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1988-03-02 第112回国会 衆議院 逓信委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和六十二年十二月二十八日)( 月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次 のとおりである。    委員長 塚原 俊平君    理事 小澤  潔君 理事 田名部匡省君    理事 虎島 和夫君 理事 額賀福志郎君    理事 牧野 隆守君 理事 田並 胤明君    理事 木内 良明君 理事 木下敬之助君       尾形 智矩君    亀岡 高夫君       久野 忠治君    佐藤 守良君       園田 博之君    谷垣 禎一君       野中 広務君    深谷 隆司君       二田 孝治君    穂積 良行君       宮崎 茂一君    森  喜朗君       渡辺 紘三君    阿部喜男君       伊藤 忠治君    上田 利正君       松前  仰君    坂井 弘一君       鳥居 一雄君    阿部 昭吾君       佐藤 祐弘君 ────────────────────── 昭和六十三年三月二日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 塚原 俊平君    理事 小澤  潔君 理事 田名部匡省君    理事 虎島 和夫君 理事 額賀福志郎君    理事 牧野 隆守君 理事 田並 胤明君    理事 木内 良明君 理事 木下敬之助君       亀岡 高夫君    久野 忠治君       佐藤 守良君    園田 博之君       谷垣 禎一君    野中 広務君       深谷 隆司君    二田 孝治君       穂積 良行君    宮崎 茂一君       森  喜朗君    阿部喜男君       伊藤 忠治君    上田 利正君       松前  仰君    山田 英介君       阿部 昭吾君    佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 中山 正暉君  出席政府委員         内閣官房副長官 小沢 一郎君         大蔵政務次官  佐藤栄佐久君         大蔵省理財局次         長       公文  宏君         大蔵省銀行局保         険部長     宮本 英利君         国税庁直税部長 伊藤 博行君         郵政政務次官  白川 勝彦君         郵政大臣官房長 森本 哲夫君         郵政大臣官房審         議官      木下 昌浩君         郵政大臣官房人         事部長     白井  太君         郵政大臣官房経         理部長     山口 武雄君         郵政省郵務局長 田代  功君         郵政省貯金局長 中村 泰三君         郵政省簡易保険         局長      相良 兼助君         郵政省通信政策         局長      塩谷  稔君         郵政省電気通信         局長      奥山 雄材君         郵政省放送行政         局長      成川 富彦君         労働政務次官  浦田  勝君         労働省労政局長 白井晋太郎君  委員外出席者         参  考  人         (日本電信電話         株式会社労働部         長)      朝原 雅邦君         逓信委員会調査         室長      辛島 一治君     ───────────── 委員の異動 三月一日  辞任         補欠選任   鳥居 一雄君     坂口  力君 同日  辞任         補欠選任   坂口  力君     鳥居 一雄君 同月二日  辞任         補欠選任   鳥居 一雄君     山田 英介君 同日  辞任         補欠選任   山田 英介君     鳥居 一雄君     ───────────── 昭和六十二年十二月二十八日  日本放送協会昭和六十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書 昭和六十三年一月二十二日  日本放送協会昭和六十一年度財産目録貸借対照表及び損益計算書 二月五日  通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案内閣提出第一五号) 同月二十四日  放送法及び電波法の一部を改正する法律案内閣提出第四〇号) 三月一日  郵便年金法の一部を改正する法律案内閣提出第四三号)  郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法律案内閣提出第四四号)(予)  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出承認第二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  逓信行政に関する件(郵政行政基本施策)      ────◇─────
  2. 塚原俊平

    塚原委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  逓信行政に関する事項  郵政事業に関する事項  郵政監察に関する事項  電気通信に関する事項  電波監理及び放送に関する事項 以上の各事項につきまして、衆議院規則第九十四条により、議長に対し、国政調査承認を求めることにいたし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 塚原俊平

    塚原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ────◇─────
  4. 塚原俊平

    塚原委員長 逓信行政に関する件について調査を進めます。  まず、郵政大臣所信を聴取いたします。中山郵政大臣
  5. 中山正暉

    中山国務大臣 おはようございます。  第百十二回の通常国会における郵政大臣としての所信を表明申し上げたいと存じます。  逓信委員会皆様には、平素から郵政行政の適切な運営につきまして、格別の御指導をいただき、厚くお礼を申し上げます。  この機会に、所管業務の当面する諸問題等について、所信一端を申し上げ、皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。  まず、郵便事業について申し上げます。  今日、郵便は、年間約百八十一億通の利用があり、国民の基本的な通信手段として、将来にわたって重要な役割を果たしていくものと考えております。  現在、業務運行は、おおむね順調に推移しており、今期年末年始においても、元旦に約二十五億通もの年賀郵便物を配達するなど、円滑に運行することができました。  また、最近における郵便小包は、サービス改善職員一丸となっての営業努力の結果、昨年末現在で、前年に比べ二〇%にも及ぶ伸びを示しております。  さらに、昨年の通常国会では、郵便法及びお年玉等付郵便葉書及び寄附金付郵便葉書等の発売並びに寄附金処理に関する法律の一部を改正する法律を成立させていただき、これにより広告郵便物料金を最高三〇%まで割り引くこと等各種郵便サービス改善を行い、大変好評を得たところであります。  今後とも、利用者ニーズに即応した付加価値の高い郵便サービスを提供していくとともに、事業効率化推進し、国民皆様期待にこたえるよう努力してまいる所存であります。  このため、第一種及び第二種郵便物料金の決定の特例制度整備すること、切手類等の給付を受けることができるカードを販売できるようにすることなどを内容とする郵便法の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしましたので、よろしくお願い申し上げます。  次に、為替貯金事業について申し上げます。  為替貯金事業は、国営事業として百十余年にわたり、貯蓄、送金決済等国民生活に密着したサービスを提供し、広く国民皆様利用されてまいりました  その結果、郵便貯金資金は、百十七兆円に達し、社会資本充実国民福祉増進に大きく貢献しております。  長年親しまれてきた郵便貯金利子非課税制度が本年四月から改定されることになりますが、昨年の通常国会で成立させていただきました郵便貯金法の一部を改正する法律等により、郵便貯金自主運用が昨年六月から開始され、着実な運用を行っているところであり、また、本年四月からは、郵便貯金預入限度額の引き上げ、郵便局での国債の販売が実施されることとなりました。  今後は、これらの制度改善を積極的に活用するとともに、国民ニーズに的確に対応した多様な金融商品開発に努め、郵便貯金に寄せられる国民皆様期待にこたえてまいりたいと考えております。  特に、小口預貯金金利自由化はまさしく間近に迫っており、預金者利益を守り社会的公正の確保等を図る観点から、まず、小口預貯金金利完全自由化への過渡期商品として、市場金利連動型郵便貯金を早急に導入できるよう、鋭意努力してまいる所存であります。  また、来年度におきましては、住宅積立郵便貯金及び進学積立郵便貯金改善を図りたいと考えております。  さらに、業務総合機械化進展等に対応して、郵便為替及び郵便振替利用者に対するサービス改善すること等を内容とする郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしましたので、よろしくお願い申し上げます。  次に、簡易保険郵便年金事業について申し上げます。  簡易保険郵便年金事業は、創業以来、簡易利用できる生命保険個人年金全国郵便局を通じて、あまねく普及することに努めてまいりました。  その結果、簡易保険契約件数は、六千万件を超え、保険金額は、百兆円を突破するなど国民皆様に広く利用されており、郵便年金保有契約も順調に増加しております。  このように、簡易保険郵便年金事業は、国民皆様経済生活の安定と福祉増進に大きく寄与しております。  また、その資金は、三十五兆円に達し、その多くが、学校、道路、住宅建設などに活用され、社会資本充実等に大きな役割を果たしております。  現在、我が国は、人口の高齢化が急速に進んでおり、老後の経済生活の安定を図る自助努力手段として、非営利で全国あまねくサービスを提供している簡易保険郵便年金役割は、ますます大きくなってきております。  事業に寄せる国民皆様期待事業としての使命を深く認識し、その一層の普及を図るとともに、時宜にかなった新商品開発加入者サービス向上に努め、豊かで活力ある長寿社会建設の一翼を担ってまいりたいと考えております。  そのための施策一端として、今国会に、加入者皆様から強い要望のある郵便年金制度改善を実現するための郵便年金法の一部を改正する法律案を提出いたしましたので、よろしくお願い申し上げます。  ところで、郵政事業は、三十万人余りの職員に支えられており、人力に依存する度合いが極めて高い事業でありますので、その円滑な運営を図るため、人材育成能力開発推進し、明るく活力に満ちた職場をつくるとともに、信頼感に裏打ちされた正しい安定した労使関係確立・維持していくために、さらに努力を払ってまいる所存であります。  さらに、郵政犯罪の防止については、従来から省を挙げて努力してまいりましたが、郵政事業に寄せる国民皆様期待信頼にこたえるため、今後とも防犯意識の高揚と防犯体制の一層の充実に努めてまいる所存であります。  次に、電気通信行政について申し上げます。  電気通信に対する需要の一段の高度化多様化に対応し、ニューメディア先端技術開発・振興を初め、電気通信の一層の高度化推進するための諸施策を適切かつ着実に進めていくことが肝要と考えます。  四全総の中でも、多極分散型の国土形成を図り、均衡ある国土発展促進する上で、高度な情報通信体系地域における情報通信基盤整備必要性が指摘されているところであります。  このため、郵政省で現在取り組んでいるテレトピア計画や、いわゆる民活法に基づく施設整備事業等地域情報化施策を、より一層積極的に推進する必要があると考えており、きめ細かく、かつ、適切な支援を行ってまいる所存であります。  その具体策として、テレトピア計画につきましては、来年度から、指定地域内事業として、無利子融資対象事業に、地域共同利用無線ネットワーク整備事業及び地域ISDN整備事業を追加したいと考えております。  また、民活法施設につきましては、これまでのテレコムリサーチパーク、テレコムプラザ及びテレポートに加え、マルチメディアタワー及び特定電気通信基盤施設民活法特定施設に追加したいと考えており、これを内容とする民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案関係省庁と共同して今国会に提出することといたしておりますので、よろしくお願い申し上げます。  次に、電気通信技術開発についてでありますが、電気通信分野は、技術先導性が極めて高く、技術開発推進、とりわけ、長期的には基礎的分野研究強化を図ることが重要であると考えます。  このため、来年度から新たに、新通信メディアの開拓や通信への知的処理適用等対象に、基礎的・先端的なフロンティア研究開発を強力に推進したいと考えております。また、基盤技術研究促進センター活用によって、民間における基礎的・先端的な研究開発促進を図ってまいる所存であります。  次に、宇宙通信については、通信衛星二号に続く第二世代の実用通信衛星として、通信衛星号aを、過日、打ち上げたところでありますが、同三号bを本年夏に打ち上げる予定であり、その諸準備に万全を期してまいる所存であります。  また、放送衛星三号を昭和六十五年度と昭和六十六年度に一つずつ打ち上げることとし、所要準備を進めるほか、ハイビジョン衛星放送早期普及を図るため、産業投資特別会計からの出資を得て、通信放送衛星機構放送衛星三号の一部を所有し、ハイビジョン衛星放送を行う放送事業者利用させる事業を進めていきたいと考えており、この実現措置として通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしましたので、よろしくお願い申し上げます。  さらに、放送衛星三号に続く次世代放送衛星に必要な高度衛星放送技術確立と、通信及び側位を一体的に行う移動体衛星通信に必要な技術確立を目指す放送及び通信複合型衛星研究等を行ってまいりたいと考えております。  ところで、我が国が、今日の繁栄を確保し、相互に依存している国際社会に適切に対応していくためには、諸外国との相互理解を深め、協力協調関係を構築していくことが重要であります。  このため、電気通信分野においても、米国、EC諸国等先進各国との二国間定期政策協議を初め、国際電気通信連合等各種国際会議への積極的な参加を通じて、標準化など国際協調を図るとともに、国際社会への貢献を果たしてまいる所存であります。  また、先進諸国においては急速な高度情報化が進展している一方で、多くの開発途上国では基本的な電気通信サービスすら十分に受けられないという状況にあることから、世界のトップレベル電気通信技術を持つ我が国としては、その技術を生かして、開発途上国電気通信整備に積極的に協力してまいる所存であります。  次に、電気通信事業についてでありますが、第一種及び第二種電気通信事業の各分野において活発な新規参入が行われるとともに、電気通信端末機器市場もいよいよ活況を呈するなど、電気通信制度改革の実が徐々に上がり始めたと考えているところであります。  しかしながら、新規参入事業者サービス提供はいまだ部分的であり、早期に実質的な意味での競争状態が創出され、改革の成果がさらに広く利用者に還元されるよう、十分な配慮が必要であると考えます。  引き続き、新規参入事業者支援ネットワーク化の円滑な推進電気通信システム安全性信頼性確保等々活力ある電気通信市場形成のための環境整備を図りつつ、適切な法の運用に当たってまいる所存であります。  いわゆる電気通信事業法の見直し問題につきましては、関係各位の御意見、御要望十分耳を傾け、利用者利益向上電気通信事業全体の健全な発展という観点から、必要な措置について検討してまいる所存であります。  また、電波利用に対する急激な需要の増大に適切に対応するため、地域における電波利用基盤整備簡易陸上移動無線電話テレターミナルシステム等の新システム開発実用化周波数資源開発等推進するなど、電波有効利用策を講じてまいる所存であり、電波利用秩序の維持に努め、さらに、新しい問題である不要電波問題につきましても、鋭意検討を進めてまいる所存であります。  次に、放送行政について申し上げます。  放送は、即時に、広範囲に、かつ、経済的に情報伝達ができる代表的なマスメディアとして、国民日常生活に不可欠な役割を果たし、大きな影響力を有するものであります。  今後、進展する高度情報社会においても、放送は、情報伝達基幹的役割を果たしていくものであり、その健全な発達と最大限の普及が重要な課題であると考えます。  近年の急速な技術革新により、衛星放送多重放送都市型CATVハイビジョン等放送ニューメディア実用に供されつつあり、これと相まって、国民放送に対する需要多様化しております。  このため、技術革新国民ニーズに即応した適切な放送行政推進してまいる所存であります。  その一端として、放送法制整備を図りたいと考えており、日本放送協会一般放送事業者併存体制を反映した法構成とすること、メディア特性に応じた放送番組規律とすること、有料放送に関する制度整備すること等を内容とする放送法及び電波法の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしましたので、よろしくお願いいたします。  また、国際放送につきましては、その重要性にかんがみ、充実強化に取り組んでおりますが、本年度末には、かねてから進めていた国内送信所整備が完了し、来年度からは北米向け中継放送をカナダとの相互交換中継により行うことといたしております。  以上、所管業務について、所信一端を申し述べましたが、その裏づけとなります郵政省所管会計昭和六十三年度予算案について、御説明申し上げます。  まず、一般会計でありますが、歳出予定額は、二百四十八億円で、前年度当初予算額に対し、三億円の増加となっております。この歳出予定額には、電気通信フロンティア技術研究開発放送及び通信複合型衛星研究など、多様化する情報社会増加の著しい通信需要に対応した施策のほか、国際放送充実を含む放送行政、活力ある地域社会情報化推進等に必要な経費を計上しております。  次に、郵政事業特別会計でありますが、歳入、歳出とも予定額は、五兆五千百七十二億円で、前年度当初予算額に対し、三千七百九十億円の増加となっております。  この歳出予定額におきましては、重要施策としております郵便需要拡大郵便ネットワークの拡充に必要な経費を初め、金融自由化長寿社会への郵便貯金積極的対応に必要な経費長寿社会に向けての簡易保険郵便年金改善充実に必要な経費郵便局舎等施設整備及び事業運営効率化のための機械化推進に必要な経費、その他所要人件費等を計上しております。  以上が、予算案の概略であります。  委員各位におかれましては、郵政省所管業務の円滑な運営のために、一層の御支援を賜りますよう切にお願い申し上げる次第であります。  ありがとうございました。(拍手)
  6. 塚原俊平

    塚原委員長 これにて郵政大臣所信表明は終わりました。     ─────────────
  7. 塚原俊平

    塚原委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  逓信行政に関する件調査のため、本日、参考人出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 塚原俊平

    塚原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 塚原俊平

    塚原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  10. 塚原俊平

    塚原委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。園田博之君。
  11. 園田博之

    園田委員 今大臣所信をお聞きいたしましたけれども、郵便事業貯金、簡保、放送電波それから電気通信、すべての分野にわたって環境が、私は期待が大変高度化するというか多様化するといいますか、あらゆる分野にわたって逓信行政にかかる期待というのは大きくなると思います。特に私は、内政上の最大の課題は何といっても東京一点集中主義を排除して、そして国土の均衡ある発展を実現するところにある、こう思っておるわけです。このために中央官庁地方分散やらあるいは交通基盤整備するやら、いろいろな意見が出ておるわけですが、私はそれと同じぐらいに、国土の均衡ある発展を実現するためには逓信行政にかかる期待は大変大きい、こういうふうに思っておりますので、そういった観点から私は幾つか御質問を申し上げたいというふうに思っております。  まず郵便事業についてでございますが、事業経営が六、七年前は大変悪かった。たしか五十五年度末で二千五百億の累積赤字が出ておったというふうに聞いております。それが六十一年度末で十五億にまで減少という御報告を聞いております。私は、郵便事業を取り巻く環境、特に電話サービスあるいはファクシミリだとか電気通信メディアが大変発達しておりますし、また一方では民間での宅配サービスといいますか大変きめ細かな事業がされておりますので、決して事業経営を取り巻く環境がよくなっているとは思えないわけです。そういう中で、少なくともここ五、六年ですか、値上げせずに大変な改善がされておるということについては私は敬意を表したいと思っております。別に値上げしろと言っておるわけではございませんのでお間違えのないようにしていただきたいのですが、ただ、こういう環境の中でどういうふうに改善されたのか、また最近のこの事業経営状況というのはどういうふうになっているのか、その辺を初めにお聞きをしたいと思っております。
  12. 田代功

    田代政府委員 ここ数年の郵便事業の推移を御説明申し上げますと、郵便利用増加状況ですが、昭和五十年代平均して二、三%の伸びしかなかった郵便が、昭和六十年に入りまして四%の伸び、六十一年度六%、最近の十カ月をとりますと八%ずつ前年に比べてふえております。特に小包につきましては五十八年ごろにどん底まで落ちましたが、その後徐々に回復いたしまして、昨年の四月以降をとりますと前年度に比べて二〇%の伸びと、ほぼ民間の大手に匹敵するほどの伸びを示すまでに至りました。  その結果、収支の状況も、収入面で見ましても六十年から大体四%ないし五%ずつ前年に比べて伸びております。この物価の安定の時期でありますので、この四、五%の収入伸びが続きますと、かつて二千五百億ありました赤字も徐々に減ってまいりまして、先ほどお話しのとおり残り十五億まで至った、こういうことでございます。  現況は以上でございます。
  13. 園田博之

    園田委員 大変結構だと思うわけですが、これからも経営改善努力をしていただくと同時に、やはり郵便というのは少なくとも公共性が非常に高いものでございますから、全国あまねく公平にあらなければならないし、またどんな山間僻地に対してでもサービスを十分に提供していただかなければならない、そういった意味大変公共性の高い事業でございますので、そういった点でも、今後ともそういう存在意義というものをよく認識された上で取り組んでいただきたい、こういうふうに考えております。  次に、郵便貯金に関してでございます。郵便貯金につきましては、御案内のとおり本年の四月から非課税制度が改定をされます。また、一方では金融自由化も進んでおりますし、これまた厳しい経営環境にあろうかと思うわけです。しかし、この郵便貯金といいますか、少なくとも地方におきまして郵便局役割というのは大変広いものでありますし、地方に住まわれる方々の郵便局に対する期待というものは幅広いものを求めておるわけですね。そういう環境の中で、特に金融機関としての機能あるいは地域振興への貢献度という意味での今後の対応、一方では確かに非課税制度が廃止をされたわけですが、限度額はアップになりましたし、また国債を販売するということも新たに追加された、それだけではまだまだ、郵便局に対する期待といいますか、特に田舎の方ですが、地方に行けば行くほどいろいろなものをもっと期待されるのではなかろうかと私は思うのです。そういった意味を含めて、今後、郵便貯金に関してどんな考え方を持っておられるのか、その辺をお聞きしたいと思います。
  14. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 郵便貯金事業は、百十余年の長きにわたりまして、あまねく公平に個人金融サービスを提供することによりまして預金者の生活の安定あるいは公的資金の供給という面で大きな役割を果たしてきたと思うわけでありますが、先生御指摘のとおり今後金融の自由化は時代の趨勢で避けることができませんし、ますますこの流れは大きくなってまいると思うわけであります。そういう金融自由化が進んでまいりますと、どうしても金融機関間の競争がますます激化してまいりますし、収益性、営利を重視する民間の金融機関としましても、全国にあまねく公平なサービスができるかというとなかなか難しい面もあろうかと思います。金融自由化に伴ういわば陰の面もあるわけでございまして、そういう状況を考えますと、郵便貯金事業としましても、お客様の多様化するニーズ、貯蓄の手段に対する要望あるいは送金決済に対する御要望に十分こたえていくと同時に、また二十一世紀を考えてみた場合、我が国社会資本整備といったような面でもまだまだ欠ける面がございます。そういう意味で、郵便貯金事業に課せられた使命というものはますます重大になってくると私どもは考えておるわけでございます。  そうした意味から、今後とも国民多様化するニーズに的確に対応していろいろの商品開発あるいはサービス改善に努めながら、預金者の御期待に十分こたえていくように努力をしてまいりたいと考えております。
  15. 園田博之

    園田委員 ぜひ本当に積極的に、しかもなるべく早くいろいろな知恵を出し合って考えていただきたいというふうに思っております。  次に、国際放送についてお聞きしたいと思っておりますが、これはまずぜひ大臣にお伺いしたいのです。大臣は、郵政省として国際放送の持つ意義といいますか、こういうものについてどのように認識しておられるのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
  16. 中山正暉

    中山国務大臣 お答えを申し上げます。  私もこの間NHKの国際放送の現場を見せていただいてまいりました。今二十一の言語で放送をいたしておるようでございますけれども、私も短波放送を聞く趣味を持っておりまして、このごろは余り聞いておりませんが、朝七時のBBCの日本語放送なんというのは大変貴重な情報を流してくれるわけで、その中で、かつて東欧の政治的な変動がありました際に、英国は百五十カ国語の言語専門家によってその情報を収集しておる、アングラ放送まで聞いておるということを一度聞いたことがあります。世界の生産力の一二%を占めるまでになりました日本の経済から見ますと、まだまだ小さいのではないだろうか。  昨年ガボンにアンテナを立てまして、地域的には少し広がったようには思いますけれども、世界の平和に貢献をするためにも情報の交換——私は就任に際しましても、情報とは情に報いると書いて情報という、これは森鴎外が情報という漢字を当てたそうでございますが、その意味を我々はかみしめながら日本の状況、それからこれは相互性でございますので、日本の状況をお知らせすることによって相手国の情報も我々に入ってくるような、そんな対応をいたしてまいりたいと思っております。  園田先生のお父上は外務大臣もしておられましたので、私も外務委員会に長いことおりまして大変御指導をいただきましたが、御令息のこれからのそういう意味での御支援期待をいたしまして御答弁といたします。
  17. 園田博之

    園田委員 私は今までも国際放送がいろいろな努力をしてきたようにとってきたわけですが、どちらかというと、今までの歴史を見てみますと海外の在留邦人ですか、こういう方々に対して情報を提供するということの方があるいは大事だったのかという気がします。しかし、少なくとも今や近年の貿易摩擦の渦の中に我が国が巻き込まれておるわけですが、国際的な相互依存関係が大変深まってきている。こういう中で我が国我が国としてよその国々にどうやってこの実情を理解させていくのか。実情が理解されないために起きている摩擦というのも当然起きているわけですから、実情を理解させなければいかぬ。そういった意味でこの国際放送の持つ意義というのは大変深くなっていると思うのですね。そういった意味での大臣の御回答もいただいたと思っております。  さて、そのような重要な国際放送が、放送時間あるいは中継局、いろいろな面でほかの先進諸国に比べて大変な隔たりがあるわけでありまして、たしか放送時間はアメリカの十分の一ぐらいだったと思いますが、それくらいのものでしかないわけであります。そういった現状をこれからどうやって改善しようとしておられるのか、その方針などについてお聞かせをいただきたいと思います。
  18. 成川富彦

    ○成川政府委員 まず現状でございますが、先生お話しのように諸外国に比べまして時間数も大変短く、使用している言語も二十一言語ということで、現在のところは一日延べ四十時間という放送時間で実施しているところでございます。  送信所につきましても、八俣送信所と海外中継局で実施しているわけでございますが、先生方の大変な御支援によりまして、おかげさまで八俣の送信所の整備が、五十九年度から四カ年計画でやってまいりましたけれども今年度で終わる予定でございます。これを使いまして充実した放送が新年度から期待できるのではないかというふうに思っております。  また、カナダとの間でございますが、一昨年実施しまして以来実施してきているわけでありますが、従来借用によっておりました施設を、今度は北米向け中継放送相互交換中継方式によって新年度から実施する予定にしております。  放送時間につきましても、来年度につきましては四十時間を四十三時間ということで、わずかでございますが時間数をふやすというようなことで、その改善充実努力しているところでございます。  それから、国際放送の交付金でございますが、これにつきましても、私どもの一般会計予算は大変厳しい状況にあるわけでございますが、その中で、来年度につきましては一千四百万円増の十四億五千四百万円を予算案に計上させていただいているところでございます。  さらに、南西アジアとか中米地域等につきましてはまだ受信状況が決して良好と言えるような状況ではございません。したがいまして、海外中継局を確保すべく現在調査検討しているところでございまして、今後とも国際放送充実強化には努めてまいらなければならぬというふうに考えているところでございます。
  19. 園田博之

    園田委員 確かにいろいろ改善努力をしておられるわけですが、この国際放送に関しては、やはり五年後、十年後というわけにはいかないと思うのですね。急速度に発展をさせていかなければならぬ。今それだけの必要性があるわけでありますから、ひとつ早くいろいろなことが実現できるように、これは大変お金もかかると思うのですね。確かに予算も幾らか伸びておりますが、やはり急激にふやしていかなければこういう対応ができないのかなという気もいたしますので、そういった意味で本当にもっとより積極的に、せっぱ詰まったぐらいの気持ちで国際放送についてはぜひ取り組んでいただきたいと思っております。  続いて、電気通信事業についてお伺いをしたいと思います。  何といいましても、電気通信事業は大変な技術革新が急速度に進んでおりますし、また通信メディアが大変多様化需要高度化をしておる。こういう背景の中でこの事業を進めなければならぬわけですから、大変なことであるわけであります。  三年前には電電改革三法と言われる改革が実行されました。そして、ここで競争の原理を導入をし、多様でしかも安く電気通信サービスを提供するという目的でスタートをしておるわけであります。事実、民営になりましたNTTは経営の効率化推進されておりますし、事業部も多角化されましたし、また一部料金値下げなどもありました。  そういった意味では目的に沿った努力の成果が見えるのだろうと思うのですが、一方、競争の原理ということで、新規参入企業が、数の上では結構の事業者が参入をしていると思うのです。第一種で二十八社ですか、特別第二種が十七社、一般の二種が四百五十二社、相当数の参入があったと思います。それから、電話サービスも去年の九月でしたか、開始がされておるようでございます。  さて、新規参入事業者の、まだ事業開始して日が浅いので大変難しいかと思うのですが、事業の現況、恐らく決算もほとんど進んでいないでしょうし、フルに一年間稼働していないので具体的な数字を定量的に回答しろというのは無理かもしれませんが、ここらあたりをできれば数字を示していただきたい。もしできなければ、大ざっぱでも結構ですが、新規参入事業者の各分野での大体の状況をちょっとお知らせいただければと思います。
  20. 奥山雄材

    ○奥山(雄)政府委員 ただいま園田先生から御指摘がございましたような趣旨で六十年四月から電電三法が施行されまして、一言で申し上げますと、今日時点で新規参入状況は、市場は非常に活性化して新しい事業者が相次いでいるということが数字の上では申し上げられようかと思います。  その現況でございますが、実は昨日、また大臣から第一種電気通信事業者に許可状が交付されまして、きょう現在では第一種電気通信事業者は既に三十三社に上っております。そのうち事業を開始しておりますのが十九社でございますけれども、その半分以上は地域に密着いたしましたポケットベルサービスでございまして、国民生活あるいは社会経済活動に一番大きな影響を与えるいわゆる新電電三社、あるいは東京エリア、近畿エリア等を基盤といたしました専用線あるいは電話サービスを行うものはまだ五社でございます。諏訪レークシティ・ケーブルビジョンを入れてやっと六社という状況でございますので、その意味ではまだ実際のサービスインの状況は非常に寂しい限りでございます。  今御質問にございました経営の動向でございますけれども、何分電話サービスにつきましては昨年の九月四日から新電電三社が東京—名古屋—大阪でサービスを開始したばかりでございますので、まだ半期の実績もございません。したがって経営データとして私ども把握するに至っておりませんが、既に先発しておりますこれらの会社の専用線サービスを含めての六十二年度の中間決算でいいますと、新電電三社は、多少でこぼこはありますけれども、収入は一社平均で九億円程度でございます。一方、支出の方は逆にその五倍以上の四十七億円ということでございますので、まだまだ経営の基盤としては大変脆弱であるということが一言で申し上げられる結論でございます。  また、第二種電気通信事業者の方は、既に特別二種、一般二種合わせて五百社以上に上っておりますけれども、これまた三分の二以上が現在赤字に苦しんでおる状況でございますし、また、どうやら経営が成り立っているところも他の事業と抱き合わせで経営をやっていることでつじつまを合わせているというような状況でございます。総じて、一種、二種ともまだ発足後非常に日が浅いので、現在の経営の状況は非常に不安定であるということでございます。  なお、その他の状況についての御指摘もございましたが、その他の自動車電話あるいは国際通信、衛星通信等は、早いところでことしの末、あるいは遅いところで来年にかけて逐次サービスを開始する予定になっております。
  21. 園田博之

    園田委員 参入して大変日が浅いということもあるのでしょうが、とにかく特に第一種の分野などにおきましては、民営になったといいましてもNTTの場合にはあらかじめサービスを提供でき得る基盤というものが既にでき上がっておるわけですから、確かに新規参入があって市場が活性化したけれども、その恩恵はNTTが受けてしまうというようなこともやはり一方で起きているのじゃなかろうかと思うのです。一方では、新規参入者が事業参入はしてみたものの大変な壁にぶつかって、私は、これから来年、再来年ということになっても、そういう事業者の方々にとって事業経営の見通しが本当についていくのかどうかという心配すらするぐらいで、これは今後重要な課題になろうかと思います。  そこで大臣にお聞きをしたいわけですが、新規参入者がこれから有効な競争状態を確保していく、これは大変困難な状況だろうと思います。そこで、これは当初電気通信事業法制定のときの趣旨からしまして、やはりその趣旨にのっとっていかなければならぬ、そういう意味郵政省として今後どのように新規参入者に対して取り組み、あるいは政策的な支援をしていくのか、この辺のことについて大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  22. 中山正暉

    中山国務大臣 まことに適切な御質問をいただいて感謝の意を表したいと思いますが、六十年四月に電気通信事業制度改革いたしまして、NTT、KDDに独占をされておりましたものを自由化するということで、これから高度なネットワークを建設することに努めていただいて、国民利用者に低廉で良質な電気通信サービス利用し得るようにしていただこうということも考えております。何せ事業報告を見ましても五兆七千億の売り上げという日本一の会社でございます。後から新規参入の企業の方々、いかにこれが両々相まって日本の電気通信事業に貢献をしていただくかということは大きな課題でございます。  例えば先般NTTの三百二十キロ以上の料金値下げの申請がございましたときに、私は真藤社長にも、前を走っている巨大な車に例えまして、余り急ブレーキをかけていただくと後ろの車が追突をいたしますので、車間距離は前を走るあなたの方がバックミラーを見ながら調整をしていただきたい、こういうようなことを申しました次第で、特に離島間の料金の値下げ、特に沖縄に特別の配慮をしていただきたいということもお願いしまして、これは四百円が三十円になるという大変な沖縄に対する配慮をお願いしたわけでございますが、その中でも、これから特にNTTという国民の資産の上に築かれた大きなネットワーク、これは尊重していかなければなりませんので、新規参入と既存のNTT、KDDの協調の上に日本の電気通信発展を期したい、その方向でこれから努力してまいりたいと存じます。
  23. 園田博之

    園田委員 特に一番最初に申し上げましたように、電気通信の果たす役割が多極分散化に大変重要な意味を持つわけでございますから、その中で新規参入者を何とかして支援をして、競争によってどの地域でも、遠くにいればいるほどその恩恵が受けられるというか、そういう状態をつくっていただくためにもよろしくお願いをしたいと思っております。  特に新規参入者の問題で、電話サービス分野で九月から始まっていろいろな問題点を私もお聞きをしておるわけですが、その中の重要な問題の一つに交換機の問題があろうかと思います。いわゆるIDというのですか、利用者識別信号の問題ですね。いわゆる新規参入者のサービスを受けられない人がいる、これは大変多いというふうに聞いております。そのかぎがこのID問題であるというふうに聞いておるわけですが、これは技術的な問題ですから早急に解決しなければいけないと思いますが、この辺の状況はどうなっておりましょうか。
  24. 奥山雄材

    ○奥山(雄)政府委員 新規参入者が十全のサービスを提供するためには、全面的に市内網とNTTの交換機に依存をせざるを得ないという宿命を負っているところでございます。その接続の段階で出てまいりましたものが、ただいま園田先生御指摘のいわゆるID問題でございまして、利用者識別信号の送出装置でございます。NTTの交換機の中には依然として旧式のものがかなり多うございまして、ID送出機能がついていない、そのためにせっかく新電電三社が東京—名古屋—大阪間を営業エリアとしてサービスを開始したものの、新電電の安い料金サービスを受けられないというような状態が大きな社会問題となったところでございます。この問題は、新電電三社、新規参入者とNTTとの有効で公正な競争を確保する見地から、これは両事業者サイドにとっても解決すべき非常に大きな課題でございますし、私ども行政としても、電気通信事業法の精神にのっとって最大の行政課題と思っております。  そこで、新電電三社とNTTとの間で精力的に話し合いが行われまして、ID機能の強化拡充ということで精力的に前倒しの作業が行われております。大変問題になりました会館の五〇八の電話も二、三カ月後にはこの問題が解決するかと思いますが、いずれにいたしましても、現在IDの機能のない交換機にID送出機能を付加する作業をNTTとしても今精力的に取り運んでおります。ただし、NTTの交換機にID機能が付加されたといたしましても、申し込みがオーバーしてそのキャパシティーを超えた場合にはまた同じように使えないという問題が起きますので、最終的にはこの問題は交換機のディジタル化ということで解決する以外には手がないところでございます。そうした見地から、私ども行政も入りましてNTT、NCCと、今後NTTの交換機のディジタル化に向けて早急にこれを解決するように取り運んでいるところでございます。  なお、東京—名古屋—大阪間でID送出機能がない交換機が五四%ございましたが、今後、ただいま先生御指摘になりましたようにこの新電電三社の営業エリアが延びて山陽道から北九州、それから上越あるいは仙台に延びた場合には、このID送出機能がない交換機、ノーIDと言っておりますが、ノーID交換機の比率は六三%並びに七三%とさらにはね上がることになりますので、これは私どもの当面の最大の課題として、また御指摘になりましたように地域振興のためにも、早急な解決に努力をしてまいりたいと思います。
  25. 園田博之

    園田委員 時間がなくなりましたが、このほかに電話を中心として情報通信基盤整備など、地方振興のために要求される事柄が非常に多くあります。その情報基盤整備のための民活だとかいろいろな案が出されておりますが、ぜひ民活に対しましても、やはり郵政が先頭に立って、地方振興を実現していただくためにも今後ともよろしくお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  26. 塚原俊平

  27. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ただいま大臣から所管業務に対する所信を伺いました。郵便、為替貯金、保険・年金を初め電気通信行政放送行政等、今日極めて順調に運営をされておる、そういうお考えのようですし、私もその点では全く大臣と認識を同じゅうするものでございます。  ただ、今日順調に運営をされておるということと、先ほどもお話がありました、これらの事業が置かれておる環境は極めて厳しいものがあるということは、おのずから別のものだと思うのです。むしろ、極めて厳しい環境の中で、労使が一体になってこの苦境を切り抜けようとして一生懸命頑張っておる、その成果が今ここに生まれておる、したがって、事業を守るためにはこれはずっと持続して大切にしていかなければならないものだ、私はそういう感じを持つのですが、そういう点での大臣のお考えはどうでしょうか。
  28. 中山正暉

    中山国務大臣 私は郵政大臣に昨年十一月六日就任をいたしまして、現場を随分見せていただきました。年賀はがきのときにも東京の中央郵便局に行きましたり、それからまた、省内いろいろ回らせていただきましたが、皆さん大変協調的なムードがあると思います。特に、大きな累積赤字を出してついに民間の企業となりました国鉄というものの惨状を目の当たりにしていらっしゃる方々が、伝統の明治四年以来の郵政事業を守っていかなければならないという、現場の方々の意欲というものを私痛切に感じております。  これは労使の関係というのは、世の中にはどうしようもない対決というものが七つある、戦争と平和とか生と死とか美と醜とかいろいろあるようでございますが、使う者と使われる者の対立というのは、日本の政治体制の中で、資本主義に徹したわけでもない、社会主義に徹したわけでもない、ちょうどいい体制経済学みたいなものを生み出してまいったように私は思います。その辺、雇い主が国民であるという認識を持っていただいて、大いにひとつ労使協調して、働く人の気持ちというものを私は大いに参酌をする立場でこれから対応をしていかなければなりませんし、労働組合の方々も、いろいろないわゆる金融問題に関しましても、民業と官業との問題に関しましても、郵政事業を守るために土曜日の昼からでもビラ配りをしようではないかとか、そんな大変協力的な言葉をかけていただいておりますので、そういう線で組合の方々とも、私就任以来まだわずかでございますが、しばしば接触をさせていただいておりまして、大いに、協調の路線をとりながら国家国民のために、社会のために貢献をしたい、かような考えで先生の御指導を今後ともお願いをいたしたいと思います。
  29. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 全く大臣と同感でございます。  そこで、一つ提案があるのでございますが、御承知のように、郵便の三事業の中で例えば貯金あるいは保険等は業績が上がればそれなりに報いられるところがございます、これは大臣御承知だと思いますが。ところが、郵便事業は本当に今血のにじむほどみんなが一生懸命頑張っておるけれども、業績が上がっても報いられるところが非常に少ないわけです。具体的に言えば、例えば、年度末の手当で業績が非常によければ業績手当というようなものを郵便の関係の人たちには少しふやしてあげるとか、そういうようなことをひとつ考えてみていただけませんか。
  30. 白井太

    白井(太)政府委員 お答えを申し上げます。  私どもの給与制度につきましては、国会で御審議をいただきました予算によって運用をされておるところでございまして、先生すべて御案内のことでございますけれども、給与総額というのが予算上決められております。ただ、予算総則の中で、業績が向上したりしたときには弾力的な扱いができるという仕組みになっております。そうした制度の中でできる限りのことをいたしたいというふうに考えております。
  31. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでいいんです。法律を無視してまでやれというんじゃありませんが、弾力条項もあることですし、業績手当という制度もあるわけでございますから、せっかく頑張っておられる郵便関係の職員の皆さんについては温かい配慮をひとつお願いしたい、そういう意味でございます。  それでは、次に参ります。  実は、昭和六十年の四月一日以降、お話がありましたように日本電信電話公社が民営に移行して、いわゆるNTTに変わったわけでございますが、このときに労使間の調停等を行うために労働関係調整法の附則を改正いたしました。本来、労働関係調整法というのは、労働組合法、労働基準法と相まって労働三法と呼ばれる極めて重要な法律であり、したがって郵便や電信電話の事業もこの労調法の適用を受ける。ただ、公労法がありますから、抜けている部分はありますが、NTTの場合にはもとに返って労調法の適用を受くることになった。そこで、附則の三条を設けまして、いわゆる二重規制、電信電話の業務に携わる人たちはこれだけの規制をさらに受けますよという内容法律をつくって、さらに附則の四条では、これは酷だ、したがって三年間様子を見た上で、三年後にはひとつこれを見直しましょうということになったいきさつがございます。  ところで、私はそれを調べたいので、ここにある郵政行政六法という本をひもときまして、関係法令のところを一生懸命調べてみたのですが、どういうものかこの法令には、その労働関係調整法の附則、日本電信電話株式会社の職員労使関係の紛争を調停する項が全然載っていないんです。しかも、明らかに郵政大臣官房文書課が監修しておるこの本に載ってない。これは一体どういうことなのか。これは関係の方でいい。ちょっと説明してください。
  32. 森本哲夫

    ○森本政府委員 お答え申し上げます。  私ども、日常仕事をやります際には、ハンディなお示しのようなたぐいの六法を幾つか用意をして日常仕事をするわけでございますが、お示しの郵政行政六法と申しますのは、郵政事業あるいは電気通信行政の基本になる法律を収録いたしまして対処しようとしておるものでございます。  これは全体で三百十六件ばかりの法律、政令その他省令等を含めておりますが、大変多岐にわたるものをできるだけコンパクトに収録いたしたい、こういうことで、原則として附則の部分は施行月日を書いた一条程度にとどめて、残念ながら割愛しておるという状況にございます。しかし、別途に用意をいたしております法律のための六法にはその他のところは収録したものもございます。しかし、残念ながらそのお手持ちの六法にはその部分は欠落しておることは、御指摘のとおりでございます。
  33. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それは労調法という非常に郵政省にとっても重要な法律で、しかも電気通信事業のNTTの職員労使関係を調停しようというので改めてつくった附則なんですよ。これは本条とかわらないですね。それを、附則は外してありますとかなんか、これはもうはっきり間違えましたというのが本当じゃないですか。その証拠に同じ郵政省が監修をした情報通信六法にはちゃんと載っておるのです、これが。どういう監修をしたのかということになるのです。これはあと余り議論はしませんけれども、手落ちだったことは認めておきなさい。どうです。
  34. 森本哲夫

    ○森本政府委員 ただいま申し上げた趣旨で機械的に落としたということは、これは否めないようでございますので、今後附則のありようについてはよく検討してまいりたいと思います。
  35. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、実はNTTに移行する前の昭和五十九年の十二月に、法律第八十七号をもって今私が申し上げました労働関係調整法附則三条を設けて、さらにその次に四条で見直し規定を設けてありますが、これらの関係について、もう三年になります。どういうふうに労働省としては法律の改正をなさるおつもりなのか、手続等のあれがありましたら、現況も含めてお知らせを願いたいと思います。
  36. 白井晋太郎

    白井(晋)政府委員 お答えいたします。  今先生御指摘の労調法附則第三条の特例調停制度につきましては、「施行の日から三年後に、その施行後の諸事情の変化を勘案して、見直しを行うものとする。」とされております。労働省では、四月から見直しを行うべく現在準備を着々と進めておるところでございまして、この見直しに当たりましては、国会審議の状況や民営化後のNTTの労使関係その他実情を踏まえまして、検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
  37. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは解釈としては、いわゆる法施行の日から三年後に見直しを行うものとする、その見直しの内容は施行後の事情を勘案をして、そして見直すのだ、だからまず三年後に見直しをすることは間違いないわけでしょう。そうすると、三年後はもうこの四月一日から三年後になるわけですから、その時点で三年後、一年だけは期間があると言わざるを得ぬでしょうね。ことしの四月一日から来年の三月三十一日までは三年後のうちに入るのでしょう。しかし、経過から考えればなるべく早く見直しをすべきものだというふうに考えますが、大体時期はいつごろやりたいというふうに、関係の向きもありましょうから御協議は要ると思いますが、なるべく早くしてもらいたい。そこで、どの付近を目途に御努力願えましょうか。
  38. 白井晋太郎

    白井(晋)政府委員 お答えいたします。  法律そのもので申しますと、先ほど申し上げましたように四月から検討するということになるわけでございますが、先生を初めいろいろと組合その他御要望もございまして、できるだけ速やかに結論を得るべく努力してまいりたいというふうに考えております。
  39. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この件について見直しがなるべく早く行われる方がいいと私は思うのですが、監督官庁の郵政関係並びにNTTがお見えならばどういうお考えか承りたいと思います。
  40. 奥山雄材

    ○奥山(雄)政府委員 ただいま労働省の方から御答弁がございましたように、労働関係調整法を所管しておりますのは、国家行政組織の中におきましては労働省でございますので、まず第一義的には労働省の御判断を仰ぐのが至当だと思いますので、労働省の御判断を仰いだ上で、私どもはまた政府部内で必要な御相談があるものというふうに考えております。
  41. 朝原雅邦

    ○朝原参考人 お答えします。  NTTといたしましては、長年にわたりまして労使関係の安定ということでいろいろ努力してまいりましたし、最近は非常に自主的な責任ある労使関係になっておろうかと思います。片や電気通信設備というのは非常に自動化が進んでおります。したがいまして、影響というのは非常に少なくなっておる。もう一つは、我々労使の間でこういう事態が起きた場合に、基本的な通信設備というのは確保できるという労使の協定も結んでおります。したがいまして、こういう附則が廃止されましても、事業運営上は十分NTTとしては対処できる、かように考えております。
  42. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、内閣全体の責任もあるわけですし、またとりわけ、申し上げましたような経過で、郵政省は監督官庁としてこの問題をなるべく速やかに処理できるように扱ってもらいたい。  そこで、先ほど申し上げましたように、この法の施行後の事情を勘案してとある、どう勘案するのかということが次の問題になるわけですね。当時の国会の経過、私どもも実はこの条文の作成にはかかわったわけなんです。私の頭の中にあるのは、三年後には見直しをするのだ、これはもう間違いなくそうやるのだということがあるわけです。ところで、「施行後」の「後」というのはかなり引っかかってきまして、「後」だから四月一日以降でいいのだというふうなお考えがかなり強いようですが、これは争ってもしようがないと思うのですが、「後」というのはいつかということになってくると、四月一日も「後」ではないか、来年の三月三十一日も三年後のうちに入るのだ、こういうふうないろいろな理屈が出てくると思うのです。  まず第一点目、勘案する内容、これについては当時中曽根総理がこうお答えになっておるのですよ。  御指摘の労調法附則第三条につきましては、電気通信事業において新会社が果たす役割、特にその公共性あるいは国民の利便の程度の問題、あるいは労使関係の安定性、将来にわたっての安定性、あるいは国民世論の動向、こういうような問題をよく見定めることを前提に、見直しの際には廃止する方向で検討してみたいと思っております。 附則三条は廃止する方向で見直したいのだ、こういうふうに総理はお答えになっておる。今私がNTTの方にお伺いしたのは、もしこれを廃止したら支障があるかどうかということも聞きたかったのでお伺いしてみましたが、事業運営上、国民に迷惑を及ぼすようなことはもはやない、こうNTTの当局の方でもおっしゃっておられます。そうすれば、総理答弁のとおり三条廃止の方向で見直すことは間違いありませんか。これは労働省のお考えです。
  43. 白井晋太郎

    白井(晋)政府委員 見直しの方向としましては今御指摘の方向で見直してまいりたいというふうに思っております。
  44. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは、そういう経過があることを踏まえて、なるべくこの国会で法案の提案ができるようにお骨折りを願いたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
  45. 白井晋太郎

    白井(晋)政府委員 お答えいたします。  諸般のいろいろな、関係官庁その他、先ほど先生いろいろ御指摘の総理答弁にもございましたような状況等を十分ヒアリングその他をいたしまして、相談しながらできるだけ速やかにやってまいりたいと思っておりますが、時期については、ここで確約するのはちょっとどうかと思います。
  46. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 小沢官房副長官、わざわざ御出席をいただきましたのは、一つには、官房として総理のおっしゃったこの委員会での御意見をずっと承継していただけるか、二点目は、なるべく早い時期にこの法の改正をすべきものだ、そういうふうに理解をいただいて御協力が願えるかどうか、ひとつお考えを承りたいと思います。
  47. 小沢一郎

    ○小沢政府委員 まず第一点でございますが、見直しの際には廃止の方向で検討する、こういう基本的方針は竹下内閣におきましても変わらないものであると思います。  それから第二点の時期につきましては、今労政局長からもお話がありましたけれども、先生の御指摘も十分念頭に置きまして、今後とも政府部内あるいはその他の関係者との調整をできる限り精いっぱいいたしたいと考えております。
  48. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 せっかくのお骨折りを特に期待をいたしまして、官房副長官、それからNTT並びに労働省の皆さん、お帰りいただいて結構でございます。  続いて、簡易保険の問題についてちょっとお伺いしておきたいのですけれども、新聞の報道によりますと、簡易保険民間集金人の皆さんが、所得税の申告を怠っておったために、東京国税局に税務調査をされまして過去五年分の所得について追徴課税をされた、対象となったのは首都圏七十一局、八百二十九人に及び、三億六千万円が追徴された、こういうふうに新聞が報じているのですが、その内容について御承知ならば承りたいと思います。
  49. 伊藤博行

    伊藤(博)政府委員 お答え申し上げます。  簡易保険の集金人の方々の手数料収入につきまして、今お話がございましたように、東京国税局が昭和六十二年の六月から十二月までに行いました調査あるいは指導の状況を申し上げますと、是正いたしました件数は八百二十九件、申告漏れ所得は三十五億六千二百万円、追徴本税額は三億二千五百万円、一件当たりでは、申告漏れ所得は四百三十万円、追徴本税額は三十九万円となっております。
  50. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この件について集金を委託をした、これは法律上必ずしも郵政省が直ちに委託ということにはならないと思うのですけれども、実質的には郵政省から委託を受けたというふうに集金人の皆さんはお考えのようでございますが、郵政当局としてはどの程度把握しておられますか。
  51. 相良兼助

    ○相良政府委員 簡易保険の保険料の集金につきましては、私どもの郵便局職員みずからが集金をいたす場合、あるいは振替口座を使いまして納入をしていただく場合、そのほかに、払込団体をつくりまして、これは一団体当たり最低十五件以上の保険契約があるということが条件になっておりますけれども、この団体におきまして一括して保険料を取りまとめて郵便局に払い込んでいただくという団体払込制度もあるわけでございます。  この団体払込制度が、現在全体で契約件数が二千万件、全体の保有契約件数の三五%に達しておりまして、全国にこの払込団体が二十七万団体現在ございます。そういうこともありまして、この概略について申し上げますと、二十七万団体のうち、七割については、この集金がボランティアと申しますか報酬を受けないで集金が行われておるということでありまして、残りの三割が、対価を得て集金を実施されておられるということでございます。  今回の事件は、この払込団体の中におけるところの団体から委託を受けられまして集金をされておられる方の一部において、ただいま国税庁当局の方からお話があったような事例が生じた、このように理解をいたしておるわけでございます。
  52. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私も若干事業内容は知っていますから、これは件数としては極めてわずかなものだと思うのです。しかし、郵便局から集金を委託されて、その人たちが申告を怠って、郵便局に相談に行ったら相談に乗ってくれなかったとか、郵便局に対するイメージが非常にダウンをする心配があるわけです。  この新聞報道の集金人の皆さん、特に、申告漏れで税金を追徴された集金人の皆さんがどういうことを言っておるかということを参考までに郵政省に申し上げておきますが、これは昨年六月二十五日のサンケイ新聞でございますが、報道された内容をここで大体まとめてみますと、横浜南という局名が出ていますけれども、要するに郵便局に関係する人たちは、それぞれの立場で、税金は申告しなくてもいいのだと、こう教えてくれた、こういうあれがあるのです。私も、常識で考えて恐らく課税対象になるような膨大な集金をする人は少ないだろうし、また同時に、アルバイトだから税金はないだろう、こう思いがちだったからつい言ったのではないかと思うのです。しかし、集金人の人たちの言葉をかりると、郵便局の方で、それはアルバイトだから皆さん申告せぬでもいいですよ、こういうふうに言った、こういうことが一つあります。それから、税務署の方から税務調査が来たときに、郵便局が真剣になって世話をしてくれなかった、全くほうり出して世話をしてくれなかったという不満が非常に強いようでございます。  そういう点で、郵便局はこういう点について集金人の皆さんからそういうお話があったときにどういうふうに対応してきたのか、もしお調べになっておれば少し知らせておいてもらいたいと思います。
  53. 相良兼助

    ○相良政府委員 御指摘の一部の新聞におきまして昨年六月報道をされましたので、私どもといたしましても大変びっくりいたしまして、その後、同様の報道が一部において行われましたので、関係の局等についても極力わかることについては調査をいたしたわけでございます。しかしながら、その中におきましては具体的事実ということで確認をすることが今日までできておりません。  この問題に関しましては、手数料の仕組みが、団体の方に手数料も含めまして七%の割引をいたし、郵便局には表定保険料の九三%を納めていただくという形で、七%の割引の額につきましては団体内部において自由にお決めいただくという建前をとっておりますし、また、システムもそういうふうな形でやっておるものでございますから、調査ということにつきましても団体内部のことが非常に多いわけでありまして、私どもとしても、よくわからない点が率直に申し上げてあるわけでございます。  事が税制でございまして、私ども郵政省の方に税制に関して指導する権限がございませんし、基本的に申し上げますと、納税という点はやはり個人の問題ということにも相なろうかと思いますので、郵便局において何らかの対応をというお申し出がありましても、現実としてなかなかそれに沿い得なかった、このように思うわけでございます。
  54. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体私が知っておる限りでは、簡易保険加入者協会というのがありまして、ここが郵便局と何か契約を結んで、団体を組成して、集金の皆さんについてはこの加入者協会が雇用契約を結んで処理をしておるというのが大宗だと私は思っておったのですけれども、集金人の皆さんのお話を聞きますと、郵便局から勧められて、郵便局職員の皆さんにアルバイトをしませんか、集金人になりませんか、こう勧められてやったのだ、こういう言い分になっておるのですが、そういうのもあるのですか。雇用契約を結ばずに、しかも団体の代表との間での契約ではなくて、郵便局が直接勧める、そういうやり方があるのですか。
  55. 相良兼助

    ○相良政府委員 先生御高承のとおり、この団体につきましては昭和四十年代に幾つかの問題点が指摘をされておりまして、団体性等につきましてもその後適正化を図ってまいっておるということがございますが、団体をつくるに当たりまして、加入者皆様方にも有利な点を郵便局の方としてお勧めをするということはあるわけでございまして、そういう最初の段階におきまして、郵便局の方で勧奨したりあるいはあっせんをしたりということは往々にしてあることでございます。  ただ、雇用ということにつきましては、これは今申し上げましたようにあらかじめ七%分の割引、そして集金を依頼するということでございますので、その集金をなされる方は団体の中においての関係ということになるわけでありまして、その集金をなされるに当たった官庁として、あるいは郵便局の方で御紹介申し上げるというようなことがあったかもしれませんが、形としてはそのように雇用ということには相なり得ないものということでございます。  また、加入者協会についてお話がございましたが、この加入者協会は、現在受け持ち契約件数と申しますか、集金をいたしております件数は四百万件でございまして、ここにおきましては雇用契約ではございませんで、やはり一人一人の集金人、約四千人おりますけれども、委託の契約ということにしておりまして、必要な者につきまして、所得税法上の規定により源泉徴収を行ったり、あるいは支払い調書を提出したりということをやっておるわけでございます。
  56. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、集金委託は請負の契約だからということで、国税局の方ではいわゆる事業所得とみなして、五年分さかのぼって税金を取る、こういうお話があったというのですが、そういう方向になっておるわけですか。
  57. 伊藤博行

    伊藤(博)政府委員 課税関係につきましては個々のケースケースによっていろいろ違ってまいります。  無申告の場合には、おっしゃるように五年の遡及をするケースもございますし、それからあらかじめ申告がございまして足りない場合には、申告額に不足があるという場合には原則三年、それから特に問題がある場合には七年というふうに法律的にはなっておりますが、それぞれの方のシチュエーションによってケースはいろいろ異なっておろうかと思います。
  58. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、私が郵政省の方にもお願いしたいのは、そういうふうにケースがばらばらになって、いわゆる税務当局の認定によって三年もあれば五年もあれば七年もあり得る、こういうことになるのですが、それではちょっとお気の毒な気がしますので、同じ政府部内の問題ですから、何か郵政省との間で話し合って統一をされて税金を取られれば、これは徴税は当然のことだと思うのですよ、徴税というのは当然のことだが、ばらばらになるということが、またその納税者にとっては非常に不満であろうし、不愉快であろうと思うのです。  したがって、ケースはほとんど同じだと思うので、率直に言って、郵便局職員から勧められてアルバイトのつもりで始めた、税金は要らぬと言われた、ところが税金は取られることになったという不満が先に出ておるわけですから、できるならばなるべく統一をして、その場合は三年なら三年ですよという話し合いがつかないものか。それは悪質なものまでどうこうせよというのではないのですよ。しかし、一般論としてそういうことができないものだろうか、こういうふうに思うのです。  この問題につきまして、こういう新聞記事があるのでびっくりしておるのですけれども、そういう集金人の皆さんがある団体を通じて税務署と交渉をすると二年分で済んだとか、あるいは五年分のところを三年分にまけてくれたとか、よって皆さん、いらはいいらはい、私がお世話をしましょうというような団体があるというのですが、そういう団体と交渉されたことはございますか。
  59. 伊藤博行

    伊藤(博)政府委員 お答え申し上げます。  税金の関係は、先生御案内のように所得のあるところにはそれに従った税ということで、これは今さら申し上げるまでもないことでございますが、お話しのようにある納税者が特定の団体に属するとかそういうようなことは、私どもとしては一切勘案しておりません。それぞれの方の実情に即して、実質に即した課税をするということでやってきておりますし、今後ともそのようにやってまいりたいというふうに思っております。
  60. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 名誉のために新聞の名前までは申し上げませんが、権威あるとみずから任じておる新聞にそういうふうに報道されておるのです。ある団体を通じていけば五年分が三年分になったとか、二年分の申告で済んだとか、ついては皆さん集まってきなさいという呼びかけ状があるのですね。私の方の団体に皆さんいらっしゃいよ、そうすれば税金が安くなりますよというふうになっておるわけですが、そういう差別があっては許されない。この点は特にひとつ税務当局に十分御注意を申し上げて、そういうことがうそなら、この新聞を後でお貸ししますが、これはうそだというぐらいのことは抗議をされておいた方がいいのではないかという気がいたします。  そこで、今申し上げましたようにこの問題の処理でございますが、両者でひとつ話し合っていただいて、少なくともその集金の皆さんが郵便局簡易保険の集金をしたことについて不満とかいろいろな不快感を残さないように、できるだけ、経過としてはあったわけですから、もう少し——私は余り申し上げたくないのですが、大臣、実はひところ団体組成というのを簡易保険事業の大命題として推進したことがあるのですよ。そのときにかなり無理が出て、そこで僕は一回この委員会でそのことを追及したことがあるのです。余り団体組成を無理をさせると、必ずひずみが出てきますよということを言ったことがあるのですが、もう今さら繰り返しませんから、起きた問題ですが、私は件数としては全体の中の極めてわずかなものであるというふうに理解をしております。したがって、今後こういう問題が起こらないように、仮に加入者協会の方と委託契約をされる場合でも、加入者協会を通じて税金の問題については十分注意を喚起しておくとか、起こっておる問題については、先ほど申し上げましたように同じ政府の役所の中のことですから、余り差がつかないような取り扱いをしてもらう、こういうふうにお願いしたいのですが、大臣どうでしょうか。
  61. 中山正暉

    中山国務大臣 団体をつくるということで、以前に先見の明ある先生から御指摘をいただいておったことでこういうことが起こっております。特にどういう団体か、後で先生に見せていただきたいと思っておりますが、その団体からそういう働きかけがあるということで、特殊な団体に利用されるということも、これも困った問題でございますので、今後そういうことが起こりませんように、ひとつ私ども政府部内で協議をいたしたいと思っております。よろしくお願いします。
  62. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 団体の方もさることながら、今申し上げた政府の中で税務当局とお話し合いしていただいて差がつかないように、これは僕は悪意じゃないと思うから、悪意と明確に認められるものはしようがないですよ。しかし、そうでないものについてはなるべく同じような扱いができるようにお話し合いいただきたい。いいでしょうか。
  63. 中山正暉

    中山国務大臣 そのようにさせていただきたいと思います。
  64. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは、次の問題に移ります。  郵政省は、各事業改善に、さっき大臣所信で申されましたように、意欲的に取り組んで数多くの法律を今国会に提出するように準備も進められておるようでございますから、そういう関係法案が出る問題については法案審査の際にまた質問をさせてもらいます。  そこで、今回、郵便貯金に対する法案はないのです、為替、振替はありますが。郵便貯金について少しお伺いしておきたいのですけれども、まず第一点は、会計制度の改正によって、郵便貯金の金利の計算が、いわゆる現金主義から発生主義に変更をされることになっております。そうなりますと、経過利息が計上されてくることになりますから、計算上は恐らくかなりの赤字が計上されてくるのではないか。どのくらいの赤字がこの切りかえによって予想されるのか、それが貯金事業に与える影響があるかないか、あわせてひとつ。
  65. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 先生御案内のとおり、郵便貯金事業、これから自由化が進んでいきます情勢に的確に対応するためには、その財政的な基盤もはっきりさせた方がいいというようなことで、現在行っております現金主義にかえまして発生主義を導入しようということで、これまで準備をしてまいったわけでございます。  そして準備も整いましたので、六十三年度から発生主義による経理をいたしたいというふうに考えておるわけでございますが、その結果、六十三年度は定額貯金等の経過利子が多額に発生するとか、あるいは従来損金経理をしておりました営繕費を資産として経理をするといったような経理方法の変更に伴いまして、六十三年度は一時的に単年度二千六百八十八億円の損失を生じることとなっております。しかしながら、六十二年度末の累積で七千三百七十八億円の黒字が見込まれておりますので、六十三年度末ではなお四千六百九十億円の累積黒字を見込んでいるところでございます。  そういった意味で、今後とも郵便貯金事業の健全な経営が確保できるものというふうに考えております。
  66. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 昭和五十五年でしたか、記憶にまだ新しいのですが、いわゆる郵貯戦争というものがありまして、官業は民業の補完たるべきであるなどといろいろな意見が出てきました。ところが、国民の皆さんの志向は、どういうものか郵便貯金資金がシフトしてしまいまして、昭和五十五年ごろだったと私記憶しておるのですが、そうであれば昭和六十五年ごろは今の規定上、定額貯金の十年間がそのままいけばかなり集中的に期限の来るものがあるのではないか、これは一体どう対応されるおつもりか、新しい方法などお考えかどうかひとつ承りたいのです。
  67. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 先生御承知のとおり、昭和五十五年当時は大変金利の天井感が出まして、まだ当時は民間金融機関におきましても今日のような多様な、有利な金融商品開発がおくれておりまして、そういったいろいろな事情から確かに定額貯金が従来の伸び以上に預入された事実がございます。しかしながら、十年間預金ができると申しましても滞留期間はそれほどはございませんので、五十五年に預入された定額貯金がそっくり六十五年まで預入されているということにはならないわけでありますけれども、金利が高いということで従来以上の滞留があるものというふうに私ども考えております。  したがいまして、六十五年にいわば集中満期を迎えるということになるわけでございまして、その預金の再吸収がどうなるかということは事業経営上も大変私ども関心を持っているところでございまして、そういう意味では、今後とも郵便貯金が魅力ある商品であるように商品開発等につきましても努力をしていかなければならないと思っておりますし、またそういった積極的な勧奨もしてまいらなければならないというふうに思っておりますが、預金者皆様方に十分満足いただけるような努力を今後してまいりたいというふうに考えております。
  68. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 どういう商品をどうつくるのかなどとなると、これはあるいは企業秘密にかかわってくるかもわからないが、そういうことをいろいろと考えながら六十五年対策というものを手早くひとつ準備をしておかないと、かなりの数字になるだろうというふうに私は考えます。したがってその点は、六十五年のかなりの十年経過の預金が出る時期には、新しい商品で吸収できるというようなものをひとつあらかじめ考えておかなければならないのではないかと思いますので、どういう商品になるかまで言いません、そんなことを言ったらあるいは企業秘密などと言われると困りますから言いませんが、御検討願いたいと思います。  それから次に、いわゆる租税特別措置法の改正によって四月以降郵便貯金も課税の対象になるわけですが、これは預金者に与える影響が非常に大きい。金利が非常に下がった上に、またその金利に課税されるわけですから、郵便貯金から相当逃げていくのではないか。例えば、昭和五十五年の郵便貯金伸びは純増が六兆円台あったはずですよ。今純増が一兆円台でしょう。これがマイナスになっていくのじゃないかという気さえするのですが、このいわゆる四月以降の利子課税について、その対応、対策をどうお考えになっておるのか。
  69. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 郵便貯金非課税制度の改正が四月から行われるということは、確かに郵便貯金預金者にとりましても大変重大な関心事でございます。しかし、この利子課税制度の改正というものは単に預貯金ばかりじゃございませんで、いわゆる節税商品と称される一時払い養老等の金融商品等にも一律に中立的に働くように、資金シフトが起こらないような配慮で一律分離課税というものが実施をされるわけでございまして、確かに先生御指摘のように、五年前、十年前からするとその純増は五分の一以下になっているじゃないかという点もございますけれども、そういった傾向は、いわば五十五年以降ずっと続いてまいりました金利の低下状況あるいは最近一番金利が低いといったような状況とか、あるいは類似の金融商品、有利な金融商品も随分開発されたといったような状況、またお客様の方にも金利に対する敏感な姿勢が生まれてきているといったようなもろもろの状況から、確かに純増は減っているわけでございますが、預金者の行動というのは単に金利だけで動くものではございませんで、大変心理的な要素がございます。非常に安心できるとか便利なところに金融機関があるとかあるいは親切な応対が期待できるとか、そういったもろもろの条件によって預金先というものが決まっているわけでございまして、私ども最近の郵便貯金の預入、払いの傾向を見ておりましても、特に課税を意識してどこかにシフトしていっているといったような状況にあるというふうには判断をしておりません。  しかし、従来非課税というものがいわば郵便貯金の大看板であったわけでありますから、預金者の皆さんに不安や誤解がないように、私ども今一生懸命お知らせ活動を中心にしたセールスに取り組んでおりまして、今後とも不安のないよう努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  70. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 貯金局長、そうおっしゃいますが、国民の可処分所得がそう著しく低下したとは私は思わないのですよ。確かに、最近のいろいろな経済情勢から可処分所得は幾らか落ちているかもわからない。しかし、そんなに著しく可処分所得が落ちていないのに郵便貯金の純増が年々減っていくということは、やはりどこかにシフトしておるのだ。そうすると、利子が下がっただけでもそれだけの選択を行うのに、その安い利子にさらに税金がかかるとなれば、これは預金者にとってはゆゆしき問題であり、当然ほかの預金先を探してくるだろう。郵便貯金の性格上そんなに変わらないのだというふうなお考えは、大体四兆円から五兆円台の純増があった時期と比較してみると甘いのではないかという気がするのですが、大丈夫ですか、どうですか。
  71. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 確かに五年前の純増を見ますと五兆円を超えておりました。それが昨年の実績で申しますと純増は一兆一千億になっておりますし、今日の状況を見ましても一兆四千億台の純増でございまして、確かに三月末で一兆円前後といったようなことが予想されるわけでございますが、それはここ一、二年課税論議が高まった中で急速に落ちてきたというものばかりではございませんで、五十五年以降の金利低下の状況、そういう中で三兆円なり二兆円なりという純増の傾向でございます。したがいまして、金融資産がふえてまいりますと、どうしても確定利付の預貯金ばかりでなくして、有価証券の保有がふえるとかあるいは保険が伸びていくとかいったようなものが先進国の貯蓄の状況を見ても明らかでありますし、日本の国民の金融資産もそういう意味では相当ふえてまいりましたから、そういった環境の変化を受けて、郵貯も従来のような伸びは維持できないといった原因があるのだと思っております。  もちろん、課税に対する不安といいますか、できるだけ有利なものに運用したいといったような御希望もあることも私ども十分承知しておりますが、そういった預金者の御要望にこたえられるだけの商品開発なりサービスなりというものに今後努めてまいらなければならぬと考えております。
  72. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この問題はもう論争を避けましょう、いずれ実態としてあらわれてくるわけでございますから。  次に、同じ郵便貯金に絡んで、いわゆる四月一日以降の郵貯非課税問題と絡まって、言うところの貯金資金の一部自主運用が去年の六月からですか、認められたわけですが、その自主運用状況、現況を簡単に知らせてもらえませんか。
  73. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 先生方の御支援をいただきまして、私ども郵便貯金事業が今後の自由化に対応するためにはぜひとも有利な自主運用を始めさせていただかなくてはならないということで、昨年の六月から実施に移されたわけでありますが、六十三年一月末現在の運用額は一兆九千七百億円になっております。六十二年度に二兆円の運用資金があるわけですが、現在は一月末で見ますと一兆九千七百億。この大半は国債でございまして、国債の保有が一兆四百八十六億、五三%になっております。そのほか大きいものでは地方債とか、公庫、公団債が二千億弱ということでおのおの一〇%程度、その他外国債につきましては千四百億弱でございまして七%、銀行預金が三千二百三十八億、一六%、その他金融債、社債が数%という状況でございまして、運用の実績から申しましても預託金利を若干上回るという、今日非常に低金利時代でございましてそれほど格別有利な運用期待できないわけでありますが、私どもとすればまず健全な資産運用ができているものというふうに考えております。
  74. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 貯金事業にとって資産の運用がうまくいっているということはありがたいことですから、したがって、約束どおり年々ふえてこれは十五兆円までいくはずでございますが、さらにこの枠をふやせるようなすばらしい運用をやって、私は郵便貯金の三〇%ぐらいまでは自主運用をどんどんやれるように頑張ってもらいたいと思っております。  時間がなくなりましたからあと二、三点聞きますが、指定単、いわゆる単独運用指定金銭信託、これについて大体郵政省と大蔵省との間でお話し合いが進んでおるはずですが、その後の状況はどうなのか。もう一つ、大臣が先ほど所信の中でも述べられましたMMCへの参入の見通し、これは一体どうなのか。この二つ、郵政省と大蔵省、簡単に見通しを答えてください。
  75. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 指定単の問題につきましては、六十三年度予算要求で私ども要求をいたしまして、大蔵省との間で鋭意御協議をさせていただいたわけでありますが、結論的には今後引き続き両省間、関係省庁間において協議をしてまいろうということで、現在協議中でございます。我々としましても、できるだけ早期に実現できますよう今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、小口MMCの問題でございますが、先生御案内のとおり、MMCは既に昨年の十月から一千万まで預入単位が下がってまいりました。今後いつまでも大口預金者だけが自由金利の恩恵に浴するといったような状態が続くということは、社会的な公正を確保する面におきましても好ましい状況ではございません。できるだけ早い時期に小口預金者にも自由金利商品のメリットが還元できるようにしなければならないということで、私ども早期に、できればこの秋以降からでも郵便貯金にもMMCが実現できるようにということで、現在、鋭意協議をさせていただいているところでございます。
  76. 公文宏

    ○公文政府委員 指定単の問題、私からお答えさせていただきます。  今、貯金局長の方から御答弁があったことでございますけれども、指定単につきましては、これはもう先生御承知のように株式に資産運用ができる、しかも元本の補てん契約ができないというような問題がございまして、国が主体となる運用についてはちょっと問題があろうかというところが私どもの基本的な立場でございます。しかし、この運用対象を拡大することにつきましては郵政省の方でも非常に強い御要望をお持ちであることは承知しておりますので、それを踏まえまして今後鋭意協議を続けてまいりたいと思っております。
  77. 宮本英利

    ○宮本(英)政府委員 先生、ただいま銀行局長が大蔵委員会に呼ばれておりますので、私からの答弁をお許しいただきたいと思います。  先ほど御答弁がございましたように、郵政省とはこれまで、郵便貯金民間預金のトータルバランスの問題を初めといたしまして、小口預金金利自由化の進め方等について鋭意意見交換を行っておるというのが現状でございます。今後とも御指摘の問題につきまして、できるだけ早期にこの小口預金金利自由化の具体的展望が得られますようさらに協議してまいりたい、かように思っております。
  78. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 わかりました。これは前向きのようですから、両者で協議しながら進めていただきたいと思います。  それから、公務員給与の郵便貯金への預入が国家公務員の場合はできない、地方公務員の場合は地方自治体の首長が指定した金融機関であればできる、こういうふうになっておるようですが、できない理由はいろいろ伺いました。予決令であるとか会計法上の問題があるということを伺いましたが、しかしどうしても現行法でできないならば、何とかできるような方法を両者の間で協議をしていただきたい。  そう私が申しますのは、国の機関でありながら郵便局に国家公務員の給与の払い込みができないなんというのもちょっとおかしいし、若干古いが、昭和四十九年十月の公務員給与改定に当たって、こういう閣議決定があるのですよ。「給与支払事務の簡素合理化のため、給与の口座振込制の導入を図る。」というのが閣議決定になっておるのですよ。そうすれば、この辺でひとつ話し合って、国家公務員の給与についても郵便貯金への預入ができるような方法を講ずるときにもうなっておるのではないか。法制上予決令がどうだとかなんとかいう時代ではないのではないか。必要ならば予決令を変えるとか会計法を変えてもそういう措置をとるべきだろうと思うのですが、この辺、大蔵省の見解はどうですか。
  79. 宮本英利

    ○宮本(英)政府委員 ただいまの御指摘の給与振り込みの問題は、国庫金の大量にしてかつ非常に定期的な振替送金業務ということでございますので、やはり国庫金取扱機関でございます日本銀行並びにこの日本銀行の代理店でございます民間金融機関のネットワークというものを使用して処理することが非常に効率的であるというふうに現在考えられておるというふうなこと、さらには郵便貯金は本来少額の貯蓄手段でございますがゆえに、送金決済機能はその前提とされていないというふうなこと、まあこういうふうなことから現行の取り扱いが行われているというふうに認識をしておるわけでございますが、現在のこの取り扱いを御指摘のように変更するとなれば、やはり、まず例えば官業と民業との関係、種々そういった点について慎重な検討がなされることがその前提であるというふうに考える次第でございます。
  80. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 きょうは論争はしませんが、その閣議決定では、地方自治体については給与払い込みをやるように指導しているのですよ。地方自治体を指導しておるのです。にもかかわらず、国の方は予決令がどうだとか会計法がどうだとかいって国家公務員の給与を国の機関である郵便貯金に払い込むことを禁止するというのは、常識的におかしいです。ここはひとつ話し合いをして、ぜひ進めてみてください。  時間がなくなりました。最後に大臣、もう一つ提案があるのです。  今国民の間で郵便貯金に対して一番望んでいるのは、老後の生活をどうサイクルをつくっていくかということなんです。そうすると、今度改まっても五百万が最高なんです、郵便貯金は。もちろん課税の問題はありますが、まず課税の問題を抜きにしても、シルバー貯金という制度をつくって、安全なといいますか安心のできる郵便局に退職金がある程度預けられる、無制限にいくとこれはまた民間からいろいろ出ると思うのですが、大体退職金に見合う額あるいはその半額といいましょうか、そういうようなものは郵便貯金の五百万の枠の外にシルバー貯金としてできる。それに対する課税が、利子課税が二〇%でいいのか一〇%に下げた方がいいのか、その辺はまた政策として考える問題であろうと思いますけれども、要するに今の五百万以上の貯金郵便局にシルバー貯金の場合にはできる、こういう制度をぜひ検討してもらいたいのです。国民はこれを非常に期待しておりますが、どうでしょう。
  81. 塚原俊平

    塚原委員長 阿部君の前段について大蔵政務次官答弁されますか。
  82. 佐藤栄佐久

    佐藤(栄)政府委員 特にございません。
  83. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 これから日本の社会を考えた場合に、長寿社会において本当に国民が豊かな暮らしができるためにどうすべきかというのは大きな問題でございまして、政府におきましても長寿社会大綱を策定をしていろいろと対策に努力をしておるところでございます。  その政策大綱の中でも、自助努力による金融資産の増加のためにいろいろと検討すべきであるといったような提言もございますし、また各金融機関においても、この長寿社会を迎えるためにいろいろな商品開発に取り組んでいるところでございます。私どもも、そういった政府の立場、あるいは各金融機関等の動向等もにらみながら、本当に国民利用できますシルバープラン貯金といったようなものが実現できるように、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
  84. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、どうですか。
  85. 中山正暉

    中山国務大臣 大変ありがたい郵政省に対する御配慮の御提言をいただきまして、感謝を申し上げたいと思います。  この間の予算要求の場合でも、シルバープラン貯金のことで一千万円という要求をいたしましたのですが、これが入れられるところでございませんでしたので、私ども、今すっと耳に入ってきます阿部先生の快い御提言にこれからひとつ鋭意努力をしてまいることをお誓いしたいと思います。
  86. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは、残余の質問は関係法案の審査の際に譲りまして、本日はこれで質問を終わります。どうも御苦労さまでした。
  87. 塚原俊平

  88. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 まず最初に、私は電気通信事業法の関係について質問をさせていただきます。  電気通信事業法附則第二条でございますが、法文ではこういう表現になっております。「政府は、この法律の施行の日から三年以内に、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」やる場合には三年以内にやらなければいけないということでございますし、法律の施行状況についてまず検討を加えまして、その検討を加えた結果に基づいて必要な措置を講ずるんだ、法文を読みましてそのように私は解釈をするわけですが、こういう解釈で気合いが合うのかどうか、まずお伺いしたいと思います。
  89. 奥山雄材

    ○奥山(雄)政府委員 ただいま御指摘ございましたように、電気通信事業法附則二条につきましては、「検討」という見出しで条文が置かれております。内容につきましてはお読み上げいただきましたので省略させていただきますが、法文を読みますと三つのパートから構成されております。まず、検討の期限は三年以内であるということ、それから検討するのは施行の状況であるということ、最後に、その結果に基づいて必要な措置を講ずるという、この三段階で構成されております。  「三年以内」ということは、当然のことでございますが物理的に本年の三月になります。「施行の状況について検討を加え、」ということは、この法律が出てまいりました淵源でございます臨調並びにそれを受けました行政改革推進審議会の答申に基づいて法律が目指した理念が実現しているかどうかということ、具体的に一、二申し上げますと、NTTと新規参入事業者との実質的な競争状態がどのように実現しているかいないかということ、あるいは料金の引き下げ等国民へのメリット還元がどのように実現しているかいないかといったようなこと、あるいは法律審議の際に大変御議論いただきましたNTTの経営の効率化、スリム化がどの程度実現が図られたかといったようなこと等々を検討するべしという立法趣旨であろうということでございます。「その結果に基づいて必要な措置を講ずる」ということは、今申し上げましたようなことを着眼点といたしまして虚心坦懐、誠実に検討を加えまして、その結果、法律と実態とを勘案した場合に、今後、電気通信事業の健全な発展の見地からさらに検討すべき余地があり問題があり、措置すべき事項があればその措置を講じなさいという指示だと受けとめております。
  90. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 今見解を伺ったわけですが、郵政省としてはこの施行状況の検討を加えるに当たりまして今日までどのような対応をされてこられたのか、そのあたりについて少し見解をいただきたいと思います。
  91. 奥山雄材

    ○奥山(雄)政府委員 附則二条に基づく検討の期限が三年以内でございますので、当然のことながらこの三月が到来することはかねて予見されておりました。そこで、私どもは既に昨年の秋の段階からこの三月を見通しまして法律の附則二条に基づく検討を開始いたしました。  まず、やはり行政の透明性を確保する見地から、幅広く内外の関係者の方々の御意見を率直に聞く必要があるであろうということで、電気通信事業者あるいはその団体、あるいはユーザー団体、経済団体、さらにはアメリカ並びにヨーロッパの団体等も含めて文書並びに口頭によるヒアリングを行いました。それらの御意見を集約いたしました上で、本年の一月十八日に電気通信審議会にお諮りをいたしまして、この講ずべき措置について諮問をいたしたところでございます。現在、審議会におきましてその審議が行われておりますので、私どもといたしましてはその検討結果を待った上で結論を出したいというふうに考えております。
  92. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 審議会の答申というのはいつごろになるんでしょうか。
  93. 奥山雄材

    ○奥山(雄)政府委員 ただいま申し上げましたように一月十八日に諮問いたしまして、審議会ではさらに掘り下げた多角的な検討をする見地からこれを部会におろされる、部会では専門委員の方々も参画をいただきまして、たび重なる会合を行っていただいております。法律の附則二条に基づく期限が三月でございますので、三月中には審議会の御答申をいただきたいと思っておりますが、現時点で予定されております次回の審議会、三月の審議会は三月十八日でございます。
  94. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そうしますと、三月中には答申がいただけるだろう、次の審議会の日程は三月十八日、こういうふうに理解していいのですか、それでいいのでしょうか。
  95. 奥山雄材

    ○奥山(雄)政府委員 次の審議会の総会が三月十八日でございますので、これに向けて御意見を集約して、答申としていただけるように今御努力をいただいているところでございます。
  96. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 三月十八日が次の審議会の日程ですから、そのときには答申をいただけるように郵政省としても期待をしている、このように理解をさせていただいていいわけですね。いいのですね。
  97. 奥山雄材

    ○奥山(雄)政府委員 審議会のマターでございますし、大変幅広い見地から掘り下げた検討を行っていただいておりますので、私の方から三月十八日には答申がいただけるということを確約申し上げるわけにはまいりませんけれども、審議会の先生方もこのあたりを目途に今精力的な作業をしていただいております。
  98. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そうしますと、郵政省としては、答申が出まして、その答申を踏まえた上で郵政省の見直しに対する態度を明らかにされる、こういうことだと思うのですが、その態度を明らかにされるのはいつごろになりますか。
  99. 奥山雄材

    ○奥山(雄)政府委員 答申を得ました後、郵政省としてこれを省の意見、見解としてまとめまして、これは速やかに明らかにしたいというふうに考えております。今この時点で何日にということまで申し上げるには至っておりません。
  100. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 かなり幅のある御答弁ですので、理解を誤ってはいけませんからお聞きをするのですが、三月十八日に答申が出されれば、それを受けて郵政省としては速やかに見直しに対する態度を表明される、決定される、このように理解をした場合には、三月いっぱいまでに態度表明が明らかになる、常識的にそう考えられると思うのですが、三月十八日に審議会の答申が出ない場合、さらにずれ込むと思うのです。三月中に審議会が開かれるのかどうかは私はわかりませんからこういう聞き方になるのですが、三月下旬、ぎりぎりの段階で審議会の答申が出たとしますと、それを受けて郵政省が見直しの態度を明らかにされるのは、もう月、年度を越しまして四月に入らざるを得ないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、そういう理解でよろしいのでございますか。
  101. 奥山雄材

    ○奥山(雄)政府委員 今は三月十八日を目途に精力的に作業をしていただいておりますので、それ以降のことは考えておりませんが、法律で三年以内と書いてございますので、この法律から逸脱することのないように、これは私どもとしてはどのような方途を講じても結論を出したいと考えております。
  102. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 附則二条でいきますと三月いっぱいまでに、こういうことになっておりますから、それまでに郵政省としては見直しに対する態度表明を明らかにできるように最大限努力をしたい、このようにお考えだ、そう理解をさせていただいてよろしゅうございますか。
  103. 奥山雄材

    ○奥山(雄)政府委員 法律は「必要な措置を講ずるものとする。」ということでございますので、その講じられる措置の実施につきましては、何か出てきた結論に基づく措置につきましては、三月中に実現するものばかりとは限らないということは当然のことでございますが、いずれにいたしましても、検討結果の結論は私どもとしては三月中に出したいと思っております。
  104. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そうしますと、法改正ということになった場合には、これは法案提出期限との関係では特段問題は起きないわけでしょうか。
  105. 奥山雄材

    ○奥山(雄)政府委員 政府部内の申し合わせによりまして、予算関連以外の法案の提出期限は一応三月十一日でございますか、三月の中旬になっているかと思います。法案提出期限がこれ以上延びる場合には、政府部内では一定の手続がございまして、その所定の手続を講ずる場合にはさらにこれを延ばすことができるわけでございます。昨年御提案申し上げました電気通信事業法の一部改正、つまり国際VANの実現のための措置は、たしか五月の初旬か四月の下旬までずれ込んだかと思います。したがって事務的な手続としてはそういうことは可能でございますということを申し上げております。
  106. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 いずれにしても、法案提出期限というのは三月十一日までと決まっていますけれども、それ以降に法案提出ということになってもそれは可能である、こういう御答弁であったと思います。  それは法改正の場合でございまして、そうではない場合、例えば行政措置でやる場合は関係ございませんから、その場合でも、例えば三月いっぱいに見直しの結論が出まして、さらに行政措置でもって対応する場合も速やかに対応する、こういう姿勢で臨まれるという点については、そのように理解をさせていただいてよろしゅうございますか。
  107. 奥山雄材

    ○奥山(雄)政府委員 講ずべき必要な措置が何であるかは現時点ではまだはっきりいたしておりませんが、それらの措置すべてにつきまして、三月中に講ずべき措置について省の考え方を明らかにいたしまして、逐次その内容に応じて実現を図ってまいりたいというふうに考えます。
  108. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 今日時点、郵政省の見直しに対する考え方はどのようにお持ちでしょうか。ちょっと聞かせてください。
  109. 奥山雄材

    ○奥山(雄)政府委員 現在、電気通信審議会におきまして審議をしていただいております。政府の立場といたしましては、その御答申を待って結論を出したいと思っておりますので、今日時点での講ずべき措置内容についてはまだ申し上げる段階にないことを御理解賜りたいと思います。
  110. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 審議会に諮っている郵政省の立場からすれば、答申が出ていない時点で明らかにするというのは、今答弁がございましたような事情は私はわかります。しかし、これまで法律の施行状況がどういう状態なのかということは、郵政省がそれこそ中心になって把握をされ検討も加えられてきているわけですから、一定の見解は当然お持ちだろうと思っておりますし、もちろん審議会に諮るという立場はありますけれども、当該の行政官庁としてはやはりそれは必要だと私は思っているわけですが、そのことまでここで議論を進めようとは思いませんので、次に移りたいと思います。  今回の見直しに対して、経済同友会だとか公正取引委員会、さらに通産の関係で産業構造審議会ですか、関係団体、ユーザーさまざま含めまして見直しに対する見解が出されていると思うのですね。もちろん抽象的な見直しに対する見解というのもございますが、かなり具体的に切り込んだ意見提起をされているところもございます。  既に御承知のとおりだろうと思いますが、経済同友会なんかは、「料金のあまりにも厳格な規制は、成長かつ急速な市場にとってはダイナミックな資源配分を阻害する可能性が大きい。」次に書いておりますのが私は非常に具体的だと思うのですが、「料金算定基準などについては、通信公共性の確保という観点から今すぐ撤廃することはできないが、将来それが可能となる段階がくればこれを撤廃すること。」と、極めてこれは具体的に、断定的に見解を出しているわけです。  公正取引委員会は一月十二日に出されておりますが、ここでもかなり具体的であります。「電気通信役務を提供する場合、契約約款を定め認可を受けるという規制は、機動的な料金設定、新サービスの提供を妨げがちとなる側面がある。ある程度の規制が必要であるとしても、契約約款の認可制の必要性、効果、影響、その対象事業範囲の妥当性、競争に与える影響のより少ない方法はないか等検討し所要措置が講じられることが望ましい。」かなりこれは全般的に問題を把握していますし、提言というのは私たちも耳を傾けていきたい、こう考えているわけでございます。  さらに、産業構造審議会の小委員会の出しました二月十七日の見解表明なんですが、これはもっと具体的でございます。つまり、具体的な課題として指摘していますのは、電気通信事業法事業区分は設備規制と事業規制が不可分一体となっている、こういう問題点を取り上げて、ここが具体的な問題になっているから、見直すとするならばそのあたりをぜひとも見直してはどうかというような、これは新規参入の規制緩和という角度が強いかもしれませんが、いずれにしても見直しに対する具体的な見解を明らかにしているわけです。  こういうそれぞれの団体の見解に対して郵政省としてはどのように評価をされているのか、この点をお伺いしたいと思います。
  111. 奥山雄材

    ○奥山(雄)政府委員 事業法のいわゆる見直しにつきましては大変世の中の関心も深うございまして、各方面から公的にも私的にもさまざまな意見書等があるいは要望書等が提出され、あるいはマスコミ等に発表されたところでございまして、私どもは今先生がおっしゃいましたようなレポートも含めて全部つぶさに読ませていただきました。それぞれの団体等が学識経験者等を中心にまとめられたいろいろ含蓄のある御意見だろうというふうに私ども拝聴しておりますが、やはり私どもは、実際に事業法という法律の枠組みを三年前に当委員会で御審議いただきましておつくりいただきましたその上に乗って行政をやっているわけですから、その法の理念が実現しているかどうかという現実の行政、事実関係に即して、実態に即して判断すべきことが妥当であるという見解に立っております。  したがいまして、ただいまも若干御指摘ございましたが、個々の具体的な御提言につきましてこの場で一つ一つこれをあげつらうことは差し控えさせていただきたいと思います。むしろ事業法を所管しております郵政大臣の最高の諮問機関でございます電気通信審議会がそれらの意見十分耳に入れた上で最終的な結論を出していただけるだろうというふうに考えているところでございます。
  112. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 私はざっくりした立場でこの発言をさせていただきますが、審議会に今諮られていまして、審議をされております。近々に結論が出て郵政省の態度表明が行われると思うのですが、これまでの流れから感じますのは、今回は正直言って法改正という方法はとらないという流れじゃないですか、私はそういう理解をしておるのです。もし法改正というスタンスで対応されているというのですと、テンポそのものも合わないし、法改正ということは郵政省自体としてもそうお考えになっていないのじゃないか、このように思っておるのです。  そうなりますと、問題は今後に引き継がれていく、こう判断せざるを得ないと思うのですね。問題指摘というのは、これは郵政省側でも運営に当たってこられましてさまざま検討されております。今の関係諸団体からもそれぞれの立場で、運用面も含めてでしょうが、問題指摘もされているわけですからね。ところが、もう運営上非常に問題だというような事態が来たときには、当然法改正ということだって考えなければいかぬ、そういう時期はやってくると思うのですね。  この三年以内という今回の見直しの節を過ぎてしまいますと、次はNTT会社法見直しの二年先が一つの節になると思うのですが、それまではこの事業法の見直しのそういう作業というのですか手だてというのは一切講じないのか、問題が起こればその時点で郵政省としても事態をにらみながら法改正を必要の都度やっていこうという立場なのか、この点はどうお考えでございましょうか。
  113. 奥山雄材

    ○奥山(雄)政府委員 個別的措置の結論につきましては、たびたび繰り返させていただいて恐縮でございますが、審議会の答申が出るのを待って結論を出したいと思いますので差し控えさせていただきたいと思いますが、それはさておきまして、今後法改正を含めてどう扱うかという問題につきましては、法律あるいは制度といったものの適用状況につきましては、これはそれを所管する行政の立場からいたしますと、常時社会経済情勢の変化、動向等にらみ合わせながらこれを検討していくことは当然でございまして、実態と法の理念とが合わなくなったような場合にはそれに即して適切な措置を講ずべきであろうというふうに考えております。そのことは今後とも変わらない私どもの方針でございます。現に昨年は、三年後の見直しを待たないで、急速に国際VANの事態が進展してまいりましたので、二年目にして事業法の改正を提案させていただきまして成立させていただいたところでございます。同じような精神で今後とも臨みたいと思っております。
  114. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 見直しの関係は以上にさせていただきまして、次は、先ほど来議論がございますとおり、市場原理の導入、そのことによって競争というのがテレコム市場に日に日に活発化しているわけでございまして、これとの関係で公正競争条件ということが大変関係事業者の間でも今問題提起が多いわけでございます。この公正競争条件ということについて、これに関連をしながら私の考えていることを申し述べさせていただいて、郵政省の考え方は恐らく私はそう違わないと思っておるのですが、以下述べさせていただきたいと思うのです。  それで、事業法というのができました。これは第二臨調路線に従って、独占形態でございました電電公社から民間に移行するということになったわけでありまして、NTT事業そのものは会社法で規定されているわけですが、自由化しましたテレコム市場を事業法でもって規定をしていると思うのです。  その事業法のねらいとするところというのですか趣旨といいますのは、高度情報化社会というのが日に日に進展をしているわけでありまして、ユーザーにしてみればメディア高度化する中で要求も多様化をするわけでありますから、そういうニーズにこたえていけるような社会的インフラを構築していかなければいけない。しかもその目的というのは、ユーザーに対して安い料金でよいサービスを提供するということが非常に大きな眼目ではなかろうか、私は日ごろそう思っているわけでございます。  ですから、その目的を達成するために、参入業者、関係事業者といいますか、そういう事業者の公正な競争条件をどう確保していくかということが必要なのであろう、このように私は思うわけでございます。市場原理というのが十分に働くためには公正競争条件の確立がどうしても必要である。このことがすなわち安い料金とよいサービスの提供につながっていくものだ、私はそう思っているわけです。そういう公正競争条件を確保するために郵政省としてはどう行政指導を行うか、運営に当たるかということではないのかと私は思っているわけでございます。こういう考え方について郵政省が気合いが合うのかどうか、ちょっとお伺いしてみたいと思ったのです。
  115. 奥山雄材

    ○奥山(雄)政府委員 ただいま事業法の制定段階から大変御造詣の深い先生から、事業法並びに会社法の制定の趣旨並びに理念の御説明がございましたが、私どもも同様にとらえております。したがいまして、これまでもあるいは今後も、事業法の目指す公正なる競争を実現するために、行政としては、法律並びにそれに基づく政省令さらには必要な行政上の諸措置等をあわせまして、公正競争の基盤づくりに努力をしてまいりたいと考えております。
  116. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そういう考え方を基本に置きますと、巷間いろいろ議論がございますが、市場参入の成熟度をとらえて公正競争条件が十分だあるいは不十分だという議論がどうしても流れがちなんですが、私はそういう議論というのはむしろ逆立ちの議論じゃなかろうかと思っております。つまり、市場競争の成熟度を非常に重視してとらえるということになりますと、それでは何%のシェアを占めれば公正競争条件と見るのかというところにどうしても行き着いてしまいます。公正競争条件というのはむしろ一つの仕組みでございまして、シェアというのは、そういう一定の土俵の中で経営努力をなさって、その結果決まるのがシェアだと思っているわけでございます。ですから、市場の成熟度、市場競争の成熟度がイコール公正競争条件だと直結させて考えるというのは、むしろこれは何か議論としては逆立ちの議論じゃなかろうか、日々、私はそのように考えているわけでございます。  ですから、そういう公正競争条件というのは事業者の共通の土俵でございますから、それをどう確立するかということでありますから、そのことをベースに踏まえた上で、業者の皆さんが競争をするときに、市場の成熟度合いを勘案しながら、比較的強い立場にある事業者と比較的弱い立場に置かれている事業者との関係を見ながらどうコントロールしていくかということはあり得ると思うのです。それがまさに郵政省の立場ではなかろうかと私は思っているわけでございます。  ですから、どうしたってそのコントロールということ、指導ということになりますと、それはもちろん許認可ということにもかかってまいりますから、これは必要最小限のものにしなければいけないという思想、考え方がそこに座るんだろうと私は理解しているわけでございます。したがって、完全な、パーフェクトな公正競争条件というものが確立されるまではといいましょうか、それが実現されるまでのあくまでも暫定的な措置だ、このように考えることができるのじゃないか。ところが、完全な、パーフェクトな公正競争条件は何なのかといえば、人間の社会ですから、なかなかこれは言うはやすくて実際そういうものは難しいわけでございますから、やはりそこに行政の働いていただく分野というのがどうしたって生まれてくるのじゃなかろうか、このように私は考えているわけでございます。  そういう点から考えますと、公正競争条件の言うならば具体的な問題提起はこれまでございました。その一つは、NCCが市場に参入をなさることに伴ってNTTのID化の問題が当然提起をされます。それは解決をしなければいけません。ID化の促進が一日も早く図られないことには公正競争条件が確立できないということになります。これも公正競争条件の一つの問題だろうと思っております。二つ目の問題は、料金認可の範囲の問題でございます。これもさまざまな議論がございまして、要求も出ているわけでございます。三つ目の問題が端末機販売の問題でございます。これまで議論の中でさまざま問題になった点を挙げれば、私はこの三つが非常に問題提起としては多かったと考えているわけであります。  公正競争条件を確立するために、今日までの事業運営を通して、あるいは国会の議論を通して問題提起のございました私が指摘をさせていただいた三つの問題、当面具体的な三つの問題の解決を図っていくことは極めて重要であろうと私は思っているわけであります。そういう立場で問題解決を図らなければいけないし、また郵政省に対して図っていただきたいと思うわけですが、郵政省としてはどのようにお考えでございましょうか。
  117. 奥山雄材

    ○奥山(雄)政府委員 公正競争のとらえ方でございますが、確かに先生がおっしゃいましたように、量的に新規参入者のシェアが何%になったら公正競争かというようなことを一律に申し上げることは非常に難しいだろうと思います。  ただ、電気通信界について申し上げられる特有な事情といたしまして、今さら申し上げるまでもないことですが、明治以来百年にわたって、NTTが人的にも物的にも設備的にも技術的にも、加入者債券といったような国の強制力を持った法律で独占体制を築いてきて、つい最近まで一元的な運営しかなかったということでございます。それに対して新規参入を認めて、先ほど先生がおっしゃいましたようなより低廉で良質のサービスを提供するためには新規参入事業者を健全に育てなければいけないことも事実でございます。  そうした見地から、私は公正競争の基盤と先ほど申し上げたのですが、公正競争の基盤という意味で、NTTとイコールフッティングに立てるような税制上、財政上の措置等を初め、新規参入者ができるだけNTTと同じ条件の中で競争ができるように今後ともさまざまな施策を講じていく必要があるだろうと思っております。そうした幾つかの課題の中に、先ほど先生が御指摘になりましたIDの問題あるいは料金の問題についてもいろいろ御意見があるかもしれませんし、端末機についてもいろいろな方々が御意見を持っていらっしゃいますので、それらも私ども、今後こうした有効で公正な競争を確保する見地からの検討の大きな観点であろうととらえております。
  118. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 郵政省の考え方を聞きまして、私たちが常々考えていることとほぼ合っているわけでございまして、そういう立場で私たちも今後審議に臨んでいきたいと考えているわけでございます。  先ほども三点具体的な例として申し上げたのですが、その中の一つに料金認可の問題がございます。これは三年前の三法審議の際にも議論がございました。基本的な料金サービスについては、これはもう認可の対象になっているわけであります。その後開発をされました新たな料金サービス、これは基本料金サービスに類するものでなければ認可の対象から外れてしかるべきじゃないか、このように私たちは考えているわけですが、私の把握によりますとほとんどそれが認可の対象になっておりまして、外れていないわけであります。これはいかがなものかと私は思っております。  なぜかといいますと、やはり市場というのは活性化によって、民営化によってパイを拡大しなければいけない。一つのパイを食い合いをするということではやはりいけないわけでありますから、そのことが民営化の大きな趣旨でもあったと理解をしております。新たな商品開発というのはまさにパイの拡大を図るために開発してきたものでありまして、それが全部認可の対象に入っていくということでは、これは表現がきついかわかりませんが、角を矯めて牛を殺すなんてことになりがちだと思うのですね。ですからその点を実情をひとつ郵政省としても把握をいただいた上で、私が申し上げましたような新たな料金サービスについては認可の対象にしない、そういう措置を、これは法改正をやらなくても郵政省の言うならば行政措置として可能だと私は判断をいたしますので、そのように対処をいただければ、業界全体としても非常にこれからサービス拡大、新商品開発に積極的に取り組んでいくし、市場のパイの拡大にこれは大いにつながるのじゃなかろうか、このように考えるわけですが、どうでございましょう。
  119. 奥山雄材

    ○奥山(雄)政府委員 電気通信事業法が施行されました際に、ただいま御指摘がございましたように、今後のNTTを含む新規事業者が活力のある事業体として創意工夫できるような料金設定とするためにただいまの認可制がとられているというふうに私どもは理解をしております。つまり、それまでの公衆電気通信法下における役務の法定並びに使用料金の法定から、現在の役務は大きな区分だけを省令で定めて、料金につきましても主要なものは認可、ある一定の条件に該当するものは認可不要というような措置を講じたところでございます。利用範囲の限定されているものあるいは利用頻度の少ないものあるいは手数料的なもの、この三つの条件でございますが、そうしたものは既に認可不要になっております。  それでは、それらの条件に合わないものをなぜ認可にしているかと申し上げますと、これは先ほどの議論とも関連いたしますが、やはり依然として九九・九%以上のシェアでNTTが独占的な状況にある現在の状況にかんがみれば、利用者保護の見地から料金の認可制というものは現時点では必要であるというふうに私どもとしては考えております。
  120. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そういうことになりますと、複数の業者の中から類似商品が幾つか出てきた場合には、今は認可の対象にしていても、それは近い将来外していくべきである、こういう考え方に立つんだと思うのですが、そういう理解でいいのでしょうか。  私が申し上げておるのは、基本的な料金サービスは、これは郵便料金でも一緒ですよ。郵便料金は今法定事項になっていますね。しかし、これは競争という関係になれば、これからは政省令の範囲に扱いを非常に簡単なものにしていこうというふうに、世の中の流れが変わってきていると思うのですね。これは後刻法案として出るのでしょうが、あの郵便料金なんかでもこうだと思いますよ。値を下げるときに一々これを認可という扱いにしたとしましても、料金を下げるときにまでまたこれを認可の対象にして、下げるのがいいのか悪いのかというような議論は、私は市場の活性化をやる場合には余り必要がない、生産的じゃない、こう思っているわけです。しかも、料金が法定事項から認可に簡素化されるということは、市場そのものに民間企業も参入してきている、ですからこれはお互いに競争なんだし、市場の活性化を図っていこうという趣旨からそういう扱いに変えていくべきだし、変えられるのじゃなかろうか、私はそう理解しているわけですね。  ですから今回の料金も、たまたま現在はNTTがシェアとしては確保しているかわかりませんが、日に日に競争状態というのは成熟していくわけであります。そうするとNCC、新規参入業者の側も新たなサービス料金というのを必ず開発すると思うのですよ。そうしますと、見ていて同じような類似商品が出てきた場合には、一々それが認可の対象になりますと、お互いに競っていい商品を安く提供しようということにかえって不便を来すのじゃなかろうかという点で、認可の範囲も不便を来さないようになるべくフリーにやっていただけるように、それが独占価格にならないようにということで対応すべきではないのかというのが私の趣旨であります。  ですから、そういう立場で料金問題の認可を御判断いただきたいというふうな考え方に立ちますと、つまり新たなサービスというのは、これは私の偏見があるかわかりませんが、余り基本的なサービス料金に類似したものは少ないと思っているわけです。その点の見解がございましたら、そうでないものに限ってでもひとつ認可の対象から除いていくというような対応がいただけないものかどうか。これは市場の活性化を今後図っていく上において非常に重要なことである、私はこう思っているわけですが、大臣、どうでございましょう。その辺の基本的な考え方でございますが、後でまたお伺いしたいと思います。
  121. 奥山雄材

    ○奥山(雄)政府委員 料金の認可は、料金だけが単独で存在するわけではございませんで、当然のことながら電気通信事業公共性、公益性並びにその与える影響力の度合いの大きさから、他の公共事業、つまり電力とかガスとかあるいは鉄道とかと同列で認可制というものがとられているわけでございます。認可制の中で、市場の成熟状況といいましょうか、市場におけるNTTと他の新規参入者との競争状態を確保する見地から料金の認可の問題についても考えなければならないという、電気通信の場合には他の公共事業に加えてもう一つの要素がございますので、そうした二つの観点から、料金の認可制というものにつきましては現時点でこれを緩和するとか規制を撤廃するとかというようなことをまだ申し上げる段階にないということをひとつ御理解賜りたいと思います。
  122. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 今郵政省の置かれている立場というのは私は理解できなくもないのです。だから類似商品というのがこれから市場に出回ってきた段階では、今私が申し上げたような考え方と郵政省と余り違ってないものですから、それは行政措置になるのか、しかるべき措置をやっていくことは当然あり得る。しかし、今の段階で市場の成熟度合いというのですか、そういう点から見ますと、今言われても直ちにそのことにメスを入れるというのは明言はできない、しかし、近い将来そういう市場の状態になればこれは当然あり得るであろう。だからそういう意味では一つの暫定的な措置といいますか、公正競争条件とそれを確立するための言うならば行政指導の問題、行政運営の問題というのは最小限あり得べきだ、それがないことにはなかなか生々発展ができないという観点で私も申し上げましたが、そういう点から言いますと、今私が申し上げたように、今直ちにうんとは言えないけれども、市場の成熟度合いの中でその進展に応じて行政措置の範囲で問題の解決を図っていただける、このように理解をさせていただいてよろしゅうございますか。
  123. 奥山雄材

    ○奥山(雄)政府委員 認可制全般につきましては、これは先ほど来の繰り返しになりますけれども、電気通信事業の場合には、事業公共性、公益性というものは将来のネットワーク化社会を考えました場合にはますます重要になるのではないかというふうに考えておりますので、そうしたことを考えますと、他の公共事業と同様、認可制そのものの枠組みを崩すことは私どもとしては考えにくいのではないかと考えております。  そうした中で、事業者の創意工夫をさらに発揮させるために、競争がさらに進んだ場合には何か工夫する余地があるんではないかという点につきましては、これは利用者の保護と事業者の自主性の発揮という両者の兼ね合いの見地から見て、新規参入者の方にとってもあるいは利用者にとってもそのことがむしろいいんだという結論が出ましたならば、あるいは種類については現在でも既に外しているものがあるわけですから、そういうものが出てくるかもしれませんけれども、今の時点で個別具体的に何かさらに料金の認可を外すような対象を申し上げるようなものは、私どもとしてはまだ見出し得ていないということでございます。
  124. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 ここで個別具体的なことを見解を承るというような気持ちは私もございませんので、私も申し上げましたような考え方でございますし、郵政省もその考え方を全面的に否定なさるということではございませんから、つまり新規開発の中で検討いただいて、まあこれは認可にしなくていいだろうというものがあればそういうものはなるべく認可の対象から外して、大いにひとつ開発、競争しろやということで対応いただきたい、こういうことを言っておりますので、そういうフランクな気持ちでひとつ受けとめていただきたい、かように思いますが、どうですか。
  125. 奥山雄材

    ○奥山(雄)政府委員 やはりその際のメルクマールは、一言に言って利用者、ユーザーの利益保護でございますから、それが基本になりまして幾つかの条件、例えば先ほども申し上げました利用者の範囲が限定されているから影響が少ないだろうとかあるいは手数料的なものでこれは外してもいいだろうといったような、そうした幾つかの条件が成就されるものについて御指摘のような検討が今後行われることになろうかと思います。
  126. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 このことで余り時間をとってもいけませんので、次に移りたいと思います。いずれにしましても、事ほどさように、まだ三年ということでさまざま問題が出てくるわけでございます。  そこで、高度情報化社会といいますと、社会的インフラストラクチャーをどう形成するかということが大変関心を集めているわけですが、そういう時代にますますこれから急速に進んでいくわけでございまして、ディジタルネットワークの形成ということは避けて通れないし、そのことが言うなればなるべく早い段階で構築をされていかなければいけない、このように思っているわけでございます。もちろん社会的な責務としてそれをしょわなければいけないのは、これは歴史も持っております、既存のネットワークも全国ネットとして張りめぐらされていますNTTに課せられた役割でございますし、これからのディジタルネットワーク形成の中でもその中心的な役割を求められておりますし、果たしていかなければいけない、こういうことになろうと思います。  ところが、市場競争も一方では非常にこれから進展をすると思います。東名阪を中心にNCCの参入の度合いというのはますます進展を見せると思うのです。NCCが営業を行うエリアといいますのは、これはクリームスキミングですから、クリームスキミングでなければ商売は成り立たないわけであります。ということになると、その市場の参入度合い、成熟度合いが増すに従って、NTTが受けるダメージはそれと逆比例の格好で大きくなるのは当たり前でございます。私は、それが前提の民営化であったと極言をしてもはばからぬわけですが、そういう関係になると思うのです。  問題は、それをどのように調和をさせるか、我が国電気通信事業を誤りない方向にどのように指導いただくか、どのようにこれからつくり上げていくかという、その基本的なスタンスがそこに置かれないことには、市場の競争がこれから非常に発展をしてネットワークが入り乱れてくる、東名阪は特にそうだ、市内回線まで入り乱れてきたら、部分的には過剰設備じゃないか、これは非常に過剰投資じゃないかという部分だって見られると思います。そういうことを結果的に望んでいるわけじゃないと思うのです。特にディジタルというのは日本列島にきちっとした整合性のある、公共性が高いわけですから、そういうネットを敷かなければいかぬということになるんです。部分的にはクリームスキミングで打撃がだんだんとふえてくることになります。一方でNTTは公共性を個別法で規定されておりますから、不採算地域もやはりそのようにネットを維持し、さらに発展させていくということになりますと、公共的な使命をしょっているわけですが、これがおもりになってどうにも立ち行かぬというか、非常に重荷になるという場合に、これの担保は一体だれがするんだという場面が将来出てくるんじゃないか、私はこのことを非常に心配しております。  ですから、一方では公正競争条件を確立するために、大きいNTTはそういう援助の立場で対応しなければいかぬという、言うならば社会的な一つの置かれた条件をしょわされるわけですね。一方では公共的な使命もしょわなければいかぬ。この両方を並び立つようにやっていくということは相当難しいと思います。この公共的な使命を果たす、それの負担を一体だれがどのように担保をするのかということを私は常々考えているわけですが、そのことについて郵政省としてはどうお考えでございましょう。
  127. 奥山雄材

    ○奥山(雄)政府委員 今さら申し上げるまでもないことでございますが、NTTは百年の独占体制下、それも法律で保障された独占体制下で築かれました優秀な人材と物的設備と最高度の技術力をそっくりそのまま受け継いでおります。それに対しまして新電電各社、新規参入各社はいずれもゼロからの相当な設備投資をしょってのスタートになりますので、そうした意味で、NTTがこれまでに国の保障のもとで、むしろ国民の財産を蓄積した形で毛細血管のように張りめぐらせましたネットワークというものが存続する限り、やはりNTTの公共性というものは今後とも揺るがないところでございますし、先ほど不採算地域についての普及義務の御指摘がございましたけれども、これがNTTに対して国民期待の裏返しといいましょうか、国民期待するところでございますので、むしろNTTにとってそれはNTT法の目指す基本的なところ、観点であろうと思います。  先生が御心配になっておられますように、将来、不採算地域サービスを提供することがNTTの経営を危殆に瀕せしめるというようなことがかりそめにもあるとした場合には、その段階で、NTTの経営の効率化がどの程度行われているのかどうかということをまずつぶさに見る必要があると思いますし、それからその収支の構造がどうなっているかということも当然見なければならないだろうと思います。それで、そうした諸要件を全部勘案いたしまして、確かにこれは国としてNTTにそこまでを義務づけるのは酷であるというような判断に立ち至りましたならば、その段階で国としてNTTの健全な発達のために、それが行政上の措置になるのか財政上の措置になるのか税制上の措置になるのかわかりませんけれども、これはやはり国の基幹的な通信事業者としてのNTTの存立について何らかの配慮というものは当然出てくると思います。ただ、現時点ではそういう事態は私どもとしては予見される状況には到底ないと思っております。
  128. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そういう事態に立ち至らないようにぜひとも政府、郵政省としても監督指導というのですか、表現は余り適切でないと思いますが、それをいただきたい、私はむしろそう思っているわけです。  というのは、前回の委員会でも私、質問させていただきました。それは電気業界ですね。法律上は独占を規定しているわけじゃありませんが、実際は市場参入を閉ざされております。NCCの、第一種事業者の大きなところといいますのは、バックにございますのはみんな政府関係であります。例えば建設省絡み、運輸省絡み、それから特に市内網にまで将来参入されるのじゃないかと予想されますのが電力関係でありますから、これも通産省絡みであります。そういうところが一番大きな力を持つと思います。つまり、やろうと思えば専用サービスから市内サービス、家庭の範囲までこれはやろうと思ったら資金力があればできますから、という勢いでございます。そのようにそれぞれスポンサーは各省庁絡みでございまして、我がテレコム市場は他の産業分野に余り切り込んでおるように私も事実は聞いていないわけでございます。  そういう点から考えますと、産業別の、産業間のイコールフッティングというのは一体どうなるのかという議論だってそこには生まれてくるわけであります。ですから、テレコム市場というのはそういう意味ではよほどおいしい市場としてねらわれているのじゃないかと私は思ったりもするのですが、そんなに甘いものじゃないと思うのですよね。これも装置産業でありますから、入ろうと思えば相当な設備投資が要りますし、借金が簡単に返せるというような、そんな一般の商売と同じに見てもらったらいかぬと思うのです。社会的な責任は極めて重いわけですからね。ところが、何か今非常に勢いよくそういうフィーバーというような格好になっておりまして、そういうものがこれからどんどんと増幅されていくと不測の事態だって起こりかねないなという心配が私は非常にするわけです。そういうことは起こってはならぬし、郵政省としては、あくまでも中心的な役割は歴史的に見ても現在の姿から見てもNTTに果たしてもらおうやという点では気合いが合っていると思うのです。ところが、大都会を中心にディジタル網がどんどんと張られていきますと、ユーザーはシフトいたしますから不測の事態が起こるのじゃなかろうか。  というようなことを考えますと、心配というのは転ばないうちにやっておいた方がいい、こう私は思いまして先ほど来質問なり意見を申し述べたわけでございまして、最後になりますが、大臣の方から私が考えておりますようなことに対して省としての態度表明をいただければありがたい、かように思います。
  129. 中山正暉

    中山国務大臣 先生の御出身も今お話がございましたがかつての電電で、その中で御勤務なさっていたという、そのかつての電電公社に対する愛情と申しますか、そういうお気持ちから、新しい競争体制に入ったNTTがどういうふうになるか国家的な見地から御心配をいただいておるようでございます。  競争原理を導入しながら、NTTという日本の隅々まで国家的な使命を帯びて神経として張りめぐらされているこの組織に私どもも大いに配慮をしなければならないと思っておりますが、収益逓減の原則といいますか、五人で耕していた田んぼは五人でなら食えたけれども七人入ると食えなくなる、そういう限界を私どもは行政的に調整をする必要があるのではないかということを、先生のお話、奥山局長とのやりとりを伺いながら痛感をしておったところでございます。  値下げにまで認可が必要があるのかというお話が先ほどもございましたが、競争原理を入れます、新しい新規参入の企業が育ちますためには、大きな、今日本一の会社であるNTTが急激な値下げをいたしますと新規参入がついていけなくなる。それから、いろいろな政府絡みの企業もそれに支援をしておるということでございますが、そういう体制の中から、民間の力と公的な力との不思議な調和の力で競争の原理が達成されていって理想的な形に行くように、その間を調整するのが私どもの役割であると私は思いますので、先生のいろいろな御心配を肝に銘じまして、電電公社からNTTにかわられましてまだ間がないときでございますから、新規参入との大きな差がありますが、将来、長い目で見ましてどういうふうになっていくかということ、これは今から予測をしつつ方策を立てるべきではないかということを痛感いたしておりますので、大変貴重な御質問をいただいたことに感謝をいたしたいと思います。
  130. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 これで終わります。
  131. 塚原俊平

    塚原委員長 午後一時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十七分休憩      ────◇─────     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕