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鍛冶委員 それはそれでその
方向に行かれるのかもわかりませんけれども、やはり
日本の将来を決める
大学改革を行うということになると、私は、当初この
法案が出てきたときにどんなものかなと思って見たら、まあまあ一応そろっているようではあるけれども、では体制はどうかとお聞きしましたら、そういうことなのでびっくりしたわけです。だから、むしろ私は、これが本当に案として出てきたならば、朝からずっと御議論もあっておりますし、我々いろいろな陳情もいただいておりますが、
大学の
自治、
学問の自由というものに手を突っ込むことがないように、逆に歯どめをかける働きをするぐらいでないと
大学審議会というのは大変な存在になるぞ、私はそんな感触があったのです。ところが、事務局の体制やいろいろなものを見ておると、これはこれはという感じでございまして、本当に
大学改革というものは、これで
大学審議会が手を突っ込むようなことまでやるのか、むしろやるのなら、
発足当時は人数が少なくても、例えば
阿部高等教育局長が兼務の室長ということで
発足したのならまだ私もそうかなと思うけれども、それでもどうかなと思うぐらいに
大学改革、
高等教育の
改革というものは僕は大変じゃないかと思うのです。
私が手にしておる、発行になっておるある本の中に、名前は出ておりませんけれども、
臨教審の
委員、そういう
人たちの率直な
意見が載っておりまして、これは事実かどうか知りませんけれども、出ているものを読んでみましたら、私はへえっと思ったことがある。何と書いてあるかというと、「
大学等の
改革が、これまでも強く
指摘されながらも、ほとんど見るべきものがなかったのは、
大学人自らの
改革意欲の欠如によるもの」であると、ある
委員が言っておるというわけですね。それから、ある
委員は「その障害となるのが”
大学の
自治”の名のもとに安住する保守的閉鎖的体質であり、それに内外からインパクトを与え
改革意欲をひき出そうとした」、要するに
大学自体では
改革はもう
期待しても不可能だ、
大学紛争以来
大学自体の
改革というものが言われたにもかかわらず、何となくしりすぼみになってなかなか
改革が進まない。ではこれをどうするのかということになると、これはやはり
大学の
自治、
学問の自由に外から手を突っ込むようなことは絶対やらしてはいかぬと私
たちも思いますし、
臨教審の
委員の皆さん方も言っておるわけです。しかしながら、どんな
改革をし、どんな
勧告がされ、提案がされても、やはり大もとは
大学の皆さん方が本気になって、この
大学の現状ではいかぬから何とかしようというふうに、
日本の将来を思い、
社会全体にも奉仕するという
意味からも
考えていただかなければならぬ、そういう時期だろうと私は思うのです。
ところが、この後などを見ておったら、これは書いてあるのだから読み上げてもいいのかもしらぬけれども、僕はびっくりしたのです。
臨教審の第四部会がアンケート
調査みたいなものをやった、その中の
大学の現状認識で、ある
委員はこういうふうに答えていると書いてあります。「ふたをしたタコツボ
社会であり、
大学というタコツボの中に学部という小タコツボがあり、小タコツボは教授会に
運営されている。教授会は、ニューカマー拒否、アウトサイダー排除、未来志向の排除、インサイダーの既得権防衛、等のためのカルテル的機能を帯びるに至っている」というようなことを書いておるのです。僕はもうびっくりしました。
臨教審に出られている方は教養ある方だと思っていたけれども、随分ひどい言い方をするんだなと私は思いました。しかしその反面、ここまで言われているからには、当たっているかどうかは別として、やはりこの際、
大学改革というものは
大学にいらっしゃる皆さん方に本当に真剣に
考えていただきたいなと、こういうのを読みながらしみじみ思った次第なんです。
臨教審には会長以下、
大学の有名な
先生方もいらっしゃるわけですから、やはりその中で、
大学改革をみずからの手でこういうふうにやるべきである、
大学審議会もこういうふうに持ってやるべきである、こういうふうなことで恐らく
答申の中に
大学審議会のことも入れられたのだろうと思うのですね。
それはともかくとして、
大学改革というものは極めてエネルギーが要るし財政的な裏づけもなければいけない、これは
臨教審の皆さん方にも我々は強く言ってまいりました。そうしたら、本当に
臨教審が
答申をしたものをやるためには、概算ですが、普通の文教予算のほかに少なくとも毎年二千億程度は要るだろうと思います、というような
お話もありました。けれども、そういう措置を、中曽根総理初め当局がやっているかというとやっていない。しかも前回、財政的には今度ようやく一千億ふえたとはいうものの、この五、六年の間に人件費は六千億ふえておる。ではどこかが削られておるということで私は
質問申し上げたことがありますが、こういう点での配慮というのが全くなされていないことを実は極めて残念に思っているわけであります。
文部省はちゃんとしたものをしようと思ったけれども大蔵省が削って切り下げた、敵は大蔵省にありというのかもしれませんけれども、そういうことよりも、これで本当に
日本の将来を
考え、また何とかしなければならぬということを真剣に
考えているのかなという気もしないでもないわけです。そういう
意味から申し上げているわけです。
これは企画課の中の一室としてやる、課長さんがどうこうとかいうのと別でございまして、
大学改革に対する感覚といいますか取り組む姿勢といいますか、
審議会がいいとか悪いとかいうこととは別に、私はどうもそこに高等
教育改革等が進まない理由があるような気がしているわけですけれども、その点についてひとつお
考えをお聞かせいただきたいと思います。