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1984-04-27 第101回国会 衆議院 本会議 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月二十七日(金曜日)     —————————————  議事日程 第十九号   昭和五十九年四月二十七日     午後二時開議  第一 昭和四十四年度以後における私立学校教     職員共済組合からの年金の額の改定に関     する法律等の一部を改正する法律案(内     閣提出)  第二 地力増進法案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  中曽根内閣総理大臣の去る二十五日の会議にお   ける答弁に関する発言  皇室会議予備議員選挙  中央選挙管理会委員及び同予備委員指名  日程第一 昭和四十四年度以後における私立学   校教職員共済組合からの年金の額の改定に関   する法律等の一部を改正する法律案内閣提   出)  日程第二 地力増進法案内閣提出)  たばこ事業法案内閣提出)、日本たばこ産業   株式会社法案内閣提出)、塩専売法案(内   閣提出)、たばこ事業法等施行に伴う関係   法律整備等に関する法律案内閣提出)及   びたばこ消費税法案内閣提出)の趣旨説明   及び質疑     午後二時三分開議
  2. 福永健司

    議長福永健司君) これより会議を開きます。      ——————————  内閣総理大臣発言
  3. 福永健司

    議長福永健司君) 内閣総理大臣から、去る二十五日の会議における答弁に関し、発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣中曽根康弘君。     〔内閣総理大臣中曽根康弘登壇
  4. 中曽根康弘

    内閣総理大臣中曽根康弘君) 去る四月二十五日の本会議において、臨教審法案各党質疑に対し答弁中、国会同意中立性を損なうと受け取られる内容がありましたが、国会同意中立性を損なうものではありません。(拍手)      ——————————  皇室会議予備議員選挙
  5. 福永健司

    議長福永健司君) 皇室会議予備議員選挙を行います。
  6. 古賀誠

    古賀誠君 皇室会議予備議員選挙は、その手続を省略して、議長において指名せられ、その職務を行う順序については、議長において定められんことを望みます。
  7. 福永健司

    議長福永健司君) 古賀誠君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 福永健司

    議長福永健司君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。  議長は、皇室会議予備議員原健三郎君を指名いたします。  なお、その職務を行う順序は第二順位といたします。      ——————————  中央選挙管理会委員及び同予備委員指名
  9. 福永健司

    議長福永健司君) 中央選挙管理会委員及び同予備委員指名を行います。
  10. 古賀誠

    古賀誠君 中央選挙管理会委員及び同予備委員指名については、その手続を省略して、議長において指名せられんことを望みます。
  11. 福永健司

    議長福永健司君) 古賀誠君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 福永健司

    議長福永健司君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。  議長は、中央選挙管理会委員中尾辰義君を指名いたします。  また、同予備委員大谷操君を指名いたします。      ——————————  日程第一 昭和四十四年度以後における私立   学校教職員共済組合からの年金の額の改定   に関する法律等の一部を改正する法律案   (内閣提出
  13. 福永健司

    議長福永健司君) 日程第一、昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。文教委員長愛野興一郎君。     —————————————  昭和四十四年度以後における私立学校教職員共   済組合からの年金の額の改定に関する法律等   の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔愛野興一郎登壇
  14. 愛野興一郎

    愛野興一郎君 ただいま議題となりました昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案について、文教委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、私立学校教職員共済組合が支給する既裁定年金の額を、国公立学校教職員年金額改定に準じて増額いたしますとともに、私立学校教職員掛金等の算定の基礎となる標準給与の月額の上限及び下限の引き上げ等を行うこととするものであります。  この年金額改定昭和五十九年四月分から、標準給与引き上げは同年四月一日から、それぞれ実施することといたしております。  本案は、去る三月二十九日本委員会に付託され、四月十一日森文部大臣から提案理由説明を聴取いたしました。  次いで、四月十八日及び二十日の両日質疑を行い、去る二十五日採決の結果、本案賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。  なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  15. 福永健司

    議長福永健司君) 採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  16. 福永健司

    議長福永健司君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ——————————  日程第二 地力増進法案内閣提出
  17. 福永健司

    議長福永健司君) 日程第二、地力増進法案議題といたします。  委員長報告を求めます。農林水産委員長阿部文男君。     —————————————  地力増進法案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔阿部文男登壇
  18. 阿部文男

    阿部文男君 ただいま議題となりました地力増進法案につきまして、農林水産委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、最近における土壌管理の実態その他の農業事情にかんがみ、地力増進を図るため、地力増進基本指針の策定及び地力増進地域制度を定めるとともに、土壌改良資材の品質に関する表示適正化のための措置を講じようとするものであります。  本案は、去る三月二十一日提出され、同日本委員会に付託されました。  委員会におきましては、四月十八日山村農林水産大臣から提案理由説明を聴取した後、四月二十四日に参考人からの意見を聴取し、翌四月二十五日に質疑を行い、同日質疑を終局し、直ちに採決いたしましたところ、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し附帯決議が付されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  19. 福永健司

    議長福永健司君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 福永健司

    議長福永健司君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ——————————  たばこ事業法案内閣提出)、日本たばこ産業   株式会社法案内閣提出)、塩専売法案(内   閣提出)、たばこ事業法等施行に伴う関係   法律整備等に関する法律案内閣提出)及   びたばこ消費税法案内閣提出)の趣旨説明
  21. 福永健司

  22. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいま議題となりましたたばこ事業法案日本たばこ産業株式会社法案塩専売法案たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案びたばこ消費税法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  まず初めに、たばこ事業法案につきまして御説明申し上げます。  たばこ専売制度は、明治三十七年に制度が設けられて以来、財政収入確保に寄与してまいりましたが、時代の変遷、環境変化等を背景として、その見直しの必要性がとみに高まってきたところであります。  このような状況を踏まえ、一昨年七月に臨時行政調査会により提出された行政改革に関する第三次答申趣旨に沿って、たばこ事業関係者等とも意見の調整を図りながら、政府部内において検討を進めてきたところであります。その結果、今般・開放経済体制に即応し、かつ、たばこ事業効率的運営等を図るため、たばこ専売制度を廃止するとともに、我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もって財政収入安定的確保及び国民経済の健全な発展に資するため、新たにたばこ事業法を制定することとした次第であります。  以下、その大要を申し上げます。  第一に、原料用国内産葉たばこの生産及び買い入れにつきましては、日本たばこ産業株式会社が、あらかじめ、たばこ耕作者耕作面積等を定めた葉たばこ買い入れに関する契約を締結することとし、当該契約面積から生産された葉たばこについては、日本たばこ産業株式会社が全量買い入れることとする等所要措置を講ずることとしております。  第二に、製造たばこ製造につきましては、日本たばこ産業株式会社に独占させることとしております。  第三に、たばこ輸入自由化を図ることとしております。したがって、だれでも自由にたばこ輸入することができることとなりますが、輸入した製造たばこを業として販売する者につきましては、卸売販売業を営む者と同様に、登録制を採用することとしております。     〔議長退席、副議長着席〕  第四に、小売販売関係につきましては、当分の間、小売販売業を営む者は、許可を受けなければならないこととしております。  また、小売販売価格につきましては、引き続き、当分の間、定価制を維持することとしております。  その他、喫煙と健康の関係に関する注意文言表示の義務づけ等所要規定整備しているところであります。  次に、日本たばこ産業株式会社法案につきまして御説明申し上げます。  たばこ専売制度の廃止及びたばこ輸入自由化に伴い、我が国たばこ事業は、輸入たばことの対等な競争関係のもとで営まれることとなります。  このような状況下において、我が国たばこ産業の健全な発展等を図るためには、日本専売公社経営形態政府関係特殊法人の中で最も経営自主性の認められる特殊会社に改組することが必要であります。このため、日本専売公社法を廃止し、新たに日本たばこ産業株式会社法を制定することとした次第であります。  以下、その大要を申し上げます。  第一に、日本たばこ産業株式会社は、製造たばこ製造販売及び輸入に関する事業経営することを目的とする株式会社とすることとしております。  第二に、日本たばこ産業株式会社株式については、本則で、発行済み株式の総数の二分の一以上、附則で、当分の間、三分の二以上の保有義務政府に課することとしており、さらに、政府がその保有する株式を処分するに際しては、国会の議決を経なければならないこととしております。  第三に、事業計画認可等公的規制に関する規定を設けておりますが、いずれも公益性を担保するための必要最小限のものにとどめており、可能な限り企業自主性にゆだねることとしております。  次に、塩専売法案につきまして御説明申し上げます。  塩専売事業は、現在、日本専売公社が実施しておりますが、今回、本法律案とともに御提案申し上げております日本たばこ産業株式会社法案により、公社日本たばこ産業株式会社に改組されることに伴い、塩専売事業当該会社に実施させることとし、このために必要な措置を講ずる等所要規定整備を行うこととし、このため、塩専売法の全部を改正することとした次第であります。  以下、その大要を申し上げます。  第一に、塩専売事業公益専売である旨を明らかにした目的規定を新たに設けることとしております。  第二に、国に専属する専売機能日本たばこ産業株式会社に行わせることとし、このため、塩専売事業を実施する上での公共性を担保するための所要措置を講ずることとしております。  その他、今後国内塩産業自立化の目途が得られた段階で、本法律案について検討を加えることとする規定を設けるほか、所要措置を講ずることとしております。  次に、たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  このたび、たばこ事業法及び日本たばこ産業株式会社法の制定並びに塩専売法の全部改正を行うこととしておりますが、これに伴い、製塩施設法及び塩業組合法を廃止するほか、国家公務員等共済組合法等六十法律につきまして、所要規定整備等を図ることとしております。  最後に、たばこ消費税法案につきまして御説明申し上げます。  たばこ専売制度を廃止することとなったことに伴い、現行専売納付金制度にかえて、新たにたばこ消費税制度を設けることとした次第であります。  以下、その大要を申し上げます。  第一に、たばこ消費税は、製造たばこ課税物件とし、国産製造たばこについては製造たばこ製造者輸入製造たばこについては保税地域から引き取る者を、それぞれ納税義務者とすることとしております。  第二に、たばこ消費税の税額は、価格に応じて負担を求める従価割額と数量に応じて負担を求める従量割額合算額とし、課税標準は、従価割にあっては小売定価とし、従量割にあっては本数または重量とすることとしております。  第三に、税率は、現行専売納付金率等を参酌しつつ製造たばこ種類ごとに定めることとし、また、従価割税率従量割税率組み合わせ比率は八対二程度とすることとしております。  その他、申告及び納付の方法、納期限延長等所要規定を設けることとしております。  なお、日本たばこ産業株式会社法案につきましては、公布の日から、その他の法律案につきましては、原則として昭和六十年四月一日から施行することとしております。  以上、たばこ事業法案日本たばこ産業株式会社法案塩専売法案たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案びたばこ消費税法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)      ——————————  たばこ事業法案内閣提出)、日本たばこ産業   株式会社法案内閣提出)、塩専売法案(内   閣提出)、たばこ事業法等施行に伴う関係   法律整備等に関する法律案内閣提出)及   びたばこ消費税法案内閣提出)の趣旨説明   に対する質疑
  23. 勝間田清一

    ○副議長勝間田清一君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。田中秀征君。     〔田中秀征登壇
  24. 田中秀征

    田中秀征君 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表いたしまして、ただいま議題となりましたたばこ事業法等専売改革関連法案について、総理大臣並びに大蔵大臣に若干の質問を行うものであります。  申し上げるまでもなく、政府が目指す今次の専売改革は、明治三十七年以来八十年に及ぶ日本専売制度の歴史に一大転換をもたらすものであります。したがって、本改革案は、葉たばこ耕作者たばこ販売店はもちろんのこと、すべてのたばこ塩事業関係者の重大な関心を集め、かつまた、行革関連法案一つ目玉法案として、行革の行方を見守る国民各層の目が一斉に注がれているところであります。  私は、日本専売公社が長年にわたって我が国たばこ産業発展に寄与してきたこと、また国、地方財政に多大な貢献をしてきたことに改めて敬意を表しますとともに、私自身、三千五百万人の愛煙家の一人といたしまして、我が国たばこ産業が今後とも健全な発展を遂げるよう、心から願うものであります。  御承知のように、近年のたばこ需要の著しい停滞、諸外国からの強い市場開放要請などにより、たばこをめぐる環境は大きく変貌し、我が国専売制度は内外から厳しく新たな対応を迫られております。私は、今次専売改革が、このような時代の流れの中にあって避けては通れないことであるとの認識のもとに、まず総理大臣に次の二点について質問いたします。  第一に、行政改革との関連についてお尋ねいたします。  このたびの専売公社改革は、一昨年の臨時行政調査会答申に沿って、行政改革の一環として行われるものですが、今回の法案内容臨調答申との関係でどのように位置づけておられるのか、総理の率直な御見解を承りたいと存じます。  第二に、製造たばこ輸入自由化についてお伺いいたします。  私は、国際社会における貿易立国日本の現在の立場を考えるとき、製造たばこ輸入自由化に踏み切ることは、この際やむを得ないものと受けとめております。しかし、輸入自由化に踏み切った諸外国の例を見ますと、その影響は決して軽視できるものではありません。例えば、一九七七年に輸入自由化を行ったフランスでは、輸入たばこのシェアが、自由化前年の一九七六年の一〇・四%から、四年後の一九八〇年には二五・五%に激増しております。成年人口伸び率の鈍化、喫煙と健康問題への関心の高まりなどにより、たばこ需要の拡大の道は年々険しさを増すことも予想されます。たばこ離れさえ云々されている今日、万が一にもフランスのような事態を招くことがあるとしたら、それこそゆゆしきことと言わねばなりません。  そこで私は、総理大臣に対して、製造たばこ輸入自由化に際しどのような対策を用意しておられるのか、私どもの不安を吹き飛ばすような御答弁を期待いたします。  次に、大蔵大臣質問いたします。  御承知のように、現在の専売公社事業は、公社職員のほか、約十万人の葉たばこ耕作者、約二十六万人の販売店、その他塩事業関係者等、一説には百万人を超えるという一大産業集団を形成しております。とりわけ葉たばこ耕作者はその専業率が高いこと、東北、九州地方中心に私の地元北信濃にありましてもそうですが、農業としては立地条件が劣る山岳地帯において有力な畑作作物となっていることなどを考えますと、このたびの大改革による不安は尋常のものではありません。今次の専売改革によってこれら葉たばこ耕作者に一方的なしわ寄せがいかないよう、十分な対応措置がとられていると信じますが、関係者不安解消のため具体内にどのような措置が講ぜられたか、大蔵大臣の明快なお答えをお願いいたします。  第二に、たばこ小売店に対する配慮についてお伺いいたします。  たばこ販売店の多くが零細小売店であることは私が申し上げるまでもありませんが、その上、現行制度のもとでは、身体障害者福祉法、母子及び寡婦福祉法により、小売店の指定に関して特別の配慮が義務づけられております。このように弱い立場にある小売店に対して万が一にも激変が生ずることのないよう、適正な措置がぜひとも必要であります。小売店に対して具体的にどのような配慮がなされているのか、大蔵大臣にお尋ねいたします。  ところで、新会社の名称は日本たばこ産業株式会社ということになっております。耳なれないからかもしれませんが、もう一つという感じが否めません。この辺の御印象、御感想をぜひこの際総理大臣から一言聞かせていただきたい、このように思います。  以上で私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘登壇
  25. 中曽根康弘

    内閣総理大臣中曽根康弘君) 田中議員お答えをいたします。  まず、今回の改革行政改革臨調答申との関係においていかんという御質問でございます。  今回の改革は、臨時行政調査会答申を尊重いたしまして、その線に沿って行わんとしておるものでございます。臨調答申趣旨とするところは、要するに、経営並びに労働関係主体性責任性を回復さして効率化を上げようというのが主な中心点でございます。そういう意味におきまして、公社制度から株式会社制度に変えることによりまして、経営主体性を回復して、いわゆる大蔵省の予算統制からできるだけこれを解放して責任体制を持たせるということ、労働関係におきましても、公共企業体等労働関係法から解放して労使関係の自由な責任体制を持たせるということ、そういうようなことがやはりこの案の中心にあるところでございます。  それと同時に、小売店やあるいはたばこ耕作者に対する激変緩和措置を講じまして、たばこ産業全体としての調和ある発展を図り、外国たばこに対抗する力を今後もつくっていく、そのためにもまた御努力を願う、そういうシステムにして今回の法案をつくってあるわけでございます。  次に、製造たばこ輸入自由化日本たばこ産業に対する影響はいかんと、フランスの場合の例をおとりになってお示しになりました。  今回の措置は、国産品輸入品が対等の立場競争をし合う、そういう改革を意味しているところでありまして、たばこ産業に対して何らかの影響は避けられないところでございます。政府といたしましても、外国たばこに負けないように、経営労使関係等については十分に配慮もし、また期待もしておるところでございますが、会社並びに会社が設立されました上は労使が懸命な努力をして、その抵抗力なり力を養うように、合理化に踏み切らんことを期待しておる次第でございます。フランスのような例は日本には起きないように、政府としても、いろいろ側面的にも配慮努力してまいるつもりでございます。  次に、日本たばこ産業株式会社という名前印象はどうであるかという御質問でございますが、これは、たばこ耕作組合から小売店、全関係者を網羅する大きな改革でございますので、自由主義経済にふさわしい日本たばこ産業株式会社という名前はいかにもいい名前であると考えております。  残余の御答弁関係大臣からいたします。(拍手)     〔国務大臣竹下登登壇
  26. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私に対する御質問は、葉たばこ耕作者方々に対する措置と、それからいま一つ小売店に対する配慮、この二つでございます。  まず、専売改革法案におきましては、たばこ事業関係者方々に急激な変化を及ぼすことがないような配慮を加えております。具体的には、たばこ耕作者方々につきましては、我が国たばこ耕作現状等にかんがみまして、まず一つには葉たばこ全量買い取り制の維持、二つ目には葉たばこ審議会の設置、三つ目には葉たばこ審議会審議基準明定、これらの措置を講じておるところでございます。  特に、葉たばこ耕作面積買い入れ価格につきましては、製造独占が認められております新会社が実質的な買い手独占として一方的に買い入れ価格を決定するというようなことがないように、新会社の中に葉たばこ審議会を設置いたしまして、さらに、その委員の委嘱に際しましては、あらかじめ大蔵大臣認可にかからしめるということによりまして、一層公正が担保されるような配慮をしておるところでございます。  次には、小売店の問題でございます。  御指摘にありましたとおり、全国約二十六万人のたばこ小売店には零細小売店が多いことのほかに、身体障害者福祉法等によりまして、たばこ小売店の開業に際して一種の社会政策的配慮が加えられておること等を十分考慮いたしまして、たばこ小売店に対して急激な変化が及ぶことがないよう慎重な配慮を加えながら、この法案を取りまとめてきた次第でございます。  それを具体的には、たばこ小売店現状等にかんがみ、激変回避措置といたしまして、当分の間小売販売業許可制を採用いたします。既存の小売店小売販売業許可を受けた者とみなすことといたしますとともに、小売定価制につきましても、小売店に対する配慮等から当分の間これを維持する、こういうことにいたしておる次第であります。(拍手)     —————————————
  27. 勝間田清一

    ○副議長勝間田清一君) 川崎寛治君。     〔川崎寛治登壇
  28. 川崎寛治

    川崎寛治君 厳しい国際競争たばこ需要停滞の中で、安くてうまくて安心して吸えるたばこ安定供給と、明治以来八十年のたばこ専売制度の中で果たしてきた国や自治体の財源確保という役割が、ただいま提案されたたばこ事業法案を初めとする専売公社改革法案によって満たし得るものか、疑問なきを得ません。  私は、日本社会党・護憲共同を代表して、中曽根総理及び関係閣僚に質問いたします。  我が国の社会経済が急速な変化をたどっていることは周知のとおりであります。とりわけ情報化、高齢化、国際化が進んでいますが、それに対応して行政も改革されなければなりませんが、その原点はあくまでも国民生活の安定と向上にあります。しかるに、これまで政府が進めてきた行政改革は、国民の社会的、経済的不公平を拡大する結果を引き起こし、大衆のための行政改革、国民のための政治からは大きく後退しているのであります。(拍手)  そこで、法案について具体的にお伺いします。  まず第一には、公社論であります。  公社論における問題の所在は、安企業における公益性企業性との関連であります。いわゆる民営論の多くは、安企業の本来の目的である公益性についての議論をおろそかにし、公益の確保を犠牲にして収支均衡を図るという逆立ちした内容になっています。公益セクターに課せられた役割は、それが市場原理を通じて国民経済の組織化を進めるための機能を果たす点にあるといってもよいと考えるのでありますが、いかがでありますか。  総理は、専売公社が今日まで果たしてきた役割をどのように評価されていますか。日本専売公社は、八十年にわたる専売制度、三十余年の公社制度の歴史を経てきており、財政収入確保たばこ産業の確立、日本農業の維持、地域経済への貢献等々広範な分野で大きな役割を果たし、公共性企業性の調和を図ってきたことは衆目の認めるところであります。今回の改革必要性を改めて国民に説明していただきたいのであります。これまでの専売公社経営で、大きな欠陥として何が指摘され得るのか、どんな不都合が生じているのかを明らかにしていただきたいのであります。  第二には、経営形態の変更が、やがては分割・民営化に行き着くのではないかとの疑念をぬぐい切れないことであります。  臨調答申は、専売公社から特殊会社へ、特殊会社から民営会社への移行を打ち出し、今回の改革案には答申どおりの流通専売の廃止が含まれているのであります。製造独占が維持されたとはいいながら、たばこ製品の輸入自由化が行われるなど、やがて製造独占の廃止、分割・民営化に進むのではないかと考えざるを得ません。  そもそも臨調の民営化路線は、日本たばこ産業の現状を無視したものと断ぜざるを得ないのであります。世界的なたばこ需要停滞のもとで、国際的なたばこ資本の寡占支配体制が強化をされ、国際三大資本にとっては、我が国三千億本の市場は垂涎の的と言っても過言でありません。この一事を見るだけでも、分割・民営化は非現実的であり、国民的利益にも反するものと言わなければなりません。今回の改革臨調答申のような分割・民営化のための布石ではないと断言できるかどうか、伺いたいのであります。  第三には、葉たばこ問題であります。  例えば私の郷里の鹿児島は、日本一の畜産県であり、カンショでん粉の産地であり、また葉たばこの主産地でもあります。それゆえに、中曽根内閣が進める農産物の輸入自由化政策や専売制度改革で、鹿児島県の農民は直撃を受けるのであります。  葉たばこ専売制度が、全量買い取り制度ということで実質的に維持されるとはいえ、国際的な比較で見た価格の高さは、今後の大きな課題であることは明らかであります。この価格の問題は、いわば我が国農業の宿命とも言うべき難題であり、価格差だけに立脚した輸入政策を指向すべきではないことは、他の農産物の自由化問題と同様であります。原料葉に占める国内産葉の使用割合は現在六七%ですが、当分の間この比率を守りながら、品質の改善、生産性の向上等に努めるのが我が国農業政策の一環として欠かせないものであります。  しかし、ただいま田中君の質問にありましたように、外国たばこのシェア拡大は当然に耕作面積の減少をもたらします。シェアが一%伸びれば、耕作者の耕作放棄は千三十八人になると言われています。もしシェアが一〇%も増加すれば、何と一万人余の耕作者は放棄を余儀なくされるのですから、深刻な問題であります。日本たばこ事業にとって葉たばこ問題は極めて重要で、複雑な点を含んでいることは否定できませんが、たばこ耕作農民の生活基盤を守ることを基本に将来にわたって対応していく方針であるのか、明らかにしていただきたいのであります。具体的には、今後も農政的経費や葉たばこ代金の概算払い等の実行が必要と考えますが、いかがであるか伺いたいのであります。  第四には、当事者能力、経営自主性の回復の問題であります。  従来からも、公共性企業性の調和に立った経営を行うに当たっては、当事者能力の付与、業務範囲の拡大等、経営自主性がより一層求められてきたのであります。今回の改革によって目的達成事業が可能となるなど、前進が図られていることを認めますが、法案全体を見ると大蔵大臣の監督、認可の部分も多く、政令、省令の内容も明らかでなく、経営形態の最終的なあり方が不明であります。新聞報道によれば、大蔵省、専売公社は、新会社競争力強化のために、一万人の人員大幅削減など大規模な合理化を進める方針を固めたと言われております。移行に伴い雇用の安定が確保されなければ、将来にわたって日本たばこ産業を守り発展させることは不可能であり、近代的労使関係をいかに図ろうとしておられるのかを明らかにしていただきたいのであります。  第五には、今回の改革が国民一般にとっていかなる影響、特に利益を与えるか明らかにされていない問題であります。  生活必需晶である塩については現行どおりの専売制度が維持され、公益目的が明文化されたことは高く評価できます。しかし、たばこ事業は流通専売の廃止に伴い複数の納税主体が出現することにより、専売納付金制度たばこ消費税制に変えられることになりましたが、税収の確保は極めて不安定になるでありましょう。地方たばこ消費税については減収は必至であり、各自治体は徴税強化のために人員をふやさなければならず、それはまさに行政改革に反するものと言わざるを得ません。何のための専売制度改革でありますか、総理並びに自治大臣の明確な答弁をお聞かせください。  さらに、国民の大きな関心を呼んでいる喫煙問題について、消費者が安心して吸えるたばこの開発、研究体制の充実、情報の公開等の面でいかなる前進があるのか明らかにされたいのであります。安くてうまいたばこへの愛煙家の要望は強く、これらにこたえることも今後の特殊法人の責務であります。  なお、付言すれば、喫煙と健康問題の観点からも、たばこ産業の民営化を展望すべきではないと私は考えるのであります。  第六に伺いたいことは、特殊法人の民主化と、この法案審議に当たっての民主的な姿勢についてであります。特殊法人の経営に関する大きな特徴は、審議会、調査会、懇談会等が設置されていることでありますが、その構成を含めて、それらの意見に民意が十分反映しているとは言えないのが実情であります。少なくとも今回の新法人への衣がえを契機に、各種の審議会等の民主化を進めることが極めて重要であります。  また、この改革法案の特色は、政令、省令にゆだねられている内容が極めて多いことであります。八十年ぶりの大改革でありますから、政令、省令も法案審議に当たってその内容を示し、十分な審議を行うべきであります。もし、それらが示されないならば、我々は審議を進めるわけにはまいりません。拙速は厳に慎まなければならないと考えます。  以上、専売公社改革法案に対する若干の質問を申し上げましたが、最後にお尋ねしたいことは、今回の改革が、我が国の陥っている深刻な赤字財政の克服にとっていかなる意味を持つものかということであります。  中曽根内閣は行革内閣とも言われていますが、財政立て直しの内閣とはだれも認めていないのであります。国の財産を民間に払い下げるだけで、財政赤字が解消するとは到底考えられません。総理財政再建への自信のほどをお聞かせください。軍事費を増額して赤字財政を克服した国は古今東西存在しなかったことを、この際申し添えておきます。我が国の近代社会の幕あけとなった明治維新の英傑勝海舟の言う、そもそも改革は公平でなくてはいけない、そして大きなものから始めて、小さなものを後にするがよい、言いかえれば、改革者が一番に自分を改革することが改革を成功させる極意などの金言を総理に進呈をして、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘登壇
  29. 中曽根康弘

    内閣総理大臣中曽根康弘君) 川崎議員にお答えをいたします。  今日の改革は、専売公社の役割を果たしてきたのに対していかなる意味があるかということでございます。  専売公社及び専売制度日本財政収入確保等に大きな役割を果たしてきたことは周知の事実であり、この点につきましては大いに感謝しておるところでございます。しかし、開放経済を志向する我が国といたしましては、いつまでも閉鎖的な状況のもとにこれを置くことはできず、製造たばこ自由化に踏み切ったわけでございます。そういうような観点から、臨調答申を尊重いたしまして、簡素にして効率的な経営に転換するということ、さらに、この現在の日本経済を国際化していくという大きな日本の要請に対しても即応していくということ、しかしながら、一面において小売店や耕作者に対する特別の配慮をして激変緩和を行わなければならない、こういうような諸点を勘案いたしまして今日の法案作成に至ったということを御了承願いたいと思います。  次に、今回の改革が赤字財政の克服にいかなる意味を持つか、財政再建の構想を示せという御質問でございますが、財政のあり方を再検討してその適正な対応力の回復を図り、国と地方、さらに公的部門と私的部門との間の新しい関係を導こうとしておるのが行革一つの重要なポイントでありまして、今回の改革もその線に沿ってやるものであります。専売公社改革の問題は、財政赤字克服の問題とは直接関係はございません。むしろ、開放経済体制に即応して、たばこ事業の効率的運営化を図ろうとするものであり、それによって、かつ財政収入の安定化を期そうとするものでございます。今後の財政経済の運用につきましては、臨時行政調査会答申を尊重し、状況に対して常に弾力的財政経済政策を行いまして、六十五年、赤字公債依存体制を脱却するという目的に向かって邁進してまいりたいと思います。  次に、地方たばこ消費税に関して、徴税関係から人員をふやさなければならないではないかという御質問でございますけれども、地方たばこ消費税については、今回のたばこ専売制度改革に伴いまして、現行の基本的な枠組みを維持しつつ、所要の調整を行う必要があると考えております。しかし、これによって複数の納税義務者が生ずることにはなりますが、従来と同様に事務の簡素化、合理化を図ることによりまして、特段の問題は起こらないものと考え、また、そのような努力をいたさなければならないと考えております。  残余の答弁関係大臣からいたします。(拍手)     〔国務大臣竹下登登壇
  30. 竹下登

    国務大臣竹下登君) お答えいたします。  まず、分割・民営へのワンステップではないか、こういう御質問でございます。  今次の制度改革におきましては、たばこ輸入自由化を行いまして、開放経済体制に即応いたしますとともに、輸入自由化によります流通段階での競争を通じて、たばこ事業の効率的運営を図る等の見地から、たばこ専売制度を廃止するということにいたしたわけでございます。そこで、一方、専売制度廃止後におきましても、製造たばこ製造については、国産葉たばこの現状にかんがみまして、たばこ耕作者方々への激変を回避する、そして、国産葉たばこ問題を抱えた状況のもとで国際競争力を確保するために、政府関係特殊法人たる日本たばこ産業株式会社のみに行わせる、こういうことにいたしたわけであります。また、分割・民営化につきましては、割高な国産葉を抱えた現状のもとにありましては、国際競争力の点から著しく問題がありますため、政府関係特殊法人として維持することとしておるわけであります。このように、専売制度の廃止が直ちに製造独占の廃止、分割・民営化につながるというものではなくしたがって、今回の専売改革製造独占の廃止、分割・民営化へのワンステップだというふうには全く考えていないところでございます。  それから、たばこ輸入自由化による耕作者の方々への影響の問題でございますが、たばこ輸入自由化は、我が国市場におきまして、国産品輸入品が対等の立場競争を展開することを意味しております。その意味で、我が国たばこ産業に何らかの影響が及ぶということは、これは避けて通れないと思います。このような輸入自由化のもとで、たばこ耕作を含め、我が国たばこ産業が健全な発展を遂げるためには、十分な対応策を準備することが御説のように必要でありまして、このような見地に立って専売改革法案においては、まず必要な基本的な枠組み、これを整備したところであります。もとより、輸入自由化のもとで我が国たばこ産業国際競争力を確保し、健全な発展を遂げますためには、このような法制面の裏づけのみでは十分ではありません。製造主体である新会社はもとより、たばこ耕作者を含めたたばこ産業の担い手が、一層の経営効率化合理化に努めていただくことが必要不可欠である、このように考えております。  それから、代金の概算払い等の問題にも御言及になりました。  たばこ代金の概算払い等は、現行たばこ専売法第十九条に基づいて行われているものでありますが、この制度は、たばこ耕作農家の経営の安定、葉たばこ生産の生産性向上に貢献してきたものと思われます。今次専売制度改革に際しましても、概算払い制度につきましては、その果たしてきた役割等を考慮して、改革後も引き続きこれを維持するといたしておるところでございます。  それから、新会社そのものの当事者能力等にも、御意見を交えた御質問でございます。  今回の制度移行に際しましては、公社職員はそのまま新会社の職員とみなすことといたしますなど、職員の雇用の安定に十分配慮しているところでございます。なお、制度移行後の新会社輸入自由化のもとで外国との競争に耐え得るためには、労使が一体となられて経営効率化に取り組まれることが肝要でございます。したがって、そのためにも、新会社には経営自主性を認めて当事者能力を極力付与することが必要な条件である、私はこのように判断をいたしておるところであります。  次に、喫煙と健康問題に御言及になりました。  専売公社におきましては、喫煙と健康問題の重要性にかんがみまして、従来から、喫煙と健康問題に関する研究の拡充に努めるとか、あるいはたばこの包装に「健康のため吸いすぎに注意しましょう」とか、低ニコチン、低タール製品の開発に努めるとか等の措置を講じておるところでありますが、制度改正後におきましても、喫煙と健康問題の重要性等にかんがみまして、新会社に対し、引き続き積極的にこの問題に取り組むよう指導してまいりたい、このように考えております。なお、改革法案におきましては、喫煙と健康の問題に配慮いたしまして、注意表示義務を法定化いたしますとともに、製造たばこに係る広告に関する必要な指導等が行えるための所要規定整備したということもそこにあるわけでございます。  以上でお答えを終わります。(拍手)     〔国務大臣田川誠一君登壇
  31. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) 地方たばこ消費税についてお答えをいたします。  今回の地方たばこ消費税の改正は、たばこ専売制度日本専売公社経営形態改革に伴い、その基本的枠組みを維持しながら所要の調整を行うこととしております。今回、輸入たばこの流通が自由化されることに伴いまして、日本たばこ産業株式会社以外にもたばこの卸売を行うことが可能となりますので、これらの者も納税義務者となることはやむを得ないことでございます。地方たばこ消費税については、従来と同様申告納付制度によることとするなど、極力徴税事務の簡素化を図ることとしておりますので、徴税体制や税収確保の面におきましては、特段の問題は起こらないものと考えております。(拍手
  32. 勝間田清一

    ○副議長勝間田清一君) これにて質疑は終了いたしました。      ——————————
  33. 勝間田清一

    ○副議長勝間田清一君) 本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十九分散会      ——————————