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1983-05-10 第98回国会 参議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年五月十日(火曜日)    午前十時三十分開会     ─────────────    委員異動  四月二十八日     辞任         補欠選任      岡田  広君     安井  謙君      沖  外夫君     世耕 政隆君      林  ゆう君     中西 一郎君      板垣  正君     石本  茂君      勝又 武一君     穐山  篤君  四月三十日     辞任         補欠選任      石本  茂君     板垣  正君      世耕 政隆君     堀江 正夫君      中西 一郎君     林  ゆう君      安井  謙君     岡田  広君  五月二日     辞任         補欠選任      穐山  篤君     勝又 武一君  五月七日     辞任         補欠選任      三治 重信君     藤井 恒男君  五月九日     辞任         補欠選任      竹内  潔君     木村 睦男君      藤井 恒男君     小西 博行君  五月十日     辞任         補欠選任      木村 睦男君     竹内  潔君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         坂野 重信君     理 事                 板垣  正君                 大島 友治君                 山崎  昇君     委 員                 岡田  広君                 源田  実君                 竹内  潔君                 林  寛子君                 林  ゆう君                 堀江 正夫君                 山内 一郎君                 勝又 武一君                 野田  哲君                 矢田部 理君                 小平 芳平君                 峯山 昭範君                 安武 洋子君                 小西 博行君                 秦   豊君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       丹羽 兵助君    政府委員        内閣官房内閣審        議室長内閣総        理大臣官房審議        室長       禿河 徹映君        内閣法制局長官  角田禮次郎君        人事院総裁    藤井 貞夫君        人事院事務総局        給与局長     斧 誠之助君        人事院事務総局        職員局長     叶野 七郎君        内閣総理大臣官        房管理室長    菊池 貞二君        総理府人事局長  藤井 良二君        総理府恩給局長  和田 善一君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    説明員        大蔵省主計局共        済課長      野尻 栄典君        農林水産大臣官        房秘書課長    甕   滋君        郵政省貯金局第        一業務課長    荒瀬 眞幸君        労働省労政局労        働法規課長    齋藤 邦彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○恩給法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い理事が欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事板垣正君を指名いたします。     ─────────────
  4. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 恩給法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨説明は前回すでに聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある万は順次御発言願います。
  5. 野田哲

    野田哲君 まず、総務長官にお伺いをいたしたいと思いますが、昨年の十二月二十九日だと思うんですが、昭和五十八年度の恩給予算大蔵大臣との折衝の際に、恩給のベースアップの取り扱い昭和五十八年度の人事院勧告取り扱いに言及した大蔵大臣総務長官との間の了解事項があるというふうに伺っておりますが、それはどういう内容になっているのか、まずその点の御説明を願いたいと思います。
  6. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) ただいまの野田先生お尋ねお答えをさせていただきますが、なるほど話をしたことがございます。そのときの話の内容先生お話を申し上げておきたいと思いますが、恩給予算閣僚折衝において、恩給ベア取り扱いに関し、御指摘のとおり、「私は五十八年度の人事院勧告が出された場合には、これを尊重して、その取扱いを検討する立場にある」と述べたのは、恩給を所管すると同時に、公務員の方々の給与担当大臣である私の立場を示したものでありまして、五十八年度の人事院勧告については、勧告が出された段階において勧告を尊重するという基本的立場に立って、国政全般との関連において誠意を持って検討をすることとなる、こういうことを私は話し合ったということを申し上げておきたいと思います。
  7. 野田哲

    野田哲君 そうすると、恩給取り扱いについては人事院勧告取り扱いとのバランスを考慮して検討する、こういうことであるとするならば、その前提となる人事院勧告取り扱い、これがそのまま恩給に連動することになるわけでありますが、ここで言われている「五十八年度の人事院勧告が出された場合には、これを尊重して、」云々と。人事院勧告というのは、これは制度としては尊重していくというのが当然政府のとるべき原則 でなければならないと思うわけです。  具体的には、後で人事院総裁に伺うことになりますが、昭和五十八年度の人事院勧告が恐らく八月ごろに行われると思うんですが、昨年の勧告については五十七年度で見送りという措置決定している。このことについて国会でもいろいろ議論があり、各党間でも長い協議が続いたわけでありますが、こういう五十七年度を見送ったという経過の上に立って、一体五十八年度をどうするのか、この人事院勧告について。これをまず明確にしておかなければ恩給取り扱いも決まらない、こういうことなんで、この人事院勧告取り扱いについて、勧告そのものはまだ出ておりませんが、総務長官としてはどういうふうに考えておられるわけですか。
  8. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) ただいま先生のおっしゃるようなことで恩給考えていかなくちゃなりませんが、それについては、五十八年度の人事院勧告担当大臣としてはどう受けとめ、どのようにしていくか、こういう考えを述べろ、こういうふうに受けとらしていただきましたので、それについて端的にひとつ私は先生お答えをさしていただきたいと思いますけれども、先ほどもちょっと述べましたように、五十八年度の人事院勧告については、勧告が出された段階において勧告を尊重する、どこまでも尊重していくという基本的立場に立って私は、もちろん国政全般のことも考えなくちゃなりませんが、給与担当大臣としては誠意を持ってその勧告を尊重していくんだというたてまえで努力をさしていただきたい、かように考えております。
  9. 野田哲

    野田哲君 公務員給与を所管する総務長官、そして恩給を所管する総務長官としての気持ちはいま述べられたわけですが、昨年、大蔵大臣大臣折衝の中で了解をされたという「五十八年度の人事院勧告が出された場合には、これを尊重して、」云々、こういうことで総務長官立場が述べられているわけです。これは、大蔵大臣総務長官の述べたことを了解した、こういうふうに受けとめていいわけですか。
  10. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 恩給ベアと申しますか恩給法の改正、恩給ベアについては、いま先生からも御指摘があり、私からも申し上げましたように、大蔵大臣もさように了承しておると私は考えております。
  11. 野田哲

    野田哲君 恩給取り扱いについて大蔵大臣了解をしたということは、つまり総務長官が述べられた立場というのは、「五十八年度の人事院勧告が出された場合には、これを尊重して、その取扱いを検討する立場にあると同時に、恩給を所管しており、その際には、恩給取扱いについても人事院勧告取扱いとのバランスを考慮しつつ、誠意をもって検討する。」と、こうなっているわけです。その恩給取り扱い大蔵大臣了解したということは、その前提となる公務員給与についての人事院勧告の扱いについてもこれは了解した、こう受けとめていいわけですか。
  12. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 先生からいま具体的に物の順序として当然なお尋ねであり、お考えくださることでございましょうが、私がそのときに話したのは恩給関係をば話したことでございますけれども、いま先生のおっしゃいましたように、人事院勧告恩給とのバランスということを考えてまいりまして、恩給については、私から申し上げておりまするように、人事院勧告が出たときにひとつ考えましょう、バランスをとっていきましょう、こう言っておるんですから、もちろん人事院勧告が出たときには一緒になって考えてくれると判断していい、たてまえとして当然いま先生のおっしゃったような考えで了承しておられると私は考えております。
  13. 野田哲

    野田哲君 いろいろお伺いして、また最後に総務長官見解伺いたいと思いますが、まず恩給前提となる昭和五十七年度人事院勧告、いまも総務長官みずからが大蔵大臣との話を大臣間で折衝されたように、恩給前提は、公務員給与がどう扱われるかということが大前提になっているわけですが、この公務員給与について、昭和五十七年度の人事院勧告見送りという措置をとられたわけですが、これが完全に実施された場合と、それから見送り措置をとられたことと比較をして、公務員年間平均所得はどのぐらいの差が生じているわけですか。これは人事院給与局長伺いたいと思います。
  14. 斧誠之助

    政府委員斧誠之助君) 勧告が昨年四月から完全実施されました場合と一年間まるまる見送りになりました場合の差でございますが、これは職務段階によってそれぞれ異なりますが、まず例示的に申し上げますと、妻のある係員クラスで約十三万円、それから妻と子二人の係長クラスで約二十万円、それから妻と子二人の課長補佐クラスで約二十三万円ということでして、全体の一人頭ということになりますと約十八万円程度になると考えております。
  15. 野田哲

    野田哲君 退職金を所管している総理府人事局長伺いたいと思うんですが、昭和五十七年度で人事院勧告見送りという措置をとられた。そこで、いわゆる一定のリタイアする年齢に達した公務員昭和五十七年度で勧告凍結をされたままで退職をする、こういうことになったわけですが、その場合、いろいろ個人差はあると思うんですが、平均的な一つのモデルのケースとして、退職金については、これはやめる時期によって差があると思うんですが、大体これ、完全実施された場合と見送りによって退職した場合と、退職手当についてどのぐらいの差が出ているわけですか。
  16. 藤井良二

    政府委員藤井良二君) いろいろ前提条件があると思いますけれども、一応仮定の問題として、勤続三十五年行(一)三等級十五号の勧奨退職者退職手当について見てみますと、次のようになります。  すなわち、昭和五十七年十二月三十一日以前に退職した場合には約二千九十四万円でございまして、人事院勧告実施されますと二千百八十六万円となります。その差額は約九十二万円でございます。それから昭和五十八年一月一日以降に退職した場合には二千二十二万円でございますが、人勧実施されたとすると二千百十一万円となりまして、差額は約八十九万円でございます。
  17. 野田哲

    野田哲君 大蔵省共済課長は見えていますか。——年金について伺いたいわけですが、これもやはりいろいろ個人差があると思うんですが、昭和五十七年度に公務員給与見送りになった形の中で退職した人、これ完全実施された場合と比較をして、いま人事院給与局長総理府人事局長お答えになったケースで、年金については年額どのぐらい差が出るのか。大体いま男の場合、余命年数というか寿命が七十五歳というふうに言われているんですが、そうすると退職した後約二十年間ですが、年間、それから死亡に至るまで、七十五歳までとして、大体どのぐらい損害を受けることになるんですか。
  18. 野尻栄典

    説明員野尻栄典君) お答え申し上げます。  五十七年度中に退職いたしました公務員の、仮に勤続三十年の方で本俸が四等級十三号程度、二十五万円程度の方として計算いたしますと、現行年金額では約百七十五万四千七百円でございますが、人事院勧告実施されたといたしますと、その年金額は百七十九万五千七百円、差額年額にして四万一千円程度になろうかと思います。二十年の累積ということになりますと八十万強になるわけでございます。また、三十五年勤続本俸が三十万円程度の方といたしますと、年金額差額年額として約九万六千円になろうかというふうに計算されます。
  19. 野田哲

    野田哲君 総理府の方に伺いたいと思うんですが、いまそれぞれ所管別に、勤務している場合に、実施された場合と今回のように見送りになった場合とで比較をして、年間係長で二十万、課長補佐で二十三万、平均十八万ぐらいの損害を受けていると。それから退職手当の場合も九十万前後の損害が出ていると。年金についても勤続三十年の場合で生涯八十万ですか、年間で四万円、それで三十五年で三十万になるとちょっとまたその大方倍ですね。こういう被害を現に受けているということが説明をされたわけですが、こういうふ うに政府国民所得に直接かかわる政策決定する場合に、いろいろケースケースによって審議会あるいは第三者機関からのいろんな手続によって決定される例があるわけですね。  たとえば、三公社四現業の場合には公労委の調停とか仲裁、こういう手続がある、それから農民の生産者米価の場合には米価審議会というのがある、あるいはお医者さんの所得については診療報酬を審議する制度があるとか、それぞれ審議会とかいろんな第三者機関があって、そこで仲裁とか答申とか勧告とか、こういう手続によってそれを政府実施しているわけですが、いろいろそういうケースがある中で、こういうふうに年間国民——公務員といえども国民なんです、国民年間直接その年だけで二十万前後の損害を及ぼす。さらに退職手当やそれから年金にも大きな影響を及ぼす。こういう国民に大きな影響を及ぼす政策について、この人事院勧告を見送ったという措置以外に、いろいろ何々審議会とかいろんな第三者機関がある、そこから出された答申勧告裁定等政府がこういう形で見送ってしまう、こういう例がほかにありますか。これは総理府の方は調べておられますか。
  20. 藤井良二

    政府委員藤井良二君) 公務員給与に関する人事院勧告のような制度というのはほかに例がないんではないかというふうに考えております。したがいまして、政府といたしましては、従来から人事院勧告を尊重してできるだけ努力して実施してきた次第でございます。五十七年度の人勧取り扱いに際しましては、政府としては給与関係閣僚会議を三回にわたって開催し、あらゆる角度から検討したものであり、総理府としては、政府給与担当部局といたしまして、職員団体との会見等を踏まえまして良好な労使関係維持等について意見をいろいろと申し述べたところでございます。しかしながら、五十七年度におきましては六兆円を超える税収不足が見込まれるなど未曾有の危機的な財政事情にございまして、また行財政改革を担う公務員が率先してこれに協力する姿勢を示す必要があること等を勘案いたしまして、きわめて異例の措置として給与見送り決定したものでございまして、この点御了承いただきたいと思います。
  21. 野田哲

    野田哲君 つまり、私が聞きたい、確認したいのは、公務員給与以外には国民所得に直接かかわる問題について審議会とかいろいろな仲裁機関第三者機関から勧告答申があった場合に値切った例はない、値切ったのは公務員だけなんだ、こういうことを明らかにしておきたいということなんですね。  そこで大蔵省に、これは共済課長どうなんですかね、大蔵省の方に通告をしておいたんですが、どなたがほかに見えておりますか。よろしいですか。  昭和五十七年度の人事院勧告見送りという措置がとられた。そこで、恩給については、これはその横並び抑制措置が五十八年度でとられるということになるわけですか。それ以外に、たとえば公社公団等職員の賃金も凍結をされている、あるいは三公社四現業夏期手当や年末手当、年度末手当についても、これも公務員を見送ったんだということで、その横並びということで削減、旧ベースによる措置がとられている。公務員給与見送りという措置に連動した形で、昭和五十八年度で広範囲抑制措置公務員給与見送りになったということを口実にしていろいろとられているわけですが、これはどの範囲に及んでいるわけですか。この公務員給与見送りということを根拠にしてとられた他の見送りあるいは抑制措置、それがどの範囲に及んでいるのか、そしてその総金額はほぼどのぐらいになっているのか、この説明をいただきたいと思う。
  22. 野尻栄典

    説明員野尻栄典君) 先生お尋ね内容につきまして的確なお答えができるかどうかちょっと自信ございませんけれども、五十七年度の人事院勧告を見送ったことによりまして、一般会計人件費全体として影響した額は約三千二百億円でございます。これは直接的な人件費のいわば影響額でございますけれども、これに関連いたしまして、たとえば恩給等の改定を見送ったというようなことで考えられます、試算されます金額が約五百六十億円、そのほか、いまお話ございましたような特殊法人給与抑制等につきまして、これにつきましては直接一般会計の歳出ではございませんために、直接的な数字をいま持ち合わせておりませんが、一般会計として影響いたしましたのはそういった額だろうと考えております。
  23. 野田哲

    野田哲君 これは、いまは直接の公務員給与三千二百億と恩給五百六十億だけを述べられたわけですが、そういう説明では私はちょっと納得できないんで、私は、公務員給与の問題について人事院勧告見送り措置を一体どうするかということで、国会の中で各党書記長幹事長の合意に基づく実務者会議を担当していたわけですが、後藤田官房長官がどこかでしゃべっておられたわけですが、公務員給与を仮に五十七年度で三月の一カ月分だけでも実施をすれば、それは公務員給与は二百億で五十七年度済むかもわからぬけれども、五十八年度でそのことによって一兆円の金がかかるんだ、こういうことを後藤田官房長官がしゃべっておられた。公務員給与を仮に五十七年度三月だけ実施しても、五十八年度ではそれは他の政策に及んで一兆円の金がかかるんだ、だからできないんだ、こういうふうに言っておられた。この一兆円というのは一体どういう内訳になっているのかということを私は承りたいわけですけれども、これはあなたじゃわからぬわけですね。——じゃ、いいですわ、もう。大蔵省はもういいですから……。  別の問題で伺いたいと思うんですが、国家公務員法の二十八条の二項にあるところの「百分の五」という問題について伺いたいわけなんです。  昭和五十七年九月二十四日の閣議決定の中で、今回の勧告は四・五八で五%以下であるから、これは義務づけられたものではないんだ、こういうことが閣議決定内容に盛り込まれているし、それから公務員の組合がILOへこの問題を提訴したことに対して、日本政府がこれに対する政府見解ILOに出しています。この中でも百分の五の問題に触れているわけですが、つまり政府は、五十七年度の勧告を見送った理由一つとして、官民較差が百分の五以下であって、国家公務員法の二十八条二項によって義務づけられた較差ではない、このことを挙げているわけです。私は、この政府の、ILOという国際機関にも述べた、あるいは閣議決定で述べた百分の五の理解の仕方というのはちょっと問題があるんではないか、こういうふうに思うんです。  それは、この国家公務員法の二十八条二項に書いているところの百分の五以下の較差のときにはどうするかというのは、これは較差が百分の五以下であっても勧告をするか、あるいは百分の五以下だから見送るかというその判断は、国家公務員法二十八条を素直に読めば、それは人事院総裁判断の問題であって、勧告されたものが百分の五以上であろうと百分の五以下であろうと、これは政府は尊重しなければならない立場にある、私はこういうふうに思うわけであります。  政府が、出された勧告が百分の五以下であれば自由な解釈を下して、義務づけられたものではないから見送ってもいいんだ、こういう態度は国家公務員法の二十八条二項を曲解している一方的な曲げた解釈じゃないか。まして、これを国連の機関であるILOにまで政府がそういう理由を付して報告書を出している。これは、私はとんでもない理由を並べているんじゃないか、こういうふうに思うんですが、まずこの点について人事院総裁総務長官、それぞれからお伺いをいたしたいと思うんです。
  24. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 国家公務員法第二十八条というのは、一般的に情勢適応原則ということをうたっておる大変重要な規定でございます。この中で、特に勤務条件について一番主体をなします給与について具体的な方針というものを明示したわけでありまして、ただいま先生がお述べになりましたように、五%ということを限界とし て、それは法律上もう一つのめどとして放置できない数字であるということから、法律上も人事院に対して勧告をする義務というものを明確に規定をいたしたものであると思っております。したがいまして、この規定運用につきましては、まさしくいまお述べになりましたように人事院が、私がいろんな情勢を踏まえて最終的には決定をいたす問題でございます。  具体的に申せば、すでに最近においても経済成長が非常に高度成長の域を脱してだんだん鎮静に向かったというような情勢もございまして、つい最近でも三回にわたって五%以下についてすでに勧告を出しておって、しかもこれはその勧告どおり実施をされてきておるという実績がございます。なぜ五%以下についても人事院としては判断の上でこの勧告をするかということについては、いろいろ従来機会のあるごとに詳しく申し述べたところでございまして、いまここで繰り返すことは差し控えさせていただきますが、いずれにしても、この点は義務であると義務でないとを問わず、勧告をするかしないかは人事院判断でございまして、それをやった限りは、五%以上であっても五%以下であってもその重みには何らの変わりがないというふうに私は理解をし、また実際の運用に当たってきておるつもりでございます。
  25. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) ただいま人事院総裁から人事院立場、その勧告についての御趣旨考えをお述べくださいましたが、政府としても人事院考えと同じ考えを持っておるということを先に申し上げておきたいと思っております。また、尊重すべきものだと、こう考えております。それは規定にもありまするように、何と申しまするか、百分の五以上増減する必要が生じたと認められたときは人事院勧告義務は課せられております。百分の五未満の場合に勧告するかどうかについては、いまお話ありましたように、人事院判断に任せられておるものと政府理解しておるのでありまして、政府としては、勧告の行われた以上百分の五上下を問わずそれを尊重していくことには変わりはありませんし、また尊重していくべきだと、こういうように考えております。  なおまた、ILOに対して百分の五云々ということを言ったんじゃないかというお話でございますが、私の聞き及んでおるところによりますと、百分の五未満であったから云々というところに力を入れてILOへ御説明したのではなくして、今回政府がとりました措置について、いろいろとILO政府がとりました凍結ということの措置について事情をお話に行ったのでございまして、いま申し上げましたように、百分の五であるからいいというようなそういうつもりで私どもは行っておるのではないと判断しております。  幸いにいたしまして物価の方も安定しておりまするし、百分の五以下でもあるし、人事院勧告が百分の五以下でもありましたし、特に国が非常に財政上いままでにない苦しいときでございますから、今回に限って国全体としてごしんぼうを願わなくちゃならないと、まことに残念であるけれども今回に限ってこういうような措置をとらしていただいた。今後においてはこのようなことを繰り返しのないようにというつもりであるということを御調明申し上げたのでございまして、何度も言いますように、百分の五以下であるというようなことに重きを置いて御説明をしたということでは決してないと私は判断しておりますから、私の申し上げたことと違うと思いますので、御了承をちょうだいいたしたいと思っております。  特に、今回に限ってはこういうような苦しい財政事情であると、やむにやまれぬこの措置をとらしていただいた。しかも先生からこうして働いていただく方々の気持ちをおもんぱかっていただき、心配していただいて、この措置をとったために、私は数字のことは大蔵当局でもお話にならなかったのでわかりませんが、それはなるほど直接公務員給与が上がらなかったこと、恩給のこと、いろいろのことについて相当なそうした方々に間接的な何と申しますか御負担、御迷惑をかけておると、給与担当の大臣として本当につらいな、かわいそうだなと、気の毒だなと、しかしこういう事情のときだからやむを得ずひとつごしんぼう願いたいという気持ちを持っておりますことをつけ加えて申し上げておきたいと、こう思います。
  26. 野田哲

    野田哲君 だから、百分の五の問題につきましては、これは人事院総裁人事院判断することだとおっしゃったし、総務長官人事院総裁と同じ見解だということなんで、ILO報告書の中にはその点を挙げている。これは九月二十四日の閣議決定理由をずっとILO報告書に述べているわけで、その閣議決定の中に一つの項目として百分の五未満であったということを理由に挙げているのですが、これは理由に挙げることではないでしょうということを私は言いたいわけなんです。それは人事院判断することであって、政府としては、その出された勧告が百分の五以上だから義務づけられているとか、百分の五以下だからこれは任意に判断すればいいんだ、そういう性格のものではないでしょうということを私は指摘をしておきたいと思うんです。総務長官人事院総裁と同じ見解だと言われるわけですから、これ以上のことは私は述べません。  もう一つ、労働省は見えておりますか。——労働省にやはり政府ILOに対する見解を述べている問題について見解を伺っておきたいと思うんですが、このILOに対する勧告見送りしたことの説明の中で、人事院勧告見送り前提とした補正予算が十二月二十五日に成立をしたということで、これで国会了解をしたかのような、これで公務員給与見送りは決まったのだというふうな報告がされているわけですが、これは事実を大変偽っている。国会での経過を、私は労働省がこういう形で捏造したようなことで報告書を出してもらっては困ると思うんです。  なぜ私がそういうことを言うかといいますと、昨年の臨時国会では、補正予算の審議に先立って各党の国対委員長会談が開かれ、あるいは書記長幹事長会談が開かれた。そして、人事院の歓告の問題については国会にも勧告をされているということで、これにどう対応するかということを協議したわけです。そして、五十八年度の人事院勧告についてはこれを尊重し実施する、五十七年度の人事院勧告取り扱いについては各党実務者会議で引き続き協議をする、こういう各党の合意がなされたことで一応補正予算はそのまま審議が続けられ、決定をされたわけで、人事院勧告取り扱いについては補正予算が決定された後でずっとこの協議が続けられていたわけです。私は、昨年の臨時国会以来その実務者会議、社会党を代表した一員としてずっと各党の協議の実務に参画をしているわけなのです。  そういう経過があるにもかかわらず、ILOに対してこういう報告をされるということであれば、これは国会での審議経過、取り扱いの経過と大きく事実に反しているんです。こういうことであれば、私どもが実務者会議で何回も回を重ねてやってきたことは、これは補正予算の審議を進めるための一つの方便に使われたという印象を持つわけなんです、この報告を読んでいくと。政府の方が、公務員給与がこういう形で盛られている予算が決まったから、これで政府の意思、国会の意思は決まったんだと、こういう態度をとられるのであれば、これからは当初予算も補正予算も、人事院勧告の問題をどうするかということを先に決めた後でなければ私どもは審議に応ずることはできない、こういうふうに言わざるを得ないわけなのです。この報告の第六項ですね、「人事院勧告実施見送りをめぐる経緯」の六項、これは間違いじゃないですか、事実と。どうですか。
  27. 齋藤邦彦

    説明員(齋藤邦彦君) お答えをいたします。  今回の人事院勧告実施見送りに関しまして、ILOに組合側から申し立てられまして、したがいまして政府といたしましては早急に検討いたしまして政府見解ILOに出さなければならないと、こういうことでございました。ただ、事実の経緯から若干御調明をしたいと思いますけれども、われわれといたしましては早急に出さなけれ ばいけないのではないかということも考えましたが、ただ、臨時国会が開かれてそこで当然いろいろ御議論になるであろうということを考えておりまして、臨時国会の状況を見た上で出した方がいいだろうと、こういうことでございまして、臨時国会が終了した後にこの政府見解を作成したわけでございます。  まず、われわれといたしまして、この見解をつくるに当たって一番基本的に考えましたことは、今回の人勧実施見送りということをせざるを得なかった政府の態度を正確にILOに対して説明できるような文章をつくらなければならないであろうということをまず基本に置いて作成したわけでございます。ここのくだりのところは事実の経緯をそれぞれ順を追って書いたところでございまして、その一番最後のところに、補正予算の審議のために開催された臨時国会において人事院勧告についてのいろいろな議論が行われたということをまず書きまして、それから次に、人事院勧告実施見送り前提とした補正予算が成立したということを述べたわけでございます。これは、政府見解として出します以上、やはり明確に決定がなされたという事実を正確にILOに報告しなければならないと、そういう意味でこういうような文章を書いたということでございます。  もちろん、国会各党間いろいろ御議論があるということは十分承知をしていたわけでございます。しかし、まだ国会の方でその御議論が続いておりますので、そういう意味で何らかの形での決定がなされていない、そういうような事実がないということでございましたので、まだ政府見解を作成するときにはそのようなことを書く必要がないであろうということで特に触れなかったということでございます。特にILOに対して、何といいますか虚偽の報告をする、あるいは意図的な何か作為があるというようなものではないというふうに思っております。
  28. 野田哲

    野田哲君 六項はこうなっていますよ。「人事院勧告実施見送り前提とした同補正予算は、十二月二十五日に成立した。」と、こう言い切っておられるわけですね。各党間の合意というのは、これはこの五十七年度の人事院勧告取り扱いについては実務者会議で引き続き協議をしていこう、こういうことが合意をされて、現に実務者会議も昨年からことしにかけて何回も開かれたわけでしょう。そのことがなぜここに書けないんですか。これを読めば、もう人勧実施見送り前提とした補正予算が十二月二十五日に成立をしたということで、これはもうこれですべてのピリオドが打たれたんだと、こうなって、実務者会議各党書記長幹事長は合意をして、私どもが実務者会議でやっていたことは、全くこれはあなた方のこの文章によるとピエロじゃないですか。こんな国会の経過を無視し侮辱したような報告書がありますか。これはどうですか。
  29. 齋藤邦彦

    説明員(齋藤邦彦君) いま御説明したとおりでございますけれども、私どもとしましては、先ほど申し上げましたように、各党間でいろいろな公的なお話し合いが行われているということは十分承知をしておるつもりでございます。ただ、ILOに対しまして政府見解として出しますには、それが具体的な形としてまだ実っていないという段階でございましたので、その点については何も触れなかったというのが経緯でございます。
  30. 野田哲

    野田哲君 その前にこう書いてあるんですよ。「十一月二十六日から十二月二十五日まで補正予算等の審議のため開催された臨時国会において、その取扱いについて論議が行われたが、人事院勧告実施見送り前提とした同補正予算は、十二月二十五日に成立した。」と、こうなって、国会でも論議が行われていたが結論はこうだったんだと、こうなっているじゃないですか。  十二月二十五日にはこの取り扱いについての結論は出ていなかったんですよ、実務者会議でも各党の協議でも。これをあたかももうこれで結論が出たんだと、こういうことだったら、十二月二十五日以降ずっと続いていた各党代表者会議実務者会議というのは、これは政府の方から見れば全く茶番劇と、こういう扱いになっているんじゃないんですか、この報告書では。国会各党間で取り扱っていたことを、こういう扱いでその取り扱いについては論議が行われたが、十二月二十五日に補正予算が成立したのでこれで終わりなんだ、こういう言い方は、これは全く国会の議論を侮辱した、無視した報告書じゃないですか。あなたとこれ以上やってもらちが明きませんからこれはペンディングにして、私は責任のある立場の人とまた別の機会に議論をいたしたいと思うんです。  そこで、五十八年度の人事院勧告の問題について伺っておきたいと思うんです。  新聞で数日前いろいろ報道がされておりますが、民間給与実態調査がやられているというふうに承知をしているんですが、どういう方針でいま民調をやっておられるわけですか。
  31. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) これはおおむね例年どおりのペースまた順序、方法でもって行っておるわけでございます。  先生御承知のように、まずこの作業の第一段階といたしましては、国家公務員自体の実態調査をやるということ。これと民間との対比をやるわけですから、まず国家公務員の実態を正確に把握しなきゃならぬということで、これは例年どおり一月十五日現在で調査をすでに完了いたしております。それはそれとして、第二段階で今度は四月分として支払われる民間の給与の実態を実際に把握するための調査を行うということでございますが、これも大体例年どおりの方式と、またその調査の期間も、大体新聞にも載っておりましたように、五月六日から一斉に出まして約四十日間、来月の十五、六日までということでもって精細に調査をいたしまして、その結果を分析、検討して、較差が出ればその較差を埋めるために勧告を出すという作業日程に相なっておりまして、大体いまのところ順調に推移をいたしておるということでございまして、例年と変わったことはございません。
  32. 野田哲

    野田哲君 そういたしますと、五十七年の勧告は、民間との較差が四・五八%であるということで、これを是正するための勧告が行われたわけですが、これが見送りになっているわけですね。ですから五十七年度での四・五八%の較差はずっと続いている。そういう状態の中で八三年春闘、これが大体ほぼ大手については片がついたんじゃないかと思うわけですね。大体定期昇給含めて四%ないし五%、こういうことで落ちつきつつあるように思うわけですが、そういたしますと、昨年そのまま改善措置がなされないままに四・五八%の較差が続いていることに加えてことしの賃上げの較差がこれに加わってくる、したがってそういう形の勧告というものがことしは出されるんだと。例年どおりのやり方で民間給与実態調査をやり、これからその結果によって勧告がされるということになれば、そういう形で昨年の四・五八%にことしの分を加えたもので較差が出てくる。  新聞ではこの間うちから六・五%ぐらいになるんじゃないかとか七%ぐらいになるんじゃないかという報道がされておりますが、大体四・五八%、これにことしの賃上げの中の定期昇給分を除いたものがこれに加わると。そうすると、私どもの判断としても大体七%前後になるのかなと思うんですが、率はこれからまだ民調の結果を見なければ正確なことは言いにくいと思うんですが、方式としては大体そんな形になるんだと、こういうふうに受けとめていいわけですか。
  33. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 予算審議の最終段階において当参議院においても予算委員長さんが御報告をなさっておりますように、この五十七年度人勧取り扱いについてはさらに引き続いて努力をしていくのだということになっておりまして、そういう意味ではなおペンディングであるというかっこうであると思います。ただ、すでに五十七年度は過ぎてしまったというような点から見ますと、いかにわれわれといえども大変な期待を持ってこの動向をさらに注視をするということはなかなかむずかしい、困難な状況になっておることは事実だろうと思います。  そこで、お話の核心に触れて申し上げますと、先刻申した一月十五日の国家公務員給与実態調査には去年分の四・五八分は入っておりません。おりませんものと、それとこの四月分の民間の給与比較するわけでございます。したがいまして、民間の場合は五十七年度分と本年度分と合わさったものが実態となってすでに現存しておるということになります。それに対応するものが五十七年度が見送られたという国家公務員給与ということになるわけですから、対比をいたしました場合に、その差額は理論的に申しましても去年の分がその中に入ってくる、較差の分に入ってくるということは当然のことであるまいかというふうに考えております。  ただ、それがどのような形で結果的にはどういう率でもって入ってくるかということは、これはいまお話にもございましたように、いま調べておるわけですから、その集計の結果を待たなければいけませんので、何%とかなんとかいうことは私の口からはいまの段階では申せません。申せませんが、見通しとしては、去年分の較差というものはことしの較差に入ってくるということは当然のことであろうというふうに思っております。
  34. 野田哲

    野田哲君 そこで、もう一つ。仮にそういう形で五十八年度の勧告が行われたと。政府がさてそれをどう実施をするのかという問題になるわけですが、その場合も、先ほど報告がありました五十七年度の見送りによって大体平均十八万円ぐらいの金額が被害を受けたわけです、見送りによって、五十七年度だけで。そこで、ことしの勧告が昨年の四・五八%とことしの較差を合わせたものが勧告として出されてそれが完全実施されたとしても、五十七年度見送りによって受けた損害平均一人十八万円、これは埋まらないわけですね。埋まらない。これを解消する措置というのは考えられないんですか。
  35. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) この点は専門家ですから釈迦に税法で詳しくは申し上げる必要もないかと思いますが、公務員給与その他の勤務条件というのは、これは公務員自体にも大変重要なことでございますと同時に、国民に対しても大変な重要な問題であるというようなこと、特に給与等については国民の税金でもって賄われるというような点がございますために、公務員給与についてはいわゆる法律をもってこれを確定していくと。法定主義というものを堅持いたしております。これは私は制度のたてまえとして当然あるべき姿であろうというふうに思っております。  したがいまして、勧告というのは内閣のみならず国会に対しても行っておるものでございますので、最終的に国会判断が確定をするということに相なりますれば、その時点においてそういう国会意思というものが決まったんだというふうに言わざるを得ないというふうに思います。したがって、現実の問題として五十七年は一年分見送られることになれば、その分だけ実損として残るということはございますけれども、私自身はそれは大変遺憾であるから完全実施をしてくださいということを繰り返し繰り返し申し上げておりますけれども、しかしどうしても結論的に国会意思として、また国家意思としてそういうことが確定をするということになりました以上は、やはり遺憾ではございますけれども、その国家意思に従わざるを得ないと、それは私は制度のたてまえとしてやむを得ないところであろうかと思います。
  36. 野田哲

    野田哲君 その国家意思ですが、総務長官伺いたいと思うんですが、同じ国家の機関で働いている職員の場合でも、三公社四現業仲裁裁定によって夏期手当や年末手当は旧ベースというような措置がとられているわけですけれども、一応毎月の月給、いわゆる月給については仲裁裁定どおり実施されたわけです。同じ政府機関で働いている職員の中でもいわゆる公務員の方だけは見送りと、こういうことになったわけで、だから、一つの例としては、大蔵省の中で、税関や税務署に勤務している人は見送りになったと、造幣局や印刷局で働いている人は、これは四現業ということで仲裁裁定が実施をされたと。農水省の中でも、林野庁で働いている人は実施をされたわけです。大変な赤字でもこれはやはり実施されたわけです。林野庁以外のところにいる食糧庁とか水産庁とかいうところは見送りになっているわけです。  同じ政府機関で働いている職員の場合でもそういう結果になっているわけですが、このことについて衆議院の議論を見ると、これは藤井人事局長が、そういうことについては制度が違うんだからやむを得ないんだと、こういうふうなことを言っておられるわけですが、制度は確かに公務員法と公労法、片や人事院、片や公労委と、こういう制度の違いはある。しかし、総理府人事局長総務長官制度が違うんだからやむを得ないんだという立場では、これは私は困るんじゃないかと思うんですよ、やはり同じ政府機関職員なんですから。制度上は片一方は公労委で扱われ、片一方は人事院で扱われる。問題は、それを制度の違いはあっても尊重するという立場は、これは三公四現業の場合も、それから一般の職員の場合も同じ立場に立ってもらわなきゃならないんじゃないかと、こう思うんですが、いかがですか。
  37. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) ただいまの野田先生お尋ねであり御意見でございますが、まあ私もこれは困ったことだと思うんです、実際において。同じように国家公務員としては仕事はしておっていただくと、現業の人と非現業の者とは、給与の算定方式が片一方は人事院勧告制度、片一方では仲裁裁定制度という労働基本権の制約の代償措置としてあるという共通の点は、まさにこの制度は大事でございますけれども、いま先生お話があったように、算定の方式、制度が違うからといって、現業の人は上げてもらえる、非現業の者は上げてもらえないということで、それでやむを得ぬと言っておるということは私は能のないことだと、こう考えておるんです。  けれども、いまのところはそういう制度になっておりまするし、特に、私自身の考えでございますけれども、人事院勧告制度というこの制度は、非常にこれはいい制度だ。これを崩しちゃならぬ。これこそ御無理を願ってでも働いていただく方々のいい労働慣行になっておるんだから、これを守っていくようにするには、やはり制度の上において開きがあるならば、人事院勧告制度の方を開きのないようにひとつできるだけの配慮をしていくということがいまの段階ではなすべきことではないか、こう思っております。  そこで、将来においては、いま申し上げたように、給与財源が片一方は直接に税金で、片一方は事業によって上げるところの収益で考えるんだというようなことでは、これは最後赤字になったときには、それならそれでいいのかといっては、それは同じ公務員でございますからほっておくわけにいかない。やはり国が考えていかなくちゃならないことであり、国会のそのような御裁定もあることでございますから、くどくどしいことを申し上げましたけれども、結果的には何とか同じようにしていかなくちゃならないことだろう、こう思っておりますので、将来ひとつ大いに検討をしていきたい、こう私は思っております。  しかし、いまの段階においては、この人事院勧告制度が、大変苦労していただく公務員先生も非常に心配しておっていただきますが、この方々のことを思えばこういう開きのないようにしなくちゃなりませんし、この制度はいい制度でございますから、むしろこの制度を壊さないように守っていけるようにするということが私の給与担当大臣としてやるべきことだと考えて努力さしていただきたい、いまの段階ではそういうことで努力さしていただきたい、こう考えております。全く先生と私は、大臣という立場を離れてでも申し上げたいことは、まことにこれは矛盾ではないけれども困ったことだなあと、こういうような考え方をしておることも申し上げておきたいと思っております。
  38. 野田哲

    野田哲君 この問題の最後に、人事院総裁それから総務長官、四月二十五日に公務員の組合の代表ともそれぞれ会われて見解を述べられ答えられているわけでありますが、五十八年度の勧告につ いての考え方と、それから総務長官には、勧告が出た場合には完全実施する、こういう所存で一体臨まれるのかどうか、それぞれ最後に伺って、次の問題に入りたいと思います。
  39. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 先刻も御質問に対してお答えをいたしましたような順序と方法でもって民間の給与の実態調査をすでに開始をいたしております。この結果を詳細に検討し分析をいたしました結果較差が出ますれば、その時点においてその較差を埋めていただきたいというために、必要であれば勧告は当然にお出しをするという順序で進めておりまして、そのやり方、また人事院の態度、姿勢等については従来と全然変わりはございません。そういう人事院人事院なりの毅然とした態度で仕事を進めてまいるという所存でございます。
  40. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) ただいま人事院総裁が述べられましたように、また先ほど来の審議の過程において言っておられまするように、ことしも八月ごろには、過去のことをいろいろと踏まえて、状況をよく検討して人事院勧告を出したいと、こう言っておられますので、人事院勧告が出されましたときには、先ほど来申し上げておりまするように、できるだけ私どもその勧告を尊重して、できるだけ全面的に尊重せられるように努力をしていかねば、これはせっかくの人事院の大事な勧告制度と申しますか人勧勧告制度というものを守っていく上からいっても、それから良好な労使関係、大事な大事な国の仕事をしてくれるところの公務員の生活権ということから考えましてもこれは非常に大切なことでございます。  いま先生は、完全実施するつもりでやるかと、こういうお尋ねでございますが、そこまでは言い切れませんけれども、私の気持ちは、完全実施以上の愛情を持って折衝に当たりたいと、ことに官房長官もおいでいただいておりますけれども、そういう気持ちで完全実施以上の温かい目をもって、この方々が喜んで仕事をしてくれるように努力さしていただくことをお約束申し上げておきたいと思います。(「完全実施以上というのは去年にさかのぼることだ」と呼ぶ者あり)それは、通常においては完全実施ということは言い切れませんけれども、気持ちだけはそういう気持ちで一生懸命やらしていただくということでごしんぼう、御了承を願っておきたいと思っております。
  41. 野田哲

    野田哲君 官房長官がお見えになりましたので、いま恩給の審議をやっているんですが、恩給と非常に関係の深い問題について伺いたいんですが、これは本当ならば中曽根総理に直接伺いたいわけですけれども、本委員会に中曽根総理に出席を願うというわけにもいまはまいりませんので官房長官に伺いたいんですが、四月二十一日に中曽根総理が靖国神社に参拝されたことが報道されているわけですが、まず玉ぐし料、これはどういうお金で出されたんですか。
  42. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私も現場を見たわけじゃありませんけれども、伺っているところではポケットマネーからお出しになったと、かように承知をいたしております。
  43. 野田哲

    野田哲君 角田法制局長官に向いたいと思うんですが、これ日本語の受けとめ方として、あるいは法律的にどうなるんですか。新聞、テレビ等の報道によると、総理大臣たる中曽根康弘が英霊に感謝の参拝をしたんだと、こういうふうに言っておられるわけですが、総理大臣たる中曽根康弘、この表現は公人の表現じゃないんですか。
  44. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 総理がどういう御趣旨で述べられたかは私がコメントする限りじゃございませんけれども、日本語として申し上げれば、内閣総大臣として参拝をしたというふうには言っておられないわけで、ただ中曽根康弘が参拝したと、しかしたまたま中曽根康弘という人は内閣総大臣でありますから、その上に形容詞としてつけられたんだと思います。そういう言葉の使い方は、総理が明らかに個人としての行動をされる、たとえば座禅にどこかの寺へ行かれるときも、中曽根総理が寺へ座禅に行ったというような言い方は日本語としてはしばしば用いられると思いますが、日本語の表現としてそれが直ちに公人としての行動であるというふうには論理的にはつながらないと思います。
  45. 野田哲

    野田哲君 あなたの説明を聞いてもさっぱり意味がよくわからないんですが、昨年の八月に、鈴木総理ですが、靖国神社参拝に対して、公人か私人かの問題には答えない、こういう態度でおられたわけです。今回の場合も公人、私人の区別をしない、こういう鈴木内閣の方針と同様の措置をとったというふうな後藤田官房長官見解が報道されているのですが、そういうことなんですか。
  46. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私が申し上げておりますのは、この問題はこの国会でも宮澤さんなんかから政府の統一見解というものを出しております、その枠の中でやられたということであって、別段いままでの内閣の考え方と特段変わったことはない、こういう意味合いで同じでありましょう、こう申し上げておるわけであります。
  47. 野田哲

    野田哲君 これは、長官ね、内閣総大臣の態度あるいは内閣の見解が変わりないとおっしゃるけれども、これずいぶん変わっているんですよ。後藤田官房長官とは折り合いの悪い三木さんが総理をやっておられたとき、昭和五十年の五月十五日にこういうふうに言っておられるんですよ。閣僚という地位の重みを考えれば、個人と閣僚の使い分けはすべきでない、こういうことをおっしゃっているんです。これは角田さんの先輩の吉國さんが法制局長官として隣に座って確認をされているわけなんです。これは稻葉さんの問題のときなんです。  この年の八月十五日に三木総理が靖国神社に参拝をされた。そのときの総理の行為の性格については、昭和五十年十一月二十日の参議院の内閣委員会で吉國法制局長官が、三木総理が靖国神社に参拝したことについて、「この場合、私人としての立場ということがどういうことで明らかにされたかと申しまするならば、その前日に官房長官から発表をいたしまして、これはあくまで私人としての立場でお参りをいたしますということで、内閣総大臣としての資格ではなく、また自由民主党総裁という資格でもなく、あくまで個人としての資格でお参りするということを新聞にも」と、報道機関を通じてよくPRをして、そして私人という立場を明らかにして参拝をしたんだと、こういうふうに言っておられるわけです。  そしてさらに、こういうふうに述べておられるんです。「従来とも靖国神社に内閣総大臣が参拝する場合は私人の資格でお参りをしておるということは、これはもう戦後何回か内閣総大臣たる地位にある人がお参りをしたという例はございますが、その場合にも必ず私人の立場でお参りをしておりますということを国会の場でも申し上げ、それから新聞等にも発表いたしておる」というふうに述べておられるわけです。そして、「前例もございますので、内閣総大臣の地位にはあるけれども、それは私人の立場でお参りするものであるということを世上明らかにして、誤解のないような措置をとった」と、こういうふうに述べて、つまり靖国神社に参拝する行為はあくまでも私人であるということを、誤解を受けないようにするために十分世間に説明をして参拝をしている、そういう手続、手順をとることがいつの場合も必要だというふうな趣旨を述べておられるわけですが、これは角田さん、法制局長官吉國さんがそういうふうに述べておられることもあなたも御承知でしょう、どうですか。
  48. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 承知しております。ただ、私の前任者のことでございますから、若干敷衍して私からお答えさしていただきますが、昭和五十年に、御承知のように八月十五日に初めて三木総理が参拝をされるということになったわけであります。その際、御指摘にもなったように、稻葉法務大臣の改憲集会への出席などの問題もございまして、即公人としての地位か私人としての地位かということがそのころたまたま問題になっていたわけであります。そういうバックグラウンドがございましたので、三木総理が初めて私人として参拝されるということもあり、またそういう たまたま公私の区分の問題が非常に問題になったという経緯もあり、その際にはやはり私人としての立場であるということを特に強調する必要があり、そういうような答弁が出てきたのだと思います。  その後、毎年のように歴代の総理は八月十五日に個人として参拝をされておられるわけであります。特に五十三年あるいは五十五年には政府の統一見解というものも出てまいりまして、総理が八月十五日に参拝される場合にも、それはあくまで公式参拝ではないということはそれなりに定着をしていると、そういう配慮が、最近では私どもとしてはそれほど特に私人としての参拝であるということを強調する現実的なバックグラウンドというか、必要性が薄れてきたのではないかということが一つあったのだと思います。  それからもう一つは、これは宮澤官房長官が当時記者会見でも言っておられますが、そもそも社頭において、そういうことはもともと個人の心の問題であるから、そういうことを聞かれたときに一々答えなくてもいいというのも一つ考え方ではないかということで、鈴木内閣の時代にそういうことについて答えないということを鈴木総理自身がお決めになったと、こういうような経緯であると承知しております。
  49. 野田哲

    野田哲君 いまも法制局長官が触れられました五十三年十月十七日に、これは福田内閣当時、安倍官房長官がこの委員会で文書にした政府の統一見解を述べられたわけです。この統一見解は、事前に私的参拝であることを報道機関を通じて国民の前に明らかにしておくことによって誤解のないようにするんだと、こういうことを統一見解の中で述べておられるわけですが、鈴木内閣それから中曽根内閣と、この最近の内閣はあえて公私の区別は言わないんだと、こういう態度をとっておられたということは、これは福田内閣のときにとられた五十三年十月十七日の政府の統一見解、事前に私的参拝であることを明確にして報道機関を通じて国民に明らかにしておきながらやっていくんだと、こういうことを無視していることになりはしませんか、これは。この統一見解はいっそういう形で無視をすることになったんですか。
  50. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 五十三年の統一見解に最後にそういうことが書いてあることは御指摘のとおりでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、その後五十五年に政府の統一見解も出ましたし、また参拝の仕方についてもそれなりに定着をしており、私人としての参拝であるということを一々事前に特別に報道機関に発表しなくても、そういう配慮はもはや必要がないというような考慮から最近は特にわざわざそういう発表をしていないと、こういうことであろうと私は理解しております。
  51. 野田哲

    野田哲君 わざわざもう言わなくても総理が靖国神社へ参拝するのは私的な参拝であるということは定着しておると、こういうふうに言われて、だからもう五十三年の十月十七日の統一見解の、一々その都度言わなくてもいいんだと、こういうことの説明のようですけれども、これは受けとめ方が逆の場合があるんですね。  「神社新報」という団体の新聞がありますが、これはもうこういうふうになっていますよ。「靖国神社公式参拝はほぼ定着」と、こういう見出しで評価しているわけです。それから、あのときの新聞報道などでも、非常に今回の靖国神社への中曽根総理の参拝の仕方については問題を感じている、こういう報道がされているわけですが、だから定着した、中曽根総理の参拝についてもあえて一々言わなくてももう定着しているんだということを言われますけれども、定着は逆の方向に定着しつつある。  ここで私は、もう時間がありませんから明確にしておきたいと思うんですが、そうすると、冒頭に玉ぐし料のことを聞いたわけですが、それはポケットマネーだと、こうおっしゃったわけですが、政府見解の中でも、公式参拝というのは閣議でまず参拝することを決めた場合とかあるいは玉ぐし料に公費を出す、こういう場合はこれは公式参拝だと、こういうふうに述べているわけですが、今回の場合も閣議では決定したものではない、玉ぐし料もポケットマネーだと。こうなりますと、これは私的だと、こう確認していいわけですね。これはどうですか、官房長官。
  52. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 今回の中曽根総理の靖国神社の参拝は私人としての参拝であると、従来の方針には何ら変更はございません。
  53. 野田哲

    野田哲君 そうすると、わかり切ったようなことですけれどももう一回確認しておきたいと思うんですが、憲法二十条では天皇や総理大臣、閣僚などは公式参拝はできないと、こういう立場に変わりはないと、こういうことですか。
  54. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) この点につきましては、正確にお答えをしなければ誤解を招くおそれがあると思いますから正確に申し上げますが、五十五年の十一月に衆議院の議運委員会の理事会において宮澤官房長官が政府の統一見解として読み上げたものがございます。   政府としては、従来から、内閣総大臣その他の国務大臣国務大臣としての資格で靖国神社に参拝することは、憲法第二十条第三項との関係で問題があるとの立場で一貫してきている。   右の問題があるということの意味は、このような参拝が合憲か違憲かということについては、いろいろな考え方があり、政府としては違憲とも合憲とも断定していないが、このような参拝が違憲ではないかとの疑いをなお否定できないということである。   そこで政府としては、従来から事柄の性質上慎重な立場をとり、国務大臣としての資格で靖国神社に参拝することは差し控えることを一貫した方針としてきたところである。  これが政府の統一見解でございます。
  55. 野田哲

    野田哲君 だから官房長官、中曽根総理のやり方というのは私は非常にずるいと思うんですよ。われわれが国会でこういうふうに聞けば、いまのような見解であくまでも私的なんだと、政府見解は変わりないんだと、こういうふうに答えておられる。世間へ向けては総理大臣たる中曽根康弘、こういうことで何か玉虫色のようなどっちにも受け取れるような態度をとる。そして公式参拝をやってもらいたい、こう願っている人たちや団体のところへは、あれで公式参拝はほぼ定着したんだと、こう受け取られるような態度をとっておられる。  私は、いまの答弁であれば、これは「神社新報」や「英霊にこたへる会」へ総理はだましていると思うのですよ。私的参拝であるけれども、さも公式参拝であるかのようなポーズをとって納得をさしている。これは私は一国の政治のトップリーダーとしてとるべき態度ではないと思うのです、これは。私的なら私的、公的なら公的、これは明確にすべきではないか、こういうふうに思うのです。  私は、公的な立場であるべきはずかない、あってはならない、こう思っているんですが、玉虫色で国論が大きく分かれた問題についてどっちにもとれるような言いわけをしなければならぬようなそういうことは、総理としてはとるべき態度ではない、このことを最後に申し上げて、時間が参りましたので終わりたいと思います。
  56. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時四分開会
  57. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、恩給法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  58. 小平芳平

    ○小平芳平君 人事院勧告、それから公務員給与の引き上げ等については、午前中野田委員からるる質疑があり、また御答弁がありましたので、私 は特に繰り返していまお尋ねはしませんけれども、そうしたことを前提として質問したいと思います。ただ、若干確認をしてから質問するような場合も出てきましょうけれども、大体午前中に明らかにされた点についてはあえてダブらないで進めたいというふうに思っております。  まず、恩給の改正に当たって、今回の改正は既裁定恩給の引き上げが行われない、一部手直しの形で今回の改正が提案されております。この理由についてお尋ねします。
  59. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) ほんの一部については恩給法の改正もお願いしておるんだが、一般的に恩給のベースアップが行われてない、その理由はと、このようにお尋ねだったと解釈しておりますが、それは、けさも野田先生の御質問にもお答えいたしましたように、恩給のベースアップについては、きわめて厳しい財政事情のもとで、従来から先生御承知のように、恩給がベースアップの基礎としてきた現職公務員給与改定が昭和五十七年度は見送りとなったという事情を考慮し、残念でございますが、その点を考慮いたしまして五十八年度の予算においては見送らざるを得ない、見送ると、こういうことにさしていただいておるのでございますから、そういう考えでございますので、御了承をちょうだいいたしたいと思います。
  60. 小平芳平

    ○小平芳平君 それで、午前中の続きになりますが、五十七年度は人勧凍結になったということ、しかし五十八年においては人事院勧告の準備をしているという御答弁ですね。四・五八%プラス幾ら幾らという用意をしておられるわけですね。人事院からこれ簡単で結構ですからちょっとお答えいただきたい。
  61. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 午前中にも申し上げましたように、人事院といたしましては、従来の方針を踏襲いたしまして本年度についても民間給与の実態調査を最近始めました。六日から取りかかっておりまして、約四十日間かけて精細な調査をいたします。その結果を分析、集計をいたしました結果、較差が出てまいりますれば例年どおり勧告をするということに相なります。この場合、昨年の勧告凍結をされるということが確定をいたしますれば、その分が当然ことしの較差にも入ってまいるということに相なろうかと思っております。
  62. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがって、今度は五十八年度の給与改定の勧告が出た場合に恩給はどういう扱いをなさるか。
  63. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) いま先生お尋ね、五十八年度の人事院勧告が出されたそのときには、それが実施される場合に恩給の改定も考えるかどうなんだと、こういうようなお尋ねと承りましたが、そういうことでお答えさしていただきたいと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、恩給のベースアップは従来から現職公務員給与改定を基礎として行っておるのでありますから、昭和五十八年度の人事院勧告は、先ほどからも言っておられますように、人事院としては八月ごろに勧告したいという考えでいま進めておると、こういうことでございますので、それが出された場合、その取り扱いを検討する際には、従来どおり恩給取り扱いについても人事院勧告取り扱いとのバランスを十分考慮して誠意を持って従来どおりの考えで検討してまいりたい、かように考えております。
  64. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういう御答弁が午前中もありましたが、五十八年度中に公務員給与の改定が実施された場合には、恩給の改定は昭和五十九年一月から実施するというふうなことを決めておられるわけですか。
  65. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) まだ、その日からとか、いま先生の御指摘の日から実施するというところまでは検討しておりませんけれども、これから検討さしていただく重要な事項と考えております。
  66. 小平芳平

    ○小平芳平君 決めるには総理府一存でも決まらないことでしょうが、総理府としての御意向としては、新聞にもそういう意味のことが出ております。出ておりますが、五十九年一月から実施する、その際のアップ率は今年度人勧の四・五八%を下回らないということを基本方針としているというふうに理解してよろしいですか。どなたが答弁してくださっても結構ですから。
  67. 和田善一

    政府委員(和田善一君) 総務長官大蔵大臣とが恩給の予算につきまして大臣折衝をなさいましたときに両大臣の間で了解されましたことは、五十八年度の人事院勧告が出されました場合には、総務長官といたしまして、それを尊重して実施する立場にあります給与担当大臣としての立場にありますので、その検討をする際に、恩給の改定の取り扱いについても誠意を持って検討するということが決まっただけでございまして、人事院勧告自体がまたどういう中身で出るかということはまだ全然わからない状態でございますから、いつから実施するとかどういう中身でやるとかというふうなことはまだ何も決まっておりませんで、要するに、両大臣の間で誠意を持って検討しましょうと、こういう合意があったということだけでございます。
  68. 小平芳平

    ○小平芳平君 総理府としては、恩給が水準の引き上げがない場合に、現在、実際水準の引き上げがないわけですけれども、実質的な目減りがするというそのことについてはどういうお考えでしょうか。
  69. 和田善一

    政府委員(和田善一君) これは、従前から公務員給与の帰趨によりまして、それを指標といたしまして恩給の改定を行ってきたという実績がございまして、前年度の公務員給与の改善の結果をもって恩給改定の指標とする、こういう方針をここ堅持しておりますし、またその指標が最もよい指標であるというふうに私ども考えておりますので、厳しい財政事情のもとで昭和五十七年度の人事院勧告が見送られましたので、恩給につきましても五十八年度の予算に計上しなかったということはやむを得ない措置だと、このように考えております。
  70. 小平芳平

    ○小平芳平君 やむを得なかったということを前提にしまして、生活が困難になる、要するに、恩給生活者にとって物価は遠慮なく上がりますし、生活が困難になる。そこで何らかの形で努力していきたいというお考えがないかどうか。たとえば、五十八年度において公務員給与決定された場合には、なるべく期間を置かずに恩給も引き上げていこうとか、あるいはそのほか生活を守るためにどんな努力をしようというお考えがありますか。
  71. 和田善一

    政府委員(和田善一君) まず、このように非常に厳しい財政事情のもとで恩給の改定を見送らざるを得なかったと。しかしながら、従前からきわめて強い御要望がございまして、懸案になっておりました長期在職の七十歳以上の旧軍人の方々の仮定俸給の改善、あるいは傷病者遺族特別年金につきましての改善というように、これはどうしても放置できないと思われますものにつきましては、きわめて厳しい財政事情のもとでございましたが、取り上げまして措置をさしていただいた。これが努力の一つのあらわれであるというふうに御理解いただきたいと思います。  それから五十八年度の人事院勧告が出ました場合の取り扱いにつきましては、先ほど総務長官が御答弁申し上げましたように、誠意を持って検討するということで御理解いただきたいと思います。
  72. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に、退職手当法の改正について若干お尋ねいたします。  退職手当につきましては、国家公務員退職手当法の一部を改正する法律案、いろんないきさつがあって現時点にあるわけですが、そのいきさつは省略いたしまして、総理府退職手当基本問題研究会というものを発足させて検討を始めたのか。また、どういう手順で検討をなさるのか。  それから人事院退職金の実額調査を行うというふうに報道されておりますが、どんな準備をなさっておられますか、お尋ねしたい。
  73. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) この手はずはどうなっておるかという先生お尋ねでございますが、先生御承知のように、五十六年の法改正により退職 手当制度の見直し規定が設けられ、昭和六十年度までに退職手当制度全般について総合的な見直しを行うこととしております。そのために、退職手当制度の基本的問題について学識経験者等による多角的な、専門的な検討を行っておる、こういうことでございますが、詳細につきましては、事務当局の方からいまやっておりまする様子等を御説明させていただくことをお許し願いたいと思います。
  74. 藤井良二

    政府委員藤井良二君) いま大臣が述べられましたように、五十六年の法改正によって退職手当の総合的な見直しということが義務づけられておるわけでございますが、この退職手当制度の基本的な問題についていろいろの角度から検討するために、退職手当基本問題研究会というものを総務長官の私的諮問機関としてつくっております。構成員といたしましては、人事、財政、法曹、学界、マスコミ等の各分野において、特に退職手当問題に造詣の深い方々六名にお願いをしております。  この研究会におきましては、民間の退職金の実情あるいは定年制導入など、公務員制度の改変の事情を踏まえまして、退職手当制度の基本的なあり方について総合的な検討をお願いしている次第でございます。四月から発足いたしまして、大体一年間くらいで検討を終えていただきたいと、かように考えております。
  75. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 退職手当関係は御承知のとおり総理府が所管いたしております。ただわれわれの方は、給与の実態調査等で組織もございますし、人手もある、技法も多少心得ておるというような点がございまするので、総理府の方から御依頼を受けまして、民間の退職金制度について調査をいたしております。大体いままで五年に一度やってまいっておるわけでありまして、最近では五十三年に実施をいたしました。この実施の結果が、いま先生も御指摘になった手当法の改正となって御審議をいただいたのでございます。  そこで、われわれの方といたしましても総理府と十分に連絡をとりながら、ちょうど五十三年から見まするとことしは五年目に当たります。それと全般的な見直しをする期限が六十年ということに相なっておりますので、ちょうどそれとの平仄も合いまするので、人事院といたしましても本年度中に調査を実施したいというふうに考えて、目下準備を進めております。  その第一段階として、今度の給与実態調査をやります際の附帯調査といたしまして、若干それとの関係のある資料を得たいということで調査をやりますが、それは附帯調査で、いわば退職手当については予備調査的なものでありまして、それを踏まえて本格的な調査を恐らく秋以降に実施をするということに相なろうと思います。  従来は、先生も御承知のように、民間の退職手当を調べてはおりましたですが、これの調べ方は、おおむね民間の退職金というのはどういう制度になっておるか、制度と、それからモデルケースを選びまして、こういうモデルの場合は大体どのぐらいになるんだろうか、そういう調べを主体としておりました。しかし、それではやっぱり実態が十分把握できない。いまお話がちょっと出ましたように、実額の調査もやらないと、給与調査と同じように。そうしなければ本当の実態がわからないだろうということで、五十三年の調査からはその実額調査もあわせてやるということにしております。その結果はやっぱりよかったと思っております。そういう実績を踏まえて、今後さらに技法としてもその調査の精密を期すための努力をやってまいりたいというふうに考えまして、いろいろいま準備作業に入っておるという段階であることを申し述べさせていただきたいと思います。
  76. 小平芳平

    ○小平芳平君 御趣旨はわかりましたが、私の希望としましては、この退職金公務員の方々が長年勤めた最後の退職のときに出る退職金でありますから、そう余り変わらない方がいいですね。ということは、特に長年勤めてきて、さて自分が退職するときになって急に減るという人が出るわけですね。急にふえるのならまだしも、急に減るということは、非常にその人の生活、今後の退職後の生活に大きく響きますから、そう民間の調査をなさると、あるいは数字の上でどう出るかということはすべてこれは機械的に出るでしょうけれども、総務長官どうでしょうか、余りその退職金というのは減るというのは感心しませんと思われないですか。
  77. 藤井良二

    政府委員藤井良二君) 公務員退職手当は、ここのこの間の附帯決議にもございましたように、民間における退職金を十分に把握し、退職手当の官民の比較の方法など退職手当制度全般について検討するものという附帯決議がつけるれております。それと、また五十六年のその法改正の附則におきましても、職員退職した場合に支給する退職手当の基準については、今後の民間事業における退職金の支給状況等を総合勘案して再検討しろというふうに言われているわけでございます。公務員退職手当というのは国民の税金によって賄われるものでございますから、広く国民の納得を得る必要があり、私どもといたしましても、国家公務員退職手当につきましては民間の退職手当に準拠するのが適当じゃないかと、かように考えております。
  78. 小平芳平

    ○小平芳平君 そのとおりですが、実際減る人の思いにすれば、この前のように簡単に減らされるというのは感心しないと言っているわけです。  次に、臨調の基本答申恩給制度についてお尋ねしますが、この臨調の答申では、「年金制度とのバランスをとるために必要な見直しを行う。」ということですが、これはどんな見直しをなさるんでしょうか。
  79. 和田善一

    政府委員(和田善一君) 恩給制度はその他の公的年金制度とは体系的に本質的に別のものであるという前提一つございます。そうして、その前提のもとで公的年金につきましては臨調のいろいろな御指摘がありまして、これからいろいろな改正が行われると思います。それで、恩給といたしましては、その改正の姿を見まして、もし何かバランスをとるために検討をする必要があるものがあれば検討すると、こういうことを閣議決定でも決めておりますので、いま現在どういう改正、どういう検討を行うということはまだ何も白紙の状態でございまして、年金制度の改正を見守っているというのが現状でございます。
  80. 小平芳平

    ○小平芳平君 総理府としましては、恩給費の推移とか受給者の実態につきましてどういう傾向をたどっていくというふうに推定しておられますか。
  81. 和田善一

    政府委員(和田善一君) 将来の推計でございますが、これは受給者がどのような数に変わっていくだろうかということが基本的な推計の対象であろうと思います。これにつきまして、受給者は現在のところ約二百三十三万人でございますが、これが昭和七十五年に約百三十万人ぐらいになるだろうという推計がございます。大体三十年以上たちまして数が半分近くなっていくんじゃなかろうか、こういう大体の推計がございます。したがいまして昭和七十五年、二十一世紀に入ったときにはまだ現在の恩給受給者の方の半分以上の数の方がおられるという推計でございます。
  82. 小平芳平

    ○小平芳平君 要するに、臨調では年金行政機構一元化ということを打ち出して、政府年金は統一しようという段取りのようでありますが、恩給局はそれを見守るだけでその中には加わらない、あらかじめ加わってはいかないということですね。
  83. 和田善一

    政府委員(和田善一君) 恩給と他の公的年金とは別個の体系のものであるということは臨調もお認めいただいておりますところでございますので、別個のものであるという前提年金の改正を見守っていく、こういうことでございます。
  84. 小平芳平

    ○小平芳平君 確かに別個のものですからそういうことになると思います。  それから郵政省はおられますか。——業務処理体制の一元化ということも言われておりますが、恩給事務を担当していらっしゃる郵政省は何か検討していらっしゃるのですか。
  85. 荒瀬眞幸

    説明員(荒瀬眞幸君) 年金行政の方につきまし ては、臨調答申でもちまして事務処理体制を社会保険庁に一元化するという方向で提言されておりますので、郵政省としましてもその線に沿って努力をしておるわけでございます。  一方、恩給事務につきましては、総理府からも御答弁ございましたけれども、一元化ということにつきましては提言されておりません。現在、恩給事務につきましては裁定関係の事務は総理府で担当されておりまして、裁定になりました恩給給与金を支給する支給事務につきまして、いわゆる支給庁といたしまして郵政省がその事務を担当しているわけでございまして、現在約二百四十万人の受給者の方の給与金を郵政省のネットワークを通じまして支給しておりますけれども、この支給事務につきましては、これは明治以来やっておるわけでございますが、二十八の地方貯金局と約二万の郵便局という組織を通じまして、組織なりあるいは最近はコンピューターを導入しましてコンピューター処理に移行しておりまして、今年度中には完成する。そういう事務処理の中で支給事務の効率化の徹底あるいは受給者サービスの向上を図っておりまして、問題はないというふうに考えております。こういった恩給事務につきまして一元化云々ということにつきましては、制度の経緯なり趣旨、こういうことを踏まえまして、やはり十分慎重に検討していかなきゃならないというふうに考えておる次第でございます。
  86. 小平芳平

    ○小平芳平君 恩給証書の書きかえの機械化、これについてはいかがでしょうか。
  87. 和田善一

    政府委員(和田善一君) 恩給のベースアップがございまして、ベースアップに基づきまして証書を書きかえる、この作業を従前は全部人手でやっていたわけでございますが、これを機械化するということでいま作業を進めておりまして、昭和五十七年度中に約百四万件につきまして機械化を終わりました。先ほど申し上げましたように、受給者数約二百三十三万人、そのうちの約百四万件につきまして機械化を終わりまして、また五十八年度、五十九年度と順次機械化を進めてまいりまして、目標といたしましては昭和六十年度を目標にして、恩給のベースアップの増額による証書の書きかえについては機械化をそこで完了したい、このように考えております。
  88. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に、今回の改正について若干お尋ねして終わりたいと思いますが、今回は、先ほど局長から御説明がありましたように、一号俸引き上げていこうという提案でありますが、これは二号俸引き上げるのがよかったんじゃないですか。
  89. 和田善一

    政府委員(和田善一君) 今回の改善項目の一つであります長期在職の旧軍人の仮定俸給の格づけの是正につきましては、これは文官の方が昭和四十八年度に同じような御年齢の方について四号俸引き上げた。したがいまして、軍人の方と四号俸の格差があるということでございましたので、この是正につきまして、まず昭和五十六年度においてはそのうちの二号俸を引き上げた。そして、昭和五十七年度はこの改正は見送られたわけでございますが、このような格差があることはもうはっきりいたしておりますので、これを放置しておくのは適当でないということで、きわめて厳しい財政事情のもとでございましたが、そのうちの一号俸についてここで改善をいたしました。まだ一号俸の格差が残っているということは私どもも認識しておりますので、これの改善につきましては、財政事情等を見守りながら誠意を持ってその是正に努力していきたい、このように思っております。
  90. 小平芳平

    ○小平芳平君 お考えはわかりましたが、財政事情も考慮しながら誠意を持ってということは、今回は一号俸でいくけれども、できたら五十九年とかなるべく近い機会にもう一号俸引き上げて文官とそろえようというふうに理解してよろしいですか。
  91. 和田善一

    政府委員(和田善一君) 一号俸の格差がまだ残っているということは認識しておりますので、いま先生の御質問の御趣旨もよく体しまして、できるだけの努力をしていきたい、このように思っております。
  92. 小平芳平

    ○小平芳平君 それから今回の改善によりまして改善措置の及ばないものがどのくらいの比率になりますか。つまり七十歳以上で改善を受ける者と改善を受けられない者の比率はどのくらいになりますか。
  93. 和田善一

    政府委員(和田善一君) 長期在職の旧軍人についてのお尋ねでございましょうか。
  94. 小平芳平

    ○小平芳平君 はい。
  95. 和田善一

    政府委員(和田善一君) 長期在職の旧軍人につきましては総数が約九万六千人でございます。そのうちの今回の措置の対象となります方々は約三万五千人であるということでございますが、残りの方々は、最低保障という制度がございまして、その最低保障で底上げがされておりますので、原則に従いまして一号俸アップしてもなお最低保障の方が高い、こういうことでございますので残りの方々は対象から外れておりますが、そういう意味で一号俸アップに取り残されたというよりも、そちらの方は最低保障でかぶっている。そして一号俸アップの対象になる人は三万五千人である、こういうふうに考えております。
  96. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういうことでありますから、一号俸アップする該当者が三万五千人となりますと、最低保障を受ける人と、それから七十歳未満の人もいるわけですね、恐らく。それで、そういうふうに最低保障のグループに入ってしまって一号俸引き上げの該当者のうちへ入れないという人が多数出るのは本意ではないではないか。できることなら全体として引き上げた方がいいし、それから全体として引き上げてやるべきではないかというお考えはありませんかとお尋ねしているわけです。
  97. 和田善一

    政府委員(和田善一君) 確かに全体のベースアップのようなことをすればこれはまた別でございますが、先ほどからも申し上げましたような、きわめて厳しい財政事情のもとで五十八年度予算におきましてはベースアップを計上していない、放置できない旧軍人の方々の号俸の格差を是正するという措置をとにかくとったと、こういうことでどうか御理解いただきたいと思います。
  98. 小平芳平

    ○小平芳平君 先ほど御説明のあった昭和四十八年の文官恩給の仮定俸給の四号俸引き上げについてでありますが、昭和四十八年において、文官の恩給ですが、四号俸引き上げてバランスをとったということは、それから十年ほど経過いたしましたから、またそういう格差が起きてきているかということはいかがでしょうか。
  99. 和田善一

    政府委員(和田善一君) 文官の方々につきまして四十八年に四号俸の、七十歳以上の方につきまして格差是正をした。それによりましてそういう問題はそこで一応解決したということで現在考えております。その問題はそれで解消しているというふうに考えております。
  100. 小平芳平

    ○小平芳平君 新たな不公平、アンバランスは発生していないということでありますか。
  101. 和田善一

    政府委員(和田善一君) 文官の方々の是正につきましてはそこで終わっているというふうに考えますし、それから文官と軍人とのアンバランスにつきましては、このように改善事項を努力していると、こういうことでございます。
  102. 小平芳平

    ○小平芳平君 今回の一号俸引き上げの実施時期を十二月とした理由は何でしょうか。
  103. 和田善一

    政府委員(和田善一君) 十二月といたしましたのは、この制度改正が放置できない問題であるという事情が一方にございますが、一方に財政事情が御承知のとおりきわめて厳しいという事情がございまして、しかし放置できない、とにかく五十八年度中に一号俸是正という制度の芽を出す必要がある。その必要と財政事情とのバランスから結局実施時期が十二月にかかったと、こういうことでございます。
  104. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に、傷病者遺族特別年金の改善についてお尋ねします。  今回の改善は、年金額そのものを引き上げないで、遺族加算という方法で増額することにしております。この遺族加算という生格はどういう性格なのか。  それで、ちょっと時間の関係で二、三まとめて質問いたしますのでお願いします。  それから四万八千円の加算を行うという、四万八千円の根拠はどういうことになりますか。  それから遺族加算という制度は公務関係扶助料に対して行われるものになっておりますが、この公務関係扶助料と名前が同じですね、遺族加算ということをしても法律上は問題ないんでしょうけれども、その考え方をお答えいただきたい。  それから将来公務関係扶助料が引き上げられた場合、そういう場合は今回のこの加算もその二分の一が引き上げられていくものかどうか。  以上についてお答えいただきたい。
  105. 和田善一

    政府委員(和田善一君) まず、遺族加算というものの性格でございますが、これは昭和五十一年に普通扶助料の方で寡婦加算という制度を設けました。寡婦の方々について加算をいたしまして、それとの均衡がありますので傷病恩給の方にもこの遺族加算という制度を持ってきた。そうして、傷病恩給については加算することによってその給付水準を引き上げていく、こういう性格のものでございます。  それで、今回傷病者遺族特別年金に遺族加算という制度を設けて、それが四万八千円になった算定の根拠はどうかというようなお尋ねでございますが、傷痍軍人の方の、傷の重い方の増加恩給を受けられました方が平病死されました後の増加非公死扶助料につきまして遺族加算という制度がありまして、それが九万六千円という額になっております。それで、今回設けました傷病者遺族特別年金を受けられる御遺族の方は、その傷の比較的軽い傷病年金を受けられる方の御遺族でございますので、増加恩給を受けられております方と傷病年金を受けられております方との傷病の程度、これは客観的なかなりの差がございますので、九万六千円の半額の四万八千円といたしたと、しかし同じ性格の加算でございますから、同じ遺族加算という名前を使って同じ性格の制度としました。  それからその九万六千円の方が引き上げられた場合にこちらがどうであるかということでございますが、こちらの傷病者遺族特別年金の遺族加算額の改善につきましても、その傷病者遺族特別年金の基本額とのバランスとか、あるいは公務関係扶助料の遺族加算額とのバランス等を考慮して、その場合そういういろんな要素を考慮して検討してまいりたいと、こういうふうにお答えいたします。
  106. 小平芳平

    ○小平芳平君 検討するということで、半額引き上げられるということには決めてない、そこまでははっきりしていないわけですね。
  107. 和田善一

    政府委員(和田善一君) いま御答弁申し上げましたように、いろいろなバランス考えながら検討してまいりたい、このように申し上げておきます。
  108. 小平芳平

    ○小平芳平君 それではシベリア抑留者の問題について、これは当委員会でも、それから参議院においても衆議院においても、シベリアにおける長期抑留者の陳情、請願については何回となく質疑されておりますので、私から長々と申し上げる必要はないと思います。  それで最後に、時間もありませんのでお尋ねしておきたい点は、戦後処理問題懇談会というのは、最近新聞にも出ておりましたが、戦後処理問題を意欲的に解決しようとして取り組んでおられるのでしょうけれども、その辺の見通しあるいは今後の見通しをお聞かせいただきたい。  それからシベリア抑留者から国家賠償などを求めて提訴されている件数が何件くらいになりますか。  それから総理府としては、ただ提訴されている、そういう訴訟が起きたということを見守っているだけであるかどうかについて、以上お伺いしたい。
  109. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 戦後処理問題懇談会は、昨年の六月三十日に第一回の会合を持ちまして以来、大体月一回程度のペースで審議をお願いしてきております。現在までに七回開催されておりますが、現在懇談会で行っておりますのは、関係各省から援護行政の経緯のほかにシベリア抑留者の問題、在外財産の問題、それにいわゆる恩給欠格者の問題、この三つの問題を中心といたしまして、政府がこれまで講じてまいりました施策等についてのヒヤリングを進めておるところでございます。  今後の見通しでございますけれども、このヒヤリング、いろいろ委員の方からも追加質問等がございまして、あと数回と申しますか、二、三回はなおヒヤリングを続けていく必要があろうかと思っております。その後の検討スケジュールにつきましては、また改めて懇談会の場で協議決定されるということに相なっております。なお、精力的に御検討はお願いしておるわけでございますけれども、懇談会の委員の御意見の大勢といたしましては、戦後処理問題は大変困難な問題であるだけに、少なくともやはり二年程度の期間はかけて検討せざるを得ないのではなかろうかというのが大勢でございます。以上が懇談会の現在の状況ないし今後の見通しでございます。  それからシベリア抑留者の関係でいろいろ関係の団体の方からも御要望が出ておることは私どもも存じておりますし、それから訴訟が現在三件提起されておることも承知いたしております。この戦後処理問題、いろいろございますけれども、先ほど申しましたシベリア抑留者の問題、在外財産問題、それにいわゆる恩給欠格者の問題というものにつきましてどういうふうに一体考えればいいのか、そもそも戦後処理問題というものをどう取り組んでいけばいいのかということにつきまして、この懇談会で御検討を願っておるわけでございますが、先生御承知のとおり、政府といたしましては実は昭和四十二年、この引揚者に対します特別措置をもっていわゆる戦後処理問題というものは一切終結したものということで来たわけでございますけれども、いま申しましたような三つの問題を中心といたしまして、関係方面からも要望を大変寄せられるようになりまして、それにどう対応すべきかということでこの懇談会が設けられたわけでございますので、私どもといたしましては、この懇談会の結論を得ましたならば、その結論を受けまして所要の対応策を検討してまいらなくてはならないだろう、かように考えておる次第でございます。
  110. 安武洋子

    ○安武洋子君 今回の恩給法案でございますが、これは二点の改善内容が盛り込まれております。本来行われなければならない恩給の実質価値、これを維持いたしますいわゆる恩給のベースアップは行われておりません。政府は、人事院勧告凍結しているから恩給のベースアップはしないと、こういうふうにおっしゃっておられます。恩給法の二条ノ二、この趣旨に照らしてみますと、この理由は全く納得ができません。  総理府にお伺いをいたしますが、この二条ノ二の規定趣旨、これは一体どのようなものでございましょうか。
  111. 和田善一

    政府委員(和田善一君) 恩給法第二条ノ二の規定趣旨でございますが、これは経済諸情勢に変動が生じた場合に、年金の実質的な価値の維持を図る必要があるという基本的精神に基づきまして、国民の生活水準、国家公務員給与、物価その他の諸事情に著しい変動が生じました場合に、変動後の諸事情を総合勘案して年金である恩給の改定を行うということを決めた規定でございます。
  112. 安武洋子

    ○安武洋子君 これは国民生活、それから公務員給与、物価など、これを総合勘案することになっております。ところが政府の御答弁は、現在は国家公務員給与の改善のみにおいて国家公務員給与凍結したからこの恩給にはスライドしないと、恩給を上げないというふうにおっしゃっているわけです。  お伺いいたしますけれども、戦後こういう指標というのはいろいろ変遷をたどってきていると思います。どのような変遷過程がございましたでしょうか。
  113. 和田善一

    政府委員(和田善一君) 恩給改善の指標の変遷でございますが、戦後初めて昭和二十三年に恩給 年額の調整が行われまして、昭和三十七年までは公務員給与に即応していくと。たとえば昭和三十七年の改定におきましては、昭和三十四年十月から三十五年三日までに現職公務員に適用されていました俸給表、通常二万円ベースの俸給表といいますが、これを年額に直したものをもって恩給の仮定俸給としたということでございます。したがいまして公務員給与に追随していると。ただし、三年ぐらい前のものでやったと。こういういろいろな問題がございまして、その次には、消費水準指数をとってみるというようなこと、あるいは消費者物価指数をとってみるというようなことを昭和四十年から四十三年ごろにかけまして行いました。  昭和四十三年になりまして、恩給審議会からこの恩給法二条ノ二の規定運用につきましての答申が出されました。その答申では、五%以上消費者物価が上昇した場合にはそれに応じて恩給年額を改定すべきものといたしまして、消費者物価の上昇に応じて恩給年額の改定を行ってもなお国家公務員給与水準と恩給との格差が著しく懸隔している場合には、それをある程度解消することにより調整することが望ましい、こういうことだったので、これを受けまして政府では恩給審議会方式というのを定めました。この方式は、まず消費者物価の上昇率、これに足しますことの公務員給与の改善率と消費者物価上昇率との差の六割、これを消費者物価上昇率に足したと、これをもって改定を行うということで、これらの消費者物価それから公務員給与改善率を指標として用いた。しかし、これでやっていきましたが、給与改善率と消費者物価上昇率の六割を見るだけでございますので、公務員給与の上昇との格差がだんだんと開いていった。  特に昭和四十八年になりますと、公務員給与におきましても大幅な引き上げが続いたというようなことがございまして、恩給の上がりと公務員給与の上がりとが格差が非常に大きくなってきた。恩給は、やはり元公務員に対します年金でございますので、現職公務員給与改善というのが、そもそも人事院勧告に基づいて、人事院勧告というのは民間の賃金あるいは生計費等に基づいた官民較差によって勧告がありまして、それに基づいて給与改善がなされるというもろもろの物価、生計費等を指標としてそこに含んでおる総合的な結果であるというふうに考えまして、恩給審議会方式では、格差が非常に大きくなったのを改善するために、昭和四十八年からは公務員給与の改善をもって恩給改善の指標とするということで現在まで参っております。その間に、単純に公務員給与の改善率で改正するのから、現在はそれをもう少しきめ細かく回帰分析いたしまして、公務員給与の上薄下厚の改正傾向を恩給の改善にも取り入れてきていると、こういうことでございます。
  114. 安武洋子

    ○安武洋子君 変遷はよくわかりました。最初から国家公務員給与の改善率そのものをスライドさせたというものではないというふうなことなんですが、この国家公務員給与恩給のベースアップの指標にしている理由ですね。それからまた、それが恩給法の先ほど御説明のありました二条ノ二、この二条ノ二に合致をしているということはどういうことなんでございましょうか。
  115. 和田善一

    政府委員(和田善一君) ただいま公務員給与の改善を指標として行っております。現職公務員給与改善は、物価上昇率とか生計費の上昇を要素として含んでおります民間給与の引き上げに準拠して行われる人事院勧告に基づいて実施するのが原則でございます。それで、公務員給与の改善を基礎として恩給年額を改定することによりまして、物価上昇率とか生計費等経済の諸変動もこれに反映されることになる。それとともに、また元公務員に対する年金額の調整であるという意味からも、この現職公務員給与改善を指標とするのが最もいい総合的な指標であるし、また元公務員に対する処遇としても現職公務員給与改善を指標とするのが最も適当である、このように考えて現職公務員給与改善を指標といたしております。これはまた恩給法二条ノ二の趣旨にも沿うものであると、こういうふうに考えております。
  116. 安武洋子

    ○安武洋子君 公務員給与国民生活も物価も網羅されているというふうなことでございますが、今回の場合、これは大変おかしいことになりませんですか。これは、人事院勧告というものがなされたというのは、物価、民間給与との間に変動が生じたと。だからこそ人事院勧告がなされているわけです。その人事院勧告凍結されたからということで、この二条ノ二という規定があるにもかかわらず恩給を上げないということは成り立たないのではございませんか。
  117. 和田善一

    政府委員(和田善一君) 二条ノ二では、民間の生活水準、物価あるいは公務員給与がどうなっておるか、そういうようなことに基づいて恩給の改善をすべきであると。それで、現職公務員給与がどうなったかということがいろいろな指標の総合された姿、結果であると、こういうふうに考えておりますので、公務員給与の帰趨に合わせまして恩給もやっていくと、これが二条ノ二の趣旨に合うものであるというふうに考えております。
  118. 安武洋子

    ○安武洋子君 繰り返します。  公務員給与国民生活も物価も網羅されていると、こういうふうなことで、だから二条ノ二に当然合致するんだというふうにおっしゃいましたが、物価とか、また総合勘案すべき国民生活、こういうふうなものに変動が生じているからこそ人事院勧告がなされております。それが実施をされているならまだしも、実施をされないで凍結をされているわけです。  ですから、この二条ノ二というのは、総合勘案をして、そして変動があったときにはその措置を講じなさいと、こういうことになっておりますから、もちろん変動が生じているからこそ人事院勧告がなされている。それが行われていない。しかし、この恩給法の二条ノ二というのは、諸事情を勘案して、そして変動があったときには所定の措置を講ずるものとするというふうになっているわけですから、いまの御答弁というのは、まことにこの公務員給与人勧どおり実施をされておれば、そういう御答弁も成り立とうかと思います。しかし、凍結をされてしまっていると、こういう時点で恩給を上げないということでは、そういういまの御答弁は全く成り立ちません。
  119. 和田善一

    政府委員(和田善一君) 先ほどの変遷の経過のところでも申し上げましたように、指標の取り方につきましてはいろいろないきさつがございましたが、結局恩給審議会方式その他考えてやってみましたけれども、公務員給与を指標としてやるのが最も適当であるし、また有利であったということから、公務員給与の改善を指標としてやってきている。恩給法二条ノ二でも、諸事情を考え、その諸事情の中には国家公務員給与がどうなったかということも一つの大きな指標としてありますし、また国家公務員給与の改正の結果というものは、もろもろの社会情勢がそこに反映されているということでございますので、そのもろもろの社会情勢が反映された公務員給与取り扱いの結果というものを指標とするのが恩給の改善につきまして最もいい方法であるということでございます。
  120. 安武洋子

    ○安武洋子君 もろもろの諸事情が反映されている公務員給与を指標としたけれども、それが政府の方針によって、政策によって凍結をされている、それが実施をされなかったと、人勧が。こういうところで、それを指標にするのはおかしいじゃありませんか。  恩給制度のそもそもは、公務員退職または死亡後における生活の支えとなるものと、こういうことでなっておりますから、やはり変動が生じているわけですから、人事院勧告というのは変動が生じたからこそ人事院勧告がなされていると、それなのにそれを実施していない、それを指標にすると。いままではそれで成り立ってまいったでしょう。確かに国家公務員給与の改善は恩給のベースアップにスライドさせたと、こういうのは、これは四十八年度からでございます。その三年前の昭和四十五年度から人勧を完全に実施をいたしております。ですから、要するに四十五年度では 人勧を完全に実施しておりますから、恩給のベースアップの指標として国家公務員給与の改善ということもこれは成り立ってきたわけなのです。  しかし、人勧凍結されると、実質価値を維持するということになっておりますですから、実質価値は維持できないわけですよ、このままでまいりますと。こういう制度趣旨に全く矛盾してくるのではありませんか。したがって、二条ノ二の趣旨、これが生かされないということになります。これはあくまでも、私どもとしましては臨調路線に沿った政府政策判断によってこういうふうになってきているというふうに断ぜざるを得ないわけで、全くこの実質価値を維持しなければならないという法の趣旨にもとると思います。もう一度御答弁いただきます。
  121. 和田善一

    政府委員(和田善一君) 恩給法二条ノ二の趣旨といいますのが、国民の生活水準、物価あるいは国家公務員給与、そういうものを総合的に勘案した結果に基づいて恩給を改定すべきである、そういう公務員給与の帰趨を含めました社会情勢の集約的なあらわれというのが給与改定の結果でございますので、この取り扱いというのは恩給法二条ノ二の趣旨に合致しているというふうに私どもは考えている次第でございます。
  122. 安武洋子

    ○安武洋子君 老後の生活をこの恩給に頼っている人たちの心情から言いますと、いまのこの物価の上昇の中で、生活の困難な中であなたのような御答弁をなさるということは、全く私はその人たちの怒りを買うだけであって同意を得ることはできない。やはりこれはあくまでも臨調路線に沿って政府政策判断をして公務員人事院勧告実施しない、そのあおりを食っているというふうなことで、私はここではっきりと二条ノ二の趣旨にもとるということを申し上げて、絶対こういうことをなさるということは反対であるということを言明させていただきます。  そこで、質問を変えてまいります。  旧日赤及び陸海軍の従軍看護婦の慰労金についてお伺いをしておきます。この問題の中には、公的年金の通算あるいは在職年十二年未満の者への処遇というふうな改善要求もございます。しかし、きょうは給付金の増額についてお伺いをしておきます。  総理府は、いままでこの問題につきましては、慰労給付金は年金などとは違うんだ、だから老後の生活を保障する性格ではない、物価等によるスライド制はだから考えないというふうな御答弁を繰り返してこられました。私、この見解に異論がございます。しかし、これは別の機会に譲るといたしまして、いままで政府が御答弁の中でおっしゃっております、女性の身で戦場に行ったことに対する慰労金と、こういうことであったにせよ、現実の問題といたしましては多くの受給者が老齢期に入っている。老後の生活の一助としてこの慰労金を充てているということは否定のできない事実であろうと思うわけです。  こういう点に立ってみますと、年々目減りをしていく給付金、これを受けていらっしゃる旧日赤それから旧陸海軍の従軍看護婦さんたち、こういう方たちの心情、これは総務長官にお伺いしますけれども、一体どのように御認識でございましょうか、お伺いいたします。
  123. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 安武先生お尋ねのこうした方々に対する総務長官はどういう心情、認識を待っておるか、こういうことでございますから、その点についてお答えさしていただきたいと思いますが、先生からもお話のございましたように、旧日赤救護看護婦さん及び陸海軍従軍看護婦さんは女性の身でありながら、と言うとちょっと言い方は悪いかもしれませんが、とにかく男と女とありますものですから。軍の命令により戦地とか現地に派遣され、旧陸海軍の戦時衛生勤務に従事しておられた。また戦後においては、抑留された方、抑留後留用され、何と申しますか長期にわたって大変な御苦労をされたという認識、これはもう先生と同じように私も、大変だった、本当に御苦労であったと強く認識をしておるのでございます。  この認識、この御苦労に対して労をねぎらう意味で慰労金というのを支給させていただいておる。これが政府考え方だと私も判断をいたしております。とにかく御苦労であった。その労を心からねぎらわなくちゃならないという感謝の意味、御苦労に対して労をねぎらう、こういうことで慰労金を支給さしていただいておる、こういうように考えております。
  124. 安武洋子

    ○安武洋子君 長官の御答弁はそれは前半の私の申し分であって、私がお聞きしておりますのは、そういう慰労金であったとしても、老齢期を迎えていなさる、現実の問題としては老後の生活の一助にされているというふうなことで、長年据え置きのままでございます。目減りをいたしております。ですから、この目減りをしていく給付金を受け取られるというふうな従軍看護婦の方たち、こういう方たちの心情をどういうふうに御理解でございましょうかと私は御質問申し上げました。
  125. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) お答えさしていただきます。  私は、そうした方々に対して総務長官どんな心情でおるかということのお尋ねかと、こう思いまして、全く先生と同じような、女性の身でありながらよくも御苦労を願ったという感謝の気持ちで支給さしていただいておるということを申し上げた。その心情を申し上げたのでございますが、そういうことを聞いたのではないと、こうした方々に支給されておるそのお金が老後の生活の保障、老後の生活の幾らかでも支えになっておるが、これをこのままにしておくのか、それともまた別に考えることを検討しておるのかと、こういうような重ねてのお尋ねでございますが、これはいま申し上げましたように、本当に御苦労であったという感謝の慰労の意味で政府はお支払いをしてお受け取り願っておるのでありますから、これによって所得の保障を図るという年金的な性格を有するものではないのでいまのところこの増額は困難と考えておりますが、しかしながら国会の附帯決議の趣旨をも尊重いたしまして引き続き検討していきたい。また将来、社会経済情勢の大きな変化があれば、慰労給付金の増額の改善について日本赤十字社の意向等を参酌しながら慎重にこれは検討していくことだと、こういうようにしていくべきだと考えております。
  126. 安武洋子

    ○安武洋子君 長官、私の質問を余りよく聞いてくださっていないみたいであれなんですが、次に進んで参ります。  慰労金の給付というのは五十四年から始まっております。これは消費者物価の上昇率と対比してみますと、その実質価値といいますのは二〇%程度低下をいたしております。総理府は、スライド制はとらないにしても給付金の増額については、今後経済情勢の変化、それと日赤の意向、こういうものも参酌して検討したいというふうにおっしゃってこられました。  そこでお伺いいたしますけれども、経済情勢の変化の指標、これは何によって判断をなさるのでしょうか。また、日赤の意向、これは具体的にどのような意向なんでございましょうか、お伺いいたします。
  127. 菊池貞二

    政府委員(菊池貞二君) 経済情勢の変化の指標を何に求めているのかというお尋ねでございますが、たとえば消費者物価指数を取り上げるとかいうことになりまして考えますと、厚生年金のように物価スライドをするということになるわけです。そうしますと、一定の生活水準を保障するということにもなります。また、先ほど恩給の話がございましたが、公務員給与等を取り上げて給与スライドをするということになりますと、やはり老後の所得を保障するということにもなります。  ところが慰労給付金は、先生も御承知のとおりに、これは所得の保障を図るという年金的な性格を有するものではないという基本的な性格がございますので、いま申し上げたようなものを考えるということはこの性格に合わないんではないかと考えられるわけです。慰労給付金の性格から考えますと、物価とか給与とか、そういう特定の経済 指標ということではなくて、国民経済だとか国民の生活とか、こういったものの動向などをいろいろと考慮して総合的に判断することが適当ではないかと考えております。  旧日赤救護看護婦等に対する慰労給付金につきましては、国会での附帯決議もございましたので、その趣旨を十分尊重しまして今後とも検討を重ねてまいりたいと考えております。  また、日赤の御意向というお話ございましたが、ただいま申し上げましたように、私どもとしては、もし増額を図るということになれば、いろんな社会的な情勢国民経済、国民生活、そういういろんなものを総合的に判断をしていかなければならないのではないかと考えております。したがいまして、その総合的な判断によって増額を図ってしかるべしというようなことになりましたときには、十分日赤とも相談をいたして所要の措置を講じてまいりたい、このように考えております。
  128. 安武洋子

    ○安武洋子君 国民生活それから国民経済、これの総合的な動向と、こういう御答弁でございました。一律に物価上昇率ということにはならないとは思いますけれども、しかし国民生活とか国民経済の動向ということになりますと、物価上昇率というものはやはりこれは大きな指標になろうかというふうに思います。  そこで物価上昇率でございますが、先ほど申し上げましたように、この慰労金の給付が始まりましてから二〇%上昇いたしております。この二〇%というのは大変大きゅうございます。普通の公的年金でございますと、御存じのように五%ということを指標にいたしております。ですから、二〇%というこの物価上昇率、しかも日赤は増額してほしいという強い意向を持っておりますということになれば、いままでの総理府の御答弁に照らし合わせますと、給付金増額の条件は、これは十分どころか、十二分に私は整っているというふうに思います。  給付金というのは、これは補助金でございます。ですからこれ、毎年予算要求の際にその都度一般給付額について総合的に総理府内で御検討なさるというふうに思いますけれども、五十九年度の概算要求、これに際しましては私は何としても予算措置を講じていただきたいと。先ほど長官に、私最初に、老後の生活の一助にして、この目減りを本当に耐えがたく思ってなさる方の心情についてはいかがかとお尋ねをいたしましたけれども、そういう方たちの心情も酌み取っていただき、しかも五年も経過をいたしております、物価上昇率二〇%、日赤も強くこの増額を要求している。こういう中で私は何としても五十九年度の概算要求に際しては予算措置を講じていただきたい。総務長官にお伺いをいたします。
  129. 菊池貞二

    政府委員(菊池貞二君) ただいま五十九年度の概算要求について増額要求すべきだというお話でございましたが、先ほど大臣から申し上げましたように、この救護看護婦に対する慰労給付金は、女性の身でありながら戦地で非常に御苦労された、そういうことでその特殊事情を考慮して慰労給付金を差し上げるということになったものでございます。したがいまして、所得の保障を図るという年金的な性格でないというふうに私どもは考えております。したがいまして、いろいろ物価等のお話ございましたが、物価等だけでいろんな判断をするのでなくて、私どもとしては、いろいろ国民経済、国民生活、いろいろのものを総合的に判断をして慰労給付金のことを考えていかなければならないんではないかと考えております。したがいまして、五十九年度の概算要求にいま直ちに増額をお答えするということは非常に困難ではないかというように考えております。
  130. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は重ねて申し上げますけれども、国民生活とか国民経済の動向を総合的に勘案するということになりますと、先ほど私が申し上げましたように、五年間据え置かれてしまって二〇%物価が上昇して、その中で、私は年金だとは最初から言っておりません、確かに慰労給付金と。しかし目減りをしているし、実質的にはそれが老後の生活保障の一環になっていると、こういう実態も見据えていただき、しかもいままで国会の御答弁の中では、日赤の意向それから経済情勢の変化、これを参酌して検討したいという御答弁でもございます。ですから、そういうことで判断をいたしますと、私は概算要求に組んでいただくというふうな条件というのは十二分に整っているんじゃなかろうかと、そういうことで御質問申し上げておりますので、それを踏まえて長官の御答弁をいただきたい。
  131. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 先生もお認めいただいておりまするように、慰労金というものは決して所得の保障を図るという年金的な性格を有するものではない。これはもうお認めいただいておりまするし、私どもそう考えておりますが、しかし五十四年以来、いかに慰労金でありながら、そのまま据え置きになっておるということ、そしていろいろと社会情勢も変わってきておるし、物価なんかも変わってまいりましたし、受ける人の身になってみれば、五年間同じような金額でということは、慰労金だから変わらないとは言えないこともありましょう。特に国会等において、先ほど先生からもまた当局からも申し上げましたように、これについては日赤さん等の意見も聞いて十分しんしゃくせよと、こういうようなことを言っておられまするので、国会の附帯決議、御意思を尊重いたしまして、また先生から強い御要請といいますか、この方々の立場を訴えていただきましたことも肝に銘じまして、幸いにして近く予算の要求もしなくちゃなりませんから、そのときには大いにひとつ誠意を持って努力さしていただく、検討の上努力さしていただくということを申し上げて答弁にさしていただきたいと思います。
  132. 安武洋子

    ○安武洋子君 長官の御努力を大いに期待させていただきます。  それで次に、またちょっと質問を変えますが、いわゆる天下りについてお伺いをいたします。  農水省の天下り人事でございますが、人事院は三月三十一日に、五十七年度の営利企業への就職承認、これを国会に報告なさっておられます。五十七年の承認数といいますのは二百六十六人と、過去最高数に達しております。これは国民の間から、高級官僚と企業の癒着ということで強い批判が上がっているわけでございます。私は昨年三月に当委員会で、農水省の職員の離職後二年以内なのに地位変更の承認を得ないでそして違法な天下り人事、この二件を追及いたしました。それで、農水省も人事院もこれをお認めになりました。その際に農水大臣が、離職後二年以内の天下り職員の追跡調査、これを私が要求いたしまして、大臣もこれをお認めになり、そして実施をしようとお約束してくださいました。この調査というのはその後一体どうなったのか、調査をなさったのなら、その結果を私は御報告をいただきたいと思います。
  133. 甕滋

    説明員(甕滋君) 昨年御指摘を受けましたが、農林水産省を退職した職員が営利企業に就職し、その企業の中でポストがかわる際、二年間人事院ないし農林水産大臣等の許可が必要であるにもかかわらずそういった許可が得られていなかったという事実がございました。まことに遺憾なことで申しわけないと思っております。  そこで、二年間という法定の年限がございますので、過去二年にさかのぼりまして、営利企業に就職した退職者が社内のポストをかわる際に承認が得られているかどうかと、こういうことを中心に調査をいたしてみたわけでございます。その結果は、承認を得ずに営利企業に当初から就職したというケースは認められなかったわけでございますが、就職後ポストをかわるに当たりまして承認を得なかったケースが一件認められたわけでございます。これは、具体的には、営林署の職員が地元の建設会社に就職いたしまして、その中でポストをかわるに当たりまして営林局長の承認をとるべきところ、その承認が得られていなかったというケースであったわけでございます。これは当然国家公務員法規定に違反するものでございまして、まことに遺憾なことでございました。本人に 対しましては、国家公務員法違反の行為でございますので厳重に注意をいたしまして、また会社にも話をいたしまして、本人は、その地位をポストのかわる前の地位、すなわち当初承認をとって就職した地位に戻しまして反省の意を示しておるわけでございます。始末書も提出をしておるわけでございます。  概略の経過は以上のようなことでございます。
  134. 安武洋子

    ○安武洋子君 追跡調査の結果、また新しく国公法百三条の違反者が発見されたわけです。調査人員が三百六十五人でそのうちの一人と。私は、これはでも少ないからよいという性質の問題ではないと思います。いやしくも法違反など一人もあってはならないと思います。人事院総裁のこういう点の御見解もお伺いいたしとうございますし、また国公法にこの百三条の条文が入りましてから三十数年たっていると思います。離職した天下り職員を追跡調査いたしましたのは今回が初めてだというふうに思うんですが、こういうふうな調査がやられなかった背景というのは、いままで人事院が積極的にやる義務はないというふうな消極的な見解を各省に対してお示しになっておられたということも一つの原因であろうかというふうに思います。  しかし、一部にしろ追跡調査で法違反者が発見されるというふうなことでございますから、違反者を発見するというよりも違反者を出さないように、違反を犯さないようにというのが本来の姿ではなかろうかと。しかし、違反を防止するということにいたしましても、何よりまず実態というものが明らかに把握されていなければできないわけでございます。そういう立場からも必要に応じてはこういうふうな追跡調査を積極的にやるべきだと思いますが、総裁の御見解をお伺いいたします。
  135. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 農水省の関係の天下りに関する事件につきまして去年先生から御指摘がございました。人事院といたしましても、問題の重要性にかんがみまして、農水省とも連絡をとりながら調査を進めてまいっておったところでございます。それの関連で追跡調査ということを農水省が実施をせられまして、いまお話がございましたように三百六十五名中一名ということでございます。私も、いま先生が言われましたように、三百六十五名中のたった一名かというような認識は持っておりません。そもそも一件でもこれは違反があってはいけない。そういうやっぱり厳密な法の適用というものを確保していかなきゃならぬ性質のものであろうというふうに私自体は認識をいたしております。そういう角度で各省庁とも十分連絡をとってやってきたつもりでございますが、しかし事実こういう事件が一件、一人であるといえども発生したということは大変遺憾なことでございますので、今後はさらにそういうことのないように指導の徹底というものを図ってまいりたいというふうに考えております。  ただ、いまお述べになりました追跡調査ということの関係でございますが、これは、特に今回の場合は具体的な事例というものが指摘をされたこともあって、その実態を明らかにするという意味で農水省とも連絡をとったわけでございますが、全般的に追跡調査というようなことをやるかどうかということになりますと、実は公務員の民間への就職制限というものが、これは実は世界的にも、各国調べましても大変異例と思われるほど非常に日本の場合は厳しい制度になっております。特に公務員たる職を退かれて民間でもって仕事をしていらっしゃると、現に。そういうところへ——効果としては違反が起きないような予防措置というような効果もあるかもしれませんけれども、しかしそういう仕事をしていらっしゃるところに、周辺に対していろいろ調査をするとか聞き回るとかいうようなことが果たしてやり方として妥当であるのかどうかということを考えますと、これはやはり相当慎重な配慮でもってやっていかなければならぬのだと思います。  法の厳正な適用ということもございますけれども、やはり公務員であって、もう公務員でなくなった人の職業選択の自由に基づく行動でございますので、そこにおのずからなる穏当な限界というものがあってもしかるべき問題ではないかというふうに考えておりますので、それらの点についてはやはり相当確たるそういう事情というものが出てまいるというような段階でないと、軽々にこの問題に全般的に取り組むということはいかがなものであろうかというふうに考えております。  しかし、いずれにいたしましてもこの問題は、特に国民一般が大変な関心を持って批判いたしておる、注視をいたしておる重要な問題でございますので、私たちといたしましてもさらに心機を新たにいたしまして、この問題の重要性というものを公務員諸君にも徹底をする、また各省庁とも督励をいたしまして、間違いのないように厳しい運営をやってもらいたいと、そのために全力を尽くしたいと思います。
  136. 安武洋子

    ○安武洋子君 異論はありますけれども、時間が来ましたので……。
  137. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 他に御発言もないようですから、質疑は終了したものと認めます。  本案の修正について安武君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。安武君。
  138. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は、日本共産党を代表して、本案に対し修正の動議を提出いたします。  その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  これより、その趣旨について御説明申し上げます。  政府が提出した今回の法案は、傷病者遺族特別年金年額四万八千円の遺族加算を行う、七十歳以上の長期在職の旧軍人等の仮定俸給の格付を引き上げるとしているだけで、人勧凍結を口実にして、これまで毎年行ってきた仮定俸給の引き上げとこれに伴うその他の改定を一切盛り込まないなどというきわめて不当なものとなっております。  これは、国民の生活水準や国家公務員給与、物価その他の諸事情の変働に対応して恩給額を改定すると定めた法の趣旨に反するばかりか、国民生活総攻撃の臨調路線を最優先させて二百四十万余の恩給受給者の切実な願いを踏みにじる冷酷な措置と言わなければなりません。  これが本修正案を提出する理由であります。  次に、修正案の概要を説明します。  第一は、恩給年額計算の基礎となっている一般文官及び旧軍人のすべての仮定俸給年額を八二年度人事院勧告による行政職俸給表(一)の改善傾向を恩給局の従来方式で回帰分析した結果に基づいて引き上げることです。なお、七十歳以上の旧軍人等に係る仮定俸給については、政府提出法案どおりその格づけを一号俸引き上げることとしております。  第二は、普通恩給と普通扶助料、公務扶助料、増加非公死扶助料、特例扶助料の最低保障額及び増加恩給と傷病年金、特例傷病恩給年額並びに傷病賜金を、恩給局の従来方式により、それぞれ仮定俸給の最高の引き上げ率四・九%と同率の引き上げを行うことであります。  第三は、傷病者遺族特別年金を四・九%引き上げた上、政府提出法案どおり年額四万八千円の遺族加算を行うことです。  第四は、扶養加給を八二年度人事院勧告による扶養手当額増額の例により引き上げることであります。  第五は、高額所得制限に係る改定以外の改定の実施期日を本年四月からとしていることであります。実施期日については、一年おくれの是正を求めてきた従来からの本委員会の附帯決議の趣旨から言えば昭和五十七年四月からとすべきでありますが、恩給局の従来方式による修正を行うとの前提で修正案を取りまとめたため、これをあえて本年四月からとしたのであります。  以上が本修正案を提出する理由と修正案の内容の概要であります。  なお、本修正に伴う必要経費は約六百億円と見込んでおります。  委員各位の御賛同をいただき、恩給年金生活 者の切なる願いにこたえて本修正案を可決されることをお願いして、趣旨説明を終わります。  以上です。
  139. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ただいまの安武君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。丹羽総理府総務長官。
  140. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 本修正案については、政府としては反対でございます。
  141. 坂野重信

    委員長坂野重信君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより恩給法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、安武君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  142. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 少数と認めます。よって、安武君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  143. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  山崎君から発言を求められておりますので、これを許します。山崎君。
  144. 山崎昇

    ○山崎昇君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     恩給法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   例年実施されてきた恩給年額の増額が今回見送られたことは遺憾である。よつて政府は受給者の実情を踏まえ、次の事項について速やかに検討の上善処すべきである。  一、恩給の改定実施時期については、現職公務員給与改定時期を考慮し、均衡を失しないよう配慮するとともに、各種改善を同時期に一体化して実施するよう努めること。  一、恩給の最低保障額については、引き続きその引上げ等改善を図ること。  一、扶助料の給付水準については、さらにその改善を図ること。  一、戦地勤務に服した旧日赤救護看護婦及び旧陸海軍看護婦に対する慰労給付金の増額を検討すること。  一、恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃すること。  一、外国特殊法人及び外国特殊機関の未指定分の件について、速やかに再検討を加え適切な措置を講ずること。  一、かつて日本国籍を有していた旧軍人軍属等に係る戦後処理の未解決の諸問題については、人道的見地に立つて検討すること。   右決議する。  以上でございます。
  145. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ただいま山崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  146. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 全会一致と認めます。よって、山崎君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、丹羽総理府総務長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。丹羽総理府総務長官。
  147. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) ただいま御決議になりました事項につきましては、御趣旨を体し、十分検討してまいりたいと存じます。
  148. 坂野重信

    委員長坂野重信君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後二時四十七分散会