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1985-11-27 第103回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十七日(水曜日)    午前十時四分開会     ―――――――――――――    委員異動 十月二十八日     辞任         補欠選任      本岡 昭次君     村沢  牧君 十月三十一日     辞任         補欠選任      佐藤 昭夫君     上田耕一郎君 十一月一日     辞任         補欠選任      石井 道子君     宮澤  弘君      杉元 恒雄君    大河原太一郎君      上田耕一郎君     佐藤 昭夫君 十一月二日     辞任         補欠選任     大河原太一郎君     杉元 恒雄君      宮澤  弘君     岩本 政光君      村沢  牧君     本岡 昭次君 十一月五日     辞任         補欠選任      本岡 昭次君     安恒 良一君      井上  計君     柄谷 道一君 十一月六日     辞任         補欠選任      岩本 政光君     石井 道子君      菅野 久光君     村沢  牧君      安恒 良一君     本岡 昭次君      三治 重信君     井上  計君 十一月七日     辞任         補欠選任      村沢  牧君     菅野 久光君      柄谷 道一君     三治 重信君 十一月十二日     辞任         補欠選任      下村  泰君     喜屋武眞榮君 十一月二十六日     辞任         補欠選任      石井 道子君     藤田 正明君      斎藤栄三郎君     岩動 道行君 十一月二十七日     辞任         補欠選任      藤田 正明君     石井 道子君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         丸谷 金保君     理 事                 倉田 寛之君                 出口 廣光君                 林  ゆう君                 松尾 官平君                 服部 信吾君     委 員                 岩動 道行君                 石井 道子君                 後藤 正夫君                 杉元 恒雄君                 曽根田郁夫君                 仲川 幸男君                 夏目 忠雄君                 原 文兵衛君                 星  長治君                 矢野俊比古君                 梶原 敬義君                 菅野 久光君                 本岡 昭次君                 刈田 貞子君                 佐藤 昭夫君                 安武 洋子君                 井上  計君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        建 設 大 臣  木部 佳昭君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (国土庁長官)  河本嘉久蔵君         ―――――        会計検査院長   大久保 孟君        検  査  官  中村  清君         ―――――    政府委員        北海道開発庁総        務監理官     西原  巧君        防衛庁防衛局長  西廣 整輝君        科学技術庁長官        官房審議官    川崎 雅弘君        国土庁長官官房        長        吉居 時哉君        国土庁計画・調        整局長      星野 進保君        国土庁土地局長  末吉 興一君        国土庁大都市圏        整備局長     山本 重三君        国土庁防災局長  杉岡  浩君        文部省学術国際        局長       植木  浩君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        逢坂 国一君        気象庁長官    内田 英治君        建設大臣官房長  高橋  進君        建設大臣官房総        務審議官     佐藤 和男君        建設省建設経済        局長       清水 達雄君        建設省都市局長  牧野  徹君        建設省河川局長  井上 章平君        建設省道路局長  萩原  浩君        建設省住宅局長  渡辺  尚君    事務局側        常任委員会専門        員        小島 和夫君    説明員        警察庁刑事局捜        査第二課長    国松 孝次君        警察庁交通局交        通企画課長    越智 俊典君        環境庁自然保護        局計画課長    加治  隆君        沖縄開発庁振興        局振興総務課長  山本  晃君        外務省経済局国        際機関第二課長  美根 慶樹君        外務省経済協力        局審議官     太田  博君        大蔵省理財局国        有財産第一課長  川嶋  烈君        大蔵省理財局国        有財産審査課長  藤村 英樹君        文部省体育局学        校保健課長    下宮  進君        厚生省生活衛生        局水道環境部水        道整備課長    小林 康彦君        通商産業省立地        公害局工業用水        課長       合田宏四郎君        通商産業省機械        情報産業局自動        車課長      黒田 直樹君        運輸省地域交通        局陸上技術安全        部自動車審査課        長        堀込 徳年君        建設大臣官房官        庁営繕部長    川上  格君        会計検査院事務        総局第三局長   小川 一哉君        会計検査院事務        総局第五局長   秋本 勝彦君    参考人        住宅金融公庫総        裁        河野 正三君        北海道東北開発        公庫総裁     吉岡 孝行君        日本道路公団総        裁        高橋国一郎君        住宅都市整備        公団総裁     丸山 良仁君        住宅都市整備        公団理事     倉茂 周明君        住宅都市整備        公団理事     京須  實君        住宅都市整備        公団理事     台   健君        東京大学名誉教        授        竹内  均君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件国家財政経理及び国有財産管理に関する調  査  (派遣委員報告) ○参考人出席要求に関する件 ○昭和五十八年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十八年度特別会計歳入歳出決算昭和五十八年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十八  年度政府関係機関決算書(第百二回国会内閣提  出)(継続案件) ○昭和五十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第百二回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十八年度保国有財産無償貸付状況計算  書(第百二回国会内閣提出)(継続案件)     ―――――――――――――
  2. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一月十二日、下村泰君が委員辞任され、その補欠として喜屋武眞榮君が選任されました。  また、昨二十六日、斎藤栄三郎君が委員辞任され、その補欠として岩動道行君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) この際、会計検査院長大久保孟君及び検査官中村清君からそれぞれ発言を求められておりますので、これを許します。  会計検査院長大久保孟君。
  4. 大久保孟

    会計検査院長大久保孟君) 去る十月二十五日付をもちまして会計検査院長を命ぜられました大久保でございます。  微力ではございますが、誠心誠意努力し、その職責を全ういたしたいと存じております。何とぞ御指導、御鞭撻のほど切にお願い申し上げます。
  5. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 次に、検査官中村清君。
  6. 中村清

    検査官中村清君) 去る十月二十四日検査官を拝命いたしました中村でございます。  微力ではございますが、全力を尽くして職務を全ういたしたい所存でございますので、何とぞ御指導、御鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。     ―――――――――――――
  7. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 国家財政経理及び国有財産管理に関する調査議題とし、派遣委員報告を聴取いたします。  まず、第一班の御報告を願います。林君。
  8. 林ゆう

    林ゆう君 本委員会委員派遣第一班につきまして、御報告を申し上げます。  今回の委員派遣の第一班は、丸谷委員長倉田、目黒の各理事安武委員、それと私、林の五名で、九月二十六日から二十八日までの三日間、国家財政経理及び国有財産管理に関する実情等調査するため北海道へ参りました。  調査日程を申し上げますと、九月二十六日は、千歳飛行場から札幌に向かう途中にあります北海道農業試験場を視察し、北海道という寒地における農業発展のための試験研究の実態を見てまいりました。その後、札幌中心街石狩会館におきまして、北海道財務局札幌国税局北海道開発局及び北海道庁から北海道財政状況等について、それぞれの所管事項について説明を聴取いたしました。  北海道産業経済動向につきましては、第一次産業ウエートが高く、地域間の格差が顕著であり、なお厳しい環境に置かれております。札幌国税局管内におきましては、前年度に比べ〇・八%の租税収納減となっており、道内の景気回復のおくれが見られました。また、いわゆる大規模法人が少なく、その結果法人税に比べ他の税の割合が高くなっております。これも北海道特異性として挙げられます。  次に、北海道総合開発計画進捗状況でありますが、経済事情の変化により、昭和六十二年度の最終年次に目標を達成することは困難な状況であります。  青函トンネルの問題につきましては、道庁を初めその有効利用につき具体的な検討に迫られております。  第二日目は、帯広陸上自衛隊第五師団に参りました。  寒冷かつ広大な地域警備地区として担当し、日夜厳しい訓練に励んでおります。しかし、隊員の宿舎などには古いものや設備の十分でないものが目につきました。  帯広自衛隊の視察を終えて、同市郊外の音更町にあります北海道農協乳業株式会社に参りました。同社は生乳の需給の調整のための乳製品生産事業に対し、畜産振興事業団から九億円の出資を受けておりますが、コンピューターやロボットなどの導入による自動化省力化などが目立ちました。  最後十勝平野のほぼ中央に位置する池田町を訪ねました。ほとんどの家庭公共施設に町営の有線放送テレビが放映され地域連帯感を強め、大規模草地育成牧場やぶどう・ぶどう酒研究所の設置など積極的に各種の事業に取り組んでいる実情を見てまいりました。  最後になりましたが、今回の委員派遣に当たりまして関係機関大変お世話になりましたことを申し添え、お礼を申し上げたいと思います。  以上で口頭報告を終わりますが、委員長に別途派遣報告書を提出してありますので、本日の会議録に掲載させていただけるよう、委員長においてお取り計らいをお願い申し上げます。
  9. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 次に、第二班の御報告を願います。松尾君。
  10. 松尾官平

    松尾官平君 本委員会委員派遣第二班につきまして御報告を申し上げます。  今回の委員派遣第二班は、出口理事梶原、田代、井上の各委員、それと私、松尾の五名で、十月二日から四日までの三日間、国家財政経理及び国有財産管理に関する実情等調査するため、鳥取県及び島根県に参りました。  調査日程を申し上げますと、十月二日は、第八管区海上保安本部に所属する環海上保安部において、まず、管内概況説明を聴取いたしました。そのうち、特に韓国漁船領海内不法操業取り締まり行動不審船、密航、密輸船に対する警戒竹島周辺警戒海上における法令違反取り締まりに重点を置いて業務を行っておりました。その後、巡視船「おき」に乗船し、海上からこれらの業務をつぶさに視察し、隠岐島後にある西郷海上保安署に参り、署内の概況説明を聴取いたしました。主な業務は環海上保安部と同様でありますが、隠岐諸島の冬季における北西の風による海難救助、あるいはその防止指導を強力に実施しているとのことでありました。  第二日目は、隠岐島後の島内を視察した後、出雲市に渡り、まず地場産業として名高い出雲和紙を視察いたしました。出雲和紙は、国の重要無形文化財雁皮紙製作技術保持者として認定された安部榮四郎氏の手になるもので、国内はもとより海外でも、その芸術性に高い評価を得ているとのことでありました。  次に島根県庁に参り、県勢全般について説明を聴取いたしました。同県の経済は、比較的堅調に推移しておりますが、依然として全国平均に比して第一次産業ウエートが高く、第三次産業が低くなっております。また同県は典型的な過疎県でありますが、長年の努力によりその減少傾向はおさまったものの、年齢構成が著しく高齢化し、これへの対応が大きな課題となりつつあります。  県政の当面する課題は、交通条件整備や災害に強い県土づくり等であります。  第三日目は、中国電力島根原子力発電所に参りました。この原子力発電所中国電力唯一のものであり、四十九年三月営業開始した出力四十六万キロワットを有するもので、六十四年二月には、二号機が営業開始の予定であり、目下、本工事が順調に進捗いたしておりました。  次に、日立金属安来工場に参りました。安来工場のある出雲地方は、鉄鋼文化発祥の地でもあり、当地方に産する不純物の極めて少ない砂鉄を原料として、安来鋼と言われる高級特殊鋼を製造し、工具、刃物、機械、部品など、家庭用から土木、先端技術、航空機、原子力に至るまで幅広い分野で利用され、国内はもとより海外でも高い評価を得ております。  次いで、日米貿易摩擦の焦点にもなっております合板産業湖北ベニア株式会社を視察いたしました。合板関税引き下げによる影響の深刻さをじかに肌で感じてまいったわけであります。  さらに、伝統工芸出雲石灯籠勝部石材店を視察いたしました。当宍道町に古く産する来待石を材料とし、コケがつきやすく、耐火性が強く、比較的安価な点を特徴として、欧米諸国にも輸出し、島根県の代表的な移出品一つとなっております。  最後になりましたが、今回の委員派遣に当たりまして関係機関大変お世話になりましたことを申し添え、お礼を申し上げたいと存じます。  以上で口頭報告を終わりますが、委員長に別途、派遣報告書を提出してありますので、本日の会議録に掲載させていただけるように、委員長においてお取り計らいをお願い申し上げます。
  11. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) これをもって派遣委員報告は終了いたしました。  なお、ただいま各班から御要望のございました詳細にわたる報告書につきましては、これを本日の会議録末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  13. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十八年度決算外二件の審査のため、本日の委員会参考人として東京大学名誉教授竹内均君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  15. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 昭和五十八年度決算外二件を議題といたします。  本日は、建設省北海道開発庁国土庁住宅金融公庫及び北海道東北開発公庫決算について審査を行います。     ―――――――――――――
  16. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  18. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  19. 本岡昭次

    本岡昭次君 まず最初に、通産省の本庁舎建設工事積算ミスの問題について建設省に伺います。  十一月十九日付の各新聞紙上に、この工事建設省積算ミスがあり、これを会計検査院指摘したというふうに出ているのでありますが、その内容新聞から読み取りますと、「ミスがあったのは中央監視設備自動制御設備などで約一億六百万円の工事費積算担当者設備費の一部を二重に計算してしまい、その額を受けて業者が相応の工事を行った。一方、別の工事で約二千九百万円の過少見積もりをしていることもわかり、差し引き七千七百万円の払い過ぎがあることが分かった。」、こういう報道であります。全体の工事がこの新聞報道によると約十億五千万円という金額で、百億も千億もの工事の中の一億円のミスであればそういう手違いもあることは、いけないと思うけれども、まあまあそういうこともあるかなと思いますが、十億の工事の中の一億、一割が積算ミスとなれば、ちょっとミスというふうに我々も考えることができないし、新聞がこういう形で報道するのも無理なかろうと思います。  そこで、会計検査院指摘したとあるんですが、会計検査院、この事実関係を明らかにしてください。
  20. 小川一哉

    説明員小川一哉君) お答えいたします。  ただいま先生が御指摘なさいましたような経緯で、新聞報道のようなことを建設省に対して質問を発しております。
  21. 本岡昭次

    本岡昭次君 質問を発しておりますということは、私が読み上げました新聞報道について、会計検査院も事実としてそのことは確認をしているというふうにとっていいのですか。
  22. 小川一哉

    説明員小川一哉君) 指摘内容につきましては、大体新聞報道されたとおりの質問を発しておりまして、その処理につきましては、ただいま会計検査院の部内で検討中でございます。
  23. 本岡昭次

    本岡昭次君 大変言いにくそうでありますが、その質問を発したという中身新聞報道のような中身であるということですので、事実上会計検査院質問した中身新聞報道に出ているというふうに判断できます。  この件は、勘ぐりたくないんですが、何かこういろんな問題が推察されるんですが、こんなうわさも流れています。いずれ建設省から天下りするための持参金を初めのうちに渡しておいたんではないか。私はとんでもないうわさだ、こう思いますが、こういうことも言われかねない中身であり、そう疑われても仕方がないようなまことにお粗末きわまる、ミスではないかと思うんです。  それで、なぜこのような単純な簡単なミスが事前にチェックできなかったのか、チェック体制は一体どうなっているのかということをひとつ建設省の方から説明を伺わないとどうも納得できないんですが、いかがですか。
  24. 川上格

    説明員川上格君) お答えいたします。  チェック体制でございますが、これは担当者が作成しました積算内容を、段階を経まして上級職員がチェックするシステムをとっているわけでございます。しかしながら、本件工事でございますが、規模が非常に大きいものでございます。さらに省エネルギーシステム、これはソーラーシステムであるとか、それから空気調和設備の集中管理システム等複雑で高度の内容を持つものでありまして、ふなれな面がございました。また、本件工事発注時は積算業務が非常に集中しておりまして、十分に注意が行き届かなかったためミスを防ぎ切れなかったものと考えております。今後、積算体制の全面的な見直しのほか、職員の教育、訓練の充実を図る等の措置を講じ、二度とこのようなことが生じないよう努める所存でございます。
  25. 本岡昭次

    本岡昭次君 事実を認めた上での今の答弁であると見ますが、新聞にはこういう報道もあります。「建設省は同日、高砂熱学に対し七千七百万円の返還要求同社もこれに同意した。」というんです。この事実関係建設省の方で明らかにしていただきたいと思います。
  26. 川上格

    説明員川上格君) 御指摘の割高となりました工事費相当額につきましては、請負業者事情説明の上返納方につきまして協議行い承諾を得ているところでございます。
  27. 本岡昭次

    本岡昭次君 もう一度聞きますが、そうすると私は先ほど新聞報道中身の問題について会計検査院指摘しましたが、建設省としても私が新聞報道にこうあるがということを読み上げたそのことは、そのとおりであるという事実を認めた上の発言なんですか、どうですか。
  28. 川上格

    説明員川上格君) 会計検査院の御指摘に基づきまして、建設省といたしましては内容精査いたしたわけでございます。そういったことで、先ほど先生から御指摘のありました七千七百万という数字が建設省の方から精査の上出てまいりました。
  29. 本岡昭次

    本岡昭次君 その中身は、一億六百万円が二重計算によるミスであり、二千九百万円が過小計算をしていた、そして差し引き七千七百万、こういうことですか。
  30. 川上格

    説明員川上格君) 御指摘工事自動制御設備でございまして、その内容機器類盤類、それと計装工事ということになっております。計装工事積算する際、その機器類盤類の数値を誤ってそこに積算をしたということで二重計算をしたものでございまして、そのほかに過小積算がございまして、建設省の方の精査の結果は、先ほど先生のおっしゃいました七千七百万の過大積算ということになっております。
  31. 本岡昭次

    本岡昭次君 法律上の契約であると思います。そのときに発注側ミスがあったからといって、ミスを理由に業者返還を強制はしてないと思うんですが、当然であるかのようにそれを求めるというふうなことは契約の問題としてできるんですか。
  32. 川上格

    説明員川上格君) 請負業者の方に事情を十分御説明いたしまして協議をさしていただいたわけでございまして、その結果その返納方につきまして承諾を得たということでございます。
  33. 本岡昭次

    本岡昭次君 こうした契約上の、ミスが生じたのは随意契約でやられていたということ、もう一つの問題ではないかと思います。もちろん随意契約はこれは会計法上も適法でありますから、そのこと自体を問題にできませんが、本来競争入札で行われていたらこのようなことがあったのかどうかという点をひとつ私は考えるんであります。したがって、適法であったとしても随意契約によるやはり甘さというものがこういう単純なミスまでも犯すに至ったと考えるときに、この契約方法の問題についてやはり競争入札という本来の方法をとっていけばこういうことがなかったんではないかと思うんですが、その点はいかがですか。
  34. 川上格

    説明員川上格君) 本来指名競争入札というのが一般でございますが、この工事は継続工事でございまして、当時施工中の第三回空気調和設備工事に直接関連しまして、完成後は一体として機能する空気調和設備工事でございます。このため施工者が前回の工事と異なる場合には瑕疵担保責任の範囲が不明確となります。また、仮設費、諸経費等が割高となりますので、国にとって不利と認められるわけでございます。したがいまして、指名競争等によることなく施工中の契約者と随意契約をしたものでございます。
  35. 本岡昭次

    本岡昭次君 業者の方は返還するということを約束したようでありますが、その話し合いの中にどういうことがあったのか私は立ち入るすべもありません。しかし、危惧することは、一たん返還をさせておいていずれまた別の工事でその分は穴埋めするとか、いろんなことでこれからまた建設省ミス業者との間にくされ縁みたいなものができていくということになれば余り好ましい事態でないと思いますが、そうしたことは絶対ありませんか。
  36. 川上格

    説明員川上格君) 官庁営繕工事の予算の執行につきましては、かねがね十分厳正な執行ということを心がけてまいっておりまして、いやしくもそのようなことはございません。
  37. 本岡昭次

    本岡昭次君 厳正な執行の中で起きたミスですから、余りそんな大きな顔をして言えることではないと私は思うんですよ。  会計検査院に聞きますが、これ気がつかなければ国費の損失を来していたわけですね、七千七百万円ですか、あるいはまた一億六百万円ですか。こういうふうに国費の損失が生じた場合、これはどのように処理すべきだというふうに会計検査院は判断をされておりますか。
  38. 小川一哉

    説明員小川一哉君) お答えいたします。  積算上のミスによりまして国損が生じた場合の法令上の処理の方法といたしましては、予算執行職員等の責任に関する法律第三条第二項に「予算執行職員は、故意又は重大な過失に因り前項の規定に違反して支出等の行為をしたことにより国に損害を与えたときは、弁償の責に任じなければならない。」というふうなことになってございますので、この要件に該当するかどうかを検討の上処理するのが、法令上の処理方法だと思います。
  39. 本岡昭次

    本岡昭次君 しかし、今度のように事前にそのことがわかって損失が起こらなかったという事態になりつつあるんですが、その損失を未然に防ぐために施工業者に対してその金の返還を求めていく、こういう事柄についての会計検査院の判断はいかがですか。
  40. 小川一哉

    説明員小川一哉君) 通常、契約上にはそういうふうな規定はないものと思いますが、また私どももその過大積算分につきまして返還というふうなことは指示はしておりません。ただ契約書の中で、通常最後の方で、甲と乙がこの契約書に定めのない事項については必要に応じて協議する、その条項に基づいて返還についての協議をしておられるように伺っております。
  41. 本岡昭次

    本岡昭次君 最後に、この問題これで私全部釈然として納得したわけじゃありませんが、具体的な事実関係をつかまないまま新聞報道でいろいろ論議するにも限界がございますのでこの辺でやめますが、最後に建設大臣として、単純きわまるこのようなことがなぜ起きたのかとだれが考えても思うような工事ミスが発生したことについての所見ですね、そうしたことを最後に伺って終わりたいと思います。
  42. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 今回のこの積算ミスの問題につきましては、国会並びに国民の皆さん方に深くおわびを申し上げたいと思っております。  私どもはただ表現だけの問題じゃございませんで、私自身少なくともこうした問題につきましては深刻に受けとめさせていただいているわけでございます。今後はこれらの再発というようなことは万々あってはならないことでございますので、防止策につきましてはこれはもう二度とそうした積算的なミス、いやしくも先ほど先生から御指摘受けましたように十億の工事に対して七千万円以上のものということになりますと、大変な、これはただ単なるミスというようなことでは私どもはいけないと思って非常な深刻な私自身も受けとめをさせていただいているわけでございます。  そういう点で早急に私は積算のこの体制とか、そうしたまた全面的な見直しとか、それからまたこの監督の点、そういう点につきましても、今申し上げましたように厳粛に私どもは受けとめさせていただいて最善の努力を尽くさせていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  43. 本岡昭次

    本岡昭次君 今の大臣の答弁で結構なんですが、ひとつ厳正に、国民の皆さんにもこれからの建設省の姿勢が明らかになるように責任の所在をやはり明らかに示していただきたいと思います。それを私どもは待っております。  それから次に、これも嫌な話なんですが、日本道路公団職員による汚職事件というふうなものも九月に発覚して新聞でいろいろ報道されております。公団の横浜管理事務所において工事入札関係書類、業務日報の印刷の発注をめぐってわいろを受け取っていたということなんです。この事件の内容について捜査当局において一体どういうことであったのかということの概要を簡単にひとつ御報告いただきたいと思います。
  44. 国松孝次

    説明員(国松孝次君) お答えをいたします。  お尋ねの件につきましては、神奈川県警察におきまして日本道路公団横浜管理事務所が発注する印刷物の請負契約に関し、印刷請負業者から現金を受け取っていたという贈収賄容疑で、本年九月二十五日同事務所職員一名、請負業者一名の計二名を逮捕し、現在も捜査を継続中のものでございます。
  45. 本岡昭次

    本岡昭次君 その容疑の内容としていろいろあるんですが、これもある意味では金額が何億とかいうものでありません。しかし、業者に品物の発注をする場合の入札方法からやはりこれも起こっているように思うんです。二業者以上から見積書を出させて随意契約ということですが、今回の場合は一社だけの見積書で、そして発注をして、後でわいろを受け取ったということなんですが、公団の経理で下部の現場では業者にいろんな商品を発注する場合に、現場の人がこうした経理上の基本的な問題も踏まえずに自分の特定の業者発注をする、またその謝礼を事務所内で受け取るというふうなことが白昼堂々行われているという乱れた状態にあるのか、こう思いたくなるんです。  公団にお伺いしますが、公団の地方出先機関というのは一体どうなっているんですか。
  46. 高橋国一郎

    参考人高橋国一郎君) 初めに当たりまして、今回このような不祥事が生じましたことにつきましてまことに遺憾であり、心からおわび申し上げる次第であります。  ただいまの件につきましてお答え申し上げたいと存じます。  公団の事務所におきましては、これは建設事務所、管理事務所二つございますけれども、今回の事件が起きましたのは管理事務所でございますけれども、事務所におきます物品の購入でございますが、これは事務所長の権限として百六十万未満のものは事務所長の権限で購入できることになっておりますが、その大部分の約九五%が一件当たり三十万以下のものになっております。この三十万以下の物品の購入につきましては、今申しましたように分任契約担当官である所長の代行機関であります副所長が契約手続を行います。それから物品を今度は受け取りますというと、それを検査するのはこれは所長がみずから行います。その後それに対しまして支払いを命ずるのは、これは所長でございます。それから、支払いを命じられた後支払いを行う者は、これは総務担当助役というふうなことになっておりまして、そういうような規則になっておりますが、こういうふうなことでもってチェック機能については今御説明しましたように契約は副所長、検査は所長、支出議決は所長、それから出納、つまり支払いは総務担当助役というふうに機能が分担されておりまして、制度的には十分機能するような仕組みになっているというふうに私どもは考えておりましたが、しかしながら、今回のような不祥事が起こったことはまことに残念に、また遺憾に思っておる次第でございます。今後こういうことがないように十分注意したいというふうに考えておる次第でございます。
  47. 本岡昭次

    本岡昭次君 その責任者である所長がまた同じように捜査当局から逮捕されておるんでしょう。その責任を持つ所長がやれば下は何でもできますわな、これ、やり方として。そして、この横浜管理事務所の所長が逮捕されているんですが、この所長も同じように、何かこの事件の犯罪の中身として、銀座のクラブで飲み食いした遊興費計二百数十万円を会議費名目で数十回にわたり自分で決裁、公費で支出していた疑いというふうなものがあり、また一方、公金で飲み食い千六百万円、空発注や請求水増しでやったと言って、この横浜管理事務所の所長みずからやっているんですよね。だから、あなたの言うチェック機能は、もともと働かぬような事態に残念だけれどもここはなってしまっているんです。それで、大臣に伺ってこの件も終わるんですが、私はこういうふうな形で所長が先頭に立って、そこの職員がこうした汚職なり公金横領というふうなことをやっていくようなことがそれぞれの管理事務所で行われるとしたら、これはもう大変なことだと思います。また、先月一日から高速料金も値上げされたんでありますが、国民からすれば、一体道路公団はどうなっているんだということであろうと思います。大臣の今後の公団に対する指導について一言伺ってこの質問を終わりたいと思います。
  48. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 今先生から御指摘いただきましたように、道路公団ないしはまた建設省としての行政のあり方に対する不信というものは、私は金銭ではかえがたい重大な問題であるというふうに受けとめておる次第でございます。そういう意味で、大変申しわけないことでございまして、こうした行政に対する国民的な不信というものを一掃するためにも、私どもは、私は道路公団の総裁に対しましては厳正に私からも再発防止についての厳重な指示をいたしておりますが、私ども建設省といたしましても同じような深刻な受けとめ方をして、そして指導体制とか監督とかというような、そうしたことではございませんで、今申し上げますように、相次ぐこうした事件というものが発生している以上、いかにして国民に対しての行政上の責任を明確にしながら、信頼を得るために努力するかということは大変難しい問題でございますが、そうした方向で全力を挙げてこの事故の再発防止に努力すると同時に、襟を正して私どもは行政の信頼を得るために最善の努力を尽くさせていただくということが我々に課せられた責任であると、そういう厳粛な受けとめ方をして最善の努力を尽くさしていただきたいと、かように考えておる次第でございます。
  49. 本岡昭次

    本岡昭次君 ひとつよろしくお願いいたします。  それでは、道路公団に中国縦貫道の問題についてお伺いをいたします。  この中国縦貫道のインターチェンジの問題であります。  まず第一は、加西インターチェンジの設置について、既にもう決定されているようですが、その後の進捗状況はどうなっているか。それから二点目、滝野社第二インターチェンジの新設についても現在この地域が非常に事故が多く渋滞がひどくなっているということでその必要性も論議されているんですが、この第二インターチェンジの新設についての見通し。それから第三点、神戸市が行っている六甲北有料道路との接点として北摂北神インターチェンジの新設という要望も非常に強くなって、近畿自動早道舞鶴線ができますと日本海から瀬戸内海までの横断の道路としての役割を果たしていく必要なインターチェンジになるんではないかと私ども思っているんですが、こうしたインターチェンジ問題についての現況を、ひとつお知らせをいただきたい。
  50. 高橋国一郎

    参考人高橋国一郎君) ただいまの御質問にお答えする前に、もう一回先ほどの件につきましておわび申し上げたいと存じます。本事件に関しましては、建設大臣からも綱紀の脚正につきまして厳しく御叱責を受け、不祥事件再発防止等、厳重な御指示と御注意をいただいております。私も直ちに出先機関の幹部職員に対しまして厳重注意するとともに、二度と再びこのような不祥事が起きないよう、現在不祥事件再発防止対策委員会を設けまして対策の検討を進めているところでございます。これまでも綱紀の保持につきましては、厳重な注意を喚起してきたところでありますが、この事件を深く反省し、今後さらに厳正な綱紀の粛正を図り、二度と再びこのような事件を起こさないよう全力を尽くす所存でございます。次に、先生からの御質問に対してお答え申し上げたいと存じます。  最初の御質問は、中国自動車道加西インターチェンジの工事進捗状況はどうかというふうに聞き取ったものでございますが、中国縦貫自動車道の加西インターチェンジは滝野社インターチェンジと福崎インターチェンジのちょうど中間のところに位するものでございまして、昭和五十七年一月の国土開発幹線自動車道建設審議会の議を経まして定められた追加インターチェンジでございます。このインターチェンジは、昭和五十八年の三月に日本道路公団に建設大臣から施行命令をいただいておりまして、現在道路公団において地元説明を行っている段階でございます。  ただ、用地買収に当たりまして、地元の皆さん方の間に用地買収の方式で、共同減歩方式と、それから一筆買収方式の二つの案が出ておりまして、それがなかなか調整がつかない現状になっております。簡単に申しますと、一筆買収方式というのは従来の買収方式でございます。ところが、共同減歩方式と申しますのは、付近の皆さん方でもってそれぞれ減歩を負担し合うというふうな方式でございますが、そのためになかなか意見がまとまらずにおりまして、現在まだ難航しておりますが、最近、加西の市長が仲介に入りまして、一筆買収方式ということで地元の了解を得るように今工作をされております。したがいまして、用地買収が済み次第、直ちに工事にかかりまして、できるだけ早い機会に完成したいというふうに私は思っております。  それから、二つ目の御質問は、中国自動車道の滝野社第二インターチェンジの工事進捗状況でございます。  この中国縦貫自動車道滝野社インターチェンジは、昭和四十九年の九月の西宮北インターチェンジと福崎インターチェンジの間の供用に伴いまして、一般国道百七十五号に平面で連結されております。平面交差のまま連結されております。その後、昭和五十四年の四月には、一般国道百七十五号の新しいバイパスが暫定的に供用されました際に、現在の平面交差形式でもってそのバイパスに連結されたものでございます。滝野社第二インターチェンジにつきましては既に用地は取得してございますので、ただいま地元、並びに交通のあり方等につきましては警察等との協議を行っているところでございまして、この協議が調いますれば直ちに工事に着手いたしまして、できれば六十一年度には着手して、六十二年度には何とか供用したいというふうに考えている次第でございます。  第三番目の御質問につきましては、建設省道路局長の方からお願いしたいと思います。
  51. 萩原浩

    政府委員(萩原浩君) 中国縦貫道北摂北神インターの整備の見通しにつきましては、六甲北有料道路あるいは周辺道路網の整備の見通し、周辺の土地開発の状況地域の利便性、インターチェンジの間隔、採算性など多方面の検討を進めておるところでございます。このインターの設置に当たりまして、地元各位から非常に熱烈な御要望があることは十分承知をいたしておりますけれども、現在全国からかなり数多くのインター設置の御要望がございますので、その中で検討を進めていきたいと存じております。
  52. 本岡昭次

    本岡昭次君 次に、住宅都市整備公団の抱える未利用地についてお伺いをいたします。  私もこの問題につきましては、五十七年でしたか、この決算委員会で取り上げた経緯がございます。なかなか長期未利用地の問題の解決がはかばかしく進んでいないという状態であると見ているんですが、具体的に協議中であるというふうな形で、私にしてみたら一とんざしているんではないかと思うんですが、その中の一例として東条地区ですね、かなりの面積を長期保有しているんですが、端的に言いまして、時間がありませんから、この東条地区はどのような対策によって長期未利用地としての解決をしようとしているのかということですね、具体的にひとつここで説明をしていただきたいと、こう思うんです。そしていろんな委員会で、建設委員会あるいは決算委員会あるいは予算委員会でこの問題が論議されても住宅・都市公団の方は、開発できない土地を買っているつもりはありませんと、こう強弁をなさるんですがね。それにしてはその解決は遅々として進んでいないということが現状であって、それでは一体どのような開発をこれからやろうとしているのか、できるのかという問題をはっきりしないで、ただ調整中であるとか、話し合いが進んでいるとかというふうなことでは、もう単にごまかしのための答弁であると言わざるを得ないんですが、具体的にそれでは東条はどうするというふうにお考えになっているんですか、御答弁いただきたいと思います。
  53. 台健

    参考人(台健君) お答えいたします。  東条地区は、先生御承知のとおり、昭和四十八年度に兵庫県それから東条町の御要請を受けまして、東播内陸都市圏構想の一環といたしまして、当公団が住宅用地の開発を目的といたしまして約百八十ヘクタールを先行的に取得したわけでございます。しかしながら、その後における社会経済情勢の変化が著しく、住宅宅地の需要構造も大きく変わってまいりましたので、公団といたしましては、工業その他の誘致施設を導入して、多機能の都市として開発するのが適当であるというふうに判断いたしまして、県の関係各部それから町と一緒になりまして、東条地区開発構想策定調査委員会を設けまして検討を進めまして、この委員会昭和五十年七月に同構想を策定しております。  さらにこの地区につきましては、公団といたしましては、土地区画整理事業という事業方式で開発を進めたいと考えておるわけでございますが、そのためには都市計画区域になることが前提でございますが、幸いに昭和五十八年の四月に都市計画区域に編入されましたので、先ほどの県、町等と一緒になって作成いたしました開発基本構想に基づきまして、公団が具体的な開発の基本計画案を策定いたしまして、それにつきまして県、町それから地元に対しまして再三説明を続けているところでございます。現在は、この説明会等における地元の意向等を考慮いたしまして、計画内容の再検討を行っているところでありまして、今後速やかにこれらの作業を終えまして所要の手続を経た上で、できるだけ早期に事業に着手できるように進めたいと思っておるわけでございます。  なお、当地区につきましては、先生から、五十七年の四月の当委員会だったと思いますが、御質問を受けたわけでございます。その際には、その調査委員会の結論は六月ごろに出るだろうというふうに担当理事がお答えしておりますが、一カ月延びまして七月に出ておりますし、また都市計画区域への編入も五十八年の当初の予定でやるというふうにお答えしているところでございますが、五十八年の四月に実現いたしまして、事業実施につきまして大きく踏み出しているというふうに考えております。
  54. 本岡昭次

    本岡昭次君 その具体的な開発計画というのを後ほど私どもに見せていただけますか。
  55. 台健

    参考人(台健君) まだ公団の案でございまして、これからも変化はあるかと思いますけれども、現在の段階の案といたしまして御説明できると思います。
  56. 本岡昭次

    本岡昭次君 ちょっともう時間がなくなりまして、予定しておりました質問を飛ばしてしまって申しわけありませんが、最後に一点、河川改修の問題について伺って終わります。  武庫川の河川改修の問題なんですが、兵庫県の三田市内には住宅都市整備公団それから兵庫県住宅供給公社によって人口十万人の北摂ニュータウン建設がこれは国の肝いりで進められております。国の事業として進んでおります。そのために、交通機関としてはこの三田市まで国鉄の福知山線の複線、電化が、足の問題を解決することとして昭和六十二年三月完成を目標に今ずっと進んでおります。それから水の供給ということについても青野ダムの着工があり、そしてその工事が今ニュータウン建設とあわせて進んでおります。また周辺の幹線道路整備も着々と進んでおりまして、近畿自動車道舞鶴線の中国縦貫道路の完成も六十三年度というふうになっているんです。  ところが、これと同じように進めなければならない河川の改修、要するに今まで山であったところを全部削ってそこを住宅にするわけでありますから、当然そこに新しい河川が武庫川につくられております。しかし、その受け皿となる武庫川、本流そのものの改修が進んでいないということで、もし大雨でも長期に降れば大洪水が起こるのではないかという心配があります。そういうことで、この北摂ニュータウン建設と絡んで武庫川の改修というものがこれも進められているわけですが、一番これがおくれていると私は見ております。この武庫川の改修ですね、三田から広野間。一体こうした北摂ニュータウン建設に支障がないように進められるのかどうか。  また関連して、この武庫川上流の藍本地区というところも同じような形の改修計画があるんですが、その進捗状況もあわせて伺って私の質問を終わりたいと思います。
  57. 井上章平

    政府委員井上章平君) 北摂ニュータウンに関連いたしまして武庫川の改修が大変重要であるということは私どもも認識いたしております。  この武庫川につきましては、昭和四十五年から中小河川改修事業に着手いたしまして以来、鋭意改修を進めてきたところでございますが、さらに北摂ニュータウン開発に関連いたしまして、昭和五十三年度からは住宅宅地関連公共施設整備促進事業費を投入いたしまして、あわせて事業の一層の促進を図っているところでございます。  昭和六十年度、本年度でございますが、主として三田市街地区の改修を進めておりまして、これにつきましては大体本年度中に概成する運びとなっております。したがいまして、今後はさらにその上流に向けまして、まだ未改修の区間が五キロほどございますので、これにつきまして一層の事業の促進を図ってまいりたいと思います。  なお、全体の事業といたしましてはまだ進捗率が五〇%ということで、先生が御指摘になったように非常に憂慮される状態でございますので、私どもも武庫川の改修につきましては今後、十分意を体しまして、促進に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。  また上流の藍本地区の改修でございますが、これにつきましては下流側は災害復旧助成事業でほぼ概成いたしております。この上流側につきましても小規模河川改修事業で概成しておりまして、ちょうどこの藍本本圧井堰から大安橋の間が残っておるわけでございます。これにつきましては昭和五十九年度に用地買収を行いまして、本年度は流下能力上大変ネックとなっております藍本本圧井堰の撤去、これは農業用水の揚水ポンプ化の事業でございますが、これに着手する予定でございまして、ただいま土地改良区と折衝いたしておるところでございます。  来年度以降につきましても引き続きこの揚水ポンプの事業と、それから同じように流下能力上ネックとなっております大安橋の改築等を行いまして、事業の進捗を図ってまいる所存でございます。
  58. 菅野久光

    菅野久光君 初めに会計検査院から、建設省に対しまして不当事項十四件、それから北海道開発庁国土庁関係については特に不当と認めた事項はございませんということで報告が出ておりますが、その一々は申し上げません。先ほど本岡委員からも御指摘がありましたけれども、ここに記載されるようなことがないように今後ともひとつ一層の努力をしていただきたいということを冒頭申し上げておきたいと思います。  最初に、河本北海道開発庁長官にお伺いをいたします。  河本長官は、長官就任以来北海道に幾たびか視察に出向いていただき、私どもの聞くところによりますと随分と各地に参られた、そしてつぶさに北海道実情を視察され、場所によっては現地の私なども行ってないところにまで視察をされたということを聞いておりまして、その大変な御努力に心から感謝を申し上げたいと思います。歴代の長官の中では一番親身になって北海道のことを考えてくださり、そして北海道のために努力をされているのではないかというふうに思います。こうしたことについて本当に敬服をし、改めて感謝を申し上げたいと思います。  そこで、これまでの北海道の視察を経験されての印象でありますが、北海道の開発についてどういうところにネックがあり、これからどう開発を進めていったらよいのか、その点をどのようにお感じになっておられるかお聞かせいただきたいと、このように思います。
  59. 河本嘉久蔵

    ○国務大臣(河本嘉久蔵君) 就任以来前後十二回にわたりまして北海道を訪れたわけであります。おおむね全土を視察いたしました。地域開発につきましては、特に現地を自分の目で見るということが一番基本であるという私の考えからでございますが、北海道は確かに広大な土地を持ちまして、将来の日本の発展にとりましても貴重な資産的空間であるという解釈をしております。一方、現状はいろいろ難しい問題を抱えていることも確かでございますが、お会いした地元の方々からも詳しく事情を承ってまいりました。長期的展望を踏まえながら現実の諸問題を着実に克服していく上で地味な努力が必要であるという考えでございます。私としましても全力を挙げる所存でございますが、地元の関係者の方々にも御協力をお願いしたいという考えております。
  60. 菅野久光

    菅野久光君 十二回という大変な数でありまして、それにしても北海道ではいろんな問題があって、今後地味な努力ということが必要ではないかというふうに言われております。北海道に来られた方は大抵、北海道は日本の食糧基地だとか、あるいは将来人口としては一千万ぐらいなどといういろいろ耳ざわりのいいことを言われるわけでありますけれども、現実は大変いいところなんです。それで、私なんかも寒い北海道によく住んでますねとか言われるんですけれども、何ぼ寒くても北海道はいいというのが私の実感なわけですけれども、その北海道が、採算が合わないとかなんとかということで鉄道は取られる、道路の状況は、これは後から申し上げますけれども、余りよくないというようなことなどがあって、本当に自分の目で見、そして直接住んでいる者から話を聞かれたということは大変私はいいことだというふうに思います。そのような調子で本来ならばまだしばらくずっと続けていただきたいというのが私の本当の気持ちだし、あるいは実際に図られて会われた人たちもそのように思っているのではないかというふうに思っております。  次に、四全総との関連でちょっとお伺いをいたしたいわけでありますが、昭和三十七年に第一次全国総合開発計画が閣議決定をされ、五十二年に三全総が策定されるまで、政府は一貫して過疎も過密もない国土の均衡ある発展を目指してということで来たわけであります。それにもかかわらず、今申し上げましたように現実には一層過疎過密が激化し、集中が進行している。とりわけ三大都市圏への集中ではなく、首都東京を中心とした圏域への言えば一点集中がますます目立ってきたのではないかと、このように思います。現在国土庁ではこの四全総の策定作業が続けられているというふうに思いますが、この国土の均衡ある発展をどう位置づけるつもりなのか。昭和三十七年以来ずっと続けてきたそれが今もって一向に進まない、今までできなかったわけでありますから、一層強力に推し進めなければならないというふうに思いますが、この点についてどのようにお考えになっているかお伺いいたしたいと思います。  また、その実現のためには、やはり東京へ来なくても用の足りるように意思決定権というものを地方へ移すべきではないか。これは地方自治経営学会が「地方自治経営の視点から」というサブタイトルをつけて四全総に対する意見というものを発表しておるわけですけれども、その中でも言われておりますが、札幌、仙台、広島、福岡などこの地方中枢都市の発展は非常に目覚ましいわけでありますから、こういう都市に権限を大幅に移していくべきではないか、そうでなければ東京への一点集中を是正できないのではないかということが言われております。これに対処するため新しい計画にはどう盛り込もうとしているのか、概括的な点は長官から、事務的な点はひとつ局長からでもお答えをいただきたいというふうに思います。
  61. 河本嘉久蔵

    ○国務大臣(河本嘉久蔵君) 御指摘の三全総をよく反省いたしまして四全総に取り組んでおるわけでありますが、この社会経済情勢の変化というものが目覚ましいものがあったことが、三全総が思うようにいかなかったということになっております。そういう意味から私、四全総の取り組みに対しまして、やはり地元のヒアリングを慎重にやるということに重点を置きまして各地区のヒアリングをやっておるわけでありますが、やはり計画というのは現実を遊離した計画に過ぎると現実からややかけ離れるから現実を無視した計画は。だめだ、また夢ばかりを追って理想的な計画ばかりでもだめだということを事務当局に申しまして、この四全総の策定に当たりましてはできるだけ地元の意見を吸収して、そうして策定すべきであるということを主張しておるわけであります。  また、第二の御指摘の四全総の策定に当たっての地方への権限移譲でございますが、これは四全総も重要な課題であると考えておりますので、四全総の策定に当たりましては国土審議会の御意見を十分に踏まえながら幅広く検討していきたいという考えでおります。
  62. 星野進保

    政府委員(星野進保君) ただいま大臣がお答え申し上げましたことで概括すべて説明終わっていると思いますが、若干つけ加えさせていただきますと、大臣が今申されました各地域からのヒアリングを中心にやっているということでございますが、私どもことしに入りましてからこの夏に至るまで、県知事さんはもとよりでございますが、いろんな経済団体、それから農業協同組合その他いろんな各方面の方々からヒアリングを重ねてまいりまして、この八月末にそれらの問題点を取りまとめまして、十一項目ぐらいの要綱にまとめまして、それを大臣のお言葉にもありました国土審議会という審議会を私ども持っておりますので、そこでそのヒアリングに基づいたものをまとめたのを課題といたしまして現在検討していただいている最中でございます。その中で先生が御指摘がございましたように、東京の特に三区の一点集中だと思いますが、そういう問題と、全国の中枢、中核都市とのいかに均衡ある機能分担といいますか。そういう問題につきましても現在検討していただいている最中でございまして、これから私どもも大いに検討の結果を期待しておるところでございます。若干の補足でございますけれども。
  63. 菅野久光

    菅野久光君 民間活力ということが今非常に重要だということが言われて、民間は概に各地方の中枢都市に対して権限を移譲させて、そこで精いっぱいの努力をしているというような状況なんですね。ところが、国がなかなか進まないということは、やはり権限を一向に手放そうとしない中央省庁の姿勢があるのではないか、そこのところをしっかり発想の転換といいますか、そういう姿勢というものを改めない限りこのことはやっぱりうまくいかないんじゃないかというふうに思いますので、ぜひ国土庁としてもそういう点で精力的に活発に力強くひとつ進めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  開発庁の長官でもあり、国土庁長官でもありますので、あわせてというようなことになることはやむを得ませんので、ひとつその点は御了解いただきたいと思いますが、もう一点国土庁長官ということでお伺いしたいわけでありますが、それは国土利用計画法の発動についてでありますが、品川の国鉄用地が高値で売却された、そして大きな問題にこれはなりました。国鉄財政を考えれば、もう高ければ高いほどよいということにはなるわけでありますが、それでは国の土地政策の無策が問われることになる。さらに紀尾井町の旧司法研修所跡地の売却についても、周辺地価の三倍の高値で売却をされました。いずれも都心の土地でビル需要から高値を呼んだというふうに受け取られております。この影響をこの周辺の住宅用地にも微妙に及ぼしてきているというのが不動産業界の通説になっております。これが今でも庶民の手の届かない高値安定の宅地価格を押し上げることになっては、これはまたぞろ土地騰貴、物価狂乱の引き金にもなりかねない、このように思うわけであります。国鉄用地、国、自治体の有する土地については、その売却について国土利用計画法による規制の適用を除かれている現状を一体どうするつもりなのか。国土庁としては規制を加える意向と聞くわけでありますが、一体いつからこれを行うつもりなのか。どうも今見ていますと、国鉄財政、国家財政に気兼ねして何か及び腰ではないかというふうに思われるわけでありますが、国土庁長官としてのこれに対する決断をお伺いをいたしたいと思います。
  64. 河本嘉久蔵

    ○国務大臣(河本嘉久蔵君) 国鉄用地の処分というのは大きな問題でございます。私は、国公有地の処分ということは国民の財産でございますから、軽々しく処理すべきではないという持論を持っておりますが、先般の閣議に対しましてもこれを要望いたしました。また、先般の紀尾井町の土地問題の前に、大蔵省から各金融機関に土地投資に関する金融を自粛してもらいたいという要望書も出しまして、若干の効果はあったと思いますが、国公有地の処分に当たりまして付近の、周辺の土地を上げるということが大きな問題でございますので、そのことにつきましては慎重に考えております。現在、学識経験者を含めた検討に着手しておりますが、御指摘の点も含めて今後幅広くひとつ検討していきたいという考えております。
  65. 菅野久光

    菅野久光君 ぜひできるだけ早い機会に、特に国鉄の問題がいろいろ問題がありますので、早急にひとつ対応できるようにしていただきたいというふうに思います。  次に、北海道における道路事情についてお伺いをいたしたいと思います。  御承知のように、北海道の道路事情は大変おくれております。先月も大変痛ましい事故がありました。北海道でビートの収穫が最盛期にあって、ビート集積場へのアルバイトに出かける主婦八人を乗せたワゴン車が乗用車と衝突したはずみで対向車線に押し出されてダンプカーと正面衝突、そしてこの事故で家庭の主婦七人が死亡するという大変痛ましい事故があったわけであります。一家の主婦が七人も一瞬にして失われるということで、亡くなられた方々に心から御冥福をお祈りするわけでありますが、この事故は一時停止を怠ったという交通ルールを守らなかったので起きた事故ではありますけれども、北海道は愛知県と並んで非常に事故の多いところでありますが、これは愛知県とは逆だと思うのですが、車が比較的少なくてそして事故が多い、これはスピードを出し過ぎるということもあります。また車が来ないだろうということで見込み運転といいますか、そういうことでもあるんだろうというふうに思いますが、いよいよ国鉄がこれは六十二年の四月から二十四の会社に分かれていくというようなことで、北海道であればますますこの地方交通線というのは切られていくんじゃないか、あるいは貨物会社ということで貨物の本数も減ってくるということになれば当然それに伴って自動車の量、それが多くなっていく。ところがそれに追いついていないのが今の北海道の道路状況ではないか。そういうことがまたある面で言えば交通事故を多発させるというようなことになっていくのではないかというふうに思うのです。道路の幅員の問題もありますし、標識だとかあるいは構造等の整備、こういったようなものが十分なされなければならないというふうに思うわけでありますが、この点については道路ということで建設大臣の北海道における道路整備の重要性の認識と今後の取り組みについての見解をお伺いいたしたいと思います。
  66. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 北海道を含めまして、我が国の道路整備の水準というものは残念でございますが欧米諸国に比べて大体半分ぐらいの程度というようなことの水準、段階を超した現状でございます。そういう意味を考えてまいりますと、この道路整備の必要性というものは、今御指摘いただきましたように全国的に見てもまた北海道地域を見ても非常に必要性は高いという認識に私どもは立っておるわけでございます。特に今先生からお話がありましたように、北海道は非常に広大でありますし、また国鉄が御承知のような事情というようなことになってまいりますと、今まで以上に道路に対する依存度というものが大変住民からも今まで以上に高い期待をされると思いますし、私どもといたしましてもそうした均衡ある発展ということを考えてみましても、今後とも道路につきましては非常に厳しい財政の中でございますが、その整備に努力をしてまいりたいと考えております。特に道路は六十二年までに第九次の五カ年計画が終わるわけでございまして、私は率直に申し上げますと、先ほど欧米の約半分程度だということを申し上げましたが、日本の経済規模や物流その他を考えてまいりますと、現在の国鉄が二万キロあるわけでありますが、二万キロぐらいのキロ数がなければ経済的にまた国土の均衡ある発展に道路の使命が寄与するということは非常に難しいわけで、現行では三千七百キロ程度しかないわけでございますので、そういう点を我々はしっかり受けとめて、均衡ある社会の発展のその柱、担い手というものはやはり道路にあるわけでございますから、そういう重要性と認識を深く銘記しながら努力を続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  67. 菅野久光

    菅野久光君 とりわけ北海道は広大な面積で、今大臣が言われたように、そういう中でやっぱり道路の整備ということがおくれている。そしてとりわけ北海道においては高速道路についての整備がおくれている。だから急いで行かなきゃならぬという、そういう必要に迫られてスピードを出し過ぎる、そういうところにも事故の大きな原因があるわけであります。高速道路でありますが、全国の高速道路の総延長は、先月二日に関越道が全面開通して三千六百四十キロになったというふうに聞いておりますが、最近の道路公団の年報から見てみますと、北海道内には、道央白老-札幌南間、それから道央札幌-岩見沢間、札樽の小樽-札幌西間の三本、合計道路延長は百三十キロ弱ということになっております。その後、道央は白老から登別まで延びたり、札幌市内が延びたりしておりますが、それはそう大きな距離ではありません。これは全国の何と三・六%にしかすぎないわけであります。面積の狭い四国は別にして、九州では一一%であります。九州の三分の一にも満たない距離しか高速道路の供用がなされていないというのが北海道の状態であります。北海道は面積にして九州の約二倍の広さがあるわけですね。そうしますと、面積から供用の距離をいいますと、九州の六分の一ということになるわけであります。また、将来の建設計画との関連で見るならば、北海道縦貫自動車道が現在百五・二キロの供用で、これは整備計画の三九%の進捗率、全体計画から見るならば一五・三%の進捗率にしかなっていません。横断道についてはさらに低く、供用延長二十四・三キロ、これは整備計画の三三%の進捗率です。全体計画から見ればたったの六・五%にしかなりません。このように、全国の高速道路の建設状況と比較して余りにもひどいおくれとお感じにはならないでしょうか。北海道は非常に寒いために冬の工事がはかどらない、そういう北海道で、今後建設を促進していくためには、よほど集中して工事を進めなければならないというふうに思いますが、実際に北海道を多かれた河本北海道開発庁長官、実際に北海道を見られてどうお感じになったでしょうか。また、この状況について建設大臣の見解をお伺いいたしたいと思います。
  68. 萩原浩

    政府委員(萩原浩君) 先生指摘のとおり、現在北海道におきましては、高速自動車国道約千六十キロ、三路線が予定をされておりますが、そのうち供用を開始いたしましたのはごく最近のものを含めまして百五十五キロでございます。したがいまして、全国平均から見れば供用延長が低いではないかという御指摘でございますが、私どもといたしましては今後積極的にこの整備を進めていきたいというふうに考えております。具体的には、来年の一月ごろを予定いたしております国幹審、国土開発幹線自動車道建設審議会におきまして、新たに整備計画に取り込もうと考えております路線が北海道で約百七キロでございますが、全国では五百二十八キロということでございまして、約二割近くのものを北海道整備計画を策定しようというふうに考えております。現在までのおくれをできるだけ早期に取り戻そうということで努力をさせていただこうと思っておる次第でございます。
  69. 河本嘉久蔵

    ○国務大臣(河本嘉久蔵君) 何分広い国土に人口、産業が分散した北海道でございます。総合的な開発を効果的に推進する上で、やはり道路が大事だという考え方を持っておりますが、高速道路の計画的な整備は非常に重要な問題であり、今後とも関係機関と連携を保ちながらその促進に最善の努力を払うという決意でございます。
  70. 菅野久光

    菅野久光君 高速道路の関係につきましても、今局長の方からもお話がありましたが、建設大臣も先ほど申し上げたような事情を十分ひとつ御承知の上、特段の配慮をひとつお願いしたいということをこの機会に申し上げておきたいというふうに思います。北海道のことにかかわっていろいろ申し上げましたが、本当に河本長官のたび重なる北海道視察、そういう中で長官の考え方なども含めて、これからの北海道の開発、発展ということでは随分力になっていくといいますか、そういう気持ちを道民が抱いたのではないかというふうに思います。北海道も今幌延の問題など大変重要な問題をいろいろ抱えておりますが、いずれにしろ北海道開発庁としては、それらの問題についてもひとつ慎重な対応をされるように、この機会に特段の御要望を私は申し上げて、北海道関係のことについて終わりたいと思います。  次に、建設省が計画しております流水占用料徴収の問題についてお伺いをいたします。  この問題は、六十一年度の予算概算要求建設省が農業用水や水道用水あるいは工業用水などの利用者から流水占用料を徴収する構想を打ち出し、また林野庁でも水源税徴収構想が出されて、今や各方面で水の問題についてハチの巣をつついたような騒ぎになっております。まず、この流水占用料について建設省が考えておりますこの件について現状はどうなっているのか、各省庁と協議に入っているのかどうか、調整段階はどこまで進んでいるのか、最終目途はどこに置いているのかをお伺いいたしたいと思います。時間もございませんから、できるだけ簡単にお願いいたします。
  71. 井上章平

    政府委員井上章平君) ただいま御指摘の流水占用料制度の改正でございますが、この流水占用料そのものは現行の河川法に設けられているものでございまして、河川水を利用する者から徴収することができるとされておりますが、現在種々の減免措置が講じられているところであります。一方、産業の進展あるいは国民生活の水準向上に伴いまして、近年の河川水のいろんな用途への取水が急速に増大してまいりました。そのために河川水そのものの不足、水質の悪化等が顕著になってきており、これは放置いたしますと、河川水の利用にも種々の悪影響が生ずる現況にあるわけでございます。このようなところから河川環境対策の推進が強く求められているところであります。したがって……
  72. 菅野久光

    菅野久光君 それを聞いているんじゃないよ。今そのことがどうなっているか、流水占用料を出してどうなっているかということを聞いているんだ。時間を取らないでください。
  73. 井上章平

    政府委員井上章平君) ただいま建設省におきましては、概算要求ということで提出いたしておりまして、関係行政機関と話し合いを進めておるところでございます。
  74. 菅野久光

    菅野久光君 今考えられている建設省の構想を具体化するには河川法の改正までしなければいけないのか、それとも政令をいじるだけで済むのか、その辺をお伺いいたしたいと思います。
  75. 井上章平

    政府委員井上章平君) ただいま現行の河川法によりますと、流水占用料の収入帰属はすべて都道府県ということになっております。したがいまして、これを河川に入れますためにはそれぞれ収入の帰属と管理主体とを一致させる必要がございますので、この魚河川法の改正を必要といたします。
  76. 菅野久光

    菅野久光君 まだ各省庁との関係も最終的な調整がついていないというようでありますし、河川法の第三十二条は少なくとも改正を必要とするということであります。  そうしますと、この私の今手元に建設省北陸地方建設局の「豊かで清らかな美しい川をめざして」と、こういうパンフレットがあります。これに載っている「流水占用料等占用制度の改正の概要」という記述は、私は時期尚早ではないかというふうに思います。これはことしの九月に出されておるんですね。今各省庁間で協議をしているんですよ、そうでしょう。そして法の改正もしなきゃならないんですよ。にもかかわらず、九月には、ずっと書いておいて最後に、「等の内容を実施する予定です。」とわずかに下に一行書いてありますが、既にこのことは、こういうことが実施されるんだということをその関係者に言っていることと同じじゃないですか。ですから、このことについてはやっぱり間違いだということで、削除、撤回すべき内容ではないかというふうに思いますが、どのように思いますか。
  77. 井上章平

    政府委員井上章平君) それの概要は、ちょっと私見ておりませんが、ただいまそこに書いてありますような事柄は、私どもが建設省として概算要求内容として掲げたものでございまして、それを実現いたしますべく、関係の行政機関とただいま話し合いをいたしているところでございまして、まだどういうふうに最終的に決まりますかは流動的なものでございます。
  78. 菅野久光

    菅野久光君 そうですよね、まだ流動的なんですよ。流動的だけれども、あたかもそういうふうに決まるかのようなそういう形で、しかもこんな立派なパンフレットを、見てないですか、局長。これは北陸地方建設局で出したものですけれども、それぞれの建設局で出しているかどうか。その辺はどのように把握しておられますか。
  79. 井上章平

    政府委員井上章平君) ちょっと見せていただくとありがたいんでございますが。
  80. 菅野久光

    菅野久光君 ちょっと時間がないので、これは後から見せてあけますけれども、ほとんどまだ決まってないんだ、これは。政府部内で調整中であって、仮にまとまっても国会に河川法の改正案を提出して審議を経なければならない。この前も二十二日、農林水産委員会で与党自民党の方もそれは反対だということを、もう農林水産大臣もはっきり言われております。通産大臣だって、通産省だってそうですよね。そういうものにこういうパンフレットで「予定です。」という書き方はしておりますけれども、全く何というんですかね、国民にもう予断を与えるというのかな、そして関係者はこれを建設省地方の建設局から示されると、これについては反対だとかなんとかという意見言えないわけでしょう。なぜならば、それを言うとすれば、やはり権力をかさに着ておまえのところには仕事やらないぞとかなんとかという、それは表向きじゃなくてもいろんなところでそういうことがあるわけですよ。これをつくるには相当な私は金がかかっていると思うんです。各建設局でつくるとすれば相当金がかかっている。もしもですよ、そういうことを本当にやるのであれば、一枚のビラ程度で今建設省として流水占用料として概算要求で考えているのはこういうことを考えているということで足りることじゃないですか。まさに、私は国費のむだ遣いではないかと思うんです。どのようにお考えですか。
  81. 井上章平

    政府委員井上章平君) ただいま申し上げましたように、この制度の改正につきましては、私どもまだ概算要求として提出いたしておる段階でございまして、関係省庁と協議を整えて政府案に至るという過程がございますので、まだ内容は流動的なものでございます。したがいまして、そこに書いてありますのは、私どもが概算要求に提出いたしました内容を記述したものだと思うわけでございます。
  82. 菅野久光

    菅野久光君 概算要求で決まったものを、後ほどのように経費を使ってやってもいいということなんですか。そんなばかな話ないでしょう。それならそのようにもっと金の使い方というのは大事に使ってもらわなきゃならぬと思うんですよ。少なくとも国家財政がどうなる、こうなるということがあるじゃないですか。余りにも私はそういったような国会審議その他を無視し、しかもこれをつくるのに相当のお金がかかっていますね。そういうことにかかわって余りにも無神経過ぎるのではないか。そういうことを私は指摘をしたいわけです。概算要求でやったんだから、国民の理解を求めるためには、広報費がなんかわかりませんが、どのようなものをつくってやったってそれは予算の範囲内でやるのだからいいのだというお考えですか。
  83. 井上章平

    政府委員井上章平君) 私どもが概算要求に提出いたしました内容については、できるだけ部下、職員にもあるいは関係機関にもお知らせいたしたいわけでございますので、そういった意味でつくられたものというふうに推定をいたすわけでございます。
  84. 菅野久光

    菅野久光君 国民に知らせるという、こういう考え方で知らせるのであれば、私はこれほど金をかける必要がないんじゃないのかということを言っているんですよ。もっと金の使い方があるでしょう、大事に使ってもらわなくちゃいけない。僕はそういう観点で言っているんですから、間違わないでくださいよ。これは後から見せますけれどもね。  時間がございませんからあれですが、この流水占用料というようなことではなくて、本来的にはやっぱり水の問題は国民のだれもが生きていくためには必要なものでありますから、いわば空気と同じようなものだということで、経費が要る場合には本来的には税で手当てをするというのが国家というものではないかというふうに私は思うわけであります。この前も農林水産委員会で農業用水についてはいろんな問題があるということで協議中だというようなこともお話されておりますから、その点については私はきょうとやかく言うつもりはございません。後、関連で梶原議員がありますので、梶原議員の方に譲ります。
  85. 梶原敬義

    梶原敬義君 流水占用料に関連をして質問をいたします。  建設大臣、中曽根総理大臣の政治姿勢というのは増税なき財政再建だと、こういう姿勢を貫こうと、こういうのがキャッチフレーズで始まったわけですが、これは、流水占用料というのは事実上の大衆課税じゃないですか。国民はそうとるんです。この点、建設大臣いかがでしょうか。
  86. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 私どもは、この流水占用料の問題の制度につきましては昭和三十九年に抜本的な改正が行われたわけでございまして、これらのいろんな、例えば砂利を採取するとかそれからないしはまた工業用水の問題だとか、そういう問題につきましては主として地方自治団体の方にそういう使用料というものが納められておるというふうに思っております。そういうようなことでございまして、今回のこの流水占用料の問題につきましては、あくまでも私どもは非常に財源が乏しいとき、厳しいときでございますから、治水の財源に充当したい、そしていやしくも災害から守るような、そういう努力をするために概算要求に一応提出をさせていただいたわけでございますが、これから年末にかけましてこの予算の政府案の編成が行われるわけでございまして、私どもといたしましてもそうした必ずしも増税とは考えておりませんけれども、今党を初め関係省庁といろいろ調整をして、協議をして、そして党の方の姿勢も、いろんな党としてのお考えもあるようでございますので、その辺を十分各方面の御意見を承りながらこの政府案の最終的な決着に努力をさせていただこうと、今そういう実は段階でございます。
  87. 梶原敬義

    梶原敬義君 だから、僕は結論をちょっと聞いておるんです。一方には片や水源税というのを農林水産省が用意しておる、片や流水占用料を用意しておる。一方は立米当たり一円二十銭、一方は一円、合計二円二十銭ですか、これを全部一級河川の水は皆かかるというのですから、これは事実上のだれがどう言ったって、料金と言ったって、今の時期から国民が考えた場合に事実上の大衆課税ですよ。私はこの問題ありますからずっと毎週帰っておるんですが、人が集まるところに行って、この流水占用料という言葉も難しいけれども、今こういうものを計画しているのだという話をしましたら、これはみんなびっくりしますよ。これは選挙ありますから、これをあなたたちが強付するなら恐らく来年の選挙には相当影響するでしょうね、与党自民党にはすると思いますよ。どうしてこういう大衆課税を今非常に国民生活が厳しいときにやらなきゃならないんですか。もう一度答えてください。
  88. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 私といたしましては、先ほどもお答え申し上げましたように、党を初め特に今の段階で、私どもはこれはいつもの予算編成に当たってもそうでございますが、いろんな党の機関というものが我々の提出した概算要求に対して国民生活やまた政治情勢や社会情勢、そういう全般のものを考えて党としてこうすべきである、また政府としてもこうすべきであるというようなことを調整しながら予算案の決定をいたしておることでございます。したがって今私どもは、私自身は建設大臣であり政治家として各地域でいろんな意見のあることもよく承知をいたしております。それから賛成の意見もありますし反対の強力な意見もある、そういうふうに私は受けとめておるわけです。そういう中にあって、先ほど申し上げましたように、いかにして災害から国民生活を守るかということが政治の基本でございますから、そういう点等も御理解をいただけるかどうかということについてはこれは党ともよく調整して、そしてまた関係省庁ともよく調整して、私どもは正しい判断の上に立って国民生活の豊かな発展と、それから災害から守るための治水対策についてどういうふうな政策づけ方向づけをするかという、そうした点に立って毎年のように努力をいたしておるわけです。私は今政治家として判断すれば、例えば農村なんかの皆さん方の歴史を私どもいろいろ見聞するところによりますと、やはり長い間の農民の皆さん方が築き上げた、また今日のような農業の発展の基盤を築き上げたその源泉というものは、言葉にして語れないような農民の皆さん方のいろんな何といいますか、ある意味では水をめぐっての騒動であるとか、そういうふうないろんな歴史の積み重ねの上に今日のあれがあるということも、よく私自身は政治家として認識を持っておるものです。そういう意味で、先ほど申し上げましたように、私どもはあくまでも今概算要求で、これから予算案の決定に向かって全力を上げるわけでございますから、そういう中にあって国民の皆さん方に耳を傾けて、そして先ほど申し上げますように、政治情勢、経済情勢、また国民の動向等全般を見ながら、各省庁とも調整しながら国民の期待にこたえられるようなそういう政府案の決定に向けて全力を上げるということだろうと思っております。したがって、私は個人的には政治家として特に農業用水なんかについては梶原先生の考え方とそんなに大きな違いはない。しかし、今申し上げますように、政府と党一体になって予算案と取り組んでおるさなかでございますので、私どもの考え方を、どうしてもこうしなきゃならぬという私どもは考え方をある程度持っておりますけれども、しかし今までの予算編成、政府案を決める場合は党と政府が一体でございますから、そういう考え方の上に立って皆さん方のいろんな意見が正しく反映できるように、また国民生活に大きな圧迫を与えないような、特に農村に対してはそういう深い理解を持っているということを申し上げさしていただきます。
  89. 梶原敬義

    梶原敬義君 私が言っていることは農業用水だけのことを言っているのではありません。生活用水全般あるいは工業用水、それから農業にかかる問題、全般を言っているわけですから、農業だけあなた方が手を打てばあとはいいというようなこと、そういう勘違いされてもらうと大変困ります。それから党と政府が一体だということを言われますが、政府が概算要求をしているんですから、政府の考え方を私はきょうは聞いておるわけです。一体政府はそこでどうするのか。  先般ある団体と河川局長に陳情に行きましたら、これはどうしてもやりたいんだということを一生懸命言ってましたから、だから私は党というより政府の考え方を今聞いているわけです。  それから今のお言葉を返すようですが、これをやらなきゃ河川の災害を免れないようなニュアンスの今発言でありましたが、そういうことですか。これをやらなきゃ災害を、そういうおどしに使うような話を一方でちらつかせ、そして一方では地方自治体に対しては相当手を打っているじゃないですか建設省が、余り反対するなというような。私はずっと聞いて回ってますよ。言いましょうか。そういうようなやり方をどうしてするんですか。どうですか。
  90. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 私は国民生活やそれから経済情勢や社会情勢、そういう全般にわたってということを前提として申し上げたつもりでございます。したがって、今申し上げますように流水占用料の制度全般についてこれは申し上げているわけでありまして、したがってその中において特に農業用水の問題については、私は先ほど申し上げましたようなそういう政治家として理解を持っておるということを申し上げておるわけであります。  それから、いやしくもこういう重大な政策決定を党と一体になってやっている以上、建設省として役所の皆様方が地方自治体に対して圧力をかけるとか、それから業界とかそういう団体に対してどういうふうな指示をするとかというようなことはあってはならぬことだろうと私は思います。
  91. 梶原敬義

    梶原敬義君 ちょっと最後に。  先ほど菅野委員から示されましたパンフレットの件ですが、どこの地建でどこでどういうようにどう出しているか。何のために出しているか。その数字は後日でいいから当委員長あてか、あるいは私か菅野委員あてに出していただきたいと思うんですが。
  92. 菅野久光

    菅野久光君 今の梶原委員から要求のあった点について、それはどこが出しているかということもありますけれども、それにそれぞれの地建でどのくらい金がかかっているのか、私はそこのところが大変問題だと思いますから、それもあわせて出してください。それは要求をしておきます。いいですか。
  93. 井上章平

    政府委員井上章平君) 調査いたしまして報告いたします。
  94. 菅野久光

    菅野久光君 次に、時間もございませんので、住宅政策の問題でありますが、一国民にとって生活の本拠ともいうべき住宅を建てるということは、いわば一生に一度くらいしかない大事な事業であろうというふうに思います。したがって家を建てるということについては熟慮を重ねてから取りかかることになるというのが一般であるというふうに思うんです。そうなりますと公庫の枠拡大が急に追加されたからといっても、そうおいそれと飛びつくという人が多いとはちょっと考えにくいわけです。今回は、先月の十五日に政府の内需拡大策の中で住宅金融公庫の貸付枠の追加というのが盛られた。公庫の枠の拡大が急に今追加されたからといって、おいそれと飛びつくという人が多いとはちょっと私は考えにくいと思うんです。とりわけ今回は特別割り増しの貸し付け、といっても結局は借金を余計にしょい込むことを意味しているということにしかすぎないというふうに思うんです。それよりもかえってことしから手数料四万円を取ることにしたわけです。これをやめた方がよほど効果があるのではないか。ことしから四万円取るということを聞きつけて、去年のうちにもう貸し付けの申し込みをしてしまったというような人が大分あるようなんです。ですから片方では何か枠の拡大をやると言いながら、片方では四万円の手数料を取る。何かちぐはぐなように私は思えてならないわけであります。やっぱりこのような住宅政策というのは本当に庶民の気持ちを考えたものではないのではないかということをまず指摘をしておきたいと思います。  時間がございませんので、いろいろ住宅政策の基本的な考え方についてお伺いをしたかったわけでありますが、その点については別な機会に譲りたいというふうに思います。  住宅都市整備公団にお伺いいたしますが、現在既に住宅数が世帯数を上回っていて、所得に余力のある人は既に家を手に入れてしまっている。また郊外の宅地の価格は落ちついていて急いで家を買う必要もない。さらに公団で建てた分譲住宅も大変に売れ行きが悪い。こういう数々の状況を見てきたときに、公団の今後の使命は、分譲住宅から撤退をして賃貸住宅を中心にしつつ、古い住宅の建てかえに活路を見出していくということも当然とも思えるわけですが、そのことが果たしてうまくいくのだろうか。臨調答申でも触れていますが、賃貸を中心に提供していくのはいいとしても、古い賃貸の建てかえがそうスムーズに事が運ぶとは到底思えないわけであります。まして建てかえれば家賃は三倍にも上がる、しかも建てかえのメリットのあるのは都心に限られることになると、従来から住んでいる人々は、狭くても安くて便利だからということで建てかえに応ずるとは思いにくいわけです。非常に難しい問題があるというふうに思います。  こういったようなことをいろいろ考えていきますと、公団自体の仕事量なども十分にこれは勘案をしながら、これも臨調の中で言われているわけでありますが、現在のような大世帯でなく、臨調の答申のようにやはり適正な機構と人員配置について思い切ってメスを入れていくということも必要ではないかというふうに思いますが、今後の使命のあり方と適正な公団の規模について総裁はどのようにお考えになっておられるのか、ひとつ端的にお答えをいただきたいというふうに思います。
  95. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 今お話しのございましたように、住宅が量的には充足されたということは事実でございますが、質の改善はこれからの問題だと考えております。特に一例をとりますと、四、五人世帯用の賃貸住宅は良質のものが非常に不足しているわけでございますが、これを民間がやるということになりますとなかなか企業採算上できない、こういう問題があるわけでございます。したがいまして、これからの公団といたしましては一つの重点はこの良質な賃貸住宅の拡充に努めてまいりたい、このように考えております。  それから二番目の問題といたしましては、都市の再開発が叫ばれて久しいわけでございますが、まだなかなか事業は緒についていない、こういうことでございます。したがいましてこの点に特に重点を置いてまいりたい、このようにも考えております。  それから三番目の問題といたしまして今お話しのありましたように建てかえの問題でございますが、建てかえの問題につきましては、御承知のように昭和三十年に当公団ができましてから百十六万戸の住宅を供給しているわけでございますが、そのうちの六十六万戸が賃貸住宅でございます。そのうち昭和三十年代に建てられたものが十七万戸ございますが、その九三%が四十平米以下の小さな住宅でございます。これは当時の事情としてはやむを得なかったと思いますけれども、現在では質のいい住宅とは言いかねるわけでございます。それが大変立地のいいところに余裕を持って建てられております。したがいまして、これからの当公団の大きな柱はこの建てかえをどうするかということにあると考えておるわけでございまして、そういう点から申しますと、居住者の方々の御了解を得ながら早急に建てかえを進めてまいりたいということで、本年度から調査費をつけまして検討中でございます。  確かに居住者の方々の御了解を得るのは難しいと存じますが、当公団六十六万戸の住宅の年間の空き家が約六万戸ございます。したがいましてこの六万戸の住宅を適切に運用することによりまして、どうしても家賃が高くなるから立地条件の同じようなところで古い住宅にお住みになりたいという方はそこに移っていただきます。また前の場所に家賃が多少上がっても構わないから住みたいという方は建てかえて住んでいただく。またお金がたまったから分譲住宅が欲しいという方はその団地の中に分譲住宅も一部入れましてお入りいただく。それから急激に家賃が上がりますから、現在まだ検討中でございますが、五年間ぐらいで適正な家賃になるように段階的に家賃をお払いいただくような形をとりたい。このような考え方を持っておるわけでございまして、これからの公団の使命の大きな柱はこの建てかえ問題ではないかと考えております。  それから人員の問題でございますが、当公団といたしましては五十六年に合併して住宅都市整備公団になったわけでございますが、その後役員の削減あるいは組織の簡素化、あるいは人員の適正化等を図ってまいりまして、私が今考える段階では現在の組織機構で適切ではないかと思っておるわけでございますけれども、今後ともこの点につきましては十分に検討を進めてむだのないようにしていきたいと思っております。
  96. 菅野久光

    菅野久光君 もう時間がありませんので、公取の方に来ていただきましたが、実は三月十八日に住宅都市整備公団で高坂丘陵の土地についての宣伝のものが載っているわけでありますが、ここのニュータウンの中には関越自動車道が貫いているのでマイカーを利用するにも便利であると言いながら、実際にはインターがもう離れたところにあるのに便利だなんということは言えないし、そしてここには書いてないけれどもこちらの方には道路騒音について、地区の中央部に関越自動車道があり若干の交通騒音がありますのであらかじめ御承知おきくださいというふうなことで、新聞に書いてあるのとこちらで出しているのと違うんですね。こういうことはやはり公団としてはやるべきではないのではないか。これについて公取には不当表示ではないかということで聞きたかったのでありますが、時間が参りましたので私の質問をこれで終わらせていただきます。
  97. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      ―――――・―――――    午後一時二分開会
  98. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十八年度決算外二件を議題とし、建設省北海道開発庁国土庁住宅金融公庫及び北海道東北開発公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  99. 岩動道行

    岩動道行君 きょうは最初にメキシコとコロンビアの地震と噴火について、政府にいろいろお聞きをいたしたいと思います。  まず、私は先月メキシコを訪問いたしましてお見舞いをいたし、また現地を視察をし、各方面の意見も聞き、あるいはまた責任ある政府の方にもお目にかかってまいったわけでございますので、専門の立場ではございませんが、いろいろ問題点もあろうかと思いますので、お伺いをいたしたいと思います。  まず、私がメキシコを訪問したのは、我々日本とメキシコとの間は、極めて長い深い友好関係にございます。また、両国には議員間の友好議員連盟というのもございます。そういう立場で、私はお見舞いを申し上げたわけでございます。なおまた、私の若干個人的な立場にもなりますが、財団法人海外日系人協会の理事長を長年いたしております。メキシコの地震におきまして、幸いにして日系の方々、邦人の方々にはまずほとんど被害がなかったということは不幸中の幸いと申しまするか、私どもも安心をいたしたわけでございますが、しかし日がたつにつれて若干の被害を受けた方もあるやに伺っております。いずれにいたしましても、メキシコで活躍をしている日系の方々、邦人の方々は大変高い評価をいただいており、また友好の中にそのような活動が行われているわけでございます。したがいまして、私はこの際、メキシコにいる日本人、日系の方々がこの地震に対してお見舞いをするのは当然のことでございますが、さらにその復旧に全面的に協力をするということをお願いをし、そのために私も参ったわけでございます。  そういうようなことで政府当局とも相談もいたして、ささやかではございましたが、大統領夫人が名誉総裁をいたしております婦人、児童の福祉団体がございますので、そちらの方に直接、まあ自己宣伝になるわけではございませんが、具体的に目につくお見舞いということで日本で最近開発されたディジタルの体温計、目盛りではなくてディジタルで、数字で体温が出てくる、こういうものが向こうではない、また買おうとしても大変大きな債務国でございますので、なかなか輸入が思うようにいかない、こういったようなことで千本、ディジタルの体温計を各方面の御協力もちょうだいをいたして贈呈をいたしました。大変喜ばれました。また新聞、テレビ、ラジオ等でも再三にわたってこれが報道されて、私も喜んでいる次第でございます。  そこで、後ほど触れたいと思いますが、日本のこのような大災害に対する海外への援助、協力のあり方について、まず最初に日本としてどのような援助、協力をするのか、してきたのかということについて伺いたいと思いますが、その前に、また国会としましても衆参両院の全議員が拠出をしてお見舞い金をメキシコにお渡しをしたということもございます。あるいは私ども所属の自由民主党におきましても中曽根総理・総裁がみずから街頭に立ってお見舞いの募金の運動を開始して、おおむね三千五百万円を全国の自民党の活動によって拠出をするような態勢も出てきたわけでございます。  そこで、政府全体としてメキシコの地震に対するお見舞いを、あるいは援助、協力をどのようにしてきたのか、この点についてまず政府にお伺いをいたしたいと思いますが、国土庁長官が総括しておられると思いますので、長官からお答えをいただきたいと思います。
  100. 河本嘉久蔵

    ○国務大臣(河本嘉久蔵君) 我が国はこれまでに緊急の災害援助並びに専門家の派遣の両面で迅速な援助を行っております。  緊急災害援助といたしましては百二十五万ドルの供与を行いましたほか五千万ドルの緊急融資を決定して、具体化を進めているわけであります。さらに専門家の派遣といたしましては、先方の政府の要請に対応いたしまして二次にわたる国際救急医療チーム、これは日赤医団でございますが、二回。なおる油精製施設の専門家チーム、これは一回でございます。さらには二回にわたります、すなわち国土庁から第一回目は七名で編成いたしまして、二回目は建設省から二十三名の専門家チームの派遣を行いまして、今後も地震の専門家の派遣を引き続いて行うことにしております。
  101. 岩動道行

    岩動道行君 そこで、関連して申し上げますが、コロンビアのネバドデルルイス山の噴火が最近起こったわけでございますが、これに対する政府の援助、協力はどのようになっておりますか。
  102. 河本嘉久蔵

    ○国務大臣(河本嘉久蔵君) 我が国は世界でも有数の火山国でございまして、これまでに幾度となく火山噴火による被害を受けてまいりました。そういう経緯から、今回のコロンビアの火山噴火災害につきましては強い関心を持っておるわけであります。国土庁といたしましても、現在外務省及び関係省庁とコロンビア政府に対する技術協力の内容につきまして具体的に検討を進めておるところでございますが、この技術協力を通じまして得た教訓を我が国における今後の火山対策に生かしてまいりたいと考えておるわけであります。
  103. 岩動道行

    岩動道行君 まず、私、国際救急医療チームが派遣されたということは大変よかったと思いますが、これがコロンビアの場合は大変素早くおいでになった。こういうチームができておったということ大変よかったと思います。そして、新聞報道によりましても、言葉のわかる人がついていったということで、非常に大きな成果を上げた、第一陣であった、そしてよその国から来たときには、よその国はもう何をやったらいいのかわからないうろうろしておった、こういったような新聞報道もあるわけでございますので、この点においても日本が大変素早い対応、しかも言葉という障害を乗り越えて行動ができたということはすばらしいことであったと思います。このような体制で日本が平和的な立場から国際協力が、このようにその国が大変困った事態になったときに素早く温かい手を差し伸べていくということは大変よかったと思いますし、これからもそのような対応性をぜひ確立をし整備をしていただきたいと思うわけでございます。これは要望でございます。  そこで、百二十五万ドルをメキシコにお渡しをし、コロンビア政府にも同じように渡し、さらに五万ドル別の形で出した。つまり、コロンビアの場合には百三十万ドルということになるわけでございますが、これは大変それなりの深い意義もあるわけでございますが、どうもお金で行った場合にはどうなのかなという首をかしげる筋もないではないわけでございます。私は、一つの正しい救助の方法であろうかと思いますが、できるだけやはり目に見える物というものがやはりその場では大変すぐ役に立つ。そういう意味で日本のこれからの対応については十分に考えていただく必要があろうかと思うんです。  メキシコの場合でも、百万ドルをレーガン大統領のナンシー夫人が持っておいでになった。日本はそれよりも多いものをお持ちになった。ところが、私が聞く限りにおいては、大使が大変努力されたとは思いまするけれども、何か聞くところによれば、そのようなお金を受け取る銀行があって、国立の銀行だそうですが、日本銀行のような銀行ではないそうでありますが、その銀行に持っていって、そこの頭取に渡されたと。なぜ大統領にお渡しにならなかったのか、あるいはなぜ災害対策の本部長でもある実力ナンバーツーの内務大臣にお渡しにならなかったのか。私はその辺よくわからない。したがって、メキシコでの報道は、私の聞くところによればテレビで十数秒しか出なかったと、あるいは新聞でも二、三行にしかならなかったと。私は宣伝がいいとは思いません。しかし、国民はやはり日本が温かい手を差し伸べてくれたなあと、こういうことがわかってほしい。日系社会においても金持ち日本は何をやったんだと。政府の方は大変喜んでおります。感謝しております。しかし、国民がわからない。あるいは日系の方々が肩身の狭い思いをする。これは私やっぱり同じお金を出すならば効果的にお渡しになる方法をこれからは考えていただく必要があるんではないか。ですから私ども日本でもメキシコの地震のときに、テレビを見ればナンシー夫人の画像がたくさん出てくる、あるいはまたヨーロッパから犬を連れていって、そして救助活動に大きな感銘的な画面が私どもに伝わってくる、こういうところに私はやっぱり日本の外交のへたさといいますか、まずさというのかな、何と申し上げてよいのかわからないけれども、一生懸命おやりになっていると思うけれども、やはり効果というものも考えて、しかも経済大国日本が何をやったのか国民がわからないということでは残念だと思うんです。この点について政府のお考えと今後の対応の仕方についてお答えをいただきたいと思います。
  104. 太田博

    説明員(太田博君) お答え申し上げます。  メキシコの地震災害に対する我が国の援助につきまして、残念ながら我が国の新聞、テレビ等ではそれほど大きく扱われませんでしたけれども、メキシコにおきましてはデラマドリ大統領、厚生大臣等、政府の首脳部から謝意が表明されたほかに、テレビ、ラジオそれから主要各紙でかなり大きく取り上げられております。  ただいま岩動先生指摘の百二十五万ドルの緊急援助を渡しましたときには、主要紙に大きな写真入りで記事が出ておりますし、それから地震が発生してから一週間たった時点で、メキシコのテレビが特集番組を組みましたけれども、その中では各国の援助ぶりについて我が国とアメリカの援助を特にクローズアップして報道したということでございます。また、メキシコにございます我が方の大使館にメキシコの小中学生からの感謝の作文、それから絵画等が多数寄せられておりまして、また生徒の代表が先生に伴われて我が方の大使館に参りまして、大使に対して日本の援助に対する感謝の意を表明して、特に物質的な援助もさることながら、日本国民の精神的な支援に対して大いに感謝しているということを述べたということもございます。  ただ、先生指摘のように、我が国がこのような外国の災害に対しまして援助を行う場合には、それがその国の政府のみならず国民に広く知られ、かつ感謝されるようにすべきであるというのは、まことにそのとおりでございまして、今後とも同じようなもし状況に至りました場合には、一層努力をいたしたい、そういうふうに考えている次第でございます。
  105. 岩動道行

    岩動道行君 しっかりやってください。  そこで、先般来長期にわたって日本政府の方から現地に調査団が先方の要請によって参って、かなり詳細に被害の調査そして建物の状況、それから建築基準あるいはこれをどうしたらいいのか、そしてそれが日本でどのように生かされるかといったようなことにも後ほど触れてくるわけでございますが、この調査団の報告、つい数日前に帰ってこられたわけでございますので、この機会に簡潔に御報告をいただきたいと思います。
  106. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 十一月の二十三日に帰ってきたばかりでございまして、その結果をまだ聞いている段階でございますけれども、今回参りまして、メキシコの地震の特徴等をまず申し上げますと、建物の被害の特徴といたしましては、第一にメキシコ市の鉄筋コンクリートづくりの中高層建築物、これが多数倒壊したことが挙げられるわけでございます。これは同市の建築基準におきます地震力の設定が低かったことに加えまして、同市特有の地質地盤のため長周期の地震動が長時間継続した、これが主な原因だというふうに考えられております。  それから、特徴の第二といたしましては、倒壊を免れました建物におきましても、レンガ積みの間仕切り壁でありますとか、あるいは外装材などいわゆる二次部材の損傷が非常に大きい、したがいまして、建物としての機能を著しく損なったこと、これが挙げられるのではないかと思います。これは地震の際の建物の変形が大きかったこと、それからこれらの部材の躯体への取りつけが不十分であったことが原因ではないかというふうに考えられるところでございます。
  107. 岩動道行

    岩動道行君 そんな程度じゃだめだよ。もうちょっと詳しく説明しなさい。
  108. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) それと耐震基準の問題でございますが、メキシコにおきまして耐震基準はおおむね我が国と同じような考え方に基づいて定められているわけでございますけれども、地震時に建築物に作用する外力の大きさ、これが我が国の三分の一程度という設定であったということがございます。ただ、今回の地震後にその地震の基準が見直されまして暫定基準といたしまして設計用地震力が従前の二倍程度に引き上げられたというふうに聞いておるところでございます。
  109. 岩動道行

    岩動道行君 えらいそっけない報告で、あなたまだ聞いてないわけかな。僕は聞いたんだよ。しかし、僕から言ったんじゃ意味がないものね。また聞きになっちゃうから。政府はもっと真剣に、せっかく金を使って長期にわたって専門家チームが行って帰ってきたんだから、時差なんか飛ばしちゃってもっと勉強しなさいよ。これじゃ国民に対して申しわけないよ。わかっている人いたら説明してくださいよ、あなたがわからなければ。行った調査団長だっているだろう、石川君でも出てもらったらいいよ。大臣だってこれじゃ何しているんだろうと言って、これは大臣だって不愉快になっちゃうよ、せっかく木部大臣一生懸命やったんだから。
  110. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) ただいまの団長は石川君というのが行ったんですが、今ここにおりませんので、大変申しわけありません。確かに勉強不足でございまして、調査結果について十分に聴取しておらないところでございます。大変申しわけないと思います。  五週間メキシコに参りまして、メキシコ側の政府関係者あるいは建築技術者に技術協力を目的として行ったわけでございますけれども、まず第一に、メキシコ政府に対しましては被害建築物の被害度の判定を迅速かつ客観的に行う方法、それから第二に、建築物の被害状況の実態に応じてその補修、補強の設計方法を提言いたしたということでございます。  それで、調査したのは詳細四棟、概略調査が十六棟、合計二十棟ということでございます。
  111. 岩動道行

    岩動道行君 時間がないからこの程度にとどめておきますけれども、せっかく五週間も行っておったんでしょう。それがこの国会の中で国民にわかるようなもっと親切な報告を、通告してあったのだから、前から、もっと勉強してちゃんとやってくださいよ。これは大臣、ちょっと事務当局少したしなめてくださいね。これじゃ国会審議にならぬ。与党は野党とまた違って、政府与党の質問だけれども、きちんとするところはきちんとしなきゃいけないわけですからね。それで、五週間も本当の専門家が行って、しかも日本の進んだ地震対策技術というものを持って、それでいろんな診断をしてきた。外交的にあるいは言えないという部分もあるかもしらぬ。それはそれとして、あなた方がやってきたことは大変評価されているわけなんだ。私の聞いたところだと、帰国の前日の十一月二十一日に調査報告書を向こうに出したと。向こうに報告書を出しているんですからね、あなた方の方でわからぬはずないのよ。何でそれ聞いてないのかというのもおかしいと思うし、そして報告会があって、その報告会は向こうの責任者がたくさん来て、百五十名くらいの人が来て、非常に感銘深いそして意義の深い報告会があったと、非常に感謝されたと、こういうことを私聞いているわけですよ。それくらいのところは胸を張っておっしゃったらどうですかね。そうしなきゃ、国費を使って行って、何が何だかわからぬということになるんでね。まあこれはいずれその所管の委員会等でもあれされるでしょうし、また我が党の大石千八議員、竹山議員が現地に素早く視察とお見舞いに行ってこられたわけですから、そういう先生方も大変関心を持っておられますので、別の機会に専門的にやっていただければよろしいと思います。  それにいたしましても、調査団の報告は私はこれは日本のこれからの地震対策にも非常に大きな教訓を与えておるのではないかと思うのですが、この点についての所見だけひとつ申し述べていただきたい。
  112. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 今、岩動先生から大変見識のある、しかもみずから現地を訪れて調査、研究をされました貴重な御意見に対しまして、私ども建設省の方といたしましそまだ十分整理が整っておらない、そういう点につきまして大変申しわけなく存じておる次第でございます。  今、岩動先生から、地震国日本として他山の石と見ないで、我々といたしましてもよく教訓として、これからの地震対策につきまして行政上できる範囲の最善の努力を尽くさしていただくと同時に、また先ほど、私も実は調査団の方から多少の報告は聞きましたけれども、現地のメキシコ政府当局や皆さん方が日本に対する技術協力その他に対して大変大きな期待を寄せておられるということは私も認識を深くいたしておる次第でございまして、そういう点等につきましては、今御指摘いただきましたような点を最大限踏まえまして、日本の地震対策にも、またメキシコの復興に対しての最大限の技術協力をさしていただきたいと、かように考えておる次第でございます。
  113. 岩動道行

    岩動道行君 外務大臣がメキシコにおいでになって、そしてお見舞いをし、現地も視察をされて、大変精力的な行動をされたことは私も評価いたしたいと思います。その際、五千万ドルの商品借款の約束もしてこられたわけでありますが、この商品借款というのはいわゆるアンタイドであって、その国が何にお使いになろうとこれは自由だという、いわゆるひもつきでない援助資金になるわけですが、せっかく日本がなかなか厳しい援助の枠の中から五千万ドルという相当の金額をお出しになるんですから、しかもメキシコの場合には通信関係が大変破壊をされて、必ずしもまだ完全に戻っていない、そういったような状況で、まず通信、情報がこういう大災害のときには一番大きな役割を果たす。それが機能しないと非常に不安とそして混乱が起こってくるわけであります。  私、メキシコに参るときにも、一体どういう状況なのかということを現地の人に聞いて、いや、もう普通の市民生活で何の変化もありませんよと。しかし、行ってみますと非常に旅行者が少ない。観光で大変稼いでいる国でありますが、観光客が大変減ってしまって、ホテルはがらがらだ、あるいはまた航空機も便を減らしてしまうと、そういったようなことで、メキシコは大きな借金国であって、観光で少しでも外貨を稼ぎたいところが稼げないでますます困難な状態になってきている。これなんかは、まあ通信の機能が充分にまだ回復していないということもありましょうし、あるいはまたそういう情報の伝達が十分でない。こういうようなことはやはり大事なことでありますので、私は商品借款、アンタイドであるけれども、恐らくもうそのような姿になっているとは思いますが、日本の進んだ通信技術、機材、人材、これをやはり活用してもらうようにしていくことが大事であると。そういうようなことで、私はメキシコ政府のバルトレト内務大臣あるいは外務次官等にもそのような要請をあえていたしたわけであります。一種のルールから外れたことかもしれないけれども、それくらいのことが話し合えるような間柄でなければ真の親善友好外交というのはできないわけであります。政府でありませんから、私は国会議員として自由な話をした。そういう中において、五千万ドルの有効な活用については、日本の技術、機材、人材を活用してもらいたいという要請をいたしたわけでありますが、このことについては政府でも十分に心においてやっていただきたい。ここでそれをやるということを答弁をしていただく必要はございません、またできないでしょうから。このことを申し上げておきたいと思います。  さて、調査団の報告は極めて簡潔過ぎちゃってよくわからないのでありますが、ここで、大変お忙しい中、わざわざ参考人として日本の地球物理学の最大の権威者でございます竹内先生においでをいただきました。本当にお忙しい中をおいでいただきましたことを、まず私からも感謝申し上げたいと思います。  そこで私は、地震国日本と言われたり、火山国日本と言われたり、それだけにそれなりの学術的な研究あるいは予知、対策等は相当進んできて、そういう意味においては地震と火山の先進国かもしれません。地震、雷、火事、おやじと怖いものの代表でございますが、地震があれば火事まできますから、そういう意味では地震、雷、火事と。今度の火山でも、大雨が降ったというようなことになりますと、地震、雷、火事と三つが重なっているようなことで、大変怖いものの象徴が三つとも一時に現象として起こると。こういうようなことで、地震というものあるいは火山というもの、これについて学問的な立場から先生から御所見を伺いたいと思いますが、実は私、先生がやっておられるこの「ニュートン」という、これは発刊以来私は期待を持って継続して読者になっております。やがて六年になろうというすばらしい科学雑誌でございます。これの九月号でございますが、これに「地震その発生のメカニズムを探る」というすばらしい記事が載っているわけでございます。これはメキシコの地震を予想して編さんされたんじゃないと思いますけれども、これが出た号の月にメキシコの大地震が起こっているわけです。日本の場合には東海大地震とかいろいろなことが言われておるわけでございますが、これによりましても、「それはある日突然やってくる。しかしけっして〝突然〟おこるわけではない。地球内部にたくわえられたひずみのエネルギーが岩石を破壊し、地層をくいちがわせる。」と、いわゆるプレートテクトニクスという考え方が最近の学説の基本になっていると。それに基づいて先生がすばらしい、私どもにも半分ぐらいはわかる、しかし大変よくわかる記事を出していただいております。  それでまた、これによりますと、日本列島の周辺でもマグニチュード八以上の地震がここ百年くらいの間に五カ所あるという図面が出ております。マグニチュード八以上が五カ所でありますが、例えば三陸の地震、これは大津波を伴ったものでありますが、これが一九三三年であってマグニチュード八・三、それから東南海地震、一九四四年、マグニチュード八、こういったようなものがあります。そして関東大地震、これは一九二三年でありますが、これがマグニチュード七八と、このような大きなマグニチュードの地震が多発をいたしております。さらに六以上、六・五以上のものを数えると八十幾つになってしまうわけであります。  このように日本列島の周辺には大きな過去の地震が起こっておりまするし、こういったようなことで私は、なぜこのような地震が日本の周辺で起こるのか、世界的にはどういうことになっているのか、これについてまず先生から私どもにお教えをいただき、そしてまた地震のほかに火山の問題もございます。さらに学問的に見てもこれは予知をしていかなければなかなかうまくいかない。コロンビアの火山の爆発の場合にも相当予知できた、そしてすべきであったのではないかということも伝えられておりますが、それがおくれていたというようなことも災害を大きくした原因ではなかったかと思うわけでございますので、この辺につきまして先生からお話をお聞かせいただきたいと思います。
  114. 竹内均

    参考人竹内均君) 少しばかり時間を拝借いたしまして、日本それから太平洋を隔てて向こう側にあります中米や南米でなぜ大きい地震が繰り返し起こるのか、また火山活動が活発であるのかと、そういったことのまず一番原理的なところからお話をさせていただきとうございます。  お配りいたしましたこのコピーの資料の一ページ目をごらんいただきますと大体その概念が得られると思いますので、まずはそれをごらんください。それにのっとって話を進めていこうと思います。  これはもちろん太平洋の下の地球の断面でございます。その絵の左の方で何か白い矢印が下がっているようなところがございます。そのあたりの上が日本と思ってください。それから今度はそれと反対側で、この絵の右の端でやっぱりまた白い矢印が下がっていっているととろがございます。ここをメキシコと思っていただいても、あるいはコロンビアと思っていただいても結構だと思います。それから南米あるいは中米に近いところで、白い矢印が上がってまいりまして、それから表面で左右に分かれていくところがございますが、ある意味でここが太平洋での地震や火山活動の一番の源だと言ってもいいんです。要するに、南米の太平洋沖とおぼしきあたりに海底山脈がございます。海嶺と呼んでおりますけれども、そこへ向けて地球の中から、一年に数センチメートルといったゆっくりとした動きといいましょうか、物が上がってくるんです。それから左右に分かれて進んでいきます。この絵で申しますと、左の方へ行ったもの、つまり日本の方へ向けてやってきたものは、例えば東北地方の太平洋沖に日本海溝と呼ばれます深い海の部分がございますけれども、そこから地球の中へ潜り込んでいっております。それが今最初に申しました沈み込む矢印です。同じようなことが、今度は南米の沖合で上がってきて右へ向けていったものが、右へ向けていったかと思うとすぐという感じで南米の下へ潜り込んでいる矢印が書いてございますけれども、それが南米や中米の地震や火山活動を起こしているものなんです。  とにかく、地球の表面近くに、この矢印で示したような、ある場所で上がってきて水平に動いていって、それからある場所で沈み込むという動きがありますために、地球の表面、この場合には太平洋の海底ですけれども、海底が動くんです。地球の表面の厚さ百キロくらいの部分をプレートと言っております。板ですけれども、そのプレートの下で今言ったような矢印で書いたような動きが起こっておりますために、その表面のプレート、板が動いていくわけなんですね。一方は日本の方へ向けて動いてきて日本列島の下へ沈み込む、一方は中南米の方へ動いていってその中南米の地下へ沈み込むということなんです。  その日本列島の方に注目いたしますと、日本海溝のあたりから日本列島の下へ沈み込んでいきますものは、いわば日本列島の下の地面をかき分けるようにして下へ入っていきますから、そこで地震が起こります。一種の摩擦でもって、すれ合いのようなことで地震が起こるわけです。日本海溝から日本列島の下へ向けましてずっと地震の起こる帯が入り込んでおりますけれども、それはそういうからくりによって起こるものなんです。それから、入り込んだ太平洋の海底は、しばらくいきますと温度が高くなります。それは深いところへ入りますと温度が高くなりますし、それから摩擦をいたしますので摩擦熱で温度が高くなります。高くなりますと入っていった太平洋の海底の一部が溶けまして、溶岩になってよよよと上がってきまして日本の火山をつくるわけなんですね。  今言ったことがそれほどの間違いじゃないという証拠には、例えば東北地方をお考えいただきますと、潜ってすぐの太平洋側には活火山がございません。日本海側にあるというのは、相当潜って先の方へ行かないと熱くならないからという理由によるものなんですね。こういう動きがございます。それから、恐らくは、この太平洋の下でのこういう動きはこれから先数千万年ぐらいは続くと思いますので、今すぐ急に何とかしてこの動きをとめようといっても、とてもそれは人力の及ぶところではありませんし、それからまた、日本列島はそういう意味で間の悪い場所にあるといえばありますわけで、数千万年間地震や火山活動に脅かされ続けるということは、その運命は免れないものだと思うんですね。  事のついでにこの中南米のところを申しますと、全く日本列島と同じようなことが起こっているわけです。中南米の下、やっぱりここにも南米の沖合あたりに海溝、深い海の部分がございます。そこから下へ入り込んでいきます。ちょうど日本列島の場合と左右反対にしたようなことが起こっているわけですね。ですから地震も起こります。それからしばらくいって熱くなったものが上へ出てきます。というようなことで先般のメキシコ地震、それからコロンビアの火山活動があったというわけだし、これからもあり続けるだろうと思うんですね。  こういうような大きい動きがわかってまいりました。これに基づいて地震予知という計画が立てられておりまして、かなりの年月、国からお金をいただいて研究を進めているわけなんです。  日本列島の中で今大きい地震が一番危惧される場所としては、新聞などでしばしば報ぜられておりますけれども、駿河湾のあたりですね。これは、いろんな理由から考えまして、どうも日本例島の中で今一番危ない場所と言われたらそこという幾つかの情況証拠がございます。  ただ、残念なことに、危ない場所はわかっているんですが、これがいつ起こるのかということを的確に言い得るだけの自信はまだ日本の科学者にもございませんし、それは世界の科学者にもないと言っていいと思うんです。ちょっと変な例え話をさせていただきますけれども、例えば糸を両手でもってぎゅっと引き伸ばします。伸ばせば伸ばすほど、糸が切れる確率といいましょうか、それは高まってまいりますけれども、その糸がいつ切れるのか、あるいはどこで切れるのかといったことはなかなか予知しがたいわけです。それと似た困難だと御了解いただきたいと思うんです。  あるいは、もう一つ蛇足に近い例を申しますと、例えば電灯を買ってまいります。その電灯が平均寿命がどれだけかというようなことは多分会社へ聞けばわかると思いますけれども、きょう買ってきた電灯がいつになったら切れるということは切れてみなければわからないというような面もありますわけで、これは茶化して言っているんじゃなくて、いつということを言うのはかなり難しいことだと思います。ただ、いつということを言いたいと科学者たちのこれは大きい欲望、これは科学者の探求心からしてもそうでございますけれども、もう一つ、国から予算をいただいてそういう研究をしているという立場から申しますと、やはり、なぜ予知をするのかという予知の目的は災害を軽減することだろうと思うんです、地震災害あるいは火山なんかもこの際含めて申しますと。その予知の問題と切り離して災害の問題を考えた方がある意味ではわかりやすいこともございます。わかりやすいというか、予知しやすいものからちょっと順に申さしていただきますと、まず津波による被害というものは、一番地質現象といいましょうか、地震に関係した現象の中で予知がしやすいと私は思うんです。例えば、ちょっと極端な例をお話しいたしますとわかるんですけれども、南米あたりで地震が起こりますと、地震の波は地球の中を通り抜けてやってまいりまして、三、四十分たつと日本へ参ります。ところが、津波の方はゆっくりゆっくりとやってまいりますので、一日くらい日本へやってくるまでにかかります。その間に例えばハワイを通るといったことがあるわけです。ですから、地震が起こったらすぐに、例えば南米で地震が起こったとして津波の害がないかということには、いわば一日の余裕があるわけですから、その間のいろんな観測をしまして、津波の害があるぞというようなことは比較的やりやすいことだと思うんです。南米の場合は極端に時間の余裕がありますが、日本の近海で起こりますとその間の時間は少し狭まってまいりまして、警告を出すのに多少困難かもしれませんけれども、それほど難しいことではないと思うんです。ですから、そういう警告のためのデータをいち早く集めて、そして出ました警告をとにかく隅々まで早く的確に伝えるということをいたしますれば、津波の害というものは完全に僕は防げると思うんです。  その次、今度は火山でございますけれども、火山も確かに昔の、例えばポンペイが埋もれたそういう時代を考えますと、とても予知できないんじゃないかと、火山の噴火というようなことは、あるいは災害を防ぐということはできないんじゃないかとお考えかもしれませんけれども、これはもうそんなことではないんです。火山については、私はかなり災害を防ぐという意味で適切な予知ができると思っております。といいますのは、火山が噴火するのはいきなりぼこっといくわけじゃないんです。今度のコロンビアのものにいたしましてもその事前のことはたくさんありましたわけで、まず相当深い場所で地震が起こり始めます。地震としては小さい地震です。その地震がだんだん表面へ向けて、つまり起こる場所がだんだん表面近くへ参ります。それと同時に地面の表面が膨れ上がります。何かもち網の上にもちを乗せて下からあぶっている状態を想像していただくとありがたいんですが、ぶくっと膨れてくるわけです、表面が。そして、騒ぎといいましょうか、地震による騒ぎがだんだん表面へ向けてやってまいります。地震の騒ぎというか、起こっている場所が表面に達したかと思う瞬間くらいに溶岩があふれ出ます。それから表面が今度はぼこっとくぼみます。ちょうどもちが水蒸気を吹き出してぼこっとへこむような話と御想像いただけばいいわけです。その地震の災害というのは溶岩だとか、それから火山灰が吹き出すということですけれども、その前には今申しましたような地震が起こり始めて表面近くへ移動する、あるいは地球の表面が膨れ上がるといったようなことがございます。一日とか一週間の余裕は十分にあると思うんです。今度のコロンビアの場合にも事前に地震が起こっていたということは、そういう事実がございます。ですから、この場合にはそういう何といいましょうか、前ぶれに注意して、やはりこれはすべて安全を期すのがよろしいわけですから、何かちょっと危なくなったらば周りの人たちに警告を発する、しかもそれを的確に伝えますれば、火山によって例えば人身事故といったようなことは完全に防げると思うんです。今度のコロンビアのようなことが起こりますと、あるいはうちが埋もれるといったようなことは避けがたいかもしれませんけれども、人命を失うということは、そういうことのないようにということは十分にできることだと思うんですね。時間的余裕があるということです。その場合は、もちろんそういう警告を早く適切に人々に伝えるという前提があってのことでございます。  最後に地震、しかも大地震ということになりますと、今申しましたようにいつということは残念ながら的確にはいきがたいという事情がございますわけです。ただ、地震の場合に、問題はさっきも申しましたように、なぜ予知したいかというと、それは災害を少なくしたいからだというのが、まずは国から予算をいただいて研究している立場から申しますとそういうことだと思うんですが、災害を防ぐということは、また予知ができないということとは別途に、僕は対策によって防ぐことは、災害をなくすというか少なくするということはできることだと思っております。  例の関東大地震ですね、先ほど岩動議員がおっしゃった、一九二三年に起こっておりますけれども、このときの東京大地震ではまず物的損害にいたしまして五十億円の金がなくなりました。当時のお金です。当時の国家予算は十五億円でしたから、国家予算にいたしますと三年分余りということになります。それから十五万人の人命が失われました。行方不明も入れましてですけれども、十五万人です。問題は、こういう被害をさらに分析的に調べてみますと、実は火事、火災がその原因の大きいものであったんです。ちょっと擬人的な言い方を許していただきたいと思いますが、そういう意味だと地震に罪をかぶせるのはかわいそうなような気がするんです。全く擬人的な例え話と思っていただきとうございます。火事によって損害が物的にも人的にも五十倍に膨れ上がっております。ですから、例えば十五万人という死者は、五十分の一といたしますとどうなりましょうか、三千人くらいになりましょうか、元来は三千人くらいで済んでしかるべきものが、火事によって膨れ上がって十五万人になったというのが実情なんですね。御存じの本所被服廠跡と称するところでは四万人ですか、焼け死んでおります。というようなことがありまして、ともかくも関東大地震の場合には火事が被害を大きくしたんです。  ちょっと参考までに、今言った話がそれほど見当違いではないということを別の例で申しますと、一九〇六年にサンフランシスコで地震が起こっております。これはマグニチュードといたしましては関東大地震より大きいんです。ですから地震そのものは大きいんです。じゃこのときに人がどれだけ死んだかということです。七百人でございます。それがさっきの関東大地震で火事がなかったときには三千人くらいで済んだのではないかという数とおよそ話が合っているということが注目されると思います。ともかくも日本での、特に東京で起こります大地震につきましては、少なくも関東大地震の場合には火事がなかったらば損害は取るに足りなかったと、ちょっと言い方は不適切かもしれませんが、そういう言い方がある程度できると思うんです。  さて、私長いこと地球のことを勉強してきました者として一番心配しておりますのは、日本の中の、特に東京をいつの日にか襲うであろう大地震でございます、これは襲わないというふうに考えるのがおかしいわけですから。といいますのは、さっき言いましたように太平洋のプレートといいましょうか、そういう動きは数千万年は続くんですから、東京大地震がいつの日にか起こらないと考えるのは、その方がおかしいと思うんです。その場合に、次のというふうに言わしていただきますが、ちょっと心配の種が移動しているんじゃないかと私考えます。つまり、前の関東大地震では火事でございましたが、その後何というか、火事に強い建物というようなものが続々と建ってまいりました。例えば日本の普通の表通り歩きましても、私はいつも道を歩きながらそういうことばっかり考えているんですけれども、今度東京大地震が起こってもこの通りは絶対大丈夫だというようなのが、そういう通りばかり、少なくも表通りはそうでございます。裏通りへ入りまして住宅地に入りますとまたちょっと事情は変わってくるなと思いますけれども、火事ということについては、もちろん心配するなというのはおかしいと思うんですが。関東大地震の場合ほど大きい役割を火事は演じなくなるんだろうと思うんです。  それにかわりまして私憂慮しておりますのは、先ほどこれも岩動議員がメキシコ地震と関係してお話しになりましたけれども、通信といいましょうか、まあ具体的に申しますと電話線の不通のようなことが非常に私は心配なんです。先般、世田谷で妙なことで電話線の不通が起こりまして、いろんなこと混乱いたしました。あの場合には銀行の仕切りができないとかそういったことでしたけれども、あれを大規模にしたことが起こった場合に東京がどうなるか。何も世田谷区だけじゃなくて、二十三区皆ああいう目に遭ったらどうなるかということをお考えいただくと、私の心配しているところがおわかりいただけると思うんです。  逆に、ちょっとこれもまた話を具体的にしないとわからないものですから、具体的に話をさせていただきますと、私は今オフィスは新宿にございます。それから私の家は目黒にございます。普通私が働きに出ております場合には、ですから家人は目黒にいて、私は新宿にいるということです。私の家は、これまた変な話ですが、地震にはすこぶる強くつくりましたので、といいますのは、次の関東大地震で真っ先に僕の家がいったということになりますと末代までの恥でございますので、家をすこぶる丈夫にいたしまして、ですから、地震が起きても家の者には外へ出るなというふうに言い聞かせてあるんです。こっちのオフィスの方のビルもとても、どう見渡しましても大丈夫というふうに頑丈につくられております。ですから、現場でびしゃっとつぶれて私や家人ががたっといくという心配は私はないと思うんです。  さて、私何を心配しているかというと、電話のことだけなんです。仮にいろんな混乱が起こりましても、電話線が完全に通じているということであれば妙なこと一つも起こらないように私は思うんです。例えば新宿から電話を家へかけて、地震が起こった、自分は元気だ、家は大丈夫か、でも、もしかすると帰るのが二、三日おくれるかもしれないけれどと、これだけのことが通じれば私の方も家人の方も心配せずにやれると思うんですけど、さあ問題はそんなうまいぐあいにいくかということですね。私にしましてはそれが心配だし、また、これは個人の問題ではございません。東京都民というか、東京都に住んでいる人たちみんなが、今言った電話の連絡だけが十分にいくということであれば、まあ極端な言い方です、何せ僕はちょっと極端に物を言う方なんであの関東大地震来たらば来だれと、歓迎という意味ではございません、もうやけくそで言っているわけで、来るのはほとんど防げないわけですから。けれども、そういったきちっとした適切な、例えば電話ということだけでも通じれば、私は損害はそんなに大きくなかろうと思うんです。何しろ非常に愛国者なものですから、日本の前途を心配しておりまして、東京大地震を一番心配しているんですけれども、それを防ぐ今私何かどういう方法があるかと聞かれましたら、まず地震のときにどういうふうにしたらいいのかよくわからないんですが、衛星をチャーターするとかいろいろいたしまして、電話は無制限にかけられるというような条件がかなえられれば、東京大地震の心配は僕はかなり消えうせると思うんです。  そうしますと、じゃ地方はどうしてくれるんだと、岩動議員ですと例えば岩手県はどうやとおっしゃるかもしれませんね。岩手県を無視しているわけじゃないんですが、日本に与える被害の大きさから考えますと、岩手県での地震と東京をめちゃめちゃにやっつけるような地震とはやっぱり日本国に与える影響からしてはうんと違うと思うんです。専らその理由によりまして東京大地震を心配しているわけなんでございます。私として、一番今何とかしてほしいなと思うのは、地震のときに大丈夫という電話線をつくる、あるいは地震のときに世界じゅうの衛星をチャーターして目黒と新宿の間に連絡がとれるといっていのことはぜひ望ましいな、こう思うんです。どうも話がちょっと脱線したことを反省しておりますけれども、以上でございます。
  115. 岩動道行

    岩動道行君 大変貴重でかつまた私どもにもわかりやすい、まさに国会の場で国民に我々の審議がよくわかるお話を承りましたことを大変感謝申し上げます。比例代表の第一番に挙げて国会議員にもなっていただきたいくらいです、(笑声)ちょっと脱線して恐縮でございました。  それで、今大変貴重なお話、特に私ども東海地震ということに何か日本の大地震の象徴的な対応をやってきておりますが、まあ東海地震は必ず起こると、周期的に見てもそうだということがこのニュートンの先生の本にも書いてあるわけでございますけれども、やはり日本国全体から見た場合には、東京というものがやはり大変心配なわけでございます。いずれこのようなことについてはまた専門的な委員会でも私ども審議を深めて対応していかなければならないと思いますが、本当に貴重な御意見、そして対応について、特に通信の問題、これは大変私も大事だと思っておりまして、実は後ほど各省庁に対応策についての質問をいたしたいと思っておりますが、若干もう時間が大分経過いたしましたので、とりあえずここで私は地震、火山に対して若干メキシコとの関係で提言を申し上げて、問題を次に移してまいりたいと思いますが、それは、先般メキシコに参りましたときにバルトレト内務大臣、現地の大使とも相談をして申し上げたのは、メキシコから行政官、専門家、学者等の調査団を日本にお招きをして、そして日本の防災体制、地震対策あるいは学問研究の分野等幅広く実地に見てもらって、百聞一見にしかず、そして意見交換をしてメキシコでもこれを生かしていただきたいと、そういう意味で調査団の招聘をしたらどうかという提案をいたしたわけでございます。政府においても検討していただいていると思いますが、この点についての政府の現在の対応、それからさらに私は私のアイデアとして申し上げてきたんですが、地震に関する国際シンポジウムをこの際開いてみることはどうであろうか。これは学者の地震学会というものは恐らくあるんだろうと思うんです。しかし、広い分野での建築の問題から、あるいはその災害が起こった場合の対応の問題とか、いろいろそういう幅の広い地震に関してのシンポジウムを国際的なものとして開くことはどうであろうか、これは各国との連携も必要でありましょうし、またメキシコのデータがある程度はっきりした時点で、例えば来年の九月十九日、メキシコで地震の起こった日にメキシコシティーでこういう国際シンポジウムを開くというのも意義があるのではないだろうか、こういったようなことで私のアイデアを提案してまいったんでありますが、これに対する政府の御所見、対応を伺っておきたい。  そして、結びとして国土庁長官から、今竹内先生からの大変貴重なお話がございましたので、政府としての基本的な対応というものを伺っておきたいと思います。  個々の各省庁についても随分勉強してもらって、実は個々に質問してまいりたいと思ったんでありますが、若干時間が経過いたしておりますので、残された時間はまた大きな民活の問題、公共事業の問題、四全総の問題に移りたいと思いますので、地震、火山等に対する私の質問は今申し上げたようなことで一応締めくくりにして、時間があればまたやりたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
  116. 太田博

    説明員(太田博君) お答えいたします。  まず最初の、先生の第一の御提案、すなわち地震予知や防災につきましてメキシコから行政官、専門家あるいは学者のチームを招きまして我が国の防災体制を見てもらうとともに、我が国の関係者との意見交換を行うという御提案でございますけれども、この御提案は極めて有益なものであるというふうに考えております。政府といたしましては、今までもメキシコにつきましては既に御指摘のような各種の協力をいたしてまいりましたけれども、これからまたメキシコ市の防災計画の整備につきまして、国際協力事業団を通じまして国内関係省庁等の専門家から成りますチームを、メキシコ側と協議の結果でございますけれども、明年の一月に派遣する予定となっております。この日本から送ります専門家チームの相手方となるようなメキシコ側の専門家を中心といたしまして、今の御指摘のように関係者を招きまして意見交換をし、また我が国の防災体制等を視察してもらうということは、先ほど申しましたように極めて有意義である、有益であるというふうに思われますので、メキシコ側ともさらに細かい点協議をいたしまして、メキシコ側の希望に応じられるように前向きに検討させていただきたいというふうに考えております。  それから第二番目の御提案、国際的な地震のシンポジウムの開催でございますが、これも極めて時宜にかなった御提案というふうに考えられまして、メキシコ側とも協議の上に国内関係の専門家方の協力を得まして、開催の方向で検討をさせていただきたいというふうに考えております。
  117. 河本嘉久蔵

    ○国務大臣(河本嘉久蔵君) 先生指摘の我が国の地震対策でございますが、政府の震災対策は中央防災会議で決定されました大都市震災対策推進要綱に沿いましてその推進を図っておるところでございます。今後とも各省庁と密接な連絡のもとに。その推進を図ってまいりたいと考えております。
  118. 岩動道行

    岩動道行君 何しろ地震国、火山国でございますので、国民が安心して生活ができるように特段の御配慮を、国土庁長官を初め関係省庁非常に関連するところが多いわけでございます。言い出すと切りがないんでありますが、通信の問題もそうでありますし、あるいは電気、ガスといったような、暗やみになってしまうとこれまた人間不安になってしまうんです。メキシコの場合でも電気がなくなって、懐中電灯をどんどん使って救助作業をやった。ところがそのときに電池がなくなってしまって大変困った。そういうとき日本の電池がたくさん来ていたらどんなに助かったことかなあ、こういう生々しい話も私聞いてきたわけです。そこで援助の仕方にも工夫が必要である、こういう教訓をぜひ生かしていただきたい。そしてまた通信についても、ハムというものを大いに活用する必要がある。これは雫石で全日空機が自衛隊機と衝突して墜落をした、あのときの山中における遺体の収集作業、これもハムでお医者さんが中心となってやって大変成果を上げた。こういったように通信、情報の伝達が極めて大事であるということを特に申し上げて、私のこれに関する質問を一応終えまして次のものに移りたいと思いますので、竹内先生には大変お忙しいところを貴重なお話をいただき、ありがとうございました。
  119. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 竹内参考人には御退席くださいまして結構でございます。本日は、お忙しい中を大変貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。
  120. 岩動道行

    岩動道行君 まず私は建設大臣に伺いたいのでありますが、日米経済摩擦あるいは日欧間の経済問題、あるいはASEAN等アジア諸国との貿易関係、あらゆる分野で日本は平和的な中で経済発展をして、また極めて優秀な生産性の中で貿易をし、自由貿易の中で日本の繁栄とそしてまた国際的な平和への協力をやってきたわけでございますが、経済摩擦解消の一つの大きな手段として御案内のとおり内需の拡大ということがございます。これは何が何でもやり抜いていかなければなりません。そのためにも、経済摩擦解消の一つの手段としてドル高の修正、円高へ持っていくという通貨政策が国際的なG5によって実行に移されてきたことは、まことに国際的に見ても慶賀にたえないところでございます。円がどの程度に安定するかは別といたしましても、ここまでまいりますとおおむね峠に近づいてきているのではないだろうか。そうしますとますますやるべきことは内需の拡大であり、あるいは公共事業の促進であり、そしてまた民活という問題がいよいよ当面の重大な課題になってきていると思うのでございます。  公共事業につきましては、これも建設公債という公債であるというがゆえに赤字公債と同じように今日まで財政再建のために伸び悩みあるいは減らされてきた。来年度の予算においても同じような過程をたどるのではないか、これは私どもの深く憂慮しているところでございます。私は、建設公債というものはいわゆる赤字公債とは本質的に違うものである。私の経験から申しまして、実は新憲法制定の当時、内閣の法制局で財政法の審査を参事官としていたしたのでございます。そのときの財政法の基本的に大きな問題は、公債発行を財政法の中に規定するかどうかということであったわけでございます。戦中、戦前、臨時軍事費のために大きな公債発行をし、そして物資が不足をして大インフレが起こって、そのために新円切りかえ等が起こったわけでありますが、そういう中で我々日本国民はインフレというものの恐ろしさ、そして公債の発行、しかもそれが日銀引き受けというような形でどんどこどんどこお札が印刷されていった、このようなことは絶対に繰り返してはならないということで、公債の発行問題が大きな焦点であったわけであります。そのときに、公債はすべて原則的に認めないという意見もございました。しかし戦後復興、日本がこれから生きていかなければならない。そのためには後世に残る公共事業、社会資本の投資、これは必要ではないだろうか。そういう意味で建設公債に限って財政法でもこれは認める。しかし赤字公債はこれはいかぬよ。もしもそのような事態が起こるとするならばそれはそのときに対応するということで、あえて赤字公債の発行は財政法に規定しないということで政府の法案ができ上がって今日に至っているわけであります。そういうようなことを考えてみた場合に、私は建設公債についてはそれほど憶病になってはいけない。やはり日本の民族が生きていくために、あるいは国際的な役割を果たすためにも、建設公債というものは角度を変えてこの際財政再建の厳しい中でも考えていく問題ではないだろうか、こう思っているわけでありまして、これは政府の方から、結構です、やりましょうということの御答弁はなかなかいただけないと思いますが、少なくとも我々自民党の中においてもあるいは国民の相当の広い分野で建設公債を増発してでも内需の拡大、そしてまた住宅あるいは下水道等社会資本の充実に向かっていかなければならない、いわゆる資産倍増論と。これも結局は社会資本の充実。国際的に大変おくれているこういう面に日本のお金を有効に使うということが大事ではないだろうかと思いますので、この点についての建設大臣の御所見を承りたい。と同時に民活について、これは建設大臣も非常な意欲を燃やしておられて、またそのために特別指定公共事業債あるいは特別指定開発事業といったようなものを構想としてお持ちであると伺っておるわけでございますが、このような点について大臣から御所見を承りたいと思います。
  121. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 今、岩動先生から財政法その他、みずからが戦後の財政法のあり方の骨格をつくるために参画されたというような貴重な体験を交えての見識の高い御意見でございまして、非常に感銘をいたしておるものでございます。  今私どもは内需の拡大、それから円が高くなりましてある意味ではほっとしておるような、そういう率直な感じでございますけれども、これから中小企業が受ける大きな影響というようなものを考えてまいりましても、公共事業を促進することによって内需の拡大を図るということは非常に今国策として私どもは真剣に考え取り組んでいかなきゃならぬと思います。そこで十月の十五日にも、御承知のとおり、住宅建設を柱にいたしまして三兆一千億に及ぶ内需の拡大の具体的な公共事業の追加ということを政府も決定をいたしたわけでございます。私から今さら申し上げる必要もありませんが、道路を一つとってみましても、私どもは欧米諸国に比較をいたしまして半分程度やっとという状態でございます。今御指摘のありましたように、下水道であるとかそれから都市の再開発とか、また公園まで含めてでございましょうが、我々の生活環境というようなものを考えてまいりましても、欧米諸国と比較すると非常に公共社会資本の充実というものは立ちおくれていることは御承知のとおりでございます。  そういう意味で、私どもはこうした日本の産業構造また産業のあり方というものを考えてみましても、最近は非常に大きな変化を御承知のとおりいたしております。高度成長の時代には油をたくさん使って電力をたくさん使って鉄をたくさん使う、そういうふうな産業で日本は高度成長期の坂を乗り越えたわけでございますが、今高度成長にさよならをして、そして安定成長をいかにして今申し上げるように維持するかということが政治の大きな使命でありますが、今申し上げますように、非常に産業構造が大変な大きな変化を来しておる。ですから、例えば東京とか大阪とかというようなところは景気の面を見てまいりましてもやや安定いたしておりますけれども、東北六県とかまた北海道とか九州とかというようなところは非常に景気の問題、また産業構造の問題に対しても問題があり、景気がやや、まあマイナス面に今いってませんけれども、横ばい状態であるというように私どもは認識をいたしております。  そういうふうなことをいろいろ考えてまいりますと、こういうことにこそやはり建設国債を発行して、そういうことによって社会資本を充実して、そして子孫のためにストックを積み上げるということは非常に大事なことだというふうに、御指摘いただきましたように、私も基本的な考え方は同感でございますけれども、今御承知のとおり国債が百三十三兆にもなんなんといたしておるというようなときでございますし、そういう意味を考えてまいりますと、この建設国債の発行というものは財政運営全体の問題でもあり、また私ども予算編成を通じてこの厳しい中にも社会資本の充実、そして国土の均衡ある発展というものが非常に大事な我々建設行政の使命でございますが、そうした点等十分認識をしながらまだ勘案しながら、この社会資本充実に工夫を凝らしながら前向きで努力をしてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。  答弁が長くなって恐縮でございますが、時間もありませんから民活の問題につきまして今御質問がございましたが、今申し上げますように、私どもは内需の拡大を図り、そして公共事業の分野において何としても、こういう厳しいときでございいますから、私はある意味では車の両輪でありまして、公共事業その他について非常に厳しい中でございますが、一方では公共事業を傾斜配分をしながら、一方では都市部なんかについては民間活力を大いに推進することによってこれが車の両輪で、それでしかも安全運転で、そして物価が上昇しないように私どもは安全運転をしながらこの社会資本の充実のために最善の努力を尽くさしていただこうと、そういうふうなことで、今さら私が申し上げる必要もありませんが、この民活法の原理というものは民間の資本力や経済能力、これを活用さしていただくと同時に、事業の促進に当たりましては民間の英知を、また技術的な援助をいただくことによって効率的な実施を図ると、そういうふうなことによって、先ほど来申し上げておりますように、社会資本の整備に大いに役立たしていただこうと、こういう基本的な考え方でございます。したがって、民活の基本は今申し上げましたように民活法の理念というものは民間の皆さん方の経済的支援、経済的協力、そしてまた今技術の革新時代でございますから、新しいいろいろな技術を民間の英知を結集したものも促進することによって、例えば比較的大きな有料道路事業であるとか、それからまた我々の生活周辺に一番関係のある良好な町づくり、それからそれには下水道であるとか都市の再開発とか、そういう問題について民間活力を導入して実行いたしてまいりたいと、そういうふうに考えておるわけでございます。  その際には何といっても一番大事な問題は、この民活法によって大きな公共事業その他を事業化を進めてまいる場合に一番大事な問題は、何といっても利子を非課税にしていただいて、そして私どもは特定公共事業債という、そういうふうなことを申し上げておりますけれども、そうした税制上の問題、それから財政上の援助というものがやはりなければならないと、そういうふうに考えておるわけでございます。そういうことによりまして、皆さん方の経済的支援、資本に対する協力、それから事業の効率的、効果的な促進、それからまた関連の地域の均衡のある開発、そういうような問題が総合的に進められて、均衡のとれた国土の発展ということが非常に大事な問題である、そういうふうに考えておるわけでございます。  岩動先生は長い間財政の立場にありまして非常な見識を持っておられますので、こうした民活法の法案等につきましても我々に対して御指導、御鞭撻をいただくということは大変ありがたいことであり、お願いを申し上げたいと考えておる次第でございます。先ほど来申し上げておりますように、私どもはこういう財政の厳しい中でございますが、一方では一般公共事業を拡大するために予算編成に当たって最大限の努力をし、一方では民活法の制定によって、そして車の両輪のようにこれが稼働することによって安全運転であり、そして内需の拡大であり、これが今国際的にも我々がこたえていかなきゃならぬそうした大きな施策に貢献できるようによろしく御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げまして、長くなりましたけれどもお答えにさしていただきます。
  122. 岩動道行

    岩動道行君 木部建設大臣の大変積極的なそして鮮烈な、国民にも大きな感銘を与えるような構想は私も心から支持をして、微力ですが御協力を申し上げたいと思うんですが、特に公債発行の中でも利子の免税という問題は大変一つのポイントであって、難しいけれども何とかしてそのような格好でいくならばまさに民活の大きな基礎になるだろうと思いますので、政府においてまずこの点についての財政当局との話し合いを十分におやりいただき、我々もまた御支援を申し上げたいと思うわけでございます。  さて、そのような特定の民活プロジェクトの中にはいろいろあるわけでございますが、例えば東京湾の橋の話でございますが、これはいろいろな意見の集約の結果自動車だけ走らせるということで、高速の電車とかモノレールとかそんなものも検討されたそうですが、これはなかなかそれだけの輸送の需要がないんじゃないかということで今のところは見送られているという話でありますが、それはさらに検討をしていただく必要があろうかと思います。とりあえずはその橋による環境影響評価、これはもう既に公団等でもやってきておられると思いますが、ぜひこれは早急に、そして関係地域の住民の方がこれはいいものができた、これによって我々は被害者にならぬのだ、こういうような環境評価というものを十分にやって納得をしていただくということが大事ではないか、その点が一つ。  それから、千葉県サイドに参りますと、広大な後背地があるわけでございます。これが乱開発にならないように、きれいなそして地域住民はもちろんのこと首都圏の人々が喜ぶような立派な開発が後背地においても行われるように、特に新しい科学技術の時代でもございますので、念頭に置かれていると思いますが、この点についての御配慮をお願いしたいと思いますが、簡単に一分程度で政府から御答弁いただきたいと思います。
  123. 萩原浩

    政府委員(萩原浩君) 東京湾横断道路の建設に当たり環境に与えます影響の問題でございますが、これについては既に日本道路公団におきまして調査を実施いたしております。先ほど中間報告として関係機関に公表いたしてございますけれども、それによりますと、環境に与える影響というものはそんなに大きなものはない、かなり小さなものであるという報告をしてございます。環境影響評価につきましては、事業主体の確定後に事業主体が関係機関等と十分調整を図りつつ実施する予定でございまして、この段階におきまして関係者に十分御説明をし、御納得を得るように取り計らいたいと思っております。  また、横断道路の建設によりまして千葉県側の後背地がどうなるかという御指摘でございますけれども、これにつきましてはこの道路建設をてこにいたしましていろいろな地域の開発が当然のことながら起こると存じます。その際の地域整備のあり方につきましては地元自治体等で検討されておりますけれども、建設省といたしましても関連道路の整備その他の公共事業整備によりまして、調和のとれた地域整備になるように協力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  124. 岩動道行

    岩動道行君 十分にやっていただきたいと思います。  また、東京湾の横断道路はこれは東の方ですが、西の方とすれば京阪奈のいわゆる関西文化学術研究都市構想があるわけでありまして、これも私はぜひ速やかに民活を動員しながら促進をしていかなければいけない、関西空港もできるわけでありまするから、その点についての政府の取り組みの決意をこの機会に伺っておきたいと思います。
  125. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 先ほど私、民活の問題につきましても基本的な理念につきまして、十二分ではありませんが、御答弁をさしていただきました。私ども、地域の活性化を図るとか、また公共事業の拡大、先ほど来申し上げておりますように内需の拡大とか、それから産業構造の変化に対して今申し上げますように地域に活性化を与えるとか、そういうような問題について、または都市の整備の問題等につきまして国土の均衡ある発展というようなものが、日本はここまですばらしい国になり、ここまで経済が伸びてまいりましたが、御承知のとおり社会資本の整備というものは先ほど申しましたように非常に立ちおくれているわけでございます。ぜひ国会の皆様方の御支援と御鞭撻と御協力をいただいてこの民間活力を、これは我が建設省にとりましてもまた政府にとっても、特に中曽根総理や大蔵大臣なんかはサミットとか蔵相会議とか、そういう国際的な公の場でもそういう点を名言されておるわけでございますから、ある意味では政府といたしましても非常に大きな当面の政策を、私どもは何としても皆さん方の御鞭撻をいただきながら達成する努力をさしていただきたい、かように考えております。重ねて見識ある皆様方また国会の諸先生方から御鞭撻、御教訓をいただいて、私どもは今申し上げますような社会資本の充実やまた地域経済活性、そして国際的にもそうした日本の内需の拡大によって貢献できる、これが実行できますように心から重ねて決意を申し上げ、また薫陶いただきますようにお願い申し上げたい、かように考えておる次第でございます。
  126. 岩動道行

    岩動道行君 時間もなくなりましたので、これはあわせて質問を申し上げたいと思いますが、まず国土庁長官に、四全総に取り組んでいらっしゃるわけでございますが、高齢化社会という大変難しい時代を急速に迎えつつあります。しかも、民活等、低成長、安定成長の時代においてどのようにしてこの四全総をやっていくのか、その哲学。そしてまた、地域からどういうことを要望されてこれをどのように整理されるのかというようなこと。それから、国土の均衡ある発展ということになりますとやはり太平洋ベルト地帯といいますか、こちらの方にどうしてもすべてのものがかかっていって、長年西高東低という言葉があり、そしてまたきょうは北東公庫の総裁もお見えになっていると思いますので、この機会にあわせて申し上げたいんでありますが、最近の調査試算によりますと、東北の方は昭和七十五年には東北だけが人口が減ってしまうと、こういう推定が出ているわけです。六十年が千二百二十万人であって、七十五年には千二百九万人と逆に減っていく、これは国土の均衡ある発展として果たして妥当な推定になるのかどうか、私は大変おかしいと思うんであります。  そういう意味で、先ほど建設大臣も触れましたが、公共事業等についても傾斜配分ということは、特にこのような人口の趨勢から見ても公共事業に依存する地域というものが日本列島の中にはあちこちあるわけであります。特に私は、東北という巨大な地域についてそのような公共事業等の重点傾斜配分ということも、これは国土庁としてもお考えいただきたいし、建設省としてもあるいはその他の関係省庁でもお考えをいただきたいということを申し上げて質問を終わらしていただきたいと思いますが、なお関係の税制等についても、民活とあわせ、私は政府においても努力もし、我々もまた協力をしていかなければならないと。自動車税の一般財源繰り入れの問題でありますとか、あるいはまた住宅、土地等に対する税制の改革をやることによって初めて、意気込みだけではなくて、現実の問題としてこれらが進んでいくという御認識をこの機会にお示しをいただいて、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
  127. 河本嘉久蔵

    ○国務大臣(河本嘉久蔵君) 我が国の経済社会は二十一世紀に向けまして世界との交流、交易、非常に深まりが生じてくると思います。高齢化、情報化の進展を初めといたしまして、幾つかの大きな情勢変化が予想されるわけでございます。四全総におきましては、こうした諸情勢の質的変化を十分に見きわめて二十一世紀への国土づくりの指針を示すという、国民に夢と希望を与える計画としたいという考えでございます。  私は常々事務当局にも申し上げておるんですが、現実をやっぱり中心に見詰めて夢を描かなきゃいかぬ、たださりとて現実を離れて現実性のない計画はいけない、であるが、また同時に夢を失った計画でもいかぬ、そういうことに配慮して作業を進めてもらうように要望しておる次第でございます。  本当に変化の激しい時代を迎えますが、国民の夢と希望を失わない現実性のある計画にしたいということを念願して努力しております。
  128. 星野進保

    政府委員(星野進保君) ただいまの基本的な考えは大臣が申し述べましたとおりでございますが、先生の御質問の中で各地域でどんな要望事項やなんかが来ているのかということをちょっとお触れになられましたので、技術的なことでございますので御報告だけ簡単にさしていただきます。  私どもこの春からずっとヒアリングをしておりまして、その中で出てまいりましたいろんな要望がたくさんございます。全部申し上げておると切りがございませんが、例えば大ざっぱに申し上げますと高規格自動車道ということがございますが、これは三全総、現行の計画では一万キロ余ということを言っておりますが、今回いろいろヒアリングいたしまして私ども集計いたしてみますと、恐らく漏れもあるかとも思いますが、一万五千キロを上回るという要望が参ってきております。先生途中で御指摘になりました東北地方で言いますと、三全総でございますと日本海縦貫というのが明記してございましたが、それ以外に東の海岸の方の要求であるとかいろいろ要望が出てきてまいっております。  それから、それぞれの地方公共団体で独自にやります事業例としまして有名なのは一村一品運動のようなのがございますが、それに類似したいろんな事業の種類がございますが、それは大体これも集計いたしますと、私どもつかまえているだけで百を優に超える数が来ております。その中で例えば東北地方でございますと、ローカルエネルギーの利用ということで、名前は非常におもしろい名前ですがマグマポリスとか、そういったような名前を付しながら地域が独自にいろんなことを工夫されておるということで、私どもこういうことを参考にしてこれから四全総の作業を進めてまいりたいというふうに考えております。
  129. 服部信吾

    ○服部信吾君 まず初めに建設大臣にお伺いしたいんですけれども、先ほど東京湾横断道路についてちょっと御質問ありましたけれども、この構想は言うまでもなく昭和四十一年からきょうまでいろいろ調査をされてきたようであります。その間四十八年の石油ショックなんかにおいては一時的には延期なり中断されたというようなことも聞いておりますけれども、先ほど来大臣のお話を聞いておりましても大変財政が厳しいと。そういう中で今回来年六十一年度事業化というようなことで今要求しているようでありますけれども、今回何となく急激に浮上したというような気もするわけです。そういうことで、例えば貿易摩擦の解消、そういう面から言えば内需拡大とかあるいは民間の活力を導入する、こういうようなものが非常に大きなあれとなって、今回東京湾横断道路が来年事業化というような形になったのかどうか、この点について建設大臣にお伺いしておきます。
  130. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 東京湾の湾岸道路につきましては、私どもはできますれば、今予算の概算要求編成中でございますが、六十一年度にぜひ着手をさしていただきたい。そういうふうなことで、とりあえず日本道路公団において必要な予算の額の要求をさしていただいておるところでございます。  今事業主体につきましてのお話がございましたが、事業主体や資金構成、そういう問題等につきましては引き続いて検討をさしていただいておるところでございます。  いずれにいたしましても民間活力の法案も唐突的に出たわけじゃございませんで、私ども随分長い間論議を重ねてきておるわけですし、いずれ予算はつきましても国会の議を経なければ民間活力の場合には執行できないわけでございますから、そういう意味でいろいろ私はできれば民間によって、先ほど来申し上げておりましたように事業が促進されることが一番望ましいというように思っておるわけでございますが、そういう点等につきまして、この予算編成を踏まえて今幅広く我々といたしましても検討さしていただいておるところでございます。
  131. 服部信吾

    ○服部信吾君 まあ事業主体のことまで答えられたんですけれども、その点は後でまた聞こうと思っていたんですけれども、要するに何となく急にばっといわゆる東京湾横断道路が浮上したという面があるんじゃないかと、こう思うわけです。というのは、例えば臨調の指摘では、本四架橋について同時三ルート着工は中途で凍結をされ、中でも明石大橋について待ったがかかっているわけですね。ところが、どういうわけか東京湾横断道路については臨調は何も言ってないわけです。何も言ってないからこういうようなことをいいことと言っちゃおかしいんですけれども、長い間かなり公共事業は抑えられておる、そういう面において何となく急激にこれが浮上したと言っちゃおかしいんですけれども、昭和四十一年から二十年かけて調査してきておりますけれども、臨調ではかなり厳しくいろいろな公共事業を抑えている中において、なぜここでこういうものが急に出てきたのかと、先ほど来こういうことを聞いているわけです。
  132. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 私どもは、今先生からもお話がありましたように、相当長期間にわたって東京湾なんかも調査をずっと進めておるわけでございます。関西空港は御承知のとおりいわば民活の第一号だというふうに私どもは理解をいたしておるわけでございまして、決して急激にこれが浮上したということではございませんで、先ほど私が岩動先生にもお答え申し上げましたように、私どもはやはり何といっても二十一世紀に向けて活力のある均衡のとれた社会資本の充実をし、均衡のとれた国土建設というようなことのそういう大きな我々の長期的展望の上に立って民間活力を導入さしていただく、そういうような考え方でございまして、急激にこれが浮上したということではございませんのでそういう点についてはぜひ御理解をいただきたい、こう思っております。
  133. 服部信吾

    ○服部信吾君 私どももこれ全く反対というわけじゃありませんので、そういう観点からいろいろ今お話を聞いているわけですけれども、一つとして、これだけの大事業でありますし、これだけ厳しい財政の中で、特に昭和四十一年からこの問題が出まして、中でも昭和四十八年十二月六日の衆議院の予算委員会において、この問題について土地の買い占めが問題になったときいろいろ質問があって、亀岡建設大臣が次のような答弁をしているわけです。その開発を理由にして不当な利益を上げるということは許されない、大臣としては厳重に関心を払っていきたい、こう答弁しておるわけでありますけれども、何か十月には千葉県議会においてもこういうような問題が取り上げられて、知事もそれを認めだというような報道もあるわけですし、この問題についていろいろもういろんなところから出ております。東京湾横断道路に中曽根民活の正体を見たと、巨大な利権に群がるというようなこういうようないろんな批判も出ているわけですね。そういうことで、これだけの大きな事業ですのでやはり国民にそういう疑惑を持たしちゃいかぬと、そういうことがあろうと思いますけれども、大臣としてはこれについてはどのようにお考えですか。
  134. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 私どもは、ちょっと言葉の足らない、答弁の足らない点もあったかもしれませんが、今私どもが計画をいたしておりますとりあえずの計画は、別に東京湾横断道路だけではございません。これはやはり例えて申し上げれば、ことしの、昭和六十年の予算編成でも新都市拠点整備事業というものが新規の都市整備の目玉として実は予算が認められたわけです。これなんかにいたしましても大体全国の九十二市町村ぐらいからそうした新拠点整備事業なんかの要望があったわけでございます。それに対しましていろいろ事務当局が絞って七カ所とりあえずそういう新拠点整備事業が認められたわけです。そういう意味で東京湾とか明石の何か報道されている面なんかを私ども見ておりますと、東京湾と明石の橋が二つだけで、何かほかには民活はないのかというようなそういう率直な意見もいただく場合もあるわけでございます。そうじゃございませんで、例えば私は概算要求に当たりまして全国の地建の局長会議をお願いして、そして例えば地建の局長さんというのは、立場は御承知のとおり国の直轄事業の中心でやっておられるわけでございますが、そうではありませんで、いろいろな大きなプロジェクトの期成同盟会とか、また先ほど来お話が出ましたように横断道路とかまた各種の高規格の高速道路だとかそういうところの例えば期成同盟会の会長さんとか、それから県知事さんとか県の土木の関係とか商工会議所とか、ある場合は農業団体とかそういうふうなあらゆる団体の皆さん方の意見をよく伺って、そして地域にいかにして活性化を与えていくか、そういうふうな考え方もいろいろ取りまとめしていただいて、そして今いろんな計画をもし民活が認められればそれを遂行するためにいろいろ準備は進めさしていただいている、こういうことでございます。したがって利権のために云々というふうなそんなことは、批判されることは御自由でございますが、私どもは先ほど申し上げておりますように国土の均衡ある発展と活力のある二十一世紀に向けて地域の活性化のために民間の英知を結集して取り組んでいきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  135. 服部信吾

    ○服部信吾君 時間ありませんのでできるだけ短い答弁で結構です。  議論が全然違っちゃっているわけで、要するに東京湾横断道路について今大臣にお伺いしているわけです。この横断道路については過去においてもこういうような指摘があったと。また今回もこういうようなことがあるし、またいろんなところでいろんなことが書いてある。そういうことがないようにひとつ頼みますということを言っているわけです。横断道路に限って今言っているわけですから、ひとつその点で御答弁していただきたいと思うんです。特にこの横断道路については当初は、神奈川の川崎から千葉に行く、こういうような橋ですね。神奈川県側としては要するに反対というのじゃなくて非常に消極的という面もあった。というのはこの大きな橋をつくる前にもっと湾岸道路整備とかいろいろなことがあった。こういうことでその前にこっちをやってもらいたいという要望があったわけです。これは大臣も御承知だと思うんです。  そこで何か最近ですけれども、神奈川からこの橋をつくるに当たって五項目の要望が出ているわけですけれども、この点については大臣読まれましたか。
  136. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 神奈川県の県の当局や川崎や横浜の市長さん方にも私も実はお会いをさせていただきました。それからまた、たしか九月の初めだったと思いますが、知事さんや皆さん方が建設省へもわざわざ訪れていただきまして、そして湾岸道路に対しては協力をしたいというような意思表示をいただいたわけです。今お話がありましたように、質問がありましたように、そのときに実は五項目にわたりましての要望があったことも事実でございます。この五項目は、広域幹線道路網の整備の問題とか、それから環境対策であるとか、それから事業方式についての事前協議の問題であるとか、それから工業制限諸制度の見直しの問題であるとか、羽田のアクセスの計画の推進であるとかというような五項目に対する要望がございました。そのうちで四番目の工業制限諸制度の見直しの問題につきましては、これは国土庁所管でございますので、私の方から国土庁の当局の方にもその旨、実は伝えさせていただいたわけでございまして、残りの四点の問題につきましては私も全力を挙げて皆さん方と一緒になってそうした問題についての御協力をさしていただくと、こういうことも私の方から、神奈川県の知事さんや川崎の市長さん、それから横浜の市長さんにそういうことを申し上げさしていただきました。
  137. 服部信吾

    ○服部信吾君 それじゃこの五項目の中で一応一通りわかりましたと、建設省としてもこの要望を受けて着手の前に神奈川県の方々も納得したと、こういうふうに受けていいわけですか。
  138. 萩原浩

    政府委員(萩原浩君) ただいま大臣申し上げましたように、五項目について御要望を受けまして、これについてできる限りの努力を申し上げるということでございますけれども、その個々のものにつきましては今御協議を申し上げているところでございます。例えば一番目の広域幹線道路の整備という問題も、あるものについてはもう十分横断道路の完成までに間に合いますけれども、あるものについてはまだ計画が未決定のものもございます。路線も決定してないところもございますので、そこら辺の御協議をさせていただいておるところでございます。
  139. 服部信吾

    ○服部信吾君 その中で、三番目の事業方式についての事前協議、こういうことがあるわけですけれども、この点についてはどのようにお考えですか。
  140. 萩原浩

    政府委員(萩原浩君) 先ほども大臣御説明申し上げましたけれども、去る八月末の私どもの予算要求の段階では、とりあえず日本道路公団において必要な額を要求いたしておりますけれども、その節に事業主体及び資金構成につきましては今後引き続き検討するということになっております。それで、現在非常に幅広くどういう形がよろしいか、いろいろなケースについて検討いたしておりまして、各方面と協議を重ねておるところでございますけれども、政府予算原案の策定までにはこれの結論を出したいということを考えております。  それで、現在まだそこら辺が完全に固まる段階ではございませんので、目下事前協議は申し上げてございませんけれども、しかるべきときにはお話し合いを申し上げたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  141. 服部信吾

    ○服部信吾君 事前協議の中で、先ほど来大臣の話を聞いていますと、大体何となく民活といえば第三センター方式というような形に来ているような気がしますけれども、これはこれから決める問題でしょうけれども、その中で例えばそういうものに決まったときに、川崎なり神奈川あたりにやはり少し金を持ってくれと。要するに、そういう事業主体が決まった段階で、決まる段階においても話があると思いますけれども、神奈川なり川崎が非常に今厳しい財政の折だから、なかなかそういう面から言えば協力できない、そういうような話もあろうかと思うんです。そういう点については、例えばそういうふうに決まった場合において、神奈川の地方自治体がそれに反対した場合にはそれは構わないわけですか。
  142. 萩原浩

    政府委員(萩原浩君) 今先生指摘の件は、いわゆる地方公共団体の出資というような制度論についての御質問であろうと存じます。  先ほど東京湾横断道路とは別個に、明石海峡大橋のお話がございましたけれども、本州四国連絡橋公団の事業の執行に当たりましては現在地方から出資金をいただいております。したがいまして、そういう制度は既に実例はあるわけでございますけれども、東京湾横断道路の建設に当たりましてどのような形にするかということにつきましては、先ほど申し上げましたように資金構成も含めて今検討中でございます。  それで、地方の出資金をいただくかどうかということについてはまだ結論を出しておりませんし、先生おっしゃいますように、もし地方公共団体がだめだったらどうするんだという御質問でございますが、この問題についてはまだ直接御協議さしていただいておりませんので、まだお答えできる段階でございませんので御理解をいただきたいと存じます。
  143. 服部信吾

    ○服部信吾君 そういう問題も、じゃこの三つ目の要望の中の事前協議方式と、こう要望しておるわけで、事業方式についての事前協議ということですので、こういうところでよく協議をすると、こういうことでいいわけですね。  それで、時間がありませんので、大臣、この問題で最後ですけれども一つ提案したいんですけれども、大変大きな計画ですから。  それで、何となく東京湾横断道路というと何か余り東京湾の汚い海に石の橋がかかるような、大変何となく国民なり県民にわかりづらい。もう少し、二十一世紀までにできるかどうかわかりませんけれども、そういう予定でやるんでしょうけれども、もうちょっと夢のある、例えば神奈川と千葉でしたらこの辺の住民の皆さんから、もうちょっと何かいい名前の、愛称じゃありませんけれども、何かそういう広報をやったらどうか。これだけの大きな橋がかかるんですから、非常にロマンチックでしょうから、例えば歌か何かつくってはやらせるとか、何かそういう前向きの姿勢でひとつ取り組んでもらいたい、こういうような考えはどうでしょうか。
  144. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 今おっしゃるように、もう少しロマンがあった方が私はいいと思って考えております。そういう意味でまたもう少し夢とロマンがあるような、そういう何といいますか、名称も御指摘のように私ども大変歓迎したいと思って、私ども研究させていただきます。
  145. 服部信吾

    ○服部信吾君 次に、現在二輪車高速料金裁判、こういうものが今行われておりまして、道路公団、首都高速公団、阪神高速公団、こういうところでも裁判がなされておる。まあ訴えられておる、こういうことですけれども、この経過について、どのようになっておりますか。
  146. 萩原浩

    政府委員(萩原浩君) 二輪車の利用者の方々から日本道路公団、首都高速道路公団及び阪神高速道路公団を被告といたしまして、高速自動車国道等の二輪車の料金が不当であるので、支払った料金の二分の一を返還せよという内容の訴訟が、本年三月並びに九月に提起をされております。それで、これまで二回の口頭弁論が行われておるのが現在の状況でございます。
  147. 服部信吾

    ○服部信吾君 いろいろ調べてみましたら、現在我が国に二輪車がどのくらい年間走っているかを見ましたら、大体五百万台から六百万台、このくらいの二輪自動車が走っているわけですね。また、免許を持っている方を見ますと、要するに約二千万人ぐらいいるんじゃないか。こういう非常に大きな問題ですね、これは。  それで、私いろいろ調べてみたところ、この前に陳情が出ていますね。五十七年ですか、こういうものの陳情が出たときに、まあたまたま今現在裁判しているのはたった千人ぐらいの人たちでしょうけれども、この裏にはやっぱりそれだけの、例えば二千万人のライセンスを持った人たち、あるいは年間五百万から六百万台実際に動かしている人たちがみんな非常に関心を持っている大きな問題だと私は思うんですね。  ですから、例えば陳情を受けたときにどのような受け答えをしたのか、この点についてお伺いしておきます。
  148. 萩原浩

    政府委員(萩原浩君) 高速自動車国道の料金の問題についていろいろ御指摘があることは十分承知をいたしております。この車種区分は、昭和四十七年の高速自動車国道の料金制度に関する道路審議会の答申を受けまして、「車種間の負担の公平を著しく歪めることがない範囲で、なるべく統合された車種区分を採用することが適切である」という御提言をいただきまして今の三区分が定められているわけでございます。  ただ、高速自動車国道の料金につきまして各方面から非常に多くの御要望、御意見がございますが、これにつきましては根本的な見直し作業というものについてさらに検討を進めてまいりたいと思います。  正直なところを申し上げますと、やはり料金の徴収技術というものが非常に大きなネックになっておりまして、その改善のために現在磁気カードシステムの導入を図っているところでございます。この磁気カードシステムの導入の完成がないと、車種区分を増しますと非常に料金所で渋滞を起こしてしまう、御迷惑をかけてしまうという問題がございまして、この点をできるだけ早く完成させ、それと並行いたしまして先ほど申し上げました適切な料金制度について御検討いただこうと、こういうことを考えておりまして、その点についても陳情にお見えになった方については御説明をしておる次第でございます。
  149. 服部信吾

    ○服部信吾君 例えば一般有料道路では実際に二輪車としての安い料金で区別しているわけでしょう。現在道路審議会の中で、パンチ方式から磁気カード方式にできるんだ、一応そういうことになれば、六十三年度ぐらいになって見直しをするんだということであります。だから、私は陳情が出た時点でもっと、今対応していますとは言いますけれども、こういうような問題、これだけすそ野が非常に広い問題で二千万人の人がライセンスを持っているわけですから、大変興味を持っているというか、関心を持っているところですからね。実際に裁判をしているのは千人ですけれども、もっともっと深いものがあるわけでして、やはりそういうものに対する対応というのはもっと早くしなくちゃいけないんじゃないか、こう思うんですけれども、建設大臣、この点についてどのようにお考えですか。
  150. 萩原浩

    政府委員(萩原浩君) 先生指摘のとおり、この高速道路の料金の問題につきましてはこれ以外にもいろいろな御指摘を受けております。そして、それらのものを総括的に検討いたしませんとまたそのひずみが出てまいるおそれも逆にございますものですから、そこら辺を踏まえて総括的に御検討させていただきたいということをぜひ御理解をお願いしたいと思います。また、そういう方方のためにいましばらく御猶予をいただくように私どもとしてもお願い申し上げる次第でございます。
  151. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 今、局長からお答えを申し上げましたように、私どもといたしましても、適切な料金制度につきましては今後とも慎重に検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  152. 服部信吾

    ○服部信吾君 ひとつそういうことで、すそ野の広い、また国民が関心を持っているところですから、やはりできる限り行政的には早く対応していただきたい、こういうことを要望しておきます。  それと同時に、これから早いテンポで時代が進んでいくわけでありまして、行政としても時代に対応すべく今いろいろとやっていらっしゃると思います。特に経済摩擦、こういうような問題については大変今大きな問題になっているところでありますし、政府としても非常に全力で取り組んでおる、こういうところでしょう。それで、五十六年に第一回の市場開放対策を出して、現在、ことしの四月九日で第七回の対策を出しているわけですね。しかし、小出しに出しているんで諸外国もなかなか納得しない、こういうような面があるわけです。最近では、どうも日本の行政のあり方について非常にアンフェアな面があると、こういう不満がずっと出てきておる。そういう中でこの二輪車の行政に対してちょっとお伺いしたいんですけれども、このオートバイに対しての諸外国からの何か不満なり不平というものは来ておりますか。外務省なり通産省、ありましたらお願いしたいと思います。
  153. 美根慶樹

    説明員美根慶樹君) 二輪車の問題につきまして、私ども承知しておる限り、外国から批判は聞いておりません。
  154. 服部信吾

    ○服部信吾君 ちょっと一つお伺いしますけれども、例えば行政のあり方ですけれども、国内において生産をしたそれは輸出はできる、また輸入もできる。しかし、例えばその生産したものが国内で売れないと。こういうことは一つの例えば貿易摩擦と言っちゃおかしいんですけれども、行政のあり方としてはこれはやはりおかしい、このように思いますけれども、これは外務省あるいは通産省、こういうこともやはり私は貿易摩擦の一つになるんじゃないかと思いますけれども、この点についてはどうですか。
  155. 美根慶樹

    説明員美根慶樹君) ただいま先生が提起された問題あるいはそういう側面につきましても、私ども承知しておる限り、外国からは特に批判は聞いておりません。
  156. 服部信吾

    ○服部信吾君 いや、だから、そういう問題があったときに、これは一つの貿易摩擦のあれになるんじゃないかということを聞いているんです。
  157. 美根慶樹

    説明員美根慶樹君) 私どもとしましては、外国から批判があるかどうかということが一つの大きな問題になるわけでございますけれども、そういう仮定の話としまして、貿易摩擦がどういう状況になれば起こるかとかという点については、当該商品の輸出入、輸出の数字あるいは輸入の状況、そういうものを総合的に判断して考えなければならないというように考えております。いずれにしましても、政府といたしましては、先生よく御案内のとおり、アクションプログラム等におきましてできる限りの措置をとっておるところでございますけれども、少なくとも二輪車の点につきましては、行政の点も含めまして、外国から問題視されているというふうには考えておりません。
  158. 黒田直樹

    説明員(黒田直樹君) お答え申し上げます。  ただいま先生から二輪車の国内販売の問題で御指摘がございましたが、私ども承知いたしておりますところでは、二輪車の国産のメーカーが一定の容量を超える、具体的には七百五十ccを超えるような大型のものにつきまして、国内では関係省庁の御要請も踏まえながら販売を自粛しているというふうには承知いたしております。ただ、輸入されるものにつきましては特段そういうこともございませんで、現に一定の台数が輸入されているような状況にございまして、諸外国からは特段そういう形で不平とか不満が出ているというふうには承知はいたしておりません。
  159. 服部信吾

    ○服部信吾君 要するに、七百五十cc以上を国内で生産した、これは海外に輸出はオーケーですと。じゃ、日本のライダーがこれを買いたい場合に国内じゃ買えないわけですね。それで、またこれはわざわざアメリカなり諸外国から買わなくちゃいかぬ。中には日本でつくった七百五十cc以上のあれをまたアメリカを通して、諸外国を通して買わなくちゃならない。非常に高いものを買わなくちゃならない。これは非常に矛盾じゃないかと、これを聞いているんですけれども、これはどうですか。
  160. 黒田直樹

    説明員(黒田直樹君) ただいま申し上げましたように、二輪車メーカーとしては関係省庁の御要請、国内で非常に事故が多いとか、暴走的な問題があるとか、そういうようなものも踏まえて、国内で生産したものを大きなものについては販売をしていない、あるいは販売をしないように自粛をしているということでございまして、これ自体について外国からの問題で貿易摩擦というものではないのではないかというふうに考えております。
  161. 服部信吾

    ○服部信吾君 だから、今まで、外務省もそうでしょうけれども、例えば自動二輪車に関しては年間約二百五十万台ぐらい向こうへ輸出しているわけでしょう。日本の国じゃ売っちゃいけないんだと。向こうから見れば、何でこんなに来るんだ、日本は何で自分の国で売っちゃいけないのかと、こういう疑問も当然私は起きてくると思うんですよ。警察庁、これはどういうことなんですか。警察庁の方で業界に、まあ売っちゃいかぬとは言いませんけれども、何かそのような要請はされたんですか。
  162. 越智俊典

    説明員(越智俊典君) 私ども直接二輪車の販売云々のことにつきましての権限は持ち合わせておりませんけれども、十数年前暴走族が非常に盛んになった段階のことでございますけれども、大きな排気量の車が非常に大量に出回ることは交通安全上、暴走族対策上好ましいことではないという見解を関係の皆様方にお伝えしたことはございます。
  163. 服部信吾

    ○服部信吾君 だから、要するに、今御答弁になった暴走族対策でこういうような要請をしたと。その当時、四十七年当時いろいろ暴走族の問題があって大変なこともあったでしょうし、そういう面から言えば事故も起きるかもしれないということもあるかもしれない。しかし、暴走族対策ということは私はある面から言えば、きょう文部省いると思いますけれども、これを乗つけなければいいんだというのとは全く違うんじゃないか、暴走族になるというのは、これは簡単に言えば要するに車に乗せる前の問題であって、これは非行の問題です。そういうことで、文部省としてこの二輪車の安全対策についてはどのような御指導をしているのですか。
  164. 下宮進

    説明員(下宮進君) 暴走族の問題でございますが、暴走族の中に占めます学生、生徒の割合というものは一五、六%ぐらいで、比較的少ないわけでございますが、暴走族を含め非行対策につきましては、学校におきましては生徒指導体制の確立、教科指導の改善、ホームルームやクラブ活動の充実、関係団体との連絡協力を図るなど総合的に取り組み、対応をするよう指導しているところでございます。二輪車などの暴走行為の防止につきましては、交通安全教育の徹底を図っているところでございまして、特に高等学校における交通安全教育につきましては、小中学校における指導をさらに発展させ、日常の交通安全のために必要な事柄について理解を深めさせ、自他の生命を尊重し自主的に安全な行動ができるように指導しているところでございます。また交通社会の一員としてのその責任を自覚し、よく社会人として必要な交通のマナーを身につけ、自己の安全のみならず他の人々や社会の安全に貢献できる態度や能力を養うなども指導の重点項目にして、二輪車の問題を含め交通安全教育に取り組んでいるところでございます。
  165. 服部信吾

    ○服部信吾君 私も読ましていただきましたけれども、ある面から言えば推進するという形で、要するにしかし、ここではやっちゃいかぬと、推進する形で指導しているわけですから。  通産省ね、例えば七百五十cc以上国内で販売しちゃいけないという理由の中に、これらに構造的な欠陥があるんですか。
  166. 黒田直樹

    説明員(黒田直樹君) 自動車の構造基準の問題につきましては運輸省の所管でございますので、運輸省の方から答弁をお願いしたいと思います。
  167. 堀込徳年

    説明員(堀込徳年君) お答えします。  大きな二輪車につきましては、一般の二輪車と全く同じでございまして、現在ドイツ、アメリカ、イタリアなどから入っていまして、構造上欠陥があるということはございません。
  168. 服部信吾

    ○服部信吾君 運輸省、例えば、今先ほどいろいろな話を聞きまして、要請した、しないというような話もあるんですけれども、警察庁の方から。例えば業界の方で自主規制であるというようなことになっているようですけれども、国内で生産しながら国内で販売できない、こういうような苦情とかそういうものはきていますか、運輸省の方に。
  169. 堀込徳年

    説明員(堀込徳年君) 一部のメーカーから国内で認められないものを外国に売っているということを聞いたことはございます。
  170. 服部信吾

    ○服部信吾君 私、この問題、要するに、国内で生産をしておる、そうしてそれを海外へ年間三百万台以上は輸出をしておる、そうしてまた輸入はどんどんできるんだ、何で輸出できて輸入していいものが国内で売っちゃいけないのかという一つの行政のあり方といいますか、これはどう見てもおかしいと思うのですね。  建設大臣、これは担当じゃありませんけれども、一応内閣としてどうですか。これはおかしいんじゃないの。――じゃ、結構です。  そこで、私は国民が適法な限りにおいて自由に移動する権利あるいは移動のための手段の方法、乗物の選択の自由、こういうものはやはり侵されない権利を持っていると思うのです。これをある面から言うと、ただいま言われた暴走族対策、こういうような目的で業界に圧力をかけたとは言いませんけれども、要請、こういうようなものをするということ、これは私は不適切と言われてもしようがないのじゃないか、このように思うわけです。欧米なんかにおいては、これらのことをやはりやるときには、それこそ立法措置、こういうことできちっと行政間の整合性をもってやっている。こういうことでありますので、こういうような問題は、私は必ずアメリカなり諸外国から非常にアンフェアだ、もし三百万ぐらいの年商売っている自動車が日本国内で販売されれば、もっと諸外国に来るのが減るんじゃないか、こういう行政、必ずこれははね返ってくる、私はこう思いますので、この問題について通産省として一回どうですかね、調整を図っていただいたらいいと思うのですが、この点についてはどうです。
  171. 黒田直樹

    説明員(黒田直樹君) 先ほどございましたように、現在二輪車メーカーが国内では販売をしないというように自粛をしているということでございまして、最近時において自動車、二輪車メーカーの方から私どもにそれをやめるとか続けるとかいうような話は伺っておりませんが、いずれにいたしましても、そういう二輪車メーカーの自粛の問題でございますので、二輪車メーカーの意向も聞きながら適切に対処してまいりたいと考えております。
  172. 服部信吾

    ○服部信吾君 時間ありませんで最後ですけれども、一応先ほど来運輸省さんの方からも、やっぱりそういう、一部業界の方から国内でつくって国内で売れないのはおかしいというようなお話しもあったと、こういうことですので、一たんこういう問題をきちっとして、そしてその後、また例えば交通の問題が出てくれば警察なり運輸でやったり、あるいは暴走族であるならばこれは文部省でやるとか、何となく先ほどの要請した中で、要するに暴走族対策というようなこと、その当時はそれでよかったかもしれないけれども、じゃあ売っていいということになれば、これはじゃあ暴走族を輸出するのか、諸外国じゃ余りそんな問題起きてないのじゃないですか、これは日本だけの問題ですから。だから、これは何も車に乗るとか乗らない、そういう問題じゃないのではないか、私はこのように思いますので、ひとつ善処するように要望して質問を終わります。
  173. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 質問さしていただきます。  大変時間がなくなりましたので、端的に伺わしていただきます。  午前中同僚委員の中から出ました流水占用料のことについてお伺いをいたします。  時間がないので、自分の言いたいことから先に言わしていただきますが、午前中の同僚委員の言い分を重複しない形で避けまして、観点を変えてちょっとお伺いをしたいわけでありますが、五十八年の会計検査院の検査報告書等を見せていただいて、建設省関係がまたいろいろあるなあということを実は私は読んでおるわけでございまして、例えば関東地方建設局管内の「八ツ場ダム建設事業ほか3事業」についての指摘を初め幾つかあるということで、例えば八ツ場ダム関係について考えてみても、四百二十一億八千四百五十五万というような多額の事業費を支出していて、なおかつ用地買収、補償交渉難航という実情にあることは確かなんでございますね。そして、そのほかに、私は時間がないので一つ一つ言えませんけれども、施工不適切あるいは事業の施工不良というような形のものの損失、数字言いません、たくさん出てきているわけでございます。  私は今回流水占用料の根拠となるところは、結局財源探しのためにこういうことを考えておられるのだというふうに了解をしているわけでございますが、こういうふうな建設関係においてかなりのむだ遣いがあると認識をいたしている中で、一方で財源を探さなければならない、こういうのはいかがなものでしょうかという素朴な質問一つありますので、まずこれから大臣及び関係の方にお伺いいたします。
  174. 井上章平

    政府委員井上章平君) 先生ただいま御指摘がありましたように、昭和五十八年度に会計検査院から特に掲記を要すると認めた事項といたしまして、八ツ場ダム等の事業について事業効果の発現が著しく遅延しているという指摘がございました。でございますが、一般的に申し上げまして多目的ダムに伴う水没補償には水没者の生活再建でありますとか、水源地域の振興といった困難な問題がございますので、しばしば水没補償の解決に長期間を必要とするわけでございます。会計検査院より指摘のありましたダムにつきましては交渉等努力を重ねたのでございますが、結果的に長期間を要したものでございまして、その点については御理解をお願いいたしたいと思う次第でございます。  そのほか不良工事等不当事項につきましても、補助事業について四件ほど指摘があるわけでございまして、これまでも事業の実施に当たりましては私ども厳正な執行を心がけてまいったところでございますが、今後もなお一層適正な予算執行に努めてまいる所存ではございます。しかしながら、それはそれといたしましても、先ほど来申し上げておりますように、いろいろ河川環境関係につきまして非常に予算が足らない。そのために河川水の枯渇でありますとか、水質悪化というような現象が見られておりますので、これらの河川環境対策を積極的に進めようといたしますには財源が欲しいということで、いろいろ流水占用料等の制度の改正等について概算要求をさせていただいているという段階でございます。
  175. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 大臣、先ほど午前中の答弁の中で、これはいわゆる増税というような認識には立たないというふうにおっしゃっておられましたけれども、ただいま厚生省関係の資料で読ませていただきますと、水道普及率が九三・七%ほどですよね。そうすると、ほとんどの家庭が水道というものを使っておるわけで、この流水占用料というものが施行せられるようなことになりますと、事実上国民全部がしょい込まなければならない、こういうことになるわけでございます。そして、私がそのことを申し上げますと、しかし一般家庭一月日常で十七トンから二十トン前後だと。したがってそれによる一カ月の家庭負担は三十円から三十五円程度であるというふうにおっしゃるわけでございますけれども、片や林野庁の方の水源税というようなものもありまして、これをしょい込む側からいけば事実上押しなべて取られていくという形には変わりがないわけなんですが、この点もう一度大臣の御認識をお伺いいたします。
  176. 井上章平

    政府委員井上章平君) 五十八年の家計調査によりますと、一世帯当たりの水道料金は二千三百円程度でございますが、今回の流水占用料制度の改正に伴う現行の減免措置の見直しによります負担増がどのようになるかということにつきましては、ただいま先生指摘がありましたように、大体一世帯一月当たり三十円程度の料金の上昇になるものと推計をいたしております。しかし、水道は利用の状況を見ますと必ずしも家庭だけで使用するということではございませんで、あらゆる事業所等を含めまして幅広く多目的に使われておるものでございますので、したがいまして、やはり水道の使用量に応じて負担していただくということが必要ではないかというふうに考えた次第でございます。
  177. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そこで、通産省の方がお見えになっていると思いますので、お伺いをいたしますが、工業用水についてもこれがかかっていくわけでありますが、先ほど私申し上げましたように、一般家庭水道料としては三十円から三十五円程度ということになるわけですけれども、これが新聞等の報道では、この流水占用料構想が行われることによって産業界がしょい込む平年度の総額は、八百八十三億円という負担を業界がしょい込むというようなことが書かれてあるわけですね。私は、これは業界がしょい込んだらしょい込んだままにはしておかないと思うんです。やはり商品コストに乗って国民生活にはね返ってくることには間違いなかろうというふうに思うので、この辺のところを通産省にお伺いをいたします。国民生活に及ぼす影響というのは水道料だけではないというのは今まさに河川局長おっしゃったとおりだと思うので、通産省の方の見解をお伺いいたします。
  178. 合田宏四郎

    説明員合田宏四郎君) お答えいたします。  流水占用料構想のまず産業界に与える影響でございますけれども、これは建設省の試算によりますと、先ほど八百八十幾らとおっしゃったのは流水占用料と水源税両方合わせますと八百八十億余りでございますが、流水占用料につきましては平年度ベースで工業用水から約三百十億円、水力発電から約百十億円の増徴が見込まれております。もし流水占用料が実現いたしますと、紙パルプでございますとか化学とか鉄鋼等のいわゆる構造不況産業、それから繊維あるいは食料品等の非常に中小企業性の高い産業が大きな打撃を受けるおそれがあると私どもでは認識をいたしております。  それからもう一つの問題は、一般の市民生活への影響ということでございますけれども、もしも流水占用料構想が実現をいたしますると、上下水道料金だけでなしに工業用水道料金あるいは電力料金の上昇というのが懸念をされるわけでございまして、広く国民一般あるいは各企業の負担が加重するおそれがあるというふうに私どもは認識をいたしております。  以上でございます。
  179. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それから厚生省においでをいただいておると思いますが、水道事業の所管の省としてこちらも反対ののろしを上げておられるわけですけれども、厚生省の反対理由の中に水道事業者は水資源開発利用費としてダム費負担などを負担しており、公共利益のための治水事業の財源までを重ねて徴収するのは不当であるという言い分一つ。それから水道料の高騰を抑えるために厚生省は一千二百八十億の補助金を支出している。そういう形の流水占用料のような構想が入ってくると事実上この補助金効果がなくなると、こういう言い分を厚生省はお持ちでございますけれども、これに対して建設省の方では施設費を負担してもらうダム負担金とそれから水代とは全く別の次元の話であると、こうおっしゃっておるわけでございますね。私も真剣にこのことを考えてみましたけれども、軍配はどうも厚生省の方に上げたいように思いますので、まず厚生省の言い分を聞かしてください。
  180. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) お答えをいたします。  水道用水からの流水占用料の徴収は、国民生活に直結しました水道料金の値上げのほか、水道水を利用して生産される消費者物価や生活関連料金にも少なからぬ影響を生ずるものと考えております。厚生省といたしましては、お話ございましたように水道料金の高騰を抑制するため水道整備について補助を行っているところでございます。流水占用料の支払いが水道に対します国庫補助の効果を減少させ、水道にかかわる国民の負担の増加をもたらすと考えておりまして、私ども流水占用料に反対しておるところでございます。
  181. 井上章平

    政府委員井上章平君) 二重負担になるかという御指摘でございますが、水道等の事業者が多目的ダムについてその費用の一部を負担いたしますのは、これは河川の渇水期におきまして、渇水時において安定的な取水を可能にするための施設でございます。その持ち分などに応じた負担を行っているものであるのに対しまして、流水占用料といいますのは河川の流水そのものの使用料でございますから、両者はその性格、趣旨を異にするものでありまして、二重の負担となるようなものではないわけでございます。  なお、発電事業については、もう昔から流水占用料は取られているわけでございますが、現にダムに対する負担を行いますとともに、別途流水占用料を負担していただいているという実績があるわけでございます。
  182. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それで、先ほどから治山治水の事業というのはとても国民生活にとって大変なんだと、だけれども財源がないのでこういう形でひとつお願いしたい、こういうことを盛んにおっしゃっておられるわけですね。災害から国民生活を守るためには大切なんだというふうに午前中も盛んに御説明をなさったわけですけれども、それほど大切な事業なんだから、だから一般財源で賄うべきであるというふうに私は思うんでございます。そしてそのための運動なら国民はみんな応援しようじゃないか、こんなふうなことを思うんですけれども、いかがでしょうか。
  183. 井上章平

    政府委員井上章平君) 治水事業につきましては、ただいま先生指摘のように国民の生命、財産を守る最も基礎的な公共事業でございますので、これにつきましては国民全体の負担において行われるということで今日まで続けてきたわけでございます。しかしながら、昨今の財政事情で非常に治水事業全体が伸びないという状況がございますにもかかわらず、一方におきまして河川の水利用というのは非常に近年急速に増大してまいりました。そのために既に能力を超えても取らざるを得ないという事態が現実に起きておるわけでございます。そういったことでございますので、河川の水が非常に枯渇してまいりまして、一方この使われた水はやがてすべてまた河川に戻ってくるわけでございますが、これが非常に汚い、水質の汚染が進んでおるというようなことで、河川そのものが死の河川というようなところも現実に大都市周辺には起きているわけでございますから、これらについての、私どもこれらを広く言って河川環境対策と言っているわけでございますが、こういった事業はぜひそれらの実態に合わせて予算をふやして積極的に進める必要があるんじゃないか、私どもそういうふうに考えておりまして、ずっとそういう主張をしてきてまいったわけでございますけれども、現実に治水事業はこの六年間全く増加していないわけでございまして、一方、午前中に大臣お話しございましたように、災害等の対策に追われているという実態もございますので、こういった河川水の利用に起因して起きている河川の状況を改善するためにはやはり一部負担していただいて、従来から制度としてございます流水占用料制度の改正によって負担していただこうというような考え方に立って、概算要求をさせていただいているということでございます。なおしかしながら、これらにつきましては、まだ私どもの大蔵省に対する概算要求という形で出されたものでございますので、今後政府案として固まりますには関係各省と当然協議が必要でございます。そこで一致して初めて政府原案ができますまだ過程にあるわけでございますので、しばらくは政府内部での調整につきまして御静観いただければという感じでございます。
  184. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 きょう私はない時間の中から、同僚議員から時間をもらいましてこの問題をやらしていただいた事情は、まだ固まっていないということなので、それではみんなで声を大にして話をしようじゃないか、こういうことで少々の時間ですけれども時間をいただいて、声を大きく物を言っているわけでございますけれども、私はこれ大臣に答えていただきます。  水は命の問題だと思うんです、今、そして暮らしの問題、強いて言えば生活、文化の問題だと思う。これをやっぱり銭金の要因で物を言っていいものかどうか、生活の基本にかかわるだけに国民の声というのは非常に大きいんです、関心が深いんです。先ほど同僚議員はハチの巣をつつくような話が出ておると言われましたけれども、私も消費者団体の仲間のところに参りますと、どこへ行ってもこの話が出ますので、実はきょう、この時間を少々いただいて伺っているわけでございますので、これ大臣、水とは何であるかをぜひお答えいただきたいと思います。
  185. 井上章平

    政府委員井上章平君) 訂正申し上げます。静観と言いましたことは間違いでございました。
  186. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 先ほど来、先生からいろいろ非常に貴重な国民を代表した御意見を承っておるわけでございます。私どもは、私も先ほど来申し上げておりますように、今概算要求を出して、これからいよいよ本予算を煮詰める段階にきておるわけです。そういう中にありまして、政府の原案をつくる場合に関係省庁や何かとも真剣に、国民生活の全体の立場に立ってこれは調整をしなきゃなりませんし、また我々自由民主党といたしましても、概算要求をつくる段階から本予算につきましては党と一本化していろいろ調整願う、こういう段階でございます。今局長からちょっと表現が悪くて大変申しわけない答弁をいたしましたけれども、そういう意味じゃございませんで、これからいよいよ予算編成に当たりまして私どもはいわば悔いのないような調整をし、そして努力をしながら立派な政府案をつくるために最善の努力を尽くす、こういうことでございます。
  187. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 お願いしておきます。  公共性というのは非常に高いわけですからね、それだけに影響も大きいということをぜひお考えいただいて、国民の立場に立った御配慮をいただきたい、希望いたします。
  188. 安武洋子

    安武洋子君 私は、まず最初に借地・借家法についてお伺いをいたします。  法務大臣の諮問機関でございます法制審議会、これが十月二十九日に公表いたしております借地  借家法に関する問題点、これを見てみますと、財界とか大手不動産業界、これが進めております都市再開発の障害となる借地借家人の追い立て、これを容易にするものであるというふうに思うわけです。  そこでお伺いしてまいりますけれども、十一月二十日付の日経新聞でございますが、ここに地主家主協会、これが主催いたします「借地・借家問題に関するシンポジウム」の広告、これが出ております。ここに持ってまいりましたけれども、このような大きな広告でございます。この中に、「挨拶」として国土庁土地局長末吉興一氏の名前が出てまいります。このとおりにごあいさつをなさる予定でございますか、お伺いいたします。
  189. 末吉興一

    政府委員(末吉興一君) 御指摘の借地・借家法のシンポジウムにつきましては、主催者でございます地主家主協会から私の方へあいさつの依頼がございました。話をお伺いいたしますと、関係業界はもちろん、学識経験者や実務者を交えて行われるということと、それから一般に広く公開をして多数の人々が集まる、主催者側のお話では、相当広いホールで多くの人を集めて行うということでございましたので、多方面から借地借家問題について意見の発表や交換を行うということは非常に意義のあることだと私は考えましたので、了承いたしまして予定をしている次第でございます。
  190. 安武洋子

    安武洋子君 ごあいさつにおいでになるということですけれども、その限りではこの地主家主協会、これがどういう団体であるかということはお調べだろうと思います。どういう団体と御承知でございますか。
  191. 末吉興一

    政府委員(末吉興一君) 地主家主協会は広く地主さん家主さん等を会員とする団体と承っております。その事業内容は借地・借家法及び関連法規の調査研究あるいは講演会、研究会の開催等であると伺っております。
  192. 安武洋子

    安武洋子君 そういうふうなあいまいな調査でごあいさつに行かれるということは、私は大変遺憾であると思います。この団体は借地・借家法、これは自由主義諸国には類を見ない悪法だ、こういうことで法改正を最大の目的に掲げまして、昨年の六月に発足している政治団体でございます。この団体の五十九年の政治資金収支、これを見てみますと収入が二百八十一万円、支出が約二百七十四万円、こういう規模でございます。収入の内訳というのは党費または会費、これが二万円、お二人でございます。あとの二百七十九万円、これは会長の満井氏、この方の経営なさる株式会社三正からの借入金でございます。この三正という会社を調べてみますと、東京都への届け出によりますと五十八年現在の累積赤字が六億、これを超えております。  ところがなんです、私はきょうここに持ってまいりましたけれども、この団体ですね、地主家主協会がこういう新聞に広告を出しているんです。これは縮小版です。これは二面見開き、全部なんです。ですからどれだけのお金が要るかということは大体側想像がつくと思いますけれども、先ほど申し上げましたように収入が二百八十一万円というふうな会社が、ことしの七月です、これは私はやっぱり千万を単位とするお金の要るような意見広告であろうと思います。ここには何が書いてあるか、借地・借家法改正を働きかけたい、こういう趣旨を堂々と載せております。  国土庁というのは私はこれは借地・借家法を所掌ではない、こういうふうに思います。このシンポジウムの主催団体というのは先ほども言ったような政治団体でございます。この政治団体というのは大手不動産業界のダミー団体と言われております。これはもう業界の通例でございます。こういうふうなところに一体どのような立場であなたはごあいさつにおいでになるんでしょうか。所掌でございますか、所掌でないはずでございますが。
  193. 末吉興一

    政府委員(末吉興一君) 借地・借家法の改正につきましては、先生、先ほど御質問にもありましたように、十月に所管をなさいます法務省の法制審議会の民法部会において審議事項として取り上げられまして、その際検討すべき問題点が決定されまして、現在関係各方面、もちろん賛成の方の方も反対の方の方も、関係業界あるいは学者のグループ、あるいは私どもの方へ配付されまして、来年の四月中旬までにその御意見をというところで、各方面これから議論がなされようとしておるところでございます。御指摘のように国土庁は借地問題につきましては所管ではございませんが、借地借家の問題につきましては広く国民生活に影響を与える問題でございますので、国土庁の立場といたしましてはさまざまの角度から議論が進められることは極めて望ましいものと考えております。  したがいまして、どういう立場でごあいさつ、私があいさつというところで承諾をしましたと先ほど申し上げましたが、これは先ほども御説明申し上げましたように、一般の大ぜい入る公開の場でのシンポジウムでありますし、そこでどなたもお見えになって行われるというところのパネルディスカッションの前に、与えられた時間は大体十分前後だろうと思いますので、そのときには私としましては広く議論を踏まえて、現状を踏まえて多角的な見地から検討なされることは極めて好ましいことだということを申し上げようかと、実は思っておりましたのでございます。そういうわけで、現状を正しく認識した上で幅広く多角的に、しかも多方面から議論を尽くしてほしい旨をできれば要望いたしたい、こういうふうに考えております。
  194. 安武洋子

    安武洋子君 あなたはさまざまの立場で議論がされることが望ましいとおっしゃいますけれども、これは政治団体で、その政治団体は借地・借家法は自由主義諸国には類を見ない悪法だ、その改正を求めるということで、これはシンポジウムと言いますけれども、総決起集会と言うにも等しいようなものを開こうとしている。一定の目的を持ってそれを達成するために開くところに、あなたのような立場でおいでになるというのはおかしいじゃありませんか。そこに行って何をおっしゃるのか、所掌でもないのに出ていかれるというふうなことで。私はあいさつに行かれるのは妥当でない、おやめになるべきが至当ではなかろうかということを強く申し上げておきます。  そしておいでになるなら、先ほど私が申し上げたようなこういう団体の中身までしっかりと調査をなさっておいでになるべきで、公務員は中立のはずです。それなのにこういうところに、一定の目的を持った政治団体にごあいさつにおいでになるというのはまことに至当を欠くものである、そのことを指摘しておきます。  建設大臣、業界誌などの報道を見ますと、大臣も総理の意向を受けられまして都市再開発の推進のために借地・借家法の見直し、これに大いに動いておられるというふうに承っております。そこでその一つに、木部大臣はことしの三月一日です、麻布台にあります建設省分室、いわゆる狸穴と申しますんですね、ここの分室で不動産業界の代表と会ったと報道されておりまして、これは事実であるということをお認めになっていらっしゃいますけれども、そのときの相手と申しますのは、これは江戸英雄不動産協会理事長、これは三井不動産の会長でもございます。それから安藤太郎氏、日本高層住宅協会理事長で住友不動産社長、それから西川英夫氏、日本ビルデング協会連合会副会長さん、それから横山修二さん、住宅産業開発協会副会長、大京観光の社長でもございます。それから須藤英男さん、全国住宅宅地経営連合会理事長さん、それから長谷部平吉さん、日本ハウスビルダー協会の理事長さんで、これは長谷部住建の社長さんでございますが、こういう人たちとお会いになったんでしょうか、お伺いをいたします。
  195. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) ことしの三月の多分一日だと思いますが、今先生からお話がございましたようなそういう関係の皆さん方と懇談をさせていただきました。
  196. 安武洋子

    安武洋子君 じゃ、この会合はどちらが要請をされて実現したものでしょうか。
  197. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) これは私ども建設省側として関係団体の皆さん方のいろんな意見を承ろうということで催しをさせていただきました。
  198. 安武洋子

    安武洋子君 じゃ、大臣はなぜ本省でおやりにならないで、狸穴というふうなところなんかでおやりになったりなさるんでしょうか。  それから、この会合でございますけれども、表向きは民間活力の推進だというふうなことで、意見、要望を聞くということとなっておりますけれども、特にその中で江戸氏、それから安藤氏から借地・借家法を改正してほしいと、こういう強い要望があって、話題はそこに集中をしたと聞いておりますけれども、いかがでございましょうか。
  199. 高橋進

    政府委員高橋進君) 最初の御質問の狸穴でやったのはなぜかということでございますが、これは全く他意のあることじゃございませんで、あれは建設省管理している役所の会議所でございます。いろんな通常の会議、事務所長会議でございますとか地建局長会議等をそこで開くこともございますし、会議室の本省の都合とかそういうことでもって、普通の役所の仕事もやっているところで、別に特段の意味はございません。したがいまして、外部の方とも会議を、打ち合わせ等をやる場合もそこを利用することはしばしばございます。  それから後段の問題、たまたま私建設経済局長という立場で出席いたしておりましたが、私の記憶では借地・借家法に議論が集中したということは記憶にございません。むしろ借地・借家法の問題につきましてはほとんどなかったかと思います。と申しますのは、本来建設省所管のことでもございませんで、都市開発の一般の問題だったというふうに記憶しております。
  200. 安武洋子

    安武洋子君 じゃ、全く借地・借家法なかったんですか。
  201. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 私どもは国民の各階層のいろんな貴重な有効な意見を受けて、そしてそれを吸収して、立派な行政なり政治に反映するということが非常に大事なことでございます。したがって、この不動産業界の代表の皆様方だけではございませんで、実は東京都の区長さん方の有志の方にもお願いをいたしましたりというようなことで各階層の意見を承る、そういう趣旨で、実はたしか私の記憶では区長さん方の代表の皆さん方も二回ほどそういういろんな御意見を承る会をいたしました。  それで、この皆さん方から御意見をいろいろ承る趣旨というものは、民間活力の問題であるとか、それから都市の再開発の問題であるとか、それから規制の緩和の問題であるとか、そうした一般的な問題についていろいろ皆さん方から御意見を承ったわけでございます。それで、今先生がおっしゃいましたように、借地・借家法のことについてというようなことでございますが、私も一般的ないろんな今申し上げるようなことで意見を承りまして、特に借地・借家法の問題について意見が集中したというようなことは私の記憶には今のところございません。
  202. 安武洋子

    安武洋子君 じゃ有効な意見の中に借地・借家法もあったというふうに承っておきます。  先ほど名前の挙がりましたこの安藤、それから長谷部、横山氏、これは民活第一号と言われております新宿西戸山、この公務員宿舎跡地の開発の受け皿会社としてつくられております新宿西戸山開発株式会社、ここの取締役のメンバーでございます。さらに、今申し上げました安藤、長谷部、横山、この三名と、それから江戸氏、これを加えました四名といいますのが国有地の払い下げ方法を編み出しました公務員宿舎問題研究会のメンバーでございます。民間活力だ民間活力だと、こう言いますけれども、民間活力の名のもとで不動産、それから建設業界、ここと政界、財界一体になって国民をないがしろにしながらやって、今どんどん事業を進めているわけですけれども、新宿西戸山などでね、私はそれが今度は借地・借家法をめぐっても行われるのではないかと、そう危惧せざるを得ないわけなんです。  そこで、私、新宿西戸山の公務員宿舎跡地の再開発の問題でお伺いをしてまいりますけれども、この問題は私自身が国会で再三取り上げてきた問題でございますけれども、この計画というのは、新宿区の百人町の公務員宿舎、これを高層化いたしまして、浮いた国有地の開発を民間業者に払い下げて、そこに高層マンションを建てるということでございます。こういうねらいを実現するために、中曽根総理自身が御提唱なさいまして、大蔵省理財局長の私的諮問機関ということで大手の不動産、それからあるいは建設業者、こういうものを集めて研究会をつくって作文をつくらせる、そしてできた答申をもとにしまして、そのメンバーが中心になって払い下げを受ける新会社を設立する、まさにこれは官界、財界癒着のもとに進められてきている計画であると思います。しかも、この新会社の中枢を占めております東京興産、こういう会社が総理に多額の政治献金を行っておりまして、その一部は政治資金規正法にも違反する疑いまで出ているわけです。この点は九月の十九日に私が当委員会指摘をし、そしてこれは警察庁に調査をお願いいたしました。  警察庁にお伺いいたしますけれども、私がこの九月の十九日に当委員会指摘をいたしました西戸山開発株式会社、この中枢の東京興産、これが昭和五十八年に中曽根総理の政治団体に対しまして行った政治献金額・これが政治資金規正法違反の額ではないかと、こういう指摘をいたしましたけれども、それに対しまして、事実関係を把握した上で適切に対処したい、こう答弁をなさっております。その後の経過をお伺いいたします。
  203. 国松孝次

    説明員(国松孝次君) お答えを申し上げます。  御指摘の事案につきましては、警視庁において所要の捜査を行った結果、刑事責任を問うまでの事実を把握するに至らなかったとの報告を受けております。
  204. 安武洋子

    安武洋子君 私が申し上げたそういう政治資金規正法の額を超えた額、そういうことの事実関係というのは一体どうだったんでしょうか。事実関係をどう把握なさったんでしょうか。
  205. 国松孝次

    説明員(国松孝次君) これにつきましては、先般御指摘もあったわけでございますけれども、政治資金規正法にいう量的制限を超えた寄附がなされ、その後その超過分につきまして返還がなされたという事実は私どもも捜査の結果確定したところでございます。しかし、それにつきましては、先ほども御答弁申し上げましたとおり、刑事責任を問うまでの事実は把握するに至らなかったということでございます。
  206. 安武洋子

    安武洋子君 刑事責任を問うまでの事実は把握できなかったという具体的な内容というのはどういうことなんでしょうか。それは超過額を寄附をしていたということですが、なぜですか。
  207. 国松孝次

    説明員(国松孝次君) 繰り返すようでございますけれども、私どもといたしましては、関係者からの事情聴取等含めまして諸般の捜査を行ったわけでございます。その結果、政治資金規正法違反として刑事責任を追及するまでの事実を把握するに至らなかったということでございます。
  208. 安武洋子

    安武洋子君 これは罰則がはっきりついておりまして、知ってこのような献金をする、知って受け取ったということになると罰則がはっきりあるということなんです。ということは、知らないでやったということなんですか。
  209. 国松孝次

    説明員(国松孝次君) 私ども警察といたしましては、今回の件のような任意捜査を行いました場合につきましては、個々の内容につきまして申し上げることはしないということを原則にしておりますので、その点、そういう趣旨で今のような御答弁を申し上げたわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  210. 安武洋子

    安武洋子君 総理の政治団体ということです。だからより厳格に、厳密に心の中で真実をはっきりさせていただかないと、私どもはこの西戸山の国有地の随契による払い下げ、この問題どこの献金というのは大いにかかわりがあるのではないかというふうに思っているわけなんです。非常に残念です。  建設省に聞きます。この都市計画というのは既に区とそれから都で決定されておりますけれども、都市計画事業の施行者というのは決まっているんでしょうか。
  211. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) 施行者につきましては、いまだ事業認可がなされていないと聞いております。
  212. 安武洋子

    安武洋子君 では施行希望者からの申請は出ているんでしょうか。
  213. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) 東京都に対しまして新宿西戸山開発株式会社から事業認可申請が、既に十一月十五日付で出されているというふうに聞いております。
  214. 安武洋子

    安武洋子君 では大蔵省に聞きます。  この十四日に開かれております国有財産関東地方審議会、ここでは国有地を新宿西戸山開発株式会社に随意契約で払い下げる答申を関東財務局長に行っております。その内容というのは、施行者としての認可を受けるという条件つき、こういうことでございますが、約一万八千平方メートル、これを売り払うということになっております。先ほどの御説明でも、この西戸山の公務員宿舎の跡地の都市計画事業というのはまだ施行者が決まっておりません。これは事業施行者も決まっていない、こういう民間団体です。そういう民間企業に国民の共有財産である国有地、これを払い下げるということを審議会に諮問するというのは余りにもこれは行き過ぎ、非常識ではありませんか。
  215. 藤村英樹

    説明員(藤村英樹君) お答え申し上げます。  通常一定の面積以上の国有地を売り払いする場合におきましては、財務局が払い下げを希望する者から要望書の提出を受けました時点において、その処理方針を国有財産地方審議会にお諮りし、御審議いただいているところでございます。本件の新宿住宅跡地につきましては、先生ただいまお話しありましたように、東京都と新宿区が先般都市計画事業を行うことにつきまして決定したことを背景といたしまして、その施行者となることを希望する新宿西戸山開発株式会社の方から関東財務局長に対しまして、払い下げ要望書の提出がございました。それを受けましてこういった通常の取り扱いの例に従いまして、今後の判断の参考としてその処理方針を同地方審議会に諮問したものでございます。  なお、ただいま先生指摘の、認可の前に処理方針を諮問したということにつきましては、東京都の方から、いずれ認可の適否の判断に当たりまして不可欠な点でございますが、申請書による本地取得の見込みについての国への意向照会が予想されるという事情があったわけでございまして、こうした事情を踏まえまして、あらかじめ準備をしておくということであったわけでございます。関東財務局長といたしましては、東京都からの認可前の意向照会に備えまして、審議会の意見をあらかじめ求めることとした、こういうことでございます。審議会の意向を尊重したという形で御了解いただければありがたいと思います。
  216. 安武洋子

    安武洋子君 本来、国有地というのは競争入札で売却すべきものなんですよね。これを随契で払い下げてやる、こういう根拠は予決令の第九十九条第二十一項の「公共用、公用又は公益事業の用に供するため必要な物件を直接に公共団体又は事業者に売り払い又は貸し付けるとき。」、この規定を援用して都市計画事業を公益事業と解してのこと、こういうことだろうと私は思います。しかし、この規定によりましても、事業の施行者とも決まっていない、事業の施行者と決まっていないんですよね。あらかじめそういうことになるかもわからないとはおっしゃいますけれども、決定していないものに対して、国有地を売り払うということを審議会に諮問を行う、こういうことの私は根拠にはならないと思いますよ。どういうわけでこういうことをなさるんですか。もう一回答えてください。
  217. 藤村英樹

    説明員(藤村英樹君) お答えいたします。  ただいまもお話ししましたように、東京都の方からいずれ認可の適否の判断に当たって、必要な申請者による本地取得の見込みについての国への意向照会ということが手続として予想されるわけでございまして、関東財務局長といたしましては、こうした前準備として審議会の意向をあらかじめ確認の上、東京都の意向打診に備えた、こういう趣旨でございます。
  218. 安武洋子

    安武洋子君 むちゃくちゃに手回しがよ過ぎる。新宿西戸山開発株式会社というのは、これは公的な払い下げを受けるというふうな立場ではないわけでしょう。その会社が自分のところに払い下げてほしい、こういう申請を出す、このこと自体非常識です。そしてそれを受けた大蔵省がもっともだと、こういう形であらかじめ審議会の意向を聞いておくんだというふうなこと、これはもう全くの常識外れではありませんか。新宿西戸山開発株式会社、いかなる根拠に基づいて払い下げの申請をいつしてきたのか、これを明白にしてください。
  219. 藤村英樹

    説明員(藤村英樹君) 現在のところ、まだ会社の方からの申請書は受理いたしておりません。
  220. 安武洋子

    安武洋子君 申請してきていないわけでしょう。そうしたら、私はお聞きしますけれども、都市計画が決定したのは六十年の十月の二十五日でございますよ。そして、二十八日には諮問しているんです。たった中二日です。そして、この西戸山は申請もしてきていない段階です。私は、何とむちゃくちゃに手回しがよ過ぎるのかと。六十年十月の二十五日に都計審の決定をしたと。そうすると、もう既に二十八日付で諮問を出していると。私はこの資料を御請求申し上げたんです。私が御請求申し上げたのは、おたくの資料がついておりますから、六十年十一月十五日の十六時五十分受けと書いてあります、個人だということでね。非常に御丁寧に記録をとっておられますが、私のところにこの資料、私は催促しました。催促して、やっと出てきたのが六十年十一月の二十六日十六時でございます。丸十一日かかっている、こんなもの一つが。そういうところの官庁が、何と都計審が決定された途端に、中丸二日ですよ、こういうふうに申請を出す、諮問をする、そしてその諮問が早々と返ってくる。全く常識外れの非常識なやり方ではありませんか。  私は聞きますけれども、建設省、この都市計画法第五十九条第四項、これは国や公共団体以外の施行者、これは知事の事業認可が必要なはずです。申請があれば、認可のために資力とか信用とか施行能力とか総合判断するわけでしょう。法的には、これは他社が施行者として申請することも可能なはずですよ、理論的には。申請即認可ではないはずなんです。まして新宿西戸山開発というのは、この事業のためにつくられた新会社のはずです。実績ありません。経験もありません。だから、なおのこと事業認可がなされた後に審議会に諮問するのが常識ではありませんか。いかがですか。
  221. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) 国有財産審議会の方への諮問については私からは何とも御答弁いたしかねますが、今の事業認可の点につきましては、おっしゃるとおり具体の本地区について事業認可申請書は先ほど申し上げたとおり出たわけでございます。今後は、具体的には認可権者はこれは東京都知事でございます。ですから、一般的に申し上げれば知事は申請してこられた事業計画が決定した当該地区の都市計画決定に適合しているかどうか、あるいは施行者の資力、信用、その他の施行能力があるか、あるいは事業を具体化するわけでございますから、用地取得の確実性があるかというふうなことを総合的に判断した上で結論を出すことになるというふうに認識しております。
  222. 安武洋子

    安武洋子君 それはわかっていますよ。それが十二月に予定されているからといって、おたくたちがどうして早々とこういうことを非常識におやりになるのかということを私は問題にしております。だから、新宿西戸山というのは、私は、実績も経験もないからなおのこと事業が認可されて、その後でこういう手続はおやりになるべきではないかということを聞いているので、それにお答えください。
  223. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) 私の方は、ただいま申し上げましたように都市計画の事業認可を担当でございますから、ですから私が申し上げるのは先ほど申し上げたことでございます。
  224. 安武洋子

    安武洋子君 おたく答えできないんなら答えできる人が答えてください、大蔵省。大蔵省が答えないとだめです。
  225. 藤村英樹

    説明員(藤村英樹君) まことに繰り返しになって恐縮でございますけれども、今回、認可の前に審議会に諮問したというような手続につきましては、あくまで今後の東京都からの意向打診に備えたという意味で、むしろ手がたい手続として財務局長の判断によりまして審議会の委員の御意見を伺ったと、こういうことで御理解いただきたいと思います。
  226. 安武洋子

    安武洋子君 それは逆でしょう。東京都の意向打診云々とおっしゃいますけれども、新宿西戸山に対してこの国有地を払い下げたいんだということで諮問なさっているわけでしょう。審議会の方は、この新宿西戸山がどうなのかということで都市計画事業施行者としての認可を受けることを条件とするというふうなことで答申をしているわけでしょう。だから私は、本来ならばこういう西戸山開発というのは、先ほどから何度も言っているように、事業の実績全くないんです。経験ないんです。だから慎重にやられるべきでしょう。ということは、私が一貫して追及してきているように、こういう事業を最初から総理の提唱であなた方はもう無理無体に推し進めてこられているわけですよ。もうこの新宿西戸山にどうしてもここの国有地が払い下げられるように随契を考え出す、そしてそれに合わせていろんな手続を無理無体に強引に推し進めておられるからこういうことも出てくるわけでしょう。私は、こういう急いだ理由として報道はこれは大蔵本省の方針によって急いだと、こういうふうに言われております。この点についてもお伺いしたいし、そういう圧力をかけられた、自分の方からおやりになっている事業ですからそういうことだろうと思いますけれども、私は、民間活力第一号、こういうことで鳴り物入りで宣伝されておりますけれども、どこが民間活力なのかと言いたいわけです。何のことはない、国有地を特定の民間企業、このマンション用地に売り払うというだけのことなんです。そして特定業者の利益を総理のお声がかりで政官一体となって無理に強引に非常識に進めていく、まさに中曽根活力だと私は言ってまいりましたけれども、そのとおりです。  大蔵省はこの西戸山に続きまして公務員宿舎の高層化、これによりまして跡地の民間払い下げ、これを代々木、白金、名古屋の千種東、東大阪市の鴻池、こういうところを考えているというふうにおっしゃってこられましだけれども、一体こういう今私が申し上げたようなところは具体的にどのように検討されているのか、現在時点の点もお伺いいたします。  ですから二つ聞いておりますのでお答えください。
  227. 川嶋烈

    説明員(川嶋烈君) お答えいたします。  先生指摘の代々木、白金、名古屋千種東、大阪鴻池、これらの公務員宿舎につきましては、五十九年二月に国有地等有効活用推進本部へ民間活力活用検討対象財産として報告いたしまして、そのとき公表もさせていただいているわけですけれども、そのときに公表いたしておりますとおり、新宿西戸山住宅についての成果を踏まえつつ民間活力の活用について検討する、これらについてはそういうことでやっております。現在、新宿西戸山住宅地区の開発計画の進展を見守っているという状況でございます。
  228. 安武洋子

    安武洋子君 もう一問聞いているのにお答えがない。答えていただかないと。
  229. 藤村英樹

    説明員(藤村英樹君) 今先生もう一点とおっしゃっているのは、ちょっと確認したいわけでございますが、先ほど言われました何をもって民活かと、こういう趣旨の点でございますか。
  230. 安武洋子

    安武洋子君 ちゃんと聞いておいていただかないと困るわけです。  私は、こんな非常識なことをして急いだ理由というのは、これは報道によりますと、これは大蔵本省の方針によって急いだんだと、こういう非常識なことをしてまでやったんだと言われているわけです。ですから大蔵本省のこれが方針なんですかということをお伺いいたしております。
  231. 藤村英樹

    説明員(藤村英樹君) 失礼いたしました。  先般ある新聞報道によりまして、ただいま先生がお話しになったような記事があったわけでございます。あの記事を私ども受けましてすぐに財務局の方に確認をいたしました。財務局の方では、確かに新聞記者からの取材を受けまして、これは本省からの方針、指導によるものであるのかという問いがあったようでございまして、これにつきまして担当課長の方から、そういう指導、方針というものは一切ありません、これはあくまで従来からの民活という大方針の線の中での処理の一環であるというふうに答えたものにつきまして、マスコミの方がああいう形の表現で記事にしたものだと、こういう答えが返ってきております。
  232. 安武洋子

    安武洋子君 よくわかりました。大蔵省全体が総理のお声がかりで民活を進めるためにこういう非常識なこともどんどんやる、そういうふうになってしまっているということを私は御答弁の中からうかがい知るわけですけれども、大変遺憾なことであるということで、時間が参りましたので私の質問はきょうはこの程度にとどめます。
  233. 井上計

    井上計君 私は、流水占用料の反対の立場できょうは建設省にいろいろとお伺いをしたい、こう思います。  午前からこの流水占用料の問題では、私と同じ考え方でおられる同僚議員三人の方からいろいろと御質問がありました。その質問に対して大臣及び河川局長のお答えを聞いておりますと、実はますますさらに反対の意思が強くなったということをまず冒頭に申し上げておきます。そういう立場でひとつ申し上げますが、ただ時間が限られた時間でありますから一問一答の形式でお伺いいたしますので、お答えはまた至極簡単で結構であります。既に朝から同僚議員にお答えになったこと、あるいはもう決まり切ったこと、わかり切ったことは省略していただいて結構でありますから、一問一答の形でひとつお願いをいたしたいと、まず冒頭これをお願いをしておきます。  そこで前段、これは菅野委員からも質問があってお答えになりましたが、これは確認する意味で申し上げますけれども、今回の流水占用料を実施するためには河川法の改正を必要とする、こういうお答えがありました。間違いないと思います。とすると、法改正、我々にとっては改悪と申し上げますが、法改定の前に概算要求、しかも具体的な概算要求をお出しになっているということは、この法改定が、後になるけれども必ず法改定が実現できる、行われる、こういう前提に立って概算要求の中に具体的に盛り込んでおられるのかどうか、まず最初これをお伺いいたします。
  234. 井上章平

    政府委員井上章平君) この問題につきましては、現行の河川法を改正いたしませんと治水事業に入れませんので、したがってその件につきましては法改正を伴うものと私どもは思っております。したがいまして、概算要求時に出しましたのは、そのような法改正が行われるという前提でお願いいたしておるわけでございます。    〔委員長退席、理事松尾官平君着席〕
  235. 井上計

    井上計君 概算要求に盛り込んだのは法改正が必ず行われるという前提に立って織り込んだと、今こういうお答えであります。私は、率直に申し上げると甚だしい国会軽視だと、こう思います。国会でこの河川法の改正を全く何も論議もしない、政府提案も何もないのにかかわらず、前提とした概算要求が行われるということはこれは大変な問題だと、まずこの点を一つ指摘をしておきます。  それから、私は政府側のお答えの言葉じりをつかまえたり揚げ足を取ったりというような質問は全くなじみがありません。趣味じゃありませんから、今まで全くやったことがないんです。ただしかし、先ほど河川局長訂正されましたから結構ですけれども、我々のいわば反対の意見について、これはひとつ静観をしてほしいというふうなこと、これは重大な発言。しかし、取り下げましたから結構であります、追及しませんが、やはり私は、先般河川局長に反対の陳情に代表を連れて社会党の梶原議員と一緒にお目にかかったときにも、河川局長自信満々だなと、こういう感じがしたわけですね。きょうもいろんなお答えを聞いておって、もう実は確定的な、いわば確定を前提としてお答えになっておる、こういう気がしてならぬわけでありますが、したがってこれはぜひひとつ慎重にさらに再検討を必要とする、これをひとつまず希望しておきます。  そこで大臣にお伺いしますけれども、大臣はこの問題については政府、与党一体となってこれを進めておるというふうなお答えがありました。あたかも完全に政府間の意見が一致をしておる、あるいは与党との意見が一致しておる、だから進めておるんだというふうな理解をしたわけでありますけれども、しかし既にこの問題、過去私どもが商工委員会あるいはその他の委員会でいろいろとやっておりますが、通産大臣は絶対反対だと、こう言っておられるわけですね。厚生大臣も反対だと言っておられるわけです。政府間で意見の一致は全く見ていない、こう思います。まして与党の中で、失礼でありますけれども、私が聞くところによると相当強い反対意見をお持ちの方がありますね。だから何を指して政府、与党一体となってこれについては進めておる、こういうふうなことであるのか、この点については大臣にひとつお伺いいたします。    〔理事松尾官平君退席、委員長着席〕
  236. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 私の答弁が足らない点があったかもしれませんが、私はそういう趣旨ではございませんで、概算要求に一応提出をさせていただきまして、そして本予算までに、政府案が決まるまでの間に関係省庁それから党が政府と一体になって、そういういろいろな問題のある予算の決定までの何といいますか、調整といいますか、関係省庁との、あるいは党と一体になって、そして従来の予算編成の段階でもそういう方法でやっておりますということを私は申し上げたわけでございまして、一体になって賛成している、そういう表現ではございませんので、もし誤解がありましたら訂正させていただきたい、かように考えます。
  237. 井上計

    井上計君 はい、それではそれは理解いたしました。したがって、これからさらに一体となって概算要求に盛り込んでおるところのこの流水占用料を来年度から実施するために進めていく、こういうふうなことであろうと思いますが、しかし私はこのような重大な問題を進められるについては、国民に対してあるいはこれによって影響をこうむる多くの団体それぞれに対しての事前の説得、PRが全くなされていない。まずこれはやはり相当慎重にそれらのPRをされて、ある程度国民の合意を得てされないと、これは大変な問題になるということをまず指摘をしておきます。  そこで、先ほど来、けさあたりこの問題についてのいろいろなお答えを聞いておりますと、受益者負担ということは非常に強く出ていますね。しかし、治山治水というのは国政の基本なんです。だから、本来これらのものは受益者負担という考え方ではなしに、国民全部が言いかえると受益者でありますから、したがって一般財源からこれらのものを当然積極的に投入して、そうして国民のために、国土保全のために活発な河川改修あるいは河川事業等を行う、これはもう当然です。しかし財源がない。財源がないから仕方がない。そこで、従来本来なら受益者負担で取るべきであるけれども、従来は政府の考え方でただにしてやっておったんだから、今これを改めて受益者負担は当然ではないかというふうな、そのようなお答えに実は私聞き取れておるわけですが、私今反対という先入観がありますからあるいはそう思っておられないのか、思っておられるのか、まずもう一点これは確認をしたいと思うんです。要するに、受益者負担は当然である、過去ただであったことがおかしいんだというふうにお考えなのかどうか。これは河川局長ひとつお答え願います。
  238. 井上章平

    政府委員井上章平君) 流水占用料制度は先生お話しのように昔からある制度でございまして、ただ現実にはいろんな減免措置が講じられております。特に、農業用水と上水道については今日まで全く取られておりません。工業用水については、県によって違いますが、大体流水占用料は徴収されておる、発電はすべて徴収されているというような実態にございます。それで、これらにつきましてはやはり過去の歴史的な経緯もございまして、特に農業用水、上水道につきましてはそういった政策的判断も含めまして今日まで取られていなかったというふうに私どもは理解しておるわけでございます。  しかし、もともとはやはり河川法の考え方の中にはそういった、流水といいますのは国民だれもが本来利用できるものでございますが、しかしそれでは秩序が保てませんのである特定の人に免許を与えまして、これが水利権でございますが、そして排他独占的にそれを保障しているという対応で今日まで運用しておりますので、やはり公共物の使用対価というものは制度としては確立されておりまして、他の公共物、公共財と対比いたしましても大体そういった使用対価をいただくというのが通例でございますので、したがって今日までそういった一つの政策目標でとらえていないということも事実でございますし、今後それを見直しましてそういった適正な負担をお願いするということも私どもとしてはそうし得るというふうに考えて今日お願いいたしておるわけでございます。
  239. 井上計

    井上計君 従来、当然取るべきであるけれども、いろんな政策によって減免措置がなされておる、これはお答えわかりました。それから、適正な負担というふうな今お答えがありましたが、適正かどうかというのはこれは立場が違いますからこれはまた別の論議になろうと思いますが、これについてはお伺いしません。ただ私、局長経済評論家の田中さんと岐阜市長の蒔田さんと三人で「流水占用料制度の改正問題をめぐって」という座談会をおやりになっていますね。「河川」の十月号ですか、「河川」という本は恐らく建設省河川局の事実上の機関誌的なものであろうと理解しておるんですが、その中をずうっと見ますと局長のやはりお考えがもう当然である、従来ただであったことが実は逆に言うとおかしいとはおっしゃっていませんけれども、当然である。だからこれからひとつ河川事業、特に国民のために必要な流水の確保あるいは災害の防止等々についてかかる金は、当然取っていいんだというふうなお考えが述べられていますね。  そこで、私はその考えが間違いであるということをまず指摘をしたい。そこで、そういうお考えからいくと若干いささか例がおかしいかもしれませんけれども、我々は毎日空気がなければ生きていけぬわけですね。しかもきれいな空気をやっぱり要望しております。そのきれいな空気をつくるために国は当然のことながらいろいろな施策を講じいろいろな規制を行っておるわけですね。そういう考えが発展すると空気清浄税ですか、そんなものだって将来つくろうかなんていう意見も出てくるおそれもある。それからもう一つは、よくこれは方々で気がつくのでありますが、借景税という構想が最近はありませんけれども過去あったように聞いているんですね。要するに国なりあるいは自治体が持っておるところの国土あるいは河川あるいは渓谷あるいは海岸等々の風景、これらのものを利用した商売があるわけですね。東京都内でもそうでしょう。まあ例を挙げて名前挙げていささかどうかと思いますけれども、仮に椿山荘はあれだけの広大な面積の庭を持っておって実はそれを商売にしているわけですね。ところが上野の精養軒は自分のところの庭は幾らもないでしょう。いわばあの不忍池を売り物にして商売しているわけです。そこに大変な実はアンバランスがある。そうなってくると、借景税も取りましょう、何も取りましょう、もっと極端に言うと警察、日本は大変治安が完備していますが、さてそれはやはり国民のため、したがって受益者のためだと、だから当然治安何とか税も取りましょうとか、消防税も取りましょうというふうになって、限りなく実はこれがエスカレートする考え方が、そういう受益者負担当然だと言われると、そういうふうにエスカレートするおそれもあるわけですね。  私は、けさからずうっとお話を聞いておって感じるのは、ただ単に流水占用料ということだけに限定しないで、やはりこれをこのままいかれるともう大変な国政の問題、大変なことになるなという実は感じを強くしておりますから、その点についてもひとつぜひお考えをいただかなくちゃいかぬと、こう思います。  そこで続けます。流水占用料をお考えになった最大の理由はあるいは唯一の理由は、国の財政状態が大変厳しくなった、だから財源がない、だからやむを得ずと。こういうふうなお答えがありましたが、これについてはその理由は理解できます。しかし財源がないから仕方がないというよりも、財源がないから実はこういう財源をつくり出した。取れるところから取るのだという考え方は全くやはりこれは逆だと、危険だと、まずこれを指摘します。  財源が本当にないのかどうか、実際にもう他に財源が全くないと、こうお考えかどうか、これは大臣あるいは局長でも結構でありますが、まずお答えいただきたい。
  240. 井上章平

    政府委員井上章平君) この流水占用料制度を改正いたしまして、治水財源を拡充ということでございますが、しかし何と申しましても国民の生命財産を守る治水事業そのものについては、やはり国政の基幹的な事業でございますので、これは一般財源で支弁されるものであるというふうに私ども考えております。ただ、治水事業の中には先ほど来申し上げておりますように河川環境対策という分野がございまして、これは河川水を利用しあるいは河川を利用して河川に排水をというような行為を通じまして起きておる事柄でございますので、その一部は河川水利用者の負担を願ってというふうに考えたわけでございまして、それと従来からございます流水占用料制度の見直しによってそれをしようと、そういうふうにしようというふうな考え方で今回お願い申し上げておるわけでございます。
  241. 井上計

    井上計君 大臣にお伺いしますけれども、建設省関係のいわば予算の中で不要とは言いませんけれども、不急事業、したがってこれをこうすることによって流水占用料を取らなくても済む、あるいはまた会計検査院からも、もう時間がありませんから具体的に言いませんが、従来しばしば指摘をされている項目があるわけですね。そのようなものをひとつ整理をしていく、やはり予算の執行に当たってもスクラップ・アンド・ビルドの考え方がやはり基本だと思うんです。民間企業であれば新しいこのような俗に言う値上げは最後最後最後であって、それまであらゆる努力をし、あらゆる工夫をし、あらゆる合理化をしてなおかつだめな場合にはやむを得ず値上げという形でいわば需要者に要求をするということでなくちゃいかぬわけですが、当然国もそういう考え方でなくちゃいかぬと思いますけれども、大臣、どうでしょう、建設省の中で、いわば初年度の約二百五十億円程度の歳入規模程度のものは、建設省予算の中では生み出せないとお考えなんですかどうですか。これをお伺いいたします。
  242. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 御承知のとおり、社会資本が日本は非常に欧米諸国と比較をして全体的におくれておることは、先生も御理解賜っているところでございますが、そういう意味でこの厳しい中にも均衡ある国土の発展とか、また安全で快適な環境づくりをするというふうなことが非常に大事なときでございます。今、この六年間ぐらいの間公共事業が抑制されているわけですが、そういう中にありまして、どれを一つとってみましても、今申し上げるように、国民生活を豊かにし、また均衡のある国土建設のためには、我々の予算はむしろどの項目を今見てまいりましても非常に厳しい中に立っておる、そういうふうに私は理解いたし、しかしその中にありましても、効率的、効果的な執行というものにつきましては国民の側に立ち、また厳しい中にもそれを工夫して努力するということは行政上一番大事なことである、そういうふうに思っております。  そこで、長くなって大変恐縮でございますが、私も昭和三十九年にこの河川法が改正になった経緯も多少実は理解しておる一人でございます。先ほど来私申し上げておりますように、決して私どもは、恐らく局長自身も高圧的に物を考えたり、また既成事実の上に立って押しつけていくとかいうふうな考えはないというふうに私はそう思います。私どももそう考えておりません。先ほど来申し上げておりますように、昭和三十九年の河川法の改正のときも大変大きな論議を呼んだことも、私も今申し上げますように承知をいたしておるわけでございます。したがって、先ほど先生が、通産大臣は反対である、また通産省、厚生省のそれぞれ答弁に立った皆さん方も反対である、こういうふうなことの明確な答弁があったわけでございますが、私どもはこれから、これだけの大きな予算編成に当たっての課題でもございますから、政府と党というものが一体になってそういう調整を練り上げていく。そういう中にあって、決して私どもも無理やりに我々の主張をどうこうということではございませんで、先ほど私申し上げましたように、特に農業用水それからまた上水道の問題であるとか、そういう問題等につきましては、これは長年の歴史の上に立って非常な何といいますか、いろんな問題があって今日に及んでおるわけでございますし、私どもも一度決めたことをごり押しして既成事実の上にあれしてどうこうということじゃございませんで、これは私どもは今厳しい財政の中でそうした工夫を努力いたしますけれども、ひとつぜひ応分の御協力はいただけませんでしょうかという、そういう概算要求で私どもの考え方を、概算要求というのは私はそういうものだと思います、これは。ですから、そういう点で、いよいよ本予算、政府案の決定に向かってこれから党のいろいろ指導もあるでしょうし、また関係各省庁間でも調整もあるでしょうし、そういうふうなものを積み上げていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  243. 井上計

    井上計君 建設省が大臣初めこれらの公共事業推進等について財源の窮屈な中で御苦労されていることについては、これは十分理解できます。したがって、建設省の中では他の転用というふうなことは考えられぬということについてもわかりました。  なお、しかし、今大臣お答えの中に、概算要求というのはまあとりあえずと、そういう表現にありませんが、出した。しかし、今後の協調、調整の中でまた考えるべきだ、こういうお話がありましたから、したがって、通産省なり厚生省等と協調できない場合、あるいはまた与党の中での意見が一致しない場合等については、概算要求の中に盛られておる流水占用料については取り下げられることが十分あり得る、こういう理解でよろしゅうございますね。
  244. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 今一生懸命各省庁との調整も図っておりますし、それから党内にもいろんな意見があることも私も承知いたしております。また、私どもに対して反対であるという陳情もよく伺っております。それからまた賛成であるという意見も実はあるわけでございます。  そういう点を踏まえまして、私どもは、先ほど来申し上げておりますように、これが何が何でも既成事実を貫くんだというようなことではございませんで、これは本予算のこれだけの大きな政策課題の問題でございますから、党との関係その他につきましてもよく指導をいただきながら、政府の間でも調整しながら対応してまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  245. 井上計

    井上計君 建設省の中には、これは当然でありましょうが、おっしゃるのは当然でありますが、転用するような、いわば不急のあるいは不要の予算項目はない、これはもうお答えは当然であろうと思います。しからば、他省庁にもしあったとするならば、他省庁のこの部分をこういう形で削って、実は建設省のこういうふうな大事ないわば河川事業、治山治水事業に盛っていくべきだということは閣僚としては当然お考えになっていいと、こう思うんです。しかし、もちろんこれは現実にはなかなかおっしゃりにくいことでありましょう。  したがって私は、時間がありませんし、また大臣からお答えにくいでありましょうから端的に指摘をいたしますけれども、農林水産省の予算の中に、依然として続いておる水田利用再編奨励補助金というのがありますね。五十三年度から始まって過去七年間では二兆一千九百五十四億円実は支出されております。さらに六十年度予算で二千二百三十七億円。したがって五十三年から六十年度までの八年間で約二兆四千二百億円という莫大なものがつぎ込まれているわけです。これが何の効果をもたらしているかというと、率直に申し上げて、確かに一部転作はあります。しかし、草ぼうぼうの田んぼをつくって農民の怠惰を実はつくり出しているわけです。国民に大変な不満をもたらしているわけです、これは。遊んで田んぼに草を生やして金をもらって、こういうふうな非難ごうごうでしょう。これらのものを、例えて言うと、六十年度予算の二千二百三十七億円でありますから、この一〇%強、約一五%これを削減をして大事なこの河川事業に回せば、初年度何も流水占用料を取る必要全くないわけです。こういう面についても閣僚として特に主張され、建設省としてやはり農水省に対して遠慮をしないで積極的に言われるべきだと思うんです。これはお答えは難しいでしょうからお答えは要りませんけれども、我々はこういう面について大変な不満を持っておる。やはりこれも国政の根幹にかかわる問題です。価の省庁は何をやっても構わぬ、ああいうむだがあっても。しかし、それはよその省庁の問題、我々は我々で財源はないんだから取れるものを探していくんだ。こういう考え方については大変危険であるということを一つ申し上げておきます。  そこで、先ほどちょっと河川局長からもお話ありましたが、河川利用については、当然のことながら受益者負担という考え方で従来も来られた。これはわかります。そこで、河川事業についてお伺いしたいんですが、現在、河川敷について相当各地でいろんなことに利用されています。ところが、これについて聞きますと、河川敷の占用料については、これは国庫収入じゃなくて全部自治体収入になっておるんですか。
  246. 井上章平

    政府委員井上章平君) 現在の河川法によりますと、河川からの収入の帰属はすべて都道府県ということになっております。
  247. 井上計

    井上計君 これも全く、流水占用料の考え方を立てられるんならこれはおかしいということになりませんか、どうですか。
  248. 井上章平

    政府委員井上章平君) 今回の制度改正におきましては、土地の占用料につきましても流水占用料と同様の制度改正を行いたいと思っております。  ただ、土地の占用料につきましては、現在状況をいろいろ把握いたしておりますが、ほぼ適正水準で占用料が既に取られておりますので、増収は余り期待できないのではないかというふうに考えております。なお十分検討いたしたいと思います。
  249. 井上計

    井上計君 これも国庫収入にしたいと思って考えておるということですが、じゃそれは考えておる、流水占用料は実はもうはっきり事実上決めてこうだ、どうもお答えが正直言って気に入らないんですね。それから、もし、今お答えの中にかなりのものを取っておるから増収見込めぬと、こういうことでしたが、実際にそうなりますか。私が見たところではゴルフ場なんかに使っておる占用使用料は大変安いですね。まして現在、河川敷の利用のいろいろと資料を見ますと、相当な面積がゴルフ場に使われていますね。ゴルフ場の占用使用料はかなり今私から見ると安いな、こういう感じがするわけです。だから、これを全部自治体の収入に任せて、そうしてその自治体がこの収入を何に使っておるかということは、一般財源で使っておる自治体が多いようですね。これは大変な矛盾ですよ。だから、これらのまず洗い直しをされる、徹底的な洗い直しをされて、さてそれがどうであるのかということね。それから、一級河川だけについてはいろいろとそうされておるようでありますが、実際には二級河川についてはほとんど掌握されていないようですね。どうですか。
  250. 井上章平

    政府委員井上章平君) 一級河川につきましてはここに資料ございますが、ゴルフ場となっておる総面積あるいは占用料については把握いたしておりますが、二級河川については、これは都道府県が管理いたしておる河川でございますので私どもで掌握をいたしておりません。
  251. 井上計

    井上計君 二級河川については都道府県が管理しておるから掌握されていないということですが、二級河川の改修等々について国費は使われていないんですか。
  252. 井上章平

    政府委員井上章平君) これにつきましては、いわゆる治水事業につきましては法律に基づきまして補助されております。
  253. 井上計

    井上計君 二級河川についても補助しておる、すなわち国費が使われておる、しかし、二級河川については都道府県の自治体に征してあるから、したがって全く把握していない、考えていないというのもこれまたおかしいというふうに申し上げておきます。これについてもひとつ、きょうは時間がありませんから、もっといろいろとお聞きしたいんですが、これから全く流水占用料を建設省が撤廃されるまで何回も機会あるごとにこの問題については質問したいと思っておりますから、次にまでまた資料等準備をしていただきたい、これお願いしておきます。  それから、先ほど建設省の中で不急不要の予算がないか、ものがありませんかということで聞きました。もう一つ伺いますけれども、御承知の島根県から鳥取県にまたがっておるところの中海の干拓事業がありますね。これについては建設省予算は使われていないんですか。
  254. 井上章平

    政府委員井上章平君) これは農林水産省の所管事業でございます。
  255. 井上計

    井上計君 いや、建設省全く使われていないんですか。
  256. 井上章平

    政府委員井上章平君) 使われておりません。
  257. 井上計

    井上計君 全く使われておりませんが、先ほど申し上げたように、例の休耕田等に対する補助金、そのほかにも農林水産省がいわば昭和二十年代の計画で三十年代から実施をして、当時と現在では全く食糧事情が違っておる。にもかかわらず依然として多額の国費を投入して干拓あるいは宍道湖の淡水化等々やっておる。こんなものはもう中止すればいいんですよね。そうして、それらのものをひとつ必要な急を急ぐ、そのような河川等々に転用するということはもう当然だと思いますが、省庁が異なる問題でありますからそう簡単ではないということはわかりますけれども、そういうこともお考えいただきながら、今後これについてのいろいろと対策をお進めをいただきたい、このようにひとつぜひお願いをしておきます。  あといろいろとまだお聞きしたいことはあるんですけれども、先ほど申し上げましたように、これから機会あるごとにこの流水占用料の問題等については私もいろんな資料を集めておりますし、またこれからも集めます。したがいまして、建設省でも御用意いただいて、納得できるまで、あるいは私どもが納得できなければ、当然のことながら流水占用料については撤廃をしてほしい、このようなことをひとつ希望をして流水占用料の問題については質問終わります。  そこで、もう一つ最後北海道開発庁長官環境庁にお伺いしたいと思いますが、昨年の九月に、私ども沖縄北方対策特別委員会で知床半島を実は視察に参りました。そのときに強く感じましたのは、あの知床峠から見る国後島というのは全くそれこそ本当に身近に一望のもとに見えるんですね。ところが、残念ながら北方四島返還運動の中心的な町というのは根室の納沙布岬である。曇った日にはほとんど歯舞島も見えない。ところが、国後島を見た場合に切実にやはり自分たちのいわば国が、領土が現在全くソ連に占領されてどうにもならぬというそのような悲壮感を特に感じたわけです。  そこで、知床峠にできました例の知床横断道路、これの場所が、もう少し考えてここに展望台等を設置したらどうですかということを、当時後藤田総務庁長官と当時の環境長官でありました上田さんにお願いをし、実は幸いにしてそれまで大変頑固に風光を害するというようなことで反対をしておられた環境庁も速やかにひとつ対策を講じていただいて、事実上それについての具体的な設計等々お進めいただいているということ、これは大変ありがたいと思います。ところが、最近の新聞でありますけれども、地元の環境保護団体が、これを新しく駐車場を広げ、あるいは展望台ではありません展望の園地、つまりテラス程度のものを建設することについては自然保護の面から反対だという地元で反対運動が起きておるようであります。私が地元に依頼をして調査をいたしますと、この反対をしておる「青い海と緑を守る会」という会、あるそうでありますけれども、実際には特にふだん行動しているんじゃない、まあ集まれと言うと二十人から三十人程度集まるという団体のようであります。その団体の長である人は数年前に道議会議員選挙に出て実は落選をした人だと。だから、多分にどうも宣伝的なそういうふうな反対運動ではなかろうかというふうな感じが実はするというふうに地元からの情報を得ておりますが、したがって、こういうふうな反対運動がありますけれども、やはり一遍決まったこと、ましてまたいろんな面でやっぱり必要なこと等でありますから、既定方針どおり来年の雪解けにはこの計画を、工事を進めていただきたい、こう考えますけれども、これについて開発庁長官環境庁は現時点でどのようなお考えでありますかお伺いをいたします。
  258. 西原巧

    政府委員(西原巧君) ただいまの御質問でございますが、御指摘のように「青い海と緑を守る会」という会がございまして、その会から北海道開発庁長官を含めて関係各方面に施設計画に反対という陳情等が来ております。しかし、私どもといたしましては、先生昨年の決算委員会で御指摘がございまして、後藤田総務庁長官それから上田環境長官からもお答えがございましたとおりでございますので、北方領土の展望地拡張計画ということで計画をまとめました。そうして、地元の斜里可及び羅日町では自然保護審議会等がございますけれども、そこでの手続も既に終了いたしまして、地元ではこの計画の推進を要望いたしております。私どもといたしましては、環境庁や総務庁など関係機関と連絡をとりながら、来年度において事業実施が円滑にできるよう現在準備しているところでございます。  なお、計画の概要について簡単に御説明申し上げますと、ここは御承知のようにハイマツが生えているところでございます。このハイマツ等にできるだけ影響を与えないようにこの周辺の環境保全に十分に配慮しながら、現在の駐車場の容量を二倍程度に拡張するとともに、北方領土の展望ができますように展望台あるいは案内標示板等を建設することにいたしております。これは六十一年度の概算要求に盛り込みまして、財政当局に提出してございます。  以上でございます。
  259. 加治隆

    説明員(加治隆君) お答え申し上げます。  知床峠の園地につきましては、北海道または国の関係機関、それから斜里町、羅臼町、両町で構成されます知床横断道路環境整備協議会において協議の上、園地または駐車場の整備案が策定されたと聞いております。  環境庁といたしましては、既に公園計画に定められた整備方針に基づきまして、この地元の整備案につきまして検討を行いまして、速やかに対処してまいりたいというふうに考えております。
  260. 井上計

    井上計君 北海道開発庁及び環境庁からお答えをいただきまして安心をいたしました。私はこういうふうな反対が、いやもう本当にごく一部の人の反対に耳をかしてもらって、せっかくの計画が遅滞をするということであってはかえってならぬと、こういうふうに考えましたのであえてきょうお尋ねをしたわけであります。  特にこれは北方四島の問題ということだけでなしに、御承知でありましょうが、現在ありますところの駐車場というのは文字どおり狭い駐車場、駐車場を渡って道路に立たなければ見えない、こういうふうなことで、交通事故ということも重大な問題、これも懸念をされます。さらにまた、仮設のトイレしかありませんから、したがってこれがほとんど使えないので、そこで駐車をしたバス等からおりた人が、いわばハイマツの中で用を足す、まことに汚い。逆にそれがハイマツ保存にも悪影響を及ぼしておる、これも聞いておりますから、その両面から考えても速やかにこれについてはひとつ実現をしていただきたい、このことを要望して私の質問を終わります。
  261. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は沖縄問題に絞って基本的な問題を二、三お尋ねいたします。  まず第一に、国土庁長官にお尋ねします。  政府におきましては四全総の長期展望作業の中間まとめが五十九年の十一月に発表されて以来、昭和六十一年から七十五年のいわゆる十五カ年にわたる四全総計画の整備、策定に向けて作業を進めておられる。この計画は、申し上げるでもなく二十一世紀に向けての展望を開く中で全国民が重大なかかわりを持っておる計画であることは申し上げるまでもありません。したがいまして国土庁はこの四全総策定に当たって沖縄をどのように位置づけていこうと考えておられるのであろうか、長官にお尋ねしたいと思います。
  262. 河本嘉久蔵

    ○国務大臣(河本嘉久蔵君) 三全総におきまして、沖縄地域整備上特段の配慮を要するといういわゆる課題地域として位置づけておるわけでありますが、現状におきましても基盤整備などの面でまだまだ立ちおくれておることは歪みがたい事実でございます。四全総の策定に当たりましては、このような点を踏まえまして、離島性などの不利を克服するとともに、美しい自然に恵まれ、独自の文化を有するなどの地域の特性を積極的に生かす方向で、沖縄地域の振興のあり方や位置づけにつきまして幅広く検討を進めていきたいという考えでございます。
  263. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 特に沖縄の開発につきましては、開発庁を窓口とする第二次振計の後期に突入するわけでありますが、そういうことで結びつきがうまくいかぬで取り残されたり、ちぐはぐになったりすることのないように十分に軌道に乗せてタイアップしていただきたいと、こういうことを強く要望したいんですが、いかがですか。
  264. 星野進保

    政府委員(星野進保君) 先生指摘のとおり、五十七年に第二次沖縄振興開発計画が策定されまして現在進行中でございますので、私ども四全総策定に当たりましては当然のことでございまして、沖縄振興開発計画と調整を図らなければならないと思っております。したがいまして、振興計画の中に種々いろいろと施策につきましても具体的に書いてございますので、そういうものを十分勉強さしていただきまして、そごのないようにしてまいりたいと思っております。
  265. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 緊密な連絡提携の上に、落ちこぼれのないようにひとつ十分配慮してもらいたいということを要望いたします。  次に、建設大臣にお尋ねいたしたいと思います。  その前に昭和五十七年の三月に参議院の沖特委において、私こういうことを要望したんです。沖縄における公共事業は県内業者と他県業者のバランスの上からどう考えるかということによって、沖縄の経済復興に重大な影響を及ぼしておるわけであります。  そこで、開発庁におかれましては、県内企業を優先していく方針は今後も変わらないと、ずっと貫いていくと、こういうことを言明されたわけですが、現大臣のそれに対する御意見をお伺いする前に、開発庁との関係がありますので、開発庁としてはその後どのように前向きで進めてこられたか、まずそのことを。
  266. 山本晃

    説明員山本晃君) ただいま先生から御指摘のありました沖縄県内の公共事業の県内発注の問題でございますが、まず現在の発注状況について御説明をいたしますと、沖縄総合事務局におきまして、昭和五十九年度に発注いたしました公共工事、これは建設省関係のみならず運輸省あるいは農林水産省あるいは大蔵省関係の公共工事等でございますが、それにつきましては件数では約六〇%、金額では約四五%が県内企業に発注されている状況でございます。  なお、発注に当たりましては、施工上必要とされます高度な技術、特殊な機器等を有する企業、または工事規模に対応する指名基準を満たす企業が県内にない場合もこれもあるわけでございますが、建設省を初め関係省庁の御協力を得まして、可能な限り県内企業の受注機会が拡大するよう配慮しているところでございます。  なお、今後とも分割発注あるいは共同請負制度の活用等により、県内企業の受注機会の確保に配慮するよう関係省庁にお願いしてまいりたいと、かように考えております。
  267. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ大臣にお尋ねしたいんですが、その前に、このことは十分配慮しておられると思いますが、念のために申し上げます。  沖縄における建設業の県内の純生産の割合は、一例を挙げますと、五十七年度一二・七%、全国トップを占めておるんですね、全国平均は八・一%ですから。  そこで、こういう状況の中で、公共事業関係については県内業者発注を多くするということは沖縄と本土との格差を縮める、県民所得を向上さして本土との格差を縮める、あるいは自発的開発、発展の基礎条件を整備する、こういうれっきとした目標があるわけなんですが、そこを踏まえて、特に公共事業となりますと建設省との関係が密接になってくるわけですが、特に建設省とされまして、大臣とされましてどのような見解から私の要望に対して進めてこられたかということについてお聞きしたい。
  268. 高橋進

    政府委員高橋進君) 今沖縄開発庁の方からも御答弁ございましたように、同様に建設省といたしましても業者指名に当たりましては、全国的に一般にそうでございますが、特に沖縄というような地理的な条件もございますものですから、建設省所管の直轄事業及び公団事業につきましての業者指名に当たりましては、当該工事に対する業者の地理的条件をも十分勘案して選定するように心がけておるところでございます。特に中小工事等につきましては、地理的に有利な条件にある地元業者を活用するよう努めております。先ほどお話ございましたように、発注標準の遵守、分割発注の推進、共同請負制度の活用等によりまして、今後とも地元建設業者の受注機会の確保を図ってまいりたいと考えております。
  269. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ところが、裏腹といいますか、事実と今の答弁とはどうも納得のいかない状況であります。そこで、そのことを今一、二の例をはしょって申し上げまして、大臣の御見解を求めたいんです。  沖縄における県内建設業者は、五十九年の三月を踏まえますと、四千三百九の業者のうち経営組織別に申し上げますと個人が全体の六三・一%、法人は三六・九%、しかも資本金の階層別にしますと五千万円未満の業者が法人全体の九六・七%を占めておる。全く経営規模は零細企業、こういう一言に尽きると思います。そういう状態の中で企業倒産件数、一千万円以上の負債総額を抱えて倒産したのが業者の三八・二%。こういう惨めな状態に追い込まれておるんですね。このことを思いますと、どうしても建設省とされましても一肌も一肌も脱いで御配慮願わないというと、絵にかいたもちにしかならないということを申し上げたいんですが、大臣いかがですか。
  270. 高橋進

    政府委員高橋進君) 今、先生数字を挙げてお話しになりました点、いずれも倒産の件数にしましても、また個人業者の多い点、零細業者の多い点は、全国の建設業者の全体の分布に比べましても中小零細業者が多いということを示していることかと思います。そういう実態の中でのお話かと思いますが、例えば先ほど沖縄開発庁の方の直轄といいますか国の事業についての割合のお話ございましたけれども、私ども県の工事発注状況を聞いておりますと、県内業者への発注率というのは件数にして九八%、金額にしても九割ぐらい地元の業者の方に出して発注しているというふうにも聞いておるわけでございまして、また国の発注につきましても経年的にはだんだん県内業者への発注が高くなっているというふうに考えております。これからもそういった状況を踏まえて指導してまいりたいと思っております。
  271. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 今の発表、比率はいつ現在のですか。
  272. 高橋進

    政府委員高橋進君) 県の工事発注状況につきましては昭和五十九年度の沖縄県における県の発注状況でございます。
  273. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 総合事務局全体の公共事業発注状況は、私の調査によりますと五十六年が県内が四〇・八、県外が五九・二、五十七が県内が四二・八、県外が五七・二、五十八年と五十九年が県内だけしか私はメモしてありませんが、五十八年が三八・三%、五十九年が四四・四%ですね。結局四対六の比率で依然県外発注が多いんですよ。
  274. 高橋進

    政府委員高橋進君) 私の御説明が舌足らずかと思います。今先生のおっしゃったのは、沖縄総合事務局での数字はそのとおりでございます。私が金額が九割ぐらいと申し上げたのは、沖縄県、県の発注する工事でございます。
  275. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私が特に要望したいのは、国の公共事業に対する発注がこのような形になりますと、私が言いたいことはこれなんです。幾ら公共事業が沖縄にあったとしても、企業に質問したら吸い上げられている、沖縄に落ちる金というものは結局県民の生活がプラスにならなければ干上がってしまう、そのことを特に私は指摘したいんですよ。そういうアンバランスの形で、幾ら国は金を出しているといってみたところで、その中身はみんな吸い上げられている。だから私は、沖縄における国の事業はまず現地企業体を優先せよ、機材、資材も現地優先してもらいたい。そうして現地にないものは、機械規模にしましても間に合わないものは、これはやむを得ぬでしょう。そういうことを遵守するということを絶えず答えておられるけれども、現状はこういう状態なんです。そういうことで特に建設大臣のかかわる公共事業というものが沖縄の開発に重大な影響を及ぼしておるということと、県民の生活に、懐に重大なかかわりがある、このことを私指摘いたしたいんです。そのことについてはどうですか。
  276. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 私も認識不足の点もあるかもしれませんが、大体沖縄県の場合に大ざっぱに申し上げて観光収入が二千億、それから基地の収入が二千億、それから公共事業が大体二千億、私は数字の多少のあれがあるかもしれませんが、そういう認識を持っておるわけでございます。  それで、先ほど来先生からいろんな個人、法人、それから資本金、それから倒産の件数の問題、そういう問題についての率直な御指摘がございまして、今我々建設省といたしましても、実は倒産の問題なんか過去十年間をあれしましても業種別に見て建設業が一番多い、そういうようなことでこれからの建設業全体の、特に中小企業の育成の問題、それから元請と下請の関係、それからまた人材の養成とか、また機材の問題とか、そういう問題につきまして今いろいろ研究会を発足さして検討いたしておるわけでございます。  しかし、先ほど来先生からいろいろ御指摘いただきましたように、沖縄県はそういう中にありましても、非常に何といいますか他の産業が、お互いに苦しいわけでございますけれども、大変なときでございますが、率直に申し上げてこの公共事業に依存する依存度というものがよその県よりも非常に私は高いと、そういうふうに理解をいたします。そういう意味で、私どもといたしましても、もう一度沖縄県のそうした業界の現状を把握させていただくと同時に、また法で許された範囲内のいろいろ配慮というものはさしていただきたい。しかし、やはり何といっても、ただ統計とかそういうものを見るだけではいけませんので、一度実情を把握さしていただきたいと、こういうふうに考えております。
  277. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 一言。  六十二年海邦国体を目玉として今重大な開発が進みつつあるわけですが、基盤整備も進みつつあるわけですが、その中で今問題になっておるのは南神道路の問題です。その南神道路の進捗状況が六十二年国体に向けてうまくいけば国体も成功する、いかないというと、またそれが蹉跌になる、だめになる。こういう重大な基盤整備がなされつつあるわけですが、この南神道路の進捗状態がどうなっておるのであるか、もう時間もありませんので簡単でよろしいんですが、私がなぜこれを取り上げたかといいますと、この南神道路に問題の多い宜野湾市なんですが、まだ三分の一が地主の承諾を得ずにやっさもっさしておる、解決してないということが二、三日前の話なんです。それを早目に地主とのコンセンサスを得て建設の方向に行かないというと、またこれでもたもたするというと、開発もおくれると同時に海邦国体の成果にも影響する、こういうことで、簡単でいいですから、進捗状況はどうなっているのか、いつまでにめどをつけるのであるか、それをお答え願って私終わります。
  278. 萩原浩

    政府委員(萩原浩君) 先生指摘の沖縄自動車道、これは石川市から那覇市に至る四十一キロメートルの路線でございますけれども、現在用地買収の進捗率は九一%でございます。それで、事業費といたしましては、六十一年度三百三十六億円、六十二年度百五十九億円を予定をいたしております。そして、この事業の実施の段階で最もクリティカルポイントといいますか、全体の工程のネックになりますのは、ただいまも先生が御指摘の用地買収の件でございまして、宜野湾地区におきましては、家屋四十件のうち十五件は完了いたしましたけれども、まだ二十五件の残件がございます。今現地におきまして懸命にこの調整を図っておるところでございますけれども、できるだけ早くこの家屋の用地買収を進めまして、六十二年度に予定されております国体までには何とかこの路線全線を開通いたしたいということで鋭意努力をいたしております。今後も努力をするつもりでございます。
  279. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 他に御発言もないようですから、建設省北海道開発庁国土庁住宅金融公庫及び北海道東北開発公庫決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は明後二十九日午後一時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十四分散会      ―――――・―――――