運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1987-07-29 第109回国会 衆議院 文教委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和六十二年七月六日)(月曜日 )午前零時現在)における本委員は、次のとおり である。   委員長 愛知 和男君    理事 北川 正恭君 理事 高村 正彦君    理事 中村  靖君 理事 鳩山 邦夫君    理事 町村 信孝君 理事 佐藤 徳雄君    理事 鍛冶  清君 理事 林  保夫君       逢沢 一郎君    青木 正久君       井出 正一君    古賀 正浩君       佐藤 敬夫君    斉藤斗志二君       杉浦 正健君    谷川 和穗君       渡海紀三朗君    松田 岩夫君       渡辺 栄一君    江田 五月君       沢藤礼次郎君    中西 績介君       馬場  昇君    有島 重武君       市川 雄一君    北橋 健治君       石井 郁子君    山原健二郎君       田川 誠一君 ――――――――――――――――――――― 昭和六十二年七月二十九日(水曜日)     午前十時二十三分開議 出席委員   委員長 愛知 和男君    理事 北川 正恭君 理事 高村 正彦君    理事 中村  靖君 理事 鳩山 邦夫君    理事 町村 信孝君 理事 佐藤 徳雄君    理事 鍛冶  清君 理事 林  保夫君       逢沢 一郎君    青木 正久君       井出 正一君    古賀 正浩君       斉藤斗志二君    谷川 和穗君       渡海紀三朗君    松田 岩夫君       宮里 松正君    渡辺 栄一君       江田 五月君    沢藤礼次郎君       中西 績介君    馬場  昇君       有島 重武君    北橋 健治君       石井 郁子君    山原健二郎君       田川 誠一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 塩川正十郎君  出席政府委員         文部大臣官房長 古村 澄一君         文部大臣官房総         務審議官    川村 恒明君         文部省高等教育         局長      阿部 充夫君         文部省高等教育         局私学部長   坂元 弘直君  委員外出席者         文教委員会調査         室長      高木 高明君     ――――――――――――― 委員の異動 七月十日  辞任         補欠選任   江田 五月君     菅  直人君 同日  辞任         補欠選任   菅  直人君     江田 五月君 同月二十九日  辞任         補欠選任   佐藤 敬夫君     宮里 松正君 同日  辞任         補欠選任   宮里 松正君     佐藤 敬夫君     ――――――――――――― 七月六日  義務教育学校等女子教育職員及び医療施  設、社会福祉施設等看護婦保母等育児休  業に関する法律の一部を改正する法律案馬場  昇君外一名提出、第百七回国会衆法第四号)  学校教育法及び私立学校法の一部を改正する法  律案内閣提出、第百八回国会閣法第四〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  学校教育法及び私立学校法の一部を改正する法  律案内閣提出、第百八回国会閣法第四〇号)      ――――◇―――――
  2. 愛知和男

    愛知委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  文教行政基本施策に関する事項  学校教育に関する事項  社会教育に関する事項  体育に関する事項  学術研究及び宗教に関する事項  国際文化交流に関する事項  文化財保護に関する事項 以上の各事項につきまして、本会期中、国政に関する調査を行うため、議長に対し、国政調査承認要求を行うこととし、その手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 愛知和男

    愛知委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  4. 愛知和男

    愛知委員長 次に、第百八回国会内閣提出学校教育法及び私立学校法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案の趣旨の説明は、第百八回国会において既に聴取いたしておりますので、これを省略することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 愛知和男

    愛知委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――  学校教育法及び私立学校法の一部を改正する法   律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  6. 愛知和男

    愛知委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡海紀三朗君。
  7. 渡海紀三朗

    渡海委員 本日は、学校教育法及び私立学校法の一部を改正する法律案についての審議ということでございますけれども、法律案質問に入ります前に、まず教育改革について大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。  教育国家社会発展の基礎を培うものであり、洋の東西を問わず、次代を担う青少年を育成する上で、一日たりとも気の緩めることのできないものであると考えます。しかし、我が国におきましては、近年の高度成長に伴う社会や経済の変化はまことに著しいものがございまして、教育においてもさまざまな新しい問題を生じてきております。  学歴偏重社会的風潮や、また受験競争過熱化、画一的、硬直的な教育に対する反省などの指摘がなされるようになってきております。また、都市化進展核家族化による家族形態変化は、家庭学校社会連携を弱めるとともに、家庭地域社会における教育機能の低下をもたらしていると言えます。このような状況下で二十一世紀に向けて創造的で活力ある社会を築いていくためには、教育世界にもやはり活力と創造性、そして豊かな人間性などを回復することが急務であると考えます。  今日、教育改革に対する国民期待と関心はますます大きくなってきており、この国民の強い期待にこたえるべく、昭和五十九年八月には臨時教育審議会、いわゆる臨教審発足をいたしております。この臨教審におきまして、多くの国民の注目する中、過去三年間にわたり精力的に審議が進められまして、そして既に三回にわたり答申提出をされ、数多くの提言がなされているわけでございます。そして、いよいよ来月上旬には最終答申提出されるというふうに承っております。  そこで、大臣にお伺いいたしますが、今後どのような決意を持って教育改革に取り組んでいかれるか。残された任期の問題もあると思います。私といたしましては個人的にはできるだけ長い間、塩川大臣に頑張っていただきたいと思うわけでございますが、現在の素直な、率直なお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
  8. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 教育改革と申しますよりも、教育事業というのは本当に息長く将来を見通してやっていかなければならぬことは当然でございますが、過去、明治以降ずっと見ましたら、文部省はその責任省庁として絶えず改革を試み、そしてそれを実行してまいりました。また戦後におきましても、教育質的改革があったときにもいち早く諸改革改善に着手してまいりました。その間、中央教育審議会を中心として各種審議会で、国民合意を得ながら絶えず教育改革を進めてまいりました。しかし、お話にありましたように、余りにも急激な社会の変遷に対しまして教育をやはり別な角度から見直していく心要があるということになり、それが臨時教育審議会発足につながったと思っております。  この臨時教育審議会におきまして三年間鋭意審議していただきました結果が、つい近いうちに最終答申をいただくと思っております。それは一つ時代を画する、やはり教育改革への一つのステップに大きい意義があると思っております。それを着実に実行していくことが大事だと思うのでございますが、しかし、この答申の中で非常に大事なことは、まずやはり国民が納得し得るその方向に持っていくという、絶えず国民合意を取りつけていくという、そういう考え方を持ちながら進めていかなければいけない、こう思っておるわけでございまして、それとあわせて、この際に、教育に対する国としての投資のあり方も同時に考えていってもらうべき問題だろう、私はこう思っておりますが、答申を受けまして鋭意努力を重ねていく覚悟でございます。
  9. 渡海紀三朗

    渡海委員 ただいまは教育改革推進に向けての大臣の御決意をお伺いしたわけでございますけれども、引き続きまして、本日の法案と関連をいたします大学改革についてお伺いをいたしたいと思います。  我が国大学進学率は、今や約三五%にも達しようとしておりまして、国際的に見ましてもアメリカに次ぐ高い水準にまで来たというふうに言えると思います。しかし大学中身、いわゆる教育内容であるとかまた研究内容につきましては必ずしも満足がいかないといいますか、高い評価を海外からも得られているというふうに言えない面があるということもこれは否めない事実でございます。急速に国際化進展しております現在の我が国において、今後世界の中の日本として我が国が真の国際国家として発展をしていくためには、やはり科学技術立国とよく言われます。そういったものの発達、それから学問研究のより高度化など時代進展に対応するための大学改革をこれからも推進をすべきであるというふうに考えます。また、大学改革推進に当たっては、国民期待にこたえる大学づくり、先ほど大臣から国民合意というお話がございました、そういうものを実現していかなくてはなりません。  政府は、このような観点から、今回、教育改革の第一号法案であるとも言える本法案において、大学に関する基本事項調査審議する機関として大学審議会設置をされまして、そしていよいよ本格的に大学改革を進めていく、そういうお考えであると承知をいたしておりますが、この大学審議会に一体どのような役割期待をしておられるか、お伺いをいたします。また、あわせて大学改革推進に向けての大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  10. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 ただいま提出しております法改正は、その中身を煮詰めますと、大学審議会設置して大学改革を進めたいという趣旨にあるわけでございますが、今私たちがよく聞きますことは、大学を、平易な言葉で言いますと、もう少し活性化できないだろうかということが言われてきておる。それはなぜか。長い間大学には独自の制度と慣行がございまして、その上に運営されてまいりましたが、これが御質問の中にもありましたように時代要請にこたえていけということになりますと、そぐわない面も多々出てきたということでございまして、そういうようなものを改革をしていかなければならぬ。といって、この改革は、やはり大学側のこともあるいはまた社会的、国家的な要請のことも双方を総合的に考えていかなきゃならぬということで、とりあえず、そういう改革に際し有識者の意見も聞きながら進めていきたい、こういうことから大学審議会設置いたしたい、こういうこととしたものでございます。したがって、この審議会ができましたら、できるだけ幅広く意見を聞いて、できるだけ早く改革への軌道を敷いていきたい、こう思っております。
  11. 渡海紀三朗

    渡海委員 ただいまは今回の大学審議会設置趣旨についてお伺いをしたわけでございますが、重ねてお伺いをいたします。  高等教育改革に関しましては、既に臨教審答申各種提言が行われているところであります。例えば第二次答申では、大学設置基準改善、また大学院の飛躍的な充実と改革、また第三次答申では、教員の任期制学外者参加諮問機関設置など、数多くの提言が行われております。今回設置される大学審議会では、このように既に臨教審一定結論が出されている事項についても改めて審議を行うということにもならないかなというふうに考えるわけでございますけれども、今回そういった前提を踏まえてさらに審議会を設けるという必要性について、その点どうでありましょうか、重ねてお伺いをしたいと思います。
  12. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 大学審議会を設けて大学改革を進めたいということで大臣からお答えを申し上げたわけでございますが、先生の御質問にございましたように、今回の臨教審の三次にわたる答申で、大学関係につきましては非常に多岐にわたる御指摘があるわけでございます。先生お話にもございましたように、例えば大学設置基準改善弾力化等、あるいは大綱化を行えというような大変重要な指摘がございます。これも実は方向としてそういう方向が望ましいという御指摘でございますが、それでは具体に今どういうふうに大学設置基準改善していくかということになりますと、各専門分野その他のいろいろな御意見等もございますし、現実に大学設置運営している私学あるいは各大学関係者等の御意見等をいろいろ聞きながら、またそういうコンセンサスを重ねながら一つ具体改革案をつくり上げていく、こういう仕事が必要になるわけでございまして、そういった意味ではこの大学審議会というのは必要なことであるということで、臨時教育審議会答申の中でこういう大学改革を進めていくためには大学審議会をつくってやっていくようにという御指摘もいただいたわけでございますので、そういう御方針を踏まえまして、この審議会を設け、個別の具体事項につきましてできるだけ早く結論を出して実施に移すように努力をしたい、かように考えているところでございます。
  13. 渡海紀三朗

    渡海委員 提言に沿って、より具体的ないろいろな施策といいますか方向性を出していくということだと理解をさせていただきたいと思います。  続きまして、今回の大学審議会特徴一つといたしまして、これが最も大きな特徴であり、またこの点が一番重要な点であるというふうに考えるわけでございますけれども、文部大臣に対する勧告権を持つということが挙げられると思います。建議権を持つ審議会はこれまでも数多くあったというふうに理解をしているわけでございますけれども、勧告権を持つというものは文部省では初めてであります。今回大学審議会にこの勧告権を持たせたのは何ででございましょうか、お答えをいただきたいと思います。
  14. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 勧告あるいは建議あるいは意見を述べるとか、いろいろな形で各種審議会権限というのは法令上決められておるわけでございますが、法令用語といたしましては、いずれもある一定事項について相手方に自分の意見を述べるということでございまして、それが相手方を拘束するという内容のものではないというのが法令上の解釈でございます。ただ、もちろん勧告建議あるいは意見を述べるというようなことには、それぞれの言葉の持つニュアンスといたしまして、例えば勧告というのが一番強いニュアンスを持っているというような理解法令用語としてされておるということでございます。  今回大学審議会文部大臣に対する勧告権限ということを規定いたしましたのは、一つは、大学審議会そのもの大学の基本的なあり方について調査審議をするという、その仕事中身が大変重要なことをやっていただくということと、そして、その審議会設置そのもの臨時教育審議会役割を途中から引き継ぐような形で、臨教審といたしましては、先ほど申し上げましたように、ある基本的な問題点指摘とかあるいは改革方向指摘ということにとどめまして、具体中身大学審議会でやってほしい、こういうような仕組みをとったわけでございますので、そういった意味でも大変重要な仕事をこの審議会がこれからやっていくということでございます。そういった意味で、この審議会の発言に権威を持たせたいということで、文部大臣に対する建議あるいは意見を述べるとしてもよろしかったのかもしれませんけれども、勧告という言葉を使わせていただいたわけでございますが、この勧告という言葉それ自体は、臨時教育審議会答申の中でもこういう勧告権ということでぜひ規定をするようにという意見も述べられておりますので、その臨教審答申を尊重しつつ、こういう仕組みをとらせていただいたということでございます。
  15. 渡海紀三朗

    渡海委員 先ほどの大臣お話にもあったわけでございますけれども、国民合意という言葉がございました。この大学審議会国民期待にこたえる大学づくりを行うとの観点から、広く各方面から英知を結集する必要があるというふうに考えます。そのためには、従来の閉ざされた形ではなくて、幅広い人材を求めて国民が納得するような委員が選ばれなけれはならないと考えておりますが、その意味で、委員選任について内閣承認人事としたことは評価ができると思いますけれども、具体的な委員構成についてどのようなイメージ、お考えがあるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  16. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これはまさに幅広い雄材の方々にお集まりいただきたいと思っております。従来、教育関係審議会等におきましては、古い言葉でございますが、象牙の塔に立てこもっておるような人がよく集まって議論しておられることが今まで多々あったと私は思っておりますが、今はやはり大学社会との接触ということをある程度真剣に考えていかなければならぬと思うのです。そういう点から見まして、一方、学問的に有為な人材あるいは大学運営について相当な経験を持っておられる方、また社会にあって社会人として学問なりあるいは大学に対し一つの識見を持っておられる方あるいはまた文化人の方、そういう幅広い層から構成をしていくべきではないか、こう考えております。
  17. 渡海紀三朗

    渡海委員 なかなか難しい問題だと考えるわけでございますけれども、その辺の点についてもぜひ今後御留意をいただきたいということを申し添えさせていただきます。  先ほどから政府として大学改革を積極的に推進するとお答えがあったわけでございますけれども、大学審議会はそのために設置考えておられる機関でございまして、そういった意味では今後大きな意義を持つようになると思います。しかし、一部ではありますけれども、大学審議会大学自治に介入し、学問の自由を侵害するものである、そういった声を聞くことがございます。私が大学にいましたのが昭和四十一年から四十四年でございますけれども、ちょうど当時は非常に学園紛争の盛んなときでございました。四十四年に大学運営に関する臨時措置法ということで法案国会審議をされまして、私も大学の四年生でございましたけれども、神聖な学園に官憲の導入は許さないというふうなことで、私自身もまた多くの仲間も一緒にバリケードの中にこもりまして、そして真剣な議論をしたのを今思い出しているわけでございますけれども、学生にとりましてもちょっとそういったイメージがあるのではないかという危惧を持つわけでございます。  今回の法改正によって設置をされますこの審議会学問の自由を侵害しないか、この点についてどういうお考えであるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  18. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 それは私は一種の捏造された観念がひとり歩きしておると思っておるのです。過去の実績をずっと見られてもおわかりのように、日本の国で戦後におきまして学問の自由を侵害するようなことを今までやったこともございませんし、また大学自治を汚すようなこともやってきたことはないと思うのです。  ただし、一番大事なことは、そういう学問の自由が与えられ、そしてそれを保障するために学園自治も保障しておるわけでありますから、それに関係する人たちは、やはり高度に常識のあるといいましょうか国民とともに考えていくという姿勢を絶えず持っていてもらわなければ、それが前提となっての学問の自由であり、そして学園自治ということが保障されてきておるのだ、こういうことだと私は思うのでありまして、そういう点に関しまして、たとえ大学審ができたといたしましても、その根本精神というものに対して何ら抵触するようなことはない、こう思っております。
  19. 渡海紀三朗

    渡海委員 くれぐれもそういうことのないように希望いたしておきます。  次に、大学設置学校法人審議会について若干の質問をいたします。  これまでは、私立大学等設置認可に関する審査というものは、文部大臣諮問を受けて大学設置審議会、そして私立大学審議会において行われていたわけでございます。これらの二つ審議会を再編統合し、そして新たに大学設置学校法人審議会設置される趣旨は何でございますか、お伺いをいたしたいと思います。
  20. 坂元弘直

    坂元政府委員 先生指摘のとおり、私立大学等設置認可に当たりましては、従来は文部大臣諮問を受けて大学設置審議会私立大学審議会で行ってきたところでございます。両審議会審議内容は非常に多岐にわたっておりまして、設置必要性認定等につきましては両審議会で若干重複審査しているところもございますが、大学設置審議会では、主として大学教育研究水準確保観点から、大学等の新増設計画の構想、それから設置基準に基づく教育課程教育組織等がちゃんとしているかということについて審査を行ってきております。それから私立大学審議会は、主として大学等設置する学校法人経営能力管理運営の適正さの確保観点から、寄附行為の認可または変更認可についての審査を行って今日まで来ているわけでございます。言うならば、私立大学運営一つ公益的事業として考えた場合に、教育研究水準確保法人運営の適正さの確保という二つの大きな側面から、私立大学等設置の適否を大学設置審議会私立大学審議会で行ってきたというのが実情でございます。したがって、従来も両審議会運営に当たっては相互に連携をとって重複しないように努力してきてはおりますが、ややもすれば若干私学皆様にとって重複しているではないかという批判を私学皆様方から仰ぐ点もあったわけでございます。  今回、大学審議会の創設とともに、両審議会事務機能分担に配慮しつつ、両者一つにすることによって一体的に私立大学認可事務を行っていけるだろうという趣旨で、両者を再編統合するというふうにしたわけでございます。
  21. 渡海紀三朗

    渡海委員 新しい審議会運営に当たっては、ぜひ今お答えになりましたような趣旨を生かすようにお願いをしておきたいと思います。  審議会委員任命についてでございますけれども、まず大学設置学校法人審議会委員は六十五人とされておりますけれども、その任命方法は基本的に現行二つ審議会と同じであるというふうに考えてよろしいのでしょうか、お答えをいただきたい。  それから第二に、現行私立学校法にも私立大学審議会委員候補者推薦に関して規定がございますが、新しい審議会学校法人分科会私立大学等関係委員候補者推薦する、すなわち「私立大学及び私立高等専門学校が組織する政令で定める団体」とは具体的にどのような団体か、明らかにしていただきたいと思います。
  22. 坂元弘直

    坂元政府委員 先生指摘のとおり、大学設置学校法人審議会大学設置分科会学校法人分科会を置くことにいたしておりますが、大学設置分科会委員任命方法につきましては、今大学設置審議会でとられておる方法をとりたいと考えております。すなわち大学設置審議会委員任命方法につきましては、事実上、大学基準協会推薦に基づいて大学関係者任命は行ってきているわけでございます。それから学校法人分科会委員任命につきましては、今私立学校審議会でとられている任命方法を踏襲していきたいというふうに考えているところでございます。  御承知のとおりに、私学法に基づく私立学校審議会の基本的な考え方を申し上げますと、私立学校行政文部省が行う場合には、第一次的には私立学校関係者判断を仰ごう、その私立学校関係者判断を仰ぐ場合の機関私立大学審議会でございますが、その機関委員私学関係者の合意に基づいて選出しよう、すなわち今の私立学校審議会委員構成につきましては、法律上、二十名のうち四分の三以上は私立大学関係者でなければならないという人数の縛りがございます。したがって、学識経験者は四分の一以下、それから私立学校関係者は四分の三以上というふうになっております。さらに、委員任命に当たりまして、先生も先ほど御指摘のように、現在私立学校法二十条で、私立大学等関係委員については、「私立大学及び私立高等専門学校の総数の三分の二以上をもって組織される」私学団体推薦に基づいて任命するようにというふうになっているわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、この基本的な考え方はそのまま踏襲するということで、政令で定める私立団体というのは、今のところ、今の私立学校法二十条で規定されております「私立大学及び私立高等専門学校の総数の三分の二以上をもって組織される」団体推薦する候補者というふうに決めたいと思っております。  ちなみに、それに該当する団体が今どういうものがあるかといいますと、私立大学、短大を含めまして、その九十数%をもって構成されております全国私立大学連合というのがございます。慶応義塾大学の石川先生が会長をやっております。この団体がそれに該当するということになるのじゃないかというふうに私ども予想をいたしておりますが、いずれにしましても、今の私学法と全く同じ考え方団体推薦をお願いし、それに基づいて任命をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  23. 渡海紀三朗

    渡海委員 審議会の分科会の組織や委員任命につきましては、基本的には現行二つ審議会と大きく異なる点はないということは確認をさせていただきましたが、特に私立大学審議会学校法人分科会に再編されることによって、重ねてお願いをするわけでございますけれども、私立学校の精神である私学の自主性の尊重という基本的な考え方に何ら変更があってはならないし、またそういった変更はあり得ないというふうに考えます。  最後に、これは重ねてこの点について大臣の所信をお伺いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  24. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私立学校設置もしくは運営等について非常に御心配しておられるようでございますが、やはり従来からの経過もございますし、これは、一つにはなったといたしましても何もそれをおろそかにする、そういう考え方は全くございません。そうではなくして、今回大学審議会というものの設置をお願いしておりますのは、いわゆる「ユニバーシティ・カウンシル」といいましょうか、そういう大学の政策全体についての御意見をお聞かせ願いたいということでございます。片方、既存の法人を二つにいたしましたのは、大学の方はいわばハード面というふうに解釈していただけばいい、こちらの審議会の方はいわゆるソフト面をやるのだ、こういうふうな考え方で、語弊は多少ございますけれども、そういう見方をして考えていただければと思っておりまして、これは絶えず両輪をもって一つのものになっていくものであることは間違いないと思います。
  25. 渡海紀三朗

    渡海委員 どうもありがとうございました。大臣も私も私学の出身でございますし、近ごろはよく民活ということで、大学も民活をしなければいけない、活力という話もございますので、ぜひそういった点今後とも御留意をいただきたいと思います。  これで質問を終わります。
  26. 愛知和男

  27. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 質問に入ります前に、大臣に、前国会でやりとりをお願いしたときに若干私の発言に不適切なところがございました。あるときには簡単に答弁してくれ、あるときにはじっくり答弁してくれと、首尾一貫しなかった点で、会議録を読み返してみて若干赤面しております。本日は大部分大臣お答えを願うわけでございますので、ひとつよろしく率直に御答弁をお願いしたいと思います。  さて、今かかわっております法改正は、臨教審答申の数ある中での、いわゆる法律化についての第一号ということになろうかと思うのです。したがって、この論議の性格あるいは各党の反応というのは即、ほぼイコール臨教審に対する見方、考え方ということにもつながるだろうと思うので、大変重要な法案審議だというふうに私は考えております。それにいたしましては準備不足でございまして、きのう決まったものですから、大変がさつな質問になるかもしれませんが、私の後には江田五月先生馬場先生という真打ちが控えておられますので、私は安心してひとつ申し上げたいと思います。  私は、法案内容についての質問の前に、基本になることを二つほどお聞きしておきたいと思います。  それは、中曽根内閣の大きなったい文句、旗印であります「戦後政治の総決算」、その教育版とも言うべきものが臨教審だと理解をいたします。その臨教審答申の中から生まれてくる大学審議会ということでございますから、三題ばなしてはありませんが、戦後政治の総決算、臨教審答申、そして今のこの法案というものは非常に大きな関連性があると思っております。したがいまして、これは大臣にお聞きするわけですが、教育における戦後の総決算というのは一体何だろうか、このことをまず先にお聞きしたいと思います。
  28. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 戦後政治の総決算というのは、総理が一つの政治的な自分の目標として持っておられるものでございまして、私は、これは政治全体に流れておる一つの基本方針であるとかそういうものでは決してないと思っております。そうではなくして、総理が自分が政権を担当して目指す一つの目標として、何か自分で一つの目標をつくりたいというお考えから、それをわかりやすく言うと、戦後四十年経過してきていろいろと堆積してきておるものをもう一度見直していこう、そして改めるべきものは改めていくべきではないか、そういう趣旨で言っておられると思うのでございまして、だから、総決算して全く新しいものにというものではない、改めるべきものは改めていこう、そういう意味に私は解釈しております。  そういう点から見まして、この臨教審というのは、何も総決算の結果として、この臨教審審議をし、その結論を今後の改革の中心路線とするんだ、そういうものではない。この審議会の中で審議されて、また検討されました事項というのは、既にもう文部省におきましてもあるいはまた中央教育審議会におきましても、数次にわたりいろいろな角度から検討されてきたものでございますが、しかし、人がかわって見方が変わってまいりますと、やはりそこにいろいろな意見も出てくるということで、それなりに臨教審というものは非常に貴重な答申である、私はそう思っておるのでございます。だけれども、とはいえ、その検討されておる事項というのはやはり不断に改革しなければならぬ事項が相当数でございますので、臨教審答申を受けたことを一つのきっかけとして、これからそういう指摘された事項改革にどうして取り組んでいくかということが今後の重要な課題になってくる、私はそのように認識をしておるものであります。
  29. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 今のお話で、いわゆる例えば戦前の政治への回帰ではないか、回帰であるというふうな批判なり心配についてはこれは無縁であるというふうにお聞きしたのですが、それでよろしいわけですね。  そこで、今お答えの中で、いわゆる教育改革という言葉をお使いになりました。今度の法案の中にもあるいは臨教審答申の中でも、改革という言葉が非常に多く使われております。改革という言葉は字引で引きますとこれはかなり大きな意味を持っていますが、字引上の解釈はともかくといたしまして、私は改革すべきあるいは目指すべきものは何かということをもう一つ論議をしてまいりたいのですが、臨教審答申の中に幾つかの項目が指摘されておりますけれども、真に改革をしあるいは改善を目指すべき重要な課題としては、臨教審指摘しているような数多くの事柄のほかに、というよりも、それ以前にもっと基本的な大学間の格差の解消というふうなこと、これをなくさなければ入試制度というふうなものも改善できないわけでありますし、あるいは地域における、地域によっての大学進学率の大変な格差、これは前も御指摘申し上げましたが、東京では大学進学率が四六%ある、私どもの住んでいる地方は二〇%前後である、二倍以上の差があるというふうなことも、やはり一つには東京集中ということもありますし、大学間の格差ということもあるのじゃないか。これは人員もあるかもしれません、予算もあるかもしれませんが、こういう点について、今の国立大学の平均一校当たりの年間予算と東京大学の額とではどのくらい違いがあるのかないのか、もしおわかりでしたらここをちょっとお聞きしたいのです。そして、そういった大学間格差の解消ということと、それからいわゆる学歴社会具体的にどのようになくしていくかということですね。東大が頂点で、次はこうで、こうでというふうなことではなくて、こういった視点の方がより多くの論議を必要とする大事な課題じゃないかと思うのですが、大臣、御所感をいただきたいと思います。
  30. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 先に数字的なことで、私はちょっとただいま御指摘の数字を手元に持っておりませんので、アバウトな感触で申し上げさせていただきます。  国立大学は九十五校ございますので、平均的にあれするとすれば、全体の予算の約一%が各校が持っている予算ということになるわけでございますが、これに対しまして、最近の東京大学の所管分というのは大体五%から六%くらいであろうかと思います。東京大学のレシオというのはかっては一割くらいを占めておりましたけれども、近年全体的には減ってきておりまして、各大学のシェアがその分上がってきている、現在ではそういう状況になってきているということでございます。
  31. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これは何も役所で相談して答弁しているわけではございませんが、私自身の一つ考え方といたしまして、義務教育高等教育とではそこにおのずから性格が違うと思っておるのです。義務教育はこれは当然国が責任を持って行わなければならないものでございますので、これはもう要するに、悪い言葉で申して恐縮ですが、画一的で格差があってはならぬと私は思っております。しかし、そこでどうして個性を生かしていくかということが義務教育の難しいところだと思うのです。しかし一方、高等教育につきましては、国の将来におきます基本的な教育であること、これはもう間違いございませんけれども、高等教育においてはむしろ個性をこそ尊重すべき一つの大きい条件ではないか、こう思っておるのでございます。したがいまして、極端な格差というものはこれはつくってはいかぬ、当然でございますが、しかし、その高等教育の中に出てくるところの格差というものはやはりそれ相当に個性を生かされた結果として出てくるものだ、こう認めざるを得ないと私は思うのであります。私ら文部省の側からいいますと、そういうようなものをできるだけないようにするということの努めは絶えず不断にしていかなければなりませんが、そこにそれぞれの大学の特色、特徴という形で出てくるものはこれはやむを得ないのではないかと思うのであります。
  32. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 この問題は繰り返しは避けたいと思いますが、東京大学の五ないし六%という数字、これは規模もあるでしょうし、性格もあるでしょうが、むしろ逆に、整備のおくれている地方大学、あるいは残念ながら世間的な評価の低い大学、こういったところにこそ手厚く対応するというのが文部行政だろうと私は思うのです。そのことを要望しておきます。これはお答えは要りません。  それから、今大臣おっしゃった義務教育高等教育は違う、これもわかりますが、私の申し上げている意味は、学校における個性といったことというよりは、大学に対する進学の機会、教育の機会、これが高等学校、後期中等教育まではほぼ義務化していると申しますか均等化している、しかし高等教育を受ける機会というのは、前回も申し上げましたように地域によって非常に差がある。これはいろいろな克服されなければならない他の要素もおありだろうけれども、教育の機会均等ということからいえば、同じ教育水準家庭であっても、東京の家庭学校に通いやすい、ところが岩手の山奥にいる子弟はとてもじゃないが高等教育には行けない、ある経済的なレベルによって。そういった経済的な足切りというのもあるわけでありますから、地方の大学あるいは研究機関というふうなものの均衡ある配置、あるいは充実ということをお願いしたい。これは前回に引き続いて要望を申し上げておきたいと思います。  質問を先に進ませていただきます。  次の質問は大変幼稚な質問でありますが、臨教審というものと行政、この場合は文部省ということになるわけですが、文部省国会というものとの関係はどのように把握したらよろしいでしょうか。というのは、政府関係の審議会は二百から三百あるのじゃないかとお聞きするわけですけれども、よく審議会は隠れみのだというふうな俗な批判もあることは御存じのとおりであります。隠れみのという言葉は私は今回は使いませんけれども、いずれにしても審議会がかなり重要なことをぽんぽん出す。臨教審なんかは目を丸くするようなこともかなり出してきておる。それが行政の側に、諮問する側にがっちり受けとめられて、十分そしゃくされて、政策なりあるいは法体制として整備された形で国会に提起される前に、事実としてひとり歩きしている、あるいは把握のされ方としてひとり歩きしているという傾向がなきにしもあらずである。とすると、国会の私どもからすれば、審議会って一体何だというような不満ともつかない疑問が私個人にはあるのですが、これをどのように理解したらいいでしょうか、一年生議員ということでちょっと教えていただきたいのです。
  33. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 難しい話ですが、私はすべて物事を決めるのに一つのプロセスがあると思うのです。それは何か。一つの原案といいましょうか案を決めるということ、これはやはり行政の責任で決めなければならぬと思うのです。国会でお決めになっても当然でございます、結構なんですが、要するに、今の日本の議会制民主主義のやっておりますのは、原案は大体習慣として政府が決める、その政府が原案を決めますときに、ただ政府の、行政の関係者だけで決めるよりも、多くの方の意見を聞いてその上で原案を作成するということが行政官としては妥当なやり方だろう、こう思うのでございまして、その意味におきまして、審議会とかあるいは諮問委員会とかあるいは懇親会だとか、こういうところで意見を聞くことはやはり必要なときもあるだろうと私は思うのです。  しかし、御質問の背景にございますのは、そういう審議会に振り回されてしまっておるではないか、こういうことが心配だろうと思うのですが、私は決してそうなってはいかぬと思うのです。そうなってはいかぬが、しかし必ずしもそうではないと思うのです。結局そういう多くの方々、有識者の意見を聞いて、国民のニーズといいましょうか、考えておられる御意向というものがどういうところにあるかということを知るのには、やはり審議会方式をとるというのも一つの効果がある。そして原案ができます、しかしこれは原案でございまして、やはりこれを決定するのは政治なのでございまして、その政治の関係が行政と国会との間において行われる、協同において行われる、私はそう見ておるのであります。ですから、国会がお決めになるのはまさに政治的な決定を下すということにおいて非常に重要な意味がある、最終的な問題はここで決まる、こう私は認識しておる。したがって、役所というのはそういう行政的にまとめていく機能、十分責任を持ってやらなければなりませんが、最終は国会がお決めになるということだと思うのであります。しかし、とはいえ、国会から行政に委任されておるものは法律の中でたくさんございます。そういうものについては行政の責任で行うわけでございますが、その場合も、ただ行政権限として許されておるからということだけで独自の判断でやるよりも、そういうことを実施に移します場合に審議会等に一度意見を聞いてそれを実行していくということもまた意義があることだろうと思っておりまして、これが双方にうまく作用することを念願しておるものであります。
  34. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 そうしますと、ちょっと私の解釈になりますが、審議会、この場合は臨教審ということになりますが、臨教審政府との関係あるいは文部省との関係、これは諮問する、答申を受けるという、一つの提案前の内部行為というのでしょうかね、内輪の一つのやりとりであって、そこでそれを受けて政府が立法府に対する提案と申しますか、それを文部省なら文部省の責任で出してくるんだ、こういうふうに理解してよろしいですか。
  35. 川村恒明

    ○川村政府委員 臨時教育審議会に即しまして、ただいまの関係につきまして若干の補足をさせていただきたいと思います。  臨教審は、ただいま大臣からお答え申し上げましたようにこれは総理大臣諮問機関でございますから、先生がおっしゃいましたように国会提出されるについて行政府としての意思判断を形成をする、そのために諮問をする、こういうことになっております。ただ、その場合に、臨教審はその設置に当たって臨時教育審議会設置法というそのための特別の法律をつくって設置せられて、その限りにおいては国会もこのことについて御承知をいただいておるということが一つと、それからもう一つは、政府としてはその意思決定をするに際して、同じく臨時教育審議会設置法におきまして内閣はこの答申を尊重しなければならない、これはもちろん内閣でございます、国会でございませんが、内閣はその答申を尊重しなければならないということが、この設置法において義務づけられているという点がございます。それからもう一つ国会との関係で申し上げますと、臨時教育審議会は、同じくこの法律に基づきまして、委員任命するに当たっては、内閣総理大臣委員任命しようとするときは両議院の同意を得なければならないという形で、国会との関係を緊密にするというような措置がなされております。さらに申し上げますと、同じくこの法律で、臨教審答申を出されたときには内閣総理大臣はこれを国会に報告するものとするということで、その審議の結果につきましても国会に御報告申し上げるという形で、立法府と行政府の関係について特段の配慮がなされておるということでございます。
  36. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 今若干すれ違いがあるような気がしますが、次に別な角度から質問申し上げたいと思うのです。  一つ例を挙げますと、藤尾文部大臣が就任された直後に、私ども社会党の文教委員が予算その他でお会いしたことがあるのですが、そのときにおっしゃった一言がすごく強烈に残っております。いろいろあるだろうけれども、ぜひ初任者研修だけはやらせてくださいよ、こういうことを大臣はおっしゃいました。当時の藤尾文部大臣ですね。初任者研修というのは、最終答申の出ていない段階のいわば臨教審一つ答申の中の目玉みたいなものですが、それが十分に練れていない、あるいはまたそれを正式にと申しますか十分に国会で論議されていない段階で、試行という格好でどんどん進んでいる。こういうことを見ますと、何か臨教審の言っていることあるいは打ち出していることは、文部省なり行政がやりたいことをどこかでテレパシーか何かで先回りして出しておるのじゃないかという感さえもあるわけです。審議会というものに対する国民の受け取り方が一〇〇%すっきりしていないのは、臨教審だけじゃなくて、そういうことが間々あるからじゃないか。  一つ例を申し上げますと、前国会で公害問題についても改正案が出された。公害健康被害補償法ですか、あの中でなぜ今公害に対する規制を緩めるのだ、なぜ環境行政が後退するのだということをお聞きしたところ、ストレートの答えが返ってこない。結局出てくるのは、慎重に御審議をいただいていた中央公害対策審議会答申に基づいてでございますと、こういうふうに返ってくる。そうしますと、環境庁が本当にこれはこうだということで出したというよりは、審議会が言っているから出していますよというふうに聞こえる。そういった意地の悪い見方で今度の提案の内容を、文章を拝見しますと、そういった感じがどうしても免れないわけです。  新しい時代要請がある、高等教育改革は極めて重要である、これはかなり抽象的な言い方ですね。そうした前段を受けて、臨教審第二次答申を踏まえて、英知を結集して改革推進するために、基本事項調査審議する機関として大学審設置するのだというのが提案理由なんです。この提案は非常に短いですね。後は法案の説明ですから、提案の骨というのはここの数行なんです。数行の主文を見ますと、臨教審第二次答申があるからですと、こうしか受け取れない。その前後の表現は修飾語です。私はこれが非常に残念なんです。  さっき大臣がおっしゃったように、これは主体的に行政がやるのだ、それは相談しますよ、いろいろ意見も聞きますよ、しかし提案するのは行政府ですよとおっしゃった。であるならば、第二次答申というのは内部行為としてのもので、これは提案内容に出てこなくていいものですよ。文部省としては今の大学問題についてこういうことを考えているんだ、こういう意見もあるけれどもそれはそれとして、臨教審臨教審ですからね。だから、こういうことで大学審をつくるのだ、つくりたいのだということを提案すべきじゃないだろうか。私は、提案の方法としては極めてずさんであり、第三者的な提案であり、何かかわしているという感じがする。このことについて私はどうにも納得いかないのですが、大臣、どうですか。
  37. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私も一政治家として全く同じ考えですね。私もそう思います。文部省は、臨教審答申がある前から大学改革というものはいろいろな角度から考えてきておったのです。そのきっかけがたまたま臨教審答申と重なったということであって、だからその文章に書いてある、臨教審答申も踏んまえてということを言っておる。だから臨教審答申があったから出すのだという意味じゃない、そこはひとつ明確にしていただきたい。ちょうど時期がたまたま一緒だったということで、姿勢としてはおっしゃるように行政の責任というものはきちっと自分でとるべきだ、そしてそれはその責任において法案を出す、当たり前のことでございまして、それはもうおっしゃるとおり私もそう思います。しかし、臨教審と時期がたまたま一緒になったということでございます。だから、大学改革案というものは、文部省自身もいろいろ今までも研究し、いろいろ持っておるわけですから、大学審設置されましたら、国会ともあるいは大学審以外のいろいろな団体ともそれぞれ相談をしながらやっていくだろうと思います。しかし何としても審議会ができない限り大学改革というものが前へ前進しないということでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  38. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 今の大臣の御答弁の前半分は大変率直ですばらしい答弁だ、私もこれだけで質問をやめてもいいくらいの心境なんですが、そうはいきませんからやりますが、ただ後半の、たまたまと申しますか同時並行的に出た、確かに時期的にいえばそうかもしれませんが、これは大臣のお苦しい答弁だというふうに私は理解しております。だって、あの文章のどこを見ても「文部省は」というのは伝わってこないのです。これ以上そこの部分については追及しませんが、どうも審議会に対する疑念と申しますか、もやもやとしたものが吹っ切れないというのがまだあるのです。しつこいようですが、もう少し続けさせていただきます。  審議会が隠れみのだという言葉がよく言われるのですが、さっきの公害対策審議会の例で申し上げますと、審議会は腹話術の人形だ、本当に声を出しているのはここなんですね。人形が声を出しているように見えるけれども、こっちが声を出している。審議会が腹話術の人形で、本当はこっちがやりたくて、あるいはやろうとしてという印象をどうしてもぬぐい切れない。これは私の印象ですから、失礼だと言われてもいたし方ございません。そういったことからして非常に残念だと申しますか、別の角度からその問題をちょっと触れさせていただきたいと思います。  今度の大学審議会の取り扱いというのですか位置づけというのが、異常にと申しますか異様に重要視されている、重く打ち出されているという感を免れません。例えば「大学審議会は、大学に関し広くかつ高い識見を有する者のうちから、文部大臣が内閣の承認を経て任命する」、これはかなり重いことです。三百近くある審議会委員の中で、内閣の承認を経て発令するという審議会はたった四つなんです。中央教育審議会文化財保護審議会と臨時大学問題審議会と公共用地審議会。これを見ても、いかにこの大学審議会が重く扱われているか、重要に見られているか、別の表現をすれば特別扱いになっているかということの一つの証左ではないかという気がします。  もう一つ、さっき自民党の方からの質問にも出ましたけれども、文部大臣に対する勧告ができる。勧告建議の解釈についてもさっき局長からお話がありましたが、お話しのとおり建議よりも勧告は重いわけです。これは法的にも国語的にも勧告は重いわけです。さっきの部分を省略しないで申し上げますと、今度の法改正の六十九条の三の二、「大学審議会は、この法律規定によりその権限に属させられた事項調査審議するほか、文部大臣諮問に応じ、」高専を含む「大学に関する基本的事項調査審議する。」その三の三として、「大学審議会は、前項に規定する事項に関し、必要があると認めるときは、文部大臣に対し勧告することができる。」この勧告制度というのも、勧告という勧告権を持っている審議会は十一であります。二百数十ある審議会のうちで、勧告をするという勧告権を持っている審議会は十一とされております。先ほどの内閣任命が四審議会勧告権を持っているものが十一審議会。これを見ても、今度の大学審議会というのは今の自民党・政府は非常に重く見ておられるということのあらわれではないだろうかというふうに考えます。  しかも、私が不思議に思うのは、これは質問になりますけれども、中央教育審議会というのがあるのですね。文部省設置法の中に、「中央教育審議会を置く。」「中央教育審議会は、文部大臣諮問に応じて教育、学術又は文化に関する基本的な重要施策について調査審議し、及びこれらの事項に関して文部大臣建議する。」文章の長い短いはありますけれども、違いは建議勧告だけですよ。そうすると、中央教育審議会でどうしていけないのだ、こういう気がするのです。しかも中央教育審議会委員の選出でもかなり言っているといいますか、「人格が高潔で、教育、学術又は文化に関し広くかつ高い識見を有する者のうちから、文部大臣が内閣の承認を経て任命する」、こうあります。今度の法文には、人格もないし、学術、文化の高い識見もありません。それは要らないという意味ではないと思いますけれども、なぜ中央教育審議会ではいけなかったのかということをお聞きしたい。
  39. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 中央教育審議会というのが文部省にございまして、先生お話にございましたように、文教行政多岐にわたっていわば全般的にこの審議会審議をするという仕組みがとられておるわけでございますが、もちろんあらゆるすべてのことをこの中央教育審議会で対応していくということは物理的にも不可能なわけでございます。そういった見地から、そのほかにも例えば学術審議会が設けられているとか文化財保護審議会が設けられている、あるいは社会教育審議会が設けられている、いろいろな形での審議会が設けられまして、それぞれが仕事を分担しているというような関係にあるわけでございます。  今回の大学審議会につきましても、大学改革については非常に多岐多般な課題を抱えておりますので、これらを真剣にこなしていくためには、中央教育審議会ですべてをこなすということは実際上無理であろうというようなこともございまして、これは大学審議会という別個の審議会をつくって、その審議会で専心これに当たってもらうということが必要だろうという判断に基づいておるものでございます。
  40. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 これも論議があるのですが、時間の都合上、先に進ませていただきます。  次に、提案されておりますこの法案を拝見しますと、政令にゆだねる部分というのが方々にというか、何カ所かあります。そのうちで、私は非常に重要な部分が政令にゆだねられているという感を深くせざるを得ません。重要な部分と重要でない部分という別はないのですが、事務的な方を先にお聞きします。  「大学審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。」こうあります。六十九条の三の第五項なわけです。この組織、運営に関する事項というのは、実は委員会の性格なり役割を左右するといいますか、決定する非常に大きな事項も含まれていると思うのです。委員会の性格、委員会はいつまで置かれるんだ、あるいは委員任期は一体いつなんだ、その会議は公開されるのかどうか、専門委員等の設置をするのかどうか、会長、副会長を置くかどうか、部会を設置するかどうか、会議の招集、議決はどうか、あるいは審議会に専門の事務局を置くのかどうか、専門の事務局長を置くのかどうか、いわゆる審議会としての独自性、独立性を保障できるのかどうかという問題。それから、仮に臨教審指摘していることをおかりしますと、大学に対する評価もやるという。これも解釈によっては個々の大学評価とも受け取られかねない、本当にそれをやるのかどうかという問題もあります。そして助言、援助をするともありますが、これは一歩誤れば介入になるのではないかということもある。あるいは大学の特殊性、自治性ということを論ずる場合に、教授会というものの存在がある。教授会というのは学教法による設置機関でしょう。それに対しては手をつけるのかつけないのかというふうな、これは内容に属することですけれども、そういう人事権の問題がある。こういったことがたくさんあるのですが、それを十把一からげにして、組織及び運営に関する必要事項は政令で定める、こうあります。これもまた、審議する側からすれば非常に不親切な提案であると私は思う。この政令事項というのは出せないものでしょうかね。  同じことがもう一つありますから、もうちょっと続けます。これはある大学先生言葉ですが、肝心の大学審議会審議内容というのは一体何なのか。これを引用させていただきますが、今回の場合、法案で見ると、大学審議会権限事項は「大学に関する基本的事項調査審議する。」とだけあって、具体的にそこで何が審議されていくのか、これだけではわからない。この前の売上税のときの論議にも似たようなことがあったのですね。政令にゆだねる事項が多過ぎて何だかわからないのじゃないか。それに対しては公明党、民社党の方もそうだ、そうだとおっしゃった。これと全く同じことなんだと私は思うのです。政令にゆだねるのであったならば、政令の内容国政の場で何らかの方法で事前に明らかにする、これが当然の課題じゃないか、しなければならないことじゃないか。審議というものを重く見るのであれば、何らかの方法で、何らかの形で、政令として準備されているものを出すべきである。その政令で打ち出され、ゆだねられるべきことが、実は審議会そのものの性格なり使命というものを浮き彫りにするわけですから、具体的に裏づけしているわけですから、それを抜きにして論じるというのは、魂のない仏像の表面をなでろということに等しい。こういうことについてはどうお考えなのか。これはぜひ大臣にお願いしたいのです。  それから、第四部会でしたか、飯島先生、あの方が私どもの勉強会の中でこういうことをやりとりしているのです。どうも省令と政令部分が多いのではないかという質問に対して、法律によってボディーができるのはいいが、実際の動かし方は省令、政令、運営規則がどういう中身を与えるかによって性格が異なってくるんだ、主体的な活動を展開できるかどうか、これもいわば省政令、運営規則によってどう中身づけるかによって違ってくるんだ、例えば小なりとも事務局を持つとかそういったことも必要だ、こういうことを飯島先生は発言をなさっておられる。それから、人選はどういうところから何人くらい入ってくるんだ。これは飯島先生お答えなんです。人選は慎重にしなければなりません。二十名中、例えば二名くらい大学関係者で、ほかが産業あるいは大企業からとなったら、これは大学を自由にされる危険性なしとせず、ポイントの一つが人選だ、大学関係者を主体に据えてほしい、こういうことを言っておられる。  これらのことを含めて、これは非常に重要なことですから、政令の内容を明らかにするということ、きちんとしてください。
  41. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 政令事項で何を規定するかということについての御質問であろうと思いますが、この政令事項につきましては、一般の審議会令等で定められているたぐいのことを念頭に置いておるわけでございまして、具体にはもちろん内閣部内でこれから政令の中身として詰めていくということになるわけでございます。  現在私どもが念頭にありますことを申し上げさせていただきたいと思いますが、一つ委員任期を定めること、それから特別委員あるいは専門委員といったような、言葉は悪いかもしれませんが、いわゆるプラスアルファで置くような委員の方々の設置の根拠等を決めていくこと、それから会長、副会長を置くということ、あるいはその職務はこういうことであるというようなことを決める、それから事柄によっては部会を置いて議論をするということがあろうかと思いますので、部会の設置について決めたい、それから審議会の議事手続について多数決で決めるとか、いろいろなことがあろうかと思います。それからさらに、審議会の庶務を担当する事務部局として文部省の中でどこがやるかというようなたぐいのこと、これらのことを決めるということを念頭に置いておるわけでございます。  先生お話にございましたような、大学審での具体審議内容はこれこれだというようなたぐいのことにつきましては、これは法律にある事柄でございますし、あとは文部大臣諮問あるいは審議会自体の中からの勧告等の際に自主的に御検討になるたぐいのことであろうと思いますし、政令で審議内容を決めていくというようなことは考えておらないわけでございます。
  42. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 さっき私が幾つかの項目を挙げた中で、いわゆる事務的と申しますか、基本的なことを今おっしゃいました。それはそれで理解します。ただ、お答えになってない部分があるから、それを先にお答えいただきたいと思うのですが、委員の問題はどうですか。これは大臣、どうですか。大臣の方がよろしいんじゃないかと思います。
  43. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 この審議会の性格上、やはり大学に関係のある人、これを中心に委員構成せざるを得ないのではないか、またそうでなければ本当に立派な改革案がまとまらないのではないか、こう思います。しかし、全部が大学人というわけではなしに、やはり大学に非常に関心を持っておられる方でいろんな意見を持っておられる方がおられますから、そういうのは一般の民間の方も入っていただくことが必要だろうと思いますけれども、中心となるのは大学の関係者であろう、こう私たちは予定しております。
  44. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 私は、議決であるとか会長を置くとかなんとかということはこれは大体そのとおり進むだろうと思うのですが、大学審議会権限事項というのがもう一つはっきりしないのですね、何をどう目指すのかということが。これはさっき質問申し上げたことと関連するわけです。これは臨教審の第二次答申にあるから提案しますよじゃなくて、自主的、自発的に文部省必要性を感じて大学審設置するというのであれば、その審議事項権限事項というふうなものが一体どういうものなのか、その中身について出てきませんか。
  45. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 今回の法案では、大学審議会審議事項といたしまして、大学についての基本的事項ということで、いわば基本的に重要な事項についてここで議論をしていただくということを念頭に置いておるわけでございます。  具体的な中身といたしましては、大学についての教育研究組織のあり方であるとか、あるいは修業年限、これは大学院等についてもあることでございますが、さらには入学資格の弾力化等の問題がございます。あるいは教職員に関する諸制度、さらには学位の問題、あるいは教育課程についてと申しますか、大学設置基準で一般教育、専門教育等について定めておりますけれども、そういうたぐいのものについてどうするか。それから高等教育の整備計画と申しますか、先ほど最初に先生お話にもございましたように、現在地域配置の問題とかいろいろなことを従来からやってきておりますけれども、こういったたぐいの問題につきましてもこの大学審議会の論議の対象になっていくだろう、こういうふうに思っておりまして、私どもの方としてはそういう問題を考えておるわけでございます。  もちろん、これらを議論していきます際には、大学の個性化を図っていくとかあるいは国際化の問題を念頭に置くとか、生き生きとした教育研究活動ができるような活性化の仕組み等はどう考えたらいいかといったような問題意識を持ちつつ、ただいま申し上げたような諸般の問題について議論をしていただくということを念頭に置いておる次第でございます。
  46. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 今の内容についても若干質問があるのですが、例えばそのほかに、さっきも私の方が触れてそちらが触れてない問題として、教授会を初めとして大学の人事の自主選考権というのがあるわけですね。こういった問題はどうなんですか。それから、これは学長とか部局長、評議員等の、管理運営上重要な役職にある方々の自主選考権はどうなのか。今おっしゃる対象に入るのかどうか。あるいは学部長、評議員の役職以外の一般の教員、研究者についての大学管理機関による自主選考権はどうなのか。それから、先ほど申し上げました大学管理機関の中心機関とされております教授会の位置づけを今おっしゃる対象にするのかどうか。  いずれは、そういったことも含めまして、こうしてお聞きすると少しずつ出てくるのでしょうが、今政令事項としてはこうであると、ぱんとまとめて出せませんか。そういう論議は例がないわけじゃないのですよ。さっきも申し上げましたとおり、この前の売上税の問題のときにも、余りにも政令にゆだねる部分が多過ぎる、出しなさいという論議が国会内でなされておるわけですから、前例がないわけじゃない。
  47. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 審議事項そのものは法律規定したいということでもって、「大学に関する基本的事項」ということでお願いをしているわけでございまして、それを政令に委任するという規定は置いておらないわけでございまして、法律の解釈によって今後運用していくということでございます。もちろん「大学に関する基本的事項」でございますから、この事項そのものについては、「大学に関する基本的事項」と思われることについてはあらゆることが含まれ得るものである、こう考えております。  ただ、具体に何を当面の問題意識として御審議をいただいていくかというようなことに関しましては、当面は臨時教育審議会で御議論をいただいているようなことから手をつけていくというのが適切であろうと思っておりますが、具体に何をやっていくかということはこれからの問題ということに相なるわけでございます。
  48. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 私が前段で質問したのは、ただ思いつきで質問したのじゃないのですよ。臨教審二次答申に依拠し過ぎる。今の答弁もそうでしょう。臨教審の二次答申の中で論議されていることについて云々とおっしゃった。それは私らのかかわりのないことです、この論議の中では。文部省がどう考えているかということですよ。臨教審答申を見てください、二次答申の中にありますよ、そういうことをやるのですよ、というのは答弁になりませんよ。そのことをもう一度答弁してください。すりかえですよ。
  49. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これは今まで、過去十何年、何十年と実は審議会設置についてはもうどの省でも問題になってきたことなのであります。要するに審議会というのは、文部省としてこういう意見を聞く審議会をつくりたい、これを政治的に決定していただくのは実は国会でございます。国会の側から見たら、その審議会を認めてしまったら何でもかんでも審議会におっかぶせてしまって、それをトラの威をかるキツネで、そこで責任逃れのために何でも審議会を利用してやるのだろう、こういう不安を持っておられる。だからこそ中身のなにも出せとおっしゃる。しかし、ここが大事なことでして、国会審議権というものはただ単にこの法案をつくるときだけの話ではなくして、審議会にいろいろ聞いて、それを行政の面で移していくというときにはやはり国会ではいろいろと議論があるじゃありませんか。チェック・アンド・バランス、国会はやっておるじゃありませんか。ですから、それじゃこういう審議会をつくって一応大学の基本問題というものをいろいろな角度から検討してみろ、そして実施してみろ、やってみろ、間違っておれば国会で幾らでもそれを糾弾するぞということはできるわけなんでございます。したがって、行政として、そういう審議会意見を聞き、それをまとめていくということになれば、それは審議会審議内容はこれもこれもございましてと言って併記できましょう。できましょうけれども、「その他」ということもやはり必要になってくる。「その他」が入ってしまったら「その他」は何だ、こうなってしまうのです。とてもじゃない、そういうことで審議会というのは運営できるものじゃございませんし、要するに審議会というものをつくって大学問題を検討しろということを認めるかどうかという話なんでございまして、そういう点でひとつ理解をしていただきたい。  そこで、私が言いたいのは、今までにいろいろな審議会、各省ともそれは何百とございましょう。その審議会で、要するに役人というのは常識的にきちっとまとめていっておりますし、また常識外れのような、一党一派に極端に偏するというようなことを今までやってきておりません。審議会運営というものは、審議委員と行政担当の責任者との間で運営もある程度幅を持たせてやるということ、だから大枠は国会でお決めになるが、中身はその担当者で相談しながら実りのある運営をしていけ、こういうことでなければ実際は動いていくものではない、こういうことでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  50. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 であれば局長、さっきから臨教審で云々ということは、初めからおっしゃらない方がいい。文部省としてはこういうことを考えております、あるいはこうこう考えております、しかしこうこうこういうわけで政令としての案はまとまっておりませんとか、出せるとか出せないとかという論議に移っていけばまだいいのですけれども、その前の段階で、これはありますかありませんかと聞くと、少しずつ出してきながら、なお第二次答申内容云々ということをおっしゃるから、またさっきの冒頭の部分に帰ってくるわけなんですよ。  どうですか、これはどういう形でか、文部省として考えられる大学審議会の性格あるいはいわゆる審議事項、エッセンス、そういったものを、政令事項の前移しというかそういったことになるのか、あるいはメモになるのかどうか、そういったことを私たちがわかるような形で整理して出していただけませんか。
  51. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 先ほど来お答え申し上げておりますように、政令事項中身は先ほど申し上げたようなことを書くつもりでございますので、事柄としては、委員任期の問題から審議会の庶務の担当部局を決めることまでの六項目を政令で書くということで、これは御理解いただけることであろうと思っております、なお、その他の審議事項具体に何を審議するかということは、その後の審議会運営の問題でございます。法律上基本的な事項審議すると決めてあるのが唯一のものでございまして、これを政令等でさらに具体に何を決めるというようなことは他の審議会でもやっておらないと思いますけれども、この審議会でもやることを予定しておらないということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  52. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 会議録を見れば、さっきおっしゃったことはきちんとするわけですけれども、私の質疑だけで終わるわけではないので、これから何回か審議が重なると思うのですが、その審議期間中に今大臣がおっしゃったことをわかるようにと申しますか、あるいは文書化してこういうものがありますということを委員会にお示しできませんか。
  53. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 具体的におっしゃっていただかぬと、どういうことか私もちょっと理解しにくいのですが……。
  54. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 私もこの議事扱いとかそういったことについてなれておりませんので、率直に言って詰めについては自信がありません。ただ、申し上げている趣旨は、政令にゆだねる事項が多い、数カ所ある。その内容がはっきりしないと私たちは本当の意味審議はできかねますよ、こういうことを申し上げている。その趣旨はぜひおわかり願いたいと思います。さっき答弁という格好でおっしゃいましたけれども、それを整理して、こういうことが考えられます、あるいは政令事項としてはこういう予定ですというふうなことを何らかの形で示せないかということですよ。しつこいようですが、私、しつこい性格でございますので、申しわけございませんが……。
  55. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 政令の中身につきましては、まさに内閣としてこれから詰めることでございますので、こういうことをということを文書等でこの委員会にお示しするというのは適切でないと思っておるわけでございます。ただ、文部省が現在こう考えているということは先ほど口頭で六項目ということで申し上げて、これがまさにその中身になる予定のものであるということでございますので、ひとつ御理解いただきたいと思います。
  56. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 何か理事の方がいろいろお話なさっているようですが、それを待たなくてよろしいですか。――ちょっと保留します。
  57. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 阿部局長の言っておりますのは、大学運営に関する基本問題等をこれから審議していただくのですと言っている。その審議の中ではどんなことがあるか、そういう具体的なことは――それじゃ大学の基本問題とは何だといったら、これは多岐にわたっておりますし、それを審議会ができてからずっと項目を拾い出していって、審議委員の方々と相談しながら、審議をしていく順序も決め、項目も決めるということでございます。だから要するに、やることは大学の基本問題に関することを審議していただくということでございますので、例えばの話でちょっと言っておりましたこと、これをそれじゃ政令に書けというふうなことを言ったって、これまた局長の権限でも大臣権限でもできるものではございません。ひとつ御理解いただきたい。
  58. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 私のお聞きしていることについて取り扱いが話し合われているように理解するのですが、とすれば、私はその結果が出るのをちょっと待ちます。待たせていただきます。
  59. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 先ほどの繰り返しになりますけれども、政令の具体的な内容につきましてはこれから内閣として詰めることでございます。  ただ、現在文部省考えておりますことは、政令の項目として申し上げさせていただきますと、一番目が委員任期、二番目が特別委員、専門委員設置とその職務に関すること、三番目が会長、副会長の設置とその職務に関すること、四番目が部会の設置に関すること、五番目が審議会の議事手続に関すること、そして六番目が審議会の庶務を担当する事務部局に関すること、この六項目について政令が定められることになる見込みということで、文部省は準備をしつつあるところでございます。
  60. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 委員長、こういう場合の時間のロスはどうなりますか、延長になりますね。――それでは、ついでといえば大変恐縮ですが、もう一つ政令事項がありますから、あわせて質問します。  改正法の私立学校法の改正案に、「第十九条私立大学等関係委員候補者は、私立大学及び私立高等専門学校が組織する政令で定める団体推薦する者とする。」というのがあります。これが改正案前の今の条項ですと極めてはっきりしているのですね。  第十九条 私立大学審議会は、二十人の委員を   もつて、組織する。  2 委員は、次の各号に掲げる者のうちから、文部大臣任命する。   一 私立大学の学長、私立高等専門学校の校長、これらの学校の教員又はこれらの学校設置する学校法人理事   二 学識経験のある者  3 文部大臣は、前項第二号に規定する者のうちから任命される委員の数が同項第一号に規定する者のうちから任命される委員の数の三分の一以内になるように、それぞれの定数を定めなければならない。  4 第二項第一号に規定する者のうちから任命される委員のうち、学長、校長又は教員である理事以外の理事のうちから任命される委員の数は、同号に規定する者のうちから任命される委員の定数の半数以内とする。 というように、極めて明確に委員の選出の内容規定しておるわけです。改正案の第十九条では「政令で定める」とあります。この第十九条の「政令で定める団体推薦する者」ということについてはどうですか、先ほどと同じ質問になりますけれども。
  61. 坂元弘直

    坂元政府委員 先生指摘のとおりに、現行私学法十九条では、要するに、先ほど私も与党の先生の御質問お答えしましたとおりに、委員二十人をもって構成するというふうに私大審がなっておりまして、そのうち私立学校関係者委員の数は全体の四分の三以上でなければならないということが法律上明らかにされているわけでございます。それからもう一点は、端的に申し上げますと、その二十条で、この私立学校関係者候補者私立大学関係団体推薦をもってその候補者としなければいけないという規定になっているわけでございます。それの改正を御審議いただいております新しい私学法では、十八条で、十九条の三項で書かれていると同じような趣旨の「大学設置学校法人審議会に置かれる学校法人分科会の組織については、同条第四項第二号に掲げる者のうちから任命される委員」、というのは、学校教育法の新法の六十九条の四の四項に「大学設置学校法人審議会は、次に掲げる者のうちから、文部大臣任命する六十五人以内の委員で組織する。」と書いてございまして、これは現在の大学設置審議会委員任命と、それから私立大学審議会委員任命と両方包含して規定しておりますので、第一号は「大学の職員」、これは言いかえれば国立大学、公立大学の職員、私立大学の職員を含めた規定でございます。それから第二号が「私立の大学の職員又はこれを設置する学校法人理事」、この二号に該当するのが現行私立学校法第十九条の二項の一号に当たります「私立大学の学長、私立高等専門学校の校長、これらの学校の教員又はこれらの学校設置する学校法人理事」、この規定に該当するわけでございます。  それから前に戻りまして、学校教育法の六十九条四の四項の三号「学識経験のある者」、これは現行の十九条の二項の二号「学識経験のある者」というふうになっているわけでございます。そういう意味で、ここに書いてございます同条第四項第二号、これは学校教育法六十九条の四の「第四項第二号に掲げる者のうちから任命される委員」、言いかえれば第四項第二号というのは、私立学校関係者のうちから「任命される委員の数が学校法人分科会に属する委員の総数の四分の三以上になるように政令で定めるものとする。」言いかえれば現行十九条、今の私立学校法十九条と同じように委員構成については制限をしているわけでございます。それに基づいて政令で四分の三以上になるように委員構成を定めるということになるわけでございます。  それから、委員候補者推薦でございますが、委員候補者推薦につきましては二十条に詳細に規定されておりますが、一応新法の十九条では「私立大学等関係委員候補者は、私立大学及び私立高等専門学校が組織する政令で定める団体推薦する者とする。」ということで、政令にその中身をゆだねておりますが、私ども、今のところ政令では現行の二十条の考え方を踏襲いたしまして、「私立大学及び私立高等専門学校教育一般の改善振興を図ることを目的とする団体で、私立大学及び私立高等専門学校の総数の三分の二以上をもって組織される」団体というふうに規定したい、言いかえれば現行の二十条と全く同じように政令で定めたいというふうに考えているところでございます。
  62. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 だんだんに出してくるから話が長くなるので、できればこれは資料として早目に出してくだされば、私もこんなに人から恨まれながら長い時間質問しなくて済むのですけれども。  先ほどの大学審の方の二十名、これはどのようにしてどういう基準と申しますか、先ほど例に引きました私立学校法の場合は委員について随分詳しくいろいろ規定されているわけですけれども、大学審の二十名というのは一体どういう基準で選定されるのでしょうか。
  63. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 大学審委員につきましては、大学に関して広くかつ高い識見を有する者の中から選ぶということでございまして、具体の選び方につきましては、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、大学関係者を中心に考えながら広く各界の方々に入っていただくということを考えておるわけでございまして、あと具体基準のようなものを考えておるということはございません。
  64. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 それについて、実はこれは見方の違いというか、見方もあると思うのですが、大学審議会設置の動きが始まりますのと前後いたしまして、大学改革協議会というのが文部大臣の私的諮問機関として昨年から活動しているとされております。何人のメンバーで何回やられたのでしょうか。どういう内容が語られたのでしょうか。
  65. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 大学改革協議会でございますけれども、これは各方面から大学改革についていろいろ御議論がございます。それを踏まえまして大学改革を進めていくに当たりまして、現在大学審議会設置をお願いしているわけでございますが、その成立までの間じんぜんとして待っているというわけにもまいりませんので、関係者の方々にお集まりをいただいて御議論をいただく機会ということで非公式に動かしておるものでございまして、二十名の委員の方々ということで、これまで御議論いただきました具体事項は、この大学審議会に関する事柄についてお諮りをし、それから大学院の充実と改革の問題についてお諮りをし、それから大学設置基準改善大綱化と申しますか、そういう問題について御議論をいただいたということで、これまで十回前後ぐらいの御議論をいただいておろうかと思っております。  なお、その中で、例えば大学院に関する設備の充実――失礼いたしました。改革協議会のメンバーは十八名でございました。具体の課題といたしましては、大学院の飛躍的な充実という観点から、大学院のための先端的設備の整備が必要であるという御意見をいただきまして、今年度の予算で国公私立を通じまして三十二億円の設備費を新たに計上してお配りをすることにしたというようなことが具体の成果として現在出ております。
  66. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 私どもがいろいろ調べさせていただき、あるいは今の御答弁をつないでいきますと、大学改革協議会、私的諮問機関というのは、大学審が生まれるまでのいわばプレ大学審という感じがするわけでございます。性格、メンバー、それが引き継がれるということは考えられますか。
  67. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 議論されております中身は、大学改革について当面の問題を議論して、先ほど申し上げたような主として、大きく言えば三項目についての御議論をいただいたわけでございますので、そういった御議論は大学審議会が成立いたしましたら今後も引き継がれていくと申しますか、同じように取り上げられていくことになるだろうと思っておりますが、ただメンバーをどうするかという問題につきましては、この方々に直ちに大学審議会に入っていただくというようなことを予定しているわけではございません。
  68. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 このメンバーを拝見しますと、半数あるいは半数以上が企業あるいは官僚の方が占めておられる、大学関係者がどちらかというと少ない、こういう感じを持つのですが、これはそれがそのまま大学審に引き継がれるんじゃないのだ、そういうふうにおっしゃったわけですが、この比率と申しますか、大学審が生まれてからのその運営なり性格からして、企業の方が多く入るというのは私は好ましくないと思うのです。  これは最後にちょっと論議したいのですけれども、日本大学の歴史というのは、その時代時代要請にこたえるという形で、そのこたえ方は、こたえてはいるが振り回されているという歴史もある。そういった意味で、高度成長以降、財界の方の発言が、教育の場において、農業の場において少し多過ぎる。これは私の感じですから、どなたが何とおっしゃろうといたし方ありません。そういう意味で、メンバーとしては、このままのような、一人一人という意味じゃないですよ、こういうような色彩でいくことについては私は好ましくないと思うのですが、大臣の御意見はどうですか。
  69. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 今の大学改革協議会を見ていまして、企業の方は私が数えましたら六人、間違いないと思いますが、現数が十八名で六名といえば、私はそれほど多いとは思いません。しかし、教育に関する問題ですからやはり経験者というものを十分に取り入れていくということだと思いますので、私は、民間の人でも教育を非常に熱心に考えていただく方の意見は聞くべきであろうと思っております。
  70. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 今の問題については一言申し上げて別な問題に移らせていただきますが、私は財界、企業関係の方の発言が多いと感ずるのは、農業の部門で、いろいろな見方があることはわかりますけれども、食管の問題あるいは輸入の問題、これは直接教育とは関係ありませんが、そういった問題について非常に提言、発言が多い。それは多いこと自体はとめようもないわけですけれども、それがどうも自民党の政策をリードしている、あるいは自民党の方が後追いしている、そういうのが今までの実態なんです。少なくとも農業関係ではそうです。――見方の違いだから仕方ないでしょう。教育についてもそのことを私は心配しているから申し上げているのです。  最後に大臣大学審議会ということを中心にいろいろ今まで質問を申し上げてまいりましたが、私は、大学審議会というものの基本になるのは、日本大学というものがどうあればいいのか、今までどうだったのか、その今までの大学の歴史を検証しながら、今の時点で大学に存在している問題は何なのか、そしてそれを今後どのように持っていくと申しますか、論を重ねていくのがより正しいことなのかということについて、基本的なことについて大臣のお考えをお聞きして、質問を終わらせていただきたいと思います。  私は日本大学の歴史は大体三つの時期に分けることができる。これは物の本にもよるわけでございますが、一つは、明治五年に学制発布されまして一つ方向性が示された、詳しく言えば一時間かかりますから飛ばしますけれども。そして東京大学が創設されたのが明治十年、これが唯一の大学として約九年間そういう体制が進んでまいりまして、明治十九年に帝国大学令が公布された。そこで、その以後京都であるとか仙台であるとかというふうな大学がふえ、あるいは私立のいろいろな専門学校なり学校機関がふえていくわけでありますが、帝国大学発足の場合の公布の第一条には「帝国大学国家ノ須要ニ応スル学術技芸ヲ教授シ及其ノ蘊奥ヲ攻究スルヲ以テ目的トス」、こうあります。これは素直に受けとめてよろしいかと思うのです。  それからずっとたちまして、東北帝国大学、九州帝国大学、北海道帝国大学等ができ、あるいはやがて大正を迎えて早稲田を初めとする私学が出てくるわけでありますが、臨時教育会議というのがこの時期につくられているのです。時代背景も内容委員の数も今の臨教審と非常に似ておるのですね。勧告建議の違いがありますが、建議することができるというふうなのが出てきておる。  そういった中で、これは大正七年ですが、国家に対する大学の性格というものが変わってきておるのですね。それは、出だしは同じなんですが、「国家二項要ナル学術ノ理論及応用ヲ教授シ並其ノ蘊奥ヲ攻究スルヲ以テ目的トシ兼テ人格ノ陶冶及国家思想ノ涵養ニ留意スヘキモノトス」というふうに変わったと申しますか、つけ加わってきております。そしていわゆる戦時中を迎えるわけでありますが、昭和十二年の教育審議会におきましては、「大学国家ニ項要ナル学術ノ理論及応用ヲ教授シ並ニ其ノ蘊奥ヲ攻究シ」ここまで同じなわけですが、「常ニ皇国ノ道ニ基キテ国家思想ノ涵養、人格ノ陶冶ニカムルヲ以テ目的トナス」というふうに「国家思想ノ涵養」が入ってまいりまして、それに続く文面には、「皇運ヲ無窮ニ扶翼シ奉ル」というふうなことであるとか「国防ニ関スル認識ヲ深カラシムルコト」ということがつけ加わって、戦争に突入していくわけであります。これが第二期であります。  第三期は戦後の教育ということになると思いますが、これはいろいろ申し上げる必要もないと思いますけれども、新制大学の制度としては、「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」というふうに非常に平和的になってきておる。しかしその後、それは企業なり産業とのかかわり合いにおいて、基礎研究と応用研究とのバランスが応用研究の方に移っていっているのですね。  今大変駆け足で申し上げたわけですけれども、大学の歴史を大きく三つの時期に分けましたが、国家の状況あるいはその時期における大学期待するものというのを背景にしながら大学の性格づけというものが示唆されてきた。  さて、この流れを見て、今の第三期の戦後教育というものをあえて戦後政治の総決算ということで考えていった場合、これからの大学というものをどのように持っていかれるのが今の時点における大臣としてのイメージであるか。さっき申し上げた「皇運ヲ無窮二扶翼シ奉ル」ではないのでしょうけれども、国家要請、基礎研究、応用研究といったものを含めまして、大臣に一言御感想をいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。
  71. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私も素人で余り大きいことも言えませんけれども、私が感じております第一は、これだけ世の中が複雑になり、そして技術、学芸というものが広範にしかも非常に高度に発展してまいりました。そうすると大学の中でまず考えなければならぬのは、大学教育の場であると同時に研究開発の場であるということ、戦前におきます大学はこの二つをエリート教育の中で兼任してやってまいりました。しかしこれからは、大学における教育と研究というものは相互に関連はいたしますけれども、ある場合には分野をある程度分離していかなければならぬような事態もだんだんと起こってくる。けれどもそれは、研究は研究だけで、あるいは教育教育だけで立つものではございません。そこに相互に交流しながら大学教育の実を高めていくということをまずやらなければならないのではないかと思うのであります。  それと、先ほどお聞きしておりまして、よく研究してこられたと敬意を表しておるのですが、確かに日本大学の今までの制度の中に国際化ということが一つも入っておりませんでした。日本がこれだけ豊かな経済力を持つようになって、なおかつ学問、特に基礎学門で国際的に寄与しておる分野が少ないとするならば、これは残念なことだと私は思うのです。ですから、国際的に寄与し得るような基礎学問というものに今後大学がうんと力を入れていかなければならないのではないか、私はこう思うのであります。同時にそれが国際化への道につながっていく、こう思っておるのであります。  それと、もう一つ大学が持っておりますのに、学問に関する情報を収集して、そしてそれを適当にそしゃくして、よりみずからの努力で情報化社会に対応していく能力を現在の大学につけていかなければいけないのではないか、こういうことを思うのでございまして、そういうことを通じて大学日本教育水準を高めると同時に、また学問の拠点としての発展を果たしていくようにいたさなければならない、こういうことを私は素人ながら思っておるものであります。
  72. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 終わります。ありがとうございました。
  73. 愛知和男

    愛知委員長 午後一時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十分休憩      ――――◇―――――     午後一時二十三分開議
  74. 愛知和男

    愛知委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。江田五月君。
  75. 江田五月

    江田委員 私はこんな話を聞いたことがあるのです。世の中が悪くなるについては三種類の人間が責任あるというのですね。その一人は教師。教師がどんな問題を持っているかというのは今まだいろいろ議論がありますけれども、その教師の一番頂点に立つ大学教授を含む大学、これがいろいろな問題を抱えていることは事実で、これを何とかしたいということもみんな共通しているわけです。ただ何が問題かという認識とかこれをどう何とかするかの方法とかは議論がいろいろあるわけで、そこで大いに議論をしなければならぬと思うのです。二番目に世の中が悪くなるについて責任のある人は宗教家。これはきょうはさておき、三番目に、本当は最も重要な責任があるのかもしれませんが、政治家というのが出てきますわ。  教師と宗教家と政治家、これが世の中を悪くするというわけですが、きょうロッキード事件の判決が出ました。伊藤宏被告に執行猶予四年がついた以外は控訴棄却、したがって我々の同僚議員である田中角榮元首相は懲役四年、追徴金五億円ですかの実刑が高裁でも言い渡されたわけです。  第一審の判決では、このロッキード事件、田中角榮元首相の行為について、国民の公務の公正に対する信頼は甚だしく失われた、社会に及ぼした病理的影響の大きさははかり知れない、こう糾弾されたわけで、今大学を云々する前に、まず世の中を一番悪くしている政治家がこういう問題について一体どう新たな決意で事を正していくかをやらなければならぬ。国民教育するとかなんとか言う前に、まず隗より始めよということですが、きょうのこの判決は文部大臣も当然お聞きになっていると思いますが、教育に対して一番重要な責任を負っている大臣としてどういうふうにお考えになるか、まずお聞かせください。
  76. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は、どんな判決であったか詳しく聞いておりませんけれども、テレビを見ておりまして、今おっしゃるようなことでございましたが、直ちに田中被告側はこれを上告するということを言っております。最高裁へ上告されるのだと思うのですが、結局そういうことを見ますと、やはり上告されたその結果を見なければこの問題については言えないと思うのです。  しかし、政治家の倫理問題としていろいろと世間から言われていることがございますが、それはそれとして、私たちは世間の声というものを謙虚に受けとめる必要があるとは思っております。しかし、このロッキード問題と我々個人というものは、自分さえしっかりしておればそういうことはかかわり合いのないことでございますので、まず政治家一人一人が自分の責任の重大さを自覚して、信託にこたえる気持ちをしっかり持つことが大事だと思っております。
  77. 江田五月

    江田委員 政治家一人一人ももちろんですけれども、国民から見ますと大学もいろいろ問題がある。しかし、大学もやはり、大学人一人一人の問題だとは言えない、いろいろな仕組みの問題や何かで、もっと大学しっかりしてほしいというのは国民の声。同時に国会も、政治家一人一人というふうにしてしまうのではなくて、やはり国会として政治倫理を正していくということについて何かしてくれないと、大学のことをいろいろ言う前に、まず国会がこんなことでいいのかということだと思うのですよ。上告をされたとするならば上告審を見なければわからぬわけですが、一体なぜ政治家は、起訴されて、まだ上告審がありますからと言って平気でおれるのか。普通の公務員は起訴されたらそれで休職になるじゃないか。国会というのはいいですね、こう国民は思うわけでしょう。今文部大臣は、この政治倫理についてもう少し世間の声を謙虚に聞くべしという話はあったわけですけれども、政治家個人個人の問題とされるのではなくて、やはり内閣の中でもあるいは自民党の超有力政治家の一人としてでも、これを契機に、大学に対していろいろなことを言う立場を確立するためにも、国会みずから襟を正そうじゃないかという発言をされるべきではありませんか。
  78. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 国会みずからということは江田五月先生も含んでの話になってまいりますので、もちろん塩川正十郎も含んでの話でございますので、これは政治家全部の責任であろうと思います。
  79. 江田五月

    江田委員 きょうはこの事件に余り深入りするときではありません。しかし私は、もちろん私も含めてですが、こういう国会の状況で大学のことを云々するのはどうも何かおこがましいといいますか心がちょっと痛みますね。そのことをまず冒頭申し上げて、中身に入っていきたいと思います。  これまで戦後、大学について政治の場で議論をされたことは過去三回、今回で四回あると私は思います。時にはそれは、国会の正式の法案審議ということにはならなかった、しかし時には法案審議もあった。  戦後、昭和二十六年には国立大学管理法案というものが出されましたね。この中には国立大学審議会という制度の規定が含まれている。国会に提案されて審議も行われておりますが、廃案になった。昭和三十七年には、これは国会にまで出されませんでしたが、国立大学運営法案、いわゆる大学管理法案というものが大いに議論になった。ちなみに、私は当時大学生で、学生自治会の委員長で、ちょっとやり過ぎて首になったわけで、したがって大学管理法というこの分野のことはいろいろ思いがございます。そして三番目に、昭和四十四年、大学紛争が非常に吹き荒れて、紛争処理といいますか、押さえつけるという目的で、大学運営に関する臨時措置法内閣提出で出されまして成立しました。成立はしたけれども、そのときの国会は大荒れに荒れた、これだけじゃないが、いろいろな課題があって荒れたわけですね。そして今回が四度目ということになると思うのですが、こうやっていろいろな議論があった中で、一貫して常に議論になっていたのは、やはり大学自治学問の自由ということだった。反対する側は、学問の自由、それに基礎を置く大学自治、これを侵すことになるじゃないか、推進する側は、いやいやそんなことはありません、こういう議論だったのです。  最初にまず確認をしておきたいのですが、今回もこの学問の自由、大学自治、これは最大限に尊重していくという立場は変わらないんだろうと思いますが、大臣いかがですか。
  80. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 先ほども申しましたように、学問の自由それを保障するためには大学自治が必要であるということ、これは当然でございます。  ただ私は、先ほども申し上げましたように、それはあくまでも大学人といいましょうか、その大学人が国民理解を得られるということが大事なのであって、先ほどお話に出ましたような大学管理法をつくらなければならないような異常な状態にならぬようにしなければならぬ、それを前提にするということが学問の自由と学園自治が保障されていくんだということ、これは改めて私からも申し上げたいと思うのです。
  81. 江田五月

    江田委員 例えば、あの大学運営に関する臨時措置法のときには、これは言い方によれば学生の暴走によって大学自治もへったくれもなくなってしまった、大学自治を回復するために横から突っかい棒をするんだ、そういう言い方があるいはあるのかもしれませんが、さあ、そうであるかどうか議論のあるところだと思いますが、きょうはそれに入りません。  今度は、今出されております大学審議会法案学校教育法及び私学法等の一部改正法、これは大学がどうも自治自治と言うような状況じゃない、大学自治がいささか危ないから、大学自治を口にするのはいささかおこがましいというような状態になっているから、だから多少大学自治を侵すような、大学自治に抵触するようなことがあってもあえて文部省側が乗り込んでいってこれを直してやろう、そういう親切なお心でございますか。
  82. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 全くすかたんなことでございまして、そうじゃございませんで、そういう異常な事態がない限り学問の自由、大学自治というものは尊重していかなければならぬということであります。
  83. 江田五月

    江田委員 確認しておきますが、今回のこの法改正は、少なくとも提出された内閣の、そして文部大臣のお考えとしては、学問の自由、大学自治に全く抵触するものではない、こうお考えになっておられる、これでいいのですか。
  84. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 その精神を尊重しながらやっていくんだということ、間違いありません。
  85. 江田五月

    江田委員 精神を尊重するというのはよくわからないのですがね。その精神を尊重するためにも若干手荒なことをしなければならぬ、そういうことなのか、それともこの法律大学自治は全然侵害するようなことはない、そういう法律じゃないというお考えなのか、どちらなのか。
  86. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 絶対だとか全然だとかいうことをおっしゃるから――いろいろ表現あると思うのですが、それは言っていることはよくわかっておると思うのですから、その程度でひとつ理解していただいたら……
  87. 江田五月

    江田委員 何か非常に政治家的というのですか、あうんの呼吸というのですか、ちょっとそれではやはり困ると思うのですね。大学関係者が心配しておるので、それは杞憂だということなのか、それともああいう言い方だとやはり我々の心配も当たっているのではないかというふうに大学関係者が思ったままでいいのか、ここをはっきりさせておかれた方がいい。はっきりさせても、なお、それじゃこういう場合に大学自治を侵害することになるじゃないかとかいろいろ議論が出てくるわけですから、少なくとも冒頭の大臣の答弁としては、大学自治を侵すようなものではないということははっきりされたらどうですか。
  88. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私はそれははっきり言っておるはずでございまして、ただし、そういう異常事態を起こすようなこととか、あるいは国民がだれが考えても非常識であるというようなことがない限り、それはやはり学問の自由と大学自治というものは認めて、これを尊重して十分守っていかなければならぬ、また守るのが文部省の責任でもあると思うのですよ。だから、そういう事態がない限り、学問の自由並びに大学自治というものは保障していくべきだ、私はこう思っております。
  89. 江田五月

    江田委員 その限りではわかるのですが、文部省は、異常事態がない限り学問の自由、大学自治は最大限尊重し守っていく、それはそうです。私が聞いているのは、文部省はというよりも、この法律は、この学校教育法改正法案大学自治とこの点でちょっと抵触しますが、しかしこういう事態ですから仕方がないのですということなのか、それともそういうことは全然ないのですということなのかということです。
  90. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 法案で見る限り、私が言った自由と自治は保障しておると思います。
  91. 江田五月

    江田委員 何かどうも、どこかやましいところがあるというような答弁に聞こえるのですけれども、それでは、今反対をしているあるいは危惧を持っている皆さん方が、なるほどということにちょっとならぬ。ならぬにはならぬ理由があるのかもしれませんけれども、しかし、いずれにしても大学自治というものは民主主義体制の一つの基本的な価値ですから、これは民主主義体制でない体制では容易に崩される、しかし、我々の民主主義体制のもとではこれはしっかりした一つの価値として守っていかなければならぬものですから、この点はひとつ万遺漏なきようにお願いをいたしておきます。  ところで、これまでの三回の大学に関する政治の場での議論の成果というもが今回のこの大学改革ということに引き継がれておるのかどうか、要約して簡単にで結構ですから、こういうことがありましてこういうふうにこれまでの経験を引き継いでおりますということがあれば、お答えください。
  92. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 先生から、昭和二十六年以来のいろいろなケースについてのお話がございました。  確かに、お話にございましたように二十六年の国立大学管理法案、それから三十七年は、提案されませんでしたけれども、国立大学運営法案というものが用意されたということがございましたし、御指摘の紛争時の臨時措置法もあるわけでございます。もちろん、こういったたぐいの従来の経緯というのは我々の念頭に十分入っておるわけでございます。  ただ、こういったたぐいの事柄というのは、大学管理運営についていろいろ異常な事態等がありました時点において、その問題について正面からどう対応するかというところが基本になって、この問題が議論されたということであろうと思いますが、今回私どもが考えております大学改革というのは、大学を国際的にも高い水準のものに高度化をしていきたいとか、あるいは大学教育、学部教育内容についても社会のニーズに合うようにできるだけ改善をし充実をしていきたいとか、あるいは大学運営等につきましても、大学における教育・研究が生き生きと行われるような仕組みというのをどうすればいいのかといったような、総合的な観点から大学改革というものを考えておるわけでございますので、そういう意味では、先生お挙げになりました従来のケースとは視点が違うと申しますか、次元が違う問題に対応しておると思うわけでありまして、そういう意味からは、従来の、この部分がこうで、これがこうでというたぐいのものではないのではなかろうか、そう理解しておるわけでございます。
  93. 江田五月

    江田委員 例えば昭和二十六年の国立大学管理法案というのを見ましたら、これはなかなかおもしろいですね。第四条で「委員」というのがありまして、二十人の委員で国立大学審議会を組織するんだそうですが、この法律中身、第二項では「国立大学の学長が互選した者 六人」「日本学術会議がその会員のうちから推薦した者 四人」「学識経験のある者について両議院の同意を得た者十人」こう委員についてなかなか細かな規定があるんですね。その推薦方法とか学術会議の会員の地位を失った場合の退職であるとか、まあそんなこともずっと細かく規定してある。委員任期規定してあります。会長、副会長もあります、先ほどかなりもめておりましたが。免職のこととか権限のこととか会議の招集のこととか、あるいは議事の仕方、だれが議長になるとか過半数とかいうような話、報酬、費用弁償、そういうことまでずっと書いてありますが、こういうような細かな規定は、これを置くとどうも国会がもめてしようがないから今度はそういうことをやめたんだ、こういうふうに、前の経験を生かされたと邪推をしたくなるのですが、これはどうなんですか。こういうようなことを今回はなぜ決めないんですか。
  94. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 昭和二十六年でございますか、国立大学管理法案というのは、言うならば、国立大学設置をし管理をしているという立場での設置者である文部大臣権限にかかわる事柄についてのこういう審議会をつくろうといった考え方であったわけでございます。ですから、この国立大学管理法案で言っております国立大学審議会の例えば「権限」を見ましても、国立大学についての法令、例えば国立学校設置法をどうするかというようなたぐいのことでありますとか、あるいは予算をどうするか、あるいは学部・学科の設置だとか学生定員をどうするかとか、そういうたぐいの、国立大学のまさに管理者としての大学自体あるいは文部省が行うべきことについての御審議をいただく機関、こういうような特別の機関という位置であったわけでございます。そういう意味では管理機関の一種であったかというような感じがするわけでございますけれども、今回お願いをしております大学審議会法案は、こういった国立大学設置、管理について直接かかわるというような性格のものでは全くなくて、一般的に大学政策についての御議論をいただき、文部大臣に対して答申あるいは勧告等をいただく、そういう機関ということで位置づけておりますので、そういう意味では一般の審議会と性格的に同じようなもの、そういうふうに考えております。  そういう観点から、ごく基本的な事項法律に定めるにとどめまして、あとは先ほど御答弁申し上げましたように政令に中身はゆだねるということで、政令で細かい審議事項等あるいは任期等は決めることに――審議事項というのは、失礼いたしました。任期とかその他の内部組織とか、そういうたぐいのことを決めるということにいたしておりますので、そういう意味で、機関としての性格が違うということから、格別この二十六年の法律案を見てどうこうしたということではございません。むしろ、先生の御指摘をいただいてもう一度勉強のし直しをしたというのが実態でございます。
  95. 江田五月

    江田委員 今の失礼しましたという部分ですが、これははっきり取り消されますね。
  96. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 審議事項を政令でということは、取り消させていただきます。また、私の言い間違いでございました。
  97. 江田五月

    江田委員 その上でですが、どうもやはりちょっと素直に納得しかねるのです。管理者として管理の方法などについての審議であるから、任期であるとか手続であるとか委員の資格であるとか招集であるとか議事であるとか、そういうことを法律で決める、そうでないものは政令にゆだねるというのが――今いろいろな資料が手元に十分ないから、あの場合はどうだ、この場合はどうだといろいろ申し上げるほどこちらも材料を持っていません、正直言って。ですが、どうなんですか、最近はむしろ立法技術として、こういうような細かなものまで、細かなというか、本当は民主主義というのは手続ですから、手続が一番重要なんですから、その部分をきちんと、もし国会を大事に考えるなら、国会の中でそういうものを審議をして法律で決めておくことが必要だと思いますが、立法技術として全体的に変わってきているのじゃありませんか。
  98. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 先ほども申し上げましたけれども、今回のものは、文部大臣諮問に応じて一般的に大学政策についての御議論をいただく審議会でございますので、他の審議会の場合と同じようなたぐいの規定の仕方をさしていただいたという点では、おっしゃるように立法技術的な問題もあるわけでございます。  ただ、さきの国立大学審議会という昭和二十六、七年当時のこととの比較でお話がございましたので、性格が違うところがあるということを申し上げたわけでございます。
  99. 江田五月

    江田委員 性格が違うことはこれはわかり切っているわけで、押し問答をしても仕方がないのですが、昭和四十四年の場合ですけれども、これは先ほども言いましたように大変に大学が荒れている時期であって、病理現象、急性症状の時代であったかと思いますけれども、まずこの前提として、大学の紛争処理、こういうものは今度のこの大学審議会では扱うのですか。
  100. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 先ほど来お答え申し上げておりますように、大学審議会大学についての基本的な事項について審議をするということでございまして、そういう範囲の中に形式的に言えば入り得るかと思っておりますけれども、ただ、私どもが現在問題意識を持ってこの審議会をつくりたいと考えておりますのは、先ほどお話し申し上げましたような、大学改革をしていきたいということを中心に考えておるわけでございます。そういう意味で、将来大学の紛争処理というようなことが一般的な大問題になるという事態が仮に出てきた場合にはあるいはそういうこともあり得るかとも思いますけれども、現段階でそういうたぐいのものを対象にしてこの審議会審議をするということを予定しておるわけではございません。
  101. 江田五月

    江田委員 もっと前向きのことを考えているんであって、そういう紛争処理とかいうような後ろ向きのことは考えていない、今はそういうような事態にはない、将来そんな事態が――それは世の中のことですからわからぬけれども、またまたああいうふうな大変なことになるとは思っていない、そんなことを予測しているわけでもない、こういうことですね。基本的事項について審議をするというわけですが、その基本的事項には紛争処理の方法などが予定をされているとかいうようなことはない、こう伺っておきたいと思うのですが、しかしやはり心配になるんですね。  大学運営に関する臨時措置法、これは「その施行の日から五年以内に廃止するものとする。」こうなっているんで、これはもう廃止になっているわけですか。
  102. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 先生承知の上でお聞きいただいているんだと思いますけれども、大学運営に関する臨時措置法でございますが、これは法律を制定いたしました際に、その附則におきまして「施行の日から五年以内に廃止するものとする。」こういう規定があるわけでございまして、法律の題名どおりいわば臨時的な措置として設けられたものでございます。そして、昭和四十九年八月に施行の日から五年という期間が経過をいたしましていわゆる廃止の時期になったわけでございますが、その時点におきまして、政府として、その期限到来に伴いまして、それでは具体にどういう法律的措置をするかということについて種々議論を重ねてきたわけでございますけれども、遺憾ながら結論を得るに至らないというような状況で今日に至っておるわけでございまして、今後の諸般の情勢を見ながら引き続き検討すべき課題である、こういうふうに認識をいたしておるわけでございます。
  103. 江田五月

    江田委員 「廃止するものとする。」というのですから当然廃止になっているはずのものだと思いますが、いまだに生きている。生きているけれども、これは何という名前でしたかね、審議会がありますね。文部大臣が学長に対していろいろなことを勧告をしたりする場合には特定の審議会の議を経てやるということでしたかね。その審議会のメンバーは任命をされておらない、したがって審議会が動きようがない、したがってこの法律による一番強力な文部大臣勧告権限というのは行使のしようがない、こう理解してよろしいですか。
  104. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 「廃止するものとする。」という規定になっておりまして、しかしながら廃止をされていないということになっております関係上、法律そのものは存続をしておるわけでございますが、ただ事柄の性格上、あるいは最近の諸般の情勢から見まして、臨時大学問題審議会委員任命は行っておりませんし、必要な予算措置も行ってはおらないというのが最近の状況でございますので、そういう意味で、問題が起こりました場合に直ちにこれが動き出すというふうな仕組みには現状ではその体制はないということでございます。
  105. 江田五月

    江田委員 現状ではその体制にないし、しかも、先ほどのお考えでしたら、予測し得る将来そうしたことが必要になるような事態というのは全然考えていない、こういうことですね。だって、大学審議会の方は、基本的事項というけれども、そういうことは審議内容として考えていない、そういうことなら、この大学運営に関する臨時措置法は、大学審議会の方にこういうものがまた引き継がれていくんじゃないかというようなことがもし無用の心配だとするならば、さっさと「廃止するものとする。」というこの廃止法というものを準備されたらいかがですか。
  106. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 この法律につきまして、その期限が到来した時点から政府部内でもいろいろ検討してきたということは先ほど申し上げたとおりでございますが、ただ、現実に私どもが先生お答え申し上げましたのは、全体的に紛争問題について基本的に議論をしなければならないというような現在の情勢ではないということを申し上げたわけでございまして、今後ともそんなことはないとか絶対に心配がないとか、そういうことを申し上げたつもりはないわけでございます。  今回、現実のこの法案につきましても、この法律の期限が到来しました時点以降これを廃止していいのかどうかということについていろいろ議論があり、あるいは廃止をした場合に廃止のしっ放しではなくてこれにかわるべき法的措置を何らか講じた方がいいのではないかというような、いろいろな議論がずっとございました。それについての結論を得ないままに今日に至っているということでございます。  大学の現状は、確かにそういう問題が一般化するような状況には全くないことは事実でございますけれども、なお今日でも幾つかの大学において、紛争法に言う紛争というような定義に該当することまでいかなくてもいろいろな騒ぎ等は起こっておるわけでございますので、そういったこと等も踏まえまして、これを直ちに廃止してしまうのはいかがであろうか。しかし、それにしても、それではどう対応すべきかという重要な問題につきまして、この新しくお願いします大学審議会で議論をしていただくということよりは、むしろ政府の段階で、従来からの課題の引き続きとして、我々の中に課題として持っていこうというような対応で現在おるところでございます。
  107. 江田五月

    江田委員 何かあっちへ行ったりこっちへ行ったりという答弁のように聞こえるのですけれども、この大学運営に関する臨時措置法が発動されなければならぬような事態というのは、先のことはわかりませんから、将来絶対そういうことはないんだというようなことはだれも言えません。言えませんが、しかし、この法律をつくるときには五年間、とにかく異常事態だから、急性症状の病気のときだから、だから五年間この法律で何とかということだったわけでしょう。それが終わったら、これはけじめとして、「廃止するものとする。」というのですから、それを廃止しなければいかぬと思うのです。もし、いや、廃止してもいいのですが、だけれども何かまた起こるかもしれませんからというふうにしてこのことがはっきりしないのだったら、やはり紛争処理といったことも今度の大学審議会でやるのじゃないか。前向き前向きと言うが、後ろ向きのこともやるのじゃないか、そういう心配が出てまいります。  なぜ一体これが廃止できないのか。「廃止するものとする。」というのですから、廃止をする法律を出す義務がどこかにあると思うのです。これは閣法ですから、やはり内閣にあるのじゃないか。
  108. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 この法律はもちろん政府提案で行われたわけでございますので、「廃止するものとする。」ということについて何らかの措置をするというのは政府側の責任であろうと思います。そういう観点から、我々といたしましても、この問題については鋭意毎年考えてきたということでございますが、先ほど来お答えしておりますように、廃止をするというときにどういう廃止の仕方をするかということでございまして、その場合に、ただ廃止をすればいいという御意見もあるかと思いますが、なおまた紛争の芽というのは全くゼロではないといたしました場合には、どういう形でもってさらに法的手当てが必要かどうかというような議論等もいろいろあって、まだ結論を得ていないということでございまして、そういう意味でもうしばらく時肝をかしていただいて検討したい、こう思っておるところでございます。
  109. 江田五月

    江田委員 廃止をする場合にどういう手だてが必要かといった議論は大学審議会審議事項には入らない、さっきの答弁はそう聞いていいのですか。
  110. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 先ほど来お答えしておりますように、これを大学改革に伴ういろいろな課題の中でまず一つ重要な事項として大学審議会審議をしていただくというふうには考えていない、こういうことを先ほど来申し上げておるわけでございます。
  111. 江田五月

    江田委員 これはやはりけじめでして、国会が五年たったら廃止するのだと言っているのだから、それは後でまた何かが必要であるかどうかは別として、そういうときには廃止をきちんとするということをやっていかなければならぬと思いますよ。そういうけじめをつけずにずるずる、ずるずると責任逃れで言を左右にというようなことは余り好ましくない、いい影響を与えないと私は思いますね。まだ今もいろいろ小さな紛争があれこれあるからというふうにおっしゃいますけれども、果たして一体大学というところが全く何の紛争もなしに、そういった政治的な議論もなしに平穏無事に過ぎていくのがいいのか、それとも多少の議論がありながら、まあ自分がやったから言うわけじゃありませんけれども、多少のもめごともありながらいく方が本当の社会人が育っていくのか、そのあたり私はもっと大きな目から見ないと、管理者にすればきちっと管理できているのが一番いいということになるけれども、やはり教育ですから、歴史に対する責任があるわけですから、歴史に対する責任というのは、余りそのときの平穏無事だけで過ごしていってはいかぬと思います。  これは私の意見ですが、大臣どうですか、どういう感想をお持ちですか。
  112. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 この法律の処理は、こういうものこそまさに国会の問題だと思うのです。国会法律を制定しあるいは廃止をする、それは国会の機能の一つではなかろうかと思っております。
  113. 江田五月

    江田委員 私がちょっと聞きたかったのは、大臣の政治家としての見識、つまり大学というのは全く平穏無事で、するするするっとトコロテンのように、今そういう議論があるのですよ、ちょっと余りにも学生が小物過ぎるじゃないかと。御存じでしょう。だから、多少は大学紛争みたいな、余りそれがめちゃくちゃになって勉強もできないのも困るけれども、時にはつばを飛ばしながら大いに議論をする、暴力はいけませんけれども、多少は、おい、何だというようなことが、国会でもちょっとは――国会は余りよくないのかもしらぬけれども、あっていいのじゃないかということについて、文部大臣としての大らかな心意気を示したらいかがかと思って聞いたのです。
  114. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 学生がやっておることで、エネルギーの発散であるというそういうことで、また若さのことから、国を憂いあるいは世界の平和を憂い、そういうことでやっておるということには私ども理解はいたしますが、しかし往々にいたしまして、外部の勢力なり特定のイデオロギーが持ち込まれて気違いざたを起こす、これは私は慎むべきだ、こう思います。
  115. 江田五月

    江田委員 話を変えまして、臨教審の第二次答申では「我が国高等教育の在り方を基本的に審議し、大学に必要な助言や援助を提供し、文部大臣に対する勧告権をもつ恒常的な機関として「ユニバーシティ・カウンシル」を創設する。」これをこのまま受けて大学審議会というものをつくろうということですか。
  116. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 基本的な意見考え方としては、臨教審の御提案になったものとかなり一致したことをこちらに法案として提案をさせていただいていると思っておりますが、ただ内容的には、例えば今先生お話の中で助言、援助というようなことがございましたが、これは私どもは、臨教審の御趣旨がどういうことであるかというところまで全部を知るわけにはまいりませんけれども、審議会ということの性格上、助言、援助というのは、個々の大学に対して審議会が直接助言、援助するというようなことはあり得ないことでございますので、そういう観点からいえば、審議会文部大臣に対する答申その他の形で審議会としての意見を表明されたということが、結果的に大学等改革していくための助言なり援助なりになっていくというような趣旨として理解をしておるわけでございまして、そういう意味で、法律上助言、援助というような機能を規定していないというようなことはございます。
  117. 江田五月

    江田委員 そうすると、臨教審答申の「高等教育の在り方を基本的に審議しこれが、高等教育の諸課題に対応し、積極的に改革推進するため、高等教育の基本的なあり方調査審議するというところであらわされている、そして「文部大臣に対する勧告権をもつ恒常的な機関」、これはそのとおりですね。それで、真ん中にあります「大学に必要な助言や援助を提供する」この部分は、大学審議会は受けていない。そうすると、臨教審答申のつまみ食いじゃありませんか。
  118. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 助言、援助を受けていないということではなくて、助言、援助ということを機能として法律上書き込むことをしなかったということでございます。それは先ほどお答えいたしましたように、この大学審議会答申勧告、そういうたぐいのもので、大学審議会として大学をこういうふうに持っていくべきだということを言われる、そういう提言が結果的に各大学運営等に対する助言なり援助なりになるということであって、それを改めて規定することはないということ。もう一つは、個々の大学に対して発言をするような疑いを持たれてもいけないから、そこの部分は法律上書かないということをしたわけでございまして、そういう意味では趣旨は受け取っているつもりでございますけれども、法律上の条文の整理の仕方としてそういう仕方をさせていただいた、こういうわけでございます。     〔委員長退席、鳩山(邦)委員長代理着席〕
  119. 江田五月

    江田委員 審議会であろうがあるいは審議会勧告を受けた文部大臣であろうが、個々の大学に対して直接に助言、援助をするというのは、これは頭の中にあるのですかないのですか。
  120. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 この審議会設置と離れた問題としてお答えさせていただければ、文部大臣には各大学等機関に対して助言をしたり援助をしたりという権限が基本的にございますので、それに基づいて個々の大学文部大臣として助言をし、援助をするということはあり得ることでございます。ただこの審議会がするということはあり得ないことだ、こういうことでございます。
  121. 江田五月

    江田委員 臨教審答申のユニバーシティ・カウンシルというのは、個々の大学に対していろいろ助言、援助、そういう言葉で頭に浮かぶさまざまな活動について割に重要な位置を置いているのかなと読めるのですが、それは例えば第三節の③ですか、「ユニバーシティ・カウンシルは、答申を行うほか、自ら大学に関する調査研究、大学に関する必要を情報の収集や提供を行いこその他いろいろ書いてありますわ。「大学制度の基本に関する事項ならびに大学の計画的整備と見直し、専門分野に応じた人材の養成計画、大学教育内容方法等の検討、大学評価システムの開発」、そういった臨教審答申に出されているユニバーシティ・カウンシルのある種の活動は、この大学審議会はそのまま受けているわけではない。それでいいのですか。
  122. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 先ほどからのお答えの繰り返しになるかと思いますけれども、ユニバーシティ・カウンシルについての提言というものは、個別の大学への助言、援助ということを考えているわけではないと私どもは理解をしておるわけでございまして、そういうふうに読んでおるわけでございます。  また、そのほかの点では、例えばみずから調査研究をする、情報の収集等もする、こういうことにつきましては審議会の機能として当然あり得ることでございますので、そういう意味では、これも法律上の規定として置く必要はないという考え方で思料しておるわけでございます。そういう意味で、この臨教審提言のその趣旨を受け継いで今度の法案をつくっているということでございまして、いわゆるつまみ食いをしたというふうには考えておらないわけでございます。
  123. 江田五月

    江田委員 今の答弁のあたりは議事録を見ながらもう一遍細かく検討してさらに詰めたいところですが、同僚委員に後でやっていただくことにいたしまして、次へ行きたいと思います。  この大学審議会関係の法改正については、先ほどのお話ですと、臨教審答申をいただいて今度の法案によって大学審議会が生まれるまでに時間の経過がどうしてもあるわけですが、その間、いろいろ重要な答申をいただきながら大学改革を待っているということはできないので、そこで関係者に集まってもらって議論をした、それが大学改革に関する研究協議協力者会議である、こういうお話でしたね。この大学改革協議会といいましょうか、これはいつできて、そして何をするためにできておるのですか。
  124. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 大学改革協議会でございますけれども、昨年の四月に臨時教育審議会の第二次答申が出まして、各般の改革の課題が提言されたわけでございますが、そういうこと等を契機といたしまして、同じく昨年の四月に、主として大学関係者その他の学識経験のある方々にお集まりいただきまして、まずはいろいろな問題についての議論をしておいていただこうということで議論をしていただく、もう一つは、当面できるだけ速やかに実施した方がいいと思われるような問題についての御意見等伺いたいというようなことで、昨年の四月からこれを始めたわけでございます。
  125. 江田五月

    江田委員 これまで九回議論をされた。きょうも会議を開いておるということですね。そして、この中で大学審議会のこと、あるいは大学院のこと、設置基準のこと、これまで議論をされておる。そうした議論というものは、それが一つの成果であるのだからこれは大学審議会に引き継がれていく、こういうことでしたね。よろしいですか、それで。確認だけ。
  126. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 大学審議会というのは、やはり臨教審で提案されているような、あるいは我々いろいろ考えておりますような大学改革というものについての個別の具体的な詰めをやっていただくというのがねらいでございますけれども、その際にやはり関係者のコンセンサスをつくりながらやっていこうというような気持ちもあるわけでございます。そういったような意味から、まず国公私立の大学等の関係者を中心に、いろいろな課題についてこの改革協議会で議論をしていただいたわけでございます。ただ、これは、組織的には大学審議会につながるものではございませんので、大学審議会のプレの状態のようなものという実質はありましたにしても、この議論の結果がそのまま大学審議会に引き継がれて、という言葉が適当かどうかちょっと自信がございませんが、ただ、これこれのメンバーで集まっていただいてこんな議論がありましたということは一つの成果として大学審議会発足したときにはお伝えをして、一つの重要な参考資料としていただこう、こういうつもりは持っておるわけでございます。
  127. 江田五月

    江田委員 大学改革協議会は大学審議会発足した後も残るのですか。
  128. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 大学改革協議会につきましては、大学審議会発足の時点では解消したいと思っております。
  129. 江田五月

    江田委員 この大学改革協議会の人選ですが、議論はありますがそれなりの人選であるという感じもしますが、これはどういう基準でお選びになったのですか。例えば大学人をどう入れるとか、国立、公立と私立の比率とか、地方の大学、大都市の大学、あるいは年齢、あるいは大学人でない人の場合にはどういう基準とか、男女の比率とか、いろいろあると思いますが、どういう考えで人選をされましたか。
  130. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 一般に、こういう非公式の機関あるいは非公式に限らずこういう機関の人選の場合には、いろいろなことを念頭には置いておりますけれども、それを明確な基準という形でつくって、これに当てはまるか当てはまらないかという形で人選をしていくということではないケースがしばしばあると思うわけでございまして、今回の大学改革に関する研究協議会につきましても、先生お話にも出てまいりましたけれども、国公私立の大学関係者というものをやはりまず考えていかなければならない。    〔鳩山(邦)委員長代理退席、委員長着席〕 大学というのはまた、大学教育面ばかりでなくてやはり学術研究面というものもある、主として研究面についての配慮ということもある程度は考えていかなければならない。あるいはもちろんそれ以外にも、例えば現に臨時教育審議会でいろいろ議論されている最中でございましたので、臨時教育審議会との関係者のつながりという面からも、そういう関係の方にもお入りいただこうかとかそういったようなこと、それからもちろん女性の方にも若干は入っていただきたいということでお願いをしたというようなこともございます。もちろんその女性の方の場合には民間の研究者であるというような特殊性も持っておられるというようなことでございまして、いろいろな方向から考えて大体こういうメンバーということにいたしたわけでございます。
  131. 江田五月

    江田委員 女性は民間の研究者がいいと。その今お入りいただいている方が民間の研究者であるという意味ですか、女性は民間の研究者がいいということを言ったのですか、どっちだったのですか。
  132. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 女性の方にもお入りいただきたいということで、たまたま民間の研究者の中に立派な方がおられたので、その方を選んだということだと考えております。民間の研究者でなければいけないとかそんなようなことを考えているわけではございません。
  133. 江田五月

    江田委員 十八人中女性が一人というのは、これはどういうことですか。高等教育はどうも女性になじまないという感じが出ているのですか。そんなことはないと思うのですがね。十八人もいるのに女性一人というのはどうですか。
  134. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 男女の比率というものを、男女の数の割合でというわけにもまいりません。また、大学の関係者等となりますと、例えば現在の研究協議の協力者の場合には、大学団体の代表のような方を選んだということもございますので、そういう役職等も念頭に置きながら選んでまいりますと、どうしても男性の方が多くなってくるという傾向があることは事実でございます、女性は一人でいいと思って決めたとかいうことではないということで御理解をいただきたいと思います。
  135. 江田五月

    江田委員 この大学改革協議会は大学審議会の先取りじゃないかという感じがしますね。どうですか、そうじゃないですか。
  136. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 大学関係者等を中心に大学問題について御議論をいただくということでございますから、そういう意味では趣旨としては同じような趣旨だと思っております。もちろん、ですから大学審議会ができた際にはこれは取りやめようということで考えておるわけでございます。
  137. 江田五月

    江田委員 同じようなことだと。あえて大学審議会の先取りだということを否定されない。そうしますと、どうも国会関係者としては、こちらに法律をお出しになりながら、それより先に行政ベースでどんどん事が進むというのは、余りうれしいことではないということもあると思うのですがね。それはそれでおいておいても、もしそういうことならば、この大学改革協議会の議論が、手続的にというわけじゃないけれども、ここでの議論の成果が大学審議会にちゃんと引き継がれていかなければいけないと思うのです。ところで、引き継がれるということであるならば、この大学改革協議会の議事録やなんかはちゃんととっておられるのでしょうね。
  138. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、組織的にも別のものでございますから、組織的に引き継がれるということではないというふうにさっき申し上げたつもりでございます。ただ、こういう別の組織であるけれども、そこで議論されたことというのはやはり大学人を中心に議論された大事な一つの成果でございますから、これは重要な参考資料として、新しい審議会発足した場合にはそこにお渡しをするということにしたいと思っておりまして、そういうことで、できれば大学審議会発足という時点までには、何らかの格好で、今までの議事の中身をある程度まとめたものにして大学審議会の方にお渡しをするということは考えたいと思っております。
  139. 江田五月

    江田委員 私が今聞いたのは、議事録をおつくりになっているのでしょうねと聞いたのですが、その点のお答えはどうなるのですか。
  140. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 正確な意味での議事録ということではございませんけれども、毎回の議論の要旨のようなものはもちろんまとめております。
  141. 江田五月

    江田委員 大学審議会法、この学校教育法等の一部改正法、これについてはこの大学改革協議会で議論を経たわけですね。
  142. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 もちろん、せっかくこういう協議会をやっておるわけでございますから、臨教審答申の示唆を受けまして、文部省として大学審議会を設けたいということで、事を取り進めるに当たりましては、状況を御説明し、御了解をいただいているわけでございます。
  143. 江田五月

    江田委員 そのときの議事録はないとおっしゃるのですが、だけれども、議事録というものではないが要旨を書いたようなものはあるとおっしゃるわけで、それを提出していただけますか。
  144. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 法案の大綱をその場で御説明を申し上げて、ああ、わかりましたということでございますから、それ以上格別のものはないわけでございます。
  145. 江田五月

    江田委員 法案の大綱を説明して、皆がああ、そうですか、それだけですか。議論というものはしないのですか。なかなかいい人選で、あれだけの人が集まって、ああ、そうですかじゃないだろうという気がしますが、どうなんですか。
  146. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 もちろん、この協議会におきましては、それまで出されました臨教審答申等についてはその都度御説明を申し上げてきております。それで、これに基づく仕組みのものだということで御了解をいただいているということでございますので、委員先生方はもちろん臨教審答申を十分読んで勉強されておりますから、格別の御議論はなかったと記憶しています。
  147. 江田五月

    江田委員 それならそれでもまあいいけれども、そういう要点の記録というものはお出し願えますか。
  148. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 部内の会議で、そういう非公式の会議での議論でございますし、中身はごく簡単なことでございます。そういうたぐいのものでございますので、特別にお出しするということは考えておりません。
  149. 江田五月

    江田委員 部内であるから特別に出すことは考えてない。だけれども、この協議会は、大学審議会ができるまで待てないからここでいろいろ大学の問題について議論をした。それじゃ、そこでの議論の成果というのはどうやって大学審議会に引き継いでいくのですか。だれが報告書をつくって大学審議会に引き継ぐのですか。だれが報告するのですか。
  150. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 先ほどお答えしたとおり、大学審議会発足の前にこの改革協議会は解散をするということを予定いたしておりますので、その時点では、それまでの論議のまとめを改革協議会でやっていただきまして、それを文書として、メモのような形で大学審議会にお伝えをする、こういうことを考えているわけでございます。
  151. 江田五月

    江田委員 いろいろ皆さんから言わせれば雑音かもしれませんけれども、今の臨教審でもいろいろ聞こえてくるんです。委員でこれだけ言っているのに、文部省の方の事務局はそれをきちんと文書にしてない。あれだけ言ってもまだ一行も書いてないなんて私は怒ったのよ、というとだれが言ったかわかってしまうかもしれませんが、そんなこともあるんですよ。私は、やはりそういうところはもっとオープンにしていかないと、かのソ連でさえ最近は公開制なんて言っているわけですから、もっともっとオープンにされたらどうなんです。
  152. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、私的ないわば非公式の会合でございますから、だれがどう言った、だれがどう言ったという形での取りまとめもいたしておりませんし、皆さんの間で議論をしながら、大体こんなことであろうというような方向に逐次まとまりつつあるという状況でございまして、いずれまとまりました段階では、メモの形にして大学審議会にこれを引き継ぐということで考えておるわけでございます。
  153. 江田五月

    江田委員 では、少なくとも、この報告書というものは、できた段階では要求すれば我々にも開示をしていただけますね。
  154. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 改革協議会のまとめができましたならば、それについては隠すつもりももちろんないわけでございますので、必要に応じてお配り等はさせていただきます。
  155. 江田五月

    江田委員 報告書は隠す必要はない、その前の要領筆記は隠す必要があると。私は基本的な姿勢として、大学にいろいろな問題があるということはみんなが認めているわけです。賛成している人だけじゃないので、この法案に反対をしている、あるいはいろいろな危惧を持っている人も、大学にいろいろな問題があるんだということは認めているわけで、みんなで大いにひとつ議論をする、いやいや、みんなで議論することになったら私は恥ずかしくて物が言えないとかいう人は、これは本当に切実に思っていないということなんです。そうじゃなくて、だれの前でも大いに自分が思っていることを議論していく、そういう議論を喚起していく。そういう議論の大きな渦の中心かへりか知りませんが、渦の中の一つとしてこうした大学改革協議会というものがある、そういう姿勢は非常に大切なことだ。文部省大学を変えてやるとかいうことじゃなくて、みんなでいい大学をつくっていこうということでしょう。それならば、関係者みんなの、それこそ百家争鳴、いろいろな議論をもっともっと信頼したらどうなんですか。国民の議論というものをもっと信頼されたらどうですか。
  156. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 関係者の中で大いに議論をしていただくために、今回の大学審議会みたいなものも、文部省だけですべてを片づけていくのではなくて、こういう審議会をつくって議論をしていただきたいと思っておるわけでございます。そういう意味では、改革協議会のまとめにつきましても、先ほどある時点でまとまったものについてはお配りをさせていただく、あるいは公表させていただくというふうに申し上げているわけでございまして、そういう節目節目でそれぞれのまとまりについて発表して、またそれについての御議論をいただくというようなことは考えていくべきことであろうと思っております。
  157. 江田五月

    江田委員 どうも本当はおわかりだと思うのです。心の中ではそうだなというお気持ちをお持ちになっていると思うのですけれどもね。本当に大らかに、オープンにみんなで議論しよう、そうすると必ずいい結論が出てくる。時には必ずしもそういうことにならぬこともありますが、長い歴史を見ていくと、時に多少間違いが起きても、時に失敗しても、みんなで議論をしながらみんなで結論を探していこうという姿勢の方が結局はいいところに落ちついてくるわけで、それが民主主義というものでしょう。それを我々は皆基本的に信頼しているからこうしてやっているわけでしょう。ぜひひとつこれはもっと大らかな、オープンな議論にしていただきたいと思いますね。  大学審議会というものは、今まだ議論の最中ですから、人選をどうするということになると、いや、認めた上での話だということになるのかもしれませんが、二十人、この大学改革協議会のような人がすぐ引き継ぐことはないというお答えになるのでしょうが、概略、大学改革協議会のような構成になるのですか、もっと違うのですか。人じゃありませんよ、今の国公私の大学人の比率であるとか、あるいは年齢構成であるとか、男女の比率であるとかその他ですがね。
  158. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 先ほど申し上げましたように、具体の人選を進めていくことは今後の課題でございますので、その際に、事前に非常に明快な基準をつくってそれに合わなければだめだというような仕組みで選考していくのは大変難しいわけでございますので、どういう分野から何人とかいうことは申し上げかねるわけでございます。先ほど大臣からもお答えいたしましたように、大学の問題を議論するわけでございますから、国公私立の大学の関係者等の方々を中心に、広くいろいろな方々にお入りをいただくという方向で物は考えていかなければならないと思っておりますし、もちろん女性の委員の方にお入りいただくというようなことも、具体の人選の問題になりますと今ここで確約というわけにはいきませんけれども、心得て対応すべき事柄であろう、こう思っておるわけでございます。
  159. 江田五月

    江田委員 世の中の半分は女性ですから、大学といえども世の中の半分は女性だということが通用しないわけではないのですから、女性が一人というのはいかにもおかしいので、これはもうちょっとバランスのとれた男女比にしたらどうかと思いますが、どうですか。
  160. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 具体の人選をどう行っていくかにかかってくるわけでございますけれども、女性の問題というのは十分念頭に置いて対応させていただきたいと思っております。
  161. 江田五月

    江田委員 任命権者は大臣だというので、女性のことについてやはり大臣からも一言。
  162. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 やはり常識に沿ったことでやっていきたいと思っております。
  163. 江田五月

    江田委員 入学試験の問題、これは大学の問題の「基本的事項」だと思いますが、この審議会では扱うのですか、扱わないのですか。
  164. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 御指摘がありましたように、入学者選抜制度の基本をどうするかというたぐいの問題は、当然大学の「基本的事項」にかかってくると思います。  ただ、現実の問題といたしまして、現在取りかかっております入試改革の問題、これにつきましては臨教審の第一次答申指摘が出まして、その第一次答申の中で、国公私の関係者その他による協議会等をつくってやれという御指摘があって、それでまずその組織が動いて対応いたしておりますので、当面の問題はそちらの方で対応していただこう、こう考えておりますが、ただ、事柄としてはもちろん「基本的事項」に入ることでございますので、将来ここの審議会でやっていただくということもあり得ないことではないと思っております。
  165. 江田五月

    江田委員 第二次答申、第三次答申の中に具体的に大学に関する問題としていろいろなものが出ておりますが、そういうことだけに限定されているという趣旨ではなくて、第一次答申の方で出ていることもあるし、あるいは「基本的事項」というのですから答申に書いてないこともあるし、ということになるのですか。
  166. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 もちろんそのとおりでございまして、「大学に関する基本的事項」というのには、答申に触れられていないことも入り得ることだろうと思っております。もちろんそういう点を御議論いただくことも差し支えないわけでございます。
  167. 江田五月

    江田委員 今回のこの法案に関して、私たちのところにも本当にいろいろな方からいろいろな意見が寄せられますが、とりわけいろいろな危惧をお持ちの方々が寄せられる意見というのは、地方大学の方々が多いのですね。この審議会が目指す方向が貫徹していくと地方の国公立大学がつぶされてしまうのじゃないか、そういう危惧を地方大学の皆さんが抱いていらっしゃるわけです。今文部省の方は、そんなことはないのだということですが、これはどうですか、地方大学の皆さんはどういう理由で地方大学がつぶされるのじゃないかという危惧を持っておられると認識されていますか。皆さんのあれじゃないのです。地方大学の皆さんが持っている危惧をどう認識されているかということをお聞きしたい。
  168. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 日本全体の大学をよくしていくというのが大学改革のねらいでございまして、地方大学を切り捨てればいいというようなたぐいのものでは全くない。むしろ、いろいろな面での活性化、生き生きとした教育・研究を進めてほしいというあたりのところになってくれば、地方大学に大いに頑張っていただかなければならないという事柄の方が多いのかもしれません。  そういった意味からいきまして、地方大学の方々がどういう御心配をされておられるのか、地方大学切り捨てだなどというようなことが言われていることもあるやに聞いておりますけれども、それはどういう、何からそんな誤解をしておられるのか、私どもには理解ができないところでございます。
  169. 江田五月

    江田委員 地方の皆さん、地方の大学の皆さんが心配していることが誤解であるかどうかは別として、こういうような理由で心配をしているということがまるきり理解できないというのじゃ話にならぬわけです。  例えば、地方の大学というのは、いろいろその地方地方の特殊な研究をやっていらっしゃる、そして地方文化あるいは地域の教育文化の水準、民度の発展に大いに寄与しているのだ。しかし、それはやはり何といっても国の財政的な負担の上に立って行われている。ところが、大学審議会ということで、やれ国際化、やれ科学技術、そういうふうにして最先端というようなことでそちらにずっと財政の傾斜配分をされていくと、地方のそういうどこどこ県の何々というような、これはローカリズムですから、国際化ということになるとちょっと国際化じゃない、あるいは高度なハイテクということになるとちょっとそうでもない、そういうものはどんどん削られて、結局はそれは地方大学にしわ寄せということになるのではないか、そういう心配なんだと私は思うのですが、そういうような心配と理解をできませんか。     〔委員長退席、町村委員長代理着席〕
  170. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 今回の大学改革というのは、それは国際化の問題等もいろいろございますし、あるいは大学院の充実等の高度化の問題等もございます。学部の段階につきましては、特に社会のニーズ等に十分こたえて、社会や経済の発展等を踏まえて大学教育・研究を進めるべきだというあたりのところも大きなねらいになっているわけでございますので、御指摘のような教育・研究を行っておられる地方の大学というのは、それは非常に大事な大学であると私ども思うわけでございます。そういう意味で、それを切り捨ててというようなことを念頭に考えているわけでは全くないわけでございます。そういう点が、臨教審答申なり各方面で議論されていることについてあるいは誤解をしておられて、国際化がどうかわかりませんけれども、例えば国際化といえば自分の大学に無縁のことだという受け取り方をされている、あるいは自分の大学がやっていることは何も書いてないと思っておられるというような、大変な誤解があるように思うわけでございます。  私ども考えておりますのは、非常に臨教審絡みの言葉で言えば、大学については高度化と個性化と活性化といいますか、そういったたぐいのことが大事だと思っております。高度化というのは大学院についての充実を図っていく。日本大学院というのは世界各国に比べまして余りにも規模も小さい、数も少ない、いろいろな面でおくれているではないかという問題等がございますし、また個性化の問題というのは、まさに先ほど先生指摘されたように、各大学がそれぞれの個性を持って、特に学部レベルの教育等については、地域のニーズ等に密接に結びつきながら教育・研究が行われるというような方向にぜひ持っていくべきだというのがねらいなわけでございます。そういう意味で、地方大学についても十分配慮しながらいろいろな議論等は進め、それに基づく施策も進めていかなければならない、このように考えているところでございます。
  171. 江田五月

    江田委員 お答えとしてはそういうことになるのだろうと思いますけれども、現に地方の大学で、それぞれ厳しい財政状況、乏しい環境の中で大学を支え、学問研究をやっていらっしゃる、教育をやっていらっしゃる皆さんからすると、いろいろな思いがあるのです、科研費の配分の仕方だってどうも東大東大といくじゃないかというようなこととか、コンピューターがどうした、けれどもやはり大型計算機センターということになるとすぐ東大で、地方のコンピューターは何とまあみすぼらしくて、そういう思いが地方の皆さんにあるということは、やはり十分知っておかれる心要があると思うのです。地方の皆さんの誤解だというふうにおっしゃるなら、もっと地方の大学の皆さんと十分お話をされてみたらどうですか。
  172. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 地方大学というのがどういうことを指しておられるのかあれでございますけれども、私どもとしては、例えば国立大学の関係でいえば国立大学協会という組織で、地方の大学についてもむしろ地方大学の学長、先生方の方がはるかに多いという組織の中で、各種委員会等へも出ていろいろ話し合いをしているわけでございまして、そういう意味でのお話し合いといいますか各大学の御要望等は、そういう機会においてもあるいはそれ以外の場面においてもいろいろ伺って対応してきているつもりでございます。今後ともそういうお話は機会あるごとに十分承ってまいりたいと思っております。     〔町村委員長代理退席、委員長着席〕
  173. 江田五月

    江田委員 私は、確かに大学に今いろいろな問題がある、さあ一体何が問題かというのを実はもっともっと議論したかったのであります。文部大臣が問題だとお考えのことと私が問題だと考えていることと同じなのか、違うのかというようなことを本当は議論しなければいけないのですけれども、ちょっとその時間がありません。  問題はいっぱいあるけれども、それでは大学人は皆手をこまねいて現状に安座をしてじっとしておるのかというとそうでもないので、いろいろな改革の提案もあれば議論もあるわけです。そういう大学人みずからのいろいろな提案、議論、こういうものが大きく渦になっていくのでなければ、幾ら大学審議会というものができて、そこですばらしい人が集まって、すばらしい頭脳で、すばらしい答申をつくり、勧告をし、すばらしい文部大臣がすばらしいことをやってみたって、やはり大学大学で残ってしまう。そうじゃありませんか。  戦後四回、大学のことが政治の場で議論になる。大学の問題、例えば大学紛争のときにもあれだけ議論になって、これで大学というものが変わっていくだろうとみんなが期待した。しかし大学は依然としてそのままずるずると続いてしまった。戦後政治の総決算などと言う人もいますけれども、そうじゃなくて戦後改革の完成ということを大学についてやらなければいけない。それがきちんとできていない。それはやはり、私は、選ばれたお偉方が密室で議論をするところから始まるのではなくて、関係者がみんな集まってちょうちょう発止の議論、百家争鳴の議論、そういうことをやっていく中から初めて生まれてくるのだと思うのですね。そのあたりのことをぜひ十分理解していただきたいし、そのあたりの理解を十分していただくならば、大学審議会というものをつくるよりも、もっともっと改革方法としていい方法があるのじゃないかと思うのです。  もう時間もなくなりましたが、最後に学問の自由ということについて、ちょっと文部大臣の感覚というのを伺ってみたいのです。  私は、学問というのはなかなかすてきなものだ、おもしろいものだと思う、国際化あるいは科学技術、したがって何か時代の先端に、やれエレクトロニクス、やれバイオ、やれ英語教育がどうとか、こういうことも問題ですけれども、やはり、あの大学であんなくだらぬことをやって、世間の役にも立たずに、社会から見たら何と大学は象牙の塔よ、何と沈滞していることよ、そういうようなことを言われるかもしれないが、しかし余り軽々に時代要請社会要請大学にすぐ持っていくというようなことがあると、大学の命を奪ってしまうというところが私はあるような気がするのです。  例えば浩宮様が、私の留学先でありますオックスフォード大学でテムズ川の水上交通、十八世紀を中心として、こういうテーマで研究をされた。いいですね、これは。テムズ川の十八世紀の水上交通が、今の社会と何の関係があるんだ、何か学者というのは――浩宮様が学者という意味ではないのですが、何とおかしなことをやっているんだ、そんなようなことをもし言われて、そんな研究は社会の役に立たない、時代におくれている、やめてしまえというようなことをばっと言うと、それはそうじゃないので、こういうところから思いもかけない発見をするのですね。中世のあるいは十八世紀の都市計画というのはこんなことを考えていたのだなとか、そうした思いもかけぬ未知の分野との遭遇から何かのときめきを得る、何かの新しい発見をする。これはほかの人が言うんじゃないのです。その研究者が自分の意欲で、自分の意志で、自分の情熱でやっていく、その研究者の研究者としての意欲や情熱というものがいつも沸き起こっておれば、それはそれで大学としては十分機能しているのだ、こういう理解学問というものに持たなければ、すぐに社会要請というふうにやってくると、とんでもない間違いを犯す。学問の自由というのはそういう基本的な学問に対するセンスというものが大切だと思うのですが、最後に、文部大臣のそういう点についてのセンスをお聞かせいただいて、質問を終わります。
  174. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これは明治以来百何年、文部省大臣はずっとおっしゃられるようなことを言ってきたのです。そのとおりであります。ですから私も所信表明の中にもたび重ねて言っておることでありまして、今日、この問題は別に新しい問題でも何でもない、基本問題であるということでございます。
  175. 江田五月

    江田委員 終わります。
  176. 愛知和男

    愛知委員長 鍛冶清君。
  177. 鍛冶清

    鍛冶委員 これまでいろいろ議論がございました。重複する点もひょっとしたらあるかと思いますが、重複する点は御容赦を願いまして、簡略にお答えをいただければと思っております。  略称になりますが大学審議会設置法案についての以前に、今の日本大学あり方はやはり改革が必要である、私はこういうふうに思っております。今、江田先生も御質問の最後の中でそういう意味のことをおっしゃっておられました。そういう意味では私も同感でございますが、これは大臣、予定で通告申し上げておるわけではございませんが、さっきちょっと江田さんも触れておられましたけれども、大学紛争時代、これは大学改革について相当いろいろな問題点が浮かび上がってまいりまして、それを改革していこうという、大学当局自体にも相当の努力が見られておったと思うのですが、その後の大学改革がどういうふうな形で今日までなされてきているのか、大臣のお考えになっている所感をまずお伺いをしたいと思います。
  178. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 大学紛争と言われるもの、昭和四十三年、四年とかけてございました。あの紛争の中で一般国民が非常に強く意識を持ちましたのは、大学の学者といえども特別の特権階級の者ではない、やはり一般の常識人としての行動をしてもらわなければ困る、こういうことでおった。学生だって特権があるわけじゃない。そういうことをあの紛争の結果として国民は強く意識を持ったと思うのです。そこにやはり各大学も目覚められまして、大学のやり方というものもあれを一つの転機にして相当変わってまいりましたし、そこへもってきて世界的に大変な学問の進歩がございますのとあわせて、技術の革新等も行われまして、それをやはり大学が受け入れて、というよりもさらに一層推進をする力となって、一部の大学を除きましては、今日、非常に活気のある状況を呈してきておると私は思ってきております。  しかし、何と申しましても、大学の中で長い慣行がございますし、また制度としてしかれてきておるものもございまして、そういうようなものはやはり文部行政の一環として適当に新しいものに改善していかなければならぬ、これは当然だと思うのです。その改善について、文部省独自の考え方だけで断行していくというようなことではなくして、経験豊かな方々の意見も聞きながら、国会に相談をして、こういう審議機関をつくり、そして、そういう審議会意見を聞いて新しい時代に対応する措置を講じていきたいというのが、今度の審議会法案提出させていただいた趣旨でございます。
  179. 鍛冶清

    鍛冶委員 臨教審答申の中を見ましても、大学におられる諸先生方、大分入っておられまして、答申もつくり上げられる中に加わっていらっしゃるということでございますが、そういう先生方も含めての集約の中で、答申の中では、高等教育の現状認識としては次のように言われているわけですね。  「いわゆる大衆化を遂げた日本大学の現状には多くの問題点があり、大学に対する批判には厳しいものがある。大学はおしなべて閉鎖的であり、機能が硬直化し、社会要請に必ずしも十分にこたえていないばかりでなく、いたずらに量的に拡大し、教育・研究の内容や質に欠ける傾向があることを憂える声は小さくない。」こういうふうにありまして、その打破に向けての提言で、「高等教育改革は、基本的には、個々の高等教育機関が自らの問題として自発的に取り組むべき課題であり、改革に当たって、それぞれの高等教育機関、とくに大学について、その自主性が尊重されるべきことはいうまでもない。諸制度の改革は、大学等の積極的な自主努力に裏付けられて初めて実効あるものとなる。大学等が自らに課された使命と責任を切実に認識し、社会期待と信頼にそむかないことを強く要請する。」こういう中から、大学改革あり方として大きな柱に今回の大学審議会設置するということが浮かび上がってきている、こういうように思いますし、またこれを受けて今回の法律案を提案されたというふうに理解をいたしております。  ところで、大学改革についてでありますが、これも大臣にはあらかじめ申し上げておりませんけれども、実際の現状として、大学改革をやるという場合、具体内容はいろいろございましょうが、やるという場合には大変なエネルギーとそれからそれに伴ったいろいろな対応策というものが要るように思うのですが、大きな立場で大臣はこの点についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。
  180. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 拙速に走った改革はとるべきではないと私は思っております。したがって、改革方向をいろいろ議論していただくこと、それを大学側に一回移しましてその意見をフィードバックしていただいて、そういうものを絶えず見ながら進めていくべきだと思うのであります。  とりあえず今早急に大学改革の中でやらなければならぬのは、やはり大学自身がもう少し活気のあるものに、先ほど鍛冶さんがおっしゃった質問の中にもございましたように、閉鎖的であるとかそういうものがあってはならぬと私は思うのですよ。もっと活気のあるものにしてほしい。そして、研究者自身がもっと意欲的に取り組むような空気をつくっていくということが今一番求められておるものではなかろうか、こう思うのであります。
  181. 鍛冶清

    鍛冶委員 外国との比較においてもいろいろな資料や本等も出ておりますが、義務教育段階とかは非常に日本教育はすぐれておるという評価が大変高いわけですが、大学は極めてよろしくない、改革すべきだという御意見を持っている外国の方々がほとんどのようでございます。私もそうではないかと思いますが、そういう意味で、今回この大学審議会設置法案が出てきておりますが、これがいい形で機能してくれるものならば、これも一つのインパクトを与えることによって、大学側からの自主的な改革機運が出てくれば大変いいなというふうにも私は思います。     〔委員長退席、町村委員長代理着席〕  我が党の中にもまだいろいろ議論がありまして、この法案内容を検討してみると、朝からいろいろ御質問があっておりましたように、大学自治学問の自由という立場から見ても、これは腕を突っ込んでかき回すようなことになりかねないのじゃないか、大変心配な面がある、こういう意見を持って議論をされる方もあります。ないしは、本当に大学改革というものは、さっき臨教審答申に出ておりました大学自体の閉鎖性ないしは排他性とかいろいろありますが、その自分の努力というものがどうも余り機能していないようだ。したがって、何かの形でひとつインパクトを与えるようなものが必要だ。こういうふうに、議論の中で大学審議会内容法律案内容、ずっと見てみて、これは果たして言われるように大きな権限を持って大学改革を推し進めていくだけのエネルギーと内容を備えた法案として提案されているのかな、ちょっとこれはまゆつばじゃないかというような議論も実はあるわけです。両論ありまして、今ちょうちょう発止とやっているところでございますが、質問の中でそういうものを明らかにしながら、また私どもも結論を煮詰めていきたいと思っております。  実は私は、この審議会がどうも力を発揮し得るのかなという思いが若干ありまして、そういう面からの御質問を中心にちょっとやってみたいというふうに思います。  少し順を追って申し上げますが、臨教審は八月で任務が終わるわけでございますけれども、この三年間にいろいろと教育改革推進体制について答申が出ております。文部省は、この臨教審答申、それから今後の答申に対する対応、こういうものはどういうふうにお考えになっているか、お伺いをいたします。
  182. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これは私たちがしばしば申しておりますように、臨教審答申は最大限尊重し、でき得るものから速やかに実施していく、しかし制度的にあるいは財政的に解決しなければならないものはその解決を待って進めていく、こういう手順を決めておるところでございます。
  183. 鍛冶清

    鍛冶委員 教育改革推進に当たって、答申の中ではこの大学審議会がたしか初めて法律案として出てきたのかと思いますが、臨教審答申の中で、法律上改正を要する事項としてはその他にどういうものがあるのかお答えをいただきたいと思います。
  184. 川村恒明

    ○川村政府委員 臨教審にはこれまで三次にわたる御答申をいただいておりますし、間もなく最終答申もいただくわけでございますが、これまでの三次にわたる答申の中で法律改正に絡むような御提案は幾つかございます。  実際にそのいただいた御答申についてどういうふうなこなし方をするかということについて、これを法律改正できちっと持っていくという方法もあるし、それ以外の財政上の措置あるいは行政上の措置、いろいろな対応があり得るわけでございますので、一概にこれこれと言うわけにまいりませんけれども、例えばこれまでいただいた答申で申し上げれば、高等学校の修業年限が現在三年となっておりますけれども弾力化をしてはどうかということになりますと、これは現在の学校教育法の改正ということにもなりましょうし、あるいは同じく高等学校の技能連携に係る指定権者は現在文部大臣でございますけれども、これを変更するということになれば同じく学校法の改正ということになろうかと思っております。あるいは教員養成の関係で、大学におきます教科・教職科目の基準を見直すというようなこと、あるいは社会人を教員に活用するという観点から特別の免許制度を考えてはどうかということが二次答申指摘されておりますが、この関係になれば教育職員免許法の改正ということになろうかと思っております。あるいは市町村教育長につきまして、その任期制とか選任制ということを考えるべきだということが二次答申に同じく出されておりますが、こういうことになりますと地教行法の改正というようなことで、かなり広範多岐にわたることになろうかと存じておるところでございます。
  185. 鍛冶清

    鍛冶委員 その中で、高等教育改革について既に臨教審答申各種提言がなされていると思いますが、その進みぐあい、進捗状況をお聞かせいただきたいと思います。
  186. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 御質問にもございましたように、高等教育改革の関係では非常に多岐にわたる改革提言臨教審からなされておるわけでございまして、現在御審議をいただいております大学審議会等で今後その具体化を逐次進めていきたいと思っておりますが、これまでの進捗状況につきまして少し詳しく申し上げさせていただきはす。  まず第一次答申の関係でございますが、ここでは学歴社会の弊害の是正という見地からいわゆる青田買いを是正するということ、それから企業の就職に際しての指定校制度をなくしていくという御提言がございました。これらにつきましては、御案内のように青田買いの問題につきましては六十一年度から、特に企業関係の熱心な御協力をいただきまして、いわゆる就職協定を結び、八月二十日から解禁というようなことをいたしました。これが、従来との比較でございますけれども非常によく守られたということが言われております。そして、さらにそれを受け継ぎまして、六十二年度の就職についても就職協定が結ばれまして、現在その就職協定に基づいての運営が行われつつあるところでございますが、この就職協定の遵守委員会というようなものも企業の側にできまして、六十一年度は百数十社でありましたものが、六十二年度はそれが倍以上の企業が参加して遵守を約束するというようなところまで参っているというようなことで、かなり前進を見つつあると思っておるわけでございます。  それから、指定校制度の問題につきましては、これはかねてから企業関係にお願いをしてまいったわけでございますけれども、特にことしの五月には塩川大臣直接日経連の会長等ともお話しになりまして、指定校制度の是正についての一層の御協力をお願い申し上げておるところであり、さらに七月には就職協定の遵守委員会にも大臣が御出席になりまして、この問題についての協力方の依頼等をしておるわけでございます。全体的な傾向として、最近の数字は持っておりませんけれども、指定校制度をとるところはかなり減ってはきておりますけれども、まだなくなってはいないわけで、相当数があるということでございますので、この点は一層の努力が必要と思っております。  それから、入試の問題が同じく第一次答申提言がございました。大きく分けまして、国立大学で現在行われている入試についての直接の提言といたしまして、共通一次の科目の削減、弾力化の問題と受験機会の複数化の問題という提言がございました。これにつきましては、今年度、六十二年度の入試から実施をいたしたわけでございます。受験科目の削減等の問題につきましては、もちろん高校関係者からも高く評価をされておりますし、受験機会の複数化の問題につきましても、事柄そのものについては評価を受けたと思っておるわけでございますが、なお実施の段階でいろいろ問題が出たわけでございまして、これについてはさらに改善に現在努めているところでございます。  それから、第一次答申提言されております新しいテストの問題につきましては、六十五年度を目途にということで、現在そのための諸準備、検討等を進めている段階でございます。  それから、同じく第一次答申では大学入試の入学資格の拡大という御提言がございました。専修学校の高等課程の修了者に入学資格を与えるという措置を早速講じたわけでございますが、これに伴いまして昭和六十一年度の入試が最初の機会でございましたけれども、二百名弱の方々がこの新しい制度によって現実に大学に入学したというような成果が早速あらわれてきておるわけでございます。  それから、第二次答申の関係では高等教育の個性化、高度化という見地から大学院の問題等が指摘されておりまして、けさほどもお答えを申し上げたわけでございますけれども、大学院の充実という見地から、今年度から新しく最先端設備の整備に要する経費、国公私立を通じまして三十二億円の経費を計上いたしまして、現在配分等を行っている段階にあるわけでございますし、そのほか新しいタイプの大学院の創設等にも相努めておるというところでございます。  また、大学審議会の創設の問題につきましては現在御審議をいただいておるわけでございます。  その他第三次答申の関係では、これも非常にたくさんの御提言がございましたけれども、そういった中から早速手をつけましたものは、六十二年五月に寄附講座の導入ということを実施をいたしましてそういう仕組みをつくることにいたしました。また、大学後援財団の設立許可の取り扱いの弾力化というようなこと等も、現在臨教審答申を受けまして実施に移しているわけでございます。  こういったたぐいのものが現に実施に移しているものでございますけれども、その他の問題につきましても、事柄に応じ、この大学審議会での御審議を願う、あるいはそれを要しないものについては個別に処理をしていくという形で、その実現に努めたいと思っているところでございます。  以上でございます。
  187. 鍛冶清

    鍛冶委員 型どおりみたいな質問ですが、これは質問も何回もあったのでしょうが、重ねてちょっとお尋ねをします。  大学審議会を設ける趣旨、理由、それから大学審議会法律設置とする理由、これについてお答えをいただきたいと思います。
  188. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 大学審議会でございますけれども、御承知のように、何回も繰り返す話になって恐縮でございますが、現在の大学の現状につきましては、その教育内容の充実でございますとか、あるいは高度化の問題、あるいは大臣が先ほどお答え申しましたように活性化の問題等々、いろいろな改革についての注文、提言、批判等がいろいろな方面からなされておるわけでございますので、そういった問題を受け、関係者の理解とコンセンサスを得ながら具体改善方策を検討していく、そういうための組織、機関といたしまして大学審議会を設けたいというものでございます。  この大学審議会法律設置をするということにいたしたわけでございますけれども、最近の審議会は政令等で設置するケースが多いわけでございますが、この大学審議会につきましては、一つはやはり、臨教審答申等も受けまして、非常に重要な事項についての御審議をいただく機関であるというような趣旨から、この問題を審議する機関については国会の御審議をいただいて法律設置をしていくということが適当であろうと考えたということ、さらには、一般的な審議会設置一つのルールがございますけれども、そういったルールにおきましても、委員任命について内閣の承認というような要件がかかるものについては法律上の設置にするというようなルールもあるわけでございますので、そういったこと等を総合的に勘案をいたしまして、大学審議会については法律設置をするということにして、国会の御審議を仰ぐという方針をとらせていただいたわけでございます。
  189. 鍛冶清

    鍛冶委員 そこで、審議会審議事項の点でお尋ねをしたいのですが、審議事項として「大学に関する基本的事項」というのがございます。これは具体的にはどういうことが当てはまるのか。それから、この法律規定に「その権限に属させられた事項」ということ、これはどういう内容になるのか、お答えをいただきたいと思います。
  190. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 大学審議会審議事項といたしましては、法律上「大学に関する基本的事項」という定め方をさせていただくようにいたしております。具体的には、大学教育研究組織のあり方でございますとか、修業年限をどうするか、入学資格をどうするか、教職員の資格制度をどうするか、学位の問題、それから教育課程の問題あるいは高等教育の全国的な規模の問題といったようなさまざまな問題があると考えております。  現在、大学改革という見地から考えてまいりますと、先ほど来申し上げておりましたように大学の個性化を図っていく、教育・研究の高度化を図っていく、あるいは運営の活性化を図っていくといったような見地からこういった問題に取り組んでいく場合に、ただいま申し上げましたようないろいろな事項に絡んでくるということが想定されるわけでございますが、そういったたぐいのものを含んで「大学に関する基本的事項」、こういう形で定めさせていただきたいと思っておる次第でございます。  また、この法律により「その権限に属させられた事項」ということで、わかりにくく規定をいたしておりますけれども、学校教育法規定によりまして、文部大臣が省令等を定めます場合には、これは法律上必ず諮問をしなければならない事項というのが二項目定められておるわけでございまして、一つ大学、高等専門学校についてのいわゆる設置基準でございますけれども、こういう設置基準を定める場合にはこの審議会に必ず諮問をするということが一点、それからもう一点は博士、修士その他の学位に関する事項、この点につきましても何らかの定めをする場合にはこの審議会の必要的諮問事項、こういたしたわけでございます。これは従来大学設置審議会権限の一部として定められておったものでございますけれども、今回の大学審議会発足に当たりまして、こういった種類のことはいわば大学に関する基本的な事項の一環であるということでもございますので、そういう意味でこの新しい審議会の方にその権限を移すということにいたしたものでございます。
  191. 鍛冶清

    鍛冶委員 そこで、確認の意味で申し上げるのですが、審議会審議内容権限というものは、学校教育法の第六十九条の三に、今回「文部省に、大学審議会を置く。」それから二の項で「大学審議会は、この法律規定によりその権限に属させられた事項」、今お答えをいただきました「事項調査審議するほか、文部大臣諮問に応じ、大学(高等専門学校を含む。以下この条及び次条において同じ、)に関する基本的事項調査審議する。」こうなっております。それから三の項目では「大学審議会は、前項に規定する事項に関し、必要があると認めるときは、文部大臣に対し勧告することができる。」こういうことになっておるのですが、申し上げるまでもないことですが、大学審議会審議事項というものはこの内容に限られるということになりますね。
  192. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 ただいま読み上げられました法律上の定められた事柄に限定されるわけでございます。
  193. 鍛冶清

    鍛冶委員 さっき江田委員からちょっとお話があったときに、臨教審答申のつまみ食いというような話が実はあったのですね。私の申し上げるところも、ちょっとつまみ食いになっておって大変なところが落ちておるのかなと思うのですが、臨教審答申の中ではこういうふうに言っておるのですね。  第二次答申の第二部第四章の中の第三節、「ユニバーシティ・カウンシル」の項の③のところですが、こういうふうにあります。「ユニバーシティ・カウンシルは、文部大臣諮問に応じ答申を行うほか、自ら大学に関する調査研究、大学に関する必要な情報の収集や提供を行い、また、大学制度の基本に関する事項ならびに大学の計画的整備と見直し、専門分野に応じた人材の養成計画、大学教育内容方法等の検討、大学評価システムの開発等の事項を扱う。」こういうふうになっているわけです。ここの「自ら」というところ以降がどうもこの中には抜けているのではないかなと思うのですが、その点はどうなのでしょうか。
  194. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 ただいま御指摘の点は、大学に関する調査研究のあるいは必要な情報の収集や提供を行うということについての御指摘であろうかと思っておりますが、この問題につきましては、いわば審議会審議をしていく上で調査研究をする、資料を収集するというようなことが附帯的に当然出てくることであるという判断で、法律上特にそういう措置をいたさなかったわけでございます。しかしながら、具体的にそういうための事務等を行っていくためには、特に文部省の組織の中に大学審議会室という事務組織も今回設けることにいたしておりまして、そういうものを手助けといたしましてこういった具体仕事はしていくというわけでございますが、審議会の当然の仕事中身ということで法律規定をしなかったということで御理解をいただきたいと思います。
  195. 鍛冶清

    鍛冶委員 僕は法律の方は詳しくないからよくわかりませんが、この法律の条文を見る限り、勧告というのが果たしてできるのかなと思うのですよ。例えばここにありますように「その権限に属させられた事項」というのはもうはっきりしていますね、二項目あります。これは前から大学設置審議会等のやっておったことを引き継ぐということでお答えがたしかあったと思いますが、その後は「文部大臣諮問に応じ、」というのがその頭にかかっているわけですね。それはすべて後はそれにかかっていると思うのですが、「応じ、大学に関する基本的事項調査審議する。」こう私は読むのだろうと思うのです。そうしますと、みずからが勧告ということになると、大臣諮問に応じて調査研究して、そしてその答申をつくり上げたものを出すのは勧告ではないのではないかな、こういうふうに私は思うのです。やはりここにありますように「自ら大学に関する調査研究」という機能を持って、そしてその中で独自にいろいろ調査研究してみたところが、大学改革についてはこういうことをすべきであるとかというものが出てきたときに具体的に文部大臣勧告をする、それこそ強い権限を持った勧告が生きてくる、そう私は思うのですが、どうもこれを読む限りにおいては、私も法律に暗いからかもわかりませんが、そういうふうには思えない。大臣諮問に応じたこと以外は法律権限に属させられた事項調査審議するということだけにとどまってしまうというような気がするし、それならば中教審だって、またいろいろなところだってそう変わらぬではないかなという気がするのですが、それはいかがでしょう。
  196. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 趣旨先生がおっしゃるとおりであろうと思っておるわけでございます。法律上の条文といたしましては、その勧告に関する規定は「前項に規定する事項に関しこということで「事項」ということをとらえて言っておるわけでございますが、前項で言っております「事項」という、その六十九条の三の二項におきましては、「この法律規定によりその権限に属させられた事項」というのが一つで、これはさっき申し上げた二つの項目が含まれております。そのほかに「大学に関する基本的事項」ということで、これは「文部大臣諮問に応じこというところでポツで切ってございますけれども、「大学に関する基本的事項」というこの「事項」をとらえまして、それについての勧告ができるというふうに次の項の規定になっておるという法律上の整理をしておるわけでございます。そういう意味で、文部大臣諮問があったかなかったかということに関係なく、この「基本的事項」と認められるものについては建議をすることができるという解釈でこの条文はつくらせていただいておるわけでございます。
  197. 鍛冶清

    鍛冶委員 私も法律は詳しくないからそう言われるとそうかなと思うのですが、要するにそれはできるということですね、それ以外でも。  それはそうとして、それではお尋ねしたいのですが、先ほどから大学審議会設置に伴う、何室ですからよっとわかりませんでしたが、室の設置を事務局ベースでつくって対応するということでございましたが、その事務局の体制ですね。審議会の各委員のいろいろな問題は先ほどから出ておりますからそれはまた後でちょっとお尋ねもしたいと思いますが、事務局自体の構成というのはどういうふうな構成になっておるのか、ちょっとお尋ねをいたします。
  198. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 大学審議会の事務につきましては、そのための独自の組織が必要であるということを考えたわけでございまして、そういう点から文部省高等教育局企画課の中に大学審議会室という室を置きまして、室長以下二係、計四名ほどでこの室を構成いたしまして、大学審議会の事務のお手伝いをする、こういうような体制を予算上組んでおるわけでございまして、法律が成立を見ましたらば早速発足をさせたい、こう思っておる次第でございます。
  199. 鍛冶清

    鍛冶委員 私が聞いたときは何か二名と聞いたようだったけれども、ふえたことは結構でしょうが、この大学の問題というのは、最初にだから大臣に私はお聞きしたのですけれども、改革をするにはすごいエネルギーとすごい調査能力、それからいろいろな対応をするための事務局も要るのではないか。ただ委員の皆さんだけがいてこれはできるものではない、両面相まって機能するのであろう、こう思うのです。  ところが、巷間、新聞でも臨教審答申が出たときは、大学審議会大学改革の目玉みたいな形で随分と大きく報道されたわけですね。だから、いい意味でこれが機能すれば大変いいだろう、物事は何でもいい面、悪い面、両方ありますから、反対側から見れば真反対の議論が出たりしますけれども、やはり大学を変える、日本の将来を考えたときに、何か今のままではいかぬという形の中で考えられて、よく機能するものならばこういう審議会もあっていいのかなという考え方もあるのですけれども、では、あるならあるで、臨教審に言われたようなことをそのまま本気でやるなら、一つの課の中の室として、そしてこれくらいの陣容で果たして大学全体の改革というものを、それは委員の皆さんは二十名いらっしゃるかもしれませんけれども、こういう事務局の対応で果たしてカバーできるのか、新しい基本的な問題についての調査研究をやって、独自にさっき言った「事項」ということに当たるということですが、そういうものを自分たちで拾い上げてきて、そしてその裏づけもとりながら、大学改革はこうしなければいかぬ、日本の将来を考えたらこういうふうにしなければいかぬというような改革案として大臣勧告ができるのかな、こういうふうに僕は思っているのですが、その点はいかがでしょうか。
  200. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 確かに御指摘のとおり、これから非常に大変たくさんな仕事法律が成立すればやっていくことに相なるわけでございますので、そういう意味で、私ども、この事務体制というものはもう少し大きな規模のものとして考え、概算要求等もいたしたわけでございますが、現下の大変厳しい行財政のもとで、こういう程度で発足せざるを得ないという状況になったわけでございます。  ただ、最近の諸般の状況から見れば、このために特別の新規の定員をつけてこういう体制をつくるというのは極めて希有の例だろうと思いますので、そういう意味では、現在の厳しい行財政の中では最大限踏ん張った体制がこれになっていると思っております。なお、今後の進捗状況に応じまして、一つには、局内の他の課がそれぞれいろいろな資料等も持っておりますので、そこが積極的に協力をして対応していくということをあわせてやらなければならないと思っておりますが、また、今後の進行状況いかんによりましてはさらにこの増員の要求等も行って体制を整備していくということも検討させていただきたい、かように思っております。
  201. 鍛冶清

    鍛冶委員 それはそれでその方向に行かれるのかもわかりませんけれども、やはり日本の将来を決める大学改革を行うということになると、私は、当初この法案が出てきたときにどんなものかなと思って見たら、まあまあ一応そろっているようではあるけれども、では体制はどうかとお聞きしましたら、そういうことなのでびっくりしたわけです。だから、むしろ私は、これが本当に案として出てきたならば、朝からずっと御議論もあっておりますし、我々いろいろな陳情もいただいておりますが、大学自治学問の自由というものに手を突っ込むことがないように、逆に歯どめをかける働きをするぐらいでないと大学審議会というのは大変な存在になるぞ、私はそんな感触があったのです。ところが、事務局の体制やいろいろなものを見ておると、これはこれはという感じでございまして、本当に大学改革というものは、これで大学審議会が手を突っ込むようなことまでやるのか、むしろやるのなら、発足当時は人数が少なくても、例えば阿部高等教育局長が兼務の室長ということで発足したのならまだ私もそうかなと思うけれども、それでもどうかなと思うぐらいに大学改革高等教育改革というものは僕は大変じゃないかと思うのです。  私が手にしておる、発行になっておるある本の中に、名前は出ておりませんけれども、臨教審委員、そういう人たちの率直な意見が載っておりまして、これは事実かどうか知りませんけれども、出ているものを読んでみましたら、私はへえっと思ったことがある。何と書いてあるかというと、「大学等改革が、これまでも強く指摘されながらも、ほとんど見るべきものがなかったのは、大学人自らの改革意欲の欠如によるもの」であると、ある委員が言っておるというわけですね。それから、ある委員は「その障害となるのが”大学自治”の名のもとに安住する保守的閉鎖的体質であり、それに内外からインパクトを与え改革意欲をひき出そうとした」、要するに大学自体では改革はもう期待しても不可能だ、大学紛争以来大学自体の改革というものが言われたにもかかわらず、何となくしりすぼみになってなかなか改革が進まない。ではこれをどうするのかということになると、これはやはり大学自治学問の自由に外から手を突っ込むようなことは絶対やらしてはいかぬと私たちも思いますし、臨教審委員の皆さん方も言っておるわけです。しかしながら、どんな改革をし、どんな勧告がされ、提案がされても、やはり大もとは大学の皆さん方が本気になって、この大学の現状ではいかぬから何とかしようというふうに、日本の将来を思い、社会全体にも奉仕するという意味からも考えていただかなければならぬ、そういう時期だろうと私は思うのです。  ところが、この後などを見ておったら、これは書いてあるのだから読み上げてもいいのかもしらぬけれども、僕はびっくりしたのです。臨教審の第四部会がアンケート調査みたいなものをやった、その中の大学の現状認識で、ある委員はこういうふうに答えていると書いてあります。「ふたをしたタコツボ社会であり、大学というタコツボの中に学部という小タコツボがあり、小タコツボは教授会に運営されている。教授会は、ニューカマー拒否、アウトサイダー排除、未来志向の排除、インサイダーの既得権防衛、等のためのカルテル的機能を帯びるに至っている」というようなことを書いておるのです。僕はもうびっくりしました。臨教審に出られている方は教養ある方だと思っていたけれども、随分ひどい言い方をするんだなと私は思いました。しかしその反面、ここまで言われているからには、当たっているかどうかは別として、やはりこの際、大学改革というものは大学にいらっしゃる皆さん方に本当に真剣に考えていただきたいなと、こういうのを読みながらしみじみ思った次第なんです。臨教審には会長以下、大学の有名な先生方もいらっしゃるわけですから、やはりその中で、大学改革をみずからの手でこういうふうにやるべきである、大学審議会もこういうふうに持ってやるべきである、こういうふうなことで恐らく答申の中に大学審議会のことも入れられたのだろうと思うのですね。  それはともかくとして、大学改革というものは極めてエネルギーが要るし財政的な裏づけもなければいけない、これは臨教審の皆さん方にも我々は強く言ってまいりました。そうしたら、本当に臨教審答申をしたものをやるためには、概算ですが、普通の文教予算のほかに少なくとも毎年二千億程度は要るだろうと思います、というようなお話もありました。けれども、そういう措置を、中曽根総理初め当局がやっているかというとやっていない。しかも前回、財政的には今度ようやく一千億ふえたとはいうものの、この五、六年の間に人件費は六千億ふえておる。ではどこかが削られておるということで私は質問申し上げたことがありますが、こういう点での配慮というのが全くなされていないことを実は極めて残念に思っているわけであります。文部省はちゃんとしたものをしようと思ったけれども大蔵省が削って切り下げた、敵は大蔵省にありというのかもしれませんけれども、そういうことよりも、これで本当に日本の将来を考え、また何とかしなければならぬということを真剣に考えているのかなという気もしないでもないわけです。そういう意味から申し上げているわけです。  これは企画課の中の一室としてやる、課長さんがどうこうとかいうのと別でございまして、大学改革に対する感覚といいますか取り組む姿勢といいますか、審議会がいいとか悪いとかいうこととは別に、私はどうもそこに高等教育改革等が進まない理由があるような気がしているわけですけれども、その点についてひとつお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  202. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 鍛冶さんのおっしゃるように、大学改革は、大学に関係ある人自身が自覚して改革に取り組まなければなかなか進むものではないという原則は、そのとおりだと私は思うのです。文部省が手を突っ込んでかき回して無理やりに引きずっていくという改革はできません。しかしながら、御指摘にありましたように、現在閉鎖的、保守的である体質を本当にもっと研究に従事し得る活気にあふれた状態に戻さなければならぬということは、もう万人の認めるところだろうと思うのです。  それはどういうことかと言いましたら、現在までの制度の中に見直さなければならぬものもあるだろうし、慣習を改めていかなければならぬものもあるだろう、そういうものについて文部省審議会意見を聞きながら方向づけをしていくということでございまして、それを行政指導あるいはまた誘導していくということがこれから残された改革への道だと思うのでありまして、私たちは、人員が少ないとか多いとかそんな問題ではなくして、一つ方向を示していって、そういう方向大学当局と話し合いをしながら行政指導を高めていって実質的な実りをとっていく、こういうことを心がけておるということでございます。
  203. 鍛冶清

    鍛冶委員 体制等の問題についてはお考えをお聞きいたしましたので、また今後の私どもの検討の参考にさせていただこうと思っております。  それから、これもちょっと内容としてさわっていいのかな、どうかなという気もしますが、というのは、一つ委員の皆さんの選任のことでございますが、委員の皆さんの選任そのものは、私は二十名という中で先ほどから御議論のあったような形がいいのかなと思いながらも、ちょっとその点について危惧もないこともないということです。やはりこれはできるだけ公平に、本当に真剣に高等教育改革というものを考えていらっしゃる方に委員にぜひなっていただきたいと思いますし、大学関係者の方々がやはり少なくとも過半数は占めるという形がいいのだろうと一応常識的には思うのですけれども、いろいろこういう審議会等はほかにもございますが、例えば大学の関係者の方々が、個人個人は大変名の通った立派な力のあるすぐれた方でいらっしゃるようでありますけれども、お出になって審議をすると、審議の中でいろいろ具体的な意見を申し上げると、それが各大学の実情から見て足を引っ張るというか、いい意味で言ったんだが結果的に足を引っ張るような議論なんかが出てくると、自分のもとの住みかに帰るともう居たたまれない、大変いじめがあるとかないとかという話がありまして、非常に発言がしにくい。だから、もうそれなら余り当たりさわりのあることは言わずに無事平穏に務めて帰ってくるかというふうな、こういうことも多いというようなことも聞いたりするのですが、これは本当はその先生方がいらしてお聞きするといいのかもしれませんが、文部省サイドにお聞きするのはちょっと筋違いかもわかりませんけれども、そういうようなことというのはあるのでしょうか。
  204. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 今度の大学審議会委員に委嘱する方は、私はやはり公正、中立な人でなければならぬと思いますし、一つ団体あるいは学校あるいは学会といいましょうか、そういうものを代表してきているというような人はふさわしくないと思うのです。それともう一つ大事なことは、教育問題というのはどうも建前ばかりで話されるのが多いのです。そうじゃなくして、やはり本当の真実はこういうことだということを提示して議論をしていただいて、同時に、私は、教育改革は議論だけで終わってしまってはいけないので、それを改善する方法についても具体的な策を提案していただくような人、そういう人を幅広く探していかなければならぬ。とはいえ、これはやはり大学に非常によく通じた人でなければなりませんので、そういう点を配慮しながら決めなければならぬと思っております。
  205. 鍛冶清

    鍛冶委員 決めなければならぬと言うが、私の質問した内容というのは余り詳しく御存じないのかもわかりませんけれども、どうもそういうような事実があるというような話もちらちら聞くのですね。大変苦労していらっしゃる。それは一つはそういう学校の閉鎖的なこともありましょうが、一つにはやはり大学先生になりますと御自分自身で持っている仕事がある。さっきからも議論の中に出ておりました教育と研究というこの二つの中で、学長さんなんかになられればちょっと違うかもわかりませんけれども、具体的なそういう教育・研究という中で、これもあれもしかも委員もというのは、むしろ時間的な関係でやはり過重になってくる。だから、自分がこれに取り組んで真剣にやりたいと思っても、ほかの方に重点が本来ありますから、そちらの方に時間をとられると、実際問題として、それじゃ委員としての仕事を果たすという方面でこれもしたいあれもしたいと思ってもやる時間がない、こういうふうなこともお聞きすることもある。そういう意味からいえば委員になられた先生は大変だなという気もするわけですけれども、しかし、今大臣もおっしゃったように、やはり学内のことをある程度知った方でないとできない部面もあるだろうと思いますし、そういう意味からいえば、そういう方々が公平に、しかもだれにも何ものにもとらわれずにきちんとした御意見ができるような委員を選定するならば、また一方では人選にはしっかりと検討しなければなりませんが、もう一方では委員の、特に大学関係から出てこられる方々には、そこらあたりで、例えば専門的にそれをやっていただくとかなんとか、そういう専門的な形で来て、委員でおる間はいいけれども帰ってみたらおる場所がなくて困ったとかいうこともまずいわけでございましょうし、そこらあたりも含めながら委員あり方選任というものも考えないと、この審議会というものは、本当に大学をどう変えるかという国民の皆さんの大方が望んでいらっしゃる、日本の将来にとってもいい形での改革というのができにくいのではないかな、こういうふうにも思うのです。そういうのがあるのと同時に、さっき申しましたように事務局の体制がわずか四人という、その中に室長も入っていらっしゃるのでしょうけれども、こういう大きな問題を抱えてそれだけで本当に機能するのかなということも、そういう意味合いで申し上げておるわけでございまして、その点についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、またどういうような形でやっていこうというふうにお考えでございますか、お答えを願いたいと思います。
  206. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 委員の人選の問題につきましては、もちろんこういった重要な事項について携わっていただくわけでございますから、それぞれの分野その他をいろいろ考えるにいたしましても、御本人御本人がこの問題に真剣に決意を持って取り組んでいただくという方でなければ困るわけでございまして、そういった意味では十分注意をして人選をしていかなければならない、こう思っております。  もちろん、最近どうこうというわけではございませんけれども、過去におきましては先生が御指摘になったような、いわばいじめに遭ったのでこの際委員をやめさしてほしいというケースがいろいろな審議会の中ではなかったわけではないのでございますので、そういった点は、勇気を持って発言をしてくださるような方々を選んでいくということは必要なことであろうと思っておる次第でございます。  なお、事務局その他の体制につきましては、先ほども申し上げましたように大変少ない人数でございますけれども、こういった種類の審議会としては実に希有な体制を組むことができたと思っておるわけでございまして、これに各課が一致協力をいたしまして、この人たちだけに任せておくのではなくて、全体として協力体制を組んで、当面せっかくの審議会運営が適切に行われるように縁の下の力持ち役を盛大にやるように努力をしたい、こう思っております。
  207. 鍛冶清

    鍛冶委員 余り事務局が多くなり過ぎると、今度は文部省ペースで振り回されるというようなこともあって、どうも痛しかゆしがあるようで、その点私どもはどうかと思うのですが、委員の方々が人選された以上は、そういう形で本当に意見が率直に、しかも文部省の皆さん方も含めて遠慮なく、教育をよくするためにはこうあるべきだという提言が十分できるような環境づくりというものはむしろ文部省の方でなさもないといかぬのじゃないかな。そういう大きな大人になって、もう大人であると思いますけれども、さらに大人になってやる必要があろうという気も実はいたしております。  あと、ちょっと補足的にいろいろなことをお聞きして、私の質問を終わらせたいと思いますが、先に進みまして、次に、大学設置審議会私立大学審議会を再編統合して大学設置学校法人審議会設置するようになっておりますが、その趣旨についてお尋ねいたしたいと思います。
  208. 坂元弘直

    坂元政府委員 大学設置審議会は、大学設置するという申請が来た場合に、大学等教育研究上の水準確保するという観点から、主として当該大学の、そういう大学を増設する、あるいは学部を増設するという計画がいいのかどうか、計画の構想そのものがいいのかどうかというような点、あるいは設置基準に基づきまして教育課程、カリキュラムあるいは教員組織等が十分設置基準を満たすものであるかどうかというような観点から、審査を行ってきております。それから私立大学審議会は、同じ事案につきまして、主として学校法人経営能力、それから管理運営の適正さの確保という観点から、審査を行ってきているわけでございます。したがって、従来からも私学関係者から、この両者の事務を一緒にしてもらった方がいいというような意見も時々聞くこともあるわけでございまして、この際、大学審議会を創設することに伴いまして、従来大学設置審議会で所掌事務としておりました学位の問題、それから大学設置基準の事務につきましては大学審議会に移ったというようなこともございまして、大学設置認可というものを、大学設置審議会私立大学審議会を統合再編成することによってより統一的に、効率的に行えるだろうということで一緒にしたわけでございます。
  209. 鍛冶清

    鍛冶委員 大学設置分科会学校法人分科会とは具体的にはどういうふうに事務分担をするのか、また再編統合によって具体的にどういうふうなメリットが出てくるのか、この点についてもお尋ねをいたしたいと思います。
  210. 坂元弘直

    坂元政府委員 今御説明申し上げましたとおりに、大学設置審議会の現状の職務というのが、大学等設置認可にかかわる事務、それから大学にかかわる学位、それから設置基準の所掌事務があったわけですが、そのうち学位と設置基準にかかわる事項については先ほども申し上げましたとおりに大学審議会の所掌事務になるということでございますので、大学設置分科会の所掌事務というのは大学等設置認可にかかわる事案だけでございます。  一方、私立大学審議会を実質的に改組いたしました学校法人分科会の所掌事務につきましては、先ほど申し上げましたような設置認可にかかわる場合の事務のほかに、私立学校法の系列の中で、例えば収益事業の種類を定める、あるいは解散の認定を行う、あるいは学校法人の解散命令を行う、あるいは収益事業の停止命令を行うというような、今の私立学校法私立大学審議会に与えられております所掌事務は学校法人分科会でそのまま引き継ぐことにいたしておりますし、さらに、私立学校振興助成法の規定の中で、私立学校振興助成法の規定に基づいて経常費助成を受けておる学校法人に対しまして、文部省として収容定員の超過の是正命令あるいは予算の変更命令あるいは役員の解職勧告をすることができるようになっておりますが、その場合に私立大学審議会意見を聞かなければならないという規定になっております。それを、今度の両審議会を一緒にしたことによりまして、文部大臣意見を聴取する相手側としまして、学校法人分科会意見を聞くということにしているわけでございます。  したがいまして、大学設置分科会は先ほど申し上げましたとおりでございますが、学校法人分科会の事務というのは、大学等設置認可にかかわる事務のほかに、現在私立学校法あるいは私立学校振興助成法のもとに私立学校審議会に付与されておる権限をそのまま引き継いで、学校法人分科会がその権限を行使するというような仕組みにいたしておるところでございます。  それからメリットでございますが、先ほど来御説明申し上げましたとおりに、二つ審議会が一緒になるということによって、設置認可事務がより円滑かつ効率的に審議が行われるであろうというふうに考えているところでございますし、それの一つのあらわれでございますが、申請者から設置計画にかかわる説明、事情聴取、直接書類審査のほかにヒアリングを行っておるわけでありますが、そのヒアリングあるいは設置認可にかかわる場合に当然現地視察を両審議会で現在は別々にやっております。それから認可後における設置計画履行状況調査、アフターケアと私ども称しておりますが、これも両審議会で別々にやっておりますが、それを審議会を一緒にすることによりまして、より総合的な視点に立って効率的な審査が可能となるであろう。したがって、申請者にとっては回数、文部省に説明に来るあるいは実地調査に来たときに対応する回数が相当縮減できるということで、負担の軽減が図られるであろうというふうに期待はいたしております。  さらに、大学設置認可あるいは学校法人の寄附行為の認可にかかわる申請書が、それぞれ審議会が別でございますので、同じような書類をとっておる、重複している部分もかなりございます。それが、両審議会が一緒にして申請書をとるということにする結果としまして、様式を統一化しあるいは簡素化するということによりまして、私立大学側の、申請者側の負担が相当軽減されるだろう、あるいは軽減しなければいけないというふうに私ども考えているところでございます。
  211. 鍛冶清

    鍛冶委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、あと違った切り口からの有島委員質問もあると思います。よろしくお願いいたします。きょうはありがとうございました。
  212. 町村信孝

    町村委員長代理 有島重武君。
  213. 有島重武

    有島委員 学校教育法及び私立学校法の一部を改正する法律案ということで、いわゆる大学審議会法案ですか、この審査に発言の機会を得させていただきまして喜んでおります。猛暑の中の百九国会ということで、大臣も朝早くから大変御苦労さまでございますけれども、私も後日またお時間をいただけるやに聞いておりますので、余り暑苦しくないような質問にきょうはとどめてやらしていただきたいと思っております。  その本論に入ります前に、これはこの前の委員会でもちょっと触れましたけれども、塩川文部大臣臨教審の担当大臣をしておられるということでございますので、臨教審全体の予算のことについて承っておきたい。こういったことは内閣委員会か何か、あるいは予算委員会でやるべきかと思いますけれども、この場をおかりして伺っておきたい。  六十二年度の予算につきましては、この前委員会で発言いたしましたら、その後に大体二千億円程度の予算の書いた紙を御報告いただきました。ただし、これは義務教育を含んでこれが二千六百四十八億ですか、そんなようなものでございましたでしょうか。誤りがあったらちょっと申しわけございません。私、これを拝見をいたしました限りにおいては、これは文部省関係のものだけなんですね。私が承りたかったのは、臨教審というのは文部省を超える大きな存在であるかというふうに認識を持っているものですから、他省にまたがる予算といいますか、そういったものを含んでの御報告をいただければと、こう期待をいたしておったわけでございます。これについてさらに何か詳しい御報告をいただけるならばいただきたい。
  214. 川村恒明

    ○川村政府委員 ただいまお話のございました教育関係の予算の件でございますけれども、ただいまお話がございました約二千億ということは、多分、ただいま先生お話しございましたように、文部省関係の教育改革に関連をする予算、六十二年度の予算額を申し上げたのではないかと思っております。  先生指摘のように、教育改革はもちろん文部省だけでございませんで、他省庁に関連する部分もあるわけでございます。その関連の予算、ただいまちょっと手持ちで持っておりませんけれども、それは事務的に整理をさせていただいております。ただ一言お断り申し上げたいのは、二千億と申しましたのは第二次答申までの経費だと思うのですね。その後ことしの四月に第三次答申を出され、それからまた近く最終答申も出されるということでございますので、現在私どもの方で、最終答申が出されればそれに対応して関連の予算がどのくらいあるのかということを、その最終答申が出されるのを待って精査をするつもりでございます。
  215. 有島重武

    有島委員 それでは、それはでき次第ひとつ御報告をいただきたい。あわせて、六十二年度の概算要求ということもあるわけでございますね、それもでき次第御報告をいただければ、本委員会委員の皆さん方も恐らくそういったことを期待をして、心待ちにしていらっしゃるんじゃないかと思いますので、冒頭お願いをいたしておきます。それはよろしいですね。
  216. 川村恒明

    ○川村政府委員 ただいまお話がございましたように、最終答申が出され、またこれに関連をして各省庁の六十二年度の概算要求が整理された時点で、ただいま御指摘の資料を整理させていただきたいと思っております。
  217. 有島重武

    有島委員 それでは法案審査に入るわけでございますけれども、第一番目に、言葉の定義と申しますか、高等教育改革、これは教育改革の中の一番中核部分になるわけでございますね。大学改革というのはその一部になるのではないかと私は思っているわけでございます。この法律の中では皆「大学」「大学」と書いてある。括弧づけでもって「高等専門学校を含む。」以下同じ、こうなっておるわけでございますけれども、この書き方も改められた方がよろしいんじゃなかろうかと私は思うのですが。
  218. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 大学審議会の名称の問題についての御指摘かと思っておりますが、大学審議会という名称を使いまして、法律上の定義といたしましては、大学ということの中に高等専門学校も含むということで、大学、短期大学、高等専門学校という学校教育法第一条に規定されている高等教育機関全体についての改革の問題を検討する組織ということで位置づけたつもりでございます。その際、特に大学審議会大学という用語を使いましたのは、やはりその改革の目標等あるいは改革の視点等で何といっても中心となっておりますのは現状の四年制ないし短期大学内容改革ということにウエートがかかってきておるということで、一般的に用語として用いられております言葉も、高等教育改革というよりは大学改革だということの方に相当なウエートがかかってきているというようなこともございますし、また現実に臨時教育審議会が当初「ユニバーシティ・カウンシル(大学審議会――仮称)」という形で発表いたしまして以来、大学審議会という用語がずっと使われて定着をしてきている。定着という言葉が適当かどうかはわかりませんが、普及してきているというようなこと等を踏まえまして、この審議会の性格を端的に表明するのには大学審議会と言った方がわかりやすいのではないか、こういう観点大学審議会という用語を使わせていただいておるわけでございます。
  219. 有島重武

    有島委員 今のせっかくの御答弁でございますが、いかがでございましょうかね。今臨教審で扱っている教育改革一つの太い柱は、今までの学校教育全体を、人間の一生涯の人間成長といいますか学習といいますか、そういう中に位置づけ直しましょう、こういうことが一つの大きな柱であろうかと思います。それから、学校教育というふうに言われるのは、今教育をめぐっていろいろなゆがみ現象が起こっているというけれども、その大部分が、ほとんど九九%までが学校教育権威主義と申しますか学校教育主義と申しますか、私はそんな言葉が適当じゃないかと思っているのです。教育といえば学校学校に入ることがいいことなんだ、学校を出ることがいいことなんだ、こういうことにすべて集約されて、本来の人間というものが失われておったのじゃなかろうか。そういったところから。今の生涯学習体系というようなことがかなり大きなウエートを持ってといいますか、そういった視点のもとに今度の改革がなされていくんじゃなかろうかと私は思うわけだけれども、その一番の基本線でもって認識が違ってしまうとしようがないから、大臣いかがでしょうか、私はそういうふうに認識をいたしておりますけれども、大臣の御認識のほどをちょっと承っておきたい。
  220. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 御質問趣旨がちょっと、私、頭が悪いので十分に理解できておりませんが、こういうことではなかろうかと思うのでございます。教育という問題を具体的に扱うのは学校である、それは小中学校から高等専門学校大学まで各種ございますが、要するに教育機関というのが大部分が今学校と言われてきておる。でございますから、まさにおっしゃるように教育の問題ということは学校の問題、こういうことになってくると思っております。だからといって、学校だけが教育でない、これはもう当然でございまして、例えば親が教えることも立派な教育でございますし、社会で修得することも教育でございます。また親方が徒弟を教えていく、これも教育だと思っております。しかし、現在の社会の状況の中であれば、教育を担当する場所は教育機関イコール学校なんだ、こういうことで、まさにおっしゃるとおり教育イコール学校問題だ、こう思っております。
  221. 有島重武

    有島委員 大臣が今おっしゃいましたとおりだと思いますけれども、学校教育の頂点をなすものがいわゆる大学ということでございますね。それで、私ども教育改革を志している者同志、教育改革はどこから手をつけていっていいか、一番効果的だろうか、それは入り口の幼稚園や小学校の低学年から改革をしていくべきなのか、あるいは大学の、特にまた卒業のあたりのところから、資格付与のあたりのところから改革をすべきであろうか、そういうことを議論したこともございました。それで私ども、やはり出口の方から改革を進めていくのがこれは順序であろう、私どもの一つの見識として今そういうふうに思っているわけです。     〔町村委員長代理退席、鳩山(邦)委員長代理着席〕  それはさておきまして、大学だけに関しましても、従来とにかく大学には入らなきゃならぬとされてきたが、しかし大学ばかりが高等教育じゃありませんよ。しかもまだ、大学と他の高等教育機関ないしは、今もまだ高等教育機関の中には仲間入りさせてもらえない、そのランクづけをしてもらえない、けれどもそれだけの、それに匹敵するような機関あるいは研究所で、学校という名前ではないけれども、そこで何か論文を書いていくとかそういうようなことが今も徐々に行われつつある、そういうような、大学というものに限定するよりか、高等教育というものをもっとうんと柔軟に、フレキシブルに考えていく、そういうことが今度の改革の大きな考え方ではなかろうかと思う。わけなのですけれども、大臣いかがですか。
  222. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 今度の臨教審答申の中でずっと流れております基本的な考え方を申しましたら、教育に対する基本的な理念として個性尊重をしろということが一つ、それから教育体系について言うならば、全生涯学習体系をとりなさいということがございます。おっしゃるように、人間が生まれて死ぬまでの間、全生涯やはり教育になじんでいくということ、絶えず教育を受けて生々発展していく、そういう体制を社会的に、そしてまた経済的にもつくりなさいということが臨教審答申の中には盛り込まれております。  そういうことを考えますと、大学も生涯学習の一環として一つの重要な機関でもあるし、有島さん御指摘のように、大学だけが教育機関じゃない、もっとほかにあるじゃないかとおっしゃる、そのもっとあるじゃないかというものも今後整備していかなければならぬのは当然でございます。けれどもそれを、小学校から大学まで、あるいは全生涯一遍に手をつけて、これもやるんだ、あれもやるんだということは、財政的にも人的にもなかなか不可能なことでございます。したがいまして、いろいろな既存の施設といいましょうか、制度に基づいてできておる施設、機関というもの、これをそういう先ほど申した全生涯学習体系、そしてまた個性尊重という基本的な方針に沿うように、おいおい改革していくということが必要だろう、その一環として大学あり方というものもこの際考えていくべきではないか、こういうことに問題がつながってきておると思っておるのです。
  223. 有島重武

    有島委員 そういうことになってまいりますと、この高等教育改革、この中に大学というものも含まれる、こういうことが今度の改革趣旨であろうと思うのですね。大学という言葉の中に高等専門学校も押し込めてしまうというのは、これはその本来の趣旨に反するのじゃなかろうか、私はこう思うわけです。  この点について、これはここで議論していても、阿部局長なんか鍛え抜いているからいろいろおっしゃる。これは時間がかかっちゃって、少し温度が上がると大変だから、これは、それこそ石川忠雄先生が座長をやっていらっしゃる協力者会議というのも既にあると思うのですね、そこでひとつそういった議論があったということも御相談いただきたいのですよ。  それで、この法律案、通るか通らぬか、これからなんだけれども、私は、このとば口の大学審議会というのが本来ちょっと趣旨に沿わない、中身趣旨に沿っておらぬと考えるのです。だから、ネーミングの問題でございますけれども、高等教育改革に関する審議会ということがこの中身であろうかと思うのですが、それにふさわしい名前につけかえる、そういうことが必要ではなかろうか、こう御提言を申し上げるわけです。これもまた委員の諸君にも相諮らなければ、僕だけ飛び出して勝手なことを言ったってこれは通らぬかもしらぬけれども、大臣大臣の方でプレーンを持っていらっしゃるわけですから、ひとつ御相談をいただけないかと思うのでございますけれども、いかがですか。その余地があるかないか。
  224. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これの名称につきましては阿部局長からお答えしたとおりでございまして、有島さんのおっしゃるのは、高等教育全般についての改革をするんだ、こういうことだから、高等教育審議会ですか、そういうような名称にしたらどうだという御提案でございますが、せっかく御提案いただいたのでございますが、しかし、先ほど阿部局長が言っておりますように、高等教育の一番中心となるのは大学だというのが世間一般の常識でもあるし、また、高等専門学校大学との関係あるいはまた大学大学院との関係とかいうものもいろいろ制度上の問題というのがある。そうすると、どうしてもやはり大学が中心になってくるということから、高等教育審議会というのは即大学改革とイコールになってくるということ、さらには、これは先ほど申しました英語で難しいことを言ってますが、「ユニバーシティ・カウンシル」ですか、これを直訳していくとこんなことになるのじゃなかろうかということ等から見まして、大学審議会という方が何かわかりやすいような、中身がわかりやすいように思うのです。高等教育審議会といったら高等教育全般の問題をどう扱っていくかということになって、幅広くて焦点がどうもつかみにくいような感じがするのですが、これは御提案ございましたので、私たち考えてはみますけれども、しかし、有島さんの方も余りかたくなに名称に関係なく、ひとつこだわらないで御審議をしていただきたい、こう思うのです。
  225. 有島重武

    有島委員 とば口で余りはねつけられちゃうと、ああ、この調子じゃどんな審議会をつくってもだめかなとあきらめなければならないから、今ここでもっての議論のやりとりということよりも、それをひとつ課題にして残していただきたい。そちらはそちらで残していただきたい。こちらはこちらで、委員会の方にも、理事さんや何かにもお願いしたいと思っております。  それから、非常に素朴な話なんですけれども、文部大臣答申を受けて高等教育改革推進するというか促進なさるわけですね。その権限といいますか、できるのかということですね。先ほど指導助言とかいうことがありましたね。これは決まっておるかもしれない。この大学改革、高等教育改革、こういったことを行っていく権限があるのか、これについて、非常に素朴な話だけれども、ひとつ……。     〔鳩山(邦)委員長代理退席、委員長着席〕
  226. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 文部大臣にはその権限があると思っております。ただし問題は、その権限があるからといって、それで無理やり、先ほどお話ございました胸ぐらとってこういうぐあいにしなければだめだというようなものでは成果が上がらない、それよりも、大学に関係する人が、なるほど文部省はこう言っておるが、こういうことがやはり必要な改革なんだなということを認識して、それに自分たち自身が改革を進めてもらうということをやってもらわなければならない。だから、権限があるからだから改革ができるんだ、そう単純に我々は考えてはおりません。
  227. 有島重武

    有島委員 百年河清を待つという言葉がございますけれども、百年はたっておらないが、私が知っている範囲でも、中教審の四六答申、それ以前に実は私どももいろいろな高等教育改革案提出いたしました。その一部分は取り上げられたり実施に移されたり、そういったこともございますけれども、理想を言えば大学人たちによって、あるいは他の高等教育機関のそれぞれの関係者によって改革がどんどん進められていくということが一番望ましいわけだけれども、そうはいかないでしょう。先ほども鍛冶さんが言っておりましたけれども、そこに非常に難しいところが今あるわけですね。だけれども、こんなことを伺っては失礼かもしれないけれども、大臣は高等教育改革をやっていくんだ、やってのける、こういう御決意がおありになると私は信じたいわけだけれども、これはいかがですか。
  228. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 当然でございまして、だからこそこの法案提出しておるわけであります。
  229. 有島重武

    有島委員 気を悪くしないでくださいよ。この高等教育改革をやらなければならない、やる決意がある、ただこの審議会がなければ事は進まないか、この審議会をつくることが必要不可欠の条件なのであるか。この審議会があろうと、ないよりはあった方がいいかもしれません、合理化をしなければならないけれども、大体もうやらなければならぬことは羅列されているわけです。ですから、あった方がいいという程度のことかもしれない。もちろんそういった必ずやるんだという御決意のもとに提出されているんだということを私も素直に受けとめておりますよ。しかし、これがなければどうしてもそれが進むことができないんだというようなものではないというふうに私なんか思うわけですね。その上でもって、でも有益なものであればこれはぜひともやってもらおう、そういうふうに私は思っております。その辺の――これはこういう審査の場でもってそんなことを提出者に向かって聞いてもしようがないわけだけれども、お出しになるときにはこれなくしてはというお気持ちであろうと思いますが、まあこの議論はここでもってちょっと打ち切ります。  先ほどから、高等教育全般あるいは大学が甚だしく異常事態になっておる、異常事態になっているときにはもう対処しなければならぬ、こういうことがございましたね。いわゆる大管法なんかの話題が先ほど同僚議員から出ておりました。そこで大臣の御認識でございますけれども、今の高等教育が異常状態であるかどうかというようなことです。異常というのは言葉がちょっと過ぎているかどうか知らないけれども、社会全般はどんどん動いておる、国際情勢もどんどん動いておる、しかしそれに対して閉鎖的ないしは保守的に固執をしている部分がかなりある。その世間の認識ないしは要求というものとの格差がかなり大きくなっておる。やはりアンバランスといいますか異常といいますか、こういったような一種の異常状態であるというような御認識をお持ちでしょうか。
  230. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は異常とは思っておりません。思っておりませんが、しかし、社会的ニーズとかあるいは世界的な要請と申しましょうか、今の日本国際化の中の一員として、そういうものに対応するのに、余りにも私は現在の制度、慣行というものがふさわしくないものが多々あるとは思っております。それはやはりそういう要請に合わせていく必要があるだろうと思います。これについて、それじゃ文部省が、こんな審議会なんて要らぬじゃないか、なしで、どんどんと文部省がやればいいじゃないか、こういうお話も中に出ておりましたが、これは私たちはとるべきじゃないと思う。先ほども言いましたように、権限はあったといたしましても、それを実際に実りあるものにするというのには関係者自身が目覚めてもらわなければならぬ。そのためには、大学の当局の方々に現在いろいろ意見を聞いてみると、意見を聞いてみるというのは、審議会の方々あるいは審議会を通じて世間一般の方もあるでしょう、聞いてみると、大学改革についてこういう望ましいことがみんな言われておるということ、したがって文部省もそういう改革方向へ歩み出していきます、具体的に行政的に処置をしていきます、こういうことがやはり行われていくべきだと思っておるのです。それは急激に何もかも一遍に根元を切ってしまって新しくやるんだ、こんなことはできるものじゃございませんし、ですから既存の制度、慣行というものを徐々に改正して時代に合うように持っていく、こういう改革を進めようということ、それが独善に走ってもいかぬから、だから審議会等で十分に意見を聞いて案を練って、それで実行していく、こういうことを申し上げておるわけです。
  231. 有島重武

    有島委員 前段はよくわかるのです。後段は、独善に走っては相ならぬから審議会ということなんですけれども、中教審、随分長くやっているのですよね。立派な答申です。それから、それ以後にも国大協の方からもいろいろなペーパーが出ておるようでございましたし、他の団体からも出ておる。あるいは経済団体からもいろいろなものが出ておる。そういったものも土台として今度は臨教審が報告を出された。最終答申はまだ出ておりませんけれども、今までのいろいろな答申は大体がそう珍しい、飛び抜けたことは余りないように思います。ですから、これ以上独善になるのはという大変謙虚な、つつましいお心がけのように見受けられるけれども、もうそういった議論の段階はほぼ終わっておる。だから、本審議会をもし設定すれば、これは改革に関する基本事項を今からやり出すというよりも、今まで提案され、これだけはという、もう要約されてきておるその議論を実施に移していく、その手順をどこからやっていくかというような、そういうようなむしろ審議になるのじゃなかろうかというように私は思うわけなんだけれども、それはどうでしょうか。
  232. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 おっしゃることは私、そのとおりだと思います。ですから、過去からいろいろな提案がございました。それを余り積極的に文部省が取り組んでおらなかった。これは私も他から見ておってそう思います。ですから、今回はというよりも、大学審議会設置して、それの諮問といいましょうかいろいろな協議をし、決まったことは、文部省が積極的にやらなければ世間から笑われてしまうと思うのです。だから、それは大学とよく協議をしながら話を進めていく、それのためにもやはり大学審意見をいろいろ聞いて、最終的に文部省としての方針を決定するということをしなければだめだ、こう思うのです。
  233. 有島重武

    有島委員 私は、大学改革、高等教育改革はどうしても二十一世紀に向かってやっていかなければならないというふうに思い詰めているわけなのです。だけれども、世の中には改革せぬ方がいいんだと思っている人もいるのではないですか。大臣の御認識はどうなのか。例えば率直に言って、受験産業の方々はいろいろな状態がじくじくいった方がいいのではないか、変われば変わったでまた対応しようと思っていらっしゃるようでございますけれども、あるいは大学人と言われる方々の多くが、悪意でもってこんな改革なんか要らぬと思っているのではなくて、研究熱心な方々というのはそういうことには興味を示さない、今の体制で一生懸命やっておられる方々の方が多いのではないでしょうか。それから、いろいろと斬新な意見を吐かれる学生さんたちもいらっしゃるけれども、その学生さんたちというのは、在学中はいろいろ言うかもしらぬが、出てしまえばおしまいということもあるわけです。だから、大学改革、高等教育改革ということを望む勢力と余り望んでいない人々というのは相当いるのではないですか、いかがでしょうか。
  234. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 何をどう改革するのかという視点がはっきりした議論でなければ、私はこの問題は論ぜられないと思うのです。要するに大学自体が、何遍も言っていますように、より開かれた大学にしていくということ、そして個性を持ったといいましょうか、そういう特徴のある大学をつくっていくということ、そして国際化へ、情報化へ対応するという改革なのでございまして、教授一人一人、あるいは助手一人一人の問題ということで我々は取り上げているのではない、大学という機関、これがその時代要請に沿うようにしてもらいたいという念願、そしてまたそういうことによって研究が活気づき、そしてまた自分自身の研究にも励みがついてくる、こういう改革を進めていく。  先ほど江田さんの質問の中に、地方大学の中でこの改革に対して非常に消極的な人がたくさんある、こういう意見もありました。確かにあると私は思うのです。だからこそ地方大学も活気づいていい大学になってもらう。それはどういうところに目標を置くのかといったら、先ほど言いました特徴ある大学、国際的にも非常に交流の深い大学、そしてより高度な研究の可能な大学という方向に変えていくのだということでございまして、私たち、教授だとかあるいは助教授の一人一人の問題について改革をしようとかそんなのではございませんで、大学全体をそういう方向に持っていこうという改革をしようということでございます。でございますから、賛成の人もあれば反対の人もありましょう、それは当然出てくると思うのです。だからといって、ただいたずらに現状に置いておくということでいいのかということが問題になってくると思うのでございます。要するに「雲を望み、風をうかがう者は、種子まくあたわず」ということがございます。そんなことをしておったら種をまく時期を失うてしまうじゃないか。今時代が激しく動いておるこのときに、やはり大学もそういうふうに活気のある大学に生まれ変わってもらいたい、そのための改革を今始めなければならぬじゃないか、そのためには大学の人がその自覚を持っていただくということが先決なんです。その自覚を持っていただくについて、文部省大学審といろいろ協議して方向を打ち出していく、それに呼応して大学みずからが努力してもらう、それに対しては財政的な裏づけもしていかなければならぬ、これは文部省の責任でやっていかなければならぬ、こういうことになってくると思うのであります。
  235. 有島重武

    有島委員 大臣のおっしゃった御趣旨、ほぼ私も賛同であります。  それで、いろいろな特徴ある高等教育機関を並列していく、こういうことは四六答申のときにもあったし、それ以前に我々も、これは古いあれですけれども、四十三年くらいのときから、いろいろな高等教育機関を並列していくことについて、大学教授のための総合研究教育機関と専門研究機関とか、あるいは大学卒に限って入学できるような総合大学と専門大学、いわゆる大学大学みたいなものですね、あるいは現在の大学院にも劣らない質の高い総合大学、それから研究に重点を置く総合大学と専門大学、それから今度は、研究じゃなくて教育の方に重点を置いて研究もやっていくというような総合大学と専門大学とか、著しく大衆的な教養大学とか、うんと実用に即した専門大学、みんなそのころは大学と言っておりますけれども、これにマスメディアを中心とした放送大学とか、そういったような提案をやっていたわけですよ。二十年前に一生懸命やっていたわけですね。それも、皆さん方のお話を聞いてそういうことを言ってきたわけですね。それには単位の互換ということが必要なのだ、そうでないと、そこを選んで入られた方々は、いろんな特徴がある教育機関に入ってしまって、そこで盲腸のように詰められたようになっては困るからという話で、では単位の互換で渡れるようにしようとか、あるいは資格を与えるときに社会に出て不利にならないような新しい単位、資格を置かなければならぬとか、そういうことが今までもずっと言われてきたわけですね。言われてきたけれどもそれができなかった。今度はそれをどうしてもやりたいというわけだ。それには一体、二条二項の協議会をつくってそこからまた諮問を受けてやったというのだから、だからそれによって臨教審が巻き起こした波紋というのは少しはあるわけですけれども、それ以上の大きな波紋を各高等教育機関に与えることができるかどうか、これは相当大変だと思うのですね。  それで、私は、私の立場から言うのは本当を言えばおかしいかもしれないけれども、さっき鍛冶委員も大体本音のあたりをちらちら言っているように、我々も話し合ったわけですけれども、これは多少行き過ぎがあっても、今度は、文部大臣のリーダーシップというものが相当発揮されて、多少押しつけがましいと言われるようなことが部分的には起こってもしようがないのじゃないか、それによって本気になって議論が巻き起こるならば、これは必要悪として我々は認めてもいいのじゃないかとまで思っているわけなんですよ。そうじゃなかったらなかなかこれは動かない。ただしそれは、いつまでも十年、二十年もやっておられたのではかなわないから、これは時限にして、三年なら三年に限ってその間思い切ってやってもらって、そこでその評価をするというようなことにすればあるいは成功するのじゃないだろうかと思うわけなのです。いかがでしょうか。
  236. 阿部充夫

    阿部(充)政府委員 今まで大臣からもいろいろお答え申し上げてまいりましたように、大学改革というのは、いろいろの提言について、文部省も積極的にその旗を振り、そのための制度の整備等もやっていく必要がございますけれども、何といっても各大学がやる気になって対応をしてくれるということがセットでございませんとなかなか実現を見ないというものでございますので、そういった意味では、この新しい大学審議会ができました際には、具体的な提案については先生おっしゃるように思い切った提案を次々と出していただいて、その具体化について大学関係者等にも大いに議論を巻き起こしていただき、またそれの実現に努めていかなければならぬ、こう思っておる次第でございます。  ただ、それにいたしましても、先生のただいまの御質問は、大学審議会を時限にしてはどうかというお話であろうかと思うわけでございますが、大学改革というのは、私どもは、二、三年の間に一遍何かを決めてはっと打ち放せば、それでその後十年間はもつとかいうようなたぐいのことではなくて、不断に逐次変えていかなければならない要素というのは随分あるのだろうと思っております。  かねて先生から御指摘をいただいておりました、例えば単位の互換制度等につきましても、大学関係者のコンセンサスがなければ制度だけつくりましてもなかなか動かないわけで、それはある程度のコンセンサスをつくって動かすようにいたしまして、それからその次の段階として、今度は短期大学と四年制大学との互換という問題にもまた手をつけるというようなことで、三年、四年という時間を置きましたけれども、着実に歩を進めていくというようなことも大学改革にとっては必要なことだろうと思っております。  そういう見地から考えますと、この大学審議会を時限にして二、三年で片をつけるということではなくて、審議中身については先生指摘のように具体に提案をどんどん出していくという形で進めていくといたしましても、この審議会そのものにつきましては、いわば恒常的と申しますか、ある程度長い期間を見込んだ機関として置いて、その間に着実な進歩を求めていくということが必要であろうというのが私どもの考え方でございます。
  237. 有島重武

    有島委員 話が二つにまじっていると思うのです。確かに長い目で見ていかなければならないということはあります。そういった面から言えば、ずっと二十年前から具体的に始まっておる、そういった見方もあるわけです。しかし、今度こそは一つの強いショック療法といいますか、そういうことになりますと、ショック療法というのは長く続けていると死んでしまう、そうかといって初めから漢方みたいなことでじわじわずっとやるのでは、今までの経験からして何年たっても同じだったということになるのじゃないかと心配するわけですよ。だから時限にして一つの安心感を与えて、やるなら思い切ってやってみろ、それで見直して、その後パーマネントのものをつくるならつくる、そういうふうになすったらいいのじゃなかろうかと私は提案したいわけだ。  イギリスの方の制度で、大学は別建てでやっておるようですな。ユニバーシティ・グランド・コミッティー、阿部局長御存じですね。これは指導助言、援助、お金まで全部やっているわけですね。そういうものを頭に置いての御議論があのときに半分入っていたのですね。それが尾を引いているわけです。そうなりますと、我が国文部省一本でやっておるけれども、よその国では初等中等教育省というのがあって、それから学術文化大学省というのが別にあるというような国がたくさんあるわけでございますから、それに似たような発想なのですね、このユニバーシティ・カウンシルは。これは直訳すれば大学審議会となるわけですけれども、それを今度は何か非常に歪曲してしまった形にしている、そういうようなことがあったのじゃないかと私は思っています。  それで、初等中等教育だけを文部省に限って、ほかをほうり出してしまうというようなことは我が国にはまだそぐわないかもしれませんけれども、今度のを、大学に必要な助言や援助を提供する文部大臣、そんなふうに私も胸におさめて読んで、さっきの御説明を聞くことにいたします。  きょうは二つの提案をした。名前を変えたらどうか、時限にして思い切ってやるようになさるべきじゃないのか。そのほかいろいろあるのですけれども、時間もまだ多少あるらしいのですけれども、また次のチャンスがあるようでございますので、そのときに譲って、きょうの質問はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  238. 愛知和男

    愛知委員長 次回は、来る三十一日金曜日午前九時三十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十八分散会      ――――◇―――――