○野坂
委員 一番初めにわかりやすくお尋ねをしますからと言っておったのですが、雇い方についてもいろいろな高低があるようなお話で、数字を挙げてお話しになりませんでしたので、私からお話しをしたいと思います。
厚生省の場合、有病率は全国平均が大体一一%、全国の平均はありませんが、五十二年に熊本県では二五・四%、北九州市では三三・一%、大阪では五十一年に三四・七%、こういう関係になっておりまして、おおむね有病率は一般地域の場合に比べて三・五倍、こういうことになっております。障害者の場合は、全国平均が一・八%でありますが、被差別部落の場合は二・七%、一・五倍であります。生活保護基準の場合は、保護率は大体六倍強というのが実態であります。失業率の場合は、大体二%が全国平均でありますが、被差別部落の場合は、大阪で二八・五%という数字を挙げておるわけであります。これが実態でありまして、文部省からお話がありましたのはそのとおりだというふうに私
たちは承知をしております。
総理大臣、わかったでしょうか。
——わかりましたね。
私は、そういう中で、いま法務省からお話がありました部落地名総鑑、いわゆる差別をする総鑑でありますが、こういうものに対して部落差別事件というのが約二百件程度というふうにお話しでありますが、われわれは四百七件というふうに承知をしております。先ほどお話がありましたように、千百五十件程度であったということでありますが、その中身を精査してまいりますと、あるいはあなた方の言う百八十六件ということになるかもしれません。しかし、全体的には千百五十件、差別問題がありましたね。この中で一つも消えないというのが今日の状況なんです。非常に多くなっておる。しかも、この十二年間で悪質化しておるということが言えます。
たとえば、
総理や大臣の皆さんのところにお配りしておりますが、こういうのがあります。差別の文で、これを読めばいいのですが時間がありませんから。その中で各企業が反省文を出しております。名前を読み上げますと、安田信託銀行、小林製薬、麒麟麦酒、東洋現像所、信越化学、三井造船、日新製糖、第百生命、
日本テトラポッド、キッコーマン、田辺製薬、豊中信用金庫、ダイハツ工業、住友電工、光洋精工、日の出証券、以下二十数社書いてあるわけでありますが、これで省略をしておきます。
その中で特に、あなた方がお調べになりましても、そういうときには焼却して、ないということをおっしゃっておる会社で、たとえばここにありますが、中国電力株式会社の文を一遍読んでおきます。
「一九七九年六月に、広島法務局の調査に際し、会社の
立場だけを考え、図書の利用期間を短くして、できるだけ
社会的批判を免れたいと考え、図書は一九七二年秋に焼却したと偽りの回答をし、実際には、広島法務局調査直後の六月二十三日に焼却廃棄いたしました。」一九七九年までずっと持っておったんですね。「なお、一九七七年八月の広島県人権擁護
委員連合会・広島法務局連名による差別冊子購入等のアンケート調査に対しても、「購入勧誘および購入の事実はない」と偽りの回答をしておりました。」というように、企業が、就職をするときにそのものを利用したと言っておるわけです。ここでも述べておりますが、「当社が差別図書を購入した一九七二年以降の身元調査の実態とその
影響について、部落解放同盟の要請により」
云々と書いてありまして、「その結果、身元調査によって
影響をうけた者が確認されました」こういうことを認めているんですね。就職のときに差別をしました、こういうことをはっきり明記しておるわけであります。非常に問題であります。
そこで、ここにもありますが、大臣方にもお渡ししておるわけですが、綜合警備保障調査部の調査報告書に「特」というところがあるんですね。いわゆる興信所にお願いすると、「特」というところに部落出身かどうかを書くようにちゃんと指示してあるわけですね。そういうこともございます。
さらに、差別は命をとるということを、私はこの
委員会を通じて明らかにしておきたいと思うのです。ここにも出ておりますが、浅野佳代さんという方の遺書があります。前文と後だけちょっと読んでみます。「あなたに私はいままでうそをついてきました。実は私は部落の人間です。私は、隠し通せるならば死ぬまで隠したい。」だから、あなたと一緒に私の徳島の里には行きたくない。それからずっといろいろ書いてありまして、「どうかこの次、女性を愛するときは、健康で家柄のよい、お母さんに気に入ってもらえる人をお嫁さんにしてください。さようなら」こう言って自殺をしております。いまちょっと読み上げたのですが、こういうのはたくさんあります。これだけあります、時間がありませんから多くを申し上げませんが。このような
民主主義の時代に、差別が人の命をとる、何人もの命をとるということはあってはならないことだと私どもは考えるわけです。
さらに、最近新聞に出ておりますが、ここに領収書がございますが、一遍、差別のこの地名総鑑を売っておいて、そして君が買ったことをばらすぞ、だから金を出せと言って、ここに二十万円の領収書がありますが、こういうものもある。全く悪質化しておりますね。
こういう事情を受けて、先ごろも大原さんやあるいは参議院の本
会議でお話があったわけですが、実態を把握して、総合的
改正をしなければならない。そして有病率も失業率も、何倍も一般部落よりも被差別部落には多いというこの現状、この十二年いろいろと環境の整備はされましたが、今日こういう実態がある。特に被差別部落事件は非常に多い。そして人の命をとる。こういう現実を踏まえて、
総理大臣は、最善の努力をしたい、あるいは本
会議では、可及的速やかに
結論を得るように努力をしたい、こういうふうにお話しになっております。
そこで、時間がありませんから、
総理大臣にお尋ねをいたしますが、可及的速やかに
結論を得るようにする、それは総合的
改正、いわゆる三項目を確認されておりますように法の総合的
改正ということを基本にして、そして最善の努力をしてもらうだろう、こういうふうに思います。その最善の努力は、園田厚生大臣が御
答弁になりましたが、ことしの七月までに集約をしたいということでありました。この法律は五十六年度で終わりなんです。五十七年三月三十一日で終わるわけです。だから、この
国会というのが一番の中心になっていかなければならぬ、こういうふうに思います。この後、一般質問なり各分科会で、それぞれの問題を同志同僚の
議員の皆さんが新たにそれぞれの大臣に御質問になるだろうと思いますが、こういう状況を踏まえて、できるだけ最善の努力をする、可及的速やかにというのは、この
国会の期間中にということが考えられるであろうか、その方に努力をされることを私は期待いたしますが、そういうふうに考えてよろしゅうございましょうか。