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1981-02-26 第94回国会 衆議院 予算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年二月二十六日(木曜日)委員長の指 名で、次のとおり分科員及び主査を選任した。  第一分科会皇室費国会、裁判所、会計検査 院、内閣総理府経済企画庁国土庁を除く)  及び法務省所管並びに他の分科会所管以外の  事項)    主査 橋本龍太郎君       池田 行彦君    宇野 宗佑君       小渕 恵三君    小山 長規君       三原 朝雄君    石橋 政嗣君       大出  俊君    横路 孝弘君       鈴切 康雄君    東中 光雄君 第二分科会外務省大蔵省及び文部省所管)    主査 塩崎  潤君       愛野興一郎君    越智 伊平君       金子 一平君    村山 達雄君       阿部 助哉君    稲葉 誠一君       岡本 富夫君    大内 啓伍君       河野 洋平君 第三分科会厚生省労働省及び自治省所管)    主査 上村千一郎君       鴨田利太郎君   小宮山重四郎君       後藤田正晴君    澁谷 直藏君       宮下 創平君    大原  亨君       野坂 浩賢君    坂井 弘一君       林  保夫君 第四分科会経済企画庁農林水産省及び通商 産業省所管)    主査 武藤 嘉文君       越智 通雄君    近藤 元次君       正示啓次郎君    藤田 義光君       川俣健二郎君    山田 耻目君       神田  厚君    三浦  久君 第五分科会国土庁運輸省郵政省及び建設 省所管)    主査 海部 俊樹君       唐沢俊二郎君    関谷 勝嗣君       原田  憲君    藤本 孝雄君       細田 吉蔵君    岡田 利春君       中村 重光君    草川 昭三君       寺前  巖君 ————————————————————— 昭和五十六年二月二十六日(木曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 小山 長規君    理事 越智 通雄君 理事 金子 一平君   理事 唐沢俊二郎君 理事 小宮山重四郎君    理事 三原 朝雄君 理事 大出  俊君    理事 川俣健二郎君 理事 坂井 弘一君    理事 大内 啓伍君       足立 篤郎君    宇野 宗佑君       上村千一郎君    小渕 恵三君       越智 伊平君    鴨田利太郎君       倉成  正君    後藤田正晴君       近藤 元次君    塩崎  潤君       澁谷 直藏君    正示啓次郎君       瀬戸山三男君    関谷 勝嗣君       根本龍太郎君    橋本龍太郎君       原田  憲君    藤田 義光君       藤本 孝雄君    細田 吉蔵君       村山 達雄君    阿部 助哉君       石橋 政嗣君    稲葉 誠一君       大原  亨君    岡田 利春君       金子 みつ君    土井たか子君       野坂 浩賢君    山田 耻目君       横路 孝弘君    草川 昭三君      平石磨作太郎君    神田  厚君       西田 八郎君    林  保夫君       浦井  洋君    寺前  巖君       松本 善明君    三浦  久君       石原健太郎君    河野 洋平君       依田  実君  出席国務大臣         法 務 大 臣 奥野 誠亮君         外 務 大 臣 伊東 正義君         大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君         文 部 大 臣 田中 龍夫君         厚 生 大 臣 園田  直君         農林水産大臣  亀岡 高夫君         運 輸 大 臣 塩川正十郎君         郵 政 大 臣 山内 一郎君         労 働 大 臣 藤尾 正行君         建 設 大 臣 斉藤滋与史君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     安孫子藤吉君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      宮澤 喜一君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      中山 太郎君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      中曽根康弘君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 大村 襄治君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      河本 敏夫君         国 務 大 臣         (国土庁長官)         (北海道開発庁         長官)     原 健三郎君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長         兼内閣総理大臣         官房審議室長  石川  周君         行政管理庁行政         管理局長    佐倉  尚君         行政管理庁行政         監察局長    中  庄二君         防衛庁人事教育         局長      佐々 淳行君         防衛庁経理局長 吉野  實君         経済企画庁国民         生活局長    小金 芳弘君         経済企画庁総合         計画局長    白井 和徳君         国土庁長官官房         長       谷村 昭一君         国土庁土地局長 山岡 一男君         法務大臣官房長 筧  榮一君         法務省民事局長 中島 一郎君         法務省刑事局長 前田  宏君         法務省矯正局長 豊島英次郎君         外務大臣官房長 柳谷 謙介君         外務省北米局長 淺尾新一郎君         外務省条約局長 伊達 宗起君         外務省国際連合         局長      賀陽 治憲君         大蔵大臣官房審         議官      吉田 正輝君         大蔵省主計局長 松下 康雄君         大蔵省理財局長 渡辺 喜一君         国税庁長官   渡部 周治君         文部大臣官房長 鈴木  勲君         文部省初等中等         教育局長    三角 哲生君         文部省大学局長 宮地 貫一君         文部省管理局長 吉田 壽雄君         文化庁次長   別府  哲君         厚生大臣官房長 吉村  仁君         厚生大臣官房審         議官      吉原 健二君         厚生省公衆衛生         局長      大谷 藤郎君         厚生省医務局長 田中 明夫君         厚生省薬務局長 山崎  圭君         厚生省社会局長 山下 眞臣君         厚生省児童家庭         局長      金田 一郎君         厚生省保険局長 大和田 潔君         厚生省年金局長 松田  正君         社会保険庁年金         保険部長    新津 博典君         農林水産大臣官         房長      渡邊 五郎君         農林水産大臣官         房予算課長   京谷 昭夫君         農林水産省経済         局長      松浦  昭君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君         運輸大臣官房総         務審議官    石月 昭二君         運輸省鉄道監督         局長      杉浦 喬也君         運輸省自動車局         長       飯島  篤君         郵政省簡易保険         局長      小山 森也君         郵政省電気通信         政策局長    守住 有信君         郵政省人事局長 岡野  裕君         労働大臣官房長 谷口 隆志君         労働大臣官房会         計課長     高橋 伸治君         労働省労働基準         局長      吉本  実君         労働省婦人少年         局長      高橋 久子君         労働省職業安定         局長      関  英夫君         労働省職業訓練         局長      森  英良君         建設省都市局長 升本 達夫君         建設省住宅局長 豊蔵  一君         自治省行政局長 砂子田 隆君         自治省行政局公         務員部長    宮尾  盤君  委員外出席者         大蔵省銀行局保         険部長     松尾 直良君         参  考  人         (社会保険診療         報酬支払基金理         事長)     柳瀬 孝吉君         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ————————————— 委員の異動 二月二十六日  辞任         補欠選任   足立 篤郎君     愛野興一郎君   倉成  正君     池田 行彦君   始関 伊平君     近藤 元次君   根本龍太郎君     宮下 創平君   武藤 嘉文君     関谷 勝嗣君   石橋 政嗣君     土井たか子君   中村 重光君     金子 みつ君   正木 良明君     岡本 富夫君   矢野 絢也君    平石磨作太郎君   林  保夫君     西田 八郎君   不破 哲三君     浦井  洋君   松本 善明君     三浦  久君   依田  実君     石原健太郎君 同日  辞任         補欠選任   瀬戸山三男君     武藤 嘉文君   金子 みつ君     中村 重光君   土井たか子君     石橋 政嗣君  平石磨作太郎君     鈴切 康雄君   西田 八郎君     林  保夫君   浦井  洋君     東中 光雄君   石原健太郎君     河野 洋平君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十六年度一般会計予算  昭和五十六年度特別会計予算  昭和五十六年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 小山長規

    小山委員長 これより会議を開きます。  昭和五十六年度一般会計予算昭和五十六年度特別会計予算昭和五十六年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題といたします。  本日は、理事会の協議により、福祉問題について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大原亨君。
  3. 大原亨

    大原(亨)委員 最初は官房長官ですが、きょうは、御承知のように二月二十六日で、二・二六事件の日であります。ちょうどきのうまでは雪が降っておりましたが、きょうはローマ法王のせいか天気になっておる。一九三六年ですから昭和十一年の二月二十六日でありますが、この国会の周辺は、陸軍の第一連隊、第三連隊、近衛第三連隊、千四百八十名というふうに言われておりますが、青年将校中心に決起いたしました。  その背景には、北一輝とか、そういう日本改造法案を掲げまして、農村の疲弊、失業、人身売買、そういう背景を受けて政治が乱れておる。陸軍の中は皇道派統制派コントロール派と分かれて、皇道派が決起をした。政友会の一部もこれに参画したということで、異常な状況であったわけでありますが、この問題の処理はともかくといたしまして、これを契機にいたしまして、朝鮮半島を足場にいたしまして、関東軍が火をつけて、満州のかいらい政権、それで中国大陸それから大東亜戦争と東南アジア、太平洋戦争に進んでいったわけであります。  私どもは、その行き着く先は完全に敗北をいたしました。その廃坑の中で、国際的にはポツダム宣言を受けまして国連ができて、国連憲章がこの手元にいまありますが、平和と人権を基調とする新しい秩序を提唱いたしました、  日本国憲法については、いろんな議論があるんですが、しかし反対する自由を持っておった国会満場一致満場一致に近い形で平和憲法をつくったんですが、これは廃墟の中で日本をどうつくっていくかということにおいて、言うなれば全国民一定の希望を持って立ち上がったということになるわけですが、その憲法をつくりました柱となったものは二つあると思います。一つは、太平洋戦争に対する深刻な反省です。もう一つは、広島、長崎、この悲惨な惨劇を繰り返してはならぬという決意です。これが日本平和憲法国民の支持の中でつくったということであると思うのであります。  このような問題は、無資源国日本がどういうふうに発展し生きていくかという問題をめぐって、ある場合には非核三原則としてまいっておりますし、あるいは兵器の輸出の問題についても、戦争を輸出しない、そういう決意の表明といたしまして国策が一定の方向を進んでおるやに思われるわけであります。  しかし、本年度は非常に大きな転機でございまして、われわれはこれからどういうふうにこの日本の将来を建設していくか、こういう重要な岐路であります。鈴木総理大臣は、いままで国会におきまして、平和憲法平和主義民主主義と基本的な人権を守る、こういうことをしばしば答弁をされましたが、こういうことを受けまして、スポークスマンである官房長官は、きょうの日にどういう決意をお持ちであるか、お答えをいただきたいと思います。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 二・二六事件が起こりましてからまだわずかに四十何年でございますので、長い厳密な意味での歴史の展望においてこれをどう考えるかということにはいろいろ議論があろうかと思います。しかし、ただいま大原委員が御指摘になりましたような経緯、そのもとに今日のわが国憲法がつくられ、そして新しい日本をわれわれが築きつつある、そういう御認識、私は、基本的に大原委員のおっしゃったことに異存はございません。そのように考えます。
  5. 大原亨

    大原(亨)委員 順次質問を進めてまいりますが、経済企画庁長官、この新しい経済社会七カ年計画でありますが、その中では、いままで私を含めまして各党の委員、同僚の諸氏から質問があったわけですが、日本はこれから異常な高齢化社会を迎えるわけです。高齢化社会というのは、六十歳、六十五歳以上の高齢者が絶対的にふえていくという問題と、政府人口推計で予測しなかった出生率の低下が昭和五十年以来異常な状況で進んでおるということです。これは言うなれば相対的な高齢化でありますが、分子と分母の関係でありますが、そういう異常な事態に対処いたしまして、これからの七カ年計画や八〇年代をどうするかということは非常に重要な問題です。  私は、この新経済社会七カ年計画を繰り返して検討いたしてみまして、俗に見えざる革命と言われておる高齢化社会に対応するその政府の文書の中には、やはり総理大臣施政方針演説に見られるように問題点指摘をいたしておりますが、しかし分析はあっても政策はないというふうに言われておるわけであります。高齢化社会弱肉強食社会にしてはいけない。国は何をなすべきか、自治体はどういう役割りを果たすか、そして総合的に日本福祉をどう位置づけるか、こういう問題について確固たる方針を持たないと、日本国民的なソリダリティー、連帯を確保することはできない。若い層と年寄りの層、身体障害者の疎外あるいは男女の差別あるいは外国人や同和問題もその一つですが、平和と人権国際人権規約、そういうことを考えてみます際に、どういうふうな政策を総合的に長期的に展望して一つ一つ実現をするか。雇用年金一つをとってみましても、土壇場では間に合わない。十分の準備が要る。生活設計個人個人にかかわる問題ですから、そういう高齢化という問題を中心といたしまして、それらの課題を総合的にどう追求するかということがこの七カ年計画に欠落をしておるのではないか。そういう点を私は指摘をいたしたいと思います。長官の御意見を承りたいと思います。
  6. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま、わが国における急速な高齢化社会が進んでおるということは見えざる革命である、こういうお話がございましたが、まさにそのとおりでありまして、今回の新七カ年計画もそういうことを念頭に置きながらいろいろ対策を立てております。  具体的に申し上げますと、第一に、中高年齢者に対する雇用対策推進、それから第二には、計画的な年金制度改革、第三には、老人に対する総合的保健医療対策の確立を図るべきである、こういう考え方に基づきまして関係各省の間で積極的に施策を推進をしていく、こういう基本路線を明示しております。いまお述べになりましたのは、これは抽象的ではないかというお話でありますが、これは基本原則でございまして、この基本路線に沿いまして毎年経済の実情を見ながら具体化を図っていく、こういう考え方でございます。
  7. 大原亨

    大原(亨)委員 そういうスローガンだけでは、結局ばらばらな鈴木内閣政策をコントロールすることはできない。具体性がないということです。たとえばことしは御承知のとおり国際障害者年でありますが、国際障害者年を迎える準備をするに当たって、国連では何回も決議があるわけです。その中で、高齢者の問題と障害者の問題で非常に重要な課題リハビリテーションなんです。リハビリテーションサービスをどうするかということと、日本の決定的におくれているこの専門職員をどう養成するか、こういう問題があるわけです。たとえばホームヘルパーの問題でも、施設中心高齢者対策あるいは特別養護老人ホーム、どんどんふえていくのですから、高齢者がふえて、障害者高齢化していくのですから、それに対応いたしまして施設中心にするのか在宅中心にするのか、こういうことによりまして計画内容はがらりと変わるわけです。住宅政策公共投資、全部変わるわけです。そういう問題点に触れた総合政策がないという点で、私はこの問題だけに時間をとることはできませんが、その反省に基づいて順次七カ年計画を補強すべきである。そういうふうにしないと、七カ年計画が終わるまでこういうことであったのでは八〇年代の政策の対応はできない。社会連帯というものも守ることはできない。弱肉強食社会になる。私が例を挙げましたのは二つあるわけですが、たとえばリハビリテーションサービスあるいは専門職員あるいは在宅があるいは施設が、それに対応する人的なあるいは公共投資の面の改善、こういう問題については触れていないと思いますが、いかがですか。率直な答弁でいいですから、簡単に、……。
  8. 園田直

    園田国務大臣 御発言のとおりでありまして、総合的な長期の観点からいまおっしゃったような点を緻密に組み立てていく必要があると考えます。
  9. 大原亨

    大原(亨)委員 伊東外務大臣鈴木さんもアメリカへ行かれるわけですが、計画を立てていく場合にその基礎となります問題があるわけです。というのは、GNP防衛費を幾らにするかという議論がずっと続いてまいりました。その中で日本GNPの〇・九だというのですが、しかしNATO方式というのがあって、恩給が入っているわけです。あるいは海上保安庁が入っている——これは海上警察ですか。それから駐留軍の費用のとり方もありますが、軍人恩給とか自衛隊年金が入るということになりますと、戦傷病者戦没者遺族等援護法軍人軍属、準軍属ですから、これも入る。それらを総計いたしますと日本軍事予算というのは非常に大きいのではないか。これについて見解を述べてもらいたい。
  10. 伊東正義

    伊東国務大臣 防衛費GNPの対比のとり方、これは各国でいろいろ違うことは御承知のとおりでございまして、いま大原さんの言われた軍人恩給でございますとか海上保安庁とかそういうもの、NATOでやっているものという計算をすれば一%超えることは確かにそのとおりでございます。
  11. 大原亨

    大原(亨)委員 NATO方式というのはどういうことなんですか、防衛庁
  12. 大村襄治

    大村国務大臣 お答えいたします。  NATO方式につきましては、その内容NATO秘とされておりまして詳細が明らかでないので、これによるわが国防衛費を算出することは困難であると考えております。また、NATO定義国防費には軍人恩給費が含まれておるとも言われておるのでありますが、その範囲等の詳細がわからないので、わが国の場合、いかなる範囲軍人恩給費を加えるべきかを決めることはきわめて困難ではないかと思います。また、防衛庁としては、自衛隊は旧軍隊とは連続性がなく、また現在進めている防衛力の整備とは余り関係がないことから、旧軍人遺族等恩給に係る経費防衛関係費に加えることは適当ではないと考えております。  しかしながら、仮に五十六年度の場合、旧軍人遺族等恩給に係る経費を全額とれば約一兆五千億円となり、防衛関係費二兆四千億円に加えますと、機械的に試算すれば約三兆九千億円となりまして、対GNP比は一・四八%、切り上げますと一・五%弱程度になる、そういうふうになります。
  13. 大原亨

    大原(亨)委員 アメリカベトナム戦争その他で軍事予算の重圧で失敗しているわけです。インフレになりまして高金利になりまして、設備投資に回らなくなって、そして競争力が低下しておるわけです。私は、いまレーガンの問題について、政策について議論をする時間はありませんが、十分日本において主体的にこの問題を受けとめて、日本における新しい——日本は無資源国ですから、全く裸のような国ですから、そういう中において新しいパンか大砲かという問題は必ず起きると私は思う。そういう問題で国民生活を安定することがいかに重要であるか、こういう問題に留意をしながら自主的にこの議論を進めていってもらいたい、そういうことが国民の外交に対する信頼を維持する道である、私はこう考えますが、いかがでしょうか。
  14. 伊東正義

    伊東国務大臣 防衛費お話だと思うわけでございますが、そういう防衛費の問題につきましては、まさに大原さんおっしゃるように、これは日本日本を守るためにどうするかということを自主的に判断をしなければならぬというのはもうそのとおりでございまして、国民のコンセンサスも必要、財政のことも考えなければいかぬ、日本のいわゆる社会保障のことも当然考えなければならぬ、総合的な考え方で自主的に判断するということでアメリカとも話し合いをしたいというふうに思っております。
  15. 大原亨

    大原(亨)委員 これから順次具体的な質問中心に入りまして全体的な問題を議論いたします。  行政管理庁長官が見えてないわけであります。総理大臣候補には全部答弁してもらうことにしておったのですが、後になりますからこれは後回しにいたします。  一言言っておきますと、行財政改革というのも、渡辺さんが言われましたように予算の査定でいわゆる一律増分主義、一律でカットするというようなことはいけないと私は思うのです。そうじゃないという顔をしておりますけれども。行財政改革にいたしましてもやはり一律主義というのはいけない、何が重要であるかという点を考えて行政改革をやるべきである、こういう議論をしなければいけない、こういうように思っておりますが、これは後に保留しておきます。  そこで、渡辺大蔵大臣は、高福祉には高負担というふうに言われたわけであります。これは財政当局としてはそういうことを言うんでしょうが、厚生大臣、日本社会保障はどういう特色や欠陥があるのか、こういう点について整理をしたことがございますか。  私の見解を申し上げておくと、日本社会保障給付費は一二%以下でありますから国際的には低いわけです。社会保障給付費は低いんです。低いけれども。その中で医療費の占めるシェアが非常に大きいというわけです。第三の特色は、その医療資源の効率的な活用という面から非常にむだが多い。それはもちろん年金が成熟していないということも一つでありますが、年金がむちゃくちゃ、ばらばらであるということが一つ。ヨーロッパの方は、すでに六十五歳以上が一四%になって静止をして、若い人口がずっとふえているわけで、負担能力がふえているわけですから、年金が成熟をしておりまして、社会保障給付費が高いということもあります。しかし、日本はそういう欠陥を持っているんですから、その欠陥のままでずっと進めていくと大変なことになるということを指摘をいたしておるわけです。この大まかな見解についてどうお考えでありますか。厚生大臣、続いて大蔵大臣。
  16. 園田直

    園田国務大臣 日本の厚生行政は、その発生と沿革がヨーロッパと違っております。そのために、無理に制度を並べた等の関係もあって、総合的な体系立った制度になってない。その矛盾がいま各所に出てきておる。そこで、いまや理論からでなくて現実から、このままではやっていけないという状態に立ち至っていると思います。  そこで、遅まきで非常な困難もあるし、また過程においてはいろいろ無理があると思いますけれども、これを総合、体系立った、あるいは年金の一元化であるとか、その一元化の前に二本立てにするとか、いろいろ考えなきゃならぬ時期であると考えております。
  17. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 たとえば私のところは共済年金を持っているのですが、御承知のとおり、国鉄に例を見るがごとく、経営の合理化という一環として人員の削減を行うということになれば、それは年金受給者に比して、それを支えている人たちの数が少なくなるわけですね。だから必然的に非常に苦しくなっていくところが出てくるわけですから、やはりそれだけで将来もずっと別々にやるということはむずかしくなってくる。したがって、私はやはり公的な共済なら共済だけででも、何とかだんだんに一本化をしていくという方向は避けて通れないことではないか、そう思っております。
  18. 大原亨

    大原(亨)委員 わが党の山田委員その他各同僚から議論があったわけですが、大臣は全部関係がありますから、私はできるだけたくさんの……。その年金に関する質疑討論を振り返ってみますと、年金閣僚会議の議長は官房長官でありますが、前は外務大臣でありましたが、全然政府としての確固たる統一した方針がない。全く百鬼夜行で、これでこのままの姿になりまして高齢化社会の本番に、本格的な中へ入ってまいりますと、がたがたになるだけではなしに、国民の先行き不安は非常に増大してまいります。  いろいろな議論がありましたけれども、年金というものはすぐ変えられるんじゃないのです。これは既得権、期待権にかかわる問題です。生活設計全部しているわけですから、四十歳、五十歳超えましたら。三十歳からでもやっているわけですから、準備期間が要るわけです。ですから、どうすべきだということについて、大蔵省の財政主導型の考えではなしに、全体の方針を早く決めなきゃいかぬ。決めましても、順次これを変えていくのには大変な時間がかかります。そういう面では、一年ごとに大臣がかわるということにも原因があるが、歴代自民党は政権担当能力なし、これは質疑応答を通じまして、その点についてしっかり認識を新たにしてもらいたいと思うんです。  たとえば、共済年金中心にいたしまして議論がありました。国鉄の共済は千分の百七十七ですね。これは限界に来ておるわけです、千分の百八十というのが限界と言われておりますから。二割といたしますと、その半分の一割を保険料で負担するわけですから、二十万円ですと二万円です。医療費がふえてまいります。そして所得課税限度の問題がありますが、実質的に増税をいたしてまいります。そういたしますと、保険料の負担は課税最低限以下にもかかってくるわけですから、非常に不公平な所得の再配分になります。ですから、それらの問題全体を見ながら、保険料の負担と制度の改革を見ながら、総合的に順次どうするかということを決めなければならぬ。  というのは、国鉄総裁や運輸大臣に言いますと、運輸大臣は、専売、電電の三つを管轄しておるのですが、しかしどうもやりようがない。国鉄の共済は合併したい、こういうことを言う。しかし、ほかの方はみんないやですと言う。そして、いろいろ議論をいたしておりますと、全部の人の議論を含めまして、厚生年金等の改革全体を見ないと年金改革ができない、こういうふうに個人個人は言っている。ではどうするかという問題については、きちっと答弁できない。これが率直な姿であるというように思うのです。  いままで山田委員その他で討議がありました問題、いま私が指摘をいたしました点について、何か御意見がありますか。これは与党席の人がそこへ座るわけにいかぬから、閣僚の方から答弁してください。
  19. 園田直

    園田国務大臣 すべての問題でいま問題になろうとしているのは、給付と負担の公平ということが問題になっておりますが、給付と負担の公平からのみ制度の改革を考えると、これはまた間違いを起こすところでありまして、これは二義的な問題で、将来の改革の案を持って、それを実行するために給付と負担をどう公平にやるか、こういうふうに考えていかなければまた第二の誤りを来す、こう思うわけであります。  そこで、改革一つの問題は、ばらばらの福祉行政をどうやって内閣の問題としてまとめていくか、こういうことだと思いますが、いまは総理府官房長官が調整連絡会議をつくっておられますが、官房長官というのは、御承知のとおりに、各省の意見が合わない、もめる、その場合の一時預かりの調整みたいなものが仕事であります。そうすると、やはりそこで手足のある総務長官、あるいは手足と経験を持っている厚生大臣がその責任者となりて、そして次にはこれをまとめる方向に持っていかなければならぬ、これは御発言のとおりだと考えております。
  20. 大原亨

    大原(亨)委員 調整役の官房長官、いかがですか。つまり大体一年ごとに内閣改造をするわけですよ。そういたしましたら、ここで質疑応答を一生懸命やりましても、全くがっかりするんですよ、一つも前進がないから。振り出しに戻ってやるわけだ。勉強したかと思ったら、またかわるわけだ。次の者が待っておるから、しようがないかもしらぬけれども。つまりカーター、レーガンにいたしましても一定のスタッフを持って政策の見通しを持ってちゃんとやっているわけです。シビリアンコントロール、よきにつけあしきにつけ政治全体をコントロールしているわけですよ。レーガンは成功するとは私は思わぬけれどもね。ですから、それをきちっとやるような体制をとらなければ政府・与党は責任政党とは言えないのですよ。これは非常に困ったことです。もうわかっているのですから、厚生年金も、いつか指摘いたしましたように、二十一世紀を展望するというから二十年後には十五分の一が五分の一になるわけです。ですから、保険料の負担と給付の公平化について、皆年全体制の中でどういう手だてをしてどういう順序でやるのか、こういう問題について意識を統一してもらわなければいかぬ。  官房長官は、鈴木さんのように単に調整するというのでなしに、こうあるべきであるということで調整しなければ本当の調整でないと思うのですが、官房長官、いかがですか。
  21. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま厚生大臣が私の立場についても御説明くださったわけでございますが、率直に申しまして、この八つの年金、各省を通じまして統一した一つ考え方等々、大原委員の言われますように十分な体制が政府側にどうも欠けておるということは、申しわけありませんが認めざるを得ないと思います。
  22. 大原亨

    大原(亨)委員 先ほどお手元に配りましたが、「厚生年金保険積立金の目減り額試算」という表を私が要請いたしましてつくりました。  これは四十五年から十年間、五十五年までの計数でありますが、年度初めの積立金は本年は二十四兆三千五百十九億円になっておるわけです。国民年金はもうパンク寸前でありますから積立金はほとんどありません。  物価上昇率をやってみますと、四十八年から五十一年までの狂乱時代がありますが、このように物価が上昇をいたしております。十年間の物価目減り分、A掛けるBは目減り分でありますが、物価が上昇するに従って積立方式をとっておる年金の原資が目減りをいたしております。これは厚生年金だけの問題ですが、他はもっとひどいわけです。その合計は幾らになるかといいますと、累計は上に書いてありますように十年間で十兆一千九百三十一億円目減りをいたしております。運用利回り、財投で運用するものの利子は、公定歩合に連動はいたしておりませんが、やや近い形で動いております。そしてA操けるDのE項、これは利子の収入、目減り分との関係でありますが、これを調べて集計いたしてみますと、右の試算額でEマイナスCを計算いたしますと、プラス面が右に書いてありますが一兆二千八百六億円の運用利回りの収入、マイナスが二兆五千七百十億円で、プラスマイナスいたしまして一兆二千九百四億円、これは先ほど計算機でやってコピーしたわけですが、つまり、どういうことかといいますと、これは物価の上昇というものが保険財政を崩壊させているのです。  経済企画庁長官が見えておりませんが、物価の上昇というのは、高齢化社会対策とか中期、長期の対策を立てるときには決定的に重要であって、国民生活から見てみますと、物価問題や土地問題、住宅問題に、きちっとした政策を立てないと、高齢化社会において国民生活の安定はないということになるわけです。  この試算でありますが、運用利回りの利子を加えましても物価で目減りをいたしておるのが一兆円台です。ですから、そういうことから考えてみましても、山田委員等も指摘をいたしましたように、全部の年金の下半身、下部構造を、つまり税金で取るか保険料で取るか、イギリスを含めた北欧型にするか、ドイツ、フランス型、南の方の形をとるか、どっちにいたしましても取っていくわけでありますが、ふえていくわけですが、そのとき所得再配分型の目的税をここに設定しないと、たとえば法人税とか所得税に対する付加税という形になるか所得型の付加価値税になるかいろいろな議論がありますが、そのことをきっちりやりまして、下部構造だけは毎年毎年計算するということになりますと、賦課方式ですからインフレの影響を受けないということになります。そういう制度をつくって、上部の方は比例報酬部分を積み上げていくということでいままでの伝統その他を生かしていくようにしないと、日本年金は絶対にうまくいかない、私はこういうふうに思うわけです。  運輸大臣聞いておられますが、運輸大臣の所見をお聞きいたします。
  23. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 この問題につきましては、昨日も山田委員からの御質問もございました。そのときに園田厚生大臣がお答えしておりますように、私たちは全く同じ考え方でございまして、この基本年金構想というのは、私もまことに結構な構想だと思っております。  しかしながら、現在の財政状況、特に個人の負担をどの程度に求めるかとか、あるいは現在ございます年金制度とどのようにかみ合わせて考えていくかということについてこれから多くの議論があろうと思うのでございますが、われわれも一つの評価すべき構想としてともに研究いたさなければならぬと思っておる段階であります。
  24. 大原亨

    大原(亨)委員 厚生大臣、いかがですか。
  25. 園田直

    園田国務大臣 昨日、山田議員の質問にも同様趣旨のことを答えたわけでありますが、いまの新税の問題については、税負担、国民の限界を考えると簡単に新しい付加価値の税を設けるということは、財務当局の御意見も聞かなければわかりませんけれども、なかなか困難じゃないか。そうすると保険料だけでこれを上げていくか、これもなかなか、まだ来ていると思いませんけれども天井がそろそろ来るわけであります。そうすると、いま保険が持っている一部を税で振りかえる、こういう一つの方法も考えなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えております。
  26. 大原亨

    大原(亨)委員 その議論社会党の案がどうとかいうことでなしに十分議論をして、均等部分、公平な再配分の基礎部分についてはそういう考え方で賦課方式を取り入れて組み立てていく。保険料についてはこれもまたきょうお話しのように限界が来るわけですから、国民年金はいま三千七百七十円ですね。三百五十円ずつ上げていくわけですから、そういたしましたらすぐ五千円になるわけです。昭和五十七年には五千円近くになります。これは任意加入の妻は主人と一緒に国民年金の保険料を払っているわけです。それから五人未満の事業所、零細企業は低い賃金で国民年金に入っておるわけです。厚生年金に入れない、強制加入でないわけですから。そういうこと等を考えてみますと、月五千円が限界だと言われているわけです。であるのに、後で申し上げるように国民年金はもうパンク寸前であります。将来の保障はないわけです。二十五年たったならば積立方式でもらえるのだと自分は思って掛金を掛けておるけれども、その掛金は全部現在の給付の方へ注がれておって、保険料と給付の間は完全に逆になっておるわけです。ですから、一定の限界までは社会保険方式で保険で積んでいくけれども、その上は全国民がどうして年金の基礎を固めるかという考え方で、いろいろな案について意識統一をしなければならぬ。それがなければ、これは絶対にいけないのです。私どもは、そういうことについて、言いたくない面もあるけれども、しかし言うべき点をきちっと言って整合性のあるものにしなければいけないということであると思うのです。  その他の問題と一緒に、いまのばらばらの——これはいま資料をやっておったのですが、いま印刷はないですが、二十七に分かれているわけです。八つのグループと二十七に分かれておるのです。これが主管大臣が全部違っておるわけです。これはどうしようもない。年金行政を一元化するとすれば、総理大臣の言うなればスタッフといたしまして総理府がやるのですが、それよりも厚生年金国民年金という皆年金の柱を持っておる厚生省の外郭に年金庁をつくる、そして、いままでの全部のものをここへ持ってくる、そういう行政改革もやるべきである。こういうことをやることが行政改革の主な目標であって、そのために高度成長時代の企業助長行政をコントロールしていく、こういうことがないと行政改革国民の納得を得ることはできない。  そういう二つの問題について、官房長官議論いたしました経過を踏まえてどういう所感をお持ちでありましょうか。厚生大臣、総務長官、続いてお願いします。
  27. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまるる御指摘になりました問題につきましては、私どもも、まさに十分これに対応できていないということは残念なことでございますが、御指摘のとおりと思います。  ただ、これをどのようにいたすべきかについて、ただいま一つのお考えをお示しになりました。しかし、これは何分にも重大な問題でございますので、ただいま私から何ともお答えを申し上げることができませんので、よく検討させていただきたいと思います。
  28. 園田直

    園田国務大臣 先ほどから申し上げますとおり、基本年金の構想、それからその他の問題は
  29. 大原亨

    大原(亨)委員 年金行政一元化……。
  30. 園田直

    園田国務大臣 一元化の問題、これは御指摘のとおりでありまして、問題は、どのように混乱を少なくし、騒動を少なくして持っていくかということであります。そうなりますと、やはり一本にまとめてやるという年金庁の構想も、これは検討に値する問題であると考えております。
  31. 大原亨

    大原(亨)委員 国民年金の中で具体的な問題ですが、たとえばこれはどうするのかという大問題なんですね。特例納付については、昨年六月で一応終わったわけです。これは事務当局でよろしいのですが、特例納付でどれだけ過去にさかのぼって加入をしたか、残りは何人か。  それから、国民年金の制度でどうしても決着をつけなければならぬ問題があるのですが、それは妻の任意加入の問題です。国際婦人年で総理大臣の諮問機関の企画推進会議、これは藤田たきさんが会長なんですが、最近案を出されて、任意加入を強制加入にすべきだ、こういう意見がありますが、任意加入と、妻でどの年金にも入っていない人が大体どのくらいか、この二つの点についてお答えいただきます。
  32. 新津博典

    ○新津政府委員 お話のございました国民年金の特例納付の実績でございますが、二年間の収納延べ件数二百二十九万九千六百余件、収納金額で千六百七十五億五千万余でございます。この結果、特例納付なかりせば年金権に結びつかない、いわゆる無年金になるおそれのあった者のうち、おおよそ四十万人程度が救済されて年金に結びつく状態になったと推定をしております。
  33. 大原亨

    大原(亨)委員 残りは……。
  34. 新津博典

    ○新津政府委員 なお、この特例納付を行います前に、全国の市町村の社会保険事務所で推定をいたしました、積み上げました当時の対象者が八十万ございましたので、そういう意味で単純に推計をいたしますと、なお四十万人近い方が残されておるという実態でございます。
  35. 大原亨

    大原(亨)委員 妻の任意加入は……。
  36. 新津博典

    ○新津政府委員 任意加入の件に関しましては、年金局長から申し上げます。
  37. 松田正

    ○松田政府委員 妻の任意加入の問題につきましては、現在、国民年金の任意加入を認める制度を持っておるわけでございますけれども、今後どういうふうにするかについては……
  38. 大原亨

    大原(亨)委員 その実数を言ってごらんなさい。
  39. 松田正

    ○松田政府委員 約七百万ないし八百万人でございます。
  40. 大原亨

    大原(亨)委員 未加入は……。
  41. 松田正

    ○松田政府委員 未加入は、大体八割程度と考えられますので、百万ないし百五十万程度かと思います。
  42. 大原亨

    大原(亨)委員 これから……。
  43. 松田正

    ○松田政府委員 それで、関係審議会でいろいろ御議論をいただいたわけでございますけれども、現在のところでは、最終的な結論を得る段階に至っておらないわけでございます。御指摘の御提言の点につきましても十分承知をいたしておりますけれども、婦人の年金保障、つまり婦人の方々に年金権を取得する主体性をどのようにして構築していくかという問題につきましては、今後とも広く関係者の御意見を聞きながら基本的に検討してまいる、こういうことでございます。
  44. 大原亨

    大原(亨)委員 いまの二つの事実についてはこういう問題があるわけです。妻の任意加入については、約八割が加入をいたしておる。約七百万人余り、未加入が百万人、その他は厚生年金、共済年金等、妻自体が働いておって入っておる、こういう問題です。  それから特例納付は、この席上でわが党の現在の多賀谷書記長が発言したことが発端で特例納付をやったわけですが、四十万人加入をいたしまして、あとそれだけ残っているわけです。残っているのはどこかといいますと、中小の自治体ではなしに、大都会を中心に残っているわけだ。というのは、年金の特例納付が徹底しない。保険料の集め方に一つ問題があると私は思うのです。法律違反の問題があるから、これは分科会でやります。法律違反です。国税徴収の例によることになっているのですが、任意加入の形で保険料の徴収をばらばらにしているから、大都会では年金権から漏れる無年金が出てくる、これは大きな問題であります。  それから妻の任意加入の問題については非常に不公平です。百万人余りの、約二割の妻の方々がこのままの状況でたとえば離婚いたしますと、全くの無年金になってしまいます。そういう妻の年金権という観点からの婦人年の提言もあるわけですが、これらの問題を解決するためには、全部の年金に共通する基本年金をきちっと組み立てていく以外にはないということです。そういうことであります。  この点について厚生大臣は、国民年金の主管大臣でありますが、どういうお考えをお持ちでありますか。
  45. 園田直

    園田国務大臣 妻の任意加入の問題は、すでに被用者の奥さんの八割がこれに加入しておるわけでありますが、任意加入ではなくて、主婦の方々の中で自分たち独自の年金を取得したいという声が強まっていることは私もよく承っております。しかしながら、これはわが国年金制度の基本的な問題でありますので、引き続いて幅広い審議を尽くし、また意見を承って検討したいと考えております。
  46. 大原亨

    大原(亨)委員 だから、その答弁は四、五年来一言も変わっていないですよ。これは園田厚生大臣の答弁としてはちょっと珍しいですね。あなたは政治的な判断で答弁をされると思うのだが、こうあるべきだということで、こうやりますということでやると思いますが、これはできないですか。  もう一つ問題は、国民年金にくっついている障害福祉年金の問題でありますが、障害福祉年金は老齢福祉年金その他とは違いまして経過年金ではないわけであります。一級、二級の重度障害者はどんどんふえているわけです。二十歳以前に加入しないあるいは先天的な障害者は障害福祉年金しかないわけです。保護者は、父母等はだんだんと死んでいくわけですから、障害者は後に残るわけです。障害年のスローガンは自立の援助なのですが、障害福祉年金を自立できるような年金に援助していくということは、雇用やその他の全体の計画を考えながらどうしてもやっていかなければならぬことであります。障害福祉年金の細かな議論は別にいたしますが、障害福祉年金についてこの障害年で、国民年金をやったために経過年金国民年金に入れたわけですが、障害福祉年金はずっと制度がある限り二十歳以下の障害者はあるわけですから、統計上どんどんふえていくわけですから、この問題をどうするかということは障害者年金権の上で非常に重要な問題であります。園田厚生大臣、想定問答集を見ないで、あなたの決断で答弁してください。
  47. 松田正

    ○松田政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、障害年金の問題につきましてはいろいろと御意見があることを十分承知をいたしております。特に先生御指摘の障害福祉年金と通常の障害年金との格差の問題につきましては、御指摘のような御意見は重々承知をいたしておるわけでございます。  ただ、現在の障害福祉年金につきましては、二十歳になりました時点で認定日を設けて障害福祉年金を出しているわけでございますけれども、現在の国民年金の体系の中で障害福祉年金あるいは障害年金を全く同一のレベルで考えていくということはなかなかむずかしい問題だと思うわけでございます。したがいまして、すべてを現行の年金制の中で解決するということはむずかしゅうございますけれども、その他の社会福祉等との関連もあわせながら全体としてレベルの向上に努めるように検討いたしてまいりたい、かように考えております。
  48. 大原亨

    大原(亨)委員 厚生大臣、いまのような答弁ではちょっと——答弁はそういうことです。  それで、問題は、重度障害の人々は雇用の機会がないわけです。障害者雇用促進法については時間の関係で触れません。後で同僚委員から触れられますが、藤尾労働大臣もしゃんとしたことでやっておられますが、これは非常にむずかしい問題であります。  結局、自立ということになりますと、重度障害者については、父母、祖父母はだんだんと亡くなるのですから、そういたしますと、自立という観点から言うと、障害福祉年金福祉手当、生活保護と両方もらっているわけです。その範囲の問題、三級をつくれという問題もあるのですが、こっちをよくいたしていきますと生活保護が少なくなってくるのです。そういう関係ですが、では局長が言ったようにどちらを選択するかといえば、政治決断ですが、障害福祉年金をきちっといろいろな観点で十分議論いたしまして財源措置を講じまして、これをきちっとして自立できる最低の保障、ナショナルミニマム、これを実現することが障害年の大きな課題です。厚生大臣、いかがでしょうか。
  49. 園田直

    園田国務大臣 障害者年金、特に重度の障害者年金については、いま御発言のとおり、私もこれに対する制度の充実をして守ることが正当であると考えております。
  50. 大原亨

    大原(亨)委員 難民条約を批准いたしますと国内法を整備しなければなりません。これは後で議論があります。その中に外国人に対する年金差別の問題があるわけです。これは先進国は最近非常にやっておるわけです。それは難民の受け入れ体制の問題からもそうです。ましてや日本においては、いま二・二六事件のことを言いましたが、朝鮮の人々を徴兵や徴用で日本へ引っ張ってきたのです。この人に対して公平な年金を出すことは当然です。在日朝鮮人、韓国人、当然ですよ。この年金差別の撤廃についてはどこの省が所管をして、これからどうされるのですか。国内法をいつ整備いたしまして出しますか。
  51. 松田正

    ○松田政府委員 先生御承知のように、わが国社会保障制度につきましては、その大部分がすでに外国人に対して平等に法の適用を行っているところでございます。ただ、国民年金等につきましては国籍要件がございますので外国人に対しては適用になっていない、こういうことでございます。  現在、いわゆる難民条約の批准につきましてその加入が検討をされておる段階でございますけれども、これに伴いまして、国籍要件を持っております国民年金法等につきましては難民条約を批准するに必要な限度で措置を講じたい、こういうことで現在その改正内容を検討中でございます。
  52. 大原亨

    大原(亨)委員 次は医療問題に移るのですが、具体的な問題から入ります。  関東の方の新聞には出ておらぬのですが、関西の新聞を連日にぎわしておりますが、神戸市の近藤病院の十五億円大脱税事件というのがある。これの問題点を拾い上げて私が指摘をいたしますから、関係省庁の長官、大臣の御答弁をいただきたいと思うのですが、昭和五十二年から三カ年間で十五億円大脱税をしておる。この近藤病院長は数年前に同じような問題を起こしまして、懲役刑になって三年の執行猶予中である。  やっている手口はどういうことかといいますと、架空請求、ないのをあったというようにレセプトを出す。水増し請求、五回行ったのを十回とか、三本の注射を二十本とか、これは私文書偽造であり詐欺、横領。これは全部そろっている。それから、トンネルの薬の卸会社をつくっている。そして、現金問屋その他から安い薬を持ってきまして、近藤病院や近藤病院がつくっている特別養護老人ホームへ流している。そして、その近藤グループは、先般も補正のときに議論いたしましたが、第二薬局を設けている。第二薬局を設けて、ここは一日大体二百人の外来患者と言われております。そういたしますと、私の計算だけでも、分業だという形をとって同じ資本がやっておるのですから、院外処方料と調剤料を合わせますと、一件について千円程度ですから、二百人でありますると二百倍で、一カ月二十五倍いたしまして、一年間のものを出してみますと、それだけで五、六千万円はもうかっておる。そのほかに薬価基準と実勢価格との差、二割、三割、四割、そういう差がもうかっている。脱税のために使っておる。これは第二薬局を設けておる。これはまだジャーナリストの人は気がついておらぬようですが、その一覧表を見てみますと、これは間違いないと私は思います。その近藤グループが、同族が特別養護老人ホームを設定しておる。昭和五十四年、つい最近です。特別養護老人ホームの中のお年寄り一人について、寝たきり老人ですから、これについては十五万円の措置費が出ておる。それで、老人医療の無償の保険料請求をするということになる。しかも、百九のベッドの許可を得て百五十人の患者を入れて、医者や看護婦は定数の半分以下、こういう状況である。  これに対して、厚生省、県知事、国税庁、警察、検察、最初に、検察から調査の段階をお答えいただきたい。
  53. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 お尋ねの件につきましては、現在神戸地方検察庁におきまして大阪国税局と協力のもとに所得税法違反、いわゆる脱税の容疑でございますが、捜査を進めているところでございます。
  54. 大原亨

    大原(亨)委員 国税庁……。
  55. 渡部周治

    ○渡部政府委員 お答え申し上げます。  お尋ねの件につきましては、昨年の九月二十六日にわが方の査察調査に着手いたしまして、現在調査中でございます。ほぼ大詰めに近づいておるというように承知しております。
  56. 大原亨

    大原(亨)委員 厚生大臣、去年の予算委員会におきましても非常な議論になりまして、昭和三十五年に指導、監査に当たっては医師会の立ち会いをするという文書があった、これを破棄すべしという議論については、そこに座っておられる渡辺さん、ここに座っておったが、渡辺さんも質問されました。私どもは一斉にこの問題を取り上げました。良心的な医師は、いまのような状況を放置しておいては正直者がばかを見る、悪貨が良貨を駆逐する、こういう意見を医師会内部でも持っておるのですよ。私は全部聞くのだ。そういう点については、中立性のある、正しい行政がきちっとしなければだめだ、こういう議論がある。指導、監査の議論がったわけですが、指導、監査を一体しているのかどうか。事件の全貌については私が言ったことについて間違いがないか。第二薬局の問題を含めて間違いはないか。十五億円の、東京でも三つほど脱税事件その他不正事件があるのですが、この問題はそれらを含めまして大きな問題で、それ以外にも指摘をいたしましたような大問題を抱えておる。現在の医療の制度を全部指摘をいたしました具体的な問題でありますが、厚生省は知事を通じまして今日までどのような措置をとってこられたのですか、お答えください。
  57. 大和田潔

    ○大和田政府委員 この近藤病院の事件が報道されました直後、ことしの二月の二日でございますが、兵庫県の民生部の職員を六人、近藤病院に派遣いたしまして調査をいたしております。特にこれは事情聴取を行ったわけでございますが、大阪国税局等にカルテ等の書類が押収されておりますので、この段階では細目につきましては把握するには至っていないわけでございますが、早速に立入調査をいたした、こういうようなことでございます。今後国税局それから神戸地方検察庁の御協力を得ましてできるだけ早い機会に監査を行っていきたい、かように考えておるわけでございます。
  58. 大原亨

    大原(亨)委員 私が納得できないのは、厚生大臣、これは数年前に同じような容疑で有罪の判決になって、執行猶予中なのですね。それがまたこういうように問題が出てきたわけです。ですから、それは厚生大臣は健康保険法では四十三条等に基づいて指導、監査の問題で立ち会いかなければできないという拒否条項があったから困ったわけだが、この問題を議論いたしまして、昨年の法律改正をしたわけです。  それでなくても、たとえばカルテ、レセプトの改ざんをするわけですね。抗生物質でもビタミン剤でも、一剤が四百円の請求を薬価基準でするのですが、実際にはこれは銘柄は、薬価基準は会社の名前を登載しているのですから、抗生物質でも安いものは四十円ぐらいで買えるわけです。四十円ので買っておいて四百円で請求するわけでしょう。これは文書偽造でしょう。詐欺、横領でしょう。法務省、いま私が指摘いたしました点はそういうことにならぬですか。それが通常化しているのです。こういうことは、これから高齢化社会福祉をどうするかというときに、患者の立場、国民の立場、良心的な医師の立場からこれを許すことはできないと私は思うのですが、いかがですか。法律的な見解をお聞きいたします。
  59. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、現在所得税法違反ということで捜査を進めているところでございます。その捜査の過程におきまして、いま御指摘のような犯罪の容疑というものが認められてくるのではないかと思います。
  60. 大原亨

    大原(亨)委員 これは繰り返しやっていれば明らかに犯罪ですよ。一回、二回はミスということがありますけれどもね。そういう点については、国税庁は税金について調べているのですか、そういうことを考えて。
  61. 渡部周治

    ○渡部政府委員 お答え申し上げます。  税務の調査におきまして、社会診療報酬の分につきましては、従来は、その収入が支払基金等から源泉徴収を受けてきちんと支払われておる、経費の方は租税特別措置法によりまする法定経費で計算されるということでございまするので、通常は税務上余り問題がないということで、税務の面におきましては、自由診療部分につきまして従来は重点的に調査してまいっておったわけでございます。ところが御指摘のように、社会診療報酬の分につきまして不正請求事例が多い、相当出てまいっておるという事実が出てまいりましたので、私どもはそのようになりますると、その部分についての経費としまして措置法が適用されるということは課税上問題があるわけでございますので、今後その社会診療報酬部分の不正請求部分につきましても十分目を光らして調査をいたしたいということで、重点的にその点の調査をいたしたいと思っておるところでございます。
  62. 大原亨

    大原(亨)委員 厚生大臣、今後こういういろんな問題があった場合には、立入調査等については健康保険法の指導、監査の条項が改正になったわけですから、この問題については、できる、支障がなくなったと私は思うけれども、いかがですか。この点が一つ。  それからもう一つは、いまのように第二薬局を設けて、医薬分業という趣旨は安全性を図りながら技術と薬物を分離するというチェックシステムでありますが、それを逆手にとりまして、院外で処方するんだということで院外処方料と調剤費を取る。資本、経営は同じです。ヨーロッパで医薬分業をする場合には、保険調剤薬局は独立しなきゃならぬわけです。これが近藤グループ、同じだったならば、名義を変えただけでごっそり取る、こういうことになる。物すごい税金の浪費であります。実体を備えていない第二薬局の問題。それから、トンネル会社をつくりまして、そして価格の操作をして脱税をする。そういうやり方。この二つの点については、ぴしっと規制しないと、やらない者が損だということになって、流通過程は、制度はめちゃくちゃになりますよ。いかがですか。
  63. 園田直

    園田国務大臣 御発言の近藤事件に対しては、厚生大臣として一言の弁明するところもございません。特に私が残念でございますのは、いま架空請求、水増し請求等不正に対する指導、特に監査の制度というのはなかなか大変でございまして、実情御存じのように、これを的確に全部調べるということはなかなかむずかしい。しかし、少なくとも問題になって注意すべき病院あるいは事件を起こした病院に対して本気になって調査をするならば、こういう事件は未然に防げたと思います。国税庁で税の方から調べられてこういう不正事件がわかった。それが保険の責任者である厚生省が摘発できなかったということはまことに残念であります。今後は御発言のとおり立入検査等制度を十分生かしてやるように注意をいたします。
  64. 大原亨

    大原(亨)委員 近藤グループは前から犯罪を犯しているわけですけれども、医道審議会では——もう一回やったわけですが、大脱税やその他ずっと続けておるわけです。これは医道審議会できよう処分が発表になっておりますが、これは処分はどうなっているのですか。保険医の取り消し——社会保険医は開業しているのとは別です。これは社会保険医は保険者との契約ですから、ここで費用を払って、ここでやるのですから、契約しているのですから、保険医の取り消しの問題、第二薬局の取り消しの問題、こういうことをきちっとすべきではないですか。やっておりますか。
  65. 大和田潔

    ○大和田政府委員 お答えいたします。  まず、保険医療機関の取り消しの問題でございますが、この保険医療機関につきましては監査を実施いたしまして、その結果、実態を把握いたしまして取り消しを行う、これはもう御承知のとおりでございます。先ほど申しましたように、国税庁等の御協力を得まして、できるだけ早く監査をいたしまして、その結果、必要な措置をとってまいりたい、このように考えております。
  66. 大原亨

    大原(亨)委員 医道審議会……。
  67. 田中明夫

    田中(明)政府委員 脱税等の件につきましては、従来医道審議会におきましては医師の職業上の問題でないというような観点から取り上げられておりませんでしたが、最近の脱税事件には非常に悪質なものが目立ち、医師の職業倫理にももとるというふうに考えられるような事例がございますので、今後は医道審議会の審議案件とする方向で検討してまいりたいと思っております。
  68. 大原亨

    大原(亨)委員 これらの問題を抱えながら高齢化社会に対応する高齢者保険医療制度をつくっていこうということを約束になりまして、この国会では法律が出るわけです。これはいつごろ出ますか。そして、健康保険法の改正で健康保険の保険財政の方ばかりから議論しておったわけですが、今度は医療法も出す、地域医療計画についても医師会の診療機関の機能分化や共同化等を含めて方針を出す、こういうふうに言われておりますが、これは厚生大臣から今後の段取りについて御説明をいただきたい。
  69. 園田直

    園田国務大臣 老人の医療保険の法案は今国会中に提出するよう鋭意関係各省庁と意見を調整しておるところでございます。(大原(亨)委員「その内容」と呼ぶ)内容については事務当局から報告いたさせますが、その骨子である支払い方式、それからもう一つは、一部負担、こういう問題についてはなお結論は出てない模様であります。  詳細は事務当局からお答えいたさせます。
  70. 田中明夫

    田中(明)政府委員 医療法につきましては、現在、改正の準備作業を進めているところでございます。  その内容につきましては、各都道府県において地域の医療計画を策定し、地域の実情に応じた句括的な医療供給体制を計画的に整備すること、また第二は、医療法人の指導監督規定を整備するということ、この二点を中心として改正を図るべく、現在、作業を進めているところでございます。
  71. 大原亨

    大原(亨)委員 この委員会でも議論になっておりましたが、高額医療機器、富士見病院の問題がありますね。あのME、すなわちCTスキャナーとか血液の自動分析器とか、富士見病院で問題になりました超音波の診断装置、そういうふうな高額医療機器をむやみやたらに購入をいたしますと、その減価償却をするために乱診乱療、機械づけになるわけです。この問題について、医療法の改正できちっとすることができますか。そういう問題については医師会だけではなしに、保険者や国民が納得できる参加の形をとるべきである。地域医療計画について私は一歩前進だと思うのですが、この内容をどう整備するかということが大きな問題であります。健康管理についての役割り等があるわけですが、この点についてどういう考えを持っているかということが一つ。  もう一つは、医療機関の位置づけてありますが、公的な医療機関は高度医療をやることは当然です。しかし、救急医療とか三次医療、最後の救急医療、それから僻地医療等についても公的医療機関、第三次医療機関としての役割りを果たすように整備をすべきである。病院、診断所の医師会の共同病院の構成についても、これは共同化の問題といたしまして機器の導入その他について、言うなれば共同化と自律の措置を進める上において私は十分検討に値する、こういうふうに考えておりますが、いまの二つの点でお答えをいただきます。
  72. 田中明夫

    田中(明)政府委員 お答え申し上げます。  従来から申し上げておりますとおり、医療機関あるいは医療機器につきまして法律をもって規制するということはなかなか困難であろうかと存じておるわけでございますが、ただいま申し上げました地域の包括的な医療供給体制を計画的に整備をするという中におきまして高額医療機器の共同利用の問題等を有効に措置してまいりたいというふうに考えております。  それから、公的の医療機関につきまして、従来とも救急医療あるいは僻地医療に参加するようにいろいろ行政的に指導をし、また財政的にも援助をしてまいっておるわけでございますが、今後ともその線でさらに進めてまいりたいというふうに考えております。
  73. 大原亨

    大原(亨)委員 近藤病院からずっと一連の質問を続けてまいりましたが、きょうは非常に大きな仕事を請け負って、委託を受けてやっておられる社会保険診療報酬支払基金の理事長に御出席を願っておりますが、事務監査あるいは診療費の内容の監査、これが実際的に行われているのかどうか、あるいはこれが行われていないとするならば、その障害はどうか、そういう点について簡潔に御所見を伺いたいと思います。
  74. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬参考人 先ほどから先生おっしゃっている近藤病院等の不正な手段で不当に利益を得ているということはまことにけしからぬ話だと思うのでありますが、社会保険診療報酬支払基金は、全国の医療機関から診療報酬の請求を受けて、それを審査をして、いわゆる過剰な診療あるいは濃厚な診療というものを審査、査定をするという仕事をやっておるわけでございます。  そこで、全国で約三千二百人のお医者さんの審査委員を置きましてそういう審査に当たっておるわけでありますが、いまの近藤病院の場合も特にいままで問題のある医療機関ということで特別の専任審査委員にその審査をさせるというような配慮をしてやってきたわけであります。ただ問題は、過剰な医療とかあるいは濃厚な医療ということについての審査はできるわけでございますが、いわゆる架空、水増しのような問題がありますと、支払基金の場合には、医療機関が患者との信頼関係の上に立ってやっているという前提のもとに制度ができておりまして、たとえて言いますと、ある患者がかぜを引きました、こういう治療をいたしました、かぜを引いたことに対する治療の内容が適正であるかどうかは審査をして不当であれば査定をいたしますが、その患者がいたかいなかったかとか、あるいは本当にかぜを引いたのか、引かないのに引いたことにして請求をしたのかということについては、これはわからないわけでありまして、一々出てくる請求書のかぜを引いたか引かないかを確かめるためには、その本人に全部当たらなければならぬとか、あるいはカルテを全部照合しなければならぬということになるわけでありますが、現在、支払基金で年間に四億八千万件、月にいたしますと四千万件の審査を行っておるわけでありまして、四千万件と一口に言いますと、診療報酬支払いの請求書約一万枚で積み上げると一メートルになります。したがって、四千万件というと四千メートル、富士山の高さが三千七百七十六メートルですから、それよりも高い量を毎月審査をしているということでございますので、一人一人の患者がそういう病気にかかったかかからないか、インチキな請求をしているかしていないかまでは私どもの領分ではできないわけであります。しかし、先生おっしゃったようなあれで、不当な診療であるかどうかについては十分審査をいままでやってきたつもりでおりますし、今後も十分目を光らしていきたいというふうに考えております。
  75. 大原亨

    大原(亨)委員 診療報酬内容を審査する機関が三者構成になっておるのですが、結局は医師会が全部推薦するということになっておって、医師会の意向でこれがさじかげんされるという話もあるわけですから、その中には医師会内部からそういう意見が出ておるのですから、そういうことの改革を含めて支払基金は委託にこたえてやることができるかどうか、できなければ、この面においては厚生大臣は、県はどうするか、国税庁はどうするか、こういう問題等について問題提起をしなければならぬと私は思うのです。  あなたはかつて、日本医師会の武見さんが、薬効によって処方するということについて、薬理作用でやるべしという議論を出しました、どの大臣かのときに。それに対しまして抵抗いたしまして、これは医師会の主張がうやむやになった。そういうことはあり得ない、薬効をきちっとしておいて、薬理作用だったら何を使ってもよろしい、かぜならかぜにすべてのなにを使ってもよろしいという判断を全部医者が持つわけですから、これは大変なことになるということでやられた経過がある。ただし一方では、近藤病院事件では、あなたの支払基金の係長が近藤病院に入って、そしてもっぱら専門でそういうレセプトの書きかえをやっておる、こういう話も伝わっておるわけですから、それらの点については厳重に部内監査をしてもらって、そうして期待にこたえてもらいたいと思います。  厚生大臣、これはあなたが医師法、薬剤師法、そして健康保険法、今度は医療法、高齢化保健医療対策、大切な役割りを果たすわけですから、あなたの御答弁をいただきたいと思います。  特に行政管理庁長官もお見えになっておりますが、先ほど言ったわけですが、行政改革というのは内容が問題だ。ニーズに応ずる内容を総合的に実現することは、障害者対策においてもあるいは高齢化対策でも必要である。たとえば機能回復訓練士、OT、PT、その養成、サービスの確保、こういう問題等はどうしてもやらないと、この悪循環を断ち切ることはできないという問題であります。そういう問題等を含めまして、厚生大臣はこれからの医療改革についてどのような御所見を持っておられるか、決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
  76. 園田直

    園田国務大臣 医療の基本は、やはり医療に従事する人々の良心と自制によってやってもらうのが基本であると考えております。しかしながら、今日のように医療が荒廃をして、国民から信頼を失い、疑惑を招く場合には、これはやむを得ず徹底的に悪は摘出する必要があると考えております。したがいまして、いままでのようなことがないよう十分注意をしてやってまいります。
  77. 大原亨

    大原(亨)委員 かなり厚生大臣も大蔵大臣も、大蔵大臣は前に厚生大臣をやっておられたから、連携をとりながらやっておられると思うのですが、この問題は、先ほども申し上げましたように、福祉年金から児童手当に至るまで十幾つの所得制限をやって、たった十数億円の節約しかできぬわけです。この方は、五千億円、一兆円というのは十二兆円の中からすぐはじけるのです。医薬品の生産を含めまして、付加価値の高い医薬品ですから日本中心産業になるのですが、しかし輸出品、輸入品との関係を考えてみると全く生産過剰、俗に言われている二倍から三倍の生産過剰、需要供給のバランスが崩れて、その上に薬の乱売、乱用、こういうことで費用をむだ遣いをしておる、こういう問題を全体の問題の中の一つといたしましてきちっとしないと、日本のこれからの高齢化社会に対応する社会保障をつくることはできない、こういうふうに指摘をいたします。  大蔵大臣も銭ばかり見ておらぬで、そういう政策全体をどうすべきかという点をお考えいただきたいし、大蔵大臣の所見と、先ほどからお見えになっておりますから、行政管理庁長官行政改革に対する所見を伺いたい。行政改革について言うならば、縦割りの企業助長中心の行政から生活中心の行政に移していくとともに、中央の集権型から地方の自治体における総合計画をつくるという方向に重点を移していく、陳情政治や補助金政治の問題を整理する、そういう角度で、言うなれば高度成長型から高齢化社会に対応する行政の姿勢に重点を移していかなければならぬ、そういう行政改革を念頭に置いてやるべきだ。たとえば総評は、配置転換は協議の上で原則としていいと言っているのですから、これは大きな変化であります。そういうことを含めながら全体でどうするかということを行政改革で考えるべきではないか、この問題を含めて、大蔵大臣と行政管理庁長官の所見を伺いたいと思います。
  78. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 私はあなたと同じ意見なんですよ。それは確かに十一兆円以上の医療費がかかっておって、一割節約上いいますけれども、むだを省けば一兆円以上、国費では三千億以上ということになるわけですから、これは一番重視しているわけです。したがって、たとえば県の支払基金等で今後いろいろコンピューター化するとか、人よりも異常に濃厚診療の疑いがあるものとか、いろいろ統計的にわかるわけです。そういうようなものをチェックしやすくするためには、今度の予算措置等においても御協力をしているわけです。  また、国税等においても、先ほど長官が言ったように、いままでは社会保険診療で受け取るものはほとんど調査してない。これは事実なんですよ。調査したって意味がないから。それは源泉で売り上げはちゃんとわかっているんだ、七二%引けばいいのですから。しかし、売り上げそのものがインチキだというのがあるわけですね。したがって、それには実際現場を見なければわからない。高い薬ばかり使った請求を出しておるが、薬屋の仕入れは安いのばかりだったという場合にはすぐわかるわけですから、そういうものも今度は当然課税しますし、第一、七二%控除を認めない、そのために国税庁ではすでに三百人の人を集めて勉強をスタートしているわけです。これは一応専門的なことですから、カルテを見られない、したがって、そういうようなことについては、極力御趣旨に沿って今後も厚生大臣とも連携をとってむだのないようにやらせていきたい、そう思っております。
  79. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 原則として私も大原さんのお考えに非常に共鳴いたします。  まず、医療費の問題についてはいま大蔵大臣が申されたとおりでありまして、約十二兆に上るものを一割節約して一兆二千億円も出てくる、そこにどういうふうにメスを入れるか、これからの大きな課題であると思います。  三Kのうち国鉄につきましては、再建整備法ができていよいよ第一歩前進開始をいたしましたし、あるいは農業関係におきましては、いわゆる食糧検査員、一万三千人を六、七年間で六千人以上減らす、こういうこともいよいよことしから緒につきました。  医療の問題につきましてかなり思い切った対策を講ずる段階に来つつある、そう考えまして、いずれこれらはいわゆる第二臨調のテーマとして取り上げられるのではないかと思います。  それから、いわゆる縦割り行政云々の弊害は御指摘の点が非常にございます。やはり横並びで、これをいかに整合性を持たして統合して効率化していくかという課題は確かにございまして、これは中央官庁あるいは地方も通じまして、そういう点は今後ともわれわれは検討を加え、改革を加えていきたい、そのように思います。  また、地方に譲るという問題も、大体原則的に中央偏重という傾向は確かにございます。この時代の流れにも沿いまして、いずれ中央と地方の仕事分担という点で第二臨調で取り上げられる大きな問題になると期待をしておる次第でございます。
  80. 大原亨

    大原(亨)委員 あとは関連質問に移りますが、高齢化社会、見えざる革命といいますか、これにとう対応するか。あるいは国際障害者年を迎えまして、別に資料があるわけですが、実態がどんどん変わっておるわけです。障害が重度化し、そして多様化し、そして高齢化しつつある。  銀行は、週休二日もやらぬけれども障害者も雇わぬわけです。それは銀行のイメージにかかわると言うのです。そんなことはないですよ。銀行で障害者も一緒に働いておるということがノーマライゼーションで、日常生活化でみんなと一緒に働くのだ、自立だ、こういう障害者年のスローガンですから。そういうことについても政府を挙げて指導するということがなければ政策の前進はないわけです。総合計画を立てること、そして年次計画を追いながら行政の姿というものを国民のニーズやその変化に対応して変えていく。  そういうことについて、政府を挙げて検討されるように希望をいたします。いままでの答弁はそれぞれ総理大臣候補もおられたわけですが、これはおのずからだれかが評価すると思いますが、以上をもちまして終わりまして、関連質問に移ります。
  81. 小山長規

    小山委員長 この際、金子君より関連質疑の申し出があります。大原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。金子みつ君。
  82. 金子みつ

    金子(み)委員 総理府総務長官、お見えになっていらっしゃいますか——それでは、御多忙のように伺っておりますので、最初に総務長官にお尋ねをいたしますので、終わりましたらお引き取りくだすって結構でございます。  私は、いま大原議員が進めておられました障害者問題についての関連の質問をさせていただくわけでございますが、御案内のようにことしが国際障害者年ということで、世界を挙げて障害者問題について障害者を交えて一緒に考えていくということになっておるわけでございますが、日本障害者政策あるいは制度その他を見てみますと、身体障害者、特に肢体不自由者に対する対策が一番多いわけです。そして視力障害でありますとか、聴力障害でありますとか、あるいは内部障害でありますとか、そういう方たちに対する対策が大変立ちおくれている。そしてその中でも、わけても精神障害者に対する対策が大変に立ちおくれています。これは日本障害者に対する行政といたしましては、大変にアンバランスです。この問題は私は非常に残念だと思いますので、強く指摘しておきたいと思うのでございますが、この障害者年を契機にして、この立ちおくれている精神障害者問題をぜひ引き上げていかなければいけない、そうするべきではないかというふうに考えるわけでございます。  そこで、精神障害者の問題に重点を置いて、きょうは質問させていただきたいと思っているわけでございますけれども、まず総務長官にぜひ考えていただきたいと思っておることがございます。  それは、第三十四回の国連の総会で決議されました事項の中に「一九九一年までに、国際障害者年の成果の評価と反省を行う目的で、一九八一年末までには国際障害者年の目標をフォローアップする国家計画準備」しなければならないというふうに言っておりますね、これは政府でも御存じだと思うのですけれども。そうだといたしますと、先般いただきました、いま大原議員の資料として配られておりますので皆様お持ちだと思いますが、「国際障害者年推進体制一覧」という一覧表ができております。これを拝見いたしますと、このようにしてなされるのだなということがわかるわけでございますけれども、問題は、この国際障害者年推進本部、これは本部長が総理大臣でいらっしゃいます。総理は御欠席でいらっしゃいますので総務長官にお尋ねするのですが、この推進本部、そして推進本部のつくられ方、それからそれがどうやって動かされていくのかということがこれでわかるわけでありますが、どうやらこの推進本部並びに事務局、内閣総理大臣官房内、国際障害者年担当室となっておりますが、ここの仕事は一年限りだというふうに私どもは聞いております。これを一年限りにする理由がわからないのですね。少なくとも十年は国連の総会で決議されているのです。一九九一年までかけてしっかり国内計画を立てることというふうに決議されて、そして日本もこれに参画しておられますのに、なぜ一年でこの担当室やら政府推進本部の仕事が終わるのですか。それは私は大変おかしいと思うのですね。これはぜひ、言わなくても当然のことだと思うのですけれども、最低十年。私は十年でできるかどうかわからないと思いますよ。御承知のように一九七五年に出発しました国際婦人年は十年目標でいま進めております。もう後半に入りましたけれども、果たして十年で目的が達成できるかどうかわからないと、いま鋭意やっておりますけれども。ですから、この障害者年のように日本では立ちおくれておりますこの対策が十年でできるかどうかわからないというときに、なぜ一年でやめてしまうようなことを考えていらっしゃるのか。私は、そうなると、総務長官は責任者として、一体この障害者に対する対策障害者年を契機にしてどのように進めていこうと本気で考えていらっしゃるのかなというふうに思ったりするわけでございますが、その辺のところをはっきりと聞かせていただきたい。
  83. 中山太郎

    ○中山国務大臣 お答えをいたします。  先生御指摘国際障害者年にちなんだ日本障害者、特にいま精神衛生面の障害者も含めて大変立ちおくれている、御指摘のとおりだと思います。  政府が、国際障害者年に当たりまして、中央心身障害者対策協議会、こういうところから意見を受けて推進本部を政府に置きまして、総理大臣が本部長になり、そして総務長官と厚生大臣が副本部長になる、各省の次官が本部員になって政府サイドの体制を固めたわけでございます。  御指摘のございましたこの担当室の問題でございますが、これが今年限りで終わるのはおかしい、こういう御指摘でございます。これの使命というのは、障害者年にちなんだ各種の行事あるいは計画等を実施するためのいわば庶務局でございまして、各省の連絡調整をやる。これが障害者年が終わります今年末から残務整理を三カ月間、来年の三月三十一日までやるわけでございます。これを十年間置いて長期障害者対策をやれという御指摘でございますけれども、御案内のように、心身障害者対策基本法第二十七条第二項の規定によりまして、中央心身障害者対策協議会というものが法律に準拠して設置され、それによって各省庁の心身障害者対策というものを調整し、長期的な計画をやるという基本的な法律に基づいた仕組みがございますので、御指摘の点は、ただいま御指摘ございました企画部会あるいは雇用就業部会、教育育成部会、福祉生活環境部会、保健医療部会、こういうふうな各部会で御討議をいただき、長期計画をどうするか、またそのほかに厚生省関係のいろいろな審議会がございますので、両者で検討いたしましてこれからのあり方について十分方向を決めてまいりたい、このように考えております。
  84. 金子みつ

    金子(み)委員 そうすると、こういうふうに理解していいわけでしょうか。事務局は一年だけ置いて、この一年にすることだけについて事務局にやらせる、そして来年からの仕事については事務局がやらないで、この真ん中に書いてある政府と民間と両方でつくった組織がありますね、それの事務局、厚生省社会局更生課と書いてありますが、ここでやらせる、こういうお考えですか。
  85. 中山太郎

    ○中山国務大臣 お答えいたします。  いま申し上げた各部会での御意見を年末までに受けまして、それでこれからの長期計画、方向、システム等も御意見をちょうだいしながら決定をしてまいりたい、このように考えております。あくまでもこれからの基本のベースといたしましては法律に準拠した中央心身障害者対策協議会というものが踏まえてまいる、こういうことでございます。
  86. 金子みつ

    金子(み)委員 それじゃ、もう繰り返しませんけれども、事務局を一年限りでなくすといたしましても仕事は続いていくというふうに理解していいわけですか。
  87. 中山太郎

    ○中山国務大臣 事務局は残務整理を来年三月三十一日までやりますけれども、あとの事務は、中央心身障害者対策協議会というものが事務局を持っておりますから、そこで作業をいたしていく、こういうことでございます。
  88. 金子みつ

    金子(み)委員 そうしますと、協議会が事務局を持っているからそこでしていくというふうにおっしゃいましたから、政府としては直接手を出すとかあるいは参画するとかということにはならないわけですか。政府と協議会とは、協議会というのは政府と民間とが一緒になってつくられているから、一緒にやっていくのだというふうに理解していいわけですか。
  89. 中山太郎

    ○中山国務大臣 そのように御理解いただいて結構でございます。
  90. 金子みつ

    金子(み)委員 では、そのように理解することといたします。国際障害者年推進本部はなくなるわけではないということを理解して、そしていまお話のあった事務局が運営していくことについて、必要ならば推進本部の方からも物が言えるというふうになるわけだと理解していいですね。
  91. 中山太郎

    ○中山国務大臣 推進本部は今年で解散をいたします。
  92. 金子みつ

    金子(み)委員 それでは、十分納得し得ませんけれども、時間がありませんので先に進ませていただきます。  先ほども申し上げましたように、日本障害者対策は、身体障害者対策が非常に一生懸命されているけれども、精神障害者対策は立ちおくれていると申し上げましたが、その一つとして、ぜひこのことは考えていただかなければならないと思うことがありますので、申し上げてみたいと思います。  そのことは、精神障害者の人がある程度立ち直って、そして社会復帰をしようという場合にはどうしても就労が問題だと思います。仕事につくということが、自分が自立して、社会人となって参画していくということになるわけでありますから、就労が非常に重要な問題だと思っておりますのに、こういう事実があるんですね。清祥障害者が就労しようと思うと拒否されるという事実があるわけです。なぜそれが拒否されるかと申しますと、これによるんですね、労働安全衛生規則というのがあります。労働安全衛生規則の六十一条の二にこういうのがあるんですね。「精神障害のために、現に自身を傷つけ、又は他人に害を及ぼすおそれのある者」は就労させられない、こういう禁止規定が出ているわけです。必ずしもこういう人でなくても、この考え方がバックボーンになっていて、精神薄弱者にもそれが拡大解釈されて適用されてしまって——精神障害者といえば幅広いですよね、何も精神病者ばかりじゃございません。ですから、精神薄弱者がこの規定で拒否されてしまうという事実があるのです。こういう問題はどうしても解決していただかなければならないと思いますが、これは労働大臣にお尋ねした方がいいでしょうか。労働安全衛生規則の問題でございますので、これはかつては労基法の中にあったのですけれども、労基法から外して安全衛生規則の中に入れた分ですね。しかし、これが残っておりますので非常に迷惑をしております。就労ができなくて大変に困っているわけです。ですからケース・バイ・ケースで就労できない場合もあるかもしれないと思いますけれども、しかしそれで何でもかんでもぴしっとこれがあるからだめというやり方は改めてもらわなければならないと思うのですけれども、この安全規則の解釈をきちっとし直していただくとか、あるいはここの文言を少し手直しをするとか、何か考えていただきたいと思います。そういうふうにしなければ精神障害者の人たちは就労できない。就労できないということは基本的な人権問題だと思うのです。ですから、これは絶対に直していただかなければ困るのですけれども、どうしていただけましょう。
  93. 中山太郎

    ○中山国務大臣 御意見は、きわめて貴重な御意見でございますので、雇用就業部会の方にも先生の御意見を伝えまして、どのようなことに対処するか、これから検討させてまいりたい、このように考えております。
  94. 金子みつ

    金子(み)委員 ぜひやっていただくように要請したいと思います。  それと関連して、もしも就労することがどう考えても不可能であるというような場合に、そういう人たちだけを対象とした共同作業所のようなものをつくって、そしてその人たちがそれなりの仕事ができるようにというくらいの措置はとるべきではないか。これは厚生省御担当の福祉工場なんかと重なってくるかと思うのですけれども、そういうことも考えて、とにかく精神障害者の方たちが自分で働いて生きていこうとするその意欲をそがないように、何かの方法を考えなければいけないと思いますが、その点いかがでしょう。
  95. 中山太郎

    ○中山国務大臣 先生御案内のように、精神薄弱者、障害者の医療の面は、従来はいわゆる施設に収容する方式をとっておりましたけれども、最近は治療という意味で社会復帰のために社会訓練をいたしております。そういうことで、できるだけ就労機会を与えるように、いわゆる治療方法がそのようになっておりますけれども、一般の職場に就労できない人たちの面につきましては生活福祉部会でも検討させていただくように努力をいたしたいと考えております。
  96. 金子みつ

    金子(み)委員 関連でございます。そういった民間における共同作業所、それから障害者の親たちがやっております民間の授産所のような共同作業所のようなものがございますけれども、こういうものに対して風は援助をするという方針はお出しになっていないでしょうか。これで見ますとこういうふうに書いてあるのですね。「精神薄弱者の地域的な援護対策推進を図るため、精神薄弱者の親の会が実施する適所により作業指導生活訓練等を行う事業に助成している。」と書いてあるのですけれども、調べてみましたら、この助成は人件費だけですね。しかも全部ではない。これは運営費を助成していただかないと非常に困りますね。先般も九州のものを見てまいりましたけれども、廃品回収などをやって収入を得て、それで運営していく、細々と動いているのですね。そして援助はほとんどない、県からは人件費だけを少しもらっている。その人件費を分けてみんなで使っている。こういうようなやり方をしていて非常に問題だと思ったのです。国が一つも援助してくだすっていないということを大変に訴えておりましたけれども、これについてはどうなるのでしょう。
  97. 山下眞臣

    ○山下政府委員 御指摘の問題は実は児童家庭局の所管なんでございますが、局長がおりませんので、私からお答え申し上げます。  御指摘のとおり、精神薄弱者育成会、親の会を通じまして、精神薄弱者の作業所につきましての補助をいたしておりますが、今年度におきましても個所数の増それから若干の、定額補助をやっておるわけですが、その額の引き上げ等をいたしておると存じます。
  98. 金子みつ

    金子(み)委員 いまのような施設にはできるだけ援助をしてやってほしいと思いますので、その点を要望しておきたいと思います。  次へ移りたいと思いますが、次には、これは労働省厚生省と両方になるのじゃないかと思いますが、実は現在の法律の中では身体障害者福祉法というのがございますね。それから労働省関係では身体障害者雇用促進法というのがございます。この両方が合わせられて、身体障害ですから特に肢体不自由者を対象にされておると思いますが、そういうものはできているのですけれども、精神障害者福祉法はないのですね。ございません。それから精神障害者雇用促進法、これもございません。大変にアンバランスです。だから私は申し上げるように、精神障害者に対する国の政策は大変立ちおくれていると申し上げなければならなくなるわけです。そこで、これは精神障害者に対する福祉法をつくるとか、あるいは雇用促進法をつくるとかということをお考えになるか、あるいは時間がございませんので自分で申し上げますが、精神もそれから身体も一本にして障害者福祉法とか、あるいは障害者雇用法とかいうようなものをつくって、総括的に、総合的に運営するというような制度をつくられる方がいいのではないかというふうにも思いますけれども、いかがでございましょう。
  99. 大谷藤郎

    ○大谷政府委員 精神障害につきましては、先生御専門でございますから御承知のように、他の身体障害者と若干違う点がございまして、特に医療と福祉の切り離しということが非常にむずかしい。つまり、治ったと申しましても症状の固定というのが精神障害の場合は非常に特殊でございます。したがいまして、従来からそういった関係で精神病院等でそういった問題が扱われてきました。そういった経緯にかんがみまして、デーケア施設あるいは精神障害回復者社会復帰施設等を予算的に実施いたしておりますが、こういった成果を見まして、私どもとしては今後の問題として考えてまいりたい。当面の問題としては、精神障害者福祉法というふうな問題は非常にむずかしいのではないかというふうに考えている次第でございます。
  100. 金子みつ

    金子(み)委員 精神障害者福祉法がむずかしいとおっしゃっていますが、なぜむずかしいのか実は伺いたいのですが、時間がありませんのでここで伺うことはできませんので別の機会にいたします。  それで、現在精神障害者のためにあるのは精神衛生法なんですね。精神衛生法しかございませんが、精神衛生法の中には福祉的な要素が何も入ってない。ですから、福祉法ではないわけですから、この精神衛生法を改正して、精神衛生、福祉合わせた法律にするということはいかがでしようか。
  101. 大谷藤郎

    ○大谷政府委員 精神障害者社会復帰の問題は最終的に重要な問題でございますので、私どもといたしましても、先ほどから申し上げておりますように現実に試行的な形でそういった中間施設的なものを実施しているところでございます。その結果を私どもとしては注目しながら、その問題については検討してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  102. 金子みつ

    金子(み)委員 厚生大臣、ただいまの件でございますけれども、障害者年を契機にそのアンバランスを直すためにもきちんとした制度をつくっていく必要があると思いますが、政策としてお考えになっていただけないでしょうか。
  103. 園田直

    園田国務大臣 御発言の趣旨はよくわかりますが、精神障害者については、御承知のとおりに医療と福祉との境界がなかなか不明確であります。かつまた対象というのがこれまたなかなか困難な問題がありますけれども、御発言のとおり、一般の身体障害者と精神障害者の間に非常に格差があり過ぎます。したがいまして、法律をつくるか、いまのある法律を何とか直していくか、何か方法を検討してみたいと思います。
  104. 金子みつ

    金子(み)委員 よろしくお願いしたいと思います。  それから、格差の問題でもう一つ考えていただきたいと思いますのは、これは運輸大臣に申し上げる問題だと思いますが、身体障害者には介護者と合わせて国鉄の運賃の割引があります。本人も、それから介護者も半額になっているのですね。身体障害者は、移動しますときに二人で一人前払えばいいことになっているのですね。ですけれども、精神障害者にはそれがないのです。精神障害者はそれで非常に困っているのですね。ですから、こういうところのアンバランスも、気がつかなかったかと思うのですけれども、言われてなるほどというふうに思う点もありますので、どうかこの点をバランスの壊れないようにぜひ考えていただきたいと思うのです。私鉄はいまないのです。国鉄だけなんですけれども、これもやっていただきたいと考えております。そして、障害者の人は手帳を持っていますね。身体障害者も精神障害者も手帳を持っていますね。ですから、手帳を持っている人には手帳によって免除するというようなこともさらに一歩進めて考えていただけると非常にありがたいと考えるわけです。障害者の方たちの所得は非常に貧しいし、生活はむずかしい、困難なものですから、そうたくさん何回も歩くわけではないと思いますので、せめて数少ない旅行のときの費用をめんどう見るということぐらいは国がやってもいいのではないでしょうか。その点は、ことしを契機にぜひ考えていただきたい。わずかな金額だと思いますので、いかがでしょう、運輸大臣。
  105. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 身体障害者につきましての割引は現在実施いたしておりまして、民鉄の方も路線が長いところはやっております。  ところで、この言われる公共負担につきましては、実は国鉄がこういう財政状況になりましたので、福祉割引はふやしたいが、しかし財政上困る。そこで、一昨年の十二月ですか、国鉄再建についてということで閣議了解がございまして、それに伴いまして昨年の五月から公共負担全般をどうするかということで、いまそういう専門家によりまして鋭意検討しております。十回ほど会合を開いておりますが、そこではまだ結論が出ないのでございますが、その委員会の中で精神関係者の方の割引もぜひ考えてもらいたいと思っております。しかし、現在の国鉄の状況の中で精神衛生関係者の負担をふやせとおっしゃいましても、いまの国鉄の状況ではちょっと無理でございます。これは不可能だと思うのです。でございますから、公共負担のあり方を検討しておるところで結論が出まして、それぞれの負担区分というものが明確になってまいると思うのでございますが、そうすれば、それはもうわれわれといたしましても実施していきたい、こう思っておるのであります。
  106. 金子みつ

    金子(み)委員 せっかく御検討中でありますから、その検討の中で身体障害者と精神障害者とを区別することのないように、同じように取り扱っていただきたい。もしふやすことができなければ、どういう方法をとったらいいかということはお任せしたいと思いますけれども、片っ方が不利益にならないようにぜひ検討していただくように強く要望させていただきます。  時間ももう終わりそうになりますので、あと一つだけ質問させていただきますが、せんだって厚生省の御説明を伺っておりましたときに、国際障害者年を契機に——この年に始めるわけではありませんが、従来から指導してきておられます障害者福祉都市あるいは障害者の町づくりとでも言うのでしょうか、こういう計画をどんどん進めていきたい、現在ある四十七カ所を七十二カ所にふやすという予算措置などの御説明を伺ったわけですけれども、内容についてはっきりと承っておりませんでしたので、どういう内容を持っておられるのかわかりませんけれども、きょうは時間もありませんので、もし福祉都市のことを考えられるならこういうことも考えていただきたいということのお願いとあわせて考えてほしいと思います。  それは建設の関係と運輸の関係と両方になるわけでございますけれども、たとえば福祉都市というのは、東京都かの町田市なんかが車いすの町と言われているように、車いすあるいは白いつえで自由に町の中が歩けるような、自由に公共的な施設の中へ出入りができるような、まずそこから出発するというふうに考えるわけですが、そういった公共施設の建物のつくり方、そして車いすが出入りできるように、白いつえで出入りができるようにする。あるいはデパートですとか、役所はもちろんですけれども、会社その他のそういった公共施設というものをどういうふうに直していかなければいけないかということについてのお考えです。  それから、さらに住宅の問題がございますね。いま一番困っているのは住宅ですね。ことに日本のように畳の生活でございますと障害者の方は大変に不自由なわけです。いす生活の外国ですら障害者対策として一番問題なのは住居と雇用だと言っております。スウェーデンのように二十四時間サービスつきの、介護人つきの障害者のためのアパートなどというようなものがすぐできるとは思ってはおりませんけれども、しかしそれでも障害者の方たちが自由に出入りできるような住宅、いまの公共住宅は、障害者も健常者も全く条件が同じでございますから、非常に不便を感じているわけです。そういう問題。あるいは細かくはなりますが、公園なんか福祉公園というのができるようですけれども、公園に行って休みたいと思っても、公園には入れないんですね。それは御存じでしょうか。公園は全部入口にさくができていますね。これは、中で遊んでいる子供たちが危険に遣わないためにさくをわざとしてあるのですが、そのさくがあるためにかえって今度は車いすが通れない、こういう問題が起こって、大変に訴えられております。こういう細かいことは、句だとおっしゃるかもしれませんが、しかし障害者のための町づくりならば、きめ細かく行き届いた対策がなければどこに障害者の町としての特徴があるかということは出てこないわけですね。ですから、その辺をぜひ建設省の方で考えていただく、厚生大臣の方で考えていただきたいと思います。  運輸大臣の方に考えていただきたいと思っておりますことは、この人たちが、これは身体障害者になりますが、車いすを使っている人がバスに乗れなくて困っているのです。ですから、リフトつきのバスを、いわゆる路線バスですが、毎日せっせと出すことはないと思いますが、何台かのうちの一台はリフトつきの路線バスが走るのだ、何時にそれが走るのだということがわかれば、それを利用するようになるだろうと思うんですね。  そういうようなことですとか、あるいは駅のエレベーター、これはいま駅員の方々に大変に御苦労願って、エレベーターの使えないところは車いすを一生懸命抱えていただいて、そして階段をプラットホームまで上がるようにしています。本人もそのことについては非常に恐縮しながらやってもらっているんですね。こういうようなことのないように、遠慮して謝りながらやるのではなくて、駅のエレベーターも、これは障害者のためにつくるというふうにお考えにならないで、障害者も健常者もお年寄りのことだって考えなければなりませんし、それから小さい子供のことも考えなければなりません。ですから、何も障害者障害者と言っているのではなくて、お年寄りとか障害者とかあるいはぐあいの悪い人、こういう人たちのために、エレベーターをつくるならみんなが使えるように、共用して使えるような共通のエレベーターをぜひ設置していただいて、それでボタンを押せば自分でできるように自動式に、そういうふうなことも考えながら福祉都市の計画というものを考えていただきたいと思うわけであります。  これらを考えていただくのには、やはり総合的な計画ですね。ですから、厚生省福祉都市の御担当であるとすれば、その内容を整えるためには、あちらの省こちらの省ということになると思いますので、先ほどの対策協議会の中にそれぞれ担当の部会がありますから、こういうものと十分検討し合って、そして責任幹事事務局は厚生省ですから、やはり厚生大臣の方でしっかりとそれを取りまとめて、総合的な計画を立てていただかなければならないと思います。私は、国際障害者年推進本部が一年でなくなるといいますけれども、一年でその本部がなくなったとしても、その点は仕事として十年なりあるいはその先へ延ばしていくための責任者として、副本部長をやっていらっしゃる総務長官と厚生大臣からそれぞれ御決意のほどを伺わせていただきまして終わりたいと思います。
  107. 園田直

    園田国務大臣 全く仰せのとおりでありますから、いま御発言の諸問題については、私の方からも関係各省にお願いをして、総合的な計画のもとに実現するよう努力をいたします。
  108. 中山太郎

    ○中山国務大臣 先生御指摘の点はきわめて重要な点でございますので、厚生大臣同様、関係各省庁に十分連絡をして努力してまいりたいと考えております。
  109. 金子みつ

    金子(み)委員 終わります。
  110. 小山長規

    小山委員長 これにて大原君、金子君の質疑は終了いたしました。  次に、土井たか子君。
  111. 土井たか子

    ○土井委員 本日、私は、女性に関する施策ということにしぼりまして御質問を申し上げたいと存じます。  ちょうどきょうは亡くなられました市川房枝参議院議員の告別式の日でございます。女性の地位向上のために生涯をかけて実践された大先輩に対しまして心から哀悼の意を表しながら、えりを正して質問させていただきたいと思います。  まず、一九七五年という年、御存じのとおり国際婦人年なんでございますが、その年からこちらに国内行動計画を策定することを中心に婦人問題企画推進本部が設けられて、今日までいろいろ御苦労いただいてきたわけであります。本部長は内閣総理大臣、きょうは御出席じゃございません。副本部長の総理府総務長官にきょうは御出席をいただいたわけでございますが、この婦人問題企画推進本部が、ことしを一年にいたしました後期五カ年の行動計画の中で何を重点課題としてお取り組みになるか、そこをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  112. 中山太郎

    ○中山国務大臣 お答えいたします。  昨年、条約批准の前に、関係各省庁でいわゆる後期の行動計画についての重点事項の調整をいたしておりますが、御案内のように、去る十七日に総理大臣に対して意見具申もございました。これからの重点項目、この条約批准のための国内法の整備等を中心に各省と連絡を調整しながら努力してまいりたい、このように考えております。
  113. 土井たか子

    ○土井委員 いま長官から御答弁いただきましたとおりで、すでに推進本部の申し合わせといたしまして、五十五年六月二十七日に、国内行動計画の後半期は、婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約を批准することのための国内法制度の諸条件の整備に努めるということでございます。いま少し御答弁の中でもお触れになりましたが、先日、二月十七日に婦人問題企画推進会議が意見書をお出しになった中でこのような部分がございます。「署名後の政府の対応は、同条約批准に向けて、国内法制等の条件整備に積極的に取り組んでいるとは言いがたい状況にある。」二月十七日の意見書でございますから、まだそう目がたっていないということであるかもしれませんが、このような批判的な意見がこの中に出ているわけでございますので、本部とされては、気持ちを新たにしてと申し上げてもいいと思いますが、ひとつ積極的に、言葉だけではなくて、真剣に取り組むという決意のほどをお持ちになっていらっしゃるはずだと思いますけれども、もう一度その点お聞かせいただきたいと思います。
  114. 中山太郎

    ○中山国務大臣 総理府の婦人対策室を中心に連日この問題の改革のために努力いたしております。
  115. 土井たか子

    ○土井委員 そこで、この条約なんでございますが、この条約の中身を見てまいりますと、これは大変中身の濃い、そして多岐にわたる大変な条約なんですが、この条約自身はもうすでに日本としては昨年七月のコペンハーゲンでの国際会議で署名をいたしております。  そこで、外務大臣にひとつお尋ねをしたいと思いますが、これは署名をいたしまして、二十カ国が批准をしあるいは加入をするということで初めて発効するということだと存じますが、そうでございますね。
  116. 伊東正義

    伊東国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
  117. 土井たか子

    ○土井委員 それで、昨年のコペンハーゲンの会議以来何カ国が批准または加入をいたしましたか。
  118. 伊東正義

    伊東国務大臣 いままで加入なり批准したのは十一カ国ということでございます。
  119. 土井たか子

    ○土井委員 わずか半年たつかたたないうちに十一カ国、二十カ国までの間にはあと九カ国必要だということなんですが、日本としては、これは署名をして後は批准に向けて連日その努力をすると、副本部長も先ほど大変な熱意のほどをお見せになったわけでありますが、このあと九カ国の中に入るということをやはり意として含めながら批准に向けての努力をお考えになっていらっしゃるかどうか。外務大臣、その辺はいかがでございますか。
  120. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げます。  本条約につきましては、この前の内閣の最後の段階で署名ということを閣議で決めまして署名を行ったわけでございますので、私どもの気持ちとしては、署名というのはこれは賛意の表明でございますから、次のステップとしてはなるべく早く批准をするということが必要だというふうに私は考えております。  ただ、国内法の整備の関係がございますので、国籍法の問題でございますとか教育の問題でございますとか、あるいは婦人の労働権、労働関係の問題でございますとか多岐にわたっておりますので、これはいま総務長官も一生懸命に国内体制の問題を努力するとおっしゃったとおりでございまして、私どもとしてもやはり早く批准ができるように関係各省にお願いをして、九カ国の中へ入るかどうかは別でございますが、なるべく早くそういうことが実現するような努力をするということは考えております。
  121. 土井たか子

    ○土井委員 これはこの本部の後期五カ年計画の中の重点施策ということになるわけでありますから、大きな目で見ると五年の間に何とか批准すればいいという安易な気持ちがあるかもしれません。外務大臣、それは五年を待たずに、やはりできるだけ早期に批准をするという方向での努力こそ肝要だと私は思うのです。ここに前々外務大臣の園田大臣がいらっしゃるわけでありますが、難民条約一つ取り上げましても、やはり外務大臣の当時の御熱意と外務省自身の非常なバックアップによって今日まであれを推進してきたという経過もございます。  伊東外務大臣、いかがでございますか、この婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃条約の批准に向けて、やはり五年を待たずにできるだけ早期にというその早期の内容については、どれくらいの心づもりをお持ちになっていらっしゃるかというのをひとつお聞かせいただけませんか。
  122. 伊東正義

    伊東国務大臣 難民条約は、この国会に必ず出すようにいま努力をしているところでございまして、これは前々外務大臣をやられました園田厚生大臣に非常に御理解いただいて、いま手続を進めているわけでございますが、この婦人の差別撤廃の条約につきましては、これはいま土井さんがおっしゃったように、後期五カ年計画の中の最重点といいますか、そういう問題だというお話がございました。総務長官もそれを認めておられるわけでございまして、私どもとしましても、五年間あるから、あと後期五年だから五年目でいいわいというつもりでは全然ないのでございまして、やはりなるべく早く条約は批准した方がいいというつもりで各省にお願いをしまして、早期批准の実現に努力をいたします。
  123. 土井たか子

    ○土井委員 これは外務大臣、どうも早期早期とおっしゃるのだけれども、一応それはどれくらいということを考えて努力をなさらないと、まだ五年あるから、まだあるからという流れに流されてしまうという気配が十分にあるわけですね。外務大臣、少し熱意を持ってこれを取り扱っていただけませんが。
  124. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げますが、五年あるから五年目でいいんだというようなことでないということを私は言ったわけでございまして、もっと早くというつもりで申し上げたのでございまして、それを何年と日を切って言えと言われましても、これは外務省だけのことではございませんで、各省と非常に関係のあることでございますので、私から何年ということは申し上げませんが、五年目でいいなどというつもりは全然ございませんで、本当になるべく早く——早期というのは本当に早期でございますので、そういうつもりで努力をいたします。
  125. 土井たか子

    ○土井委員 それじゃ外務大臣、このことばかりに時間を費やすわけにいきませんが、本当に早期と繰り返し言われるところを見ますと、次の国会あたりを一つは目標に立てて外務省としては鋭意努力をされる、このように理解しておいてよろしゅうございますね。
  126. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げますが、次の通常国会とおっしゃいましたが、そこまでお約束してできないと、これはえらいことになりまして、予算委員会がまたとまったりするほどのえらいことになるおそれがございますので、やはり約束した以上はやらなければならぬことでございますから、そういう意味で、次の国会とか通常国会とかいうことは、いまここで明言することはむずかしいので御勘弁を願いますが、しかし本当に早くということの気持ちは変わりありませんから、最善の努力をいたします。
  127. 土井たか子

    ○土井委員 しかし外務大臣、それではだめですよ。外務大臣が早く早くとおっしゃっていても、やはりその熱意のほどはもう少し具体的に、できたら次の国会とかいうくらいのつもりでおやりにならないと、あたりの関係省庁などに問い合わせをしてみますと、やはりまだまだ時間はあるという安易な気持ちのようであります。大臣、これは一応の目安をおっしゃっていただけませんか。そうして、いま何が一番問題になっているんですか、この国内整備の上で。そのために具体的に次の国会ということがなかなか言いづらいという関係になっているんですか、いかがですか。
  128. 伊東正義

    伊東国務大臣 いま重ねての御質問でございまして、期限を言えということでございますが、これは相手の交渉をする役所の関係もございまして、いまここでぴしゃっと言うことは、これは本当になかなかむずかしいわけでございますが、いま土井さんおっしゃったように、各省に聞いてみるとなかなかその気になってないじゃないかというようなことをおっしゃったわけでございまして、そういう空気の中でこれを推進するわけでございますから、実はなかなか大変なんです。でございますが、私は、お約束した早期ということは本当に早く努力します。
  129. 土井たか子

    ○土井委員 この条約の二十八条を見ますと、留保という問題があるんです。留保の中身も「この条約の目的と両立しない留保は、認められない。」ということになっておりますけれども、この条約を締結する際、日本としてはまさか留保条項を考えての締結ではないと私は思っておりますが、大臣、この点はいかがでございますか。
  130. 伊東正義

    伊東国務大臣 いま各省で検討願っているところでございますので、いまここで絶対ないとかあるとかいうことを申し上げる段階でございませんが、私の気持ちとしましては、いま土井さんおっしゃるように、これは留保なしで批准をするということが最も望ましいという気持ちでございます。
  131. 土井たか子

    ○土井委員 大臣は何もかも望ましい望ましいの一点張りなんですが、いま外務大臣からの御答弁の中にも少し披瀝されましたように、国内法制度の整備をいたします節、いろいろこれに対して手直しが必要な問題の一つに、たとえば国籍法の改正、それから教育における同一の教育内容、それからさらには女性に対して雇用平等も含めての労働条件の整備、こういう問題が大きな柱として浮かび上がってまいります。  そこで、いまここにおそろいの各大臣にお尋ねをいたします。  まず厚生大臣、いま外務大臣はできるだけ早くこの条約を批准することのために努力をしたいというふうな御答弁をいただいたわけですが、厚生大臣とされては、この批准に向けて国内整備のための御努力、お約束いただけますね。
  132. 園田直

    園田国務大臣 私の所管関係でそういうものは、責任を持ってなるべく早く処理をいたします。
  133. 土井たか子

    ○土井委員 労働大臣、いかがでございますか。
  134. 藤尾正行

    ○藤尾国務大臣 お答えをいたします。  私にお尋ねの件は、婦人労働の平等に関するいろいろな国内的な措置、こういったことに関連をして御質問だと思いますけれども、私の方は、もう早速、即刻にでもやりたいということで一生懸命いまやっている最中でございまして、婦人平等専門家会議というものにお願いをいたしておりまして、ひとつできるだけ早い御検討、御回答をいただきたいというようにお願いをいたしております。
  135. 土井たか子

    ○土井委員 文部大臣、いかがでございますか。
  136. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 お答えをいたします。  先生の御質問は、文部省の関係といたしまして、差別条約第十条の(b)項の男女に同一の教育課程を確保する規定、こういうことになるだろうと存じます。わが国では、高等学校におきましては、女子に家庭一般という項目に四単位を必修とするということになっておりますが、この点が男の方と女の方によって若干の取り扱いが違っておりまして、文部省としましては、この程度の取り扱いの上の差異は許していただけるものと考えております。それで、さらに諸外国の実情あるいは諸外国の本条約の署名後の対応ぶり等を十分調査いたしまして、なお検討していくべきものは十分考えまして、批准については今後ともこれらの検討に基づいて対処をいたしてまいりたい、かように考えております。
  137. 土井たか子

    ○土井委員 さて、法務大臣、いかがでいらっしゃいますか。
  138. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 御承知のように、国籍法は血統主義、そして父系主義をとっておるわけでございますけれども、御指摘の条約との関係で父母両系主義をとりたいということで検討を重ねておるわけでございます。問題は、二重国籍が多発することになる、どう対処していくかということでございまして、できるだけ早く結論を出して提案をしたいと思っております。
  139. 土井たか子

    ○土井委員 ほかにも関係省庁がございますけれども、いま御出席の各大臣にそれぞれ御答弁をいただいた限りでは、五年を待たず、確かに外務大臣のできるだけ早くとおっしゃっているその中身に合わせて事は進みそうでございます。いまここでおっしゃったとおりひとつ御努力願いますよ。よろしゅうございますね。  そこで大蔵大臣、このために特別経費というのがどうしても必要になってくる。国籍法一つ取り上げましても、外国の法改正に向けて、何が問題で、そしてそれに対する対処をどうしたかというふうな経緯に対しての調査、人を派遣していろいろ調査するということ一つ取り上げても、やはり特別経費というのが計上されなければどうにもなりません。いろいろこれを具体的に国内整備の方向に向けて推進してまいりますために、大蔵大臣としても最大限の御努力をいただけるものと確信をいたしておりますが、お約束をお願いいたします。
  140. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 金の額面にもよりますが、できるだけ御協力をいたします。
  141. 土井たか子

    ○土井委員 さて、いろいろ具体的なことに入るのには時間的制約がございますが、まず最初に、法務省所管の国籍法の一部改正の問題について話を進めます前に、ちょっと外務省にも関係のあることも取り上げてお尋ねを進めたいと思います。  この婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約を見てまいりますと、その八条というところでこういう条文がございます。「締約国は、婦人に対し、男子と同等の条件で、かつ、いかなる差別もなく、国際的に自国政府を代表し及び国際機関の活動に参加する機会を確保するためのすべての適当な措置をとる。」こうなっているのですね。  いま国籍法の改正については、先ほど法務大臣がおっしゃったとおり、父系血統主義の立場に立っておりまして、現行国籍法は、母親が日本人であっても日本国籍をその子供が取得することはできません。日本国籍の取得要件が、第二条では、「出生の時に父が日本人であるとき。」となっておりますから、したがって、母親が日本人であってもその子供は日本国籍を取得することはできません。  と同時に、もう一つの点は、帰化要件の問題でございます。この帰化要件に関係のある問題が実は外務公務員法という法律にございます。外務公務員法の条文の中の第七条を見ますと、「国家公務員法第三十八条の規定に該当する場合の外、」それからが問題なんです。「国籍を有しない者若しくは外国の国籍を有する者又はこれを配偶者とする者は、外務公務員となることができない。」これが一項でありまして、その二項は、「外務公務員は、前項の規定により外務公務員となることができなくなったときは、政令で定める場合を除く外、当然失職する。」となっております。さて、この政令を見ますと、外務公務員法施行令第一条「外務公務員法第七条第二項に規定する政令で定める場合は、外務公務員が国籍を有しない者又は外国の国籍を有する者と婚姻をした場合において、当該婚姻の日から起算して一年を経過するまでのときとする。」こうなっているのです。つまり、外交官として外国に赴く、かの地において外国人と結婚をする、その節、その外国人日本国籍を取得して日本人になるのに一年間待ってあげましょう、一年たってそうならないときはやめていただきますよ、こういうことなんですね、この政令からすると。  さて、帰化条件を考えてまいりますと、法務大臣、いまどのようになっているかはよく御承知だと思います。現行国籍法の第五条では、「日本国民の夫で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有するもの」でなければ日本国籍を取得できません。帰化条件がこうなっているのです。この問題は、同じく帰化要件について定めております第六条を見ますと、「日本国民の妻」に対しては、何らこの日本に住所あるいは居所を持つということを要求いたしておりませんで、端的にこれはどういうことかというと、日本人の男性が外国人の女性と結婚して、その外国人の女性が日本国籍を取得するために帰化申請をするのは日本にいなくていい、外国で申請すれば日本国籍をその限りで取得できる、こうなるのです。片や、日本の女性が外国人の男性と結婚したときは、その外国人の男性は日本に三年間いなければ帰化条件がございません。  もう一度さきに返りましょう。外務公務員法施行令では、相手の外国人日本に帰化を婚姻の日から起算して一年の間にしないとやめていただきます、こうなっているのです。恐らく私は、この外務公務員法というのがつくられました昭和二十七年当時は、外務公務員というのは男性だけだという認識でこの法律はつくられたに違いないと思うわけでございますけれども、国籍法の一部改正とあわせてというよりも、やはりこれは外務省にも深くかかわり合いがございますので、この点は外務大臣いかがでございますか。これは手直しがどうしても必要だと思いますが、どのようにお考えになりますか。
  142. 伊東正義

    伊東国務大臣 いま、土井さんのお話を聞いておりますと、男性の外交官の場合はわりあい早くできるけれども、女性の外交官の場合はということでの御質問でございますが、一年と三年ということ、確かにそういう問題があるのかなということで、いま質問を伺いながら聞いたわけでございまして、その政令をつくったときの国籍法との関係を私は詳細存じませんので、申しわけありませんが政府委員から御答弁させていただきますが、なるほどそういうことかなといって私も首をひねったところでございます。
  143. 柳谷謙介

    ○柳谷政府委員 幸か不幸か、今日まで婦人外交官が外国人を夫としようとした事例は具体的には一件もございませんでした。しかしながら他方、土井委員の理論的に差別が存在するじゃないかという御指摘は、私どもも同じように考えております。この点は国籍法の問題でございますので、この婦人差別撤廃条約の議論の過程におきまして、関係省庁ともよく問題を検討させていただきたいと思います。
  144. 土井たか子

    ○土井委員 これは国籍法の一部改正を待たずとも現行国籍法の中でまず外務省が範を示すというような意味も含めて、やはり早急に改正をしなきゃならない問題だと私は思っています。外務大臣よろしゅうございますね。お約束いただけますね。
  145. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げますが、その一年と三年というところに確かに問題があるわけでございますので、三年にそろえるのか一年にそろえるのか、その辺は本当に検討してみなければわからないことで、いままで例がなかったわけでございますから外務省で検討してみます。
  146. 土井たか子

    ○土井委員 国籍法の一部改正案、これは社会党のみがいま国会に提案しているのですが、それでは一年にそろえるとなっておりますので、その点も配慮の上、いろいろと御検討をお進めになるように強く要請をいたします。  それにはまだいろいろ問題が多いとは思いますが、さて、その国籍法そのものについての改正の問題というのをひとつ法務大臣に、現状なども含めてお尋ねをしたいと思います。  差別撤廃条約と略して私はこれから申し上げますが、この条約を見ますと、その第二条に「男女平等の原則が自国の憲法その他の適当な法令に組み入れられていない場合には、これを定め、かつ、男女平等の原則の実際的な実現を法律その他の適当な手段により確保すること。」こうなっておりますが、男女平等の原則というのは、この実施をすることのために、そうして十分ならしむることのために現行憲法の改正は必要ではございませんか。いかがですか。
  147. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 現行の憲法は、男女の法のもとにおける平等でありますとか、あるいは「個人の尊厳と両性の本質的平等」と明記されているわけでございます。ただ、国籍につきましては、御承知のように「法律の定めるところによる。」ということになっておりますので、いささかその点について、憲法の精神と若干疑問を持たれる点があるわけでございます。
  148. 土井たか子

    ○土井委員 どうもこの点になると大臣は明快なんですね。九条についてだけは別の認識をお持ちのようなんですね。そこのところがどうもちぐはぐでありまして、一貫してないというところが実は問題なんでしょうね。まあそれは十四条、二十四条の趣旨からすると、現行国籍法というのは憲法から考えておかしいという認識を法務大臣がお持ちになっていらっしゃる。まことに御同慶の至りだと私は思います。  この現行国籍法について、いま改正作業というものがずっと進んでいると思いますが、この洗い出された問題点というのはどういうことになっておりますか。先ほどは二重国籍の問題ということもおっしゃいましたが、この洗い出されました問題点というのはそれに尽きるのでございますか。いかがですか。
  149. 中島一郎

    ○中島(一)政府委員 お答え申し上げます。  一番大きな問題は、ただいま御指摘ございましたような二重国籍の多発の問題であろうというふうに考えておりますけれども、それに関連をいたしまして、いろいろと多岐にわたる問題点が予想されるわけでありまして、ただいま私ども民事局におきまして改正のための準備作業を進めておりますので、その過程においていろいろな問題点を整理しなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  150. 土井たか子

    ○土井委員 その整理しなければならないと考えておるのでございますという御答弁は、これはもう何回となくこのことについては質問を続けて今日に至っているわけでありますから、通り一遍のそういう御答弁ではもうだめですよ。一番最初に、もうできるだけ早くこの条約は批准するという大前提で話が始まっているんですから。だから五年を待たずに批准をしたいという熱意を込めての御答弁できょうは事は始まっているんですから。だから法務省とすれば、現段階でどういう作業をどこまで進めていらっしゃるのですか。
  151. 中島一郎

    ○中島(一)政府委員 作業の段階でございますけれども、問題点が多岐にわたっておりますので、現在準備作業を行っております。  まず、先ほども少しお話が出ましたけれども、各国の法制あるいはその法制の運用の実情を調査してその実態を把握するということが肝要でございますので、係官を派遣いたしまして各国のそういった実態を把握することに努力をいたしております。  それと並行いたしまして、外務省を経由して在外の日本大使館にもお願いをして、各国の実情を調査していただいておりまして、そのお返事をぼつぼつといただいておるというような段階でございます。そういうような調査の結果を踏まえまして、さらには国内法との関係でどういう問題点が起こってくるか、先ほど御指摘ございました外務公務員法との関連の問題などもその一つでございますけれども、そういう問題を整理をいたしまして、関係の各省庁とも協議をして、そして私どもの方に法制審議会というのがございますが、その法制審議会によりまして御審議をいただく、この秋ごろからそういう作業を始めたいというふうに考えております。そういう段階でございます。
  152. 土井たか子

    ○土井委員 いろいろ調査してこられました結果をもってこの秋ごろに法制審議会におかけになって、そうしてそこで恐らくは諮問にお答えになる、御答申を得た上で具体的に条文に手をつけて、技術的な改正ということがそこで事実上始まる、こういう段取りなんですね。そうしますと、これはどれぐらいの期間がかかりますか。
  153. 中島一郎

    ○中島(一)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申しましたような予定をいたしておりますので、法制審議会における審議がどういう状況になりますか、その見通しを持ちませんと具体的な日数ということは申し上げられない次第でございますけれども、先ほどからもお話に出ておりますように、事柄の重要性にかんがみまして、私どもとしては一日も早く実現に持っていきたい、このように考えております。
  154. 土井たか子

    ○土井委員 一つ覚えのように一日も早くがきょうははやっているわけでありますが、この二重国籍の問題についてどのようにこれを解決していくかという手だて、これは技術的に考えましたらいろいろあるようでございますけれども、私自身も昨年の夏のコペンハーゲンでのあの国連の婦人年の国際会議に出席をいたしまして、西ドイツ、スイス、スウェーデン、デンマーク各国が最近ずっと引き続きまして国籍法の改正を実現し得た国々でございますから、実情に対してもある程度調査をしてまいりました。  これは一日で申しますと、すべて改正に踏み切った国々は、重国籍、二重国籍ということを予期したままこれは改正に踏み切っていて、そしてあと、いままでそれはずっと質問を何回となくいたしましたことについての法務省からの御答弁では、どうも西ドイツなどはそのことに対する手だてを十分講じた上での改正とは考えられないというふうな調査結果もある程度出てきているようでございます。これはやっぱり調査するということも大事でございますけれども、時間をそのことのために、それを理由にしていたずらに引き延ばすということがありませんように、法務大臣、ひとつ意のあるところを聞かせておいていただきたいと思うのです。
  155. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 二重国籍が多発しないようにできれば双方にとって一番望ましい姿だと思います。しかし、二重国籍を絶対にふやさないようにできるかといいますと、いまおっしゃったように大変困難なようでございます。でありますから、最終的には二重国籍がかなりふえることになっても踏み切ってしまわなければならないかもわかりません。しかし、なろうことなら、あとう限りそういう国と国との間の問題をなくすることができればなくさなければならないことでございますので、そういう意味で、鋭意事務当局は各国との話し合いをやっているわけでございます。
  156. 土井たか子

    ○土井委員 各国との話し合いということをいま鋭意お続けになっていらっしゃるという趣旨の御答弁をいただいたのですが、そこで、昨年の十一月二十日に参議院の法務委員会で、寺田熊雄委員からの御質問の中に、五十六年度の予算の中で、この法改正についての調査を外国まで出かけていろいろ鋭意お進めになる必要がございますから特別経費が必要だと思われるけれども、それが全部削られてしまったということはまことに遺憾であるというので、これを何とか復活方も含めて御努力願いたいというふうな御趣旨の御質問に対しまして、奥野法務大臣は「ごもっともな御意見でございますから、最善を尽くしてまいりたいと思います。」という御答弁をされているのです。これは最善の御努力をなすった結果、復活いたしましたか。いかがなんですか。
  157. 中島一郎

    ○中島(一)政府委員 ただいま御質問のような、非常に狭い意味での限定された予算は認められておりません。
  158. 土井たか子

    ○土井委員 だけれども、お約束になって鋭意努力をすると言った中身がそういうかっこうなんですね。大臣、やはりここでのお約束はお約束として守っていただかないとなりません。技術的なこの重国籍、二重国籍回避、解決策なども含めまして、私はお尋ねを進めたい気持ちはやまやまでございますけれども、この問題を携えて法務委員会に出かけて、幾たびとなくあと質問を展開することを予告しておきます。よろしゅうございますね。  さて厚生大臣、何かお仕事がおありになるようでありまして、先に少し厚生大臣にお尋ねを進めておきたいと私は思うのです。  実は差別撤廃条約の基本になるのは、いろいろ制度上の女性に対する差別の問題というのも含めて大きく見て申し上げますと、男性は仕事、女性は家庭という、性別による役割り分担といいますか、そういう社会的な固定観念というのが非常に事をゆがめ、そして女性を本当に平等な立場でいろいろ保障することを妨げるもとになっている、これは先ほど文部大臣からの御答弁を私は聞いていて、文教行政いまだしだなと思いながら拝聴しておったわけでありますけれども、そういうこともいまから申し上げる問題の中には少しあるようであります。というのは、生活保護法に関係する問題でございます。  厚生大臣にまずお尋ねをいたしますが、因が男女によって食費に差をつけるというのはおかしいとお思いになりますか。いかがでございますか。
  159. 園田直

    園田国務大臣 いろいろ環境にもよりますが、おかしいと思います。
  160. 土井たか子

    ○土井委員 ところが、現にいまのこの生活保護費を見てまいりますと、食費に当たる第一類の支給額に男女差が歴然とございます。五十六年度の生活扶助基準額予定というのを私もいただいて見てみましたけれども、十五歳から十七歳の間では、男性が三万二千二百十円に対しまして女性が二万八千三百四十円、さらには二十歳から四十歳、四十一歳から五十九歳と、こういう年による区分けでどんどん差が開く。これは一体どういうわけで こいうことになっているかというと、公衆衛生審議会というのが決める性別、年齢別のカロリー摂取量が根拠になっているようでございますリしかも、この公衆衛生審議会の基準に置かれている数字というのは、昭和四十四年当時の数字らしゅうございます。これはいろいろな意味から考えましてもってのほかだと私は考えているわけであります。  大臣、御承知のとおり、ロサンゼルスにおいてやがて行われますオリンピックには女子マラソンが今度は正式種目にもなりました。私自身について申し上げますと、男性よりも食欲は旺盛でございます。そういうことからいたしますと、これはちょっとおかしい取り扱いだということを言わざるを得ないのでございますが、これはぜひぜひお手直しを私は求めたいと思います。いかがでございますか。
  161. 園田直

    園田国務大臣 厚生大臣として恥ずかしい話でございますが、全然気づきませんでした。まして裏には、その差別が女性と男性の食い物の量に起因しているなどというのは想像もつぎませんでした。御発言のとおり、早急にこれは事務当局と相談をして、是正する方向で努力をいたします。
  162. 土井たか子

    ○土井委員 それではついでに厚生大臣、もう一つ私は申し上げたいことが実はあるのです。  職種区分表というのが通達で出ているわけでございますね。この職種区分表というのがいろいろ(1)の職種、(2)の職種、(3)の職種に分けて書いてございますが、サービス職業従事者という項目を見て、女中という用語があるのですね。女中。女中という言葉はいまはもう使われないのでございますが、これが通達の中にいまだに生きているのです。この点もあわせて、これはことしの生活保護手帳の中にちゃんと記載されているわけでございますから、もう一度このことに対してもひとつ御確認を願いまして、訂正方々をお願いしたいと思いますが、いかがでございますか。
  163. 園田直

    園田国務大臣 何でもおっしゃるとおりにいたしますと言うと甘いと笑われますが、しかしこれもおっしゃるとおりでございますので、これは制度、法律の改正は要りませんから、早急に訂正いたします。
  164. 土井たか子

    ○土井委員 厚生大臣、お約束くだされば、前々外務大臣当時から、私も外務委員会の一員とし一で、お約束が実行されるということを確信いたしておりますので、この生活保護法の問題につきましてひとつお手直しを早急にお願い申し上げたいと思うのです。  さて、ほかにまだまだ労働省、文部省それから農水省とお尋ねを進めたい問題がありますが、もう一問厚生大臣にお尋ねをしておきます。  これは実は、質問の最後に私は申し上げた方がいいのではないかと思っておりました問題でございます。  最初に私が取り上げました婦人問題企画推進会議の意見をずっと見てまいりますと、その中に、婦人の地位の向上に関する国際文書のうち、ILO条約百二号に関しては母性給付に関する水準の向上というものを図らなければならないとわざわざ書いてあるのですね。なぜかといったら、園田大臣が外務大臣でいらっしゃる当時にILO百二号条約を日本が批准いたしまして、その節、母性給付の問題をたな上げにした、留保条項にいたしました。これは留保をいずれかの日に解除したい、できる限り早くそのための努力も私は払いたいのだという切々たる御熱意のほどをわれわれはお聞かせいただいて、そして批准に踏み切ったといういきさつもございます。母性給付の問題、それから家族給付の問題、遺族給付の問題、いずれも国際婦人年を機会に締結に踏み切ったILO百二号条約ではございましたけれども、女性に関係の深い部分がいつでも留保になったということは、私たちとしては泣くに泣けない気持ちであったこともきのうのように覚えているわけでありますが、これが早い機会にILO条約百二号の留保条項を解除して、その他未批准のILO条約についても、厚生省として関係のあるところはひとついろいろ手だてを講じていただきたい、このように思いますが、これもお約束がいただけるでしょうか。
  165. 園田直

    園田国務大臣 ただいまの問題は、外務大臣当時委員会で無理にお願いをして、その留保ではいかぬとおっしゃったのを早急に訂正しますからとお願いをして通してもらったことをはっきり覚えております。これも当然のことでございますから、早速事務当局と相談し、関係各省と相談をいたします。  第一に、難民条約それから婦人の差別撤廃、これはちょうどわれわれが新聞の内容は見ないで見出しを見るのと同じように、難民条約に加入してないと日本は排他的で利己主義だと簡単に思われるし、それから婦人の撤廃条約に加入してないとあの国は後進国だ、こう言われるわけでありまして、これは国内のことよりも外交上重大な問題だということはよく認識をいたしておりますから、そのようにいたします。
  166. 土井たか子

    ○土井委員 これは中身は大変私は大きいことだと思っています。  そこで、あと大きな問題として残りますのは労働省関係そして文部省関係、農水関係ということになりますが、もう時間がありませんからそれぞれ個別のことは、詳しいことは私もいずれかの機会に出かけましていろいろ質問を展開していきたいと思っておりますが、ただここで総じて問題を締めくくっておきたいと思います。  それはいままでここにいらっしゃる男性の議員のいずれの皆さんも全部ひっくるめまして、男性というのは本来仕事が大切である、女性というのは家庭が大切である、こういう固定観念というのがやはり根強くあるということは覆うことができないと思います。私はアメリカが言うからどうのこうのじゃありませんけれども、アメリカのこの人権報告書、これはことしの一月に出たわけでありますが、その中身を見ますと、日本は伝統的に男性志向社会であるとちゃんと書いてある。いろいろ民主化に向けて、人権尊重に向けての努力のほどが書いてある中でこの部分だけが非常に日立つのです、この中身を読んでまいりますと。しかし、今回のこの差別撤廃条約の基本というのは、そういう固定観念というものはなくさなければいけない。そういうものを克服しなければいけない。したがって、そういう意味で雇用平等の問題が非常に大切でございますし、幼いときから学校教育の中でそういう役割り分担を固定観念として持ってはならない教育というものをしていくということは大変大切だと思うのですね。  これは国際的にもずいぶん動いている問題でございます。昨年六月の第六十六回ILO総会で、実は家庭責任を持つ婦人の雇用に関する勧告、百二十三号というのがございますが、わざわざ特別委員会において討議をされまして、この勧告それ自身が家事、育児は女の仕事という前提のもとに構成されているということで、この勧告を見直して新しい文章を作成するということが採択をされております。さらには、教育の場においては、世界教職員団体総連合WCOTP、一九七八年ジャカルタで行われました年次総会で、男女の平等と機会均等のための教育の役割りを明記しました「教育における婦人」と題する綱領を採択いたしております。一九八〇年八月には、再度この運動の促進について決議をいたしております。こういう経過が国際的にずっと動いているのですね。日本も、この条約の批准に向けて国内整備ということをやる上で考えるべきはこの問題であります。役割り分担というものを固定観念として持ち続ける限りはだめなんですよ。何とかしなければならない。  そこで、そういうことからいたしまして、男女平等問題専門家会議というのが労働省の中にございます。これは非公開でございますから、中で何がどういうふうに討議されているのか一切わかりません。ただ、十回くらいは会議をお持ちになって討議をお進めになっているということは承っておりますけれども、雇用平等について単独立法が必要だというお考えで作業をお進めになっていらっしゃるか、労働基準法を改正することで何とかするということで作業をお進めになっていらっしゃるか、そこの点はいかがなんですか。
  167. 高橋久子

    高橋(久)政府委員 現在の雇用面におきまして、いろいろ男女の不平等の問題がございまして、それを審議しております婦人少年問題審議会の婦人労働部会におきまして、男女平等を確保するための方策を検討するに当たって男女の平等の具体的な姿を明らかにすることが必要である、そしてこの男女平等専門家会議においてその差別の具体的内容を明らかにするという作業を詰めていただきまして、その結果を踏まえて婦人少年問題審議会において、そういう差別をなくすためにどういう方策をとるかということを御審議いただくことになっておりまして、いま先生がおっしゃいましたような、どういう方策をとるかということにつきましては、専門家会議の検討を踏まえて審議会で検討する、こういう運びになっております。
  168. 土井たか子

    ○土井委員 労働大臣はあしたにでもできるくらいの大変な御答弁をきょうはいただいているわけでございまして、それからいたしますと、どうも労働省関係というのは雇用の平等について、作業というのはまだこれからがいよいよという段階のようであります。これも順を追って私はお尋ねを進めてまいりますから、大臣一たんここであしたにでもできるくらいの御答弁をお出しになったのですから、そういう政治責任というのをひとつお忘れなく、出かけてまいりましてそれぞれの質問に対して熱意のあるところをお聞かせいただくように心から要望してやみません。よろしゅうございますね。
  169. 藤尾正行

    ○藤尾国務大臣 私はいままで、お約束をいたしましたことをたがえた覚えはないわけでございます。
  170. 土井たか子

    ○土井委員 それをお聞かせいただくと非常に心強い気がいたします。鋭意御努力のほどを再度申し上げておきます。  文部大臣、先ほど御答弁の中で少し家庭科教育のことに触れておっしゃったわけでありますが、家庭科教育に入ります前に、この男性は仕事、女性は家庭というそういう固定観念を教育の場でどの程度克服しようとしているかという問題は教科書にもあらわれるのですね。教科書検定は文部大臣の責任においてなされているわけでございますから、これをひとつお見せしましょうか。  いろいろあるのですが、実は中学の社会科の教科書というのをいろいろ取り上げてそれぞれ検討してみたのですが、中学の社会科の教科書はいまから数年前の教科書と比べますと、中身はそれなりに改革の跡が見えます。これは女性がこういう問題に対してどんどん大きく意見を反映していっているということも、ここに与えている影響は絶大だと私は思っているのですが、小学校一年生の「かんがえるしゃかいか」という——これはいろいろなところから出ておりまして、その中の一つだけをとってまいりました。これだけがどうのこうのと私は言いたくないのですが、御参考までにひとつ見ていただきたいと思うのですね。「このほかにどんなことがあるでしょう。」というこういう肩書きがございまして、「そうじ」「ごみのしまつ」「ふとんをほす」「かいもの」「しょくじのしたく」「こどものせわ」、全部これお母さんです。実はこういうのをごらんになると大臣、余り抵抗をお感じにならないのが本音だろうと思うのです。そうでしょう大臣、どうですか。
  171. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 お答えいたします。  先生のお見せいただいたのはそれは副読本だと存じますが、そういうことは別といたしまして、教科書の内容には社会の現実が反映される面もありますので、男女の形の異なった状況とかいろんな場面をあらわされておりますので、そういう点は十分先生のお話も承りまして、何はともあれ婦人年の日本政府といたしましての方向に十分従うことは当然のことでございます。
  172. 土井たか子

    ○土井委員 何だかわかったようなわからないような御答弁をただいまいただきましたが、文部大臣、やはり教育というのは人間育成の基本にかかわる問題ですから、一九七八年十月に発表された総理府のアンケート調査、これの有識者対象の中身をお知らせしましょう。男は仕事、女は家庭に賛成する人はわずか二〇%であったということなんです。しかも、先ほど御答弁の中で、最初の方でちょっと言われました高校の家庭一般について女性だけが必須になっているということについて、大体教育学者、教育評論家百人を対象にして行ったアンケートの結果は、九〇%が改めるべきだという声を上げた。やむを得ない、何とも言えないというのはわずかなんですね。これをやることが当然だという回答があったとお思いになりますか。家庭科というのは女性だけを必須にすべきだというのは当然だというのは、ゼロなんです。当然だと考えている人はゼロなんです。文部大臣、このことをひとつしっかりとお考えの中に置いておいていただきたいと思うのです。よろしゅうございますか。  それで、家庭科の女性にだけ必須ということについては学習指導要領の改定を待たなければどうにもならないと恐らくは御答弁になるでしょう。しかし、それまでにやはり文部大臣の御熱意一つで相当変わる。中学校の教科課程の中に男子は技術で女子は家庭科というこの配分が、中身についてはいろいろこれはさらに討議をしなければならないこともございますけれども、これも決められておる。しかし、これは従前に比べると少し改革されたわけでしょう。今度はいよいよ高校における新教育課程が五十七年から実施されますが、家庭科は女子のみが必須だというこの問題です。文部大臣、よろしゅうございますか。これと取り組んでくださいませんか。
  173. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 十分にお気持ちの点はよくわかります。人間社会、男女一体でございまして、家庭におきましても決して差別はございません。
  174. 土井たか子

    ○土井委員 それもさらに文部大臣に対して具体的にきめ細かな質問を展開していかないと、いまの御答弁ではどうにも心もとない始末でございます。  最後に、農林水産大臣、せっかくの御出席でございますから、私、少しお尋ねをしたいと思います。  農村の女性に対しまして、先ほどの推進会議の方からの意見書の中にも、いろいろ改革がどうしても必要だ、これに対してはわざわざ項目を新たにしてるる意見として書かれている部分がございますが、農林水産大臣は、これに対してどのような御熱意でこの問題にお臨みになりますか。
  175. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 農林水産省といたしましては、改良助長法という法律によりまして生活改良普及員というものが全国農村に配置されまして、その普及員を中心にいたしまして、婦人の地位の向上また農業経営における婦人の健康の問題等々、あるいは食生活の指導等を行ってきておるわけでございまして、農業経営あるいは農業生産には重大な役割りを果たしておりまするし、また農村の地域活動の面においても、あるいは教育の面あるいは文化の面あるいは社会化の面においても相当の役割りを果たしておるわけでございます。  ただ、農業協同組合の組合長でありますとか、あるいは農業委員会の会長でありますとかという地位はまだまだいっておりませんけれども、しかしもう役員なんかには大分進出いたしてきております。やはりいろいろな農家経営の実態というものが農家個々に違いがありますので、その地域、地域において能力ある婦人の方々がいろんな面に進出していくことのできるような指導をいたしてきておりますので、一時は三ちゃん農業なんということで婦人だけで行われる農業といったような意識もあったぐらい、農村においては婦人の活躍というものを持っておるのが日本の特色であり、これがまた日本の農政問題の大きな問題でもあるというふうに考えておりまして、その点についての農村の何と申しますか、政治的な地位の向上というような点についての努力もいたしてまいりたいと考えております。
  176. 土井たか子

    ○土井委員 これで質問を終了いたしますが、いまの農林水産大臣の御答弁をいただいてさらに一言だけ申し上げておきます。  農業に対しての就労人口の中で女性は約六割で、非常に貴重な労働力でございます。農業者年金に対しては経営者でなければ入れない、土地所有名義になっていない場合は入れない。したがいまして、女性が農業者年金に入れないというふう海事例が非常に多い。また、農協の職員について言いますと、男性と違って若年定年制を認めている農協も全国であっちこっちございます。したがいまして、そのことのために大臣御承知のとおりに訴訟が起こっています。提訴している女性がいます。こういうこともひとつお含みおきの上で——生活改善普及は大事ですよ。しかし、これは具体的な大臣の施策を待たないとどうにもならない問題がいま申し上げた二つの問題にもございますから、ひとつそれに対して鋭意お取り組みをいただくお約束をいただいて、私は質問を終えたいと思います。よろしゅうございますね。約束いただけますね。
  177. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 十分心得て改善を図ってまいります。
  178. 土井たか子

    ○土井委員 ありがとうございました。終わります。
  179. 小山長規

    小山委員長 これにて土井君の質疑は終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。     午後一時八分休憩      ————◇—————     午後二時五十二分開議
  180. 小山長規

    小山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。平石磨作太郎君。
  181. 平石磨作太郎

    ○平石委員 厚生大臣にお伺いをいたします。  まさに高齢化社会を迎えて、特に年金の問題が大きくいま、財政その他において非常に懸念をされ、しかもいまの情勢から言いますと、この将来展望がまことに暗いという中で、年金の充実、そして老後の生活の安定のためにいろいろな年金制度があるわけです。特に厚生省は、厚生年金国民年金、こういった形で行政を進めておるわけですが、その給付水準、将来にわたっていろいろと情勢の変化はありましょうが、この給付水準を落とすことなく今後続けていただきたい、こういう意味から、この給付水準を落とすことがないのかあるのか、一言、簡単にお答えをいただきたい。
  182. 園田直

    園田国務大臣 御指摘のとおりでありまして、国の制度に対して将来不安を持たれる時期などということは、いままで例のなかったことであります。一般民間年金が、国の年金は危ないから自分の方に入れなどという宣伝をされておることは、全く心痛の限りでありまして、この水準を引き下げるなどということは毛頭考えておりません。
  183. 平石磨作太郎

    ○平石委員 非常にいい御答弁をいただきました。  そこで、年金財政が非常に厳しくなってまいりますと、給付水準を落とすということは、これは将来への不安あるいは年金に対するところの国民の不安といったようなものが、大臣答弁にありましたようにありますので、これはひとつお願いをするとして、この開始年齢の引き上げ、これは前の国会におきまして厚生省から御提案のありました、厚生年金につきましては支給開始年齢を六十五歳に引き上げよう、こういったような、私たちから見ましても、そして国民から見ましてもまことにびっくりするようなことが提案されたことがございました。このことについては将来どのようにお考えになるのか、一言お伺いをいたしたいと思います。
  184. 園田直

    園田国務大臣 開始年齢の六十歳、六十五歳という経緯があったことは承っておりますが、少なくともこの開始年齢というのは、定年制あるいは高齢者の就職の問題等々をにらんで、すき間があったり逆に逆行したりしないように、その点をにらみながらやっていくべきだと考えております。
  185. 平石磨作太郎

    ○平石委員 この点につきましても、そのような決意でひとつお願いをしたいと思います。当然定年制その他に関連が出てまいりますので、少なくとも不安のないように、そして労働が終わったら年金生活にそのまま入れるというように、ドッキングをした形において開始年齢は考えていただきたいことを申し上げておきたいわけでございます。  そこで、厚生省が出しております厚生年金国民年金昭和五十五年度財政再計算、これを見てみますと、給付水準をいまのままにしておいて、しかも標準報酬が大体七%上昇していく、こういう見込みのもとに、厚生年金年金財政は、いまの黒字と言われるものが昭和七十三年、ここまでは維持できるであろう、そしてそれから先は赤字に転落するおそれがある。さらに、いままでの積立金の取り崩しというのが昭和八十一年、この時点ではもう積立金を食いつぶしてしまうおそれがある。そして、制度の維持を図っていくとするならば、保険料率は三四%以上の保険料率にならざるを得ない。そして昭和百年で見てみますと、被保険者の数は三割しかふえてこない。そして年金受給者においては現在の約五・九倍にふえてくるといったようなことが出ております。これを見てみますと、これは大変な時代が来るのではないか、こういうことが見通されてまいります。  それから一方、国民年金の方を見てみますとい昭和九十年、保険料月額が一人当たり一万五千七百円。現在三千七百二十円か三十円ですが、これは一人当たりの保険料月額を一万五千七百円にしないと国民年金もパンクする。そしてこれは五十五年度価格でありますから、スライド等を入れていくならば、まだまだ大変な数字になろうかと思うわけです。  こうして二つの年金を考えた場合に、これからの高齢化社会に急激に突っ込んでいくといういまの情勢の中で、このままでいいのかというようなことが当然考えられるわけです。したがって、制度を維持し、しかも老後の保障をしていこうという立場から言うならば、私は、ここらあたりでやはり抜本的な見直しというような時期が、いま申し上げました昭和七十年あるいは八十一年あるいは百年という先の見通しに立って、いまから考えていかねばならぬ時期が来ておるのではないか、こういうように思うわけですが、大臣のお考えをお聞かせいただきたい。
  186. 園田直

    園田国務大臣 将来の年金財政は、ここしばらくは何とか見通しがつきますが、その先は、いまの考えの延長でやりくりするのではなかなか無理ではないか。そうすると、ここで考え方を転換して、一つの新しい考え方に移行するのにはいろいろ困難な問題もありますけれども、それを克服して新しい方向へ考え方を定むべきときに来た、こういうつもりで検討しております。
  187. 平石磨作太郎

    ○平石委員 そこで、私は大臣にお聞きしたいわけですが、五十四年の十月に社会保障制度審議会が基礎年金構想を建議いたしました。いま申し上げたような情勢に対応するためには、これは確かに政府としても考えねばならぬ点ではなかろうか。それからまた、年金懇でございましたか、他の方からもそういった、いわば基礎年金構想と二階建て年金的なものが出ております。このように、私どもの党におきましても、昭和四十八年にこの構想を発表いたしました。したがって、基礎年金というものを考えながら、その上に現行の年金制度を二階建てとして上積みをしていく、こういう一つ考え方というものは、いまの年金におけるところの将来への期待権、あるいはそれを維持していくという一つの方法としては、まさにいい方法ではないかというように考えるわけですが、これからの見直しに当たって、これらの考え方に対する大臣の所見をお伺いしたい。
  188. 園田直

    園田国務大臣 基礎年金構想は、審議会初め各省から御意見を承っております。私もこの意見は有力なる提言の一つと考えますが、実際問題として、これに移行するにはいろいろな困難がある。特に、これに移行するための多額の資金が必要でございまして、この資金のために新しい税を設けるということは、今日の状態ではなかなかむずかしい。したがって、どのようにやるかと考えてくると、いまの基礎年金構想を前提にして、これを頭の中に描きながらそちらの方向に逐次どう前進していくか、あるいは二段構えでいくか、二本立てでいくか、こういうことを十分検討しなければならぬと考えております。
  189. 平石磨作太郎

    ○平石委員 いまの、検討はいたしますというお言葉でございますが、これは私は、政府部内においても精力的に取り組んでおるとは思いますけれども、いまのような情勢がひしひしと迫っておるということを考えますと、そういつまでも検討というわけにはまいりません。少なくともそういった、ある程度のめどは持っての作業を進めなければと思うわけですが、そういうためどがおありなら、差し支えなければお聞かせをいただきたい。
  190. 園田直

    園田国務大臣 事務当局でも私の方でも検討、勉強しておりますが、正直に言って、まだこうだという具体的なことはありません。しかしながら、めどは、いま御発言のように、基本年金構想の方へ逐次進めていくように、まず第一、第二段階、二本立てていく、次はどうやっていくということが大体の考え方の基礎ではないかと考えている程度でございます。
  191. 平石磨作太郎

    ○平石委員 わかりました。それではその点については篤とお願いを申し上げて、この件については終わらしてもらいます。  ところで、国民年金の中の老齢福祉年金でございます。御案内のとおり国民年金というのは、拠出制年金といわゆる無拠出という二本立てに相なっておるわけです。そこで私どもは、少なくとも年金におけるところの最低限という形で、毎年この老齢福祉年金の引き上げを要求し、また政府の方もこれにこたえるという形で、毎年毎年、老齢福祉年金の引き上げがなされてまいりました。そして今回の予算においても、老齢福祉年金が、いま二万四千円と二万三千円の二つの方式で原案に示されておるわけですが、いまの老人の置かれた物価高の中におけるところの生活といったものを考え合わせますと、どうもこの金額だけでは、老人の生活に足しになるという面ではまだまだ、とても少ないのではないかという考えを持つわけですで  そこで、厚生省の行政基礎調査によりますと、いまお年寄りと言われる人は大体六十五を対象にしておりますけれども、六十歳以上の老人世帯の分布、これは農耕世帯を除く分布でございますが、これを見てみますと、経営者層あるいは自営業種あるいは雇用されておる者、こういった働いておられるいろいろな階層の中で、無業と言われる階層、仕事がないという階層で、六十歳以上のお年寄りの単独世帯が四二・一%、夫婦のみのお年寄りの世帯で無業となっておるものが二五・一%、これは一九六七年の調査なのです。そこで一九七八年の調査、十年たっての調査が同じくございますが、無業と言われる老人の単独世帯が四五・九%、夫婦のみの世帯が三七・五%、こういうように急激にふえてきております。そして一九六七年の数を合わせますと六七・二%、そして一九七八年の合計は八三・四%という無業のお年寄りがいらっしゃるということです。このような情勢を考えたときに、前段で申し上げましたように、老齢福祉年金に該当すべき人がこの人たちの大半じゃないか、このように考えるわけです。  そうして国民生活の実態調査も、昨年の九月の段階で調査がなされております。この調査を見ましても、生活の意識調査において、大変苦しいという者とやや苦しい、こうおっしゃる方を合わせますと、五十四年、五十五年の差では九・九%ふえております。だから、五十四年、五十五年を見ましたらざっと一〇%ふえておるということです。これは総体においてです。そして四分位の階級別に見たときに、一番低所得と言われる方々の、いま申し上げた、大変苦しい、やや苦しいといった者が、五十四年から五十五年にかけて一二・四%ふえております。  このようにお話しを申し上げれば長いことだから、ここらで終わらしていただきますが、いずれにしましても、この老齢年金を二万五千円ぐらいに引き上げができるかどうか、ひとつ大臣のお答えをいただきたい。
  192. 園田直

    園田国務大臣 老齢福祉年金についての御意見は十分わかりますが、財政上告しい中に二万二千五百円から二万四千円に引き上げてこれを実施しようというやさきでございまして、財務当局もよく理解されたと思っておりまして、現段階でこれを二万五千円まで持っていくことは無理だと考えております。
  193. 平石磨作太郎

    ○平石委員 そこで、この内容には、六百万以上の所得の音あるいは六百万以下の所得の者ということで二段階に区分がなされたわけです。これにも一つ考え方はありましょう。考え方はありましょうが、いままで一律で行われてきたという経過等を考え、いま私が資料でもってお話を申し上げたこと等を考え合わしたときに、それほどここで、六百万以上あるいは六百万以下というように目くじらを立てるほどのことはない。そして、この人たちは長い間の苦労をして今日まで来た方々ですから、少なくとも人員がふえていくということはあり得ないことだ。だんだんと人員は減ってくる、そういうことを考えたときに、二段階に区分することを採用したのは時宜に適してない、このように私は言わざるを得ません。このことについての見直しがあるかどうか、お考えをお聞かせいただきたい。
  194. 園田直

    園田国務大臣 いまの年金の二万二千五百円から二万四千円にふやした、そのふやした分の一部を余裕のある方には御遠慮願うということは、児童手当の所得を一部は締め、一部は手当を上げてもらうなど、大蔵大臣と私の相談で、なかなか財政はきつくなってくる、きつくなってくるが水準は下げたくない、そこではらまきではなくて、何とかやりくりのつく方はがまんしてもらって、本当につらい人にはこれをふやしていく、こういう考え方から出てきたものでありまして、二段階設けるということは、とかく高齢者の方々からも御意見がありますけれども、将来のことを考えると、やはり重点的な社会福祉という観点から御理解を願いたいと考えております。
  195. 平石磨作太郎

    ○平石委員 いまお聞かせをいただきました老齢年金のそういった考え方を持たざるを得ない、こういうこと。そして私は、ここにはどういうことが含まれておるかということを考えたときに、国民年金の拠出制と無拠出とが同座をしておるということ。いわば全く性質の違うものが年金ということにおいて同座があるのだ。無拠出の方をそういう形で引き上げを行ってくるということは一方の年金財政に非常な影響が出てくる、そういう一つの配慮というか考え方も一方に働いておるのではないか。したがって、底上げをすると、拠出制の方もやはり上げざるを得ない、五年年金、十年年金について。そうすると、保険料にはね返ってくる。保険料にはね返ってくると、当然そこには、免除の方々の申請がたくさん出てくるということになってくる。五十四年の資料を見てみますと、免除の者が一〇%を超えております。そのように免除がふえるということは年金財政の歳入が入ってこないということ、ここに破綻が出てくるというおそれがあるから、老齢福祉年金は何とか抑えていこう、こういう一つ考え方が働いておると私は思うのです。そうですか。
  196. 園田直

    園田国務大臣 御指摘の点も注意しなければならぬことでありますが、われわれがやったのは、あくまで財政の苦しい時期に給付の水準を下げないためには、やはり重点的にやるべきだ、こういうことで、結果として二段階ができたものでございます。
  197. 平石磨作太郎

    ○平石委員 これの財源は一般財源でございますから、いま私が申し上げたことには表では関係がないことです。表では関係がない。だが、やはり同座の中での年金という形になっておるから、これに影響が出てくるという一つの配慮は働いておる、こう言わざるを得ません。  そこで、私が先ほど申し上げたように、基礎年金構想というものがそこの点から考えても出てくるということです。基礎年金構想。私はいまの無拠出としての老齢年金、これを少なくとも維持をし、いま申し上げたように、これを引き上げれば、私は引き上げてもらうために質問をしておるのですけれども、引き上げれば、政府はそのような考え方を一方に持っておる。そして一般会計の財源もなくなった、年金の拠出制の方の財政に影響が出てくる、この考え方が働いておるのだから、これに対する引き上げに対しては相当な抵抗があるはずだ。そして、そういった制度のいわゆる不整合とは申し上げませんけれども、性質の違うものがそこに同座しておるからそうなる。そうなりますと、これからの年金考え方においては、基礎年金構想ないしいまの制度の見直しを早くして、そして老齢年金といわれる無拠出のものを取り込んでしまう、こういう形に制度の改革を図らなければ、いつまでたってもこういう形になってくるのじゃないか、私はこのふうに考えるから申し上げておるわけです。  したがって、年金の見直しとそして格差の解消の問題があります。民間との関係あるいは国民年金でいえば六十五歳、厚生年金では六十歳、公務員の共済においては五十五歳といったような官民格差の問題も一方にあるわけです。これらの整合性を考えながら、いま申し上げたような年金財政のトータルにおいての考え方というものを、これからの年金見直しにおいて考えていかねばならない、このように考えるわけです。そういうことを含めてお答えをいただきたい。
  198. 園田直

    園田国務大臣 官民格差の是正、それから、いま御指摘のような各種の問題、これを解決するのには、私も先般から申し上げるとおり、基本年金構想、これは一つの提案であり、これを考えながら逐次どうやっていくかということを具体的に努力をしていかなければならぬと考えておることは、御意見のとおりでございます。
  199. 平石磨作太郎

    ○平石委員 それでは以上で、その件については終わらせてもらいます。  そこで、昨年、厚生省身体障害者についての調査がございます。私はこの調査を見て感じたこと、この調査は身体障害者の障害別の人数が何人、そしてトータルにおいて何名、いわゆる二百万近くの人数がここへ出てきておるわけです。そして主たる調査の考え方というのは、この調査を通覧するところ、やはり数字の把握に終わっておるのではないか。せっかく調査をなさるのであれば、もっと障害者の生活実態を調査すべきでないか、私はこのように考えるわけです。  この中にもございます。就業率、働いておる者が何名、働いてない者が何名、こういうようなこともありますけれども、同じ調査をするのであれば生活の実態、そういったものをもっと綿密に調査をする必要がある。そして、働くことに一応限定をして申し上げてみますと、働く意思がありますか、どうですか、こういうこともあわせ聞く必要がある。働く意思はあるのだけれども働けないのだ、あるいは私の住まいの近くに働く場があれば働けます、こういう調査が欠けておるわけです。そして、どんな職種を希望いたしますかというようなことをも、やはりそういった障害者が将来どのような考え方を持っておられるのかというようなことをも含めて意識調査の必要がある。ここにはそういう面が欠けております。  だから、いわゆる生活介助を必要とするといったような障害者についても、いまの生活の状態はどうですか、介助が必要なんですか、介助はどなたがしておられますか、これはいま出ております。親兄弟あるいは配偶者、ざっと九〇%近くの人がこの人たちに介助を受けておる。そうすると、こういった親が介助しておるというものの数字は相当近い数字が出ておるのです。それなら親が亡くなったときに、あなたは将来の不安といったようなものについてどうお感じですかというように、生活の実態、これもやはり、同じ調査をするのであればきめ細かく調査をしていただきたい。そして、この働く意思があるといったような者については、どんなことだったらできるだろうかといったものまであわせ聞くということが必要で、これから先障害者年を迎えて、しかも障害行政をさらに一歩、二歩前進させようという段階における調査ですから、そういうことを考えてやってほしかったと思うわけですが、大臣のお考えをお聞きしたい。
  200. 山下眞臣

    ○山下政府委員 ただいま先生がおっしゃいました点のすべてを調査しているわけではございませんが、実はただいま発表いたしておりますのは、調査結果の第一次解析の結果でございます。現在さらに詳細な解析をいたしている最中でございまして、この夏ごろまでに全体の結果が出ると思うのでございますが、その中では、就業の実情でありますとかあるいは不就業の原因でありますとか、もう少し細かい解析ができることになっております。  御指摘の点、今後の調査に当たりまして十分考慮さしていただきたいと存じます。
  201. 平石磨作太郎

    ○平石委員 そこで、いま、さらにというお話がございましたからいいのですが、そのような考え方でひとつ進めていただきたい。  それから、労働大臣にお伺いをいたしますが、労働大臣は、身体障害者雇用促進法を施行しておられる。したがって、それぞれ雇用率を決められて、各企業に対して雇用率の達成方の行政指導がなされておるわけです。数字を見てみますと、まだまだ未達成企業がたくさんあります。だから、大臣は、これらの未達成企業に対しては、何とか達成していただきたいということで、雇用率を高めるようにやっておられることはよくわかるのですが、私は、いまの厚生大臣の質問に関連をして申し上げるのですが、そういう一片の通達と行政指導だけではなかなかこの雇用率の達成はむずかしい。いままでの経過を見たらおわかりだ。そうしますと、労働省はそういった企業は把握しておるのですから、おたくの企業には働く場がありますか、障害者を受け入れる職種がございますか、そして、全体においてどのくらいのそういう障害を持つ労働者を雇い入れることができるかという一つのエリア、そういう働ける、そして雇用の方に障害者をどのくらい日本全体で吸収できるのか。これは官公庁を含めての話ですが、どのくらいのエリアがあって、どのくらい吸収ができるか。そしてまた、これから将来、こういう方々を雇い入れる職種をつくる考えがありますか、つくる考えがあるなら、どういう職種でと。労働省が一応雇用の達成に行くのなら、お願いします、お願いしますと言うだけでは進展はない。だから、そのエリアを調べる必要があると私は思うのです。そうしていけば、労働省にこれだけのもののエリアが一応あるのだ、そうしたら厚生省の方は、働く意思がある、だが仕事がない、双方、働くいわゆる障害者と、一方で受け入れてもらえるそういった企業、ここの関係が相関的にわかってくるじゃないか、このように考えるのですが、大臣のお考えをお聞かせいただきたい。
  202. 藤尾正行

    ○藤尾国務大臣 お答えを申し上げます。  私の方で調べておりますのは、厚生省の方でいまお調べになっておられるのとダブっておりますけれども、働きたいという方に対しまして、どのような仕事をなさりたいのだということを伺うわけでございます。それを伺いまして、今度はそれに相当をする雇い入れ側の企業に対しまして、あなたの方は、こういう御希望があられるわけですけれども、それをお雇いいただけるでしょうか、こういうお願いをするわけでございますので、企業者の方にあらかじめ、あなたの方は障害者をどれだけ受け入れられる御準備がございますかという調査は、まことに残念ではございますけれども、まだできておりません。したがいまして、今後それをどのように調整するかということにつきましては、事務的にいろいろ詰めさせておりますので、これは政府委員の方からお聞き取りのほどを願いたいと思います。
  203. 関英夫

    ○関(英)政府委員 現在、公共職業安定所に登録しております身体障害者の数は全部で二十六万余ございます。そのうち、すでに就業中の者が二十二万余ございまして、現在、有効求職という形で就職を希望していらっしゃる方が約三万名おられます。  中度、軽度の方は最近比較的就職容易でございますが、先生御指摘のように、重度の身体障害者になりますと、なかなかその職域というものがむずかしく、就職へ困難がございます。まず、こういった方々の雇用を促進しますためには、重度障害者は、その障害の部位なり程度なりに応じて、それぞれその方の持っていらっしゃる職業能力が一人一人違っております。そういう意味では、私どもの方でその方の職業能力というものをきちっと判定する、把握する、これがまず第一でございます。その上で、雇用率未達成企業に対しまして、こういう職業能力を持っている者をおたくの方で雇っていただくということができないかということを個別に指導していく、こういう形で進めることが大事でございますが、同時に、そういう場合に、現在就業している身体障害者の職業、どんなものであるか。障害の部位別、程度別にどんなふうになっているかというようなことを分析いたしまして、どういう職種にどういう職業能力の人が向くかといったようなマニュアルといいますか、そんなものをつくっていくことが必要だろう。そういう意味で、現在就業中の身体障害者の方の職務分析等を進めているところでございます。
  204. 平石磨作太郎

    ○平石委員 いまのお答えで大体了とするわけですが、ひとつ私の申し上げたことをも参考にしていただいて、今後の調査等、さらには行政の推進に御努力いただきたい、こう思うわけです。  それで関連がございますので、私これで終わらしていただきます。
  205. 小山長規

    小山委員長 この際、草川君より関連質疑の申し出があります。平石君の持ち時間の範囲内でこれを許します。草川昭三君。
  206. 草川昭三

    草川委員 公明党・国民会議草川昭三でございます。  ごく簡単に身体障害者の方々の差別、すなわち、生命保険の特約についての具体的な事例を挙げて簡単に説明を申し上げますから、ちょっと委員長、数字でございますから、これを見ておってください。  御存じのとおり、生命保険というのはいろいろな傷害の特約とか災害の割り増し特約があるわけであります。たとえば普通の方々は、傷害特約を一千万円まで掛けることができるわけです。ところが主要な、まあ会社の名前は挙げません、一番大きな会社ですが、両眼の失明者は三百万円までしか掛けられません。日本で第二番目に大きな生命保険会社では断られます。掛けられません。中堅企業で三百万円まで。そして、たとえば二つの手がない方、あるいは二つの足がない方々は、すべて傷害特約は入れません。障害者なるがゆえに入れぬわけです。こういう差別があるわけです。それから、たとえば片一方の足の場合は、私ども上は一千万円まで入れるのだけれども、あなたは三百万円までしか入れませんとか、だめですとかというような傷害特約の差別があるが、これは事実かどうか。  あるいは災害割り増しの特約というのがまたあるのですが、これも、私どもは二億円まで掛けられます。新しい場合は三億円まで掛けられるのですが、身体障害者の方々は、両目のない方々は一千万円までしか掛けられません。ただし、これはA社です。B社、C社、二番目に大きな会社、中堅どころの会社は、目が悪い方はすべて掛けられません。これはどういうことなんだろうか、こういうわけであります。そして、これも二億円まで掛けられるのですけれども、たとえば一方の足が悪い方は一千万円までしか災害割り増しの特約が掛けられない、こういうことがあるわけでして、主にメーンの契約と同じ金額だけ災害割り増し特約は掛けられるのですが、差別があるわけです。  あるいは二つの足を失ってみえる方々は、入院のときの特約も、私どもは入院の場合一日当たり五千円の特約の契約ができるのですけれども、B社だとかC社、二番目に大きい会社だとか中堅どころは入れないという事例があるわけですが、この点、大蔵省の方から確認をお願いしたいと思いますが、どうでしょう。
  207. 松尾直良

    ○松尾説明員 いま二、三の事例を挙げて御指摘になりました生命保険の特約についての問題でございますが、たくさん会社がございまして、会社によって扱いは異なっておりますが、御指摘になりましたことは事実でございます。会社によりまして若干扱いが異なっておりますが、通常の体を持っておる人に比べて若干制限的な場合、あるいはいま御指摘になりましたように全く引き受けないという場合があることは事実でございます。  これはどういうことかというお尋ねでございますが、先生には釈迦に説法のようなことかと存じますけれども、保険制度というのは、基本的には同じ保険集団と申しますか、通常の標準的な方の集まりということで、そういう統計的な事実に基づいた料率計算が行われておる、わけでございます。身体障害者の方だけでなくて、非常に特殊な、危険な職業に携わっておられるような方、こういう方には災害の特約であるとか傷害の特約というのは原則として引き受けない、あるいは引き受ける場合にも、いま御指摘ありました身体障害者の場合のように、一定の金額限度に制限しておるというようなケースがいろいろございます。  これは、そういう保険制度そのものの持つ、ある意味で宿命的なところがあるわけでございますけれども、四十年代ごろから、この身体障害者への生命保険の道というのをだんだんに開いてまいりまして、現状では、いま御指摘ありましたようになお若干制限ございますけれども、少しずつ改善が進んできておるということでございます。
  208. 草川昭三

    草川委員 いま部分的に改善をしてきたというお話でございますが、それは認めます。しかし、たまたまいまの言葉の中にございますように、障害者なるがゆえに保険の対象になじまないというような御発言があるわけでございますが、これこそまさしく、これは厚生大臣にお伺いをいたしますけれども、国際障害者年というこの時期に当たってこそ、いまのようなものを脱却することが私は基本だと思うのですが、厚生大臣、どうでしょう。
  209. 園田直

    園田国務大臣 大蔵大臣とも相談をして、逐次改善の方向に努力したいと考えます。
  210. 草川昭三

    草川委員 では、これは所管の官庁は大蔵省でございますし、実はこの大蔵省の中でも生命保険と損害保険と、そのほか実は自動車保険——まあ運輸省関係であるわけでございますが、自動車保険等の場合にも障害者に対する過重の問題です。障害者の方々が事故を起こした場合はその分だけ引くというような積算方法も残っておりまして、私は実は、この障害者に対する保険というものは非常に厳しいものがあると思うわけです。いまも御答弁がございましたように、生命保険で多少大蔵省も門戸を開いておみえになると思いますけれども、さまざまな商品というのですか、内容が違うわけでございますが、この際、思い切って、身体障害者の方々の生命保険の取り扱いの差別、あるいはまた、損害保険におけるところの差別の問題、あるいはその他の自動車事故の保険の差別撤廃のために、ぜひとも総合的に努力をしていただきたいと私は思いますが、大蔵大臣の御意見を賜りたい、このように思います。
  211. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 いろいろ問題点はあろうと思いますが、極力改善するように努力をしたいと存じます。
  212. 草川昭三

    草川委員 これは、細かいことは一々申し上げません。実はたくさんの事例がありまして、まあ植物人間にしておきながら、保険会社が企業の論理だというので千葉県では裁判もあるわけでありますし、さまざまな問題がありますし、せっかくのきょうの集中審議でございますから、いまの大蔵大臣の御答弁を私どもも前向きのものとして受け取って、ぜひとも改善のほどをお願いを申し上げたいと思います。以上でございます。  あとは、今度は厚生省の方にお伺いをいたしますが、御存じのとおり、このたび国連の難民条約への加入という問題がいま話題になっておるわけでございますが、在日外国人の方々、永住権を持つ方々、特に日本国内にはたくさんの在日韓国人の方々もおみえになるわけでございます。これらの方々の国民年金の適用の問題について、御存じのとおり三十五歳以上の方々を打ち切ろうというような話が出ておるわけですから、その点について問題をしぼって御質問をいたしますが、厚生省関係の国内法の手続というものは、もう今度の国会に提案される準備は整ったわけでございますか、簡単にお伺いします。
  213. 松田正

    ○松田政府委員 社会保障制度の外国人に対する適用の方向につきましては、内外人平等ということで、この趣旨に従って実現をしたい、かように考えておるところでございます。  難民条約の加入に伴いまして、国民年金法等どのように改正をいたしますかは、条約加入に必要な最小限度の措置をいたしたいということで、現在検討いたしておるところでございます。
  214. 草川昭三

    草川委員 もう少し突っ込んでお伺いをしますが、今回の考え方は国籍条項のみの除外ということになるわけでございますか。たとえば二十三条、二十四条、社会保障に関する規定でございますが、これらは一切留保なしに御提案をなされる考え方でございますか、お伺いをします。
  215. 松田正

    ○松田政府委員 難民条約におきます社会保障関係の条項につきましては、一つは、国籍要件等の問題もございます。ただいま、条約の趣旨が内国民待遇の実現ということでございますので、この趣旨に従ってどのように改正をしていくか、検討いたしておるところでございます。
  216. 草川昭三

    草川委員 私は、三十五歳以下の方々の適用ということは、問題なく、いまのお話でお伺いができるわけですが、三十五歳以上の方々の打ち切りということになりますと、いまのお話にもございますように本当に平等な待遇になるのかどうか。しかも、私どもがいまここで問題にしようというのは、戦前からの歴史的な経緯があって、連れてこられたと言うと問題がございますけれども、とにかく戦前からの歴史的な経過の中でずっと苦労をして居住をなすってみえる方々こそ、三十五歳以上の方々が対象でございますから、それを打ち切るべきではない、こういう主張であります。  過日の衆議院の総括質問の中でもこの問題が出ましたが、そのときにたまたま厚生大臣は、沖繩のような例もある、これらについては現在関係各省庁とも検討している、十分考慮して検討するとおっしゃられましたが、沖繩問題ということを、沖繩の祖国復帰のときのお話に触れられたと思いますが、厚生大臣としてのこの点についての御見解はどうでしょう。
  217. 園田直

    園田国務大臣 御発言のとおりでありまして、この問題については、日本国民も三十五歳以上で対象にならない人がおるわけでありまして、まず第一に、留保事項なしで内国民、外国民の待遇を一つにして、いまの御指摘の問題は後に来る問題で、これをやっておると、今度の国会に法律案を提案し、条約加入、留保なしということにはとても間に合いません。これは将来の問題でありますが、もし検討するとすれば、経過措置とかなんとかということでその際検討をする道はあるのではないか、こう思うわけであります。
  218. 草川昭三

    草川委員 非常に重要な点でございますから、経過措置、特例措置をある程度お考えになっておられるというように、いまの御発言はとっていいですか。
  219. 園田直

    園田国務大臣 今度内国民待遇を受けられるべき、特に強制で連れてこられた韓国の方々の歴史を考えると、私個人としてはそれがやはり道じゃないが一道じゃないかという言葉はあいまいでありますが、考えるわけでありますが、しかし、各省の関係においては、必ずしも私の意見は有力ではございません。
  220. 草川昭三

    草川委員 私、園田さんが大変好きだというのは、いまのような発言をなされるから私は大変尊敬をするわけでございまして、普通の方々だとなかなかいまのような御発言をなされないわけであります。やはり人の心がわかる大臣だと私は思うのです。だから、人の心、気持ちがわかる態度ということがなければいわゆる国籍条項というのは国民年金にもあるわけでありますから、これを取っ払うというのは、厚生省の内部においても大変な問題があると私は思うのです。それをみごとに打ち破られるということは、私は、諸外国に対して日本の厚生行政を示す意味でも非常に大切な点だと思っております。  そこでもう一回、三十五歳以上の方々、いわゆる永住権を持つところの在日外国人の方々、アバウトな話になりますけれども、一体、三十五歳以上の方々は何万人ぐらいおみえになるのでしょう。数字的にちょっとお答えを願いたいと思います。
  221. 松田正

    ○松田政府委員 私どもが承知をいたしております法務省の統計によりますれば、約七十七万八千人の外国人のうち、ほぼ三分の一ではないかというふうに考えております。
  222. 草川昭三

    草川委員 大体三分の一でございますから、二十万から二十五、六万ということになる。でしょう。そしてその方々の中にも、厚生年金の適用者がおみえになりますし、厚生年金の適用者の奥さんもおみえになりますから、一概に、そのままの数字が直接、三十五歳以上の国民年金の適用ということにはならぬと思いますけれども、いま私が申し上げたいのは、実はこの三十五歳以上の方々たちにこそ、国民年金の適用ということをさせてあげるべきではないだろうか。もちろん、三十五歳以上でございますから、二十五年間掛けるということができません。だからこそ、特例納付だとかあるいは五年年金だとか十年年金なんかの経過措置を、かつてやっていただいたようなことを考えていただきたいと私は思うわけであります。  そして、いま厚生大臣が答弁をしていただきましたように、ぜひとも他の関係の諸官庁の方々にもこのことを説得をしていただく。実は私は、この難民条約に適用ということははなはだ不本意なんです。その以前に、三年前にあの画期的な人権規約というものを私どもは承認をしておるわけでありますし、本来は、その人権規約の批准に伴ってわれわれはこの問題を論議をしたかったわけであります。国際人権規約のA規約、B規約というのがあるわけでありますが、ことの中には漸進的ということでございましたから、私どもも、あえて厚生省が留保条項なしに承認をしたことを高く評価をしておったわけでございますから、これは外務省の方々も法務省の方々も、世界人権規約というものを結んだというあの時点にぜひとも戻っていただいて、この難民条約に伴う社会保障制度に関連をするところの国民年金の適用ということをぜひお考え願いたいというように私は思う次第であります。  特に、この問題につきましては、園田厚生大臣は世界人権規約を締結されたときの外務大臣でもございますから、私も、外務大臣のときにこの問題を強く要望したことを記憶いたしておりますが、私どもは過去の忌まわしい歴史的な経過ということを考えるとするならば、特にお役所の方々の中には、余り文句を言うならばこの際帰化すればいいではないかというようなことをおっしゃる方々がおみえになりますが、私はこれは暴論だと思うわけであります。私どもはいまこそ、世界平和のためにも、また近隣諸国の方々に日本考え方を示すためにも、ぜひこの国民年金の差別ない適用ということをお願いしたいと思うので、最後に、園田厚生大臣の方から御答弁を願いたい、こう思う次第でございます。
  223. 園田直

    園田国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、十分努力をいたします。
  224. 草川昭三

    草川委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
  225. 小山長規

    小山委員長 これにて平石君、草川君の質疑は終了いたしました。  次に、西田八郎君。
  226. 西田八郎

    西田委員 本日の審議が社会福祉関係に関する集中審議であるということの趣旨にかんがみまして、いままでの方々からもいろいろとお伺いがあったところであろうと思いますが、私はきょうは、総理がお見えになれば総理の口からお答えいただきたかったわけでありますけれども、総理がやむなく欠席でございますので、厚生大臣から、政府の考えておられる福祉の理念とは一体何なのか、この点についてお伺いいたしたいと存じます。  といいますことは、どうもわが国福祉というものは、何かしらん、恩恵的、救貧型福祉観というものが非常に強く打ち出されておりまして、貧しいから助けてあげましょう、体が不自由だから助けてあげましょう、そういうような思想で貫かれておるように思うわけであります。しかし、福祉というものはそういうものではなく、少なくとも人の生存と生活の安全という、人の生死にかかわる基礎的なニーズを満たしていく問題でありますから、そうしたものを満たすためには、何といいましてもそこには心というものが存在しなければなりません。そういう意味からいいますと、今度、金がかかるから少し削るんだというような物の考え方は、本来の福祉の思想から外れるのではないか。むしろ、金が足りなければ金をこしらえてきてでも福祉を充実させていくという方向でなければならぬのじゃないか。経済不況が深刻になればなるだけ、それだけ失業者はちまたにはんらんするわけでありますし、また、収入は減ってくるわけでありますから、そうした面において、生存するためのニーズ、これをどう満たしていくかということでなければならぬと私は思うわけであります。  ところが、いま政府の進んでおられる方向というものは、こうした福祉の理念というものから若干外れているような気が私はするわけでありますが、そうした面について厚生大臣はどのようにお考えになっておるか、まずお聞かせをいただきたいと思うわけであります。
  227. 園田直

    園田国務大臣 御発言のとおり私も考えておりまして、一部の者のみを対象とした恩恵的な慈善事業であってはならない、国民全体を対象として、必要な時期に必要な者が給付を受けるということが大筋であって、たとえば、健康な人はなるべく若さを保ちながら社会の発展に参加をする、身体障害者その他は国がこれを支援し訓練し、あるいは特別の設備をつくることによって、こういう方々も健常者と同じように元気で朗らかに社会の発展に参加できる、こういうように、消極的なものから積極的なものに変えていかなければならぬと考えております。
  228. 西田八郎

    西田委員 そのようにお考えになっておるにもかかわらず、わが国社会というものは、身体障害者あるいは老人に対してきわめて閉ざされた社会なんですね。  国会におきましても、ようやく衆議院に最近、車いすで議員会館から本会議場へ通ずる道のところにリフトができました。ようやく最近できたんですよ。参議院におきましては八代英太さんが当選をしてきて、不自由だからということでつくった。しかし、それまで国会にそういう設備があったかというと、なかった。  最近、ようやくシルバーシートという国鉄のシートができました。しかし、その席に座っている人は老人であるかというと、そうではない。むしろ若い人たちが座っているんですね。そういう思想は一体どこから生まれてきたかというと、高度経済成長の中における経済観念というものを主体にした社会構造、そういうものを推進してきた政府に責任があるというふうに私は考えるわけであります。  車いすで難儀をしている人を助けてやれば、それが美徳とされておる。美徳と見られるというところに、私は日本福祉の貧困さがあると思うのであります。車いすで困っている人を助けるのはあたりまえのことじゃないのか。そういう思想をもっともっと強く拡大し普及し、そういう中から人間の生存、お互いに生きるためには助け合っていこうじゃないか、協力し合っていこうじゃないかという思想があって初めて、福祉というものはさらに充実されるものだと私は思うのです。ところが、今日の施策を見ていますと、老人ホーム一つをとりましても、老人施設身体障害者施設、すべてが措置施設なんです。自分の体が非常に不自由だからこういうところを選んで、そういうところに入りたいというような施設になっていないのです。  オーストラリアのメルボルンで開かれました身体障害者大会では、いろいろな補装具、いろいろな機械が並べられて、その機械の中で自分に一番適合したのはどれかということを選択できる。自由に選択して、それを貧困な人には国が補助をする、お金を持っている人は自分の金で買う、こういうようなことが普及されておって、非常に世界的にも模範とされておるわけでありますが、そういう思想はまだ日本にはないんじゃないか。そういう観点から私はもう一度、これからの政府福祉政策について、その基本的な理念を厚生大臣からお聞かせいただきたいと思います。
  229. 園田直

    園田国務大臣 今年度ははしなくも国際障害者の年でありますが、これが最初、障害者のための年とするか障害者の年とするかということが議論になったわけで、結局は障害者の年になったわけでありますが、この「ため」にするか「の」とするかに、福祉行政の基本の分かれ目があると思います。一部の人々のためにあるのではなくて国民全体のために、しかもいままでと違って、気の毒な人を助けるとか救うとかそういう気持ちではなくて、お互いが助け合って社会づくりに参加しよう、こういう基本理念でなければならぬと考え、いろいろ御指摘のようなことはありますが、この際そういう方向に逐次切りかえていくべき段階だと考えております。
  230. 西田八郎

    西田委員 これはひとつ厚生大臣だけの答弁というのではなしに、政府、閣僚そろってこの問題について留意をしていただき、将来そういう方向で福祉に取り組むということをお約束をしていただきたいと思います。いいですか。
  231. 園田直

    園田国務大臣 すべての制度について、そのような方向で努力をいたします。
  232. 西田八郎

    西田委員 そこで、欠陥福祉と言えば、いささかおしかりを受けるかもわかりませんし語弊があるかもわかりませんが、いま公明党の平石委員からも御質問がありました年金制度であります。  成熟度が違うからということで格差があることを是認するということは、年金というものの考え方から出発をいたしますといささかそれは違うのではないか。成熟度というものは、およそそうした福祉の概念から離れて、そして年金というものは、社会に対して貢献をし一定の期間働いた、その働いた人にひとしく老後の生活の経済的援助をする、社会がこれを行うというのが、私は年金の基本的な思想でなければならぬと思うのであります。それがそもそも保険という制度で発足をしておるところに、成熟度であるとかあるいは格差というものが生まれてくると思うのですが、そういう格差を一日も早くなくするということでなければ、先ほど厚生大臣の言われました基礎年金計画というものがなかなか成立しないと私は思うのであります。  そこで、そうしたいわゆる、画一的にやるというのはいささか語弊があるかもわかりませんが、基礎年金構想というものを達成するためには、現在の保険間に存在する格差、特に世間でも強く言われておりますところの官民格差というものを、どういう形でどのように是正していこうと考えておられるのか、ひとつお伺いしたい。
  233. 松田正

    ○松田政府委員 お答え申し上げます。  いわゆる官民格差、公的年金制度間におきます格差をどのようなものとして認識するかという問題がございますけれども、通常言われておりますのは、たとえば給付開始の年齢でありますとか、給付水準の差でありますとか、算定方式の相違でありますとか、あるいは再就職をいたしました場合の、それぞれの年金を受け取りながら就職ができる、こういったような点に従来議論の焦点がしぼられてきたと思うわけでございます。  ただ、現在の国家公務員を中心にいたします共済制度につきましては、私から申し上げるまでもなく歴史的な問題、あるいは民間で申しますればいわゆる企業年金的な要素も多分に持っているわけでございまして、そういったような点も含めまして、現在の年金制度がいわゆる社会保険方式をとっております関係上、加入した期間が長ければそれだけ年金に反映するということもまた現行制度上やむを得ない、かように考えております。しかしながら、それぞれの制度の間で不合理な格差があるということにつきましては、私ども厚生年金あるいは国民年金を所掌しておる立場から申し上げましても非常に不公平なことでございますので、現在、共済年金についてはそれぞれ研究会等も持たれておることでございます。基本的にはまず八つの制度の整合性を保つということで対処をしてまいりたい、かように考えております。
  234. 西田八郎

    西田委員 そういう整合性を求めるとするならば、八つの保険の事業主体があるわけでしょう、その事業主体がいまの格差をつけたままで進んでいけば、いつまでもそのままの格差がついていくわけです。どこかでそれを直さなければいかぬ。まず、受給額が違います。年金額が違います。いまあなたがおっしゃったとおり、保険料も違う。     〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕 それからまた、仮にスライドするにしても、片一方の厚生年金等は物価スライド、片一方は賃金スライドですね。そして標準報酬のとり方が違う。厚生年金は、加入したときから自分が受給するまでの期間在職中の計数がつくられておっても、年金の支払い側の方にきわめて有利なような計算になっておるわけです。最近、いろいろ審議会等にも受給者代表の方が入っておられるから、そういう点は多少是正されておるというものの、やはり貨幣価値が非常に変化してきておるときに、対応できるような形にはなっていませんね。だから、そういうものを放置したままではどうすることもできないわけです。  特に、先ほどお話のありましたような無拠出制の老人福祉年金等は、当然もっと早くから高くしておかなければならなかったものが、少ない。そして二万二千五百円を千五百円上げて二万四千円にする、それは七・何%になりますというような理屈は、数字の上のマジックであって、基礎的金額そのものが低いのだから、一〇%上がったって二千二百五十円しか上がらぬわけでしょう。そんな物の考え方で取り組んでおっては、いつまでたってもその格差は是正できない。したがって、基礎的に最低年金額は幾らかということを決め、そこへ早く足並みをそろえるという方法をとらなければならぬ。  そういう方法をとるについて、具体的に一体どういう施策が今日まで進められてきておるか。共済年金の場合は二十年先ですか、六十歳から支給開始をするということに去年法律が変わった。しかし、これも二十年ですよ。こういうことではきわめて前途ほど遠い話であるわけです。では、具体的にどういう施策を進めていかれるのか。
  235. 松田正

    ○松田政府委員 それぞれの年金制度がどういう姿を将来持つべきであるかということにも基本的には関連をいたすと存じますけれども、先ほど申し上げましたように、いわゆる官民格差という問題は、現在八つに分かれております制度の中で、特に共済組合との関係をまず整理をしていくことが必要であろうかと考えております。この共済組合のあり方につきましては、先ほど申し上げましたような研究会等で鋭意御研究になっておられます。そういった動向をも見ながらできるだけ格差の是正には努めていきたい、かように考えております。
  236. 西田八郎

    西田委員 それは大いに努力しなければいかぬことですが、もうすでにパンクしておるような年金があるわけですね。国鉄もパンクしたと言われておるし、郵政等ももうパンク寸前だと言われておるわけですね。一体、パンクしたものに対してどうするのか、これは大蔵大臣からも後でお伺いしたいのですが、補助金を出しておられますが、パンクしたらパンクしただけ補助金を出していくのだということになれば、何がための保険制度かわからぬようになってくるわけです。ですから、そういうことでは、この年金というものを国民の合意と納得の上で改正することはきわめて困難だと思うのです。  そこで、年金のあり方というものを根本的に考え直さねばいかぬのですが、厚生大臣、政府として将来の年金ビジョンというものがあったらひとつお聞かせいただきたいし、大蔵大臣からは、パンクしたら今後、年金を一体どうしていくのかという問題についてひとつお考えを聞かしていただきたい。
  237. 園田直

    園田国務大臣 八つの年金が、それぞれ各省が所管をしてばらばらになっておる。かといいまして、これを一元化することは、その歴史、沿革、経済的な問題等で、これまた、一方は恩給の延長などもあることを考えると、なかなか困難であります。しかしながら、将来は何とかして、所管庁を別に年金庁をつくるという案もありましょうし、あるいは総理府総務長官が所管するか厚生大臣が所管するか、一つのところで責任をとるような仕組みに変えていく。それができたら早急にやらぬと、いろいろ目の前にほころびが出てきそうな時期でありますから、出てまいりましたら逐次一本にまとめていくことを頭に描きながら、まず地ならしをしていく。そして、でき得れば早い機会に被用者と国民年金の二本立てにするとか、そういうことをいま一生懸命やっているところでございまして、私も同じように心配しながら検討いたす所存であります。
  238. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 共済組合がパンクしたらどうするのだということですが、パンクをしないようにしなければならぬわけでございまして、国としては、御承知のとおり老齢化社会が進みますから、たとえば助成の率が同じだとしても金額はふえていくわけですね、数がふえますから。したがって、国はこれ以上特定なものに応援をするわけにいかない。したがって、同じグルーピングをして、まずそれぞれの共済組合同士で有無相通ずるようなことも一つの方法であるし、給付と掛金というのは原因と結果みたいなものでございますから、そういうようなものも考えなければならぬし、支給年齢の問題もございましょうし、やはりいろいろ工夫をして、とにかくパンクをしないようにしていくことだと存じます。
  239. 西田八郎

    西田委員 ここではそういう答弁でずっと終わるということでありましょうけれども、パンクをしないようにと言ったって、もう現実にパンクしている、パンク寸前だという状況にあるわけです。しかし、それは共済制度あるいは保険制度というところからこれを維持する限り、いつまでたっても改定できないと思うのです。ですから、高齢化社会に入ってきた今日においては、ある程度発想の転換をしなければいかぬと思うのです。その場合に一体どういう方法をとるのか。たとえば、ヨーロッパのある国でやられておるように、賦課方式というのもありますね。ことし支払う年金の必要な金額を算出をし、それを納税者あるいは企業等に割り当てて納めさせるという方法もあろうかと思うのです。それでなければ、それぞれの保険制度、共済制度、いわゆる八つの年金制度をそのまま維持していくというのでは、とてもそれは維持できない。したがって、そうしたことについて厚生大臣としてビジョンを持っておられたら、ひとつお聞かせいただきたい。
  240. 園田直

    園田国務大臣 これはしばしば意見は申し上げておったところでありますが、いまの賦課方式その他も、これ以上新しい税を設けて国民に負担を願うことは日本にとっては大変なことで、厚生大臣としてはこれをお願いするわけにはまいりません。かといって、給付と負担の問題は、これまた、このままほっておいてはなかなかいかない。そこで、私としては、現段階では、保険料が受け持っておる分を国費で振りかえてもらいつつ次の財政再建を考えるというふうにしなければならぬのではないかと考えているところでございます。
  241. 西田八郎

    西田委員 どうも私、頭が悪いのかしらぬけれども、どういうふうにお答えをいただいたのかさっぱりわからぬですね。その辺が園田厚生大臣の、先ほどの草川さんじゃないが、お人のいいところかもわかりませんが、さっぱり私はわかりません。要するに、年金は保険を維持しながらそれがパンクしないように、そして負担も公平に、支給も公平にということになると、一体どうしたらいいのかな。私もいろいろ年金問題については研究しておるわけですけれども、いまの答弁では、将来というのは、ちょっと国民の皆さんがこれを聞いたら、老後はえらいことになっていくよ、これはもう死ぬよりほかにないなということになるのではないかという心配をいたしますが、しかし、それは大臣としては、変にここでしゃべれば、またそれがぱっとなにになるから、非常に慎重にお答えをいただいておるのだと私は思うのです。だから、私の方から言いましょう。  少なくとも現在り保険制度を何年間維持するかという年度を目標に定める、そこまでに基礎年金額というものを統一する方向というものをつくり上げていって、そこから切りかえていかなければならぬと私は思う。やはり時代の推移とともに変化していく社会に対応できる政策、それこそが私は、いま政府に求められておる重大な政策転換ではないかと思うのです。したがって、そういう方向で今後検討されるように私は強く要望をしておきたいと思います。  ついでに、ついでにというとおかしいのですが、高齢者問題は、いまや社会の重要な問題の一つでありますけれども、人間の寿命が延びてきたということは、それだけ元気を取り戻したわけでございます。私も還暦近くなってきておるわけでありますが、昔ならこれで定年退職、楽隠居というようなところでありますけれども、きょうびはそうはいきません。これでまた、子供が少ないし、それぞれ皆独立しておりますから、老夫婦は自分の生活は自分で守っていかなければならぬということになりますと、働ける間は働きたい、これはどなたも持っておられる願望であろうと思うのです。  そこで労働大臣、高齢者雇用対策について、これは中高年齢者雇用促進特別措置法等で雇用率というのが決められておるのですが、先ほどの身体障害者も、なかなか雇用率が守られない、そこでペナルティーをかけて、そして雇用保険で金を集めてそれを再配分するというような方式をとられておる。しかし、こういう形にすると、企業は何といったって若いぴちぴちした労働者の方がいいわけですから、多少のペナルティーは払うだろう。しかも、年齢別賃金になっておる今日の状況から言えば、幾ら再就職の場合はダウンさせるといっても、それ相応の給料を払わなければならぬというようなことで、高齢者を歓迎して雇うところはないと思うのですね。したがって、雇用率をせっかく定めているけれども、実際に守っている企業は四〇%足らずですね。  これに対して雇用促進を図るために労働省としてどういう措置をとってきておられるか。先ほど身体障害者お話を聞いていますと、適性だとか何とか言っておられるけれども、そんなことをいま時分言っておってどうするんだ。高齢者雇用に関してはいまからひとつ適正なところをというようなことを言っておったのでは、話にならぬと思うのですね。そういう点で今後一体どういう対策を立てられるのか、どのように今後していかれるのか、ひとつ労働大臣からお聞かせをいただきたいと思います。
  242. 藤尾正行

    ○藤尾国務大臣 お答えを申し上げます。  御案内のとおりでございますけれども、確かに先生おっしゃられるとおり、雇用側から見れば若い方々の雇用の方が望ましい、私はそうだと思います。しかしながら、日本の人口構造を考えてみましても、だんだん出生率が低下をしてきまして、若い労働力が先細りになっていっておる、こういう現状でございますから、そういう状況のもとで力の強い企業だけが若い方々をさっとさらっていきまして、残るところは若い力があられる方方が非常に少なくなっているということになりましたのではいけませんから、若い労働力を御雇用になられると並行いたしまして高齢者の方々も御雇用を願わなければならぬということでございますので、まずもって企業の方々に、いま働いておられる方々の定年を延長していただく、そうして若い方々を御採用になられると同時に、お年を召しましてもその企業の中で働いていただける、若い方々とお年寄りと両方を御雇用いただくというような方向に進んでいただく、これはあたりまえのことでございますから、そのようにいまやっておるわけでございます。  ただ、先生が、確かに考えようによりましてはそのとおりでございますけれども、それをなされない企業に対してペナルティーを課して、その金をもちまして御雇用を促進していただいておるところに支払っておるではないか、こういうことでございますけれども、それはペナルティーではないのでございまして、それをペナルティーというようにおとりになられますと、金さえ払えばいいではないか、こういうような考え方が出てきますが、そうではなくて、達成しないときにはお金をいただきますけれども、同時に、どうしてもこれだけのものを御達成いただかなければならぬという、雇用高齢者の方々にやはり一〇〇%やっていただきますように進めていく、金をもらおうがもらうまいがそれだけはきちっとやらせますでございますから、どうぞ……。
  243. 西田八郎

    西田委員 労働大臣の力強い御答弁で多少安心しましたけれども、しかし、実際はそんなものじゃないのですね。本当に職場に入ってみると、やはり年寄りは疎外されておるのです。だからそれを、ここでそういう答弁をされたと同様に、ひとつ関係省庁、地方の出先機関を督励して、雇用率が達成されるように努力していただきたいということを要請しておきたいと思います。  なお、いまの御答弁の中で、多少私の言ったことが誤解されたのか、言い方が下手だったのか知りませんが、身体障害者はそういうことになっていますね、しかし高齢者はそうではいけませんよということを言っておるわけですから、その点はひとつ十分含んでおいてもらいたいと思います。  なお、一昨年の通常国会予算委員会において、私は、雇用開発委員会を設けてそういう高齢者向きの職場を探すために努力をしたらどうだという提言をし、また、政府の方でもそれを取り上げていただきました。現在、雇用開発委員会というのが全国に五カ所ですか設けられて、いろいろ御討議をいただいているわけです。その報告書等も上がってきておるようでありますが、そういう過去二年ほどの間の運用の中で、一体これからの雇用開発委員会というものをどのようにしていかれるのか。もう全く価値がないからこれは廃止してしまうのだと言われるのか。あるいはことしまたふやすということでありますから、ふやされるということは、私はその効用を認められたと思うのです。  したがって、そういう効果の中から一体どういうふうにして今後取り組んでいかれるのか。ただ単に、どういう仕事があるかということを模索したり、あるいはそのことを討議するという形ではなしに、実質的に、こういう仕事は高齢者ばかり集まってだれかが補助してやれば企業化できるというような方向にまで持っていくべきであると思うのですが、この雇用開発委員会について、今後労働省の取り組みといいますか、そうしたものについてのお考えを聞かしていただきたい。
  244. 藤尾正行

    ○藤尾国務大臣 お答えいたします。  お説のとおり、雇用開発委員会を毎年増設いたしまして、充実に努めております。しかしながら、私自身が不勉強で、まだ細かいことを知悉いたしておりませんので、政府委員答弁いたさせます。
  245. 関英夫

    ○関(英)政府委員 地方の雇用開発委員会は、最初に不況業種、不況地域を抱える五県に設置いたしました。今年度におきましては、これから雇用の発展が見込まれるであろう三次産業を多く抱える県、大都市を含む県に五県置きました。来年度も五県設置することにいたしておりますが、これは第一次産業の比重の高い五県、そんなふうに類型別に順次置いていったらどうかというふうに考えております。  先生御案内のように、そういう地域の雇用の現状、今後どんな産業に発展が見込まれるかというようなことを検討いたしたり、あるいは専門の機関に研究委託をして報告を出していただくというようなことをやって、最初に置きました五県におきましては、そういう研究が順次進んできておりまして、来年度中には、今後どういうところに雇用の発展が見込まれるか、それに対してどういう対策をとるべきかといったような検討結果の成果が上がってくるもの、こういうふうに思っております。私ども、そういうものをいただきました上で、産業関係の出先機関と私どもと一致して、一緒になって雇用対策を進めていきたい、こんなふうに考えております。  また、中央におきましても雇用開発委員会をやっておりまして、中央におきましては、昨年、これからの職業選択の役に立つように職業ハンドブックをつくれという中間報告をいただいております。それによって、いま現在ハンドブックの作成を進めておりますが、今後さらにこれからの雇用の発展の見込めるところに対して、供給側の、先生御指摘高齢化なり高学歴化なりあるいは女子の進出、こういう労働力供給構造の今後の変化を踏まえて、今後どうしたらいいかといったようなものについて、来年度中にはまた検討結果をいただけるのではないかと思っているところでございます。
  246. 西田八郎

    西田委員 そこで局長、いま言うような報告が出てきていろいろ検討された。これはやれば企業化できるようなものができてきた、そういう報告が地方から上がってきた場合、そういうものの企業化については積極的に取り組む姿勢ですか。
  247. 関英夫

    ○関(英)政府委員 今後雇用開発が見込める産業なり業種なりそういったものについて、それぞれの地方の雇用開発委員会で結果がまとまりました場合に、そういうものに対する助成をどうするか、そういうものを含めて恐らく検討がなされるものと思いますが、そういうものをどこで受けとめるべきか、雇用対策として私どもの系列で受けとめるべきか、あるいは企業振興対策として産業関係の出先機関で受けとめるべきか、その辺は具体的になってみないとわからぬと思いますが、いずれにしろ、出た結果を十分受けとめて、関係官庁と十分連絡の上、対策を進めていきたいと考えております。
  248. 西田八郎

    西田委員 そこで、雇用開発機構というような考え方があるわけですね。こういう考え方について検討され、それに対して採用しようというような意図があるかないか、聞いておきたいと思います。
  249. 関英夫

    ○関(英)政府委員 雇用開発機構のお考え、私も十分承知いたしておりますが、国会におけるいろんなお話し合いの中で地方雇用開発委員会が設置されてきた経緯もございます。したがいまして、地方雇用開発委員会の報告が出ました段階でまたよく検討してみたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、今後この地域においてはこういう業種、こういう産業について雇用の観点から進めていくべきである、そのためにはこういうような対策を講ずべきである、こういうようなことが出てまいりますれば、やはり私ども労働省として、あるいは産業官庁と一緒になってそういうものをよく検討していくということによって対策を進めていくことで、とりあえずは足りるのではなかろうか。現在、こういう行政簡素化、行政改革を行うべき時期に新たな機構を設置すべきかどうか、その辺には非常に多くの問題があろうかと思います。そういう意味で、要は、地方雇用開発委員会の検討結果が出たところでまた十分検討してみたい、こういうふうに考えております。
  250. 西田八郎

    西田委員 それはちょっとおかしいのですよ。われわれの言う行政改革とは、むだなものを切れと言っておるのであって、必要なものまでつくるなとは言っておらぬわけですから、その点、誤解のないようにしてもらいたい。まして、今日、高齢者雇用問題が非常に大きな社会問題になってきておる。その問題に専門的に取り組む機構があったって決して悪くないわけであります。むしろ遅きに失しておるわけですので、その辺のところはひとつ考え違いのないようにしてもらいたいと思います。  そこで、渡辺大蔵大臣がおられるので、ひとつ聞いておきたいのです。  いま行政改革の問題が出たのですけれども、やはり福祉には金がかかると言われておるわけなんですが、金がかかってもやらなければならぬのが福祉だと思うのですね。  われわれは、こうして収入が減って不景気になってくると、まず食うことは、これはどうしても始末することができない。そこで、必要な経費ということに、なってくると、着る物を始末するとか、いままで一年に何者か新調しておった洋服を一着減らすとか、靴を一足減らすとかいうことから始まっていくと思うのです。  先ほど申し上げましたように、福祉が人間の生存と生活の安全、これを守っていく上に必要なことであるといたしますならば、それを守るにやぶさかであってはならぬと思うのです。だから、もっとどんどんと現在の不要なもの、政府で出しておられるいろいろなお金の中で支出の不要なものを切っていくという必要があると思うのです。大蔵大臣、そういう点では非常に勇気をふるってもらえると思っておったのですが、あけてみると予算はそうはなっていないし、昨年の予算委員会だったか、医療問題一つ取り上げてみましても、いわゆる不正請求が非常に多いということは周知の事実なんです。ところが、なかなかそれを把握することができないから、みんな不満を言いながらも黙って見ているという状況なんです。それに対して大蔵大臣は、非常に積極的に取り組む姿勢を去年は示されておったわけなんです。ですから、そういう面で改善をしていけばそういう経費は出てくると私は思うのです。あえて増税をしなくても出てくると思うのですが、それについてはもうすでに何遍も述べられておると思いますけれども、所感を聞かしていただきたい。
  251. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 私も、現在の社会保障制度というものを維持していくためには、お金はある程度どんどんかかっていく、これは避けられないと思っているのです。     〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕 しかし問題は、その中でむだがあるかないかという問題が一つございますから、そういうものについてはみんなで省くようにしなければならない。  医療の問題についても、先ほどの方にも答弁をいたしましたが、ともかく、三年間で十五億円も税額で脱税するとか、しかも、そういう者が水増し架空請求をしたいほうだいにしている。これがその人だけであればいいが、ほかにはないという保証もないわけであって、やはりこういうものについては、国民の税金ですから、厳重な監督をしていかなければならぬ。しかし、なかなか手足がないということで、それらに対する工夫をいろいろこらさなきゃなりません。  また、先ほども言ったように、国税の場合においても書いままで、この社会保険診療報酬というものについてはそんなに調べていないのですよ。しかし、安い薬を使って高く請求しているというような者は、これは特例の対象にして七二%控除というようなことはできませんからね、こういう者はもう七二%控除の恩典から外してしまう。どうしてもそれは見つかった部分だけしか外せないというのなら、法律改正をしてでもやる必要があるんじゃないか、私はそうも思っております。  やはりそういう点でむだをなくしていくということも大事なことでして、これはどんどん進めていかなければならぬ。しかし、それには手足がなければできないわけですよ、何百人と人が必要なわけですから。知識がなければだめですよ。だから一朝一夕にはできないが、それが効果を発揮するまでには二年、三年かかるでしょう。しかし、国税庁長官も、そういう点、意欲を持って取り組んでいくと言ってスタートをしているわけですから、大いにやれと私は言っているわけであります。  もう一つは、福祉の問題というのは、やはり私は、あなたが先ほどおっしゃったように、心の問題だと思うのですよ。銭金と権利と義務だけでいい福祉社会なんかできるわけがない。私は九州に行って、二つの、公立の老人ホームと私立のある宗教がやっている老人ホームを見ました。措置費は同じ金が行っている。どうしてこんなに違うのだろう。片っ方は不平不満いっぱいで薄汚かった。片っ方は非常にきれいでございました。私の厚生大臣のとき、片っ方は要求大会だった。片っ方は厚生大臣感謝の夕べだった。同じ金で、片っ方からはしかられ、片っ方からは感謝され、結局、心があるかないかという問題じゃないかと私は実際、思っておるのですね。  話が長くなりますからその程度にしますが、福祉というものはもともと心ですから。福は示へんに一、口、田ですからね。これは示すは、幸いといいますかね、幸いはたんぼのうちに口一つで、これは肥沃だから余る。幸せが余るんだから、これは幸いなんです。社も同じで、私はそういうようなことで、福祉の心というものが徹底しなければ、銭金だけではいい福祉社会はできない、そういうふうに思っております。
  252. 西田八郎

    西田委員 大蔵大臣、都合のいいときだけ銭金の問題じゃないとおっしゃるのは、それはそうですけれども、やはり最低要求、最低必要経費というものがあるので、それは満たしてやらなければいかぬと思う。だから、先ほど言うように、老齢福祉年金を二万四千円に引き上げて、一体一日何ぼだ、八百円ですよ。それくらいの金をもらってどうなるんだ、当然そういう問題は出てくるわけです。ですから、それらの問題については、ほかの不必要なものを削っていくということでなければならぬということを私は言っておるわけなんです。  そこで、たまたま出ましたけれども、厚生大臣、医療問題というのは重要な問題であると思うのです。昨年、健保法の改正によって、指導監督の強化の条項が盛り込まれましたけれども、まだまだ医療機関で節約するべきところ、特に一般の開業医と言われる診療所等においては、もう少し節減できる経費があるのではないか。また、政府の定めている薬価にいたしましても、必要以上の薬価を支払っているのじゃないかというような点が言われておるわけですね。ですから、そういう点について、厚生に造詣深き園田大臣から、将来のそうした問題についての取り組みについて一言、お聞きしておきたいと思います。
  253. 園田直

    園田国務大臣 いまの御発言は十分注意をして、そういう方向で努力をいたします。
  254. 西田八郎

    西田委員 それはもう大いにやってくださいよ、期待をしておるのですから。  次に、外務大臣がお見えになりましたのでお伺いしますが、婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約というのを昨年、署名をしておられるわけですが、これはいつごろ批准をされようとしておるのか。これはやろうと思えば、いつでも手を広げて待ち受けておるわけですが、なかなか国会の方に出てこない。この条約を批准するについていろいろ問題点があるようでありますけれども、一体その問題点は何なのか、ひとつお聞かせをいただきたい。
  255. 伊東正義

    伊東国務大臣 西田さんにお答え申し上げますが、先ほど土井さんからも御質問がありまして、労働の問題でございますとか、国籍の問題でございますとか、あるいは教育の問題でございますとか、各大臣から取り組み方につきまして非常に積極的な御回答があったわけです。でございますので、外務省としましては、去年署名をしたわけでございますので、婦人年があと五年あるからというようなことでなくて、なるべく早く批准の手続ができますように、各省にお願いしまして国内法の整備を図るということをして、できるだけ早く批准にこぎつけられるように最善の努力をしたい、こういうふうに思っております。
  256. 西田八郎

    西田委員 問題点はどこかということを聞いておるわけですが、伊東外務大臣、さすが老練でありまして、その点はうまく避けて通られたように思うのですけれども、言いにくければ私からお伺いしますが、やはり男女の雇用平等の問題が一つあると思うのです。日本の法律は世界的に非常にすぐれた基準法があるというふうに言われておって、しかもそれが邪魔になるからということで雇用平等が図れない、だから改正しろというふうな極論まで飛び出ておるわけでありますけれども、私はそれは誤りだと思うのです。  女性には女性としての特有性がありますし、女性は同時に母性でありますから、それが保障されていくという立場で働いておられるということを考慮していかなければならぬというふうに思うわけでありますが、ここに問題が一つある。  また、高校教育の中で、必須科目としてカリキュラムの中に家庭科というのがある。それは女には必須であり、男は選択である。それも差別だ、こういうふうに言われておるし、もう一つは、日本の場合は父系主義がとられておりまして、戸籍法上、父親が日本人でない限り日本国籍に入れない。だから、母親だけですと、お父さんが外国人の場合は国籍に入れてもらえない、そういう問題があって、沖繩あたりではたくさんの国籍のない子供たちを集めて、何という名前でしたか私ちょっと名前を忘れましたけれども、そういうところで非常に運動を展開しておられる、こういう問題もあるやに聞いておるわけであります。  これはそれぞれ労働省なり文部省なり法務省で早急に検討していただき、解決をしていただかなければならぬ問題であると思いますけれども、特にこの場合に、外務大臣の所管事項としてILO百二号条約というのがあるわけですね。この条約の批准について、一体いつまでも批准がなされないのはどういうことかというと、結局、第八部における母性給付のところにあると思うのです。したがって、こういう問題を早く解決しない限り、いま言う差別撤廃に関する条約の批准もむずかしくなる。だから、やはり同時進行させなければならぬと思うのですが、このILO百二号条約、これは労働省の管轄というものの外務省が批准をされる条約でありますから、一体、将来この批准を求める意思があるのかないのか、あるとすればいつごろその批准を求めようとされておるのか、ひとつお伺いをしておきたいと思います。
  257. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答えします。  婦人の差別撤廃の問題は、西田さんおっしゃったとおりそういう問題がありまして、先ほど各大臣から労働問題、高校教育の問題あるいは厚生大臣の問題、国籍法の問題等、みんな積極的に取り組むというお答えがあったわけでございますし、私どもは、総理府総務長官のところに婦人対策室がありますから、総務長官とよく連絡をとりながら、本当になるべく早く批准するという努力をいたします。  それから、百二号条約でございますが、これはもう西田さん御承知のように、五十一年の二月に批准をしたわけでございます。そのうちで九つの部門がありまして、傷病でございますとか、老齢でございますとか、業務災害でございますとか、そういう問題四つは条約上の義務を受諾するということをやりまして、先生のおっしゃった母性給付でございますとか、遺族給付、医療給付でございますとか、そういうもの五つは、まだ国内法の体制が条約で規定している基準に達しないということで、まだ条約上の義務を受諾してないというのは確かでございます。この点につきましては、関係の省で国内法の整備を図って、この条約上の基準に合うようにという努力をしておられるところでございますので、私どもも、条約を批准して、たてまえ上そういう問題が残っているということじゃなくて、なるべく早くこの条約上の基準を満たすように関係省にお願いをして、やはりこれも早く批准をという段階に到達するという努力をわれわれはやらなければいかぬというふうに思っております。
  258. 西田八郎

    西田委員 これはひとつ早急にその義務を受諾せられるように、各関係省庁と連絡をとりながら早めていただきたいと思います。  ということは、婦人の十年の行動計画表というのが出ていますが、その中のほとんどは、こういう条約だとか差別撤廃条約に関連してくる問題ばかりです。ですから、そういうものが早く批准をされ、また政府でそういう体制がとられない限り、この行動計画も全然進まない。  総務長官がお見えになっておりますが、この施策を展開するということで今後十年にわたってということですが、一から五まで、法制上の婦人の地位の向上、男女平等を基本とするあらゆる分野への婦人の参加の促進、母性の尊重及び健康の擁護、老後等における生活の安定の確保、国際協力の推進、こういうふうに五つ出ておるわけですが、恐らくこの婦人の十年、五年の前半が済んでしまった、何にもできてないんじゃないか。ですから、そういう点で今後どういう取り組みをなさっていくのか。  それから、もう私に許された時間があとわずかしかありませんので、ついでに聞いて申しわけないのですが、ことしは国際障害者年だと言われておる。そのテーマは完全参加ということが言われておるわけですが、その完全参加ということについてどういう計画をしておられるのか。ただ行事だけをやって、やったやったでは話にならぬと思うのです。本当に国民障害者と一体になって障害者年の意味というものを理解し、そこに何らかの前進がなければならぬと思うのです。そのためには、やはりみんなが進んで障害者の方々に対して協力し合える、あるいはお互いに助け合えるというような世の中にならなければいかぬ。私はそういう意味で、冒頭に申し上げましたように、日本社会はそうした障害者老人を締め出す社会になっておると思うのですね。だから、そういう点について、ただ行事を計画するだけでなしに、具体的にどういう方向で国民の意識を啓蒙していかれるのか、そのような点について総務長官から伺いたい。
  259. 中山太郎

    ○中山国務大臣 先生にお答えいたします。  第一のお尋ねの婦人の問題でございますが、この問題は十七日に総理大臣に対する意見具申がございまして、それを踏まえて、外務大臣からもお話がございましたように、条約の批准に向けていろいろな不平等の法律上の修正、そういうものを総理府の婦人対策室を中心に各省と連絡をしながら連日詰めておるということを御報告さしておいていただきたいと思います。  第二のお尋ねの国際障害者年、これについてPRとかそんなことをやったって大して意味がないというおしかりでございます。私は全くお説のとおりだとも考えます。しかし、PRはPR、そして、できるだけ健常人と身障者とが一緒になって社会の中で生きていく、こういうふうな環境づくりというものが必要だろうと考えております。  一例を申し上げますと、東京の台東区の区役所にボランタリー銀行というものがございます。非常に珍しい組織だと思いますが、そこの実態をとらえてみますと、いわゆる身体障害者のボランタリーは、健常人がボランタリー活動に参加するよりも、身体障害者身体障害者のボランタリーをやる方が非常にうまくいくということが実際に出ております。  総理府といたしましては、ボランタリー活動をどんどんとことしは助長していく、そういうふうな政策を展開いたしてまいりたい、このように考えております。
  260. 西田八郎

    西田委員 最後に、いま各大臣にお願いをしておきたいのですが、わが国経済的には非常に成長をいたしました。国際社会の中ではトップレベルにあるわけでありますが、福祉についてきわめて貧困であり、後進国だと言われておるわけであります。やはり国の安全を守ることは、まず、その人の生命の存在と生活の安全を図るということから始まっていくと思うのです。そのためには、何としても福祉というものはないがしろにできない問題であり、かつまた、これに積極的に取り組むことによって国民がその存在というものを意識し、そこからまた、国を愛し、また国をよくしていこうという思想が生まれてくると思うのです。そういう意味で今後の一層の取り組みを要望いたしておきまして、私の質問を終わります。
  261. 小山長規

    小山委員長 これにて西田君の質疑は終了いたしました。  次に、浦井洋君。
  262. 浦井洋

    浦井委員 まず、委員長にちょっとお願いしたいのですが、大臣にお見せする数字の表をちょっと私、渡させていただきたいと思うのです。
  263. 小山長規

    小山委員長 はい、どうぞ。
  264. 浦井洋

    浦井委員 時間が余りございませんので単刀直入に質問をいたしますので、端的にお答えを願いたいと思うわけであります。  早速、具体的な問題に入りますけれども、まず第一の問題は、いまいろいろ取りざたをされております私立の医科大学の問題であります。これは文部大臣も厚生大臣もよく御承知だと思うのですけれども、私立の医科大学が多額の寄付金を取って裏口座を設けてみたり、あるいは入学者の選考とその寄付とが絡み合っておったりというようなことで、私立医科大学のあり方が非常に世間の注目を浴びておるわけでありますけれども、かねがね、もう一つの私立医科大学の大きな問題として、やはり付属病院の差額ベッドの問題があります。  先日、厚生省は差額ベッドの現状という数字を発表されたわけでありますけれども、これを見ますと、学校法人は五十四年七月一日の差額ベッド率が五五%であったのが、去年、五十五年の七月一日には五一%というふうに四%少々下がっておる、やや改善されておるという評価だそうであります。またさらに、差額を本来取ってはならない三人部屋以上、このベッド数の割合も、これは本来ゼロでなければならぬのが三九・一%と、いまも残っておる。  そういう点で私、文部省に端的にお聞きをしたいのでありますけれども、私立大学を所管しておられる文部省なり、あるいは付属病院の保険医療機関としての指導監督に当たっておられる厚生省、どちらでも結構ですが、東京地区なり大阪地区の私立の医科大学の付属病院の差額ベッドの具体的な数字をひとつお示しを願いたいと思う。
  265. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 先生が仰せられました五十五年七月一日のいまの計数は、私の方のものにもそのとおりに出ております。  なお、次に御質問になりました点につきましては、担当者からお答えいたさせます。
  266. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 お答え申し上げます。  厚生省の調査でございますけれども、ただいま御指摘のとおり、五十五年七月一日現在の私立医科大学病院が保有します差額病床は、全病床の五一%ということで、昨年に比べれば四%程度下がっておるわけでございます。ただ、全体的には厚生省の指導基準をなお大幅に上回っておるわけでございまして、その点は、私どもとしてもかねがね指導いたしておるところでございます。今後ともそれらについては十分指導いたすつもりでございますが、ただ、個別の病院の点につきましては、先生のお示しの資料の中にも上がってございますが、先般来資料としても差し上げましたような形で御処理をいただければと考えておるところでございます。
  267. 浦井洋

    浦井委員 個別の大学の差額ベッドの率は文部省として示せないということだそうでありますので、私が調査をいたしました数字、全部ではありませんけれども、これをちょっとここで読み上げてみたいと思います。  いま資料を厚生大臣、文部大臣に、あるいは委員長にお示しをしたわけでありますけれども、まず、差額病床の占める割合でありますけれども、慶応病院七八・九九%。これは厚生省の四十九年、五十三年の保険局長の通達によれば、民間病院でありますから二〇%以下でなければならぬわけです。それが七八・九九%。東京女子医科大学七二・一%、日本医科大学八一・八%、順天堂大学八三・七%、東京医大六五・六、杏林大学六五・五。関西に参りまして、関西医科大学八二・四、大阪医科大学六三・五。それから、これに書いてありませんけれども兵庫医科大学、これは去年、おととし私が指摘いたしましたけれども一〇〇%であります。さらに、その右の方に書いてありますが、三人以上の差額ベッド、これは本来ゼロでなければならぬわけですよね、それが慶応病院が率でいきますと四二・四、東京女子医科大学二五・二、日本医大五九・四、原天堂四三・五、東京医大三七・七、杏林三二・四、関西医大五九・二、大阪医科大学五〇・二、こういうことであります。  確かに、厚生省が発表いたしました数字では五四から五一、やや、申しわけ的に改善はされている。しかし、実情を見てみますと、文部省や厚生省のそういう指導があるにもかかわらず、そういうことがきつくなってくると十六人部屋というようなものをつくって、これが差額なしの保険ベッドだということで、いわば分母を大きくしたり分子を少なくしたりいろいろな操作をやって、やっと五一に下げておるということであります、これは日本医大の例でありますけれども。  しかも、けしからぬことには、今度はその差額料金であります。そこの表に書いてありますけれども、たとえば慶応病院で差額料金が一日五万七千円から千円、最高のところが日本医科大学、これは現在でありますが、一日五万八千四百三十円、最低が四千四百十円、こういうことで、これを大体一年に一回か二回ずつ七%から八%、各大学とも差額料金としてアップをさせていっておるわけであります。だから、たとえば東京女子医大の場合、この表でいきますと、年間の差額ベッドからの差額料金を試算してみますと大体二十五億六千万円になるわけであります。そして、大臣も御承知だと思いますけれども、どの私立医科大学もどんどんと設備投資をやって、そして新しい病棟などの建設をやっておるわけであります。  そういうような、いま注目を集めている私立の医科大学の上に立ってこういう差額ベッドを、文部省、厚生省の指導を無視してむしろ上げていっておるというような状態を、去年の一月二十三日、大学局長の通達で文部省は指導されたわけでありますけれども、文部大臣はこういう数字を見て、これから一体どのようにされていくつもりか、文部大臣から聞いてみたいと思う。
  268. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 お答えいたします。  私立医科大学病院におきます差額病床の問題につきましては、かねてから改善指導を行っておるところでございますが、さきの国会におきまする審議経過も踏まえまして、今後ともあらゆる機会をとらえまして指導してまいりたい。  なお、この問題は、基本的には保険医療機関としての大学病院のあり方とも密接に関連をする問題でございます。大学病院の特殊性を生かしながら、当面、三人部屋以上の病室におきまする具体的な改善を進める方途につきましては、厚生省と協議を進めますように、すでに事務当局間におきましては折衝を持っておる次第でございます。
  269. 浦井洋

    浦井委員 文部大臣、私はいま数字を読み上げまして、大臣も御理解をいただいたと思うのですけれども、お役人のつくられた想定問答集の答えでなしに、一体、大臣として率直にどう思われるかということを聞きたいのです。
  270. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 差額ベッドなるものの発生の原因、過程は存じませんけれども、われわれ当局といたしまして指導をいたしておるものと非常に大きな差がありますことにつきましては、まことに遺憾でございます。
  271. 浦井洋

    浦井委員 そうしたら、これは保険医療機関でありますから厚生大臣にひとつお尋ねをしたいのでありますが、厚生省保険局長の五十三年の通達を見ますと、こういうふうに書いてあるわけですね。五十三年の通達、一の(3)のところに、「患者が希望しないにもかかわらず差額徴収を行い又は、患者に差額病床の利用をみだりに恣ようし、若しくは、差額病床割合が著しく高い等差額負担なしては入院出来ない保険医療機関については、患者の受診の機会が妨げられる恐れがあり、保険医療機関の性格から当を得ないものと認められるので、保険医療機関の指定又は、更新による再指定にあたっては、十分改善がなされたうえで、これを行う等の措置も考慮すること。」こういうふうに通達では書かれておるわけであります。  いま大臣にお渡しをした、私の調べたその表の一番左側、病院名のさらに左側のところに、日付が書いてあります。これは、たとえば慶応病院は、ことしの四月一日が、保険医療機関の三年間の期限が切れて更新の時期であります。同じく東京女子医科大学、八月一日。ずっと八月一日が並んでおります。関西では十月一日。いずれもことしが、幸か不幸か再指定のときに当たっておるわけであります。  先ほどから申し上げておりますように、かなり世間のひんしゅくを買っておる。そして学生からは多額の寄付を取る。しかもこうやって差額料金は取る。国の助成はたっぷりとももっておるというような状況の中で、しかも、こういう私大の病院といえども地域医療を担当していく重要な任務がある。厚生大臣、果たしてこのまま、この時期が来ればすんなりと再指定をしていかれるつもりなのかどうか。直接はこれは東京都なり大阪府の知事の仕事でありますけれども、最高の責任は厚生大臣であります。すんなりとこのまま再指定をやっていかれるのかどうか、厚生大臣のお考えを聞きたいと思う。
  272. 大和田潔

    ○大和田政府委員 お答え申し上げます。  この差額ベッドの解消につきましては、私ども全力を挙げてこれを進めてまいりたい、かように思っておるわけであります。特に私立医大の付属病院につきましては、先ほど先生から御指摘がありましたような状況をできるだけ早く解消していく。これにつきましては文部省とも十分打ち合わせをしながら進めておるところでございまして、今後とも文部省の協力を得て進めてまいりたいと思っておるわけでありますが、先ほど先生おっしゃいましたように、保険医療機関の再指定の際にどうやってこれに対処していくか、こういうような御質問でございます。私ども、漫然とこの再指定をやっていくというつもりは、もちろん毛頭ないわけでございます。われわれといたしましては、これは都道府県がやることでございますけれども、この再指定を行います際には、ぴしっとした改善計画というものを出させることによりまして、スケジュール的にこれは改善していくということを私ども心証を得たというような段階におきまして再指定を行っていく、再指定におきましてはそういうようなことをやってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  273. 園田直

    園田国務大臣 いまの御意見は、先般の国会で健保法の改正をお願いしたときに、その中で指定拒否事由が明確に法定してございます。かつまた付帯事項で、この点は特に厚生大臣は注意をしてやれと御指摘を受けたところでございますから、いまの御発言の趣旨に沿って、すんなり指定するなどという考えは持っておりません。
  274. 浦井洋

    浦井委員 改善計画を出させて段階的に指導のレベルに従うようにさせたい、大臣の方は、すんなりと指定をするようなことはいたしません、こういうお答えであろうと思うのです。  大学の最高の指導監督の責任者であられる文部大臣としてはいかがいたされますか。文部大臣、一言……。
  275. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 厚生省とも十分協議をいたしまして指導徹底いたしたい、かように考えております。
  276. 浦井洋

    浦井委員 大臣はお答えにならぬようでありますが、別の角度からひとつお尋ねをしたいと思うのです。  園田厚生大臣も御承知のように、四十九年、五十三年の厚生省の通達というのは、差額ベッドをなくするために三人部屋以上は差額は取ってはならぬ、差額ベッドの全病床に占める割合というのは、民間病院では二〇%以下に抑えなさい、公的病院は一〇%以下に抑えなさい、こういう原則があるわけです。  私がここで言いたいのは、先ほどの資料で数字をお見せしましたけれども、この中での最高は、日本医科大学の一日五万八千四百三十円。これは、たとえば何かの病気で三十日、一月入院するといたしますと、計算をしてみたら百七十五万二千九百円になる。一体どこの何様が入院できるのか。厚生大臣にしても文部大臣にしても、もし病気になられたらここに入院できますか。国保なり健康保険がおありだろうと思いますが、それ以外にこれを取られるわけですよ。だから、私が言いたいのは、差額ベッド数の割合、あるいは三人部屋以上は取ってはならぬということのほかに、この際、思い切って、これは相談していただいていいのですけれども、差額料金の余りひどいのは規制をするというのが、やはり世論にこたえる道ではないかと私は思うのです。そういう点について、ひとつ大臣の見解をお聞きしておきたいと思う。
  277. 大和田潔

    ○大和田政府委員 この差額問題につきましては、論議をされるべき問題も実はあるわけであります。たとえば、差額ベッドにどうしても入りたいという人もおるわけでございまして、その場合に、この程度の金額なら出しても結構だからそういうようなところに入りたいというような人もおる。したがいまして、一人部屋といったものにつきましては、あるいは二人部屋につきましては、差額ベッドの規制の対象には、現在のところ、していないわけでございます。その場合に、異常な額ということになれば別とは思いますけれども、やはりある程度の額ということになりました場合に、それだけ出しても私の場合はどこそこへ入りたいといったような希望を排除するというのもいかがかという問題がございますので、私どもといたしましては、やはりだれでも入れる、つまり無料で利用できる一般のベッドは確保されるということが重点で指導していくというふうに考えておるわけでございます。
  278. 浦井洋

    浦井委員 それでは私が尋ねた趣旨は意識的に外されておるわけですね。だから、大臣ひとつ
  279. 園田直

    園田国務大臣 文部大臣とも相談をして、特に激しいものについては何らかの方法を講じねば、なかなかやまない、こう思います。
  280. 浦井洋

    浦井委員 厚生大臣から前向きのお答えをいただいたというふうに私は理解をしたいと思うわけです。これは文部大臣もよろしいですね。
  281. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 結構でございますが、同時にまた、私どもの方は、五十二年七月に日本私立医科大学協会の会長の方に、また五十五年一月には各私立医科大学の学長に対しまして、それぞれ文書をもちまして改善の要請を行っておる次第でございます。  なお、厚生大臣とも、ただいまもお話しのとおり相談いたしまして、この問題につきましては善処いたしたい、かように考えております。
  282. 浦井洋

    浦井委員 一応、文部大臣の方からも「結構でございますが、」ということで御賛同をいただいたと思いますので、具体的な施策、方針が出されるのを私は期待して待っておりたいというふうに思います。  そこで、この問題の最後に文部大臣にお尋ねするのですが、先般来この予算委員会でも、私立医科大学のこれからのあり方としていろいろ問題になりまして、たとえば、経理の公開をやれとか、あるいは教授会の権限が弱過ぎる、教授会の自治をもっと強めよとか、いろいろの御意見があったと思うのです。私立の医科大学のこれからに対して文部省としては、どういうスケジュールできちんと、国民の期待にこたえられるようなものに直していく作業を進めていかれるつもりか、簡単にお答えを願いたいと思います。
  283. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 ただいまの御指摘につきましては、われわれの側におきましても、今後のあり方について、本日もここへ出てまいりますまで、首脳部の間におきまして十分に反省をし、検討もし、さらに改善方策を考えなければならないということを相談もいたしてまいったような次第でございます。
  284. 浦井洋

    浦井委員 文部大臣、いつまで大臣をやられるか私は知りませんけれども、やはり具体的に自分の考えを持ってやっていかぬと、私立医科大学なんというしろものは、ある意味ではモンスターみたいなものですよ。それだけの決意がおありですか。
  285. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 大学の医療機関といたしましても、同時に社会的な要請にこたえて医療をいたしておる関係もございます。これに対しまする改善方策につきましては、厚生省と十分に相談をいたしまして善処いたします。
  286. 浦井洋

    浦井委員 これ以上余りなにしても……。これでこの問題は終わります。文部大臣、どうも御苦労さんでございました。  それでは次に、診療報酬の問題について厚生大臣にお聞きをしたいと思うわけであります。  きのうも中医協が開かれたわけでありますけれども、これは先に、事務当局から聞きたいのですが、前回の診療報酬改定は昭和五十三年二月であります。この前回の改定の際に、厚生省が中医協に提出をした資料があります。前々回の改定のときから五十二年九月までのいろいろな人件費や物価をスライドさせて複雑な計算をして引き上げ幅を決めたもので、その基準になっておるわけでありますが、たとえばその基準をそのまま活用するとして、五十二年九月まででありますから、五十二年十月からたとえば五十六年三月、来月までを期間として当てはめてみると、診療報酬の改善率といいますか、上げ幅というのは、歯科、医科あるいは病院、診療所の別にどういう数字になりますか。これは試算は簡単でしょう。
  287. 大和田潔

    ○大和田政府委員 試算はいたしておりません。
  288. 浦井洋

    浦井委員 私は、それが厚生省の意見だというふうには聞いていないわけなんです。厚生省が中医協に前回のときに責任を持って出された資料に基づいて、たとえば計算をしていただいたらどれくらいになるかということを聞いているだけの話なんです。遠慮せんと大和田保険局長、答えていただきたいと思います。
  289. 大和田潔

    ○大和田政府委員 実際問題といたしましていま数字はないわけでございます。この問題につきましては、実はいろいろと上昇率の期間補正といったような問題もございますし、この算式を当てはめます場合にもいろいろな不確定要素があるわけでございまして、そういったような不確定要素をどう見るかという問題も実はあるわけでございます。そういったような不確定要素を仮定してどうこうという話になりまして算定をいたすというようなことになりますと、やはりそれ自体、その数字をつくること自体影響があるというふうに私ども考えておるわけでございますし、そういった仮定をどのようにして出すかという問題自体がやはり大きな問題だということでございますので、実際問題として、私どもまだ計算をするには至っていない、こういうような状況でございます。
  290. 浦井洋

    浦井委員 上手に答えられたと思うのですが、私が試算をしてみました。そうしますと、病院が一七・七九%、診療所で一六・五一%、歯科で一八・七六%、こういう数字が出てくるんですが、大和田保険局長さんは、この数字だというふうに確認できますか。
  291. 大和田潔

    ○大和田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、実は計算をいたしておりませんので、ちょっとその辺はお答えが非常にむずかしいわけでございます。
  292. 浦井洋

    浦井委員 大臣にお尋ねをしたいと思うのですが、これは私のひとり言ぐらいで聞いておっていただきたいと思うのですが、巷間よく言われておるのは、診療報酬の改善というのは八%ぐらいだ。まあ大臣、耳をふさぐか半分ぐらい耳をあけておっていただいて結構ですが、その八%というのは、この薬価基準の下げ幅がかなり大幅で一八%ぐらいだろう、それに見合う診療報酬のアップ分というのは、その三分の一の六%、それに、どう言いますか、プレミアムとして二%を加えれば八%になるというようなことがよく伝えられてくるわけであります。そうなってまいりますと、私が先ほど申し上げた数字、診療所分が一六・五一、それから病院分が一七・七九、数字としては八%とかなり差があるわけです。そういうような開きがあることになりますが、園田厚生大臣としては、こういうギャップをどのように考えられるか、どう説明をされますかね。
  293. 園田直

    園田国務大臣 ただいま、もっともらしいひとり言を言われたわけでありますから、私はそれを答えるという立場にございません。これはなかなか微妙でありまして、この診療費の改定で私がうかつな答えをすれば、この委員会でさらに追及をされる。もう一つは、後ろの方で大蔵省当局が聞いておるわけでありますから、これはなかなか言えない立場で、ひとり言をただ承っておくことにいたします。
  294. 浦井洋

    浦井委員 どうもひとり言と言ったのが逆手にとられたようでありまして、いずれにしても大臣、三年間、診療報酬がとにもかくにも放置をされておる。それで、その結果どういう現象が出ておるかというと、たとえば、いままでの三年間放置の結果、現在の医学、医療の態様といいますか、三年前といまとの変化の差といいますか、かなりなものが出ておりまして、こういう点で、診療報酬自体が実態に合わないものになってきておるということは言えると思うのです。もっと端的に申し上げますならば、患者さんからの要望も、ずっと富士見病院以来、いろいろと強くなってきた。だから、医療機関な方医師の側でも自浄作用が大分働いてまいりまして、薬は余り使わぬ方がよい、不必要な検査は慎もうというような傾向もかなり出ておるというふうに話も聞いておるし、データもそれを裏づけるものがあるわけであります。だから、こういう三年間放置した、そういう変化が出てきた、その現在の状態に適合したような診療報酬の改定なり、あるいはそういう医療を支えていけるような診療報酬の改定というものが必要ではないかと私は思うのですが、これはひとり言でないんで、大臣、答えていただきたいと思います。
  295. 園田直

    園田国務大臣 薬価の改定、これも、一年ごとにやるべきものが三年間延びております。それから診療費も三年何カ月か続いておるわけでありまして、その間、これをめぐる社会経済情勢の変化は非常に激しいものがあります。そういう点は十分承知の上で各方面の意見を承っております。昨日の中医協でこれについて論議されたそうでありますが、これは新聞にも書いてあるとおり、私が諮問したわけではなくて、前もって議論しておこうじゃないかということで議論をされたことだそうでございまして、非常に結構なことだ。これ以上は、私は一歩もお答えするわけにはまいりません。
  296. 浦井洋

    浦井委員 一歩もと。私もう一歩質問したいのですが、薬価基準の改定も年度内だということを言われておるわけであります。その場合に、この薬価基準の改定と診療報酬の改定とが余り時期がずれると、これは大臣も御承知のように、いろいろと矛盾や混乱が出てくると各方面でも指摘をされておるということであります。だから、この二つのものが余り離れた時期ではなしにやられる必要があるということを私は思っておるわけでありますが、大臣、お答えできますか。
  297. 園田直

    園田国務大臣 専門家の意見としてよく承っておきます。
  298. 浦井洋

    浦井委員 診療報酬の問題について、これ以上園田厚生大臣を追及いたしましてもなかなか口を割られないので、この辺にしまして、もう一つ、厚生大臣としてやはり任期中にぜひやっていただいておかなければならぬ問題、すなわちスモンの問題について簡単に、大臣の決意なり具体策なりを聞いておきたいと思うわけです。  厚生省からいただいた二月二十四日現在の資料によりますと、確かに提訴をして鑑定をやって、そして和解をするというような方向で、かなりのケースが解決をしていっておるということは私も否定いたしません。ただ。この表でいきますと、やはり千五百人余りがまだ解決をしておらないということであります。  全体として評価をいたしますならば、スモンの被害者の方々が非常な苦しみの中で悲痛な叫び声を上げて運動を重ねられた、それに対して歴代の厚生大臣もかなり締め上げられた、園田厚生大臣も努力をされてここに至っておるというふうに私も認めるのにやぶさかではないわけでありますが、しかし、大臣もよく御承知のように、現在、最後の詰めのところで、どう言いますか、こういう表現が適切かどうかわかりませんけれども、デッドロックみたいなものに乗り上げておるというふうに言わざるを得ないわけであります。大臣は去年の臨時国会では、臨時国会終了までに全面的に解決をしたい、それから、昨年の年末までには解決をしたいというふうに被害者団体に約束をされておったわけでありますけれども、やはり年を越して、いまもなおデッドロックに乗り上げたままであります。国の方は、厚生省の方は東京地裁が見解を出すからそれを待ってやりたいということを言われるし、東京地裁は東京地裁の方で、そもそも、去年の三月七日に見解を出した、そしてその見解のいわゆる二項に関するケースというのは東京地裁に余りないというような事情もあるし、また軽々に見解を出すと、それに国は従ってくれるだろうけれども、武田、田辺あるいはチバというようなメーカーはこれに従うという保証もないし、ということで渋っておる。メーカーの方は、そういう状況の中でしめしめとほくそ笑んでおるといいますか、解決がおくれれば金を払わぬで済むというようなことで、被告として当然果たさなければならぬ責務を果たしておらないという形になっておるわけです。困っておるのは被害者の方々、未解決の和解に至らない被害者の方々であります。  だから、そういう点で、私がこの予算委員会の席で率直にお聞きをしたいわけでありますけれども、やはり国は確かに被告の一員ではあります。これは紛れもない事実でありますが、同時に、業務行政といいますか厚生行政といいますか、こういうものをつかさどって、そして国民の生命、身体を守る、そしてまた、将来は薬害を根絶するという決意を持って、日常の行政の指導に厚生大臣としては当たっておられるだろうというふうに私は思うので、そういう立場から私は、この一見にっちもさっちもいかないようになっている事態、局面を打開するために、厚生大臣、ひとつもう一歩ぐっと政治的に乗り出していただくわけにいかないだろうか。これは被害者の切なる願いであります。
  299. 園田直

    園田国務大臣 御発言のスモンの問題は、長い間、厚生大臣をされた方が苦労してこられたところであります。受け継いだ私も全力を挙げて努力をしてまいりました。その経過並びに現在の状況は詳しく御承知のはずでありますから、これを繰り返すことはいたしません。基本は、三社に対して、裁判所の出した所見、勧告、これに従って和解をしなさいということで、どうやらぎりぎりまで来まして、これに従うという三社の意思表明はあったが、さて、それが具体的詰めになってくるとひっかかっておる、こういうのが現状でございます。  そこで私は、現在も陰ながら全力を挙げて努力をしておりますが、将来もその方向で努力をいたす決意でおります。いずれにいたしましても裁判所の方が、この三社が聞くか聞かぬか、和解を具体的に出してまとまらなければ大変だと、こわがる問題でございます。大臣は三社に対して命令権はございません。そこで、これについては私は、大臣として権限を越えたような発言をしたりあるいは交渉をしてきたことは、御承知のとおりであります。しかるに、昨年末は私も一生懸命やりましたが、おまえはうそを言ったじゃないか、国会国会の会期内にやる、次は年内にやる、それはできなかったじゃないか、責任はどうする、怒りを込めて抗議するなどと言われて、かさ屋の小僧みたいに骨折ってしかられるということになったわけでありまして、私も人間でありますから、それではなかなかやりにくい。やはり、よくやっているがもう一歩がんばれと、いまの浦井先生のように言っていただければ、ばかでございますから喜び勇んで努力をいたすつもりでございます。
  300. 浦井洋

    浦井委員 ちょっとかけ合い漫才みたいな話になりますが、喜び勇んで努力をしていただきたいと思うのですが、さあこの予算委員会で具体的にどうするということを言えますか。
  301. 園田直

    園田国務大臣 実は三社とも年末から、年が明けてからも絶えず接触をして、お互いにいろいろな法律だ規則だ何だと言わずに、まず社会的な世論、社会的な道義、こういうことを考えて早急に結論を出そうじゃありませんか。また、患者の方には、あなた方のいろいろな意見があれば意見も出しますし、それからまた、あなた方の心配される点については私も、まとまった段階で覚書ぐらいは出してもいいというところまでいま来ているわけでありますが、それ以上詳しいことは申し上げられません。
  302. 浦井洋

    浦井委員 ひとつ喜んで政治家として乗り出して、大臣在任中に、投薬証明のない患者も含めて全面的に解決するということを目標にして、これは私からも、ひとつがんばっていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思うのです。  スモン問題はそのぐらいにしまして、きょうの私のメーンテーマは障害者の問題であったのですが、時間がなくなりまして、一つの問題だけ、ぜひ実現をしたいというふうに思います。  ことしは国際障害者年でありますけれども、私のところへMSW、ある医療ケースワーカーの方からこういう手紙が来ているわけです。  「全介助を要する六十五歳の患者さんの身障手帳の手続をいたしました。ところが植物状態にある人は、手帳交付の対象にはならない。理由は、厚生省通達で更生の見込みがないからであるとのことです。私は更生可能でないということで障害者福祉法から除外されるということは納得できません。むしろだれよりも、福祉法が必要だからです」こういう手紙が、患者さんを世話しておるケースワーカーから来ておるわけです。  大臣も御承知のように、現在の身障者福祉法というのは、視覚、聴覚、言語、音声、肢体不自由、それから内部疾患では心臓、腎臓、吸呼器、こういうところに障害を持つ人で更生能力を持っておる人に限られておるということであります。だから、こういう表現が適切であるかどうかわかりませんが、いわゆる植物人間と言われるような方は、本当は福祉を必要とするのだけれども、身障者福祉法の対象にならない。在宅対策など、どうしても費用と人手が非常にかかるということで困っておられるわけであります。だから、そういう点で、ここでひとつこういう方たちにも、国際障害者年を期して、障害者範囲を拡大していくべきではないか。俗に言ういわゆる植物人間、何か適切な表現があるのかもわかりませんけれども、いわゆる植物人間と言われるような方々も身障者福祉法の対象に加えるべきではないか。  それからもう一つ、時間がございませんから申し上げますけれども、内部障害、心臓や腎臓や呼吸器は入っておりますけれども、たとえば人工肛門とか人工膀胱であるとか、あるいは大臣よく御承知の小人症、こういうような難治性の内部障害、これも身障者手帳がもらえない、こういうことでありまして、これはぜひやっていただきたいと私は思うわけでありますが、どうでしょうか。
  303. 園田直

    園田国務大臣 いまの御発言の問題は、身体障害者福祉審議会ですでに御検討を願っておるところであります。この御提言を受け、いまおっしゃいましたこともごもっともだと思いますので、そういう方向で検討してまいります。
  304. 浦井洋

    浦井委員 前向きな答えをいただいたわけでありますが、たとえば人工膀胱の方なんかの場合、和歌山とか泉南の方で百人ぐらいが、いまそういう会をつくっておられるそうです。そこで、いろいろと私、問いたわけでありますけれども、器具が高くつく、八千円もつく、それから、膀胱の役目をする袋がやはり一カ月に二千円から五千円はかかるというようなこと、それで一生懸命、身体障害者に入れてほしいということで運動をしているんだけれども、これがなかなかうまいこといかぬということで嘆いておられるので、ぜひこれは前向きに検討をしていただきたいというふうに私は思うわけであります。  これで私、質問を終わりたいと思うのですけれども、大臣は、持論として、社会保障社会福祉が充実をするということが何にも増して国の安全保障に役に立つんだ、このことを言われておる。いま私は渡辺大蔵大臣を指定はしておりませんけれども、かなりいろいろとそういう点についても御議論があるだろうと思う。私はやはり意味は違っても、厚生大臣の御意見、もっともっと社会保障社会福祉というものは充実をしていかなければならぬ、このように思うわけであります。残念ながら、本年度の予算案を見てみますと、初めて軍事費の伸びが社会保障の対前年度比の伸びを上回るというようなこと、そして社会福祉の面では所得制限を強化するというようなことで、どうもお二人で妥協をされたようであります。これは私はけしからぬ、この点はけしからぬと思う。やはりもっと本当の意味で、西ヨーロッパ諸国や何かに追いついて追い越すぐらいの充実した社会保障制度や社会福祉制度、こういうものをつくり上げなければならぬ。  特に障害者問題については、ことしが国際障害者年でありますから、世論も盛り上がってきておるし、これは単に、行事をやる、あるいは何とかセンターというようなものをつくるということだけではなしに、厚生大臣は推進副本部長であるわけでありますから、ひとつ思い切って十カ年の国内行動計画も立てて、それが実効あるものにしていく、それだけの基礎固めを大臣在任中にやっていただきたい。で、大蔵大臣は元厚生大臣でもあるし、その辺のことは十分に考えて、ひとつ財政的にもよく相談をして——よく相談をしてと言ったらおかしいですけれども、よく配慮をしてやっていただきたい。このことをお二人の大臣に要望もし、お聞きをして、私の質問を終わりたいと思う。
  305. 園田直

    園田国務大臣 今年度の社会福祉行政に対する予算については、私の力のないことで必ずしも完全だとは言えませんが、私と大蔵大臣の折衝では、両方の意見が衝突をしてある点で妥協したわけではなくて、やはりこういう財政上つらい場合には重点を置くところと少しがまんしてもらうところとやって、そして給付水準が下がらぬように、少しでも上げるようにいこう、こういう点では、私は大蔵大臣もよく理解を願ったものだ。意見が合わなかった点はたった一つ、児童手当を将来どうするかということが意見が合っておりませんが、他はことごとく大蔵大臣と私の意見が合って、こういう財政状態ではまあまあうまくいった。  なお、防衛関係予算と私の方の予算と比べて、何パーセントなどと比べる筋合いのものではないと私は考えております。今後の問題は別であります。私は、ちょっと長くなりますけれども、防衛は不必要だとは考えておりません。やはり日米の関係日本の外交の基軸であり、日米安保は日本防衛の基準であると思っております。しかしながら、防衛が大事か人間の生命が大事か、こういうことは旧憲法か新憲法がという境だと思います。国を守るためには人間はどうなってもいいという考え方は、これは旧憲法の思想であります。人間の生命、健康、これを守る、その守るためには食物が要る、食い物の次には着物が要る、着物の次には住宅が要る。それができて初めて戸締まりが必要であり、これらの集団が平和でいくために防衛ということで、どうしても人間というのが先で防衛は二番目である、こういうことは、変わりはありません。
  306. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 私も、決して社会保障をなおざりにしているわけではございません。できるだけのことはやりたい。御承知のとおり、社会保障をやるにしても財源がなければできないわけでございますから、まずそのためには財政の体質をよくするということでございます。  以上であります。
  307. 浦井洋

    浦井委員 ローマ法王が長崎、広島において非常によいことを言っておられるので、両大臣ともよく勉強して、一生懸命、社会保障社会福祉のために努力をしてほしい、このことを最後に強調をして私、終わります。
  308. 小山長規

    小山委員長 これにて浦井君の質疑は終了いたしました。  次に、石原健太郎君。
  309. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 最初に、行政管理庁長官にお尋ねしたいのですけれども、近年、福祉制度がずいぶん進んでまいりまして、地域には、行政面から、身体障害者福祉司であるとか家庭相談員等、十通りの方が携わっておられます。また民間では、民生委員であるとか身体障害者相談員等七通りまた、訪問看護あるいは保健相談に乗る方として保健婦さんが、市町村の保健婦さんと保健所の保健婦さん、二通り。これだけ大ぜいの方がおられながら、私の住む近所に、当然いまの社会福祉制度で救済されるべき人が、あっちこっちたらい回しをされたあげくに四年も五年もほうっておかれたというケースが間々ございます。行政管理庁では、行政サービス改革運動を推進しているようでありますけれども、こうした地域の福祉行政をどういうふうにとらえておられるか。  それからまた、全く複雑ないまの年金制度、保険制度、こうしたもの、官民格差の是正とか一元化等言われでずいぶん久しいのですが、一向、実現へ向かっての動きが見られません。こうした面は行政管理庁としてどうとらえておられるか、あわせてお尋ねいたします。
  310. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いろいろな福祉施設に働かれる方々が、いろいろな窓口を持ち、あるいは場所によって乱立していると申しますか、統一性がないという御指摘はそのとおりで、受ける方の身になってみますと、何とかこれを窓口を一つにするとかもっと簡略に手続ができて、それらの人たちのめんどうが迅速に見られるようにしてもらえないかという御注文は、ごもっともの御注文でございます。そういう方向に、できるだけ今後の行政システムを持っていくように私たちも改善に努めたいと思っておりますが、いまのところは何しろ縦割り行政の弊がございまして、厚生省系統は厚生省系統、それから文部省系統は文部省系統、そういうようなわけで、ややもすると壁ができておるという状態でございます。これを何とか受ける方の身になりまして、窓口を一つにするという方向に統合していくという形で受け付けの方を努力してみたい、そう思っております。当面は、やはり一番身近なものは市町村でございますから、市町村の窓口でできるだけ受け付けてすぐ連絡をとる、そういうような形にするのが一番やりやすい方法ではないか、そういう点は検討してみたいと思っております。  それから第二に、いろいろな保険制度、年金制度等の格差、アンバランスの問題は御指摘のとおりでございますが、これがために、財源的にもあるいは機構的にもこれを一元化、統合しようということはかねてから言われて、審議会におきましてもいろいろ検討もされ、閣僚協でもいま検討しているところでございます。  当面の問題としては、やはり各庁あるいは各系統の間において均衡を確立するようにする、そして整合性を持たせるようにするということが当面やるべきことではないか。それをやりつつ漸次、大統合あるいは均一性を持たせる方向に改革を加えていくということが、漸進的方法として一番合理的ではないか、そういうように考えます。これらの点につきましては、厚生省や各省当局においてもいま検討中であり、審議会等におきましても御検討中であると思いますので、それを促進する方向で努力してみたいと思います。
  311. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 ぜひ具体的に進んでまいりますように、よろしくお願いいたします。  次に、日本と諸外国との社会保障費のGNPに占める割合がどうなっているか、五十三年度につきまして、日本、イギリス、フランス、スウェーデン等、大蔵省の方から御説明いただきたいと思います。
  312. 松下康雄

    ○松下政府委員 日本が一三・一%、失礼しました。これは日本だけ五十六年度で、その他は五十三年度の数字でございます。(石原(健)委員日本も五十三年度」と呼ぶ)失礼しました。日本の五十三年度一二・一%、アメリカ一三・〇%、イギリス一五・〇%、西独二〇・三%、フランス二九・〇%となっております。
  313. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 こういう現状にありながら、そしてまた、先日の当委員会でほかの委員の御指摘にありましたとおり、急速に迫る高齢化社会を迎え、また出生率の著しい低下を引き起こしている今日、児童手当を減らそうとだけするなどは、日本の将来を考えたとき決してとるべき道ではないと考えるのです。私は、むしろ所得の低い方たちには第二子からの児童手当も考えねばならない時期に来ていると思いますけれども、大蔵大臣、そうではないでしょうか。
  314. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 お答えいたします。  社会保障移転費の対国民所得比というのは日本は低くなっておりますが、これは年金等が成熟化してないということが第一であります。ほかの国は、租税及び社会保障の負担率というのは日本と比較にならないほどずば抜けて高いわけですから、たくさん集めると言えばたくさん出せる、それはもう当然のことだと私は思います。  それから、児童手当の問題についてはいろいろ議論があるところでございますが、長くなりますからやめますけれども、日本の賃金体系と諸外国の賃金体系というのは非常に違っておるのであって、そういう意味からも、一概に児童手当を第二子から出すということには、私は直ちに賛成はできません。
  315. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 私は、最近の青少年の非行の問題、校内暴力とか校外暴力、あるいは学校によっては生徒の三分の一が万引きの経験者、こういう最近の傾向は、一つには、共働きで子供だけがほうっておかれるということも原因になっているのじゃないかというような観点からお尋ねするのでありますけれども、いま私が申し上げたような青少年の問題、大蔵大臣としては、財政面からどのような方向に力を入れていけばこうした問題を解決できるとお考えか、お尋ねいたします。
  316. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 これは文部大臣がお答えすべき事項だと思います。お金を出せば青少年の非行がなくなるかどうかということは、直ちに私も結びつけることができないので、専門外でございますから答弁は差し控えさせていただきます。
  317. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 次に、今日の日本経済の繁栄を築いた方たちはだれかと申しますと、これはだれが見てもいまのお年寄りの方たちであります。その老人の実態はどうかといいますと、五十四年度一年間で、六十五歳以上のお年寄りの自殺者が四千九百二十九人あります。十万人当たりにして四十一・六人。福祉の進んだスウェーデンでは二十六・一人、フランス三十六・〇人です。けさの新聞には、老人ホームの中で殺人事件が起こったというようなことが報じられ、また評論家は、あそこは収容所のようなものだと言われている方もおります。私ども、いまの若い世代は物質的にずいぶん恵まれておりまして、この繁栄を築いてくださったそういうお年寄りたちこそ、もっといまの繁栄の果実をとっていただいていいのじゃないか、こう考えるわけであります。  また、先ほど大臣は心の問題であるとおっしゃいましたけれども、その心の問題というのは、経済的な安定があって、それからまた、健康が十分保持されて初めて得られると思うのでありますけれども、こうした点から大蔵大臣には、日本社会保障費をもっと諸外国並みに引き上げていただいて、老齢年金のなお一層の増額に努力していただきたい、こう考えますけれども、いかがでしょうか。
  318. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 日本社会保障に本格的に取り組んでまだ年月が浅いと思います。浅いと思いますが、そのスピードは世界一であります。私はこれで満足ということではございませんが、やはりお金を出すからにはその費用負担が当然あるわけでございますから、それはサービスと負担の兼ね合いということだと私は思います。  また、老人の自殺が多いということはまことに残念なことです。しかし、私は先ほどもちょっと例に出しましたが、同じ老人ホームでも、心の豊かな老人ホームでは余り自殺者の話は聞いたことがない。しかし私は、やはり健康と経済性と心の問題というのは裏表みたいなものだろうと思います。物と金だけで人間は満足いかないということも事実であります。
  319. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 財政窮迫の時期ですから、支出面での困難はあるかと思います。こういう時期に社会福祉の改善を考えるとなれば、資金をひねり出すためにも、どうしても補助金や公共事業費の見直しということが必要になってくると思うのです。補助金の見直しといいますと、今回の予算編成に当たりましてまず真っ先にやり玉に上がったのが、学校牛乳給食の補助金の打ち切りであるとかあるいは児童手当の所得制限の強化であるとか、また教科書の補助の打ち切り。私なんかが一番大切だと思うものからまず取り上げられてきたわけでありますけれども、見直すところはそんなところしかないのでしょうか。そのほかもっとお気づきのようなものはないのでしょうか、大蔵大臣にお尋ねします。
  320. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 補助金の問題は、総論賛成、各論反対みたいなことが非常に多うございまして、大蔵省としても何十という補助金を実は抑制をしたり削ったりしているのです、千七百億円弱の補助金は切っているわけですから。しかしながら、その一方で自動的にふくれ上がるという補助金もございまして、社会保障関係費では三千三百億円ふえるとか、文部関係では千何百億円ふえるとかというようなわけであります。したがって、これらは、口で簡単に補助金削減が容易にできるように思っておりますが、現実に一つ一つにぶつかるというと、まず法律を直してもらわなければできないというものがたくさんあります。したがって、今後は、いろいろございますが、どうしてももっと補助金を切れ、十四兆もあるんだからということになれば、やはり制度の問題に手をつけないわけにはいかない。したがって、これらについては、国民の代表である国会の皆さんと御相談をしたいと思っておるわけです。
  321. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 厚生大臣は、所信表明の中で老人福祉対策については、「老人が住みなれた家庭や地域で生活できる基盤を整備することが緊要であります」こうおっしゃっておられます。  また、二月四日に厚生省が発表した老人保健法案の骨子の中でも、訪問指導という項の中で保健婦さんの指導ということを取り上げております。医療費のとどまるところのない増高の中で保健予防はきわめて重視されなければならず、保健婦活動はますます期待されるところですけれども、厚生省の方、保健婦さんの実数はどうなっておりますか。市町村と保健所と両方合わせた数を教えてください。
  322. 大谷藤郎

    ○大谷政府委員 五十五年度の予算定員、保健所が六千九百七十四。名、市町村が四千六百九十三名、合わせて一万一千六百六十七名でございます。
  323. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 いまこれは両方足しますと一万五千何がしかになるのでありますけれども、大蔵省予算上の定員は何人になっておりますか。
  324. 大谷藤郎

    ○大谷政府委員 いま申し上げましたのは予算定員でございます。  もう一度申し上げますと、保健所が六千九百七十四名、市町村が四千六百九十三名、合わせまして一万一千六百六十七名でございます。
  325. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 わかりました。じゃ、実数を教えてください。
  326. 大谷藤郎

    ○大谷政府委員 実数につきましては、保健所が七千六百三十四名、市町村が七千四百三十七名、合わせまして一万五千七十一名でございます。
  327. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 この苦しい地方財政下にありまして、市町村は、国民の健康を守るために必要だからこそ、またそれなりの効果があるからこそ、いまの実数と予算上の定員の差額の三千五百名分をおのおの負担していると思うのです。大蔵省の数では、人口一万人当たり一人の保健婦さんにしかなりません。こんなことでは、望ましい訪問看護なんということはとてもできないと考えるのでありますけれども、大蔵省の一万一千六百六十七名というその数字は何に基準を置いているのですか。
  328. 大谷藤郎

    ○大谷政府委員 保健所及び市町村の保健婦の予算定員につきましては、基準というものはございませんで、従来実績で積み重ねてきた数字でございます。
  329. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 これから在宅福祉とかいうものが重視されてくる折、また老人医療制度なんかが新たに発足するときに、そういう基準もないようなことではちょっと心もとない感じもいたしますので、こういう点の整備は必要じゃないかと思うのであります。  そこで、厚生大臣の経験もある大蔵大臣にお聞きしたいのですけれども、訪問指導とか疾病予防という観点からの保健婦さんの増員ということについてはどういうふうにお考えか、お聞きしたいと思います。
  330. 大谷藤郎

    ○大谷政府委員 保健婦の重要性につきましては、私ども十分認識いたしておりまして、従来から努力いたしております。たとえば保健所及び市町村の保健婦につきましては、国家公務員の定員削減計画ということで実施いたさなければならないわけでございますけれども、たとえば保健所保健婦につきましては定員削減の対象外とする、市町村保健婦につきましては定員削減を行っておりますけれども、それに見合う増員をいたしましてプラス・マイナス・ゼロということで、国といたしましては最大限の努力を払ってきた、こういうことになっておるわけであります。
  331. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 ただいま厚生省から答弁したとおりでございまして、また、私どもとしても、保健婦の活動は大切ですし、入院するだけがいいわけじゃありませんから、まず病気の予防が一番いいのだし、軽症ならば家族と一緒に在宅がいいのだししますから、そういう点で、各省庁とも非常に定員削減をしたのですが、今回は、いま答弁のとおり定員削減の対象外にしたというのは、その気持ちのあらわれでございます。
  332. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 これで質問を終わります。
  333. 小山長規

    小山委員長 これにて石原君の質疑は終了いたしました。
  334. 小山長規

    小山委員長 この際、御報告いたします。  去る二十三日、分科会設置の際、分科員の配置及び主査の選任につきましては委員長に御一任願っておりましたが、分科員の配置につきましては公報をもって御通知いたします。  次に、分科会主査は次のとおり指名いたします。        第一分科会主査 橋本龍太郎君        第二分科会主査 塩崎  潤君        第三分科会主査 上村千一郎君        第四分科会主査 武藤 嘉文君        第五分科会主査 海部 俊樹君 以上であります。  明二十七日からは分科会の審査に入ります。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十七分散会