○
国務大臣(
中曽根康弘君) 黒柳
議員にお答え申し上げます。
まず、高松宮
宣仁親王殿下の御薨去に対しまして謹んで
哀悼の意を表します。
また、
売上税等の問題につきましていろいろ御心配をいただきまして、痛み入る次第でございます。心から御礼を申し上げる次第でございます。
国民の声を聞いているかという御
質問でございますが、私も新聞、
テレビ等を通じまして、よく各界各層の声を聞くように努力をいたしております。また、党におきましても、
税制調査会を通じまして
議員の
皆さんの御意見もよく承っておるところでございます。
政府の
税制調査会におきましても、私が諮問を申し上げましたのが六十年の九月でございまして、それ以来慎重審議を重ね、また
地方公聴会等も開催して、いろいろ御議論を承ってきたところでございます。今後もよく皆様方の声に耳を傾けまして、そして不備を補い、よりよきものにこれを推進してまいりたいと考えておるところでございます。
売上税につきましては、まだ周知徹底が不十分でございまして、かなり誤解もあるのではないかと思います。例えば自分の商品の
値段全体に五%はかかるのではないかと思われる方が多いようでございますが、それは自分の
段階における例えば労務費であるとか、そのほかの新しくつけ加えられたものに対してそれはかかる、前の
段階の税金は全部控除される、そういうような点に関する啓蒙が足りないし、我々の努力不足が多々あると思っております。それらにつきましては、いよいよ税法も国会に御提出申し上げますので、さらにこれらの周知徹底について努力をし、また、
国民の皆様方の御協力を得るように懸命の努力をいたしたいと思っておるところでございます。
それから、
公約違反ではないかという御
質問、しばしばここで承っているわけでございますけれども、前から申し上げますように、非常に大きな制限を課したものでございまして、
公約違反とは考えておりません。
さらに、この問題について、
税制、
防衛費の問題については解散をしたらどうかという御
質問でございますが、
選挙のときにおきまして、
所得税その他の大
減税及び
税制の
改革というものは、
選挙でも我々としては訴えておるわけでございます。
防衛費につきましても、
日本の
防衛政策等について我々は
選挙でも訴えておるわけでございまして、いずれも解散をする必要はない、このように考えておるわけであります。
さらに、クロヨンと
所得再分配の
関係でございますけれども、今回の
税制改革におきましては、思い切った個人
所得税及び
法人税の
減税を行いまして、
我が国における
所得格差の縮小、それから社会保障制度の充実等の状況に即応して、社会共通の費用はできるだけ特定の分野に偏ることなく、薄く、広く、公平に分かち合うべきであるという観点から、
利子課税の見直し、
売上税の創設等を含む間接
税制度の
改革を行おうとしておるものでございます。
この
改革に当たりましては、
国民生活に密接なものはこれを除外する、あるいは社会の弱い方々というものもこれを除外するというような配慮もいたしまして、これらの考え方によりまして、
所得再分配機能を放棄しようとしておるということは考えてはおらないのであります。
公平の点はどうかというところでございますけれども、公平と
簡素化の問題でございます。
既存の
個別消費税の廃止等による要員の活用、あるいは事務の合理化、省力化等を図ることによりまして、可能な限り簡素かつ効率的な執行体制で臨むようにしております。国税庁の増員は六百名でございますが、これは全部国鉄の
職員の皆様方を採用する、そういう考えで臨んでおります。今後とも適正簡素な執行に心がけてまいりたいと思っております。
さらに、複雑さを指摘なさいましたけれども、これにつきましても、いろいろ苦労いたしまして、
免税点を一億円とすることによって全事
業者の約九割を納税義務者から除外する、あるいは
税率を五%の単一
税率とする。もっとも、普通乗用車及び小型普通乗用車は
昭和六十五年十二月までは一一%という過渡的措置を行っております。
また、
税額票につきましても、最長三カ月のまとめ発行を認める、請求書や納品書を活用することができるので新たな書類はつくる必要はない、また税務署に提出する必要もない。
課税期間三カ月及び申告納付期間二カ月、これらは諸外国の例に比べましてかなり長期にしております。これらはいずれも
納税者の便宜を図って考えておるところでございまして、外国から比べると
日本としてはかなり考えた
税制にしておるわけなのでございます。
選択性の問題につきましては、
国民生活に密接に関連しておる分野については非常に幅広く
非課税措置としておりますので、
課税財貨等について購入の
選択の
余地は少なくないと考えておるのであります。
内需拡大との
関係でございますが、今回は、一面におきまして、
所得税、
法人税の相当思い切った
減税を先行させております。そういうような面から可処分
所得はふえてくる、特に中堅サラリーマン等についてこれを配慮しておるわけでございます。そういうようなことは
経済を活性化する力を持っておりまして、
売上税によるマイナス点というものもこれを相殺する力を持っておると思っております。
次に、
一物二価という問題あるいはゼロ
税率の問題でございます。
一物二価については、財貨・サービスの
価格の決定は、これは各事
業者ごとに当該財貨。サービスの需給
関係等さまざまの
要因を総合的に勘案して行われる。言いかえれば、各営
業者の営業政策によってこれらは決まるものであろう、そう考えております。
ゼロ
税率については、そもそも
非課税取引というものは、
売り上げが
非課税となり、制度の枠外に置かれるというものでございますから、仕入れに含まれる
税額を控除できないということは、これは当然のルールであります。特に飲
食料品等については幅広く
非課税としている
我が国においては、還付の大量発生につながる
対応は困難なのであります。EC第六次指令におきましても、いわゆるゼロ
税率というものは否定する考えをとっていると聞いているところなのでございます。
それから、対外摩擦の火種ではないかというところでございますが、これは輸入品に対しても国内品と同じような
負担を求めておるのでありまして、言いかえれば、
負担の公平という点でもございます。ヨーロッパの各国においても
付加価値税を採用している国も多く、またアメリカの州においてもこれを採用している州もありまして、これらは同じ条件になるわけでございますから、新たな火種になることはないと思います。
また、
物価上昇や
便乗値上げの問題につきましては、これを実施しますときには確かに
物価は上がるだろうと思います。
政府としても一・六%程度を見越しておるわけでございますが、これは一回限りのものでありまして、通常の
物価上昇とは違うものであり、かつまた、公取その他におきまして
便乗値上げについては厳重にこれを監視するように
政府各機関を督励して行いたいと思っておるところでございます。
ただ、この
値上げの際に各
業者間におきまして一斉に上げるというわけでありますが、これが公取が過剰な介入をしますというと、今のような
税額をこれに付加するということが阻害される危険性もあります。したがいまして、
業者間の協議とか、あるいは一斉に
税額を上げるという問題については、特別の措置でございますから、公取の方におきましても、十分その特殊性を配慮されるように我々は考えておるところでございます。
さらに、
税率の引き上げの問題でございますが、
税率はもう五%と法定することとしておりまして、これは国会で厳然としてお決めいただくわけでございます。したがって、将来の問題についてはこれは国会において御審議願うということでありまして、我々といたしましても、この
税率はできるだけ維持すべきものであると、そう考えておるわけでございます。
それから、自然増収が生じた場合のことを考えてみまして、昨日も御
答弁申し上げましたが、外国におきましては、
税率の引き上げとか自然増の場合には、
所得税の
減税あるいはそのほかの
減税に充てているようでございます。私は、自然増収というような場合には、これはいわゆる目的税的な硬直性を持ったものではなく、運用上において、これは
減税とか、あるいは高齢化時代を迎えまして、社会福祉、そちらの方に充当するのが適当であると私は考えております。
それから、
売上税の具体的
内容の問題につきましては、昨年暮れの
税制改正大綱や、本年一月の
税制改正要綱で明らかにし、かつまた国会に提出いたします
売上税法案において御審議願いたいと思いますが、
政府としては、さらに
国民の皆様方に対してこの法案の
内容等をもちまして具体的に御説明申し上げたいと思っておるところでございます。
NTTへの適用の問題は、これは
売上税が
課税されますが、しかし、電話サービスについては
昭和六十四年一月一日以降の
取引からこれを適用するといたしております。いわゆる電気通信制度
改革の実施から日も浅く、かつ
売上税の適用による
料金水準への影響を緩和するために、電話サービスへの適用時期を一年間延期する措置をとることとしたわけでございます。
その場合においては、事
業者間の有効かつ公正な競争を通じ、高度情報社会にふさわしい電気通信事業の効率化、活性化を図り、
料金の低廉化が図られるようにすることは電気通信制度
改革の主要な目的の
一つであります。
料金は、この制度
改革の精神に立って、
売上税負担分も含む
コストの変化、収入の動向など、収支全体の将来を見通して決められるべきものであると思います。
売上税課税がすなわち電話
料金の
値上げに直結するということを必ずしも意味するものではないと思います。
売上税額の明示の問題でございますが、
売上税制度におきましては、販売
価格を表示する際、
売上税額を別掲するかどうかは事
業者の
選択に任せておるわけでございます。
これを法律的に義務づけるということは、
我が国の商慣習上なじまないものであると考えております。
次に、
売上税は撤回したらどうかという御
質問でございますが、撤回する考えはございません。また、公明党の御提言につきましては、よくこれを検討してみたいと考えております。
防衛費の問題でございますが、この一%問題につきましては、大綱水準を早期達成するということを前から申し上げてきたところでございますが、一面においては、また、五十一年十一月の三木内閣の
閣議決定を守りたいと、こういうことも申し上げてきたところでございます。
六十二
年度予算においては、片方では円高、油の
価格の低下、こういうものがあって、いい条件があります。しかし、片方では中期防の着実な実施を行い、このおくれを回復する、そういう問題もございます。それで、両方のぎりぎりの決着の線といたしまして、やむを得ず
GNP一%をやや上回る額になった次第なのでございます。
しかし、今まで
政府がとってきました
防衛の諸
原則、すなわち
憲法を守り、専守
防衛に徹し、非核三
原則を守り、文民統制を行い、そして他国に脅威を与えるような
軍事大国にはならない、こういう
原則は厳然として守ってまいりますし、また、中期防における六十
年度価格の十八兆四千億という
総額は、これは固定して守る。そういう意味において、この見直しを含むリボルビングはこれをやらないということも決めたわけで、このように金額的に固定したということは非常に大きな歯どめではないかと考えておるところです。
その後はどうかということでございますが、これも従来の線を堅持して、かつまた三木内閣の
閣議決定の精神を尊重して節度のある
防衛力を心がけると、こういうことでその延長線上にあるとお考えいただきたいと思うのでございます。
平和国家としての我々の考え方については変わりはございません。
次に、先ほどの御
質問の中で、
防衛に関する問題で我々とちょっと考えが違うなと思いましたのは、
憲法の前文をお取り上げになりましたけれども、我々は、
憲法でも国家の自衛権は認められておる、そして自衛を全うするに必要最小限の
防衛力は認められておると、そういう意味において我々は安保条約を持ち、あるいは自衛隊を今持っておるわけでございます。そういう意味の
日本本土を守る、
日本を
防衛するという意味の
防衛の権利というものが厳然と国家にあり、それを保障するに必要な最小限の措置は国務として私たちはやらなければならない、このように考えておるところであります。
次に、自衛隊に対する
国民の支持と一%の問題でございますが、私は、自衛隊に対する
国民の支持は非常に強く、根強く不動のものがあると考えております。しかし、それを永続的に続けていくためには、
防衛力が節度を持つことがやはり必要であると、そう考えております。その意味においては黒柳さんと考えが同じでございます。ただ、その程度の問題でありますけれども、我々は先ほど申し上げました理由によりまして、節度のある我々の考え方に基づく
防衛力の
整備が正しいと、そのように考えておるところでございます。
アジア諸国の反応等でございますが、中国のスポークスマンの声明がございましたが、これは中国としては関心を持っておるということであって、過去の戦争の教訓に学ぶということを期待しておられるわけであります。もとより我々は、そのような教訓に学ぶ考えを持っておるわけでございます。また、そのほかの国からは公式の発言はございません。しかし、いずれにせよ、
日本の過去の経験にかんがみまして、
日本の
防衛力の節度ある
整備、今後の方針等をよく説明申し上げまして誤解を生まないように努力してまいりたいと思っております。
シュルツ国務長官の発言があったことは承知しておりますが、まだ議事録が参っておらないので、正確な詳細なことはわかりませんが、私が知っている範囲内においては、
日本は
軍事大国化を避けるという、それを考えているということは間違いないと思います。これは我々も同じことでございます。また、一面において貿易黒字が相当累積しているわけでありますから、
日本のそれらの余力というものは対外
経済協力に使ってほしいという期待の表明もあったと思います。
しかし、
我が国の自衛隊及び
日米安全保障条約に基づく
防衛のやり方自体については、疑問を持っておるとは私は思っておりません。
最近にも、一月二十九日にシュルツ長官がインタビューで答えておりますが、
我が国の
防衛努力を評価しつつ、軍国主義的
日本の再来を恐れる必要はない、
日本自身がそのようなことは心から
反対であると思うと、こういうふうに表明しておるのであります。
防衛費の修正については考えておりません。
〔
議長退席、副
議長着席〕
次に、
思いやり予算の問題でございますが、米軍駐留経費の問題については、
我が国独自の判断に立って決めたところでございます。
昭和五十三
年度からの福利費等労務費
負担は、
地位協定第二十四条第一項の解釈上可能であり、基地従業員対策として実施してまいりました。
提供施設の
整備は、
地位協定第二十四条第二項に基づき実施しておるものでありますが、いずれにせよ、毎
年度、
予算として国会で審議、御承認を得た上で実行しておるものでありまして、無制限に行われておるものではありません。
今般署名した
在日米軍労務費特別協定の趣旨は、最近の
経済情勢の変化にかんがみ、在
日米軍経費が急激に圧迫されている
事態にかんがみまして、在
日米軍従業員の安定的な雇用の維持を図り、もって在
日米軍の効果的な活動を確保するために、
地位協定二十四条についての特別の措置として、
我が国が、在
日米軍従業員に支給される手当に要する経費の一部を新たに
負担しようとするものであります。
これは、対象、期間も限定された暫定的かつ特例的措置でありますので、
地位協定自体の改正によるというやり方でなく、
特別協定によって処理したものであります。
もちろん、本協定については、国会の承認を求めるべく近く提出いたします。
この有効期限については、一年とか二年とかという短期的なものではなく、ある程度の期間にわたって安定的に行う必要がある、そういう考えに立ちまして、一九九二年三月末日までというふうに暫定期間を決めたわけであります。その後のことについては、現時点で予断することは難しいと思います。
インターオペラビリティーの問題でございますが、
我が国有事の際に、
日米安全保障条約に基づき、
我が国防衛のため共同対処行動をとることはインターオペラビリティーの
内容にもなるわけでありまして、この研究は、
日米防衛協力のための指針に基づき、
我が国防衛の観点より進められたものであり、本研究により、専守
防衛に徹する
我が国防衛政策の自主性が損なわれるものではございません。
エイズ対策につきましては、
昭和六十二
年度の
予算におきましては、昨年より約五億円余計に計上したつもりでおります。公明党からエイズ対策を随分指摘されておりますので、私もこれにつきましては特別の関心を持ちまして、
予算編成の過程でよく事情も聞いてきたわけであります。
御指摘の私の発言は、昨年十一月の本院
予算委員会において、エイズの研究に関してお金は
幾らでも出すが、問題は研究者の提携、研究協力であると
答弁を申し上げたことであります。エイズの予防や治療法に関する研究については、六十二
年度の研究費の増額を図っているほか、昨年十二月、厚生省にAIDS対策専門家
会議を設けました。そして、その指導、助言を受けておるところでございます。
なお、エイズに対する
国民への衛生教育の重要性にかんがみまして、いろいろパンフレットを作成したり、都道府県とも協力して研修を行う等もやっております。
ジャーナリズムにも非常に御協力していただきまして、
政府広報を含めまして今後とも努力してまいりたいと思っております。
この立法の問題につきましては、法改正を含めて新たな対策の強化についても検討を加えてまいりたいと思っております。
米ソ
関係の問題でございますが、レイキャビク以後米ソ
関係が停滞しておりますが、これを前進させることが世界に明るさをもたらす大事な政策であると思いまして、私もその環境醸成のために大いに努力しておるところであり、先般東欧諸国等を回りました際も、ベオグラード大学の
演説等を通じまして
関係各国等にも呼びかけた次第なのであり、今後も努力してまいりたいと思っております。
SDIの研究参加につきましては、昨年九月の官房長官談話に基づきまして、
我が国企業が参加を希望する場合に、それを円滑にするための具体的措置について
米国政府と協議中でありますが、具体的
内容については目下協議中であるので差し控えたいと思います。いずれにせよ、
日米両国が満足のいくようなものでなければいけないと思っております。
米国は、将来の
米国大統領及び議会が戦略
防衛システムの開発、配備の可否を決定するに当たって必要な技術的知識を提供するための研究である、こう言っておるわけであります。ワインバーガー国防長官が、大統領の構想を実現する全体的なシステムの不可欠の部分を、できるだけ早く配備できればよいとの趣旨の発言をやったことは新聞で承知しております。しかし、長官自体が認めておるとおり、配備につき具体的に何らの決定を行ったという問題ではございません。
いずれにせよ、SDIは目下研究の
段階にありまして、
我が国のSDI研究参加については従来の方針により対処してまいります。
雇用情勢等については、非常に厳しい情勢が予想されますので、
政府・与党一体になりまして推進本部を設置し、諸般の対策を講じてまいるつもりであり、
昭和六十二
年度の完全失業率は二・九%程度で推移するであろうと予測しております。
雇用の確保につきましては、地域別、業種別、時期別にその戦略体制を当方としても考えまして、それと同時に、
地方公共団体とも連絡をとりまして、前に申し上げましたように、八ブロックの地域協議会をつくりまして、中央、
地方一体になった努力を今行いつつあるところでございます。
中小
企業対策につきましては、円高等の変化によります中小
企業の苦難を救うために、一昨年十二月以来、個々の中小
企業者の事業転換の円滑化、産地等特定地域の中小
企業者の新たな活路の開拓等に関してそれぞれ所要の立法措置を図りました。また、資金面、指導面、人材養成面においても対策を講じております。
これからも、親
企業の生産縮小等に伴って
対応を迫られている下請中小
企業の構造調整を支援するため、
昭和六十二
年度において、新分野進出等に関する低利融資を
導入する等、きめ細かい対策を推進してまいります。
我が国企業の海外進出と空洞化の問題でございますが、海外直接投資を通じて産業の国際的展開が進むことは、国際的に調和のとれた
経済構造の実現、世界
経済の活性化と
拡大均衡に貢献するものと考えております。
現在、円高に伴い、
製品輸入の
増加、輸出の停滞が生ずるとともに、海外生産の動きも活発化しておりますが、これによってある程度産業構造の転換が加速されつつあります。
しかし、大事なことは、
日本の雇用の確保という問題が浮上してきつつあることであります。これらにつきましては、
内需主導型の
経済成長を図る、為替の長期的安定を図る、さらに雇用問題に対して積極的に対処していく、こういう考えに立ちまして努力してまいりたいと思います。
これらの場合に、下請
企業につきましては、下請
企業にとっては、親
企業に追随して海外進出が要請される機会が高まる可能性もあります。また、国内にとどまる下請中小
企業にとって受注量の減少等も心配しなければならぬと思います。
このような状況の中で、下請中小
企業としては、その技術力、経営基盤等の強化、
取引先親
企業の多角化、新分野開拓などに努めるとともに、その必要に応じ海外進出を行っていくこともまた考慮すべきものであります。
このため、
政府としては、下請
取引あっせん体制を充実させるとともに、新分野進出等のための技術開発補助事業及び低利融資制度を創設するなど強力な支援措置を講ずるほか、海外進出を行おうとする下請
企業に対しても指導体制を強化してまいります。
今後とも親
企業の海外進出に伴う下請中小
企業への影響等の
実態把握と、これに対する対策に万全を期してまいります。
農協の問題ですが、農協に対する監察は農協法の目的である「農業生産力の増進と農民の
経済的社会的地位の向上」という観点から、農林水産省の農協等に対する指導監督行政を監察するという趣旨であります。
このため、農林水産省の指導監督の対象である農協等についても、その協力を得つつ、業務の
実態について監察上必要な資料等の提出を求めるものであります。
次に、農政審の報告の具体化と食管制度の問題でありますが、前から申し上げますように、農は国のもとであり、今後農業を産業として自立させていく、しかも若い人たちに明るい希望を持たせるということは大きな政策であると思います。
先般の農政審議会の報告を尊重いたしまして、農
業者及び農業団体と一体になりまして生産性の向上を図る、構造政策を進める、合理的な
価格形成を目指す、逐次政策を進めてまいりたいと思います。
国民の主食である米、
我が国農業の基幹作物である米につきましては、国内産で自給するとともに、農
業者、農業団体と相協力しつつ、稲作の生産性の向上と構造改善を図る所存であり、食管制度については、制度の基本は今後とも堅持しつつ、運営面での適切な改善を図ってまいりたいと思っております。
次に、先般の農政審報告を尊重して、生産性向上の成果を的確に反映する等の観点から、麦価算定方式見直しのための食管法改正を農林水産省において検討中であると考えます。
米については、農政審報告を尊重して制度運営の改善を早急に図る、また、米管理のあり方については中長期的に検討を深めることとして、米
関係での食管法改正法案を今国会に提出する考えはございません。
男女差別の問題でございますが、婦人問題は極めて重要な課題であり、私は婦人問題企画推進本部長として、
政府内の緊密な連絡を図りながら総合的な施策の成果を上げようと考えております。
昨年三月の有識者
会議におきまして、「長期的展望に立った婦人
関係施策の推進」について意見の提出を依頼して、現在、鋭意検討をいただいておるところであります。
配偶者特別控除は、給与
所得者と事業
所得者の間の税
負担の不均衡感に
対応する見地から、主として給与
所得者の世帯としての税
負担の調整を図る趣旨から考えたものであります。
これは、事業
所得者においては配偶者に対する青色事業専従者給与の支払いによる
所得分与が行われております。これを通じて
負担の緩和を図りつつあるのに対して、給与
所得者にはそのような道がないことを勘案したものであります。
さらに、女子の採用の問題でございますが、募集の問題あるいは賃金の問題等につきましても、男女雇用機会均等法の精神に基づきまして、これを善処してまいりたいと思うのでございます。
この法の周知の徹底を図ると同時に、
企業者に対しまして、このような法の精神に沿ったいろいろな措置を私たちとしては強く要請してまいりたいと思います。
それから、パートと母子家庭の問題でございますが、パート労働者の雇用に関しては、パートタイム労働対策要綱に基づきまして、労働条件の改善、雇用の安定に向けて施策を実施しております。パートタイム労働者の
増加が見込まれることに対処して、その職業紹介や雇用管理に関する相談の充実に努力してまいりたいと思います。
母子家庭の母については、これまでも職業資格の取得に対する援助等、雇用のための環境条件の
整備に努めてきたところであります。今後とも、職業相談、職業訓練の充実、事業主に対する雇い入れ助成制度の活用等によりまして雇用の促進に努めてまいります。
経口避妊薬であるビルにつきましては、ホルモン含量を極力制限した低用量ビルが普及しております。
政府としては、今後、今研究班が組織されておりますが、この結論を尊重して慎重に対処していきたいと思っております。
外国人登録法改正問題でございますが、指紋押捺制度を存置するも、特に必要ある場合を除いて重ねて押捺は求めないというふうに
改革した次第です。
携帯の便に資するために、登録証明書をカード型とする等、そういう法改正を今検討しておるところであります。
指紋押捺、登録証明書の携帯は、いずれも人物の同一性確認のために必要なものでありまして、定住外国人につき特別の取り扱いは困難であります。
地価の騰貴につきましては、これは東京等におきまして著しく
上昇が認められました。これは旺盛な事務所需要等、投機的な
取引がこれに拍車をかけていると思っております。
これらの対策につきましては、国土利用計画法の的確な運用や東京都条例による小規模な土地
取引の届け出制創設等に努めてきたところであります。
また、昨年十二月、官房長官を中心に、
関係行政機関相互の連絡等のために
関係閣僚会議を設置いたしました。この
会議を機動的に運営して、強力な地価対策を行います。
相続税につきましては、
昭和五十年以来
負担水準が据え置かれておりますから、所要の見直しが望ましいことは承知しております。
しかし、
政府税制調査会の六十二
年度税制改正に関する答申において、今後引き続き検討することとされたことを踏まえ、財政事情等にかんがみて今回は見送りました。
伊豆大島における噴火対策でございますが、避難施設の
整備については、活動火山対策特別措置法の規定に基づき、東京都大島町を避難施設緊急
整備地域に指定し、去る一月三十日には避難施設緊急
整備計画を承認するなど、早期実施に努めておるところであります。
各種
整備事業は、それぞれ
関係法令の定めるところに従い行われることになりますが、国においても、
昭和六十二
年度から実施される事業については、
予算の成立をまって所要の助成を行う考えであります。
なお、被害を受けた方々に対しては、既に既往貸付金の返済猶予、資金の貸し付け等被災者の実情に応じた適切な
対応について
関係機関を指導督励しているところでございます。
残余の
答弁は
関係大臣からいたします。(拍手)
〔
国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕