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1988-03-30 第112回国会 参議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月三十日(水曜日)    午後三時五分開会     ─────────────    委員の異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      沓掛 哲男君     永野 茂門君  三月二十九日     辞任         補欠選任      永野 茂門君     沓掛 哲男君  三月三十日     辞任         補欠選任      植木 光教君     久世 公堯君      堀内 俊夫君     松浦 孝治君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         村沢  牧君     理 事                 井上  孝君                 石井 一二君                 福田 宏一君                 小川 仁一君     委 員                 植木 光教君                 遠藤  要君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 志村 哲良君                 高橋 清孝君                 服部 安司君                 松浦 孝治君                 赤桐  操君                 太田 淳夫君                 馬場  富君                 上田耕一郎君                 山田  勇君                 青木  茂君    国務大臣        建 設 大 臣  越智 伊平君    政府委員        国土庁計画・調        整局長      長沢 哲夫君        建設大臣官房長  牧野  徹君        建設大臣官房総        務審議官事務代        理        中嶋 計廣君        建設大臣官房審        議官        兼内閣審議官   福本 英三君        建設省建設経済        局長       望月 薫雄君        建設省都市局長  木内 啓介君        建設省道路局長  三谷  浩君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        環境庁自然保護        局保護管理課長  島田 直幸君        法務省入国管理        局総務課長    石垣 泰司君        労働大臣官房政        策調査部統計調        査第一課長    黒岩  勇君        労働省労働基準        局企画官     奥津 照嗣君        労働省労働基準        局賃金福祉部賃        金課長      諏訪  佳君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回、本案の趣旨説明は聴取しておりますので、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 小川仁一

    小川仁一君 最初に、日米建設交渉についてお伺いしたいと思います。  きょうの報道によりますと、けさ交渉がまとまったということでございますが、参入対象事業を、これまで提案してきた七つからNTT本社ビルを加えるなどし、またアメリカ企業参入についても、実質的に我が国政府が絡むと言われている勧奨、よく中身がわからぬですが、というような用語を使うなど、一見すると、何かアメリカ要求どおりみんな通ってしまったみたいなもので、交渉の必要もなかったんじゃないかなという感じもするんですが、ひとつ内容を御説明願いたいと思います。
  4. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) ただいま御質問のとおり、けさ米国との話し合いが妥結をいたしたと聞いております。  一昨年の五月から大変いろいろ交渉が重ねられ、ことしの一月に竹下総理が訪米した際に、首脳会談において、熟知する問題について話し合いが行われました。その後二回にわたって交渉が重ねられ、第三回目をアメリカで行ったのであります。  今回は小沢長官が特使として訪米されていろいろ交渉をいたしました。プロジェクトでいろいろ言われておりますが、空港ターミナル等を加えたということで、報道では十四とかいろいろ言っておりますけれども、実質ふえてはおりますけれども、もともと羽田空港にいたしましても新広島空港にいたしましても、そのものを全部一つと数えていたような次第であります。ただ、ターミナルビル民間ということでいろいろ話し合いしておりましたが、今回加えて、民間ではあるけれども政府において努力しようということになったようであります。  私といたしましては、長い懸案でありましたのが解決をいたしましたので、今後は誠意を持ってこれに当たっていきたい、かように思いますとともに、小沢長官初め交渉に当たられた皆さんに敬意を表したい、こうした考えであります。
  5. 小川仁一

    小川仁一君 交渉に当たられた方の御苦労はわかります。  外務省から「大型公共事業問題(日米実質決着の概要)」というのをちょうだいいたしました。それを見ながら、さてこの内容建設省考えが十分反映されているかどうかということをまずお聞きしたい。それから、こういう形で外国企業、特に、どこの国にも開かれたというふうな表現を使っておりますから、日本建設産業に与える影響というものはどういう形であらわれてくるだろうか。それから、どこの国にもというふうな表現でありますが、他国の場合どういう国々参入してくるものか、あるいは参入を予想しているのか。こういう三点についてお聞きしたいと思います。
  6. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 第一点のプロジェクトの問題は、建設省といたしましては、今まで建設省の示しておったとおりでありますから、これは満足をしておる。  それから手続の問題でありますが、四十日ということで、これはもっと長く言われておりましたが、たびたびここでお答えしておりますように、やはり交渉事でございますから両方が譲り合わないといけない、こういうことで四十日になったということでありますから、これもまずまずというところであります。  また、我が国公共事業を初め建設業については内外無差別ということでありますから、今から 各国ともいろいろ言ってこられるかもわかりませんが、基本的には内外無差別で、立派な仕事、そして安いこと、こういうことになれば内外無差別、いろいろ手続の問題はございますので、内外無差別の中で手続はきちっとしていただく、こういう考え方であります。
  7. 小川仁一

    小川仁一君 内外無差別という場合、参入が予想される他の国、これはかなりアジアを中心にあり得るんじゃないかと思うんで、国の名前をひとつお知らせ願いたいと思います。
  8. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 内外無差別でありますが、やはり相互主義でございます。でございますから、結局我が国建設業界が受け入れてもらえるところ、こういうふうにただいま考えておるわけであります。でございますから、相手国だけが出てくるということはちょっとやはり考えなければならない。  今アメリカとの話がついたということでございますが、先ほど申し上げましたように内外無差別、こういうことでありますけれども、相互主義ということを念頭に置いて今後進めてまいりたい、かように思う次第であります。したがいまして、今アメリカ以外のどこの国という国名はちょっと調査をしてみないと、制度的に受け入れるといたしましても実際に入っておるかどうか、あるいは制度的にももうシャットアウトしておるかどうか、こういうことを国々によって相手の希望があれば調査してから進めてまいりたい、こういう考え方であります。
  9. 小川仁一

    小川仁一君 これからいろんな課題が出てくると思いますから、やはり慎重な御対処が必要だろうと思いますが、それに加えまして、日本の国の建設業界というのが閉鎖的だ、こういうふうな批判を海外からいただいております。海外だけじゃなくて国内においてもある意味じゃ閉鎖的じゃないか。例えば指名競争入札競争というのは名ばかりで、実績主義というのがまかり通る。あるいは入札というけれども、報道等によると受注者談合によってこれを決めている。非常に国内においても不透明な部分があるわけであります。  したがって、この日米合意海外からの参入、こういうものを軸に建設業界体質を改めるに非常によい機会ではないかと思いますので、建設業界閉鎖性実績主義談合、こういったようなものをもっと明朗にするためのお考えがあるかと思いますので、政府の決意をお聞きしたいと思います。
  10. 牧野徹

    政府委員牧野徹君) 先生おただしのとおり、談合でございますが、これは独禁法あるいは刑法もございますが、そういうもので厳しく禁止されております。その他不合理な面の改善等につきましても、これまでも強く指導を行っておるわけでございます。今後ともそういう点については業界体質改善にもちろん一層努めたいと思います。ただ、先生お話し指名競争入札制度そのものがということであれば、これは我々は、やはり国際的にも認められた入札制度でありますし、我が国公共工事は原則として指名競争入札制度によるべきであるということでやっておりますので、その点は御理解を賜りたいと思います。  また、米国との関係でちょっと一言追加して申し上げますと、米国が非常に、先生お話しのとおり、日本入札制度が不透明だとかいうふうなことを再三言って、新聞等にも大きく取り上げられておりますが、これは今までそういうお互いの国の制度を余り知らなかったという点もございまして、これは粘り強く長い間かかって御説明した結果、私は、日本制度そのものがおかしいということではないという米国側理解は得られた、このように考えております。
  11. 小川仁一

    小川仁一君 ある意味では建設業界一つの転機、我が国建設業界もやはり、俗な言葉で言えばふんどしを引き締めてかからなきゃならぬのだと思います。特にいろいろな政府勧奨などという聞きなれない言葉合意事項に出ております。これは誘導という意味か、あるいはいろいろな意味があるかと思いますけれども、それらを含めてひとつ誤りなきよう御期待を申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  今回の主題であります奥地等産業開発道路整備臨時措置法についてお伺いをいたしてまいりますが、道路整備緊急措置法の第一条の目的のところに、「道路を緊急かつ計画的に整備することにより、」云々と書いてあります。また奥産道の一条には、「地域格差是正」「民生向上国民経済発展」などと書いてありますが、昭和四十年から現在まで奥産道指定した道路の総路線数完成した路線総数、未完成の総路線数は幾らになっておるんでしょうか。
  12. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 奥地等産業開発道路でございますが、昭和四十年三月に発足をいたしまして、現在、四十年三月の第一次から昭和五十八年の五月まで第五次までいっております。累計で四百九十五路線指定を行っております。このうち二百六路線につきましては、整備が進捗いたしましたものですから奥地等産業開発道路としての指定をしておく必要がなくなったものでございますので、指定の解除をいたしております。この結果、現在の奥地等産業開発道路指定は二百八十九路線でございます。  それから昭和六十二年度整備状況でございますが、改良率が三八%、舗装率が七一%ということになっております。それからなお、この次の五カ年計画におきましても、計画規模を拡大いたしまして、早期に産業開発等効果が上がるようその重点的な整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
  13. 小川仁一

    小川仁一君 未完成路線のうち、昭和四十年度着工以来既にもう二十二年経ていますが、いまだ完成していない路線の数、これらの路線は一体今後何年ぐらいかかるか。路線名、その理由等をお聞かせ願えればと思います。
  14. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 数字は今ちょっと調べておりますので、後刻報告させていただきたいと思っております。  いずれにいたしましても、この奥地等産業開発道路につきましては、先ほど先生が御指摘がございましたように、第一条の目的で、「地域格差是正に資する」ということ、それから「民生向上国民経済発展に寄与すること」ということで奥地等指定いたしまして、それで奥地等産業開発道路を先ほど申し上げましたようなことで指定して整備を進めております。  この法律の適用は、今言いましたように既に今次まで第六次の整備計画を進めてきておりますが、整備率は、先ほど申し上げましたように、全体の例えば都道府県の整備率等に比しますとやはりおくれておるということは否めないわけでございます。したがいまして、整備の進んだところは先ほど申し上げましたように指定を解除いたしますものの、残りにつきましてはそういう基準をもう一遍指定いたしまして指定道路として取り組んで整備を進めていく、こういうことになろうかと思います。じゃ全部がいつ完全に終わるかということは、まだちょっとそこの計画までは立っておりません。
  15. 小川仁一

    小川仁一君 四十年度着工の中に、岩手県の雫石—東八幡平という路線がございます。もう既に二十二年たっておりますが、総距離数が十六・一六キロメートル、昭和六十二年までに九・三四キロメートルで、残り距離が六・八二キロメートル、こういうのがあります。随分時間がかかる。目的の緊急かつ計画的には余りそぐわないような感じがいたします。したがいまして、これがおくれている理由、それからこれからの工事の難度等についておわかりでしたらお知らせ願いたいと思います。
  16. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 今お話のございました一般県道の、それから雫石—東八幡平線でございます。この路線は全体で四十五キロございます。その間の網張温泉松川温泉との間十六キロが未供用でございます。昭和四十年より御指摘のように逐次整備を進めてきておりますが、昭和六十二年度末、先ほど申しました未供用区間の十六・二キロのうち九・三キロメートルが昭和六十二年度末で完成する予定でございます。  この路線がなぜ非常におくれたかという御指摘もございました。この路線は、ちょうど十和田八幡平国立公園内を通過しておりまして、公園計画道路として位置づけられております。そういうことでございまして、自然公園法に基づきまして、環境庁長官承認を受けて工事を実施しているところであります。特に環境問題等がございましていろいろ時間がかかりました。  それで具体的な、時間が非常にかかったことについてちょっと申し上げますと、この道路は先ほど申しましたように、ちょうど十六キロ分の区間公園の中を通っておりますが、この区間につきまして昭和四十年には公園計画道路として事業執行承認厚生大臣からいただいております。しかしその後、環境問題等がございまして、昭和四十八年に次年度新規工事承認申請を取りやめることといたしまして、環境のいろんな諸調査をいたしました。昭和六十年に環境庁長官より、自然公園法施行令第十条に基づきまして承認事項変更をいただきまして、現在トンネル中心工事が進められておる、こういうことでございます。  それからもう一つ理由といたしましては、この地域は非常に豪雪地帯でございます。したがいまして、工程上非常に制約がございまして、大体一年のうち半分ぐらいの月、工事ができる期間はそのぐらいでございます。さらに山岳部である、あるいは地質の問題等々がございまして、いろいろ自然環境等に十分配慮しつつ事業を実施してきたところでございますので時間がかかったところでございます。
  17. 小川仁一

    小川仁一君 それにしても、二十年ちょっとかかって九・三キロということですから一年五百メーターぐらいしか進んでいないんですね、非常に難工事だということがわかりますけれども。  それで、この道路を県から要請があったとき御指定なすったと思いますが、この道路をどういう立場でお考えになったでしょうか。目的性といいますか、道路有効性といいますか、そういう観点をひとつお話し願いたいと思います。
  18. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 昭和四十年に奥地等産業開発道路指定を受けております。  それで、法律にも若干記されておりますが、指定該当項目がございまして、それから指定の年月日が四十年三月でございます。もちろんこういう道路でございますから、開発効果ということが一つ目的でございます。そのときの指定のときの開発効果として考えておりましたのは、農林資源高度利用あるいは未利用地域有効活用を促進することによりまして地域性に富んだ産業等の振興、こういうものを目的としております。さらに、集落間の有機的な連絡によりまして生産と生活の環境整備が図られることを目的としております。もう一つ、点在をいたします観光資源が結ばれるということで、観光資源開発の促進、これも一つ目的としております。
  19. 小川仁一

    小川仁一君 林野庁昭和四十九年に、八幡平地域総合森林レクリエーションエリア基本計画調査報告書、こういうものを調査の結果出しております。それによりますと、この奥産道路は、利用効率経済性景観に及ぼす影響はいずれもかなり問題があると指摘しているんです、御存じと思いますが。その結果について御検討をなさいましたか。
  20. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 先ほど概略を申し上げましたが、昭和四十年に指定をいたしまして整備を始めまして、それで昭和四十年に、厚生大臣でございますが、公園計画道路ということで事業執行承認を受けました。昭和四十六年に環境庁自然保護局長によりまして事業執行承認事項変更を受けております。これにつきまして、特に将来延伸で結ばれます大松倉山あるいは三ッ石山の鞍部の部分は第一種特別地域指定されているために、ルート決定、こういうものについては十分連絡をとってやってほしい、こういうことがございました。  そういうこともいたしまして、昭和四十八年に次年度新規工事承認申請を取りやめることとしたわけでございます。このときに国の自然環境保全審議会等でも、この自然公園内の道路建設の問題とかあるいは今後の道路見直しとか、こういう問題がございまして、昭和六十年まで工事区間延伸は行っておりませんでした。もちろん道路は途中までできておりますので、既着工区間のり面対策とか、あるいは松川大橋、こういうものについて主体に事業が行われてきたわけでございます。  先ほどのようなことをいろいろ踏まえまして、昭和四十八年以降、計画見直しあるいはルート検討を含めました環境影響評価を実施いたしましていろいろ検討していったわけでございます。そこで、昭和五十八年に環境庁が、この第一種特別地域付近トンネル構造とすることで延伸計画を了解いただきました。昭和六十年に環境庁から事業変更承認をいただきまして、それで今工事を進めておる。もちろんその際に、いろいろ環境等配慮した事項につきましてはできるだけの配慮をいたしまして工事を進めておる、こういう段階でございます。
  21. 小川仁一

    小川仁一君 林野庁報告書によりますと、この地域資源特性として、「森林高山植物、湿原・池塘および火山地形によって特徴づけられ、これらを素材として優れた眺望景観囲繞景観興味対象が形成されて」云々と書いてありまして、非常に自然にすぐれた場所、こういう評価をしているわけです。しかしそこの開発には、道路を通すということについては林野庁自身が問題を提起している。それから今度は、同じ地図を見ていただけばわかりますが、ここが道路ですけれども、このすぐそばの八幡平国立公園内の葛根田ブナ林問題で環境庁調査をしているわけです。三月二十六日に調査隊がこのブナ林保護その他を目的調査に入っております。  こういったことを考えてまいりますと、環境庁調査、そういうものが終わるまで皆さんの方で次の着工を待って、そしてあの一帯の自然をどういうふうに守っていくかというようなことを検討する、それだけのゆとりがございますか。
  22. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 先ほど御説明いたしましたように、実態的には、環境影響評価を含めましたいろんな調査を行いまして、環境庁といろいろ御相談申し上げたわけでございます。当然ながら、特に公園のこの区域につきましては、第一種特別地域でございますので、こういうことで延伸計画変更トンネル、具体的には一キロぐらいでございますが、そういうことで昭和六十年にいわゆる承認事項変更承認、こういうことで了承を得ましたので、それまではもちろんやっておりませんでした。それで始めたわけでございます。  なお、環境でいろいろ配慮しました要点といたしまして、そのほかにも例えば造成の付近を狭くするとか、あるいは残土をできるだけ少なくするとか、土砂の崩落のための防止さくあるいはコンクリートののり枠工とか、いろんなのりの処置とか、あるいはトンネル、それからブロック積み、それからもちろん動物が通行するので動物行動域を分断するんじゃないか、こういう話もございまして、これは橋梁であるとか暗渠、あるいは防護さく動物等が通れるような構造にするとかいうようなことでいろいろ配慮をいたしまして、そういうことで六十年にいただきましたので、その後工事を進めておる、こういうことでございます。それから一方、昭和五十八年の九月にも県の自然保護協会説明会を実施しております。
  23. 小川仁一

    小川仁一君 いろいろ御配慮をいただいているようでありますが、今の点はまた後でお聞きします。  今いろいろの工事をしておられる。春の融雪期になるというと、あの道路は千メーター前後の道路ですから、必ず崩落現象を起こすんです、崩れるんです、のりが。あるいは路肩が崩れるというような現象が起こっていますが、これは毎年どの程度起きているでしょうか。  それからもう一つ植栽作業を行って緑化工事を行っているようでございますが、これは道路工事をした翌年はそういうことをやって植栽してい るというふうに聞いておりますが、いかがですか。
  24. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) まず、維持修繕関係でございます。既に供用区間につきましては、路面やのり面の保全に関しましては、非常に豪雪地帯でございますので、毎年雪解けの後の供用時を重点といたしまして監視を行っております。その都度必要に応じまして適切な維持修繕を行っております。昭和五十七年に集中豪雨がございまして、松川温泉付近路肩とかのり面の崩壊が起こりました。それにつきましては災害工事として復旧工事を行っております。  それから緑化工事でございますが、緑化につきましてはチシマザサ等在来種を使用することとしております。在来のこの種が活着するまでの間、補完する目的で、周辺植生影響を与えない程度外来種を用いた種子の吹きつけ、こういうものを実施しているところもあります。外来種の使用でございますが、これは周辺植生影響を与えないよう十分に注意して限定的に取り扱っております。  それから、従来二百八十九路線奥産道路として五次までの間指定をしておりますが、それにつきまして昭和四十年の第一次指定以来どの程度路線として進んでおるかということを申し上げますと、残っておりますのが昭和四十年の一次で一二・一%残っております。それから二次が六・六%、三次が一七・〇、四次が三四・九、それから五次は一番最近のでございますが、二九・四%残っております。
  25. 小川仁一

    小川仁一君 植生緑化作業なんですが、外来種を吹きつけているという今お話がありましたが、どういう品種、どういうものを使っているんですか。国立公園地内に、しかも非常に遺伝子問題等が問題になっている原生林地帯ですから、ここに外来種の種子を吹きつけたということについてはちょっと納得できませんので、どういう種類のものをどの程度、面積にして、これを御説明願いたいし、環境庁として、あの原生林地帯に外来種を吹きつけるということがその地域にどういう悪影響を与えるかということについて御説明を願いたい。
  26. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 先ほど申し上げましたように、緑化工事は当然ながら在来種を用いることを基本としております。そういうことでチシマザサという在来種を用いております。ただ、これがすぐつかないものですから、周辺植生影響を与えない程度で、非常にわずかでございますが外来種を使ったということを御説明申し上げました。外来種の名前につきましては後刻報告さしていただきたいと思っております。
  27. 島田直幸

    説明員(島田直幸君) 国立公園の中で緑化する場合でございますが、一般的に申しますと、やはり周辺環境になじむ郷土種等を使うのが一番いいわけでございます。  そこで、一般的にはなるべくそういうふうになるような指導をしておるところでございますが、しかし非常に厳しい環境のところとかになりますと緑化技術の問題が生じてまいります。そういう場所ではどうしても早急に発芽してもらわなければならない場合がございますし、種等も集まらないというような状況の場合もございます。そういう場合には外来種等も若干まぜて緑化をするというようなこともやむを得ない場合もあろうかと思っております。しかし私ども、いずれにいたしましても、こういう地域でございますので、今後とも周辺植生等を攪乱しないように慎重に指導してまいりたいと思っております。
  28. 小川仁一

    小川仁一君 どちらの答弁も納得できませんな。  最も大事な自然保護をやらなきゃならない地帯、しかも今環境庁、原生林調査でブナ問題を含めてあの地域に入って調査団をつくっているという地帯、同じ地帯ですよ。そこへ繁殖力旺盛な、あなた方が言えば、厳しい環境ですぐ植生できる。繁殖力が非常に旺盛なもの、そういう外来種を入れ込んでいったら、あの地帯の植物景観はどうなりますか。厳しい地帯であればあるほど、逆にその自然を守るという配慮をすべきであって、外来種の使用は今後一切しない、こういうふうに指導するように建設省に確言をいただきたいし、環境庁自身も、今の調査の問題を含めて外来種はやるべきじゃないという態度を明らかにしていただきたいと思いますが、いかがですか。改めてお聞きします。
  29. 島田直幸

    説明員(島田直幸君) 緑化の技術の問題、非常に難しい問題でございます。私ども今後、建設省さんあるいは岩手県の方と十分相談いたしまして、御指導を申し上げたいと思います。
  30. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 確かに大変厳しいところでございますので、在来種が即時性に乏しいということで、その間を補完をするということで例があったわけでございますが、周辺植生影響を与えるということ、これまた大変なことでございますので、十分注意して扱ってまいりたいと思っております。
  31. 小川仁一

    小川仁一君 十分注意というのはどういうことですか。
  32. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 極めて限定的な問題になろうかと思っておりますが、先ほどの環境庁の御示唆もございましたので、十分に専門家とも相談をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  33. 小川仁一

    小川仁一君 在来種では植生が非常に困難だ、こういう厳しい地帯なんですよ。そして、御承知のようにブナだって二百五十年もたたなきゃ一人前のブナにならない。そういうブナ林を通す道路なわけですから、繁殖力が旺盛な外来種を使ったら在来種がどんどんやられていく。普通の町でもそうでしょう。例えばタンポポ一つ見たってほとんど日本製のタンポポじゃない、アメリカ種のタンポポ。  特に、この大事な国立公園地帯内、しかも環境が非常に守られなければならないといって環境庁調査している地帯、ここに外来種を使ったということについては、非常に建設省としても指導にまずさがあったと思いますので、さっきは面積も聞きましたけれども、面積はお答えにならなかった。その部分を今後外来種を取って在来種でもって植生をし直すという決意がおありですか。どうですか。
  34. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) まず外来種の問題でございますが、非常に限定をしてなおかつ補完ということで使った例がある、こういうことで申し上げたので、これを大幅に云々ということできているわけではございません。ただ、先生の御指摘環境問題、特に植生であるとか等々につきましての重要性は十分私ども県からも伺っておりますし、また県についても、この道路の自然環境保全に対するいろんな工事の進め方については聴取もし、また指導もしております。  先ほど申し上げましたように、植生調査等も、県におきましてルート周辺環境調査昭和四十七年に、いろいろ植物の生態であるとかあるいは環境、こういうことを調査いたしまして、こういう結果から、ルートの大幅修正はしないが、トンネルとかこういう工事でできないだろうかというようなことでいろんな検討をいたしまして、環境影響評価をさらにその昭和五十六年に重ねて行ってきておるわけでございます。それで、県の自然保護協会にも説明会を実施いたしまして、いろいろルートの概要であるとかあるいは地形、地質、それから動植物、景観環境保全対策について説明をいたしました。  先ほどから何回か申し上げておりますように、第一種の特別地域内につきましてはトンネル構造というようなことでございまして、そういうお話し合いをいたしまして環境庁と御相談をし、それで環境庁から六十年にいただきました。大変先ほど工事がおくれておるというお話がございましたけれども、いわゆる豪雪地帯であるとかあるいは工事の難しさ、こういうものにかてて加えてこういうことがございましたので大変時間がかかりましたんですが、いずれにいたしましても、環境保全の面からも十分一層指導してまいりたいというふうに考えております。
  35. 小川仁一

    小川仁一君 じゃ今の点は、民間団体の資料あるいはその他から、植物学会の人たちを含めて外来種の使用というものに対して非常に問題を提起しておりますから、両省ともこれはぜひ腹に据えてといいますか、使わないように、このことをきつくお願いを申し上げておきます。  今度は地質の問題なんですが、この地域全体、おわかりと思いますが、地図を持ってきてくれと言ったから地図でおわかりと思いますが、岩手山の西のへり、そして南斜面、葛根田川の流域でございます。ここが環境調査をやっている場所、同時に北側に松川本流とか澄川沿い、ここに澄川という川がございます。ここは全域が火山噴出物の山岳地帯でございます。上部の出土部分は安山岩になって確かに固まっておりますが、中は本当にぼろぼろです。地図でもおわかりのとおり、沢筋には物すごい崩落地帯があるんです。火山灰ですから一遍に雨が降ったら掘れてしまう、しかも急傾斜地で地滑りもある、こういう厳しい環境があるわけです。そういうところの工事ですから大変な工事だと思います。ここをあえて道路を通すことを了解した環境庁の意見を伺いたいと思います。
  36. 島田直幸

    説明員(島田直幸君) この地域は、十和田八幡平国立公園の中に入っておりまして、自然環境の非常にすぐれたところであるということを私ども十分認識しているわけでございます。そういうわけで、岩手県は、先ほど来建設省の方からお話がありますように、本道路新規着工を一時中断をいたしまして、自然環境調査をやっていただいた上で、環境への影響に十分配慮した路線変更していただくということをしておるわけでございます。さらにその後、事業の執行を承認するに当たりましても順次環境への配慮は十分行き届いているのかどうか、私どもチェックさせていただいておるわけでございます。
  37. 小川仁一

    小川仁一君 ここは環境庁の管轄区内ですよ、国立公園ですから。だから土質でも植生でもあなたの方はわかっているはずだ。それがわかった上で県の道路建設省に許可を与えたんだから、この地域植生とか崩落とか、そういう自然変化については環境庁は責任を持って、自信を持って許可したんでしょうね。
  38. 島田直幸

    説明員(島田直幸君) 私ども、この道路につきまして路線計画建設省の方が決めます場合に、十分な地質調査を踏まえて、例えば崩壊地の通過を避けるようなことだとか、地質に十分配慮された路線計画であるということを説明を受け、私どももその説明に納得いたしましてお受けしているわけでございます。
  39. 小川仁一

    小川仁一君 環境庁、そういう責任転嫁を建設省にしちゃいけませんよ。あそこはあなた方の管轄区内なんだから、あなた方が国立公園としてこれを維持しなきゃならない。こういう状況はやらしちゃいけないということがあったら、あなた方自身の責任でやるべきであって、いずれ環境委員会で改めてこの調査なりそれらをお聞きすることにします。  続いて建設省にお伺いしますが、これは本当に土質は悪いですよ、調査なさったと思いますが。オーバーに言っているつもりはないんです。私は山歩きが好きだからあの辺全部歩いていますから本当に土質を知っている。あの道路が通ることによって崩落事故とかあるいは湿原の変化とか、そういったようなものに大きな影響を与えないとお考えですか。
  40. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) まず土質の問題でございます。土質は確かに先生指摘のように、岩手の火山群の中の当地域でございますから、地質それから地すべり、こういうものについては大変気をつけて計画を立てなきゃいかぬというふうに考えております。そういうことでございますし、地質上からはここは安山岩系でございまして、特に松川付近では温泉によります変質作用というものを受けておりますから、さらに風化が進んで、今御指摘のあったように、非常に脆弱な地質ということになろうかと思っております。当然のことながら、そこを、先ほど来何回か申し上げましたが、環境のいろんな評価を加えまして、トンネルというような構造物も考えていろいろやっておりますので、施工につきましては、これらの調査結果をもとに崩落等の対策工法というものを十分考えていかなきゃいかぬと思っております。  なお、やや専門的になりますが、対策工というふうに私どもが考えておりますものとしては、例えば崩落箇所の対策につきましては、のり枠とかそれから井げたの擁壁とか蛇かごとか植生工とか、いろんな工法がございますが、最も適したものをその地に使うことになろうと思っております。  それから地すべり箇所の対策でございますが、これについては抑止ぐいとかあるいは上部排土とか地下水の排除、これは排水ボーリングを使ってやるわけですが、こういうものもいろいろ施工上考えていかなければならないというふうに考えております。  温泉地帯にトンネルを施工するということにもなろうかと思っておりますので、ただ先ほど申しましたように、温泉によります変質作用を受けているのもやや松川周辺に限定されておりますので、トンネルには温泉の及ぼす影響は余りないんではないかというふうに判断しております。トンネルの施工に関しましては事前にボーリング調査等を十分行って、もちろん安全対策、かなりトンネルの施工技術も進んでおりますが、安全の対策を講じながら工事を実施していくつもりであります。
  41. 小川仁一

    小川仁一君 これは豪雪地帯工事も半年はできないと言いましたが、通行も半年できないんですよ。御承知のように高速道路は岩手山の東側を走っています。ですから、高速道路の平館や松尾インター、それらを使いますと、例えば東八幡平なんかでも盛岡からスキーバスが出るほど交通的には利用率が違ってきております。産業経済面からいきましても、むしろその道路を使っていろんな作物その他が消費地に運ばれている。加えて、あの一帯のブナは林野庁が伐採を凍結していますから、山のものを運び出すということにもなりにくい。非常に状況が変わってきております。こういうふうに状況が変わってきておりますから、その辺を含めた今後の御検討を願いたい。  それから、特に南側斜面は、さっき言ったように環境庁がブナ原生林の調査に入っておりますから、この調査結果はたしか五月にもう一度調査して結論が出ると思います。ちょうど本年度分の工事が始まるころになるかと思います。ですから、十分な土質調査、自然保護調査植生調査、そういったようなものをきっちりと仕上げた上でこの工事にかかってほしい、こういうのが要望でございますし、環境庁もひとつ今回の葛根田地域のブナの調査結果を建設省と御連絡を願って、自然保護に誤りのないような方式をとっていただきたい。  同時に、これは要望になると思いますが、本気になってやるんだったら思い切った予算をつけて、今言ったような調査を徹底しなきゃこれはできませんよ。今までみたいに一年間に五百メーターぐらいずつ進めるようならあと二十年かかります。昭和四十年から始めて昭和八十年にできるなんていうふうなのんびりした奥産道路でもないでしょうから。こういうものを県とよく相談をしながら、思い切って予算をつけて早期にやるか、あるいは計画を、県を含めて、今言ったようないろんな状況を含めてもう一遍見直すか、いずれにしても皆さんのこれからの態度決定を待ちたいと思いますが、これについて何かお考えがありますか。
  42. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 昭和四十年に指定をされまして、いろいろ先ほど申し上げましたような環境問題等々がございましたが、ようよう昭和六十年に環境庁の御承認もいただきました。今四十五キロのうち六・九キロが未供用でございます。その区間でございますので、今御審議をいただいております奥地産業等のこの道路の予算で申しまして、のり面崩壊あるいは地すべりの防止対策、こういうものについて一層慎重に講じるとともに、自然環境保全に十分配慮して事業を進めてまいりたいというふうに考えております。
  43. 島田直幸

    説明員(島田直幸君) 先生指摘のように、自然保護に対する要請もますます強くなってまいっていることでございますので、私どもといたしましても、事業承認するに当たりまして自然環境への影響に慎重に対処してまいりたいと思います。
  44. 小川仁一

    小川仁一君 もう一つ、雫石町から紫波町に抜ける奥産道路があります。おわかりと思います。これは経済性からいっても有効性からいっても非常に役に立つ道路なんです。大した難工事じゃない、前に言った路線に比べると。これは重点的に力を入れて促進していただきたいんですが、こっちの方はどうなっていますか。
  45. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) この区間は紫波から雫石に至ります三十・五キロでございますが、やはり峠越えの区間十一・八キロが未整備となっています。岩手県でいろいろ調査を行っておりますが、これはもちろん県といろいろ御相談をしながら事業の進展を図ることになろうかと思っておりますが、私ども岩手県からいろいろ調査検討を行っております結果をお聞きしますと、地形も非常に急峻、自然条件がなかなか厳しい、それからやはり予算上の問題もございまして、事業化につきましてはまだ県当局としてはやや慎重に検討をしているというふうに言っております。もちろんこれは県と御相談をしなければいけませんけれども、県から要望が出たときにやはり対応を検討してまいりたいというふうに考えております。
  46. 小川仁一

    小川仁一君 それじゃそっちの方の促進の方がむしろ岩手県の経済性からいったらいいと思います、工事の難度からいっても。千七百メートルもするような山の、しかも温泉に影響のあるような地帯、こういうところを通すよりは簡単な作業ですから、そっちの方を少し力を入れていただきたい。  あといろいろ申し上げましたことについては、後刻お話し合いをして、お願いする分があったらお願いすることにいたします。  続いて次の問題へ移りたいと思います。これは建設産業における外国人の不法就労問題でございます。  まず最初に、外国人の就労が大きな問題になっていますが、法務省の調査資料によると、六十二年のいわゆる資格外活動絡みの不法残留者の摘発が一万人を超えた、こう言っておりますが、その状況について御説明願いたいと思います。
  47. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 昨年一月から十二月までの一年間に摘発されました不法就労外国人は、法務省の発表によりますと、今先生がおっしゃいましたように一万一千人余り、こういう状況でございます。その中で土木作業員として働いていた者が千八百六十三人ということになっておりまして、摘発された者全体の一六・五%を占めております。ちなみに、摘発された男性の四三・四%を占めている、こういう状況でございます。
  48. 小川仁一

    小川仁一君 どういう地域で摘発されたか、その摘発事例、そしてそこで働いていた労働条件等、法務省の方でおわかりなら、建設省でもどちらでも結構ですから御説明願いたいと思います。
  49. 石垣泰司

    説明員(石垣泰司君) お答えいたします。  摘発の事例でございますが、一例申し上げますと、当局において退去強制手続をとりましたフィリピン男性の供述を端緒といたしまして、昭和六十一年七月十四日、名古屋入国管理局が愛知県岩倉市内の建設会社を強制調査いたしました結果、不法残留の上、同社作業員として稼働していたフィリピン人男性十二名を摘発したケースがございます。これらのフィリピン人はいずれも、ブローカーのあっせんによりまして観光目的を装って入国いたしまして、同建設会社の建設作業現場において日給手取り四千円で稼働していたものでございます。そのほか、広島局内の岡山市内、さらに和歌山市内、さらには横浜市でも摘発された事例がございます。
  50. 小川仁一

    小川仁一君 法務省の資料によりますと、男性の潜在不法残留者は電算所を出力された統計では二万七千人ぐらいと見ておられるようであります。そのうち、先ほどの御答弁のように土木作業員が四三%も占めているというと、推測によれば一万人を超える土木作業員が現場で働いていると想定されるんですが、法務省、建設省それぞれこの数字はどうでございましょうか。
  51. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 建設省におきまして、率直に言うて、ただいま先生指摘の点については調査ができておりません。これは調査対象がなかなか特定できないとかあるいは不法で就労している、こういった実情からすると、率直に言いまして調査のしようもわからない、こんな現状でございまして、まことに残念でございますが把握していないところでございます。
  52. 石垣泰司

    説明員(石垣泰司君) ただいまお尋ねの建設土木作業関係の不法就労者の数でございますが、正確な数はなかなか掌握困難でございます。ただ、今先生から御指摘ございましたように、私どもとしましては、不法就労者の大半はいわゆる不法残留という形で摘発されています現状に照らしまして、その大ざっぱな潜在推定数といたしましては、不法残留者を一つの目安とすることができるということで、外国人の出入国記録を処理しております電算機によりまして一応の概数は把握してございます。それは六十二年末で約五万人に近いのではないかと考えております。そのほか、関係機関とも情報交換などを行うなどしてその現状把握に努力いたしてございます。
  53. 小川仁一

    小川仁一君 なかなかその数を把握できないようでございますが、実際、男性の不法残留者の不法就職先を見ますと建設産業が断然率が多いわけでございます。摘発された結果からであります。これは、建設産業における土木作業員といいますか、労働者の需給のアンバランスかこういう結果になっているのではないだろうか、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  54. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 建設産業というのは、先生も御案内のとおり、単品受注の現地屋外での組み立て産業、こういった特性を持っているわけでございますが、それだけに工事の工程に合わせて異業種の必要な労働者を調達しなきゃならない、あるいはまた季節、景気等によって工事量に非常に時期的な変動がある、こういった特性があるわけでございます。そういったことからして、建設業者は常にピーク時の工事量に対応した労働者を抱えておくということはなかなか困難な側面が現実にあるわけでございます。  こういったことからしまして、建設投資の特に増大局面などにおきましては、時期的にあるいは地域的に一部で労働力の逼迫傾向というものが生じていることはやむない事実と思います。こういったことに対しまして、建設業界でも従来から機械化、プレハブ化等の促進をしているわけでございますが、あわせてまた、既存のといいましょうか、既に就労している労働者の方々を、時間外なども含めて活用されるとか、あるいは業者間、地域間の労働力の融通確保、こういった工夫が凝らされているわけでございまして、正直に言って需給のアンバランスというものが、通年的にあるいはあらゆる地域でというものよりも、むしろ一時的、地域的という現象が強い面があるんじゃないか、こんなふうに理解をしているところであります。
  55. 小川仁一

    小川仁一君 建設産業の労働力不足、アンバランスというものの原因の一つに、その作業の危険性あるいは作業が猛烈に体力的な消耗をする、こういったようなことが存在し、しかも賃金は安い、こういう形で不安定な状況が出ているのではないでしょうか。そして、建設産業に従事するいわゆる建設労働者の貸金現状というものは、他産業と比較してどうなっているんでしょうか。これは建設省、労働省にお伺いします。
  56. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 労働省のお調べになります毎月勤労統計調査、これをもって私どもその水準を見るしかちょっとないのでございますけれども、これで建設業のいわゆる生産労働者について六十二年の現金給与総額というものを一カ月当たりで見ますると、平均二十四万二千円という状況でございます。このことは製造業の生産労働者の八九・六%、おおむね九割弱、こういう状況で あると承知しております。
  57. 黒岩勇

    説明員(黒岩勇君) ただいま建設省局長からお答えいただきましたとおりでございます。
  58. 小川仁一

    小川仁一君 建設労働者には最低賃金が決められていないんですね。地域別の方は表になっているが、業種別最賃は決まっていない。これはどういう理由でしょうか、労働省さん。
  59. 諏訪佳

    説明員(諏訪佳君) 先生指摘のように、最低賃金は、各都道府県ごとにすべての産業を対象とします地域別最低賃金と、主として製造業を対象とします産業別最低賃金の二本立てになっているわけでございます。建設業のように産業別最低賃金が設定されていないものは、地域別最低賃金ですべて対象となっています。額は、地域別最低賃金の全国加重平均を見ますと三千六百六十一円でございますけれども、産業別最低賃金はそれより三百八十一円高い日額四千四十二円となっております。
  60. 小川仁一

    小川仁一君 今違法就労の原因になっている建設業界での労働力不足、それから不安定な雇用状態、安い賃金、きつい労働条件、こういったようなものを改善していかなければならないと私は考えております。そうしないことにはさっき言った外国人労働者の土木作業員の問題は根絶していかない、こう思うんで、これらに対するお考えがありましたらお伺いしたいんです。
  61. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 一般的なこととして、ただいま先生おっしゃったような観点から、私ども、建設業に従事する労働者の賃金というものが非常に大事な問題だ、こう認識いたしているわけでございます。基本的には、雇用関係の中で賃金が決められるとはいうものでございますけれども、しかしやはり余り低い水準などなど労働条件が悪いということは、おっしゃったような不法入国者の入り込む余地というものなどが懸念されるわけでございまして、そういったことからしまして、建設省におきましても、安値受注によるしわ寄せが下請代金、ひいては建設労働者の賃金に悪影響を与えないようにということを常に発注者としての都道府県知事に対しても指導しているところでございます。  さらにまた、各発注機関に対しまして、私ども建設省の所管事業の執行に当たりまして、毎年度当初予算執行通達などによってそういった指導もやっているわけでございますが、加えまして、建設業者団体に対しましても、元請、下請関係のいわゆる合理化指導要綱、こういったものをしっかりと守っていただくように指導方を努めているところでございます。  さらに加えまして、今先生がおっしゃったこと大変大事な点でございますが、非常に我々も重視しているところでございまして、建設業自身がもっともっと魅力のある職場につくっていかなきやならない、こういったことから建設業構造改善ということを大変重視しております。現在中央建設業審議会で御審議を賜っているわけでございますが、何とかこの六月には御答申を賜りながら、私どもその面でのさらに厚みを加えた施策を展開してまいりたいと考えている次第でございます。
  62. 小川仁一

    小川仁一君 建設省の白書というものを拝見いたしましたらこういうことが書いてある。「良質な建設労働力の確保のための施策」と書いてありまして、一、二がございまして、二の方には、若年労働者の確保政策について、一時使用ではなく云々と書いてありますが、私は、建設作業員の高齢化ということが一つ大きな問題になって、建設省指摘しているように、若年労働者というものをどう確保するかということが非常に大きな課題だと、そう思うわけです。  したがって、この人たちの地域別最賃なんていうような課題ではなくて、労働者の賃金、これを思い切って引き上げる、あるいは危険作業員の手当、あるいは技能別、各種の仕事がございますから、こういったようなものの処遇、こういうことを思い切って建設業界と話し合っていかなければ、最初に指摘したような二重労働体質といいますか、ああいうものができてしまうんじゃないか、こういう心配をするんですが、こういうことに関しての積極的な御対策をさらに進めていただけるんでしょうか。
  63. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 御指摘のとおり、最近の傾向を見てまいりますと、若年労働力、良質労働力の建設産業への参入というものが非常に少のうございます。今ちょっと手元に数字ございませんが、大卒あるいは高卒、新規学卒で入ってくる者を一つ例として見ますると、たしか毎年四万二千人くらいじゃないかと認識していますが、そういったような状況というものは、いろいろな要素によってこういう少ない数になってきていると認識しなきゃなりませんけれども、大きな要因の一つにやはり賃金の問題もあろうかと思います。あるいはもっと広い意味での職場環境の問題もあろうかと思います。  私ども、そういった意味でも、先ほど申し上げましたように、あるいは先生今御指摘いただきましたように、建設業の要するに職場環境、雇用条件の改善というのは非常に重視しているわけですし、このことがひいては建設業という産業の産業構造の今後のあり方にかかっている、こういうふうに考えている次第でございまして、先ほど申し上げてくどくなりますけれども、現在中建審で御審議いただいているのは専ら構造改善対策ということで、その面も一つの重点として御審議賜っている次第でございます。
  64. 小川仁一

    小川仁一君 新聞報道等によれば、月六万円、一日三千円ぐらいで外国人の単純労働者と称される方々が働いておられるわけです。これは日本人の同じ職業の人たちに比べても二分の一か三分の一になっているわけです。実態はなかなかつかみにくいと思いますが、建設省がやっている公共事業の中でこういう人たちが働いているという事実はありますか。
  65. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 先ほど賃金について法務省から、摘発した具体の事例に即しての御答弁ございましたけれども、私ども、正直言いまして、不法就労者がどのくらいの賃金水準で働いているかということは承知できておりません。ただ、言われるように、少なくとも日本の労働者に比べてかなり低い水準で雇用されているんじゃないか、こういうふうに思う次第でございます。そういった中で、私ども、賃金をどうあるべきかということよりも、むしろやっぱり基本はこういった不法就労者を雇わないようにということがまず前提でありますし、これがすべてでございます。  お話しのように、建設省の直轄事業等でどうかということでございますが、私ども、これも詳細に下請、孫請等の段階でどうなっているかということはまだつかんでおりませんけれども、今までのところ、そういう実態があるということは、各発注機関のレベルから承知いたしておりません。
  66. 小川仁一

    小川仁一君 これは労働省の方にお伺いしますが、不法就労者の保護、確かに不法労働者というので問題になるかもしれませんが、実際に働いているわけです。それが日本の仕事に役立っているわけです。ところが賃金がこのとおり未払いもあると、あるいは事故等を起こした場合の災害問題もある、こういう事実があるわけでございますから、この人たちの保護についてどう考えておられますか。
  67. 奥津照嗣

    説明員(奥津照嗣君) 先生指摘ございましたように、外国人労働者などにつきまして、賃金不払いの問題であるとかあるいは労働災害の問題とか、そういうものがございます。私どもの労働基準法などの労働基準関係法令につきましては、日本国内におきます労働でありますれば、日本人であるか外国人であるかを問わずこれが適用されるものでございます。したがいまして、この面で労働条件などについて労働基準関係法令の適用について異なる取り扱いを受けるというものではございません。したがいまして、私どもは、外国人の就労に関しまして、強制労働であるとか中間搾取であるとかあるいは賃金不払いなど、そういった重大な労働基準関係法令の違反がありました場合に、これは厳正に対処していくということを進めておるわけでございます。  労働省といたしましても、今後とも外国人の不法就労者の就労の実態等について把握、それから労働基準関係法令等の違反についての情報の収集に一層努めまして、この面からでも厳正に対処をしてまいりたいというふうに考えております。
  68. 小川仁一

    小川仁一君 まだ幾つか問題を指摘しなければならない箇所がありますけれども、時間がなくなってきましたから総括的に申し上げますが、まず労働省。そうは言っても、摘発されるとすぐ強制収容所に入れられて、賃金をもらわないまま飛行機で外国へ持っていかれるというようなこともありますから、厳重にやっぱり使用者という者に対する対策をとってもらいたい、そう要望しておきます。  それから建設省は、建設省が出した公共事業その他において不法就労の事実かないというふうにここでお話しになりましたが、あるようでございます。これは結局下請、孫請、またその下の何かというふうに、どこかに入っているんです。したがって、これは元請会社等に、そういう安い労働者、しかも不法労働者を使って工事でもうけを上げようなんというけちな根性を起こすなときっちり御指導をして、少なくとも建設省の仕事の中にはそういう状態かないような御指導をいただきたい。同時に、万一そういうところで不法就労が見つかったら、これは元請の責任と明確にお考えを願いたいと思うが、いかがでございましょうか。  法務省さん、この不法労働者については、ブローカーがあって、ブローカーで動かしているようでございます。こういうブローカーへの処罰、こういったようなものをきっちりやらないと、ただ摘発して送り返しただけでは問題が解決しないと思います。もっとも、最終的に日本の円高も大きく影響しているということを私は否定をいたしませんけれども、そういうこと以外に、やっぱり働いている、働かされている、そういう状況の中で、今言ったようなことについてそれぞれお答えをいただければありがたいと思います。
  69. 石垣泰司

    説明員(石垣泰司君) 不法就労問題につきましては、先生指摘のとおり、ブローカーの存在等につきまして私ども大変憂慮しているところでございます。  不法就労者にかかわる罰則ということにつきまして、私どもも厳正に対処しなければならないと考えておるわけでございますが、現在の体制ですと、その態様いかんにもよりますが、入管法上の資格外活動罪あるいは不法残留罪の共犯としてのほか、関係労働法規による処罰が可能であると思われます。現に、これらの法規を適用して処罰、雇用主でございますが、不法就労を容易ならしめたということで出入国管理及び難民認定法違反の幇助ということで罰金十万円に処せられたケースもございます。
  70. 牧野徹

    政府委員牧野徹君) 先生のおただしは、建設省は代表的な公共工事の主務官庁でございますから、そこの直轄の例えば工事現場では下請群の中でそういう不法就労者を使わないように指導せいというお話でございますが、私どもはそういう事態かないことを希望しておりますが、仮にあればこれはやはり、ただいきなりそこに私どもがというわけにまいりません。元請との契約関係ですから、そういうところを通じてでもそのような事態が解消されるように強力に協力を求めたいと思います。  その際に、どこの下請、孫請、その下であろうとも、そこでそういう雇用関係が発生しておれば、一番もとの元請がけしからぬのだという先生のお気持ちが大変私もある意味でわかるのでございますが、ただ、であるがゆえに直ちに、一番強いことを言いますと、元請の建設業者にとっては、例えば事故を起こした場合の指名停止の処分がございますね、あるいは贈収賄をやった場合、あるいは非常な不誠実行為をやった場合の指名停止の基準がございます。その点になりますと、いろいろ先ほど労働省の方からもお話ございましたように、仮に雇っていても、雇用契約は有効であるとか、あるいは雇った人を罰する法制には必ずしも現在はなっておらないわけでございます。  それで、労働省のこの勉強会でございましたか検討会で、外国人労働者問題研究会報告書というのを私どもも拝見いたしましたが、ここで先ごろ御報告があったようで、今後、「「雇用許可制度」を中核とする新たな労働力需給調整の仕組みを設けていく」、その際に、「許可なく外国人を雇用した事業主に罰則を適用することが必要である。」というようなことがございますが、このような事態、考え方の進展とあわせて検討してまいりたいと思っております。
  71. 小川仁一

    小川仁一君 それじゃ終わります。
  72. 馬場富

    ○馬場富君 先ほど小川委員もちょっと質問されましたが、議案に入る前に、日本公共事業へのアメリカ企業参入をめぐる交渉が一応決着を見たようでありますが、これに関しまして二、三点お伺いしたいと思います。  今回アメリカ側が空港ターミナルビルなどにこだわった理由は、建設大臣としてはどのように理解しておられますか。空港ターミナルビルですね。
  73. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 空港ターミナルを非常に希望いたしたようであります。これは、最近その面の技術といいますか実績といいますか、そういうことはアメリカが非常に強いのであろう、こういうふうに存じます。そうして、その部門で参入したいという希望が多いのではなかろうかというふうに想像をいたしております。
  74. 馬場富

    ○馬場富君 空港ターミナルビルというのは空港の中でも民間事業なんです。民間事業への米国企業の参入について政府がやはり実質的な保証を与えたことにこれはなるのではないか、こういうふうに考えますが、どうですか。
  75. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 今般の日米交渉で空港ターミナルビルというのが大変大きな関心事項であったことは先生お話しのとおりでございますが、実は今回日米で合意されました内容というのは、お話しのように、空港ターミナルを設置運営するのは民間会社であり、あるいは第三セクターであるといったことからしまして、政府がずばりこうするああするというふうに決められない性質のものでございます。そういった意味で、今回もそこまで踏み込んだものではなくて、当該空港ビルを管理する第三セクターなり民間内外無差別で調達するということをいわゆる勧奨する、エンカレッジする、こういうふうな格好で取りまとめられたと承知しておるわけです。
  76. 馬場富

    ○馬場富君 これは公共事業以外の民間事業ですから、そういうことを政府が公のことで認めたということは、やはりこれに対して実質的な保証を与えたということに私はとられてもしようがないと思うんですが、これはどうですか。
  77. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 先ほど御答弁申し上げましたような次第でございまして、最終的な意思決定はあくまでも当該民間なり第三セクターである、ここのところはいささかも崩していないところでございます。  なお、おっしゃったように、今回の交渉は実は公共事業をめぐる交渉ということで経過しているわけでございますが、私ども交渉に携わった者の一人として感じますのは、公共事業という概念でございますけれども、私ども日本側が理解している公共事業アメリカ側が概念し期待していた分野が必ずしも一致していなかった、こういったことで、言うならば、公共事業はその例でございますし、そのほかもそうでございますが、いろいろと概念をめぐって両方必ずしもぴたっと合っていなかった部分というのは幾つかございます。その中の一つとしてそういうものがあったというふうに理解しております。
  78. 馬場富

    ○馬場富君 だから場合によっては、空港ターミナルビルは第三セクター等でありますから、民間事業でありますから、その事業者が断ることもできる、こう理解してよろしゅうございますか。
  79. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) あくまでもそういった性質のものでございますので、いわゆる事業者として、やはり質のいいものあるいは価格も適正なものというのは、これは当然の選択すべき最大のポイントであるわけでございまして、そういったことまでも一切無視して何か何でもというような 性質のものではないというふうに御理解いただきたいと思います。
  80. 馬場富

    ○馬場富君 じゃ、アメリカの企業の参入について、いわゆるアメリカ承認し合った問題について政府は今後やはり行政指導で行う方針なのか、関係者に。あるいは行政指導という限界を超えたことにならないような方法で行うのか。どうでしょうか。
  81. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) ターミナルビルにつきましては、建設省でございませんので、御承知のように運輸省関係でありますが、私がこういうことであろうと思いますのは、ただいま局長がお答えいたしましたように、まず見積もりなら見積もり、あるいは入札なら入札にひとつ参加をさせてやらないかという程度のことで、その後の判断は、やはり発注者がいい品物あるいはいい施設、これが安ければそれでいいし、悪いもの、あるいは日本の規格に合わないもの、あるいは非常に高いもの、こういうものまでやるというところまではいかない。要は、あっせんするといいますか、紹介するといいますか、そういう範囲であろう、こういうふうに解釈をいたしております。
  82. 馬場富

    ○馬場富君 いや、私は今の行政指導のことはターミナルビルにこだわったわけじゃないんです。二国間の高官が行って取り交わした約束ですから、建設省でも同じ関係のことがあると思いますが、そういう行政上の関係に関したことについては、行政指導のような形でこれを徹底していくのか、それともそこまでいかないような方法でそれを徹底していくのか、どちらかということです。
  83. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 御指摘意味での答えを簡単に言わせていただきますと、行政指導の域までもいかないもの、こういうふうに理解いたしております。
  84. 馬場富

    ○馬場富君 この問題はこれですべてが決着したものと大臣は理解していますか。また、米国企業が実績を積まなければ、実際やることができなければ再びこういう問題になるのではないか、こういう心配がありますが、どうでしょうか。
  85. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 二年後に見直しといいますか、でございますから、今から私どもも親切に協力を申し上げていろいろやっていく。そして、うまくいくかいかないか、また二年後に見直す、こういうことであります。でございますから、今からやってみないと結論はわかりませんけれども、せっかくこういう取り決めをいたしたわけでございますから、誠意を持って親切にひとつ協力をしていこう、こういう考え方であります。
  86. 馬場富

    ○馬場富君 だから、建設大臣としては、自分の行政関係に関してのことは、二国間で決定した問題ですから前向きで取り組むというお考えでございますか。
  87. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) そのとおりであります。前向きで、せっかく取り決めしたことでありますから、これが約束をしたけれども実行が伴わないということにはならないように協力をしてやっていく、こういう考え方であります。
  88. 馬場富

    ○馬場富君 じゃもう一点。ほかの諸国との間に新たな摩擦が起こるようなことは考えられないのかどうか、こういう点だけ一点お願いします。
  89. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) この点につきましては、我が国建設業そのもの内外無差別、こういう原則であります。でございますから、今後その方針でいきたい、かように思います。  しかし、やはり相手国我が国の企業を受け入れてもらう、制度的にも実質的にも受け入れてもらうということでないと、相互関係でございますから、相手国は一切受け入れないよ、しかし日本にだけは入らせるというのはちょっとやはり都合が悪い、こういうふうに思っております。内外無差別でございますから、他の国から言ってきても、それはいろいろ話し合い等を十分してやはり相互主義でいきたい、こういうふうに思っております。
  90. 馬場富

    ○馬場富君 それじゃ議案に移りますが、今回の十次五計においては、初めての試みである地域ブロックごとの五カ年計画が作成されましたが、このような計画を作成されたねらいというのは一体那辺にあるのか、その点について御説明願いたいと思います。
  91. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 今般、初めての試みでございますが、地方版の道路整備五カ年計画をつくらせていただきました。この地方版の五カ年計画は、各地域整備課題に即しました道路整備の主要な目標というものを明示いたしまして、計画的なバランスのとれた道路整備を進めるということと、それから各種の地域施策の展開の参考に資することを目的につくったものでございます。各都道府県それからおのおのの地方建設局の協力を得てつくったわけでございますが、北海道、東北、関東甲信越それから中部、近畿、中国、四国、九州、沖縄という十地方ブロックのほかに、東京圏、名古屋圏それから京阪神圏の三大都市圏を加えまして全部で十三地方別でつくったものでございます。
  92. 馬場富

    ○馬場富君 次に、東京環状二号線の整備問題につきまして、これは、今東京都が住宅地として非常に力を入れておる都心と東京臨海部を結ぶアクセス道路として重要な道路でありますが、このうち新橋—虎ノ門間の一・三五キロについては、都心の地価高騰のために用地買収がおくれてなかなか進まない状況にあると聞いておりますが、この点について東京都の方でも六十二年度に試算をされたと聞いておりますが、建設省はどのように理解しておりますか。
  93. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 今先生指摘の環状二号線の新橋—虎ノ門間一・三五キロというのは、都市計画決定はしてあるのでございますけれども、整備が大変おくれているわけでございまして、先生指摘のほかの関連事業との関係からも早期にここを何とかしなければならないというふうに考えているところでございます。ただ、御指摘のように、これを通常の用地買収方法でやりますと、現在のところ、東京都の試算によりますとこの一・三五キロで六千六百億円の事業費がかかる。そのうち用地買収費がほとんどでございまして、六千五百億円もかかるということでございます。  こういった事情もございますので、私ども、昨年八月に都市計画中央審議会において幹線道路の新たな整備手法の一つとして答申を受けましたスーパーブロック方式というふうなもの、これの適用ができるかどうかということで、できればそういうものの採用をしていきたいということで現在東京都と一緒に検討しているところでございます。震災復興で細街路が多い地域でございますので、これが道路率で三〇ないし三五%ございます。そういう細街路をスーパーブロックによりまして大きな街路にまとめていけば、道路率は足りておりますので何とか用地買収を全面的にしなくても済むのではないかということで考えているわけでございますけれども、何せ大変な事業でございます。先生御承知のように直接買収でも建物の移転が三百もかかるような事業でございますから、全部が全部この方式でできるかどうかという問題がございます。しかし、できるだけそういう方式でも活用して新しい方式で何とか対応してまいりたいと現在研究中のところでございます。
  94. 馬場富

    ○馬場富君 それはもうそのとおりですが、現状、実際はそこを買うとなると土地代金だけでも一兆円ぐらいかかる。マスコミ等の報道では九九%が用地費である。これはもう全然話にならぬわけで、一%が工事費やいわゆる補償費だ、こうなったのでは、九九%が土地代だというのではこれは道路はできないというようなものじゃないか。こういう点で、スーパーブロック方式を用いて検討中と、非常に結構ですが、これに伴って空中権の問題が一つ出ておりますが、そういうものも結局入居保証の方法として考えるという案もあるようですが、この点どうですか、空中権。
  95. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) いろんな地下の構造物の権利の問題等がございます。それで二つ考え方での検討すべき課題があると思いますが、一つはそういう制度の問題、それからもう一つは技術上の問題がございます。  したがいまして、建設省は、いろんな空間がござ ろうと思いますが、特に道路について申し上げますと、道路の地下空間の利用のあり方、こういうものを検討するために道路地下空間利用研究委員会というものを先般六十二年度に設置をいたしまして、道路の地下空間の交通区間としての利用の方法、それから都市施設の収容空間としての利用の方法、こういうことを検討しております。その一環といたしまして大都市の長大トンネルとなります地下道路、こういうものにつきましても技術的な観点、それから安全性の観点、それから法制度、今御指摘のありました、こういうものにつきましてさまざまな観点からの検討を今進めつつあるところでございます。  それからもう一つ技術開発の問題でございますが、地下利用の技術開発目的といたしまして、建設省でも、総合技術開発プロジェクトというのがございまして、ここで地下空間利用技術開発委員会というものを設けております。こちらの方は技術開発の問題でございますので、地盤の調査技術であるとかあるいは防災技術あるいは環境整備技術等につきまして検討を行っておりますので、これらについても十分参考にしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  96. 馬場富

    ○馬場富君 先般予算委員会でもこの地下権の問題につきまして、いわゆる私権の制限が可能だ、こういう点について運輸大臣が答弁してみえますが、建設大臣としても、これだけ都心の地価が高騰して、用地費が九九%ですよ。だからここらあたりで地下の道路ということに対して真剣に事業化されるようなことを検討すべきじゃないかと思いますが、大臣どうですか。
  97. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 仰せのとおりであります。今大都市圏の道路問題、地下の問題あるいは補償の問題で大変であります。でございますから、地下を利用する、このことについて今後大いに研究をし実施に移していく必要がある、こういうふうに考えております。
  98. 馬場富

    ○馬場富君 続いて、道路関係で中部圏の道路整備についてちょっとお尋ねをいたしますが、東京圏と近畿圏の中間に位した中部圏というのは、産業やあるいは経済的にも非常に重要な拠点になっておりますし、それからまた、今東京集中が過度になってきておるという関係からしましても、発展の余地が非常に残されておるのが中部圏ではないか。そういう点からも未来性もありますので、当局の協力と地元の協力によりまして陸上交通でも一大拠点となるような計画が順次進められておるわけであります。  その中で、第一点は、東名と名神が非常に過密になって、もう道路の管理も麻痺するというような状況です。六十一年度だけでも一日の交通量が東名が六万一千台、名神が五万六千台というようなデータも出ておりますが、昨年国幹道路法の改正によりまして、第二東名と第二名神の自動車道が実は予定路線に入りました。この両線は利用量も非常に多く期待ができますし、採算性も非常にありますので、やっぱり優先的に整備される必要があるというふうに思います。そこで基本計画の決定等、今後建設計画をどのように考えてみえるか、ちょっとお尋ねいたします。
  99. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 今お説の第二東名・名神の問題でありますが、これはお話しのように大変混雑をいたしております。通行量も非常に多い。でございますから、今調査を進めておりますが、急ぐのは全部急ぐわけですけれども、一度に全部はできませんから、特に重要なところ、急を要するところから逐次事業化していくように進めてまいりたい、かように思う次第であります。
  100. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 若干細かいところを補足説明させていただきますと、東名、名神は昭和四十四年にできましたわけでございますが、大幹線でございます。先ほど御指摘がございましたように、平均交通量も六万台で混雑区間が全長の八五%、それに比してまた貨物のシェアとかあるいは旅客のシェアが非常に大きいわけでございまして、この道路が非常に国民生活に重要な役割をしてきておりますが、やはりもう一つ計画が必要となってきたわけでございます。  そこで、昨年の高規格幹線道路計画の一環といたしまして第二東名・名神につきましては国土開発幹線自動車道として位置づけられました。調査を今これから進めるところでございますが、十次の五カ年計画昭和六十三年度から発足させたいと考えておりますこの計画におきまして、緊急に整備を要する区間から、国幹審の議を経まして所定の手続を経て事業に着手してまいりたいというふうに考えております。
  101. 馬場富

    ○馬場富君 次いで、再三ここで質問申し上げましたいわゆる伊勢湾岸道路につきましては、中部圏の活性化と伊勢湾地域の幹線道路としても非常に重要な路線でございます。地元からも早期建設の期待が強いわけですが、十次五計の中ではこの伊勢湾岸道路整備計画はどのようになっておるかということと、あわせまして、第二東名、第二名神を伊勢湾岸道路に活用することを中部圏の地元では強く要望しております。当局でも検討されておると聞いておりますが、これについては湾岸道路の推進と直接の関係があります。やはり立地、予算面で最も効率的な活用であると私は考えます。  そこで、第二東名の中でもこの部分のみは早く位置決定が必要となってきたと私は考えておりますが、中部圏地元の要望等も酌んでこういう考え方を入れる予定を今進めてみえるかどうか、お尋ねいたします。
  102. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 伊勢湾岸道路でございますが、豊田付近の東名高速道路とそれから四日市の東名阪自動車道、この間を結ぶ延長五十キロの幹線道路でございます。この区間は真ん中の名古屋港の横断区間につきましては名古屋環状二号線と重複しておりますが、このうち名港西大橋、これは取りつけ部を含めまして二・六キロございますが、昭和六十年三月に供用しております。それからこれに続きます名港中央大橋、それから東大橋を含みます海上部の区間、これは五キロございますが、これは昭和六十二年度事業化したところでございまして、昭和七十一年度完成目途として整備の推進に努めております。  西の方でございますが、西部区間、これは十九キロございますが、愛知県の飛島村から弥富町の間五・四キロにつきましてはこの二月二十二日に都市計画決定をいたしました。残り区間は十四キロぐらいあるわけでございますが、その区間とさらに東の方の東部区間、これは二十二キロございますが、この区間につきまして早期に都市計画決定が行われるよういろいろ調査等をして努力しているところでございます。  それで、第二東名の話が先ほど出ましたが、第二東名・名神は、御指摘のとおり国幹道の予定路線として追加されたわけでございますが、伊勢湾岸道路の広域幹線道路としての性格を踏まえまして、これを第二東名・名神の一部として活用することについても、愛知、三重両県とも調整を図りながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  103. 馬場富

    ○馬場富君 そこでその位置づけですが、地元の中部圏下は非常に強いそこの位置づけを要望しておりますが、そういう方向性で検討されておりますか。
  104. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 第二東名あるいは名神の調査につきましては先般から行っておりますし、また第十次五カ年計画の中でも、初年度たる昭和六十三年度から調査費を計上していろいろ調整をしております。伊勢湾岸は、先ほど説明いたしましたように、一部橋を供用し、残りの橋につきましては建設を進めておりますし、さらに都市計画決定のための調査をしております。  それで、第二東名・名神の全体の路線ルートとかあるいはその性格づけ等は、これから調査が行われつつありますものですから、先ほど申し上げましたように愛知、三重、これ両県ともまだ調整しなければいけませんので、第二東名・名神の一部として活用することについて両県とも調整を図りながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  105. 馬場富

    ○馬場富君 次に、中部圏の重要道路としては東海北陸自動車道がございますが、これは日本海と 太平洋を結ぶ重要道路でございます。現在は名神高速道路の一宮までが決定しております。  そこで、今度の十次五計の中では一宮西港道路という名前は載っておりますが、まだ構想のみのようでございますが、これは名神をさらに南下して東名阪と伊勢湾岸道路を結ぶと名古屋周辺の環状高速道路網を形成する重要なポイントになるということで、地元からも強い要望が出ております。このことにつきましては、南進線ですね、名神道路から伊勢湾に延びる南進線、この事業計画を早く決定してほしいという要望がございます。この点についてのお考えを伺いたいと思います。
  106. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 第十次五カ年計画をこれから発足させようというふうに考えておりますが、その計画におきましては、特に大都市圏、名古屋も大都市圏でございますが、高速自動車国道から都心中央部へ連続した高速サービス、こういうものを確保しようということで、全国的な高規格幹線道路網と一体となって機能をします大都市圏内自動車専用道路網、こういうものについても整備を推進することとしたいというふうに考えております。  御指摘の一宮西港道路でございますが、これは、東海北陸自動車道の起点でございます名神高速道路の一宮ジャンクションから南進いたしまして伊勢湾岸道路連絡をいたします延長約三十キロメートルの幹線道路計画でありまして、本路線についても、先ほど申しました名古屋圏の自動車専用道路網を構成する路線として十次の五カ年計画期間中に調査に着手をいたしまして、地方自治体と調整を図りつつ計画の具体化について検討を進めていきたいというふうに考えております。
  107. 馬場富

    ○馬場富君 最後に、名古屋を中心としまして今大きな基幹道路のことを申し上げましたが、それを含めて、それに対する補足道路も随分今計画が推進されてきております。  それは、先ほど申し上げましたように、環境的にもそういう点で東京の集中から中部圏へ活性化を求めての声が非常にあるわけですから、四全総の多極分散型の体制からいきましても望ましい計画だ。だからそういう意味で、先ほど申しました道路はもちろんですが、名古屋を取り巻く交通障害になっておりますので、それを解決するための名古屋環状二号線、あわせましてもう一つ外の東海環状自動車道路、この二つが完成を見ていくと中部圏の活性化に大きい希望が出てくるわけですが、このことについて当局も非常に検討されておりますが、地元としても強い要望がございます。  この点につきましては、歴代建設大臣が名古屋に来ていただきまして、この実態を見ていただきながら、調査検討もまたしていただいておりますが、御存じのように、高速道路が非常にあっても皆名古屋を通過するという道路なんです。交通事故についてもいつも全国一か二という嘆かわしい問題が起こっております。そういう点のためにも、ぜひこの名古屋環状線や東海環状自動車道路を通して市内を通過させるのを避けるという交通システムは絶対必要だと考えておりますが、そういう点で、大臣も国会明けを利用しまして、この実態をぜひ調査していただきたいと思いますが、いかがですか。
  108. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 先生の御意見ごもっともであります。四全総にうたわれております多極分散、このことについてやはり道路網の整備、さらには非常に混雑をいたしております都市部分、こういうことも含めまして前進をさしていかないといけない、かように思います。  特に、今もお話がございました湾岸道路と東名、名神とのかかわり等々をひとつ、図面では見ておるし、説明も聞いておりますけれども、国会が終わりましたら一度ぜひ見せてもらいたい。現地に行きまして現地の方々の御意見も聞きたいと思いますので、ぜひ名古屋に視察に行きたい、かように思っております。
  109. 馬場富

    ○馬場富君 それじゃ局長からあわせて、環二と東海環状自動車道路の推進状況をちょっと簡単に説明していただきたいと思います。
  110. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) それじゃまず環状二号線でございますが、環状二号線は名古屋市に集中いたします放射幹線道路を相互に連絡いたします延長六十六キロございます環状道路でございます。  専用部につきましては、東名高速の名古屋インターから近畿自動車道の名古屋西インター間二十八キロを高速自動車国道として整備を進めておりまして、そのうち清洲東インターから名古屋西インター間、これは九キロございますが、先般三月に供用いたしました。それから、引き続き名古屋インターから清洲東インター十九キロ区間、この区間につきましては第十次道路整備五カ年計画期間内に逐次供用を図るべく鋭意整備を進めているところでございます。  それから一般部でございますが、一般部は現在、伊勢湾岸道路から国道一号、それから二十二号から十九号間、約二十五キロを供用しております。十次の五カ年期間中に一号線、これは名古屋市の中川区ですが、そこから名古屋西インター三・六キロ、それから上社から百五十三号の間三・九キロなどの供用を図るべく鋭意事業を進めているところでございます。  それから東海環状でございますが、東海環状はもう少しその外側ということで、名古屋市を中心に半径三十ないし四十キロに位置しまず、延長が百六十キロあります環状道路でございます。昭和五十九年度から大規模事業計画調査ということで本格的な調査を進めてきておりますし、昭和六十二年の六月の高規格幹線道路計画の中で一万四千キロの一部ということで位置づけられたわけでございます。昭和六十一年度から沿線の土地利用、交通需要、道路網としての効率性を考慮して重点区間というものを設定いたしました。調査の一層の推進をその重点区間中心に図ってまいりました。十次の五カ年計画期間中には、この重点区間につきまして調査を進めまして、都市計画決定を行った上で事業化について検討してまいりたいというふうに考えております。それからその他の区間につきましても、高規格幹線道路網としての調査を進めてまいりたいというふうに考えております。
  111. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 道路整備緊急措置法等一部改正案について、幾つかの基本問題を取り上げて質問したいと思います。  第十次道路整備五カ年計画は、総額五十三兆円、前期計画と比べると一・三九倍という非常な急増計画になっています。建設省所管の道路関係以外の公共事業五カ年計画、住宅を除いて治水、海岸、下水道、都市公園、交通安全、急傾斜地、この六つを全部合わせても五カ年計画の総額が三十兆九千五百億円で、道路だけでこれら六つ全体の一・七倍という数字になります。    〔委員長退席、理事小川仁一君着席〕 しかも、この一つ一つを見てみますと、その伸び率ですが、六十一年度に始まった第六次の下水道の五計では一〇三・四%。調整費、この調整費問題も何度もここで取り上げたんですが、非常に問題あると思うんだが、調整費を除いた実質事業費では一一%マイナス。第四次の都市公園等の五計は、総評業費で一〇八%の伸び、実質では五・六%のマイナス。第四次の海岸事業の五計は、建設省分で実質は八%マイナス。六十二年度に始まった第七次治水専業五カ年計画でも、これはわずかなから実質マイナスなんですね。  道路整備が必要なことは言うまでもありませんけれども、これ全体を見ますと、社会資本整備のバランスという点では非常に欠けるものになっていると思いますが、いかがでしょうか。
  112. 中嶋計廣

    政府委員(中嶋計廣君) 建設省といたしましては、二十一世紀を目前にいたしまして長期的な観点から国土建設のあり方を検討する必要があるということで、六十一年の八月でございますけれども、国土建設の長期構想というものを策定いたしてございます。これは西暦二〇〇〇年、昭和七十五年を目標にいたしまして、その辺における国土建設の目標というものを検討したわけでございますが、その中で所管に係ります各種の施設につきましての整備水準というようなものも示す、こういった作業をしたわけでございます。その中におきまして所管の各事業についての投資バランスと いうようなことも十分配慮をしながら検討を進めていったわけでございます。  今回の第十次道路整備五カ年計画でございますが、これを定めるに当たりましても、この国土建設の長期構想というものを踏まえまして策定いたしておりますので、確かに先生がおっしゃいますとおり、五十三兆という金額は非常に大きゅうございますけれども、他の長期計画、中期計画と比較いたしまして、道路だけがバランスを欠いているとか、あるいは特に突出をしているといったようなことはないものと考えているところでございます。
  113. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 田中角榮が列島改造論なるものを出したときにも非常に空想的な計画だったんだけれども、    〔理事小川仁一君退席、委員長着席〕 鉄道、道路をばあっとやったわけですね。だから、とんでもないバランスの欠いた空想的なものをやって大破綻させるということがあると思うんです。それは今島根県で中海の干拓計画でも大問題になっています。あなた方今国土建設の長期目標を二十一世紀に向けてなんて言われたけれども、やっぱり基本観点が怪しいととんでもないことを、一見緻密な計算をやりながら立てることがあるんですよね。そういう教訓を政府は、また建設省は酌み取るべきだ。  基本観点で幾つか大事な問題がありますが、僕は一つはやっぱり国民世論が何を望んでいるかということが大事だと思うんですね。昭和六十年の内閣官房広報室が発表した社会資本の整備に関する世論調査というのがあります。これを見ると、国全体としての社会資本に対する要望では、第一位は福祉厚生・医療関係施設、これが二七・一%。第二位が治山治水対策、二二・八%。第三位が防災施設、一九・九%。道路は第四位で一九・二%ですね。五位が下水道、六位が公園緑地等々になるんです。国民は何もデータを一々計算するわけじゃないんだけれども、自分の生活から国の社会資本に対して国民が何を望んでいるか、これは福祉です。それから安全ですよ。治山治水に防災なんです、これは命なくなるんだから。やっぱりこういう点を国民は望んで、それで第四位に道路というのがきている。ところが、要望の第二位を占めている治山治水の五カ年計画は合わせて十四兆五千億、道路五カ年計画の四分の一です、二七・三%なんです。  ですから、私は道路五カ年計画をうんと縮めろ縮めろと言うんじゃない。国民の安全にかかわるこういうところにもっと社会資本投資をふやせというふうに思うんだが、しかし、縮めろとは言わないけれども、こういう配分は、治山治水は道路の四分の一というような点から見ると、内閣官房広報室が発表した世論調査に示されている国民の要望から見ても問題があるとあなたはお感じになりませんか。
  114. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 今先生からお話ございましたけれども、まあ世論調査はそのとおりであろうと思いますけれども、私どもがどこに行っても、どの方に会っても一番要望が強いのは道路であります。道路をとにかく早くやってくれというところばかりであります。でございますから、決して道路の予算が多いとは思っておりません。また治水の問題も着々進めております。でございますから、ただいまのお話では、全くバランスのとれた予算だというふうに思っております。道路を削れとは言わないと言っておりましたけれども、ほかも全部鋭意努力をいたします。特に道路はもう本当に要望が強い。でございますから、五十三兆適当だな、こういうふうに感じております。
  115. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私どもも地方に視察に建設委員会で参りますと、道路要望が非常に強いことはよく知っています。その強い道路要望というのは、自分の住んでいるところの生活の上であそこが渋滞しているとかあそこは不便だ、歩道がないとか、そういう要望が強いんですよね。先ほど引用しました社会資本の整備に関する世論調査、内閣官房広報室でも、居住地周辺の社会資本、この世論調査ではトップは道路なんです。特に、整備してほしいものと聞いたところ、道路二七・九%で最も多いんです。以下、下水道二一・四%、それから公園緑地等と続くんですね。居住地周辺、生活道路と我々言いますけれども、また地域道路、こういうものの要望が非常に強いんです。その点では大臣の感じていることも一致点があるんだけれども、そういった道路要望が多い。道路要望が多いのは居住地周辺道路要望。ところがそういうことをやっぱりゆがめるんですな。昨年六月の道路審議会の建議、こう引用してやっぱり道路が多い、居住地周辺。  その点で我々は問題に感じている中心問題は、やはり四全総にかかわって今度の十次五計は九次五計と比べても悪くなる、我々の考えで言うと。生活道路、そういう地域道路を低めて、我々、四全総の中心というのは東京一極集中ではないかということを批判してまいりました。皆さん方は多極分散型と言うんだけれども、実際にはそうでなくて、例えば四全総の中にも、「世界都市機能が常時円滑に機能するよう、東京圏の地域構造の改編を進める」というような言葉があります。実際には多極分散型と言いながら、客観的には東京一点集中、二十一世紀の世界都市東京などというようなスローガンのもとに進めようという点が出ているんですよ。そのために生活道路へのしわ寄せ、生活道路整備のおくれが生まれるのではないかという点を今度の五カ年計画についても我々非常に憂慮している。  現に、第九次五計の基本方針と第十次五計の基本方針は明確に違っている。例えば第九次の五計は、基本方針の一として、「地震、豪雨、豪雪などの災害に強い道路整備及び歩行者、自転車利用者の安全で快適な通行空間の確保」というのがトップに挙がっている。これは私が先ほど指摘した世論調査にもこたえようとする姿勢がありますよね。二番目、「地方定住を促進するための効率的な地域道路網の整備」、これが二番目に挙がっている。九次五計ではこういうふうになっているんですよ、一応一と二は。三番目が、「豊かで住みよい環境の形成をめざすバイパス・環状道路及び都市内道路整備」というふうになっている。  ところが今度の十次整備五カ年計画の大綱、これですな、これはトップが、「交流ネットワークの強化」ということになって、こう書いてある。高規格幹線道路網について、昭和七十五年までにおおむね九千キロの完成を目標に云々と。だから高規格幹線道路が今度はトップに上がってきた。それから二番目は、「よりよい都市のための道路づくり」というふうになっているんだが、大都市圏における自動車専用道路網、バイパス環状道路もありますけれども、こういう点が出ている。そして三番目に、「地方部の定住と交流」というのも、地方についても、テクノポリスやリゾート開発などの地域振興プロジェクトを支援する道路整備というのが上がってくる。  ですから、第九次五計にあった災害防止、歩行者、自転車利用者の安全、こういうトップにあったのがすっぽり今度なくなっちゃったんです。すっぽりなくなって、高規格幹線道路網、交流ネットワーク、大都市圏の自動車専用道路等々がずっと表に出てきて、それが僕はこういう五十三兆円、昨年に比べて一・三九倍という急増の道路計画として出てきたと断ぜざるを得ないんですが、こういう変化をどう説明されますか。
  116. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) まず九次で、八次五カ年計画からの試みでございますが、五つの施策項目というものをつくりました。一番が道路交通の安全確保、それから二番が生活基盤の整備、三番が生活環境の改善、四番が国土の発展基盤の整備、五番が維持管理の充実、こういうようなことで、これにつきまして九次の説明書でそういう基本的な考え方を述べてあるというのは先生の御指摘のとおりでございます。それから十次でも全く同じような施策別を、先生の今御指摘のありましたこの五カ年計画の次の説明にもその分類が書いてございますので、その分については、十ページでございますが、そういうことで書いてございますので、全く同じ考え方をしておるわけでございま す。  そこで、ただその順番の問題ではなくて、結局道路というものは、恐らく第四次全国総合開発計画に基づいて第十次五カ年計画考え方をまとめておりますので、いわゆる国土構造の骨格としての高規格幹線道路から日常生活の基盤としての市町村道に至るまでの道路網を体系的に積極的に整備をしたいというふうなことがまず第一点でございます。  高規格道路のことでございますが、多極分散型国土形成をしまして、定住と交流による地域の活性化を促す上で重要な施策の一つとして位置づけております。この考え方でバランスのとれた道路整備を行おうというふうに考えておりますが、なお全体といたしまして、例えば試算を一つしてみましたが、十次の五十三兆円、第九次のときは実績が三十六兆五千億円ぐらいございますが、それで割りますと一・三九倍がいわゆる計画同士の比率でございますが、実績と計画を比較いたしますと約四五%増ぐらいになるんですが、高規格道路も全く同じ率でございます。四一・四五倍に対して一・四六倍でございます。それから投資のパターンでございますが、これは七%の平均伸率ということでバランスをとっておるつもりでおります。
  117. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今あなたが言われたこの十ページの表ですね、これも私たち分析してみました。そうすると、私が先ほど挙げた基本方針だけでなくて、あなたが挙げられた五項目のこの施策別の事業費にも私が先ほど指摘した性格がはっきりあらわれている。例えば第九次五カ年計画では、計算してみますと、対前期の計画と比べて、この施策の中の五番目の維持管理の充実、これがトップで一六五%の伸び、これは第一位です。それから国土の発展基盤の整備、これが一三三%、生活基盤の整備一二三%、ほぼ同水準の伸び。ところが今度の十次五計では国土の発展基盤の整備というのが一八一%、前年比の伸び。約二倍近いんですよ。だから全然違っちゃうんですよ。生活基盤の整備一二三%に非常に大きく水をあけている。  こういう高速自動車道の中では、我々何回も取り上げてきましたが、例えば個別的にも、高尾山の自然を破壊する圏央道とか東京外環道路だとか住民の反対運動の強いものも含まれているわけで、私は、あなたが言われた施策別の事業費の前年比の伸びの比較の数字を見ただけでも生活道路の軽視というのは明白だと思う。  もう時間が参りましたが、先ほど大臣は道路要望が非常に強いと言われたので、もう一つ別な調査政府が発表した別な調査を引用しておきたいと思います。これは六十一年三月の道路に関する世論調査です。今後力を入れてほしい道路事業がずらっと世論調査で並んでおります。第一位は歩道、これが四三%で一番多いんですね、歩道要望。第二位が日常生活の基盤となる地方の道路、三五%。第三位が自転車道、二五%。第四位がバイパス二三・一%。第五位が国道など利用者の多い道路、一四・四%。六位が都市部の一般道路、一三・九%。七位が地方の高速道路、一三・一%。八位が自転車駐車場、一二・四%。第九位が植樹、九・五%。第十位が都市内の高速道路、五・四%。第十一位が観光道路、三・五%。ですから、今度の五カ年計画が一番力を入れて一番予算をつけたこういう高速道路というのは、世論調査によりますと第十位なんですよ。歩道四三%の数分の一です。第一位は歩道なんですよ、国民が世論調査で出している。これ政府が発表しているんだから。  もう明らかに今度の計画は、私先ほども申しましたが、社会資本に対する国民の要望をも知らぬ顔しておる、また道路についての国民の要望をも知らぬ顔して、政府が勝手に東京一極集中とか二十一世紀の日本云々と言って、これはまあ大変な問題があるんですけれども、そういう方向を上から押しつける非常に官僚的な道路計画になっていると思う。これは私が思うだけでなく、私はだからきょう政府の資料を使って客観的に事実を出したんだから、大臣どう考えますか。
  118. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) このお話は上田先生と私がかみ合うとは思っておりません。かみ合わない議論になると思いますけれども、やはり全国の県、市町村、こういう自治体等は特に高速道路の要望が非常に強い、こういうことであります。今お示しになった生活道路あるいは自転車道路、そういうものもすべて進めております。しかし、高速自動車道も交流ネットワーク、これも非常に要望が強いのは事実であります。でございますから、もう陳情でも、ほかのことももちろんございますけれども、半分以上は道路、その道路も高速自動車道がつながらないとか、うちの県には入らないとか、うちの市は通らないとか、こういうことで非常に要望が強い。でございますから、もちろん高速自動車道、国道、地方道あるいは歩道、自転車道、これすべてを進めていく、こういうことで十次の道路五カ年計画を設定したような次第であります。  今後も、上田先生とはかみ合わないかもわかりませんけれども、道路は大いに進めていきたい、もちろん高速自動車道も大いに今後進めていきたい、こういうふうに存じます。
  119. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 終わります。
  120. 山田勇

    ○山田勇君 道路はもう十分に全国的に整備されたのではないかというような声も一時聞かれたんですが、事実、地方へ行きますと、立派な道路整備されていながら通過車両は数えるほどしかないという状況によく出会います。ところが一方都市部では、高速道路が低速道路とかいうような言い方をされるような渋滞を繰り返しております。市街地道路での車の洪水は一向に解消されていません。道路計画は本当に国民のニーズに沿った的確なものであるかどうか甚だ疑問を投げかけざるを得ません。  道路を緊急かつ計画的に整備することにより、道路交通の安全確保とその円滑化を図るとともに、生活環境の改善、国民経済の健全な発展、国民生活の向上などが道路整備緊急措置法目的に明確にうたわれておりますが、今後の道路整備においてもう一度この目的の理念を十分に理解していただきまして取り組んでいただきたいと思いますが、大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  121. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 先生お説のとおりでございますが、おくれておる地方もやはり交流ネットワークの整備をやらしていただく、もちろん都市部の非常に渋滞をしておるところ、これも解消に努めなければならない、東京で言いますと環状線ですね、こういうところに力を入れて進めていかないといけない、こういうふうに思います。でございますから、その点はどちらも大事でございますが、とにかく今の先生の言われる非常に渋滞をしておるところに力を入れます。しかし、地方もやはりやらしていただきたい、こういうふうに思う次第であります。
  122. 山田勇

    ○山田勇君 まずお尋ねしますが、第十次五カ年計画の財源については十分に確保されているのか、お尋ねをいたしておきます。  それと、六十三年度予算では、NTT予算を除きますと、特定財源と道路特会支出にすき間がありますが、これで特定財源の未充当問題は解決されたと言えるのでしょうかどうか、その点についてお尋ねをいたします。
  123. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 五十三兆円の十次の五カ年計画を推進するための財源の内訳につきましては、まだ具体的に決まっているわけではございませんが、道路局で試算をいたしております。この試算では、まず調整費の一兆三千億円を除いておりますので、残り五十一兆七千億につきましての所要経費に関していろいろ試算をしてまいりました。  これによりますと、その区分といたしましては、国費が十四兆七千億円、それから地方費が約二十四兆五千億円、それから財投資金等が約十二兆五千億円、こうなっております。財源の問題でございますので特に国費について申し上げますと、国費につきましては、揮発油税それから自動車重量税等の道路特定財源、これを現行のままで いろいろ試算してまいりますと、その額で約八割は賄える予定でございます。残りの二割につきましてはNTT財源を含む一般財源で確保する必要があるし、またその努力をしたい、こういうふうに考えております。  それから六十三年度の予算の問題でございますが、六十三年度道路の特定財源の見込み、これは二兆二千二百三十六億円でございます。一方、道路特会への一般会計の繰入額、それから揮発油税収の直入額、合計が二兆一千八百十二億円でございますので、差額が四百二十四億円ございます。NTTの財源が三千八百六十一億円さらに上乗せになっておりますので、これによって解消できる。NTTで充当しているわけでございますが、このNTTにつきましてもその償還時には道路財源以外の別途財源を充てることとされております。
  124. 山田勇

    ○山田勇君 次に、事業関係でお尋ねをしておきます。  第二東名・名神については第十次五カ年計画の期間中に着手の運びになるのかどうか、その概要についてお聞かせください。
  125. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 東名、名神は昭和四十四年に全通をしました。その後非常に輸送の大動脈としまして国民生活、産業経済に重要な役割を果たしております。第二東名それから名神の高速の考え方は、高規格幹線道路網一万四千キロの計画の中におきまして国土開発幹線自動車道として位置づけられております。そういうことでございますので、四全総の思想にもございます多極分散型国土の実現にも重要な役割を果たす路線であるというふうに私どもも考えております。  具体的には、調査を今進めておりますが、特に第十次道路整備五カ年計画昭和六十三年度から発足させようと考えておりますこの計画におきまして、緊急に整備を要する区間から所定の手続を経て事業に着手したいというふうに考えております。
  126. 山田勇

    ○山田勇君 明石海峡大橋に関連して、この有料道路と一般道路の接続はどのようになりますか。また、関西国際空港関連道路整備計画はどのようになっておりましょうか。
  127. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 明石海峡大橋の建設は、大鳴門橋と一体となりまして、四国の経済圏と近畿の経済圏を結ぶものでございまして、特に近畿圏の諸機能、産業活力の向上等に対して大きなインパクトを与えるとともに、周辺地域開発に大きな影響を与えるというふうに私ども見ております。  今御質問の明石海峡大橋関連の地域整備の問題につきましては、建設省関係地方公共団体が協力をいたしまして、昭和六十三年三月十一日に明石海峡大橋関連地域整備計画、こういうものを策定して発表させていただきました。この中で、今先生お話のございました広域幹線道路整備、この基本的な考え方は、まず明石海峡大橋の機能を十分発揮するために必要なネットワークを形成する山陽自動車道それから西神自動車道、神戸西バイパス、阪神高速道路北神戸線、大阪湾岸道路等について整備を図る。それからその他の道路についても、計画の具体化を図るとともに逐次整備を図る、こういうことを決めております。  それから一方、関西国際空港でございますが、これは昭和六十年十二月十日に関西国際空港関係閣僚会議が開催されまして、そこで決定をいたしました関西国際空港関連施設整備大綱、この中で関連施設整備として道路事業を位置づけております。例えば関西国際空港へのアクセスとして、根幹となります近畿自動車道名古屋大阪線、紀勢線、それから阪神高速道路の湾岸線、関西国際空港線、それから第二阪奈道路等の整備を図る。それからこれらと主要なネットワークを形成する道路として、一般国道の二十四号線あるいは府道の大阪臨海線等の整備を図ること。それから関連します道路の交通安全施設等の整備、こういうようなこと。その他基本的な整備方針を決めております。  私どもは、これらの整備計画及び整備大綱に基づきまして、関係地方公共団体と協議調整を図って事業計画的に進めていきたいというふうに考えております。
  128. 山田勇

    ○山田勇君 明石海峡大橋に関連しての一般道路の接続の中で山陽道等々を聞きましたが、第二名神は入っておりませんか。
  129. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 第二名神を特にこの中で位置づけるということは明記しておりませんが、第二東名・名神の整備考え方は先ほどお話ししたようなことでございますので、私どももできるだけ努力をしてこういうものの調査を進めて、その整備効果が出るようにしてまいりたいというふうに考えております。
  130. 山田勇

    ○山田勇君 京阪間の道路の渋滞は早期に解決しなければならない問題だと見ていますが、この渋滞解消のためには第二京阪国道の早期整備が必要だと思いますが、この辺はどうなっておりましょうか。
  131. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 第二京阪道路でございますが、この道路は京都の伏見区から大阪の門真市に至ります延長二十九・七キロの幹線道路でございます。この道路はもちろん国道一号線のバイパスということで、名神高速道路とともに京阪間の高速交通ネットワークを形成するものであります。京都の部分と大阪の部分とございますが、まず京都府域のものについては、延長が十二・一キロございますが、この区間昭和六十年四月に都市計画決定がなされております。現在地元の設計協議を実施中でありまして、一部で用地買収に着手しております。  それから一方の大阪府域の問題、これは延長が十七・六キロございますが、昭和四十四年五月に都市計画決定されたわけであります。しかし、当該区間につきましては、周辺の土地利用の変化等に対応するために車線数の変更であるとかあるいは環境施設帯の設置などを内容といたします都市計画変更、こういう準備を今進めておりまして、できるだけ早く都市計画変更手続を進めて事業の進捗を図ってまいりたいというふうに考えております。
  132. 山田勇

    ○山田勇君 これは最後の質問になろうかと思いますが、京都から大阪、大阪から京都への高速道路は現在西宮経由の名神高速ということになっておりますが、京阪連絡高速道路整備構想については現在どのような状況になっておりますでしょうか。
  133. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 京都と大阪の都市化の進展に伴います交通需要の増加のための名神高速道路あるいは国道百七十一号線、この交通混雑が非常に著しいわけでございます。そこで、名神高速道路の拡幅であるとかあるいは第二京阪道路事業を進めておりますが、現在事業を進めている路線だけでは将来の交通需要に対しましては必ずしも十分じゃございません。特に淀川の右岸地域におきましては京阪道路というものが必要であろうというふうに考えております。したがいまして、私どもは、昭和六十一年度から本格的な調査に着手しておりますが、交通需要それからルート道路構造検討を行っているところでありまして、早急に計画の策定が行われるよう調査の推進と関係地方公共団体を調整してまいっていきたいというふうに考えております。
  134. 青木茂

    ○青木茂君 新聞報道なんかによりますと、今、高速道路の料金体系というものが見直されるような作業が進行しているというふうに伺っておりますけれども、まず現時点まででどういうような改定作業が進行しているか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  135. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 現在高速道路は料金体系がちょうど三種類に分かれておりまして、普通車、大型車、それから特大車というようなことで三つに分かれております。車種間の料金比率でございますが、普通車を一〇〇といたしますと大型車が一五〇、特大車が二七五、こういうふうになっております。  現行の三種の区分の問題でございますが、いわゆる三種類にしているということ、あるいは車種間の料金の比率、こういうものについてはいろんな御意見、御批判もございます。昭和六十年の四 月に道路審議会の中間答申をいただきまして、それによりますと、料金徴収の機械が車種区分を追加できる磁気カード方式に切りかわるときは、車種区分それから車種間料金比率について検討すべきである、こういう提言をいただいております。  料金の徴収機械の切りかえでございますが、これは昭和六十三年末ぐらいに完了するのではないかということで今一生懸命やっておりますので、現在適切な車種区分あるいは車種間料金の比率について負担の公平を図る見地から道路審議会にいろいろ検討をお願いしております。
  136. 青木茂

    ○青木茂君 今、普通と大型と特大ですか、この三区分になっておるわけなんですけれども、特にドライバーの立場から苦情が多いのは、特大だとか大型はわかるにしたところで、普通車の区分というものがもう少し細かくあってもいいんじゃないか。普通車という概念でもって同じ料金で一括してくくられてしまうと、特にオートバイだとか軽自動車というのが割を食っているんじゃないかという不平不満がかなりあると思うんですね。ここらあたりを改めないと改めたことにならないんですけれども、そういう意見は出ていませんか。
  137. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 現在の三種類、これはいろいろな経過を経まして今は三種類で昭和五十年四月一日から実施をしているわけでございますが、普通車といっても非常に幅が広くて、例えばマイクロバスぐらいまで普通車に含まれております。それからトラックにつきましても、総重量が八トン未満でかつ積載量が五トン未満のトラックというのが普通車に入っております。それから総重量が八トン以上または積載量が五トン以上のトラックが大型車に含まれております。さらに、総重量が二十トンを超えますと、車軸数が四軸以上のトラックが特大車に入って料金比率が二七五、こういうふうになっております。  今御指摘のようにいろいろな御意見がございますことは事実でございます。それらを踏まえまして今専門家の方にいろいろ議論をお願いしております。まだ成案は得ておりません。
  138. 青木茂

    ○青木茂君 まだ成案が出ていないということなんですけれども、一つのものをつくる上においてほぼいつごろまでにやるのかというようなことがないと、だらだらしてしまって、計画はしているけれどもいつまでたっても実現されない、こういうことになってしまいますから、およその目安としてはどうでしょうか。
  139. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 先ほど申し上げましたように、例えば三種類を五種類に、これはまだいろいろ検討している段階でございますが、そういうふうにふえますと、例えば料金徴収手間が非常にかかる、したがいまして、機械の切りかえというものが一つの何といいますか、時期として、それを越えてやらなきゃ、徴収業務が非常に大変だろうからということで御指摘をいただいたわけでございます。したがいまして、そういうその後の時期というのが一つの目安になろう、こういうふうに考えております。
  140. 青木茂

    ○青木茂君 それでは全くわからないんで、少なくとも官庁がそういうふうに改定をやるというんだから、ほぼいつごろまでに、来年までに、再来年までに、三年後にはやるつもりだというぐらいの目安がなければ、これは本当に百年河清を待っちゃって、その間にどんどんドライバーの不満というものが大きくなって、少しぐらいの改定では済まないということになってしまうと思うんですけれども、ほぼどれぐらいですか。三十年かかりますか。
  141. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) そういうことじゃございませんで、もちろん審議会で今現在検討をして、有料部会とかいろいろなところで検討していただいているわけでございますから、もちろん成案を得ましたら改定をいたしますが、ただ、機械の時期がそういうことでございますから、それからまた延々という気は全くございませんで、また審議をお願いしている先生方にもいろいろそういうことで資料を出して検討しております。ただ、私どもだけというわけにもなかなかいきませんものですからそういうことを申し上げたわけでございます。
  142. 青木茂

    ○青木茂君 そうすると、パンチカードを磁気カードに変えるわけですか。これはもう技術論的には問題ないわけですね。
  143. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 磁気カードも逐次入れておりまして、今東名とか一部の路線を除きましてもう入ってきつつあります。それで、先ほども申しましたように、六十三年末ぐらいに大体整備は終わるだろう、したがってそれからは技術的な意味で種類がふえても徴収は楽になる、こういうことで申し上げたわけでございます。
  144. 青木茂

    ○青木茂君 その六十三年末という一応の期間は出たようですね。  もう一つ私どもが心配をいたしますのは、どうも高速道路というのは、こういう改革が行われるごとに、それが改善であっても改悪であってもすぐ料金値上げにぽんとはね上がるわけなんですよ。今度そういうふうにするということが料金面においてまたドライバーの負担を大きくしないかという点についてはいかがでしょうか。
  145. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 料金体系につきましては、先ほども申し上げましたように、いろいろ負担の公平を図る見地から検討しております。  それから料金の値上げの問題は、それとはちょっと違うわけでございますけれども、高速自動車国道は御承知のとおり有料道路として整備を行っております。結局、道路整備特別措置法によりまして、建設費等の費用を料金により一定期間内に償還するという制度になっております。したがって、現行料金水準で一定期間内の償還が困難となる場合は料金改定が必要となりますが、現在はまだ高速自動車国道の利用者負担の考え方、こういうことについても道路審議会で検討をお願いしておりまして、これらの成果を加えて今後慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
  146. 青木茂

    ○青木茂君 私どもが国会あるいは委員会で御質問を申し上げていて一番困るのは、これは私ずっと大蔵委員の方を長くやらしていただいたんだから特にあれなんですが、こういうことはどうですかと聞くと、税制調査会が今審議をしておりますからここではお答えできませんと、こうくるわけですね。今の問題でも、道路審議会が今やっておりますからということでもってですね。僕は国会というのは国権の最高機関だと思うんだけれども、今の御答弁を伺っていまして、新聞報道の方が何か先行しちゃっていて、国会答弁の方が後ずさりしているような気がしてならない。  どうなんですか、高速道路の状況を見ていますと、償却が進むにつれて料金が上がっているんですよ、現実問題としては。これは逆でなくちゃいけない。そこはプール制とかなんとかいろんな難しい説明があるわけなんですけれども、三十年たったら無料にしますよというふうに国民が信じ込んでいたやつがじゃんじゃか上がってくると、国民の行政不信というのがどうしても出てくるんじゃないか。今度の改定は国民の行政不信をぱっと払拭するような思い切ったことでやっていただきたいと思いますけれども、大臣の御決意はどうですか。
  147. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 先生のお説であります。私もいろいろ各委員会等で質問いたしますと、審議会と、こういう話でありまして、そういう感じを受けておりました。しかし、実際にこういうところでいろいろ検討してみますと、やはり専門家の方々にいろいろお知恵を拝借して、こうあるべきでないかということが検討されて、それでいろいろまた法律なら法律を提案いたしますし、また料金の問題なら料金の問題で御論議いただくということが、実質的な面ではそういうふうにしないと、役人だけで決めて、さあどうですかといったのではちょっとうまくいかないような気がいたしてまいりました。  でございますから、ひとつ各審議会で十分御論議をいただいて、その上でまた役所の方も検討をし、そしてまた御論議をいただく、こういうことがいいのでないか。ただ、それが余り長くなりますと先生の言われるようなことでございますか ら、今のような変化の早い時代でございますから、なるべく早く先生方にもお願いする、こういう考えであります。
  148. 青木茂

    ○青木茂君 とにかく小田原評定にならないように、ある程度はスピードアップしてくださらなければこれは我々としても非常に困る。  それからもう一つは、私は、道路行政の行政組織の中にかなりな不効率というのか、行政生産性という点において民間の生産性向上努力に比べてかなり落ちる点があるんではないかという気がしないでもない。これに対して大臣の御感想はいかがですか。
  149. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 先生のどの方面の組織の見方かは存じませんが、ただいま道路行政で行っているところではまあうまくいっているな、こういう感じであります。  といいますのは、例えば高速自動車道にいたしましても、大変延長が延びていく、利用いただく車も多くなってくる、でございますから自然、管理をいたしますにも人がたくさん要る、そういうことを、人をたくさん雇用するというのも大変でございますから部分部分で委託をしてやっていく、こういうことであります。これが非常に効率的であると思います。ただ、その場合、それをよく見ておらないと、また間違った方向へ行きますと大変なことになりますので、十分その点の指導監督といいますか、その点には力を注いでまいりたい、かように思う次第であります。
  150. 青木茂

    ○青木茂君 最後の大臣の御発言、これは大変結構だと思うんですよ。わかりませんからね、いつ間違った方向へ行くか。これは常に大臣の方で目を光らしておいていただきたい。ただ、現在の組織を間違っていない、パーフェクトだと思い込んでしまうと現在の組織図というものは私は固定されてしまうと思うんですよ。だから、おなかの中では間違っていないと思われても、どこか間違いないだろうかということを常に目を光らしていてくださいませんと、物事は一歩も進まないと思うわけなんです。  私が見るところによりますと、どうもかなり不効率があるんじゃないかという気はします。  まだ時間を余していますけれども、次の問題に入ったらまたこれぐらいの時間がかかって委員長にしかられますから、少し余して終わります。私が考えている不効率というのは明日ひとつ申し上げさせていただきたいと思います。  終わります。     ─────────────
  151. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、植木光教君及び堀内俊夫君が委員辞任され、その補欠として久世公堯君及び松浦孝治君が選任されました。     ─────────────
  152. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  154. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。  本法案の一つの柱は、第十次道路整備五カ年計画の策定であります。 道路の積極的な整備が必要であることは言うまでもありませんが、真に国民生活の向上に役立つ道路整備を推進するためには、住民の合意、環境の保全、生活道路優先などの原則が極めて重要です。しかるに、本改正で予定されている第十次道路整備五カ年計画は、こうした原則に反する重大な問題を含むものです。  第一は、この計画が新列島改造計画とも言うべき四全総の具体的な推進計画となっていることです。  三全総は、列島改造を推進した新全総を手直しし、道路についても東京一点集中型の体系の是正を掲げました。ところが四全総はリゾート開発などと名を変えた大規模開発と交流ネットワーク構想を打ち出し、新全総型路線に再転換しました。新たに設定された国土開発幹線自動車道の中で第二東海自動車道を最優先で進めようとしていることにもあらわれているように、多極分散型国土の形成というオブラートに包んで東京一極集中を進めるものと言わざるを得ません。  第二は、大企業本位の内需拡大策の一環として道路投資を超突出させ、公共投資のバランスを著しく欠くものとなっていることです。第十次道路整備五カ年計画事業規模は五十三兆円で、道路関係以外の建設省所管の公共事業五カ年計画の合計の一・七倍にも達しています。道路整備は前期計画比一・四倍と急増させ、治水、下水、都市公園などは前期計画より実質マイナスという公共投資のあり方が、国土の均衡ある発展を損なうことは明白です。  第三は、高速道路、自動車専用道路優先をこれまで以上に強めていることです。計画大綱の基本方針では、前期計画が第一に掲げていた災害に強い道路や歩行者、自転車利用者の安全で快適な通行空間の確保が完全に姿を消し、高規格幹線道路網の整備が第一に掲げられました。その中心が、自然と生活環境を破壊する首都圏中央連絡道や大阪湾岸道路などの強引な建設です。反対に、生活基盤の整備事業費の伸び率は国土の発展基盤の整備よりも四八ポイントも低い水準に抑え込まれています。  この改正案のもう一つの柱は、道路特定財源制度を延長するとともに、揮発油税の道路整備特別会計への直接繰入枠を大幅に拡大することです。  道路特定財源制度は、道路整備をモータリゼーションの強化に依存させ、また一律的な予算のシーリングのもとで、治水事業など他の公共事業予算を圧迫するものであり、見直すべきです。  道路整備特別会計への揮発油税一部直入制度については、我が党はその導入の際、使途が地方道整備に限定されていることなどに留意し、例外的なものとして賛成しました。しかし、直接繰入額が揮発油税の四分の一、道路整備予算全体の六分の一にもなるという新たな段階では、これが公共投資のアンバランスを制度的に固定化するものと言わざるを得ません。しかも、六十三年度予算では、臨時交付金を除く本来の地方道予算は大幅に削減されており、直接繰入枠の拡大分が実質上地方道路整備以外に回されています。地方道予算が総体としては拡大されてはいても、本来の地方道予算が削減されるならば既存の生活道路の改善などを圧迫する危険があり、こうした事態を招く直入制度の強化には反対です。  東京への一極集中を是正し、地方を振興し、国民生活の向上と国土の均衡ある発展を図るためには、地域住民が本当に必要とする道路整備を最優先し、生活環境、自然環境の保全を堅持しつつ、住民の総意に基づく民主的な道路整備計画に根本的に転換することこそ急務であることを強調し、私の反対討論を終わります。
  155. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  157. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  小川君から発言を求められておりますので、これを許します。小川君。
  158. 小川仁一

    小川仁一君 私は、ただいま可決されました道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及びサラリーマン新党・参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、第十次道路整備五箇年計画の実施に当たっては、地方公共団体の意向を十分に参酌すること。  二、生活に関連する地方道の整備を促進するため、地方道路整備臨時交付金制度の円滑な実施に努めるとともに、国の補助対象範囲の拡大等により地方公共団体の財政負担の軽減を図るよう配慮すること。  三、多極分散型国土の形成を図るため、高規格幹線道路網をはじめとする総合的な交通体系の確立を図り、地域社会の活性化、住民生活の向上等に資する効率的かつ機能的な交通網の整備を促進すること。  四、豪雪地帯の除排雪対策、雪崩対策、寒冷地域の凍雪害対策等の防災対策を重視するとともに、歩道整備等の交通安全対策、老人・障害者のための道路改良、自転車道及び自転車駐車場の整備、沿道の生活環境を確保するための環境施設帯の整備等の促進に努めること。  五、大規模な地震等に備え、避難路の整備と広場の確保に努めるとともに、老朽化した橋染等については、緊急に補修等の整備を実施し、防災及び交通の安全の確保を図ること。  六、良好な都市環境の確保と良質低廉な住宅・宅地の供給に資するよう、土地区画整理事業、市街地再開発生業等における街路及びその附帯施設に対する助成の強化を図ること。  七、道路整備計画の策定と事業の実施に当たっては、自然環境の保全に特段の配慮をはらうとともに、関係住民の意見を十分に尊重し、事業の円滑な実施に努めること。   右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  159. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいま小川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  160. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 全会一致と認めます。よって、小川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、越智建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。越智建設大臣。
  161. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれましては熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいま議決になりました附帯決議の趣旨を十分に尊重してまいる所存であります。  ここに委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。
  162. 村沢牧

    委員長村沢牧君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時五分散会