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1984-06-20 第101回国会 衆議院 農林水産委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月二十日(水曜日)     午前十時六分開議 出席委員   委員長 阿部 文男君    理事 上草 義輝君 理事 衛藤征士郎君    理事 田名部匡省君 理事 玉沢徳一郎君    理事 小川 国彦君 理事 日野 市朗君    理事 吉浦 忠治君 理事 稲富 稜人君       小里 貞利君    太田 誠一君       鍵田忠三郎君    佐藤  隆君       鈴木 宗男君    田邉 國男君       高橋 辰夫君    月原 茂皓君       中村正三郎君    野呂田芳成君       保利 耕輔君    山崎平八郎君       上西 和郎君    串原 義直君       新村 源雄君    田中 恒利君       細谷 昭雄君    松沢 俊昭君       安井 吉典君    駒谷  明君       斎藤  実君    武田 一夫君       水谷  弘君    神田  厚君       菅原喜重郎君    津川 武一君       中林 佳子君  出席国務大臣         農林水産大臣  山村新治郎君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         農林水産大臣官         房審議官    京谷 昭夫君         農林水産省構造         改善局長    森実 孝郎君         農林水産省農蚕         園芸局長    小島 和義君         農林水産省食品         流通局長    小野 重和君         食糧庁長官   松浦  昭君         食糧庁次長   山田 岸雄君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局食品化学課長 市川 和孝君         農林水産委員会         調査室長    矢崎  朗君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(米問題等)      ————◇—————
  2. 阿部文男

    阿部委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉沢徳一郎君。
  3. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 我が国食糧政策の基本は、一億二千万の国民の生命の源である食糧をより豊かに生産し、消費者により安全に供給することにあると思うわけでございます。その中で、国内で十分賄い切れないものは飼料穀物のように大半を輸入に仰いでおるものもありますが、米を初めとする主要食料品はあくまでも自給していく、こういう方針を貫いてきたと思うわけでございます。  ところが、昨今の五十三年産米につきまして安全性をめぐって問題点を指摘をされまして、その結果としまして米不足事態となったわけでございまして、生産者及び消費者に非常な不安を与えておるというような状態になったわけでございます。これは極めて残念なことであり、遺憾なことでありまして、この不安を解消し、今後の対策をいかに確立していくかということが早急に望まれておるわけでございます。  そこで質問に入りますが、五十三年産米につきまして厚生省より安全性について問題があるとして残留臭素暫定基準が示されたのでありますが、その経緯についてまず説明をいただきたいと存じます。
  4. 松浦道夫

    松浦政府委員 厚生省からの暫定基準につきまして、その経緯を御説明いたしたいと思います。  本年の三月ごろから五十三年産米安全性につきましていろいろと問題が提起をされておりまして、国会におきましても当委員会を初めとして御質問が多くございました次第でございます。  私どもといたしましては、五十三年産米安全性につきましては、その用いました薫蒸剤につきましてこれはいずれも揮発性が高いものであり、また、速やかにガスが消失するということを知見として持っておりましたので、その後、残留がないものというふうに考えて御答弁を行ってまいったところでございます。しかしながら、念のために調査をしてはいかがかということもお話がございまして、厚生省と協力をいたしまして五十三年産米安全性について調査を実施し、その結果が去る五月二十八日の食品衛生調査会残留農薬部会で御審議されたわけでございます。  この部会報告におきましても、先ほど私が申し上げましたいわゆる薫蒸剤有効成分につきましてはその残留が認められないということでありましたが、その分解物でございますところの臭素につきまして、これが検出されたということになったわけでございます。そこで同部会におかれましては、今回の調査結果等から見まして、五十三年産米摂取が人の健康に影響するものではないという御結論をお出しになっておられますけれども、今後一層の安全性を確保するという観点から、お米についての臭素暫定基準、これを五〇ppm以下とすることが適当であるとされまして、ごれを受けて厚生省から、今後の売却に当たりましてはこの基準に適合するような適切な措置を速やかに講ずるように御要請があったわけでございます。食糧庁といたしましては、国民への食糧供給に当たっては安全を期するということは当然の責務でございますので、厚生省の御要請を踏まえまして、五十三年産米につきましてはこの基準に適合するものであるということを確認をいたしました上で売却を行うことにいたした次第でございます。
  5. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 そうしますと、この検査の結果を見ましても、人体には直接的な有害な影響はないけれども国民の万が一の場合を考えての処置、こういうように理解をしてよろしいかと思うわけでございますが、しかし、それにつきましても、当委員会等におきまして食糧庁は常に五十三年産米は安全である、こういうことを言ってきたわけでございます。しかしながら、今回の厚生省基準、こういう点につきまして、もう一度その点についての配慮、それから今後のなすべき仕方、こういう点についてもう少し詳しく説明をいただきたいと思います。
  6. 松浦道夫

    松浦政府委員 ただいま玉沢委員の御質問にもございましたように、食糧庁といたしましては、米の管理につきましては倉庫内の通風換気あるいは環境整備等を行ってまいりまして、米穀品質保持のためには、病虫害の発生を防止したりするためにどうしても必要な薫蒸は実施してまいったところでございます。  ただ、五十三年産米についてもこのような薫蒸を実施してまいったわけでございますけれども、私どもといたしましては、薫蒸後十分換気を行いましてガスは除去しており、また、使用している薫蒸剤農薬取締法に基づきました非常に厳重な検査を受けた登録農薬でございます。いずれも揮発性の非常に高いものであるということから、速やかにこの薫蒸剤ガス有効成分というものは消失するということを私ども知っておりましたので、そのような角度から安全性には問題がないと判断し、また、そのような御答弁をいたしてまいったわけでございます。その点につきましては、現にその後、先ほど申し上げました食品衛生調査会残留農薬部会に提出されました五十三年産米安全性調査によりましても、薫蒸剤有効成分であるところの臭化メチル、これは非常に急性の毒性があるものでございますが、この有効成分については検出されなかったということが明確になっている次第でございます。  ただ、この場合に問題になりますのは臭素でございまして、これは臭化メチルが分解して出てくるものでございます。臭素というのは、自然界にも相当大量に存在いたしておりまして、通常我々もそれを摂取しているということで、臭化メチルとはその安全性の点において全く違った性格のものであるということは御理解いただきたいわけでございます。  なお、この臭素につきましても、FAOそれからWHOが定めているADIと言われている一日摂取基準許容量というものがございます。これは、人が一生涯食べ続けるということを前提にいたしまして、自然界から摂取している臭素許容量を定めているというものでございます。この考え方は、残留農薬部会でも御審議をいただいたのでございますけれども、一人体重一キログラム当たり一日につき一ミリグラムという基準でございまして、例えば体重五十キロの方は五十ミリグラムまでは摂取しても許容範囲内であるということでございます。そうなりますと、仮に五十三年産米をそのままの形で食べるということで、仮にこれが七〇ppmの臭素が残っているものでございましても、一日三百グラムの米を摂取しても、それは一日二十一ミリグラムの摂取ということに相なります。普通我々が摂取いたしております臭素の量は十ないし十五ということでございますから、この五十ミリグラムの許容範囲には入るということで、私どもはさようなADIの概念を知っておりましたので、そのような意味では、この安全性の問題について、やはり人体影響はないものだろうというふうに考えていたところでございまして、先般の部会におきましても、今回の調査結果等から見まして、五十三年産米摂取が人の健康に影響するものではないという判断は下されておるわけでございます。  ただ、同部会は、一層の安全性を確保せよということから、従来米には適用がなかった臭素残留基準を、お米の暫定基準を五〇ppm以下とすることが適当であるというふうにおっしゃってこられましたので、そのようなことを受けての厚生省からの御要請でございましたので、私どもといたしましても、当然国民に供与するお米の安全性というものは一層の安全性を保持しなければいかぬということから、この御要請を受け入れて、今後の売却は五〇ppm以下のものにしようということで対処いたした次第でございます。
  7. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 そこで、五十三年産米が今日これほど残っておるという経過におきましては、やはり第二次米の過剰の時代がありまして、これが六百万トン余っておって、これの処理をずっとやってきた。これは後でまた論議をいたしますけども日本の場合におきましてはどうも新米志向が多いものでありますから、できるだけ新しい米を食べたい、こういうことで五十三年産米がずっと古米として残ってきた。これを薫蒸処理をしてきた結果がこういうことになったと思うわけでございますが、しかし、最後に残った米がこの五十三年産米である。  そこで、この五十三年産米用途でございますが、今日までどういうようなところに一番向けられてきたのか。それからまた、この安全性の問題をめぐりまして、今出回っておる五十三年産米も回収したらいいのじゃないかというような意見もありますけれども、これに対して食糧庁はどういうような対処の方針で臨もうとしておるのか。
  8. 松浦道夫

    松浦政府委員 五十三年産米につきましては、ただいまおっしゃられましたように過剰米処理の一環ということでございまして、これまで、しょうちゅうとかみそとか菓子米穀粉等加工原材料用、それから輸出用飼料用ということで充当してまいりましたが、一部は主食用、特にこれは業務用でございますが、その需要に対しても希望に応じて供給をするという体制をとってきた次第でございます。  なお、既に出回っているものの回収の問題でございますが、食品衛生調査会残留農薬部会の御報告におきましては、先ほども申し上げましたように、今回の調査結果、五十三年産米摂取が人の健康に影響を及ぼすものとは考えられないが、より一層の安全性を確保するという見地から暫定基準を示すというお立場で御報告をなさっておられまして、また、同部会審議経過におきましても、既に流通段階に出回っているものを回収するような必要はないとされたと聞いております。  このような御意見厚生省の御要請、さらには厚生省から各県知事等に出されました通達を踏まえながら、食糧庁といたしましては、既に流通段階に出回っているものは回収する必要はないというふうに考えている次第でございます。
  9. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 そこで、今五十三年産米が二十万トン残っていると言われておるわけでございますが、検査の結果におきましては、五〇ppmの暫定基準を超えるものがどのくらいあるかというのが問題になるわけでございます。今までの検査の結果、聞くところによりますと、三十検体をした場合にその中の一つが五〇ppmを超えるものがあったとか、あるいは報道によりますと、東京都の場合におきましては四検体のうち二検体とかいうようなことが言われておるわけでございますが、やはりこの際、できるだけ早くこの二十万トンのうちでこの基準を超えるものが幾らであるかということを調べなければならぬのじゃないかと思うわけでございます。  現在の段階でどういう見通しを持っておられるのか、御質問をいたします。
  10. 松浦道夫

    松浦政府委員 食糧庁といたしましては、厚生省から示されました残留臭素暫定基準に適合することが確認されたものを売却するということで、現在検査を進めているところでございます。したがいまして、五十三年産米のうちで暫定基準に適合しないために売却できないものがどの程度出るかということは、現在まだ検査を進めている段階でもございますし、また、ロットの大きさにもいろいろと、大きなもの、小さなものがございます。そういう差異がある。それからまた、既に検査が済んでおりますものが必ずしも全地域をカバーしていないということで、果たして代表性があるかどうかという問題もありまして、ここで全体についての見通しを明確に申し上げられないことはお許しをいただきたいわけでございます。  そのような前提を頭に入れていただきまして現状で申し上げますれば、六月十二日までに、先ほど申しました厚生省から示されました基準に適合するものとして食糧事務所に通知いたしました二万六千トンの売却いたすお米につきまして見ますると、これは全検査対象にいたしました数量の約半分程度と見られるところでございます。
  11. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 そこで、相当量売却できない米の見込みだ、こういう判断のもとに、食糧庁におきましては韓国との間の交渉に入った。これは、現物返還をしてもらうという協定のもとに現物返還交渉、こういうことでございますが、これは厳密にいいますと日本食管制のもとで行われたと私は解釈するわけでございますが、現在一番大きな不安を与えておりますのは、輸入という言葉が余りにもはんらんし過ぎておる。農民の皆さんに一番不安を与えることは米の輸入、こういうことなんです。つまり、アメリカとの間におきまして二年半牛肉とかんきつの交渉をやってまいりましたが、この間におきましても、あしたにでも完全自由化要求というものを日本政府がのむのじゃないかという議論が当委員会におきましても何回も行われたわけです。そのたびに多くの不安を与えてきておる。だから、やはり言葉というものは非常に重要でありますから、この点を少し明確にしておきたいと私は思うわけでございます。  そこで、日本の米に関する政策でございますが、飼料穀物の場合は相当数国内生産ができませんので、外国から千八百万トンも輸入いたしておる。牛肉の場合におきましては、自給としまして大体七〇%、輸入としまして三〇%、この枠をいかに守るかということがアメリカとの間の大きな交渉で、日本はこの体制を守り抜いたと私は考えておるわけでございますが、そうした場合に、米におきましては、冒頭申し上げましたように、全量自給する、こういう体制を今後とも堅持していかなければならぬ。今回は非常に不幸な不測の事態で、韓国との交渉に入らざるを得なかった。しかしながら、これは、日本韓国に四十四年、四十五年の第一次過剰米時代貸し付けて、現物でもって返してもらうという範囲でございますから、日本のこの状態というものを考えましたときに、韓国との間で交渉をして、お願いをして返してもらうということはやむを得ないと思うわけでございますけれども、しかし、これによって何か日本の米の政策というものが変更しているのじゃないか、変更するのじゃないか、こういうような疑心が、あるいは不安というものが国内にあるわけでございます。農民の間にあるわけでございます。  したがいまして、この点につきまして、国内自給するという方針が変わったのか、変わってないのか、これはやはり大臣から明確にこの際お答えをしていただかなければならぬと思いますので、お願い申します。
  12. 山村勝美

    山村国務大臣 韓国からの米を現物返還してもらうということにいたしましたのは、五十三年産米安全性に関しまして、従来から五十三年産米をもって充てておりましたみそだとかせんべいとかの加工原材料に必要な米穀の一部につきまして不足する事態が予測されるということになったためでございまして、これは、国民の皆様に対して用途に応じた米穀を安定供給するという重要な責務を果たす上で真にやむを得なかった措置であると御理解いただければありがたいと思います。  そして、米は国民主食であるとともに、稲作は我が国農業の基幹をなすものでございますし、また、国会におきましては全党一致による食糧自給力強化に関する決議、これらの趣旨を体しまして、米の供給につきましては国内産で全量すべきであるという方針にはいささかも変更はございません。
  13. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 全量国内自給、こういう方針が明確になったわけでございます。  そこで、とかく誤解を生む状況となっております韓国返済米の問題についてちょっと御質問します。  これは、昭和四十四年、それから四十五年の日本で米が非常に過剰であった時代に、当時の桧垣徳太郎食糧庁長官、今参議院議員でございますが、その時代にこの決定をなしたと聞いておるわけでございます。当時の国会における論議を見ましても、この処置を講じたことによりまして韓国からも非常に喜ばれた、こういうことがあります。それからまた、論議の中におきましては、一衣帯水の韓国、友邦でありますので、現物で返却をしてもらう、こういうことであるならば、将来日本との間におきまして日本が何らかの事態に陥った場合にはやはりこれは日本においても役立つことができるのではないか、こういう判断もあったやに聞いておるわけでございます。そこで、昭和四十四年に三十三万トン、昭和四十五年に三十万トンの現物貸し付けをやっておるわけでございますが、これは我が国食管法上の範囲で行った、こういうように理解をいたしておるわけでございますが、その法的根拠はどのようなものであるか、この点をひとつ明確にしてもらいたいと思います。
  14. 松浦道夫

    松浦政府委員 昭和四十四年、四十五年に貸し付けを行いました韓国への米穀貸し付けでございますが、法的な根拠は、食糧管理法第七条第一項それから同施行令第二条の十一の規定に基づいて行ったものでございます。したがいまして、これは食糧管理特別会計上もきちんとした付置づけになっておりまして、食糧管理特別会計におきましては韓国への貸付米は財務諸表におきまして資産として数量及び価格が計上されておりまして、五十五年度以降は返還の都度、返還数量に見合う数量及び価格を償却している、そういう形になっております。
  15. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 そうしますと、第七条の一項を見ますと「政府ハ政令ノ定ムル所二依リ主要食糧貸付ハ交付ヲ為スコトヲ得」、こういうことと、食管法施行令の第二条の十一「食糧管理法第七条第一項の規定による米穀貸付けは、米穀需給事情等を勘案して必要がある場合に、外国政府その他これに準ずるものとして農林水産大臣が指定する者に対して行なう。」こういうことでございまして、今後ともこの規定をもって外国貸付米をすることができるわけですね。それから同時に、韓国との間におきまして、我々から見ますと、三十年で返済するということでありますから、韓国にとりましては相当いい条件でやったように見られるわけでございます。  そこで、どういう条件協定を結んでおるのか。返済の時期に参りました五十五年におきましては、我が方は第二次過剰米時代であったために現金で返してもらうという形になってきておる。今回韓国お願いをしまして、現物でということで交渉をやっておるようでございますけれども、これはどちらの規定も生きておる、こういうように了承してよろしいですか。その条件等につきまして、もう少し明確に当委員会説明してもらいたい。
  16. 松浦道夫

    松浦政府委員 貸付米につきましては、ただいま申し上げましたように、昭和四十四年、四十五年の日本におけるお米の生産の増加と、一方におきまして韓国におきますところの食糧不足に対応いたしまして、十年据え置き二十年現物均等償還という条件で、約六十三万トンの日本米韓国貸し付けた次第でございます。  この償還期が参りました昭和五十五年におきまして韓国は不作になりまして、現物返還をする余裕がないという状態になりました。一方におきまして、日本の方は第二次の過剰米処理を行っているということで、現物で返していただくと私どもの方もこれは都合が悪いという状況でございました。そのために、当初の現物返還にかえまして、当分の間金銭により償還するということで合意いたした次第でございまして、もとよりこれは韓国の側が合意をいたしますれば、当然現物償還ということも可能だという状況になっております。
  17. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 韓国との間におきましては、この貸付米のほかにも繰り延べで米を売却をしておる、こういうようにも聞いておるわけでございますが、これは、韓国事情等に応じまして我が国過剰米処理もあわせて行ったものと思うわけでございます。  貸付米のほかに繰り延べ払いでどのくらいの売却をやっておるのか、これも明確にしてもらいたい。
  18. 松浦道夫

    松浦政府委員 繰り延べでやりました分につきましては、百六十万トンでございます。
  19. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 さてそこで、韓国との交渉でございますが、韓国の現在の状況、かつては非常に米が不足しておったということでございますが、この現物返還に応ずるというような状況に、つまり余裕があるかどうかということですね、そういう点は食糧庁の方ではどういうふうに見ておるのですか。
  20. 松浦道夫

    松浦政府委員 韓国側のお米の需給事情につきましては、相手国事情もございますので、私どもとしてはこれに言及し得る立場にございませんけれども、少なくとも私どもが承知しております限りでは、最近の需給は前に比べますと緩和しておるという状況にあると判断しております。このところ三年ほど七百万トン台のもみ生産になっているはずでございまして、かなり需給は緩和しているという状況だと思います。
  21. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 そこで、今食糧庁から業務部長等が行って交渉し、何とか日本立場理解をしてもらって、そしてお願いをして米を返却していただく、こういうことになっておるわけでございます。現在協議をしておるということでございますが、なかなか協議内容というものを明らかにすることはできないと思いますけれども、しかし、めどとしましてどういう状況になっておるのか。それからまた、もしこれが可能となるというような合意を得られた場合におきましては、その手続とかあるいは輸送期間とか、そういうようなことまで考えなければならぬと思うわけでございますが、そういう点につきましてはいかがでしょうか。
  22. 松浦道夫

    松浦政府委員 韓国側との交渉でございますが、これは目下交渉中の段階でございますので、この内容を申し上げますことは外交の慣例上からも適当でないと思いますけれども、申せますことは、先ほど玉沢委員もおっしゃいましたように、韓国がお米の不足に悩んでいた際に、私どもの方が、日本国の方がお米をお貸しした、あるいは繰り延べでお米を出してあげたということについて、韓国側はその行為に対して非常に感謝をしているという状況でございまして、さような立場から双方誠意を持って検討しているという状況でございます。その結果、近々には大筋について合意に達し得るものというふうに私ども判断いたしております。  また、その内容でございますが、具体的に申し上げることは差し控えさせていただきますけれども、その数量でございますが、今回の加工原材料用のお米の不足のおそれの事態に備えまして、実需者あるいは消費者に御不安をかけないような数量は確保したいというふうに考えております。ただその場合にも、相手国側の需給事情がございますから、それをもあわせ考えましてその数量は決定してまいりたいというふうに考えております。  また、積み出しの期間につきましては、韓国からの輸送期間を十分に勘案いたしまして、必要な数量加工原材料用に円滑に供給されるように韓国側と折衝しているところでございます。  また、返還されるお米でございますが、これは韓国産の米をもって充てるということでございまして、これは契約上からも明瞭でございます。特に消費者の御懸念の残留農薬の安全性につきましては、問題が生じないように先方と現在十分に話し合いをしているという状況でございます。
  23. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 そこで、先般アメリカのブロック農務長官が来日をされたわけでございますが、大臣と会談をされた、その中で米の問題についても何か言及したように聞いておるわけでございます。私どももブロック長官とも会う機会を得ましたが、その際には、日本の米に関する基本政策にはアメリカは介入するつもりは毛頭ない、こう言っておりました。しかしながら、新聞の報道等に、ともすれば牛肉とかんきつの次は米じゃないか。今度の米の不足事態状況の中にブロック農務長官が日本を訪れた。そうしますと、大臣と密談か何か会合をやっておって何か約束をしたのじゃないかとか、次はひとつ米を日本がもっと買え、こういうようなことを言ってきたのじゃないかとか、これも非常に疑心暗鬼といいますか、不安を与える要素になっておるわけでございますので、先ほど国内自給という線は明確に大臣から示されましたが、農務長官との間にはどういう話し合いが行われたのか、腹蔵なくここで明確に示してもらいたい、こういうふうに存じます。
  24. 山村勝美

    山村国務大臣 せんだってアメリカのブロック農務長官が農林水産省大臣室に表敬訪問に参られました。そしてその折に、アメリカも米の供給はできますよというような話がございました。しかし、これは別に答えを求めるというようなことでもございませんし、何かひとり言というような感じでございまして、全然私もそのような感じでしたので、別にそれに対しては答えません。向こうも一言、供給力はありますよと言っただけで、後続いての御質問もございませんので、今玉沢さんがおっしゃいましたように、別に日本の米の政策に対してどうこうとか、買ってくれというようなことも一言も言っておりませんので、答えておりません。  現在の我が国韓国からの現物返還というのも、加工原材料用の一部に限ってこれをお願いしておるということでございまして、我が国といたしましての米の自給という問題についてはいささかの変更もございません。
  25. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 いささかも変更がないということでございますが、今後のこととしまして、つまり米の問題を不用意に発言をされた場合におきましても、日本政策というものは変わりないということと、それから同時に、牛肉とかかんきつの次に米が来るのじゃないかという心配を持っておるわけでございますので、たとえ話があったとしましても断固として拒否をする、これはやはり大臣から明確に示しておいてもらいませんと、ただどうも煙のように消えたような話ばかりされては困るわけで、きちっとこれは明確にしておいてもらいたい。
  26. 山村勝美

    山村国務大臣 牛肉、かんきつが日米の農産物摩擦の象徴のようなぐあいに取り上げられましたが、日米互譲の精神のもとでどうにか解決したということでございますが、少なくとも米の問題につきましては、もしどこの国からでも輸入をさしてくれと言いましても、我が国自給はできますということでこれは完全にお断りいたしますし、絶対に輸入はいたしません。
  27. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 そこで、現在の不足状況に対しまして、農家の方々から大変ありがたいお申し出が相次いでおるわけでございます。それは、保有米の追加出荷を行いたい、こういう声があるわけでございます。日本は今まで三千年の歴史の中におきましては、常に苦しいときはお互いに助け合ってこういう危機を乗り越えてきた美風があるわけでございます。したがいまして、もしこういう農家のとうといお申し出があるとするならば、やはりこれは積極的に受け入れて事態の解消に努めるようにすべきである、私はこう思うわけでございます。しかしながら、これをもってすべて対策を講ずることができるかどうかということはなかなかか判断が難しいところでございまして、まず食糧庁としましてはこういうお申し出に対してはどういう対処をするのか、それからまた韓国との交渉の問題、こういう点についての見解を聞きたいん思います。
  28. 松浦道夫

    松浦政府委員 ただいまお話ございましたように、一部の生産者の皆様から保有米を追加出荷してもよいから韓国米の返還をやめてほしいといろ声があることは私どももよく承知しております。いずれにいたしましても、私ども生産者の方々から追加出荷という御意思を表明していただきますことは本当にありがたい次第でございます。  ただ、今回の加工原材料不足のおそれに対処いたしますためには、実需者が必要とする時期に果たして間に合うかどうかというような問題もいろいろとございますし、また、現在進めております韓国との交渉見通しも現在立ちつつある状況でございますので、加工原材料用米の手当てということでございましたならば、これは韓国産のお米をもって、その返済をもって充てるということにいたしたいというふうに思っておる次第でございます。
  29. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 そこで、この加工原材料用の五十三年産米米穀の点でございますが、不測の事態だったとはいいましても、こういうような状況を招いたということは非常に遺憾なことではないかと思うのでございます。つまり、食糧庁は、厚生省検査によっても食料には十分供せる、人体には大丈夫だ、こういうことがあってもということで、これは私は不測の事態と考えざるを得ないわけでございます。しかしながら、この原材料の米の手当てにつきまして関係業界あるいは国民の間に非常な不安を招いたということは、やはり遺憾なことだと思うわけでございまして、この点につきましては大臣はどういう考えを持っておられるのか、お聞きいたしたい。
  30. 山村勝美

    山村国務大臣 五十三年産米の問題に関しまして関係各界そしてまた国民の皆さんに不安と混乱をもたらしたことは、まことに遺憾でございます。  今回の問題は加工原材料に必要な米穀について生じたものではございますが、いずれにいたしましても、私といたしましては今後とも米の需給につきましては需要に見合ったところの供給が確保されるよう万全を期し、国民に対する米の安定供給責務を果たしてまいりたいと思います。  しかし、いずれにいたしましても、最終的にはこの問題につきましては私の責任において処理してまいりたいというぐあいに考えております。
  31. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 食糧政策を進めていく場合におきましては、常に不測の事態にいかに対処するかという心構えが必要だと私は思うのです。それで、例えば食糧問題を言うときは、安いから外国から買えばいいという議論がよくあるのでございますが、しかし、国際情勢の急変、こういうようなもので入ってこないという事態もありますし、あるいは今までも例がありますが、豚の輸入等をデンマークからやっておりましても、口蹄疫が発生をしまして途端にこれがとまってしまう。あるいは同じように病虫害というようなものもあるわけでございます。それからまた天候等の異常気象、こういうことがありまして、不測の事態というものを常に考えてやっていかなければならぬ。同時にまた国内におきまして、主要食料品というものはやはり自分の国の農民の手によって確保するという基盤というものをこの機会に国民の皆さんにもよく理解をしてもらう、こういうことが大事ではないかと私は考えるわけでございます。  そこで、この異常気象ということに関しまして、農水省が判断を誤ったのじゃないかという議論がよくあるわけでございます。しかしながら、数字を見てまいりますと、農水省におきましては、五十七年に冷害を予想して減反面積を六十七万七千ヘクタールから六十三万一千ヘクタールに減反緩和をしているわけですね。四万六千ヘクタール。それから五十八年はさらに六十万ヘクタールとして、三万一千ヘクタール減反面積を緩和してきておるわけでございます‘しかしながら、我々はここのところをよく考えなければならぬと思うわけでございますが、異常気象の方は我々の予想を上回る大きな規模であったと思うわけでございます。つまり、この基本計画では農水省は生産量の見通しを一千九十五万トン、こういたしておるわけでございますけれども、実際には一千三十七万トンしか生産ができなかった。こういうことで五十八万トンの見通しの狂いがあるわけでございます。これは全体としましては大体千百万トン生産をするわけでございますから、五%以下の狂いではございますけれども、しかし狂いは狂いである。  そこで、常にこうした不測の事態というものを想定して行動しなければならない。農水省も冷害には対策を講じたと思うわけでございますけれども、五十八万トンの狂いが生じて、これがもう一つの不安でありますところの主食の方に需給の心配はないかということが言われておるわけでございます。今、六月の中ごろでありますから、これで七月、八月、九月、米穀年度は十月をもつてやるわけでございますが、そういう時点におきましてこの主食需給に心配がないかどうか、この点につきまして明確な御答弁をいただきたいと思いま工
  32. 山村勝美

    山村国務大臣 五十九米穀年度における主食等の供給といたしましては、五十八年産米の千三十七万トン、そのほか五十七年産米の十万トンの持ち越し等もありまして、需要の千五十万トンに見合った供給は確保されておるというぐあいには考えております。しかし、ゆとりがある状況と言えるものではございませんので、端境期におきましては早期出荷を初め、きめ細かい需給売却操作によりまして万全を期してまいりたいというぐあいに考えます。
  33. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 そこで、今までも端境期の時期につきましては大体五十万トンぐらい先食いをするという形で進んでまいりましたね。これが本年は相当数ふえるのじゃないかと思うわけでございます。しかしながら、今までの例から見ますと、大月には百万トン、それから十月には三百万トンというような形で新米が出回ってくるわけでございます。したがって、輸送等の手段それから集荷等の手段、これに十分対処すれば、この時期非常に苦しいわけでございますけれども、乗り切ることができるのじゃないかと私は思うわけでございますが、やはり端境期に従来よりも多く新米を食べなければならぬという事態は認めなければいかぬ。そこで、どういうような対処をするか、今から準備をしていかなければならぬと思いますが、そのことにつきまして明確にしていただきたいと思います。
  34. 松浦道夫

    松浦政府委員 主食用のお米の需給につきましては、ただいま大臣から御答弁のあったとおりでございますけれども、やや詳しく申し上げますと、五十八年産米の集荷につきましては、もとより通年集荷に努力をいたしておるわけでありますが、現在のところ約六百九十六万トンということで、計画に対してまだ二十四万トンの減という状況でございます。また需要につきましても、年度途中でございまして見込みを立てるのはなかなか難しゅうございますが、どうも十一ー二月期の実績等から見まして、私どもが予定しておりました年間六百六十万トンという政府管理米についての需要をある程度までは上回るのではないかという感じがいたしておる次第でございます。  こうしたこともありまして、ただいま大臣から御答弁もありましたように、お米の需給の操作は決してゆとりのある状況であるということではないわけでございますが、ただいまもおっしゃられましたように、新米の集荷は例年九月末までに百万トン程度、十月末までに四百万トン程度でございますので、これを円滑に供給することによりまして対応できるというふうに考えております。  米穀年度内の新米売却は、近年全般的に出回りが早くなっている中におきまして、ある程度まで恒常的に行われているわけでございますが、本年は特に在庫のゆとりがあるというわけではないわけでございまして、これまでより多く行うという必要があると考えまして、集荷団体、輸送機関等の御理解もちょうだいいたしまして、一つは計画的な集荷の実施、輸送力の確保、さらに的確迅速な売却の実施ということにつきまして、食糧庁も組織を挙げて取り組みまして、お米の供給には万全を期してまいりたいと考えておる次第でございます。
  35. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 そこで、ことしの作柄をこれからよく見なければならぬわけでございますが、来年以降の問題もあるわけでございます。先ほども申し上げましたように、農林省も冷害を予測して減反の緩和等をやってきたわけでございますけれども、しかし、数字的に見ますとちょっと数字が少なかったと思うわけでございます。そういう点につきましては、需給を相当タイトに見てきた。その背景には、やはり食管上の問題にも考えがあったんじゃないか。つまり、六百万トンの過剰米処理のために通算して総額二兆円も金をかけなければならぬ、あと五年かかって四千四百五十億円の支払いをしなければならぬ、こういうような事態がもう一つあるわけでございますが、そういうことを考えて需給をタイトに絞り過ぎたというような点があるのではないか、こう考えるわけでございます。  ことしの稲作とか来年以降の生産調整の進め方等についてもう少し見直すべきではないかというような声もあるわけでございますけれども、こういう考え方に対しては農林水産省としてはどういうように対処するつもりでおるのか、基本方針がありましたら明らかにしていただきたいと思います。
  36. 山村勝美

    山村国務大臣 先生御存じのとおり、米の生産力というのは潜在的には依然として需要を大幅に上回っておりまして、今後とも水田利用再編対策の着実的確な推進が必要であるというぐあいに考えております。しかし、第三期対策は適正な水準を確保するために各年平均して四十五万トンずつの在庫積み増しを図るなど、ゆとりある需給操作に基づくものとしておりますけれども、今後とも米の需給や作況に応じた適切な需給計画のもとで弾力的に対策の推進に当たってまいりたいと考えております。  このほか、今年度の米につきましては、新稲作運動、これは農業者の代表の方そしてまた知事会、市長会、町村会、これらの代表の方にもお集まりいただきまして御協力方をお願いいたしております。そして、米の需給に万全を期してまいるつもりでございます。  いずれにいたしましても、減反政策等を含めまして本年度の作況を見た上で弾力的にやってまいりたいというぐあいに考えます。
  37. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 今後作況を見た上で弾力的に対処するということで極めて今後重要になってまいりますのは、米の備蓄をどの程度にしていくか、こういうことが一つ考えられると思うのでございます。今までも過剰米の時期におきましては六百万トン余って二兆円の過剰対策費を講じてまいったわけでございますが、日本では千百万トン一年間で消費をするわけでございますから、考えてみますと六百万トンといいましても一年間の半分の備蓄量なんですね。だから、一年分ぐらいは備蓄したらいいのではないかという議論もあります。  また、外国の例におきましては、スイス等非常に国際的に孤立をして第一次世界大戦、第二次世界大戦を生き残ってきた国、中立でありますから戦争をやっておる当事国からどっちにも縛られる。そうしますと、中立を守っていく場合には相手の要求を拒否しなければならぬ、そういうことで制裁を受ける可能性があるというのは食糧である、こういうことで非常に苦しい状況にあった。そうしますと、こういう国は、国際情勢がどういうように変化しても自国の国民食糧というものは二年分は確保する、こういう政策をした。これを国民も全部が支持しておる。こういうことで備蓄政策というものは成り立つものだと私は思うのです。  ところが日本の場合におきましては、古米を先に食うということで、いろいろと混米をしてまいりますと消費者の皆さんが敬遠をするという経過が今日まであったと思うのです。そうしますと、政府管理米を消費するよりは実際に農家に行って新米を買った方がいい、こういうことになってまいりますと、食管制度そのものがなかなか維持できないというような問題もあって、農林水産省としては備蓄の問題については非常に神経質になってきたというふうに思うわけでございます。しかしながら、余り神経質になりますと米の不足というような今日の状況になるわけでございますから、やはりこういう点につきましては、備蓄というよりはゆとりのある米はどのくらいかということを明確にしておかなければならぬ。そこで、第三期水田再編対策におきましては、大体今年度五十万トンで三年間で百五十万トン、こういうように計画を立てておるわけでございますが、備蓄に関して農林水産省としても何らかの明確な態度を示す必要があるのではないか、こういう点についてはいかがお考えでございますか。
  38. 松浦道夫

    松浦政府委員 水田利用の第三期の対策の需給のフレームの決定をいたしました際に種々検討いたしまして、計画的な在庫の積み増しをしていくということで、五十八年度の連続性も考慮しまして生産調整面積を六十万ヘクタールということで抑えまして、各年約四十五万トンの積み増しを行うということにいたしたわけでございます。この結果、平年作が続くということでございますれば、計算上三年後には前年からの持ち越しも含めまして米穀年度末に百五十万トン程度の古米在庫が確保できる、つまり在庫水準が確保できるということを考えてまいったわけでありますけれども主食への古米在庫の充当というものにつきましてもやはり限度がございます。特に消費者が新米を志向しているという問題がございますし、また倉庫保管料あるいは金利といったような問題もございますので、そういった点も考慮し、それから三たび過剰を招くといったようなことも大問題になることが考えられますので、さような点では、私ども第三期の対策のフレームの中で決定したこの程度の数量というものは適当であるというふうに考えております。  水田利用第三期対策におきましては、適正な在庫水準を確保するという見地から在庫の積み増しを行うことを初め、その万全を期してきたわけでございますけれでも、今後ともただいま大臣おっしゃられましたように、米の需給あるいは作況等に応じまして適切な需給計画のもとにおきまして弾力的な対策の推進を行っていくということを考えてまいりたいというふうに思う次第でございます。
  39. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 本年より第三期水田再編対策の一つとして他用途米の生産が始まったわけでございますが、これは、せっかく減反をしておっても水田を有効利用できない。したがって、古米が加工原料米としてなくなった場合におきましては、水田の有効利用、こういう観点から若干の格差をつけてもいいから水田の有効利用をして米の生産をしたい、そしてそれを加工原料米として充ててまいりたい、こういうことで、これは農業団体からも要請があったと私は承っております。また、将来これはえさ米も含めて対応していくんだという長期的な視点もあるかと思うわけでございます。  そこで、こうして始まった他用途米でございますが、なかなか実施につきましては困難が伴っておるように見られるわけでございます。今日、この他用途米の生産あるいは出荷量の見通しは、現在わかった時点でよろしいのでありますが、食糧庁としてはどのように把握しておるのか、明確にしてもらいたいと思います。
  40. 松浦道夫

    松浦政府委員 他用途利用米につきましては、ただいま委員おっしゃられましたような趣旨でこれを導入し、農家の方々にお願いしておるわけでございますけれども、各都道府県とも既に最終的な生産出荷契約の締結の段階に入ってはいるところでございますが、まだ明確な数量はつかめていない状況でございます。県によりましては、市町村への配分に当たりまして青刈り稲であるとか保全管理あるいは湿田の多い地域へ傾斜配分するといったようなところがございますし、また共補償とか経費助成等による積極的な取り組みも見られているようでございます。さらに市町村段階でも、これに準じた地域地域の工夫が凝らされているというふうに聞いております。最終的な契約数量につきましては、現段階ではまだ明らかにできない状況でございまして、明確に御答弁できないことは申しわけないわけでございますが、一部の地域におきましては生産予定面積あるいは数量の確保にかなりの努力を要するというところもあるようでございまして、今後とも他用途利用米の必要量を確保するために集荷団体あるいは行政機関等が一体となって取り組んでまいる必要があり、またその所存でございます。
  41. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 そこで、この他用途米という制度を導入した、これは何としてでも実行してこれの目的を達成しなければいかぬと私は思います。しかしながら、こういう不測な事態主食不足するのじゃないかといういろいろな心配がありますけれでも、主食不足したら他用途米を主食用に買い入れるべきだという意見もあります。また、せっかく転作をして、青刈り稲をやるということでございますが、不足したらこれもちゃんととらせたらいいじゃないかという意見があります。こうした意見に対しては、農林省はどう対処いたしますか。
  42. 松浦道夫

    松浦政府委員 このような御意見は私どもも承っておるわけでございますけれども主食用のお米、加工原材料のお米、いずれもこれは完全に供給していく体制が必要でございます。特に加工原材料のお米につきましては、過剰米処理が済むということになりますれば当然これは他用途利用米で処理していくことが必要になるわけでございます。さような意味におきまして、私どもはそれぞれの主食及び加工原材料両方とも国内で確保すべく今後対応していきたいと考えておるわけでございまして、これに対応する体制というものを今後とも推進していくつもりでございます。
  43. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 ちょうど時間も参りましたので、一番最後に大臣お願いいたしたいと思います。  米というのは日本主要食料品である、それから我々は三千年来の歴史がありますが、アメリカとの交渉でも申し上げてまいりましたように、日本は米と魚を主食として今日まで来ているのだ、牛肉も食べておりますけれでも、アメリカとは歴史的文化的な違いがありますから十二分の一くらいである、そういう理解も深めながらやっていかなければならぬわけでございます。  要するに、この米は日本主要食料品である、基幹作物であるという観点から、食糧の安全保障という観点からも、国民の食生活を守り安全な国民の健康な生活を守るという立場からも、米はあくまでも自給をしていくという決意が必要であると思うわけでございまして、それにつきましては、米の需給につきましていたずらに国民に不安を与えることがないように政府として万全を期していかなければならぬと考えるわけでございます。このことにつきましては、国民の皆さんによくよく理解をするように明確な決意をもって示さなければならぬと思いますので、最後に、大臣の決意のほどを示してもらいたいと存じます。
  44. 山村勝美

    山村国務大臣 米は国民主食でございます。そして、稲作は我が国農業の基幹をなすものでございます。米につきましては、国内産で全量自給するという基本方針を貫いてまいりますし、また、今先生おっしゃいましたように、食糧安全保障という観点からも重要な問題でございます。今後とも米の需給に関しましては、国民の皆さんに不安を与えることがないよう万全を期してまいります。
  45. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 終わります。
  46. 阿部文男

    阿部委員長 細谷昭雄君。
  47. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 私は、五十三年産米以前の安全性を中心にしまして、幾つかの問題について、農林水産大臣並びに食糧庁長官の所見と責任という問題についてお聞きいたしたいと思います。  最初に、私自身が三月一日の第百一国会における最初の農林水産委員会におきまして、初めて五十三年産米臭化メチル残留性の問題について取り上げたわけでございます。それから具体的な事実関係をたどりまして六月五日の農林水産大臣の談話の発表まで、この事実関係についてお伺いしたいと思うわけでございます。  まず三月一日、私は残留性の問題について取り上げました。同じ日に、ほかの委員の皆さん方からも指摘があったと思います。三月九日から十日まで、予算委員会、分科会におきまして農林水産省、厚生省当局に対し、私の議事録の調査では神田委員、私、矢山委員、古川委員、松沢委員、それぞれの皆さん方からこの問題についての質疑があったわけでありまして、四月十三日は、参議院の農林水産委員会におきまして稲村委員が両省に対する質疑を終わっております。国会関係においての質疑はおおよそ以上のような状況でございます。  さらに四月上中旬におきまして、国会におけるこの議論が反映されまして、消費者団体の皆さん方がそれぞれ農林水産省・厚生省・各政党・我々のところまでいろいろな陳情に参ったわけでございます。さらに東京都は、これらの陳情を受けまして、生活文化局が都の衛生研究所に依頼いたしまして、その結果、四月十日、生活文化局からその分析結果を口頭で松浦長官と吉田東京食糧事務所長に伝えておるわけであります。同じことが五月一日に正式文書でこの両者に送られておる。そして五月二十八日には、食品衛生調査会残留農薬部会があのような報告を出し、同日、農水省は五十三年産米臭素残留を認めながら、加工用米として韓国からの現物返品の交渉をすることを公表しておるのであります。そして六月五日に農林水産大臣の談話の発表。  この事実経過をお認めになりますか。
  48. 松浦道夫

    松浦政府委員 ただいま先生がおっしゃられますような事実の経過だったというふうに承知いたします。
  49. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 農水省にいろいろな点についてこれからお伺いしたいと思います。同時に厚生省に対してもお伺いしたいと思うのですが、まず第一に残留検査の必要について、つまり臭化メチルないし臭素残留性の検査の必要をいつ決めてどの機関に具体的に指示したのか、そしてその検体数、その倉庫数、こういう具体的な点は何ら公表されておりません。  まず最初にこのことについての具体的なことを説明していただきたい、こう思います。
  50. 松浦道夫

    松浦政府委員 正確な期日は私記憶をいたしておりませんけれども残留農薬部会が開かれました五月二十八日、ここで基準の設定に関しまして御報告がなされたわけでございますが、その前に若干、日は何日であったかわかりませんけれども、そのころに五〇ppm以上のものについてはこれは問題があるのではないか、つまり、そういう暫定基準をつくる可能性があるということを、私、厚生省から承っております。
  51. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 念を押しておきますが、これは大変重要な点なんですよ。五月二十八日の残留農薬部会報告が出るまでは農林水産省は具体的な検査をしておらないということですね。
  52. 松浦道夫

    松浦政府委員 三十検体につきましての厚生省の御検査につきまして協力はいたしましたが、具体的には我が方では検査はいたしておりません。
  53. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 はい、わかりました。  それでは、厚生省にお聞きします。  五十三年産米安全性についていつ農水省と協議をいたし、五月二十八日の部会報告までどのように対応をしてきたのか、これを明らかにしていただきたいと思います。件数、検体の数、それから、恐らく農水省からこれは受け取ったと思いますが、でき得ればその検体の倉庫名、こういうのを明らかにしていただきたい、こう思います。
  54. 市川正一

    ○市川説明員 お答え申し上げます。  三月九日、十日に私どもの方で、環境衛生局長から実態の調査ということで農水省とも相談の上検討してまいりますという御答弁を申し上げて以降、ちょっと今、日取りというようなことは具体的にはっきりいたしませんが、中旬ごろから何度か食糧庁検査の実施につきまして相談をいたしました。検体数につきましても多ければ多いほどいいということも当然考えていたわけでございますが、取り急ぐ必要があるというようなことから、とりあえずという認識のもとでまず三十検体、それから対象成分を何にするかというような打ち合わせもいたしました。検査の実施場所につきましても、これは一遍に、たとえ三十検体と申しましても検査成分数が四種類というような事情もございまして、そういたしますと延べ百二十試験ということになりまして、これはかなりきつくなるということもございまして、時間が相当かかってしまうかもしれないということで、できるだけ急ぐ必要があるというような考え方から、食糧庁さんの方と分担してやるということになったわけでございます。  そこで、私ども厚生省分につきましては国立衛生試験所に依頼をして行うということになりまして、四月の初めに国立衛生試験所には検体を届けたわけでございまして、それ以降国立衛生試験所における検査というものがスタートしたわけでございます。  それで、その国立衛生試験所の結果が出てまいりましたのが、五月の十九日に私ども報告を受け取っておりまして、食糧庁からの検査結果は、食糧庁分担分につきましては五月の二十二日に受け取っております。  食品衛生調査会は五月の二十八日に開催されたわけでございます。  以上が主な経過でございます。
  55. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 ただいまの経過の中に、三月九日の予算委員会で神田委員と竹中環境衛生局長との間で、いわば農水省とこの分析その他について協議をするという約束をし、四月の十三日の参議院の農林水産委員会で今の市川課長が厚生省としては現在調査中であるというふうに、国会議事録の経過をたどりますとそういうふうになっているわけであります。そういう点で、今のお答えなんですけれども、どうも大変その点ではもたもたしておる、こういう感じを免れないわけであります。もう既に三月の九日に協議をし、四月の十三日は現在進行中ということなんですが、四月初めに国立衛生試験所にやった、三月いっぱいは全然何もしておらない、こんなような感じであります。  そうして、この国立衛生試験所の検査の中で、臭素残留検査はしたけれども、メタノールの存在実験というものはやったのかどうか。この点について、メチル化のいわゆるたんぱく質との化合とか、きのうの我が方の嶋崎政審会長の質疑の中でも、厚生大臣は否定をしておるのですけれども、本当にメタノールの存在実験をしたのか、メチル化の慢性毒性実験をやったのか、この点どうでしょう、国立衛生試験所のいわゆる依頼について。
  56. 市川正一

    ○市川説明員 先生御指摘のメタノールについては、今回分析の対象成分とはしておりません。臭化メチルを使いました場合に、臭化メチルが一部分解をいたしまして臭素と、それからメチルの方はたんぱく成分などと反応するということは既に報告があるわけでございまして、その量というものは、メチル化したものというものは非常につかまえにくいということもございますので、通常臭素残留量を指標として、それに比例するというふうに考えられているものでございます。  今回の分析結果をもとに食品衛生調査会におきましては種々御議論があったわけでございますが、メチル化したものが微量そこに含まれているであろうという前提のもとで、そういうものの安全性をどう考えるかということにつきましては、結局現在の段階ではそれぞれが反応して出てきている微量のそういった物質をとらえるということよりも、今とられている方法は、そういったものを動物に食べさせまして、それでその安全性がどうかという方法がとられているわけでございます。現在までに行われております動物実験、臭化メチル薫蒸いたしまして、臭化メチルというものがほとんど気散しているという状態のもとで、臭素とあるいはメチル化物が一部生成しているというえさを食べさせた実験で見る限り、相当高濃度に暴露したものであっても特に毒性というものが認められないということから、今回種々議論をされました許容量であります臭素の量として見た場合に、一ミリグラム・パー・キログラム体重というようなレベルでは、まずその毒性というものは問題がないのではないか、このような御評価があったわけでございます。したがいまして、私どもメタノールそのものというようなものを分析しているわけではございませんが、その安全性については問題ないのではないかと考えておるところでございます。
  57. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 この問題は大変に未知の分野でありますので、ここで論争しようとは思いませんが、極めて危険であるということを、いわゆる臭化メチルそのもの、これが指摘されておるのは事実でございます。したがって、今の分析ではそれをやらなかったということは明らかでありますし、きのうの答弁でも、非常にやったような紛らわしい答弁を厚生大臣はしているわけであります。この点やはり問題があろうかというふうに思いますし、厚生省におきましては、これも当然食糧庁としても責任があろうと思うのですが、メチル化の存在、この点について今後十分分析をやるかどうか、食糧庁の長官といいますか、厚生省といいますか、どちらでも結構ですけれども、この点でのいわば今後の検査について明確な答弁お願いしたいと思うわけです。
  58. 市川正一

    ○市川説明員 食品中でアミノ酸などとメチルが結合しているということは研究報告的にはございますが、それぞれのものについての許容量というものを定めるということよりも、私が先ほど御説明申し上げましたように、そのようにして微量に生成するものを食べた場合に安全であるか否かという点が重要であろうかと思いますので、個々にそれらの成分について今の段階検査という形で行うということは私どもは考えておりません。
  59. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 だから問題なのですよ。松浦長官にしましても厚生省にしましても、我々がずっと一連の国会の質疑の中で、臭化メチルの存在ないしは臭素の存在を言ったのに、どう言いました、皆さん方。それは全然心配ございません、私たちは農薬取締法に基づいてやっておりますから全然御心配要りませんとせんだってまで言ったのじゃありませんか。同じことなのですよ、これは。そんなことを言っているから、こんなふうな事態になってくるのですよ。それを全然心配ございませんという言い方、その言い方が私は謙虚でないと思うのですよ。少なくとも国民に食べさせる食糧、その安全性については、少しでも疑いがあれば検査をいたします、そういう謙虚さが必要じゃありませんか。
  60. 松浦道夫

    松浦政府委員 ただいま先生のおっしゃいました臭化メチルにつきましては、先般から御答弁申し上げておりますように、これが薫蒸剤有効成分なのでございます。この有効成分は確かに急性の毒性を持つということでございまして、臭化メチルが存在するかどうかということが安全性についての非常に大きな問題であったはずでございます。したがいまして、私どもといたしましては、これは農薬取締法に基づいてきちんと検査もし、それからまた非常に揮発性が高くて我々も管理いたしてちゃんと飛んでしまっているはずだということで御答弁申し上げまして、その結果は先ほども申し上げましたように、部会に出されました資料の中にも検出されなかったと書いてあるわけでございます。ですから、私はその点の御答弁に誤りはなかったというふうに思うわけでございます。  ただ、その際に臭素残留量というものについては、当初私が御答弁申し上げておりましたときは、私自身も十分な知識がございませんでした。それは率直に私は申し上げます。ただ、その際に伺いましたのはADIという概念があって、一生一人の人が体重一キログラム当たり一ミリグラムとっても、それは許容量のうちであるということでございまして、それについて果たして大丈夫かどうかということにつきましても、私ども五十三年産米の中に含まれる臭素の量から考えてこれは大丈夫であろうかどうかということにつきましては、厚生省側のお考えをたださなければならぬ。  これも厚生省側は残留農薬部会におかけになって、それで今回の調査では人の健康に影響はないということを申しているわけでございます。さらに一層の安全ということで五〇ppmの暫定基準を米についても設けよう、こういうお話をしてきておられるわけでございますから、私どもがその段階その段階において判断をしながら対処してまいったわけでございます。  ただ申し上げたいことは、やはりお米という非常に重要な食物については、先生おっしゃられますように、念には念を入れてやっていかなければならぬということはもう当然のことでございまして、それは私ども肝に銘じて今後とも対処しなければならぬというふうに考えている次第でございます。
  61. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 今までの弁明は別としまして、要するにこのメチル化というメタノールの存在についても検査をするつもりであるかどうかということを聞きたいのですよ。どうですか、厚生省
  62. 市川正一

    ○市川説明員 私の御説明が十分でなかったのかもしれませんが、私が先ほど御答弁申し上げましたことは、臭化メチルというものが分解した場合にメチル化が起こる。例えばそこに水分があればそこでメタノールというものが一部生成する可能性はあるということでございます。これまで薫蒸処理されました穀類等につきましては、ある時期がたちますと臭化メチルは気散してしまう。それで無機臭素あるいはメチル化物として残留している。穀物等の飼料を動物に投与いたしました実験では、相当濃厚に薫蒸した飼料を投与しても毒性は観察されないということから、臭素量に換算いたしまして、現在考えております許容量でございます体重一キログラム・パー・ミリグラムという程度の量の米を摂取したとしても、安全上に問題はないというふうに考えられるというのが残留農薬部会の御意見であったわけでございます。したがいまして、安全性は確保されているというふうに私ども考えているわけでございます。  このような考え方というのは、国際的にと申しますか、FAO、WHOの残留農薬専門家委員会の方でも、微量に生成する反応生成物と申しますか、そのものについての評価においては、そのような考え方での評価が行われているわけでございます。したがいまして、私は、ここに出てくる、存在するかもしれない微量のメタノールというものを測定する必要はないのではないかというふうに御説明申し上げているところでございます。
  63. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 我々が必要なのは、そういう疑いがある、今のところは微量なのでそういう必要がないと思うというのでしょう。微量であれ何であれ検出する、そういう意欲があるのかどうか、そのことを問うているわけですよ。ここで皆さんの講義を聞くというのではないのです。臭素についてはやったのだろうけれども、メチル化という問題についてははっきり実験したことはありませんと言っているのでしょう。それについてやる気があるのかどうか、やれ、やりなさいと私は言っているのです。  そのことなんですが、どうも質問の趣旨に答えておらない。委員長、配慮してください。
  64. 松浦道夫

    松浦政府委員 なかなか専門的な分野なものですから、私も十分理解ができない部分もあるわけですが、先ほど厚生省の課長が申しております御答弁はこういう意味であろうと思います。臭化メチルを使用して薫蒸を行いました場合に、臭素の方は分解されて残るわけでございますが、その残りのメチルの分にあるいはほかのたんぱくその他が化合して何らかの化合物ができるのではないか、それの安全性がどうか、こういう御質問だと、私、理解いたしております。  そこで、その点につきまして私が知っている限りのことを申し上げますと、これは、その分析をするということがまだ確立されていない状態にありますので、そこで臭素の量をもってそのメチル化している化合物の量を推定していくということによって安全性を確保していくということであるというふうに私は聞いております。  そこで臭素ADI、先ほど申しました一日の摂取量の許容量、それからさらに安全を見たお米の五〇ppm以下の規制、これをもちまして恐らくそのような臭素残留量のものをお米として売却をいたしましても、メチル化した部分についてはこれは大丈夫であろうということで、その物差しを臭素に当てているということだろうというふうに、私は素人でございますが、思っておるわけでございます。  そこで、そのメチル化した化合物の量を測定できるかどうかということにつきましては、今、私、課長から聞いたわけでございますが、これはまだ研究的段階にあるらしゅうございまして、そのものを測定してこれを実際に物差しとして応用することはできない、したがって臭素の量をもってそれを測定していく、測定と申しますか、それを推定していくという方法しかないんだということを申しているわけでございます。
  65. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 世界保健機構で言うところの五〇ppmというのは、これまた非常にあいまい、そういうふうに指摘されておるわけですよ。それでは我が国における安全度、これは本当に厚生省は今後きちっとした基準というのを決める意思があるのかどうか。今長官の話では、それはもう現状では難しくて分析できないという言い方なんですよ。だとすれば、その根拠は五〇ppm以上だかどうかということだけが今尺度になっているのです。そうでしょう。その五〇ppmというのが大体どういう基準だか、本当に安全だかどうかということは極めてあいまいだ、こういうように指摘されておるわけです。もうそれは三〇ppmかもしれない。確かなそういうふうな基準というのを一体厚生省はやっておるのかどうか、やっておらないのです。その点についてどうですか。
  66. 市川正一

    ○市川説明員 お答え申し上げます。  先生の御質問に直接お答え申し上げます前に、再度私から繰り返させていただきたいのでございますが、アミノ酸等と結びつきましてメチル化が起こるということがあるわけでございますが、そういった反応が微量生じているであろう穀物類というようなものをえさといたしまして動物に投与した実験では、これまでのところ特に異常は見られないということで、結局そこに起こっている微量の反応生成物というものを総体として安全の評価がこれまでは行われておるということを御説明申し上げているわけでございます。もちろん高濃度になりますと、そういう臭素の残存量というようなものも非常に多くなります。もちろん毒性の実験でございますから、量と反応との関係というものは当然あるわけでございまして、量が非常に大きくなりますと、それなりの毒性というものは当然出てまいるわけでございますが、ある一定の限度の範囲内ではそういった毒性が認められないということから、安全性の評価がこれまでなされてきているわけでございます。  御質問の、五〇ppmの場合にその安全性はどうかということでございますが、この五〇ppmが、国際食品規格における穀類の規格が五〇ppmであるということを参考として今回暫定的に決められたわけでございますが、この基準量の範囲内であれば、臭素そのものから見た安全性の点はもちろん十分確保されると同時に、この臭素をメルクマールとして考えられる反応生成物に対する安全性という点も、安全性は十分に確保されるという観点から五〇ppmというものが暫定的に取り決められたわけでございます。したがいまして、今回決められたこの暫定基準には、安全性の点からいけば現在の段階で全く問題ないものだというふうに私どもは考えておるところでございます。
  67. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 私たちは、今までの皆さん方の臭素に対する対応の仕方、答弁のやり方を見て、信用できない。ですから調べなさいと言っているのですよ。それは今の技術では不可能ですから調べられないと言った方が早いですよ。国立衛生試験所なり厚生省なりというのは国民に対するそういう安全ということについて責任を負っておる官庁だ、私はこういうふうに承知しております。ですから、今のこういった科学技術の進歩した時代におきまして、そういう分析や研究というのが行われていないということそれ自体がおかしいと私は思うのですよ。  したがって、委員長、後からの委員もおっしゃると思うのですが、この問題はひとつ委員会として調査を希望しておきたいと私は思うのです。その点どうでしょう。委員長のお計らいをいただきたいと思います。
  68. 阿部文男

    阿部委員長 理事会においてこれを協議して、今の問題を取り上げてみたいと思います。
  69. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 次の問題に移りたいと思います。  東京都の生活文化局が四月十日に申し入れ、五月一日には文書で申し入れましたが、これに対して食糧庁はほとんど何ら反応しておらない。一体これはどういうわけですか。
  70. 松浦道夫

    松浦政府委員 東京都が実施なさいました五十三年産米の農薬残留調査の結果、この場合にも薫蒸剤の方の残留はなかったわけです。ただし、臭素残留しているということにつきまして、四月中旬に東京食糧事務所を通じまして私どもの方にも連絡がありました。それは認める次第でございます。ただ、その時点におきましては、食糧庁といたしましては、いわゆるADIの考え方、これにつきましては厚生省から伺っておりましたので、こういう考え方であれば特に安全性については問題はないんじゃないかというふうに思っておりました。  さらに加えまして、私ども、その時点で既に食糧庁厚生省と協力いたしまして安全調査を実施中でございましたから、その結果もあわせてひとつ厚生省において安全性判断をしていただきたいというふうに思ったわけでございます。そこで私どもは、後日、食糧庁に対しまして正式に都側から文書が参りましたので、食糧庁といたしましても厚生省にはちゃんとこれはお渡しいたしました。そして残留農薬部会におきましては、審議データとして都の側のおやりになりました検査も提供されまして、あのような御結論が出たというふうに思っておる次第でございます。
  71. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 私は、もうこれは明らかに怠慢だと思います。東京都の都内から搬入されました、これは農水省からも協力したというふうに言われておりますが、この検体、五十八年産米もありますが、五十三年産米がほとんどです。この中にもう六七ppm、六四ppm、六八ppm、五九ppmというふうにかなりの数の、検体の数は、五十三年が八検体、五十三年・五十八年混米が二検体、五十八年の精米が一検体、全部で十一検体中、四検体からもう既に五〇ppm以上出しているわけですよ。それに対して極めて無神経、このことが今の長官の答弁で明らかであります。  東京都ではもう臭素のこういう問題については大変重要であるということで、四月十日に口頭で、それでも足りないというので五月一日に文書なんですよ。それを結局握りつぶしておる。国民の前にも公表しておらない。これは一体どういうことですか。
  72. 松浦道夫

    松浦政府委員 先ほども答弁申し上げましたように、私ども、都側のおやりになりました検査の結果、これはただいま先生もおっしゃられましたように、玄米五検体中五〇ppmを超えるものが約半分あったということでございます。  ただその場合に、ADIの観点から見ますれば、先ほど私もちょっと御説明いたしましたけれども、七〇ppmのものを、五十三年産米だけで混米もしないで完全に食べるというような状態におきましても、その摂取量は一日二十一ミリグラムにしかならないわけでごございます。そこで、私ども当時判断をいたしておりましたのは、むしろADI基準というものから見てこれは安全性がない、そういうことではないというふうに思っておりました。ただ、一方において厚生省との間では、私ども厚生省にサンプルを提供しまして共同で調査も実施していた、その結論をきちんと見たいということでやっておった次第でございまして、決して怠慢にそれを握りつぶしていたというわけではないわけでございます。したがいまして、正式の文書が来ましたらちゃんと私ども厚生省にそれをお出ししましたし、また農薬残留部会にもきちんとおかけして、そのデータとして御審議をいただいたという次第でございます。
  73. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 我々が先ほどから申し上げましたように、この委員会でも予算分科会でも、数度国会で取り上げられておるわけです。それはなぜかと言うと、国民に供する食糧であるという点での心配からなわけであります。東京都という地方機関ではあるけれども、具体的に半数の検体から皆さんが言われるように五〇ppm以上のいわば臭素含有量があるという報告を受けながら、国会に対しては何らの報告をしておらない。これを怠慢と言わずして何が怠慢であるのでありますか。これは極めて遺憾であるというふうに思うわけでございます。  五月二十八日の発表で、五十三年産米検査数量の中で、いわゆる五〇ppm以上の臭素を含有しておるというふうに言われておる検体がございますけれども、この中で推定される売られない米は、総量幾らと考えておりましたか。
  74. 松浦道夫

    松浦政府委員 当時、五月二十八日の時点では私どもよくわかっていなかったというのが実態でございます。ただ、そのときに都の側から提供のありましたものにつきましては、約半分程度あったということだけは私ども知っておりました。ただ、その後におきまして、私ども厳に臭素残留をはかりながら、その基準五〇ppm以下のものと以上のものに分けまして、以下のものだけの売却を今やっておるわけでございます。その状況につきましては、先ほども申し上げましたけれども、現在まだ暫定基準に適合しないために売却できないものがどの程度あるかということにつきましては、検査を進めておるところでもありますし、またロットの大きさも大きなものあり小さなものあり、いろいろ差異があること、それからまた地域検査分が必ずしも全地域をカバーしていないということで、果たして代表性があるかどうかということも問題ではございます。  そういうことで、まだ明確な見通しを、全体の量について果たしてどのくらいあるか。大体二十万トン、五月末に五十三年産米の在庫があったわけでございますけれども、その中でどの程度あるかということはまだつかめておりません。しかしながら、少なくとも六月十二日までに基準に適合するものということで食糧事務所に通知いたしました二万六千トンの検査に合格したものがございます。これを調べました際の検査対象、これから考えてみますと、総検査対象の中の合格したものは約半分ぐらいということでございます。
  75. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 そこで、私は大変不思議に思うのですよ。この五月二十八日に、さっき言いました残留農薬部会からの報告と同時に、すかさず農林省がいわゆる報道機関に対して公表したところによりますと、臭素残留しておるので、これは食糧としてはもう一度検査をし直してからやります。そうして同時に、韓国からの、いわば我々は輸入と言っているのですが、皆さんの方では現物返還と言うのでしょう、これは輸入なんですよ、韓国から輸入をするというふうに公表しているわけですよ。  今まで、三月一日から取り上げて五月二十八日までのろのろした対応、ほとんど何もしておらない対応が、極めて電光石火、素早くその辺だけやった。これは一体何ですか。全くどの程度の量が売られないのかということもわからないままに、韓国からは米を買うということでしょう。返してもらうといったって、輸入なんですよ。これは一体どれだけの量を買おうとしておるのか。先ほど玉沢委員に対するお答えがございましたけれども、そこは非常に不思議。そうでしょう。どれだけ売られないものがあるかわからないのに、韓国からすぐにそれは輸入しますと言っている。その量は幾らで、現在その折衝はどこまで進んでおるのか、この点について明らかにしてもらいたいと思うのですよ。
  76. 松浦道夫

    松浦政府委員 この問題につきましては、実は私ども明確には、どの程度の臭素残留して五〇ppm以下のものになるかということについては、五月二十八日の時点では必ずしも明確にわかっておりませんでした。ただ、都の衛試の検査の結果、これは約半分出ているということだけは私ども知っておりました。そこで、正確にはわからないまでも、場合によっては相当の、五〇ppm以上のものがあるかもしれないということは私は考えておったわけでございます。  そこで、その量がどのような現実の量になるかということはわからないまでも、何らかの手当てをしなければ加工原材料のお米について不足が生ずるおそれがある。つまり、他用途米が出てくるまでの間にどうも我々の計画から考えて売れないお米が出てきてしまって、そのためにショートが起こる可能性があるというふうに思ったわけでございます。したがいまして、そこでまず明確に、五月二十八日の部会の御決定を待ってよく判断をし、それからその対応策を考えるという状態を、ステップを踏んでいくのが当然だったわけでありますけれども、それが一挙にああいう形で新聞紙上等で報道されました結果、非常に混乱が起こってしまったわけでございます。この点は、私ども非常に残念であるというふうに思っておるわけでございます。それにつきまして、私どもとしましては、とにかくこういう事態に何らかの対応をしなければいかぬということでいろいろな手段を考えてみたわけでございますが、その際に、これは韓国からお米を返還していただくということが一番適当な方法ではないかなというふうに考えまして、実は交渉を開始するということにいたしたわけでございます。  その状況は、先ほども答弁申し上げましたが、まず第一に、現在この交渉はかなり進んでおりまして、これは双方とも誠意を持って交渉しておりますので、その内容はなかなか申し上げる段階にありませんけれども、妥結を近々日中にし得るものというふうに考えております。  それから、今の問題の数量でございますが、先ほども申しましたような実態に相なっておりますので、実需者あるいは消費者の方々に対して今後御不安のないような量は確保したいということで考えておるわけでございます。ただ、相手方の需給の実態もございますので、これはよく相手方の意見も聞き、量を調整した状態でこれを決めていきたいというふうに考えているところでございます。
  77. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 まず私の聞きたかったことは、量の問題。これは五十三年産米の五〇ppm以上のものが半分ぐらい大体いっているだろう。当時、在庫二十万トン。推定すると十万トンは使えなくなる。それ以上かもしれないというふうに一つは考えたということでしょう。それからすぐさま、対応として韓国から買いたい。その量はどうですかと聞いたのに対して、それも外交上の問題でこれはだめなんですか。それはおかしいじゃないですか。量を言ってください。
  78. 松浦道夫

    松浦政府委員 量そのものは交渉内容でございますので、その量がどのようになるか、まだ決まっておりません。したがいまして、それはまだ申し上げるような状態にないわけでございますが、先ほどから申しましたように、実需者の方、それから消費者の方、こういった方々に不安がないような状態は確保しておきたいということで交渉しておるということを申し上げておるわけでございます。
  79. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 問題は、私は大変に根深いところにあると思うのですよ。  次に問題を進めていきたいと思うのですが、韓国米というものをこれから交渉して日本へ持ってこようとしておるのですが、韓国の薬害汚染ということについて極めて多くの方々が指摘しておるわけでございます。日本のいわば農薬取締法からいうと大変に規制が緩いということ。したがって、もうすべての農産物が日本よりも規制が緩いために、日本では使ってはならぬ農薬を韓国はどんどん使っておる。ましてやカリフォルニアの米を毎年輸入しておるというふうに言われておりますので、カリフォルニアの米を持ってこられるという危険があるわけであります。そうしますと、もう五十三年産米と言っていられない。これらは物すごい農薬があるわけであります。そういう点で、一体品質検査を本当にやるのかどうか。この際、私ども立場からしますと、そんな危険なものを持ってこられては困る、したがって交渉は打ち切りなさい、こう言いたいのですよ。その点どうですか。
  80. 松浦道夫

    松浦政府委員 事は五十三年産米安全性から端を発した問題でございますので、消費者の方々、国民の皆さん、この点については一番御懸念を持っておられるということは私もよくわかるわけでございます。したがいまして、今回の交渉の非常に重要な事項といたしまして、この残留農薬の安全性ということを先方にも申しまして交渉をいたしております。このチェックの方法というものをきちっと確立いたしまして、それで交渉を妥結させたいというふうに思っております。  それから第二に、契約の条項そのものが韓国産米を返してもらうという原契約になっております。したがいまして、これは韓国内の農産物検査法、またそれに基づく規格に基づいてきちんと検査された韓国産米というものを返してもらうということに相なっておりますので、カリフォルニア米などが入ってくる余地は全くないということで交渉をしております。
  81. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 質の問題、量の問題、これはいずれも問題があると思うのですよ。先ほど言いましたように、五月二十八日の段階で皆さん方は非常に素早い反応をした。三カ月間はのろのろのろのろしておったくせに、五月二十八日は極めて素早い反応をした。農林水産省は、一体この重大な事態に対して、これは国の農水全体の問題のはずなんですが、対応を自民党にだけ相談をする。これもまた大変不思議な問題なんてす、自民党にだけ韓国から輸入してどうでしょうかという打診をしておる。これは国会の我々全部の責任だと思うので、どんなに空転している事態でありましても、当然農林水産大臣としては、こんな重大な問題を野党の我々に何らの相談ない、これは一体どういうことですか。国会軽視も甚だしい。我々はそんなことを一つ考えるわけです。  加工米というふうに強調しておるのですが、これは決して加工米だけじゃな。我々現に、社会党調査団としまして、生産地の米倉庫、そうして消費地の東京、大阪、神奈川、千葉、この四都府県の在庫調査、卸や政府の倉庫、小売りの段階、生協の段階、それぞれ手分けをして調査してまいりました。私自身は東京都の調査団の団長として、一日、東京事務所の皆さん方を煩わしてやってまいりました。  そこで明らかなことは、これは皆さん方の言うところの加工米の不足ではありませんよ。今、小売店でどう言っていますか。業務用政府米が欲しいんだが、いわゆる卸屋は、これはもうないと言ってよこさない。大臣はお米屋さんですから一番よく知っておられると思うのですよ。小売の米屋さんはもう泣かんばかりに食糧事務所に訴えているわけですよ。したがって、これは決して加工米じゃない。食用米が足りない。ですから、韓国に対して、もう到底十万そこらの問題じゃないのですよ、これは。明らかに我々はその調査をしてきました。この点について明確な今後の方針を立ててもらわなければいかぬというふうに思うのですよ。今言っている韓国に対する交渉というのは、加工米の端境期までの不足を補うという、そういう十万とか十二、三万の話じゃないと思うのですよ。現場の皆さん方の不安に対してどうこたえますか。
  82. 松浦道夫

    松浦政府委員 今回の韓国産米を返済していただくのは、これはあくまでも加工原材料用のお米を確保するということでございまして、それはそのとおりでございます。  ただ、今先生お尋ねの点は、業務用米を含めて、主食用の米が不足を生ずるのではないかということの懸念がかなりあるということだろうと思います。  この点につきましては、先ほども玉沢委員に御答弁申し上げましたけれども、確かに私ども、ゆとりのある需給操作をやっておるということではございません。集荷の面におきましては、先ほども申しましたように二十四万トン程度集荷目標からは下回った状態でございまして、通年集荷ということで努力をいたしておるところでございますし、一方、需要の面では六百六十万トンと想定しておりました。これはまだどのようになっていくかよくわかりませんけれども政府管理米の六百六十万トンよりもやや上回るような需要があるのじゃないかなというふうに思っております。  したがいまして、これをどう対応するかということでございますが、九月には百万トン、十月までには四百万トンの早場のお米が出てくるわけでございます。これを適切に集荷し、適切に売却することによって国民に御不安をかけないということを先ほどから申し上げている次第でございます。さような対応として、主食の方は、私どもとしては、これに不足を来すことがないように全力を挙げてまいりますということを大臣も申し上げている次第でございまして、さような点を御理解いただきたいというふうに思う次第でございます。
  83. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 加工米のためですよということを強調しておるのは、これはまことに私は誤りだと思うのですよ。食用米の業務用が完全に底をついておる、この事実を我々社会党の調査団としては指摘をしたいと思うわけです。その点は、今、長官認めましたね。そのことを特に念を押しておきたいと思うのですよ。  さらに、私は、ちょっと前に返るのですが、五月二十八日現在の、五十九米穀年度におけるいわば流通済みの五十三年度以前の総量はどのくらいで、そして回収しなかった理由は一体何なのか。出回っちゃったもの、在庫しておる、まだ未消化のものなんですが、五十三年で検査をしないうちに出回ったのがありますね。これについては、五月二十八日の皆さん方の公表では、心配がないと厚生省も言っておる、ですからそれは安心してよろしいと言っておるのですね。これは安心なんかできませんよ。なぜ回収しないのですか。その総量と回収しない理由をおっしゃっていただきたい。
  84. 松浦道夫

    松浦政府委員 五十八年十月末の在庫でございますが、これは五十三年産米六十万トンでございます。さらに五十一年産米、五十二年産米という古いものも入れますと、約八十万トンございました。  そこで、その売却でございますが、これはもとより五十三年産米を中心にして食用、工業用等は措置をいたしたわけでございますけれども主食用で十三ないし十四万トン、それから工業用で十三ないし十四万トン、輸出用で二十五万トン、飼料用で五万トンを処理いたしました。ですから、差し引き必ずしもぴたりとは合いませんけれども、若干の違いはございますが、五十九年五月末の推定在庫量は、五十三年産米等で約二十万トンあるということでございます。これを対象にして今検査をし、それでこの中から五〇ppm以下のものだけを売却しているという状態でございます。  そこで、先ほど、五月二十八日と申しますか、六月に入る前に、つまり我が方が検査体制をきちんととって五〇ppm以下のものだけに限って売却する以前に既に売却してしまって流通段階に入っているもの、これについてなぜ回収しないのだというお尋ねだったと思いますが、この点につきましては、私ども先ほどから申し上げておりますように、食品衛生調査会残留農薬部会報告にも、この分については人の健康に影響を及ぼすものではないけれども、より一層の安全性を図るということからこの暫定基準を示すのだとおっしゃっておられまして、また御審議の過程でも、このような状態の米なので流通段階に出回っているものは必ずしも回収する必要はないのじゃないかというお話も出たというふうに聞いております。そしてまた、実際に厚生省からの御要請、あるいは厚生省から各県に流されました通達におきましてもそのようなことをおっしゃっておられますので、そういったことを踏まえながら、食糧庁としましては、既に流通段階に出回っているものは回収する必要はないということで対応したということでございます。
  85. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 これから本当は食品一般の農薬汚染とか、それから米不足の具体的な問題とかというふうに進めたいと思ったのですが、時間がございませんので、この汚染米の問題について、我々が調査をして非常に不思議に思ったことが一つあります。  ここに五十二年の米があります。これは我々が、いろいろありまして、長官とやりとりしましてやっとこさここに入手したわけです。深川倉庫にある五十二年産米です。この五十二年産米の履歴書が、どこへ行っても全然ない。つまり履歴書がないということは、生産地はどこの米だということはあるのですが、これは常温倉庫に保管されておるのか、低温倉庫なのか、何回薫蒸されておるのかという米の履歴書が全然ない。極めて不思議なんです。これは検査の結果、常温倉庫にあって薫蒸を何回すれば危険だかどうかというのは大体わかるはずなんですが、消費地の倉庫には全然ない。これは一体どういうことですか。これは一体どこで保管されて、それで何回薫蒸された米なんですか。五十二年産米、深川の倉庫です。
  86. 松浦道夫

    松浦政府委員 私も今初めて伺いましたので、それはどういうことでそうなっているかちょっとわかりませんので、調べてみたいと思います。  なお、先ほど業務用米につきまして、何か既に業務用の米についてそれに対応するお米が底をついているのではないかというお話でございましたが、決してそんなことはございませんので、その点だけははっきり申し上げておきます。
  87. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 今の問題は、同僚委員から後からあると思うのです。  最後に、大臣、長官にお伺いしたい。  今まで明らかなように、食品の安全性、特に主食である米の安全性については、大変な不安を国民に与えてきた。そして国会を軽視をしてきた。その責任というのは極めて大きい。ましてや、このことから需要についての不安を与えたということ、食糧に対する不安を与えたということは、大臣の談話においても冒頭で言っておるわけであります。私は、決して山村大臣ないしは松浦長官が今犯した罪ではないと思うのですよ。これは、いわば十数年にわたる政府の農政の責任である、こう指摘せざるを得ないと思うわけであります。ですから、今山村大臣に、私としても個人的には情として大変に忍びないわけでありますが、やはりどうしても政治的な責任を問わなくてはいけない。松浦長官は、日本人に安定的に食糧供給する、こういう責任を持っておる行政の長であります。したがって、政治的な行政的な責任というものを一体どうお感じになり、その責任をおとりになるつもりなのか、この点を明確にしていただきたい。  私は、我が党の考え方としまして、これはあくまでも大臣なり長官は引責辞任をすべきであるというふうに要求をするものであります。これに対する考え方をお聞きしたいと思います。
  88. 山村勝美

    山村国務大臣 今回の五十三年産米に端を発しまして、関係各界、国民の皆さんに不安をお与えいたしましたことは、まことに遺憾でございます。この問題につきましては、最終的には私の責任において処理すべきもの、そういうように考えております。
  89. 松浦道夫

    松浦政府委員 ただいま大臣もおっしゃられましたように、今回の五十三年産米に起因するいろいろな問題につきまして、国民の皆様それからまた関係の方面の皆様に不安と混乱を生じましたことにつきましては、私もまことに申しわけないというふうに思っている次第でございます。  ただ、私のただいま念頭にありますことは、食糧庁という国民食糧を安定的に供給する責任者として、その責任を遂行していくということにあるわけでございまして、それ以上のことはこの場でお答えする立場にないことを御理解いただきたいと思います。
  90. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 終わります。
  91. 阿部文男

    阿部委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時九分休憩      ————◇—————     午後一時十一分開議
  92. 阿部文男

    阿部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。串原義直君。
  93. 串原義直

    ○串原委員 まず大臣に伺います。  ここ二、三年来、米の輸入問題がこの国会でしばしば取り上げられてまいりました。私自身も昨年の七月十三日、当委員会で、いかなることがあっても米の輸入はすべきではない、こういう立場でただしたのに対しまして、政府は、輸入はいたしません、自給いたしますと明確にお答えになりました。同様に、米の輸入はいたしませんということを現在の山村農相もしばしば明確に答弁してまいりました。時間の都合でこの議事録を読み上げるようなことはいたしませんけれども、すべて議事録に明らかであります。  この経過と事実を、今改めて山村農林大臣は確認いたしますね。
  94. 山村勝美

    山村国務大臣 先生おっしゃるとおりでございます。
  95. 串原義直

    ○串原委員 そこで、古米の問題から入らせていただきたいと思うのですけれども、この五十三年産米などの在庫と売却状況というのは、昭和五十八年十月末在庫量、五十一年、五十二年、五十三年合わせて八十万トン。それが昨年の秋以来ことしの五十九年の五月に至るまでの販売状況主食用には十四万トン程度、工業用十四万トン程度、輸出用二十五万トン、飼料用五万トンということで農林省から資料をいただいているわけでありますが、その結果、今年五月末推定在庫量が五十三年産米等で約二十万トンある、こういうことですね。  伺いたいわけでありますけれども、この売却単価というのはそれぞれどういうぐあいになっておるのでしょうか。
  96. 松浦道夫

    松浦政府委員 現在適用いたしております五十三年以前産米の用途別の売り渡し価格でございますが、まず主食用でございますけれども、五十三年産米、これはもう五十三年産米のみでございます。これは玄米六十キログラム当たり九千九百四十円、これは倉庫のあり姿でございます。  それから加工原材料用でございますが、その中で破砕精米の形にいたして売却いたしている分、これはみそとか米菓等でございますが、これは玄米六十キログラム当たり六千九百四十二円、これは破砕工場渡しの価格でございます。  それから丸米の売却分、これはこうじみそ、ビタミン強化米、玄米茶等でございますが、これは玄米六十キログラム当たり九千七百九十八円ということになっております。
  97. 串原義直

    ○串原委員 輸出用飼料用はどんなぐあいになりますか。
  98. 松浦道夫

    松浦政府委員 ただいま調べまして御答弁申し上げますが、私の記憶では、飼料用はトン当たり約四万円程度かと思いますし、それから輸出用がたしかトン当たり七、八万ぐらいだったかと思っております。
  99. 串原義直

    ○串原委員 それぞれ大分単価が違うわけですね。この理由は品質ということですか。あるいはそれはだれが決めるのですか。
  100. 松浦道夫

    松浦政府委員 主食用の五十三年産米の販売価格でございますが、これを精米にする場合には、通常よりもやはり掲精孝どまりを下げるということが必要であります。つまりつき込みが必要でございますので、そういうことから掲精歩どまりの低下等を考慮して決めております。  それから原材料用の破砕精米でございますが、その製品価格との関係で比較的低廉な原料米を必要とするということで、みそ、米菓等に売却しておりますので、さようなことから価格を決めております。  それから丸米、原材料でございますが、これは丸米でないと使用できない業種というものに売却しますので、やはりその場合の差をつけているという形でございます。  なお、えさ用でございますが、これはやはり外国のえさと当然価格上の競争をいたさなければならぬということでございますので、非常に単価が低くなるということでございます。
  101. 串原義直

    ○串原委員 当面、主食について伺いますが、そうすると、この五十三年産米主食用九千九百四十円、これは五十八年産米とどのくらい違うのですか。差ができますか。
  102. 松浦道夫

    松浦政府委員 玄米六十キログラム当たりで考えますと、先ほど申しましたように主食用が九千九百四十円でございますから、五十八年産米に比較いたしますと約半分ということでございます。  なお、先ほど答弁が十分ではございませんでしたので改めて申し上げますが、輸出用は約六万でございます。それから飼料用が、年次によって違いますが、大体三万五千円ということでございます。
  103. 串原義直

    ○串原委員 そういたしますと、こういうことが言えますね。先ほどお話がありましたように、また私が読み上げましたように、主食用に相当程度超古米が流れていた。出荷されていた。ということになりますと、古米は、五十八年産米、近い年度の米と比べて約二分の一である。この価格の米が何%か、一五%か二〇%かは別といたしまして、混米になって政府用米として販売されている。こういうことになりますと、消費者の皆さんは古い米を高く買っている。言うならば、古い米を高く買わされている、こういう結果になるわけですね。この事実はお認めになりますか。
  104. 松浦道夫

    松浦政府委員 この五十三年産米は主として業務用に充てておるわけでございますが、その業務用価格の形成の際に、当然業務用の需要先、それから小売の間で価格が形成されているということになると思うわけでありますけれども、その際、混米の形で流通しておりますので、その場合には当然安い値段のお米と高い値段のお米とが込みになった形の平均的な価格で売られているというふうに考えます。
  105. 串原義直

    ○串原委員 ここで私、時間をとるわけにはまいりませんけれども、その点は明確にしてもらいたい。そうして、資料があったら後でお出しを願いたい。つまり、古い、おいしくない、安く政府から出ていった米が、消費者の手に入るときには、近い新しい米とそんなに違わない状態消費者の口に入るという状態だけは、これはほうっておいてはいけな。こういう現実がある。これについて深める時間がないことは残念ですけれども、御検討いただいて、後で資料はお出しを願いた。委員長、いいですか、この資料は。
  106. 阿部文男

    阿部委員長 資料を提出できますね。
  107. 松浦道夫

    松浦政府委員 調べまして御提出申し上げます。
  108. 串原義直

    ○串原委員 そこで、臭素残留についてさきに当委員会で質疑が行われたところでありますけれども、五十三年産米で食料販売店等へ出回っているものについては回収する考えはない、こう食糧庁では言われましたが、より安全性を確保するというために、どうして一時的にも保留をして安全が確認されるまでの手段を講じなかったのか、あるいはなぜ講じないのか、やはり私は疑問に感ずるのですね。どうですか。
  109. 松浦道夫

    松浦政府委員 この点につきましては、先ほども説明を申し上げたわけでございますが、食品衛生調査会残留農薬部会の御報告におきましては、繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、五十三年産米摂取が人の健康に影響を及ぼすことは考えられないということが前提でございまして、ただ、より一層の安全性を確保する観点から暫定基準をお示しになった、こういうことでございます。  したがいまして、同部会審議経過におきましても、既に流通段階に出回ってしまったものにつきましては、これはもともと安全という、人の健康に影響がないという前提に立っておるものと私は思うのでございますけれども、回収を必要としないということを御議論なすったというふうに聞いております。かつまた、それを前提といたしまして厚生省要請なり、あるいは厚生省から各県に出された通達にもさようになっておりますので、食糧庁といたしましては既に流通段階に出回っているものについては回収する必要がな。したがいまして、あの御通達を受け取りましてから先は、我が方は政府売却について五〇ppm以下のものを厳重に検査いたしまして、それのみを売るという態勢に入っておるわけでございます。
  110. 串原義直

    ○串原委員 私は、安全性について心配はないという判断というのは非常に難しいと考えておる者の一人なんですよ。食糧というものは絶対というほどに安全でなければいけない、こういう立場をとりたいと考えています。既に例の厚生省検査結果が出た時点で、食販店に相当量出ていたということが想定される。したがって、その量は莫大な量でないだけに、一定の大丈夫だという答えが出るまでは一時保留するという程度の配慮、手段はとるべきであったと思います。これは大丈夫ということで答申がありましたから私どもはそれに従っただけです、これではちょっと安易に過ぎやしませんか。食糧庁としていかがです。
  111. 松浦道夫

    松浦政府委員 先生おっしゃいますように国民の主要な食糧でございますから、もとより安全の点は十分に考えて、念には念を入れて対応しなければならないとおっしゃられることは、私どもはよくわかるわけでございます。  ただ、安全の基準なり安全の尺度なりというものは、やはりこういう公的な部会において出された御意見に基づいてその安全を判定する官庁からの御要請というものを受けて私ども対処いたすわけでございますから、さような意味で、先ほどから申し上げましたように、私どもとしては、人の健康に影響を及ぼすものではないという御判定のもとで、より一層の安全のために、今後政府売却を五〇ppm以下にすることには当然我が方は従うべきであるということでございましたが、特に流通段階のものにつきましては回収する必要はないという御指示がございましたので、それによったわけでございます。
  112. 串原義直

    ○串原委員 そういたしますと、五月末の在庫量古米二十万トン、それ以前のものにつきましては安全性に心配があるということで棚上げにした米は全然ない、こういう理解でいいわけですね。
  113. 松浦道夫

    松浦政府委員 六月以降政府売却をいたしてきましたお米につきましては、これはより一層の安全性という観点から五〇ppm以下の状態売却をするということでございますが、それより前のお米については、一般的に申しまして特に人の健康に影響がないということから、ただいま先生がおっしゃられたような状態で流通し、消費したということになると思います。
  114. 串原義直

    ○串原委員 大変な事態であったわけです。安全性の議論は、深めれば深めるほど重要な課題だと考えていますが、とにかく厚生省からああした検査結果が出たときまで超古米という立場で出荷されたものは全部既に消費された、食販店に回ったものも含めて消費された、こういう理解をする。したがいまして、厚生省から検査結果が出た以前のものにつきましては、安全性に心配があるので棚上げをいたしましたという米はゼロである、こういう理解に立ちましてこのことを改めて質問するわけでありますけれども、五十三年産米の在庫量残五月末二十万トンの今後の取り扱いはどうなるのか、どう処理をされるのか。つまり、一日や二日のことは私問いませんけれども、専門家によりますと、この臭素等の検査というものにつきましては一週間で答えが出るというふうにも言われているわけです。問題になりましてからもう相当日数がたっている。これはいつまでに結論が出るとお考えになっていらっしゃいますか。  もう一つついでに伺いますが、先ほども議論になりましたけれども、微量なものであるからということで明確な御答弁がなかった例のメタノールの問題、これは臭化メチル薫蒸に見られる反応検査、これは幾ら量が少ないといってもメタノールについて改めて検査をいたしますとしたらいいじゃないですか。長官どうです、これは難しいことじゃないでしょう、検査するぐらいのことは。検査をした結果、こういう微量でしたというのであればそれもよし、しかるべき結果が出ればそれにまた対応しなければならぬ。これは検査したらよろしいじゃないですか。大した時間がかからないと専門家は言っていらっしゃる。いかがですか。
  115. 松浦道夫

    松浦政府委員 先生あるいは誤解をなすっておられるかもしれませんけれども、五十三年産米等につきましては、六月に入りましてから、つまり五月の二十八日にあの残留農薬部会の御意見、御報告が出まして、それから厚生省が我が方に正式の要請をなさいました。なるべく速やかに政府売却は五〇ppm以下のものにしてくださいということを言ってこられましたので、直ちに我々はその態勢に入りました。現在政府売却しておりますお米は、検査をした後の五〇ppm以下だけしか売っておりません。私どもとしましては、今後はこのような暫定基準に適合しているかどうかということをすべて確認した上で加工原材料、場合によっては主食用業務用に売るということを考えているわけでございます。すべてその態勢に入っておるということはひとつ御理解いただきたいと思います。  それから、第二にメタノールの件でございますが、これは、私、まことに申しわけございませんけれども、余り詳しくございません。厚生省の方がお答えができると思いますが、私が知っていることだけを申し上げますと、先ほど厚生省の方が答弁なすっておられましたことを理解するに、まず第一点といたしまして、このメチル化したアミノ酸あるいはたんぱくというものについて、これを検査するという方法はまだ十分に日本では研究され、確立しているという段階ではないんじゃないかというふうに思っておるわけでございます。こういうものは、その手法が確立しておりません限りはなかなか難しいんだろうと思います。  ただし、それは二つの点で検討をいたしておるわけでございます。  一つはADIの議論、先ほど私御説明申しました臭素残留の量、これをもちまして臭素の残りの部分であるメチルの化合物、これがどの程度あるかということを推定していくということで臭素基準が決まっていっている。それを守るようにということをやっておりますから、したがってメチル化した化合物についても安全であるということを厚生省は言っているのではないかというふうに私は理解しております。いま一つは、これをえさにして動物に食べさした場合にも毒性の反応は出なかったということから大丈夫だ、間接的なメチルの毒性というものを動物の実験で調査したからそれでいいのじゃないかということをさっき申しておったのだろうと思います。もしも私の答弁に誤りがあると非常に重要な問題であるということを私もわかっておりますので、直接厚生省にお聞きになっていただきたいというように思います。
  116. 串原義直

    ○串原委員 改めてこのことを確認しますが、専門家ではないという立場からあえて私は言っておるわけでありますから、答弁を願いたいわけです。だから、もう一度あなたの立場で、農水省の立場で、臭化メチル薫蒸に見られる反応について、メタノールの問題について改めて可能な限り検査をしていただけませんかということを農水省から厚生省要請すべきだ、こういうことを私は言っているわけですよ。いかがですか。
  117. 松浦道夫

    松浦政府委員 私、そのような手法があるというふうに聞いておりませんので、今先生がおっしゃられましたような要請というものは私はちょっと難しいのじゃないかというふうに思いますけれども、どのようなことでそれができるのかできないのか、その点は厚生省に聞いてみたいと思います。
  118. 串原義直

    ○串原委員 聞くと同時に、専門家でないからということを断っておりますが、メタノールの検査についてはどの程度可能か私にもよくわからないけれども、農水省の立場で可能な限り検討してみてくださいということを改めて厚生省要請をしなさいということを私は言っているのですよ。いかがですか。それはできないのですか。
  119. 松浦道夫

    松浦政府委員 厚生省状態がどうかよくわかりませんので、とにかく先方に問い合わせをいたします。厚生省にそういうことができるかできないか、そういう要請ができるかできないか、それを先方に問い合わせます。
  120. 串原義直

    ○串原委員 今、問い合わせると言うのですけれども、問い合わせるぐらいなら、私どものところではこのことについて委員会で議論になったのでぜひ検討してみてくれませんか、やってくれませんかということをどうして農水省で頼めないの。
  121. 松浦道夫

    松浦政府委員 ただいま先生からそういう御意見がございましたので、そういう御意見があったということを先方に伝え、できるかできないかということを先方に聞いてみるつもりでございます。先ほどは課長ができないといった答弁をしたと思います、私の聞いている限りは。ですから、できないものを要請するというわけにはまいりませんので、そういうことができるかできないかということをまず聞いてみまして、それを先方に問い合わしてみるつもりでございます。
  122. 串原義直

    ○串原委員 では、問い合わしてみて検討してくださ。これだけで時間を食っては困りますから。  それで、長官、今お答えになった中で改めて伺うわけですけれども、古米の在庫量二十万トン。私は誤解しているのじゃありませんよ。そうではなくて、二十万トンはいつ検査の結果が出るのですかと聞いたことは、五〇ppm以下のものは安全だからこれから出庫する可能量になるわけです。以上になるものについては棚上げしなければならぬという場合が出てくるわけでしょう。そうでしょう。これは仮にですよ、二十万トンの中から検査の結果五〇ppm以上が五万トン出たとするならば十五万トンが供給可能、不可能が五万トン、こういう結果が出るはずだから、これはいつ出すのですか。  専門家に聞くと、検査なんというのは一週間くらいでできるというふうに言われる人もあるから、問題提起以来随分と日数がたっているので、もう出てもいいではないか。二十万トンのぐあいの悪い米、よろしい米、この答えはいつ出るのですか、早く出しなさい、こういうことを聞いているのですよ。
  123. 松浦道夫

    松浦政府委員 現在、食糧事務所に試料の採取を指示しまして、採取した試料の分析をどんどん実施しているわけでございます。ただ、試料の採取にはある程度時間がかかりますし、まだ終了していない試料もございます。さようなことで、全部終了するにはやはり二、三カ月はかかるというふうに思っております。  それから、そのような結果、もちろん先生のおっしゃられるように五〇ppm以上のお米が出てくるはずでございます。これをどうするかということにつきましては、まだ今は五〇ppm以下のものをどうやって早く検出して供給するかということをやっておりますので、その残りの部分についてどうするかということについてはこれから検討したいと思っております。
  124. 串原義直

    ○串原委員 これは専門家のやることですから、私が素人の立場で一日も早く一日も早くと言うことだけで解決しないことは理解しているけれども、一日も早いことが必要だと私は考えている。これは強く要請しておきます。  そこで、五〇ppm以上の量がある程度出る可能性があるという御答弁だった。出たものについてはどうするか。五〇以上のものについてはどうするかという結論はまだ出ていないということだから、この結論も早く出すべきだ。五〇以上がどのくらい出るかという量が不確定だけで、出るということだけは間違いないだろうと考えるわけですね。私は、この五〇以上出たものについては慎重の上にも慎重にして、主食用でないことはもちろんだけれども、ほかのものについても簡単に出庫すべきではない、使うべきではない、こう考える。この方針について基本的なものをお聞きしておきたいと思う。
  125. 松浦道夫

    松浦政府委員 この点につきましては、もちろん安全性について十分に深く考えた上で処理をしなければならぬと考えておるわけでございますが、その用途をどうするかということにつきましては、関係方面とも十分に相談をいたしまして、安全性ということを十分考えながらこの用途を今後検討してまいりたいというふうに思っております。
  126. 串原義直

    ○串原委員 したがって、こういうことが言えるわけですね。今日現在まではこの二十万トン以外のものについては棚上げする古米はなかった、これから結論が出るであろう二十万トンの中で五〇ppm以上のものがどの程度出るかわからないけれども、仮に十万トン程度出たとするならば、このことが心配だからというのでこの分について見返りに韓国へ返してもらいたいという要請をした、こういう理解でいいわけでしょう。
  127. 松浦道夫

    松浦政府委員 韓国からのお米の返済を求めましたのは、私どもといたしまして他用途利用米ができてくるまでの間につなぎ得る加工原材料のお米は五十三年産米でございますから、その分につきましてただいま先生のおっしゃるような不測の事態が起こるというおそれが出ましたので、それで返済お願いするということに協議を始めたということでございます。
  128. 串原義直

    ○串原委員 したがいまして、仮にということをあえて申し上げたのですけれども、二十万トンの中の十万トンが五〇以上であったとするならば、それにおおよそ見合う程度のものを実は考えて韓国要請したらという方針にしたのである、こういうことですね。したがって、先ほどの同僚委員の質問に対して、韓国との話し合いの内容は細かく触れるわけにはいかないという御答弁であった。どうしてそんなに隠さなければならぬ必要があるのかという疑問は生じますけれども、それにしても、今申し上げたように日本の使えなくなった古米の量に相当する部分である、こういう基本的な考え方だったことだけは間違いないといたしますれば、そんなに多くの量ではな。量としては決定的な大量なものではない、こういうことが言えるわけですよ。二分の一ということになれば十万トンだ、そういうことになってくるわけでありますから、おおよそ話をしてきた経過というものはおぼろげながら見当がついてくる、こういうことになるわけでございますので、以下、その立場を踏まえて順次質問をしてまいりたいと思うわけであります。  そこで、初め、五十三年産米は超古米なので食用には供さないと考えていたのじゃないですか。
  129. 松浦道夫

    松浦政府委員 先ほどの先生の御質問の前段についてちょっと申し上げます。  もちろん私ども基本的には今のような考え方でありますけれども、今後の需要者及び消費者にその供給で不安がないようにするということは必要でございますから、その相当数、ぴたりということではあるいはないかもしれない。まだわからない部分がたくさんございますので、そのようなある程度の安全度を見ながら返済をしてもらう量を決めていくということでございますが、基本的には今先生がおっしゃられたそういう指標になると思います。それがまず第一点です。  それから第二に、そもそも五十三年産米過剰米処理ということであったので主食用には回さないはずではなかったか、こういう御質問でございます。  これにつきましては、いわゆる過剰米処理に関する食糧管理特別会計法の規定が一番の問題になると思います。これにつきましては「昭和五十年以降昭和五十三年以前二生産セラレタル米穀ニシテ配給ノ用二供スル数量ヲ超過セルモノ」についてと書いてございます。主食以外の用途に特別処理、過剰処理を行った場合に生ずる財政負担について特別の会計処理を行うことができる旨を定めたものでありまして、これら年産の米につきまして主食に供するということを制限しているわけではないわけでございます。つまり、「配給ノ用二供スル数量ヲ超過セルモノ」についてと書いてございますから、したがって、その法律の趣旨から申しましても、これはその後主食の用に供することを制限するという法律の読み方ではないというふうに我々は思っておりますし、また現に、そのようなことで実際に五十三年産米は五十六米穀年度以降五十八米穀年度までに合計二十六万トンを既に主食用売却しているという状態でございます。
  130. 串原義直

    ○串原委員 私は、これは改めてまた議論をする機会があろうかと思っております。  そこで、大臣に伺いますが、今食糧庁長官答弁なさったわけでありますが、私は、今まで議論してまいりました超古米についてはもともと主食用に供するものではない、できるならば供すべきではなかった、政治的判断という意味も含めましてそう考える者の一人であります。五十一年、五十二年、五十三年なんという古い米は食用に供すべきではない、そういう態度で対処してくるべきであったと思うのです。大臣は、その辺はどう思いますか。
  131. 山村勝美

    山村国務大臣 我が農林水産省の一番大きな責任は、国民に対して食糧の安定供給というのが一番大きな責務でございます。その点から申しまして、この問題につきましてはやむを得ざる緊急的なものであったというぐあいに考えております。
  132. 串原義直

    ○串原委員 もう一つ、大臣に伺います。  厚生省検査によりまして臭素残留が明らかになりまして、先ほど食糧庁長官答弁されたように、供給に狂いが生じる懸念が出てきた、だから韓国から緊急輸入をする。返還という言葉を使っているけれども、緊急輸入をする。これは重大な農家に対する公約違反、ある意味では消費者に対しても公約違反である、失政であると言わざるを得ないと私は思う。大臣はどうお考えになりますか。
  133. 山村勝美

    山村国務大臣 今回の五十三年産米安全性に関連して加工原材料米を韓国から現物返還してもらうということで、関係機関、そしてまた国民の皆さんに多大の不安、混乱を起こしましたことはまことに遺憾であるというぐあいに考えております。
  134. 串原義直

    ○串原委員 大臣に続きまして伺います。  農家の皆さんには政府の示す面積以外には米をつくってもらいたくない、減反政策に協力してもらいたいということで今日まで来たことは御承知のとおり。ところが、米が急に不足することになりましたので、今日段階、申しわけないけれども輸入いたします。今大臣が言われたように遺憾なことであるどころではなくて、これは農民各位はとてもとても承知するものではないというふうに私は考えているわけであります。  今、農業団体のみならず自治体、全国町村会、最前線で苦労されていらっしゃる町村会等も絶対反対を表明していらっしゃる。食糧の安全保障、食品安全の立場からも、消費者団体が反対ですという声を上げていることは御承知のとおりです。いかように言われようとも、韓国から入ってくるということは間違いなく輸入という作業になるはずです。かつて貸しておいた米だから現物返還ですなんというのは、まさに強弁であり誰弁であると私は考える。我々はいかなる形にいたしましても、他国から我が国に米が入ってくるという作業、つまり輸入には絶対反対であります。  係官が既に韓国交渉に行っているということをさっきも答弁されましたけれども、係官を即時帰国させると同時に、交渉は中止すべきであると私は考えているのです。いかがですか。
  135. 山村勝美

    山村国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたとおり、米穀の安定供給というのが我が農林水産省としての重要な責務でございますので、その責務を果たす上で真にやむを得なかったものであるということで御理解いただければありがたいと思います。
  136. 串原義直

    ○串原委員 長官に伺いますけれども、かつて貸与したと言われるところの韓国との契約書をこの際明らかにしてもらいた。あらかじめお願いをしておきましたけれども、ここでその契約書の写しを御提示願えますか。
  137. 松浦道夫

    松浦政府委員 契約書そのものを御提示することはできないわけでございますが、これは昭和四十四年、四十五年にお貸ししたときもそうでございました。したがいまして、その当時国会の御審議がございましたので、その際に契約書の概要というものをつくりまして、それをお渡しして御審議願ったと聞いております。その内容はここにございますので、お渡しをいたします。
  138. 串原義直

    ○串原委員 ただいま概要をちょうだいしたのでございますけれども、どうして契約書を提示してもらうことはできないのですか。つまり、これは日本韓国との単なる米の賃貸契約ではないか。まさか国家機密に関する秘密文書でもあるまい。この行政責任、政治責任問題が大きく取り上げられております、その柱になる契約書がこの委員会に提示できない。どうも私は納得できないわけですよ。どうしてそんなにこだわるのですか。これはそんな秘密文書なんですか。
  139. 松浦道夫

    松浦政府委員 一般的に申しまして、国と国との間の契約の文書は公表しないという原則になっているそうでございまして、この貸し付けを行いました時点におきましても、この概要、これは必要な事項は皆網羅されておりますが、これを御提示をして、それで御審議を願ったという経過だそうでございます。さようなことから、今回もこの概要でひとつ御審議を願いたいというふうに思う次第でございます。
  140. 串原義直

    ○串原委員 私の質問時間は限られていますから、これだけで時間をとるわけにはいきませんので、委員長お願いしますけれども、この委員会に今の契約書を提示してもらいたいということをお願いしておきます。理事会で検討していただけませんか。
  141. 阿部文男

    阿部委員長 後刻理事会で検討して、処置いたします。
  142. 串原義直

    ○串原委員 それでは、遺憾ながら次に進めていくことにいたしますけれども、今概要をお示しをいただきましたが、現物でなくて金銭でよろしいということに後日契約変更になったように伺っているわけですね。ところが、今回は日本現物返還をしてもらいたい、こういう要請をした。  これはそれぞれの新聞に出ておりますが、六月十二日、韓国は米の現物返還を拒否している、日本の要求は身勝手である、ある新聞はこう報道している。時間がかかりますから内容は触れません。それから、ある新聞は、ことしの韓国自体の需給にも心配があるので現物返還はとても応じることはできない、韓国需給を優先しなければならない、こういうことで難色を示している、こう言ってきているわけですね。  これは交渉事であるから後刻にしなければならぬにいたしましても、伺いたいことは、韓国がこの報じられるように、いや実は現物返還は困るのです、こう言ってきたら、やむを得ませんな、こういうことになるのですか。
  143. 松浦道夫

    松浦政府委員 事は交渉でございますので、その詳細にわたって申し上げることはお許しを願いたいと思いますが、現在の交渉状況におきましては、先方もかつて日本からお米を借りました際に、非常に需給に困った時代でございました。さような状態において貸してもらったということにつきましては、非常な恩義を感じているということでございます。さようなことから、先方は誠意を持って検討いたしておりまして、私、先ほど御答弁申し上げましたように、近々この問題につきましては交渉が妥結できるという見込みであると私ども判断いたしております。したがいまして、ただいま先生がおっしゃられましたような事態は生じないものというふうに考えて対処いたしている次第でございます。
  144. 串原義直

    ○串原委員 実は、私はこう思っておるのであります。米の需給に異変が生じた場合、それはいかなるときであってもまず国内自給で何とかならないものか、こう考えるべきだと思う。この立場に立って農業団体、農家の皆さんの協力を求めるべきだと思う。ことし、それを具体的にやりましたか。
  145. 松浦道夫

    松浦政府委員 この五十三年産米に伴う加工原材料用不足のおそれが生じましたときに、我々も部内でいろいろと検討をいたしました。いかなる方法があるかということについて広範な検討をいたしたわけでございます。国内産のお米につきまして、特に主食用に回るお米を加工原材料用に回すことにつきましても検討いたしましたが、これはやはり主食需給というものがかなりゆとりのない状況にあるということから、また同時に財政負担という観点からも、これはなかなか難しいという結論に達したわけでございます。したがいまして、やはりお貸ししている米をお返し願うという方法で対処しようということで考えた次第でございます。
  146. 串原義直

    ○串原委員 つまり、厚生省検査結果が出てこれは大変だと考えた時点で、どうして農業団体、農家の皆さんと話し合うという手段に出なかったのか、これを聞いているのです。
  147. 松浦道夫

    松浦政府委員 ただいまお答えいたしましたように、もしも国内の農家の方から主食用のお米を回すということになりますと、これはやはり国内主食需給というものを当然私どもは考えなければいかぬということもございますし、それからまた、主食用価格と加工用の価格は大きな差がございますので、財政の負担も当然考えなければならないということで、そのような方法はなかなか難しいと思いまして農業団体と話をすることはなかったわけでございます。
  148. 串原義直

    ○串原委員 そういたしますと、一つは財政的な負担も大変だ、それから、主食では大変だけれども加工用ならばという安易な考え方もあった、こういうことですか。
  149. 松浦道夫

    松浦政府委員 加工用ももちろん大切でございますけれども主食需給というものにつきましては、我々としてはやはりより一層の配慮をしなければならぬという気持ちは確かにありました。また同時に、財政の負担につきましてもなかなかこれは難しいということがありましたので、お貸ししているお米を返していただこうという考えに至ったわけでございます。
  150. 串原義直

    ○串原委員 私は、韓国から、返還という言葉であろうと、加工用の米でありますという弁解であろうと、この際輸入するということは絶対に承知できない、了解できない、改めてこれは強調をさせていただきます。  そこで、大臣に伺いますが、第三期対策の見直しということをやっていくならば、先ほどから議論をしてまいりましたように、それほどの量でないだけに、輸入に頼らなくても国内自給は可能だと思う。その一つの案でありますけれども、農業団体や農家の協力を得まして、一つは早場米の出荷に全面的に協力してもらう。全量出荷するくらいの協力を得る。それから青刈り予定の水田を米にしてもらう。三つ目は、他用途米を食用米として買い上げて、加工用米につきましては等外米、規格外米を充てていくというような方策をとってまいりますならば、私がさっき推定ということで申し上げました十万トン程度の自給というものはこれからでも国内で賄い得る、私はこういうふうに思うわけであります。まず国内自給を可能にしてまいりますために全力を挙げて水田利用再編第三期対策の見直しを行うべきだと思いますが、大臣、どうですか。
  151. 松浦道夫

    松浦政府委員 大臣の御答弁の前に、私、細かな問題につきましてまず御答弁いたしまして、それから大臣の御答弁があると思います。  まず早場米を集荷したらどうかというお尋ねでございますけれども加工原材料用のお米に不足を生じた場合にこれに対応いたしますと、早場米の早期出荷を図るといたしましても、実需者が必要な時期に果たして間に合うかどうかという問題が実はございます。これは、もとより五〇ppm以上のものが非常に多いということを想定したケースでございますけれども、かなりの量が出るとすれば、間に合うかどうかという問題が当然出てまいります。これが一つでございます。  それから、加工原材料用の需要に、そのようなことで加工原材料用のお米として他用途利用米が出るまでの間は何とかそれを充足する、そういうお米を我々見つけなければならない。そういうことから、この早場米の集荷では間に合わないということがございますので、やはり先ほどから大臣答弁申し上げておりますように、臨時的な措置ということで韓国米の返還協議を行うということになったわけでございます。これが第一でございます。  それからもう一つは、規格外のお米を充てられるじゃないかというお話がございましたけれども、規格外のお米というのはいわゆる等外米あるいは規格外米ということでございましょうが、これは、特定米穀と申しますものもそれ自体一つの用途がございまして、大体もう需要は確定しております。したがいまして、この部分のお米をもちまして加工原材料用の今回の問題によって不足が生じます部分につきましてこれを埋めるというのは難しいということでございます。さらに、この特定米穀と申しますのは、その発生数量がその作柄によって大きく左右されるという状態もございますので、これに充てるということは非常に難しいなというふうに考えている次第でございます。  青刈りの問題については、農蚕園芸局の方から御答弁があると思います。
  152. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 青刈り稲の問題でございますけれども、御承知のとおり、従来から飼料としての利用の一環としまして青刈り稲の転作作物としての取り扱いをしてございます。これを稲作、実取りまで活用することによって需給操作上の一つの方法として考えられないかという御指摘でございますが、私ども、先ほど食糧庁長官から申し上げましたとおり、他用途利用米という形での利用可能性はあり得るというふうに判断しておりますけれども主食用米としてこれを活用するということにつきましては、今後の転作政策の推進上非常に混乱を生ずるというふうに考えておりまして、そういった形での活用の仕方には限界があるというふうに考えておるわけでございます。
  153. 山村勝美

    山村国務大臣 お答えいたします。先生御承知のとおり、米の生産力というのは潜在的には依然として需要を大幅に上回っておりまして、今後とも水田利用再編対策、この推進が必要であるというぐあいに考えております。  なお、この第三期対策につきましては、適正な在庫水準、これを確保するために毎年約四十五万トンずつの在庫積み増し、これを図ります。そして、ゆとりある需給計画に基づくものをつくってまいるわけでございますが、今後とも米の需給や作況、これに応じた適切な需給計画のもとに弾力的に推進してまいりたいと考えております。  このほか、本年は新稲作運動ということを提唱いたしまして、官民一体となって、農民の代表の方々、そしてまた知事会、市長会、町村会、これらの代表の方々にもお集まりいただきまして御協力をお願いしたところでございまして、今後ともこの適正量の確保に努めてまいるところでございますが、いずれにいたしましても、本年の作況を見ました上で減反政策等は弾力的にやってまいりたいというぐあいに考えます。
  154. 串原義直

    ○串原委員 大臣答弁、今年の作況を見つつ弾力的にという答弁でございましたが、この弾力的という言葉の中に、第三期対策に対して再検討も含めて考えていく、こういう意味が含まれているという理解でよろしゅうございますか。
  155. 山村勝美

    山村国務大臣 いわゆる減反政策等を含めてということでございますので、ひとつその点はおわかりいただけると思います。
  156. 串原義直

    ○串原委員 それでは、私は今大臣の言われたことに対しては、弾力的にということは水田再編対策の再検討も作柄によっては含めて考えていくということで理解をさしていただいて、次の問題を伺いたいと思うのでございますが、今、第三期対策の見直し等を考えるべきであるということを強く強調さしてもらいました中で、他用途米の問題、これを改めて私は伺っておきたいと思う。  この米不足の中で、価格が二分の一程度の他用途米を農家の皆さんぜひ協力してくださいという格好で、結構ですというようなわけに感情的にいかないと私は心配しているのです。それも特別な米ならば別といたしまして、同じ米を価格二分の一程度で出荷しなければならぬ、この農家、農業団体の立場に立つならば、他用途米なんかごめんだという話は無理もない、こういうふうに思う。この緊急事態に当たりまして、他用途政策につきましてはこの際勇断を持って検討に入るべきではないのか。これは重大な問題だと私は思うのです。いかがですか。
  157. 松浦道夫

    松浦政府委員 他用途利用米につきましては、先生もよく御承知のように、加工原材料用のお米も含めて国内自給しようという思想の上に立っているわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、主食用のお米は、これはマル政、マル自のお米をもって充てていく、それからまた加工原材料用のお米は、これは他用途利用米をおつくりいただいて、それによってこれを賄っていくという基本的な考えでございますので、この考えは、国内自給していこうという考えをとっております限り、これは今後とも堅持してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  158. 串原義直

    ○串原委員 長官、それは簡単によろしゅうございますという答弁をあなたがするとは私も思わない。思わないが、しかし、それにしても他用途政策というものに対しては重大な検討が必要だと私は考えている。したがって、農業団体、現場で一番苦労していらっしゃる市町村、自治体、これらの皆さんあるいは農家の皆さんとも謙虚に話し合って他用途問題には今後取り組む、この姿勢がなければ私はだめだと考えている。どうですか。
  159. 松浦道夫

    松浦政府委員 基本的な考え方につきましては先ほど御答弁をいたしたとおりでございますが、この問題につきましてはやはり第一線で御苦労なすっている農業団体あるいは市町村の方々、こういう方々の御意見というものは十分に聞いてみなければいかぬというふうに思っております。
  160. 串原義直

    ○串原委員 時間が参りましたから、私は、最後に食糧庁長官とそれから大臣に伺いたいわけでありますけれども、今日の事態に至った、大臣はさっき遺憾だという表現をされましたが、今日の事態に至ったのは行政責任が非常に大きいと考えている。食糧庁長官、あなたの行政責任をどう考えていらっしゃるか、ひとつ御答弁願いた。その責任の中に、食糧管理政策のあり方、これは今ちょっと急いで触れましたけれども、水田転作のあり方だけではないわけです。食糧管理政策全体のあり方についていま一度考えるという姿勢も含めて責任というものが存在するはずだと私は考えている。この食糧管理政策に対する基本的な姿勢、この問題を含めて、あなたは責任問題についてどう考えているか、御答弁願いたい。
  161. 松浦道夫

    松浦政府委員 今回、五十三年産米の問題、これに起因した加工原材料用の手当ての問題、こういった一連の問題によりまして国民の皆様に不安と混乱が生じましたことにつきましては、私は心から申しわけないというふうに思っております。私のただいま念頭にございますことは、やはり国民食糧というものを預かりまして、これを安定的に供給していくということのためにはどうしたらいいかということの責任を果たしていくということが私にとって今一番重要であるというふうに考えている次第でございます。それ以上のことは、私としては現在申し上げる立場にございませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。
  162. 串原義直

    ○串原委員 大臣、最後の質問になろうかと思うけれども、この政治責任はまことに大きい。大臣には大変だけれども、その責任を持ってもらわなければならぬ、こう考えているのです。先ほど大臣は、私の責任において処置するというふうに表現された。この私の責任において処置するということは、一体具体的にどういうことなのか、最終段階で御答弁を願いたいわけです。  そこで、重要なことは、安上がり食管会計、金を使わない農政を進めてきた、つまり財政主導型農政の責任が今日たまってしまった、こういう事態になった。間違いなくそういうことは言える。財政主導型の農政だけではうまくない、これを理解しながら今後農政を運営しなければならぬと考えておりますだけに、この立場も踏まえまして、もう一度、大臣、あなたの責任の立場と信念をひとつ披瀝していただきたい。
  163. 山村勝美

    山村国務大臣 私の責任のあり方は、国民食糧を安定的に供給するという一番大きな責任がございます。そして、先ほど申し述べましたように、本年度の作況を見た上で、第三期対策、これらに対して弾力的に対応してまいりたいということも申し上げました。私といたしましては、今回のこの問題の最終的な責任は私にありまして、すべての問題につきまして私の責任において処理してまいりたい、そういうぐあいに考えます。
  164. 串原義直

    ○串原委員 ちょっと時間が一分ばかり過ぎましたが、御勘弁ください。  財政主導型農政ではだめなんですよ、大臣。ここにも腹を据えなければならぬ時期がいよいよ大臣立場に来た。これも大きな責任なんだ、あなた。どうです。
  165. 山村勝美

    山村国務大臣 先ほど申し上げましたように、国民に安定的に食糧供給するということから考えまして、本年度の作況を見た上で、減反政策等も弾力的にこれを運用していくということでおわかりいただきたいと思います。
  166. 串原義直

    ○串原委員 終わります。
  167. 阿部文男

    阿部委員長 日野市朗君。
  168. 日野市朗

    ○日野委員 先ほどから輸入問題についていろいろやりとりがありまして、その輸入のための交渉の中身などというものについてはずっとお話しになっておられないわけですが、何か近々中に決まるというようなお話ですね。  私、どうもそのやりとりを聞いていて非常に白々しく思えてしょうがない。大体、きょうの三時ごろには十三、四万トンという枠で決まるのでしょう。どうです。
  169. 松浦道夫

    松浦政府委員 私、その点については知りません。
  170. 日野市朗

    ○日野委員 大臣はどうですか。
  171. 山村勝美

    山村国務大臣 長官が知らないのを、私、知るわけございません。
  172. 日野市朗

    ○日野委員 近々中という言葉の中身にはいろいろな内容があるわけでありますが、私のところにもたらされている情報によれば、大体きょうの三時ごろであろう。そういうことになれば、今さら交渉を打ち切れとか韓国にわびを入れて代表団を引き揚げさせろとかという議論はもうむだでありましょう。そういう指示を出される手続に要する時間も、もうないでありましょう。農水省としては、ここで既成事実を一つ積み上げられたわけであります。随分既成事実をどんどん先行させて、そしていろいろな意見というものは結果的には踏みにじられてきたということになると思います。我々は、できれば輸入というのはさせたくないと思ってきた。すべきでもないと思ってきた。だから、私に言わせていただければ、暴挙と言ってもいいだろうし、愚挙と言ってもいいと思うのですが、何とかこれをやめさせたいと思ったのでありますが、もうその時間的余裕もないということになれば、これから我々の対応の仕方は、後は政治的な責任を追及する。大臣よろしいですか。それから食糧庁の行政上の責任を追及していく。覚悟はよろしいな。
  173. 山村勝美

    山村国務大臣 今回の問題につきましての最終的な責任、これは私におきまして処理いたすつもりでございます。
  174. 日野市朗

    ○日野委員 長官、いかがですか。
  175. 松浦道夫

    松浦政府委員 私の責任の問題については、先ほどから御答弁申し上げておる次第でございます。
  176. 日野市朗

    ○日野委員 先ほどから同僚委員が何回も何回も質問に当たって語うているように、ここに私が持ってきているのは当委員会及び予算委員会また本会議におけるこれに関連する答弁の議事録であります。こんなにありますよ。しかも、その関連部分をコピーしたものだけでこれだけある。答えの内容は判こで押したように同じであります。米の需給についてはどうぞ御心配くださいますな。ある人なんかは、農水大臣、あなたじゃないですけれども、別の農水大臣から、そんなことを心配するのは少し頭がおかしいのじゃないかというような言われ方さえしているのですね。米の需給は心配ございません、米を輸入するなどということは金輪際いたしません、皆さんこうおっしゃる。ところが、残念ながら米が入ってくることになるわけでございますね。  私は、輸入という言葉は、要するに対価があるかどうかということと関係なく、日本に米を持ち込む、それが輸入だと思うのですよ。特に、この問題について今まで何度も何度も質疑が行われた、その質疑を行った根底にあった考え方は何であったかと言えば、日本でこんなに米の生産を抑えて、米の生産力を低下させて、そうやって生産者も苦労をしているのに外国から米が入ってくる、この矛盾をついたものだったのですね。国語の辞書を調べれば、輸入という言葉は商売に大いに関係しておりまして、金のやりとりとかそういうことがございますけれども、少なくとも当委員会で米の問題について輸入という言葉が使われた場合は、対価の有無を問わず、外国の米が入ってくる、そのことについての懸念から皆さんこのことを問題にしたのではなかったか、私はこう思います。どのような御認識ですか。
  177. 松浦道夫

    松浦政府委員 韓国からお米が日本国内に持ち込まれるという事実に着目いたしますれば、これは確かに輸入ではないかという御議論が成り立つというふうに思いますけれども、しかし、これは一般の輸入であるかどうかということになりますると、やはり性格は違っておると思います。と申しますのは、我が国貸し付けたお米、これはもともと我が国生産者がおつくりになったお米を貸し付けたわけでございます。そのお米が消費貸借契約に基づいて韓国から返還されるということでございますから、単に外国から物を買い入れるという通常一般の輸入とは質的には異なっているというふうに考えておるわけでございます。
  178. 日野市朗

    ○日野委員 これはいささか水かけ論みたいになるので、実は避けようかと思ったのでありますけれども、私はちょっとそう言われると避けるわけにもいかないので、もう少ししつこく物を言いますが、現に貸付総量があって、既返還分十一万トン、これは三カ年にわたって金で受け取っているわけでございましょう。しかも「韓国に対する貸付米について」という、先ほど串原委員からも話が出た契約書の中のエッセンスを抜き取った文書をお出しになりましたね。私も持っておりますが、その中には「当分の間金銭により償還することを合意した。」このような記載がございますね。少なくともこれは三十年のオーダーで話が進んでいるときに、「当分の間」と言えばそれは一年や二年、二年や三年の間ではないと思うのです。当初はどういうつもりでこの「当分の間」という言葉を使われたのですか。
  179. 松浦道夫

    松浦政府委員 この現金に変えました時点の考え方につきましては、最初、昭和四十四年、四十五年にお米を向こうに貸しました際に、我が方はお米が余っていて向こうが足らない、こういう事情のもとに貸し付けを行ったわけでございますが、昭和五十五年になりまして、今度は向こうの方はお米を現物の形で返そうと思ってもお米がない、したがってお金で返させてほしい。我が方はそのときにお米が過剰で、現物で返してもらってはこちらの方も都合が悪いということがございましたから、これを現金という形に変えた。したがいまして、「当分の間」と申しますのは何年間であるかということは私どもわからないわけでございますが、恐らくその意味は、事情が変わるならばまたその合意によって返済の形態が変わってくるということを意味していたんだというふうに私は思うわけでございます。
  180. 日野市朗

    ○日野委員 これをつくられたころは長官はその任になかったわけでありまして、その間の詳しい事情を根振り葉掘り聞くということも、これはお気の毒なことはよくわかりますが、少なくともこれは韓国にとっては有利な取り決めであったことは間違いな。何しろ金銭で償還をするということになりますと、国際価格で、韓国の米は現在国際価格よりは高いというふうに聞いておりますが、その高い米を韓国は安い金で払えば済んだものを、今度は米、現物で返すということになれば、これは韓国の資産の減ということになります。韓国内でもこれは随分議論があったようでございますね。幸いにして韓国でも、日本には世話になったという考え方から、これに応ずるように当局者が決意をされたということは私も聞いております。この点は韓国に対してお礼をしなければならない、非常に感謝しなければならない処置である、そういうふうに考えてくれているということを感謝しなければならないだろうと私も考えるところですけれども、どのような形であれ韓国から米で償還をしてもらう。しかも、あなたの方からは大体どの程度の数量ということははっきりわかりませんけれども、私の方に入ってきたのでは大体十三万トンから十四万トン、こういうふうなニュースがもたらされておりますが、それだけの米を韓国から日本に持ってくるという事実、これは輸入であるというふうにお認めになりませんか。国語の辞典に載っかつている輸入という一般論とは言葉が違うのですな、我々がこの米問題について輸入という言葉を使う場合は。つまり、先ほども言いましたが、日本の米が生産力を落としながら外国から持ってくるというその現象自体に目を向ければ、これはもう対価があるとかないとか、そういうことの問題なしに、外国から入ってくるというその生の事実そのものが問題とされてきたというふうにお考えになりませんか。
  181. 松浦道夫

    松浦政府委員 対価を伴うか伴わないかにかかわらず、外国から米が入ってくるということに着目して、これを輸入であるとおっしゃられるお立場だろうと思います。ただ、これは一種の消費貸借に基づきまして、それで先方にお貸ししたお米が返ってくるということてございますから、これはもともと我が国農民がつくったお米を向こうにお貸しして、それが返ってくるわけでありまして、しかも先ほど申しましたように、食管特別会計の資産として計上しているものを向こうから返していただく、こういうことでございまして、そういう角度から見れば、通常の輸入とは違ったお米の入り方である。そこで私どもとしては、これは韓国からの返済お願いしているということで申し上げている次第でございます。
  182. 日野市朗

    ○日野委員 私は、輸入という言葉を貸したものの返済に置きかえたということがどうも責任逃れのにおいがしていかぬのですよ。要するに米が外国から入ってくる、外米が入ってくる、この事実をとらえてみるならば、今まで国会で皆さんが輸入はしませんと言ってきたこと、これは事実に反することを言ってきた、こういうふうに受け取らざるを得ないので、その点で私は責任を追及していきたいと思うのですが、それにしても、農水省サイドも最初のうちはこれを輸入だと思っていたのじゃありませんか。  ここに昭和五十九年五月二十八日付「外米輸入についての農林水産省見解」というものがございますね。ちょっと読んでみましょう。「一部新聞等において、最近の米の需給事情等にかんがみ、農水省で主食向けの外米輸入を緊急に行う方向で具体的検討が始められている旨の報道がなされているが、この問題についての農水省・食糧庁立場は次のとおりであり、関係方面、特に農家の指導的立場にある農業団体の冷静な判断・対応をお願いした。」として、以下ずっと書いてあるわけですが、こういう文書をお出しになったことがあるでしょう、輸入だとして。
  183. 松浦道夫

    松浦政府委員 これは、こういうことだと思います。「一部新聞等において、最近の米の需給事情等にかんがみ、農水省で主食向けの外米輸入を緊急に行う方向で具体的検討が始められている旨の報道がなされているが、」ということでございます。
  184. 日野市朗

    ○日野委員 タイトが「外米輸入にについての農林水産省見解」なのですよね。どうですか。
  185. 松浦道夫

    松浦政府委員 表題のない紙でございます。
  186. 日野市朗

    ○日野委員 どうも責任追及というのは私本当は余り好きではありませんで、余りここのところに深入りしたくないような感じがしますが、これからもこのことはやっていきますよ。  それでは今度は、政治的な決断をするに至ったが、僕らみんな外米輸入は反対だと言い続けてきたことは皆さんの方が私なんかよりも百も承知で、痛いほど身にしみておわかりになっていたはずであります。外米輸入したら大変なことになるだろう、こうお思いにならなかったわけではございますまい。外米輸入、私も輸入という言葉を使わしてもらいますが、この外米輸入に至るまでの考え方、先ほどから出ておりますが、また私もちょっと聞いておきた。  まず主食用について聞きましょう。皆さんはこれは加工原料用でございますと言っておりますが、主食用について聞きましょう。  主食用の米は足りなかったのか、足りなくなかったのか。五十八年産の米の生産量というのは一千三十七万トンでございますね。もちろんこれは昨米穀年度の間の早食いも含めた量でございますな。そして、集荷予定七百二十万トンであったにもかかわらず、実際は六百九十七万トンしか集荷できなかった。それで五十三年古米を十万トンから十五万トン、これを主食用として計画に組み入れましたね。十万トンから十五万トンというものを組み入れた。そして需要は大体六百六十万トン見込みました。しかし、どうやらこれは今のところ食い込みがかなり激しいようですね。ふだんの年より、この計画より食い込んでいる。昨年の実績は実は六百八十三万トンであった。それをこけは六百六十万トンに抑えたわけですね。実は、不景気なときは米の需要というのは少し上がるようです。そういう傾向があるのだ。これは大体指摘されておりますし、農業白書にもそう書いてありますね。何でこのような六百六十万トンという数字を計画にのせたのか、私もちょっと疑問に思っているのです。私の推測では六百八十万トンぐらいまでは需要が伸びていくだろう、大体そんなふうに私想像しているのですが、今挙げた数字について反論があったら反論してください。
  187. 松浦道夫

    松浦政府委員 ただいま先生の申されました集荷の方でございますが、この点につきましては確かに七百二十万トンという集荷の計画を組みまして通年集荷に努力はいたしておりますけれでも、六百九十六万トンであるということは事実でございます。それから需要につきましては六百六十万トンというふうに見込みましたが、十一ー二月の実績、まだ三ー六月の実績も出ておりませんので、その辺のところがはっきりいたしませんけれども、六百六十万トンよりは多くなるだろうというように私も考えます。ただ、先生おっしゃいますように六百八十万トンまでいくかどうかはわかりません。六百六十万トンよりは多くなるだろうというふうに考えます。
  188. 日野市朗

    ○日野委員 この需要見通しですが、やはり米不足だということでずっと世の中にこういう傾向が広まっていくと、需要が伸びざるを得ないという要因は読み込まなければいかぬと思うのですが、どうですか。
  189. 松浦道夫

    松浦政府委員 私もその点が非常に怖いわけでございます。しかしながら、私どもはお米の需給には万全を期してまいりますということを国民の皆さんにきちんと訴えておりますし、また同時に、お米が時期的にあるいは場所的に偏在しないように、また真の需要に見合った形で供給がなされるように計画を組み、売却をしておるという状況でございますので、このような努力を積み重ねていくことによりまして、ただいま先生がおっしゃられるような事態が生じないようにしていきたいと考えております。
  190. 日野市朗

    ○日野委員 既に集荷の段階で二十三万トンの不足が出ておりますね。それから需要の方も、六百六十万トンを見込んだのがこれよりは上回るという数字がもう既にして出ておりますね。これを見ると、主食の方は大丈夫だ大丈夫だとおっしゃられるけれども、これも完全な赤信号がともっていると見る方が正しいのではないでしょうか。どうでしょう。
  191. 松浦道夫

    松浦政府委員 集荷及び需要の面でさような事態はございますが、先生十分に御案内のように、まさに端境期の操作が一番重要なことになってくるわけでございますけれども、九月の状態では百万トンの早場が出てまいりますし、十月になりますと四百万トン出てまいるわけでございます。したがいまして、このような早場米の操作を適切かつ円滑にやることによりまして、この問題には対処できるというふうに考えているわけでございます。
  192. 日野市朗

    ○日野委員 あなたのおっしゃることはよくわかるのですよ。よくわかるというのは、私の胸に完全にすとんと落ちるという意味ではなくて、何度も何度もそうおっしゃられるのだからよほど自信があるのだろう、そういう意味でわかると申し上げたのです。しかし、それにしても気になるのは、十万トンから十五万トン五十三年古米を計画に盛り込んでいるわけですけれども、これを盛り込まざるを得なかったところに私は大きな問題点を感じます。五十三年古米については、五十八年度で過剰処理をやっておりますね。五十八年で過剰処理は一応は終わり、二十五万トンを五十九年度の加工原料米に回したのでしょう。その段階では、既に二十五万トンは加工原料米として用途指定をしてあるわけですね。それがいつの間に主食米の方に変わってきたのですか。
  193. 松浦道夫

    松浦政府委員 五十八年度の過剰米処理につきましては、計画では確かに工業用、輸出用飼料用、それぞれ足しまして計百五十三万トンというふうに見込んだことは事実でございます。  ただ、実行の段階ではこれを変えることができるわけでございまして、実行段階におきましては工業用の一部は不要じゃないかというようなこともありましたし、また財政負担の大きい飼料用につきましてはできるだけ抑える方が財政面でもいいのではないかということから、過剰米処理の実行見込みを百三十五万トンということに変えたということでございます。
  194. 日野市朗

    ○日野委員 私は、特に気になってしょうがない点がございます。それは、五十三年古米の主食用に振り向けた十五万トン、十万トンから十五万トンと言っていたのが、五月末で既に十三万トンから十四万トンを消費したという異常な速さが私は気になってしょうがないのです。五十三年産米は、五十八年には十五万トンが主食用、五十八年もかなり足りなくなってきたということでこの程度主食に回っているのですが、五十七年には四万トン、五十六年には八万トン、こういうような状態です。それが五十九年になって一気に五月末で十三万トンから十四万トンという消費が出ているわけですが、この異常な速さは一体何に由来するのでしょう。
  195. 松浦道夫

    松浦政府委員 五十三年産米が五月末までに十三万五千トンほど出ておりますが、これは業務用ということで出しております。業務用の方はできるだけ安いお米が欲しいということでございますので、そういった需要が非常に強うございまして、それで出ていったものと思います。
  196. 日野市朗

    ○日野委員 私はいろいろな範囲で物事を考えてみて、悪意での考え方から善意での考え方いろいろできるのですが、その中でどうも臭いなと思う考え方が一つあるのです。五十三年産米について安全性についていろいろ問題が出てくる。東京都の衛試でも検査をやっている。そして食糧庁としても検査せざるを得ない。これはもう先に出してしまえ、そういう考え方はなかったですか。
  197. 松浦道夫

    松浦政府委員 それは全くありません。と申しますのは、十三万五千トンにまで達する過程をごらんになっていただければ、最後のところで急に急カーブで上がったということはございません。さような点で、そのようなことは行われなかったと私は思っております。
  198. 日野市朗

    ○日野委員 では、五十九年度の始まりから五月までの五十三年産米の出方がわかるような資料を後で出してくださ。時間が余りありませんから、今ここで出さなくても結構です。私、そんなに悪意で物を見るという方向には余り踏み込みたくないので、この程度にしておきたいと思います。  今度は、加工原材料の手当てについて伺いましょう。これも過剰処理がずっと進んできまして、五十九年は二十六万トンから二十七万トン消費が進んでおります。これの消費もえらく速く進んでいるという感じがいたしませんか。
  199. 松浦道夫

    松浦政府委員 私が知っている限りにおきまして、加工原材料は毎月大体二万トンぐらいずつ出ていくという形になっておりますけれども、これは特にテンポが変わっているわけでございません。その月その月の事情に応じて出しておりまして、これもさほど各月間の違いはないというふうに私は承知いたしております。
  200. 日野市朗

    ○日野委員 各月間をおっしゃいましたけれども、五十七年は二万トンでしたね。五十八年は二十万トンでしたね。ーいや、そうなんですよ、後でお調べになればよくおわかりいただけると思いますが…。それが五十九年になって、この五月までの間に二十六万トンから二十七万トンというオーダーで出ておりますから、これはかなり速いと言わざるを得ないだろうと思いますがね。いかがでしょう。
  201. 松浦道夫

    松浦政府委員 詳細については調べてみたいと思いますが、この加工原材料に出ていくお米の状態というのは、特定米穀その他いろいろ競合する原材料がございますから、さようなものとの関連で、あるいは速く出ているかもしれません。私の承知しているところでは、毎月毎月大体二万トンぐらいずつ出ているというふうに聞いております。
  202. 日野市朗

    ○日野委員 大体毎月の実績、今長官の方で二万トンとおっしゃいました。私どもの聞いているところでも、大体二万トンで押さえればほぼ間違いなかろうということでございますね。そうすると、五十三年産米について集荷量が八百七十九万トンございましたね。これは間違いありませんね。内訳は、マル政米が五百四十万トン、マル自で三百三十九万トン、このマル自は全部はけていますね。そして現在、この食用、酒米、過剰処理で五十八米穀年度の末で四百八十万トンを出しています。そして五十九年度に入って大体四十万トンが出ていますから、あと二十万トンぐらい五十三年産米が残るということになりますね。大体二十万トンと推定値をおっしゃっておられます。  ところで、二十万トンのうち、長官はあと七万トンぐらいはこれを主食用に回したいというようなお話をされたことはありませんか。
  203. 松浦道夫

    松浦政府委員 十ないし十五万トンを予定しておりますが、希望によってはそれ以上を出すことがあるかもしれませんという御答弁をしたことはあります。
  204. 日野市朗

    ○日野委員 そうおっしゃったというふうに私も仄聞をしておりまして、そうすると、この二十万トンというのをいまだに用途指定してないのですか。
  205. 松浦道夫

    松浦政府委員 ただいまの御質問は、恐らくこの問題が起こる前の状態ということで御質問だろうと思いますが、別に用途指定はしておりませんでした。
  206. 日野市朗

    ○日野委員 五十三年度の古米は、大分自由に融通無碍に使える、こういう形で今まで食糧庁はとっておかれたわけですね。ところがどっこい、そこに今度は厚生省検査による臭素残留ということが出てきたわけですね。これが使えなくなった。  これからは、念のために食糧庁が用意された五〇ppm以下であればこれは出してもいいという土俵でお話ししましょう。本当は私は疑問を持っています。五〇ppmというのは穀物全般にわたる国際基準でございまして、米ということではないのです。ところが、穀物全般ということになると大体小麦や何かが多いわけでして、小麦というのはパンにしたりなんかしますが、日本の米みたいに集中的に食わないのですよ。並んでいる料理の一品にすぎない一方、米の場合はそうじやありません。米中心に日本の食事というものは組み立てられている。だから、かなり集中的に食います。そうすると、この五〇ppmという国際基準が米についてそのまま妥当するのかどうかということについては、私自身非常な疑問があります。  しかし、この際は食糧庁が用意された土俵でお話をしましょう。あと二十万トン残ります。東京都の衛試でやった実験の結果で、大体五〇%が五〇ppmを超えるものであったろうと思います。厚生省食糧庁でやられた検査では、その数値はもっと低いものになりました。検体数にして幾らでしたか。五〇を超えたのは一検体でしたかね。いろいろ検査の方法や何かについては問いますまい。そういうオーダーだったと一応考えてみて、もう少しきつく見てもいいかもしれない。五〇ppm以上のものがもっと多いと思ってもいいかもしれない。  それで、今長官も言われたように、月大体二万トンのオーダーで出ていくということになりますね。そうすると、食糧庁の計算によりますと、二万トンですと、早場米が出てくる、それから米穀年度が終わるまでの時期をずっと見ますと、今六月で、もう七月になろうとしていますから七、八、九、十までですね。これだと、八万トン程度の加工原料米があれば間に合うということになりませんか。この計算、違いますか。
  207. 松浦道夫

    松浦政府委員 加工原材料米穀年度で区切っておりません。もっと長い状態で見ております。つまり、他用途米が実質的に使えるかどうか、そういう時期を見ながら考えておるわけでございます。
  208. 日野市朗

    ○日野委員 いや、たまたま私がここで米穀年度を使ったのは、何か新しい米の他用途米が出てくるということを念頭に置いて一応考えてみたわけですよ。そうしますと、あなたはさっきから主食用は間に合います、こう言っていた。私も早場米が出てくれば間に合うだろうと思うのですよ。それから他用途米が出てくればー出てくる時期、それまでの間の食いつなぎが要は問題だった。今の計算でいきますとこれは間に合うじゃないですか、主食用にしたって、加工原料米にしたって。
  209. 松浦道夫

    松浦政府委員 今後の需要の増大傾向も考えなければいけませんし、それから加工用途については、他用途利用米がいつどんな状態で出てくるかということがわからないわけでございますから、少なくとも加工原材料用の米につきましてそこを確保しておくということは何も不思議なことではないと思うわけでございます。
  210. 日野市朗

    ○日野委員 ちょっとわかりませんでしたね。他用途利用米がどのような形で出てくるかわからないというのは、ちょっとわからなかったです。もう一度今おっしゃったことを説明してください。
  211. 松浦道夫

    松浦政府委員 他用途利用米につきましては、現在計画を立てて各町村にもお願いをして実施をしているわけでございますが、それがいつの時期に、また実際にどの程度出てくるかということはよくわからない状況であるということを申し上げておったわけです。
  212. 日野市朗

    ○日野委員 まだ契約書は出てきておりませんでしょう。恐らく他用途利用米の契約書はまだ全部集まってないでしょう。しかし、相当の熱意で食糧庁は他用途米をやってくださいということで、お願いという名でかなり強制じみた方法をとってこれをやらしたわけであります。そして、契約書の作成はほぼ終わって、今農協あたりにとまっているか、各地の食糧事務所の方に上がっているかわかりませんが、ほぼ目標は達成されたものと見ていいでしょう。それがどのくらい出るかわからぬというのは、それこそこっちがちょっとびっくりするようなお答えになっちゃったのですが……。
  213. 松浦道夫

    松浦政府委員 いや、私、二つのことを申し上げたのでございます。  一つは、加工原材料用の需要は大体二万トンぐらいずつ出るだろうと申しておりますが、この需要そのものが今後どのように伸びるか、そこはまだ定かではないということもありますし、それに加えまして、他用途利用米につきましては、実際に利用できるのは制度発足の初年度でございますから、さような意味では主食用の出回りよりも相当おくれるということがあり得るのではないかということを考えたわけでございます。さようなことで、かなり未確定の状態を我々は想定しておかなければならぬということを申したわけでございます。
  214. 日野市朗

    ○日野委員 確かにこれは事業初年度でありますし、いい米をとってから他用途米に回そうかという心理が働いたりするかもしれません。しかし、それにしてもまだ二十万トンあって、そのうちの大体十万トンぐらいは、半分が五〇ppmの国際基準を上回ったとしても、半分は使える、そういう計算を立てれば、これは五カ月ぐらいはもつということは言えるのでしょう。私は実績二万トンということについて、長官にも何度も念も押しましたし、長官みずからも言われたし、大体実績二万トンというのは常識的なところと見ていいのでありましょう。ですから、私、こう言っているのです。  それで、他用途米なんかについて、これが出てくるのがおくれるというのは私もわかります。若干おくれぎみになるだろう。これを少し早める方法を何か考えられないですか。私は、例えば、かつて早出し奨励金というようなものがございましたね、早場米奨励金とも言ったりしておりましたが。あれはとつくの昔になくなりましたけれども、ああいったものを米の需給操作の必要上置いておくことも可能だというか、そういうことも有益なことだと思っているのです。しかも、あれは法律ではなくて政令でやれるわけですから、そういったものなんかも十分考えていいのではないか。それから、先ほどもちょっと出ておりましたが、規格外米、こういうものをできるだけ早く出してもらう、そしてこれを加工原料用に持っていくということも可能ではないでしょうか。
  215. 松浦道夫

    松浦政府委員 私、ちょっと前段の方から全部御説明したいと思います。  約二万トンずつ工業用は出してきた、それはコンスタントであったということを申しましたけれども、実は秋口から需要期に入るのです。それで、そのために二万五千トンペースくらいで出ていくことも、もちろん業界の希望としては出てくると思います。それに、先ほど申しましたように、他用途利用米についてはまだ制度発足の当初でございますから、果たしてどのくらい出てくるかわからないということもございます。そういう要素をいろいろ考えまして、しかも、今半分半分とおっしゃいますけれども、二十万トンのうち本当に半分であるかどうかもまだわからない、そういう状況でもございます。したがいまして、私先ほどから申しておりますように、実需者あるいは消費者に不安を与えないようにということを申してまいったわけでございます。  さような意味で、私も本当にきつい操作で、こういうところで御答弁を申し上げて、本当にゆとりのある状態をつくりたいというふうに思うわけでございます。さような意味で、加工原材料用につきましては、もちろん韓国事情もございますけれども、我が方としてはできるだけゆとりのある状態で、余り不安がないような形をつくりたいということを申しているわけでございます。  それからいま一つ、早出しの問題でございますが、これは、私、現在の段階ではそういう早出しの奨励金ということを考えておりません。これは一般の主食の問題にもなろうかと思いますが、さような問題について現在ここで御答弁できるような、そういう用意がございませんので、それはひとつお許しをいただきたいと思います。
  216. 日野市朗

    ○日野委員 私、今ここで一つの提案をしてみたわけです。もちろんこれは、早出し奨励金というようなものをつくれば財政的な措置が問題になりましょう。そうすれば、これはいろいろ大蔵省との関係なんかも出てまいります。  私がここで言いたいのは、もし皆さんの方から本当に米の需給がこうなってしまって苦しいんだと言われれば、みんなで知恵を出し合えるではないかということなんです。今私が言ったことというのは、考え方としてはまだ熟してはおりません。こういういろいろな案を出しながら、それを成熟したものに持っていって実行していく。それは関係者のみんなで知恵を出し合うことによって成り立つことなのでして、私は、こういう状態になったというのなら、それは率直に皆さんにお話をして、生産者にも消費者にも国会にも与党にも野党にも相談をして、ちゃんとやればよかったと思うのですね。そうすればこれほどの騒ぎにはならないで済んだであろうし、消費者にだって協力もお願いできるし、それから生産者にも協力をお願いできると思う。  ところが、どうも余り相談なすっておられないようですね。全然どこにも相談せず、自民党にだけ相談したらしいですから、この事態の責任は自民党は大きい、私はこう思っておるのですね。本当に相談なさらなかったというのはどうしてなんでしょうね。
  217. 松浦道夫

    松浦政府委員 私どもも、五月二十八日の五〇ppm以下に規制をしてほしいという厚生省の御結論が出まして、それでどう対応したらいいかということについて内部でも随分議論したわけでございます。そうなりそうな状態から議論したわけでございますが、どうしてもいい知恵がな。そこで、実は期日が非常に切迫してきてしまっておりまして、実際にお米が必要な時期に果たして韓国との交渉が全部妥結をしてお米を返済していただけるかどうかという見込みも立たないままでは、これはまさに供給の責任を果たし得ないということになるということから、実は私どもこの問題について決断をいたしまして、それでそういう対応で進もうということにいたしたわけでございます。  もう少しステップがあればよかったんじゃないかなという先生のお話、私もわからないではないわけでございますが、しかしながら、その対応につきまして、残念ながら時間的な余裕もなかったというのが実態でございます。
  218. 日野市朗

    ○日野委員 この問題が非常に大きな衝撃となって日本国じゅうを走り抜けたわけですね。あなた、おわかりになりますか。今まで減反をやってきて、今度は他用途米をやっている農家の人たちの雰気がどれほどのものであるかということ、おわかりになりますかな。
  219. 松浦道夫

    松浦政府委員 私のところにも大勢の農民の方がおいでになりました。地方公共団体の方もおいでになりましたし、農業団体の方もおいでになりました。私は、減反下において、今だけ言葉を使いますが、皆さんが輸入と受け取られた、そういうことがいかに大きな反響を呼んだかということについてはよく承知をしております。
  220. 日野市朗

    ○日野委員 私は、農家の側でことしあたりは余り保有米は持っていないと思いますよ。五十八年産米について集荷量が予定よりも二十三万トンも下回ったという事実は、これはやはり現実に米がなかったということを示しているのだと私は思いますね。それまでずっと不作が続いて、そしていろいろなものに対する払いもたまっている。そうすれば、早く金にかえて、そしてその払いを払いたいという農家の気持ちがあって、どんどん米には出したけれども、実際、不作等の影響で二十三万トンもの食い違いがそこに出てきた、こういうことだと思うのですが、そういう人たちすらが、もしこの輸入をとめるならば保有米でも出そうということを言った。こういう保有米まで出そうと言った農家の人たちの気持ちというものを思いやると、私も国会議員として禄をはんで、そしてこういう米の需給状態、どうやら臭いぞと思って随分調査もしました。しかし、こういう現実に外国から米が入ってくるという事態を食いとめることのできない我が身のもどかしさを今感じているわけですよ。  どうですか、大臣なんかは、そういう農家の人たちの心情を思いやったことがありますか。あなたはどうも消費、流通の過程におられる人のようだけれども生産者の苦しみ、みんな何としても外国から米を入れることのないようにということを懸命にやっておるのですよ。そういう心情を思いやったことがありますか。それを思いやってなおかつ、この輸入については、ゴーサインをあなたは出したのですか。
  221. 山村勝美

    山村国務大臣 今回の措置、これは本当に緊急、臨時的措置ということで、何としても安定供給を果たしていかなければならないという、その責任において真にやむを得ざるものということでやったものでございまして、ひとつよろしく御理解のほどをお顔いしたいと思います。
  222. 日野市朗

    ○日野委員 いや、御理解できないから聞いているのです。  私、さっきずっと私なりの試算をここでやってごらんに入れたわけですね。それは異論はおありかもしれませんよ。しかし、私なりの計算をしてやってみた。輸入が本当に必要だったのか、この疑問は私の今の念頭を去りません。しかも、輸入をするとしても、そんなに大量の輸入にはならないで済むであろう。今私がずっと計算してみたところによると、これは輸入しなくたって済みそうな感じがするのです。それにいろいろな努力を積み重ねていったならば、いろいろな人の衆知を集めて、例えば早場米奨励金みたいなのを出して、そして早場の他用途米を早く出してもらう。それから、早場の規格外米も早く出してもらう。それから、これは今通年集荷になっているわけですから、農家で保有米でも出してもいいというところがあるならばそれをも出してもらう。こういうことをやったならば、私はこれは輸入までいかないでやったと思う。私は、時間がなかったと言うけれども、なかったのは時間じゃなくて誠意ではなかったかと思うのですが、どうでしょう。
  223. 松浦道夫

    松浦政府委員 私どもも内部でいろいろ検討いたしたことは先ほども申したとおりでございまして、減反下のこういう事態についての農家のお気持ちということも私十分わかっておるわけでございますが、大臣がおっしゃっておられますように、供給の責任を果たさなければならないということもやはり一方でございます。果たして供給にショートを来さないかどうかということはやはり私の常に念頭を離れない状態でございまして、いろいろなお知恵があることを今承ったわけでございますが、私としては供給の責任を果たすためにこういう対応策をとらしていただきたいということで、先ほど大臣から申し上げたとおりの気持ちであるわけでございます。
  224. 日野市朗

    ○日野委員 私、この経過を見ておりまして、今に始まったことじゃないと思うのですよ、この米の不足基調になってきたということは。大臣は先ほどから、潜在的な生産力はまだまだあるんだ、こうおっしゃった。何をとらえて潜在的な生産力と言われるか、わかりません。ただ、いろいろな統計は出てくるでしょうけれども、人の心というのは統計にはのらないのですな。農民が、減反政策をやられて、そして米価を抑えられて、どのような心情で米づくりをやっているか。それから、いろいろな経済的な要因があって、とにかく生活するには金が要るからよそに行って働かなければならない。不本意ながらも米作の方の手が抜けてくる。そういうことは今に始まったことじゃない、ずっと前から続いてきていて、そういうものが日本の米作の生産性を阻害してきているというふうに私は思います。生産基盤としての農地だけの問題ではないと思うのですね。あなた、もし米の生産のポテンシャルがまだまだあるなどと思ったら、これは大した間違いになりますよ。そんな潜在的な能力は今や日本の米作にはありませんよ。私はそう思う。そして、そういう政策の積み重ねをやってきた責任、これも一つは重大な問題としてとらえなければならない。  それともう一つ、生産者であるとか農業関係の団体をなめていると私は思うのだな。もっと相談すべきですよ。相談されない、そここから納得も何も生れません。相談して、みんなで工夫し合って、そこから納得が生まれ、前向きに何とかしようという気持ちが生まれるものでございましょう。そうではありませんか。何でそこで手をお抜きなさったのですか、今回のこの決定をするについて。私は、大臣の農業に対する政治姿勢に非常に強い疑問を投げかけざるを得ないのですな。やはり農水大臣となったら農業を愛さなければいかぬですよ。農業に携わっている人たち、関係する人たち、それに対する愛情を持たなければだめですよ。私はあなたの政治姿勢にそれを感じないのだが、どうでしょう。
  225. 山村勝美

    山村国務大臣 農業、農業者に対する愛情はだれにも負けず持っているつもりでございます。
  226. 日野市朗

    ○日野委員 口で言うのは、だれでも言うと思うのですね。口でどんなふうに言おうと、私は信じないことにしているのです。その人がどうであるかによってその人が何を考えているかを私は見ることにしているのですわ。残念ながら、私はあなたの政治姿勢の中にそれを感じることができないのですね。考えてみれば、それはお気の毒な話ですわ。余り今まで農業関係で仕事をしてこられないで、こういう時期に大臣をなさったという点については私も同情を禁じ得ないのですが、時のその衝にある者は責任を負う、これは原則でございます。どうです、この問題について具体的にはどういうふうに責任をおとりになるつもりです。
  227. 山村勝美

    山村国務大臣 先ほどから申しておりますとおり、最終的な責任というのは私において処理すべきものと思います。当面、まず国民に対する食糧の安定供給ということで、これを完全なものにしていくというのが当面の私の責任であると思っております。
  228. 日野市朗

    ○日野委員 それはあなた、この時期でなくたってそうですよ。あなたが一生懸命やるということでなければ、これはますます大臣として不適格なんで、これはこの時期でなくたってたあなたは当然のことを当然のとおりに言っているだけで、こういう事態を迎えてのあなたの責任はいかがですか、具体的におっしゃっていただきたいというのが私の質問です。
  229. 山村勝美

    山村国務大臣 最終的には私の責任において処理いたします。
  230. 日野市朗

    ○日野委員 いやそれは値を必用されるということですか。この事態処理するということですか、それとも自分自身の去就について言っておられるのかな。
  231. 山村勝美

    山村国務大臣 いろいろな問題がございますが、とりあえずは事態の収拾をいたします。
  232. 日野市朗

    ○日野委員 それで終わりですか。
  233. 山村勝美

    山村国務大臣 あとは私の考えでございます。
  234. 日野市朗

    ○日野委員 終わります。
  235. 阿部文男

    阿部委員長 吉浦忠治君。
  236. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 昨日から理事会を開いて、このお米の問題で検討に入ろうとしているわけでありますけれども、重要な問題でありますので、総理の出席をいただいてこのお米の問題に入るということで、自民党の理事の方からその確約をいただいてこの委員会が開かれるという、今までの農林水産委員会にとって、私が国会に議席をいただいて初めてのこういう重要な大事な委員会でございまして、こういうふうになった原因というものをここで明確にしなければいけないのじゃないかというふうに思うわけでございます。  きょうは、時間の関係で私は党を代表して全般的なお尋ねをして、また総理には同僚の武田議員から責任等を含めまして追及をしてまいりたいし、また足りない分は、部分的に同僚議員から質問さしていただきたい、こう思うわけでございます。  先に、私は、米の需給見通しについてお尋ねをいたしたいのであります。  昭和五十五年以降、米は四年連続の不作というふうになっております。この問題が昭和五十九米穀年度の需給計画に支障を来しておりまして、五十八年度産米が千三十七万トン、これは計画数量を五十八万トンも下回ったことに起因しているわけであります。これは需給見通しの修正を迫られておりますし、供給面では五十三年産米を十万トンないしは十五万トンも繰り入れなければならない非常事態を生み出したことは、私が指摘するまでもないわけでございます。  我々は、かねがね、国民主食である米についてはゆとりのある需給計画を持つべきである、万一に備えて適正な備蓄を持つべきであると主張してまいったところであります。ところが、政府は、米は潜在的に過剰であるとして、単年度需給均衡の考え方に立って、我々の主張には耳をかさなかったわけでありまして、そればかりか、備蓄は金がかかるとばかり、一顧だにもしなかったと言っても差し支えないのじゃないか。冷ややかな態度を取り続けた政府、また今日米の需給が破綻した原因というものは、直接的には四年連続のこの天気のせいというふうに言われるでありましょうけれども、私は、政府の米政策に一貫したものがないのじゃないか、また財政等のしわ寄せかち、大きな欠落があったのではないかというふうに思うわけであります。  米の需給不安を一掃するためにも、減反政策のあり方等を見直さなければならないときに来ていると思うわけであります。また、米の完全自給体制を確立する、あるいは適正備蓄の確保等、米政策のあり方を再検討すべきではないかというふうに考えるわけであります。  まず政府の御見解を承って、具体的論議に入りたいと思うわけであります。
  237. 松浦道夫

    松浦政府委員 ただいま吉浦先生から、我が農林水産省がお米の需給というものをめぐりまして今までとってまいりました政策についてのお話がるるあったわけであります。  私ども、確かに現在五十八年産米一千三十七万トン、それに加えまして前年産米十万トン等をもちまして需給の操作をやっておりまして、先ほども申しましたように決してゆとりのある操作の状態ではないという状態で、今一生懸命やっておるという状況でございます。  その際に考えるべきことは、やはり基本的にお米を安定した供給体制に持っていくということが必要であるということを恐らく力説なさっておられるのだろうというふうに思うわけでございますが、まことにそのとおりであるというふうに私どもも考えておるわけてございまして、先ほども大臣答弁ございましたけれども、例えば第三期の対策の中におきましても、適正な在庫水準というものを百五十万トンのところまで持っていこうということで毎年四十五万トンの備蓄をする、在庫を積み増していくという計画も立てておるわけでございますが、さような政策をとりながらも、なおかつ四年連続の不作という中でこのようなゆとりのない操作の状態というものが生じてきているのだろうというふうに思うわけでございます。  そこで、先ほども大臣から御答弁がございましたように、減反の政策については今後の作況も見て、そこで弾力的な対応をしていくということもおっしゃっておられるわけでございまして、さような大臣の御発言も踏まえまして、今後より安定的なお米の供給体制をつくっていくということが非常に重要であると思いますし、また同時に、お米をつくっていただく農民の方々には、たくましい稲づくりの運動ということも大臣御提唱なさってみずから率先しておやりになっておるわけでございまして、さような政策の積み上げによって安定した供給を図り、そして需要に対応していくという体制をつくってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  238. 山村勝美

    山村国務大臣 今長官から概要を申し上げましたが、何にしても国民食糧を安定的に供給するというのが農林水産省としての一番大きな役目でございます。今後も、今先生おっしゃいました水田利用再編第三期対策等につきましても、本年度の作況を見た上で弾力的に考えてまいりたいというぐあいに思っております。
  239. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 農水省が四年連続の不作の原因というものをどういうふうにとらえていらっしゃるかをお尋ねいたしたいのですが、これは単に低温が続いたとか、あるいは気象現象が原因であるとかいうふうな問題だけでなくて、水管理の問題あるいは浅耕化の問題、地力の低下等いろいろなことが言われているわけでありますけれども、問題は人の問題ではないかというふうに私は考えているのです。  今の農政に農民を指導するだけのものがあるのかどうか。言いかえれば、米づくりに希望があるのかどうか。食糧庁等が米づくりに対する意欲がなくなっているのではないか、それだけの農政がもう展開できなくなっているのではないか、それが遠因になってこの四年連続の不作等になっているのではないかというふうに私は思うのです。どういうふうにお考えですか。
  240. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 先生の御指摘のとおり、最近四年ほど米につきまして不作の状況が出ておるわけでございますが、その基本的な要因といたしまして、先生お話ございましたように冷害等の異常気象があるわけでございますが、これを助長する要因といたしまして、御指摘のございましたような稲作の担い手になります農家の主体的な条件の変化というものが助長要因になろうかと思っておるわけでございます。これに対処いたしまして、私ども稲作の基本技術、品種の選定でありますとか苗づくり等々の基本技術の励行を徹底すべく指導をしておるわけでございますが、御承知のとおり、昨年来、そういった不良条件を克服できるようなたくましい稲づくりを目指しました新稲作運動を関係団体等々と進めておるところでございまして、今後とも稲作の生産力の強化には努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  241. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 今までの午前中からの論議を聞いておりましても、農民の皆さんも傍聴席にもお見えのようでございますが、農水省、食糧庁に的確な回答がない、また将来に対する見通しがないという点で恐らく慨嘆なさっているのじゃないか、いわゆる国民の率直な声はそうじゃないかというふうに私は感ずるわけです。したがいまして、この問題を契機に、今日本の農政問題を当局が根本的に洗い直すときが来ているのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。対処をしていただきた。  まず、食糧庁長官にお尋ねをいたしますけれども、米の需給について当委員会で私はしばしば不安はないかというふうにお尋ねをいたしましたが、長官は自信に満ちた答弁をしてこられたと思います。私どもは、長官の答弁は別としても、いわゆる次年度への持ち越しが十万トンしかないという事実、しかもこれは五十三年産米を繰り入れてということでありまして、米不足はもう現実のものとなっている、これで大丈夫か大丈夫かと念を押してきたところでありますけれども、このような観点から、私は本年の三月十六日には東京の政府食糧倉庫実態調査をいたしました。また、今月の十三日には大阪の政府食糧倉庫を中心に実態調査を行いました。その都度政府は、絶対米が不足のようなことはない、どこへ行っても言っております。私どもはその言葉を信頼してまいったのでありますけれども、ところが今日の需給不安を見ますと、政府はその実態を隠してきたのではないかという疑いを私は持つのです。机上の計算はともかく、本当に米需給は大丈夫なのかどうか、改めて国民の前にはっきりしていただきた。
  242. 松浦道夫

    松浦政府委員 私は、主食用のお米につきましては、その需給状態につきましてこの委員会でも再三御答弁申し上げてまいったわけでございます。その内容は、決して私、ゆとりのある操作ができる状態だというようなことを申し上げたことは一度もなかったと思います。前年からの持ち越し十万トン、それに一千三十七万トンの五十八年の産米、それに十ないし十五万トンの五十三年の産米というものを加えまして、これによってきめの細かな需給の操作をしながら、その中で私どもとしては国民食糧の不安を生じないように十分に考えてまいります、そうすれば御心配は要りませんということを申し上げてまいったわけでございまして、決して私、ゆとりのある操作をやっておるなんていうことを申したことはございません。  現実におきましても、先ほどから御答弁申し上げておりますように、集荷の面ではまだ二十四万トンほどの未達の分がございますし、また同時に、需要の面におきましても、六百六十万トンを若干上回るかもしれないということを申し上げておるわけでございます。しかしながら、私が強調いたしたいことは、九月に百万トンぐらいのお米が現実に早場として出てまいりますし、また十月末には四百万トンのお米が出てまいるわけでございます。これを十分に集荷し、そしてまたこれをきちんと売却のルートに乗せていくということをやりますならば、お米の操作につきまして問題が生ずることはないであろうということを申し上げておるわけでございまして、その点はひとつ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  243. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 私が指摘をしたいのは、現在五十九年度のこの米穀年度において、現時点で在庫はどれだけあるのか明確にお答えをいただきた。そして、端境期の八月だ九月だ、あるいは十月だということを心配しなくても安心できるようなことを国民の前に示していただかなければならな。これが第一点。  もう一点は、今同僚の議員の先生方からも質問がございましたが、私も実態を調べてみますと、今小売店にはほとんど標準米はありません。ないのです。幾ら要求しても標準米はほとんどない。三類等がやっと入っているかどうか。だんだん格上げして今度は自主流通米だけしかないという現状でありまして、国民の要求にこたえられない現状になぜしてしまったのか。どこでどうなっているのか。机上の計算では絶対に不安はないとおっしゃっておりますけれども、長官、今小売店に行ってごらんなさ。標準米がないというのですよ。要求しても来ないというのです。現実を知っていますか。どうです。
  244. 松浦道夫

    松浦政府委員 まず、在庫の面からお話をいたしますが、我々マル政、マル自両方を通じた在庫水準として確実に把握しておりますものは、三月末の在庫水準でございます。マル政プラスマル自で三百十万トンぐらい持っていたということでございます。これから毎月毎月の消費量を勘案いたしまして、それに九月に百万トン、十月に四百万トンという早場が出てまいりますれば、それとつなげていけば需給の操作には問題がないということを申し上げておるのです。これが一つ。  それから第二は、標準価格米でございますが、私どもは標準価格米、つまり三ー五類のお米というのがかなりマル自に比べてその供給量が少ないのではないかということは知っております。何ゆえならば、一番もとは北海道の五類が去年不作だったということで、この面におきまして比較的価格の安いお米、これが需給の度合いから申しまして逼迫感があるということは、そう思います。ただ、標準価格米を供給できるような体制はきちんとつくって売却をしているつもりでございまして、さような標準価格米がないとおっしゃられるようでございましたならば、私どもは当然指導いたしましてさようなことがないようにいたしたいというふうに思う次第でございます。
  245. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 大臣もお米の集荷の方に関係があって、しかもそれを今まで奥様などにやらせていらっしゃるそうでございますけれども、そういう実態は当然大臣も御存じだろうというふうに思うわけでございます。  私も大阪で調査をいたしました。社会党の先生も私の調査の前にお見えになっておりました。そこで私疑問に思いまして、国民の皆様が不安に感じられるような御質問はしたくないのでございますけれども、そのときに卸売業者等に率直に話を聞いてみました。現在米が、普通二十日分なのがもう十五日分ぐらいになってきていて、まただんだん少なくなってきているということを言っておりました。大阪の方々は大変そういういろいろなものに敏感でございまして、あのちょうどパニックが起きました紙の不足のときに、トイレットペーパー等が一番先になくなったのが大阪でございましたから、その点をそっと小さな声でお尋ねをいたしました。マイクを通しておりますから余り小さくもない、大きな声になりますけれども、不思議と国民の皆様は今動揺をしていらっしゃらないという状態でございます。  私は時代は変わったな、本当に日本の国は幸せだなと思うぐらいで、私どもはそれにおこたえしなければならない立場で今この論議をしているわけであります。だからこそ私は真剣に今論議しなければいかぬときだ、このように思うのです。これが大変なパニック状態にしてしまってから手を打ったのでは遅いのです。そういう点では、長官、大臣も責任を感じてこの論議をしていかなければいかぬのじゃないか、こういうふうに思うのです。大臣、決意のほどを。
  246. 山村勝美

    山村国務大臣 今回の五三米に端を発しました諸問題につきまして、関係の団体、そしてまた国民の皆様にいろいろ御心配、御不安をおかけいたしました。まことに遺憾でございます。しかし、この問題につきましては、最終的に私の責任において処理いたすというつもりでこれをやってまいります。
  247. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 五十三年産米臭素汚染についてお尋ねをいたしたいのですが、昭和五十三年産米主食用への繰り入れについては、既に数回にわたって論議をされましたが、臭化メチルによる薫蒸がなされ、その残留性が問題視されているところでありますが、五月二十八日、厚生省はその検査結果を発表するとともに、残留臭素が五〇ppm以上のものについては出荷停止を申し入れてきた、こう言われているわけであります。この検査は三十数体の検出検査だ、こういうふうに説明されておりますが、これらの検査結果から見て、現在在庫二十万トンのうち五〇ppm以上の汚染米がどれくらい出るというふうに予測しておられるのか、この点を先にお伺いをいたした。  なお、この残留臭素五〇ppmは、穀物について定められた国際規格だというふうにされているわけでありますけれども、米を常食とする日本人の場合はもう少し安全値を低く見る必要があるのじゃないかというふうに考えるわけであります。これは疑問の残る点でありますけれども、この点、厚生省、どのようにお考えなのかどうか、お尋ねをいたしたい。
  248. 松浦道夫

    松浦政府委員 まず、五〇ppm以上のものがどのくらいあるかという推定でございますが、これは先ほど御答弁申し上げましたけれども、現在検査をしながら出荷をしているという状況でございます。したがいまして、まだ全体としてどのくらいのものが五〇ppm以上のものかということがはっきりつかめない段階でございますけれども、また同時にロットの大きさ等も大小さまざまでございますし、今の状況で既検査分が果たして全地域をうまく網羅して代表性のあるものであるかどうかということもわかりませんが、先ほども申しましたように、六月の十二日までに基準に適合するということで売却をいたしましたお米二万六千トンということについて見ますると、この二万六千トンを出します際に、全体の検査対象といたしましたお米に対しましてこの二万六千トンが約半分だったということが実態でございます。
  249. 市川正一

    ○市川説明員 今回の米に対する暫定基準でございますが、食品衛生調査会残留農薬部会におきまして、国際規格というものを参考としつつも日本人のお米の摂取量というものを十分に考慮に入れまして定められたものでございますので、このレベルであれば安全性は十分に確保されると判断されたものでございます。したがいまして、この基準で十分安全性は確保されるというふうに私ども考えておるところでございます。
  250. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 長官、その在庫二十万トンのうちに五〇ppm以上の汚染米、先ほど日野議員からも質問がございましたけれども、危険性があるものを食糧庁はどうも無神経じゃないかなと私は思うのです。日野議員に対する答弁で、私、大変からくりがあるのじゃないかなと思うぐらい、どうも厚生省が発表なさった時点前後、かなりの五十三年産米を出しているのじゃないか。数字を見ればわかるわけですから、そういう危険があるくらい、どうも騒がれないうちにというふうな、まだ委員会が開かれないうちにというような感覚があるくらい、五十三年産米に対する依存度も高いし、またそういう処理の仕方があったんじゃないかという気がしてならない。明確な答弁、長官できますか。
  251. 松浦道夫

    松浦政府委員 私先ほど御答弁申し上げましたが、お米の安全性ということにつきましては、食糧庁といたしましても本当に念には念を入れて対応しなければならないという気持ちがいたしておるわけでございます。それは私はっきりと申し上げたいと思います。ただ、今お話がございましたようなことから、まさに五〇ppm以下という状態でお米を一層安全な状態で売るということにつきましても相当な苦しい状態が起こるということはわかっておりますが、しかしながら、それを受けてちゃんとそういう基準に従って売却をしようというように私どもは考えているわけでございます。ただ、先ほどおっしゃいましたように、こういう事態があったから急に五十三年産米をどんどん売ったというような事実は私全く承知しておりませんし、さようなことはないというふうに思っておるわけでございます。さようなことでひとつ御理解をいただきたいと思います。  あるいは先ほどの答弁の中で一つ誤ってお伝えいたしたかとも思いますが、二万六千トンのお米を売却した際に、その二万六千トンというのはそのときに検査したお米全体の約半分だということを申し上げたつもりでございますので、そのように御理解をいただきたいと思います。
  252. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 この五十三年産米は、主食用に予定したものの大部分は既に売却しているようでありますけれども、まだ民間在庫のものが相当あるように思われますが、私どもこの問題の起こったときに、政府の責任でこれらの米については早急に検査をしてその基準を超えるものは回収すべきであるというふうに政府に申し入れをいたしましたが、この対処方針はどうなっておりますか、お伺いをいたしたい。
  253. 松浦道夫

    松浦政府委員 この問題につきましては、先ほども答弁申し上げましたが、食品衛生調査会残留農薬部会報告におきまして、五十三年産米摂取が人の健康に影響を及ぼすとは考えられないけれども、より一層の安全性を確保するという観点から暫定基準を示して五〇ppm以下のものを政府売却にしてほしいということをおっしゃっておいでになりました。また、この部会審議経過におきましても、既に流通段階に出回ったものにつきましてはそこまで回収するような必要性はないというふうにされたと聞いておるわけでございます。  このような御意見あるいは厚生省の御要請、あるいは厚生省から各県知事に出されました通達につきましてもさような立場でございますので、私どもといたしましては、このように一層安全性を確保するという立場から政府売却については五〇ppm以下のものにいたしましたけれども、既に流通段階に流れておるものについては回収の必要性はないというふうに判断をして対処している次第でございます。
  254. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 この五十三年産米臭素の問題が出る前から、加工用として売却したものと同様に主食用に五十三年産米をどの程度混入して売却なさっていたのですか。
  255. 松浦道夫

    松浦政府委員 これは混米の状態をおっしゃっておられるのかなというふうに思うのでございますが、さようなことで御答弁を申し上げますと、これは業務用米に使っておったというふうに思うわけでございますが、その場合の混入率は普通一〇、高くても一五とか二〇というような混米率だったと思います。
  256. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 また、五月末現在で在庫数量がなお二十万トンあると言われておりますけれども、これらは早急に検査すべきだというふうに思いますけれども、その対処方針政府はどのようにお考えなのか。
  257. 松浦道夫

    松浦政府委員 五月二十八日の部会の御報告が出まして、その後厚生省から通達を直ちにいただきまして、六月以降の売却につきましては速やかにこれを検査し、そして五〇ppm以下のものだけを売るという態勢をとっておりまして、現在は全く五〇ppm以下のものだけが売られているという状態でございます。
  258. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 こういうふうに大変国民から心配されている五十三年産米については、この際きちっと政府の責任において処理なさって、あらゆることを、加工原料用にしたって何にしたって心配をかけないような対処の仕方を当初から備蓄等でできるような体制になぜしなかったか。私どもは、再三口が酸っぱくなるほど備蓄についての要求をしてきたわけです。これに頼らなければならないような、先ほどからゆとりはないけれども不安はないとおっしゃっているけれども、全く危ない綱渡りみたいなこの四年間じゃなかったかなという感じがするのです。今コンピューター時代ですから、幅広い中で倉庫が幾らあってどこにどれだけの米がどうなっているかということがすぐわかるような時代じゃなかったらおかしいでしょう。資料要求してもなかなか出てこないし、全国的なものを調べなさいと言ったってそれらの明確な答弁もできないような、何だか知らないけれども頼りにならないようなことではこれは申しわけないと思うわけです。食糧庁はもう少し積極的な取り組みをしていただきたい、私はこう思います。  次は韓国米の輸入問題についてお尋ねをいたしたいのですが、輸入なんという言葉を使いたくないのですけれども、これは問題でございますから輸入問題として取り扱わせていただきたいと思います。  昭和五十三年産米残留臭素があるということから、加工用処分を予定したものが相当数使用できないということで、政府はその穴埋めとして韓国貸し付けた米を現物返還してもらおうという交渉に乗り出しているようでありますが、米は絶対に輸入しません、こういう従来の方針を覆した政府の責任は許しがたいものであると思うわけでございます。特に生産者は減反政策を強制されているわけです。また、消費者に対しては米自給安全性も大丈夫と言って安心させておきながら今回の事態に至らしめたこと、あるいは輸入という安易な方法をとり、国民が欲する食糧自給力の向上、安全保障の確保ということに真っ向から反する選択を行った責任は重大である。大臣はどのような責任を負うつもりなのか。先ほどから御答弁をいただいておりますけれども、心情は私よくわかりますが、私はこの解決ほど大事なものはないと思うわけです。大臣の責任の所在を私ははっきりしていただきたいと思うのです。
  259. 山村勝美

    山村国務大臣 今回の五十三年産米安全性に関連いたしまして、従来から五十三年産米加工原材料用に必要な米穀の一部について、ただいまお話のありましたとおり韓国からの現物返還ということを協議を行っておるところでございますが、これは国民の皆様に対して用途に応じた米穀を安定的に供給するという重要な職務を果たす上で真にやむを得なかったものでございまして、何とか御理解をいただきたいと思います。  しかし、それにいたしましても、特に主食であります米につきましては完全に国内自給するということが基本姿勢でもございますし、そして今後第三期対策等につきましても、本年の作況等を見た上で弾力的にこれに対応して、我が国食糧確保と安全保障の上からもこれを果たしていきたいと思っております。  しかし、今回のこの五十三年産米の責任の所在につきましては、これは最終的に私の責任におきまして処理いたしたいというぐあいに考えております。
  260. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 今回の農水省の措置に対して、各方面から反対が表明されております。我が党においても、五月三十一日に農水省に対して緊急申し入れを行ったところであります。  ここで非常に疑問となるのは、このような重大問題が起こったときに国会にも報告されずに、また生産者や農業団体とも協議をされずに決定されたという点であります。国内生産調整を行い、農民を困らせておきながら、足りないから以前貸したところから返してもらうという安易な、人を本当にばかにしたような理論になりはしないか、こう思うわけであります。  まず、この方針を返上して、農民あるいは農業団体とよく相談をして、そして、今からでも遅くないから、国内で対応できる方途を見出す努力をしてはどうかと思うわけでありますけれども、この点についてどうお考えでございますか。
  261. 松浦道夫

    松浦政府委員 先ほども申し上げましたように、何分にも事が急でございましたので、十分な御相談ができなかったわけでございますが、この事態が起こりましてから私ども一応農業団体あるいは町村会、市長会といったようなところにはいろいろと御説明もいたし、我々の立場、考え方についてもお話をいたしている状況でございます。  ただ、このような事態で緊急に対応しなければならない、またやむを得ざる措置として対応せざるを得ないということについては、私どもどうしてもそのような対応を迫られているということで、特に供給面での責任を果たしますためにはやむを得ない措置であるということで御理解をいただきたいという先ほどの大臣の御答弁でございまして、私も全く同じ気持ちでございます。
  262. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 国会は自民党の先生方ばかりじゃありませんで、与党、野党からできておる国会でありますから、片方に協議したから国会協議していただいたということは通らないわけであります。したがいまして、あなた方にも大きなミスがあるし、そういう協議の対象を誤った、こういう交渉の仕方に誤りがあったのじゃないかと私は指摘している。十分責任を感じてもらわなければならないと私は思う。  そこで、あなた方のこの方針に対して農民の方は本当に怒っている。宮城県では、抗議のために減反田に田植えが行われている。あなた方はこの農民にやめろと言えるのですか。どういうふうに答弁なさるのか。あなた方もミスがある。農民がこういう減反田に田植えしていることに対して、あなた方はやめろと言えるのですか。
  263. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま問題になっております韓国米の問題は、本米穀年度中におきますところの加工用原材料の問題というふうに承知いたしておるわけでございます。したがいまして、これから田植えをいたします分の米で間に合うという性格のものではないということは御理解いただけるというふうに思うわけでございます。また、全体的に眺めてみましても、昨年度あたりの稲作の総面積は、転作目標面積をこなしてなお余りあるぐらい転作の目標面積を上回って転作がされている状況でございます。したがいまして、私どもといたしましても、極力超過達成をなくするという意味での稲作の指導はいたしておるわけでございますから、県全体としてどのような稲作面積になりますか、そういうことを眺めてみないと、何とも申し上げられる段階ではないわけでございます。  宮城県の問題につきましては、県から事情を聞いております限りでは、これは他用途米に回すように指導をしておるというふうな状況でございますから、田植えそのものについて特に問題というふうには考えてないわけでございますが、いずれにしましても、詳しい転作の状況などが判明いたしました上でその対策を考えたいと思っております。
  264. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 食糧庁長官に答えてもらいたいね。
  265. 松浦道夫

    松浦政府委員 農蚕園芸局長答弁のとおりでございます。
  266. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 この他用途利用米等についても詰めてみなければならないと私は思いますけれども、良質米をつくっていて他用途利用米に持っていくということもできないだろうし、他用途利用米を奨励する場合には他用途利用米らしいものを奨励しなければ意味がない、こういうふうに思うのです。ですから、そういう点で、どれを当てはめるかということも、先ほどの同僚議員の質問に対してもまだ明確じゃないわけですから、もう少しその点を詰めていただかなければならないと思うのです。  私は、食糧の安全保障の確保という見地から、現在足りないから、不安定になってきたからといって安易に輸入に頼る策というものはとるべきじゃないというふうに思う。同僚議員の質問のとおりでございまして、今農水省が担当官を韓国に派遣して、今ごろ決まっているんじゃないかというような折衝の経過を先ほど要求されたわけでありますが、どのような状況になっているとお考えでございますか。現時点で結構でございます、お答えをいただきたい。
  267. 松浦道夫

    松浦政府委員 先ほどもう決まっているんではないかというお話がございましたが、私ここに座っておりますけれども、全然まだその報告は受けておりません。ただ、韓国側の誠意ある検討もございますので、近々この問題については最終的な妥結ができるという見込みでございまして、さようなことで現状は進行しているものというふうに考えている次第でございます。
  268. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 農水省が韓国当局との交渉の中で、十万トンとも二十六万トンとも、こういうふうに言われているのですが、本当は何トン必要なのか、何万トン必要なのか、どういう交渉をなさっておられるのか、その辺を先にお尋ねいたしたい。
  269. 松浦道夫

    松浦政府委員 数量の問題につきましては、これは相手方もあり、交渉中のことでございますので、考え方だけを述べるということでお許しをいただきたいわけでございますけれども、私どもといたしましては、今回の加工原材料用不足のおそれという事態に対応いたしまして、これに備えるために需要者あるいは消費者に不安のないような量を確保することが私ども交渉の目標であるというふうに考えております。ただ、相手方のあることでございまして、向こう側の需給状態がどうなっているかということにもよるわけでございますから、さような状態を勘案いたしまして最終的な数量は決定いたしたいと思っている次第でございます。
  270. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 十万トンあるいは二十六万トン、どちらかわかりませんけれども、仮に十万トンを交渉で返してもらいたいということであれば、何を根拠に十万トンが出てきたのですか。
  271. 松浦道夫

    松浦政府委員 二十六万トンという数字も十万トンという数字も、それは報道上の数字であろうと思いまして、私どもはその数字については全く関知してないわけでございます。先ほど申し上げましたのが私の考えでございまして、さようなことで向こうと折衝しているということでございます。
  272. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 そうすると、韓国の米の在庫というのはどういうふうに長官は把握なさっているのですか。
  273. 松浦道夫

    松浦政府委員 韓国のお米の在庫につきましては、向こう側と話をいたします際に一番デリケートな点でございまして、いろいろな事情韓国なりにあるわけでございます。したがいまして、その内容につきましては私どもが言及するという立場にないわけでございますが、少なくとも最近の需給は昔に比べて韓国はかなり緩和してきているということだけは事実のようでございます。
  274. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 四十四年、四十五年両年にかけて韓国貸し付け数量とその金額とその経緯を、私は現在新聞発表等でわかりますけれども、それは現在どうなっておるのか、返したのが幾らでどうなっておるかという点を御説明いただきたい。
  275. 松浦道夫

    松浦政府委員 昭和四十四年、四十五年の両年に韓国へお米の貸し付けをいたしました数量は約六十三万トンでございます。これに対応する当時の価格は七百九億円であるということになっております。これは貸し付けの期間は十年据え置き、二十年返済ということで貸し付けをいたしまして、その後返還をいただきまして、現在未返還になっております量は五十二万トンでございます。なお、先ほど申しましたように、昭和五十五年に、先方がお米を現物で返すことができなくて我が方が現物で返していただくと困るという事情がございまして、当分の間現金で返していただいてもいいということで、そういう合意がございます。
  276. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 当分の間現金で返していいということは、日本の米がまだ大変過剰のときだから現金の方かいいということたったろうと科は思うのです。今度は日本の都合で、米が不足してきたものだから現物に切りかえるというふうな日本の勝手で、向こうの相手があるのにそういう交渉なんというのは国際信義の上からしてもなかなかできることではないけれども韓国は足りないときに日本が助けてくれたという恩義があるでしょうから、それにいい答えを出すべく努力をなさっているとは思いますが、日本の余り勝手過ぎる交渉じゃないか、端的に聞いただけでもそう思いますが、長官、どういうふうにお考えですか。
  277. 松浦道夫

    松浦政府委員 韓国の方々は、私どもの御要望申し上げたことにつきまして、かつて貸し付けを行ったこと、またその後延べ払いのお米をお貸ししたこと、全部で二百五十万トンからのお米を韓国が非常につらい事態のときに我が方はお貸しをしているという実情があるわけでございます。さようなことを踏まえまして、そのときの恩義は忘れないというお気持ちで、非常に誠意ある御検討をしてきていただいておるわけでございます。私どもも、単にお米を貸したから返せという交渉態度で臨んでいるわけではないわけでございまして、我が方のこのような緊急な事態に対応してひとつお米を返すということについての要望を受け入れてほしいということで先方に申し上げておるわけでございまして、決して身勝手な交渉態度で臨んでいるつもりはございません。
  278. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 韓国米の価格は国際価格の約三倍というふうにも言われるわけですが、韓国は現金からお米で我が国返還するというふうになると、二倍の出費になりはしないかということになるわけです。ですから、損になることは明白でありますから、本当に韓国が輸出に同意するかどうかということは大変心配をいたしますけれども交渉が難航しているのもその証拠ではないかという心配もいたすわけでありますが、その点はどういうふうにお考えなのか。
  279. 松浦道夫

    松浦政府委員 韓国側の財政上の問題については、確かにただいま先生が御指摘になりましたような点がございまして、さような意味で韓国側にもいろいろな難しい事情があったということは事実でございます。しかしながら、先ほど申しましたような我が国がお米を貸し付けたときの向こう側の感じた気持ちをもとにいたしまして、さような財政の問題を乗り越えて我が方に対してお米を返してくださるということについて今交渉をいたしておるわけでございまして、先ほど申しましたように非常に誠意を持って検討していただいておりまして、近々この交渉を妥結できるのじゃないかというふうな見込みを持っておるというふうに申し上げておるわけでございます。
  280. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 韓国アメリカからの加州米を相当数輸入しているというふうに聞いておるわけでありますが、その数量等も政府は把握なさっているのですか。
  281. 松浦道夫

    松浦政府委員 確かに、韓国が加州の米を輸入しているということは私どもも知ってはおります。ただし、その量が幾らかということは、私ども全然知りません。  と申しますのは、この契約にも明らかなように、韓国産をもって返済していただくということになっておりまして、また交渉も、韓国産をもって返済するということを交渉前提として目下やっているところでございまして、したがいまして、加州米が幾らあるかということは、私ども全く関心はございませんし、そのようなことを向こう側に問い合わせてもおりません。
  282. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 先ほど大臣答弁の中に、アメリカの代表このときにその米の需給についてひとり言みたいなことを言ったということなんですけれども、その本意は、アメリカはしめたと思っていると思うのです。これはお米の輸出ができるときが来た、いいチャンスを迎えたというので、内心、このときを絶対逃がすべきでないということをアメリカは感じていると私は思うのです。大臣はどういうふうに思われるか知りませんが、ひとり言というようなことは、このときを逃がしてはチャンスがないとほくそ笑んでおるときじゃないかと思うくらい、韓国米を輸入するということは短絡的にそれにつながるということは、長官も大臣も十分覚悟なさらなければならない点だと思うのです。  こういう点で、先ほどの大臣答弁と関連してお尋ねいたしたい。
  283. 山村勝美

    山村国務大臣 せんだって、アメリカの農務長官でありますブロックさんが農林水産省を表敬訪問の際に、アメリカでも米の供給はできますよというようなお話がございましたが、先ほど申しましたように、これはひとり言というようなぐあいで、別に答えも求めずにそういうような話でございまして、そのときは御返事はいたしませんでした。しかし、それから御夫妻をお招きしていろいろ懇談もいたしました中では、米の問題等、これは公式の話ではございませんが、我が国は米は絶対に輸入しませんよ、我が国の米は国内生産で完全に賄いますということを雑談等で話しておりますので、その点は、少なくとも日本へ米を輸出するという考えは向こうの方はないように考えてもよいのじゃないかと思います。雑談の中ではありましたが、日本では絶対輸入しませんということは私も再三申し上げております。
  284. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 我が国消費者は、加州米の安全性については少なからず不安を抱いていると思うのです。それは、農薬使用等の規制が我が国ほど厳しくないのです。したがって、加州米が仮に輸入される事態となった場合に、その責任は重大なことになる。長官は韓国米に限ってと限定をされたから私はそれを信じますけれども、その韓国米についてもどういう安全性を保証できるのかどうか、これについてもまだこれからの問題でしょう。現時点でどういうふうに韓国米についての安全性はお調べになっていらっしゃったのですか。
  285. 松浦道夫

    松浦政府委員 現在協議中でございますので、余り具体的なことは申し上げかねるわけでございますが、はっきり申し上げられますことは、これだけ五十三年産米安全性が問題となって、それに起因して生じた韓国からのお米の返済の問題でございますから、その返済されるお米につきましてはあくまでも問題が生じないように、そのチェックの方法等について先方の係官と我が方の係官が具体的に話をいたしております。この安全性については、間違いがないという状態返済が行われるようにいたしたいと思っております。
  286. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 そうすると、仮の話をして大変申しわけありませんが、その安全性を確認してから輸入するということなんですか。それとも、何カ月後には確実にそのことがわかるという証拠があるのですか。
  287. 松浦道夫

    松浦政府委員 確認してから我が国に持ってくるということでございます。
  288. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 時間がありませんので先に進めさせていただきますが、山形県の農協青年組織協議会では、あなた方の方針に反対して保有米の供出を呼びかける運動を始めるというふうにも言われているわけですが、今農水省が考えていると言われる十万トンであれば、全国の農家に呼びかけて約三十キロ程度でこのことは足りる、輸入せずに済むというふうにいくのではないかというふうに私は思うのですけれども、農水省はこういう点も検討したかどうか。あらゆる手だてをと先ほどおっしゃっておりましたけれども、こういう点も検討なさったかどうか。
  289. 松浦道夫

    松浦政府委員 国内のお米でこの加工原材料用のお米の不足に対応できるかということにつきましては、もちろん検討いたしたわけでございますが、やはり財政の問題あるいは主食需給ということを考えまして、これはどうしても無理だということで判断をいたした次第でございます。  また、ただいま吉浦先生おっしゃいました山形の農家の方々が保有米の追加供出をしてもよいから韓国米の返還をやめてほしいということをおっしゃっておられるという声は、私も承知しております。私どもとしましては、生産者の間からこのような全体の需給のときに追加出荷の意向を持っておられるということはまことにありがたいことだというふうに思うわけでございますけれども、何分にも実需者が要する時期までにそういった対応策がとれるかどうかということについても私ども確信が持てないわけでございますし、また、現在韓国との交渉もかなり進んでいるという状況から、大変ありがたいと思いますけれども、この加工原材料用の手当てについての韓国との交渉はひとつ進めさせていただきたいというつもりでございます。
  290. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 次に進めさせていただきますが、今回の臭素汚染米に起因する韓国輸入という事態ですが、我が国食糧安保という点では大変不安を来しているわけでありまして、その責任というものは農水省が負わなければいけない。  そこで、これだけ国民の生命と安全というものを守るためには、備蓄という点についてもう少し基準の確立がぜひとも必要ではないかというふうに私は考えるわけです。聞くところによりますと、スイスはさきの大戦で食糧の備蓄を嫌というほど感じたために、パン用の穀物について十二カ月分、その他のめん類等についても十二カ月という、憲法上に明文化されて実施されている、こういうふうに聞くわけです。あるいは韓国も全消費の三〇%をこうしている。FAOでは、穀物については一七から一八%が適正備蓄である、こうしているわけです。  我が国の現状はほど遠いものでありまして、国家の目標をはっきりと定めて、それに従って努力をいたしておけば今回のような騒ぎにならなかった、こう思うわけでありまして、備蓄を例えば二〇%とするというふうな基準を設定するお考えはないのかどうか、明確にお答えをいただきたい。
  291. 山村勝美

    山村国務大臣 御存じのとおり、本年度の水田利用再編第三期対策におきまして四十五万トンの積み増しということをこの備蓄計画の中へ入れておりますが、何にしても今先生おっしゃいましたように、食糧安全保障という面もございますし、本年度の作況等を見ながら、今後の休耕政策等、これを弾力的に運用してまいりたいというぐあいに考えます。
  292. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 時間になりましたが、その三期対策の見直しについて大臣は先ほどから弾力的に弾力的にということで言われておりますが、五十九年度の転作計画においても予定されております飼料用青刈り稲やホールクロップサイレージ用の稲について、緊急避難的措置として極力これらを主食用の稲に切りかえるべきではないかというふうに考えますが、この点をひとつお答え願いた。  それから、五十九年度から始められる加工原料向けの他用途利用米を主食用に振り向けて、政府は買い上げの対象とすべきだというふうに考えるが、その用意はあるのかどうか。  もう一点は、単年度需給計画を基本とした三期対策について見直しを行うべきときに来ていると思いますが、特に転作面積の大幅緩和や備蓄の拡充を図る等抜本的な見直しがぜひとも必要ではないか。  ですから、弾力的に弾力的にという言葉の中の意味を具体的にお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  293. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、ただいま問題になっております韓国米は、ことしの米ででき上がるところの他用途利用米ができるまでの原料不足をどうするか、かような問題であるわけでございます。ことしの稲作につきましては、三期計画が始まりますときの需給計画では、かなりな在庫の積み増しを織ワ込みまして、いわばゆとりのある計画にいたしたつもりでございますが、なお従来の例で申しますと目標よりもやや大幅に上回ったような転作が行われている状況にあるわけでございます。その点につきましては、このような需給状態でございますから、極力目標値に近いところで転作を行っていただくということを御指導申し上げておりますし、また特に青刈りにつきましては、かねてから利用上の問題もあるという御指摘もございますので、極力これにつきましては他用途利用米でありますとか、あるいは地域によりましてはもっと質の高い転作に振り向けていただくということでお願いをいたしておるわけでございます。特に青刈り稲につきましては、従来は飼料用ということで特定作物扱いでございましたが、本年度からは一般作物扱いということで、奨励金の世界におきましてもかなりな差をつけておるわけでございますので、本年の青刈り稲は大幅に減るだろうと思っておるわけでございます。  なお、来年の転作の弾力的な対応ということにつきましては、御承知のように目標をしばしぱ変えるということにつきましては現地にはかなり抵抗感があるわけでございます。ある年は目標が減り、ある年はふえるというのではなかなかやりにくいというのが現地の率直な声でございますが、何といいましても米の自給ということが一番大事な問題でございますから、ことしの作柄、今後の需給動向いかんによっては、そういう建前論にこだわらずに状況に応じてその内容について対応をしていく、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  294. 松浦道夫

    松浦政府委員 他用途利用米の主食への転換というお話でございますが、御案内のように他用途利用米は、やはりこれは原材料用のお米も国内自給しようという考え方に立っておるわけでございまして、さような意味で現在主食それから加工原材料用双方を国内自給すべく他用途利用米の導入をし、農家の方々にこれをお願いしているところでございます。したがいまして、この体制はひとつとって推進をしていきたいというのが私どもの気持ちでございます。
  295. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 最後に、大臣いかがですか。
  296. 山村勝美

    山村国務大臣 抜本的な見直しをということでございますが、御存じのとおり米の備蓄という問題につきましては、これは石油備蓄等と違いまして、はっきり申しますと今の日本人の新米志向というものもございますので、これらはまた消費者の皆様方の御理解もいただいていかなければならない面もあろうと思いますので、慎重に対処してまいります。
  297. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 終わります。
  298. 阿部文男

  299. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 まず第一番に、韓国米の輸入問題について農林大臣からお答えをいただきたいと思うわけでございます。  私たちは党といたしまして、昭和五十九年産生産者米価に関する申し入れを中曽根総理にしておりました。その中で「食糧自給率の維持・向上による国民食糧の安定的確保をはかる立場を堅持するため、政府外国産米の輸入を行うべきではなく、また外国からの輸出の申し出は毅然たる態度で拒否すべきである。」という申し入れをなしているわけでございます。このような申し入れをしているときに韓国米の輸入問題が起きてきたということは、全く言い知れぬ心の中での不満をたぎらせられるわけでございます。  また、今、減反政策、他用途利用米制度の導入もして、やっと米の需給調整に農家の納得を得てきている段階でこのような輸入体制が実現するとなれば、これはやはり農家への背任行為ではないかと思うわけでございますので、この点どのように考えているのか、私も大臣に所信を伺いたいわけでございます。
  300. 山村勝美

    山村国務大臣 今回の韓国米の現物返還に関しましては、実は五十三年産米安全性に関しまして、従来から五十三年産米の一部で使われておりました加工原材料、これに必要な米穀の一部について不足するものが生じるということで、現在協議中のものでございます。しかし、これにつきましては、関係団体、そしてまた国民の皆さんに不安と混乱を起こしたことはまことに遺憾であると思います。しかし、これは国民の皆さんに用途に応じた米穀を安定的に供給するという重大な責務を果たす上で真にやむを得ざるものであるという、緊急避難的なものであるということで御理解をいただければありがたいと思います。
  301. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今大臣は、こういう対応を迫られたことは遺憾なことであるけれども緊急避難的な対応だ、そういう御答弁でございました。  それで、食糧庁長官にお尋ねしますが、今まで三度ほど食糧庁の方から資料を求めてきたわけでございますが、この政府米の年産別在庫量を調べてみますと、緊急避難的な態勢をとらなければならないほど日本に米が不足しているのかといいますと、実はどうもこの点に対して疑問を生じているわけでございます。かような関係で、この在庫量について私も長官にお尋ねしますが、一応五十一年から五十三年産米三十三万トン、これは五十九年三月末のものでございます。それから、五十四年から五十七年産米が三万トン、五十八年産米が百六十八万トン、主食の方に回されるのが百七十一万トンでございまして、これに昭和五十九年三月末現在で百四十万トン程度の自主流通米を推定いたしますと、三百十万トンあるというわけでございます。月の消費量を平均五十五万トンから五十七万トンぐらいといたしますといわゆる端境期に何とか間に合う、そういう説明でございまして、この数字は食糧庁の方からもらった数字でございますが、私も確認いたしますが、大体この線は誤りございませんか。
  302. 松浦道夫

    松浦政府委員 ただいま政府米の年産別の在庫量をおっしゃいまして、それに加えまして、自主流通米の在庫量もおっしゃったわけでございますが、その数字、つまり五十四から五十七年産米、三月末で五十八年産米も加えまして百七十一万トン、この数字は正しゅうございますし、また、自主流通米が同じく三月末の時点で百四十万トン、合わせて約三百十万トンという在庫をもちまして三月末から出発し、かつ、それが月別に大体五十五万ぐらいのところだろうと思いますけれども、あるいはそれよりちょっと多いかもしれません。そういう消費の量と需要の量ということを考えてまいりますと、端境期に百万トン程度の早場が出てくるし、それから十月末には四百万トン程度の早場のお米が出てくるということを考えますれば、その場合には需給にかなりきめの細かな操作は必要とするも、大丈夫であるという御見解をお述べになったことは正しいというふうに思う次第でございます。
  303. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 新聞等では政府米が底をついて非常に危ないのではないかという報道が出ておりますが、私は新聞よりも一応政府の方を信じますので、この数量を正しいものとして受け取っておりました。さらに、これにいわゆる農家保有米がどのくらいあるんだということを聞きただしたところ、これは推定なので政府ではわからぬけれども、二百万トンは下らないのではないかという、これは仮説でございます。しかし、三百万トンは超えないのではないか。こうなりますと、こういったった二十万トン内の加工米の問題ですから、何のためにいわゆるこういう緊急避難的な措置を発動しなければならなかったのか。これは結局、加工米と主食用の米との価格差、そのことだけではなかったのかとも私自身推察をしたのですが、この点いかがなものでございますか。
  304. 松浦道夫

    松浦政府委員 先ほど、早場に出荷されるお米も合わせまして私ども主食需給に万全を期してまいる、また御心配のないようにしていこうということを申し上げたわけでございますけれども、しかしながら、これは決してゆとりのある操作をやっておるというわけではございません。それは大丈夫だということでございますが、主食用の世界におきましてはやはりかなりきめ細かな操作、またかなりの食糧庁の努力、さらに集荷団体の努力を要するという状況でございます。  したがいまして、まず第一点として、加工原材料のお米につきましては主食から回すということが適当だろうかどうかということにやはり問題があったということでございます。さらに加えまして、ただいま先生御指摘のように、トン当たり三十万円という主食価格と、それから加工原材料のお米は大体十一、二万円でございますから、その差というものの財政の問題ということもあって、なかなか主食からこれを加工原材料用に充てて今度の問題に対処するということが困難であった、またそういう判断をしたということでございます。
  305. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今長官の方から加工用のトン当たりの価格が十一万から十二万と言われましたが、この価格で一応加工原料米として放出しているわけでございますね。
  306. 松浦道夫

    松浦政府委員 加工用のお米につきましては今のような価格で、玄米のトン当たりの価格でございますが、それで売却をしているという状況でございます。
  307. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 それでは、ちょっとまた詳しくお聞きしますが、主食用は大体トン三十万円で政府が買い入れているわけでございますが、工業用、それから輸出用飼料用と、こうあります。工業用は今トン十一万から十二万円ということを聞きましたが、飼料用にはどのぐらいの価格で出しているわけですか。
  308. 松浦道夫

    松浦政府委員 トン当たり三万五千円、そんなものでございます。
  309. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 それから、大体主食用としては二年古米、古々米まで主食用として出しているようです。これは標準米ですが、一応トン当たり三十万円の買い入れ価格基準として出しているわけですか。
  310. 松浦道夫

    松浦政府委員 正確に三十万円というわけではございませんが、大体その前後のトン当たりの価格売却したものが使われているということでございます。
  311. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 それでは、徳用米として、この三年米になるとどの程度の値段になるわけですか。トン当たりでなくても、一俵当たりでもよろしゅうございますよ。
  312. 松浦道夫

    松浦政府委員 ただいま資料を調べておりますので、ちょっと待っていただきたいと思います。——ただいま五十三年産米価格をお尋ねになったと思いますけれども、これはトン当たりに直しますと十六万二千二百五十円という価格になります。
  313. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 徳用米の方はどうなんですか、三年米。私の聞きたいのは、三十万円から急激に価格が下がって放出できる米は、何年米あたりからのものが下がるわけですか。
  314. 松浦道夫

    松浦政府委員 徳用米は五十四年、五十五年産のものが充てられておりまして、この価格水準はトン当たりで十七万八百八十三円というものでございます。
  315. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 そうすると、結局今回五十三年度米の二十万トンについて臭素残留しているというので、これを検査して、これのppmが基準以上含まったのは売れなくなるので、その分の補充として韓国米を入れようとした、こういうことでございますね。この二十万トンの加工米として政府がこれから対応しようとするその用途は、どういう方面に使われる米でございますか。
  316. 松浦道夫

    松浦政府委員 五月末現在で二十万トンの五十三年産米等の在庫があったわけでございますが、その在庫は加工原材料、これは主としてみそ、せんべい、穀粉といったようなものの用途に使うつもりでございました。また、一部は業務用に充てるということに考えていたわけでございます。
  317. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 業務用というのは、これは外食ですか。
  318. 松浦道夫

    松浦政府委員 一般の御家庭に売られるお米以外のお米でございまして、外食も含まれるわけでございます。
  319. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 それでは、ちょっと厚生省の方にお聞きしたいと思います。  今回の薫蒸処理の取り扱いについて、厚生省では東京都立衛生研究所の検体まで入れますと三十四検体のところから薫蒸等の薬剤の残留調査をした結果、臭素が二から六八ppm、平均二五ppm検出されたということでございますが、この検査食糧庁立ち会いのもとの検査でございますか。
  320. 市川正一

    ○市川説明員 お答え申し上げます。  今回の検査は、厚生省及び食糧庁で合計三十検体をやったわけでございますが、食糧庁厚生省で分担をいたしまして、厚生省の方では十検体、それから食糧庁の方では二十検体をそれぞれ分析したものでございます。
  321. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 その食糧庁の方での分析した結果と厚生省の方の分析した結果とでは、公表できますか。
  322. 市川正一

    ○市川説明員 お答え申し上げます。  それぞれの検査結果でございますが、薫蒸剤有効成分であります臭化メチル、それから酸化エチレン、それから燐化アルミニウムについては、いずれの結果でも検出されておりません。それから臭素でございますが、臭素につきましては、私ども厚生省で行いました検体では二ppmから二〇ppm検出されております。それから、食糧庁の方で分担された分につきましては、三ppmから五七ppm検出されたという結果になっております。
  323. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 この資料は食品衛生調査会残留農薬部会長の名前で出たのですが、今、六八ppmが最高になっているのですが、ちょっと低いようですね。それはいずれにしても後でまたただしますが、この臭素は日常摂取するところの食品にも含まれているというわけでございます。それで、この一日の摂取許容量を一ミリグラム・一キロ体重に評価しておりまして、大体五〇ppm以上この臭素が含有されておりますと、これは基準量を超えて食糧としては妥当でない、こういうふうな基準になるということを聞いておりますが、これは間違いございませんか。
  324. 市川正一

    ○市川説明員 お答え申し上げます。今回の臭素残留許容量暫定基準と申しますものは五〇ppmということでございますが、この臭素が五〇ppm残留している米というものをどのぐらい食べるかということで種々試算をして臭素摂取量を推定したわけでございますが、そのような推定をいたしましても、お米からの摂取量、それから、臭素は自然の食品にも確かに入っておりますので、それらから来る基礎的な摂取量というものを加算いたしましても、体重一キログラム当たり一ミリグラム、つまり大人で体重五十キロの人で申し上げますと五十ミリグラムという量を十分に下回るものであるということから、米のこの五〇ppmという基準であれば安全性は十分に確保されるというふうに判断されたものでございます。
  325. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 この臭素の毒物作用というのは、一体どの程度のものでございますか。
  326. 市川正一

    ○市川説明員 臭素そのものは、先ほど申し上げましたように自然界にも広く分布しているものでございまして、私たちの日常の食品中にも微量ではございますが含まれているものでございます。それで、この臭素を大量に摂取いたしますと、鎮静作用と申しましょうか、そういう作用が出てくるわけでございまして、この作用を目的としてかつて医薬品としても用いられたことがある物質でございます。それで、さらに非常に大量になりますと、吐いたり腹部痛を起こしたり、あるいは麻痺を起こすということが報告されている物質でございます。
  327. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 実は私、これは細かく試算してみたのですが、今日本人は、大体一日平均二百二、三十グラムぐらいの米を摂取しておるわけでございます。これを三百グラム、五〇ppmで摂取したとしても十五ミリグラム、それから日常の食事中から、ワカメ、昆布の海藻類、食塩類でございますね、ここに含有されておるものから平均しても十ミリグラムから十五ミリグラムだというと、この加工原料米を三百グラム一応十分に摂取したとしても二十五ミリグラムから三十ミリグラムで、四十キロ、五十キロの体重の人には何も騒がなくて済むような、そういう臭素の含有量でございます。これが随分騒がれたというのは、一体どこかに意図があったか何か。殊に加工用となると、今言ったように食糧にはほとんど回らないで、いわゆるみそ、せんべい、その他に行くわけでしょう。そうすると、みそ、せんべいとなると摂取量はまた少なくなるはずですね。一体この点で、厚生省がこういう調査——調査することはいいのですが、こういういわゆる薫蒸剤残留検査をしたのはどういうことからやったのですか。毎年やっていてやったわけですか。
  328. 市川正一

    ○市川説明員 お答え申し上げます。今回の調査は、去る三月に、五十三年産米というものが主食用と申しますか、食べる御飯の方にこれが利用されているということで、これについての薫蒸剤残留性について調査をすべきであるという御指摘を受けまして調査を始めたものでございます。
  329. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 実は、私は、調べているうちに、これは重大な問題が我々が気づかないうちに醸されているというふうに受け取ったのでございますが、今主食用に五十三年度の米が流れている、これが事実だとすると、一体今の食管法はどうなるのですか。この点について食糧庁長官からお聞きいたします。
  330. 松浦道夫

    松浦政府委員 五十三年産米につきましても、業務用でこれを売りますことは、別に食管法上問題があるというふうには考えておりません。
  331. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 食管法上問題はないとしても、こういう安いいわゆる古米を買ってそれを食糧供給している業者は、表示か何かの義務はあるのですか、ないわけですか。
  332. 松浦道夫

    松浦政府委員 業務用の場合には特に表示の義務はございませんので、表示はいたしておりません。
  333. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 いや、そこが実は大変な問題を含んでいるところじゃないかと思うのですよ。国民は、どんなルートか知りませんが、外食産業者が買ってきた米を、そこに行って食べたら安いというので、そこのサービスだろうというぐらいで、だれも古米と感じないで食べているわけですね。そうすると、そこの利潤、利ざやというものは、いわゆる社会倫理を乱していくにふさわしい大変な利ざやが稼がれている。しかし、国民はだれもそういう安い米だと思わぬから、高い米で感謝している。こうなると、一体この社会規範がどうなっていくかということでございますね。  昔はやみ米というものに対しては、法律無視の行動はみんな慎んでおりましたし、そして、やみ米に対しては罪意識を持った。しかし、現在、公然とこれに類することが行われてもだれも罰せられないし、社会規範を冒潰しているという意識も起きていな。これは、現行制度が矛盾を深め、しかも、こういうことが農業の病理現象の原因になっていることが結局国民共通認識となっているから当たり前になってきたのじゃないか。こういう点をもうちょっと真剣に受けとめないと、正直者がばかを見るような制度を幾らでも許したら大変なことになるのじゃないか、こういうことで私は質問しているのですが、この点に対してひとつ大臣いかがお考えなのか。長官でもよろしゅうございます。
  334. 松浦道夫

    松浦政府委員 確かに、先ほども価格水準をお示ししましたように、五十三年産米価格水準というのは、政府の売り渡し価格は、古いお米でございますから、どうしても掲精歩どまりも下げなければいかぬということで、かなり安く売っているということは事実でございます。もちろん、その場合には価格水準は業者の相対で決まっていくということでございまして、それを恐らく混米いたしまして、そして、これを業務用に使っているという状態ではないかというふうに考えられます。その場合の価格水準は、どうしても需給関係を反映して価格水準が決まってくるという形になりますので、先生御指摘のような問題が出てくるということは私もよくわかる次第でございます。さような意味で、私どもとしましては、価格が形成される過程において余りこれが暴利になるようなことは適当ではないというふうに考えるわけでございます。そのためには、やはり全体としての需給を落ちつけていくということが経済原則の一番もとでございまして、さような意味で、需給関係を正常なものに持っていくことが必要だろうというふうに思います。
  335. 山村勝美

    山村国務大臣 先生言われますように、余りにも安いものでということになりますと、これはやはり正直者がばかを見るということになってもいけませんので、今後よく研究させてまいります。
  336. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 大臣答弁をいただいたので、まじめな御答弁であったので私も感謝しておりますが、ただ、長官が言ったように,流通問題、経済問題ではかり物を眺めておりますと、いつの間にかおかしな、いわゆる制度が適応しなくなってもそれを保存するといろいろな病根が出てくるということ。ですから、やはり政治は一つの社会正義を持っていなければいかぬ。しかし、社会正義は、やはり時代とともに行政正義は体質を変えていきますから、それに対応する政策樹立を我々は常にやっていかなければいかぬじゃないか、こう思うわけでございます。  そこで、私はこの問題をさらに発展させまして、もうそろそろ日本農業は見直さなければならない、また、日本の農業政策も大転換をしなければならない時期に来ているのではないか、こう考えているわけでございます。  時間がなくなってきましたので、一応その要点だけを要約するわけでございますが、日本農業の改革のためには、何といいましても、競争原理がある程度導入される方向に我々の政策を持っていきませんと、どうしても技術の刷新、経営の発展ということは望み得ないわけでございますので、このことを重点にしなければならぬし、また、今農業は研究開発集約産業としてこれから他産業に列して発展させていかなければならぬものだし、また、発展していけるものだ、こう私は考えております。こういう点から、どうしても資本あるいは人材の蓄積、養成、育成、そういうことが大切でございます。三つ目には、何といいましても基盤整備でございます。  私は、日本の現状は、この三つのうち基盤整備、水資源の確保を何としてでも、国家が緊急救済政策と銘打っても重点的にこれから取り上げていってもらわなければならぬ、こう考えているわけでございます。そういたしますと、今の制度ではとても農民は、土地改良の基盤整備の負担についていけないのも実情でございますから、何とか国家がこれを全面負担するような方向でこの政策を推し進めることが考えられないかと言いましたところ、個人の資産にかかわることだから国家は全面的にできない、そういうことは投資できないと言っているわけですけれども、事農地は、ほかのいわゆる私有財産と違いまして、国民の安全保障である食糧を確保するために、むしろ国土を農民に耕作させているという視点から農地をとらえても、とらえ直せる問題じゃないかと思っております。ほかの土地でございますと、家を建てた、工場を建てた、あるいは収入に見合うところのいろいろなビジネス的な利用をするとなりますと個々ばらばらですが、農地だけは更地じゃないと経営できないし、その農家がつぶれてほかの農家に農地が手放されても、農地である限り、だれかがこれに農業を経営して農産物を供給するわけでございます。  ですから、今言いましたように、いわゆる社会正義というもの殊に政策正義というものは変遷するわけでございますから、何とか真剣に農業基盤の整備と水資源の確保だけは重点的にやって、そして早く国際競争力に対抗できる日本農業を打ち立てる方向に頑張っていただきたい、こう思うわけでございます。そうじゃないと、同じような価格補償だけの繰り返しで毎年やっていったのでは、一体日本農業どうなるのか、ますます私は将来に対して不安を感ずるわけでございます。  さらに、今Uターン組がふえております。こういう人たちは大変意欲を持っておりますが、現在のいわゆる補助制度ですと、いろいろな附帯条件がつきますので、大変な負担になっております。ですから、そういうUターン組の意欲のある者は長期低利の融資制度を望んでおりますので、補助行政よりも融資制度を手厚くしていってもらいたい、こういうことを切に願うわけでございます。  それでは、また別の質問に移るわけでございますが、備蓄問題について御質問を申し上げます。  私は、ある数量の備蓄を持っていれば、米の生産調整は、減反政策にしろ何にしろ、ある程度強力にできるのじゃないかと思います。この備蓄政策につきまして、私たちの党といたしましても食糧等の備蓄法案の骨子なるものを今検討中でございます。そこで、私もまた大臣から所信をお伺いいたしたいと思いますが、この備蓄に対しまして、もみ貯蔵の点、ぜひ考慮に入れられないか、まず長官からお願いいたします。
  337. 松浦道夫

    松浦政府委員 まず、基本的に備蓄の問題についての考えでございますが、先生おっしゃられますように、まさに私どもといたしましては、このような需給の関係というものを前提といたしまして、より安定的な食糧供給、お米の供給をしていくということのためには、何と申しましても適正な在庫というものを持つということが何よりも必要だというふうに思います。実際に、十万トンの前年からの持ち越しということで需給の操作をやっておるわけでございますから、何としても適正な在庫に早く持っていきたいという気持ちがあるわけでございます。したがいまして、三期の対策の中でも、四十五万トンの備蓄と申しますか、在庫を積み上げていくという政策を打ち出して、そうして今後に対応してまいりたいというふうに思っているわけでございます。  在庫水準がどの程度が適正かということでございますけれども、これはもちろん国民に安定的なお米の供給をしていくための必要な在庫というものも当然でございますが、一方でまた、古米の在庫が多くなりますと、なかなか消費者の方は新米の志向というものを持っておりますので、そのような面も考えながら適正な在庫というものを考えていかなければならぬ、それが三期の対策の中の百五十万トンという水準であったというふうに考えているわけでございます。  そこで、先ほども大臣がお答えになりましたように、今後この問題については、真剣に、また弾力的な対応をということでお考えになっておられるわけでございまして、その意を体しながら、私どもも今後の適正な在庫水準の確保ということに努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、もみ貯蔵でございますが、もみの貯蔵につきましては、日本の倉庫というものは玄米貯蔵を前提にしてつくっております。これは、コストその他から申しまして、やはり玄米の貯蔵が適当であるということからそのような仕組みになっていると思うわけでございますが、今もみの貯蔵というものに切りかえるということは非常に困難な状況にあるというふうに思います。
  338. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 備蓄につきましては、私たちは食管会計の中から切り離した、食糧安全保障としての別途特別会計による備蓄が適当であるというふうに考えているわけでございますが、こういう対応ができるのかできないのか、また検討の余地があるのか、大臣いかが考えておられますか。食糧庁長官でもよろしゅうございます。
  339. 松浦道夫

    松浦政府委員 先ほどから御答弁を申し上げているわけでございますけれども、備蓄の基本の考え方というものは、第三期の対策の中でも、本来七十万ヘクタールの転作が必要なところを六十万ヘクタールということに転作目標面積を減らしまして、そうして、その十万ヘクタールの水田を使いまして四十五万トンずつ毎年積み立てていこうということを考えておるわけでございます。このような方途というものを今後とも三期の対策の中できちっとやっていくということによりまして、適正な在庫水準というものに持っていきたいというふうに考えておりますが、これがどの程度が適正かということについて、第三期の対策の中で以上のようなことを考えましたことは、先ほど申しましたようないろいろな要因を十分に勘案いたしましてそのような水準にいたしたということでございます。このような考え方は、先ほど大臣の御答弁もございましたが、今後におきましても、弾力的な対応をしながらこの適正な在庫水準というものを確保していくということに我々は最大の努力を払っていくということでございます。
  340. 山村勝美

    山村国務大臣 先生の今の御質問に長官からお答えいたしましたが、備蓄というものは食管会計から外して、そして言うなれば石油備蓄のような形でということでございますが、御承知のとおりの苦しい財政事情でございます。ただいま土地改良にいたしましても、三十二兆八千億という十カ年計画のものが五十八、五十九と二年度におきまして一一%しかまだ達成しておりません。そういうような中におきまして、それを一般会計の中へというのはなかなか難しい問題かもしれませんが、しかし、やはり国の安全保障ということから考えますとこのようなものは必要ではないかと思いますので、勉強させていただきたいと思います。
  341. 松浦道夫

    松浦政府委員 ただいま大臣から、食管特別会計の備蓄につきましての特別会計の問題で、研究をするということを申し上げたわけでございますが、私どももちろん研究をいたしたいと思いますけれども、本来食管会計そのものが一つの特別会計でございまして、その枠の中で実は在庫四十五万トン積み増しをした場合の金利、倉敷、こういったものを全部持っておるわけでございます。さようなことで、一つの食管の枠内での管理ということで備蓄というものが当然考えられていくわけでございますから、さような点も先生ひとつお含みおきをいただきたいというふうに思います。
  342. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 それから、備蓄の方法について、今もみ貯蔵を話したら、あなたはそれは技術的にできないような答弁ですが、実は今倉敷料が大体一トン一万円相当かかっているわけでございますね。そして、三年米からは、いわゆる四年米になりますとトン三十万円の米が十七万円ぐらいに下がるわけですが、もみ貯蔵ですと三年米も十分に三十万円で放せると思うのです。そうすると、もみは倍の体積ですから、二万円かかったとしても、二年置いても四万でしょう。そうすると、ここの目減りから見ると、もみ貯蔵の方は年々新しいのを何%かそれに足して、順繰りにこれを流通していくと、もみ貯蔵の方が案外安いのじゃないか。そして、安全性がある。それに、もみ貯蔵ですと一々薫蒸でなくても、常温でも五、六年、七、八年ぐらいは大体いけますからね。こういう点を考えると、もみ貯蔵での最大の難点というのは、急に他の場所に玄米を移動する場合の対応性でございますね。そうなりますと、精米所のあるところ、あるいはカントリーエレベーターや何かのすぐそばですと、支障なくもみ貯蔵できるのじゃないか。  さらに、これを今調べてみたのですが、常温倉庫が大体一千二百万トン貯蔵の能力があるというわけです、これは全国で農協その他の倉庫を調べた数が。さらに、低温倉庫が二百六十万トン分の能力を持っているというのですが、こうなりますと、常温倉庫にも精米所の併設しているところはたくさんあると思いますから、玄米よりは備蓄の安全度が高いもみ貯蔵の方の対応がよいのじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  343. 松浦道夫

    松浦政府委員 もみの貯蔵につきましては、ただいま先生もおっしゃいましたように、スペースを非常にたくさんとるという問題がやはりございます。  それからまた、もみでございましたら長い間持っていてもいいではないか。確かにそうでございますけれども、長年持っておりましたらやはり金利、倉敷がかかってまいりますから、その点のコストのアップというものも考えておかなければならぬということになりますと、やはりもみ貯蔵というものはコスト的になかなか難しいのではないかなという感じがいたします。特に現在は実は低温倉庫が非常にあいておりまして、これをむしろ活用するということが今後非常に重要ではないかというふうに思います。  私どもといたしましては、品質でございましたならば、今度常温の倉庫で薫蒸を行いました結果、こういう問題も起こったわけでございますけれども、やはり低温の倉庫に入れて、目下あいている低温倉庫を活用するということでやってまいりますれば、もみの貯蔵ということよりもより効率的に貯蔵ができる、しかも安全性もあるということが考えられますので、さような対応を図っていくということが、まず我々の先決の問題ではないかというふうに考えている次第であります。
  344. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今長官は体積を十分にとれてというのは、これは二倍ですからはっきり覚えておいてくださいよ。  それから、二百六十万トン分の低温倉庫の能力があるわけなんですが、常温倉庫と低温倉庫の保管料の差はどのくらいになっていますか。
  345. 松浦道夫

    松浦政府委員 大体三、四割の違いであるというふうに考えております。
  346. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 三、四割の違いだと、二倍ですからね。いわゆる七割か六割のもみ貯蔵は金を食うだけなんですよ。そんなに数量的にいわゆるスペースいっぱい食うんじゃなくて、たった二倍ですからね。そうすると、もみの貯蔵ほど安全なものはないのに、なぜ我々の先人の知恵を農林省が採用しないのか。私たちは昔、郷倉の前を頭を下げさせられて通ったこと、これは農林大臣もよくわかっているはずです。ですから、そういう我々の先人の知恵をもうちょっと考えることを検討してみてくれませんか。
  347. 松浦道夫

    松浦政府委員 低温の倉庫は、その倉庫の保管料の差というものが出てまいります場合、期間というものは夏の期間だけでございます。さような点で、一年を通じての計算ということでお考えになっておられるのではないかと思いますけれども、さような点を考えますと、やはりコスト的に低温倉庫を活用するといったようなことが有利じゃないかと私どもは思います。
  348. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 この問題だけ取り上げておりますとまたほかの質問ができないから、一応今回はこれで打ち切って、またの機会にこのことについては質問したいと思うわけでございます。  そこで、五十八年度の農業白書、これは大臣の方で発表になられているわけでございますが、これを見ますと、米の第二種兼業、第二種というよりも兼業農家と専業農家で大変な、同じ地域であって同じ気象条件のもとであっても生産性の差が出てきております。冷害の中では人災的な冷害と受け取られる面も多々ある、そういう報道もあったくらいでございます。そうなりますと、今の食糧需給計画は結局この面積当たりの需給計画で食糧需給体制を固めようとしているわけなんですが、こういう米の栽培管理の差に対する指導を怠ると、今後また不測の事態も出てくるんじゃないかと考えられますが、この点についてどのような対応をなされるのか。長官の方でよろしゅうございます。
  349. 松浦道夫

    松浦政府委員 確かにお米を生産する農家の中で、二種兼業農家とその他の農家におきまして生産性の差が非常に大きいということもございますし、また同時に、天候の不順な状態が生じました場合に、それに対応する力というものに非常に差が出てまいりまして、そのためにお米が十分に生産できないといったような問題が出てきていることは事実でございます。  さような点から、まさに地方の保全であるとか水の管理であるとか病虫害の防除とか、こういった面の改善というものが非常に必要になってきておるわけでございまして、それがまさに山村農林水産大臣が御提唱なさっておられますところの新しい稲づくりの運動ということでございます。さような基本技術の励行ということを通じまして、二種兼業農家も含めまして全体の農家がレベルのアップをし、そして多少の気象災害にも耐えていけるような農業にしていこうということがその運動の骨子でございますから、さように御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  350. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 一応そういう対応をよろしくお願いするわけでございます。  もう一つ、今、国会で超党派的に米の消費拡大運動を起こしているわけでございます。この米の消費拡大運動が、今回のように米不足だというようなことになりますと、どうも感情がちぐはぐになってくるわけでございますね。そこで、米の消費拡大運動については、今後、今までどおりの対応で一層推進をしていただきた。これは要望にとどめておきます。  それから、過般の予算委員会の第五分科会で私は大臣にこの米の消費拡大について質問をいたしましたところ、玄米フレークについて消費拡大につながるものなので早速研究させたい、こういう答弁をいただきました。おかげさまで大臣官房の課長の方よりこの玄米フレークが製品開発されていることを早速調べていただきまして、過般、米の消費拡大運動の中で試食会もされたわけでございます。玄米フレーク、これはコーンフレークスにかわる、日本の米の消費拡大に最も力強い製品である、こう私は考えているわけでございます。学校給食に牛乳とジャムとこれを併食させますと、完全食でございます。  ただ、今課長の方で調べてもらったフレークに対する日本での対応、日本での企業の研究がほとんどゼロでございます。ですから、この点をひとつ大臣の心の中に記憶しておいていただきまして、このことの研究を部下に命じていただきたい、こう考えるわけでございます。これは再度の要望でございます。  さらに、時間が本当になくなりましたが、私は、地上からでん粉を生産する農業形態、これは夏、金を取る農業。しかし、地上からたんぱくを生産する農業形態、これは雪の中で金を取る農業だというので、北欧の農学校まで勉強に行ったところ、向こうではさらにもう既に施設、農法その他でいわゆる食わないものをつくる農業に変わっていっているわけでございます。日本の農業もそういう点では食わないものを生産する農業形態、これは今後農業が研究開発集約産業として生き残る唯一の方向であり、文化の進展とともに無限大の夢の与えられるところでございますから、ひとつこういう方向に対するところの農政の手厚い対応をお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  351. 山村勝美

    山村国務大臣 玄米フレークにつきましては、先生から御指摘をいただきまして、米の消費拡大につながるということで企業の方にお願いしまして試作品をつくっていただきまして、いろいろ研究しております。ただ、コストの問題がもうちょっとということでございますので、一生懸命そっちの方をやってまいります。
  352. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 どうもありがとうございました。
  353. 阿部文男

    阿部委員長 津川武一君。
  354. 津川武一

    ○津川委員 五十三年産米に問題が出て、韓国からの米の緊急輸入が発表されました。それをめぐって、今、生産者にも消費者にもかなりの混乱、困惑、そして怒りが渦巻いております。きょうも外米輸入阻止・麦作振興全国農協代表者集会が開かれておって、この中で、皆さんの処置に怒りを燃やした農民がこれからお米の出庫を拒否しようじゃないか、このような議論も出ております。韓国から輸入するということでショックを受けた宮城の農家は、減反した水田に稲を植える、そういうことまでして外米の輸入を阻止しようとしております−いいか悪いかの問題もありますけれども、先ほど議論になった山形県の農民の青年部の皆さんが、この韓国米の輸入を阻止するためには自分たちの保有米を削ってでも出してやろう、こういう気持ちになっております。  私たちも消費者生産者のところをずっと回ってみました。青森県の鶴田という町に三つの農協がありますが、そこへ行ってみたら、まず堅頭に出たのは、我々に嫌な減反を押しつけておいてお米を足りなくして、韓国から輸入するとは何事だ、津川先生見てください、私たちの倉庫にはお米は一俵も一袋も入ってないと言う、こういうのが現状でございます。  一方、消費者の側、五所川原というところの小売商は、卸の方からお米の売り方を抑えろ、自家保有米を持っていそうな人、自家保有米を持っておる農家からお米をもらっていそうな人には売り渡すなということを言われている。しかし、来るお客さんに、あなた自家保有米をどこからかもらいましたかと聞けない。これでお客さんと小売商の間を気まずくしておる。  弘前市の卸商に行ってみました。お客さんのニーズが非常に多様になっておって、各種の銘柄の米を要求される。三十種くらいだそうです。これが支度した分全部売れるのではなくして、分けてやらなければならぬ。そのために、これらの消費者のニーズに応ずるためのランニングストックが大変だと言う。  東京の小売商の中央会と東京の卸商の中央会に行ってみました。食糧庁が業務米の配給計画を示してくれないので、業務用のお米を手に入れるために毎日てんやわんやなんだ、時によると食糧庁に日参しなくちゃならなくなっておる。  皆さん、これが今政府が出した韓国輸入の波紋でございます。こういう状態に対して、政府は、大臣はどう考えているのか、これらの現場の一つにでも足を運んでみたのか、まずこの点をお答え願います。
  355. 山村勝美

    山村国務大臣 今回の韓国からの貸付米返還につきましては、関係団体また国民の皆様方に不安と混乱を起こしましたことを、これはまことに遺憾であるというぐあいに考えております。しかし、今回の韓国米の返還につきましては、農林水産省がその用途に応じて米穀を安定供給するという重要な職務を果たす上でのまことにやむを得ない措置であると考え、決断したものでございまして、御理解をいただきたいと思います。  大臣、責任はということでございますが、最終的な責任はもちろん私にあると思います。これにつきましては、私の責任において処理いたしたいというぐあいに考えております。
  356. 津川武一

    ○津川委員 もう一つの問題は、消費者に対しては五十三年産米差し支えない、安全だと言い切ってきた。国民全体に対しては、お米の不足はないと、これも言い切ってきたんだ。ところが、現実に五十三年産米に問題が起きた。主食の問題に対してもかなりの不安が出てきたのです。そこで、農水大臣食糧庁に対する、責任をとってもらわなければならぬという声がある。というのは、国民をだましてきた、うそをついた、ペテンにかけた、これは許すわけにいかない、責任をとってもらわなければならぬ、こういうことなんですよ。  大臣は先ほど、問題を片づけることがおれの責任だ、おれの責任で問題を片づけると言った。食糧庁長官もその線に沿って答弁している。責任というのは、やはり自分の進退を明らかにすべきなんです。あなた方がやめても、次の大臣が、次の長官が間違いなくこのことの処理にかかります。そこで、責任というのは進退にかかってきているわけであります。農水大臣、やめられる気持ちは、食糧庁長官、やめられる気持ちは、それが責任を果たす一番明確なことであり、次の対策をも有力に進める方法になります。この点、お二人から答えていただきます。
  357. 山村勝美

    山村国務大臣 何遍も御答弁申し上げておりますように、最終の責任は私にございます。私の責任においてこの問題を処理いたします。
  358. 松浦道夫

    松浦政府委員 私も先ほどから何遍か御答弁申し上げておるわけでございますが、大臣と同じように、この問題につきましては、国民に不安と混乱を起こしましたことを大変申しわけなく存じておる次第であります。  しかし、私の念頭にございますのは、国民食糧を安定的に供給するにはどうしたらいいかという責任を遂行することでございまして、それ以上のことにつきましては、私、ただいま申し上げる立場にないことを御理解願いたいと思います。
  359. 津川武一

    ○津川委員 国民の健全なる常識、世の中の倫理からいうならば、ここで進退を明らかにすることがお二人の国民に対する最大の義務であり、最大のプレゼントだと思う。きょうここで言わなくても、必ず個人的な責任までとっていただくよう要求して、質問を進めていきます。  政府は、今回の措置貸付米返還だと称し、輸入しないというこれまでの国会答弁に反するものではないかのように強弁しております。しかし、何と言おうとも、今回の措置は加工用米を含めた米需要を国内生産で手当てできなくなったことの結果でございます。また、農相は六月五日付の談話で、米の供給については国内産で全量自給するとの方針を堅持すると述べております。国民はそれを信頼しました。それだのに貸付米現物返還というのはこの方針に反しませんか。もう一度御答弁願います。
  360. 松浦道夫

    松浦政府委員 今回、韓国へお貸ししたお米をお返しいただくという交渉をいたしまして、それにつきまして目下鋭意進めておりますことは、加工原料用のお米につきまして、他用途利用米ができるまでの間に一部不足が生ずるというおそれが生じましたので、供給責任を果たすという立場から、私どもといたしましては緊急かつやむを得ない措置であるというふうに決断をいたしましてこのような対応をとったわけでございまして、その点については御理解をいただきたいと思う次第であります。
  361. 津川武一

    ○津川委員 しかし、この韓国米の輸入ということの意味の重大性を政府は軽視しているのじゃないかと思うのです。米は日本国民の主食であり、我が国農業の大黒柱であります。そして、十数年来一〇〇%自給を達成してきました。いわば米は、他の農産物がどんどん外国農産物に市場を奪われ、自給率を低下させる中でも、日本農業の最後のとりでと言ってもよろしいものでございます。この米さえも外国産米に依存させるということは、四月の牛肉、オレンジの輸入枠拡大に続いて、農業、食糧問題を一層危機的状態に追い込んだものでございます。毎年六十万ヘクタールを超える大規模な生産調整を実施している中での問題だけに、国民の納得はなかなか得られないと思います。  そこで、この五十三年産米に問題が起きたのはいつでございました。
  362. 松浦道夫

    松浦政府委員 問題が起きたと申しますか、問題が提起されまして国会等の御審議が始まりましたのは、三月くらいからだと思います。
  363. 津川武一

    ○津川委員 そうして、問題があるから韓国から輸入しなければならぬと決めたのはいつでございます。発表したのはいつでございます。
  364. 松浦道夫

    松浦政府委員 韓国と現実の交渉に入ろうというふうに考えまして、職員を派遣いたしまして現実の交渉に入りましたのは六月の一日であります。
  365. 津川武一

    ○津川委員 そこで問題は、三月、四月、五月、この三カ月、韓国米の輸入、外米の輸入を阻止する、しなければならぬ、そのために皆さんが具体的に打ち出した政策は何々だったのでございましょうか。最後には韓国米の輸入ということになったでしょうが、あらゆる努力を絞り出してそれでもできなかったらということでなければ国民は納得しな。この三カ月間皆さんがどんな手を打ったかを明らかにしてください。
  366. 松浦道夫

    松浦政府委員 私ども加工原材料用のお米の不足事態が生ずるかもしれないと思いましたのは、五月に入ってずっと後でございます。その前は、何遍か御答弁いたしましたが、私ども薫蒸剤薫蒸臭化メチルが有効な成分でございますから、この臭化メチルの成分というものは揮発して飛んでしまうということで安全であると思っておりました。したがって、そのような手当てを必要とする状態ではないとずっと考え続けており、また御答弁申し上げてまいったわけでございます。しかしながら、それが厚生省残留農薬部会において五〇ppm以下のお米を売却するように、それも一層の安全を確保するためにやってほしいということがありまして、初めてそこで我々としてはこれは加工原材料用のお米に不足が生ずるかもしれないと思いまして、そこで検討いたしたわけでございます。でございますから、その間は極めて短いので、三月などという期間ではございません。  ただし、その中で検討いたしましたことを申し上げますれば、国内のお米をもちましてこれが賄い切れないものかということも考えました。それにつきましては、やはり国内産米の主食用のお米の需給状態は必ずしもゆとりのある状態ではございませんし、しかも財政の問題もございますので、これはなかなか難しいであろう。そういうことであれば、やはり韓国にお貸ししているお米を返していただくというのも考えではないかということで、そのような方針に進んでいったということでございます。     〔委員長退席、上草委員長代理着席〕
  367. 津川武一

    ○津川委員 そこで、厚生省から使わない方が安全だと言われたのはいつのことでございます。
  368. 松浦道夫

    松浦政府委員 五〇ppm以下のものについての暫定基準を設けるやもしれないということを聞きましたのは、五月に入って大分たってからでございます。
  369. 津川武一

    ○津川委員 それにしても、韓国米の輸入を決めるまでには一週間ぐらいのゆとりはあったでしょう。その間のあなたたちの動きが気になるのです。ちょうど去年の五月二十六日、日本海中部沖地震で秋田のお米、青森県の車力村、木造町、鯵ケ沢町の苗がだめになった。それで、県南のいわゆる南部地帯から苗を持ってきて植えて間に合った。早場米の出荷は七月に手に入る。五月の二十日ごろに減反している早場米を植えさせる。そういうことによって問題が解決する方向があったのだ。そのことを考えませんでしたか。そんなことを考えないで、いきなり韓国米の輸入というふうに結論を出したのではありませんか。この辺の検討はどうでございます。
  370. 松浦道夫

    松浦政府委員 早場米につきましては、そのような早期に大量のものが加工原材料の代替物として使用し得るというふうには思いつかなかったと思います。
  371. 津川武一

    ○津川委員 私たちは、このことで二度農水大臣のところにお邪魔しております。一回は農水大臣あてのものであった。二回目は総理大臣あてのものであった。その次、私は大臣にこの日本海中部沖地震の経験を話して、大臣、今からでも植えさせれば間に合いますよと指摘したのです。この話を大臣は聞いてくれて、そこのところをメモしたのです。さあ大臣、これにどうこたえてくれましたか。
  372. 松浦道夫

    松浦政府委員 そのお話はたしか聞いたと思います。ただ、それは非常に困難であるという判断を私どもはいたしました。
  373. 津川武一

    ○津川委員 いや、困難といっても、問題は日本の国の中でただ一つ自給力の残っておるお米を日本以外のお米に依存させるということなんだ。ここのところが私は欠けておったのではないかと思うわけでございます。  そこで、主食用についても五十九年産の先食い措置などでつなぐと聞いているが、加工用品についてもこういう形のつなぎようができないのか。加工用の需要は月二万トンそこいらでございます。早場米をこの点で一たんは加工用米として転用していただいて、他用途米で補っておくという措置をすれば、先ほどから何回も出たのですが、こういうことは外米を入れないという腹が決まっていればできたのだけれども、それをしないで簡単にいったのではないかというわけなんです。この点は早場米を加工用に回すということではなく、早場米を主食に回すという点でも考えませんでしたか。
  374. 松浦道夫

    松浦政府委員 早場米を含めまして、国内産米を加工用に回すということも検討はいたしました。しかし、先ほども申しましたように、主食用自給ということにつきましても私ども相当意を用いなければならぬという事情にございましたし、また財政措置の側面もございました。いろいろ検討してみましたが、やはり我々がお貸ししたお米を返していただくという方法が緊急かつやむを得ない方法ではないかというふうに判断をした次第でございます。
  375. 津川武一

    ○津川委員 私は、この質問の中で簡単に外米に依存したということを強く強く指摘しながら、あらゆる困難を払ってでも、財政上の措置をしてでも、主食外国のものに依存させる道は閉ざすべきだ、今からでも遅くないと思っているわけです。そのことを話をしながら進めていきます。  ここに農林新聞という一枚の新聞がございます。この新聞の中で、食糧庁長官が農林省の労働組合、全農林労働組合とお米のこのことで交渉だとか話し合いをしたことがございますか。
  376. 松浦道夫

    松浦政府委員 ございます。
  377. 津川武一

    ○津川委員 そのときあなたがこう答えているというふうに私たち報道も聞いております。韓国米の輸入と関連して「韓国貸付けていた米の返却を検討していた矢先に五三年産米問題がおこり、主食輸入と報道され、問題が大きくなった」こういうふうにあなたが言われたというふうに書いてあります。問題が起きる前に韓国米の輸入を検討しておった、こういうことが書かれておるので、事は重大だと私は思っております。こういう事実がありましたかどうか。
  378. 松浦道夫

    松浦政府委員 はっきり申し上げますが、全くございません。私どもはやはり全農林との会見についての記録を持っておりまして、ここにございますが、時間もございませんのでお読みいたしませんけれども、さようなことは全く私申しておりません。かつ、この韓国のお米を返していただくということを考えました契機は、あくまでも五十三年産米安全性の問題に関連いたしましてその手当てが必要になったからでございまして、私はそういうことを考えるということすらあり得ないというふうに思っている次第でございます。
  379. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、この新聞はうそだということになりますね。  それからもう一つ、やはり皆さん、大事な全農林という非常に大きな組織の労働組合がその交渉を下部の組織に流している文書、ここにもそのことが書いてあるのです。そうすると、全農林という労働組合の流し方が間違いだったということにもう言い切っていいですか。もう一回、長官、答えていただきます。
  380. 松浦道夫

    松浦政府委員 先ほどの私どもの会見の記録が手元にございます。明確にするために読みますけれども、「二つ目として、もしも、この五十三年産米が相当以上、五〇ppm以上が出た場合どうするのかという問題が出てきたわけでありますが、相当以上出た場合を想定して、韓国から貸付米返還を考えていたが、別に切り離してやればよかったと思ったことが、報道される際に厚生省の結果と一緒になってしまった。」こういうふうに私は言っているわけです。ですから、当然この場合には、韓国からの貸付米返還していただくということの前に五〇ppm以上の問題があったということでございます。そのように私は申し上げました。それがたまたま一緒になって報道されてしまったんだということを申し上げたわけでございまして、ただいまおっしゃられたことは、私は全くそのようなことを申したことはございません。
  381. 津川武一

    ○津川委員 食糧庁長官の言明を私も信じたいのです。だが同時に、日本の権威のある労働組合の書いていることも信用したいんです。  もう一回繰り返します。「私たちは、天災等どんな事態でも米。パニックが起こることのないよう、韓国に貸しつけておいた米の返却を検討していた矢先、この五十三年産米安全性と一緒になり、しかも主食輸入という報道まで行なわれたため問題は大きくなった。」と、マスコミに何か責任があるように言っておりますが、このことは今ここでまた繰り返しても論戦になりませんので、もう一回あなたの方から適当な機会に直接聞く、もう一回労働組合の方からも検討してみて、また次の機会にこの問題をやらしていただきます。
  382. 松浦道夫

    松浦政府委員 これは重要な問題であります。私ははっきり申し上げますが、そのようなことは申した覚えはございません。
  383. 津川武一

    ○津川委員 もう少し問題を進めていきます。  そこで今度は、主食米の需給計画でございます。今年三月末に発表した米穀管理に関する基本計画では、十月末の翌年以後の繰り越しがわずか十万トンにすぎないが、それまで三百五十万ないし四百万トンの新米が出回るので十分大丈夫だとしております。しかし、基本計画と実績の間にはかなりのずれが生じております。まず第一に、五十八年産米をかなり先食いしております。その先食い分六十五万トンと聞いておりますが、大体こんなものでございますか。
  384. 松浦道夫

    松浦政府委員 その程度の先食いをいたしております。
  385. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、計画の方はそれでいい。今度は集荷の実績ですが、基本計画ではマル政、マル自合わせて七百二十万トンになっておるが、現在どのくらいこれが集荷されておりますか。
  386. 松浦道夫

    松浦政府委員 恐らくマル自、マル政合わせての七百二十万トンという目標の数値に対してどの程度まで達成しているかということだと思います。その数値は六百九十六万トンぐらいであります。
  387. 津川武一

    ○津川委員 六百九十六万トン前後。引き続いて最終まで努めて、目標達成できるでしょうか。
  388. 松浦道夫

    松浦政府委員 率直に申しまして、このような集荷の状況でございまして、引き続き通年集荷に努めるつもりでございますが、目標の達成はなかなか難しいと思います。
  389. 津川武一

    ○津川委員 どのくらい未達成ができるようですか。
  390. 松浦道夫

    松浦政府委員 達成につきましては、なかなかそれは難しいということを申し上げたわけでございますが、この六百九十六万トンの数値を上に上げていくということは、多くは期待できないというふうに思います。
  391. 津川武一

    ○津川委員 確認するまでもなく、そうすると現在まだ二十四万トンの不足があるということですね。  そこで、五十九年五月二十九日付の日本農業新聞の報道によると、食糧庁供給見通しを計画より十二万トン多い六百七十二万トンと見ているようです。  ところで、供給計画に関連して東京都の供給計画について聞きますが、五月に私たちは東京都を訪ねたら、三−六期の供給、それが前年比六%もカットされて苦労しているということをしみじみと話していました。そして、都として正式に知事名で、二月二十七日付で次のような意見を農林大臣あてに出しております。それは「供給計画については、本部の消費実態とかい離しており、安定供給に支障をきたすことが予想されるので、今後の基本計画の策定にあたっては、消費地の消費動向を十分生産に反映すること」こういうふうに皆さんに出しております。  そこで、都内の五十四年以降の主食用売却実績を見ますと、五十四年六十六万何がし、五十五年六十七万、五十六年六十七万、五十七年六十八万、そして五十八年七十一万九百七十三トン、こういうふうになっておるのでございます。結局、東京都では三ー六期の供給実績は計画を三・六%上回る、こういうことでございますが、このとおりでございますか。
  392. 松浦道夫

    松浦政府委員 確かに五十九年の二月二十七日付でそのような御意見を東京都の知事からちょうだいいたしまして、基本計画の策定に当たりまして学識経験者あるいは関係者の意見を聞いたということで、各県の意向も十分に参考にいたした次第でございます。  ただいまの東京都の需給の計画に関しましては、津川委員おっしゃられたことで大体間違いはないというふうに思います。
  393. 津川武一

    ○津川委員 そこで、計算してみますと、まず先食い六十五万トン、集荷のずれが二十四万トン、需要増面で先ほどの三・六%を数えてみると十数万トン、全体として約百万トン前後が計画上不足するということになります。この不足をどのようにして補いますか。
  394. 松浦道夫

    松浦政府委員 私、全体の米の需給についてはお答えができるわけでありますが、東京都の問題でございますので、ここで詳細御説明ができる状態ではございません。  ただ、私ども、そういう数字を承って、やはり真の需要と申しますか、そういうものに即応した形で恐らく東京都の方もいろいろと工夫をしているんじゃないかというふうに思います。
  395. 津川武一

    ○津川委員 先食いの六十五万トンはいいですね。それから集荷ずれの二十四万トンもいいですね、これは二十万トンと見ましょう。それから東京都で三・六%も余計出ておる。  私、皆さんの青森県の一番大きな機関、青森県の食糧事務所に行ってみました。皆さんから六%カットせよと言われたのに、県の食糧事務所では一般に八%カットしています。そして卸に売り渡している。そこで、実際見たらどういうふうになったかというと、卸がさらに三%追加しなければならぬような状況になっている。したがって、東京都の三・六%やこういう状況からすると、需要面での消費のふえておるのを十数万トン見なければならないんだ。そうすると、百万トン前後の計算上の不足が出るということになりますが、こういう認識は私と共通ですか。
  396. 松浦道夫

    松浦政府委員 ただいまの青森のお話、承りましたが、まさに真の需要に対応した形で食糧事務所がその管内の実態に即応しながら米の売却をしていったんじゃないかというふうに思います。  今の青森のケースも、これは地域地域のケースでございますから、私、きちんと御答弁できるような状況にございませんのでお許しをいただきたいわけでございますが、全体の需給として見まする場合には、確かに集荷の面では二十四万トンほど集荷目標がまだ未達成になっているという状況でございます。  それから、需要面では六百六十万トンの需要ということになっておりますが、この需要につきましては、これよりもある程度まで高目の結果になるんじゃないかというふうに考えます。しかしながら、今後、先ほども申しましたように九月に百万トン、それから十月末で四百万トンの早場の生産がございますから、これのきめ細かな需給操作を我々やりまして万全を尽くせば、もちろんこの端境期において問題が生ずることはないというふうに考えておるわけでございます。  その場合に、今百万トンを早食いするというふうにおっしゃられたと思いますけれども、その数値につきましては、去年六十五万トンの早食いをいたして、それよりも多くなるというふうに私は思います。しかしながら、それがどの程度になるかということにつきましては、これからのお天気もございます。それからまた、これから私どもが七ー十月期につきまして、当然また真の需要に見合った形で需要を把握し、これに対しまして売却をしていくということもございます。さような努力もございます。いろいろなことの要素で今後どのぐらい早食いをしたらいいかということが決まってまいると思いますので、私は六十五万トンよりは多くなるだろうと思いますけれども、ただいま先生がおっしゃられた数字まで達するかどうかということにつきましては、ここではまだ明確ではないというふうに思います。
  397. 津川武一

    ○津川委員 はっきり言って、皆さんが考えているみたいではなくて、先食いの六十五万トンははっきりしていますし、それから先ほどの集荷ずれの二十四万トン、仮に二十万トンと見てもよろしい。それから、皆さんが考えている消費よりも、皆さんはずっと漸減していると言っているけれども、東京都や大都市では消費がふえているわけです。これからの天候いかんでは消費にまた影響すると言っている。しかし、気象通報の方は寒い夏だと言っている。  こういうふうな状況から見て、私たちは、百万トン前後もしくは九十万トンもしくは百五万トシ、そこいらあたりの計画の不足が来ると見ているわけです。現にきょうの日本農業新聞も、その点を「在庫量はニカ月半 早場米遅れれば破たん」と言っておるわけです。そこで、この不足分を早場米で今埋めると言っている。仮に私の話した日本農業新聞の言っている百万トン前後というと、これは一カ月平均の供給量の一・七ないし一・八カ月分に達します。五十九年産米を当てにしないとすれば、九月上旬で在庫がゼロになる勘定。日本農業新聞は中旬でゼロになると言っている。そこで、これを早場米で埋めるために具体的な手を打たなければならぬ。黙っていては集まらない。早場米で埋めなければ絶対にいけないと思いますし、この対策を伺わせていただきます。
  398. 松浦道夫

    松浦政府委員 ただいまおっしゃられますように、私どもも、六十五万トンの去年の早食いよりも多い早食いをしなければいけないというふうに思います。仮に百万トンの新米早食いをするという仮定の問題でございますが、そういう仮定に立ちましてこの早食いが可能かどうかということでございますけれども、これはやはり輸送の面等において桂当な努力が要ると思います‘そしてまたマル自、マル政を通じた、一体となった集荷の努力というものが必要であるというふうに思います。  ただ、集荷の面で、今の輸送の問題、それから集荷団体とともにこれを進めていくということで、食糧庁の全組織を挙げてやるということになりますれば、九月中には百万トンあるわけでございますし、十月には四百万トンあるわけでございます。決してこれは手をつかねておるわけではございません。私ども今のうちから準備を十分いたしまして、この早場のお米を十分に供給へつなげていくということをやれば私は大丈夫であるということを申し上げておるわけであります。
  399. 津川武一

    ○津川委員 大臣以下食糧庁長官、先ほど他の議員たちの質問にも繰り返し繰り返し答えているのは、平年作が続くとすればと、こういうことを当てにしている。それで対策を講じているのですね。今の、百万トンにするならば、九月に百万トンの早場米が出る。これは九月末のこと。需給が逼迫してくると何らかで破れていく。パニックが出ないようにしなければならぬ。だから、我々もこの論議を慎重にしなければならぬ。こう需給が逼迫してくると、わずか五万トンや十万トンのところで破れる。したがって、このところは非常に慎重に、しかも大胆に事を処していかなければならぬ。松浦さんの今の答弁だと、九月末に百万トン出ると言っている。私は、九月上旬にゼロになるのじゃないかと言っている。農業新聞は九月中旬にゼロになるのじゃないかと言っているんだな。そこいらあたり、あなたが九月に百万トン早場米が出るからと言っても、国民は安心できない。これが一つ。  もう一つには国鉄の輸送。今あなたがはしなくもしゃべったね。貨物輸送をとめているのです。長距離の米輸送をしていないのです。そうなるとどうなるかという問題。手を打っているかどうかという問題。この点も心配になること。  もう一つには、もう台風二号が出てきた。これから二百十日前後でしょう、九月というのは。これは台風の時期なんです。豪雨の時期なんです。このときに食糧がどうなるかということなんです。心配だ、取り越し苦労だと言わないで、あなたたちみたいに、平年作が続く、平穏な状態が続くとすればという前提でなくて……。したがって、私たちは、どんな状態があっても国民主食供給するために、心配だからもう少し早場米を処理する方策を講じてもらいたい。きょうここで答弁できなかったとしても、次の私たちのかわりの者の質問に答えてもいいから。九月の末に百万トン出るから大丈夫だというのでは我々納得できない。繰り返しますが、九月の十日前後にそういう状態が来ることを指摘しておいて、もし答えられたら答えていただいて、答えられなかったら私たちの次の質問の中林さんの質問に答えていただいてもよろしいと思います。どうですか。
  400. 松浦道夫

    松浦政府委員 九月末までに出てまいります百万トンぐらいの早場、十月末までに出てまいります四百万トンぐらいの早場、このお米につきましては、今までの傾向から見ますと作柄は余り影響はございません。これは各年産の産米を見ていただくと大体おわかりになります。  したがって、むしろ強調してお話しになりました輸送の問題とか集荷体制の問題が非常に重要な問題であるということは、私も認識をいたしております。例えば貨物につきましては臨時の貨物便を出していただくとか、そういういろいろな手配を早目早目にしていかなければいけないということであろうと思います。さような体制につきましては、私どももう十分に考えておるわけでございまして、さらにこの端境期におきまして万全の体制をとっていこうということでございますので、どうぞまた御質問をいただければそれでお答えをいたすつもりであります。
  401. 津川武一

    ○津川委員 万全の策をとるというから、九月上旬の計画、中旬の計画、下旬の計画というふうに分けていただかないと私も納得できない。私は余り心配性じゃない、楽天主義なのだけれども、そこいらは国民に対する責任を我々は負いますので、そういう形での計画を明らかにしてほしいと思います。  そこで対策としてですが、問題がここに至ったことはなぜかということ。  一つには、農民生産意欲がなくなった。かなり無理な減反を押しつけた。生産者米価はなかなか思うように上がらない。生産費、所得が補償されない。そこで農家の皆さんが多少生産意欲が落ちている。したがって、早場米から問題を解決するとすれば、今生産に励んでおる農家を励ましてうんとお米を上げるように指導もする、援助もしなければならないと思うのです。宮城の農民みたいに減反の田んぼに稲を植えるとか、山形の農民みたいに自分の保有米を出すとかいう気力を農家の方から引き出そうとすれば、何としても農民の要求にこたえてあげなければならぬ。生産費と生活費を補償する米価をここで保証してあげると、農民生産意欲がふえていって問題解決に大きく役立つと私たちは思うのですが、生産者米価に対する態度を聞かしていただきます。
  402. 松浦道夫

    松浦政府委員 本年の生産者米価の取り扱いにつきましては、まだ何も決めておりません。例年のとおり食糧管理法規定に従いまして、物価その他の事情に配慮しつつ再生産の確保を旨として、米価審議会の意見を聞いて適正に決定するということでございます。
  403. 津川武一

    ○津川委員 生産に携わっている現地の農家を激励する意味において、農民の生活そして生産費が補償される米価を実現することを強く強く要望して、その時期になればまた論議の機会があるかと思いますが、これが今問題を解決するために非常に大事なかなめになっていると思うので、あえて指摘したわけであります。  第二の問題は、こういう状況になってきますと、今のままの減反は間に合わないと私は思う、三期対策で。六十万ヘクタールの減反は多過ぎると思う。そこで、いかなる場合があっても農家の皆さんにも心配ない、国民の皆さんにも心配ない食糧の計画を立てようとすれば、十万トンの端境期のものとか四十五万トン、五十五万トンなどでは問題にならな。皆さんがこれから何年かかけて百五十万トンの備蓄をやると言っておりますけれども、これも私たち、先に行ってみなければわからないので、思い切って来年はこういう綱渡りのことをなくするために来年度の第三期対策を考え直さなければならないのではないか、こういうふうに思う次第でございます。  この点は、私だけでなく、地方自治体と皆さんと協力したという格好になっておりますが、その地方自治体の皆さんに対する一番大きな要求、ここに幾つも持ってきましたけれども、この中の一枚か二枚出してみます。  この要求は「食料自給力の維持強化という農政の基本に即し、主食用米、加工原材料用米とも全量完全自給するとの方針を堅持すること。」もう一つは減反なんです。「適正な在庫量を早期に確保する等の観点から、米需給の実態を見極め、需給計画を含め、水田利用再編第三期対策の見直しを行うこと。」これは、もう少し減反を緩めろということでございます。これは東北北海道の知事会の要請でございまして、そのほか幾つも、地方の市町村議会からも陳情を受けています。これは、私たちの方の金木町という町議会「輸入にたよらない恒久的自給政策を確立すること。 減反計画を大幅に修正緩和すること。 生産意欲を向上させるためにも今年産米価を大幅に引き上げること。」私の言っているとおりなんですが、この三期対策をやはり考え直さなければならぬ。  私の友人の農業専門家たちは、ことしの六十万ヘクタールの減反でなく四十万ヘクタールぐらいの減反ならば、そう泡を食わないで、需給計画に支障を来さないのではないかというふうな意見も私に伝えてくれております。この点、減反のこと、第三期対策のことをお答え願います。
  404. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 在庫積み増しをできるだけ早期に行うということになりますと、当然のことながら単年度の転作目標面積は大幅に緩和するということになるわけでございます。しかしながら、在庫の積み増しというのはやはり一過性でございますから、積み上がりますと、あとは通常の需給均衡の姿に戻るわけでございます。  ただいま二十万町歩というお話がございましたが、例えば単年度で百万トン積むということになりますと、おっしゃるような目標緩和になりますが、次年度以降になりますと、引き続きまして二十万ヘクタールの緩和を続けるというわけにはまいりません。そこで、三期対策のフレームを考えます場合に、各年平均して在庫を積んでいく、したがって目標面積も三期を通じて六十万ヘクタールということで変わらないという姿にいたしたわけでございます。そういう姿にいたします過程におきまして、おっしゃるようないろいろな議論があったことは事実でございますが、転作目標を減らしたりふやしたりということで余り変えないでくれということも、また地方の御要望として大変強かったことも事実でございます。  それらを勘案して現在の計画はでき上がっておるわけでございますが、再々お答えいたしておりますように、そういう対策の建前と現実の米の需給の問題とどちらが優先するかということになりますれば、米の需給という問題が優先するわけでございますから、本年の作柄、今後の需給動向を眺めまして、明年度以降の対策につきましては弾力的な対応をしよう、かように方針を決めておるわけでございます。
  405. 津川武一

    ○津川委員 小島局長はそう単純に変更するわけにいかないと言っております。それもそうかもわかりませんが、ことしみたいな状況を控えて、来年も九六という作柄だったらどうするか。来年の減反面積の超過、減反が多くなったらどうなるか。あなたは限度数量分だけは全力を挙げると言っているけれども農民の方の減反意欲がふえたならどうなるか。こうして現在の状況を踏まえたときに、少なくとも来年度の減反は、ことしの三期対策に臨時的でも応急に考え直していかなければならぬ。米だから気候によってかなり変化があるものを、一定の決まった枠でやるのはいけない。  きょう出てきている農民の皆さんのところは、そのことを承知しながら、現地では減反せよと言っている。あなたたちは、上の方にいる官僚の支配みたいな計画からいけばそうだろうと思う。これがあなたたちと皆さんのちぐはぐなところ。見てごらんなさ。どこの大会でも、今、農協は全部大会を開いている。大幅な減反緩和、この声は皆さんどうしても聞いてあげなければならないので、考えがあればお答えいただいていいですが、時間も来たようですから、私、さらに先に進ませていただきます。  必ずこのことは考えていただかなければならぬが、今臨時の状態なんです。しかも、これから気象というのはよくない、ここ何年間は。そうなってくると、あなたたちがこの間決めた三期対策を見直す時期が来ている。このことも慎重に、そして虚心坦懐に考えていただきたいと思うのです。  そこで、先ほどからこれも議論になりましたが、来年度の主食を確保していくためには、そういう形のことをやっていくと同時に、今から作付面積の増加ができるところはありませんか。あったらやらせていただきたい。私の津軽で七月一日に植えた米でも間に合う、こういったことがあるのです。やはり端境期の問題を避けるとすれば……(発言する者あり)これからだという、ありがとうございます。これも作付面積を増加させること、休耕田を利用する、これが国民に対する山村さんの、おれの責任で片づけるとすれば、そのおれの責任の一つだと思うのだけれども。  それから、青刈り米をお米として、主食としてとっていく、他用途米を主食用に回すという点は、ぜひとも明確に答えていただいた方が、先ほどあいまいな返事で、否定的な返事でありましたが、強制するわけではありませんけれども、ここが山村農林大臣の責任をとるいい発言ではないかと思いますが、重ねてお答え願います。
  406. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 作付面積の問題になりますと、昨年も実は転作目標面積六十万ヘクタールということで県におろしたわけでございますが、実際の転作は約六十四万ヘクタール、これは御承知のとおりだと思います。私どもも、未達成というのは困るわけでございますが、超過達成までしてもらわなければならないということの事態ではございませんので、本年当初以来、できるだけ目標に近づけた転作をやってもらいた。そういたしますと、米の方の側から見ますと、約四万ヘクタールほどの作付増が期待できるわけでございます。  それから、問題は単収の方のことになるわけでございまして、米の作柄につきましてもいろいろな要素がございます。気象的な条件もございますし、社会的な条件もございますので、いろいろな事態に耐えまして予定いたしました収量を上げられるような稲作をやってもらうということで、本年当初以来、稲づくりの問題について例年にない力を入れておるわけでございまして、各県の対応も大変熱心であるというふうに考えておりますので、今申し上げました面積掛ける単収ということによりまして極力自給計画上の必要量を確保いたしたいと考えておるわけでございます。  それから青刈りの問題でございますが、昨年におきまして約二万四千ヘクタールほどの青刈りが出ております。青刈りの実態にもいろいろ差がございますが、まじめな意味で畜産の飼料としてどうしても必要だというところもございますれば、転作の帳じり合わせに使っておる、利用の実態面からもいろいろ問題があるという地域もございまして、この三期対策におきましては従来の青刈りに対する扱いというのもかなり変えたつもりでございます。従来は飼料用ということで特定作物の扱いをいたしておりましたが、本年以降は一般作物ということで奨励金の水準も大幅に引き下げておりますし、他用途利用米の導入にも絡みまして、極力これは他用途利用米に回すか、あるいはもっと質のいい転作に回すということでお願いをいたしておるわけでございますので、本年の場合、青刈り稲自体は相当に減るのではないか、かように見ておるわけでございます。  ただ、青刈り稲をどうしてもやるというところだけこれを主食用に回す、その結果として未達成状態が出てもしようがないというふうなことにいたしますと、地方別の不公平感というのがどうしても出てまいりますので、今後の転作推進上はいろいろ問題もございますので、現時点でまだ間に合うというところにつきましては、極力他用途利用の契約をしていただいて、そちらに回していただく、超過達成は極力抑えていただく、こういうことで臨むつもりでございます。
  407. 松浦道夫

    松浦政府委員 他用途利用米を主食に回してはどうかというお尋ねがございましたが、私ども基本的に申しまして、主食用のお米もそれから加工原材料用のお米も国内自給をしたい、それが基本であるという考え方でございます。したがいまして、私どもとしましては、まさに他用途利用米は加工原材料用のお米を国内自給するための政策でございますから、さような意味で主食用のお米はマル政、マル自でございますし、それからまた、他用途米の分野が加工原材料用に当たりますので、これをすべてできるだけ確保していくということで今後とも推進していくということだろうと思います。
  408. 津川武一

    ○津川委員 局長と長官の答弁、減反超過は困る、未達成も困る、一〇〇%と言う。ところが実際農村では、生産者米価も思うようにいかない、いろいろな借金が重なっておる、農業外収入を当てにしなければならないので、減反を超過させる、こういう動きが出てきますので、そこいらは全力を尽くすということは了承しますが、そのこともあるものと思って対策を立てていただくように。松浦長官の他用途米、実際に足りなくなったときは私は食糧に回ると見ているのです。当然なんです。それはそうでなければうそなんです。そこいらあたりをよろいを着て突っ張っているところに、私は心配なところがあるわけです。答えは求めません。なったら行きます。だれでもそう思っています。その点を指摘しておきます。  最後に、あした麦価米審が開かれるそうですが、日本の小麦、大麦、麦が皆さんが計画したとおり増産されてない。皆さんが目標とした百八十万トンにいくにはほど遠いものがあります。なぜこうなっているのかという点、ひとつ論議してみたいと思います。これは麦価が安いから、二つ目には麦をつくる条件整備をしてくれないからでございます。それで、皆さんが計画どおり麦を育てていく方針をまず伺わしていただきます。
  409. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 麦の作付面積で申しますと、大変大ざっぱな丸い数字で申しますと、畑の麦が大体三分の一、水田の麦が三分の二でございまして、これが転作に回りますものとそれから水田裏作に回りますものと大体半々ぐらい、丸く申し上げればそういう面積の分布になっております。  六十五年見通しで想定をいたしております麦作面積は、転作目標面積が七十六万町歩程度までなるだろう、こういう想定を置いて組んでおるわけでございまして、現実の麦の作付面積の増加といいますのも、転作目標面積が大幅に引き上げられましたときに飛躍的に伸びておる、こういう状況に相なっております。近年、この二、三年でございますが、目標面積を引き下げてきております。また、本年は他用途利用米というものを導入いたしておりますので、その意味で転作麦につきましてはどうしても頭打ちの傾向にあるわけでございます。ただ、転作麦がきっかけになりまして、二毛作可能な地域におきましては水田裏作の麦が依然としてふえ続けておりまして、傾向的には望ましい方向にあるというふうに考えておるわけでございます。ただ、麦種別にはいろいろまだ独特の需給問題も抱えておりますので、今後の作付の指導といたしましては、今までにも増してきめの細かい対応をしていかなければならぬというふうに考えております。  また、単収の点につきましても、十年前あるいは二十年前に比較いたしますると、平年単収として非常に増加傾向にございまして、最近の大型圃場、それに機械を利用した麦作、それに加えまして密播と申しますか、播種量がふえているというようなことが相乗効果を生みまして、単収としても向上する傾向にございますし、また労働生産性という面から見ましても非常に上がっておる、こういう状況でございますので、転作の今後の動きと関連いたしまして、目標そのものにこだわるつもりはないわけでございますが、できるだけ質の高い麦作を定着させていこう、こういうことで努力をいたしておるところでございます。
  410. 津川武一

    ○津川委員 時間が来たから終わりますけれども、麦に対しては、ことしの豪雪、寒さなどでかなりの被害を受けておりますので、豪雪に強い麦を育てるということも考えていかなければならない、このことを指摘し、麦価を農民生産と所得が償われるようにパリティ指数にこだわらずに上げることを要求して、質問を終わります。
  411. 上草義輝

    上草委員長代理 次回は、来る二十五日月曜日正午理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十一