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1984-04-09 第101回国会 参議院 環境特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月九日(月曜日)    午前十時一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         穐山  篤君     理 事                 山東 昭子君                 原 文兵衛君                 丸谷 金保君                 飯田 忠雄君     委 員                 石本  茂君                 梶木 又三君                 藤田  栄君                 星  長治君                 矢野俊比古君                 柳川 覺治君                 秋山 長造君                 片山 甚市君                 高桑 栄松君                 近藤 忠孝君                 中村 鋭一君                 美濃部亮吉君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  上田  稔君    政府委員        公害等調整委員        会事務局長    海老原義彦君        環境庁長官官房        長        加藤 陸美君        環境庁長官官房        審議官      大塩 敏樹君        環境庁長官官房        会計課長     廣重 博一君        環境庁企画調整        局長       正田 泰央君        環境庁企画調整        局環境保健部長  長谷川慧重君        環境庁自然保護        局長       山崎  圭君        環境庁大気保全        局長       林部  弘君        環境庁水質保全        局長       佐竹 五六君    説明員        文部省学術国際        局研究助成課長  河野 石根君        厚生省環境衛生        局食品衛生課長  玉木  武君        厚生省環境衛生        局水道環境部水        道整備課長    森下 忠幸君        厚生省環境衛生        局水道環境部環        境整備課長    小林 康彦君        農林水産省農蚕        園芸局農薬対策        室長       岩本  毅君        林野庁指導部森        林保全課長    原 喜一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十九年度一般会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和五十九年度特別会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和五十九年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)について  (総理府所管公害等調整委員会環境庁))     —————————————
  2. 穐山篤

    委員長穐山篤君) ただいまから環境特別委員会開会をいたします。  去る四月三日、予算委員会から、本日午前の半日間、昭和五十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、公害等調整委員会及び環境庁についての審査の委嘱がございました。  この際、本件を議題といたします。  本件予算説明につきましては、去る三月二十三日の委員会におきまして既に聴取をいたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 片山甚市

    片山甚市君 水銀等有害物質による土壌汚染について、その対策をお聞きしたいと思います。  廃棄物処理及び清掃に関する法律並びに公害対策基本法成立の沿革と目的について簡単に述べてもらいたいと思います。
  4. 小林康彦

    説明員小林康彦君) 廃棄物処理法につきましてお答えいたします。  廃棄物処理及び清掃に関する法律は、昭和四十五年のいわゆる公害国会において他の公害関係法律とともに成立いたしました。廃棄物処理は、それまで、清掃法の規定により、市街化区域を中心とする区域内の汚物衛生的処理として実施されてきましたが、経済の成長国民生活向上等に伴う廃棄物量的増大質的変化等に伴って処理体制の抜本的な改革が必要となったため、産業廃棄物処理責任を明確化するなど、現状に即した廃棄物処理体制を確立し、もって生活環境保全及び公衆衛生向上を図ることを目的として法が制定されました。  その概要は、法律の対象として、それまでの汚物の概念を拡大をいたしまして廃棄物に改め、また、これを、市町村が第一義的な処理責任を負う一般廃棄物と、排出した事業者責任を負う産業廃棄物に区分し、それぞれの処理について、生活環境保全観点を加えた処理基準を設けております。また、一定処理施設について届け出を要することとする等、規制内容を拡充しております。  その後、いわゆる六価クロム問題を契機といたしまして、事業者等廃棄物処理に関する責務の確実な遂行を確保するため、産業廃棄物処理に関する規制の強化を中心とした改正を昭和五十一年に行っております。  以上でございます。
  5. 片山甚市

    片山甚市君 公害顕在化に伴って、その対策一般廃棄物産業廃棄物による環境汚染を起こさせないための法律だと思っていますが、そこで、昭和四十五年以降、いわゆる廃掃法の制定によって名目上有害物質による土壌汚染等は存在しなくなったのかどうか、まずお答え願いたいと思います。
  6. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) ただいま御質問がございまして厚生省からお答えいたしましたように、廃掃法改正以後におきましては、有害廃棄物産業廃棄物処理体制についての体制が整備されたわけでございますが、遺憾ながら法律施行以前に有害廃棄物各地に埋め立てられたような実情がございまして、それらのものが最近各地で検出されているという実例はあるわけでございます。  さらに御質問があれば、詳細な実例も御紹介いたしたいと思います。
  7. 片山甚市

    片山甚市君 そういたしますと、昭和四十五年以降については廃棄物によるところの土壌汚染等状態はなくなっておるはず、こういう仮定に立つ。昭和四十五年以前にはどういう状態でしょうか。
  8. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) ただいまお答えいたしたとおりでございますが、四十五年以前の原因のものが四十五年以降にいろいろ検出されておりまして、例を申し上げますと、例えば、横浜市保土ケ谷区で昭和四十八年、それから五十年に東京都北区豊島五丁目でも検出されております。さらに五十一年、東京都板橋区東坂下、五十二年、荒川区尾久、さらに五十三年、大田区大森、五十六年、同じく小平市上水本町、それから五十八年、目黒三田等に検出されている実例があるわけでございます。
  9. 片山甚市

    片山甚市君 そういたしますと、その存在をしたものについて原因者負担によるところの改善を要求できる、そういうように理解してよろしゅうございますか。
  10. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) これらはいずれも大規模土地利用転換に伴いまして問題になったわけでございまして、それぞれその事案ごと原因者負担により必要な措置が講じられているところでございます。
  11. 片山甚市

    片山甚市君 そういたしますと、有害物質による土壌汚染が明確にわかった場合には、今おっしゃったように原因者負担で解決するというように、もう一度確認しておきたいんですが、いかがですか。
  12. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 基本的にそのように御理解いただいて間違いないと思います。
  13. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、今御説明もありましたけれども小平の問題に入るんですが、長期にあるいは広域的に潜在することが予見される、これから問題になる乾電池公害ども環境基準に定められた有害測定値以下なら安全だということで放置することはない、これから検討していくということで理解をしたいと思いますが、いかがですか。
  14. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 御指摘水銀乾電池の問題でございますけれども、これにつきましては、現在のところ、公共水域等からメチル水銀はもとより、総水銀につきましても環境基準を上回る値が検出されておりませんことから見まして、現在直ちに問題があるとは言えないというふうに私ども理解しております。  しかしながら、今後水銀乾電池使用量が増加してまいります場合に、果たして現在の処理システム、と申しますのは、一般廃棄物の中に含めて焼却処理し、それを埋め立てるというような方法が適当であるかどうかというような問題については今後の一つの大きな検討課題であろう、かように考えている次第でございます。
  15. 片山甚市

    片山甚市君 公害が発生してから対策をとる以前に公害の発生しないような施策をとることが環境庁としての最大の任務のように考えますから、今おっしゃったことについて多くの方々から議論があると思いますが、問題の指摘については以上にとどめます。  そこで、昨年九月開校しました東京小平南高校建設用地でありますが、これは旧農林省家畜衛生試験場跡地でありますが、ここから高濃度水銀汚染が検出され、大問題になったのは新聞でも明らかですし、東京都議会でもこのことについての議論がありました。それで東京都で取り上げられて、東京都は、その汚染土処理経費原因者負担として国に請求し、土地取得価格の中から処理費相当分を控除させたということでありますが、御承知であろうと思いますが、御説明を願いたいと思います。
  16. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 御指摘のとおりでございまして、小平南高校建設用地につきましては、これは農林水産省家畜衛生試験場用地として用いられておりました。そこから水銀が高濃度で検出されまして、都が汚染土硫化ナトリウムで不溶化しコンクリートで封じ込めたわけでございます。東京都からの要請によって、国はその売却費用の中から処理所要費用を差し引いて土地を売却したというふうに私ども承知しておるわけでございます。
  17. 片山甚市

    片山甚市君 もともと、昇汞水を使って農林省家畜衛生試験場土壌汚染をつくったことになっていますが、その試験場を売却するに当たって、それが学校用地になることが事前にわかっているにもかかわらず、汚染土壌処理もせず売却し、都も、その土壌処理をした後さらに基準値以上の汚染が検出されたということで、さらに東京都自前でお金を出したようですが、こういうような状態ですと、国が公害を防いでいくという体制、国の体制としては十分でないと指摘せざるを得ませんが、お答えを願いたいと思います。
  18. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 農林省家畜衛生試験場はこれは歴史の、私もつまびらかにいたしませんが、かなり古い時期からあそこの土地を使って試験研究をやってきたということがございます。したがいまして、その時期におきましては、当時の科学的な知見あるいは法律、制度から見まして、結果的に水銀土壌汚染する結果になったということはこれは甚だ遺憾なことではありますが、当時の事情からいたしましてやむを得なかったんではなかろうか。今後は絶対にそういうことが起こり得ないように各試験研究機関におきましても慎重な取り扱いがなされていると思います。  それからまた、それを売却する際にきちんと処理をした上で売り渡すべきではないかという御指摘につきましては、これは土地売却等大蔵省のたしか理財局で御担当になられると思いますが、具体的にどういうふうに処理をするか、あるいはその経費をどちらがどのような割合で負担するかということにつきましては、そのケース・バイ・ケースに応じて大蔵省できちっと指導されることというふうに考えておるわけでございますが、環境庁といたしましては、いずれにいたしましても、今後それらの土地利用転換が行われる土地と申しますのは、公団住宅とか公共住宅とかあるいは学校というような施設に用いられるわけでございますから、適正な処理がなされた上で使用されるべきものであろう、かように考えている次第でございます。また、それぞれ関係省庁に対してはそのような要請をいたしていく考えでございます。
  19. 片山甚市

    片山甚市君 国は、廃掃法制定昭和四十五年以前に起因する有害物質投棄責任法律上負う必要はないと考えるのか、負う必要があると考えるか、まずお答え願いたい。
  20. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) まず第一に必要なことは、そのような状態を除去することが肝要だろうというふうに思うわけでございます。その場合に、当然のことながら、除去いたしますにはコストがかかるわけでございまして、そのコストをどのように負担するかにつきましては、原則的には原因者負担という考え方がこれは各種公害法制を通じて確立されておるわけでございますから、そのような基本的考え方に従いまして、まあ具体的事情に応じて、その適用に当たってはいろいろ事情をしんしゃくしなければならないような事情もあろうかと思いますけれども、そのような考え方で対応すべきものであろうというふうに考えておるわけでございます。
  21. 片山甚市

    片山甚市君 土壌汚染についてだけでございませんが、公害顕在化するまでに長期間の日時がかかります。そういうことから、やみからやみ処理された有実物質などについての責任は、やはりその責任原因者を発見ができるかどうかということになりますから、原因者を発見するまでの間も国が十分な監視をしなきゃならぬ。もしそういうことをしなければ、公の機関で、今回農林省所有土地、国の土地が公の東京都に払い下げになったから問題がありませんけれども民間の場合、たちの悪い者がやればこの責任を追及することができない。  その例は、日化工の六価クロムが顕在化するまでには非常な時間がかかり、そのため東京都を含めて環境庁も大変苦労されたことでありますから、そういう意味で、原因者責任の追及さえも困難な事態が起こるというんで、国が関与した問題として先ほどお話がありましたけれども目黒清掃工場予定地、これはもとの通産省工業試験所跡でありますが、これはどういう状態になっておるか説明を願いたいと思うんです。
  22. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 私どもの承知している範囲で申し上げますと、目黒三田におきまして、広さ約〇・三ヘクタール、通商産業省工業技術院東京工業試験所目黒分室として使用されていた土地でございますが、これが目黒清掃工場建設予定地に予定されております。その土地からカドミ、鉛、亜鉛等有害物質が検出されたところでございまして、現在東京都においてその処理方法について検討中であるというふうに聞いておるわけでございます。結論の出るのは六十年以降になるのではないかというふうに承知しておるわけでございます。
  23. 片山甚市

    片山甚市君 これも、国が持っておる試験場とかそういうことで重金属等が検出される可能性のあるところでありますから、今後の国のそういうところの施設については厳重な検討環境庁として全国的にもされる必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  24. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 環境庁といたしましては、先ほど先生お答えいたしましたとおり、国の所有地民間等に売却いたします場合には、そのような汚染された状態ですることのないように国有財産所管部局に対して申し入れたいと思います。ただ、実際の工事をどちらがやるか、その費用負担をどちらがするか等につきましては、具体的事情に応じて国有財産所管部局において処理されることとなるわけでございます。
  25. 片山甚市

    片山甚市君 先ほどから、原則的なことでは間違いのない御答弁をしていただいたと思っています。  そこで、土壌汚染発生原因廃掃法成立の前であろうと後であろうと、現実にその土地、地域に生活する住民に危険があるとすれば、土壌汚染などがあるとすれば、どんな緊急避難を講じてもその救済、除去について国として、環境庁として努力することは当然だと思いますが、いかがでしょうか。
  26. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 土壌汚染状態と人の健康の関係につきましては、現在までのところ明確な知見が得られてないのが実情でございます。つまり、一体どの程度の汚染物質が含まれる土壌の上に生活すればそれが健康に障害を生ずるかということについては、明確な知見がないのが現状でございます。  ただ、先ほど来御指摘の点につきましては、私どもとしては、国ないし地方公共団体公共施設として施設をつくる場合には、いやしくもそのおそれのあるようなそういう状態のままでそこを一般住民利用に供することは問題であろうと、かような観点からそのようなおそれのないような措置をすることを私どもも必要と思いますし、それぞれその所管官庁においてもそのことを理解して、今まで申し上げましたような措置が講じられてきているところでございます。
  27. 片山甚市

    片山甚市君 公的機関がそういう模範を示すことについてのお話でございますが、日本国民は、公的機関であろうと何であろうと、一億二千万近くおるんですから、その人たち環境の問題でありまして、公的ならば十分に考えるけれども民間は適当にやれというようなことではまかりならぬ。そういうことではないと思いますが、そこでお尋ねいたします。  居住者が過密である都市型の環境汚染については特に配慮すべきであると思います。農用地等については一定基準があります。そこで、模範的には、東京都は重金属等による汚染土壌処理基準を設定し、公害防止の一策としておりますが、この妥当性及び他の自治体の対策等についてはどうなっておるか。と申しますのは、せめて東京都に見習って国が速やかに都市型の土壌汚染に対する対策を、基準をつくって少なくとも全国的に対処すべきではないか。環境庁がやるべきことは、当面、高度成長の中で垂れ流しをした土地の中にたまっておる公害物質に対して、国民生活を破壊しないように配慮する行政をすべきでないかと思いますが、いかがでしょうか。
  28. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 環境庁は、五十二年から五十六年度まで工場跡地等市街地汚染調査を実施いたしまして、その調査によって、重金属類土壌の中の動き、あるいはそれが大気あるいは水へどのようなメカニズムで拡散されるかというようなことを調査したわけでございます。一応の結論を得ましてそれを各都道府県に通達したところでございます。したがいまして、東京都におかれても、東京都が改善基準、それからその処理基準を定められていることは私ども承知しておりますが、その基準策定に当たりましても私ども調査もお役に立ったというふうに考えているわけでございます。  現在問題のあります土地というのは、やはり工場あるいは試験場跡地が大部分でございまして、そういうような土地が大規模利用転換を行われる際に問題が起きているのが現状でございます。したがって、東京、大阪あるいは福岡、名古屋というような大都市に問題が集約されるかと思うわけでございますが、私どもも、要すればこの調査結果等も参考にいたしまして、先生今御指摘のございましたように、都道府県等に一般的な形で指導することも今後の課題として検討していきたいと思います。
  29. 片山甚市

    片山甚市君 ただいまの御答弁では、東京都の基準についてはおおむね妥当というか肯定的な立場で、それをひとつ参考にしながらやっていきたい、こういうことで、否定的要素でなかったというようにまず理解をしておきます。そうして、都市型の土壌汚染を除去することがとにかく急がれる場所というのは、今おっしゃったように工場跡地試験場跡地、こういうことでありますから、関係方面協力がなければできないのでありますから、各省庁に督励をしてもらって協力を願いたい。  そこで、先ほどからお答えがあったんですが、全国各地にそういうものについての洗い直しをしていただいて、できるだけ早く全国的リストをつくって改善方の方策をつくるようにしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  30. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 環境庁といたしましては、現在御審査いただいております五十九年度予算の中で、廃棄物跡地管理手法についての調査検討をするための予算を御審査いただいているわけでございます。それがお認めいただけました暁には、その一環といたしまして、それぞれの問題を生じそうな土地というのを、通産省等とも御協力をいただきまして、およそ過去においてどのような製品が製造されていたか、その処理の仕方がどうであったかというようなことをある程度調べれば、問題が起きそうな土地がわかるわけでございますから、四十五年以前の問題に対応するには、そのような問題のありそうな土地を洗い直していくということが必要であると思うわけでございまして、そのような作業を、ただいま申し上げました廃棄物跡地管理手法検討一環として都道府県あるいは関係省庁の御協力も得て行いたいというふうに考えている次第でございます。
  31. 片山甚市

    片山甚市君 化学的に分析ができるように資料を整えて、公正な判断をしながら速やかに達成ができるようにしてもらいたいと思います。  環境破壊原因を発見し、それをなくするということになりますと、場当たり的、近視眼的な見方ではできないと思います。因果関係も、一般的には、先ほど申しましたように十年ないし十年以上かかってあらわれてくるような長期のものでありますから、原因者責任の所在も不明確になる。その点、国の行政責任として原因者責任を追及するだけでなくて、そのことが起こらないようにしてもらいたいと思います。  そこで、冒頭に言いました水銀乾電池の問題ですが、水銀によるところの汚染の問題について、これから環境庁はどのように全国的にも対策を立てて環境汚染を起こさせないようにするのか。これはもうこれから最も大きな課題になる。空き缶を捨てる問題よりも水銀の方が蓄積が大きいと思いますから、それについてのスケジュールといいますか、考え方について述べてもらいたいと思います。
  32. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 御指摘水銀乾電池問題でございますけれども、現況の処理形態といたしましては、一般廃棄物として焼却処理して埋め立てられるか、あるいは一般廃棄物としてそのまま埋め立てられるか、それから、これは法律の予定しないシステムでございますけれども地方公共団体が自主的に分別回収をされて、その上で必要な措置を講ぜられるか、それから、先般、これは厚生省からお答えいただいた方が妥当かと存じますが、厚生省通産省業界に対して協力要請をされ、それに基づいて、ボタン型乾電池については自主回収システムが一応できたわけでございます。それからなお、その際に、業界から乾電池中の水銀量を減らすための研究を引き続きやる旨の回答を得られているところでございます。そのような一応の対策措置が講ぜられたところでございますので、その対策措置の結果を見守って今後の対応を決めてまいりたいというふうに考えております。  なお、環境庁といたしましては、一般的に、確かに先生指摘のとおり、一般廃棄物というのは有害な物質が含まれないという前提で現在の処理システムができているわけでございます。今日のように水銀乾電池がかなり大量に一般廃棄物に含まれる際には果たして現在の体制でいいかどうかという問題はあるわけでございます。私ども最終処分基準につきましても同様な問題があるわけでございますが、これは現在のごみ処理システム全般に対しても非常に深刻な影響を及ぼすわけでございますし、また、これは少なくとも現在の段階では危険であるというふうな兆候は得られていないわけでございますから、私ども、若干の時間的余裕はお与えいただけるのではないかと思うわけでございます。  このような見地から、厚生省におかれましても、昨年十一月三十日に生活環境審議会から、今後の廃棄物処理基本方向についての答申を受けられて、その具体化のためにいろいろ検討されているというふうに聞いております。今後、厚生省とも十分連絡をとりながら、あるいは通産省も含めてこの問題について的確な対処をしてまいるようにいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  33. 片山甚市

    片山甚市君 時間が参りましたから、結びとして。  公害顕在化してから対策を立てることについては、人命、健康、すべてが破壊された後であります。既に御承知の水俣の問題も含め、どこでも阿鼻叫喚、地獄であります。水銀は御承知のようにもう既にたくさんの量が使われて、日本国じゅうに拡散をしつつある。蓄積した後であれば収拾がつかないということで、緊急な対策をとってもらいたい。  そこで、きょうはもう一つ、和歌山県の日高町にあるところの関西電力の原発の問題について御質問したいと思いましたが、時間がございません。次回に環境庁長官の御所見などを承りたいと思いますから、そのときに譲りたいと思います。  きょうはこれで終わります。
  34. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 お配りいただいた資料によりますと、五十九年度の予算の要求段階から、前年に比して、公害対策大気汚染、水質汚濁と、すべての事業についてマイナス要求。これはそうした予算の方針がそうであったので平均して削ったんだろうと思いますが、こういうときには、ことしはこのことに重点を置こうというような、もっと新しい企画はなかったんですか。平均して軒並みずらっとマイナスなんです、見る限り、ほとんどがね。ことしは大気汚染の問題を徹底的にやろうとか、水質保全の問題を徹底的にやろうとかというふうな、何かあったんじゃないかと思うんですが、いかにも、だらだらだらと削った策のなさというのが予算要求の段階から出ているんですけれども、これはどうなんでしょうか。
  35. 加藤陸美

    政府委員(加藤陸美君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、総額といたしましてある程度の削減をせざるを得なかったという非常に緊縮型の予算要求でございますし、編成作業でございましたことは御指摘のとおりでございます。  先生、数字をごらんになりながらのお話でございますので、確かに各大項目ごとに削減額、三角何億とか何千万とかという姿になっておることは御指摘のとおりでございます。ただ、まさに先生がおっしゃいましたとおりの、あることに力点を置いて、申しわけありませんがそうでない、ちょっと先でも対応をと、それ自身もそうはしたくないわけですけれども、まあ一年先に延ばして、あるところは削減し、あるところはプラスにせいという御指摘かと存じます。  私ども、まさにそういう点は配慮しておるつもりでございまして、その代表的なものとして、先ほど先生の御質問に対しまして水質保全局長お答えしましたように、例えば水の問題、特に地下水の問題については重点を置いて新規項目を立て、それを予算に計上しておるというようなこともいたしておりますし、あるいは自然環境関係などにつきましても、全体としては減になっておりますが、自然との触れ合いの増進を図るというようなことについてはプラスを積極的に進めるとか、環境保全の一般的な関係になりますが、快適環境の整備事業等につきまして特段の配慮を払い、プラス要素をつけたというような、ちょっと口幅ったい言い方になりますけれども、めり張りと申しますか、張りの方も努めたつもりでございますが、先生指摘のような点はまさに重要な点でございまして、今後ともその執行も含めまして配意してまいりたいと存じます。
  36. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 大臣にお伺いいたしますが、我が国の環境行政というのは、問題が起こって対応するということに従来終始してきたと思います。今の片山委員の御質問にありました小平の問題にしても目黒の問題にしても、住民が騒ぎ出して初めて問題になった。私はこの住民の方々とも何度かお会いいたしましたが、そういう点で、騒ぎ出さないとやってくれないと、住民をこういう気持ちにさせてしまった今の環境行政のあり方、こういうことについて御所見を、一体これでいいのだろうか、伺いたいと思うんです。
  37. 上田稔

    ○国務大臣(上田稔君) 先生指摘のとおり、また片山先生から先ほど指摘をいただいたのでございますけれども、先手を打ってとにかく環境行政をやるべきじゃないか、また公害防止をやるべきじゃないか、こういう御主張でございます。私は、ごもっともなことで、これをやらなければいけないと考えておるものでございます。  環境庁といたしましては、高度成長に当たりまして非常に公害が多発したものでございますから、懸命になってその対策をやらしていただいてきたのでございますが、大分その面が進んでまいりましたので、今の先手を打つという考え方に——前長官ここにおいでになられますが、梶木大臣もそういうことを考えておやりをいただいて、地下水の調査なんかをおやりをいただいて、その結果をお出しをいただいております。こういう地下水の汚染というようなことは以前はほとんど考えておらなかったことでございますが、これに対する予防を今やりかけておるのでございます。  それから、先ほど片山先生から御指摘をいただいた土壌汚染、これも農地の方の土壌汚染は、農作物の中に有害物質が入っていって、それが人体に与えることが恐ろしいのではないかと、こういうことから農林省の方で非常にそういう研究をおやりをいただいて、規制もおやりをいただいておるのでございます。ところが市街地の土壌汚染、これにつきましては、大変申しわけないのでございますけれども、今まで余り手がつけられておらなかったと言った方が、まあおくれておるといったのが実態ではなかろうかと思うのでございます。これは日本の学者先生方の御研究も非常に少のうございまして、なかなか決定的なものがまだ出ておらないというのが実態でございます。したがいまして、環境庁といたしましてはそういうことに対して何とか早く手を打たなきゃいかぬということで、今予算をいただいていろんな調査をいたし、知見を収集いたしてその対策を立てようといたしておるところでございます。環境庁としては、これから先手を打って公害防止、これに力を入れてやらしていただきたいと念頭をいたしております。
  38. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 大臣の決意といいますか、所信のほどはわかるんですけれども、実態はなかなかそういっていない。至るところに幾つもそうした例がございます。特に、今大臣から、農林省の方では農地の土壌汚染の問題、これについてはよくやっていると。それで、農林省土壌汚染調査は、それが農作物にどのような影響をあらわすかということが中心ですわね。例えば、それが地下に浸透して地下水に影響が出るところまでの土壌汚染調査やっていませんでしょう。どうですか。
  39. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) お答えいたします。  私どもの方は、農薬の登録検査に当たりまして、その農薬の持ちますいろいろな特性に着目した安全対策面からの対応をいたしております。一般的な土壌汚染を引き起こす物質につきましては、私どもの所管でございませんので的確に申し上げることができませんけれども、農薬の場面について申し上げますと、先ほど申しましたように、登録検査に当たりまして農薬の土壌残留性につきましての検査を実施しておりまして、土壌中に長期間にわたって残留しないというような農薬について登録をいたし、使用を認めておるところでございます。
  40. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それで、例えばCNPにしても、残留値の調査はするけれども、それが地下水の方まで行くという、これはおたくの方は関係ないですわね。まいた農薬が土壌に残って、これが作物が吸収するときにどういう影響を及ぼすか、それからどれだけの残留値が何年くらいにわたって影響あるか、こういうことはやっても、残留農薬が地下へ入っていく、地下水に影響するかしないか、ここのところはおやりになっていますか、どうですか。
  41. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 先ほど申しましたように、農薬はいろいろな特性を持っておるわけでございまして、土壌中にとどまるもの、場合によっては地下水にまで影響を及ぼすものがあるかもわかりませんけれども、私どもの段階では、現時点では、土壌残留あるいは作物に対する残留といったような面を中心に実施いたしておるところでございます。
  42. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 大臣、農林省が大変よくやっていると言うが、この程度なんですよ。地下水に汚染の現象があらわれたときにはもう手の施しようがないんです。現にあらわれてきていますわね。これは因果関係からいって必ずしも農薬と断定するだけのまだ調査は今のところ行われていないと思います。しかしこれは早急にやらないと大変なんです。なってしまったらおしまいなんですよ。農林省の方は食物にどう影響するかということが中心であって、飲料水にどう影響するか、地下水にどう影響するかと、ここまでやっていないんです。それで環境庁の方が、地下水の汚染は大変だと。それじゃこの真ん中抜けちゃって、今まさに私はその真ん中抜けていると思うんです。  きょうはその点御指摘しておきますので、ひとつそういう面についても、環境庁は農地にも踏み込んで調査をやらないと日本列島は取り返しがつかなくなるんじゃないかという心配がありますので、特にその点で、昨日のテレビで、朝霞ですかどこだったですか、前にも新聞にもちょっと出ておりましたけれども、浄水場のことがいろいろ出ておりました、それから淀川だとか。この中で主婦の方から極めて適切で素朴な質問が出たんです。トリハロメタン百という日本の基準値、一体これどういう根拠で百というのが決まったんですかと。これいろいろ言っていました。森下さんという方でしたね、話しておられたのは。米国が百だとかカナダが三百五十だとか西ドイツは少ないとかいろいろ言っていましたけれども、じっと聞いていて、結局余り言っていないのですよ。質問には答えていないんです。だからそういう、よそがどうだからどうだじゃなくて、日本はこうだからこうしたんだということをこの機会に、厚生省水道整備課の方来ておるかと思いますので、もう一回はっきり言ってください。テレビではちょっと理解できません。あそこのテレビで話したところは抜かして、基準値どうなんだというところだけでいいです。
  43. 森下忠幸

    説明員(森下忠幸君) これにつきましては厚生省昭和五十一年からいろいろ調査をしておりまして、もちろんそういった諸外国の情報も根拠にいたしました。厚生省といたしましては、生活環境審議会の中の水質専門委員会で、医学、薬学、化学、生物学、衛生工学等々の先生方の御意見を拝聴いたしまして、そして当面こういうレベルの線に目標値を掲げて浄水場の中でコントロールするということで決めたわけでございます。
  44. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 だから、その決めた基準なんです。例えばWHOが四十五だという主婦の方からの質問もありましたね。それは何だかが三十でそれにプラス十五くらいでこうなったんだからというふうな、そういう説明はあるんですが、どうしてWHOは四十五で、アメリカやカナダはいいですが、日本で当面百ということに決めたかという根拠なんです。今の御答弁ではちょっと納得できませんので、わからないです。
  45. 森下忠幸

    説明員(森下忠幸君) 五十一年から研究しておりましたその内容は、特定の動物についての試験は、実はこれはWHOにしてもアメリカにしてもそうでございますけれども、アメリカの国立がん研究所で行いましたデータが基本になっておりまして、これを我が国としての再評価、そういうことから百マイクログラム・リットルということが当面妥当であろう、このように先生方の御見解がまとめられたわけでございます。
  46. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 全然わからないですね、今のお話。当面こういうふうに決めたということはわかりました。しかし、これで大丈夫なんだという確たる御答弁いただけないのですね。どうなんですか。私の聞きたいのは、厚生省、胸張って、百で心配ない、それはこういう理由だ、これをお聞きしたいのです。恐らく主婦の方も、アメリカがどう決めたとか、アメリカが決めたから日本もというふうなことでなくて、日本としてはこういう研究でという目前の御答弁をいただきたい。ないならないでもいいです。
  47. 森下忠幸

    説明員(森下忠幸君) 先ほど申しましたとおり、動物実験につきましては、きちんとしたデータは全世界でアメリカの国立がん研究所のデータしかございません。このデータをもとにいたしまして各国それぞれの判断でやっておるわけでございますが、私どもは、先生方の御検討は、そのときに使われました、動物実験に使われましたクロロホルム等の投与の、えさを与えた場合のえさの濃度、こういったものに対しまして十分な安全率を考えてそして〇・一というレベルを決めたということでございます。
  48. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 よくわからないけれど、先へ進みます。  今農薬の問題が出ておりますが、これも例えばこういう問題があるんです。ブドウに散布します。これは皮について、食べる場合の基準値はあるんです。これ以上ついていたらいけないと。これは雨も降ったりいろいろするし、今もう国民はブドウの場合は皆洗って食べます、農薬ついていると危険だからということで。ところが、ブドウ酒に搾る場合洗わないんです。それがワインの中に入る残留農薬というふうなものについて農林省ではどのような、農林省でなくてもいいです、厚生省でも結構です。まず農林省から聞いて厚生省
  49. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) お答え申し上げます。  私どもの方は、決められた農薬残留に関する基準が適切に守られることを徹底するために、それぞれの場面で、例えば技術指導通達の中とか、あるいは県に設置されております病害虫防除所の職員等を通じまして、農薬の使用者が、その決められております農薬についての適正な使用基準、これは使用回数とか使用時期を定めておりますけれども、そういったものが守られるような指導の徹底に努めておるところでございます。
  50. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 おたくの方で使用基準その他決めているんですね。ところが、農林省が発表している農林統計、この中で、十アール当たりの農薬散布に要した労働時間、露地栽培で克明に出ております。おたくの方はそれは御承知ですね。
  51. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 承知しております。
  52. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 あんな回数、例えば具体的に言いましょう。山梨なら山梨のキャンベル・アーリーとデラウエア、これはそれぞれ十アール当たり年間十時間ないし十二時間ですね。十アール当たり十二時間まくという回数、どれくらいだと思います。
  53. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) ただいま先生指摘の農薬散布にかかわる作業時間の問題でございますけれども、その中には、実際動力を使って農薬そのものをまく時間と、それからその準備作業に要する時間、両方が含まれているというふうに考えております。具体的に散布回数がどのくらいかという御質問でございますけれども、地域によって病害虫の発生状況が異なりますので、少ない場合には五回ぐらい、多い場合には八回ぐらいになっている、これは基幹的な防除の面で言いますとそういうような状況であろうというふうに考えております。
  54. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それは全然違うんですよ。何といいますか、最近、晩腐という病気がうんとはやりまして、これらを中心にして有機砒素剤を使うんです。一年に五回とか八回なんというそんなところないですよ。少なくとも二十回やっているんです。だから、薬を調合する時間だとか運ぶ時間だといったって、十アール当たりずつ運ぶんじゃないんですから。やるときには何ヘクタールか一遍にやるんです。ですから、まく時間に比べればほかの時間は十アール当たりにした場合には非常に少なくなります。そんなにやっているんですよ。  それで、厚生省、これの、例えば搾ったワインに対する残留農薬を検査したことございますか。
  55. 玉木武

    説明員(玉木武君) 先生指摘の、国産ワインの、原料であるブドウからのワインのチェックはどうしておるかということでございますが、これは果実、野菜等の残留農薬検査は各都道府県がやっておるわけでございます。また、この残留農薬の検査そのものはまだ十分でないということは御指摘のとおりでございますが、この検査の強化徹底をこれからもっと図っていかなければならない、このように考えております。特に、生産者に対し、農薬が残留しないよう適切な使用方法が講じられるように、ブドウ生産、農薬の使用を所管しております農林部局とも連絡を密にして対応しなきゃならない、このように考えておりますが、御指摘のような、つくられましたワインそのものの農薬については、現在のところ十分な対応はできておりません。  この考え方は、原料ブドウを用いまして製造をする場合に、残留農薬基準に違反したものがございました場合は食品衛生法違反となります。したがいまして、ワイン工場に対して監視、指導をします際に、残留農薬基準に合致した原料ブドウを使うということをこれから強く指導してまいりたいと考えておりますが、御指摘の点につきまして、原料ブドウに残留農薬がある程度ある可能性があるわけでございます。それから製成され、ブドウ酒がつくられる段階におきましてどのような移行の仕方をするかは、これからひとつ生産県でございます山梨とか十勝関係の原料ブドウ生産地、それからブドウ酒をつくっておりますところをチェックしてみたい、このように考えております。
  56. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 まあ専門的なことだから詳しくおわかりにならないのはやむを得ないと思いますが、実は、滝野川にある大蔵省の醸造試験所で、大塚博士が「ワイン博士の本」という本を出してます。あの方が在官中に、ワインに残留農薬は影響を受けていないというふうな発表をしているんですよ。だから、今のような答弁というのは実際おかしいんだよね。それは、今農林省の方で言われたように、五回か八回かけている話なんです、模範的な。ところが今もう二十回もかけるようになってきた。なぜそうなってきたかということの原因もいろいろありますけれど、そういう状態での検査ではないんです。常時やってなきゃならないけれど、農薬の関係については厚生省農林省任せだということで、厚生省自体としてはやっていない。ですから、最近の農薬問題というのはもう少しがっちりとやっていただかないと、非常に大変な問題です。先日は輸入ワインの問題をやりましたので、国内ワインの問題もやっておかないと不公平になるので、きょうはあえて、国内ワインでも問題点があるんだ。まだあります。そういうことについて、実はこの表示義務とかいろいろあるんですが、きょうは環境庁ですので、それらに切り込むのはやめまして、環境庁に一つだけお願いしておきたいと思います。  環境アセス、これがちっとも日の目を見ないんですが、大臣、これはいつお出しになるお覚悟ですか。ひとつ大臣の覚悟を聞いて終わりにしたいと思います。
  57. 上田稔

    ○国務大臣(上田稔君) 環境アセスメント法案でございますが、昨年の国会におきまして大変残念ながら廃案ということに相なりました。したがいまして、これはどうしても必要でございますので、もうこれはぜひとも今国会に提出をさしていただきたいということで、今手続を進めておるところでございます。関係各省といろいろと折衝をしておりまして、この折衝が他のいろんな関係もあってちょっとおくれておりますけれども、これはぜひともこの折衝を終えて提出をさしていただきたい。総理も国会におきまして答弁をいたしておりますが、関係各省と十分に折衝をして提出をするようにしなさいと、こういうことを言っております。私も懸命になって今折衝をやっておるところでございます。
  58. 柳川覺治

    ○柳川覺治君 自然はうそをつかないという言葉がございますが、きょうは久しぶりに厳しい冬からようやく春になった感じがいたします。新学期が始まっております。子供たちは、小学校の一年生は恐らく太陽と花と人をかいておるんじゃないかと思います。また、中学年、高学年になりますと、いっぱいの太陽のもとでトンボを追い、あるいは木に登り、あるいは魚を追う、そういう姿の絵をかいて未来都市に夢を託しておるのではないかというような感じがけさいたしました。そういうような意味で、子供たちを取り巻く環境、また、子供に目を向けた町づくりというようなことにもひとつ一点に視点を置きまして、厳しい状況の中で環境庁御当局が積極的な快適な環境づくり、そして、むしろ公害の排除から公害の未然防止へという積極的な姿勢を示されておりますそのことに敬意を表しつつ、お尋ねしてまいりたいと思う次第でございます。  まず、本国会におかれまして長官が所信表明で、今後の環境政策を進めるに当たりましては、環境保全型社会の形成という基本理念に立たれまして、環境保全長期構想の策定を推進するとともに、環境汚染の未然防止等の所要の施策を講ずることが述べられております。  そこで、二十一世紀に向けまして環境行政をめぐる経済社会情勢はさらに厳しく変化することが想定されます。こうした中で今後の新たな指針となるべき環境保全長期構想を作成されることはまさに意義あることであり、ぜひその早急な着手と成案を得ることが期待されるわけでございますが、そこでまず第一に、長官の表明されました環境保全型社会の形成につきましての理念、意義につきまして長官のお考えをお聞きいたしたいと思います。
  59. 上田稔

    ○国務大臣(上田稔君) ただいま御質問をいただきました環境保全型社会の形成でございますが、環境庁といたしましてはこういう社会をぜひとも実現をいたしたいということで申し上げておるのでございます。長期にわたりまして環境のもたらすさまざまの恵みを享受できるように条件を整備するということを目指しまして考えておるものでございます。  具体的には、いろいろな立場の方々が適切な役割の分担のもとに良好な環境づくりに努めていただこう、こういうことでございます。そうして、環境保全に十分配慮された経済社会をつくることによって、安全で安心で、そうして精神的にも落ちついた潤いのある国民生活というものが長期に繁栄する社会の基礎となって、そして形成されるということを考えておるものでございます。
  60. 柳川覺治

    ○柳川覺治君 そこで、環境保全型社会の実現、そのための環境保全長期構想の考え方が示されておりますが、その対象とする期間、期待される効果等につきましてお聞きいたしたいと思います。
  61. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) まず本構想につきましての計画でございますが、近々、中央公害対策審議会に御意見を承って検討をお願いすることにいたしてございますが、基本的なスタンスは、二十一世紀に向けて展望をしつつ、どのような環境施策を考えていくかということでございまして、性格といたしましては、今後の環境行政の指針というような意味合いを持っているものと考えております。  期間といたしましては、この審議会においていろいろ御議論を願いつつ設定をいたしてまいりたいと思っておりますが、腹づもりといたしましては、昭和六十一年を開始年次といたしまして、昭和七十五年を展望しつつ策定いたしたい、このようなことを考えておりまして、六十年をめどに答申をいただきたい、こういう段取りで作業を進めたいと思っております。
  62. 柳川覺治

    ○柳川覺治君 御答弁のとおり、長期的かつ総合的な構想を立てるということでございます。環境問題というのは大変悠久の課題でもございますし、また緊急を要するものがあろうと思います。構想の立案に当たられましては、緊急を要するもののみにとらわれることなく、将来を展望した極めて——直ちに実現しなくてもやはり取り組んでいくという理想的な、理想を追った形のものをお示しいただくとありがたいと存ずる次第でございます。希望でございます。  次に、環境利用ガイド事業が新規として組まれております。この環境利用ガイド事業のねらい、あるいは対象地域、ガイド作成のための調査内容、期待される効果につきましてお話を承りたいと思います。
  63. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 環境利用ガイドは、御指摘のように、現在御審査をお願いしております来年度予算の一つの柱となるような考え方のもとに立案いたしたものでございますが、近時、また将来を含めまして、社会経済の変化に対応しつつもある程度の開発が考えられるわけでございますが、着眼といたしましては、環境というものの健全な利用、サウンドマネジメントというような視点から、地域におきますところのいろいろな特性、こういったものを勘案しつつ、その情報を収集いたしまして指標とかあるいは地図の形であらわし、体系的な全情報を整備して環境利用につきましての計画立案を行おうということでございます。  したがいまして、特に大規模な開発計画が構想されておりますようなところを選びまして、その地域における適正な環境利用を図りたい、こういうことを考えております。本来ならば全国的にこういったものの作業が大事だろうとは存じておりますが、まあ行財政の現状から見まして必要性の高い地域に重点を置いて実施してまいりたいと思っております。  この策定に伴いまして、今御指摘の効果でございますが、やはり地域の振興開発、それから環境との調和、そういったものがうまくとれた形で行われることを期待している次第でございます。
  64. 柳川覺治

    ○柳川覺治君 私は、最初、環境利用ガイド事業という言葉をお聞きしたときに、環境保全してかつ整備していく、そしてその健全な活用を図るという環境庁の設置法の御趣旨ですね、そこのところから見ると、何か環境そのものを開発のために利用しやすいような、そういうガイドブックというような印象をちょっと受けましたので、今局長お話で、その面は健全な活用を図るんだということでございますが、自然等の物によっては理屈抜きに絶対残さなければならぬと、守らなければならぬというようなものがあるわけでございますから、私が担当してきた文化財等もそうでございますが、ややもすると、開発と保護というのはこれは対立関係にあるんだ、あるいは調和を図るんだ、共生するんだということで言っておりますが、むしろ開発というのはブルドーザーのあの世界でございますから大変な力を持っておる。それに対して保全関係というのは、相当強く、頑迷、牢固たる姿勢が要るんじゃないかという感じを率直にいたすわけでございます。  そういうような面で、むしろ一歩進めて、開発と保全という問題は、開発事業はまさに自然の恵みで生きる人間、自然とのかかわりで文化を築き文明を開く人間、そういうようなことが言われておるわけでございますから、開発事業の中に、環境保全は開発事業の一環であるというような、そういう姿勢がむしろ出ないのかなという感じが、お心は、積極的な環境保全の問題はそのとおりだと存じますが、むしろ言葉として、開発事業の一環なんだというそういう姿勢をとることが適当ではないか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  65. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 今先生おっしゃられましたように、環境の健全な利用という概念、ないし、私どもの観念でございますが、これは、現在の環境を取り巻く諸情勢いかんにかかわらず、環境諸制度並びにOECDの基本的な考え方から見ましても、環境というものはその時代における適切な、あるいは健全な利用というものが大事であるという考え方が一貫していると思っております。  したがいまして、その中には経済との調和の問題でございますとか、今御指摘の開発との調整をどうするかというような基本的な問題が内包されていると思ってございますが、御指摘のような形の、環境が開発の中にどうやって考えられるかという点につきまして、私自身まだそこまで思い当たっておりませんが、いずれにいたしましても、私どもの基本的な考え方は、経済なら経済に環境という問題を組み込んでいく。また、環境という問題を考える場合には経済の問題をよく考えていく。そういったような形で、冒頭大臣がお話し申し上げましたように、環境保全型の社会と申しますか、環境をビルトインしたような社会のあり方、こういうことを考えておるわけでございまして、それとの関係において御理解いただければと、こういうふうに思っております。
  66. 柳川覺治

    ○柳川覺治君 そこで具体的な課題でございますが、快適環境整備事業につきまして、厳しい予算の中で増額措置を図られておりますその積極的な展開に大いに期待するところが大でございます。このアメニティータウンの目標、ねらい、また具体的な補助対象、件数、来年度以降の取り組み等につきまして御説明をお願いいたします。
  67. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 私ども環境を考える場合におきまして、現在の社会において、命と申しますか、あるいは健康と申しますか、そういったものを守るということが基本であるという前提に立っております。したがいまして、衛生の問題でございますとかあるいは安全でございますとか、さらに、私どもの担当しておりますところの環境保全といったようなことが社会がよって立つ基本であろうと思っております。その上に立ちまして、いわゆる安らぎとか潤いであるとか、そういったような環境の理想像と申しますか、そういったものがあるもので、あると、また、そういうものを追い求めるものも我々の当然な姿であろうと思っておりますので、現在の環境行政の中におきまして、公害の防止、さらに自然環境保全とといったような最大のテーマを掲げつつ、なおかつ、それを含むところの社会の理想であるところの快適な環境を目指すという基本に立っている次第でございます。  したがいまして、このような試みは従来とも各地域においては先駆的にございますし、OECDが七年前に日本のカントリーレビューを行いました際にも、今後の日本の環境政策のあるべき姿の一環といたしまして、従来の公害防止の進歩に照らしてさらに快適環境を追求すべきであるというような勧告をいただいているわけでございますが、そういったようなことに基づきまして考えていることでございますが、おおむね、緑や水を中心といたしました快適環境の整備という点が一点、さらに、良好な自然環境保全という点がございます。またさらに、快適な都市生活空間の創出といったようなことも考えられるようかと思っております。また、環境に配慮した生活行動ルールの確保、こういったことも環境政策の重点でございます。あわせて、歴史的価値の保存といったようなテーマも今後の日本の環境政策の一つの目標と思っておりますが、こういったような柱を適宜独立し、あるいは複合的に組み合わせることによりまして、その地域の特性を生かした形のアメニティーの都市のイメージをつくっていこうということでございます。  こういうような観点におきまして、本年度、一カ所について七百万円を限度といたしまして二分の一の補助金を創設いたしたい。また、お願いしておる予算の総額は一億四千万円でございます。全体といたしましては、とりあえず全国の二十市町村において本事業を実施いたしたいと考えているわけでございます。こういったことをベースといたしまして、快適環境づくりというものを全国的に広げていきたいという観点でおりまして、来年度以降も継続していきたいというふうに考えておるわけです。
  68. 柳川覺治

    ○柳川覺治君 これは計画の策定に対する助成措置で、事業費につきましてはそれぞれの別個の事業費で実効を上げるということでございますか。
  69. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 大変大事な点の御質問をいただきましたが、基本的には、現在申し上げました数字の予算は、計画を策定いたしますところの予算でございますが、当然のことながら、この計画に伴いますところのいわゆるハードの部門の事業あるいはソフトの事業、そういったものがかなめとなってまいりますので、環境庁の既定のいろいろな関係予算はもとより、各省の公共事業等を含めますところのそういった予算を組み合わせて事業を推進していきたい、こういうふうに思っておりますので、各省についてもいろいろ御協力をお願いしておる形で現在考えております。
  70. 柳川覺治

    ○柳川覺治君 この計画の策定に当たりましては、核になる事業を明確にすること、あるいは関係者の創意工夫を大いに発揮される、それに際して環境庁の積極的なリーダーシップということが期待されるというようなことが各方面から指摘されておりますが、核になる一つを取り上げてよろしいんですか、親水——水に親しむ事業とか。
  71. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 先生の御意見のとおりでございまして、当該地域の地域特性として、ただいま例示で挙げられましたような、水に親しむという発想のもとにおける親水公園の整備、そういったものも当然アメニティータウンの一つの大きな要素あるいは核といったものと思いますが、計画策定のあり方から申しまして、もう少しスケールをアップしたものにするかあるいは密度の高いものにするか、そういったものについては十分私どもといろいろ相談をしていきたい。それから地域の独創性を生かしてまいりたい。そういうような観点におきますところの私どものいろいろな、指導と言ってはちょっと語弊がございますが、いろいろな意見を御参考までに述べていきたいと、こういうふうに思っております。
  72. 柳川覺治

    ○柳川覺治君 国の段階での縦割り行政の問題がいろいろいつも指摘されるわけでございますけれど、市町村の段階を聞きますと、それが総合的に集約されます。その面から、この構想、事業は大変な大きな効果を持つんじゃないかということを私自身心から期待しておるわけでございますが、その際に、各省できめ細かいいろんな事業がございます。そういう事業を全部一応こういう構想の中にうまく乗るように、ぜひ環境庁の方で市町村に対して、また各省に対して御指導を賜れば、まことに今までにない自然保護あるいは公害防止と、もう一歩越えまして生活環境あるいは生活行動の問題にまで入り込む、そういう町づくりになるんではないかということで、環境庁の総合的なお役割をこの面から心から御期待を申し上げる次第でございます。要望でございます。  それから、今例えばいろんな問題を子供たちに行ってまいりました。一概に過保護という言葉で言われない面がありますが、学校でプールをつくりまして泳ぎを覚えさす。その子供たちは泳ぎを覚えた。そこに鬼怒川の水の流れがある。そこに子供は自然に流れて泳ごうということで、水死事件が起こったということでございます。泳ぎとは何だ。それは、あるとき人間は自然の水の流れに身をさらすときがある、そのときに浮くかくぐるかして自分を保つというところに泳ぎがあるわけでございますが、今本当に水浴びのできる川があるのかという問題。何か子供から川を取り上げてしまったというような感じがございますし、また、私は、「天声人語」の荒垣先生が、今筆が動いている、指先が動いている、これは子供のときの道草の過程における友達との語り合いあるいは触れ合い、また自然との触れ合い、そこで筆が動いているんだということを言っておられました。  また、子供の遊びの空間というものを見ますと、これは各種の調査がなされておりますが、ほとんどが家の中、友達の家の中ということでございまして、かつてのいわゆる原っぱ、広場という概念が今都市からなくなってきた。私の友達たち東京のトンボとかの調査をしておりまして、子供の遊び場の喪失はトンボが去ってしまったところと時期的に一致しているということの調査、観察を進めております。何か子供たちを取り巻く環境は実にかたいものになってきた。今暗いということが言われておりますけれども、かたいものになってきて、自然のやわらかさ、暖かさからは遠のいてきている。その辺のところに、非行問題でも、むしろ小遣いがない、あるいは遊び心ということでの非行等が、怨念とか仕返しとか、そういうようなものよりも、六〇%はほとんどそういう小遣い欲しさとか、物を買いたいが買えないからというようなことからの非行というようなこと、そういう状況でございまして、そういう中で、我々はもう少し町づくりのときに本当に子供に目を向けた町づくりという意識が必要なのかなということを感じてきておる一人でございますが、快適な環境計画に当たりまして、ぜひ子供に目を向けた環境づくり、町づくりということをひとつ、重点は余り置けないというお話でございますけれども、その辺を置いていただくと本当にありがたいなと思う次第でございますが、いかがでございますか。
  73. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 私どもアメニティータウンの計画をこの一年ぐらい練ったわけでございますが、その過程におきまして、かねてから先生のこの方面における御見識などを伺って勉強させていただいた次第でございます。かつて先生がいろんな構想を政策の上で実現されたことも内容として承知いたしておりますので、今おっしゃった点は地域におけるアメニティータウンの重要なやはり視点であり、地域によっては柱になるような事柄だろうと私ども理解をいたしております。
  74. 柳川覺治

    ○柳川覺治君 次に、自然観察の森づくりの事業を御計画されておられます。この内容あるいは対象地域につきましてお教えを賜りたいと思います。
  75. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) お答え申し上げます。  まず自然観察の森の整備事業のねらいでございますけれども、これは、とりわけて都市なり都市周辺におきましていわゆる身近な自然の喪失が進んでいるということ、特に地域社会におきましては、それを背景にいたしまして日常生活の場において自然との触れ合いを求める住民のニードが大変高い、こういうことにかんがみまして、自然観察というようなものを通じまして、住民のあるいは国民の、あるいはまた子供たちが自然に対する情操を育てていただける、そういうようなことをねらいにしておるものでございまして、つまり植生なり小動物との触れ合いの場をモデル的に整備しようと、こういう考え方でございます。市町村が事業主体となって考えておりますが、自然解説などを行うというようなものが中心的な施設と、施設としましてはそういうものを考えておりまして、私ども小型の博物展示みたいなものとしましてのネーチャーセンター、あるいはまた自然の中を歩いていくような観察路、あるいは観察小屋というようなもの、あるいはまた鳥や昆虫の生息環境を整備していく、造成していく、こんなことがハード面の整備でございまして、なおこの管理運営に当たりましてはボランティアの協力を得たい、こういうようなことで管理運営をやっていきたいと考えておるわけであります。  施設整備費の一部を国と都道府県が三分の一ずつの補助を考えておりまして、現在御審査を願っております予算案におきましては当面二地区を考えておりますが、一地区当たり二億二千五百万という考え方で、三カ年計画で着手したい、こういうことで本年度予算は五千万円の補助金に相なるということでございます。  そこで、私どもそういう自然観察の森の適地といたしましては、このようなことを考えております。一つは、当初申し上げましたねらいから見まして、三大都市圏なり大都市のできるだけ近く、あるいは望むべくは、その中にありまして中心的な都市から容易に到達できるような場所を選びたいということであります。それから、常駐の指導者を配置してもらいたい。そして市町村による十分な管理運営ができる見込みがあるということ、さらには、自然観察指導を手伝うボランティアの協力が期待できる、こういうようなことをねらいにしてこの事業を考えたところでございます。
  76. 柳川覺治

    ○柳川覺治君 どのくらいの規模と申しますか、広さを必要とするものでございますか。
  77. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) これは場所により条件によりそれぞれ異なると思いますし、また異なっていいものと思いますが、おおむね私どもが頭に考えておりますのは、十ヘクタールあるいは二十ヘクタール、その辺の感じで問題をとらえています。
  78. 柳川覺治

    ○柳川覺治君 丹沢山のシカが杉やヒノキの芽を摘んでしまう。これはカモシカの問題もあるわけでございますけれども、ああいうところに一大自然観察園と申しますか、大自然の中にというような構想を言った人もあるわけでございますが、そういうような大自然、もちろん国立公園、国定公園の関係がありますけれど、そういうようなところに大きなものをつくるというお考えはこれに絡めますか。
  79. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) 深く考えればこれと関連すると思います。ただ、先生今御指摘のように、国立公園、国定公園の中心的な利用のあり方といたしましては、やはり私ども保全を基本といたしますが、同時に利用も促進したい、こういうねらいが法律上もあるわけでございまして、国立公園、自然公園、国定公園等の自然公園にありましては、そういう中心的な利用拠点というものを私ども整備を進めておるわけでございます。それがいわば大きな大自然の中における自然観察のあり方の一つだと思っております。  ちなみに、例えば奈良県の大台ケ原、これにつきましても、幸いにあそこの中心的な核心部が私どもの所管地に十年かかってなり得たわけでございまして、そこをそういうねらいをもって、大自然の中でその自然を壊さないでいかに自然との触れ合いができるかと、こういうプランを今検討をして、五十九年度から具体的に始めようと、こういうふうに思っておるところでありますが、そういう例もあります。丹沢のこともございます。しかし、それとはこのねらいはちょっと違いまして、これは公園区域にとらわれずに、むしろ、より身近にあって、より簡単に到達できる、そういうような日常的な触れ合いができるように、こういうような意味でモデル的に考えておる、こういうことでございます。
  80. 柳川覺治

    ○柳川覺治君 環境庁で、身近な自然との触れ合いという、身近なものを整えようということの施策がとられておりますことに心から敬意を表しますが、子供たちの遊び環境というのは、昔から、自分の家の屋根が見える範囲というような、今都市構造で少し違うんでしょうが、自分の家の周り、屋根の見える範囲というような行動半径だということが言われてきておりますけれども、そういう、あれによりますと、トンボを呼び戻そうとかというような運動もあるようでございますが、各市町村の気近なところのそういう事業に対しては、先ほどの快適事業のほかにこれまでの施策がございますでしょうか。
  81. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) 私ども、自然公園の体系の中で実は都道府県立の自然公園というのがございまして、これは国立公園、国定公園に比べますと規模も小そうございますし、勢い、原野、山野に比べますとやや都市に近い、そういうようなところに着目いたしまして、やはりこれも自然との触れ合いの促進という意味でふるさと自然公園の利用というようなことを銘打ちまして、その整備費について過去何年か補助を行ってまいりまして、何カ所か、ちょっと資料はございませんが、各都道府県ではそういう事業を積極的にやってもらっております。
  82. 柳川覺治

    ○柳川覺治君 先日も浦和のお母さん方が見えられまして、これはむしろ教育の方なんですが、学校の校庭がまた舗装されてしまった、もうとにかく土がどんどん遠のいていく、そのことが子供に対して本当に心配だということを言っておいでになりました。生態学の基本で、まさに土、草木、水、太陽、風、それで織りなした元素が人間の体の大部分だということ、それで石の中の微粒元素がわずかあるということが言われておるわけでございますけれども、本当に今お母さん方が心配されていらっしゃいます。都市というのはまさに鉄筋コンクリートの町づくりということでございますので、この面に対して環境庁長官、御専門がいろいろあられるでしょうけれど、自然の観察と絡みまして、これからの町づくりをどうしていったらいいのか、ちょっとお考えがございましたらお教えいただきたいと思います。
  83. 上田稔

    ○国務大臣(上田稔君) 先生、大変に子供の教育といいますか、しつけ、そういったようなことにつきましておやりをいただいてきておられます大変御造詣の深いお方でございますので、私どもの発想を申し上げてもなかなかそぐわないものが出てくるんじゃなかろうかと思いますが、私は、先ほど説明を申し上げました、やはりアメニティータウン構想というのを今考えて、今年度からやらしていただきたいと、こういうことでお願いをしておるのでございますが、市町村長さんは大変にこれに力を入れていただいておりまして、大変希望が多いのでございます。というのは、やはり自分の管轄をしておる市の中というものは一つのある特徴を持たしていきたい、そして自然に触れ合うような都市計画というか、計画の中にそういうものを入れていきたい、こういう気持ちを非常にお持ちになっておられまして、先ほど先生トンボのお話もされました。また蛍なんかについても非常に関心を持っております。また、いろんな草花あるいはまた樹木、花の樹木とか、そういったような自然を持ってきて、そしてやっていきたい、こういうようなことで非常に関心を持っていただいておるのでございます。  私は、さしあたってそういうものから入っていけばいいのではなかろうか。これも環境庁予算で全部やるというのではなくて、これはもう各省が今御計画になっておられるいろいろな構想、あるいはまた事業、そういうものを市町村長さんがおやりになるのですから、御要望になって、そして取り入れさせていただく。そういうふうなことにして町全体をそういう非常に自然にあふれた町にしていただくということを考えていくべきじゃなかろうかと考えておるのであります。  そのほかに、いろいろ今ある一部の森、そういうところに小鳥がよく飛んでくるようにして、そして小鳥の声を聞けるような、そういうような観察ができるようなところをつくりたいとか、こういったようなことも考えておるということで、いろいろと工夫いたしておりますが、先生にまた御指導をいただきたいと存ずる次第でございます。
  84. 柳川覺治

    ○柳川覺治君 国民の皆様の関心が大変深い問題に、緑の国勢調査というのを行っておられます。これは最近のは第三回でございますが、その状況をお話しいただきたいと思います。
  85. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) 御指摘のように、環境庁では、ちょうど第三回になりますが、自然環境保全基礎調査というものをやっておるわけであります。これは法律に基づきまして、おおむね五年ごとに基礎的な情報の整備を進めよう、こういうようなことでございまして、四十八年度を第一回にいたしまして、五十八年度から行っておりますのが第三回目、こういうことになるわけであります。  その中で特に申し上げておきたいと思いますのは、これは全体で八項目ぐらいの大きな柱が調査内容としてあるわけでございます。植生でございますとか、動植物の分布でございますとか、景観でございますとかあるわけでありますが、その中で動植物の調査の内容といたしまして実は新しい試みをいたしたのでありますが、つまり、一般の方々がこの調査に参加していただく、こういうことを計画いたしまして、実はいろいろマスコミの方々の御協力も得まして呼びかけを行ったのであります。ボランティアの参加によって自然の調査をやっていただくということでありまして、大変多数お申し込みがございまして、三月の二十五日で一応締め切りを行いましたが、三月末現在の応募状況で、応募件数が約三万一千件、そのうちグループ参加が三千件でございますので、参加者数が八万人を超えるというようなことでございます。私ども当初四万人を計画しておりまして、四万人も集まるかなと思っておりましたところこういうようなことでございますので、大変これはありがたいことであるし、国民一般の方々が関心が大変高い、特にこういう調査行動に結びつけるほどの関心が高い、こういうことは大変ありがたいし、また心強く思っておるわけであります。  このねらいは、一つは、多数の方々の御参加によりまして、今までやっておりました少数の専門家グループによってはどうしても集めることのできない大量な基礎データが集め得る、これが大きなメリットだ、こういうふうに思っております。また同時に、そこから先は副次的効果になりますが、こういうふうに多くの方々が身の回りの自然をいわば注意深く見ていただく、このことによりまして自然の仕組みというようなものに関心を寄せていただく。大変お子さん方、中学校、高校生の方の参加が多いんでありますが、そういうようなことで、広くは環境教育というようなものにも寄与することが大きい、こういうふうに思っておりますが、現在の状況はそのようなことでございます。
  86. 柳川覺治

    ○柳川覺治君 時間がございませんので、地球時代における環境の問題その他は割愛させていただきますが、自然保護に関する、あるいは自然環境に関する調査研究体制というのはかなり大事な問題で、今多くの方が、八万からの方がこの緑の国勢調査に参加されるという喜ばしい現象が起こっておるわけでございますが、この方々の将来の自然観察、あるいは保護の関係にオーソリティーを与えるといいますか、誇りを持っていただくというような面からの資格問題とかいう問題もあろうかと思いますし、また公害研究所が公害の防止に大変な実効を上げてきておられます。またさらに、環境庁の積極的な公害未然防止、それと環境保全ということの観点からすると、公害研究所に置かれる機能、これがさらに積極的な、よりよき環境保全研究所としての発展を期待するということが大変重要になってくると思います。  特に、私は、自然保護研究所が日本になくちゃおかしいんじゃないかと。各地で、環境庁を初め関係の山階研究所長さんらのいろんなところで、自然と鳥獣の保護関係に御苦労されておられますが、それらの各地での自然保護観察のセンターも今度できます。尾瀬にもああいう保護観察センターもあるわけでございまして、そういうようなものを総合したネットワークの核になる研究体制があっていいんじゃないかということが期待されるところでございますので、この辺は公害研究所の今後の発展との関連もあることでございましょうが、時間が参りましたので、希望だけにいたしまして終わりにしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  87. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは最初に、環境アセスメント法案関係質問をさせていただきたいと存じます。  小牧山の決戦で徳川家康が、鳴くまで待とうホトトギスの心境であったのが一躍クローズアップされてまいりました。  去る六日に小牧山で決戦が行われております。小牧岩倉衛生組合が建設したごみ焼却炉に関する訴訟でございますが、この件の結末をちょっと伺いたいと思います。
  88. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 六日の判決について報道の面から伺ったのみでございますが、もちろんこれは司法における一つの判断でございまして、また、私ども本件訴訟における当事者でもございませんので、環境庁としての本件に関する見解ということは、まだ現在の段階でいかがかと思っておりますが、私ども、今お触れになりましたアセスメントという制度の所管としての感想でございますが、まず、こういったような判決を報道の面で伺っている範囲内では、特に手続、それから技術的な事項でございますね、そういったことの不備を指摘されて、それがやはりアセスメントとして十分ではないので、やはり工事そのものもどうか、こういうような判示と思っております。  私ども、現在法案を、先ほど大臣がお話し申し上げましたように、お願いをいたそうと準備をいたしておりますが、この小牧のようなケースは別といたしまして、大規模な事業について手続を、ルールを確立して円滑に事業がいくように、あるいは環境保全がきちんと守られるようにということを考えておりますので、その点からやはりああいった法案の意味があろうかな、こういうふうに考えております。
  89. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 ただいま承りましたが、私ももちろん報道しか知っておりませんが、ごみ焼却炉の操業禁止の判決が出た。愛知県にはアセスメント条例はない。それでも裁判所はこれを自治体が踏まなければならない手続であるということを指摘した。  これは私は大変重要なことだと思うんです。裁判所に指摘されてからでは、はなはだ残念でございますし、私は予防医学をやってきた立場としてはまことに残念であると思っているわけです。実際、環境アセスを地方自治体でやっているのは、都道府県四十七のうち二十六の自治体ですか、やっておられるわけで、実質的には動いている、こういうことを背景に、どうでしょう、環境アセスメント法案についてどんなふうにこれからやっていかれるんでしょうか。
  90. 上田稔

    ○国務大臣(上田稔君) 先生指摘のとおり、環境アセスメント、環境影響調査、これは以前はそういうやった実例が少なかったものでございますから、何と申しますか、将来を見通してこうなるであろうという予測がなかなかつかなかったということもあり、また実際に、例えば高速道路を通してみてどういうような騒音が出てくるかというようなことがわかってきたというようなことに今現在はなってきておりますので、そういう事態を国民の皆さんも見ておられまして、こういうことが行われたときはどうなるんだろうかということをはっきりしてもらいたい、不安を除いてもらいたい、こういう御要望が非常に強くなってきておりますし、また、建設をやる方、あるいはまた大きなプロジェクトを計画する方におきましてもそういう影響調査ということをやって、そうして安心して建設あるいはプロジェクトの達成ということを住民の皆さんに知ってもらいたい、こういうことでアセスメントをやらなくちゃいけないという考え方がここ五年ぐらいで非常に広まってきたのでございます。  したがいまして、今先生指摘のように、条例で、あるいは要綱で、あるいはまた各省におきましては通達でアセスのやり方をお決めになられまして、そうして住民の皆様方の納得を得て、そしてプロジェクトをおやりをいただいておる、こういうことになってきておるのでございます。ところが、手続の方法といいますか、やり方が非常にバランスが一定ではございませんで、府県の方では例えば要綱で決めておられる、市の方でも要綱で決めておる。そうすると、そのやり方が違うものですから、あるいは省の方においても、国の方においても通達で決めておられる。そのやり方が皆違うものですから、それでは通達どおりにやれというと、県の方では、決めておるやつとちょっと違うが、これ違う分もやっぱりやらにゃいかぬだろうということでおやりにならなくちゃいけない。また、下の市の方でも、自分のところで決めている要綱と合わないんではおかしいということでまたやらなくちゃいけない。住民に対してはやっぱりそういうようなことが起こってまいりますので、非常に今事業団体あるいは事業者というものが困っておるのが実態でございます。  したがいまして、国としては、これはやっぱり一つのものにしていかなくちゃいけないんじゃないかということで今法律を出させていただいておるのでございますが、やはりなかなか、いろいろ自分の方でお決めになっておられます考え方と違ったものができたら困るというようなお考えもございますし、そうして、ほかの方に合わされたんでは困るということやらいろんな御心配があるようでございます。しかし、今度小牧でこういうふうなことを裁判所まで言い出したということになると、私どももこれは気をつけて、早く法律を出させていただきたいということで、さらに力を入れてやらしていただきたいと念願をいたしております。
  91. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今の長官の御返事、大変私は喜んで聞いておったものでございます。  やはりここで指摘しておかなければならないのは、ごみ焼却炉が既に建設されてしまって、これは使っちゃいけないということになりますと、甚だむだなわけですよね。ですから、やっぱりアセスというのは、できてからのアセスではなくて、計画段階でアセスをしなければ甚だむだであるということをここで指摘をしておく必要があるし、私はやっぱり計画アセスというのはいわば健康診断だと思っているんです。つまり健康診断が、一つは健康であるかどうか、ひょっとしたら早期発見が、何か病気がないか、そうして予防ができるか、こういったことでございますので、私は予防医学者としても環境アセスは極めて重要であると思って、何とかこれは早く実現していただきたい、こう思っておりまして、予算委員会の総括質問をいたしましたが、大臣もおられましたんで聞いておられたと思いますけれども、総理大臣は、この前はうまくいかなかったけれども、今度党内調整をして提出に努力しますとおっしゃっています。その後の指示はあったんでしょうか。
  92. 上田稔

    ○国務大臣(上田稔君) 大臣からは、党内調整をしっかりやってくれということで私に直接御指示がございました。
  93. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 いや、僕は閣内のことはわかりませんが、歴代環境庁長官がここにちゃんとおられまして、私もみんなお仕えをした先生方でございますからよく知っておりますけれども環境庁長官に指示されるというのは私は間違いだと思うんです。やっぱり複数省庁にまたがっておりますから、これは厚生省も文部省も、建設省も農水省も国土庁も、たくさんあるので、その総合調整というのですか、そういうのが環境庁の立場だろうと思うので、これは長官に指示されただけではなくて、総理大臣の言葉をそのまま私が承れば、それはやっぱり各省庁にも閣内で指示をしていただく必要がある。そして長官がその調整役のキーポイントのところにおられるということで私はやっていくんじゃないかと思っているんです。  それで、小牧山の決戦を出しましたのは、じっと辛抱しておられたのじゃないかと思う環境庁が、今度はいい風が吹いてくると、ここでクローズアップされるのじゃないかと。ただ裁判所がてこになったということは私は残念なんです。裁判所に指示をされるのじゃなくて、我々が自分でやっていかなければいけない、そういうものじゃないかと私は思っておりましたので、ぜひひとつこれをてこに頑張ってやっていただきたいと、こう思っております。  次は、アメニティータウン計画、環境利用ガイドのことを伺いたいと思ったのですが、久しぶりに、子供は風の子、太陽の子と言っておられた柳川節をきょうはたっぷり聞かせていただきまして、私の質問なくなっちゃったので弱っておるところなんです。しかし、何かやっぱり言わぬといかぬな、こう思いまして、環境利用ガイド事業というのは、これは公害未然防止に役立つつもりでやられようとしているのかどうかを伺いたいと思うんです。
  94. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 基本的には、このガイド事業を構想いたしましたゆえんは、これまで、及び現在また将来にわたりましての大規模環境利用というような動向を考えますると、そういったような計画が構想されている段階で、やはり地域の住民、ひいては国民全般にとって環境利用というものはどうあるべきであり、かつまた、安心した形でやっぱり土地利用その他を含めた全般的な環境利用というのはあるべきじゃないかということを考えまして、それは開発をするような立場からいたしましても、秩序ある安定的な、そういった調和を図るようなことを考えたのがそもそもの考え方でございます。中身は相当密度も高い調査等になるわけでございますが、これは当然いわゆる開発事業の実施主体でございます事業者が行うようなアセスメントなどにもそれは活用することはあり得ると思います。  まず活用面からいきますと、まだ非常に広範な面で活用されるものだとは思っておりますが、今御指摘の点だけに限って言えば、そういうようなこともあろうかと思っておりますが、もともと全体の環境管理問題に対して必要なものというふうに考えておりますので、一事業者が行うアセスメントを頭に置いた調査等ではないということでございます。
  95. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 私さっきの環境アセス法案のところで申し上げましたが、私はやっぱり何としても計画段階でのアセスにちゃんと利用していかなければ、まずそれが第一ではないかというふうに思っているんで、これは私の注文でございますから、そんなふうに受けとめていただければ結構でございます。  アメニティータウンと環境利用ガイドに関連ですが、地域環境管理の推進という事業がずっと行われておりますね。予算を見ると余り小さいんで問題にしない方がいいのかと思ったんですけれども、これと今のアメニティータウン、環境利用ガイド事業との関連はどういうふうになるんでしょうか。
  96. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) いろいろな言葉がございまして、中身などを見ましても実際似たようなものもございますので御質問のようなことがあろうかとも存じますが、環境管理計画、なかんずく地域の環境管理計画と申しまするのは、私どもの役所におきましていろいろ策定の計画を練っているわけでございますが、本来、歴史的に見ますると、公害防止を含めた環境問題について先駆的な都道府県あるいは大きな市におきましてこういったような計画を立てられたものがスタートでございます。もちろんその中にはいろいろなパターンがございまして、全国的に一概のものは言えませんが、私ども、そういったような環境管理計画についてのいろいろな調査あるいは基本的な、理論的なアプローチをやった結果、特に数年前から地域環境管理計画の推進を行っておりますが、これは端的に申し上げれば行政計画でございまして、いわば地域環境の望ましいあり方とそのためのいろいろの施策がございますが、そのプログラムなどを考えるのが地域環境管理計画と私ども理解しております。  また、今の御指摘環境利用ガイドと申しますのは、環境利用上のいろいろなデータを集めまして、収集あるいは解析いたしまして、環境利用上の配慮事項をきちんと体系的に客観的に科学的に物差しみたいなものをつくるということでございまして、御指摘ではございますが、やや次元の違う、分野の違う事柄かなと、こういうふうに思っております。
  97. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それにしても、これ自身は予算としては小さいですね。千七百万円ぐらいですか。大変ちまちまとしているんで、大体環境庁予算が余り大きくないんじゃないかとかねがね思っておりますので、次は予算について少し、全体の予算も承りたいと思うんですが、環境庁予算総額の前年度比の伸びといったようなことを伺いたいと思います。
  98. 加藤陸美

    政府委員(加藤陸美君) お答え申し上げます。  環境庁予算総額でございますが、五十九年度、現在御審議いただいております予算の案の総額は四百三十五億でございまして、対前年度比のパーセントで申し上げますと九七・一%でございまして、差し引き二・九%の減ということでございます。
  99. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは次は研究予算について承りたいと思います。  国立公害研究所の予算総額、それの伸びはどうなっているか。その中でも、特に研究関連予算を引き出すとどうなっているのか。  もう一つは、一括計上というのがあるわけで、これの研究額がどうなっているか、それを承りたい。
  100. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 国立公害研究所の予算総額でございますが、前年度予算が四十六億八千七百万、ただいま御審査をお願いしておりますのが四十五億六百万でございます。  それから、国立公害研究所の研究関連予算でございますが、これが同じく三十億七千二百万と二十八億四千二百万でございます。  さらに、一括計上でございますが、同じく前年度が三十億七千六百万、それから御審査いただいておりますのが二十九億一千二百万。  以上でございます。
  101. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは、文部省に科学研究費というのがあるわけですが、文部省にこれを伺いたいと思うんです。
  102. 河野石根

    説明員(河野石根君) 文部省におきましては、科学研究費の中に公害関係研究につきましても柱立てをして措置しておるわけでございますが、ただいま御審査いただいております五十九年度予算案におきましては、前年同額の九億五千万が公害科学特別研究として計上されております。
  103. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 できれば科研費全体の伸び率だけでも、結構です。
  104. 河野石根

    説明員(河野石根君) 科学研究費の総額につきましては、対前年度比十億円増の四百五億円が計上されております。
  105. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 伸び率はどうでしょうか。
  106. 河野石根

    説明員(河野石根君) 二・五%でございます。
  107. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それで、もう一つ伺いたいんですが、国の科学技術振興費というのは文部省でしょうか。あるいは、何か資料を持っておられたら環境庁でもいいです。
  108. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 便宜、私の方からお答えを申し上げますが、国の科学技術振興費、これは国全体のものでございますが、前年度予算が三千九百八十一億六千万、それから明年度の審査中のものが四千百八億一千万でございます。
  109. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 正田さん、今の伸び率と、それから先ほどの国公研の予算と国公研内の研究関係の伸び率、一括計上の方の伸び率、これを率でひとつお願いします。
  110. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 国の科学技術振興費三・二%、それから、先ほど文部省からお話がございました科研費が二・五%です。公害研の全体がマイナスの三・九%、公害研究所の研究関連予算がマイナスの七・五%、それから一括計上分がマイナスの五・四%になっております。
  111. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今までいろいろお答えいただいてはっきりしたことがございます。文部省関係の科学研究費はすべて増額である。これは先ほど柳川さんが指摘していただいたので、長期展望に立つという意味でやはりこれは大事なことでございまして、研究費というものが減額されるようでは我が国の文化国家としての伸びがないということになろうかと思います。  もう一度指摘いたしますと、科研費は二・五%プラス、国の科学技術振興費がプラス三・二、国公研の研究予算がマイナス七・五、そして一括計上同じくマイナス五・四と今おっしゃいましたね。すべて多額なマイナスでございます。これは国の環境研究を進める上で私はとても不満でございますが、大臣いかがでしょうか。
  112. 上田稔

    ○国務大臣(上田稔君) 大変申しわけない結果に相なっておったのでございますが、しかし、今、公害対策、今まで起こりました非常に大きな公害というものに対しましての対策が軌道にある程度乗りまして、そしてそれは進めていかなければなりませんけれども、そういうことになったと。そして、これから環境庁としてはその公害に対する被害を軽減するような方策は、これは相変わらず続けてまいりますけれども、それとともに、今度は方向を、新しい公害が起こらないような、そういう調査にこれから向けていくということと、それから、新しく環境をつくり出すと申しますか、いい環境にしていくというような新しい考え方のものに進んでいくという、まあ前のものは相変わらずやるわけでございますけれども、力を入れてやりますが、一つの芽生えとして新しいものへの方向をある程度打ち出しておるのでございます。  そういうことにはそう大きな費用をいただけなかったと、まあやってみると、試験費的な考え方のものに立ったものでございますので、ちょっと全体的に予算が減ったと、こういう結果に相なってきたと思うのでございます。また、来年からは大いにこれをふやしていただくように方向づけて、成果を上げていきたい、こういうふうに考えております。
  113. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 国立公害研究所の研究というのは、まさに長期展望に立っての研究でございまして、これはあくまでも対症療法の研究ではないんです。ですからこれが一番大事なんで、これはコンスタントに力をつけていっていただかなければ、これはもうどうにもならないということかと私は思っております。  それからもう一つ研究で伺いたいのは、地方公害研究所と国立公害研究所の有機的連携あるいは役割分担といったことが非常にうまくいっていなかったと私は思っています。私が進めようとしたのは、地方公害研究所と国立公害研究所がお互いに有機的に連携をとって、そして役割分担をして日本列島を全部カバーした大研究をしたいと、私はそういうことをかねがね主張しておりましたし、それに若干着手をさしていただいておったんでありますけれども、それがどうなっているのか、ちょっと御説明をお願いします。
  114. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) 先生が御在職のころ、特にその問題を中心にされましてプロジェクトをおつくりになって、それから、全国の地方公害研究所のメンバーを含めたオーガナイゼーションをおやりになっていらっしゃったことは、私どもかねてからよく承知いたしておりますし、もう一歩のところで実を結ぶかなというふうに考えておった次第でございますが、私どもは、基本的には、公害研と地方公害研のポジションにつきまして、個別の公害研につきましては何と申しましても共通的、基本的な問題をやるとこれであると。それから地方公害研につきましては、地域特有の問題を中心にやっていくと。研究の性格は国立の方が基礎的研究、それから地方の方が行政あるいは地域に密着した研究をしていただく。それから手法といたしましては、国立の方が学際的研究体制でございまするし、世界にも例のないくらいの大型な実験施設を使用して行う。また、地域は何と申しましてもフィールドの調査中心かなと、こんなようなジャンルを持っていると理解しておりますが、特に昨今の公害問題のいろんな変化から見まして、地方公害研のいろんな研究の中身あるいは体制整備というものがどのような方向に向かうべきかということを私ども中心にいましております。  特に、今後の新しい公害問題、環境問題という時期に入りまして、従来のようなポリューションとは違ったようなポリューションの時代に入ってまいりました。そういったことも中心にして、国と地方が緊密な連絡関係を持ってやっていかなくちゃいけないということでございまして、先生が御在職中の御示唆にもありましたように、私どもの役所と各省、それから国立の公害研究所、それから地方公害研で定例的な会議を、幹部のレベルの会議を催しまして、今後どうすべきかということについて詰めた作業を今行っている最中でございます。
  115. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今正田さんの御説明にございましたとおりでございまして、地方公害研究所は、どちらかといえば対症療法的な面が多かったわけですね。ですから国立公害研究所は言うなれば予防医学的ということで、両者が連携して初めて一つの体系ができるのではないか。それから、やっぱり地方公害研究所の方々に研究の意欲を刺激するためには、やはり予防医学的研究もしてもらう必要があるのではないか、こんなふうに私は思っていたわけでありまして、そういう意味で、今後は、国と地方との壁が一つあるわけでしょうけれども、そこをうまく調和をしていただいて、新しい健康増進時代、健康福祉の時代に向かっての新しい環境研究のあり方をこれから進めていただきたいと、こう私は思っています。  環境庁は十二年でしょうか、国立公害研究所は三月十五日で満十年を迎えたわけでございます。小学校で言うと、ようやく高学年あるいは卒業というぐらいで、また発育途上にある。これは良質のたんぱくを中心とした栄養をたくさんやらないと発育不良になるわけですよ。ほかの省庁はこれはもう皆さんちゃんと成人でございますから、栄養が足りないと困るけれども、まあまあ我慢できるわけで、子供は我慢さしちゃいけないので、やっぱり大きな省庁のお兄ちゃん、お姉ちゃん、お母さん、お父さんが自分の食べるのを我慢して環境庁予算を出すべきであると、私はそう思っておりますが、大臣ひとつぜひ頑張っていただきたい、こう思っております。  もう一つ質問さしていただきたいと思うのですが、最後に、環境教育の問題は極めて重要であると私は思っております。私も医学部の教授時代に公害の講義をしてまいりましたが、公害規制というのは特定少数の発生源、つまり企業に対しては非常にコントロールしやすい。それが今までの一つの公害行政のあり方であったし、そしてppmがほとんど達成された。亜硫酸ガスにしてもNOxにしてもほとんど達成されています。一酸化炭素はもちろんです。浮遊粉じんが少しまだまずいかな、いずれ別な機会に質問はさしていただきますけれども。そういう状況でありますので、今やppm行政時代ではなくて、さっき申し上げたような健康増進あるいは健康福祉へ向かってのこれからの我が国のあり方、二十一世紀に向けてどうあるか、それは人類生存にもかかわる問題に直結してまいります。  そういったことで、私が言いたいのは、環境教育、つまり、これからは不特定多数の、ローカル的に言えば不特定多数の発生源、個人が非常に問題になってくる。これが衛生についても同じだったんです。ですから、これからは個人が非常に重要になってまいりますので、その教育について伺いたいのですが、教育予算は持っているのかどうかということと、それから、環境教育はどういう省庁がどんな形で受け持っているのか伺いたいと思います。
  116. 加藤陸美

    政府委員(加藤陸美君) お答えいたします。  まず予算のことでございますが、環境教育に係る予算となりますと、内容からしまして、この分あの分というのはなかなか定義づけというか区分けが難しゅうございますが、もちろん教育の問題は基本的には文部省で計上され、かつ体制を整えておられることは当然のことでございますが、環境庁で分担といいますか受け持っておるような分についてのことについてちょっと申し上げます。  環境教育を推進するための例えば教育教材、あるいは資料をつくったり、それをお配りしたり、あるいは環境教育に役に立つ映画をおつくりしたりというような部分、あるいは自然保護関係では、自然公園での指導員の活動助成あるいはその場所の整備等々でございまして、一つ一つ金額を申し上げますと長くなりますが、大きいものについて一、二申し上げますと、例えばテレビ放送等で環境保全施策のPR教育をいたしておりますのが一億余り、あるいは環境教育の教材、資料配布、これが三千万円弱等でございます。これらの予算、性格が非常に相異なっておりますので、単純に足した額というのは、ちょっと意味が難しいかと思いますが、いろいろなものを、環境庁分だけでございますが、考えてみますと五億余りぐらいになっておるかと存じます。   〔委員長退席、理事丸谷金保君着席〕  それから関係省庁という点につきましては、これはもう申し上げるまでもなく文部省でございまして、もちろん文部省を中心に考えていただかなきやなりませんので、私どもその意味では文部省はトータル官庁。私ども環境行政関係についてのいささかの専門分野という意味合いで、文部省さんと密接な連絡をとってお願いいたしておりますし、今申し上げました若干の予算につきましても、その執行ないし実行段階では文部省と密接な連携をとって施行させていただいております。
  117. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 時間になりましたので、ありがとうございました。
  118. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 昭和五十九年度の環境予算を見まして、私は二つの特徴があると思います。  一つは、環境庁創設以来の公害対策重点型施策から、先ほど議論がありました環境保全型社会の形成や自然保護、緑化などを前面に出したアメニティー重点型施策へと基調が移っている。それからもう一つは、これも既に指摘がありましたけれども環境庁創設以来ずっと予算が伸びてきたんですが、五十年度をピークに以後一貫して伸び率が減りまして、五十八年度からはついにマイナスに移行して、とうとうことしでは五年前の予算規模に逆戻りをしているということで、私は先ほどの上田長官の答弁が大変それをはしなくも明確に示したと思うんですね、転換期だと。今までの公害対策が軌道に乗ったと。だから予算が減ったのかということになるんですが、私はその認識が誤りのもとだと思うんです。先ほど、新しい公害が起こらないようにというんですが、今までの公害の後始末ができていないんじゃないか。  そこで端的にお伺いしますけれども、上田長官は、公害被害は減った、こういう御認識かどうか答弁いただきたい。
  119. 上田稔

    ○国務大臣(上田稔君) お答えを申し上げます。  今までの公害の被害者がどんどん減っていっておるのかという御質問でございますが、そういうことではございません。ただ、私ども公害を起こされました方々に対しての対応といいますか、救済というか、そういうようなやり方と申しますか、そういうことはある程度確立されてきておるのでございます。環境庁は、そういうことを確立する上において予算が一番必要になってきておりますのでございますが、それからその救済をさらに継続してやっていくという、これはもちろん当然やらなくちゃなりませんし、これはやってまいります。そうでございますが、そういう確立する上においてどういうふうにしたらいいかということについての予算、そういったようなものがある程度減らされてきたというようなことを私は感ずるのでございます。   〔理事丸谷金保君退席、委員長着席〕
  120. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 既に発生した公害にまだ十分対処できていないという点は多々あります。私はその中でもわけても問題なのは水俣病だと思うのですね。これは二月二十三日の補正予算の際にもその一端を質問したのですが、ただ、その際、私はこの答弁の中にも環境庁の姿勢があらわれていると思うんですが、水俣病の状況はまだ放置されている。その一例として、水俣協立病院の藤野医師らの「御所浦住民の自覚症状、神経症状の推移」という報告、その中身はどうかと質問しましたら、長谷川環境保健部長は一応その中身について簡単に触れたんですが、その後がよくないですね。「メチル水銀のいわゆる慢性微量汚染の健康影響につきましては、研究者の間でもいろいろの御意見があるところでございますので、私の意見は差し控えさせていただきます。」と。そんなことを聞いたのではなくて、むしろこの藤野さんの報告の中身、現に、過去に患者であった人の病状が既にこの汚染が減ったという中でも進行し、さらに、かつて患者でなかった人が患者になっているという、そういう状況をどう認識するのかと、こう聞いたんですが、学者の間の意見がいろいろあるので環境庁なりの答弁は出てこなかった。私はこれは極めて残念だと思うんですね。  端的に伺いたいと思うんです。いろんな病像について意見はあります。厳しく見るか、もうちょっと端的な、いわゆる古い昔からずっとあった一番ひどい症状だけを水俣病と見るのか、それ以外のいろんなところに出ている症状も水銀による影響と見るのか、いろんな見方はあるにしましても、この不知火海沿岸一帯に五万とも十万とも、十五万とも二十万とも言われるそういう水銀の影響を受けた人が現に存在する、典型的な水俣病かどうかは別としてですよ。そういう認識をお持ちなのかどうか、その点どうでしょうか。
  121. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答え申し上げます。  ただいま先生からお話ございましたように、不知火海一帯に過去において水銀汚染された魚をいろんな形で食べられた方が多数おられるということは私ども承知いたしておりまして、そういう面で、住民の方々が自分は水俣病じゃないかという疑いをお持ちになったときにはすぐに申請していただく、それで審査会において御審議をいただこうというシステムをとっておるところでございますので、そういう面におきましては、その地域に患者さんがもういないんだということを考えているわけではございません。また、一方におきまして、引き続き汚染が進行しているかということにつきましては、まあ不知火海におきます魚の調査だとか水の調査等を考えますと、三十年代当初みたいな汚染が進んでおるという状況ではないだろうという感じは持っておるところでございます。
  122. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私も汚染は進行しているという考えをとっておりませんし、むしろ汚染は減っておると思うんですね。何しろ発生源はその後は出していないんですから。ただ、いろんな状況のもとでまだ汚染がある。現在のかなり減った汚染の状況でも、先ほど申し上げた藤野医師らの報告では、かつて患者であった人の病状が進んでおる。それから、これは六年前の調査に比べて、当時患者でなかった人も新たに患者になっている疑いがあると、こういう極めてショッキングな報告があるんですね。その点については、長谷川さんはこの間はあなたの意見は差し控えるとおっしゃったんだけれども、藤野さんのこういう大変ショッキングな、いまの汚染でも患者は新たに進んでいるというその事実は、これは否定し切れないでしょう。否定できる何か根拠でもあるんですか。
  123. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 藤野先生の論文の中身にかかわる問題でございますので、実際に私もその調査等に加わっておるわけじゃございませんので、論文から拝見いたしておるところでございますけれども、この論文には、先生もお書きになっていらっしゃいますように、前のときの調査とそれから後のときの調査におきましては、診察された先生方もかわってございますし、それから、まだ調査方法、内容等につきましても変更があるんではなかろうかなという感じを持っておりまして、そういう面で、前のときの調査のいわゆる有症率と後のときの有症率をストレートに比較するということについては、なかなか難しい問題があるんじゃなかろうかなという感じを持っておるわけでございます。  そのような有症率の差を踏まえながら、藤野先生は有機水銀汚染が続いておるという御判断をなされておるようでございますけれども、その御判断につきましてはいろんな御意見がありますというぐあいに思っているところでございますので、それ以上まだ私もそうその論文の全貌について詳しく知っておるわけじゃございませんので、この席におきます意見を差し控えさしていただきたいというぐあいに申し上げたつもりでございます。
  124. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それは否定してもし切れない。要するに、患者がまだたくさんおるし、進行している可能性があるという事態があれば、これは環境庁としてはいっときたりとも放置できないことだと思うんです。  そこで問題を次に進めますが、重松逸造先生を班長として水俣病に関する総合的調査手法の開発に関する研究が進められております。これは昭和五十五年度以降毎年五百万円以上の予算がつけられまして、今まで二千百七十七万円、五十九年度も五百四十七万円の予算が計上されていますが、伺いたいのは、この研究はいつまとまるのか。そして、この研究がまとめられた暁には、環境庁はその報告書に基づいて不知火海沿岸住民の健康調査を実施する考えでいるのかどうか、これが二点目です。これは私はぜひ実施すべきだと思うのは、相当の研究調査費をつけてやってきた以上そういう目的があってやったんだろう、こう思うので、当然やる方向で私は検討していると思うんですが、いかがですか。
  125. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 水俣病に関します総合的調査手法の開発に関する研究につきましては、先生からお話ございましたように、重松先生を班長として現在鋭意検討は進められているところでございます。この検討の中身といたしましては、水俣病がこの地域におきましてどのような形に分布するのか、それから、水銀中毒の住民に対する健康影響といいますものを多角的にとらえるためにはどのような調査が必要であるか、また可能であるかということにつきまして総合的に検討いたしておる段階でございます。したがいまして、現時点でいついつまでというタイムリミットを切るわけにもなかなかまいりませんけれども、できるだけ速やかに御結論をまとめていただきたいというぐあいに思っておるところでございます。  それから第二点目の健康調査の実施に関する御質問でございますが、ただいま申し上げましたように、この研究班の中におきまして何を必要とするか、何が可能であるかということについての調査研究でございますので、この結果を見守りながら、私ども地元とも十分相談しながら対応していかなきゃならないというぐあいに考えておるところでございます。
  126. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そうしますと、恐らくこれはさらにもっと全県調査をやる前提としてのこれは研究だと思うんですが、やっぱり全体の調査をやっていくという環境庁の考えが基本にはあるんじゃないんでしょうか。
  127. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 有機水銀中毒によります地域に対しまして汚染があったということで、それによります水俣病の発生があったわけでございますので、そういう面で水俣病に関する総合的な健康影響に関する研究をしたいということで、現在その手法について検討が進められておるわけでございますから、その結果を見た上で必要な調査等を行う必要があるだろうというぐあいに考えております。
  128. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それから、水俣に国立水俣病研究センターがございまして、私もこの間調査一環として見てまいりました。大変施設も立派ですし、なかなかいい場所にありますし、また、職員の皆さん若い方も多いけれども、大変熱心に取り組んでおられて、私はこれは敬意を表したいと思うんです。  そこで、この研究センターにやっていただきたい仕事が一つあるんです。現にこのセンターでは、コンピューターを使って、汚染最盛期の不知火海沿岸に居住していた約二十万人の調査を行ってインプットする作業を今行っているようです。これはいわば分母のインプットなんですね。汚染最盛期にとどまらず、今日でも慢性微量汚染による健康影響が、いわば先ほど言ったとおり問題が提起されているわけですから、それ以後のものもこれは調査してインプットすべきではないのか、これが第一点。  さらに、この分母を沿岸の市町村の行政区ごとに区分しまして、できればさらにこれは部落ぐらいまでいけば大変いいと思うんですが、分子に何を入れるのか、とりあえずどれだけの患者が行政区ごとにおるのかを、認定患者、保留、未審査、棄却になっているそういう数をひとつそこに入れていただきたいんですね。さらに、未申請で症状を有する人は何人いるのか。これらは地域の医師会の協力を得ないとできないと思いますが、地域との協力体制もつくろうと大変に今努力もしておるようですので、これらを年次別、年齢別、性別に調査してインプットすべきではないのか。そしてできるだけ詳細かつ正確なマップをつくることが私は患者救済のためにとるべき態度を明確に具体的にしていくことにつながっていくし、また医療体制も万全になっていくんじゃなかろうか、こう思いますが、ひとつお答えいただきたいと思います。
  129. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 国立水俣病研究センターにおきましては、先生からお話ございましたように、ただいま汚染最盛期におきます人口状況、人口状態というものにつきましてのいわゆる人口復元の作業を進めているところでございます。その過程におきまして、先生からお話ございましたように、分子になるべきような認定者等の分布状況あるいはその地域住民の健康状況といいますものにつきましても、これから逐次やっていかなければならない問題であろうというぐあいに思っているところでございます。  現在の段階におきましては、人口復元と認定者の分布状況についてインプットの作業を現在進めているところでございますが、今後とも、先生のただいまの御指摘を踏まえながら関係の資料をできるだけ集めまして、さらに詳細なフィジカル調査を進めてまいりたいというぐあいに考えております。
  130. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 まだまだこの問題はごく一端でして、ちょっと時間がないので水俣病問題はこの程度にしたいと思うんですが、このほか認定問題あるいは補償問題等々、問題は山積しておるんです。これは次回に質問したいと思うんです。  ただ、私は、前回の予算委員会以来大臣の答弁を聞いており、また、先ほど公害に対する認識の問題を聞いていまして、やはり一度水俣の現場へ行きまして、そうしてつぶさに見ていただくと大分違うと思うんです。特に私は、離島ですね、そこへ行ってほしいんですよ。私はこの間御所浦へ行きまして、そしてびっくりしたのは、そこにはたくさんの認定患者または未認定もおるんですけれども、町立診療所はたった一つしかないんですが、そこに順番を取るために暗いうちから起きて並んでいるというんです。しかし、そこのお医者さんは、水俣病と認定する力がないのかどうかしりませんが、ともかく水俣病とは認めないんだけれども、いろんな症状が出ておって、水俣病でない人も、また水俣病も含めて、特にやっぱり多いわけですよ、症状がいろんな点で出ましてね。暗いうちから並んで、島におってもまさに一日がかりですよ、お医者さんにかかるのが。  そんな状況のところをつぶさに見ますと、なるほど水俣病の深刻さがわかると思うんです。そこで、そこの魚もひとつ食ってほしいんです。一回二回食ってもかからないそうですから。私もこの間おいしい魚を食べてきましてね。多少水銀入ったのがうまいらしいんだけれども、そういう魚もひとつ食べるとか、そういうことを見てきますと、大臣、やはり水俣病に対する認識が違ってくると思うんですが、そこに行く気がおありかどうか。ぜひ現地へ行ってほしいと思うんですが、大臣のひとつ決意のほど、魚も食べに行くということも含めて、ひとつ決意のほどを伺いたい。  それからもう一点だけ。  これはイタイイタイ病に飛ぶんですが、申請して棄却になり、そのまま死んでしまうと、申請中でないから、後で解剖で骨病変が出ましても認定される余地がないんですよ。これは認定制度できたためにやむを得ないと言うんだけれども、私がこのイタイイタイ病裁判を引き受けたその当時はまだ認定制度はなかったんですから、その当時はともかくお医者さんによって水俣病を証明させれば補償要求できたんですね。認定制度があるがために患者救済の道を逆にふさいでおる。私は、今法律があるんでなかなかそれは難しいかもしれぬけれども、これはひとつ政治的にこの矛盾を解決すべきじゃないか。  この二点を伺って質問を終わります。
  131. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 認定の手順に関するお尋ねにつきまして私の方でお答え申し上げたいと思っております。  先生お話ございましたように、この公害健康被害補償法においては、亡くなった後の申請は受理しないという形になっておるわけでございます。まあ法の制定当時におきましては、法の趣旨等がまだ周知徹底が図られていない観点から、その法の制定当時におきましては、一定期間を設けまして、亡くなった方の申請も受け付けるという形になってございましたけれども先生お話ございましたイタイイタイあるいはカドミに関しましても、ある程度もう法が施行されましてから相当年数がたっているわけでございますので、現時点におきましては、亡くなった方の後の申請は受け付けないということにいたしておるわけでございます。  その理由といたしましては、その水俣病あるいはイタイイタイ病におきましても、いわゆる高度の医学的判断を必要とする公害病でございますから、その審査に当たりましては、いわゆる公正さを期するためには、県等において行われております検査によりますデータが用いられているところでございます。患者本人が亡くなった場合にはこのようなデータが得られないというようなことから公平な審査ができないというおそれがあるということは、一つ理由あるわけでございます。  また、一般にこの法律の対象になります疾病、公害病は慢性疾患でございまして、非常に長く罹病し、長く経過をとっておるということでございますので、患者の方々、患者といいますか、症状を持ってそういう病気じゃなかろうかという疑いを持たれる方々につきましては、いわゆる生存中に申請する機会が幾らでもあるということでございまして、このようなことから、私どもといたしましては、この制度の仕組み、趣旨につきまして、できるだけ関係県におきまして住民の方々に周知徹底するように努めておるところでございます。  そのようなことで、現在のところ、亡くなった後におきます申請は受理できないという考え方をいたしておるところでございます。
  132. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 じゃあまたそれは次回に聞きます。時間ないから、あと大臣の方から、行くと言っていただければ。
  133. 上田稔

    ○国務大臣(上田稔君) それでは第一点についてお答えを申し上げたいと存じます。  水俣に行ってよく実情を見ないかという御質問でございます。私も行くことにそうやぶさかではないのでございますが、この水俣関係のいろいろな業務と申しますか、認定業務その他について熊本県の知事さんが非常に御苦労になって、真剣になっておやりをいただき、また認定業務についてはほとんどこの知事さんにお願いをしてお任せをしておるというのが実態でございます。したがいまして、知事さんのそういう御意見をよくお聞きをして、そしていろいろ承知をしていたさなければならないと考えておるのでございますが、そういう知事さんの御意見を決めていろいろ打ち合わせをさしていただきたいと、こういうふうに考えております。
  134. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 先日環境庁は、ワシタカ類を六種、特殊保護鳥類に指定をなさいましたが、この特殊保護鳥類に指定をする前と指定をした後では、ワシタカにとりましてどういうふうに状況が変わるわけなんですか。
  135. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) 特殊鳥類の指定といいますのは、先生もう十分御承知でございますが、特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律というものに基づきまして指定をすることになっておるわけでございまして、その特殊鳥類の譲渡等の規制の主な内容というのは、国内流通、つまり譲渡、それから輸出入というものが原則的に禁止される、厳しく規制される、こういうことでございます。
  136. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 捕獲についてはどうなんですか。
  137. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) 捕獲につきましては別の法律でございまして、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律というものがございまして、鳥獣保護区の設定というようなことがあります。それは、生息地をそういう保護区に設定いたしまして保護するわけでありますが、その保護区におきましては、捕獲、卵の採取、飼養について原則禁止、こういうことでございますし、あわせて、特にとれるもの以外は原則的に捕獲はできない、こういうことになってございます。
  138. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そうしますと、ワシタカ類をとっちゃいけないという区域が特定されるわけですね。それは現に日本列島の場合ほとんど全域に及んでおりますか。
  139. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) 鳥獣保護区自体は全域に及ぶという関係ではございませんで、これはあくまで生息地の保護でございます。私申しましたように、二つの法律によってその捕獲なりあるいは譲渡、輸出入というものが原則禁止ということでございますが、それはどこにすもうがワシタカは原則禁止でございます。
  140. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 日本に今いるワシタカ類というのは、今回六種でございますけど、何種類ぐらいあるんでしょうね。いや、お調べでなければ結構でございます。
  141. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) 今回のは、先生御案内のように、オオワシ、オオタカ、クマタカ、オオハヤブサ、シベリアハヤブサ、ハヤブサというようなものでございますが、そのほか、ワシというのは、御案内のように、ニホソイヌワシでございますとか、カンムリワシでございますとか、あるいはシマハヤブサというようなものがあると承知しておりますが、ほとんどのものは捕獲ができないということになっております。
  142. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 まあまだ不十分だという説も一方にはあるわけでございますので、こういった鳥獣保護につきましては、やはり私、環境庁中心になって、これはこれから減りこそすれふえることのない獣類、鳥類というのがほとんどだと思うんですね。ですから、そういう点はひとつこれからも積極的に、こういった指定等については頑張って推進をしていただきたいということをお願いを申し上げておきたいと思います。  特別天然記念物、この指定は文化庁でございますか。環境庁は特別天然記念物の指定に関しては一切関与はしないんですか。
  143. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) 天然記念物あるいは特別天然記念物の指定は、文化財保護法に基づきまして文化庁の所管事項でございます。ですから、文化庁の方でいろいろと学術上の貴重なものにつきましての指定が行われているということであります。ただ、私どもも鳥獣につきましては鳥獣保護法その他のものがありますので、保護指定に、私ども法律に基づくものと向こうの天然記念物とオーバーラップするものが相当あるというふうに考えております。
  144. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 具体的に例えばこの動物を特別天然記念物に保護しようという話が起きてきた場合は、環境庁も文化庁等々と相談はなさいますか。
  145. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) いろいろ相談はございます。例えば最近の例では、ヤンバルクイナが沖繩で発見されましたが、その調査、発見から指定に至るまで、これは両省いろいろ相談をしながらやっております。
  146. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 やはり縦割り行政の弊害ということが、これは環境庁に限らず多く言われているわけでございますけれど、特にこういった生き物についての保護等はやはりそういう垣根を越えて十分に相談をされておやりになる方が好ましいし、また私個人の考えでは、例えば特別天然記念物等はむしろ、文化財保護という観点もありましょうけれど、環境保全するという観点から言えば環境庁がイニシアチブをとってもしかるべきものではないか、そう考えている次第です。そういう点の一つの弊害が出てきたものが、特別天然記念物に指定されておりますニホンカモシカによるいわゆるヒノキの食害、これは林野庁言い分がありましょうし、また文部省の方にも特別天然記念物としてのニホンカモシカについての言い分がありましょうし、環境庁は当然ながら環境行政を推進する上からもこの問題については頭を悩ましておられる、こう思うんでございます。  ちょっとお伺いいたしますが、林野庁来ていただいておりますね。——現在、ヒノキの植林に対するニホンカモシカによる食害の実態といいますか、現実にどれぐらいの面積の、お金に換算してどれぐらいの金額が被害として統計的に報告をされておりますか。
  147. 原喜一郎

    説明員(原喜一郎君) カモシカによります森林被害は昭和四十八年ごろから急激に増加しておりまして、これは民有林と国有林を合わせますと、五十二年度で三千二十九ヘクタール出しているわけでありますが、以降五十四年度までおおむね三千ヘクタール台で横ばいで推移しているわけでございますけれども、五十五年度以降はやや減少に転じておりまして、五十七年度は二千七十七ヘクタールと、こうなっております。  五十七年度について見ますと、民有林の被害状況を地域別で見ますと、全国で十四県で役千七百九十九ヘクタール被害が発生しておりますが、このうち長野県が七百四ヘクタール、それから岩手県が三百六十ヘクタール、岐阜県が二百九十六ヘクタールと、この三県で民有林被害の面積の約八割近くを占めている、こういう状況でございます。
  148. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ニホンカモシカは特別天然記念物ですから、これをつかまえさしてくれということは文化庁の方にお願いをする、こういうことなんですね。
  149. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) もちろん天然記念物でもありますし、また私どもの鳥獣保護法によっての捕獲ができないことになっておりますので、捕獲につきましては許可が要る。そういうことで、特別天然記念物としての捕獲の処理の問題と、私どもの鳥獣保護法の処理の問題と両方がある、こういうことになっております。
  150. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 現実に間引き捕獲を認める場合に、例えば麻酔銃を使いなさい、あるいはもう一般銃を使ってもよろしい、こういうことを決める権限はどこにあるんでしょうか。
  151. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) カモシカの問題につきましては、いわば被害者サイドの立場に立つ林野庁の問題と、それから文化庁、環境庁、それぞれ各省庁所管にまたがる問題でありますので、これは実は三庁が合同で、五十四年度でございますが、三庁委員会というようなものをつくりまして、それ以来密接にこの問題についての対策樹立のための方針を立てようということで三庁共同してその作業に当たってきたわけです。そういうようなことで、つまりカモシカの保護ということと被害の防止、これをいかに両立させていくか、こういうことを主目的にしてのことでございます。そういうようなことでございまして、今お尋ねのように、私ども、文化庁あるいは林野庁と密接な相談のもとで方針を立て、その線に沿って作業を進めている、こういうことでございます。
  152. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 林野庁は、例えば具体的に捕獲禁止区域をこれだけふやしてもらいたいとか、そういうような御方針はお持ちでございますか。具体的な現在の状況をお伺いしたいと思います。
  153. 原喜一郎

    説明員(原喜一郎君) このカモシカ保護地域の設定状況でございますけれども、これは文化庁さんの方で具体的には担当されるわけでありますが、林野庁としましては、先ほど答弁ありましたように、三庁合意の中で五十四年十一月に北アルプスの保護地域を設定をされておりますが、現在までにそのほか七カ所の保護地域の設定を完了いたしております。
  154. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 長官にお尋ねいたしますが、緑の日本列島という観点から見れば、ヒノキなんというのはこれはもう実に日本固有の植物でありますし、その植林を計画的になさっている、それを業としている人から見れば、せっかく植えたヒノキの新芽をカモシカに食い荒らされるというのは耐えがたいことであろうと思います。  しかし一方では、このニホンカモシカも実に日本固有の、だから特別天然記念物に指定されている動物でございますし、だから環境庁としても大変その点調整にお困りだと思いますけれど、この辺をどういうふうにバランスをとって両方納得のいくような方向に持っていけばいいか、お考えをお伺いしたいと思います。
  155. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) 大臣の御答弁の前に、恐縮でございますが、どういう線で動いていき、今後どうなるかということを簡単に申し上げたいと思いますが、三庁合意の線に従いまして今地域設定をやっておるわけでございまして、いわば地域を限っての天然記念物にすると、そういうことで地域設定の作業を文化庁で進めておる。それ以外にカモシカという問題をどうするかということでありますが、これは文化庁の手を離れまして、専ら環境庁所管の鳥獣保護法でこれを必要があれば個体数調整ということを考えていく、つまり有害鳥獣駆除というようなものを使いましての調整を考えていくと、こういう方針は決めてあるわけであります。  したがいまして、今具体的な地域設定についてのせっかく作業が文化庁において行われていると、こういうことが今の作業の進行状況でございます。
  156. 上田稔

    ○国務大臣(上田稔君) ただいまお答えを申し上げましたが、文化庁の方にもいろいろお願いをいたしまして、区域の設定について三庁で力を合わせてやらしていただきたいと考えております。  なお、その他の地域につきましては、今申し上げましたように、今までの経過をよく踏まえてそしてやらしていただきたいと考えております。
  157. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 長官、私がお伺いしたいのは、長官の環境行政というものについての哲学のようなものをできればお示し願いたい。  今回のこのニホンカモシカに顕著にあらわれておりますのは、日本列島を緑で埋め尽くすようなそういう環境も大事でございます。しかし、日本に固有の、例えばニホンカモシカとか、あるいはニホンカワウソとかイヌワシであるとか、こういった動物も一匹でも一羽でも多く我々は大切に残していかなければいけない。そのどちらに重点を置くということは難しいことではあろうと思いますけれど、その点についての、いわゆる環境保全全般についての長官のお考えをお伺いしたい、こういうことなんでございます。
  158. 上田稔

    ○国務大臣(上田稔君) 動物の点に対しましては、これは絶滅をしてしまいますと二度とそれを返らすことはできません。したがいまして、そういう点を考えながらやらしていただきたいと考えておるわけでございます。  ヒノキの点は、ある程度、何といいますか、まだ絶滅というところまではいかないということでございますので、そういう点を考えながら決定をさしていただきたいと、こういうふうに考えております。
  159. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 非常に明快な御答弁をいただきましてありがとうございました。  私は、今の長官のお言葉を私なりに解釈をさしていただきたいと思います。それは、動物は一たん絶滅したらこれはもう絶対に二度と再び返ってはまいりませんけれど、木は植えれば植え直すことができます。だからそこに十分な配慮をしていけば、優先順位としては、やはり絶滅に瀕しつつあるところの日本列島に生息している動物をまず重点に考えて、植物というのは生き返らすことができるわけでございますから、まあ極論かもわかりませんけれど、その辺に御考慮をいただいた御発言であると、このように理解をさしていただきたいと思います。  時間が参りましたので、これで私質問を終わりますけれど、長官、私、先ほどから各委員の御発言を承っておりまして、この参議院の環境委員会というのは実に大したものだなと、そういう印象を抱いた次第でございます。柳川委員、これは文部行政のスキルフルなエキスパートでございます。高桑委員は公害行政、特に公害病の研究については我が日本列島の泰斗として存在をしていらっしゃる方でございますし、それから、本日もお見えでございますけれど、前環境庁長官、前々環境庁長官、長官をこの委員会は網羅しておりますし、秋山先生は副議長の経験者でございます。  これだけ立派な委員がそろっている委員会で、文部省の研究費にも及ばない研究費しか、そういう予算しか取れない。これは環境庁としてはやや、これは行政でございますけれど、これだけ立派な立法府の委員会を擁しながら、これはちょっと残念である。さらに、今衆議院の方で宙づりになっておりますところの湖沼法、あるいは数年にわたって頑張ってこられたにかかわらずいまだに国会の審議に至らないアセスメント法案、こういったものは、これだけ立派な委員会があるんでございますから、ひとつ長官も勇気を持って大いに頑張っていただきたい。長官は、自由民主党において、あのいろいろな難点がたくさんございました比例代表制という公職選挙法を立派に成立をさせられた方でございますから、あの力量があれば、まさに外柔にして内剛、ひとつ大いに蛮勇を振るっていただきまして、これはまたその点につきましては次回の委員会質問をさしていただきますけれど、大いに健闘を期待いたしまして私の質問を終わります。
  160. 穐山篤

    委員長穐山篤君) これをもって昭和五十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、公害等調整委員会及び環境庁についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査の報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  162. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 本委員会理事会におきましては、予算委員会に対し、委嘱審査の決定に当たっては、委員会の状況を十分考慮の上、少なくとも一日間程度の審査期間を確保されるよう申し入れることといたしましたので、御報告をしておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四分散会