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高桑栄松君
大臣、大変いいお考えを述べていただいて、私もうれしいと思いながら聞いておるんですけれ
ども、私が行ったときは、やっぱり機械設備がもう世界で
一つしかないとか、アメリカからも
日本にしかないからといって共同研究で来たりしているんですね。それから数年たちますと、もう同じようなものじゃない、もっといいものが外国にできているわけです。ですから、もう国立
公害研究所が世界に第一級、本当の
意味での第一級だと思っているのが、設備等々については次第にセコハン化してくるんじゃないかという心配があるんです。それを一遍投資したから、それでいいと思っておられたら、機器の発展というのは大変なものでございまして、エレクトロニクス
関係だってもう大変でしょう、三年もたてば前のを使えないんですから。そういうことを念頭に置いていただいて、これはマイナスシーリングと言っていられないわけです。
ですから、研究の維持、継続というのは非常に大事でございますから、これはぜひ今
大臣がおっしゃったような
意味で最大の
努力を傾けていただきたいと思うんです。前の
大臣となただったか、名前は申し上げませんけれ
ども、私の務めの
一つは、国立
公害研究所をどのように強化することかということが私の非常に大事な
仕事の
一つだとおっしゃってくださいました。これはまあ研究所員は大変ありがたいと思って力にしておったわけですが、
大臣どうぞひとつお願いいたします。
それから、私がおりましたときからも
一つありましたのは、自然
環境保全研究所というものをつくるか、別にですね。それとも国立
公害研究所に自然
環境保全研究部といったようなものを置くかと、これは議論がありまして、本来私がいたときの私たちの
考え方は、
公害研究所というものにそれを持ってきて、あっちこっちから応援せいと言われたんではこれはもう
仕事ができなくなると。だからどうするかということなんですが、新しく研究所をつくるのは大変であって、しかも
自然環境が非常に重要な研究テーマであれば、これは新しく部を新設することはやぶさかではないと。しかし、それにあちらこちらから定員をかき集めることではなくて、新設しなければだめなんですね。それはもうそうしないといけないと思うのです。
ですから、今十部ありますね、総務部を入れて十部かな。それをもしやるんならもう一部。しかし、
自然環境という大きなものを一部と言ったって、ほかの部と同じ程度では困るかもしれませんよ。ですから、
かなり大きな考えで一部をつくるか、あるいは二部制にするか。それは十部プラスでなければならないと思うんです。それは私のときからのテーマになっておりまして、研究所としては
かなり前向きにそれを進めてきたと思うのです。今、次官をしておられる山崎さんが自然
保護の方の
局長をしておられたときからの懸案みたいなものでしたから。そういうことがございまして、私はこの際、見直しについて、
自然環境の保全研究部でもつくるなら、一部と言わず二部ぐらいを念頭に置いていただきたい。決して削減、よそから、スクラップしてビルドというスクラップの場がないということをお考えいただきたいと、こう私は強く希望、
要望しておきます。
それで研究というものを、今私が後段のことを特に申し上げたんです。研究には継続性というのが非常に重要なんですね。それはですから
行政官と違うんです。もう二年やったからこっち側に行けと言ったって、これはだめなんです。そしてしかも研究者を養成していく必要がある。だから研究の継続性というのが要るわけでして、したがって創立して十二年というのは、研究所が建って五十年たったのが六十二年目に入ったのとはもう雲泥の差があるわけです。片っ方はもう研究者の後継者がずっとありますし、すそ野があっちこっちにあるわけです。それから入ってきているわけです。国立
公害研究所はそうじゃありませんから、すそ野がまだありませんのでね。ですから研究の継続性ということを考えると、スクラップ・アンド・ビルドのような縮小ということはまあ私は考えられないことだと思うんです。そういうことで
結局、研究所はすべて、すべてじゃないな、国立
公害研は特に長期展望に立って、そして研究者の養成に力を入れていくということに
かなりのウエートを置いていただきたい、こう思います。
それで、要するに研究所でもうかるようなもの、例えば新技術を開発して、それが生産性向上に役立つとかいうことですと民活でいいと思うんです。しかし、
公害研究所というのはマイナス部分をなくするようなそういう形が主題になっていますね。ですから、民活でもうかるようなものではないんですね。したがって、この研究所こそ国立てやらなければいけない研究所である。これも私はやっぱり特に強調しておきたいと思うのです。つまり、経済性の効率を考えて見直しをしてもらっては困る。総務庁にもお願いしておきたい。経済効率だけでいったんではまさに
日本は
公害輸出国になるのじゃないかというようなことになりますので、それは後でまた私の
意見を述べさしていただきます。
つまり、政府の方針はチープガバメント、確かにそれはそれなりの本当に
意味があることだと思いますが、研究所というのはやっぱりエクスペンシブなんです。エクスペンシブなインスティチュートだと思うのです。それに国立
公害研究所は、ここに私持ってきましたが、英語には
公害という言葉はないんですね。ナショナルインスティチュートフォーインバイランメンタルスタディスなんです。
環境研究なんです。つまり、健康にかかわる
環境を研究しているんですよ、だからマイナスの部分だけではないはずなんです。これは世界にちゃんと通用している名前でございますから。本当は名前も
環境研究所とか何か変えた方がいいんじゃないかというのは昔から言われているんですけれ
どもね、何か法律があってどうとかと言っていますが、
公害研究所というから
公害が、例えば
SO2が、だんだん
環境のいろんな整備がされて
SO2は
基準値を
かなり下回った、だから
公害研究所は要らないんじゃないかと、こういうような、何となくそういうムードがありますね。だから、それは大変困ると思うんです。
そこで、研究の動向をちょっと申し上げて御参考にしていただきたいと思うんですが、今まで
公害と称しておったものは主として急性
健康影響。それが、急性
健康影響というものがあるレベルをカットされるようになったら、ゼロになったんじゃないんですね、慢性
影響へと移行しているわけです。これは非常に重要なポイントなんですね。だから、先ほど寺田
委員が
質問をされた中にもありましたけれ
ども、
NOxの問題なんかはそこに
かなり大事なポイントが出てくるのじゃないかと思うんです。ですから後で伺いますけれ
ども、慢性
影響に関しても、問題の有害化学物質といったものとか、廃棄物だとか、都市
環境だとか、安恒
委員が言われた
交通公害だとか、まあいろんなものがそこに入ってまいります。それから
環境研究ということになりますと、もちろん自然
環境保全も入りましょうし、あるいはアメニティだとか、それから健康そのものをよりいい方向に維持する、そういうプロモートしていくというふうな、ヘルスプロモーションというふうな
考え方も当然研究の中に入ってこなけりゃいかぬと思うんです。
それからもう
一つ大事なのは、これはもう
大臣も言っておられたことですが、グローバルなやつですね、地球
規模の研究というのがあります。実際問題として、炭酸ガスのことがこの間の予算
委員会の総括でも問題になっておりまして、
大臣もお答えになっておられました。それから酸性雨の問題ですね。酸性雨の問題も口ではちゃんと言っておられるけれ
ども、ちゃんとした研究体制があるのかなと。私、今申し上げたのは、あなたに研究体制について言っていただきたいと思って申し上げているんです。それからフレオンガスが前から言われておりますね。フレオンガスが成層圏のオゾンを破壊する。オゾンを破壊することによって紫外線の投下量がふえてきて、皮膚がんがふえるのではないか。特にアメリカ等々白人の世界では非常に恐れているということがあるわけです。
それからもう
一つの重要なポイントとしては、炭酸ガス等々を含めまして国際的なモニタリングのセンターとしての
役割を国立
公害研究所が果たす必要があるんじゃないかというふうなこと、私の考えなんですが、今申し上げたこと、一例を挙げたんですが、この研究体制について国公研並びに国公研を柱とする
日本の研究体制というのはどうなっているでしょうか。わかっておられる範囲でお答え願いたいと思います。