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1981-11-12 第95回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年十一月十二日(木曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 江藤 隆美君   理事 愛野興一郎君 理事 稻村左四郎君    理事 染谷  誠君 理事 塚原 俊平君    理事 岩垂寿喜男君 理事 上田 卓三君    理事 鈴切 康雄君 理事 神田  厚君       有馬 元治君    上草 義輝君       小渡 三郎君    狩野 明男君       片岡 清一君    亀井 善之君       川崎 二郎君    木野 晴夫君       熊川 次男君    高村 正彦君       田名部匡省君    竹中 修一君       吹田  愰君    堀之内久男君       上原 康助君    角屋堅次郎君       矢山 有作君    渡部 行雄君       市川 雄一君    小沢 貞孝君       榊  利夫君    中路 雅弘君       楢崎弥之助君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      宮澤 喜一君         国務大臣         (総理府総務長         官)      中山 太郎君  出席政府委員         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         管理局長    加藤 圭朗君         人事院事務総局         給与局長    長橋  進君         内閣総理大臣官         房総務審議官  柳川 成顕君         総理府人事局長 山地  進君         防衛庁参事官  石崎  昭君         防衛庁防衛局長 塩田  章君  委員外出席者         内閣委員会調査         室長      山口  一君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月十二日  辞任         補欠選任   狩野 明男君     高村 正彦君   木野 晴夫君     熊川 次男君   倉成  正君     堀之内久男君   田澤 吉郎君     片岡 清一君 同日  辞任         補欠選任   片岡 清一君     田澤 吉郎君   熊川 次男君     木野 晴夫君   高村 正彦君     狩野 明男君   堀之内久男君     倉成  正君     ――――――――――――― 十月三十日  国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律  の一部を改正する法律案(第九十三回国会閣法  第九号)(参議院送付) 十一月十日  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出第四号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五号) 同月二日  傷病恩給等改善に関する請願石橋一弥君紹  介)(第四九六号)  国家公務員賃上げ労働条件に関する請願(  井岡大治紹介)(第四九七号)  同(小川省吾紹介)(第四九八号)  同(清水勇紹介)(第四九九号)  同(前川旦紹介)(第五〇〇号)  同(山口鶴男紹介)(第五〇一号)  人事院勧告完全実施早期支給に関する請願(  中路雅弘紹介)(第五九七号)  元従軍看護婦に対する恩給法適用に関する請願  外一件(狩野明男紹介)(第六二五号)  同(金子岩三紹介)(第六二六号)  同(川崎二郎紹介)(第六二七号)  同(倉成正紹介)(第六二八号)  同外一件(谷垣專一君紹介)(第六二九号)  同(八田貞義紹介)(第六三〇号)  同(渡部行雄紹介)(第六三一号) 同月六日  元従軍看護婦に対する恩給法適用に関する請願  (池端清一紹介)(第六八七号)  同外一件(今井勇紹介)(第六八八号)  同(枝村要作紹介)(第六八九号)  同外一件(柿澤弘治紹介)(第六九〇号)  同(亀井善之紹介)(第六九一号)  同(田口一男紹介)(第六九二号)  同(中野四郎紹介)(第六九三号)  同(矢山有作紹介)(第六九四号)  同外一件(有馬元治紹介)(第七三〇号)  同(稻村左四郎紹介)(第七三一号)  同(小坂徳三郎紹介)(第七三二号)  同外一件(友納武人紹介)(第七三三号)  同(宮崎茂一紹介)(第七三四号)  同(上原康助紹介)(第七四九号)  同(栂野泰二紹介)(第七五〇号)  同(愛野興一郎紹介)(第七八二号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第七八三号)  同(小沢貞孝紹介)(第七八四号)  同(神田厚紹介)(第七八五号)  同(栂野泰二紹介)(第七八六号)  同外一件(中尾栄一紹介)(第七八七号)  同(湯川宏紹介)(第七八八号)  国家公務員賃上げ労働条件に関する請願(  田口一男紹介)(第六九五号)  同(湯山勇紹介)(第六九六号)  同(松沢俊昭紹介)(第七五一号)  同(伊藤茂紹介)(第七八九号)  台湾残置私有財産補償に関する請願藤本孝雄  君紹介)(第七二九号)  国家公務員退職手当削減反対等に関する請願  (上原康助紹介)(第七四七号)  旧治安維持法等による犠牲者の賠償に関する請  願(上原康助紹介)(第七四八号) 同月九日  非核三原則の法制化等に関する請願榊利夫君  紹介)(第八〇九号)  同(中路雅弘紹介)(第八一〇号)  人事院勧告完全実施退職手当削減反対に関す  る請願関晴正紹介)(第八一一号)  同(湯山勇紹介)(第八一二号)  元従軍看護婦に対する恩給法適用に関する請願  (榊利夫紹介)(第八一三号)  同(中路雅弘紹介)(第八一四号)  同(長谷川峻紹介)(第八一五号)  同外三件(浜田卓二郎紹介)(第八一六号)  同(三谷秀治紹介)(第八一七号)  同(村上弘紹介)(第八一八号)  同(四ツ谷光子紹介)(第八一九号)  国家公務員賃上げ労働条件に関する請願(  久保等紹介)(第八二〇号)  同(瀬崎博義紹介)(第八二一号)  同(辻第一君紹介)(第八二二号)  同(野間友一紹介)(第八二三号)  同(松本善明紹介)(第八二四号)  同(三浦久紹介)(第八二五号)  同(米田東吾紹介)(第八二六号)  同(渡辺貢紹介)(第八二七号)  人事院勧告完全実施早期支給に関する請願(  安藤巖紹介)(第八二八号)  同(伊賀定盛紹介)(第八二九号)  同外四件(伊藤茂紹介)(第八三〇号)  同(石橋政嗣君紹介)(第八三一号)  同(木下敬之助紹介)(第八三二号)  同(小渕正義紹介)(第八三三号)  同外一件(佐藤敬治紹介)(第八三四号)  同(榊利夫紹介)(第八三五号)  同(塩田晋紹介)(第八三六号)  同(鈴木強紹介)(第八三七号)  同(瀬崎博義紹介)(第八三八号)  同(関晴正紹介)(第八三九号)  同(竹本孫一紹介)(第八四〇号)  同(武部文紹介)(第八四一号)  同(玉置一弥紹介)(第八四二号)  同(塚本三郎紹介)(第八四三号)  同(中路雅弘紹介)(第八四四号)  同(中野寛成紹介)(第八四五号)  同(中村正雄紹介)(第八四六号)  同(西村章三紹介)(第八四七号)  同(林保夫紹介)(第八四八号)  同(不破哲三紹介)(第八四九号)  同(細谷治嘉紹介)(第八五〇号)  同(和田一仁紹介)(第八五一号)  同(岡田利春紹介)(第八五二号)  傷病恩給改善等に関する請願中川一郎君紹  介)(第九七四号) 同月十日  元従軍看護婦に対する恩給法適用に関する請願  外一件(楢崎弥之助紹介)(第九七七号)  同(市川雄一紹介)(第九七八号)  同(染谷誠紹介)(第一〇一八号)  同(戸井田三郎紹介)(第一〇一九号)  同外一件(菅直人紹介)(第一〇三一号)  同(金子みつ紹介)(第一〇四五号)  同(船田元紹介)(第一〇四六号)  同(戸沢政方紹介)(第一〇七一号)  同(森田一紹介)(第一〇七二号)  人事院勧告完全実施早期支給に関する請願外  一件(新盛辰雄紹介)(第九七九号)  同(山本政弘紹介)(第九八〇号)  同(八木昇紹介)(第一〇二〇号)  同(佐藤誼紹介)(第一〇七四号)  同(鈴木強紹介)(第一〇七五号)  同(中路雅弘紹介)(第一〇七六号)  同外一件(平林剛紹介)(第一〇七七号)  同(村山喜一紹介)(第一〇七八号)  同(吉原米治紹介)(第一〇七九号)  人事院勧告完全実施退職手当削減反対に関す  る請願池端清一紹介)(第九八一号)  同(上田卓三紹介)(第九八二号)  同(上田哲紹介)(第九八三号)  同(上坂昇紹介)(第九八四号)  同外一件(栂野泰二紹介)(第九八五号)  同(米田東吾紹介)(第九八六号)  同(榊利夫紹介)(第一〇八〇号)  同(中路雅弘紹介)(第一〇八一号)  旧満州棉花協会等恩給法による外国特殊機関  として指定に関する請願染谷誠紹介)(第  一〇三〇号)  同(砂田重民紹介)(第一〇四七号)  徴兵制復活憲法改悪反対等に関する請願(渡  辺貢紹介)(第一〇七三号) 同月十一日  人事院勧告完全実施早期支給に関する請願(  川本敏美紹介)(第一二二一号)  国家公務員賃上げ労働条件に関する請願(  下平正一紹介)(第一二七八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月十日  靖国神社公式参拝実現に関する陳情書外十一  件(第一  二七号)  靖国神社国家護持反対に関する陳情書  (第一二八号)  新憲法の制定に関する陳情書  (第一二九号)  同和対策事業特別措置法強化改正に関する陳  情書外七十五件  (第一三〇号)  旧軍人軍属恩給欠格者処遇改善に関する陳情  書外七件  (第一三一号)  人事院勧告完全実施等に関する陳情書外一件  (第一三二号)  青少年の健全育成対策に関する陳情書  (第一三三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律  の一部を改正する法律案(第九十三回国会閣法  第九号)(参議院送付)  公務員制度及び給与に関する件      ――――◇―――――
  2. 江藤隆美

    江藤委員長 これより会議を開きます。  公務員制度及び給与に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩垂寿喜男君。
  3. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 最初に、人事院総裁がお見えですから、お伺いをいたしたいと思います。  総裁臨時行政調査会意見を求められて、公務員制度について所見をお述べになったということを承っておりますが、その際、総裁が述べられた所見を要約してお聞かせいただきたいと思います。
  4. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 臨調には、公務員制度の現状と課題というようなことで所見を述べなさいという機会を与えていただきまして、私も臨調ができましてから、何か機会がございますれば、そういう点について委員の御認識を深めていただきたいという希望も持っておりましたので、喜んで参上いたしました。五月十一日のことであったと思います。大体一時間半ぐらいにわたりまして、私から所与の問題について述べさせていただいたのであります。  その概要について触れさせていただきますと、戦後における公務員制度の趣旨、沿革、それとの関連で、戦前におけるわが国の公務員制度というものについても触れて申し上げたのであります。  現在の公務員制度の根幹というのは、申すまでもなく民主的で能率的な公務員制度ということでございますので、そういう点からいろいろな制度仕組みができておって、この制度自体は、私の口から申すのもはばかりがあるけれども、やはり世界的に見ても遜色のない制度であるということは間違いがないというふうに思っております。しかも、この制度自体は、戦後三十年を経ておおむね慣熟したものとして落ちついた運営がなされて今日まで来ておるという点を申し上げました。  それと同時に、三十年ということでございますので、その間背景となる社会経済情勢というものが大変大きく変化しておる、こういう変化に対応して、やはりもう一度全般的に、今後長きにわたってたえ得るような公務員制度というもののあり方を再検討する時期に来ておるのではないだろうかという点について、人事院としては問題意識を持って、去年からこの問題について発言もし、具体的な調査等取り組みを始めております。これは大体において六十年度実施を目途にしてやっていきたい。その順序、やり方等についても申し上げました。  それの中で、なかんずく申し上げましたのは、臨調関心事項の重要な一つでございます給与制度の問題がございますので、この点については、特に重点を置いて申し上げたのであります。これは申し上げますまでもなく、公務員労働基本権制約代償措置として設けられたものであって、その点と人事院勧告というものが密接不可分関係にあって今日まで来ておる。いろいろな紆余曲折はあったけれども、幸いにして四十五年以来は、給与勧告については完全実施ということで今日まで推移をしてきておる。これ自体は大変結構なことだと思っておる。実はこの給与問題というのは、とりわけ重要な労働問題として把握すべき問題である。これは何か時の情勢変化とかなんとかいうことで軽々に手直しをするとかいうようなものではなくて、長年の積み重ねで今日まで来ておるものでございますので、それは民間の場合と同様であります。そういうことで、これを軽々にいじくるということになりますと、やはり公務員労働関係に大変重要な変化を及ぼすことがあって、そのことが大きく不安定要素につながりかねない。いまのなには、見方はいろいろございますけれども、幸いにして公務員労使関係というものはまずまずいい線に定着をしているのではないか。それを支持するといいますか、そういうふうに持ってまいりました原因の一つとして、公務員給与に関する人事院勧告と、それに対する尊重ということが一つの大きな柱となっておることは間違いのないことでございます。  そういうようなことを中心としてるる申し上げ、またこれに対して若干の質疑もあり、それに対してお答えをするということで、この臨調における発言の問題を終わったわけでございます。
  5. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それに関連をいたしまして、六十年をめどとして長期的、安定的な人事行政施策の策定の調査あるいは研究を進めておられるわけですが、こんな機会ですから、項目としてはいままで勧告などに述べられたこともございますけれども、少しその辺に触れて、どんなことをどういう枠組みで研究なすっておられるのか、その辺をちょっと明らかにしていただきたいと思います。
  6. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 中長期の展望のもとにおきまする公務員制度あり方というものをどういうふうに構築していくかという点は、すそ野の広がりの非常に広い問題でございまして、これは私たち人事院として総力を挙げて取り組んでまいりたいという決意を持っておるわけでございますが、昨年の給与勧告の際に報告として一般的な方向を打ち出しました。ことしはこれを受けまして、さらに一歩進めた問題点の提起、紹介を申し上げたということでございますが、基本的には、私たち認識といたしましては、戦後における社会経済情勢、特に人事制度という面から見ますと、最も重要な点は、やはり社会の高年齢化高学歴化という問題ではないかというふうに思っております。これに対処して現在の制度というものは、それなりにやはりその都度の対応策を講じながら今日まで来ておりますけれども、おのずからこのままの姿で今後十年、二十年をたえていくことはなかなかむずかしかろうという考え方を持っております。また事実そうではないかというふうに思っております。  そこで、これに対応していかなる制度的な取り組みをするかということになりますと、これは単に任用制度だけとかあるいは給与制度だけとか、そういうことだけの視野で限局すべき問題ではございません。もっと広い立場からいろいろな角度に掘り下げて検討して問題を浮き彫りにして、しかも総合的な人事管理として落ちついた長き期間の使用にたえる、そういう制度というものを打ち出していかなければならぬというふうに考えております。  そういう点からいろいろな点を考慮いたしておりますが、まず任用制度につきましては、現在の試験制度がそれでいいのかということ。詳しくは申し上げません。問題だけを列挙いたします。試験制度がそれでいいのか。これも変革すべき時期にかかっておる。それから昇任制度昇任制度は、現在昇任試験という制度はございますけれども、これは制度的にはほとんど活用されておらないで、事実、選考というようなことで運営されております。しかし、今日の事態、今後を見通します場合に、やはり昇任試験というものも制度的に、全般的にというわけではございませんけれども、適当な範囲においてそれを取り入れるという問題をどうするかという点がございます。こういう点を中心にしてやってまいらなければならぬということがございます。また給与制度等につきましては、そもそも現在の俸給の全体の仕組みと、本俸とあるいは手当、それらの仕組みが根本的にどうなのか。また本俸の立て方の問題にいたしましても、現行の俸給表種類あるいはその俸給表自体等級構成あるいは号俸のあり方というようなものにつきましても、全体的な職務分類制度等との絡みでもう一つ掘り下げてやっていかなければならぬ時期に来ておるのではないかというふうに思っております。また本俸手当関係等についても、そのいずれに重点を置き、また配分の基準をどういうめどをとっていくかというような点も重要なことでございますし、手当自身種類等についても掘り下げての検討が必要ではないかというふうに考えておるのであります。またそれだけにはとどりませんで、その他の職員制度等につきましても、研修等中心にいたしまして、能率的な制度運営ができますような仕組みを考えていく必要がございます。また最近特に問題になっております公務員倫理の高揚の具体的な施策というような問題についても、本格的に取り組んでいかなければならないという認識を持っておるのでございます。  そういうことで、本年度は本格的な調査に着手いたしております。この調査は、民間対象調査もございますし、また各省庁の具体的な人事運営あり方、その実態中心にして検討を加えるという調査もございます。両々相まちまして、実態の確保と問題点の摘出をいたしまして、だんだんと構築をする方向制度を改変の方向に持ってまいりたいという努力をいたしたいと考えておるのであります。  大体そういうことを中心にいたしまして、来年度からだんだん問題点の整理をやってまいりまして、本年の調査の結果出てまいりましたところによって検討をしました結果、さらに補足的な調査をする必要があるいはあると思います。そういう点は来年も並行してやっていくことにいたしまして、五十八年度から本格的に立案作業に入っていくというめどを持って鋭意この問題に取り組むという姿勢でやっておるわけでございます。
  7. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 戦後の労使関係安定のプロセスの中で人事院の果たした役割り、それは人事院に対するいろいろな不満がございます。それぞれあると思うのです。しかし、人事院が果たした役割りというものは、やはり一種の信頼と言われるものによって裏づけられているだろうと私は思うのです。私は、戦後労働運動の中で二十年以上かかわってきましたから、その点については特に感ずるわけであります。いま総裁が言われましたように、せっかく公務員制度全般についての調査検討を行っている。しかし、一方で臨時行政調査会がその作業に入っている。これとの矛盾といいましょうか、食い違いといいましょうか、そんな問題がやがて非常に大きな政治問題に発展をする可能性があると私は思うのです。その意味では、人事院として、昨年の勧告の中で述べられ、さらにことしの勧告の中でも具体的な指摘をしながらいま精力的に取り組んでいる課題との調整を考えたときに、やはり人事院自身がやっている、つまり労使信頼の上に成り立っているその制度の見直し、再検討の延長線上に位置づけられるべきではないだろうか、こんなふうに思うのですが、今後どのような形でそれを具体化していこうとなさるのか。たとえば答申というふうなことを考えれば、来年というようなこともあり得るわけです、毎年答申が行われるわけですから。そういう問題についての総裁の見解を承っておきたいと思います。
  8. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 臨調との間で将来問題が生ずることがあるかもしれないではないか、それはそのとおりだろうと思います。臨調臨調としての使命があるわけでございますから、臨調の独自の方針に基づいていろいろなことが検討され、また結論が出たならば、これについての御意見を申し述べられるということに相なるだろうと思います。  それはそれとして、その事態、その時期になりまして、いろいろな問題に具体的に対処して、人事院としても物を言うべきことは物を申す、意見としては申し上げるということに相なろうかと思いますが、その間、やはり人事院といたしましても、昨年からそういう意識を持って作業に着手いたしておりますので、使命は違いますけれども、臨調といい人事院といい、やはり同じ政府機関であることには間違いない。したがって、その間に無用の非能率というものが生ずることは好ましいことではございません。したがいまして、私といたしましては、各部局も督励をいたしておりますが、なるべくそういう点を避けるために、臨調に対しては——臨調の御議論なり御調査を制約するとか、そういうことはむろん考えておるわけではございませんが、人車院独自として進めておりますこの仕事の運びぐあいなりあるいは資料整備ぐあいというものは、その都度緊密に事務当局と御連絡をいたしまして、その間に無用の非能率が起きないような配慮はやっていくことが必要ではなかろうか。この点は臨調事務当局の方も大変御理解をいただきまして、ひとつ緊密に連絡すべき点は連絡していこうではないかということに相なっておりますので、おのずからなる調整がとられるものと思っております。しかし、立場がそれぞれ違うことでもございますから、それが具体的になりました時点でいろいろの問題の処理の仕方というものは出てくると思います。あらかじめここでそのときはどうかということについて申し上げることは、差し控えておいた方がいいのではないだろうかというふうに考えております。
  9. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 せっかく官房長官お忙しいところをお出ましをいただきましたので、人事院勧告扱いについてお尋ねをしておきたいと思います。  明日、十三日、給与関係閣僚会議が予定されているそうですけれども、そこで、たとえばいままで税収見込みが云々ということが言われてまいりましたが、勧告扱いを決めることが可能でございましょうか。勧告扱いをあしたの給与関係閣僚会議方向を出すことは可能でございましょうか。
  10. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 明日、給与関係閣僚会議を開きまして、この問題の検討の続きをいたしたいと考えております。その結果、最終的な結論が出るかどうかということのお尋ねでございますが、いろいろな財政需要、新しい財政需要等につきましては、災害などかなり見当のついてきたものもございますけれども、税収見通しの方がまだその段階でしっかりいたさない。どうもどっちみちあんまり芳しくない感じはいたしますが、それにいたしましても、明日ではまだなお見通しが困難だということになるのではないかと思います。もしそうでございますと、あるいは明日結論を出し得ないということになるかもしれないと存じております。
  11. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 結論を出し符ないということになるかもしれないとおっしゃいました。御存じのように、仲裁裁定はすでに一つの決着を見ている。しかし、人事院勧告はいまだにその処理が決まっていない。連日、公務員労働者が国会請願あるいは大衆行動という形で運動を繰り広げていることは御存じのとおりですが、公務員の諸君が年末を控えて——今国会ももう終わりに近づいております。したがって、今国会の会期中に人事院勧告扱いについて閣議決定をする、こういう明確な御答弁を煩わしたいわけですが、いかがでしょうか。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほどから人事院総裁との間で応答をしておられますような、この制度の持っております大事な社会的な意味は十分政府も存じておりますので、できるだけ誠意を持って、しかも速やかに答えを出したいと努力しておりますことは御理解をいただきたいと存じますが、この国会の会期中に閣議決定をなし得るか、明日の議論にもよりますが、申しわけございませんが、ただいまのような意味で、それにしっかりお返事を申し上げることができないのが現状でございます。  ただ、お尋ねの意味をそんたくして申し上げますならば、年末には、勤労者は、ことに手当もあり、金がよけいに要るのでございますから、年を越しませんでそういう支給をしなければ相済まぬのではないかということは重々考えております。
  13. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 内閣改造などが言われておりまして、官房長官のお立場も、私はわかりません、私がそんたくすべきものではないわけですが、やはりいまの内閣の改造以前に、官房長官給与関係閣僚会議の座長でございますので、ぜひひとついまの内閣の中で結論を出していただきたい、このことを心からお願いをいたしますが、それに対する御答弁をいただきたいと思います。
  14. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 お言葉ではございますが、正直を申しまして、内閣がいつ改造されるのか、私自身、総理に聞いたことはございません。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたようなラインで、働く人々にできるだけ迷惑のかかりませんような年内の支給を何とか努力をいたさなければならぬと考えております。
  15. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それ以上やりとりをしてもどうも出てきそうもございませんので、官房長官、ちょっと恐縮ですが、きのうの新聞で、アメリカのロストウ軍備管理軍縮局長が、必要があればという前提がございますけれども、日本を含むアジア地域に巡航ミサイルなど戦域核を配備する可能性があるということを言明されました。私は、過ぐる国会の中で、官房長官ともこれらの問題についてやりとりをしたことがございますけれども、日本には非核三原則があるわけであります。したがって、ロストウ局長のような発言は、日本の非核三原則を承知しておられるのかどうか、正直、私は大変疑わざるを得ません。そういう立場から言うならば、核がどのような形であれ持ち込まれることはノーである、そんなことはあり得ない、このことについて、あえて私は官房長官から御答弁を煩わしたいと思うのであります。この種の問題というのは、その都度きちんと日本政府の態度を明らかにしておきませんと、あのとき言ったじゃないかというようなことで議論をしていくつもりはないと思いますが、国民の立場というものが明確になりません。したがって、政府の統一見解といいましょうか、官房長官の御所見を述べていただきたいと思います。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ロストウ氏の述べましたことが実ははっきりわかっておらないのでございますけれども、どうやらソ連のSS20とアメリカ側の戦域核との削減交渉をするときに、ヨーロッパの方では事が決まったが、極東の方にそれが回ってきた、そういうしり抜けの交渉をするつもりはない、グローバルにやるつもりだということが発言の主体であったようでございますが、必ずしも明確でございません。  いずれにいたしましても、ただいま岩垂委員の言われましたことはそのとおりでございます。政府といたしましては、非核三原則がございますので、どういうことであれ、これは従来からの方針を貫いていく、そのとおりでございます。
  17. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 少し具体的に勧告の問題についてお尋ねをしていきたいのですが、官房長官、十一時から記者会見ですか。——それでは結構でございます。  総務長官と官房長官、両方に聞いてもらいたかったのですが、そんな日程のようですから、総務長官にあえて私、釈迦に説法でございますけれども、ちょっとお尋ねと言うよりも、人事院勧告完全実施に至る経過を申し上げたい。  実は、御存じのように、私自身は総評本部で現場の労働運動にかかわってきました。そういう立場から申しますと、人事院勧告完全実施に至る長い長い歴史というものをここで顧みざるを得ないのであります。そこに至る経過の中には、関係各位の誠意あるいは大変な御努力があっただろうと思うし、ある種の歴史の重さというものを私はその中に感じます。だから、それを簡単に踏みにじってもらっては困る、その歴史の重さみたいなものを無視していただいては困るという意味で、完全実施を迫るという立場からもあえて申し上げたいと思うのでございます。  御存じのように、人事院勧告制度というのは昭和二十三年からであります。三十四年までというのは、勧告実施時期などについてはあえて触れなかったり、あるいはなるべく早くというふうな、期日を明示しない勧告が行われてまいりました。しかし、三十五年以降は五月一日という期日を明示した勧告が実は行われています。しかし、政府はその間、それ以前もそうでしたが、たとえば五月に対して十月というふうな、実施時期をいわば繰り下げてやってきたことは御理解のとおりです。その間に、たとえば昭和三十九年、まあ内容は勧告どおりでございましたが、一カ月、十月を九月にしたという経過がございまして、その中では国会の方も衆参両院で完全実施を含めての附帯決議が行われていることは御存じのとおりです。  それで、私は実は調べてみたわけです。では一体三十九年は実施時期の問題を含めてどういう勧告になっているだろうかというのを少し、釈迦に説法ですが、あえて申し上げたいと思うのです。勧告では、「最後に、給与改定の実施時期について、従来、一般職国家公務員給与改善に関する本院  の勧告は、官民給与の較差を基礎として、民間給与水準に追いつかせる建前のもとに行なわれてきたものであるが、過去四年にわたり、毎回その実施が十月に繰り下げられているため、一般職国家公務員給与は、常に民間給与に遅れる結果となっている事実を指摘しておきたい。」こう述べている。翌年の四十年には、「最後に、給与改善実施については、本院の勧告が、本来、官民の較差を基礎として、一般職国家公務員給与民間給与水準に追いつかせる趣旨のものであること、および本年もまた三公社・五現業の職員給与改定が四月から実施されることになっていることを、特に指摘しておきたい。」ここは三公社五現業の四月実施という問題についても触れておるわけであります。以下、四十二年あるいは四十三年、四十四年のそれぞれの勧告の末尾に、あえて完全実施を求める人事院の見解がございました。にもかかわらず、政府実施の方は、四十二年にようやく八月になり、四十三年にようやく七月になり、四十四年に六月になるというふうな、この当時の歴史を振り返ってみると、まさに岩につめを立てて一歩ずつよじ登っていくという感じのことを、いまでも私は思い出さざるを得ません。  そういう意味からいきますと、完全実施に至って、昭和四十五年から今日まで、まあ四月実施というのは四十七年からでありますが、しかし、一応完全実施のそういう非常に困難なというか、善意と努力に支えられた歴史というものを、いまここでほごにするということは、私は許されないだろうと思うのです。その意味では、勧告の内容あるいは実施時期を含めた完全実施の歴史の重さというものを崩さないでほしい。総務長官は、そうした歴史を振り返って、そして制度として定着した今日の状況というものについて、ぜひ御理解のある積極的な態度というものを給与関係閣僚会議などでも述べていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  18. 中山太郎

    ○中山国務大臣 先生のお話しの人事院制度創設以来の歴史、また完全実施に至るまでの関係各位の御努力、私はその点も十分認識をいたしておるつもりでございますし、また完全実施になりました際の国会における佐藤総理、山中総務長官、また受田新吉先生、大出俊先生の御発言の議事録等も詳細に拝読いたしております。月来十年、この完全実施ということで労使間の信頼関係は安定し、そうして高度成長期の日本に大きな役割りを果たしてきたことも、これも見逃すことのできない歴史であります。  そういう中で、今回人事院勧告実施をめぐって大変御心配をかけておりますけれども、再三にわたって申し上げておりますように、先生も御案内のように、四月の民間のべースアップを基準にして調査をし、そうして人事院勧告してくるのは八月でございまして、自来、昨年におきましても四回の給与関係閣僚会議を経て十月二十八日に完全実施という結論を得た、こういう昨年の経過がございます。今年も昨年同様の経過をたどって今日までに至っておりますけれども、私はやはり給与関係閣僚の責任者として、この関係閣僚会議をぜひ開いていただきたいということを先日来お願いをし、十三日に給与関係閣僚会議の第三回を開いていただくことになったわけでございまして、担当大臣としては、第二回以降のいわゆる国の歳入状態、そういうものを大蔵当局からも報告を求め、それに対して、判断できる状態かどうかということも含めて、私は過去の歴史また信頼関係、それから今後のいわゆる公務の円満な遂行のために、責任者としてはできるだけの努力を払ってまいりたい、このように考えております。
  19. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 率直に申し上げて、仲裁裁定は一つ結論が出た。従来、昭和三十二年以降、仲裁裁定というのは完全実施が行われている。ことしもそういう形の方向が出た。しかし、人事院勧告の方だけはいまだに始末がつかない。御存じのように、団結権や団体交渉権などの面でも、公労協の諸君と国家公務員やあるいは地方公務員の諸君との間にはいわゆる権利の面で差がある。にもかかわらず、現実問題として差別をされている、このことはだれが考えても私は問題だろうと思うのであります。その点で、ぜひ完全実施の努力をいただきたいと思いますが、仲裁裁定との兼ね合いのことも含めて、総務長官はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  20. 中山太郎

    ○中山国務大臣 仲裁裁定との絡みという問題でございますけれども、仲裁裁定に関しましては、国会の御議決ということでございまして、あくまでも国会の御意思にまっておる。先般そういうことでいわゆる御意思がわかったわけでございまして、政府としても、国会の御意思を尊重してまいらなければならない、こういうことでございますが、人事院勧告扱いにつきましては、あくまでも政府の責任でこの勧告をどうするか、そういうことでございますけれども、問題は国の税収状態がどうか、特に法人税のいわゆる税収が当初の見込みから大幅に落ちておるというこの現実も政府としては見逃すことができない、そういうことで、今日苦慮をしておるというのが現実でございまして、絡みというものではなく、われわれとしては人事院勧告というものは尊重していかなければならないという一つの基本の路線を踏まえて、政府としては給与関係閣僚会議で鋭意誠意を持って協議を続けてまいりたい、このように考えております。
  21. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 完全実施を行うことを決めて、その関連で国会でのいろいろなやりとりがございます。これはもういま総務長官はお読みになったと、こういうふうにおっしゃいましたが、私からもあえて実は読んでみたいのです。佐藤総理です。これは四十五年十二月三日の衆議院本会議です。「また、人事院勧告は、これを尊重するというのが、公務員法の趣旨から申しましても当然のことであり、今回、ようやくにして実現を見た完全実施のたてまえを、今後とも実施してまいりたい、かように考えております。」総理大臣の答弁です。関連して山中総務長官の答弁は、「さらに、人事院勧告完全実施等につきましては、総理大臣からお話がございましたとおりでございます。ルールの確立したものと、私も担当大臣として認識いたしておるわけでございます。」ルールでございます。  それからさらに、四十五年の三月二十六日の参議院の内閣委員会、山中総務長官は、「人事院勧告の内容がどうである、あるいは人事院勧告を、事前に、国家権力あるいは政府の権力によって、独立の機構である人事院に対して圧力を加えると、そのようなことがあってはなりませんし、そのようなことはしておりませんから、やはり人事院の独立性というものを尊重された結果を尊重していくということが一番すなおな道であろうかと思っております。」別の場所では、「ようやく四十五年度にそのような体制ができ上がりそうでございます。でき上るわけでございまして、これからはいよいよそのような、あと戻りすることのないようにしていかなければならないと決心いたしております。」  それだけではございません。さらに四十五年の七月九日の衆議院の内閣委員会、これは山中総務長官です。「この約束は昨年すでになされた政府の公的な姿勢でございます。これは公務員に対してなした政府の約束というばかりじゃなくて、公務員というものが国民に対して奉仕する姿勢からいえば、その待遇というものは国民に向かって政府が約束したものと受け取られて当然だと思うのです。したがって私たちは、この約束を守るためには、財源上の問題はいろいろ大蔵省としては心配の種がありますし、閣議もこれは無視してはおりませんが、今回の人事院給与勧告については、完全にこれを実施するということについて、まずそのことの実行を先にやる。足らないのは、公務員給与の財源が足らないのではなくて」、いいですか、「足らないのは、公務員給与の財源が足らないのではなくて、それを完全に実施したことによって足らないものを、場合によっては補正その他の手段もありましょうし、考えていくという基本的な姿勢でことしはずうんと違うんだというふうにお受けとめ願えれば、」云々という文章になっているのです。  さらにいろいろな言葉がございます。これは、完全実施というのは、今後とも要するに継続して実施をする、後戻りのない制度の一環である。あるいは公務員諸君に約束しただけではなしに、国会と国民に対して行った政府の公約である。財政事情というものが考えられるとしても、そういう特別な措置というものをとらないこと。つまり財源云々ではないということをはっきり明言しておられるわけでございます。  願わくは、こういう立場というものを、いままでの歴史を含めて、私はぜひ総務長官が給与担当閣僚として関係閣僚会議の中できちんと明らかにしていただきたい。そうでないと、何か非常に便宜的に扱われているように思われてならないのであります。歴史の重さというものを改めて確かめ合いながら御答弁をいただきたいと思います。
  22. 中山太郎

    ○中山国務大臣 私は、その歴史の重みというものは十分認識をいたしております。また先ほど申し上げたように、そういうふうな歴史の中でわれわれの社会が発展をしてきた。ただ、私どもがその昭和四十五年当時、佐藤総理の国会の答弁あるいは山中総務長官の国会答弁の時点で、恐らく日本の経済の将来の見通しというものを、非常に安定したしかも高度な経済成長が相当期間続くであろうという見通しを実は持っておったと信じております。そういうふうな政治的な考え方から、これは絶対に後ずさりすべき問題ではないという結論を出したのであろうと思うのでありますけれども、四十八年の石油ショックあるいは五十二年の石油ショックによる世界的な大恐慌の中で、日本の産業構造あるいは経済状態が今日のような状態になるというふうなことは恐らく想像もしていなかっただろうと思うのでございます。そういうふうな厳しい経済状態の中で、政府はなおその当時の政府の考え方というもの、また人事院制度が今日厳存して、その勧告を尊重していくという精神の中で、今日一つの目的に向かって努力をしている、そういうふうにひとつ御理解をいただきたいと考えております。
  23. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 努力をする、努力をするというふうにおっしゃるわけですが、最高裁判決に関連をして、誠実に実現に努力すれば違憲と断ずることはできないというふうな政府答弁あるいは法制局長官の答弁があったようでございますが、誠実に実現に努力というのは、どういう具体的な内容を含むのですか。総務長官はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  24. 中山太郎

    ○中山国務大臣 私は、現在の政府の対応の仕方というものは、誠実そのものであると考えております。
  25. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 政府は今年度の雇用者所得の見通しから考えれば、当然五%程度の人勧が出されるだろうとわかっていたはずなんですよ。それにもかかわらず予算には給与改善費は一%しか計上してないのです。それで最近のような形で税収のことだとか景気動向だというようなことを言っていたら、事によったら一%しか改善措置がとれないということだってあり得ないことではない。それが一体誠実に努力をしたというふうな足がかりになり得るでしょうか、言いわけになり得るでしょうか。この点はどうなんですか。
  26. 中山太郎

    ○中山国務大臣 いわゆる予算編成方針を決定する閣議において、先生の御指摘の点は確かにございました。私は給与関係の担当閣僚として一%の計上はおかしい、どういう理由かということを確認いたしましたが、政府は、例年この人事院勧告が出た際に、それに対応した財政措置をとるというふうな方針を従来踏襲してきておるので、総務長官の発言発言として十分留意をしてまいりたい、このようなことでございましたので、その点は先生誤解のないように、担当閣僚としては言うべきことをはっきりと言っておると御理解をいただきたいと思います。
  27. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 担当閣僚に申し上げていることよりも、それを含めた内閣全体の姿勢で、誠実に実現に努力すれば云々という答弁があった。にもかかわらず、残されている実績は、足跡は誠実のかけらも見かけられないとあえて言われても仕方がないんじゃないかと私は思うのです。なぜならば、人事院勧告というのはことし初めてやるんじゃないのです。毎年毎年行われるのです。そして労働団体の賃金要求がある。それは秋に出される。それから、それにこだわるかどうかは別として、政府の経済見通し、予算編成がある。さらに物価あるいは生計費の推移や民間賃上げの相場があって人事院勧告が行われる。こういうサイクルになっているのですよ。毎年のことなんですよ。だから、それに対応する姿勢がなかったと言われても仕方がないと私は思うのです。ここのところはやがて法律的にも問題になりますので、大きな論争点になります。私は誠意がないと受け取らざるを得ないし、ないとすれば、政府の答弁をおかりしても憲法違反だと言われても仕方がないんじゃないだろうか、完全実施をしなければ、そのことを含めて、いまのような毎年毎年ある制度、定着している制度、したがって、完全実施のために総務長官として最大限の努力をするということをもう一遍言ってください。
  28. 中山太郎

    ○中山国務大臣 総務長官としては、安定した労使関係というものを維持することを最大の課題として、今後とも誠意を持って努力をしてまいる覚悟であります。
  29. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 今国会に限ったことじゃないのですが、公務員給与が何か絶えず政争の道具みたいなぐあいに扱われてきたことは否定することのできない現実だと私は思います。その意味では、人事院勧告の取り扱いを含めて、勧告というものにある種の法的な拘束力を持たせることの方が大事じゃないだろうか、こうなってくると、そんな感じさえするのですが、勧告を実効あらしめるために、何らかの立法上の措置を講ずるという考え方は思いつきませんか、総務長官。
  30. 中山太郎

    ○中山国務大臣 法的な拘束力というものをつけるべきではないかという御意見でございますが、ただいま人事院におきましても、これからの公務員制度あるいは給与あり方等については、六十年までに全般的な見直し作業を始めておるところでございますので、その結果を待って政府としては慎重に対処をしてまいりたい、このように考えております。
  31. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 立法上の措置がすぐとられないとしても、労働基本権の代償措置という立場での人事院勧告でしょう。ところが、それを要求して、あるいはそれに対して抗議をして、たとえば争議行為をすれば処罰されるわけですよね。バランスがもうこうなっちゃっている、崩れているんですよ。均衡を失しているわけですよ。そういう意味から言うと、私は完全実施がされるような、何かこう勧告の取り扱いについて、あるいは手続というふうにでも言ってもいいのかな、そういうことを含めて、もっと政府としてはっきりしたことを措置することが必要ではないだろうかとも思いますけれども、総務長官、自分で担当なさって、その点について全く問題を感じられませんか、いかがですか。
  32. 中山太郎

    ○中山国務大臣 いろいろと給与のいわゆる支給に関して人事院制度あるいは人事院勧告、そういうものがはなはだ貴重な存在になっているということは、私も十分認識をしております。これをどうするかこうするかということよりも、先ほど申し上げたように、この人事院制度というものがある以上は、人事院勧告というものを政府は尊重をしていくというのが基本の精神、私は実はそういうことを踏まえて考えておるものでございまして、現在のところ人事院制度というものが存在しておるわけでございますから、それを尊重していくというのが当然のあり方であろう、このように考えております。  問題は、財政事情ということに触れたらいけないという御指摘でございますけれども、この支払う原資の問題がどうなるのかということが、やはり国家の経営にとっては一番重大な問題である。それを抜きにして、人事院の言うことは何でもそのまま完全に実施してやっていかなければ、国としては責任が果たせないということは——それは労働基本権の制約に関する代償機能という人事院のいわゆる勧告制度を無視したことではない。財政事情を見きわめながら人事院勧告の尊重という線で進んでいくということが政府のとるべき態度であろう、私はこのように考えております。
  33. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 総務長官、それは財政というのはある種の枠があるわけです。問題は優先順位の問題だと私は思うのですよ。だから、優先順位という議論をしていけば何ぼでも財源はあるんですよ。それは並べ方の問題です。その並べ方のところが少し後回し後回しになっちゃいませんかというわけです。せっかく総務長官が、あるいは労働大臣が御努力をなさっていらっしゃるそうですけれども、皆さん方の御努力というものが実際問題として実らないとすれば、私はそういう優先順位の立て方に対する政府の姿勢ということが問われなければいけないと思うのですよ。その問われる面というのは、さっき最高裁の判決に関連をして答弁をいただいた、誠意があれば、そして努力をすれば必ずしも憲法違反とは言いがたいという答弁のところへ戻っていくわけであります。だから、願わくは、もうこれ以上いろいろ言いませんけれども、完全実施の努力というもの、そしてやはり年内に公務員の諸君、御家族を含めて手にすることができるように、さっき官房長官もおっしゃったけれども、あなたも同じ答弁をしていただきたいと思う。
  34. 中山太郎

    ○中山国務大臣 官房長官と同じ考え方でございます。
  35. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 人事院勧告の問題は、いずれにせよもうある種の秒読みの段階だろうと思います。私は公務員の諸君の気持ち、そして今日いまだに政争の具にされているというふうに受けとめざるを得ないさまざまな状況というものを含めて、総務長官に一層の御努力をお願いをしておきたいと思います。  それで、最後にちょっと時間がありますので、防衛庁にお尋ねをしたいと思います。  ドネリー在日米軍司令官が極東有事の日米共同研究について発言をなさっておられます。これは昨日も参議院の方で議論が行われているようでございますが、私も八月にこの問題を取り上げて防衛局長にお尋ねをいたしました。まだ枠組みも内容も決まっていない、そのときは九月にもということが伝えられているがと言ったら、日程的にもそれは明らかでないということでございましたが、少し防衛局長にこの問題についての今日までの経過なりあるいは今日までに日米の間でどういう枠組み、スタッフ、内容について議論が進んでいるのか明らかにしていただきたいと思います。
  36. 塩田章

    塩田政府委員 八月にそういうお答えをしたわけでございますが、その後、現時点におきましても、これは日本側の場合外務省が中心でございますが、外務省を中心にいたしましてどういう形で取り組んでいくか、時期も含めまして、どういうスタッフで、どういう形でやっていくかということについて現在協議中でございまして、まだいまの時点でいつからというような結論まで至っておりません。
  37. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 その中に、これは非常に大きな問題だろうと私は思うのですが、たとえば中央指揮所にアメリカの連絡将校が配置されるというふうなことが言われております。これは防衛庁としては具体的にお考えですか。お考えになっているとすれば、その内容を少し明らかにしていただきたいと思います。
  38. 塩田章

    塩田政府委員 一昨日の米軍司令官の記者会見の席で、御指摘の中央指揮所に連絡将校を置くという話が出たことは、私も新聞報道で承知しておりますが、現在の時点でそういうことは何も決まっておりません。この問題は、むしろ中央指揮所ができるかできないかということでなくて別の問題としまして、ガイドラインの中に、日米の間の連絡調整をどうするかという調整機関あり方というテーマが一つございまして、研究テーマになっております。実はまだ余り進んでおりませんけれども、これをテーマとして取り上げて勉強をしておるわけでございますが、その中で日米の共同対処行動をとる場合の連絡調整機関あり方の答えが出ていくんだろうと思いますが、中央指揮所ができました場合に、その中央指揮所のできたことによる連絡体制をどうするかという問題も、当然その中で考えられていく問題だろうというふうに受けとめております。その中で一体どういうことをやるか。いわゆる通信連絡機能をどうするかとかあるいはお話のような連絡将校の派遣ということを考えるかどうかというようなことは、研究テーマとしては出てくると思いますけれども、いまの時点でそういうものを置くとかいうようなことを具体的に考えておるわけではございません。
  39. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 その連絡体制ということの中で、中央指揮所に米軍の連絡将校というものが配置されるという可能性はあり得るというふうに考えてよろしゅうございますか。
  40. 塩田章

    塩田政府委員 いま連絡将校ということを考えておるわけではございませんが、何らかの連絡体制を考えなければいかぬということでございまして、その何らかの連絡体制というのは何かと言われますと、そういうことも一つの形でございますから、通信をつなぐということもありましょうし、お互いに連絡将校を派遣するということもありましょうし、いろいろな形があるかもしれませんが、いま申し上げられますことは、何らかの連絡体制というものは考えていかなくてはいけないというふうに思っておるという段階でございまして、それ以上連絡将校をどうだというふうにいまお尋ねいただいても、そういう案があるとかいうふうには申し上げられる段階ではございません。
  41. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私が中央指揮所に連絡将校ということを端的にお伺いしたのは、日米の共同作戦と言われるものが具体的に制服のところで進められて、実際問題としてアジアにおける事態に対してシビリアンコントロールの行き届かない形で巻き込まれていくという可能性や、あるいは事前協議条項がどういう扱いになるのかという点や、あるいはある種の集団安保、日米韓という問題をも含めて考えざるを得ません。そういう点ではこれは非常に重大な要素が絡んでいる、私はこのように思います。  きょうは時間がございませんから、またこの問題を議論する委員会でもございませんから、その点はその辺にしておきますが、B52と共同訓練を行うなんて書いてありますね。B52は、皆さんもう御存じのように、核積載の作戦行動をとっている爆撃機です。この間のレーガンの核戦略の強化方針の中にもそのことが明らかに位置づけられている。これと共同訓練をしたら、結果的に核戦争の共同訓練ということになってしまうのではないですか。そんなことはあり得ないと私は思うが、その点についての防衛局長のきちんとした答弁を承っておきたいと思います。
  42. 石崎昭

    ○石崎政府委員 B52との訓練のことにつきましては、いま細部検討中でありまして、まだ結論が出ておりませんが、おおよそこういう訓練をやりたいという考えはございますので、それを申し上げますと、御存じのとおり、近代的な戦闘では電子戦、いわゆるECMという活動が大変重要な要素になっておるわけでございますが、航空自衛隊の航空機がこの電子戦に習熟するためには、性能の高いそういう機能を持った航空機との訓練を通じて習熟していく、これが大変いい方法でありますので、その適当な対象を考えておったわけでありますが、B52はECMという活動については大変りっぱな性能を持った適当な飛行機であるということで、B52を目標機としてECMの機能をいわば借りて訓練を行う、こういうことでありまして、B52の持っておるいろいろな性能のうち電子戦、ECM訓練、これだけを行いたいというのが計画の主な内容でございます。細かい点はいま詰めておるところでございます。
  43. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 ロング司令官の見解あるいはロストウ米軍縮局長の見解などというものを含めて考えてみて、その上にさらにレーガンの核戦略計画というものを重ね合わせてみると、たとえばSLBMであるとかALCMであるとかというところがかなり重視されていくわけですね。その中ではもちろんB52も含まれるし、あるいは潜水艦も含まれている。こういう状況に対応して日本の自衛隊がある種の共同訓練をやっていくということになったら、一体どうなっていくのですか。その歯どめはどうなさるおつもりなんですか。国民から見て、いわば核戦争を予定し、準備をする共同作戦みたいな形になっていってしまったら、どこに一体非核三原則の歯どめがかかっていくのでしょうか。この点は防衛局長、そこのところをはっきり示してほしいと思うのです。これは大変な問題です。
  44. 塩田章

    塩田政府委員 先ほど参事官からもお答えいたしましたが、B52を対象にいたしましてECM訓練、ECMに対するECCMの訓練をやりたいということで、いま検討をしておるのは事実でございますが、その際に、先生の御指摘のように、相手が核を積んでおるような場合に問題があるのではないかという点につきましては、私ども申し上げるまでもなく非核三原則について十分認識いたしておりまして、その点につきましての誤解の絶対にないように十分配慮していくつもりであります。
  45. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これは外から見て、あるいはわれわれがうかがい知ることのできない分野なんです。だから実際問題として、積んでいるかいないかということを国民に明らかにさせるあかしなんというものを、いまこういうことでございますなんて言えた義理ではないのです。だから、そういう危険性というか可能性をやはりきちんと排除してもらわないと、非核三原則というものが一つ一つなし崩しに崩されていく。あるいは二・五原則、二原則というところに行きかねない。この点はぜひきちんとしておいていただきたい。このことを私は求めたいと思います。  それから最後に、大村防衛庁長官とロング太平洋司令官との間でことしの六月にやりとりがございました。その際に、戦域核の問題についてやりとりがあったそうでございます。報道によると、日本の方からその戦域核の見直しというのは進んでいるかというようなことを聞いたらしいのです。その辺のやりとり、そしてそのときになぜきちんと日本の非核三原則という立場を強調なさらなかったのか。だから、ロストウ米軍縮局長のああいうような発言が出てくると私は思うのです。その点の経過を、塩田防衛局長も御同道なさったわけですから、明らかにしていただきたいと思います。
  46. 塩田章

    塩田政府委員 ただいまの点は、大村長官が訪米される前、ちょっと時期は忘れましたけれども、国会で戦域核の極東配備についてアメリカが研究しておるじゃないかというような御質問があって、その場合外務省の方からお答えがあったと思いますが、そういういきさつがございましたので、ハワイでブリーフィングがありましたときに、その問題がどうなっているのだということを聞いたことは事実でございます。それに対しまして、当時新聞にも報道されておりますように、ロング大将から、アメリカ側ではそういう研究はしておる、しかし、まだ結論は出ていない段階であるという返事は当時ございました。大村長官の訪米のときのハワイでのやりとりは、核に関する限りはそれだけでございまして、それ以上別段詳しくどういう核がどうだとか何もそういう話があったわけではございませんで、向こうから現在国防省において検討中である、まだ結論は出ていない、そういう回答があったということでございます。
  47. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 最後に締めくくりますけれども、いま日本側から聞いた、それに答えた。そのままになってしまいますと、これは通常型の原子力潜水艦が御存じのようにトマホークその他を積載するという可能性がある。現に横須賀に何回か寄港したことのある潜水艦が、その装備が終わって実験が終わったということさえ報道されている。どこかでやはりそういうことについて日本側に、アジアにおける戦域核の配備その他の問題についてきちんと相談があるのですか。その点はどうなんですか。
  48. 塩田章

    塩田政府委員 この点は、先ほど申し上げました国会でのやりとりの際にも、外務省からもうはっきりお答えをしておる点でございますが、米側も検討が進めば、あるいは検討が終われば、外務省に対して連絡をしてくるということでございまして、外務省はその連絡を受けた時点で対応するということをお答えをしております。もちろん、その場合、日本に配備するということであれば、これは当然お断りするということも、その際はっきり御答弁を申し上げた経緯がございます。
  49. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 以上で終わります。
  50. 江藤隆美

    江藤委員長 鈴切康雄君。
  51. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人事院勧告の取り扱いにつきましては、衆参の行財政改革に関する特別委員会等においても相当論議がされてまいりました。政府の答弁は、大変に財政難であるということを理由にして明確な答弁というものを避けております。そしてもう一つの障害になっているのは、御存じのとおり、臨調答申給与改定に関して適切な抑制措置を講ずるという内容が盛り込まれたということが非常に大きな問題になっております。確かに臨調は総理の諮問機関として発足したわけでありますけれども、人事院勧告制度というものは、憲法が保障するところの労働基本権の代償措置であり、ここ十年来の労使のことから考えると、政府人事院勧告の重みというもの、そしてまた労使関係が今日安定した状態にあるということを考えたときに、当然給与担当大臣としては、完全実施をしていくということが一つの大きな本筋ではないかというふうに私は思いますけれども、その点について給与担当大臣である中山総務長官にお伺いいたします。
  52. 中山太郎

    ○中山国務大臣 公務員給与に関してのお尋ねでございますが、人事院勧告制度そのものは、先生も御指摘のように、労働基本権の制約の代償措置、代償機能として日本の国にすでに相当長期間定着をした、その上に政府がこの勧告を尊重してきた歴史というものがございます。それが結局労使間の信頼関係の安定に最大の貢献をしてきた、これは何者も否定することのできない歴史であろうと私は思っております。また、今後もそういうふうな方向労使関係が安定していくということが、日本の政治全体、経済全体が安定していく一つの大きな基盤になろうかと考えておりまして、給与担当大臣としては、人事院勧告の尊重というこの基本の考え方というものは堅持してまいらなければならない、このように私は考えております。
  53. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうなりますと、先ほど岩垂先生が質問したときに、給与担当大臣がこういうことを言われましたね。人事院勧告勧告として、財政事情を勘案してどうするかということを判断することは、必ずしも人事院勧告そのものの趣旨から逸脱するものではないのだというような趣旨の御答弁をされたわけでありますが、給与担当大臣がそこまで踏み込んで答弁される必要があるのかどうか、これは大変問題だと私は思いますね。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕少なくとも完全実施ということを給与担当大臣は終始一貫言い続けていかなければ、この問題というものは、労働者の本当に満足する状況にはなかなかなり得ないと私は思うのですね。その点について、いわゆる勧告勧告なんだ、財政事情を勘案するということになれば、それじゃお金がないから全く払いませんと言ったって結論は同じなんじゃないですか。その点はどう思うのですか。人事院総裁は、こういうことを言われていいのでしょうか。
  54. 中山太郎

    ○中山国務大臣 先ほど申し上げました私の答弁の中で、少し誤解があったのかもわかりません。  私は、この八月二十五日の閣議決定の際に閣僚として閣議に列席をいたしておりまして、それはいわゆる「行財政改革に関する当面の基本方針」という命題に関する閣議決定でございました。その内容は、この緊迫した財政事情あるいはまた日本の経済全体の中で、これからどう運営していくかということについて、閣議が一つの方針というものを決定し、自分がその席に列しました以上は、私は、閣僚としては自分の責任を果たさなければならない、しかし、給与担当大臣としては、この従来の歴史というものを忘れずに、自分の立場給与関係閣僚会議で主張していかなければならない、こういうことでございますから、その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
  55. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人事院総裁、いま給与担当大臣からそう訂正されたというか、ある程度意を尽くさなかった点があるというふうに言われたわけですから、それはそれでいいでしょう。  そこで、給与担当大臣にお伺いいたしますけれども、人事院勧告の取り扱いについては、先ほど官房長官が、公務員労働者の諸君が大変に困ることであろうから、少なくとも年内に何とか結論を出さなくちゃいけないというようなことを言われましたが、そうなりますと、通常国会の冒頭において法案を出されて、そして処理をされるというふうに判断してよろしゅうございましょうか。
  56. 中山太郎

    ○中山国務大臣 通常国会の冒頭に給与法の一部改正法案を国会で御審議願うというふうなことになるかどうかということについての確認のお尋ねでございますけれども、その点、きょうの時点で、いつ法案を出すかということのお答えはいたしかねる状態でございますが、明日、給与関係閣僚会議を開催するようにお願いをして、開催が決定いたしておりますので、明日さらに今後の取り扱いについては会議検討させていただきたい、このように考えております。
  57. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 あなたも、それから官房長官も、少なくともことしじゅうに、そういうことについて公務員の皆さん方の事情を勘案したときには、何とかしなくちゃならぬというわけですから、それであるならば、それでは今国会に法案をお出しになるのか。そんな余裕はないでしょう。となれば、年末に支払うためには、どうしても法案を出さなくちゃならぬのですよ。だから私は、言うならば、通常国会の冒頭に法案をお出しになるのですかという、これはあたりまえのことじゃないですか。それまで逃げることはないじゃないですか。
  58. 中山太郎

    ○中山国務大臣 先ほど官房長官が御答弁申し上げましたように、年末までには公務員の方々にも安心していただけるようなことにならなければなるまい、こういうお考えでございましたが、私もそのような気持ちは当然持っております。またそうあるべきであろうと考えております。
  59. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それならば当然、法案を出さずしてお金を支払うことはできないでしょう。ですから、法案をお出しになるのでしょうと聞いたのですから、それに素直にお答え願えればいいんじゃないでしょうか。
  60. 中山太郎

    ○中山国務大臣 重ねてのお尋ねでございます。素直に答えろということでございますが、やはり法案提出の時期に関しましては、一応会議で決定させていただきたいと考えておりますので、ひとつその点御理解をいただきたいと思います。
  61. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 非常に論議がおかしい話であって、総務長官は、閣僚会議があっていろいろ話し合われるわけですけれども、やはり年末に処理をしたいということは、どうしても法案を出さないとお金は支払うことができないのですから、そういう点についてあなた自体の、個人のお考えを聞かせていただきたい。
  62. 中山太郎

    ○中山国務大臣 法案の提出時期も含めまして、年末までに処理ができるように努力をいたしたいと考えております。
  63. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 まあそれ以上言ってもあれでしょうから……。  給与関係閣僚会議は明日開かれて、今月は月末にもう一回というようなお話なんですけれども、その後予定としては、今月だけの予定になっていましょうか。それとも来月もどうかということについては、予定は立っていましょうか。
  64. 中山太郎

    ○中山国務大臣 明日の給与関係閣僚会議は第三回でございますが、それ以降の予定につきましては、ただいまのところ総務長官として、何日にどういう予定であるということは申し上げる立場ではございませんけれども、すでに鈴木内閣総理大臣が、十一月下旬をめどに方針を確定したい、こういう答弁を国会でなされておりますので、そのような状況の中で進めていっている、このように御理解をいただいて結構かと思っております。
  65. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま鈴木総理大臣が今月末に方針を決めたいということは、少くとも取り扱い方向性というものはその場所で決まる、そのように判断してよろしゅうございましょうか。
  66. 中山太郎

    ○中山国務大臣 総理がどういうことを含めて御答弁になったということを、私が憶測して物を言える立場にございませんけれども、総理の考え方の中には、国の財政状態とかいろいろなものを含めて、一応のめどをつける時期の目安というものを責任者として御答弁されたものと私は推測をいたしております。
  67. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに、一つは財政事情ということがかなり言われているわけでありますけれども、財政事情の本当の目安がつくのは十一月の終わりかあるいは十二月にずれ込むかということですから、そういう点については、総理が一番早く状況を知り得る立場にあると思いますから、総理が少なくともその取り扱いと方針についてそれなりに打ち出されるというのが十一月の終わりのいわゆる閣僚会議等でそのめどがつくのじゃないかという感じが実はするわけです。  それはそれといたしまして、実は勧告の引き上げ率五・二%をいじるということになりますと、これは人事院勧告の重みと民間比較、そういう計数的なものを否定するということにもなるわけでして、これはちょっと手直しとかそういうものはできないというふうに実は私は思っております。ところが一部に、繰り延べとかあるいは期末手当調整を含めて抑制をというような強い考え方なんかも否定できない現状に実はあるわけですね。となりますと、閣僚会議で問題として論議されるであろう項目としては、どういうふうなことを総務長官としてはお考えになられましょうか。
  68. 中山太郎

    ○中山国務大臣 いままでの二回にわたる給与関係閣僚会議では、一切そのような問題には触れられておりません。私は、あすの会議でどういう状況になるのかまだ想像もいたしておらないような状態でございますが、一応その後の経過というものを、まず給与担当大臣としては聴取をする立場にある。私は、そのようなことから給与関係閣僚会議の開催を要求したわけでございます。ひとつその点は御理解をいただきたいと思います。
  69. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 財政の見通しも、いまの段階においては非常に困難だということですね。困難だということ以外にはっきりしたものが出てくるというふうには実は——自然増収ですね、それが好転をしたというような状況下にないわけですから、そうなった場合、あしたの閣僚会議、何をお集まりなんですか。顔だけ合わして、それでは大蔵省からちょっと事情を聞いて、それでチョンでしょうか。
  70. 中山太郎

    ○中山国務大臣 あすの朝のことでございますから、いまから私がどういうふうな運営をされるのかということを申し上げる立場にございませんけれども、昨年、少なくても一カ月以内に必ず経過というものを報告することを私は要求をしてきたわけです。昨年は十月二十八日に第四回を開いて深夜に決めたわけでありますが、今年は八月七日で、たしか九月十八日だったと思いますが、すでに十一月の中旬になっておるわけでありまして、その間の経過というものを正式に報告を求めることは、給与担当閣僚として私の当然の責任だろう、そういう立場から開催を要求したわけでございます。
  71. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、最近の公務員に対する批判等については、目に余る点も少しあろうかというような感じが実はしているわけであります。確かに公務員が公僕として奉仕する精神に欠けているという点については、これは反省をしなければならないわけでありますけれども、意外と便乗して、いろいろ公務員に対して、また公務員制度そのものについても国民の皆さん方に理解しにくい点があるのじゃないかと私は心配するわけでありますが、公務員、必ずしも全部が全部優遇されているというわけではない。  一つ例を申し上げますと、御存じのとおり特別給が、本年民間との較差によって特別給が四・九八となっておるのを、公務員民間とほぼ均衡がとれているとして〇・〇八カ月分これを削られましたね。四・九カ月と人事院勧告されたわけですね。実際に公務員にしてみれば〇・〇八値切られたということになってしまうわけなんです、結果からいいますと。そこで、〇・〇八に見合う金額というものは平均してどれくらいになるんでしょうか。
  72. 長橋進

    ○長橋政府委員 〇・〇八月分に見合う金額といたしましては、約二万円ということになると思います。
  73. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 〇・〇八が二万円というのは、〇・〇八という数字が小さいというふうで、数字的には小さいかもしれませんけれども、金額からいいますと二万円なんですよ。言うならば、二万円が公務員民間とほぼ均衡がとれているということで削られてしまったわけですね。これは実は実際にはずっと続いてきているわけです。御存じのとおり昭和四十七年においては〇・〇二、同じ理由で削られている。今回は〇・〇八が同じ理由で削られているということですね。こういうことから考えますと、民間給与の比較ということから考えますと、〇・〇八というものは、現状においては必ずしも安易に見捨てるわけにはいかない問題だと私は思うのです。  そこで、少なくとも四・九八という以上は、四・九八をそっくりそのまま人事院勧告に盛るか、あるいはその〇・〇八というものについては四捨五入するとか、そういう考え方も成り立ってくるんじゃないかというふうに私は思うのですが、人事院総裁どうお考えでしょうか。
  74. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 私も二万円というのはばかにならない、無視できない金額だというふうに思っております。その点については同感でございます。  ただ、先生も御承知のように、特別給というのは、特に民間の場合は景気の動向に非常に左右される筋合いのものでございます。それに対して公務員の場合は、大体それとの均衡を保って、水準上合わせていってもらいたいというようなことでお願いをしておるものでございます。したがいまして、これは一つの政策論としていろいろ問題がございますが、小数二位のところまでやっていくことがいいのかどうなのか、毎年変わってくるということになりますと、その点どうであろうかというような点も配慮いたしまして、いままでは二位以下は切り捨てということできております。ただ、これは悪い面だけではございませんで、これも御承知でございますように、場合によりましては、切り下げ等を図らなければならない場合は、小数の場合も〇・〇五当たりを下支えにして現状維持をするというような場合にも、これは活用させていただいておるという点もございます。  そういう点がございますので、いまのやり方というものは、理論的に言えば、木給与と違って若干便宜的と言われても仕方のない面がございますけれども、その点はやはり特別給の本質からいってやむを得ないことではないだろうかと思っておりますが、なおこの点につきましては、今後の検討問題の中の一環として、さらに御意見等も織り込んで掘り下げていきたいと思っております。
  75. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人事院総裁、こういうふうに人事院勧告というものが非常に重みがあるだけに、〇・ 〇八というものをぽんと何げなしに切り捨ててしまうということになりますと、これはやはりすべて便宜的に行われているのじゃないかということになるわけですから、その〇・〇八というものについては、今後検討する余地は多分にあるだろう、こう私は思うので、要望だけしておきましょう。  あともう一点ですけれども、号俸の増設についてお伺いしたいわけであります。  本年の勧告では、五等級と六等級にそれぞれ一号俸増設するようになっておりますが、いわゆる枠外者が各俸給表とも急増いたしております。五十四年には五百八十九人、五十五年には千四百十三人、それからことし二千四百三十六人であり、年々増加の一途をたどっております。また最高号俸者は本年四千九百二十六人でありますけれども、来年も相当数枠外者となることが考えられます。制度的には五十六歳から昇給延伸、五十八歳から昇給停止となっておりますけれども、枠外者になると二年に一回の昇給ということになりまして、実質的には昇給延伸ということになってしまいます。等級というのは、職務と責任の度において定められているわけでありますから、結果的には同じ等級で枠内と枠外者との間に職務と責任の差があることになってしまうので、不公平感がぬぐい切れないことになり、非常にまずい問題が出てくるのではないかと思います。昇給制度に対する人事院の考え方からすれば、号俸の増設、昇給等の見直し等、早急に是正をすべきではないだろうか。勧告で述べているように、昭和六十年までの総合的検討まで是正するお考え方はないのでしょうか。
  76. 長橋進

    ○長橋政府委員 確かに御指摘のとおり、俸給表の各等級の枠外者の存在ということは、最近大変数がふえてまいりまして、また大きな問題になっておるわけでございます。これは基本的には俸給表の構造、つまり等級でございますとか号俸でございますとか、それからさらには先生もお挙げになりましたように、昇給制度とも関連するわけでございますので、やはりそういう制度的な面からも含めて対応していかなければなりませんので、一応六十年をめどに基本的な対応策について検討してまいりたいと思います。  しかしながら、現実にそこに職員がおりまして、仕事に精励してもらうという立場から考えますと、放置しておけないという点もございます。つまり高位号俸及びその周辺号俸の在職者の実態というものも十分考えなければなりませんし、またそういうような取り扱いをしておりますと、ひいては職員の士気というものにも影響してまいります。そうすると、その結果、当然仕事にも影響を持ってくるということもございますので、そういう点につきましては、それらを総合的によく勘案して、必要な場合には現実的な対応をとってまいりたい、このように考えております。
  77. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後ですけれども、人事院総裁、これは六十年に一応見直しということですけれども、その間まだちょっと何年間かあるわけですから、もう一回ぐらいできるだろう、また実施してあげた方がいいだろうというふうに思うので、その点について人事院総裁の御答弁と、最後に総務長官にぜひ人事院勧告を尊重して完全実施をしていただきたいということを要望しておきます。人事院総裁の御答弁を煩わして、私は終わります。
  78. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 いまの点は、実態を十分検討いたしました結果、六十年にかかわらず、その必要性がある場合には善処いたします。
  79. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 以上をもって終わります。
  80. 愛野興一郎

    ○愛野委員長代理 神田厚君。
  81. 神田厚

    神田委員 私どもは長い間人事院勧告完全実施の問題についていろいろと要望し続けていたわけでありますが、この問題については、基本的なところで、政府の考え方と私どもの考え方の中に違いがあるように見受けられております。  その一つは、まず政府が、勧告が不完全実施でも憲法に直ちに違反をしない、この憲法問題での論議の中でそういう答弁をして、不完全実施違憲説を否定をしているわけであります。しかしながら、その根拠となります問題について、明確な答弁がなされておりませんので、この際、お尋ねをいたしますけれども、人事院勧告実施をめぐる違憲または合憲の判断の基準というのは、一体どういうところにとっておいでになるのか、何ゆえに勧告が不完全実施でも憲法に違反しないということが言い切れるのか、その辺をお尋ねをいたしたいと思っております。
  82. 山地進

    ○山地政府委員 過日法制局長官が参議院の内閣委員会で御答弁になりました趣旨を御説明いたしてみたいと思います。  まず最初に第一点といたしまして、この人事院勧告憲法との関係につきましては、政府の基本的態度として最高裁判決の考え方による、これが墓表的な態度であるということでございます。それから第二点といたしまして、全農林の最高裁の判決というものは、公務員の労働基本権を制約する場合には、それに見合う代償措置を講じなければならないとして、代償措置一つとして、人事院給与勧告制度を挙げまして、この制度をもって公務員の労働基本権の制限の合憲性を肯定する一つの理由としているものと解されるというふうなことを申し上げておるわけです。その後で第三点といたしまして、このように最高裁の判決が人事院給与勧告制度に対して憲法上の評価を与えているのであるから、人事院給与勧告制度が実効を上げるように、国会、内閣が最大限の努力をしなければならないということは、少なくとも最高裁の判決の趣旨とするところであろうというふうに言っておるわけです。  そこで、いま御指摘の、不完全実施とこの判断との関係でございますけれども、この点に関しましては、法制局長官は、人事院給与勧告をいかなる状況においても完全実施することが、代償措置としての不可欠の要素であるか、言いかえれば、憲法の直接の要請であるかという問題については、前記の最高裁判決は特に言及していない。ただ、同判決が、国家公務員給与の財源は、国の財政とも関連して主として税収によって賄われるものであり、国家公務員給与その他の勤務条件が、国民の代表者により構成される国会において論議の上決定されるべきものであるということ。それからさらには、多数意見に属する二人の裁判官が、代償措置の意義を特に強調し、それが十分にその補償機能を発揮し得るものでなければならないとしながらも、当局が誠実に、可能な限りのことを尽くしたと認められるときは、要求されたものをそのまま受け入れられないとしても、この制度が本来の機能を果たしていないと即断すべきではない。こういうようなことから、前記の最高裁判所判決に関する限り、最高裁は、人事院勧告完全実施されない場合に、直ちに違憲になるとまでは解していない、このように言っておりまして、どのような不完全実施が許されるかというようなことについては何ら判断していない。  そこで、最後のお尋ねの、いかなる基準があるのかということにつきましては、私どもとしては、こういった最高裁の判断というものをそのまま留意しながら今後のことを考えなければいけないというふうに考えているわけでございます。
  83. 神田厚

    神田委員 そうしますと、法制局長官の答弁を引用して御答弁をいただきましたが、この全農林最高裁判決に対する補足愚見では、代償措置の機能が十分に発揮されるか否かは、当事者の真摯な努力にかかっており、当局側は誠実に法律上及び事実上可能な限りのことを尽くさなければならない、こういうふうに述べられておりますね。そうしますと、政府人事院勧告の抑制というような形でいま動いているわけでありますけれども、完全実施に至らない状況の中で、この最高裁判決の補足意見の言うように、当事者の真摯な努力を十分にやったのかどうか、当局側は誠実に法律上及び事実上可能な限りのことを尽くしているのかどうかという問題が残るわけです。  私どもの判断といたしましては、そういう場合におきまして、たとえば財政事情の説明について、人事院勧告の問題に関連して、そのことについて説明が国会に対して十分になされているのかどうか。さらには関係労組と十分に話し合いをして了解を求めるなど、政府が可能な限り努力をしているのかどうかということにつきましては、かなり問題があるというふうに考えておりまして、こういうことから考えますと、年度当初から一%の予算しか組まないで、労働組合とも十分な話し合いもしないという中で、こういうふうに努力がなされてないというところは非常に問題がある、こういうふうに考えておりますが、その辺は法律の、いわゆる最高裁判決との関連におきましても、やはり指摘を受けるところだと思うのでありますが、いかがでありますか。
  84. 山地進

    ○山地政府委員 まず第一に、私どもとしては、基本的には、最高裁の判断も含めまして、法律に忠実に従って決定をしていかなければいけないということでございまして、いまの段階ではどんな案ということについてはまだ議論されておりません。そういう段階で、一体政府のとっている態度というものが合憲かどうかということについては、判断は差し控えさせていただきたいと思います。ただ、私どもとしては、最高裁の判断も含めまして、それらに十分配意しながら決定しなければいけない、かように考えているわけでございます。
  85. 神田厚

    神田委員 総務長官におかれましては、この最高裁判決で当局側が誠実に法律上及び事実上可能な限りのことを尽くさなければならないというふうなことが言われておりますが、そういう点、当局側としてそれが十二分に尽くされているというふうに判断をお持ちなのか。総務長官自身はかなり御努力をしているようでありますけれども、全体的に政府としてそういうことがなされているというふうに考られておりますのかどうか、御答弁いただきたいと思います。
  86. 中山太郎

    ○中山国務大臣 私は誠意を持ってただいま努力を続けているというふうに信じております。
  87. 神田厚

    神田委員 どうも総務長官自身はかなり努力をしているようでありますけれども、政府全体の取り組みとしては、そういう形では十二分ではない。しかも予算の計上が一%、労働組合との話し合いも不十分だという状況の中では、十分な対応が決してなされてないというように判断をしておりますが、時間がありませんから次に移ります。  新聞報道などによりますと、期末・勤勉手当について勧告を適用しないというようなことがあるようでありますが、この内容につきましては、私ども知らせていただいておりませんからはっきりしませんけれども、そういうことになりますと、これは少なくとも三分の一余りのカットになるわけであります。この場合は、これも全農林最高裁判決の岸、天野補足意見によりますと、代償措置が画餅に等しい事態が生じた場合は、争議行為は憲法違反とはいえないというふうに言われておりますので、この三分の一というような大幅なカットの場合には、画餅に等しい、そういう事態が生じたというふうに判断をしてよろしいのかどうか、その辺はどういうふうにお考えでありますか。
  88. 山地進

    ○山地政府委員 この最高裁の判断あるいは憲法上の問題というのは大変重要な問題でございまして、私どもといたしましては、今後いかなる決定をしていく場合にも、これらのいろいろの考えといいますか、従来から出ております最高裁の判断というものに十分配意しながら決定していきたいと思います。  したがいまして、現在、おっしゃいました期末・勤勉手当の問題等いろいろ新聞に出ているのは存じておりますけれども、それについて私どもとして何らかの決定をしたということでございません。したがって、仮定の問題として、それが合憲かどうかということは、私どもは今後決定する場合について十分配意するということでございまして、仮定の問題を現在合憲かどうかということで議論するのは差し控えさしていただきたいと思います。
  89. 神田厚

    神田委員 一般職の職員俸給表と期末・勤勉手当法律上一体である、こういうふうになっておりますね。したがいまして、期末・勤勉手当への言及が今回の勧告にない以上、今回の給与改定の勧告は当然期末・勤勉手当も含まれたものでなければならない、こういうように考えております。仮に期末・勤勉手当給与改定が適用することにならないとするならば、これは人事院勧告完全実施とは言えないわけでありまして、そういう点の御見解と、人事院としては、期末・勤勉手当給与改定を含め、勧告完全実施を望んでいるのかどうか、その点を人事院総裁に伺いたいと思います。
  90. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 特別給は勧告の内容をなしておるものでございまして、これは給与が上がれば、それに対して何カ月分というふうな連動した形でやってきておるわけでございます。したがいまして、特別給与についても勧告の内容をなしておる不可欠の部分であるというふうに私は解しております。したがって、これが何らかの形で抑制をされるということになりますれば、それは結果的に言って完全実施にならないというふうに思います。
  91. 神田厚

    神田委員 そういう点では、人事院としては、完全実施を、そういうことも含めて望んでいるということでございますか。
  92. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 そのとおりでございます。
  93. 神田厚

    神田委員 もう一点でありますが、勤勉手当が指定職にある職員にはないわけであります。そうであるとするならば、仮に勤勉手当給与改定が適用されないことになりますれば、指定職以下の職員ばかりが待遇を切り下げられまして、指定職である高級職員を優遇するという、結果的にそういう形になってしまう。こういうところには問題があるというふうにお考えになりますでしょうか。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕
  94. 長橋進

    ○長橋政府委員 勤勉手当の取り扱いにつきましては、先ほど人事局長から答弁ございましたように、別にどう取り扱うということは決まっているわけではございませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、仮にそのようなことということでお答え申し上げますと、御指摘のように、現在の相対的関係ということから見ますと、支給される金額に指定職とそれ以外の職員とにおいて差が出てくるということも一つの見方であろうと思います。  ただ、ことしの場合について申し上げますと、指定職につきましては、民間の役員等との給与比較におきましてかなり差はございますけれども、一般職員についての引き上げ等その他の諸般の情勢を考慮いたしまして、一般職員の引き上げ率にとどめるというような事情もございます。  しかし、いずれにしましても、先ほど総裁からも御答弁申し上げましたように、やはり勤勉手当に対する連動の影響も含めて勧告、勤勉手当、同様に取り扱っていただきたいということが筋だろうというふうに思います。
  95. 神田厚

    神田委員 もう時間がありませんので、あと簡単に御質問申し上げます。  公企体職員については、労使交渉に任せられた形で期末手当を含め仲裁裁定は完全実施されるという方向になっております。国家公務員についてのみ期末・勤勉手当を削るということになりますれば、これは官官較差を持ち込むというふうな形にもなりますし、この点につきまして、期末・勤勉手当の取り扱いは、総務長官はどういうふうにお考えでございますか。この辺を御答弁いただきたいと思います。
  96. 山地進

    ○山地政府委員 ただいまの公企体職員の期末・勤勉手当というものにつきましては、これは労使間の交渉にゆだねられているというのが私どもの理解でございまして、これらがどういうふうな推移を見るのかというのが今後の問題であろうかと思います。  それから、私どもとしては何ら期末・勤勉手当について決定しているわけではございませんで、給与関係閣僚会議で今後いろいろと議論を進めるということでございまして、いまの段階で、官官較差があるとか、そういうものが発生するであろうとかということについては、議論は差し控えさせていただきたいと思います。
  97. 神田厚

    神田委員 期末・勤勉手当等がどうも何らかの形で従来どおりいかないようだというふうな話もございますし、いろいろ総務長官御努力なさっているようでありますけれども、少なくとも給与担当大臣として完全実施に向けましての努力をお願いいたしたいと思っております。  最後に人事院総裁に、この退職手当問題で昭和六十年度を目途に公務員制度全体の見直しをしておるわけでありますけれども、この中で退職手当問題はどんなふうな形で検討される課題になっておるのでありましょうか。
  98. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 退職手当人事院の直接の所管ではございませんが、公務員の勤務条件に関する重要な項目の一つだという認識はつとに持っておるところでございます。したがいまして、その見地において関心を持って従来も取り組んできておりますが、そういうようなペースは今後も続けてまいる所存でございますし、したがって、御指摘の六十年度までの見直しの際に、その一環として当然対象として検討してまいりたいと思っておりますのとちょうど符節を合わせたように、退職手当の改正案自体についても六十年までにさらに再検討して結論を出すようにという、附則でそういう規定も置かれるようでございます。そういうこともございまして、われわれといたしましては、所管の当局でございまする総理府とも緊密な連絡をとりながら、この問題に積極的に対処してまいる所存でございます。
  99. 神田厚

    神田委員 終わります。
  100. 江藤隆美

  101. 中路雅弘

    中路委員 人事院勧告制度の問題については、公務員の労働基本権の剥奪の代償としてやってこられたわけですし、この人事院勧告を値切るとか、また実施時期をおくらせるということになりますと、いわゆる憲法の労働基本権の保護規定、代償規定ですね。これのじゅうりんにもなるばかりか、いままで政府がILOなどにも主張されてきた発言にも反するわけでありますので、重ねて最初に総務長官に一問お尋ねしますけれども、総理は十一月下旬には決めたいという意味の発言もされていますね。今会期は十七日までですけれども、あと一週間ですね。今度の臨時国会中に給与改善の法案を提出する考えがあるのか、この時点になってもはっきりされないというのは非常に問題だと思いますが、端的に、どのようにこの問題を扱われるつもりなのか、お尋ねしたいと思います。
  102. 中山太郎

    ○中山国務大臣 明日の給与関係閣僚会議においていろいろと論議を尽くしてみたいと考えております。
  103. 中路雅弘

    中路委員 この国会中に給与法案を出されるのかどうかという問題を端的にお尋ねしたい。
  104. 中山太郎

    ○中山国務大臣 ただいま政府部内においても検討しておりますけれども、とにかく明日の給与関係閣僚会議の論議の中で誠意を持って努力をしてみたいと考えております。
  105. 中路雅弘

    中路委員 人事院勧告に基づくこの給与引き上げについては、財政事情にかかわらず、値切らずに速やかに実施すべきでありますし、一九七二年以来完全実施されてきたわけです。先ほども山中総務長官の発言が幾つか引用されていますが、たとえばこういう発言もあります。四十五年ですが、仮に予備費等において途中で災害その他予期せざる支出があって、人事院給与完全実施が困難であるような財政状態に現在の経常予算の中でなったと仮定いたしましても、昨年——この四十五年の前ですね、官房長官談話にありましたごとく、どんなことがあっても、その完全実施の線は昭和四十五年から貫徹するという方針で政府は変わらないんだということを強調されているわけですが、この実施を意図的におくらせたり、また値切るということになれば、再び後戻りをする、誤った方向へ逆戻りするということにもなるわけでですが、いまのこういう事態の中で、速やかに実施するように、やはり人事院としても政府に申し入れるべきではないか。国公法の二十二条にありますけれども、人事院はこうした問題について「関係大臣その他の機関の長に勧告することができる。」という項目もあるわけですが、人事院総裁はいまどのようにお考えですか。
  106. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 これは八月の勧告の際に毎年申し上げておるところと同じようなことで、勧告を出しました、この勧告を出した限りには、これが早急に実施されるように所要の措置を速やかに講じていただきたいということを、これは明確に内閣並びに国会に対しても申し上げておるところでございます。その後、私自身が関係の各大臣あるいは両院の議長さんにもお会いをいたしまして、その趣旨のことな強く申し入れをいたしております。  その後の情勢の推移は、先生もつとに御承知のとおりでございまして、ちょうど国会が開かれたということもございまして、いろいろな委員会等の論議を通じて本問題が取り上げられております。その都度、私は人事院立場というものを繰り返し強調して今日まで来ておるのでございまして、いろいろな背景、事情の変化等もございますが、今日ほど実は人事院勧告制度自体というものが新聞その他で取り上げられた時代はないのではないかとまで私は思っております。しかし、それにいたしましても、勧告完全実施されることが前提でございまして、私といたしましては、ぜひともこの勧告が、いろいろな諸般の情勢があろうとも、本来の精神、趣旨にのっとって完全に実施されることを切に期待をいたしておるというところが現状でございます。
  107. 中路雅弘

    中路委員 総務長官にお尋ねしたいのですが、財源不足ということを政府一つ挙げられていますが、御存じのように、人事院勧告は国公法の二十八条の情勢適応の原則、六十四条の民間準拠の原則で行われているわけですが、政府が本年度の予算編成の重要な土台の一つとして「昭和五十六年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」というのをことしの一月に閣議決定されています。それを見ますと、雇用者総数対前年度比一・六%増、雇用者所得対前年度比九・二%増と見通しを立てておられるわけですから、すなわち、一人当たり雇用者の所得を対前年度比七・五%増というふうに見ていられるわけですね。人事院勧告を値切りなしに実施するというのが政府の基本的態度であるということになれば、当然予算の中で七%前後の給与改善予算を組むべきだと思うのです。いままで不十分でもずっと十二年間は五%というのが組まれていたわけですね。しかし、それにもかかわらずわずか一%の予算しか組んでいない。こうした予算を組めば財源不足になるのは当然のことであるわけです。総務長官はよもや一%で十分だということも思っておられないと思いますが、この一%の給与改善の予算を組む際に、担当大臣としてどんな態度で臨まれたのか、お聞きしたいと思います。
  108. 中山太郎

    ○中山国務大臣 当日の記録にも明確に載っておりますけれども、私は、一%の予算編成方針というものには問題点があるのではないか、消費者物価上昇の予測値とかいろいろなものを含めて、この一%という数字についてははなはだ疑問を持つ、こういうふうなことを発言いたしております。しかし政府は、ここ数年来の歴史の中でごらんのように、人事院勧告が出た際には、それなりの財政措置をとってきておりますので、そのような措置をとりたい、こういうことで、私としてはこの予算の編成方針に賛意を表した次第でございます。
  109. 中路雅弘

    中路委員 いまお話しのように、勧告が出た時点で適切な措置をとるということだったので一応了解したというお話ですね。そうだとすれば、いまになって財源不足だとか税収見通しが立ってからとか言うのは私は大変おかしいと思うのですね。人事院勧告を値切りなしに速やかに実施するために全力を挙げるべきだと思います。  あわせてお尋ねしておきますが、いまのようなお話だとすれば、来年度の人事院勧告についても今回と同じようにまた意図的に財源不足がつくり出されるということになれば大変なことですから、内閣改造で総務長官がかわられる場合もあると思いますが、こうした事態が起きないように、ことしの問題もそうですが、いま予算編成期ですから、この問題については担当大臣として全力を挙げて、今度のように意図的に財源不足がつくり出されるということがないようにすべきだと私は思うのですが、いかがですか。
  110. 中山太郎

    ○中山国務大臣 ここ数年来の予算編成の状況をごらんいただいてもおわかりのように、別に今年特に意図的にこのようなことをしたことではございません。昨年は二%、今年はいわゆる緊縮財政で一%ということを予算上は計上したのだろうと思いますが、御指摘の点を十分踏まえて、公務員の諸君のためにも努力をしていくべきだろうと私は考えております。
  111. 中路雅弘

    中路委員 新聞報道によりますと、国家公務員の期末手当を抑制して、あるいはこれを三公社五現業の職員にも影響を及ぼそうというような記事も出ているわけですが、これは明らかに人事院勧告の値切りであるわけです。給与担当大臣として、期末手当の削減には反対だ、給与改善は完全に実施するという強い決意で給与関係の閣僚会議にも臨むべきであると考えますが、特にこの問題は、期末…勤勉手当が削減された際があります。そのときに、七八年でもそうですが、可及的速やかに支給割合を復元するように努めることという国会の附帯決議もつけられている問題でもあります。こうした国会の意思を尊重する上でも、期末手当を削減するというようなことが絶対あってはならないと思うのですが、担当大臣としてはいかがですか。
  112. 中山太郎

    ○中山国務大臣 給与関係閣僚会議においては、私は誠意を持って努力をしてまいりたい、このように考えております。
  113. 中路雅弘

    中路委員 仲裁裁定と人事院勧告扱いの問題ですが、これは人事院総裁にもお聞きしたいのですが、仲裁裁定の議決案件は臨時国会で成立を見ているにもかかわらず、人事院勧告はまだ扱いを決めていない。いずれも労働基本権剥奪の代償という点では仲裁裁定も勧告も同じなわけです。たとえば郵政や林野などで同じように机を並べて働いている、給与法の適用の職員民間より一年おくれの給与改定がまだ行われてないのに、給特法適用の職員はすでに給与改定が行われている。いま大変不合理な状態になっていると思うのです。労働基本権の剥奪の代償という点では、団体交渉権まで剥奪された非現業に対する人事院勧告の方がさらに重みがあるというふうにもある意味では私は思うわけです。仲裁裁定を値切りなしに速やかに実施するのは当然ですが、政府の対応の仕方は、こういう面では逆立ちしているのではないか。こういう点でも人事院勧告の速やかな実施が強く望まれるわけですが、この仲裁裁定との扱い関連について、人事院総裁はいかがお考えですか、また総務長官のお考えもお聞きしたい。
  114. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 人事院立場として、仲裁裁定云々のことについて申し上げることは控えた方がいいと思いますが、それぞれ制度仕組みというものについては若干の相違がございます。これは私から詳しく申し上げるまでもなく先生十分御承知のとおりでございます。しかし、それはそれといたしまして、仲裁裁定が出た、あるいは人事院勧告が出たということになりますれば、これを完全に尊重する姿勢で対処しなければならぬという点については両者全く同様でございます。そういう意味で、いま御指摘にもございましたように、仲裁裁定の方については一歩前進をしておる。これはすでに国会の御議決案件であったというような点の前後の問題はございましょうけれども、形の上から言えば、そういう点で取り扱いの差異が出ておるということにつきましては、人事院といたしましても、これは考えるところはあるわけでございまして、いずれにいたしましても、勧告が出た以上は、ひとつ早急に完全実施をしていただきたいというのが念願でございます。
  115. 中山太郎

    ○中山国務大臣 この二つの制度の持っている意義というものは、いま人事院総裁がお答え申し上げたとおりであると思います。しかし、この人事院勧告に関しましては、給与財源や給与決定方式が違うということがございまして、人事院勧告の取り扱いについては、給与関係閣僚会議検討していって、それを最終決定に持ち込む、こういうふうな経過がございますので、その点は私どももその場で誠意を持って努力をしたい、このように考えております。
  116. 中路雅弘

    中路委員 時間が限られていますから、私は、人勧についての質疑の終わりに、退職手当の削減の法案の扱いについて意見を述べたいと思うのです。  退職手当の削減法案は、参議院からいま衆議院に送付されてきた案件でありますけれども、これは前国会で審議してきた問題です。今国会でこれは回付案件でなくて送付の案件ですから、参議院では審議していますけれども、この臨時国会に限っては衆議院ではまだ審議をしていない。特にその後の情勢、第二臨調答申ということもありますし、いまこうした人事院給与勧告という公務員制度の根幹、労使関係の基本にかかわる問題の扱いをめぐっても論議があるわけですし、退職手当の削減の法案というのは、こうした問題と深く関連をしている問題であります。当然この国会で衆議院においても十分実質的な審議をすべきだというのが私の主張であります。このことを繰り返し主張してきたわけですが、退職手当削減法案は十分な審議なしに、また討論も抜きで採決されようとしているわけです。その点で、この問題について私たちの主張も述べて、総務長官に重ねてお尋ねしておきたいと思います。  これまでの審議の中でもいろいろ明らかになりましたが、この退職手当の削減の法案の提出の最大の根拠になっている官民較差、こうしたものも官民比較の方式がまだ理論的にも実践的にも確立されていないにもかかわらず、非常に粗雑な民間調査結果の中で操作をされた公務員の代表例なるものを突き合わせて出されたずさんなものですし、こういう点では行財政改革に便乗して労働条件を一方的に切り下げるという、既得権の侵害という点では大変な悪法だと思うのです。退職金の問題を問題にするならば、やはり五十五歳前後で局長や次官まで上り詰めて、特殊法人など天下り先を保証されたこういう高級官僚には何らの打撃もないわけです。一般公務員にのみ大きな犠牲をしわ寄せする問題ですから、こうした労働条件の重要な変更の問題は、当然関係職員団体との十分な交渉を尽くすべきでありますし、こうした交渉なしに国会で一方的に法案を提出していくということ自身も大変不当なものだと私は思うのです。労働基本権を不当に制限されているわけですから、わずかに認めた交渉権や団体交渉権すら認めないということになりますと、公務員労働条件の問題は労使対等の交渉で決めると言われているILOの労働関係条約にも反することになりますから、そういう点で、こうした労働条件の問題は、当然労使でまず協議すべき問題だと思います。特に退職金の削減の法案に関連して、私はもっと全体的に高齢者社会に対応する総合的な対策を十分検討して、その中でこの問題も慎重に扱うべきものだということを、重ねて私たち立場も主張して、総務長官にもう一度これについてのお考えも一言——退職法案のこの問題は、そういう立場から撤回すべきだ、当然関係職員団体ともまず協議すべきだという主張なわけですが、総務長官の御見解もお聞きをし、あわせてこうした重要な法案の採決に十分な審議、討論も抜きということについては、やはり妥当でない、今後こうした運営がやられないように、これは委員長にも特に要求して終わりたいと思いますが、総務長官、一言。
  117. 中山太郎

    ○中山国務大臣 本法案につきましては、先国会来衆議院におきましても十分御審議をいただき、各党からも御意見をちょうだいし、さらに修正も一部行われて参議院送付になり、参議院で十分御審議をいただき、きょうここでまた御論議をいただいておるわけでございまして、私どもとしては審議は十分尽くされているものと考えておりますし、いまの段階で法案を撤回させていただくつもりはございません。
  118. 中路雅弘

    中路委員 いま最後に委員長に、特にこうした重要な法案の採決には十分な審議と討論を強く要望しておきましたが、理事会で審議されましたが、今後こういうことがないように要求しておきたいと思うのですが、委員長から……。
  119. 江藤隆美

    江藤委員長 委員長は独善ではございませんで、理事会で各党の意見をよく承って委員会運営を申し上げておりますので、以後も十分そのことは心得てまいりたいと思います。      ————◇—————
  120. 江藤隆美

    江藤委員長 次に、内閣提出参議院送付国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案は、第九十四回国会、本院において修正の上参議院に送付したのでありますが、参議院において継続となり、今国会、本院に送付されたものでありまして、その趣旨はすでに十分御承知のことと存じますので、提案理由の説明を省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 江藤隆美

    江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————  国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  122. 江藤隆美

    江藤委員長 本案につきましては、前国会におきまして十分に審査いたしておりますので、先ほどの理事会協議に基づきまして、この際、直ちに採決に入りたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 江藤隆美

    江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  それでは、これより採決に入ります。  国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  124. 江藤隆美

    江藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 江藤隆美

    江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  126. 江藤隆美

    江藤委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十六分散会      ————◇—————