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1986-04-24 第104回国会 参議院 対フィリピン経済援助に関する調査特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年四月二十四日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  四月二十三日     辞任         補欠選任      上田耕一郎君     内藤  功君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         田中 正巳君     理 事                 石井 一二君                 海江田鶴造君                 平井 卓志君                 久保  亘君                 黒柳  明君     委 員                 岩動 道行君                 岡野  裕君                 志村 哲良君                 杉元 恒雄君                 西村 尚治君                 林 健太郎君                 星  長治君                 村上 正邦君                 矢田部 理君                 安恒 良一君                 和田 静夫君                 服部 信吾君                 和田 教美君                 近藤 忠孝君                 内藤  功君                 関  嘉彦君                 秦   豊君    国務大臣        外 務 大 臣  安倍晋太郎君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       平泉  渉君         —————        会計検査院長   大久保 孟君         —————    政府委員        警察庁刑事局長  仁平 圀雄君        防衛庁装備局長  山田 勝久君        経済企画庁調整        局長       赤羽 隆夫君        法務省刑事局長  岡村 泰孝君        外務省アジア局        長        後藤 利雄君        外務省経済協力        局長       藤田 公郎君        外務省条約局長  小和田 恒君        大蔵大臣官房審        議官       亀井 敬之君        大蔵省国際金融        局長       行天 豊雄君        国税庁調査査察        部長       日向  隆君        通商産業省通商        製作局長     黒田  真君        通商産業省貿易        局長       村岡 茂生君        通商産業省機械        情報産業局長   杉山  弘君        資源エネルギー        庁公益事業部長  山本 幸助君    事務局側        常任委員会専門        員        桐澤  猛君    説明員        会計検査院事務        総局第五局長   秋本 勝彦君    参考人        海外経済協力基        金総裁      細見  卓君        海外経済協力基        金理事      熊谷 和秀君        国際協力事業団        総裁       有田 圭輔君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○フィリピンに対する経済援助等に関する調査     —————————————
  2. 田中正巳

    委員長田中正巳君) ただいまから対フィリピン経済援助に関する調査特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十三日、上田耕一郎君が委員を辞任され、その補欠として内藤功君が選任されました。     —————————————
  3. 田中正巳

    委員長田中正巳君) フィリピンに対する経済援助等に関する調査を議題といたします。     —————————————
  4. 田中正巳

    委員長田中正巳君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本日、本件調査のため、海外経済協力基金総裁細見卓君、同理事熊谷和秀君及び国際協力事業団総裁有田圭輔君参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 田中正巳

    委員長田中正巳君) それでは、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 久保亘

    久保亘君 参議院予算委員会において、安倍外務大臣中曽根総理大臣も、今回のいわゆるマルコス疑惑解明については徹底的に行うべきだという決意を御披瀝になっております。しかし、昨日開かれました衆議院特別委員会での政府側答弁の要点を見せていただきました。それによりますと、どうもマルコス疑惑認識の仕方に大変問題があるのではないかと私は感ずるのであります。  この問題は、政府側では、第一義的にフィリピンの問題である、フィリピン政府が先にこの問題を解明すべきだという御主張が非常にきのうは多かったようでありますが、これは基本的にこの問題に関する解明の姿勢や対外経済援助の見直しをしていくに当たっての政府立場構え方に私は誤りがあるのではないかと思うのであります。  この点について、日本政府自体が今回のこの対外経済援助の絡んだいわゆるマルコス疑惑については積極的にみずから解明すべき責任を持つものであり、日本国民フィリピン国民に対して、この対外経済援助に絡んで問題が起きていることについては政府責任としてきちっととらえておかなければならないと私は思いますが、この基本的な認識の仕方について大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
  8. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) マルコス文書が発表されまして、いわゆる日本経済援助をめぐりましてフィリピン政府と業界との間の疑惑が表に出てくる、こういうふうな事態に相なりました。日本政府といたしましては、こうした援助をめぐる疑惑が出てくる、そして援助に対する信頼感国民から失われるということになり、また相手国から批判を受けるということになればこれはゆゆしいことであって、何としてもそうした問題については解明をしていくことが大事である、こういう基本的な立場で私も解明をすべきであるし、政府としてもこれに対してできるだけ御協力を申し上げたいということを申し上げてきたわけでございます。  そして、今もそういう気持ちは変わっていないわけでございますし、同時にまた、これから援助を積極的に開発途上国に対して行っていくという日本立場からすれば、こうした問題を解明する中で、これからの援助あり方についてもやはり改善をすべき点は改善をしていくということが日本政府責任じゃないか、これもそういうふうに思っております。この点についても変わっておらないわけでございます。  ただ、問題がいろいろと進むにつれまして、今お話もございましたように、フィリピン政府とこれを受注した企業、そしてこれは日本企業相当受注をしておるわけでございますが、その関係で問題がある、疑惑が出ておるということで、問題のやはり本質といいますか、主題というのがフィリピン政府受注をした企業との間にある、そういう事態も明らかになってきておる、そういうことで真相解明は第一義的にはやはりフィリピン政府でこれは行われるべきであるということを言っておるわけでございます。  同時にまた、日本政府として協力はしなきゃならぬということも申し上げておるわけでございますが、外交関係の壁もありまして、我々はそういう配慮というものもせざるを得ないということにつきましても御理解を得たいということを申し上げておるわけでございます。基本的にこの問題については、解明が進んで、そして援助あり方というものについて我々もやはり改善をすべき点は改善していかなきゃならないという気持ちといいますか、考え方については、これは変わっておらないということを申し上げたいと思うわけであります。
  9. 久保亘

    久保亘君 この問題は、日本政府日本国民に対する責任、そしてフィリピン国民に対しても大きな責任を感じなければならない問題だと思うのでありまして、そういう意味では、今外務大臣が言われましたように、第一義的にフィリピンの国内問題であるというとらえ方ではなくて、はっきり日本政府責任としてこの問題を解明しなければならぬという立場を明確にして取り組んでいただきたい。その基本がないと、資料の問題にしても、証人の問題にしても、政府がどうしてもこの問題は外国の問題であるということで壁をしてしまうということが考えられるから、私は特にその基本認識について最初に伺ったのであります。  しかも、このマルコス不正蓄財日本経済援助が利用されて、その間に日本企業が介在したということは、マルコス文書調査分析いたしましたソラーズ委員会公表した文書サロンガ委員会調査資料などでかなり明らかになっているのであります。そして、既にフィリピンではオルドニェス検事総長によってマルコス、イメルダを初めとする関係者告発を受けたと報道されておりまして、その告発理由には、地位、権力、コネを利用し不正利益を得て国家に損害を与えた、外国からの軍事、経済援助専有着服不正流用をした、政府にかかわる契約や取引に絡みコミッションやリベートを受け取った、こういうことが告発理由になっておるのでありまして、フィリピンの国内においても、この問題は今後行政規律委員会において告発を受けて、日本からの経済援助による不正というものが一つの裁きの対象となっていくことが明らかになっているのであります。  そういう意味でも、この問題を日本フィリピンの問題として片づけることは絶対にできない。特に経済援助日本国民の税金や貯蓄を使ったものであり、しかもマルコスは去ってもこの借款返済フィリピン国民が負わされるのであります。したがって、この借款返済に当たって、リベートも含めて、不正な蓄財も含めて、将来にわたってフィリピンにこの返済の義務を生ずるということになれば、この問題に関して日本フィリピン国民に対しても迷惑を与えていくことになるわけでありますから、私はこの解明に当たっては日本政府一義的責任を明確にして取り組むべきものだと考えております。  そこで、この問題について最初解明に当たりましたアメリカ下院アジア太平洋小委員会の小委員長でありますソラーズ氏は、先般成田でインタビューに応じて、資産資料を読んで私が得た結論の一つは、マルコス政府は一口で言えば泥棒の集まりでした、自国の富を横領することしか考えていなかったのです、こういうことをソラーズ氏は言われております。そのことに関して、同じマルコス文書を受け取ってこれを検討された外務大臣並びに経済企画庁長官としてはどういう御感想をお持ちですか。
  10. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) マルコス政権あるいはマルコス前大統領に対しては、それはそれぞれの国の認識あるいは批判というものもあると思うわけでございます。日本としましても、マルコス文書につきましてはいろいろと今検討もいたしておりますし、さらにまたそれに関連をいたして出てくる企業等につきましても関係省庁事情も聞いておる、こういう状況にあるわけでございますが、この真相文書解明で、いろいろ出ておる問題点解明をされなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。  しかし、日本援助そのものが、マルコス文書によって今までやってきた援助全体が何か否定をされる、これが非常に何か悪くとられるというふうなことになると、これはまことに心外なことでありまして、マルコス政権時代には膨大な援助をもちろん行っておるわけですが、それはマルコス政権に対する援助ではありませんで、フィリピン国民に対する、国家に対する援助でございましたし、それはそれなりにフィリピン経済の再建あるいはまた国民の民生の安定に大きく裨益したものである、こういうふうに確信はいたしております。ただしかし、問題が今のマルコス文書の中にあることは事実でありまして、これは冷厳な現実の姿として我々はこれを解明していかなければならない、こういうふうに思います。
  11. 平泉渉

    国務大臣平泉渉君) 今言われておりますようなことが事実であるということになれば、これはもうフィリピン政治権力者としては極めて遺憾な行為であったと、そう認識せざるを得ないと思います。
  12. 久保亘

    久保亘君 そこで私は、このマルコス疑惑認識を明確にした上で、この疑惑解明具体的措置日本にとってますます国際的に役割が大きくなってまいります経済援助について、今後このような疑惑を生じせしめないためにどのようなことが必要なのかという観点でお尋ねをしたいと思うのであります。  この問題を最も端的に表現をしているのは、最近いろいろな雑誌等に引用されております自民党閣僚経験者言葉として述べられていることが、経済援助あり方考えていく上に最もその問題点をあらわしているものだと思うのであります。それは、援助の金は機密費みたいなものだ、どこの国へ幾らと国会で決めるわけじゃないし、どう使われているか国民にはほとんど知らされていない、おまけにもっとふやせ、もっとふやせだ、政治資金という卵を産む鶏としては飛び切り上等だよというのが、自民党閣僚経験者言葉として最近雑誌新聞等に使われているのであります。これが事実だとすれば、私はこの表現の中に、今日疑惑を起こしていく原因と、今後経済援助を見直すに当たって我々が考えなければならない問題点が非常にはっきりあらわれていると思うのであります。  そこで、担当長官であります経済企画庁長官に、先般長官経済援助というのは女房に渡した金の使い道がわからないのと同じようなものだということをおっしゃって、これが大変問題になりました。それで、長官謝罪をされてこの問題は一件落着したことになっているのでありますが、この表現というのは、経済援助実態を大変適切にあらわしておられることであって、その表現そのものは事実を誤って表現されたものではないように思うのであります。ただ、否定されるべき事実を肯定しようとしたから問題になったのであって、述べられたそのことは現在の経済援助に対する一つの重要な問題点表現されたものだという感じもするのでありますが、長官がおっしゃっておりましたこのことは、事実としては間違っていないとお考えになっておりますか。
  13. 平泉渉

    国務大臣平泉渉君) 伝えられております私の発言ということにつきましては、本院本会議におきましても謝罪をいたしておるわけでございますので、これ以上の私の発言は差し控えさせていただきます。
  14. 久保亘

    久保亘君 いや、私が今申し上げたように、雑誌に取り上げられております閣僚経験者言葉というのとも通ずる点があるのでございまして、そこに今の経済援助の大変大きな問題があるように思うんです。  そこで、今皆さんの方でも解明をしなければならぬということでいろいろおやりになっているようでありますけれども関係企業からの事情聴取にようやくきのうから何か少しずつ動きを始められておるようでありますが、関係企業からの事情聴取について、この対象とされている関係企業は幾つなんでしょうか。
  15. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) マルコス公表文書に出てまいります企業のうち、関係省庁お話を聞いた方がよいのではないかという企業を選びまして、先方もいろいろ準備の御都合もあるかと思いますので、こういうことを私どもとしては伺いたいということを御照会申し上げている状況でございまして、対象企業名前、数、照会しようと思っている内容等については、私ども全く任意の形でお話を伺うつもりでございますので、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  16. 久保亘

    久保亘君 聴取項目を既に相手方に渡してある、そしてマルコス文書公表されたものの中から事情を聞くべきと考えているところの調査をやるんだというなら、何社を対象にやっているのか、そしてどういう会社をやっているのか、せめてそれは説明されてもいいんじゃないですか。何もそれを秘密にしてやるような問題じゃないと思う、
  17. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) 現在、御承知のような状況でございますので、会社名前を特定をするということが何らかの意味を持って受け取られるような状況にございますので、その点は委員も御理解をいただけると思います。  項目は、マルコス文書に御承知のとおりいろいろの形で日本企業名前が出てまいります。その中で、私ども省庁考えまして、経済協力の効果的な執行という見地から、この点はちょっと伺っておいた方がいいと思う項目を選びまして伺おうと、こういうことにいたしております。
  18. 久保亘

    久保亘君 外務大臣、この事情聴取大臣が指示をされておやりになるものだと思うのでありますが、その文書に出てくる対象会社の中で、これこれについて、こういう項目について事情聴取すると言うことは、これはぐあいの悪いことですか。
  19. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは私がやるということよりは、四省庁が実はこの問題を扱っておるものですから——たしか参議院予算委員会でいろいろと御議論いただいた。その御議論を踏まえて我々としてもマルコス文書についてのいろいろ問題点をはっきりしなきゃならない、日本政府としてはっきりすべき点ははっきりしなきゃならない、こういうふうに考えて、四省庁で協議を進め、その結果、関係企業に対して質問状を発送して、そして場合によっては説明も聞く、今こういう体制をとってこれを進めておる段階にあるわけであります。
  20. 久保亘

    久保亘君 時間が限られておりますが、委員長事情聴取を行う関係企業について、その企業リストと、それから事情聴取項目を既に相手会社発送済みということでありますから、聴取項目、何々について聴取をするのか、今後私ともこの問題について内容にわたって質問をしていく上で非常に重要なことでありますので、その資料委員会として要求されるようお願いをいたします。
  21. 田中正巳

    委員長田中正巳君) ただいま久保君の申し出に係る件については、後刻理事会において協議いたします。
  22. 久保亘

    久保亘君 フィリピン政府が発表しないのに日本が先にいろいろの資料公表することはできないということをきのう衆議院でも再三言われておるのでありますが、これはどういう理由に基づくものであるか、その点と、それからもしフィリピンが先に発表しなければ日本政府は発表できないということ、二国間において相手が先に出さなければ出せないんだという取り決めになっているものとすれば、これは永遠に出てこないことになるわけです。そんなばかなことはないのであって、相手国を盾にしてこの疑惑解明に壁をするというやり方だと言われても仕方がないのでありまして、資料提出できない理由というのはフィリピン公表しないからという理由なんですか、そこをはっきりしてください。
  23. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) この問題につきまして、問題点を明らかにしなければならない、そういう立場から、できれば我が政府で入手しております企業名等につきましても明らかにしたいという気持ちを私も実は持っておりまして、この席でも答弁をしたわけでございます。しかし、問題をいろいろと点検しておるうちに、要するに疑惑実態というのがフィリピン政府フィリピン政府から受注をした企業との関係によるものである、すなわち一義的にはやはりフィリピン政府の問題であって我が国は当事者でない、こういうことでございます。したがって、そういう立場からいきますと、やはりフィリピン政府においてこうした資料等公表されない限りにおいては日本政府として発表する立場にはないということで、資料の提出につきましてはお断りを申し上げておる次第でございます。  この援助につきましては、相手国公表している国もあるわけでございますが、フィリピン日本との間におきましては、フィリピン政府公表していないということでございまして、したがって日本政府公表する立場にないということで、フィリピン政府公表がない限りこれはお示しすることができないということをしばしば申し上げておるわけであります。
  24. 久保亘

    久保亘君 それでは、フィリピン側が既に公表した資料については、これと対応する日本側が持っている資料公表されますか。
  25. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) フィリピン公表したということについて、その点について外交ルートを通じまして明らかになった場合においては、フィリピン政府公表したわけでございますから、我が国としてもこれを明らかにすることはもちろんやぶさかではないわけであります。
  26. 久保亘

    久保亘君 フィリピン側フィリピン側自主的判断公表することは何ら支障はないわけですね。
  27. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは基本的にフィリピン政府の問題であろう、こういうふうに私は思っております。
  28. 久保亘

    久保亘君 今まで日本側は、そのような資料は存在しないかのように、今のような論法でもって絶えず拒否されてきた。けさの報道には、そのことについて、フィリピン側の重要な円借款に伴うプロジェクトの責任者でありましたロドリゲス調達官インタビュー内容が明らかにされておりました。これに対して基金総裁コメントをされておりますが、この調達官インタビュー内容というのは、基金の側としてはコメントのとおりお認めになることですね。
  29. 細見卓

    参考人細見卓君) 私自身が聞いたことでもございませんし、えてして発言は部分的にクォートされていることも多うございますので、私自身が今何らかの意見を申し上げることではございません。きのういろいろなことのお話があったのは、ロドリゲスという人を知らないか、その人とタッチしていないかと言われ、これは相手方担当者でございますから、私の方の係は連絡をしょっちゅうとっておりますということは申し上げたわけです。
  30. 久保亘

    久保亘君 そうすると、ロドリゲス調達官のいろいろなマルコス日本のOECFとの間に往復した書類というのは、彼が証言をしているようなことではないということですか。
  31. 細見卓

    参考人細見卓君) 先ほども申し上げましたように、証言しておる内容についてつまびらかでございませんから、今コメントを申し上げるのは差し控えたいと思います。
  32. 久保亘

    久保亘君 そのつまびらかでないというのはどういう意味ですか。私は聞いていないということですか。
  33. 細見卓

    参考人細見卓君) ロドリゲスさんが向こうで話したと言われることについては、私は直接に何も承知しておりません。きのう申し上げたのは、ロドリゲスというのとおまえはコンタクトがないのかという話につきまして、基金事務当局相手方としてのロドリゲスと接触はございますと、ただ私が直接接触いたしておりましたのはNEDAの長官とかビラタ総理でございましたので、その辺についてはおわかりいただけるかと思います。
  34. 久保亘

    久保亘君 基金との間に直接いろいろ交渉を持ってきた調達官である彼のところから明らかにされている書類というのは、これはフィリピン政府がそれらの文書を明らかにしたものというとらえ方で外務大臣いいんですね。
  35. 細見卓

    参考人細見卓君) 私どもの内部の資料が、どうした関係か出ているのかもしれませんけれども、私ども承知しておる限りでは、公表されたものとは承っておりません。
  36. 久保亘

    久保亘君 公表されたものとは承っていないというのは、それはどういうふうに解したらいいんですか。現にあなたの方もそういう文書が出ているということについては承知されているわけでしょう。
  37. 細見卓

    参考人細見卓君) ロドリゲス相手方調達官でございますから、入札の書類とかそのほかのことにつきまして連絡を受けております。当然のこととして、ディアーオフィシャルとかなんとかいう言葉がついて、これこれのものを送るというような手紙は来ておりますけれども、それ以外の向こう側の事情にわたるようなことは私ども承知する限りの事柄ではございません。
  38. 久保亘

    久保亘君 そうするとあなたの方で、契約事項に関する資料とか、それから入札の交渉の経過とか、そういうものはフィリピン側のいろいろな主張や向こうの文書もあわせて全部お持ちにはなっていないわけですか。
  39. 細見卓

    参考人細見卓君) 御存じのように、調達を直接実施いたしますのはフィリピン政府であり、フィリピン調達官でございますから、入札あるいは契約について、こういう契約をするとか、こういう入札をやったとかいうような種類の連絡は受けております。そういうものは、フィリピン政府のものを私どもが写しのような格好で連絡は受けております。
  40. 久保亘

    久保亘君 それらのものをいろいろと審査をした上で最終的に契約が締結されるんじゃないんですか。向こう側の文書を一応もらっていることはもらっているが、何かそれは大してわからぬような話では困るのでありますけれどもね。
  41. 細見卓

    参考人細見卓君) 前にもこの席で申し上げましたけれども、私どものやっております仕事と申しますのは金融機関のような役割でございますので、最初に事業計画書というものをもらいまして、これは政府政府との間で協定されました交換公文に基づく事業でございまして、その中身が、こういうふうに事業をやっていく、事業はこういうものだというのがございます。そして、それに伴いまして私どもフィリピン政府に、その範囲のことであればフィリピン政府に支払いをする用意があるということを銀行に連絡いたしまして、基金基金で、妙な言葉でございますが、私どもの、いわば銀行、金融機関がそれに応じて支払いをし続けていく。つまり、普通の商取引の船荷証券というものがありまして、それに見合って支払いが行われる状態でございますので、そういう種類の、つまり援助が計画に従って円滑に進捗しており、またその進捗度合いに応じて金の支払いが行われるように保証しておるわけでございます。
  42. 久保亘

    久保亘君 そうすれば、それらの資料は、もしこれを提出することが認められれば提出することは可能なんですね。
  43. 細見卓

    参考人細見卓君) 私どもといたしましては、これはフィリピン政府相手受注企業との間の私的な、我々の立場から見ますと私的なあるいは個別的な契約とでも申しますか、そういうものでございますから、金融機関としては、そういう信書の中身というようなものを、あるいは相互の契約というものを披露するのは適当でないと私ども考えております。
  44. 久保亘

    久保亘君 通常の場合、そういう御主張ももっともだと思うのであります。しかし今回は、あなたの方の基金から借款として出された、その経済援助の金をめぐっていろいろと解明しなければならない疑惑がたくさんあるわけですね。だから、そういう疑惑解明していくために必要な手段として求められる場合、可能な限りそれらのものは提出せられるべきものだと思うんですが、そういうことでお聞きしているんです。
  45. 細見卓

    参考人細見卓君) 御質問の趣旨はよくわかりますけれども、これはあくまで私どもとしましてはほかの国に対する信義の問題もございますから、つまり基金に渡した書類というのは、いつ、どういう格好で外へ出てしまうかもわからないということになりますと、私どもの信用にもかかわることでございます。ただ、大きな国政の問題としていろいろ処理なさり、あるいは日本フィリピンとの間で話し合いがついたり、あるいは政府から直接の命令を受けたようなことになりましたら、その段階で考えさしていただきたいと思います。
  46. 久保亘

    久保亘君 先ほど資料の提出について委員長理事会での協議というお取り計らいをいただきましたけれども、ただいまの基金資料の問題も含めて、これだけこの問題の解明に必要な資料の提出というものが一切政府側から拒否されるということになれば、この委員会で問題を解明していくことは大変困難なことであります。  私は先ほど、特に今、四省庁事情聴取を行われようとしている企業についても資料が出せないということで委員長にお願いをしたのでありますが、この問題については、当院の予算委員会において既にこの一部のものについては事情聴取対象として明らかにされているものだということでありますので、部分的にそういうことで明らかにされたものが、全体を明らかにされないということでは大変問題ではなかろうかと思うんですが、ひとつ委員長の方でちょっと御協議を願って、先ほど申し上げました問題についての対象企業については、ここで御報告をいただくようにしていただきたいと思います。
  47. 田中正巳

    委員長田中正巳君) ただいまのお話については、そうしたことを踏まえて理事会で協議をいたすのですが、今ここでにわかに議論をしても結局らちが明かぬと思うんだが、一体ここでもって何かやらなきゃならぬですか。——ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  48. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 速記を起こして。
  49. 黒田真

    政府委員(黒田真君) 予算委員会の御審議の過程で、企業から事情を聞くという問題が出てまいりまして、一部新聞で報道されましたように、東陽ほか三社から通産省が事情を聞いたという点について御質問がございました。この企業から事情を聞いた件は、たまたまその新聞記事が私どもの行っております輸出管理の、若干細かいことになりますが、承認書の中にある記載を行った、あるいは行わなかった、虚偽の記載を行ったのではないかという極めて形式的に、私ども考えますとあり得ないような事実の報道が行われていたということと関連をいたしまして、輸出管理を行っております当局と申しますか、私どもの部局がその関係者から、そのことはなかったはずだがそのとおりだろうなといったような意味での外為法上の輸出管理に係る事実の確認というものに限って聴取をしたということをお答えした経緯はございます。  しかし、本件円借款マルコス文書に係る事実に関する企業事情聴取につきましては、昨日からもお答えし、先ほども外務省経済協力局長がお答えいたしましたように、四省庁が共同をいたしましてここで聴取の段階に入りつつある、こういうことでございます。
  50. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) ただいまの通商政策局長の御答弁に補足しまして、会社の数でございますが、予算委員会の過程で数が出たではないかというお話がございましたが、これは、外務省につきましては、新聞等名前の出ました企業の方から自発的に、自分の名前が新聞に報道されているけれども、私どもはこういう事情でございますと言って、私ども特にお願いしなかったんですが、先方から説明に来られた会社がございますと、そのお話は喜んで伺いましたと、その会社の数が三社でございますということでございます。それから通産省はそのほかにも聞いておられたということで、合計すると七社になるということで七社という数があると、こういう状況でございますので、結論はただいまの通政局長の御答弁と同じでございまして、四省庁でこれからお話を伺うという会社対象等々は特に一致しているものでもございませんし、今まで申し上げた数というのはそういう種類のものだということで御理解いただければと思います。
  51. 久保亘

    久保亘君 これは四省庁別々におやりになるんですか。各省庁で数も一致していないというのは、それぞれおやりになるんですか。
  52. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) それぞれやりますと、非常に企業の方にも御迷惑をかけて困るだろうということで、四省庁で一緒にお話を伺おうということで、いろいろ内容を調整している状況でございます。
  53. 久保亘

    久保亘君 数が違うのはどういうわけですか。
  54. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) 数が違うと申しますのは、四省庁で一緒にやる仕事というのはこれから始まるわけでございまして、今までの話というのは、私どもが自発的に説明に来られた方のお話を伺ったのが三社だということで、全然違う話でございます。
  55. 久保亘

    久保亘君 それならば、四省庁聴取項目に基づいて事情聴取を行われたら、この問題を調査するために、その事情聴取の結果については御報告いただけますか。
  56. 黒田真

    政府委員(黒田真君) 従来の御議論あるいは御答弁申し上げておりますところの延長線上で、なかなか個別の点について御報告するというわけにはまいらないかと思いますが、概括的な状況につきましては、四省庁よく相談をいたしましていずれ御報告できるものと考えております。
  57. 久保亘

    久保亘君 そういうあなた方の考えは、私が一番最初にお尋ねした今度の対外経済援助をめぐるマルコス疑惑についての基本的な姿勢をどこに置くかということとかかわってくるのでありまして、事情は聞くけれどもその内容については報告できない、こういうことではこの問題の解明を行うことはできないと私は思っているんです。  そしてまた、今までなぜこういう問題が積年の弊としてずっと起こってきているかといえば、例えば通産省は五十七年に日比友好道路を中心にして経済援助の効果についての調査研究を委託してやらしたはずです。この報告書もちゃんとしたものが出されておって、その中には提言もあります。非常に厳しい見方も書かれておりますが、こういう報告書についても一切外へ出さない、都合の悪いものは外へ出さない、こういうことでは私どもはこの委員会の審議を進めることが非常に困難になるわけなんで、この問題にかかわって事情聴取を行ったものを報告しないということはなかろう。これはきちんと報告をしていただきたいと思うんですが、通産大臣おられぬけれども、四省庁合同でおやりになるんですから、大臣の方でこれにちょっと責任を持ってもらいたいと思うんです。
  58. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 四省庁でまとまって今調査を進め、またいろいろと話をこれから聞くわけでございますが、今通産省の局長から答弁をいたしましたように、これ、何も御報告しないというわけに私もいかないと思います。ただしかし、一社一社挙げて具体的にということになりますと、また会社の名誉にも関するわけでありますし、なかなかその辺は難しい問題があると思いますが、しかし全体的に、概略的なものはこれは当然私は御報告は申し上げなきゃならない筋合いのものじゃないか、こういうふうに思っておりますが、私が代表して答弁するという立場にありませんけれども、閣僚といたしまして、そういう形でとりまとめをいたして御報告をするようにいたしたい、こういうふうに思います。
  59. 久保亘

    久保亘君 時間がありませんが、平泉長官、あなたは衆議院で交換公文の適正使用条項に違反するような支出については返還を求めるようなことも考えなければいかぬと御答弁になっているようでありますが、この交換公文の中における適正使用条項というのはどういう内容になっておりますか。その条文をちょっと説明してください。
  60. 平泉渉

    国務大臣平泉渉君) 今のお話で事実がちょっと違うところがあります。私が言ったのは借款契約ですわ、交換公文じゃなくて借款契約の問題でございます。ちょっとその点だけ。
  61. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) 交換公文上におきましては、「事業計画借款及び商品借款が、適正にかつ専ら」、この前の条項を引きまして、この「生産物又は役務を購入するために使用されること。」と、こういう条項がございます。それで、不正使用の場合、適正使用でない場合につきましての即時返還の規定というのは借款契約の方にあるわけでございます。
  62. 久保亘

    久保亘君 それでは基金の方、借款契約でどういうふうになっておりますか。
  63. 細見卓

    参考人細見卓君) これは普通の借款契約と同じでございまして、資金が目的に従って使われないときには期限猶予の利益を与えない、あるいは即時返還を求めるということがあるということを約束しておるわけでございます。
  64. 久保亘

    久保亘君 今の点について基金としても調査を行っているようにきのう衆議院で述べられておりますね。調査の上、不正なものがあれば借款契約に基づいてそういうようなことも考えなければならぬ、こうなっておりますが、調査をされている対象プロジェクトは何ですか。
  65. 細見卓

    参考人細見卓君) 現在のところ、フィリピンでいろいろな動きがあるわけでございまして、先ほども申し上げましたとおり、フィリピンで何が起こったかということを今私どもはいろいろな筋を通じて情報を承り、また四省庁日本側企業からも事情聴取されるときには我々もそれに参加させていただきたいということを申し入れております。
  66. 久保亘

    久保亘君 特別なプロジェクトについて、現在そのようなことの有無について調査をされているということではないんですか。
  67. 細見卓

    参考人細見卓君) うわさされておりますプロジェクトにつきまして、あらゆる方面から情報を集めており、なかんずくフィリピンでの推移をよく見守っておるところでございます。
  68. 久保亘

    久保亘君 うわさされているというのはどの借款契約に関するものですか。
  69. 細見卓

    参考人細見卓君) ただいまソラーズ・ペーパーとして公表されておりますものにつきまして、そういうことが本当なのかどうか、フィリピンでの調査を見守っておるところでございます。
  70. 久保亘

    久保亘君 フィリピン調査を見守っているというのは、向こうの調査結果が出るまで基金として特別何もやっていることではない、こういうことですか。
  71. 細見卓

    参考人細見卓君) 先ほども申し上げましたとおり、私どもは、フィリピン政府あるいは政府の事業を執行しておる人たちに対して、先ほども申しました、一般的には信義、誠実と申しますか、約束を、公正履行というような契約に基づいてお金を貸しておった。ところがフィリピンの方で、それがいろいろあるんだ、あるいはソラーズの報告でそういうことがあるんだという話になりますれば、フィリピン政府が本当にそういうことであったかどうかということを見守って、それから我々の態度を決めることかと思います。
  72. 久保亘

    久保亘君 最後に外務大臣、今回のこの疑惑を通じて、経済援助の根本にかかわって見直すべき問題というのはどういう点だというふうにお考えになっておりますか。
  73. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 相手国もあることですからなかなか面倒な点もあると思いますが、しかし援助が確実に実施をされる、適正に実施をされるということを確認するといいますか評価をするといいますか、それがやはり一番大事なことではないだろうか、こういうふうに思っております。いろいろと手続とか相手国との間の契約の問題とか、そういう点等もあると思いますが、全体的にそういうことについていろいろと改善すべき点があれば、これは当然検討していかなきゃならぬと思います。本質的には、援助というものが確実に実施される、適正に実施されるということが担保されるということが必要じゃないか、そういうふうに思います。
  74. 和田静夫

    和田静夫君 いわゆるマルコス疑惑に対する日本政府の対応でありますが、どうもきょうの論議を聞いていても昨日の衆議院の論議を聞いていましても、政府側の姿勢というのは、参議院予算委員会以降、大変閉鎖的になってきたというような感じを強くいたします。中曽根総理もあるいは安倍外務大臣真相究明を実は本院の予算委員会で約束をされた。ところが、委員会資料要求には相変わらず政府は全く応ぜられようとしない。あるいは、今の答弁の若干の混乱にも見られましたように、予算委員会答弁した線をすら下回るような姿勢をとる、こういうことは許せないと私は思うのであります。また、今後の円借款の供与をカードにしながら、フィリピン政府に対して、日本の野党が資料を要求しても個々には渡さないようにしてもらいたいなどというような話がどうも出ているようなことまで我々はうわさとして聞く。したがって、外務大臣、よもやそんなことがないだろうと思いますが、姿勢をまず聞いておきたいのであります。  マルコス疑惑解明フィリピンへの今後の円借款供与と結びつけられて、そしてフィリピン政府疑惑解明が鈍るということ、こういうことは絶対にあってはならないことだと思いますが、いかがでしょう。
  75. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いわゆるマルコス疑惑といいますか、今回の問題についての解明が、もちろん日本においても行われなきゃならぬと思いますし、フィリピンにおいては当然行われておると思うわけでございます。これはこれとして続けられると思いますが、同時にまた、日本フィリピン・アキノ政権に対する基本的な姿勢は、これまで政府がしばしば申し述べておりますように、これからの友好国としての協力関係を強化していきたい、こういう姿勢には変わりありません。
  76. 和田静夫

    和田静夫君 総論的な部分については、私は既に参議院予算委員会で論議を展開いたしていますからきょうは省略をいたしまして、我が党の今の代表の質問を継続する意味で具体的な問題に入りますが、一九八三年一月三日付でフィリピン公共事業・道路省からOECFあて書簡が出ています。  この書簡は、河川改修のしゅんせつプロジェクトナンバー2。このプロジェクトの目的、所要資金、基金の承諾額、交換公文の締結日、受注企業名、明らかにしてください。
  77. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) お答えいたします。  河川改修しゅんせつ事業ナンバー2にかかわる公共事業・道路省からの今先生御指摘の書簡は一応受領しております。ただし、本件も個別契約にかかわる問題でありますので、その内容等については、またその書簡も私今初めてお伺いしましたので、よくわかりませんので、御返答は差し控えさせていただきたいと思います。
  78. 和田静夫

    和田静夫君 交換公文は七八年の九月、所要資金は三十九億三千六百万円、OECF承諾額は二十四億二千九百万円、契約の企業は東陽、太平、酒井重工業、丸紅、そしてこの書簡の内容は、一億七千五百万円余り、残額は丸紅による附属品、スペア部品の購入に充てたい、丸紅と直接の商談をする、そういうことをリクエストする、こういうことになっていますが、これはお認めになりますね。
  79. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) 先ほど申し上げましたように、内容についてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
  80. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 速記をとめて。    〔午前十一時二分速記中止〕    〔午前十一時十二分速記開始〕
  81. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 速記を起こして。
  82. 和田静夫

    和田静夫君 あなた方のところへ来ている書簡をさえここで明確に答弁をしないという、そんなに隠さなければならないほど疑惑に満ち満ちているんですか、ますますその疑いを呼ぶだけであります。私の方できょうは問題を提起しておきますが、今の問題は理事会に預けます。  総額二十四億二千九百万円のうち一億七千五百万円が余った。フィージビリティー調査やOECFの審査がかなりずさんだということをこのことは証明している、私はこう思うんです。それとも借款供与に当たってはこの程度の予備費を見込んでいるということでしょうか。ここのところは答えられますか。
  83. 細見卓

    参考人細見卓君) できるだけ正確に努めておるつもりではございますけれども、なかなか経済事情の激変その他を予測できずに、時に余り、時に不足することがございます。
  84. 和田静夫

    和田静夫君 この一月三日付の書簡についてOECFはどういうような返事をされましたか、返事を出した日付、内容。あなたの方が出したんだから、今度は。
  85. 細見卓

    参考人細見卓君) 書簡については云々する立場にはございませんけれども、事業に追加を認めたことは事実でございます。
  86. 和田静夫

    和田静夫君 だから、その日付と内容というのは。これはあなたの方が出したことですからね。
  87. 細見卓

    参考人細見卓君) 突然の御質問で、今ちょっとここに記憶いたしておりません。
  88. 和田静夫

    和田静夫君 これは前々から予算委員会外務大臣との間で約束がありまして、公の場所で言えないものを質問者個々に対して誠意を持って対応するという約束に予算委員会でなっていますからね、これは総理もいらっしゃるところでの話でございますから。したがって、今のはここでお持ちにならぬというのならば後ほど私のところに届けてもらいたい、よろしいですね。
  89. 細見卓

    参考人細見卓君) 外務大臣のお約束ということでございますから、外務大臣の御指示を得て御連絡いたしたいと思います。
  90. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ外務大臣
  91. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 資料につきましては、政府としてはできるものはお出しをする、どうしても外国との関係でできないものはお出しすることはできないという建前でございますが、同時にまた、こういう国会の場でございますし、真相解明しなきゃならぬということで、誠意を持ってそれには対応したいということは申しておりまして、基金の方と相談いたしまして差し支えないという限りにおいては御協力はしなきゃならぬ、こういうふうに思います。
  92. 和田静夫

    和田静夫君 今のことでしっかり、これはおたくが出した文書のことですから知らしてもらいたい。  そこで、余ったら日本に返すのが当たり前だ、こういうふうに考えるんですが、外務大臣どうですか。
  93. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) 交換公文及び貸付契約で約束をいたしております額は限度額ということでございまして、実際の契約は、通常は当然のことながらそれより以下で公開入札で決定されます。実際に貸し付けが行われる額というのは、その契約に基づいて実際に今度は支出をされた額でございまして、その残りの部分、残額と今委員がおっしゃいましたけれども、この残額という部分は貸し付けられないということでございまして、先方から返す云々という問題は起こってこない額でございます。
  94. 和田静夫

    和田静夫君 前提の書簡の問題がきょう消えた論議になりますから、今の論議については私は、附属品であろうがスペア部品であろうが、当初の借款供与にないものを買うというのはおかしい、そういうことを申し上げておきます。  その後、一月十八日付でロドリゲス氏から丸紅に書簡が出されているんです。翌十九日には丸紅からロドリゲス氏に返書が出ています。そして二十一日にはマルコス氏に概要の報告がなされています。この報告でおかしいのは、附属品が四千百五十六万二千円、スペア部品が一億二千九百四十万九千百七十六円となっていて、そのトータルは一億七千九十七万千百七十六円、四百万円ほど数字が合わないんですが、ここのところはOECFはどういうふうにお考えになりますか。
  95. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) お答えいたします。  先生から今初めてお聞きしましたので、私、今調べておりませんので、調べて御返事いたします。
  96. 和田静夫

    和田静夫君 では調べて返事をください。  そこで外務大臣、このプロジェクトだけでなく、バターンの下水道改修工事でもカガヤン電化でも国鉄整備でも不用額が予定以外に使われているということになるんです。これはどうも見積もりの上に上乗せ分があるということじゃないかというふうに思うんですが、どうですか。
  97. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ちょっとその辺の具体的なところは経済協力局長から答弁させていただきます。
  98. 細見卓

    参考人細見卓君) 御案内のように、交換公文が国と国との約束をしたあるプロジェクトについてマキシマムの貸付額でございます。その中で、私どもが追加的に認めたと今御指摘になっておるようなものは、おおむねそのプロジェクトの中で、例えば部品について一年分を予定しておったわけですけれどもフィリピン状況、またメンテナンスを考えますと、なかなか部品を調達するというようなことが難しい事情が間々ございます。そういう意味で、部品の調達というようなことに関しましては、追加して大きなプロジェクトの精神の中でといいますか、プロジェクトの枠の中で考えられるものについては追加購入を認めておるケースもございます。
  99. 和田静夫

    和田静夫君 OECFね、今私が挙げたすべてのプロジェクトについての見積もりの詳細を資料提出していただきたいんですが、これはできますか。
  100. 細見卓

    参考人細見卓君) 相手国政府文書でございますから、残念ながら御提出はできません。
  101. 和田静夫

    和田静夫君 委員長、これは理事会に預けます。今の資料要求は預けておきます。よろしいですね。
  102. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 後刻理事会で協議いたします。
  103. 和田静夫

    和田静夫君 一九七九年十一月の第八次円借款の中に十一億円で情報・教育全国普及というプロジェクトがありますが、この主要な内容はVTR再生装置を九百二台入れるという内容。このプロジェクトも大変奇異でありまして、円借款の供与が決定をされ、交換公文が取り交わされたのは七九年十一月です。ところが、それに先立つ一九七五年十月二日、マニラでソニーの盛田社長とマルコス前大統領夫妻とが、フィリピン国内での情報伝達システムとしてソニーのビデオシステム、ベーターマックスを導入することを決定、正式に調印した。これは社内報「SONYNEWS」七五年十月に記されているのでありますが、これは調印式の写真もあります。  それで、これは全く奇妙なことでありまして、最初にソニーのフイリピンへの売り込みがある、その後に円借款がつく。一九八三年七月五日の「タイムズ」という社内報には、企画推進部の正田という課長さんが、「今回の日本政府経済協力に依るローンプロジェクトは長い時間を賞しました。」「今後も、このような公的機関による大・小案件をたくましく開拓、推進していきたい」と書いています。  これは外務大臣、私は参議院予算委員会で何遍も言ったことでありますが、ソニーの商売のために円借款が利用される、こういう仕組みを如実にこの写真と一連の社内報は物語っているんですが、いかがお考えになりますか。
  104. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 具体的な案件につきまして私も詳細は存じておりませんが、商売に直接結びついているというよりは、フィリピン政府の要請があって、それに対して日本政府が協議をしてこれにこたえた、こういうことではないかと思いますけれども局長の方からその経緯については説明をさせます。
  105. 和田静夫

    和田静夫君 いいです。そこのところは大体予算委員会の繰り返しの答弁しか出てこないでしょうから、少し進めます。  この課長さんは実に正直なんで、こういうふうに言っているんですね。「これにより、フィリピン国民の教育を目的とするビデオによるネットワークは、全てソニー製品で占められ、フィリピンにおけるソニーの地位をより強固なものにすることができました。」、こう述べているんです。これは商売のために円借款が利用されたと言わなくてどういうふうに表現したらいいのだろうかというふうに私は非常に疑問に思います。したがって、ここまでのことを含んで、大臣が言われたように局長からちょっと答弁をもらいましょう。
  106. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) ただいま先生が御指摘になりました教育・情報普及計画、これは八〇年六月二十日に交換公文が署名されておりまして、限度額が十一億円、全国の市町村にVTR再生装置等を導入し、経済開発の意義、計画実績に関する広報活動を行い、国民経済開発に関する理解を深めるとともに、食糧、医療、住宅、環境等の社会開発に必要な知識技術の普及を図ろうとするものであるというふうに承知いたしております。それで、それに基づきまして円借款の供与が行われました。  ただいま委員が御指摘になりましたソニーの社内報というのを私実は読んでおりませんので、早速取り寄せまして精査をいたしまして、不適当とただいま委員の御指摘になりましたような状況があるということであるならば、それに応じて対応してまいりたいと思います。
  107. 和田静夫

    和田静夫君 このソニーとマルコス氏との関係は非常に興味深いものがありまして、ディーラーの会合にイメルダ夫人が出席をしたり、マルコスジュニアがソニーの工場を表敬訪問するなどというエピソードに事欠きませんが、きょうは深入りをいたしません。  ここでも、このプロジェクトに関するOECFの見積もり及び審査の詳細を求めておきます。これもどっちみち理事会ということになりましょうから、委員長理事会に預けますが、よろしいですか。
  108. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 心得ました。
  109. 和田静夫

    和田静夫君 これはフィリピン政府公表してもよいと言えば出す、先ほど来一連の答弁はそういうふうに承っておいてよろしいですか、外務大臣
  110. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) フィリピン政府公表をすれば、これはもうフィリピン政府公表するわけですから、日本政府としてこれを明らかにすることは何ら差し支えない、こういうふうに思います。
  111. 和田静夫

    和田静夫君 これは政府統一見解を私は参議院予算委員会でいただいているわけでありますから、くどくどそれ以上申し上げません。  そこで、交換公文に実は「両政府は、この了解から又はそれに関連して生ずることのあるいかなる事項についても相互に協議する。」と、こうあるんですね。したがって、これぐらい皆さん方が隠ぺいされようとする疑惑が一方ではある。したがって、この交換公文に基づいて比例と協議をする、そのことがもう必要だと思うんですね。予算委員会では、もう外務大臣答弁というのは初めの方は非常によかったんです。問題は、一体その後フィリピンと協議をされたかというところへくると、どうも衆議院の様子を聞いているとやった様子がない。今必要じゃない、こう言われるんだが、歴然として交換公文にこのことがうたわれているわけでありますから、フィリピンと協議をされる、このことをきょうは約束していただきたいと思いますが、いかがですか。
  112. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 一番初め予算委員会和田さんの御質問を聞いたときは、私はもっともだと実は思いまして、これはやはり明らかにするところはしなきゃならぬ、これは政治家として、日本政府として当然だ、こういうふうな姿勢でこれは思ったわけでございます。できるだけお答えしなきゃならぬ、そういうふうに思っておりましたが、やはり外交という立場相手の国との関係をいろいろと検討しますと、なかなかそういうふうにもまいらぬ。特に今度の事件というのが、どうしてもフィリピン政府を主体にして起こっておるということで、やはりフィリピン政府資料等公表しないと日本政府がこれに対して対応できないということになって、そういう立場でお答えせざるを得ないということになっておるわけでございますが、しかしこれから問題をいろいろと詰めて、どうしてもやはりフィリピン政府との間で相談をしなきゃならぬということになれば、これは当然協議もいたさなければならない。そういう問題が起これば協議をいたさなきゃならぬと思いますし、またフィリピン政府の要請があればこれに対して日本政府としても協力はいたさなきゃならぬ、こういう考えております。
  113. 和田静夫

    和田静夫君 外務大臣、もう一歩突っ込んで、せっかくあなた方の円借款に関するところの交換公文の中に、「6 両政府は、この了解から又はそれに関連して生ずることのあるいかなる事項についても相互に協議する。」とあるんですから、これはもう協議をされる、当然のところへ来ていると思うんです。もう決断だけですよ、大臣の。
  114. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは交換公文に確かに「両政府は、この了解から又はそれに関連して生ずることのあるいかなる事項についても相互に協議する。」と、こういうふうにありますから、交換公文に従って両国で対応していくことは、これは交換公文でお互いに合意しているわけですから当然だろうと思います。
  115. 和田静夫

    和田静夫君 その結果をこの次まで待ちたいと思います。  プラ協に入りますが、プラント協会。会計検査院長、前に、検査のやり直しをされるという約束になっているんですが、やり直しされましたか。
  116. 大久保孟

    会計検査院長(大久保孟君) 先日、先生からそういうお話がございまして、その後の検査の実施状況につきましては担当局長から説明させていただきます。
  117. 秋本勝彦

    説明員(秋本勝彦君) お答えいたします。  四月四日に当院の予算委員会におきまして先生から御質問をいただきましたので、できるだけ早く実地検査を実施しようと思いまして、出張計画の調整をいたしまして、ただいまはその準備作業といたしまして、通商産業省の方から本院に提出されております補助金支出関係書類の整理あるいは通商産業省の方から既に幾つかの書類どもいただいて検討しているところでございます。
  118. 和田静夫

    和田静夫君 私はこの協会がさまざまな問題を抱えていると考えていますので、予算委員会に引き続いてきょう取り上げ、さらにきょうも第二禅的なもので突っ込んで、将来にわたってやり続けますが、きょうはそのうちの二点だけちょっとやっておきます。  まず第一の問題は、プラント協会のやるフィージビリティー調査は会員の企業がやっているということであります。プラ協派遣調査団というのは純粋なFS調査団ではなくて、営業面も含んだ調査団であるということであります。  一つの例を挙げますが、八三年九月にフィリピンと交換公文を取り交わした特別円借款発電プラントバージ九十六億円、前年三月十四日から二十六日にプラ協がFS調査団を派遣して成立したプロジェクトであります。このFS調査団員の所属企業はどこですか。
  119. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) お尋ねのプラント協会のフィージビリティー調査につきましては、プラント協会が、もちろん会員のメンバーもございますが、それ以外の学識経験者も含めまして専門家にお願いをして派遣をするということになっているわけでございます。今お尋ねの件につきましては、突然のお尋ねでございますので、今手元に資料がございません。
  120. 和田静夫

    和田静夫君 突然のお尋ねと言われますが、このプラント協会をきょう取り上げるということはもうちゃんと事前通告してありますよ。それから予算委員会でも、継続的にこれは取り上げていきますからということにしてありますから、私がこの委員会質問に立つといえば、プラント協会の問題は継続されることがわかっていながら、そういう答弁を了とするわけにはいきません。  きょうは時間の関係がありますから進めますが、レポートを作成したのはどこの企業がということ、このことを明らかにしてもらいたい。これも今手元にないんですか。
  121. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) フィージビリティースタディーのレポートにつきましては、これはプラント協会自身がフィージビリティースタディーを行っておりますので、プラント協会の名前においてつくり上げるものでございます。
  122. 和田静夫

    和田静夫君 この事業報告書には、協力日立造船とありますけれども、それじゃこの関係はどうなりますか。
  123. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) プラント協会としてフィージビリティースタディーの調査報告書をまとめるに当たりまして、日立造船から技術的な面での協力を受けたということだと承知をいたしております。
  124. 和田静夫

    和田静夫君 第一問にありましたFS調査団員の所属企業は後ほど私に提出してください。これはよろしいですね。  それから八三年十月十八日にこれは入札が行われていますが、一番札を入れたのはどこかわかっていますか。
  125. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) 二点のお尋ねがございましたが、最初にお尋ねのございましたフィージビリティー調査団のメンバーの問題につきましては、後刻調査をいたしました上で、提出できるかどうか御返事を申し上げたいと思います。  それから二番目のお尋ねの点につきましては、これについては私ども今申し上げる立場にはないものというふうに考えております。また、私どもといたしましては、直接これについては承知をいたしておりません。
  126. 和田静夫

    和田静夫君 第一の問題については、既に私のところへおたくを通じて来ている日本プラント協会の事業報告書の中では、もう氏名は明らかであります。したがって、もう明らかになっているわけでありますから、この人たちが所属をしているところの企業が明らかになればよいわけであります。  今私が申し上げました一番札は日立造船、ほかに丸紅、こうなるわけでありますが、このプロジェクトはFSを日立造船が行った、そして日立造船が一番札をとった。八二年三月に調査団が派遣されて、五月にレポートが作成された。そして八二年九月二十七日と二十九日にはプラント協会が政府円借款をつけるように陳情をしています。これも文書があります。そして八三年九月に円借がつくというプロセスをたどったわけであります。これも典型的な商売の延長で円借が利用されるという話の私流の裏づけてあります。  しかもプラン下協会の場合には、FS調査と称する商談ミッションとでも言いますかに補助金がつくということになるわけでしょう。これ会計検査院はよくここのところを聞いておいていただきたいんですが、外務大臣、このプラント協会の役割というのは、まさにこのプラント協会の商売のために援助をつける、その仲介を行うということを構造的に示していると私は考えるんですよ。外務大臣はプラント協会の岸薫夫副会長と非常に学生時代から親しい仲だと私の調査の中では出ているんですが、陳情を受けられたことはありますか。
  127. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 陳情といいますか、プラント協会は、私も通産大臣をしておりまして、そのプラントバージとかそういうものをやはり進めたというふうなことで要請を受けた、一般的な陳情は受けたことはございます。
  128. 和田静夫

    和田静夫君 プラント協会はプロジェクトの発掘あるいはFSを業者が公然とやるための組織、そういうふうに私はどうも認識を今のところしているんですが、このプラントの場合、FSをやれば受注に当たって有利になる仕組みになっているんですね。そこに補助金がつくわけですから、まさに日本政府が制度としてタイドローンを奨励しているということにどうもなるような気がして仕方がないんですが、発電バージがそれを物語っているというふうに思うんですが、これの論議を聞いて、担当の企画庁長官、どういうふうにお思いになりますか。
  129. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) プラントバージの問題につきましては、二次にわたりましてプロジェクトが決定いたしたわけでございますけれども、これにつきましては、当初はブラジルに対しまして製紙プラントを船に積んで日本から持っていく、こういうアイデアが成功をいたしましたので、そういうことを前提にいたしまして、当時第一次の場合には、これは五十三年当時でございますけれども、その段階で造船業界が非常に不況にあえいでおりました、そういうような状況を背景に発展途上国の電力不足を解決するというようなアイデアが出てまいりまして、これが長い時間かけて実際に円借款事業に発展をしていった、こういう経過にあるというふうに承知をいたしております。
  130. 和田静夫

    和田静夫君 この協会は、しかも受注企業から成功報酬を取ることを公然とやっているわけであります。受注成功負担金という特別会費を受注企業から取る。通産省、これは今は運営特別負担金という名称に変わっていますけれども内容は成功報酬であることは間違いありませんね。
  131. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) お尋ねの運営特別負担金収入でございますけれども、プラント協会は、予算委員会でも御答弁申し上げましたように、当初からのプラント事業の発掘、その後のフィージビリティースタディー・コンサルティング業務への協力というようなことを通じまして日本のプラント輸出の振興に資する、こういうことでございまして、そういうプラント協会の事業が会員の各社の事業と有形無形にかかわりを持ってくる場合もございます。したがいまして、そういう場合に、その会員の方から会全体の運営の会費収入の一部に充てるために運営特別負担金というものが納付されているということは承知をいたしております。
  132. 和田静夫

    和田静夫君 これが成功報酬であることは、受注成功負担金収入ということでずっと科目が起こされていることでありますから間違いないんです。そこで、これの実施要領と受注成功負担金の内訳を出していただきたいんです。例えば昭和五十五年は二億二千六百九十一万二千三百九十九円、それから五十六年が二億二百十九万四千百五円、五十七年が二億三千七百十万三千七百二十五円、五十八年が二億六千九百二十九万三百十二円、五十九年が二億八千百二十八万三千五百十八円、これがおたくを通じてプラント協会からいただいた決算書で洗った数字でありますから、この数字は間違っていません。この内訳、実施要領、これを要求いたします。時間がありませんのでさらに続けますが、プラント協会については引き続き議論をいたしますが、今のところはよろしいですね、そこのところは、もう出ることは。
  133. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) 運営負担金の徴収につきましての細則、さらにはその詳細な内訳ということでございますが、これは社団法人のむしろ内部におきます会費徴収にも関連する問題でございますので、私としては国会の方にお出しするのはいかがなものかというふうに考えております。
  134. 和田静夫

    和田静夫君 これは国の補助金がついているところの協会でありますから、会計検査院も十分にお調べになる、再検査をされる約束をされているわけでありますから、今の答弁をのむわけにはまいりません。したがって、私は資料要求をいたしておきます。理事会でお諮り願います。  最後でありますが、あとわずかな時間でありますから私の方で述べます。  米軍から自衛隊に供与されたしSTなどの軍用艦船二十隻がフィリピンに無償供与されています。これは一九七七年十月十四日の小竹書簡に艦船修理のくだりがありまして、さらに七九年五月二日付で東陽通商からアンジェニット社あてにリベートの送金通知状が出されています。LST三隻、支援艦船FS二隻、YTS二隻分、それぞれ一五%。  そこで問題なのは、この援助の実施主体はだれかという問題であります。小竹書簡では、これら艦船供与が決定された後でもこれらの艦船の所有権は日本政府にあるとされているわけであります。ところが外務省は、この供与は米国が行ったもので日本は関与していないとされているわけでありますが、そうだとすると、アメリカは日本国籍の船を勝手にフィリピンに供与決定をしているということになるわけでありますが、これは外務大臣、非常におかしな話であるというふうに私は思います。  これは東陽通商関係者の証言でありますけれども、実質的に日本援助したものである。二十隻の修理は、約十隻は日本の造船所、住友、佐世保、前畑で行った。残余は韓国で行われた。これらの艦船は上にほろをかぶせて人目につかないように韓国に運ばれている。しかも、日本援助とするのは武器輸出や軍事援助に関する国会決議に抵触するので、書類上はアメリカに直したことにしたという証言があるわけであります。そして軍用に転用可能な形でフィリピンに供与されている。  通産省、フィリピン側から日本に供与の要請があったのではないかと私は思うが、その事実は。それから防衛庁、フィリピンに供与されたすべての艦船の除籍年月日を明らかにしてもらいたいと思うのでありますが、できますか。最後に外務大臣、この全容の調査を求めますが、よろしいですか。
  135. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) 今お尋ねの件についてフィリピン政府から要請があったかどうかということでございますが、これについては私どもの方ではつまびらかにいたしておりません。  それから省内におきましては、たびたび申し上げておりますように、輸出関係書類につきましては一年ないし三年で廃棄をするということになっておりますので、当時の書類が残っていないわけでございます。関係者等からいろいろ事情も聞いておりますけれども、私どもはこれは米国が保有している船舶についてフィリピンに輸出をしたということだと考えております。その過程におきまして修理が行われたということも把握はいたしておりますが、いずれにしましても、最終的にフィリピンに供与されます際には、これは米国政府の所有に属するものということで承知をいたしておるわけでございます。
  136. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) ただいま通産省の政府委員から御答弁申し上げましたように、私どもはLST三隻など米軍から供与を受けて、これが不用になった段階でこれを米軍に返還をするということになっているわけでございます。防衛庁からフィリピンにLSTを無償供与したということはございません。ただいまのストーリーの中から言いますと、米軍から防衛庁に供与されたしSTが三隻、それが米軍に返還された後フィリピンに供与されたというふうに聞いておるわけでございます。  さて、国籍の点でございますけれども、防衛庁におきましては、供与艦船の船籍は当該艦船がアメリカから供与されたときに日本の国籍を証明する証書が出る、つまりそこで日本国籍を得るわけでございます。また、当該艦船が防衛庁におきましてこれが不用となりますと除籍されるわけでございまして、その時点で証明書が返還され船籍がなくなるということでございます。  ただいまのLST三隻につきましては、ただいま私、除籍の年月日を持っておりますので御報告をいたしますと、LST六八九番につきましては昭和四十九年三月三十日に除籍をいたしております。それから二番目のLST八三五番というものでございますが、これが翌年の昭和五十年三月三十一日に除籍をしております。それから三つ目の一〇六四番というもので二ざいますが、これは昭和五十一年の三月三十一日に除籍をいたしておるわけでございます。
  137. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 今、両省庁から答弁をしたとおりに承知をいたしております。
  138. 安恒良一

    ○安恒良一君 両大臣、私はさっきからの私ども同僚委員とのやりとりを聞いておって大変憤激にたえないのです。それはなぜかというと、日本対外経済援助というのはこれからも拡大をしていかなきゃなりません。ですから、それは正当にやらなきゃならぬと思うんです。それはなぜかというと、国民のとうとい税金や貯蓄、これが使われているわけです。ところが、いろいろなことを聞きましても何一つ、対相手政府との関係関係だということで逃げる。というのは、疑惑があるならばそれを解明して、なかったというならなおいいことじゃないですか。どうして同僚委員がいろいろなことを言っていることについて、まず相手側の了解がなければ出せないと。じゃ何のためにこの委員会をつくったのか。  経企庁長官のいわゆる失言問題で罷免要求をした、その引きかえに委員会をつくったから、それでいいかげんにこの委員会だけやっておけばいいという、あなたたちはそういう態度ですか。それでは国民は今後日本対外経済援助について大きな疑問を持つ。アメリカに次ぐ経済大国になった以上、ますますふやしていかなきゃならぬというのは私たち野党も賛成なんですよ。それがために今解明をしようとしているわけですから、そういう角度からこれからの私の質問については答弁をしていただきたい、こう思いますが、両大臣基本的な姿勢をまず言ってみてください。
  139. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私もおっしゃるとおりに解明はしなきゃならぬと思っております。これからの援助を拡大していく、そしてその援助相手国からも信頼されるし国民からも支持される、そういう形を進めるためにも今回の事件については解明をすべきだと思っております。政府としてそういう立場でできることはやっておるわけでございます。  ただ、問題の本質が相手との関係でどうしても相手側にかかわることである場合においては、これは外交上どうしても相手国という、いわゆるフィリピン政府が明らかにしない以上はやはり日本政府としてこれを明らかにすることはできないというのは、これはもう外交的にどうしても乗り越えることのできない一つの壁でございまして、その辺のところは私も大変苦心しておりますが、御理解をいただきたいものだ、こういうふうに思っておりますが、しかしその他の点に関しまして、我々が明らかにしなきゃならぬし、あるいはまた調べなきゃならぬ点については関係省庁で今努力を重ねておるわけでございます。
  140. 平泉渉

    国務大臣平泉渉君) 今の外務大臣の見解と異なるところはございません。
  141. 安恒良一

    ○安恒良一君 そこでお聞きいたしますが、私ども、土井たか子副委員長を中心にいたしましてフィリピン調査団を送りました。その結果フィリピン側から入手しました資料、対比円借款の第一次から十二次の受注日本企業三十五社の全リスト、契約年月日、それからプロジェクト名、契約金額等の一覧表を私たちは入手いたしまして、これをマスコミに発表いたしました。マスコミは一斉にこれを取り上げましたが、このことについてはこのとおりであるというふうにお認めになりますね、大臣
  142. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 確かに社会党の調査団で御苦労されて入手されたという事実も私も承知しておりますし、その内容につきましてもお聞きしましたし、新聞等でも承知をいたしておるわけでございますが、ただ、先ほどから申し上げましたように、それらの内容につきましては、これを政府が認めろ、こう言われましても、フィリピン政府がいわゆる公の場で認めない、明らかにしないという以上は、日本政府として残念ながらこれを認める立場にはないということを申し上げざるを得ないわけであります。
  143. 安恒良一

    ○安恒良一君 大臣ね、第一次から第十二次まで日本の三十五社が契約を受けていることは事実だし、これだけマスコミに明らかにされて、そしてあなたの姿勢は私は非常に遺憾なんです。我々がこれを解明するために、例えば東陽通商が第一次、七三年の三月、マニラ地区の洪水制御装置幾らと、金額までこれは明らかになっているんですね。そうすると、ここでこれだけ問題になったら、フィリピン政府が出したならということじゃなくて、国会で我々から追及されるんですから、このことについてフィリピン側に、これくらいの中身を国会の方に明らかにするということの努力をどうしてされないんですか。そういう努力をすることが、私が言っているように、今後の円借款を予算の中でお互いにふやしていくことにもなるじゃないですか。  これだけのことが明らかになって、しかも国会で問題になっている以上、日本側から進んでこの程度のことについてはやはり国会に報告しなきゃならぬ、そして疑惑解明しなきゃならぬ、今後のフィリピン経済援助を続けていく上にも必要だという角度からどうしてあなたたちはお取り組みにならないのですか。私が聞いたら、いや、それは公式に向こうが発表するまではだめだ、それでは何のための疑惑解明委員会をつくったか。せめて私ども社会党が入手しましたぐらいのことのリストについて国会に提出すること、そのことをあなたたちはなぜフィリピン政府と話し合いをされないんですか。安倍さん、次の総理の第一候補がそんなことでは困りますよ、本当に。どうですか、安倍さん。
  144. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) お話しの点はよくわかりますけれども、何といいましてもこの問題は、今発表されましたといいますか、社会党で入手されました資料につきましては、これはフィリピン政府とそれから受注をした企業との関係でございます。したがって事はやはりフィリピン政府にかかわる問題、第一義的にはそうでございます。受注をした企業日本企業である、こういうこととしても、フィリピン政府にかかわることでございますから、どうしても外交的な立場から、まずやはりフィリピン政府から公表していただかないと日本政府としてこれを認める立場にはないと言わざるを得ないわけでございます。
  145. 安恒良一

    ○安恒良一君 いや安倍さん、私はこう聞いているんですよ。外交ルートを通じて、国会で解明するために、新聞にこれだけ大々と出されたぐらいの解明をしたいということの努力をどうしてされないんですか。フィリピン政府が発表するまでじっと待っておくということでは困るじゃないですか。総理もあなたも、疑惑があればここの委員会で積極的に解明したいと言った。解明するためには、まずどこの会社が何年何月、どのようなプロジェクトをどれだけで契約したかということがわからない限りは解明のしようがないじゃないですか。    〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕  そこで私たちは調査団を出して入手してきた。新聞もこれを大々的に国民に知らした。そうすると、国民はこれが正常であったかどうかというのを知りたがるのは当たり前なんです。そうなると、外交ルートということになれば外交ルートで、フィリピンでも問題になっていると同時に日本でも問題になっているから、対比円借款の第一次から十二次までの企業各会リスト、こういうことを公表したいと思うかどうか、そういうお問い合わせをしてどうして調べないのか。何でじっとフィリピンがやるまで待っておるんです。そんなばかなことはないじゃないですか。日本国民が自分たちの税金や貯蓄が正常に使われているかどうかということを国会の中でただしてくれ、こういうことになっているんですから、たたすためには企業名なり契約年次なり金額がわからなければ議論のしようがないじゃないですか。どうして積極的に外交ルートを通じてフィリピン側お話し合いをされようと……、やっていただけますか、それなら。これからやっていただけますか。それ、約束してください。
  146. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは、先ほどから申し上げますように、フィリピン政府が、どうしても公表するという立場がやはり優先でなければならぬ、まず第一義的な問題だろう、こういうふうに思うわけです。
  147. 安恒良一

    ○安恒良一君 いや、あなたは外務大臣として努力をしてくれますかどうかと聞いている。努力しないならしない、するならする、どっちか言ってください。フィリピン政府がというのは何回も聞いたんですが、あなたが努力するんですか、しないんですか。衆参にこの委員会が設けられて、今後疑惑解明のために必要な資料を出すことについての努力を外交ルートを通じてフィリピン政府との間にあなたは安倍外務大臣としておやりになるんですか、ならないんですかと聞いているんですから、それを聞かしてください。あなたの姿勢を聞いているんです。努力をされるのですか、されぬのですかと聞いている。    〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕
  148. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いや、これは私の姿勢というよりは、やはりこういう問題というのはフィリピン政府が第一義的に考えて処理すべきものだ。それに対して、日本政府としてこれにこたえるのが筋であるということを申し上げているわけです。
  149. 安恒良一

    ○安恒良一君 私は、正式にこの委員会委員として、こういうものの公表ができるように政府は努力をしてもらいたい、こう言っているんですが、そのことについてはどうですか。努力をするのかしないのか、聞かしてください。努力をしてもらいたいと私は言っているんですが、私はそういうことをお願いしているんですが、日本政府としてはやるのですか、やらぬのですか。やるかやらぬかだけ聞かしてください、はっきり。
  150. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 安恒さんのお話は承りました。日本政府としてはこれは解明しなきゃならぬという気持ちは持っております。ただ、この問題については、あくまでもフィリピン政府が第一義的に処理すべきことであるというふうなことでございます。  なおしかし、いろいろとこれから問題がフィリピン政府の中で明らかになる、追及される、こういう時点にあって、日本にもいろいろと関係が出てくる、そういう状況の中にあっては、やはり外交ルートを通じて問題として協議しなきゃならぬ事態が起こるかもしれない。我々としては、そういう際には当然協議もしなきゃならぬ場合もあり得る、そこまで何もかも全部だめだということを申し上げているわけではございません。
  151. 安恒良一

    ○安恒良一君 私は非常に情けないと思いますが、例えばロッキード問題でも、アメリカ側から問題が明らかにされてきて日本で問題になった。今度の場合でもフィリピンで問題になった。そうすると、今の安倍外務大臣の御意見を聞いていますと、フィリピン側調査が進んで問題になればやるんだということ。それは全く受け身じゃないでしょうか。  というのは、円借款対外経済援助というのは、何回も言うように、日本国民の血税なり貯蓄が使われているんだから、それに疑惑があるときに国民は、我々が国政をゆだねている国会の中で問題の解明を明らかにしてくれということが出てくるのは当たり前で、そうなるとやはりこちら側から、向こうで何かあったならやるということではなくして、こちら側からこれだけの疑惑が出てきている以上、その疑惑解明するために必要な資料の公開について努力がされないということについて、非常に消極的だと思いますし、和田さんも言われたように、あなたが予算委員会等で答弁されたことから、どこでどうなったか知らぬけれども、だんだん、だんだん後退しているんですよ、あなたの答弁は。総理も当初は、これは疑惑があったらいかぬ、解明には努力します、こう言ったんです。ところが、具体的に委員会を持たれるとだんだん、だんだん後退。私は非常に問題であります。  そこで私は、まず捜査当局にお聞きしますが、これも予算委員会で警察庁は調査をしていることを認められていますが、その後これだけ大きな問題になっていますが、日本の捜査当局の関心、調査の進行状況はどうなっていますか。
  152. 仁平圀雄

    政府委員(仁平圀雄君) 前に御答弁申し上げましたように、十分関心を持ちまして必要な情報収集を行いますとともに、入手いたしました資料につきましては分析検討を行っておるところでございますが、現在までのところ、警察といたしましては、刑罰法令に触れるような事実は把握するに至っていないということでございます。
  153. 安恒良一

    ○安恒良一君 問題とされた公開されたデータが一九八〇年前の古い点で、時効との関係があるというようなことも言われているんですが、日本の捜査当局としてはフィリピン政府に対して、最近の資料日本側に引き渡してくれるようなことを要求する考えをお持ちですか、どうですか。
  154. 仁平圀雄

    政府委員(仁平圀雄君) 警察といたしましては、これまでも幅広く資料の入手等情報収集に努めてきたところでございます。今後とも外務省等関係機関との連携を密にいたしまして、必要な情報収集をいたしていきたいというふうに考えております。  ただ、警察が外国に対しまして捜査協力を要請するというのは、警察が刑罰法令に触れる事実を把握いたしまして刑事事件として捜査をするという段階になりまして、必要がある場合に行うということになっております。
  155. 安恒良一

    ○安恒良一君 それでは、今度は大蔵省にお聞きしますが、一つは、これだけの契約金額が非常に明らかになっていますし、それからこのときに問題はリベートがあったかどうかということ等いろいろ問題になっていますね。  そこで、皆さん方は公表できないと言うなら、私どもが入手した第一次から第十二次までの受注企業日本企業三十五社の全リスト、金額は私ども持っています。これでひとつ論争したいと思いますが、これについて、外為法との関係についてこれを全部一遍洗ったらどうかと思いますが、ただし五十四年の法改正で外国への送金はかなり大幅に自由化されていますから、外為法の関係が出てくるのかどうかということ、これが一つあります。  それから第二番目には、国税当局にお聞きしたいんですが、いわゆるコミッションの支払いに対して、当時課税上適切な処理がされているのかどうか。というのは、これも予算委員会では、貴重な資料だ、国会の議論のときに貴重な資料だ、関心を持っている、こういうことを言われましたから、国税当局は、第一次から第十二次まで受注した日本企業三十五社が今言ったところの税制面において問題があったのかなかったのか、調査をしたのかどうか。大変貴重な資料としてということを当時答えていますが、その後の調査状況について答弁をしてください。
  156. 村岡茂生

    政府委員(村岡茂生君) 貨物の輸出に伴いまして代理手数料を支払う場合、これは私ども通産省の所管でございます。外為法は昭和五十五年に大改正されたわけでございますが、現在では代理手数料の送金と支払いというのは自由になっております。  五十五年以前の話でございますが、外為法におきましては、貨物の輸出代金との比較において一〇%を超える場合は通産大臣の許可、一〇%以下の場合は外国為替公認銀行の承認で送金することができる、こういう規制になっていたわけでございます。  現時点で十分調査をしろ、こういう御意見でございます。私どももそういう方向で努力をいたしておるのでございますが、何分時効の問題があるということと、それから文書の保存期間の問題などがございまして、今後とも私ども努力をしたいと思っておりますが、かなり難航をするものと予想しておるところでございます。
  157. 日向隆

    政府委員(日向隆君) コミッションの税法上の取り扱いにつきましては、委員承知のとおりと思います。したがいまして、私どもといたしましては、再三申し上げていますとおり、新聞報道等、このコミッションの取り扱いに関する税法上適正な処理がどうかという点について、やはり私ども十分考えなきゃならぬという点もございまして、これを貴重な資料として受けとめまして、課税上必要な場合には随時調査を行いまして、その調査の過程で適正な処理に努めてまいろう、こう思っておる次第でございます。
  158. 安恒良一

    ○安恒良一君 これは私から要求しておきますが、まず外為法の関係については、大改正前、大改正後の、前についても時効の問題があるとか、それからいわゆる資料が十分でないということ等もあろうが、私は、時効があるなしにかかわらず、外為法違反があったかどうかということについては厳正にやってもらいたいし、それから資料の保存も大変難しいと言われていますが、これだけ大きい問題になっているんですから、ぜひとも私は要求をしておきますからやってもらいたい。  それから国税庁の方も、私が聞いているのは、これだけ我々の調査において中身が明らかになっているんだから、いわゆるコミッションの支払いが当時課税上適切な処理をされたのかどうかという調査は当然私はしなきゃならぬと思うんですね、まあ努力しておるというんですから。ぜひこれは努力を、調査を続けてほしい。  そしてまた、この委員会はこれからもずっと議論を続けていきますから、きょうは明らかでなければ、調査をされた結果をきちっと報告をしてもらいたいと思いますが、よろしゅうございますか。私は、これをやってくれと言っているんだ。いいですな。
  159. 日向隆

    政府委員(日向隆君) 調査につきましては最大限の努力をいたしておりますが、調査内容につきまして公表することについては差し控えさしていただきたいと思います。
  160. 安恒良一

    ○安恒良一君 いや、課税上適切な処理がされておった問題がないものまで公表せいと言っているわけじゃないんですよね。いわゆる調査した結果、問題があった、コミッションの支払いについて課税上のいろいろな問題があったというときには、これはそれが解明のためにこの委員会がつくられたんですから、問題があったところについてはこれは公表してもらわぬと困ります。その点どうですか。
  161. 日向隆

    政府委員(日向隆君) 調査上知り得たことにつきまして、私どもといたしまして税法上守秘義務がございますということについて委員の御理解を得たいと思います。
  162. 安恒良一

    ○安恒良一君 それでは、この扱いは理事会に預けますから、ひとつ理事会で議論してください。  そこで、次に移ります。  まず、OECFが年間七千億から八千億の海外経済融資を行っているようですが、一、二、三位を占める国、それからそれぞれの国の年間の金額、これを説明してください。
  163. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) お答えいたします。  基金は、昭和四十一年度から直接借款を行っておりまして、昨昭和六十年度の直接借款の承諾額は五千五百六十八億円。六十年度末、ことしの三月末、その承諾額の累計は五兆四千七百六十八億円となっております。  それで、大口の借款供与国は、年度ごとにこれは変動しておりますが、昭和六十年度で見ますと、第一位がインドネシア、一兆一千六百二十九億円、第二位がタイ——これは累計でございます。タイが五千二百八十三億円、第三位が中国の四千四百六十六億円。あと昭和四十一年度から表がございますが、これ、全部申し上げますか。
  164. 安恒良一

    ○安恒良一君 いい。
  165. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) 以上でございます。
  166. 安恒良一

    ○安恒良一君 私は、これはきょう、今資料要求していますが、資料が全部間に合っていませんから、次回までに出してもらいたいのは、援助制度を始めて以来の国別の融資額、条件別融資の中身、例えば三年、五年、十年、金利の決め方等ばらばらであります。きょう出してもらいたいと言ったら、六十年度末現在の一覧表だけできましたが、これは全部やるのは大変でしょうから、当面特にフィリピンについて今申し上げたことの資料を、作業を進めておるということでしたから、後で出してもらいたいということを言っておきます。  そこで、フィリピン問題に絞って少し聞きたいんですが、フィリピンの場合は、国家経済開発庁、NEDAで援助対象のプロジェクトを自国内で優先順位をつけて、そして我が国の外務省を通じてOECFに結論をゆだねる、こういうことになっているようでありますが、この優先順位の内容の是非については、どのようにして確認を我が国ではされて、どこが責任を負われるのですか、このことについて聞かしてください。
  167. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) 新政府になりましてから若干行政機構に混乱が見られますので、現在の状況がどういう状況であるのか必ずしも私ども判然といたしませんが、少なくとも前政府状況におきましては、今委員がおっしゃいましたように、国家経済開発庁がフィリピン国内各省のプロジェクトの申請を取りまとめまして、それに優先順位、フィリピン政府としては、一、二、三、四、五、六、こういう順位で頼むということを言ってまいります。その要請を在フィリピンの我が方大使館が受けまして、外務省及び、ただいま御指摘の関係省庁でございますが、経済企画庁、大蔵省、通産省の四省庁で審査をいたします。その審査をいたし、かつ現地フィリピンに参りまして、フィリピン関係当局よりのヒアリング、協議等を経まして、それによりまして関係省庁で我が方として協力すべき案件を決定する。それに従いまして、実施機関たる海外経済協力基金が、またフィリピンの場合には現地に行っていただいておりますけれども、現地に赴いて案件の審査を行われる、こういう手続になっております。
  168. 安恒良一

    ○安恒良一君 そうすると、今言われたのは、外務省の役割、責任はどうなっているのか、それからOECFの融資決定に至るまでの、相手国我が国関係官庁とどのような確認を取り合うのか、ここらについてひとつ説明してみてください。
  169. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) 外務省の場合は、経済協力を行います際の先方とのまず第一次の接触の窓口でございますし、先方の要請を受けまして他の三省庁にお集まりを願って対応ぶりを協議し、またそれを取りまとめて、また先方政府と協議をする、こういう役割を担います。  案件の決定は、あくまでも外務省及び他の三省庁、すなわち円借款関係省庁が決定をいたしておりまして、その決定を実施されるのが海外経済協力基金ということでございますから、経済協力基金基金としての立場から、政府が決定いたしました案件が円借款対象として適当であるかどうかということを再度審査をされる、こういうことでございます。
  170. 安恒良一

    ○安恒良一君 これも私は資料を要求しておきましたが、まだ出てきておりませんから、OECFが融資決定に至るまでの相手国フィリピンならフィリピン、これは上から四カ国ぐらいで結構ですが、それと我が国関係官庁とでどういうふうに具体的に確認を取り合うのか、こういうことはわかりやすい資料で出してもらいたいと思う。  そこで、さらに中身を聞いていきたいと思いますが、OECFでは相手国のプロジェクトをすべて認めているわけじゃない。内容によってはこれを除外するケースがあるようですね。そして、この場合はアジア開発銀行に持ち込んでプロジェクトを推進する、こんな場合もあるというふうに私は承知しています。そこでお聞きしたいんですが、一体どういう場合にOECFは融資を認めたり認めなかったりするのか、具体的な事例を示して説明をしてみてください。
  171. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) お答えいたします。  実例に沿いまして具体的に申し上げるということは、いろいろ相手国との関係等もありまして、また金融機関としての基金立場もありますので一応差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論としまして、借款対象の選定のための審査に当たりましては、基金法の第二十一条に基づきまして、当該開発事業、いわゆるプロジェクトですね、その計画内容が適切であり、達成の見込みがあるか否か、そういう観点から一応検討を行っています。もっと具体的に申し上げますと、事業の必要性、開発効果、経済的、技術的なフィージビリティー、実現の可能性、それから事業実施者の運営管理能力、それから施工管理方法の妥当性、それらの検討を行いまして、その結果を政府に進言申し上げまして、そして政府によって借款供与、いわゆる交換公文の決定をしていただいておる、こういうことでございます。
  172. 安恒良一

    ○安恒良一君 そんなことを聞いているんじゃないんですよ。きのうの質問通告はそんなことで通告していません、今あなたが言ったことを私は承知をした上で聞いているわけですから。私がきのう質問通告したのは、OECFの融資を認めたり認めなかったりする具体的な実例を示してもらいたい、こういうことを……、でないとわからないんですよ。だから私は、今フィリピンに限定して、フィリピンの場合にこれは認めなかった、その認めなかったのはなぜかということについて実例を挙げて説明をしてくれることがよくわかる。そういう意味できのう質問通告をしているわけですから、そういうおたくのいわゆるルールというか規定というか、そういうのは承知の上で僕は聞いている。具体的ないわゆる融資を認めた場合、認めているものがほとんどですが、認めなかった場合はどういう事例があったのか、そして理由は何だったのか。おたくのそんな規定を、ルールを読んでもらう必要はないんです。時間がもったいない。
  173. 細見卓

    参考人細見卓君) 今、熊谷の方から申し上げましたように、例えば洪水防御というようなことをやる場合に、必要以上に放水路をつくるとかいうことは要らないわけでございますから、そういうものはやめられたらどうですかとか、あるいは放水路をつくらなければ恐らく十分な洪水防御にならないとかいうようなことについてはサゼストするとか、そういうことを技術的にやっておりますし、特に私ども考えます場合には、いろいろな国際的な関係もございますので、非常に大きなプロジェクトというようなことになりますと、我々の日本からの借款だけではとてもだめだから、例えばアジア開発銀行とかあるいは世界開発銀行とかいうようなところから行ってもらったらどうか。あるいは逆に、この間新聞等でうまくいかなかったじゃないかと言われておりまする地熱発電というようなものは、これはニュージーランドの事業であったわけですけれどもフィリピンのようにエネルギーのないところで地熱を利用するのは非常に大事なことだということで、それに積極的に参加する。ただしかし、日本で全部やれと言われてもいけないわけですから、ニュージーランドと一緒に行った。ただその結果、必ずしもニュージーランドのコンサルタントがうまくなかったというようなことも起こっておりますが、そういうことでございます。
  174. 安恒良一

    ○安恒良一君 これも私は、今聞いていることは、具体的に例えば融資不可になったのは件名は何だろうか、どういうことだろうかということでありますから、今の細見さんのような一般論を聞いているんじゃないんですよ。一般論で時間を稼ぐのはやめてもらいたい。それだけはっきり言っておきます。これは理事会で具体例を出すようにひとつ努力をしてもらいたい。  それから次に進めますが、何十年にもわたる長期ベースの場合と短期ベースの場合がありますね、プロジェクトの中身。長期ベースの場合には業種別に分業になるが、短期ベースの場合は一括して大手ゼネコン、商社が受注する。そしてこれはコンサルティングから施工まで一貫してこれを行うことになっている、短期ベースの場合。その場合に、いわゆる頭から例えば一五%から二〇%とマージンがはねられる余地があるというふうに言われているわけです。  ですから、一番問題になりますのは、大手ゼネコンや商社が一括して引き受ける短期の問題に問題があるのでありますので、そこで私はこのことをきのう資料要求としてしておるんですが、まだ出てきていませんが、どうなっていますか。いわゆるプロジェクト名、それから長短期別決定業者名、同時に決定業者に至るまでの指名業者名、それから決定の経過、金額、時期、融資の条件、これをひとつ出してもらいたい、こういうことをきのう資料要求として要求しておりますが、この点についてなぜ資料を持ってこないんですか。
  175. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) 資料要求については私聞いておりません。経済企画庁は受けておりません。
  176. 安恒良一

    ○安恒良一君 きのう質問取りに見えた方に私はこれをちゃんと読み上げて言ってありますよ。何を言っておるか、聞いてないというのは。何のために質問取りに来たんだ、経済企画庁は。君が聞いてないとか聞いているとか、そんなことじゃないじゃないか。これから経済企画庁、それだったら全部無通告でやるが、いいのか。質問取りに来ておって、聞いてないとは何事だ。これから経済企画庁、あんたはすべての委員会、無通告で私とやり合いますか。質問取りに来たら断りますよ。いいんですか、それで、大臣。無通告でやるよ、これから。それだったら質問取りは断るぞ、経済企画庁、いいか。
  177. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) 若干手違いがあったかとも思いますけれども、昨日質問を取りに行った者からは、そういうふうな資料要求があったという報告は受けておりません。
  178. 安恒良一

    ○安恒良一君 それじゃこれは次までに出してくれますね、今言ったこと。もう経済企画庁はこれから質問通告なしや、もう本番でやるぞ。あんたのところが来たら拒否するから。
  179. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) それは非常に申しわけないことでございますので、改めて資料の要求を伺った上で、出せるものと出せないもの、前から答弁しております基準に従って出せるものは出したいと思います。
  180. 安恒良一

    ○安恒良一君 今私が言ったように、各長短期別の決定業者名、同時に決定業者に至るまでの指名業者名、決定の経緯、金額、時期、融資の条件、これを出してもらいたい。何回も同じことを言わせぬでくださいよ。それを出してくれるかどうかと聞いているんだよ。
  181. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) 個別の契約にかかわることでございますので、残念ながら御期待に沿えないと思います。
  182. 安恒良一

    ○安恒良一君 そんなばかなことないじゃないか。聞いてない、最後は出せないとは長官どういうことなんだ、これ。聞いてない、そしてしつこく聞いて、最後は出せない。余り人をばかにしてはいかぬよ。長官答弁しろ。本当に君のところ、一切これから通告しないでいいのだな。我が社会党はそれ決めてやるよ、それでいいの、あんた。答弁しなさいよ。あんな無礼なことないじゃないか。聞いてない、聞いたら今度は一切出せない。どういうことなんだ、長官責任を持って答弁しなよ。何を言っているか。
  183. 平泉渉

    国務大臣平泉渉君) 十分検討させていただく所存でございます。
  184. 安恒良一

    ○安恒良一君 それじゃ私は、今言ったことについて十分検討して、公表できるもの、公表できなければ私のところへ持ってくるもの、明確にしてもらいたい。いいですな。  それでは次にいきます。  次は、いわゆる我が国経済援助はタイドローン方式といって何かと細かい条件を付する、そこで欧米諸国及び受入側からも極めて評判が悪いのであります。例えば、プロジェクト参加業者を我が国で指定をしたり、欧米企業は参加させない等の条件をつける。私はどうせお金を出すならこんないやがられることはやめた方がいいと思うんです。これは関係大臣、聞いておってください。  そこで私は次の中身を聞きます。プロジェクト参加業者の指名を決める根拠をひとつ明確にしてもらいたいと思います。プロジェクト参加業者の指名を決める根拠をひとつ明確にしてください。どうですか。
  185. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) 我が国円借款でございますけれども、ただいま委員がおっしゃいましたようにタイドローン、日本の業者しか調達に参加できないもの、それから日本及び開発途上国の業者が参加できるもの、それからすべての先進国も含めまして参加できるものと、一応三つのカテゴリーに分かれているのは御指摘のとおりでございます。フィリピンの第一次、第二次、第三次までだったと記憶いたしますが、まではタイドローンということで日本の業者のみの調達を認めておりました。その後、第七次までは日本及び開発途上国ということで緩和をいたしまして、昭和五十三年以降は、これはフィリピンに限りませんが、一般アンタイを原則とするという政府方針にのっとりまして、現在実績ベースでは六割ぐらいが一般アンタイ化を行っておりますが、日本開発途上国及びOECD諸国、これにすべて調達適格国としての資格を開放しております。残りの三割以上四割近くが日本及び開発途上国ということでございまして、日本の業者のみしか入札に参加できないというのは極めて例外的でございまして、年によって違いますが、一、二%から四%程度のものがタイドローンという形になっております。
  186. 田中正巳

    委員長田中正巳君) ちょっと安恒君、時間が来ました。
  187. 安恒良一

    ○安恒良一君 はい、ありませんから最後の質問にします。  私が今聞いたことは、そういう日本外国の商社だけでなくて、例えば東陽通商なら東陽通商が結果的に受けたマニラ地区洪水の制御排水なら排水、こういうものを最終的にここが落札をして受けているわけですが、日本なら日本のプロジェクト参加業者の指名を決める根拠を聞いたわけです。ですから、これももう委員長から時間がないということですから、次回にはそこらを明らかにしてもらいたいと思います。
  188. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 本件に対する調査は、午前はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十分休憩      ——————————    午後一時三十分開会
  189. 田中正巳

    委員長田中正巳君) ただいまから対フィリピン経済援助に関する調査特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、フィリピンに対する経済援助等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  190. 岩動道行

    岩動道行君 私がまず最初に伺いたいのは、フィリピンのアキノ新政権、これに対して政府はどのようにこれを見ておられるかということでございます。これは非常に大きな、いわば実質的には平和革命の政権であったと私は認識をしているわけです。したがいまして、すべてのことが新しく出発をしなければいけない。したがって、暫定憲法のもとで暫定政権的な性格を持っていると思いますが、しかし人民の手によってでき上がった非常に貴重な政権であろうと思います。したがって、この政権に私どもは積極的な支援体制を持つという基本的な姿勢が大事だろうと思いますが、これについて政府基本的なお考えをまず伺っておきたいと思います。
  191. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) マルコス政権が崩壊をしてアキノ政権が生まれたわけでございますが、その間にあって、国民の圧倒的な多数がアキノさんを支持してアキノ政権が生まれた、こういうふうに判断をいたしております。このアキノ政権の内容は相当やはり入り組んでおるといいますか、複雑な面もあるようでございますが、同時にまたアキノ政権の直面している事態もなかなか困難であろう。一つは、やはり経済が大変苦しいということで、この困難な経済をいかに克服していくかということがアキノ政権の最も大きな課題の一つであろうと思います。もう一つは、フィリピンの内部におけるいわゆる新人民軍といいますか、そういうゲリラに対してどう対応していくかということがまた大きな課題だろうと思います。  なかなかそういう意味では難しい出発でございましたが、非常な支持を得ておるアキノ新政権ですし、日本はかねてからフィリピンとは友好国であります。したがって、アキノ政権が政治的に安定をして、そして困難な経済を克服されるよう心から念願をしております。そのために日本としてできるだけの御協力は申し上げなきゃならぬ、これが政府基本的な考え方であります。
  192. 岩動道行

    岩動道行君 所見を同じにしているわけでありますが、政治的な安定が必要である、そうでなければ経済もうまくいかない、一方、経済がうまくいかなければ政治がうまくいかない、こういったような絡んだ姿で、非常に苦悩の出発をしておよそ二カ月たったわけであります。一方、軍事的に見ましても、フィリピン立場というものは非常に我々日本にとっても大事であるし、あるいは太平洋あるいは東南アジアにとっても大変重要な軍事的な地位を占めていると思うのであります。したがって、この点についても私どもは十分に注目をしていかなければいけないし、またアメリカのフィリピンに対する政策、それと協調していくことが必要であろう、こういうふうに思いますが、その点について政府のお考えを伺いたい。
  193. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) アメリカとフィリピンというのは、これは特別な関係にあると思います。二つ基地も持っておりますし、また歴史的に見ても、かつてアメリカの植民地であった、そしてまた第二次大戦ではアメリカによって解放された、そういうこともあるし、そういう意味でやはり特別な感情、特別な関係にあると思っております。同時にまた、日本日本としての戦前、戦争中の問題、そうして戦後の日比関係、そういう中で友好国としての立場というものはASEANの一国としてもますます大事な状況になってきておりますから、日本日本、アメリカはアメリカでございますが、特に日本アジアの一国として友好関係というものを一層強化していく必要があるというふうに感じております。
  194. 岩動道行

    岩動道行君 アメリカの方も軍事援助を中心の協力だったと思いますが、ここ二、三日の情報によりますと、経済援助についても大幅な増額をするということが伝えられておるわけであります。そこで、経済援助日本が一番大きな負担をしてやっているわけでありますので、そのような経済協力日本がやるためには今までの経済協力がどうであったのかということをやはり見直していく必要があろうかと思うのであります。後ほど触れたいと思いますが、十二次円借款の未消化の分がどうなるのか、あるいは十三次円借款内容を、新政権がいわば全く新しい政権であって普通の政権交代とは本質的に違うものであろう、ならば経済政策も根本的に改めたものが出てこなきゃいけない、そういう中で十三次円借款をどのように扱うかという問題があると思いますが、これは後でまた触れます。  そういったようなこともありますので、まず今日までのマルコス時代の経済協力あり方、それがいわゆるマルコス疑惑ということで言われており、そしてまた衆参両院でこのような委員会も設けられた。したがって、この委員会はやはり国会において決議をされて設けられたものであります。非常に重みのある委員会であると認識をしなければならない。そして、ここには国民の声を十分に反映して、謙虚にこの問題に政府も対応していただかなければならない。我々も国民立場からこの問題に対応していくべきだ、こう考えているわけでございます。  そこで、いわゆるマルコス疑惑そして不正蓄財問題、これらについてフィリピンにおいてはどのように取り組んで、どのようなところまで進んでいるのか、この辺についてまず政府から伺っておきたい。
  195. 後藤利雄

    政府委員(後藤利雄君) フィリピンではどういうようにこの問題に対応しているかという御質問でございますが、フィリピンにおきましては、マルコス前大統領及びその関係者が不正に取得したまず資産の回収等を目的とするいわゆるサロンガ委員会政府綱紀改善大統領委員会が設置されましたのは先生御案内のとおりでございますが、同委員会によりまして各種の調査及び関係者の銀行口座の凍結等が行われているわけでございます。また、この四月七日にはマルコス前大統領等関係者に対する告発が行われまして、同国の法務官により、この同委員会に対して告発が行われているというのが現状のフィリピンでの本件の取り扱いでございます。
  196. 岩動道行

    岩動道行君 まずアキノ政権とすれば、マルコス時代の不正蓄財、そのような財産の回収、これが一番当面の大きな課題であって、恐らくサロンガ委員会も発足当時は九対一の割合でこのマルコス財産の問題に取り組んできたと思うのであります。しかし、最近は日本においてもいろいろな関心が深くなってきました。その結果、九対一が七対三ぐらいの割合になってきたのではないだろうかとも思うのでありますが、これは日本にとってもやはり意義のある、効率的な、しみわたるような経済協力でなければならないという立場から、このように日本の国内においてもマスコミ等を通して、あるいはこの国会の予算委員会あるいは当委員会等においても真剣にこの問題を解明していこうという立場にあるわけであります。  そこで、まず資料の問題がやはり私どもは極めて大事であろうと思っております。この委員会ができて、まあすし屋の看板は下がったけれども、中に入ってみたらすしのタネがまだそろっていない。何を注文しようか、おれはトロを食いたいと思う、おれは赤貝にしようかあるいはアナゴにしようかといろいろ考えて入ったけれども、そこには何も並べられてない。河岸に注文に行っているのか、買いに行っているのかというと、まだそこまでもどうも行ってないような感じがする。これではこの委員会の審議を進める上において材料がない、資料がない。野党の皆さんも真剣にこの問題に取り組んでそれぞれ資料を入手しておられると承っておりますが、しかしこれは公表されたものではない。となると、果たしてそれを十分に審議の土台としてやっていくことができるのかどうか。やはりこれは政府が公式にこの委員会関係資料をお出しになるということでなければ、本委員会の審議も進まない、あるいはまた国民の抱いているいろいろな疑問に答えていくこともできない。これはやはり国会の、国権の立場から見ても甚だ遺憾な状態であろうと思います。  そこで私は、まず政府は、今日までフィリピン政府公表しない限りはこちらからは何も出せない、こういうお話でありましたが、この円借款や無償あるいは技術協力等の資料については、どういうものを現在フィリピンに関して持っておられるのか、これをまず教えていただきたい。
  197. 後藤利雄

    政府委員(後藤利雄君) 資料でございますけれども、御案内のように、私どもの持っております資料といたしましては、米国政府及び議会の関係ソラーズ委員会におきまして、ソラーズ委員会が米国議会からの権限として発表いたしましたマルコス前大統領がハワイに持ち込んだときの資料として、約二千ページのものもございます。これが公表されましたので、これは私ども公表された資料として持っております、海外的に公表されたもののほとんどすべてでございます。
  198. 岩動道行

    岩動道行君 その程度では、やはり本当の審議の材料が十分であるとは思えないわけですね。第一義的にはフィリピンの問題だと、まさにそのとおりでありましょう。しかし、援助をした国、そしていろいろなチェック機能が現在でも存在しているわけであります。それならば、そのチェックの機能を生かした何らかの資料というものは、向こうからもらわなくても自分で持っているはずでありますが、そういうものはどういうものをお持ちか、関係省庁で、あるいは機関においてこの機会に教えていただきたい。
  199. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) 円借款を供与する、これの過程におきまして、まず相手国から申請を受けます。この申請につきましては、相手国側からいろいろフィージビリティースタディーとかあるいは事業計画とか、そういったような向こうでの原案と申しますか計画案がございます、そういったような資料を受けるわけでございます。それを受けましたところで、四省庁と言っておりますけれども、それぞれ外務省は外交政策の観点、大蔵省は国際金融あるいは財政の観点、通商産業省は通商政策あるいは貿易政策の観点から検討する、経済企画庁は全体の経済開発等の観点から検討をいたします。そこで借款供与の決定をするわけでございますけれども、その過程でいろいろミッションを派遣したり、あるいは基金におかれまして……
  200. 岩動道行

    岩動道行君 過程はいらない。
  201. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) そういったような資料を持っております。そうしたような資料は内部的に持っております。
  202. 岩動道行

    岩動道行君 基金総裁は。
  203. 細見卓

    参考人細見卓君) 私どもの一番何と申しますか基本的な文書は、借款の契約の双方がサインした文書でございます。それに伴いますいろいろな過程で発生いたしましたフィリピンから受け取った書類等につきましては、それぞれの経過年数を定めまして、文書保存規程に従って年次に応じて、今までの借款契約のものは永久でございますが、その過程での書類は五年とか三年とか、あるいは場合によっては一年とかいうような格好で整理いたしておりますが、その期限内のものは我々のところに整理されております。
  204. 岩動道行

    岩動道行君 事業団の総裁、どうですか。
  205. 有田圭輔

    参考人有田圭輔君) お答えいたします。  御案内のように、私どもの所管は技術協力それから無償資金の促進業務ということが主でございます。したがって、この円借款に直接関連する資料というものは持ち合わせておりません。関連があるとすれば、開発調査の中でフィージビリティースタディーというのがございますが、これがもとになって円借款供与というような場合もありますので、その限りにおいて関連あると言えば言えるということでございます。
  206. 岩動道行

    岩動道行君 それぞれその手続の段階での重要な資料をお持ちなわけでありますが、こういうものはこの委員会で必要とあるならば提出することができるのかできないのか、どうでしょうか。
  207. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) 案件の概要でありますとか交換公文で決められております内容でありますとか、そういったような資料はお出しできるわけでございます。それに対しまして、個々の契約に関連する資料につきましては、従来から申し上げておりますような考え方から提出は差し控えさしていただくと、こういうことでございます。
  208. 岩動道行

    岩動道行君 そこで、この委員会でも午前中いろいろな御要望が出たわけでありますが、やはりこの委員会を本当に生かして、国民のために我々あるわけですから、そしてまた対外関係も大事であります。その友好関係を損なうことがあってはなりません。あるいはまた相手国の主権を侵すようなことがあってもなりません。しかし、これはお互いに話し合い、友好の中で協力が行われるべきものであります。したがって、私はこの際、政府が進んで、向こうから要請があるとか向こうどの関係だけでなくて、こちらから、国会でこれほど要請があるならば、進んでフィリピンに対して所要の資料を出してくれないかと。公表するかしないかは別としても、それくらいのことはおやりになるお気持ちがあるかどうか。
  209. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは、先ほどから申し上げましたように、フィリピンのいわゆるリベートの問題とかコミッションの問題、フィリピン政府企業の問題ですから、第一義的にはフィリピン政府の問題ですし、フィリピン公表するということになればそれを受けて日本も明らかにすることは十分あり得ることですが、フィリピンに先駆けてやるということもありませんし、フィリピンに求めるということも考えておりません。
  210. 岩動道行

    岩動道行君 私は、基本的なことはわかるけれども、こういう具体的な事態になってきたならばやはり何らかのアクションがあってもいいんじゃないだろうか。もしもそれがどうしてもできないというならば、国会の立場でこの委員会政府に要請をして、それを先方政府に伝えて、そして資料を出してもらうものは出してもらうと、それくらいのことを私はやっていくことが国民に対する我々の責務でもあろうかと、こういうふうに考えておりますので、この点は、お答えは同じであろうと思いますが、要望を申し上げておきます。  そこで、個々の案件は別といたしましても、外務省においても経済協力評価報告書というものをここ何年か、二、三年つくっておられるわけですね。これについてはいろいろな評価をプロジェクについてやっておられる。あるいはまた通産省がアジ研に委嘱をして委託調査をやった資料がある。その中には、東京新聞にも出ておったわけでありますが、例えば日比友好道路、こういうものについて評価を行った。ところが、できてからそんなに年数がたっていないのに、舗装が壊れてしまっているとかあるいは路肩が崩れているとか、いろいろ道路の問題が起こっているわけであります。私は、今日まで日本が行ってきた円借款経済協力は、それぞれ立派な成果を上げ、また評価もされ、相手国民からも喜ばれていると思いますが、しかし一方においてこのような欠陥工事があったということになりますと、我々としても残念な次第であります。  例えば、今の日比友好道路にいたしましても、コンクリートの厚さが二十何センチでしたか、二十三センチか何か、それがその下に次のベースがあり、さらにその下にベースがあって三層でできている。七十六センチの厚さでその道路は舗装されている。それが簡単に割れてしまったり路肩が崩れてしまう。これに対して調査して評価をしているわけですね。それで工事のまずさとかいろいろな点が指摘されているわけです。そうなってくると、それが一つの手抜き工事ではなかったのかということの疑問が当然出てきてしまうわけですね。したがって、手抜き工事ということになるとリベートの問題も絡んでくるのかなと、こういうことも我々理の当然として推定されてくるわけです。  したがって、このプロジェクトに対する評価、いいものもあるならばいいものも言ってもらわないと国民は迷ってしまいます。悪いものばかり出したんじゃ、何だそれならもうやめちゃえと、こういうことになるわけですが、やめるわけにはいかないし、またやってきたことにはいいものがあると思う。と同時に悪いものもあるかもしれない。悪いものは悪いものとして直していかなければいけない。この点について、外務省ですか、基金総裁もひとつ。
  211. 細見卓

    参考人細見卓君) 日比友好道路につきまして御質問がございまして、実は私もかねて御説明申し上げようと思っておったことでございますが、実は日比友好道路は、輸銀の借款とかあるいは日本からの機材を買って、ここだけの、フィリピンに聞こえれば余りいいことではございませんが、自分たちが全部やれるということでおやりになって、実はうまくいかなくなって今円借款の議題になってきておる。ですから、私どものやりますのは、技術的にも難しかったところ、あるいは向こうの方で独自におやりになって技術的にどうかなといっておったら、やはりそういう欠陥が出てきて、今円借款でそれを補強したりあるいは難しいところを行うというような借款要請が来ておるわけです。  いいところと申せば、きのう衆議院でも申し上げましたのでございますが、カガヤンで約二百万人の人に新しく電気がつくようになったとか、あるいはマニラでございますと、皆さん御存じのように、一遍洪水になりますと十日も十二、三日も水が引かなかったのが三時間か四時間で水が引くようになったというようなことは、フィリピンの人も挙げて認めておるところでございますし、きのう来フィリピンのバスのことについていろいろお話がございますけれども、このフィリピンのバスには、日比友好の親善のシンボルであるというのがちゃんとマークになって、フィリピンの人だれ知らない人がいないくらいのバスになって動いております。
  212. 岩動道行

    岩動道行君 今基金総裁からそういうお話があったんですが、外務省の経協局長も大分苦しんできておられるわけですが、この報告書ですね、この中で何か国民に、日本政府がやっていることでいいものがあるんだ、全部ほとんどいいんだということをやはりわかっていただいて、そして悪いものはどういうものがあるか、この評価の一、二についてわかりやすいものをひとつこの機会に説明していただきたい。    〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕
  213. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) フィリピンに対します経済協力、有償資金協力につきましてはただいま基金総裁から御紹介がございました。そのほか無償資金協力、技術協力、多くの協力を行っております。  ただいま委員が御指摘になりましたように、私どもフィリピンに対します経済協力プロジェクトにつきましては大体年間で七、八件ぐらいの評価作業を行っておりますが、ほぼ満足すべき効果を上げているというのがすべてのプロジェクトの結果かと思います。過去既に今お示しのように三回にわたりまして評価報告書を公表いたしておりまして、その中に詳細記してございます。また、問題点として指摘さるべき点、反省さるべき点というのも率直に記載をしてございます。  日比友好道路の点は、ただいま基金総裁から御説明ございましたように、やはり山岳部の初めての工事をフィリピン側でやったものでございますから、いろいろそれは大変なこともあったかと思います。我が方は主としてその機材を提供したという関係になっております。成功しているプロジェクト、円借款での典型的な例はただいま御紹介がございましたけれども、そのほかに無償資金協力等で行っておりますもの、技術協力で行っておりますもの、非常に高い評価を得ております。  例えば熱帯医学研究所等はかなりの大きな成果を上げておりますし、それから上水道、水道を引きます工事、これは円借款及び最近は無償資金協力でもやっておりますが、我が国協力によりまして、水道が引かれた途端にその地域のコレラの罹病者がなくなるという効果を生みましたり、小学校に上水水道及び簡易簡便な手洗いと申しますか、そういうものを設けるというプロジェクトをやっておりますが、それができ上がった途端にその学校ではコレラの生徒がいなくなるということで、そのたびごとに大きな記事となって現地では報道されております。  つい先月も、このようなプロジェクトの開所式が行われまして、新政府の所管大臣出席され、このような種類の日本協力を今後ともぜひとも拡充をしてもらいたいというごあいさつがございました。新政府のアキノ大統領も、過去の我が国経済協力というものがフィリピン国民の民生の向上に効果があったということを率直に認めておられるのが、如実に我が国協力の客観的な評価ということが申せるかと思います。
  214. 岩動道行

    岩動道行君 今、いい方ばかり言ったんですが、評価してみたところがこれはおかしいというものもあったはずなんで、そういう悪かった点はどういうところがあるのか、そしてそういうものに対してはどのような是正措置がとられているのか。通産省がアジ研に委嘱をしてやったものについては、三プロジェクトについてそれぞれ評価をして、そして提言をしているわけです。その提言が現在どのように生かされているのか、生かされていないのか。
  215. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) 通産省の行われました提言についての御報告は別途通産省の方から行っていただけると思いますが、評価活動の結果、問題点として公表し指摘をしておりますけれども、その後それをどのように是正したか、余り詳細な細かいことを申し上げるのも恐縮でございますが、やはり基本的には相手国のカウンターバートと申しますか、経済協力はあくまでも相手国をお助けする事業でございますので、技術者を私ども送りましても、その目的は教えることではなくて相手国の技術者を育てることでございます。ところが、なかなか開発途上国、これはフィリピンに限りませんけれども、技術者として一本立ちされるとほかにいい給与を求めて移っていかれる、ないしはお金持ちの国の産油国等に移っていかれるということで、なかなか技術者が定着しないというのがやはり経済協力の直面している一番大きな問題かと思います。これはフィリピンに特に限るわけでもございませんけれども、そういう点は各プロジェクトにおいて指摘がされております。  第二番目には、やはり特にここ数年、二、三年の間はそうでございますけれども相手国側の財政困難ということもございまして、我が国協力でつくりましたプロジェクトの経常費、光熱、水道、それから人件費等でございますけれども、そういうものに対する手当てが十分になされないということに伴って、そのプロジェクトの稼働状況が一〇〇%とはなかなかいきにくいということがございます。これもやはりフィリピンだけに限ったことではございませんけれども、これは援助国が負担をするというわけにはまいりません。やはり相手国側がきちんと負担をしていただかなきゃならない問題ですので、そういう点で相手国側の努力を何とかお願いをしたいということでございます。  それからこれは各所のプロジェクトで指摘されているところでございますけれども、部品が壊れたということによりまして、日本の技術者がおります場合にはどこの部品を取りかえればどうなるということはすぐわかるのですけれども相手国側に引き渡されます場合には、そもそも壊れた原因がどこかということも必ずしもよくわからないということで、その機械の半分ぐらいが使われないままに放置されてしまうということが間々ございます。そういう面については、逐次私ども見回りを行いまして、必要とされる修繕部品等を送ってフルに常に協力でできましたプロジェクトが稼働できるような状況を維持するようにということで努力をしている状況でございます。  大きく分けますと、このような点が問題点として指摘できるのではないかと思います。具体的にどこのスペアパーツがどうしたこうした云々ということは、別途必要でございましたらまた文書にまとめて御提出をさせていただきます。
  216. 黒田真

    政府委員(黒田真君) 通商産業省といたしましてアジア経済研究所に委託しました経済協力の効果に関する調査の報告書に関して言及をされましたので、一言だけお答えさせていただきたいと思います。  この道路が一部軍事目的ではなかったかというような批判の形で新聞等には出ておりますが、実際にはフィリピン経済開発に非常に役立ったという報告がなされております。同時に、悪かった点もあったのだろうかという御指摘でございますが、確かに報告書の中で改善すべき点として、施工管理の徹底、メンテナンスの充実、あるいは高温多湿、山岳地帯の工法として果たして本当に適当だったのだろうかというような幾つかの点が指摘され、しかしそれらが次第に現地の方々にも認識をされまして、非常にそういう点では改善があり、しかもその後の改良補修工事というものを行わなければいけないという認識が高まって、数次にわたりまして円借款を供与するというような形を含めまして、これらの補修改良がその後引き続き行われているというようなことが行われておりますので、指摘された問題点というものはそれなりに対応され、修正されて今日この報告が生かされておる、かように理解しておるところでございます。
  217. 岩動道行

    岩動道行君 そういうプロジェクト全体の評価、その成果というものは援助国の立場からも厳正にやって、そして私はそれが本当に効率的に生かされていくようにさらに努力をしていただかなければならないと思うのであります。  そこで、チェックの機能について若干伺っておきたいのですが、今のように通産省がやった評価でありますが、これは公表されてなかったんですね。何か新聞に出て、それからにわかにあなたの役所に大勢の人がそれをもらいに行くとかなんとかというようなことになった。こういうものは外務省は公表して一般に手に入るようになっていますね。せっかくそういうのをおやりになったら、隠す必要はないんだから、こういうものを出しましたよと言って関心のある人には見てもらうようなことをおやりになったらいかがかと思いますが、まあいいです。それでもうわかったろうから、返事は要りません。これからはそうやっていただきたい。  そこで、いろいろな評価をいろいろな段階でやっていくことが必要だろうと思うんですが、基金総裁に伺いますけれども基金の業務の中に、いろいろな部署があるんですが、業務監理部というのがありますね。そこに監理課というのがあって、評価課というのがあるんです。その評価課には貸し付け及び出資に係る完成案件の評価に関することというのがあるわけですね。これをどこまで活用して、そしてどのようにして、効率的に、そして喜ばれる、お互いにハッピーだというようなプロジェクト借款である、協力であるということでなければならぬのですが、これはどういうように活用しておられるか、それから、これからどうするのか、それをちょっと伺いたい。
  218. 細見卓

    参考人細見卓君) 御指摘のとおり、援助におきまして一番大事なのは、それが所期の効果を上げておるかどうか、あるいは所期のようにうまく工事が進捗したかどうかというのをチェックすることは、我々の業務を今後続けていく上に最大のいわば課題であると思いまして、新しく課を設け、部にまで今昇格をさせまして、ありとあらゆる手段を講じて、私どもの人員の可能な範囲でできるだけ多くの案件評価ということをやっております。  その案件評価は、案件の審査をいたすのと同じょうに、役員会で全部の役員の出ておるところで議論をいたしまして、あそこはまずかった、ここはまずかったというようなことも含めましてみんなで議論いたしまして、それを自後の仕事をやっていく上の重要な指針にいたしますと同時に、できたものの中で相手国政府との関係公表しても差し支えないと相手国政府が納得いたすようなものにつきましては、これは何と申しましても私どものお金だけで全部できておるわけじゃなくて、御承知のように半分以上は多くの場合相手国政府のお金で出資されておるものでありますから、その辺で相手国の了承をとりながら、また監査に当たって相手国からいろいろ便宜を提供してもらうというようなこともございますので相手国の了承はとらなきゃいけないと思っておりますが、そういうものがとれたものにつきましては、今後広く民間あるいは世の中全体に公表いたしまして、多くの方に見ていただき、悪いものは悪いとして御指摘をいただき、また改めるべきものについては多くの示唆をいただきたいというふうに考えて、今後それをさらに活用していく方法を考えております。  つい先般、名古屋大学の飯田先生などの学識経験者何人かにこの評価について現地に行っていただきまして、私どものやっておる評価というのが果たして身勝手でなくて公平にやっておるかどうかというようなものも現地で見ていただくというようなことをいたしまして、なかなか進歩は遅々たるものでございますけれども、できるだけ正確な、また喜ばれる案件実施ということに努力いたしておるところでございます。
  219. 岩動道行

    岩動道行君 そこで評価をする段階で、もともとこのプロジェクトがよかったのかどうかという問題、あるいはそのプロジェクトの事業費が果たして適正であったのかどうか、そしてまた実際に入札をされた事業費が果たして適正であったのかどうか、そういったようなところまで評価する場合には当然調べてみる、私はそれでなければ本当の評価ではないと思うんですが、そこまでおやりになっているのか。なっているとするならば、今疑惑と言われているような問題にぶつかっておられるのかどうか、どうでしょうか。
  220. 細見卓

    参考人細見卓君) 私どもの評価に当たりましてはどうしても、それが所期の効果を上げておるとか、つまり社会的、経済的にどういう便益を与えておるか、あるいは当初予期されたとおりの姿でプロジェクトができ上がっておるかどうかということが重点になりまして、個々の評価ということになりますと、これは先生御承知のように、値段というようなものは国によりましてかなり差異がございます。しかも、私どもの方だけの資金で事業が動いておる場合でありますれば、あるいはまたそういうことについての資料その他の検討もより容易だとは思いますけれども、事業と申しますものは、多くのプロジェクトと申しますのは、かなりの部分が人件費とか、土地の現地通貨で賄われる部分がございまして、なかなか経費の査定というところまでは現実問題としてまいっておりません。したがいまして、私どもの資金が主として充当される資材の購入というものにつきましては、努めて国際一般入札ということで公正を期すというふうにいたしておるわけでございます。
  221. 岩動道行

    岩動道行君 なかなか能力の問題もあろうかと思うんですが、そういう過程の中でよく言われているのは、水増しがあるんじゃないかということが言われているわけですね。そういうことを見抜くくらいのひとつ機能を発揮していただきたいと思うんです。  そこで、会計検査院はどこまであなたの方の内容に立ち入ってやっているわけですか。
  222. 細見卓

    参考人細見卓君) 私どもの手元にございます書類で、役員会に諮った、つまり公的な資料になったものは全部ごらん願っております。ただ、フィリピン政府が、この場合でありますとフィリピン政府そのものが、入札のための書類とかあるいは手続上の書類とかいうような非常に経過的なものは別でございますけれども、事案を判定していただくのに必要な役員会にかけたような資料は全部ごらん願っております。
  223. 岩動道行

    岩動道行君 今まで会計検査院から問題点を指摘されたとか、あるいは不当であるといったような指摘はあったのかないのか、どうでしょうか。
  224. 細見卓

    参考人細見卓君) 幸いなことに、ささいな注意はいただきましたけれども、不当だとか不正だとかいうような御指摘はございません。
  225. 岩動道行

    岩動道行君 どういう点を注意されたんですか。
  226. 細見卓

    参考人細見卓君) もっと早く施行を督促するようなことができなかったのかというようなそういう点でございまして、そのほかにも、全部は記憶いたしておりませんけれども、私どもとしてもかねがね気に病んでおるような、なぜ早くできないか、なぜもっとスムーズに連絡がとれないかとかいうようなことについての御指摘はあるいはあったかと思います。
  227. 岩動道行

    岩動道行君 評価をされる段階でいろいろな首をかしげるような問題もなきにしもあらずだと思うんですが、そういう点は十分に注意していただきたいし、また工事だけでなくて、いろいろな物資を送ったりする船運賃、フレートの問題、ここら辺にも何かからくりがあるということを言われているわけですよ。したがって、そういう点にも注意をしておられると思いますけれども、適正な普通の商業ベースでいって、円借款だから特別に高い運賃を払っているというようなことのないようにしていただかなきゃいかぬと思うんですが、そこら辺についての配慮というものはしておられるんですか。
  228. 細見卓

    参考人細見卓君) 職員みんな一生懸命その点の努力もいたしておりますし、研修その他によりまして能力の向上も図っておるところでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、一般国際入札ということで価格面はチェックいたしておるわけでございますが、検収とか事業の施行とかいうようなことまで立ち入っておるわけじゃございませんので、その過程で手抜きとか、あるいは工事が予定の規格に達しておらないとかいうようなことがあるいはまざり得るかと思いますけれども、これはけさほど来ずっと申し上げておりますように、事業の施行の基本的に責任者相手国国民の税金も使って、日本からのもちろん借金もございますけれども、半分以上はその国の税金を使って事業をやっておられるわけですから、当然最も効率のいいむだのない工事をやっていただくということで私どもは自助努力を援助しておるというおのずから限度があるわけでございます。
  229. 岩動道行

    岩動道行君 しかし、日本援助がなければ、そういう事業は恐らくできないか、五年も十年も先でなければ着手できないということでしょうから、日本の果たしている役割というのは極めて大きいと思うんですね。それだけに、相手国にもその重みというものを十分に認識してもらい、そして日本国民の負担においてこれが行われているということからも、さらに綿密な厳正な評価、そして執行をお願いしておきたいと思います。  そこで、フィリピンが新政権になったわけですが、まだ行政の体制も必ずしも十分な体制になっていない。したがって、失業問題であるとか当面の経済問題とかいうことがなかなか思うように進んでいない、そして政府も金がないというようなことでいろいろと悩んでいると思うのでありますが、    〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕 当面のフィリピン政府の財政にとっては、まずいわゆるマルコス蓄財を取り返して財政の糧にするということに力を入れているようでありますが、一方日本の方の協力で、例えば商品借款、かなり使い残りがあるわけですね。これをうまく使って、そして失業問題であるとか当面の対策、そして政治の安定にもこれをつなげていくという問題、あるいは十二次借款の使い残り、まだ実施していないものをどういうふうにやるのか、さらに十三次円借款については、これはもう署名をする直前までいって見送りの段階になったわけですが、私は今の段階で十三次借款に署名をするというのはちょっと早いのではないか。そして、たしか十一案件のうち四案件は見送りといいますか、延ばされて、そして残りの案件は今のアキノ政権もやろうかと、こういうことになっておると思うんですが、いずれにしても新政権の経済政策あるいは民生にどう対応するかと、こういう基本的なことがもっとはっきりして、その段階で私はこの問題は進めていくべきではないかと思う。  したがって、オンピン大蔵大臣日本に来たようでありますが、これは署名の話は先になったと伺っておりますので、それはそれなりによろしいと思いますが、しかし余り先に延ばしてしまうということもフィリピンの政局の安定、経済の発展ということにも支障が起こるかと思います。したがって、五月の中旬くらいには国際機関も集まって話し合いをするということが伝えられておるわけでありますが、この辺について簡単に政府の対応をお答えいただきたいと思うんです。
  230. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) ただいま御指摘のとおり、八四年四月の末に交換公文を締結いたしました四百二十五億円に及びます第十二次円借款中三百五十二億円の商品借款につきましては、三月末現在約半分程度の消化率でございます。基本的には、フィリピン経済情勢の低迷ということで消化がおくれている次第でございますが、他方、フィリピン及び日本双方でもう少し手続を合理的と申しますか、需要者に便利になるような形に改善をいたしましてその消化を促進し、フィリピン経済の需要によりよく合うようにいたしたいということで双方で今協議を重ねている状況でございます。その他のプロジェクト部分につきましては、順次コンサルタントの選定その他を経まして通常のスピードで進んでおります。  第二の御指摘の第十三次の円借款、昨年十二月末に交換公文の署名を下しまして四百九十五億円にわたりますが、そのうち百六十五億円の商品借款につきましては、第十二次の商品借款の実施率が九〇%を超した段階で貸付契約を締結するということで両国政府間で合意を見ておりますので、十二次円借款中の商品借款の消化を見守っている状況にございます。十二次円借款中残りの三百三十億円のプロジェクトにつきましては、十一案件が交換公文で合意を見ております。これらはすべてフィリピン国民の民生の安定、福祉の向上に役立つものという観点から両国政府が合意をいたしたものでございます。その点は基本的には新政権も認めておりまして、当初は十一案件すべてについて早速貸付契約の締結に進んで実施をしてもらいたいということを言っておりましたが、その後いろいろと新政府の新しい政策というものに照らして、政策の優先度と申しますかそういう観点から、そのうちの若干のものについては少し時期をおくらしたいという観点から検討をしたいというお話がございまして、それは新しい政府が新しい政策に基づかれていろいろと検討されるのはむしろ当然のことかと存じ、その検討の結果を待っている状況でございます。  ただいま四案件というお話がございましたが、二案件ないし四案件ということで、先方が新政策に基づいて若干時期をずらせるような感じでのお申し出もありますので、それを踏まえて現在両国政府間で協議中というのが現在の状況でございます。
  231. 岩動道行

    岩動道行君 そういったようなことを進めていくためにも、やはりこの委員会でいわゆるマルコス疑惑についての解明を速やかにやる、したがってその解明のために必要な資料は、繰り返して申し上げますが、十分に政府において念頭に置いていただきたいということを要望いたします。  そこで、これからのフィリピン経済協力を進める中で何点か気づきの点を申し上げておきたいと思います。  当面は何といっても失業対策であります。アキノ大統領とも私二度会いましたが、最初に出てくるのは失業対策、そして飢えをなくすること、さらにきれいないい水を国民に供給したいということ。これについては千葉県のいわゆる上総掘りといったような、非常に素朴でしかもあらゆる農村にもこれが行き渡るというような水の供給の問題があります。外務省においても検討していただいておるところでありますが、こういったようなしみ通るようなきめの細かい協力をぜひ進めるようにしていただきたいと思うわけでございます。  また、いわゆるNGOと称する民間の経済協力の組織が二百ばかりあると思いますが、これが国際的に見ると非常に貧弱である、したがってこれに対する政府が十分な対応をしてあげる、これは自主性を大事にしますからなかなか容易ではないと思いますが、このNGOも十分に政府としては活動がでさるような対応をしていただきたいということもこの機会に要望をいたしておきます。  なお、時間が参りましたので終わりたいと思いますが、このような問題が起こってきて、国民も一体経済協力というのはどういうものなんだろうかということについて深い関心と、そしてまたこれに対するどのようなものを見ればいいのかということになるとなかなか適切な材料がない。そこで私は提案をしたいのでありますが、経済協力白書を、外交白書はございます、しかし経済協力については政府の権威のある白書というものはございません。こういったようなものをやはりおつくりになって、そして国会を通し、また広く公文書として国民にこれが行き渡るようにして、我々の税金がどのようにうまく国際的に日本の役割を果たすために役に立っているのか、またこれがどうあるべきかという国民考え方を出していただくそういう材料として経済協力白書のようなものをおつくりになることがいいのではないか。これは通産省にも関係し、あるいはほかの省庁にも関係すると思いますが、この点について政府のお考えを伺っておきたいと思います。
  232. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) 政府関係各省におきましては、種々の形で報告書等々を公表いたしまして、国民各位の我が国の開発援助に対する理解を深めていただくための努力の一つといたしております。ただいま委員御指摘のとおり、現在国際的には開発教育と申しますか、一般国民の開発問題に対する理解をいかに深めていくかというのが実は国際会議等の場で重要な議題になっておりまして、私どももその会議には積極的に参加をいたしまして、各国と歩調をそろえてどのような形で開発教育をより効率的に進めるかということを考えている状況でございます。また、広報という点につきましても、英文及び仏文で現在我が国経済協力についての実情を諸外国に知らせる努力を昨年以来始めております。
  233. 岩動道行

    岩動道行君 最後に一つだけ。  以上、いろいろな点について申し上げましたが、まず疑惑解明することが当委員会の当面の最大の目的でありますが、しかしそれだけでなくて、やはりフィリピンに限らずあらゆる国に対する経済協力あり方というものをこの際根本的に見直して、そうしてチェック体制を十分に、新しいシステムをおつくりになって、信頼できる、そして効率的な経済協力というものを確立していただきたい。  この点について最後に大臣の所信を伺って、私の質問を終わります。
  234. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 今日のこのような事態を契機にいたしまして、解明すべき点は解明していかなきゃなりませんが、同時に、これから日本としましては国際的責任を果たしていくために援助を拡大していかなきゃならぬわけでございます。その援助国民の支持を得、さらに援助国からも感謝される、こういう形のものになっていかなければならないと思います。そういう観点に立って、これまでの援助あり方についてもやはり改善すべき点があれば積極的に改善をしていかなきゃならぬと思います。援助が適正に、そして効率的に援助国の経済の回復に、発展に資し、そしてまた民生の安定に役立つ、そういうものでなければならない。そういう観点からいろいろと総合的に努力を、そして研究、検討を進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  235. 黒柳明

    ○黒柳明君 長官、こういう大きな疑惑が今、海の向こうから提起されたわけでありますが、何といいましてもOECFが、基金がこれをフォローしている体制になっているわけであります、初めから終わりまで。こういう中で、この貸し付けのシステムなりあるいは基金の人事の配置なりあるいは組織の改革なり、こうした方がいいのではなかろうか、こんなようなことを今現在考えているような点はございますでしょうか。
  236. 平泉渉

    国務大臣平泉渉君) 今回の問題は、その真相の究明がまだ本当に緒についたという段階でございますので、この体制全体をどういうふうに今後改めていくべきであるか、またどういうところか問題であるかというようなことをまだ究明するには至っておらないわけでございますが、おっしゃるとおり、このすべてのシステムについて、殊に基金あり方などについてもやはり改むべきところがあれば十分改めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  237. 黒柳明

    ○黒柳明君 総裁、同じ質問、いかがですか。
  238. 細見卓

    参考人細見卓君) 基金借款に絡みましていろいろ問題が起こっておりますが、その真相の究明を待たなければ最終的なことはわかりませんけれども、我々としましても、こういう疑惑を起こすような事柄が現に我々の関係しております分野で起こっておるわけでございますから、この点については厳に反省して、どうすればこういうことを繰り返さないようにできるのか努めてまいりたいと思います。その意味で、今後の調査を待ちまして、いろいろ我々に反省すべき点が出てまいりますものを積極的に、謙虚に受け入れてまいりたいと考えております。
  239. 黒柳明

    ○黒柳明君 直接借款の実施プロセス、これを見ますと、基金の方はカントリー・セクター・サーベーから各種承認から最後評価と、先ほども自民党の先生が評価についていろいろ御指摘なさいましたが、これを一貫して、先ほど総裁がおっしゃいましたように、確かに外国にいろいろ気兼ねする点もあるかと思います。でありながら、やはり国民の税金を使うわけでありますから、完璧な上にも完璧な体制、完璧なチェック、完璧な審査、承認、評価、これが当然要求されるし、そういう体制で臨んでいるはずだと、こういうことは間違いないと思うんですが、いかがでしょうか。
  240. 細見卓

    参考人細見卓君) 私どもといたしましては、誠心誠意今までやってまいったつもりでございます。とは申しましても浅学非才、経験もございません。恐らく間違いも起こしておったかと思いますが、気持ちとしては一生懸命やっておったつもりでございます。
  241. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこで、三月十八日、アメリカから文書が出されまして、ソラーズ委員会から、そして我が国に来る。一カ月余たっておりますわけでありますが、入札についての不正があるとか、あるいはフィリピン政府から要請がある、その要請も実は企業が先行していたんだとか、いろいろな疑惑、あるいは疑惑以上の問題が出ている。  私も、御案内のように行きまして、いろいろな観点から調査もし、意見も聞き、資料も集めてきました。そういう中において、マスコミの皆さん方の最大の努力も積み重なりまして、ただ単なる疑惑と言えない面が種々あるわけであります。いろいろな段階において私指摘したいんですが、今幸い岩動先生が一番最後の評価からやりましたものですから、私も評価からさかのぼっていこう、こういうふうに思うんですが、この評価というのは当然これでは一番最後に評価となっておりますが、この評価は最後だけではなくして、いろいろな各段階において、できれば五年、六年、三年、契約が十社も二十社にもわたる、そこに外国企業も入る、ローカルも入る、さらに契約が何回も変わる。できる限り評価をきめ細かくやっていくにこしたことないと私は思うんですが、間違いはございませんでしょうか。
  242. 細見卓

    参考人細見卓君) 評価あるいは案件管理と申すことにつきましては、できるだけ丁寧にやった方がいいことであることは間違いございません。ただ、先生も御指摘になりましたように、相手国政府がやっておる事業でございますので、ほどほどでないといけないという外交的な配慮も同時にあるかと思います。それでなくても、先生、フィリピンでお聞き及びかもしれませんが、やはり日本の手続とかあるいはいろいろな段階での介入が少し多過ぎるというような批判も受けております。受けておりながら、それじゃこんなことがなせ起こったんだとおっしゃればなかなか返答に困るわけでございますが、我々としてはむしろ相手政府に多少嫌われるくらい心やかましくやっておるつもりでございます。
  243. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこで、中間の評価というのは、ここで管理という名前で出ておりますから、これにかわるのか、言うならば最終評価です。これが先般の外務委員会でお聞きしますと、三十二件完了して評価が十二と、あと二十が評価が行われてない、ここらあたりの事情をひとつ教えていただけますか。
  244. 細見卓

    参考人細見卓君) 人のやりくりと申しますか、人件費、物件費を含めた人のやりくりがなかなかっかないわけでございます。
  245. 黒柳明

    ○黒柳明君 外務大臣、たびたび私外務委員会で、三回ですか、いろいろなやりとりをさせていただいた。長官とはきょう初めてなんです。ですけれども、直接の行政の責任者ですね、こういう問題の。今これからの話をよくお聞きいただきたい。そして、外務大臣が今も言われた、何回も繰り返した、改めるべきがあったら改めなきゃならない。まず第一にどれを優先するか、私が大臣だったら当然ここと決めるんですけれども、残念ながらまだ長官じゃありませんもので長官の判断を待つよりほかないんですが、もう最優先の中に私がこれから指摘する問題を入れていただきませんと、今起こっている問題、これも解決できない。今後またこういう問題が起こり得る可能性があると、こう思いますので、ぜひひとつ外務大臣、改めるべきは改めるんですと何回も発言した、それを実行に移していただきたいために私具体的に今この問題を指摘しよう、フィリピン側文書をもって指摘したい、こう思うわけであります。  今、くしくも総裁が人的問題等のやりくりと、こうおっしゃった。長官、現地に基金の職員は何名いらっしゃいますか。御存じかというのも失礼ですが、長官御存じか。これは愛きょうだからひとつ。何人いらっしゃるか。
  246. 平泉渉

    国務大臣平泉渉君) 大変数が少ないということを承知いたしております。
  247. 黒柳明

    ○黒柳明君 結構です。総裁どうぞ。
  248. 細見卓

    参考人細見卓君) ただいまのところ二人でごございます。
  249. 黒柳明

    ○黒柳明君 アメリカ対フィリピン日本対フイリピン、これは情勢が違います。条件も違います。会計検査院の手が伸びない。アメリカはチェックしております。二百五十対二ということがよく言われますが、ただ単にこれだけの問題ではなかろうと、こう思うんですが、その一つが人員がたった二人しかいない。私も五日間、本当に精力的に涙ぐましい、私もいろいろ案内をしていただきました。だけど、これじゃとてもじゃないけれども、幾ら国会の中で外務大臣調査して改めるべきは改めるといったところで、あるいは総裁が一生懸命これに対してやろうという意思があっても、現実やはりそれに対して予算が、人員が、手足が少なければ、これは調べに行くといっても調べられる態勢にない。それを、中間的なものはいざ知らず、これはやれば理想なんです、アメリカのシステム。私言うまでもありません。ほかの国の状態、私言うまでもありません、今日本の問題ですからね。  その最終評価でも、三十二件終わっている中でわずか十二件しかできていない。そこにマスコミでも指摘され、私も調べてきたバターン地区の輸出加工区、何ですか、もう日系五十一社が進出したって今閑古鳥が鳴きますよ。マニラ地区にもあるんです、近代センター。せっかく金を落とした、ただフィリピンのメンテナンスがだめだというわけにいきませんよ、それは。そうするとフィージビリティスタディーまでもうまくなかったのか。いや、どこがどこかわかりません。それをでき得べくば、今事件が起こってバックして、どこがいいんだ悪いだなんと言っても始まらないわけ、そんなことは。それが少なくとも、地元の数少ない人が苦労している中では、中間にもうちょっと調査できれば、起こるものも半分、三分の一で食いとめられた。これは間違いありませんよ。  ところが現状は、いわゆる全部でも二百何十名ですかね、基金の全体が。わずか二人、その人たちが、三十二件完了していて、本来的に、今総裁何とおっしゃいましたか、もう基金としての最大の責任は評価にあるんですと今おっしゃったわけでしょう。その終わった、完了した評価だってできていやしません。だからバターン地区だ、あっちだこっちだ、日比友好道路だ、がたがたになっているじゃないか。なったときにそんなことを言ったって始まらないわけですよ。どうですか長官、そんなことは私御存じだと思うんです、ここまでは。あと知らないことが出てきますので御期待いただきたいと思います。ここまでは存じていること、常識的なことだと思いますよ。どうですか、ここまで。
  250. 平泉渉

    国務大臣平泉渉君) 大変限られた予算と人員の中でこういうことが行われているということについて、これはなかなか難しい問題があるということを考えておるところでございます。
  251. 黒柳明

    ○黒柳明君 さっき何にも考えていないとおっしゃったじゃないですか、現状は事件がまだ解明されてないからと。うそをおっしゃっている。そこを私言いたい。長官て偉い人だと思いますので、下々のことなんか、そんな余り細かいことは御存じないと思いますが、だけど、これだけの大きな疑惑が投げかけられているんですから、ひとつどこに欠陥があるのか、欠陥だと決めつけなくても結構ですよ、それらしきものはピックアップしてください、それらしきものは。その中にそういう人員配置やなんかは当然最優先で入れてくださいよ。どうですか長官
  252. 平泉渉

    国務大臣平泉渉君) 十分検討させていただきたいと思います。
  253. 黒柳明

    ○黒柳明君 それはまだ別に本論じゃありません。本当に現地の職員二名を代表して私一言。あるいは総裁だってそんなことはお考えになっているんですよ、きっと。  そこで総裁、ここから、済みません、ちょっと総裁いじめが始まります。道路関係円借款事業、これについてまず焦点を当てたい。何件円借款を今やっておりますでしょうか。全体で結構です、何件になりますでしょうか。
  254. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) お答えいたします。  一次から十二次までの借款のうちで道路プロジェクトは十四件でございます。
  255. 黒柳明

    ○黒柳明君 進捗状況はいかがでございますか、進捗状況。逆に言うと、細かいことは言えないと聞いておりますから、完成したものがあるかどうかという、これだけでも結構です。進捗状況、細かいですからね、これは言えないとなれば、完成したものはありますか。
  256. 細見卓

    参考人細見卓君) 正確なことは今準備しておりますのでお答えすると思いますが、マニラの南北の立体交差というようなものは既にでき上がっております。あと正確な数字は今理事の方で調べております。
  257. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) どうも失礼いたしました。  十四件のうち九件完成しております。
  258. 黒柳明

    ○黒柳明君 それで、先ほど十二件が評価を終わったと。そうすると、評価が終わってない中にはどういうものがあるんですか。道路関係は入っていますか。評価が終わってないもの、終わったものはこちらへいただきましたので、終わってないもの。
  259. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) どうもたびたび不手際で御迷惑を……。  今、九件完成したと言いましたけれども、そのうち評価が終わったのは一件でございます。
  260. 黒柳明

    ○黒柳明君 それで具体的に、評価が終わってないのは人が足らないからだ、さっき言ったこの発言、いろいろな関係というよりも人が足らない、予算がないからということに尽きると思うんです。  一九七六年三月三十日の日比友好道路、関連道路改良事業三十八億、関与しておりますのが酒井重工業、片平エンジニアリング等々ですけれども八社、これをちょっと取り上げたいと思うんですが、これはどうなっておりますか、進捗状況。言えませんかな、細かくなるから。あるいは評価、もし言えなかったら評価したかどうかということ。
  261. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) お答えいたします。  今、先生おっしゃいました日比友好道路、関連道路改良事業三十八億円、これは基金では資機材を供与いたしまして完了しております。
  262. 黒柳明

    ○黒柳明君 評価はまだですね。
  263. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) これはまだでございます。
  264. 黒柳明

    ○黒柳明君 評価はまだで、資金は七六年から七八年まで全部完了していると、今おっしゃったとおりです。  そこで、この状態なんですよ。この三十八億で機材を購入して入れたんですけれども、これはどんなものか、おっしゃっていただけますか。大体で結構ですけれども、どういうものを供与したか。
  265. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) お答えいたします。  対象はダンプトラックとかブルドーザー、ロードローラー等各種建設機械でございます。
  266. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは常識ですけれども、ダンプトラックなんというのは寿命は大体どのぐらいのものですか、耐用年数というのは。常識的なあれでいいですよ。使わなきゃ幾らでもありますしね。大体頻繁に使っていてどのぐらいなものですか、耐用年数というのは。
  267. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) 大体五年でございます。
  268. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは、今言いましたように七六年三月三十日から始まりまして、それで三十八億を一九八〇年三月三十日まで、全部終わっております。そして、細かくこれは出ておりますけれども、一九七六年ダンプ二十四台二億四百七十四万、一九七八年ダンプ百台五億五千万、同年ダンプ五十六台二億九千万云々と、大多数がそういう工事の車ないしそのパーツである、今おっしゃったとおり。ところが八年たつわけです、これ。そうすると、この耐用年数というのが常識的には全部切れている。  私も現場へ行って見てきました、ダンプカー、これは大変。この苦労は、現地の人たちとも汗みどろになって見てきました。ですけれども、これは完全に常識的に耐用年数は切れている。大事にしまっておけば、また八年、十年そのままですよ、使っていますから、当然。  ところが問題はこの改良事業、どのくらいの進捗率か。これは御存じのように、一九八六年二月二十八日のフィリピン政府書類がここにあるんですが、これを見ますと、円ローンが三十八億、あとGOP、ガバメント・オブ・フィリピン、要するにローカルが二千三百九十七万ペソ、合計二千五百十一万ペソ、こういう莫大な工事額なんですが、この工事の進捗状況、これ、当然わかりませんな。我が国は三十八億で、車等を買っただけですから、あとの実際の工事はフィリピン、ローカルがやっているからこの進捗状況はわからない、こういうことでいいんでしょうか。おわかりでしょうか。
  269. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) 申しわけありません。今わかりませんので、後で調べて御報告いたします。
  270. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこまで私には教えていただけるんですか、ばかに細かくなりますね。いいのですか。
  271. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) はい、進捗率については。
  272. 黒柳明

    ○黒柳明君 ここに書いてある、五九%。ここに書いてありますから、いいですか、五九%。  そうなりますと、大臣、こちらが一九七六年から三年半かけて三十八億を使いまして向こうに供与した。この各種車はフル回転してもうオブソレート、だめですよ。ところが工事はやっと半分、こういう状況ですね。しかし、これはこちらの円借款は終わっているわけですから、本来的ならば評価の対象にしなきゃならないわけです。今評価してない。とっくに評価しなきゃならないわけですね、工事はローカルですから。機材は日本の円ローンですから。ところが評価はされてない、人員が少ないから。  こういうことで、その過程におきまして、マスコミ等に出ているような、コンクリートが厚かったのか薄かったのか、破壊されているというようなそういう現状も写真になってあらわれておりました。私も、ずっと南北に長いのでとても全部行くわけにいきませんが、実態を見てきました。見てきたところで、セメントがどうだこうだ、技術的なことなんかわかりません、私たち素人には。基金の人に聞きましたけれども、ある程度しか教えてくれませんですね、というようなことなんです。どうでしょうか長官、これは総裁にお聞きしたって釈迦に説法ですから、知っているんですから、全部こういうのは持っているわけですから、黒柳があんなの一枚持ってたって大したことないよと腹の中ではお笑いになっている、おれのところは全部あるんだからと。にせよ、一事が万事と私は言いたい。時間がありません、まだありますからね。こればかりにこだわっているわけにまいりません。  ですから、こういう事態に対して、これは単なる基金責任とばかり私は言えない。当然地元の二人の責任なんということは絶対言えない。これはやはり政治的なここに手当てをしなければ直りませんよ。どうですか長官
  273. 平泉渉

    国務大臣平泉渉君) 現地に行かれての貴重な御調査でございますから、十分に参考にさせていただいて検討させていただきたいと思います。
  274. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうじゃなくて、やはり責任大臣として出てきているんだから、もうちょっと何か言わないと、私、気がそんなに長い方じゃありませんよ。その点ひとつ考えてくださいよ。そんな同じようなパターンの答弁じゃなく。遠慮することないですよ、天下の平泉経済企画庁長官じゃないですか、もうちょっと思い切っていろんな発言をしてくださいよ。  これだけの事実を挙げて、基金の方からいろいろあれされた、コメントもされている、こういう実情である、これも氷山の一角である、こういう事実を挙げているんですから、調査してなんて……、調査しましたよ、これ、ちょっとお見せしますよ、それじゃ。そういう状況。これ一つです。だから私は、今ここで何を言わんとするのか、ひとつ外務大臣、これにつきまして直接のタッチする責任者じゃないかと思いますよ、評価ですから、基金の問題ですから。しかし外務大臣、こういうことも四省庁の中でよく検討していただきまして、予算の手当てがなければ、それじゃ二人が十人になったら解決できる、そんなことを私は言っているんじゃない。そんなことを私は言う資格もありません、タッチする権限もありません。だけど、こういうことから始めなければ、一〇%がどうだ、一五%がどうだ、それも必要です。必要ですけれども、私は地味な男ですから、地味にやはりやる。そのためにはこういう地味なところから積み重ねていかなければ、もしかすると足元からすくわれてしまうのじゃなかろうかなと、私なりの判断でこういうものを取り上げてみて、これから四省庁でいろいろ協調体制をとって企業にも聞く、あるいは四省庁でいろいろな判断もする、当然ミッションも出してきておるわけです。  やはりその最高責任者外務大臣である、窓口は外務大臣でありますから。ですから、こういう事態というものをよく頭に入れていただいて、そして直すべきは直すんだという大臣発言がありますと信憑性を持ってくるわけです、大臣、何かやってくれるかなと。それが、失礼だけれども何かふわっとして、改めるべきは改めるなんておっしゃっているから、それじゃ解明するなんて言ったって資料を出さにゃ矛盾じゃないか、そんなことは詭弁だ、方便だ、こう言わざるを得なくなっちゃうわけです。大臣、ひとつこれを認識した上で、どうですか、大臣はどういう所感をお持ちですか。
  275. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) やはり私もそう思うんですが、援助で大事なことは評価だと思います。その評価体制、これは基金じゃなかなか今人員その他十分でないし、外務省も評価はそれなりにやっていますし、第三者を入れた形で今度はやってもおるわけですが、まだ十分行き届いてないという点がありますし、これからの援助あり方というものを考えるときに、こうした評価体制をどういうふうに確立していくかということは非常に大きな私はポイントじゃないかというふうに思います。
  276. 黒柳明

    ○黒柳明君 総裁、もう総裁は何を言ったって全部御存じの当事者ですから何も言いません。今言ったことがすべてじゃないことは総裁が一番よく御存じです。いろいろなところに問題があるでしょう。ですけれども、今のことに絞って、冒頭失礼ですけれども、もう御存じだと思ったんですけれども長官より総裁に先に聞きゃよかったな。そうすると長官もそのとおりですと。逆だった、長官、私のミス。長官に聞いて総裁に聞いたから総裁も追随しちゃったんです、長官に。総裁に先に聞けば長官はそれに追随したんで、もうちょっと思い切ったことを言えた。済みません、私が逆にお聞きして申しわけありません。  総裁、今私が言った範囲で総裁の感想なり、今まで考えていた所感なり、これからの対応なり、ひとつまとめて、まずこれだけについてお聞かせいただけますか。
  277. 細見卓

    参考人細見卓君) 非常に激励していただきましてありがとうございます。実際に私どもは人数も不足を感じておりますし、能力の点でも不足を感じておりまして、まだまだ大いに改めなきゃならないとかねて考えておるところで、これからも、今は評価の重要性を御指摘でございますが、同時にいろいろな情報につきましても現地で十分聞き取って、間違った判断に陥らないようにあらゆる意味で強化を図り、人的な能力の向上も図らなきゃならぬ、かように考えております。
  278. 黒柳明

    ○黒柳明君 私は現地でいろいろな、日本だけじゃありません、アメリカのシステムとかいろいろ聞きましたけれども日本から二人行っていらした。必ずしもそれの人数をふやしたからいいというものじゃない。幾らでもサポート体制ができるんです。私はそんなことを言いません、こうやりゃいい、ああやりゃいいなんてできません。ですから、そういうことはもう考えませんで、どうですか、今のままでこの次来る十三次、外務大臣は拡大拡大とおっしゃっているわけです。これはフィリピンも含めてでしょうね。片方は拡大するんだ、おれが総理になったらもっとやるんだ、結構ですよ。だけれども、片方はそんなことをやられたら、評価の面について、評価だけじゃないんですが、外務大臣、今評価ということだけを取り上げている。大変なことになっちゃう、追っつかない。その中において、またどこかで私たちの誠意が踏みにじられて第二のマルコスが出たら大変だ、こういう危惧だってあるんじゃないでしょうか。  ですから、必ずしも人員が二人だから、予算が足らないからと、これだけの問題で片づける問題でもない。と同時に、もし今このままの体制でいけば、またいついかなることがフィリピンでも起こる、ほかでも起こっているかわかりませんから、それをチェックするどころじゃない。こういう私は二つのこと、人数を動員すれば、今それをやろうと思えば幾らでもサポート体制はとれるということです。もう一つ、それで今ここで失礼ですけれども、方便で言っておきゃいいんだぐらいで済ませたら、これは大変なことにまたつながりますよという二つの案と心配を感ずるんですが、ひとつもう一回、恐縮です。
  279. 細見卓

    参考人細見卓君) 非常に膨大な金額を動かし、しかも非常に難しい仕事をやっておるわけでございますから、常に薄氷を踏む思いで仕事をいたしております。しかし、なかなか思うようにいかないというのが実情でございます。
  280. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこで今、今度は逆から来ましたね、評価ですよ。今度はいろいろな問題があるんです。東陽が入札で最高額だったのが、延期さして、それで落札しちゃったとか、あるいは酒井重工業が三番手なのが落札しちゃったとか、いろいろ活字で私たちも勉強さしていただいて、各方面に耳を澄ましていろいろなことを聞きますと、必ずしもそれは間違いじゃないところか信憑性がある、あるいはもう事実である、こういう感触を非常に強くするわけなんです。  そこで、そこの入札のことについて具体的なこれもフィリピン政府からもらった文書です。どうしてこういうのをぽんぽん出すのですかね。これは丸紅のヘッドレターがついておりまして、丸紅のフジイカツジさんという事業部長さんと、それからフィリピン側は運輸・逓信大臣です。それとの文書のやりとり、そのうちの一部です。なぜかならば、対政府ですとやはり詰まらないんですよ。詰まらないというのは、質問が詰まりません。対業者の問題ですから、今回の委員会の設置の意味が。業者を証人に呼んで詰めませんと、もう一〇%、一五%どころでないわけです。その入口までも行かないで終わっちゃうわけですよ。まして基金総裁相手にしていたんじゃ赤子の手をひねるように私たちごまかされちゃいますから。ですから、そういう意味からこれはごく一部です。いいですか大臣、それがここにあるんですから。  どういうことかといいますと、まずプロジェクト名から言わなければだめですな。プロジェクト名は、きのうもちょっと衆議院でありましたけれども、八〇年六月二十日のメトロマニラ都市交通改良事業五十四億一千万、きのうちょっと触れておりましたんですけれども。その丸紅が運輸・逓信大臣とやりとりをしたレターの一部です。まずこの入札年月日、時間を言っていただけますか。
  281. 細見卓

    参考人細見卓君) 今のところ、資料その他をチェックしておりまして、ちょっとわかりかねます。
  282. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは当然教えていただけますね、入札年月日や時間なんかは。ありますか、そこに。
  283. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) 当プロジェクトは、交換公文が八〇年六月二十日でございまして、入札が八〇年十月十日に行われております。
  284. 黒柳明

    ○黒柳明君 八〇年十月十日午前八時、入札が終わっているわけであります。それで、この丸紅と運輸大臣との手紙は一九八一年一月十四日、この前に一月七日のレターもあるんです。だから、入札から、十月十日ですから大体三月たっている。それで契約を結んだのが八一年六月。だからその半年前ですね。このレター、二つあるうちの一つなんです。  これはどういうことを言っているのかというと、丸紅の事業部長さんが運輸大臣に対してこういうことを言っているわけですよ。メトロマニラ交通改良プロジェクト用完成バス及び店頭用工具、装置の供給引き渡しに関する入札、ナンバーPJPLAP八〇−一の件について、これは主題ですね。それで丸紅の部長から大臣にいっているんです。前略、本件一九八一年一月七日付弊信の続きになっています。一月七日もう一つあるんです手紙が。それは今持ってきていません。再度考慮の結果、さらに値引きしたいと思います、上記弊信の二ページ目にある価格ですが、弊社裁定のもと下記価格に値引きになります、こういうことで、だから二回値引きさせていただきます、そしてこの一月十四日には、値引き値段は五十一億一千五百万にします、この五十一億一千五百万というのは総裁、何の値段でしょうか。
  285. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) 今、先生おっしゃいましたメトロマニラの交通制御事業でございますが、これはバスとその他の附属機器だと思います。これは承諾額が五十四億一千万、そういうことになっております。
  286. 黒柳明

    ○黒柳明君 交換公文の。
  287. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) はい、さようでございます。
  288. 黒柳明

    ○黒柳明君 交換公文の中の五十四億一千万、これはコンサルタント料なんか入っておりますから、その中で丸紅の分が五十一億一千五百万、この額なんです。だから交換公文まで落としてきた、二回の話し合いで。ということは、この入札、八〇年の十月十日に入札をして落札したときにはこの額より多かったわけです、交換公文の額よりも。  そうすると、きのうの衆議院を思い出していただきたいんですが、東陽は五十一億五千万で入札しているんです。多い方の丸紅が落札しまして、そして二回落としてきて決まった額がきのうもあったようにその交換公文の額、東陽が入札した額五十一億五千万です。私はそこの金額等に別にこだわるんじゃないんです。これは幾らも操作されているということは各種文書で出ておりますから、その金額がどうであったか、こういうことじゃなくて、入札しまして、そしてその入札も五十一億より高かった、それも余り云々するんじゃないんです、私は。私はこのレターで何を言わんとするかといいますと、入札した、契約が八一年のたしか六月。この間に入札、落札した丸紅と当該事業の最高責任者とやりとりして値引きしている。これじゃ何のための入札、落札なのか。しかもその値引きの最終額は、交換公文に合わせた、東陽が入れた額と全く同じだった、こういうことでやりとりしているんです。これはそういう手紙の一部です。  こういうことが、入札が行われ、そして価格を決める裏で行われている、こういうことなんですが、これがそうなんです。私は今申しましたように、どっちが高くてどっちが安かったか、価格がどうなったか、こういうことを言っているんじゃないんです。入札した裏にはそういう当該責任者とそれから落札した企業と値段のやりとりをしている、こういう事実がここの文書にあるということをここで指摘したわけでありますが、長官どうですか。もしあれでしたら総裁でも結構です。
  289. 細見卓

    参考人細見卓君) 入札を決めます場合に……
  290. 黒柳明

    ○黒柳明君 まず、これは御存じですか。
  291. 細見卓

    参考人細見卓君) はい。この場合は、恐らく並べられた会社のどちらかが、今までの業務の経歴とかあるいは商売の実績とかいうようなことで適当でないという判断を示したのでなかろうかと思いますが、こうした事例は、たまたま今フィリピンの事例が出ておりますけれども、途上国に限りませず、かなりの国におきまして、入札をしてからネゴシエートして値下げを要求するということは割合にある国際慣行でございます。
  292. 黒柳明

    ○黒柳明君 国際慣行の中のこれを一つと断定するのは私は早計だと思うんです幻なぜかならば、きのうも資料が出ました。私は値段は問題じゃないと言いましたが、だから布石しておいたんです。五十一億より高いので落札している、そういう事態の中でのレターだということでありまして、入札の一番札が落札したとか、そういうならばこれは妥当だと私は言いたい。総裁の意見もそのまま、そんなこともあるんですかと、こう素直に受け入れたい。ところが札までも違うんです。高いものが落ちて、最終的には値引きしたのはどこまでかというと、交換公文の値段まで値引きして、これ以上はだめだよというどこかの関与があったのか、どこかの示唆があったのか、どこかから圧力があったのか、あるいは圧力よりも当たり前なようなものがあったのか。  ということは、こういう今まで述べられておりますように、私も耳情報ですから、聞いた範囲で、資料は残念ながらありません。もう、てんづけ三〇%上乗せして入札しなければ落札しないんだ、こういう企業があります。なぜ三〇%か。これはリベートとして出せと、少なければだめだから高く入札しなければだめなんだと、こういう活字になっているのがありますね、幾らも。切り抜きを持ってきました、総裁もお読みになったと思うんですが。しかも、これもそういう背景があるわけです。札の入れ方、落札の仕方がおかしいわけでしょう。そして最後は、値引きしたって交換公文の下とかなんとかまで来ればいいんですよ。交換公文だけでぴしっとしている、そういう値引きの仕方というのは、これは総裁が今おっしゃったような中の同側としては見られないんじゃないかなという私の判断でこれをピックアップしてきた。どうでしょうか。
  293. 細見卓

    参考人細見卓君) 私が最初に申し上げましたのは、つまりその入札の場合に落札するのにふさわしい、大体いずれの国でもそうでございますが、エバリュエートと称しまして、その会社の経歴、資力、能力等あるいは技術的な観点というようなものを選んで落札者を決めることになっておりますから、その場合は二番目の方は恐らくそういう技術的な点あるいは今までのビジネスの経歴その他からしてふさわしくないということで、値段的には高い人に落としたんですけれども、やはり交換公文の関係でもう少し値切れないかと、先ほど申し上げました落札してからのネゴがあるのは、国際的に割合多い事例だというのは後者の方で、前者の方は、そういうことをやれる、つまり大きなプロジェクトとかあるいはいろんなことの場合にだれでもいいというわけにいかない。あるいは落札者がありましても、例えばいつか日本でも五万円とか六万円とかで大きな建物を建てるという話があってだめになりました。そういう事例が間々ある。この場合がそうだと申し上げるわけじゃありませんが、間々そういうこともございます。
  294. 黒柳明

    ○黒柳明君 これがそうであるとはおっしゃらないという最後のお言葉で私はとどめたいと思うんですが、これはだれがいい、これじゃなきゃできないという内容じゃないでしょう、このプロジェクトは。四百台のバスを購入するだけですから、どこだってそんなものはできるわけです。そうでしょう。そういう内容でもある。そういうこともすべて含めて私は検討しているわけです、総裁。  総裁、この事実はそうしたら御存じてしたか。何かこの事実を御存じのような発言で今おっしゃったような感じもするんですが、この事実は御存じなんですか、このレターが往復されている事実は。御存じですとまたほかのことをあれしなきゃならない。御存じなんですか、このレターのことは。
  295. 細見卓

    参考人細見卓君) 存じておりません。
  296. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうですね。だからこのレターのことは御存じない。それで今そういう場合もある、高い人必ずしも能力がないからというようなことでかわる場合もある、あるいはネゴシエートする場合もある、こうおっしゃったんですが、一般論とすりかわるとこれはやはりちょっとうまくないんです。この事例というものは御存じないで、それでこれを出されて、しかもきのうからきょうに続いて落札やなんかの仕方がおかしいという中で、しかもこういうやりとりが行われているとなると、ここの一番冒頭に出しましたこれ、どうなんでしょうか。この入札書類、入札評価でこれ承認、こうなっておりますね。ここの段階でこれはチェックできなかったんでしょうか。
  297. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) お答えいたします。  ただいまの件につきましては、先ほど総裁が一般論で申し上げましたように、やはり燃費とかその他技術的な面も考慮しまして最終的に評価された価格という、ローエスト・エバリュエーテッド・プライスということで落札者を決定しております。
  298. 黒柳明

    ○黒柳明君 いや、そうじゃなくて、こういうレターの往復を御存じなかった、こうおっしゃった。そうすると、こういう値引きするとか何かという実情は一般論ではあり得るけれども、この事業については御存じなかった、こういうことですね、  それから、それじゃこの事業につきまして、先ほどから評価ということで、人が少ない、できない、一生懸命だけどとおっしゃったけれども、それとちょっと観点が違うような感じがするのね。事後の調査、それから契約を結んだ実行段階の評価とはちょっと違うと思いますよ。そこでこの承認、入札評価の承認、入札書類の承認、これはやはりこちらでやるわけじゃないですか、担当課長さんなりだれかれなりがね。ここらあたりでチェックできなかったのか、また当然すべき事項ではないのか、こう私は言っているんですが、いかがでしょうか。
  299. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) お答えいたします。  入札の経緯につきましてはフィリピン側から報告を受けておりまして、そして向こうの評価といいますか、それはリーズナブル、合理的であるということで我々落札者を決定したと、こういうことでございます。
  300. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、フィリピンと対業者とどういう取引があったか、どういうことがあったか全くわかりませんと、それで、向こうから来た書類にそのまま判こを押して許可してそれでやるんですと、こういうことなんでしょうか。
  301. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) 今、先生おっしゃいましたように、フィリピン側でどういうことがありましたかということについては我々は関知しておりませんで、向こうから来ました評価の報告書でございますね、それが妥当なものであるということで承認したわけでございます。
  302. 黒柳明

    ○黒柳明君 入札書類の入札価格というのは業者からは出てこないんですか。
  303. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) お答えいたします。  入札価格といいますか、それはフィリピン政府、実施機関が入札者を募集しまして、それに基づいて価格面、技術面その他を勘案して入札評価報告書というものをうちの方へ送ってくるわけでございます。それで、その入札評価報告書が妥当なものであるということで我々はそれを承認した、こういうことでございます。
  304. 黒柳明

    ○黒柳明君 ですから、フィリピン政府が業者とどういう話し合いをしたかどうかおわかりにならない、これはそのとおりでしょう。だけれどもフィリピンから送ってくる書類の中には要するに価格は出ているんじゃないでしょうかとお尋ねしている。
  305. 細見卓

    参考人細見卓君) 御存じのとおりです。この事業につきまして、何も全額が借款でなきゃならないわけじゃないわけでございまして、フィリピン政府としては借款額に上積みしてこういうものを使いたい、フィリピンの町にふさわしいバスを選びたいということになりますと、先ほど来申し上げておりますように、フィリピン政府として安い小型なものよりも多少大き目にするとかいうようなそういうことで、先ほど熊谷から申し上げましたように、エバリュエートしたフィリピン考え方を受け入れた、そういうことだと思います。
  306. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから、その書類に価格は出ているんでしょう。
  307. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) 先生御指摘のとおり、価格は出ております。
  308. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから、価格が出ていますれば、確かに裏でどういう操作が行われたか、これはわからないこともあるでしょう、あるいは現地にいろいろな情報活動をして接触していますからわかる面もあるでしょう。ましてこういう疑惑があって、いろんな書類の中からもう歴然としてわかるケースがいっぱいあるわけです。これはまあ疑惑が出てきたからわかるというような結果論から逆算するわけでありますが、価格までついて書類が来るならば、向こうのフィリピン対業者がどういうことをやるかということはわからなくても、ここの価格が幾らで入札したのか、これはわかる。  先ほど言いましたように、交換公文に話し合いの事項があるわけです。それについて、皆さん方が、おかしい、いや向こうがやったことだから遠慮するんだと。ここまでも遠慮する必要があるのかな、こういうふうに私は思うわけですが、このケースにつきまして価格は幾らだったのかといって、あるいはこれは教えてくれますか、入札価格。ここは教えてくれないんでしょう。ならば、これでもう結構ですよ、往復する手間が省けるから。だけど、この入札価格から何からおかしい。そうすると総裁は、いやそういうこともあり得るんだ、一般論としてはと、こういうような御答弁がありましたけれども、私はそういう書類、まあこれは失礼な言葉に当たるのかそれが妥当な言葉なのか、めくら判でぼんぼん、ある人はそう言うの、内部の人が。そんなものは調べようがありませんと。  長官、ともかくフィリピンから出てくればもう判こを押す、オーケーを出すだけなんです。こういうことですよ。ですと、これは向こうの大臣企業がどういうやりとりしたかまではわからなくても、出てきた価格がおかしいぐらいのことは、交換公文の数字も出ているわけですから、何らかやはり目には入ってくるわけです。そのくらいのことは基金にも意識を持たせて、そして向こうの政府と遠慮しながらでも不正が起こらないような話し合いというものもしなきゃならない、できるんではなかろうかなと、私はいろいろな話を聞いて私なりにまとめてみたんですけれども、どうでしょうか。今のはこの問題を含めて一般論として。
  309. 細見卓

    参考人細見卓君) 一般論として、望ましい価格水準で物が決まるのがいいことは当然のことでございますから、我々でわかるようなことがあれば当然連絡をいたします。
  310. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから総裁、この問題については非常に価格からおかしかったわけです。だから、そこらあたり基金の方がそういう意識を持って書類に目を通すのか、それとも、失礼ですけれども、今までと同じように来たものはオーケーするのか、そこに大きな違いが出るんじゃないでしょうか、どうでしょうか、総裁
  311. 細見卓

    参考人細見卓君) これはたびたび申し上げておることでございますけれども、私どもは、借款のもとになりました事業計画に従って事業が行われており、しかもフィリピンのように、このケースで申せば恐らく、非常に人が込むところでございますから、小型のバスより大きいバスがよかったり、いろいろそういうバス交通当局の意向というものをやはり第一義的に尊重しなければならない面もございますので、眼光紙背に徹するということは実際問題としては大変難しいと思います。  しかも私どもは、今申し上げましたように、基本的にフィリピンがおやりになる事業についてその財政的な援助を申し上げておるわけでして、高い自動車を買ったら経営がうまくいかないことについて一番被害をこうむるのは基本的にフィリピン政府だという立場考えながら、しかも私ども借款については、間違った使い方をしたときには返していただきますよというところまで入っておるものですから、なかなか原価計算をして積み上げて個々の価格を決めていく、地域ごとにいろいろ価格も違いますし、そもそも適正価格というのもなかなか難しい概念でございますから、努力はいたさなきゃならぬ。これは言い逃れで申し上げておるわけじゃございませんが、なかなか難しいということもあわせて御了解いただきたいと思います。
  312. 黒柳明

    ○黒柳明君 確かに自由世界ですから、統制経済じゃありませんから、バスは何台で入れる、何台で買えなんというわけにいきません、競争しちゃいますからね。ですけれども、基準、標準というのは、くしくも総裁がそういうことをおっしゃいましたので、それじゃ引き続き価格の問題で。  これは大臣、一般的なことですけれども、いわゆるマルコス文書には一〇%、一五%リベートを出したと、七社から数字が出ているわけですね。どこからあれが出てきたのか。コミッション、リベート、キックバック、あるいはコンサルタントというのがみんな介入しているんです、これには、長官御存じのように。あるいは外務大臣、そこまできのうあれでしょうか、このプロセスを見ますと一番初めからコンサルタントサービスが介入している。このコンサルタントが全部最後まで優位権を持って、日本企業じゃなきゃ介入できないんだ、こういう組織になっているんだ、こうおっしゃる方もいますけれども、コンサルタント、これは一次から十二次までの円借款一千億、ちょうどコンサルタント料が百五十億、一五%なんですよ。これは偶然の一致だと思いますけれども、果たしてこのコンサルタント料は妥当なのか。今いろいろ調べているのですけれども、私たちの調査ではおかしいという裏づけはまだとれません。  だけれども、コンサルタントが終始ここに関与するということは、非常に何かむだがある、おかしな点があるということも感じられる。これがリベートに回っているのかな。あるいはいわゆる水増しですね、入札のときから水増しして、先ほど私が言ったように三〇%、一五%、あらゆるものに水増ししてそして入札するのだ、こういうことではなかろうかな。あるいはプライスエスカレーション、これは総裁御存じのように、インフレを見て五%と値段は言うのですけれども、一〇%もそれ以上もそれを見ているのがある、ここらあたりも非常におかしい。あるいはこれがキックバック、リベートの原因ではなかろうかとかいろいろな推測はされるのですけれども、まだこれはわかりません。調査している最中と言うよりほかありません。ところが、これはなかなか私たちにはどこに水増しがあるのか、キックバックの原因があるか、難しいのです。  そこで焦点を絞ったのが、単価がわかるもの、車です。バスもその中の一つですね。ダンプカーもその中の一つです。これは一覧をつくってみますと、一次、三次、四次、六次、七次、八次、ずっと出ておりますが、七七年十一月七日契約、いすゞダンプ二台、一千二百六万六千円、あるいは小松トラクター三台、六千百二十九万三千円云々、こういう一覧があります。これを合計しますと九十七億、大体百億ですね。これは車の形になっている分だけ。ただ、バスはノックダウンしていきますから、向こうの日野で組み立てますから、あと車のボディぐらいは向こうでまた組み立てる、そういうのもありますね。これの単価を調べてみたんです、総裁、いろいろな角度から。  ところが、ここらあたりがもし水増しがあるとすれば、スペアパーツなんてわかりません、何を入れたのか。あるいは道路関連事業の道路の工事費なんてわかりません、人件費等については。もしどこかにこの入札あたりの水増しがあるとするならば、やはり単価がわかるものならば水増しがあったかどうかもわかる可能性だけはあるんじゃなかろうか、そういう乏しい着眼点から調べてみました。それで車の台数が総額にして約百億、オートバイも含まれております、いろいろな各種車。これの一台当たりの値段をはじきまして、これに見合ったものが国内でどのぐらいで売られているか、これを調べました。  そうしましたら、例えばMMCTのバス、これはクーラーつき、一台の購入金額がここに出ておりますように一千二百九十八万四千円なんです。これは交換公文の中に、今そこに渡した中に出ているのです。ところが一九八六年、ことし地方自治体で買った値段、いすゞのクーラーつき、ここに写真がありますね、現地へ行って撮ってきたの、見てきたの。その同型のものが一千二百十四万六千円で売られている、これはことしですよ。フィリピンのいすゞのバスは一千二百九十八万四千円、ことし同型のクーラーつきが一千二百十四万六千円。それがマニラで買った時点の一九八二年、これはオンゴーインクですから、だから継続しているわけですが、その一番古い一九八二年代にさかのぼりますと、これが一台一千百四十七万で売られている。その一千百四十七万、八二年のときにマニラに入れたのは一千二百九十八万四千円、その差額が百五十一万四千円、こう出てきているのです。  これは後でひとつ、総裁にこんなことを言うまでもない、地元ではよく御存じですから、型がどうであるかなんていうのはみんな写真も撮ってありますし、こういうことなんです。これ、どうですか、知っていますかと言ったところで、これは何とも返事があるのかないのか。  それからバスだけじゃわかりません。長官、これはもう外務大臣関係ないのでお休みいただくときですから、長官、今度はダンプトラック。今申しましたように形になっているものをずっと調べてみました。わかるのもあります、わからないのもあります。今総裁おっしゃったように、いろいろな仕様がありますから、内装などの違いもありますからね、大きさも違いますね、難しい、これは。現地に行ってまず向こうのをよく見てこないと、向こうのをチェックしてこないと、それで向こうのと同じもの、そして値段、ダンプやトラックを見たのです。  そうしましたら今申しましたように一次、三次、四次、六次、七次、八次といろんな形の各車が購入されておりますから、その中で私たちがやっとこれは間違いないと突きとめたのが二車種あるのです。これはやはりダンプです。十・五トンのダンプ、日野と三菱、それから八トンのダンプ。このダンプトラックが第四次の日比友好道路、これは先ほど言いました七六年の三月三十日、あのときの購入が三井物産が二十四台で二億四百七十四万四千円、二十四台ですから、これ一台当たりの単価が、割りますと八百五十三万一千円。それから酒井重工業、これは七八年五月十七日です。五十六台、二億九千九百九十三万六千円、これ一台が五百三十五万六千円。これを、三菱と日野の十・五トンと八トンのトラックなんです、やりますと、七六年当時の店頭引き渡し価格は十・五トン、日野が六百四十二万、三菱が七百二十五万、三井がマニラに入れたのは八百五十三万一千円です。その差が百二十八万一千円。それから八トンダンプ、日野が七六年当時四百四十九万、三菱が四百六十七万、酒井がマニラに入れたのは五百三十五万六千円、その差六十八万六千円。こういうことで、後で長官、ここに写真も何もありますのでごらんいただきたい。  こういうことで相当の、これを掛けますと、私はなぜこれを掛けないかというと、総裁わかりますか、なぜこれを掛けないか。全部見たわけじゃないからです、私は。ここに書いてあります酒井重工業の五十六台全部見たわけじゃありません。三井物産の二十四台全部点検できません、不可能です、こんなことは。さらに言うならば東陽通商の七八年一月十日百台、五億五千万、全部見るわけにいきません。見つからぬのです。その後もやりました。ですけれども、私が見た範囲ではこういうものが売られているというので、残念ながら、掛けるイコール合計という計算はできない、良心的ですね、総裁よろしいですか、非常に良心的です。  普通ならば五台見たって三台見たって、あと調べようがありませんからね、掛けるにしちゃう。ところが私はそんなことをやりたくありません。一台につき六十万から百万の差額がある。こういうことが、三〇%水増ししなきゃ落札しませんよ、あるいは高く入札しなければだめなんですよ、低いのはと、こういうようないろんな活字になっているそのリベートを生む一つのもしかすると原因、根幹ではないかなと、断定できません、残念ながら。  私たちが今現在調査をした範囲では、こういう一つの事実関係というものが浮き彫りになってきた、こういうことなんですが、ひとつ総裁、この事実については御存じあるかどうかと言ったって、これはさっき首を横に振られたから御存じない。こういうことについてはどういう感触をお持ちか、ひとつ感触をお尋ねします。
  313. 細見卓

    参考人細見卓君) 国内で大量に売る場合と海外に売る場合とは、それで当然値段も違いましょうし、同じ海外に売りましてもロットの大きい場合と小さい場合と違うとか、いろいろ商機の難しい点がございますので、私が首を横に振りましたと申すのは、一つはそういう意味で価格はなかなか難しい。それはもう相手国政府を含めて、公正な国際入札ということをやってもらうのが一番我々にとってもといいますか、我々のような立場の人間にできる、つまり制度を公正にすることによって結果の公正を保障するということでやる以外はなかなか妙案を思いつきません。
  314. 黒柳明

    ○黒柳明君 ただ、確かに制度は、賢明な日本政府が長年かかって築いた制度ですから、それ自体が間違いがあると私はあえて言いたくないです。ですけれども、その中にやはり悪い人が介入してくれば、いい者も利用されて悪いシステムになる、あるいは現在そういう状態がわかりませんよ。ですから、システムがいいんだ、いいんだと、そういう発言考えは、この際一歩後退させなきゃならないんじゃないでしょうか。そこから、やはり黒柳に御指摘いただいたからと言う必要はないです。全体を踏まえて、そこも一つの見直す材料にしていかなければ、さっきの人員だけじゃないよ、人員だってふやすだけが能じゃないんです、いろんな状態がある。私は、そんなことを言ったってしようがないから、だからこの制度自体、それを見直すということ、見直せと言っているんじゃないですよ、私は。見直すということも一つの反省材料としていかないと、制度は間違いありませんと言ったって、そうじゃないんですよ。間違いがあるとは私言いません。間違いがあるとは言いませんけれども、一〇〇%完璧だという国会答弁だけでのあれですと、身から出たさびでまた足元からすくわれていきますよ。  こういう私は老婆心ながら御忠告をしたいという中の一つでありまして、今総裁が一般論としてと、そんなこと私は知っています。価格に対して難しい、だから私はあえて掛け算もしませんでした。いいですか、私は現場に行って見たものじゃなきゃ言えません。数は多くいっぱいあるんです。その後オートバイやなんかも見てきましたよ。郵便車も行って見てきましたよ。だけど余り危ないことはできない、失礼に当たる。全体の疑惑というものに混乱を起こす。だから私は絞って絞って、間違いなかろう、これだって私断定できるかどうかと言われると、フィリピン政府、これは今度は証人を呼んだときとのあれですよ。だから私はもう全部資料をここに持ってくるという気持ちはないんです。この次やはり当事者とやり合うために手のうちを見せちゃうまくない、こういうような気持ちがありますので今の範囲でやらしていただくのですが、断定もできません、そのかわりに非常に疑惑が多い、こういうことは私はもう声を大にして私の調査の中では言える。  そうなりますと、いい、いい組織だ、いいやり方だなんと言うわけにいかない。そこもひとつこの疑惑の反省材料としてお考えいただかないと、同じことの繰り返し、やっている人は何やっているかわからない。来たら判こ、オーケー言っただけで、これじゃうまくない。今総裁が、いやそんなことを言ったってとおっしゃったから、くしくもこういう調査資料がありましたから、引き続いて私はそういうことを指摘させていただくのですが、どうですか。  もうこの際思い切って、流れとかそういうポイント、ポイント、セクション、セクション、時点の分析とか全部おやりになる。そういうことをやったって、またこの次出るかわからない、悪者がいりゃ。これはわかりません、将来のことです。だけど、今これだけの疑惑、またこういう中においてわからない、わからないだらけじゃないですか。それじゃ困っちゃう。私が前段に言ったことはおわかりになっていることです。こういうことはわからないです、失礼ですけれども。これは調査する能力がない、人手がない、気持ちがない。私たちは調査しなきゃならない、やろう、こういうことですから。ですから今のこの金の流れ、借款の実施ベース、ここに書いてある、これも一つ一つ厳重に検討してこの次に臨む、こういうことは当然じゃないでしょうか、どうです。
  315. 細見卓

    参考人細見卓君) 大変有益な示唆に富む御指摘をいただきまして、今後大いに私どもの仕事の上に生かしていきたいと思います。どうもありがとうございます。
  316. 黒柳明

    ○黒柳明君 そう言われると矛先が鈍っちゃうから、僕はお世辞に弱いから。  長官、今総裁がこれはどういう観点でどういうふうにお感じになっておっしゃったかわかりませんけれども長官どうですか、こういう事実。私は、くどいようですが、これは私の資料を全部押しつけるつもりないですよ、調査続行中というところです。やがてはこれをしっかりして、もう対業者との闘いをやろう、私はこういうあれで一生懸命やらしていただいているんですけれども、どうですか、こういうところにそういう疑惑がなければほかのところはわかりようがない、水増しなんて。こういう観点で調べたら案に相違して高い、どうですか。
  317. 平泉渉

    国務大臣平泉渉君) 今御指摘の具体的なケースにつきましては、ひとつよく調査をさしていただきたいと思います。
  318. 黒柳明

    ○黒柳明君 外務大臣、これ、後でお見せします、これはちょっと資料を急につくったものですから。こういう今私が指摘したようなあれはどこにあるかわからないですよ、あのリベートの原因は。ですけれども、やはり水増してはなかろうかという、一つの活字になっている例もあります。マスコミの方が調査されて、それでこれはおかしい、おかしいという切り抜きをいっぱい持っています。私なりに焦点を合わせてやった結果、それらしきものが出てきたと。ここの段階では本当に申しわけないんですけれども、こういうこともあるので、もしかするとこれからリベートが行っているのかわからない。  外務大臣、いよいよひとつちょっとどうですかね、全体がわからないんでとおっしゃっていたけれども、黒柳いいことをやるななんてなことをお感じでしょうか。それともこんなものは、黒柳が言うことはと、どうでしょう、感触をひとつ。
  319. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私も内容はよくわかりませんけど、そういうことかなという感じもいたします。
  320. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうです。もう非常に今の答弁は名答弁。それ以外にないんです。こんなこと具体的に、はいそうですなんて言ったらおかしいですものね。今話を聞いただけですからね。持っている私、調べた私だってまだ疑心暗鬼で、断定するべきものじゃありません。ここまで調査が進んだ、疑惑の点がある、それを非常に控え目に一覧につくらしていただいて、今後のためのひとつステップにしたい。もしこれがそうであるとすれば、もっとこれ調べていきゃクリアになっていくだろう、こういう感触であれしたものですから、大臣、このことをぜひ頭に置いて留意してください。よろしくお願いします。それ以上のことはこれは言ってもしようがないでしょう。  国税は来ていらっしゃいますか。ソラーズ委員長から引き渡されたいわゆるマルコス文書の一〇%、一五%、あれについては、この前、捜査じゃなくて調査とかおっしゃったあれは警察ですかね。国税当局はどういう行動を起こされていますか。これは行動をまだ起こしてないんですか。
  321. 日向隆

    政府委員(日向隆君) 再三和申し上げておりますが、ソラーズ委員会公表しましたマルコス関係文書につきましては、私どもこれを分析いたしまして、課税上貴重な資料、情報と受けとめて必要な調査を実施しているところでございます。
  322. 黒柳明

    ○黒柳明君 ということはお述べになっていたんですが、それに契約書なんかつきますと、非常にさらにそれが有益になってくるという感触があるんですが、そういう面はどうでしょうか。業者とフィリピン政府との契約書なんかをそちらへお持ちいただくと。
  323. 日向隆

    政府委員(日向隆君) 予算委員会答弁の中で私、ソラーズ委員会が発表し、マルコス関係文書に記載されている事柄は時点の古さがございますという点は指摘させていただきました。したがいまして、その点については十分考えなきゃいかぬことだと思いますけれども、今委員おっしゃいましたように、その文書の中に記載されておる事柄をさらに具体的に裏づけるような資料があれば私ども一層貴重な資料だろう、こう考えております。
  324. 黒柳明

    ○黒柳明君 長官、ただそれはもう破棄しちゃったということですね。総裁、きのうの衆議院で、お持ちのものを五年前ですか、五年前に破棄された、こうおっしゃっているわけですね。それからもう一つは、古いから、十年前だから時効ということにもなるんでしょうけれども。ただ大臣、向こうにあるんです、そういうものが。どうでしょうか総裁日本ではきのうそれで総裁は相当おしかりを受けていましたけれども、何しているんだ、意図的じゃないか、こう言われていました。それはそれとしまして向こうにはあるんです、長官。そういう資料がある。それを冒頭、資料のことでと思いましたけれども、もうこれは古いものですから、大臣、また同じ質問かと言われるので、これは資料を出さないのか出すのかと言ってもしようがありません。ですから、もう出さない、言わないというところで私たち質疑するよりほかない、こう決めているんですが、向こうにあるんです、今国税当局がおっしゃったようなものが。  となりますと、大臣、あくまでもサロンガ委員会は、もう私あるいは皆さん方御存じのようにまだ対日関係が手つかずなんですね。アメリカが重要であり、スイスが重要でありという段階です。だけれども、意欲は持ってこれから日本にと、こういうことは間違いないのでありまして、ひとつ大臣、必要なものがあったら見せてくれ、教えてくれ、いわゆるそういう話し合いというものは当然また言うように交換公文だから出ているわけですから、押して、国税当局があった方がいいというものは、大臣だって解明しようという姿勢はあるわけですからね、そういう中の一環として具体的に資料を要求したらどうか、こんな話もフィリピンにしたんですよ。日本政府から何かありますか、地元の大使館からあります、あの人からこんな話あります、だけれどもこれは正式なそういう外交ルートという感じじゃないんです。これはわかりません、私は野党ですからね。それで、向こうとのじかの接触の中ですから、これはこうだと断定はしません。  どうですか、正式外交ルート解明しようというならば、必要書類がこちらにないんですから、あるところもあるんですから、フィリピン政府、向こうに、それをぜひ見せてくれ、貸してくれ、サロンガさんが十二日に来るというそのとき持参してくれないかとぽっとやれば、持ってきましょう。向こうは全然それについてはこだわりませんよ、私の感触では。どうですか、そうすれば大臣がおっしゃっている、総理がおっしゃっている解明に対する発言というものが行動になって間違いない、こういうことになると思うんですが、いかがですか。
  325. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これはもうしばしば申し上げましたが、今いろいろとお話も承りましたが、要するにフィリピン政府とそれからフィリピン政府から受注をした業者、これは日本企業が多いわけですが、その関係リベートが発生する、あるいはまたコミッションがある、それが何かマルコス政権の要人に移っていく、こういうことが今マルコス文書では大きな問題、疑惑と言われておるので、そうしてそのことがフィリピンにおいて違法であるかどうかということが大きな問題ではないかと思います。そういう点で調べられておる。ですから、やはり主体というのはフィリピン政府、これはもう第一義的なものだと私は思います。ですからフィリピン政府がそういう面で資料公表しないということなら、日本政府は当事者じゃないわけですから、フィリピン政府公表しない資料日本政府が仮に知っておっても、これは公表する立場にないということは申し上げているとおりであります。  ただ、そうしたフィリピン政府企業との間の関係で、日本にまたこれでいろいろと影響がある、日本でまたそれに関連して違法の問題とか出てくる、そういう関連性が出てきて、そして日本関係省庁等でこれはやはり外交ルートを通じてフィリピン政府から資料が欲しいというふうなことになれば、それはそれなりに日比関係、二国間の関係でございますから要請するものは要請をしなきゃならぬ場合も私はあり得る、こういうふうに思うわけですが、基本的には、今の資料問題についてはもう私が一貫して言っているように、あくまでもフィリピン政府がやはり公表するかどうかということが基本である、こういうことであります。
  326. 黒柳明

    ○黒柳明君 これ、公表という問題じゃありませんでね、公表しなくてもいいと思うんですよ。これは国税がどう考えているか、あるいは警察がどう考えているか、またちょっと刑事局長さんにもお尋ねするんですけれどもね。その範囲で当然いいんで、私たちはもうそんなことは私なりの力で調べなきゃならない。そうすると政府解明する、頑張ると、こうおっしゃっているわけですから、ですからその範囲でやはりこちらにない資料は向こうにあるわけなんで、しかもそれがあった方が非常に便利である、当然そうだと思いますね。ですからそういう問題について具体的に契約文書につきまして何とか見せてくれと、捜査に対して協力してくれ、こういう要請をすべきじゃなかろうか。そういうことが資料を公開する、これも私はそうだと思うんです。  フィリピンがやらなきゃだめだというのもおかしいと思うんですが、そういう観点じゃなくして、公表しなくても結構ですから、ひとつこれを究明する、解明するという政府の姿勢、これを発言だけじゃなくて具体的にやはり向こうの資料をとる、捜査協力をしてもらう、調査協力してもらう、そういう面でリクエストをすべきじゃないか、こういうふうに質問しているわけなんですが、どうですか。
  327. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ですから、それは本邦の関連の企業の問題で、今例えば税務当局でもっと調べなきゃならぬ、日本には資料がないとか、あるいはまたこの企業の行ったことがいわゆる犯罪というものにつながっていくという可能性がある、そういう場合にその資料が欲しいというふうなことになれば、これは外務省としては、いや資料公表しない限りは一切要求しませんという立場にはないわけで、外務省はそういうことで、もし向こうの外交ルートを通じてそういう資料を必要とするという日本の側の官庁等からの要請があればこれは取り次ぐ、あるいはまた要請するということはあり得ると思うわけでありますが、ただ先ほどから言っていることは、向こう側が公表しない限りにおいてはこちらはここで公表はできません、こういうことであります。これは一般的な話。
  328. 黒柳明

    ○黒柳明君 今、国税当局はやはり資料があった方が当然いいわけですね。ひとつ外務省に欲しいということを言ってくれませんか、そうしたら外務大臣はすぐ取り次ぐというのですから。どうですか、言ってくださいよ、欲しいと。
  329. 日向隆

    政府委員(日向隆君) 私どもとしましては、今調査に着手したりあるいは調査をしている最中でございますので、その具体的なことについては答弁しかねます。
  330. 黒柳明

    ○黒柳明君 具体的なことって、だってさっき具体的に答弁したじゃないですか、そういうものがあった方がいい、契約書があった方がいいとおっしゃったじゃないですか。具体的なことはあれして、あった方がいいと言ったら、それじゃ外務大臣が、いやそういう申し入れがあればフィリピン政府に言うというのですから、非常に簡明なことで具体的なことじゃないですか。
  331. 日向隆

    政府委員(日向隆君) 先ほどの委員の御質問に対して私は一般論としてお答えしたつもりでございます。
  332. 黒柳明

    ○黒柳明君 だって今一般的な問題じゃない、フィリピンの問題をやっているんじゃないですか。しかもその契約書があった方がいい、こう言ったのじゃないですか。これ以上やると今度私の税金が高くなっちゃうから。  それから刑事局長さん、いらっしゃっていますか。サロンガさんですかね、司法共助ということが一週間か十日ぐらい前だったでしょうか、話ありましたが、まだそこまでは至っていないのかな、こういう感じはしますが、いつこれはどう発展するかわかりませんね。向こうからそういう申し入れが正式にあったわけじゃありません。ただ、発言があったことは間違いありませんね。こういう司法共助なんということについて今現在どういう御感触をお持ちですか。
  333. 仁平圀雄

    政府委員(仁平圀雄君) 司法共助ということになりますと大変範囲が広うございますので、警察の所管の範囲を超えるものもあるわけでございますが、捜査共助という観点から申し上げますと、フィリピンにおきまして刑事事件として捜査を行うような段階になりまして捜査協力を要請してくるという場合はあり得るだろうと思います。そういう場合には、我が国は国内法として国際捜査共助法というのがございますので、これにのっとりまして適切に対応することになろうかと思います。
  334. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、サロンガさんが間もなく来るという、これはっきりしたようなしないようなあれですが、そこらあたりに、準閣僚ですからね、政府を通じて要請があるとその段階でやはりこちらも協力態勢をとると、こういうふうに理解してよろしいですか。
  335. 仁平圀雄

    政府委員(仁平圀雄君) 要請がありました場合には、これは外交ルートあるいはICPOルートとかいろいろ考えられますが、先ほど申し上げました国際捜査共助法の要件に合致しているかどうか、その要請に応ずることが相当であるかどうかというようなことを判断いたしまして、しかる後要請に応ずることになろうかと思います。
  336. 黒柳明

    ○黒柳明君 マルコス不正蓄財あるいはこういう問題で、もし国内法で何か犯罪行為に当たるとするとどういうことが適用されるということが考えられますか、この円借款事業や何かでですね。
  337. 仁平圀雄

    政府委員(仁平圀雄君) 警察といたしましてもこの問題につきまして、いろいろと予想されるケースにつきまして、これまでに入手いたしました資料等について種々検討をしておるわけでございますが、先ほどもお答えいたしておりますように、これまでのところ刑罰法令に触れるような事実を把握しておらないわけでありまして、それ以上のことを申し上げますことは、捜査機関としての立場もございますので、問題があろうかと思いますので差し控えさせていただきたいと思います。
  338. 黒柳明

    ○黒柳明君 また同じようなあれで恐縮ですが、フィリピンにはこちらにもう破棄されてないものも残っているんです、契約書等を含めまして細かい数字。そういう資料がありますと、今資料を集めて云々とおっしゃっていましたが、その捜査が一段と加速度がつくということは間違いありませんね。
  339. 仁平圀雄

    政府委員(仁平圀雄君) 先ほどもお答え申し上げましたように、警察としては刑事事件として捜査を行うという段階になりましてから積極的に外務省等に要請するという立場でございまして、その以前の段階におきましては、日本政府の方針のもとに関係官庁と緊密な連携を持って必要な情報収集を行っていくというのが警察の対応でございます。
  340. 黒柳明

    ○黒柳明君 済みません、時間がありませんので外務大臣に最後に。  本来、私はこの委員会ができた目的というのは、企業とやはり詰めて、そうして本当の核心であるキックバックのキックバックがあったのかないのか、あるいは一〇%、一五%と言われるいわゆるマルコス文書、その裏が本当にどうだったのか、そういうものを詰めていくのが本委員会の使命である、それに先んじて外務、経企、それから基金とのきょうはスタートの委員会である、こう思っているわけでありまして、これがスタートになったかならないかわかりませんけれども、今ここで私たちが持っている資料調査したものをこれでもかこれでもかと出すような委員会ではない。知らぬ、存ぜぬ、出さぬ、聞かぬと。聞くのは聞くのでしょうけれども、出さぬ、言わぬですから、これはもうどうしようもないわけであります。  ひとつ願わくは、先ほどからいろいろな問題で具体的に私指摘しました。外務大臣長官含めまして、ただ単なる、失礼ですけれども、ただこの場、解明すると、こう言うだけじゃなくて、もうこれから海外援助が拡大するという外務大臣の大きな未来展望の中に、相手の実際的にこれは足元から改善しなきゃならない点が幾多あるわけでありますので、ぜひひとつ四省庁の中核になって、大臣、やれるところから速やかに手を打ってもらいたい、速やかに行動を起こしてもらいたい、速やかにフィリピンの方に要望してもらいたい、こういうことを最後にお願いしまして、大臣答弁をお願いして終わります。
  341. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) この問題につきましては、先ほどから申し上げましたように、第一義的にフィリピンの問題として今フィリピン調査、追及がされておるわけですが、しかし日本政府も、やはりこれに対して重大な関心を持っておる、そうして国会でもこうした特別委員会もできたわけでございますから、日本政府として何もしないということではありませんで、ここでいろいろと御答弁を申し上げましたように、四省庁が四省庁で集まりまして、そして例えばマルコス文書に出ておる企業等に対する質問状を発送する、そうしてまた企業の代表者を呼ぶという態勢も整えつつありますし、あるいはまた警察とか、あるいはまた国税の関係でもいろいろと調査はそれなりに行っておられるということでございますから、政府全体として援助あり方をただすということで努力はいたしておるわけでございます。ただ問題は、いつも御不満がありますけれども、二国間の関係、大きな外交の壁というのがありまして、どうしてもその間に資料等について明らかにできない、そういう外交的な壁があるということはひとつ御理解をいただきたい、こういうふうに思います。
  342. 黒柳明

    ○黒柳明君 以上です。
  343. 内藤功

    内藤功君 昨日の衆議院委員会におきましても、政府は、フィリピン政府への資料要求、あるいは円借款についての日本政府資料公表を拒否するという態度をとっております。その理由として二つ挙げておるわけであります。第一は、本件は第一義的にフィリピンの問題であるということ。第二点は、外国政府企業の問題である、日本政府は第三者的な立場である、こういうことであると思います。私はこのような理由は断じて認められないと思うわけであります。  そこで、まず第一点から御質問をしたいと思うんです。  世にマルコス疑惑といいまして、政府は第一義的にフィリピンの問題だと言うわけでありますが、私はそうじゃないと。第一義的にはすぐれて我が日本国家国民の問題ではないかと思いますが、政府はそのようには思われませんか。
  344. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これはもうしばしば答弁いたしておりますが、マルコス文書に伴ういろいろな疑惑については、これはフィリピン政府とそしてフィリピン政府が発注した事業、それに関連する業者、日本の業者も多く参加しておるわけですが、この間におけるリベート、コミッション、これがマルコス政権の要人に渡ったのではないか、こういう疑惑を中心にして火を噴いておる、こういうことでございまして、そしてそれに、いわゆるこの事業に日本援助というものが関係があるということでございます。そういう意味日本政府としても非常に重大な関心は持っておるわけでございます。もちろん、そうした意味日本政府政府なりに事態解明について努力もしておるわけでありますが、本来的にはフィリピンで今のコミッションあるいはリベート、それが違法であるかどうかということについて、あるいはその真相について今事態が明らかにされつつある、こういうふうに理解しております。
  345. 内藤功

    内藤功君 この事件の一部分は言っておられるんですが、全体をやはりどういうわけかおっしゃらないというのが今のお答えの印象であります。  本件の実体は一体何であるか。これは日本の対外援助、特に政府開発援助、ODA、これが歴代の内閣のもとで日本企業、それからそれと深く結びついたコンサルタント会社によって翻弄されて、アメリカの軍事援助によって支えられたマルコス政権と結託して不当な利潤、リベートというものをほしいままにしていた、これが問題の中心であると思うんです。すぐれて第一義的に日本の問題、それをフィリピン内部のいわゆる贈収賄的なものだけに絞って見ておるというところが政府の見方の非常に私は小さい観点じゃないかと思います。  しかも政府開発援助のうち、今回特に疑惑の的になっております円借款あるいは無償援助の財源は、国民の税金であり、あるいは国民の郵便貯金であります。フィリピンへの政府開発援助日本企業フィリピン進出の促進剤の役割を果たすとともに、その中で企業が不当な利潤をほしいままにしてきた、こういうふうに見なきゃならぬと思うわけであります。日本企業の利潤、マルコスの不当な蓄財の一部が政治献金として日本政界に還流しているのではないか、こういう疑いも報道されており、警察庁も委員会におきまして、この問題には重大な関心がある、こういうふうに答弁をしております。私は、これだけ申し上げたことからも第一義的には日本の問題であることが明らかで、政府のこれは第一義的にフィリピンの問題だという態度はやはり改めていただく必要があると思うんです。経企庁長官、いかがですか。
  346. 平泉渉

    国務大臣平泉渉君) それはいろいろ見方はございますが、しかし私は、本質はフィリピン政府自身がこの当時の契約の相手方である、こういう点から当時のフィリピン政府の内部に非常に重大な問題がある、その点をやはり究明してみる必要がある、かように考えておるわけでございます。
  347. 内藤功

    内藤功君 そうではないということを私はこれからいろいろ解明をしたいと思うんです。  もう一つ政府が第二番目の理由として言っておりますのは、円借款に伴う契約はフィリピン政府企業との契約であって、相手側、つまりフィリピン政府の主権に関することだから公表は避けたい、こういうことを言っておるわけでございます。しかし私は、日本政府はOECFを通じて契約に深くかかわっておる、こういうふうに思うわけであります。この点はいかがでございますか。
  348. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) 私どもが御答弁いたしておりますのは、契約は相手国政府受注をいたしました企業との契約でございまして、日本政府は、認証等はもちろん行っておりますけれども、契約の当事者ではございませんので公表する立場にはない、こういうふうに申し上げております。
  349. 内藤功

    内藤功君 契約の当事者でなくても、OECFの承認権というものが重大な問題なんです。OECFは借款事業についてどうかかわるのか、要請の段階から評価までの関与の手順を御説明いただきたいと思います。
  350. 細見卓

    参考人細見卓君) OECFが直接に当事者になってまいりますのは、借款契約でございますから、したがいまして借款から始まるわけでありますが、しかし案件の選定に絡みます、つまり交換公文で取り上げられる案件についてのいろいろ技術的な側面についての助言を間々求められることがございまして、その場合にはそのあたりから参画いたしております。  そういうことで交換公文が決まりますと、私ども相手国の当事者あるいは当事者を代表する国の機関との間で借款契約を結びます。そのことによって相手国政府は、それぞれの事業者が信用状の発給を求めるわけです。それに対して私どもは、そういう事業主体に対してそういう借款を供与することを約束、つまりLAを結んでおりますということを言いますと銀行は安心してその資金の支払いに応じ得るわけで、資金の支払いは原則としてそのLAを基礎といたしますいわばLC、普通の商業貿易の場合と全く同じでございまして、LCが開かれ、LCの総枠が決まって、したがってそれに対して現実の施行の段階でその都度船積み証券とかいうようなものが発行されて、そういうものが現実に契約の段階に入ってまいりますことにおいて船積み証券をもとにしてそれで銀行に買い取りを求める、そうすると銀行はLCの枠内であればそれを買い取る、通常の商業貿易の場合と同じでございます。
  351. 内藤功

    内藤功君 非常に不十分だと思うんです。私もそれなりに勉強しておりまして、それからまた我が党はフィリピンに先日、正森衆議院議員、三浦久衆議院議員らを中心とする調査団を派遣してOECFの活動等も聴取調査をしてきました。  総裁、こういうことじゃないんですか。実際には入札がある場合に入札に参加した企業の一番札と契約を結ぶんですが、その契約を結ぶ前に入札評価報告書というものが日本基金の現地駐在員から日本のOECFに送られる、OECFで調査をしてオーケーをおろす。OECFは拒否することもできる、また過去拒否をした事例もある、こういうふうに私は理解しておりますが、いかがですか。
  352. 細見卓

    参考人細見卓君) 先ほども申し上げましたように、大枠としての事業計画書というのがあるわけでございますから、その事業計画書にはまっておらないというものであれば当然のこととして支払いの、つまりプロジェクトの遂行とはならないわけでございますから、私は、そういうことは例外的にはあったかもしれませんが、原則として事業計画に基づいて事業が運行されており、その都度こういうものを契約して購入したい、その購入契約に当たっては原則として一般的な国際入札による、その入札に当たってはこういう考え方でやりたいというような連絡がございまして、そのことについてふさわしいものであれば結構ですがということを申し上げます。
  353. 内藤功

    内藤功君 これでおおむね明らかだと思うんですね。つまり当事者ではない、契約のいわゆる法的な当事者ではないが、じゃ関与してないかというと大いに関与している。つまり拒否をする事例があるし、拒否はできる、それは拒否する場合は件数は少ないでしょうが。これはつまり承認権をOECFはこの契約について持っておるわけなんですね。当事者であるかないかというのはまことに形式論です。こういう承認権があるというのがポイントです。OECFのこの承認権は、普通の銀行さんが貸し倒れのおそれがこの会社にあるかどうかということをお調べになるというのとは根本的に違うと思うんです。  総裁あるいは政府委員でも結構ですが、OECFのこういういわゆる承認権、これについてイエス、ノーを言う、オーケーかノーかを言う、こういう制度は一体どういう趣旨から、恐らくそれなりの制度のいわれがあると思いますが、どういうところから出てきたんですか。結局、私思うに、不正腐敗が生じないように監視をするということ、もう一つは、国民の税金なり郵便貯金というものが正しく運用されるようにこういう制度を持って進んできたんじゃないんですか。
  354. 細見卓

    参考人細見卓君) 先ほども申し上げましたように、事業計画に従って手続どおり行われておるかどうかということを見るわけでございまして、普通の金融機関の与信に当たって事業が計画どおりに動いておるかどうかを見るのと本質的には異なっておりません。
  355. 内藤功

    内藤功君 ところが、普通の銀行ならば審査はするけれども、入札評価、これが妥当かどうかという権限、これを審査する権限は普通ないですよね。またAの銀行が貸さないという場合でもBの銀行から借りるということもこれは可能であります、一般の市中銀行の場合。しかし、円借款事業の場合にOECFの果たす役割というのは、OECFが貸しませんと言ったら、これはほかから借りるところございますか。これはないわけですね。質的に違うんです。いかがでしょうか。
  356. 細見卓

    参考人細見卓君) 交換公文で既にこの案件については借款を供与しましょうという国と国との約束ができておるわけでございますから、私どもはそんなオールマイティーなものではございません。
  357. 内藤功

    内藤功君 オールマイティーかどうかというところに問題をそらしておられますが、これは当事者じゃないという形式論はもう通らないですね。OECFがこのように関与している。極めて例外的だという控え目な表現ですけれども、これはもう明らかです。関与しないところか、実際上これに承認を与えている。拒否した事例もあるというのでありますから、このOECFを通して日本政府が全然関係がない、これについては赤の他人、第三者でございますということは、私はこの国会においては通らないし、国民のやはり常識はこれをなかなか認めがたいだろうということを率直に指摘せざるを得ないと思います。  日本側がこの契約に対してどのように対応したかという資料公表して事実を明らかにするということは、私はフィリピンの主権の問題ではない、日本の主権の範囲内の問題だと。しかも日本国民の懐から出た、郵便貯金、税金から出たお金の使われ方の問題だ。私はこういう意味から言って、この政府の言われる第二番目の理由についてはこれは成り立たないと思うんです。資料の公開を強く要求いたします。  以上、基本的な立場を私は明らかにいたしまして、次の問題に入りたいと思います。  それはリベートの問題であります。  委員長、途中で失礼ですが、外務大臣に私質問したいんですが、おられませんな。
  358. 田中正巳

    委員長田中正巳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  359. 田中正巳

    委員長田中正巳君) では速記を起こして。
  360. 内藤功

    内藤功君 安倍大臣をしばらくお待ちしておったわけであります。  アメリカのソラーズ委員会公表マルコス文書によりますと、マルコスに支払われたリベートは契約額の一五%だということが出ております。円借款事業に関して多額のリベートが支払われているとすると、当然のことながら契約額の中にはこのリベート分が含まれているわけです。そこでプロジェクト借款について見てみたいと思うんです。  これはさっき質問しましたように、要請があって交換公文が結ばれて、ローンアグリーメント、借款協定が結ばれて、そしてそれから契約、こういう手順になるわけでありますが、プロジェクトの総資金はこういう流れの中のどこの時点で決められるか、この点をお伺いしたい。
  361. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) 御質問意味を必ずしも私正確に把握したかどうかわかりませんが、まず第一に委員が言及なさいましたマルコス文書でございますけれどもマルコス文書に出てまいりますことは、我が国の特定の企業フィリピン側会社に対しまして、フィリピンとの間の商行為に関連してフィリピンにおける役務提供を委託すると、いろいろのフィリピンにおける活動でございますが、その役務の提供に対して一五%という数字がございます。もちろん一〇%というのもあるかと思いますが、中に入っておりますのは一五%のコミッションを支払いますという契約が一つ出てまいります。その相手国フィリピンにあります会社フィリピン政府高官等と密接な関係があったのではないかと推測させるいろいろ文献等がある、こういうお話でございます。  それから第二点のプロジェクト借款の費用と申しますのは、まず事業自体は、先ほど来基金総裁が御説明申し上げておりますように、事業はフィリピンの行っております事業でございます。フィリピンの行っております事業費のうち我が国協力を求めてまいります部分をどういうふうにするかというのは、これもまたフィリピン側が主体として決めているわけでございまして、我が国円借款基本的な考え方は主として外貨部分をファイナンスするという考え方に立っております。もちろん外貨部分のすべてをファイナンスするわけでもございませんし、ある限度内において内貨部分を見ることもございますけれども、それはプロジェクトごとに相手国の要請に応じて我が方がそれを審査いたしまして、適当と認めるものについて先方政府と合意をして対象にしていくということでございまして、一概にどの部分に円借款が適用できるかというルールのようなものというのは特にないかと思いますが。
  362. 内藤功

    内藤功君 どうも質問意味を取り違えているようなんですが、こういうふうに聞きましょう。  従来の外務省と経企庁の説明によりますと、交換公文やローンアグリーメントの段階では将来のインフレも考慮して枠は高目に設定しているというふうに私は伺っておるんですが、その点をちょっと確認したいと思います。
  363. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) 限度額の設定ということでございましたら、限度額につきましては、先ほど申し上げましたように、フィリピン側が要請をしてまいります段階では、フィリピン側の計画書もございますし、それからフィージビリティースタディーと俗称しております、俗称と申しますか通称しておりますが、事業計画可能性報告書と申しますか、そういう種類の図書を添付しております場合もありますし、ない場合もございます。ない場合には後刻それを作成したりいたしますが、そういう事業のうち我が国に要請しております金額を根拠立てる文書というものがございます。それに対しまして最初まず関係省庁が協議をいたしまして、審査をいたしまして、フィリピンの場合は大体行っておりますけれども、要すれば現地に赴きまして現地の主管の官庁、実施責任官庁等との協議を経まして我が国として提供する円借款の限度額というのを決定いたします。  その決定の際に高目に設定しているのではないかという御質問でございますが、高目に設定しているということはございませんで、恐らくは先ほど来の御質問に出てきたところかと思いますが、例えば一〇%等の予備費というものを見込んでいる場合がある、将来のインフレ等を見越してですね、これは我が国に限らずアジア開発銀行でございますとか世界銀行等が借款を供与する場合にも押しなべてそういう慣行になっております。それが将来のインフレないしは、外国でしかも数年間にわたって行います事業でございますので、そういういろいろな自然条件の変化等を勘案しまして入っております項目というふうに御承知いただければと思います。
  364. 内藤功

    内藤功君 非常に歯切れの悪い答弁なんですがね。  四月二十三日のこれは朝日ですが、マルコス前政権下で長期にわたって首相兼蔵相を務めたセサル・ビラタ氏の談話が載っておって、私これをよく見たんですが、    〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕 このビラタという人は、「「こうした入札の方法の下で、日本企業同士が独自の『ビジネス・ルール』を作って仕事を分け合っていた」として、日本企業間に談合が行われていたとの強い疑問を表明した。」という事実がここで発表されております。  それから私が最近見たところで、元閣僚経験者衆議院議員の石原慎太郎議員が、これは雑誌の国際開発ジャーナルの八五年一月号という、対談でこの間の事情をこういうふうに述べておるんですね。要点を言いますと、海外援助ではコンサルタント会社の役割が大きい。コンサルタントというのはある場所にダムをつくる、橋をつくる場合に、その都度計算から何まで全部やる。コンサルタントが全部の見積もりをするわけだが、その中でフィリピンの場合、商品借款を含めて全額約五百億円の円借款を一五%から二〇%水増ししろと言われてつくった人間が現実に何人かいる。その人間が、余りにもひどいから日本に来て外務省がどのセクションでどんなチェックをしているかと見に行ったら、若いスタッフが自分、つまりコンサルタントのつくった予算書を見ていたというんです。この後どうするのかと聞いてみると、大蔵省はノータッチ、中で通産省とか農水省とか、関係あるものは技術的に問題があるかないか見るだけ。外務省にはこれだけの規模のダム、橋に対して、現地のコストその他からして、要するに労賃も含めて妥当か妥当じゃないかというチェック能力が全くないということをこの石原慎太郎氏、これは元環境庁長官をやった国会議員ですが、言っておりますね。  私は、こういうような状況、これで現地で一体チェックができるのかどうかということが非常に疑わしい状況があると思うんですが、これは政府とOECF両方にお聞きをしたいんですけれども、このような状況についてはどういうふうな御認識、またどういうふうにこれは対応すべきだというふうにお考えになりますか。
  365. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) ビラタ前首相兼蔵相は経済の専門家で非常に立派な方でございます。ビラタ首相の御発言は私も新聞で拝読いたしました。実際どういう御意向で発言をされたのか、発言の正確なところというものは承知いたしておりませんが、今委員が御指摘になったような御発言をなさっているということは私も拝読いたしました。  開発ジャーナルに書いてございます論文は私も拝読いたしましたが、かなり多くの部分が事実誤認でございまして、商品借款にはコンサルタント等は全く関与もいたしておりませんし、見積もり等々も生ずる余地もございません。
  366. 内藤功

    内藤功君 これはやはり相当信用のある発言だと思いますね。  さらに、これを裏づけるものとして、我が党が入手した資料に基づいて若干これを裏づけてまいりたいと思うんです。実は一九七三年三月のローンアグリーメント・ナンバーPH−P1、これはマニラ地区洪水制御排水事業契約、この契約がなされましてから数十件の契約書をずっと見てみますと、その事業契約額はローンアグリーメント契約額とほぼ同じになっております。ほぼというのは、ほとんどぴったりに近いですね。中にはぴったり一致しているのもあります。例えばPH−P1というナンバーのものにつきまして見ますと、借款契約が正確に申しますと三十億二千七百万円。これに対しまして事業契約が三十億二千七百七十万円。わずかに七十万円だけ事業契約の方が多いと。そして七三年から七七年の四年間で十六の契約文書に分かれております。  もう一つPH−P2というのを見てみましたらば、これはローンアグリーメントが七億八千百十八万七千円。そして契約の方が七億八千百十八万八千百十一円。わずかに千百十一円のオーバーにすぎない。これは七四年三月から七四年十一月まで約八カ月の間に五件の契約書がつくられておる。  もう一つ今度はPH−P3というのを見てみますと、これは十八億九千八百万円ということで両方の金額がぴったり同じと、こういうぐあいであります。こういうふうにぴたりと一致するというのは私は非常におかしいというふうに思うわけなんですが、この点疑問はお持ちになりませんか。大臣いかがですか。
  367. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) ただいま三つのプロジェクトについてお話ありましたけれども、詳しいことは今初めてお聞きするのでわかりませんが、我々は、交換公文でこういう仕事をや谷、それを受けて借款契約、ローンアグリーメントを結ぶわけでございます。それに基づいて入札をやって契約をするわけでございまして、その交換公文、借款協定の中の事業の内容借款対象内容、その中に含まれておりかつそれによってそのプロジェクトが適切かつ達成の見込みがあるということであればそれを承認している、こういうことでございます。
  368. 内藤功

    内藤功君 私はこれは非常に疑問を持つわけなんです。お調べをいただきたいと思います。  私はこの原因は、商社やコンサルタントがいわゆる要請主義という立場、この要請主義の仕組みの欠陥を悪用して、政府がそれを放置してきたというところにずばり原因があるというふうに思うわけなんですよ。商社あるいは特にコンサルタントが企画立案の段階で水増しをする、これを借入国政府、本件の場合はフィリピン政府に持ち込んで要請をした場合に、さっきの石原衆議院議員の証言、私は基本的にあれば信頼できるものとして読み、繰り返しておるわけですが、あれに出ているように、もうノーチェックで走る、外務省から大蔵省からノーチェックで書類が走る。入札では、さっきのOECFの質問のときに指摘しましたように、こういうチェックはなされない、むしろローンアグリーメントの額に近いほど事業の実行に適切だということになる。高過ぎるのは当然だめ、低過ぎるのは計画どおりやっていないという、いろいろなことを言われるんでしょう。そこで、入札があるというけれども、これも談合でくくり抜けていく、これがさっきのビラタ前首相の、これは外務省も信頼できる方だと言ったビラタさんの証言である。これはもうやりたいほうだいにリベートを上積みする、上積みすることができる、そういう温床がここにあるというふうに私は率直に言って疑惑を指摘せざるを得ないわけなんですが、この点はいかがなんでしょうか。どういうふうに反論されますか。
  369. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) 先ほど来うちの総裁、それから外務省の経協局長が申し上げておりますように、そもそもプロジェクトにつきましては、相手国の必要性、それからその国の経済開発に寄与するとか、経済的なあるいは技術的なフィージビリティーと申しますか実現の可能性、それから向こうの実施機関の財務実施能力、それから向こうの技術的な問題点等、向こうから出されました書類に基づいて、それが借款のといいますか、交換公文を結ぶということで妥当であるということでそれを結んでおりまして、先ほど申し上げましたように、我々は入札、契約と、入札というのはやはり公正な合理的な一つのステップということでその入札という行為を経て、その入札ももちろん交換公文、それからローンアグリーメント、借款協定の事業を達成するその対象品目であるとか、借款対象とか、そういうものに合致しているというようなことを一応チェックいたしまして、それでその入札が妥当であるということであれば、その後契約という段階に至るわけでございます。これはあくまでも一義的には相手国政府が実施するものを基金はそれを金融的に支援する、こういうことになっておるかと思います。
  370. 内藤功

    内藤功君 一義的に一義的にと言うけれども、結局今の答弁の中でも、基金が承認の権限を持っているということを繰り返し認めているんですね。  そこで次の質問ですが、交換公文の額というものを見ますと、これについていろいろな政府の御答弁を総合してみると、インフレ等を見越して高く決められることがあるんだと、こういうことを言っておるんですね。私は、これではリベートの幅をつくってやっている、結果的にそういう下地をつくってやっているということになるんじゃないかと思うんですよ。この点どういうふうに思われますか。
  371. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) 交換公文の額それから貸付契約の額は、委員御高承のとおり限度額でございまして、その限度額の中で相手国政府は入札を行って落札者を決定するという仕組みでございます。ただいま御指摘の数件につきましては、限度額とそれから実際の契約額がかなり一致しているというお話がございましたけれども、一致している場合もございますし、それからかなり乖離して安く受注されるという場合もございます。その案件の性格でございますとか、いろいろな要因によって一律には申せない状況ではないかと思いまか。
  372. 内藤功

    内藤功君 そうすると、私が指摘したマニラ地区洪水制御排水事業、これについてはPH−P1、PH−P2、PH−P3、いずれも全部ぴったし一致と言っていいですね。私は、非常に符合しているのでこれはおかしいということで今指摘したわけであります。  次に、今の答弁に関連してですが、このリベートの幅が非常に大きいものがあるということを示したのが公表されたいわゆるマルコス文書のうちNPC、国家電力公社のカガヤン電化計画についての東陽通商常務取締役小竹喜雄氏からの手紙であります。これは翻訳されたものが出ておって、私これによって承知をしたのでありますが、この手紙はかなり長文ですが、要するに、この電化契約が公表されてからメーカーがカルテルをつくった。そのとき、伊藤忠がその代表格のチャンピオンになることを希望した。伊藤忠は、おれがチャンピオンになればコミッション、いわゆるリベートは払わないようにやると言ってそのチャンピオンになった。  ところがその後、経過を省略しますけれども、オスカー・ロドリゲス氏側はその状況を把握して、プロジェクトを凍結して対抗してきた。そこで今度はカルテルメンバーが動揺して、そうして入札価格の二%引き、そして海外部分に対しては五%のコミットメントを支払うが国内部分に対してはコミットメントを行わないというような、その他いろいろの提案をしてきた。一方では一五%というリベートの上の方の幅があると思えば、一方ではかなり値引きしたパーセントもある。こういうような幅があるということをこの手紙ははしなくも我々の前に示しておると思うんです。こういうふうに私はこのマルコス文書の小竹常務の手紙を読むわけなんであります。伊藤忠など日本企業がいかにもリベートの支払いを拒否した正義派のように一見見えますが、そうじゃないと。  そこで、我が党の調査団はフィリピンにおきまして当のオスカー・ロドリゲス氏に会って調査したところであります。その報告によりますと、ロドリゲス氏は、本件ではカルテルの可能性があった、円で言えば、我々の見積もりの五九%を上乗せした価格で大体一致していたので、NPC、国家電力公社と私は大統領にキャンセルするよう進言した、こういうことを言っていたとのことであります。伊藤忠などの日本企業マルコスリベート分も利益に取り込もうとする、マルコス側はこんなに水増ししながらリベートを値切るのはけしからぬといった、言葉はちょっと品の悪い例えで恐縮でございますが、キツネとタヌキの争いのような感じがいたします。  注目すべきは水増しのこの大きさなんであります。こんなことができるほどローンアグリーメントの契約額が高く設定をされているということだと私は思います。高く設定されていなければそういうリベートの幅なんというものは大きくなるわけがないと私は常識で思います。リベートの額が一%だとか二%というならともかくと言ってもいいでしょうが、一五%もある。それで、水増し分はこのリベートの一五%だけでなく、商社、コンサルタント、メーカーの上乗せ利益の分も含んでいる。つまり、二〇%も三〇%も通常の価格より高くなっているものをそのまま認めてきたOECF及び関係省庁責任は私は重大だと思うんですね。  私は今からでもこれはチェックできることがあるはずだと思います。詳しい仕様、スペックの入った契約書を見ればこれはわかるわけなんでありますけれども、そういうようなやはり点検、チェック、さらに国権の最高機関である国会への公表ということをぜひこれはおやりになる必要があると思う。そうしないと、単に政府質問しているだけじゃだめなんです。この資料の公開、証拠というのが必要なんです。証拠というのは別に犯人をつくるためのじゃないです。国政をたださんとするための証拠であります。これはやはり提出するべきだと思うんですが、この点は重大な問題ですので、政府さらに基金、双方の御答弁を求めたいと思います。    〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕 大臣も御遠慮なくひとつ御答弁いただきたい。
  373. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) ただいま委員御指摘のマルコス書簡の中にカガヤンバレー電化計画におきまして日本の商社がグループを組みましてフィリピン側と闘ったという記載がある点は私どもも拝読いたしました。他方、共産党の調査団がフィリピンに行かれまして、ロドリゲス氏だったかと思いますが、本件の事情を聞かれましたところ、ロドリゲス氏側の言い分は小竹書簡に書いてあるのとは異なっておりまして、そうではないと。むしろ日本側が悪かったんで凍結したんだということをロドリゲス氏が言っておられるという部分は私どもも赤旗で拝読させていただきました。  どちらの言っておられることがより真相に近かったのかというのは私どもも今のところよくわかりませんが、先ほど来申し上げておりますように、公表されましたマルコス文書を現在関係省庁で精査いたしておりまして、その中にいろいろ登場される企業、それから個人の方からはお話を伺うという予定にいたしているということだけをつけ加えさしていただきます。
  374. 内藤功

    内藤功君 基金の方はどうですか。
  375. 細見卓

    参考人細見卓君) これからいろいろなことが明らかになってまいりますと思いますので、それに応じて対応を考えていきたいと思っております。
  376. 内藤功

    内藤功君 これは資料を公開するということが一番大事なんです、繰り返して恐縮ですが。これが真相解明、把握を可能にするんです。専門家が見ればほぼ正確に水増し分の推計は可能なんですね。スペックといいますか、この仕様を含んだ文書を見ればわかるわけです。ほぼ正確に水増し分、ここがおかしいというのは眼光紙背に徹してわかるわけですね。リベート調査、あるいはきょうは私聞きませんが、法務関係の捜査はそこに端緒があるわけで、疑惑解明を進める意思があるならまず政府は当委員会資料を提出すべきだということを再び強くここで要求をしておきたいと思います。  さて、次の問題に移ります。  次は、メトロマニラ都市交通改良事業について質問いたします。先ほど同僚議員からもこの点に触れましたが、私は少しく別の観点からこれに迫りたいと思います。  まず、交換公文、借款契約による同事業の金額あるいは条件、経過、貸付内訳等、この契約の輪郭をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  377. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) メトロマニラと申しますか、マニラ首都圏都市交通整備計画、これは第八次の円借款の中で供与されたものでございまして、慢性的な交通渋滞に悩むマニラ首都圏の都市交通問題を解消するために新規にバスを導入し、交通輸送力の増強を図るものということになっております。交換公文締結は八〇年六月二十日でございます。供与額は五十四億一千万円、金利三%、十年据え置きを含む三十年間ということでございまして、貸付契約は同様の条件が記してございます。入札は、先ほど申し上げましたように八〇年の十月十日に行われております。
  378. 内藤功

    内藤功君 さっきの金額は間違いないですか。私の質問は交換公文、借款契約における金額という質問をしたはずですが、間違いないですか。もう一度お調べください。
  379. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) 供与額五十四億一千万円でございます。
  380. 内藤功

    内藤功君 資料を配ってくれませんか。(資料配付)  そこで質問を進めますが、我が党が入手した資料及び調査の結果によりますと、このマニラ首都圏の交通事業におきましては、当初十社が事前審査の文書を提出したのでありますが、結局応札したのは三社であります。そして三社とも入札開始の期限である一九八〇年十月十日以前にプロポーザルを提出いたしました。そのうち二社、すなわち丸紅と東陽通商の間で選択再入札を行っております。この二社の入札価格決定の経過を日を追いまして、私資料をもとにパーセントなんかは自分で計算をいたしまして、それでお手元に配付をした表につくったわけでございます。  これは「入札価格経過表」と題しております。丸紅と東陽と分けて、エアコンバス百台、普通バス三百台、スペア部品、この最初のオファー、つまり価格提示、価格申し出の時点は幾らであったか、括弧の中は単価でございます。ですから千七百六十四万五千円と、最初のオファーはそのように読みます。それから第一回見直しが十二月三日、第二回見直しが十二月八日。プランAとプランBというのは、プランAはOECFの仕様、プランBはその当該企業の標準仕様ということで安くなっております。そして最終的には丸紅が入札でいわば勝って丸紅と契約が結ばれる、こういうことになります。  そこで、私は時間の関係もありますので、これについて問題点を指摘して御見解を伺いたいと思うんです。  なお、この表は、明らかにしておきますが、我が党が入手したフィリピン政府関係文書のうち、一九八〇年十二月九日付再入札選定委員会よりマニラ首都圏交通公社理事会あての手紙、レター、及び一九八一年二月二日付ロドリゲスからマルコス大統領あてのレター、これはいずれも公表されたマルコス文書その他の政府資料の中にあります。その中から抽出をして私が作成した表である、かように御理解いただきたい。  まず第一点は、円借款の枠内に入れるためにOECF仕様プランAより仕様をダウンさせまして、価格を下げている。これがプランB。それからスペア部品の比率を落としている。これは丸紅のスペア部品の縦の線をごらんいただきますと、第一回プランAで一〇%から二・三%に一挙に下げております。異常な下げ方であると思います。この点について非常に異常な点が見られる。  それだけならいいんですが、二点目に、ところが値段を下げ過ぎて、今度は枠を割ったためでありましょうか、スペア部品をふやして最終的には一一・三五%もつけております。これはお手元の表のスペア部品の丸紅の一番下のところの一一・三五%、これがどういうふうに説明されるのかという点が問題ではないかと思います。  三点目は、入札で敗れた東陽には、最後の一番下の段に横書きでございますが、各種工場、工具、機械ワンロットという、実に大ざっぱな一括発注契約をして、三千三百五十八万円余がついております。こういう契約の仕方をしている。  それから四番目がバスの型式でございます。このバスの型式は、丸紅のレターを見ますと日野RC四二一という型式であります。日野自動車に聞きますと、左ハンドルの輸出専用車だ、こう言うのであります。その価格は一千万から一千四百万と、こういうふうに日野自動車は語っております。しかし、別の専門家、関係者に私聞きましたところ、本件は四百台まとめて注文したのである、四百台まとめて発注した場合には、これは値段はこのままでいかない、値引きを重ねておる、当然仕様も落としている。仕様と申しますのは、例えばバスの車体の長さはどうか、それから座席の数はどのくらいか、座席に張ってある布の質は何か、細かい話で恐縮ですが、座席の配置ぐあいはどうか、窓はどうか、ドアの数はどうかと、こういう諸点についてこの仕様はどうなっておるかということを考えてみると、この単価は高さに失しないかという指摘をする専門家がおりました。  そこで質問でありますが、基金にお聞きしますが、OECFはこういうバス、部品等の価格については調査をしたか。本件についてと、それから一般にフィリピンの場合ということであります。これはいかがでございましょうか。
  381. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) ただいま先生からこの資料を初めていただきまして、我々の方としましては、入札は当初の第一回だけの入札でうちの方に来た、こういうふうに承知しております。それから仕様等の変更も、入札時の仕様と契約時の仕様については同一であるというふうに我々は承知しております。
  382. 内藤功

    内藤功君 調査をしたかという質問ですから。今、あなたの理解を述べられたのですが、調査をしたかという質問です。
  383. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) これはやはり競争入札で行われたと。それで競争入札の結果、先ほども申し上げましたけれども、最低評価落札者に落札したと、こういうふうに我々は考えております。
  384. 内藤功

    内藤功君 もう一つ念のために聞いておきますが、OECFのスペック、つまり仕様ですね。それから実際に納入されたバスのスペック、つまり仕様。これを現実に当時調査をしましたか。
  385. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) 先ほど申し上げましたように、入札のときの仕様と契約のときの仕様とは我々は同一であるというふうに承知しております。
  386. 内藤功

    内藤功君 考えているということですか。
  387. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) いや、承知しています、そのように。
  388. 内藤功

    内藤功君 承知している。調査をしたんですかという質問なんです。まともに答えてください。
  389. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) 同一であるというふうに考えております。
  390. 内藤功

    内藤功君 考えている。調査をしたのかという質問です。それにまともに答えてください。
  391. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) ですから一義的には、先ほど申し上げましたように、入札、それから入札評価、契約に至る過程は向こう側の事業実施者がやる。それに対して我々が借款契約ないしはLAの中においてその事業の達成に合致しているということであれば、適正な競争入札を経た上でそれが妥当であるというふうに判断して落札者を決める、こういうことでございます。
  392. 内藤功

    内藤功君 何回聞いても同じです。結局、調査はしていない。そのように承知している、考えているというふうに承りました。これ以上こういう質問をしても時間が浪費いたします。  先へいきますが、あと国税庁にきょうは来ていただいたので、別の問題に移ります。  それは本年三月二十五日の衆議院大蔵委員会で我が党の正森議員が追及した点であります。これはCIF価格の一割が海上運賃及び保険料であると。そのうち一五%が追加リベートとしてマルコス側に払われ、八五%は日本企業に還流したという証言があると。経理上リベートあるいは利益として計上されているか、裏金としてそれが蓄えられているか、どちらの場合でも円借款に関与した企業について国税庁は厳重に調査する必要があると、調査を求めた質問でありますが、これに対し当時、調査査察部長は、そのもとになったと思われる資料も外務省を通じて入手しておると。これらの資料や御指摘の事柄は新しい貴重な資料、情報として受けとめて適正に処理してまいりたいと答弁をしておられますが、ちょうど一カ月たちましたが、これはどのように処理をし、調査をしておられるか、御報告願いたい。
  393. 日向隆

    政府委員(日向隆君) 今、委員御指摘のような応答がありましたことは事実でございます。運賃や保険料などの名目で支出されたものについて、その水増し部分については、これは取引の裏づけがございませんから簿外資金となります。これが取引先の関係者等に支出されている場合には、交際費または寄附金として課税されることになりますし、またこの場合に、その資金が支出されたかどうか、支出されたとしてもその支出先が不明の場合は使途不明金として課税されることになります。なお、この場合、簿外資金でございますから、当然のことながら重加算税が課せられるということに課税上の処理は相なります。  御指摘のことに関連いたしまして、私どもといたしましては指摘された時点の古さは別といたしまして、以上のことを念頭に置きつつ、適正な処理に努めているところであります。
  394. 内藤功

    内藤功君 具体的には言えませんか。具体的に何をしておるかということは言えませんですか。
  395. 日向隆

    政府委員(日向隆君) 私がただいま申し上げたこと以上は……。
  396. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 内藤君、発言するときは委員長の許可を求めてやってください。
  397. 内藤功

    内藤功君 具体的な事実として言えませんか。
  398. 日向隆

    政府委員(日向隆君) 私がただいまお答え申し上げました以上のことは答弁は差し控えさせていただきます。
  399. 内藤功

    内藤功君 それでは通産省に次に伺います。  通産省が委託をしてアジア経済研究所が八二年の夏に約二カ月間現地調査を行った報告書、「経済協力効果研究報告書」、こういうものが発表されて、これには当時、既にいわゆる日比友好道路の欠陥が指摘をされておる。それから同じくアジア経済研究所が発行した「現代フィリピンの政治構造」、こういう本があります。ここへ持ってきておりますが、この中では一九六九年の大統領選挙でマルコス氏が未曽有の金権選挙で大勝した背景が書かれておりまして、それによると、「フィリピンでは、与党の選挙費用と政府の公共事業等の歳出を区別することはほとんどできない。マルコス大統領の裁量で捻出された選挙用の歳出は、一九六八会計年度で、三億五千万ペソから八億五千万ペソにのぼる」「これは、その年度の歳出の九・五%から二三%にあたる膨大な額であった。」、こういう指摘がされておるんです。  私はこの二つの手元にある資料を見まして、これは通産省が委託しておって、アジア経済研究所でこういう調査をしている。これは非常に正確を期した価値のあるものだというふうに私は評価をするわけなんです。先ほどの同僚議員の質問にもあったかと思いますが、こういう重要な成果をやはりもっと国民の前に公表すべきだ。通産省を初め各省は、アジア経済研究所などへの委託調査の報告書は、原則としてすべてやはり公表する、公開するということが必要であるというふうに思うわけなんです。この点、通産省のお考えを伺いたい。
  400. 黒田真

    政府委員(黒田真君) ただいま二種類の資料についてお触れになられました。後段の資料は、アジア経済研究所が一般的な研究活動として独自の立場からその成果を世の中に公表している資料ではないかと思料いたします。前段のものは「経済協力効果研究報告書」と題するものでございまして、私どもの委託に基づいて調査したものでございます。この資料につきましては公表扱いとはしない、不公表扱いであるという取り扱いをしてまいりました。本件を不公表扱いといたしました理由は、その効果の研究をいたします際に、先方の不公表資料でありますとか、やはり公表を前提としないという形でできるだけ掘り下げた報告を受けるということが適当であるというふうに考えまして、あらかじめ不公表を前提とするということで調査を行ったという経緯がございます。したがいまして、私どもといたしましては、このような調査研究書をまとめて報告を受けました際も不公表扱いにしたわけでございます。  ただ、たまたまこのフィリピンに関するものに関しましては、その一部だけが取り出されて非常に新聞等に報道をされて、全体像が必ずしも正確に伝えもれていないということもございましたし、また昨今のいろいろ本件に関する事情等もございますので、大変分厚いものにはなっておりますが、できるだけ差し上げようということで、本件は公表扱いということで処理をいたしております。今後、効果の研究あるいは評価について、一方ではさらに強化して行う必要があるというふうに考えております。  こういうものについては公表すべきではないかという御意見がございます。大変貴重な御意見として承らせていただきますが、同時に公表を前提といたしましたときの評価なり研究というものに予想される限界というものとの調和をいかにして図るかという点は、今後の私どもの研究課題だと思っております。したがいまして、委託研究のすべてについて公表することが当然に適当かどうかという点については、もう少し検討さしていただきたいと思います。
  401. 内藤功

    内藤功君 遺憾ながら時間が来ましたので、最後に委員長に対して資料提出要求をしたいと思います。  当面の資料要求として、一つ我が国のこれまでの対フィリピン円借款事業の借款契約書。第二に、我が国のこれまでの対フィリピン円借款事業に係る事業契約書。第三に、我が国のこれまでの対フィリピン円借款事業に係る入札について、海外経済協力基金に提出された報告書等入札関係書類、これは先ほどの質問の中でも引用いたしましたが、ぜひ解明のために必要であると考えます。  もう一つ、証人喚問。ソラーズ委員会公表マルコス文書に出てくる野村長株式会社東陽テクニカ社長、三富正義ピー・アンド・エヌ株式会社社長及び牧野進酒井重工業株式会社海外営業本部副本部長・取締役、当面以上の方の証人を喚問することを要求し、理事会でお諮りをいただきたいということをお願い申し上げます。
  402. 田中正巳

    委員長田中正巳君) さよう心得おきました。
  403. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 民社党は今まで発展途上国、なかんずくアジアのそういった国に対して政府開発援助、すなわち国民の税金及び貯蓄を使っての経済協力を積極的に行うように国会でも強く主張してまいりました。それは、豊かな者が貧しい者を援助するのは人道的な義務である、そういう考え方はもちろんですけれども、それだけではなしに、世界の経済的な安定、特にアジアの繁栄が日本の安全と繁栄のためにも極めて重要である、そういう考え方からODAの増額を今まで主張してきたわけであります。  ところが、フィリピンマルコス前大統領の疑獄事件が発生して、国民の税金及び貯蓄が独裁者マルコスの不正な蓄財と政権維持のために使われていたのではないかという疑念が一般に持たれてくるようになりまして、もしそうであれば極めて残念であり、国民に対しても申しわけないというふうに考えている次第であります。  我々は、この事件が国民対外経済援助の熱意に対して冷水を浴びせることになるんじゃないか、そのことを心配しております。しかし、今後も日本が発展のために、安全のために経済援助を継続していかなきゃならない。しかし、そのためにはまず国民の支持を得なければならない。国民の支持と了解を求めなければならない。その国民の支持を得るためには、税金あるいは貯蓄の不正不当な使用が行われないように、その仕組み、方法の欠陥があればそれを改善し、改めていかなくちゃならない。しかし、そのためには、今度のマルコス不正蓄財日本企業が関連していたのではないかというふうに疑われるわけですけれども、まずその経過を明瞭にして、国民にそれを説明する義務があると思うのであります。  その観点から民社党は、この事件が起こりまして直ちに、塚本委員長を長とするところの第一次フィリピン調査団を派遣いたしましたし、また数日前、これから質問いたしますところの秦議員、第二次のフィリピンへの調査団を派遣して、その真相の究明に努力しているわけでございます。  そういった観点から私は、詳しい質問はきのう帰ったばかりの秦議員からあると思いますので、イントロダクションとしまして、まず外務大臣に対して質問申し上げたいと思います。  今まで衆議院参議院を通じまして、この事件が起こりましてから、いろいろな機会に野党の方から政府に対して累次の借款に関して、その受注企業名前であるとかあるいはその金額なんかの公表、あるいはそれに関する資料の提出を求めてきたのですけれども、それに対する政府答弁は一貫して、まずこの問題は第一義的にはフィリピンの問題であるということと、それからフィリピン政府側が発表していないものを日本として発表することは外交儀礼に反する、そういう理由で拒んでこられました。しかし、第一義的にはフィリピンの問題である、その第一義的という意味はどういう意味で第一義的というふうに言われておるのか、そのことをまず最初にお伺いしたいと思います。
  404. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 我が国援助はこれからも増大していかなきゃならぬ、特にアジアについては我が国援助の七割を集中しておりますし、ASEANは三割と、そういう中でフィリピンは非常にインドネシア、タイと並んで大きいわけでございますし、それから同時に、今後ともASEANとの友好関係、ASEANの発展のために努力していかなきゃならぬという基本的な考え方を持っております。そういう中でマルコス疑惑が出まして、我々もこれを解明していかなきゃならぬ。同時にまた、これを契機にいろいろとやはり援助あり方についても反省もし、同時にまた改善をする面があればこれは改善をしていかなきゃならぬ、こういうことも言っておるわけで、政府としてもそういう面からいろいろと努力を続けております。  そういう中で、資料公表について非常に政府立場が消極的ではないかということでございます。確かにもっと明快にすべきであろうと思いますが、残念ながら二国間の問題でそれができないことを我々として非常にこれは申しわけなく思っておるわけでございますが、これは今お話がございましたが、我が国援助にかかわる事業の実施主体は被援助国でありまして、有事業は先方政府が民間企業との間の契約によって実施をされるわけであります。したがって、右契約の当事者でない我が国政府企業名とかあるいは契約の内容等公表する立場にはない、こういうことで公表について御要請にこたえられないということを申し上げておるわけでございます。
  405. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 第一義的な問題はお答えになりませんでしたけれども日本人の税金なり貯蓄が不正不当に使われているんじゃないか、あるいは脱税であるとか、そういった違法な行為が日本において行われているんじゃないかというのは、これは日本にとっては第一義的な問題じゃないかと思うんです。そうお考えでございませんですか。
  406. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 第一義的と申しましたのは、やはりマルコス疑惑のいわゆるリベートだとかあるいはコミッションだとか言われるものは、フィリピン政府と発注を受けた企業との関係において、その企業、これは日本企業が多いわけですが、その企業からコミッションとかリベートという形で当時のマルコス政権の高官に渡っておるんじゃないか、こういう疑問がある、疑惑がある。こういうことでいろいろと追及され、あるいはまた究明をされておるわけでございます。したがってこの問題は、あくまでもフィリピン政府とそれから企業との関連、その事業そのものについては確かに日本援助が関連で事業があることは事実でございますが、しかしリベートとかコミッションとか、そういうものがマルコスの高官に行っているということについては、フィリピン自身のこれは問題でございますから、第一義的と申し上げたのはそれを申し上げているわけで、そしてそこで違法であるとかあるいはまた犯罪であるということになればそれはフィリピンの問題であろう、こういうことでございます。
  407. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 確かにフィリピンの問題でありますけれども、しかし今申しましたように、税金なりが不正に使われているんじゃないか、あるいは違法なことが行われているんじゃないか、それによって日本のプレスティージが非常に下がるんじゃないか。これは日本にとっては大変重要な問題でありまして、何かフィリピンの方が第一義的であって、日本にとってはそれほど重要な問題じゃないんだというふうなお考えであればこれは改めていただきたいと思います。  第二に、外交儀礼で公表できないというふうに言われましたけれども、どうも今までの話を聞いておりますと、政府開発援助というのは、日本フィリピンに対してどうぞこの援助を受け取ってください、こちらから何か頼んでやっているような印象を与えるんですけれども、これはやはり向こうの要請があって初めて借款が行われるものだというふうに理解しているんですが、それは間違いありませんですね。つまりODAというのは決して、日本の輸出のための補助金であればそれは日本の方から頼まなくちゃいけないと思いますけれども、そういう性質のものじゃないと私は理解しますけれども、間違いございませんですね。
  408. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) まず、日本政府はこのマルコス疑惑の問題を決してないがしろにしているわけじゃありませんし、我々が心配しているのは、これによって、今おっしゃいますように日本援助というものに対する信頼性とい今ものが損なわれるということを非常に心配をしております。ですから、我々としてはこの問題はやはり解明する必要があるということで、政府政府なりに努力を重ねておるわけでございますが、しかし先ほどから申しておるように、事件そのものについては、これはフィリピン政府企業との関連で発生をしておる。いわゆるリベートだとかコミッションだとか、そういうところで行われておると。これが違法性があるかどうかということはフィリピン政府自体の問題であるということを申し上げているので、事態状況について我々はこれは極めて重要に考えております。そして、それを踏まえて援助というものについてもいろいろと反省もし、改善すべきことはしなきゃならぬ、こういうことを申しておるわけでございまして、決して今この問題を我々が問題をすりかえるとか、あるいはただフィリピン政府にすべて押しつけるとか、そういうことで問題をとらえてはおらないということを申し上げたいと思うわけでございます。  それから資料の……
  409. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 いや、つまりODAというのは日本の……
  410. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) それからODAにつきましては、これはおっしゃいますように、別にこれは何も日本が押しつけるとか慈善事業だとか、そういうもので行われているわけではありませんで、日本がこれだけの国際的な責任を持つような先進工業国になったと。この責任を果たしていくために日本の友好国、特に開発途上国に対するやはり援助協力というものを積極的に行って平和と安定に貢献をしなきゃならぬ、こういう立場からいわゆる人道主義あるいはまた相互依存、こういう基本理念を中心にいたしまして行っておるものであります。
  411. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私が言った意味は、つまり日本が頼んで、どうぞこの援助を受け取ってくださいと言って頼んであるならば話は別ですけれども、やはり向こうの要請によって行っている以上は、こういうふうな疑惑日本国民の間に持たれているから、これを日本政府としてもはっきりさせも必要がある、そのためには関係資料公表したいから了承してもらいたいということをフィリピン政府に要求するのは、私は少しも外交儀礼に反しないじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。殊に今の政権は、マルコス政権に対してある意味の革命政権とも言われているぐらいで、向こうも非常に熱心に追及しているわけですから、それを要求するのは少しも外交儀礼に反しないと思いますけれども、どうでしょうか。
  412. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 援助は、向こうからの要請によって、そしてお互いに協議をいたしまして、議が合ってこれを行っておるということであります。  なお、資料については、これはしばしば申し上げておりますように、日本政府がこちらの方から、事業そのものの当事者でないわけですから、こちらの方から要求すべきものではない。公表ということになれば、向こうの政府があくまでも公表し、公表された段階において、これはもう日本政府として、当然これは明らかになるものであると、こういうふうに考えております。
  413. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私の質問意味は、公表するように外交ルートを通じて向こうの政府に交渉するのが外務省としての当然の仕事じゃないかということを質問しているわけです。
  414. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私が申し上げるのは、公表するかしないかは向こうの判断で決まるべきものであると、こういうことであります。
  415. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 それじゃ、国会のこれだけの要望があるわけですから、その国会の要望を受けてこれからフィリピン政府に対して交渉されますか。
  416. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私も国会議員でありますし、日本は議会主義の国でありますから、国会全体でどういう御判断が下されるか、それはそのことによって、政府は国会の御判断に忠実にこれは従っていかなきゃならぬ、そういうふうに思っております。  なお、日本政府がいろいろと問題の解明を進める段階におきましてフィリピン政府との間で話し合いをしなきゃならぬという事態が生じたときは、これは話し合いあるいはまた情報の交換ということも、これは友好国でございますし、こうした事態でございますからこれはあり得るわけでございます。これをすべて否定していると、こういうことではございません。
  417. 秦豊

    ○秦豊君 外務大臣それから平泉長官、さっきのとおりのいきさつで、第二次として月曜からきのうの夕方まで滞在して帰ってまいりました。アキノ大統領初めサロンガ委員長それからコンセプシオン貿易商業大臣日本で言えば通産大臣のような人、あるいは中央銀行の副総裁等々に一連会ってまいって、それらを踏まえて少し質問をしたいと思います。  サロンガさんとは二十一日の朝お会いをしたわけですけれども外務大臣ね、そこでまず一つ伺いたいんですよ。彼はこう言っているんですね。五月中旬にはアメリカを訪問する日程、これはもう決まっていますと。その前に日本政府が公式に招待をしてくれるならば訪米前の日程の中で日本に行っていろいろと公式に申し上げたい、行政規律委員長として申し上げたいことがある、証拠に基づいてと、こういう発言をされているんですが、外務大臣としてはサロンガ委員長政府として招くというお気持ちは全くありませんか。それとも考慮の余地ありというふうな案件ですか。
  418. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 角谷駐比大使からの連絡ですが、角谷大使から、これはサロンガ委員長に会ったようですが、同委員長に訪日についての考え方を打診したところ、同委員長の意向としては、必ずしも同委員長の方から進んで訪日したいというものではなかったと、こういうことでございます。したがって、政府自身としましては現時点において特にサロンガ委員長協力を得なければならないと、こういう特別な理由もございませんので、政府として委員長の訪日を要請することは考えておりません。
  419. 秦豊

    ○秦豊君 資料公開に対するあなた方の態度と共通しているわね、それは。  サロンガさんの真意は、自分もやはり閣僚だから国会の公式な、オフィシャルなインビテーションがあった場合に日本政府に対してさまざまなリクエストもしてみたい、こういう希望だから、今のところは全く招くお気持ちがないということですね。  そこで、これはサロンガ氏の次の発言としては、国会、できればベストは国会だが、どうしてもだめな場合には衆参両院のサイドで、つまり当特別委員会ですね、招くならばそういう形でも私は日本に行き、その際には申し上げたいことがある、こういうことで、これはあなた方に聞く問題じゃなくて、ぜひこれは委員長、当院の当特別委員会理事会においてサロンガ氏を招くという案件について後ほど協議を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  420. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 後刻理事会で協議をいたします。
  421. 秦豊

    ○秦豊君 それから私がなぜこういうことを申し上げるかというと、サロンガ氏の場合には、これまで日本のマスメディアで明らかにされていない幾つかの問題について証拠に基づいてお話をすることがあると、こういうことを私に明言をしているわけです。したがって、安倍さんの方がそういう態度を貫かれるならば、なおさら今度は我々立法府の段階で特別委員会がそういう疑惑解明に精力的に取り組むべきである、そういう意味で申し上げているので、その点は追加をしておきたいと思います。  それから関連いたしまして、このサロンガ委員会の優先順位は、これは明らかにアメリカ国内におけるマルコス不正蓄財の摘発、第二番目がスイス、それから対日関係、これは向こうの感覚の中では常識でしょう。そこで、彼の発言の中にダザ委員公表した五社以外に日本企業の連関はあり得るかということに対して、それは今ここでは資料の解析が終わっていないが、国会が私を招くならば証拠に基づいて私は日本国の国会においてそれを明らかにいたしたい、五社以外の商社についてと、こういう問題がつけ加えられております。  そこで、アキノ大統領との会談を踏まえて申し上げておきたいんだけれども、アキノ大統領は今意欲に燃えて新しい政策の実行を目指している。それで、私がこれまで日本政府に対して何か具体的な公式な協力要請をされましたか、疑惑解明について、と質問をしましたところ、日本政府への公式な要請については、サロンガ氏とよく詰めた上で角谷大使を通じて日本政府に公式な、オフィシャルなリクエストをしたい、こういうことがあり、それは外交ルートを通じて一方では来る。それから、あす恐らく来日ではないかと思うがオンピン大蔵大臣、大蔵大臣であるがさまざまな大統領のオーダーを背負ってやってきて、かなり幅広い話し合いを外務大臣あるいは平泉長官、あるいは竹下さんの時間はわからないけれども日本関係省庁と行いたいと、こう言っています。そういうオフィシャルないろいろなリクエストを持ってきた場合には、それをよく聞き、受けとめて誠意ある対応をやはり両大臣ともしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  422. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これはもう当然のことでありまして、オンピン大蔵大臣がおいでになるのをお待ちしております。
  423. 秦豊

    ○秦豊君 それからロッキード事件の際に日米間で司法共助の取り決めがあって、それが捜査の進展に裨益した。そこで、アキノ大統領としても日比間に司法共助あるいはその以前の捜査共助的な取り決めを公式に結ばれた方が万事よろしいのではないですかという質問に対しまして、アキノさんはオフコースという言葉を二回使って、もちろん必要です、それが日比間の問題解明の両国間のルートを良好にするゆえんですと、はっきりこう答弁をされています。  そこで、フィリピン政府から、例えばオンピン氏が携えてくるかどうかは別として、公式なそういう要請があった場合のあなた方の対応はどうされますか。
  424. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは現時点では我が国にある資料等の情報をもとに事実関係の把握に今努めておるところでありまして、今後の政府としての対応につきましては、現段階で確固たることを申し上げる状況にはありません。
  425. 秦豊

    ○秦豊君 警察庁、いらっしゃると思いますが、今既にフィリピン政府はスイス政府に対しては司法共助協定のアプローチをしているわけですが、今後の事件解明の場合に、司法共助というのとカテゴリーが違って、捜査共助の取り決めというのも事態によっては必要になるのではないでしょうか。
  426. 仁平圀雄

    政府委員(仁平圀雄君) 国際間における捜査共助の締結というようなことはいまだかつて私ども経験がないことでございまして、現時点におきましては考えておりません。
  427. 秦豊

    ○秦豊君 今度、外務大臣、警察はそう言うでしょうけれども、法務に対しても外務に対しても、オンピンが携えてくる中に司法共助問題が入っていると思います。だから、よく関係省庁で話し合っていただきたいと思います。  そこで、アキノ政権というのは今は民衆とマラカニアンとのハネムーン期間にある、やがてやはり具体的な希望とかあるいは仕事を与えねばならないという難しい段階を迎えるわけです、これから。そこで、今アメリカ政府はアマコスト国務次官を派遣してマニラ駐在大使とともにマラカニアンで長時間協議をした上に一定の援助の心証を与えたようです。アキノ大統領は、それはかなり喜ばしいニュースであって、アメリカ議会でそれが確定すれば、それまでは金額は明らかにできないが、テレビ等を通じて国民に私が明らかにしたいということまで話されていましたけれども、その中で日本に対して、安倍外務大臣、いろいろ難しい枠や慣例はあっても緊急に例えば無償援助、無償協力、無償といっても一般もあれば文化無償もあれば漁業無償もあることは承知しているけれども、いわゆるカテゴリーとしては緊急の無償援助日本側に特に希望する、そのことをオンピン蔵相に託したいと、こういうことも明言されているわけだけれども外務大臣としてはもしオンピン蔵相からそのようなオフィシャルなリクエストがあった場合には、いろいろな問題をくぐり抜けて、第十三次円借款がまだコンクリートになってないんだから、その中間的な段階として無償の緊急援助を何らかの方法で実行に移すというふうなお考えはありませんか。
  428. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) まだ第十二次の円借款、特に商品借款は半分以上残っていますし、十三次もまだこれはスタートを切ってない、そういう状況でありますし、そういう面ではまだまだフィリピンに対しては相当大幅な援助がこれから十三次で行われる状況にあるわけでございます。  そこで、今度オンピン蔵相がどういうリクエストで来られるかよく承知しておりませんが、とにかくこれからのフィリピン経済に対するフィリピン政府としての政策もお聞きし、同時にまた日本との協力関係、そういう中でどういう形の援助というものを期待されるのか、そういうことも十分話し合って、これは両方十分協議をする必要があり、話し合ってそうしてこれを具体化するために努力をしたい、こういうふうに思います。
  429. 秦豊

    ○秦豊君 法務、いらっしゃいますね。  やはりこれ一定の段階になりましたら外務省とよく相談をされて、司法共助、捜査共助、ジャンルはどうでもいいから、とにかく公的なやはりこのルート、システム、これは今後の解明のためにつくっておくべきだと思いますけれども、いかがですか。
  430. 岡村泰孝

    政府委員(岡村泰孝君) 我が国におきましては、外国から捜査の共助を受けました場合どういう要件のもとに応ずるか、あるいはまたどういう範囲の証拠収集を行うか、そういいました要件なり手続を定めました国際捜査共助法という法律があるわけでございます。したがいまして、外国から捜査共助の要請を受けました場合は、我が国といたしましてはこの国際捜査共助法に従いまして要件等を判断いたしまして、応ずるのが相当であると考えた場合は必要な証拠収集手続を行う、こういうことになっておるわけでございます。
  431. 秦豊

    ○秦豊君 それから外務大臣平泉長官ね、こういうアキノさんとの一連の会談の中で、こういうことがあるんですね。今フィリピンもNEDAを中心にして、国家開発庁ですね、いろいろと日本フィリピンの今後の援助の形態について、どうすればクリーンで民衆が均てん、潤うような援助と結びつくかということを一生懸命知恵を集めています。まだ必ずしもデッサンはできていません。しかし、私が提案したのは、巨大なプロジェクト中心でクローニーカンパニーに我々の血税が流れていくシステムじゃなくて、やはり中小のアイテム、中小のプロジェクト、例えば地場産業、中小企業の振興、あるいは一次産品の付加価値を高められるようなそういう形態の援助、そういうものに次第に切りかえていってもらいたいと、こういう要請はかなり強い。  一方では、あのマニラに今広範に存在しているトンド地区とか、あるいはスクアタと言われている例の住民がたまりかねて不法入居をしているエリアですね、一種のスラム、こういうふうなスラムの解消のための例えば五カ年計画のようなものをフィリピン政府側が立案をすると、そういうところに日本の納税者の共感を得て援助が投入されないだろうかと、こういう希望が極めて強いんですね。  だから、今後の援助の見直しの問題は、今、国会の関心あるいは行政府の関心としてはまだまだ希薄かもしれないが、アキノ政権のアキノさん本人並びに大臣閣僚クラスの中には私が申し上げたような希望は極めて強いんです。基本的にどういうふうにお二人の大臣はそういう要請をお受けとめになりますか。
  432. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは両国間で十分話し合ってみなきゃならぬと思います。これはフィリピンがこれから経済の安定、福祉の向上等のためにどういう案件でもって日本協力を求めておられるか、日本日本援助政策というものがあるわけでございますし、そういう中で本当にやはり援助フィリピンのためになる、国民のためになる、そういうものでなきゃならぬことは当然でございますから、フィリピンは新しい政権でいろいろなお考えがあると思いますから、十分ひとつ話し合いをしていかなきゃならぬ、協議をしなきゃならぬ、こういうふうに思って、その上で日本政府としてフィリピンのお役に立つような形の援助を進める必要がある、進めなきゃならぬ、こういうふうに思っています。
  433. 秦豊

    ○秦豊君 長官は。
  434. 平泉渉

    国務大臣平泉渉君) 外務大臣が言われたとおりだと思いますが、従来ともこの援助のプロジェクトというのは日比両国政府が本当に合意したと、そういうものであろうと思いますから、新しいフィリピン政府一つの要求があると、こういうことであれば、また日本政府がそれに合意できるということであるならば、それはまたひとつ大いに考慮しなきゃならぬと思うわけでございます。
  435. 秦豊

    ○秦豊君 外務大臣ね、基本的な受けとめ方、認識としてはそういうふうなところへの援助の転換ですね、質的なあり方の転換、肯定的にお受けとめですね。
  436. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ですから、今経企庁長官も言われていましたように、両国が合意するということが必要だと思いますね。そういう中で、やはり援助の本質と日本援助あり方というものもございますし、十分また向こうの考えというのもあるわけですし、それを踏まえた形で話し合った上でやっていかなきゃならぬ、こういうふうに思っております。しかし、基本的には何といいましてもフィリピンの本当に国民のこれから民生の安定、経済の回復に役立つものでなきゃならぬことは、これはもう言うをまたないことであります。
  437. 秦豊

    ○秦豊君 防衛庁、いますね。  さっき同僚議員の質問に対しまして、フィリピンに対して贈られたとされているLSTの問題で、たしか山田さんかなこの答弁は、恐らく。LSTの六八九が昭和四十九年三月、以下、八三五が五十年、一〇六四が五十一年に除籍とたしか答えられたはずだが、あなたのその答弁というのは、いわゆるマルコス文書に照らしてみると大変矛盾するんだな。どこが矛盾するかというと、マルコス文書によれば、東陽通商が昭和五十二年十月十四日にアンヘニット投資会社あてに出した手紙の中にLSTが入っているんですね。あなたも把握していると思いますけれども、当該艦船(複数)の所有権は今もってアメリカ政府並びに一部は日本政府の所有権に属していますので、在日フィリピン海軍代表部はそれら艦船を我が国に回航することはできませんと述べているわけであって、あなたがさっき同僚議員に答弁したらしい内容とは食い違っている。あなたが誤解しているのか、意識的にうそをついているのか、あるいは東陽通商のレターが作為的なのか、はっきりしてもらいたいな。
  438. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) アメリカから供与されます艦船、これは供与されたときに船籍証書というものが発行交付されるわけでございます。そして防衛庁の船籍原簿に記載されます。それから当該艦船が海上自衛隊で使用する必要がなくなったときに除籍をすることになっているわけでございます。  ところで、米国から供与されましたLST、これは先生のおっしゃるとおり三隻でございまして、これは米側に防衛庁から返還された後にフィリピンに供与されたものと私ども聞いているわけでございます。そして、この三隻の防衛庁の船籍原簿というものの関係時点を改めて申し上げますと、この三隻とも船籍が交付されまして原簿に記載された時点は昭和三十六年の四月一日でございますが、これが除籍をされた時点は三隻、ちょっと一年ずつずれておりまして、船番で申し上げまして、先ほど先生の御指摘のLST六八九番が昭和四十九年三月三十日、そしてLST八三五番が五十年三月三十一日、そして一〇六四番が五十一年三月三十一日でございます。  そういうようなわけでございますので、いろいろ新聞報道等々もございますけれども、私どもは米国から供与された艦船につきまして、防衛庁としてその使用が必要でなくなったとき、そしてその原簿から削除されたとき、これは日米相互防衛援助協定第一条というものでそういうことがなされるわけで、そして米国に返還された後に米国がフィリピンに供与したと、こういうふうに私ども理解をしている次第でございます。
  439. 秦豊

    ○秦豊君 そうすると、山田局長ね、このマルコス文書にあるいわゆる五十二年十月十四日、特定のテンスで特定されたしSTというのは防衛庁の原簿には存在しないと、こうなるんですか。
  440. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) ただいま御指摘の三隻のLSTが防衛庁の船籍原簿に載っていた時点は昭和三十六年四月一日から、三隻それぞれ一年ずれますけれども、昭和四十九年三月三十日から五十一年の三月三十一日までに防衛庁の船籍に載っておったということでございます。
  441. 秦豊

    ○秦豊君 それじゃ局長、この場ではあなた出ないと思うから、この三隻以外のLSTのあなた方の財産台帳ね、何隻アメリカから供与され、何年何月、この三隻はわかったから、その他の隻数のものについて具体的に資料として出してください。
  442. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) アメリカから供与されましたすべての艦船はちょうど二百隻でございます。そのうちの百八十二隻だったと思いますけれども、既に返還されておりまして、現在十八隻を保有しておるわけでございます。それぞれにつきまして、どの部分がアメリカから、返還された後にフィリピンへ渡ったかどうかはちょっと明らかでございませんけれども、全部で二百隻についての船籍の状況は御報告できるかと思います。
  443. 秦豊

    ○秦豊君 それじゃ、LSTを特に漏れなく回答をしてもらいたい。  それからOECF、基金に伺いたいんだが、一九八一年六月四日、オスカー・ロドリゲスからマラカニアンの大統領府あて、つまりマルコスあてに出した文書内容は把握していますわ。
  444. 細見卓

    参考人細見卓君) 把握いたしておりません。
  445. 秦豊

    ○秦豊君 そういう答弁が一番ここで逃れやすい答弁です。  これはカガヤンバレーの電化計画に関する問題で、私がNPCのラマス技術担当総裁から二十三日午前に聞いた話です。カガヤン計画というのでは援助総額は幾らだったのか、これは承知はしておりましょうね。それからいつ完成したのか、コンサルタントは電源開発会社であったのか、この三点をまとめて答弁してもらいたい。
  446. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) 御答弁申し上げます。  承諾額が五十一億九千百万円でございます。それで、八一年の十一月に完成しております。
  447. 秦豊

    ○秦豊君 コンサルタント、電源でしょう。
  448. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) これは私企業にわたりますので、その点については勘弁さしていただきたいと思います。
  449. 秦豊

    ○秦豊君 あなたね、これは向こうの技術担当総裁が電源開発会社と言っているんだ、これ。不自由な立場ですね、あなたのお立場は。わかり切ったことをもそのように答弁しなきゃならない。  とにかく、この六月四日付の文書にあるのは、三億五千八百万円の余剰金があったので、それで送電線と変圧器を買いたいがどうだろうか大統領と、こう言っているんですよ。そういう事実も把握していないの、あなた方は。
  450. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) その件につきましては、調べて、もしお差し支えなければ御回答いたしたいと思います。
  451. 秦豊

    ○秦豊君 いいですか、あなた方、八一年六月四日の文書は把握しているかという質問を既にしているんだ。いわば質問通告だ。伝わってないはずがない。ところが、電源開発みたいなわかり切ったものまで承知いたしませんとか、それから今に至っては、もう後で調べて御返事をしますと。このときに行われたことは、三億五千八百万円の余剰金を勝手にマルコスが一々例のサインをしてロドリゲスに送り返したその文書なんだけれども、そのときに本来ならばあなたの言った金額プラスアルファで追加をしなきゃならぬ案件に対して、金が残っていたものだから追加借款がなかった。そういうケースについてもあなたは全然把握してないの。承知していないんですか。何のための基金だ、それは。そんなことでチェックと言えますか。チェック体制を担当するセクションと言えますか、あなた。
  452. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) 先ほど申し上げましたように、先生からその御質問をいただいたということは我々承知しておりますが、まだ検討中なものでございますので……
  453. 秦豊

    ○秦豊君 検討とは何だ、検討とは。
  454. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) 今調べておるところでございますので、わかり次第お差し支えない範囲で御報告いたしたいと思います。
  455. 秦豊

    ○秦豊君 それじゃこうしてください。これは非常に、余剰金、余った金の勝手な、恣意的な使い方、しかもフィリピン政府内部の。あなた方は内政干渉と逃げるんだけれども。非常に生き生きした例なんですよ。これを具体的に調べて私、当院に正式に回答をしてください。いつなら可能ですか、それじゃ。
  456. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) 早急に調べまして……
  457. 秦豊

    ○秦豊君 早急とは。
  458. 熊谷和秀

    参考人熊谷和秀君) はい、できればあすじゅうに御報告したいと思います。
  459. 秦豊

    ○秦豊君 これはやはり、日本の公共事業には盛り込まれない予備費という考え方が、あなた方は基金と向こうどの関連の中じゃ当初から概算見積もりの段階で入っている。この予備費的なもののあり方自体が、先ほどから同僚議員が言っているように、あるいはリベートにあるいは何とかに、マラカニアンにと、とにかくその原資、温床になっているわけだ。したがって借款の場合は、確かに平泉長官がさっき答えていられたようだが、限度枠貸し付けの原則でしょう。ところが、一つ一つのプロジェクトの事後審査によって、じゃ実際に費用が借款額を下回った場合、つまり金が余った場合は、当然当該国つまりフィリピンから我が国に返還をすべきケース、これが限度枠貸付制度の精神じゃないんですか。今までフィリピンに対して行われた援助の中で返還された実績なんて一体あるのか、後学のために伺っておきたい。
  460. 細見卓

    参考人細見卓君) 貸出枠でございますから、余る金というのはあり得ないわけでございます。
  461. 秦豊

    ○秦豊君 だから今度の私が特定した、あした返事をするようだが、八一年六月四日のこの文書では、余った金の実例が生き生きと描かれているわけだ。あなたは余るはずはありませんなんて元気よく答えたけれども、余っているから流用されているんですよ。  それじゃあなた、あした文書をもってこれ回答してもらいたい、口頭はだめですよ。それをもとにしてどうせ次の特別委員会でその問題もやりましょう。
  462. 細見卓

    参考人細見卓君) 熊谷が合うまく答えられなかったのは、先生がおっしゃったマルコスに出した手紙云々と、これはなかなかわからないものですから、私どもの方ではわかりませんから、そういう追加借款に絡んで手紙があったかどうかということはわからないと申しておりますが、事柄は、先般来申し上げておりますように、ENのつまり交換公文の枠の中であったならば、例えば部品のようなもの、あるいは変圧器のようなもの、つまり大きな枠として性格を同じゅうするプロジェクトのものについて、途上国でありますから、買えるときには後援しておいた方がいいというようなもの、ENの範囲、精神の枠内で追加購入を認めたということはございます。
  463. 秦豊

    ○秦豊君 せっかくあなた勇んで答弁に来られたけれども、相変わらずぼやけているからあしたの文書の回答を一応待つことにしよう。  藤田局長、外務省、関係商社のいわゆるヒアリングというのは一体いつからやるんです。何社ぐらいやるつもりですか。何をあなた方は四省庁で合議して聞こうとするのか、それをまず明らかにしてください。
  464. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) このヒアリングの件は午前もお答え申し上げたかと思いますが、四省庁で協議をいたしましていわゆるマルコス文書にあらわれました企業の方から四省庁で一緒にお話を伺おうということで、あらかじめどういうことを我々が伺おうとしているかということを申し上げておかないと、先方も古い話でもございますし、いろいろ担当の方もかわっておられるだろうということで、こういうことに我々が関心がありますというポイントをお知らせいたしまして、準備を今していただいている状況でございまして、ほぼ準備がおできになったころを見計らって伺おうということで今進めております。
  465. 秦豊

    ○秦豊君 あきれるべき答弁だな。今から立入調査をするよするよと予告をして、勉強をしておきなさい、予習を、それで勉強したころに試験しますというようなもので、全くあきれたものだな。こんなものでチェックなんて言えるか。  では、いつから始まるということも全然わかってないんですか。何をどう聞こうとするのか方針も決まっていないんですか、藤田さん。
  466. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) もう既に照会事項を発しておりますので、できるだけ早く伺いたいと思います。
  467. 秦豊

    ○秦豊君 商社にはこういうことを聞きますよと明らかにして、なぜ当委員会でそれが明らかにできない。どんなことを連絡したんですか、それでは。伺わしていただきますというような態度はやめてもらいたい、商社に対して。
  468. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) 御承知のとおり、私ども、特に円借款担当しております四省庁調査権限、捜査権限等を持っているわけでもございませんし、経済協力の効果的な遂行という見地から、明らかになりましたマルコス文書にいろいろ名前、それから事実等が出ておりますので、そういう事実等についてお話を伺うということでございます。
  469. 秦豊

    ○秦豊君 局長藤田さんね、大変失礼だけれども、あなた大変疲れぎみで、とりわけ。それで、じゃヒアリングはいつからという点と、ヒアリングを、僕の観点からすれば実になまぬるいヒアリングに終わると思うけれども、終わったら、セレクトしないですべてのヒアリングの結果を当委員会に明らかにしてもらいたい、そう思いますが、これは大臣にも後ほど答弁を願いたい。
  470. 黒田真

    政府委員(黒田真君) 四省庁で協議をいたしまして、関係企業からの事情聴取をするという準備を進めていることにつきましては先ほど来御答弁いたしたところでございます。基本的には、マルコス文書に述べられているような事実関係につきまして、私ども特定の強制的な捜査を行う権限等を持ち合わせておりませんので、あくまでも相手方の任意の協力をお願いするという立場にあるわけでございますので、あらかじめ私どもとしてお聞きしたい点をお知らせをして準備をしていただいているという段取りをとっているわけでございます。  主たる内容といたしましては、円借款プロジェクトの受注に係る事実関係、あるいは手数料の支払いに係ると記載されている金額を含む事実関係なり相手先等について聞くということになろうかと思っております。非常に古いことでございまして、関係者として名指しをされたところはそれぞれそれなりの対応はしておると思いますけれども、中には時間のかかるものもあろうかと思っておりますが、できるだけ早い時期から四省庁で協議をして聞きたいということで考えておるわけでございます。  その結果の御報告につきましては、先ほども答弁申し上げたわけでございますけれども、個別の点についての調査結果をお話をするということは、いろいろいわゆるマルコス文書に掲げられている事実を日本政府として確認するかどうかという問題と全く同じ問題でございますので、同じように取り扱わせていただく、すなわち個別の御報告は当面差し控えさせていただきますが、調査を行いました上は、その概要についてどの範囲で御報告できるか、四省庁でその結果に基づいて協議の上、御返事を申し上げるという立場でございます。
  471. 秦豊

    ○秦豊君 外務大臣、いいです。  黒田さんね、あなたが立ってこられたので思い出しましたが、私はNPC、国家電力公社のラマス、これはラモスじゃなくてラマスなんだけれども、副総裁にお会いしたときに、こんなことを言っているんですね。非常に苦々しげに、来る七月ごろにはかなり大きい海底電線に関する入札が、ネグロス島とパナイ島の間に敷設される海底電線敷設計画をめぐる大きな入札があるらしいんだが、既に日本の丸紅等は生き生きと準備をして堂々と応札をするだろうと。ところが、NPCを含めてフィリピンの民衆ないし巷間の感覚は、マルコス文書にしばしば登場するような商社が、もちろん商社の営業行為だとは言い条、前にも増して例えばスタッフをふやしたり、あるいは入れかえてみたりして、前にも増して能動的に新しいルートを開拓して今関係省庁のアプローチに入っている。フィリピンではひんしゅく、つまりそれこそ苦々しくそういうあり方を見詰めているわけですよ。  もちろん、一商社の営業行為だから法律の範囲ではないにしても、せっかく通産省の局長答弁するんだから、例えば四十八年に総合商社行動基準というふうなものがあったでしょう。ああいうことに照らして、あれほど飽くなきリベート商法にのめり込んだ商社が、憶面もなくまた今度は大きい獲物だというので張り切って営業活動をする。営業活動の自由だと言えばそれまでだが、NPCの最高幹部に近い人々を含めて非常に苦々しく感じていて、日本政府からフィリピン政府に対して悪徳商社は排除せよとでも言われなければ私たちは打つ手がありませんしねという話をしていた。  局長としては、今の私の申し上げた行動基準に照らして、これはやはり歓迎すべき事態というふうなお受けとめ方ですか、仕方がないというお受けとめ方ですか。
  472. 黒田真

    政府委員(黒田真君) 一九七三年に日本貿易会におきまして総合商社がそのみずからの規律という見地から行動基準というものを定めまして、その中で「その活動に際して、法的規制はもちろん、国際信義や商業道徳を尊重し、広く認められている慣行にも意を用い、取引の公正と安定に努力する。」ということをみずから宣言しておるわけでございまして、私どもといたしましては、商社の行動に当たっては、そのような基準にのっとり、いやしくも疑惑を招くような行為があってはならないというふうに考えております。
  473. 秦豊

    ○秦豊君 これは外務省でしょう。第十二次円借款ですね、私が二年前の予算委員会で追及をしたわけですけれども、あのときに私がこの文書を特定しまして、これはマルコスの例によっての有名な今やサインだが、安倍外務大臣も覚えていらっしゃると思いますね。中曽根さんがマルコス氏とマラカニアンで会ったのが五月六日、この文書はその二週間後、つまり同僚議員が引用したらしいが、これサンロケ・プロジェクトなんかをめぐる問題なんですが、これはもう繰り返さない。つまり、要請に基づく円借款が一人のリーダーの考え方によっては、モラルとかあるいは価値観とか、あるいはビヘービアによってはいかに恣意的にゆがめられるかという生き生きした物証の一つとして、これは二年前の物証だが、あのときにはロドリゲスも出てきたし、三立も、太平オーバーシーズも、ピー・アンド・エヌも全部登場した。それが今やあぶり出しになった、それが今度のマルコス疑惑だ。いかに恣意的にどんどん自由に行えるかを雄弁に物語っている物証だと思う。これに類するものがかなり膨大に込められているのがいわゆるマルコス文書と思います。  そこで、あのときにも私は聞いたんだけれども、外務省、これはあなたですかな、第十二次円借款では商品借款の区分は例のLC方式とリインバース方式の割合はどうなっていますか。
  474. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) 十二次の円借款四百二十五億のうち三百五十二億、御承知のとおりに商品借款でございますが、十二次円借款につきましては原則としてLCスイッチ方式ということにいたしまして、従来第一次から第七次までフィリピンに対してはリインバース方式をとっておりましたが、リインバース方式につきましては、当初は二万ドル以下だったと思いますが、一件でございますね、その後若干昨年の六月にそれを拡大しまして十万ドル以下にたしかしたかと思いますが、漸次拡大をいたしまして、リインバース方式とLCスイッチ方式を併用いたしております。  結果といたしまして実績がどのくらいの状況になっているかという御質問でございますと、本年の二月末現在で、御承知のとおり、全体では約五〇%弱、四八・五%の実行率でございますが、そのうちLCスイッチ方式で貸し付けが行われましたのが六十三億八千五百万円、リインバース方式で貸し付けが行われましたものが百六億七千九百万円ということで、六対十一ぐらいでございましょうか、という比率になっております。
  475. 秦豊

    ○秦豊君 これは外務省の資料ですが、なるほど一から七次まではリインバースと。途絶えて、カットアウトして、第十二次円借までは商品借款自体がなかったんですね。それがいきなり十二次で出てきたんです。だから、我々野党はあのときに、マルコスのあのどす黒い不正選挙のこれは水源地みたいなものだと、ヘリコプターからペソを振りまくようなものだと、そういうことに使われないように民衆が反対している、良心的なマスメディアが反対している、政治家が反対している、だから日本の納税者はもっと声を上げてくれと。我々も不正選挙を監視にも行ったけれども、今になってみるとそのどす黒い不正選挙のかなりの部分が、まさに我々が憂えたとおり、商品借款がかなり黒い財源であったということが次第に今明らかになりつつあるわけなんです。  そこで藤田さん、そんな驚いたような顔をしなくてもいいんですよ。私が聞きたいのは、だれがどんな判断でカットアウトされ途絶えていた商品借款を、なぜ十二次円借款という特定の時期に、マルコスが国政選挙を控えているという特定の時期に復活をしたのか、だれがどんな権限でどんな判断で復活したのか、それを聞いておきたい。
  476. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) 一次から七次までの円借款におきましては、御承知のとおり、フィリピン経済情勢が必ずしもしっかりしてないということで、だんだん減ってきておりましたけれども、商品借款を供与いたしておりました。第八次以降はかなり立派な業績を上げつつある経済状況でございましたので、円借款はすべてプロジェクト借款という姿になっておりましたが、その後御承知のとおり一九七九年の第二次オイルショック後のフィリピン経済の疲弊が特に政情の不安等によって加速されまして、八三年にはかなり経済情勢が悪化をしたという状況で、先ほどちょっと委員の言及なさいました第十二次円借款の当初の先方の要求はプロジェクトでございましたけれども、その後経済情勢一般に加えまして国際収支も非常に悪くなってきたということで、先方が、フィリピン側がその十二次の要請内容を変えまして、大部分を商品借款で供与してもらいたいという要望をしてまいった。それに対しまして関係省庁で協議をいたしまして、フィリピン側経済情勢が客観的に極めて厳しいという状況にかんがみまして、それに対してこたえる、対応するという決定を行ったものでございます。
  477. 秦豊

    ○秦豊君 まだ若干時間がある。外務省、これも外務省でしょう。フィリピン国家経済開発庁、NEDAから正式に十三次円借款のうちの十一プロジェクトのうち日比友好道路四十四億、地方通信計画、これは恐らくNEC絡みだと思うが、八十三億の案件についてはこれはもう実施ができない、あとの二件については緊急性がないので先送りを求めるという要請ですね。これは正式に来たんですか。
  478. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) NEDAは当初、その十一プロジェクトはすべて民生安定に資するものなのでこのままで契約を行いたいと言っておりましたが、その後二つぐらいのプロジェクトについては新しい政府の政策の重点が変わったことにかんがみましてちょっと延ばしたいと、そういう態度で今検討しているという通報がございました。我が方は、政府が変わったことでもございますし、政策の重点が変わるということは十分あり得ることですので、その検討の結果を待っておりましたところ、先方より若干のプロジェクトについては、二ないし四ということでございますが、ちょっと先送りをしたい、残りのプロジェクトはそのままで結構であるというお話がございました。それを踏まえまして、現在先方がどういう理由で数件のプロジェクトを先送りしようと考えているのかという状況を伺うという過程でございまして、現在、両政府間で協議中という過程にございますので、私どもも協議が調いました段階できちんと御報告ができることになるかと思います。
  479. 秦豊

    ○秦豊君 それは藤田さん、私が特定した日比の道路それから通信計画、これが二つに含まれているんですか。それから私が申し上げたほかの二つのプロジェクト、繰り延べの方、これは何と何ですか。
  480. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) まだこれ、現在両政府間で交渉中でございますので、結論が出ます以前に明らかにするのはやはり先方政府にも失礼だと思いますので、結論が出ました段階で御説明申し上げたいと思います。
  481. 秦豊

    ○秦豊君 あと二分ありますから、安倍外務大臣、これは平泉さんに聞いても同じだから聞きませんけれども、あなた方は口を開けば、こういう援助というのは特定の政権のためじゃないんだ、フェアな、問題のない援助をやってきたんだ、今までの援助はあらましうまくいっているんだ。ところがごく例外的に、レアケースとして今度のようなものが起こったんだと。まあ交通事故という言葉は使ってないにしても、そのケースだと、そういうふうな基本認識政府側には根強い。今までがうまくいっていなかったからマルコス腐敗の温床を裨益したんだ、そういう認識が全く根元のところで違うんだ、政府と我々は。  あなた方は、いや、うまくいったが、たまたまこの問題があったと、この程度の問題が。だから見直しについて鈍いんです。資料の公開についても鈍感で不誠実なんです。だから認識がそもそも間違っている。だから、アキノ新政権になってどういう理由でこれを見直したかというと、余りにもマルコスの出身州の利益に密着し過ぎる。広い範囲のフィリピン民衆の生活向上と結びつかない。だからこれはやめてくれ、あとの案件は延ばしてくれと。非常にこれも実例だと思うんですよ。だから、あなた方の援助についての、特に対比援助についての基本認識が、全くその認識自体が大きな問題を含んでいると私は思うのだけれども、最後に安倍大臣のこの問題についての答弁を求めて終わりたいと思います。
  482. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 確かに、今お話を聞きますと、秦さんと私の認識は違いますね。私はやはり日本援助全体は非常に有効に効果を上げておると。我々がASEAN諸国に参りましても、ASEANの政府だけではなくて、ASEANの国民の皆さんからも非常に評価を受けておるわけですし、実際にまた日本フィリピンに対して援助を具体的に行ったプロジェクトについても、相当これがもう稼働しておるといいますか、評価の結果でも適正に効率的に機能している面は非常に多いわけです。ですから、確かにマルコス疑惑ということでフィリピン政府受注をした企業との間で問題が出て、そしてマルコスの高官にあるいは行ったかもしれない。そこが問題なんですけれども、全体としては、私はフィリピンに対する援助、これは円借だけじゃないですから、技術援助も、それから援助というものは無償援助等もあるわけで、全体を包括してみると、私は、フィリピンに対してこれまで長い間続けた援助というのはフィリピン経済の安定と国民生活の向上には大きく裨益してきた、こういうふうに確信しております。
  483. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十九分散会