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国務大臣(
伊東正義君) お答え申し上げます。
防衛問題は、
ヘイグ長官と話しましたときに、
ヘイグ長官から一般的に、
アメリカの外交
努力、外交
方針といいますか、そういうことについて話がありましたときに、
アメリカの外交
方針は、対ソ
関係の
軍事力のバランスをとるということがこれは大切なことだと、そのためには、いま
アメリカで国内
経済再建計画を立て、国会に予算を出しておる、これを国内的に通して、それには国防費の増加があるので、これを通すことがまず大切だ、そうして、軍事的には対ソのバランスをとるということが大切だ、しかし、それだけで十分ということではないので、西側といいますか、友邦
同盟諸国といいますか、そういう国々との協調を十分に図る必要がある、パートナーシップを育てていきたいと思っているということで、
日本も西側の一員として防衛については
努力をしてもらいたいと、抽象的な話でございました。これはヘイグさんとの話でございます。
それから、防衛の問題は主として
ワインバーガー国防長官と話をしたわけでございます。そのときに、国防長官からやはり
世界情勢の話がございまして、自分たちは国民から、国内の
経済力をひとつ強くしてもらいたいという信託を受けた、それがいまの
経済再建計画の予算等の問題でございますが、と同時に、軍事的にも東西のバランスがとれるようにという
努力をすべしという国民の信託を受けたんだと、そういう前提で防衛というものを
考えておる、しかし、防衛というのは
アメリカ一国で東西のバランスがとれるようなことをやれるわけじゃないので、
同盟国もこれは応分の
協力というものはしてもらいたいと
考えているという大前提といいますか、原則の話がございまして、そして
アメリカは、ペルシャ、インド洋等でも追加的な防衛をいまやっている。あるいは東南アジア、あるいは南西アジア、それから西太平洋、北西太平洋というような
言葉もありましたが、そういうところで防衛の
努力をやっているということで、
日本としても
経済力がもう大きくなったのであるから防衛について
努力をしてもらいたい、いまの自衛隊そのものの
強化ということも
考えてもらう必要があるし、周辺の海域を守るということについて
日本としても
努力をしてもらいたい、というふうな一般的な話があったことは確かでございます。具体的にどうせいということは一切ございませんで、われわれは前
政権とは違う、一%とか一・五%がどうとかいうような、そういうことで
両国がやり合うというようなことはまずいことなので、よく
基本方針について話し合って、そのもとで、それぞれの国がどういうことをするかということはその国が自主的に
考えるべきものだと、こういう話がございました。
私からは、従来ここで御答弁申し上げておりますように、防衛というものは国民のコンセンサスがなければできないことなんだと、国会に
委員会ができたのも昨年でございますし、国民的なコンセンサスというのはだんだん得つつあるけれ
ども、なかなかこれはむずかしい問題があるのだということと、そして、
日本は御
承知のように憲法その他の法令の制約もございますし、専守防衛ということでやっているので、
日本としては五十一年にできました防衛計画大綱ということをもとにして着実に
防衛力の整備ということをやっている。しかしこれは、
防衛力は単に軍事だけの問題じゃない、外交
努力ももちろんやらなければなりませんし、
経済協力等総合的な面で防衛というものをとらえて
考えているという
説明をいたしたわけでございます。
アメリカのワインバーガー長官との話は、あくまで原則論の話をしたのでございまして、具体的にどうせいどうせいというような、そういうことを
期待しているというような細かい具体的なことはございませんでした。それで、中業の
問題等は
日米の事務レベルの協議もあるのだろうし、いずれ
防衛庁長官もお会いになって話されるときがあるでしょうから、具体的な問題につきましては
防衛庁長官ともまたよく御協議してもらいたいということを述べたわけでございまして、具体的にどういうことをやってくれとかいうようなことはほとんどなかったわけで、一般的に、
日本としての自衛力をひとつ
経済力がついてきたのだから
努力をしてもらいたい、あるいは、駐留米軍の経費の
問題等はいままでも負担していることがあるのでございますから、そういう問題について話があったという程度でございまして、そのほかは……