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1986-04-08 第104回国会 衆議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年四月八日(火曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 山下 徳夫君    理事 小里 貞利君 理事 鹿野 道彦君    理事 久間 章生君 理事 津島 雄二君    理事 清水  勇君 理事 吉原 米治君    理事 西中  清君 理事 河村  勝君       加藤 六月君    柿澤 弘治君       関谷 勝嗣君    近岡理一郎君       二階 俊博君    堀内 光雄君       増岡 博之君    箕輪  登君       山村新治郎君    若林 正俊君       小林 恒人君    左近 正男君       関山 信之君    富塚 三夫君       横山 利秋君    浅井 美幸君       石田幸四郎君    中村 正雄君       梅田  勝君    辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 三塚  博君  出席政府委員         運輸大臣官房長 永光 洋一君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     棚橋  泰君         運輸省地域交通         局長      服部 経治君         運輸省貨物流通         局長      武石  章君         運輸省港湾局長 藤野 愼吾君  委員外出席者         労働省労働基準         局安全衛生部安         全課長     長谷川 正君         労働省職業安定         局特別雇用対策         課長      加藤 輝雄君         日本国有鉄道総         裁       杉浦 喬也君         日本国有鉄道副         総裁      橋元 雅司君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ――――――――――――― 委員の異動 四月八日  辞任         補欠選任   田中 直紀君     二階 俊博君 同日  辞任         補欠選任   二階 俊博君     田中 直紀君     ――――――――――――― 四月三日  公共交通充実等に関する請願経塚幸夫君紹  介)(第二六一〇号) 同月七日  国鉄分割反対等に関する請願佐藤観樹君紹介  )(第二七三二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第四八号)  日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善のた  めに昭和六十一年度において緊急に講ずべき特  別措置に関する法律案内閣提出第二〇号)      ――――◇―――――
  2. 山下徳夫

    山下委員長 これより会議を開きます。  内閣提出港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関山信之君。
  3. 関山信之

    関山委員 港湾整備計画も第七次、二十六年目を迎えるわけでございますけれども、従来、第六次まで進んでまいりました港湾整備状況拝見しながら、今日の時点で改めて第七次五カ年計画とは何かというふうに考えますと、この港湾計画といいましょうか発展も新たな大きな転換期を迎えているんじゃないかという感じがいたします。  この間、いわば高度成長期における日本経済の後追いのような形で進んできた港湾整備も、新たな時代変化産業構造変化の中で、後ほど議論もさせていただきますけれども、「二十一世紀への港湾」といったような新たな運輸省指針も示されておるようでありますが、この時期における第七次五カ年計画の基本的な性格と特徴というものについて、まずは大臣からお伺いをしておきたいと存じます。
  4. 三塚博

    三塚国務大臣 現行第六次港湾整備五カ年計画は、六十年度をもって終了いたしますために、六十一年度を初年度として新たな五カ年計画を策定するというのが基本的なものでありますが、この新五カ年計画では、特に近年における物流構造変化に伴いまして急激な進展を見せております内外貿コンテナ貨物に対応いたしました港湾整備、また石油代替エネルギーの急増や穀物、木材等資源輸入体制変化及びこれら資源の運搬船の大型化に対応した大型係船岸、いわば大型岸壁整備、さらには老朽化いたしました港湾の総合的な整備を促進するための港湾の再開発等につきまして重点的に推進をするというのが基本的な考え方でございます。
  5. 関山信之

    関山委員 そこで、そういう意味では、時代変化に対応して従来の港湾整備見直しを行いながら新たな時代要請にこたえていくという極めて重要な課題を担っておるにもかかわらず、この五カ年計画枠組みにつきましては、さきの閣議了解数字拝見いたしておりまして、一体これでやれるんだろうか。もちろん国家財政の総枠的な制約というものがございますから、港湾だけが特別な立場にあるわけではないでしょうけれども、その内容を子細に拝見をいたしますと、大変危惧の念を抱かざるを得ないわけです。総体的にどうでしょうか、この計画額の四兆四千億という数字、これについてどんな印象をお持ちでしょうか。
  6. 藤野愼吾

    藤野政府委員 ただいま先生お話ございましたように、四兆四千億ということで閣議の御了解をいただきました。ただ、国の厳しい財政事情背景にしておりますために、こういった規模についてはやむを得ないのではないか、こういう気持ちで受けとめております。  ただ、そういう観点がございますが、今後の重点的な予算の配分等を通じて効率的な資金活用を図り、また施設有効利用に努めていかなければならぬ、かように考えております。
  7. 関山信之

    関山委員 私も総枠については、一・〇三三という伸び率は、本年度決定を見ております他の五カ年計画伸び率などを見ましても、別にそう港湾だけがおくれているということにもならないのかもしれません。  ただ、問題にしたいのは、一つは、この五カ年計画内訳港湾整備事業というものが極めて低いレベルに抑えられて、概算要求時点と比べますと、要求額に対して六〇・四二%という数字になっています。また第六次の実績と比べましても一・一三。しかし、この数字は第六次そのものが七五%のいわば達成率計算をしておるわけでありますから、したがいまして、この閣議了解の二兆五千五百億に七五%掛けますと一兆九千百二十五億、こうなるわけですから、第六次の実績額にも到底達し得ない数字になっているわけです。この点はいかがかということが一つと、そのこととの裏腹で調整費が七千九百億もの巨額に上っているということとの関連をひとつ御説明をいただきたいわけです。
  8. 藤野愼吾

    藤野政府委員 お話ございましたように、五カ年計画四兆四千億のうち、いわゆる港湾整備事業規模といいますのは二兆五千五百億に相なっております。確かに昨年夏の要求ベースにおきましては、総額で五兆三千四百億ということで要求しておりまして、これの算定の考え方は、全国的に港湾管理者計画というものを積み上げるという作業基本ベースに置いてやったものでございます。  したがいまして、先ほども申し上げましたように、いろいろな厳しい条件があるとはいいながらも、それの資金有効活用を図るということがある反面、いま一つ、昨今民活議論が非常に盛んではありますが、民間資金の積極的な活用を図るということで、新たな工夫を凝らしながら、この五カ年計画を遂行していきたいと考えております。  いま一つ関連して調整費の御議論がございました。御案内のように、長期見通しで五カ年計画を遂行するわけではございますが、極めて流動的な昨今の内外の諸情勢でございます。また、従来以上に社会経済の動向なり財政事情変化事業進捗状況に対して弾力的に対応していかなきゃならぬ、こういった観点から調整費七千九百億円という規模のものを設けることに相なったわけでございます。  なお、つけ加えさせていただきますと、三年後にはこの計画見直しをしようということで、当然その中には、ただいまの調整費の取り扱いも見直されるものだというふうに考えておるわけでございます。そのような閣議了解をいただいているところでございます。
  9. 関山信之

    関山委員 そこで、前回の第六次のときに調整費の問題について御議論がありまして、この第六次で従来予備費という名目であったものが調整費に変わった。予備費調整費とは一体どこが違うのかという議論がございまして、当時の港湾局長の御答弁では、予備費というのは、いわば不測の事態が起こった場合を考えて準備をしておくものだ、それから調整費というのは、現在では想定がされていないといいますか、事業必要性等がまだ十分に固まっていない事業がある場合に、調整費という項目で、その事業計画が確定次第固めていくんだ、こういうような御説明があるわけですね。今、港湾整備事業費が対要求六〇・四二%に落ち込んでいる、これを事実上調整費がカバーしているんだということであるならば、私が申し上げている危惧の念は解消するわけですし、また今局長からお話がありましたように、三年後には見直しということがございますから、そういうところできちんと当初の予定の中に組み込んでいくんだということになれば、この御説明は全うするわけですけれども、その辺はいかがでしょう。
  10. 藤野愼吾

    藤野政府委員 先生にまず御理解いただきたいと思いますのは、五次の五カ年計画までは予備費というものを計上しておりまして、前回の六次から調整費、今回も調整費、こういう仕組みでございます。  さて、今もお話がございましたが、私たち、この調整費というものは、まさに今後の経済社会情勢変化に弾力的に対応するための措置として枠組みを用意されたものだと考えており、そしてそれの使い方も含めて三年後ぐらいには再検討されることとして基本路線を理解しておりますので、全体的に四兆四千億の執行に向かって今後の努力をしていかなきゃならぬ、またそういった関係者の御理解も得たいと考えております。
  11. 関山信之

    関山委員 わかりました。そういう意味では、第六次のときに議論になった予備費説明調整費説明と両方足したような性格のものに変わっているということになるんでしょうが、ただ、それが表面づらの数字合わせのために、大蔵から押し切られて調整費七千九百億といった膨大な数字になっているんだとすれば、これはやはり今後の問題としていろいろな問題を残すんじゃないかと思ってお伺いしているわけです。  そこで、今後もう一遍、概算要求レベルで出された地方要求というものを、この枠組みの中でいわば再調整をしていかなきゃならないということになるんだろうと思うのですが、先ほど来お話がございますけれども、新たに、閣議了解数字を踏まえて、どこに重点を置いて張りつけを行っていこうとお考えになっているのか、簡単で結構ですから、事業別地域別お答えをいただければありがたいと思います。  それからもう一つ港湾老朽化といいますか、一次から第六次まで経てきて、新たな再投資といいましょうか更新といいましょうか、そういう部分要請がかなり強くなっていることを承知いたしておるわけでありますけれども、一体、新たな時代要請にこたえて、新規事業のウエートというものはどの程度のものが見込まれていくのだろうか、この辺のことについてお答えいただければありがたいと思います。
  12. 藤野愼吾

    藤野政府委員 御審議をお願いしておりますこの港湾整備緊急措置法の一部改正をいただきました後に、先生お話しのように、この五カ年計画内訳を詰めていくことになります。  さて、昨年の夏に取りまとめておきました全国的な港湾管理者要求、要望というものを、言ってみれば総体規模を若干圧縮とでもいいますか、そういった作業をすることになるということでございます。それのポイントは、今後法律を御改正いただいた後に内部的な議論をすることではありますけれども、先ほど来、大臣も申し上げておりますように、力点の置きどころを数点申し上げたいと思いますが、まずは物流総合化高度化といった観点、また臨海部活性化とか地域振興、そしてエネルギー資源安定的供給海上輸送安全性の確保、そして環境の保全、こういったことがこの次の五カ年計画内容として主要な柱になると考えておるところでございます。
  13. 関山信之

    関山委員 局長、そういうふうにお答えになると、今度の五カ年の柱を大体みんなおっしゃっていることになるので、今度の約六項目ほどある港湾整備事業計画の柱というものがあるわけですけれども、こういう柱の中で何かを重点にしていくのか、それとも全体的に圧縮するという物の考え方に立つのか、あるいは地域別にこういうところを大事にするというのか。例えば、後ほど議論もしますけれども、従来の議論というのはどうも六大港中心の後追いの整備中心が置かれてきたじゃないか、もっと地方港湾を大事にせいという議論が今まであるわけですね。ですから、圧縮された規模の中でどこを選択するのか、そのことが極めて大事だろう。圧縮された部分だけで、全体を縮めるんだということなのか、もしくは地域別にこういうところへ重点を置いていくというのか、あるいは六本の柱の中でこういうものに重点を置いていくというのか、そういう意味で、これからの具体的な計画づくりの方針をお聞かせいただきたい、こういう意味なんです。
  14. 藤野愼吾

    藤野政府委員 今の御質問お答えする前に、先ほどの御質問一つ落ちがございまして、申しわけございません。  今後、更新投資等お金を振り向けなければならぬのではないかという御議論がございました。私たちもそういった問題意識を非常に強く持っております。港湾についてそれがどういう数字になるかということは、しかとしたものを今まだ整理し切っておりませんけれども、社会資本全体でマクロ的に見た場合にはどうも十数%ぐらいのものが更新投資に振り向けられることになる、またそういった分野に振り向けなきゃならぬ、こういうことになるという数字が手元に一つございますことを御参考までに御披露させていただきまして、御答弁にかえさせていただきたいと思います。  それから、今お話がございましたように、確かに今後の五カ年計画の柱をすべて私が申し上げたような感じには相なっていようかと思いますが、要求ベース整理段階におきましても一定の力点を置いたまとめをしておりますので、結果的には現在の要求ベースのときにつくりました計画をほぼそれに近いような感じで縮めることになるのではないかという想像は今の時点ではしておりますけれども、今後内部的な議論をやった上で整理をしたいと思います。  なお、今御質問の中にございました、要請別ではなくて地域別配分の御議論につきましては、先生お話にもございましたけれども、とかく大都市偏重型になりがちであった従来の社会資本整備実態というようなものを少し見直しをする方向港湾整備をしていかなきゃならぬ。また港湾地方分散的な整備によって、日本国土利用がより広く全国的に均衡のある形に近づくというふうに考えるものでございます。
  15. 関山信之

    関山委員 皆さん方の試算された中でも、二〇〇〇年、これから十五年後くらいになりますと、新規投資が四九%からケースの立て方によって六八%くらいという数字が出ておりますが、まさにその辺の兼ね合いが難しいところだろうとは思いますけれども、特に地方港湾役割重視ということになりますと、新規投資との振り合いの中で十分その辺に重点を置いてお考えをいただきたいなということを申し上げておきたいと存じます。  そこで、二番目のテーマであります「二十一世紀への港湾」というレポート運輸省はお出しになっているわけですが、まずこのレポート性格といいましょうか、これからの一連の五カ年、これは十五年くらいを目安にしてお書きになっていらっしゃるようですけれども、このレポート性格というものをちょっと初めにお伺いしておきたいと思います。
  16. 藤野愼吾

    藤野政府委員 非常に端的に申し上げますならば、二十一世紀がだんだんと近づいてくることに関連をして、私たち港湾に対してどうあるべきかということの自分たち考え方整理しておかなければならないという観点からでありますが、いま一つは、ちょうどこの作業をしておりました昨年、一昨年という時期は、今年、六十一年からスタートする五カ年計画の新しいスタートを目前に控えていた、そういう背景港湾局の中の内部勉強資料としてまとめたものであります。
  17. 関山信之

    関山委員 そういたしますと、これは勉強段階を出ていない。ある意味では、これがまた具体的な今後の二十一世紀に向けた港湾整備のための基本的な指針として、どこかでオーソライズされる作業というのがあるわけですか。
  18. 藤野愼吾

    藤野政府委員 このもの自身を特にその形でオーソライズするということを法律その他に予定をしておるものはございませんけれども、例えば省内会議に付しましたとか、あるいはまた現在国土庁で四全総作業等が続いておりますが、そういったものの中に織り込まれるよう私たちの主張をしていくときの原点として持っておるわけでございます。
  19. 関山信之

    関山委員 私はこの「二十一世紀への港湾」についてはかなり興味深く拝見をいたしておりまして、それなり評価をしているつもりなんです。それだけに今後の港湾行政の中でどういうような意味位置づけを持っていくのか。これは後ほど大臣にもお答えをいただきたいと思うのでありますけれども、私が評価をしているという意味は、やはり地域開発というものについての観点から港の果たす役割というものを改めてとらえ直しているということが一つです。それからもう一つは、新たなパラダイムといったような書き方でいろいろな課題を示されているわけですけれども、とかく私ども拝見いたしていますと、従来の港湾行政というのは、単なるハード施設整備という面からだけとらえられていて、港湾総体というものをもっとトータルでとらえるという視点が少なかったわけですけれども、そういう点ではかなりソフトを含めた行政展開なんかについての問題提起があるということについて、私は一つ大変評価をしておるわけであります。  そこで私は、特に私の出身が新潟でありますだけに、従来の地域開発というものが新産工特に乗っかって、いわば臨海工業地帯形成ということに重点を置いて進められてきた。しかし、それは現実にはかなりな部分で、これは新潟のみならず失敗といいましょうか挫折をしているという実態があると思うのですね。本来地域開発の拠点となるべき開発港湾というものが自治体重荷になってしまっているというケースがあるのですね。港そのもの重荷というよりは、それに伴って展開をされている工業用地の造成みたいなものをめぐって自治体財政というのが大変深刻な事態に追い込まれるというようなことがあるわけです。  そこで、そういう点では、従来の施策のかなり大胆な見直し反省が前提にならないといかぬのではないかという気がいたしておりまして、この点は「二十一世紀への港湾」の中でも触れられている部分もあるわけでありますけれども、「二十一世紀への港湾」などでそういう指摘がされればされるほど、なぜもっと今までも規制と誘導という部分でもって港湾の果たす役割というものが積極的に展開されなかったのかなという思いを一方でしながら、この一連指針がぜひしっかりとした役割を果たしていってほしい、こう思っているわけでありますけれども、まず、いかがでございましょうか、大臣。この辺で今申し上げたような観点から、この「二十一世紀への港湾」というものに示されている考え方意味位置づけというようなものについて一言御答弁いただけないでしょうか。
  20. 三塚博

    三塚国務大臣 今、関山先生指摘のとおり、段々の論説はその基調にあると思います。ハードの面を重視したということもそのとおりであろうと思いますし、新産工特がまさにその象徴的な施策であったように思います。このことが成功し、その地域計画どおり効果をあらわしておるかどうかという点においては、出しておるところもありますが、総じて計画が後年度にずれ込む、工場立地がなかなかうまいことまいらぬということなどは残念ながらそれぞれの地域において見られるわけでございまして、さような点で、従前の基調をそのまま維持しつつ五カ年計画をということでありますと、前段申し上げましたとおり、これは時代進展に乗りおくれるでありましょうし、さらに四全総地域開発、二十一世紀に向けての港湾整備という、こういう多様性を前にいたしました形からいいますと、効果が出てまいらないであろう、こういうことから、今度の五カ年計画の中では、港湾局長こもごも言われておりますように、経済社会国際化情報化に対応いたしました物流機能生産機能高度化を図ることはもちろんでありますが、さらに港湾公園などの緑地あるいは国際会議場その他、その地域に合いました設備等整備を行うなどいたしまして、全体的に高度な機能を発揮できる総合的な港湾というものを整備してまいるというのが一つであります。  さらにまた、特に東京中心として港湾がやられてきたわけでございまして、こういう集中を、これからは三全総も目指した地方時代四全総の目指すその方向の中で地域並立型の国土づくりという意味港湾の果たす機能位置づけというものが極めて大事がな、こんなふうに思います。  さらに、地方単独港、海洋国家なものでありますから、それぞれの重要な港が各県にたくさんあるわけでありますが、地方における国際化に対応するために、港湾相互の連携を深める、そして複数の港湾が共同して機能できる港湾相互ネットワーキング形成を行ってまいる、こういう展望に立った形の中でこれに取り組んでまいるということにしてまいりたいと考えておるところであります。
  21. 関山信之

    関山委員 今のお答えの中に含まれている部分でもあるのですけれども、まさに東京一極構造ということになって、私は大臣反対側日本海側なものでありますから、そういう日本海側視点に立つのですけれども、東京一極というよりは六大港偏重といいましょうか、そうならざるを得なかった事情というのはそれなりにわかりますけれども、それへの反省見直しというものがかなり強く出てこないと、せっかくの提起が思うような展開をしていかないのではないか。  実は、これは昭和五十六年ですからかなり前のことになるのですけれども、新潟税関で「日本海側貿易の現状」という調査をいたしました。その後またやっているかと思ったのですけれども、新しい調査はやっておりませんが、日本海側十八港の外国貿易のシェアというのは輸出でもって〇・八%ですよ。それで輸入でもって二%なんですね。私は最初計算が間違っているんじゃないかと思って、僕は港のことなんかわからぬものですから、この数字を見たときにいささか唖然としたのです。私はその後、一つには、港湾ハード整備というものも、これはやはり基本的なものとして大事だが、果たしてそれだけかなという気もするのです。こうなりますと、日本経済全体の枠組みの中へどう足を突っ込むかみたいな話になって、これまたすれ違いになっても困るのですが、私自身解けない一つ課題として今日まで持っておりまして、一つは、ハードの面はお金をかければそれなり整備が進むのでありましょうが、果たしてそれだけかなというような感じが絶えずつきまとっておりまして、その辺、この数字をお聞きになってどんな御感想をお持ちか、お伺いしたいと思うのです。
  22. 藤野愼吾

    藤野政府委員 貿易額でしたか、数字をもってのお話が今ございましたが、私たち港湾を取り扱う立場から貨物のトン数などで当たってみますと、やはり似たような三%というオーダーの数字が出てまいっておるという意味において、日本海側港湾実態というものは、それなりに承知をしておるところでございます。  さて、今私たち港湾整備を預かる者の立場から物事を考えまするならば、ただいまも大臣が申し上げましたように、大都市、大港湾偏重型の考え方から、それとの関連は当然考えていただかなければならぬということはあるにいたしましても、新たな国際貿易機能港湾地方展開をいたしますとかあるいはまた地域の開発に非常な意味合いがある、こう考えておりますので、例えばレクリエーション港湾整備だとかいったふうなことを通じまして、そしてまたそれらの連携をうまく保っていくというふうなことに努めることを通じまして、今後の港湾が我が国全体の均衡ある発展に寄与するように努めていかなければならぬというふうに考えるわけでございます。
  23. 関山信之

    関山委員 そのとおりなんですけれどもね。そういう意味では、この「二十一世紀への港湾」の政策目標の一つ、「総合的な港湾空間の創造」というのがまず大前提でありましょうから、その辺のところは大いに今のようなお立場で力を置いてほしいのですが、先ほど申し上げましたように、その面はお金をかければできる。問題は二番目の「ネットワーキング」というものについて、これは一体どのような具体的な手法で展開をされるものであろうかということについてひとつ突っ込んでお尋ねをしておきたいわけです。  「港湾を、地域産業おこしの拠点として戦略的に活用していく」というふうにお書きになっていらっしゃいます。そういうことの意味と、具体的な展開、今も局長からお話があったわけでありますけれども、そういうものをまた踏まえながら、全国に数ある港湾の具体的な「ネットワーキング」、「広域的な観点からの各港の機能の分担」、「地方圏相互の連携と集約化」、「港湾管理者間による協調と連携」といったように文章では書かれているわけですが、この面ではかなり具体的に港湾行政、つまり運輸行政の一環としての港湾管理者間のそういう意識の地ならしといいますか、具体的な機能分担に向けての調整作業というもの、いわば物流の企業を背中に持っておるわけでありますから、そういうものも含めたネットワーキング作業というものがないと、結局はやはり絵にかいたもちに終わってしまいはしないか、またむだな投資を生む結果になってしまいはしないかということがございまして、その辺の具体的な手法や進め方についてお尋ねをしておきたいわけです。
  24. 藤野愼吾

    藤野政府委員 ネットワーク化ということについては、二つの対応があるんだというふうに考えます。  第一点目は、先ほど来若干申し上げましたようなことで、例えば物流ネットワーキングにつきましては、国際定期船港湾の配置を各地域に分散的に配置をいたしますとか、あるいはまたレクリエーション港湾を全国的に配置いたしますとか、さらにまたちょうどその中間的存在になろうかと思いますが、物流の拠点になる港湾を拠点的に配置をいたしますといったふうなことがあると思っております。その際に、あわせてやらなければならないことは、陸上交通網の整備でありますとかあるいはまた情報網の整備でありますとかいったふうなことがひとつあわせてどうしてもなされなければならない事項であるというふうに考えます。  いま一つは、その港湾利用しあるいはまた管理運営してまいります立場における者の相互の協調、連携関係でございます。各地域地域におきましては、例えば連絡協議会みたいなものが大湾域の中には設けられておりまして、そしてそんなことを通じて港湾計画調整が図られておりますとか、あるいはまたフロックごとに私たちの出先機関がお世話を相努める形におきまして、港湾管理運営上の諸問題についての情報交換、議論というようなものをやることなどに努めておるわけでございます。  まさにお話しのように、相互、お互いの港の置かれている状況というようなものが正確に把握できておりませんと、また言い方を変えますと、むやみやたらに自分一人走り出すというようなことがあるようでは、やはり適切なといいますか望ましい発展はないというふうに考えるわけでございます。
  25. 関山信之

    関山委員 いずれにいたしましても、従来個々の港湾を独立的にとらえ、進める場合が多かったという指摘もあるわけですけれども、これにさお差すというのは容易なことじゃありませんで、かなり政策的な指導といいましょうか誘導といいましょうか、個々の港湾の自立性というものを大事にしながらも、積極的な展開がなければならないと思いますので、ぜひそういう側面から対応をお願い申し上げたいと存じます。  だんだん時間がなくなってきますので、もう一つは、パラダイムという枠組みの問題で、「補助体系の見直し」、費用負担について、従来の港湾の格付を見直そう、そういう問題提起があります。これについてはどのような対応をお考えになっているのか、今後の課題ということになるのかわかりませんけれども、物の考え方についてお尋ねをしておきたいと思います。
  26. 藤野愼吾

    藤野政府委員 パラダイムの中に幾つかの重要事項を書き出しておりまして、正直なところ若干ぶろしきを広げ過ぎたかな、こういう気持ちも全くないわけではないのでありますが、やはり今後私たちが対応していかなければならない課題のところだけはきっちりと書き出して、それに向かってできるものから順次対応していこうというふうな気持ちでございます。  その中で、今お話しのございました費用負担問題でございます。総合的な港湾空間の整備や海洋開発を進めていくためには、これまでやってまいりましたいわゆる公共事業方式だけで十分できるかというとかなり心もとない点がございます。国の財政事情のことなども考えますと、そういう気持ちが強くいたします。よって、例えば金融政策でありますとか税制上の措置だとかといったふうなことを新たに加える、活用することによって、そしてさらに民間の事業者のそういった活力というものも活用することによって、そういった当面の課題に対応していくということにまずは取り組みたい、こんな気持ちで現時点おるわけでございます。
  27. 関山信之

    関山委員 そこで、ストレートに民活というごとになりましても、今地方が、全体の港湾の新たな体系の中へ組み込もうとする場合に、まさに新たな地域の開発拠点と位置づけなければならないほど地方の力というのは弱いわけでありますから、その辺も一律民活というような物の考え方ではなくて、これから検討されていくわけでありましょうけれども、従来の構革及び補助体系の見直しということになれば、十分な議論をしていかなければならぬわけでありましょうが、視点としては、終始申し上げておりますように、どう偏りを直すかという視点で御議論作業を進めていただきたいと思っています。  二番目は、再開発が一つの大きなポイントとしてとらえられておりますが、これも新たな制度の確立というような問題提起があるのですが、これは法制化みたいなものを含めて将来の検討課題にしようということなんでしょうか、お尋ねしておきたいと思います。
  28. 藤野愼吾

    藤野政府委員 再開発問題につきましては、私たち、正直申し上げまして、港湾の分野での議論は比較的新しいということの方が正しいと思います。そういった意味では、建設省の方で御所管なさっております都市の再開発の方がずっと兄貴分だというふうに思っておりまして、私たち、そういった意味では、都市の再開発の考え方なり手法なりというものをよく学んでいかなければならぬと思っておりまして、そのような勉強を今盛んにやっておる最中でございます。  ただいま新しい法制化というようなものを意図するかという直接の御質問がございましたが、今直ちに法制化ということを予定しておるわけではございませんけれども、そういった方向になっていくかもしれません。
  29. 関山信之

    関山委員 三番目の問題は、外貿コンテナターミナルの受け皿といいましょうか、問題なわけです。もう既に第五次五カ年計画の構想の中でも、地方の拠点的な港を求めて新たな外貿コンテナ埠頭の整備というようなことが出てきてはおるわけでありますけれども、従来、外貿埠頭公団からこれが公社へ移行したというような経緯もありまして、将来的にこの受け皿というのは一体どういう形で地方は受けとめていったらいいのだろうか、その整備の仕組みを含めて今後の対応について方針をお聞かせいただきたいわけです。
  30. 藤野愼吾

    藤野政府委員 外貿埠頭公団そのものは先般解散になったわけではございますが、外貿コンテナの量的な拡大というのは、この過去十年間ぐらいを見てみましても、年率一四%というふうに非常に高い伸びをいたしております。ちなみに、これは航空貨物の伸びに匹敵する伸び方でございます。一言で申し上げまして、コンテナリゼーションというのは、今後ますますその傾向を強めていくだろう、進展をしていくものだというふうに思っておりますし、なかんずく南北航路においてそういった傾向が強いと考えております。  さて、冒頭に申し上げましたように、従前、大都市の港湾におきましては、外貿埠頭公団方式によりまして埠頭の整備をやってまいりました。しかしながら、先ほど来触れました日本港湾のネットワーク化の一環としても、この外貿コンテナ埠頭の地方への拠点的配置ということを今後進めていかなければならぬ、またそういったことが貨物流動の趨勢でもあるというふうに考えた場合に、地方におけるコンテナ埠頭の整備を積極的にやっていかなければならぬというふうに考えておりまして、当面それらについては、従前の公共事業の方式によってやっていこうということを考えておるわけでございます。  特に、コンテナ埠頭の整備におきまして、昨今、私たちが非常に気にしておりますことは、コンテナ船の大型化が非常に顕著に進んでおりまして、我が国の港湾では、極東地域の巨大港湾に比べまして若干おくれをとっているかもしれないという危惧の念も持っておるものですから、コンテナ埠頭の整備については、今度の五カ年計画の中においても、重要な課題として力点を置いた事業としてひとつ進めていきたいというふうに考えております。
  31. 関山信之

    関山委員 埠頭のことはわかりましたけれども、局長御存じのとおり、コンテナ埠頭というのは、それだけで済みませんで、コンテナヤード、フレートステーション、ガントリークレーンからストラットルキャリアとワンセットでつくらなければいかぬわけでありますから、今後そういった整備をしていく上で地方自治体がどういう形で対応をすればいいのか。企業に民活を求められればいいけれども、そこでは大宗貨物が減って、どこの港湾でも関係業者の力量というものは非常に落ちているというような部分がございますだけに、一体その辺のところはどういう手法とどういう財政的な手当てをしながら、いわば今後のコンテナ化のさらなる地方への分散と、まさにネットワーキング化を進めるのだろうかということが気になるわけであります。その辺はいかがなんでしょうか。
  32. 藤野愼吾

    藤野政府委員 いろいろ悩みつつ考えていかなければならぬというふうには思っておりますが、先生おっしゃいますように、地方港湾で、直ちに民活と申しましても、それほど大きくは期待できないであろうというところは、正直なところであろうと私たちも思っております。そういった意味では、やはり国と地方港湾管理者とそしてそれを利用していただくであろう関係企業、この三者がよりいい知恵を本当に出し得るかどうかという非常に大きな課題を背負っているというふうに思ってはおりますが、現行仕組みの中で当面やらしていただきたい、かように考えております。
  33. 関山信之

    関山委員 そこで、先ほどもソフトの面といいますか、これは港湾管理者のサイドからいえばポートセールスというような問題も含めて、拠点的な港湾がそこに新たな一つ役割を果たしていく上で、もう少し何か積極的な役割を果たせるものがないのか、こう思ってこのレポート拝見いたしておりましたら、フリーポートゾーンの話が一行載っかっておりまして、私もこれ自体については非常に不勉強なものですから、今とやかく中身を議論する気はないのですけれども、こういうものを可能な限り生かしていくといいましょうか、ものがないのだろうかというふうにも考えます。ここでは「今後の関税制度の動向等も見極めながら検討を進めることとする。」としながらも、「なお、地域振興の戦略の一つとして提案されている」、こういう問題意識もあるのですけれども、この問題についてはどういうふうにお考えか、お尋ねをしておきます。
  34. 藤野愼吾

    藤野政府委員 諸外国では自由貿易地帯というものが非常に発達しておるようでございますが、なぜかというとちょっと変な言い方になりますが、日本ではこれが余り動いていないということがございます。ただ、今、先生お話がありましたように、地域開発の戦略的手段ということに思いがあったのであろうとは思いますが、沖縄の振興開発の措置法におきましては、そういったものをやったらどうかということを定めておりまして、現在、沖縄県でそういったことについての検討を盛んに進めておるようでございます。  私たち運輸省港湾局で直接所管しているということではございませんが、やはりそういったやり方というものも踏まえまして、具体的なメリットがどういうふうにあるのか、また今後どういうふうに進めていったらいいのかというふうなことを、関係の皆さん方とも相談しながら私たちもひとつ勉強をさせていただきたい、かように考えます。
  35. 関山信之

    関山委員 いろいろあるわけですが、これから十五年間かけての話でありますから、おいおいまた具体的な施策が準備される段階議論もさせていただきたいと思います。  三番目の問題は、港湾の合理化と雇用の関係なのです。  今お話がありましたように、いずれにしても、港湾の新たな展開というものは、その根底に産業構造変化や技術革新を踏まえながら近代化、合理化という側面を非常に強く持っておるわけでありますが、これは時代要請でもありますから一方的に否定するわけにもいかないのですけれども、問題は、それが雇用との関係においてあつれきをもたらすことになれば大変問題なわけであります。従来もそのことについてはこの委員会でもいろいろな議論がありますし、後ほど左近議員からも御議論があるんだろうと思いますけれども、こういった港湾の再整備、再配置といったような側面を持ちながら、港湾空間の機能高度化ネットワーキングというようなことは、国民経済的な視点から極めて妥当なものとして、さきに私は評価の側面を申し上げたところなんですけれども、しかし、これが結果として港湾で働く労働者の合理化というような問題に結びついていくのであれば、これはあらかじめ十分な対応をしておくべきじゃないか。今日、海運、造船が御承知のような状況に追い込まれておりますだけに、これはまさに政策官庁として昇格された運輸省の先見性ある指導で間違いのない対応をしていただきたいなという気持ちであります。  そこで、従来も合理化が進むごとに労使間の協議というのはそれなりに進められておるわけでありますけれども、やはり今後のコンテナリゼーションの進行というようなことは、具体的に港湾施設の近代化が進む過程でいわば方向が決まっていってしまうということがあるものでありますから、事前の協議、懇談の場というもの、港湾会社も含めた事前協議の場というものをしっかり設けてほしい。この問題が一つです。  それからもう一つは、港湾審議会に労働者の代表も入れて、地方港湾計画にそういった人たちの意向や考え方も吸収をしていくという手だてが必要じゃないかと思うのです。地方港湾審議会の場合には多少労働者の代表が入っているところもあるようですけれども、全体的に見ればまだまだ非常におくれているのじゃないかと思いますので、この辺のところについての御方針を伺っておきたい。
  36. 藤野愼吾

    藤野政府委員 私の個人的なことを申し上げて恐縮でございますが、十年ばかり前にある港湾をお預かりする港湾管理者の業務もやったことがござへまして、その場での経験やら皆さんの御意見やらを思い出しながらただいまの先生お話を承っておりました。  運輸省では、物流の近代化問題とか環境問題、レクリエーション問題、要するにいろいろな観点から港湾地域社会との密着といいますか関連について十分に配慮していかなければならぬというふうに考えておりまして、そのために広く地域の住民また学識経験者、港湾関係者等々できるだけ大勢の人々の意見を聞きながら港湾の開発なり管理運営なりをやっていかなければならぬというふうに考えまして、さきに港湾法を改正して地方港湾審議会というふうなものを設けることにしたわけでございます。  さて、その場合に、この港湾審議会の委員という形で、港湾関係者として、船会社の方もありますし運送業界の方、倉庫の方、水先人の方、そしてまた労働界の代表の方々等々から委員に御就任をいただきまして、御議論をいただくということを指導しておるところでございます。  よって、今先生からお話がございました、特別にこの港湾計画について事前にいろいろな港湾労働界の方々と議論をする場を設けるかどうかという議論はあろうかと思いますが、こういった港湾審議会の場で御議論いただいておるということを御承知願いますということと、それからさらにちょっと調べてみますと、四十ばかりの港湾での地方港湾審議会の委員として労働界の代表の方々が御就任になっているのは大体九割くらいまででございまして、そういった場で今後いろいろな御議論をしっかりやっていただきたい。またそういう御意見も拝聴して個別の港湾計画を定めていくということにしたいと考えます。
  37. 関山信之

    関山委員 九割までということになりますれば、ぜひ残った一割について積極的にそういう労働者の代表を入れるような御指導をいただきたい。そしてそこまでいっているなら中央港湾審議会にも労働者の代表を入れることを御検討なすってはいかがかということを申し上げておきたいのでございますけれども、その辺いかがでしょうか。
  38. 藤野愼吾

    藤野政府委員 引き続きそういった指導は全国的にやっていかなければならぬ、やっていきたいと思っておりますし、中央の港湾審議会におきましては、議論の焦点が違うところがあるものですから、まだお入りいただいていないというところを御理解賜りたいと存じます。
  39. 関山信之

    関山委員 ひとつ中央港湾審議会に労働者を入れる問題についても御検討いただきたいと思いますので、この際、お願い申し上げておきます。  それから、合理化に伴う雇用問題の発生について、今一連港湾整備計画、「二十一世紀への港湾」といったようなもの、また別な法案で出てまいっております民活の関係でのさまざまな港湾施設整備が進むわけでありますけれども、港の雇用は、港の関連施設の中で、投資の中で吸収できるような措置をとっていただきたい。つまり言えば、これはどういう手法があるのか、どういう対応があるのか、それは今具体的に申し上げることもできませんけれども、少なくとも大枠港の中の雇用問題は港の中で決まりをつけるというくらいなことで、この雇用問題については基本的に対処していただきたいなと私は思っておるわけであります。コンテナ化に伴って港湾の労働者の雇用問題もかなり深刻になっておるという側面が強うございまして、ぜひともそのように対応していただきたいと思うのですが、これは大臣、いかがでございましょうか。  私はこれで質問をやめますが、港湾の雇用問題については、今新しい港湾整備枠組みの中で近代化が進む、合理化が進む、そこで発生する雇用問題というのは、原則的に港湾枠組みの中でいわば再雇用みたいなものを考えていくということはどうでしょうか。つまり私の申し上げている意味は、これからさまざまな民活を使っていろいろな施設計画があるようですね。今国鉄でもって首切り問題があって、周辺で何とか雇用だけはとおっしゃっているわけだ。しかし、これは国鉄だけじゃないのでありまして、海運も造船も港湾も同じようないわば時代のドラスチックな変化の中で雇用問題は深刻になっておるわけでありますから、少なくともそれぞれの枠組みの中で雇用問題は担保していくというくらいな方針を基本としてお持ちいただかなければならぬのじゃないかと私は思うのですが、いかがでございましょうか。
  40. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいまの御提言は真剣に受けとめさせていただきます。港湾の新しい計画の中でも、二十一世紀港湾づくり、港湾施設、多様な展開を図る、こういうことでありますので、特に、一方において海運、造船は極めて深刻な様相を抱えておりまして、雇用対策は極めて重要な施策に相なってまいりました。よって、港湾関連施設、民活を含めてそういうものが計画をされ、建設をされていくという際には、運輸省としても、ただいまの御提言を中心とした考え方の中で、民活業者また労働省その他これらに入ってまいります関係省、また特に地方自治体もあるわけでございますが、そういうところとの連携を深めながら考えて進めてまいりたい。検討に値する重要な御提言かと思いますので、取り組んでまいりたいと思います。
  41. 関山信之

    関山委員 ありがとうございました。終わります。
  42. 山下徳夫

    山下委員長 左近正男君。
  43. 左近正男

    ○左近委員 この法案の御質問をさしていただく前に一点だけ、大臣なり、きょう服部局長も来ておられますので、見解をお聞きをしておきたいと思います。  新聞でも大きく報道されておりますように、運輸省所管の全国軽自動車協会連合会がコンピューターに登録しておる軽自動車すべて、これは一千万台を超えると思いますが、そういう利用者、ユーザーの情報がすべて漏れた、全くゆゆしい事件があったわけでございます。  この軽自動車協会連合会というのは、国の行政機関を補完をするいわば公的な機関だと私は思うのです。そこの情報が漏れてしまって、しかも売買をされておる。これはどういうことか。今の国の機関の中では国民のあらゆるデータをコンピューターに打ち込んでおると私は思うのです。どれくらいの数になるか、恐らく六億人分を超えるだろう。これぐらい国民おのおの個人のデータが国の機関の中でコンピューターに打ち込まれておる。こういうものがすべて漏れてしまうということになったら、これは国の信用にもかかわる問題だと思うのですね。今回の事件は非常に重要な意味を含んでおる、このように私は思いますので、まずこの事実関係について明らかにしてもらうとともに、大臣のこれに対する見解なり対処の仕方、責任問題、こういうものについて明確にしていただきたいと思います。
  44. 服部経治

    ○服部政府委員 御指摘のように、全国軽自動車協会連合会が保有し保管しております軽自動車にかかわる検査データが外部に漏えいしたと思われる事態が生じましたことは、まことに遺憾というふうに申し上げるほかないわけでございます。漏えいのルート等の詳細につきましては、現在鋭意事情調査中でございますけれども、同時にこれと並行しまして、この連合会のデータの管理体制につきまして緊急に再点検をしまして、今後再びこのような不祥事が起こらないための適切な措置を講じてまいりたい考えでございます。
  45. 三塚博

    三塚国務大臣 服部局長から基本的な考え方答弁されたわけでありますが、御指摘のように、国に準ずる公的団体であります。その団体がかようなことであってはならぬわけでありますから、そのルートを厳重に解明するように、同時に、そのことが責任追及に値するものでありますならば、きちっと所在を明確にしてまいらなければならぬ、こういうことを考えております。
  46. 左近正男

    ○左近委員 私は、国の信用にもかかわる問題でありますので、厳格に対応していただくことを強く要望して、本法案の御質問に入りたいと思います。服部局長、どうも御苦労さまでした。  まず、この港湾整備緊急措置法という法律の名前でございますが、これは、昭和三十六年でありますから、日本の経済の高度成長期に対応する港湾整備考え方があったんではないか。したがって、港湾の取扱量というか、そういうものがどんどん増大する時期にはこの法が必要であったと思います。しかし今日、御案内のとおり、内航海運も外航海運も過剰船腹ということで経営は極度に行き詰まっておるわけです。貨物量の停滞傾向に今ある、こういう状況です。この時期に当たって従来と同じような発想で緊急五カ年計画を策定する意義というのがどこにあるのか、これをお聞きしておきたいと思います。
  47. 藤野愼吾

    藤野政府委員 お話のように、緊急措置そのもの日本の高度経済成長時代にまず誕生した法律ではありますが、その緊急性の背景と申しますか、港湾整備を必要とする経済社会情勢そのもの内容には時代とともに変化がございまして、確かに以前のようないわゆる港湾貨物量の量的拡大という側面は昨今低下をいたしてはおりますが、港湾に課せられる要請内容というのは、変化しながらも重要なものを幾つか抱いているという意味から、そういった今日的要請にこたえるために、港湾整備を緊急に行わなければならぬという観点で緊急措置法の改正をお願いしているものでございます。  若干その内容について……
  48. 左近正男

    ○左近委員 もういいです。  それでは、この緊急五カ年計画が政府としてまた運輸省としてどういうようなウエート、重みを持って対応してきたのかということを少し聞きたいのです。  港湾整備特別会計法では、「政府の経理を明確にするため、特別会計を設置し、一般会計と区分して経理する。」とあるが、このことは港湾整備五カ年計画というものを厳格に遂行していこう、こういう意味のある法律であろうと私は思うのです。ところが昭和三十六年の第一次から六十年の第六次までの実施状況というのは、計画資金量が八兆三千六百八十億円、しかし具体的に実施された資金量は六兆二千六百二十八億円、平均して七四・八%の進捗率なんです。このことは、緊急五カ年計画を策定し、また港湾整備特別会計法というような法律が制定されている中で、七〇%内外の進捗率ということは、この五カ年計画を策定してきた重みというものが軽んじられているのじゃないかと私は思うのですが、いかがですか。
  49. 藤野愼吾

    藤野政府委員 第一次から第六次までの五カ年計画を遂行してまいりました。今先生お話にございました七十何%とかおっしゃったその数字は、多分五カ年計画計画量をずっと六回分加算したものでしょう。(左近委員「そういうことだ」と呼ぶ)そうだと思いました。  さて、五カ年計画につきましては、御案内かと思いますが、第一次、第二次、第三次、第四次までは、その五カ年の期間を満了しないで途中で打ち切って新しい次の計画に移行しているということがございます。それは計画時点で策定ないしは想定いたしました日本経済の成長の動向イコール港湾貨物の量に代表される港湾整備要請される課題変化があったということから、当初の計画では対応し切れないという意味から新しい計画に移行しております。つまりそのため後半の部分は切り捨てている、こういうことがありますために、今ごらんいただきましたような計画ならば、そういった数字が出てこようかと思っておるわけでございます。ただ五次、六次の五カ年計画については計画期間を満了してまいりました。御案内のように、昨今の厳しい財政事情下で、これも諸般の事情やむを得ざるものがあるかという認識を持っておるところでございます。
  50. 左近正男

    ○左近委員 いや、あなたの答弁はおかしいよ。計画も打ち切り、具体的な実績も打ち切っているのだから、七四・八%という全体の進捗率は変化ないでしょう。これだけきっちり五カ年計画を決めても、今日、近年政府はシーリングということで厳しい予算措置をしているわけですね。それなら計画どおり、政府の予算と具体的にリンクしておるのかどうかということを僕は問題にしているわけで、その辺、今までの実績でも進捗率は七四・八%だ、これは途中で計画を打ち切ろうとあれしようと。計画も打ち切り、実績も打ち切っているのだから一緒でしょう、この割合は。あなたの答弁は、その辺でちょっとおかしい。だから私は、計画をきちっと決めたら、政府の予算でリンクするようなことをやる必要があるのではないかということを言っているのですが、その辺の見通しはどうですか、これからの問題としても。
  51. 藤野愼吾

    藤野政府委員 確かに財政事情が厳しいということがあり、そしてこういった流れがそう急激には変わるとはなかなか思いにくい諸情勢がたくさんございまするけれども、やはり我々としては、この新しい改正法律に基づいてつくる五カ年計画については、それが一〇〇%実行されるような努力やら、また関係先へのお願い、要請もしてまいりたい、かように考えます。
  52. 左近正男

    ○左近委員 大臣の所信を一言、この件について。
  53. 三塚博

    三塚国務大臣 本件は絶えず議論に相なるところでございまして、計画でありますから計画である。しかし、計画である以上、御指摘のとおり予算にリンクをし、それが実現されてしかるべきではないのかという両論がいつもこれは拮抗してきたところであります。今回、七五%、他の五カ年計画も軒並みそんな感じに相なっております。御指摘のように、シーリングという財政再建の基本原則がそこにございましたから、やむを得ないといえばやむを得ない点が一つあろうかな。それと経済の諸状況との勘案の中でこれをどうとらまえていくのかという点も要素として一つあると思います。  そこで、新計画は、今までの経験にかんがみまして、これだけのきちっとした総量を調整費とともにお決めいただいたわけでございますから、本計画事業費については、局長答弁のように、財政当局との今後の折衝の中で、また運輸省にも他に空港五カ年計画もございますし、漁港の計画もございますので、他の諸計画と相協調しながら、やはり計画計画という一つのめどではありますけれども、その実行性を高めますことが我が国経済、我が国財政の全体を進める点において重要な要素でありますので、ただいまの御注意を体しつつ全力投球してまいりたい、このように思います。
  54. 左近正男

    ○左近委員 港湾法の三条の二には、運輸大臣港湾整備の基本方針を定めなければならないということになっているわけです。ところが、今日政府の持っておる基本方針というのは昭和四十九年に定められたものですね。その後、日本の経済はかなりの変動を来しておりますし、また運輸省自身も昭和五十六年の運政審の「長期展望に基づく総合的な交通政策の基本方向」についての港湾整備考え方、あるいは五十八年八月の閣議決定された「八〇年代経済社会の展望と指針」、こういう新たな考え方が四十九年以降出ているわけですね。したがって、私は今この港湾法三条の二に定められた港湾整備の基本方針の見直しをやる必要があるのではないか。今日までやっておられない、このことについてはどうお考えですか。
  55. 藤野愼吾

    藤野政府委員 現在あります基本方針は、今お話しのように、四十九年の七月に策定されたものでございます。その後、いろいろ客観情勢変化はございますが、現段階でその基本方針の内容に特別不都合があるという認識は持ってはおりませんが、しかしながら、今先生からお話のあった幾つかの周辺情勢変化がさらにあり、また私たち自身も昨年、二十一世紀へ向かっての港湾整備のあり方ということについての議論をとりまとめまして、そして港湾空間を全体としてもっと高度に利用していこうとかネットワーク化を進めようとかいったふうなことを考えるように相なったわけでございます。よって、そういったことも考えまして、今後少し手直しをした方がいいのじゃないかということを今思いつつございまして、内部的な議論を開始しておるところでございます。
  56. 左近正男

    ○左近委員 私は両方の文書を持っておりますから、ここで一々こういう点が今日抜けておるじゃないかというようなことを言いませんよ。例えばフェニックス計画なんというのは、その後出てきた問題であります。だからその辺で今後ひとつ前向きで御検討を要請しておきたいと思います。  次に、私は港湾整備というものに対する基本的な考え方を少し聞きたいのですが、日本経済が高度成長のときは、産業型の港湾整備というか、そういうものがかなり中心で今日まであったのだろうと思うのです。しかしこれからは、この言葉は適切かどうかわかりませんが、生活型の港湾整備、そういうものに転換をしていく必要があるのじゃないか、このように私は思っているわけです。  例えば、具体的に問題点を提起をいたしますと、今国内の物流貨物の輸送機関別の分担シェア、これは内航海運が約半分を占めているわけですね、今日。ところが、この半分というシェアはここ十年ほとんど変わらない、近年では少し低下傾向にある、こういうような状況ですね。そしてこの物流におけるトラック輸送のシェアが年々極端に増大をしている、こういうような現実が出ているわけです。したがって、内航海運というのが重化学工業中心物流を主にやっておるというような点がやはり大きなシェアを拡大するためのネックになっておるのじゃないか。もっと消費財的なものをどんどん内航海運で輸送をしていく必要がある。そのためには、港湾施設もそれに適した港湾施設整備する方向に転換をしていかぬと、内航海運の一つの輸送分担シェアの拡大というのが図れないのじゃないか、こういう感じを私は持っているわけですが、この点、今後の港湾整備のあり方の問題として基本的な事項だと私は思いますので、その点のあなたの考え方はどうなのか、お聞きをしておきたいと思います。
  57. 藤野愼吾

    藤野政府委員 日本が海に囲まれているという、こういった自然条件をベースに考えてみましても、また海運といいますか、船による輸送というものの持っております省エネルギー的な意味合いだとか、あるいはまた環境に与えます影響の度合いだとかというようなことを考えてみましても、やはり海上輸送というものをもっと大切にしていくといいますか、私は海上輸送にできるだけ大きな分野をしょってもらうというのが望ましい形ではないかというふうに考えております。  特に、昨今フェリーだとかあるいはまた内航のコンテナ船といったようなものが順次普及発展をしておるという実態も踏まえたときに、やはり今先生お話しのように、港湾整備に当たりましても、例えばコンテナ・フレート・ステーションだとかあるいはまた倉庫みたいなものが一体的に整備をされる、荷さばき、保管の機能をあわせ持ったような、そういった内航ユニット・ロード・ターミナルというようなものを整備していくことが必要ではないかというふうに思っております。  それからさらに、内航といいますか、船の泣きどころの一つとして、海のしけによりますところの安全対策といったものに気を使わなければならぬ、また定時性、タイムテーブルによって動く定時性というようなことに対する手当ても必要だというふうなこともあわせてあると思っておりますが、いずれにいたしましても、今度の五カ年計画におきましては、そういったところを一つ重点として五カ年計画を推進していきたい、かように考えます。
  58. 左近正男

    ○左近委員 今のお話でごもっともだと思いますが、私は、物流における港湾利用拡大を図っていくべきだ、真剣にそう思っておるわけです。今エネルギーの問題を言われましたが、運輸部門のエネルギーの消費量というのは、エネルギーの最終需要の一六%を占めておる。石油製品に限ってみれば三四%。運輸部門の石油への依存度というのは九四%と大変高いわけです。今石油は少し安いわけですが、石油情勢、世界情勢がどう変わるかわからない。そこで国内物流の五〇%を占める内航海運の石油消費の割合は、海運七%に対してトラックは三八%なんです。したがって、今いみじくも言われたように、内航海運というのはエネルギー問題から見ても非常に重視をしていくべきだ。そういうことを考えますと、総合交通体系の中で物流港湾整備というものをもっとセットして位置づけてやるべきじゃないかということを私は強く感じるわけですが、その点はいかがですか。
  59. 藤野愼吾

    藤野政府委員 私も実はお話のとおりだと思っております。よって、私たち五カ年計画というものを通じて港湾整備を担当させていただく部局と、それから運輸省の中には貨物流通局というのが別にございますが、そういう物流を担当いたします部局とができる限りそういった情報交換をすることとして、お互いいい施策展開できるような努力をしておるつもりでございますし、なおなお続けなければならぬと思っております。
  60. 左近正男

    ○左近委員 したがって、私はくどいようですが、物流全体の流れの中で港湾利用、内航海運というのはもう五〇%を占めておる、これを大切にしてほしいし、今狭い国土の中でトラックがひしめき合っているわけですね。それをできるだけ海の方に逃がしていくと言えばおかしいわけですが、海運を通じて物流を効率的にやっていく、こういうような方向に大胆に転換していただきたい。そのためには、内航海運の今やっておる仕事というのは第一次製品的なものに限られている、これをもっと国民の日常生活の分野の物流を取り扱うようなことにならなければ大きな拡大ができないのではないか。そのためには、何としても港湾施設を日常の生活物品が運べるような施設に転換をしていただく、そういうような総合的な交通体系の中で港湾を見ていただきたい、このことをくどく言っておきたいと思います。  次に、港湾法の四十二条の四には受益者負担の原則が書かれているわけですね。「港湾工事によって著しく利益を受ける者があるときは、港湾管理者は、その者に、その利益を受ける限度において、その港湾工事の費用の一部を負担させることができる。」とあります。今日まで港湾整備実績投資額六兆二千六百二十八億円にもなっているわけですが、この法の四十三条の四に基づく受益者負担を求めたことが過去にあるのかどうか、この点、いかがですか。
  61. 藤野愼吾

    藤野政府委員 非常に例が少のうございまして、昭和三十年代に東京都が防潮堤の築造工事に関係して受益者負担金条例を設けて、背後の土地の所有者から徴収をしたという例があるのを承知いたしております。
  62. 左近正男

    ○左近委員 特異な一件を除いて四十三条の四の適用はほとんどないということですね、実際投下された資金量から見て。この法律は、将来もこの条項を適用していく考え方があるのかないのか。今民活とかいろいろ言っておりますが、その辺の関係から港湾法四十二条の四の適用を拡大していこうという考えをお持ちなのか、今までのような形でいくのか、その点、いかがですか。
  63. 藤野愼吾

    藤野政府委員 この四十三条の四に基づきます受益者負担という事例は、申しますようにほとんどないに等しいわけでございます。(左近委員「いやいや、これからの問題を言っているわけです」と呼ぶ)これからの問題といたしましては、従前もいわゆる企業合理化促進法で受益者負担金を取ってきたというやり方をとっておりますが、今後もむしろそういった方向で進んでいくのではないかと考えます。企業合理化促進法による受益者負担金徴収という格好になっていくだろうと思います。
  64. 左近正男

    ○左近委員 それでは、港湾法の四十三条の四の受益者負担の原則というのは、今後拡大していく考え方はないという理解でよろしいか。
  65. 藤野愼吾

    藤野政府委員 余り積極的には考えておりません。
  66. 左近正男

    ○左近委員 それなら法があって適用しないということだね。  次に、港湾法の四十四条の二の入港料の問題についてお聞きをしますが、入港料を徴収している港湾は幾つありますか。
  67. 藤野愼吾

    藤野政府委員 合計で現在は百二十二港でございます。
  68. 左近正男

    ○左近委員 今、港は全部で千十二、その中で百二十二だけ入港料を取っておる。法では「徴収することができる。」ということになっているのですね。したがって、これは徴収してもしなくてもいいわけですね、どうですか。
  69. 藤野愼吾

    藤野政府委員 徴収してもしなくてもいいということではございますが、いただくことができるという立場港湾管理者を置いておるということでございます。
  70. 左近正男

    ○左近委員 それなら、今現在徴収しているところ、しないところがあるのはなぜですか。
  71. 藤野愼吾

    藤野政府委員 入港料制度といいますのは、もともとの発想は港湾整備していく資金、また別の言い方をして港湾の管理者の財政の一助とするということで発足をしたものではありますが、ただ、これは当然そのお金を支払う人、負担者があるわけでございます。よって、これが法定されたにもかかわらず、長い間その制度を実行しないで経過してまいりましたけれども、昭和五十年ごろでしたか、環境整備負担金制度が発足することに関連をいたしまして、軌を一にいたしまして、同じような思想から港湾利用者である関係企業から入港料というものをちょうだいすることになったわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、当然そこに負担者があるということから、港湾管理者といたしましては、関係の皆さん方の理解を十分に得る必要があるということでいろいろ努力をして、この制度を実行に移しているという実態がございます。したがいまして、その努力は続けられておりますが、すべての港にまでも、まだ一〇〇%至っていないというのが実態でございます。
  72. 左近正男

    ○左近委員 そうですかね。特定重要港湾では十八のうち十八が徴収されている、重要港湾では百十四のうち六十しか徴収されておらない。今あなたの言われた答弁であれば、港湾の管理者が入港料を取りたいのだということを言いながら、交渉相手があるから、これは船主協会などですが、これがニエットしておる、嫌だと言っておるというように受け取れるのですが、そうですか。
  73. 藤野愼吾

    藤野政府委員 ちょっと言葉足らずでございまして申しわけございません。そういう交渉に入った場合に、そういったことが議論になるということは一つあるわけでございますが、いま一つは、港湾というものを地方行政ないしは地域社会としてどう考えていくかということを考えた場合に、やはり港湾の側から見れば、船はお客さんでございますという観点、そして港湾の持っております地域開発的な効果意味合いというものをどう考えるかによって、積極的にそういった料金を徴収をするということに関しても幾つかの議論が分かれているところがございまして、そういった観点からも、この入港料徴収について余り積極的でないという物の考え方をする港があるということは、また一方の事実でございます。
  74. 左近正男

    ○左近委員 入港料は、年間全体で幾らになっていますか。
  75. 藤野愼吾

    藤野政府委員 今の百二十二港で昭和五十九年度で約三十億でございます。
  76. 左近正男

    ○左近委員 私は、さきの法律もそうですが、今回のこの四十四条の二も適用の基準というのが非常にあいまいではないかと思うのです。  それともう一つは、今全体で三十億、全体で見れば大きいわけですが、港湾管理者からは、入港料は非常に安い、それと手続も事務的に非常に煩雑だという声が強く出ておるわけです。特に六大港においては、環境整備保全にかかわる負担金というのはもっとこれよりも高くついているわけですよ。ここらの状況を見るとき、この入港料のあり方について港湾局としても再検討をする時期に来ておるのではないか、このように私は思うのですが、いかがですか。
  77. 藤野愼吾

    藤野政府委員 お金議論でありますので、私たち港湾を預かる側から見まするならば、港湾の管理者の財政事情を改善していくという意味もこれあり、そしてまた積極的に港湾整備を進めていくための財源としても、できるだけたくさんのお金をいただきたいという気持ちは十分には持っておりますが、やはりそこのところは全体的なバランスということもあるのではないかというふうに考えます。  ただ、当然のこととして、今具体的な日程がどうこうというわけではございませんが、入港料の改正問題というのは、昨年五月に改正をしたこともこれあり、数年置きには改正をしておるというのが実情でございます。
  78. 左近正男

    ○左近委員 私は何も値上げ値上げせいと言っているわけではないのですが、やはり入港料の設定基準というのが非常にあいまいだという点、それと法律によってできることになっているのに、やっているところとやっていないところがアンバランスが非常に多いという点、それと入港料の手続が非常に煩雑になっておるという点、こういう点について港湾局の方でも一考していただきまして、ひとつ前向きに検討をしていただくように要請をしておきたい、このように思います。  次に、「二十一世紀への港湾」の問題で一つだけお聞きをしておきますが、高規格臨港道路の整備という条項があるわけですが、この高規格というのはどんな道路ですか。
  79. 藤野愼吾

    藤野政府委員 本日の段階で具体定量の数値基準を申し上げることができませんが、要は、昨今の背高コンテナに代表されるような荷重が非常に大きな貨物を運ぶトラック、自動車等の輸送に耐え得るという荷重条件、それからまた線形、路線の形におきましても、適切なカープ条件を持ったそういった道路といったものを規格水準の高い道路として想定をし、そしてそれを今後港湾背後地に向かっての臨港道路を整備をしていく中で、一つの基幹的な道路として位置づけ、今後の整備を進めていこうというふうに考えているものでございます。
  80. 左近正男

    ○左近委員 道路の問題、これはつくるときには新五カ年計画という資金量の中でつくることができると思うのです。ところが、補修の問題は港湾の管理者ということになりますと、地方自治体にすべて補修費が覆いかぶさってしまうわけですね。高規格道路というようなものはこれはいいことかもわかりませんが、維持管理、補修というのは大変面倒な問題なんです。  したがって、やはりこういう新しい発想をやられる場合に、それの補修なんかの費用について、例えば地方交付税の対象にしていくとか補助措置をとっていくとか、そういうような何らかの裏づけをしていかぬと港湾管理者はたまったものではないと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  81. 藤野愼吾

    藤野政府委員 この高規格臨港道路の維持補修に限らず、港湾の維持補修に関する費用の負担ということは、今先生がおっしゃったとおりでございます。特に、過去二、三十年の間に日本港湾施設量が拡大をしてまいりましたから、今後はむしろそれの維持管理ということの方が重要な課題になるという認識を持っております。  ただ、御案内のように、港湾法はこの維持管理を地方港湾管理者にゆだねておりまして、そしてそれの補助制度はないわけでございますが、今申し上げましたような社会資本の総量がふえていく、今後それの維持管理が重要な課題になるという全体的な流れをも頭の中に置きまして、一つ利用料金をいただくというような仕組みなどを含めて今後のそういった対応を検討していきたいというふうに考えます。
  82. 左近正男

    ○左近委員 それは一番安易な方法ですね。だから港湾局としては、港湾の有効的な活用整備のためにいろいろな施策をやられる、これはいいことだと僕は思いますよ。しかし、つくった後、やはり長い期間有効に活用させていくための裏打ちというものが、利用者の受益者負担だけでそういうことをやっていくことは、やはり港湾管理者というのは全部自治体ですから、私は非常にいろいろ問題が出るのじゃないかと思うのですよ。  大臣、突然で悪いのですが、やはりこういう維持管理費について、国の方でも一定の財源措置というか何らかの計画的な一つの予算措置、そういうものをやっていかぬと、どんどんどんどん第一次から第六次までつくるものはつくった、維持管理は、子供産むだけ産め、育てるのはおまえら勝手やというのでは国としても余りに冷たいと思いますが、その点大臣としての見解がおありでしたら答弁していただきたい。
  83. 三塚博

    三塚国務大臣 維持補修、これも重要なことでありますが、現行制度では御案内のとおりないわけですね。これから二十一世紀に向けた港湾という意味で今後検討課題として勉強してまいりたい、このように思っております。
  84. 左近正男

    ○左近委員 この点もひとつ総合的に港湾整備の一環としてこのことをとらえていくというような位置づけをぜひとも強くお願いをしておきたいと思います。  そこで私は、広域廃棄物処理場、いわゆるフェニックス計画問題で今進んでおる大阪湾の問題についてお聞きをいたします。  六十一年度着工ということを聞いておるわけですが、この新五カ年計画の中でこれをどう具体的に実施されるのか。聞くところによれば、六十四年にごみの受け入れ開始ということを聞いておりますが、それまでどういうような手順でこの大阪湾における広域廃棄物処理場の建設が行われるのか、ひとつ説明をお願いします。
  85. 藤野愼吾

    藤野政府委員 いわゆるフェニックス計画、大阪港におきまして基本計画が昨年十二月に定まりました。それから昭和六十一年度、新年度の予算におきましても、これの現地着工の予算措置もすることができました。今後、現在港湾整備緊急措置法の御審議をお願いしておるわけですが、この港湾整備緊急措置法の改正後、五カ年計画内容を秋ごろを目途に詰めていくわけでありますが、その中に、このフェニックス計画につきましても、一定の事業規模のものを計画として織り込むということを予定いたしておるわけでございます。今後、現地におかれましては、関係権利者との調整問題等々を経ながら、公有水面埋め立ての免許の申請だとかあるいはまたそれに見合う必要な諸調査であるとかということが進められると考えております。  一方、東京湾では、若干地元調整がおくれておりまして、本日御報告できるような状態には相なっておらぬというのが実情でございます。
  86. 左近正男

    ○左近委員 このフェニックス計画は、昭和五十六年に広域臨海環境整備センター法というのができまして、それに基づいて今日計画がされておるわけですが、例えば、今少し進んでおる大阪の例を指摘いたしますと、六十四年からごみをほうり込んで六十九年で埋まってしまう、これはもう六年間で埋まってしまうわけですね。何でこういう短期間でこれは埋まってしまうのか。これは今この整備センターの持っている機能に問題があるのじゃないか。例えば廃棄物処理というよりも埋め立てを優先してやる。これはなぜかと言えば、ごみをほうり込んだら料金をもらうわけですね。そして早く埋め立ててその埋立地を有効活用していくというような発想の方が強く出ておるのじゃないかという感じが私はするわけです。これは五十六年の最後の法案、参議院の運輸委員会では附帯決議もついているわけですが、できるだけごみは減量化に努めて、その島を長もちさせなさいというような考え方が出ているわけで、六年間で島が埋まってしまうということになれば、また次の新しいフェニックス計画をやらなければいかぬ。冗談ではなしに、恐らく大阪湾は全部淡路島まで陸続き、そういうようなことになってしまうわけですよ。これは大阪湾の環境にとっても大変なことでありまして、この計画は少なくとも外堀をつくったら、やはり十年ぐらいもたすような形のセンターの運営をしていかぬと大変なことになるのじゃないか。センターの経営的な基盤がごみの投下量に応じて料金をもらう、そしてその埋め立てを早くして有効活用していくというようなところに重きを置き過ぎているのじゃないかという感じがするわけですが、その点はいかがですか。
  87. 藤野愼吾

    藤野政府委員 このセンター法が五年前に国会で御審議をいただきましたときにも、いわゆる廃棄物の減量化ということが非常に大きな議論になったのを記憶いたしております。当センターでは当面二カ所において処分場を確保するということを基本計画として現在進めておりますが、一方では、発生側ないしはそれの輸送過程においていろいろと廃棄物の減量化、再利用やら焼却等によります減量化の努力がなされているというふうに私考えます。そういった意味で、そういった結果として、この六カ年間におきまして約四千五百万立方メートルの廃棄物を最終的に受け入れをしなければならぬということで、今回の計画が定まっております。  なお、受け入れの升といいますか、その計画は、やはり港湾の区域の中でもありますから、周辺の港湾利用、海域の利用との調整、バランスをとりながら一定の埋立計画として定めておりますので、それが結果として六年しかもたないということでありまするから、それ以降についてはまだ新たなものを考えなければならぬということは事実でございます。
  88. 左近正男

    ○左近委員 だから、大阪湾の泉大津沖二百三ヘクタール、尼崎沖百十二ヘクタールの島をつくるわけですね。ごみをもっと減量化して厳選しなければ長もちしない。長もちするような形をとる、これは法律はそういうことでしょう。こんなもの短期間にばっとごみを持って来られてやられたのでは、今あなたが言われたように、また新たな島をつくらなければいかぬ。こんなことでは余りに安易過ぎると私は思いますよ。  もう時間もないのですが、特に大阪基地で一日に一万二千トン、西淀川という行政区をトラックがごみを運んで港まで持っていくわけですね。これは今大きな環境問題になっているわけです。その辺について港湾局の方ではどういうような認識をしておられるのか。地元との話し合いでは、地元了解がなければ、この工事を進めないという、センターが一筆入れておるのですけれども、非常に大きな問題になっているわけです。やはりそこらの認識をこのフェニックス計画の中ではしていただかぬと、事業が円滑にいかない、私はこのように思っておりますが、いかがですか。
  89. 藤野愼吾

    藤野政府委員 今、現地でいろいろ議論が起こっていることは私も承知をいたしております。今回、センターにおいてのこの基本計画を策定し、それに若干関与させていただく中で私たち考えましたことは、やはりそういった運搬車両の集中をできるだけ避けたいという気持ちは基本として持っておりました。ただ、集中を避けるために積み込み施設を数多くやるということは、そういった場所があちこちにたくさんできることを意味しますので、そういった観点からのバランスをとる形で、今回、搬入施設を八カ所ということにしたものでございます。  いずれにいたしましても、この事業が円滑に進められるように、私たちといたしましても、事業の実施に当たっては環境への影響を十分配慮して進めていくように、センターを今後とも指導してまいりたい、かように考えております。
  90. 左近正男

    ○左近委員 もうきょうは時間もないので、このセンター問題、軌道に乗せていくためには環境問題を国としてもかなり重視をしてもらいたい、私はこのことを要望しておきたいと思います。  そこで、一つお願いをしておきますが、この大阪基地のごみを運ぶ入り口、ここの淀川の河口に、昔は海没地であったのですが、大阪市が瓦れきをほうり込んで、今海面にちょっと浮いているのですよ。私は、その場所を自然海岸、自然公園にしてもらいたいという地元の要望もかなり強く出ておりますので、一遍前向きで検討していただきたいと思いますが、そういうことをやることによって、このフェニックス計画も円滑にいく一つの下地ができるのじゃないかというような感じが私はいたしますので、これらのことについて今後研究、検討も港湾局としてもしていただきたいな、このように思うのですが、またよく御存じないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  91. 藤野愼吾

    藤野政府委員 申しわけありません。今のお話、私ちょっとわかりかねるところがございましたが、いずれにいたしましても、地元港湾管理者の方からそういう具体的な御提案がございますならば、私たちも前向きに検討させていただきたい、かように考えます。
  92. 左近正男

    ○左近委員 またよろしくお願いします。  そこで、もう一つだけ、昨年十二月に大阪湾の港湾計画が改定されたわけですが、この中で臨港交通施設として南港と港区の連絡線という鉄道が計画されておるわけですが、これは港湾整備事業として国としても積極的に取り組んでいくという理解でよろしいですか。
  93. 藤野愼吾

    藤野政府委員 昨年の十二月に大阪港の港湾計画が定められました。その中で今お話しの南港と港区を連絡する鉄道、軌道計画について一定の位置づけがなされております。よって、私たちも需要の動向等を踏まえていかなければならぬとは思いまするけれども、事業が順調に進んでいくようにお手伝いをさせていただきたい、かように考えます。
  94. 左近正男

    ○左近委員 次に、関西国際空港の整備関連をして、周辺の港湾については、この新五カ年計画の中でどのように施設整備をしていこうとされるのか。また、これは大阪府が計画していることですが、関西新空港と関連する前島構想との関係はどうなのか。その点の見解をお聞きしておきたいと思います。
  95. 藤野愼吾

    藤野政府委員 昨年できました「空港関連施設整備大綱」におきましても、整備関連して必要となる関連施設として、神戸、淡路島における海上アクセス基地とか、あるいはまた空港の海岸部におきます港湾施設整備とかが挙げられておるところでございます。私たちはこの関西国際空港の使用に支障がないように、この新しい五カ年計画の中でも積極的な対応をしていくことを心づもりいたしております。
  96. 左近正男

    ○左近委員 次に、今度運輸省の方では、民活法の関連で多くのプロジェクトを計画されておるわけです。全部で二十三にも及んでおりますね。このプロジェクトの事業費というのは全体で幾らなんですか。
  97. 藤野愼吾

    藤野政府委員 先般、比較的はっきりしている二十三のプロジェクトを発表したわけでございますが、私たちの手元には現在三十を超えるような数のプロジェクトの構想が集まっておりますが、それらは関連事業を含めまして、ごくごく概算で恐縮なんですが、五兆ないしは六兆ぐらいかなと、こういう見積もりを現時点でいたしておるところでございます。  なお、各省庁との間にも若干の重複があるということもひとつお含みおき願いたいと足します。
  98. 左近正男

    ○左近委員 この民活の大きなプロジェクトと、今度決定される新五カ年計画との関連はどうなんですか。
  99. 藤野愼吾

    藤野政府委員 四兆四千億という五カ年計画の総投資規模閣議で御了解いただき、その内容をことしの秋までに具体的に詰めるということを申し上げたわけでございますが、その作業の一環として、この民活プロジェクトを五カ年計画の中で具体的なものとして詰めていきたい、かように考えております。ただ、五兆ないし六兆という、今の概算でこういうことでございますが、これよりももっともっと小さな数字であることは町違いございません。
  100. 左近正男

    ○左近委員 次に、東京湾、大阪湾という大都市圏を抱える港湾中心港湾情報システムの整備を進められようとしておるわけですね。港湾情報センターというのはどういうような構想かということと、こういう港湾情報センターを設置することによって港湾職員にかなり影響が出るんじゃないかというような心配もされておるわけです。この点についての運輸省としての見解を聞きたいと思います。  次に、時間がありませんので一括してやりますが、MARPOL条約の関係で、附属書Ⅱで、ばら積み有害液体物質の規制が六十一年十月から六十二年四月に変更になった。それで、今港湾状況を見てみますと、化学薬品等を運んでおる船が非常に多いわけですが、このクリーニング水の受け入れ施設がほとんどないというのが実態なんですね。したがって、臨海部にこれらのものをきっちりと設置をしていくべきではないか、このはうに私は思いますが、この辺の考え方をお聞きしておきたいと思います。
  101. 藤野愼吾

    藤野政府委員 まず第一点目の港湾情報システムの整備に関することでございますが、東京湾、大阪湾等いわゆる大都市港湾でそのような研究が進んでおりますが、その内容は統計情報の管理とか出入港船舶の管埋、上屋とか荷さばき施設などの施設の管理、それから港湾利用料等に関することというふうなものを内容といたしております。当然のこととして、港湾管理者部局におかれては、内部職員と十分な相談といいますか議論勉強をしながら進められているようでございます。結果としてこういったシステムが導入されることによって、料金の徴収業務が楽になったり、また船舶の出入港の動向の把握が的確に行われるなどいたしまして、労働環境もなかなか改善されているというふうに聞いておるところでございます。  それから、二点目のばら積み有害液体物質の処理についてでありますが、受け入れ施設については、その性状なり発生の形態などに応じまして、化学工場とか産業廃棄物処理業者ないしは廃油処理業者等の既存の施設活用することによって受け入れ処理を行っていくことで対応できるというふうに考えております。
  102. 左近正男

    ○左近委員 時間がないので、僕はそれにはいろいろ疑問があるわけですが、またいずれかの機会にやりましょう。もう時間がありませんから、これで終わります。
  103. 山下徳夫

    山下委員長 西中清君。
  104. 西中清

    ○西中委員 最初に、昨年の四月に運輸省港湾局として「二十一世紀への港湾」という提言をなされておるわけでございますけれども、これはいろいろと御検討していただいたとは思うのですけれども、今回の整備計画とどのような整合性を持っておるのか持っておらないのか、その辺のところをまず伺いたい。  同時にまた、現在策定中の四全総とはどういうつながり、整合性を持たせておるのかということを伺っておきたいと思います。     〔委員長退席、鹿野委員長代理着席〕
  105. 藤野愼吾

    藤野政府委員 「二十一世紀への港湾」と名づけておりますレポートは、二十一世紀への接近に備えて港湾がどうあるべきか、またどんな対応をすべきかということをまとめておかなければならぬという課題一つと、いま一つは、現在御議論をお願いしております港湾整備緊急措置法に基づきます新しい五カ年計画を、この昭和六十一年度から発足させていただかなければならぬといった、主として二つの観点を持って、港湾局の中で今後の港湾整備のあり方についていろいろとディスカッションをして取りまとめたというものでございます。  したがいまして、まずは港湾整備五カ年計画の策定に際しましては、そういったディスカッションの成果をどういうふうに生かしていくかということで幾つかの柱を立てて、今後の五カ年計画内容の詰めをやりたいというふうに思っておるものでございます。  いま一つは、現在御案内のように、国土庁を中心としていわゆる四全総作業が進められております。私たちは、この「二十一世紀への港湾」という形でまとめ上げました、いわゆる総合的な港湾の空間の整備と、それのネットワーク化という二つの観点、柱を持って、国土庁に対しまして自分たち考え港湾整備の今後のあり方というものを説明し主張しておるところでございます。そういう形で四全総の中に取り入れられることによって、私たち考えていることが国の政策としてオーソライズされることになるというふうに思っておるわけでございます。幸いにいたしまして、今まで国土庁ないしは国土審議会周辺の御議論の様子では、私たちの申し上げていることがかなり織り込まれているようでございますので、今後ともそういった方向で私たちも努力をしていきたい、かように考えます。
  106. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、四全総の方は皆さんの方のお考え方というものをある程度受付入れながらの審議をしていただいている、こういうお答えでございますけれども、そういう観点からいって、港湾整備の第七次計画は十分なものとお考えなのかどうか、伺っておきたいと思います。
  107. 藤野愼吾

    藤野政府委員 私たち昨年の夏に財政当局に対して五兆何千億余の五カ年計画の策定を要求したところではございます。そして内容的には、そういった今申し上げました「二十一世紀への港湾」の中で盛り込んでおります幾つかの観点を柱として財政当局との折衝を行いました。しかしながら、国の財政事情、いろいろ厳しいという事情もこれありいたしまして、四兆四千億ということで先般閣議の御了解をいただいたという経緯がございます。  私たち財政事情が厳しいということであるならば、これでやむを得ないというふうに思っておりますが、今後秋までかけて計画内容をより具体的なものとして詰めていく過程において、新しい資金活用の方途というようなことも研究することを初めとして、事業費の有効活用とか港湾施設有効活用ということに努力をしていかなければならぬというふうにあわせて考えております。
  108. 西中清

    ○西中委員 やはり港湾整備要求は非常に強いわけでありまして、皆さん方の提言といいますか、レポートでもお述べになっておること、今計画が必ずしも満足すべきものでないというふうに私は認識しておるわけでございますけれども、今後特段の努力をひとつ要望しておきたいと思います。  そこで、この法案の提案理由の説明によりますと、「昭和六十年代におきましても、貨物輸送の合理化、海外に依存する各種資源の安定的確保、港湾利用高度化への対応、地域振興のための基盤施設整備、船舶航行等の安全性の向上、港湾及び海洋の環境の整備等の必要性が増大しており、港湾整備に対する要請は量的に増大するとともに、ますます多様化し、かつ、差し迫ったものとなっております。」というふうに述べられております。  ここでひとつ伺っておきたいのでございますけれども、こうして五年ごとに整備計画を立案していくという点では、空港整備計画であるとか住宅建設の計画、こういったものがさまざまあるわけでございますけれども、それらは大体法改正を必要としないということになっております。港湾については、このように時限立法の形をとりながら、その都度改正をしておるということでございますけれども、港湾整備は今日六次までやってまいりまして、そういう中で高度成長であるとか産業構造の急激な変革であるとか、さまざまな理由によりまして港湾整備要請というものは間断なく続いておると言っても言い過ぎではないと思うのですね。したがいまして、この法律を時限立法ということではなくて、恒常的な法律としてやっていくということについて、なぜ五年ごとにやっていかなきゃならないのか、こういう点、どういうようにお考えになっておるのか、伺っておきたいと思います。
  109. 藤野愼吾

    藤野政府委員 港湾整備緊急措置法という名前から来る緊急性の内容については、やはりその時代時代における変化があるというふうに思っておりまして、第一次から第六次まで、そして今回の第七次まで、その内容変化があり、ただいま先生もお述べになりましたような今日的命題に対応するために、緊急措置法の改正をお願いをして、新しい五カ年計画に進みたいというふうに考えておるわけでございます。  さて、今御指摘にもございましたように、公共事業関係の長期計画につきましては、長期的な計画法をつくったらどうかという御議論も各方面であることはあるわけでございます。ただ、私たちといたしましては、港湾に対する要請も多様であり、また先ほど来申し上げておりますような整備重点も逐次変化をしていくというところを重要視いたしまして、やはり五年置きくらいに法律の御審議もいただき、そして計画内容をその都度その都度考えていくというやり方で進めることの方がいいのではないか、今日的にはそのように考えておるわけでございます。
  110. 西中清

    ○西中委員 それなり変化があるわけで、それに対して五年ごとに見直すということはよくわかるのですけれども、空港などというのも、やはりそういう点では相当変化をしておるし、また要請も非常に強いということで、必ずしも決定的な理由にはならぬのじゃないかという気分がしないわけでもないのですが、それはいいでしょう。いずれにしても、この辺のところで港湾そのものを長期的な観点から見直すということも必要ではないかという点について一言申しておきたいと思います。  そこで、港湾整備計画というのは一次から六次まで行われてまいりましたけれども、それぞれ計画にははるかに及ばないという実績を残してきたのではないか、こう思っております。この点について、港湾計画的な建設、整備といううたい文句からいけばいささか寂しいなという気分がしないわけではないのですけれども、計画と実施との乖離というものは一体主にどういうところから出てきておるのか、伺っておきたいと思います。
  111. 藤野愼吾

    藤野政府委員 第一次から第六次までの計画を遂行してまいりまして、その結果、例えば第一次ですと八割くらい、第二次は五割くらい、第三次も五割くらい云々という格好で、いずれも十割、一〇〇%に満たない進捗率ということに数字的にはなってございます。  ところが、内容的にはちょっと視点変化がございまして、第一次から第四次までは、実は計画の当初段階に想定した以上に日本の経済の高度の成長があったり、それに見合う形で港湾活動の量的な拡大、変化があったということで、そのつくった計画をそのまま遂行することは適当ではないということの判断をいたしまして、あるものは三年、あるものは四年という、つまり五年を満足に進まないで打ち切って新しい計画へ移っていったという経過がございます。よって、当初の計画との対比で見るならば、一見進捗率は低いという格好にはなっております。  ただ、五次、六次の計画は、進捗率八四%、七五%ということになっておりますが、ここらあたりは、また情勢変化がございまして、当初の想定をしたよりも経済の成長の仕方が鈍化しているというようなことがあったり、あるいはまたそれとの絡みで我が国の財政事情が非常に逼迫してくるというような事情があるなどいたしまして、結果的にこのように一〇〇%達成できないで終わったという状況にございます。  たまたまいずれも一〇〇%未達成という数字ではございますが、内容としては、そのような相違があるというところを御理解を賜りたいと存じます。
  112. 西中清

    ○西中委員 計画というのですから、やはり一〇〇%というねらいがあってもいいのではないかと思うのですけれども、大臣、その点はどういうようにお考えになっているか、伺っておきたいと思います。
  113. 三塚博

    三塚国務大臣 計画でありましても、オーソライズされて、これだけの御審議をいただいてスタートを切るわけでございますから、そのとおり果敢に取り組んでまいらなければならぬ責任は負うだろうと思うのであります。  第六次で見ます限り、財政再建という極めて厳しい諸条件の中で、建設国債の発行が対前年度比それぞれ抑制をされ、六十五年赤字国債発行ゼロという財政編成方針が厳密に打ち立てられております中で、マイナスシーリングという非常に厳しい編成が相次いでここ三年行われたということが、八〇%程度に六次が落ち込まざるを得ないという主要な原因であったというふうに思います。しかし、第七次はそれを踏まえつつ策定をされておるわけでございますから、それの達成に全力を尽くす、こういうことで取り組んでまいりたいと思います。
  114. 西中清

    ○西中委員 計画事業区分別に進捗率を見てまいりますと、大きな格差があるように思うのですけれども、第六次の計画の中で、港湾機能施設整備事業等の区分では、計画が四千六百億円、実績が二千四百二十二億円、五二・六%程度の進捗率になっておりますが、これは余りに落ち込みが激しいと思うのですけれども、何か特別な理由があったのでございましょうか。
  115. 藤野愼吾

    藤野政府委員 各区分ごとに進捗率に変化があるというところは御指摘のとおりでございます。  港湾機能施設整備事業といいますものは、これは主として港湾管理者が起債を求めて発行いたしまして、そしてそれで事業を行いますもので、例えば上屋とか荷役機械、そして埠頭用地の造成、木材貯木場等々がこれに当たります。実は港湾の財源をどこに求めるかということについてもいろいろ議論がございますが、特にこの港湾機能施設整備事業におきましては、みずからその償還をしていかなきゃならぬという課題をしょっているものでありますために、昨今地方財政も苦しいというようなことから、これに積極的な投資ができないということを意味しておるのではないかと考えます。
  116. 西中清

    ○西中委員 それが新しい第七次計画では五千八百億円という規模が設定されておりますけれども、前回事業規模の四千六百億円にプラス二六%、第六次の実績から見ますと二・四倍の大幅増額という形になっているわけですけれども、その理由はどうなっておるのか、伺っておきたい。
  117. 藤野愼吾

    藤野政府委員 今申し上げましたように、地方財政の事情も、今後急激によくなるという方向はなかなか想定しにくいというのが正直なところかと思いますが、いま一つ、実は今後の詰めが残っておりますので、具体的にはなかなか言いづろうございますが、いわゆる港湾における民活プロジェクトをこの港湾機能施設整備事業等という中で位置づけ整理をしたらどうかというふうに今頭の中で考えておりまして、その規模等につきましては、今後の詰め、議論はたくさん残ってはおりますけれども、そういったことを想定いたしまして、ここで規模が大きくなっているということとしてお受けとめいただきたいと思います。
  118. 西中清

    ○西中委員 やはり港湾管理者としては、相当しっかりした裏づけといいますか、計画をしながらやっていかなければならない問題につながってくるわけでありまして、果たしてこれだけの事業量が消化できるかどうか、その辺のところはかなり問題があるのじゃないかと思います。局長からも詰めの問題が非常にたくさんあるというお話でございますから、これは御質問も遠慮しておきますけれども、ひとつしっかり推進方をしていただきたいと思います。  次に、同じく調整費、この問題でございますけれども、これも七千九百億円という大変な額になっておるわけでございますけれども、一体これはどういう形で七千九百億円というものを見込まれておるのか。何か根拠があれば伺っておきたいと思う次第でございます。
  119. 藤野愼吾

    藤野政府委員 今回の五カ年計画の総投資規模議論されます中で、五カ年間における今後の経済社会情勢変化にどう対応するか、五カ年計画としてどういう準備なり心構えなりをしておくかということが議論一つのポイントでございました。  そういう中で、定量的にそれを表現することが今なかなか難しいということが正直なところかと思いますので、今後の情勢変化に対して流動的といいますか弾力的に対応できるようにという観点から、ここに調整費を七千九百億という規模で、この規模は実は前回の六次計画規模を上回っておるのでありますが、そういった規模でセットすることといたし、ました。  なお、今度の五カ年計画閣議了解に当たりまして、三年後ぐらいにこの計画見直しをしようということが附帯条項としてついておりますが、当然その中でこの調整費の取り扱いも議論されるというふうに考えます。
  120. 西中清

    ○西中委員 その弾力的とか三年後の見直しということでございますけれども、港湾管理者というものが一方であるわけでございますから、その辺のところ、若干の混乱を招くのではないかという気がしないわけでもないのですが、そういう点はいかがでございましょうか。
  121. 藤野愼吾

    藤野政府委員 そういった混乱が起こってはならぬわけでございますので、これに類する仕組みは、これまでの五カ年計画にもあることはありましたので、そこらあたりを含めて港湾管理者に対する説明、指導を適切にやっていきたいと思います。
  122. 西中清

    ○西中委員 次に、運輸省が策定いたしました新港湾整備五カ年計画について伺いますが、「重点事項」の中で、「コンテナ輸送への対応を中心外国貿易港湾整備拡充に努める」とありますけれども、六大港はかなり整備がなされたと思いますけれども、やはり地方港湾を見ますと、必ずしも満足すべき状況ではございません。地方港湾も、日本国土の全体的な繁栄という面で、より強力な整備を行っていかなきゃならないし、同時にまた海運界の不況を見ますと、そういった観点からも地方港湾への整備を一層しっかりやるという点が大事ではないかと私は思うのでございますけれども、そういった点についてのお考えを伺っておきたいと思います。
  123. 藤野愼吾

    藤野政府委員 先生お話しのように、日本のコンテナ埠頭の整備は、昭和四十年代初期に外貿埠頭公団方式によりまして整備を進めてまいりまして、当面の急務としての整備が一応終わったという観点から、各港湾の埠頭公社にその業務が承継されることに相なりました。  さて、今お話がございましたように、外貿コンテナといいますか、外貿におけるコンテナリゼーションといいますものは、過去の十年ばかりの実績を見ましても、年率一四%という非常に大きな規模で伸びておりまして、これはちなみに国際航空貨物の伸びと同じような伸び率でございますが、そういった世界的なコンテナリゼーションヘの対応、なかんずく南北航路のコンテナ化の進展に伴いまして、日本港湾においてもそれへの対応をしておかなきゃならぬ、特にコンテナ船の大型化に対する対策をきっちりとしておかなきゃならぬというふうに考えまして、今回の五カ年計画重点事項の一つとしたものでございます。  ただ、その場合のコンテナ埠頭の全国的な配置の問題につきましては、従来の三大湾中心に加えまして、地方の中核都市にもそういったものを分散的に整備をしていかなきゃならぬ、整備していきたい、それがまさに今先生お話ございましたような国土利用の均衡を図っていくという観点からも、そしてまた輸送経済という観点からも合理性があるというふうに考えておるところでございます。
  124. 西中清

    ○西中委員 次に、同じく重点項目の中で、「広域化する背後地への貨物の円滑な輸送を確保するため高規格な幹線臨港道路の整備」、こうなっておるわけでございますけれども、この点について、もちろんこれは建設省等に関係もあると思いますけれども、どういう対応をなさろうとしておるのか、伺っておきたいと思います。
  125. 藤野愼吾

    藤野政府委員 背高コンテナに代表されますように、港湾貨物の一ユニットの重量が非常に大きくなっているということがございます。それを安全に輸送していくために、道路として見た場合には荷重条件、大きな荷重に耐えられるものとか、あるいはまた大型のトラックに対応できるように幅員が十分あるとか、あるいはまた線形が適切なものであるとかといったふうなことを頭の中に描きながら、新しいより水準の高い規格の幹線臨港道路の整備をしていかなきゃならぬというふうに考えます。「二十一世紀への港湾」の中におきましても、港湾相互のネットワーク化ということを申し述べておりますが、やはりそういった幹線道路網の整備によって各港相互をつなぎ、各産業地域と港をつなぐということが、そのネットワーク化を実現をする一つの重要なポイントであるというふうに思うわけでございます。  そしてまた、ひいてはそういった道路網を整備することによりまして、港湾背後の市街地との競合といいますか、重なり合いを避けることによって、いわゆる都市の環境破壊問題に対する対策にもなるというふうに考えます。そういった意味から、今度の第七次五カ年計画におきましても、これを施策重点一つとして取り組んでいきたいというふうに考えたわけでございます。
  126. 西中清

    ○西中委員 次に、「臨海部活性化をめざした港湾再開発及び人工島の整備」を行うというふうにしておりますけれども、人工島として今お考えのものは具体的にはどういうものを指しておるのか。同時に、運輸省におきましては、東京湾横断道路の関連で、沖合人工島の構想があるようでございますけれども、その構想について伺っておきたいと思います。
  127. 藤野愼吾

    藤野政府委員 日本港湾整備が始まって、それのスタートを明治維新といたしますならば、百年余を経過をいたしまして、相当な量の港湾資産、ストックが蓄積されてはまいりましたけれども、あわせて古いものが順次老朽化していく、また機能的にも陳腐化していくという側面がございまして、新たな港湾施設整備をしていくことにも増して重要なのは、既往の施設の維持補修ないしはそういったものの再開発による有効活用ということであると考えます。そういった意味から、まずはこの再開発を今後の港湾整備の中で一つの重要事項として取り組んでいきたいというふうに考えます。  いま一つは、地価、土地の値段との絡みが非常に重要ではありまするが、日本は幸いにして周辺を海に囲まれた国土でございます。この海を人間が直接利用できる空間として再生といいますか、使う方法はないかということを考えました場合に、それは一つは人工的な島による空間の創造であるというふうに考えまして、今後日本の周辺海域の中でいろいろな利用目的やら周辺のいろいろな自然条件、社会条件との兼ね合いで考え得る幾つかの候補地を選んで人工島構築の勉強を今盛んにやっておる最中でございます。  その一つとして、東京湾の中においても、昨今東京湾横断道路の議論が始まることに関連して、あの横断道路をアクセスとする人工島というものを考えたらどういうことになるかというふうなことで、昨年の秋ごろまで勉強しておったものが新聞の報道に載った、こういうことでございます。これの利用の仕方につきましては、昨今国際化という呼び声が高こうございますが、そういった国際交流施設、それからまたレクリエーションのための空間の確保、そして先ほど来申し上げております大型のコンテナ基地、それからいま一つは、東京湾におきます船舶の避泊のための空間づくりといったふうな、そういう四つかそれぐらいの内容のものをあの島の利用一つとして考えることとし、今もその内容勉強をしておるわけでございます。  なお、この利用の仕方は一つの試案、提案でございますので、これはまた大勢の方々の御意見、御議論をいただきながら必要な手直しは大いにやっていく必要がある、かようには考えております。今の段階の一試案でございます。
  128. 西中清

    ○西中委員 まあ一試案というのはわかるのですけれども、これは具体的に事業化へ向けてどうしてもやろうというお考えかどうか、伺っておきたいと思います。
  129. 藤野愼吾

    藤野政府委員 勉強をしっかり重ね、そして今後いろいろな周辺の社会情勢変化もあって、それへの対応もしていかなければならぬとは思いますが、先ほど一つ言い落としましたが、環境問題やら漁業補償問題やらの調整も残っております。そういうことで課題はたくさん残っておりますが、私たちとしてはこのプロジェクトは進めてまいりたいというふうに考えております。
  130. 西中清

    ○西中委員 次に、「マリーナ等海洋レクリェーション基地の整備」についてうたっておりますけれども、最近この種の海洋性レクリェーションの普及が急速に高まっております。運輸省としてもこの点についてはさまざまの対応をなさってまいったと思いますが、その整備状況とか利用状況は一体十分なされておるのかどうか。  さらにまた、プレジャーボート、今大体二十四万隻、こういうふうに推定されておりますけれども、実際マリーナに保管されておるのは二万九千隻程度だというように聞いております。ほとんどが港湾、漁港、海岸、河川、こういったところに係留、放置されておる、こういうことだと思うのですが、実際はもっと多いのではないかというお話もございます。それが一般船舶や漁船との間でもトラブルを起こすというようなケースも多々あるわけでございますが、昭和六十五年の見通しては、ボートの数は恐らく五万隻ふえまして二十九万隻ぐらいではないかというふうに推定をしておるようでございますが、これとマリーナの整備、この差が相当あるというように思うわけでございまして、これは今後ともなかなか面倒な問題になっていくだろうというように思います。したがいまして、運輸省としてはこれに対して何らかの措置をさらに強力にしていかなければならないのではないか、私はこういうように考えておるわけでございますけれども、御意見を伺っておきたいと思います。
  131. 藤野愼吾

    藤野政府委員 マリーナについてのただいまの先生の御所見は、私も全面的に賛成、同じ意見を持っております。全国で四百ぐらいのマリーナがあるようでありますが、公共団体が管理しておりますいわゆる公共マリーナというのはわずか三十三、こういうことでございます。そして全国では現在十三港で公共マリーナの整備を継続してやってはおります。  ただ、特に公共マリーナの利用状況について申し上げますと、大都市周辺では施設が不足ぎみというふうなこともあったりいたしますが、今お話しのように、港湾や河川や海岸に放置されているボートも多い、安全上も問題であったり外観上も問題であったりいたしております。一方また、このマリーナの整備によってセーリングの拠点が一つできるということが、地方においては海を利用しての地域開発一つの有力な手段として考えられるということもありますので、マリーナの整備を期待する声もかなり高いものがございまして、私たち、今度の五カ年計画の中でも積極的な整備を進めてまいりたい、かように考えます。     〔鹿野委員長代理退席、委員長着席〕
  132. 西中清

    ○西中委員 これは漁民であるとか船舶関係者とのトラブルという点で、これからも非常に問題を残していくわけでございますので、特段の配慮をお願いいたしたいと思います。  次に、「都市廃棄物等の最終処分場を確保するため、広域廃棄物処理場をはじめとする廃棄物理立護岸の整備を推進する。」となっておりますけれども、これに関連して、大阪もフェニックス計画が進捗いたしておるようでございます。東京湾はなかなか取り組みが難しく、おくれておるというように認識いたしておりますけれども、今後の見通しについて伺っておきたいと思います。
  133. 藤野愼吾

    藤野政府委員 御指摘のように、おかげさまで大阪湾のフェニックス計画は基本計画も策定され、新年度事業実施という運びと相なっておりますが、東京湾につきましては、関係都県市の首脳会議、俗に首都圏サミットと言っておりますが、その決定を受けまして、関係者の間で事務的なレベルの検討を進めてはまいりましたけれども、まだセンター設立の合意形成には至っていないというのが現況でございます。ただ、昨年十一月に同様のそのサミットにおきまして、長期的には海面等における広域処理が必要だという認識が再びされることと相なりましたので、それに基づいて今後検討委員会を組織しようということに相なっておりますが、現在この委員会の構成その他関係の公共団体の中での打ち合わせが進んでおるという現況にございます。  ただ、私たち運輸省といたしましては、このセンターをできるだけ早く設立していかなければならぬというふうに基本的に思っておりますので、広域処理場整備に必要な調査は引き続き国の事業として実施しておるところでございますし、また関係自治体間の調整が整い次第、この次の新しい五カ年計画の中においても必要な対応をしていきたいと考えております。
  134. 西中清

    ○西中委員 次に、港湾管理者財政について伺っておきたいと思います。  この財政の現状は一体どういう認識を持っておられるのか、まず伺っておきたいと思います。
  135. 藤野愼吾

    藤野政府委員 一言で申し上げまして、港湾財政、なかなか苦しいわけでございます。ちょっと数字的に申し上げますと、五十八年度で企業会計方式で試算をしてみますと、特定重要港湾、重要港湾百三十二港の中で、営業損益で利益を計上しているのは三十二港、経常損益で利益を計上しているのは八港ということでございます。また収支比率なども見てみますと、百三十二港全体の中の平均値は一八五、こういうことで特定重要港湾の主要八港でも一三三というふうな状況になっております。近年若干は収支比率の改善が見られるというようなことはありますが、なおなお低水準にあるということでございます。
  136. 西中清

    ○西中委員 運輸省としては、財政基盤強化のために、一つは入港料の徴収、二番目は入港料の料率改定、そして港湾施設使用料の料率改定、四番目に港湾環境整備負担金の徴収、こういうものを挙げてこられ、努力をしていただいたと思いますけれども、これはどういうような実績が上がっておるか、伺っておきたいと思います。
  137. 藤野愼吾

    藤野政府委員 今お話しのような努力も我々なりにし、また港湾管理者に対する指導もしておるわけでございます。  まず、入港料につきましては、昭和五十二年から新たに制度が発足いたしまして、自来順次入港料徴収の港湾はふえてまいってはおりますが、五十九年度の徴収総額では三十億ということで、これを多いと評価するか少ないと評価するか、私たち港湾を預かる者からいきますならば、もう少しいただきたいものだというのが正直な気持ちではございますが、いずれにいたしましても、この入港料につきましても、三年ごとぐらいには見直しをするということなども予定しておりまして、昨年の五月には八%ばかり引き上げをしたというようなこともあります。また、岸壁の使用料についても数年置きに料率を改定するなどして、大体一〇%程度の改正を行う。また、環境整備負担金などにつきましても、各港湾管理者において積極的な対応をするような努力が進められておるということでございます。  いずれにいたしましても、お金の問題でございますので、いただく側もそれなりの努力が要る、またその内容として御負担願う方の十分な御理解も得なければならぬということで、いろいろ努力を重ねておるというのが現状でございます。
  138. 西中清

    ○西中委員 いずれにしても、港湾整備投資から見れば微々たるものであろうというふうに思わざるを得ないわけでございます。一方では、国庫支出金も財政が厳しいという状況港湾管理者の財政はさまざま圧迫をされてまいっておるわけでございます。空港や道路の場合はそれぞれ使用料であるとか通行料等がございまして、それなりにある程度安定した基盤があるわけでございます。これは私が最初に質問した問題ともつながっておるわけでございますけれども、財政基盤という点で少し見直していく必要があるのじゃないか、そういう時期が来ているのではないかと思わざるを得ないわけでございますけれども、何らかのお考えがあれば伺っておきたいと思います。
  139. 藤野愼吾

    藤野政府委員 さきにつくりました「二十一世紀への港湾」の中の「新たなパラダイム」という中にも、港湾整備資金の負担というふうなことで、今後の検討課題というふうに出しておりますが、いずれにいたしましても、新たな財源措置を講ずるかどうかという議論は、やはり港湾整備のあり方そのもの議論だ、実は裏表の議論だというふうに理解をしておるわけでございまして、例えば入港料とか港湾使用料とかに代表されます、その負担者である海運関係者中心とする企業グループの御意向もございましょう。それからまた港湾整備を通じて、ないしは港湾の管理、振興発展を通じて地域社会全体に及ぼす効果をどう評価するかというふうな議論、そしてその効果から発生する当然の見返りとしての港湾整備に対する地域社会全体の負担ということも考えられる議論であります。なかなか広範囲な難しい議論であると私は思っておりまして、ある意味では、私たちこの負担問題ないしは財源確保問題というのは、今後の港湾整備のあり方と裏腹の、ある意味ではまた未来永劫の課題のような感じは持っておりまして、荷が重い気持ちが正直でありますが、今後真剣に考え議論をしていきたいと思います。
  140. 西中清

    ○西中委員 大臣、この問題は受益者が負担するということが必ずしもすぐ納得されるとは思いませんけれども、基本的に、抜本的にこれからひとつ検討するという方向でお考えをいただきたいと思いますけれども、いかがでございましょう。
  141. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま基本的な考え港湾局長が述べられたわけでございますが、受益者負担という一つ考え方、これも財源確保という意味では今日までの底流であったことは事実であります。しかし、新しい社会資本充実、また地域開発の戦略として港湾整備をどう考えるかという場合において、既に概式化したというのでしょうか、実績を持つ港湾地域港の考え方というのは、これはまたおのずから違ってくるわけでありまして、新しい財源方式をどう考えるか、これは政府の公共事業のあり方と今後密接不可分に関連してまいる問題として、財政再建の足踏みを見ながら、さらにその中でなおかつ新しい財源をどう把握していくかということは、関連において真剣に検討を進めてまいらなければならぬ御指摘課題である、このように受けとめております。
  142. 西中清

    ○西中委員 最後に、京都府の舞鶴港湾整備計画について伺っておきたいと思いますが、昨年八月に昭和七十年度を目標年次とします舞鶴港湾整備計画を策定いたしております。これは二十一世紀に向けて船舶や取扱貨物大型化に対応し、さらに国際化情報化にも対応できる港づくりを目指したものとなっておるわけでございます。しかし、この計画を実施するに当たってはまだまだ多くの課題があるわけでございます。  そのうち主なものを申し上げますと、まず第一番目に、日本海側港湾に共通した点であると思いますけれども、全般的に施設整備のおくれ、それから集荷、配船活動の困難性というものがございます。港湾管理者及び地元の活発な取り組みが当然必要であることは言うまでもございませんけれども、日本海沿岸振興を図る上で、やはり国としての強力な対応は必要ではなかろうかということが一つ。  それから第二点は、施設整備には大変な金がかかるわけでありますけれども、その促進には事業費の確保を図らなければならないし、また起債事業にあっては貸付金の年利率、現行は六、七%ということでありますけれども、これを引き下げるということも大事な点ではないか。これについてどういうお考えか。  それから第三点でございますけれども、港湾と高速自動車道を連結する高規格道路の建設、先ほどもちょっと御質問いたしましたけれども、これについて具体的に申し上げますと、近畿自動車道舞鶴線の完成が急がれるわけで、これは港湾の今後とも密接なつながりを持っておるわけでございますが、こういった点でより強力に運輸省としても関係省庁に対する協力要請、こういうことが地元としては強い要望としてあるわけでございますが、この三点について伺っておきたいと思います。
  143. 藤野愼吾

    藤野政府委員 日本国土をできるだけ広く有効に活用するという観点から、やはり港湾整備をできるだけ分散的にやっていかなければならぬ、そういったことに非常な意味合いがあるというふうに私思っております。そういった意味で、とかく議論の場では大港湾、大湾域の港湾整備に偏重しているという御批判がございますけれども、私たちは、今後は相互のネットワーク化を通じて、地方港湾整備をしていかなければならぬと思います。  今、先生お話しの舞鶴港でありますが、これにつきましては、もう釈迦に説法になりますので申し上げませんが、一言要約して申し上げまするならば、私たち若狭湾といいますか舞鶴湾といいますか、あのあたりが一つ日本海側の新しい流通の拠点になるという考え方を持っておりまして、以前つくりました流通拠点港湾構想がなんかの中にもそういったことを考えたことがあり、またその哲学は今でも私たちの周辺には残っております。具体的に申し上げまして、まずは国際貿易、大陸との貿易の拠点であること、そしてまた昨今内航のフェリーないしはコンテナ輸送が非常に盛んになっておりますが、そういった意味から、特に日本列島はこんな弓になっておるものですから、弓の内側を通るというのが距離的にも非常に近いという意味から、北海道と本州ないしは舞鶴等を含む南北の内航航路の発達が今非常に目覚ましいというふうな状況も承知をいたしておりまして、そういうこともこれあり、私たち舞鶴港というものを非常に重要な意味合いのある港湾として考えておるところでございます。  ただ、今お話の中にもちょっと出てまいりましたが、自然条件がなかなか厳しいというふうなことがこれあり、それからいたしまして整備のためのお金が苦しい昨今でありまするならば、余計時間とお金がかかるというところが一つの泣きどころ、と言うとおしかりを受けるかもしれませんが、泣きどころとして実は私たちも頭を痛めておるというのが正直なところでございます。  しかしながら一方では、今お話にもございましたように、高速自動車道の整備も非常に接近をしてきたということも承知もいたしておりまするから、そういったことによって集荷といったふうな活動も非常にやりやすくなるというふうにも思います。いずれにいたしましても、今後の予算の措置等の中で高規格道路の整備、そして港湾、埠頭の整備等々に私たちとしてもできる限りの努力をしていきたい、お手伝いをしたいというふうに思います。  ただ一つ、貸付金等についての金利その他の措置、こういうお話がございました。これまた舞鶴港の問題だけではございませんが、私たち先ほども触れました港湾機能施設整備事業を円滑に推進をしていくために、全国的な課題として毎年のように財政当局と議論をいたしておりますが、なかなかここのところの厚い壁が破れないでおるということで、なお引き続き努力はさせていただきたいと思いますが、そういうこととして御理解を賜りたいと思います。
  144. 西中清

    ○西中委員 予算その他の措置につきまして、特段の御配慮をいただくよう大臣にも要請をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  以上です。
  145. 山下徳夫

    山下委員長 午後三時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十分休憩      ――――◇―――――     午後三時三十五分開議
  146. 津島雄二

    ○津島委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村正雄君。
  147. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 今、議題となっております港湾整備緊急措置法の一部改正でありますが、出されておりまする法案はわずか一カ条で、法案自体について何も質問する点はございません。  ただ、この法律昭和三十六年第三十八国会で成立いたしたわけでございますが、そのときは港湾整備というものが緊急課題であり、したがって五年間という時限立法で制定されたわけでございます。ところがその後、有効期間を五年ごとに延長して、今回六回目の延長ということになっておるわけであります、これは港湾整備だけでなくして、運輸省に関しまするほかの部門についてもこのような法律はございますし、また農水、通産あるいは建設等の各省におきましても、緊急にやらなければならない措置について時限立法として制定して、そうして期限が切れると必ず延長する、こういうような法形態が各省にたくさんあるわけでございます。そのうちの一つであると思うわけでありますが、やはり港湾整備ということは、日本の国の領土から考えて、五年ごとに区切ってやるべきものでもないし、また緊急な臨時立法でやるべき措置でもないと思うわけなのです。やはりこういう問題は基本的な国土計画に基づいてやるべき性質のものだと私は考えます。したがって、時限立法の臨時措置法としての性格というものがやはり失われておる、このように考えるわけでありますが、これは一つの法体系のあり方として運輸大臣はどのようにお考えになっているか、御所見があれば伺いたいと思います。
  148. 三塚博

    三塚国務大臣 午前中に引き続いての議論の中で同様趣旨の御質問もあったわけでございますが、港湾局長からはそれなりの緊急性ということで説明がありました。率直に言いまして、ただいま中村先生の御指摘にありますように、海洋国家である我が日本港湾整備というのは、これは政治、行政のある意味でロングの課題であろう、永遠と言わないまでも、そういう課題であろうという見通しから、また現実的な視点に立って考えますれば、御指摘のとおりであろう、このように思います。  そういう中で、これを五年という計画にコンパクトにすることでより効率的な、また合理的なというのでしょうか、港湾整備計画が前に進むのではないだろうかという意味もあってこういう形になっておるのかな、こんなふうにも思われるわけでございますが、しかしながら、緊急措置というよりも、やはり恒久的な、これはきちっとやり抜いていくという意味で重要な政策であるわけでございますから、御意見を傾聴さしていただく中で、今後に機会がありますれば、また取り進めてまいりたいな、こんなふうに思います。
  149. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 昭和三十六年に成立いたしましたとき私も賛成した一人でございますが、そのときの提案の趣旨と現在とでは相当経済情勢も変わっております。しかし、現在の第六次の計画と今回の計画については、そう経済情勢変化はないと思うわけなんです。したがって、第六次の計画と今回の第七次の計画について整備考え方やあるいは思想において違う点があれば御指摘願いたいと思います。
  150. 藤野愼吾

    藤野政府委員 六次にわたる五カ年計画をそのときそのときの経済社会情勢背景にして、そうして緊急に整備事業を推進するという形でやってまいりました。さて、今お話しのように、六次と七次との間にどこが違うのか、こういうことでございますが、特に六次との絡みで七次を考えてみますと、幾つかある柱は似通ったものが立つのではなかろうかというふうに今後の作業の中で想定はいたしますが、中でも一つは、コンテナ化の進展とそれにまつわるコンテナ船の大型化というのが今後の一つのポイントではないかというふうに思っておりますことと、それから二点目は、臨海部活性化を図るという観点から、港湾の再開発なり港湾利用高度化に積極的に対応していこうというふうに思っておりますこと。それから三点目は、第六次の場合でも似たような考え方はございましたけれども、より積極的に進めたいと思いますのは、地域の振興のための基盤として港湾を役立てていかなければならないという命題は、従来以上にも増して強まっているという認識を持っておりまして、整理の仕方によりまして、言い方は若干変わるところがあるかもしれませんが、以上のようなことを、六次の計画と七次の計画との対比において、今回の計画の特徴点として申し上げさせていただきたいと思います。
  151. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 具体的な点について一つだけお聞きしたいわけですが、第六次の計画が進んでまいりましたが、その六次の計画の実施の中で、どの地域にどのような工事をやって、どのように港湾整備されたか、六次の計画の実施の内容について具体的に御説明願いたいと思います。
  152. 藤野愼吾

    藤野政府委員 第六次港湾整備五カ年計画におきましては、先ほど先生の御発言の中にありました、全国にまつわる国土計画としては、いわゆる第三次全国総合開発計画がございまして、その三全総はいわゆる定住圏構想というものを柱にいたしておりました。そういった考え方も受けて港湾整備五カ年計画を推進をしておりましたので、その柱の一つでありました定住圏構想の実現という観点から、地方港湾重点的な整備を図ってきたというふうに自覚をいたしております。  ちなみに、ちょっと数字がありますが、例えば内地の五カ年計画の進捗率よりも、北海道とか離島とか奄美、沖縄あたりの進捗率が一〇%ぐらい高いとか、あるいはまた、これは港格別に見ることはいかがかとは思いますが、特定重要港湾、重要港湾地方港湾という港湾のクラス別でそういった進捗率を見てみますと、地方港湾が一番高くて特定重要港湾が一番低い。こういうデータ等からも、今申し上げた地方港湾整備、定住圏構想の推進に努めてきた、こういうこととして述べさせていただきたいと存じます。
  153. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 今度の第七次の計画で、六次の計画が全部完了しておらなくて、七次の計画の中に六次の計画の残余分が入っておるかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  154. 藤野愼吾

    藤野政府委員 六次の五カ年計画が進捗率七五%ということで、この期間を満了することになりましたので、理論的にはと申しますか、計数の見方にもよりますが、その二五%は未了という形で七次五カ年計画に送られるということにはなりますが、いま一つ、私たちはそういう前の計画とのつながりも考えながら、そして七次計画投資規模の総体の枠の中で新しい五カ年計画としてここに発足させようというふうに考えてもおりますので、残りが全部すっと七次に入るということでは必ずしもないかもしれない、そこらあたりも含めて、今後この法律をお決めいただきました後に、内部的な議論、検討をさせていただきたいと存じます。
  155. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 もう一つ具体的な点でお伺いいたしたいのは、七次の計画で横浜港の整備ということがとかく重点的に取り扱われると言われておりますが、こういう点について現在計画されておるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  156. 藤野愼吾

    藤野政府委員 横浜港の整備ということでございましたが、御案内のように、横浜港は神戸港と並んで、またそのほか並ぶ港もあると思いますが、日本の代表的な国際貿易港であると理解をいたしております。なかんずくその代表的な国際貿易港におきまして、昨今コンテナ取扱量といいますか、コンテナ船の就航が非常に多くなっておりまして、それに対する対策はぜひ積極的に進めていかなければならぬというふうに思っております。  それから、先ほど再開発の議論のようなことをちょっと申し上げましたけれども、いわゆるMM21と称せられております横浜の港の一番奥の部分の再開発構想が非常に具体的な形で今進行いたしております。これらもやはり新しい時代に対応する横浜の町、横浜の港の対応の仕方の一つとして今後も積極的に推進されるべきものだというふうに考えております。  二点ばかり事例を申し上げまして、御説明にかえさせていただきたいと存じます。
  157. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 そうすると、この法律が通ってからいろいろと具体的に決定されると思いますが、予算も計上されておるわけでございますし、したがって、これからどのような手順でどのような方針に従ってどの港湾を選んで整備をやるかということについての手順等について、運輸省考えておられるのであれば、その点をひとつお知らせ願いたいと思います。
  158. 藤野愼吾

    藤野政府委員 まず、法律の改正をいただきました後、各港湾管理者の意見、要望などを聞き、さらに港湾審議会にも付議いたしまして御意見をちょうだいする、そしてまた関係各省庁との協議を経る、大きく分けてその三つの段階を経まして、それに見合う事務的な諸作業を我々で行いまして閣議の決定をいただく、こういう手順を予定いたしております。  過去の五カ年計画の事例等を考えてみますと、閣議決定をいただく時期は本年秋ごろかなと予想をいたしておるところでございます。
  159. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 そうしますと、実行に入る前の閣議決定というのは大体何月ころになる予定ですか。
  160. 藤野愼吾

    藤野政府委員 何月とちょっと言いにくいので恐縮でございますが、秋ごろと申し上げさせていただきたいと存じます。
  161. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 今次計画の予算その他もお伺いいたしておりますが、五カ年計画で四兆四千億と言われておりますし、またそのうち調整費が約八千億近くを計上されておりますが、これの根拠はどういう点が根拠になっておるのか、御説明願いたいと思います。
  162. 藤野愼吾

    藤野政府委員 財政当局に昨年の夏、私たち五カ年計画要求をいたしましたときには、全国的な港湾管理者の意見、意向等も体して総合計五兆三千四百億円という規模要求をいたしましたが、国の財政事情がいろいろ厳しい折から、これがトータルで今お話しのように四兆四千億ということで先般閣議了解をいただく、こういう運びとなりました。その中で、調整費七千九百億円というものをとっていただくことと相なりましたが、これは今後の社会経済の動向なり財政の事情、そしてまた事業進捗状況なりといったふうに、今後の変化に対応して弾力的に対応すべきものだという基本的な考え方から、それに見合う額の枠としてここに七千九百億円というものを用意したわけでございます。  ただ、この調整費の今後の取り扱いも含めて、今回の閣議了解をいただきます場合に、三年後には計画見直しをしようという見直し条項といいますか弾力条項と申しますか、そういったものが入っておりますので、今後その段階ではこの調整費見直し議論もあるんだというふうに理解いたしております。
  163. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 これから私の意見を交えて二、三港湾整備についてお伺いしたいと思うわけです。  御承知のように、我が国の国土の関係から港というものは千以上、千百とも千百五十とも言われておりますが、一つ港湾を造成するということは多額の国費がかかるわけなのです。また新しい港をつくるとなれば、環境の問題やその他いろいろとその地域におきまする問題もありますし、また港湾に従事いたしております各企業の過当競争等いろいろあるわけでございます。したがって、港湾整備については、現在あります港湾を最高度に利用するということで、今あります港湾整備と再開発を重点にやるべきではないか。地方自治体等からいろいろな要望もあると思いますけれども、やはり重点的には現在ある港を最高度に活用できるように整備をしていくということで、今後の港湾整備を進めたらどうかと私は考えておるわけですが、運輸省はどういうふうにお考えになっていますか。
  164. 藤野愼吾

    藤野政府委員 まず長年の間に蓄積してまいりました港湾社会資本も、また長年の間に老朽化し陳腐化してくるという側面がございまして、今御指摘のように、再開発ということは既存の港湾においては非常に重要な課題になっているという認識を持っておりまして、私たちも今後それに積極的な対応をしていこうというふうに思っております。そのことがまた、ひいては先生まさに御指摘のように、その地域活性化そのものを先導していくことになるというふうに思ってはおります。  しかしながら、一方ではまた新しい港湾を積極的につくりたいという全国的な希望も非常に根強いものがございます。余りそのとおり進んでまいりますと、総花的という言葉で御批判を受けなければならないようなこともあるいはあるかもしれないとは思いますが、そういった総花的という意味ではなくて、やはり必要な地域港湾整備はやっていかなければならないのではないかと思うものですから、そこらあたりもひっくるめて、まさに重点的な予算の配分を行い、投資の効率を上げていくという努力を今後ともやっていかなければならぬ、かように思っておるところでございます。  そういった意味では、この港湾整備の今後の課題の中には両側面があるというふうな認識を持っておるところでございます。
  165. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 御答弁はそのとおりだと思いますが、とかく公共事業というものは総花式になりやすくて、効果という点において非常に疑わしい点が出るわけでございます。したがって、今おっしゃいましたように、いろいろ地域の問題はあると思いますけれども、多額の国費を投資してつくった港ですから、それが地域活性化に役立って、その港湾自体が能力を最大限に発揮するように、重点的に港湾整備をやるべきだということを私は要望しておきます。  次に、港湾運送事業の関係でございますけれども、御承知のように、港湾運送事業の免許は港湾ごとにやっておるわけですが、そういう関係でいろいろと港湾との関係で過当競争になるし、また料金等の差等もあっていろいろと問題が起きていると思うのです。したがって、港湾の運送事業の免許というものも、港湾ごとでなくして一複数的なものとして、事業範囲を広げるような港湾免許ということは考えられないか。特に三大港と言われておりまする日本の主要な、重要な港湾等について、港湾ごとでなくして、全国的な港湾業者がやっているわけでありますから、そういう免許の制度を改めるという御意思があるかないか、あるいは検討する価値があるかないか、ひとつ運輸省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  166. 武石章

    ○武石政府委員 お答え申し上げます。  港湾運送は、海上輸送と陸上輸送の結節点におきまして、運送その他の作業を行うものでございます。したがいまして、港湾運送事業事業活動は港湾単位に行われているのが通常でございます。このために港湾運送事業法では、同事業港湾ごとの免許制とするとともに、港湾ごとの需給バランスを審査するというようなことをした上で、さらに事業者に対しまして、当該港湾ごとに一定の施設あるいは労働者の保有を義務づける、そういう規制を行っておるわけでございます。  隣接港湾における競合問題というのは、基本的には、港湾運送だけではなくて、海上輸送あるいは内陸輸送を含めた物流の発地から着地までのトータルのコストがどう違うかということで実際の貨物が動くというところに生ずる問題であろうと考えております。したがいまして、隣接港湾との競合に伴う諸問題について、港湾運送事業に関する規制の面からすべてを律するということは容易ではない、むしろ非常に困難であると考えざるを得ないと思います。しかしながら、現実に生ずる諸問題のうちに、適正な事業活動を阻害するようなものがあれば、そのような行為に対しては、港湾運送事業法の厳正な運用を行って対処してまいらなければならないということでございます。  それから、三大港湾ということでございますが、港湾運送事業活性化観点から、広域化するというのは一つの見識と考えることは私どもやぶさかではございませんが、今申し上げましたように、港湾運送事業におきましては、事業活動の適正な運営を確保するためには、どうしても需給バランスを審査するというのを港ごとにやらざるを得ないという状況がございます。港湾運送が港湾単位に現実に行われている、そういう事業活動の現状を考えますと、港湾運送における適正な運営を確保していくためには、港湾ごとに規制を行うということはやむを得ないと考えております。湾単位の免許制とすることは、規制が事実上意義を失うといいますか、そういうような意味合いも生ずるおそれがございます。制度の根幹にかかわる問題であると思うところでございます。  なお、港湾整備等の進展によりまして、隣接する港湾が一体的に機能するようになる、そういうときには、一つ港湾として位置づけることが適切となった場合には、例えば昨年尼崎西宮芦屋港というような広域化したケースもございますように、従来から港湾の統合を行ってきているところでもございます。  今後の港湾運送事業における活性化につきましては、港湾運送事業法の適正な運用というのはもちろんでございますが、大規模港湾流通センターとか荷さばき施設整備、荷役機械の整備等にいろいろと助成をする、そのほか各種の対策を講じていくということが必要ではなかろうかと考えております。     〔津島委員長代理退席、委員長着席〕
  167. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 さきの国会でしたか、その前の国会でしたか、港湾事業に関します構造改善等に関連した法律もできたわけでございますが、港湾事業におきます構造改善ということは当面の急務でありますし、またそれに従事いたしております者の雇用対策も中期的な展望に立ってやらなければならないのではないか。過当競争で非常に困っている企業もありますし、したがって、こういう面について運輸省としては事業の合併であるとか協力化、そういうことを進めていかなければ円満な港湾行政はできないと思うわけですが、これについて運輸省が中期的な展望に立った港湾事業構造改善あるいは雇用対策、そういうものについてお考えがあれば、この際お示し願いたいと思います。
  168. 武石章

    ○武石政府委員 港湾労働者の雇用あるいは生活の安定のための対策につきましては、労働省における施策のほかに、運輸省といたしましても、料金制度等を活用しまして、必要な資金を確保した上で、例えば港湾労働安定協会あるいは日本港湾福利厚生協会を通じまして労働者の年金制度あるいは生活助成金制度、転職資金制度というようなものを実施する、あるいはまた住宅の整備等の福利厚生事業を行っているところでございます。  また、はしけ運送とかいかだ運送事業を初め構造不況に陥っております在来荷役による港湾運送事業に対しましては、各種の不況対策法に基づく業種指定を行いまして、港運構造改善促進財団を通じまして構造改善のための諸施策を現実に実施してきております。運輸省といたしましては、このような施策を適切に実施するとともに、港湾労働者の雇用と生活の安定のため、それとあわせて港湾運送事業構造改善を今後とも推進していくつもりでございます。  事業の協同化、協業化につきましては、従来からも一部実施してきているところでございますが、最近、特にはしけ運送事業者の中でこれを進めたいという動きもございます。このような動向を踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。
  169. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 今の答弁の中にちょっと出ましたが、特に常用の港湾労働者に対する登録制を考えたらどうかと思うわけですが、運輸省でも労働省でも結構でございますから、お考えになっておれは御答弁をいただきたいと思います。
  170. 加藤輝雄

    加藤説明員 港湾におきます労働力の需給調整を円滑に行うなどのために、常用港湾労働者を使用する事業主におかれましては、公共職業安定所長に届け出を行うこと、それから届け出を受けた公共職業安定所長は、事業主に対して労働者に対する常用港湾労働者証を交付するという仕組みになっておるわけでございます。  また、日雇い港湾労働者については、現在登録制度が設けられておるわけでございますが、これは日雇い港湾労働者の特殊な状況を考慮して設けられておるものでございますので、これを常用港湾労働者に拡大することは極めて困難な状況にあるかと存じております。  したがいまして、労働省といたしましては、港湾雇用調整計画の策定あるいは常用港湾労働者の使用の届け出、常用港湾労働者証の交付といったものを適正に行いますとともに、事業主に対する指導を行うことによりまして、常用港湾労働者の雇用の安定に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  171. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 私の質問はこれで終わります。
  172. 山下徳夫

    山下委員長 辻第一君。
  173. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案関連して質問いたします。  昭和六十一年度を初年度とする第七次港湾整備五カ年計画は、去る二月の閣議決定において総額四兆四千億ということになっておるように聞いております。この第七次港湾整備計画の目標あるいは重点事項を簡明にお答えいただきたい。
  174. 藤野愼吾

    藤野政府委員 六十一年度を初年度といたします五カ年計画は、目標ないしは政策の柱として数点持っております。  まず、昨今コンテナ船の大型化が顕著に進んでおります。そしてその中で、国際貿易、国内貿易もそうなんでありますが、コンテナリゼーションが非常に著しく進展いたしました。それへの対応というのが一つございます。二点目は、我が国は海外に多くの資源を依存しておる国であります。そういう意味で、資源エネルギーの安定的な供給の確保を図っていくということ。三点目は、臨海部活性化を図るという観点から、港湾利用高度化とか再開発を進めていかなければならぬ。四点目は、地域振興のための基盤として港湾位置づけ、そしてそれを核として地域振興を図っていくということを意図していきたいと思っております。そのほか、環境の保全あるいは船舶航行の安全性の確保といったことにも意を注いでいきたいと思っております。  以上のようなことを新しい五カ年計画の柱として、今後、計画作業を進め、計画を実施していきたいと考えます。
  175. 辻第一

    ○辻(第)委員 今、一番目のコンテナ船の大型化ということは、結局そのことは複合一貫輸送の進展など高度化する物流に対応した港湾づくりということではないかと思うわけであります。そのような近代化された港湾、それ自身は一面では時代変化であるというようなことでありますが、従来型の港湾と当然大きく変わってくる。そのことは同時に、現在の港湾関連しております港湾運送事業にも非常に大きな影響を及ぼしているということだと思います。  私も、二年前だったと思うのですが、港湾運送事業法の改定に際しまして、港湾運送事業のいろいろ大変な状況について質問したわけであります。殊に港湾運送事業の中小の業者は大変な不況、過当競争の中で、料金の秩序が乱れる、はっきり言えばダンピングという状況の中で経営に大変苦しまれておるということ、また港湾労働者の労働条件がそういう状況の中で悪化している、また労働災害が大変ふえて死亡事故もふえた、こういう問題で質問させていただきました。同じような状況が今なお続いているというのが実態ではないかと考えるわけであります。  そこで、端的にお尋ねしたいと思うのですが、横浜ではしけの港湾労働者が昨年一年間で五名の方が海にはまって亡くなるということがありました。これは大変なことなんです。横浜を中心にはしけに関連するのが大体千隻あるのです。そのうちいわゆる引き船が、はしけにエンジンをつけておりますと、これははしけでなくなる、いわゆる船舶に入るそうですが、それが三百隻、それからはしけが七百隻。そのはしけの七百隻に一隻に一人の労働者ということになりますと大体七百名。その中で、元請の業者の労働者は労働組合に入っている方が多くて大体二百名、労働組合に入っていない人が五百名、これは大体下請の業者だそうであります。先ほど申しました、亡くなった五名というのは、下請の労働者で労働組合に入っていない労働者だそうであります。こういうふうに見てまいりますと、五百人の労働者のうちの五人、百人に一人が海にはまって死亡する、本当にこれは大変なことだと思うのですね。こういうことが去年一年間の実態だということであります。  そこで、労働省と運輸省にお尋ねをするわけでありますが、まず先に労働省にお尋ねをいたします。このような実態をどのように認識をしておられるのか、またこのうちでいわゆる労働災害死ということになられた方はどれくらいおられるのか、まずその点お尋ねいたします。
  176. 長谷川正

    ○長谷川説明員 労働省からお答えいたします。  今、先生質問の死亡者でございますが、横浜港で昨年起こりました死亡者については、はしけの作業で労働者の死亡災害が五件ということでございまして、うち二件が水死によるものでございました。  この二件の水死の災害の概要でございます。一件は六十年四月二十四日に起こっておりますが、埠頭のはしけだまりのはしけ上において荷積み作業中に海中に転落したものと、それからもう一件は六十年十一月二十八日でございますが、はしけ上において埠頭接岸中の貨物船から荷積み作業の終了後、風が強いため海岸に避難中海中に転落しておぼれた。あとははしけ作業ではございません。そういうふうに把握しております。
  177. 辻第一

    ○辻(第)委員 私の聞いておるところではとにかくはしけの労働者がはしけから海に転落をして、これは仕事外のときもあるようでありますが、五名というのが私どもの調査の結果であります。  先ほども申しましたけれども、百人に一人という方がはしけから転落をされて亡くなるということは、本当に大変な事態だと思うのですね。労働省としては、労働災害であるかないかにかかわらず、そこのところで労働者がそういう状況で亡くなっておるということも含めまして、法律の範囲を越えるか越えないかというところもあると思うのですが、しかしこれは放置できない問題だと思うのですね。ぜひ十分な対応をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  178. 長谷川正

    ○長谷川説明員 港湾荷役の関係の災害の防止ということにつきましては、かねてから我々の方も重点業種ということで対応いたしております。特に、五十八年からただいま実施中でございますが、第六次労働災害防止計画という中でも重点業種として取り上げまして、荷役作業における作業間の連絡調整の徹底ですとか、荷役機械等の点検整備の励行というような各種の対策を講じておるところでございます。はしけ労働者の労働災害についても、個々の事業場への監督指導、安全パトロール等を通じて対処してきておるところでございます。
  179. 辻第一

    ○辻(第)委員 いろいろと御努力はしていただいている、重点の問題として御努力をいただいておるのはわかるのですが、実態としては、やはり昨年そういうことがあったわけですね。また一度調査もしていただいて、これまで以上にもっといろいろな対応をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  180. 長谷川正

    ○長谷川説明員 先生おっしゃるとおり、我々も、災防関係の協会もございますし、今申し上げましたように、中身的にもいろいろ分析いたしました上、特に夏などは毎年パトロールなどをいたすことをやっておりますし、そういう意味で、今後とも災害防止には万全を期していきたいと思っております。なお、関係の省庁とも十分連絡をとった上に実施をしていきたい、こういうふうに考えております。
  181. 辻第一

    ○辻(第)委員 一般的なお役所の答弁ではなしに、いろいろとお忙しいのはわかりますけれども、これはもう放置できない問題だと思いますので、労働条件の問題あるいは危険な作業の現場の問題、そういういろいろなことも含めて、いろいろな点でより積極的な対応をとっていただきたいということを強く要望をいたします。  次に一運輸省にお尋ねをしたいわけでありますが、労働省には具体的に言わなんだですが、はしけが大型化しておるというのですね。これまでは大体百五十トンくらいが中心だったそうですが、今は四百トンが中心になり、さらに七百トンくらいというようなこと、その七百トンのはしけを一人の方が動かす、作業をされる、こういうことになるわけですね。それから平均年齢が非常に高齢化してまいりまして、五十五歳くらいが平均ではないか、そういう話も聞くのですね。  それから、先ほどちょっと触れましたけれども、下請のはしけ業者というのが料金のダンピングの問題などで非常に経営困難、そういう状況でありますから、そこの労働者に対する労働条件、賃金が非常によくない、そういう背景があるんですね。そういう背景があって、そして先ほど申しました労働組合に加盟している元請業者のところで仕事をしている人はかなり賃金が高い。だけれども、下請で未組織の労働者のところというのはうんと格差があるというような話であります。  そういうもろもろの条件の中で港湾労働者が仕事に張りを失っているというのですか、そういう状況の中で、不注意というようなことも含まれているかもわかりませんけれども、こういう事態も起こっているというふうに考えるわけであります。  それで、労働条件の問題なども労働省ひとつ十分やっていただきたいと思うのですが、運輸省、この根底にやはり料金秩序の混乱、ダンピングの問題があると思うのですね。そういう状況の中で、殊に下請のはしけ業者あるいは下請の業者の方が大変厳しい状況でありますから、労働者に払う賃金も厳しい、労働条件も厳しい、こういうことになってくるんですね。こういうふうに考えてまいりますと、やはり大きく根底にあるのは料金のダンピング問題ですね。これが非常に大きな問題だと思うのです。これについて運輸省はどのように対応をされているのか、お答えをいただきたいと思います。
  182. 武石章

    ○武石政府委員 お答えいたします。  労働省の五十九年の統計によりますと、「屋外労働者職種別賃金調査報告」という統計でございますが、はしけ労働者の賃金格差といいますのは、従業者三百人以上の企業を一〇〇とした場合に、百ないし二百九十九人の企業では九三、十ないし九十九人の企業では七三となっております。また年齢別に見ますと、二十五歳ないし二十九歳を一〇〇とする場合、四十歳ないし四十四歳では一五五、その程度がピークになっておるようでございます。一方、はしけ労働者の平均賃金水準というのは、同じく労働省の統計によりますと、港湾労働者の平均賃金一万四千二百九十円より三%ほど高い一万四千七百円となっております。はしけ労働者の賃金水準をどう見るかというのは、以上のとおり、他の港湾労働者とも比べてみなければなりませんが、必ずしも一概に特に低いというものではないというふうに考えております。  ただ、このような賃金格差が生ずる背景には、やはり料金の不完全収受というような問題もあろうかと思います。基本的にははしけそのものが荷役の合理化に伴いまして稼働実績が上がらないというのが大きな原因ではなかろうかと思います。企業間での稼働のばらつきというのも、そういうものに原因するのではないかと思うわけでございます。  今後こういう問題につきまして、特に認可料金の場合には、荷主に対しての著しいダンピング、不払い料金につきましてはかなり低位のものがあるという状況が全くないわけではございませんが、私どもは、港湾運送事業を監督する上で、常時いろいろと定期的な監査もしておりますし、抜き打ち監査をやるというようなこともやっております。あるいは監査の結果、違反の明らかな者に対しては、厳重な警告を発するというような処分をしてまいっております。さらに、それらの者に対しては追跡監査というようなことで是正を求めているという状況でございます。この問題は荷主との関連ということが非常に大きな問題でございますので、私どもとしましても、業界を指導いたしまして、できるだけ適正な運賃を収受するようにと指導いたしておるところでございます。
  183. 辻第一

    ○辻(第)委員 私ははしけの労働者が亡くなった問題でお尋ねをしたわけでありますが、結局今の港湾が近代化をされる反面、従来型の港湾運送事業がまだ残るわけでありますから、そこのところの業者の問題、労働者の問題、雇用あるいは生活の安定、さらにはこのような本当にかけがえのない命が失われるという事態まで起こっているわけであります。そういう点で運輸省としてももっと積極的な対応をぜひやっていただきたい、このように考えるわけでありますが、運輸大臣、ひとつ……。
  184. 武石章

    ○武石政府委員 港湾運送事業における労働者の生活の安定とか雇用の確保、そのための事業者に対するいろいろな助成制度というものを私ども各種準備しておりまして、例えば特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法、それによるはしけ輸送業者の雇用安定対策の問題、あるいは雇用保険法に基づきまして行っておりますいかだ運送業の雇用の安定、あるいは事業転換対策というものを進めておるところでございます。  このようにしまして、一方で私どもの法律上の措置をやると同時に、各種団体を通じまして労働者の福祉対策を実施しております。例えば港湾福利分担金、これは関係の事業者その他からの拠出金を取りまして、各種の港湾関係の公益団体によりまして労働者の雇用安定あるいは生活の助成のための各種の対策を実施している、こういうところでございます。
  185. 辻第一

    ○辻(第)委員 事態は重大な問題でありますので、本当に積極的な対応をしていただきたい、重ねて要望して、次の問題に移ります。  いよいよ時間がなくなってきたのですが、沖合人工島についてお伺いいたします。  運輸省は沖合人工島構想をお持ちですね。それから通産省もマリーン・コミュニティー・ポリス構想を持っておられるようでありますが、運輸省の沖合人工島のプランについて、その構想の地域一つに三浦半島の金田湾というのがございます。ここに沖合人工島をつくろうというような構想があると聞いているのです。そしてたしか海事新聞に、一年前だったと思うのですが、運輸省調査が終わった、このような報道があったようであります。この金田湾の人工島の構想が運輸省の中にあるのかどうか、調査をされたのかどうか、もしその構想の中に入っているとすれば、どのような構想なのか、お尋ねをいたします。
  186. 藤野愼吾

    藤野政府委員 私たちは沖合人工島の構想につきまして、過去五、六年間勉強ないしは調査検討をいろいろとやっております。それは、一つ日本国土を広げるという意味合いを持っていると思いますし、また言い方を変えて、私たちの人類の生息する空間を新たに創造するという意味合いを持っているんだと思っておりますが、そういった意味から、二の沖合人工島の多様な利用の可能性について、幾つかのケーススタディーをやってまいりました。  その中で、今先生お話しの三浦半島の金田湾につきましても、そのようなケーススタディーを一つやっております。この構想は、三浦半島地域の発展を図るという観点、そしてまた今後の首都圏におきますいろいろな需要に対応していく新たな受け皿となると思っておりますが、具体的には流通とか研究、それからレクリエーション、漁業といったふうな利用の仕方が当面考え得ると思っております。今年度は、私たちはこれにつきましても、フィージビリティースタディーをやってみたい、かようなことを考えております。
  187. 辻第一

    ○辻(第)委員 私どもは、そのような沖合人工島というような問題については、環境破壊の問題その他いろいろと問題点がある、金田湾の問題についてもいろいろと問題点があるということを指摘して、この質問を終わりたいと思います。  最後に、我が党は、本法案が大企業本位の港湾づくりであるという点、あるいは地方港湾でありますとか離島港湾が軽視をされている、こういう問題も含めまして反対をする立場であることを表明して、質問を終わります。
  188. 山下徳夫

    山下委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  189. 山下徳夫

    山下委員長 これより討論に入るのでありますが、理事会の協議により行わない。ことになりましたので、さよう御了承願い、直ちに採決に入ります。  内閣提出港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  190. 山下徳夫

    山下委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。三塚運輸大臣
  191. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案につきまして、慎重審議の結果、御可決をいただき、まことにありがとうございました。また、審議の過程において御指摘のありました諸点につきましては、その趣旨を十分に尊重し、努力してまいる所存であります。どうもありがとうございます。
  192. 山下徳夫

    山下委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 山下徳夫

    山下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  194. 山下徳夫

    山下委員長 次に、内閣提出日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善のために昭和六十一年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。三塚運輸大臣。     ―――――――――――――  日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善のた   めに昭和六十一年度において緊急に講ずべき   特別措置に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  195. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま議題となりました日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善のために昭和六十一年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  国鉄の経営は、昭和五十九年度末において繰越欠損金が十二兆円を超えたほか長期債務残高も二十一兆八千億円に達するなどまさに危機的状況にあります。  このため、政府におきましては、昨年七月に提出された日本国有鉄道再建監理委員会の意見を最大限に尊重し、昭和六十二年四月一日から新経営形態へ移行することにより国鉄の経営する事業の抜本的改革を図ることとしているところでありますが、これと並行して、日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法第三条の規定に基づき、国鉄の経営する事業の運営の改善のために緊急に講ずる必要があると認められる事項について所要の措置を講じ、国鉄の経営する事業の適切かつ健全な運営を実現するための体制整備に資するよう努めているところであります。  本法律案は、昭和六十一年度において、このような緊急に講ずべき措置として、国鉄の長期債務に係る負担の軽減及び職員の退職の促進を図るための特別措置を定めることとしたものであります。  次に、この法律案の概要について御説明を申し上げます。  第一に、国鉄の長期債務に係る負担の軽減を図るため、政府は、資金運用部が国鉄に貸し付けている資金に係る債務のうち、既に棚上げ措置を講じている特定債務五兆円余を一般会計に承継させることとし、一般会計は同額の資金を国鉄に対し無利子で貸し付けたものとすることとしております。また、現在一般会計が国鉄に貸し付けている一定の無利子貸付金に係る債務の償還期限等の延長についても必要な措置を講ずることとしております。  第二に、国鉄の職員が著しく過剰である状態を緊急に解消するため、国鉄の行う退職希望職員の募集に応じて退職を申し出、認定を受けた職員が昭和六十一年度中に退職したときは、その者に対し俸給、扶養手当及び調整手当の合計額の十カ月分の額に相当する特別給付金を支給するなど所要の措置を講ずることといたしております。  以上がこの法律案を提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  196. 山下徳夫

    山下委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。      ――――◇―――――
  197. 山下徳夫

    山下委員長 この際、連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。  まず、商工委員会において審査中の内閣提出、民間事業者の能力の活用による特定施設整備の促進に関する臨時措置法案について、商工委員会に対し連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  198. 山下徳夫

    山下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、建設委員会において審査中の内閣提出東京湾横断道路の建設に関する特別措置法案について、建設委員会に対し連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  199. 山下徳夫

    山下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、両連合審査会の開会日時等につきましては、それぞれ委員長間で協議の上決定いたしますので、御了承願いたいと存じます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十四分散会      ――――◇―――――