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1986-04-16 第104回国会 衆議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年四月十六日(水曜日)    午前十時五分開議 出席委員   委員長 福島 譲二君    理事 糸山英太郎君 理事 小澤  潔君    理事 西田  司君 理事 平林 鴻三君    理事 加藤 万吉君 理事 安田 修三君    理事 宮地 正介君 理事 岡田 正勝君       大村 襄治君    左藤  恵君       中川 昭一君    細田 吉藏君       五十嵐広三君    佐藤 敬治君       細谷 治嘉君    山下八洲夫君       小谷 輝二君    宮崎 角治君       吉井 光照君    藤原哲太郎君       経塚 幸夫君  委員外出席者         参  考  人         (田川市長)  滝井 義高君         参  考  人         (全国市長会相       談役岡山市長)) 松本  一君         参  考  人         (奈良女子大学         家政学部助教         授)      若山 浩司君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第一七号)      ――――◇―――――
  2. 福島譲二

    福島委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人皆様から意見を聴取することといたしております。  参考人として御出席いただいた方々は、田川市長滝井義高君、全国市長会相談役岡山市長松本一君及び奈良女子大学家政学部助教授若山浩司君、以上三名の方々でございます。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  参考人皆様には、御多用中のところ当委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、議事の順序は、初めに参考人皆様からそれぞれ十五分程度意見をお述べいただきまして、次に、委員諸君からの質疑に対し御答弁をお願いいたしたいと存じます。  それでは、滝井義高参考人お願いいたします。
  3. 滝井義高

    滝井参考人 おはようございます。  衆議院地方行政の諸先生方には、日夜地方自治の振興と住民福祉の前進のために御配慮をいただいておりますことを心から感謝を申し上げたいと思います。なお、本日は地方行政委員会における地方交付税法等の一部を改正する法律案について参考人としてお招きをいただき、意見を述べる機会を得ましたことを大変光栄に思っております。  ただいまから地方交付税法等をめぐる法律改正について、二、三の所見を述べさせていただきたいと思います。  本法律案改正につきましては、六十一年度の交付税総額についてある程度加算をするということ、あるいは制度改正による単位費用改正をやる、こういうような点は当然妥当な改正で、私たちは異議はありません。しかし、地方交付税をめぐる大変大きな問題があります。  まず第一に私たちが直面をしておりますのは、昭和六十年度に二分の一以上の高率補助補助金カットが行われました。これで地方財政は大体五千八百億程度不足になったわけですが、それが一年限りの暫定的な措置であるということで、私たちはそれを信じて地方財政運営に散り組んでまいりました。ところが、六十一年度予算編成に当たりましてさらにそれが三年間暫定的に延長されることになりました。そして、それがなければ地方財政は当然円滑な運営ができるわけですが、その暫定措置のために六十一年度は、六十年度の五千八百億に倍する一兆一千七百億という財源不足を見ることになりました。このように、国の政策が一年限りだというものがさらにまた暫定の名のもとに三年間続けられていくということになりますと、地方財政は長期の安定的な財政運営というのができなくなるわけです。こういう点については、ぜひ今後そういうことのないようにお願いをいたしたいわけです。  それならば、一兆一千七百億円の財源不足ができたが、それをどのように地方自治体に対して埋めてくれるかということでございます。これも予算編成のぎりぎりまでわかりませんでしたが、突如として出てまいったのがたばこ消費税税率引き上げ、すなわち一本一円引き上げるということでございました。その一円の引き上げによりまして国が千二百億円の財源を得、私たち地方自治体に同じく同額の千二百億円、すなわち二千四百億円、一本一円のたばこ消費税引き上げによって財源が出る。それを国の取り分の千二百億については交付税特例加算として交付税会計に入れてやる。同時に、千二百億はそれぞれの自治体が取る。私の方の自治体ではたばこ消費税が年間二億八千万ぐらい、人口六万でございますが取れるのですが、その一円引き上げによって二千万円ぐらい上積みされると財政課長は言っておりました。こういうふうになってきたわけです。  それならば、三年間の暫定措置をとったのだから、たばこ消費税は当然三年間措置してもらえると思っておりました。ところが、たばこ消費税を一本一円引き上げるのは六十一年度一年限りであるということになりました。それならば、六十二年度と六十三年度は一体どうなるのでしょう。これがわからないわけです。  私たち立場から言えば、恐らく千二百億はそのまま、いわば私の市でいえば二千万円は六十一年も六十二年も六十三年も取らないと財政の安定的な運営ができないわけです。六十一年度だけ二千万で、それから六十二、六十三はわからないというのでは、ますます地方財政混迷の中に入るということになるわけでございます。これが第二点でございます。  第三点の問題は、たばこ消費税で二千四百億円措置していただけます。財源不足は一兆一千七百億ですから、九千三百億というものが残ります。この九千三百億は、建設地方債で賄ってくれるということになりました。その建設地方債配分は、いろいろ難しいやりくりがあるようでございますが、とにかく九千三百億を建設地方債で賄ってくれることになりました。  そうしますと、国は補助金カットをどういうところにやっているかというと、先生方御存じのように社会保障中心にやっております。例えば生活保護のごときをずばっと切っていくわけです。そうしますと、非常に大きな金ががばっと国に入ってくる。すなわち一兆一千七百億も入ってくることになるわけです。昨年は高率補助二分の一以上を一割だったですが、今年はもうすべてのものについて二分の一を中心にして、いいもので三分の二、悪いものは三分の一というふうに、全般的にぐっと補助率引き下げてきました。それも社会保障とかあるいは失対事業というような補助金の大きいものがやられていくわけですから、非常に大きな財源の立てかえを地方自治体は必要とします。そうすると、地方自治体は金がないわけですから必然的に起債に頼る、すなわち建設地方債をもらっていく以外に方法がないわけでございます。  現在、五十八年度の決算で、聞くところによりますと、三千三百程度地方自治体の中で赤信号起債が二〇%を超えるとこれは赤信号起債の制限を受けますが、その二〇%を超えている団体が三千三百のうち二五%ある。八百二、三十、恐らくことしはもっとふえておるのではないかと思いますが、八百二十前後あると言われております。そうなりますと、うんと借金を抱えた上にそのまた借金建設地方債の名のもとに、それはいずれ後で交付税補てんしていただくにしても、借金を抱えるから地方財政はますます動脈硬化を起こし、硬直化してくる、こういう形になってきておるというのが現状でございます。  そういう中で、四番目にもう一つたちが注目をしなければならぬ点は、どういう点が起こってまいったかというと、交付税をもらっていない、例えば東京都のような不交付団体あるいは都市的な構造によって財政状況が非常に良好な団体とそうでない団体とが補助金一割カットによってどんな影響が出てきつつあるかというと、地方財政に大きな格差が出てき始めたということでございます。例えば北海道のごときをごらんいただきますと、これはもう税収伸びが少ない。そして起債はふえる。それでも予算が組めない。したがって、持っておる貯金すなわち財政調整基金等を払い出して、そして六十一年度予算を組む。わけです。こういうものは北海道だけではなくて、福岡県がそうです。鹿児島県も宮崎県も熊本県も茨城県も群馬県も、全国で少なくとも生活保護や過疎的な町というのはみんな持っておる貯金を払い出してしまった。これがさらに二年間でございます。これがさらに三年四年と続いていったならば、地方財政は窒息をする状態が出てくる可能性ができてまいりました。こういう点については十分ひとつ御配慮をいただかなければならぬと思っております。  もう一つ、私たちが大変心配しておるのは、減税論でございます。今のように日本経済円高デフレになりますと、賃金をある程度上げて、そして同時に内需の拡大をやるためには、減税をやる必要があることはもう与野党の諸先生方意見があらかた一致しているところだと思います。二十五日に中曽根総理も言っておりましたが、春には減税案を出し、そして参議院選挙が終わった秋には増税案を出す。そうすると、その減税案を出す場合に、地方財政のことを考えていただかなければいかぬわけです。  御存じのように、我々地方財政の一番大きな一般財源としてあるものは何かというと、交付税でございます。交付税所得税法人税と酒税の三二%をいただくわけです。ことしも十兆を超えたものがあるわけです。差し引きするものもあって九兆八千億程度になるわけですが、その三二%です。これを例えば二兆円減税をやられたら六千億円ぱっと減ることになるわけです。したがって、減税をやられる場合には地方財政の点も十分配慮していただきたいという点でございます。  もう一つ、秋に増税をやる。その増税がマル優の廃止とかあるいは是正とか、あるいは大型間接税をやられるという場合についても、その間接税をおやりになる場合には、国ばかりが全部取らずに地方財政に対する配分等についても御配慮をいただかないと、今一点から四点まで述べたと同じように大変な事態が起こってくることになるわけです。  こういうように、今我々を取り巻く交付税中心とした地方財政というのはいわば混迷の中にあるわけです。予算を組もうにも見通しがない、来年以降になるともはや貯金もなくなっていく、こういう状態にあります。そういう中で、この交付税とは直接関係がありませんけれども、今我々の地方自治体市町村が大変困っておる財政運営上の問題は国民健康保険の問題でございます。  御存じのように、国民健康保険については、非常に老人層が多くなりまして、そして高度技術高齢化社会が結びついて医療費がぐんぐん伸びていくわけです。初め我々は三%か四%と思っておりましたが、老人保健法その他改正された後、どういう理由かわかりませんけれども医療費がぐんぐん伸びるわけです。一五%、二〇%とお年寄りの医療費伸びていくわけです。そうなりますと、一般会計からもつぎ込み、保険税率を上げてももはや賄うことができなくなりました。すなわち、国民健康保険構造的に地方自治体の荷物としては重過ぎる状態になってきたわけです。これは交付税関係ありませんけれども財政調整交付金等厚生省からいただけるわけですけれども、それが四五%が三八・五に下がってしまうというような、いわゆる国がみずからの財政再建をやるためにいろいろカットしていく、その国の肩がわりのために地方自治体がクッションになる、重荷を背負わせる、こういう形が今進行しておるというのが現状でございます。  したがって、こういう問題も、やはりこういう大きな十兆を超える財源と見合いながら私たち地方財政運営を考える必要がある。地方財政は今や四面楚歌の中にあります。しかし、これをどう打開するかということは、我々地方自治に携わる者は創意と工夫と情熱を持ちながら、最も暗いときが最も暁に近いときである、冬が来れば必ず春が来る、やがて我々地方自治体が主体性を持ち、自律性を持ち、そして財政的な基盤を固めることができるのだという気持ちを持って当たっておりますけれども意余って力足らずというのが現状でございます。  以上、主な点について概要を申し述べました。後、いろいろ御意見をお聞かせいただきまして、所感を述べさせていただきたいと思います。以上でとりあえず陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  4. 福島譲二

    福島委員長 ありがとうございました。  次に、松本参考人お願いいたします。
  5. 松本一

    松本参考人 全国市長会相談役をいたしております岡山市長松本一でございます。  本日、我々のいろいろな事柄についてお聞きをいただく機会をお与えいただきまして、大変ありがとうございます。  衆議院地方行政委員会先生方には、地方行財政の諸問題につきまして日ごろから特段の御理解と御尽力を賜っておりまして、この機会に衷心から感謝を申し上げます。  本日は、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして意見を申し述べる機会をいただきまして、都市の行政に直接携わっております市長の立場から意見を申し述べさせていただきます。  まず、国庫補助負担率引き下げ問題についてでございます。  この問題につきましては、昭和六十年度の予算編成の際、私ども地方団体の総力を挙げて反対運動を展開をしたのでありますが、結局、これは一年限りの暫定措置であり、地方負担の増加についても全額補てんするということでありましたので、私どもといたしましてはまことに不本意ではございましたけれども、これを受け入れることにいたしたわけでございます。その後、昭和六十一年度以降の補助率のあり方については補助金問題関係閣僚会議のもとに設けられました補助金問題検討会におきまして検討が続けられたのでございますが、昨年十二月二十日の最終報告に至っても、生活保護費補助率について、補助率体系的見直しの観点から三分の二とする意見と国の責任の度合いを考慮いたしまして従来どおり十分の八とする意見の両論を併記するということになったのでございます。このため、補助金問題関係閣僚会議及び自治、大蔵両大臣の折衝を行ったのでありますが、ここにおきましても意見が一致せず、最終的には自民党の裁定によりまして決着が図られたのでございます。  その主な内容はと申しますと、まず第一番に、生活保護費補助率は十分の七とする、二番目に、老人福祉児童福祉等につきましては機関委任事務団体委任事務とし、その補助率を二分の一とする、三番目に、公共事業補助率は二分の一を超えるものについて昭和六十年度の補助率からさらに一段階引き下げる、四番目に、補助率引き下げ措置は今後三年間の暫定措置とする、となっておりまして、私ども地方団体にとって非常に厳しいものとなったのでございます。幸い、昭和六十一年度につきましては、たばこ消費税税率引き上げという極めて臨時、異例の補てん措置を含む財源措置がなされまして、またある程度事務見直しが行われておりますので、私どもといたしましては、一応今回の措置はやむを得ないと判断をした次第でございます。  これまで、私どもは、国庫補助金整理合理化に当たりましては、地方団体事務事業として既に同化定着をいたしておるもの等地方自主性にゆだねることが適切と考えられる補助金や、人件費法施行事務費等運営費に係る補助金につきましては、これを廃止し、縮減し、地方一般財源に移行することを基本として推進するとともに、存続する補助金等につきましては、類似ないし同一目的の補助金等統合メニュー化補助金等交付手続簡素合理化を図ること等を一貫して主張してきておりまして、具体的な方策をも提案してまいっているところでございます。こうすることによりまして、地方自主性自律性強化されますとともに、国の事務負担もまた大幅に軽減をされまして、財政再建にも大きく寄与することができると信じておる次第でございます。  このように、私ども地方団体は、補助金整理合理化にすべて反対というのではないのでございます。地方団体が反発いたしておりますのは、補助金等の削減のやり方に対してでありまして、筋の通った整理合理化ならむしろ協力を惜しまないのであります。今回の措置は三年間の暫定措置とされておりますので、その後の見直しに当たりましては、今後地方団体自主性自律性の尊重の観点に立った、私どもにも十分納得のいく整理合理化を推進していただきたいと存じております。  次に、地方財政の長期的、安定的な財源確保につきまして、諸先生方に御配意をお願いいたしたいと存じます。  御案内のように、昭和六十一年度の地方財政計画は、地方財政が引き続き厳しい状況にあることにかんがみまして、おおむね国と同一の基調により策定されております。歳入面におきましては、地方税負担公平適正化を推進しながら、地方税源充実強化地方交付税所要額の確保を図り、歳出面におきましては、経費全般について徹底した節減合理化を図るとともに、限られた財源重点的配分経費支出効率化に徹し、節度ある行財政運営を行うことを基本としております。  その結果、地方財政計画の規模は総額で五十二兆八千四百五十八億円、前年度対比で四・六%の増となり、国の予算伸び率三%を上回ることになっております。一般財源は六%増、一般財源比率も六五・一%など、内容は改善されてきております。しかし、国庫補助率引き下げに伴う影響額補てんするために、建設地方債が九千三百億円増発され、そのために地方債依存度が前年度の七・八%から八・四%に押し上げられ、相変わらず過度の借金財政が継続されることになったのでございます。  さらに、地方財政現状は、昭和六十一年度末におきまして五十八兆円を超える借入金残高を抱えるなど極めて厳しい状況に置かれており、個々の地方団体につきましても公債費負担率が年々著しく上昇をいたしまして、二〇%を超える団体が千三十三団体と前年度の八百二十団体と比べまして大幅な増加を示しておりまして、財政硬直化が一段と進んでおるのが実態でございます。  地方団体は、財政難であるからといってやめてしまうことができない、住民に直結した行政が大部分である上に、歳入構造から見ましても自主財源が極めて乏しゅうございまして、その上、国の制度、施策の影響を強く受けるという特質を持っております。また、地方団体は三千三百余の個別の財政主体集合体でございまして、税収の伸び悩みによりまして予算編成に四苦八苦しております。数多くそういう現状があり、現下の地方財政の実態というものは全く予断を許さない状況にございまして、地方財政健全化はまだまだと言わざるを得ないのでございます。  もとより、地方団体におきましても、この危機を打開すべく、事務事業見直し、また組織機構簡素化、職員の給与、定員の適正化、経費の節減合理化等に努めまして、みずから努力しているところでございます。今後も引き続きまして、一層の行政簡素合理化財政の効率的な運用を積極的に推進をいたしてまいる覚悟でございますが、ここで、地方自主性自律性を確保する観点から、また、地方財政の長期的、安定的な財源を確保するために、諸先生方に特に次の四点について御配慮を賜りますように申し述べさせていただきたいと思う次第でございます。なお、国庫補助金等整理合理化につきましては既に申し述べましたので、ここでは省略させていただきます。  まず第一点は、地方税源充実強化についてでございます。  地方団体事務は、住民福祉の向上、公共施設の整備、維持など住民に身近な経常的なものが多い上に、人口の高齢化価値観多様化などによりまして行政需要は増加の一途をたどっております。これらの要請にこたえまして、地域の特性、多様性を生かし、魅力ある地域づくりを進めるためには安定した財源が必要でございまして、さらに地方財政健全性を回復するためにも、地方団体の収入の中心をなす地方税源拡充強化がぜひ必要であります。  現在、政府の税制調査会におきましては、税制全般にわたる抜本的な見直しを行うべく検討を重ねておられるところでございまして、まず、税負担軽減合理化のための方策について明らかにし、次いでその財源確保のための方策等を含めた税制改革の全体的方向について明らかにするとのことでありますが、私ども地方団体としましては、地方行革の一層の推進、地方への権限移譲に向けまして、住民に密着した行政に必要な財源地方が自主的、効率的に使用できる一般財源として確保されなければならないと存じておりますので、ぜひとも地方自治強化という観点に立って改革を進めていただきたいと思う次第でございます。  ざらに、私ども都市の立場から申しますと、都市的税目である法人所得課税市町村への配分割合強化個人所得課税における市町村への配分割合の拡充、消費流通課税等間接税の充実を図るとともに、地方道、特に市町村道整備促進のための道路財源強化を推進する必要があると存じます。  また、利子配当所得に対する住民税の課税の問題でございますが、政府税制調査会の答申において、基本的には住民税を課すべきであるが、課税方式等なお検討すべき問題があるので、税制の抜本的見直しの中で解決を図るようさらに検討を進めるべきであるとされております。私ども地方団体といたしましては、税負担の公平を図る見地から、何とか地方税として課税できます方途を検討していただきたいと思っているのであります。  第二点は、地方交付税総額安定的確保についてであります。  御承知のとおり、地方交付税制度は、地方団体自主性を維持しながら地方財源均衡化及び必要な財源の保障により地方自治の本旨の実現を図ることを目的としております。また、私ども地方団体は、これは国が便宜的に一括徴収する形態の地方税とも言うべきもので、独立共有財源と認識いたしておりまして、地方税とともに一般財源の大きな柱となっております。現在御審議中の改正法案におきまして、地方交付税総額は九兆八千三百九億円で、前年度に比しまして三千八百十億円、四%の伸びを確保しております。しかしながら、先ほども申し述べましたとおり、交付税総額を減額し得るような余地はないのでありまして、この点につきましては格段の御配意を賜りますようにお願いを申し上げます。  第三点は、国民健康保険の充実についてであります。  国民健康保険は、現在、退職者医療制度の創設に伴う見込み違いによる負担増のため、極めて厳しい状況にあります。この見込み違いによる不足財源補てんにつきましては、昭和六十年度の補正予算において一千三百六十七億二千五百万円の措置がされましたが、厚生省調査結果の影響額二千八十億円の三分の二程度の額であり、今後とも国の責任において誠意を持って解決に努めていただきたいと存じております。また、今国会に提出されております老人保健法等の一部を改正する法律案は、受益者負担による一部負担見直し加入者按分率引き上げを行い、来るべき高齢化社会に適応した老人保健制度を構築するとともに、国保財政の危機を克服するための必要最小限緊急措置であると存じますので、同法案の速やかな成立についてあわせてお願いを申し上げる次第でございます。  第四点は、新産・工特等地域開発施策の推進についてであります。  新産業都市及び工業整備特別地域等財政上の特別措置につきましては、昭和六十年度末をもって期限切れを迎えることになっておりましたが、先生方を初め関係者の皆様の御尽力によりまして、財特措置が若干圧縮されたものの、五カ年の延長が図られたのでございます。新産・工特の地域は、大都市に過度に集積をいたしました人口及び産業等の諸機能の分散を図り、国土の均衡ある発展を図るため、新産・工特財特法による財政上の特別措置を受けながらその整備を進めて、これまでそれなりの成果を上げてまいりました。しかしながら、建設整備に関する計画の目標はなお達成されるに至っておりません。人口、産業の地方分散、国土の均衡ある発展を図ることは依然として重要課題となっておりますので、今後とも新産・工特等地域開発施策の推進につきましては一層の充実強化を図っていただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。  以上、当面する地方行財政の諸問題につきまして、お願いかたがた忌憚のない意見を述べさせていただいた次第でございますが、地方財政の厳しい実情を御理解いただきまして、速やかに本改正法案が成立をいたしますように何とぞよろしくお願い申し上げまして、私の公述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  6. 福島譲二

    福島委員長 ありがとうございました。  次に、若山浩司参考人お願い申し上げます。
  7. 若山浩司

    若山参考人 奈良女子大学若山でございます。本日は参考人として意見を述べさせていただく機会を与えていただきましてありがとうございます。  地方交付税法等一部改正の問題に関連して、若干関連した参考意見を述べさせていただきます。  このたびの地方交付税法等の一部改正問題は、単なる法律の一部手直しのように見受けられますけれども、しかし、地方自治体財政運営へのインパクトは極めて大きなものと考えられます。それで、問題は幾つかに分けられまして、一つは当面の、すなわち六十一年度の地方自治体財政運営の側面へのインパクト、もう一つは長期的な社会動向を踏まえた地方財政のあり方の側面、こういう二点があるように考えられます。ミクロな面とマクロな面というふうに説明してもいいと思います。  それで、第一の短期的といいますかミクロといいますか、この面については既にお二人の参考人の方が自治体市長さんとしてさまざま詳しいお話をされましたので、私といたしましては、後者のマクロといいますか長期的といいますか、そういう社会的動向を踏まえた地方財政のあり方に関連する問題について議論をさせていただきたいと思います。その中で、一応、私といたしましては二点に分けて議論をさせていただきたい。第一点はこの問題についての一般的な考察、第二点目は今後迎えます高齢化社会における、とりわけ老人福祉サービスのあり方と地方交付税制度のかかわりあるいは役割等について私なりの意見を述べさせていただきたいと思います。  まず第一点目の問題に触れさせていただきます。  地方制度の中でも、地方交付税制度と申しますのは、財源保障を目指した財源調整制度として非常に有効に機能しております。その内容も非常に精緻でうまくつくられており、世界でも他に例を見ないものでございます。また、地方自治体財政運営観点からいたしましても、地方税とともに地方交付税一般財源として地方自治体の自主権を保障するかなめとなる財源でもございます。もちろん、時代の推移とか社会構造の変化に伴いまして、制度そのものの中には改善すべき点も多く抱えているのは事実でございます。  一見したところ、今日の地方財政の収支状況は、以前の状況からいたしましたら比較的景気の上向きもございまして、地方税収入の伸びやそれぞれの地方自治体の経営努力等に支えられまして実質収支も深刻な状況ではなくなっております。表面上はかなり改善されているように見受けられます。しかし、反面では公債費比率の上昇が目立っておりますし、人件費率も依然として上昇傾向にあり、その結果、経常収支比率の上昇を招き財政構造そのものは硬直化しているように思われます。つまり、構造的には、地方財政は相変わらず硬直化傾向が続いているというふうに考えることができると思います。今後の経済動向あるいは国の財政状況からいたしましても、依然として地方財政は硬直的な財政基調で推移していくのじゃないだろうかというふうに思われます。  確かに、国の財政と比較いたしますと地方財政の悪化は軽症のように見受けられることも事実でございます。しかし、抜本的な制度施策見直しとか改善を十分にやらないで、国の財政が苦しいからという理由だけで、また一見ゆとりある地方財政がその苦しさの一部を肩がわりして、国と地方の双方が苦しさを分担し合うといったけんか両成敗的な対応、ちょっときつい言葉を言いますと、国のツケを地方に回して国の財政再建を図るといったような形で、とりわけ一律に国庫支出金の補助率引き下げるといったような方向での調整は好ましくないのじゃないだろうか。もっと何らかのそれぞれの地方自治体状況に対応したような、バラエティーに富むといいますか、差別的といったら言葉が悪いのですけれども、そういうような対応が必要じゃないかと思います。今度の法案改正につきましても、そういうことをやらなければならないということは当然でございます。だけれども、問題はそのやり方にあるのじゃないだろうかというふうに考えております。  現代社会は、先進社会化、高齢化、福祉社会化というものが著しくて、それに対応して地方行政は、住民のニーズも多様化、個性化、高度化いたしてまいりますので、当然それに対応していく非常に難しい問題を抱えております。それからさらに、地域的な差異といいますかそういうものも拡大化する傾向にございます。このような趨勢に対して、地方自治体がどう対応していくかということがこれからの大きな課題でございます。  今後、地方自治体はナショナルミニマムの行政水準の確保は当然といたしまして、多様化、個性化、高度化した住民ニーズに応じてそれぞれの地域に合った個性的な行政の実現が必要であります。しかし、このためには安定的な一般財源確保がまず必要でございます。さらに、地方自治体がある程度自由に創意工夫を行うことが可能な自主権の確立が必要でございます。これからの複雑化していく社会に対応できる地方財政環境の整備が必要になってまいりますけれども、そのためには地方自治体自主性を発揮できるような形での長期的な視点に立った根本的な国庫支出金制度地方交付税制度の改善が理想的な意味では必要だと思われます。国に比べまして地方財政にはまだゆとりがあるからといった視点からの国庫支出金の補助率の一律引き下げ地方交付税による暫定的な一時対応を続けていくのは、望ましい姿だとは思えないと思われます。  また、このような一律的な措置地方自治体財政運営に対するインパクト、とりわけ短期的なインパクトが必ずあるものと考えられます。例えば、地方交付税交付団体と不交付団体との間の問題とか、地方自治体の計画的な財政運営の障害になる。長期的な計画をやってまいりましても、突然こういう問題が起こってくるとそれによって違った対応をせざるを得なくなる。それから地方自治体の経営努力と地方行革への意欲に水を差すことにならないかといったような問題がございます。同じ一時的、暫定的に対応するのであれば、もう少しきめの細かな各自治体状況配慮できるような形の措置が望ましいように思われます。  最後に、高齢化社会老人福祉地方交付税のかかわりについて私見を述べさせていただきます。  老人問題といいますのは、人間だれでも長く生きて高齢者になれば、所得、社会的地位、境遇などに関係なくすべての人が遭遇しなければならないものでございます。また、一面から見ますと、社会的にそれらの問題に対して対応していかなければならないものでございます。これは一面では義務教育と似た側面を持っております。そこで、老人福祉サービスは、基本的には所得などに関係なく、享受を必要とする人々にすべてに準備されるのが理想的でございます。老人福祉サービスは低所得者のみが対象となる弱者救済型のものじゃなく、一般財に近いものであると考えることができると思います。  そこで、こういった老人福祉サービスの対象も、低所得者のみでなく、中高所得者にも広げるべきでございます。低所得者に対しては純粋公共サービスとして無料で供給し、中高所得者に対しては市場化を図る、言葉をかえますと福祉サービスを一つの商品として供給する、つまり、負担能力に応じて供給費用を負担する福祉的傾斜料金システムを導入して行うべきじゃないかと思われます。その場合に、サービスとしての外部性とか個人への利益の帰属性をよく配慮いたしまして料金を考えることが必要であることは言うまでもございません。  こういう老人福祉サービスの市場化を図るのであれば、その供給主体の自治体はその供給方法についても多様化を進めることが必要でございます。これは財政運営の理念からしても当然のことでございます。しかし、民間や住民の活力の利用を図ると申しましても、その性格上から、究極的には一定の枠内での政府のコントロールが必要でございます。いわば、ある範囲内での市場化の実現を図っていく必要があると思います。  しかし、老人福祉サービスの供給に住民や民間の力を活用して一定の市場化を促進すべきではありますけれども、老人問題というのにはかなりの地域性が存在いたしますし、主体となる地方自治体財政力あるいはその地域の潜在的な経済力等にもかなり格差がございますから、一律に対処することは非常に困難でございます。また、そういうことは回避すべきであろうと考えます。ですから、それぞれの地域に合った内容施策を行うべきだし、そういうものを実現していくべきであります。  それで、老人福祉機関委任事務である限り、行政を実施するのに必要な最低限の費用の負担を国が行うべきことは当然でございます。しかし、それを超えるものについては、各地方自治体自主性と自由裁量の余地を残すためにも、財政的に余力のあるところは自主財源によって行うべきだ、しかし、財政力の低い地方自治体に対しては国が一般財源として補助すべきだと考えられます。  いずれにいたしましても、それぞれの地方自治体がその地域のポテンシャリティーを十分に生かしまして、その地域に合致した施策を実現していくのが今後の財政運営の理念からしても望ましいことであると考えられます。地方自治体が自由裁量を発揮して、その施策を行うことができるような環境の整備、つまり、地方制度の改善が必要だと思われます。  このようにそれぞれの地域に適した福祉行政の実現には、基本的な、ある程度財政基盤の拡充が不可欠の要件でございます。人口の老齢化が進んだ市町村に対してはある程度財源保障地方交付税制度において必要でございます。また、積極的に老人福祉行政を進めようとする団体に対しては、国庫支出金あるいは起債の上で何らかの優遇措置が必要でございます。特に、地方交付税制度に関連した問題といたしましては、現行の地方交付税制度の中でも人口の老齢化に対しての措置が皆無ではございませんけれども、より現実を反映できるように制度の改善と手直しが必要だと考えられます。  その具体的な対応策としては、次のような点があると私は思います。  一点は、人口の老齢化を反映するような制度にすべきだ。現行の制度においても、密度補正の中で老人医療費に関連して七十蔵以上の老人数を考慮いたしておりますけれども、老年人口指数等を用いて老人福祉行政全般への反映を考慮できるような形にすべきじゃないかと考えております。  二点目は、事業費補正への反映といたしまして、現在、小学校や中学校等の義務教育施設の建設の場合あるいは過疎対策事業法に基づく過疎地域公共施設整備を行う場合、地方債によって調達した財源分に対して元利償還分の大部分が事業費補正の対象となり、市町村負担軽減されております。これと同様の措置老人福祉にも適用されるように配慮されることが望ましいのじゃないかと思われます。少なくとも財政力の余裕に乏しい、老齢化の激しい山間僻地を抱える市町村に対しては十分に配慮することが必要じゃないだろうか、このような対処なしに来るべき高齢化社会への対応もできないのじゃないかと考えております。  老人福祉施策は、基本的なものは別といたしまして、それぞれの地域に応じた行政ができるような体制が必要でございます。それが確立されて初めて、民間と住民の活力を利用した、行政的にも財政的にも効率的な福祉システムの実現が可能じゃないかと思われます。  これで、私の陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
  8. 福島譲二

    福島委員長 ありがとうございました。  これで参考人の御意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  9. 福島譲二

    福島委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  なお、念のため申し上げますが、参考人皆様委員長にお申し出をいただき御発言をお願い申し上げます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平林鴻三君。
  10. 平林鴻三

    ○平林委員 滝井参考人松本参考人、芳山参考人、お三方には、御多忙の中を御出席いただき貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。  特に滝井参考人からは、創意工夫、情熱を持って地方自治、またその財政の基盤確立に努力する、こういうお考えを聞かしていただきまして、私も深い感銘を覚えました。  滝井参考人市長をなさっております田川市は、いわゆる産炭地と承知をいたしております。産炭地に特有の社会事情、従来から失業対策班業費に多額の費用を要するとか生活保護費が多額に上るとかいう特殊な条件があったやに伺っておりますけれども、今日の田川市の状況はそのあたりがどうなっており、財政的にはどういう負担になっておるでしょうか、その点を伺いたいと思います。
  11. 滝井義高

    滝井参考人 六十一年度の予算総額は二百八十七億ぐらいを組みました。税収は大体一五%ぐらいだったと思っております。あとはほとんど中央依存財源でございまして、六割四分ぐらいは中央依存財源で、起債交付税、国庫支出金というようなもので賄われております。借金の方は、ことしは多分二十六億ぐらい借金をして大体賄いをいたしました。ところが、どうしても補助金カットその他がありまして、昨年は当初予算で六億くらいの立てかえをやったわけですが、今年は十億か十二億くらいになるのじゃないかと思っております。昨年分については、国から最終的には起債交付税等で補てんをしていただきました。生活保護厚生省からも二百億の調整財源等がありまして補てんをしていただきました。今年はこれからそういうことについて努力をして、補てんをしていただくことになると思っておりますが、市民会館の建設をする基金を積んでおったのが、でき上がって幾分余りましたからそれを持ってきたり、財政調整基金を持ってきたり、土地開発公社が要らぬようになりましたからその積み立てた金を持ってきたりして、五億五千万円くらいの積立財源を取り崩して今年は予算を組みました。  それで、非常に大きなこれからの問題といたしましては、まず第一に、七十歳以上の失業者が八月一日から一斉に失対事業から排除されるわけです。したがって、その退職金が百五十万円ですが、国が二分の一見まして、県と我々が残りの二分の一を見ることになるわけですが、こういうものをしますとそれが七億少しくらい予算面としては出ます。  それからもう一つ、私の方で財源的に要るのは、都市の開発をやりまして、炭鉱地帯でございますから、町がハイツ、いわゆる丘の下にあるわけですが、ボタ山を開発しますと、そういうところに水がつくわけです。したがって、トンネルを掘って、排水路を掘って、そこの高地の水をつかないように開発に伴ってやらなければならぬ。そういうトンネルをつくる金が十二、三億くらい要るわけです。  それから、新しく団地を建設しているのですが、その新しい団地の建設のために五億くらい要る。  こういうことで、今年は失対の一律排除、それからそういう都市開発のための経費、それから住宅建設で団地を造成する、そういうものが要ったために、予算が二百八十七億、一三%も伸びたわけです。それはもうやむを得ない経費でございます。したがって、借金をして予算を組んだ、こういう形になっております。
  12. 平林鴻三

    ○平林委員 もう一点、滝井市長さんにお伺いしたいのですが、そのような予算の膨張というのは、将来自主財源の増強になってはね返ってくるものならいいのですけれども、そう簡単にはね返ってくるようなお仕事でもないように思いますが、将来の財政健全化についてはどのようにお考えでございましょうか。相変わらず国庫支出金とか交付税とかそういう方に依存しなければしようがないというお考えでしょうか。そこら辺のところを簡単にひとつお聞かせいただきたいのです。
  13. 滝井義高

    滝井参考人 御存じのように、産炭地を支えておる法律は全部時限立法でございます。  我々は、第一の危機というのが六十年から六十二年に来ると考えております。それは、まず第一は同和対策があります。これは御存じのように三分の二の補助金がございました。三分の一は起債でございますが、その交付税が八〇%返ってくる。したがって、そういう裏のある仕事をできるだけやって、自主財源を最小に使って工事をやっていく、地域の改善をやるという形を一つとっておるわけです。それからもう一つは、六十二年三月三十一日までに石炭三法が期限切れになります。これは先生御存じのように石炭、石油並びに代替エネルギー会計が一番主なものでございますが、これが期限切れになります。これが千二百二十五億という石炭財源になっておる。そういう恩典のある、高度の補助のある、そしてまた交付税で見返りのつくものを利用しながら現実に町の建設をやっております。  それから第二の危機が六十五年に過疎法が切れます。六十六年に産炭法が切れて、六十七年に臨鉱法、鉱害復旧法が切れるわけです。ここに第二の危機が来ます。  したがって、私たちは、第一と第二の危機を見ながら、町の経済的な基盤整備をやって、そして新しく自己財源がそこから得られる形を今からつくろうとしておるわけです。  ところが、そういうことをつくろうとしておるときに、失対の排除、ローカル線の切り捨て、国立病院の民間移譲、補助金カット、国保の赤字、こういうものが法律の期限の切れる前に我々が建設をやり基盤を固めようとしておるときに追い打ちがかかってくるという形になりました。したがって、未来展望が非常に難しい状態になっておるというのが現実でございます。しかし、何とかしてこれを自主的な立場で打開をしたい、こう考えて、今いろいろ勉強し、人づくりを中心に自立の精神を持った人間をつくっていこう、こういうことでやっておるというのが理状です。
  14. 平林鴻三

    ○平林委員 ありがとうございました。  次に、松本参考人にお伺いしたいと思います。  岡山市は県庁所在のいわば大都市でございますが、財政運営にもそれぞれ御苦労がおありであろうと思います。そこで、お伺いしたいのは行政改革の関連でございます。  現在、政府行政改革に取り組んで、特に地方行革というものを積極的に進めるように地方団体に対して要請がされておるところでございます。私どもも、国も地方もやはり行政改革の時代であると思いますけれども、岡山市ではどのようなお考えで取り組んでいらっしゃいますか。財政規模も相当なものでありますし、建設事業も相当おやりになっておるように思いますので、そのような経費を生み出すためにもやはりぜひとも身軽な行政の体制をつくらなきゃいかぬと思いますけれども、そこら辺の御配慮はどのようになさっておりますか、お伺いしたいと思います。
  15. 松本一

    松本参考人 平林先生にお答えをさせていただきます。  岡山市におきます行財政改革につきましては、既に昭和五十六年度から有識者によりまして構成いたします行財政対策懇談会というのを設けまして、その答申を受けまして、これを踏まえて庁内組織としての行財政改革推進会議を設置をいたしまして、そして五十七年以来全庁を挙げて行財政改革に取り組んでおるわけでございます。  答申におきまして提言をされました項目につきましては、ほぼ実施をいたしております。しかしながら、答申以降三カ年が経過をいたしまして、本市を取り巻く行財政情勢というのは非常に大きな変化をいたしております。したがって、ますます厳しさを増しておりますときでございますから、市民福祉の向上を図るためにも、国からの行革大綱の策定が求められている等のことを考えまして、昨年六月から九月にかけましてしばしば委員会を開催をいたしまして、積極的にこの問題に取り組んでまいろう、仕上げをしようということで努力をしておるわけでございます。  地方行革大綱の策定に当たりましては、地方の行革というのは決して国の指導によってやるというのでなくて、地方が積極的に自主的に努力していかなければいけないということで、現在、行財政運営改善推進事項ということを決めまして、これを策定いたしまして、これに従って計画的にそして強力に推進していこうという心構えで今努力しているような次第でございます。よろしくお願いいたします。
  16. 平林鴻三

    ○平林委員 実は、その行政改革関係で私が心配しておることがありまして、県にしましても市町村にしましても、国の非常に多くの法律に基づいて事務事業を執行しておるわけであります。したがって、国の法律ががんじがらめになっておって、地方で自主的に行政改革を進めようとしても、法律が邪魔をすることもあろうかと思うわけです。そういうような具体の例が、御経験がおありかどうか。  それからもう一つ、実は心配事がありまして、国庫補助金整理合理化して一般財源化すべきであると市長会も従来からおっしゃっています。一般論としては御賛成になっておるのですけれども、いざ個々の補助金整理合理化して一般財源に移しかえるということを議論を始めてみますと、各論になると必ずしも御賛成にならぬということが時々起こります。さようなことから考えまして、市の行政で具体的に仕事をなさる場合に、本当に補助金の方がいいのか、一般財源の方がいいのか。そこら辺のことと、それから、法律の縛りは緩い方がいいのか、きつい方がいいのかというようなことにつきまして、何か御経験がございましたら、ここで御開陳をいただきたいと思います。
  17. 松本一

    松本参考人 行革を推進する上において、いろいろ国に定められました法によって縛られておる点はないか、こういうことでお尋ねがございました。私どもは、国で定められたことにのっとりましてその範囲内で我々が行革を推進していくのにはどうしたらいいかということで、自主的な範囲で、できることを取り上げて積極的に解決していこう、こういう心構えで現在やっているわけでございまして、その点をひとつ御了承いただきたいと思います。  それから、国庫補助金の件でございますが、国庫補助金のうちで、その額が零細なものとか地方同化定着と思われるもの、または人件費関係補助金につきましては積極的に整理合理化すべきものである、このような観点から進めておるわけでございまして、御理解いただきたいと思います。
  18. 平林鴻三

    ○平林委員 どうもありがとうございました。  次は、時間がございませんので、若山参考人に一点だけお尋ねしたいと思いますが、非常に興味のある御提案をいただきまして、私もこれから研究をさせていただきたいと思いますけれども老人福祉のサービスの仕方が地域によって異なるのは当然のことであろうと思いますし、また所得によって、低所得者は無料で、相当の所得のある人にはいわば商業ベースでサービスをしていったらいいのではないかという御提案でございますが、そこら辺、実際にどのような仕事、いろいろな仕事がございますから、例えば在宅福祉でどうこうあるいは施設の収容福祉でどうこうというようなことで、もう少し具体的なお考えをお持ちでございましたら、時間の関係がございますので大変恐縮ですが、簡単にお述べをいただきたいと思います。
  19. 若山浩司

    若山参考人 ただいまの御質問でございますけれども、これも非常にケース・バイ・ケースということでございます。今、私、老人福祉一本で議論いたしましたけれども、それを在宅福祉と施設福祉、両方にまず考えていくことができると思います。それで、これから非常に問題になってきますのは、どちらかといいますと在宅福祉の問題が大いに問題になってくると思います。その場合に、結局今の制度ですと、低所得者に対しては何とか法律の枠の中でできますけれども、そうでない人に対しては対応する方法がございませんので、ある程度、これもケース・バイ・ケースですけれども、委託で行うとか、いわゆる外部委託、これもいろいろな形態があると思います。先ほどのお話じゃございませんけれども法律の制約がございまして非常に難しいですけれども、ケース・バイ・ケースでやっていくべきじゃないか。その自治体それぞれによって違いますので、できるだけその地域に合った形のものを創意工夫してやっていくべきじゃないだろうかと考えております。
  20. 平林鴻三

    ○平林委員 どうもありがとうございました。恐縮ですが、また別の機会に御教示をいただきたいと思います。  これで終わります。
  21. 福島譲二

    福島委員長 安田修三君。
  22. 安田修三

    ○安田委員 参考人の皆さんには、大変お忙しい中、ありがとうございます。日本社会党の方から皆さん方に二、三お聞きしたいと存じます。  まず、滝井参考人にお伺いいたします。  実は、臨時行政調査会の答申によりますと、地方自治体の標準行政という問題がよく出てまいります。標準行政ということは今まで行政の取り扱いの中ではそういう定かな言い方はなかったのだろうと思いますが、臨調ができましてからこういうような言い回しが出てくるようになってまいりました。そうして、この標準行政が行われるに必要な財源というのは理状では大体充足されておるのではないだろうか、こういう見方に立っておるようであります。その上に立ちまして、財源の総量規制を行おう。その中にいろいろなやり方がありますが、特に私たちが注視しておりますのは、留保財源率の引き下げを提起しておる点でございます。  そこで、標準行政という臨調の言い方をそのまま受け取っていった場合に、住民のシビルミニマムを充足しているという点で臨調が言っておるのでありましょうが、さて現状、現在の地方自治体がシビルミニマムそのものを全部それでは充足しているか、こうなりますと、なかなかそううまいぐあいにはなっていないのじゃなかろうか。そういう点で、標準行政という言葉があって、そして地方にはそれだけの一定の行政はちゃんと財源があって行われているから、国と地方との財源率を、地方自治体がむしろふやしてほしいという期待とは別に、補助金カットその他で財政を削ってくる。こういうことで、実は国と地方との財政配分の従来のルールすら無視するというのが現状行われていると私たちは見ております。  それで、滝井市長さんに、理場の市財政を取り扱ってこられまして、その点どのように見ておられるか、これが一つ。  もう一つは、政府補助金検討委員会で、生活保護についてこう述べております。   国民の健康で文化的な最低限度の生活水準を  保障するものであり、その実施に当たっては、  全国民に共通した公平と平等が求められるの  で、事務の性格は今後とも機関委任事務とする  ことが適当である。その補助率としては、補助  率の体系的な見直し観点から三分の一とする  のが適当とする意見がある一方、国の責任の度  合を考慮して、従来どおり十分の八とするのが  適当とする意見があった。こういうぐあいに実は両論併記で述べられておりますことは、市長さん御存じのとおりだと存じております。国会の補助金削減一括法の審議の場合にもいろいろとこの問題について政府側に解釈を求めましたが、中身は出てまいりません。  さて、実際の理場の自治体生活保護を扱っておられる皆さんにとりましては大変過大な負担が出てまいったわけであります。三分の二が適当、あるいは十分の八が適当、こういうあいまいな検討会の結論でございますが、現場の市長さんとしての所見をお伺いしたいと存じます。
  23. 滝井義高

    滝井参考人 まず第一点の方でございますが、土光臨調におきまして、できるだけ国民が親方日の丸的な意識をなくして自立自助の精神を持ってやるべきだということがあの臨調の精神の中へ一貫をしておるわけです。しかし、私たち自治体にとって極めて貴重な意見は、国民が生活をしておるところにできるだけ権限をやりなさいということを言ってくださっておるわけです。そして我々地方制度調査会等で今十何次、七次か八次かくらいになっておりますか、そういうところでも同じことを言っていただいて、そして補助金の総合化、メニュー化ということを言っておるわけです。当然十四兆、ことしも四割が補助金なんですけれども、それを私たちにくれる。例えば私のところで多いときは百二十億くらいの国庫支出金をいただくわけです。その例えば百億をもうおまえのところに概算で前渡しする、これを大事に使いなさいよ、あと二十億についてはいろいろ問題があるから、という形になれば東京に陳情に来ることも少なくて済むし旅費も要らぬようになるし随分倹約になるわけです。しかし、そんなことをしたら官庁の権限というのはがたっとなくなって地方が強くなる。税金を七割は国が取る、私たちが三割取る、そしたらその四割を大きなひもをつけて私たちにくれる。だからそのひもを断ち切ることがすなわち私たちに権限をくれることで、土光さんはそれを言っておるわけです。そういう前提のもとに立っての自律ならばこれは私は結構です。しかし、そうでないところに今日問題がある。したがって、そこに標準行政をやれとかなんとか言ったってそれは単に作文の上であって、実態はそうではないわけです。  先日、瀬島龍三氏がやってきて、これからの日本はどうするかということをお話しになりましたから、私質問に立ちまして、まあ瀬島さんは臨調から臨教審からそれから行革審、全部の委員になっておられるいわば中曽根さんの最高の参謀ですが、その方に、実は瀬島さん、今一体中央の行革はどうなっているのですか、新聞には二六%カットになっておるがと言ったら、いやまだ二〇%くらいしかいっておらぬ、これから断固として増税なき財政改革を貫いていくという非常に強い、中曽根さんよりか強い決意の表明をいただいたので、そういう補助金問題も一緒に言ったのですけれども、そういう点はまだ二〇%しかいっておらぬ、こういうことでございます。しかし、もう行革審も期限が来て終わっちゃおうとしておるわけです。したがって、そういうところでは一番大事な地方自治体自主性をし住民自律性をするならば、自治体自身が自律性ができないととてもできる状態ではないということを感じておるわけです。  それから生活保護の問題については、臨調は、私の記憶では、生活保護だけは十分の八でいきなさい、これは除く、こう書いていらっしゃるのです。ところが、それを政府の方で十分の八を下げてくることになった。これは補助金の一括法案のときにも朝日新聞の広瀬さんもこういうやり方はいけないと言っておられたんだけれども、私も全く同感なんですが、憲法の二十五条の精神、生活保護ができたときの精神というのは、そういうことを議論をしてこれだけは制度的に十分の八を守るべきだ、少なくとも国民の最低の生活を保障するものである、こういう一つ制度としてできたものです。それを便宜的に、国の財政が苦しくて地方財政は余裕がある、地方財政余裕論をもって簡単に切る。そうすると、これは簡単に切れるわけで、切ったらそれだけがばっと国に入ってくるから、国が一番楽です。しかし、私たちは今度はその差額の一割、八が七になるわけですからその一割を苦心惨たんをして賄っていかなければならぬ。四月の初めには生活保護費を払い出す、払い出す金がないから銀行から借りる、借りたら利子がつく、こういう形で苦心惨たんをして、生きていく人間をそこに預かっているわけですからしなければならぬわけです。  したがって、私はこの前も、ほかのことはもう言いません、この点だけは、この十分の八だけはひとつもとに戻してください、こういうお願いをしました。私の方の市では生活保護をできるだけ厳正公平にやりながら、最近は周辺はふえても私のところはずっと減っております。七十、八十あったのが今どうにか千分の五十台になってきました。それで、苦心をしてできるだけ生活保護費を減らしてそして適正な運営をやるという努力をいたしておるわけですから、ぜひ十分の八にしていただきたい。以上です。
  24. 安田修三

    ○安田委員 どうもありがとうございました。  さて、松本参考人さんにお伺いいたします。  先ほどお述べになりました中に、老人保健法の早期の成立を望むというお話がありまして、按分率の引き上げ問題が出ておりました。そこで、市長さん方は国保の連合会その他兼ねていらっしゃるものですから早期成立ということをおっしゃっておるわけでありますが、御存じのようにお医者さん、それから事業所、そこに働く人たちは全く反対でございますし、地域へ行きましても老人連合会その他は反対でございます。  これは考え方はいろいろあると思います。退職者医療制度ができてから特に老人保健法と絡んでこういう問題が出てまいりましたが、現役のときに、病気をしないときに健康保険や組合健保や共済でお金を納めてきたんだからそこらが按分率を引き上げて持ってもいいじゃないか、こういう考え方がある反面、何を言っておるんだ、現役でばりばり働いた時分は住民税、固定資産税の、言うなればおれたち市町村の担い手であったんじゃないか、それくらい町や国が見たって当然じゃないか、それぞれの言い分がございます。  そこで、発端は、一昨年退職者医療制度ができたときに厚生省がその退職者医療制度に加入する者四百六万人と算定いたしました。ところが実際入ったのは二百六十四万人でございました。これを追及いたしますと、それはそうだが、しかし医療費適正化も絡みますのでと言ってそのとおりであるとは申しませんが、ことしはないそでは振れないというので、その赤字二千八十億円の三分の二だけ二月に補正が成立いたしました。あのときに六・五%国保の補助金政府が削ったわけでありますから、まずは国保の補助金を削ったところにさかのばらないことにはこの赤字問題は解決できないのじゃないだろうか。今のやり方ですと、何か同じ市民同士がけんかするような形になってしまってこれは大変おもしろくないことだなと思っておりますが、市長さん、国保の事業者としての立場では一生懸命早期にやれとおっしゃる、さて、市民税を納めていらっしゃる皆さんからはそういうものはやめてくれ、こう国会の方にまた言ってこられる。さて市長さん、ここら辺の方は皆さんがどのようにお考えになっていらっしゃるのか、ちょっとお聞かせいただきたい、これが一つ。  もう一つ地方交付税の中身の問題でございますが、これは地方自治体固有の一般財源であることはもはやだれしも認識の一致しておるところでございます。ところが、実際の性質というのは、最近のこの運営からしますと、ちょうどあたかも特定財源化あるいは場合によったら総合メニューの補助金化というようにまで見られないだろうかという指摘も一部にはぽつぽつ出てまいっております。  といいますのは、大変精微な算定方式をとっておりますので、そこに入ってまいります事業費補正が大幅に入っていない、何か補助金あるいはそれに伴う起債、これと連動したときにはまさに特定財源化あるいは補助金化というように増価されていく傾向が最近は出ておるのじゃないだろうか。例えば去年、ことし、経常費系統の補助金を削ったがためにそれを交付税で埋めていくという場合にも、内部で操作される過程にはまさにそういうような傾向も出てまいります。  そういう点で、この交付税配分等につきまして松木参考人さんにひとつお伺いしたいと存じます。
  25. 松本一

    松本参考人 退職者医療制度を創設いたしましたが、適用措置見込み違いによって、国民健康保険財政は非常に悪化しておるわけでございます。そういうことでございますので、退職者医療制度の創設に伴う本市の影響額は、五十九年度と六十年度で約三十二億一千七百万円と推定をいたしておるわけであります。このうち五十九年度分では七億三千七百万円、六十年度分におきましては十億六百万円が補てんされるものと見込まれておりますが、なお十四億七千四百万円の影響が残ると今のところ考えられるわけでございます。  一方、本市では計画的な赤字解消対策を現在一生懸命進めておるわけでございますが、退職者医療制度を初めといたします一連の医療制度改正等もございまして、五十八年度末六億二百万円であった累積赤字が五十九年度末では十億六千八百万円、六十年度では大幅に伸びまして十九億二千七百万円と増加する見込みでございます。そういうことでございますので、早くこれに対する対応が欲しいという心境でございます。  それから地方交付税率の問題でございますが、先ほども私申し述べましたように、地方財政の理状は、昭和六十一年度におきましては五十八兆八千億円に上る借入金の残高を抱えておるわけでございまして、極めて厳しい状況にございます。また、個々の地方団体財政状況につきましても、基本となる、また指標となる公債費の負担比率が年々上昇しておる。それも著しい上昇をいたしておるような状態でございまして、昭和五十九年度決算におきましても全体の三分の一の市がそういう実情にあるわけでございまして、個々の団体におきましても財政硬直化は年々急速に進んでおる、このように私どもは心配をいたしているような次第でございます。私どもの市におきましても、公債費の負担比率は一二・九%で年々上昇している状況でございます。  そういうことで、市町村財政というのは、国の財政構造とは非常に異なりまして義務的な経費が高い上に、歳入構造から見ましても実財源が極めて乏しいわけでございます。国の制度施策影響を極めて強く受けるという特質を持っておるわけでございます。三千三百団体財政主体集合体でございますことを考えますと、現下の地方財政実態は非常に容易でないという感じを持っております。こういうことでございますから、地方財源充実強化とあわせまして、地方公共団体固有の共有の財源でございます地方交付税充実を図っていくことを私どもとしましては最も期待をいたしておるような次第でございまして、よろしくお願いしたいと思います。
  26. 安田修三

    ○安田委員 ありがとうございました。  若山参考人一つお伺いいたします。  地方交付税配分の算定に当たっては、先生も先ほどるるお話がございましたが、行政項目、測定単位の数値、単位費用、各種補正係数を基礎に行われております。これは先ほど先生の御指摘にありましたように、必ずしも合理的でない面もございます。例えば道路は面積や延長が用いられるが、文化施設などは人口が測定単位だ。先生先ほどおっしゃったように、老齢化社会に対応するには老齢人口指数というものでなければお金の配分がうまく対応できないじゃないかというような御指摘もございました。精密な補正係数を用いて財政調整機能としては現在の算定方式はすぐれてはおりますけれども行政項目のあり方、その他の数値のあり方という中になりますと、現実と一致しないものが大変出てまいります。私たち考えれば、本来はこれは自治省の全く専管事項として抱えておるのじゃなくして、現場の市長さん方の代表なんかも入った、この種の数値項目をつくる際のそういう審議の場というものがあればいいんだなと思いますが、理状はそうはなっておりません。  そこで、若山先生に、こうした交付税の中の算定について先ほどお話がありましたので、ひとつどのようにあったらよいだろうかというお考えがございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
  27. 若山浩司

    若山参考人 非常に難しい御質問で、お答えするのにかなり細かいことまで今言い出しましたら非常に時間がかかってしまいますけれども、先ほど私が話の中で申しましたように、理行の制度はマクロ的に見れば非常にすぐれた制度で、これは評価するべきところでございます。それで、確かに問題点というのが幾つか出てきているわけでございますね。  その問題点の一つというのは、やはり国税の所得税法人税、酒税の一定割合が三二%という形になっております。そういう交付税率になっております。とりわけ法人税が景気の変動を受けやすいので、それが減った場合に全体にプールされている金額が減ってくる。それに対しては、今まで特別措置とかいろいろな形で対応されてきたわけでございます。そこのところに変動を受けやすいので、これをもう少し何らかの現実に合ったような形で改善するべきじゃないだろうかというのが一点でございます。  それから、今の制度というのはいろいろな補正係数とかいろいろな形でそれぞれの自治体に合うようにやっているのですけれども、私も申しましたように社会が変わり、時代が変わっていくとやはり変わらざるを得ない。だから、それに対応するようにできるだけ頻繁に、内容が合うように補正係数等については変える必要があるのじゃないだろうかと私は思っておりますけれども、これでよろしゅうございましょうか。
  28. 安田修三

    ○安田委員 どうもありがとうございました。
  29. 福島譲二

    福島委員長 小谷輝二君。
  30. 小谷輝二

    ○小谷委員 参考人の皆さんから地方財政に関する貴重な御意見を賜りましてありがとうございます。  地方の時代といいましてから久しいわけでございますが、実態はこれに相反しまして、国の財政百姓という名のもとに本来の国の責任負担地方に転嫁し、地方財政硬直化させ、さらに地方自主性自律性をも損なうのではなかろうかと思われるような状況に今日ある。さらに地方行政水準をも低下してくる、こういうふうな状況になっておるのではなかろうかと心配しておる者の一人でございます。参考人の皆さん方から御意見を承りながら今後の参考にさせていただきたい、このように思っております。  最初に、昭和六十年度に高率補助事業に対する補助金の一律カットが強行されたわけでございますが、自治体財源対策としては、一つは、社会保障費等を含む経常経費程度については建設地方債の発行で元利償還とも全額交付税で、その他投資的経費については、これもそれぞれの率で交付税で、このように財源措置は支障のないように取り計らった、自治省としてはこういう考えを持っておるようでございますが、きょうは理場の市長さんがおみえになっておるわけでございますから、六十年度の予算執行もおおむね終わった今日の段階でございますので、補助金の一律カット地方一般財源にどんな影響を実質的にもたらしたのかどうか、六十年度の執行面におきまして、この点をひとつ田川市長さん、また岡山の市長さん、それぞれ市の実情においては異なると思いますけれども、御意見を聞かしていただきたいと思います。
  31. 滝井義高

    滝井参考人 小谷先生にお答えいたします。  最前お話をいたしましたように、補助金を年度の当初で切られたわけでございますから、まず一番先に困るのは、生活保護費の支払いが四月の二日とか三日に始まるわけです。それから、四月の月末になりますと医療扶助の支払いが始まります。したがって、私の方では千人について五、六十人の生活保護者がいらっしゃるわけですから、保護費だけでも四月は一億八千万ぐらい払う、月末になると一億二、三千万の医療扶助を払う。そうすると、その金は、現金がありませんから借りる以外にないわけです。銀行から借りて支払いをしました。四月も五月も借りました。そうしたら、一億何ぼ借りれば利子が百万とかつくわけです。したがって、その利子も一時借りで払いました。そうしましたら、これはもう言っていいかどうか知りませんけれども厚生省市長会その他でこれは大変だと言いましたら、それならば、七月分からか八月分からは三カ月分ぐらいを前払いしてくれました、これでひとつ何とかしなさいと。そうしますと、前払いをしていただきましたので、そこに金が来ましたからそれを銀行に預けると利子がつくわけです。したがって、ついた利子はそれで何とかとんとんになったわけです。  それから、その後の借りた分については御存じのように、六十年は多分千億ぐらい交付税に入れていただいて、あとは建設地方債か何かでやってくれということで、同じ方式でやったと思います。したがって、交付税で後で補助してもらったわけです。交付税不足する分については、官房調整費の中の八百億から二百億だけ多分厚生省にやました、社会保障。それで、厚生省が各自治体の社会福祉行政、すなわち生活保護行政をどのように人間を配置してやっているか、その適用はうまくいっているか、あるいは財政状態はどうかというのを勘案して、そしてそれをある程度交付税のほかに配分をしていただきました。こういう形で年度末になってみましたら、私どもは、生活保護老人福祉、母子福祉等がありますが、生活保護が一番多かったので、そういう点では大体何とかとんとんにいったわけです。  問題は建設地方債の分でございまして、これは借金で賄っております。本来、建設地方債でやる分については、全部国が交付税で返してくれるかというと、返さぬわけです。結局、交付税で元利を補てんしてもらうわけですが、自分の足を自分で食うことになる。我々の一般財源を今度は建設地方債でやったら、それを交付税で見てくれるわけですから、国が交付税一般会計から入れる分が少なければ、その分だけは自分の足を自分で食う形になるわけです。ただ、十兆円という大きな枠の中でもらうわけですから、何か自分の足を食っていない感じがするけれども実態は食っている。最前どなたかからありましたように、交付金の補助金化という形で出てきて、そして交付税というのが、自分で自分を食って当面を過ごしていくという形になっておるという点について、建設地方債でもらう分について心配が今後もなおある、こういうことでございます。
  32. 松本一

    松本参考人 ただいまの御質疑に対しましてお答えをさせていただきます。  岡山市の人口が約五十七万でございます。まず昭和六十年度における影響額につきましては、非公共事業で約十二億五千七百三十五万二千円、そのうちで生活保護費が約八億三千二百十一万六千円、公共専業で約三億八千二百七十一万円になります。合計をいたしますと、約十六億四千六万二千円でございます。昭和六十一年度における影響額につきましては、非公共事業で約二十一億三千四百七十一万六千円、そのうち生活保護費が約八億四千七百八十万円、社会福祉関係で約十二億四千九百八十五万五千円でございます。公共事業におきましては約五億九千二百九万四千円、こういうことになりまして合計が二十七億二千六百八十一万円になるわけでございます。一般的に申しますと、岡山市の実質的に使用できる財源がこれで奪われるわけでございますから、大変なことなんでございます。しかし、二十七億二千六百八十一万の一般財源がございますと、その数倍の単独事業ができることになりますので、それだけ単独の投資的事業や社会福祉施策の削減が余儀なくされるわけであります。行政サービスは当然低下をするわけでございます。  しかし、昭和六十一年度の地方財政対策におきまして、今回の影響額たばこ消費税税率引き上げ交付税総額特別措置等、御承知のとおり租特で地方財政政策を講ぜられましたので、当面の行政運営に支障が生じないという状態でございます。  お答えさせていただきました。
  33. 小谷輝二

    ○小谷委員 いろいろお聞きかせをいただきまして、地方自治体においてはかなり財政運営上大きな支障を来しておるということがよくわかるわけでございますが、昭和六十一年度、これまた六十年度に引き続いてさらに大幅なカットが続くわけでございますが、これとて六十二年、六十三年と引き続いて暫定措置としてこのようなカットが行われる。たばこ消費税で本年度分二千四百億は補われるとしても、これも単年度だけ、将来の財源保障というのはないわけですけれども、これは一部、地方団体等の意見では、これ以上は限界だ、こんな措置がこれ以上続くことは地方自治体としてはもたない、こういうふうな議論もあるわけでございますが、これは滝井松本参考人、いかがでございましょうか。
  34. 滝井義高

    滝井参考人 最前、私が陳述をいたしましたように、例えば北海道とか福岡県とかいうような過疎が多くて生活保護の多いところは、もはや円高デフレ税収は少ない、予算を組もうとすれば現金はない、したがって、起債の枠がふえていく、同時に持っておる財政調整基金を全部取り崩さなければならぬ。もうこれは二年間が恐らく限界だろうと思います。福岡県のような大県でも生活保護その他多くて、もう底をついております。北海道も同じだと思います。ただ、そうなりますと、不交付団体あるいは都市的な非常に財源の豊かなところと、過疎地や生活保護の多い、あるいは失対の多いところとの間に非常に格差ができてきて、地方財政というのがおかしな形になってくるわけです。こういう点でもう補助金の一律カットというのは限界が来ている。最前、若山先生も言われたように、何かここで新しい観点から地方財政を見直す時期が来ているんではないかという感じがします。例えば国民健康保険も行き詰まっている、今の課税方式でいいか、そうじゃない、これは間接的な社会保障税みたいなものあるいは目的税を取るべきだという論が起こってきているというのはそういう観点もあってのことだと思っておりますから、これは今年が限界だと思っております。
  35. 松本一

    松本参考人 先ほどお話がございましたように、この問題につきましては内容的には非常に厳しいものがあるわけでございますが、昭和六十年度の補助負担率の引き下げは一年間の暫定措置ということで決められたわけでございまして、私どももそれを理解しておったわけでございます。六十一年度以降の補助率のあり方につきましては、国と地方との間の役割分担とかあるいはまた費用負担見直しなどとともに検討を行うということになっておったわけでございます。今回の補助負担率の引き下げ措置は、こうした経緯のもとに補助金問題検討会の報告の趣旨を踏まえまして、社会保障中心事務事業見直しを行いながら実施されるものでございまして、また、たばこ消費税税率引き上げという極めて臨時、異例の補てん措置を初めといたしまして、地方団体財政運営に支障が生じないように所要の地方財政対策を講ずることを前提として行われたものでございますので、やむを得ないものではないかと考えております。
  36. 小谷輝二

    ○小谷委員 若山先生から、高齢化社会に向かって財政力の乏しい地方自治体に対する財源問題等貴重な御意見を承りました。今、地方自治体におきましては高齢化社会対策が地方行政の政策の中心になっていく、このように思われるわけでございます。  そこで、若山先生にお尋ねをしたいのですが、先ほど先生の御意見の中に老人福祉サービスの市場化、こういうお話がございました。この点、もう少しわかりやすく御説明をいただきたい。もう一つは、福祉全般にわたりまして国と地方財政負担の考え方、これをあわせて御意見を承っておきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  37. 若山浩司

    若山参考人 今御質問ございました第一点目でございますけれども、市場化と申しますのは、普通の我々買っております商品というのは自由にお金を出して買えるわけでございますね。老人福祉サービスの場合を考えてみますと、先ほども申しましたように、現行制度では所得の低い人に対して弱者救済というような形で行われておる。だけれども老人福祉というものは、これはだれでも年をとっていくわけですから、その場合にだれでも利用できない、そういう特定の人しか利用できない、だけれども需要は皆があるわけですから、そういう所得がある程度ある、そうしたら所得に応じてある程度価格を払うことによって、お金を出して買うことができるようになるべきじゃないだろうか。だから、普通の我々が洋服を買うのと同じようにだれでも欲しい人が買えるようなシステムにするべきである。ただ、その場合に、服だったらその人の所得階層とかなんとかいうことは関係なしにその商品については同一価格で販売されるわけですけれども老人福祉の場合はその人の所得を考慮してある程度格差といいますか傾斜的につけていくようなシステムに持っていくべきじゃないだろうか。今の保育制度なんかもややそういう形になっていますけれども、もっとそれを一歩進めるべきじゃないだろうかというような考え方でございます。  それから、第二点目の国と地方の福祉行政に対する財源負担区分の問題ですけれども、現行の制度では、これは機関委任事務とかなんとかというようなことで国が保障してその一部を地方負担するというようなシステムになっております、これは物によって全然異なりますけれども。その場合に、その問題を解決するためには基本的には今の国庫支出金制度をどうするのか、これを第二の地方交付税みたいな形でやっていくのか、あるいは地方交付税と理想的にはこれをひっつけてしまって、ナショナルミニマムを保障して、後は自由にその地域に合った行政が行えるようにしなさい、ある程度法律の枠をはめても後は自由におやりなさいというような形に持っていくべきなのか、これはいろいろな見解があると思いますけれども、理想的には国庫支出金制度地方交付税制度をあわせたようなシステムにして、ある程度法律的な枠ははめるけれども、ナショナルミニマムの財源保障してそれぞれの地方自治体が自由にやることができる。だけれども、ナショナルミニマム以上のものについては、これは税、今の地方税制度課税の自主権というものをもうちょっと弾力的にしないとだめだと思いますけれども、それによって上積みをして、住民が税金を払うのが嫌だったらナショナルミニマムにしておくというような制度も考えられると思います。私はそういうふうに考えておりますけれども、それによっていろいろなやり方が出てくるのじゃないだろうか。だから、基本的にはいわゆる国庫支出金制度をどうしていくのか、あるいは地方交付税制度と兼ね合わせてどうしていくのかという問題によっておのずから異なってくるのではないかと思います。  以上、終わらせていただきます。
  38. 小谷輝二

    ○小谷委員 ありがとうございました。終わります。
  39. 福島譲二

    福島委員長 岡田正勝君。
  40. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 参考人皆様には大変御多忙のところわざわざ御出席をいただきまして、貴重な御意見をいただきましたことを心から感謝を申し上げます。  私は民社党の岡田でございますが、以下、質問をさせていただきたいと思います。  その前に、私は委員長に一言言わなければならぬような心境なんですよ。今この委員会の席上をごらんになっていかがでございますか。自民党さんの方は多いときで四名、現在時点二名ですか、野党の方は敬意を表しましてほとんどオール出席でございます。それで、私どもこんなことを、この発言席で申し上げるのはまことに大人げないなというふうに思っておりましたので、二人で相談をいたしまして、宮地先生の方から早くから事務局に対して参考人の人に対して失礼じゃないか、参考人の皆さんの貴重な御経験と御意見を聞かしていただきたいといってわざわざお越しいただいておるのにこんなことでは失礼ではないか、もっと出席を督促せいというふうに言ったのでありますが、なおかつかくのごとき状況であります。私は委員の一人としてまことに参考人皆様方に対して恥ずかしい、こんなことでいいんだろうかというふうに考えておりますが、委員長はどのように思われますか。
  41. 福島譲二

    福島委員長 岡田委員からの今の御提案、私も大変申しわけなく存じますが、全く同感に遺憾に存じます。残された時間もわずかでございますが、事務当局の方からできる限り多数の委員の皆様方に御参加をいただくように改めて申し入れをさせたいと存じますので、お許しをいただきたいと思います。
  42. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。率直なお答えで、もう今からでは時間もございませんので余り御無理をなさらぬでもいいと思いますが、私ども委員だけが出席をしておって質問を繰り返すのでしたら、お互いに忙しいことはよく理解をしておりますから許せるのです。例えば私の発言のときに一人しかおらぬかったというような状態であっても、私は平然と質問は続けてまいります。それだけの度量はあるつもりであります。だがしかし、事、参考人を各政党のお名前でお願いをして、遠い方は九州の方からお越しをいただいておるというのにこんなことでいいのかということを思うと、本当に恥ずかしいと思いますので、重ねて注意を申し上げておきます。  さて、三人の参考人の皆さんには大変遠いところをお越しいただいておりますので、質問ごとに三名の方々の御意見をお述べいただければ大変ありがたいと思っております。  まず第一番目の質問でありますが、先ほどいろいろ述べられましたように、今の補助金一律カットという問題が六十年度から生じまして、六十年度には財源不足が五千八百億円、それが六十一年度には一躍倍増いたしまして一兆一千七百億円財源不足に陥った。これに対する財源の直接的な手当としては五月一日から値上がりになりますたばこ一本一円の合計二千四百億円だけ、あとは地方債において処理をしなさい、九千三百億円の地方債処理、こういう乱暴な措置が今回の予算ではとられております。しかも補助金の一律カット。大蔵省の役人に言わせると一律じゃありません、こう言いますから、一律じゃなかったら何と言えばいいんだ、大幅でいいかと言ったら、大幅ですと言う。大蔵省の役人が認めておるとおり大幅な補助金カットが三年間続くわけです。それに対して、財源の手当てのたばこの二千四百億円というのは当年度限りというような状況でありまして、地方方々は大変御心配をなさっておられると思うのであります。  これにかてて加えて、もう一つショッキングな話があります。これは、この地方交付税を審査しておりまして大蔵大臣に御出席を願いまして答弁を求めましたとき、大蔵大臣は、あの方は非常に正直な人です、この三年間の延長というのは三年たったらもとへ戻すのかという質問に対して関連をして答えられた中身が非常にショッキングでありまして、私はこの期間を決めますときに財政再建終了年度の昭和六十五年度、すなわち五年間の延長とすべきであると思っておったが周囲の事情によって三年間になったと、不満げな口調でございます。ということになりますと、この三年間延長というのはますますさらに延びていく。去年は一年限りでありました。ことしになったら途端にそれが三年延長であります。三年たったら最小限また二年延長ということが行われる可能性が出てきておるわけでございますが、このことにつきましてどのように思われるでありましょうか、三名の方々からお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  43. 滝井義高

    滝井参考人 岡田委員にお答えいたします。  まず第一に、たばこ消費税が御指摘のように六十一年度限りであるということで、二年、三年はどうなるか全然わかりません。  それから九千三百億の建設地方債は、ほとんど元利償還はしていただきます。しかし、国が一般会計から交付税特別会計に全部入れるわけではないわけでございます。少しずつ入れるだけですので大変困るわけです。したがって、私たち一般財源である交付税をどんどん食っていくということ、そして最前申しましたように、もう積み立て財源まで、貯金まで使ってしまって組めないという状態の中でまた二年延びてまた二年、あとこれから四年あるわけですが、そんなことになったらもう地方財政というのはお先真っ暗であるという形で、私たちもそういう状態にいくことは大変不満でございます。
  44. 松本一

    松本参考人 一年限りというのが三年ということでまた後続くわけでございますから、そのことにつきましては私どもは非常に遺憾に思っておるわけでございますが、財政的な運営に支障が起きないような対応をするということを前提といたしまして理解をしておる、このように思っております。
  45. 若山浩司

    若山参考人 この改革が何か私自身、小出しでやっていかれるような感じを受けます。同じやるんだったら、初めからもっと年限を長く切ってやりましたら、地方自治体の方でもそれなりの計画的な財政措置を考えていくことができるだろうと思います。ですから、やるんだったらもっとずばっと計画的にやるのが望ましいんじゃないか。一研究者の立場でございます。
  46. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大変明快なお考えを伺いまして本当にありがとうございます。  そこで第二の問題でありますが、御承知のように交付税というのは酒、所得、法人、この三二%ということに相なっておるのでありますが、先ほど滝井田川市長もお述べになりましたように、二兆円の減税をやる。減税をやれば、単純計算すれば六千億円減っちゃうじゃないか、こういう問題が当然起きてくるわけですね。政府の方といたしましては参議院選挙を意識してでありましょうけれども、とにかく減税案についてだけは参議院選挙の前に発表する。その財源不足はどうするんかということは、参議院選挙が済んでから増税案を打ち出すということをぬけぬけと本会議の席上でも言うようなていたらくでございます。  こういうことから考えてみましたときに、どうも私は先々、現在の交付税制度というのが危機に陥ってくるのではないかな、また態様が物すごく変わってくるんじゃないかなと心配をしておる一人でございますが、今後の財源確保の問題についてどうあるべきだというふうにお考えになるでありましょうか、お聞かせください。
  47. 滝井義高

    滝井参考人 現在政府の方で地方財政余裕論というのがあるわけです。国は百四十三兆の借金を抱えておる、おまえたちは五十八兆か六十兆で半分以下である、したがって、おまえたちは幾らでも負担できるという、何か地方が打ち出の小づちを持っているような物の考え方で補助金が切られていくわけです。  そして御存じのように、我々地方自治体が非常に警戒しておるのは、財界筋におきまして、地方が裕福だから三二%の交付税率を減らせという論が潜在的にあるわけです。したがって、今度減税をやって、例えば二兆なら二兆をやったら、六千億はいいじゃないかという形が出てくると思っております。  そこで、私、最前から、増税のときにもし間接税を大幅におやりなら、そのときに地方財源をとれる形をやってください。と申しますのは、最前の御質問がありましたように、今国民健康保険財源をめぐって老人の案分率をどうするかという形で財界それから保険者団体自治体、医師会、まさに三者三様の態様を呈しているわけです。それはもう今のこの状態では三者がそれぞれ、どこかがうんと負担しなければやっていけぬというならば、間接税の問題、例えば社会福祉、目的税の問題が出てくるわけです。目的税と間接税とは重大な関連があるわけです。したがって、私は、この減税問題をやるときには、増税問題もあわせて日本の先々の国家財政のあり方と地方自治体のあり方をきちんと考えた上で出していただきたい、こう思っております。
  48. 松本一

    松本参考人 ただいまの累積した地方債の残高、また巨額の交付税の特別会計借入金の残高など、地方財政を取り巻く厳しい財政環境というのがございまして、そういうことを考えますと、財源確保というのは今後におきましては極めて重要な問題でございまして、諸先生方におかれましては、個々の地方団体の各年度における財政運営に支障を生じないように、十分ひとつ御留意を賜りたいとお願い申し上げる次第でございます。また、地方交付税総額につきましても、安定的に確保していただくということが我々にとりましては非常にありがたいわけでございまして、よろしくお願いいたしたいと思います。  何と申しましても、私どもが一番期待をいたしますのは、地方税の確立が欲しい、こういうことでございますが、それが十分できないときには補てんとして交付税の問題を特に御配慮いただきたい。よろしくお願いします。
  49. 若山浩司

    若山参考人 地方交付税率の切り下げということで御質問が出ましたけれども、私、話の中でも申しましたように、地方交付税制度というのは、地方制度の中で非常にうまくいっているし、いわゆる地方自治の本旨を守っていくといいますか、それを動かしていく基本的な要因だというふうに考えております。それで、地方交付税率が切り下げられた場合にまともにパンチを食らうのは財政力の乏しいところということになります。ですから、そういう観点から、そういう財政力の乏しいところの一般財源確保、維持していくということからしても、でき得る限り、交付税率を急激に下げるというようなことはやらないで、何らかの財源措置を講じて維持していく必要があるのじゃないだろうか、やるべきことはもっとほかにもあるのじゃないだろうかという気がいたします。
  50. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 次にお尋ねをいたしたいと思いますのは、四月四日に予算が通りまして、今、私どもは国会でそれに伴う法案を精力的に上げようというので一生懸命頑張っております。特に、我が地方行政委員会におきましては、今週なんか月曜日から金曜日までぶっ通しでやるというような物すごい精励ぶりでございまして、他の委員会の諸君から模範とされております。  だが、その裏側で実は嫌な気分があるのですよ。それは何かといいますと、せっかく法案提出したはずの閣僚、大臣が、自分が法律案を提案して御審議願いますと言っておるのに、地方へ出かけていっては解散だ、解散だと言うのですね。それで国会議員の皆さん、まあ自信のある先生は別といたしまして、そうでない先生方の顔色は、今散り行く桜の花のごとく白く、通り越して青さを増してくるというような状況でありまして、そわそわするような状況になってきておるのであります。こういうことを称して、審議をやっておってもむなしいなあと。例えば定数是正が通っても解散、通らぬでも解散。それなら勝手にせい、こう言いたくなるような状況でございまして、先生方にはその気持ちがおわかりいただけるんじゃないかと思うのでありますが、むなしさがいっぱいなんです。  それと同じように、皆様方は、特にお二人は地方行革においても一生懸命になってやっていらっしゃいますね。特に岡山の市長さんは、私が選挙の応援をした人ですから、よく存じておるのであります。田川の市長さんにいたしましても、産炭地の随分苦しい中で、それでも一生懸命になって、行革は国も地方も待ったなし、やらにゃいかぬのだ、住民のためにやるんだというので、一生懸命に地方行革をやって、なけなしのお金を少しずつでも余裕をつくろうとして頑張っていらっしゃいます。そして、そのできた金をもって地方住民のニーズに合ったような施策をやろうとすると、国の方は、財政負担が重たい、重たいやつは地方肩がわりだといって、すとんと国の方は肩がわりをさせる。こういうような今回の措置を見ますと、一生懸命になって地方行政のために尽力をしておられる先生方から言うたら、何とまあ、むなしいなあ、国は勝手なことをしやがるなあと。陳情においでになるのですから言い方は変わるかもわかりませんが、おなかの中は、本心、こんちくしょうというのが国に対する思いではないかと私は思っておるのでありますが、いかがでございますか。むなしい思いがいたしませんでしょうか。若山先生にはひとつ第三者の立場からお願いをいたします。
  51. 滝井義高

    滝井参考人 今、世の中に政局三角形というのがあるのです。二等辺三角形の底辺に国鉄改革があり、そして定数是正があって、その間に最近マルコス疑惑というのが出てきた。頂点に同時選挙がある。したがって、この底辺の三つがどうなるかによって政局が決まってくると私は見ております。見ておりますけれども、ただ、私たち地方自治体に携わる者といたしまして、国家の向かうべきグランドデザインというのが明白でないのです。グランドデザインが明白でないので、国家財政の下に生きておる私たち財政の立てようがない。したがって、その日暮らしになるわけです。こんなその日暮らしの状態は大変よくないわけです。  昨日も福岡県の市長会がございまして、そこでいろいろ議論をしたのですけれども、今度はいよいよあの前川さんが座長になっております、国際協調のための経済構造調整研究会、あそこで私たち関係あるのは、もうこれから国内炭は掘るな、外炭を入れいと。そうなると、北海道と九州は壊滅的な打撃を受けるわけです。それから、基幹作物以外の農産物は自由化や、どんどん入れいど。そうなると、福岡県の筑後地帯あるいは東北、北海道、がっといくわけです。そうなりますと、私たち地方自治体は一体何をやるか。その上に、失対を切る。国立病院も、私のところにもあるのですが、廃止する。ローカル線を廃止する。そして補助金カットして、国民保険が赤字だったら、今もわからぬ。こういう状態なんです。  したがって、明確な向かうべき方向をがっちりとしりを落ちつけてやってもらって、そして私たちが安心して行政のやれる姿をぜひつくっていただきたい、こう思っております。
  52. 松本一

    松本参考人 先生方の非常な御苦労に対しまして、本当に心から敬意を表する次第でございます。  私どもは、地方自治体関係の深い法案が早く成立するようにということを心から念じておるわけでございまして、大変御苦労でございますけれども、ひとつよろしくお願いをいたす次第でございます。
  53. 若山浩司

    若山参考人 非常に難しい問題ですけれども、いわゆる財政学を専攻している研究者という立場からだけ考えてみますと、財源というパイは限られているわけですから、全体をやはり効率的にできるだけ使っていくというのがその原則でございます。その場合に、一方だけ偏って占めていくとかなんとかいうことは本当はあってはならないことであって、よく一般に言われますように国の財政地方財政というのは両輪でございますから、両方がやはり効率的な財政運営を目指していって、全体のバランスをとって全体が効率的なものにしていくということが理想的な姿でございます。  ただ、先ほどお気持ちとかいうようなことをおっしゃっていましたけれども、私も財政学とか地方財政論を専攻する関係上、地方自治体にもいろいろな形で関与することがございますけれども、そのときに市長さんとか町長さんあたりが非常にむなしいということをおっしゃっていることは事実でございます。
  54. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 三先生、本当にありがとうございました。  私は今まで参考人の方に、随分たくさんの人にお尋ねをしてきましたが、本当にきょうのお三人方の御発言くらい気持ちのいい響きを持って聞かせていただいたことはありません。本当に心から感謝を申し上げます。  この国会というものはまことに異様な国会でありまして、通産大臣のも針発言、実なしでもだけで釣るというような発言が陳謝になり、また、経済企画庁長官のごときはフィリピンの海外援助の問題については、これはもう女房に小遣いをやったのと一緒だ、そんなもの何を買おうと知るかというようなことをうっかり言って陳謝をさせられる。その首を守ったがためにフィリピン等海外援助調査特別委員会がひょうたんからこまで生まれ出て、今、政府はまことに右往左往しておるような状況。さらにはまた、この委員会で発見されたことでありますが、先般出しました官報に、通ってもおらぬ地方税法が早くも委員会の私どもの知らぬうちに可決決定をいたしまして官報には載っちゃったというような、まことに緩み、たるみが非常に目立つ国会でございます。  そういう中で、地方財政を圧迫するようなこういう予算が審議されておる今日、先生方の貴重な御意見をいただきましたので、ますます私ども奮励努力いたしまして、地方財政に遺憾のないように一生懸命頑張らしていただく覚悟でございます。  まことにありがとうございました。
  55. 福島譲二

    福島委員長 経塚幸夫君。
  56. 経塚幸夫

    ○経塚委員 最初に、国庫負担金の削減問題につきまして三参考人の方にお伺いをいたしたいと思います。  大変貴重な御意見を聞かしていただきまして、本当にありがとうございます。補助金、国庫負担金の削減問題につきましては、三参考人の御意見としては、一律カットには反対だという点では三人とも御意見は一致しておられるようでございます。ただ、その先へ参りますと、これは今日の地方財政運営上容認できないという御意見もございますし、事務権限の移譲問題も絡んでおるので、今回の措置については容認できる、こういう御意見もあるようでございますし、さらに老人福祉などの例を取り上げまして、最低限の保障は国の責任でやる、そして同時に、あわせて地方の実情に応じた対応策も考えたらどうか、こういう御意見もあるようでございます。  そこで、私がお尋ねをいたしたいと思っておりますのは、委員会でも質問をしたわけでございますが、いわゆる生活保護とそれからあとの四つですね。老人福祉、児童福祉それから身体障害者、精薄、これとなぜ扱いを区別しなければならないのかということであります。生活保護、十分の八あるいは三分の二、十分の七等々御意見がございますが、あとの四つは二分の一ということであります。疑問を持っておりますのは、いずれも、生活保護もあとの四つも憲法二十五条に基づく生存権に対して国が負うべき責任は同じものだと思います。それから、地方財政法十条では、明らかに奨励的補助金と区分をして国庫負担金ということで国の責任が明文化されておる。同じ扱いであります。それから戦後四十年近く、生活保護につきましては一時期十分の十という時期もございましたけれども、十分の八ということが定着化しております。それから生活保護法と老人福祉法、児童福祉法あるいは障害者福祉法等々の中身を見ましても、生活保護は最低限度の生活に欠ける者を保護する、それから児童福祉法は児童保護に欠ける者を措置する、それから老人も保護に欠ける者を措置する等々で、欠ける者を措置するということでもって本質的にその内容は同じであるはずだし、同じでなければならぬ、実は私はこういう見解を持っておるわけであります。  この疑問に対しまして政府当局の御答弁は、いわゆる国家責任生活保護と他の児童福祉、老人福祉等では違う、生活保護は確かに第一条では国の責任ということが明文化されておりますが、あとは国と地方とのいわゆる共同責任、こうなっておるということであります。私はむしろこの点につきましては、生活保護法と同じく憲法二十五条の精神に基づいて、第一条の目的の中で国家責任がそれぞれ明文化されなければならぬ性格のものであったというふうに考えております。  また、理由といたしましては、生活保護全国一律でなければならぬ、こういうことでございますが、他の四つも少なくとも最低限の扱いについては全国どこへ行っても、老人対策、児童対策それぞれ統一したものでなければならないという見解を私は持っておるわけでございますが、三参考人のそれぞれの御意見をお聞かせいただければ幸いだと存じております。よろしくお願いいたします。
  57. 滝井義高

    滝井参考人 経塚委員にお答えいたしますが、基本的には先生と全く同じでございます。ただ、法律というのはそのときどきの政治勢力の力関係によって決定されるものですから。まさに先生と同じように、老人福祉も児童福祉もそれから障害者の福祉あるいは精薄の福祉も本当は国が責任を持って全国一律、統一した行政をやるのが当然だと思っております。しかし、ただそのときどきの法律というのは政治勢力を反映いたしますものですから、過去においてそういう形でなかった。大変残念ですが、今後もしそういう力が出れば、ぜひ国の責任全国一律にしていただきたい、こう思っております。
  58. 松本一

    松本参考人 生活保護の問題でございますが、これは国が究極的に責任を持つ問題である、このように私どもは考えておりまして、国と地方団体の機能分担とかあるいは役割分担を勘案して負担割合というものはつくられるべきものであろう、このように考えております。  それから、社会福祉の問題につきましては地域性が非常に強い問題でございますので、しかもまた身近な行政でございますから。これはもう地方団体がやるべきものではなかろうか、このような観点から役割分担を考えるべきである、このように考えております。
  59. 若山浩司

    若山参考人 御質問でございますけれども、この五つのものは基本的には弱者救済ということでございますから同じ性格のものだと思いますけれども、ただ生活保護とほかの四者には、基本的には同じだけれども、少し違う面があるんじゃないだろうか。と申しますのは、生活保護の場合に生活に欠けるということですけれども、例えばずっと失業しておって雇用保険の期間が切れた、それで生活保護という形へ落ち込む方もおいでになると思います。ですから、この場合にはそれぞれの地域地域状況に応じて雇用対策なりなんなりということもかかわってくるような問題ですので、ちょっとほかのものとは違うんじゃないだろうか。ですから、地域の対応あるいは地域性といいますか、そういうものが出てきてもいいんじゃないだろうかというような気がいたします。
  60. 経塚幸夫

    ○経塚委員 ありがとうございました。  続きまして、地方自主性自律性ということがそれぞれ強調されましたのでお伺いをしたいと思っておるのですが、機関委任事務に対する御見解でございます。今回の行革審の答申に基づきましていわゆる事務整理合理化の御提案もあるわけでございますが、これは滝井参考人さんとそれから松本参考人さんにお伺いをしたいわけでございますが、今回の答申の趣旨から見ますと、機関委任事務につきましては原則存続という立場に立って評価できる、こういう見解が表明されておるわけですね。しかし、もともとこの国の機関委任事務といいますのは上命下服のあの戦時戦前のいわば遺物でありますから、これは本来原則廃止という前提に立ってどこをどう整理するのか十分検討されなければならぬと思うわけでありますが、その点につきましてはいかがなものでしょうか。
  61. 滝井義高

    滝井参考人 本来、事務事業の整理をやる場合に、機関委任事務というのは、ちょっと数を忘れましたが県の事業の八割くらいですか、我々の四割か五割ですか、大事なところはほとんど機関委任事務なんですね。そして今度の、我々のところで国籍闘争をやったわけですけれども、国籍の書きかえ、それから今回の外人の登録、こういうようなものをやりますと、国の方で今までは裁判をしなければ簡単にはできなかったのをもう裁判はやらぬで後で今度は自治体が裁判をせいというようにころっと変えてしまうのですね。  そういうようにしていきますと、その流れをごらんいただきますと、地方自治というのはもうほとんどないに等しい。大平さんが地方の時代というので田園都市構想等をお出しになりましたけれども、大平さんが亡くなるとともに地方の時代というのは淡雪のように消えてしまって、今はもう地方の時代なんと言う人はいなくなったのですね。それとともに、土光臨調で我々に権限をくれるとうたいながらも実際は権限は全部取り上げられて、今の地方行革その他の状態をごらんいただきましても、モデルの条例が出てきてこのとおりに田川市と書きかえさえすればもう条例ができるというような、権力が中央集権化する、情報が中央集権化する、公共事業が中央集権化していく、我々に残るものは何が残る、何にも残らないわけです。すなわち、失対の切り捨てられた人とローカル線の切り捨てと国立病院の切り捨て、こういうものだけが、後始末だけが残って、未来に向かって新しく胸を張って地域をつくろうというものがないという状態になっておるということでございます。
  62. 松本一

    松本参考人 地方自治の本旨にのっとって行政というのは行われるべきものであって、ただいまお話がございました機関委任事務につきましては地方へ移譲する努力をされるべきである、このように思います。
  63. 経塚幸夫

    ○経塚委員 国の機関委任事務の整理の問題と関連をいたしまして、百四十六条のいわゆる代執行の問題について御意見をお聞かせいただきたいというふうに考えております。  これは裁判抜きの代執行じゃないか、こう言いますと、いや裁判抜きじゃない、いわゆる代執行に当たって地方自治体の長の側が執行の停止をいわゆる裁判に訴える手段が十分保障されておる、したがって、巷間言われておるように今回の提案についてはこれは裁判抜きではない、こうおっしゃっておるわけであります。  しかし、現行の国が代執行するに当たっては二度にわたる裁判の手続、訴訟の手続を経なければならぬということがなくなってしまう、国の側からいえば裁判が全く抜きになってしまう、そうして今度は執行される側から、今まで裁判手続が必要なかったのが、執行をとめようと思えば執行される側が裁判を起こさなければならぬ、これはもう根本的に立場が主客転倒してしまっている。まして今日のようにいわゆる三割自治と言われているような状況の中で、補助金の問題だとかあるいは事務の処理の問題だとか事実上上命下服の関係がなお残されておるというような状況のもとで、地方の側に最終的には訴訟に訴える手段が保障されておるじゃないかと言ってみたところで、これは地方自治権を完全に保障する内容のものとは言えない。もともと国の機関委任事務は原則廃止されておればこんなややこしい問題が出なくていいわけでありますが、なお残されておる段階ではこのことが改めて問題になってきておると思うのでありますが、その点につきまして両市長さんから御意見をいただければ幸いかと存じますが、いかがなものでしょう。
  64. 滝井義高

    滝井参考人 私の市は朝鮮人の国籍書きかえ問題で大変苦労した経験を持っております。やはり地方自治体には地方自治体の良心と申しますか、心というものがあるわけです。それはやはりある場合には国にレジスタンスとして示す必要がある、それによって国が目を覚ますわけです。そういう点で、代執行問題というのは国に対して地方一つレジスタンスを発揮する数少ない一番の拠点じゃなかったかと私は思うのです。それが取り払われてしまったら地方自治体はもう骨抜きになってナマコになってしまうというおそれがある。そういう点ではレジスタンスのものとして国が専横をやるときに横暴をやるときに目を覚まさせるものだ、こう考えております。
  65. 松本一

    松本参考人 ただいまの問題でございますが、これは地方の不信感ということから国の代執行の強化ということが考えられているようでございますけれども、国と地方というのは本当に車の両輪のようなものでございますので、中央集権ということでなくてやはり地方分権の強化をできるだけ図っていただきたい、このように思います。
  66. 経塚幸夫

    ○経塚委員 大変貴重な御意見をお聞かせいただきまして本当にありがとうございました。  私も委員会自治大臣にお尋ねをしたところでありますが、今日地方自治拡充の方向に向かっておるのか、それとも後退を余儀なくされるような状況にあるのか、いずれの道の御判断をされるかとお尋ねをしたところでございますが、まさに今日いわゆる地方の自主財政権、自主立法権、自主行政権、戦後四十年、極めて重大な曲がり角に来ておるというふうに考えております。戦前、戦時の状況を見ましても、地方自治が失われたときに国の進路そのものも重大な過ちを犯さざるを得ない事態に立ち至りました。地方自治を守るということが、その地域住民にとってはもとよりでありますが、国の進路にもかかわる重大な時点に今差しかかっておるのではないかという思いを強くいたしております。こういう状況の中で、今日寄せられました皆さん方の貴重な御意見、今後とも地方行政の発展のために私どもも生かしてまいりたい、かように考えております。  本日はどうも遠路わざわざありがとうございました。
  67. 福島譲二

    福島委員長 以上で参考人の皆さんに対する質疑は終了いたしました。  参考人方々には、お忙しいところ御出席をいただき、貴重な御意見をいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  次回は、明十七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十分散会