運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1983-04-19 第98回国会 衆議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月十九日(火曜日)     午後二時開議  出席委員    委員長 山崎平八郎君    理事 加藤 紘一君 理事 亀井 善之君    理事 北口  博君 理事 玉沢徳一郎君    理事 小川 国彦君 理事 日野 市朗君    理事 武田 一夫君       上草 義輝君    植竹 繁雄君       小里 貞利君    太田 誠一君       狩野 明男君    川田 正則君       岸田 文武君    北村 義和君       佐藤  隆君    笹山 登生君       志賀  節君    田名部匡省君       羽田  孜君    保利 耕輔君       松野 幸泰君    三池  信君      三ツ林弥太郎君    串原 義直君       田中 恒利君    竹内  猛君       中村  茂君    前川  旦君       松沢 俊昭君    吉浦 忠治君       神田  厚君    寺前  巖君       阿部 昭吾君  出席国務大臣         農林水産大臣  金子 岩三君  出席政府委員         農林水産政務次         官       楢橋  進君         農林水産大臣官         房審議官    古谷  裕君         農林水産省経済         局長      佐野 宏哉君         農林水産省農蚕         園芸局長    小島 和義君         農林水産省畜産         局長      石川  弘君         農林水産技術会         議事務局長   岸  國平君  委員外出席者         環境庁水質保全         局土壌農薬課長 津田  隆君         外務省経済協力         局技術協力第一         課長      佐々木高久君         通商産業省基礎         産業局化学肥料         課長      横田 捷宏君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ───────────── 委員の異動 四月十五日  辞任         補欠選任   寺前  巖君     野間 友一君 同日  辞任         補欠選任   野間 友一君     寺前  巖君 同月十九日  辞任         補欠選任   近藤 元次君     植竹 繁雄君   田名部匡省君     狩野 明男君   渡辺 省一君     笹山 登生君   串原 義直君     中村  茂君 同日  辞任         補欠選任   植竹 繁雄君     近藤 元次君   狩野 明男君     田名部匡省君   笹山 登生君     渡辺 省一君   中村  茂君     串原 義直君     ───────────── 四月十九日  家畜改良増殖法の一部を改正する法律案内閣提出第五五号) 同月十五日  畜産経営の安定と拡充強化に関する請願井出一太郎紹介)(第二四四七号)  同(小川平二紹介)(第二四四八号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第二四四九号)  同(串原義直紹介)(第二四五〇号)  同(倉石忠雄紹介)(第二四五一号)  同(小坂善太郎紹介)(第二四五二号)  同(清水勇紹介)(第二四五三号)  同(羽田孜紹介)(第二四五四号)  同(宮下創平紹介)(第二四五五号)  蚕糸業振興に関する請願井出一太郎紹介)(第二四五六号)  同(小川平二紹介)(第二四五七号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第二四五八号)  同(串原義直紹介)(第二四五九号)  同(倉石忠雄紹介)(第二四六〇号)  同(小坂善太郎紹介)(第二四六一号)  同(清水勇紹介)(第二四六二号)  同(羽田孜紹介)(第二四六三号)  同(宮下創平紹介)(第二四六四号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  肥料取締法の一部を改正する法律案内閣提出第四二号)  酪農振興法の一部を改正する法律案内閣提出第四三号)  家畜改良増殖法の一部を改正する法律案内閣提出第五五号)      ────◇─────
  2. 山崎平八郎

    山崎委員長 これより会議を開きます。  内閣提出肥料取締法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内猛君。
  3. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、肥料取締法改正に関する問題に関連して、若干の質問をしたいと思います。  肥料農業基幹資材としてきわめて重要なものであることはすでに承知のとおりですが、肥料取締法は、昭和二十五年に制定されてから今日まで、肥料品質保全と公正な取引確保等消費者農民のためには大きな役割りを果たしてきたものでありますが、今回の取締法改正は、業務効率化品質保全、検査の強化をねらうものであると思います。  内容的には、肥料生産流通あるいは消費に直接関係している農業団体などは積極的に賛成を表明しております。私もこの問題で各農協を歩きましたが、おおむね賛成をしております。特に取り締まり行政効率化については、登録義務が免除されたこと、届け出制になったということによって登録手続簡素化が行われる、業務効率化を図るということは明確でありますが、次の点について問題があると思いますので、若干のお答えをいただきたい。  まず、品質保全の問題に関して、肥料原料の種類、製造方法等多様化に伴い、品質保全措置強化の必要な肥料流通すると予想されますが、それの対応については格別の措置をとらなければならないと考えられます。改正の全体を通じて、この肥料法案がそういう肥料品質についてどう対応するのかという点と、特に今後、保証肥料原料名表示する必要があると思います。  なおさらに、この法律の施行後にもし肥料によるところの被害が生じた場合においては、どこでその責任をとるのかという問題。  それから、価格に関しても公定価格等については一定表示をする必要があるのではないか、こういうふうに考えますが、その辺のことについてはどうなるのかということをまず先にお尋ねいたします。
  4. 小島和義

    小島(和)政府委員 御指摘になりましたように、ただいまの肥料取締法は、昭和二十五年に制定されまして以来、若干の改正は経ておりますが、三十数年間にわたりましてその基本的な骨格はほとんど変わることなく維持してきておるわけでございます。  近年、農業の方の事情が変化してまいりまして、登録肥料の件数というのも大変膨大になってきておりまして、それに対する対応が必要になってまいります。同時に、肥料自体品質も、大部分のものにつきましては非常に安定してまいりまして、利用の面におきまして特に問題を生ずるようなものもほとんどないという状況に相なってきておるわけでございます。  そういうふうな事態を踏まえまして、今回この取締法につきまして改善すべきところは改善するとともに、その後の状況変化によりまして必要になってきております品質保全のための措置強化するというねらいを含めまして、改正に踏み切ったものでございます。  御指摘のございました肥料品質にわたります事項表示でございますが、肥料品質保証、特に有効成分保証ということがただいまの肥料取締法の一番骨格をなす規定でございまして、肥料保証票を添付させまして、必要な事項はその保証票記載をさせることによって生産業者特定の場合には販売業者の場合もございますが、その責任を明確にするということがこの制度の一番の内容でございまして、必要な事項につきましては、これまでも表示を義務づけてまいっておるわけでございます。今般の改正によりまして、保証票記載事項につきまして省令で追加的な措置ができるように相なっておりますので、今後の検討でございますけれども、必要によって原料名表示させるというふうなことも考えてまいりたいと思っております。  また、価格の問題につきましては、御承知のように全農中心となりましてメーカー取り決め価格決定いたしておりまして、それが全国の肥料流通のいわば建て値のようになっておるわけでございます。末端に参りますと、そのメーカー渡し価格に、農協の場合でございますと経済連あるいは単協手数料が上積みされてまいりますし、場合によりましては小運搬という費用が別建てで上積みされるということもございますので、単一の価格表示することにつきましては、この商品の特性としてはなかなかなじまないわけでございますが、それぞれの販売段階におきましては、どういう肥料が幾らで入手できるかということについては明瞭になるように措置いたしておるはずでございます。
  5. 竹内猛

    竹内(猛)委員 問題の大体の点はここで整理がされるわけですが、次に、肥料をめぐるところの現在の取り扱い上の状況は、生産者の側から見た問題点、それから利用者の側から見た問題点、さらにこれを販売する農協、こういう三つの立場があろうかと思います。  それで、生産を担当するのは恐らく通産省であろうと思いますから、生産の方から見た問題点というのにどういう問題がいま起きているのか。 それから利用者の側というのは、消費者ですから農民そのものですが、その点については先ほど来問題を指摘されたような点がありますが、まだまだ土壌問題というのが当然あるわけですから、これで全部終わったわけではありません。それから、価格決定はこの法律によって肥料年次にやるわけですが、それの取り扱い全農中心として商社も取り扱っている。その手数料等についての問題もあろうと思いますから、その辺の説明をしていただきたい。
  6. 横田捷宏

    横田説明員 御説明申し上げます。  先生指摘のとおり、通産省化学肥料生産を所管しておるわけでございますが、その品質保全の問題は、現在御審議中の肥料取締法に基づきまして農林水産省が監督しておられるわけでございます。現在の肥料を取り巻く生産面の問題といたしましては、何よりも、現在基礎素材産業全般に言われていることでございますけれども、その構造改善を具体的にどう進めていくか、構造改善を成功させることによって引き続き化学肥料工業日本農業発展にどう貢献していけるかという問題があるわけでございます。  この点につきましては、現在国会でも御審議をいただいております特定産業構造改善臨時措置法案、この中で化学肥料工業法定業種といたしまして、今後成立を待ちまして、肥料工業原料段階から製品段階に至る再活性化を図ってまいりたい、そういうコスト低減を含む厳しい合理化努力を通じまして、農業肥料工業とが両々相まって今後とも発展していくという体制を支援してまいりたい、こう考えておるところでございます。
  7. 小島和義

    小島(和)政府委員 肥料は一ころに比べれば農業経営費の中でのウエートは下がってまいりましたけれども、現在でもなおかつ農業経営費の中の現金支出の中では一三%台という、かなりなウエートでございます。償却費まで含めました経営費ということになりますと一〇%ぐらいだということに相なるわけでございます。作物別肥料費ウエートは区々まちまちでございますが、最大の作物の水稲の場合で申しますと六・五%ぐらいで、農業を営む方の側にとりましては、肥料価格の問題というのが品質の問題と並んで大変関心のあるところでございます。  御承知のように、二度にわたります石油ショックをきっかけといたしまして、肥料価格も大幅に値上がりをいたしておりまして、それ以前に比べますと二倍を超えるような水準になってきておるわけでございます。もちろん、これは肥料だけの問題ではございませんで、ほかの資材及び農産物の価格も同様に上がってきておりますから、相対的な関係ということになればあるいは同じになるかもしれませんが、従来の農業者側希望からすれば、世の中の落ちつきを取り戻すにつれましてできるだけ価格の安いものを入手したい、こういう希望を持っておるわけでございます。  その意味におきまして、ただいま通産省の方からお述べになりましたような肥料工業構造改善、それによりますところの操業度の向上、さらにはそれによるコストメリットといったものが農業の側に恩恵として行き渡りますように期待をいたしておるわけでございまして、その意味で、私ども化学肥料工業構造改善ということについては賛意を表しておるところでございます。  そのほか、最近の農村における肥料をめぐります問題といたしましては、従来、肥料流通の根幹をなしておりましたのは、最寄り駅での貨車乗り渡しというのが取引の慣行でございましたが、国鉄駅がだんだん集約化されてくる、それに伴いましてトラックの輸送というようなものもふえてまいりますし、また、陸上運賃全般にやや上がりぎみという状況もございますから、肥料生産者側努力とともに、流通面での改善によりまして、できるだけ農家の実際の引き渡し価格というものが合理的な水準で形成されますように努力しなきゃならぬというふうに考えておるわけでございます。  ディーラー側の、流通関係者側の問題というのは、多少その点趣を異にいたしておりまして、今日では農協扱い比率全農レベルで約七割、単協段階になりますと大体九割が農協扱いということになっておりますので、むしろ農協の全体の資材扱い体制の中でいかに合理化を進めるか、こういう問題であろうと思いますし、また、農協以外の流通関係者ということになりますと、農協との競争関係もとにおいてどうやって商系利点を生かしていくか、こういうところに一つの目的があるような感じがいたしております。  いずれにいたしましても、従来から農林省といたしましては、そういう二つ系統の適正な公正な競争環境を通じまして、価格が適正に形成されてくるということを期待をしておるわけでございますので、それぞれの持っております系統利点を生かしながら、公平な、かつ適正な流通が行われるということを期待をいたしておる、こういう状況でございます。
  8. 竹内猛

    竹内(猛)委員 ただいま三つの角度から問題を提起をしてお答えがありましたが、その中で生産者側の方の問題がかなり深刻のように考えます。三十年、四十年代の経済成長のころにはかなり生産が伸びてきた。にもかかわらず、最近は非常に生産も停滞をしてきたし、消費も余り伸びないというような状況もとに、さらに輸出の面よりも輸入の方に心配が出てきた。こういうような点から、先般来合理化をやったにもかかわらず、さらにいま説明があったような第二次の合理化をしなければいけない。こういうような状態になっていると思うのですが、これに関して、その第二次、これから合理化をしていくということで、いま別な委員会で議論をしておりますけれども、その場合において、既存の施設なりあるいはそれに関係している人員をどういうようにされようとするのか、この点が当然一つ出てくると思うし、さらに、国内においての内需を拡大するためにはどのような考え方があるのかということで、この二つの方から内需の拡大という問題は考えられるのか。  それからもう一つは、合理化という問題がありますけれども、それでもなおどうにもならない。そこで、企業人員配置転換。  もう一つは、海外への輸出というか、それが大いに減っている。それを拡大するために何か考えていることはないのかという点で、この三つの点から問題をひとつ提起をしますから、これについてお答えをいただきたい。
  9. 横田捷宏

    横田説明員 御説明申し上げます。  まず第一点の内需の問題でございますが、これは、私ども農林水産省の方の長期的な見通しもと生産面の問題を検討しておるわけでございますが、それによりますと、今後国内肥料需要は、窒素、燐酸、カリ、この肥料三要素のいずれをとりましても一%に満たない年率の成長である、横ばいないし微増、こういう数字でございまして、生産業界構造改善対策におきましても、国内需要はそういう厳しい想定もとで、なお合理化された肥料工業として再構築をしていく、こういう考え方に立っておるわけでございます。  もう一つ需要項目でございます輸出でございますが、先生指摘のとおり、輸出の維持ができるほど、設備の廃棄、処理、こういったものも少なくて済みますし、また、量産のメリットも還元できるようになるわけでございますけれども、いかんせん現在の国際市況は、この二、三年来と申しますか、非常に異常な低迷下にございます。わが国の肥料輸出も、たとえば尿素について申し上げますと、四十年代後半には年間二百万トンから二百数十万トン、そういう輸出産業でありましたが、現在の構造改善想定といたしましては、それが四十万トンを下回る、そういう厳しい想定でやっておるわけでございます。もとより近隣の中国その他発展途上の諸国からは、日本肥料価格面ではなるほど競争力は大変低下したけれども品質なりあるいは包装、輸送、そういった非価格面での評価は非常に高いということで、輸出の継続を求める声もございますし、他方、外貨に悩む発展途上国農業開発を急いでおられる国々からは、経済協力活用によって肥料の提供をしてもらえないか、こういうことで食糧増産援助の増大も要望されておりまして、できる限り、外務省関係省庁とも相談しながら、そういう対応を検討しておるわけでございますが、それも一つの限界がある、こういう考え方でございます。  そうなりますと、先生指摘国内構造改善、それと雇用の問題ということが出てまいろうかと思います。前回構造改善の際は、アンモニアで二六%、尿素で四六%という設備処理いたしました。そういう中でございましたが、雇用の面では配置転換を第一といたしまして、あるいは出向あるいは事業転換を積極的に推進する、こういう形で、自然退職を別といたしますと、いわゆる解雇といった厳しい不幸な状態は避けることができたわけでございます。  今回の構造改善は、化学工業全体が、肥料工業のみならず石油化学等非常に厳しい状況にございますので、より厳しい対応が迫られる可能性がありますけれども、現在国会で御審議していただいております産業構造改善臨時措置法では、前回のいわゆる縮小、後ろ向きの設備処理という対策だけでなくて、前向きに活性化投資をする、あるいは事業転換をする、原燃料対策を進める、こういった前向きの対策もあわせて実施するということを予定しておりまして、また、構造改善基本計画を策定し実施していく過程では、審議会労働組合代表者の方々の意見も積極的に反映していただく。また、労働省と緊密な連絡をとりながら、最悪の状態においても、新雇用安定法の適切な活用で、できる限り失業という形にならない対応を進めてまいりたい、こう思っておるわけでございます。  そういうことを通じまして、今後数年の間の厳しい努力を通しまして、また政府の金融、財政、税制面の支援もあわせまして、肥料工業を、内需を基盤とした活性化された産業という形で再構築してまいる考えでございます。
  10. 竹内猛

    竹内(猛)委員 横田肥料課長になおまたお尋ねをしますが、この問題は六十肥料年度までに一定の方向を見出す、こういう形になっていますが、いまお話しになったような問題は、大体六十年度には見通しとしてはでき上がりますか。
  11. 横田捷宏

    横田説明員 先生指摘のとおり、アンモニア尿素といいます基幹的な化学肥料工業構造改善、なかんずくその中の設備処理につきましては、アンモニアについて六十六万トン、尿素につきまして八十三万トン、あるいはそれ以上のものを六十肥料年度を目途に処理していくのが妥当である、こういう産業構造審議会の答申をいただいておるわけでございます。しかしながら、日本肥料工業が本当にその時点で安定化し、かつ将来の更新投資とか、こういったものを含めた発展可能性を持つ産業として定着するかどうか。これは第一にはエネルギー事情にもよることでございますけれども、率直に申し上げまして、もう少し時間はかかり得る、こう思っておるわけでございます。  その意味で、先ほど申し上げました産業構造改善臨時措置法では、法律の期限は五年間ということになっております。その中の五年間の時間を私どもとしてはできる限り利用いたしまして、そのうちの六十肥料年度までに骨格的な設備処理、こういったものを進めていく。さらに、残る時間の中で企業者間の事業提携努力とか、その他新たなエネルギー情勢への前向きの対応、こういったものを引き続き進めていくことによりまして、法律の期間内に肥料工業全体を先ほど申し上げましたような姿に持っていくようにしたい、こう考えておる次第でございます。
  12. 竹内猛

    竹内(猛)委員 現在、下がっているものが二つあると言われていますね。一つ中曽根内閣の人気が大分下がったということ、それからもう一つ石油が下がっている。これは確実に、恐らく一バレル五ドルぐらいですか、下がっているはずですね。これが下がった部分については、肥料原料等に対して大きな基礎になっているんですから、当然肥料価格は下がってしかるべきものである、こういうふうに思いますね。輸送においてもそうですね。ところがそれが下がらないということになるならば、その下がった部分の差額はだれが取るのか、こういう問題になるわけですから、この点はどうなんでしょうかね。石油が下がった、原料が下がったというときにおけるところの肥料価格のとらえ方、あり方というのはどうなんでしょうか。
  13. 横田捷宏

    横田説明員 先生指摘のとおり、現在苦境にあります化学肥料工業を初め、基礎素材産業構造改善上の問題点は、第一次、第二次の石油ショックという原油大幅引き上げによってもたらされた面が非常に多いわけでございますので、今回原油がOPECのベースで五ドル引き下げて二十九ドルをベースとするという決定は、基本的に、関係産業にとりましても、また日本経済にとりましても大変好ましいことである、こう考えておるわけでございます。  ただ、具体的にたとえば化学肥料工業の中の一番基幹的なアンモニア製造業をとってみますと、実はすでに非常に高い石油系ナフサ等原料を使うのをやめまして、たとえばLPG、こういったものにこの一、二年の間大幅に転換が進められておったという事情一つございます。また、これも皮肉なことに、原油が下がりますと本来はLPGも連動して下がるのが常識かと思うわけでございますが、サウジアラビアの原油大幅減産というような中で、せっかく転換いたしましたLPGが大変な価格高騰を示しておりまして、供給面でも若干の不安がある、こういう状態になっておりまして、現在各メーカーは、せっかくLPG転換いたしましたが、相次いでナフサにまた戻っておる、これが現在の状況でございます。  そういうことを踏まえて考えますと、原油引き下げは当然われわれにとって、価格引き下げに通ずるコスト引き下げをもたらすことを期待したいわけでございますけれども、第一点は、その二十九ドルになりました原油価格レベル、それに基づくナフサ価格レベルというものが、かつての転換段階でのLPGの値段よりもなお割り高であるというのが第一。第二点は、ナフサ価格の方も原油の五ドル引き下げほどは下がっていない。最近の状況では原油二ドル分程度しか下がっていない、こういう問題が第二点。それから、いろんな原料多様化等のために新たに投資した設備の回収、こういったような問題もございますので、当面直ちにコスト面価格面での引き下げがどのように出るかというのは即断を許さない、こう考えております。
  14. 竹内猛

    竹内(猛)委員 内需が余り進まないという問題、それから輸出もそう期待ができない、こういうことになると、この肥料の前途というものは非常に暗いわけですね。そして、逆に外国からやや国内より安いものが輸入をされてくるということもあるということになれば、それが一つの圧力になる。  そこで、農用地開発公団の法案を審議するときに、外務省と関連がある国際協力事業団の協力で農用地開発公団が提携といいますか、海外に開発協力をするということで、たしか七名の職員が海外に出ているはずですね。これはまだ調査に出ているわけだから、直ちに開発をして云々ということにはならないと思いますが、ブラジルと東南アジアのたしかインドネシアだと思いましたが、そこへ出ているはずです。そこでいま進めているのが主として農用地開発公団の仕事ですから、その先の方は当然農業開発で現地の生産を高めて、現地の農産物の収穫を高めていく。そして現地が豊かになると同時に、それには機械とか技術とか肥料、農薬等が農業の場合には必要になるだろう。あるいはそれに対する資材等も必要になるでしょう。中国にしても、いままで日本の協力によっていろいろなプラントができてきたわけですけれども、それが生産が始まったということで、あれだけの広い場所でいまぐらいの生産力ではとうてい肥料の全需要量には及ばない、こう思いますけれども、もう少し近代化が進めばさらに必要になるのではないかと思います。  そこで、外務省にお伺いするわけですが、まだそこまで話が前進をしていないかもしれませんが、現在の国際協力事業団の仕事の中でいま私が申し上げたような問題について考えているのかどうなのか、その辺は外務省としてはどうなんでしょうか。
  15. 佐々木高久

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  国際協力事業団はいろいろな分野において技術協力をやっておりますけれども、その中の一つの分野といたしまして開発調査という事業がございます。これは、開発途上国におきましていろいろな分野におきまして基礎的な調査をいたしまして、その報告書を開発途上国政府に提出いたしまして、何らかのお役に立つという事業でございます。  先生指摘の農用地開発公団との関係につきまして御説明いたしますと、国際協力事業団がやっております開発事業の中で、民間のコンサルタント会社を通じましてやる調査が多いわけでございますけれども、民間の会社では手に負えないような大きな規模の調査、特に農業関係の調査につきまして農用地開発公団にお願いしているというケースがございまして、現在実施中の案件といたしましては、パラグアイにおきましてヤシレタダム隣接地域の農業総合開発計画に対しまして調査団を派遣いたしまして、現在調査中でございます。これは実際に実施中の案件でございますが、それ以外にインドネシア、マレーシア、パラグアイ、この三カ国に対しましては、情報収集という形で農用地開発公団より調査団が現在出ております。
  16. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そのように農業開発を前提にして調査が進められている。私もインドネシア方面には行ってきましたが、確かに技術者がかなり入って、これは農林水産省からの技術者ですが、水田の技術指導とかという、いろいろな点で行っておりますね。  それから、ジャワ島には人口が密集しているけれども、スマトラであるとかボルネオであるとかというところはまだ本当に原始林のような状態で、むしろ年に五十万くらいの人口が移転をするというようなところでもありますから、これは農用地開発公団法の審議のときにも申し上げたのですが、略奪であるとか収奪であるとか植民地化ではなしに、愛情を持ってお互いにそこで理解し合いながら現地の生産を高めてそこを豊かにする。そして剰余があれば日本にもまたいろいろ協力を求める。お金との関係であれば、もしいろいろ金銭で処理ができない場合には現物ということも、地下資源はいろいろあるところでありますから、考えられないことはないだろうというようなことで、この方面との相提携という問題は、これは原料石油で加工して出すということは運賃だけでも大変だという形で、通産省の方は余り乗り気じゃないかもしれませんが、そういう点については通産省としてはどうなんです。いまの外務省なり公団が考えている問題が、もし農用地であり、肥料なり農薬なり機械なりというものがそこへ出ていくという形に対する考え方に対しては、何か討議したことはありますか。
  17. 横田捷宏

    横田説明員 率直に申しまして、ジレンマの面もあるわけでございますが、たとえば化学肥料につきましても、私ども通産省と申しますよりも、日本政府といたしまして、伝統的市場でございましたマレーシア、インドネシア、こういったところに円借款の供与という経済協力の形態で化学肥料プラントの建設を支援しておる実態があるわけでございます。これはもとより日本産業、経済全体から見ますと、プラント輸出という形での効果もあるわけでございますし、また、日本が協力しなければ、その発展途上国はどうしてもそういう設備なり工場が欲しいわけでございますから、日本以外の国の支援を求めてでも建設するということがあろうかと思います。  そういう意味で、私ども肥料工業にとりましては、海外の需要も含めてより多くの需要が確保できることが望ましいのはもとよりでありますけれども、より総合的に判断いたしまして、海外のそういう農業開発等のための肥料工場の建設あるいは改良、こういったことに対しては積極的に支援していくべきものと考えております。ついせんだっても中国の化学工業部の部長以下が通産省にも来られましたが、そういう各国の固有の事情に基づく必要性については積極的な支援、温かい目で見ていく必要があろうか、こう考えております。
  18. 竹内猛

    竹内(猛)委員 物で、肥料という製品でやるよりも、技術なり施設で協力していこう、こういう考え方ですね。  外務省の方はよろしいです。ありがとうございました。
  19. 横田捷宏

    横田説明員 物とあわせて技術、そういった面でも協力していこうということでございます。
  20. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そこで、海外においてかなりむずかしい問題があるとすれば、これは国内において消費を拡大していくということ以外にはないと思います。 そうなると、国内の現在の農協なり農業の内部における問題、米の減反は、現在水田の四分の一近い減反面積ですね。  私は、最近農協に行って、農協の倉庫の実態を調べてきました。五十一年、五十二年の古い米は若干残っているけれども、自主流通米のような米はほとんど倉庫の中にはありません。農協の倉庫はほとんど空っぽになっている。一体農協の倉庫というものは年間どれくらい稼動していたら倉庫として成り立つものであるのか、農協の倉庫の稼動率について報告を願いたいと思います。
  21. 佐野宏哉

    ○佐野(宏)政府委員 農業倉庫の収支を償うためにどの程度の稼動率の水準が必要であるかということにつきましては、減価償却費の負担あるいは構造の種類、木造であるとか、モルタルであるとか鉄筋であるとか、あるいは常温であるか低温であるか、そういう違いがいろいろございますので、一概には論じがたいのでございますが、私どもの調べたところ、昭和五十五年度末で三千七百五十三農協農業倉庫を経営している農協がございまして、これらの農協が持っております農業倉庫は二万三千五百二十六棟、標準収容能力が千百五万トンということでございますが、結果的にはこの倉庫で一組合当たり平均して七百十七万円の赤字という状態になっております。赤字の原因というのはいろいろ考えられますが、米の生産調整もその一つの要因であることは先生指摘のとおりであろうと思います。  それで、こういうことで現実に農業倉庫が過剰ぎみになっておるわけでございますが、これにつきましては他用途への転用とか、集約、統合によって運営経費の軽減を図る、そういう方向で努力をしていってもらわなければなるまいというふうに思っております。
  22. 竹内猛

    竹内(猛)委員 確かに減反というものがほぼやむを得ないものである、これは復元できないのだということは、これは私たちは土地改良をして、品種改良をして、米がとれるようになって、現在土地改良の負担金をまだ支払っている真っただ中に減反を四分の一もされてしまった。しかも、米のとれるところも米のとれないところも平等に、平等というとそうでもないということになると思いますが、公平の原理というものが働いてやっておりますね。そうして、入るようになっている農協の倉庫の中には常に空気だけが入っている。空気からは倉敷料も何も取れないということですね。そうすると、農協の予算の中で一定の収入を見積もりにしてある。どこの農協の予算書を見ても、人件費の二人分ぐらいがいま赤字になっているのが実情なのです。ところが、農協労働組合は、当然ですけれどもやはり春闘をやっている。賃金を上げてほしい。これはあたりまえの話なのです。しかも、農協の職員は、単協の職員ほど賃金体系は安い。国連はその上でちょっと高い、全国運になるとさらに高いという形で、賃金体系の方からも不満が出ている。  こういう状態を考えると、私は永久に減反を認めるという立場ではありませんが、現状またこれ以上進めるとするならば、農協の倉庫に何かを入れなければ農協の収入にはならない。あるいはその減反分だけ、倉庫に入る部分だけ国が補助金でも出せば話は別ですね。そうでなかったら、先ほど佐野局長から話があったように、他の用途に使うような方向にして、そこら辺のショッピングか何かにして使うように用途を変更でもするようなことをしなければ、これはお金にならない。その辺はどうなんですか。これは大事な問題だと思いますよ。農協の倉庫活用という問題は、とうてい一千百三十五万俵の米が入るはずがない。そういう米をつくらしてないのですからね。どうですか。
  23. 小島和義

    小島(和)政府委員 私の方から申し上げるのもいかがかと思いますが、農業倉庫は基本的に周年物資が収納されておるというものではございませんから、都市部における一般の倉庫に比べれば、その倉庫自体としての一つの宿命みたいなものを持っているかと存じます。ただいまの転作との関係で申し上げますならば、確かに転作作物がそれぞれの水田に植わっておるわけでございますけれども、単純に単収だけで比較をいたしましても、米の場合に仮に八俵なら八俵とれるものが、麦とか大豆に置きかわってまいりますと、俵の数自体で比較いたしまして現状ではまだ低いわけでございますから、仮に農業倉庫の中に一時的に滞留いたしましたとしても、その実数量は当然下回ってまいるわけでございます。  今日の農業倉庫の一番深刻な問題は、つい数年前までは六百万トンを超える過剰米を抱えておって、それが農業倉庫にとって一つの大きな収入源であったという事実がございまして、ただいまそれが急速な勢いで減少しているというもう一つ事情が加わっている。こういう意味において、農協の倉庫事業というものが大変苦しい事情に置かれているということは私どもとしても理解できるところでございます。  これは、御指摘ございましたように、倉庫だけの問題として対応していくのか、農協事業全体の中で対応していくのかという選択の問題であろうと思います。現実に転作作物一つのてこにいたしまして新しい農協事業というものを築き上げる、そういう動きも出てきておるわけでございますので、個々の農協によってみんな対応は違うと存じますが、転作を進める過程におきましては、当然農協の健全な経営ということにも配慮しながら今後の地域の農業を確立していく、こういう努力を当然私どもとしてもすべきものと考えておるわけでございます。
  24. 竹内猛

    竹内(猛)委員 あれだけの農協の倉庫があって空っぽになっているということは、普通の倉庫業であれば倒産しますね。これはどうしても倒産する。だから、一千三百万から一千四百万トンの米の収穫ができる状況にあるものを一千万トンそこそこに抑えているわけだから、それを将来とも減反をしてずっと抑えていくならば、あれは当然米を入れるようにできている倉庫でありますから、それについて一部は米以外のものに活用するという方法でもとりながら、農協にも新しい収入の道を与えるということを考えられないかどうか、現地ではそういうことを言っていますよ。  備蓄の問題も当然必要なんですね。備蓄をしなければならない。しかし、備蓄しようにも備蓄する米がないのでしょう。備蓄できないのでしょう、これは。そういう状態がこれ以上続くということはどうにもならない話だし、それから経済局長にもちょっと聞きたいわけだけれども、いまの中央競馬会の内村理事長が経済局長のころに、農協のあり方という問題をいろいろ議論して、たしか農林水産省の中に農協の検討委員会ができているはずだ。  肥料手数料の問題にしても、末端で実際に汗を流して肥料を担いでいる単協手数料が余り多くない。手数料の問題については、段階的に、商社から出てきた場合に、全農に入ったときをゼロとすれば、県連には幾らでおり、県連から単協に幾らでおりるのか。こういう手数料に対してどういう指導をしているのかということもあるけれども、実際物を動かし運ぶというのは、一番安い賃金で働いている末端の農協の職員であり、労働者でしょう。中央にいる人ほど、それは選ばれた者でありますから、これはやむを得ない一つの形態ですが、職員間の人事交流というものはほとんどないのですから、中央に入れば常に中央であり、末端に入ればどれほど優秀でも中央にはなかなか来れないという仕組みになっている。公務員とそこが違うところでしょう、雇用関係は。そういうような中で、手数料のあり方、取り方という問題についても商社系と農協とは違う。ただ、全農肥料生産者との間で価格交渉をする権利を持っているのでしょう。だから、取り扱う量もたくさん持っているけれども、実際は商社系の方が親切だ、こういうふうに人は言っていますよ。だから、その点では、末端で実際に米俵を担ぎ肥料を運ぶその単協の労働者というものに対してどういう考え方をするか。  そこで、この農協の段階論だけじゃなしに、地域論というのが当然問題になるじゃないか。一つは、青森県や北海道の本当に純農村地帯にある農協、これは経済性としては非常に困難かもしれない。しかし、そこにいる人たちは農業で物を生産して農協の運営をするほかはない。ところが、高松の農協のように都市と農業が混合している混合型の農協がある。そうかと思えば、練馬のように、もう練馬大根があるかどうかわかりませんが、これはほとんど土地と保険で金はいっぱい持っている、こういう農協がある。それが同じような形で運営されるということについては、どうも余りいいことじゃないと思うけれども、そこらはもうすでに整理をされていると思うが、その辺のことほどうなっているのか。  幾つか質問をしたわけですが、その点についてそれぞれの担当から答えていただきたい。
  25. 佐野宏哉

    ○佐野(宏)政府委員 お答えいたします。  農協の各段階別の機能、それから同じ段階でありましても、地域的な格差によって農協対応すべきニーズがそれぞれ地域ごとに違っておるはずではないか、確かに大変ごもっともな御指摘であると思います。  私どもといたしましては、やはり先生指摘のように、最末端で農民と直接接触をする仕事をやってもらうところは、何といっても農協系統事業の基本であるべきものでありますから、そういう意味で、いやしくも単協段階で働いている人がその役回りからいって一番損だというようなことがあってはいけないと思っているわけであります。  したがいまして、たとえば農協の職員の段階別の賃金格差の問題でございますが、これにつきまして、確かに全国連、県連、単協、まずそれぞれの所在地域によってどうしても、全国連の方がそれ以外の段階よりも、県連、単協よりも、県連はまた単協よりも都市的な場所に立地いたしますから、そういう地域的な事情あるいは職員の学歴構成とか職種の違いとかということもございますので、一概には論じがたいのでございますが、ただ、現状ではだんだん全国連と単協との間の賃金格差というのも縮小してきております。ちょっと数字を申し上げますと、昭和四十五年当時は、単協の給与水準を一〇〇といたしますと県連が一三二、全国連が一六五という状態だったのでございますが、一番最近、昭和五十六年の数字で見ますと、単協段階一〇〇に対して県連の段階一二一、全国連の段階が一五三ということでかなり縮小してきておるわけでありまして、私どもも、こういうのは系統三段階のあり方から見て本来望ましい方向であるというふうに考えております。  それから、段階ごとの人事交流の問題について先生言及をなさいましたが、これは系統におきましても、それぞれの段階相互間において、研修を目的とする人事交流などについては、いろいろ出向したり出向者を受け入れたりという形で工夫をしておるようでございまして、一例を挙げますと、たとえば昨年度全農について見ますと、県連から五十二名の職員を全農が受け入れて全農で仕事をしてもらう、全共連の場合は十五名受け入れるというようなことをそれぞれ工夫してやっておるようでございます。これは、該当する職員の身分、雇用関係に関することでもございますので、なかなか役所が指導するということになじみにくい分野ではございますが、私どもとしては、農協が努めてこの種の問題に心を配って取り組んでくれることを期待してまいりたいというふうに思っております。  それから地域間格差の問題につきましては、なかなか行政をもってうまく対応しがたい問題でございますが、ただ、私ども見ておりまして、やはり北海道とか青森とかという地帯の農協と都市近郊の農協と、それぞれ置かれた客観情勢の違いに対応するように理事役職員が工夫をしながら、それぞれの地域にふさわしい事業展開をやってくれているように思います。むしろ問題は、その都市近郊地帯においてそういう環境に見合った事業展開をしていくことと農協のあるべき理念というものとの間にとかく乖離が生じがちであるという事態をどうやってこなしていくかということが、いま直面している問題なのではないかというふうに感じておるところでございます。
  26. 竹内猛

    竹内(猛)委員 ここでもう時間が来たから、あと二、三問まとめて答弁をしていただきたいわけですが、先ほどの倉庫の問題についてはまだ答えがないのですが、倉庫をこういう状態でいつまでもあけておくということは適当じゃないのじゃないかという点についてひとつ答えをもらいたい。  それから、土壌が、人手不足、兼業ということで、普通肥料、購入肥料中心が置かれて、有機質の堆肥等々が余り入らない、そのためにだんだん悪くなってきている。生産力が低くなってきていますね。そこで、土壌をどう強くするのか、よくするのか。土壌がよくなければいい物ができないということになりますから、そこで耕土培養法という法律がありますが、これに手をつける考え方があるかないか。これは政務次官の方へ尋ねなければいけないと思いますが、もう時間も来たから政務次官からもひとつこの点についてお答えをいただきたい。  それからもう一点は、先ほど生産者の側に立った肥料の問題、それからそれを受けている消費者の側、そしてそれを運搬する、中間である、もちろん生産者の立場に立っているわけですが、全農手数料の問題について、生産者から全農に渡って全農から単協におりる手数料と、商系が取り扱う手数料のことについてはまだ報告がなかったわけですけれども、これも報告をしてもらいたい。  そして、生産する労働者が不況だからといって首にならないようにするためには、何としても通産省にがんばってもらって、配置転換は職場を移っていくんだからやむを得ないにしても、ともかく同じような業種で働けるような努力を続けてほしいというように私は通産省にお願いをし、要請をしたいと思うのです。  以上の点を質問をいたしまして終わりたいと思いますが、お答えをいただきたい。
  27. 楢橋進

    ○楢橋政府委員 お答え申し上げます。  耕土培養法を再検討する必要があるかという御質問でございますけれども、最近のわが国の農業においては、水田の畑地への転換あるいは野菜の周年栽培、飼料作物の導入等に伴いまして、耕土の利用形態というものが変化を生じておりまして、土壌問題も非常に複雑化しておるわけであります。また、農業労働力の非常な減少によりまして、堆廐肥料等の培養が非常に少なくなっている。したがいまして、地力の低下が非常に懸念をされておるわけであります。  このような現状に対しまして、石灰、鉄等を含有する資材の効用による土壌の化学性のみの改良を主とする耕土養法ではその対応が困難となりつつあることなどから、耕土及び地力保全問題に対応でき得る新たな体制を整備する必要があるかどうか、各般にわたる検討を進めておるところでございます。
  28. 佐野宏哉

    ○佐野(宏)政府委員 お答えいたします。  農業倉庫の問題につきましては、基本的に倉庫の稼働率を維持するために政策的に収納すべき貨物をつくり出していくということはできないわけでございますから、やはり事業の実態に見合ったような他用途への転用、集約化という方向で対処をしていってもらうより仕方かないものというふうに思っております。
  29. 古谷裕

    ○古谷政府委員 肥料手数料のお話がございましたが、現在の農協系統肥料手数料につきましては、全農で〇・六%、経済連段階で二%、単協段階で一二%、これは平均でございますが、そういう状況になっておりまして、これにつきましては、各総会で決めておりますので明らかになっているものでございます。商系につきましては、御案内のように、これは手数料という概念でございませんで、マージンの中に含まれているわけでございますので、ちょっと比較はできないわけでございます。
  30. 竹内猛

    竹内(猛)委員 きょうは法案ですから大臣が見えるはずですけれども、参議院のために大臣が来なかったのははなはだ残念ですが、これで私の質問は終わります。
  31. 山崎平八郎

    山崎委員長 田中恒利君。
  32. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 肥料取締法の一部改正の二、三の問題について、この機会に農林当局のお考えをただしておきたいと思います。  いまも竹内委員の方から、最近の肥料の需給状況についての御質問がありまして、生産関係は御承知のように不況業種の指定を受けて昔の姿はどこへ行ったか、こういう状況になっておるわけでありますし、需要の方も一%伸びるのかマイナスになるのか、こういう状況で、肥料業界というのは需給とも大変見通しが厳しい、こういうことだと思うわけです。しかし、化学工業は技術革新で非常に複雑になって高度化をしてまいりまして、これに伴う廃棄物など多岐にわたって、取締法の一部改正一つの背景になっておるような状況も出てきて、肥料の種別そのものは非常に多彩化してきている、こういう特徴があるわけでありますが、こういう状況を踏まえて、今後の農林水産省肥料政策を進めるに当たって、基本的にどういう点を押さえて進めていくお考えか、まず前提としてこの点をお聞きをしておきたいと思います。
  33. 楢橋進

    ○楢橋政府委員 今後における肥料政策の推進に当たっての基本的な考え方はどういうことかという御質問でございますが、肥料農業生産に欠くことのできない基礎資材でありまして、その安定的な供給を確保することが肥料政策の基本だというふうに考えております。  今後においても、このような考え方に基づきまして、改正後の肥料取締法の適正な運用等により、肥料品質保全、公正な取引の確保、価格の安定、需給の円滑等に努めてまいりたい、このような考えでおるわけでございます。
  34. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 後でいろいろお聞きをいたしますが、前提に二つ三つお尋ねをしておきます。  この肥料取締法の一部改正の中で、幾つかの問題について一つの基準のようなものについてお伺いをしておきたいと思うのですが、それは、今度の改正で事務を簡素化するために従来の登録制から届け出制に変えていくということにつきまして、いわゆる指定配合肥料というものができるわけでありますが、この指定配合肥料については農林省令で決める、こういうことになっておりますが、その基準となるべきものは一体何か、これが一つです。  それから、登録がこれまで三年であったものを六年に延長をするという肥料が幾つかあるわけですが、この六年に延長するいわゆる普通肥料はどういう基準のものなのか。  三番目は、登録申請書の記載事項に植物に関する栽培試験の成績を追加する肥料、これも後で省令で指定するということになっておるわけですが、その考え方は一体どういう肥料なのか。  この三つは、いずれもこの法律の制定後省令で決めるということになっておるわけですが、その省令で決める場合に、どういう条件というか、種別のものをそれぞれ決めていくのか、その点をまずこの委員会で明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  35. 古谷裕

    ○古谷政府委員 まず、指定配合肥料関係でございますけれども、これは登録を受けました普通肥料のみを原料として配合した肥料、こういうものを広く対象といたしたいと考えております。  ただ、具体的な省令の制定に当たりましては、当面、一つとしましては液状の肥料を配合するもの、それから二番目に、農薬などの異物を混入するものなどは品質保全に万全を期する観点から除外したい、そういう形で定めたいというふうに思っております。  こういう考え方で省令を定めますと、現行の公定規格の中でいわゆる第一種複合肥料というのがございますが、このうちの一部など、十四の種類に属する肥料の一部が該当するというふうに考えております。全体で有効登録数の約四割がこれになるということでございます。  それから、有効期間を六年に延長する肥料でございますけれども、これにつきましては、生産方法が安定しておりまして、当該種類に係ります公定規格を相当期間変更する必要がないというふうなものを考えております。  具体的には、化学式であらわされます単一化合物、たとえば尿素みたいなものでございますし、それから天然鉱物を酸または熱分解したもの、これは過燐酸石灰というふうなものがございます。それから、天然の動植物を粉砕したもの、たとえば魚かすの粉末、なたね油等、そういうものを考えておりまして、このような考え方に基づきますと、現行の百十八の種類のうち約半数が六年に延長される肥料の種類になるのではないかというふうに思っております。  それから三番目に、植害試験を義務づける肥料、これにつきましては、近年増加しております副産物等を利用した肥料、これがふえてきた。その中で、原料なり生産工程、成分形態というものがいろいろ多岐にわたっておりまして、これは現在の肥料取締法の体系で申しますと公定規格で全部網羅しろということになるわけでございますが、とてもそこまでは定め切れないというものでございますので、あらかじめいわゆる栽培試験成績を出させまして、これをチェックしようというものでございます。  具体的には、原料なり生産の方法などから見まして、先ほど申し上げましたように、公定規格のみでは植物に害がないことを明らかにできない肥料、たとえば乾燥菌体肥料というふうなものを対象にしたいというふうに考えております。
  36. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 それでは、幾つかの項目について少し御質問をしておきたいと思います。  一つは、日本農業は世界一の多肥農業、こういうことで、単位面積当たりの肥料の投下量は非常に多いということで、だれも認めておるわけですが、最近、多肥農業がもたらす土壌の酸欠というか、有機物が非常に足らなくなってきた。そこから土壌変化がいろいろ起きて、米にしても、うまい米づくり、私どもはミカン地帯ですが、うまいミカンをつくらなければいけないということで、そういうものに対応する肥料が非常に伸びてきておるわけですね。つまり、有機物というものを肥料の中に組み合わせたいわゆる配合、複合肥料などが非常に大きく伸びておる。最近の肥料消費の動向というのは、米が三四、五%をもう割っておりますか、やはり蔬菜、果樹、工芸作物、こういう畑作を中心とした方向に、配合肥料中心にして非常に大きく伸びてきております。私などは果樹地帯でありますが、この中で有機入り化成というものがあるわけでありますが、この有機入り化成というものは一体どういうものなのか、どういう規格に基づいてなされておるのか。この点、ちょっとお知らせいただきたいと思うのです。
  37. 古谷裕

    ○古谷政府委員 いまお話しのように、最近、農家の間で有機質に対する志向が高まってまいりまして、いわゆる有機質のものを入れました肥料、こういうものの使用がふえておるわけでございます。具体的には、配合に使用されるものでございますが、有機原料として、魚粉なり植物の油かす、骨粉、そういうものがその中心になっておるわけでございます。  そこで、この有機配合肥料には、単純に原料をまぜ合わせますいわゆる配合肥料と、そのほかにいま御質問の化成肥料というものがあるわけでございまして、化成肥料というのは、一定の化学的変化を起こさせる、そういう製造過程の中に有機質を入れまして製造される複合肥料というものでございます。
  38. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 実は、この配合肥料原料の割合、成分をはっきりしたらどうか、こういう声が前からあって、いろいろ問題になってきたわけでありますが、保証票などの中に窒素、カリ、燐酸のそれぞれの割合などは載せておるわけですけれども、こういうふうに有機質がどんどん入ってくるということになっていくと、その有機質、つまり原料名、その原料の窒素なり燐酸なりの配合の割合、こういうものがわからないとこれを使う方も指導する方も非常に戸惑う、そういう声が大分高まってきております。  私は、いまここに生産業者保証票の幾つかを持ってきておりますが、これは二十キログラム入りのミカンの有機入り配合一号というものですけれども、これを見ましても、たとえば窒素の全量が一〇%ということになっております。そのうちアンモニア性窒素が一・五%、こうなっておるのです。あとの八・五%というのが実は有機質ということなんですが、これがさっぱりわからないわけですね。あと燐酸が七・〇、カリの全量八・〇、こういうふうに書いてあるわけですが、問題は、この一〇・〇の窒素の中で、アンモニア性の窒素を除いた八・五のいわゆる有機質というものが一体何から出てきておるのか。いまおっしゃられた魚粉であるとか、いろいろありますね。何から出てきておるのかわからないので、この内容をはっきりしてくれ、こういう声が非常に強いわけです。これは農家にも強いし、特に肥料の指導をやっておる技術者陣営の中に非常に強い。  これは、一つは施肥設計をする場合に、それがわからないと適正な指導ができないということ。それからいま一つは、価格面で、御承知のように肥料価格安定措置法でもって窒素、燐酸、それぞれの価格がわかるわけで、公表されておるわけです。計算すればすぐ出てくるのだけれども、この有機の問題がはっきりしてないものだから計算をしてもどうもわからない。何か非常に高いものを使っておるのだろう、こういうことなんです。これが粗悪になって、また何かごまかしがあるのではないかとか、こういう声がやはりなきにしもあらずなんですね。ですから、この内容の明示をしてほしい、こういう声が非常に強いわけですが、この点については、この法改正の中でどういう取り扱いをし、今後どういうふうに指導していくつもりか、この点を明らかにしておいてほしいと思うのです。
  39. 小島和義

    小島(和)政府委員 御指摘ございました有機入り配合と申しますか、それの原料表示の問題でございますが、今後、その必要性を見きわめながら検討いたしたいと考えておるところでございます。  ただ、有機原料につきまして、その原料の割合まで表示させるということになりますと、御承知のように、現在の肥料の取り締まり制度は有効成分保証ということを生命としておるわけでございますから、その割合をいわば固定してかかりますと、原料自体がかなり有効成分に振れのあるものでございますから、その都度有効成分保証成分を変えてまいらなければならないという問題があるわけでございます。ただいまの肥料の登録は、これは届け出制度になりましても扱いは同じでございますが、どういう有効成分保証する肥料であるかということによって肥料の銘柄が決まってくるという性格でございますから、その配合割合を固定してかかるということはなかなかむずかしいというふうに考えておるわけでございます。  今回、改正によりまして保証票記載事項の中に「その他省令で定める事項」というのが追加をされておりまして、この中で、配合いたしました原料肥料の名称を、できれば配合割合の多い順にこれを記載させるということによりまして、御要望のかなりな部分にはおこたえできるのではないか、かように考えております。  また、価格の問題でございますが、これは有機、無機を問わず、その原料肥料価格動向によりまして、成分当たりどれぐらいという価格のめどを立てまして、それによりまして、いわば全農レベルにおきまして価格決定してくる、こういうことでございますので、有機が入っておるから、その有機の原料としての価格を超えて不当に値が高いということにはなっておらないはずでございます。  いずれにいたしましても、こういう非常に多種多様のものが出回っておるわけでございますから、できるだけ適正な価格水準が維持され、また、それによって適正に流通するように指導いたしてまいりたいと考えております。
  40. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 私は技術的にそれほど専門家ではありませんで、素人ですが、ただ、有機入り配合というものは、先ほど余り細かい答弁はなかったわけですが、私の調べでは、たしか有機体窒素が〇・二%以上含まれておれば有機という名称をつけてもよろしい、こういうことになっておると思うのです。この〇・二%というものが余りにも少ないのじゃないか。いま、ともかく有機質を土壌へというかけ声、このキャッチフレーズというのは案外効くのですよ。ですから、何でも有機肥料だという形で、ますます多様化の度に拍車をかけておるような感じがしてならない。やはり化学的に見て有機原料というものが五〇%以上あって、その含有の成分が少なくとも二%ぐらいはないと有機質肥料とは言えないのじゃないか、こういう意見が技術者の中でもあるわけですね。こういう点は、これからの肥料の例の規格ですか、おたくの方でやるあれを去年も変えられたけれども、またそのうち検討するんだと思いますが、一遍十分に検討していただいて、有機肥料という以上はそれなりの内容を持ったものにしていくという方向を考えるべきじゃないか、こういうように考えておりますが、いかがでございましょうか。
  41. 小島和義

    小島(和)政府委員 ただいまお話しございました有機入りということを表示いたしております際の成分でございますけれども、これは、多分、化成肥料について有機入りという名称をつける場合の物差しではないかと思います。配合肥料の場合には、通常は肉眼をもって有機質が入っておるか入ってないかということは大体わかるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、この配合割合を厳密に理解してまいりますと、保証成分との関係で大変むずかしい問題が出てまいるわけでございます。多くの有機質肥料は窒素全量で保証をするということになっておりますので、有機質肥料の種類が違いましても分析結果は窒素全量でしか出てまいりませんから、配合の割合を分析によって確定するということにも非常にむずかしい問題がある。さような意味で、先ほど申し上げましたように、せめて配合の多い順にこれを表示させるということによって目的が達成できないか、かように考えておりますが、御指摘もございますので、さらによくその辺は検討いたしたいと思っております。
  42. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 先ほどの局長の答弁で、大体こういうふうに理解していいのですか。今度の法改正で、この指定配合肥料については、少なくとも国なり県なりの登録検査というものが行われないわけでありますから、したがって、そういうものについては原料肥料名というものを大きい順からやっていくというふうにまず理解をしていく。その他の配合肥料なり有機化成なり、いろいろとたくさんありますが、そういうものについてもできるだけ使っておる原料名を大きい順から載せていく、こういうふうに理解してよろしいのですか。
  43. 小島和義

    小島(和)政府委員 ただいまのお話の中で、指定配合肥料につきましては登録は行わないことになりますけれども、検査は登録肥料と同じように行うわけでございますので、届け出がありました内容の肥料と実際に売られておるものの整合性ということにつきましては、これまで同様、原料の収去その他によりまして正しい内容のものが売られておるかどうかチェックする、その点は全く同じでございます。  それから、ただいまの表示の問題につきましては、お話しございましたような意味で、内容がどういうものであるかということをせめて使用量の多い順ぐらいに表示させるということによって、厳密な使用割合とまではまいりませんが、使用者の方の側でそれぞれの配合されております原料肥料の特性というものを判断しながら購買の選択ができるというようなことにしたらいかがであろうか、かように考えておりまして、これから法律施行段階におきましてさらにその点は詰めてまいりたいと考えております。
  44. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 次に、肥料取締法の規制を受けてない土壌改良資材というものがこれまた最近非常にはやっておるわけでありますが、この土壌改良資材についてはどういう見解を持っていらっしゃるか、まずここから。
  45. 小島和義

    小島(和)政府委員 土壌改良資材の中には肥料としての効果も持っておるというものもございまして、それは肥料として肥料取締法の対象になるわけでございます。たとえて申しますと、炭カルのようなものはそれに該当するわけでございます。  ところが、御指摘ございましたように、最近、その改良目的に応じまして非常に多種多様のものが出てまいりました。その中には果たして効能書きどおりの効用があるのかどうか、こういう問題のあるものも出てまいっておるわけでございます。そこで、従来から都道府県の農業試験場あるいは改良普及所あたりがいろいろ試験をいたしまして、その結果に基づきまして農家に対して適切な指導をいたしておるわけでございますが、私どもといたしましても、できるだけこの問題についての知見を蓄えまして、都道府県の指導に当たりまして必要な情報が十分得られるように努めておるところでございます。  具体的なお話として申し上げますならば、五十五年度から土壌改良資材の検定方法、さらにはその検定基準というものを確立するための品質管理システム開発をやっておりまして、その成果ができ上がりますのを見守っておるところでございますが、こういったことを踏まえまして、さらに肥料以外の土壌改良資材について、農業者が品質のよいものを選択できるようにするためにどういう仕組みを考えればいいのかという行政上の必要な措置というものについてもこれから検討をいたしてまいりたい、かように考えております。
  46. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 農林省もどの程度あるかということで一度調査しておるようですが、恐らく農林省が調べたものよりも相当多いものがいろいろな形で出回っておるようです。  私は、肥料とは何かという肥料の定義でございますが、この問題についていま一度根本的にいろいろ検討してみる必要があるんじゃないか、実はこういう気がするわけです。つまり、取締法が言っておる肥料というのは、植物の栄養という視点を中心にして土壌に供せられるもの、植物体そのものに供せられるもの、それから土壌の化学的変化をもたらすもの、この三つを言っておるわけですね。この土壌改良資材というものは土壌の生物的変化というものに目を向けておるわけですね。土壌の生物的変化というものに目を向けたこういう資材、中にはいま局長指摘せられたように肥料に該当するものもあるわけですけれども、これがこれから新しい肥料と土壌の関係の中である意味では重要なのじゃないか。この土壌の中に虫がどれだけ動いておるのか、生殖、どれだけ大きくしていくのか。そういう意味では、肥料の定義がどうこうということになっていくとなかなか大変なんでしょうが、やはり何らかの規制措置というか、これについてのきちんとした行政指導の方針を持たないと、肥料取締法が、明治ですか、制定をされたころ、あるいは戦後混乱したときに新しい肥料法ができたころ、いずれもいろいろな異物を入らせないとか、あるいは間違った悪質なものが横行したとか、本来こういうことからこの肥料取締法というものが制定をされておるわけでありますが、今日の状況の中では改良資材の中にりっぱなものもあるし、効くものもあるわけですけれども、しかし、いろいろうわさとしては、宣伝が多過ぎてそれほどでもなかったとか、しかも価格が非常に高いといったようなことで、肥料そのものとはまた違った形でこれについては非常に多様な意見があります。  そういう意味で、一遍この問題について、行政当局にきちんとした考え方対応の方向を打ち出していただくことが必要な時期に入っている、こういうふうに私は思うし、本来ならば肥料の対象の中に入れる、こういう程度にまで枠を広げなければいけないのじゃないかとすら思うわけであります。いますぐどうこうということではありませんけれども、この際、そういう意見についての御意見をお聞かせいただいたら、こういうふうに思います。
  47. 小島和義

    小島(和)政府委員 私どもも、肥料そのものにつきましてはもう大変体系的にも取り締まりの秩序ができ上がっておりまして、また、製造側におきましても近年比較的品質が安定しているものが供給されてきているという現状に比べますれば、土壌改良資材の方がまだ混沌とした状態であるという意味におきましては、何らかの施策の必要性というものを痛感いたしておるわけでございます。ただ、肥料の場合と異なりまして、土壌改良資材の多くは即効的な効果が余り期待できませんで、ある程度使い込んで初めて効果が出てくるというものでございますから、多くの資材につきましてはその効果を経験的に判定するよりないわけでございます。  ところが、その資材そのものの何らかの取り締まりということになりますと、ただいま肥料について行っておりますように、たとえばアンモニア性の窒素がどれだけ入っておれば肥料としてどの程度の効果があるとか、あるいは燐酸、その中には水溶性燐酸、枸溶性燐酸がございますが、そういうものが何%入っておればどれぐらい効くものかということについてある程度分析して調べる方法もできておりますれば、その肥料を使った場合にどういう作物にどの程度効果があるかということもほぼ見当はつくわけでございます。したがいまして、今後この新しい土壌改良資材について何らかの規制措置を行うということになりますれば、そういう資材の持っております属性を調べることによってその効能をある程度判定できる、そのための検定の方法ないしはその検定の物差しというものをつくっていく必要があるということを先ほど申し上げたつもりでございます。  そういう仕組みになってまいりますと、ただいまの肥料取締法は公定規格あるいは保証票というふうな制度が最も共通した体系でございますが、その中で扱う方が適当なのか、あるいは肥料取締法とは別な仕組みの中で扱う方が適切なのかというふうな問題も当然出てまいりますので、ただいま申し上げましたその検定方法、検定基準の確立とあわせまして、制度的な対応をどうするかという面も含めまして今後検討いたしまして、できるだけ速やかに結論を得たい、このように考えております。
  48. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 この土づくりの問題は、やはり農業経営の根本になる問題だと思うのです。これが、農協が入っておりますが、業界、農家、こういう形で個々に動くだけで済まずに、地域全体として、それぞれの地域の町の土壌をどうしていくかという問題について、やはり地域計画として考えていかなければいけない時代になっておるのじゃないか、こう思うのです。そういう意味で、都市ごみのコンポストの問題とか有機質のセンターですね、そういう問題をやはり本格的に考えて、いろいろな農業の残存物、廃棄物、都市のいろいろなものなどをくるめたそういう施設といったようなものについて、今後相当積極的に進めていいんじゃないかと思うのですが、そういう点はどういうふうにお考えになっておるでしょうか。    〔委員長退席、亀井(善)委員長代理着席〕
  49. 小島和義

    小島(和)政府委員 ただいま御指摘ございましたように、最近の農村におきましては、省力技術の追求という観点から、従来各農家において伝統的な手法としてとっておりました堆肥づくりというふうなことが、とかく手が回りかねるという事態になってきております。そのこと自体が、長い農業生産性の、生産力の維持発展という点から見れば大変大きな問題なわけでございますが、さればといって、従来のように個別経営の中で堆厩肥を生産するということをやらせることにも一つ問題があるような気がいたしております。  その意味で、地域複合生産と申しますか、各地における新しい形の畜産が非常にふえておりますので、個別経営を超えた形で、その生産物ないしはその副産物というものを巧妙に組み合わせまして地域の土づくりに活用していくという手段、方法をとらなければならない時期でございまして、ただいまお話のございましたような有機物の供給センターというふうなものにつきましても、きわめてささやかでございますけれども、農林省といたしましても助成の道を開いてやっておるわけでございます。  また、そういう比較的広い区域の地域複合ということがなかなかむずかしい、もっと小さな集団等におきましては、堆廐肥づくりのための簡易な施設、機械というものを生産集団に対する助成の形で実施させるというふうなものもございまして、それらの事業を活用いたしまして、農家の規模を超えて地力の維持、向上のための施設的な対応ということをやっておるわけでございます。  それから、お話のございましたコンポスト等の問題でございます。これはまさに自治体側における都市ごみの廃棄の手段として堆肥づくりをする、こういうことでございまして、生産量も年々ふえてきておるわけでございます。  これにつきましても、質的には稲わら堆肥などと同じような堆肥としての効果があることが評価される一方で、一部重金属含量の多いものもございまして、取締法の中におきましても、特殊肥料の中ではございますが、重金属類の規制値を設けまして、その範囲内のものに限って使わせるという指導をいたしておるわけでございます。したがって、どちらかといいますと慎重な姿勢で使わしておるわけでございますが、資源全体、未利用の資源を有効に使って土地づくり、土づくりに活用するという意味から言いますと、これまた国全体として見るとなかなか大きな意味のあることであると思っておるわけでございます。その意味で、その安全性を確かめながら、また使用方法についての適正な指導を加えながら、今後も活用すべく努力いたしたいと考えております。
  50. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 それから、これも一遍検討してもらいたいと思いますが、特殊肥料の届け出は知事に対して行われるということになっておりますが、これは全国的なのかどうか。私も十分承知をしてない節があるのですけれども、できるだけ簡便にということもこの法改正の事務手続の一つのねらいになっておるわけです。特殊肥料の届け出は、法律的には代表者の名前であるとか住所であるとか品名であるとか、その程度でいいということですが、実際は、大半が試験結果の分析表というものを添付しておるわけです。その分析表の分析項目というのを見てみますと、いわゆる家畜のふん尿処理物、大体特殊肥料というのは家畜のふん尿などの処理と、あとは産業廃棄物の二つだと思うのですが、その二つとも大体同じような分析項目になっておるのですね。  私は、いまここに分析証明書というものを二つ持ってきておるのですが、大体そうでありまして、たとえば帝人の会社の活性汚泥、これは重金属の分析をやれば大体いいわけですよ。だから、カドミウムとか砒素とかニッケルとか亜鉛とか銅とかが幾らある、何ppmと、こうやっておるわけです。これはこれでいいのですけれども、これに水分とか窒素とか燐酸とかカリとか石灰とか、こういうものが入っておるのですね。そういうものをつけて出しておるわけですよ。これは出さなければいけないようになっているのだと思いますが、これも意味ないのじゃないかというようなこと。あるいは化学堆肥というのを、こっちもやっておるのですが、これもやはり肥料の方の分析をやればいいので、つまり窒素が幾ら、燐酸が幾らあって、カリウムが幾らあるかを見ればいいと思うのですが、やはりこれにカドミウムとか砒素とかあるいは水銀とか、こういうものをやっておるのですね。こういうものは、両方二つに分けてやればそれでいいのじゃないか、これも私の聞いた技術者の指摘点なんですね。これは一遍検討しておいていただきたいと思います。いかがですか。
  51. 小島和義

    小島(和)政府委員 特殊肥料の制度は、農業者が長年の経験ないしは五感による識別によりまして大体どんな内容の肥料なのかということが見当がつく、あわせてまた、肥料の価値が有効成分によって決まるという性格のものではない、こういったものを対象にいたしまして特殊肥料といたしました。これについては、有効成分保証という、先ほど来申し上げております現在の取締法の一番骨格となる制度の適用外にいたしておるわけでございます。  近年、御指摘ございましたような、いろいろな産業の副産物で重金属類を含むものが出てまいりましたので、土地の汚染防止というふうな観点もございまして、重金属類の含有値についての規制措置を設けております。しかし、その肥料成分自体につきましては取締法上規制をしないというのがたてまえでございます。  御指摘のございました愛媛県の事例は、最近、特殊肥料の中にも意外に肥料成分の高いものが出てくる場合があるわけでございます。汚泥肥料なんかの中にも非常に窒素成分などが高い、あるいはそれをさらに焼成する、焼くという形によってさらに高くなるものもあるわけでございますので、そういった特殊肥料につきまして、その他の特殊肥料同様に使い込んで、意外に作物の栽培上問題が出てくるというケースがあり得るわけでございますので、恐らく使う面の指導ということを念頭に置いて、県が自主的に御採用になったものであろうと存じます。  ただし、御指摘がございましたように、この制度の本来的な性格からいえば、特定の有害成分の規制は別といたしまして、肥料としての成分を調べたり保証したりというふうな性格のものではございませんから、使用上の指導については別途の手段によることといたしまして、届け出に当たって過剰な申請データをつけさせるというふうなことは適切でないというふうに考えておりますので、都道府県ともよく相談をいたしまして対処いたしたいと思います。
  52. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 いろいろな資材が上昇しております中で、肥料価格は、この数年来、御承知のようなことで比較的安定、むしろ下がりぎみ、こういう傾向を示しておるわけです。また、それはそれで関係業界にまた一つの問題を出しておるのだと思いますが、この肥料価格の安定等の臨時措置法ですね、これは五十九年で、時限立法で切れるということでありますが、生産者である業界と全農が団体交渉というか、話し合いで価格を決めていく、こういう方式は非常にいい制度ではないか、こういうふうに思っております。  この肥料価格安定法の五十九年度以降の取り扱いについて、これから検討するのだと思いますけれども、当局は五十九年度以降この安定法を存続をする、こういう意向なのかどうか、この点もこの際に少しお聞きをしておきたいと思うのです。
  53. 小島和義

    小島(和)政府委員 肥料価格安定等臨時措置法は、農業及び肥料工業の健全な発展を目的といたしまして、昭和三十九年の七月に五カ年の限時立法としてでき上がったものでございますが、その後、三回の延長を経て今日に至っております。したがいまして、明年の六月をもちまして、二十年にわたってこの制度が存続をしたということになるわけでございます。  お話がございましたように、その先どうするのかという問題につきましては、最近の肥料の需給あるいは価格、さらには肥料工業の抱えております構造上の問題なども踏まえまして、今後検討する所存でございますが、すでに私どもの方と通商産業省の基礎産業局の方でつくっております肥料対策協議会という場におきまして検討を始めておるところでございまして、その結論を待って対処することにいたしたいと存じております。     〔亀井(善)委員長代理退席、委員長着席〕  ただ、一般的な状況として申し上げますならば、この法律ができました当時に比べまして、幾つか事情が変わってきておる点があるわけでございます。  まず第一には、この法律の中身は、全農特定肥料メーカー価格取り決めができるということが一つの内容、いま一つは、肥料の一元輸出体制をとる、そのことによりまして国際的な競争力も強めてまいりますし、同時に、業界の安定も願っていく、この二つが柱になっておるわけでございます。昨年の六月をもちまして、長年続いてまいりました硫安輸出株式会社、これが輸出の窓口団体であったわけでありますが、特殊法人整理という政府の統一的な方針に基づきまして解散をいたしておるわけでございます。したがいまして、現在では、硫安輸出株式会社の窓口を通じてということではなくて、輸出取引法あるいは輸出貿易管理令によりまして、輸出会社がありました当時とほぼ同じようなことになるように強制的に運営しておるという状態でございます。したがって、立法的な方向で申しますと、この法律の中の要らなくなる条文がかなり出てくる、まずこれが第一点でございます。  第二には、全農肥料メーカーに対する価格交渉力が当時と比べれば相当強くなってきているのではないか。たとえば農業機械でありますとか、農薬でありますとか、いずれも法律上の格別の根拠を持たないわけでございますが、現在では、全農メーカーと個別に折衝をいたしまして値決めをいたしておりまして、それがほぼ全国の建て値として通用しているという現実があるわけでございます。特に、肥料の場合には、燐鉱石でありますとかあるいはカリでありますとか、国内必要量の半分以上を全農がみずから輸入をいたしましてメーカーに提供するという形になっておりますので、価格交渉力も当時に比べれば一段と強まっておるというふうな問題もあるわけでございます。  第三の問題でございますけれども、これは独禁政策と申しますか、公正取引委員会との関係になるわけでございます。過去におきまして、この前この法律を延長する際におきましても、大変長いこと続いておる制度でございますから、この制度についても今回限りであるぞよということについてかなり言い込まれてきた経過もあるわけでございます。  そういった大変むずかしい事情もあるわけでございますが、同時に、肥料生産者側及び需要者側のいろいろな問題意識もあるわけでございまして、その辺にらみ合わせながら今後検討すべき課題である、かように考えておるわけでございます。
  54. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 いま、肥料の安定臨時措置法の期限切れを前にして、若干のいまの情勢と対応した問題点指摘がございました。ひとつ、こういう問題は、それぞれの関係著を含めて、あるいは関係各省の間で十分検討していただきたいと思いますが、農業の立場から言えば、つくった者と買う者と、それぞれが同じ立場で話し合っていくということはきわめて良好な商慣習だと思いますので、ほかにいろいろありますけれども、ひとつ十分議論をして、私は、やはり何らかの形でこういうものを継続させていく必要があるのではないか、こういうことを考えておりますので、意見を申し上げて、次へ移らせていただきます。  通産省お見えですか。いま竹内委員の御質問でのやりとりをちょっと聞いておりましたが、いわゆる油の問題から関連して、LPGへこの一年急速に転換をした、それがまたいまナフサへ戻ってきた、こういうお話でありましたが、実はナフサでありますが、これはますますふえる方向のような話をいま伺ったわけです。そういたしますと、いろいろこれも国内の精製業界との関係などあるのだと思いますが、たしかいまやっておるのは国内産のナフサですね。輸入のものと価格は二千九百円ほど違うのだと思うのです。それを上乗せしてやっておるのだと思いますが、それにしても、だんだん安いところを買ってくるというものが出てくる公算も一方では強いと思うのですね。この場合、国内の油を中心とする、全体の関連というか均衡というか、いろいろむずかしい問題が出てくるのだろうと思うのですが、肥料原料の問題を中心にして、今後コストを下げていくという努力は最大限しなければいけませんが、ナフサの国産の一定の割合といったものをお考えになって行政指導を進められていくのか、あるいは肥料価格コストを低減するために原料など活性化の方向をどういうふうにお考えになっておるのか。この際、先ほどの竹内さんの御意見の中にもちょっとあったように思いますが、なおお尋ねをしておきたいと思うのです。
  55. 横田捷宏

    横田説明員 御説明申し上げます。  先生指摘のとおり、一度LPG転換をしてまいりましたアンモニア等の化学肥料工業が、現時点ではまたナフサに戻ってきておるというわけでございます。  まずナフサの問題について申し上げますと、従来、国産のナフサ輸入ナフサとの価格の格差の問題がございました。これは単に化学肥料工業のみならず、より大きなユーザーであります国内石油化学工業の方から、その制度の是正についての非常に大きな要望があったわけでございまして、これは昨年四月、通産省の省議決定によりまして国産のナフサの値決めについての一定のルールを新たに設けまして、輸入ナフサ国内ナフサとの価格が実質的に同じになるような仕組みが設けられております。その意味で、国産、輸入、こういった問題は現段階では厳しいものではなくなってきておる、こういうわけでございます。  そういう前提で、化学肥料工業原料の問題あるいは燃料の問題、これを今後の活性化対策の中でどう考えていくかという御指摘かと存じます。  わが国では、一部の天然ガスを除けばほとんど輸入原料ということでございますので、原料生産国と比べまして原料コスト面でハンディキャップがあるのは否めないわけでございます。そのための対策といたしまして、一つは原燃料の多様化を進めょうという対策でございます。先ほど、LPGに移り、またナフサに移りと、こう申し上げましたが、逆に申し上げますと、またLPGの方が安くなってくればそちらに戻れるような設備面及び運転面の対応ができるように化学肥料工業はなっていく。それも単に石油系だけではなくて、COGあるいはコークスガスと申しますか、あるいは日本のコンビナート等の総合化学の力を生かしまして、たとえば重油等を分解していきます際のオフガス、これを原料活用する。あるいは、より抜本的な対策といたしましては、石油系を離れた、たとえば石炭のガス化、石炭ガスを原料といたしましてアンモニアをつくっていく、これは世界的に小規模なプラントはありますが、大規模な商業プラントはまだないわけですが、今回、日本の某企業が巨額の設備投資を行いまして、世界で初めてそういう画期的な原料転換、これも進めょうとしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、そういうもろもろの原料源をみずから持ちまして、その中でそのときどきに最も有利なものを選択的に使っていく、こういうことによりまして国際的な競争力の回復を図っていく、これが原料対策の基本的な考え方でございます。
  56. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 時間が参りましたので、もう少し細かく、肥料の検査の陣容、体制、内容、事務などについて三つ四つお尋ねをしたかったわけですが、時間がありません。  たしか、いま、肥料の検査官は五十五名、府県の検査員は百四十名程度だ、こう聞いておるわけですが、これだけの人々で、昨年度で約二万四千件の登録の審査と分析、さらに必要な立入検査、帳簿の点検ですね、こういうものをやっていらっしゃるわけでありますが、今回の本法の改正で、一方では届け出制などによる簡素化が図られますが、また一方では、品質保全強化対策が幾つか加わってきておるわけでありまして、これだけの陣容で、幾つかいま議論をしてまいりましたようなことの処理が可能なのかどうか。一方では、臨調、農林水産省全体が総定員の枠を減らしていく、こういう状況の中で、肥料問題について、この検査体制というものをどういうふうに進められていくか。一面、強化をせよという一般的な期待があるわけですね。こういうものにどういうふうに対応せられていくのか。一方では、肥料の成分、製造過程自体をめぐっても非常に複雑多岐になってきておるわけでありまして、技術的にも非常に高度な技術が求められるし、分析が求められる。これに対応する必要な資材、器具の配置あるいは検査員、検査官の研修なり能力の向上、そういったような問題についてどのようにお考えになって本法改正の効果を発揮せられようとしておるのか。最後に、検査の執行体制なり要員なり必要な関連の施設などの問題を含めて、一括して御質問をいたしまして終わりたいと思います。
  57. 小島和義

    小島(和)政府委員 御指摘ございましたように、今回の改正によりまして登録関係の事務などにつきましてはかなり事務量を減らすということが可能になるわけでございますが、反面におきまして、肥料そのものが原料の種類なりあるいは製造工程なりにおきましていろいろ複雑化しておるわけでございます。そのため、特に取り締まりの面におきましては、従来にも増して検査事項がふえてくる、こういう事態にあるわけでございます。  取り締まり関係の職員の数は決して多きに失するものと私どもは考えておりませんけれども、さればといって人員面から大いに増強を図っていくということもただいまの環境下においては非常にむずかしい面があるわけでございます。したがいまして、今後の対応といたしましては、職員の技術的なレベルを上げていくという目的を持ちまして、これまでも研修等を通じて努めておりますが、今後さらに技術、人員の内容的、質的な増強ということを図っていく必要があるだろうと思っております。  同時に、これまでのように、いわば人海戦術で分析、測定をやっていくということだけじゃ対応し切れませんものでございますから、最近いろいろ新しい分析測定器具ができてきております。中にはいわゆるエレクトロニクスと申しますか、そういう電子技術を利用いたしまして、非常に複雑な成分をきわめて短時間に測定値を出すというふうな自動的な機械類ができてきておりますので、結構金目の張るものではございますが、予算の許す限りできるだけ最新鋭の機械器具を配置いたしまして、職員の仕事の面において不便がないように対応しておるところでございます。  都道府県におきましても、同じような趣旨におきまして、職員の質的なレベルの向上のために中央におきまして研修会を催すなどいたしまして、その技術レベルをある程度そろえる、引き上げる、こういう努力をいたしております。それらを通じまして今回の改正後の法の執行に万遺憾なきを期してまいりたい、かように考えております。
  58. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 終わります。
  59. 山崎平八郎

    山崎委員長 武田一夫君。
  60. 武田一夫

    ○武田委員 肥料取締法の一部を改正する法律案につきましてお尋ねをいたします。  まず最初に、今回の改正では肥料の登録制度の簡素合理化ということを一つの課題にしているわけでございますが、反面、肥料品質保全、いわゆる安全性という問題で心配がないかどうかという点がございますが、この点についての対応をどのように今後なさろうとするかという問題についてのお答えをいただきたいと思います。  と同時に、普通肥料の一部につきましては、取り締まりの規制の緩和ということがありますと、やはり今後大事なことは生産流通段階における事後検査というものを強化していく必要があるんじゃないか、こういうふうに思います。その対応もどのようになさりますか、ひとつあわせてお答えをいただきたいと思います。
  61. 小島和義

    小島(和)政府委員 肥料品質保全肥料取締法の基本的な目的でございますので、今回の改正におきましても、肥料生産の実態等を踏まえまして、植物被害に関する品質保全措置についてさらに強化を図るということにいたしておるわけでございます。  また、今回、改善合理化ということでやや手続を省略いたしますものの中に、一つには指定配合肥料という制度を設けまして、その原料とする肥料についての登録がすでにとられておるもの、それだけを単純に配合するものに限りましては、これを届け出にするということにいたしておりますし、また、非常に生産方法の安定しております肥料につきましては、登録の有効期間を延長するということにいたしております。従来、登録は一律三年ということで実行いたしてまいりましたが、尿素を初めあるいは過燐酸石灰でありますとか、その他多年にわたって使われておりまして、公定規格の改正というふうな事態もめったに起こらない、こういう肥料につきましては、登録期間の延長によって特に品質保全措置が弱まるという問題はないというふうに考えておるわけでございます。  その意味から、今回の改正は、一部分につきまして品質保全措置を強めるというねらいがございましても、これによって非常に粗悪な肥料が出てきて農業者の利用面から問題が出てくる、こういう心配はいささかもないものと考えております。  また、検査の問題でございますが、御承知のように国と都道府県が分担をいたしまして工場等への立入検査を行っておるわけでございますが、今回の改正によりまして届け出肥料になりましたものについても検査は従来同様行うわけでございます。過去におきますこの検査の点数と申しますか、件数は、大体毎年一万五、六千件程度でございまして、ほぼ横ばいでございます。  そういうことで、検査そのものは今後も続行いたしますし、また、その検査に必要な人員なりあるいは検査に必要な機械器具といったものの充実整備を図りまして、生産流通段階におきます肥料品質の確保ということについてはこれまで同様努力をいたしてまいる所存でございます。
  62. 武田一夫

    ○武田委員 飼料、えさの場合、約二千二百万トンくらいあるんだそうですが、検査の網にかかるのは〇・五%くらいだ、こう聞いているのですが、肥料の場合はこれはどのくらいになっておりますかね。というのは、悉皆調査するわけでないですから、できればこれは全部やれればそれにこしたことはないのですが、抜き取り調査であるということになりますと、どのくらい抜き取り検査をすれば安全性という問題で大丈夫だという、そういう保証ができるかという問題があると私は思うのです。ですから、最大限の努力をしながら、安全性の確保のための対応というのは今後一層強化しなければならぬ、こういうふうに思うわけであります。  そういう意味で、どの程度の抜き取り検査をすればいいか、こういうことを今後の一つの問題として聞きおきたい、こういうふうに思うのですが、いかがでございましょうか。
  63. 小島和義

    小島(和)政府委員 肥料の場合には、飼料の場合と違いまして、取締法の対象とするものは流通肥料のすべてであるという体系をとっておるわけでございます。その点が、えさのように天然物あるいは農家自体の中で生産されました農産物そのものがえさとして使われる、こういうものとは違いまして、流通する肥料はことごとくこの体系の網の中にかぶせてある、こういうことでございますから、一概にえさとの比較はむずかしいのではないかと思います。  どれぐらいのものを調べておるのかということでございますが、登録いたしております肥料の件数は大体二万三千件くらいございます。その中には一時的に生産が中止されておるものも含まれておりますので、実際に生産流通されております肥料の銘柄数はそれよりは若干内数であると見ております。これに対しまして、肥料の一年間の検査点数は一万五、六千点ということで、ほぼ横ばいでございます。その中には、必ずしも同じものについて一点だけの検査ということではございませんものですから、すべてを毎年検査しているというわけではございませんで、大体二年ないし三年に一遍検査が回ってくる。ただ、それも定期的に順番をつけて回りますとことしは検査が来ない年ということがはっきりいたしますから、その辺はかなり弾力的、機動的に対応いたしておりまして、その検査の対象から漏れることがないようにいたしておるところでございます。
  64. 武田一夫

    ○武田委員 これは抜き取り調査をしているけれども、たとえば何年かに一回は総点検はしているわけですか。
  65. 小島和義

    小島(和)政府委員 これは、肥料そのものを工場その他の場所で収去いたしまして持ち帰りましたサンプルを検査所の中で分析をいたしまして、保証成分どおりの内容の肥料であるかどうかということを確認いたしておりますので、そこにはおのずから分析上の能力の限界のようなものがあるわけでございます。その意味で、ある年に全部の肥料を全面的に洗い直すということは物理的に不可能でございまして、先ほど申し上げましたように何年かに一度の割合で回ってくる、こういうふうなことで対応いたしておるわけでございます。銘柄数で申しますと、先ほど申しました二万三千件のうちの大体三千銘柄程度が一年に検査されておる、かようにお考えくだされば大体当たらずといえども遠からずということではないかと思います。
  66. 武田一夫

    ○武田委員 さっき私は流通段階での事後検査を強化すべきだというふうに申し上げました。仙台肥飼料検査所の統計によりますと、流通段階での違反業者等々というのが、そんなにいっぱいでないのですが、昭和五十六年には五件。これは他の検査機関から依頼されて調べたところが違反のものがあった。それから、他の検査機関へ依頼した結果、違反であったというものがやはり五件。要するに、こういうものが流通の段階でひっかかっているわけですね。特に配合肥料原料メーカーに多い、こういうふうになっているのですよ。これは年に五、六件、合わせて十一件、十二件くらいのものですが、だからといってこれは放置さるべき問題ではない、こういうふうに思うわけです。そういう意味で、流通段階でのきちっとした検査というものは強化すべきでないか、こういうふうに申し上げたわけであります。  それから、農林水産省肥料検査成績一覧を見ますと、昭和五十四年、五十五年、五十六年と見てきますと、有機質の肥料の不合格率が非常に高いわけですね。たとえば骨粉類というのですか、これなどは五十四年が二一・七%、五十五年が二八%、五十六年は少なくなって六・三%。それから混合有機質の肥料につきましては一三・三%、二七・五%、三三・五%。これは五十四、五十五、五十六年と不合格率が高い。  この仙台の検査所の実態の報告を見てみましても、やはり有機質が非常に問題として出されているわけですね。ですから、この点、もう少ししっかりと検査の体制を整えていかなければならないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、どういうふうにお考えですか。  それから、仙台の検査所で実際に検査をした中で、違反業者あるいは工場が二件、いま調査中が二件とここにあるわけですね。これを合計しますと、一年間に全部で二十件近くの違反業者ないし工場が指摘されているわけですね。私はこれは非常に心配ですので、今後の対応をしっかりとしてほしいと思うのですが、いかがなものですか。
  67. 小島和義

    小島(和)政府委員 肥料の立入検査等に当たりましての違反件数というのは、全体として眺めてみますと不合格率は二%から三%くらいということで、率そのものは決して多いわけではありませんが、年を追うて全然減っていっている様子がないということについては、御指摘のように一つの問題であると思います。  ただ、違反の中身でございますけれども、かつては無登録の肥料を販売したり悪質な異物混入があったりというケースがございまして、中には告発をしたものもあったわけでございますが、最近の違反と申しますのはほとんど保証成分切れというふうなケースが多いわけであります。特に配合肥料の場合には、原料を適正に配合いたしましても成分のばらつきのようなものがどうしても出てまいりまして、私どもの検査はサンプルを収去して検査するものでございますから、あらゆる部分にわたりましてまんべんなく原料が配合されておらない、成分の偏りがあるということから違反が後を絶たない、こういうことであろうかと思います。また、特に有機の入っておりますものが成分切れが多いということになりますと、原料の有機質そのものの有効成分にかなり振れがございまして、多分これくらいはあるだろうと思ってまぜましたものが、実際には原料自体の有効成分がそんなになかったということから計算上の欠陥を生じている、こういう問題もあるわけでございます。  今回の改正は、すでに申し上げましたように登録をとってあります肥料だけの配合でございますから、登録肥料自体に欠陥がないかどうかということはもちろん厳重にチェックしなければなりませんが、それらの配合でありますので、御心配のような問題は起こらないというふうに考えております。  それからいま一つの問題は、そのように配合いたしました場合に、配合原料の偏りと申しますか、ばらつきと申しますか、そういうものの許容限度をどこまで認めるのかという問題があるわけでございまして、収去いたしますサンプルはごく少量でございますが、実際に農家が圃場にまきますものはそういうサンプル程度のロットではなくてもっと大きな量でまくわけでございますから、少量のサンプルにおける有効成分のばらつきというのはもう少し余裕をもって認めてやってもいいのではないかという問題意識も実は持っておりまして、これは今後の検討課題であるというふうに考えております。そういたしませんと、保証成分切れにならないためにはどうしても有効成分を多目多目に配合をしていく、そのことは一種のサービスでございますけれども、まかり間違えますと肥料成分が過剰に失するという心配もあるわけでございますので、それらとあわせて今後の検討課題だと考えております。  そのほかの流通段階で起こっております違反件数は、主として保証票に書くべき事項を完全に書いてないというふうな問題であります。そのほか、つけてありました保証票流通段階において取れてしまったままに流通している、そういった例も幾つかあるわけでございまして、総体としてそう悪質なものはないように判断をいたしておりますが、いま申し上げましたような問題意識も含めまして、今後の検査の一層の精度向上、あわせて業界指導ということに徹底を期してまいりたいと考えております。
  68. 武田一夫

    ○武田委員 次に、今回の植害。試験の成績を記載させる肥料の範囲ですね、これは具体的にどういうものを考えているかということが一つ。それから、この植害。試験の調査業務というものにつきまして、登録審査の迅速ないわゆる処理を図る上での検査官あるいはまた検査設備の一層の強化というものが必要ではなかろうか、こういうふうに思うわけでありますが、その点についてはどのようにお考えでございましょうか。
  69. 小島和義

    小島(和)政府委員 最近増加してきております産業のいろいろな副産物を利用した肥料の中には、原料生産工程、成分、形態等が複雑多様でありますために、通常では予測し得ないような有害成分を含有しているものが出てくる可能性があるわけでございます。もちろん、あらかじめどういう有害成分が入っている可能性があるか、また、肥料の製造工程等から当然予測できますようなものについては、公定規格の上におきまして有害成分の最大限というものを規定をいたしておりまして、それに合致しないものは登録を認めないということにいたしておるわけでございます。  ここでの問題になっております肥料のたぐいは、そのような予測がなかなかできない、仮に結果的に植物に害を与えるということがわかりましても、それがどういった物質に由来するものかということがなかなか分析段階ではわからないような肥料想定されるわけでございまして、そういったものにつきましてはあらかじめ栽培試験を行いまして、その栽培試験の成績を出させ、それをチェックすることによって間違いのない肥料流通させたい、こういうねらいなわけでございます。  ただいま想定いたしておりますものは、窒素肥料の中では粗製窒素肥料、液体粗製窒素肥料、いずれもこれは化学工業等の生産過程で生産される液体、またはこれを濃縮したものでありまして、そういった液体等の中に入っておりますアンモニアあるいは尿素等を活用しよう、こういう肥料でございます。それからそのほかに燐酸肥料の中の沈でん燐酸肥料の一部分、あるいは副産燐肥といったものを指定するつもりでございます。そのほかの肥料といたしまして、副産塩基性苦土肥料の一部あるいは乾燥菌体肥料の一部、いずれもこれは発酵工業、パルプ工業、さらには食品工業等の排水の中から得られます物質を沈でんして乾燥したもの、こういったものでございまして、その中に含まれております窒素その他の有効成分はかなりあるわけでございますけれども、同時に、発酵工業なり食品工業なりの原料なりそのプロセスなりに応じていろいろな新しい物質が副次的に生産されてくる可能性がある、こういうことがあらかじめ想定されるものについて指定をいたしたいと考えております。  しかし、私どものそういう想定に基づきます指定というのは必ずしも全部をカバーし得ているのかどうかという問題がございますから、今回の改正案にも盛り込んでおりますが、一たん登録を認めたものにつきましても、その後植害のおそれがあるというものにつきましては、販売停止、場合によっては登録の取り消しまでできるというふうな措置をあわせ講ずることにいたしておるわけでございます。
  70. 武田一夫

    ○武田委員 そこで、検査体制の問題ですが、私はやはり検査体制で大事なのは人の問題、それから設備等の問題、それからまたそのための予算が十分とれるものかという点の対応というのが重要な問題だと思います。  そこで、実は私、この間ちょっといろいろと関係者に聞きましたら、仙台と札幌にあります検査所、これは肥料と飼料を同時に取り扱っているのですが、最近非常に困ったことが出てきた。というのは、仙台の場合、昭和二十五年に検査所が設置されました。その当初はそういう業者も少なかった。そういう少なかったときの規模で人間が張りついてきた。現在、仙台の場合は所長以下十一名、合計十二名でやっているわけですが、最近飼料工場がふえてきて量もたくさんになってきた。特に昭和五十九年までに、八戸を中心として工場が五つも完成するようです。そうなりますと、当初の人間の規模ではとても手薄になってくるという心配がある。もしこれが今後ますますふえてきますと、飼料の検査も肥料の検査もやっていけないということで、これは大変な状況になるんじゃないか。  しかも、行革のとばっちりがありまして、運賃が上がっているのに旅費の削減だ、こういうわけですね。一つの工場に大体平均すると年に二回ぐらいやるんだそうです。濃密地域は三回ぐらい行く。そのときは一人でなくて二人で行くということをしている。こういうことになると、そういう検査する量が膨大になって、工場がふえてきたときに検査回数を減らすのか、あるいは人を減らすのかということの選択というので非常に苦労している。これは、安全性という問題を考えたときには、普通の業務とは違って一種特別な業種であるという特殊性が私は必要だと思います。  しかも、そういう検査ができるまでには三年ぐらいかかるというわけですね、一人が一人前になるために。二つ一緒に要るというと六カ年はどうしてもかかる。いま一人の人が二つくらいかけ持ってやっている。こういうことになりますと、今後非常に心配なことが起こるんではないかということを係の方が話しておりましたけれども、こういう地域の実情を踏まえた上での検査体制というものを見直しをして、きちっと適切な配置人員はふやしちゃいかぬとかと言われても、それは枠の中でいろいろと余裕があるところから移すとか、あるいはまた足らなかったら、多少のそういう批判があろうとも、これは必要なものですから、しっかりした人員配置させるとかということをしないと、検査体制、特に肥料の検査体制には大変な問題を起こさないということは保障できないように私は思うわけでございます。  そういうことで、この点の当局の取り組みをひとつお願いをしたい、こういうふうに私は思うのですが、いかがでございましょうか。
  71. 小島和義

    小島(和)政府委員 肥料の検査と飼料の検査の関係でございますが、かつて三十年代の初めまでは飼料の方の検査所は東京に一カ所しかございませんで、その後畜産の振興に伴いまして飼料工業が各地に増加をしてきた経過におきまして、従来六カ所にございました肥料検査所を肥飼料検査所に改めまして肥料も飼料も両方できるということにいたしたわけでありまして、その際におきましてかなりな増員も実行いたしたわけでございます。  また、肥料と飼料を同一の機関において行わせることにしました最大の意義は、分析方法がかなり似通っておる。したがって、分析器具と機械等におきましてもかなりなものが共用できるというふうな利点に着目をいたしましてこのような機関をつくったという経過がございますから、そのよさというものをできるだけ活用していかなければ、せっかくこのような機関をつくった意味がないわけでございます。  その意味で検査職員の技術レベルの向上を図りまして、でき得れば、その職員の人事配置等においても交流が可能である、こういう体制に持っていきたいというふうに考えております。また、検査関係の職員が簡単にその資格、能力を獲得できないという問題がございまして、現在検査官の肩書きを持っている者は五十五名でございますが、そのほかに、肥料の方で申しますと、三名ほどの、実際に分析の補助者等の仕事をやっておりますが検査官資格をまだ持ってない、こういう人もおるわけでございまして、そういう方々についても、できるだけその分析、検査能力を高めまして、一日も早く検査官に登用していくということをあわせてやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから旅費の問題は、これは実は一番頭の痛い問題でございまして、こういう現場の仕事になりますと、やはりある程度の旅費がございませんと仕事ができないわけでございます。しかし、この種の経費につきましては、最近の予算編成方針では現場であると中央官庁であるとを問わずほとんど一律にカットされてきている、こういう傾向がございますので、その辺につきましては、たとえば一回の旅行をもちまして回る個所数をできるだけふやしていくということにいたしますと、二回行くよりは多少経費が節約できる、こういうふうな形で対応いたしておるわけでございますが、それにもおのずから限度がある話でございまして、私どもも大変頭の痛いところでございます。できるだけこういう問題については政府の共通問題として、肥飼料検査所以外にも私どもそういう現場を抱えておりますものですから、予算の都度、極力そういう現場中心に事務的な経費は見てもらいたいということをお願いをしてまいるつもりでございます。  それから人の頭数の問題でございまして、御指摘ございましたように、確かに政府全体としては計画削減を実施いたしておりますが、農林省全体といたしてみますとかなりふところの広い役所でもございます。その意味におきましては、大変人員の抑制が厳しい際ではございますけれども、肥飼料検査所全体といたしましては、本年度においても、一名だけでございますけれども増員が認められたという経緯もございます。これは、農林省内の他の部門からの振りかえというふうな形で認めていただいたわけでございますので、そういう対応も考えながら、できるだけ検査体制の充実を図っていきたいというふうに考えております。
  72. 武田一夫

    ○武田委員 この人たちは、分析等々の器械にかける以前の仕事もまた大変なようですよ。いろいろな試料を集めまして、それを整理しながらまた器械にかけて分析する。どっちかというと、器械にかけるときは楽なんですが、その前の作業がまた大変だというので、助手の一人も置いたらいいんじゃないかと私は言ってきたわけですが、そういう実情もよく理解してあげるべきでないかと私は思います。  それから流通体制の問題で、業者も、近間に工場を持ってきてそこでやっちゃおうという考えで、いままで東京にあったものを、東北だったら先ほどの八戸あたりに全農なんかが工場をつくるという傾向が最近多い。そうなりますと、そういう地域がこれからあちこちに出てくると思うのですね。それによって仕事量がふえてくるということなどはよく検討しながら、さっきも申し上げましたように実情をよく調べた上での対応というものを私はお願いをしておきたい、こういうふうに思うわけであります。  次に、化学肥料をたくさん使うことになりまして、生産面では非常に増大をしているという反面、地力の低下というのが非常に問題になっているわけです。この地力の保全のためのいわゆる土づくり、特に三年続きの冷害で、宮城県などでも、一つには土づくりを非常に手抜きをしていたのではないかということで、農協などが県とタイアップしまして一生懸命取り組むような態勢に入っているようでありますが、地力保全のための対応というものが非常に重要な課題になってくるのじゃないか。ブラジルにおけるセラードのようなああいう地帯がもし日本の農地に出てくるとなれば、これはえらい問題でございますから、いまのうちからしっかとした対応をすべきだと思うのでありますが、この面に対する取り組みは今後どのようになさろうとしているのか、ひとつお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  73. 小島和義

    小島(和)政府委員 いまお話がございましたように、特に東北におきまして三年続きの冷害という中におきまして、堆廐肥の投下その他、いわば農業の基本的技術を着実に励行した農家層におきまして他の農家に比べれば冷害の影響が少なくて済んだというふうな経験を踏まえまして、最近土づくりの見直しというふうな機運が出てきておることは、私どももそれなりに大変結構なことだというふうに考えておるわけでございます。  ただ、農家全般の傾向として申し上げますならば、非常に省力化を追求するということの余り、元肥、追肥含めまして化学肥料に依存する、また、追肥の技術、量、時期、そういったものによろしきを得ればそれでも相当収量が上げられるというふうなことが学問的にも証明されてきておるというふうなこともございまして、なかなか伝統的な堆肥づくりというものに復帰させるということはむずかしいのではないかと思っておるわけでございます。その意味におきましては、最近畜産がかなり地方でも伸びてきておりますものですから、そういう畜産を取り込みました地域の複合的な生産という形によって、地域全体の中で生産されます有機物あるいは農場の廃棄物、そういったものを総合的に利用いたしまして、できるだけ省力的な方法で堆廐肥を圃場に戻していく、こういうシステムをつくっていくということが必要だろうと存じておりまして、きわめてささやかではございますが、予算の面におきましてもそういう有機物を土地に還元するためのセンターをつくる、あるいはより小さな集団におきまして簡単に堆肥をつくるための施設やら機械やらを助成をしていく、こういうことをやっておるわけでございます。  そのほかに、地力の問題というのは、きわめて徐々ではございますが、やはり土地の状態に変化を来してまいりますので、土壌の細密調査でありますとかあるいは土壌の改良のための地力診断事業といったことを引き続き実行をいたしておりまして、そういった科学的なデータをもとにいたしましてできるだけ適切な対策をとっていく、こういうことが必要であろうかと考えておりまして、今後ともその方面の努力は傾注をしてまいるつもりでございます。
  74. 武田一夫

    ○武田委員 そこで、最近都市ごみのコンポスト化の問題があちこちで話題になっているようですが、家畜の公害のためにこのコンポストをやっている地域などはかなりうまくいっているわけです。岩手県などでは、住田町とか二戸なんかは、ふん尿処理のためのコンポスト化をやりまして、特に住田町なんかは非常に成績がよさそうですが、都市ごみのコンポスト化という問題はいろいろと慎重を期さなければならない問題もあると思うのですが、農林水産省としてはこれは今後どういうふうな対応をしていくかということをまず聞きたいのです。  というのは、コンポストの機械が非常にいろいろな機械が出ているのですが、かなりそれで失敗したという地域があります。聞くところによると、九州の方なんかはかなり失敗しているのですね。それで、そのために成功したところに見に来ているというケースがありまして、どこの農協はどこで失敗したかというのは岩手県あたりに聞けばわかるんだなどと言われているように、機械の問題もこれあり、コンポストの問題として、特に都市ごみの場合はいろいろと今後取り組みに注意を払いながら、しかしながらこれは今後進めなければならない大きな課題だと思うのです。当局としてはこれに対してはどういうふうに今後取り組みをしていこうとしているか、ひとつ今後の方向というものを聞かしてもらいたいと思います。
  75. 小島和義

    小島(和)政府委員 御指摘の趣旨、あるいは取り違えておるかもしれませんが、いわゆる地方公共団体が都市ごみの処理を行いまして、その過程で集めましたごみをいわば推積、腐熟をさせましてつくります一種の堆肥でございますが、通常私どもはこれをコンポストというふうに呼んでおるわけでございます。全国でそれを肥料として提供いたしておりますものの数は余り多くはございませんで、目下七カ所、トン数にいたしますと八千トンばかりのものが出荷をされておる、かように把握をいたしておるわけでございます。  このコンポストにつきましても、質的には稲わら堆肥などと同様の肥効があるという評価があるわけでございますが、同時に、原料として集めておりますごみの種類によりまして成分に相当なばらつきがあるという傾向が見られるわけでございます。その意味で、なかなかこれを普通肥料化しにくいという根本的な問題があるわけでございますが、また同時に、そういった集めましたごみの性質によりまして重金属類の含有率が高いものもあるということから、これにつきましては、ただいま特殊肥料の指定の中におきまして規制値を設けておりまして、その規制値を超えるものは特殊肥料としても認めない、こういうことにいたしておるわけでございます。  そういった都市ごみ利用のほかに、比較的簡単な堆肥づくりの機械というふうなものも最近出てきておりまして、地方によりましてはそういう機械を利用いたしまして、きわめて手軽にその地方にありますいろいろな有機質を使いまして堆肥をつくるというふうな傾向もあるわけでございますが、これの扱いにつきましては、通常の堆廐肥と同じような扱いをいたしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、この種の肥料は未利用資源の活用という観点から見れば社会全体にとって大変有用な一面を持っております反面において、その土壌の状態を正確に把握しながら適切に使っていくということが必要不可欠なことであろうと思います。その意味では、資材そのものの品質面の管理ということとあわせまして、どういう作物にどのように使っていくかというふうな指導の面の問題、これには当然農業改良普及組織あるいは県の試験場、こういうところの力をかりましてやっていく必要があろうと思いまして、それらをあわせて有効利用を図るべき問題だと考えております。
  76. 武田一夫

    ○武田委員 時間が来ましたので、終わります。
  77. 山崎平八郎

    山崎委員長 神田厚君。
  78. 神田厚

    ○神田委員 肥料取締法の一部を改正する法律案につきまして御質問を申し上げます。  最初に、今回の法律改正の基本的な趣旨というものはどういうことであるかということでありますが、去る三月十四日の臨調の最終答申におきまして、肥料登録制度の簡素合理化、これが求められているわけでありますが、今回の法改正と臨調答申との関係はどういうふうになっているのでありましょうか。
  79. 小島和義

    小島(和)政府委員 今回の改正は、肥料取り締まり制度を取り巻く諸情勢から見まして、配合肥料中心とする肥料の登録銘柄数が非常に増加をいたしておりまして登録業務量の増大を招いておる。反面、他産業の副産物の肥料化が進みまして、それによって品質保全上問題を有する肥料生産されてきておるというふうな事態を踏まえまして、肥料行政をさらに効率的に実施をして肥料品質保全を図る、こういう観点から取り上げたものでございます。一昨年ぐらいから省内において検討を始めておりまして、その結論として今回の改正案を提出するに至ったわけでございます。  なお、去る三月の十四日に臨時行政調査会から出された最終答申におきましても、大体私どもが考えておりました取り締まり制度の簡素合理化の線に沿った答申が出されておりますが、私どもの考えておりましたことを臨調においてもお取り上げいただいた、いわばこういうふうな結果に相なっておるわけでございます。
  80. 神田厚

    ○神田委員 今回の法律改正によりまして、肥料の登録、検査に要する予算、組織、人員はどの程度削減できる見込みでありますか。
  81. 小島和義

    小島(和)政府委員 今回の改正は、肥料の登録件数などについて明らかなとおり、放置をいたしますと年々業務量がふくれ上がってくる。また、肥料自体品質の面におきましても複雑多様なものが出てきておりますので、その意味においても業務量がどんどんふえてくる。こういう事態を踏まえまして、改善合理化できるものは改善合理化をしていくということによりまして、人員なりあるいは予算なりの爆発的な増加を何とかして食いとめようというふうな意図に出たわけでございます。したがって、登録件数だけで申しますと、今回の届け出制への移行あるいは有効期間の延長などによりまして登録業務は大体半減いたすわけでございますけれども、直ちにこれによって人間が半分で済むというふうなことを意味するわけではございません。  また、予算の面におきましても、近年非常に予算全体が窮屈になってきておりますので、その中でいかにして有効適切な検査をやっていくか、こういうことが今後の課題であろうかと思いますので、その意味において、予算がこれぐらい減るとかあるいは人員がこれぐらい減るというふうなことではなくて、むしろ現陣営をもって何とかしてやっていこう、こういう努力のあらわれというふうにお考えをいただければ幸いでございます。
  82. 神田厚

    ○神田委員 今回のこの改正ですと、普通肥料の登録数の約四割が指定配合肥料として届け出制へ移行し、また、登録に残る肥料の約三割が登録有効期間が六年に延長される、こういうふうでありますが、具体的にはどのような肥料がこれに該当するのでありますか。
  83. 小島和義

    小島(和)政府委員 指定配合肥料の制度につきましては、登録を受けた普通肥料のみを原料として配合した肥料を広く対象にいたしたいと考えております。  具体的な省令の制定に当たりましては、当面、同じように登録を受けましたものでも、液状の肥料を配合したもの、さらには農薬その他のいわば異物を混入したもの、これは規格上認められたものがあるわけでありますが、そういったものについては、品質保全に万全を期する観点から除外することにいたしたいと考えております。  そういう考え方に基づきまして肥料の種類を選定いたすわけでございますが、現在、第一種複合肥料の一部でございまして、十四の種類に該当する肥料の一部がこれに該当するというふうに考えております。これによりまして、有効登録件数の約四割、これは肥料生産量で申しますと約七%ぐらいの量にしかならないわけでございますが、これが指定配合肥料に該当するというふうに考えております。
  84. 神田厚

    ○神田委員 品質保全の上から問題があるのではないかというような心配が一部出ておりますけれども、この点につきましては、この改正の問題ではどうでございますか。
  85. 小島和義

    小島(和)政府委員 今回の改正は、一面において事務的な簡素合理化ということを含んでおりますが、反面において、最近の肥料生産の実態を踏まえまして植物被害等のおそれのあるような肥料につきましての品質保全強化する、こういう面を持っておるわけでございます。また、届け出制に移行する肥料につきましても、その検査等につきましてはこれまで同様に行うわけでございますので、決して品質保全上の問題を生ずることはない、かように考えております。
  86. 神田厚

    ○神田委員 次に、一部の普通肥料について登録申請に際しまして植害試験の成績を提出させる、こういうことでありますが、具体的にはどのような肥料についてこれを義務づけるのか。
  87. 小島和義

    小島(和)政府委員 普通肥料につきまして、規格設定時におきまして、肥料生産に伴い当然ある種の有害成分が副次的に含まれてくるということが予想されるものにつきましては、規格の中におきまして「含有を許される有害成分の最大量」というのを定めております。今回植害。試験の成績を提出させるものについては、肥料生産のプロセス、原料あるいはその成分形態等が非常に複雑でございまして、通常ではなかなか予測できないような成分を含有している心配のあります肥料に限ってこのような試験成績をつけさせることにいたしておるわけでございます。  当面考えておりますものは、肥料以外のものを主たる目的として生産する際に副産されるものを原料として利用する肥料、あるいは産業排水等を処理する際に得られるものを原料として利用する肥料でありまして、そのプロセスにおいて原料の精製あるいは有害成分を除去する工程を経てない肥料、こういう物差しにいたしたいと考えております。その意味で、ただいま規格を定められております肥料の種類で選択をいたしますと、粗製窒素肥料、液体粗製窒素肥料、沈でん燐酸肥料の一部、副産隣肥、副産塩基性苦土肥料の一部、乾燥菌体肥料の一部、以上六種類がとりあえずこれに該当するものというふうに考えております。  また、今回指定になりました肥料以外のものでございましても、その後の、登録後における流通の過程において同じような問題が出てきた場合においては、その肥料につきまして販売の停止あるいは登録の取り消しということができることにいたしておりますし、また、同種のものが今後予想されるということになりますれば、当然追加指定をするというふうなことも考えておるわけでございます。
  88. 神田厚

    ○神田委員 今回の法改正によりまして、肥料生産業者などの負担はどの程度軽減されるというふうにお見込みでありますか。
  89. 小島和義

    小島(和)政府委員 今回の措置によりまして、全有効登録件数のうち約四〇%程度が届け出制に移行をいたすわけでございます。また、尿素等の生産方法が安定した普通肥料につきまして登録有効期間を三年から六年に延ばしますので、その意味では登録更新事務量は半分に減るということになるわけでございます。そういうことを通じまして、全体の毎年の登録件数は約半減するというようなことになろうかと思います。  ただ、それによりまして登録出願する方の側で金目に換算してどれくらいの費用が助かるかということになりますと、検査の手数料にも絡むわけでございますが、それによって金額的に非常に大きな負担軽減ということはございませんで、むしろ役所の窓口に対して非常にしばしば訪れなければならない、あるいは非常に安定しております肥料にもかかわらず手続だけが非常に厳しく受けなければならない、そういった問題から解放されるということのメリットであろうかと思います。
  90. 神田厚

    ○神田委員 それでは、このような形で肥料届け出制等の改正が行われるわけでありますが、肥料全般といたしましては、価格の問題につきまして、今後の動向あるいは見通し、そういうものについてはいかがでありますか。
  91. 小島和義

    小島(和)政府委員 肥料価格でございますが、四十七年ごろまでは大変安定いたしておりまして、肥料工業原料転換あるいは工場のスケールアップということによりまして、年々価格引き下げて運営をしてきたわけでございますが、御承知のような第一次石油ショック、さらには五十四年末からの第二次石油ショック、これをきっかけといたしまして、原料価格が大幅に値上がりいたしまして、それぞれ、第一次石油ショックのときには七〇%弱及び第二次石油ショックのときには三〇%強という肥料価格の値上がりを見たわけでございます。その後は原材料価格が鎮静化いたしましたものですから、若干値下がりの傾向にございまして、小売価格でとらえてみましても、最近の物賃統計によりますと、五十七年四月からことしの二月までにおきまして大体前年同期の水準を下回ってきております。  今後の見通しにつきましては、賃金の問題、さらには国鉄貨物駅の集約化に伴う輸送費の上昇というような要因はありますけれども、先ほど来お話が出ておりますような石油価格の値下がりというような、化学工業にとっては大変うれしい動きもあるわけでございますので、そういったことをあわせて考えますならば、肥料価格は、全体として見れば横ばいないしやや減少、引き下げというぐらいの感じではないかなというのが私どもの率直な見通しでございます。
  92. 神田厚

    ○神田委員 最後に、肥料価格安定等臨時措置法、これは五十九年の六月に期限が到来するわけでありますが、その後のこの法律取り扱い方針はどういうふうにお考えになりますか。
  93. 小島和義

    小島(和)政府委員 肥料価格安定等臨時措置法は、昭和三十九年の七月に五カ年の限時立法で制定されまして、その後三回延長されまして今日に至っておるわけでございます。ただいまの法律は来年六月をもって失効するわけでございますけれども、約二十年間にわたりましてこの法律が生きておったということになるわけでございます。  今後一体どうするかという問題につきましては、最近の化学工業肥料工業を取り巻きますいろいろな構造問題あるいは農業の方の側の厳しい状況等を勘案いたしまして、私どもの方と通産省基礎産業局との間におきまして、これは民間学識者を主にいたしまして肥料対策協議会というものをつくっておりまして、そこにおいて今後の扱いの勉強会を始めておるという段階でございます。したがって、まだ確定的なことは申し上げられないわけでございますが、三つほどその大きな状況の変化みたいなものがあるのではないかと私は思っております。  一つには、この制度ができました当初には、全農肥料メーカーとの価格の取り決めということと肥料の一元輸出体制、この二つ骨格として法律ができておるわけでございますが、その一元輸出の実施主体でございました硫安輸出株式会社は、政府の特殊法人整理という方針のもとに昨年の六月をもちまして解散をいたしております。したがいまして、それらの関係条文は全く空洞化しておるという実情にございます。  それから第二には、全農肥料についての価格交渉力の上昇といいますか、向上ということがあるわけでございます。したがって、このような法律の裏づけが要るのかどうか、自主的な価格交渉でもいけるのではないかという問題提起もあるわけでございます。  第三には、独禁政策との関係でございまして、過去におきましても、この法律を延長いたします際に、これはいわば独禁法の例外規定を含んでおりますので、公収との折衝にきわめて難航いたしまして、今回限りというふうなことを再々言い込まれた経過もあるわけでございます。  そういった事情を踏まえまして検討をいたしておりますが、業界にもいろいろまた御注文の向きもあるわけでございます。その辺の話も十分間かしていただきまして、今後の方針を煮詰めてまいりたい、かように考えております。
  94. 神田厚

    ○神田委員 この法律の延長問題はきわめて重要な問題でもありますから、今後また機会をいただきまして、中身の問題について少し詳しく御質問をしたいと思います。  これで終わります。
  95. 山崎平八郎

    山崎委員長 寺前巖君。
  96. 寺前巖

    寺前委員 皆さんがいろいろお聞きになりましたので、確認的な質問になりますが、さっき臨調との関係の問題が出ましたが、先月の終わりでしたか、新聞を見ていましたら、経団連が「通商関連法令の改正および運用改善に関する意見」というのを出しておられました。これについてどういうふうにお考えになるか。ちょっと関係するところを読んでみますと、肥料取締法について「輸入にあたっては銘柄ごとの登録制を廃止し、届出制とすること。」「肥料の公定規格について、国際規格、基準を受け入れること。」こういうようなことなどが提起されていますね。そのほかまだ若干ありましたが、いかがでしょうか。
  97. 小島和義

    小島(和)政府委員 今回経団連から出されました意見につきましては、四項目ほどにわたっておりますが、私ども実は理解に苦しむ点があるわけでございます。  輸入肥料につきましては登録制を廃止して届け出制に移行をするというふうなことでございますが、ただいま政府全体といたしまして取り上げておりますいわゆる基準、認証制の世界の問題におきましても、内外無差別と申しますか、そういう考え方でございまして、国産のものについては登録制があり、輸入のものについては届け出をもって足るというふうなことは明らかに制度的な不均衡を招くものであり、全く理解に苦しむわけでございます。  また、公定規格について国際的な規格を受け入れるというふうなことを述べておりますが、肥料については国際的な機関ないしは国際的な場におきまして世界共通のものとして認められた規格なり基準は設定されておりませんので、何か事実認識が誤っているのではないかというのが率直な印象でございます。
  98. 寺前巖

    寺前委員 次に、これは先ほどもお話を聞いておって何か相矛盾するようなことを感じましたので、ちょっとお聞きをしたいのですが、登録制にしていたものの中で今回の措置によって届け出制にする部分が出てくる。そうすると、届け出制になってくるんだからそれだけ合理的な運営で見ていくということになるわけでしょう。そうすると、人員の方はそれだけの余裕が出てくるということになっていくのか。それともそうでない分野、肥料取締法の分野からさらに発展させて、最近の実情の中で汚泥とかいろいろな問題が加わってきているから、積極的にいろいろな分野をしなければならぬことになるからこういう分野の人たちの仕事がもっとふえていくことになるんだ。だから強化をせんならぬということになっていくので、合理的な体制に入るというのか。算術計算でいきますと、四割から登録制の分野が届け出制の分野になるのだから、その合理化というのは人員の面においても合理的になるのじゃないだろうかというふうに単純に考えがちになるのですが、そこは今後どういうことになるのだろうか。より合理性というのが、単に人員的な合理性じゃなくして、やらなければならない合理性を強調するとするならば、いままでも登録の分野で府県でやっている分野がありますね。すると、その府県の取り扱いに対する指導をどういうふうな指導にされるのか。はっきりしておかないと、単純に言ったら単純に人を減らすことができるなあという話になってしまうと思うのです。そこのところはどういうことになるのか、ちょっと御説明をきちんとしていただきたいと思います。
  99. 小島和義

    小島(和)政府委員 ただいま有効な登録件数は約二万三千件でございますが、これは国、都道府県それぞれの登録件数を合わせたものでございまして、うち農林水産大臣登録になっておりますものは一万七千件ばかりでございます。その一万七千件ばかりが、ただいまの体制もとにおいては三年に一遍更新の申請が出てくるわけでございますが、そのほかに新規の申請が毎年二千件余出てまいりまして、それ自体が毎年毎年増加する傾向にあるわけでございます。一たん新規登録を受けましたものは、中には生産中止によって失効するものもございますけれども、おおむね累積累積でふえてまいりますので、年ごとに毎年の新規登録及び更新登録の件数はふえてくる、こういう傾向にあるわけでございます。  現在、肥飼料検査所におきまして肥料の登録関係の仕事をやっております職員の数は百十名でございまして、そのほかに本省におきましては担当課長補佐以下四名でこの仕事をやっておるわけでございまして、この現有勢力というのは、登録件数がふえてまいりましてもほとんど人員的にはふえていない事態の中でやっているわけでございます。もちろん、登録自体の処理のために、従来の手書きの処理のほかにコンピューターによる事務の整理とかあるいは書式の簡素化あるいは官報掲載等の事項簡素化等の対応をいたしてきておりますけれども、このまま登録件数がふえ続ければ、まさに登録事務のために担当の係は忙殺されてしまう、こういう事態を何とかして解消しようというのが登録関係の事務を改善しようということの最大の動機でございます。  ただ、実際に肥飼料検査所でやっております仕事は、この登録処理関係の仕事というのは一部でございまして、そのほかに現場を回りましてサンプルを収去しそれを分析いたしまして、その結果によってその業界に対し注意を与えたりするという仕事があるわけでございます。それらの仕事はいささかも減るわけではございませんで、むしろ新しい肥料がふえればふえるほど分析業務は複雑になってまいりますし、今回の植害試験の追加というようなことによりましてもまた業務量としては増加する傾向にあるわけでございます。したがいまして、こういう分野につきましては、大変人員の厳しい際ではありますが、何とか人の増加を図りたい。農林水産省全体としてみればかなりふところも広いわけでございますから、その中で何とか対応してもらいたいというお願いを今後とも続けていくつもりでございますが、同時に、人海戦術だけでやっていくということには限界がございますから、最新鋭の分析測定器械というものを導入いたしまして、いままでかなりな人手がかかりました分析業務が瞬時にして器械が測定値を出してくれる、こういうものをできるだけ活用いたしましてその業務量の増大をこなしてまいりたい、かように考えておるわけであります。
  100. 寺前巖

    寺前委員 さっきちょっと聞き漏らしたのですが、指定配合肥料ですね、登録制から届け出制にする。この機会に、ひとつ保証票などにどういう原料を使って配合したのかということについて非常にわかりやすい表示をしてほしいという問題が先ほどここで質問されておったのですが、これについては表示をしようという方向でいま検討を進めておられるのですか、御説明いただきたい。
  101. 小島和義

    小島(和)政府委員 ただいまの肥料取り締まり制度は有効成分の割合を保証するということが一番骨格になる制度でございます。したがいまして、有効成分保証し、あわせて原料の使用割合も保証するということになりますと、特に有機質等の場合におきましては原料自体の成分にかなりな振れがあるものでございますから、それによって配合割合を変えていかなければならない。そういたしますと、肥料のロットごとにその表示が全部変わってくるということになるわけでございます。むしろ、その有効成分を固定して考えるわけでございますから、原料の種類なり品質なりによりまして配合割合に変化が出てきても、有効成分に変化がなければそれでいいんじゃないかというのがこれまでの制度の考え方でございます。  ただ、今回そういうことで指定配合制度をつくりまして届け出制にいたしたわけでございますから、反面において利用者側の便宜も考えまして、配合割合を書かせるということはいたしませんが、配合原料の量の多いものから原料名表示させるということにすれば、使う方の側では、有効成分が一体どういう原料に由来するものであるかということを保証票によって見分けることが可能である、こういう利点を考えまして、その方向で検討いたしたいと考えております。
  102. 寺前巖

    寺前委員 それから、これも先ほどから出ている話なんですが、最近、全体として水をきれいにしようということで下水道の処理というのが進んでくる。そこから発生するところの汚泥の処理を農地に還元しようではないかということがずいぶん広がってきたわけですね。ところが、汚泥を農地に還元をするといったって、そこにはいろいろなものを含んでいるというところから、新しい問題がそこに常に発生してくると思うのですね。汚泥の肥料は、「肥料要覧」を見ると、昭和五十二年には六万三千五百三十九トンとあったものが、五十六年になると三十七万三千七百七トンと、ずいぶんこういう分野がふえているわけですね。先ほどのお話を聞いていると、産業廃棄物といい、あるいはこういう下水道の処理の汚泥といい、片一方ではこういうものを簡単に使いたいという要素と、しかし同時に、片一方では規制をしておかなかったら大変だという要素と、両面を含んでいると思うわけですね。  そこで、現実に特殊肥料として現状においても届け出をさせてやっておられるのだろうと思うのですけれども、実際には届け出をして指導を受けてそれを使っているということになっているのか、それともそうなっていないのか。実態はどういうことになっているのでしょう。
  103. 小島和義

    小島(和)政府委員 汚泥肥料につきましては、御指摘ございましたように生産量は非常に多うございまして、五十六暦年で三十七万トン、業者の数にいたしまして三百二十九業者ということになっておりますので、特殊肥料の中では非常に大きなウエートを持っているものでございます。  ただ、この生産のプロセスを眺めてみますと、都市の屎尿でございますとか、あるいは畜産の屎尿でございますとか、そういうものを活性汚泥法その他の方法によって処理いたしましたその残りを処分する、こういう考え方でございますので、肥料を売っておるという意識よりは、欲しい人には分けてやる、ただで上げるから持っていらっしゃい、こういう感じで扱っている業者の方が結構多うございまして、その意味で、無届けのままこれを譲り渡しておる、こういうケースがいまだにときどき見つかるわけでございます。これは、どうもそういう汚泥肥料をつくっております人自体の意識が、肥料生産してそれを譲渡しているという意識ではなくて、廃棄物を処理いたしておりまして、その残渣を無償で分けてやっておる、まさにこういう意識に基づくものであろうと思います。もちろん、法律上は有償無償を問わずこの取締法の対象になるわけでございますから、発見し次第注意を与えておりまして、届け出に当たっては、御承知のような重金属類の規制値によりまして、それを超えるものは特殊肥料としても譲渡を認めない、こういう方針で対処をいたしておるわけでございます。
  104. 寺前巖

    寺前委員 これは発見されたら届け出がないことがわかって指導しておられるということなんですが、実態はほとんど届け出がないようですね、府県に聞いてみましても。ですから、これは野放しに近い状態になっているのじゃないだろうか。この分野は、今後大量にこれが発生していくことを考え、これが大量に利用されることを考えていった場合には、手を打っておかなければならない一つの課題じゃないだろうかというふうに私は思うのですね。ちょっと野放しに近いのじゃないだろうか。  そこで聞きますが、環境庁おられますね。環境庁の方では、研究をして、ガイドラインというのですか、何かいろいろ御研究になっているようですけれども、どういう研究をしておられて、どういうことをお考えになっておるのか、ちょっと聞かせてくれますか。
  105. 津田隆

    ○津田説明員 農用地におきまして肥料として利用されております汚泥等、これは汚泥及びその処理物でございますけれども、これらの中には重金属等が含まれておりまして、これらが長期にわたって連用されますと、農用地の土壌汚染を生ずるということが懸念されるわけでございます。  このために、環境庁におきましては、五十四年度から五十八年度までの五カ年にわたりまして汚泥等土壌還元影響調査を実施いたしておりまして、この調査におきまして、汚泥等を圃場で長期に連用する試験を実施いたしておりまして、汚泥等の農用地への還元に伴います重金属等の土壌への蓄積状況とか、あるいは作物生育への影響等を把握することによりまして、汚泥等の農用地への還元によります土壌汚染を未然に防止することを考えているわけでございます。  こういった調査あるいはその他の調査の結果を生かしまして、また昭和五十六年の十二月以来、専門家によります汚泥の農用地等還元問題研究会というのを設けておりますが、この研究会におきまして、汚泥等の長期連用に伴います土壌汚染の問題をいろいろ検討を行ってまいっております。この研究会の報告などを参考にいたしまして、汚泥等の施用に伴います土壌の汚染を未然に防止する観点から、施用地の土壌中の重金属等の濃度を総量として制限する基準を定めまして、都道府県が行政指導を行うに際しましての暫定的な指針となるように通知をいたしたいと考えておりまして、現在検討を重ねております。
  106. 寺前巖

    寺前委員 環境保全の立場から、環境庁の方も総量規制の問題などを提起しておられるわけですが、農水省の方もいろいろ調査研究をしておられるようです。さっきも申し上げましたように、特殊肥料が事実上届け出が野放しになって、なされていないような状況に近いということも考えて、私は単に総量規制だけではなくして、外国の例を見ると、銅やら亜鉛やら他の分野にわたっていろいろ規制も研究しておられるようです。農水省からいただきましたところの「都市ごみコンポストの品質と施用について」というこの資料を見ましても、外国の例が一番最後に載っていました。そういう意味から考えて、もう少しこの分野に対する積極的な規制のあり方、届け出の強化、こういうものを考えてもらう必要が、これから一つの重要な問題じゃないだろうかというように私は思うのですが、御見解を聞きたいと思います。
  107. 小島和義

    小島(和)政府委員 ただいま特殊肥料の一部につきまして規制を加えております重金属、これは御承知のように砒素、カドミ、それから水銀の三種でございます。私ども別にこの三種類だけを抑えれば十分であると決して思っておるわけではございませんで、とりあえずこの三種類にいたしておるわけですが、今後必要に応じましてさらにその検討を進めまして、銅でございますとか亜鉛でございますとか鉛でございますとか、そういう物質につきましても何らかの規制値を設定していきたいという考えを持っておるわけでございます。  ただいまの規制値は乾物換算いたしまして総量でその何%、何ppmまでという抑え方をいたしておりまして、この数値は諸外国の例を見ましてもかなり厳しい水準で設けておりますし、また、これらの重金属類の天然賦存量から見まして、通常の土壌中に含まれております数値の約倍ぐらいの数値になりますまでには、毎年連用を続けましても大体数年、数十年を要するというぐらいの大変重い、厳しい内容にいたしておるわけでございます。しかしながら、こういう物質については、確かに個別の物質で抑えてみましても総量値が累積をしていけばそこに一つ問題が出てくるという問題意識も持っておるわけでございまして、資材の取り締まりは御指摘のございましたような届け出漏れがないように努めますが、そういう資材面の取り締まりだけではなくて、施用面からも十分な指導をしていかなければいかぬ、こういう必要性も感じておるわけでございまして、環境庁あたりのいろいろな科学的な知見も参考にさせていただきまして、今後さらにその面の努力もいたしたいと考えております。
  108. 寺前巖

    寺前委員 そこで、最後にちょっと、全面的に土壌を改良することを目的とした土壌改良資材がずっと広がってきているわけですが、先ほどのお話を聞いていますと、検定基準なり制度のあり方などを検討したいといま考えているんだというお話でした。一体どういう実態になっているのか。広範囲に変化が生まれているように思うのですよ。本当に効果のあるところのものがどの程度あって、効果のないものがどのようになっているのか、実態がどういうことになっているのかということを心配するわけなんです。  それからもう一つお聞きしておきたいのは、目下検討中だとおっしゃるのだけれども、これは大体いつごろをめどにして一つの基準を出そうとしておられるのか。  この二点についてお答えをいただきたいと思います。
  109. 小島和義

    小島(和)政府委員 土壌改良資材の場合には、肥料と異なりまして、使用いたしまして即座に効果が出るというよりは、大変長い期間を要しましてその効果がわかるというものが多いわけでございます。それも、多年農業で使われておりましてその効果につきましては大体検証済みであるというものが大部分なわけでございまして、たとえて申しますと、ある種の泥炭類でありますとかゼオライトでありますとかパーライトでありますとか、そういったものについては、その理屈は余り明確にはわかっていないのですが、実際問題として効果があるということがかなりわかっておるものが多いわけでございます。  ただ、最近いわゆる土壌改良資材という名前のもとに、いろいろな微生物を含んでおります資材とか特殊な鉱物質類を含んでおります資材とか、そういったものが大変ふえてまいっておりまして、それらのものにつきましては経験的にもよく効果がわかりません。また、その物質自体の分析、測定ということによりましても、どういう物質がどの程度あればどういう効果があるかということがよくわかってない段階でございますので、先ほど申し上げましたような検定方法とか検定基準というものを確立していく必要があるだろうと考えております。  ただ、何にもわかっておらぬということでは決してございませんで、多年の努力によりましてだんだんいろいろなことがわかってきておりますので、そういった知見をもとにいたしまして何らかの行政的な措置が仕組めないかどうかということをただいま詰めておる段階でございます。
  110. 寺前巖

    寺前委員 終わります。
  111. 山崎平八郎

    山崎委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  112. 山崎平八郎

    山崎委員長 討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  肥料取締法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  113. 山崎平八郎

    山崎委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  114. 山崎平八郎

    山崎委員長 この際、本案に対し、亀井善之君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。竹内猛君。
  115. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合を代表して、肥料取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     肥料取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、良質な肥料農業生産力の維持向上に果たす役割の重要性にかんがみ、本法の施行に当たつては左記事項の実現に努め、肥料品質保全と安定的供給の確保に万全を期すべきである。         記  一 肥料品質保全を期するため、国及び県の取締体制強化に努めるとともに、肥料の性格に応じ、肥料品質表示等適切な規制措置を講ずること。  二 肥料価格安定を図るため、肥料工業構造改善の実施等による生産流通コストの低減等価格安定に必要な諸対策を強力に推進すること。    また、肥料工業設備処理に当たつては、雇用の安定等につき適切な対策が講じられるよう指導すること。  三 農業生産の安定と土地生産力の増強を図るため、土壌改良、施肥技術等の研究普及体制強化するとともに、地力培養に関する諸対策を推進すること。   右決議する。  以上でありますが、決議案の趣旨につきましては質疑の過程等を通じて委員各位の十分御承知のところでありますので、その説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願いいたします。
  116. 山崎平八郎

    山崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  亀井善之君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  117. 山崎平八郎

    山崎委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして金子農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。金子農林水産大臣
  118. 金子岩三

    ○金子国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上善処するよう努力してまいりたいと存じます。     ─────────────
  119. 山崎平八郎

    山崎委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 山崎平八郎

    山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  121. 山崎平八郎

    山崎委員長 次に、内閣提出酪農振興法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。金子農林水産大臣。     ─────────────  酪農振興法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  122. 金子岩三

    ○金子国務大臣 酪農振興法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  近年、わが国の肉用牛生産は、繁殖及び肥育の両部門を通じて規模拡大が着実に進展する等農業経営の重要な一部門として成長しつつあり、国内草資源を有効に活用する農業生産部門として、農業及び農山村の振興を図る上で重要な役割りを担っております。特に、牛肉の需要が今後とも比較的堅調に推移するものと見込まれること、水田利用再編等農業生産の再編成を進めることが必要となっていること等から、肉用牛生産を土地利用農業の基軸として位置づけ、長期的な視点に立ってその健全な発展を図ることが農政の重要な課題となっております。  しかしながら、肉用牛生産をめぐる内外の環境は厳しく、国民に対し牛肉を安定的に供給し、肉用牛経営の健全な発展を図るためには、粗飼料給与率の向上等により生産性の向上を推進し、経営体質の強化を図ることが緊要となっております。また、近年、国内産の牛肉の七割が乳用種の牛によって占められるに至っていること、一部には乳肉複合経営が進展していること等に見られるように、肉用牛生産と酪農は密接に関連してきております。このため、酪農の発展と整合性をとりつつ、肉用牛生産の振興を図ることが必要となっております。  以上のような肉用牛生産をめぐる情勢にかんがみ、肉用牛生産と酪農との結びつきの強化に留意しつつ、肉用牛生産の振興に関する制度の整備強化を図ることとし、この法律案を提案することとした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、今回の改正の趣旨に即し、法律の題名を酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律に改めることとしております。  第二に、現行の酪農近代化計画制度を改め、酪農及び肉用牛生産の近代化を統合的に推進するための計画制度とすることとしております。このため、国の基本方針、都道府県計画及び市町村計画の内容として、肉用牛生産の近代化を図るための事項を追加することとしております。  第三に、市町村計画の作成された市町村において酪農経営または肉用牛経営を営む者が経営改善計画を作成し、市町村長の認定を受ける制度を設けるとともに、その認定を受けた場合には、農林漁業金融公庫等から経営改善計画を実施するために必要な長期かつ低利の資金の貸し付けを行うこととしております。  この場合、肉用牛の購入または飼養に必要な資金につきましては、償還期限及び据え置き期間の特例措置を設けることとしております。  第四に、肉用子牛の価格安定制度につき法制化を行うこととしたことであります。すなわち、国及び都道府県は、肉用子牛の価格の著しい低落に際し生産者補給金を交付する事業を行う都道府県ごとの公益法人に対し、その事業の円滑な実施のために必要な助言、指導、経費の補助その他の援助を行うように努めることとしております。また、国は、全国規模の公益法人で、都道府県ごとの公益法人に生産者補給金の交付に充てるために必要な資金を貸し付ける事業等を行うものに対しても、その事業の円滑な実施のために必要な援助を行うように努めることとしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  123. 山崎平八郎

    山崎委員長 補足説明を聴取いたします。石川畜産局長
  124. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 酪農振興法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容を若干補足させていただきます。  第一に、法律の題名及び目的規定の改正についてであります。  すなわち、酪農の振興に関する措置に加え、新たに肉用牛生産の振興に関する措置を講ずることとしたことに伴い、法律の題名を従来の酪農振興法から酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律に改めることとしております。さらに、目的規定に、酪農及び肉用牛生産の近代化の総合的かつ計画的な推進、肉用子牛の価格の安定及び牛肉の流通合理化を加える等の改正を行うこととしております。  第二に、現行の酪農近代化計画制度を改め、新たに肉用牛生産を含めた酪農及び肉用牛生産の近代化を総合的に推進するための計画制度とすることであります。  この酪農及び肉用牛生産の近代化計画制度の中で、農林水産大臣が定める基本方針におきましては、新たに酪農及び肉用牛生産の近代化に関する基本的な指針を定めるとともに、牛肉の生産数量の目標、近代的な肉用牛経営の基本的指標、肉用牛及び牛肉の流通合理化に関する基本的な事項等を定めることとしております。また、都道府県知事が定める都道府県計画及び市町村長が定める市町村計画におきましても、それぞれ基本方針に準じた改正を行うこととしております。  第三に、酪農経営または肉用牛経営を営む者が作成した経営改善計画についての市町村長による認定とこの経営改善計画の認定を受けた者に対する農林漁業金融公庫等からの必要な資金の貸し付けについてであります。  市町村計画において定めた酪農経営または肉用牛経営の改善目標等の達成を推進するため、市町村計画の内容に照らし適切な経営改善計画を市町村長が認定する制度を設けるとともに、当該認定を受けた者に対し長期かつ低利の資金を融通することとし、経営改善の一層の促進を図ることとしております。この場合、肉用牛生産生産サイクルが長期間にわたること等を考慮して、肉用牛の購入または飼養に必要な資金については、償還期限及び据え置き期間を従来の資金に比べ五年間延長し、それぞれ二十年以内、八年以内とすることとしております。  第四に、肉用子牛の価格の安定及び牛肉の流通合理化に関する措置の実施についてであります。  肉用子牛は、繁殖部門における生産物であるとともに、肥育部門における基礎的な生産資材であり、肉用牛生産の振興を図る上で、その価格の安定を図ることが重要であります。  このため、国及び都道府県は、肉用子牛の価格の著しい低落に際して生産者生産者補給金を交付する事業を行う都道府県肉用子牛価格安定基金協会に対し、その事業の円滑な実施のために必要な助言、指導、経費の補助その他の援助を行うように努めることとしております。また、これに関連して、国は、都道府県肉用子牛価格安定基金協会に対し生産者補給金の交付に充てるための資金を貸し付ける事業その他肉用子牛の価格の安定に資する事業を行う全国肉用子牛価格安定基金協会に対しても、その事業の円滑な実施のために必要な助言、指導その他の援助を行うように努めることとしております。  さらに、国は、肉用牛生産の健全な発達に資するため、牛肉の産地処理の推進、牛肉の取引規格及び品質表示の普及等牛肉の流通合理化のために必要な措置を講ずるように努めることとしております。  なお、このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上をもちまして酪農振興法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。      ────◇─────
  125. 山崎平八郎

    山崎委員長 次に、本日付託になりました内閣提出家畜改良増殖法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。金子農林水産大臣。     ─────────────  家畜改良増殖法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  126. 金子岩三

    ○金子国務大臣 家畜改良増殖法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  家畜の改良増殖は、畜産経営改善を図り、畜産物の安定的供給を図る上での基本となるものであり、わが国における家畜の改良増殖を推進するため、種畜検査、家畜人工授精に関する規制等を行ってきているところであります。  しかしながら、近年、家畜受精卵移植技術の確立、凍結精液の国際的流通の進展等家畜の改良増殖をめぐる情勢は大きく変化しております。  このような情勢の変化に対応して、家畜の改良増殖の一層の促進を図るため、今般、家畜改良増殖法の一部改正を提案することとした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、家畜受精卵移植に関する規制を定めることであります。  家畜受精卵移植の健全な発展と円滑な普及を図る観点から、雌の家畜は、伝染性疾患及び遺伝性疾患を有しないことについての獣医師の診断書の交付を受けたものでなければ、家畜受精卵の採取の用に供してはならないこと、家畜受精卵の採取、処理または雌の家畜への移植を行う者の資格を定めること等家畜受精卵移植に関する規制を定めることとしております。  第二に、輸入に係る家畜人工授精用精液の利用に関する措置であります。  家畜の改良増殖を一層促進する観点から、海外から輸入された家畜人工授精用精液であって、一定事項記載した証明書が添付されているものは、わが国において、譲り渡し、または雌の家畜に注入することができることとしております。  第三に、家畜人工授精師制度の改善であります。  獣医師は、家畜人工授精の業務を行うに当たり、家畜人工授精師の免許を要しないこととしております。また、家畜人工授精師のうち、家畜受精卵移植に係る免許を受けた者は、家畜人工授精の業務のほか、家畜受精卵移植の業務を行うことができることとしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  127. 山崎平八郎

    山崎委員長 補足説明を聴取いたします。石川畜産局長
  128. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 家畜改良増殖法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由におきまして申し述べましたので、以下、その内容につき若干補足させていただきます。  第一に、家畜受精卵移植に関する規制を定めることであります。  最近、優良な雌の家畜の利用の促進、双子生産による子牛生産の増大等に寄与する家畜受精卵移植技術が実用化し、急速な普及が見通されております。このため、家畜の改良増殖を促進する観点から、家畜受精卵移植技術の特性に応じた規制を定めることとしております。  すなわち、家畜受精卵の採取の用に供する雌の家畜は、獣医師の診断書の交付を受けることとしております。  また、獣医師でない者は、家畜受精卵を採取し、または処理してはならないこととするとともに、家畜人工授精師は、家畜受精卵を採取した獣医師の指示のもとに、家畜受精卵の検査等の処理を行うことができることとしております。また、獣医師または家畜人工授精師でない者は、家畜受精卵を雌の家畜に移植してはならないものとすることとしております。  その他家畜受精卵の品質の確保、血統の混乱の防止等を図るため、家畜人工授精に関する規制に準じた規制を行うこととしております。  第二に、海外から輸入された家畜人工授精用精液の利用に関する措置であります。  従来、海外からの育種素材につきましては、臨時種畜検査等により、輸入された雄の家畜の活用を図ってきたところであります。近年の精液凍結処理技術の普及等による家畜人工授精用精液の国際的流通の進展に対応し、わが国の家畜の改良増殖の促進を図るためには、海外の遺伝資源の一層の活用を図る必要があります。このため、海外から輸入された家畜人工授精用精液であって、外国の政府機関等が発行した一定事項記載した証明書が添付されているものは、これをわが国において譲り渡し、または雌の家畜に注入することができることとしております。  第三に、家畜人工授精師制度の改善であります。  従来、獣医師は、家畜人工授精師の免許を受けなければ家畜人工授精の業務を行うことができないこととしておりましたが、行政事務の簡素合理化等の見地から、獣医師は、家畜人工授精の業務を行うに当たり、家畜人工授精師の免許を要しないこととしております。  また、家畜人工授精師のうち、家畜受精卵移植に関する講習会を修了してその修業試験に合格した者は、家畜人工授精の業務のほか、家畜受精卵の雌の家畜への移植等の業務を行うことができることとしております。  以上をもちまして家畜改良増殖法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
  129. 山崎平八郎

    山崎委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る二十七日水曜日午前十時二十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することと し、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十五分散会