運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1986-10-30 第107回国会 参議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十月三十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十月三十日     辞任         補欠選任      古賀雷四郎君     松浦 孝治君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩本 政光君     理 事                 板垣  正君                 大城 眞順君                 亀長 友義君                 久保田真苗君     委 員                 大島 友治君                 岡田  広君                 小島 静馬君                 永野 茂門君                 堀江 正夫君                 松浦 孝治君                 村上 正邦君                 小野  明君                 野田  哲君                 飯田 忠雄君                 峯山 昭範君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  玉置 和郎君    政府委員        内閣官房内閣外        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房外政審議室        長        國廣 道彦君        人事院総裁    内海  倫君        人事院事務総局        職員局長     中島 忠能君        内閣総理大臣官        房審議官     本多 秀司君        総務庁長官官房        長        古橋源六郎君        総務庁人事局長  手塚 康夫君        総務庁行政監察        局長       山本 貞雄君        防衛庁人事局長  松本 宗和君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    説明員        法務大臣官房審        議官       日野 正晴君        労働省労働基準        局労災管理課長  岡山  茂君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 岩本政光

    委員長岩本政光君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、古賀雷四郎君が委員を辞任され、その補欠として松浦孝治君が選任されました。     ─────────────
  3. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 久保田真苗

    久保田真苗君 私は、国家公務員災害補償法関係についてまず伺います。  初めに、きょうこれが議了する予定でございますけれども、総務庁長官の、国家公務員災害補償法、このまとまり方についての御所見、認識を伺います。
  5. 玉置和郎

    国務大臣玉置和郎君) 久保田先生はこの方面の大権威者と私は思っていますが、権威のある方が全く素人の私に質問するというんだからまともな答弁になるかどうかわかりませんが、衆議院でも答えてまいりましたのは、災害というのは起こらないようにすること、これがやっぱり前提だと思います。そのためにはあらゆる環境を整備することと、本人もまた国家公務員という自覚を持ってそういう事故を起こさないようにというふうに心がけること、これが第一だと思っております。  しかし、不幸にして災害が起こった場合に、安んじて国家公務員の仕事を継続できるように措置をするということが、これが今度の基本であります。その際に考えなきゃならぬのは民間と均衡あるということであります。また年齢適合性、これなんかも配慮していくということで今回この法律を出していただいたわけであります。
  6. 久保田真苗

    久保田真苗君 今回の改正案の中身についてもうちょっと飼いたかったんですが、それでは私、具体的に質問をしてまいりますから、また後で御所見をお願いします。  まず、今回、最低限度額最高限度額というものを改正案の中に入れておられるわけで、この最低限度額で引き上げてもらえる件数というのはどのくらいになりますか。また、最高限度額で頭打ちとなる件数、これについて伺います。
  7. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 五十九年六月の賃金構造基本統計調査の結果によりまして限度額を設定し、六十年三月現在の年金受給者というものをもとに計算いたしますと、最低限度額適用を受ける者が百二十人、最高限度額適用を受ける者が百二十七人というふうに私たち現在計算しております。
  8. 久保田真苗

    久保田真苗君 災害補償の全体の件数はたしか二万五千くらいでございますね。そういたしますと、これにひっかかるという件数はそれほど多くないわけです。したがいまして、最低限度額最高限度額の間の不均衡、特に若年者の場合の不利益というものは、今回の改正では解決されておらないというふうに考えるわけですが、つまり、大部分についていえば、まだ今回の改正では取り上げられなかったというふうに私は思っているんですが、この点いかがでしょうか。
  9. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) なかなか微妙なところにお触れになった質問だと思います。  私たち、今回、最低限度額を設定しようじゃないかというふうに考えましたのは、もう先生の方が御専門でございますので長々御説明申し上げませんけれども、若年時に被災した職員というのは若年時の給与もと平均給与額を算定いたしますし、それをもと年金というのが支給されることになります。一方、壮年時に被災した職員というのは比較的高い給与のときの報酬をもと平均給与額を算定いたしますので年金額が高くなる。両者がたまたま年齢が同じぐらいであった場合に、その両者の間の年金額が差ができ過ぎておる。したがって、そのでき過ぎておる、不均衡過ぎるのを今回是正しようじゃないかと、少しでも是正しようということで最低限度額を設定して、一歩前進ということで考えたわけでございますけれども、先生お話しになりますように、なお足りないという評価というのがあろうかと思いますが、私たちは私たちなりに労災保険動向等も勘 案しながら、今回こういう御提案を申し上げましたので、その一歩前進したところをひとつ御評価いただきたいというふうに思います。
  10. 久保田真苗

    久保田真苗君 一歩前進につきましては評価しております。でも、私のポイントは、高年者年金額が高過ぎるというよりは、この実額で見ますとまあせいぜい二百何万という線でございますところから、これが家族が多い場合の補償額として必ずしも多いと思っているわけではないんです。問題は、若年者事故による金額が固定されたままである、それで何十年たっても変わらないというところにあるわけでして、最低補償額を決めたということは一歩前進ですけれども、しかし、その内容については依然として非常に不幸な状況が大部分の人について残るということでございますので、私はぜひこの点も、今回の改正には間に合わなかったけれども、しかし、今後御検討いただいて、このような不利益ですね、若年層不利益というものを解消していただきたいと考えるわけでございます。いかがでしょうか。
  11. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 今回の案を御提案申し上げるまでに、労働省の方の労災保険改正動向等も私たち十分勉強いたしまして、こういう御提案を申し上げておるわけでございますが、先生が今お話しになりました点につきましては、労災保険審議会基本問題懇談会等でいろいろ議論が行われております。私たちもまた労災保険改正動向等をよくよく見ながら、先生の御趣旨というものをよく勉強させていただきたいというふうに思います。
  12. 久保田真苗

    久保田真苗君 これは前回同僚議員も詳しく質問をしておりまして、せっかく最低限度額について不利益のある程度の是正に踏み切ったのですから、その思想をもっと全般的に行き渡らせていただきたい、ということを私はこれは総裁にお願いしておきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
  13. 内海倫

    政府委員内海倫君) ただいま職員局長が御答弁申し上げましたように、我々としてもこういうふうな問題につきましては、いわゆる専門方たちの十分な検討も必要であろうと思いますし、また、労災保険動向というものもこの国家公務員の場合は十分考えなきゃいけない問題でございますが、とりわけこういう問題は職員の士気にもかかわる問題でございますから、将来ともに十分検討、研究はしていきたい、こういうふうに思います。
  14. 久保田真苗

    久保田真苗君 次に、「通勤の定義に関する規定の整備」についてでございます。ちょっと細かくなるようなんですけれども、これは大変大事なことだと思いますので、私、まず伺いたい。  この人事院から出された資料に、通勤について、三角通勤、これについての一歩拡大をした、こういうふうな御趣旨ですけれども、根本的に見ますと、せっかく一歩拡大をしながら、その肝心の、例えば学校なら学校病院なら病院通勤経路から外れて行くところについてはまだ改善が行われていない。しかし、これは非常に実情に即さないものでして、このようなことをお認めになる以上は、やはり余り実情に即さない解釈というものは今後ぜひ御検討いただきたい、こういうふうに思うわけでございます。いかがでしょうか。
  15. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 今先生お話しになりますように、通勤災害保護範囲をこの際少し拡充しようじゃないかということで御提案申し上げておるわけでございますが、通勤災害というものの保護をどの範囲までするかというのは、これはかねがね議論されておりますけれども、公務との密接な関連性というものをどこまでとにかく認めていくのかということになろうかと思いますが、その際には、やはり通勤災害保護基本的な考え方公務との関連性というものを基本に置いて考えなきゃならないという制度本来の趣旨がございます。したがいまして、私たちも今先生お話しになる点もよくわかりますけれども、そういうような今までの考え方延長線上から申しますと、なかなか難しいといいますか、超えられない一線というのがございますので、この前も飯田先生からもお話がございましたけれども、私たちのこれからの勉強対象とさせていただきたいというふうに思います。
  16. 久保田真苗

    久保田真苗君 この逸脱または中断については一定の決まりがございますね。これは「日用品購入その他これに準ずる日常生活上必要な行為をやむを得ない事由により行うための最小限度のもの」である場合には、これは通勤と認めておられる、こういうことでございますね。
  17. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 一般的な言い方をいたしますと、今先生お話しになったことで私たち考えております。
  18. 久保田真苗

    久保田真苗君 それで、「これに準ずる日常生活上必要な行為をやむを得ない事由により行うための最小限度のもの」の範囲なんですが、これが非常に狭く解釈され過ぎているんじゃないかと思うわけです。もしこれに当てはめて考えますならば、例えば、今度少し拡大なさった「人工透析その他生命維持に不可欠な医療を受ける場合」というのは、これはどうなんでしょうか、「日常生活上必要な行為をやむを得ない事由により行うための最小限度のもの」ということになるんでしょうか、ならないんでしょうか。
  19. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) そのように考えておりますが、人工透析という医療行為を受けるというのは、後々の勤務の提供を継続していくために必要な行為だというふうに考えたわけでございます。
  20. 久保田真苗

    久保田真苗君 しかし、これは絶対に生命維持に必要なものですよね。  それから、もう一つ私が伺いたいのは、夜間大学とそれから人工透析、これについては若干の拡大をしていらっしゃるわけですね。ですけれども、これは父母が通勤途上子供保育所に預けるというときには、どのように解釈されるわけでしょうか。
  21. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 合理的な経路及び合理的な方法で、今先生がおっしゃいますように、子供を預ける場合には認めておるわけでございますけれども、例えて申しますと、共稼ぎの職員等が他に子供を監護する者がいないということで子供託児所に預けるような経路は合理的だ、というふうに現在認めて運用しておるわけでございます。
  22. 久保田真苗

    久保田真苗君 現在認めていらっしゃる。その場合、それはどの範囲がカバーされますか。つまり、家庭から保育所保育所から職場と、その経路がカバーされるわけでしょうか。
  23. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 今先生お話しになりました家庭から保育所保育所から職場というその経路は、一応現在原則的に認めておるというふうにお考えいただいて結構だと思います。
  24. 久保田真苗

    久保田真苗君 それはどこかに書いてあるんでしょうか。書いてなくて、この中の「最小限度のもの」の範囲に含んで解釈をしていらっしゃるんでしょうか。
  25. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 先生御存じだと思いますが、「通勤による災害認定について」という通達を四十八年に出しておりますが、その中で「「合理的な経路及び方法」について」というところがございますが、その中に今私が申し上げたようなことが書いてございます。
  26. 久保田真苗

    久保田真苗君 わかりました。それじゃその点は一応確認をいたしまして、さらに人工透析夜間大学等につきまして、これはやっぱり当然拡大されてよろしいものだというふうに考えますので、今後の御検討を積極的にお願いしたいと思うわけです。  次に、この参考資料2というものの中にございます「これに準ずる日常生活上必要な行為」ですね、つまり、日用品購入等に準ずる必要な行為なんですけれども、この書き方で見ますと、「①独身職員食堂食事をする場合」とあるんですね。「②独身職員クリーニング店に立ち寄る場合」とあるんです。この紙はどの程度に人事院の全般的な考えを示されたものかわかりませんが、その点どういう位置づけができるんでしょうか。
  27. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 今先生お話しになり ました「独身職員食堂食事をする場合」、「独身職員クリーニング店に立ち寄る場合」といいますのは、食堂食事をする場合とかあるいはクリーニング店に立ち寄る場合の一つの典型的な場合を挙げて理解の便に資そうじゃないか、というふうに考えたわけでございます。
  28. 久保田真苗

    久保田真苗君 私は、用語は適切に使っていただく方が争いがなくていいと思うんです。それで、なぜ独身職員に、この食堂に行ったりクリーニング店に立ち寄るのを「独身職員」という表現でお書きになったのか、あるいは独身職員等の「等」を落とされたのか、実際問題としてこれは独身職員に限らないという御趣旨なのか、そこのところをお伺いしたいんですが。
  29. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 一般的に申し上げますと、独身職員を頭に置いておるというのは確かでございます。まあ例えて言いますと、クリーニング店に立ち寄るのが独身職員に限るのか、もう絶対そうなのかというふうに言われますと、妻帯者の場合であっても日常生活上必要と認められるような場合がいろいろな条件考えますとそれはあり得ると思います。そういう場合には個別に判断していかなきゃならないというふうに思います。
  30. 久保田真苗

    久保田真苗君 私、これをおつくりになったところには女性が全然加わっていなかったと思うんですよ。今も妻帯者とおっしゃいましたでしょう。でも、国家公務員には男性もいるけれども女性もおります。そういたしますと、まず問題になるのは、妻帯者の場合には、クリーニングには男性は当然行かないだろうという、そういう前提があると思うんですね。でも、局長もよく御存じとは思いますけれども、今、千五百万の女子雇用者のうち、夫がいる人という方が今や上回っているわけですよ、未婚者の方が少ないんですね。そうしますと、女子の場合も「独身職員」というふうに――一体どういうふうに理解したらいいのかよくわからないんですけれども、雇用者のうち、未婚者というのはもう三割なんですね。夫がいる方が六割です。そのほか、お子さんがいる方なんかも入れますと七割が世帯持ちなんですね。  そういう状況考えますと、女子の場合、これは「独身職員が」ということになった場合、まるで状況は逆転いたしまして、むしろ事実関係として、妻帯者じゃなくて夫帯者の方がクリーニングに立ち寄る場合が圧倒的に多いわけでございます。それから単身赴任の場合、今非常にたくさんいらっしゃるんです。これは男性ももちろん多い、女性にもいるというわけですね。その場合、なぜ食堂食事をしたならば「独身職員」の傘の下に入ったような認定をびくびくしながら受けなきゃならないのか。  私は、もうこういう「独身職員」という表現はやめていただいて、日常生活の中の、要するに、基礎的な部分をカバーする部分についてはだれでもそうなんだというふうにしていただきませんと、非常に困ることになると思うんです。ですから、どうぞその点ひとつぜひお考えいただいて、この「独身職員」という裸の言葉を何とかしていただくようにお願いしたいんですが、いかがでしょうか。
  31. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 先生お話を伺っておりまして、私たちも勉強しなければならないなというふうに思います。先生の今御指摘になりました点も含めまして、私たち、いかに表現すればより的確な表現ができるかというのをひとつ勉強してみたいと思います。  その過程におきまして、労働省の方の労災保険の取り扱いの表現もございましょうから、そちらの方との意見も交換してみたいと思います。
  32. 久保田真苗

    久保田真苗君 この際、総裁にお願いしたいんですが、こういった職員生活条件労働条件を決めていただく場所にはやっぱり女性を一人でも二人でも入れていただくようにいたしませんと、どういう機関でお決めになるかということは別としまして、例えば審議会的なものにも、それからこういうことを扱うある程度の幹部的な職員にもぜひ女性を登用して、私たちが面食らうようなこういう文章が出てこないようにお願いしたい、それがやっぱりこれからの流れじゃないかと思います。よろしくお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。御所見をお伺いしたいと思います。
  33. 内海倫

    政府委員内海倫君) よく承っておきます。
  34. 久保田真苗

    久保田真苗君 次に、一番新しい補償法適用一件当たり平均支給額についてお伺いします。
  35. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 昭和五十九年度におきます一般職国家公務員補償及び福祉施設の総件数は二万八千百九十二件、総金額は約九十億七千五百万円ということになっております。このうち、補償が二万三千七件、七十七億八千五百万円、福祉施設は五千百八十五件、十二億九千万円ということでございますので、一件当たりで申し上げますと、補償及び福祉施設を含めまして三十二万一千九百二十九円、補償につきましては三十三万八千三百九十六円、福祉施設につきましては二十四万八千八百五十二円、そういうふうになっております。
  36. 久保田真苗

    久保田真苗君 ちょっと今の質問を後に回させていただきます。  官房長官がいらっしゃいましたので、私、駐日韓国大使に対する亀井代議士ほか皆さんの発言について官房長官がどういうふうにとらえていらっしゃるか、ちょっとお伺いしたいんですが。
  37. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 新聞等で伝えられておることでございますが、私自身が大使館を訪ねられた亀井君ほか数名の方から直接内容を聞いたわけでもございませんし、また、これは議員としての行動でございましたし、官房長官という政府立場コメントをするというわけにはまいりません。その点はひとつお許しをいただきたいと思うんです。  一般論としまして、韓国日本にとってはお隣の国で、やはり友好親善の度合いを深めていかなきゃならない大切な国だと私は思います。それだけに、やはりお互いつき合いの間では、国家間においても、あるいは国民相互の間でも、余り建前論議ばかりで話し合うというのよりは、本音をぶつけ合って、そして本当の意味での両国の親善が深まっていくということはこれは大切なことだし、また、そういう立場での言動であるならば理解し得ることでございます。  しかしながら、東京駐在大使館あるいは大使ということであるならば、これは相手の国そのものでございますから、そういったところへ出かけていっての話というのは、そういった、こちらとしては善意の立場であっても、かりそめにもやはりその発言内容なり発言のしぶりというものは、誤解を受けるといったようなことのないような慎重な配慮がやはり私は必要と思います。そういった慎重な配慮もとでの発言であれば、これは私は本音発言をしても誤解を受けるということはないんじゃないか。ここらが大変難しいところじゃないでしょうかね。  殊に、お互いが初対面でありますと、本音といったっていきなりその本音が通ずるというわけでもないですね。よほどお互いに腹を割って、あの人はこういう人だというようなところまでわかって初めて本音の話というものができる。そこまでのつき合いの努力というものは事前の準備の行動としてやらなきゃならぬのじゃないか。そこらが欠けるととかく問題を起こす。さらに、これが国際問題であるということになると、よほど慎重でなければならぬ。殊にまた、政府の役人はもちろんなおさらそうですが、国会議員もこれはやはりおれ個人だというわけにはまいらない。これは日本国議員であるということになれば、やはりそれなりの注意というものが必要ではなかろうか、私はそういうような受けとめ方をしておるのでございます。  それは一般論でございますから、具体的なことについては、先ほど申し上げましたように、こういった席で私からコメントをするというのはひとつ差し控えさしていただければありがたいと、こう思うわけでございます。
  38. 久保田真苗

    久保田真苗君 政府とは直接関係がないという御趣旨だと思うんですが、これは誤解を受けるということとちょっと違うんじゃないかと私は思う んです。これは藤尾発言以来ずっと尾を引いて続いていることの延長線にあるわけでして、私は、藤尾発言については政府はもう決着をおつけになったから、そのことを蒸し返すつもりはありませんけれども、しかしそういうことがあって、そして他にも同様の考えをお持ちの方はきっと何人もいらっしゃるだろうと、こう思うわけです。そういたしますと、今回の大使に対する発言ということで韓国新聞にはこれが一面に大きく報道された、これは私はやっぱり国民的な損失だろうというふうに思うわけです。そして、この団の方が近く訪韓をされると、こういう御予定と伺うんですが、そういたしますと、あちらへ行って先方の国会議員政府職員の方々、それから場合によっては、マスコミにもお会いになるかもしれないそういう状態の中で、政府は全く無関係だと言えるのでしょうか、どうでしょうかその辺は。
  39. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 最近はどこの国もそうですが、何といいますか、平たく言えば議員外交とでも言うんですかね、そういったような国会議員というお立場で随分お互いに行き来があり、まあ言いたいことを言うといったような最近のならわしになっておりますから、そういう意味合いで私は、亀井君なり何なりが向こうへ行きたいと、こうお考えになっているんだろうと思います。しかし、果たして亀井君が韓国へ行かれる予定があるのかどうか、そこらも私は全然承知をいたしておりません。しかしいずれにせよ、これはもう自由におやりになって一向差し支えないことだと思いますが、先ほど言ったような心構えを持ってないと、全くの私人というわけにはいかない。これは国会議員という公の立場を持っておりますから、政府そのものではありませんけれども、そこらは十分私は配慮をなさって相互の交流を深めていかれる必要がある。同時にまた、そういうことは、亀井君が行かれるとすれば私は十分承知の上ではなかろうかなあと、こう思っておるわけでございます。
  40. 久保田真苗

    久保田真苗君 先方がそういう大使であったということが一つ大きくひっかかっているわけですけれども、同様の考えをお持ちの方も次々にこういう発言をなさっていくということであれば、私どもはやっぱりこのことについて、特に政権党の代議士でいらっしゃるというお立場からして、いろいろな問題を今後も引き起こしていくんじゃないか。それについて私は、政府のお立場であろうと自民党のお立場であろうと、全部自由に議員外交で勝手にやってくださいということになるのかどうか。その辺私は、これによって国民の損失が大きくなるようなことは何とかお手配いただきたいものだなあと、こう思うわけです。いかがでしょうか。
  41. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) まあ、あなたの御意見はこれはわからぬわけじゃないですよ。しかし、みんなそれぞれの立場の方がそれぞれの意見を持ち、それぞれのその意見を発表するというのは、これは自由民主主義国家のもう建前でございまして、その言動を政府立場で、おまえそれ言っちゃいかぬ、こう言えなんというようなことは、かえって私はマイナス面が出る。むしろそうではなくて、自由なる発言は保障をしなきゃならぬ立場ですから。しかし、そういう日本のような立場の国の者は幾らでも自由に発言できるけれども、その自由なる発言の結果がどうなるかといったようなことについては、それぞれの方がお考えになることではないのか。  殊にまた、国会議員という地位を持っていらっしゃれば、なおさら御自身が判断なさることではないのか。政府が関与するというわけにはまいらない、かように考えております。
  42. 久保田真苗

    久保田真苗君 政府のこれについての見解と決着というものは既にお出しになったわけですよね、この藤尾発言に関して、つまり日韓関係について。で、今回はどのようなことをおっしゃったのか、それはもちろんテープレコーダーがあるわけでもありませんけれども、しかし、政府がこれに関連していないということであれば、政府考え方にもちろん違う発言をする自由は議員にはあるとは思いますけれども、しかし、こういう考え方が次々と出ていくということについて、それでは何もする気がないと、そういうふうに理解させていただいてよろしいわけでしょうか。
  43. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 藤尾さんのときと、今度のときの政府の対応が違うのは当然じゃないでしょうかね。藤尾さんはあのときは閣僚という地位を持っていらっしゃった。だから、あのときの官房長官の談話にも、ある歴史的な事実等について、それぞれの立場においていろんな見方があり見解があるのは自由民主主義国家としてこれは当然であろう、しかしながら、国務大臣という立場から見るならば、こういった発言政府としては、これは認めるわけにはまいらないので何らかの措置を必要とすると、こういったことであえてああいった措置をとらざるを得なかったわけですね。  しかし、議員ということになりますと、これは立法府の方でございますから、それを行政府でとかくの言動に枠をはめる、あるいは言ったことについて責任をとらせるというわけにはこれはまいらない。いわんや、本件についてはどういった発言お互いの間にあったのか、そこすら政府としてはこれは関与してないわけでございますから、こういった席で、あなたがそうおっしゃったからといって、これは政府としてこうやるべきであるなんということを申し上げる理由は私にはない、また、言うべきではない、かように考えます。
  44. 久保田真苗

    久保田真苗君 政府としておやりになるということはないんですけれども、それは私も閣僚の場合とは当然違うと思います。しかしこれは、この日韓関係の問題につきましては、一つ政府の中に政府のお考え方それから自民党のいろいろな議員の方のお考え方いろいろありますから、そういう議員考え方というものがこのようにいろいろな形で次々に物議を醸していくというようなことについて、自民党の幹部としてはどのようにお考えかということをお聞きしていたつもりですが。
  45. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私は内閣の官房長官でございまして、党を代表してここでお答えをするわけにはまいらない、こういうことでございます。
  46. 久保田真苗

    久保田真苗君 官房長官政府としては何もできないんだということはよくわかりました。  私は、やはり自民党の幹部でいらっしゃる方々に、こういう自民党内の問題についてもいろいろと御発言の機会もあると思いますので、やはりこういうことが韓国紙の中に次々に報道されていくというようなことは、あらかじめ十分自粛していただくような、そういう措置を希望して、官房長官に対する私の質問を終わります。  さっきの続きになります。自衛隊の一般職員について平均三十二万円余りということなんですが、自衛隊につきましては平均金額が百七十四万円でございますか、かなり多いわけですね。これはどういう理由なんでしょうか。
  47. 松本宗和

    政府委員(松本宗和君) お答えいたします。  昭和六十年度の災害認定件数をとらえまして、これが千三百三件でございます。補償総額が当該年度二十二億六千三百五十八万七千円となっております。これをそのまま割りますと、今先生がおっしゃいました数字になりますが、一件当たりの平均補償額ということになりますと、前年度以前の認定、つまり年金関係も含むわけでございますが、そういうものも含めて計算しなければならないと思います。そういう意味では、六十年度の支給件数は三千五百二十六件ということになりまして、先ほど申し上げました補償総額をこの数字で割りますと、一件当たり六十四万二千円という数字になります。  そうはいいましても、一般職での三十二万円に対しまして約倍の数字になっておりますけれども、これは内容につきまして一概に比較できないのではないかというような気がいたしております。
  48. 久保田真苗

    久保田真苗君 先を急ぎます。それで私は、この六十年に入ってから少し災害件数が、今まで減少してきたのがふえてきておりますね。そういうことから、一層災害防止の教育を徹底していただきたいということをまず希望しておくんですけれども、それとの関連もございまして、最近、非常に自衛隊にここのところ事故とか不祥事が続いているんでございます。  それで、おととい野田委員から質問のありました、福岡での公私混同パーティーの調査をしておられるということですが、その後、調査に進展がございましたらちょっと内容をお聞かせいただきたいと思います。
  49. 松本宗和

    政府委員(松本宗和君) 現在もまだ調査の点につきましては、詳細に担当部局あるいは航空幕僚監部の方で調査を進めております。で、一方におきまして、このような事案が再度発生しないようにということで、これは長官の指示を得まして航空幕僚監部の方で対策をとっておるところでございます。
  50. 久保田真苗

    久保田真苗君 私、この内容を詳しく質問するように通告していましたけれども、時間がございませんので、最後に、総務庁長官にちょっとお伺いしたいんですけれども、総務庁長官、この間から外務省等の行政監察計画をいろいろ考えていただいておるんです。  私は、官僚機構というのはどうしてもやはり自律、自浄作用というのをとかく失いがちな面もあると思うんですね。特に、外務省とか防衛庁とかいったところはとかく聖域化されるという、そういうことがあるんですが、最近かなり事故が込んでいるこの防衛庁の行政監察、これは今までに防衛庁を監察されたことがおありなんでしょうか。
  51. 山本貞雄

    政府委員(山本貞雄君) 防衛庁の業務につきましては、御案内のとおり、部隊業務を中心に高度の技術性、専門性等々の理由から行政監察になじみにくい面もあるわけでございますが、その他の業務につきましては従来から行政監察の対象にいたしております。  当庁が最近十年間に防衛庁を対象といたしまして実施いたしました監察、調査は十四件ございます。その概要は、国有財産の管理及び処分に関する監察あるいは補助金事務の簡素化に関する調査等、各省庁に共通する事項あるいは震災対策に関する監察など、各省庁にまたがるような行政に関する事項等々を対象として従来からやっておる次第でございます。
  52. 久保田真苗

    久保田真苗君 内容的になじみにくいものもあるかもしれませんが、やはり十分なじむ案件もあると思うんです。こういった、例えば幹部職員資料を横流しした事件ですとか、それから例えば今回のような公私混同のような事件とか、こういったことが――もちろん防衛庁のサイドでも明らかにされることを期待いたしますけれども、しかし、こういった全般的な事故等が今後も続くとすれば、やはりこれは行政監察の対象になるのではないかというふうに思いますけれども、総務庁長官はこの点についてどうお考えでいらっしゃいましょうか。
  53. 玉置和郎

    国務大臣玉置和郎君) 総務庁の監察、調査に聖域はございません。ございませんが、今お話を承りまして、ただ、最近の自衛隊のあり方を見まして、いかぬなという点がかなり出てきております。それだけに、総務庁としましても十分検討していきたいと思います。
  54. 久保田真苗

    久保田真苗君 よろしくお願いします。
  55. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 飯田でございます。  先日の質問のときに時間のかげんでうまくできなかった点をきょう御質問申し上げますが、まず最初に、二重年金の問題についてお尋ねいたしたいと思います。  若年者災害年金でございますが、若年者の場合は当然その後ほかの職業におつきになるということもあると思います。そこで、厚生年金とか共済年金とか、国民年金とか、あるいはまた老齢年金、こういうものとの関係はどのようになるのでしょうか、お尋ねいたします。
  56. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 年金間の調整の話でございますが、公務災害補償年金と共済年金が重複して支給されるという場合には、共済年金の方で調整率を掛けて調整するようにいたしております。災害補償年金と厚生年金、国民年金との間の調整は、補償年金の方で調整するように現在なっております。
  57. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 そういう関係はそれぞれの法令で明確に規定されておるんでしょうか。
  58. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) そのとおりでございます。
  59. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 それでは次の問題に入りますが、先般もお話し申しましたが、通勤災害範囲の問題です。  通勤災害範囲を決めるに当たりまして、何を基準にして決めるかという問題ですが、例えば通学とか通院の場合に、学校に行くということあるいは病院に行くということ、そのときに起こった場合には通勤災害だということにしますと、その経路は元来考慮する必要はないのではないか。大学に行きまして、大学に行く途中で起こったとしましても、大学に行くこと自体についてこれを災害補償の対象にするということだと思いますが、結局その思想の根拠は、通学とか通院という問題は準公務だという観念ではないかと思います。  それで、そういうものを準公務考え保護する以上は、そこに至る途中の道順といったようなものは問題ではないのではないか。ただ合理的に最短距離のところを選ぶということだけでいいのではないか、こう思われますが、その点についてどうも今度の規定を見ますと明確ではありませんので、明確な範囲をお示し願いたいと思います。
  60. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 今回、通勤災害保護の対象を拡大しようじゃないかということでございますが、ただ、今先生お話しになりました、例えて言いますと、学校教育法第一条に規定する学校に行く、あるいは職業訓練施設に行く、そういう学校とか職業訓練施設に行くこと自体が公務に準ずるものである、というふうには実は考えてないわけでございまして、それは公務との関係が中断されるというふうに実は考えておりまして、学校とかあるいは職業訓練施設、その場所において災害が起こった場合に、それが災害補償の対象になるかというと、現在は災害補償の対象にはならないというふうに考えております。したがいまして、先生が今お話しになりました、そこへ通ずる経路の途上における災害というものを保護の対象にしたらどうだということは、若干先生の方に、私たちの説明が不十分だったかもわかりませんが、誤解があるんじゃないかというふうに思います。
  61. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 実はこの災害補償の問題は、国家公務員災害補償法の目的を見ますと、明確にこれは、「生活の安定と福祉の向上に寄与する」ものだ、こう書いてありますね。元来、この法律そのものは生活保障法であり福祉法なんです。それで、公務によって災害を受けたという範囲をどう決めるかという問題に係ると思いますがね。その場合に、公務員が学校へ行って勉強するということは、はっきりと指示されて行くんなら公務ですね。しかし、指示されないで自分の意思で行く場合、こういう場合に、指示されて行く場合とそうでない場合に当たりまして、それが単なる命令関係だけで理解されていいかという問題なんです。本人の意思であっても、学校に行くことによって公務に大変関係のある教育を受けるというものであるならば、それは当然実質的に準公務と認めていいのではないか、こう考えられますね。そういう配慮をやはりすべきではないか、こう考えるわけです。  現行法を私は改めろと申し上げているんじゃありませんよ。現在の法案につきましては、よりいいものですから、私はこれを通過させることにやぶさかではありません、通します。しかし問題は、せっかくこの法律を出すのだから将来において御考慮を願える根拠を考えていただきたい、こういうわけで申し上げるわけです。
  62. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 基本的な考え方は先ほど御説明申し上げたわけでございますが、先生がいろいろ御指摘になりました点は、私たちも今よく聞かせていただきましたので勉強させていただ きたいというふうに思います。
  63. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 それでは次の問題に入りますが、療養のために勤務することができなくなった、この場合に休業補償をする、こう書いてあります。そこで、これは日給制の場合についての規定でしょうか、それとも月給制の場合も含むものでしょうか。普通、公務員が公務のためにけがをした場合に、けがをしたからといってそれで、その月の給与を、月給制の場合に給与を支払わないということはないのではないか、もし支払わないということになるなら、大変不公平な状態が生ずるわけです。それで、支払うということであれば、これは単に日給制の場合の問題なのであろうか、こう思うわけですが、そういう点いかがですか。
  64. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 公務員の方が仕事をしている途中に仕事に起因してけがをされる、そして、そのけがの療養のためにある程度の日数が必要だということになりますと、通常病気休暇ということになろうかと思いますし、その療養が相当長期にわたる場合には休職ということになろうかと思いますが、いずれにいたしましても、公務に基づく病気が原因で休暇あるいは休職になるという場合には給与の一〇〇%が支給される、それは月給制であろうと日給制であろうと変わりません。
  65. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 実は、計算の仕方の問題、基礎の問題で日給制と月給制じゃ違うでしょう、それでお尋ねしたわけなんですが、これはそう大した問題ではないから次の問題に入ります。  そこで、この十二条のところで一号、二号のことが書いてございますがね、こういう表現の仕方は本来おかしいんではないかと私は思うわけです。といいますのは、監獄とかこれに準ずる施設に拘禁されておる者というふうに一律にこう書いてございますが、これは未決勾留の場合は、まだ犯罪者であるかどうかわからない場合ですね。犯罪者であるかどうかわからない場合ということは無罪の推定ということがございまして、これは犯罪を犯してない者なんです、元来。そういう者と監獄に入った犯罪者とを同一視して規定するということは、これは大変よくないと考えるわけですが、ただ、ここで従来の監獄法の私は大変規定がよろしくないと思いますのは、監獄法の中に「拘置監」という言葉が書いてある、監獄の一種に「拘置監」とありまして、現在の拘置所はこれは監獄だ、こういうふうに書いてあるんです。そして、未決勾留する場合に拘置所に勾留する、こうなっておるものですから、ここに大変な人権上の問題が私は生じておると思うんです。  そこで、未決拘禁中の者というものを「収監中の者」ということで表現されておりますが、それは形式的に未決監に入れるのだからそうかもしれぬけれども、思想的にはそういうことであってはならぬと思うんですがね、こういう点について法務省はどうお考えになっていますかな、法務省にお尋ねします。
  66. 日野正晴

    説明員(日野正晴君) 今先生が御指摘になりましたように、現行の監獄法によりまして監獄には懲役、禁錮及び拘留の刑に処せられた者、それから先生が今御指摘になりましたようにまだ裁判が終わっていない刑事被告人、それから死刑の言い渡しを受けた者などが拘禁されております。確かに、監獄法という一つ法律で被収容者を受刑者だけでなしに、まだ裁判を受けている刑事被告人も一緒に収容しているということについては、先生御指摘のような点がございますが、実際の処遇としては、それぞれの目的に異なった処遇をしているところでございます。
  67. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 これは私は、今日の監獄法は大変憲法の精神に反するものだと私は思います。法務省でもぜひ考慮願いたいんですがね。  それはそうとしまして、この十二条の規定は、これは犯罪者と犯罪者じゃない者とをごっちゃにして規定している。これは大変困るんですよ、こういうことではね。それで、犯罪も犯してない者に対して休業補償をしないといったようなことはおかしいんじゃありませんか。いかがでしょうか。
  68. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) よく御説明を申し上げていなかったのが先生の今の御質問につながったかと思いまして、恐縮いたしております。私たちが今回休業補償の給付を停止しようじゃないかというふうに考えましたのは、本人の責めに帰すべき事由に基づいて勤務することができないような事態に至った場合には、休業補償の給付を停止しようじゃないかということでございますから、本人の責めに帰すべき事由というのは何かと考えるかということですが、それは有罪判決が確定した場合、先生がおっしゃいますように、まだ刑事手続が進行中であるというのは、おっしゃいますように有罪になるか無罪になるかわからない。したがって、本人の責めに帰すべき事由によって勤務することができないということにはならないというふうに考えますので、私たちのこの規定の仕方というのは、今先生がおっしゃいましたような誤解を生むおそれがございますけれども、もともとの制度の立案の趣旨というのがそういう趣旨でございますので、その立案の趣旨にかんがみてお読みいただきますと、私が申し上げましたように、有罪判決が確定して勤務することができない場合というふうに御理解いただきたいというふうに思います。
  69. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 そのように理解をしようとしても、ここに書かれておる言葉がそうでないのですから、これはやはり率直に、犯罪の加害者でない場合とお書きになった方が私はいいのではないかと思いますよ、将来ですよ、今やれとは申しませんが。今度の改正法の言葉は大変誤解を生みまして、警察に留置された者も全部だめだと、こういうふうに読めるんです。それでは困りますので、明確にこれは、犯罪の加害者である場合、ということに一も二も両方ともひっくるめてそういう言葉で表現された方が適切である、こう思います。いかがでしょうか。
  70. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 先生の御指摘というのを後ほどよく勉強さしていただきまして、労災保険法においても同じような表現をいたしておりますので、労働省との方の間でまた相談させていただきたいと思います。
  71. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 それでは、そういうことで了解しまして、次の問題に入ります。  これも規定のことについて申しますが、「少年院その他これに準ずる施設に収容されている場合」とございます。それで、少年の公務員を採用する場合というのはどういう場合でしょうか。現在実際に少年公務員を採用されて、そして危険な業務に従事されておるかどうか。つまり、事故を起こすようなそういう仕事に従事されておるかどうか。お伺いします。
  72. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 未成年者が公務員になるというのは、高校を卒業してすぐに公務員に採用されますと、まだ未成年の期間がございます。あるいはまた、災害補償というのは非常勤職員にも適用されますから、夏休みとか春休みに学生アルバイトというのが来ておる役所もございますが、そういう方もやはり未成年者としてその間国家公務員としての身分を持っておりますので、ここで言う規定に該当する場合があり得るというふうに考えていただいていいんじゃないかと思います。
  73. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 そうしますと、これは臨時雇いの少年公務員ですね。これに対して災害補償をしようという福祉的な規定であると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  74. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) その場合も含めまして、正規の一般職国家公務員といたしましても、高校卒業してIII種試験に合格して国家公務員に入ってくるという場合には、臨時じゃなくして、正規の職員として少年、未成年者というのが考えられるわけでございます。
  75. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 それでは、次の問題に入ります。  今、補償年金と共済年金などの公的年金でございますが、両方を比べますと、スライドの仕方ですね、スライドの仕方に違いがあるのではないかと思われるのですがね。実際に違いがあるのかどうか。あれば、それはなぜそういうスライドの仕 方を変えたのか。そういう点について合理的な根拠がございますか。お伺いいたします。
  76. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 両者の間にスライドのあり方につきましては、二点異なる点がございます。一点は、物価スライドか賃金スライドかという点が一点ございます。もう一点は、スライドの要件として同%の変動があった場合にスライドするかというその二点があるわけでございます。  まず、第一点の物価スライドか賃金スライドかということでございますが、補償年金というのは、もう先生の方がよく御存じでございますけれども、失われた能力を補てんしていこうじゃないかということでございますので、それは賃金に基礎を置いて算定する方がいいだろうというので、これは賃金スライドになっております。片一方、その他の公的年金につきましては物価スライドと、生活保障ということが関係しておるというか、重きをなしておるんだと思いますが、物価スライドということでございます。補償年金の性格からいいまして、賃金スライドというのは御了解いただけるんじゃないかというふうに思います。  もう一つの点でございますけれども、補償年金におきましては六%の変動があった場合にスライドするわけでございますが、その六%というのは、傷病補償年金及び障害補償年金の等級間の格差というのが現在おおむね一三%になっております。したがいまして、物価の変動とかあるいは賃金の変動があった場合に、スライドせずにそのまま放置しておきますと、一級下位の補償に近づく。その近づく前に是正しようじゃないかというので、その一三%のほぼ半分に当たる六%でスライドしようということが考えられて現在の制度ができておるわけでございますが、それはそれなりに私は合理的な根拠があるんじゃないかというふうに考えます。片一方、その他の公的年金においては五%の変動でスライドが行われますけれども、それはそれで、他の公的年金の制度として合理的な根拠があるだろうというふうに思います。
  77. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 それでは、この法案につきましては最後の質問ですが、平均給与額につきまして、これは公務員の補償年金というものの法的性質をどう考えるかによって随分違いが生ずると思いますがね。  まず、先般の質問の時間に、私聞き間違いかもしれませんが、お尋ねしましたときには、これは福祉ではなくてむしろ損害賠償的な性格、思想を持つんだと、こういうお話だったというように聞いております。あるいは間違ったかもしれません。この補償法は、元来目的から言いましても当然これは福祉法であり、生活保障法であると解さざるを得ないわけですが、ほかの法律でもしそういうものとしては理解しないということが書いてあれば、その方の法律も直す必要があると私は思うものであります。この補償法考え方が正しいのですから、ほかの法律補償法に反しておる。例えば、国家公務員法がそれに反することを書いておれば国家公務員法の改正を必要とすると、私はそう理解をするわけですがね。こういう問題についてどのようにお考えでしょう。
  78. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 役人というのは非常に悲しい存在でございまして、法律に基づいて仕事をしますので、どうしても現在の法律というものをもとに説明をさしていただきますが、国家公務員法の九十三条で現在の国家公務員災害補償法の根拠条文がまずつくられております。その九十三条では「損害に対し、これを補償する制度」ということになっておりますので、やはり基本的な性格は、国家公務員災害補償法というのは損害補償だというふうに考えざるを得ないわけでございます。ただいま先生お話しになりましたように、国家公務員災害補償法では、その補償をすることによりまして職員の福祉に必要な施設をすることを目的とする、というふうに書いてございますので、先生が今御指摘になりました点もそれなりに理解はできますけれども、基本的な性格ということになりますと、私が今御説明申し上げるように御理解いただかなきゃならないかと思います。  ただ、現行法というものを離れて、どのように制度を構築していくのかというフリーな議論になりますと、これは国会議員先生専門の分野でございますので、私たちがあれこれ申し上げるのはやはり公務員の性格として限界があろうかというふうに思いますので、その点は御理解いただきたいと思います。
  79. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 それはよくわかりましたが、もし国家公務員法を盾にとってそれを中心にしていくのならば、国家公務員法九十三条に基づく国家公務員災害補償法なんですね。そうしますと、この国家公務員災害補償法の目的は、やはり九十三条に合致したように書かねばいかぬのですが、そう書いてない、ここに矛盾があるわけです。一国の法律にそのような矛盾があるということ自体が本来おかしなことだと私は思いますが、そういう点を将来調整をとっていただきたい。今すぐやれと申し上げるんじゃありませんよ。その点についてどうでしょうか。
  80. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 先生が今おっしゃいまして改めて国家公務員災害補償法を見ましたところが、国家公務員法の九十三条とそんなに矛盾してないんじゃないか、それを受けてそのまま法律の条文ができているんじゃないかと思いますが、先生法律の御専門家でございますので、改めてまた先生の御意見をお聞きさせていただければ、というふうに思います。
  81. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 それでは、この問題はこれだけにしておきます。将来ひとつ研究してください。これは決して悪い法律だと私申し上げているんじゃありませんよ。大変いい法律だけれども、書き方が不完全だ、こういうことなんです。それから、要らぬことが書いてある。要らぬことは抜いて、必要なことだけに絞ってほしいということですね。  それはそれでそういうことにいたしまして、あとまだ少し時間がありますので、年金の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  これは現在の憲法を見ますと、明らかに現在の憲法は主権者が変わっておりますので、実質的には革命かもしれませんが、しかし、現在の憲法ができ上がった経過を見ますと、日本国憲法には含まれておりませんけれども、日本国憲法を出すに当たっての勅語があるわけです。その勅語を見ますと、明らかに現在の憲法は旧態法の改正方法に従って全面改正をしたものだ、こうなっておるわけです。このことが非常に重要な意味を持つと私は思います。つまり、実質的には主権者が変わったけれども、国家としては同一性があるんだ、こういうことなんですね。つまり、現在の憲法は前の憲法を引き継いでそれを全面改正したものだとこういう形式をとったということは、この勅語によって国家の同一性を保持したわけです。もしこの勅語がなければ、国家の同一性はないわけです。旧ロシア帝国からソビエト連邦に変わったようなものだ、この憲法の内容からいきますと。そうでないというのは、この勅語によって国家の同一性を保ったからです。  そこで私が申し上げたいのは、国家の同一性を保ったのなら、いわゆる戦前において政府が行った行為について当然戦後においてもその責任を負うべきではないか、こういうことなんです。年金などにつきまして、例えば先般ソビエトに抑留された人の問題が起こりまして、過去において再三私は衆議院でも参議院でも御質問申し上げました。それから、今から約八カ月ほど前に外務省の担当官のお方に私は、条約文の解釈の仕方が間違っているではないかという指摘があるぞ、これをひとつ研究して直すべきは直してくれ、とこうお願いしたんです。その結果、研究されて半年たちまして、よく研究しました結果間違っておりました、こういうことで私の方へ御報告がございました。私は非常に喜んでおったんですが、その後官報にもそのことが載ったようです。そこで、政府としてそれを踏み台にして、抑留者に対する年金の問題をどうお考えになるか、こういう問題がございます。  それから台湾の旧日本兵、これも旧日本政府がやったことなんですよ。旧日本政府がやったこと は戦後の今日の政府も責任を負わねばならぬ。国民は変わりましたよ。今の国民はそんなものは知らぬと言うかもしれませんよ、おれがやったことじゃないと言うかもしれませんよ。しかし政府には責任がある。このことはひとつ忘れないでしかるべき対策を講ぜられるのが至当ではないかと私は思いますが、こういう点についていかがでしょうか。総務庁長官お願いします。
  82. 本多秀司

    政府委員(本多秀司君) ただいまの先生の条約の解釈につきましては私ども実は所掌してございませんので、私どもが所掌しておりますいわゆる戦後処理問題について、どういうような対応をとりつつあるかということでお答え申し上げたいと思います。  先生御承知かと思いますが、いわゆる先生がおっしゃったシベリアに抑留された方々あるいは恩給欠格者の方々あるいは在外財産の問題等、こうした戦後処理問題につきましては、約二年半にわたりまして戦後処理問題懇談会で慎重にかつ中立的な立場検討いたしました結果、結論としましては、これ以上国において措置すべきものはない、しかしながら、関係者の方々の心情に深く心いたす、こういう趣旨から特別の基金を設置して、そしてこうした方々に対していわば慰謝の念をあらわす、こういう提言がございました。この提言に基づきまして、私ども特別の基金を設置すべく現在検討中であるということでございます。
  83. 玉置和郎

    国務大臣玉置和郎君) 飯田先生お話を聞いておりまして、今総理府の方から御答弁がありましたが、ああいうことだけではなしに、戦前戦後の国の根幹に関する問題に触れられたと、私は今このように受けとめておったわけです。  共産主義国家は、ソ連の場合もそうですが、中国の場合もそうですが、継承国家論をとらない、私たちはこれはおかしなことだな、こう思っておりました。体制が違うとあそこまで違うのかなと思って過去それぞれ勉強してまいりましたが、やっぱり日本国は、今先生がおっしゃっていただきましたように、勅語によって継承国家論というものをとっておるわけでございまして、当然のように戦前だからそれは政府に責任がないんだとか、そんなことは言えないわけでありまして、基本的には戦前であろうが戦後であろうが、こういった問題については政府の責任は政府の責任。それで今先生が触れられましたが、国民は責任がないと、私そうは思いません。国民も責任がある。こういう背景をもとにして、こういった問題について対処するのが当然だ、こう思いますのでよろしくお願いします。
  84. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 じゃ終わります。
  85. 内藤功

    ○内藤功君 人事院にまずお伺いしますが、通勤災害についての問題ですが、「日常生活上必要な行為」これを定めるために人事院規則が制定をされるわけであります。現在、人事院としてはどのような内容考えておられるか、その制定の手順は大体いつごろを目途にどのように行われるのか、この点をまず伺っておきたいと思います。
  86. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) まず、範囲拡大しようじゃないかということでございますが、その範囲拡大する点は二つございまして、一つは、学校教育法第一条に基づく学校等に通学する場合、職業訓練施設に通って教育を受ける場合等を考えておるわけでございます。第二点は、人工透析その他生命維持に必要な医療行為を受ける場合、その二つを今回つけ加えたらどうかというふうに考えております。  規則の制定というか、内容を最終的に固めるという時期につきましては、労災保険法におきましても同じ改正が行われておりますので、労働省との関係で意見の交換をすべきところもございますし、向こうの考え方も承りたいというふうに考えておりますので、年が明けた後で最終的に案を固めるのかなというふうに考えております。
  87. 内藤功

    ○内藤功君 労働省はどういう状況でございますか。
  88. 岡山茂

    説明員(岡山茂君) 通勤途上災害に関連いたしまして、さきの国会で労災保険法の改正をいただいたわけでございます。その通勤途上災害に関連をいたします施行の時期は、来年の四月一日からということになっておるわけでございます。  そこで、さきの国会で御審議いただきました状況を踏まえまして、来年の初めころには成案を得て、その後労災保険審議会に諮問をいたしまして、答申を得た後に所定の制定手続を踏みまして、三月末までには公布するということで現在準備を進めておるところでございます。
  89. 内藤功

    ○内藤功君 労働省に伺いますが、内容についてはどうお考えですか。
  90. 岡山茂

    説明員(岡山茂君) ただいま人事院の方からお答えがございましたが、私どもとしましても、さきの国会で御審議いただきました際に御答弁申し上げているわけでございますが、従来のものに加えまして、中断あるいはそういう中断した後の復帰についての通勤途上災害として認める範囲拡大いたしまして、それには学校、それから公共職業訓練校等への通学、それから、従来長時間を要するということで認められておりませんでした人工透析等の通院について加えるということで検討しております。
  91. 内藤功

    ○内藤功君 労働省に伺いますが、今回の改正学校、職業訓練校、人工透析というのが加えられたのは一歩前進だと私認めます。  しかし、都市の勤労者の生活が非常に多様化しておりますから、これ以外にも「日常生活上必要な行為」というのは世間に数多いと思いますね。どのようにそういう今の通勤実態の多様性というものに今後の労働行政の上で対応していかれるかという点が一つと、もう一つは、これは近い将来の課題ですが、一般的、総括的な規定を私は労働省令等にやはり織り込む必要はないだろうか、という点を考えているんですが、この点はどうお考えになりますか。
  92. 岡山茂

    説明員(岡山茂君) まず、通勤の実態ということでございますが、御指摘のとおり通勤の実態は多様化しておるというふうに考えておるわけでございます。その具体的なケースは、これまでの認定の段階でいろいろと事例として挙がってきておるわけでございます。それらにつきまして個々に判断をしながら運用しておるわけでございますので、それらの実態は私どもも承知をしておるわけでございます。  この制度の趣旨につきましては、通勤の実態ということも一方ございますが、同時にこの制度は、本来通勤途上災害というのは使用者の管理下にないということで、本来的にはいわゆる無過失損害賠償の理念に基づきます制度にのせることについていろいろと疑義があるわけでございますが、ただ、通勤ということはやはり業務にとって必要なことでございますので、ぜひそれは保護するということでこざいます。ただし、そういう業務との関連性ということを十分に考えていくべきものというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、従来のケースの中で、従来の条文では業務が困難でございました先ほど申し上げました二つのケースについて拡大をする、ということにしたわけでございます。したがいまして、制度の本来の趣旨ということ、業務との密接な関連性ということを基本に置きまして検討し、それらの両方の要素を考慮して運用していくべきものと考えておるわけでございまして、今回の省令の制定もそのような考えによってやっていくことにしております。  なお、総括的な通勤途上災害につきましての規定ということでございますが、この点につきましても、今申し上げましたとおり、通勤そのものは使用者の管理下にない、こういう点がございます。しかし、通勤そのものは業務にとって必要な行為でございますから、密接な関連性を有するその範囲保護をしていこうということでございますので、そういう意味での規定として現在制定されておるわけでございますので、その基本的な考え方につきましては従来と変わらないところでございます。
  93. 内藤功

    ○内藤功君 そこで具体的にお聞きしておきたいと思うんですが、非常にやはりこの関連性が実際上も問題になる、それから将来法律改正の場合も 問題になると思われる例として、退社後、会社のすぐ隣にある喫茶店で友人とコーヒーを飲んで、後はその友人の車で自宅の前まで送ってもらった、おりたところで事故が起きた、こういうふうな例ですけれども、これは現実にあるんですね。こういうふうな場合、一たん退社して隣りの喫茶店に入っちゃえばもう中断で、あるいは逸脱で、後はもう事故が起きても通勤災害とは認められないというような見解は、僕は非常にかたくなな見解だということをかねがね思っているんですね。ここらあたりの問題。それからもう一つ似た例ですが、退社後、ちょうど仕事が終わって、おなかがすいたので会社から二百メートルぐらい離れている近くの食堂に入ってすぐ御飯を食べて、事故が起きてそれで真っすぐ今までの経路で家へ帰ったと。  コーヒー店とそれから食堂の二つの例を挙げましたけれども、こういう場合が今までの実例では私の知る範囲では通勤災害と認めていないんですね。こういう例があるんです。私はこういうものはもっと柔軟な態度でこれは臨むということが必要じゃないか、もう仕事が終わって直後なんですから。ここらあたりの態度はやはり、昭和四十八年にこの通勤災害制度を入れたんだけれども、現在の実態から見て見直す必要があるんじゃないか。例えばあのいわゆる新宿バス放火事件では、これは例外の扱いだというふうに報道されておるけれども、あのけがをされた方ですね、デパートの女子店員の方、会社を引けて、すぐ近くの喫茶店で同僚と約四、五十分お話をして帰られた、その途中の事故だけれどもこれは救済しているというのもありますしね。これは都市勤労者にとっては帰る途中のコーヒー店あるいは食堂というのは非常に密接に関連している。ここが非常にかたくなな感じが私はするんです。これ、労働省人事院、それぞれの見解を伺っておきたいんです。
  94. 岡山茂

    説明員(岡山茂君) ただいま御指摘いただきましたケースは、恐らく今までの過去の例についてのことかと思いますが、私どもは、日用品購入その他これに準ずる行為ということで、いわば中断、逸脱をした後復帰をした場合に、あらゆるケースについてそれは通勤途上災害としての保護を否定するという考え方ではございませんで、ただし、日用品購入その他これに準ずるようないわば短時間ちょっとした寄り道といいますか、そういう日用品購入その他これに準ずるような行為で、しかも必要最小限度のものについては、これを認めていくという考え方で運用しておるわけでございまして、法律の条文もそのようになっておるわけでございます。  そこで、今後もその点については変わらないわけでございますが、個々のケースの判断につきましては、喫茶店に寄ったというのとかいろんなケースがございます。したがいまして、非常に長時間にわたって喫茶店でいろいろと友人等と懇談をされたというようなケースについては、もはや通勤というものの範囲を既に超えておるというような形で判断をされたケースもございますし、あるいは食事に寄られたというケースにつきましても、食事に寄ったのがすべてその後一切通勤ではないと、こういうふうに考えておるわけではございませんで、通常必要な食事時間、例えば独身の方が帰り道に食堂に寄るといったようなケースは、当然のことながら、この日用品購入その他これに準ずるような行為と、こう考えておるわけでございますが、ただし、ふだんうちで食事をされておられる方が、何らかの特別な事由で別のところで食事をされたというケースについては、それに該当しないというふうに判断をしたケースもあろうかと思います。したがいまして、個々の判断は、今申し上げました日用品購入その他これに準ずるような行為というふうに考えられるかどうかという、個別の判断でございますので、すべてそういうことで否定をしておるわけではございません。
  95. 内藤功

    ○内藤功君 人事院のお答えをいただく前に、もう一点労働省に聞きたいんですが、もう一つ私が非常にこの基準の運用の点で疑問に思っておるのは、夫婦で共働きの方が、特に御主人が自動車で奥さんを勤め先に送る、それから自分の勤め先に行く、あるいは逆に、帰りにまず奥さんを迎えてそれから帰るというような場合に、この御主人の勤め先とそれから奥さんの勤め先がわずか一キロか二キロぐらいのところですね、そういうふうなところでも、これはもう逸脱、中断があったというので通勤と認められないと。これは逸脱、中断で通勤災害と認められないというふうなケースは、私は現在の実態から見て非常に不合理だという感じを持っているんです。これは一つだけじゃないんですね。  それからもう一つは、いわゆる土帰月来と言われておりますね、こういうケース。これは福岡とか札幌とかという問題を今ここで出すんじゃありません。例えば土曜日に自分の自宅に帰る、そこに奥さんや子供さんがいる、月曜の朝来る、その自宅が勤務先との距離は百四、五十キロ、確かに百四、五十キロはちょっと大変だけれども、今こういう通勤者はたくさんおるわけです。それが通勤災害と認められないというふうなケースは、私は見ていて非常に不合理じゃないか、これも実態に合わせて柔軟な解釈をこれからとっていく必要があるんじゃないかということを感じているので、もう一点この点伺いたいと思います。
  96. 岡山茂

    説明員(岡山茂君) 先ほど御指摘いただきました共稼ぎの夫婦でお互いに近くの事業所に通勤をするといったケースの場合に、やはりこれもそれぞれのケースによっていろいろございます。したがいまして、私どももマイカーで共稼ぎの方が通勤をして一緒に行って、近くにある妻の事業所に送っていくといったケースも合理的な通勤範囲内に該当するものはあるということで、そういうふうに認めているケースもあるわけでございます。したがいまして、これも個々の具体的なケースに即して、合理的な範囲かどうかということを考えていかなければいけないものと考えておるわけでございます。  それから、土帰月来の問題につきましては、今回の制度改正の際にも私どもも労災保険審議会でいろいろ議論をいただいたわけでございますけれども、もう少し検討していく必要があるということで、今回は、さらに検討を続けるというふうにされたところでございます。
  97. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 今労働省の方からるる説明がございましたが、基本的な考え方は私たちも同じように考えます。
  98. 内藤功

    ○内藤功君 ぜひとも、今私の指摘しておきましたような点は、今後労働省でも人事院でも、それから労働省関係審議会においても、私のこういう提案、意見については、十分ひとつ審議会の諸氏にもお話しいただいて、現実の実態に合うような御検討がなされることを要望したいと思うんであります。  最後に、この労働省の現在の審議会、これからかけられる審議会で、都市勤労者、公務員の通勤の実態を調査したり、あるいは関係各団体の意見を聞くことを直接おやりになる必要があるんじゃないか。また、直接審議会としてできなければ、審議会の事務方である労働省の方から、こういう実態をやはり審議会のメンバーの各位にお示しをして、そういう妥当な結論が出されるように、ひとつお骨折りをいただきたいということを私は要望したい。  人事院においても、こういう実態を十分調査して、妥当な結論、今後の運営ができるように要望したいと思いますので、労働省人事院、それぞれからのお答えをいただきたいと思います。
  99. 岡山茂

    説明員(岡山茂君) 私どもこれからこの省令の制定に当たりましては、先ほどお答え申し上げましたとおり労災保険審議会がございますので、これは公労使三者の構成になっておるわけでございまして、その中で十分御議論をいただきたいと思いますし、ただいまの国会でのいろいろな御質疑状況も報告をしたいと思います。  また、その通勤の実態という点につきましては、これまでの御議論の中でもいろいろと検討していただいたわけでございまして、特に、私ども は今までに集積されております認められたケース、認められないケース、いろいろございますが、それらの個々の実例といったものもいろいろと集積されておるわけでございますので、その実態、その状況を御報告をしながら、十分御議論をいただいて結論を出していただきたいと思っております。
  100. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 本国会におきましていろいろ御議論いただきましたそういう御議論をよく整理させていただきました上で、労働省との間で意見をよく調整いたしまして、規則の制定等に当たってまいりたいというふうに思います。
  101. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 他に御発言もないようですから、質疑は終了したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べをお願いいたします。
  102. 内藤功

    ○内藤功君 私は、日本共産党を代表して、国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。  第一点は、本改正案によりますと、年金たる補償に係る平均給与額について、年齢階層ごとに最低限度額のほかに最高限度額を定める、ということになっております。最低勤務条件保障の勤務条件保護立法としての性格を本法は持っておるわけですが、その性格から逸脱して、給付基礎日額に最高限度額を導入して、勤務条件保護の保障を低下させる結果をもたらすものであると思います。  戦後四十年間、労働基準法、労災保険法あるいは公務災害補償法による法定補償制度は、労働基準法第一条二項に示す「労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。」、この基本精神にのっとって、改正に次ぐ改正を積み重ねて、一度としてこれを下回るような改悪を行ったことはないと思います。しかし、今度の改正は、こういう点で最高限度額で頭打ちをするということは、私は許されないと、これが反対の第一点であります。  第二点は、監獄等に収容された人への、職員への休業補償不支給の問題であります。被災職員が監獄等に収容されたといたしましても、被災職員とその家族の生活保障の保護の必要性、合理性は厳然として存在いたします。その場合に不支給とする合理的理由はないと思います。  特に、従来労働省解釈例規、昭和二十三年七月十三日、基収二三六九号と、この解釈例規で、「業務上の事由によつて災害を蒙った労働者が、監獄、留置場又は労役場に拘禁又は留置された場合でも、災害補償は原則として行うべきである。」、さらに「補償を受くべき労働者が右の施設にあると否とは何等影響を及ぼすものではない。」ということが示されておったところであります。また、最高裁判所は昭和五十八年十月十三日のいわゆる雪島鉄工所事件についての判決で、「休業補償給付は、労働者が業務上の傷病により療養のため労働不能の状態にあつて賃金を受けることができない場合に支給されるものであり、右の条件を具備する限り、その者が休日又は出勤停止の懲戒処分を受けた等の理由で雇用契約上賃金請求権を有しない日についても、休業補償給付の支給がされると解するのが相当である。」こういうふうに明確に判示しております。これらの従来の通達、判例の考え方こそが正しいものであって、これに反する本改正案については私どもは合理的な理由がない。  以上の二点の理由で本法案に反対するものであります。
  103. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  104. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  久保田君から発言を求められておりますので、これを許します。久保田真苗君。
  105. 久保田真苗

    久保田真苗君 私は、ただいま可決されました国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について速やかに検討の上、善処すべきである。  一、災害の予防及び職業病の発生防止のために、なお一層努力するとともに、公務災害の審査及び認定については、現在懸案中のものを含め、その作業を促進して早期処理に努めること。  一、この法律による年金受給者の生活の安定を図るため、社会経済情勢の変化に即応し、年金額の改定が速やかに行いうるようスライド制における要件の改善に努力するとともに、民間企業における業務上の災害等に対する法定外給付の実情配慮し、公務員に対しても適切な措置を講ずること。   右決議する。  以上であります。
  106. 岩本政光

    委員長岩本政光君) ただいま久保田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  107. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 全会一致と認めます。よって、久保田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、玉置総務庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。玉置総務庁長官
  108. 玉置和郎

    国務大臣玉置和郎君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を踏まえ、人事院とともに検討をいたしてまいりたいと存じます。
  109. 岩本政光

    委員長岩本政光君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十四分散会