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1984-07-30 第101回国会 参議院 大蔵委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月三十日(月曜日)    午後一時開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         伊江 朝雄君     理 事                 岩崎 純三君                 大坪健一郎君                 藤井 孝男君                 竹田 四郎君                 塩出 啓典君     委 員                 梶木 又三君                 河本嘉久蔵君                 中村 太郎君                 福岡日出麿君                 藤井 裕久君                 宮島  滉君                 矢野俊比古君                 吉川  博君                 鈴木 和美君                 丸谷 金保君                 多田 省吾君                 近藤 忠孝君                 栗林 卓司君                 青木  茂君                 野末 陳平君    政府委員        大蔵政務次官   井上  裕君        大蔵大臣官房日        本専売公社監理        官        小野 博義君        大蔵大臣官房審        議官       角谷 正彦君    事務局側        常任委員会専門        員        河内  裕君    参考人        読売新聞社調査        研究本部客員研        究員        元臨時行政調査        会第四部会長代        理        岩村精一洋君        東京工業大学名        誉教授      宮城 音弥君        全国たばこ耕作        組合中央会専務        理事       松下龍太郎君        全国たばこ販売        協同組合連合会        副会長      関野 泰夫君        全専売労働組合        中央執行委員長  牧内 研二君        日本塩工業会副        会長       前囿 利治君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○たばこ事業法案内閣提出衆議院送付) ○日本たばこ産業株式会社法案内閣提出、衆議  院送付) ○塩専売法案内閣提出衆議院送付) ○たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等  に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○たばこ消費税法案内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  前回に引き続き、たばこ事業法案日本たばこ産業株式会社法案塩専売法案たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案を議題といたします。  本日は、お手元に配付の参考人名簿のとおり、六名の参考人方々の御出席をいただいております。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。参考人方々から忌憚のない御意見を承りまして法案審査参考にいたしたいと存じます。  これより参考人方々から御意見をお述べ願うわけでございますが、議事の進行上、最初に参考人方々からお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じますので、よろしく御協力をお願いいたします。  それでは、まず岩村参考人からお願いをいたします。岩村参考人
  3. 岩村精一洋

    参考人岩村精一洋君) 委員長から忌憚のない意見をということでございましたので、こちらにたばこ耕作組合の方あるいは専売労働組合の方がおいでになりますが、あえて忌憚のない意見を申し上げさしていただきたいと、このように思います。  たばこ専売については大づかみに三つの問題があろうかと、そのように考えております。  一つは、外国たばこ資本国内市場の開放を求めているということでございます。  今、日本国内市場におきます輸入たばこのシェアは一・八%ぐらいでありまして、これは専売制度のもとで陰に陽に輸入抑圧の手が打たれているからであると、そのように考えられます。たばこ専売制度は、世界的に発展途上国に限られた制度で、偏った制度でありまして、日本専売制度は、先進国の目から見れば、非関税障壁の最たるものに見られるのじゃないか、そのように思われます。経済大国日本貿易自由化ということを標榜いたしますと、貿易摩擦が激化する環境の中で、たばこ専売を盾にとって輸入抑圧をするということはもう不可能になっているのじゃないかと、そのように思います。  第二番目に、専売公社それ自体の競争力の問題でございます。  たばこ市場を開放しようとすれば競争力が強くなければならない。ところが、公社競争力はそれほど強くないわけでございます。労働生産性の低さということがございます。五十六年の生産性本部生産統計月報というのを見ますと、五十年に比べました労働生産性の上昇の割合が、全製造業では六〇%を超えているのに、専売公社は二四%ぐらいである。そのような労働生産性の低さがございます。たばこ製造工場、これは比較的単純な加工工業でございますから、工場規模利益が大きいわけであります。ところが、公社工場規模はそれほど大きくはないわけであります。公社全国に三十五製造工場を持っておりまして、年間三千億本のたばこ生産しておりますけれども、アメリカはその倍量、倍ぐらいの量を十三工場生産しております。しかも、バージニア州リッチモンドにありますフィリップ・モリスの工場年間一千五百億本、つまり我が専売公社の半分ぐらいの量を一つ工場生産してしまう、そのような状態でございます。  そして、アメリカのあるアナリストの分析によりますと、日本専売公社労働生産性は、アメリカのある工場に比べれば六〇%ぐらい低い。そして専売公社従業員の二〇%は過剰ではないか、このような分析をいたしております。専売公社につきましては、直接生産に携わる人々だけではなくて、管理部門といいますか、間接部門の過剰の問題、これがかなり大きいかと思います。そしてこういう生産性の低さ、効率の悪さといいますのは、専売公社が独占、しかも官業で行われているということが原因ではなかろうかと思います。競争者がいれば、こういう生産性の低さというものは放置できるわけではないわけであります。  また、官業でありますためにいろいろ縛られております。例えば予算一般行政機関と同様、国会の議決を要するということがございます。支出面でも弾力的な運用が不可能でございます。給与面では、給与総額制というものがあって縛られている。しかも労務管理面では、三公社横並び公労法が適用されております。そのほかにいろいろな政治的な介入もある。このような状態でございますから労使とも当事者能力を持たない。自主、自律的立場にないわけでございます。  そうなりますと、どうしても使用者側経営感覚が希薄になってしまう。そして労働者側はまた積極的な参加の意識が希薄になってしまうわけであります。いわば親方日の丸意識の中に安住してしまう。そのようなことが言えようかと思います。その結果、競争力が弱くなってしまった。今の専売公社は、企業といいますよりは、むしろ徴税機関という、そのような様相を呈しているかと思います。  第三番目に、原料である国産葉たばこの問題でございます。これが公社のお荷物となっておって、公社競争力を減殺してしまうという問題でございます。  この国産葉たばこ価格は、品質とかその他を勘案いたしますと、国際的な葉たばこ価格の大体三倍強ぐらいの値段になっております。しかも専売公社はその高い国産葉たばこを五割ぐらい過剰に抱え込んでおります。一年分ぐらい抱え込んでおります。これは三千億円の金を寝かせるという勘定になります。これは昭和四十年代末期に専売公社需給見通しの誤りということが原因となったわけでありますけれども、より大きな理由は、たばこ耕作審議会審議を経まして、耕作面積とか収納価格を決めるプロセスに、生産者米価を決めると同じような、耕作者を中心とする外部からの圧力政治的関与が相当に強いものがあった、そして生産者側の意向が反映して国際的な視野が欠けてしまったということがあろうかと思います。これはある見方では保護農政の一翼を背負っているもの、そのように見られるかと思います。  釈迦に説法でございますけれども、民主主義政治のもとにおきましては、いろいろの圧力集団政治の手をかりまして政府圧力をかける。そしてその結果、政策の合理性が失われる場合が少なくないわけであります。政治介入する官業の場合は、この特定グループ利益に沿うような方向経営がゆがめられやすい。このことを念頭に置く必要があろうかと思います。  親方日の丸官業といいますのは、何も営業の内部だけの意識の問題ではなくて、官業の外にあって官業にぶら下がるといいますか、いろいろの負担を官業に負わせるという、そういう人々意識でもあります。国産葉たばこの問題は、今のような状態のもとでは、とても専売公社競争力を強めるというわけにはいかないだろう、そのように思います。  以上三つの問題がございますが、それに加えて、たばこ消費が余りふえないという状態がございます。ですから、三公社電電国鉄というものと専売横並びにながめてみますと、専売はむしろ、非常に発展性を持つ電電よりも、国鉄のような将来の方向をたどりやしないかという懸念を持つわけであります。  そこで、参議院にかかっておりますたばこ関係法案はこの問題にどのような回答を出しているかということについて私の意見を申し上げますが、一つ輸入たばこ自由化でございます。これは流通専売をなくすることであって、これは貿易摩擦の緩和に非常に結構なことである、このように思います。この輸入自由化によって競争者参入国内たばこ事業を効率化する働きをするであろう、このように考えられます。  第二に、特殊会社としたことでありますけれども、これは予算国会の縛りをなくすとか、あるいは公労法の適用をなくすという意味で非常にいい改革でございます。当事者能力がかなり出てまいります。自律性が幾らか出てまいります。けれども、これで十分という立場法案はとっておるようでありますけれども、それはどうかという気がいたします。特殊会社であるための制約がございます。役員の任免とか事業計画は、これは大蔵大臣権限のもとにあるわけでございます。国産葉たばこ問題の解決には時間がかかりますので当面は特殊会社であってもやむを得ないと思いますが、将来は完全な企業性を追求する完全な民営化へ持っていきたい、そのように思います。  外国たばこ資本は、今は日本への売り込みを自由にすることで満足しているかもしれませんが、将来は国内生産をさせよと言ってくるに違いない。そのような場合にこれを迎え撃つこと、それから同時に輸出市場に打って出ること、それからまた海外のたばこ資本と同じように、将来のたばこ産業会社がコングロマリット化するような経営多角化を図るためにも、これは民営化ということを将来の目標としてひとつ言っておく必要があったのじゃなかろうか。電電改革法案は五年後の経営形態の見直しを言っておりますけれども、このような配慮がこのたばこ専売についての法案でも必要であったんじゃなかろうか、そのように思います。  それから三番目に、国産葉たばこの問題でありますが、これを契約によって買い付けるとしたことは非常に結構であると思います。ただ、価格につきまして葉たばこ審議会審議方向、これがたばこ事業法案四条にございますが、これがどうも生産者側に傾斜しているのではないかという印象を避けることはできないわけであります。これはどういう文言になっているかと申しますと、「生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、葉たばこの再生産を確保することを旨として審議するものとする。」、これは、現在のたばこ専売法五条にございます価格の決定についてですが、「生産費及び物価その他の経済事情を参酌して、耕作者に適正な収益を得させることを旨として定めなければならない。」、この条文と余り大きな変化がないんじゃないか。そしてここの審議方向に、できますならば、専売事業経営健全性とか国際競争力の強化という視点を書き込んでいただきたいものであります。  それから四番目に、小売店の問題であります。これは当分の間大蔵大臣許可制にするということが事業法案二十二条に書かれておりますが、これは登録制ぐらいでいいんじゃないか。既存小売店優位性というものはこれを登録制にしても間違いなく守られるだろう。やみくもに店をふやそうというような意識を新規の参入者はなかなか持たないわけであります。そのように考えます。  そして、時間がかなりオーバーしましたが、注文を三つばかり申し上げたいんです。  その一つは、たばこ審議会外部圧力政治的介入から自由の立場であって、この審議方向外部圧力でゆがめられないようにしたい、そのように思います。そこで人選について慎重な態度が必要であろう。  それから第二番目に、地方たばこ消費税でございますが、これは非常に地方の自治体が多い。地方たばこ消費税を毎月一遍払うというようなことになりますと、これは事によると輸入たばこに対するノン・タリフ・バリアであるというふうにも考えられるわけです。ですから、地方たばこ消費税の払い方は非常に簡素なものにする必要がある。その辺のやり方はどういうふうな運用でもってやれば簡素になるか私よくわかりませんが、ここら辺は余り面倒くさくない方法でやられたらどうかなという気がいたします。  それから第三番目に、大蔵省がこれを所管する、新しいたばこ産業会社を所管するわけでありますけれども、これについての行政は非常に緩やかなものであってほしい、そのように思うわけであります。例えば定価の許可とかその他についていろいろなことが大蔵省行政権限の中に出てま いります。しかしこれを緩やかな行政で対処してもらいたい、そのように思うわけであります。  以上でございます。
  4. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ありがとうございました。  次に、宮城参考人にお願いいたします。
  5. 宮城音弥

    参考人宮城音弥君) それでは私がたばこの問題について考えているところを申し上げることにいたします。  昨今、喫煙と健康ということが重要視されておりますが、これは当然のことかと思います。しかし、健康とは何でしょうか。この場合に、身体的健康だけでなく、社会的健康及び精神的健康というものを忘れるべきでないということを私は主張しているのであります。社会的健康が害されますときに社会病理現象が起こります。犯罪とかあるいは麻薬中毒とか、そういうものが起こります。精神的健康が害されますときに精神病理現象ノイローゼとか精神障害などが起こってまいります。たばこはこういうものに関係を持っていると考えておりますので、まず社会的健康とたばこのことについて申し上げたいと思います。  具体的に話を進めますために私自身の経験を申し上げたいと思うのですが、若いころ私は麻薬中毒患者を収容する精神病院の副院長をしておりました。ところが、患者には喫煙者が非常に多い、大部分はヘビースモーカーであります。麻薬中毒原因には、無論社会的なものがありますし、そのほかいろいろな原因があると思いますけれども、体質がかなり重要であるということをこのときに感じたのであります。麻薬体質喫煙体質とでもいいますか、そういうものに共通のところがあると私は考えます。  たばこ体質的研究をいたしますのによく一卵性双子を使います。一つの卵が二つに分かれたもの、これは片割れ同士が遺伝的に同じなものですからこれを使う。そして二卵性双子と比較いたします。この二卵性双子、一卵性双子一緒に生活し、一緒に育てられているんですけれども、一卵性双子の場合は一方が喫煙者の場合に他方も喫煙者であるという率が非常に多い。にもかかわらず二卵性の場合はそうではありません。ですから、この事実から喫煙の土台にはある程度体質がある。そして先ほども申しましたように、その体質麻薬共通だとすると、このたばこを使うということによって麻薬蔓延防止に役立っているのではなかろうか。つまりネガティブな意味で社会的健康に役立っているのではないか。今日、随分麻薬が盛んに普及しておりますけれども、もしたばこなんというものが全然なくなった場合にはどうなのかということを考えないわけにはいかないのであります。  昨今、世間で騒がれておりますロス疑惑事件というのがありまして、その疑惑の主は、昨今の言葉によりますと、ドイツたばこのゲルベ・ゾルテとアメリカたばこクレイトンというのを一緒にするとマリファナの代用になるなんということを言っております。  下世話な例を申しますと、便所はない方がいいし、公衆便所というのは町の美観を害します。しかし、それが立ち小便の防止に役立つというように、たばこはそういう何かの役に立っている、消極的に何かの役に立っていると私は考えているものですから、たばこのあらゆる問題を総合的に研究しておりますたばこ総合科学研究所、TASCというところにこの問題を研究テーマとしてお勧めしたような次第であります。  たばこと社会的健康に関しましては、たばこの持つ人間関係潤活油という問題とか、いろいろあります。話し合いやコミュニケーションの手段に用いられるとか、いろいろありますが、これは精神衛生の問題、精神的健康の問題に含めて申し上げることができるのではないでしょうか、そう考えます。  そうしますと、次は精神的健康とたばこの問題です。  たばこというのは百害あって一利なし、こういうことをよく言われます。しかし精神的健康だけを抽象しまして考えますと、たばこは有益で無害であります。例えば第一はストレスの問題、ストレス解消するのに役立つ。セリエという人はストレスという学説を発表しましたが、この人がその点、たばこに関する本の序文に、いかにたばこストレス解消に役立つかということを問題にいたしておりますし、その本の中には、原爆投下のフィルムを見せてたばこを吸わせた者と吸わせない者とを比較してそのストレスの違いを示しております。  一体ストレスというものはどんなものを起こすかといいますと、ストレスノイローゼを起こしましょう。あるいは、昨今問題になることの多い心身症原因になります。心身症原因になるとしますと、つまり胃潰瘍を起こしたり円形脱毛症台湾はげと言われているものを起こしたり、あるいは高血圧を起こしたり、耳鼻科病気やあるいは眼科の病気なども起こすわけですから、身体的健康にも関係してくるということが言えるのではないでしょうか。  精神的なものにどういう影響を与えるかということは、これはもう心理学その他でもっていろいろ実験をやっております。例えば心的緊張力仕事を頑張り続けさせる力がどういうようにしてふえるかどうか。能率、例えば反応時間がどうなるのか。精神的テンポがどのくらい速くなるか。注意力がどうなるのか。記憶力は、記憶力のうちでも、今聞いたものをすぐに繰り返すような短期記憶は、これは別にたばこ関係がありませんけれども、長期記憶になりますと、長い間の記憶、頭に名残を固めていく作用から言いますと、たばこプラス作用をするなどと言われております。これは精神的問題でありますが、こういう問題を我々は無視することができない。  ところで、こういう問題は特に個人差が非常にあります。それで次に身体的健康とたばこの問題に入りますけれども、身体的健康とたばこの問題についてもやはり個人差というものを重要視しないわけにいかないのであります。  ただ、確かにたばこには体への悪影響がありまして、フランス学派はタパジズム、タバコ症ということを言っておりますので、私もそれは紹介いたしました。これはニコチンだけではありません。特に慢性の消化器病気、あるいは咽頭炎、のどの病気ですね、あるいは頻脈、脈が速くなる、あるいは期外収縮とかいろんなものを起こす。さらにはがんとの関係が問題にされております。  しかし、これらはすべて個人差があります。そうしてどのくらい吸うか、たばこをどの程度にとるかという適量の問題があります。ある人にはたばこストレス解消という、先ほど申し上げたものを通じましてプラス影響さえもあります。  日本泉重千代さんという世界一の長寿者がおります。ギネスブックに載っておりますが、この人なんかはたばこを吸っている。あるいは我々の周辺にも有沢広巳先生みたいなヘビースモーカーがおりまして、一緒講演旅行をしましても盛んに吸っておられたです。精神分析のフロイトなんという人は、これはもう大変なヘビースモーカーでして、それが原因で恐らく私はがんになったと思いますが、がんになって死んだのは八十二歳。そうして、一時的に禁煙されたことがありましたが、たばこを吸うすばらしい習慣をやめたことで私の知的関心が大幅に減退しだということを本の中に書いております。  そんなことで、プラス影響もある。そうして、人によって適量というものがあるということを考えなければならないと思うのであります。  特に一般的に今日問題になりますものに肥満、太るということがあります。短命と関係あるものとして太る、肥満がありまして、長生きするためにはやせよということを言うんだそうであります、アメリカでですね。そういうことが言われているんですが、確かにそういうことは否定できません。  私は長い間評論をやっておりました大宅壮一さんと一緒仕事をしておりましたが、この大宅壮 一さん、晩年には異常に太ってしまった。たばこは吸いませんし、だんだんに太ってきた。そうして、とうとうそれが原因で私は早く命を亡くしたのだろうと思っております。  アメリカ痩身法、やせる方法は、たばこだけではありませんけれども、適当にたばこを組み入れて、そうしてやせるというやり方を勧めております。いろいろな方法がある。たばこをある程度害にならないように使えということを勧めております。  大体日本人は、これは体によいとなりますと余計飲みます。例のキノホルムやなんかでも私はそうだと思っております。私自身はかつて四十代、五十代のころ大変下痢をしまして、キノホルムの御厄介になっていたわけでして、これが今禁止されたということに大変憤慨しているような次第です。つまり、いいとなると余計飲む。これは日本医療制度との関係がありますけれども、非常に余計とる。こういうことではいけないので、適量というものが常に問題になるのではないでしょうか。  さて、こうなりますと喫煙をこれからどうすべきか。喫煙の知恵ということが必要だと思います。  これからの方向の第一は、例えばたばこ会社ができるそうですけれども、私はたばこの種類を多くすることを勧め、希望しております。ユネスコの学会に出席しろと言われまして、出席いたしました。このとき有名な学者の一人が私と一緒に生活したんですが、その彼が、健康の理由のためにむやみにたばこは吸えない、かぎたばこを吸えと言われて、鼻でかぐたばこホテルで売ってませんでしたものですから、ホテルから出でたばこ屋へ行って買ってまいりました。それをよく覚えているんです。日本でもシガレット以外のものも買えるように、健康を考えてたばこを吸うことができるようにすべきではないかというのが私の一つ意見です。  それから第二は、たばこに強い人に自由に吸わせると同時に、弱い人に間接喫煙の害がないようにすることが大切であろうかと思います。  私は国鉄の安全会議の会長をしているわけですけれども、そこでもって申し上げたことがありますが、湘南電車なんかの場合にグリーン車が二両ついている。だけども、これを両方禁煙にしている。そんなことは必要ないんで、一つ喫煙車にしていいのではないか。同時に、あらゆる列車を外国式に遠くへ行く列車でも一両ごとに禁煙車をつけるようにした方がよくはないかというふうに考えるのであります。  個人の立場から言いましても、たばこというものは遺伝に関係がある、身体的条件に関係がある。価値観を土台にしていることもありましょう。とにかくそういうわけで適量ということが必要。  将来は学校などでもそういう喫煙の教育をすべきではないか。喫煙教育というものによって喫煙の知恵、どんなふうにたばこを吸うかという知恵が必要だと思います。これは学校だけでなくて、テレビなどでもこれは言えることだと思います。私のところにヨーロッパ人がこの前来ておりまして、テレビを見て、そうしたところが、もちろん我々は途中で説明をするんですけれども、何でもないドラマですが、相手に吸ってもいいですかとも聞かずにたばこを吸い出したら、日本人はそうなのかというようなことを言っておりましたが、そういう習慣形成の必要というものもあるのではないでしょうか。  要するに、喫煙の知恵というべきものを社会全体がこれを身につけていくということが絶対に必要であろう。そして、その限り十分にこれを利用する、たばこストレス解消プラスになるならばこれを利用させるというような、これが大切であろうというのが私の考えでございます。  後でまた御質問がありましたらお答えすることにしまして、これでもって終わりにいたします。
  6. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) どうもありがとうございました。  次に、松下参考人にお願いいたします。
  7. 松下龍太郎

    参考人松下龍太郎君) 松下でございます。  先ほど岩村参考人から大変痛烈な御批判がございまして、審議いただく上ではこれに触れるべきかもしれませんが、その立場にもございませんので基本的な意見だけを申し上げたい、こう思います。  今回の専売改革問題が提起されましたとき、そのたばこ耕作に及ぼす影響が極めて大きいことから、耕作者はその推移に深刻な不安を抱きました。特に、この問題が製品たばこの市場開放問題と並行して生じたところに問題の厳しさがありました。  たばこ耕作は、八十余年の間、専売制度のもとにあって、その原料供給の役割を担当してまいりました。最近においては、かつての零細経営から脱皮して、耕種部門では米に次ぐ生産高の農産物に成長し、たばこ耕作農家も極めて専業度の高い農村経済における中核的存在となっております。このような実態から、私どもは、今次の改革に当たっては、単に企業合理化の観点にとどまらず、我が国農業におけるたばこ耕作の意義をあわせ考えるべきであるとして、現行専売制度公社制度の発展的存続を強く主張してまいったところであります。  しかしながら、一方、市場開放を強く求められている現下の国際増勢のもとにおいて、我が国たばこ事業の国際競争力の強化が急務であることもまた事実であります。外国製品のシェアの拡大が直ちに原料葉たばこの需要減退につながるという現実を無視することはできません。  この農政的な配慮と、たばこ事業の当事者能力の強化という二つの柱の調和を図り、我が国たばこ事業の長期的な発展を目指したものがこの改革法案であると私どもは考えております。さまざまな曲折はありましたけれども、私どもはこの法案を信頼し、その成立を強く念願するものであります。諸先生のこの上とも一段の御高配を心からお願い申し上げます。  この法案によってたばこ耕作に関する基本的な諸制度が発展的に継承されていることは感謝にたえないところであります。しかしながら、今後の新会社の運営について一抹の不安がないわけではありません。新会社が激烈な国際競争下においてその企業性を最高度に発揮すべきはもとよりでありますが、その運営が利潤追求に偏する余り、農業であるたばこ耕作に対し限界を超えたしわ寄せを及ぼすことがあっては、我が国たばこ農業の将来はありません。私ども自身、みずからの体質の強化に真剣な努力を傾ける決意でありますが、新会社が節度ある経営を行うよう諸先生の特段の御配慮を特にお願いいたしたいと存じます。  同時に、株式の政府保有については、私どもが大きな不安の中で公社特殊会社化に踏み切った最大のよりどころが政府全額出資の国有会社というところにあった実情を御理解を賜りたいと思います。  市場開放体制のもとにあって、これからの我が国たばこ事業の環境はまことに厳しいものがあると存じます。私どもは運命共同体として新会社と一体となって品質、生産性の向上に全力を挙げる所存でありますが、何分にもわが国の風土、立地条件からして体質の改善には多くの困難があります。今後とも農林行政の一層の御協力をお願いするとともに、新会社による耕作近代化のためのたばこ耕作者、耕作組合への助成の継続、試験研究機関の強化などに特段の御配慮をお願い申し上げたいと存じます。  同時に、法案に直接関係するものではありませんが、今後の国際的な原料コスト面での競争に対処するには製品たばこの関税問題が極めて重要であります。今後のたばこ事業において国産葉たばこを主原料として使用していく方針を貫くためにも、先般二〇%に引き下げられました関税率がこれ以上引き下げられることがないよう衷心よりお願い申し上げるものであります。  以上、たばこ耕作者の心情を申し上げました。私どもの心情をお酌み取りいただき、改革法案の今国会での成立のため特段の御配慮をお願いいたしますとともに、新会社移行後も耕作者のため一層の御指導を賜りますようお願いをいたしまして意見といたします。  以上であります。
  8. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ありがとうございました。  次に、関野参考人にお願いいたします。関野参考人
  9. 関野泰夫

    参考人(関野泰夫君) 関野でございます。たばこ販売協同組合の全国連合会の副会長をさせていただいております。先生方には、日ごろたばこの販売業界に対しまして温かい御指導を賜りまして、ありがたく存じております。また、このたびのたばこ事業関係法案につきましては、御熱心な御審議をいただき、本日は私どもの業界の意見を述べさしていただきます機会を与えられましたことを大変光栄に存じております。  今回、専売制、公社制度の改正に当たりましては、私どもたばこ小売店は流通の秩序の維持、特に指定制と定価制度の維持を強くお願いしてまいってきたところでございます。先生方には既に御承知のことと存じますが、ここで私たちのお願いの趣旨を述べさせていただきます。  たばこ流通専売制がとられましたのは明治の時代でございましたが、財政上の要請によって民営から専売制になりまして、既に八十余年が経過いたしております。この間、たばこ小売店は零細な経営実態の中で、嗜好品として日常生活に親しまれておりますたばこのお客様への利便、流通秩序の維持に努めてまいり、結果として、国及び地方自治体の財政収入の確保に協力してまいったのでございます。この小売人指定の制度は、いかなる地域におきましても同一の品質、同一の価格で販売することにより、商品購買への信頼を築き上げてきております。また、このたばこにかかる税金には国及び地方自治体はほとんど徴税コストを必要としないで、しかも確実に税収を上げられているわけでございます。こうした長い歴史を通じてのたばこ小売店の役割、使命、そして貢献につきまして、ぜひ先生方の御理解を賜りたいと存じております。  次に、たばこ小売人の経営の実態につきまして申し述べさせていただきます。  現在、たばこ小売店全国で約二十六万店ございます。これはお酒の販売店が約十四万店ぐらいというふうに伺っておりますので、その倍近い数字になるわけでございます。また人口の面から見ますと、四百五十人に一店ぐらいの割合になっておりまして、皆様に御不便をかけないように配置されていると思っております。このたばこ販売店の一店当たりの平均の売上高は月に約百万円でございます。大体平均百万円でございまして、しかもこのうち月に百万円以下のお店が七〇%を占めております。五十万円以下で見ますと四〇%ぐらいになるわけでございます。たばこ小売店が総じて零細な経営実態にあることがおわかりいただけると存じます。また、このたばこ小売人の中には、身体障害者福祉法及び母子及び寡婦福祉法の該当の方もかなりいらっしゃるわけでございます。こうした状況の中で今日たばこ小売店が何とか経営していくことができますのは、無論他の商売も兼業しております店も多うございますが、何と申しましても指定、定価制によるものでございます。  以上申し上げましたように、指定制は、財政上も、消費者の利便あるいは小売店経営上からも、明治以来有効に機能してきたものと信じております。仮にこれが崩壊するようなことになりますと、軒並みにたばこが販売されることになり、小売店が乱立することは明らかでございまして、さらに小売店は零細化し、その秩序が乱れて各方面に重大な影響が出ることと思われます。このことから来る混乱は、新たにできる会社等における配送経費や販売費の増大を招くことになりまして、ひいては価格の上昇をもたらして、また乱立によって財政収入に影響が生じるおそれもあるわけでございます。今回審議されております法律案におきましても、この指定制度につきましては実質的な維持が図られておりますことを大変ありがたく存じておりますが、今後とも、将来にわたって先生方の御高配をいただけますよう心からお願い申し上げます。  定価制度につきましても同様でございまして、現在、たばこは銘柄ごとに定価が定められ、全国どこの売り場でも同一価格で売ることを義務づけられておりまして、たばこ小売店はこれをかたく守り続けてまいったわけでございます。したがいまして、定価制度はお客様にも長い間にわたって定着しておりまして、商習慣としても確立されているわけでございます。この秩序がもし崩れるようなことになりますと、場所によっては大変高価なものになったり、大規模小売店が値引き販売やダンピングを行うおそれもあるわけでございます。それに対応できない零細なお店は、おのずから経営を維持することが難しくなることは明らかであります。これが財政、すなわち税収確保にも影響することも心配になるわけでございます。なお、外国におきましても、専売国のみならず、非専売国でも定価制度をとっている国があるというふうに伺っております。  図らずも私どもの意見を述べさしていただく機会を得ましたことを厚く御礼申し上げますとともに、今国会の御審議に当たりまして、零細な小売店の実情を十分に御賢察くださり、指定、定価制度が、法的措置はもとより、その運用も含めまして実質的維持が図られまして、早期成立いただけますように伏してお願い申し上げる次第でございます。  どうもありがとうございました。
  10. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) どうもありがとうございました。  次に、牧内参考人にお願いいたします。
  11. 牧内研二

    参考人(牧内研二君) 全専売労働組合委員長の牧内です。よろしくお願いします。簡単に意見を述べさせていただきます。  今回の改革法案は、言うまでもなく、専売制度八十余年、公社制度三十余年にわたる制度の抜本的改革であるだけに、労働組合としても強い関心を持っていることは言うまでもありません。今、世界のたばこ産業はビッグスリーと言われる巨大なたばこ資本によって市場が支配されております。また日本市場は現在専売制度下で公社によって独占されていますが、アメリカを中心にして年々市場開放の要請が強まり、現制度下においても外国たばこのシェアは拡大の方向にあり、成年人口の伸び率の鈍化、喫煙と健康問題等と相まって、たばこ需要が総体的に停滞傾向の中で、外国たばこの市場開放のより強い動きが日本たばこ産業を厳しい情勢下に追い込んでいることは明らかなとおりであります。  かかる情勢下で、私たちは我が国のたばこ産業を守るため、競争体制の確立、消費者の求めに応じたたばこづくりに全力を挙げなければならないと考えています。今回の改革法案は、その意味では、我が国のたばこ産業を維持し、発展させるための条件づくりであり、その条件づくりは、たばこ産業の特性、そしてたばこ産業の現状を正しく見詰めた上で行われなくてはならないと思います。  以上の立場に立ちまして若干意見を申し上げたいと思います。  まず、厳しい環境の中で、我が国たばこ産業の健全な発展、財政収入の安定的確保、そして国民経済の健全な発展に資するためには、責任に裏づけされた経営の自主性が付与されなくてはなりません。効率的、弾力的通常が制度運用の両面から保障され、名実ともに完全な当事者能力が確保されなくてはなりません。あわせて、職場の活性化、働きがいのある職場づくりのため、民主的な労使関係が確立されなくてはなりません。  提案されている法案全体を見た場合、当事者能力や労使関係の近代化に向けて前向きな対応がとられていることを評価いたしますが、一方では政令、省令に加えて、大蔵大臣の許認可による部分が多く見られます。この改革法案、すなわち公社から会社化への目的の一つが所有と経営の分離にあると考えるとき、政令、省令、特に大蔵大臣の許認可権の行使のいかんによっては、結果的に当事者能力が制約され、具体的経営活動への介入となりかねません。活力ある責任ある経営体制確立のため十分な解明が行われることを求めたいと考えています。また労使関係についても労働三法下において名実ともに実効のある措置がとられるよう強く求めるところであります。  次に、長い専売制度のもとで日本たばこ産業を維持し、発展させ、今回三兆円の売上高、一兆八千億円の財源貢献を果たしている公社が、私たちの組合は言うに及ばず、葉たばこ耕作農民、たばこ販売店、関連産業で働く人たちの努力によるものが多いことをぜひ認めていただきたいと考えます。その上に立ってこの制度改革が行われるわけでありますが、これらの人たちが将来に向けて強い不安を持っていることもまた知っていただきたいというふうに思います。  もちろん本法案が民営・分割の道をとらず、葉たばこ耕作者、販売店の条件に激変緩和の方向をとり、職員の雇用や労働条件についても、基本的に新会社が引き継ぐことなどの措置をとっていることを評価いたしたいと考えます。しかし、それにもかかわらず関係者の多くが不安を持っているのは、現実に専売制度が廃止されたとき、巨大な国際たばこ資本日本市場への進出、そしてたばこ市場が停滞する中で仕事はどう変わるのか、それが生活にどう影響するのか、まだ十分に理解ができないからだと思います。  これからの厳しい情勢の中で競争に勝つためには、品質の面でもコストの面でもみずからが努力する必要性は当然であり、技術革新に向けても組合として対応するつもりであります。そのためには経営基盤強化とあわせて、雇用の安定拡大のための事業領域の拡大、輸入会社との同一規制の原則、国内葉たばこ原料を主原料とするための条件づくりをどうするのか、特に葉たばこは製造たばこのコストに影響するところが大きいだけに、日本農政との関係を見詰めながら国としてのかかわり合いを検討すべきであります。こうした具体的な問題についても、ぜひ本委員会審議を通じて明らかにしていただきたいと思います。そして、制度改革による関係者の不安を排除していただきたいというふうに思っています。  次に、新会社の財務、健全経営確保について意見を申し上げます。  健全経営の確保は新会社の将来に向けて重要な課題であります。またそのことなくして国や自治体に対する安定的な財源確保という役割を果たすことはできません。制度改革後、新会社が法人税等新たな負担を負うことになることは御案内のとおりであります。また消費制度への移行に伴って、初年度には二年分の税金相当額を支払うことになることもあり、新会社としての資金調達、利子増は新会社の大きな課題であります。  さらに、今後の厳しいシェア争い、価格競争を考えるとき、専売制度下と異なった対応が必要となります。もちろん産業関係者としての努力は当然でありますが、我が国のたばこ産業の長期的発展のため、国としての十分な対応も必要であると考えます。税制変更に伴う新会社の資金問題についての適切な配慮、資本金が過大にならない配慮、あるいは五十八年度、五十九年度の特別措置、いわゆる三十四銭問題について延長の措置をとらないこと等の新会社経営のための諸措置に加え、国内産葉たばこの実情等にかんがみ、現行関税率水準を守ること、将来的な課題としていわゆる葉たばこの農政負担分と言われる部分が製品コストにはね返らない措置の検討などが必要であると考えます。  最後に、塩専売制度については、塩が重要な物資であることから、公益専売としての立場を将来にわたって守ることが必要であることを強く訴えておきます。  私たちは、これまで専売制度下で日本たばこ、塩産業の発展のために努力をしてまいりました。将来に向けても全力を挙げて取り組む決意であります。たばこについては安くてうまくて安心して吸えるたばこの供給、塩については円滑な需給と価格の安定を図るため努力をいたします。そのためにも、本委員会における審議を通じてそうした体制が確立されることを期待し、私の意見にかえさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  12. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ありがとうございました。  最後に、前囿参考人にお願いいたします。
  13. 前囿利治

    参考人(前囿利治君) 塩の生産団体であります日本塩工業会の副会長前囿でございます。諸先生には塩の問題につきまして既に深い御理解と御支援を賜り、厚く御礼を申し上げます。  今回提案されております塩専売法案に関連しまして、次の四点について要望意見を申し上げます。  第一点でございます。この法案におきましては、塩専売の公益目的が明文化されております。また現行の塩専売制度の基本的枠組みは実態的に継続されています。この点につきまして塩事業の関係者は深く感謝を申し上げておるところでございます。そのような意味で、この法案が今国会で原案どおり無事成立することを強く希望いたします。  第二点でございます。新しい専売法のもとでの塩事業の運営に当たりましては、公益目的を追求することはもちろんですが、塩事業関係者に対しても、引き続き血の通った施策が講ぜられるよう特段の御配慮をお願いいたします。このような観点から、次の二つの項目について具体的な要望を申し上げます。  その一つ大蔵大臣の諮問機関として設置されますたばこ事業等審議会及び新たに新会社に設置される塩専売事業運営委員会、この両者の構成並びに運営に当たっては、塩事業関係者の本当の声が十分反映されるよう御配慮をお願いいたしたい。  その二。現在、公社総裁の諮問機関であります塩業審議会及び塩収納価格審議会は引き続き新会社の塩事業責任者の諮問機関として存置され、これまでと同様の運営を継続していかれるよう、そして塩事業関係者の意見を反映されるようお願いいたしたい。  第三点でございます。我が国は塩の製造にはまことに不向きな条件下にありますけれども、塩は人間の生存に欠かせない重要物資でありますので、塩事業の関係者は、少なくとも食用塩については何とか経済ベースにのっとった上で自給率を高めていきたいと、こういう念願を長年の宿願にいたしております。この念願をバックボーンにしまして、塩の関係業界におきましては、国内塩産業の自立体制の確立という目標に向かって、目下生産・流通の両面にわたり精いっぱいの合理化努力を行っているところであります。  塩の生産業界の実情を申し上げますと、昭和五十七年、五十八年、五十九年と三年連続する大幅な生産価格の引き下げにも耐えながら、新しいイオン交換膜の導入、燃料転換などを中心にしまして、多額の投資負担を伴う合理化努力を懸命に実施中でございます。そして着実にコストを引き下げ、昭和六十一年の目標価格に向かって忠実に接近を図っておるところでございます。一方また、自主流通米に似ております販売特例塩につきまして、一定の秩序を守りながらその拡販に力を注ぎ、全体で年間三十万トンを超える状況になっております。国内塩の生産百二十万トンの約四分の一近くになろうかという状況であります。  このように塩産業の自立化を目指して真剣に努力している点につきまして諸先生の御理解、御支援を賜りたいと思います。同時に、生産・流通の合理化の過程で無用な混乱が起きないよう、適切な措置を講ぜられるとともに、大きな影響が出そうな場合は特段の配慮がなされるよう要望いたします。  第四点でございます。この法案の附則第二条で、「国内塩産業の自立化の目途が得られた段階で、この法律について検討を加え、必要に応じ所要の措置を講ずるもの」とされておりますが、塩の公益専売制度に検討を加えられる際には、塩の重要性にかんがみ、その公的関与のあり方について国民消費者並びに塩専売事業に長年貢献してきておる塩事業関係者の意見を十分尊重されるよう要望いたしたいと思います。  以上でございます。よろしくお願いいたします。
  14. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) どうもありがとうございました。  以上で参考人方々の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  15. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 六人の参考人の皆さん、きょうは我々の委員会審議のために陳述をいただきましてありがとうございました。逐次各参考人についてお伺いをしていきたいと、このように思います。  まず、岩村参考人にお尋ねをいたしますけれども、臨調は今参考人がお述べになりましたように民営化を最終の目標にいたしまして、それの一定段階としての特殊法人化というふうに規定をされているわけであります。その過程において、葉たばこ耕作の問題あるいは製造工程におけるところの過剰な人員の整理の問題、効率化の問題、こうした問題が整理されたあげくには民営化すると、こういうふうにおっしゃっておるわけであります。これに対して政府の方は、今のこの特殊会社方式を恒久的な措置であり、今日のこうした新しい日本たばこ産業株式会社を恒久的な組織として残していくんだと、こういう考え方であるようでございます。  この両者の意見が今日の中曽根内閣の中でかなり大きく相違してきていると思うわけでありますけれども、岩村参考人は臨調の方を解散されているんですからおやめになったわけでありますけれども、一体臨調の論議ではいつごろまでこの特殊法人の段階というのを考えておられたのか。葉たばこの問題は国際価格に行った点で自由化していいんだろうということだろうと思うんですが、どうもその辺、臨調のおっしゃっていることと政府の言っていることとの間にかなりの大きい差があるような気がしてならないわけであります。政府の方の答弁ですと、これは臨調の方がおっしゃっているかどうか知りませんけれども、臨調はかなり分割化も考えておられるというような節も時々答弁の中に見られるわけでありますが、その辺は一体どうなのかという気がいたします。  もう一つは、政府の干渉をなくしろということをおっしゃっているんですが、今度の場合に、特に専売の場合には監督者と株主とが同一の大蔵大臣だということでありまして、この辺では、監督者としての発言が文句を言われれば株主として発言すると、こういう両面を持っていることがむしろ政府の干渉を大きくして、新しい会社の自主性というものにその辺では若干問題があるんじゃないだろうかという感じもするんですけれども、その辺についてひとつ先生の御意見を賜りたいと思います。  それからもう一つ葉たばこ問題です。葉たばこ価格について岩村先生は大分厳しい御指摘をなさっていると思うんですけれども、私はこれは葉たばこ産業だけで論ずるのは少し酷なような気がするわけでありまして、日本の米作というものと葉たばことの関係というのはちょっと切り離せない問題、ですから、葉たばこ問題だけでなくて、農政問題全体というものを考えていかないと葉たばこだけでうまくいくだろうかと、こんな感じがするんですが、その米作と葉たばこの農政問題との関係でどういう御議論があったか、あるいは岩村先生としてどんなふうにお考えなのか。  以上の点、ひとつ岩村先生に御意見をいただきたいと思います。
  16. 岩村精一洋

    参考人岩村精一洋君) お答えいたします。  何年ぐらいを特殊会社としての経過期間として、何年ぐらい後に民営会社としたらいいかという内々の話があったかという御質問ですけれども、これは内々の話もございませんでした。ただ、余り深い思慮の中から出た発言ではなくて、腰ための五年だとか十年だとかいう、そういうような雑談的な意見は出されたかと記憶しておりますけれども、大体このぐらいのことを委員としては念頭に置こうというような、打ち合わせといいますか、答申を書きますときの申し合わせみたいなものは一切ございませんでした。  それから分割化の問題でございますけれども、第四部会の内部に分割化を要求する声はかなりございました。今の専売公社企業規模は、これはたしか世界の第三位ぐらいにつけていると思いますが、このぐらい大きな企業であれば分割してもやっていけるんじゃないか。分割することによって、むしろたばこの味わいなどについて個性が出せる。それぞれかなりおいしいたばこ――私、不幸にしてたばこを生まれてからこの方吸ったことございませんが、おいしいたばこもできるんじゃないか、個性のあるたばこができるんじゃないか。今のお酒で地酒がうまい式のことでございますね。そういうようなこともできるんじゃないかという意見もございました。けれども、今の海外のたばこ資本の巨大性というものを考えますと、これと戦っていかなければならない日本たばこ産業は今ぐらいの規模であっていいのじゃなかろうか。分割ということをいたしますと、たばこ耕作問題、これは一朝一夕で片づくわけではないので、いろいろな中間的な手を打っていかなけれぱならないわけでありますけれども、これが非常に処理しにくくなるという問題もございます。それで、どうも分割はしないで一企業体でいった方がよかろうという意見になったわけであります。  それから政府の干渉、大蔵大臣の干渉でございますけれども、これは確かに、この法案を読んでみますと、そのときどきのやりよういかんによってはかなり厳しい干渉もできるなどいう気がいたします。ですから、先ほど私注文意見として申しました、ソフトな行政でやれよという注文を申しましたのは、まさにこのことを懸念するからでございます。  それから葉たばこ価格の問題でございます。私、葉たばこ価格、要するに国産葉たばこ問題につきましては、臨調の審議の中では、もうたばこはお米のような安全保障的な意味はないのだからこれを保護する必要はないのじゃないかという意見もございました。しかし私はそのように短絡した意見を持っておりません。といいますのは、たばこ耕作の場合の地域的偏在のこととか、それから比較的専業農家が多いとかいうことがございます。それからお米の減反をすれば何かかわる作物でやっていかなければならない。そういうことを考えました場合に、葉たばこ耕作の問題は簡単には片づかないだろう。これはかすに時日をもってしなければなるまいと、そのように考えております。そのために特殊法人というような経営形態で当面をしのぐことはやむを得ないんじゃなかろうか、そのように考えております。
  17. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 次に宮城参考人にお尋ねをしたいと思いますが、私も今はたばこを吸っておりませんけれども、数年前まではたばこを吸っていたわけでありますけれども、たばこを吸わないという立場になりますと、どうも今の世の中の風俗、習慣というのがたばこを吸う人中心にできているような気がしてしようがないわけであります。  例えば駅なんかで電車を待っていると吸い殻入れというのがありますけれども、あの吸い殻入れが燃えていてホームにかなりの煙が流れてきても、だれも知らぬ顔している。たばこを吸う人が積極的に消してくれるんじゃなくて、むしろたばこを吸わない人がそれを消しに行っているというのが現状であると思うんですけれども、たばこを吸わない人も吸わないために守られる問題があるし、吸う人も先ほど言ったいろいろな効果があることも私これは十分理解しているつもりでありますから、吸っちゃいけないというふうには思いませんけれども、やっぱり時間と所と場合、TP0というものがあるし、そういうものがもう少し私は、日本もこれから国際的にたばこを売る立場にありますから、今まではどっちかというと外へは売らなかったからあれですが、売る立場になれば、たばこを吸う者としてのそういうマナーというんですかね、こういうものが私はどうも必要ではないか。  先生のお話でも、そういう点もう少し教育の課程の中に入れたらどうかというお話で、私もその点は同感でございますけれども、今後、これは効率的な立場からいきますと、新しい会社がこういうことをかなり積極的にやってもらわなくちゃいけない、売るんですから。今ちょうどいろいろな缶、空き缶の回収をメーカーに求めていたりあるいは電池メーカーにその処理を求めていると同じように、新しい会社がそういう面、今でも例えば「スモーキングリーン」というようなことで専売公社はそういう運動はしておりますけれども、もう少しこの面でも積極的にやっていくということが必要であろう、こう思うんです。新しい会社は発足当時というのはいろいろな問題があると思うんですけれども、これはひとつやってもらわなくちゃならぬと思うんです。  先生もそういう方面でいろいろ御活動をいただいていると思うんですけれども、学校で教えるのもいいんですが、もう少し社会的なマナーとしてどういうふうなことをお考えなのか、簡単で結構でございますからお聞かせいただきたいと思います。
  18. 宮城音弥

    参考人宮城音弥君) 今御意見を伺ったんですけれども、私は全く賛成でございます。風習が変わらないと、カスタムといいますか習慣ですね、風習が変わらないとなかなかこういうものはうまくいかない。  その風習を分けまして、サムナーなんという人は、習俗、これは知り合いに会ったらあいさつをするというようなそういう簡単な習慣的な行動ですが、それと、良俗とでも言いますか、モーレスと言うんですが、べし、べからず、これはいけないというようなタブー、べからずの方はタブーですが、べし、べからずというようなものと、その二つに分けております、習俗と良俗と。こういう点から考えますと、私は、良俗の方はもっと厳重に罰を与えるべきだと思っております。例えば駐車違反というのがある。これはちょっと駐車して違反したというだけで何千円も罰金を取られる。こういう制度というものが必要なので、禁煙室では喫煙すべからずというのがあったらば、これに対して罰を与えるようなことを将来は考えていただきたい。それで、条件反射によって教育すべきであるというのが、良俗に対してはそういうような態度でいくべきだと思います。  それに対しまして、いろいろな習慣、今までの喫煙の人が、吸ってもよろしいですかと言うようなこと。あるいは全然喫煙というものは悪いものだといって何もかも悪く考えるということは、これは注意すべきであって、人によっては先ほど申しましたようにストレス解消の役割もするんだし、いろんな点でプラスもあるので、このプラスを生かしていくようにすべきであって、そのためには、今、教育と申しましたけれども、学校教育や家庭教育ばかりでなくて、マスコミによる教育というものもだんだん組み入れていく、そういうようなことも必要ではないかと、そういうように考えております。  それから会社ができまして、どういうことか、先ほどもちょっと触れましたけれども、とにかくシガレットというものは大量生産できて非常にもうかる。それでこれが世界じゅうで今普及している次第ですけれども、そればかりではいけないんじゃないかということを先ほど申し上げたわけでして、かぎたばこみたいなものも、これは売れないでしょうけれども、そういうものも必要。いろんな種類のものを将来は出していく。もうけるということであるいは大量生産する、生産力を増強するというだけでなしに、そういったようなものも考えていくべきではなかろうか、そういうように考えている次第でございます。
  19. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 次に松下参考人にお尋ねします。  私どもの議論の中でも、葉たばこ生産費が高いという問題は、これはだれもが否定できない問題点だと思うんですけれども、しかしそれをすぐに開放体制にして葉たばこ生産をつぶしてしまうということについては、これは必ずしもだれもが賛成していない。今までの議論の経過はそういうことだと思うんです。しかし、いずれにしてももう少し葉たばこ生産性を高くして、葉たばこの値段を安くしない限りは、金の卵を生む鶏を殺してしまう結果になるし、葉たばこ生産方々も、そうなってまいりますと、これまたうまくいかないということになろうと思うんです。  今までは許可を受けたものは全量買い上げということでありますから、全部買い上げてくれたわけですが、今後も一応契約したものは全量買い上げということになるわけであります。しかしその点は葉たばこ耕作をなさっている方も、もう少し経営を集約化するというか、効率化してもらわなければいけないんじゃないだろうか。それには、ただ、おまえたち葉たばこ生産をやめろということではいけない。葉たばこ耕作者がほかに生きる道はないわけであります。私は何らか葉たばこ生産を集約していって効率化することはいいんですけれども、そうなると必然的に圃場の集約なんかの問題もあるでしょうし、それから機械化するということになると、小さな面積で離れてつくっているようなものは転換してもらわにゃならぬと、こういうふうに思うんです。  そういうことから積極的に今新しいところに進むときに、耕作組合の方では何らかの形でお考えいただく。そのためにはいろんな国の農政の面、それから今の専売公社のいろいろな技術、そういう意味では専売公社もこれからもっと研究してもらって、バイオテクノロジーなどによる新しい作物、あるいは新しい何らかのほかのたばこでなくてそれに関連する新しいものができるような作物、そういう新しい製品を生み出すような原料、こういうようなものをつくっていく。純粋に葉たばこだけじゃなくて、もう少し積極的に広げる努力を公社も農水省の方も、それから皆さんの方も努力していただかなくちゃならないと思うんですけれども、その辺の構えはどんなふうなものでしょうか。
  20. 松下龍太郎

    参考人松下龍太郎君) 全く御指摘のとおりでございまして、今現在たばこの産地ではいかにして生産性を上げるかという意識は相当個々の農家までしみ込んでおります。  生産性を上げるのに最も的確な、また王道と言える方法は、規模を拡大するか収量を多産するという問題でございます。遺憾ながら、現在置かれております環境は、面積についてはもちろん生産調整を必要とする時期であります。同時に、一時相当収量をとりまして品質が低下いたしましたので、収量についても極めて厳格な収量規制を行っております。したがって、こういう面ではそういう基盤を広げる面での生産性のあり方というのが、環境としては非常に難しいというハンディを今背負っておるわけであります。したがって、今目標にしておりますのは、そういうことと一たん離れて、現在の耕作法の中で労働生産性をさらに上げる方法はないかということに現在取り組んでおるところであります。  その具体的な問題としましては、目下主力を注いでおりますのはたばこ作の専用の農業機械であります。これをできるだけ広範に導入する。もう一つは、たばこというのは産地においでになるとおわかりになると思うんですが、収穫後に一枚一枚えり分けをするという作業がございまして、昔はまた一枚一枚しわを伸ばして平らにしておった。これはなくなりましたけれども、いまだにそういうえり分けに大変時間がかかっております。これが全体の労働時間の四分の一を占めております。これを目下できるだけなくそうということで、既に技術的にはほとんど公社と詰めを終わっておりまして、近々私どもの役員会で結論を出すということにいたしております。これは実際に実現すれば相当の効果を発揮するというふうに考えております。  もう一つ、いわゆる面積にゆとりがないということと関連して、それでは面積をふやさないで規模のメリットを追求するにはどうするか。これには共同化が必要ということで、現在既に香川県あたりでは土地の条件として小面積地帯でありますけれども、育苗とか乾燥という本畑以外の作業については完全共同になっておりまして、こういった形での進め方も一つのねらいであるというふうに考えております。
  21. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 あと時間ございませんので、関野参考人と牧内参考人一緒にお尋ねしますので、よろしくお願いしたいと思います。  販売の方なんですが、私、一番心配するのは輸入たばこですね。輸入たばこ輸入業者から卸売へ来る、そして小売人にいくと、こういうことになるだろうと思いますが、あるいは輸入業者が直接卸までいっちゃうかもしれませんけれども、そのとき一番大きい問題は小売のマージン、この問題をどうやってくるかという心配を私は一番しております、この問題では。しかも全国一律にマージンを決めるのじゃなくて、あるよく売れそうなところ、ここは外国たばこの市場にでき得るというようなところではマージンをうんと上げてくる。何かけさの新聞によりますと、アメリカの銀行がいいお客さんには景品にカラーテレビを渡すなんということ、もうアメリカの銀行の自由化の中にそういうことをやっているというふうな、景品づけをやっておりますけれども、日本でもそういうことをやるんじゃないだろうか。あるいは売り上げをどれだけ上げたところにおいてはマージンをどれぐらいふやす、こういうふうな差別的なマージンをやってくる可能性が非常にあるんじゃないか。これによって国産の製造たばこの市場が奪われていく。このことの方が、小売定価を安くするというよりもそういうことの方が実際シェアを彼らがとっていく一つの手段になるんじゃないだろうかというふうに思っておりますが、そういうことについては販売組合の方では何らかされるわけですか。あるいはそういうことをすることによって、場合によれば独禁法等の不当競争というようなことの関係が出てくるのかどうなのか、その辺の御検討がどんなふうになっているのかということをお伺いしたいと思います。  それから牧内参考人には、先ほども岩村参考人の方から日本労働生産性が低いということを盛んに言われたんですが、私どもお聞きしますと、もう既に八千回転の製造機械が近く実用化の段階に入っていく可能性がある。こういうわけでありますが、そうしますと今の工場を集約していく、こういうことも現に起きてくるんではないだろうか。私どもあちらこちらの工場を見さしていただきますと、中年の御婦人の方の姿をかなり見るわけでありますけれども、狭い地域ならば通勤も可能だと思うんですが、県境を越えていくというような場合になりますと、現実問題としてはなかなか通勤が不可能だと思うんです。そういう方々の対応というようなものについて公社とどんなふうに話し合っているのか。まだそこまではいってないとすれば、どんなことをお考えになっているのか。できたら今度の新しい会社仕事内容をもう少し広げて、そういう方々がとりあえずは今までの古い施設を使って何らかの形で新しい仕事ができないものだろうかというようなことを考えておりますが、その対策を何か組合の方でお考えになっているならお聞かせいただきたい。  以上でございますけれども、あと塩の関係は丸谷先生の方からお尋ねすると思いますからよろしくお願いします。
  22. 関野泰夫

    参考人(関野泰夫君) お答え申し上げます。  これから先マージンが自由化になるとどうなるかということについては、先生御指摘のとおり、私どもは大変心配しているわけでございますけれども、基本的には現在の指定店が従来どおり定価制度を守った一つの節度というのを持っているわけでございます。したがいまして、例えば大規模店等が乱立いたしまして乱売等を始めますと、そういうふうな心配というのは起こるわけでございますけれども、そういう意味で現在の販売規模の中で節度を守っていくということは、基本的に私どもにとっては一番大事なことだというふうに思っております。  それから現時点で外国のメーカーがマージンを特定のものについてするということについては、ここ二、三年の動きを見ておりますと、私どもかなり強く要求しておりますけれども、現時点でも外国メーカーは八・五%を、全国の国産品は全部一〇%でございますけれども、八・五%を何回お願いしてもなかなか一〇%にしてくれないというような状況でございますので、当面の課題といたしましては、アメリカ側も最優先に考慮するというふうに言っておりまして、とりあえず国産品と同じようにしていただくというのが当面の希望でございます。そういうことで全体に運用面におきまして、それから私どもの努力で、基本的には全国一律の状況で全体の販売なりサービスを進めていきたいというふうな気持ちでおるわけでございます。
  23. 牧内研二

    参考人(牧内研二君) 竹田先生の御質問にお答えをいたしたいと思います。  八千回転の機械が近く専売公社工場の主要機械になるということは、恐らく近い将来入ってくると思います、既に試運転の段階に入っていますから。そうなってきますと、総体的な需要が伸びないという中では、当然工場の統廃合を基本にした合理化が提案されてくるんではないかというふうに思っています。  先ほど岩村先生の方から生産性のお話がございましたが、私たちは専売制度であれ、あるいはほかの経営形態であれ、とにかく競争していかなければならないという立場は同じでございますから、今までもそうした技術革新には対応してきたつもりでありますし、これからもそうした八千回転の問題についてはそれなりに対応していかなくてはならないというふうに思っています。  しかし、既に今までの合理化の中でいわゆる工場の統廃合、特に非常に近距離にある工場の統合というのは大体行われてきたんじゃないかというふうに思っています。そういう意味では、残った工場は非常に距離が遠いということなどがあって、今までと同じような統合という形にはなかなかならないというふうに思います。ならないというのは、先ほど竹田先生がおっしゃいましたように、そこで働いている者、特に工場は半分近い人が婦人労働者でございますし、平均年齢は全国的に三十九歳、四十歳にちょっと欠けると思いますが、工場によっては五十に近いというようなところもあるわけでありますから、そういうところの人たちに新しい工場に行けといっても、なかなか行けないという問題が出てくるんではないかということを組合の委員長としても大変懸念しているわけであります。労働組合でありますから、当然組合員の雇用を守らなければならないということが基本でございますから、そういう意味では、そうした雇用条件が完全に守れないというような合理化にはやはり基本的には反対していかなければならないというふうに思います。  冒頭申し上げましたように、総体的に需要が伸びないそういう中で、技術革新にもある程度対応していかなければならないということになるとすれば、一例を挙げれば、この委員会の中でも議論がされているというふうに思いますが、いわゆる事業領域の拡大といいますか、そういう点について新しい会社として前向きに対応できるような方向といいますか、施策というものがとられるようにやっていっていただきたいというふうに思うんです。  特に、工場は製造独占という形になっておりますから、そういう製造独占の工場を使っていろいろな事業領域を拡大していくということについて、いろいろ議論もあるようでございますが、ぜひ私としてはそうした工場においても事業領域の拡大といいますか、そうした新しい仕事ができて、そういう中で雇用の安定といいますか、そういうものが求められていくような措置がとられることを希望したいし、組合としてもそういう立場でこれからそういう問題が提起されてくるならば、労使の中で交渉していきたいというふうに思っています。
  24. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 二点について前囿参考人にお伺いいたします。  一点は、先ほどお話のありました最後に、法律附則二条の問題に言及して、自立化するという時期に来たら、事業関係者その他の意見を十分聞いてくれと、こういう御要望がございましたね。業界では本当に自立化できるというふうなめどを持っておられるわけですか。もちろんめどを持っているから、そのときにはおれたちも中へ入れてくれと言ったと思いますけれども、そのことを一つお聞きします。  それからもう一つ、本法の十八条で、十七条の特殊用塩の問題をただし書にあるのと同じように、輸入についてもただし書で特殊用塩に準ずる塩として省令で定めたものは輸入することができると、こうなっておるんです。これはどうも読んでみていてよくわからないんですが、業界の方では、これは現在の塩工業会所属の製塩業者もこういうのを輸入して販売できるというように理解しておりますか、それとも我々はこの中に入らないんだというふうに理解しておるのか。この二つについてお願いしたい。
  25. 前囿利治

    参考人(前囿利治君) お答えいたします。  自立化のめどがついた段階で公益専売について検討される際は、国民、消費者並びに塩事業関係者の要望、意見を十分尊重してもらいたい、こういう意見を陳述しております。  そこで、この自立化の可能性を業界としてはどう思っているかという質問でございますが、先ほども申し上げましたように、日本というのは塩の製造には大変恵まれない条件があります。しかしながら、塩が大変重要な物資である、こういうことで、輸入塩に比べてそんなに割高でない水準でできるだけ国内で自給率を上げていきたい、こういうのが塩関係者の長年の宿願でございますが、そんなことがありまして、公社の方で示されております塩産業の自立化という目標に向かって今一生懸命に努力をしておる、こういうことでございます。  そこで、自立化のめどでございますけれども、実は自立化とは一体どういう状態を指して言うのか、この辺まだ歯切れよくイメージが描かれていないという状況でございます。説明を聞きますと、輸入塩に対して製造コストが競争できるようにということ、それから基本的には流通まで含めて塩産業がひとり立ちできるように、こういうことで、自立化ということのイメージが述べられておるわけですけれども、工業会の方といたしましては、自立化した状態とは一体どういう状態なのか、この点について、今のような製造コストが競争力を持つとか、あるいはひとり立ちするとかいうことだけでなくて、もう少し概念の内容を幅広く議論して、そして自立化のイメージというものをもっと具体化する必要があるのではないかな、こういうふうに思っております。その辺、大勢の関係者がもう少し幅広く概念の中身を豊富にするような議論をしていくことによって、自立化するための必要な方策、こういうものもだんだん具体化してくるし、そういうことと相まって自立化というのが実現に向かうのではないかな、こういうふうに考えております。  それから特殊用塩でございますけれども、これは専売公社が売り渡した塩をもとにしまして、そしてそれに相当細かな加工をする、こういう塩でございます。それから輸入する場合もそれに類するものを輸入する。これは普通の工業会でつくっております塩なんかとは違って相当自由なルールになっている、こういうことでございます。  そこで、塩工業会、生産メーカーとして、今のところ、そういうものに手を出すということは考えておりません。将来、その自立化に向かっての努力が進んでいくわけでございますが、その自立化を進めていく段階で、塩専売についてのいろんな枠組みがございます、そういった枠組みも逐次やわらかいものに変わっていくのではないか。今の枠組みが自立化に向かってやわらかく変革されていくそのプロセスの中で、生産業界としてどういうふうにこれらに取り組むか、そこで改めて考えていく問題ではないか、こういうふうに考えております。
  26. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 私の聞き方がどうも悪かったんかと思うんですけれども、今考えている、いないということでなくて、この十八条は、塩工業会所属の製塩会社輸入しようと思えばできるんだというふうにお読みになっておるかどうかということなんです。
  27. 前囿利治

    参考人(前囿利治君) これはできるんではないかと思っております。
  28. 岩崎純三

    ○岩崎純三君 参考人の皆さん方には大変御多忙のところおいでをいただきまして、ありがとうございました。  まず、岩村参考人にお尋ねをいたしますが、参考人は冒頭のお話の中で、外国輸入たばことの競争の問題、専売公社競争力、特に労働生産性が低いではないか、また国産葉たばこに対する問題、さらには消費が伸び悩んでおる、特に特殊会社の問題については将来は完全な民営化をすべきである、臨調の基本方針について率直なお話を、しかもあるものには厳しくお話をされたわけでございます。  実は、これらの問題等につきましては、ただいま本院におきまして、専売改革法案の内容について臨調答申と食い違いがあるんじゃなかろうか、そうしたいろいろな指摘もございます。あるいはまた耕作者方々にとりましては、契約をすれば全量買い上げをするんだ、小売人の問題につきましては指定制が維持されるんだというようなことでございますると、これは今度は衣をかえただけではないか、全く違いがないではないか、こういう御指摘もあるところでございます。  そこで、臨調答申の専売公社改革に関する提言のポイントというものを見つめてみますると、第一には、市場開放要請に適切に対応するとともに、競争原理の導入による効率性の促進を図るため輸入自由化を行うこと、第二には、経営の自主責任体制の確立などのために、公社制度の単なる一部改革ではなしに全面的な改革を行うこと、この二点にあると思います。この考え方に立てば、公社の完全民営化という問題を抜きにいたしますると、余り大きな食い違いがないように考えるわけでございます。ただ、臨調答申との食い違いの大きな内容は、我が国葉たばこ産業の置かれておる現状と実態等に配慮した現実的対応ではないかと思うのであります。また、本院での審議におきまして、こうした現実的対応を含めまして大蔵当局は、この法案による新会社制度をもって、お話にございましたとおり、恒久的な措置とする旨の答弁があったところでございます。  こうした問題を含めまして、岩村参考人には、元臨調第四部会長代理といたしまして、いわば専門家の立場といたしまして今回の専売改革法案についてどのような評価をされておるのか、率直な御感想をお伺いいたしたいと思います。
  29. 岩村精一洋

    参考人岩村精一洋君) 先ほど簡単に今参議院で審議されております法案の内容についての私の意見を申し上げました。重ねてのお尋ねでございますので申し上げますが、確かにたばこ耕作問題というのは現実の非常に大きな問題でございます。これに視点を奪われますと、余りに現実に妥協するようなことになって、これをどうしても効率化していかなければならないという方向性が若干希薄になってしまう、そのように思うわけであります。これを一朝一夕には解決できないけれども行く行くはこの問題を解決するぞという意思を法案の中にも書き込む必要があるんじゃないか。それが先ほど申し上げました、将来は完全民営化に持っていくということでございます。  それで、完全民営化に持っていきます意味は、たばこ耕作問題だけではなくて、外国たばこ資本としたたかな戦いを国内でやらなければならないというのは当然でございますけれども、さらに海外市場に日本たばこ事業が打って出るという可能性もやはり考えなければならない。それから今フィリップ・モリスやBATとかレイノルズというような大きな国際たばこ資本は、たばこだけではなくてそのほかの商売をやって、それでたばこの需要がそれほど伸びなくなったような状態をカバーしながらやっております。  そういう敵方の状況がございますと日本専売事業もやはり仕事多角化を考えていかなきゃならない、先ほどどなたかのお話の中にもございましたけれども。その場合に特殊会社であり続けて仕事多角化するということは、これは問題が起こります。完全な民営舎社であるからこそ、たばこ以外のことにも手を出し得るわけであります。特殊会社の有利な地位を利用しながらほかの仕事に割って入ってこられればその業界の人々は非常に反発するわけであります。そういうようなことを考えて、将来は完全な民営会社に持っていく必要があるんじゃないか、そして日本たばこ産業の発展というものを考えていく心理があろう、そのように思うわけであります。  で、たばこ耕作問題というのは今現実的な非常に大きな問題でございますけれども、もしも特殊会社として発足いたしますたばこ事業が外国たばこ資本にだんだんしてやられるというような状況が生まれますと、これはたばこ耕作者も共倒れであります。たばこ耕作者は何とかしてみずからの生産を合理化して、あるいは適地適作といいますか、何らかの方法を講じて状況にマッチしていかなければたばこ事業が危なくなる、共倒れになってしまう、そういうことを考えていかなければいけないだろう。そのためには将来の完全な民営企業ということをうたい上げておいた方がその決意が違ってくるだろう、そのようにも私は考えております。  以上であります。
  30. 岩崎純三

    ○岩崎純三君 岩村参考人、ありがとうございました。  次に宮城参考人にお伺いいたしますが、先生は精神医学の御専門と承っております。その上にたばこに関するいろいろな著作を君かれているわけでございますが、私もその一部を拝読させていただきました。ただ、最近は喫煙と健康、こういう問題について大変論議の多いところであります。私も愛煙家の一人でございますけれども、確かにのみ過ぎますると、経験上、健康にやっぱり悪いかなというような感じを受けております。そこで先生の著書「タバコ」、そして「愛煙と嫌煙」の中でいろいろ論じられ、その論じられておることが先ほどのお話の中にあったわけでございます。喫煙は健康に、身体的にも、精神と身体の分野においても大変効用があるのである、あるいは喫煙と健康の関係喫煙者体質や性格あるいは吸い方や量、喫煙の条件等、禁煙の必要な場合など、さらには同僚委員の方からも御質問がございました喫煙についてのマナーの問題等々いろいろお話があったわけでございますけれども、きょうはこの席でそのすべてについてお尋ねを申し上げる、残念ながら、時間がございません。  ただ、先生、その中で、私ども喫煙について喫煙教育ということが必要なんだというような話がございました。一体喫煙教育というものはどういうような内容のものなのか、それからまたこの席で短い時間ではございますけれども、いまお話をいただいた以外でたばこについてこれだけはどうしても知っていただきたいということ、大変漠然としたお尋ねの内容で恐縮でございますが、御教示をいただければ幸いです。
  31. 宮城音弥

    参考人宮城音弥君) たばこにつきまして、確かに今おっしゃったような問題というのはあり得るかと思います。  ところで、たばこについて一番今世の中で問題になっているのは、例えばたばこがん関係であります。確かに疫学というのは一つの学問をやっていく上に必要な学問でありましょう。疫学というのはこれとこれと関係があるということを統計的に示すわけであります。私はがんについての疫学的研究をしている平山博士と議論をしたことがありますけれども、最初に問題にしましたのは、それは新聞屋の後で牛乳屋が来るから新聞屋が牛乳屋の原因であるというようなものではないかというような言い方でこれを批判したことがございますけれども、とにかく疫学の問題というのは平均的なものを扱います。それからわずかな量の場合は問題にしておりません。ですから、例えば九本のんだらどうなのか、十二本のむとがんになる率が多いのか、これは全然わかりません。ある量以上になりますと、確かに量がふえますとがんが平均的にふえてまいります。それともう一つは、個人個人によって違うということは問題にいたしません。この人はがんになりやすいとか、この人はがんになりにくいとかいうことは問題にしません。そういうことを問題にしないで疫学的に健康に悪いということを言っているわけでございます。  私は教育の場合にはどうしたらいいかというと、そういう問題を一般に知らせるということが必要だということ、それから先ほど申しましたように、身体的健康のみが健康だと考えていいのかどうかということについて教育の場面で議論してもらい、あるいは教育してもらいたいということ。それから人間というのは神様のような完全なものでありませんから、何か麻薬なんかの方にもいくことがあるということは先ほど問題にしましたけれども、そんな問題、それをむしろ防がなければいけないというようなことを教育していくということ。そういうことが一番中心になるかと思います。  要するに教育といいますと、これはいけない、これはいいということだけを言うようですけれども、習慣をどういうふうにしてつくるべきものか、どういうものが人間にとってプラスになるかということを、これは学校、家庭ばかりでなくて、マスコミの中で教えていってもらいたい。それが私が教育と申し上げたことでございます。
  32. 岩崎純三

    ○岩崎純三君 宮城参考人、どうも大変ありがとうございました。いい勉強になりました。  次に松下参考人にお伺いをいたします。  今回の制度改革は、公社制度たばこ事業法制度、また特殊会社制度に改める大改革でございます。したがいまして、この歴史的な制度改革に当たりまして、たばこ耕作者方々あるいは小売人の方々、さらにはたばこ事業関係者の皆さん方には大変な不安が今なお存在いたしておるであろう、こう思うのであります。  ただ、耕作者方々は、先ほども申し上げましたけれども、特殊会社と契約した葉たばこ全量買い上げ、こういうような制度になっております。しかし外国製品たばこ輸入自由化に伴いまして、製品たばこの競争原理が導入され、ビッグスリーと言われるような巨大な外国たばこ会社と我が国たばこ産業が同じ土俵の上でこれから競争していかなきゃならない、そういう状況にあるわけでございます。現在外国たばこの国内におけるシェアは一・二%から二%、やがて五%になるであろう。こういう問題が本院における審議を通じて実は明らかになったところであります。五%ということになりますると、耕作者方々にとりましては、契約面積の縮小につながっていく、こう考えざるを得ないのであります。契約面積の縮小は、したがってこれから避けて通ることのできない大きな課題になるわけでございます。  そこで、この競争原理の導入は特殊会社耕作者意識改革意識革命が大切だろうと審議を通しまして随分と論議されたところであります。やがて迎えなければならない契約面積縮小の対応策などを含めまして、御所見を例えれば大変ありがたいと思います。
  33. 松下龍太郎

    参考人松下龍太郎君) ただいま御指摘をいただきました点、まさにそのとおりでありまして、今後の国際競争に向かっては非常に農家は大きな不安を持っております。ただ、その意識の革命という点につきましては、たばこの農家というのは大体約八五%が一種兼業と専業であります。極めて農家としては精度の高い農家であります。したがって、そういう点については現在組織的に非常に努力しておるということであります。  まず、品質の面で申し上げますと、一時先ほど申し上げましたように収量を非常にとりまして品質が低下いたしましたが、その後肥料を、主として窒素肥料を非常に減らしまして、施肥設計を厳格にすることで収量を規制いたしました。同時に日本の土地が大変やせてまいりましたので、堆肥を急激なスピードで増加いたしまして、堆肥を投入いたしております。そういうことで品質はほぼ低下前の水準に回復したという評価がなされております。  日本たばこは品質が非常に悪いというふうに喧伝されておりまして、私ども心外なんであります。日本たばこには日本たばことしての用途に合った特性があるわけでありまして、これをマクロにどこのものが一番いいという評価はできないんであります。現に日本の国産葉を主体としてつくられておる製品が全体の七〇%を占めておる、シェアが七〇%を占めておるという事実は十分御認識をいただきたいと思っております。今後とも日本たばこの特質に合った品質の向上には努力してまいりたいと思っております。  次に、生産性の問題であります。  これは岩村先生も国際比価について触れられましたが、これも喧伝されております三・二倍という数字は、私どもいささか疑問を持っておりまして、特定の技術者が吸ってみて、これならばどこの何等に該当するだろうという極めて主観的な評価でありまして、もう少し客観的に見た評価ということになりますと、庭先での購買価格で、アメリカたばこに比べて、種類にもよりますが、それを対象とすれば、一・五倍から二・一倍ということであります。また公社製造工場で使っております輸入品の総平均単価と国産葉の総平均単価の比でも二・一というふうに私ども計算をいたしております。決して追いつけない数字ではない。ただ、そこまでどんぴしゃりといくのはその風土的制約があって非常に難しいんですが、接近したいという意欲は各農家とも極めて強いということを申し上げておきたいと思います。これについては、先ほど申し上げましたように幾つかの具体的な手法に既に入っておるということであります。  以上でございます。
  34. 岩崎純三

    ○岩崎純三君 松下参考人、大変ありがとうございました。  ただ、先ほどお話の中で、原料コストの面を考えると、外国からの輸入製品の関税率については二〇%をひとつ守り抜いてもらいたいというようなお話があったわけでございますけれども、この件についても本院の審議の中で、大蔵当局は、大蔵大臣と申し上げて差し支えないと思いますけれども、最も適正な関税率である、そう認識をしておる、こういう答弁をされておりまするから、松下参考人が御要望、御要請の一端として申し上げた問題については十分こたえ得る審議がなされておるのではなかろうかと、こう思っております。ありがとうございました。  次に関野参考人にお伺いをいたします。  小売人の方々が今日まで、国、地方の財政収入に果たしてまいりました役割、その重要性、これらの問題等につきましては、私どもも十分承知をいたしており、また感謝をいたしておるところでございます。これからもなお一層の御努力を願いたいと思うところでございます。  そこで、お尋ねでございますが、外国たばこ輸入自由化によりまして、国内製造たばこの競争激化は避けられない、これはだれが考えても同じ結論であろうと思います。今回の改革案では、小売定価の大臣認可、小売人の指定制、さらには特定販売業者の登録制度など、法的には流通秩序の維持の対策は一応とられておるところででございます。ただ、法的な面以外では販売促進費や小売人マージンの問題もあるわけでございます。現在、マージン率は国内たばこが一〇%、外国たばこが八・五%と差があるわけでございますけれども、今後マージン率も自由化されることとなるわけでございます。そういたしますと、各小売店ではマージンの額の高い方へ販売のシフトをしいていくことも十分考えられるわけであります。また販売促進のためのサービスのいい方に販売を傾けていくことも考えられるわけでございます。  そうなりますると、法的には流通秩序の維持が保たれておりましても実態面、すなわち小売店段階での競争が激化をし、それが流通面での混乱を引き起こす可能性も出てくることが予想されるわけでありますが、この点につきまして、約二十六万人の小売店を総括していく連合会といたしましては、流通秩序の維持のためにどのような対応を考えておられるのか、また現在の小売人の数約二十六万、この数はほぼ適正な規模であるのかどうか、あわせてお伺いをいたします。
  35. 関野泰夫

    参考人(関野泰夫君) お答え申し上げます。  実態的に私どもといたしましては、現在まで約八十年間にわたりまして、流通秩序につきましては、専売公社の御指導もございまして、御存じのように、販売店の法律違反と申しますか、ルール違反というのはほとんど出ていないような状況でございます。それなりに長年にわたって一つの節度というのを維持してきたわけでございます。  先生の御指摘は、私といたしましても、一番心配している点でございますけれども、基本的にはこの節度を維持していくということが最も重要なことであろうかというふうに思っております。したがいまして、マージンにつきましても、今後とも一定の率で国内全域を一律に維持していくように御高配いただきたいというふうに思っております。特に、御指摘ございました外国たばこのマージン等につきましては、実態的に現在の価格条件なり取引条件というのはそれほど激変しないであろう、それから指定定価制度も維持されていくということでございましたら、実態的に外国たばこのシェア、現在二%でございますけれども、私は現在の、先ほど岩村先生から御指摘がございましたけれども、ノーハウを持ってない商品と違いまして、現在の新会社の製造技術の水準というのは、恐らく世界でもトップレベルにある製造技術を持っているわけでございます。そういうふうな実態の中から急速に周りの条件が変更していくというふうなことは考えられないというふうに思いますし、それから先ほど申し上げましたように、私どもの団体としての厳しい節度というものによって、その辺がカバーできるんではないかというふうに思っている次第でございます。  それからもう一つ、現在の二十六万店というのは、先ほど冒頭でお話し申し上げましたけれども、お酒のほぼ倍近い数字でございますし、四百五十人に一人という小売人の配置というのは、現時点ではほぼサービス面でも充足されているんではないかというふうに信じている次第でございます。
  36. 岩崎純三

    ○岩崎純三君 今、輸入たばこのシェアは、岩村参考人の冒頭のお話によりますると、正確に申し上げますると一・八%、それが審議の中でやがて五%になるんだろう、一挙に五%になるんじゃなくて徐々に、とにかくビッグスリーというものが大変な資本力をもって日本に殴り込みをかけてくるわけでございまするから、いずれ五%になるであろうという大蔵並びに専売公社の展望、これは小売人の皆さん方といたしましても、そういう時期がいつか来るかもしれない、そのときに対応できるような準備を今の段階から二十六万の小売人の方々の秩序を乱さないためにもしっかりと考えていただきたいとお願い申し上げたいと思います。  次に、時間がございませんので前囿参考人にお伺いをいたしたいと思います。  御案内のとおり、塩は大正八年に公益専売に移行いたしましてから今日まで、食料用塩の国内自給方針に基づきまして、生産面及び流通面の合理化によって塩の円滑な需給と価格の安定が図られてまいったところでありますけれども、この間、絶えず求められてきたものは国内塩産業の自立化への道であります。とりわけ価格面におきましては、輸入塩のコストが粉砕塩コストプラス関税相当二〇%上乗せで、六十年前後にはトン当たり一万七千円という国際価格への接近にあったわけでございますけれども、今日の時点でこの達成見通しはどうなっておるのか、またどうなのか。また現在、燃料転換によるエネルギーコストダウンを図られていると聞いておるわけでございますが、そのことによって塩の価格がトン当たりどのくらい引き下げが可能であるかどうか、お伺いをいたしたいと思います。  さらに、お話にもございましたとおり、新しい塩専売法におきましては、国内塩生産の産業の自立化の目途が得られた段階で検討を加えることになっております。その見直しに当たりまして前囿参考人は、先ほどのお話の中で、法的関与のあり方について関係者の意見を十分聞いてほしい、こういう御要請があったわけでございますけれども、具体的にどういう問題について留意をしてほしいのか、そうした問題点があればあわせてお伺いをいたしたいと思います。
  37. 前囿利治

    参考人(前囿利治君) 第一点の一万七千円の達成の可能性でございますけれども、六十一年一万七千円ということを目指して生産業界今一生懸命努力をいたしております。ことしの価格が一万九千九百円でございます。そうしますとあと一万七千円まで二千九百円、こういう勘定になります。先ほどから言っておりますように、輸入塩に比べてなるべく割高でない水準で、なるべく国内で自給をしたいという念願に燃えて努力をしております。  そういうことで、新しいイオン交換膜の導入、燃料転換、省エネルギー、そういうことでやっておりますが、幸いに今は世界経済、日本経済の情勢が大変落ちついておりますので、先々、断定はできませんけれども、こういった落ちついた状況が継続しますれば、何とかこの一万七千円、厳しいですけれども、近いところへいけるんではないか、こういうふうに考えております。といいますより、ぜひ実現をしたい、こういう希望に燃えておるところでございます。  それから燃料転換のメリットでございます。これは重油から石炭にかわる、あるいは石油コークスにかわる、こういうことでございますが、企業によっていろいろ条件の違いがございまして、細かく言えばいろいろありますけれども、単純化して申し上げますと、今重油をたいておりますと、千キロカロリー当たりの単価が大体五円ぐらいになろうかと思います。これが石炭にかわりますと約半分、二円五十銭ぐらいの単価になってまいります。そうしますと、現在重油をたいて塩をつくる場合の燃料費八千円ぐらいかかっておる企業の場合には、これが約四千円ぐらい低下する、燃料費だけではそういう計算になります。ところが、ボイラーを取りかえます関係で、ボイラーといいましても、微粉炭ボイラーの場合は十六億ぐらいかかりますし、流動床ボイラーになりますと二十億ぐらいかかります。そういった投資の償却金利がかかりますし、それからまた石炭にかわりますと、重油と違っていろいろ出し入れに手間がかかります。電気も食うというようなことがございます。そんなことで経費がふえてまいります。償却金利、経費の増、そういうものを加味しますと、四千円下がったうちの半分ぐらいがそういう経費の増高で食われる。そうしますと、差し引き二千円近いものが燃料転換のメリットとして計算できるんではないか、こういうふうに、単純化して申しますとそういうことでございます。  それから自立化のめどがついたときの公益専売制度についての検討の際の留意事項でございますけれども、先ほど申し上げましたように、国民、消費者の皆さんが、そういった今やっております専売制について存続を望んでおられるのか、廃止を望んでおられるのかといったような国民、消費者の要望、これについて留意を賜りたい。  五十七年に塩の関係業界で、専売制度存続について各地方の自治体議会あたりに陳情してお願いをしましたときに、全国の都道府県の中の四十三都道府県、それから地方自治体の議会、そういったところから相当多数に専売制を存続すべしという決議をいただいております。そんなこともひとつ御考慮に入れていただいて、その時点で御検討いただきたいというのが一つ。それから塩事業関係者の要望をひとつ取り組みに当たって聞いてもらい、その辺を御考慮いただきたい、こういうことでございます。
  38. 岩崎純三

    ○岩崎純三君 ありがとうございました。  終わります。
  39. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 公明党の塩出でございます。  参考人の皆さんには、本日は大変有益なお話を承りまして、心から御礼申し上げます。  最初に岩村参考人にお尋ねをいたします。    〔委員長退席、理事岩崎純三君着席〕  元臨調の立場から率直な御意見を聞かしていただきまして、私たちも非常にもっともであると思う点が非常に多いわけでありますが、ただ、我々は政治家という立場でいろいろな点も配慮していかなければならない、そういう立場もあるわけであります。しかし、厳しい競争原理に立たないと結局たばこ産業そのものがだめになる。そういう意味で、かわいい子には旅をさすというか、そういうような御趣旨であろうと承っております。  そこで、まず、輸入たばこのシェアがどうなるかという、こういう点でございますが、私たちは、生産性の面ではかなり太刀打ちしているんじゃないか、これは大蔵省からのデータ等でそう思っていたわけでありますが、三大メーカーとはまだまだ差がある。その上、葉たばこという面で大きなハンディキャップがあるわけで、そういう点を考えると、下手をすればかなり輸入たばこがふえる心配があるんではないか。専売公社の御答弁では一・八が五%ぐらいというようなことを言っておるわけでありますが、こういう点についてはどのようにお考えであるのか。  それともう一点は、特に生産性が低いという点で、いわゆる管理費、間接部門が非常におくれておる、こういうようなお話ですが、これは具体的には、現場の生産性はそう差はないけれども管理費に使途が多過ぎるという、こういう意味だと思うんですが、このあたりはもう少し数字をもって比較なり傾向なりを教えていただければありがたいと思います。  それから三番目に、地方たばこ消費税のシステムがいわゆるノン・タリフ・バリアとなるおそれがある、もっと簡素にすべきである、こういう御意見でございますが、具体的に例えばこういうようにした方がいいという何か御意見がありましたら承りたいと思います。
  40. 岩村精一洋

    参考人岩村精一洋君) 輸入たばこはかなりふえやしないかという御質問でございますが、確かに競争力の強い連中が入ってくるわけですからふえると思います。けれども、たばこというような嗜好品については、長年覚え込まされた味というのがかなり強く作用するんじゃないかと思います。ですから、若い人でこれからたばこを吸い始めようという人は、これは白紙の状態からですから、輸入たばこが安ければかなりそちらに飛びつくということが考えられますが、スモーカーの経験者としては、そう一気に飛びつくかどうかは、これはちょっと疑問であります。ただ、先ほどからもお話が出ましたマージンの問題その他で、いろいろ強い競争力外国資本が発揮してくる、そういう中ではふえることは間違いない。けれども、長年覚えた味というのが作用して、そんなに日本たばこ生産活動を破壊するようなふえ方というのはちょっと近い将来考えられないんじゃないか、そのように思います。  それから第二点の専売公社間接部門が非常に過剰な人員を抱えておって、直接現場ではそれほど生産性は低くないのじゃないかというお尋ねでございますけれども、残念ながら、私は双方に労働生産性という面では問題があるのじゃなかろうか。  現場について申し上げますと、専売公社は、工場の統合といいますか、集中生産というようなことを若干やってまいりましたけれども、女の労働者が非常に多くて配置転換が思うに任せない。それですから、一つ工場で全能力を上げれば大変な分量がつくれる工場であっても、軽操業にして、操業を軽くしてほかの能率の悪い工場にもつくってもらう、そういう形でやらざるを得ないのが今の問題ではなかろうかと思うんです。ですから、現場の生産性も高いものじゃない、低いんだ、先ほどはそのように申し上げたつもりでございます。  それから地方たばこ消費税のシステムでございますが、これは全国三千の自治体に漏れなく外国たばこが入っていくという状態がいつごろになるのかよくわかりませんけれども、もしそのような状態になって、しかも毎月地方税をちゃんちゃんと間違いなく納めろよということになってまいりますと、これはちょっと問題でございます。それで、地方たばこ消費税につきまして、現在のように丹念にどこの市町村で何本売ったかということを計算して、そして一本の間違いもなくその県とか市町村に納入することがどれほどの意味を持つのかという基本的な疑問もございます。そのようなことができるのは、今までの専売公社徴税機関であったからできたんであって、普通のたばこ業者にはなかなかそれは大変なことじゃないかと思うんですね。それで、これを一カ月ごというのを半年ごとにするとか、    〔理事岩崎純三君退席、委員長着席〕 何か納税の回数を非常に減らすとか、何らかの便法がないのか。私は技術的な行政のことをよく存じませんので、それ以上はちょっと申しかねますが、何か簡素化しないとぐあいが悪いんじゃないか。外国たばこ資本は、専売公社と違って、徴税機関として今までやってきた経験というのはございませんので、その辺がちょっと問題があるのじゃないか、そのように思います。  以上でございます。
  41. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ありがとうございました。  それでは宮城参考人にお尋ねいたしますが、先生からは、社会的健康、精神的健康、身体的健康とたばことの関係につきましていろいろお話を承りました。  そこで、きょうの参考人の中では一番客観的立場に先生はいらっしゃるわけでありますが、たばこ消費量というものが将来どうなるか。現在は非常に停滞してきているわけでありますが、最近の若者では案外たばこを吸わない人もふえておる。そういう点からまいりますと、売り上げ、消費量がかなり減るんではないかという、そういう懸念もあるわけでありますが、その点、これは先のことだからだれもわからないわけですが、先生のいろいろ学生やなんかに接した感じから、将来の見通しについてひとつお考えを承りたいと思います。
  42. 宮城音弥

    参考人宮城音弥君) どうも到底私が申し上げられることではありませんけれども、一つ日本消費量が減る傾向を示すであろう。というのは、今マスコミその他でもって嫌煙権運動や何かが大変盛んであります。ところが、日本人ほど、そういう宣伝に弱いと申しますか、そういう暗示にかかりやすい国民というのは非常に少ないのです。ですから、これは悪い悪いという宣伝が非常に強くいけば、これは確かに消費量は減るのではなかろうか。これは一つの傾向であります。  しかし、同時に、今度は女性などを考えますと、昔は女性なんて吸うべきものじゃなかった。ところが今日では、男女は同権である、一緒であるというようなこともありますし、いろいろな点で女性の喫煙は実際に数字にあらわれているよりもふえている。そういうことでその点はふえていくのではないか。  そういうわけで、これは平均するとどうなるかということでありますが、これは一般のマスコミ関係の動き、宣伝、そういうようなものと関連して考えるべきものであろうかと思います。身体的健康というのが一番必要なものだというような考えを人々が持つようになりますと、ずっと減ってくる可能性はあるのではないでしょうか。  しかし、一方において、先ほど申しましたように、麻薬はどうしてふえているのか、どうして覚せい剤がふえているのか。事実このごろ覚せい剤の密輸もありますし、ふえている。そういう点からそういう形をとる可能性もある。  ですから、こういうものを総括的に考えませんと、見通しというものは何とも言えないような感じがいたします。そんなことでございます。
  43. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ありがとうございました。  それでは松下参考人にお尋ねをいたします。  まず一つは、たばこの原料問題は、原料が国際的に非常に高いということが我が国の将来にとって一つのマイナスでございまして、この問題にどれだけコストダウンをしていくかということが、ひいてはたばこ産業全体の前進にもつながっていく、そういう意味で大変厳しい状況にあるわけでありますが、現在、外国の原料に比べて我が国の原料の高い理由ですね、理由というか、日本は耕地面積が非常に少ない、向こうは非常に大きいということだと思うんですが、その理由で、コストの中で労働力とかいろいろあると思うんですけれども、そういうのを分析した場合に、大体傾向として特にどういう点が非常に高いのか。今後そういう点の改善余地がどの程度まであるのか、この点をひとつお伺いしたいと思います。  それともう一つは、在庫の問題でございますが、現在、約一年分余分の在庫があるわけで、いろいろ耕作者の皆さんのお話を聞きますと、あるときは公社は農家に対してつくってくれ、と思うと、今度はもうやめてくれ、そういうようにしょっちゅう変わる。そういうことでこういう在庫ができたということは、これは農家の責任ではなしに、これは専売公社に責任があると思うわけですが、現実にある在庫をどうしても減らしていかなければ、約三千億の資金が眠ることになりますし、たばこ産業の体質を強化するためにはこれを減らしていくことが必要だと思うんですね。そのためには輸出をするとか、あるいは日本の国産のたばこの葉をもっとたくさん比率を高めるということ、それと、いわゆる減反という、こういう三つ方法があると思うんですけれども、こういう点については、恐らく耕作農家の皆さんの本当の気持ちとしては、減反ということは余り賛成ではないと思うんですけれども、しかし現実問題として、ある程度在庫減らしのための減反には協力しようという空気があるのかどうか、そのあたりはどうなんでしょうか。
  44. 松下龍太郎

    参考人松下龍太郎君) 最初のコスト問題、どうしてこれだけの差があるかということにつきましては、まず国別に事情が違うと思いますが、開発途上国との差というのは私は経済の状態の相違、賃金差が一番大きいのではないかと思っております。それから先進国との問題については、特に輸入国、大体輸入葉の七割を占めておりますのがアメリカ葉でありますけれども、これについては極めて大きな規模の差、同時に規模の大きさからくるいわゆる粗放化できるかどうかという問題、その辺に差の出発点があるんだろう。もう一点あえて言えば、日本の農業というのは、大切に物をつくりまして緻密な農作業をやっている。そういう意味日本葉たばこは若干労働多投になっている傾向もあるかなというふうに考えております。ですから、この賃金差と規模の差というものはどうしてもそこから逃げられませんので、今の耕作法をどう変えていくかですね。同時に、小さいながらも規模を、主産地形成なり、優良農家へ重点的に面積を配分するというような形でできるだけ大きくしていく、あるいは共同化によるというようなことで目下努力中であります。我々の持っている限界の中では最大の努力をしたいと考えております。  それから次に過剰の問題、大変頭の痛い問題であります。ただ、経過を若干申し上げますと、その責任云々ということは別といたしまして、我々も公社一緒にこれについては問題解決に努力してまいりました。すでにここ五年間程度だと思いますが、約一万ヘクタールを超える減反をいたしました。特に五十七年度にはほとんど自己調整に近い形で五千ヘクタールの減反をいたしました。これは出発点は、現在の在庫と同時に、その時点では単年度の需給がアンバランスになっておりまして、我々としては単年度需給調整についてあえて自分たちの意思で踏み切るということを申したわけであります。そのかわり過剰については、何とか公社が輸出努力なり国産葉の使い込みによって解決をしてくれということで五十七年の年を過ごしたわけであります。現在もなおそういう期待 を公社については持っております。  で、現在の農業事情の中では、たばこ作を離れますと、米がああいう状態でありますし、畜産も非常に難しい。特に単作地帯では転換作物がございません。そういう意味で農家の立場は非常に苦しいところがありまして、できれば公社経営の中で何とかこれをかみ砕いてもらいたいというのが現在の心境でございます。
  45. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ありがとうございました。  それから関野参考人にお尋ねいたしますが、定価制の問題で、パチンコ店等への納入を一部の業者がするためにかなり裏では定価制が崩れているんじゃないか。恐らくそういうことをするのは小売店でも大口がやるんじゃないかと思うんですが、そういうことで非常に零細な小売店あるいはまじめな小売店の人たちが非常に危機感を持っていらっしゃるわけでありますが、そういう点については連合会としてはどういう指導をされておるのか、これを承っておきます。
  46. 関野泰夫

    参考人(関野泰夫君) お答え申し上げます。  実態的には先生先ほど御指摘のようなことがあるのではないかというふうに思われますけれども、現時点では、先ほど私ども節度を維持しなくちゃならないということを申し上げておりますけれども、実態的な取引の内容は、ほとんど形式的にはきちっとした定価制が守られているというふうな形で、その実態と申しますか、は掌握するというのはなかなか難しいわけでございます。したがいまして、そういうことにこれからならないように中でいろんな議論は尽くしているわけでございます。  いずれにいたしましても、全体的な節度を維持するということが基本でございますので、御指摘の点、十分気をつけながらこれから努力をしてまいらなくちゃならないのではないかというふうに思っております。
  47. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ありがとうございました。  それでは牧内参考人にお尋ねいたしますが、八十数年の専売制度ですね、また戦後の公社制度の大きな転換を迎え、新しい船出をするわけでありますが、今後の厳しい情勢の中で新しい道を見出すには、どうしてもそこで働く従業員の皆さん、労働組合の皆さんの志気というか、そういうものが私は非常に大事じゃないかと思うわけでありますが、将来に対する不安はないのか、あるいはそういう志気と申しますか、そういう点には心配はないのか、そういう点について執行委員長という立場で御意見を承りたいと思います。
  48. 牧内研二

    参考人(牧内研二君) お答えいたします。  今回の公社経営計画に当たって私たちが求めたものは、いろいろあるんですが、大きく言えば二つです。一つ経営当事者能力といいますか、自主性の問題です。もう一つは、労使の近代化といいますか、労使関係の民主化というのを求めてきました。  特に、この近代的労使関係というのは、私たちが職場で働くに当たって活性化のある職場、あるいは働きがいのある職場ということを考えてみた場合に、どうしても現在の公労法下の労使関係では、いろいろな意味で制約をされてしまうわけですね。しかし一方では、合理化、合理化というのが出てくるわけです。そういう意味では今回、労働三法下の運動といいますか、そういう関係の中の労使関係当事者能力が与えられた中における労使関係という意味では、職場としては働きがいのある職場づくりという意味では大変いいんではないかというふうに思います。  もう一方、しかし、まさしく専売制度公社制度を離れて、いわゆる競争下といいますか、荒波の中に投げ出されるわけでありますから、そういう意味では非常に合理化という問題が今まで以上に厳しくかかってくるんではないかというふうに思います。  一方では、そうした競争もある意味では耐えていかなくちゃならない、それに対応する対策も立てなくちゃならないというふうに思っていますが、今職場の中では、新しい制度になったときに自分たちの仕事はどうなるんだ、あるいは自分たちの条件にどう影響が出てくるんだということについては全くよくわからないわけですね。そういう意味では、これからそうした新しい制度下における仕事やり方、あるいはそれに関係する労働条件、そういう問題等について十分、公社といいますか、新しい会社といいますか、そういう中で交渉を詰めながらやっていきたいというふうに思っています。  そういう意味では、陳述の中でも申し上げましたが、全体的な雇用安定拡大、労働条件維持という立場からもっと本当の意味の、名実ともに自主性のある経営、そういうものがとれるようにぜひお願いをいたしたいというふうに思っています。  以上です。
  49. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ありがとうございました。  最後に前囿参考人にお尋ねをいたしますが、塩工業会といたしましては、自立体制を確立し、国際競争力をつける、こういう方向で鋭意努力をされて、その目的に前進しているように承っておるわけであります。特に生産面のみならず流通面もバランスのとれた合理化をしていかなければならない、こういうような意見もあるやに承っておるわけであります。幾ら生産面でコストを下げ、流通面でコストを下げても、それが消費者に反映されなければ余り意味がない、こういう意味じゃないかと思うんですが、塩工業会から見てそのあたりの御意見がもしあれば承りたいと思います。
  50. 前囿利治

    参考人(前囿利治君) お答えいたします。  塩産業の自立化ということで努力していく場合に、流通面も含めてバランスのとれた合理化が進められなくてはならない、こういうことは工業会としてもおっしゃるとおりの意見でございます。  現在、自主流通米に似ました販売特例というのがございます。これは公社を通さないでメーカーが直接元売さんに販売する。その裏には販売のマーケットをメーカーが自分で努力して開拓する、こういうことが含まれておりますけれども、それと同時に、専売制度の中でマーケットを自分の力で確保して、そうして販売を拡大していく、その一面を元売さんに担ってもらっておるわけです。  現在は販売特例につきましても、これは元売さんを通じて販売をしていくということで、どうしても元売さんの手をかりないと販売特例の拡大ができない、こういうことでございます。その過程で元売さんと絶えず接触しておるわけですけれども、今まで生産と販売というものが専売制によって分断されておりまして、この十年ぐらい販売特例というものが定着しておるわけですが、その辺で必ずしも元売さんと生産メーカーとの気がうまく一致しないという面も間々あろうかと思うんです。その辺は、お互いのコミュニケーションを深めながら、一体になって販売特例の拡大が行われるようにということで、最近はよく元売業界、生産業界も頻繁に一つの場を設けたりしてそういう方向で努力をしております。  おっしゃるように、流通の合理化ということが必要なことは十分わかっております関係で、元売さん自身に対しても、今まで専売公社が元売さんの一次卸的な機能をやっておるのを、これをできるだけ元売さんの合理化、統合を進めながら合理化、統合の進んだ元売に対しては公社が担っていた一次卸の機能を逐次移管していく。そういうことで元売の統合、強化ということに向けて元売さんも努力をしてもらう。こういうことで今検討が進められておる。販売特例を通じた流通の近代化、それからまた元売さん側における流通の近代化、そういうことで、なかなか難しい問題ではありますけれども、ともにそういう方向で努力していかなきゃならぬ、また逐次そういう方向で努力しておる、こういう状況でございます。    〔委員長退席、理事藤井孝男君着席〕
  51. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 どうもありがとうございました。
  52. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私のところから時間が極めて少なくなりますので、二、三の方にしか質問できませんが、御了承願いたいと思います。  最初に岩村参考人にお伺いします。  先ほど来の質問にお答えになって、将来完全民営化を明記せよと、こういうような御意見ですが、そうすれば決意が違ってくるということで、将来の完全民営化、決意の問題ということで意見を述べられたわけですが、しかし臨調とすれば、将来民営化せよという意見だとしますと、具体的な民営化の条件はあると思うのですね。どういう合理化が進んだ段階で民営化のめどが立つとお考えになったのか、その点お答えいただきたいと思います。
  53. 岩村精一洋

    参考人岩村精一洋君) まず第一には、国産葉たばこの問題だと思います。これが外国葉たばこと完全に競争的状態になくてもかなり競争し得る形になった場合には、これは民営化の状況が整うんだろうと思います。  それからもう一つ民営化というのは、外的条件として、先ほども申し上げましたけれども、国際たばこ資本は今は日本への売り込みの自由化だけでいいという態度をとっておりますけれども、先進国間ではお互いの国々でたばこ生産するというのが当たり前であります。ですから、日本の中でつくらせろよと言ってくるに違いない。日本は、アメリカを除きますと自由世界で二番目のたばこの市場規模を持っている国でありますから、これはねらってくるに違いないと思います。その場合に、日本民営化する決意で今のうちからやっておりませんと対応ができなくなるんじゃないかという気がいたします。  民営化について、先ほども幾らか申し上げまして、その点とダブると思いますので、以上のようなお答えでとどめておきたいと思います。
  54. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 次に関野参考人にお伺いします。  アメリカたばこ会社の我が国における販売促進活動が大分活発になったと思うんですね。既に輸入代理店あるいは販売促進会社などを通じて、小売店に対する販売攻勢がずっと進んでいると思うんですが、その実情についておわかりになっている点をまず一つ。  それから商社などが独自の販売ルートを通じて外国たばこを売る計画があると、こう聞いております。そうなりますと、たとえ小売許可制が維持されても市場は混乱するんじゃないかと、こう思いますが、これについてのお考え。  それから三番目には、公社の第一線事業所の統廃合によって営業所が三分の一程度削減されるという計画があることが明らかであります。営業所が大幅に統合されると、販売組合の活動、これも先ほど資料いただいて全国の販売組合の分布状況もわかったわけですが、その活動も困難になるんじゃないか。また営業所の小売店に対するサービスも低下して製品の円滑な供給に問題が出るおそれがあるんじゃないか。これらの点についてお答えいただければと思います。
  55. 関野泰夫

    参考人(関野泰夫君) お答え申し上げます。  三点につきまして御質問いただいたわけでございます。第一点の外国たばこ攻勢でございますが、これは現状、各メーカー独自でやっておりますので、その全体がどれだけの販売促進活動をやられたかということは実態的には私どもなかなかよくわからない点がございます。ただ、攻勢そのものを客観的に見ますと、一つはマージンが八・五%しかありません。それからもう一つは、価格が高くて現金仕入れはなかなかコストがかかるというふうなことがございまして、必ずしも現在それほど効果が上がっているというふうにも考えられないわけでございます。私どもとしては、端的に申しまして、まだ国内商品の商品力というのは大変高水準にございますし、比較的冷静に見ているというのが実態でございます。  それから二番目の問題で、独自のルートでこれからマーケッティングを始めるのではないかということでございますけれども、先ほど岩村先生からお話がございましたが、非関税障壁になるんではないかというくらい実態的な作業が、膨大な作業が消費税だけでもかかるというふうなことからかんがみますと、それからもう一つ専売公社の持っているノーハウなりデータなりというのを持ってないわけで、したがいまして、独自のルートで軽々に動き出すということは、現在のところは情報としてはつかんでおりません。  それから三番目の問題は、統廃合の計画も私つい一週間ばかり前に伺ったんでございますけれども、私どもの組合としては、従来から独自の活動をしておりますので、現時点では私どもの方が統廃合するということは考えておりません。  それで、ただ合理化は無論なさるべきことであろうかと思いますけれども、私どものサービスはそれよりももっとよくなるという保証を欲しいということで、そういう意味では強く要請をしている状況でございます。  以上でございます。
  56. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 次に牧内参考人にお伺いします。  当委員会の質疑を通じても大変な合理化、そして統廃合、特に労働者の立場から見てみますと、その統廃合と、あとは葉たばこが割高ですから、もう機械の回転を速くする以外にないということで、それがまさに国際競争力に耐えていく道だということはもう明白だと思うんですね。となりますと、先ほど来出ているとおり、雇用維持の問題と、もう一つは機械のスピード化による健康の問題、労働者の健康の問題があると思うんです。  今までの質疑の中で、一つは生首は飛ばさない、同時に徹底した合理化をやると。となりますと、果たしてできるんだろうかという、こういう心配があるんですね。そして、今のところまだどんな合理化をやるのかについては明確にされていない。労働組合に示されているかどうかは、これはまだわかりませんけれども。となりますと、どんなものが待ち構えておるんだ。これに臨む労働組合の決意と申しますか、基本的なお考え、これが一つです。  それから、もう既に四千回転になっている中で、婦人労働者が多いということもありましで、機械のスピード化と同時に、その機械に伴って、要するに人力でやる作業がありますね、そのギャップがあって、それと機械のスピード化もあわせて、現に健康に対する障害が出ているという状況だと思うんです。私、個々の労働者からいろいろ聞いておるんですが、ただ公社は、まだその訴えが余りないんで、そういう状況とは認識してない。認識の差があるんですが、現状でもそういう健康被害が高速化に伴って出ているんじゃないか。将来これが八千回転、さらに競争激化すればもっと速くなるかもしれませんけれども、そういう機械のスピード化の労働者の健康への影響について、労働組合としてはどう対処していこうというお考えなのか。この二点についてお伺いしておきます。
  57. 牧内研二

    参考人(牧内研二君) まず合理化の問題ですが、これは専売制度下であれ、あるいは新しい制度になっても、国際的な競争をしていかなくちゃ、日本たばこ産業の維持ができないということは現実だというふうに思います。そういう意味では、私たちもある程度合理化といいますか、特に技術革新という問題については対応していかなきゃなりませんが、私たちは労働組合ですから、それによっていわゆる雇用が不安になったり労働条件が低下されたり、今先生がおっしゃいましたそれによって健康が害されるというようなことについては反対していかなきゃならない、労働組合の組合員のそうした立場を守っていかなくちゃならないというふうに思っています。   〔理事藤井孝男君退席、委員長着席〕  そういう意味では、今労使関係には合理化三協定という、合理化を進めるに当たっての基本協定というのがありまして、そこにいわゆる生首は飛ばさないとか、あるいは労働条件を合理化に伴って向上させるとか、その他いろいろな取り決めがあるわけですね。ぜひそういう意味ではその協定を、せっかく専売労使が営々として積み上げてきた協定でございますから、これを新しい会社にもそのまま持っていきたいというふうに思っていますし、大体そういう方向委員会の中の審議も進んでいるというふうに聞いていますので、その点は大変感謝しているところです。  さて、これからどういう合理化が出てくるかということについては、実は全容はまだよく私たち も理解していません。専売労使はいわゆる合理化の事前協議というのがありまして、まだ本当にまとまらない先からそういうことについて話し合うというのがあります。そういう段階でも工場の合理化とか、そういう問題についてはまだ大綱説明もなされていません。  ただ、私たちも長い間専売の中で働いていますから、こういうたばこをめぐる状況の中では、そうした工場の合理化等が出てくるということはそれなりに想定しています。したがって、そういう中で一体どういうふうに我々として対応していくのか、特に雇用をどう守っていくのか、先ほども申し上げました特に婦人労働者の雇用難という問題については十分検討しなくちゃいけないというふうに思っています。特に第一線の問題は、既に労働組合に対しても正式に提案といいますか、概要説明は大分前にあったわけですが、九月に組合の大会があるという関係もあって正式な提案といいますか、協議促進といいますか、そういう申し出が来ているわけです。先生申されましたように、約三分の一ぐらいの事業所がそういう意味では統合になるという問題で、それに伴って当然仕事やり方とか労働条件とか、最も大切な組合員の雇用減というような問題が出てくるわけであります。したがって、そういう問題についてはこれから労働組合としても大会に向けて要求をつくりまして、先ほど言いましたように雇用を守る、労働条件を守るというよりも労働条件をどう向上させるのか、そういう問題等について詰めていきたいというふうに思っています。  そのほか新しい会社になれば、当然組織機構の改正という問題も出てまいります。そういう意味では、現在は第一線だけですけど、今度は本社とか中間組織とか、そういうところの組織機構の改正という問題等も出てまいります。そういう中では当然またいろんな問題も出てまいりますので、これからの交渉といいますか、特に法案が仮に通れば、これは来年の四月一日に向けて移行措置のためのいろいろな労使協議をやるということになっていますから、そういう中でそうした公社の考え方も引き出しながら、我々の条件を守るためにこれから取り組みを強めていきたいというふうに思っています。  それから機械が非常に高速化になるという問題があります。私たちも機械がそういうふうに四千、六千、八千というふうに高速化になっていくと、それに伴って当然そこで働いている人たちの健康問題ということについては留意をしなくちゃならないというふうに思っていますし、したがってそういう立場でこういう問題が提起されたときには、組合員のいろいろな要求といいますか、そうした希望といいますか、そういうものを十分聞きながら対応しているつもりでございます。そういう意味では、特に二交代とか、あるいはこうした高速機械が入ってくるという形の中でいろいろ問題が全く出されてないということは申し上げません。しかし、そういう問題が出された段階で我々はそれぞれの職場においてそうした問題を取り上げながら、人を余計に配置をするとか、あるいはそういう人たちは日勤にかえるとか、そういう話をしながら対応をしているつもりでありますし、これからもそうした対応を強めていきたいというふうに思っています。
  58. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ありがとうございました。
  59. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 きょうは貴重な御意見ありがとうございました。  まず、牧内参考人にお尋ねをいたしますが、確かに労働組合としていろんな問題もありますでしょうし、今回の法案についてもいろいろ注文をつけたい点、御希望の点あろうかと思います。  お話を伺っておりますと、大筋としては、この専売の大改革という今回の政府提案の法律の枠組みについては反対はしない、端的に言えば、むしろその方向について前向きに受けとめるというふうに私聞こえたんでありますが、そう理解してよろしいでしょうか。
  60. 牧内研二

    参考人(牧内研二君) 今回の改革法案については、基本的には私たちは現行制度の維持、適宜適切な改善ということを機関で決めていますから、そういう意味ではこの法案に対しては反対なんです。しかし、先ほどから申し上げていますように、たばこをめぐる厳しい環境だとか、あるいは現実に、専売制度であれ何であれ、競争していかなければどうにもならないという観点からいくならば、この法案の中で当事者能力の問題とか、あるいは労使の近代化だとか、あるいは葉たばこ耕作者、販売店の激減緩和だとか、そういういろいろな問題を我々はより明確にすることによってこの法案について労働組合としての最終的な態度を決めたいというふうに今思っているところです。そういう意味では、衆議院あるいは参議院におけるこうした委員会審議を通じながら、私たちのそうした考え方がおよそ入っているんじゃないかというふうに思っているんです。そういう意味では、最終的にこの法案がそうした立場で可決されるならば、私たちはそうした立場で新しいたばこ産業株式会社の中で日本たばこ産業を守るためにやっていきたいというふうに思っています。
  61. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 岩村参考人にお尋ねをします。  今回の政府提案では、新しいたばこ産業株式会社が製造独占を与えられているわけですね。製造独占といいますと、いかにも強固な資格を与えられたような印象がありまして、何かたばこ関係者を守ってくれるんではないかと、こういったぐあいに受け取られるんですが、よく考えてみますと、製造独占というのは、だからつくったたばこが売れるという約束は何にもないわけですね。むしろ、もし日本葉たばこ耕作者生産性を高めて国際水準の葉をつくることができたと仮定しますと、恐らくこれから、四月一日から入ってくるアメリカを中心にした大会社というのは決してそうそう少ないシェアで満足しているわけではないでしょうから、むしろ入ってくるんだったら入っていらっしゃい、そのかわり公社の方も出てまいりますと。そうすると、入ってきたたばこはできたら日本でつくってくれないか。そうしたら日本の労働力を使いますし、日本葉たばこも使うでしょう。したがって、むしろ製造独占をある日廃止した方が本当は葉たばこ耕作者あるいは労働者のためになるんだという理屈が立ち得るんではないかという点について御所見を承ります。
  62. 岩村精一洋

    参考人岩村精一洋君) 非常にすっきりした御意見伺った思いがいたします。  今、今度の法案では、確かに流通専売は廃止するけれども、何というか、製造関係専売というものが残っておりますね。それで、将来のあるべき形としては、製造独占ということがない方が望ましい。私ども一応民営化の時期とそれから製造独占廃止の時期というものをシンクロナイズして考えております。それが確かにできればいいんであって、日本葉たばこ外国から入ってくるたばこ資本日本で製造するについてそれを使うというような状態になれば、これは非常に好ましいと思います。日本葉たばこは四十年代の初めごろまでは輸出商品だった。輸出することが十分できたわけであります。その後のいろいろなプロセスを経ておかしなことになってしまったんであって、日本葉たばこ外国たばこ資本日本の国内でたばこ生産するについて使ってくれるということは非常に好ましい状態だと、そんなふうに思っております。
  63. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 関野参考人にお尋ねします。  大変お答えづらい質問を私するんでありますけれども、来年の四月一日から輸入自由化になりますね。八十四年続いた専売制度の歴史を考えますと、とてもそんな冷たいことは言えないというお気持ちはわかるんですけれども、ちょっとドライになりまして、四月一日からどう変わるだろうかという点でお答えいただければ結構なんです。  指定、定価制は残されたわけですから、そうしますと海外のたばこメーカーが日本に売り込む場合には、二十六万軒の既存のたばこ小売店を使うことは間違いありませんね。今米国たばこはマージン率が八・五%、専売公社は一〇%。しかし四月一日を越えて八・五というのはちょっと考えられない気がする。恐らくそれは上がっていくと思うんです。もしかすると一割を超えることも間々あり得るかもしらぬ。そうなりますと、売る小売店の側から見ますと、品ぞろえがふえてどれが売れようとマージンが入ればいいんであって、ドライな見方をすると、むしろ売る側から見れば多々ますます弁ずる姿に変わるんです。場合によっては、アメリカといったって、二社大きいのがあるわけですから、二社は二社で競争するんですからね。向こうだってレイノルズは売りたいと思うし、フィリップ・モリスもそうなんですから。そうすると、売る方は一つですからもう完全な売り手市場だ、商売上非常に強い立場に立つ。そう考えてみますと、競争は激化するでしょうけれども、それはメーカーの競争であって、ディーラーである小売店とするとむしろ多々ますます弁ずるような形で事態は変わっていくんではあるまいか。むしろ積極的に歓迎したいと、私はこういうお立場ではあるまいかと思ってお尋ねするわけであります。
  64. 関野泰夫

    参考人(関野泰夫君) お答え申し上げます。  先生今お話が出ましたように、率直に申しますと、たばこ産業株式会社一本というふうな立場ではございませんので、私どもとしては、ややオーバーな言い方をいたしますと、いずれにいたしましても、日米経済摩擦というのは日米経済関係が現状で持続する限りは続くだろうというふうに考えられますと、ある意味では日米経済摩擦の解消の役にも立っていかなくちゃならないというふうな気持ちでいるわけです。したがいまして、一辺倒ということは私ども組織が生きていく道ではない。そういう意味では御指摘のとおりであろうかというふうに思っております。ただし、九八%のシェアを持っているメーカーでございますので、そういう意味では従来と実態的には余り運営そのものについては変えていただきたくないということでございます。  それからもう一つ心配な点と申しますと、例えば大規模小売店等がどんどん増加していくとか乱売があるとかいうふうなことになりますと、状況が変わってくることになります。  それからもう一つ変わるだろうと思われる点は、消費税法の関係で、先ほど岩村先生からお話がございましたけれども、たばこは今まで地方自治体については八十年間がなり仲よくやってきた、協力もしたし、コミュニケーションもよくいっているわけでございます。ただ、今度具体的に記帳義務なんかが出ますと、それによる質問調査だとか罰則だとかいうものが余り厳しくやられますと、そういう関係が乱れてくるというふうな心配もございますので、運用面について十分に配慮していただきたいというのが私どもの切実な希望でございます。
  65. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 最後に、松下参考人にお尋ねをするんですが、お困りの事情は重々わかるつもりでありまして、意地の悪い質問をするつもりはありません。ただ、米に託して一つお尋ねをしたいんですが、米の場合には専業農家と二種兼業農家と、一種もありますけれども、分かれておりますね。例の生産者米価の値上げ、ついこの間までホットになっておりましたけれども、専業農家の方に聞きますと、生産者米価は上げてもらっては困るというんです。それから農業補助金もとてもだめだ、減らしてくれということを真顔でおっしゃるんです。なぜですかと聞きますと、そうしないと、いつまでたっても二種兼業農家が振り落とせない、我々が規模を拡大できないんだ、したがって生産者米価はなるべく安く、補助金も落とすことによって我々の専業農家を本当にさせてもらいたい、我々は今でも国際競争で勝ち得る自信があるんです、こうおっしゃるんです。私は同じことがたばこ耕作者の中でもあるんではないか。  そこでお尋ねをしたいのは、来年からいよいよ収納価格の御相談があろうかと思うんですが、むしろ収納価格意識的にじりじり下げていった方が葉たばこ耕作者競争力を本当に強めるんではないか。減反でいきますと非常に人為的ですからうまくいかないんです。そのかわり、値段は今度下げるぜ、来年はここまでというようにしてごく自然に減反政策を進めていった方が、結局、日本のやがて残る基幹葉たばこ耕作者のためになるんじゃないか、そう思うんですが、この点についてやはり再生産費補償という形の交渉を来年も続けるのか、それとも将来見ながら抜本的な格好で取り組むお考えなのか、なかなかお答えづらいと思いますが、お答えができる範囲で結構ですから御意見を承りたいと思います。
  66. 松下龍太郎

    参考人松下龍太郎君) 大変難しい御質問ですが、考え方を申し上げたいと思います。  私は、今の農業事情の中では、いわゆる優勝劣敗という非常に厳しい法則をそのまま持ち込むことは無理だと思っております。これはもう農家の生活の問題です。ただ、価格を将来的に下げていかにゃならぬという長期的な課題は十分承知しております。しかし、それがコストと関係なしに紙の上で切っていくということは農家の生活上問題だと思うのです。ですから、先ほどるる申し上げましたように、具体的に構造を変えるということのために構造政策に比重を置くというお考えには全く賛成でございます。
  67. 青木茂

    ○青木茂君 私は十一分間ですから十一分間を実は松下先生に集中して伺いたいと、つい先ほどまで思っていたんですけれども、前の方で私の言いたいことは尽きたようでございますから、方針を改めさしていただいて、岩村先生にひとつ十一分お願いを申し上げたいと思います。  私、今度の法案を見まして、どうしても株式会社専売公社という印象は否めないし、今まで和服を着せていたものを洋服に着かえさしただけであって、中身は何ら変わってないという感じがしないでもないのです。しかもこれが行革法案だと言われておる。旧臨調のお立場といたしまして、これが行革法案であるのかどうかということについての御見解をまず伺いたいのです。
  68. 岩村精一洋

    参考人岩村精一洋君) 行革の筋をかなり緩めた法案であるというふうな印象を持っております。緩めたというのか、ゆがめた法案であるという印象を持っております。ただ、着物を着せかえた専売公社という印象はなきにしもあらずでありますけれども、外国たばこが自由に入ってくるという条件をつくりましたので、これはまあかなり恐るべき競争の産業になり得るわけであります。そこに競争条件というものを設定したことは、今度の法案の評価していい面しゃなかろうか、そのように思っております。
  69. 青木茂

    ○青木茂君 それは私も同感なんですけれども、ただずっとこの委員会審議の経過におきまして、今回の法案の内容はほぼ永遠にフィックスなんですよ、前進していかない内容なんですよ。そうなりますと臨調の答申の都合のいいところだけがつまみ食いされてしまって、全体から見たら結構骨抜きになっちゃったんじゃないかという気がどうしてもいたします。旧臨調といたしまして、私が骨抜きであるということにつきましては御異論がございますでしょうか。
  70. 岩村精一洋

    参考人岩村精一洋君) 骨抜きといいますか、かなりの部分を抜いてあるという印象、これは避けられないわけであります。ただ、こういうふうに考えられないでしょうか。いかに特殊会社として発足して、現状維持を図る勢力がこれを後ろの方へ引っ張りましょうとも、外国たばこにどんどんやられてくる状態があれば、これはもう競争力の強化に進まざるを得ない。その方向と連動して葉たばこ耕作問題というのがすっきりした方向に進まざるを得ない。もしそうじゃなければ、これは新しいたばこ産業会社日本たばこ耕作も壊滅してしまうわけであります。これは何としてもそういう状態を防がなければならないという意思が働くだろう。恐らく多くの喫煙者たばこ耕作とたばこ産業会社がいけなくなってしまっても余り困らない。ですから、これは喫煙者の応援を求めるわけにはいかないので、みずからが何とか合理化しなきゃならないというのをたばこ産業会社たばこ耕作者も持つわけであります。そこの辺にある程度の期待をかけたいと、今の私の気持ちを率直に申し上げますとそのとおりであります。
  71. 青木茂

    ○青木茂君 臨調の方々は紳士ばかり集まったものだから非常に上手にお答えになるわけですけれども、確かに米の問題は、私ども都市に住む者といたしましても、これはある程度の農村との連帯ということが必要なことはよくわかります。ただ、農家の方に対しては大変に失礼な言い方をいたしますことをお許しいただくならば、たばこの問題はたかがたばこなんですね。嗜好品なんです。米というほどのものではないわけですね。そこに私は国家介入というものもおのずから濃淡の差があっていいと思うわけなんです。そうすると、そこで一番問題になるのは全量買い入れなんです。今度は契約したものは全量買い入れになるわけなんですけれども、契約の基準ですね、契約の基準というものがもう少しシビアになるかどうかというようなことは、旧臨調では御論議になったことがあるわけでしょうか。
  72. 岩村精一洋

    参考人岩村精一洋君) これまでのたばこ耕作審議会のあり方ではだめだなという意見は非常に強くございました。これは政治的に左右される外部団体の意向が余りにも強く反映し過ぎる方向ではなかろうか、そういう意見が臨調の審議の中にございました。ですから、今後たばこ審議会というものを有効に機能させようとしますならば、これは余り外部からの圧力に動かされないような審議会でなければならない、そのように思っております。それは先ほども申し上げましたけれども、重ねて申し上げます。
  73. 青木茂

    ○青木茂君 ちょうど大学の学生の及落判定会議に学生代表を入れるようなものになるわけですね。それは審議会におきましても、標本委員会におきましても、本当に同じじゃないかと思うわけなんです。  時間がたってきておりますから申し上げますけれども、ここでどうしても私どもが問題にせざるを得ないのは、都市、農村格差と申しますか、例えば農村には全量買い入れというかなりパーフェクトな担保が今度法律で与えられていますね。ところが、専売関係する都市サラリーマンですね、都市サラリーマンには生首は飛ばさないというような口約束はありますけれども、法的な担保というものは何もないわけですね。ですから、そこら辺のところがどうもアンバランスではないか。農家の生活問題ということもこれは大変乱もよくわかるんですけれども、ただ都市生活者の生活問題という点においてもこれは同じことでございます。どうしても全量買い入れというその問題にこれから絞られてくると思いますけれども、そうすると、最後の御質問でございますが、現在の法案の内容はフィックスされるということに対しては、仮に臨調の委員方々にアンケートを出すとすれば、大いに満足、やや満足、少々怒っている、怒り心頭に発しているという四つの中でどれに入るわけですか。
  74. 岩村精一洋

    参考人岩村精一洋君) かなり怒っているわけであります。  ただ、先ほど全量買い付けという点についてお話しになりましたけれども、私はこれは契約に基づく全量買い付けである、契約に基づく全量買い付けというのは、これは商習慣上は当たり前でありますね、契約した量は引き取りますよということです。これは天井なしの全量買い付けではない、シーリングが一本入っているわけであります。ですから、その契約量並びに契約価格審議するたばこ審議会にしっかりしてもらわなきゃならぬ、そのような意見を申し上げたわけであります。
  75. 青木茂

    ○青木茂君 終わります。
  76. 野末陳平

    ○野末陳平君 きょうはどうもいろいろと参考になる意見ありがとうございました。  岩村さんとそれから牧内さんとお二人の参考人の方にまずお聞きします。  さっきもちょっと出ましたけれども、過剰在庫のことですね。恐らくこれが新会社に相当重荷になるだろうと思っているんですが、その過剰在庫についてさっき松下さんは、何か輸出とかそれから使い込みをもうちょっと会社に頑張ってもらってという意見をちらっとおっしゃいましたが、どうでしょう、この過剰在庫を今後どうしていくのが一番いいんでしょうかね。全く素人でわからないんですけれども、いろいろなお考えがあったらば岩村さんと牧内さんにお願いしたいと思います。
  77. 岩村精一洋

    参考人岩村精一洋君) 非常に単純、素朴に考えますと、これからの買い入れ量を絞っていく、契約における買い入れ量を絞っていくこと以外にこの過剰在庫の問題は解決できないんではなかろうかと思います。
  78. 牧内研二

    参考人(牧内研二君) これは労働組合よりも公社が答えるべきことかと思いますが、私の考えも、率直に申し上げて、先ほど松下参考人、あるいは今岩村参考人が言われたように、一つは、国内といいますか、葉たばこをどう使っていくのかという問題。それからもう一つは、輸出ということなんですが、輸出をすれば、赤字輸出ということに実際はなるんでしょうからいろいろ問題はあるんでしょうけれども、それでも倉庫の中に過剰在庫をいつまでも抱えておくということはそれなりに、特に新しい会社になれば問題だというふうに思いますから、そういう意味では、この過剰在庫をどう解消していくのか、積極的な計画といいますか、そういうものを公社は出して、その方向に向けて対応していくべきだというふうに思っています。
  79. 野末陳平

    ○野末陳平君 今度は関野参考人にお伺いしますが、これは実にストレートにお聞きするんですけれども、私のところも実家が商売をやっているんです。たばこじゃないんですが、似たようなことをやっていますが、マージンがいいとどうしても売りたくなるわけですね、当然のことながら。そうすると、さっき栗林委員からも質問が出ていましたけれども、輸入たばこが一〇%のマージンになったら、こっちの方がもうかるからやっぱりどんどん売っていこうという気に多分なるだろうと思うんですよ。また、それでいいと思うんですね。そうなりました場合、このマージンを輸入たばこの方が上げてくるということは、国産たばこを売るのとそれから輸入たばこを売るので、つまり国産愛好というような心理はもう働かなくなっちゃうんじゃないかな。買う方もそうなると思うんですね。ですから、このマージンが上がるということは大変に今後の消費のシェアにかかると思うんですが、売る商人の立場としてはどうなんでしょうね、その辺は。
  80. 関野泰夫

    参考人(関野泰夫君) お答え申し上げます。  端的に申しますと、先ほども話がちょっと出ましたけれども、売れればいいということになるわけでございますけれども、ただ売れるか売れないかというのは、一つはメーカーのマーケッティングなりサービスなりということによるだろうと思います。ただ、アメリカの現状から見ますと、私が自分なりに前から大変気になっておりますのは、八・五を一〇にするだけでも、二年たっても三年たっても上げようとしない。向こうは向こうとしてもかなり細かい計算をしてがめつく動かれているような感じがするわけでございます。  それから商店の方は現金仕入れでございますので、確実にそれがいろんなマーケッティングで売れていくというふうな保証があれば仕入れもしていくことになろうかと思いますけれども、現状では、先ほど岩村先生からお話出ましたように、味というのは、かなりなれがございますので、簡単にそういうふうにマーケットに変動が起こるということは、少し甘いかもしれませんけれども、現状ではこれは余り考えられないんではないかというふうに思っております。
  81. 野末陳平

    ○野末陳平君 僕はたばこを吸わないから、そういう味が果たしてどの辺まで習慣を変えるか変えないか、その辺のところわからないんですが、宮城先生の方から見ますと、どうなんでしょうか。日本人はブランド嗜好でしょう。それから割と風向きに弱いでしょう。そういうことも含めますと、輸入たばこ自由化というのは、新会社あるいは耕作者などが考えているよりも輸入シェアは拡大されていくんじゃないかという気がするんですよ。ですから、その点で、ブランド嗜好なども含めて、ちょっとそのお考えをお聞きしたいと思います。
  82. 宮城音弥

    参考人宮城音弥君) 今おっしゃったとおりだと私は思います。ブランド嗜好なんというのは非常に日本で強い。その証拠には、にせのブランドでも非常にはやったりして問題になっているくらいであります。そんなこともありまして、私は、新しいものを好む、そしてみんな騒ぐものを好みますので、恐らく日本では今おっしゃったような方向に向かうであろうかと、そう思っております。
  83. 野末陳平

    ○野末陳平君 もう最後にしますが、松下さんにお伺いしたいんです。  これは要するにこの委員会でも、葉っぱの問題が決定的に新会社の将来を左右するぐらいに重要だという認識で質疑があったんですが、今の松下さんのお話の中にありました規模と賃金差の問題ですね。これは非常に大きい要素で、国産の葉がどうしても三倍強になってしまうというところだと思いますが、それを補って新技術の開発とか、品質改良とかいろいろありますね。どの農家もいろんな点で苦心してかなり成功しているかのごとく思うんですね、果実なんかを見ますと。この葉たばこにはそういうようなことももちろんおやりでしょうが、どうでしょう、今後さらに品質のいいものが安くつくれそうないわゆる新技術というような見通しがあって期待できるのかどうか、その辺のこと、ちょっとお話ししていただけますか。
  84. 松下龍太郎

    参考人松下龍太郎君) 御指摘のありましたその三倍強という格差があるかどうかわかりませんが、私どもは二倍程度と理解しておりますけれども、先ほど来申し上げましたように、決して絶望的だとは思っておりません。作業の過程で四車線が一遍に一車線になるような収穫とか乾燥とか、特にある種類についてはそういう乾燥法が解決すれば飛躍的に解決するというふうな問題もありますので、現在の公社技術陣の水準、それから農家の水準も非常に商うございますので、もう鋭意努力すれば必ず道が開ける。ただ、それだから絶対にイーブンにいけるかといいますと、これはもう農産物全般の問題でございまして、ある程度の水準までは近づけると確信しております。以上でございます。
  85. 野末陳平

    ○野末陳平君 どうもありがとうございました。終わります。
  86. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々には、長時間にわたり御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表して御礼を申し上げます。どうぞ御退席いただいて結構でございます。     ―――――――――――――
  87. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております五法案の審査のため、明日、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 御異議ないと認めます。  なお、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十三分散会