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1983-10-07 第100回国会 衆議院 行政改革に関する特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年十月七日(金曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 江藤 隆美君 理事 海部 俊樹君    理事 津島 雄二君 理事 三塚  博君    理事 細谷 治嘉君 理事 矢山 有作君    理事 正木 良明君 理事 吉田 之久君       足立 篤郎君    愛野興一郎君      稻村佐近四郎君    今井  勇君       小里 貞利君    大村 襄治君       片岡 清一君    亀井 善之君       渋谷 直藏君    田中 龍夫君       谷  洋一君    中村  靖君       西岡 武夫君    橋本龍太郎君       原田昇左右君    平沼 赳夫君       保利 耕輔君    堀内 光雄君       宮崎 茂一君    村田敬次郎君       稲葉 誠一君    小川 国彦君       後藤  茂君    沢田  広君       福岡 義登君    森井 忠良君       安井 吉典君    湯山  勇君       渡部 行雄君    草川 昭三君       鈴切 康雄君    岡田 正勝君       和田 一仁君    岩佐 恵美君       中路 雅弘君    藤原ひろ子君       三浦  久君    山原健二郎君       小杉  隆君  出席国務大臣         内閣総理大臣  中曽根康弘君         法 務 大 臣 秦野  章君         外 務 大 臣 安倍晋太郎君         大 蔵 大 臣 竹下  登君         文 部 大 臣 瀬戸山三男君         厚 生 大 臣 林  義郎君         農林水産大臣  金子 岩三君         通商産業大臣  宇野 宗佑君         運 輸 大 臣 長谷川 峻君         郵 政 大 臣 桧垣徳太郎君         労 働 大 臣 大野  明君         建 設 大 臣 内海 英男君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     山本 幸雄君         国 務 大 臣         (内閣官房長官後藤田正晴君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖縄開発庁長         官)      丹羽 兵助君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      齋藤 邦吉君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (国土庁長官) 加藤 六月君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 谷川 和穗君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      塩崎  潤君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      安田 隆明君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 梶木 又三君  出席政府委員         内閣審議官   手塚 康夫君         内閣審議官   百崎  英君         総理府総務副長         官       深谷 隆司君         内閣総理大臣官         房総務審議官  橋本  豊君         総理府人事局長 藤井 良二君         総理府統計局長 時田 政之君         日本国有鉄道再         建監理委員会事         務局次長    林  淳司君         公正取引委員会         委員長     高橋  元君         公正取引委員会         事務局経済部長 佐藤徳太郎君         公正取引委員会         事務局審査部長 伊従  寛君         警察庁交通局長 久本 禮一君         行政管理政務次         官       菊池福治郎君         行政管理庁長官         官房総務審議官 竹村  晟君         行政管理庁長官         官房審議官   古橋源六郎君         行政管理庁行政         管理局長    門田 英郎君         行政管理庁行政         監査局長    中  庄二君         防衛庁参事官  西廣 整輝君         防衛庁参事官  冨田  泉君         防衛庁長官官房         長       佐々 淳行君         防衛庁防衛局長 矢崎 新二君         防衛庁経理局長 宍倉 宗夫君         防衛庁装備局長 木下 博生君         防衛施設庁長官 塩田  章君         防衛施設庁総務         部長      梅岡  弘君         経済企画庁総合         計画局長    大竹 宏繁君         環境庁水質保全         局長      佐竹 五六君         国土庁長官官房         長       石川  周君         国土庁長官官房         審議官     田中  暁君         国土庁土地局長 永田 良雄君         法務大臣官房長 根岸 重治君         公安調査庁次長 岡村 泰孝君         外務大臣官房長 枝村 純郎君         外務省北米局長 北村  汎君         外務省条約局長 栗山 尚一君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       小野 博義君         大蔵大臣官房審         議官      川崎 正道君         大蔵大臣官房審         議官      水野  勝君         大蔵大臣官房審         議官      大山 綱明君         大蔵省主計局次         長       平澤 貞昭君         大蔵省主計局次         長       的場 順三君         大蔵省関税局長 垂水 公正君         文部省初等中等         教育局長    高石 邦男君         文部省管理局長 阿部 充夫君         文化庁次長   加戸 守行君         厚生省公衆衛生         局長      大池 眞澄君         厚生省医務局長 吉崎 正義君         厚生省薬務局長 正木  馨君         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         農林水産省経済         局長      佐野 宏哉君         農林水産省構造         改善局長    森実 孝郎君         農林水産省畜産         局長      石川  弘君         通商産業大臣官         房審議官    山田 勝久君         通商産業省通商         政策局長    柴田 益男君         通商産業省貿易         局長      杉山  弘君         通商産業省産業         政策局長    小長 啓一君         通商産業省機械         情報産業局長  志賀  学君         資源エネルギー         庁長官     豊島  格君         資源エネルギー         庁石油部長         運輸省鉄道監督 松尾 邦彦君         局長      永光 洋一君         運輸省航空局長 山本  長君         気象庁長官   末廣 重二君         郵政大臣官房長 奥山 雄材君         労働大臣官房長 小粥 義朗君         建設大臣官房長 豊蔵  一君         建設大臣官房総         務審議官    吉田 公二君         建設省住宅局長 松谷蒼一郎君         自治大臣官房審         議官      金子  清君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省行政局公         務員部長    坂  弘二君         自治省財政局長 石原 信雄君         自治省税務局長 関根 則之君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     橋元 雅司君         行政改革に関す         る特別委員会調         査室長     大澤 利貞君     ───────────── 委員の異動 十月七日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     堀内 光雄君   片岡 清一君     平沼 赳夫君   後藤  茂君     福岡 義登君   渡部 行雄君     稲葉 誠一君   浦井  洋君     藤原ひろ子君   三浦  久君     岩佐 恵美君 同日  辞任         補欠選任   平沼 赳夫君     片岡 清一君   堀内 光雄君     大村 襄治君   稲葉 誠一君     渡部 行雄君   福岡 義登君     小川 国彦君   岩佐 恵美君     三浦  久君   藤原ひろ子君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   小川 国彦君     後藤  茂君   山原健二郎君     中路 雅弘君     ───────────── 十月七日  国家行政組織法の一部を改正する法律案等の廃案に関する請願(井上普方紹介)(第三九四号)  同(岡田利春紹介)(第三九五号)  同(小林恒人紹介)(第三九六号)  同(沢田広紹介)(第三九七号)  同(島田琢郎紹介)(第三九八号)  同(城地豊司紹介)(第三九九号)  同外一件(関晴正紹介)(第四〇〇号)  同(竹内猛紹介)(第四〇一号)  同(栂野泰二紹介)(第四〇二号)  同(野口幸一紹介)(第四〇三号)  同(野坂浩賢紹介)(第四〇四号)  同(福岡義登紹介)(第四〇五号)  同(細谷治嘉紹介)(第四〇六号)  同(前川旦紹介)(第四〇七号)  同(八木昇紹介)(第四〇八号)  同外一件(矢山有作紹介)(第四〇九号)  同(安井吉典紹介)(第四一〇号)  同(山田耻目君紹介)(第四一一号)  同(湯山勇紹介)(第四一二号)  同(吉原米治紹介)(第四一三号)  同(渡部行雄紹介)(第四一四号) は本委員会に付託された。     ───────────── 十月六日  行政改革に関する陳情書外二件(第一八二号)  行政改革の推進に関する陳情書外二件(第一八三号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  国家行政組織法の一部を改正する法律案内閣提出、第九十八回国会閣法第三九号)  国家行政組織法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案内閣提出第一号)  総務庁設置法案内閣提出第二号)  総理府設置法の一部を改正する等の法律案内閣提出第三号)  総務庁設置法等の一部を改正する法律案内閣提出第四号)  行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案内閣提出第五号)      ────◇─────
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国家行政組織法の一部を改正する法律案国家行政組織法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案総務庁設置法案総理府設置法の一部を改正する等の法律案総務庁設置法等の一部を改正する法律案及び行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福岡義登君。
  3. 福岡義登

    福岡委員 運輸大臣の御出席が少しおくれるようでありますので、先に国鉄及び関係省庁の方に御質問をしたいと思うのです。  貨物問題でございますが、きょうの新聞にもダイヤ改正が発表されました。これは改めて申し上げるまでもないのですが、大変大幅な合理化であります。輸送量で言いますと、一億一千万トン体制から七千七百万トンになるわけで、列車本数から見ましても、三千二百本の現在の本数から約半減をいたしまして千五百三十八本になるわけであります。あるいは列車キロで見ましても、現在三十七万キロ余りの列車キロから二十九万五千キロに削減をされるわけであります。貨物駅の問題も八百五十駅体制から四百六十駅体制になるわけであります。これはかつてない大規模合理化であります。国鉄再建という立場から必要な施策を講じなきゃならぬということはわかるのでありますけれども、それにいたしましても、この計画がそのまま実施されるということになりますと、日本経済産業あるいは地域社会の発展のために多大な影響が出てくると思うのであります。  こういう事態経済の面から経企庁長官はどう考えておられるのか、あるいはまた、日本産業の元締めであります通産大臣としてはどう理解されておるのか、まず御見解をお伺いしたいと思います。
  4. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 お答え申し上げます。  経済企画庁といたしましては、いわばマクロ経済的な観点から総合交通体系交通ネットワークの形成を考えているところでございまして、去る八月十二日の閣議決定をいただきました「展望と指針」の中には、その点が明瞭に指示されているところでございます。最近の各交通機関利用状況等を勘案しながら、今後の国鉄貨物輸送状況等を見通しまして、たとえば拠点間直行輸送体制の確立というような、国鉄貨物が効率的に利用される方向の交通体系をマクロ的な観点から打ち出しているところでございまして、個々の問題といたしましては、各省がこれらの方針の中で実効のある交通政策を進めていただけるものだと思っております。
  5. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 通産省といたしまして、物資の輸送にはいろいろ影響があるのではないかというお問いでございまして、たとえば化学製品でございますが、これは大体どのような輸送方法があるか、この点に関しましては影響少なくないものがあるだろうと思いますが、現在のところでは、個個のケースをそれぞれ運輸省国鉄と相談をいたしまして、国鉄善処をしてくれるというのが今日までのことでございました。今後どうするか、これは十二分に検討いたしたいと考えております。  また、赤字ローカル線でございますが、これは炭鉱あるいはまた足尾銅山炭鉱は特に幌内、歌志内等々がございます。これは昨日も衆議院並びに参議院の石特並びにエネルギー特別委員会でも特別の決議もしていただいた次第でございますが、今日まで通産省といたしましても、国鉄当局運輸省当局とも十分連絡をとりまして、ひとつ業務に影響のないようにお願いしたいというふうなことで、いま御指摘になられました来年二月のダイヤ改正、あれには含まない、当分ちょっと小康を保っておるのではないかという状況でございます。
  6. 福岡義登

    福岡委員 経企庁長官の御答弁でございますが、通り一遍の御答弁であって、必ずしも了解できませんが、特にこの機会経企庁に申し上げたいのは、日本総合交通体系を整備するという調整の役所でもあるわけで、しかし、運輸省に全部任せっきりで経企庁が本来の責めを果たしておられない印象を強く持つわけであります。ただいまの御答弁を聞きましても、これほど大きな貨物合理化日本経済に及ぼす影響が、もう少し別の角度から検討されておるのではないかと思ったのですが、残念ながらその答えもないと思うわけであります。また、通産大臣お話もいろいろお話がありましたが、個々ケース国鉄と話し合って解決できないもの、後でまた二、三申し上げますけれども、たくさんあるわけであります。ローカル線の問題は、御指摘のとおり、先送りになりましたので、それはそれなりに私どもも評価しておるのですが、もう少し経企庁通産省も、この日本の物流に強い関心を示してもらいたいということをつけ加えておきまして、あとはまた別の機会に譲りたいと思うわけであります。  そこで、自治大臣にお伺いするのでありますが、各県知事さんあるいは市町村長さん、さらに地方議会で今度の国鉄貨物問題を大きく取り上げられまして、特別の陳情議会における決議あるいは意見書というようなものが全国的に大きく盛り上がっておると思うのですが、自治大臣といたしましては、これらの事態をどのように掌握されているのか、あるいはどのように対応されようとしておるのか、お伺いしたいと思います。
  7. 山本幸雄

    山本国務大臣 地域にとりましては、これは大きな問題でございます。地域経済といたしましても、また地域住民の生活の上から見ましても、地域によっては相当大きく影響がある、こういう事情であると思います。したがいまして、関係地方公共団体等からそういうような陳情は承ることがあるわけでございますが、それはそれぞれ運輸省なりあるいは国鉄にも私の方からも要請をいたして善処方をお願いするということであります。今後といたしましても、やはり地域のそうしたいろいろな事情をよく御勘案をいただいて、地域住民とも、あるいは公共団体ともよく話し合いをして、私は、納得のいくような方法でひとつ解決の道を探っていただきたい、こう思っておるところでございます。
  8. 福岡義登

    福岡委員 善処要望しておるとおっしゃいます。あるいは地域で十分話し合って納得をするようにというお話なんですが、私どもが見受けるところ、必ずしもそう動いていない。国鉄計画基本線がそのまま実行されようとしておるわけで、認識が少し違うのじゃないかと思うのですが、たとえばどういう善処要望されておるか、あるいは地域における話し合いはどういう進み方があるのか、その辺をもう少しお伺いしたいと思います。
  9. 山本幸雄

    山本国務大臣 地域といいましても、今度の一次、二次地方交通線地域もあるわけでございますが、それらの地域にはそれぞれの、たとえばわりあい容量の大きな素材輸送をするというような地域が多いように私は思うのです。そういう問題についてどういう輸送方法があるかといえば、やはり国鉄に頼っていきたいという気持ちが非常に強いというところが多いのではないか。そういう意味で、それぞれ国鉄の方あるいは運輸省のいろいろ御事情もおありでしょうけれども地域住民ともひとつよくお話し合いをいただきたいというのが私ども立場であります。
  10. 福岡義登

    福岡委員 お話はわかりますが、それでは具体的に運輸省あるいは直接事業を遂行しております国鉄自治省は折衝された経緯がございますか。
  11. 金子清

    金子政府委員 国鉄貨物合理化の問題につきまして、私ども地方公共団体からいろいろと御意見、御要望をいただいております。その都度私ども運輸省あるいは国鉄当局に対しまして、具体的にこういう地域でこういう問題があるので、十分地域地方団体あるいは業界の方々と話し合って事を進めていただきたいという要望をいたしておるところでございます。その結果かどうか、私どもだけの働きかけではないと思いますけれども足尾線を含めました四線五駅につきまして、今回貨物駅の合理化の延期ということが措置されたということは、私ども働きかけ一つの効果ではあったのではないかというふうに思っておるところでございます。
  12. 福岡義登

    福岡委員 これ以上は答弁を求めませんが、足尾線など第二次選定特定地方交通線、これは国鉄合理化計画を基本的に考え直したというものではないのでありまして、ただ第二次選定の申請その他の手続がかかって、まだ進んでいないというようなことなどが中心的な理由だと思うのですが、今後自治省といたしましても――私ども、各地方を歩いてみまして実情を調べております。強い要望が出て、しかも具体的に要望が出ております。それらをさらに集約をしていただきまして、積極的な働きかけをお願いしておきたいと思います。  次に、警察庁にお伺いをするのでありますが、お聞きのように、一億一千万トンから七千七百万トンということになりますと、三千三百万トンがトラック輸送その他にかわるわけであります。五トン車で換算をいたしますと、六百六十万台のトラックが必要になります。十トン車で換算をいたしましても、三百三十万台のトラックが動くことになるわけであります。これは大変なことであります。御承知のように、いま乗用車まで含めて四千万台を超しておる自動車日本道路を走っておる。その上に、五トン車にするか十トン車にするかはいろいろあるでしょうが、何百万台という車がさらに走ることになる。そうなりますと、交通安全上の観点から考えてみましても大変な問題だと思うのであります。  警察庁として、最近の自動車による交通事故実情などに照らして、国鉄貨物トラックに転換されても交通安全上問題がないのかどうか、その辺を説明をしていただきたいと思います。
  13. 久本禮一

    久本政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生のおっしゃいました三千三百万トンという数字は、最近の国内の貨物輸送の総輸送トン数、これは私ども直接には知り得ないわけでございますが、伺いまして計算いたしますと、昭和五十六年度の輸送量では大体〇・六%程度の増になると聞き及んでおります。したがいまして、そういったマクロの数字の上で見ますと、その影響というものにつきまして大きいとはちょっと申せないかというふうには思います。  ただ、現実に道路輸送の問題は地域的な条件によって大変事情が異なりますし、また特定地域にこの問題の影響が集中的に出てくるということもあり得ますので、そういった地域条件によっては、安全上及び交通の円滑の確保上いろいろ影響も出てくるんではないかというふうに予想はいたしております。
  14. 福岡義登

    福岡委員 確かに国鉄貨物輸送のシェアというのは非常に少ない、これは御指摘のとおりであります。しかし、そうでなくても交通事故が頻繁に起きている。年間恐らく六十万件を超しておるんじゃないか。死亡事故を見ましても、一万人以上が交通事故で死亡しておるんじゃないか。そういう上にこれだけのトラックが増車される。大変な事態だと思いますし、さらに加えて言えば、火薬類危険物輸送相当程度トラックに転換されることも考えられるわけでありまして、交通安全上大変問題があると私どもは重要視しておるわけでありまして、今後の対策を十分考えていただきたい、こういうことを要望しておきたいと思います。  次に、国鉄当局にお伺いをいたしますが、先ほど来お聞きのように、今度の計画には相当問題がある。そこで、初めにも申し上げましたが、国鉄再建をするために、貨物輸送効率性といいますか、一つ施策を必要としておることは否定できないのでありますが、余りにも今回の計画は大規模である。しかも、十分時間をかけないために荷主の理解も得られてない。あるいは地方公共団体もいろいろ意見が出ている。そういう実情にかんがみまして、今度の五九・二の計画を再検討される必要があると私は思うのでありますが、総裁としてはどう考えておられますか。
  15. 高木文雄

    高木説明員 最近は、五十三年、五十五年、さらに五十七年と貨物輸送の変更をいたしてまいりましたが、現在計画しております五十九年二月のダイヤ改正は、そのような過去にいたしましたものと比べますと、規模からいいましてもやり方につきましても、全く性質の違う大きな改正でございます。したがいまして、いろいろ御利用の方方あるいは地域方々にいろいろな意味での当たりが出ることはやむを得ないわけでございまして、しかし、それをいかにして小さくするか、御迷惑をおかけする程度を小さくするかということについては‘現在、各地域において全力を挙げていろいろ知恵を出し合うということをいたしておるわけでございます。  これをもう少しスローテンポにできないか、あるいは考え直す余地はないかという点でございますけれども、御承知のとおり、六十年度に幹線で収支均衡するということで経営改善計画を作成し、そして、それに取り組んでいるわけでございますけれども、その計画に比べまして、現在全体として収入が低下しております関係もありまして、当初考えましたもの以上に厳しい内容の案に取り組まざるを得ないということが一つ。そして、六十年時点の収支均衡ということを考えますと、大変御迷惑はかけますが、この際、相当思い切った措置をやらせていただきたいという要請があるわけでございます。さらに、もう一つ問題は、今回の改正は、いつも申し上げておるとおり、貨車をいわば駅送りしていく、宿場送りのような形、昔の輸送を引き継いでいるわけでございますけれども、これをやめて直行系にする。つまり、ヤードの仕事をなくすということになりますと、どこかの駅一つの問題が全体の仕組みの中において溶け込んでいる問題でありますものですから、一つだけ抜き出し、二つだけ抜き出して、これはちょっと後にしようということは、システムをつくり直す上からいって大変むずかしいわけでございます。その意味で、やはり同じ時期に、御迷惑を及ぼすことは十分承知しながら、一斉にやらせていただきたいという考えでございます。  以上、二つの理由によりまして、時期を同じゅうして、しかも、かなり早い時期に一斉にやらせていただくということで取り組んでおるわけでございますが、これからはもっぱら地域方々とさらにいろいろお話し合いを深めまして、それによるデメリットの面をいかにして小さくするかということ、それからまた、コンテナ輸送あるいは専貨輸送といったようなものをこれから伸ばしていかなければならぬわけでございますので、そういう面のメリットを発揮できるように、さらに荷主さんとお話し合いを進めてまいりたい。そういうことで、既定計画はぜひいまのままやらせていただきたいと考えております。
  16. 福岡義登

    福岡委員 私どもの社会党におきましても、昨年、国鉄再建に対する議論をいたしまして、一定のものをまとめておるのでありますが、その中で、貨物輸送について拠点間直行輸送に切りかえなければならぬという方針を出しておる。しかし、今回の五九・二の国鉄当局計画と比較をしますと、余りにも国鉄当局計画が厳し過ぎるといいましょうか、もう少しやり方があるのじゃないか。たとえば拠点間直行というのですが、その両端のトラックによる集配体制あるいは国鉄みずからが集配する貨物取扱駅の配置の問題いろいろあると思うのですが、どうもこの計画は必要以上に厳し過ぎる、こういう感を抱くわけであります。  たとえば奈良県の場合は、全然貨物駅がなくなる。あるいは岩手県でありますとか青森でありますとかあるいは九州、そういうところは百キロを超えて貨物駅が廃止される、こういう状態。しかも、取扱量が年間十万トン以下の駅はすべて廃止をする、こう基準も決められておる。そうであっても、機械的にこの十万トンを当てはめなくても、やはり地域産業の将来の計画との関係あるいは地域住民との関係ということを考えまして、もう少し弾力的に考えてもいいのじゃないか。過去の取り扱いの実績がこうであるから、十万トン未満はすべて機械的に廃止するということを考えなくてもいいのじゃないか、こう思うのですが、弾力的に考えていくというお気持ちはございませんか。
  17. 高木文雄

    高木説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、ここ五、六年の間、五十三年、五十五年、五十七年と、貨物輸送のかなりの変更をいたしてまいりました。駅の数も、五十三年当時約千五百駅ありましたものを、現在半分まで減らしたわけでございますが、その過程を通じまして、相変わらず毎年一割くらいずつお客様が減る、輸送量が減るという状態が起こっております。それはおまえの方が駅をやめるから、不便になったからそれで減るのだという御指摘もあります。確かにそういう面もあると思いますが、しかし、荷主さんの御意向等をいろいろ承りますと、運賃の問題もさることながらサービスの内容が非常に悪い。つまり、貨車、列車が正確に運行されるということがなかなかできないでおる。それから、もう一つはスピードが遅い。この二点から、どうもこのままではトラックの方に転移せざるを得ないという御意向がだんだんはっきりしてきているわけでございまして、そこで、いかにしてそういった御要請といいますか、荷主のお持ちのニーズに対応しながら輸送をやっていくかということを考えましたのと、もう一つは、貨物の赤字が非常に大きいということで、この赤字の原因を追求して、それを解消しなければいけないということの両サイドから考えましたのが今度のシステムでございます。  そこで、大変御不便もおかけいたしますが、スピードも上がる、あるいはいろいろな面でサービスをよくできるという面もあるわけでございますので、少し厳し過ぎる案になっていはしないかという御指摘でございますが、私自身が考えましても、かなり厳しいものになっていることは事実でございます。しかし、少しずつ少しずつ直してやってきましたけれどもどうもうまくいかないということで、今度踏み切ることにしたわけでございますから、その際には大変御迷惑はかかるかもしれません、やや厳し過ぎるかもしれませんが、全般的に一遍やりかえをするということをいたしまして、しかる上になおいろいろ荷主さんの御要望等を伺うことを通じて、逆に今後むしろ拡大、拡充を図っていく基盤をつくりたいという気持ちから、この際はまあまあという考え方をとるよりは思い切った案ということにしたわけでございまして、そのゆえに音が高まっておる、御迷惑がかかってきておるということについては大変恐縮はいたしておりますが、なおその辺につきましても、よく事情を御説明して、御納得を得てまいりたいというように思っております。
  18. 福岡義登

    福岡委員 先般、福島県に行ってまいりました。常磐線浜通りの方、相馬と原ノ町と浪江と三駅が廃止されます。この三駅が廃止されますと、郡山の拠点駅まで阿武隈山脈を越えてトラック輸送することになる。常磐線の方は泉まで行けばいいのですが、物の流れからいいますと郡山が中心になる。そういたしますと、冬季なども相当問題がある。しかも、相馬と原ノ町と浪江の三駅のいままでの取り扱いの実績は十万トンをはるかに超えている。そこで、地元の知事さんも関係市町村長さんも異口同音に、一遍に三つの駅を廃止しないで、しかも基準とされておる十万トン以上の取扱量があるのだから、せめて一つぐらいは残してくれたらいいじゃないか、こういう強い要望があります。  さらに言いますと、青森県でございますが、五所川原と板柳が廃止される、拠点駅は弘前ということになっている。この五所川原と板柳、それに津軽鉄道、尺鉄でありますが、連絡社線のトン数を合計いたしますと十万トンをはるかに超えておるわけであります。しかも、この津軽鉄道の場合は、弘前の拠点駅まで乗り入れをさせてもらえないか、社線で扱っておる五万トン前後の貨物を弘前まで持ってきたい、こういう強い要望も出ている。ところが、これにも国鉄は色よい返事をされていないという事情であります。  そこで、重ねて言うんですが、三つなり二つなり四つなり駅を一つに統合することによって貨物取り扱いを継続する、そういう必要性が私はあると思うのでありますが、そういうような部分的な修正といいましょうか、弾力的な計画の変更といいましょうか、そういうものは検討されてしかるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。  さらについでに、申し上げました津軽鉄道が国鉄線に乗り入れをしたいという強い要望を持っているようでありますが、これに対して国鉄はどういう配慮ができるのか、あわせて伺いたい。
  19. 高木文雄

    高木説明員 福島県の浜通りの問題というのは、現在地域方々の御理解をまだなかなか十分得られません幾つかの事例の中の一つでございます。現在、常磐線で駅が並んでおりまして、そこで集めて送るという方式をとっておりましたものですから、そう一遍にやめないでどこかに集めることにしてはどうかということなんでございますが、いずれにしましても、十万トンを超えておるといたしましても、年間十万トンというのでは実は採算的には余りうまくいかないわけでございます。従来の常磐線という概念がありますから、その線路上にあります駅を一緒にしてはどうかというお考えなんですけれども、もっと抜本的に物を考えますと、さらに常磐線を使っての輸送というよりは、逆に東北本線を使っての輸送の方がうまくいくわけでございます。しょせん私ども輸送というのはレールだけでは何もできない。発地も着地も両方ともトラック輸送が伴うわけでございますから、トラックでどこへ持っていくかというときに、常磐線筋へ持っていくか東北線筋へ持っていくかということでございまして、現在の道路事情等から考えますならば、東北線筋へ持っていっていただいても、どうしてもレールでなければならぬというものについては十分やっていかれるのではないかと思います。そういうことでお話をしていますが、まだなかなか御理解が得られておらないということでございます。  それから、もう一つ方法としては、どこか三駅に共通の便利なところに、私ども貨物駅跡地等を利用していただいてコンテナのデポのようなものをつくってはどうかということで、いま通運業者の方々と、そしてまた地元の方々とも話しておりまして、そうすれば、いままでとはまた違ったコンテナ利用による輸送によって、御迷惑をかける程度が小さくて済むのではないかというようなことで、なおいろいろお話し合いをいたしておるところでございます。いまどこかに駅を残すということについては、そのことだけでかなりのコストになりますので、何とかそういう方法でなしにお願いできないものかと思っております。  津軽鉄道の問題は、これまたずいぶん長いことお話し合いをいたしておるのでございます。そして、私ども、何とかうまい方法はないかということで取り組んでおります。決して何もかもお断りというような感じではなくて、何とか津軽鉄道の運んでおられる貨物をわれわれの方で受け入れる道がないかということをいたしておりますが、なお技術的に幾つか問題があるようでございまして、私もまだ技術的問題の解決について直接首を突っ込んでおりませんが、もう少し津軽鉄道問題については工夫の余地があるかないかを詰めてみたいと思っております。
  20. 金丸信

    金丸委員長 福岡君、運輸大臣が約束より十五分おくれましたが、十分ひとつ質問を集中してやってください。
  21. 福岡義登

    福岡委員 津軽鉄道の方は技術的な問題もあるようですから、引き続き誠意を持って話し合いをしていただきたいということを要望しておきたいと思います。  前段の貨物駅廃止の問題ですが、総裁の御答弁ではありますけれども、それでは余りにも冷たい仕打ちじゃないかと思います。十万トンという取り扱い最の基準が定められていて、しかも、その三つなり二つなり四つなりの駅を一つにまとめれば十万トン以上の荷はある、そういう条件をも、計画だからだめだ、こういうのでは、私は、誠意がないという批判を受けてもやむを得ぬと思うのです。そこで、時間もないのですが、重ねて、そういう問題については弾力的に、関係者と話をしてできるだけのことを考えていただきたいと思います。いまの点は大臣からも後お伺いしたいと思うのです。  それから、もう一つ申し上げたいのは、仮に計画どおり実行されるといたしましても、来年の二月までに準備ができない。いろいろあるわけであります。原ノ町の関係の事情を調べて、資料までもらってきております。駅が廃止されるとしても来年の二月一日からでは困る。いろいろこれこれ準備があります。トラック輸送に切りかえるためにはそれなりの設備もしなければなりません。たとえば私有コンテナと言われるけれども、コンテナをつくらなければなりませんが、そのコンテナをつくる時間もない。あるいはトラックの方と輸送契約を結ぶためのいろいろな話をしなければならぬ、そういうことを考えてみると、とても来年の一月末までに準備完了というわけにいかない。時間がないから読み上げないのですけれども、ここに五者から一々問題点を私は資料としてもらってきております。そういう場合には五十九年二月ということに余りこだわらないで、段階的に物事を処理していくということもあっていいのじゃないかと思います。何が何でもとにかく二月一日からやるんだというのでは、荷主の反発も買うでしょうし、ある意味ではその地域地方自治体の反発も買うでしょうし、将来の国鉄の事業の運営にもある意味では支障があると思っております。この段階で話がまとまらなければ、準備がまとまらなければ二月一日をずらすということは言いにくいかもしれません、しかし、実態がそうであればあるように対処していただきたいと思うわけであります。  以上の点は運輸大臣からも御答弁をいただきたいし、総裁からもお答えをいただきたいと思います。
  22. 高木文雄

    高木説明員 確かに地元の御事情からは、もう半年待ってもらいたいとか、あと三カ月待ってもらえばうまくいくんだがということがいろいろございます。ございますので、私どももそのお気持ちはわからないわけではないのでございますが、旅客輸送の場合と違いまして貨物輸送の場合はヤードで連結をしたり解放したりして列車を組成して持っていくという作業でありますので、どこか一カ所、二カ所が後になるということになりますと全体がなかなか改変できない。それから、どこかの駅がたとえ三カ月でも半年でも後でもいいということになったとしますと、ほかの地域からも同様の、なぜあそこだけが先へ延びることになったかということで、ほかもまたそうせい、こういうことになってきますものですから、現時点では私どもはやはりどうしても、かたくなでございますけれども、予定どおりやらせていただきたいというふうに考えております。それに伴う問題解決をどうやって早くやるかということについての取り組み方について、ぜひ御協力を得たいものだというふうに考えておるわけでございます。
  23. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 福岡さん、国鉄貨物というのは、あなたも御承知のとおり、赤字の最たるもので、どうにもこうにもならぬ。それを、企業内部において生き残るための案がこのたびの案です。ですから、変化を生じてまともに受けるところはみんな何かかにか問題を持っているわけです。これはあれだけの、国鉄総裁があなたの前で、ぜひこのとおりやらしてくださいとよっぽど腹を決めている、こういうふうに私は思いますし、そしてまた説得するために材料を、いろいろな問題では御相談にあずかります、しかし動かすことだけはほかにも響きますからということになりますので、ここはぜひひとつ御理解をいただいて、国鉄再建、将来のために御協力をお願いします。
  24. 福岡義登

    福岡委員 せっかくのお話ですが、私はそうは思わぬのです。再建をしなければならぬということはそのとおりなんですが、幾つか例を出して申し上げましたようなことを国鉄が受けとめて具体化したといたしましても、国鉄再建にプラスになってマイナスにはならぬと自信を持って言える例も二、三持っておるわけです。ですから、国鉄再建はおくらせてもいいけれども荷主の言い分を聞けと言っているわけではない。一角が崩れれば累を及ぼすという心配をされておる点はわからぬわけじゃないのですが、しかし、そうかたくなに頑固に考えなくても、国鉄再建にもプラスになるし、荷主のニーズにもこたえるという問題があれば、これは謙虚に耳を傾けるべきではないか。きょうは時間がありませんのでここでやめざるを得ないのですけれども、今後引き続き、申し上げましたような気持ちで大臣にもあるいは国鉄にも要請をしてまいりたいと思います。  与えられました時間があとわずかしかないのですが、国鉄再建監理委員会、実はきょう出てきていただきたいことを理事会を通してお願いをしたのです。二人の方は都合があって、私どもが聞いてもやむを得ない。五人ですからあと三人おられるわけであります。ところが、あとの人は国会へ出てきて説明するのはどうかということで、残念ながらごらんのとおり出ていただくことができない。林次長が出てくれておるのですが、今後国会で審議する場合に、委員長が都合が悪ければそれにかわるべき人を、その人が都合が悪ければ五人おるのだから適当な人を出していただくように、これは委員長にも強くお願いをしておきたいと思う。  そこで、一つだけお伺いしたいのですが、八月二日に第一回の意見書を監理委員会は出したわけです。国鉄再建法というのがさきに成立をいたしております。この国鉄再建法とは異なる、あるいははみ出たといいましょうか、そういう意見書が出ている。たとえば特定地方交通線、二次選定を、知事の意見は省略してもとは書いてありませんが、そういうニュアンスでとにかく急げと。しかし、再建法の方では一定の手順が決められておるわけです。あるいは特定地方交通線ではないけれども一般の地方交通線も、第三セクターでできるものはやりなさい、あるいは民間に移譲できるものは譲渡しなさい、こういうことが書いてある。国鉄再建法はもちろんでありますが、現行法ではそういうことはできないと思う。  そこで、今後この監理委員会というものは、国鉄再建法を初め現行法にとらわれることなく、自由な白紙の立場で何を言ってもいいのか。逆に、国鉄再建法というものに準拠をしながらやっていくのか。その辺はどうなっておるかということをお伺いしたい。  もう一つは、監理委員会の今後の作業について。どうも私どもが見るところ、国鉄再建の基本にかかわる部分、しかも緊急を要する問題は避けて通っている。いま国鉄再建の基本は、何といいましても長期債務の処理あるいは累積赤字の処理特定人件費をどうするかという問題あるいは青函トンネルなどプロジェクトに対する対応をどうするのかという問題、これらが解決をされなければ国鉄再建というのはない。しかし、これらについては一言半句もまだ触れてない。まあ緊急項目について意見は出されておる。いまからやるとおっしゃると思うのでありますが、いまからやられるとするならば一体どういうテンポで今後の作業を考えておられるのか。二年以内に、経営形態を含めて方向を出すとおっしゃっているのですが、時間が来ましたのでこれでやめますけれども、以上の二点についてお答えをしていただきたい。
  25. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 お答え申し上げます。  第一点でございますけれども、五十五年の再建特別措置法でございますが、これは現行経営形態を当然前提といたしまして、今後の経営再建というものをどういうふうにしたらいいかという措置が決めてあるわけでございます。それから、今回の特別措置法でございますけれども、これは現行の経営形態にとらわれずに、最も適切な経営形態その他の問題について結論を出していく、こういう法制でございます。したがいまして、両方の法律はその点で異なっているわけでございまして、われわれ監理委員会の方の検討というのは、現行制度の枠にはとらわれないで行うというのが制度上のたてまえになっておるわけでございます。  ただ、これからまだ四年間かかるわけでございまして、その間いろいろな緊急措置と呼ばれるような経営改善措置がなされていくわけでございますが、これにつきましては、少なくとも今後四年間は現行公社制度というものは現存しておるわけでございますから、それを前提とする特別措置法の枠組みというものを主たる枠組みとしていろいろな措置を講じていくのが適当であろう。ただ、制度的にはそれを超えて何らかの提言をしたりあるいは措置を講じていくことは不可能ではございません。ただ、その妥当性の問題であろうと思います。  それから、第二点でございますが、今後のスケジュール等でございます。  監理委員会は、御承知のとおり、この六月十日に発足をいたしまして現在まで、八月二日にいわゆる緊急提言を出しました。それから、九月一日には運輸大臣からの御付議をいただきまして、五十九年度予算に対する御意見を申し上げたということで、これは法律の規定に基づいて行うべき所掌でございます。それで、九月まで行いまして、あとこれからいわゆる経営形態の問題それから、これに関連する長期債務等の問題、こういう基本問題について本格的な検討を開始するという段階でございます。  それで、臨時措置法にもございますように、いわゆる国鉄再建のための体制整備というのは六十二年七月というふうに期限が決められておりますので、これから四年弱でございますけれども、監理委員会の方といたしましては、そのうちの前半、二年弱の間に結論を取りまとめて、内閣の方にこれを提出申し上げたい、あと二年間かけて政府の方でこれを実施に移されるわけでございますが、監理委員会といたしましてはそれをフォローアップしていくという期間にあとの二年間を充てたい、このような大まかなスケジュールでございます。
  26. 福岡義登

    福岡委員 終わります。
  27. 金丸信

    金丸委員長 この際、安井君より関連質疑の申し出があります。福岡君の持ち時間の範囲内でこれを許します。安井吉典君。
  28. 安井吉典

    安井委員 審議会の設置の問題についていろいろお聞きするつもりで調べていたわけですが、御説明をさらにいただきたいと思う点が若干出てまいりましたので、齋藤行管長官伺いたいと思います。  国家行政組織法改正案によりますと、審議会に関する規定では、その設置は「法律又は政令の定めるところにより、」と選択制を決めていますね。しかし、官房と局の設置については各省設置法で法律事項から削り落として、組織法の七条五項ですか、それによりましてすべて政令で定めることになるという御説明をいただいていたと思いますが、そのとおりですか。
  29. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 審議会等につきましては、今回法律によって設置するものと政令にゆだねるものというふうに区分をいたしてございます。  それからなお、今回の行政組織法によりまして、官房、局の設置につきましては政令に御委任を願いたい、こういうことで提案を申し上げております。
  30. 安井吉典

    安井委員 現在、法律事項で官房と局が設けられているわけですね。その数が百二十八と聞きました。改正組織法の第二十五条では、当分の間、政令で設置される官房と局の総数の最高限度は百二十八とするということでしたね。そういう理解でいいのですね。
  31. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 政令で設置するように御委任願った場合においての官房、局の総数は百二十八、当分の間、それを上限とする、こういうことでございます。
  32. 安井吉典

    安井委員 政令で置かれる官房と局の総数の最高限度は百二十八ということですね。もう一度確認したいと思います。
  33. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 政令で御委任願う官房、局の総数は上限百二十八、こういうことでございます。
  34. 安井吉典

    安井委員 それでは伺いますが、法律で官房や局が設置される場合はこの数に入らないわけですね。
  35. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 政府委員をして答弁させます。
  36. 門田英郎

    ○門田政府委員 安井先生おっしゃるとおりでございまして、法律で定められているもの、これについては百二十八の中に含まれておりません。
  37. 安井吉典

    安井委員 それでは、百二十八という数が合わないような気が私はするのです。  そこで伺いますが、われわれはこれを一括してもらっていますけれども、この国家行政組織法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案、これで防衛庁設置法の改正が行われておりますが、この防衛庁設置法の改正規定の第十一条はどういうふうに読めばいいですか。これは局長
  38. 門田英郎

    ○門田政府委員 安井先生御質問の防衛庁設置法十一条、これは官房の規定であるというふうに理解しておりますが、先ほど私は、今回の国家行政組織法改正に伴いまして政令に移していただく官房、局の数は百二十八、こう申し上げましたが、ただいま御提案申し上げておりますこの改正組織法の規定どおりでございまして、防衛庁の官房は改正後設置法におきましてもございますけれども、これは百二十八の中に含まれているということでございます。
  39. 安井吉典

    安井委員 おかしいじゃないですか。それはおかしいですよ。さっきのあなたの答弁と違うよ。  それから――ちょっと待ってください。大体われわれはこの委員会で、二十六日以後の審議において、あるいは本会議のときもそうですよ、官房と局は全部政令へ委任したんだという説明をずっとここで受けてきた。いまも齋藤長官そう言われましたよね。しかし、防衛庁設置法の改正によりますと、防衛庁の官房は法律で定められているわけですよ、たった一つ。私、全部これは読みました。いままで何をわれわれ審議してきたのですかね。いいかげんな説明で、いまのいままで、大臣、全部政令だ、こうおっしゃったでしょう。一つだけ法律で定められているのがあるのですよ。それをなぜいままでおっしゃらなかったのですか。それはおかしいですよ。長官、もう少しはっきり答えてください。
  40. 門田英郎

    ○門田政府委員 先ほど百二十八、政令に委任していただくものと、こういうふうに申し上げたわけでございますが、訂正させていただきます。  改正附則第二十五条におきまして、「当分の間、第七条第一項、」これは府、省に置きます官房、局でございます、「第三項及び第四項」はそれぞれ大臣庁等に置きます官房及び局、「第七条第一項、第三項及び第四項の規定に基づき置かれる官房及び局の総数の最高限度は、百二十八とする。」こういうふうに規定しているわけでございまして、この規定どおり、百二十八という数字の中には防衛庁の官房長も入っているわけでございます。
  41. 安井吉典

    安井委員 なぜ防衛庁の官房だけが法律で残っていたのですか。そのことをいままで国会のこの場で一言もおっしゃらないでしょう。私が調べてわかったのじゃないですか。大臣もいまのいままで知らないのじゃないですか。どうですか。――大臣にこれはやっているのだ。
  42. 門田英郎

    ○門田政府委員 法律の事務的な問題でございますので、私から答弁をさせていただきます。  防衛庁は、新整理法の第十一条に、「本庁に、長官官房を置くほか、国家行政組織法第七条第五項の政令で定めるところにより、局を置く。」「長官官房に、官房長を置く。」長官官房を法律事項に残してあることは先生の御指摘のとおりでございます。(安井委員「なぜそれを国会で言わないの、残してあるということをなぜ言わなかったの」と呼ぶ)特にその点についての御質問がございませんでしたので申し上げなかったわけでございます。その点については申しわけなく思っております。  そこで、なぜ防衛庁にこの「長官官房を置く」という規定を残してあるかということにつきましての御質問であるわけでございますが、防衛庁につきましては、「官房長及び局長は、参事官をもつて充てる。」と……(発言する者あり)「参事官をもつて充てる。」という規定があるわけでございますので……(発言する者あり)
  43. 金丸信

    金丸委員長 静粛に。
  44. 門田英郎

    ○門田政府委員 従来から防衛庁には十人以内の参事官を置くということになっております。そして、官房長及び局長にはこの参事官をもって充てる、いわば充て職規定があるわけでございます。この関係がございますので、長官官房という組織は、これは各省庁、大臣庁を含みました各省庁にあるわけでございますが、その組織を含んで百二十八、こうさせていただいているわけでございます。たとえば行政管理庁には、官房はございますが、官房長はございません。総理府本府につきましても、官房はございますが、官房長はございません。こういったものもございますが、官房長が置かれていない官房につきましても、これは百二十八の中に入っているわけでございます。ところが、防衛庁につきましては、ただいま申し上げましたとおり、「参事官をもつて充てる。」ということになっておりますので、官房長規定が必要であるということになっているわけでございます。
  45. 安井吉典

    安井委員 防衛庁の参事官は十人以内でしょう。ほかの防衛局長もみんな、局長はみんな参事官じゃないですか。そうでしょう。何で官房長だけを法律事項で残したのかということの説明には、そんなものはならぬですよ。
  46. 門田英郎

    ○門田政府委員 先ほど申しましたとおり、官房という組織があっても官房長が置かれていないという例はあるわけでございます。防衛庁には官房長が必要でございます。事実ただいまいるわけでございます。この官房に官房長を置くということをはっきりさせるという必要が、ただいまの参事官の充て職規定を必要とするためにこの規定が存置されるということになったわけでございます。
  47. 安井吉典

    安井委員 それは勝手なこじつけなんですよね。それならどこの役所だってみんな官房があるのだから、官房長もいるのだから、それをなぜ法律事項にしてないのですか。防衛庁だけを何で法律事項で残したのかね。(「それはシビリアンコントロールを強化する意味だろう」と呼ぶ者あり)官房長だけでシビリアンコントロールできるのですか。防衛局長の方がもっと大事じゃないですか。防衛局長の方もそうすべきですよ。ですから、私はこう言いたいわけですが、もう時間がないそうですから……
  48. 金丸信

    金丸委員長 安井君、時間はないのですが、安井君の質問の中で、こちらの門田君の答弁が、質問がなかったから答えなかった、その点が少し親切さが足らないという私も感じがする。その点は御本人から訂正していただいて、いかがでしょう。
  49. 安井吉典

    安井委員 これはたくさん問題がありますけれども、その問題も一つ重大な問題なのですよ。質問がなかったから答えなかったということ、これは質問がなかったらこのことはとうとう隠したままでこの国会を通すつもりだったのだな。(「印刷物にして、ここにあるじゃないか」と呼び、その他発言する者あり)これをだれも指摘してないじゃないですか。自分でいまやっと見つけたのでしょう。ですから私は、そういうような形で……(「質問者が恥ずかしいな」と呼ぶ者あり)じゃ、質問しなさいよ、自分の方で、自民党も。そのような質問者がなかったから答弁しませんでした、あらかじめ、さも長官が全部政令に任せました、こう言っているじゃないですか。長官自身も知らないのだよ、これは。  そういうような形でこの審議を進めるというようなことではわれわれはこんな審議に応ずるわけにはいきませんよ。そんないいかげんな提案の仕方ではわれわれはこの審議をこれ以上進めるわけにはいかぬと思います。どうですか。
  50. 金丸信

    金丸委員長 ちょっと待ってください。門田君、改めて答えてください。
  51. 門田英郎

    ○門田政府委員 先ほど、御質問がなかったからと申し上げましたが、大変失礼をいたしました。訂正させていただきます。  今回の防衛庁設置法の改正案におきまして官房長の規定をどうしたかという先ほどのお尋ねに関してでございますが、防衛庁につきましては「内部部局の所掌事務」というものも第十条で規定しているわけでございまして、全体としまして統幕あるいは各幕との関係におきましてシビリアンコントロールを図るという見地から内部部局の存在というものを法律で明示する必要がある、こういうことで第十条で「内部部局の所掌事務は、次のとおり」であるというふうにはっきりさせ、そして第十一条におきまして官房及び局について規定しているわけでございます。このうち、官房長というふうに特に明示する必要があったことは、先ほど参事官を充て職にする必要があるということとの関連で御理解をいただきたいと存じます。
  52. 金丸信

    金丸委員長 安井君、時間でございますから……。
  53. 安井吉典

    安井委員 この問題は私は保留しておきますよ。これは保留しておきます。問題は保留しておきます。大臣、どうですか。
  54. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 先ほど門田局長から申されましたように、官房の数は百二十八の中に入るわけでございますが、参事官をもって特に充てるという必要がありましたのでこういう規定を設けております。  それからなお、内部部局の規定などを設けておりますが、これは幕僚との関係で、幕僚監部ですか、そういうふうな関係で、普通の省庁のあれには内部部局なんという言葉は使っておりませんが、シビリアンコントロールということの関係上、幕僚監部というものを法律で設けるということでございましたので、内政の問題は内部部局で行うということで、この庁の規定につきましてはよその設置法とは多少そこは趣を異にして規定をいたしておるわけでございます。
  55. 安井吉典

    安井委員 内部部局というのは、防衛庁だけでなく、ほかの各省設置法みんなそう書いてありますよ。ここだけじゃないですよ、それは。
  56. 金丸信

    金丸委員長 安井君、いろいろいきさつは全部理事会預かりということで了承願います。  これにて福岡君、安井君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ────◇─────     午後一時二分開議
  57. 三塚博

    ○三塚委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。藤原ひろ子君。
  58. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 文部省は、来年度、内部部局の改編を大がかりにやろうとしております。このような内部部局の改編は、いま審議されております国家行政組織法改正案が成立すれば、今後は政府の判断で勝手にやれるようになるというわけですね。  私は、部局の改編というのは、単なる組織いじりではないというふうに思うのです。それは必ず政策の変更が伴うものであるというふうに思うわけですね。このような内容を含みます内部部局の改編が、国会の審議もなしに、政府が勝手にできるようになるというふうなことは、私は大変な問題だというふうに思うわけでございます。  そこで、このようなやり方の中で文教行政はどのようになるのか、具体的にお尋ねをしてまいりたいというふうに思うわけでございます。  まず第一には、私学振興についてでございます。これはすでに御承知のように、国会でも種々と論議がされまして、昭和五十年には私立学校振興助成法がつくられたという経緯のあるものでございます。そして、昭和五十七年度までは毎年増額をされてまいりました。ところが、この私学助成、来年度の文部省の概算要求では、前年度と比べましてマイナス三百六十五億円、一〇%のマイナスということに大きく変わったわけです。一体これはどういう理由でこのように変わったのかということをまず第一お尋ねしたい。  それと、もう一つあるのですが、これによりまして、私立大学の学費、高校の授業料、これは平均で幾ら上がるというふうに予測を立てておられるか、それをお答え願いたいと思います。
  59. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 おっしゃるように、五十九年度の概算要求では、前年度に比べ、私学助成費一〇%減の計算で要求いたしております。これはしばしば申し上げておりますように、私学はわが国の教育状況の中ではきわめて重いウエートを持っておるわけでございます。したがって、国民の税金の負担でこれを助成するという制度ができて今日に至っております。これはきわめて重要な事項であるという認識を持っておりますが、いずれにいたしましても、国民の負担でございますから、御承知のとおり、いまわが国の財政状況が非常に厳しい。私学のみならず、いろいろな面でしんぼうのできるところはお互いにしんぼうし合い、がまんのできるところはがまんし、節約ができるところは節約する、こういう時代にいま入っております。そういうことで、政府全体として、財政の抑制、緊縮をやろう、こういう方針を決めておりまして、経常経費については前年度に比べて一〇%以内で予算概算要求をする、こういうことになっておりますので、私学の重要性を認識しておりますけれども、この事態に対応するために、いま申し上げましたように、お尋ねのとおりの要求をしておるわけでございます。  これは最終に予算編成が決まりますのは大体十二月の末ごろになると思いますが、それによって私学の、あるいは大学、高校等の授業料がどうなるか。これは、いまそういうことでございますから、できるだけ国民全部がしんぼうのできるところはしんぼうし、節約するところは節約する、いままで惰性に流れておったところは、改めるところは改める、こういうことであろうと思いますから、私学といえどもそういう点を呼びかけて、授業料といいますか、父兄負担、学生負担に大きくかからないようにということで、いま指導をしておるところであります。これによって幾ら上がるであろうという予測は、いましておりません。
  60. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、京都の大学の学費の状況は一体どうなっているのかという点でお話を聞いてみたわけでございますが、たとえば京都の産業大学では、昭和五十七年度は、入学金を含めまして年間六十八万円であったものが、五十八年度は八十七万円というふうに、その結果十九万円値上げということになるわけですね。これは五十八年度は私学助成はゼロでしたから、その関係だろうというふうに思うわけです。入学金を除きましても十一万円の値上げということになるわけです。値上げ率としましては一九・六%。また、立命館大学の場合はどうなっているかといいますと、昭和五十年の三月に卒業した学生が四年間に納めた学費、これは理工学部系で百二十九万円ということであったわけです。ところが、来年の三月に卒業する学生は幾らかというと、二百二十九万円というふうに百万円という差が出て、来年卒業する学生は百万円も多く納めなければならないというふうな事態が起こってくるわけです。これだと、単純に一年平均にいたしましても二十五万円ずつ、毎月二万円以上多く納める、こういうことになるわけですね。  これでは勤労者の可処分所得のアップと比べてみてもおわかりでありますように、大変なことになると思うわけです。これが今日私学に学ぶ学生たちの状態であるわけです。それにもかかわらず、文部省は来年度はさらに助成を減らしてマイナス一〇%カットだ。これでは教育の機会均等や憲法で言うところの学問の自由というものは一体どうなっていくのでしょうか。私は、だれしもがこういうふうに考えるだろうというふうに思うわけです。  ところで、このマイナス一〇%にしたというのは、いろいろと経緯があるように思います。いま大臣は、国民がこの財政窮乏の中でしんぼうし、がまんし、節約しろということでしたが、この経緯と申しますのは、それは概算要求を文部省が決定をする前に、自民党の政務調査会文教部会に案をお示しになった。その案は大学は五%、高校以下は三%のマイナスという案でございました。ところが、自民党側から、概算要求額を決定する前に、学校運営について私学側の姿勢を問いただすべきだ、こういう注文がついて、この五%、三%マイナスというのを白紙撤回になされたというふうなことですが、これに間違いはございませんか。
  61. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 最終決定として概算要求いたしましたのは、先ほど来申し上げておりますように、一〇%減の要求をいたした。物事というのは、いろいろ検討する場合には途中でいろいろな意見があるわけでございますが、これではどうだろう、あれではどうだろうか、こういうことがあるわけでございますから、その途中においてはそういうこともあったと思います。  問題は私学の経営状態、これはいろいろ私学も学校によって事情は違いますけれども、惰性に流れて、ただ国費の助成をもらえばいいというような感覚では今日困る。助成の申請の仕方あるいはその運営、学校の経営のあり方、こういう問題を根本的に洗い直してみよというのが文部省の考えでございまして、そういうことをしなければ、ただ国民からもらい得だという考え方では困りますよということで、いろいろそれぞれの学校で検討してもらっておる、こういうことでございます。惰性によってやったら、おっしゃるように、率が下がれば学生負担が上がる、そういう経営では個々の努力が足らない、かような考えでやっておるわけでございます。
  62. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまのは御答弁になっておりません。私が聞きましたのは、文部大臣、最終的に決めたのは、それは文部省でしょう。しかし、当初の案は五%、三%マイナス案だったということは、これは動かない事実ですね。そして、八月二十五日、自民党の文教部会幹部会が開かれて、ここで、この際、補助金をカットする方が私学の将来のためになる、こういう理由で一〇%マイナスを決めて文部省に伝えた。その日の夜に文部省がマイナス一〇%を正式に発表した。この経緯に間違いはないでしょうね。もう一度お尋ねいたします。
  63. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 私はその場におりませんから明確にはわかりませんが、それは自由民主党は自由民主党政府の政策も研究いたしますから、そういう場面もあったかもしれませんが、最終決定では申し上げたとおりになった、こういうことでございます。
  64. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 文部省が決定したというのはあたりまえのことです。私が言っておりますのは、その場におろうとおるまいと、自民党が介入をして、そして私学助成を大幅に削ったのではないか、こういうことを言っているわけです。文部大臣は、自民党の意思は無視して概算要求をつくった、こういうふうにおっしゃるわけですか、いかがでしよう。
  65. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 いまは政党政治でありますから、政府と自民党、一体でございます。政策を考える場合、いろいろな場面を考え、いろいろな経過をたどって最終決定をするのでありますから、そういう場面があったかもしれません。ただ、その場に私が立ち会っておらぬというだけのことでございます。
  66. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 自民党と相談の上、一〇%マイナスを決めたということは、いまの御答弁から明らかになったというふうに思います。  自由民主党は、さきの参議院選挙の選挙公約、どうおっしゃっておりますか。「わが党の公約 昭和五十八年 自民党」、この中には、六十三ページを見ますと、「わが国における私立学校が果たす役割りにかんがみ、その教育条件の整備充実等に資するため私学助成を拡充します。」こう書いてあるのですね。「拡充します。」と言っているわけですが……(発言する者あり)選挙のときには国民に「私学助成を拡充します。」こう言う。選挙が終われば反対に一〇%もばっさりと削る。自民党というのは、国民にうその公約を並べ立てて票さえもらえばよいというような政党なのでしょうかね。この問題は総理・総裁である中曽根総理に私はお尋ねをしたいというふうに思ったわけですが、きょうは出席をしておられませんので、官房長官にこの点は明確にお答えをいただきたいと思います。
  67. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 御案内のように、私学というのは、本来それぞれ特色のある私学の建学の精神というのがあるわけですね。したがって、その私学の独立を守るということからいえば、本来は、私学の経営は、財政基盤等を含めてみずからの力によってやるのが基本だろうと私は思うのです。しかしながら、今日の日本の教育制度全般を見ると、私学の比重が非常に大きいわけですね。同時にまた、その経営が非常に困難であるといったようなことも、これは事実なのです。このまま放置をすれば、どうしてもこれは学生、その親御さん、家庭等の負担が余りにも過重になる、こういう意味で、建学の精神というもの、私学の独立、これを侵さないといったような限度において国が援助をしておるのではないか、私はこう思うのですね。そこで従来から、何千万か私も承知しておりませんが、私学助成をやっておったと思う。  ところが、最近の私学の経営の実態なりあるいは財政の事情、いろいろ各般のことを考えて、文部省としては、臨調等の答申をも踏まえながら、ことしは一〇%のシーリングの減ということをやったのであって、特別さっきの御質問の、自由民主党がいろいろ研究せられるのは、これはあたりまえな話でして、これは先ほど文部大臣がおっしゃったように、いまは政党内閣でございますから、政府は緊密な連絡を自由民主党ととりながらこういう方針を決め、そして最終の責任は文部省、また予算となれば内閣というものが全責任を持ってやっておる、かように御理解を願いたいと思います。
  68. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私学の事情を考えるならば助成を拡大すべきではないでしょうか。いま官房長官がおっしゃることは大変矛盾があると思うのですね。そのように私学の助成を拡大すべきである。しかも、一番よく事情を知っている文部省が五%、三%、こう言っているのに、それを自民党のいろいろ御指導、御指揮のもとに一〇%カットになったというふうな状態……(発言する者あり)この理由はなぜかと聞いているのに、自民党がやるのはあたりまえだというふうなことでは答弁にならないわけです。もう一度。
  69. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 ともかくことしの予算編成は、自由民主党とも政府が十分打ち合わせをしながら、一般の行政経費については一〇%の削減をやる、そうして、それについては聖域は設けない、こういうことで一応やっておりますので、それに従って文部当局としては党の御意見をも参照しながらやったもの、かように理解をいたしております。
  70. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 私学の重要性は、先ほど申し上げましたように、われわれはきわめて重要なものとして扱っております。したがって、助成の制度をつくり、助成に努力をしておる。しかし、先ほども申し上げましたように、のんべんだらりとやったのでは国民に申しわけがない。先ほどいろいろ前のことをお話しになりましたが、その間において、その後において、私学の中にもいろいろ問題を起こしたり、あるいは不当に助成金を受けておったりいろいろなことがありますから、全部内容を洗い直して、そして必要のないところには助成をしない、あるいは全部打ち切る、こういうこともあるわけでございますから、そういう中で教育に支障のないような助成はこの範囲でできる、こういう頭でやっておるということを御理解願いたい。
  71. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 のんべんだらりといままでやっていたということをみずから証明をされたのかもわかりませんが、そういうことですから、乱脈経理というふうなものが出てくるわけですね。きちんとよく調査をされないと。しかし、そういう乱脈経理をやっているというのがあっても、私立大学は現在三百二十六校あるわけです。短大、高校、中学、小学校というふうに合わせますと、私学というのは数千あるわけです。そのうち乱脈経理をやっているというのは本当の一部なんですね。こういう問題があるから、自民党の発電によりますと、新聞報道によりますと、言ったらお仕置き、中曽根さんの好きなお言葉ですが、お仕置きのために今度は一〇%カットしておけという状況が出てきたというふうに思うわけです。こういうでたらめの理由で私学の助成を大幅に削減をするということは許されないというふうに思うわけです。  文部省は、今回の行革法が成立すれば、新たに私学部という部をつくる計画をしておられます。補助金は削減しておいて組織の方は大きくする、これでは何のための行革なんですか。私学の発展を願ってやるのではなくて、むしろ国家統制、官僚統制、これのためにやるのだと言われても仕方がないと思うのです。私はこのようなやり方に反対であるし、毎年全国から一千万を超える父母や教職員の皆さん方が、私学の助成を、経常費の二分の一を、これを求めて国会請願にも繰り返し繰り返し来ておられる。そういう中で、政府と国会はこの声に正しくこたえて、大幅な増額と私学の充実のために尽くすべきであるということを私は強調をして、次に進みたいと思います。  中曽根総理は、この春の通常国会で、「たくましい文化と福祉の国」づくりをやるのだ、こうおっしゃつたわけですが、現実にはどうなっているか。青少年の非行、暴力が社会問題になってきております。これの大きな原因の一つに、大規模校の問題があることは皆さんも御承知のとおりです。  そこで、文部大臣にお尋ねをしたいと思いますが、文部省はことし初めてこの問題で調査をおやりになりましたね。その結果どんな問題がわかったのか、そのためにはどんな対策を行うつもりをしておられるのか、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  72. 阿部充夫

    ○阿部政府委員 お答えを申し上げます。  大規模校――過大規模校と私ども申しておりますけれども、この解消という問題につきましては、教育上等の見地から種々問題があるということはもとよりのことでもございますので、文部省といたしましても、かねてより努力をしてまいりました。特に都道府県、市町村に対しましては、この補助採択に当たって優先的に採択するからぜひやるようにというような指導をかねて行ってきたわけでございます。  そういった結果、毎年二百校程度の新設校が次次にできるという状況に現在あるわけでございますけれども、それでもなお過大規模校問題、完全には解決をしていないという実態もございますので、今年に入りましてから四月に、義務教育関係の小中学校の過大規模校の実態調査をいたしたわけでございます。その結果、全国の小中学校の約六・一%に当たります二千百校余りが三十一学級以上のいわば過大規模校であるということがわかったわけでございまして、そのうちそれぞれ個別の事情がございますので、すでに分離の予定を着着と進行中のものであるとか、あるいは近年中に人数が減るので、過大規模校でなくなる見込みが一、二年の間に出てくるものであるとか、いろいろなケースがございますので、そういった中で約三百校が今後何らかの措置をすれば過大規模校を解消することが可能だ、関係市町村もそれを望んでいるという数字が出ているわけでございます。  現在、文部省といたしましては、そういった結果に基づきまして、来年度以降の問題としてこれに対処する方法を考え、財政当局と御相談をしているところでございます。
  73. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 文部省としてはやっと動き出したというふうに私は感じるわけです。  私は、京都市の北区というところに住んでいるわけですが、この北区に加茂川中学校という学校があるわけですね。生徒は千九百人を超えます。学級数は四十五クラスですね。まさしくマンモス校です。ここでもマンモス校にあります共通のいろいろな悩みや問題を多く抱えているわけですが、とりわけ最近の問題として申し上げたいわけですが、ことしの運動会を加茂川中学校では三日間連続して開いたわけです。十月の四日、五日、六日ですね。それはなぜかというと、生徒が多過ぎていまの校庭では一日ではできない。だから、学年別に三日間やった。このような教育をせざるを得ないという実態がいまあるわけですね。  ここは昨年はどうだったかといいますと、宇治市といいまして、京都の南の端ですね、北区は北の端ですが、そこに山城運動公園というのがあります。全校生徒でそこまで行って、そして体育祭をやったわけですが、バスを何と四十五台借りたわけですね。そして、学校にはそういうお金はありませんから、バス代一人千円を父母負担にしたわけです。そうしたら、父兄からやはり批判が出る。当然だと思うのですね。ことしもそうしなければならないかと考えたけれども、もしも雨が降ったらどうしよう、四十五台のバスをキャンセルすることになるということでは大変だというので、三日連続自校の校庭でやるということになったわけですね。京都では小学校でもこういうところがやはりあるわけです。こういう状態は一日も早く解決しなければならない。  そこで、文部大臣にお尋ねをするわけですが、公立の文教施設整備費、過去三年間に五百億円、四百億円、また四百億円と大きく削減をしてまいりましたが、いま文部省が要求している特別対策費というのはどういうふうにするおつもりなのか。ことしも削るというのでしょうか。それとも認めるつもりであるのか、お答えをいただきたい、こういうふうに思います。
  74. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 藤原さんの御近所ですか、京都その他のマンモス学校のお話がありました。御承知のとおり、遺憾ながらわが国は非常に狭い国であります。そうして、人口は世界の七番目という大変な人口を持っている。しかも、教育の普及国で就学率が非常に高い。最近は御承知のとおり、戦後の傾向でございますが、産業経済の変化によって都市集中が始まった。こういうことで、以前とは相当違って過大な規模の学校が出てきた。これが教育行政上の大きな悩みになっておることもよく承知いたしております。できるだけこれを解消しなければならぬ、こういうことで努力してきておるわけでございますが、これは御承知のとおり、各市町村教育になりますから、その処置をどうするかということは市町村等が計画をして文部省と相談をしてやるわけでございますが、さてこれを分校してどこに移すかとなりますとなかなかそれがそう簡単に、頭の中で考えるようにいかない。場所がないとか、これを移されちゃ困るとか、こういうことがありまして市町村が非常に苦労しておられる。でありますから、そういう話し合いができたものはできるだけこれに応じて解消する、こういう予算の計画を立て、そして、これを実行に移しておる、これが実情でございます。決して放置しておるわけではございません。
  75. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 簡単にはいかないのはよく承知をいたしております。地方自治体が苦労をしているということもよく承知をいたしております。苦労をしている、だからこそ国からの補助をすべきだ、国から温かい援助をすべきだということを主張をしているわけです。  それから、本年七月三十日に発表しました小中過大規模校についての調査結果、先ほど担当者から言われましたが、中身についてはもう私も承知いたしておりますからいま触れていただきませんでしたが、いろいろ問題点がある。それについて文部大臣は必ず解決をするという決意をお持ちなのでしょうか。いかがでしょうか。
  76. 阿部充夫

    ○阿部政府委員 お答えいたします。  先ほどもお答え申し上げましたとおり、この問題、特に具体には三百校余りの問題ということになるわけでございますが、それの解決に向けて現在財政当局と御相談をしているところでございます。
  77. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、ぜひ早急に必ず解決をするという方向で全力を挙げていただきたいと強く要望したいと思います。  私は最後に、一昨年秋の行革一括法で四十人学級の実行がストップされているということですが、この問題についてお尋ねをしたいと思います。  京都市の場合は、小学校で三千四百八十八学級中千百四十四学級が四十一人以上の学級なのです。つまり約三割ですね。中学校の場合は千四百六十九学級中千四十七学級が四十一人以上。これは約七割です。こういった状況のまま放置をされているわけです。すべての子供を賢く、たくましく、豊かに育てたいという父母や国民の要求を実現して、日本の未来を背負う児童生徒に行き届いた教育、わかる授業を行い、すべての子供の基礎学力を高めていくというためには、一クラスの子供の数を減らすことです。つまり、四十人学級の早期の実現です。そして、先生の数をふやすということが何よりも重要なことです。  ところが、政府はどうでしょうか。四十人学級をスタートさせようとしたやさきに行革一括法で三年間凍結されてしまったわけです。ゆゆしきことですよ。この四十人学級凍結というような仕打ち、これがあなた方の言う行政改革なるものでしょうか。法律の期限は、五十九年度末で効力を失ってしまいます。あなた方はまさかこれを延長させるというふうなことはないでしょうね。行管庁長官、いかがでしょうか。それから、時間がありませんので、大蔵大臣、一緒にお答えいただきたいのですが、お金がないからといって、延長してくれというふうなことはおっしゃらないでしょうね。念のためにお二人にお聞きしたい。
  78. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私が右代表で答弁をいたします。  いま、四十人学級ですね、これは昭和五十五年度予算からでございましたか、四十人学級で、当時の本院筆頭理事、海部俊樹さんが文教制度調査会長として、私と何回もやりました。実際、われわれの時代のように六十人もおったときの方がむしろ粗野の中にもたくましい者が育ったのではないか、いや、その程度であったからいまのようなあなた方しかいないじゃないかとか、いろいろな議論をいたしまして、四十人学級というものをいろいろな知恵をしぼってやりました。  その後、五十六年の国会でありましたか、本院において、私も委員の一人でありましたが、いわゆる財政再建期間中、すなわち五十七年から五十九年でありますが、第五次学級編制及び教職員定数改善計画を大幅に抑制する必要があるので政令でそれを定める、こういうことにしたわけです。あらゆる制度、施策につきましても、時の財政事情によりて、あるいはストップになることもあれば延びることもあれば早まることもある。画一的に、一定の計画を立てたならばそれを何が何でもという状態には、これは政治というものも生き物でありますから、必ずしもそうなるものではございません。  したがって、この問題につきましては、行革関係特例法の特例適用期間経過後、その延長をしない場合はこれは本則に戻るということに法律上なるわけでございますが、特に国の財政事情を考慮することを義務づけてありますので、まさにこれはその段階でそのときの国の財政状況等々を総合的に勘案して決めるべきものであって、いま直ちに即断をすべき問題ではないというふうに考えております。
  79. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 大蔵大臣特有の詭弁がいま出てまいったのですが、延びることもあればやることもある、それも国の財政状況を考慮することを義務づけてありますと。そうしたら、あなた方がおっしゃっておる公約でもないし、自民党員であり大臣であるあなた方のおっしゃることにまことに矛盾があるという点と、国民はこれでは全く信用ができないということになるというふうに思うのですね。いいことを言いながら、いざやるということになると、ああだこうだと煙幕を張ってごまかすという手は、そういうことはやはりよくないというふうに思うのですね。  文部大臣にお尋ねをしますが、この四十人学級問題というのは、昭和六十六年度には総達成する、こういうことになっているのですね。そのときに、延びることもあるがやることもあるなどといういいかげんなことを言われて、はいはいというふうなことでなくて、文部大臣がしっかりしてもらわぬと困ると思うのですね、国民の立場に立って闘ってもらわないと。あなたがまさかこれを見直すというふうなことはないでしょうね。六十六年度には断固として総達成するのだという決意をはっきりと瀬戸山文部大臣の言葉として出していただきたい、国民に管えていただきたいと思います。
  80. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 四十人学級制度に変えようということが法律に決められたわけでございます。しかし、遺憾ながら、御承知のとおり、いまお話がありましたように、国民全体の負担能力の問題がありますから、三年間ストップということになって、十二年間でこれを達成しようという法律が一時ストップされておりますが、それは変わっておりません。法律に従ってやらなければならない。ただ、国会で法律を変えられると、これはまたそれに従わなければならない、こういうことでございます。
  81. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまのような様子では、文部大臣は頼りにならぬということをみずからの口からおっしゃったというふうに思うわけです。  いま進められている行政改革というのは、日本の未来を担う子供たちにまことにひどい仕打ちをしているものだというふうに思います。これでは何のための行政改革なのかと言わなければならないわけです。だから、私ども共産党は、あなた方が進めていらっしゃる行政改革というのはにせ行政改革だということを言っているわけです。国会で審議もしないで行政府の判断で勝手に機構を変えて施策を変更していく、こんなことが許されるならば、国会は形骸化して、憲法も教育基本法も踏みにじられてしまうわけです。こんなことを許しておくわけにはいかないということを強く申し上げておきまして、次、岩佐委員と交代をいたします。
  82. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 御意見は御自由でありますけれども、われわれは経済、社会あらゆる前提は教育である、特にわが国は教育立国で来ておるわけでございますから、これに力を抜くという考えは全然ございません。とはいいましても、国民の力によってやるのですから、国民の力の消長によって多少の変更があるということは御理解を願いたい。国民をだますなんということは全然ありません。
  83. 三塚博

    ○三塚委員長代理 この際、岩佐君より関連質疑の申し出があります。藤原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岩佐恵美君。
  84. 岩佐恵美

    岩佐委員 質問に当たりまして準備した資料がございますので、配付をさせていただきたいと思います。
  85. 三塚博

    ○三塚委員長代理 どうぞ。
  86. 岩佐恵美

    岩佐委員 いま財界や自民党内部に独禁法改正の動きが出ています。  財界が要求し、自民党が検討している改正案は、伝えられるところによれば、カルテル規制の緩和など独禁法の改悪、骨抜きをねらったものとなっています。本委員会で審議している国家行政組織法改正案では、公正取引委員会の部の改廃なども、政府や自民党の意向で国会にかけることなく自由にできることになります。このことは、独禁法の改悪の動きとあわせて見るとき、独禁法の厳正な運用を阻害するおそれがあり、とうてい容認できるものではありません。国民は、国民の暮らしを守る立場からの行政改革を望んでいるのであり、財界や与党、行政が癒着をして値上げが自由に野放しになるような行政改革を望んでいるわけではありません。私はそうした立場から、いま国民が、通産省主導のやみカルテルではないかと批判しているガソリンの値上げ問題について質問をしたいと思います。  ことしの春以来、原油が一バレル当たり五ドル値下がりしました。それに伴ってガソリンの価格も下がりました。私は四月五日の物価問題特別委員会で、通産省や永山石連会長、笹野全石連会長等に対する質疑の中で、ガソリン価格はリットル当たり百三十円で十分採算がとれるはずである、こう指摘をいたしました。そしてその後、価格はほぼ私の指摘どおり百三十円台で推移をしてまいりました。ところが、九月に入りますと、百三十円台のガソリンが一挙に姿を消しました。そして、リットル当たり百五十五円の看板が各ガソリン販売店に一斉に掲げられたのです。つまり、一斉値上げが行われました。それは本当に各社ともきちんと足並みのそろったみごとなものだと言わなければならないと思います。  通産省はこの件について強力な行政指導を行ったと聞いておりますけれども、なぜ強力な行政指導を行われたのか。そしてまた、その行政指導は、元売りや販売店に対してどういう形で行われたのか。その点についてまず伺いたいと思います。
  87. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 この問題は、各党からすでに御質問がございましてお答えいたしておりますが、結論といたしましては、通産省は介入いたしておりません。あくまでも石油価格は市場メカニズムによって決まるべきものであり、そのときは元売りが自発的に決めたことであります。
  88. 岩佐恵美

    岩佐委員 通産省が元売りに対して、価格の問題で介入したかどうか、この問題については後で論議をさせていただくことにいたしまして、通産省が元売りを呼んで、石油販売担当役員それから元売りの社長、それから、その後八月の末に石商等に対しましてヒヤリングを行う、そういうような指導を行った、こういうふうに承知をいたしておるわけでございますけれども、その点について、そういう事実があったかどうか。  それからその際、元売りの販売担当役員やあるいは社長に対してはどういう形での指導をされたのか、どういうヒヤリングを行われたのか。  また、八月末の石商、各元売りの販売支店長ですか、それから二十三区で言えば区単位あたりの石商、販売店、そういう人たちに対してヒヤリングを行ったということを聞いておりますが、その際、中身はどういう中身であったのか、その点、簡単に御説明いただきたいと思います。
  89. 豊島格

    ○豊島政府委員 石油価格は、四月以降値下がりの一途をたどったわけでございまして、原油価格がバレル五ドル下がった、それ以上に非常に下がるというような事態がございまして、たとえば石油審議会の小委員会あたりでも、原油価格の引き下げは当然国民に還元すべきである、しかし、むちゃくちゃな値段で売って体質が悪化するということは好ましくないというような指摘もあったわけです。  そういう実態を踏まえまして、七月の下旬から八月にかけまして、いわゆる過当競争のもととなっている事後調整、最初に小売店に対して販売価格、仕切り価格を決めているのです。販売店が安売りをすれば、それで後はまた値段を見直してやる、そういうことがガソリンの不当な乱売競争の原因になる、こういう事由がございましたので、通産省としましては、元売りの責任者を呼びましてその実態を調査いたすとともに、そういうような事後調整という慣行といいますか、やり方は適正な経営のやり方ではないということで、そういうことはやめるようにという指導はしたわけでございます。それから、地方通産局でも、そういう実態がどうなっているかということは別途地域的には調べておるわけでございます。しかし、そこはあくまでもそういうやり方の問題について注意をした、こういうことでございます。
  90. 岩佐恵美

    岩佐委員 公取に伺いたいと思いますが、もし石油業界が自分たちだけの力で製品の価格引き上げができない、そういう際に行政に手助けをしてもらって価格を引き上げる、そういう場合に、こうした行政指導というのは一体許されるのかどうか。特に行政が何らかの形で価格に介入をした場合どういうことになるのか、その点について御説明をいただきたいと思います。
  91. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 価格が需給を適正に反映した市場メカニズムの中で決まらなければならぬということは、通商産業大臣からもお答えのあったとおりであります。私どもは、価格に介入するような行政指導というものはあるべきでないと思いますし、たとえそういうものがありました結果、事業者間で価格についての協定が行われた場合には、行政指導の有無にかかわらず、独禁法違反としての対処をいたす、そういうことであります。
  92. 岩佐恵美

    岩佐委員 通産省は先ほどの説明の中で、元売り会社に対して好ましくない取引慣行であるいわゆる事後調整をやめるように、そういう指導をされたということでありますけれども、原油価格の大幅引き下げを反映して末端の販売価格、小売価格が販売競争の中で下がっているときに、元売り会社が事後調整をもし一方的にやめる、そういう状況になった場合に、末端販売価格が安く売られている、そういう状況の中では、末端の販売店はたちまち赤字になって、そして倒産が続出をする、そういう状況になってしまうというふうに思うわけですけれども、その点について通産省はどう考えられたのでしょうか。
  93. 豊島格

    ○豊島政府委員 従来、事後調整というのが不当に行われていたということでございますので、末端のスタンドはどんなに安く売っても最後はめんどう見てくれるということで、安心してと言っては非常に失礼ですけれども、相当むちゃな売り方をしておった、こういうことでございます。したがって、過去に起こったことはしようがないけれども、元売りとしては今後はということで、ある一定の時期以降ということだと思いますが、そういう調整はやめるからということを言ったわけでございます。したがって、事後調整をしてもらえないということがわかれば、仕切り価格を下回るような、あるいはマージンが全然ないようなむちゃな売り方は自然にやめるということでございまして、それはスタンドの自主的な判断によってやるわけで、それによって経営が悪化することはむしろないというふうに考えております。
  94. 岩佐恵美

    岩佐委員 競争が激しい中でスタンドの自主的な判断に任されるという形で事後調整をするということはなかなかむずかしいことだというふうに思うわけです。事後調整を本当に貫徹させるためには、元売りの価格をきちんと決める、あるいは小売の価格も大体このくらいだということで決める、そして、それぞれ価格を決めて、それぞれ元売りの段階で横で価格について守ろうねというような約束、あるいは末端においてもそれぞれ約束がなければ、事後調整を途端にやめたとしてもそれは実効あるものにならないと思うわけです。ですから、いま言われたような事後調整をなくすということを通産省がやられたということは、どうしても元売りの価格あるいは小売の価格というものを決めて、そして、それを守らせるというような環境づくりをした上でなければ、事後調整をなくせという指導は出てこないのではないかというふうに思うわけです。  その点で、価格についての介入というのが、先ほどからないというように言われておりますけれども、あったのではないのでしょうか。その点再度伺いたいと思います。
  95. 豊島格

    ○豊島政府委員 先ほどもお答えしましたように、石油価格につきましては、市場メカニズムで決めるという基本方針は変わっておりませんし、そういう意味では価格の水準についての指導をしたことは全くございません。
  96. 岩佐恵美

    岩佐委員 しかし、実際には価格に介入していたのではないのでしょうか。  ここに先ほど委員長の了解を得まして資料をお配りをしてあるわけですが、全石連の八月二十日付の新聞「ぜんせき」というのがございます。ここでは、松尾石油部長が自民党石油問題調査会小委員会で発言をされた内容が紹介されているわけであります。それによりますと、「末端一五〇円の心づもりで」という見出しのところでありますけれども、元売りのねらっているところは「末端百五十円という心づもりで取り組んでいるようであり、それを念頭においてやっていきたい。」と松尾石油部長ははっきりと価格に触れているわけでございます。指導官庁の幹部の発言が活字になっているのですからこれはずいぶん重みがあると思います。そして、全石連の会員であるガソリン販売店に対しては大きな影響を持つことは明らかであります。しかも、通産省が八月の末から各元売りの支店、関係石商のヒヤリングを行って、九月の一日から十日にかけてガソリン販売価格が一斉に値上げをされ、価格も百五十円から百五十五円となっている事実があるわけです。  一緒に資料をお配りしましたけれども、九月六日付の「ぜんせき」に紹介されております笹野会長の九月五日の談話でございますが、これは会員に対して檄を飛ばしたものであります。その中で、通産省の指導によって値上げの条件づくりがされたことを率直に、「エネ庁は八月末から各通産局による全元売支店、関係石商のヒアリングに入り、エッソを皮切りとする全元売の〝九月値戻し値上げ発表〟によって、明らかに流れは変わろうとしております。」こう評価をしているわけであります。しかも、それに加えて、「この機を逃さず、全国の給油所が協調と信頼にたって」確実に値上げを実行しようと、値上げの呼びかけまでおくめんもなく行っているわけであります。  このように通産省の値上げのための環境づくり、そして価格について暗示をする、触れる、そして業界のカルテルの呼びかけ、こうした事実を見たときに、通産行政指導による業界のカルテル行為によった値上げである、こういうことは明らかであると思います。  私は、公正取引委員会が、このような事実を踏まえてきちんとこの問題について対処をすべきである、調査をして、そして、こういうことが二度とないようにきちんとした態度をとるべきである、こう思いますけれども公正取引委員会、いかがでしょうか。
  97. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 先ほど来資源エネルギー庁から御答弁がありましたように、私ども八月の末から、石油製品の価格というものは国民生活にとって非常に重要なウエートを占めるものでございますから、その価格の動向については非常に関心を持って注視してまいりました。  そこで、いまお話しのありましたような通産省による、岩佐委員のおっしゃるような言葉での行政指導というものがどのように行われたかということにつきましても、通商産業省及び資源エネルギー庁からその内容を伺っております。その要旨は、結論的に申しますと、いま長官からお答え申し上げたようなことでありまして、私どもはさように思っておりますし、元売り業者に対して後仕切り、事後調整というような、そういう商慣習の是正について経営の指導をなさったということの域を出ていないというふうにいまのところ考えているわけであります。  ただ、先ほど来申し上げておりますように、物の価格が違法なカルテルを結ぶことによって値上がりするということにつきましては、経済全体、国民生活全体から見て非常に問題がございますし、それは明らかに違法なことでございます。今回のガソリンの値上げの背景につきましては、いまお示しの新聞等によってその経緯が書かれておることもありますけれども、値上げの背景には、値上げ前の時点で元売りにも小売にも赤字が非常に多かった、それからまた通産省が元売り仕切り価格の事後調整について注意を喚起されたというような事情があったことはわかりますけれども、いずれにしても、原油価格が上からないのに、全国にわたって非常に短期間に、ほぼ一斉にと言ってもいいかもしれませんが、大幅な値上げがあったということは、もうちょっと事態をよく、正確に把握してみなければはっきりした言い方はできませんが、そういう言葉を使ってよければ不自然と思われる点がないわけではないと思います。  そこで、現在関係の情報の収集に努めておりまして、その情報の収集なり分析の結果、値上げが違法なカルテルによって行われたという疑いを示す具体的な端緒というものがありました場合には厳正に対処してまいりたいというふうに考えます。
  98. 岩佐恵美

    岩佐委員 公取委員長が、通産省がどういうふうな行政指導をしたのかということを一方的に説明を受けて、それで納得をされてしまう、これでは問題が解決をしないわけでございますから、今後ともきちんとこうした行政指導についてもメスを入れて、東京高裁のあの石油やみカルテル事件での行政指導に対する判決もあるわけでございますので、その点はきちんとやっていただきたいというふうに思うわけです。  最後に、官房長官にお伺いをしたいと思うわけですが、今回のガソリンの価格引き上げについては、いま申し上げましたように、過剰な行政の介入が目に余ります。そして、その行政指導を行わせたのは自民党の石油流通議員懇談会、いわゆる一木会と自民党石油問題調査会政策小委員会であると全石連の笹野会長が明らかにしています。先ほどの談話の中で述べているわけでございますけれども、「ポイントだけを見まして」というところ以下、「二十一日には一木会が対策を協議し八月中の具体化を確認、同日の自民党石油問題調査会政策小委は正式にガソリン市場適正化の行政指導を要請、これに応えて通産省資源エネルギー庁は七月末に全元売の販売部長クラスから、続いて八月四日から異例の元売社長ヒアリングを行ない、強く取引の正常化、販売姿勢の適正化を求めました。」「十七日には自民党石油問題調査会政策小委員会に、全石連として小売市場の正常化を改めて直接陳情し、同委員会は画期的な「ガソリン販売適正化緊急措置」を決議しました。」「決議を受けたエネ庁は八月末から各通産局による全元売支店、関係石商のヒアリングに入り、エッソを皮切りとする全元売の〝九月値戻し値上げ発表〟によって、明らかに流れは変わろうとしております。」こういうふうな事実関係を述べているわけであります。  まさにここに業界と自民党、指導官庁である通産省の癒着体質がはっきりあらわれていると思います。油政連の政治献金が、法律絡みのときには異常にふくれ上がることは、過去の事例でも指摘されているところであります。このような汚れ切った体質を改めるのが真の行政改革であると思います。本当に販売店が危機的な状況にあるならば、法にのっとって幾らでも打つ手があるわけであります。それを独占禁止法に違反するような行政指導を行い、あるいは業界によるやみカルテルをやる、こういうようなことが野放しにされている状況では、国民の生活を守ることができないわけでございます。もっと独禁法を強化して、そして公正取引委員会を強化していかなければならないはずであると思います。その点について官房長官の御見解を伺いたいと思うわけでございます。
  99. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 石油の問題は、国民生活にとっても大変重要な物資でございますから、わが自一由民主党においても当然大変御勉強なさっていらっしゃるわけでして、これは当然の話だと思います。また、通産省通産省なりに、党とも十分打ち合わせをしながら石油政策全般を進めておる、これは事実です。しかし、先ほど来お話を承っておると、何かその間に癒着があるとかなんとかとおっしゃるが、そんなことはあるわけない。これは要するに政策を勉強しているのですから、それはあたりまえのことではないのか、こう私は思いますよ。しかも今回の、あなたの御質問のガソリンスタンドの値段が上がったというお話は、先ほど来公取委員長からの御答弁もあり、通産大臣の御答弁のとおりに、これは市場メカニズムで本来決まっていくべきものであって、行政介入等は回避すべき筋合いである、しかも、今回のことに対しては何ら行政介入の事実はない、こうお答えしているのですから、それを御信用していただきたい、こう思います。
  100. 岩佐恵美

    岩佐委員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、私は事実を具体的に私たちが調べた範囲内でお示しをして、そして自民党のそういう調査会、小委員会での決定、それを受けて通産省がやる、また通産省が業界を指導する、そういうことを全石連の会長がはっきりと言っているわけで、こういう問題について具体的に指摘をしているわけでございますので、この事実関係については、私たちが別にどこかから持ってきてということではなくて、あった事実でございますので、そういう点で厳重に、こういうことが今後ないよう、もっと独禁法改正強化をしていく方向で努力をすることを要請いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  101. 三塚博

    ○三塚委員長代理 これにて藤原君、岩佐君の質疑は終了いたしました。  次に、稲葉誠一君。
  102. 稲葉誠一

    稲葉委員 行革のことに関して質問をさせていただきたいと思うのですが、国家行政組織法が第五七号として内閣提出されたときに、中曽根康弘氏がどういう意見を持って、どういう質問をされたか、ちょっと御説明をお願いしたいと思います。
  103. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 大分以前のことでございますが、総理がそのときに、国家行政組織法の審議の際に当たりまして、内部部局の設置等もできるだけ法律で規定する方がいいのではないかというふうな趣旨の発言をされた、総理みずからがそう言っておられたようでございます。
  104. 稲葉誠一

    稲葉委員 ではないかではなくて、この国家行政組織法というのは旧憲法的なにおいがあり過ぎるのだ、むしろ旧憲法よりもっと官僚的なものだ、こうはつきり言っておられて、結局「議院内閣制というものは必然的に政党の責任政治ということになるのですが、それが有効適切に行われるためにはどうしても行政組織というものに政党の政策というものが浸透されるような機構なり組織が保障されておらなければならない。」今度の国家行政組織法というものは、これは退歩なんだ、こういうようなことを言って、あらゆる官庁の内部部門というものを政令で決めて国会はこれに関与しなくなるんだ、こういうことは政党政治というか、そういうものに対しては非常に間違いだ、こういうようなことをはっきり言っておられるのですね。  そういうことを言っておられる人が、今度こういう法律を出してくるというのは、私はちょっとよくわからないのですけれども、行管庁長官、いま言った点についてはどういうふうにお考えですか。
  105. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 この国家行政組織法が国会に初めて出されましたのは昭和二十三年であったと思いますが、当時は、御承知のように、新しい憲法に基づいて議院内閣制というものが発足しようというときであったと私は思います。私が申し上げるまでもなく、先生御承知のように、旧憲法下におきましては行政大権、官制大権というものがありましたから、全部政府だけでやっておった。そういうわけですから、その当時は国会が関与することができなかった、しようと思ってもできなかった。そういうふうな反省もあり、さらにまた新しい憲法ができまして、国権の最高機関である国会が行政組織にコントロールを加えるということはあの当時としては必要であった、そして、それなりの大きな効果を今日まで上げてきた、かように私は考えております。あの当時としては、中曽根総理のような発言があることはやむを得ないときであった、私はかように考えております。     〔三塚委員長代理退席、委員長着席〕
  106. 稲葉誠一

    稲葉委員 余り古いことを聞いてもあれですが、そこで私がお聞きいたしたいのは、どうもよくわかりませんというか、政府の許認可事項が約一万件あるというのですね。今度は三十九件だけでしょう。これは一体どういうことなのか、ちょっと私には理解できないので、これでは民主主義ではなくて、むしろこれは官主主義だというふうなものですね。どういうことなのか、お答えを願いたいのが一つ。  それから、政府の言う許認可が一万件ある。それを許可、認可分けて、各省別に分けて、それが一体いつごろできて、どんな内容で、現在果たして必要なのかどうか、そのことについての検討を加えてきちんとした資料を当委員会に提出を願いたい、こういうふうに私は考えるわけですが、委員長、これはお諮り願いたいと思います。
  107. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 許認可につきましては私もたくさんあることは承知しておりますが、私どもが今回御提案申し上げておりますのは、臨調答申の指摘によりましたもの二百二十二、それについて法案を整理したものでございます。二百二十二のうち百五十が政令によるものでございまして、残りの法律事項について臨調答申の指示に従ってこれを簡素合理化していこう、なお、政令事項につきましては今後その方針に従って整理をしていこう、こういうことでございます。  現在のところ、許可、認可の件数が一万件とか言われておりますけれども、各省別にそれをいま調べまして資料を提出するということは、いまの段階では私はちょっとむずかしいのではないかと思います。法案は、臨調答申の指摘による許可、認可の整理を中心にして御提案申し上げておるわけでございます。
  108. 稲葉誠一

    稲葉委員 だから、私どもは国会の中において、許可、認可が一万件近くあるというならば、それが果たしていま本当に必要なのかどうかということを明らかにする必要があると思うのです。だから、その資料を提出してくれ、こういうふうに言っている。率直に考えまして、これは本来もっと最初の段階で、この委員会が始まった最初の段階でそれを言うのが本当だったかもしれませんけれども、そんなことを言っては悪いけれども、私はこのメンバーじゃないものですから、ピンチヒッターなものですから、そこまでできなかったわけですね。最初に言うのが本当だったかもわかりませんよ。いまからでも遅くないので、だから出すべきものは出してください、こういうことです。
  109. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 御趣旨の点は私も十分検討させていただきます。しかし、今度の国会でこれをすぐ出せと言われましても、いま先生御自身が初めのうちならとおっしゃいましたけれども、いまにわかに一万件について一つ一つと言われましても、これはなかなか容易じゃございません。
  110. 稲葉誠一

    稲葉委員 僕も良心的に言い過ぎちゃったものだから、ちょっとまずかった。だけれども、あなたの方で、いまある許認可の問題について、具体的に各省別にどうなって、それがどういう理由で必要かということの資料ぐらいはちゃんと整備していて持っているべきですよ。これは筋なんでね。時間の関係で今度の国会では出せないというならば、それは後の別のときでも結構ですけれども、ちゃんと出して、われわれがその内容を審査しなければいけませんよ。それが国会のやることなんですから。臨調がやったからただそのことをうのみにしてやっているわけじゃありませんから、そこら辺のところはしっかりしなくちゃいけない、こういうふうに私は思っておるわけです。本当ですよ。これはあたりまえの話です。
  111. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 よくわかりました。
  112. 金丸信

    金丸委員長 行管長官、いまの希望の、きょう間に合わぬにしても、将来できるだけ早い機会に出してくれということですから、それを出していただきたいと思いますが、いかがですか。
  113. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 先ほどの御意見、私も十分検討いたしまして、できるだけ速やかに整備いたします。
  114. 稲葉誠一

    稲葉委員 私、この所信表明、これは中曽根さんが言われたことですが、中曽根さんおられませんけれども、これを聞いたときにちょっと感じたのですよ。それは「政府もまた、国会におけるこのような御努力にこたえ、」いろいろ言っておられますが、そこで「主権在民、平和主義、三権分立を初め民主主義を支える憲法の諸原則を忠実に守り、」こういうふうに言っておられるのですね。これは官房長官だな。総理がいないから、あなたが内閣のかわりだから、総番頭だから、あなたが答えてください。
  115. 金丸信

    金丸委員長 方角が自分の方じゃないと思ったので、いま一回やってくれということですから、いま一回。
  116. 稲葉誠一

    稲葉委員 それは、基本的人権というのが所信表明に入っていないのですよ。これはまずどういうわけですか。われわれは、憲法の三つの原則というのは、主権在民であり、平和主義であり、基本的人権の尊重だというふうに聞いておった。ところが、これは入っていないわけですね。どういうわけですか。
  117. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 恐らくそれは、憲法の定める諸準則を守りという中に当然入っておる、私はさように考えているのです。
  118. 稲葉誠一

    稲葉委員 そこで、「三権分立を初め」と言って、特に三権分立をここに入れたのはどういう趣旨なんですか。ちょっと待ってください。余り急がないで。それで、中曽根さんは、その後の答弁によると、三権分立を盛んに言い出してきましたね。これは結局、国会の中で、俗にというか何というか、田中裁判の問題について触れてくれるなという趣旨を込めてここで言っておられるのじゃないですか、こういうことを入れたんじゃないですか。どうですか。
  119. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 私も所信表明とか施政演説とかの原稿の段階はときどき見さしていただくのですけれども、別段、御質問のようなことを頭に置いて言ったのではないと思います。やはり三権分立ということは、何といったって、いついかなる時代においても絶対に乱しては相ならぬ大変重要な原則であるという意味でそこへ入れられたもの、かように考えます。
  120. 稲葉誠一

    稲葉委員 そこで、いまの問題に余り深入りしてみてもあなたの方の答えは大体決まっているわけで、枠をはめられているんだから、それはしようがないと思うのですけれども、私はこういうことを考えるのですよ。これは中曽根さんに聞くのが一番いいのだけれども、御本人がきょうあれですからあなたにお聞きする以外にないですね。  政治は最高の道徳だということ、このことについては官房長官はどういうふうにお考えでしょうか。
  121. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 政治といいますか、政治家なり政党なり政治団体が高い道徳性を持っていなければ、政治に対する国民の信頼は維持することができない、そういう意味合いにおいて、いまおっしゃったような、政治は最高の道徳というその表現がどうか、これは私は多少疑問があると思いますけれども、その言葉の趣旨は、いま言ったような、政治の信頼確保のためには高い道徳性が必要である、こういう意味だと思います。
  122. 稲葉誠一

    稲葉委員 それじゃ、あなたの崇拝をしておられる田中角榮さんが、公判の中でこういうようなことを言っておられるのですね。「起訴事実の有無にかかわらず、いやしくも総理大臣在職中の汚職の容疑で逮捕、拘禁せられ、しかも起訴に至ったということは、それだけで総理大臣の栄誉を汚し、日本国の名誉を損なったこととなり、」というようなことを言っておられるのですね。  あなたもこれに対して同感でしょうか。
  123. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 まさにそのとおりのお気持ちで田中さんはいらっしゃったのであろうと思いますね。だからこそ起訴せられた段階でも、総理大臣というものの権威といいますか、そういうものをやはり守らなければならぬ、しかし起訴せられた以上はあくまでも無罪を獲得して、総理大臣としての地位といいますか、権威といいますか、それの確保を図るのは自分としては最大の責任である、こういう意味であろう、かように考えます。
  124. 稲葉誠一

    稲葉委員 だって、「総理大臣在職中の汚職の容疑で逮捕、拘禁せられ、しかも起訴に至ったということは、それだけで総理大臣の栄誉を汚し、日本国の名誉を損なった」と言うのですから。判決じゃないですよ、起訴だけの問題ですよ。そう言っているのですから、それについて田中さん自身が責任をとるというのが通常の筋ではないでしょうか。あたりまえの話じゃないでしょうか。あなたに聞くのはこれは筋違いかと思うのだけれども、しかし実質的にあなたは田中派、じゃないわ、何派というのか知らぬけれども、あなたが実際の実力者だもの、あなたに聞く以外にない。あなたが一番適任者だから聞くわけよ。お答えなさい。そう思いませんか。
  125. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 だからこそそういう厳しい反省の上に立って、この裁判においてはどうしても無罪を獲得することによって総理大臣としての権威を守りたい、こういうお気持ちであろう、こう思います。
  126. 稲葉誠一

    稲葉委員 あなたは田中総理が厳しい反省をしておられるというふうにお考えになっていらっしゃるのですか。田中総理じゃないや。あなたも二、三日前の記者会見のときに田中総理と言っていたね。元総理と言うのを忘れちゃっていた。まあそれはいいけれども、そういうふうにお考えなんですか、どうなんですか。
  127. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 質問の趣旨がよくわかりません。
  128. 稲葉誠一

    稲葉委員 だから、田中さんが総理大臣の栄誉を汚したと言うのでしょう。栄誉を汚したと田中さん自身が言っておられるのだから、それならばその責任のとり方として、あくまでも無罪をかち取るということもそれは一つ方法かもしれぬけれども、国民に対して済まないと言うならば、そこでみずからの職を辞するのが当然のことではありませんかというふうにあなたは田中派の大番頭としてお考えになりませんか。そう考えるのが素直じゃないでしょうか。これは決して内政干渉ではない、私はそういうふうに思っているからお聞きしているわけです。
  129. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 これは官房長官としてのあれですか。(稲葉委員「いや、どっちでもいい」と呼ぶ)それでは、後藤田正晴としてお答えしたいと思います。  それは、起訴の段階においては一つの出処進退の機会であったと私は率直に思います。しかしながら、一たん裁判が係属した以上は裁判の確定判決を待つというのが一番正しい道である、私はかように考えます。
  130. 稲葉誠一

    稲葉委員 確定判決を待つといったって、いつのことやらわからないでしょう。だから、一審の判決があればその結果によって、一審の判決があれば、いままでの無罪の推定というのは崩れるのですよ。これは御案内のとおりですね。だから、保釈は効力を失うわけです。それで収監されるわけです。無罪の推定が崩れるわけですから、一審の判決があれば、その判決いかんによっては責任をとるのが当然の筋だろう。責任のとり方はいろいろあるかもわからぬけれども、責任のとり方はあるとしても責任をとるのが筋だろう、こういうふうにあなたもお考えではありませんか。
  131. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 稲葉さんには釈迦に説法ですが、日本は三審制度をとっております。したがいまして、やはり最終の確定判決があるまでは無罪の推定を受ける、私はさように考えております。
  132. 稲葉誠一

    稲葉委員 無罪の推定ということをここで議論しても始まりませんけれども、確定とは違うわけですよ。なるほど判決の確定というのは刑事責任の問題ですよ。私どもがここで問題としているのは、田中さん自身が、ここでこういうふうに言っているじゃないですか。日本国の名誉を損なったことは万死に値すると言っておられるのですから、それに対して政治的道義的責任をとるというのはあたりまえのことなんです。それが筋なんですよ。だから、私はお聞きをいたしておるのです。あなたの答えているのは刑事責任のことを答えている。私は政治的道義的責任をここで論議しているわけですから、刑事責任を国会で論議してもこれは始まらぬわけですよ。よく聞いて下さいよ。それを言っているのですよ。政治的道義的責任について聞いているわけです。
  133. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 その点については、国会の中ですでにいろいろ御議論をなさっていることである。それからいま一点は、確定判決があるまでは国会議員の身分というものは憲法上、国会法上きわめて重要な取り扱いを受けておる。こういったあれこれのことを考えるべきであろう。しかし、いずれにせよ、政治的道義的な問題はいま国会で御論議をなさっているのですから、これは裁判係属中でもございます。したがって、私ども行政府の者としては静かにその結論を慎重に待つべきである、かように考えております。
  134. 稲葉誠一

    稲葉委員 あなたのおっしゃることなら、いま議運で問題となっている辞職勧告決議案の審議の経過に、どの程度のお力があるかと言っては失礼だけれども、あるかどうかも私よくわかりませんけれども、議運の中での勧告決議案の取り扱いについて、あなた自身が党の中なり政府の中でもっと積極的な対応というものをすべきではないでしょうか。
  135. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 これは議運で御論議なさっていることですから、私はそこまではちょっと手が及びませんね。うっかりそんなことをやった日には大変なことになりますから。
  136. 稲葉誠一

    稲葉委員 幾らこの問題を論議しても結局ここでは結論は出ません。あなたの方としてはそれ以上の答えは出ないわけですからね。  そこで、時間の関係もありますから別の問題に入りたい、こう思うのです。  外務と通産と防衛にお聞きをしたいのですが、そこに並んだ方がいいと思うんだがな。私がお聞きをいたしたいのは、レーガン大統領が日本に来られるわけですけれども、そのときに、武器技術の供与の方式の問題に対していろいろな話が出るのではないかというように私は思っておるわけですが、それについて現在はどういうふうな状況になっているかということをまず外務省、それから防衛からもお聞かせ願いたい。ということは、ことしに入って、アメリカでは何か包括取り決め方式というものを求めておるということを私ども聞いているものですから、その点についてのお答えをまず外務省からお願いいたしたい、こういうふうに思います。
  137. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 武器技術の相互交流の問題につきましては政府の方針は決定をしておりますが、どういう細目取り決めを行うか、内容についてはいま両国の外交チャンネルで詰めておりまして、まだ何ら結論が出ていない、こういう状況であります。
  138. 稲葉誠一

    稲葉委員 じゃ、八月にリンドストロームという米国防総省次官代理が来たことがありますね。これは、来て、そのお三人の中でだれに会ったのでしょうか。そして、どういう目的で来たわけですか。
  139. 北村汎

    ○北村政府委員 お答え申し上げます。  八月十七、十八日の両日にわたりまして、アメリカの国防省のリンドストローム国防次官代理とマーチン国防次官代理の二人が参りまして、そのほか随員もおりましたけれども、私ども日本側からは、外務省からは私、それから防衛庁からは木下装備局長通産省からは杉山貿易局長等が会いまして、この場合アメリカ側から、武器技術の交流に当たっての具体的な実施方法についてアメリカ側の考えを聞いたわけでございます。
  140. 稲葉誠一

    稲葉委員 だから、そのアメリカ側の考えというのは包括取り決めにしてくれ、こういうことなんでしょう。いまの答えはちょっと後にしましよう。そうすると、包括取り決めをとった場合のアメリカ側のプラスはどういうプラスがありますか。
  141. 北村汎

    ○北村政府委員 アメリカ側は、従来から、できるだけこの交流に関しての事務を簡素化したい、こういうことを言っておりまして、そういう考えを八月に参りましたときもわれわれの方に言ってきたわけでございます。この問題は、アメリカ側の考えを聞いたり、私どもの考えも関係省庁の中で鋭意詰めておる段階でございますから、まだ包括取り決めというような線でどうこうということではございませんけれども、アメリカ側は前からそういう事務の簡素化ということに重点を置いておるということだけ私どもは承知しております。
  142. 稲葉誠一

    稲葉委員 事務の簡素化という言葉であなたは言われましたけれども局長としてはそれ以上の答弁は無理かもわかりません。結局日本がアメリカから入れるときにはどういうやり方をとっているのですか。一品目ごとに取り決めて、交換公文を一件ずつ閣議の正式の案件としてかけて全大臣の署名をもってやる、しかも大筋は交渉しておる、こういうようなことをやっておるのではありませんか。――ちょっと待ってくださいよ。局長でなくて、その程度のことは大臣は知っているわけでしょう。知らないなら局長でもいいけれども、知っているのか知っておらないのか、どっちだか答えなさいよ。答えてから政府委員が答えなさい。そんなことじゃだめだ。
  143. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 MDAに基づきまして、アメリカからの武器並びに武器技術についての輸出を認めておるわけであります。MDA、いわゆる日米相互防衛援助協定によって入れているわけでございます。
  144. 稲葉誠一

    稲葉委員 そんなことを聞いているのじゃないですよ。だめだな、安倍さん、しっかりしないと。そんなこと聞いてないですよ。僕の言っていること、よく聞いてなさいよ。
  145. 木下博生

    ○木下政府委員 わが国が米国から具体的な武器システムを導入します場合には、個別に交換公文を結んで、それで取り決めを結んでやっております。ただし、相互防衛援助協定に基づく取り決めがすべてそういう種類のものだけではございません。
  146. 稲葉誠一

    稲葉委員 そこで、谷川さん、あなた向こうへ行ってワインバーガーと会ったでしょう。そのときもこの話、出ているのじゃないですか。それから、安倍さんは今度国連総会で向こうに行かれましたよね。そのときには向こうからこの話、出ているのじゃないですか。いま局長がいみじくも言った事務の簡素化というのは一体何なんですか。――局長はいいよ、政治家としてのあなた方に聞くから。いいですか。まず、どういうような話があったか。それから、局長が言った事務の簡素化というのはどういう意味なのか。
  147. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 防衛庁長官からもお答えいたしますが、私もワインバーガー国防長官と会いましたときに、この武器技術の相互交流について話が出まして、いま両国の外交チャンネルで話し合いをしている、しかし、まだ結論にはもちろん達していない、そこで、なるべく早く結論を得ましょう、こういう話し合いになっているだけで、それ以上の具体的な問題については、いま答弁いたしました事務当局でいわゆる相談をしている、こういう段階です。
  148. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 私はワインバーガー長官と、この夏と秋と二回会談をいたしました。  そのうちの二回目の会談ではこの問題は出ませんでしたが、第一回目の八月二十二日に行われました会談につきましては、まず、ワインバーガー長官から、ことしの一月に日本国政府が米国に対して武器技術を供与する道を開いたことに対してこれを評価する旨の発言がございましたが、この分野における技術の相互交流が円滑に促進されることを期待する旨の発言が続いたわけでございます。  これに対して私からは、同じように、今後技術の相互交流が円滑に促進されることに対する期待も、わが方もそれを持っているという意味で、この意味では相互の意見が一致をいたしたわけでございます。  なお、その先の細かい問題につきましては、ただいま外務大臣からも答弁ございましたように、政府間におきまして検討が続いておるわけでございまして、私とワインバーガー長官との会談におきましては、いま申し上げました前段のようなことで両者の意見が一致したことでございまして、あとの細かい先をどうするかというようなことまで踏み入っての議論はなかったわけでございます。
  149. 稲葉誠一

    稲葉委員 外務大臣かな、これはだれの主官なのか。外務なのか通産なのか防衛の主管なのか、ちょっとよくわからないのですが、検討中というのは一体何の検討中なんですか。どういう点を検討中なんです。問題点はどこですか。だれなんだ、主管は。どこなんだ。――ちょっと、役人はいいよ。そっちで答えなさいよ。大臣、答えなさいよ。大裏なことじゃないか。
  150. 北村汎

    ○北村政府委員 事務的な問題がございますので、私からまず先にお答えさせていただきますが、要するに、いまはアメリカに対して武器技術を供与するという方針を決めまして、それに基づいて実際にどういうふうな手続で、実施方法でやるかということについてアメリカとも意見を交換し、かつ、われわれの政府部内でも検討を進めておるわけでございます。(稲葉委員「何を検討するんだ」と呼ぶ)ですから、具体的な実施方法、いろいろな手続、枠組み、そういうものについて意見を交換したり検討しておるという段階でございます。
  151. 稲葉誠一

    稲葉委員 だから、実施方法なり枠組みということは、具体的に何を意味しているかと言えば、あなたのいま言った、日本がもらうときは個別に一つ一つをやって閣議にかけて、そして全大臣の署名をとったりして大筋交渉しているやり方とは違った包括取り決めをやってしまって、後は事務当局任せにしよう、これがアメリカの言う簡素化の問題じゃないですか。局長はいま簡素化という言葉をぱっと吐いたのだ。それがアメリカのねらいじゃないですか。一件一件やられちゃかなわぬ。そんなことよりも全体として大筋契約をして、後はみんな事務当局でやるようにしようじゃないか。これがアメリカの要望じゃないですか。そういう要望をあなた方ははっきり聞いているでしょう。
  152. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 アメリカからは、私との会談におきましてはそういう要望等は一切開いておりません。とにかく日本の武器技術を供与するという政府方針を決定した、これを伝えて、それをどういうふうな方向で実施するかという、いまの実施の対応とか枠組み等についていま外交チャンネルで相談をしているということでありますから、まだわれわれが閣僚間で折衝する、こういうふうな段階にはもちろんなっていない、こういう状況です。
  153. 稲葉誠一

    稲葉委員 対応なり枠組みというのは一体何なんです。簡素化簡素化と言うけれども、一件一件やるのは大変だから、それを包括的にアメリカとしてはやりたいということじゃないですか。それが簡素化じゃないですか。それが枠組みでしょう。それが一体どういう影響日本に及ぼすかということは、あなた方はわかっているでしょう。だから、そのことの意見がなかなかまとまらないのじゃないですか。第一に、まず相互主義に反しますね。アメリカから日本へ来るときは個別に一件一件やるのですよ。それが今度日本から向こうへやるときは包括的にやるということになれば、一件一件やるのじゃありませんから、個別主義でなくなるわけですから、それは相互主義に反することになるのじゃないですか。まず、その点はどうですか。
  154. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 これはアメリカはアメリカなりの考えがあると思います。しかし、日本日本立場があるわけですから。  それから、この前武器技術供与を決定した際に、われわれがこの国会でも説明をいたしました、そうした日本政府の方針がありますから、そういうものを踏まえていま両国で調整をしているということですから、これは両方の意見が合致しなきゃ協定にならないわけで、日本日本立場で主張すべきことは主張している。また、アメリカはアメリカの考えを当然述べておると思いますが、事務当局間の折衝の段階の最中ですから、まだわれわれのところへ決断を求める、判断を求めるという状況で上がってきてない、こういうことであります。
  155. 稲葉誠一

    稲葉委員 そうすると、もう一つ問題がありますね。包括取り決めということになると、それがたとえば防衛庁同士のあれであれば下の方でやって、そして上の防衛庁長官なり何なりというものは知らないということもあり得ることもあるし、民間の技術のような場合には通産省で認可するだけだということになってきて、閣議にもかけないということになってきて、そして問題は、シビリアンコントロールというか、そういうもの全体が効かなくなってくるのじゃないですか。そういう大きな問題を、この武器技術供与のあなた方の言う枠組みという中で含んでいるのじゃないですか。そういう問題があるから私はしつこく聞いているのですよ。私は余りしつこくない方ですからね。そういうのは嫌いなんだ、あっさりしている方ですから。だから、聞いているわけですよ。  だから、結論として僕はこういうふうに聞きましょうか。レーガン大統領が日本へ来る前にこのことについては結論を出すのですか。これがまず第一点。それから、いま安倍外務大臣のお話を聞いていると、武器輸出禁止三原則の趣旨を踏まえたり国会の決議を踏まえたりしていくということから見て、それがシビリアンコントロールや何かに影響がある、あるいは相互主義にも反するような包括取り決め方式はとらない、こういうふうに私は聞いたのですが、その二点、これについて明快なお答えを願いたいというふうに思います。
  156. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いま折衝中でありまして、もちろんアメリカと日本との考え方も違っておりますから結論が出ていないわけですが、われわれとしては、できればレーガン大統領が日本にお見えになる前に決着がつくことを両国とも望んでおりますけれども、しかし、交渉事ですから、これはそういうことになるかならないか、これからの両国の折衝を見てみないとわからない、こういうふうに思います。  それから、いまお話がありましたアメリカの要請と日本立場というものは、それはそれぞれ日本日本の考え方というのがありますから、その点がいままさに折衝中の問題点でありまして、われわれとしては技術の供与についてはMDAの方式においてやるということにいたしておりますし、同時にまた、その基本的な方向というものは、通常国会でもわれわれが答弁をいたしました趣旨に沿って、これを生かした形でなければならない、こういうふうに考えていま交渉に臨んでおる、こういうことであります。
  157. 稲葉誠一

    稲葉委員 だから結論は、前の一の方は、あなたのお話でよくわかりました。それは希望は、レーガン大統領が来る前に結論を出したいというのはわかったのです。  私が聞いているのは、包括方式というのはアメリカの方で要求しているのでしょう、だから、日本は国会の論議やいろいろなものを含めてそれはやらないという覚悟だ、気持ちだというふうにお聞きをしてよろしいですかと聞いているのですよ。
  158. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 これは、アメリカは恐らく簡単であれば簡単である方がいいと、私はそういうふうに思いますけれども、具体的なアメリカの提案はまだ行われておるわけではないので、意見の交換中ですから。ですけれども日本はやはり日本としての国会答弁、国会決議、いろいろとわれわれの立場というのがありますから、その趣旨を生かしたものでなければならない、こういうことでいま意見の交換をしているという最中でありまして、われわれは、あくまでも私たちが主張している日本立場に基づいた武器供与が行われなければならない、こういうふうに考えております。そのために今後とも最大の努力を傾けてまいりたい、こういうふうに思います。
  159. 稲葉誠一

    稲葉委員 しつこいのは僕に向かないのですけれども、だから、簡単にという意味をあなたが言われるから、簡単にという意味は、一つ一つをやっていくというのはこれは繁雑だから全体を一まとめにして包括的にやろう、これがアメリカの希望だ、こういうことじゃないですか。そうでしょう。
  160. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 まだアメリカから具体的にどういうことでやりたいという細目協定なんかのいわゆる枠組みが提示されていないわけなんです。しかし、ただ、私も類推をするに、アメリカとしてはおっしゃるような包括的な、一まとめにしてということを考えておらないわけではないと思うわけですよ。思うわけだけれども日本はそう簡単にはいかない。こういうことでいま話をしているということで、アメリカからアメリカの案というものが具体的に示されておる、こういう状況じゃまだないわけですから、これからにならないとちょっと結論を出すとか、あるいはまた決着をするとかいう見通しはつけられない、私こういうふうに思うのです。
  161. 稲葉誠一

    稲葉委員 具体的な案は出ていないけれども、推測するにこういうふうな考え方だというのでしょう、あなたの考え方は。どうしてそういう考え方がわかるのですか。
  162. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いま外交レベルで折衝しているわけですね。そのときどきの報告を聞いてみますと、どうもアメリカの考えとしてはそうした包括的なといいますか、一まとめにした簡単な協定というものを望んでおるのではないだろうか、こういうふうな印象を受けるわけです。しかし、日本日本立場があるから、それに基づいて日本立場を貫いて臨んでもらいたい、私はこういうことを言っておるわけです。ですから、これは両国のことですから、交渉ですから、話し合いがっかなければ協定にならぬわけですから、これからの問題だと思うのです。
  163. 稲葉誠一

    稲葉委員 そうすると、日本としては、日本がアメリカから技術を受けるときと同じような方向で意見をまとめて進みたい、こういうことですか。
  164. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いろいろといまのMDAの協定に基づいて具体的にどういう形で入ってきているか、それは武器もありますし、武器技術もありますし、具体的な点については私も十分承知していないのですけれども、しかし、少なくともわれわれが通常国会で答弁いたしましたような線に、この立場というものはやはり交渉で貫いていかなければならぬというのが私どもの基本的な姿勢であります。
  165. 稲葉誠一

    稲葉委員 この問題は、後に尾を引くという言葉はあれですが、引き継ぐことにいたします。後で総括があったり、いろいろな質問があると思いますから。大体の大筋は、話はわかりました。  それから、私どもはすでに話がまとまったように聞いているのです。まとまったように聞いていて、そういう質問があったならば、いまあなたのおっしゃったような答弁で逃げちゃえとか、それ以外ないから逃げておいて、それでレーガン大統領が来日する前にぱっと決めちゃえということのように聞いておるのでお聞きをいたしておるのですね。だから、国会の論議などというものを十分踏まえて、そして日本の国益を守ってしっかり善処する、こういうことですか。それならそういうようにぴしっと答えてください。
  166. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 これは、政府の武器技術供与の基本方針、それから国会の議論を十分踏まえて今後の折衝に臨みたい、こういうことです。
  167. 稲葉誠一

    稲葉委員 いまの問題は、後の各委員会などの質問にお譲りするというか、引き継ぐことにしたいというふうに思います。  そこで、ほかにもいろいろ問題があるわけですけれども、減税の問題で、大蔵大臣、私、予算委員会でカナダからポーランド、それからオーストリアに出張したのですよ。そうしたら、オーストリア、ウィーンの空港で日本の新聞を見たのです。これは八月二十九日かなと思います。見たのですが、そうしたら、朝日新聞の小さな欄に「かたえくぼ」という欄があるのですね。大蔵省発表というのが出ているのです。「一歩減税 二歩増税」と出ているのです。これはどうですかね、こういうことを考えておられるわけですか。
  168. 竹下登

    ○竹下国務大臣 そういう大蔵省発表……(稲葉委員「「かたえくぼ」だから」と呼ぶ)ああ、「かたえくぼ」ですか。これは、新聞といえども商業新聞でございますから、これが利潤追求のために販売拡張をねらう、そうすれば、その記事の中には国民が関心を持ち、ある種のウイット・アンド・アイロニー、こういうようなものを入れていくのじゃないかな、それだけの問題だろうと思います。
  169. 稲葉誠一

    稲葉委員 いや、「かたえくぼ」は一つの国民の声として私は出したので、あなたの方としては、一歩減税はするけれども二歩増税ということを考えているのですか、いないのですかと聞いているのです。
  170. 竹下登

    ○竹下国務大臣 御案内のように、減税といえば当然財源を要することであります。そこで、本院の議論においても、これは増税ではなくして税の是正と理解していいかとかいう質問が貴党の代表者からもあっておりますので、増税と増収はおのずから違うと私は思いますが、財源というものに対しては真剣にならざるを得ないことであろう、このように思います。
  171. 稲葉誠一

    稲葉委員 増税の定義については、確かにこれはいろいろむずかしいですよ。私の聞いているのは、減税はやるけれどもそれをオーバーするような増税なり何なり、それに近いものを、内容にもよりますよ、やるのでは意味がないのではないかということを聞いているので、それは一国民の声として非常にいい言葉だなと僕は思うんだな。「一歩減税 二歩増税」というのは本当にうまい言葉だね。ウィーンの空港で感心したのですよ。やはり日本人というのはなかなかウイットのあるいい国民だなと思ったのだけれども、実にうまいあれですね。  そこで、私がお聞きするのは、では「一歩減税 一歩増税」というのはやるのですか。
  172. 竹下登

    ○竹下国務大臣 ウイット・アンド・アイロニーという問題からすれば、そういう表現もあり得るでございましょうが、私どもはこれは窮屈に言えば、臨調答申というものがあって、理念として「増税なき財政再建」というものが一方に打ち出されておるときに、安易にそういうものを念頭に置いてはいかぬ。ただ、財源というものと増税というものとは別です。それから、先生もいまおっしゃったように、増税とはというと、これはなかなか定義がむずかしいと思います。
  173. 稲葉誠一

    稲葉委員 私は増税というか、いろいろなことを考えたときに、この前からあなたと問題にしているのですけれども一つは退職給与引当金の問題です。退職金というのは日本だけの制度です。これは大蔵委員会でも質問が出ているし、あなたが前からもお答えしておりますし、私も前から問題にしているところですが、それはそれとして、たとえば貸し倒れ引当金の問題をとってみても、どうもおかしいのですね。貸し倒れ引当金が全部でいま三兆四千幾らあるのですか、物すごい金額があるわけですね。実際の貸し倒れは、実績として考えると、この三分の一くらいじゃないですか。だから、ドイツやその他のとっているように実績主義をとった場合に、そこからくる税収、増収か増税かもよくわからぬけれども、とにかくそこからふえる収入というものはどのくらいあることになるのですか。
  174. 大山綱明

    ○大山政府委員 お答え申し上げます。  貸し倒れ引き当ての実績のお話でございますが、先生御案内のとおり、法定の繰り入れ率の約三分の一でございます。先生のお尋ねは、それを実績主義にしたらいかなる増収の程度かというお話でございますが、ちょっと私いま手元に計算したものを持っておりませんので、後日計算ができましたら御報告をさせていただくことにさせていただきたいと思います。
  175. 稲葉誠一

    稲葉委員 おかしいな。この話は僕の部屋へ主税局の人が四人くらい来て、あなた、話をしたわけですよ。まあそんなのはどうでもいいけれどもね。  これもおかしいんですよ。この表も、資本金階級なんという言葉で分けているのも、これも百億円以上の資本金のものが貸し倒れ引当金の期末残高が非常に多いですね。ドイツなどは実績主義をとっているわけですからね、それをとればもっとふえて、いろいろな形で税収かなんとかがあるわけですよ。ここら辺のところは考えてもらわなければ困りますよ。  この前は退給の問題についてずいぶん質問したら、答えが出てきて大分変わってきた。今度は繰り入れ率が変わるとかいうのでしょう。だから、そういうふうにだんだん変わってくるのだから、貸し倒れ引当金についても当然実績主義の上に立って考慮しなければいけないと思いますよ。この点を十分に検討していただきたいと思う。  もう一つは、使途不明金ですよ。使途不明金がまた出てきて、あなた方が政府臨調へ出した資料にも使途不明金の資料をくっつけていますね。これはどういうわけでつけたのですかね。フランスの場合は、使途不明金が一三〇%だったものが一二〇%に一たんなって、また一三〇%に上がりましたね。どうしてフランスではこういう制度をやっているんですかね。こういうことも当然日本としても考えていいんじゃないでしょうか。大蔵大臣、どうですか。
  176. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いま誤解があるといけませんので申し上げておきますが、退給の議論は稲葉さんと一遍したことがありますので省略をいたしますが、とにかく引き当て限度額については常に見直しを行っていく必要はあるという考え方に基づいて、いまは御案内のとおり四〇%になっているわけです。  それから、貸し倒れ引当金の場合も、個別的にはいま税調で審議しておられますから、一般論として申し上げますが、この貸し倒れ引当金の法定繰り入れ率については連年のように見直しを行ってきたが、今後とも実態に応じて見直しを行っていく所存である、こう答えるべきだということ、これは今日までの税調の答申で、いわゆる租税特別措置ではないが性格的にはそうあるべきだ、こういうことです。  それから、いまの使途不明金ですね、これはできるだけその使途を解明して、その支出先に対して適正な課税を行う、これが一番妥当です。  それから、どうしても使途が不明な場合は、これを経費として認めないで全額課税をして、そして仮装、隠蔽行為が伴う場合は重加算税が課せられる、こうなっておりまして、これはいまの法人税法のたてまえからいえば限界的措置であるという認識の上に立って、それ以上になりますと、今度は商法、刑法というものとの関連分野の取り扱いが問題になる。たびたび議論をいたしておりますが、現行の法人税の中においての限界的措置ということでそのような措置をとらせていただいておる、こういうことであります。
  177. 稲葉誠一

    稲葉委員 もう一つお聞きしたいのですが、私の疑問は、大蔵省の人にも言っておいたのですが、法人税をなぜ取るかという議論は非常にむずかしい議論があるが、まあこれはいい。だけど、法人が実在してやっている以上は、理論的には法人税についても累進課税ということは当然考えられていいのではないか。理論的にですよ。僕の言うのは、政策的にどうするかということはまた別ですよ。それから、政略的にどうするかということはまた別ですよ。法人税を上げたら政治献金をもらえなくなつちゃうとかなんとかということは政略的な問題ですよ。政策的にそのことが日本経済にどういう影響を与えるかということは、これは政策の問題です。理論的にいま僕は聞いているわけです。理論的には、法人税というものを取るからには、これは取っているのだから、それは当然実在しているのだから、社会活動、経済活動をやっているのだから、これはもう累進課税というものも理論的には考えられるはずだ、こういうふうに私は思う。だから、理論的な面だけひとつ答えてください。
  178. 竹下登

    ○竹下国務大臣 この法人税の問題は、理論的に累進課税率をかけるべきでない、こういう理論もあるわけですね。今日のいわゆる経済成長の中で企業の果たす役割り等々を考えれば、その理論も確かに通用する理論である。だが、いまおっしゃるように、いわば中小企業の特例としての措置もあるわけですから、したがって、そういう理論は中小企業の特例としてはすでに壊れているのではないか、こういう議論もあるにはあるということですから、稲葉さんの法人税にも理論的に累進構造があっていいというのも理論です。が、元来法人税はいわば累進構造をとらないのが理論的だ、こういう議論もある。これは私は古くて新しく永遠の議論じゃないかと思っております。
  179. 稲葉誠一

    稲葉委員 外務大臣に帰っていいと言ってしまったのですが、外務大臣がいないからこれは大蔵大臣、聞いておいてください。官房長官も聞いておいてくださいね。  最後に、お願いかたがたというか、実は予算委員会でずっと回ってみたときにしみじみ感じたのですが、大使館の人数が非常に少ない。いま外務省の日本の大使館員の人数というのはフィリピンと同じですからね。三千五百人ぐらいかな。それで、出向が非常に多いわけです。だから、行革の問題があるにしても、外務省のそういう問題については特別に考えなければならぬということです。  それからもう一つ、僕は回って歩いて、江藤さんがおられるけれども、大使館で一体新聞をどういうふうにとっているかと聞いてみた。それから、総合雑誌をどういうふうにとっているかと聞いてみた。それから、週刊誌はどうしているのかと聞いてみた。そうしたら、いま運輸大臣が来られたけれども、飛行機で行くと、北京まで着くと日本の新聞は一万円になってしまう、だから大使館でなかなか新聞を全部とれない、北京の大使館はそんなことを言っていたですけどね。それから、月刊誌は何をとっているかと言ったら中央公論と文芸春秋しかとってない、ほかは金がなくてとれないと言う。週刊誌はどうするんだと言ったら、週刊誌は各個人がみんなで買って、それを回し読みしているのだと言うんだ、大使館で。週刊誌も変なのは別として、普通の週刊誌なんかでもそんなことですよ。それじゃいかぬと僕は思うんですよ。それは日本としてもみっともないですよ。予算委員会として僕らちゃんと視察に行っているんですから、その結果を十分生かしてもらいたいと思う。これは、外務大臣は行っちゃったけれども、大蔵大臣がお答え願いたいというのが一つ。  それから、瀬戸山さん、文化庁の予算の中で、子供の芸術劇場なんかの予算があるでしょう。それで、僕は文化庁の人を呼んで――そういう人を怒つちやいけないですよ、いいですか。聞いてみたら、僕がなぜ聞いたかというと、いずみたくというのがテレビで政見放送のとき、いわゆる子供の芸術劇場の予算なんというのは、日本は西ドイツなんかの何分の一だということを言っていたわけですよ。それで、文化庁を呼んで聞いてみたら、外国のものはわからぬと言う。わからないんですよ。だめじゃないかと言ったら、とにかくわからないので申しわけないと言っていた。外国のことばかりが能じゃありませんけれども、文化国家なんだから、そういう面についても、子供の芸術劇場とかそういうようなことについては十分な配慮というものを、瀬戸山さん、あなたとしても、していただきたいと思う。  それから、所信表明の中で難病対策やがん対策を入れていただいた。これは厚生大臣、大変お世話になりまして、私もお礼を言うのですが、総理の所信表明の中へ入りました。それを聞きまして、難病の人たちは非常に喜んでおったんですよ。だから、僕はそういうことを考えると、そのことのためにも、いろいろ所信表明の中に出ていますね、それを具体的に今後どういうふうに生かしていくか。こういう三つのことをお答えを願って、私の質問を終わらしていただきます。
  180. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私の方から、外務省の定員問題でありますが、行管長官の関係もございますけれども、最終的に予算の問題については私の方で協議、調整をするという立場にございますが、従来とも、これは乏しい定員の中で、一応純増という役所の範疇に入っております。御意見の趣旨は理解できますが、予算全体の調整の中で極力努力をさせていただきます。
  181. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 青少年に対して芸術、文化に親しませるということは、情操教育からいっても平和的思想を養う上からいっても非常に大事なことだと思っております。  ただ、さればといって、いま外国と比較をされましたけれども、私も詳細知りませんが、率直に言って、まだおくれていると思うんですよ、わが国は。でありますから、そういう点に力を入れなければならない。現在は、いまお話しのように、子供芸術劇場あるいは青少年芸術劇場ということを国でやっておりますが、そのほかに、乏しい財政ではありますけれども、五十九年度新たに中学校にそういう芸術的な鑑賞ができるような仕組みをしよう、こういう努力をしておりますが、まだ十分とは考えておりませんから、今後努力をしたい、かように考えております。
  182. 林義郎

    ○林国務大臣 お答え申し上げます。  難病対策につきましては、調査研究の推進、医療費負担の軽減及び医療機関の整備を三つの柱として、これからも十分やっていきたいと考えております。  稲葉先生、大変に御熱心でありますことを、この機会をかりましてお礼を申し上げておきます。  がん対策は、いままでいろいろなことをやっておりますが、さらに、がん対策十カ年戦略というのを立てまして、本態の究明等をこれからもやっていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  183. 金丸信

    金丸委員長 これにて稲葉君の質疑は終了いたしました。  次に、小川国彦君。
  184. 小川国彦

    小川(国)委員 行政改革の中で国のむだ遣いをなくして財源を生み出していかなければならない、そういう行政改革の問題が至上命令になって今回行革法案が出されておるわけでありますが、今回出されている政府の法案の中身では、具体的に不正やむだ遣いをなくして国民のための予算財源をつくっていく、そういう努力が本当に実っているのかどうか、私は大変疑問に思うわけです。私は、この法案に関連しまして、政府の不正やむだ遣いというものをどのようにしてなくして国の財源をつくっていくかということについて、各大臣に所見を伺いたいというふうに思うわけであります。  最初に、お忙しい中を各大臣においでいただいてこういう質問を申し上げることは、大変端的な質問で失礼かとも存ずるわけでありますが、問題の発端としてお聞きしたいと思うのですが、出席の各大臣に、空港の中に免税ショップというのがあるのでありますけれども、この免税ショップというものはどういうようなものか、それからどういうところが経営をしているかというようなことについて、これは所管大臣が一番詳しいことはわかっているわけでありますが、各大臣が免税ショップというものについてどういう関心をお持ちになっていらっしゃるか、それをお聞かせいただければと思います。大変恐縮ですが、各大臣に所見を伺いたい。
  185. 竹下登

    ○竹下国務大臣 免税ショップというものは私も承知しておりますが、これは要するに、結果としては外国旅行者の便宜を提供しておる、したがって、わが方としては関税収入に残念ながら入らない、こういう印象でございます。
  186. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 大蔵大臣のおっしゃったとおりで、私も実は一度も利用したことがないので、具体的には知りません。しかしながら、大蔵大臣のおっしゃったとおりであります。
  187. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 免税店は、利用する諸君が、関税がかからない、税金がかからない、安く物が買えるということで利用しているものがあります。
  188. 金子岩三

    金子国務大臣 前大臣がお答えしたとおりでございます。
  189. 丹羽兵助

    ○丹羽国務大臣 ただいま所管の大蔵大臣初め各大臣からお答えがございましたが、私は、関心がないというわけではありませんけれども、全然知らなくて、いま聞いて初めて理解したようなことでございます。
  190. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 行管庁にも余り関係ないようでございますが、こういう財政の苦しい中でございますから、筋の通ったものは取るのも必要ではないかというふうに考えております。
  191. 小川国彦

    小川(国)委員 各大臣それぞれ多様な御答弁をいただきまして、これから質疑の中で、その答弁が合格点に達するかどうか、ひとつ楽しみに皆さんに質疑を聞いていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  なぜ私がこの免税ショップの問題を取り上げたか。ここに「免税品ガイドブック」というのがございます。大変きれいな商品がたくさん並んでいる。洋酒から香水からいろいろな衣料品、時計等高級品が、免税ショップに参りますとずらっとあります。これはほかの議員の皆さんも御経験のように、空港に参りますと、この免税ショップというのがあるわけであります。実は大臣の中で、この免税ショップに全く関心がないとおっしゃられた方がいるのですが、大変な皆さんが免税ショップで品物をお賢い上げになっておるわけです。  なぜお買いになるかというと、最高級のブランデー、これは新製品だそうですが、マーテル・エクストラというフランスの最高級ブランデーが、十万円のものが二万六千円で買える。それから、ハイン・ナポレオンというのが、三万円のものが六千円で買える。それから、フランスの香水のシャネル五番というやつが、三万六千円の品が一万五千円で買える。その他万年筆からハンドバッグ、財布、ベルト、ネクタイ、スカーフ、たばこ、ライターに至るまで、大体あらゆる品物が市価の三分の一から五分の一の値段で買えるわけなんです。  ですから、この免税売店には大変に人が殺到いたしまして、成田空港の例で申し上げますと、売り場が四カ所で大体五百九十九平米、百八十一坪の面積で、坪当たり七千百万円の売り上げをやっているわけでございます。これは通産大臣がお調べになっても、坪当たり七千百万円の売り上げというショップは日本じゅう探してもないのではないか、こういうふうに思うわけです。それは、こういう高級品が安く買える、しかも、かつて羽田空港ができた昭和二十八年から三十年ごろは数万人であった旅行者が、いまや全国で一千四百万人の航空旅客が出ている、外国へ行く人たちでもうその過半数を超えている、こういう状態でありますから、空港の税関を一歩入ればこういう高級品が安い値段で手に入るということで、皆さんが競ってここでお買い求めになる。  そして、その売り上げが大変伸びまして、日本全国で免税ショップで一番売り上げを持っている会社が、日本空港ビルという会社でございます。これは羽田に国有地を借りて、羽田空港の建物を全部持っている会社です。そして、ここは羽田空港の中に建物を持ち、免税ショップを持ち、成田空港ではやはり免税ショップを持っているわけです。さっき申し上げた成田空港の百八十一坪で、売り上げが坪七千百万ということでございますから、年間の売り上げが百二十九億円、それから羽田では十五億円、合計百四十四億円という売り上げを持っているわけです。このわずか百八十一坪のお店を中心として、これだけ膨大な利益を上げているわけです。  こういう免税ショップというものは、じゃ、だれでもできるのかというとなかなかできないわけでありまして、これは特権的な利権を獲得できる人でないと、この免税ショップの権益を得るということができないわけでございます。  この免税ショップをやっております会社は、成田、羽田だけではなくて、日本全国にあるわけでございますが、実はこの免税ショップを経営しております日本空港ビルという会社が、二年ほど前に国会の中で取り上げられました。これは、日本空港ビルの売り上げの過半を占めてきているのがこの免税ショップの売り上げなんでございますが、その社長が七千三百万円に上る巨額の年額の給料をもらっていた。これが取り上げられまして、当時航空局長でありました松井さんが、これは改善しなければならないということを答弁したわけでございますが、その後、今日に至るもこの状態が改善されたとは思えないわけであります。  というのは、この会社の社長の給料が月額で百五十万、ボーナスが三カ月、年収二千二百五十万円。副社長が百十万の給与、三カ月のボーナスで約千六百五十万。専務取締役が給与が百万、ボーナス三カ月、年収千五百万。普通の取締役で給与が九十万、ボーナス三カ月で千三百五十万。この会社の社長は運輸省の航空局長をなすっていた方が天下りをして行っているわけでありますが、国務大臣、皆さんずらっときょうは六人来ていただいておりますが、国務大臣の給料が年額二千四十四万でございますから、日本空港ビルの社長の方が二百万ばかり国務大臣よりも給料が高いわけであります。  この日本空港ビルという会社は、じゃ全く国に関係のない民間の会社なのかと考えてみると、そうじゃなくて、日本政府が出資している日本航空、その日本航空が最大の株主になって出資している会社がこの日本空港ビル、そして日本空港ビルがいま申し上げたような巨額な売り上げを持っている免税ショップ、それを特権的に得て、こういう高い給与を支払っているわけなんです。  これについて、七千三百万の給与は減ってきたというものの、いま申し上げたように社長自体が国務大臣よりも高い給料を取っている、こういうシステムといいますか、制度といいますか、免税ショップの認可のあり方というもの、これが妥当なものかどうか、この点について所管大臣からまず御意見伺いたい。
  192. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 国会で空港ビルの役員の給与が非常に常識を逸しているじゃないかという御指摘があったことは存じ上げております。国会はさすがでございまして、そういうことを御指摘あったものですから、私の方の運輸省の航空局長は、当時早速是正方を、世の中の常識にもとるようなことをしてはいかぬ、政府が直接出資しているわけではありませんが、日本航空は政府が出資して、その日本航空がいささかでも空港ビルに出資していることであるから、その辺も考えながら給与の是正をやるべきじゃないか、こう勧告しまして、さっきおっしゃった七千数百万がたしか二千万台になっている、こういうふうに聞いております。それでも高いという理屈もおありでしょうが、まあそこまで行っておるということだけ御理解いただきたいと思います。
  193. 小川国彦

    小川(国)委員 この七千一二百万というのが、まず非常識きわまる年間収入であったと思うのですね。国の高級役人を勤めた方が天下った会社で七千三百万、これはもう常識外れ。ですけれども、いま受け取っておられる給料自体減ったというのは、日本空港ビルというのは子会社をさらに十社持っているわけです。その十社からみんな給料を取っていたから七千三百万だった。その十社の子会社からの給与をいまの社長は抑えまして、これは四十万ぐらいに抑えた。それで、いま日本空港ビルからだけの収入になったから二千数百万。だから、関係会社のをもらわなくなっただけで、日本空港ビルからもらっている給与そのものは少しも改正してないわけです。  政府が出資している日本航空、その子会社が国務大臣よりも高い給与を取るというシステムはおかしいのじゃないか。それについては下げたということなんですが、大臣、もっと突っ込んでこの内容を御検討なさるお気持ちはございませんか。
  194. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 向こうが商行為でやっていることですから、政府が何もかにもこうこうしろと言うわけにもまいりませんが、世の中の常識に沿うように、そしてまた国会の話題にもなっている、こういうことなどをお互いの仕事をする材料にするように、こういうふうに申し添えてやりたい、こう思っております。
  195. 小川国彦

    小川(国)委員 商行為だから仕方がないというふうにおっしゃられるのでありますけれども、そのことをいまただす前に、ここの前社長が、すでに一部関係会社を退職されて退職金をもらったわけです。それからさらに、いま日本空港ビルの取締役でおりますが、長年この社長を勤めてこられた。退職しますと大変な退職金になるのじゃないかと思うのですが、運輸省としては、空港行政の枠の中にあるのですから、空港ビルというのは運輸省が認可をして営業を認めている、その社長の退職金、その社長がまた日本空港ビルの下に持っている十社の子会社、そういうところからもらう退職金、それを累計いたしますと幾らの退職金をもらうことになるか、運輸省としては把握されておりますか。
  196. 山本長

    山本(長)政府委員 お答え申し上げます。  各社の退職金の額というものは、その際に会社の経理内容あるいは社会情勢を考えまして、株主総会の承認を得た上で取締役会で決める、こういうふうになっているのが通例と考えます。  先生おっしゃるその関係会社の退職金を累計すれば幾らになるか、こういう御質問でございますけれども、そういったシステムになっておると私は理解をいたしておりますので、いま、幾らになるであろうというふうにお答えすることができないのでございます。
  197. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、実はこの計算をしていて、まあびっくり仰天という言葉がございますが、腰を抜かすということもありますが、そのくらいびっくりしたんですよ。運輸大臣によく耳の穴をあけて聞いていただきたいのですが、この人が受け取る退職金は、計算どおりいきますと二億六千八百万円退職金をもらうわけなんです。現在すでにコスモ企業という日本空港の子会社から五十七年瀞に受け取っている退職金が四千万円ある。もう四千万円。これだって大変な退職金だということは国民の常識でわかることなんです。そこへもってきて、いま日本空港ビルを退職しますと、この方は社長として十二年、その他取締役として八年やっていまして、社長で百四十四カ月、それで取っていた給料が百三十万、これは手当の五十万を除きまして本給百三十万。この会社の退職規定によると、社長は給料の六〇%掛ける月数ということになっているのですが、私、一〇%サトビスしてやって半分と見てやったのです、給料の表を出してくれと言ったら運輸省もその会社も出しませんから。それで大体百三十万、それの五〇%というと六十五万。それの十二年、百四十四カ月掛けますと九千三百六十万円。それから、常務とか専務とかであった八年間の九十六カ月。このときには八十万円の給料でしたから、その半分の四十万円を九十六カ月掛けると三千八百四十万円。さらに東京エアポート会長としての退職金九千六百万円。これらを合わせますと二億二千八百万円になります。四千万円は受け取ったのですね。ですけれども、計算どおりいきますと二億二千八百万円をこれから受け取るということになるわけです。この退職金を大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  198. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 世の中、本当に不思議だと思います。そういう制度があってそんなものが取れるということは、私たち政治家には普通考えられないことです。そういうものに対しては、どうしてそれを是正するか。ある場合にはそれをごっそり税金で吸い上げていくとか、いろいろな方法がありはせぬかということも考えられると思います。
  199. 小川国彦

    小川(国)委員 これも大臣、私は不勉強だと思うのですが、あなたの方はこの免税ショップに対する許認可権を持っているわけですね。少なくも免税ショップに対する許可という権限を持っているわけですね。それから、大蔵大臣もこれは関係なくはないのです。大蔵大臣の方もこれは法的には権限を持っている。  これは法律的な根拠を調べてみますと非常に欠陥がございまして、このわずかな面積でこんなにたくさんな売り上げを持つ会社をどういうふうに承認していくのか、認可していくのか、そういう手続規定が一切ないわけなんですよ。法的根拠を私いろいろ研究してみましたら、これは大蔵大臣ですが、大蔵大臣の方の関税関係の法律で、関税法第五十条に「保税倉庫とは、外国貨物を置くことができる場所として、政令で定めるところにより、税関長が許可したものをいう。」こういうことになっていまして、免税ショップの承認というものは、保税倉庫として外国貨物を置くことができる場所ですね、倉庫の場所として大蔵省がこれを認める。場所として許可したもの。この場合は東京税関長が許可したものなんですね。これしか法的な根拠はないんですよ。  ですけれども、この法律に基づいて営業するお店は、いま申し上げたようなべらぼうな退職金を払い、給与を払い、そしていま剰余金として日本空港ビルが持っているお金は七十億円です、余っているお金が。私は、大蔵大臣はのどから手が出るほどこのお金は欲しいだろうと思うのです、一兆円の減税財源がないないと言っているのですから。こういうところを保税倉庫の許可だけで認めていいのかどうか、ここに私は法の欠陥、盲点があると思うのですね。  それから同時に、運輸大臣の方に続いて聞きますが、それ以外に運輸大臣としてこの免税ショップを許可する、承認する法的根拠というものはおありになるのかどうか。  大蔵大臣と運輸大臣にお尋ねしたいのです。
  200. 垂水公正

    ○垂水政府委員 ただいま小川委員から御質問のございました保税売店、それの設置に関する許可手続につきましてお答え申し上げますと、おっしゃるとおり関税法の五十条に「保税倉庫の許可」という条項がございます。それがいわゆる保税売店の許可に当たると言えば当たると思います、関税法の体系だけで申し上げますと。したがいまして、保税売店を設置しようとする者はどういうことをするかということを手続的に申し上げますと、まず空港なりあるいは海港におきまして、その空港の管理者あるいはその空港施設の建物の所有者、それとの間でスペースを確保した上で、その上で先ほど申し上げました保税倉庫の許可の手続の申請に出てまいる、こういうことになると思います。  次に、その申請が出てまいりますと、これについては、小川委員すでに御検討のとおり、陶税法の中に「許可の要件」というのが定めてございまして、それは四十三条の規定でございますけれども、簡単に申し上げますと、第一は、申請者が欠格事由、つまり過去に罰則がないとかどうとか、第二は、資力等その業務遂行の能力があるかどうか、第三は、その保税倉庫の位置等が適正であるかどうか、第四は、当該場所を利用する利用の見込みはどうなるか、そういうような点を検討した上で、適当であるものについてはこれを認める、かような手続になっておるわけでございます。
  201. 山本長

    山本(長)政府委員 空港の中で免税ショップの営業をいたしております事業者は、現在十四事業者でございます。そのうち、空港ビルを経営していて、かつ、その免税ショップの店を持っているという事業者が九社、それから、そのビル会社の中にただいまの関税局長が言われました場所を借りて、そしてテナントとして入りまして営業をしておる会社が五社ございます。  この空港ビル事業者が免税ショップ事業を営むという場合には、自分の持っておりますスペースの一部をお店として使うわけでございますので、特別の許可はございません。承認はございません。ただ、空港ビルを建てるときに空港の用地を空港ビルが借りなければなりませんから、その面についての承認は地方航空局長が行っている、こういうことでございます。  もう一つの、テナントとしてビル会社に入りましてそこでショップを行うというときには、そのビル会社と契約いたしまして入るわけでございますけれども、そのビル会社がどういう事業者をテナントとして選ぶかということは、ビル会社の選択でございまして、私どもは、どういう事業者が入っているかということを把握する意味において、その事業者が入ったということをビル会社から届け出を受ける、こういうシステムになっておるわけでございます。
  202. 小川国彦

    小川(国)委員 ビル会社とテナントとして借りたものと二つあるということなんですが、業者選定の方式はどういう形で行っておりますか。こんなに日本国じゅう皆さん不況の中で、いろいろな企業者が大変困っている、しかし、一定の場所で、国が倉庫として指定してくれて、ビルごと許可してもらうか、許可さえもらえばこんなにもうかる商売は、だれでも企業者ならやりたいと思うのですね。そういう希望者はたくさんいると思うのです。皆さんは、業者の選定方式というものはどういうふうにしてお決めになったのですか。
  203. 山本長

    山本(長)政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、ビル会社がテナントとして営業を行うという場合には、そもそもそこにビル事業を行うという場合に、国から国有地を借りるという必要がございますので、これについて、ビルを建てる事業者としての選択というものがあるわけでございます。このビル会社は、通常、一般経済界からの出資、地方公共団体からの出資、航空会社からの出資、大体三者でもって構成されておる第三セクターが多うございます。空港にビルを建てる場合に、そういった地元の経済界、それから地方公共団体等の意見を聞いて、この事業者でもってやりたい、こういうことであれば、その適格性を判断した上でビルの建設を認めるということでございます。  それから、羽田の例につきましては、この会社は日本で初めてできたビル会社でございまして、地方公共団体の出資はございません。  ビル会社が経営している免税ショップの選定理由ということでございますが、それは、その前にビル会社としての事業を認めるということが一つございます。それから、そのビル会社にテナントとして入って免税ショップを行うという場合にどういう業者をテナントにするかということにつきましては、ビル会社の選択でございます。われわれ行政は介入しておりません。したがいまして、テナントはビル会社の選択に基づいて選ばれ、かつ、関税法上の手続を受けた者がそこで営業をなし得る、こういう手続になっておるわけでございます。
  204. 小川国彦

    小川(国)委員 こういうもうかるビル会社なりテナントなら、だれでもやりたいと思うのですが、入札方式でおやりになったことはございますか。
  205. 山本長

    山本(長)政府委員 いままでないと思います。
  206. 小川国彦

    小川(国)委員 大変残念なことに、これは運輸大臣によく聞いていただきたいし、大蔵大臣にも聞いていただきたいのですが、日本の航空行政というのは、進んでいるように見えてこういう内部のシステムにはきわめて問題が多くて、まず、こうした巨額な利権とも思える免税ショップをビル会社の許可と込みでやっちゃう、あるいはまた、今度はビル会社の選択に任せる、こういうことで、これは大蔵大臣、運輸大臣、せっかく国が免税のショップにしてやっているのに、そこの売り上げは、個人のいわゆる高級官僚が天下ってつくっている会社のようなところにみんなぼろもうけさせるということになってしまって、国自体のプラスには何らならない、こういう形になっているわけですよ。  私、諸外国の例を調べてみますと、諸外国では、国自体あるいは公団、そういうところが国の収入にこれを上げている。これは大蔵大臣によく認識していただきたいと思うのですよ。そういうことをやっている国もある。それから、アメリカ、ヨーロッパの空港では、民営方式でやらせているところは全部競争入札、入札制度でやらしている。そして、場所はちゃんと国なり公団あるいは地方自治体でつくる。しかしそのお店には、お店の設備とか一定のものができていて、そして要は品物を持って業者は入ればいい。しかもそこで、入札によってですから、三〇%とか四〇%というテナント料を払うとか地代を国なり公団に払うとか、そういうことをやっているわけですね。  ところが、日本の場合には、こうした欧米の入札制度をいま言うように一つも取り入れていない。全く取り入れていない。そういう形の中で、ビル会社ぐるみとかビル会社が自由に選択できるということに任せちゃっている。免税ショップという恩典を与えて、巨大な利益の上がるところをそういうことに任せておいていいのかという問題がある。この法の欠陥、制度の欠陥、この矛盾は何としても是正してもらわなければならないと思うのですが、その点についてはいかがでございますか。
  207. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 外国からも日本からも飛行機のお客さんが非常にふえる時代でございますから、売り上げがどんどん伸びることは当然でございます。そしていまから先も、羽田も沖合い展開をやるとか、あるいはまた関西空港も新しいものをつくるとか、そういうことなどがありますから、こういう御注意を機会に、どんなふうになっているか一遍精査すると同時に、余り誤解を招くようなことのないようにやってまいりたい、こう思います。
  208. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣、誤解を招くというのは、何か私の質問が誤解をしているような言い方なんですが、私は、誤解を招かないように、大臣に先ほどの退職金の計算を、私が申し上げたことの確認をやっていただきたいと思うのです。二億六千万に上る退職金、これは大臣の方でおやりになりますか。
  209. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 先ほど航空局長答弁の中でも、まだ退職金は払っている段階じゃないように聞いておりますが、どういうふうな形になって、どんなふうな計算になるのか、関係者から聞くようにいたしましょう。先ほどの誤解の話は、これは私の誤解でした。
  210. 小川国彦

    小川(国)委員 航空局長はこの空港行政の実務者として、ビルごと許可しても、テナントごと許可しても、ともかく大もとのビルは運輸省航空局が許可しているわけなんですが、その許可している会社でぼろい利権的なもうけを上げて、こういう退職金があるという実態については把握されていませんか。
  211. 山本長

    山本(長)政府委員 私ども、国有地をビル会社に貸すということをやっておるわけでございますが、その営業状態、収支状態というものを毎年報告を受けておるわけでございます。ただ、先生がおっしゃる給与の実額が各人当たり幾らになっているかというふうな点、あるいは退職金を支払う場合に幾ら個人に支払うかというふうな点にまで、われわれ行政は入っておりません。ただ、一般的に、ああいったたくさんの旅客が集まる中、また、消費性向の高い旅客でございます。非常に経済価値の高いところで営業を営み、公共性の高い事業であります。そういう観点から、空港ビルの営業につきましては、いやしくも社会の指弾を受けることのないよう、常々事業者にそういうことを申し、行政指導という形で行っておるところでございます。
  212. 小川国彦

    小川(国)委員 一番肝心な会社の営業状況、収支状況を見ていけば、当然その年度の財務諸表の支払いの中で退職金を幾ら支払ったかわかるはずですが、そういうところはお気づきにならなかったのですか。
  213. 山本長

    山本(長)政府委員 先ほど先生がおっしゃいました退職金の支給の実例ということがございましたけれども、御例示の会社は日本空港ビルの子会社でございまして、航空機に食料を積み込む会社というふうに聞いております。この企業につきまして、先生のおっしゃるように、確かに空港ビルの子会社ではございますけれども、その企業の経理内容にまで立ち入り、退職金の額が幾らかというところまで私どもは把握をいたしておりません。
  214. 小川国彦

    小川(国)委員 その航空局長答弁は、所管の局長としてはきわめて職務不熱心というか、怠慢というか、日本空港ビルのいろんな営業許可をしたり承認をしたりしておりながら、その子会社が弥栄観光、日本空港技術サービス、東京エアポートレストラン、共栄産業、清光社、国際協商コスモ企業、東京シティ・エアターミナル、東京空港交通日本空港コンサルタンツ、この十社の子会社を持って、ここに大なり小なり出資をしているわけですね。だから、日本政府があり、日本航空があり、日本空港ビルがあり、またこの十社の、ひ孫ですか、そういう関係の会社ができているわけです。  農林大臣、私は、前に中央競馬会で指摘をしましたけれども、中央競馬会がその下にたくさんの子会社をつくって利益隠しをやってきたと同じことをやる。運輸省日本空港ビルの下にこういう子会社があって、そういうところから払ったものだから、四千万円も見落とした。どうにもならない。これから東京エアポートレストランで支払うこの孫会社の退職金が、また一億円あるのですよ。これも航空局長、気がつかないということで済ましてしまうわけでございますか。
  215. 山本長

    山本(長)政府委員 いやしくも空港ビルというのは、先ほど申し上げましたような公共的使命を持つ企業であり、したがって社会的な指摘、指弾を受けるようなことがないようにということを常常指道守しておるわけでございます。その日本空港ビル自身について、その役員及び子会社についての兼務のあり方、あるいは子会社における給料のあり方につきまして、私どもは先ほど申しましたような指導をいたしております。一つ一つを把握し、各個別にそれを承認するというふうなことはやっておりませんが、社会的な指弾を受けることがないように、そういった意味においての指導をやっておるところでございます。
  216. 小川国彦

    小川(国)委員 その指導がなぜ徹底しないのだろうかというふうに私が考えてみましたら、結局この日本空港ビルにしてもその他のビル会社にしても、みな運輸省、大蔵省の高級官僚が天下りしているのですね。それはもう目に余る状態なんです。  空港内で免税売店を経営する企業への天下り状況を調べてみますと、日本空港ビルは、社長の高橋寿夫さんが運輸省の航空局長、副社長の周正八郎さんが大蔵省の国税庁徴収部長、常務取締役の上田浩さんが運輸省の観光部長、取締役相談役の今井栄文さんが運輸省の官房長、取締役の朝田静夫さんが運輸省の事務次官、同じく取締役の安西正道さんが運輸省の高松陸運局長から海上保安庁長官、同じく取締役の広瀬真一さんが運輸省の事務次官、同じく取締役の堀武夫さんが運輸省の事務次官、同じく取締役の阿部泰夫さんが運輸省の国際課長。日本空港ビルだけで半数の役員というものは運輸省の天下りと一部大蔵省の天下りで占められている。  また、このほか、成田で免税ショップをやっているエムパイヤ エアポート サービスの取締役の田中金良という人は運輸省の空港保安事務所会計課長、事業開発部長の渡辺修という人は空港公団からです。  それから大阪空港へ飛びまして、株式会社朝日エアポートサービス、この専務取締役の津吉伊定という人は大蔵省の横浜税関長。  株式会社第一生命ビルディング専門大店の常務取締役は鷺坂昌宣という人で、運輸省の鹿児島空港事務所長。  名古屋空港ビルディング株式会社の取締役安西正道という人は運輸省の海上保安庁長官、これは二つやっているのですね。  それから、福岡空港ビルディング株式会社の常務取締役の藤本利幸という人は運輸省の羽田空港長、同じく取締役の朝田静夫、この人も幾つもやっておりますが、運輸省の事務次官、安西正道、この人も先ほど言ったように幾つもやっている。  鹿児島空港ビルディングでは、取締役の安西正道さんは先ほど言ったとおり運輸省出身、取締役経理部長の小山正徳さんという方も大蔵省の財務局の課長さん、それから取締役施設部長の稲永正勝さんという人も運輸省東京航空局飛行場部長。  ざっと私の調べただけでも、これだけ高級官僚がこういった会社に天下りをしているわけです。ですから、先ほど航空局長がこれらの会社の給与だの退職金に手をつけられないと言うのもよくわかるのです。自分の先輩だった次官とか局長とか官房長とかいう人が全部こういう会社に天下っているわけですから、そこの給与や退職金に手をつけられないのはあたりまえだ。だけれども、これをほうっておいていいのか。行政改革を言っている政府が――国の機関の中でこうしたぼろもうけをしている特権的な利権的な会社があって、しかもそれの大半の主軸をなしているのが高級官僚の天下りだ、そして二億六千万の退職金では、これは国民は怒ると思うのですよ。何の行革だ。こういうような矛盾、問題をにらんで、運輸大臣としてはこういうところを一体どういうふうに指導していく考え方なのか。  それから、大蔵大臣も戻ってまいりましたから。先ほど大蔵省も、関税法では五十条にある、しかしこれは倉庫の承認だけだ、二万二千円の手数料をもらうだけだ。それから運輸省は上物を建物ぐるみ承認してしまう、中身についてはちっとも検討しない。こういう欠陥のままこれを見逃しては、行政改革にならないと私は思うのですね。本当に国民のための行政改革をやるなら、こういう不当な利潤のもとに不当な給与や退職金を払っているところを法と制度の中で正していく、こういう考え方を持っていただかなければならないと思うのですが、この点について、大臣、どのような御見解をお持ちになりますか。
  217. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 額に汗しないでぼろもうけすることは、これは社会が許しません。私は、自分の所管のこういう問題が出ましたから、どんな経過でどういうふうな形になって皆さん方に取り上げられているか、これを私の方で調べます。そしてまた、是正ができるものがあれば是正し、勧告するものがあれば勧告するという方法を考えてみたいと思います。
  218. 竹下登

    ○竹下国務大臣 確かに保税倉庫というものは、たとえば港の場合、保税のものとそうでないものと区分蔵置をする。区分して蔵に賢くというのを区分蔵置と言うのですが、その場合には、線を引っ張っただけでこちらとこちらに分けるというように、非常に機動性を有するものでございますから、関税法上から言えば、確かに場所の提供がいいか悪いか、これだけのことになるだろうと思うのであります。しかし、いまお話を聞きながら感じましたことは、言ってみれば国の出資に係るものの子会社でございますから、国だけがもちろん株主ではございませんので、他に対する配当もあるでございましょう、だから、それ自身をチェックするということは問題でありましょうが、直接私の所管にかかわるかどうかという問題は別として、私は運輸大臣のお答えになりました方向で、私どもに何かアプローチすることがあればしなければならない課題だというふうに、いま理解をさせていただいたところであります。
  219. 小川国彦

    小川(国)委員 私はもう少し突っ込んで、この問題の問題点がさらにあるということを指摘しておきたいと思うのです。それは先ほども申し上げましたように、日本空港ビルの財務諸表で見ると、七十四億六千万円の剰余金を蓄えている。現金預金で九十億九千六百万円持っている。これは五十八年三月三十一日現在のことで、ほかの会社ではとても考えられない。それからまた、日本空港ビルがいま新丸ビルに本社を持っているのですが、これは本来、羽田に国有地を借りてあそこに建物を持っているのですから、そこに本社を置けば、一銭も本社の家賃は要らないはずなんです。ところが、新丸ビルの三階でございますから、東京駅前の最高の場所です。そこに千百九十三平米、三百六十二坪の本社を借りて、毎月九百三十一万円の家賃を払っている。年間にすると一億二千万円の家賃なんですね。これもやはりさっき言ったように、日本空港ビル、その子会社、もうかってしょうがなくて、金の使い道がないからこういうところにむだ遣いをする。自社ビルが羽田にあるのに、何も東京駅前に持ってきて年間一億二千万も家賃を払わなくてもいいじゃないか、こういうふうにも思うのですが、この点についてはいかがでございますか。
  220. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 私が不勉強ということでしょうか、どこに本社があるか、どれだけの家賃を払っているか、一向存じません。そこでおっしゃるとおり、いずれも初耳でございますから、私の方で勉強してまいりたい、こう思っております。
  221. 小川国彦

    小川(国)委員 航空局長答弁を願います。
  222. 山本長

    山本(長)政府委員 日本空港ビルの本社が丸の内にあるということは、私、承知いたしております。なぜそこにあるのか、先生がおっしゃることも理解できますが、私もなぜなければならないのか、あるいはやはり営業上そこにあった方がいいということが会社の事情の中にあったのではないかと思いますけれども、この点については、その理由を調査をしてみたいと考えます。
  223. 小川国彦

    小川(国)委員 それからもう一つ、現在、前社長の阿部泰夫氏は、東京エアポートレストランというものの会長をしているわけなんです。この方は大体年収一千五百万円程度の俸給を得ているのですが、ほとんど出社していないようなんですね。会社に出ない、しかし、月額百万、ボーナス三カ月。この前、御承知のように七千三百万ずつ毎年もらっていたことが問題になって、そしてまた、いま指摘するように四千万の退職金をもらって、さらに二億二千万もらうというような計画があって、それでなおかつ、いまほとんど出社していない会社からも毎月百万ずつの給与を取っている。この実態についてはいかがですか。
  224. 山本長

    山本(長)政府委員 一昨年の問題提起以来、関連会社の役員の給料について是正をするということ、それは全体としての給与の是正をするという一環として、私たち阿部社長の給料が幾らであるかということについては、事務的には把握をいたしております。社長としての給料であるというふうに理解をいたしております。ただ、先生がおっしゃった、ほとんど出社をしていない、あるいはほとんど仕事をしていない、事業をやっていないというふうなことにつきましては、そこまで私たち承知をしておりませんでした。調査をしてみたいと思います。
  225. 小川国彦

    小川(国)委員 それからさらに、全国のビル会社を調べてまいりますと、免税ショップを見ていきますと、大阪空港のブラン ドゥ ブランという会社がありまして、これも従業員二十人で八億四千五百万の売り上げ実績を持っているのですが、私は全国の空港ビル会社に電話を入れたのです。この会社に電話を入れたところが、本社には電話がないのですね。そして教えられた電話は、ナイトクラブのブラン ドゥ ブランというところなんです。まさかこの免税ショップの会社の本社がナイトクラブでは困ると思いまして、実はその場所を調べたら、やはり間違いないのですね。こういうえたいの知れないようなところにもなぜこれは許可なすったのですか。
  226. 山本長

    山本(長)政府委員 先ほど申し上げましたように、テナントとしてどの会社を選ぶかということについて、私どもが行政的な介入といいますか、タッチをいたしておりませんということを申し上げました。その先生のおっしゃる会社がなぜ選ばれたかということについて、私どもは承知いたしておりません。そういう問題があるとすれば、調べてみたいと考えます。
  227. 小川国彦

    小川(国)委員 これは運輸大臣、あなたの方で先ほど、額に汗しないでこういうようなぼろもうけをしていることは許さない、これは全く大臣のおっしゃるとおりで、私は、その政治姿勢をもって全国の空港ビルの内容、経営実態について総点検をする、そしてこの経営のあり方を正していくべきだと思う。  それから同時に、大蔵大臣、全国の免税ショップは五十七年だけで三百五億円の売り上げがある。粗利益が三二%あると言われます。そうすると、ざっとここだけで百億近いものを、もし国がこういう施設を管理するならば国が百億の収入を上げることができるわけなんです。それをこういうふうな、二億六千万もの退職金を払うようなシステムを放置しているところに問題がある。これはやはり大蔵大臣としても、関税法からもう一歩進めて、こういうところからどういうような国庫収入を上げることができるか、これは私どもも研究しますが、やはり大蔵大臣が陣頭指揮をとってこういうものは研究すべきなのではないか、こういうふうに思いますが、それぞれ大臣からひとつ御答弁を願いたい。
  228. 竹下登

    ○竹下国務大臣 関税法上のいわゆる保税倉庫という範疇以上の問題について、私どもも勉強はさせていただきます。
  229. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 非常に貴重な御意見をお伺いできましたから、これは私の関係する部面は入念に調査してみたいと思います。ただ、その場合に、何さま相手は企業でありますから、政府が若干投資しているから権限が私たちにある、こういうことで言うているのですが、向こうは企業としてやっていることでありますから、ときに余りやかましく言うことによって、企業努力というか、つまらぬ統制経済、官僚経済みたいな萎縮するようなかっこうになったのでは、これは商売とすれば大変まずいことになる。この辺の関係なども調べておく必要がありはせぬか。よく考えます。
  230. 小川国彦

    小川(国)委員 最後のところにいつも大臣はよけいなことを一口言うのですね。萎縮するからいけないと言って、あなたが許可したお店で、それから大蔵省が見たお店で、本当は税金を取れば大蔵省の税収で入るわけですよ、それを免税しているがゆえに利益が上がる、そういう上がったものから社長が大臣よりも上回るような給料を取っている会社、それを許認可する権限は運輸大臣、あなたのところにあるのですよ。その内容をしっかり掌握して指導する権限はあるのです。  それからもう一つは、入札制度は欧米では全部やっているのです。やっていないのは日本だけなんですよ。そこに航空行政のおくれがあると私は言いたいですね。三十年前の状況と同じようにこれを放置してきたという責任があるのです。これをやはり正して、いま大蔵大臣は勉強してこれに取り組むという姿勢を示されたのです。運輸省運輸省立場で、運輸省の所管の空港ビルの中にそれぞれあるわけなんですから、ここのところをしっかり掌握して、航空行政をもっとすっきりした形、国民の納得のいく形にするという責務があると思いますが、その点、もう一度大臣の真摯な答弁を求めたいと思います。
  231. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 こうした問題が出たことをきっかけに、全部洗い直して調査をいたしましょう。そして、いかにしていい品物が買う方々の手に渡るか、民間の活力が出てくるか、こんな観点から研究してまいりたいと思います。
  232. 小川国彦

    小川(国)委員 不正を正すと言う。では退職金の二億七千万を正すという考えは、大臣、ありますか。最後にそこの一点だけにしぼって聞きます。
  233. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 どういう計算で二億何千万になるか、そしていまどんな形になっているか、その会社関係のものを調べて、余り社会的な非難を受けないような姿勢にリードしてまいりたい、こう思っております。
  234. 小川国彦

    小川(国)委員 どういう計算になるかわからないというところに問題があるので、その点を正してこの行革委員会にきちっと報告してくださいよ。二億七千万なんという退職金は、日本じゅう探したってないと思うのです。自分の所管の中の、しかもビルごと許可を与えている会社でそういうことがあるわけなんですから、そこを正すという姿勢を持ってもらいたい。  それから、ほかの大臣には時間がございませんので、先ほど全く関心がないというような大臣もいらっしゃいましたけれども、採点はおのずから決まったと思いますが、先ほど行政管理庁長官だけはきちっと見直すべきだということをおっしゃられたので、この大臣はまず合格点だ、こういうふうに高く評価をしたいと私は思います。ですから、あとの大臣もならって、この問題を姿勢を正して、内容については早急にこの委員会に御報告願いたい、このことを委員長に要請しまして、私の質問を終わりたいと思います。
  235. 金丸信

    金丸委員長 これにて小川君の質疑は終了いたしました。  この際、先ほどの安井吉典君の質疑に関し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。斎藤国務大臣。
  236. 齋藤邦吉

    ○斎藤国務大臣 先ほどの安井委員の御質疑に関連いたしまして、私から発言させていただきたいと思います。  国家行政組織法第二十五条の最高限度百二十八に係る官房及び局は、政令により設置するものであるという説明のみで、法律によって設置される防衛庁長官官房のあることに言及しなかったことは大変遺憾でございます。  なお、政府委員答弁における、御質問がなかったので説明しませんでしたという不穏当な発言につきましては、取り消し、おわびを申し上げます。
  237. 金丸信

    金丸委員長 次に、門田行政管理局長
  238. 門田英郎

    ○門田政府委員 先ほどの安井先生の御質問に対します私の答弁の中で、不穏当な発言がございました。取り消しまして、深くおわび申し上げます。  御質問の点についてお答え申し上げます。  国家行政組織法第二十五条に規定する官房及び局は、「第七条第一項、第三項及び第四項の規定に基づき置かれる官房(庁に置かれるものにあっては、法律で国務大臣をもつてその長に充てることと定められている庁に置かれるものに限る。)及び局」を規定したものであり、当然この中には防衛庁の官房及び局も含まれるわけでございます。防衛庁設置法第十六条は、防衛庁長官が幕僚長及び統合幕僚会議をシビリアンコントロールするための補佐として官房長及び局長を規定しているわけでございます。官房長を規定するためには官房を置く必要があるため、特に同法第十一条で「長官官房を置く」こととしたものでございます。  なお、防衛庁設置法は、同じくシビリアンコントロールの観点から参事官制度を設けておりますが、参事官をもって官房長及び局長に充てる必要がございます。この点からも官房長を設置法上明定している次第でございます。
  239. 金丸信

  240. 安井吉典

    安井委員 この際、政府側にひとつ要望しておきたいと思います。  すべての官房と局は各省庁設置法で削除して、政令事項にしたという説明だけが今日行われてきました。それに対して私は、防衛庁の官房長だけはちゃんと法律で決められているじゃないか、それをなぜいままで言わなかったのだということでやりとりをし、その結果がいまの説明と陳謝になったものであります。大体政府側は、質問をしないことについて長々よけいな発言をすることがあるかと思うと、今度は逆に、十分明らかにしておかなければならないことを隠しておいて、それを追及されると、これまで質問がなかったから説明しなかったまでだという、こういう開き直りは私は許せないと思います。作為的なうそを言ったとは言いませんけれども、言うべきことを言わないでおるというのは、これは不作為のうそにもなるわけですよ。ですから、国会に対しては常に説明すべきことは十分に説明して、審議を十分にさせていただきたい、そのことをひとつ要望しておきます。
  241. 金丸信

    金丸委員長 これにて安井君の要望といいますか、終わります。  この際、暫時休憩をいたします。     午後四時七分休憩      ────◇─────     午後六時二分開議
  242. 金丸信

    金丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、一言申し上げます。  日本社会党の委員諸君が出席しておりません。事務局をして出席の要請をいたしますので、しばらくお待ちください。――日本社会党の委員諸君に御出席をお願いいたしましたが、出席がありません。やむを得ず議事を進めます。  質疑を続行いたします。正木明君
  243. 正木馨

    正木委員 本委員会も連日熱心な質疑が続きまして、いよいよいまや終局を迎えようといたしております。いわゆる締めくくり総括の質疑をただいまから行うわけでございますが、ただ非常に残念なことは、野党第一党の社会党がこの委員会に姿を見せていらっしゃらないことでございますけれども、ただいま委員長からも再三の出席要求がなされたようでございます。したがいまして、私たちといたしましては非常に心に痛むものを感じまずけれども、やはりいまや行政改革は国家的な要請でもありますし、これを軌道に乗せるために、政党を超えて、意味のあることには協力をしていかなければならぬという立場から、あえて私もただいまから質問をいたしたいと思います。  これから私が質問申し上げることは、これからの行政改革を進めてまいりますに当たって非常に重要な点が含まれておりますので、ぜひとも記録に残したいという意味での質問に集約して御質問申し上げたいと思いますので、でき得れば中曽根総理大臣から御答弁をいただければと思います。  提案されております国家行政組織法改正案では、官房、局、審議会、施設等の機関の設置が法律事項から政令事項に移されることが主要な目的となっておるわけであります。すでに部、課及び附属機関等につきましての新設と改廃については政令で実施されているわけでございますが、今回の委員会の質疑を通じ、論議を通じて、八省庁の機構改革が行われるということが明らかにされておりますが、これらの八省庁の機構改革に当たって、部、課等が増設される方向にあるのではないかというふうにわれわれは考えます。したがいまして、現在政令事項となっている部、課及び附属機関等についての整理縮小をぜひ図ってもらわなきゃならぬというふうに考えておりますが、この点について政府はどのように実施していくのか、方針を明らかにしていただきたいのであります。
  244. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 各省庁の内部部局の部、課及び附属機関等につきましては、臨調各答申及び新行政改革大綱に基づきましてその整理合理化を積極的に進めることとし、昭和五十九年度からその実施に着手してまいる所存でございます。
  245. 正木馨

    正木委員 次に、中央省庁の整理合理化行政改革の重要な視点でございます。ところが、中央省庁の整理合理化は遅々として進んでいないのが現状でございます。中でも、中央省庁の地方出先機関の整理合理化は特におくれていると言わざるを得ません。今回の行革法案を見てまいりましても、三省庁の府県単位機関の整理合理化が図られたにすぎません。行政の簡素合理化地方分権の推進という観点から、地方出先機関の抜本的整理合理化を進める必要があると思います。政府は、国の地方出先機関である地方支分部局についての整理削減計画を速やかに策定して国会に報告すべきであると考えるのでありますが、この点についての政府の方針、そして考えを明確にしていただきたいと思います。
  246. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 今回の府県単位機関の整理合理化は、今後における地方支分部局の整理合理化の第一章ともいうべきものでございまして、政府といたしましては、今後臨調答申及び新行政改革大綱に基づきまして、ブロック機関、支所、出張所等の整理合理化をさらに積極的に進めることといたしており、昭和五十九年度からその実施に着手してまいる所存でございます。  これら地方支分部局の整理合理化の実施の状況につきましては、国会の御要請に応じまして政府として十分に御説明申し上げ、御理解を賜ってまいる所存でございます。
  247. 正木馨

    正木委員 官房、局であるとか審議会であるとか、その他施設等の機関の設置が政令に移されることによって、新しい行政需要に敏速に対応するという利点があるとわれわれも考えます。しかし、一面からいって、国民生活に重要な視点ということよりも、行政サイドからの視点による新設、改廃という点に重点が置かれるという懸念があります。局等の新設、改廃に当たっては、行政サイドという視点からだけではなく、国民の側からの視点というものも十分に配慮してもらいたいと思うわけでございますが、この点について政府のお考えを承りたいと思います。
  248. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 今度の国家行政組織法によりまして、審議会の設置は法律または政令ということになったわけでございまして、この審議会の問題につきましては、全般的に今後とも整理合理化を図っていく必要があると考えております。その際に当たりまして、いまお尋ねになりましたような行政サイドのみならず、国民サイドの問題を十分頭に描きながら、審議会整理合理化に努力をいたしてまいりたい、かように考えておるものでございます。
  249. 正木馨

    正木委員 今回のこの委員会の審議を通じて政府が再三にわたって答弁をなさったことは、たとえば今回の六法案によって行われるそれぞれの行政改革は、人員の縮減というものについては直接にはその効果があらわれていないという点があるわけです。それについては、政府は、今後総定員法等の定数の見直し等を初めとして、五十九年度予算を初めとして、予算の縮減であるとか人員の削減という方向に進んでいきたいという答弁がございました。しかし、やはりそれぞれ局の定数と公務員の定数を定めて厳しく枠をはめていくということが、何よりも大事なことであると考えておるわけでございます。  と申しますのは、総定員法は成立後すでに十四年を経過をいたしまして、種々の問題があるわけであります。したがって、今後の行政改革推進ともにらみ合わせて、そろそろ総定員法の見直しに着手して時代に適合されたものにする必要があると考えますが、政府は総定員法見直しについてどのように考えられているか、お伺いをしたいわけであります。
  250. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 今回の行革関連法案は、機構改革あるいは機能の強化ということが中心でございましたので、人員の削減、予算の節減ということを直接目的とはいたしておりませんでしたが、来年度の予算編成に当たりまして、本年末の予算編成の過程において、公務員の人員削減計画に基づき厳しく要員の削減を行いますと同時に、予算の節減等についても努力をいたしてまいりたいと思いますが、同時にまた、いまお尋ねのような総定員法ができましてからもう長いこと経過いたしてまいってきておりますから、そうしたことを十分踏まえながら、行政の需要に応じながら、総定員法の見直しということも一つの検討課題になってきていると思いますから、今後そういう方向で検討、見直しをいたしてまいりたい、かように考えております。
  251. 正木馨

    正木委員 そのほか、いろいろ今後の租税角担率の開題、社会保障負担率の問題、「増税なき財政再建」と今後の社会保障政策の進め方の上においてただしておかなければならぬ問題がございますけれども、この議論を始めると私の持ち時間がとても足りませんので、これはまた別な機会に関係の大臣諸公といろいろと議論をしてみたいと思うわけでございます。  それでは、これで私の質問を終わりたいと思います。
  252. 金丸信

    金丸委員長 これにて正木君の質疑は終了いたしました。  次に、吉田之久君。
  253. 吉田之久

    吉田委員 審議の最終段階に臨みまして、特に重要な一、二の問題につきまして、総理並びに関係大胆から明確な御答弁をいただいておきたいと思う次第でございます。  まず初めに、国家行政組織あるいは地方行政機構と申しますか、およそ役所というものは、それ自体自然に膨張し、肥大化していく、そういう本性を持っていると思われます。しかし、今日国家としてどうしても行革を断行していかなければならない、こういう事態に面面しておるわけでございます。国民はそのときに、もちろんわれわれ国民としてもその正しい行革の進め方について協力を惜しむものではないけれども、まず政府みずから、みずからの組織の改革を断行されてはいかがですか、またその足元からひとつ整理整とんをしていかれるべきではないか、こういう考え方を非常に強く持っていると思います。そしてまた、この考え方は当然の国民の要求でもあると私は思うわけなんです。  そこで、私たちは、今度のこの行革国会と呼ばれます第百臨時国会に臨みまして、ここに提案されました六つの行革関連法案、特に総務庁の設置につきましてかなり大きな期待を持って臨んだわけでございます。しかし、まだまだ私どもから考えますと不十分であります。政府みずからの苦心の跡もうかがわれますけれども、単なる機構いじりから大きく脱皮し、踏み出したものとは言い切れないような感じがするわけでございます。  そこで、私たちがここで総理に特にお聞きしておきたい問題は、まずはこれを第一段階として、後に第二弾、第三弾と展開していかれると思うわけでございますけれども、その中で中央省庁の統廃合を今後具体的にどう進めようとなさっているか。特にこれは臨調の答申にも明らかにされているところなのでございます。したがって、私どもはそういう意味で、もう私どもから考えまして、国土庁あたりが果たして今後も存在理由を持つべきものであるかどうか、あるいは他の省庁と統廃合することによって新しい行革のさらに推進を図っていけるのではないか、こういうことを考えておるわけでございますけれども、今後の中央省庁の統廃合の具体的計画をこの際早急に国民に示されたいと思う次第でございますが、総理のお考えを承っておきたいと思います。
  254. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 中央省庁の統合再編は、行政改革の重要な課題の一つであると考えておりまして、臨調答申及び新行政改革大綱に基づき、総務庁の設置等をまず提案申し上げた次第でございますが、今後とも内外の諸情勢の変化、事態の推移等を兄つつ、臨調答申の線に沿いましてこの再編統合等を検討してまいりたいと考えております。
  255. 吉田之久

    吉田委員 特にいま明確に御決意をお述べになりましたそのことの具体的なプログラムにつきまして、どうか総理みずから大いにひとつ国民の前にそのプログラムをはっきりと明示していただきたい、このことを特にお願いいたしておく次第でございます。  次に、総務庁の設置に伴いまして、これまで内部部局として一本化されてまいりました総理府統計局の今後の問題についてでございますが、御承知のとおり、今日まで総理府統計局が果たしてまいりました成果というものは、かなり高く評価されるべきであると考えます。特に国民はこの統計局の結果を信頼いたしております。また、国民の生活万般にわたる重要な指標にしておる現状であると思います。しかるに、今度の総務庁の設置でせっかくの組織を二分割して、内部部局と附属機関とにしてしまわれたわけでありますけれども、その理由は何であるか、また、そのことによって生ずる問題点にどう対処されようとしているのか、お答えいただきたいと思います。
  256. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 今回の総理府統計局及び行政管理庁統計主幹等に係る統合再編は、政府全体を通ずる統計の企画調整と、国勢調査等政府としての基幹的統計調査の企画実施等を一元的に遂行させることにより、統計に関する専門的技術的知識と能力を活用しつつ、企画調整機能の強化、調査機能の充実を図るとともに、従来、総理府統計局が実施していた統計、製表等の業務につきましては、その業務の性格及び組織規模にかんがみ、別個の独立した管理責任体制のもとで組織運営を行わせることが適当と判断したものでございます。  改革後の組織運営に当たりましては、企画調査部門と製表部門の連携を図り、効率的な業務の遂行に努めるとともに、職員の方々が従来同様職務に精励できるよう、その処遇についても十分配慮してまいる所存でございます。
  257. 吉田之久

    吉田委員 ただいまの御答弁を聞きまして、いろいろ今後に対応する万全の措置を講じてまいりたいということではございます。特に処遇の問題等につきましても、いろいろ御配慮なさろうとしていることは承りました。しかし実際、機関が附属機関とそして内局に分離した場合に、そういう政府のいまの御答弁のように、スムーズに長期にわたってそうした処遇が完全に全うできるものであるかどうかという点につきましては、私どももかなり懸念を感じておる次第でございます。すなわち、政府関係の附属機関はほかにも数多くあるわけでございまして、そういう附属機関は、それ自身その役職、ポストの等級は標準職務表というもので決められておるはずでございます。したがって、いかなる経過を持っておる統計センターであるといっても、それだけを今後長く特別扱いにしていくことは大変むずかしい問題になってくると思うわけでございます。  それから、この組織の機能を発揮させる点におきましても、いろいろ私たちは幾つかの疑問を感じております。現にこの総理府統計局は、昭和三十年、それから三十五年の国勢調査の時点におきましては、臨時職員も含めて約三千人の組織を擁しておりました。しかし、三千人の組織を擁しておりましたこの機構も、昭和三十六年の電子計算機の導入に伴いまして、職員の厳しい努力も相まちまして、事務の合理化を進めてまいりました。現在千九百人余りの定員で従来以上の仕事をしておるということを、私たちは率直に認めております。現にその処理能力も当時の数倍のスピードを誇るものでありまして、まさに国際的にも大変評価の高い部門でございます。  ところが、こういう組織がいま二つに分割されてまいりました。そして、いままで全然別個でありました行管庁の機関と、そして在来の統計局のいわゆる製表部門を切り離したものとだけが一つになりました。製表部門は大変人員も多いわけでございまして、これを附属機関にしよう、こういう構想のようでございます。  しかし、このような別個の独立した管理責任体制のもとで組織運営を行わせることは、必ずしも適当だとは私どもは考えません。特に統計調査は、調査の企画、それから調査票の設計、それから地方への委託あるいは現地における調査、あるいは統計局への進達、そして集計、分析、公表、こういう一連の流れ作業によって完成されるものでございます。それが企画とそして実施の調査やあるいは製表が別の組織になってまいりますと、連絡に非常にそごを来したり、あるいは時間を要したりすることになると思うのです。いままでならば同じ庁の中で、そして相互に係長クラスが随時連絡をとればやってこられたものでございますけれども、今度は全部稟議決裁いたしまして、最高の幹部同士で相談しなければならない、こういうことが十分考えられるわけでございます。この点につきましてどのようにお考えでございましょうか。
  258. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 統計局の内情、実情につきましては、かねて吉田委員からいろいろ御説明を承っておるところでございましたが、本日もまた詳細なるお話を承りまして、われわれは十分承った次第でございます。  今回御提案を申し上げておりまする改革案は、政府部内におきまして相当長期間にわたりまして検討をいたしましたものであり、われわれとしては最適なものであると考えているところでございます。しかし、吉田委員のただいまの御発言等も、将来の運用につきましては十分参考にしてまいりたいと思っております。
  259. 吉田之久

    吉田委員 特に今度のこの改革に伴いまして、私どもは、何か行政管理庁の統計主幹部門が管理部門であるというプライドから、統計局の作業部門、しかもそれがかなり人員の大きい部門でございますので、これを切り離したのではないか。言うならば主幹部門のプライドのために統計業務も犠牲にし、このようなことが行われたのではないだろうか。だとするならば、総理がかねて行政管理庁長官時代から主張してまいられました行政改革の哲学にももとるものではないかという懸念を感じておる次第でございまして、今後十分にその辺のところを検討、善処していただきたいと思う次第でございます。  以上をもちまして、私の質問を終わります。
  260. 金丸信

    金丸委員長 これにて吉田君の質疑は終了いたしました。  次に、山原健二郎君。
  261. 山原健二郎

    ○山原委員 最初に、三宅島噴火で改めて問題になっております行革と防災対策の関連について総理大臣に御質問いたします。  今国会の冒頭の所信表明演説でさきの日本海中部地震に触れ残して、災害対策の強化に一癖努力していくと総理は言われました。ところが、三宅島噴火でいろいろ調べてみますと、わが国の火山観測体制は全くお粗末であります。全国で活火山六十七カ所ありますが、国が常時監視体制をとっているのはそのうちのわずか十七カ所、残り五十カ所は事実上ノーマークであります。三宅島は辛うじて十七カ所のうちに入っておりますが、観測要員は専任でたった一人。地震計、これは三地点に設けて測定して初めて正確な状況がわかるものだそうでありますが、一カ所にしか設置されていません。火山観測業務の予算も、気象庁の予算全部で一億六千八百万です。それも臨調行革のもとで、昭和五十五年度の二億五百万から毎年減らされてきております。今回は幸いにいたしまして人命に被害はなかったのでありますが、安心と安全という状態ではありません。  総理は、全国火山の総点検を指示されたそうですが、金もなければ人もつけない、設備も貧弱で有効な点検ができるでしょうか。行革に聖域はないと言いながら、軍事費を事実上聖域化するという状態の中で、こういう火山観測や防災対策こそはっきり聖域とすべきではありませんか。「災害は忘れたころに来る」と寺田寅彦博士は申しましたが、今度の経験から火山観測、防災対策に金も人もふやす、これをぜひこの際約束をしていただきたいのですが、総理の見解を伺います。
  262. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 わが国は世界有数の火山国でございまして、火山噴火による災害防止の必要性につきましては、日ごろから十分に認識しておる次第でございます。全国の活動的な火山につきましては、関係各省庁の協力のもとに観測の充実に努めているところでありますが、今後ともなお一層努力してまいる所存であります。
  263. 山原健二郎

    ○山原委員 時間がありませんが、実際にお金と人、これをつけるということが具体的な対策ではないかという意味でお尋ねしましたが、それを検討し、また、そういうことをやられるというお約束はできないでしょうか。
  264. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 これは火山のみならず、集中豪雨もことしございましたし、あるいは地震もございます。このような防災方面につきましては、政府としては今後とも大いに努力してまいりたい、人員やあるいは予算についても今後努力してまいりたいと思っております。
  265. 山原健二郎

    ○山原委員 次に、この委員会で論議されてまいりました六法案につきまして、残された問題について伺います。  一つは、国家行政組織法関連整理法で独立機関である公正取引委員会の内部機構の改編まで政令にゆだねるという問題でありますが、総理は内部機構の改編の準備を現にしておるのでしょうか。
  266. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 独占禁止法の目的でありまする公正かつ自由競争を促進していくことは、わが国経済を健全に運営していくために不可欠でございます。現在のような安定低成長下におきまして、物価や中小企業等への影響あるいは経済効率性、民間活力の保持、消費者保護等その規制のあり方について広く各分野への影響を適時適切に配慮していく必要があり、現在自由民主党におきましてこれを検討しておる最中でありますが、その推移を見てまいりたいと思っております。
  267. 山原健二郎

    ○山原委員 政府として準備をしておるということはないでしょうか。
  268. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 いまのところ、準備しているというところはございません。
  269. 山原健二郎

    ○山原委員 将来にわたっていかがでしょうか。
  270. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 自由民主党で海外に対する調査団等も派遣しまして、鋭意いま勉強しているところでございますから、政党政治でもありますから、自由民主党の結論がどういうふうになるか、見守ってまいるという考えであります。
  271. 山原健二郎

    ○山原委員 政府として現在準備はしていない。将来については党内の小委員会の問題があると思いますが、そうであれば、わざわざこの政令委任にするという必要はいまないのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  272. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 公正取引委員会もやはり国家の行政機関の一つでございますので、特別にこれだけを例外を設けるという必要も、別に感じておるところではございません。やはり同じように扱うべきものであると考えております。
  273. 山原健二郎

    ○山原委員 公正取引委員会の骨抜きまたは独禁法の改悪という問題につきましては、現に財界は、これまで再三再四にわたって要請をしてきております。財界総本山の経団連の場合は改正要綱まで、七月二十六日、独禁法問題に関する見解を発表しております。また、いま総理もおっしゃいましたように、小委員会も自民党内につくられて検討しておる。  こういう状態の中で、去る九月二十六日、日本経済新聞の夕刊に、日経の阪口論説主幹が、独禁法改正に成算がありますか、中曽根総理はやると約束してくれたのですかと聞き、対談をなさっておりますが、対談の相手は稲山経団連会長でございます。稲山さんは、「約束してくれました。努力してくれるでしょう。」という記事が出ておるのでございます。ここへ持ってきておりますけれども、これです。これは独禁法改正をやると約束をしたということにこの記事はなっておるのでございますが、この点は明確にお答えをいただきたいのであります。
  274. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 自由民主党でいまそれを鋭意検討している、そういう意味で、その推移を見た上で善処したい、そういう意味でございます。
  275. 山原健二郎

    ○山原委員 稲山さんは、明確に約束をしてくれました、こうなっておるわけでございまして、この点は総理としてそういう約束をしなかった、あるいはしたという二つの返事しかないように思いますが、その点はいかがでしょうか。
  276. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 別に稲山さんに約束したとかしないとかいうことはございません。自由民主党でいま勉強しておるので、その推移を見て検討したい、そういうふうに申し上げておるのでございます。
  277. 山原健二郎

    ○山原委員 もし約束をしていなければ、これは日本経済新聞という新聞でございますから、やはり取り消しなさるか、あるいはそういうことは言っていないと御抗議をなさるのが至当ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  278. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 自由民主党の委員会の結果を見て検討したいということを約束しておるわけでございます。その検討の結果を、推移を見ておるというところでございます。したがいまして、些事構うべからずという程度のことではないかと思います。
  279. 山原健二郎

    ○山原委員 それじゃお聞きしますが、財界が要求しておりますカルテル規制の骨抜きあるいは課徴金の廃止、これがいま財界の要求ですが、そういうことはお認めにならない、総理大臣としては認める意思はないというふうに私は判断をしてよろしいかどうか、再度伺います。
  280. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 独禁法が経済の自由、公正競争の上に果たしておる役割りは、われわれも十分認識しておりますし、いま申し上げましたように、公正の確保や消費者保護という面に配慮しつつということも申し上げておるわけでございます。そういう基本原則を持ちまして自由民主党も検討しておるのでございますから、自由民主党の結論を見守っておる、こういう態度でまいりたいと思っております。
  281. 山原健二郎

    ○山原委員 自由民主党の小委員会で検討しておるということは最初からおっしゃっておりますけれども、総理大臣として実際にこういう事態の中で、この独禁法改正といいますか、そういうことはやらないのだ、財界が要求しても課徴金の問題あるいはカルテルの規制の緩和ということはしないのだということを、はっきりと総理大臣としておっしゃるお気持ちはございませんでしょうか。
  282. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 ただいま申し上げましたように、独禁法の果たしておる役割りというものは、かなり私も高く評価しておるものであります。いま自由民主党は、そういうことを念頭に賢きつつそれを検討しているというところでございますから、その結果を見守りたいと思っておりまます。
  283. 山原健二郎

    ○山原委員 そういうことであれば、公正取引委員会まで今回の法改正の対象に入れなくてもよかったのではないかと思いますが、あえてこれを入れたのはどういう意図があるのでしょうか。
  284. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 公正取引委員会も行政官庁の一つでございます。独任制の官庁にあらずして合議制の官庁という性格を持っておると思います。したがいまして、行政官庁の一種でございますから、これを例外に賢くべき理由もないと考えております。
  285. 山原健二郎

    ○山原委員 いままで御答弁をお聞きしまして、公正取引委員会という独立機関というものを考えました場合に、やはり少しあいまいな態度ではないかというふうに私は思います。時間の関係で、これ以上申し上げることは避けます。  次に、先日私の党の中路議員と総理のこの委員会におけるやりとりがございました。それは農業問題をめぐってでありますが、農業国、四等国になるという言葉が出まして、中路さんからそれは取り消すよう求められましたが、総理は例示であって取り消す必要はない、こういうふうに言っておられます。ところが、この間、七千名の農民代表が日比谷野外音楽堂に集まって、その決議の中に、憤激の極限に達しておるという群集があるのです。非常に印象的に私はこれを見たのです。  柑橘あるいは牛肉の自由化の問題についての農民の怒りというのは大変大きいわけですが、今度政府がアメリカに派遣しました対日市場アクセス促進ミッション、団長は八尋俊邦さんでございます。その中の中内功さん、副団長でございますが、ダイエー社長でございます。この方がアメリカの有力議員ギボンズ下院歳入委員会貿易小委員長でありますが、この方に会いました際、九月十三日でありますけれども、総理もできないことをやらせるようにしてほしい、総理というのは中曽根総理であります。オレンジの季節自由化やその他農産物の大幅自由化をやらせるよう米国議会から圧力をかけてほしいという発言をしたことが出ておりまして、通産省は先日の委員会でこの事実をお認めになっております。そして、通産大臣も遺憾であるという御発言をなされておるわけでございますけれども、政府機関として派遣をしました財界人のこの代表がこういう発言をすること、全くこれは許しがたいことだと思うのでございます。  通産大臣が遺憾の意を表明されておりますが、総理大臣としては、こういう政府代表の機関が発言をしましたことに対してどういうお考えを持っておるか、伺います。
  286. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 私は、国会におきましても農は国のもとである、農業は生命産業であって普通の工業とは違う、そういうことを申し上げておりまして、農業あるいは農村というものを非常に重要視している政策をとっておるものなのでございます。そういう観点をこれからも常に堅持いたしまして、このオレンジや牛肉の問題についても日本の国益を守るために、われわれはわれわれとしての厳然たる立場を守りつつ調整をとっていこう、そう考えておるわけでございますので、民間の方がどういうことを言おうと、政府をぜひ信頼していただきたい。政府は政府独自の見解で物事を処理していくということを申し上げる次第なのでございます。
  287. 山原健二郎

    ○山原委員 これは民間の方ではないのです。政府が米国に派遣をした対日市場アクセス促進ミッションでございますから、いわば政府のこの問題についての代表として、政府を代弁する形で行っておられるわけです。そうですから、単なる民間の人の発言ではありません。だからこそ通産大臣は遺憾の意を表明されたと思うのです。  そういう意味で、どうも農業というものに対する見方、先ほど言いました四等国、農業国という言葉の持っている思想性、そういうもの等考えますと、この財界人も、わがもうけのためには何を犠牲にしてもいいのだという気持ち、あるいはアメリカに対して議会の圧力で総理大臣のやれないこと、中曽根総理大臣のやれないことをやらすように圧力をかけてくれと言う。これはまさに国家の主権を忘れた物の言い方だと思うのでありまずけれども、そういうことに対して本当に毅然たる態度をとって、そんなことを言ってはだめだ、あるいは農産物自由化については日本の農業を守るという立場から、そういう態度は許容できないのだということを、総理大臣として言えないのでしょうか。
  288. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 圧力が来ても、不合理なものであり、不当なものであり、私が納得できないものであるならば、それは拒絶するだけであります。
  289. 山原健二郎

    ○山原委員 あなたが総理大臣として拒絶されることはわかります。けれども、政府が派遣した代表のメンバーが、しかも副団長という重要なメンバーがこういうことを言うことは、では適切なことでしょうか。これは私は適切とお考えにならぬと思いますが、いかがでしょうか。
  290. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 その言葉は、果たして言ったか言わないか、私、確認しておりませんから、そういう不確定状況のもとで私が発言することは適当でないと思っております。
  291. 山原健二郎

    ○山原委員 通産大臣伺いますが、通産省の奈須俊和輸入課長は、新聞報道の内容があったのは事実と、先日の委員会で発言しておりますが、通産大臣はこの事実をお認めになりますか、なりませんか。
  292. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 はなはだ遺憾ながら、事実でございます。ただ、私から総理に報告すべきをまだ報告をいたしておりませんので、その点は私がうかつでございました。
  293. 山原健二郎

    ○山原委員 時間がありませんが、報告をまだされていないそうですけれども、事実であることはおわかりになったと思います。適切でしょうか、伺いたいのです。
  294. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 事実であるとすれば、不適切であります。
  295. 山原健二郎

    ○山原委員 もう時間がございませんが、最後に教科書の問題について伺います。  これは、八月十七日に自民党教科書問題プロジェクトチームの座長西岡メモが出ておりますが、「文部省は、これら教育改革に取り組む内容を考慮し、教科書無償制度について、昭和六十年度予算概算要求時までに、有償化の方向について検討することとする。」こうなっております。そして「文部省は、教科書制度の法体系を整備することとし、次期通常国会前までに、その内容を決定する。」さらに「学制改革、教員養成制度の改革、私学助成のあり方、入試制度の見直しなど、」全くこれは教科書と関係ありませんが、そういうことまでの改革を約束をいたしまして、それに対して文部政務次官並びに事務次官が合意をいたしておることが発表されておるのでございますけれども、そういう事実があったのでしょうか、まず文部大臣に伺います。
  296. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 事実でございます。
  297. 山原健二郎

    ○山原委員 文部省はいままで、教科書無償というのは憲法の義務教育無償の精神に沿ってやるのだという理論構成を持っています。また、そのことを全国の教育委員会に通達をいたしておるのでございますが、この憲法の精神にのっとって教科書無償をやるのだという方針はお変えになりましたか。
  298. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 文部省は変えておりません。
  299. 山原健二郎

    ○山原委員 変えていないということは、年度を区切って有償にするとかいう約束をすることはできない問題じゃないのですかね。私は、その点では、文部省は重大な理論の変更をやったのではないかと思います。  そしてさらに、全くいま国民的コンセンサスもなければ、この国会においてほとんど全く論議されていない教科書法案を出すということを、一プロジエクトチームの座長に対して約束をするとは一体何事かと思いますが、いかがですか。
  300. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 教育は、いまいろいろな部面で問題が多過ぎます。現在の教育制度その他は、戦後三十五年たちましたが、社会の変転その他でいろいろ検討すべき問題がありますから、あらゆる問題を検討してみるということで、いま研究を進めておるわけでございます。  教科書の無償制度については、臨調でも、を見直すという、廃止を含めて検討せよと、こういうことになっておりますから、これにいろいろな意見がありますから、憲法上の開題もあるし、簡単でございません。文部省としては、これを有償にするということは適当でないという考えを持っておりますけれども、いろいろな意見があることでありますから、もうしばらく検討しよう、こういうことでございます。  それから、教科書法の問題でございますが、これについても中央教育審議会から答申が出ておりますから、これについても検討をして、いかにした方がいいかということ、いま検討中でございます。まだ結論を出しておりません。
  301. 山原健二郎

    ○山原委員 教科書無償を担保にせられていろいろなことを約束する。国会もあるわけですからね、教育の問題についての論議をなされているさなかですね、まさに教育基本法に「教育は、不当な支配に服することなく、」という、このお金の面、これを担保にして揺さぶられて約束をする、政務次官、事務次官がそれに捺印をするなどということはもってのほかです。そして、しかもそれが教科書法案という、かつて大問題になりましてついに廃案になりました教科書法案を次の通常国会に出すと約束をするんですからね、これは大変なことです。  私は、そういう意味で、かつて教科書が国定化の道を歩みましたときに、福沢諭吉先生がこれに猛烈な反対をされました。また、大町桂月は、そんなことをすれば国を誤る、この方は全くの国粋主義者と言われた人でありますけれども、猛烈に反対しておられる。私はそのことを考えますと、本当に国民的なコンセンサスも得ていない現状の中で、予算の揺さぶりを受けて、次の通常国会に教科書法案を出しますなどという約束をすることは、文部省としての見識が疑われる問題だと思います。  時間がありませんから、最後に、総理大臣にお伺いをいたしますけれども、こういう問題については、当然、国会と国民の論議の中で出てくるならばともかく、こういう事態がないにもかかわらず、教科書法案を提出するなどということはよもやお考えにならないと思うのでございますけれども、中曽根総理大臣としては、この点についてどうお考えになっておりますか。
  302. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 この問題につきましては、与党である自由民主党の文教部会あるいは教育関係の調査会等におきまして、いろいろ勉強しておられるところでございまして、党内におきましても、さまざまな議論がございます。私は、これらの議論がどういうところに落ちつくか、それを見守ってまいりたいと思っております。
  303. 山原健二郎

    ○山原委員 こういう問題につきましては、十分国民的な合意を要するということを重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。
  304. 金丸信

    金丸委員長 これにて山原君の質疑は終了いたしました。  次に、小杉隆君。
  305. 小杉隆

    ○小杉委員 すでに審議も終盤になっておりますし、また、私どもは共同修正案で、国家行政組織法については国会に報告の義務を課するとか、あるいは五年後にその組織のあり方について見直すというようなことの修正案を提出しておりますし、また、後ほど附帯決議等も提案する予定でございますので、さらにまた、いま各党から質問がございましたので、そういった点を除きまして、一点だけ伺っておきたいと思います。  今度の総務庁の設置法によりますと、審議会というものが一部各省に移されるわけでございますが、この審議会の問題について触れたいと思います。  まず、行管庁長官伺いますが、この審議会整理合理化については、いままでどんな状況で、どんな取り組みをされてきたのか。私の資料によりますと、中曽根総理が行管庁長官になって以来、どうも審議会の数は一つも減っていないのじゃないかということでございますが、いままでの経過、あるいはまたこれからどういう取り組みをされるお考えか、まず行管庁長官伺いたいと思います。
  306. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 審議会整理合理化を図るということは、きわめて大事な問題でございますから、まだ十分な成果を上げているとは私も思っておりません。しかし、今回審議会の設置につきましては、法律でやるとか政令でやるとか、いろいろな区分もいたしましたので、将来とも整理合理化のために努力をいたしてまいりたいと考えます。
  307. 小杉隆

    ○小杉委員 昭和五十三年度に三十三機関、これを減らしたということで、中曽根さんが行管庁長篇になってからは、ほとんどやってしまったのでこれはそれ以上やることはないのだということだと思いますが、しかし、審議会といえどもこれは例外ではございませんので、今後とも十分に検討していただきたいと思います。  そこで、今回の改正によりますと総理府に置かれていた審議会、現在三十五ありますが、このうち十四機関が各省庁に移されるということになっておりますが、どういう考え方でこれを分けられたのか、その基本的な考え方を伺いたいと思います。
  308. 丹羽兵助

    ○丹羽国務大臣 お答えさしていただきます。  総理府水府に置かれている審議会等については、昭和四十四年七月十一日に閣議決定に基づきまして、所掌事務が複数の省庁に関連する審議会等については、原則として、特に事務の関連が深い特定の省庁へ移管するとの方針で、従来から検討を行ってきたところであります。  今回、総理府本府及び行政管理庁を統合再編するに当たり、その趣旨を踏まえ、総理府本府に置かれている三十五審議会等について見直しを行った結果、雇用審議会を初め十審議会等を労働省初め八省庁へ、公務員制度審議会を初め四審議会等を総務庁へ移管することとしたものであります。この結果として、二十一の審議会等が総理府本府に存置されることになるが、これらの審議会等は、一、地方制度調査会等のように内閣総理大臣にのみ諮問権が与えられており、特に内閣総理大臣の強い総合調整権に係らしめておるもの、二に、内閣総理大臣みずから会長または議長となっておるもの等であり、これらについては総理府本府に存置することが適当と判断したからでございます。
  309. 小杉隆

    ○小杉委員 それでは総理に伺いますが、いままで総理府に設置されていた審議会等が、いまの総務長官お話のように、一部各省庁へ移されるわけです。これは従来、やはり総理府に置くことがふさわしいということで設置されていたわけでございますので、もしこれが各省庁に移管されるに当たって、その本来の設定の目的が損なわれることのないようにする必要があろうと思うわけです。この点についてどういうお考えか。  そしてまた、先ほど私が申し上げたように、ここ四、五年間は全然審議会整理合理化についての動きがないわけでございますが、そのほかのすべての審議会についても見直しを行って整理をすべきだと思いますが、総理のお考えをお伺いしたいと思います。
  310. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 今回、移管を行う審議会等につきましては、その所掌事務を現行どおりとするとともに、内閣総理大臣または関係各大臣の諮問制及び内閣総理大臣委員任命制についても従来と同様とすることといたしまして、移管対象審議会等の設置目的、機能が損なわれないように配慮をしておるところでございます。  なお、今後既存の全審議会につきましても見直しを行い、その合理化、縮減に努めてまいりたいと思います。
  311. 小杉隆

    ○小杉委員 ぜひそういう姿勢でやっていただきたいということを申し上げたいと思います。  そして最後に、この審議会につきましては、国だけではなくて、各都道府県とか市町村などもいまたくさんの審議会とか審査会を設けておりまして、これの縮小合理化に努めているわけです。私は、二年前の行革特別委員会でも具体的な例を挙げて質問をいたしましたが、その後二年間たってもなかなかはかばかしく改善をされていない。この二年間一体何をやっていたのかということで非常に怠慢を追及をしたいわけですが、たとえば東京都などを見ますと、東京都の行政の中にも附属機関という審査会とか審議会というのが大体百十種類百九十機関あるわけです。このうちほとんど半分は、法律によって義務づけられている審査会になっているわけです。ですから、都道府県によっては、もうすでにこれは時代に合わなくなったから廃止したいと思っても、法律が存置を義務づけているために整理ができないというのが幾つかあるわけです。  そこで、具体的に伺いますが、まず農林水産大臣、二年前にも挙げましたけれども、各都道府県に開拓審議会というのがあります。明治時代ならいざ知らず、今日現代において開拓というものの必要性というのは非常にごく限られていると思うのです。ですから私は、四十七都道府県に全部必ず置かなければいけないというようないまの規定は見直して、必要のある府県だけに限定すべきではないかと思いますが、農林水産大臣のお答えをいただきたいと思います。  そして次に建設大臣に――では順番にやりましょう。
  312. 森実孝郎

    森実政府委員 御指摘の開拓審議会でございますが、これは現に都道府県が国の委任を受けて管理しております国有農地の売り渡しとか買い入れのための調整に必要なために専門家の意見を聞く機構でございます。東京都も現に百ヘクタールの土地を持っておられまして、ただ地元で配分がもめておりまして、なかなか配分が軌道に乗らないために、審議会が開かれていないという事情がございます。しかし、われわれといたしましては、御指摘の点もございまして、できるだけ早い時期に政令を改正いたしまして、審議会委員定数の削減、部会の整理ということは大幅にやりたいということで、準備を進めております。
  313. 小杉隆

    ○小杉委員 次に、建設大臣に伺いますが、地代家賃審査会、これも各都道府県に置かれておりますが、法律が、地代家賃統制令というのができたのは昭和二十一年、終戦直後のことでございますから、この時期にはこういう審査会は必要なものであったと思いますが、現代においてはほとんど必要性が認められない、このことを二年前に指摘したわけですが、その後全然廃止の動きはありませんが、いかがでしょうか。
  314. 内海英男

    ○内海国務大臣 御指摘のとおりに、地代家賃審査会はここ十年ばかり開かれておりません。したがいまして、昭和五十五年の七月に住宅宅地審議会が開かれまして、その中でこれは早急に廃止すべきではないかというような答申を得たわけでありますが、現実に入居者あるいは地主、家賃こういうものに対する具体的な対策がはっきり出ませんと、どこへ移すとか、あるいは適正な家賃、適正な地代ということになかなかそぐわない面もありまして、円満に解決するためにいま検討しておる、こういう段階でございます。
  315. 小杉隆

    ○小杉委員 当時の斉藤建設大臣の方がもっと前向きな答弁をしておられたわけですね。「居住者の環境条件等々を整備した上で廃止することが適当であるというふうに考え、その向きで進めさせていただきたいと思います。」こういう答弁になっておるわけなんで、建設大臣、その線でぜひ早急に手を打っていただきたい。  それから、環境庁長官伺いますが、水質審議会というのがございます。これまた都道府県ではいろいろ公害対策の審議会がたくさんできておりまして特に私は公害対策審議会というものに統合すべきではないかということを二年前に申し上げたのですが、その後これについてはどういう検討をされておられるのか。
  316. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 前に御指摘を受けまして、いろいろ検討したわけでございますが、御案内のとおり、水質保全行政、これは大変広域な地域を抱えておる、また、湖沼等の閉鎖性水域あるいは都市河川、このように地域的特性が大変強いわけでございます。そして、そのために利害関係が錯綜しておる、専門的な知識が非常に必要になる、こういうことで、河川管理あるいは産業対策あるいはまた農用関係の方々、いろんな方々、専門家に集まっていただいた、審議会も、これはもう必要だということで検討いたしましたが、私どもの場合、やはりいまの段階では水質審議会は、これは残しておく方が望ましい、こういう検討結果を持っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  317. 金丸信

    金丸委員長 小杉君、時間が経過していますから、簡単に頼みます。
  318. 小杉隆

    ○小杉委員 時間が限られていますから、私はこれ以上議論を発展させるつもりはありませんが、私は、何もこれを廃止しろと言っているのではないんですね。確かに地域的に湖沼の問題とか農業用水とか、いろいろな汚濁の問題があることは十分わかりますから、これは必要なところにはっくってもいいと思うのですけれども、すべての都道府県にこれを義務づける必要はないと思うのです。公害対策審議会などあるところはこれをひとつ合体させて、その中の部会という形でだってできるわけですから、何も拡散、併存させる必要はないということを申し上げておきたいと思います。  それから、最後に厚生大臣に申し上げますが、厚生省の管轄のが一番多いのですけれども、まず公的医療機関運営審議会、これは私は廃止すべきだと思いますし、結核審査協議会、これもかっては結核が国民病と言われた時代、昭和二十六年にできた法律に基づいてできているわけですが、これなども同じような保健所運営協議会というようなものに統合したらどうかということと、それから麻薬中毒審査会、これも終戦直後ですか、いろいろヒロポン中毒とかそんな時代にできた法律に基づく審査会だと思いますが、こんなものも常時は必要がないんで、必要の都度これをつくっていく、まさに変化に対応するという趣旨で今回いろいろな法律を出しているのに、こういう各省の、特に都道府県に対する法律の面での見直しがまだまだ不十分だと思うわけですが、厚生大臣の答弁をお願いします。
  319. 林義郎

    ○林国務大臣 御指摘のありました各種審議会お話のようなこともあると思いますが、それぞれやはり事情も異なるようでございますので、活動状態等を十分に把握いたしまして、改善すべきは改善する、こうした形で前向きに対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  320. 金丸信

    金丸委員長 小杉君、時間過ぎていますよ。
  321. 小杉隆

    ○小杉委員 はい。それでは、最後にまとめて行管庁長官自治大臣にお願いをしたいと思うのですが、こういったようにせっかく国の方でいろいろ行政改革の法案を出しておきながら、やはり行革というのは国だけではなくて、国、地方を問わず全国民的な規模でやらなきゃいけないわけですが、こういった面で、これから自治体のこういった行政改革に対する指導という面での自治大巨並びに行官庁長官のお考えをお聞きして終わりたいと思います。
  322. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 すべての府県に必置規制の敷かれておりまするこういう地方の特別機関につきましては、臨調答申もありますようにできるだけ最小限度に抑える、さらにまた、新行革大綱においても、できるだけそれを最小限度にしなくちゃならぬというふうなことも記載されておりますから、今後そういう趣旨を踏まえて整理統合あるいは廃止、そういう方面に努力をいたします。
  323. 山本幸雄

    山本国務大臣 いまのお話のような審議会を初め附属機関、ただいまのところ六十九ほどまだ残っておりますが、これも時代の要請でふえたものも中にはあります。しかし、いまお話しのように、臨調答申では、いわゆる必置規制というものについて厳しくひとつ見直しをしようということにもなっておりますから、いまの御趣旨に沿って、今後とも行管庁とも協力して各省庁にそういう要請をしていきたい、こう思います。
  324. 小杉隆

    ○小杉委員 どうも済みません。
  325. 金丸信

    金丸委員長 これにて小杉君の質疑は終了いたしました。  これにて各案に対する質疑は終了いたしました。  この際、去る九月二十九日、矢山有作君が質疑の際に提起されましたわが国における宇宙の開発及び利用の基本に関する決議に関する問題につきましては、その検討方を議長並びに議院運営委員長に申し入れを行いました。議院運営委員会においては目下検討中であると承っておりますが、できるだけ早く結論を得るように私からお願いすることといたします。     ─────────────
  326. 金丸信

    金丸委員長 この際、国家行政組織法の一部を改正する法律案に対し、正木明君外三名から、自由民主党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新自由クラブ四派共同提出による修正案並びに行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案に対し、三浦久君外一名から、日本共産党提出の修正案が、それぞれ提出されております。  両修正案について提出希から順次趣旨の説明を求めます。正木明君。     ─────────────  国家行政組織法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  327. 正木馨

    正木委員 ただいま議題となりました国家行政組織法の一部を改正する法律案に対する修正案について、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新自由クラブ並びに自由民主党を代表し、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  わが国の行政機関の組織は、昭和二十四年以来、府省庁の設置のみならず、その内部組織に至るまで法律で定める原則が確立されてきたのであります。こうした法律による行政組織の管理の仕組みが、国民主権を背景とした国会の審議権、行政に対する国会の関与を通じ、行政組織の膨張抑制の機能を果たしてきたところであります。  時代の流れとともに、行政需要の変化に即応した効率的な行政の実現に資するため行政組織管理の弾力化を図ることが必要な側面もありますが、局、部等の設置、改廃を政令にゆだねる等の国家行政組織法の一部を改正する法律案が、行政組織に対する国会の関与を制約し、その結果として行政組織の肥大化を招くようなことがあってはならないのであります。  このため、われわれは、行政組織管理の弾力化と国会の審議権、行政に対する国会の関与監督権との調整を図るとともに、臨時行政調査会の答申で強調されている行政組織の簡素効率化を目指し、国家行政組織法の一部を改正する法律案の修正案を提出した次第であります。  修正案の案文は、お手元に配付してありますので、その内容について御説明申し上げます。  第一に、政府は、今回政令で設置されることとなる組織その他これらに準ずる主要な組織につき、その新設、改正及び廃止状況を次の国会に報告しなければならないといたしております。  第二に、五年後に局、部などの組織について総合的に検討し、必要な措置を講ずるものとしております。  第三に、官房及び局の設置数の最高限度数百二十八についても五年後に見直しをする規定をあわせて明文化しております。  なお、これらに関連する所要の規定の整備を行うことといたしております。  以上が、修正案の提案理由及び内容の概要であります。  また、本修正案については、社会民主連合の賛同も得ております。  何とぞ、慎重審議の上、速やかに御賛同くださるようお願い申し上げます。(拍手)
  328. 金丸信

    金丸委員長 次に、三浦久君。     ─────────────  行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  329. 三浦久

    三浦(久)委員 日本共産党を代表して、行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案に対する修正案の趣旨を説明いたします。  言うまでもなく、機関委任事務は、地方自治に対する重大な制約であり、自治拡充の見地から原則的に廃止すべきであります。また、許認可等についても、国民の要求や社会情勢の変化、科学技術の発達等に伴って不要不急化したものを大幅に整理合理化すべきであります。  この点で法案は、約一万項目の許認可等のうちわずか三十九項目、約五百項目の機関委任事務のうちその一割弱、それも有名無実化したものを中心に整理しようとしているにすぎず、きわめて不徹底かつ不十分であります。しかしまた、わが党として賛成し得る内容も一定数含んでおります。  同時に法案は、許認可等に係る改正条文中、消費化活用製品安全法による特定製造設備の定期検査の廃止や消切法による危険物取扱者などの資格試験事務の民間委譲など、国民の健康と安全を脅かすおそれをはらんだ条文及び機関委任事務に係る改正条文中、駐留米軍と自衛隊の行為による特別損失補償に係る経山事務を新たに市町村長に押しつけようとする不当きわまる条文をも含んでおります。  わが党の修正案は、国民本位の民主的行政改革の見地から見て重大な問題のあるこれらの条文を削除して、国民の利益を守ろうとするものであります。  以上が修正案の内容の概要と提案理由であります。  委員各位の御賛同をお願いして、説明を終わります。(拍手)
  330. 金丸信

    金丸委員長 以上で両修正案の趣旨の説明は終わりました。     ─────────────
  331. 金丸信

    金丸委員長 これより討論に入ります。  各案及び国家行政組織法の一部を改正する法律案に対する修正案並びに行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案に対する修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。江藤隆美君。
  332. 江藤隆美

    ○江藤委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました国家行政組織法の一部を改正する法律案外五法案及び国家行政組織法改正案に対する修正案に対し、賛成の討論を行います。  申し上げるまでもなく、行政と財政の改革は現下の最大の政策課題であり、国、地方を通ずる行政改革の推進によって、当面する行財政の難局を打開することはもとより、行政の姿をこれからの時代にふさわしいものにつくりかえていくことは、わが国の将来への明るい展望を開くための国民的課題であります。  政府は、第二臨調の五次にわたる答申を受けて、これらを最大限に尊重する旨を決定し、第一次答申以来、行革関連特例法による財政支出の節減を図る一方、予算編成に当たっても、いわゆるゼロシーリングやマイナスシーリングという厳しい編成方針のもとに徹底した歳出の削減を行い、さらに、第三次答申以降では、行革大綱の決定、臨時行政改革推進審議会の設置、新行革大綱の決定を行っており、現在、その実施段階に入っているところであります。  こうした措置は、行政改革を強力に推進するという政府の強い姿勢を内外に明らかにしたものでありまして、行政改革に対する国民の意識を一段と深めたものと高く評価されております。  今日、目まぐるしく変わる経済社会情勢に対し、行政の制度や運営に立ちおくれが目立っており、行政改革の推進により変化に対応した行政を確立することが急務であります。  今回の六法案は、このような時代の要請にこたえ、さらに行政改革を推進するため、行政機関の組織編成の一層の弾力化、行政の総合調整機能の強化、地方支分部局の整理合理化、許認可事務と機関委任事務の簡素合理化等を図ろうとするものであります。これらの措置は、今後の行政改革を推進するための第一段階をなすもので、きわめて重要であり、まさに時宜に適した妥当なものと考え、賛意を表するものであります。  また、自由民主党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新自由クラブ共同提案で、社会民主連合の賛同も得ております国家行政組織法改正案に対する修正案は、行政組織管理の弾力化と国会の審議権、行政に対する国会の関与監督権との調整を図るとともに、臨調答申で強調されている行政組織の簡素効率化を図る立場から当然賛成でありまして、共産党提出の行政事務簡素合理化法案に対する修正案には反対の意向を表明するものであります。  なお、政府におかれましては、この旬日にわたる当委員会の熱心な論議を踏まえ、真に国民の期待する行政改革の実現に向けて最大限の努力を払われるよう強く要請して、私の討論を終わります。(拍手)
  333. 金丸信

    金丸委員長 草川昭三君。
  334. 草川昭三

    ○草川委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました国家行政組織法改正案の修正案及び修正部分を除く原案、国家行政組織法施行に伴う関係整理法案外四法案に対する賛成の討論を行うものであります。  われわれは、今日まで行政の簡素化、効率化を目指し、国民的立場行政改革を推進してきたところであり、今後もその基本姿勢は堅持していくものであります。  しかしながら、政府提案の行革関連六法案は、今後の行政改革の手がかりとするという政府の発言とはうらはらに、どのように今後の行政改革を進め、臨調答申を忠実に実行に移すかはあいまいであり、多くの疑問点が内包されていたのであります。  そこで、私どもは、本特別委員会において政府提出法案の問題点を具体的に指摘をするとともに、民社党・国民連合、新自由クラブ、社会民主連合と協力し、行革関連六法案について修正要求をまとめ、法案修正を含め行政改革の徹底を図るために努力してきたのであります。その結果、国家行政組織法改正案につきましては、自由民主党も含め修正案を提出する運びとなったのであります。  国家行政組織法改正案の修正案は、ただいま提案者から御説明がありましたように、行政組織管理の弾力化と国会の審議権、行政に対する国会の関与監督権との調整を図るとともに、行政の簡素効率化に資するものであり、高く評価できるのであります。  他の法律案につきましても、先ほど総理からの御答弁にあったように、行政改革への次の第一歩となるよう強く要望するものであります。  すなわち、総務庁の設置については、それが中央省庁統廃合の一里塚であることが確認され、地方支分部局についても五十九年度からわれわれの要求どおり整理合理化に着手することが示されたのであります。  さらに、許認可、機関委任事務の整理についても、本委員会の政府答弁によってその方向づけが明らかにされたのであります。  確かに、行革関連六法案は必ずしも十分な内容とは言えないのでありますが、われわれの努力により、今後の行政改革への展望を開くことができたものと言えるのであります。したがいまして、私は、政府提案の行革関連六法案とともに、国家行政組織法改正案の修正案に賛成の態度を表明するものであります。  なお、日本共産党提案の修正案につきましては、いささか考えを異にいたしますので、反対をいたします。  最後に、政府に対し、先ほど来の公明党・国民会議、民社党・国民連合、新自由クラブの質問に対する答弁を誠実に実行するよう強く要求し、討論を終わります。  以上です。(拍手)
  335. 金丸信

    金丸委員長 岡田正勝君。
  336. 岡田正勝

    岡田(正)委員 私は、民社党・国民連合を代表し、国家行政組織法の一部を改正する修正部分を除く法律案及び同法に対する四党共同提出の修正案に賛成すると同時に、総務庁設置法及びその他の法律案に対し一括して賛成するとともに、党提出の行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案に対する修正案に反対の討論を行うものであります。  私ども民社党は、今日の未曾有の財政危機を克服し、活力ある福祉社会の基盤を確立することは、次代を担う国民に対するわれわれの当然の責任であり、義務であると考え、行政改革の断行を叫び続けてまいりました。このような基本的な立場から、今回政府より提出された法律案に対しても、これに真剣に取り組んで京いったのであります。  その第一は、国家行政組織法改正についてであります。  官房、局等を法律事項から政令に委任することは、行政需要の変化に機動的に対応するために必要であるとしても、政府案には、政令委任に伴う省庁の独断専行を防止する国会のチェック機能がない、また、官房、局の総数の上限を設けたとはいえ、その数は肥大化した行政機構をそのまま追認したものにすぎないという基本的な問題がありました。そこで、この問題を解決するため、政府が官房、局等の改廃を行ったときは、その状況を次の国会に報告させる、政令委任の是非及び官房、局の総数の上限を縮小の方向で五年後に見直すという措置が必要であり、その趣旨を法修正という形で規定させることとしたことはきわめて妥当な措置であります。  第二は、総務庁の設置についてであります。  政府案には、人事、組織による総合調整機能の強化という臨調答申の趣旨が正しく生かされていない、役所同士の争いから統計局が二分割され、効率的な統計業務に支障を来すという内容の問題と同時に、今後の中央省庁の統廃合計画が示されていないという問題がありました。これらの点については、国会における政府答弁において、臨調各答申及び中道四党の意向を踏まえて検討していくという確約を得ることができたことは評価できます。  第三は、府県単位機関の整理、許認可事務、機関委任事務の整理についてであります。  これらの法案は、共通して内容がきわめて不十分であり、不徹底であります。したがって、今回の改正を契機として、これらの機関、事務を今後継続的に整理縮小していくことが不可欠であります。そこで、その努力を政府に求めることを附帯決議等の形で明らかにすることになったことは大きな前進であります。  以上、われわれの努力により、まことに微温的、不徹底であった政府案は、曲がりなりにも今後の抜本的行政改革の第一歩としての地歩を築くことができたと確信するものであります。政府は、これを契機として、中央省庁の抜本的再編成、現業的部門を除く地方出先機関の原則廃止、国家公務員の実質大幅削減などの抜本的行政改革を断行すべきであります。  最後に、当委員会の焦点の一つでありました「増税なき財政再建」ということについて付言したいと思います。  政府は、さきの「一九八〇年代経済社会の展望と指針」において昭和六十五年度赤字国債脱却の方針を示され、従来からの「増税なき財政再建」とともに中曽根内閣の二大公約とされました。  しかるに、政府がこの二大公約をいかに両立させるかについての具体的な手順と方策を、臨調答申の指摘にもかかわらず、今日に至るまでも何ら明らかにせず、さらに今後の租税負担率等の目標値の明示さえ拒んだことはきわめて遺憾であります。  かかる政府の無責任な姿勢は、将来に対する国民の不安感、不透明感をますますつのらせるばかりであり、今後の行政改革や財政再建を推進する上での国民の理解と合意を得ることは、とうていできないものと言わなければなりません。この点について政府の猛省を促すとともに、政府はその二大公約両立のための具体的手法と租税負担率等の目標値を早急に国民の前に明らかにすることを強く要望いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  337. 金丸信

  338. 中路雅弘

    中路委員 日本共産党を代表して、国家行政組織法改正案など政府提出の六法案及び自民党、公明党、民社党、新自由クラブ共同提出の修正案並びに共産党提出の修正案に対し、一括して討論を行います。  第一は、各省庁の内部部局等の設置規制を法律事項から政令事項に移管することとする国家行政組織関係二法案と、これに対する四党共同提出の修正案についてであります。  わが党は、これらに断固として反対であります。  政府提出の二法案は、審議を通じて一層明瞭になったように、軍事、大企業奉仕部門の拡大、国民生活密着部門の縮小などという臨調の行政機構改編構想を、国会に一切諮らず、政府が一方的に推進するための最重要のてこにすることをねらったものであり、同時に、有事体制づくりの一翼をなすものでもあります。  そもそも現行法の規定は、戦前、天皇の官制大権で総動員態勢づくりが進められた深刻な教訓のもとに確立された憲法の行政機関法定主義の原則と、これを具体化した国会の修正によって設けられたものであります。憲法原則と国会の意思をじゅうりんして、国会によるコントロールを骨抜きにしようとするこれら二法案は、戦後政治の総決算の名で戦後民主化の原点の一つを突き崩そうとするものにほかならず、中曽根内閣が進める国会空洞化の一環と言わなければなりません。  四党共同提出の修正案は、国会によるコントロールの形骸化を当然の前提としたもので、およそ修正の名に値しないものであります。  第二は、総務庁設置関係二法案であります。  これら二法案にもわが党は反対であります。  今回の総務庁設置案は、政府自身が認めたように、臨調の総合管理庁設置構想に沿って、行政管理庁に総理府人事局の機能を移管し、機構・定員管理と事務・事業に対する監察、公務員に対する労務・人事管理の諸機能を一体的かつ総合的に発揮させて政府全体の総合管理機能を強化するとともに、行革推進の中核機関である行管庁の再編強化を最大の眼目にしたものであります。わが党は、こうした国民犠牲の方向が明白となった臨調路線を推進するための拠点づくりに断じてくみすることができないのであります。  第三は、府県単位機関整理法案であります。  本法案にも反対であります。  かねてから、わが党は、国の地方出先機関について、国と地方自治体との二重行政の排除、共通管理部門の合理化などにより、国民サービスの維持向上を前提に、大胆に簡素合理化するよう主張してきたところでありますが、今回の政府案は、こうした国民本位の民主的行政改革とはほど遠いものであります。このことは、政府が、法案審議を通じて、行政機関の名称簡素化をてこに、大蔵省の財務部や行管庁の地方行政監察が行っている住民の苦情処理や行政相談、行政監視、サラ金業者規制などのサービス業務と定員の縮小を図る一方、違憲のスパイ・弾圧機関である地方公安調査局については、業務、定員とも縮小せず、看板のかけかえだけに終わらせようとする意図を公然と表明したことが如実に示すところであります。  第四は、行政事務簡素合理化及び整理法案についてであります。  不要不急化した行政事務を、国民負担軽減、地方自治拡充の見地から大胆に整理すべきことは言うまでもありません。  今回の法案は、国民本位の行政簡素化、効率化という点から見て、きわめて不十分かつ不徹底なものではありますが、盛り込まれた改正項目の多くは賛成し得るものであります。本法案に対しては、共産党提出の修正案及び同修正案に係る項目を除くその他の項目には賛成するものであります。  最後に、本委員会における法案審議のあり方についてであります。  周知のように、わが党は、今回提出された行革関係六法案の十分な質疑時間の保障を初め、関係委員会との連合審査や公聴会の開催など、徹底審議を尽くすよう繰り返し要求してきました。それにもかかわらず、本委員会がこうした審議を十分尽くさないまま、十月十二日のロッキード事件田中判決前までにしゃにむに衆議院通過を図るなどというやり方をとりました。わが党は、こうした法案審議のあり方に対し、重大な抗議の意を込めて遺憾の意を表明するものであります。  以上、各法案と修正案に対するわが党の態度とその理由を明らかにするとともに、臨調答申の実行と臨時行政改革推進審議会などの活動を中止し、行政改革の流れを真に国民本位の方向に転換することを重ねて要求して、討論を終わります。(拍手)
  339. 金丸信

    金丸委員長 小杉隆君。
  340. 小杉隆

    ○小杉委員 私は、新自由クラブを代表し、議題となっております行政改革関係法案について、一部修正の上、賛成する立場から、討論を行います。  国家行政組織法の一部を改正する法律案並びにその施行に伴う関係法律整理法律案は、行政の弾力化、機動性の確保の観点から、一応評価に値するものと考えます。行政が時代の変化に即応し常に自己の改革を図ることは、行政改革の基本であり、私どもが最も期待するところでもあります。  本改正案は、省庁の内部部局の組織編成につき、従来立法府が持っていた権限を行政府に移し、自己改革を可能にしたものであります。立法府の審議権を縮小してまでこの法案に賛成するゆえんは、今回の変化への対応という趣旨が十分に生かされることを期待してのことです。したがって、問題は政府の改革に対する今後の姿勢であります。  この法律の成立により、体制は一応整うことにはなりますが、今後実行が伴うことが絶対の条件であります。国民の期待するところは、単なる機構の名称変更や組みかえにあるのではなく、組織の再編成による効率化であり、その効率化による行政の減量であります。権限を委譲された行政が、この国民の意思を尊重し、本法律の趣旨に基づき、効率化、減量化を図り、真の行革の推進を求めるものであります。  ただし、もし五年を経過した後にも実効が見られない場合には、見直し規定に基づき、われわれは直ちに国会審議にゆだねる方法への復帰を考えざるを得ないことを表明しておきます。  また、本省の官房、局の上限規定を五年後に縮減の方向で見直すべきであります。さらに、官房、局だけでよしとするのではなく、これらに準ずるブロック機関などの主要機関についても縮小削減が必要であります。この点について、政府は今後最大限の努力をすべきであることをあわせて強調する次第です。  総務庁関係二法案につきましても、この事情は同様であります。省庁の枠組みを越える再編成が行われることから、今国会の焦点とされている法律案ではありますが、法律案だけをとって見れば、単なる機構いじりにすぎないとも言える内容であります。  臨調の答申に見られる基本的な考え方は、時代の変化に即応できる行政機構の整備であり、のニーズがすでに小さくなっている部分の思い切った削減がなされなければ、国民の理解はとうてい得られないでありましよう。  今回の行革法案は本格的な行政改革の第一歩であると政府は再三強調されておりますが、それであればなおさら、この第一歩が国民に確実に行革に向かって前進していると感じとれる内容のものでなければならないのであります。  つまり、一足す一がやはり二である、しかも大臣の一人も減らせないという内容では、行革推進への政府の決意が疑われることになり、今後に禍根を残すことになりかねないことを心配するものです。  総合調整機能、総合管理機能といった言葉だけがひとり歩きをしているとの感すらあり、この法律案によって生まれる総務庁、新総理府のあり方によっては、行政改革に反することにもなりかねません。今後の政府の取り組みを厳しい目で見守っていくことを申し上げておきます。  また、公安調査庁、行政管理庁、大蔵省の出先機関の看板のつけかえが行われることになりますが、名称変更だけの総理府設置法の一部改正案では、はなはだ不満であり、名称変更が今後の機能縮小に寄与するという保証はありません。本来手をつけるべきは、官僚の抵抗が強く、今回全く俎上に上らなかった建設、運輸、郵政などの各省出先機関の簡素合理化であります。しかし、それでも本法律案に賛成するのは、政府が法案の趣旨を忠実に生かし、また、今後の減量化に努力することを期待してのことであることを申し上げておきます。  行政事務簡素合理化法案は、最低限必要な内容とされる臨調答申に比べても不十分なものであります。もちろん、現在の行政機構を肥大化させている原因の一つである許認可の件数を減じることは、たとえそれが一件の整理であっても前進には違いありません。しかし、これも許認可事務一万件と言われる中で、業界・団体の了解が得られたものだけに手をつけたため、たった三十九件について整理するにすぎず、機関委任事務についても三百九十八法律中わずかに一割を整理するだけという実態を、政府は恥とすべきでありましょう。  わが党は、来るべき二十一世紀に向けて、真に簡素で効率的な政府をつくるため、根本的な行政改革の実現を全力で推進する努力を続けてまいりました。行革を実現するには国民に犠牲を求めなければならないことはやむを得ない事実であります。それならば、まず隗より始めよという精神が必要であります。行政府に血を流せと求めるのであれば、まず国会みずからが改革の第一歩を踏み出さなければなりません。  官民一体となって急激に押し寄せる高齢化社会、国際化社会の到来に対応する行政改革を推進しようというこのとき、われわれが先頭に立つ必要を改めて強調して、私の賛成の討論を終わります。(拍手)
  341. 金丸信

    金丸委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  342. 金丸信

    金丸委員長 これより採決に入ります。  国家行政組織法の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、本案に対する正木明君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  343. 金丸信

    金丸委員長 起立多数。よって、正木明君外三名提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  344. 金丸信

    金丸委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  次に、国家行政組織法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  345. 金丸信

    金丸委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、総務庁設置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  346. 金丸信

    金丸委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、総理府設置法の一部を改正する等の法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  347. 金丸信

    金丸委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、総務庁設置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  348. 金丸信

    金丸委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案について採決いたします。  まず、本案に対する三浦久君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  349. 金丸信

    金丸委員長 起立少数。よって、三浦久君外一名提出の修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  350. 金丸信

    金丸委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  351. 金丸信

    金丸委員長 ただいま議決いたしました各案に対し、吉田之久君外三名から、自由民主党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新自由クラブ四派共同提出による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。吉田之久君。
  352. 吉田之久

    吉田委員 ただいま議題となりました自由民主党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新自由クラブの各派共同提案に係る附帯決議案につきまして、提案者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     国家行政組織法の一部を改正する法律案国家行政組織法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案総務庁設置法案総理府設置法の一部を改正する等の法律案総務庁設置法等の一部を改正する法律案及び行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案に対する附帯決議(案)   行政改革の推進を求める国民世論と現下の極めて厳しい行財政事情とにかんがみ、行政機構の整理及び再編成を促進し、行政の簡素化、効率化をより一層推進するため、政府は、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。  一 国家行政組織法の一部を改正する法律及び同法の施行に伴う関係法律整理等に関する法律施行後における国家行政組織法等の逆用については、時代の変化に即応した機構の見直しを促進し、その合理的再編成及び整理簡素化を推進するものとし、厳正な組織管理に努めること。  一 総務庁の設置に当たつては、既定の方針を踏まえ、予算、人員等につき所要の合理化を図るとともに、円滑な総合調整機能が発揮できるよう努め、また、統計行政の円滑かつ効率的な遂行に支障をきたすことのないよう、十分配意すること。  一 審議会等の整理合理化については、今後更に検討を進め、その推進を図るよう努めること。  一 総務庁設置法等の一部を改正する法律施行に当たつては、事務・事業の見直しを行い、機構及び定員の合理化を進めるとともに、本法により措置する機関以外の府県単位機関についても、臨調答申の趣旨に沿って、その整理縮小を図るよう努めること。  一 行政事務簡素合理化及び整理に関する法律については、許認可等、機関委任事務について、更にその在り方を見直し、整理合理化を一層推進するよう努めること。    なお、都道府県知事への事務の委譲に当たつては、国と地方の役割分担と費用負担の在り方を見直す一環として、その事務等の実態に応じ、所要の財源措置を検討すること。 以上であります。  本附帯決議案の趣旨につぎましては、先般来の当委員会における質疑等を通じまして明らかなことと存じますので、詳細な説明は省略いたします。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  353. 金丸信

    金丸委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  吉田之久君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  354. 金丸信

    金丸委員長 起立多数。よって、各案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして政府から発言を求められておりますので、これを許します。齋藤国務大臣。
  355. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を踏まえつつ、制度の運用に努めてまいる所存でございます。(拍手)
  356. 金丸信

    金丸委員長 次に、丹羽国務大臣。
  357. 丹羽兵助

    ○丹羽国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえつつ、今後努力してまいる所存でございます。まことにありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  358. 金丸信

    金丸委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  359. 金丸信

    金丸委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  360. 金丸信

    金丸委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後七時五十五分散会