ということでございますし、また高校、大学は特に社会との接点でございます。そして、小さいときから学校としての進路、同時にまた、学びながら社会人としての進路をみずから定めていくということが非常に必要でございます。そういう意味では、自分が社会人としてどの方向に進むべきであろうか、またその進むべき社会というものは今どうなっておるであろうか、こういう情報交換ということは非常に必要であろう、こう思っておるわけでございまして、そういう部分を一般的に申せばこれは十分必要な部分である、このように認識をいたしております。
  55. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、今度世間を騒がしておるリクルート事件に入っていきますが、リクルートというのは非常に就職あっせんなりその情報提供なりは立派なように見えますけれども、今度の事件は、そのリクルートが子会社であるリクルートコスモスという、この内容は不動産会社ですね、大体が。これの株式を譲渡した、しかも未公開株式を譲渡したという点で問題を起こしておるわけですが、この問題について一体大蔵省の証券局はどういう態度をとったのか、明確にしてもらいたいと思うのです。
  56. 松野允彦

    松野(允)政府委員 今お尋ねの株式の売却でございますが、これは昭和五十九年十二月に株式会社リクルートが行った売却でございまして、同社が持っておりました環境開発株式会社、これは後に、昭和六十年三月にリクルートコスモスというふうに社名を変更しておりますが、その環境開発株式会社の株を売却したわけでございます。これにつきまして、私どもとしては、当該売却が証券取引法第四条第一項に言っております売り出し行為に該当するかどうかという観点から現在調査をしているところでございます。  これまでの調査によりまして判明した状況をかいつまんで申し上げますと、この売却は、株式会社リクルートが決算対策上の必要に迫られて五十九年十二月に二回に分けて売却をしております。第一回目が三十九名の方に対し、また第二回目が三十七名、合計いたしますと七十六名の方々に対しまして、一株五十円額面で換算いたしますと千二百円という値段で売却をしたわけでございます。  この売却行為に関しまして、証券取引法第四条第一項の売り出しに該当するかどうかということでございますが、この法律では不特定かつ多数の者に対して均一の条件で売却が行われるというものを売り出し行為というふうに規定をしておりまして、そういう行為をする場合には第四条一項で大蔵省に事前に届け出をする必要があるということになっているわけでございます。ここで言いますこの不特定かつ多数ということにつきましては、私ども行政の指針といいますか通達としまして、おおむね五十名程度以上の人に売却をする場合には不特定かつ多数に当たるという運用をしてまいったわけでございます。  今回の当該リクルートによる売却でございますが、今申し上げましたように一応二回に分けて売却が行われているということでございます。ただ、値段は同一の千二百円ということでございますし、また一回目と二回目の売却が五十九年十二月の二十日から年末までの間という比較的近接した期間で行われておりまして、そういった点から考えますと、私どもとしては、一回目と二回目というのは実質的に一体の行為ではなかったのかという疑いを持って、もしそれを一体ということになりますと、先ほど申し上げましたように七十六名になりまして、五十名という一応の指針を超えて、しかも千二百円という同一価格でございますから売り出しに該当するということになるわけでございます。そういった疑いを持って現在リクルートとの関係で事実関係を詰めますとともに、証取法四条一項の適用の問題について検討を進めている最中でございます。
  57. 渡部行雄

    渡部(行)委員 四条に適用されるかどうか検討中である。しかし、これは五十名以下の場合、売り出す場合にはどういう手続をしなければならないのですか。
  58. 松野允彦

    松野(允)政府委員 今お答え申し上げましたように、五十名程度以上の場合には売り出しという運用をしておりますが、五十名以下の場合には売り出しに該当いたしませんものですから、それは証券取引法上の届け出書を提出していただく必要はないということになるわけでございます。
  59. 渡部行雄

    渡部(行)委員 届け出書の提出はされなくとも、株主総会とか何か社内手続が必要じゃないのですか。
  60. 松野允彦

    松野(允)政府委員 これは当時リクルートコスモス社におきましては、まあ未公開の会社でございますが、株式を譲渡する場合には取締役会の承認を要するということになっておりまして、したがいまして、リクルートが持っておりましたリクルートコスモス社の株を売却するという場合にはリクルートコスモス社の取締役会の決議が必要だということになっているというふうに私ども事情聴取の結果判明しております。
  61. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これはその都度、三十九名と三十七名に売り出されるごとに取締役会の手続、決議を経ていますか。
  62. 松野允彦

    松野(允)政府委員 現在私どもが調査した限りでは、二回に分けてリクルートコスモス社で取締役会の決議が行われております。
  63. 渡部行雄

    渡部(行)委員 ところが、十日もたたないうちに二回目を売り出すのに、その程度の見通しがつかなかったのでしょうか。
  64. 松野允彦

    松野(允)政府委員 実は、私どももその点に非常に疑問を感じておりまして、決算対策、十二月の中旬から下旬にかけて、リクルートの決算は十二月末でございますので、決算期末に近づいて決算の予測といいますか計数を固めていった段階で、リクルート側の主張によりますと、一回目をやったときにはそれで決算対策は十分だったというふうに判断していたのが、しばらくしてそれでも不十分だということで二回目の売却を決定したというふうに私どもに説明をしているわけでございます。私どもそれに対しまして、そういう主張を具体的に裏づけるような事実関係がどこまで説明できるのかということで、現在リクルート社から事情を聴取しているという段階でございます。
  65. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それでは、私は二回に分けたのは四条違反にならないようにということで形式上二回に分けたと思っているのですよ。だから、もしその二回の取締役会が開かれたとするならば、その取締役会の機関の中に本当にその取締役が集まったかどうか、これは会社の何か社内日記とかほかのものをいろいろ見ればわかるはずですからね、そのときどこにいたとかは。調べる気なら幾らでも調べられますよ、本当かうそか。そういう点ではどうでしょうか。
  66. 松野允彦

    松野(允)政府委員 御指摘の点も私ども当然、先ほど申し上げましたように四条に該当する売り出しではないかという疑いを持って事情聴取をしております最中でございまして、当然今御指摘のような点につきましても私ども事情聴取の中で事実関係を確認をしていきたい、あるいはしている最中だというふうに申し上げたいと思います。
  67. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それで、四条違反にならないというのは、二回に分けた期間は大体どのくらいから四条違反にならないのか。例えば一カ月以上あればならないとか五十日以上ならならないとか、その辺はどういうふうに考えますか。
  68. 松野允彦

    松野(允)政府委員 実は私どもも、こういう同一の価格ではありますけれども複数の期間といいますか、先ほど申し上げましたように十二月二十日から年末にわたって売却が行われているわけでございますけれども、今まで私どもとして実はそういうケースにまだ出会ったことがないわけでございまして、具体的に何日間以上にわたれば一体と見ない、つまり一体と見れば売り出しに当たるわけでございますが、一体と見ないということになると売り出しに当たらないわけでございまして、その辺の基準につきましても、現在四条一項の解釈上の問題ということで検討をしているというふうに御理解いただきたいと思います。
  69. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それでは取締役会を開いた二回の日付を言ってください。
  70. 松野允彦

    松野(允)政府委員 リクルートコスモス社の議事録によりますと、五十九年十二月二十日と二十八日の二回になっております。
  71. 渡部行雄

    渡部(行)委員 十二月三十一日が決算日だというのに、三日前で一体間に合うとか間に合わないとかの審理ができるだろうか。私は、あれだけ大きな会社の決算なんというのはほとんど一カ月前には内部書類ができているはずですよ。決算書というのは皆株主に送るわけでしょう。そして総会のときにちゃんと準備してそれを出すということになっているのでしょう。それをこんな三日間であなた、うちの経理上どうしても株を売って集めなくちゃならぬ、そういう筋合いになりますか、実際にも。
  72. 松野允彦

    松野(允)政府委員 実は私どももその点について非常に強い疑問を持っておりまして、確かにリクルートの主張によりますと、今度の売却の理由はリクルートの税引き前利益を前期に比べまして二けたに乗せたいということでいろいろ決算対策をした、そのための株式売却だというふうに説明を受けておりまして、リクルートの主張では、二けたに乗せるか乗せないかという非常に微妙なところはぎりぎりまでわからなかった、数字が動いていたという説明を受けております。ただ、その説明だけを聞いて信用するというつもりではございません。今御指摘がありましたように、確かにこんな短い期間でそんなに決算が変わるものなのかどうかという事実問題につきましても十分な事情聴取をして、あわせて四条一項の解釈の基準につきましても検討を進めている最中でございます。
  73. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この江副会長というのは、政府機関に関係のある審議会とか委員会のどういう役職を今まで持っていましたか。
  74. 加戸守行

    ○加戸政府委員 文部省関係の機関といたしましては、昭和六十年に教育課程審議会の委員、それから昭和六十二年に大学審議会の委員、この二つのポストを文部省関係委員としてお願いをしていたところでございます。
  75. 渡部行雄

    渡部(行)委員 こういうふうにしてくると、やはり偶然にこういう事態が出たのではなくて、彼は初めから意図的にこれを計画したと私は見るのですが、その点はいかがでしょうか。  また、そのほかに、大蔵省は全容解明に着手して事情聴取をしたと言っておりますが、どういう方から事情聴取したのか、その辺を明らかにしていただきたい。  それからさらに、証取法第二十六条、第五十条、第百九十一条の三等々に違反してはいないかどうか、その点の調査の結果を御報告願いたいと思います。
  76. 松野允彦

    松野(允)政府委員 私どもの証券取引法を執行しております立場から申し上げますと、まず最初の売買の問題でございますが、これは先ほど御答弁申し上げましたように、証券取引法四条一項に該当する売り出しかどうかという観点からの調査をしているわけでございます。未公開会社の株式の売買というのは一般的に関係者の間でいわば相対取引で行われるものでございまして、その相対取引について一つ一つの取引の内容がどうかということについては証券取引法は特にそれについて規制をするとかいう考え方はないわけでございまして、今申し上げた売り出しに該当するかどうかという観点で問題にしているということでございます。  それから、私ども事情聴取をしておりますのは、これはあくまでも株式会社リクルートという会社が行った行為でございまして、会社のしかるべき責任者で会社の内容を十分熟知し、かつ、当時の事情が説明し得るということであれば十分だということで、具体的にだれということを我々の方から指名しているわけではございません。  それから御指摘のございました条文でございますが、二十六条は売り出しとか募集に当たりましてその届出書の内容に不審があるというような場合に検査をするという条文でございますが、私ども現在までのところリクルートから事情を聴取するということで十分その事実関係の確認ができると判断をしておりまして、あえて二十六条の検査権を行使する必要は現在のところないというふうに判断をしております。  それから証券取引法五十条のことについて言及されましたけれども、五十条は証券会社の役職員の不正行為について規定をして、その不正行為の禁止を規定している条文でございます。現在まで私どもが関係証券会社から事情を聞いたところでは、今回の当該リクルートによるリクルートコスモスの株式の売却に関しまして、証券会社の役職員が五十条に触れるような行為をしているという事実はつかんでおりません。
  77. 渡部行雄

    渡部(行)委員 百九十一条はどうした。
  78. 野中英二

    野中委員長 百九十一条の三について説明するように。
  79. 松野允彦

    松野(允)政府委員 失礼いたしました。  百九十一条の三の条文でございますが、これは有価証券の募集または売り出しに際しましてあらかじめ特定した値段もしくはそれを超える値段で買い付ける旨の予約をする、あるいはそれを超える値段で売りつけるというようなことをあっせんするという旨の表示をしてはいけないという条文でございます。先ほども申し上げましたように、現在の私どもの調査はそもそもこの売却が売り出しに該当するのかどうかという点を中心にして調査を進めておりまして、現在までのところの事情聴取ではまだ売り出しということを認定するに至っていないわけでございます。この百九十一条の三の条文はそういう特定の価格で、あるいはそれを超えることで売りつけることをあっせんをするというような行為を禁止しているわけでございますが、現在のところ、まだ売り出しかどうかという点についての私どもの調査を進めているという段階にございます。
  80. 渡部行雄

    渡部(行)委員 あなたは会社と話せばいいと言って、会社の建物と話をしたのですか、会社の役員全部と話をしたのですか。また、呼んで話をしたのか、行って話をしたのか。まさか、その相手の名前も全く知らないで、これが会社の代表ですと言われて、そして話をしたのじゃないでしょう。なぜその自分たちが会った人の名前を明かせないのでしょうか。犯罪のことを聞いているわけじゃないですよ。こんなことは秘密事項じゃないでしょう。証券局とだれが会ったかなんて何で秘密なんですか。  それから、大体私はこの事件というのはこれだけじゃないと思いますよ。今までの未公開株式というのはほとんどこういうものが付随している。店頭登録株式の経過の中で恐らくこれはほとんど今までの慣例みたいになっているのじゃないか。最初からそういうねらいがあったんじゃないだろうか。  なぜならば、かつてはこれは証券取引委員会、アメリカで言うSECに該当するものができておったんですよ。それをつくったんですよね。ところが余りにも貧弱なやり方をしておって、そして、これが昭和二十七年の七月三十一日に証券取引審議会というふうに今度改正したわけです。そうしておいて、証券業界の臭いところに手が届かないように全部しておいて、そしてもう初めからある特定の権力者やそういう者の資金源にするためにこういうことがなされたのではないか。大体、今になってまだ四条の売り出しか何かの結論が出ないなどということはあり得ないと思うのですよ。事実はもう出たんでしょう。二足す三足す五は幾らなんだという、あとは答えを書くだけなんですよ。その要素は全部出ているのですよ。私は、なぜ答えが書けないのかと言うんだ。そこにあなたたちの怠慢があるのか、政治的意図があるのか、上からの圧力があるのか、その辺はどうなんですか。なぜ書けないのですか、なぜその結論が出ないか、そこをはっきりしてください。
  81. 松野允彦

    松野(允)政府委員 先ほども申し上げましたように、今回のケースは十二月二十日から三十一日の間に二回に分けて売買が行われておりまして、売却の決定も二回行われているというリクルート側の主張がありますし、またそれを裏づけるリクルートコスモスの取締役会議事録、取締役会の決議があるわけでございます。私ども、その二回を一回と、一体と見て、五十名程度以上に当たるから売り出しに該当するのではないかという疑いを強く持っているわけでございますけれども、その売却の動機が決算対策ということで、利益を出すための決算対策だという説明については、我々としては理解できる面もあるわけでございます。したがいまして、本当に一回目の売却をしたときに二回目の売却を予定してないような状態で行われたのかどうかという点については、当時の決算状況についていろいろ事実関係をさらに確認する必要もございますし、あるいは十日間にわたって払い込みが行われているという事実を、これを非常に近接しているから一回の売り出し行為だというふうに解釈するかどうかという四条一項の解釈問題、こういうケースは私どもこれが初めてでございまして、その辺についてさらに詰めを行う必要があるという段階であるということを御理解いただきたいと思います。
  82. 渡部行雄

    渡部(行)委員 時間が参りましたので、最後に。  結局、全然何もわからないということですね。これは非常な問題を含んでいるのですよ。証券取引法に違反するのか、あるいはその他の条項に波及していくのか、あとは今度は贈収賄に発展するのか、なぜこういう人たちに配ったのか、その意図を知らなくてはならないわけで、そして今の話では全然わからないので、ひとつ取締役会の二回にわたる出席取締役の氏名を資料として今度出してください。  それから委員長にお願いしますが、これでは全然問題の解明になりませんので、この次の機会に、江副会長、それから池田友之氏、それからファーストファイナンスの小林宏氏、三名を参考人としてひとつこの委員会に呼んでいただきたいと思います。よろしくお願いします。
  83. 野中英二

    野中委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  84. 野中英二

    野中委員長 それでは速記を入れてください。
  85. 渡部行雄

    渡部(行)委員 以上で終わります。
  86. 野中英二

    野中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十分休憩      ────◇─────     午後一時一分開議
  87. 野中英二

    野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。新村勝雄君。
  88. 新村勝雄

    新村委員 私は、東日本学園大学の経理についてお伺いしたいのですが、この問題については今までも何回かこの委員会でお尋ねをしたわけですが、大学の運営について新たな情報がありますので、再度お伺いをしたいと思います。  この問題の根源は、大学の設立認可に伴う寄附金の問題について、その寄附金が寄附金であるかあるいは貸付金であるかという性格がはっきりしない、そういう問題があったわけです。この大学が文部省の認定を受けて発足をしたわけでありますけれども、その後、認可条件となった金、これは新日本観光から二十八億九千万円、そして同社の元社主であった、これは故人でありますけれども、佐々木真太郎氏から五十六億円の寄附を受けて設置をされたわけでありますが、この金額が、二十八億九千万円についてはほぼ全額、それから五十六億円のうちで二十六億円が新日本観光に対する、あるいは佐々木氏に対する債務の肩がわりあるいは利子の貸し付けという形で引き揚げられたということが判明をしまして、これが文部省の指導で大学に返還をされた、こういう経過があるわけであります。  そして、この金をめぐって、果たしてこれが寄附金であるのかあるいは貸付金であるのかという問題について関係者から提訴をされまして、これについて検察の調査があったわけでありますが、検察の結論としては、この二十六億円については寄附金ではない、寄附金と断定できる証拠がない、こういうことで立件ができなかったわけであります。これがもし寄附金であればこれは横領ということになるわけでありますけれども、寄附金ではない、寄附金とは断定できないという検察の判断が最終的にありまして、これはそのまま終わったのであります。  これに対して文部省は、寄附の申込書、銀行の入金通知あるいは残高証明等があって要件を備えているからこれは明らかに寄附金である、こういう認定のもとに大学が認可をされ、現在も文部省の判断はそういう判断であるということなのです。ところが、検察の方の判断とは文部省のお考えは違うわけでありますから、もし検察の判断に従うとすれば、この金は佐々木さんの方のサイドから回収をしても、引き揚げても、貸付金でありますから何ら法的にも問われるところはないということなのです。  そこで、佐々木さんの資産については糸山さんが相続をされたというふうに聞いておりますが、そういう今までの経過があるわけでありますけれども、最近の情報として、この二十六億円が一たんは大学へ返されたわけでありますけれども、相続財産の一部として再度引き揚げられたというか、もとの方へ返されたという情報が実はあるわけなのであります。  そこで、この情報について文部省はどういう認識を持っていらっしゃるか。もしこれが回収をされていればいたでまた一つの問題でありますけれども、されていないとすれば、この二十六億円が大学の中でどういうふうな管理をされ、どういうふうな運営をされているか。これは私立大学の経理の一部でありますけれども、いわくつきの金であるだけに、それについて何らかの情報をお持ちであるかどうか。  それからもう一つでありますが、これは前に私がこの委員会でお尋ねしたときに、この二つの金のうちで新日本観光から寄附をされた金についてはほぼ全額回収をしたけれども、まだ一部残金が残っている、元金が残っている、それから利息も残っているというお答えであったわけです。それから、あと故人の分については二十六億円でありますが、これは全額回収をして、利息が残っているということであったわけでありますが、その後どういうふうな処理をされているか、伺いたいと思います。
  89. 野崎弘

    ○野崎(弘)政府委員 まず初めに、寄附金かどうかということでお話がございまして、これは先生今お話のございましたように、文部省の考え方というのは、寄附申込書あるいは預貯金の証明書あるいは入金伝票、役員会の決議等で寄附金であるということを確認することによって、その寄附の実行というものを確かめたわけでございます。したがいまして、真正な寄附であるということで認可をいたしたわけでございまして、その後の私大審議会の委員によります実地調査で不適切な事実があったということで、今お話ございました会社等の債務の肩がわり弁済、個人に対する無利息での資金の貸与、こういうことがございましたから、その辺につきましては極めて不適正であるということで指導いたしまして、回収をしたわけでございます。  今、利息の件等について質問があったわけでございますけれども、債務肩がわり弁済額につきましては、元本及び利息の全額をこれは五十九年に回収をいたしております。それから貸付金につきましても、利息を含めましてこれも五十九年に全額回収をしている、このように承知をしております。
  90. 新村勝雄

    新村委員 それで、この金の性質でありますが、いずれにしてもこの二十六億円については検察と文部省の判断に相違があるわけでありますけれども、この問題について相続税の絡みが出てくると思うのです。これが、検察の判断に従った場合にはこれは貸付金ということになるわけなんですね。貸付金であれば佐々木さんの財産の一部になっている、検察はそう言うのですから。その場合に、これによってこれは当然相続の対象になるということが言えると思うのです。そうなった場合には、これは文部省との見解の相違が出てくるわけでありますけれども、そうなった場合には、これがいわゆる大学の認可のときの見せ金といいますか、実際に基本財産ではないけれども、残高証明によって、いわゆる見せ金として認可をとったというそういう議論がまた蒸し返されてくるわけでありますね。そういうことで、こういう場合に国税当局は果たしてどういう判断を下すのか。これが仮に貸付金であった場合には相続財産の一部として認定されるのか、したがって課税の対象になるのかどうか、こういうことでありますけれども、国税当局の御見解はいかがでしょうか。
  91. 宇都宮康雄

    ○宇都宮説明員 お答え申し上げます。  一般論としましては、寄附金であれば相続財産になりませんし、被相続人がほかに貸し付けている金額につきましては相続財産として相続税が課税されることになります。
  92. 新村勝雄

    新村委員 そういうことになると文部省の見解との相違が出てくるわけでありますが、ところで、この返済をされた二十六億円、実際には金利等を入れますと二十七億六千八百万円程度になるそうでありますが、これは別の件でありますけれども、この残高証明が宗教法人あるいは一部の私立教育機関等に持ち込まれて、大学を譲り渡す一つの交渉の道具になっておる、こういうような情報もあるわけです。大学を五十億として、そこに残高証明の二十七億がある。そうすると実際には二十三億で大学を買うことができる、だからどうか。こういうふれ込みで大学の運営権の譲渡の交渉をした、こういう情報もあるわけです。  もちろん、学校法人の所有である大学が、いかなる形にせよ売り買いの対象になることはないと思いますけれども、そういう情報、これは単なるうわさじゃなくて、かなり状況としてはありそうな状況、情報があるわけなのでありますけれども、こういう情報について文部省はどういうお考えを、認識を持っていらっしゃるか。そして大学の会計の監督、それから基本財産の管理、そういう問題については、かつてそういう適当でない運営がされたという実績があるわけでありますから厳重な当局の監視が必要だと思うのですけれども、そういう点についての御認識はいかがですか。
  93. 野崎弘

    ○野崎(弘)政府委員 今先生のお話しになったことにつきましては、私どもは承知をしておりません。なお、学校法人にも照会をいたしましたが、そのような事実はない、こういうことでございました。  学校法人の管理運営の適正化につきましては、かねてから文部省も指導しておりまして、基本的には私学関係者の自主的な努力を促す等のことで従来から指導してきておるわけでございますけれども、今後ともその辺の指導をしてまいりたいと思っております。
  94. 新村勝雄

    新村委員 それから、この大学にはもう一つ経理上の問題がございまして、それは、同大学が地元の町から、大学ができるということで非常に安い値段で土地を買収したわけであります。この買収した非常に広大な土地を開発を請け負った会社に低廉に売却をして五億五千万円の損害を大学に与えたということが、これは貸付金という形で回収をした、それが起こった同じ時点にそういうことが起こっておるわけなんですが、この問題についてまだほとんど解決がされていないという情報があるわけです。そして、この問題が起こった当時、この土地については将来、二年くらいのうちに譲渡を受けた会社が売却をしてそのうちから六億円程度を学校に還元をして、それでこの損害を補てんをするというような約束ができていたようでありますけれども、この約束についても、そういう約束は一応表面にはあるけれども、その裏では、これは返さなくてもいいんだよ、そういうような逆の約束もあった、こういうこともあるわけであります。  そこで、要するに六億以上の損害を与えたわけでありまして、損害を与えたことに対して理事長と理事四名が、とりあえず一千万円の補てんをしてその損害に対する責任の一端にしたい、こういうことで一千万円を補てんしたということが言われているわけであります。これは五十七年ですか、そして次の年度にも同じく一千万円補てんされた。こういうところまでは聞いているのですけれども、その後、この土地の処分についてあるいはまた学校へ六億円返すというような問題については全く未解決であるし、理事の補てんについてもほとんどそのまま立ち消えになっているということのようでありますが、それらについてはどういうふうになっておりますか。
  95. 野崎弘

    ○野崎(弘)政府委員 今の不適切な事実につきましても、五十四年度の私立大学審議会の委員によります実地調査で明らかになったわけでございますが、運用財産である土地を昭和五十三年度開発を行いました会社に譲渡をして帳簿上五億円余の損害を生じさせたということでございます。これにつきましては、当時の理事長と四名の理事がその責任を痛感しまして、五十七年度、五十八年度各一千万円の損害を補てんをした、こういうようなことでございます。  なお、当時の理事長は、この問題につきまして根本解決の方策を見出すことができないことなどを理由に、五十九年一月に引責辞任をいたしております。  その後でございますけれども、これは相手方のある問題でございます。文部省といたしましては、やはりできるだけ早くの解決をということで指導しておるわけでございますけれども、相手方のある問題でもありますので解決の見通しが立っていない。しかし、大学としましては今後とも引き続き解決の努力を続けていく、こういうことでございますので、文部省としてもそれを見守りつつ、必要に応じ指導してまいりたい、このように思っております。
  96. 新村勝雄

    新村委員 国税はお帰りになって結構でございますので……。  そこで、この土地の問題についてはまだ全く解決がしていないし、理事の毎年補てんをするということについても、一回ですか二回ですか、二回はやったけれども、あとは全く立ち消えということでございまして、まことにこれは運営上遺憾な事態だと思いますけれども、文部省はどういうふうにこれからなさっていきますか。
  97. 野崎弘

    ○野崎(弘)政府委員 繰り返しの答弁になりますけれども、大学でも現在引き続き努力をしているということでございますが、相手方のある問題でございましてまだ解決の見通しが立っていないということでございますけれども、その推移をよく見守って、必要な指導をしてまいりたい、このように思っております。
  98. 新村勝雄

    新村委員 それからもう一つですが、学校とそれから途中の譲り受けた会社との間で確約書、それからその確約書の裏のそれを否定する約束、こういうようなことなのですけれども、これはまるで文部省をだましておるような形になっておりますけれども、そういった事情は御存じですか。
  99. 野崎弘

    ○野崎(弘)政府委員 五十五年二月八日付で学校法人より土地を買収しました会社が、学校法人あてに、当該土地売却成立時には六億円程度貴法人に還元する旨の承諾書が提出されていることは承知をしております。また、同日付で学校法人理事長より同会社に対しまして、貴法人より提出いただいた承諾書は架空の内容であり、貴法人に対し負担をかけないとする旨の確約書があったことも承知をしております。  この辺、私どもとしましても、どういうところに一体真意があるのかということで説明を求めたわけでございますが、当初、学校法人と当該土地を買収した会社との間で、将来、会社がその土地を売却した際には学校法人に対し必要な補てんを行う、こういう約束がなされておった。学校法人は文部省の指導に対する回答を行うに際しまして、当該株式会社に対してこの補てんの承諾書を要請したところ、同社といたしましてはその補てんの時期、金額等を明言する状態になっていなかったことから、それらの条件を明記した文書の発行をちゅうちょした、こういうことでございまして、学校法人としては、必要とする承諾書を得るためにやむを得ず、これは理事長の独断で確約書を差し入れたものであるということでございますが、当時としてはあくまでも補てんの実行を考えてのことであった、こういうことでございます。  また私どもとしましては、このような確約書が作成されたということは、その理由のいかんを問わず大変遺憾なことと考えておるわけでございまして、先ほど申し上げたようなことで相手方のある問題でございますけれども、早期の解決をぜひお願いしたい、こう思っておるわけでございます。
  100. 新村勝雄

    新村委員 一回は、土地を譲り受けた会社から六億円をバックする、回収をするということを確約させているわけでありますけれども、一方では、その確約は必要ないということでその責任を解除しているわけですよ。ですから、それは文部省で御存じかどうかわかりませんけれども、そういうことによってその損害はいつまでもそのまま残っていくということになりますけれども、そういったことについても十分調査をされて、しかるべき指導、そして大学の運営の健全な維持をぜひ文部省として指導監督を願いたいということを特にお願いしておきたいと思います。  次の問題は関西空港の建設についてでありますが、関西空港の建設については、去る七月当委員会で視察が行われまして、いろいろお話を伺ったわけでありますが、この建設関係の業者の間における取引に遺憾な点があるという問題であります。  これは公正取引の問題でありまして、公正取引委員会では、ことしの一月十四日に全国の地方事務所長会議を開いて、国内工事の入札談合について監視を強めるよう訓示をした、こういうことが伝えられておりますけれども、その内容についてお伺いしたいと思います。
  101. 佐藤一雄

    ○佐藤説明員 お答えいたします。  私ども公正取引委員会としましては、入札談合問題については従来より力を入れて摘発に努めてきているところでございますけれども、ことしの所長会議におきましては、そのことを改めて確認し、今後とも入札談合の摘発に努めるということで所長会議の席上、話があったものでございます。
  102. 新村勝雄

    新村委員 このような訓示があった背景としては関西空港への米企業参入の問題があったわけですが、これは政府間の交渉で一応おさまったものの、成果はなかったということであります。原因としては米企業の努力不足等が挙げられていますけれども、その根底にはやはり談合の問題があったのではないかと言われているわけであります。こういう状況のもとではとても外国企業の参入はあり得まいというのが一般の見方のようでありますけれども、昨年東芝問題で渡米した田村通産相も、帰国後の記者会見で、両国の壁は談合にあるというようなことを言っておられるわけです。  こうした環境の中で昨年十一月十六、十七日ワシントンで開かれた日米独禁協議で、米側のルール司法省反トラスト局長、オリバー連邦取引委員会委員長などがこの問題に触れて、日本の談合が外国企業の市場参入を難しくしていることについての懸念を表明したということが伝えられているわけであります。これは当面、関西新空港を念頭に置いているものと考えられますが、これに対して梅澤公取委員長が、関西新空港の入札で談合の情報はないが、今後は同空港を初め大型プロジェクトで談合監視の体制を一層強化したい、こういうことを言っておるわけですね。それで米側の了解も得た、こういうことが報道されておるわけでありますが、関西空港に関して談合とか独禁法上の問題点についての何か情報なりそういうものはお持ちですか。
  103. 佐藤一雄

    ○佐藤説明員 お答えいたします。  関西空港の関連工事で、関西方面でこういう談合が行われているのじゃないかみたいな新聞報道に若干接したことはございますが、関西空港そのものの問題につきましてはその程度の情報しか得ておりません。
  104. 新村勝雄

    新村委員 運輸省に伺いますが、関西新空港の第一期工事、護岸埋立工事の発注状況、それから進捗状況については、現在どういうことになっておりますか。
  105. 相原力

    ○相原説明員 関西国際空港につきましては、昨年一月に建設工事に着手いたしまして、昭和六十七年度末の開港を目途に現在工事を進めているところでございます。空港島の護岸、それから埋立区域の地盤改良工事、それから連絡橋の工事を現在進めているところでございまして、空港島護岸等につきましてはすべて発注が終了いたしております。工事も、護岸全体で約十一キロメートルございますが、そのうち約七・五キロほどが海面上に出ておりまして、今年末には護岸工事もほぼ完成するという状況でございます。
  106. 新村勝雄

    新村委員 私の調査によりますと、護岸工事は、六工区について五洋建設、三井不動産建設等の各社を幹事社とするジョイントベンチャーで、指名競争見積もりで受注している。また造成工事は、その一を大成建設、その二を東亜建設工業を幹事社とするジョイントベンチャーが受注している。これらの工事については大量の砂れき、土砂が必要なわけでありますが、この土砂についてはどこで採取をされ、どのようにして運搬されておりますか。
  107. 相原力

    ○相原説明員 土砂でございますが、山土につきましては埋め立てを全部いたしますと約一・五億立米ほど必要というふうに見ているわけでございますが、現時点では先ほど申し上げましたように空港島護岸、それから埋立区域の地盤改良を行っている段階でございまして、現時点での山土につきましては、兵庫県の淡路島の山土が購入されて空港島まで海上運搬をされているというのが現状でございます。
  108. 新村勝雄

    新村委員 この土砂の納入について大変な問題があるという情報を実は得ているわけであります。日本の大手業者がこんな不正な、公正を損なう取引をしていいのかどうかということが疑われるわけであります。それと同時に、外国からも注目をされている大事業であるだけに、十分調査をして改めるべき点は改めていただきたいと思うわけであります。  指摘したいのは、使用されている土砂は、今お話しのようにそのほとんど全部が淡路島から取られているということでありますが、その採取について、海上埋立土砂建設協会、略称海土協と言うそうでありますけれども、こういう組織ができております。この組織は昭和四十五年ごろの設立で、途中の曲折がありますけれども、空港建設のめどがついた六十一年に、淡路島に山を持っている青木建設、大林組、鹿島建設、竹中土木等々八社で再出発したと言われております。この海土協なる組織は、空港工事の土砂の納入を独占して、自分たちに都合のよい、勝手なといいますか価格を設定して、一種の談合というかカルテルというかをやっているということがわかっております。  これによると、海土協がそのメンバー各社に納入量を割り当てている、さらに価格については現場までの運賃込みで一立方メートル当たり千百三十円として、これをジョイントベンチャーに売り渡しているということのようであります。この価格については、空港側の積算価格、予定価格よりはかなり高い値段で設定をされているというふうに言われておるわけであります。それから、この海土協と各メンバーとの間あるいは海土協とジョイントベンチャーとの間の取引についてもとかくのうわさがある、こういうことであります。  一方、ジョイントベンチャー、土砂を買う方については、独自に自分の土砂を調達しようとしても、運搬に当たる船を押さえられている、あるいは他の経済外的な圧力が加わって、今後仕事をやらないとか売らないとか、いろいろ経済行為外の圧力がジョイントベンチャーに行っている、こういうようなことも言われているわけです。  こういう一連の行為は明らかに独禁法上問題になると思いますけれども、この点についてはいかがですか。
  109. 佐藤一雄

    ○佐藤説明員 お答えいたします。  まず一般論として申し上げますと、事業者団体におきまして話し合い等によりまして共同して価格を統一するようなことなどがございますと、これはもう独禁法上の問題が生じてまいるということでございます。  それで、先生御指摘の海土協について申しますと、現在までのところ、価格カルテルなどの独禁法に違反する行為が行われている、そういった具体的な端緒たり得る情報には接していないわけでございます。しかしながら、今後具体的に端緒たり得る情報に接するようなことがありまして、独禁法上問題となる行為が行われているということが判明いたすような場合には、厳正に対処してまいりたい、かように考えます。
  110. 新村勝雄

    新村委員 情報を持っておられないと言いますけれども、実は情報があるんですよ。これは私が持っているわけですから後で提供しても結構ですけれども、ぜひ厳正な対処をお願いしたいと思います。  そこで、海土協の性格ですけれども、今おっしゃいましたが、会の趣旨あるいは会員の構成から見て独禁法第二条の事業者団体に該当すると思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
  111. 佐藤一雄

    ○佐藤説明員 先生御指摘のような土砂採取業者、これは事業者であると思われますから、したがいまして、海土協というのは事業者団体ではないかというふうに思われます。
  112. 新村勝雄

    新村委員 そうしますと、同法八条で事業者団体についての禁止行為が規定されておりますが、海土協は、淡路島から産出する土砂を全部押さえて、それで価格の設定をしております。したがって競争の制限も当然しておるわけでありますから、自由競争をそこで明らかに阻害をしておるということになるわけですね。ですから、同条一項一号に該当する行為であると思いますけれども、いかがでしょうか。
  113. 佐藤一雄

    ○佐藤説明員 先ほども申し上げましたとおりに、私ども、事件として問題にするにつきましては、端緒たり得る情報に接した場合にその内容を検討いたしまして、しかる上で措置いたすわけでございますが、まことに恐縮でございますけれども現在端緒に接してない状況にございます。そういうことで御勘弁願いたいと思います。
  114. 新村勝雄

    新村委員 公取さんは現在は情報を持っておられないということでありますけれども、今申し上げているのは、淡路島の土砂を全部押さえて他の参入を許さない、あるいはまた他の方法による搬出も許さない、それで価格も一方的に決めている、こういう事態があるわけですけれども、そういう事態があった場合にはどうですか。
  115. 佐藤一雄

    ○佐藤説明員 そういう具体的な端緒の内容を検討しました結果、これはかなりそういう疑いが濃いというようなことに判断されますならば、調べてそれで違反であるかないかを明らかにしなければならないというふうになってまいると思います。
  116. 新村勝雄

    新村委員 これは実際調査をした結果によるのですけれども、海土協は八社の会員を通さなければ一切土砂の搬出というか販売を許さない、それからまた海土協で決めた値段でなければ販売を許さない、現にこういうことをやっておるわけですよ。ですから、ぜひその実態を調査されて、しかるべき対処をしていただきたいわけであります。  運輸省に伺いますが、土砂をめぐるこういった納入のいきさつ、経過についてこのような問題があるということについて知っていたのかいないのか、あるいはまた公取さんと同じように情報が全くないのかどうかあれですけれども、関係者によりますと、発注の前後において海土協と関空、あるいは海土協とジョイントベンチャーの間にはかなり激しいやりとりがあった、交渉があった、そして結果的には海土協の主張が通って関空の予定価格よりも高い値段で納入を押しつけられた、こういう情報もあるわけなのですね。  とにかく、日米間でこの談合というかカルテルというか、その問題があったやさきでありますから、こういう問題についてはぜひ厳しく取り締まりをしていただかなければいけないと思いますが、運輸省の現在の認識はいかがですか。
  117. 相原力

    ○相原説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、日米の公共事業参入問題を持ち出すまでもなく、関西空港建設に当たりましては、発注等につきまして公明かつ透明の制度を設けるという前提で当初から行っておりまして、今までも関西空港株式会社においては公明かつ透明性を徹底した手続を行ってきたものと確信いたしております。また、今後もそういう形で行われていくものと思っております。  空港建設工事に必要な資機材でございますが、土砂を初めそれ以外にもいっぱいあるわけでございますけれども、これらにつきましては、事業主体である関西国際空港株式会社から工事を請け負った建設共同企業体、ジョイントベンチャーでございますが、建設共同企業体が調達することになっております。したがって、関空会社が直接調達するということはまずございません。したがいまして、現在進めております護岸工事、埋立区域の地盤改良工事に必要な山土につきましても、指名競争入札によりまして工事を請け負っておる建設共同企業体が、現在稼働中である先ほど申し上げました兵庫県淡路島にある民間の土取り地から直接調達しておると聞いております。  なお、現在のところは淡路島から必要な埋立土砂を購入しておるわけでございますが、ことしの末から本格的に埋め立てが開始される予定になっておりますが、来年度ぐらいになりますと、現在準備を進めております大阪府の阪南地区あるいは和歌山県の加太地区の土取り地からも、それぞれ五千万立米近くでございますが同様に埋立土砂を予定しているということがございます。  それから、先生の方で先ほどお話がございました海上埋立土砂建設協会と関空会社の方との話し合いがあったかどうかというようなことにつきましては、私どもとしては一切そういう事実は聞いておりません。  以上でございます。
  118. 新村勝雄

    新村委員 海土協と企業体とのやりとりがあった、そして海土協側の主張が一方的に押しつけられて、これは企業体が直接の仕事をやるにしても、もちろん関空の事業の主要な部分でありますから、高い土砂を買うということはそれだけ工事費が上がるわけですね。ですから、そういう点についても十分監督していただかなければなりませんし、特にその土砂の納入について自由競争を阻害する形で納入されているということになれば、これは大変重大な問題だと思うのです。公正取引を害すると同時に国家の損失にもなるわけですから、そういう点で十分な調査と指導を願いたいということを特にお願いしておきます。  今申し上げているのは主として淡路島を舞台にして行われている事態でありますけれども、将来場所が変われば契約の内容なり納入の形も変わるでしょうけれども、同じような、そういう不純な要素なり公正取引を害する形がほかにも波及するとすればますます大変な問題になるわけでありますから、ぜひそういうことのないようにお願いしたいと思います。  それから、公正取引委員会に再度伺いますけれども、こういう問題は五十七、八年あたりに談合問題で国会でもかなり取り上げられ、マスコミをにぎわした時期があります。その当時こういった問題を繰り返さないためのしかるべき措置が各省でとられたはずでありますけれども、それが必ずしも徹底していないということが言えると思いますし、仮にもこういう問題が起こるということは、談合問題が本当に解決していないということが言えると思います。特に日本の談合というやり方、これが現在国際間の問題にもなっておるわけでありますから、日本の経済あるいは日本の社会体質といいますか、そういったものに対する国際的な不信を除くという意味からいっても、談合とかカルテルというような公正な取引を害するやり方については、公取で奮起一番根絶を図っていただくことが必要であると思います。これについては梅澤委員長もアメリカで大見えを切ったというような経過もありますので、談合とか取引の公正を害する行為については日本経済というか建設業界から根絶していただくようにお願いしたいと思いますが、もう一回決意のほどと、今申し上げたこの具体的な問題についてはぜひ至急に調査を願いたいと思いますけれども、いかがですか。
  119. 佐藤一雄

    ○佐藤説明員 先生御指摘になりましたように、入札談合問題につきましては、私ども公正取引委員会としても、委員長も申しておりますとおりに厳正にしっかりと対処していかなければならぬということで、常日ごろやっておるところでございます。今後ともそういう情報収集に努めまして、厳正にやっていきたいというふうに思います。また、先生御指摘の海土協の件につきましては一層の情報の収集に努めたい、かように考えます。
  120. 新村勝雄

    新村委員 以上、お願いをいたしまして、次の問題であります。  次の問題は原発の問題、それから原発に関連をして、先般アメリカのヘリコプターが付近に墜落をしたという事故があったわけでありますけれども、まず初めに、原発については午前中も質問がありまして大臣からも御答弁がありましたけれども、今原発については賛否半ばということではないのでしょうけれども、反対運動もかなり強いということでありまして、これは世界的な傾向になっておるようであります。原発について賛成か反対かということの前に、やはりその原発の持つ危険性あるいは安全性、これらについて十分科学.的に説明をされ、国民全体ができる限り正しい認識、知識を持つということが必要だと思うのです。  先ほどのお話によりましても、二〇〇〇年には四〇%まで持っていく、しかも代替エネルギーについては、補完的なエネルギーは考えられるけれども基幹的には急速には期待できない、こういうこともございまして、これは反対すると否とにかかわらず当分の間、日本人は、あるいは人類はといってもいいかもしれませんけれども、原発と共存というか共生をしなければいけないという運命にあると思いますが、まず日本においてあるいは世界的に反原発の運動がかなり顕著に存在するということについては、大臣は基本的にはどこに原因があるとお考えですか。
  121. 平野治生

    平野政府委員 お答えを申し上げます。  現在、反原発の運動が世界的に盛んであるという御指摘でございます。確かに我が国におきましても、従来には見られない新しい反原発の動きといったようなこともあるわけでございますが、これは私どもの考えますところでは、基本的にはやはりチェルノブイリのあの事故によりまして世界的に原子力発電の安全性に対する心配というものが広がったということが直接の原因であろうかと思っております。
  122. 新村勝雄

    新村委員 それで、科学技術庁初め原発を運転をされておる電力会社におかれては、何か秘密主義という印象を受けるわけなのですね。ですから、原発がどういう危険の可能性を持っているのか、あるいはまた仮に爆発をした場合最大限どういう状況が起こるのか、あるいはそれに対してどの程度の環境汚染があるのか、またそういう状況に対してどういう対策が現在整備されているのか、そういう点についての説明、PRがかなり不足をしているという感じも受けるわけです。ですから、そういう点についてもう少し、秘密主義ではなくてあらゆる可能性を前提とした対処の仕方あるいは政府としての対応の用意、こういったことについて、もう少しわかりやすく国民に説明をする必要があるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  123. 平野治生

    平野政府委員 仰せのように原子力につきましては、やはり国民の御理解を十分得て進めるということが大前提でございます。我が国の原子力研究開発、利用は、御案内のとおり原子力基本法によりまして公開の原則というもとに進めております。したがいまして、政府あるいは民間の企業とも、公開できる資料等はできるだけこれを公開するということでやってきておりますし、今後ともその方針は堅持するつもりでございます。  それから、やはり原子力についての御心配というのは、この原子力発電所を初め原子力の問題は非常に高度な技術的な内容を含むものでございますから、それをできるだけわかりやすく御説明するという努力は私ども続けてまいっておるところでございますが、なお一層この努力を続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  124. 村上健一

    ○村上政府委員 原子力発電所の安全性の問題がどういう仕組みで審査されているかということについて、一言補足御説明申し上げます。  原子力発電所につきましては、現在ダブルチェック制度というものがとられてございまして、まず最初に、実用原子力発電所につきましては、申請者であります電力会社が原子炉等規制法に基づきまして通産大臣に許可の申請を行います。通産大臣はこれを行政庁として審査いたしまして審査報告書をつくりまして、内閣総理大臣の諮問委員会でございます原子力安全委員会でこれを再度点検、検討を行う仕組みになっております。これを私どもダブルチェックと申しております。で、原子力安全委員会法律に基づきました原子炉安全専門審査会という学識経験者によります審査会に審査を命じまして、その結果、原子炉安全性について支障がないという判断に立ちました場合は、あわせて電力会社の技術的能力の審査も踏まえまして、その結果に基づきまして通産大臣に支障がないという返事をする仕組みになっております。もちろん支障がある場合は支障があるという返事をする制度になっております。それで、それを受けまして通産大臣は電力会社に許可をする、こういう非常に、十分慎重に取り組む姿勢になっております。  なお、一般の皆様方から、特に原子炉が設置される地方、地域の方から御意見を伺うことにつきましては、新設する場合に公開ヒアリングを二度行うことになっておりまして、最初の第一次公開ヒアリングにつきましては電力会社が地元の方に説明をするヒアリングでございまして、そのときは通産省が座長の役目をする会合がございます。  それから、第二次公開ヒアリングと申しますのは、原子力安全委員会が通産大臣に答申をする前に、ダブルチェックに入ります前に——入りました後も、途中の場合もございますが、地元で、原子炉の固有の安全性の問題につきまして地元の皆様から御意見を伺ってその結果をみずからの審査に反映させるという、こういう仕掛けになっております。それで、その結果はもちろん公表することになっております。  御案内のとおり、本日、東北電力の女川第二発電所につきましては第二次の公開ヒアリングを実施しているところでございます。
  125. 新村勝雄

    新村委員 先日伊方原発の近所にヘリが落っこったというニュースがございましたけれども、航空路、空域あるいは旅客機の空路、これと原発との関係はどうなっておりますか。
  126. 村上健一

    ○村上政府委員 御説明申し上げます。  現在、我が国には原子力発電所が伊方を含めまして十七ございます。この十七の発電所の上を民間航空機の定期航空路や自衛隊の練習空域が通っている場合がございます。現在、民間航空機の定期航空路が六本、それから自衛隊の練習空域が二本ございます。  施設上空に定期航空路があります場合には、安全審査の際に、先ほど申し上げました第一次行政庁の審査の場合、それから安全委員会の第二のダブルチェックの場合にも十分調査いたしまして、航空機が墜落する可能性について評価を行ってございます。  また、施設上空に自衛隊の練習空域がある場合は、施設を中心に半径二海里、約四キロメートル、高さ二千フィート以下の空域を練習空域から除外する措置をお願いしてございまして、そういうことから原子力発電所、原子力施設に航空機が落下する可能性は無視し得る程度だというふうに考えております。
  127. 新村勝雄

    新村委員 民間航空機の空路六本、それから自衛隊が二本ということでありますけれども、原発の上は原則として空路にしないということはできないのですか。原発は全国に十七あるそうですけれども、その十七の原発は避けても空路の設定、航空にはそんなに支障はないと思われますけれども、そういったことはいかがなんですか。  それから、米軍についてはどういう規制がされていますか。
  128. 村上健一

    ○村上政府委員 航空路の現状につきましては今御説明申し上げたとおりでございますが、我が国は、現在、航空機による原子力施設に対する災害を防止するために、先生御指摘のとおり民間機、自衛隊機について原子力施設付近上空の飛行はできるだけ避ける旨の飛行規制を行っておりまして、これを航空情報として公示されているところでございます。一方、米軍につきましてもこの公示を尊重いたしまして飛行を行っているものと承知いたしております。  それで、御案内の伊方の近所に落ちました米軍ヘリコプターの件につきましても、今申し上げましたように、米軍は従来から日本国政府の申し入れに従って行ってきたところでございますけれども、ヘリコプターとはいえ伊方原子力発電所の近所に落ちましたこともございまして、私どもは六月二十九日に、運輸省の航空局長と外務省の北米局あてに、原子力発電所上空の飛行制限について一層の周知徹底方をお願いいたしました。これを受けまして外務省は、日米合同委員会の航空分科会でこの旨申し入れを行っていただきまして、在日米軍司令官の、尊重するという回答をもらった旨承知いたしております。
  129. 新村勝雄

    新村委員 そうすると、民間機はできるだけ避けるということですけれども、これは訓示規定なんですか、それとも禁止規定ですか。これは訓示規定のように思われますけれども、なぜもう少し厳重に、絶対飛んではいけないとか、そういうことにしないのか。それからまた、米軍についても原発の上を飛ばなくても練習というか訓練はできるはずですし、運営上特に支障はないはずでありますから、米軍についても絶対に原発の上は飛ばないでくれということの要請がもう少し強くできないものであるかということです。
  130. 村上健一

    ○村上政府委員 お答え申し上げます。  民間航空機、それから自衛隊機の問題につきましては、航空法に基づく規制でございますので私どもの方から申し上げる立場にございませんので、運輸省の方にその旨お話を申し上げたいと思いますが、私ども承知いたしておるところによりますと、禁止規定ではなくて運用されているものと思いますが、詳細については運輸省の方にお話し申し上げたいと思います。
  131. 新村勝雄

    新村委員 禁止規定ではない、訓示みたいなものですね。要望ですか、こういうことを望むという程度、極めて弱いんですね。ですから、それを禁止規定にするなり、絶対に上を飛ばないような、そういう体制、対処の仕方はできないのかということです。
  132. 村上健一

    ○村上政府委員 私どもの承知いたしておるところでは、運輸省は航空局長名による通達を出しておられます。それから、防衛庁につきましては航空幕僚長名の通達が出てございます。それから、米軍機に対する規制につきましては、先ほども申し上げましたように、日米合同委員会による要請ということになってございます。
  133. 新村勝雄

    新村委員 そういう安全対策についても、やはり国民の不安を除く一つの重要な要因になるわけですから、ぜひひとつそういう災害予防についても万全を期していただきたいと思います。  終わります。
  134. 野中英二

  135. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、今度の質問のすべてをオリンピックの問題に絞って発言させていただきます。  文部大臣、責任ある立場にあるオリンピック担当として、また閣僚のお一人としていろいろな面で御心配をかけ、また御配慮いただいている点にまず感謝を申し上げます。  とともに、本日の週刊新潮をお読みになったと思いますが、「戦慄の秒読みに入った「ソウル五輪」」こういうことが載っております。戦慄の秒読みに入ったなどというとまことに穏やかでございませんけれども、とにかく今度のソウル・オリンピック、「テロを阻止するための警備体制がいかに凄まじいか。それは次のような数字からも明らかなのである。」という書き出しになって、「警察庁がこの警備のために組んだ予算は四十七億円。八月二十日を機に動員した警察官は警視庁管内だけで約一万人……。」云々、そのほか警察首脳陣の名前を挙げて、その体制を報じております。  そこで、まず所管でございますが、大臣、お隣の韓国と友好的な立場にある我が国が、いろいろな諸般の、北と南との政治的トラブル、問題点、そういう配慮の中でこのオリンピック問題をどう大臣は受けとめられ、またこの週刊誌の題号にあるような、テロによる脅威というものが実際あるのかないのか。この題号は非常にオーバーな表現をしておりますが、「戦慄の秒読みに入った」、あと二十日足らず。御所見を承ります。
  136. 中島源太郎

    ○中島国務大臣 小川先生御指摘のように、ことしはソウルで行われますオリンピックの年でございます。特にアジアで行われるスポーツの祭典と申しますか、また前回は東側の諸国がロス・オリンピックには参加しておらない、その前のモスクワ・オリンピックにはまた一方の国が参加しておらない、今度は百六十カ国以上の国が参加をするということでございまして、私どもといたしましても、ぜひともこのオリンピックが平和裏に、成功裏に終わっていただくのと同時に、全世界のスポーツに親しむ方々の層がさらに広くなりまして、そういう意味で、全世界の融和と、それから健康の増進に資していただく有意義なオリンピックになってくれることを心から願っておるところでございます。
  137. 小川新一郎

    小川(新)委員 閣僚会議等で警察庁や担当の警備陣から御報告があったと思いますが、この警備体制についてはそれなりの準備、また予算面、人事面、行政面の全力を挙げて対応なさっていることもよく承知しておりますが、事故が起きたのではこれは大変なことでございますので、この対応に対して今足らざるものがもしあるとするならば、お金の面なのか、それとも他の面なのか、人員の問題なのか、いろいろとございますし、また各省関係当局の連絡が不備であったのではならないし、大臣がもし本当にこのソウル五輪を成功裏、平和裏に無事に終わらすために何か御意見がございましたら、今この席を使ってひとつ意見を表明していただきたいと思います。
  138. 中島源太郎

    ○中島国務大臣 私は文部省の立場から申し上げているところでございますが、御指摘のように、閣議におきましても、関係各省庁が真剣に力を合わせまして、非常に平穏裏にオリンピックが終始していただくように、それぞれの立場で最善の努力をいたしておるところでございます。  足らざるところがあれば何か、こうおっしゃる御質問ではございますが、最善を尽くしております。これは資金的にも、あるいは警備陣の態勢あるいは連絡網におきましても最善のことをいたしておると思いますし、また私どもで強いてつけ加えるとすれば、さらにもう一つ、これの成功を祈る心をつけ加えさせていただいて、そして各省庁が連携を保ちながらこのオリンピックに対して万全の策を講じて成功裏に終始することを願い、それぞれが努力をいたしておる、万に一つも手落ちのないようにいたしたい、このように考えております。
  139. 小川新一郎

    小川(新)委員 特に警察庁を中心にした警備陣については大変な御苦労がおありのようでございますので、文部省を初め関係省庁は連絡に不備のないようよく配慮して、警備陣を激励し、そして過ちのないようにしていただきたいことをここで改めてお願いしておきます。  次は、スポーツ振興の基本は、オリンピックのメダルに象徴されるように、国際競技に勝って民族社会の底力を増大させるという、国威を発揚するところにあるのか、それとも国民全体のスポーツ人口を厚くし、その結果として強い選手が多く出るという方向を探るべきなのか。これは競技スポーツ重視なのか国民の生涯スポーツ重視なのか。こういった大きな大競技に出る特別の人たち、選手を除いて、多くの意見が出ておりますが、オリンピック憲章第九条には、オリンピックは個人またはチームの競技で国家間の競技ではないとうたわれております。前総理大臣である中曽根総理は、これからのスポーツは国家がやる時代だとも述べております。それらを参酌して文部大臣の御意見を承ります。
  140. 中島源太郎

    ○中島国務大臣 実は私どもは、先生御存じのように、この七月から体育局の中に二つの課を設けまして、それは生涯スポーツ課と競技スポーツ課でございます。言うなれば、先生が問題を提起をしていただきました全くそのとおり、いずれとも言わず、この両方が相まって、そして全国民、全世界の人々がスポーツに親しみ、スポーツを通じて親善の輪が広がるということを願っておるところでございます。スポーツに親しむ層が深く広くなることによって、そこからまたエキスパートが出やすくなるであろうし、また、一部のエキスパートの方々が大変な、スポーツを通じて全世界に赫々たる功績を上げられることによって、そしてまた、スポーツに親しむ層が厚くなるということもございましょう。例を挙げれば、かつて我が国のバレーボール選手がオリンピックで大変な活躍をいただいた、そのときから非常にバレーボール熱が広まりまして、現在、日本の国内にも約四万チームのママさんバレーチームができておるということでございます。これは、選手諸君にとっては血を吐くような苦しさを乗り越えてメダルを獲得されるでありましょうけれども、それに続くそういう国民全体のスポーツ熱が広まるという喜びもあわせてあるわけでございまして、これが一国にとどまらず全世界の融和につながるということを願いつつ、文部省としては二つの課を設けた、こういうことに御理解いただければ幸いでございます。
  141. 小川新一郎

    小川(新)委員 それは、前総理である中曽根さんの発言である国家がやる時代だというのはそこを指しているのですか。それともまだほかにお考えがあるのか。これは昨年七月の臨時教育審議会臨教審の最終答申の中で、スポーツと教育について述べられている段でございますが、国民一般のスポーツと競技スポーツとどちらを重点に置くかということで議論が分かれるところで今のようなお話が出てきたと思います。  そこで、昨年十月、中曽根前総理が発足させた私的懸談会、スポーツ振興懇談会がことしの三月三十日、竹下総理に報告書を提出しております。諮問した総理大臣ではない、別の総理に出しているわけでございますが、報告書を受けた竹下総理から文部大臣にはどのような指示がおありになったのですか。
  142. 中島源太郎

    ○中島国務大臣 これは、スポーツ振興に関する懇談会というのが総理大臣の私的諮問機関として設けられました。そこで自由な御論議をいただき、御意見をまとめていただいた。ただ、これは私的懇談会でございます。しかし、そこでいろいろ御自由に論議されましたことはいろいろな示唆に富んでおることであろう。私どもはこれを正式な審議会でお受けをいたしまして、そして具体にまとめてみたい、こう思いまして、おっしゃるように三月に総理のスポーツ振興に関する懇談会の一応のまとめができた時点で、私どもは保体審、保健体育審議会でございますが、ここにその経過をお受けをいたしまして正式審議会で御審議をいただこうということで、現在御審議をいただいておるところでございます。  この審議内容はいろいろございまして、少なくとも国民全体を見ます生涯スポーツの問題あるいは競技スポーツの問題、プロとアマの問題その他、各般にわたっております。この春から発足いたしたものでございますから、全体的な結論をまだ得るに至っておりませんけれども、この八月の下旬に第一回目の中間まとめをぜひいただいて、そして、それを参考にいたしまして秋に向かってさらに具体に進めてまいりたい。また、保体審自身は来年まとめに向かってぜひとも引き続き御審議を続けていただきたい、このような状況の過程でございます。
  143. 小川新一郎

    小川(新)委員 答申を尊重し、その内容に盛り込まれたことを文部省が行政の面で的確に活用するということは大変結構なことでございます。  そこで、私は勝負にこだわるわけではございませんが、オリンピックに出るからには勝ちたい、日の丸も揚げたい、国歌も聞きたい。また、メダルをとって喜ぶのは選手ばかりでない。これはもう、オリンピックが開かれてテレビの前にかじりつけば、だれだって手に汗を握って応援するのは人情でございます。  そこで、昭和三十九年、一九六四年の東京オリンピック以来、日本の金メダルは一体どれくらいとれたかということであります。東京オリンピックのときには、米ソに次いで第三位で十六個。メキシコは、米ソに次いで第三位で十一個。ミュンヘンは十三個、これは米、東ドイツに次いで西独と並んで四位。モントリオールは九個、ソ連、東独、米、西独に次いで五位。ロサンゼルスは十個、ただしこの場合、米国、ルーマニア、西ドイツ、中国、イタリアに次いでカナダと同数の六位。次第に下がってきている中に、しかもロサンゼルス大会にはソ連と東独は含まれておりません。何だか非常に不景気な姿がどんどん現出されてきたのは、世界のスポーツ水準が上がってきたのか、それとも日本のスポーツ技術の水準が下がってきたのか、それとも体力が落ちているのか、根性がないのか、そういった励み、国家国民の応援が希薄なのか、日の丸を揚げることにも抵抗を感ずるような社会、君が代を歌うことについても批判のあるような社会がそういったものの背景にあるのか。大臣、率直な点を承りたいと思います。何で下がってきたのか。
  144. 中島源太郎

    ○中島国務大臣 これはいろいろな理由があると思います。また、小川先生御指摘いただいた今の数はゴールドメダルの数でございます。金、銀、銅合わせますと、たしか東京オリンピックが二十九、前回のロスが三十二、こういうことでございまして、そういう意味では拮抗しておるかなとは思いますけれども、実際に肌で感じまして、ロス・オリンピックは東側の強豪国が参加しておらなかった三十二個であり、その中の十個のゴールドメダルということになりますと、今度百六十カ国以上が参加をするソウルではなかなか厳しい状態であろう。  総じて申しますと、近隣諸国を含めて総体に競技スポーツの質が一斉に上がってきていると思います。それに対して日本は、根性論も必要でございますけれども、これからは少なくとも一つのスポーツに徹していくという根性と同時に、もう少しスポーツ医科学的な面のサポート、それからそれぞれの才能を十二分に生かすようなカリキュラム、そういった全体の総合的なサポート体制をさらに強固にしていく、そういう面での連係作業に難点はなかったかという反省も一方でしておくべき点があるのではないか、率直に申せばこのように考えております。
  145. 小川新一郎

    小川(新)委員 これはオリンピックばかりでございませんで、アジア競技大会における日本の金メダルの順位は、同じように、第一回ニューデリー大会から第八回バンコク大会までは第一位であったのが、第九回ニューデリー大会では二位、第十回ソウル大会は中国、韓国に次いで大差で三位に落ちてしまったということであります。大臣の話を聞いていると非常に格好のいいお話なわけですが、スポーツも戦いであり、勝ち負けの結果を論ずることから言うならば、我々は非常に危惧を感じておるわけでございます。  そこで、伝え聞くところによりますと、韓国では金メダルをとると生涯年金をいただけるとか、アメリカにおいてもそれなりの表彰を国家的にいただいているとか、何かやはり選手を励まし奮い立たせるものがなくてはなりません。  最近のプロ野球の例をとってまことに恐縮ですが、私は気違いじみたジャイアンツのファンでございますけれども、最近の巨人軍の姿は見るにたえないほど情けなく、テレビをひねるのも気が引ける思いです。何で中日ドラゴンズの星野仙一があれほど男を上げてきたか。彼は、選手がホームランを打ったり何か特殊なことをやると報賞金を出している。怒るばかりではない。人間はしかっただけではついてこないんだ、これは金田正一も監督の時にそう言っております。王さんは余りにも紳士的ではなかろうか。日本がちょうど王貞治監督のように見えてきてなりません。お隣の韓国や中国や東ドイツは、中日の星野仙一監督のように、ハードであるけれども思いやりがある。そういう中で成果が順々に上がってきているわけではなかろうかと思っております。  お隣の韓国のようなシステムは、よその国のことですからいいとか悪いとか私は批判できませんが、大臣、今私の話を聞いてどうお考えになっておりますか。韓国のような例も取り上げる考えがあるのですか。
  146. 中島源太郎

    ○中島国務大臣 はっきり申しまして、一つのことに専念をいたすということは大変なことでございます。特に選手寿命というのはそう長いものではございませんので、例えばスポーツに専念をするという方にとりましては、その後の社会生活全般に不安があっては一つのことに専念できまい、そういう感じはいたします。  たまたま先ほど柔道の神永選手の修業時代のテレビを拝見しておったのですが、当時はお金がなくて食べるものもそう食べられなかった、奥さんが持参金を持ってきたはずだけれども、いつの間にかそれは料理に全部使われて、もうお金がありませんと言われたときに愕然とした、これは一種の清貧の中での美談とも申せますし、一方ではそのような不安があっていいのかなという感じもいたすわけでございます。  そういう面で、実は幾つかの問題がございますが、引退後の選手の方々にとって、スポーツ分野での就職の場を確保することをより確実にできないものであろうか、あるいは功労給付金を支給することはいかがであろうか、あるいは国家的見地から顕彰制度の充実を図ること、あるいはコーチ制度を確立することなどについて、こういう点では既に臨教審の第三次答申でも御提言をいただいておるところでございますので、これを受けまして、先ほど申しました保健体育審議会におきましてもこれを具体にお考えいただこうということで、現在御審議をいただいておるところでございます。どういう形になりますか、まだ正式御提言がまとまっておりませんけれども、何らかの形でこれを一つの人生サポートの一助としてお考えいただくことになるのではないか。それを拝見しながら対策を立てたいと思っております。
  147. 小川新一郎

    小川(新)委員 とにかく二十日後にはもう競技が開かれるわけですから、これは後の祭りではございますけれども、今言ったような具体的な問題を次のオリンピックに、また西暦二〇〇〇年以後の長期的視野に立った中で当然議論されなければならぬし、具体的にすぐやってもらわなければならぬものもたくさんございます。  そこで、まず精神の面からいきますと、塩川前文部大臣は、昭和六十一年十月二十一日の本委員会、衆議院決算委員会において、代表選手であるという気迫、根性の入れ方に問題があるんだという趣旨の答弁をしておりますが、文部大臣はどのようにお考えになっていますか。塩川大臣と同じなのか、それとも違うのか。あなたは先ほど医科学的、また科学的、医学的、総合的な見地から申し述べているようでございますが、気迫と根性の入れ方についてはどのように考えているのですか。
  148. 中島源太郎

    ○中島国務大臣 前大臣の言葉を御引用でございますが、私も全くそのように思います。気迫と根性というのはまず前提として必要でございますし、また事に臨んで、おのれにかてるだけの根性、気迫というものが自然にいい結果を生むであろうと思うわけでございます。  ただ、先ほど申しましたのは、それだけでいいのであろうか。少なくともトレーニングの段階で、気迫と根性を主に自分の体をいじめ抜くということがございますけれども、ある意味ではトレーニング方法としては、筋肉、筋力トレーニングにいたしましても、その持てる力の限界までトレーニングをして筋力を痛めるよりは、その筋力に適度な刺激を与えてより強靱な筋力をつける、いろいろな方法があろうと思います、私が素人的に言うのは間違いがあるかもしれませんが、そういう面をスポーツ医科学的に究明をいたし、より科学的なトレーニング方法を取り入れるということも、根性論は必要だという前提の一方でまたあるのではないだろうか、こういうことを申し上げた次第でございます。
  149. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣は非常に紳士的で、私の強烈な質問に対しても軽く受け流しておられます。まことにオリンピック精神そのものでございますけれども、やはりもう少し強烈なる気迫というものをたたき込むような関係者に対する叱咤激励も時には必要ではなかろうか、こういうことを思って申し上げているわけでございます。  そこで、ドーピングということがございます。これは競技に勝つために一時的な効果を目的とした薬物、理学的あるいは心理的な特別な措置を行うことを一般にドーピングと言っておりますが、ドーピングは公明正大なスポーツ精神に反するという道義上の立場と、薬物を用いた場合には健康上有害なこともあって危険であるという立場から厳しい批判を受けておりますが、IOCが禁止している薬物にはどんなものがあるのかということでございます。血液ドーピングも一九八六年から禁止リストに加わっておりますが、アナボリック・ステロイド、テストステロンなど筋肉増強ホルモン剤やコカイン、カフェイン、ヘロイン、エフェドリンなどの興奮剤など九十五品目であると言われておりますが、風邪薬を飲んでエフェドリンが検出された場合にひっかかったり、漢方薬を飲んで体力増強のために頑張っておった者がそのテストにひっかかってしまったということが報ぜられておりますが、これらはどうなのでしょうか。
  150. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 先生も今御指摘のとおり、IOCがソウル・オリンピック大会において禁止しております薬物は、大別いたしますと中枢神経興奮剤ないしは抑制薬、これが三十三種類ばかりでございます。それから麻薬性の鎮痛剤が十九、筋肉増強薬十六、ベータ遮断薬、これは心臓疾患治療剤でございますが九、利尿剤が十五、その他これに準ずるものとして、先生御指摘のとおり大体百種類が、IOCがソウル・オリンピックで使用を禁止している薬物でございます。  確かに先生御指摘のとおりに、風邪薬でドーピング検査で陽性の判定を受けたという苦々しい例が日本でもございます。前回のロサンゼルス大会におきましてバレーボールの選手二名が、漢方薬の風邪薬でございますが、風邪薬として、トレーナーの不注意によって医師と相談しないでその風邪薬を与えた後に陽性であるというふうに指摘を受けました。この際は選手は故意ではなかったということで選手については実質的な処分は受けなかったわけですが、そういう苦い経験があるわけでございます。  そこで、今回のソウル・オリンピックに向かいましては、私どもとしましてはJOC、日本オリンピック委員会を通じましてこの点の選手に対する指導を徹底してもらいたいということをお願いをしておりまして、JOCでは、既に選手を決定した後に、プレドーピング検査と申しますか、本番前に自国でこのドーピング検査実施いたしました。そしてその際十分な指導を行いまして、個人で許可なく常備薬を今回は持参しないこと、それから選手村に入って薬物使用をする場合はドクターの許可を得て、必ずドクターの指導に基づいてその風邪薬なり何なりを飲むことという指導を徹底しているところでございます。我が国の選手団の構成から見まして、韓国のオリンピック選手村に入れるドクターの人数は四名というふうに限定されておりますが、この四名のドクターを選手村に入れまして、選手が万が一風邪を引いたとかその他気分が悪くて薬を飲むという場合には、必ずその医師から薬をもらうというふうな手はずを整えているところでございます。
  151. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは各国とも公平に、全部同じ条件のもとに同じ状態でやられると思いますが、本年三月十四日ソウル発の聯合通信によりますと、このほどどんな薬物検査にも反応を示さないエリスロ・ポイエチンという薬物が開発され、これを使用される可能性が出てきておるそうでございますが、ソウル・オリンピック組織委員会はこの対策に苦慮しているそうですが、この薬品について政府は承知しておりますかどうか、またどのような対策を講ずるのか、これは一体簡単に手に入るものなのですか、どうですか。
  152. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 IOCがドーピング検査をする場合には、尿を検体としてドーピング検査実施しているところでございます。現在のところ、尿を検体として血液の状況を調べる、言いかえれば血液ドーピングを判定する方法は確立しておりません。それならば尿だけではなくて血液もドーピング検査対象としたらどうかという議論もあるわけですが、これはまたエイズの問題その他がございまして、血液ドーピング、血液検査をするということがなかなかIOCとしても踏み切れていないというのが実情でございます。  先生が御指摘のエリスロ・ポイエチンというのは血液造血剤の一種でございます。これは容易に手に入るようでございます。これは血液ドーピング、言いかえれば血液造血剤を飲みますと持久性を高める、そういう効果があるようでございまして、外国選手の一部においては使用されているという情報がございます。そこで、IOCでは、先生今御指摘のとおり、血液ドーピングの検査についてどうしようかということで悩んでいるようでございます。私どもとしましては、日本選手に対して、このような安易に薬物を使用することはかえって長い目で見れば健康を損なうということで、この種の血液造血剤の一種であるエリスロ・ポイエチンなどというものは絶対に使わないようにということを指導しているところでございまして、血液ドーピングについてどう扱うかということはIOC自身がこれからの課題だとしているところでございます。
  153. 小川新一郎

    小川(新)委員 時間が来ましたので、やめさせていただきます。
  154. 野中英二

  155. 草川昭三

    草川委員 草川昭三であります。  まず、科学技術庁の方にお尋ねをいたします。  財団法人日本科学技術振興財団というのがあるわけでありますけれども、科学技術庁としてはこの財団に各種の調査あるいは研究等の分野における委託を行っているわけでありますが、この委託額を私どもたまたまごく最近のを見ますと、六十一年度には、物質・材料に係る学際的研究分野の展望に関する基礎調査千六百万円、あるいは国際的な基礎研究プログラム構想の可能性に係る調査・検討で二千万、六十二年度では、情報・電子系科学技術の学際的研究分野の展望に関する基礎調査千四百万、あるいはヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム構想の可能性に係る調査・検討一億二千七百万、こういうようにかなり重要な研究委託しておみえになるわけであります。  こういうことは事実ですか、まずお伺いをします。
  156. 緒方信一

    緒方政府委員 科学技術振興財団への委託調査状況につきましては、先生御指摘のとおりでございます。
  157. 草川昭三

    草川委員 非常に重要な財団でございますが、この日本科学技術振興財団というのは、科学技術館という事業を行っています。これは北の丸・武道館の裏にある大変立派なところでございますが、ここで展示活動だとか催し物というのですか、催物場の運営をやっていますけれども、この事業を営むためにいわゆる財団出資一〇〇%の株式会社科学館サービスというのがあるわけでありますが、社長はどなたか、あるいは最近交代をされたのか、お伺いをしたいと思います。
  158. 緒方信一

    緒方政府委員 御指摘のように科学技術振興財団が科学技術館のサービス部門、これは売店なども持っておりますのでそういう部門、あるいは建物の管理業務などを行わせるのを主たる目的といたしまして、財団が全額出資をいたしまして、資本金二百万円、払い込み済み資本二百万円でございますが、全額出資をして五十一年に会社を設立をしてございます。株式会社科学館サービスという会社でございます。社長は現在佐藤正勝という者が務めております。
  159. 草川昭三

    草川委員 そこで、この会社の定款を見ますと、定款の中に当然のことながら「目的」というのがあるわけですが、全部で六項目あります。「科学技術館における売店等の業務」だとか「科学技術館建物等の管理業務」あるいは「広告代理業務」「電気工事に関する業務」等があるわけでありますが、このほかにいわゆる資金運用、資産を運用するために金融上の、例えばわかりやすい言葉で言えば財テク等をやってもいいですよという会社の目的があるかないか、。お伺いしたいと思います。
  160. 緒方信一

    緒方政府委員 会社の定款には「科学技術館における売店等の業務」であるとか「科学技術館建物等の管理業務」以下五項目具体的に書きまして、一番最後に「前各号に付帯する業務」というのが書いてございます。先生がおっしゃいましたような意味での資産運用あるいは財テクを行うことという書き方はもちろんしてございませんが、「前各号に付帯する業務」ということで書いてございますので、通常の会社が行っているような資産運用というのは当然なし得るものであるというふうに考えております。
  161. 草川昭三

    草川委員 通常なし得る資産運用の是非はまた今から申し上げるわけでありますが、財団そのものは、科学技術の普及啓発のために、今申し上げましたように北の丸公園、あの立派なところの国有地で六千八百平米の土地があり、建物も五千八十八平米の建物で科学技術館というのがあって、それを運営をする公益法人なんですね。その公益法人が一〇〇%出資をして株式会社科学館サービスというものを先ほどの答弁にありますように運営をしておるわけでございますが、私が今から指摘をしたいのは、五十九年の十一月二十八日から六十二年の十一月二十七日まで、現在逮捕をされておられるわけでありますけれども、有名な明電工の中瀬古さん、中瀬古功さんでございますけれども、この方が、五十歳でございますが、非常勤の取締役に就任をしておみえになるわけであります。この中瀬古さんは、御存じのとおり所得税法違反、そして六十三年の七月十八日に起訴されておるわけですが、その起訴内容は、五十九年から六十年にかけての所得税法違反、逋脱税額約八億円、同じく七月十八日に再逮捕をされまして、六十三年八月八日起訴、これは六十一年度分の所得税法違反、脱税でありますけれども、逋脱税額は約十億円ですから、約十八億円の脱税をされた方でありますし、有名な六韜会、仕手軍団のリーダーであるわけでありますが、この方が非常勤の取締役に就任をされておるわけでありますが、その事実はどうでしょう。
  162. 緒方信一

    緒方政府委員 先ほどの株式会社科学館サービスに、昭和五十九年の夏ごろでございますが、当時社長をしておりました者のところに、その知人を介して中瀬古氏が紹介をされまして接近をしたということでございました。当時中瀬古氏は、まあただいま先生から脱税云々というお話がございましたが、これは五十九年の夏の話でございます、当時明電工のいわゆる節電装置というものを売り出しておったわけでございまして、あるいは科学館にそれを適用するというようなことを考えたのかもしれませんし、あるいは中瀬古氏自身科学技術振興に何か関与をしたいという御希望が当時おありになったようでございます。そんなことがあって、共通の知人を介してアプローチがあり、他方、株式会社科学館サービスの方は、先ほど申し上げましたように、主たる業務は北の丸の科学館の売店をやるとか建物のメンテナンスをするとか関係の電気工事をやるというようなことでございますが、業務を拡大する上で科学館の建物だけではなくてそれ以外の一般の電気工事の分野にも進出をしたい、こういう考えを持っておったようでございます。そういうことから、会社側としても、電気関係の業界で非常に顔の広い中瀬古氏と関係を持つことが業務拡大の上で有利であるという判断をしたようでありまして、五十九年の十一月に、御指摘のように非常勤の役員として受け入れをしたということであります。その後、五十九年の十一月から六十二年の七月まで非常勤役員を務めておりますが、六十二年の七月に至りまして中瀬古氏本人から、一身上の都合でやめたいというお申し出がありまして、同年十一月の、六十二年十一月の株主総会で辞任承認をされているわけであります。先生御指摘の脱税云々というのは六十三年に入ってからのことでありまして、その前に起こった一連の出来事でございます。
  163. 草川昭三

    草川委員 今局長は、業務拡大の意向が一〇〇%出資の会社にあった、だから知人であるところの中瀬古氏を招いた、こういうことでございますが、この会社の定款を見てみますと「取締役および監査役の員数」、第十八条でございますが、「当会社の取締役は三名以上七名以内、監査役は二名以内」、ですから、二百万円の資本金でありますから役員の数も非常に少ないわけですね、七名ですから。しかし、その七名の中に一人、今の単なる業務拡大ということだけで中瀬古氏が取締役に突如として就任する。しかもこの会社は一般の中小企業と違いまして、何回か申し上げておりますが、公益法人が一〇〇%出資をする会社、その会社にどうして重役に選ばれることができるのか。私は、とかく中瀬古氏といろいろと取りざたをされている通産省の幹部の紹介があったからこそこの役員に就任をしたのではないか、こういうように思っておるわけでございますが、その点はどうでしょう。
  164. 緒方信一

    緒方政府委員 中瀬古氏を当時この会社の社長に紹介をいたしました共通の知人と先ほど申し上げましたが、一部新聞報道に書かれましたように、これは今御指摘の通産省の人物ではございませんで、運動関係の財団法人日本アマチュア・レスリング協会の役員をしておった方でございます。
  165. 草川昭三

    草川委員 私が言いたいのは、単なる友人のアマチュア・レスリング協会の副会長でございますかそういう方だけで、中瀬古というのは非常に業界に顔があるから、公益法人一〇〇%出資のサービス会社、あなたも電気工事を拡大しなさい、じゃ喜んで入れましょうという、そういう結論にはならぬという意見なんですね、常識的に考えて。だれかもっと上級幹部がいて、いわゆる科学技術庁にも顔がある、そして中瀬古氏にも顔がある、そういう逆の意味での共通の、力のある、地位のある方の紹介がなければ、中瀬古さんがこの重役になるということはどうしても考えられません。こういうことが一般的にあり得るのかどうか。これは逆に、一般的にあり得るかどうかということは私は大臣に聞いてもいいと思うのですがね。公益法人の一〇〇%出資をする民間会社、ある人間が仕事が欲しい、ああいいよ、紹介してあげるよ、ああそうですか、じゃひとつ次から重役になってください、なります、そういうことは一般的に行われるのでしょうかね。念のためにこれは一遍大臣に広い見解の上からお尋ねしたいと思います。
  166. 緒方信一

    緒方政府委員 財団法人の子会社ということではございますけれども、資本金二百万円の独立の会社でございますし、業務拡大をしたいという意欲があったということでございますので、そういうことから会社としての判断でそういう決定をしたものと承知をしております。財団法人はもちろん株主でございますから、株主総会で承認をしておるわけですから、知り得る立場にあったといいますか、同意をしておるわけではありますけれども、財団法人が財団法人の発意として何か無理やりそういう役員をやった、受け入れさせたというようなことではないようでございまして、専ら会社の方の業容を拡大したいという会社側の判断でやったものということでございます。一般論で云々するのはなかなか難しいのではないかと思いますので、あえて繰り返しになりますがお答え申し上げます。
  167. 草川昭三

    草川委員 では今度、業務の拡大に、中瀬古氏の就任は結果としてどの程度電気工事がふえたんですか、その実績をお伺いしたいと思います。
  168. 緒方信一

    緒方政府委員 先ほど申し上げましたように、中瀬古氏は五十九年の十一月に就任をして、六十二年の七月に本人自体辞任の申し出をしておられるわけでありますが、実はその間に目に見えた業容拡大はできておりません。会社としてはその後も努力を続けておりまして、若干の北の丸の科学館以外の仕事に手を広げつつあるようでございますが、中瀬古氏が紹介をして大きく外の仕事がとれたということは残念ながらないようでございます。
  169. 草川昭三

    草川委員 ですから、実績はないわけですから、先ほど来から言われていたのはちょっとおかしい、こういう反論になるわけですね。  そこで、一体中瀬古氏はこの株式会社科学館サービスに対してどういうことを勧めたのでしょうかね。言われるところによりますと、明電工グループの株式会社吉田工務店、これが店頭銘柄になっておるわけでありますが、第三者割り当てが近くあるというので増資の新株を受けたらどうだ、これは財テクとして話を持ち込んだ、こう言われておるわけでありますが、そのときの条件、あるいは幾らぐらいの金額を払い込んだのか、お伺いをしたいと思います。
  170. 緒方信一

    緒方政府委員 当時非常勤の役員でございました中瀬古氏が、科学館サービスに吉田工務店の株を勧めたのは事実でございまして、これは中瀬古氏が吉田工務店の株式が近く第三者割り当ての増資をするから応募してはどうか、こういうことを話を持ちかけまして、六十一年の二月に吉田工務店の株式を購入してございます。当時の株価が約二千二百円だったようでございまして、一万株取得しておりますので、約二千二百万円の支出といいますか株式取得を当時六十一年の二月に行っております。なお、その株式につきましては、最近になりまして、本年八月でございますが、処分を、売却をしてございます。
  171. 草川昭三

    草川委員 この株というのは、財テクということで勧めたんだと思いますけれども、公開後直ちに売却をしたとすると、六十一年の八月には四千九百八十円、約五千円近いところでありますから、二倍以上になるわけですね。ですから、一番最初に局長がおっしゃったように、一般の会社では許される財テクの範囲内だ、もしそういう立場に立ったとすれば売ればいいわけですよ、売れば倍になったわけです。しかし残念ながらこれは売れなかったわけですね。  売れなかったというのは、保有期間等の保有に関する取り決め内容というのにきちっと名前が出ておりまして、保有期間については安定株主として長期二年間保有していただく旨の了解を口頭で得ておりますけれども、文書を取り交わす予定でおりますと言って文書できちっと、これは売れませんよ、しかも今回の増資分については一万円株券で発行しますよとやった。だから流通できない株を科学館サービスは引き受けたわけです。それで、結局ことしの八月になって売却をしましたね。ことしの八月の売却額は相当下がっているわけですが、一体幾らの金額で売り、二千二百万に対して千数百万円になるか幾らになるか知りませんが、幾らの差損を出したのか、お伺いしたいと思います。
  172. 緒方信一

    緒方政府委員 本年八月に売却をした理由につきましては、先生御指摘のとおり二年間の転売禁止といいますかそういう覚書が別途あったために処分できなかったわけでありますが、八月になりまして売却をした際には、この事件が、いわゆる中瀬古事件が表に出た後でございますから、株価は暴落しておりまして六百円程度まで下がっておりました。二千二百円で買ったものを六百円くらいで売ったわけでありますから、若干の端数はあろうかと思いますが約一千六百万円の損が出ているわけでございます。  なお、この会社の全体の事業規模、いわゆる売り上げベースで四億三千万くらいの会社でございますのでかなりの損害ではございますけれども、通常のこれは九月決算の会社でございますから近く決算が行われますが、千六百万円の差損については営業外損失として処理をするということで経理上特別のあれはなく、損害ではございますけれども、そういう経理上の処理をやるつもりにしているという報告を聞いております。
  173. 草川昭三

    草川委員 今局長は問題を非常に軽く受けとめられて、この会社の売上高に比べれば千数百万円というのはまあまあ我慢できる範囲内だ、こうおっしゃってみえるわけでありますが、私はそれは一般の町の中小企業のおやじさんの言うことだと思うのですよ、今の答弁は。私が申し上げておりますのは、あの北の丸ですよ、ここからすぐそばの。あの国有地の大変立派なところの科学技術館、それのメンテ業務をする、しかも財団法人、公益法人が一〇〇%出資している会社、しかもここは直接の従業員の数は非常に少ないのです。これは五十年の初めのころでございますが、従業員は男三人、女三人。今はこれの倍くらいにふえておりますけれども、非常に小さいところからこつこつとやっておみえになった科学館サービスに突如として中瀬古という人物が重役に就任をする、そして業務の拡大をしてくれるというふれ込みだったけれども、業務の拡大ではなくて、仕手軍団の吉田工務店の株がどんどんつり上がっておるからもうかるぞ、もうかるぞというような話にうかうかとこの佐藤社長さんは乗ってしまって、千六百万円の赤字を出してしまった。これは実は大変なことだと思うのですね。私は科学技術庁として大変なことだという受けとめ方が本当にあるのかないのか、こういうことをお伺いしたいわけですが、大臣に後から見解を求めますけれども、一回今までのところで大臣はどのようにお考えになられますか、お伺いしたいと思います。
  174. 緒方信一

    緒方政府委員 財団法人が一〇〇%出資している会社ではございますが、独立の民間企業が一般的な財産運用の一環としてやって、たまたま結果は大変不手際なことになっているわけでございますけれども、一般の財産運用の一環として行ったものであろうと思っております。  ただ、しかしながら、御指摘のように公益法人が関与する企業が株の投機的な売買をしているというふうに世間からとられるような結果になったということは好ましいことではないわけでございまして、この点につきましては私どもの方も重大な問題意識を持ちまして、実はもう既にこの財団の方の役員を役所の方に呼びまして厳重注意をし、今後かかることを繰り返さないように改善方の措置を指導したところでございます。
  175. 草川昭三

    草川委員 当該の役員を呼んで科学技術庁として注意をした、こういうことを言っておられますが、私は、この会社にしてみると、こういうものを送り込まれた経緯を、本当のことを言いたいという気持ちでいっぱいだと思うのですよ。なぜ私が怒られなければならぬのかというような点があるのじゃないか、こう思うのでございます。  問題は、五十九年当時、節電装置を作っていた明電工の中瀬古氏は、電力会社だとか、これも新聞で報道されておりますけれども、保安協会と非常に厳しく対立をしていたわけです、セーブ・ド・ウー何とかというものが本当にいいかどうかで。そういうことを社会的に評価をしてもらいたいために国会での質問もあったやに聞いておるわけでありますし、その他いろんな工作をやっておりました一環として、非常に古い歴史のある吉田工務店と提携をする、あるいは石田省エネ研究所というものとグループを組んで、明電工クループというものをつくって、仕手軍団をつくって株の買い占めに入っていく。全くその最中の人物を紹介した人間が一番悪いと思うのですけれども、もしその紹介をしたのが役所の権威を背景にしながら紹介をしたとするならばもっと大きい犯罪行為になると思うのでありますけれども、そういうことをやっていくわけですね。そういう背景があるということを少なくともその会社は知っておったし、一〇〇%出資をしたところの財団法人日本科学技術振興財団というのは知っていたと思うのですね。また、日本科学技術振興財団を監督する科学技術庁が知らないわけはないと思うのです。  当時、この日本科学技術振興財団に通産省が入ってくるわけでしょう、通産省と共管になるわけですよ。こういう前後に中瀬古氏は、十二月二十五日でありますけれども、紺綬褒章を受けられるわけですが、財団に五百万円寄附するわけですね。寄附をされまして、紺綬褒章を受けられて、当時の竹内科学技術庁長官に財団法人の会長の名前で紺綬褒章受章者の推薦方が行くんです、十二月二十五日に。それで受けられる。また、後ほどお兄さんの方も七百万円の寄附を日本科学技術振興財団にすることによって紺綬褒章を受けられる。褒章を受けられて、これは社会的な認知になりますから、取引の関係先に、私は紺綬褒章をもらいましたよ。少なくとも科学技術庁の長官の方からもらいましたよという、長官からもらっている写真が出てパンフレットが配られるわけでしょう。だから、これは明らかに科学技術庁は手をかしたわけですよ、この会社のやり方について。利用されたということになるのですが、そういうような反省はあるのでしょうか。
  176. 緒方信一

    緒方政府委員 何点か御指摘になりましたが、この団体、財団法人の方でございますが、昭和三十五年にできたときは科学技術庁の専管であったわけですが、通産省と共管になりましたのは中瀬古氏が絡んでくる前後ではなくて、はるか前の昭和五十年でございます。中瀬古氏が非常勤役員になったのは五十九年でございますから、大分時間はずれてございます。  それから、繰り返しになって恐縮でございますが、中瀬古氏を子会社の方に紹介した際に役所の関係の者が介在をしたということは、私どもが聞き及んでいる範囲では一切ございませんので、そこはそのように御理解をいただきたいと存じます。  それから褒章の件でございますが、御指摘のように、昭和五十九年の十二月でございますが、中瀬古氏が当該日本科学技術振興財団に五百万円の寄附をしてございまして、それに基づいて紺綬褒章を昭和六十年三月に受章しておられます。国家褒章を受章したことをパンフレットに書いたり利用すること、一般論としてこれは大変好ましいことではないわけでございまして、私どもとしてもそういうことは好ましくないことであるというふうに考えております。
  177. 草川昭三

    草川委員 今局長が答弁されましたように、私はたまたまさっきの発言の中で中瀬古氏の就任と通産省の共管の時期が一緒だというような表現をしましたが、それは今お答えがあったとおり時系列的には違います。だけれども、私が言いたかったのは、通産省の共管になったからこそ——数年たっていますね、数年たっている間に、通産省の紹介で中瀬古氏がこの株式会社科学館サービスの重役になったのだということを私は言っているわけです。同じ時期だと言ったのはそれは私、訂正しますけれども、そういう中で役所の影響力が非常に強くなって重役になった。  それ以外に、何回か言いますけれども、あなたの方は単なるサービス会社だ、民間だ、こう言い切っておりますが、私の方は公益法人の一〇〇%出資ですよ、ここを間違えてもらっちゃ困るよというのです。逆に「人物往来」で中瀬古氏の宣伝パンフレットなんかを見ると「科学館サービス一万株」と書いてあるのですね。ですから、科学館サービス、そして科学館の中にこの事務所があって、そして財団法人ですよといえば、やはり権威がある。そういうところに出入りする、しかもこの人が重役だったといえば、営業も拡大するはずですね。この会社の営業が拡大するのは別として、問題は、この人は仕手をやっているわけです、仕手軍団のいわゆるリーダーです。そして、あげくの果てが脱税で社会的な糾弾を受けているわけであります。  今度は少し視点を変えまして、一体公益法人に対して国はどのような指導監督をしているのか、政府の対応はどうやっておるかということを、これは総理府に聞いてみたい、こう思いますが、お見えになっていますね。
  178. 下野省三

    ○下野説明員 お答え申し上げます。  公益法人に対する指導監督につきましては、昭和四十二年十月十一日になされた閣議口頭了解の「公益法人に対する監督強化方策に関する要綱」により、各主務官庁は、所管に係る公益法人の業務、財産状況等を的確に把握し、随時適切な行政指導に努める等監督の強化を図ることとされております。また四十七年には、関係省庁におきまして公益法人設立許可審査基準等に関する申し合わせがなされておるわけでございます。さらに昭和六十年には、公益法人の設立及び監督事務の改善を統一的に行うため、公益法人行政の推進に関し、事務次官等会議申し合わせを行いまして、各省庁の官房長クラスを構成員といたします公益法人指導監督連絡会議を設置いたしまして、翌六十一年には公益事業の活性化、理事及び評議員の選任方法、財務及び会計に関する事項などを定めました公益法人の運営に関する指導監督基準、こういうものを策定しているところでございます。  これら、今申し上げました各種基準などの趣旨を踏まえまして、各主務官庁におかれましては、それぞれ公益法人行政の統一的改善実施に努めておるところでございます。
  179. 草川昭三

    草川委員 ですから、閣議の方はきちっとした公益法人に対する指導をしているわけですね、今の答弁の中身のように。業務、財産状況の的確な把握をしろ、こう言っているわけですよ。業務内容をしっかり監督官庁はつかみなさいよ、理事の選出方法、財務及び会計に関する指導監督基準を策定し、改善に努力をすると今も答弁をされてみえるわけですね。そして最後に、前になりますけれども四十二年のときには、法人が目的以外の事業を行ったときは設立許可を取り消せとまで言っておるわけであります。非常に厳しい公益法人に対する指導監督をしている。  ですから、私が言いたいのは、その公益法人に対して国は非常に厳しく指導監督している、その公益法人の一〇〇%出資の民間会社は、これを読み返して日常運営をすべきだと私は思うのです。読み返さなくてもいいのですか、これは。民間会社だから勝手なことをやってもいいとおっしゃるのかどうか。これは科学技術庁の——一遍大臣答弁してくださいよ、大臣先ほどから一回も答弁していないのだから。
  180. 緒方信一

    緒方政府委員 大臣が答弁をされます前に、若干の御説明をさせていただきます。  総理府の方からお答えございましたように、公益法人の監督について政府として累次厳しい基準をつくっているわけでございますが、一番最近運営についての基準が出されましたのは六十一年七月でございます。これは若干デリケートな時期でございまして、実は、先ほど来申し上げておりますように、中瀬古氏が非常勤役員になったのはこれより前、五十九年十一月でございますし、株式を取得したのは六十一年二月ですから、この最後の運営基準が出る五カ月前ということになります。  いずれにいたしましても、六十一年七月に「公益法人の運営に関する指導監督基準について」というのが出ておりまして、最新の時点ではこれに基づいて私どもも関係の公益法人を指導しておるわけでございまして、先ほど来先生が御指摘をされております話のポイントは、公益法人とその子会社の株式会社が一体とみなされるような形で本来の公益目的ではない事業を行うようなことはおかしいではないかということでございます。この点について厳しく基準ができましたのは、実はこの六十一年七月の運営に関する基準で初めて入れられたところでございます。それまでは本体の財団法人の方についての指導監督のことをいろいろ言っておったわけです。  さて、六十一年七月の子会社との関係のところを言っている部分でございますけれども、これは、「公益法人が形式的に法人格を別にする営利企業を設立して当該企業と一体と認められるような状態で営利の追求を行ってはならない。この場合において、「一体」と認められるか否かについては、主として次の事項を総合的に判断して行うものとする。」というようなことになっておりまして、六つの事項が並べられております。つまり、親の財団法人と子会社との経理が混同されているとか、事業執行形態が混同されているとか、不合理な資金の融通が行われているとか、利益の融通が行われているなど六項目が並んでおりますが、その中の一つに、「当該公益法人から当該営利企業を実質的に支配し得る程度の役員の兼務及び出資が行われていること。」というのが一つの項目として出てございます。御指摘のように、この法人、今問題になっておりますケースは、出資については全額でございますので、これは支配的な、この条項には該当するわけでございますが、先ほど申し上げましたように、一体的に判断をしてやるんだということでございまして、ほかの五つの項目、つまり経理が混同しているかとか、執行形態が混同しているかとか、不合理な資金の融通が行われているかとかいう点については、特に問題はないケースになっております。  しかし、そういうことで、一〇〇%の子会社であるからその子会社がやった問題は財団の問題として一体で問題であるという立論をすることには、理屈として若干の無理があるのではないかと思っておりますが、そうは申しましても、先ほど申し上げましたように、私ども科学技術庁といたしましては、先ほど来先生がるるお述べになりましたように、公益法人の活動に疑義を持たれたわけでございまして、こういう公益法人の活動に疑義が持たれるようなことそれ自体好ましいことではないという判断をしておりまして、今後この点について、法人に対して所要の改善を指導していくつもりにしているところでございます。
  181. 草川昭三

    草川委員 局長の今の答弁は、それは私ども一般国民には通じない議論ですわ。六十一年の通達ですよ、中瀬古が入ったのは五十九年だから、だから後だ、こういう話ですよ、一言で言うなら。それから前の方では、昭和四十二年に公益法人に対する指導監督という大原則が出ているわけですから。今おっしゃったような細かい通達が出たのは確かに六十一年ですよ。だから、細かいことは後から出てきたんだからそれはというようなのは、国会での法律屋としてのやりとりならそういうことが通るかもわかりませんが、国民というのはやはり結果論から判断しますからね、幾らそれで通り抜けたって国民は承知しない。どうして中瀬古さんのような人をそんなところに入れたんだと、こう言うわけですよ。そんなに安易に入れるなら、私だって入れてくれと言いますよ。幾らでも商売をしますよ。電気工事店の紹介ぐらいはするから、おい、入れてくれと私が言ったら、入れてくれますか。入れないでしょう、常識的には。門前払いですよ。しかし、いずれにしても、突如として仕手軍団のおやじさんが政治的な工作をしたから入ったのです。そして大きな損害を与えた。  これはちょっと委員長に申し上げますけれども、私はこの財団の決算内容も出せと言ったのです。そうしたら今もって財団の決算内容は来ないですよ。ほかの省庁はくれるのです。そして、その財団の一〇〇%の子会社の経理内容、事業運営、決算内容、全部出してくれと言ったって、それは出さぬのです。民間会社だから、守秘義務があるからと、こういうわけです。それは全然話にならぬですよ。だから私は、本来はきょうここで、民間のサービス会社の社長に参考人として来てくれというのはいろいろなしきたりがあるから、この財団の理事長は財界の偉い人ですから、せめて常務理事か専務理事ぐらいは出ろって言ったわけです。ところが、局長が全面的に答弁するからというので、残念ながら私は一歩下がって我慢したわけですよ、参考人出席はあきらめたわけです。そうしたら局長はこういう答弁でしょう。本当の答弁じゃないのですよ。局長は頭がいいわけですから、きちっとした、しりを突かれないような御答弁をなすっておみえになりますから、科学技術庁長官から後でお褒めの言葉がいくと思うのですが、これで国民の評価は低くなりますよ。  委員長どうでしょうか、こういう資料要求についてはきちっとしていただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。  それで、時間がどんどん過ぎていきますので、総理府にもう一回質問をします。  この中瀬古さんは紺綬褒章の受章をしましたね。紺綬褒章の受章者が少なくとも現在逮捕されている。そして検察庁に勾留をされて、十八億に及ぶ脱税で、所得税法違反で起訴されている、こういう段階にあるわけでございます。これは一般論でありますけれども、受章者が犯罪に関係した場合の処置はどうなるのか。これはちょっと総理府にお伺いをしたいと思います。
  182. 平野治生

    平野説明員 紺綬褒章の受章者が犯罪に関係した場合というお尋ねでございます。ただいまの状況で申し上げますと、既に紺綬褒章をもらっていらっしゃいまして、そして今おっしゃるように逮捕、起訴、そういう状況でございますが、こういう紺綬褒章の受章者の方々等が具体的に刑に服した場合、処せられた場合、こういう場合どうなるかということにつきましては、勲章褫奪令というのがございまして、その褫奪令に基づきまして、情状の重い場合には褒章、この場合紺綬褒章になりますが、その褒章が褫奪される。また情状が比較的軽い場合には裁量により褫奪することができる、こういう取り決めになっているわけでございます。なお、別途でございますけれども、本人の意思に従いまして返上することも可能でございます。
  183. 草川昭三

    草川委員 今総理府の方から答弁がありました。ここで改めて今度は長官にお伺いをいたしますけれども、最終的な判決は別といたしまして、これだけ社会的に大変話題になった方に、科学技術庁として、紺綬褒章の推薦を財団法人から受けて、長官の方から本人に渡しているわけです。別途本人の意思に従い返上することもある、あるいは五カ月以内ならば不問に付す場合もあるけれども、裁量によってはいわゆる国が褫奪、返せということを言う、こういうことも明確に今おっしゃっておられるわけですが、事科学技術庁としても知らぬと言うわけにはまいりませんね。本件についてどのようなお考えを持たれるのか、お伺いしたいと思います。
  184. 緒方信一

    緒方政府委員 起訴をされているわけでございますので、最終判決があったわけではありませんから、軽々には申せませんが、甚だ遺憾な事態になっていることは事実でございます。  推薦をした科学技術庁としてどうするのかという御指摘でございますが、この種の推薦をいたします場合に、その時点での欠格条項に該当するかどうか、その時点で犯罪歴があるかどうかなどについての調査はいたしまして、そういうことに該当しないということで推薦をするわけでございます。その後発生したケースでございますので、科学技術庁として、褒章を推薦した責任者としてどういう措置をとらなければならないということでは必ずしもないわけでございます。  先ほどお話のありました褫奪というのは、確定判決が出た時点で賞勲局の方で御判断されることになるわけでございまして、その前に私ども科学技術庁として特段の措置がとり得るのかどうか、この辺は少し慎重に考える必要があろうかと思いまして、賞勲局の方ともいろいろお打ち合わせをしながら考えているところでございます。
  185. 草川昭三

    草川委員 考えてみえるというからこれ以上追及しませんが、もし考えてみえない、前半の意見ですね、推薦をするときに特段問題がなかったのだからこういう事件ができてもばたばたしないという趣旨の答弁で済むならば、私ども、科学技術庁はちょっと無責任過ぎるということを言おうと思うのです。なぜかというなら、中瀬古氏を株式会社科学館サービスの重役に受け入れるときには相当な根回しをしておるわけです。そして、一〇〇%の公益法人出資の会社の重役にしたわけです。ある日突然社長が、おい、この人間を重役にするから入れるよというわけではないのです。それなりに財団法人の方にも言っているし、役所の方にも言っているわけです。そういうように根回しをしておった人物が事故を起こしたわけですから、いずれにしても省庁を挙げて、えらいことだ、えらいことだと言って賞勲局にも相談をして、では事前に取り下げさせるようにしましょうやとか、少なくともそういうアクションがあったっておかしくないでしょう。ところが、きょうの局長答弁は一貫して、公益法人まではしっかりやっております、公益法人の一〇〇%の先は自由にさせるんですと。我々も民間活力で自由にするということは賛成だけれども、明らかに今回のような社会的な糾弾を受ける人物についてはクイックアクションで切るものは切る、反省すべきものは反省する。そういう証拠があったからこそ吉田工務店の株は売ったわけでしょう。うっとうしいから早く売ろうや、こういうことでしょう。本当の営業活動だったら、塩漬けでもいいから、しようがないから持っておろうや、いずれ上がるかもわからぬから。これが普通でしょう。しかし、早く売れと言ったのでしょう、おたくの方は。だから千六百万の損をあえて今期計上するということになるわけでしょう。片一方はうっとうしいから切っておけと言い、片一方の責任追及についてはあいまいだ、こういう態度は私は実になっておらぬと思うのですが、これは長官どうですか。男子の本懐としてかつて勇名をはせられた長官でございますから、ひとつ明確な答弁をしていただいて、この問題は終わりたいと思います。
  186. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 先生からるるお話しのとおりです。科学技術振興を目的とする公益法人、この法人の関与する企業が、お話のように株の投機的売買を行っているという疑念を持たれるような行為をすることは極めて好ましいことではないと理解をしております。また、その法人を共管する科学技術庁長官として遺憾の意を表したいと思います。  したがいまして、先ほど政府委員からも御説明を申し上げましたとおり、このことが明らかになりましたら、早速財団の役員を、責任者を呼びまして、科学技術庁として十分厳重な注意をしたわけでございまして、今後私も、本日の先生の御指摘、また委員会の御審議状況を踏まえまして、改善すべき点は断固として改善をするように財団を、今までも監督指導してまいりましたけれども、さらに十分な監督指導を進めてまいりたい、このように考えております。
  187. 草川昭三

    草川委員 では、これは大臣に本気になって今の問題点の反省をして対応を立てていただきたいということを強く求めまして、本問題を終わります。  文部省の皆さん方にはもう少し時間をとってやるつもりでありましたが、時間があと八分しかありませんので、会計検査院の方に簡単に。  六十年度決算検査報告では、文部省関係指摘事項の中で不当事項あるいは処置要求事項処置済みの事項、合わせて全部で二十件でございますか、件数はちょっと正確ではございませんが、ふえておるのですが、その中で特にここ数年繰り返し指摘をされている問題があれば、その概要をごくかいつまんで柱だけ御報告願いたい、こう思います。
  188. 志田和也

    ○志田会計検査院説明員 お答えをいたします。  ここ数年繰り返し指摘されておるものとしては、第一に義務教育費国庫負担金の過大交付、第二に公立学校施設整備費補助金等の過大交付など、第三に私立大学等経常費補助金の過大交付がございます。  第一の義務教育費国庫負担金につきましては、教職員標準定数が過大に算定されたため国庫負担金が多く支払われているものでございます。これは、教職員算定基礎となる毎年五月一日現在の児童生徒数について一部の小中学校が事実と異なる過大な報告をしているのに、これを都道府県がそのまま用いてしまったことによって発生したものでございます。六十年度は六府県で一億四千六十九万九千円が過大交付となっております。  それから第二の、公立学校施設整備費補助金等につきましては、これは校舎等の新増築や学校用地の取得などの補助事業を行うものでございますが、補助対象面積が過大算定となっていたり、補助金により取得した学校用地を公民館等の用地に転用して目的外使用したものなどでございます。六十年度は四市町において六千三百九十七万四千円が過大交付などになってございます。  それから最後に、私立大学等経常費補助金につきましては、補助金算定基礎となる専任教職員数や学生数の誤りなどによりまして補助金が過大交付となったものでございます。六十年度では八学校法人で三千九百三十四万七千円でございます。  以上でございます。
  189. 草川昭三

    草川委員 ちょっと時間がないので、公立文教の施設整備に限って質問をしますが、これは文部省にお伺いしますが、毎年私どもは検査報告を見ると、この点が繰り返されておるわけですが、なぜこのような事態が生じるのか。算定基礎に問題があるのじゃないかというのが私の意見なんですが、その点どのような態度でございますか、文部省にお伺いをします。
  190. 倉地克次

    ○倉地政府委員 ただいま御指摘の点でございますけれども、私どもといたしましては、公立文教施設整備は市町村にとりましては数年に一度の事業であるために、市町村の担当者が非常に制度に習熟していない、そんなようなことが大変原因になっているのではないかというふうに考える次第でございます。そういうことで、国庫補助を受ける場合には十分その事務に精通してその処理を行うよう指導しておるところでございまして、今後とも十分そうした指導を徹底してまいりたい、そのように考えております。
  191. 草川昭三

    草川委員 事務の簡素化ももちろんあるということの御答弁でありますが、対象の拡充という抜本的な問題解決のためにぜひ努力をしていただきたい。そうしませんと、実際市町村は大変苦労をしておるわけでございますので、その点はお願いをしたい、こう思います。  最後に、もう時間がないので、これが最後になると思うのですが、私立医大の募集数の削減の問題についてお伺いしたいと思うのですが、国公立の方は医師過剰時代から定数を減らしております。それで、当然のことながら私立医大の方も協会として削減をするということになるわけでございますが、いわゆる私立医科大学の場合だと固定費というのは変わらぬわけですね。ですから、収入源がその分だけ減るということになりますと当然運営上非常に難しい問題が出てくる、これは言わずと知れた常識的なことになるのですが、そういう将来展望を含めて文部省としてどうお考えになっておられるのかお伺いしたい、こう思います。
  192. 國分正明

    ○國分政府委員 私立の医科大学、歯科大学につきまして、国公立大学と同様に医師過剰あるいは歯科医師過剰ということを背景に定員の削減ということについて御協力をいただいているわけでございまして、今日までそれぞれの対応をしていただいておりますし、定員削減だけでなくて、医科大学協会あるいは歯科大学協会におきまして募集人員を減する、定員はそのままにしておいて募集人員は減するというような措置も講じていただいているわけでございます。  これに伴いまして、先生御指摘のように、私学でございますからやはり経営の問題が出てくるわけでございます。私立学校の場合に、基本的には設置者の責任において学校経営をやっていくということになっておりますので、それぞれの私学においての経営努力ということに期待したいわけでございます。現に、幾つかの大学では新しい学部を増設する等の長期的な展望に立った転換等も行っているようでございます。それらを含めまして、経営努力に基本的には期待いたしたいというふうに考えているわけでございます。
  193. 草川昭三

    草川委員 ちょうど時間が来ましたので、あと本当は就職協定、来年卒業の生徒の方々が、実質的にこの就職協定が守られていないために今非常に不安定な現状に置かれているという問題を取り上げようと思いました。これはもう私が今言わずもがなのことで、十分御承知の上だと思います。  過日、実は私、労働省の方々とも相談をしたわけですが、労働省はもう数年前にさじを投げた形でこの就職問題から手を引いた形になっております。しかし、手を引いた形で軽視をするというわけには実はいかないわけでありまして、もう少しこの就職協定問題は、一番最初に問題を持ち出したのは文部省でありますから、ひとつその学生のためにも、各企業に対して真剣な対応、また企業側にも反省すべき点がたくさんあるわけでありますが、それをどのように解決するか、それこそ大きく閣議で議論をするような問題になってきておるのではないか、私はこう思うわけであります。ひとつそういう点も含めまして一層の努力を要請をいたしまして、時間が来ましたので終わりたい、こう思います。
  194. 野中英二

  195. 大矢卓史

    大矢委員 まず、科学技術庁の方の日本科学技術情報センターの理事長さん、お越し願っておりますか。——御苦労さまでございます。  今一番政府がやりたいことは税制改革だと思います。そういう点からいって、私どもは、まず不公平税制のその前にやらなければならぬことは行政改革、そういう各省庁が関係をいたしております特殊法人等、これのあり方についていろいろと御所見も承りながら、今後よりよい方向に向かっていきたいので、お越しを願ってお聞きするわけでございます。  そこで、現在日本科学技術情報センターは補助金という形で国の財政が入って運営をしていらっしゃいます。現在、また将来、この補助金という形が果たしてこういう形でいいのかどうかということをお伺いいたしたいと思います。
  196. 下邨昭三

    ○下邨参考人 私どもJICSTにおきましては、世界五十数カ国から科学技術、理工学とか医学、薬学あるいは基礎から応用、開発までの広い分野にわたりまして、科学技術に関する雑誌あるいはリポート等につきまして資料を収集いたしまして加工いたしております。その加工は、抄録をつくるとかあるいはキーワードをつけるとかあるいは分類するとかいうようなことでございまして、そのような形で加工いたしまして、出版物として、あるいはデータベース化いたしましてオンラインで内外の研究者あるいは科学技術関係者に御利用いただいているわけでございます。  科学技術の振興は国の重要施策の大きな柱でございまして、その中で研究開発基盤の整備を図るということがうたわれております。その中で私どもは、研究開発整備の一環として科学技術情報流通の推進がございまして、私どもJICSTがその中核として仕事を進めているわけでございます。  情報の収集とか加工、提供につきましては多額の経費がかかります。私ども三十余年にわたりまして収集、蓄積を図ってまいってきております。また、一方では営業努力もしてきております。コンピューターの技術とかあるいは通信の技術につきまして大きな発展がございました。そういうこともございまして、科学技術情報の利用も非常にふえてきております。提供事業の収入も逐次ふえてきておりまして、この十年間を見ましても約三倍に伸びております。しかしながら、現状では全体の総事業費の四〇%を提供事業の収入で賄うというような状況でございまして、あと六〇%は国からの出資あるいは補助金ということで事業の運営をやっているということが現状でございます。  今後とも急激な変化というものは期待できませんけれども、私どもとしては、なお一層収入の増大を図りまして、事業の拡大を図り、また国庫負担の軽減にも努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  197. 大矢卓史

    大矢委員 出資金でもって情報の基盤の整備ということをやっていらっしゃるようでございますし、また、今おっしゃられましたように営業努力でそれはそれなりの努力をしていらっしゃると思います。  ただ、私どもは、こういうセンターだけでなくしてあらゆる補助金というものを原点から見直さなければならぬ、そういう意味でも科学技術庁は非常に重要なお役所でございますし、今後とも私どもは伸ばしていくための努力をしなければならない。そのために、これからも今以上にいろいろな番外でもってこのセンターが十二分に国民の期待にこたえていくということが必要であろうと思います。  ただ一つ、今やっていらっしゃる事業の中でコピーの問題、この点非常に著作権との関係でお気をつけにならないと、著作権の法律に触れるおそれがある場合があるのでないかという著作権の専門家からの指摘もございます。その点十分に気をつけられていらっしゃると思いますけれども、いかがでございましょうか。
  198. 緒方信一

    緒方政府委員 法律の適用の問題でございますので、私の方からお答えをさせていただきます。  御指摘のように、科学技術情報センターは国の内外で集めました雑誌等の各種情報を保管しておりまして、一般公衆に閲覧をしていただくとともに、請求があれば複写のサービスをしているところでございます。  御指摘の複写サービスについての著作権法上の位置づけにつきましては、先生御指摘のとおり著作権法の三十一条の規定があるわけでございまして、「図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分(発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個個の著作物にあっては、その全部)の複製物を一人につき一部提供する場合」これは著作権法上問題はない、複写をしてよろしいということになっておるわけでございまして、現在JICST、科学技術情報センターはこの条項にのっとりまして複写サービスをやっているわけでございます。つまり、この「図書館等」というのは、具体的には著作権法の施行令一条の四号で規定してございまして、日本科学技術情報センターはここに言う「図書館等」に該当するものというふうに読まれておりまして、これに基づきまして、著作権法上、適法にその事業が運営されているものというふうに私どもは考えております。
  199. 大矢卓史

    大矢委員 そのとおりだと思います。ただ、私が心配いたしますのは、図書館におきましても、そういう場合に、全文コピーということがやはり著作権法にひっかかるおそれがあるということでやっていらっしゃらない場合もあるようでございますので、その点も十分考慮されて、問題を起こさないように頑張っていただきたいと思います。  それから、ちょうどこのセンターは非常に官邸のそばでございますので、今後官邸を拡張いたしますか建てかえるときにはどこかへお変わりになるということでございますけれども、これだけの情報でございますけれども、やはり東京都内におらなければならぬのか、それとも今言われております地方分散の中に入っていらっしゃるのか、今後の方針も含めてお尋ねをいたしたいと思います。
  200. 緒方信一

    緒方政府委員 地方移転の問題を御指摘でございますが、一般論といたしまして、この種の情報提供活動のサービスというのは情報が集中している地域でやるのが最も効率がいいということでございます。そういう意味で、情報の集中しております東京で事業をやることが一番効率性の点からはよろしいということが言えるわけでございます。特に、この日本科学技術情報センターのケースについて考えますと、業務の中で抄録の作成をやっておりますが、これは外部の抄録作成協力者というのを大量にお願いをしてございます。こういう協力者が手近に得られること、それから学会とか協会の御協力を得、連携をとる必要があるわけでございますが、こういう学会、協会が近くに所在をしていること、それからコンピューターシステムのシステムエンジニアを大量に使うことになりますのでそういう者が確保できること、こういうことが特に必要な業務の内容になってございます。こういう者、こういう人材、機関等が集中しているのはやはり東京の都区内になりますので、効率性ということを考えますとどうしても東京都区内で事業展開をせざるを得ないのではないか、このように考えている次第でございます。
  201. 大矢卓史

    大矢委員 そういうことを言っておりますと、すべての省庁、また附属機関が今言われておりますような地方分散にならないと思います。これ以上、私も深く申し上げません。  ただ、科学技術は日本の将来をしょって立つ大きなお仕事でございますので、大臣、最後に一言、これからの我が国の科学技術の振興、当然一生懸命やられることと思いますけれども、ただ、そのやられること等は、やはり国民の血税でございますから、それを十二分に認識をしていただいて、少しでも間違ったことが起きないようにこれからも御努力を願いたいと思います。一言だけお聞かせ願いたいと思います。
  202. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 先生からもお話しのとおり、近年、研究開発は大型化、複雑化する一方でございまして、日進月歩の成果を生み出しております。したがいまして、これら研究開発をより効率的、より効果的に推進するためには、最新の科学技術情報を有効に利用することが不可欠でございます。科学技術情報流通基盤の整備を図ることの緊要性を痛感しております。このことは昭和六十一年三月の閣議決定、科学技術政策大綱においても科学技術振興基盤の強化の一環として位置づけているところでございます。  日本科学技術情報センターは、国内外の科学技術情報を体系的かつ迅速的確に収集、処理、提供する中枢的な機関として法律に基づいて設立をされた機関であり、我が国の科学技術全体の振興を支えるものとして大きな役割を担っているところでございます。  今後とも、同センターを中心に科学技術情報流通の促進に努めてまいる所存でございます。
  203. 大矢卓史

    大矢委員 それでは文部省関係に移らせていただきたいと思います。  中島大臣には久々の文化大臣として御登場願ったわけで、私どもも大いに期待をしておるものであります。  そこで、これも前委員会で私もいろいろと指摘をいたしまして、今言われておりますように役所を地方に移転するとか、そういう手間暇かからない中で、文化、その地方への貢献ということ、この一つのあれに芸術祭、これは東京だけで行われておるわけです。東京でなければ参加できない、そういうばかげたことはないではないかということで、この前の委員会ではそれを中心に質問させていただきまして、個人的には、事情はわかるけれども、なかなか難しい面はあるが、十一月の東京の芸術祭の参加公演とは別に、四月に地方でおのおのの特色のあるものをやればどうでしょうかという塩川前大臣の個人的なお話もございました。非常に造詣が深い大臣も当然御存じのことと思いますけれども、芸術祭の地方の参加、特に大阪がより以上にすぐれたものもございますし、また地方は地方ですぐれたものがあると思いますので、それはそれなりの審査また顕彰があってしかるべきだと思いますが、いかがでございましょう。
  204. 中島源太郎

    ○中島国務大臣 大矢先生の御指摘はまことに当を得ておると思います。  一つには、芸術というものは庶民の中から生まれ育ったものでございますから、全国津々浦々でその芸術を創造し、あるいはまた享受できるという環境をつくっていくということは必要であろうと思います。直ちに芸術祭を何カ所でやれるかということはまた検討をいたすべきであろうと思いますが、また、非常に高い芸術と同時にやはり地方ではぐくまれたもの、これは例えば国民文化祭もございますし、もっと庶民的なものとしてはレクリエーション祭というものもございますし、それぞれの地域で、それぞれの風土の中から哀歓を持って伝えられたもの、これを各地域の特色を消さずに生かしながら各地域で保存し、そして継承される、こういう全体を含めまして文化活動としてとらえてまいりたい、こういうことを付言させていただき、先生の御指摘は当を得た御指摘と思いますので、今後芸術祭そのものをどうしていくか、これはよく検討させていただきたいと思っております。
  205. 大矢卓史

    大矢委員 検討していただくということでございます。ただ、担当の部局もお困りであると思うのは、芸術祭が長いことになってまいりますと、新人賞その他でも、東京で参加される方を見ておりましたら、全く審査が困るのではないかというような参加状況になって、だれに賞を上げていいのかわからないような状態になってきたのではないか。それだけに、ここらでひとつ、大きな曲がり角でございますので、文化の振興のためにそれだけの予算を使っておやりになることですから、みんながなるほどなと納得するような方向で今後御検討願いたいと思います。文化の振興については、私も人一倍頑張らせていただきたいと思っております。  そういう観点から、今回の消費税でございますけれども、今までの入場税が消費税という形で変わってまいりますが、その点大臣、どういうふうにお受け取りでございますか。
  206. 中島源太郎

    ○中島国務大臣 これは非常に難しいところでございまして、私はいわゆる文化活動に対します入場税というものは再考されるべきであろう、このように考えておりました。そして、今政府案として御提案をいたしておる中では入場税は撤廃をされる、こういうことでございますけれども、逆にそれが消費税に吸収されるということになりますと、入場料金の低いところの免税がなくなりまして、逆にその低い入場料に消費税の負担がかかるということは、今の仕組みでいけばそういうことになるわけでございますので、これは一点では入場税の撤廃は喜ぶべきことでございますけれども、消費税ということで入場に対して一律の負担を払っていただくということは、仕組み上はそうでございますので、これは私ども文化庁を抱える文化行政の一端を支える者といたしましては、他の面で文化活動に特段の配慮をひとついたさなければいかぬな、そのように感じておるところでございます。率直な意見として申し上げさせていただきました。
  207. 大矢卓史

    大矢委員 大臣、非常に率直な御意見でございまして、せっかく入場税がなくなっても、免税点が取っ払われて、今までほとんどかかっていなかった演劇の五千円まで、そして映画ですか、そこらの免税点が取っ払われまして全部かかってくる、そしてまた、前回のときに非常に問題になりました古典芸能に現在かかっておらないのが今度は三%すべてかかってくるというような、なるほど平等という面からいいますとそれでいいのかもしれませんけれども、文化の振興ということで非常に多くの税金を使っている反面、また見る方からすれば取られていくというようなことは、私どもは少しいかがなものであろうか、そういうことも含めてこれは大臣と意見が一致するわけでありますから、これからもまだまだ審議はほど遠いようでありますけれども、大臣自身の率直な気持ち、また庶民の率直な感情というものを国務大臣としてあらわすときにはあらわしていただいて、この問題、これからもなかなか難しゅうございますけれども御検討を願いたいと思います。  そこで、昨日、国立劇場を見学させていただきました。私も、いろいろな中で比較的わかりやすいのがこういう演劇の部門でございますので、ちょっと非常に込み入ったことで細かくお聞きするかもわかりませんけれども、このことについて御答弁を願いたいと思います。  国立劇場法に基づいて国立劇場業務方法書というのがございます。それは四十四年の九月二十六日に文化庁長官が認可をされております。第三条、四条、五条とございます。その第三条には、「劇場は、主として伝統芸能の公開のため、大劇場、小劇場、演芸場その他の劇場施設を設置し、その劇場施設において」いろいろなもの、そして「大衆芸能その他の芸能の公開を行い、」と書いてございます。これは劇場をつくる、そしてその劇場の施設において雅楽、能楽、そして文楽、歌舞伎等々大衆芸能その他の芸能の公開を行い、ということで非常に幅広い文化の公開をやるということになっております。それを受けまして、その四条で、「劇場が前条の規定により公開する伝統芸能の公演日数は、年間を通じておおむね次のとおりとする。」ということでいろいろ書かれておるわけでございます。これは日数で書いていらっしゃいますけれども、この日数と回数との関係、またこれをお決めになった四十四年と現在と一体どのように違っておるのか、それらを含めてお答えを願いたいと思います。
  208. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 ただいま御指摘の業務方法書における第四条の各伝統芸能の種類ごとの公演日数でございますが、これは業務方法書でございますので、劇場の創設当時に制定をされまして、その後演芸場、文楽劇場、それから能楽堂というふうに施設が増設されてまいりましたので、その際にこの日数については若干の変更をしてきているというふうに思います。  この第四条の公演日数というものについては、どういう意味かと申しますと、これは当時の事情を必ずしも私もつまびらかにしないところでもございますけれども、これは、先ほどおっしゃいました、国立劇場が伝統芸能の公開という使命を持っている、その使命を達成するのに必要な最低の日数を定めたものだろうというふうに考えているところでございます。日数と回数の関係というのは、これは回数が若干、通常一日に二回行われる場合もあるわけですので、そこにずれを生ずるわけでございますが、ここの規定は基準としてかなり原則的な定め方もしているわけでございますので、ここは日数で定めたものだろうというふうに考えているところでございます。
  209. 大矢卓史

    大矢委員 その中で「大衆芸能」云々とあるその七項目の次の項目がないのですけれども、その他の芸能はどの程度お考えでございますか。
  210. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 その他の芸能で実際に国立劇場で公演しておりますものには「声明」というもの、それから「中世芸能」というものが行われております。
  211. 大矢卓史

    大矢委員 これは、こういうふうに最低限やれということで義務づける場合に、その他の芸能ということはどうなのですか。だから、この書いておる条文に基づいて国立劇場は運営をしておると思いますけれども、その他の芸能の公開というのが義務づけられておらない。まあそれはそれとして、今後これになくともどんどんやればいいというふうに解釈していいわけですね。
  212. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 業務方法書の第四条の規定というのは七つの伝統芸能の種類について決められておりますけれども、これは業務方法書の性質から申しましても国立劇場の主な公演について規定しているというふうに考えておりまして、したがいまして「声明」とか「中世芸能」、それ自体大変大事なものでございますけれども、毎年やるというようなものでございませんので、この点は基準の上からは規定していない。しかし、こういう伝統芸能の保存・公開という使命の上から必要なものを行うということであろうと思います。
  213. 大矢卓史

    大矢委員 それについてはまたいろいろと私なりの意見はございますけれども、これに基づいていきますと、一日以上ということでございましていろいろな日にちが書いてございますが、これはこれなりの意味があるとしたら、当然一から七まで全部一日以上と書けばそれでいいわけでありますけれども、やはりおのおの日数を書いておるということは、それが現在正しいかどうかは別にして、これに基づいて予算が作成されなければならぬと思います。  しかし、この六十年度決算を見てみまして、予算決算とでは日数が変わらないのだということですが、この決算の公演の日数からいきますと、大体似ておるものと非常にかけ離れたものとがあるわけであります。文楽八十日以上が百九十日ということになっておりますし、大衆芸能というのが百日以上が二百七十一日ということになっておるわけであります。そして、これの当初予算が、収入の方が十七億四千四百九十六万ですか、支出の方が二十三億一千五百十六万ということで当初予算が計上されて、それが議会で議決を得ているわけであります。しかし、その決算の数字を見ますと、公演の事業費が二十三億から十九億に、そして収入が十七億から十三億、これは収入のことでございますから収入が減ることはそのときのことでございますけれども、毎年やってきて二十三億の予算を組みながら十九億しか——やはり同じ公演回数をやっており、毎年やりながらその予算の作成のときに非常なサバを読んでいるというのはどういうことですか。
  214. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 ただいまの御指摘は、収支の予算決算の違い、乖離ということについてであろうかと思いますが、国立劇場の会計は、補助対象外の会計とそれから補助対象会計とに分かれて経理をしておりまして、ただいまの御指摘は国立劇場の補助対象外の方の会計でございまして、これは公演の経費について公演の入場料等によりまして賄っていくという会計として経理されているわけでございます。したがいまして、一般の官庁会計と違いまして企業会計的な方式によって経理されているわけでございます。  それで、これは入場料という性質から申しまして、ただいま委員も御指摘ございましたけれども、収入を当初に確実に見通すということはできないものでございますので、当初の予算ではやや高目に予測額を設定いたしまして、その後四半期ごとにその収支、収入のぐあいを見ながら支出の方をある程度調整していきながら、最終的には決算でバランスさせるというやり方をとってきております。予算額を低目にするといたしますと、予算につきましては主務大臣の認可が要るわけでございますが、これをオーバーするとすればこの認可を何度もとり直さなければならない。そういたしますと劇場の目的の遂行に支障を生じかねないことにもなるということもございまして、認可予算を設定する際に若干高目にするということは、この国立劇場が創設されて以来ずっとそういう傾向にあるわけでございます。  ただ、これが余りにも乖離するということになりますと予算の意味というものがだんだんなくなっていくということもございますから、最近の国立劇場内の検討ではこの辺をもう少し再検討してみてはどうかというような機運もございまして、私どもとしてもそういった議論を十分見ながら指導していきたいというふうに考えている次第でございます。
  215. 大矢卓史

    大矢委員 そこでまた戻りまして、第五条によりますと「劇場が一般観覧者から徴収する芸能鑑賞のための対価は、公演に直接必要な経費、劇場の管理運営に要する経費等を基準とし、一般の劇場等において同種の芸能を公演する場合に徴収する対価をこえない程度において定める。」とありますが、予算決算を見ておりまして、劇場の運営管理に要する費用というのがどこにも、この公演事業収入の中の対象として出てこないのですけれども、いかがでございますか。
  216. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 その点が、先ほど少し申し上げました国庫補助対象対象外とに経理をされているということと関連があるわけでございまして、劇場の事業を収入を伴う性質の事業とそうでない事業とに経理をするということによりまして、これは昭和四十一年に創設されました一年後からずっと継続してとられている制度でございますが、その補助対象外の会計と申しますのは、伝統芸能の公開事業及び施設の貸付事業ということで、この会計補助対象外としてみずからの経営努力によって収支の安定を図るというふうにいたしましたものと、それからこの五条にございます対価というものについて、公演に直接必要な経費というもの、それから「劇場の管理運営に要する経費等を基準とし、」という、そのこととが平仄として合っているというようなことになって経理されているものだと考えております。
  217. 大矢卓史

    大矢委員 公演事業費は二十三億で公演の事業収入が十七億、決算は十三億と十九億ですけれども、ここに書いてあるようにこの収入を予想する場合に、公演に必要な経費は出ておりますけれども、劇場の管理運営に必要な経費というものを見なくてもいいというのはどこにあるのですか。
  218. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 これは、先ほどちょっと申しましたように、昭和四十一年の会計、これは当初の会計制度でございますが、これは全経費補助対象としていわゆる収支差補助をとっていたわけでございますが、一年間の運営状況をもとにいたしまして検討した結果として、これでは赤字が出た場合に赤字が出ただけ補助していかなければならないのじゃないかというような問題が起こりまして、検討の結果、二年目から、先ほど申しましたような収入を伴う性質の事業とそうでない事業とに分けて経理をするという方式をとってきているわけでございます。これについては、その後二十年間そのように経理をしてきております。  これは、国立劇場については伝統芸能の保存を図るという公益的な使命を負っているということもございまして、高い入場率を常に確保するような条件を確保することは非常に困難な状況のもとで公演事業を行わなければならない状況もございまして、二十年間、補助対象外の公演事業に係る収入は、先ほど先生が御指摘のような公演収入と施設使用料の収入とそれから公演の事業とが大体辛うじて収支バランスを保っているというような状況にございまして、こうした状況の中でこういう二本立ての経理制度をとっていくという状況にあるというふうに理解をしております。  したがいまして、この管理運営に要する経費というものを基準とするということでございまして、これは現実にそのバランスするところがどこであるかということをある程度経験的に考えた上で実際にとっているということであろうと思います。
  219. 大矢卓史

    大矢委員 この国立劇場の目的に、第一条に「伝承者の養成、調査研究等」というのが別にあるわけでありますから、そのことで費用がかかるものについてはこれは当然別枠でいいと思いますけれども、それ以外の管理運営費全部が、これは補助事業だから原価に入らなくてもいいんだというような考え方、これは大臣いかがでしょうか。
  220. 中島源太郎

    ○中島国務大臣 これはちょっと、現実とそれからあるべき姿の落差を御指摘いただいたような感じがいたして、拝聴しておりました。運営に関します管理運営経費は入場料で賄えるのが本来であろうかと思います。そういうあり方に持っていくということは好ましいことだと思いますが、それには先生おっしゃるように、調査研究はともかくとして、こういうことでございますから、それには先生の御意見も伺いたいのですが、伝承芸能、これをいわゆるもう一度大衆のための親しまれる芸能に引き戻しませんと、これはやはり一般に近い入場料で管理運営を賄うというに至らないわけでございまして、はっきり言えば入場者数をふやすことによってそのコストを埋めるということになるわけでございます。したがって、できればいわゆるこの伝承芸能というものを箱に入れてしまって大衆から遠ざけてしまうというような雰囲気があることはできるだけ避けて、もう一度大衆の手に戻して、多くの方々が劇場に足を運んでいただく、それによって入場料で管理運営が賄えるところまで入場者数をふやすということがやはり伴ってきませんと、あるべき姿と実際の乖離がある、こういう点があろうと思います。  まさに私は、やはり芸術というか芸能というものが大衆と別にあるものであってはいけない、それは孤高の正しさがありましょうとも、やはりもう一度親しまれる大衆のための芸能としての地位を得られるような方策を考えていくべきではないのかな、拝聴しながらそう思いました。
  221. 大矢卓史

    大矢委員 ちょっと僕は時間を間違えましたので、飛ばしていきたいと思います。  これは御園座とコマ劇場の有価証券報告書。これを読みますと、御園座ではやはり収容能力に対する割合が、六十一年二月一日から一年間を見ますると八六・九%、その翌年の六十二年から六十三年にかけての収容能力に対する割合が八七.一%であり、そしてコマ劇場は、六十年の四月一日から一年間、これが梅田コマ劇場は七七%であり、新宿コマは九一%、そして、その翌年は梅田コマが八三%で新宿コマが九一%と、歌舞伎座の資料がございませんでしたが、そういうふうに努力していらっしゃるわけであります。営業努力をしていらっしゃる。  そして大劇場、歌舞伎の方を見ますると、全部花道をとったといたしまして、全体の平均が五一%である。文楽も東京に参りまして非常に好評だと聞いておりましたが、文楽が東京に参りまして、その動員数は六二%、これは全回赤字や言います。そして、演芸場にいたしましても平均が三一%、少ないときが一五だとか一六だとか、日曜も含めてのあれであるわけでありますけれども、それを、なおかつ回数を先ほども言ったように多くしておるわけであります。そして、大阪の文楽は文楽でもって、これまた普通に言われておりますように、いい月だなと言われておる月も、余り劇場費も何にも入れなくて赤字ばっかりであります。たまたま劇場費も何にも入れなくて七二%という人が入った月で辛うじて黒字を出しておる。これまた、劇場費そのものではございませんけれども、全体で九三%が入っておるんだということになっておって、初めからこのような赤字だというふうになってまいりますと、これはなぜ文楽とこういう演芸だけが多く赤字を背負いながらやらなきゃならないのか。昔は非常にハングリーで、自分が切符を売って、そしてまた地方回りもしてやってきて、自分自身が芸にほれ込んでそれを伝承していくということで努力をいたしましたけれども、その努力がない、そういうことであります。  もう時間が来たようでございますけれども、やはり大阪の文楽劇場で汚職がございました。その汚職体質がいまだに続いておるわけです。その当時でございますか、表は劇場費そのものは非常に安いけれども、裏は非常に高くつく、そういうことが言われております。そしてこの中で、全部の日程を行いましたが、大阪府の府民劇場の主催というのが一つ載っております。これは一体どういうのであるのか。時間が来ましたので、後ほどこの大阪府民劇場の主催で買っておるものについて十二分に私に納得のいく説明をしていただきたいと思います。  非常に他の委員と皆さん方に御迷惑をかけますので、一応これで終わらしていただきたいと思います。
  222. 野中英二

    野中委員長 横瀬次長、後から御説明申し上げるように。  山原健二郎君。
  223. 山原健二郎

    ○山原委員 動燃の皆さん、参考人として御出席いただいてありがとうございます。  最初の質問は、岡山県人形峠のサラン鉱山から掘り出されましたウラン鉱石まじりの残土の堆積場での問題でございます。周辺で通常値を大きく上回る放射線が検出をされまして、大きな問題になっています。私も一昨日現地へ赴きまして調査したわけですが、高い地点では毎時六百五十マイクロレントゲンを記録をいたしました。これは、動燃が岡山県とそして上斎原村との間で結びましたいわゆる空間線量率に関する管理目標値毎時二十五マイクロレントゲンを二十六倍も上回る中身となっています。この管理目標値は敷地境界におけるものですが、問題が起こりました八月の十五日、マスコミが取り上げましたその時点までは、敷地境界には仕切りもなければ注意書きの立て札もなく、一般公衆が自由に出入りできる状態にあったわけでございまして、協定を大きく逸脱する事態になっておったと言わざるを得ません。  昨日、岡山県としてより詳細な調査実施しておりまして、その調査結果はきょういただいているわけでございますが、その結果を見ますと、堆積場内で私どもの調査とほぼ同様に高いレベルの放射線を検出したわけです。それだけでなくて、敷地境界線上においても最高で六十五マイクロレントゲン、平均しまして三十四マイクロレントゲンを検出しております。これは明白に協定に背反するものではないかと思うのです。  私が調査に入ったときは有刺鉄線が設けられておりまして立入禁止の看板が立てられていましたが、それまではそれも全くなかったわけです。堆積場は草地の台地で、子供たちの格好の遊び場にもなりそうなところでございますし、また、すぐそばを小さな川が流れておりますし、百メートル離れているところには民家もございます。それからハウス、畑、それはもうすぐそばでハウス園芸もやっておるという状態ですね。恐らく春になればワラビ、ゼンマイなど山菜取りに絶好の場所だと思われるようなところでございまして、その点を考えますと、動燃事業所では従前から堆積場で周辺より高い放射線の箇所のあることを承知しておったわけでございます。  これは現地でも説明をいただいたわけですが、それらを考えますと、ウラン鉱石まじりの堆積場の管理はずさんであったという指摘は免れないと思うのでございますが、この点について事業団の御見解を伺いたいのです。  引き続いて、問題発覚後も動燃事業所側は安全対策上問題がなかった、また落ち度を認めない姿勢をとっているわけですが、そういう言い分は私は通用しないと思うのです。管理の不十分さを認めた上で万全の対策を講ずべきだと思うのでございますが、この点について最初に、簡単で結構ですからお答えをいただきたいんです。
  224. 福原元一

    福原参考人 ただいま先生から、岡山県人形峠の動燃の事業所におきまして、捨て石堆積場におきましてかなり高い空間線量率が得られたということで、これは岡山県との協定に違反しているのではないかという御指摘がございました。  人形峠の捨て石堆積場につきましては、先生御視察いただきました中津河の堆積場について申し上げますと、ここは昭和三十三年から採掘を始めまして探鉱坑道を切り始めまして、探鉱、採鉱を実施してまいりました。四十九年に終わりまして、その後坑道の閉鎖等あるいは堆積場跡の整備等を行って今日に至っておるわけでございますが、もちろん坑道の掘削あるいは探鉱を行っております間は、鉱山保安法に基づきまして監督官庁の認可を受けまして作業し、維持管理を行ってきたわけでございますが、四十九年、採鉱、探鉱が終了いたしまして、その後鉱内からの石が出なくなりまして堆積を取りやめた後は、必要な鉱害防止措置を行いまして、これも監督官庁の検査を受けまして現在に至っておるわけでございます。  もちろん、当然その後の処理につきましては、監督官庁の検査の合格もいただいておるわけでございますが、その間私どもといたしましては金属鉱山等保安規則、これに基づきまして必要な措置あるいは環境を含めまして点検を行っておるわけでございます。  先生御指摘ございましたように、中津河地区の堆積場につきましては、平均測定値が六十マイクロレントゲン・パー・アワーということがございます。でございますが、これにつきましても昨年まで私どもは、この堆積場のほぼ中央でございますが、測定器を置いておきまして測定を続けておりまして、六十一マイクロレントゲンという数字は付近の住民の方々に御心配を与える数字ではないというふうに私どもは理解しておりましたが、一点、六百八十マイクロレントゲン・パー・アワーという数値が出ましたが、これは私どもといたしましても、当初——先週測定いたしましたときは、約一万平米の堆積場でございますが、五メートル間隔をもちまして測定をいたしましたが、このときは各地点とも平均いたしまして六十マイクロレントゲン・パー・アワーぐらいの測定値でございましたが、その一点、五メートル間隔のほぼ中央でございますが、その測点を離れましたところ、四、五十センチ離れましたところを一点はかりましたら、申し上げました高い数字が出たわけでございます。これは私ども、坑内から鉱石あるいは坑道を掘進いたしますときに、掘りました土砂を外へ持ってまいりまして、坑口におきまして、これは鉱石になるものであるかあるいは全く鉱石とならない岩石であるかということをふるい分けまして、含有量の全く低いもの、私ども、当時の基準といたしましては、ウランにいたしまして大体〇・〇一%以上の品位のあるものはこれは鉱石であるということで事業所へ持ってまいりまして、製錬その他の以降の研究に使っておったわけでございます。〇・〇一%以下のものは鉱石ではない、いわゆる捨て石であるということで我々理解いたしまして堆積場へ積んだわけでございます。したがいまして、〇・〇一%以下の岩石を堆積場へ積んでおきまして、それより品位の高いものは事業所へ運んだわけでございますが、恐らく堆積場に、鉱床の存在というのは、ここからこちらは鉱石であってここからこっちは鉱石でないというふうに分けられませんので、ごく微量、一点ございました。その辺に鉱石に入り得る品位の石が入っておったのではないか、このように考えております。  それで、私どもといたしましては、この堆積場の……(山原委員説明を要する必要はないですから、質問に答えてください」と呼ぶ)一番近い民家に私どもはモニターを置いております。それから県もこれに近いところに測点を置いておるわけでございますが、ここで測量いたしました結果におきましては、空間線量率が十二・五マイクロレントゲン・パー・アワー、それから水中ウランの濃度も四・四掛ける十のマイナス十乗、それから空中ウランの濃度も二掛ける十のマイナス十五乗ということで、これはいずれも金属鉱山等保安規則の許容限度数値以下でございまして、私どもはこの数値は十分に許容限度を満たし得るというふうに考えております。  それから、先生が協定違反ではないかと申されましたが、実は県との協定は、昭和五十四年になりまして人形峠の事業所内にウラン濃縮のパイロットプラントが運転を始めました。これを機会にいたしまして、事業所内の施設建設、運営管理に当たりまして、県と安全の確保、公害の防止、環境保全に万全の措置を講ずるために結びました協定でございまして、五十四年七月二十八日にあれしたわけでございまして、この堆積場につきましては、県との協定の際に含まれておらなかったわけでございます。  境界地と申しますのは、その場合の県との協定におきましては事業団の敷地の境界地、事業所がございます敷地の境界地におきます測定基準を一応の基準値といたしまして、そこへ先生がおっしゃいました二十五マイクロレントゲン・パー・アワーという数値を目標値といたしたわけでございますが、これにつきましても、先ほど申し上げましたように、私ども、中津河の堆積場に最も近い人家付近におきます空間線量率は十二・五マイクロレントゲン・パー・アワー、これはことしの三月から六月の測定値の平均でございますが注視しておりますので、私どもといたしましては、仮に中津河の堆積場跡は県との協定の境界内に入っていないとしても、県との基準値は十分に守られておる、このように理解しておるわけでございます。
  225. 山原健二郎

    ○山原委員 あなたの答弁は今十分以上かかりましたよ。国会へ参考人として出てくることは動燃は多いわけですから、国会の質疑応答についてはもっと習熟してもらいたいのですよ。私はわずかな時間でこの問題をやっているわけですから、今までの経過を長々とやられたらたまったものじゃありませんよ。もっと勉強してきなさい。これはけしからぬ話で、本当は私はこれを二十分でやろうと思っておったのですが、一回の質問で十分間も答弁されたらたまったものじゃありません。しかも何を言っているかわからぬでしょう。  現に昨日の県の調査でこれだけのものが出ている。協定書はこれですよ。あなたはこれは堆積をした後でやったのだと言っておりますけれども、この協定書というのは何かおわかりですか。これは動燃の人形峠事業所の事業にかかわる環境保全、安全管理等を定めたもので、堆積場の管理の事業を殊さら除くなどということは書いてありません。人形峠全体の事業所、これにかかわる環境保全の問題の県と村とそしてあなた方との協定なのです。協定に違反してないなどとどうして言えますか。きのう県の調査結果をごらんになったと思いますが、これは敷地境界十一カ所調べていますよ。十一カ所の上で最大が六十五、最低が十、平均しまして三十四という数値が出ておりまして、協定は二十五マイクロレントゲン・パー・アワーでしょう。それが六十五から平均して三十四。オーバーしているのですよ。知っているわけでしょう。しかも現実にわかったわけですね。立ち会って調査されているわけですし、また、動燃そのものが前々から高い数値のところがあるということは知っておった。今度県が調べてみると、今おっしゃった高い数値の真ん中だけでない、境界線まで十一カ所調べているのですね。それが平均して三十四という数値が出てきておりますから、そうしますと、協定の中にあります敷地境界における空間線旦量率は二十五マイクロレントゲン・パー・アワーだ。オーバーしているでしょう。これは率直に認めるべきですよ。認めたからあなた方、あわてて有刺鉄線をやったのでしょう。立て札を立てたのでしょう。違反もしていなければ、何も御迷惑もかけておりませんと言うのだったら、有刺鉄線も立て札もあわててこの数日の間に立てる必要はなかったじゃないですか。だから、調べてみたところが高い数値が出てきたということで、その点については協定から考えても逸脱をしておったということを率直に認めて初めて次の対策が出てくるわけですよ。少なくともそういう地域の住民に対してあるいは県に対して誠実な態度をとるのが動燃の仕事ではないですか。この点だけ簡単に伺っておきたいのです。
  226. 福原元一

    福原参考人 先ほど申し上げましたように、この県との協定は、人形峠事業所に濃縮パイロットプラントが運転を開始したという時期に当たりまして結ばれたものでございまして、中津河の採掘事業は既にこの当時終了しておりました。既に二十年間やりまして、三十三年以来堆積場として使っておりましたが、運開したときは既に中津河の堆積場は使用しておらなかったわけです。それにつきましては、それまでの計測等によりまして、決して付近の住民の方々に御迷惑をかける数字ではなかったということで、県との協定の対象には入っておらなかったわけでございます。
  227. 山原健二郎

    ○山原委員 そう言ったらいかぬですよ。ちゃんと係の方が動燃から、東京から来ておられまして、来ていただいたことを私は非常に感謝したのです。それでお礼も申し上げたのですけれども、前々から知っておりましたと言っているのですよ。  それから、協定が結ばれたその後だと言うのですけれども、あの堆積場をのけるなんて書いていませんよ。人形峠におけるこの事業に関する協定書なんです。当たり前のことですよ。だから、前に捨てたところだから何が出てきたって構わぬなんという姿勢ですか。それならそれで動燃の責任は別な意味で追及しますよ。  それからもう一つ、これは法令に基づいても問題があるんですが、このウラン鉱山や捨て石堆積場につきましては鉱山保安法の適用を受けるわけです。この鉱山保安法に基づく省令で、核原料物質鉱山における放射線障害の防止が定められております。通産省に質問をいたしますけれども、人形峠のウラン鉱山はここに言う核原料物質鉱山であると私は思いますが、この点はそういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  228. 横山茂

    ○横山説明員 お答え申し上げます。  先生の御質問のとおりに、人形峠鉱山は核原料物質鉱山であります。
  229. 山原健二郎

    ○山原委員 もう一点、原子力施設においては、原子炉等規制法や放射線障害防止法に基づく規制として、周辺一般公衆への被曝線量を年五百ミリレム以下に抑えることが定められております。来年四月からは、国際放射線防護委員会、ICRPですが、その勧告を受けまして、年百ミリレムに規制が強化されることになっているわけでございます。  ところで、捨て石堆積場を含むウラン鉱山の場合、一般公衆への被曝線量限度についてはストレートに明文化された規定はないのでございますが、他の原子力施設と同様に年五百ミリレム、来年四月からは年百ミリレム以下に抑えるという解釈が成り立つと思うのですが、この点について通産省はどうお考えでしょうか。
  230. 横山茂

    ○横山説明員 鉱山保安法の金属鉱山等保安規則におきまして、現在でも先生の御質問のように、一般公衆への放射線障害防止については十分配慮したものになっていると私は思っております。それで、具体的には、鉱山から排出される空気、水、これについては規制基準を決めております。それからまた、外部放射線の生体実効線量についても、鉱山の中で居住する人の安全の許容限度を定めておりますから、それをもって一般の公衆の人にも十分はかれるものだと、かように思っております。  それから、来年四月以降の、先生の御質問の厳しくなるということも、十分わきまえております。  以上です。
  231. 山原健二郎

    ○山原委員 一応、今通産省おっしゃいましたように、ウラン鉱山周辺においても、一般公衆の放射線被曝は年五百ミリレムを超えてはならない、来年四月からは年百ミリレムを超えてはならないという法令上の規制がいわば実質上適用されるというのが、これが通産省のお考えだと今の御答弁でわかるわけでございます。したがって、これはそういう意味から申しましても、法令上の立場からも、先ほど動燃の理事がお答えになったことはやはり抵触しますね。単に県との協定だけでなくて、法令上から見ましても一定の抵触をするように思います。しかも、放射線被曝については合理的に達成できる限り低くすべきであるというALARAの原則というのがあることは、御承知と思います。この国際放射線防護委員会の提言による原則は、原子力開発利用に携わる者が肝に銘ずべき原則でございまして、こういう点から見ましても、今回明らかとなりました問題は、いろいろ理屈をおつけになられまして合理化すべきことではないんです。やはりここで動燃としましてこの事態を謙虚に把握をしまして、今までの瑕疵があれば、あるいは逸脱があれば、それを認めまして、そして事後の対策を誠実に立てるべきだと思うのです。  次に、この点も要求したいと思いますが、それは、ウラン鉱石まじりの堆積場がどこに何カ所あるか、これもお聞きしたいのです。聞きますと数字が変わるのですね。それは人形峠に限らず、岐阜における東濃鉱山も含めて何カ所あるのか、正確な情報をまとめて公表することを求めたいと思います。例えば、鳥取県に一カ所だと言ってみたり二カ所だと言ってみたり、きのう聞いてみますと五カ所だと言う。そういう情報は的確に公表すべきであります。これが一つ。  もう一つは、土壌、水などを含めたより詳細な調査関係機関とも協力して行って、その結果を公表することが大事ではないでしょうか。  これらの調査結果を踏まえまして、地元住民や県、市町村とも協議の上、納得のいく安全方策を講ずべきだと思いますが、この点はよろしいでしょうか。  この三つのことについて簡単にお答えいただきたい。
  232. 福原元一

    福原参考人 人形峠及び東濃鉱山付近におきます捨て石堆積場の数でございますが、人形峠周辺におきましては、岡山県に中津河地区と、それから現在人形峠の事業所内に二カ所、計三カ所ございます。それから鳥取県側に神倉、方面、麻畑の三カ所ございまして、これはいずれも実際に鉱石を掘り出して捨て石を捨てた堆積場のあるところでございます。それから、そのほかに鳥取県におきまして二カ所。これは若干坑道掘進を始めまして捨て石をしておりましたが、結局鉱床に当たりませんで途中で探鉱をやめてしまった、したがいまして鉱石は出てこなかったという、単にトンネルを掘っただけの、坑道を掘っただけの堆積場が鳥取県に二カ所ございます。それから、岡山県にも同様に、坑道掘進はしたが結局鉱床に当たらなかったということで、単なる岩石だけを出したというのが三カ所ございます。したがいまして、実際に鉱石が出てまいったという坑道は、岡山県に三カ所、鳥取県に三カ所でございまして、そのうちの岡山県の二カ所は、現在の動燃の人形峠事業所内にございまして、これは所内で十分管理を行っておるというところでございます。  それから、岐阜県につきましては、東濃鉱山の中に実際に坑道を掘りまして鉱石を得たという坑道に関する捨て石の堆積場は、これも東濃鉱山の中部事業所の構内にございまして、これは管理されております。あともう一カ所、岐阜県に、坑道は掘りましたが、結局鉱床に当たらなくて放射性物質を外へ運び出さなかったという捨て石堆積場が一カ所ございます。  以上でございます。
  233. 山原健二郎

    ○山原委員 今後の対策ですね。今、私ども行ったところには有刺鉄線が張られまして、それから立て札も立っているのですね。それは適切な、しかも問題が起こりましてからは素早い対応であったという点は私は認めているんです。けれども、そのほかの場所もあるわけですから、それに対しても適切な措置はとりますね。
  234. 福原元一

    福原参考人 私ども、人形峠事業所にしろ中部事業所にしろ、非常に地元の御理解と御協力と御信頼を得て今日までやってまいりましたので、今後ともその御理解、御信頼を損なわないようにやってまいりたいと思います。先生御指摘の点につきましては、今後十分監督官庁の御指導をいただきまして、地元とも御相談の上で適切な処置をとってまいりたい、このように考えております。
  235. 山原健二郎

    ○山原委員 伊藤長官、この問題につきまして、原子力行政そのものが非常に安全の上に安全を期すという考えを前にお聞きしたことがあるわけですが、この点についての今後の御見解を最後に伺っておきたいと思います。
  236. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 先生るる御指摘のとおり、人形峠捨て石堆積場のみなちず原子力関係施設の周辺住民の方々の安全につきましては、これまでも十分に確保されてきているところと確信をしておりますけれども、今後とも周辺の住民の方々に無用の不安や混乱を与えることのないよう、さらに心を引き締めて十分指導をしてまいりたい、このように考えております。
  237. 山原健二郎

    ○山原委員 動燃の方、どうもありがとうございました。  次に、文部省関係のリクルート問題をめぐりまして若干お尋ねしたいのですが、時間がなくなってまいりましたのではしょりますけれども、リクルートの当の中心人物であります江副氏の問題でありますが、この方が昭和六十年九月に教育課程審議会の委員、また六十二年九月には大学審議委員に任命をされております。江副氏をこれらの委員に任命した理由はいかなる理由なのか、この点を最初に伺います。
  238. 古村澄一

    ○古村政府委員 教育課程審議会の委員については私から御説明いたしますが、教育課程審議会では幼稚園から高等学校までの教育内容を改善するということを諮問いたしまして審議会を開催いたしておりますが、いわゆる人選に当たりましては広い視野に立って大所高所から審議していただくということで、学校関係者あるいは教育学者のみに限らないで、文化、スポーツ界あるいは経済界、マスコミその他の学識経験者などの各界から人を集めて御審議をいただいておるところでございます。  江副さんの問題につきましてもこのような観点から選考いたしたものでありまして、特に進路指導などに識見を有しているということから委員をお願いいたしたわけであります。
  239. 山原健二郎

    ○山原委員 いろいろ伺いたいことはあるんです。例えば、リクルートのシンポジウムに中島文相も出られておりますし、森喜朗文部大臣の時代に、これは文部大臣として出席をして講演をしておりますが、そのときの講演内容は「教育改革の目指すもの」これは日本の文部省にとって重大な方向をここで報告しているわけですね。それから中島文部大臣の場合には「教育改革の最優先課題とその展望」こういう題なんです。  これはさておきますけれども、このリクルートが本当に教育に携わるにふさわしい、しかも教育の審議会という重大なポストにふさわしい会社であったかどうかということは前々から問題になっているわけです。非常に問題の多い企業であることは間違いないわけです。それがずばり入っていく。その直前に森文相に対してリクルートの株が譲渡されまして、そして、森文相はみずからも認めておりますように一億二千万以上の巨額の利益を得ております。臨教審ができたときはその直前でしたから間に合わなかったからこれには入っておりませんが、この株が動いた後に教育課程審議会の委員になり、また大学審議会の委員という重要なポストにこの人物が入ってくるわけですが、リクルート本社の営業方針、企業戦略から見て、教育課程審議会、大学審議会に参加することは極めて重要な意味をリクルート自身が持っておったのです。  第一に、リクルートは、就職情報、進学情報などを提供し、教育情報産業としての地位を築いてきたものでございます。文部省の進める教育改革がどのような方向に向かうかということをいち早く知りたい企業なんですね、この企業は。  第二に、リクルートがコンピューターや通信事業を拡大するために、コンピューターを中心とする教育改革の動向をいち早くつかみたかったというのが真相ではないかという疑念が生じてくるわけでございます。例えば江副氏は、昭和六十二年の年賀状に出ておりますが、「一昨年四月以降」つまり六十年四月「通信と情報処理の分野に進出し、そこで社会のおやくに立つ存在になりたい」と書いております。また六十二年四月には、我が国最初のスーパーコンピューター研究所を、世界的権威であるアメリカ海軍大学院の助教授であるラウル・メンデス博士を所長にスカウトして設立、ここを中継拠点にして日米の主要大学や企業研究所を結ぶコンピューターネットワークを構築し、スーパーコンピューターに関するあらゆる情報を二十四時間やりとりできるようにする、これは日本経済新聞に出ております。  このように、大学、企業、また教育のコンピューター導入にいち早く対応するために教育課程審議会、大学審議会の委員になり、情報の収集、教育改革の方向づけを行ったのではないかという疑念が浮かんでまいります。このような企業目的を持った企業の代表を審議委員に据えるということは好ましいことなのかどうか。また、一企業に対する便宜供与ではないのかということが考えられるのですが、その点は文部省はいかにお考えでしょうか。
  240. 中島源太郎

    ○中島国務大臣 お尋ねの中に私の名前もございましたので、せっかくのお尋ねでございます。  私が出席いたしましたセミナーは教育関係者のお集まりでございまして、当時は江副社長は既に退任をなさいまして、位田社長さんからの正式要請がございました。その内容は、教育者の大変多数のお集まりでございましたが、その席で教育改革のあり方について話せということでございましたので、こういう席は文部省のスタンスを御理解いただくのにいい機会であると思いまして私も参りました。私のことでございますから話はうまくはございませんけれども、誠心誠意のお話をしたつもりでございます。その内容につきましては議事録もございますから御一読をいただければ幸いだと存じます。  また、江副氏自身と教育課程審あるいは大学審の問題でございますが、先ほど局長がお答えいたしましたように、それぞれは第八条機関でございますのでその関連法令がございます。それに準じて、選任に当たりましては適正に選任をされたものと私も思っております。ただ、ことしに入りまして七月八日に江副氏からそれぞれの審議委員辞任届が私あてに出されたわけでございまして、直ちに事務処理をいたしまして七月十一日の月曜日に任を免ずる発令をさせていただきました。  以上でございますが、理由はともあれ、審議会の委員が途中で辞任をされるということ自体は遺憾なことでございますので、今後はさらに慎重に行ってまいりたい、こう考えております。
  241. 山原健二郎

    ○山原委員 時間がなくなりましたので、最後に法務省の方にちょっと伺っておきたいのです。  この経過をもう少し詳しく申し上げればわかるのですけれども、この江副氏は、教育課程審議会においては高等教育課程分科審議会、第三委員会、職業教育分科会に属しております。この三つはいずれもコンピューター導入に関する重要な位置を占める分科会なんですね。しかも、高等教育課程分科審議会は、第一回の冒頭からコンピューター教育をどうするかということが最初の議題なんですね。ここに最も関係のある企業の代表が入っているということが一つ私は不思議に思うのです。  それから森元文部大臣との関係で、私も文教委員会で長いおつき合いですからこういうことを言いたくないのですけれども、しかし、事は教育に関する問題ですから、こういうようなことで教育がいささかでもゆがめられるようなことがあってはならぬという意味で、問題は明らかにすべきだという意味で御質問を申し上げているわけですが、教育課程審議委員任命に当たったのは松永文部大臣でございました。委員任命当時、森喜朗氏は自民党の教育改革調査会長であります。また自民党副幹事長でもありました。また、大学審議委員の任命のときは塩川文部大臣の時代でありましたが、森氏は自民党の教育問題に関する調査会長でございました。いわゆる重要な役職、口添えする立場にあったことは容易に想像できるわけでございます。  さて、リクルートから一億円以上の金が動くわけですけれども、これは企業が遊びでやるはずはないわけでございまして、こういう関係から考えまして法務省に伺いたいのは、殖産住宅の株式上場をめぐる汚職事件で最高裁判決は収賄罪を認めているわけですね。この点から考えますと、森さん御自身はすべて本人が受け取ったということを認めております。同時に森さんは、ファーストファイナンスから融資を受けており、まさにみずからの金は一切使わないでこの金が懐に入ったということになるわけですね。この場合は秘書とかなんとかということは使っていなくてまさに正直に事態を報告されているわけですから、その点から考えましてこの問題は収賄罪が成立するのではないかということが言われているわけでございますが、法務省としてこれに対して現在どのような御見解を持っているか、伺っておきたいのです。
  242. 根來泰周

    根來政府委員 まことに恐縮でございますけれども、具体的な事案につきまして犯罪の成否を申し上げる立場でございませんので御容赦願いたいと思います。ただ、法務大臣が衆参予算委員会で申し上げておりますように、ただいま御指摘のありましたリクルートコスモスの問題につきましては、捜査当局も国会の御議論等を十分拝聴しているはずでございますから、もしそこに犯罪が伏在するとすれば適切な対処をするというふうに考えております。
  243. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に文部大臣、森さん自身も清潔な政治家として私と一緒に当選してきた人なんです。だから、私も長いつき合いですが、教育に関することは今度のリクルートの問題で予算委員会でいろいろ問題になっていますけれども、教育に関する問題としてはこれは本当に重大な中身なんですね。しかもこの問題が最も顕著に中身が明らかでございまして、これらの問題については当然文部省としても事態を明らかにして、二度とかかる誤りがないことを望んでいらっしゃると思います。その意味におきまして私どもは、証人喚問の問題を提起しているわけでございます。当然現職文部大臣としてもこれらの問題を明らかにするために努力すべきだというふうに思いますが、御見解を伺って、私の質問を終わります。
  244. 中島源太郎

    ○中島国務大臣 私どもは、一般論といたしまして、文教行政を預かる身といたしましてさらにこの職務に専念をしてまいりたい、このように考えております。  また、御指摘の証人喚問の点は国会でお決めいただくことでございますので、私からは言及を避けさせていただきたいと存じます。
  245. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  246. 野中英二

    野中委員長 次回は、来る三十日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四分散会