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1985-05-30 第102回国会 参議院 大蔵委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年五月三十日(木曜日)    午前十時四分開会     ─────────────    委員異動  五月二十四日     辞任         補欠選任      野田  哲君     赤桐  操君  五月二十七日     辞任         補欠選任      近藤 忠孝君     宮本 顕治君  五月二十八日     辞任         補欠選任      宮島  滉君     上田  稔君      宮本 顕治君     近藤 忠孝君  五月二十九日     辞任         補欠選任      上田  稔君     宮島  滉君      岩動 道行君     川原新次郎君  五月三十日     辞任         補欠選任      川原新次郎君     増岡 康治君      倉田 寛之君     福田 宏一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤井 裕久君     理 事                 伊江 朝雄君                 大坪健一郎君                 藤井 孝男君                 竹田 四郎君                 桑名 義治君     委 員                 梶木 又三君                 下条進一郎君                 中村 太郎君                 福岡日出麿君                 福田 宏一君                 藤野 賢二君                 増岡 康治君                 宮島  滉君                 矢野俊比古君                 吉川  博君                 赤桐  操君                 大木 正吾君                 鈴木 和美君                 鈴木 一弘君                 多田 省吾君                 近藤 忠孝君                 栗林 卓司君                 青木  茂君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  竹下  登君    政府委員        法務大臣官房会        計課長      清水  湛君        法務大臣官房審        議官       稲葉 威雄君        大蔵政務次官   江島  淳君        大蔵大臣官房長  西垣  昭君        大蔵大臣官房審        議官       大山 綱明君        大蔵大臣官房審        議官       角谷 正彦君        大蔵省主計局次        長        保田  博君        大蔵省理財局長  宮本 保孝君        大蔵省銀行局長  吉田 正輝君        大蔵省国際金融        局長       行天 豊雄君        国税庁調査査察        部長       村本 久夫君    事務局側        常任委員会専門        員        河内  裕君    説明員        国土庁大都市圏        整備局整備課長  荒木  寛君        自治省税務局固        定資産税課長   佐野 徹治君        日本国有鉄道施        設局用地課長   大西 光男君    参考人        住宅都市整備        公団理事     救仁郷 斉君        日本開発銀行総        裁        吉瀬 維哉君        日本輸出入銀行        総裁       大倉 真隆君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○登記特別会計法案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 藤井裕久

    委員長藤井裕久君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二十四日、野田哲君が委員辞任され、その補欠として赤桐操君が選任されました。  また、昨二十九日、岩動道行君が委員辞任され、その補欠として川原新次郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 藤井裕久

    委員長藤井裕久君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本開発銀行法の一部を改正する法律案の審査のため、本日、参考人として住宅都市整備公団理事救仁郷斉君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤井裕久

    委員長藤井裕久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 藤井裕久

    委員長藤井裕久君) 次に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案及び登記特別会計法案の三案を便宜一括して議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 冒頭に大蔵大臣に、通告外のことてお伺いいたします。  過日レーガン大統領が、アメリカの税についての構想を発表しました。十四段階所得税率を三段階にするとか、法人税最高税率を引き下げるとか、そういういろんなことがあったのでありますけれども、それをそのまま我が国にということではないと思いますが、税率、いわゆる多段階のものを少ない段階にするとか、あるいは投資減税問題等についての配慮であるとか、こういったことがいろいろあの中にはございますが、我が国の税法上にも取り上げるべきものもあるだろうし、また必要のないものもあろうと思います。  その点について大蔵大臣、どういうような所感をお感じでございましょうか、あえてお伺いをいたしたいと思います。
  7. 竹下登

    国務大臣竹下登君) アメリカ時間の二十八日の夜八時、日本時間はきのうの午前九時でございます。したがって今いろいろな分析をいたしております。アメリカ政府が発表した税制改正案、今鈴木さんがおっしゃったようなことでございますが、今のところテレビ演説だけで分析しておりますので正確な分析になるかどうかとも思いますが、きのう一日がかりでざっと整理しましたことでは、この名称は公正、成長簡素化のための議会に対する大統領税提案、こういうことになっております。  それで、今御指摘なさいましたとおり、主な提案項目は、かつて財務省提案の案がございましたが、あれと大体一緒のところと変わったところとあるわけであります。個人所得税について税率構造簡素化緩和、これは今おっしゃいましたように一五%、二五%、三五%の三段階にする。それから基礎控除配偶者控除の引き上げ、これは千ドルから二千ドル、それから住宅ローン消費者ローン支払い利子所得控除縮減、こういうところが大体財務省提案と変わっていない。それから公益寄附金控除縮減というのはこれは今までどおりで、いわば大統領提案の中へは取り上げられていません。法人所得税は一五から四六の五段階税率を、三三%をトップレートとして段階税率をとる。だから、あの財務省提案単一税率でありましたのが、その辺がちょっと変わってきております。それから、投資税額控除制度は廃止する、加速減価償却制度はこれは廃止する、貸倒引当金は廃止する。そんなような内容でございます。  今回の税制改正は、まさに財務省レーガン大統領に提出した税制改革案基本的考え方大宗において盛り込まれておる。今回の改正案税収効果は、税制全体ではおおむね変化なく、歳入に対しては中立的なもの、したがって税収効果個人所得税で七%ぐらいな減税になるのではないか、それから法人所得で九%ぐらいな増税になるのではないか、こういう感じでございます。  それからもう一つは、アメリカ政府が、連邦税制の大体九割が個人所得税法人所得税でございますので、その大宗を占めるものに対して仕組みの変更を含む大胆な改革方向を示したということは、大変興味深く見ております。  国会でこれからどういうふうな議論になりますのか、その辺はまだ予見ができませんが、今後税制改正の論議が進む中で、今のところ興味を持っておりますと言っておりますが、当然これらも参考として議論が進められていくのではないかというふうに見ておるところでございます。  できれば特徴ぐらいを書いたものでもと思いましたが、まだ出たばかりでございますので、部内の作業勉強会、まだそこのところまではいっていないという状態でございます。
  8. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いわゆるレーガノミックスで、いろんな規制を緩和したり、いろんなことをしてきておりました。それが、あれだけの高金利でありながら物価が安定をしているという点にも出ております。確かに大きな債務国にはなっているけれども、逆にそのおかげで平衡しているというか経済が安定しているような感じですし、既に日本も世界も、ああいう高金利をとらなければならないような大変な債務国になっているアメリカ通貨ドルを完全な基軸通貨として認証してしまった、だからこれはもう絶対つぶれることはないという感じでいると思うんですね。それがあのようなドル高にどんどん反映していくのだろうと思うんです。  そういう点では、また今度やったということは、レーガノミックスの成功に味をしめて、もっともっと活力ある社会をということだと思うんです。  この前、我が国総理大臣中曽根さんも、予算委員会のときに、税制改正方向あり方の中に、活力ということを言っております。そういう点から考えると、多大に私は何か、どこをおとりになろうとしていらっしゃるのかという点が考えられるわけですけれども、そういう点では、アメリカの今回の一つの案でございますが、それを大きな参考となさっていくような傾向というものがあるのかないのかだけでもいいからお伺いしたいと思います。  それと、民間活力活用の問題にそれをどう反映させるお考えがあるか。これは大蔵大臣の腹の中の問題だと思いますので、ぜひお伺いしたいと思います。
  9. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 中曽根総理が公平、公正、簡素、選択とそこまでは言っておりましたが、参議院で質問に答えてそれに活力ということで、四つを五つにしたわけでございます。したがって、その活力ということが税の上でどういう形で出てくるかということはこれからの議論になりますけれども、確かに所得税でも刻みを三段階にするというようなのは相当なものだと思います。三五ですから、我が方は最高税率七〇ですから、それはどだいそのとおりのまねができるようなものではないと思いますけれども、そういう点は参考になるところだな。ただ法人税はいわば特別措置を廃止しております。あの特別措置が非常な投資に結びついたけれども、もうやっぱり特別措置というのはそれなりの批判が出てまいりますから、今度は廃止すると。この間、サミットのときに向こうの財務長官、ベーカーさんと話をしましたときに、やはり国会とか各種団体とかのいろいろな圧力が出てくるだろう、これは残せとか。そうするとそういう場合は、仮に残す場合でも、それに見合うものでいわゆる増減チャラといいますか、中立といいますか、そういう考え方で臨まざるを得ない、こういうようなことは言っておりました。だから、そういう特別措置が全部廃止されるということになるかどうかはこれからの推移でございますけれども、そういう場合にも、増減なしという形でいわば妥協していかなきゃならぬ、そういうことをこれは個人的な話として私にも申しておりましたので、私どもも、この案そのものも、そしてこれからの審議の経過も大いに参考にはなるなというふうに思っております。  それを民活にどう結びつけていくかということになりますと、これは今私に定かなる案がございますというところまで勉強しておりません。まだ勉強中だということに尽きます。
  10. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この問題の最後ですが、特に所得税を十四段階から三段階にした、この辺については大変大蔵省当局興味があるような感じ新聞報道がなされている。また当然、税の徴収の問題そのほかのこと、作業のことから考えれば、段階を減らす方がいいに決まっていると思うんですけれども、それは作業だけのことでこれがいくものなのか。そうなりますと、所得再配分という効果を重要視していくのか、それとも個人の働く意欲というものを引き出す方に力を入れていくのか、これは両方に議論は分かれるところでございます。  大変興味を持っていらっしゃるというところは、それはいわゆる段階を整理していって一人一人にやる気を起こさせる方向所得税というものの向きを持っていきたいというお考えがあるのかなというふうに私は思ったんですけれども、その点いかがでございますか。
  11. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 明確に申し上げる段階ではございませんけれども、基本的に、自立自助というものが大切だという問題意識は持っております。したがって、五十九年度改正の際最高税率を七五から七〇というふうにしていただいたということもそういう一つの基本的な考え方があったことは事実でありますが、これから税調で御審議いただきますので余りこちらで予見めいたことを申し上げるわけにもまいらないのかなという感じでございますけれども、従来から中曽根さんも公正、公平、簡素という言葉を使っておりますように、表現としては今鈴木さんがお使いなさいましたように、興味を持ってというところがきょうの段階では限界かなという感じでございます。
  12. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これはもうこの程度にいたしておきます。  次は、法案に入りたいと思います。  開銀問題等でございますが、政府系金融機関あり方、これが今問われております。つまり、郵便貯金簡易保険年金、そういうことで集められた金、いわゆるその資金資金運用部預託、それから資金運用部から、あるいはまた簡易保険から政府系金融機関へという流れがあるわけでございますが、預金金利自由化ということがございます。その進展は遠い将来に郵便貯金金利にもはね返ってくるでしょうし、さらに資金運用部預託金利も上乗せされるということから、政府系金融機関資産大分コストの高いものに今後なっていくのではないかというふうに思いますが、その点を御答弁いただきたいと思います。
  13. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) まず、資金運用部資金の原資の状況でございますけれども、これは郵貯とか簡保とか年金とか、受動的な資金でございまして、これらの資金などの動向はそのときどきの経済金融情勢を反映するものでございますところから、運用部資金が今後どういうふうな状況になっていくのかという点については、なかなか確たることは申し上げられないわけでございますが、ただ、一般的に申し上げますと、安定成長経済への移行であるとか、あるいは個人可処分所得伸び率の鈍化であるとか、あるいは自由金利商品など金融商品多様化等背景にいたしまして、民間金融機関預金はかつてのような増加が見られなくなってきておるわけでございまして、郵貯簡保等につきましても同様の環境に置かれているというふうに思われるわけでございます。  ところで、今御指摘の運用部資金調達コストでございますけれども、これは預託金利がそれに該当するわけでございます。一般的には、金融自由化いたしますと預貯金等金利が上昇するのではないかというふうに考えられているわけでございまして、その限りにおきましては、全般的な金利上昇圧力のもとで運用部資金調達コストも上がってくる可能性があるわけでございます。  ただ、現在の状況預貯金金利が規制されている状況でございまして、一方で運用の方の長期の利回りが自由化されつつあるというふうな問題がありまして、その預金金利自由化されるまての間でも既にいろいろな問題が発生しているわけでございます。  預託金利と申しますのは、一方で年金積立者とかあるいは郵貯貯金者利益考えなくちゃいけませんし、他方で政府関係金融機関の貸し付けなど公共サービスを享受する国民利益、この双方に配意いたさなければいけないわけでございまして、現在のところは、各種金利体系の中で、運用金利であるところの長期プライムレートと、それからコストであるところの郵貯金利等の間の適正な水準に決めてきているわけでございまして、時期的には預貯金金利の改定の際に改定されてきたわけでございます。  ところで、先ほど申し上げましたように、国債が大きな流通市場を形成し始めまして、そこで国債の値がつくということになっておりまして、結局国債金利市場実勢化が進んでいるわけでございます。一方で現下の金融緩和状況背景長期金利が低下してきているという状況がございまして、一方で預託金利の方は、郵貯金利が改定されないという事情も反映いたしまして、一応そのままの水準で続いているということでございます。このために、政府関係金融機関貸出金利、これは基準金利の七・五%に近々なる予定でございます。それと、運用部からの融通金利七・一%との利ざやが大変圧縮されてきているというふうな状況がございます。そのまま推移いたしますと、政府関係金融機関等補給金増大というふうな財政負担増大につながるおそれがある。それからもう一つは、運用部自体国債を大量に消化いたしているわけでございますが、七・一%で預かりまして、六月債には国債金利が六・五%まで下がるというふうな状況でございますので、このままほっておきますと運用部自体の収支にも非常に大きな影響を与えるということになるわけでございます。  そんなこともございますので、やはりこの資金運用部預託金利につきましては、一面長期金利の一環として考えるべき側面も有しておりますので、とりあえず預貯金金利自由化されるまでの間の当面のあり方につきまして、厚生、郵政両省とも相談いたしながら検討し、解決策を見出していきたい、こう考えております。
  14. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 模範答案のような答弁でございますが、わかりました。  最近、企業経営者の方々から、政府系金融機関から資金を借りるよりも民間金融機関から借りた方が金利が安くてよい、そういうような声を時々聞いております。また逆に、増資、資本をふやしてそして資金を調達した方がコストが低くてよい、こういうふうなことも言われている。  日本経済とか金融資本市場、こういうものが現在どんどんどんどん大きく変わってきている。これはもう、すべての金融関係の垣根がなくなってきているということの一つからもわかるわけでございますが、そういう点では、今まで日本経済を引っ張ってき、そして金融資本市場をつくるのにも役に立ってきたという経緯がございます政府系金融機関、その中にはいろんな政策的目的でつくられたものもございます。その政策的目的がほぼ達成されてきたものとか、あるいはそのうちの半分はもうその使命が終わったとか、そういうようなものがあるのではないかというふうに思うんですが、その点はどうお考えでございましょうか。
  15. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる政府系金融機関、これは確かに、おっしゃいますように、特定の政策目的を実現するため、市場原理に基づく民間金融のみでは適切に対応することが困難な分野資金を供給することを目的としておるわけてあります。だから一番最初にできましたのは終戦後は復興金融金庫、あれは、物の本を読んでみますと、あの当時のいわゆる経済政策と申しますか財政政策目玉だった、終戦直後のことでございますから、四〇年代後半における我が国目玉一つだ、こんなような感じでございました。それがだんだん質的に変化をしてきて今日に至っておると思います。今おっしゃったような議論は確かにございます。それは、今あれだけの大きな輸出のシェアを持っております自動車なんかでも、その部品工業なんというのには国際競争力をつけるための体制金融なんていうのを開発銀行でやったりしておりましたが、力の方が先について、あるいは繰り上げて償還したいというようなところも出てきたり、確かにそういう質的な変化が来ております。したがって、やっぱりそういうことで住宅あるいは農林漁業中小企業、そうした分野に私はなお民間を補完すべき分野が残っておるというふうに考えております。  それと同時に、開銀を例にとってみますと、総合的政策金融機関として当時から変化してきたのは、エネルギー政策それから今度は環境整備それから創造的技術開発高度情報化促進、そしてまた最近の民間活力によります社会資本整備、そういうふうに質的変化をもたらしておりますので、それに対応していくという必要からして、その必要性は私は十分今日存在しておる。輸銀につきましては、これは申すまでもございません、いわば対外経済政策に係る専門的政策金融機関。しかしこれもいろいろ変わってきております。いわゆる重要資源の確保とか海外直接投資の支援から、今度は輸入の促進とか先進諸国との産業協力、それから債務累積問題に対する対応というふうに、質的な変化をもたらしてきております。したがって不断の見直しを絶えず行っていくべき性格のものでございます。  それでその中でも、考えてみますと、役割を終わったという表現は当たりませんものの、臨調でもいろいろ議論がございまして、医療金融公庫は本年一月一日をもって社会福祉事業振興会との統合ということが行われました。それから北東公庫も指摘されたことがございますが、これはやっぱり要するにまさに北東地域金融として役割が終わったとは言えないのじゃないかなという感じで今日見ておるわけであります。  したがいまして、今後とも絶えざる見直しを行いながらその政策を、それは本当に外貨獲得のためなんというのは全くなくなっておるわけでございますから、そういう変化に対して対応するという絶えざる見直しというものは続けていく課題だと思っております。
  16. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 質的変化でやむを得ず対応しなければならない、今答弁のあったように中小企業住宅あるいは農林漁業等に対しては今後ともこれはずっと考えていかなきゃいけないということ、あるいはリスケ等がありますので、そういった問題等からはというふうなお話がございました。それは確かにそのとおりだと思います。しかし中には、私はもっともっと使命が終わったというふうな感じを持つものもあるわけです。  それに触れる前に、開発銀行にちょっと触れていきたいと思います。  開銀の設立された目的は、ここにちゃんとございますように、長期資金の供給を行うことにより経済の再建ということを挙げていますね、及び産業開発促進するため一般金融機関が行う金融を補完しまた奨励する、つまり補完になっているのですね、それで奨励する、それを目的とするとございます。しかし現在のような金融状況市場状況等から考えると、どうも当初の目的はかなり達成されているというような感じを、この文面だけですよ、目的のところだけ見ると感じざるを得ないわけでございます。その点はどうでしょう。
  17. 吉田正輝

    政府委員吉田正輝君) ただいま大臣からも申し上げたとおりでございますけれども、開銀といたしましては、やはりその従来の歴史を振り返ってみますると、経済自立から、あるいは経済の安定、あるいは国民生活の質の向上というように、今大臣が申しましたように、経済社会の発展に応じてそのときどきの政策ニーズを満たしながら、かつ基本的には政府系金融機関として、市場原理に基づく民間金融のみでは適切に対応することが困難な分野を補完するということでございます。  御指摘のとおり、金融自由化は進展しております。したがいまして、そういう意味では、金利などでも民間金融の力もついておりますし、それから民間の企業の力も手元流動性などもふえておるわけでございますけれども、そもそも補完ということを考えてみますると、やはり金利機能だけではなく、例えばリスクの補完、あるいは期間、民間ではカバーし切れない長期の融資、あるいは収益につきましても収益の補完機能、あるいは担保につきましても補完機能、それぞれ補完奨励の役割はございます。それをそういう役割で、経済社会の進展に応じた政策ニーズに対応しながらその政策課題を遂行していくという面では、やはり引き続き大きな意味を持っておるというふうに考えておるわけでございます。  しかし、いずれにいたしましても、金融自由化も進展しておりますので、政策金融というものは究極的にはこれは国民全体の負担において運営されておりますので、やはり大臣が申しましたように、不断の見直しを図っていくということではないかと思います。これは開銀に限らず、すべての政策金融機関について言えることでございます。例えば、融資分野とか出融資規模の設定が民間金融の補完的観点から適切に設定されているだろうかどうかというような観点、あるいはただいま私が申し上げましたように、不断に変わっていく政策ニーズに的確に対応していくような柔軟性を備えているかどうか、あるいは先ほど先生御指摘のような、財政の面から申しましても財政補助が十分効率的になされているかどうかというようなことで、不断の見直しが図られるべきであるとは考えておりますが、依然として開銀を含めて政策金融民間の補完奨励の役割は先ほど申し上げたように存在する、それにつきましては我々も常に不断の見直しは図っていかなければならないというのが基本的姿勢であるというふうに考えておるわけでございます。
  18. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 昭和五十九年三月末における開銀の貸出状況、これを貸出先を見てみますと、融資残高が六兆九千三百六十六億円、そのうち上場企業向けの融資残高が四兆四千七百三十七億円、六四・四九%というふうに上っている、こういうふうになっております。私の計算が間違っていればあれですけれども。  その中には、何も開発銀行から借りなくてもいい、自社で十分資金がつくれるというところもあるのじゃないかと思われる会社が大分あるわけでございますが、何かやはり開銀として、年初計画が立てられると、政府系金融機関でございますからどうしてもそうなれば、その事業計画どおり資金を使わないと困るというところもこれはあるだろう。そういう点で、無理して借りてもらうなどということはないだろうとは思うんですけれども、そういう傾向はいかがでございますか、ありませんか。
  19. 吉田正輝

    政府委員吉田正輝君) 先ほど先生からも御指摘のございましたとおり、民間の補完奨励ということでございす。したがいまして無理して貸すことはないわけでございまして、もしその役割を十分果たした、あるいは民間金融で十分担える、あるいはその企業の力で十分担えるというようになった分野におきましては、これを対象から除外するなどそれぞれの業務分野について不断の見直しを行う、つまりもうこれは融資もしない、こういうことで引き揚げていく分野があるべきであるというふうなことにつきましては、私どもも基本的認識は委員と同じでございます。  したがいまして、そういう点につきましては、例えば融資比率を設定する。つまり、民間と競合しないようにして補完するためには、例えば考えられますことは融資比率を設定するとか、あるいは融資限度額を設定する、あるいは民間金融機関でできるということであれば民間金融機関と十分連絡をとるというようなこと等につきましては不断に政策金融機関としてすべきことでありますし、現に行われた上で融資が行われているというふうに考えておるわけでございます。
  20. 吉瀬維哉

    参考人(吉瀬維哉君) ただいまの銀行局長答弁に尽きるわけでございますが、開銀状況を申し上げますと、五十九年度は一兆一千六百二十四億を満額融資しております。満額融資が若干無理があるのじゃないかというような御疑念もあるかもしれませんけれども、幸いにいたしましてエネルギー関係とか技術開発の関係の資金需要がまだ相当根強いものがございまして、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、開発銀行はそのときどきのニーズに適合するような新しい政策転換をいつも考えておりますが、やはり今後エネルギーの基盤整備というものはこういう状況にあればあるほどますます重要である、また、都市開発とか環境整備につきましては欧米各国と比べましても大分おくれておりますし、そういう点でまたお役に立つような分野もあるのじゃないか。それから、貿易摩擦を起こさないで一つ産業構造の転換を図るべきものとしては先端技術の開発というものがあるのじゃないかとかいうようなことで、そういう点につきまして私ども、融資の目的見直しをいつも厳しく見直していきたいと思います。  もちろん、金融でございますので、資金が非常にもう過剰であるというようなときには、あえて当初の貸出額にこだわらずにそのときどきに弾力的に対応してまいりたい、こう思っている次第でございます。
  21. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今のお話はそれはわかるんです。確かに資源エネルギーの関係とかそれからまだまだ、確かに現在は電気については需要が若干落ちています、伸びがとまっていますからそう大きなあれはないかもしれませんが、これから先を見ると、原子炉の建てかえを全部やらなきゃならなくなるでしょうし、核融合の問題にも発展していくてしょうから、そうなるとこれはもうとてもやれるものではないだろう、民間だけでは私はでき得ないものがあるだろう。技術開発の場合には直ちに木の実を得られるというものではない。だから、基礎研究の方に向けての投資ということになれば、場合によれば果実ゼロということもこれはあり得るわけでありますから、そういう点はやはり開発銀行等が取り組まなければならないだろうとも思うので、その点はよくわかるんですけれども、都市開発なんかになってくると、何となくちょっと、無理やり広げたんじゃないかなという感じを持つわけです。そう持つ方が、おまえの頭が古いんだと言われればそれで終わりですけれども、そういう点でもうちょっといろいろ工夫をなさっていっていただきたいなというふうに思うわけです。  貸付金利のことで伺いたいんです。  いただいた資料で、五十九年二月一日現在の貸付金利が、資源エネルギーが七・一から八・二、技術振興が七・一から八・二、海運が七・一、都市開発が七・一から八・二、地方開発が七・三から八・二、国民生活改善が七・三から八・二、その他が七・一から八・二ということでございますが、これは六十年五月二十八日から下がってきていると思いますが、現在はどういうふうに変更されてきていますか。もちろんこれに基準金利とか特別金利もひとつ御答弁をいただきたい。
  22. 吉田正輝

    政府委員吉田正輝君) 融資条件でございますけれども、大体先生御指摘のとおりかと思いますが、資源エネルギーが七・一から七・五、それから技術振興、これは情報化促進とか産業技術振興と分かれているわけでございますけれども、情報化促進、これは預託金利と同じになりますが七・一から七・五、産業技術振興が七・一から七・三五、海運が七・一、それから都市開発でございますけれども、私鉄輸送力増強の分野が七・一から七・五、大都市再開発が七・三五から七・五、それから流通近代化が七・三五から七・五、同じでございます。それから地方開発について申しますと七・三から七・五、国民生活改善のうち公害防止が七・三から七・四五、福祉安全対策が七・一二五から七・五、食品関連が七・三から七・五でございます。
  23. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 現在の長期プライムレート、これは七・五になっていますね。しかもプライムレート以下の金利での貸し出しも相当行われているというのが実情だと思います。そうなりますと、優良企業は民間金融機関から長期、短期あわせて開銀より安い金利で借りられるということになる。そういうことで開発銀行より安い金利で借りているということになるわけでございますが、そうすると、金利の面でいくと何か開発銀行役割がずっと圧縮された感じを受けちゃうわけです。そういう点はどう対応されますか。
  24. 吉田正輝

    政府委員吉田正輝君) 先ほど若干委員からも御指摘のあった点と関連するわけでございますけれども、確かに金融自由化の進展等の中で民間の貸出態度も御指摘のとおり長短をまぜるとかいうようなことで実効貸出金利が下がっている。その中で、そういうことで乖離幅の縮小が指摘されているということは事実でございます。乖離幅と申しますのは、民間金利開銀貸出金利の乖離幅の縮小が、確かに縮小していることは事実でございます。しかし、先ほどちょっと私申し上げましたとおり、政策金融の誘導効果には、低利資金供給によるいわゆる収益補完機能のほかに、期間補完とかあるいは信用補完の各種の誘導補完機能もございます。それから、全体として開銀の誘導機能は、そういう意味におきましても現状において十分政策的意義を有しているということも考えられるわけでございます。  そういう点も認識いたしまして、量的補完だけでなく質的補完ということも重要だというふうに考えられますので、財投の依存度なども縮小しつつ、このたびの出資機能の付与などもそういう意味で民間のできない分野について補完、誘導する、民間がついていけるようになればそこから撤退するというようなことでの役割を新たに付与するということで考えているわけでございます。
  25. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 民間金融機関貸出金利の決定というのは、御承知のとおり貸出先の信用度、その大小によって決まってきます。また、これから発展するかしないかなんという見通しも全部含めて信用の中に入ってくるわけですが、開発銀行の場合は、信用度の大小の基準というか、そういう問題よりも事業計画ごとに決まってくる、そういうふうに金利が決定されるわけです。具体的にはそれでよろしいのかどうかということがあるわけですね。いかがでございましょう。
  26. 吉瀬維哉

    参考人(吉瀬維哉君) 鈴木委員御承知のとおり、開銀法十九条には、開銀の貸し付けは目的によって同一でなければならないというようなことになっております。確かに御指摘のように、金融でございますので、相手方の信用力の強弱とかそういう点で変化をつけるのも一つの方法でございますが、開発銀行政策金融機開として設立された当初の目的に照らしまして、今は政策目的によって、補完、奨励するという趣旨を達成するために、目的によりまして一律にやっているというような現状でございます。
  27. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 五十九年度の融資事業の中で、七・一%で貸し付けをした件数と貸付金額、この合計は幾らでございますか。
  28. 吉瀬維哉

    参考人(吉瀬維哉君) 五十九年度の実績でございますが、七・一%の貸し付けの件数は二百八十一件、ちなみにパーセントでいきますと総件数の中の約二九・九、三〇%でございます。なお、貸付金額は六千八十六億円、金額ウエートは五二・四%でございます。
  29. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 資金運用部から開銀が借りる金利は七・一ですね。そうするとこれは、全然利益なしというと極端な言い方でありますが、それが使命だからと言えばそれまでですが、それが約半数に上っているわけです。そういう点では、政府金融機関というのは事業計画ごとに金利を決めるということから、どうしてもコスト意識が民間金融機関に比べて非常に低いという声があるわけであります。ですから、場合によるとこれは経営が悪化するという場合もあります。それは経営が悪化しても投下しなければならない、貸し出しをしなければならない相手もあると思いますけれども、そうでない場合が多くなってくると、今度はこれは国民の税金で穴埋めをしなきゃならない、これはもう御承知のとおりでございます。外航船舶の関連の関係だけでも、五十八年、五十九年、六十年と毎年約五十五億円一般会計からの利子補給金を受けるというふうになっております。  こういう点を見るとやはり、それが使命であると言えばこれは終わりでございますけれども、そういう点で今、半分、貸し出しした中の半分ですか、六千八十六億円が約五二・四%ということてすから、半分以上が七・一%で借りた金を七・一%で貸しているということになるわけでございます。そういうのが大分ふえてくると、これはもうどんどんどんどん一般会計から最後は利子補給しなきゃならなくなってくるんじゃないかという心配があるわけですが、この点どうお考えになりましょう。
  30. 吉瀬維哉

    参考人(吉瀬維哉君) 御指摘のとおりに、私どもといたしましては、銀行といたしまして資本金に対応する通常の経常利益を上げていかなければいけない、そのためには経営を効率化していかなければいけないということは常に念頭にあるわけでございます。最近のように利ざやが縮小してまいりますと確かにそのような御懸念はあるわけでございますが、全体といたしまして私ども一つ考えておりますのは、資金調達の多様化を図る。従来からこれは認められておりますが、外債を発行しておりまして、外債の私どもの借入金の中で占めるウエートが約一割ということで、幸いにいたしまして海外におきまして相当な評価を得ておりまして、外債の発行コストが六・二五とか、割に低いレートで調達できております。また、今、為替が御承知のような事情で追い風でございますので、そういう点でも外債による利益というものも心しているわけでございます。しかし、私どもはやはり、基本的な基準金利とそれから特利の運用につきましては、全般として開銀の収益を損なわないように心していこうと思っております。  当初から資本金二千三百四十億円ございますし、それから今まで累積されました準備金の蓄積もございますので、こういうものを特に活用いたしまして、全体の収益性の確保には努めてまいりたい。しかし、一方におきまして政策金融機関としての政策目的がございますので、この点、十分勘案しながらやってまいりたいと思っております。
  31. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 開銀の性格からして私の質問が若干酷かもしれませんけれども、やはり全体の中で私は見直し考えた方がいいと思ったんです。というのは、開発銀行だけじゃなくて、さっき大蔵大臣も話がありました北海道東北開発公庫ですね、環衛公庫もございますね。こういうものは当初の設立目的は果たし得たのではないか。特に行革、臨調からの指摘もございますし、統廃合の声が非常に高いということから見ると、これは行政改革の面から見ても、この辺はもう断をぼつぼつ下すべきときが来ているんじゃないかと思うんですけれども、大臣いかがでございましょう。
  32. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 先ほども申しましたように、医療金融公庫これを一つ統合した。臨調で指摘されておりますのは、今鈴木さんのおっしゃったようなのが指摘されておるわけでありますが、環衛公庫につきましても、これは四十二年でございましたか、私は設立の当時国会対策かどこかにおりまして記憶をいたしておりますけれども、いろいろ議論がありましたが、出発したらそれなりの機能の仕方を今日はしてきているというふうに見ておりますので、いきなり統廃合という状態に今日置かれておるとは言えないな。  それから、北海道東北公庫というのは開発銀行の地域開発枠の中で処置できるじゃないかという論議もしたことはございますが、やはりまさに地域開発そのものという感じがしております。地域の開発と、それから地域の住民感情というものも非常にこれは現実に存在しておることは事実でございますので、これについてもやっぱり地域開発としての使命は今日存在しておる。  しかし大筋として、おっしゃいますように、医療金融公庫一つやりましたが、これからも行政改革の観点から、そして経済社会の推移の中で、いつでもそういう姿勢は持ち続けて対応していなきゃいかぬ問題だという問題意識だけは持っておるつもりでございます。
  33. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 はっきり申し上げると、窓口はあるけれどもお金を借りるときの手続一切は国金に行かなきゃできないというような公庫は、これは考えなきゃいけないですね、どこで審査をしているかということになってくるわけですから。現場へ行くとそういう声が我々にはあるということを念頭に置いておいていただきたいと思うのです。  それから、次は輸銀に移ります。  今度の改正の理由はよくわかりました。輸銀から直接外国法人に融資ができるようにする。民間金融機関が海外直接貸し付けを行う場合も債務を保証する、こういうふうになってきたわけです。これは今まで五十八、五十九年度輸銀に対して、外国法人から融資の申し出というのは相当あったんでしょうか、してもらえたらいいとか。それから、本年度はどのぐらいの貸し付けの見通しを立てていらっしゃるんでしょうか。
  34. 大倉真隆

    参考人(大倉真隆君) 今回改正をお願いしております日系現地法人に対する直接貸し付けでございますが、これは現実に具体的にただいま大きな資金需要がそういうタイプで出てきておるというのではございません。私どもがこういう改正をお願いしておりますのは、これから先のことで、こういうことが法律的にできるようにしておいていただきたいというお願いをしているわけでございます。  具体的にどういうことを考えておるかと申しますと、それぞれの国によりまして事情が違いますのですけれども、日本の企業が海外に進出しまして現地と合弁会社をつくってからかなり時間がたってきておるケースが出てきております。そうしますと、子会社として育ってまいります。子会社として育ってまいりましたときに、自分の資金を親から借りないで自分で調達したいという状況にだんだんなってまいります。これはある意味でまことに望ましいことだと私ども思うわけでございますが、その場合に、現地サイドの資金は、その現地法人の現地サイドで調達できる。しかし日本サイドの資金はどうも親からしか借りられないということは、必ずしも望ましくない。そういう状況が育ってくれば、やはり日本サイド、日本側が負担すべき資金を現地法人が自分で調達できる、つまり直接調達できるということを考えておいてやるべきではなかろうかという、そういう趣旨でございます。  したがいまして、今後どれくらい確定的に資金が出ていくであろうかということもなかなか予測がいたしにくい。と申しますか、少なくとも当面は、従来からやっておりますように、親会社を通じて私どもが資金を提供するということがやはり業務の主体になろうかと思っております。あくまでも、具体的にそういうものが出てきたときに、法律的にできないから親から借りてくれと言わないで済むようにしておきたい、そういう趣旨のお願いでございます。
  35. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 保証の問題も、今までは協調融資のときだけということだったんですが、今度は海外直接貸し付けした件についての債務保証もやるということになってきたわけでございますが、具体的内容とか、保証料はどのぐらいになるような感じなんですか。
  36. 大倉真隆

    参考人(大倉真隆君) 保証料は、現在まで協融行に対する保証というのは法律的にできますし、実績もございます。今までのところ大体〇・三%が軸になっておる、こう理解いただいてよろしいかと思います。  今回改正法でお願いいたしております新しい保証業務につきましても、一応今のところ〇・三%程度を軸に考えておりますけれども、これは、具体的に保証してほしいという案件が出てまいります都度、相手側がどこの国であるのか、その信用状態をどう判断するか、また、そういう国に対するエクスポージャーついてほかの国の保証機関がどうやっておるか、また、民間金融機関が自分で他の方を保証することもございますから、民間金融機関としてはそういう保証はどれくらい自分では取っておるのかということをいろいろ考えながら、申し上げたように〇・三%を軸として決定いたしてまいりたい、そういうふうに思っております。  なお、保証はどういうときを予想しておるかというお尋ねが前段にございました。今私の頭の中にございますのは、やはり債務累積国に対しての民間金融機関の追加的信用供与がどうしても日本として国際協調の枠組みの中で必要であると判断されておる、しかも私どもが保証するというてこを通じてそれが初めて可能になるというようなケースを念頭に置きまして今回の改正をお願いしておる、そう御理解いただきたいと思います。
  37. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 海外投資の拡大、私今言われたような現状はよくわかるんですけれども、それはそれだけリスクを伴うものになってくるわけですね。そうでなくても、発展途上国の累積債務、この激増に伴ってリスケジュールの問題が次から次へと実際起きているわけです。これが一体どういうふうに展開していくか私ども見当がつかないんですが、これは輸銀の方の見通しというか、全体の見通しとして、累積債務問題の動きというのはどうなっていくんだろうという予測をお立てになっていらっしゃるのか、お伺いをしたいんです。
  38. 大倉真隆

    参考人(大倉真隆君) 累積債務問題というのは大変広がりが広くてかつ深刻な問題でございますけれども、御承知のように、当面金額的に大きな金額になっておりますのは、中南米の三カ国、それと東南アジアの一カ国でございます。ほかにも国としてはたくさんございます。御承知のように、そのうち中米の国につきましては、民間べースでも、それから公的債務に関しますいわゆるパリ・クラブのベースでも、いわゆる多年度リスケジュールというものができ上がってまいりまして、一応今後十数年間の対外債務支払いにつきまして、その支払いを平準化し、かつ期間をある程度長くとるという措置ができました。一つの大きな危機を乗り越えたということは申せると思います。  ただし、これはあくまでもいわば危機を、時間を延ばして先延ばししたわけでございまして、問題が基本的に解決したわけではございません。やはり基本的にこの問題を時間をかけて解決するためには、何と申しましても、債務国自身が自分で海外債務支払い能力をこの与えられた余裕期間の間につけていかないといけません。もっと端的に申せば、それぞれの国が自分の産品を競争力を持つもので外に売れるものという力をつけていってやらなくてはなりません。そのためには、単に今あります債務をそうやって時間をかけて返せばよろしいと言ってあげるだけでなく、その余裕期間の間にその国に、今申し上げたような競争力をつけてやる、あくまでも債務国自身の努力が軸でございますけれども、国際的に協調してこれを助けていってやらなくてはいかぬ、そういうふうに私は思います。  非常に時間がかかる。しかもその間、今までの借金が何とか時間をかけてでも返ってくればいいやという以上の問題がある。それぞれの国を助けていってやらないと片づかない。しかも、それを片づくようにみんながしていかないと世界経済全体が縮小均衡に陥ってしまう。そういう性質の問題だというふうに私は理解しております。
  39. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 したがって、これから輸銀が活躍していく場合、海外投資事業分野の拡大、これは当然なことだと思います。しかし、リスクがゼロではありません。大変にあるところでございます。それだけ債務の管理とか調査とか、そういう点は今まで以上にしなきゃならなくなるだろうというふうに思うんですが、現在、駐在事務所は世界十五カ所ぐらいですか、これを強化していくなんていうことはお考えになっているのかどうかですね。
  40. 大倉真隆

    参考人(大倉真隆君) 先ほど申し上げました例として大きな塊を持つ四つの国には、実は現在いずれも駐在事務所は既にございます。その事務量は大変にふえてきておりまして、私ども全体、非常に限られた人数で仕事をしておりますのでなかなか大変でございます。大臣にも嘆きを聞いていただきたいのですが、なかなか大変でございますが、しかし、全体としてその人数をふやせるような環境でもございません。できるだけ与えられた人数の中で何とか仕事をこなしてまいりたい。なお、今回の六十年度予算につきましても、非常に厳しい環境の中でございますけれども、定員削減を行いました反面、債務累積問題の処理のためにつきましては若干の増員をお認めいただきまして、何とかこれで当面する難問の処理に当たってまいりたいと思っております。
  41. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 もし支払い停止なんていうことを宣言する国が起きるとこれはえらいことになるわけでございますから、そういう点でも調査の点は本気になって考えていただかなきゃならないと思うんです。  それから、話は一転いたしますが、今度は輸入問題でございますが、今回のこの改正で輸入拡大の効果が期待できるものなのかどうか。
  42. 大倉真隆

    参考人(大倉真隆君) 一昨年の秋に、従来私どもの輸入金融というのは御承知のとおり資源開発輸入を専ら扱ってまいりましたのですが、製品輸入についても輸銀が融資できるということをお認めいただきまして、事業を開始いたしました。ところが、残念ながらそれ以後最近までの実績は極めて微々たるものでございます。これは私ども一生懸命、こういう業務を始めましたということをいろいろと説明会その他を通じていわゆるPRもいたしたのでございますが、やはり実際に輸入を扱っておられる方のお話を聞きますと、そのときに決められました制度及び金利ではちょっと魅力がない、それくらいの金利なら民間で幾らでも借りられますということが一つございました。  民間で借りて輸入できればそれはそれでいいわけでございますから、実績はないけれどもと思いながら推移してまいりましたが、ことしになりまして、さらに一段とこれを強化しようということで、御承知のとおり、従来七・二から七・五五という適用金利でやれと言われておりましたものを、七・一を基準とする、特定の摩擦品目に関しては六・八を適用してもよろしいというふうに、新たな適用金利をお認めいただきましたので、これを機会にこの制度が一層活発に動かないものかと思って、現在鋭意関係企業との接触を続けております。関係企業の方も、御承知のように通産省から、具体的に対策本部をつくって、具体的にどういう物が買えるのかやってくれということで動きが始まっておりますので、私としましては、今後ともこの制度を利用して、かなり目立って、なるほどそういう物を日本は政府機関の金まで使って輸入しているのかということがほかの国にわかってもらえるような、そういう結果が出てくればいいがなということを心から期待いたしております。  なお、とりあえずの枠としては、今年度では三百億円を枠として用意いたしておりますが、この枠は極めて機動的に運用できるように考えております。
  43. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 機動的に運用できるように考えているのはいいんですけれども、七・一に下げ、あるいは貿易摩擦品目については六・八に下げても、成果がこれは疑問視されるものが多いわけですね。現在までのところずっと、五十八年ですか、十一月八日に出された総合経済対策で打ち出されてからやってきても、輸入拡大という方にこの資金が使われたというふうなところがそう意識できないわけです。ほんのわずかしか実績からいうとありませんね。こういう点が大変疑問なんです。  それから、例えば韓国等が日本から輸入超過である、こう言うけれども、韓国が輸出する物がふえる場合に、日本から大量にエンジンを輸入しなければ輸出できないなんという品物がある。韓国の輸出がふえるためには日本からの輸入をふやさなければ動けない。そういういろんなものが絡み合っていますので、そんなに簡単には私は、製品輸入というけれども製品輸出を向こうがしてくれというのもこれはあるわけでございますので、大変簡単にはいかないだろうと思うんです。  今、用意はしている、考えている、心配はありませんと。それは準備の方はいいけれども、お客さんがないということになりかねないのじゃないかと私は心配をしているんです。これは輸入問題ということでございますので、大蔵大臣、実際問題を見てみると、そういう問題が多いわけなんです。実際、輸入したいけれどもいい品物がない。また、その国との貿易の不均衡を直すためにその国が輸出ドライブをかけるのに、日本から品物を輸入していってそれをくっつけなければ動かない、輸出できないというような物が多いということでは、これはもう切りがないわけでございます。いかがお考えでしょうか。
  44. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 輸入奨励というのは非常に難しいから、そこでわかりやすいのは、一人これだけ買ってくださいというのが一番わかりやすい、こういう論理も成り立つわけでございますが、それは今韓国の例をお引きになっておりましたが、私ども、日韓関係のそういう経済関係の話をいたしますたびにその思いを深くいたします。あそこの輸出がふえる場合には、その機械でございますとか、あるいは半製品でございますとか、それはみんなまた日本から輸入して製品をまた輸出している、それで結果としてすべて日本産業を益しておる結果になる。こういう議論がいつも行われるわけでございますので、単純に輸入を奨励するというのは、確かに言うはやすく問題は非常に多うございます。  また、ちょうどけさインドネシアの経済大臣がお見えになりまして、お会いして、したがってこちらへ二分ぐらいおくれたのでございますけれども、話してみますと、それはやっぱりラワン材の原木を売るよりは、付加価値をつけて合板そのものにして出したいと。それは開発途上国の近代国家形成の手順としては当然の道でございます。しかしまた、それの一方を見ますと、その合板の機械はまたこれ全部日本から買っておるというような問題が出てまいるわけでございますので、その辺はやっぱりニューラウンドなんて言っているのも一つ考え方でございまして、そういうことはあり得ることであって、グローバルな中でそれは均てんすべきものであるという考え方に世界全体がなっていかなきゃならぬという課題もあろうかというふうに思っております。  だから、輸入金融というのは非常に私はシンボリックなものとしてはそれなりの印象を与えたてあろう。しかしこれが実効を生むには、やはりいろいろな障害、それらを絶えず除去しながらこれから工夫して進められていくことではないかなというふうに考えております。
  45. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今シンボリックという話がありましたけれども、確かに中曽根総理がデパートでお買い物をなさった、アメリカの製品はほとんどお買いにならなかったようでありますけれども、これなんかは向こうの新聞には大きく出ていますね。だから、そういう政治的な効果があると思うんです。経済的な措置よりも政治的な措置というか効果というか、そういうものにこれからウエートを日本はかけなきゃいけないというところへ来ているんじゃないかとそのときは感じさせられたわけです。  だから、確かに機械なんか入れようといっても、精密な機械となればスイスであるとか北欧からでなきゃなりません。すると、アメリカから買う物を本当に考えていくと、スペースシャトルですか、あれでも買う以外にないだろう。衛星なんて、そんな金額は知れたものでございます。そういう点を考えると、これは日本が一番おくれているソフトの関係といいますか、そういった関係からいけばやはりあのような航空工学関係の物しかなくなっちゃうんだろうというような感じがしているんですが、その点は真剣に政府は買い入れの問題について討議なさったことがあるかどうかわかりませんけれども、もしあればどうだったのか、なかったとすれば大臣はどうお考えなのか、ちょっと伺いたいと思います。
  46. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 対外経済閣僚会議、それのみでなく相談しておりますのは、買い物が何があるかといいますと、おっしゃるいわば衛星というようなのが一番シンボリックに出てくる問題でございます。ところがこれについては、これから先は私の知識の限界を超しますけれども、何かいわば規格みたいなものがあって、一つの基準を出せばもう競争がなく決定的にその社へ行くとかいうような品物もあるようでございまして、その辺、可及的速やかにこの問題だけは郵政省で結論を出そうということで、恐らく今鋭意その準備を進めておられるというふうに思います。  確かに、おっしゃいますように、これはたびたび会いますから幾らかかみしもを着ない話に、サミットでもお互いの大蔵大臣会議等でそういう方向へ話が進んでいきますと、本当におまえさんのところからは買う物はないじゃないか、安くて長持ちしていい物は皆うちの方でつくるものだから、というような話になりがちでございますが、ただその議論を通じながら感じますことは、とにもかくにも入れるというオープンマーケット、それが欲しい。入れてみてもそこで結果として売れなかったとすれば、これはフェアな競争で負けたんだから仕方がない、そこのところの考え方です。  我々は、消費者が何のトラブルもなく使っていただけるならば、やっぱりJISだのJASだのをつくります。ところがそれは、消費者側で入れてみて役に立たないからと結果として売れなけりゃいいんだが、そういうJISだのJASだのというのが自分たちにとっては非関税障壁と受けとめられる、こういう印象が強いということを私も感じてまいりました。いずれにせよ、ASEAN閣僚会議が六月末、それから七月アクションプログラムを出す、こう言っておりますので、そういうのを総合的に議論して詰めていかなきゃならぬ課題ではなかろうか。それから、医療機器の話なんかがありましたときに、私何ぼ説明を聞いてもわからない問題もありましたり、そういう点のもっと相互理解を深めていけば、フェアであるという印象さえ与えれば、私はそれから先はやっぱり市場原理というものが働いていくというのは相手もわかってもらえるのじゃないかな、こういう気持ちでございます。
  47. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 よくわかりました。  次は、登記の特別会計の問題で伺いたいんです。  登記所の現況、これはよくわかっております。とにかく、窓口サービスではワーストワンと言われるほどひどいということもありますし、いわゆる地面師が働いて、いつの間にか自分の土地が人のものになったりしてしまって売買をされたというようなこともございます。こういう点から事務処理改善の必要性もわかるし、そういう点では特別会計をしなければならないんだろうということも見当はついているのですが、この歳入を登記印紙収入と一般会計からの受け入れ、こうしたことの理由ですね、一般会計からの受け入れ分が三百七億円、その積算の根拠、次年度以降はどういうふうになるのか、増額を考えているかどうか。  それから、権利の移転等のいわゆる甲号事件では手数料を徴収していないけれども、登録免許税の中には手数料に当たるものが含まれているのじゃないか、その部分を繰り入れるべきではないか。  もう一つは、謄本、抄本、こういう請求がある乙号事件でございますが、この乙号事件の件数が大変ふえてきておりますが、六十年度の予測はどのぐらいになっていくのか。こういうことから、当然乙号事件のうちの謄抄本の請求事件と閲覧、証明の請求事件、これが収入があるわけでございますが、それについての比率を知りたいと思いますが。
  48. 保田博

    政府委員(保田博君) 質問が多岐にわたりますので、適宜リレー式で答弁させていただきたいと思います。  一般会計からの新しい登記特別会計への繰入金三百七億円の積算内訳という点につきまして、私の方から御答弁させていただきます。  御承知のように、登記特別会計で処理をさせていただきたいと考えております登記事務は、いわゆる甲号事件と乙号事件がございますが、この事務はその性格上一体として運営されておるものでございますので、この登記特別会計を設置する方法を検討する際にも、これは一体として新しい特別会計で処理するということにいたしたわけでございます。  そこで、今回の特別会計設置の非常に大きなねらいは、登記の閲覧事務、乙号事務ですね、特に激増しております乙号事務をコンピューター化いたしまして合理化する、それに伴いまして必要となる経費は、受益者負担の考え方から利用者よりこれを徴収するということで財源を確保する。したがいまして、手数料収入は主としまして乙号事件に対応する、こういうことになっております。  冒頭申しましたように、甲号事件と乙号事件を一体として新しい特別会計で処理しますので、その経費は当然甲号並びに乙号に要する経費である。そのうち乙号に見合う経費は手数料として徴収をするということでございますので、特別会計の歳出規模から手数料収入を差っ引いたものが一般会計からの繰入額になる。それが三百七億円ということになるわけであります。したがってこの三百七億円は、結果的には甲号事務に見合う一般会計からの繰り入れである、こういうふうに御理解をいただきたいと思うわけてあります。
  49. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 登録免許税の中にいわゆる手数料が含まれているのではないかという御質問でございます。  御承知のように、手数料というのは行政サービスに対しますところのいわば実費弁償的な対価でございます。それに対しまして、登録免許税といいますものは、財産権の創設、移転、あるいは人的資格の取得とか事業の開始等につきまして登記、登録あるいは免許を行います場合に受ける利益に着目いたしまして租税として負担を求めるということでございますので、実費支弁を弁償いたしますところの手数料とは本質的に異なるわけでございます。したがいまして、一般的に登録免許税の中に手数料分は含まれていないというふうに理解されるのではないかというふうに思います。  今の御質問の趣旨は、乙号事務につきましては手数料を取っておるけれども甲号事務については手数料を取っていないじゃないかというふうなことからの御疑問かと思いますけれども、この点につきましては、昭和四十二年度におきまして登録免許税法を全面改正いたしました際に、同一人から同時に国が実費弁償であるところの手数料負担を求めるということは適当じゃないという考え方のもとに、原則として、登録免許税を課税することとしましたものにつきましての手数料は、特に調査等に多額の実費を要するものを除きまして、これを廃止するということとした経緯がございます。  また、弁護士とか公認会計士とかあるいは税理士とか、そういったものの登録に際しましては、登録免許税のほかにその所属団体が登録手数料を取っておるわけでございますけれども、その所属団体が登録手数料を取る場合におきましても、特にその登録免許税の税額を軽減するというようなことは行っておりません。  こういった経緯から言いまして、登録免許税の中には手数料は含まれていない。したがいまして、その中の手数料部分をどうこうということは、理論的には当たらないのじゃないかというふうに考えております。
  50. 稲葉威雄

    政府委員(稲葉威雄君) 六十年度の乙号事件の件数は、大体総数で四億四千万ぐらいでございます。その比率は、謄抄本が五割五分ぐらい、それから閲覧が四割ぐらい、あと若干証明がある、こういうようなことになっております。  手数料収入が大体二百五十億円ぐらいということでございまして、これにつきましては大体この七月に特別会計発足と同時に若干の手数料の改定をさせていただこうと思っておりますが、それの増収寄与分が大体六十億円ぐらいあろうということで、九カ月分でございますが、ほぼ昨年度の手数料収入に見合う二百五十億円という収入があるのではないかというふうに考えております。
  51. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 登記印紙収入の伸びの予測でございますけれども、登記所のコンピューター化にこれから十五年かかる、その財源はいわゆる受益者負担である、こういうことになるわけでございますが、そうすると五年後及び十年後という特別会計の規模予測、これがないと、これははっきり申し上げて国民が納得しにくいものがございます。その五年後、十年後の特別会計の規模の予測と、その中における一般会計からの受け入れと、登記印紙収入との比率をひとつ伺いたいんです。
  52. 稲葉威雄

    政府委員(稲葉威雄君) 手数料収入の見込みにつきましては、これは金額と申しますか手数料額と件数との相乗ということになるわけでございます。そして、それを算定、特に手数料額を算定しますには、その事務に要します実費というものを根拠にしてこれは算定するわけでございまして、五年、十年後ということになりますと、その時点における件数というものは必ずしも確定し得ないわけでございます。  今までの傾向でございますと、最近でも年率五%弱の伸びを示しているわけでございますけれども、この伸びが必ずしも続くかどうかというのは予測がつきにくいということと、それからこの実費の算定の中にはコンピューター化の費用というものも入るわけでございますが、その費用の算定が将来の技術革新等を考えてまいりますと、必ずしもはっきりとした金額を出すことができないわけでございます。そういう点から、国民の負担という面も考えましてそれほど多額の手数料額にはならないということを前提にして、そしてコンピューター化の計画のテンポ等も調整していくということも考えますと、その金額を的確に幾らぐらいになるということを予測するということは、非常に難しいということを御理解いただきたいと思います。
  53. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 時間がありませんからあれですが、確かに私も何回も見ていますからわかりますが、あんなにひどい登記所の込み方は話になりません。しかも供託金を預かるところも何億という金が一遍に動いているところがありますし、あれがあんなふうにごちゃごちゃして、抄本、謄本をちょっとごまかされて持っていかれてもわからない、抜き取りされても見当がつかないなんということがたびたび起こるほど込んでいるんですから、コンピューター化はこれは仕方がないことでありますけれども、今回の法律というのはコンピューター化ということをやるための根拠法、いわゆる電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律というのがありますけれども、それがこの特別会計創設のための根拠法になってきたのかどうか、この点ひとつ伺いたいんです。
  54. 稲葉威雄

    政府委員(稲葉威雄君) コンピューター化というのはこの登記特別会計創設の機縁であることは間違いないわけでありますが、それは受益者負担ということを徹底するためにそういうシステムをとるということでございます。基本的にはそういうことでございまして、そういう意味で機縁になったということでは非常に密接な関係があるわけでございますけれども、必ずしも論理的に円滑化措置法がないと登記特別会計が創設できないというような意味での根拠法ではあり得ないというふうに考えております。
  55. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 実際、古い帳簿を全部つくり直したり、構造をやり直さなければならないところへ入っております。沖縄等へ行くと、いわゆる琉球政府のときに建てた建物のために、湿気が強くて、このままだと保存がどうだろうというように感じられるところもある。そうかと思えば、古い昔の裁判所のままのような感じの登記所もあって、何か統廃合もきちっとしなきゃいけないんじゃないかということが考えられるし、改築をしなきゃいけないというのがうんと考えられるわけですが、この点の構想をちょっと法務省から聞いておきたいと思います。
  56. 稲葉威雄

    政府委員(稲葉威雄君) 行政の事務の合理化という見地から申しますと、登記所が非常に分散して存在しているということは適当ではないということでございまして、できるだけ統廃合したいということはあるわけでございますけれども、一方、住民の利便と申しますか、そういう見地から申しますと、離れたところへ登記所が移るということについては抵抗もあるというようなことでございます。そういうことを、与えられた条件を考え合わせながら、できるだけ行政の合理化というものが推進できるような方向考えてまいりたいというふうに思っております。
  57. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 これは三月二十八日の当委員会における租税特別措置法の審議の際のことてありますが、ニューメディア事業を推進する企業に対して利子補給や信用保証を行う財団法人を設立して基金をつくった場合に、その基金に対する企業の支出金を損金算入とする租税特別措置は、結局大企業優遇ではないか。私は、具体的に横浜みなとみらい21の例を出しまして、その中心になっている三菱のための減税措置ということになってしまうじゃないか、こう指摘をしたんですが、それに対して主税局長は、これは政策的な観点の相違だからこれ以上言うことはない。それから竹下さんは、私のこの指摘を、それは現実的な論理ではない。高度な技術を持っているものの集合体によってそれをやった方が、公的機関においてやるよりもみなとみらい21のためにいいという大局的な判断、そこのところは見解の相違だという答弁だったわけであります。  しかし私は、これは抽象的な議論じゃないと思うんです。特に今議論しております本法案、新たに開銀融資の対象となるみなとみらい21の事業について、私は具体的事実に基づいて、三菱がどれほど利益を上げるか、これを指摘したいと思います。  そうしますと、前回議論した特別措置による減免措置も結局それを促進助長することになる。その減税に加え今度は公的資金の提供、まさにいろいろ出てくるんです。こういうことで特定の大企業が独占的に莫大な利益を上げるということになるんですが、竹下さんが言った見解の相違というのは、そういうことに賛成、促進するのか、あるいはそれに対して疑問を提起し、チェックし、反対するのかですね。私はそれが見解の相違ということの問題になるんじゃないか。特に今回新たに公的資金が出資または融資されるという、そうなるとまさに具体的問題だと思うんです。  竹下さんの言う見解の相違ということをそのように理解し議論を進めていきたいと思うのですが、まず最初に、そんなことでよろしいのかということをお伺いしたいと思うんです。
  58. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 見解の相違というのは、確かに、一つの問題についての双方の見解が違うということでございますので、それをどういうふうに理解するかというのはそれぞれの方の自由じゃないかなと思います。
  59. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 具体的に事実を出しますので、議論をした後、国民の審判にお任せをしたいと思うんです。  その前提として、まず国土庁、みなとみらい21事業の概要、たくさんありますけれども、特に、事前に通告しておいたように、本件との関連で、その要点を簡潔にお述べいただきたいと思うんです。時間がないので簡単にね。
  60. 荒木寛

    説明員(荒木寛君) みなとみらい21の事業概要について申し上げます。  これは、横浜地区と関内・伊勢佐木町地区を結ぶ都心臨海部を整備しまして、業務を初めとして商業、文化等の多様な都市機能の導入を進めようとするものでございます。さらに都市と融合した幅広い港湾機能を拡充して、横浜市の都心部の拡大強化を図りまして、大都市圏における業務核都市といたしまして、横浜市を魅力ある国際文化都市にしようとするものであります。  計画区域は、先ほど申しました都心臨海部で百八十六ヘクタールでございます。計画フレームといたしましては、計画人口、就業人口といたしまして十九万、居住人口といたしまして一万、土地利用計画といたしましては、先ほど申し上げましたとおり百八十六ヘクタールでございます。事業期間といたしましてはおおむね七十五年度を完成目標年次として設定しているわけでございます。以上でございます。
  61. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 次は開銀総裁にお伺いしますけれども、この事業に対して開銀の出資、融資がなされる。これは新しくふえる分野ですね。それで、どういう団体に対し、またどのような事業、これが出資あるいは融資の対象となるのか、まずお伺いいたしたいと思います。
  62. 吉瀬維哉

    参考人(吉瀬維哉君) 開発銀行といたしましては、横浜のみなとみらい計画は、残されました東京周辺の大きな開発事業でございますので、特にそこの中核となるいろいろな施設につきまして出融資を予定いたしたいと思います。基盤的な施設でございまして、第三セクター等が行う事業を予定しております。それからあるいは地域冷暖房、熱供給、こういう種類の事業につきましてもある程度の出融資を行いたいと思っております。基盤施設というのはどういうものかといいますと、余り収益性に当初はつながりませんが当該地域の開発を誘導するために必要な施設というようなことで、例えば人工地盤の造成とか、あるいはよく言われている動く歩道というようなこととか、あるいは国際的な展示場ができればそういうものとか、あるいは国際会議施設とか、そういう種類のものを予定しております。
  63. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 それから建設省に質問しますが、この事業に関連して幾つもの公共事業があると思うんですね。そのうち補助金対象となる事業、これは項目だけでも結構です、列挙していただきたいと思うんです。——建設省は来ていない、ああそうですか。何か今こちらへ向かっておるようだけれども、向かっているのを待っておると私の質問時間が終わっちゃうので、しようがないんで進めますが、大臣、相当たくさんあるんですよ。まあしようがない、これは。  次に、こういうこととあわせて、開銀としてはこれ新しく融資あるいは出資の対象とすることですが、この拡大する理由は何でしょうか。
  64. 吉瀬維哉

    参考人(吉瀬維哉君) 先ほど御答弁いたしましたとおり、開発銀行といたしましては、息の長い施策としての都市開発、再開発につきましてはある程度重点を置いてまいりたいと思っております。そういう点で、横浜のみなとみらい地区はそういう種類の事業に対しまして適地である、こういうぐあいのことを考えています。さらに開発銀行が出融資するのは、これも先ほど御答弁申し上げましたけれども、基盤的な施設で、これによりまして民間の設備投資が誘発されるようなもの、公共的色彩を有するようなもの、あるいはそういう性格上当初は低採算であると思いますので、そういう点は政府機関たる開銀が名のりを上げるには適当な事業じゃなかろうか、こう考えております。
  65. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 これは新しく埋め立てする部分と同時に、既存の土地があります。この既存の土地百十ヘクタールの地権者とそれぞれの所有面積がどうなっているか、これを答弁いただきたいと思うんです。これは自治省か建設省か。建設省だとちょっと困っちゃうんだな。自治省ですか。——どっちみちいい答弁が来ないことはわかっているんですわ、中身が言えないということは。しようがない、私の方でこれから中身を言いますよ。  百十ヘクタールの内訳は、国が三十、国鉄三十、三菱地所二十、横浜市十四、住宅都市整備公団四、三菱重工業三、首都高速道路公団一、その他八、合計百十になると思うんです。  私が言うだけじゃこれ信用されない可能性があるので、住宅都市整備公団の理事さんが見えておると思いますが、そこで現在区画整理事業を実施している三十五・一ヘクタールについての地権者とその面積、これを挙げていただけますか。
  66. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) 現在区画整理をやっております三十五・一ヘクタールでございますが、私ども公団が四・四ヘクタール、国鉄さんが四・二ヘクタール、横浜市さんが、これは横浜市の土地開発公社を含めてでございますが五・六ヘクタール、それから首都高速道路公団が一・五ヘクタール、それから三菱地所が十六・二ヘクタール、三菱重工業が三・一ヘクタール、その他〇・二ヘクタールということになっております。
  67. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 現在住都公団が区画整理しているところは、ほぼこれからの計画の一番中心部だと思うんですね。そこでの土地地権者関係はほぼ私が指摘したところとあんまり変わらない、こう思うんです。問題は、三菱地所がどういうそこでの位置を占めておるかというところが問題なのであります。  一つは、民間としては三菱地所が最大の地権者であります。しかも三菱地所が制圧しているところは、横浜駅から入っていくこの入り口の部分、それから桜木町から入っていくこの入り口の部分ですね。あとその間はいわば国鉄でなかなかそこは、そのうち道は通るだろうけれども、今言った二カ所が一番大事な場所です。それからショッピングセンターができるそのすぐ近くとか、いわば三菱地所が一番主要な地位を占めております。  それから、この土地を取得するに至る経過におきましても、一つは三菱重工から買い入れたのが主要部分でありますが、そのほかにも、そういう重要な地点を確保するについては、桜木町のゴールデンセンターを買収するとか、スカイビルの株式をずっと取得してくるとか、そういった形でこの大事な場所を確保してきたのだと思います。既に累積投資額は三百十四億円ということなんてす。  問題は、それは三菱地所の土地ですが、今回開銀融資あるいは出資が行われようとしているMM21地区の計画の中心、そこに三菱地所など三菱グループが位置するわけですね。となりますと、開銀総裁、お伺いしたいのですが、先ほどの動く歩道とかあるいは地域冷暖房施設など、これが融資の対象となると思うんですが、結局一番中核にある三菱の土地の利益のためじゃないですか。  例えば動く歩道と申しますが、要するに動く歩道をつくって駅などからどんどん人をそこへいわば誘い入れる、そういうための基盤整備、結局そこに融資をする。先ほど、それは公共的な施設であって直接利益が生ずるところではない、それはわかります。しかし、それはそうであっても、その果たす役割というのは、結果的には独占的に一番大事な場所を確保している。ここはほとんど公有地ですからね。となれば、そのための基盤整備じゃないですか。そこに融資することについて、これ本当に公共的と言えるのだろうか。あるいは、公的な金を大量に動かしていいのだろうか、この辺についての御見解を聞きたいと思うんです。
  68. 吉瀬維哉

    参考人(吉瀬維哉君) いずれにいたしましても、百八十六ヘクタールの地域といいますものは、いかに東京の近郊ですぐれた立地条件を備えていると申しましても、その再開発事業は相当難しい事業だと思います。したがいまして、開発すればすぐ利益が期待できるというような事業になるかどうか、ここら辺私ども慎重な計画のもとにやっていく必要があるのじゃなかろうかと思います。  いずれにいたしましても、都市再開発は懐妊期間が長うございまして、そういう点でやはりデベロッパーが適正な利潤を得るということは大事でございまして、私どもはそういう種類の計画が成功裏に達成できるように側面から基盤的な中核施設で御援助したい、こういうことでございます。
  69. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 成功するようにということですが、成功した暁にはどれほどの利益が上がるのか。かなり長い期間です、大体西暦二〇〇〇年のころを目途にというんですが、恐らくこれ今考えられておりますのは、三菱の所有土地にはビルを建てて、結局賃貸しビルという可能性が大変強いと思うんですね。その結果、二〇〇〇年ごろには大体年間どれほどの経常利益が上がるか。そういう試算がされておるようですが、これは御存じでしょうか。どこかお答えいただけますか。——これもお答えはないということなんです、事前の通告では。  これは、かなり有力な計算によりますと、ケース一、ケース二がありますけれども、一つのケースによりますと、年間経常利益二千億円、その算定根拠はほとんど全部を賃貸しビルにした場合。ケース二の場合は、ある部分に、十ヘクタールに賃貸しビルを建てて、残り三ヘクタールを土地のみ賃貸しした場合、その場合の収益が一千億円。収益ですよ、収入はもっと当然多いわけです。  こういう状況はこれはどこか否定できますか。いかがでしょうか——。これはそういう試算があるということはどこかで御存じなんだけれども、しかしこれから融資の対象とするわけですからその辺のことも当然これは考えるべきだし、これは竹下さんの言う政策論争、あるいは見解の相違というのは、そういうところに公的資金を投ずることがいいのか悪いのかということになるのだと私は思うんです。  しかし、お答えがないのでしようがない、次へ進みますが、問題は今度はこの土地に関する問題なんです。三菱重工の所有土地、これは前です、今まで三菱重工が持っておったのを、二十八ヘクタールを売りました。お聞きしたいのはその売却先、売却面積、その価格、これをお答えいただきたいと思います。
  70. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) 三菱重工業がどこにどれだけ売ったかということは私どもつまびらかにしておりませんが、私ども区画整理をお引き受けするにつきまして、換地計画上、ある最小限度の土地を持っていることが必要でございますので、三菱重工業から三ヘクタールの土地を買わせていただいております。  なお、値段につきましては、従来これは契約の相手方もあることでございますので、この場で申し上げることは差し控えさせていただきたいというように考えております。
  71. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 これは本当は建設省に答えてほしかったんですが、今言ったとおり住都公団に三ヘクタール、それから三菱地所に十七・四ヘクタール、横浜市に五ヘクタールなんですね。問題はその値段なんですが、これは横浜市で答弁があります。一平方メートル当たり二十四万三千円。どうですか、これ、理事さん、この価格、間違いないんじゃないでしょうか。
  72. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) 手元に私、細かい資料を持ってきておりませんが、横浜市さんの答弁であれば間違いないのじゃないかと思います。
  73. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 そのとおりなんですね。これによって三菱重工には約六百十七億の金が入っているはずです。  そこで、自治省にお伺いします。そして三菱は、この土地を売って金沢地先の方に土地を買ったわけですね。となりますと、ある時期に両方の土地を持っておったというようなこともあるんですが、この関係で固定資産税、特別土地保有税、これはどうなっておりましょうか。
  74. 佐野徹治

    説明員(佐野徹治君) お答えいたします。  固定資産税につきましては課税をいたしておりますが、そのうち一定の部分につきましては横浜市が無償で公共の用に供しておりますので、これは地方税法の規定によりまして非課税となっております。  それから特別土地保有税につきましては、固定資産税が非課税のものにつきましては特別土地保有税も非課税でございます。  それ以外の土地につきましては、地方税法の規定により横浜市が納税義務の免税をいたしております。
  75. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 その結果、どれほどの税金、固定資産税、特別土地保有税含めてどの程度の額が減免されているかわかりますか。
  76. 佐野徹治

    説明員(佐野徹治君) 額につきましては承知いたしておりません。
  77. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 横浜市議会での市当局の答弁ですと、固定資産税が約六億円、それからその他もありまして、合計約九億円というんですね。  次に、大蔵省と自治省になりますが、この不動産を譲渡したことにかかる税金、これには圧縮記帳がされるはずですね、これがどの程度されているか。大体圧縮記帳の対象になるかどうか、そしてどの程度されているか、これ、いかがですか。
  78. 村本久夫

    政府委員(村本久夫君) 特定の法人の圧縮記帳額がどの程度になるかということにつきまして、税務当局の立場からお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思う次第でございますが、有価証券報告書、これを見てみますと、三菱重工業の五十八年三月期、五十九年三月期のそれによりますと、お尋ねの横浜工場跡地の譲渡に関係するのではないかと思われます記述がございまして、「横浜工場跡地売却ほかによる固定資産売却益」、「ほかによる」と書いてございますが、五十八年三月期が五百三十五億円、五十九年三月期が百四十二億円というような計上がなされております。
  79. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 次に、国鉄は見えておりますね。  国鉄の桜木町駅周辺の土地の売却がなされました。その売却先と売却面積、そして売却価格、これは一平方メートル当たりの価格、これを答弁いただきたいと思います。
  80. 大西光男

    説明員(大西光男君) お答え申し上げます。  桜木町周辺の土地につきましては、横浜市に約一千平方メートル、それから横法市土地開発公社に約二千平方メートル、住宅都市整備公団に約一万二千平方メートル、合計一方五千平方メートル売却いたしております。  金額につきましては、相手方との関係もございますので、差し控えさせていただきたいと用います。
  81. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 さっきから土地の値段を言わないのは、私は大変これはいけないと思うんです。大体、公共団体なり国が土地を買う場合に、土地を買う前にあらかじめ予定価格を言っちゃったらつり上げられるからということで、なかなか土地の価格は明かさぬものですよ。しかし今度、買っちゃった後あるいは売っちゃった後、もうそんな土地の価格の変動には関係がないのに、言わぬとはけしからぬと思うんです。これは国鉄だけじゃなくて、さっきのほかの全部がそうですが。  しかし、わかっておるんです。一平方メートル当たりこの場合には十五万五千円なんですよ。これは横浜市の発表です。そうすると、問題は、先ほどの三菱重工の土地は二十四万三千円、それからこちらは十五万五千円、約十万の差があるんですね。これは国鉄は大分損害をしているんじゃないか。赤字なのにようこんなに十万も安く、坪にしたら三十万円以上でしょう、売れたものだなと思うのが一つ。  それから、住都公団、これは三菱重工と国鉄、両方買いましたね。三菱重工にちょっと余計金を出し過ぎたんじゃないか、高いものを買っちゃったんじゃないか、そういう気がするんですが、この辺はいかがですか。
  82. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) 私どもは、土地を買いますときには当然鑑定価格を調べまして、鑑定によりまして買収しているわけでございます。  今回、細かい数字は別にいたしまして、三菱さんからお譲り受けした土地と国鉄さんからお譲り受けいたしました土地の間には、価格の差がございます。これは、当然その評価そのものが違っております。国鉄さんの土地は鉄道と高速道路に挟まれためくら地でございます。したがいまして、鑑定評価上そういう差が出るのは当たり前だというように考えております。
  83. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 鑑定の差だというんですが、しかし場所的には、国鉄の用地というのはむしろ今度の計画地へ入っていく一番根っこのところで、今まで線路があった、いろいろ何かあったといったところで、そんなものは撤去してしまえばわからないのだし、片方三菱造船の場合は、これは造船所でいろいろな設備もあって、そいつを壊すわけですから、そういう土地の価格の評価でそんな、しかも十万という差が出るのはおかしいのじゃないか。  国鉄にお伺いしますけれども、この売った土地の関係で十三億五千万円ぐらいの損害というか、得べかりし利益があったはずだと思うんだけれども、その点はどうなんですか。
  84. 大西光男

    説明員(大西光男君) 私どもが土地を売却する場合の評価は、処分時における正常な取引価格によることといたしておりまして、正常な取引価格と申し上げますと、内部評価と権威ある部外精通者の鑑定評価を比較検討の上決定している次第でございまして、本件につきましてもそのような手続を経て決定いたしたものでございます。  本件の土地につきましては、形状も余りよろしくなく、それから周辺との関係で土地の価格というのは影響を受けるわけでございまして、三菱さんとの関係につきましては私どもは存じ上げておりませんけれども、本件の土地の価格につきましては適正であるというふうに考えております。
  85. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 わずかな質問時間ですから、まだまだたくさんこのみなとみらい21については問題があるんです、環境問題からその他いろんな問題、ごくその一端を申し上げただけなんですが、今言った土地の取得の問題でいろいろな問題が一つあるんですね。  それから、将来の利益。かなりな投資をするようですけれども、私は投資額に比較しても、年間一千億円の利益というのはこれはもう大変な利益。しかも私有地はこれは三菱だけですから。そしてしかも、そこへ入り込むのに動く歩道とかいろんなものを設備し、そこには公共の補助金やら、あるいはまたさきの減免税やら、そして開銀の融資やら、いろんなものをそこに集中して、その結果の実ったものを独占的に三菱重工が利益を上げていく。となりますと、息の長い話だけれども、しかし、もう十五年後にはそういう状況ができ上がる。  私は、それこそまさにこの公的資金を投ずるのにふさわしいかどうか、こういう事実を前にして大臣はどうお考えになるのか、御答弁をお願いいたします。
  86. 竹下登

    国務大臣竹下登君) みなとみらいというのは、何といいますか、今はやりの民活のあれは一つのみんなが注目しておる仕組みに基づく開発計画だというふうに私は見ております。民活というのは、元来環境整備を公的なものが行い、そして、その中では自由な民間活力が生かされていくという意味においては非常に調和のとれたことじゃないかな、詳しい知識を持っておりませんが、印象としてはそういう印象を持っております。
  87. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 じゃ最後に。  そうすると、今のはやりの民間活力、そして調和といいますと、この場合には明らかに三菱資本が独占的に、しかも一千億円単位の利益を毎年上げていくということがこれは計算されておるんですね。すると、大臣の言う民間活力というのはまさに、そういう独占的に利益を上げていく、そこに公的資金や税の減免やあるいは補助金、それを投ずることが竹下さんの言う民活、そのように今の答弁ですと理解されますね。そう理解してよろしいでしょうか。後は国民の審判の問題です。
  88. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私も内容を詳しく知りませんが、大筋おっしゃったことは間違いじゃないと思っております。ただ、そこにおのずから節度というものがあるだろう、政策目的という範疇の中における節度というものは必要だと思っております。
  89. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 まず、輸開銀それぞれの総裁にお尋ねをいたします。  政策金融と言った場合は、まず問題になるのは量と質の問題でございまして、量というのは資金量でありますし、質というのは市中金利に比べてどういう政策金利が設定できるかということだろうと思います。市中金利より低い政策金利が設定できるということは、それを支えているのは、輸開銀を例にとりますと、それぞれの利子がつかない資金資本金と積立金、こうしたものが質を支えている問題だと思うのです。  そこでお尋ねしますのは、輸開銀それぞれの自己資本比率、これをちょっと計算してもらったんですが、一応こういう計算で出してもらったんです。分子の方は資本勘定、すなわち法定準備金と資本金と当期利益金の合計額、分母の方は借入金と外貨債券の年度末残高。こういうものをはじいてまいりますと、二十年代はちょっと別にしまして、昭和三十年代初頭の五年間を見ますと、輸銀が七六・三%でございました。開銀の場合は七七・九%。これが大幅にずっと落ち込みまして、最近では、五十八年度、輸銀の場合が二一・六%、開銀が一一・七%。非常に自己資本率が落ち込んでいる。政策金融という立場から見ると、市中金利よりも政策的に低い利率で金を用立てながら政策目的を達していく、いわばそのゆとりが減ってきているように私は思うんですが、この傾向というのは妥当なものなんでしょうか。それとも、やはり将来あるいは今是正をしていくべき数字だとお考えでしょうか。この点、まずお聞かせください。
  90. 吉瀬維哉

    参考人(吉瀬維哉君) 御質問のとおり、輸銀、開銀が発足の当初は、大体貸し出しの原資を自己資本に頼ったというようなことで、自己資本比率が異常に高いわけでございます。むしろ、比較するとすれば昭和四十年代の初期とか、あるいは五十年代の初期でございましょうけれども、四十六年から五十年までは自己資本比率が開発銀行の場合は一五・四で、それから五十一—五十五のオイルショックの後が一二・九でございます。その後、大体一二から一一、切り上げれば一二というところで今推移してきているわけでございます。この比率が果たして妥当かどうか、比較の指標はございませんけれども、比較する問題としましては市中銀行のそういう率でございますが、市中銀行は栗林委員御承知のとおり大体三%ということで、市中銀行にはそのほかに有価証券の含み益等がございますのでよくわかりませんが、しかし今の開発銀行のほぼ一二という比率に比べれば大分低いわけでございます。しからば、これが果たしていいかどうかという問題がございますけれども、趨勢的に、融資規模が拡大すれば自己資本比率は若干低下していくという趨勢はあると思います。  それからもう一つは、開発銀行の経常利益が確保できるかどうかという問題かと思います。これが確保できないとまた政策金利も展開できませんのでその点は問題でございますが、開発銀行は五十八年度におきましては六百十五億の経常利益、五十九年度におきましては五百九十二億の経常利益を上げております。なお、創設以来の全体の開発銀行の国庫への納付金が四千八百四十四億というようなことでございます。私どもは資本金が二千三百四十億ございますので、大体今後の利益率のめども、やはり普通の正常な運営をしていく銀行としてふさわしい利益率を上げるように努力していきたいと思っております。そのためには、もちろん準備金の積立率が高ければ高いほどいいわけでございますが、今のほかの指標その他、あるいは現在の収益構造等を勘案いたしまして、また特利の展開も、七・一が先ほど御質問に答えて五二%というようなことで、特利の展開も相当大胆にやっている、こういうような現状を踏まえまして、現状をしばらく見守っていきたいと思います。  なお、御質問のような御懸念もあると思いますので、運営の効率化につきましては十分気をつけてまいりたいと思っております。
  91. 大倉真隆

    参考人(大倉真隆君) ただいまの開銀総裁からの御答弁とほとんど同じ考え方を持っているわけでございます。  幸いにして、現在のところ比率としては開発銀行よりも私どもの方が高い比率を保持させていただいておりますけれども、今後かなりの期間にわたってのいろいろな収益構造を一応検討いたしまして、これは与件がいろいろ難しいところがございますけれども、現状程度で維持できるのであれば、私どもの経営、財務の健全性を損なうことはないというふうに判断いたしております。
  92. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 自己資本比率といいますと、市中の民間金融機関の場合は財務の健全性という角度で考えていけばまず間違いないと思うのですけれども、政策金融機関の場合には、単に財務の健全性だけではなくて、政策目的をいかように果たしているか、もう一つの尺度が要るはずだと思うんです。  お話しのように、市中銀行の場合には、昭和三十年三・九から昭和五十八年三・一、ずっと横なんです。それはそれとしましてね、含みの問題はありますよ。ところが、輸銀、開銀を見ますと、おっしゃったように四十年代初頭、四十一年から四十五年を見ますと、輸銀が三九・四、開銀が二五・七、この水準がいいかどうかはだれにもわからないんです、わからないんだけれども、今見ますと輸銀が二一・六、開銀が一一・七、下がってきている。下がってきているということは、逆に裏返しますと、輸開銀政策目的が薄れてきたのだろうか。そうは言えないわけですね。だから、この辺のところをどう維持していったらいいのか。これはだれにもわからないので、腰だめで決める必要がある数字なんですね。だけれども、ここのところははっきり押さえておかないと、政策金融機関として役割が果たせなくなるかもしれない。もちろん私、今伺っている底にあるのは、千分の七を千分の三に下げていいのかということなんですよ。  そこで、別なお聞き方をしますと、百一国会でいわゆる対外経済対策一括法案、これが通りました。この対外経済一括法案の中で輸銀がどうしたかというと、わざわざその貸付相手方に新たに外国法人を加える等の修正をしたわけですね。修正したねらいというのは、これは言うまでもないと思う。じゃ、この外国法人が一件でもあったかというと、残念ながら一件もない。理由はというと金利が高過ぎてとてもじゃないけれども引き合いがなかった、というのが先ほどの御答弁でした。そのときに、引き合いがないような高い金利をなぜ設定したのか。そのときにもし輸出入銀行に政策面で見てゆとりがあるんだったらもっと下げておくべきではなかったんだろうかという疑問がどうしても去らないんですが、この質問というのは大蔵省に伺うんでしょうか、それとも輸出入銀行なんでしょうか。これは大蔵省でしょうね。
  93. 吉田正輝

    政府委員吉田正輝君) 確かに、先生御指摘のとおり、こういう自己資本がどの程度あればいいかというのは極めて難しい問題と思います。今先生が御指摘になりましたのは、やはり長期低利資金供給を行っている輸開銀コスト、輸開銀の低利資金供給という役割から見れば無コスト資金源が多い方がいいのじゃないかということであると思います。それ以外にも、自己資本といたしましては、例えば損失の自己補てん機能とか、あるいは当該銀行の信用維持とか、種々の機能を有している。その総合的判断であろうかということで、そこに難しさがあるということをまさに委員が御指摘をされた点だと、私もそういう点は十分考えていかなければいかぬ、かように考えているわけでございます。  先ほど開銀総裁、輸銀総裁からも言われましたとおり、戦後の法制定当時から顧みてみますると、当時の政策金融には、やはり日本経済が復興していない、あるいは成長のルートにもまだまだ乗り切っていないというような面から、かなりリスク性の高いものも多かったという点もございますし、そもそも輸開銀の業務が安定路線に乗っているかどうかという問題もあったということなども考慮されますし、それからその後の原資調達のあり方につきましても、輸開銀ともに外債にも依存できるようなことにもなってまいりましたし、それから融資のリスク性も、先ほどの戦後の、あるいは高度成長時代に比べますとはるかに少なくなりましたし、かつ三十年以上輸開銀は設立されて以後経過しまして経営基盤も安定してきた。  そういうような総合的な判断から、このたび、自己資本比率の重要性については十分認識しつつ、かつ輸開銀の審査能力などもすぐれておりますので健全性は維持できるという観点から、このようなお願いをさせていただいたわけでございます。  やはりもう一方の点で申しますると、厳しい財政環境の中におきまして、そのような判断に立った上で、輸開銀の経営の財務基盤の損なわれない範囲で財政協力をお願いするという点があったことも事実でございますけれども、先ほど申し上げましたような判断に立ちまして、法定準備金積立率の千分の七を千分の三というふうにお願いしたわけでございます。かつ、その将来について見通してみまするときにも、いろいろ仮説を置いて見なければいけないことではございますけれども、従来の実績、それからある程度の将来の実績を見ますと、経営基盤は損なわれないというふうに考えられたということでございます。
  94. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そういう御答弁しかできなかろうと思うんですよ。思うんだけれども、リスクがよりある部分に金融をしていくのが政策金融一つ目的ですよね。確かに輸開銀の審査能力は非常に私は高いと思います。高いということは、リスキーなものに対してどうしても手控え目になる。これは、一つの経営体ですから私は当然ありがちなことだと思うんです。ところが、かたくかたくやっていくと、政策金融機関として果たすべき使命が果たし切れないかもしれない。したがって、ある程度リスクは承知で市中金融の金は流れていかないからこの際は政策金融で流していこう、もともとはねらいはこういったことでしょう。したがって、市中金融機関に比べるとちょっとやっぱり厚目のものにしておかないとこれは本来の目的に合致できない、私はそう思うんです。  そこで、千分の七を千分の三に今度お変えになりましたから伺いますと、市中金融機関の積立率、これはベースが違うものですから比べられませんけれども、拾い集めて比べてみると、例えば昭和二十年代後半は市中金融機関は千分の七。現在は千分の三。大体この並びでいっておりますというお答えなんだけれども、今度、市中金融機関として財務の健全性という面で考えてみた場合、そのときに、二十年代後半は千分の七、三十年代は千分の四から五、これが五十六年千分の二、五十七年千分の三、五十八年千分の三、こうなっているから千分の三でいいのだというお答えなんだけれども、こうやって積立率、これが市中金融機関で下がってきていることの方がむしろ問題ではないのだろうか、財務の健全性という面で。だから、市中金融機関と比べて横並びだからいいよということも必ずしも言えないのではないか。  では一体、輸開銀の場合に千分の幾つ積めばいいんだ。これもあくまでも腰だめで決めるしかないんです。  なぜ腰だめで決めるかというと、それが政策金融機関をつくった目的そのものなんですよ。そのときに、目下の財政事情につき——これはちょっと僕は違うと思うんです。財政事情が惨たんたることはみんな承知。輸開銀が本来の政策目的で力いっぱいやることも、これも必要。だから、財政が厳しいから千分の七を千分の三に落とす、いや、経営基盤しっかりやっています——それはやっていますよ。リスキーなところに投資をして赤字を出したら一体どうなりますか。それはもう大蔵省からしかり飛ばされて、何やっているんだとなるに決まっているから、それは健全になるって。でも、そうやって追い詰めていって果たしていいのだろうか。これはお答えは恐らく返ってこないと思います。  ただ大臣、伺いたいんですが、せっかく輸開銀をつくったんです。しかも、業務範囲というのは拡大する一方。かつて輸出優先だった輸出入銀行に輸入が入って、しかも開発輸入から製品輸入にどうやって繰り出していくか。これは新しい分野ですよ。別なリスクを考えてほしい。開銀はどうかといいますと、従来設備投資だった。今度は、そのほかのことも含めて貸してまいりますと。先のことは何にもわからないいわばある種の激変期ですよね。そのときに、悪いけれどもやってもらいたい、僕はそうすべきだと思うんですよ。そのときに千分の七から千分の三に落とす。千分の五はいいですよ、臨時措置だったんだから。今度は千分の三に落としますということは、考えてみますと、大蔵当局あるいは政府としては、輸開銀に対してその程度の期待しかしていないんだろうか、そういう目で見られても一言もないと思うんですが、御所見がありましたら伺います。
  95. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに収支相債の原則というもので二つとも成り立っておるわけでございますから、その収支相償の原則のもとにおける資本は幾らであるべきか。しかも、おっしゃるとおり低収益性あるいはリスク、そういうものを対象にしておるわけでございますから、それは確かにおっしゃいますように、我々も予算編成の際に今日まで出資の要求をある意味において削ったり、融資規模は確保しましょうとか、そんなようないろんなことをやってきましたから、おまえ定かに何ぼまでが収支相債の原則に基づく健全な資本形態かとこう言われれば、私も、まあ今大体収支相債の原則でやっていますからいいじゃないですか、こういうお答えにならざるを得ないという感じがいたします。  したがって、現在の経過と経験の中から、これだけでいいじゃないでしょうか、こう言っているわけですよね、実際。だからそれは、我々も今後とも、激変期、とにかく大変に中身が変化していっているわけですから、そういうものと見合った対応というのは、今後ともその運営を見ながら対応していかなきゃならぬ課題だという問題意識だけは、今の御意見を通じながら十分持たせていただいたつもりでございます。
  96. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 重ねて大臣に伺うんですが、財政状況が今のままでいいわけはありませんし、いずれ好転させていかなきゃいけません。それと直接結ぶかどうかは別にして、出資になるか積み立てになるかこれもありますから別にして、一応今度は法律そのものを千分の三に変えたわけですから、これも含めて、将来の政策課題を見直しながら適宜適切にまた見直していきますということについては、それでよろしいですか。
  97. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは将来政策課題として絶えず念頭に置いておくべき課題であるということは、私も結構ですと申すべきだと思います。
  98. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 時間がありませんので、登記特会について一言だけお尋ねをいたします。  特会にすることは私は賛成なんですけれども、法律のつくり方を見てみますとちょっとわからないので一言お尋ねをするんです。  私の理解は、登記手数料、これは考え方は実費弁済。一方では一般会計からの歳入がある。歳入、収入を見ますと、一般会計からの繰り入れと登記手数料、この二つで組み立ててあるわけです。一方、支出の方を見ますと、登記業務の中で登記手数料で支弁をすべきもの、それから登記手数料、そこに求めては無理が生じる。登録免許税、これは直接はつながりませんが、一応それを背景に頭に置きながら一般会計から繰り入れるもの、大体こんなぐあいにこの特会の考え方は私はできていると思うんです。  そうしますと、二つに分けて考えました。まず、一般会計からの繰り入れに見合う歳入歳出、登記手数料に見合う歳入歳出、頭の中で区分して考えたとします。そこで、この特会で余りが出た場合にどうするのが筋道なんだろうか。もし一般会計の繰り入れの分でこれだけ余りましたと。理の当然としてそれは、翌年度の歳入に繰り入れて翌年度の一般会計の繰り入れを減らす、これが普通でしょう。それからもう一つ、登録手数料の面で余りが出た場合、これは毎年判断することはないでしょうけれども、ある中期的な判断で余りかたまっていったら登記手数料はこれは下げなきゃいけない、赤字がふえていったら上げなきゃいかぬ、こういったものですよね。  そういったぐあいに法律を書いてもらえるとなるほどと思うんだけど、今度の登記特会法のつくり方というのは一般と同じつくりになっているものですから、余りが出た場合には政令で定める限度を超えたものは全部召し上げるぞ、借入金もできます。大体、一般会計から必要経費を見繕って入れているわけでしょう。片一方は実費弁償の判断で登記手数料を決めているわけでしょう。借り入れなんて起きる可能性はゼロでしょう。一時借り入れはこれはあり得ますよ。したがって、借り入れとわざわざ書かれますと、ああ、じゃここでまた借りるのか、赤字国債のしり抜けをやるのかって人の悪いのは読みますよ。だから、いわゆる特会のつくり方、ほかも見ましたけれども大体こんなことになっているわけです。ところが、登記特会の場合にはこういった法律の体裁ではまずかったんじゃないですか。この点だけお尋ねします。
  99. 保田博

    政府委員(保田博君) 先生御指摘のとおり、この特別会計の経費並びに収入は非常に見積もりのしやすい性質のものであろうと思います。したがいまして、ある年度ごとにとった場合に、巨額の歳入超過が起きるとか、あるいは逆に巨額の借り入れをしなければ特別会計の運営ができないといったようなことは、通常の場合あり得ないことだと思います。ただ、理屈からいいますと、例えば登記簿の謄抄本の交付の申請といったようなことが非常に予想を上回って起きた、あるいは年度の途中でコンピューター関係の技術革新が非常に大きくなってこれが取り入れられるといったような場合が、あるいはあるかもしれない、全く絶無であるということではないのかということから、そういう場合を想定しまして、当然、繰り越しあるいはさらには一般会計への繰り込れということも万一に備えてこれは置いたということでございます。  それから借入金につきましても、先ほど冒頭に申し上げましたようなことですから、通常の場合にこれを必要とするといったようなことはあり得ないことかと思うのでございますが、年度の途中で大災害があって登記所並びにコンピューターの大幅な災害復旧といったようなことがあるいはあるかもしれないといったようなことを想定しまして、万全の法的な措置をお願いしておるということでございます。この特別会計を利用しまして一般会計がいわば赤字公債の肩がわりをしていただくというようなことは、毛頭考えておりません。一般会計への繰り入れといったようなことを仮にお願いするというようなことがあるとしますと、当然国会での予算上の議決をお願いするということでございますから、決して先ほど申し上げましたような財政節度を失ったような運営をするということを想定してこのような規定をお願いしているということではございません。御理解をいただきたいと思います。
  100. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 一般会計への繰り入れですけれども、とにかく収入面を見ますと二つあるわけですね。一般会計からの繰り入れと手数料収入、そうでしょう。手数料収入が仮に、今年度は非常にお客さんがたくさんおいでになってこれだけ余っちゃった。この余ったものというのは一般会計に繰り入れるべき性格ではございませんよね、性格からいって。したがって、こういったものは余裕金として運用できるよという条項を起こすのはいいんだけれども、その一部を召し上げるということは手数料の性格からいってあり得ない。  一般会計の歳入に見合うもの、これが大きく余った場合、これは当初の見積もり誤りでしょう。そのときにどうするかといったら、翌年度の予算を組むときに、その分を繰り越しておいてあとちょっとだけ足す、したがって翌年度でいいだろう、こういったことであって、一般会計への繰り入れ、要するに政令で決めているある一定限度以上は繰り入れるぞというあの条項を起こす必要はないのじゃないか。それは、借入金の方は大災害があるかもしれぬ、なるほどわかります。一時借り入れはこれは私は理解します。だけど、余ったものの一般会計への繰り入れ、あの条項は実際になじまないと思うのです。  要するに、特別会計だから剰余金が出ます。手数料に見合う分だったらこれは繰り入れてはいけないわけです。これは約束が違うということになるでしょう。一般会計からの繰り入れだったら、当初の予算の計算違いなんだというぐあいにした方が、より明快にこの特会の性格がわかるのではないか。  最後に、この点だけ重ねてお尋ねします。
  101. 保田博

    政府委員(保田博君) 先ほど来申し上げましたが、この特別会計で剰余金が生じましたときに、その剰余金を生ずるのに大別しまして二つの、甲号見合いのものと乙号見合いのものとあるではないかという御指摘、まさにおっしゃるとおりでございます。特に問題にされておりますのは、乙号の関係で剰余が生じた場合を想定して、一般会計へ繰り入れるというのはけしからぬではないかということだろうと思います。まさに御指摘のとおりだと思います。  乙号関係の手数料は、大体一般の手数料の改定が三年ごとに行われておるということから、大体向こう三年間を見通しまして経費を見積もり、その件数で割って一件当たりの単価を出すという算定でございます。その結果としまして、ある年度にその部分において剰余が生ずるということがあれば、それは当然繰り越されて翌年度の乙号事務の関係の経費に原則として充てられるということであろうと思いますが、そういう剰余が経常的、恒常的に生ずるというようなことであれば、当然今度は手数料が高過ぎるのではないかということから、その際には次期の改定期を待って、あるいはさらにその額によりましては予定の三年を待たずとも、その引き下げを行うということは当然あり得ることだと思いますし、それが筋であるというふうに私も理解をいたしております。  ただ、一般会計への繰り入れの規定は、昨年この委員会でも御審議をいただきました特許特会の例もございましたので、一般的なものとして規定をいたしましたが、先生の御懸念になるような運用はしないつもりでございます。
  102. 青木茂

    ○青木茂君 主として登記特会について御質問申し上げます。  登記特会は必要でしょうし、コンピューター化もこれまた必要だとは思います。思いますけれども、登記所というような行政窓口で一番基本的なものというのか、大切なものが、甚しく欠けているのじゃないかという気がして仕方がないんてす。よく言われておりますように、行政窓口というのは四つのSが必要だ。一つはスキンシップ、一つはスマイル、一つはスピード、一つはシュアだ、こう言われているのですけれども、シュアはともかくとして、国民とのスキンシップという点におきましてめちゃくちゃに欠ける。連年一番悪いということですから、そこにちょっと問題を集中させまして御質問を申し上げたいのです。  まず何より、我々がいろいろな登記申請をやりますときに、個人てはなかなか、あらゆる難癖をつけられちゃってやりにくいのですが、全体の申請件数の中で、例えば年間でもいいし月間でもいいんですけれども、司法書士を通さないで個人でできたもの、これは一体どれぐらいございますでしょうか。
  103. 稲葉威雄

    政府委員(稲葉威雄君) 全体の登記件数の中で、司法書士が関与しているものが七〇%ぐらいでございます。残りの三〇%が司法書士を通さないということになるわけでございますが、この中には、先生御指摘の個人がやったものと、それから公共機関と申しますか市町村等が公共事業の買収とかあるいは土地区画整理等に基づいていわゆる嘱託事件としてやったものと両方ございまして、必ずしも個人のものがどのくらいあるかということは、正確には推計できないわけでございますけれども、まあ一〇%ぐらいはあるのではないかというふうに考えております。
  104. 青木茂

    ○青木茂君 まあ一〇%ぐらい。その仮に分母の中に、極めて簡単なもの、住所変更だとか氏名変更だとか、全く個人で簡単にできるというものが分母に含まれているのかどうか。そういうものを抜いてみますと、個人でできること、やっていることというのは極めて少なくなってしまうのだけれども、これは一体理由はどこにあるとお考えでしょうか。
  105. 稲葉威雄

    政府委員(稲葉威雄君) 一つはやはり、登記手続というのはかなり技術的でございまして、しかも経常的に行われるわけではない。普通の庶民でございますと一生に一回か二回ぐらいしかやらないというようなことがございますので、これについて、ちょっと登記所へ行って自分でやるということはやらないで、専門家に頼むということがあるのではないかというふうに思います。それは、ですから登記手続自体がやや、素人いわゆる初めてやる方にとってはやはり難しいということ、それとともに、時間といいますか、それをやるくらいなら専門家に頼んだ方がという、自分の時間を空費して登記所のところへまで行ってそして申請事件をやらなきゃいけないわけですから、そういう時間と、それから手数料と申しますか、司法書士に払う報酬とを比較してみまして、どちらがいいかということを考えてみる、こういうことだろうと思います。
  106. 青木茂

    ○青木茂君 それなら実は大変結構なんです。しかし、事実は私は逆だと思いますね。むしろ登記所の窓口がさも面倒くさそうに、司法書士へ行け司法書士へ行けと勧めてしまうわけなんです。  三年前に私自身も経験があるんです。ある会社の設立、こんなことは何も司法書士に金を払うことはないから自分でやれといって、やったら、三回突き返されましたね。第一は印紙の張ってある場所が悪い、第二は印鑑が横にちょっとずれておった、第三はここを直せあそこを直せ。直しますよ、訂正印をつきますよ。そうすると、こんなに汚くなったら全部書き直してこい。それで文句を言ったら、あそこに司法書士があるじゃございませんか、こういうことなんですよ。  これは三年前の話だから、ちょっと古いからいかぬと思って、私実はこの質問のために渋谷と中野と目黒と新宿、この登記所を歴訪してみました。皆そうです。所有権移転登記という一つの例を使ってやってみた。皆そこで、司法書士へ行きなさい、一つの例外もなく窓口で、民間の職業人であるところの司法書士へ行けということを勧めてしまう。これで果たして国民と行政窓口のスキンシップが成立するであろうか。そういうことがあるから、ワーストテンのトップになってしまう。  そうすると、私は、司法書士制度のあり方自体に少し問題があるのじゃないかということなんです。司法書士は国家試験でやる。ところが、法務局へずっと勤めておるとこれはフリーパスですか、ここのところをちょっと。
  107. 稲葉威雄

    政府委員(稲葉威雄君) フリーパスではございませんで、一定の資格要件を持って司法書士にするのにふさわしいというふうに法務大臣が認定した者について資格を与えるということになっております。
  108. 青木茂

    ○青木茂君 それでしたら、一緒に国家試験を受けさせてしまえばいいんじゃないですか。
  109. 稲葉威雄

    政府委員(稲葉威雄君) これはどの資格を持つ者も同じでございますけれども、同じというか、そういうルートがあるわけでございますが、その一環として、ある程度の学識を持っている、つまりこの場合で申しますと、司法書士が申請したものを審査してそれについての許否の決定をやってきた者でございますね、そういう登記官としての仕事をやってきた者につきまして、改めてそういうことをやるについて試験を受けないと司法書士にはしないというのも何かおかしいのではないかということもございまして、そういうことで、資格を与えてもよろしいのではないかという考え方でそういう仕組みになっております。
  110. 青木茂

    ○青木茂君 そういうプロを長いことやっているから試験なんか簡単に通っちゃうのじゃないんですか、国家試験だっても。逆に言うと、試験を落ちちゃうから何か特典を設けるというようなことにもとれる。  それはそれでいいんですよ。いいんだけれども、そういうことがあるものだから、何か登記所の職員と司法書士が一心同体になり過ぎちゃって、自分もいつかはそうなるんだから司法書士の仕事を拡大しておかなければいかぬ、それで個人が持っていくと何か難癖をつけては司法書士へ行け司法書士へ行けということになって国民の不興を買う。ここのところをはっきりさせずに特会にしたって、コンピューター化にしたって、私は本当に形式上の問題にすぎないと思うんですよ。行政と国民のスキンシップを欠いて国民から不快感を持たれて、一体何の特会なのか何のコンピューター化なのか、そこら辺が私には基本的にわからないんです。
  111. 稲葉威雄

    政府委員(稲葉威雄君) 先生の御指摘の窓口サービスが極めて悪いということについては、昨年の総務庁の調査結果でもワーストワンというようなことが出ておりまして、この点については私ども非常に厳粛に受けとめているわけでございます。  ただ、非常に弁解がましくはなりますけれども、登記所は非常に繁忙でございます。繁忙でございまして時間的に追われて仕事をしている。そしてしかも登記というのは、来たものについては待ったなしにこれはやらなければいけないわけでございます。そして、時間がおくれますと取引にも支障が起こるということ、あるいは待たされるということで、非常に苦情が来るわけでございます。そういうことで、事務量に比較しまして職員数が少ないという状況があるわけでございまして、そういう仕事の上での余裕がないとなりますと、勢いどうしてもこれは親切に応対しているということができかねる、これは一般的に、個人差はもちろんありまして、その中でも親切な人それから非常につっけんどんな方ということはあるわけでございますけれども、しかし概して私どもでも時間に追われておりますと電話の応対もつい粗雑になるということがあるわけでございまして、そういう事情があるということは御賢察いただきたいと思うわけです。そういう状況、事務量に比して慢性的に人員が少ないという状況を解消する、そのためにこういう登記特会という制度を設けようということにしたわけでございます。  私どももその状況が事務量が多過ぎてパンク寸前の状況にあるということは認識しておりまして、それが今度の登記特会創設の大きなエネルギーになったわけでございまして、そういう意味で、この登記特会を一つの契機にいたしまして事務の合理化を推進いたしまして、事務量について少しでもその負担といいますか、余裕を見つけまして、それを窓口事務の改善に充てるというようにいたしたい。それとともに、そういう習い性になっているといいますか、そういう慢性的な事務の繁忙ということを口実、と言うと少し言葉は悪うございますが、そういう現状になれ過ぎて少しそういう面でのサービス精神に欠ける面があるのではないかという御指摘もあるわけでございます。私どももその点については繰り返し、研修あるいは職務の遂行の過程において注意をしているわけでございますが、その点についてはなお一層注意をしてまいりたいというふうに考えております。
  112. 青木茂

    ○青木茂君 国会答弁の中では、事務が忙しいから国民につっけんどんになってもそれはという人情論ではないんですからね。これはもう全くおかしい。  ちょっと大蔵大臣に矛先なんですけれども、税務署は最近よくなりましたな、大蔵大臣。税務署もかなり忙しいのじゃないんですか。
  113. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 税務署もそれから財務局も評判がいいと言われて喜んでおります。
  114. 青木茂

    ○青木茂君 ですから、忙しいんてしょう、忙しいが評判がいいわけでしょう。まあ金をもらうんだからしようがないですけれども。  司法書士へ行くということは、それだけ金がかかるということなんです、国民負担が大きくなるということなんです。幾ら登記所の方では忙しくてあれだからといっても、だからといって国民に余計な負担をかけるということは全く私は納得しがたい。とにかくこれは、司法書士制度というものがあるのはいいけれども、登記所の窓口で、司法書士へ行け、司法書士へ行けと送り込むこのやり方だけは私は絶対に厳重に監視をしていただきたいと思うわけなんです。それをさらに念押ししておきます。
  115. 稲葉威雄

    政府委員(稲葉威雄君) 先ほども申し上げましたように、登記というのは非常に技術的なところがございますので専門家を通した方がいい場合もあるわけでございますが、事実上にいたしましても登記所がそれを強制するというようなことがあっては、法律上はそんなことはできないわけでございますが、事実上にしてもそういうことがあってはならないということは申すまでもないことでございまして、その点については、先生の御指摘を体しましてなお一層周知徹底については努力したいと思っております。
  116. 青木茂

    ○青木茂君 それでわかりました。申すまでもないことが事実行われているんだから、これは非常に国民の不快感を呼ぶ。行政窓口が国民の不快感を呼ぶということは政治全体が不快感を呼ぶということ、決して大げさな表現ではないと存じますから、ひとつよろしくお願い申し上げます。  そこで次に、コンピューター化された場合について、今の問題、少し伺いたいんてすけれども、コンピューター化されますと、少し職員に余裕ができていらいらが少なくなって、司法書士に頼らなくても個人でできる範囲というものは少し広がってくるというふうにお考えでしょうか。
  117. 稲葉威雄

    政府委員(稲葉威雄君) そういう面の効果もございますし、それから窓口の整備のために窓口の整備要員を置く、あるいは登記の相談官を置くというようなことも配慮したいと思っております。そういう手当てがありますと、一般の方もそういうところへ行って相談をしてやっていただける。先ほど税務署の職員の話が出ましたけれども、税務相談というのは極めてこのごろ親切になっております。そういうような体制を一日も早く登記所でもつくりたいというふうに考えております。そのためには、やはり特別会計というのは非常に効果があるのではないかというふうに思っております。
  118. 青木茂

    ○青木茂君 特別会計が効果があるかないかの判断はこれから我々がやるんですけれども、それはコンピューターを入れればいわゆる相談事務まで広げることが可能なんですね。時間がちょっと、輸開銀のこともありますから、簡単にお答えをいただきたい。
  119. 稲葉威雄

    政府委員(稲葉威雄君) 将来どの程度の事務量になるかということが必ずしも明確ではございませんのでどの程度余裕が出るかということははっきり明確にはできませんけれども、そういう方向になることは間違いないと思います。
  120. 青木茂

    ○青木茂君 それから、非常に今待ち時間が長い。コンピューター化された場合に、この待ち時間というものは一体どれぐらい短縮されるであろうと、これはもちろん概算ですけれども、お考えでございましょうか。
  121. 稲葉威雄

    政府委員(稲葉威雄君) これもはっきりした数字が出せないというのは、要するにピークにたくさんの人が集まりますとこれはどうしてもだめなわけでございます。これがならされて執務時間に均等にばらまいて来られますと、非常に早くなるということでございます。ただ、今平均しますと四時間というような待ち時間になっているわけでございますが、これをせめて市町村における戸籍等の待ち時間程度に短縮したいということで鋭意努力したいというふうに思っております。
  122. 青木茂

    ○青木茂君 その、司法書士を通さなくてもやれること、それから待ち時間の短縮、この二点が実現しなきゃコンピューターを入れる意味がないわけですからね、そこら辺のところをよろしく。  それから、コンピューター化された場合、例えば鹿児島が本籍である、何ら鹿児島にちょっと頼める人がいないといった場合、東京におって自分の謄本を取り寄せるということは、コンピューター化された場合は極めて簡単になるわけですか。
  123. 稲葉威雄

    政府委員(稲葉威雄君) その点については、まだシステムを完全には詰めておりませんけれども、今の構想では、東京の登記所の窓口で鹿児島の土地の登記簿謄本を請求するということも可能になるような形で検討してまいりたいというふうに思っております。
  124. 青木茂

    ○青木茂君 次がありますからこれで終わりますけれども、肝心かなめのところが詰められずにやれコンピューター、やれ特会と技術論的なシステムの方が先行するというのは逆じゃないかという気がして仕方がないんです。これだけのこういうメリットがあるからコンピューターを入れましょう、そのためには特会が必要でしょう、こういう順序になってきてほしい。  とにかく私は、行政と国民の間にスキンシップを欠くとか、あるいは行政と国民の間に司法書士だ何だというクッションを置くということは、国民をどんどん行政から遠ざけてしまうことになるのだということだけは、くどくも辛くも念を押しておきたいと存じます。  それから、非常に時間がなくなりまして申しわけないのですけれども、輸開銀のことでございます。  最近どうも、開銀も一般の並みの金融機関、つまり補完ではなしに実質的には競合ではないかというようなちまたの声がありますね。ちまたの声という意味は、数字とか理屈を抜きにしてそんなことを言っている人もあります。開銀のお金が開発会社を通じてホテルあたりへ流れちゃう。あんなものを何で国民の金でやらなきゃならないのか、ホテル業あたりをですね。何かそういう、関銀に勤めておって開発会社へ天下りしたり、ホテルの役員になってしまうような人がいるんじゃないかというような、つまらないことだけれどもちまたの声もある。こういうことに対して、これは総裁にお答え願うのか。総裁にお答え願うんでしょうね。ひとつお答え願います。
  125. 吉瀬維哉

    参考人(吉瀬維哉君) 開発銀行、ホテル関係融資、割に目抜きのところにやっていますので目立つのでございますが、ホテル関係融資、例えば五十九年度の例でいきますと百三十二億、旅館も含めてでございます。開銀の全体に対しましては日一・一%で、量的には割に少ないウエートでございます。  そして、全般的に現在資金過剰になってみますと、ホテル建設に対しまするいろんな市中銀行との競合が生じているやに世間に伝えられておりますけれども、私ども融資の実施に携わっている者といたしましては、むしろ開銀資金が入ることによりまして懐妊期間の長いホテル建設がサポートされるというようなことで、そういう点で市中金融機関と十分協調をとって、いろんな資金配分などを考慮いたしましてやっているつもりでございます。
  126. 青木茂

    ○青木茂君 ホテルというようなああいう業界に金を出すことが政策金融の名に値するかどうか。都市は開発というより、今はむしろ乱がつく乱開発になってしまっているというような状況もございますから、もう少し法文の趣旨をかなりシュアというのかシビアというのか、解釈していただいて、本当の意味の開銀のレーゾンデートル、それを持っておっていただきたいとお願い申し上げます。これは別に、天下りがどれだけあるかというようなことは聞きませんけれども、それをぜひお願い申し上げたいと思います。  それから、もう最後になってしまいましたけれども、これは大臣にお答えを願うことだと思います。  これも極めて初歩的な質問でございますけれども、どう考えましても、開銀と北海道東北開発公庫、それから輸銀と協力基金、これが質的に私は差があると思えないんです。地域金融だったら、例えば北東公庫地域金融必要性がなくなっていない。これはなくなっていないてしょう。しかしそれは、開銀の中の一つのセクションに設けて十分にやれることではないか。今これだけ行政改革が叫ばれておるわけですから、一番やれるところというのか、やりやすいところというのか、そこら辺のところにメスが入ってもいいのではないかという素朴な疑問があるわけなんですけれども、この点については大臣にひとつ御見解を承りたいと思います。
  127. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 一つは輸銀と海外経済協力基金、これはまさに法律上完全に目的を異にしております。実際、対外国ということはそれは全く一緒でございますけれども、したがってこの議論は現実問題としては余りない議論でございます。その両者の競合している点もございませんし、だからよく感覚的に行われる議論の中に存在しておりますが、実態的な面では両機関を合併するとかいう積極的な理由というものはないというふうに理解しております。  それからもう一つ北東公庫の問題でございますが、これは確かに一面いわゆる地域開発枠というのが開銀の中にあるじゃないか、その地域開発枠で対応できるじゃないか、こういう議論はございますが、やっぱり現在の段階で見ますと、北海道、東北というところの地域の振興開発ということは、これは政治的にもまた実態的にも北東公庫がまさに民間金融を補完しておるということになっておりますし、それから地域のこれに対する反対といいますか、あるいは必要性の要請とでも申しますか、それは依然として強いものがございますので、そう軽々に手は触れられないなという素直な印象を持っております。
  128. 青木茂

    ○青木茂君 素直過ぎるんで、私、この前の大蔵委員会のときでしたか、例の脱税国債を言ったときに、過去の通念だとか常識だとか、そういうものを脱却しなきゃこういう状況の中で私は日本経済の再建はできない。例えば、一つ言えば、縦割りという行政組織、行政機構がある。この縦割りというものを踏まえちゃっては行政改革はできないんです。つまり、明治以来というのか、戦後以来でもいいですけれども、持っている物の考え方の常識、通念というものを前提としたら僕は恐らく何にもできないんじゃないかという気がしますから、どの部面でもいいから常識、通念というものを一つ乗り越えた、かつて池田元総理に蛮勇を振るえと言った人がいますけれども、そういう物の考え方がどこかに出てほしいという意向は本当に切実なんです。  最後に、これは具体的でなくてもいいから、私が提起しました問題について大臣の御見解を伺って、終わりにいたします。
  129. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる行政改革を私、今やっておる電電の民営とかたばこの民営とか、それは画期的なことですが、古くこれをたずねてみますと、四十七年度予算編成の際でございましたが、農林省におかれて農地局、農政局、畜産局、そんなものを全部ガラガラポンされまして、食品流通局とか構造改善局とか、名前だけでなく仕組みまで変えられた、非常に短期間でそのことの結論を出されたということに対して大変な驚きを感じたことがありますが、それは池田内閣以来本当のところは部内で一生懸命やっておったのだそうでございます、実現したのは八年ぐらいたってからでございますけれども。だから、ああいうことはあっていいことだなと今でも私は、一例を申し上げたにすぎませんが、そんな印象は持っております。
  130. 青木茂

    ○青木茂君 終わります。     ─────────────
  131. 藤井裕久

    委員長藤井裕久君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、川原新次郎君及び倉田寛之君が委員辞任され、その補欠として増岡康治君及び福田宏一君が選任されました。     ─────────────
  132. 藤井裕久

    委員長藤井裕久君) 他に御発言もなければ、三案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 藤井裕久

    委員長藤井裕久君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより三案の討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  134. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております日本開発銀行法一部改正案日本輸出入銀行法一部改正案登記特別会計法案にいずれも反対の立場から討論を行います。  開銀も輸銀も戦後間もなく設立され、日本経済の復興、基幹産業の生産力増強、輸出増強などの国策遂行のために、国民の零細な預貯金を原資とする財投資金が投入され、もっぱら大企業に対して巨額の長期、低利の融資を行ってきたのであります。  その結果、大企業はますます強大となり、主要産業の大企業の国際競争力は世界でも一、二を争うに至り、その結果我が国の輸出は急増し、いわゆる貿易摩擦問題が深刻さを増している現状なのであります。  このような状況からすれば、輸開銀の当初の政策目的は既に達せられていると見るべきであり、財政危機の現状を考えるならば、これまで産投会計を通じて受け入れた一般会計出資金を一般会計へ繰り戻すことなどによって、その業務を大幅に縮小させることこそ求められているのであります。  にもかかわらず、次々と新たな政策目的をつけ加えることによって両銀行は毎年その規模を肥大させ、今や両行とも七兆円を上回る規模の貸付残高を持つ巨大銀行となっているのであります。  特に、今回の開銀改正では、出資機能の整備として基盤技術研究促進センター及び都市再開発事業等に対する開銀の出資を認め、また新たな技術開発融資制度を創設しておりますが、これらはいずれも技術開発や都市再開発を大義名分とした開銀の機能の拡大であり、新たな大企業優遇措置にほかならないことは、私が質疑の中で取り上げた横浜のMM21計画の事例を見れば明らかであります。  また、輸銀については、保証機能の充実として、従来輸銀との協調融資に際してだけつけられていた保証が、民間金融欄間が独自に行う対外融資や対外投資金融に対しても輸銀による保証を与えようとするものでありますが、これは利潤は大きいがリスクも大きい発展途上国への貸し出しについて、そのリスク肩がわりを輸銀が買って出ようということであり、大銀行の海外債権に対する国の保全措置にほかならないではありませんか。  輸銀法改正はまた、海外直接投資促進するためとして、我が国が出資している海外の合弁会社に対して直接貸し付けができる道を開いておりますが、これは、政府みずから、大企業による利潤追求の海外進出を資金面からバックアップしようとするものであります。  以上から明らかなように、輸開銀二法改正案は、量的補完から質的補完へという名のもとに、従来の輸開銀の対象分野のうち採算のとれる分野を大企業、大銀行に譲るとともに、リスクの大きい分野を新たに引き受けようというものであり、財界、大企業のもうけを補完しようとするものにほかなりません。  最後に、登記特別会計法案については、特別会計制度の創設によって登記事務の合理化、近代化が図られることになる一面、これに伴う経費を受益者負担の名のもとにすべて利用者、国民に転嫁すると同時に、大幅な人員整理で登記関係公務員労働者に過重なしわ寄せを与えるおそれが大きいなどの理由から、反対といたします。  以上の理由をもって右三案に反対するとともに、我が党が従来から主張しているように、産業投資特別会計を国民生活特別会計に改組し、資金運用部資金を大企業本位から国民生活本位に大幅に流れを変えることによって、真に日本経済の再建に役立たせることを強く求めて、討論を終わります。
  135. 藤井裕久

    委員長藤井裕久君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより三案の採決に入ります。  まず、日本開発銀行法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  136. 藤井裕久

    委員長藤井裕久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  137. 藤井裕久

    委員長藤井裕久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、藤井孝男君から発言を求められておりますので、これを許します。藤井孝男君。
  138. 藤井孝男

    藤井孝男君 私は、ただいま可決されました日本開発銀行法の一部を改正する法律案及び日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、参議院の会、新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     日本開発銀行法の一部を改正する法律案及び日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一、金融自由化、国際化が急進展する中で、政策金融あり方について、金利自由化の動向等を踏まえつつ、資金調達及び資金運用の両面から十分検討すること。  二、日本開発銀行及び日本輸出入銀行の業務の運営については、両行の自己調達資金の一層の充実など経営基盤の健全性の維持に配意すること。  三、日本開発銀行の融資等に当たっては、民間金融機関の補完に徹しつつ、生活環境整備、都市基盤の整備など、国民生活の改善に資する分野に対して十分配慮すること。  四、日本輸出銀行は、貿易摩擦問題にも配慮しつつ、輸入金融の利用拡大が図られるよう努めること。  右決議する。  何とぞ皆様の御賛同をお願いいたします。
  139. 藤井裕久

    委員長藤井裕久君) ただいま藤井君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  140. 藤井裕久

    委員長藤井裕久君) 多数と認めます。よって、藤井君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、竹下大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹下大蔵大臣
  141. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいま日本開発銀行法の一部を改正する法律案及び日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案につき御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。
  142. 藤井裕久

    委員長藤井裕久君) 次に、登記特別会計法案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  143. 藤井裕久

    委員長藤井裕久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、桑名義治君から発言を求められておりますので、これを許します。桑名義治君。
  144. 桑名義治

    ○桑名義治君 私は、ただいま可決されました登記特別会計法案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、参議院の会、新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     登記特別会計法案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一、特別会計については、今後とも極力新設を抑制し、既存のものについてもその存置の必要性見直し、もって財政の一覧性が阻害されないように努めるとともに、各特別会計の財政状況・経営成績の表示を極力統一するなど会計経理の明確化を図るよう努力すること。  二、特別会計移行後の登記事務処理のコンピューター化に当たってはその経費が過度の受益者負担をもたらすことのないよう十分配慮するとともに、窓口サービスの向上について鋭意努力すること。   右決議する。  以上であります。
  145. 藤井裕久

    委員長藤井裕久君) ただいま桑名君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  146. 藤井裕久

    委員長藤井裕久君) 多数と認めます。よって、桑名君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、竹下大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹下大蔵大臣
  147. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。  ありがとうございました。
  148. 藤井裕久

    委員長藤井裕久君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 藤井裕久

    委員長藤井裕久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いまします。    午後一時四分散会