○岡田(正)
委員 よくわかります。よくわかりますが、国民総背番号
制度、俗に言うグリーンカードというようなものを採用しないとなかなか把握が難しゅうございます、こういうことをおっしゃいます。そこで、把握が非常に易しくて、しかも的確に税収が上がる方法としては、
マル優という
制度を残して、
マル優限定カードというものをそれぞれ発行すればいいと私
どもは考えておるのであります。
それはどういう仕掛けかといいますと、例えば私が
マル優制度を受けたい、認定を受けたいということになれば、私が住んでおる
市町村役場に行きまして、現実に私がそこに住んでおるかどうかという確認をしてもらう。その確認してもらう役場に行って、あなたの
マル優カードを、はい申請がありましたから出しますと言って私に対して
マル優の限定カードを出してくれる。
マル優にしか使えないものです。このカードがあるからといって車の運転はできません。そういう限定されたものであります。
そこで、それは本人が持っておるだけであります。役場から直接交付される。その持っておる者に対して、郵便局なら郵便局の欄、銀行は銀行の欄、国債は国債の欄それぞれが、例えば郵便局が、広島県の三原で入れて今度は北海道の郵便局で入れようと何をしようと、とにかく
マル優扱いにしてくださいと言ったらそのカードを示さなければならない。それを示したら具体的にその郵便局で月日と金額を書き込む。それが三百万円になればもう書くところはないのですから、郵便局はどこへ行ったってもう受け付けてくれません。そうすると
マル優カードが利用できないということになったら、それを超えた者は、いわゆる総合
所得が嫌なら源泉分離課税を取ってもらう、本人が申告するのが嫌ならこれは分離課税にしてくださいと言う、この二つしかできない。銀行に行こうと郵便局に行こうとそういう仕掛けになるわけです。
そうなったら税収は三兆とは言わぬ膨大なものが入ってくると私は思います。それを実行しないから、もやもやしておるからだめなのであって、取り扱う金融機関に
マル優カードを添付しなければ、見せなければ、確実に三五%の分離課税を求めますか、総合
所得でいきますか、どっちにしますか。おれは分離課税にしてくれと言われたら、分離課税をその利子からぴしゃっぴしゃっと三五%取る。これは金融機関の責任ということにすれば、税務署のお役人をふやす必要も何にもない。
しかも今度は個人のプライバシー、中曽根総理の好きな言葉に、
委員長、あんなものは、他人の懐に手を突っ込むようなことができますか、こう言って
委員会でも本
会議でも答えられました。とんでもない話であります。今のように
市町村役場に行って本人だけしか持っていない
マル優カードを発行してもらいましたならば、私
マル優カードをもらいましたよと言って主人に見せる必要も何にもないわけです。奥さんが黙って一人で握っておればいいわけです。
マル優カードをもらいたい人が直接役場へ行けばいいわけだ。主人が行きたいなら主人が行く、奥さんが行きたいなら奥さんが行く。本人でなければ交付しないという徹底した限度管理をやれば、個人のプライバシーが崩されることもないということになるわけでありまして、税務上も何にもコストはかかりませんし、税収だけはばっかばっかとあきれるほど入ってくるということになって、いっそのこと
個人住民税はやめますかというようなことが
大臣から提案なされるというようなことが出てきたらすばらしいんじゃないかと私は思うのです。
だから懸命にまじめに、我々国民というのは四つの不安がありまして、とにかく病気になったときにどうしようか。個人負担はありますよ、昔は工場健康保険なんかはただでした、今では一割負担になりました。家族が病気になったら三割負担がありますわ。どっちにしたところで病気になったらどうしようか。貯えがなくてどうするんですか。病気になったから貸してくださいといって銀行へ駆け込む人がおりますか。それはよほど高額になって貯金が足らなくなればしようがないですよ。だけれ
ども当座間に合うだけの貯金というものは、人間である限り家庭を守ろうという本能がありますから、どっちにしたって御主人は知らぬでも奥さんが一生懸命貯蓄しますよ。それはわずかなものです。平均でいったら百八十万くらいしかない。そんなものではあるが、病気になったときの不安、子供が進学していったらどうしようかという不安、これは入学金も要る。そして試験代も要る。下宿料も要る。そういうことに金がかかるからというのでこつこつとためる。そして今度は住宅。人間だれでも一国一城のあるじになりたいものです。立派な家を持ちたい。この欲望には切りがない。だからそのときの足しに財形貯蓄にも走るわけです。
私も現実に家を十五年前に建てました。わずかな、三十坪を〇・二坪切れる家を建てました。それは住宅金融公庫の融資が三十坪を超えたらなかったからでありました。だから〇・二坪わざわざ切って二十九・八坪という半端な数字にしたのです。だから非常に住みにくいですね。もっと広い家を建てればよかったと思うのですが、もう手おくれです。それでその借金をいまだに払っております。それで、いわゆる住宅ローンなんかをお払いする場合でも、ローンを払うということよりも前に、どんがらだけは建ったが、どこへ机を置いてどこをどういうふうにしようかということを考えていくときに、一番先に目がつくのはカーテンをどうするか、電気の器具をどうするかということですよ。だからシャンデリアが、シャンデリアというのは幾つも球があるようなのを言うのでありますが、皆さんの方が専門でしょうが、とにかく電気の物品税がかかる。球が三つ以下であれば物品税がかからぬ。だから四つのシャンデリアは物品税がかかるからやめたというので私の家も球は三つです。これは渋いものですよ。カーテンなんかに至っても、どのカーテンにするか。やはりカーテン一枚じゃなくてレースくらい欲しいですね。これはレースがついているのかな。レースがないと何か殺風景でしょう。こういうふうに潤いのある住宅といったらレースも置きたい、そして厚いカーテンも置きたい。ところが値段がいろいろあります。恥ずかしい話だが一番安い分へ行くわね。そうしたら大体三年たったら黄色くなって引っ張ったらばさっと切れますよ。結局これは貧乏人の銭失いですな。こういうことがある。
これは現実に私の経験ですよ。まだ十五年前の話です。そんなふうにして何百万、その当時は何百万でありますが、何百万という家を建てるときでも、たった一万円か五千円のカーテンでさえ何とかして縮められぬかと苦労するのであります。そしてもともとの大きい金額はローンで払っていくわけです。そうやってみんな苦労しておるのでありますから、住宅を建てたときにどうするかという不安がありますからそれもためていく。
さて人生の御用事が済んで、もうあんた会社で用事ないよ、ここからどこへ行っても使ってくれないよということになって、晴耕雨読といういい言葉があるのですけれ
ども、実際には畳の上でごろ寝するしかないという老後を今後送ろうとするときに一体何歳まで生きるか、これはだれもわからぬですね。易者に聞いてもわかりません。私は八十三歳まで生きると易者が言ったが、あんな細かい数字を言うやつはうそに決まっている。そうなるといつまで生きるかわからぬのに金がどのくらいないといかぬかということは計算しますよ。これは厚生省か労働省だったか、老後の生活資金を調査して発表しておりましたね。大体六十歳から後、平均余命を生きていくのには約二千六百万円の金が必要である。それだけの貯金をしていないと途中でアウトだよ。アウトだよということは何かといったら、生きて座っておるけれ
ども食べるものがないということなんです。これは死ねということなんです。そうすると首をつる以外にはない、こうなりますから、そうなっちゃ大変だから老後のためにとためるわけですよ。
政府でさえ、六十歳以降平均寿今まで高いっぱい生きていくためには二千六百万要ると言っているじゃないですか。
要るのに、貯金は平均しましたら百八十万ほどしかないのですよ。それだけのみみっちい、本当にこそこそしたささやかな貯蓄に対して、日本は今GNPが世界第二位だ、第一位だ、だからこそ今消費の
時代だと言って、せっかく
昭和三十八年以来続いてきた我が国が誇るべき
マル優制度というものを、
減税の
財源として、恒久
財源としてこれをつぶすのだというので、まあ消費に使うのですわ、国際世論にも合うようにするのですわ、それは文句はいろいろあります。これは何ぼでも理屈はつけられる。うちの春日一幸ではありませんが、理屈は貨車で後からやってくるというくらい、理屈は何ぼでもつけられるのです。そういう現実に生きている人間たちに失望を与えるようなことはさせぬ方がいい。だから、今度の
マル優の
廃止なんかでも私はやるべきではないと思いますね。
しかも、今聞いてみたら、何ですかこれは。
減税をやるためには恒久
財源が要ります、こういうことを言いながら、恒久
財源そのものは十月一日から施行しても四百五十億しか入ってこないというのでしょう。平
年度で幾ら入るのだと言ったら、これが何兆円も入るんじゃない、九千五百七十億しか入らぬ、こういうのでしょう。これじゃ
地方税だけを賄うので筒いっぱいじゃないですか。
地方税の
減税はことしはないからまあいいですよ。だから来年の話になりますが、
地方税の
減税があるとしたら、その
地方税の
減税だけでも大体五千億ぐらいいくわけでしょう。そうしたら多少のおつりが出るわね。仮定の話で、多少おつりが出るが、それで余ったやつを
所得税の
減税の方へ持っていったって、本当にササに露が降ったようなものだね。ということになると、私ら人間が悪いのか知らぬが、また死んだはずの幽霊が、ちょうど盆過ぎですわな、盆灯籠の火がともるころですわ、ゆらゆらゆらと墓場から出てくるのと違うのか。それが出てこぬと、これは算用が合わぬようになる。というようなことを考えてみますと、本当に情けない気がするのでございます。
この問題を、今
課長さんはこれ以上突っ込んだお答えというのはなかなか難しいし、質問するのが酷だと思いますから、次の問題に移らせていただきます。
国民が
税制改革において最も期待しておるというのは、税負担の不公平を是正してください、これが我々国民の願いですよ。その願いからいいましたら、今
所得があったらそこに
税金をかけるのは当たり前、
所得のあるところ課税あり、これも小さいときからよく聞いて知っております。だからそれならば、キャピタルゲイン等のそういうあらゆるその他の
所得に対してなぜ課税をしないのだろうか。大体
自治省の本来の
考え方あるいは大蔵省の
考え方というものは、総合課税を求めていくというのが
基本ではなかったのでしょうか。だから、
マル優廃止をして一律二〇%の分離課税というようなことは、今までの分離課税三五%の適用を受けておった人とも比べて、私は公平の原則に非常に反するやり方ではないかと思うのでありますが、いかがでございますか。