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岩垂委員 少し具体的に
勧告の問題について
お尋ねをしていきたいのですが、
官房長官、十一時から記者会見ですか。——それでは結構でございます。
総務長官と
官房長官、両方に聞いてもらいたかったのですが、そんな日程のようですから、総務長官にあえて私、釈迦に説法でございますけれども、ちょっと
お尋ねと言うよりも、
人事院勧告の
完全実施に至る経過を申し上げたい。
実は、御存じのように、私自身は総評本部で現場の
労働運動にかかわってきました。そういう
立場から申しますと、
人事院勧告の
完全実施に至る長い長い歴史というものをここで顧みざるを得ないのであります。そこに至る経過の中には、
関係各位の誠意あるいは大変な御努力があっただろうと思うし、ある種の歴史の重さというものを私はその中に感じます。だから、それを簡単に踏みにじってもらっては困る、その歴史の重さみたいなものを無視していただいては困るという意味で、
完全実施を迫るという
立場からもあえて申し上げたいと思うのでございます。
御存じのように、
人事院勧告の
制度というのは昭和二十三年からであります。三十四年までというのは、
勧告の
実施時期などについてはあえて触れなかったり、あるいはなるべく早くというふうな、期日を明示しない
勧告が行われてまいりました。しかし、三十五年以降は五月一日という期日を明示した
勧告が実は行われています。しかし、
政府はその間、それ以前もそうでしたが、たとえば五月に対して十月というふうな、
実施時期をいわば繰り下げてやってきたことは御理解のとおりです。その間に、たとえば昭和三十九年、まあ内容は
勧告どおりでございましたが、一カ月、十月を九月にしたという経過がございまして、その中では国会の方も衆参両院で
完全実施を含めての附帯決議が行われていることは御存じのとおりです。
それで、私は実は調べてみたわけです。では一体三十九年は
実施時期の問題を含めてどういう
勧告になっているだろうかというのを少し、釈迦に説法ですが、あえて申し上げたいと思うのです。
勧告では、「最後に、
給与改定の
実施時期について、従来、一般職
国家公務員の
給与改善に関する本院
の
勧告は、官民
給与の較差を基礎として、
民間の
給与水準に追いつかせる建前のもとに行なわれてきたものであるが、過去四年にわたり、毎回その
実施が十月に繰り下げられているため、一般職
国家公務員の
給与は、常に
民間給与に遅れる結果となっている事実を指摘しておきたい。」こう述べている。翌年の四十年には、「最後に、
給与改善の
実施については、本院の
勧告が、本来、官民の較差を基礎として、一般職
国家公務員の
給与を
民間の
給与水準に追いつかせる趣旨のものであること、および本年もまた三公社・五現業の
職員の
給与改定が四月から
実施されることになっていることを、特に指摘しておきたい。」ここは三公社五現業の四月
実施という問題についても触れておるわけであります。以下、四十二年あるいは四十三年、四十四年のそれぞれの
勧告の末尾に、あえて
完全実施を求める
人事院の見解がございました。にもかかわらず、
政府の
実施の方は、四十二年にようやく八月になり、四十三年にようやく七月になり、四十四年に六月になるというふうな、この当時の歴史を振り返ってみると、まさに岩につめを立てて一歩ずつよじ登っていくという感じのことを、いまでも私は思い出さざるを得ません。
そういう意味からいきますと、
完全実施に至って、昭和四十五年から今日まで、まあ四月
実施というのは四十七年からでありますが、しかし、一応
完全実施のそういう非常に困難なというか、善意と努力に支えられた歴史というものを、いまここでほごにするということは、私は許されないだろうと思うのです。その意味では、
勧告の内容あるいは
実施時期を含めた
完全実施の歴史の重さというものを崩さないでほしい。総務長官は、そうした歴史を振り返って、そして
制度として定着した今日の状況というものについて、ぜひ御理解のある積極的な態度というものを
給与関係閣僚会議などでも述べていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。