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1981-03-18 第94回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年三月十八日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 佐藤 守良君    理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君    理事 畑 英次郎君 理事 堀之内久男君    理事 阿部未喜男君 理事 鈴木  強君    理事 竹内 勝彦君 理事 西村 章三君       秋田 大助君    鴨田利太郎君       川崎 二郎君    長谷川四郎君       早川  崇君    吹田  愰君       水野  清君    森  美秀君       久保  等君    武部  文君       楯 兼次郎君    鳥居 一雄君       木下敬之助君    藤原ひろ子君       村上  弘君    依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 山内 一郎君  出席政府委員         郵政政務次官  渡辺 紘三君         郵政大臣官房長 奥田 量三君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君  委員外出席者         文部省社会教育         局審議官    七田 基弘君         参  考  人         (日本放送協会         経営委員会委員         長)      原  俊之君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    中塚 昌胤君         参  考  人         (日本放送協会         技師長)    高橋  良君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   山本  博君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   反町 正喜君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   武富  明君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     坂倉 孝一君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     田中 武志君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     海林澣一郎君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     渡辺 伸一君         参  考  人         (日本放送協会         経営総務室室         長)      片岡 俊夫君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   青柳 保夫君         参  考  人         (宇宙開発事業         団理事長)   山内 正男君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十八日  辞任         補欠選任   武部  文君     山田 耻目君 同日  辞任         補欠選任   山田 耻目君     武部  文君 三月七日  辞任         補欠選任   正木 良明君     鳥居 一雄君 同月十八日  辞任         補欠選任   福永 健司君     水野  清君     ――――――――――――― 三月三日  郵便年金法及び簡易生命保険及び郵便年金の積  立金の運用に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣提出第三九号)  公衆電気通信法の一部を改正する法律案内閣  提出第四〇号) 同月十六日  日本放送協会昭和五十四年度財産目録、貸借対  照表及び損益計算書 同月十八日  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第四  九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ――――◇―――――
  2. 佐藤守良

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。畑英次郎君。
  3. 畑英次郎

    畑委員 私は、五十六年度NHK予算関連質問に入ります前に、昨年とりわけ受信料改定という問題を踏まえましていろいろ論議がなされたわけでございます。その節もいろいろやりとりがあったわけでございますが、NHKさんの置かれております立場における使命といいますかあり方、こういうことをめぐりまして真剣な質疑が行われたわけでございますが、私は、この問題はやはり毎年この点に触れざるを得ない、さような要素のある今日の姿ではなかろうかというように考えるわけでございます。NHKにおきましては、最近におきましてのテレビ番組等、それなりの評価をされておりますような放映がなされておりますことにつきましては、敬意を表する次第でございまするけれども、過去数カ年間、五十一年から五十五年にわたりまして、この予算案承認される場合におきまして委員会附帯決議が行われておるわけでございます。まず郵政大臣並びにNHK会長さんにお尋ねしたいことは、この附帯決議の中にいろいろな項目が盛られておるわけでございますが、それぞれのお立場におきまして、附帯決議の中において那辺に一番御関心と御熱意をお持ちになっていらっしゃるか、この辺につきましての御所見をまず伺いたいと思います。
  4. 山内一郎

    山内国務大臣 五十五年の四月十日に衆議院のこの逓信委員会附帯決議の御決定をいただいております。  六項目ございますけれども、「放送不偏不党表現の自由を確保すること。」これも非常に重要なことでございます。それから次は、テレビジョン放送の難視聴対策の問題、これはNHK使命として、日本の国内において至るところどこでも見られるようにするという一つの基本的な使命がやはりあると思います。さらには、三番目としては企業努力の問題、受信料によって放送をされております関係上、受信料を集めることの努力、さらにはいかに有効にその金を使って放送をやるかというような努力の問題。さらには、経営あり方の問題が四番に掲げてあるわけでございまして、将来にわたって受信料改定を極力抑えていくという問題。そのあと二点、経営委員会運営の問題、それからローカル放送の強化の問題、いろいろございますが、要するにカラーテレビがほとんど普及されましてNHK受信料の増ということがだんだん厳しい条件に置かれてまいりますので、一層その点を、長期ビジョンを考えながらどういう点で改善をしていくか。なお、受信料を徹底的に集める、こういうような点でNHKの一層の御努力を願いたい。こういうことをこの附帯決議を読みまして私は考えているところでございます。
  5. 坂本朝一

    坂本参考人 NHKといたしましては、いま大臣からお話がございましたように、委員会附帯決議でございますから、それぞれ一つ一つ重要な御指摘というふうに受けとめておる次第でございます。特に、放送不偏不党表現の自由を確保するというのは、毎年いただいている附帯決議で、この点を守ることが私の大きな使命一つであるというふうには認識しておるわけでございますが、特に五十五年度の場合には、協会経営環境の厳しさから長期経営ビジョンを策定すべきではないかという御指摘で、私はまことに御指摘のとおりだと考えまして、局内に私の諮問機関としての長期ビジョン審議会を策定いたしまして、現在先生方にその点について精力的に御検討いただいておる次第でございます。したがいまして、どれが重くてどれが軽いということはございませんで、すべて重要だと思いますが、ことさら長期ビジョンにつきましては、私といたしましては格段努力をしなければならぬというふうに認識しておる次第でございます。
  6. 畑英次郎

    畑委員 私はただいまこの附帯決議についての御見解あるいは受けとめ方といった点について伺ったわけでございますが、私の立場から申し上げたいことは、この五十一年から昨年までの附帯決議の中で毎年盛られておることは、「放送不偏不党表現の自由を確保すること。」この項目が私にとりましては今後におきましても最も重要な、そしてまた責任ある対処をしていかなくてはならない重要項目である、実はかように考えておるわけでございます。とりわけNHKの場合においては、国民の一部の方におかれまして半官半民であるというようなとらえ方が、私は一部と申し上げますよりも、そういうような認識を持たれておる向きが多いのではなかろうかと考えるわけでございます。この点については、ゼロ官全民といいますか、いわゆるスポンサーはあくまでも視聴者方々のみだ、さようなお立場に立たれておるというユニークな、そしてまた今後においても私はこの姿を堅持していかなくてはならぬと考えておるわけでございます。  さような意味合いにおいて、残念ながら最近、この不偏不党問題等をめぐって週刊誌あるいは雑誌等でいろいろなことが報道されておるわけでございます。私はああいったことが事実無根であることを期待いたしておるわけでございますが、火のないところには煙は立たないということもございますので、この辺については十二分に御留意と、引き続き真剣なお取り組みを賜りたいと考えるわけでございます。  そういう中にございまして、昨年受信料改定がなされたわけでございますが、この昨年の論議の際においても、三年後、五十五、六、七、これを経過いたしました五十八年にはいわば受信料の再度値上げをせざるを得ない、さような意味合いの中における先般の改定であったと私はとらえるわけでございます。しかしながら、この一年間を経過しました今日におきまして、最近はとりわけ国におきましても行政改革ということが真剣に、そしてまた国民的な課題としまして要求がされておるわけでございます。こういうことを考えました場合に、とりわけ従来の行政改革よりさらにまた積極的な真剣な取り組み、五十七年度は、最近のやりとりの中におきましては増税をなすべきではない、そしてまたさらに減税へといったような行政改革の姿勢が打ち出されつつあるような今日の時期でございます。こういう中にございまして、NHKさんにおかれましても、去年とことしの予算の将来の見通し、こういうものに対しては違った角度から、あるいはまた五十八年度以降どのような取り組みをなされていくのか、これに対する郵政省のお立場、この辺につきまして大臣並びに会長から御所見を伺いたいと思うわけでございます。
  7. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろ財政面等、国全体についてもそうでございますけれども受信料をもらって放送している、この受信料の点につきましては、従来もそうでございますけれども、今後とも、安易に受信料を上げてもらいたい、こういうことはとても許されるべき問題じゃなかろうと考えているわけでございます。大変な努力をして、このようにいろいろ企業努力をやっております、しかもなおかつ経営が非常にむずかしいというような場合は別でございますけれども、そういう点がないようにひとつ最大の企業努力をしていただきたい、こう考えているわけでございます。
  8. 坂本朝一

    坂本参考人 冒頭の先生の御質問お答えいたしましたように、その点、私といたしましては、社会的責任を果たすために格段努力をしなければいけない、特に、御承知のように、現在のNHKの置かれております客観的情勢の中では、いわゆる抜本的な経営努力を一層推し進めるべきであるということで、冒頭申し上げましたような委員会をつくって現在検討を進めている次第でございます。  なお、それらのことにつきまして、多少具体的な点につきましては担当からの御説明をお許しいただきたいと思います。
  9. 山本博

    山本参考人 ただいま会長が概括的に御説明申し上げましたが、五十七年度までの三カ年計画の大体の今日の時点におきます推移から判断いたしますと、初年度においてやや収入の欠陥がございましたけれども、それを補いまして、企業努力をいたしまして三カ年間はほぼ収支相償でまいることができるのではないかという見通しを持っております。  しかし、ただいま御指摘がございましたように、NHKの性格並びに受信料制度というものは、少し表現が適切かどうかわかりませんけれども国民の日々の信認を問うて、それを得て企業運営されているというものだと思いますので、NHK側としましては、今後においてなお国民との間に御理解を得るための努力は日常的に大いにしなければなりませんし、また合理的な企業経営というものによる経費の節減、こういうものについては、この三カ年間の計画の中に盛り込まれております以上に、なお今後の期間の間にいたさなければならない、こういうふうに思っておりまして、五十八年度以降においてはどういう具体的な内容になるかと申しますと、これは現在審議されておりますビジョン委員会の中で五十八年度以降のNHKあり方についても御審議を願っておりますので、その御審議のめどのついた段階におきまして、私たちが改めて五十八年度以降のものについて具体的な案を作成いたしたいと考えております。
  10. 畑英次郎

    畑委員 私先ほど申し上げましたとおり、NHKのお立場におきましては、不偏不党そしてまた表現の自由ということを踏まえましたお立場、非常にこれから先もむずかしく、そしてまた責任のあるお立場でございますが、その反面、財政基盤確立されておるということがうらはらにベースになくては、今後のさような運営がむずかしいというようにも考えるわけでございます。私が先ほど申し上げましたように、三年サイクルで受信料が安易に改定される、値上げされる、そういうような環境が、だんだんそれにつきましては厳しくなりつつある。昨年とことしの比較においてすらそういうことが言えるわけでございますから、五十八年度以降におきましては、その辺をさらに厳しく受けとめる姿の中における今後のあるべき姿、そういうものの確立に引き続き御努力を賜りたいと私は考えるわけでございます。  そういう中にございまして、この財政基盤の大宗をなします受信料が、五十六年度数字の上では一・二%しか伸びが見込まれないといったような形に相なっております。そしてまた、四十七年ごろにおきましては一〇%台の伸びがあったが、今後におきましてはさらにこの伸びといいますものは一%を割る、あるいは横ばいといいますか、そういうことも当然予想されるわけでございます。こういうような意味合いから申しまして、私は特にこの際重ねて申し上げておきたいわけでございますが、従来の取り組み方と変わった意味合いの、違った意味合いでのNHKのあるべき姿、こういうものが国民各階各層方々から要求されるのではなかろうかと考えますし、あわせまして、NHKに課せられております業務内容、これが放送法の中にそれぞれうたわれておるわけでございますが、さような意味合い財政基盤確立、そういうことの関連の中におきましても、放送法の改正ということをも考えざるを得ない。現在与えられておりますような荷物を背負った形の中におきましては、今日のNHKに寄せられております業務内容をそのまま維持し、それを質的に向上していく、そういう姿の中にございましてはどうしても受信料値上げをせざるを得ない。かえって一面民放の存在、民放の発展等々を考えました場合には、NHK業務範囲あるいはまた荷物といいますか、仕事内容といいますか、業務内容といいますか、そういうものに大きくメスを入れまして、改善を図る姿の中における受信料あり方、こういうことを考えるべきではなかろうかと考えるわけでございます。この辺につきまして再度大臣並びに会長の御意見を伺いたいと思います。
  11. 山内一郎

    山内国務大臣 私は非常にむずかしい問題だと思いますけれども公共性を失わないように、民放のやり方と違うように、中立公正といいますか、それをやるためには大部分受信料に頼らざるを得ない。しかし、それ以外にもいろいろ工夫されて、経営合理化は当然でございますけれども収入の面においても何か御検討いただきたい。これはNHKの方でも一生懸命勉強されておりますけれども、そういう点について、何年ごと値上げというようなことでなくして、一年でも二年でもいいから延ばしていくように、そういう点についても御努力願いたい、こういうふうに考えております。
  12. 坂本朝一

    坂本参考人 私どもNHKに寄せられております現在の視聴者の御期待がいろいろ多様化している、そういう現状の中でその責任を果たしていく、しかも先生指摘の、安易に受信料値上げをするというようなことなしに果たしていくためには、格段努力が必要であることは言うまでもないことでございまして、それがどういうことであるのか。これはやはり放送法絡みの問題も出てまいりますでしょうし、いわゆる副次収入等の問題にもメスを入れなければならないかと思いますし、あるいは来るべき技術革新による付加価値と申しますか、そういうものにどう受信料が対応していくかということにもつながるかと思いますが、いずれにいたしましても、基本的には受信料制度を守って、そして国民期待にどうこたえていくかということを考えるのが私ども責任であるという認識のもとに努力をいたしておる次第でございます。
  13. 畑英次郎

    畑委員 具体的な問題に入らせていただきます。  五十六年度予算案の中に給与予算が九百二十八億組まれておるわけでございますが、前年対比七・三%の伸びに相なるわけでございます。この七・三%のよって来る、何といいますか裏づけ、この辺について御説明を賜りたいがというふうに考えますし一なおまた、昨年かなり論議を呼びました要員効率化の問題、これにつきましては、五十五年から五十七年にかけまして六百人、そしてまた五十八年、五十九年にかけましては六百人、合わせまして千二百人以上の要員効率化を図るということが言われておったわけでございます。この辺の将来構想を踏まえました五十五年度間における歩み、こういうものにつきましてもあわせてお答えを願いたいと思います。
  14. 武富明

    武富参考人 お答え申し上げます。  本年度人件費の七・三%でございますけれども、一応ベア部分といたしましては七%を見込んでおります。そのほか最近の事業運営上から申しまして、時間外その他の増高というのも多少見なければならぬと思いまして、その分について〇・三%見て、合わせまして七・三%、こういうことにいたしたわけでございます。  それから効率化の現況でございますけれども、ただいま先生が御指摘になりましたように、昨年、三年間で六百人、五年間で千二百人という目標を立てました。五十五年度、つまり本年度につきましては目標百人、来年度は二百人、その次が三百人、こういう目標を立てているわけでございます。いままさに五十五年を終わらんとしている時期でございますけれども、この時期に一応百人の効率化をいたしますと同時に、効率化をいたしますときにわれわれ考えておりましたのは、これからいろいろ増高していく業務というものに対応する基盤整備というものをあわせて考えたわけでございます。したがいまして、この一年間百人の効率化をいたしまして、一方、自然にふえます受信契約の増とかあるいは置局、その保守のための要員とかそういったもの、そのほかいろいろ特別番組先生がいまお触れくださいましたように、番組その他のいろいろの充実がございます。そういう点にある程度の人員を見込みまして、五十人というものを一応の増要素として考えたわけであります。したがいまして、百人効率化をいたしまして五十人減員をする、これは年度末に完全に達成できるという状況にございます。  それから来年度でございますけれども、いま二百人というものを目標にして計画を整えております。内容といたしましては、管理・間接部門の削減を初め幾つかの項目につきまして具体策を練っておりますが、本年度と同様に来年度もこの二百人の効率化というものを達成するつもりでございますけれども、同時に、来年度、同様にどうしても増強していかなければいけない部分というものがございます。これらにつきましては八十名という限定にとどめたい、こういうことでいま効率化具体計画を立てているわけでございます。  年度ごと事業計画を立てますので、増要素というのは年度ごとに定めることになりますので、一応来年度までは確実にやってまいりたい。さらにその先の増要素につきましては、その都度増を決めましてそして効率化の実績を上げてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  15. 畑英次郎

    畑委員 現在人件費予算に占めます割合が大体三分の一程度というように理解をいたしておるわけでございますが、ただいまの九百二十八億に、そのほかいわゆる社会保険あるいは厚生費的なもの、人件費的な経費が他にもいろいろあろうかというように私は考えるわけでございます。時間もございませんので余り数字のことは申し上げませんけれども人件費の規模、これにつきましては非常に論議を呼んだところでもございますし、引き続きただいま申し上げますような要員効率化を含めまして御努力を賜りたいがというように考えるわけでございます。  次に、国際放送の問題に移らせていただきたいと思います。  この国際放送の問題につきましては、先般の鈴木総理ASEAN諸国の歴訪に関連しましていろいろ問題が提起されておったところでございますが、これにつきまして放送法上、いわゆる国際放送につきましては国の予算をもって賄うといったような意味合いのことがうたわれておるわけでございますが、現在の国際放送に要します費用に対する国からの交付金といいますか交付比率、こういうものにつきましては、五十五年度あるいは五十四年度、この辺を見ましても大体二五、六%というような認識を持たせていただいておるわけでございますが、この辺につきまして郵政大臣とされましてはどのような御見解をお持ちでございますか、お答えを願いたいと思います。
  16. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  国際放送は、御存じのようにその重要性がつとに叫ばれておりますわけでございまして、郵政省といたしましても、従来からNHKへの交付金の増額を図ってまいったつもりでございます。  五十六年度でございますけれども、非常に厳しい財政状況にありますわけでございますが、御存じのように国際放送交付金は本年九億九千八百万円というようなことで、前年度より五・七%の増になっております。郵政省一般会計予算伸びが一・四%でございますので、比率といたしまして私どももできる限りの努力はいたしておるつもりでございますけれども、なおこの国際放送重要性にかんがみまして、今後とも努力を続けてまいりたいというふうに考えております。  先ほど先生おっしゃいましたように二六・六%というのが政府交付金分、こういうようなことになっております。
  17. 畑英次郎

    畑委員 私はこの問題は、やはり受信改善策といいますか、なおまた現在KDDさんに委託いたしております形でもって行われておるというように承知をいたしておるわけでございますが、この辺の実態あるいはまた取り組み方、私は発信の方、そしてまた受信の方、双方に問題があるんではなかろうかというような認識を持っておるわけでございますが、これに対する局長のお考えをお願いしたいと思います。
  18. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、国際放送というのは短波というものでやっておるわけでございますが、送りの側も大変重要でございますけれども、また受信の側にもある程度の基本的知識と申しますか準備をしていただかないと、何分にも時間的あるいは季節的にも電波の伝わり方が違う、あるいは外国からの混信も入るというようなことで、それを利用するのには大変知識も要るということでございますけれども、現状といたしまして、送りの側でございますけれども、在外モニターからもいろいろ報告が入っておりますが、何分にも遠くにございます、ヨーロッパあるいは中東、あるいは北米東部、中南米等、在留邦人も非常に多いわけでございますけれども、正直に申し上げまして必ずしも受信状況はよくないというふうに認識いたしております。  このような状況にどう対処したらいいのかということでございますけれども一つの例としまして、五十四年十月からポルトガルのシネスの送信所というものを借用いたしまして中継放送を実施いたしました。その結果、ヨーロッパ及び中東地域の受信改善については非常に著しい効果があったという報告を受けておるわけでございます。そうした面で、送りの側においても、良好な受信をやってもらうということで、いま申し上げました、たとえば海外中継基地の設置あるいは国内送信所の大電力化というような措置等も必要でございまして、目下そうした抜本的対策につきましても、関係の向きとも鋭意検討をしておるというようなことでございます。
  19. 畑英次郎

    畑委員 先ほど申し上げたNHK財政基盤確立、こういった観点からいたしましても、ただいま数字で示されましたように、国際放送に対します国の交付金の問題、これはやはりその趣旨に沿った数字にそれぞれ御努力を願うべき性格ではなかろうかと考えるわけでございますし、なおまた国際放送につきましては、財政再建の国の予算の厳しさというようなことも考え合わせまして、対外貿易商社あるいは国策会社等から、いわゆるスポンサーになっていただきまして広告費を取るというような仕組みも考える中における積極的な改善、これを図るというようなことはいかがかと思うわけでございますが、この辺について御見解を伺いたいがと思うわけでございます。
  20. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  先生承知のとおり、NHKは、現在放送法によりまして広告放送というものを禁止されております。また私どもの知る限り、世界的に見ましても、現在国際放送で広告を行っているという国はないようではございます。ただ将来の問題といたしましては、御指摘のとおり、わが国の放送法制がどのような形になっていくのか、あるいはそういった中でNHK国際放送の財源をどうしていけばいいのかというような、いろいろな関連において取り扱っていかなければならない問題ではないかというふうに承知しております。  なお、先ほどもお話が出ておりましたNHK長期ビジョン審議会の中でも、こういった問題につきましていろいろ先生方から御意見をいただいておりますので、私どもといたしましては、そういったものを参考にしながら慎重に対処していかなければならないといった問題だろうというふうに思っております。
  21. 畑英次郎

    畑委員 次に、最近の電波通信関係の技術革新にはきわめて目覚ましいものがあるわけでございますが、それに伴いまして、最近では、ニューメディアと言われますテレビの文字多重放送の問題が新聞等で報道をされておるわけでございますし、なお、本年の三月末までに技術基準を決められるというようなことも一部報道をされておるわけでございます。これに対する関係者の方々の御関心も非常に高いわけでございますが、既設のテレビ放送局との関係等もあるわけでございますし、あるいはまた第三者機関の利用というような問題もあろうかというように考えるわけでございます。すでに民放連等におきましては反対のお立場でのいろいろ意見が述べられておるようでございますが、この問題は放送法の改正等にも関連があるのではなかろうかというように考えるわけでございますが、現況並びにこのテレビ文字多重放送についての考え方、この辺について郵政省の方からお答えを願いたいと思います。
  22. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 まず、現在のわが国における文字多重放送の開発の現状について御説明申し上げたいと思います。  先生いまお述べになりましたとおり、テレビジョン放送に多重いたします文字放送につきましては、私どもの中にございます電波技術審議会でその方式及び技術基準について鋭意検討をされてまいったところでございますが、今月の二十七日に開催を予定しております電波技術審議会総会において文字放送に関する答申がなされる予定と聞いております。そうしますれば、まあ文字はアルファベット二十六文字に比べまして非常に数が多いわけでございまして、技術的にもいろいろ苦労したわけでございますけれども、わが国における文字放送に関する技術的な諸問題は一応解明されるというふうに考えておる次第でございます。  それから、これを導入する際のいろいろな問題点でございますけれども先生いま御指摘ございましたように、多重放送を第三者に利用させるというようなことを考えます場合には、非常にむずかしいものでございますので、これにつきましては、多重放送に関する調査研究会議というのがございますが、その報告書でも第三者利用の可能性というのを検討するように提言はされておるわけでございます。マスメディアの集中排除あるいは電波の公平利用という観点からは第三者利用というものも非常に望ましいものでございますけれども、何分にも他人のものを借りるというようなことがございますし、それから、もともと基本的に文字多重放送メディア、これは十番組ぐらい技術的に送れるというふうに言われておるわけですけれども、果たして最も適したようなものとしてどういう番組が考えられるだろうか、それをそうした情報をつくる側でどういうものが考えられるだろうか、その番組放送する実施主体の問題が非常に大きな問題としてございます。そうしたことでいろいろ検討を要する問題がありますので、これらの点については、関係者の意見等も参考にしながら、この技術の成果というものをできるだけ早く聴視者に還元していくべきものだという観点から鋭意検討を続けてまいりたいということでございます。
  23. 畑英次郎

    畑委員 ただいまお話がございましたように、この文字多重放送については一面また音声多重放送以上の期待も多いというようにも考えているわけでございますし、なおまた国際障害者年といったようなこととの関連においても、この実用化の問題を積極的に精力的にお進めを願いたいがというように考えるわけでございます。  最後に、いわゆる受信料の収納に関しまして、従来から不公平の是正の問題といったものが強く叫ばれます中におきます放送法第三十二条の改正問題、これが昨年来種々論議を呼んだところでございます。最近のこの収納の実態について簡単にお答えを願いますとともに、この放送法第三十二条の取り扱いに対する郵政大臣の御見解を伺いたいと思います。
  24. 海林澣一郎

    ○海林参考人 お答えいたします。  収納の実態でございますけれども、新しい料額によります契約・収納業務は二カ月間を一期としての集金でございますので、実際には六月から始めまして、事前にテレビを通じ、あるいは雑誌、週刊誌、その他PRをするというようなことがございまして、収納については格段努力をしたということで格別の問題なく、つまり五十一年のときには不払い運動というものが御案内のようにございましたけれども、今回はそのようなこともなくて、上半期滞納の増加が三千ということで終わりました。料額の改定は安定した形で推移したと御報告できます。
  25. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 前国会に提出いたしました放送法三十二条の改正案の関係、受信料の関係でございますけれども受信料制度の趣旨を一層明確にして受信者の負担の公平に資するということで九十一国会に提出したわけでございます。ただいまNHKの方からのお話もございましたように、昨年五月に料金の改定がございましたわけですけれども、その後の収納状況等もいましばらくながめてみたいというようなことで、私どももこの受信料の公平化を図るということは非常に大事に考えておるわけでございますが、今国会につきましては、先ほど申したようなこと、あるいは多重放送の取り扱いなどについてもあわせて提案できないかというようなことも検討もいたしておりますので、さらにこの問題については今後に向けて検討をさせていただきたいというふうに考えている次第でございます。
  26. 畑英次郎

    畑委員 終わります。ありがとうございました。
  27. 佐藤守良

    佐藤委員長 畑英次郎君の質疑は終わりました。     ―――――――――――――
  28. 佐藤守良

    佐藤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件に対して、本日、宇宙開発事業団理事長山内正男君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  30. 佐藤守良

    佐藤委員長 鈴木強君。
  31. 鈴木強

    鈴木(強)委員 最初にNHKあり方について若干お伺いをしておきたいと思います。  御承知のようにNHKは、昭和二十五年の六月放送法が施行されまして、それに基づいて公共放送としての使命を担ってがんばっていただいているわけでございますが、歴史をふり返ってみると、NHKの第一波、第一声が放送されたのは、御承知のように大正十四年の三月二十二日でございます。それから、受信料を取って社団法人としてスタートしたのが大正十五年の八月でございまして、当時ラジオだけでしたから、受信料は一円、こういう時代からスタートしたわけであります。今日飛躍的な発展を来して、わが国における公共放送の基幹事業として活躍をしていただいているわけでございますが、考えてみると、この二十五年に放送法が制定される当時のいきさつを見ましても、特殊法人、いわゆる公共企業体的な特殊法人として公共放送をやっていただく、こういうことが決められたのは、私はやはり、国の機関ではなくして、できるだけ自主性をその企業に与え、その企業が全力を尽くしてやっていくということだと思うのですね。したがって、この放送法にもありますように、言論、放送の自由というものは完全にこれは守られる。国内、国際の番組基準はちゃんと法律によって規定されておる。しかも受信料はそれぞれの契約者からいただいていく。こういうふうな姿になっておるんだと思うのです。したがって、国会に対してもそれぞれの年度の収支予算事業計画と資金計画を出していただく。そして国会の承認を得て、その中で経営者が思う存分所期の目的を達成するためにがんばってもらうという性格のものだと私は思うのです。  きょうは経営委員長にもおいでいただいておりますが、経営委員は少なくとも内閣総理大臣が国会の承認を得て任命されておるわけです。重要な事項は経営委員会が決定をする。会長はその経営委員会によって決められていく。こういうシステムでございますから、どうかすると行政府あるいは立法府筋から必要以上の意見が出てくるということがあっては私はいけないと思うのですね。その自主性を尊重していくということであって、ですから国会がやるべきことは法律によってちゃんとやるが、あとはやはり経営者にお任せして思う存分やってもらう、これが私は経営あり方だと思うのです。そういう意味においてきょうまでやっていただいていると思いますが、いろいろと私どもいままでこの委員会でも申し上げておりましたように、NHKが官僚的な立場に立って物を考えられては困る。だからもっとおれたちのNHKだ、おれたちのNHKだ、こういうやはり考え方を持たれるような、いい番組とそして親しみやすいNHKになってほしい、こういうことを強く念願をしてきょうまで参っておるわけでございます。その精神はいまも私は不動のものだと考えておるわけです。ですから私は、きょうの質疑もそういう立場に立って、基本的な、提案されております収支予算に対してあるいは資金計画に対して、事業計画に対して、そういうものについて質問をしたいと思うのです。どうかひとつ今後とも、この放送法第一条あるいは四十四条、四十五条等の、放送番組不偏不党、公正中立を期するという、こういう点はわれわれが強く主張しているわけですから、そういう点もひとつしっかりと胸に秘めて、これからもがんばっていただくようにお願いしておく次第でございます。  そこで、この五十六年度の収支予算を拝見しますと、前年度予算に比べまして収入伸び率は一・五%、それから支出の方が六・九%となっております。御承知のように昨年は収入が一・二%、支出は七・八%、それぞれ前年に比してそういうことになっておりますが、それ以上に実は悪化しているわけですね。料金値上げをした翌年の予算でありますが、そういうふうに私は見受けるわけでございます。したがって、五十五年度に料金の改定をいたしましたが、その時期が若干おくれたその落ち込みはあったでしょう。しかし、なかなか新しい契約者の発掘ということが困難な事態になっておる。未収金の徴収もなかなか思うようにいかない。そういうことからして、なかなかこの収入をふやすということはむずかしい時期に来ているということをわれわれは認識しておかなければならぬと思います。  それからもう一方、五十六年度予算の支出の面でありますが、お伺いしますと約二百名の減員をしておる。しかしいろいろと事業その他の問題もありまして、差し引きしますと百二十名の定員減になっておりますが、少なくとも二百名の減員を考えておるようです。ですから基本問題調査会でも述べておりますように、財政の安定のためには収入の確保をやると同時に、いま問題になっている支出についても、経営全般にわたり極力合理的、効率的な運営を推進して支出を減らしていくというような点を予算内容に盛り込んでおるように私は思います。しかし基本問題調査会から答申がありました第二次の問題につきましても、それに基づく五十五年度の料金値上げですね、そして五十六、七、八と、こういうふうに年度を追って計画が進められていくわけですが、いま畑委員から御質問がございましたが、五十七年度、五十八年度は一体収支はどうなっていくのか、さらにその先は一体どうなっていくのかという点が非常に心配なんです。四十三年に値上げをして八年間据え置いておった受信料が五十一年に値上がりになった。それから四年据え置いて昨年値上げになった。今度は、この前の予算審議の資料等によりますと、五十八年には赤字になる、こういうふうなことに聞いているわけですが、その辺はどうなのか。  それから、いま五十八年以後のビジョンについて畑委員からも質疑がありましたが、基本問題調査会にお任せするということでなくて、皆さんがもう少し英知を集めて、こういうことも考えられる、こういうことも考えられるということをやはり摘出して、その上に十二人の経営委員方々にもお知恵を拝借して、そしてよりよいものをつくっていくという姿勢でなければいけないと思うのですね。もちろんそうだと私は思います。ですから、その辺の長期展望というのをはっきり示していただいて、なおかつ収支はこうなんだ。そうなれば、受信者の皆さんに協力をしていただいて、やはりやむなく値上げをしていただくしかないわけでしょう。われわれとしては、できるだけそれは皆さんの努力によって一年でも半年でもいいから先に延ばしてもらいたい、こういう願いを強く持っておりますが、独立採算制を強いられるNHK予算としては、どうしてもというときにはどうしてもやはりそれは視聴者の協力を得なければならない、それには視聴者との対話、視聴者との交流、本当に親しみやすいNHK、信頼されるNHK、おれたちのNHK、こういうやはり実感が――一人一人の視聴者NHKの間に温かい血の通うようなことを考えておかなければだめですよ。そういう意味において、もう少し長期ビジョンについては本格的に協会が考えてほしい、こういう点を私は実は考えているものですから、その辺は第一番にお伺いをしておきたいと思います。  経営委員長もいらしておりますが、経営委員長、大変御苦労でございます。大した報酬もなく大変な御苦労をいただいておりますが、どうぞひとつ、経営委員長として何かお考えがございましたらその点もお聞かせをいただきたい、こう思います。
  32. 原俊之

    ○原参考人 ただいまの鈴木先生の御指摘あるいは御質問につきましては、全く私も同感であります。放送法に決められておりますように、私たち経営委員としては、公共放送と申しますか、あるいはNHK不偏不党、公正な放送を確保していくための努力をある程度やってきたつもりではございます。十分ではないかもしれませんけれども、私どもとしてはNHKの最高の意思決定機関という立場を十分認識し、その仕事の重要性、そして使命というものが、ただいまも御指摘くださいましたような方向で当然、執行部以下の方々を督励すると申しますと言葉は強過ぎますけれども、十分お願いすることはお願いし、勧告することは勧告しながら、お説のとおりの、番組でもって勝負すると申しますか、いい番組視聴者に送って、そして視聴者が積極的にNHKを支持してくださるような方向で経営委員会の中で十分審議を尽くし、公正な結論が出て、これを執行部の方に実行していただくように努力をしておるつもりでございます。今後もそういう努力を続けたいと私は考えております。――よろしゅうございましょうか。
  33. 山本博

    山本参考人 幾つかお尋ねがございましたが、基本的に二つのお尋ねだと思いますので、お答えを申し上げたいと思います。  一つは、五十七年度までの財政計画を立てまして、五十五年度からの料金改定受信料改定をお願いをいたしまして今日まで推移をしてまいりましたが、今日の時点で大体の見当をつけますと、初年度の五十五年度にいろいろな収入の不足がございましたし、それから五十四年度にも十分な受信料収入が上がらなかったその後遺もございまして、たとえば五十五年度だけでございますと約五十五億の収入不足がございます。しかし、五十七年度末までに企業努力あるいは効率約な、合理的な経営というようなことでこれをほぼ吸収いたしまして、五十七年度までには収支の相償という所期の目的は達成できると思っております。しかし御指摘がございましたように、それでは直ちに五十八年度から値上げをする――これは計算上は確かに五十七年度までで収支相償になっておりますけれども、御指摘がございましたように、NHKというのはいわば国民の日々の信任の上に成り立っておるわけでございますので、この期間中におきましても、本当にNHKの安定した国民との関係をつくるために、たとえば五十四年度も五十五年度も役員が全部手分けをいたしまして、日本国じゅう年に数回ずつ出かけてまいりまして現地の方々と十分御懇談を申し上げ、御理解も得られるようないわば日常的な努力をすることにいたしております。また番組の点につきましても、本当にあらゆる圧力から独立した不偏不党、真実の放送をすることによって国民の信頼を得るという、これも日常の活動をいたしております。また合理的な経営ということにつきましても、これは国民に御理解を得て、NHKを本当に支持していただくための努力というものもこの三カ年間に十分効果を上げたいと思いまして、先ほども申し上げましたけれども、この期間中に予定をいたしました数字以上にその効果を上げたい。たとえば節減にいたしましても、当初の計画は七十億の節減ということで予算の御承認をいただくときに御説明申し上げましたけれども、今日の時点では約七十六億から七十七億くらいの節減見込みを立てまして、さらにそれも上積みをしたい、こう思っております。したがいまして、五十八年度直ちに値上げというような論理ではなくて、今後の残された期間中にもさらに努力をして、大臣も先ほどお話されましたように、われわれの努力によってそれを少しでも先に延ばし、あるいは受信者の方々の負担を軽くするための努力をいたしたい、こういうふうに考えております。  それから二つ目の、ビジョン委員会に対するNHK側の態度でございますけれども、御指摘がありましたことはもう当然のことでございまして、ただお任せをいたしましてそこでお話を承って私の方で適当にということではなくて、私たちも、これがNHKの本当の転回点、曲がり角だという危機感を持ちまして、このビジョン委員会の中に小委員会を四つつくりまして、それぞれ専門的な分野に分けまして、それで問題の提起、問題の所在、それから今後の方向、こういうものにつきましてNHK側からも積極的に御意見を申し上げながら、今日までそれぞれ小委員会が数回ずつ、非常に活発な御意見を出していただき、またNHK側もこの問題について自分の意見を出し合う、NHK側もこの問題については十分大きな関心と責任とを持って対処しておるということを申し上げさせていただきたいと思います。
  34. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それでは、基本的な予算内容の問題との関連で二、三郵政大臣にお尋ねしておきたいことがございます。それは、畑委員からも御指摘のありました国際放送についてでございます。  これは二月十日の閣議の席上で、東南アジアを歴訪されました鈴木総理、御一緒に行かれた亀岡農林水産大臣等大変御苦労だったと思いますが、帰られてきたその閣議の席上の話に、東南アジア諸国を訪問して、NHK国際放送はさっぱり聞こえない、こういう御発言がありまして、何か放送衛星を打ち上げたらどうかというようなとっぴな意見も出たようでございますね。私にはこの意味が何だかさっぱりわからないのですけれども、その対策を検討するようにということで、そういう報道がなされたことがございますね。大臣そこにおられたと思うのですが、その後二月十七日の閣議で郵政大臣から、外務省との連携を密にしながらその中継局の増設とか出力のアップですね、こういったものを十分考えて受信改善はしたい。それから衛星については、これは別に考えるんだというような御発言があったので、私もその点はよくわかりました。しかし閣議のやりとりというのは、われわれから見てとんでもないようなことを言っているわけです。これは放送衛星の打ち上げなんというものについてですよ。失礼ですけれども、ちょっと情勢をよく御存じじゃなかったのじゃないかと私は思う。  そこで、亀岡農林水産大臣がどこでお聞きになってNHK国際放送が聞こえなかったのか、あなたは聞かれたのですか。それで、どういう受信機であったのかお聞きになったのですか。その点……。
  35. 山内一郎

    山内国務大臣 閣議の席上で亀岡農林水産大臣から、ASEANに行ったときの受信の問題、日本国際放送受信状況説明がございまして、御自分でもお聞きになったと思いますけれども、現地の人からよくNHK国際放送が聞き取りにくい、何とかしてもらいたいというお話があったというふうに聞いたわけでございます。それでは私も担当者として、その点についてはNHKともよく打ち合わせの上、今後どうすべきであるかということを次の閣議で御報告を申し上げます、こういう答えでその日は帰りまして、NHKと御相談して、ほかの国は中継地をASEANのタイかどこかに置いているわけですが非常に聞き取りやすい。そういうのがNHKにはありませんし、しかしこれは外交の問題もございますので、外務省とよく打ち合わせをして、それをよく聞けるようにするにはやはり中継基地の問題それから電力を強くする問題、この二点がありますので、今後よく連絡をとりながらやってまいります、こういう報告を申し上げた次第でございます。
  36. 鈴木強

    鈴木(強)委員 その点はわかりました。  それで、NHKにお伺いしますが、NHKの方ではこの国際放送に関する資料を印刷して、私たちも拝見しておるわけですが、特にこの国際放送状況が、それは一〇〇%と言えるかどうかわかりませんが、受信状況は良好だという地域はアジア大陸と東南アジア、それから大洋州、北米西部、こういう地域は特に感度がよろしいという地域になっている。私もヨーロッパに参りましたときに、日本製のラジオを持ちまして行ってきたのですけれども、確かにやはりアンテナがないとうまく聞こえないことは事実ですよ。ですから、受信感度の非常にいい受信機を持てば恐らく聞こえると思うのですけれども、そのこともあると思います。しかし一応NHKは、こういう現状において国際放送については良好な地域に入っておるにかかわらず、そういうことが現地の在留邦人か何かから話が出たということについては、その調査というものは一体どういうふうになされておったのか、簡単でいいからひとつそれを示してください。
  37. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  先生いまお述べになりましたように、ヨーロッパとかアフリカとかそういったところは非常に受信状況は安定しているとは言えない状況でございます。しかし、アジア大陸とか東南アジア、そういったところにつきましてはかなり安定した受信のできる可能性がたくさんございます。それでそういったところにつきまして、NHKでは受信モニターという方を各地に配置しておりまして、そこから毎月一回受信状況についてのモニター報告を受けております。それによって毎月毎月のそれぞれの地域での受信状況は良好なのか、これは御存じのように季節によりまして、短波でございますので、大分違いますけれども、その辺を、十分どういった状況なのかということを把握しておるというのが現状でございます。
  38. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それで、確かにいまシネスに一カ所NHKは中継局を持っているわけです。これは外務省と連絡をとられて折衝の結果そうなったのだろうと思うのですが、これはやはりNHKだけではできないのですね。郵政省なり外務省が応援してそういう実態を把握し、在留邦人が世界各地にどのくらいおられるのか、そういうことも十分把握した上で、在留邦人としてはこの情報化の時代に祖国日本の情報を一刻も早く知りたいわけですから、それにこたえるようなことができないことはないはずですから、そのための努力をどうするか、これが問題だと思うのです。  ですから、大臣おっしゃったように、中継局の増設も必要でしょうし、それから出力のパワーアップも必要でしょう。だけれども、いま現在送信機は国際電電から借りているわけですね。それじゃその金をどのくらい払っているのか知りませんが、機械もかなり老朽化と言うと失礼ですけれども古くなっているのじゃないでしょうか。ですからその辺は、本来NHKが送信所を独自にお持ちになっておくことが筋だと思いますが、過去のいろんな経過もあります。これはちょっと調べてみると、昭和十年にハワイと北米西部に初めて日本国際放送をやった。そして戦争後六年半中断しておりましたが、昭和二十七年二月十日に再開をして今日に至っておる。ですから、いろんな経過もありまして国際電電の送信機を使っておる。これは短波でございますから、気象により時期によって違うのです。ですから局長、たしか四回でしたか波長の更新があるはずなんです。そして一波でだめならば二波、東南アジアにはたしか五波が出ているはずだ。九千五百二十五キロヘルツから一万五千三百二十五キロヘルツ、出力は二十キロワットから百キロワットまでのものが出ている。ですから、それを何カ国語によってやるか、その時間帯によって一波にしなければならぬかもしれません。かつて私も質疑をしたことがありますが、十数年前でしたか東南アジア二波を一波にしたことがあるのです。そういう関係で、季節の状況とかフエージングとかエコーとかいろんなことがありますから、そういう意味において聞き取れないときもあると思いますけれども、そのときだけを見て全然聞こえないのだということにもならぬわけですから、そういう点はもう少し送信機の改善、それからもう少し綿密な調査というものをやらなければ、軽々に聞こえないということにもならぬと私は思うのですね。そういうふうなことがまださっぱりやられていないのじゃないか。一体これはどうなんです。  大臣国際放送というのはあなたも御承知のように、大臣が命令してやる部分NHKが独自でやる部分と二つになっているわけですね。ことしも九億何ぼですか、全体で十八億近い国際放送番組が組んでありますね。人件費は別ですよ。人件費入れたら大体四分の三以上がNHKの負担になっている。それでやれ、やれと言ったって、これは無理なんです。国民は、国際放送の分まで含めて受信料を払っていると思っていないのです。国内の視聴者は、国内の番組をよくしてもらいたいために払っているのです。われわれがずいぶんうるさく何度も言って放送法も改正されて、あなたが命令した分だけは払うということになった。前はそんなことはなかった。だから、つかみ金みたいなものでやらしておった。放送法を改正してずいぶん明確になったのです。ですからそういう点も含めて、もっと政府自体がしっかりその実情調査を命令するなら命令してもらって、その上に立って基本的な対策を立てないといかぬですよ。ばんそうこう張りじゃだめですよ、大臣。これは時間がありませんから、そういう点を踏まえて、いいですか大臣、閣議で問題になったら、いい機会じゃないですか。そして、わが日本国の外国放送として恥ずかしくない国際放送というものがやれるような体制をつくらなければいかぬですよ。あなたが命令しているようにニュースと何かやれというようなことじゃ――ほかの国の外国放送を聞いていれば、もっとバラエティーに富んだ情操豊かなものをやっているわけですよ。あなたの出す九億円じゃこれは何にもできないんだ。そういう点を踏まえて、これは何回もこの委員会でも言っているんですけれども、もう少し抜本的な国際放送対策というのを考えてほしいと思うのですよ。ひとつ結論だけ大臣から聞いておきたい。
  39. 山内一郎

    山内国務大臣 いま鈴木委員からいろいろお話がございまして、そういう対策もいいけれども、まずいまの施設を改良すべき点を調査しなければいかぬじゃないか、そういう点はよくわかりましたので、NHKにやっていただいて、その他改善の方法についていろいろ検討しながら現地の方が満足いけるようにひとつやってまいりたい、こういうように考えております。
  40. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから、きょうは宇宙開発事業団から山内理事長にお忙しいところおいでいただきました。御苦労さんです。  私ども最近天気予報を見ていると必ず「ひまわり」が出てきまして、NHKの七時のニュースの後ですか、ワイドニュースの後もこれが出てきて非常に参考になっているわけですが、五十二年七月に打ち上げられました現在の静止気象衛星というものは、寿命がいつまでもつものでございましょうか。
  41. 山内正男

    山内参考人 お答えいたします。  現在運用されております「ひまわり」の寿命は当初少なくとも三年として計画をした衛星でございます。衛星の寿命を判定します要素といいますと、これは衛星の姿勢及び軌道を制御するための燃料の量(鈴木(強一委員「寿命がいつまでもつんですか、それだけちょっと」と呼ぶ)寿命に関連しております。それで、これの燃料の量と、もう一つは衛星の劣化の程度、この両者から判定するものでございます。  それで、現在の衛星の姿勢及び軌道の制御に必要な燃料の残量の点だけから考えますと、五十七年末まではもつものと考えられますけれども、また一方におきまして衛星の劣化の徴候も見られるわけでございますので、現在考えますところによりますと、必ずしも五十七年末までもち得ると予測することは困難な面もございます。
  42. 鈴木強

    鈴木(強)委員 これは気象情報を出す場合の非常に重要なデータになっていると私は確信をしているわけですが、山内さん、いま打ち上げられております「ひまわり」は静止軌道に乗った後衛星のスピンがずれて、見てますと画面が少しずれるようなところがございますね。ああいったものは直してもらいたいとぼくらは願っておるわけですよ。今度打ち上げる衛星の場合はそういう点は改良されておりますか。
  43. 山内正男

    山内参考人 お答えいたします。  現在「ひまわり」の画像が若干欠けておる理由はスピン軸が若干傾いたせいでございます。それで、「ひまわり」の後継機として打ち上げを予定しております静止気象衛星二号につきましては、設計においてこういうことの改良を試みておりますので、その点は改善されるものと考えております。
  44. 鈴木強

    鈴木(強)委員 そうしますと、本題はロケットのことでちょっと承りたいのですが、あやめ一号、二号が失敗をしました。第三号は二月十一日に成功しまして、NII型のロケットが初めて威力を発揮してくれたわけです。しかし四四%以上が借り物だというようなことですから、これはひとつ早く国産でそういう点を開発できるような努力をしていただくと同時に、ここで私が聞きたいのは、いずれにしてもこのNIIロケットがきく三号を打ち上げたことは同慶にたえません。しかし、長円軌道から静止軌道に移るときに使うアポジモーターというものの作製がおくれてしまって、今度打ち上げをしようとする際には間に合わないというように聞いておりますが、このロケットの点はどうですか。これは簡単でいいです。
  45. 山内正男

    山内参考人 お答えいたします。  ただいまの御質問内容は、ロケットの点ともう一つは衛星についておりますアポジモーター、その両方になっておるのではないかと存じます。  それで、まずロケットの方につきまして、NのII型ロケット、これによって三百五十キログラム級の静止衛星をわが国で打ち上げられるようにいたしますために、NIIロケットの開発を進めてまいりまして、昨年の夏にはそれの地上試験機によりまして性能の確認を行い、またことしの二月十一日に打ち上げましたNII型ロケット一号機、これによりまして三百五十キログラム級の静止衛星を打ち上げ得る能力があるかどうか、その点は飛行の結果によりまして確認をいたすことができました。それで、一号機におきましては、衛星を静止軌道に乗せるという一歩手前のトランスファー軌道に投入し、それから静止軌道に投入するために衛星の姿勢を制御いたしますけれども、その点火に必要な姿勢に制御するというところまで実施をいたしました。したがいまして、ロケットといたしましては今後三百五十キログラム級の静止衛星を打ち上げる能力は確認できたというように考えております。  それからもう一つの、衛星についでおりますアポジモーターでございますけれども、これは御指摘のようにこの五十六年度の夏期に打ち上げます静止気象衛星二号、これに対するアポジモーターとして国産の方は間に合いませんでした。そこで、前に「あやめ」で失敗をしましたアポジモーターとは別系列のアポジモーターを採用して、このモーターは、わが国の「ひまわり」「ゆり」それからカナダ、アメリカなどで多くの実績を持っておるアポジモーターを採用するというようにいたしておりますし、またさらに打ち上げの直前におきまして、種子島におきまして超音波検査さらにX線検査を充実させまして万全を期するように進めておるわけでございます。
  46. 鈴木強

    鈴木(強)委員 わかりました。  それで、いま打ち上げの時期について五十六年、ことしの末とちょっとおっしゃいましたね。その打ち上げの時期は「ひまわり」はいつなんですか。五十六年度末というのは会計年度でなくて暦年ですか。
  47. 山内正男

    山内参考人 お答えいたします。  五十六年度夏期でございます。現在わが国の人工衛星打ち上げのロケットは夏期と冬期に限定されておりまして、その夏期に気象衛星二号を打ち上げる予定をいたしております。
  48. 鈴木強

    鈴木(強)委員 夏期というのはいつからいつですか。
  49. 山内正男

    山内参考人 夏といいますと、八月-九月期でございます。
  50. 鈴木強

    鈴木(強)委員 わかりました。  NASAにお手伝いをしてもらって打ち上げるような情けない日本の科学陣営がとにかくここまで来たということは御同慶にたえない。しかし、まだ四四%以上はアメリカの方から借りておって、秘密になっておるようなところもあるようですから、そういう点は、自力でやれるような力を日本人は持っておるはずだから、政府ともよく話をして、必要な金をもらって、自分の力で打ち上げるようにがんばってくださいよ。  その次に、時間が大分なくなってしまいましたが、恐縮ですが、放送衛星の問題についてちょっとお伺いします。  ことしのNHK予算の中に四十七億三千百万円計上しておりまして、昨年の八億四千万円から見ると、これは大変な大金であります。これを見ましても放送衛星の打ち上げは近い、準備態勢は整ってきたんだなというふうに感ずるわけです。一方、これを実施した場合に日本の難視聴解消にも非常に役立つ。同時に、ローカル放送はもっともっと大きくしてもらいたい。こうなりますと、現状の施設もちゃんとやっていただいて、残された難視聴地域を一カ所もないようにしていただく、こういうことがNHKに課された重大な使命であるし、放送法はそのことをあまねくどこでも見えるようにしなさいということで、NHK設立の大きな趣旨だ。したがって、ちょっと横の話になってしまったけれども、いまここで聞きたいのは、放送衛星の打ち上げに対して個別受信あるいは共同受信、そういったものに対してどの程度準備ができておるのか、個別受信の場合、一個大体どのくらい金がかかるのか、そういった点を含めて、時間がありませんので概略だけでいいですから御説明を願います。
  51. 高橋良

    ○高橋参考人 先生の御質問お答え申し上げます。  順序が逆になるかもしれませんけれども、まず受信機の件につきましては、これは工業会の方の発表によりますと、普及の開始時期ごろ大体年間十万台くらいのロットで流した場合におきまして六万から八万ということを工業会の方は言っておるようでございます。  それから衛星の利用の問題でございますけれども、いま先生からお話がございましたように、離島僻地の難視解消、大体四十二、三万がどうしても現在の地上施策では救えないという部分を主目的にいたしますが、それから起きてまいります副次的な利用方法は当然考えるはずでございます。  なお、ローカル放送につきましては、残念ながら現在地上施策で行っているような非常にきめの細かい放送はできませんので、これにつきましては、とりあえずは難視解消を重点にいたしまして、ローカル放送は現在の地上施設でもってきめ細かい番組の充実を図ってまいりたい、さように考えておるわけでございます。
  52. 鈴木強

    鈴木(強)委員 郵政大臣、これは監理局長でもいいですが、放送衛星の打ち上げはいつで、実用化の時期はいつか、それをひとつ示してもらいたい。
  53. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  放送衛星二号と申しますか、BS2でございますけれども、本機と予備機という物を考えておりまして、五十八年度冬期ということで五十九年二月になろうかと思います。予備機が六十年度夏期ということで六十年八月、そういうことで事業団の種子島宇宙センターからNIIロケットの五号、八号機を使いまして打ち上げるということになっております。それを打ち上げまして三カ月くらいで機能確認作業が必要でございます。したがいまして、地上で直接実用に入りまして受かるというのは本機に対しまして五十九年五月ごろかというふうに考えております。
  54. 鈴木強

    鈴木(強)委員 そうすると、NHKにもう一度伺いますが、いよいよ五十九年五月に実用化の段階に入っていくのですけれども、その場合にいまの個別受信、共同受信その他を含めまして準備態勢はオーケーというふうにはっきり準備ができておりますか。
  55. 高橋良

    ○高橋参考人 先生指摘のように、準備態勢につきましては、昨年度からその用意を始めておるわけでございます。したがいまして、五十九年度までにはまず非常に低廉な受信機の開発ということをさらに積極的に進めまして、工業会の協力などを得ましてそれに対処してまいりたい、さように考えております。
  56. 鈴木強

    鈴木(強)委員 わかりました。  それから難視解消について、現在何地域、何世帯が残っておられるか。いま、四十三万世帯ですか、これはちょっと救いがたいというようなお話もありましたけれども、とにかく全体の人口から見て、いま実際に持っている受信者の数から見てその点どんなでしょうか、地域と世帯数は。
  57. 高橋良

    ○高橋参考人 五十八年度末にわれわれが把握しておりますのが大体四十二万から三万、こういうふうに把握しておるわけでございます。それで、五十五年末におきましては四十六万の残存難視ができるであろうというふうに把握しておるわけでございます。
  58. 鈴木強

    鈴木(強)委員 五十六年は幾らですか。
  59. 高橋良

    ○高橋参考人 五十六年度でやりますのが、放送局の地区数は百三十地区でございますので、これは放送局数に直しますとそれの約二倍でございます。したがって二百六十局と、共同受信設備につきましては三百七十施設、これでもって五十六年度計画を立てたわけでございます。
  60. 鈴木強

    鈴木(強)委員 たとえばの例ですが、山梨県なんというところは山ばかりでもって部落が点在しておりますので、まだ見えないところがかなりあるのですね。それがわかっていたら何地区でどのくらいか、ちょっと教えてください。そしてことしどこをやるかですね。
  61. 高橋良

    ○高橋参考人 山梨県につきましては、五十五年度末でもって六千世帯の残存難視を把握しております。これにつきまして、五十六年度の予定といたしましては、置局は、放送局は一地区でございます。したがって放送局数は二局でございまして、現在調査が完予いたしましてわれわれが着工を予定いたしましたのは足和田長浜局でございます。それから共同受信施設につきましては八施設でございます。これでもってトータルいたしまして約五百世帯強は難視解消ができるんじゃないかと思っております。御承知のように辺地の難視というのは非常に散在してまいりましたので、改善世帯数は非常に減ってきているというのが実情でございます。
  62. 鈴木強

    鈴木(強)委員 大臣、これは政府の方も大変協力をしていただいて補助金も出していただくようになりました。これは非常に感謝しております。三万円以上の分ですから、もう少し、二万ぐらいにしてもらいたいという意見もありますけれども、とにかく全体に見えることが先でしょうから。しかし、そうかといって受信者の立場もありますので、もう少し増額をしていただくようなことを考えていただきたい。個人負担がかなり大きいわけですね。日本人である限り、山の上に住んでいようが谷底に住んでいようが権利は皆同じなんです。ところが広場の方は見えてこっちは見えないということでは大変な不公平ですし、電話でも何でもそうです。どうしても山間僻地が残ってくる。赤字であってもそこへはつけてやる、これが公共事業使命ですから、そういう意味で、確かに財政再建の大変なときではありますけれども、本当に国民が苦しんでいること、悩んでいること、そしていまの情報化社会の中でテレビぐらいちゃんと見れる、こういうようにしてやることが国民のためには絶対に必要だと思うのです。そのための金であったら喜んでしてもらわなければならぬと私たちは思うのです。ですからもうちょっと工夫していただけませんか。閣議の中でがんばっていただいて増額方をやってもらいたいですね。
  63. 山内一郎

    山内国務大臣 五十六年度予算でも、先生の、鈴木委員の御趣旨を体して、体するまでもないのですが、当然のことでございまして、本件補助金の額は非常に財政事情が厳しかったのでございますが、本年、五十五年と同額の二億一千九百万円と、いま案がなっているわけでございます。いろいろ単価アップ等も考慮すると、厳しい額でありますが、効率的な運用を図って、できるだけ同じような金でひとつたくさん救っていけるように工夫をしてまいりたい、そういう方向に努力をしてまいりたいと考えております。
  64. 鈴木強

    鈴木(強)委員 もう時間が大分なくなりましたが、いまの難視聴のものはぜひ努力してください。また、放送番組をよりよいものにする、そういうことについては、NHKに課せられたやはり大きな使命一つだと思うのですがね。  そこで私は、自分で参考のために各新聞に出ている記事なんかを集めているのですけれども、毎日新聞が比較的、「マイクへ一言」といいまして、これは一カ月分ありますが、とったものをここへ持ってきて見ておる。そうすると、NHKの非常にいい番組だという点も半分以上ありますね。それから、ある程度また批判的なところもあるわけですね。こういうものは非常に参考になると思うのです。私はこれらの方々のためにも、ここで若干意見を述べ、またお伺いしておきたいのですが、この中で最近の「NHK特集」というものについては、これは非常に高く評価をしておる。ことしに入ってからでも、「シルクロード・民族の十字路」ですね、それから「八甲田山・厳冬」、それから「探訪・網走刑務所」、こういったものが非常によかったと推賞をしておりますね。さすがNHKだ、企画参加による間口の広さ、表現演出の手法の多様化、こういったものに対して絶大な賛辞を送っておる。私もそのように思っておる者の一人です。しかし、その方の言うのには、一方においては、経済問題とか国内政治のテーマというものが全体のバランスから見ると少ない、こういうふうに言っております。NHKは、教養、教育、娯楽、報道、こういった番組をバラエティーをもって放送しなければならない、こういう使命番組基準の中にあるわけです。したがって、その面が少ない、こういうふうにこの方は見たと思うのですが、「くらしのけいざい」とかいろいろやってはおりますけれども、こういう論評に対して、NHKはどんな印象を持っておられますか。
  65. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  いま、先生、例としてお挙げになりました「NHK特集」、それから、昨年の四月からことしの三月まで放送いたしました「シルクロード」、それから障害者年の特集番組、そういったものにつきましては、われわれ全力投球で現在制作し、放送しております。また、五十六年度につきましても、できるだけ週間ニュースだとか「テレビ気象台」だとかいろいろ内容強化に努めております。先ほども経営委員長の話がありましたように、何といってもNHKは、放送番組内容の充実が最大の使命でございますので、今後も十分努力し、最大の投球をやっていきたいというふうに思っております。
  66. 鈴木強

    鈴木(強)委員 時間がありませんからもう言えないのですけれども、ひとつこういうのもやっていると思いますけれども、この中で一つNHKが答えているのは、「雪しぐれ」という言葉を使っているのだが、そういう言葉はないじゃないかというのがありました。これに対して、いや「雪しぐれ」というのはあるのだと大辞典を引いて回答がありましたが、誤解があるようなものについては、いろいろな方法を通じてこれに答えるようなことまでやっておいていただきたい、こういうふうに私は思っております。  それからまた、もう一つは、これは時間がないから省略しましょう。  文部省からおいでいただいていると思いますが、大変お待たせしてしまって済みません。最後になりましたが、いまNHKは教育放送をやられております。これは学校教育法に基づいていろいろな基準をやはり守りながらやっていると思うのですけれども、現在の全国の小、中、高校におけるテレビの利用あるいはラジオの利用度、そういったものはどの程度なのか。それから同時に、いまごらんになっておりまして、こういう点をこうしてほしいとかいうような意見がございましたら、ひとつお示しをいただきたいと思います。  それから、私ども見ておりまして、カラー受像機の置いてあるところと、それから白黒の置いてあるところとございますが、古い統計かもしれませんが、何か白黒の方が多いように私はちょっと聞いておるのですが、せめてカラーテレビぐらいには受像機をしてやるとかそういうような方法をとってもらえないか、こう思いまして、そこいらをひとつ一括してお答えいただきたい、こう思います。
  67. 七田基弘

    ○七田説明員 お答え申し上げます。  教育番組の活用の程度についてまでは実は資料がございません。が、NHKのテレビ学校放送の利用状況につきましては、NHKの総合放送文化研究所の方で行っておられます調査がございます。これは全国の国公私立学校を対象とする抽出調査でございまして、一昨年の九月から十一月にかけて行われたものでございますが、多少とも放送番組を利用したという学校が、幼稚園で大体八三・二%でございます。それから小学校が九四・九%、中学校は五五・四%、高等学校、これは全日制でございますが、五七・五%というような数になっております。これは利用率を前年度の調査と対比いたしますと、小学校が若干低下しておりますが、あと幼稚園、中学校、高等学校についてはほぼ二・五%程度上昇しておるということでございます。  それから、特に先ほど先生もおっしゃいました要望でございますが、これは要望のとり方もなかなかむずかしゅうございます。ただ私の方といたしましては、NHKの方で、いま申し上げました番組の制作及び放送に当たって、学校における学校放送の利用状況調査等をやっておられますし、また、広く利用者とか学校関係者の意見も聞いておられます。私どもの方としては、利用者の一部からでございますが、放送時間帯あるいは地域にふさわしい題材を取り上げてほしいというような声があるように承っておりますが、NHKの方でそれらの意見も十分に考慮して対処していただけるだろうというふうに考えております。  それから白黒のテレビの問題でございますが、昨年五月一日現在で、文部省といたしまして、全国の公立学校でございますが、これを対象といたしまして抽出調査を行いました。それによりますと、現在幼稚園が九三・〇%、これはカラーテレビでございます。それから小学校は九八・一%、中学校は九四・三%、高等学校は九〇・六%ということでございまして、白黒の方は、ちなみに申し上げますと、幼稚園が二二・三、小学校が四三・三、中学校が四〇・六、高等学校は六二・七と若干多うございます。それで、これを昭和五十二年の五月一日現在、三年前でございますが、やりましたものに比べますと、カラーテレビの保有率が著しく増加しておるということでございまして、次第にカラーテレビの方に行くのではないかというように考えております。
  68. 鈴木強

    鈴木(強)委員 いまNHKは地域的なローカル的なそういったものもやってほしいという要望がありましたね。それについてはどうですか。こたえる気はありますか。簡単に……。
  69. 田中武志

    田中参考人 ただいまお話がありましたように、カラーテレビあるいはVTRとかそういったような放送現場の要望は非常に多様化してきております。これにこたえるために五十五年度に新たに中学校の特別シリーズとか、そういった学校放送の中でいろいろなシリーズをつくりまして、こういったシリーズもわれわれの調べでは大変利用率が高くなっております。これからもそれぞれの学校の要望なども十分入れながら、こういった学校現場での、教育現場での多様化に十分こたえていきたいというふうに思っております。
  70. 鈴木強

    鈴木(強)委員 あと二分ちょっとありますからもう一問お願いします。  それは、大臣これをちょっと聞いてくれませんか。在日米軍人軍属ですね、その家族の受信料の問題ですが、これは長いことこの委員会でも論議をしてきました。しかし、残念ながら地位協定上の解釈が食い違っております。アメリカは払わなくてもいい、日本は払うべきだ、こういうことで食い違っておりまして、まずNHKと米軍で折衝をしなさいということで長いことやってきたわけですね。それなりの苦労をしておると思います。私もきょうは時間があれば経過を聞きたかったのですが、それはできませんが、問題は、いままでの段階でNHKと米軍の間で話をしてきたけれども、限度に来ているように私は思うのですね。したがって、せめて、基地の中に宿舎があった場合には、その中に入れていただいて、そして実際に軍人軍属、その家族の方々NHKのテレビを聞いておるかどうか、そういうことを調べさしていただくような方法をとらしていただくようなことをまずルートでやってもらって、そして結果的には合同委員会に持ち込んでシロかクロか決着をしないと、いつまでもいつまでも受信者はどのくらいあるかよくわからぬ、皆目、雲をつかむような形でいまやっているわけですよ。ですから、これはひとつ十分大臣も事情を聴取されて、もうだめならだめということで、私は断固やってもらいたいのだが、解釈の統一をちゃんとしてもらいたい、こう強く願っておるものですから、これだけはひとつ大臣責任を持ってやってくださいませんか。いいですね。
  71. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 御指摘のとおり非常に困難でございますけれども、前々から御指摘の点でございまして、この件を一歩でも解決に向けて前進させるためには、NHKばかりでもだめだ、政府もそれぞれの立場努力する必要があるということで、郵政省といたしましては、これまでNHKに郵送あるいは電話による契約勧奨等もやってもらいまして、その点を勘案いたしました上で、直接的な契約勧奨をやるにいたしましてもテレビ受信設備の実情を把握しておらぬことにはどうにもならぬ、いま御指摘のとおりでございます。テレビ受信機の基地内における設置の状況あるいはNHK受信できる受像機数はどのくらいあるのかという、そういう基本的なデータがまず必要だというようなことで、NHKによります基地内の立ち入りが必要であるという考え方から、外務省に対しまして、米軍の協力が得られるように交渉してもらいたいという旨を正式に要請した次第でございます。  現在ただいまそういう状況でございますけれども、今後とも外務省と連携を密にして解決に向けて努力をしてまいりたいというつもりでございます。
  72. 佐藤守良

    佐藤委員長 鈴木強君の質疑は終わりました。  武部文君。
  73. 武部文

    武部委員 私は、まず最初に経営委員長にお伺いをいたしたいと思います。  いまNHKの基本姿勢についていろいろ巷間で取りざたをされております。先ほど与党委員の方からもこの点について若干の質問が、意見がございました。私はまず、経営委員長として、現在のNHK放送法第三条、これに関連をする放送法第四十四条第三項、この番組編成の基本的な問題についてこの法律の精神を基本として運営に当たっておる、このように経営委員会責任者としてお考えでしょうか。
  74. 原俊之

    ○原参考人 お答えいたします。  私ども経営委員会としては、先ほども鈴木先生お答えいたしましたように、放送法の第一条の目的にのっとって、ただいま御指摘の第三条を受け、そして四十四条の中にございますように、御承知のように放送不偏不党、公正、さらに受信者、視聴者に喜んでいただくようなよい番組放送するということについては、基本原則としての放送不偏不党と公正な、あるいは公正なと申しますよりも表現の自由と申しますか、そういったことを常に私どもの重大な責任と考えて今日まで審議を尽くし、できるだけ各委員の自由な発言をもとにして、公正な結論に到達するよう努力しておるつもりでございます。今後も御指摘の方向に向かって私ども十二名の委員が全力を挙げて努めていきたいと覚悟いたしております。
  75. 武部文

    武部委員 私がお伺いしたかったのは、これから申し上げますが、いろんなことがいま言われておりますね。これは放送法の三条なり四十四条に関連する問題であります。したがって、現在のNHKの基本姿勢というものが、四十四条、この精神に沿って運営されておるというふうに委員長としてはお考えなのかどうか、それを聞きたかった。
  76. 原俊之

    ○原参考人 お答えいたします。  私はそういうふうに確信いたしております。
  77. 武部文

    武部委員 それでは、ちょっとお伺いいたしますが、三月十四日の新聞報道によりますと、前日、三月十三日に、NHKの幹部が自民党本部に呼び出されて厳しく追及されたということが報道されておるのであります。一体この三月十三日に自民党の本部に呼び出されて出席をした役員はどなたですか。
  78. 坂本朝一

    坂本参考人 私を含めて六名でございます。
  79. 武部文

    武部委員 報道ですから、これでもって知る以外にはございませんが、この際にNHKの報道の内容が問題になった。特に例を挙げて、原子力発電の報道、特にその安全性について偏った報道が目立つという厳しい指摘があったというようなことが報道されております。また、NHKの報道内容や人事にまで協会外の者が介入している疑いがある、こういう厳しい指摘があったと報道されておりますが、そういうことがあったのですか。
  80. 坂本朝一

    坂本参考人 先生にお断り申し上げたいのでございますけれども、この会合は私どもの主催による会合ではございませんで、その内容を私どもから申し上げられる立場ではないのではないかと思います。  まあ過日、自民党の放送関係の議員の方から、放送法制に関する問題について有志議員でいろいろ懇談したいということで出席の御要請がございましたので、出席いたしましたような次第でございまして、その具体的内容を私どもから御説明申し上げる立場にはないんじゃないかというふうに思いますので、まことに申しわけございませんけれども、その点は御了解賜りたいと思う次第でございます。
  81. 武部文

    武部委員 お聞きしておりますと、懇談会のようなことをおっしゃっておりますが、この新聞の報道、きょうもまた新しいのをちょっと拝見いたしましたら、また詳しく出ておりますが、報道されておるところによりますと、これは懇談会というようなものじゃないです。呼び出されて指摘をされた、厳しく追及された、しかもこのことについて協会側は調査を約束したということが報道されておりますが、そういうことはございましたか。
  82. 坂本朝一

    坂本参考人 繰り返すようでございますけれども、私どもからその内容等について御報告を申し上げる立場にないかと思いますが、ただ一般的に申し上げて、私ども放送番組については先生指摘の第一条、第三条に基づいて実施しておるということは申し上げられるかと思いますので、その点はひとつ御了解賜りたいと思う次第でございます。
  83. 武部文

    武部委員 大変遠慮されてお答えになっておるようですが、私は大変残念であります。これから申し上げますが、さらに調査を約束し、その後、また次にそれを報告して会合を持つ、会合という言葉が当たるかどうかわかりませんが、そういうことを言っておられる。なぜ私がこのことを申し上げるかといえば、ちょうど一年前、当委員会で五十五年度予算案審議したときに、放送法の改正の問題がございました。いろいろもめて暫定予算を組んだのでありますが、そのときとちょうど同じような傾向にいまあるじゃないかということを私は直観的に思いました。ちょうど一年前と同じことなんであります。  これ以上のことを言っても御答弁になりませんから私の方から申し上げましょう。  あの放送法第三十二条ですか改正のときに、放送法そのものの改正の問題以前のものがある、それが問題だということを私ども指摘をしたつもりであります。いまもそう思っています。幸いにしてこの放送法第三十二条の改正問題は今回の委員会には提出されておりませんから、それは結構です。それで結構です。ただ、ちょうど一年前といまとがほとんど同じような空気になっておる。これは一体どうしたことだろうか。私はそこで放送法第三条、これは番組の編成権について、いかなる介入も許さない、これははっきりしておるわけであります。しかし、その前提は四十四条第三項であります。先ほど来お述べになったように、政治的な偏向の問題とか、いろいろ三号、四号もございます。これを受けて第三条が定められておるというふうに私は理解をいたします。しかし、現実にいまいろいろとマスコミをにぎわし、いろいろなことが言われておりますが、これは非常に重要なことだと私は思うのです。いやしくも経営の基本にかかわるようなそういう問題について、間違いについてもはっきりと間違いとして堂々と反論をする、そういう姿勢がなければなりません。しかし、指摘をされるようなそういうことが仮にあったとするならば、これは重大問題であります。もし現在言われておるようなことが事実とするならば、これはNHKにとって重大問題であります。協会側としてはこういう問題について謙虚に反省をして、そしてえりを正さなければならぬ、このように思うのです。  したがって、私がいま申し上げた、お答えはできませんでしたけれども、たとえば原子力の安全性の報道の問題、偏った報道が目立つ、こういうことについて指摘があるようですが、このことについてはどのようにお考えでしょうか。
  84. 坂本朝一

    坂本参考人 お答えいたします。  その会合とは別に、一般的な問題として報道番組等々に当然御批判はあろうかと思いますが、そのことにつきましては、私どもは常に謙虚に承る姿勢でございます。しかし、守るべき点は、先生指摘の条項によって毅然と守るべきであろうという認識には立っておるつもりでございますので、御理解賜りたいと思います。
  85. 武部文

    武部委員 前回も申し上げましたが、今回も同じことを申し上げなければなりませんが、どのような政党であれ、番組編成の自由の問題について介入する余地はないのであります。しかし、四十四条三項をもし誤ってNHKがそれをやっておるとするならば、これは重大な問題であります。したがって、そういう点について仮にもこのような指摘を受けることのないように、さっきから申し上げるように、えりを正した運営というものをやってもらわなければならぬ、ましてや番組の問題、報道姿勢とかあるいは人事にまで協会以外の者が介入するというようなことが言われていることは、私は大変残念なことだし、そのようなことがあってはならぬのであります。そういう点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  86. 坂本朝一

    坂本参考人 私、全く同感でございまして、その線は当然私の責任において守るべきであるという認識に立っております。
  87. 武部文

    武部委員 自民党の皆さんが、会長以下六名を自民党の本部に呼び出されていろいろと指摘をされておる。指摘というよりも、むしろ報道の内容について誤りがある、偏った報道ではないか、こういう点を非常に厳しく追及されたという、これは報道でしかございませんから、会長は答弁されませんのでこれ以上のことはやりとりできません。しかし、もし仮にそういうことがありとするならば、自民党であろうと社会党であろうと共産党であろうとどこであろうと、そういうものに対しては毅然として放送法の精神で対処してもらいたい、このことを特に要望しておきますが、いかがですか。
  88. 坂本朝一

    坂本参考人 お答えの繰り返しになるかと思いますけれども、私といたしましてはそういう姿勢でおるつもりでおります。
  89. 武部文

    武部委員 それでは、また後でちょっと触れることにいたしまして、内容について御質問をいたします。  先ほど来いろいろお話がございましたが、NHKの特色は、金を取ってテレビ番組を見てもらう、ここにあるわけです。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕 したがって、コマーシャル競争をやって視聴率競争をやるような民放とは内容が若干違うのであります。したがって、いままでも何回か視聴率の問題を取り上げたことがございますが、先ほども鈴木委員からお話がございましたように、NHKの視聴率は非常に高くなりつつある。  前回、私はここで子供番組の問題を取り上げたわけですが、コマーシャルの問題を取り上げたときに、二強三弱一番外地というふうにある中で、NHKが二強の中に入ってきた、こういうことを例として取り上げましたが、確かに三弱の中におったNHKが二強の中に入ってきた。これは数字の上から出てくるわけです。私も調べてみたら、確かに視聴率は多くの番組の中にそういう傾向が見える、そのように見てよかろうと思います。一体NHKは、いまの総体的な視聴率の傾向はここ数年来どういう傾向をたどっておるというふうに見られましょうか。
  90. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  御指摘のように、NHKでは毎年六月と十一月に全国的な規模、約三千六百人の個人を対象にして視聴率の調査をやっております。いまおほめをいただきましたけれども、そういった点でも、特に関西地区とかいったところでNHK番組の視聴率が上がっておるというようなデータも出ております。ただ、私どもこういった視聴率の数字だけではなくて、やはり番組を見た上で見た方がどの程度満足をしていただいたかというような満足度につきましても、NHKの方で毎年二回くらい調査をしておりまして、この視聴率の方とこういった満足度にかかわる意向調査との両方を合わせまして、私ども番組の中で十分に反映させていくというような気持ちでおります。
  91. 武部文

    武部委員 確かに先ほど指摘があったように、報道番組特別番組、いろいろな点でいい番組が出てきたことは私も評価できると思います。しかし、ほめてばかりではないのでありまして、前から私は考えておったので、この機会に、いろいろな方の意見を聞いたので、それをもとにしてひとつNHK見解をただしたいと思いますが、例の娯楽番組の目玉の一つである大みそかの「紅白歌合戦」であります。大体の人がこれは見ておると思うのでありますが、視聴率はどのぐらいですか。それから、視聴率の傾向はどうなっていますか。
  92. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  昨年末の視聴率は七〇%をちょっと割ったといったところでございます。なお、その前年は七〇%台をずっと数年続けておりました。こういったことで、われわれとすれば年末のこういった「紅白歌合戦」につきましては、一年の締めくくりという意味で全視聴者の方に喜んでいただけるような内容にしたいということでがんばっております。
  93. 武部文

    武部委員 おっしゃるように、近年「紅白歌合戦」の視聴率は徐々に実は低下をしておるのであります。われわれちょうど大みそかは、くににおるわけですから大体見ておるわけですが、確かに下がっておる。これはなぜだろうか。皆さんもごらんになったと思いますが、私も気をつけて見るようにしておりますが、残念ながら、男女十三人ずつ二十六人出てやりますが、皆さんはどのくらい御存じか知りませんが、私は去年の暮れのやつ見たらたった五人しか名前がわかりませんでした。これは年齢のせいでしょう。だんだんわからなくなって、出ておる者がてんでわけわからぬ。前はもっと知っておったと思うのですが、だんだんわからぬ。ほかの人に聞いてみますと、皆そう言うのですよ、わからぬと。確かにこれはむずかしいことかもしれません。全部の人が見ておるわけですから、いろいろな階層の人、特に若い人がどんどん出てくるわけですから、そういう意味で、一体だれを対象にして年に一度の、しかも年末大みそかの非常にいい時間に期待を持って見ておる番組ですから、国民の大多数の者がやはりこれに非常に好感を持ち、興味を持って見るというような番組であってほしいのです。ところが、出る者出る者が全然わからぬ。お年寄りに聞けば、全くもういやで見たくない、こういう人が近ごろ多いんですよ。私もずっと見て、さっき言ったように五人か六人しかわからぬ。これはそういうことになったかなと思って大変残念ですけれども、しかしこれは私一人だけのことではないと思うのです。しかも、この大みそかの日というのは出かせぎに行った人も帰ってくる、あるいは学校へ行った人も帰ってくる、みんなわが家に集まって一家団らんで見ておるのです。しかも全然外へ出る機会の少ないお年寄りは、この番組に非常に大きな期待を持っておる。ところが、跳んだりはねたり何かわけのわからぬような人たちばかりが出てきておる。何の紅白歌合戦だ、昔はそうでもなかったと、こういう意見が私だけじゃないと思うが、恐らくそういうふうに聞かれると思うのです。若い人にはそれでいいかもしれません。若い人たちはちょっと跳んで町に出れば何ぼでもそういうチャンスがあるでしょう。そういうチャンスのない人たちに、少なくともNHKがあれだけのスタッフを集めてやっておるわけですから、こういう点に配慮してもらわなければ困る、こういうふうに私は思うのです。  それから、これは「紅白歌合戦」ですから男と女がやっているのでしょう。ちょっと目をそらして見たら、出ておる者がどっちの組の人間かわからぬようなのがいる。これは私は、去年の暮れにそれを見て直感的にそう思ったのです。何をかぶろうが、どんな服を着ようが、顔に何を塗ろうが、それは勝手でしょう。しかし、男か女かわからぬような服装、これはちょっとNHKとして若干問題がある、私はそういうふうに思ったのです。これは人権侵害になるかもしれませんけれども、ごらんになった方はあるでしょう。それはいまごろ男だってネックレスをする人がおるでしょう。男がイヤリングつけて顔に何だかぼかぼか塗って、本当にどっちの組の代表かわからぬようなそういうNHK番組はいただけない。これは私一人じゃないですよ。ほかの人もそう言ったんですよ。そういう番組になってきたから視聴率が下がってきた。  こういう点は本当につまらぬような話だけれども、これはNHKの目玉の一つですから、こういう点についてはやはり番組の編成についてひとつ検討する必要があるじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  94. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。「紅白歌合戦」の私どもの基本的な選考の基準といたしましては、いろいろな段階を経まして、視聴者の支持があるとかあるいは歌唱力があるとか、ことし活躍をなさったとかいうようなところを入れながらやっておるわけでございまして、一例を挙げますと、昨年の場合は四十六組出まして、八組新しい初出場がおったということで、少しずつ毎年入れかわっておるわけでございますけれども、子供さんからお年寄りまで幅広い年齢層の方に受けるような方に出ていただきたいというようなことも心がけているわけでございます。しかし、先生が御指摘のような点もあろうかと思いますので、われわれといたしましては、そういった高齢者の方にも十分配慮、留意しながら、これから番組をつくっていきたいというふうに思っております。  なお、一点申し添えますと、なつメロ、夏にはわりに年を取られた方の歌手の方に出ていただいて、夏のなつメロ大会というのをやっておりまして、こういったところでも高齢者の方にもなつかしんでいただけるような配慮もしているつもりでございます。
  95. 武部文

    武部委員 私もそうくるだろうと思っていました。夏見るのと十二月三十一日見るのとは違うのですよ。ですから、大変むずかしい注文かもしれませんが、これは私のようなところの田舎のお年寄りの声なんです。ぜひそういうようなものを少しでもふやしてくれということを、私が逓信委員ということを知っておって、そういう注文がありました。ですから、むずかしいことかもしれませんが、そういうところまでやはり配慮をしてほしい。ほかの番組、たくさん言いたいのですけれども、きょうは時間の関係でこれだけにとどめますが、そういう意見が非常に強いということを考えていただきたい。ですから、なつメロ番組というのは確かに夏やられますね。あれはやめてもらわぬでいいのです。それはやってもらって結構です。そういう点をきょう取り上げておきましたので、私は初めてこのことを言うのですけれども、あなたはたくさん知っておられるかもしれません。だんだんわからなくなってくる。これはそういうことになっていくのですから、ぜひひとつ配慮をしていただきたいと思います。  さて、次に受信料の問題ですが、私が冒頭取り上げた問題も、ああいういろいろなことで巷間NHKがああだこうだと言われると、それが受信料に響く。それは大変大事なことなんです。ですから受信料のことについては、当委員会では与野党一緒になって何とか受信料の成果を上げたいということで、あなた方にも注文をつけておるわけです。そこで五十六年度の増加目標ですが、五十五万件ということを計画に出されましたね。私は地方の局を回ります。いろいろ聞いてみます。これはちょっとむずかしいじゃないだろうか。まだ年度当初にもなりませんが、大体五十五万件というのは五十六年度はちょっと達成がむずかしいのではないかという声を聞くのですが、協会としてはこれをどういうふうに理解しておりますか。
  96. 海林澣一郎

    ○海林参考人 お答え申し上げます。  先生のおっしゃいました五十六年度の五十五万という数字は、御承知の五十五年から三カ年の経営計画の中で基本的なもろもろの状況調査、検討を重ねましてつくり上げた数字でございまして、もちろん国勢調査の状況NHKの現在配備されています諸状況の中から設定いたしました数字でありまして、五十六年この五十五万を達成すべく努力しているということでございます。
  97. 武部文

    武部委員 それは目標を立てなければいけません。したがって、それを立てられたことは結構ですが、この目標を画一的に地方局に割り当てて、そして大号令をかけるというようなことになってくると、どういう結果が起きるか。前回も私は集金人の話をいたしましたけれども目標が押しつけられてくると、どうしても安易な集金に陥りやすい。極端に言えば、早く件数を達成しなければいかぬということから、件数のみに目が向いて、応接態度に乱暴な態度が見えてきたり、こういうようなことになりかねない。これはひとりNHKの集金だけではなくて、郵政省の貯金や保険の外勤のことについても言えると思うのです。そういうようなことで、画一的な割り当てをして大号令をかければ、かえって不良な集金がふえて、そしてNHKに対する不信が増大するのじゃないだろうかということを大変懸念するわけであります。したがって、安易な集金に集中するような、そういう傾向はぜひやめてもらわなければならぬ、やめるような努力をしてもらわなければならぬ。  そういう点で、いわゆる不払いというものについてどういう対策を考えておられるか。私は前回も、専門的な集金人というものが必要だ、請負の数は大変たくさんおりますが、専門家が少ない、むしろ専門家を育成し、その人たちがむずかしいところは必ず出かけていって努力をして解消する、これが不公平な負担を解消する道だということを言ったわけです。ことしは特にこのことが傾向として強くなってくるのじゃないだろうか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  98. 海林澣一郎

    ○海林参考人 先生が前段に仰せになりました割り当てということでございますけれども、この契約増加目標の設定に当たりましては、先ほどもちょっと触れました受信契約状況とか視聴者の態様というものを詳しく検討いたしまして、営業総局あるいは管内の担当局と何度も打ち合わせを行って積み上げていく。しかし先生指摘の点は、五十五年においても五十五万だ、五十六年においても五十五万であり、その割り当てが各地区で一緒だということを恐らく先生指摘だと思いますけれども、いま申し上げましたような積算によりまして、五十六年度も各地区担当局に同じ数字を、確かに微調整する部分がありゃなしやという議論もあったわけでございますけれども、結論的には五十五年と同じ形で提示をした、設定をしたということでございます。  後段の方の滞納の対策、今後の方向でございますけれども、実のところ、受信料滞納対策について特別の妙案があるかということになりますと、ありというふうにこの場でもお答えできにくいところがございますが、視聴者NHKの信頼関係を基礎として受信料制度が成立している以上、これからも、先生指摘NHKの集金部門を担当いたします職員である外務職、あるいは委託、受託の関係の集金の方あるいはサービスセンターの調査をする者とか郵政委託をお願いしているところとかいう各部門に分かれておりますけれども、それらが力を合わせまして、いま申し上げました、たとえば外務職であれば、いただけないところに休日に行くとか、あるいは御不在のところには手紙を出すとか、あらゆる手を使ってやっていこうと思います。特に首都圏、近畿圏、北海道につきましては、御案内の特別営業対策員というものを百四十人ほど設けまして、滞納になっている部分だけを現在フォローしているという形でおります。  特に申し上げたいのは、ことし受信料額の改定がございまして、収納を安定せしむるということで九月と二月に全協会的に特別対策月間を設けまして、営業以外の放送、技術、管理部門の人間を動員いたしまして滞納対策をやった、おかげさまで滞納の増加が上半期、九月の締めで五十四年の三月末に比べまして三千の増加であったということでございます。
  99. 武部文

    武部委員 努力しておられることは認めます。第一線の集金する方、特にA、Bと分かれたBの関係、委託集金の人、それからAの専門の方、みんなそれぞれ苦労して集金に当たっておるわけですから、そういう人の苦労にも十分配慮していただいて、五十五万件の目標が達成できるように最大の努力をしていただきたいと思います。  ちょっと角度を変えまして、前回私はここでミニハンディのことを申し上げました。NHKは、第一義である報道がミニハンディの立ちおくれによって民放よりも大変おくれておるということを指摘したわけです。このミニハンディの現在の配備状況、それから五十六年度にどういう計画をして、民放と太刀打ちしていけるような状況になっておるのかどうか、なっていなければ、一体目標はどういうことになっているのか、これをお伺いしたい。
  100. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  御指摘のように、最近の報道機材というものは小型ビデオによるものが非常にふえてきております。こういった技術革新の成果を積極的にわれわれも取り入れていきたいということで現在いろいろ努力しているわけでございますけれども、大体五十五年度末でこういった小型ビデオ機器の配備は本部それから地方も含めまして大体二百式ちょっとというところまでこぎつけました。そして五十六年度につきましては、特に地方の放送局を中心に約八十式ぐらいを増備して、できるだけ機動的でコンパクトな報道機材体制や番組体制を整備していきたいと思っているわけでございます。  なお、将来はさらにこういったものの技術革新が進みまして、軽量小型の機器の開発に現在努力しておりますので、近い将来におきましてはさらにその先までもいろいろビデオ化していくことも検討しているということでございまして、御指摘のように、地域によりましては民放との劣勢化ということもあろうかと思いますけれども、いま申し上げましたような配備計画によりましてここ一両年のうちにそれに追いつき、追い越していきたいと思っております。
  101. 武部文

    武部委員 これは金がかかるわけでして、なかなか言うはやすく実行はむずかしいと思いますが、このミニハンディが一式局に配備されて、そして効果を上げるには大体どのくらい金がかかるのでしょうか。いまおっしゃったのは二百と、これから八十と、あと一両年中にどのくらい配備するかわかりませんが、大体どのくらい一式で金が要るのですか。
  102. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  ミニハンディと称するものはNHKの中の全くのペットネームでございますので、小型ビデオ機器と申し上げますと、現在スタジオにあるカメラと全く同じ性能を持った小さいカメラでございます。これをNHKの中では俗称ハンディカメラと言っているわけです。それから報道用にきょう現在ここにございますようなこれをミニハンディ、こう言っているわけでございます。いま御質問がございましたが、ミニハンディにつきましてはカメラが七百万でございます。それから、一式というお話でございましたが、これは各局の事情によりまして設備するものが違ってまいります。たとえば小型のVTR、それから編集機それから送出装置、これを持っているところと持ってないところがございます。そういう意味で、ばらばらで恐縮でございますが申し上げますと、小型のVTRにつきましては約百万でございます。それから編集設備、これはVTRを含む編集設備でございますが、約一千万でございます。それから送出装置が八百万でございます。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕
  103. 武部文

    武部委員 二千五、六百万かかりますね。相当な金額になるわけですから、一局でも多く早く配備してもらわなければならぬ。特に地方局は民放とそういう意味で勝負をやっておるわけですからね。そういう意味で私はミニハンディを早急に万難を排して地方局に配備をしてもらいたいということを言ったのであって、NHKの最も重要なニュース、そういうものについてミニハンディの効果は非常に大きいわけですから、ぜひひとつ努力をして地方局の要望にこたえていただくように特に要望をしておきたい、このように思います。  次に、前回も申し上げましたが、どうもとっぴな話でうまくかみ合いませんでしたが、きょう私が申し上げたいのは、放送番組のライブラリーの問題であります。すなわち放送番組の保存センター、このことについて伺いたいのであります。  現在、映像文化というのは、国民生活のあらゆる分野におけるところの貴重な財産であります。したがって、その保存あるいは公開利用体制というものが万全でなければなりませんが、いまのわが国におけるこういう映像文化の保存なり公開利用体制というものはまだまだ不十分だ、このように思います。整備されていないわけです。そこで、国連のユネスコの第二十一回総会が、去年の九月二十三日から十月二十八日まで開かれました。この国連のユネスコ総会で「動的映像の保護と保存に関する勧告」が決議をされておるのであります。このように国際的にも映像文化というものについて非常に評価をしながら、保存その他について重大な関心が集まっておる。ところが、一体わが国における状況はどうだろうか。NHKの保存状態等をいろいろ聞いてみましても、大変お粗末と言えば言葉が悪いのですけれども、余りいいことになっていないというふうに聞くのであります。ほとんどのものが残っていない。いまごろ戦中物の記録が出ますと、ほとんどアメリカの実戦のフィルムが出ますけれども、ああいうものは当時の日本に保存しろとかあれを映せとか言ったって、それは無理な話ですけれども、今日は違うと思うのです。そういう意味で、たとえば東京オリンピックのもとのテープはないと聞いておりますが、事実ですか。東京オリンピックの原テープです。それをプリントしたものはありますか。
  104. 田中武志

    田中参考人 フィルムとして保存してございます。
  105. 武部文

    武部委員 かつてNHKの人気番組であったところの「私の秘密」とか「お笑い三人組」とか「日本の素顔」というのを私ども記憶いたしておりますが、そういうものもほとんどないということを聞いておりますが、これは事実ですか。
  106. 田中武志

    田中参考人 私ども放送総局の中で、こういった番組につきましてはどれを永久保存にするか、そういったことの保存委員会をつくって選別しておりまして、物によってはないものもありますけれども、できるだけそういう中で、いまおっしゃったようなものについては、フィルムによって保存しているというのが現状でございます。
  107. 武部文

    武部委員 NHKは、この四月から、私が冒頭申し上げた放送番組ライブラリーを発足させるということを考えておるようですが、一体どのくらいな計画で、どのくらいを対象にしておるのでしょうか。
  108. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  先生、先ほどから御指摘のように、最近ビデオの映像使用というものが非常にふえてきております。それによりまして現在ニュースあるいは番組という区分けの中でいろいろ蓄積し保存していこうという体制を整えているわけで、いま御指摘NHK放送番組ライブラリーというのは、大体年間二万五千本くらいの番組が制作されておりますけれども、そういったものの中で大体年間五千本から六千本くらいをこのライブラリーの中で保存していく番組にしたいということでございます。その中で、番組への貸し出し、あるいは外部の方への有償の提供、無料の試写サービス、そういったことをわれわれとしてはやっていきたいというように考えております。
  109. 武部文

    武部委員 五、六千本ということをおっしゃっておるわけですが、確かにフィルムと違ってビデオで容量が大きくなっておるわけですから、そういう意味では大変困難な点があるだろうと思います。しかし、先ほどから申し上げるように、これは歴史の証言となるような大変重要なものでありまして、NHKといわず民放といわず、こういう歴史の重要な証言となるような番組を保存するセンターをつくることは大変必要なことである。私は前回もこのことを指摘したと思っておりますが、そういう公的機関というようなものをつくる必要があるのではないか。これは文化の保存であり、歴史の証言という意味からも私は大変大事なことだと思います。したがって、これは要望になりますが、監督官庁である郵政省が、民放もひっくるめて、文化庁あたりと協議をして、こういうものについて万遺漏のない保存体制をとってもらった方がいいのじゃないだろうかというようなことを考えておるわけです。これはいまここでどうこうするわけにまいりませんが、ぜひ郵政省も、こういう大事な番組の保存、さっきから何遍も言いますように歴史の証言になるようなものですから、そういう貴重なものを保存をし、それが文化的な遺産として公開体制がとれるような、そういうことを研究してもらいたいということを特に要望しておきたいと思います。  時間がなくなりましたので、あと二つばかりお伺いをいたします。  一つは、今度発行になった文芸春秋を見ておりましたら、女子アナウンサー三人の座談会が出ておりました。民放もひっくるめて出ておりました。これを読んでみまして、それほどNHKには女子職員というものがいないのかなということを初めて知りました。いまNHKの職員は去年の四月現在で九百五十八名くらい、時間の関係で私が言いますが、そのくらいの職員がおられるようですが、この九百五十八名というのは全体の六%くらいですね。しかしほとんど全部が事務職、こういう関係になっておるようで、放送だとか技術だとかそういうところにはもう全くいないと言っていいほど、探してみても数が見えないのです。特に取材の社会部はゼロのようです。やはりこれは女は女としての特殊性がある。私はあの座談会を読んでおって、NHKから引き抜かれてどうとか、ああいうようなことも載っておりましたけれども、いろいろなことが出ておる中で、やはり女は女としての取材の適性があるということをあの中からくみ取りました。確かにそうだと思うのです。  私はある番組で、民放の方と一緒に例のネズミ講退治のときに同道して京都の大学へ参ったことがありましたが、女子プロデューサーでした。非常に熱心で、非常にいいところをつくのです。そういう特殊性を生かすところがあるにかかわらず、社会部あたりは、NHKは一人もそういう取材記者がいない。また技術、放送あたりも非常に少ない。こういう点はどうなんでしょうか。そういう点について改善をしていく、いま人員整理を目前に控えてなかなかむずかしいかもしれませんが、そういうこともひとつ考えてみる必要があるのではなかろうか。民放に比べて少ないように思うのですが、いかがですか。
  110. 武富明

    武富参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生数字を挙げておっしゃいましたけれども、確かに技術というような面から申しますと非常に少のうはございますが、決してゼロではございません。それから放送の方も、五十五年年度当初大体女子の職員というのは千八十名おったわけであります。その中で約百六十三人が放送に従事しております。ただ、そういう実態がございますので決してゼロではないということを申し上げたいのでございますけれども先生のおっしゃるとおり、じゃ報道はどうかと申しますと、これには御指摘のとおりゼロでございます。しかし報道関係の職場に女性が少ないということは、一方では、先生もすでに御承知のとおり、報道の取材というのはやはり泊まりの勤務とか早朝勤務とかあるいは深夜の勤務とか、きわめて勤務状況が不規則だという点もございますし、また同時に、これは内部事情でございますけれども、記者のいろんなローテーションというようなことも考えますと、人事上の制約というものが非常にございまして、これらの職場に女性を置くということは非常に困難であります。しかし一方、女子の立場から番組をつくっていくということの必要性というのはわれわれも十分に認識をいたしております。これは新聞、他社を拝見いたしましても婦人の記者というのはいらしゃいますけれども、その多くはどうも、細かい点になりますと多少問題があるかもしれませんけれども、私どもの調べたところによりますれば学芸部とかあるいは文化、婦人、科学、こういった分野に従事をなすっていらっしゃるという方が多いように私は思うのです。それでその点につきましては、それぞれ番組部門がまたニュースとは違って絶えず世の中の新しい動向というのにも取材を続け、追いかけているわけでございますので、われわれの方としては、これはPDの分野でも対応はしていけるんではないかということを考えております。  非常に多くの男性の中にごく少数の女性をまぜるということは、果たしてまぜられた方が本当にいいのかどうかという問題もございますし、そこら辺はいろいろ御論議あろうかと思いますけれども、ただわれわれとしては、新しい方向を探りながら番組をつくっているという点で、われわれNHKでは、先ほど申し上げましたとおり、百二十人のPDが現場で従事をいたしております。そういったことで、われわれとしてもそういう方向で先生の御指摘というものにこたえてまいりたいというわけでございますけれども、もう一遍繰り返しますと、社会部その他について入れることは非常に困難な面があるということも御理解いただきたい、こう思うわけでございます。
  111. 武部文

    武部委員 私はいま京都の大学の話をしたのですけれども、やはりやってみるとそれなりに非常にいい仕事をするということを私は実際に体験をいたしました。自分が一緒にやったからという意味ではございませんが、この番組は大変むずかしい番組だったし、その女の記者は脅迫されたりいろいろやられてきたということを経験をいたしましたけれども、それでもやはり断固としてこいつを曲げないでがんばってやりました。ですからそれは非常に評判がよかったのですが、そういうことがやはりNHKにも――全然ゼロでなくて、一人はやはりゼロと同じようなものですよ。そういうことじゃなくて、やはりもっと女性は女性としての活用の場もあるわけですから、困難であってもやはりそういう問題に真剣に取り組んでいくという姿勢がNHKになければいかぬというふうに私は思いますから、特にこのことについては要望しておきたいと思います。  時間が来ましたから最後にローカル放送の問題であります。  いま、ローカル放送のことについて地方局を回ってみると、それなりに必死に努力をしておられます。そうしてなかなか評判がいい。これも前回言いましたが、その後一年間、われわれは前回の決議にもローカル放送の重視ということをうたったわけです。非常に努力をしておる。しかし、これはやはり経費がなければできないことです。そういうことで努力はし、効果は上がっていく、それがまた受信料にもつながっていく、こういう点からローカル放送の充実についてという点が決議をされたわけですが、協会としてことし一年間ローカル放送の充実についてはどういう考え方で対処していかれようとしておるのか、これを最後にお聞きをして終わりたいと思います。
  112. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  御指摘のように、NHKといたしましては、ローカル放送の充実、そういったものにきわめて熱心に努力をしてきたつもりでございます。たとえば五十五年度におきましては朝の「NHKニュースワイド」を設けまして、その中でローカル番組というものをいろいろ充実を図ってまいりましたし、それからまた大阪の近畿圏におきましては、昨年の秋から「BKスペシャル」という近畿圏独自の番組を夜の八時台といういい時間帯に月一回編成いたしまして期待にこたえております。  それで五十六年度につきましても、私ども、この首都圏だとかあるいは近畿圏といったような大都市圏向けのローカル放送については特に力を入れたいということでございまして、総合テレビでございますけれども、金曜日の夜の十時から十時半まで、それぞれ首都圏、近畿圏におきまして、「一都六県」あるいは「ウイークエンド近畿」とかというようなことでそれぞれの情報を、地域に即した番組をつくっていくということを考えております。  また、そのほか、先ほど御指摘がありましたように、それぞれの地域の実情に即したローカルの特集番組を昨年もそれからこれからもつくっていきたい。たとえば昨年広島で夏つくりましたドラマの「夏の光に」という原爆症を取り扱ったドラマが数多くの賞をもらいました。またドキュメンタリーでは「爆心地のジャーナリスト」というようなものも大変評価を得ました。またことしに入りましてからも、先ほどちょっとここでお話が出ましたように、「NHK特集」の「八甲田」だとかあるいは北海道の「網走刑務所」といったのもそれぞれローカルの局が精いっぱいつくった番組でございまして、それぞれ評価を得ております。こういったことも含めまして、五十六年度も私どもこういったローカルの特集番組にも力を入れていくということで考えております。
  113. 武部文

    武部委員 終わります。
  114. 佐藤守良

    佐藤委員長 武部文君の質疑は終わりました。  午後一時四十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ――――◇―――――     午後一時四十三分開議
  115. 佐藤守良

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を続行いたします。竹内勝彦君。
  116. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 昨年NHK受信料値上げしたわけでございます。この値上げ審議のときにも、国民の広い各層から意見として、いろんな角度から値上げの反対やいろんな声がございました。現在までの経過の中で特に支障はなかったのか、また値上げ後の効果というのはどのようにあらわれておるのか、その点を最初に御説明いただきたいと思います。
  117. 海林澣一郎

    ○海林参考人 お答え申し上げます。  先生のおっしゃいますように五十五年料額改定がございまして、一カ月暫定ということがございまして、まずその周知を、先生もちょっとおっしゃいましたように徹底的にいたさなければならないということで、たとえば新聞雑誌への掲載とか、あるいはお気づきか、NHK番組、一分間のステブレと申しますけれども、実に七十五回出すというような形、それらこれらをいたしまして発足をいたしました。おかげさまをもちまして、先生のおっしゃいます五十一年に集団的な不払い運動というのがございましたけれども、今回は、多少そういった動きがないではございませんでしたけれども、顕在化しないまま終わりましたということが御報告できます。  続いて収納でございますけれども、収納の状況は、料額改定になりまして、改定したのに収納ができないということでございますと、公平の原則と申しますか、これが保てないということで、とにかく上半期徹底的に料額改定に伴う収納に力を入れた次第でございます。おかげさまをもちまして、上半期九月の末で、前回もここでいろいろ御質問ございましたお支払いいただけない、滞納でございますけれども、それが五十四年の三月末に比較いたしまして三千の増加ということでとどまるということでございまして、したがって、収納の状況は安定して経過したというふうに御報告できます。  一方、先生の御心配くださいます契約でございますけれども、新しい方から契約をいただくということにつきましては、申し上げました前半に収納の方に全力投球をしたということで、その伸び率は残念ながら、五十五年の決算見込みの四十万、これに対して現在挑戦中であるという状況でございます。
  118. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 五十一年には値上げがございました、そしてまた昨年と、こういうことでその間四年間あったわけですね。そこで、今後当然の問題として出てくるのは、物価の問題や経済の変動等から考えてみますと、今後の展望というものをはっきりとさせておかなければならないと思うのですね。  そこで、向こう三年間の収支の見通しを含めて今後どのような状態になっていくのか。また物価等が値上がりになって、この前四年間で値上げをしていかなければならなかったという例があるわけでございますけれども、今後またそういうような状況になったときに、値上げというようなことになっていっては、以前の経過から見ましても、国民に親しまれていくNHKとして非常に厳しい状況になるのではないか、こういうことを考えるわけですが、その辺も含めて、ひとつ今後の展望をお聞かせ願いたいと思います。
  119. 山本博

    山本参考人 三カ年間全体として展望をいたしますと、五十五年度には暫定予算並びに収入の他の要因による不足、そういうものを合わせまして五十五億の収入不足がございました。五十六年度、五十七年度はそういう事態に対応いたしまして、その五十五億のみならず、その他五十六、五十七合わせまして三カ年間としましては、本年度予算を御審議していただくときに提出しました三カ年計画全体として比較いたしますと、三カ年間で約七十六億の収入不足が見込まれます。これは先ほど営業担当の理事が申し上げましたような実態を踏まえた上の計算でございます。したがいまして、その七十六億に対しまして五十六、五十七年度二カ年間でそれを何とか吸収をしてまいらなければならないということで、これは企業努力あるいはその他もろもろの手だてを尽くしまして、三カ年間で約三十八億の支出の抑制をいたしましたし、また五十四年度の決算から三十八億ばかりの剰余が出てまいりましたので、それを借入金返還の方の金額を減らすことに使いまして、両方合わせまして三年間で七十六億の収入不足を補うという計画を立てております。  ただ、御指摘がございましたように、これは三カ年間の見通し数字の上で立てたものでございまして、たとえば物価の問題なんかは、この計画を立てますときには六%で立てておりました。本年度の物価は、現在七・八%ほどだと言われておりますような状況もございますので、この計画どおりいけるかどうかということにつきましては、五十六年度、五十七年度予算執行の過程においてこういう状況変化に対応していかなければならない。またそういうような対応をいたすことによって、そういういろいろむずかしい問題もございますけれども、これを国民へのお約束として何とか克服をしていきたいということで、三カ年間につきましてはほぼ所期の計画どおりの業務運営ができるのではないか、こう考えております。  さて、五十八年度以降はどうなんだというお話でございますけれども、今日の時点で五十八年以降を正しく確実に展望するということは、非常に困難なもろもろの条件がございますのでなかなか簡単には展望できませんけれども、御指摘がありましたように、五十八年度数字の上では赤字になってくるから直ちに受信料改定だというふうに短絡的に考えるというふうにはいたしたくないと思っておりまして、五十六年度、五十七年度の両年度業務運営上いろいろな努力をいたしまして、少しでもそういうような事態を避けるように努力をいたしたい。  その努力の中身としましては、できるだけ国民の御理解を得る、受信料というものについての御理解NHK責任と機能というものについての御理解、こういうものを得ると同時に、自分自身の経営の中の合理的な運営、そういうものについての御理解も得るというようないろいろな努力を積み重ねまして、また滞納の問題につきましてもできる限りの施策を講じて減少を図っていくというようなこともあわせまして、全体として五十八年度に対応してまいりたいという一つの気構え、覚悟でございますけれども、五十八年度以降直ちにこういう数字でこうなりますというようなことは、ちょうどビジョン委員会も活動いたしておりますので、そこで出されますいろいろな御意見も十分取り入れまして五十八年度以降の内容については固めてまいりたい、こう思っております。
  120. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 受信料改定という問題もそうでございますけれども、唯一の増収を図っていくという状況としては、受信契約数、まだ残されている分あるいは今後の増加の分、これをどうしてふやしていくかといった面が大事ではないかと思います。  そこで、五十一年度値上げと五十五年度値上げがどういうように影響していったのかという推移を見てみたいわけでございますが、五十一年度から五十五年度までの契約総数での増加件数、それから受信料収入の対前年度の増加額を説明していただきたいと思います。
  121. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  まず数の方の増加でございますが、五十一年度は四十六万六千件でございまして、一・八%の伸びでございます。五十二年度は六十七万九千件で二・六%の伸び、五十三年度は六十万一千件で二・二%の伸び、五十四年度決算では五十二万五千件、一・九%の伸びでございます。  これに対応する受信料でございますけれども、五十一年度先生がおっしゃいましたように値上げの年でございますが、五百九十一億円の対前年度増でございまして四六・一%でございます。五十二年度は百六十二億円が対前年度増でございまして八・六%、五十三年度は四十八億でございまして二・四%、五十四年度は四十九億でございまして二・四%となっております。  以上でございます。
  122. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 先ほど五十五年度に関しては四十万の契約数を増加させよう、こういうことで努力しておると伺いましたが、五十一年の値上げのときにはこういうように四十六万ということでございまして、比べますとかなり減っておりますね。五十五年度見込み自体が四十万、かなり落ち込んでおる状況でございますが、この見通しはどうですか。四十万本当にできそうなんですか。あるいはかなり大幅に離れておるようではまた問題でございますし、その見通しを教えていただきたい。
  123. 海林澣一郎

    ○海林参考人 先ほど四十万に向かって挑戦しているというふうに申し上げたわけでございますけれども、五十一年のとき、確かに六六%ということで受信料改定で思わしくない結果があった。今回五十五年度におきまして四十万への挑戦でございますけれども、実は五十二年を振り返ってみますと、翌年には七十万の目標に対して六十八万件いった、つまり通常の状況に翌年は復するという経験論的なこともございます。したがいまして、そのほか契約をふやします諸種の施策を講じまして、五十六年度、明年度でございますが、もとに復するようにもう四月当初からあらゆる施策を講ずるという指示をすでに与えているという状況でございます。
  124. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 五十六年度と、こうおっしゃいますが、五十一年のときもかなり落ち込んでおる。それから五十五年度も低く見ておる。この考え方は、値上げが行われたがゆえに結局そういったものに力を注ぐことができなかった、契約増加という面に力が入らなかったのか、あるいは何かそのほかの理由があって、そういったものが加味されて、値上げのときには契約増というのはなかなかむずかしい。だという何かの理由があるのかどうか御説明ください。
  125. 海林澣一郎

    ○海林参考人 実は非常にむずかしい御質問なんでございます。基本的には、先ほど山本専務からも申し上げました、三カ年計画を立て国民の方にお約束する数字であるということで、営業の施策といたしましては、契約をいただき、そして収納をする、この車の両輪を立てまして行動するわけでございますけれども、先ほど申し上げたような結果が出つつある。  多少思い当たる節を申し上げますれば、いわゆる大都市における単身世帯と申しますか、あるいは御夫婦共働きの御家族という方たちにお会いができないというような、社会構造の変化と申しますか社会態様の変革というようなものがございます。もちろん、これにつきましても事前に十二分にその辺の検討がなされていなければならないわけでありますけれども、残念ながら御報告申し上げておりますように、五十五年におきましてはそういった数字になったということでございます。
  126. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで五十六年度期待する、力を注いでやっていく、こういう御答弁でございますが、五十六年度の見込みとして、きょうも話がありましたけれども、五十五万件の増加を見込んでおりますね。この見込み自体がいままでのものから比較しますとかなり――たとえば五十二年度のときは六十八万ですね。見込みが七十万と見て六十八万できているわけですね。それから五十三年度のときには見込みとしては六十万、そしてそれが同じように六十万一千できておる、こういう状況でございますけれども、五十六年度をこういうふうに見て、もしも先ほどの説明のとおり、五十一年度のように達成率というものが七〇%を切るというような状況になっておる年もあるわけでございますね。そうなってくると、事業計画の中で事業収支差金というものを算定しておりますが、五十五年度に二百四億円、あるいは五十六年度に百十一億円、そして五十七年度には三十二億円のマイナスですね、こういう見込みを立てていますが、今後もし受信料収入が、いまの説明のように努力します、そういったものでその努力が達成できないような形になっていった場合には、これは赤字がこの見込みよりももっとふくれ上がってくるということが考えられるわけでございます。  その意味では一体その辺の状況というものをどう掌握しておるのか。五十五年度状況とそれから五十六年度以降の状況というもの両面を見て、いや、この収支見通しというものはNHKの考えとしては妥当なものである、こういったもので出してきたのかどうか。ところが、そういったものが入ってくると非常に問題点が出てくるのではないか、こういうように心配するわけですが、その辺の見通しを御説明ください。
  127. 海林澣一郎

    ○海林参考人 先ほどお答えしたことと重複という形になるかもしれませんけれども、少なくともお約束した目標に対しまして、五十五万何としても貫き通そうということでございまして、たとえば具体的に申し上げますと、先ほどちょっと触れました社会態様でございますけれども、移動世帯が非常に多いわけでございますが、その移動世帯の把握につきましても、特に役場その他との協力、住民基本台帳の閲覧などによる部外情報をとるとか、あるいは部内的には全局員で、たとえば職員の住んでおります周辺に引っ越してきた方たちのお名前を営業に報告させるとか、ちょっと細こうございますけれども、そういった具体的な施策を講じ、移動世帯の対策を立てよう。それから不在でございますけれども、不在につきましても昼間不在対処、昼間うかがってもいらっしゃらない、夜間うかがう、あるいは休日にうかがうというようなこと等、さらに契約拒否、大体十万ほどいらっしゃるわけでありますけれども、これは昨年いわゆる視聴者本部というようなものも発足し、視聴者との結びつきを深めるということで対話活動を積極的に進める。二、三申し上げましたそういう具体的なことを積み重ねまして、五十六年度の五十五万に向けて業務を推進していきたいというふうに思う思う次第でございます。
  128. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、難視聴の実態に関してお伺いしたいと思いますが、この難視聴、まだ大分全国に残っておるようでございます。  そこで、全国の、各地方別で結構でございますが、都市難視あるいは山等の難視、そういったものに分けて、概略いまの難視聴の実態というものはどうなっておるか御説明ください。
  129. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生の御質問の、まず辺地難視と称します都市の受信障害を除くものにつきましての五十五年度末の残存難視の数は、まだ工事も進んでおる段階でございまして確定しておりませんので、恐縮でございますが、五十四年度末で確定した数字で申し上げたいと思います。  五十四年度末の全国の残存しております難視世帯数は五十一万と把握しております。これを各地方別に申し上げますと、東北地区に五万九千残っております。それから東京地区、私の方の組織でいいますと本部と言っておりますけれども、関八州で十三万四千、それから中部地区で五万一千、それから近畿地区で六万五千、中国地区で七万七千、四国地区で三万、九州で七万九千、このように把握しているわけでございます。  なお、これの特徴といたしましては、特に辺地難視につきましては、都市の周辺におきましての宅造による、これまで各御家庭がないために電波を届けておらないという山が宅造されることによりまして、いままで電波が行かなかったわけでございますので、新たにそれを難視救済をしなければならないというふうに考えられるようなのが都市周辺に出てきておるというのが、この辺地難視の特徴でございます。  県で申し上げますと、たとえば神奈川県の三万九千、兵庫県の二万一千というこの残存難視は、年々その辺の約三千なり五千なりの宅造による辺地難視の影響というふうにわれわれは把握しております。  また一方、受信障害の問題でございますけれども、都市の受信障害の数といたしましては、五十四年度末で全国で約五十六万世帯と推定しております。これを地域別に見ますと、何といいましても高層建造物が多い首都圏、それから京阪神に非常に多くこれがあるということは申し上げてよろしいんじゃないかと思っております。われわれの推計によりますと、首都圏で約二十八万世帯、京阪神地区で約十三万世帯、残りが地方都市というふうにわれわれは把握しております。
  130. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、辺地難視の状況で結構でございますが、そのうち近畿は、各府県別にどんなような状況になっておるか御説明ください。
  131. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  近畿地区につきましては、大阪府が残存難視が九千でございます。それから京都府が一万三千世帯でございます。兵庫県が二万一千世帯、和歌山県が一万三千世帯、奈良県が五千世帯、滋賀県が四千世帯、これも確定いたしました五十四年度末のわれわれの把握している数字でございます。
  132. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 五十六年度予算でこの難視解消のために二十二億六千万円計上しておりますね。これでどの程度まで難視というものが解消できるのか、そしてそのうち特に、いまも話がありました都市難視等も含めて、近畿におきましてもかなりのものがございますけれども、その近畿への比率というのはどんなふうになるのか、それを御説明いただきたいと思います。
  133. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  このたび五十六年度に計上いたしました二十二億の対策費の内訳でございますが、全国で置局を百三十地区、したがいまして、総合、教育の局数で申し上げますと約二倍でございます。二百六十局でございます。それから辺地の共同受信施設、これを三百七十施設、これの建設を計画しております。それで約二十二億ということになるわけでございますが、その内訳を申し上げますと、置局百三十地区、局数約二百六十局でもって八・四億でございます。それから共聴施設が三百七十施設、これの予算が十四・二億でございます。解消の世帯数といたしましては、中継局の置局によりまして百三十地区でもって一・五万世帯、共聴の施設でもって二万世帯、したがいまして、予算の八・四と十四・二で二十二・六億、解消世帯数が一・五万と二万でもって三・五万、このような計画を立てたわけでございます。
  134. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 たとえば私の住んでおる京都におきましても、いまも説明いただきましたように、いまだにこれは辺地難視を見ても一万三千世帯、本委員会でも私この前も取り上げましたが、市内でも坂の多いある区におきましては、二年前でございましたがこれは解消したわけですが、二十年間テレビが見えなかった、こういうようなところがございました。そこで、こういう時代にこういった全国では五十一万世帯こういう状況にある中で、ひとつぜひ難視の解消というものに取り組んでもらいたい。そのためにはきめ細かに見ていかなければならない点が出てくるのではないか、こう思います。  そこで、京都の例をとりますが、この難視の実態は一体どういう辺が多いのか。それから、五十六年度予算をどういうようにつぎ込んで、どの辺がどのように解消していくのか、京都の例で結構でございますが、御説明いただきたいと思います。
  135. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  京都府につきましては、先ほど申し上げましたように五十四年度末の確定数が一万三千世帯というふうに把握しているわけでございますが、五十五年度工事が終わりますと、一年度での解消数を約二千というふうに考えておりまして、五十五年度末の残存を一万一千世帯というふうに推定しております。五十六年度がこの一万一千世帯の解消計画に当たるわけでございますが、これにつきましては現在が置局二地区、したがいまして局数で言いますと四局でございますが、八幡の地区につきましては着工を予定いたしました。もう一局につきましては、先生指摘のようにさらに府内を調査いたしまして、一局は中継局でもって解消に当たろうと思っております。  それから、共同受信施設、これにつきましては十九施設でもって解消に当たろうと思っております。これにつきましても地元とよく相談いたしまして、地元の要望も十分勘案いたしまして、これによって約千百世帯の難視解消に当たろうというふうに京都については考えているわけでございます。
  136. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 もうちょっと説明してください。その五十五年度に二千世帯、どの辺がどういうふうに解消したのか、もし地名等がわかればそれと、今後、いま八幡の例が出ましたが、山間僻地のところではどういうようなところが多くあって、あるいはこういうように持っていくんだというようなものがありましたら、御説明ください。
  137. 高橋良

    ○高橋参考人 大変恐縮でございますが、ただいま細かい資料、手持ちございませんので、直ちに調査いたしまして、御報告申し上げたいと思います。
  138. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今後この対策には相当のお金がかかっていくというのは御承知のとおりです。そこで郵政省にお伺いしておきますけれども、そのうちの国の負担としてどういうように考えておるのか、あるいは今後はどういうように意欲的に取り組んでいくか、そういった面がどのようになっていくのか。それからまた地方自治体への負担というものがかなりあるのではないか。そういった比率等も含めて御説明ください。
  139. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  辺地の難視につきまして私どもも大変関心を持っておりまして、昭和五十四年度から補助金というものをようやく認めてもらいまして、五十六年が三年目ということになるわけでございますけれども、年間少しずつふえておりますが、二億一千万程度で毎年おおよそ八千世帯ないしその程度のものを補助してまいっておるわけでございますが、地区数としては各年次二百三十地区程度だったかと思います。  補助の考え方でございますけれども、各地方の方から申請をしてもらいまして、まずNHKもまだ見えていないということを中心にいたしまして選定をいたしておるわけでございます。補助率でございますが、考え方としまして、先生御存じのように毎年効率が悪くなっておりますけれども、たとえば候補に上がりました地区につきまして一世帯当たり仮に十五万円かかるといたしますと、十五万から三万引きまして、その三万円は直接受信者から御負担をいただく、残り十二万円のうちの三分の一については、先ほど申しました二億一千万の経費の中で国から補助を申し上げる、残りにつきましては地方公共団体あるいは市町村等が受け持つ、そういうような考え方で補助してまいっておる次第でございます。
  140. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで先ほども論議がございましたが、五十八年度に打ち上げ予定しておるこの放送衛星でございますね。これを打ち上げた場合、NHKの総合テレビあるいは教育テレビ、そういったものがともに受信できるのか。そしてまた、各家庭がその電波を受けるにはそのアンテナですね、パラボラアンテナを備えていくわけになるんだと考えますが、やっぱりかなり費用がかかるんじゃないか、こう思います。この費用は一体幾らぐらいで、各家庭への負担増というものはどういうふうになるのか、その点を御説明ください。
  141. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 御指摘のとおり、五十八年の冬期と申しますか、五十九年の二月でございますが、その時点に放送衛星が予定どおり打ち上がりますと、調整等に三カ月ばかりかかりまして、五十九年の五月ごろから受かるということになろうかと思いますが、この場合にNHKの総合番組及び教育番組の二チャンネルを予定しております。したがいまして、日本全国におきまして受信の手段が得られるということになるわけでございます。一〇〇%受かるようになると申してよろしいかと思います。  次の御質問の、そのための受信の費用はどうかということでございますけれども、まずその場所が日本のどこにあるかということで多少変わってまいりますが、放送衛星からおりてまいりますビームの中心に当たります日本本土の大部分につきましては、直径一メートル程度のパラボラアンテナと、それから放送衛星の周波数が非常に高い周波数でございまして、十二ギガサイクルというようなことになっております。これを現在のテレビに使っております周波数に変換するためのアダプター、つまりパラボラアンテナとアダプターというものが必要になります。  それから、それは個別受信日本の大多数は一メートル程度のアンテナで受かる、そういうことですが、またもう一つの形態といたしまして、五、六世帯一緒になって共同受信をするというようなことになる場合もあろうかと思いますが、共同受信の場合は多少アンテナも大きくするというようなことになろうかと思います。  値段でございますけれども、普及段階と申しますか、年間十万台程度の生産台数を予定しました場合に、個別受信用のものといたしましては六ないし八万円程度、それから共同受信用のものといたしましては一世帯当たり四ないし七万円程度というふうに試算いたしておるわけでございます。  なおついでに申し上げますけれども、現在も地上方式によりまして共同受信設備等に加入する場合にも御負担をいただいておるわけでございますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように最低三万円というふうなことをお願いしておるというようなことで、繰り返しますけれども放送衛星受信のために一世帯当たり六ないし八万円、共同受信用だと四ないし七万円、そのように計算いたしておるわけでございます。
  142. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 その六ないし八万円、そういったものがかかっていくものに対して国として何らかの補助を考えておりますか。あるいはまた、福祉施設だとかあるいは公共施設、そういったものがテレビ等を利用していく、そういったものに対しての援助というものはどのように考えておるか、御説明ください。  及びNHKとしても、その面で放送衛星から電波をキャッチするときの状況として何らかの各家庭への補助とか、あるいは受信料自体の減額とか、そういったところまでいかなくても何らかのものを考えるのかどうか、その辺を御説明ください。
  143. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 補助をなお続けるかという御質問かと思いますけれども、現在のところ先ほど御説明申し上げました二億数千万の共同受信用の補助金を当分続けてまいりたいというようなことでございまして、それが五十八年ないし五十九年になりまして、放送衛星から日本各地におきまして受信の手段ができると申しますか、送信電波が届くという時点におきます、なお恵まれないといいますか不公正と申しますか、そういう受信地点に対する制度をどうするかということにつきましては、ただいまのところ考えておりません。考えてないということは、まだ考慮の段階に入っていないという意味でございます。
  144. 高橋良

    ○高橋参考人 NHKといたしましては、この受信設備をいかにしてもっと安くするかという研究開発に当たることがまず第一ではなかろうかと思います。したがいまして、先生御高承のように、これが実験が始まりましたころ百万ぐらいかかりました受信設備が、大体十万ロットで流せばいま局長のお話のように六万から八万ぐらいではいけるであろうというところまで詰めてまいったわけでございますので、もう一息あらゆる手段を使いまして低廉化を図るということを主目的に努めてまいりたいと思います。     〔委員長退席、伊藤一宗一委員長代理着席〕  したがいまして、二年ほど前から工業界約十三社にもNHKの技術指導をいたしまして、この低廉型の受信機というものの開発に努力してまいっておりますが、なお一層努力してまいりたい、さように考える次第でございます。
  145. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この放送衛星が打ち上げられて難視解消にほとんどなったんだ、こう考えても、これはむしろいまローカル放送等に相当力を入れていますね、地方の時代、こう言われるときに、ローカル放送に関してはこれは結局難視解消にはならないわけですね。そうなってくると、この対策自体が果たしてこの難視解消という面で国民の要望にマッチしておるのかどうかということは、疑わしいものがあると思うのですよ。  それと同時に、やはり放送衛星には相当お金がかかりますね。それはどんな費用分担になるのですか。NHKや国としてはどういうようにしていくのか、その辺を説明ください。
  146. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 御質問が二つあったように存ずる次第でございますけれども、いま申しましたように放送衛星から電波を降らすということになりますれば、受信者が何らかの番組を得る手段はできるということでございますけれども、ただいまの放送衛星の技術の現状では、御指摘のとおり幾つもの番組を分けると申しますか、空から地域別に降らすというわけにはまいりませんので、地域放送を重視しなければならないという面についての完全解決ということにはならないかと思いますけれども、これは技術の進歩と、また送る側におきましても、たとえば時間的な番組編成によりまして、放送時間の番組制作面での工夫によりまして、ある程度の地域情報が得られるということもあろうかと思っております。  次に二番目の件でございますけれども放送衛星の分担金についてでございますが、御存じのように放送衛星もようやく実用段階に入ろうとしておるわけでございますけれども、これはテレビジョン放送の難視聴解消を図るというNHKの強いニーズもあるわけでございまして、あわせて国の宇宙開発の自主技術を開拓したいというようなことで、開発と実用の両面を持った相乗り衛星というふうな理解のもとに開発を進めておるわけでございまして、NHKの難視聴解消の実利用に使うと同時に、まず国が開発に要した経費もあるというようなことで、適切な割合で分担をしてまいろう、こういうようなことで、先生承知のように六割をNHKに御負担いただき、国が四割を負担するという形でただいま進めておるということでございます。
  147. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 大臣、いまの説明のようにNHKが六、国として四、これは五十八年度といってももう五十九年の二月というのですから、そうすると恐らく今後難視対策として相当進んでいくと思います。五十四年現在で五十一万世帯ですからね。それに対して、放送衛星打ち上げによって相当なお金がかかっていく、これは莫大な負担になりますね。同時に、NHKとしてもローカルというものが非常に重要になってきておる現在、こういったものでローカルも映るようにということになっていくと、いままでの難視解消というものに力を入れていかなければならない形になるわけですよ。放送衛星で解消したということにはならないのですよね。そうなってくると、費用の負担の問題でございますが、私はむしろ放送衛星の負担というものに関してNHKが六、国が四なんというのは逆転すべきじゃないかと考えるのですね。もっと国として何らかの対策を立てなければならないと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  148. 山内一郎

    山内国務大臣 五十五年度から放送衛星の計画予算がつきまして、いま進捗している最中でございますが、それでそのときに決まった割合というのがNHK六割、国が四割、こう相なっておるわけでございます。そこで、決まっているものでございますので、急に変更ということにも相ならないかと思いますが、またローカル放送の点についてもやはり進めていかなければいけない。いまのところはこの割合で進めてまいりたいと考えているわけでございます。
  149. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それじゃ時間ですのでもう一点だけお伺いしておきますが、大臣、私の聞いているのは、ローカルというものが非常に重要になってきておる、そういう面においてローカルに対する対策として、そういった国の負担という面も含めて私はいま聞いたわけですが、この問題に関して、ではローカルをみんなが見えるようにということでやっていこうというものに関しては、大臣としてはどう考えておるか。  同時にまたもう一点、NHK会長に最後にお伺いしておきますが、この難視解消は私は非常に問題点があると思うのですよ。ローカルの面でどんどん進めていって、各家庭にとってみればローカルが映るような形になっていってもらえばそれにこしたことはない。そうすると、いままで映っておるところは放送衛星に関しての恩恵というものは何もないわけですよ。そうすると、非常に限られたものにそれだけのお金をつぎ込んで、しかもなおかつ今後負担の問題等も含めていろいろ問題があるというこの難視解消にNHKとしてどう取り組んでいくか、その決意を会長からはお伺いしたいと思います。
  150. 山内一郎

    山内国務大臣 難視聴を放送衛星でやりましてもローカル放送が見えないところがある、こういうのは現実の姿であるわけでございます。そこでローカル放送、いわゆる地上で全部解決をしていくのもいまやっておりますけれども計画を聞いてみますと、まだ大変な金と年数がかかるようでございます。そこで、いま宇宙衛星でやる方は大体計画ができまして、できればもうりっぱに各地どこでも見られる、こういう状況でございますので、いま衛星放送に重点を置いてやっているわけでございますが、そのでき上がった時点でまたローカル放送についてもどういうふうに進めていくか、いまやっていることはやっておりますけれども、これは再検討すべき時期が来る、こういうふうに考えております。
  151. 坂本朝一

    坂本参考人 先生の御指摘のように、ローカル放送の問題はかなり重要な問題でございますけれども、ただ現在のようにテレビ文化が非常に高度に発達した現状においてなおかつテレビが受からないという世帯の方々に何とかともかく映像をお届けしたい、それをできるだけ可及的速やかにお届けしたいということで、しかも受信料をいただいてのことでございますから、それを効率的に考えたいというのが衛星放送に結びついているわけでございまして、だからローカルをないがしろにするという気ではさらさらございません。ただ、将来の技術革新の中で衛星放送で現状の地上施設によるローカル放送のような放送がすぐできるというわけにはまいりかねますけれども、知恵を出せば多少のその点のバックアップもできるんではないかという方法論も全くなくはないようでございますし、また衛星の番組の編成も、編成を考えることによって現在の地上でごらんになっている受信者の方々にもプラスアルファになるという面も考えられるかと思います。また、ローカル放送はテレビだけではございませんで、ラジオ、FMでも実施しておりますので、そういうものと相補いながらあわせて考えていきたいということで御了解いただけたら幸せでございます。
  152. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 終わります。
  153. 伊藤宗一郎

    ○伊藤(宗)委員長代理 西村章三君。
  154. 西村章三

    ○西村委員 現在NHKが抱えておられる問題は非常に多岐にわたるわけでございますが、その中でも最大のものはやはり経営問題でございます。ここ数年予算審議あるいは決算の審議におきまして種々論議をされてきたところでございますが、中心は構造的赤字、いわゆるNHKが抱えておるこの構造的なものに発する赤字、このことであろうと思うんであります。そういう意味で、私は若干そのことについてお尋ねをいたしたいと思います。  ちょうだいをいたしました五十六年度の収支予算を拝見いたしますと、事業支出は五十五年に比較をいたしましておよそ六・九%の増、金額にいたしまして約百七十六億の増加であります。これに対しまして受信料収入は一・二%のわずかの伸びにとどまっておる。金額にいたしまして約三十一億円。それぞれその理由はございますわけで、物価の上昇なりあるいは賃上げのもとであるとかあるいはテレビ台数の普及がもはや限界に来ておる、こういうことを挙げておられるわけであります。この赤字構造といいますものはここ数年少しも変わっておりません。また現行の制度を手直ししない限りは今後も変わらないことはこれはもう明らかでございます。  こうした手詰まりの現状を踏まえまして、現在NHKでも長期ビジョン審議会、これを設けられまして、来年の一月をめどに経営の基本的な見直しをしておる、かように伺っておるわけでございますが、この長期ビジョン審議会の答申を待つだけではなしに、いわゆる今日の問題としてNHKが将来へ向けて努力をどう行おうとされておるのか、特に五十六年度予算にどのように反映されるように努力をされたのか、こういうことを以下具体的にお尋ねをしたいと思うんであります。  まず最初に、かねがね言われてまいったことでございますが、五十六年度予算における組織あるいは要員、これの効率化の問題、それから業務能率の向上の問題がございます。経費の削減、これらについてどのような努力と配慮をされたのか、この辺からお尋ねをいたしたいと思います。
  155. 武富明

    武富参考人 お答えいたします。ただいま幾つかの御指摘がございましたが、まず要員効率化の点についてお答えをいたしたいと思います。  協会といたしましては、五十五年度を初年度といたしまして三年間で六百人、五年間で千二百人という効率化をやる、こういう計画を立てております。五十五年度、いままさに終わらんとしておりますけれども、この五十五年度につきましては百名効率化をいたしたい、こういうことを目標といたしたわけであります。この効率化の中には、部局数を削減する、いまお話の中にございました、中の機構改革でございます。それからさらに管理、間接部門を簡素化するとか、あるいはいままでの、ありました幾つかの業務に分かれてございました業務というものを再編成をするというようなこと、それからさらには乗用車の削減とかあるいは電気、空調の外注化、こういうようなことを含めまして百人の効率化をいたしたわけであります。しかし一方においては、先ほど来御論議になっておりますように、受信者増によります営業関係の要員の増とか、あるいは置局によります保守要員の増とか、あるいはローカルサービスあるいは番組の拡充、充実、こういうような面で一方では増員の要がございましたので五十名の要員を増し、五十名の減をするというのが五十五年度の結果でございます。この計画は、もういま間もなく五十五年度が終わろうとしておりますけれども、これは完全に実施できる、こういうふうにお答えをいたしたいと思います。  それから五十六年度については、いま検討中でございますが、これまでやってまいりましたような施策を続けながら二百名の効率化をしたい、こう考えております。一方、増要素というものもまた見なければなりませんが、この増というのは八十名に抑えまして、五十六年度中には百二十名の実人員の減というものを実現したい、こういうふうに思っております。  要員関係についてお答えいたしますと、以上のとおりであります。
  156. 西村章三

    ○西村委員 この計画で推し進めてまいりまして、いわゆる五十九年度までの目標であります千二百名の削減ですね、これが可能でございますか。
  157. 武富明

    武富参考人 効率化目標といたしまして千二百名というものを立てて、いま二年度まで着実にやろうとしておりますが、これは五年間かけて効率化千二百名必ずするつもりでございます。しかし、一方ただいま御説明したような増要素というのもございますが、これはできるだけ抑える形をとりまして効率化の実を上げてまいりたい、こう思っております。     〔伊藤(宗)委員長代理退席、委員長着席〕
  158. 西村章三

    ○西村委員 このちょうだいをいたしました五十六年度収支予算事業計画のあらまし、これによりますと、事業収入のうち五十五年と比べまして著しい変化がありますのは、いわゆる雑収入が二二%伸びておりまして九億七千八百万、それから特別収入がこれは一八%減でございまして約五千万程度であります。きわめて顕著な傾向が見られるわけでありますが、この理由について説明していただきたいと思います。
  159. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  雑収入につきましては先生おっしゃるとおりでございます。  なぜそのようになったかということでございますが、その要因は大きく三つ申し上げたいと思います。  一つは、五十五年度、五十六年度と三カ年計画の二年度につきましては、五十七年度の赤字補てんのために財源を繰り越すということになっているわけでございます。したがいまして、五十五年度、五十六年度は手持ち資金を持つということになるわけでございます。それに皆様からお預かりしました受信料の前受け金等、私ども大事に運用しておるわけでございますが、一口に言ってその手持ちの資金の量がふえてまいります。それからもう一つは、それを運用します場合の平均的ないわゆる利回りでございますけれども、五十五年度は公定歩合が六・二五%という市場でございましたが、ただいま七%以上ということになっているわけでございますので、手持ち資金の量と利回りとでもって受け入れ利息約九億ほど上昇しておることが一つでございます。  それからも一つは、受信料の基地周辺受信者につきましては半免いたしておりますけれども、これ相当額を国から対策金としていただくわけでございますが、この基地対象の受信者がふえてまいりましたので、五千万ほどこの雑収入の中でふえております。  三つ目は副次収入でございますが、副次収入は五十五年度八億六千万を掲げておるわけでございますが、五十六年度は九億二千三百万で六千三百万、七・三%ほどの増額を見込んでおるわけでございます。  以上、三つの要素で先ほど先生おっしゃった二二%ほどのものが増加するという計算になっておるわけでございます。  それから特別収人のところでございますけれども、特別収入は原則として、たとえば私どもが社宅で持っておりました土地建物が社宅としての環境がふさわしくなくなった場合にこれを売却いたします。そういう場合に帳簿価額と売却代金との差額が特別収入として経理されるわけでございまして、これは毎年継続的にあるものではございません。たまたま五十五年度には二百坪ほどの土地があったわけでございますが、五十六年度にはそれがなくなっているという事情で特別収入が減っているわけでございます。
  160. 西村章三

    ○西村委員 いまのお答えによりますと、いわゆる三つの要素の中の副次収入は七・三%前年より伸びているということでございます。受信料以外にNHKがみずからの努力収入を図ることができる部分放送番組の二次利用あるいは放送番組のテキスト料、さらには許諾料というのですか、技術協力、NHKのホール貸与料、いろいろあるわけでございますが、この副次収入内容は前年に比べて七・三%伸びてきておる、その中身のそれぞれの区分けで一体どのようになっておるのか、お答えをいただきたいと思います。
  161. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  七・三%ふえておりますのは、全体としまして番組関係で五十五年度には五億六千三百万でありましたのが六億一千万というふうにふえているわけでございます。それから技術関係で二億九千七百万でありましたのが三億一千三百万、どうしても番組関係と技術関係でほぼ同数のものがふえておるという状況でございます。
  162. 西村章三

    ○西村委員 私は昨年も当委員会質問の中でお尋ねしたのでありますが、日本放送出版協会のテキスト編集料と言うんですか、あるいは著作権料と言うんですか、この収納が五十三年度にはたしか三億二千万円とおっしゃられ、五十五年度は四億ないし四億五千万それを見込んでおる、こういうことでございましたが、日本放送出版協会からのこれらの収納状況はどうなっておりますか。
  163. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  出版協会から収納いたしますいわゆる権料につきましては、いまおっしゃいましたテキスト関係収入と、そのほかに番組で好評を博したもの、たとえばシルクロード等の出版物に関しても権料を収納しているわけでございます。合わせまして五十四年度で申しますと四億五千五百万の収納をいたしております。五十六年度につきましてはいずれもその権料の増収を図っているという施策を展開しておりまして、いまのところ四億八千万になるのではなかろうかと見込んでいるわけでございます。
  164. 西村章三

    ○西村委員 それらを含めました副次収入は今後いわゆるNHK経営上の一助として一定の役割りを果たすだけの規模となるのかならないのか、その見通しはどうなんでありますか。また、これらの収入増を図るために現在隘路になっておる問題点というのは一体何なのか、お聞かせいただきたいと思います。
  165. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  副次収入につきましては、NHK受信料を基本といたしますので、いい番組をいい技術的条件でお送りするということを主眼に考えてまいりまして、そのいわゆる二次的使用及び技術特許料等の活用という範囲内において副次収入を考えているわけでございます。もちろんこの副次収入についてはより多く増収を図るように、あるいは海外放送機関との共同制作を進めまして海外にその番組が売れるような方策も同時に考えておりますし、技術研究成果につきましてはできるだけ広く御利用いただけるようにその販路を拡張するという道も講じておりますが、しかし番組を利用していただいた二次使用という範囲を超えておりませんものですから、努力いたしましても受信料収入の〇・五%程度の域を脱することができなくているわけでございます。  それではこれは何か隘路があるのかということでございますけれども、いま申し上げましたように、現行の放送体制の中で、つまり受信料を主たる財源といたします私ども事業運営にかかわる行為としましては、この限界を超えることは大変むずかしいというふうに思っております。ただ、営利行為あるいは出資条項の制限等につきましては、あるいはこの副次収入を上げる場合に検討する問題になるのではなかろうかという意味では、検討の課題として私ども検討し、また長期ビジョン審議会においてもこの角度から検討の課題としていただいているわけでございます。
  166. 西村章三

    ○西村委員 郵政省にお尋ねいたしますが、NHKさんはそれなりに精いっぱいの努力をされております。私もそれは認めていきたいと思うのでありますが、今日NHKが取り扱っておられる膨大な情報量、さらには番組を単に一回だけの放送で終わらせない、むしろそれを受信者にすべて還元するんだという意味でも、この放送の二次利用につきましてはもっと今後拡大をずべきだと考えるのでありますが、郵政省の御見解を聞かしていただきたい。
  167. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 NHKが置かれておる現在の経営環境というものは非常に厳しいものがある、そういうことを私どももよく承知いたしておるつもりでございます。先生は、いろいろな意味において国民立場に立つNHK経営基盤を確実なものにするのにいろいろなことが考えられるじゃないかという面からの御指摘かと思います。そうした意味におきまして、ただいまのNHK側からの御説明もございましたけれども、いろいろな意味におきまして経営の基盤を確実にするためにいろいろな提言があろうかと思います。そうしたものの中に私ども郵政省サイドとしてとるべき処置があれば、その御提言があれば、それを十分踏まえた上で道を開くべきところがあれば努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  168. 西村章三

    ○西村委員 先ほどの御答弁の中で、いま隘路になっておりますのが、営利行為を禁じておる、あるいは出資条項だ、こういうことがございました。なるほど放送法では第九条の三項でNHKの営利行為を禁じておりますし、また外部への出資も制限をいたしております。NHK放送を通じて得たものを利用して収入増を図る、そのこと自体は、ある意味ではそれなりに筋が通るものでございまして、その運用を適正に監視する限りにおきましては、いわゆる受信者の負担を軽くすることにつながっていくんだ、私はそう考えるのでありますが、この点についてNHKの方は、この放送法の改正、いわゆる第九条三項についての改正なり、あるいは出資についての制限の緩和というものを要望されたことがあるのかどうか伺っておきたい。
  169. 坂倉孝一

    ○坂倉参考人 お答え申し上げます。  御指摘のとおり放送法では、NHK業務を行うに当たりまして営利を目的としてはならないというふうに定められておりますし、それから出資ができますのも、郵政大臣の認可を得て、通信・放送衛星機構等に限るというふうに制限をされているわけでございます。この点につきましては、昭和三十九年でございましたか、郵政省の臨時放送関係法制調査会、いわゆる臨放調での答申の中にも「目的を明示した上、認可を受けて必要な出資等を行なうことは、合理性をもつと考える。」という趣旨の答申があったわけでございまして、NHKも四十年の秋に、この線に沿いました要望を取りまとめたという経緯がございます。
  170. 西村章三

    ○西村委員 郵政省に伺いますが、それらのNHKの要望を現在どのように受けとめておられるのか、お伺いしたいと思います。
  171. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先ほども申し上げましたけれどもNHK経営基盤をいかに強固にするか、非常に関心を持つべき問題であるというふうに考えておる次第でございまして、その場合に、NHKが行ういろんな関連事業というのもあろうかと思いますけれども、やはりその公共放送機関としての性格から、限界はあろうかと思います。本来業務に支障を与えない範囲内におきまして関連事業の拡大を行う、それによって副次的収入をふやすということは、いま置かれておるNHK財政状況あるいは財政改善方策が必要だということで、十分検討に値する施策であるというふうに考えておるわけでございまして、先ほども申し上げましたけれども、いろいろ御検討いただいている中で御提言があれば、十分考えて対処してまいりたい、協力してまいりたい、そのように考えております。
  172. 西村章三

    ○西村委員 受信料にすべてを依存していくというその体質から脱却する意味におきましても、やはり副次収入あるいはNHK自身の努力で増収を図れる点がありましたら、大いに伸ばしていただくことが必要であろうと思います。郵政省もぜひ前向きに御検討をいただきたいと思うのであります。  この問題と関連をいたしまして、現在長期ビジョン審議会論議の中で、NHK自身の努力収入増を図ることにつきまして、どのような論点が出ておるのか、おわかりの範囲内で結構でございますからお答えをいただきたいと思います。
  173. 坂倉孝一

    ○坂倉参考人 NHK長期ビジョン審議会は昨年の七月に設置をいたしまして、当初は全体の会議等を数回開催いたしました後、放送問題、技術問題、財政問題、制度問題というふうに四つの各小委員会に分かれまして、その後御審議をいただいているわけでございます。そういうわけで、まとまった将来の問題というような形での問題はまだ出てきていない段階でございますけれども、大体NHKの持つ使命とか役割り、あるいはNHKの今後の業務あり方、それと経営財源のあり方、そういったような大きな枠の中でいろいろな御意見が出ているわけでございます。そういった中で、特に経営財源の小委員会におきましては、この受信料以外の財源というものをどう考えていくかというようなことで、そこでは当然いろいろな御意見があるという状況でございます。まだそういった具体的な将来像といったような形での取りまとめというような御意見にはなっていないわけでございます。副次的収入の問題も、その辺で、先生の御指摘もございますような方向の御意見もいろいろ出ていると申し上げられるかと思います。
  174. 西村章三

    ○西村委員 審議中のことですから、そう突っ込んで申し上げても無理ではないかと思いますので差し控えますが、現在、先ほども申し上げましたように、受信機の設置数というものはおよそ限界に来ておるということでございまして、完全な頭打ち状態に近づきつつある、こう申し上げても過言ではございません。そうすると、あとこの受信料伸びを保つには一体どうすればいいかということなんでありますけれども、これは私は一つの考えとしてお聞きをいただきたいのであります。  現在、受信者とのいわゆる契約形態というものは、一世帯一契約が基本になっております。しかし最近私どもの知る範囲の中では、一世帯で必ずしも一台とは限らない、むしろ二台以上の複数のテレビを持っている家庭がだんだんとふえているように思うのであります。従来からこの論議はこの委員会でもされたことがございまして、その都度NHKさんは、複数の受信機の設置に伴う受信料というものは、いわゆる立ち入り調査権がない、あるいは捕捉が非常にむずかしい、あるいはプライバシーの侵害のおそれもある、こういう観点から、受信機に対する複数料金制度についてはきわめて消極的な立場であったわけであります。しかし、これもよく考えてまいりますと、ある意味では、いわゆる受信料を支払わない人との間の不公平もあるし、また、一台持っておるところ、三台持っておるところとの不公平にも通ずるわけでございます。  そこで、これは私の考えでございますが、受信者の善意に期待をいたしまして、あくまで任意で、複数の台数の受信機を持っている者については自主的に申告をしていただいて、これは契約を義務化するとかしないとかいうことは当然別問題でございますが、まず協力を呼びかけてみる、この態度が必要だろうと思うのであります。いままでにこういうことについて調査をなすったことがあるのか、あるいはないのか。また、この自主申告制度といいますか、仮称でございますが、こういう制度をとろうとした場合に、現在の法律で問題があるのか、あるいは実体的にそれは可能かどうか、これらの判断も含めてひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  175. 海林澣一郎

    ○海林参考人 お答え申し上げます。  先生指摘のように、二台以上のテレビをお持ちの方、五十五年十一月のNHK放送世論調査所の調査で五〇%を若干超えたということでございます。したがいまして、いま先生の御指摘は本当に身につまされて承ったわけでございます。  まず、その法的ということでございますけれども、御承知の、現在でもいわゆるホテルとか事業所、われわれ非世帯と呼んでおりますけれども、その非世帯につきましては複数台数制を取り入れておりますので、法的にということでは問題はございません。  ただ、これを一般世帯に適用する場合、先生が御指摘されました善意に基づく自主申告ということの議論でございますけれども、私ども、とにかくこれも御指摘の受益の程度、二台持って一つの御家庭で二つ以上のあれを楽しまれるとか、二台以上持っているのだから支払い能力もあるだろうとか、いろいろな要素を入れまして検討したのでございますけれども、これも先生指摘の全くプライバシーの問題、立入調査権の問題ということで、果たして善意に期待できる自主申告というものがどの程度実現するか。もちろんNHKの基本的なあり方といたしましては、民主主義発展のために文化水準の向上に寄与する、そういう意味での善意の機関でございますけれども、営業の中で議論した中では、自主申告についてはどうか、ただし私たちはそれを放てきしておりませんで、当然のことながらこういう厳しい環境になりますと、その料額改定のときにそれが収入という形でふえることは御指摘のとおり事実でございますので、今後とも検討していきたい。なお、諸外国の例などもいろいろ調べておりますけれども、諸外国にも複数以上というものがございませんようでございます。しかし、これからも検討を続けていくことをお約束いたします。
  176. 西村章三

    ○西村委員 もうすでに受信機設置家庭の五〇%を超えておるという事実があるわけでございますので、御答弁のようにぜひ前向きに御検討をいただきたいと思います。  その次にお尋ねいたしますが、現在のNHKの収支見通しでは五十七年度で収支差がゼロになる、すなわち五十八年度以降は赤字になるのだ、こういう試算をされております。このまま推移した場合に、その次の三カ年の最終年度であります六十年度に予想される赤字額は一体どれくらいになるのか、試算をされておるようでございましたらこの際明らかにしていただきたいと思います。
  177. 山本博

    山本参考人 いままでにも申し上げましたけれども、現在NHK責任を持って計算いたしましてそれを経営の指針としておりますものは五十七年度まででございますので、五十八年度以降についてはNHKとして正式に試算したというようなものはございません。寄り寄り勉強はいたしております。しかし、表に発表いたしますような試算というものは現在持っておりません。と申しますのは、五十八年度以降のいろいろな経済的条件、それから受信料伸び見通し、こういうような条件が必ずしも現在十分に見通しができませんので、そういう条件の整備をなお待たなければなりませんので、公式な形での試算というものはございません。しかし、いまお話がございました点につきまして、五十五年度から五十七年度までと全く同じ条件であるということは全くございませんのですが、あえてそれで計算したらどうかと言われますと、これは毎年三百億くらいずつの赤字が累積していくだろうというようなことは申し上げられるかと思います。
  178. 西村章三

    ○西村委員 毎年三百億ずつというお話でございますが、五十五年から五十七年の三カ年間でおよそ千五百九十一億円の赤字予想がございました。この辺から推測いたしてまいりますと、さらに五十八年以降の三カ年につきましてもこれを上回るものだと予測をしなければならぬと思うのであります。そのためにはまたまたいつの時期にどれくらいの受信料値上げ幅を持たなければならぬか、これは非常に重要な課題でございます。そのときにおけるいろいろな条件も考慮しなければなりませんが、NHK事業そのものを維持していくためには、それらすべてのものを総合的に勘案して長期見通しを立てる、いわゆる長期ビジョン審議会の中でもこれらの点につきましてはいろいろと論議をされておるのではないかと思うのでありますが、現在の時点で長期審議会の中でこの問題が取り上げられておるのかどうか、一つの論点として検討されておるのかどうか、この辺はいかがでしょう。
  179. 山本博

    山本参考人 現在までのビジョン委員会は、先ほど坂倉理事から申し上げましたように、ある程度専門的な問題にしぼりまして小委員会で議論をいたしております。いずれそういう問題点がしぼられますと、今度は一つ委員会だけで問題を進めていくには広がりが大きくなってまいりますので、合同委員会というような形ですでに幾つかの小委員会が合同して委員会を開いておりまして、そういう席では五十八年度以降についてどういうNHK状況が考えられるであろうか、これは財政の角度からも問題がございますし、放送の問題あるいは制度のあり方の問題、こういうようなものも含めまして、将来のNHKあり方というようなものを御議論されております。ただ、財政の部分だけでも五十八年度以降どうなるだろうかということは、いずれその他もろもろの小委員会の議論が詰まった段階で御議論をしていただくことになると思います。
  180. 西村章三

    ○西村委員 われわれの理解といたしましては、この長期ビジョン審議会の設置の最大の目的は、いわゆる手詰まり状態にある受信料、この構造的赤字をどうするかということが最大の課題だ、私はこう考えておったわけでございます。ただいまのお話ではきわめて専門的な事柄ばかりを論議されておるようでございますが、今日まで中間報告も行われたということも伺っておるのでありますが、その内容は一体どういうことであったのか。さらに、将来の財源確保のためにこのビジョン審議会では当然のことながらこの論議を深めてもらわなければならぬと思うのでありますが、いかがでございますか。
  181. 坂倉孝一

    ○坂倉参考人 お答え申し上げます。  小委員会の中間的な報告ということは、この一月に全体会議を再度開きまして、昨年小委員会で数回にわたりましてそれぞれの小委員会における審議を集約いたしたわけでございます。  先ほどもちょっと触れましたけれども、検討項目といたしましては、今後八〇年代におけるNHKの果たすべき使命、役制りといったような項目、それから今後のNHK業務あり方という問題、それからもう一つはこれからのNHK経営財源のあり方という問題、四番目にはNHKと国会、行政機関と申しましょうかそれと視聴者、こういったところとNHKの基本的な関係のあり方、大きく言いましてこういった四つの項目にそれぞれ集約いたしたわけでございます。  その中における審議の集約といたしましては、たとえばこの一項目NHK使命、役割りということでは、国民的な放送機関としてのNHKの独自の存在意義の明確化といったようなこと、あるいは今後のNHK業務あり方につきましては、公共放送としてのNHK放送番組あり方を明確化するとともに、国内放送で言えば各放送系統の基本的な性格とサービスのあり方という問題、それと新しいメディアの導入形態、それと既存の放送サービスとの関係をどう考えていくか
  182. 西村章三

    ○西村委員 そんなこと聞いていないんだ。構造的赤字を論議するのかしないのかということです。
  183. 坂倉孝一

    ○坂倉参考人 どうも失礼いたしました。そういった構造的赤字という問題につきましては、先ほども山本専務が申し上げましたようなことで、当然各小委員会審議の上でまとめていくということで、いままでの小委員会の中間報告では、そこまでの構造的な赤字ということのまとめはいたしておりません。どうも失礼いたしました。
  184. 山本博

    山本参考人 ちょっと補足をさせていただきます。  このビジョン委員会が発足いたしますときに、ビジョン委員会の性格について、ビジョン委員会委員方々が御議論なさいました。NHKに念を押された点がございます。それは、いままでありましたいろいろな、いわば値上げをいたしますときに設けられました審議会とか調査会とかいうような名目で置かれましたように、値上げ合理化するためのといいますか、これはちょっと表現が直截ですけれども、そういうものではないのだろうなという念押しがございました。私たちも、国会で附帯決議をいただきました趣旨からいいまして、そういう趣旨ではないのだ、これは今後のNHKあり方というものを基本的にお考え願う、またNHK側もこの時期に、自分の将来の問題について本当に深刻に考えなければいかぬ時期だと思う、したがって、これは受信料改定というところに問題をしぼる委員会ではないのだということのお答えをいたしましたし、私たちは、いまでもそういうふうに思っております。しかし、御指摘のように、構造的な赤字は、いまNHKの非常に大きな問題としてNHK自身が受けとめなければならない。また、審議会としてもそういうことをお考えになった上でいろいろな審議をしていただかなければならない。したがいまして、議論の過程におきましては、NHKの現在置かれておる構造的な状況というものを十分御説明をし、そういうものを踏まえた上でいろいろ御審議を願っておるということで、そういう問題も、折に触れいろいろな形で御審議の中に出てまいります。ただ、いま申し上げましたように、結論というものにはまだもう少し時間がかかるということでございます。
  185. 西村章三

    ○西村委員 時間が参りましたから、これ以上申し上げられないので残念でございますが、やはりこの基本問題調査会、二次にわたってこれらの結論が導き出せなかった、そういう経緯から長期ビジョン審議会が設けられたものでございまして、いま完全にもう手詰まり状態にある、その経営の最大の問題は、冒頭に申し上げましたように、やはり構造的赤字であります。この問題をどのように方向づけていくのか、それに伴う制度をどう改善をしていくのか、体質の改善あるいはNHKの将来の方向性、これを出してもらうのが長期ビジョン審議会の役割りだと私は思うのです。きょうは、その委員の方はお見えになっておりませんから申し上げられませんけれども、われわれのこの意向を十二分に伝えていただいて、より明確なものを、きわめて短期間でございます、来年の一月末といいますと短い期間でございまして、しかも、問題は深く、しかも広いということでございますが、一層の御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  186. 佐藤守良

    佐藤委員長 西村章三君の質疑は終わりました。  村上弘君。     〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕
  187. 村上弘

    ○村上(弘)委員 国営でなくて、また民間会社でもない、国民の公共放送機関でありますNHKを支えるものは、何といいましても第一は、豊かで、よい放送を行うこと。第二は、それをしっかり支える自立をした財政基盤確立にあると思うのです。この二つの柱は相互に支え合う関係にあると思いますが、根本は、何といいましても国民との信頼関係にあると思うのです。すなわち、放送法第一条の原則を貫く。第一に「放送国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。」第二に「放送不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。」第三に「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」この原則を貫くことにあると思うわけです。  最近のNHKに対します国民の評価は、以前に比べてよくなってきているように思われます。たとえば二月二十三日に放映されました「NHK特集 妻へ飛鳥へそしてまだ見ぬ子へ」、これについては、三月二日、ある新聞の投書欄に新潟県の十六歳の高校生が「生きていることのありがたさを私たちに教えてくれた井村さんに感謝」する、こういうことを書いています。同じように感動したという投書が二十九通、その新聞だけで出ておりましたが、これは再放送もされておりますが、このほかに、サリドマイド被害者の吉森こずえさんの、小学生から短大までの、七歳から十四年間にわたる記録ですね。「旅立とう、いま」これなんかもいま非常な感動を与え、好評を得ておると思うわけです。  しかしながら、批判もやはりあります。ある新聞には、これは去年の暮れですが、「はがき通信総集編」というところで鎌倉市の主婦が「NHK民放まねるな」というような投書をやっております。民放には民放のよさもありますから一概には言えませんけれども、やはりNHKならではというのがNHKにはあると思います。  そういう点で一層の努力が必要であろうかと思うわけですが、このように全体としては努力されておると思いますけれども、しかし、いま国民が一番心配しているのは、今日、政治がどんどん右傾化していっておる。そういう政治の流れに作用され、追随したり、あるいは屈服したりして、ひょっとしたら戦前の大本営発表のような方向に行きはしないだろうか。戦前は、無線電信法第一条で「無線電信及無線電話ハ政府之ヲ管掌ス」ということになっておりましたが、制度は根本的に違うわけでありますけれども、そういうような方向に行きつつあるのではないかという不安や心配もあるわけです。最近も、週刊誌などでいろいろと取りざたされております。NHKが政争の具にされるのではないかという心配もあります。いろいろと干渉に類するような動きもなきにしもあらずです。先日、読売新聞の三月十四日付が報道しておりましたが、自民党の本部にNHK会長などを呼んであれこれ言ったということが出ております。報道によりますと、「報道姿勢、経営問題に触れ「.最近の原子力発電の報道は、安全性について偏った報道が目立つ」」とか、ある人物が「介入している疑いがある」とかいうようなことを問題にしておるようでありますが、言うまでもなく放送法第三条では「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」と明記されておりますし、同法四十四条三項の国内放送放送番組の編集等につきましては「政治的に公平であること。」「報道は事実をまげないですること。」というようなことが明記されております。そこでNHKの決意なり所見なりをお伺いしたいわけです。  この放送法が施行されました三十年前の六月一日に当時の古垣会長は、真の民主主義を探求するという勇気を忘れてはならないと全国の職員に呼びかけておりますが、私は、今日の情勢はNHKが上から下まで新たな勇気を持つ必要がある時期に来ているんじゃないか、こういうふうに思うわけです。国民の疑惑や不安、これを取り払うために、不偏不党を貫くために、放送法第一条、第三条、四十四条三項、これを堅持していかなる干渉も許さない、こういう決意があるかどうか。全国民の前に呼びかけるつもりで決意を経営委員長及び会長の方からひとつ述べていただきたいと思います。
  188. 原俊之

    ○原参考人 ただいまの先生の御指摘の中で、右傾であるとか左傾であるとかということについては私は何にも申し上げるあれはございませんけれども、おっしゃるとおり放送法第一条の目的に沿って、第三条なり、それから第四十四条第三項の基準と申しますか、制約を忠実に守って会長以下NHKの職員は公共放送の本質を守り、あくまでも表現の自由というふうなことについて一層努力をしていただきたいと経営委員会としては考えておるつもりでございます。また、そういう方向で、私どもは合議制の本質にのっとりまして十二名の経営委員は真剣に討議をし、不偏不党、公正な結論が導き出されるように一生懸命努力をしているつもりでございますし、今後もその努力を続ける覚悟でおります。さように御承知いただきたいと思います。
  189. 坂本朝一

    坂本参考人 ただいま経営委員長が申し上げたことにつけ加えることはございません、そのとおりだと私も確信いたしております。たまたま先生がいみじくも御指摘になりました、放送法制定時のことを御引用になりましたけれども、昨年がちょうど放送法制定の三十周年でございましたので、協会といたしましても特別番組を編成いたしまして、この趣旨についてかなり連日にわたって放送いたしました。私を初め職員一同、国民期待にこたえるよう努力しようというふうに誓い合った次第でございます。
  190. 村上弘

    ○村上(弘)委員 法の精神を勇気を持って貫いていただきたいと思います。  なお私は、NHKが豊かでよい放送をするために、国民の信頼やつながりを一層よくしていくために、視聴者の声にもこたえながら二、三の提案をしたいと思うのです。  第一は、番組内容に対する視聴者の批評だとか批判の声ですね、こういうものをもっとどしどしテレビそのもので取り上げる必要があるんではないか、取り上げてはどうか。たとえば、私の番組批評というような形でやってはどうか。ある新聞の、これは去年の暮れの投書ですが、川崎市の会社員の方が「改善されない一方通行」という題で出しております。「今年のテレビ・ラジオ界はまたしても放送する側からの一方通行に終わった感がある。このままでは視聴者が離れてゆくだろうと思われる。来年は視聴者の声を聞くことに配慮を望む。」こういうわけですね。新聞などでは読者の投書をどんどん掲載しておりますし、このごろだんだん大型化しておりますね。「私の紙面批評」だとか「新聞を読んで」とかを毎週出していますね。「マスコミ診断」というものを定期的に出している新聞もあります。こうして新聞の編集や内容についての読者の率直な意見をわりとリアルに出しでいっているんじゃないかと思うのです。私はNHKこそがこういう一方通行であるという批判にこたえてテレビ投書欄といいますか、こういうようなものをひとつ企画してはどうか、どんどんやっていってはどうかと思いますが、いかがでしょう。
  191. 反町正喜

    ○反町参考人 お答え申し上げます。  確かに視聴者の御意向を受けましてそれを番組その他の上で反映していくということは非常に重要なことで、いろいろな方法でやっておりますけれども、ただいま御提案の番組で取り上げたらどうかという御趣旨でございますが、徐々に番組の上にそういったものが取り入れられる番組もここ数年ふやしてございます。なお先生の御趣旨を踏まえまして検討させていただきたいというぐあいに考えております。
  192. 村上弘

    ○村上(弘)委員 意見に基づいて番組を組むということはもちろん必要ですが、そういう声そのものをテレビでどんどん知らせる、紹介していくということをやるべきではないかということです。
  193. 反町正喜

    ○反町参考人 たとえて申しますと、ただいまでも日曜日の夜十分ばかりでございますけれども、「NHKの窓」というような番組がございます。これは先生の御趣旨が十分生かせるような性格の番組でございますので、そのあたりでひとつ工夫をいたしてみたいというぐあいに考えます。
  194. 村上弘

    ○村上(弘)委員 もっともっと目にも見え耳にも触れるというようにしていく必要があると思うのですね。もっと大型化し、もっと積極的にやる、このことはNHK国民とが結びつく上で非常に大事じゃないかと思うのです。  第二の提案としては、そういう声を取り上げるだけではなしに、視聴者みずからを番組編成に参加させていくということが大事じゃないか。新聞でも、たとえば「あなたと編集」というようなことで新聞の一ページ近くを毎週日曜日に提供しているというような企画もありますし、諸外国でも視聴者番組編成に参加させるいわゆるアクセス番組、イギリスのBBCの「オープンドア」だとかあるいはイタリアの放送協会が個人や団体に一定番組を提供して自由に番組づくりをやらせていくというようなことが機構としてやられておりますね。NHKも一時期「あなたのスタジオ」というようなことでやったことがありますけれども、いま中断しておりますね。去年この委員会で、わが党の委員のもう一度やるべきじゃないかということに対して、いま整理して出直すところだ、こういう答弁がありましたが、もう相当整理も進んでおるんじゃないかと思います。この番組編成への参加という問題について、具体的に新たに出発すべきじゃないかという点についてはいかがでしょう。
  195. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  いま先生が御指摘になりましたように、私どもでも「オープンドア」、そういったものと似たような番組で「あなたのスタジオ」というのを五十年から五十三年まで約三十回放送いたしました。ただ、最初のころはなかなか新鮮な番組が出たわけでございますが、やはりそういった視聴者のグループの方に番組の企画、制作というところまで参加していただいていろいろやっていただきますと、つくっていく中には一方的な主張あるいは論理の展開というものが目立ってまいりまして、それで先ほどおっしゃいましたように、その辺の反論もスムーズにいかないために五十三年度で一応やめたという形になっております。それで昨年申し上げましたように、私どもはこういった番組につきましては、現在外国では余り放送されておりませんけれども、一応そういった数少ない番組ども参考にしながら、どういう形がいいのかいま詰めている最中でございます。  ただ、こういったアクセス番組という形のものは、直接企画、製作に参加するというようなことには条件がたくさんございまして、編集権の問題だとかそういったことがございまして、なかなか成立がむずかしいというのも事実でございますので、もう少し時間をかしていただきたいと思っておるわけでございます。  なお、視聴者の御意見、その他を御紹介する番組につきましては、ラジオでも「私たちのことば」とかあるいは「くらしのカレンダー」とか、そういった中でも数多く視聴者の御意見をいろいろ紹介する番組などを現在でもつくっている次第でございます。
  196. 村上弘

    ○村上(弘)委員 内容番組の編成に対する意見も大いに取り上げると同時に、みずから参加させるということですね、この点については消極的だと思うのです。たとえば、ラジオですが、ベルギーのシチズン・バンド・ラジオなどでみずからに自由に利用さしておるようなのもありますし、いまのイタリアの場合なんか、RAIというアクセス番組局が、それ自身が機構としてあるのですね。こういうことを考えますと、ちょっと窓を広げてやる構えが要るのではないかというように思うわけです。  もう一つ、これは提案といいますか、国際障害者年の問題についてはNHKはよくがんばっておる方じゃないかと思いますが、さらにきめ細かく障害者の方々の声も取り上げていく必要があるのではないかと思うのです。  私、この間高槻市の盲人福祉協会の皆さんにお会いしたのですが、目の不自由な方もテレビなどは大変楽しみに聞いておられるわけですね。それで、やはり番組表が欲しいわけです。いまNHKは年間時刻表のようなものは約三千部出しておられるようですが、年間一つというのは、固定された分だけですから非常に不便だし、せめて月一回ぐらい出ないかということと、三千部では末端まで届いていないわけですよ。     〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕 ですから、もう少し数をふやすか、さらに必要とされるところにどんどん届けるというような工夫が要るのではないかということが一つと、それから「点字NHKガイド」というのも出しておるようですが、これはたった六百部です。ちょっと国際障害者年にふさわしくないのではないか、もっと出す必要があるのではないかということですね。  もう一つは、毎週「婦人百科」というのが四回ほどやられておりますが、これは短歌や俳句入門などで、盲人の方なんかは非常に楽しみにしておられる。ところが、音声だけが頼りですから、一回だけ短歌や俳句を読まれると記録ができないわけですね。二回か三回読んでもらえないだろうかというような希望もあるわけです。非常にささやかな願いですが、やればできることですから。以上のようなことも含めて障害者対策への努力をお願いしたいと思いますが、どうでしょう。
  197. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  御指摘のように、目の不自由な方のために私ども毎年年度初めに点字の時刻表をつくりまして、無料で配付しております。部数は、五十五年度がテレビ、ラジオ含めまして五千部、それから五十六年度はふやしまして、テレビ、ラジオ合わせまして六千部というようなことでやっております。
  198. 村上弘

    ○村上(弘)委員 合計ですね。片方は三千部ですね。
  199. 田中武志

    田中参考人 合計でございます。  というようなことでございまして、配付の方法といたしましては、日本盲人会連合を通じまして全国の各地の関係団体あるいは施設の方ヘダイレクトメールで配付しているというのが実態でございます。また、各放送局の窓口でも希望者の方にお渡ししているということでございますので、御指摘の点についてはまたわれわれの中でいろいろ検討してみたい。  それから「点字NHKガイド」これは毎月六百部を配付しておりますけれども経費放送文化基金の助成を受けまして、日本点字図書館といったところがこういったものをつくって御希望の皆さん方のところに配付しているというのが実態でございます。
  200. 村上弘

    ○村上(弘)委員 後の俳句や短歌を読む場合に二回、三回読んでほしいというやつを忘れぬように具体化してくださいね。
  201. 田中武志

    田中参考人 わかりました。
  202. 村上弘

    ○村上(弘)委員 次に私は、国民のためのNHKが財政的に自立をしていく上で一番大事なものの一つである国民理解に基づく受信料の納入の問題、この点についてお聞きしたいと思いますが、この三十年の間、NHK受信料制度によって、NHKはいわば政府からも企業からもどこからも財政的な支配や介入を受けることなしに自立的に国内放送をやってきているわけですね。しかし、現在本委員会でもいろいろ論議されておりますが、新規契約の面にしろ、収納にしろ、だんだん頭打ちになってきておる。いわゆる赤字構造とも言われておりますが、大変厳しい状況にあると思うわけです。こういう点で一番大事なのはやはり国民との信頼、結びつきを強化する点にあると思うのですが、安定した受信料の納入を図り、これを広げるために、NHKの自立の一番大事な財政基盤を強化するために、この問題は日本の民主主義の展望にもかかわってくるほどの重要な意義を持っておると私は思うわけです。  しかし、放送だとか技術などの部門に比べると、営業部門に対するNHK取り組みといいますか、よほどしっかりしないと、この面ではよい評価は一つもないということですね。大変立ちおくれておるのではないか。たとえば外務職員だとか、委託集金員だとか、特別営業班だとか、いろいろありますが、また別会社のサービスセンターもありますけれども、こういうところの実態をもっと見直して、何よりも第一線で一番苦労しておる、視聴者の五割から直接集金している委託集金員の役割りを重視をして、やりがいがあるような状態にしていくことが非常に大事じゃないかと思うわけです。  私、先日大阪で外務職員の方々からいろいろ意見を聞く機会があったのですが、山ほど意見を聞きました。ある営業所は四十一の集金区があります。四十九万世帯中三十三万五千世帯が契約者で、口座が四八・三%、五割前後直接集金しているわけですが、四十一の集金区の中で十カ所の区は地域委託集金員がいないのですね。いわゆる十万人分は正規の委託集金員がいない。いわゆる先確と言われておりますが、先行確保された委託集金員九名プラス三名、十二人で十区を受け持って臨時的に汗をかいてやっておるという状況ですね。特に第一線で一番難儀な仕事をしているこういう委託集金員あるいは先行確保委託集金員がいろいろな矛盾や困難の中でどんどんかわっていく。先確と言われる先行確保委託集金員などは、百名おるとすれば二年間に半分はやめてしまう。あるところでは一年たったら十名中二人ぐらいしか残っていない、こういう状況だというわけですね。  なぜこういうことになるのかということですが、出された意見を要約しますと三つ、四つありますが、第一は、契約取り次ぎの目標に毎日追われておる。新しい契約を取ることが最重点になっていて、とにかく朝から晩までそればかり、年度末で死にもの狂い、水曜日以外は毎日残業、これが実態のようです。  第二に、その結果、すでに契約している視聴者からの集金に十分手が回らない、未収が一枚、二枚と領収証がたまっていくわけですね。十五、六年前は口座振り込みはなかったわけですが、大体収納は九九%やれておった。領収証を五千枚ばかり持って出ても残るのは五十枚ぐらいだった。ところがいまでは五千枚のうち千枚くらい残るというわけですよ。ですから、今度の予算説明でも出ていますが、「視聴者との結びつき強化施策」の一環として「日常的接触からの意向吸収」を重視するとなっておりますけれども、それどころじゃないのですね。とても現にある視聴者と接触し、話す機会などはない。これが第二です。  第三は、新規の契約取り次ぎの目標遂行のために、NHKの外務職員とサービスセンターとの間に激しい競合関係が生まれておる、そして感情的対立にまで至っている場合がある、こういうことです。ひどいときには、同じ地域、まあ新しくマンションでもできると、それ行け、こうなるのですね。新規契約取り次ぎのために、外務職員も委託さんもSCの方も三者が入り乱れて同じ家に二回も三回も行く。何回来たら気が済むんやと言われてみたり、NHKは人が余っておるんか、こう言われたりしておるのです。もうとにかく答える言葉がない。もっとこつこつと、困難があってもすでに契約されている方の集金をきっちりやるということを重視せにゃいかぬのじゃないかということですね。  とにかく営業の第一線の各部門がばらばらじゃないか。それからどちらかというと、新規契約も大事ですよ。しかしながら、それ一辺倒で、既存の視聴者との接触や集金がおろそかにされているのじゃないか。また、契約をふやす目標が画一的で、第一線の実情に合うておらん。そこの実情に合うた目標になっていない。もっと働きがいのある職場にしてほしい、誇りを持って胸を張っていけるようにしてほしい、展望を持ってやりたいということが二様の声でした。  私はそこでお伺いしたいのは、もちろん新規契約も大事だし、口座振り込みもそれとしての意義があるわけですが、直接集金する安定した視聴者をふやすことですね。これをもっと重視すべきではないのかということ。この安定し、信頼し合った視聴者が、その話し合いを通じてその人たちが周りの人に新規契約を呼びかけたり、NHKの自立の意義を話したりするようにやればできるはずだと思うのですね。そこのところをもっと重視する必要があるのじゃないかということと、第二は、いわばNHK放送番組について評判がよくなってきておるところですから、ある意味ではいまチャンスなんですね。こういうときにこそNHKは挙げて確信を持って視聴者の中に入っていく、そしてまた視聴者の意見も持ち帰る、このサイクルですね、これをもっと基本にした営業活動といいますか、こういうところをしっかり確立する必要があるんじゃないかというように思うわけですが、思い切ったそういう思想に徹するといいますか、こういう立場確立する必要があるんじゃないかと思いますが、いまの現場の状況に対する御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  203. 海林澣一郎

    ○海林参考人 お答え申し上げます。  先生が近畿地区でうちの職員あるいは外務、内務、委託の方と会ってくだすったということを承りまして、私も及ばずながら全国を回りまして、そういう方たちとの対話集会を続けております。いろいろ御指摘を受けました。  私どもとしては、基本的には先ほどから出ております言論の自由、表現の自由、これを守る。そしてそのためには受信料制度を守るということを基本に現場を指導しているわけでございます。そういう指導の中から、先生が御指摘くださいましたように、確かに収納の非常に困難な地区には、東京、近畿、北海道ということでございますけれども、特別営業対策員を置く、百四十名置いてございますけれども、これが特にお支払い滞っている方たちのところへ行くということでありますと、いままでそれを指導しておりましたうちの職員であります外務職、この部分との競合がありゃなしやというような情報も私の耳には達しておりますけれども、基本的には受信料制度を守るために、実は、隣が払っていないのにどうしてうちが払うか、隣には来たことがないというようなことがございます。そういうことについて、去年の九月あるいはことしの二月に営業特別月間というようなものを設けまして全局的にそういった対策を打つわけでございますけれども、対策を打ちますと、その反面としては、引っ越してきたらその日のうちにNHKが来た、がめつ過ぎるじゃないかというようなまた批判もあるということでございます。  余り事項を羅列するのはなにかと思いますけれども、そういう中で私ども先生のおっしゃいますNHKの内務職、外務職、そして委託、受託の関係にある四千百人余りの委託の方、さらにはサービスセンターの調査員、さらに郵政委託という形もあるわけでございまして、それらがお互いに相補完しつつ受信料制度を守るということで仕事を遂行していきたいというふうに思っております。そのつもりで私も全国を回りまして指導し、また私もいろいろな意見を聞いているということでございます。
  204. 村上弘

    ○村上(弘)委員 確かに困難な仕事ではありますが、しかし一番大事な仕事が第一線であろうと思うわけです。そこの困難や努力を回避して、安易に受信料の義務化などに走るということは、これはNHKの自殺行為になると私は思うわけです。少なくとも第一線でそういう外務の分野とSCとが競合し合う、こういうみっともないことは直すべきだと思いますし、それから内外の昇進格差などにあらわれておる第一線部隊の軽視、こういうものも改めるべきだと思いますし、もっと第一線の声を重視し、実際をよく見て改善すべきは改善すべきであると思いますが、いま指摘しました具体的な問題、画一的に目標をおろすとか、競合問題をどうするかとか、昇進の格差などをどうするかということについてお答えを聞いて質問を終わりたいと思います。
  205. 海林澣一郎

    ○海林参考人 まず目標の画一化という御指摘がございましたけれども、現在の五十六年予算におきます営業の純増といいますか、総数の目標は五十五万でございますけれども、これは五十五年度の五十五万と同じでございます。したがって、現場からは画一的ではないか。しかしわが営業といたしましては、全国からの諸種の情報を吸収し、そしてまた各幹部を東京に集めそういった会合を数次持ちまして、さらには去年の暮れに出ました国勢調査の速報、世帯数の増というようなものも十二分に勘案しつつ、多少微調整する部分というのがございますけれども、全国的に現在割り当てております数字を変更するという状況には至っていないという判断をもちまして、五十六年度目標を各地方担当局に指示したということでございます。  それから先生のおっしゃいます外務職あるいは内務というところに差があるのではないか。実は先生も御承知業務内容でございますけれども、外務職員は、先ほど申し上げました滞納の整理それから契約拒否など契約、集金困難者に対する説得、さらには契約業務などを担当する。内務は、字のとおり内勤で、主として報告書を審査するとかあるいは情報を処理するとか一般事務処理をするというような業務運行上の資料整備、そういった業務をしております。したがいまして、役割りの分担というふうに私としては先生に申し上げたいというふうに思うわけであります。また、外務職員と内務職員とでは、採用の方法、採用時の経歴、年齢などもかなり違っております。外務職は、全部が委託集金をやられた方たちから四十五歳以下の方を採用している。一方、内勤は普通の採用をしているというような採用の形などが違いますので、あるいは先生がおっしゃったような声があろうかと思いますけれども、私どもは適正な処遇により、公正を期して処遇をしているということでございます。  全体的に申し上げれば、先生の御指摘のとおり営業は現在厳しい環境にありますけれども受信料制度を守るために全力を尽くしていきたいと思っておりますので御報告いたしたいと思います。
  206. 村上弘

    ○村上(弘)委員 第一線重視ということ、そこに徹することを会長以下もう一度腹をくくって臨んでいただきたいということを申し上げて終わりたいと思います。
  207. 佐藤守良

    佐藤委員長 村上弘君の質疑は終わりました。  水野清君。
  208. 水野清

    水野委員 最初に、出席を要望しましたのですがここにおいでいただけなかったことについて、私、大変遺憾であります。一言、これは委員部及びNHK側に申し上げます。  この問題は、いま私の前に御質問になりました村上先生のお話もございましたように、NHKは言論報道機関であります。私も、NHKの公正であり、公共放送の基本的な性格をあくまでも守っていただきたいと思っております。その意味で、きょうはNHKだけでなくて、NHK会長以下の幹部の方だけでなくて、わざわざ経営委員長の原先生にお出ましをいただきました。原先生には大変失礼だったと思うのでございますが、事がマスコミの問題、編集権の問題になります場合もあると思いまして、実は経営委員の中に朝日新聞御出身の吉武先生、毎日新聞御出身の高橋先生、読売新聞御出身の田村先生のお三方がおられますので、あえてお三方にも参考人としておいでをいただきたいということをお願いいたしました。  吉武先生はやむを得ない御病気だということを私も確認しましたが、高橋先生はつい一昨日も私と電話で話をしたわけでございますし、田村先生も全くおいでになれない御事情ではないように私は思うのでございますが、どういうわけかお二人が御出席になれない。こういうようなお話でございます。  私がきょう申し上げることは、かつて私がおりました職場であるNHKのことでございますし、NHKが正常な公共放送としての発展をしていただくように、私はあえてこの国会の場所で御提言あるいは御忠告を申し上げるわけでございますが、その立会人として三先生は最もふさわしいと思ったのでございますが、残念ながら御出席いただけなかったことを、私は非常に遺憾に思っております。  いずれ当委員会で――私は常任委員でなく、きょうは委員の交代をして質問させていただいたわけでございますが、でき得れば当委員会で、予算の成立とかそういうようなことでなくて、経営委員長以下各位と逓信委員の皆さん方が質疑応答あるいは御懇談をされる機会をつくっていただくことは、私はNHKのためにも大変有効なことでもあり、あるいは法的な組織上からも当然のことであると思っておるわけでございます。  それからもう一つ、これは次元の違う話でございますが、NHKの外郭団体であるサービスセンターの社長さんですか、社団法人なら理事長さんですか、この方に御出席をいただきたいと再三申し上げたのですが、都合によってだめだというお話であります。これも私はきわめて遺憾に思っております。御担当の方はいま何か立ったり座ったりしておられた海林さんのようですから――そうでしょう、営業その他そうじゃないですか。まあどなたかわかりませんが、準備は十分しているからというお話でございますから、その方に伺うことがあると思いますからよろしくお願いいたします。  最初に、放送衛星のことをひとつ伺いたいと思います。  放送衛星は、御承知だと思いますが、昭和五十八年度から実施の段階に入ります。大臣に一言恐縮でございますが、この放送衛星は二波あるそうでございます。二波のテレビのチャンネルがとれるそうでございますが、その二波はどういうふうにお使いになるのか、二波ともNHK放送に使うのかを承りたいと思います。
  209. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 現在計画しております五十八年度に打ち上げ予定のものでございますが、NHKの難視解消ということで、総合番組及び教育番組NHKの辺地解消のために使われる予定でございます。
  210. 水野清

    水野委員 それは主な目的は何でございますか。その放送衛星という手段を使ってする放送は何のためにおやりになるのですか。
  211. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  御存じのように、現在NHKは全国あまねく電波を届けるということでいろいろ努力してまいっておるわけでございますけれども、現在なお五十万世帯の電波が届かないところがございます。五十八年度時点においては、なお解消を努力しても四十二万世帯の辺地の方々NHK番組を受けられないという状況にあると推定されております。この四十二万世帯の方々のために、まずNHK番組を届けようというのがその趣旨でございます。
  212. 水野清

    水野委員 そうしますと、放送衛星が上がるようになりますと四十二万世帯、まあ四十二万全部とは私も申しませんが、ほとんどが見えるようになるということを御断言できますか。
  213. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  簡単に言いまして、アンテナの大きさ、パラボラアンテナと申しますが、これに大小の差はあろうかと思いますけれども、まず受かる手段が一〇〇%に近い形で届けられるというふうに断言できると考えております。
  214. 水野清

    水野委員 NHK技師長も同じお考えですか。
  215. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  受信状況を設定すれば、電波局長が申しましたように受信可能になるというふうに考えております。
  216. 水野清

    水野委員 私が聞いている範囲ではそんな甘いものではない。いいですか。放送衛星は何かちょうど三月の太陽の位置くらいのところで地上に向けて電波を二つ流すんだそうですね。私も素人だからわかりません。しかし、それでも山の陰があるとか、いろいろな大きな障害物があって難視聴地域が残る、こう言われております。どうなんですか。
  217. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 放送衛星の場合、やはり太陽から光線を受けまして電源にするというようなことがございまして、いわゆる蝕の時期というのもございますけれども、ただいま申し上げましたのは地上に電波が届く手段が講ぜられるという意味で大略的に申し上げた次第でございます。
  218. 水野清

    水野委員 少し話がおかしくなってきたでしょう。それはそれでいいでしょう。  ところで、この放送衛星を打ち上げるのに、五十八年度に一機星を打ち上げます。六十年度に予備機を一機打ち上げるそうですね。これにどのぐらいの金がかかりますか。
  219. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のとおり、五十八年度に本機を打ち上げるわけでございますが、この本機はカラーテレビチャンネルが二局分と予備チャンネル分が一局分でございます。さらに、予備機につきましても六十年度予定をしておりますが、これもカラーテレビチャンネルが二局、さらに予備一局というものを塔載したものでございます。  これにつきまして、二つでもってトータル約六百億ということになっているわけでございますが、NHKの負担分はそれの六〇%の三百六十億を負担するということになっております。
  220. 水野清

    水野委員 放送衛星というのは大体何年ぐらい耐用年数があるのですか。何年ぐらいもつのですか。
  221. 高橋良

    ○高橋参考人 ただいま宇宙開発事業団にお願いしておりますこの次のNIIロケットで打ち上げる衛星につきましては、ライフは五年の設計でございます。
  222. 水野清

    水野委員 要するに六百億の金をかけて、これはNHKが六〇%しか出さない、あとの四〇%は政府が補助をするということはあるのですが、六百億の大変なお金をかけてたった五年しかもたぬ、こういうわけですね。そうでしょう。
  223. 高橋良

    ○高橋参考人 先生のおっしゃるように、原機並びに予備機につきましておのおの五年でございます。
  224. 水野清

    水野委員 そうしますと、これだけのお金をかけてなおかつ現在も残っている四十数万世帯の難視聴は一〇〇%解消できない、実はこういう結論になると私は思うのです。経営委員長、これにつきましてどういうふうにお考えでございましょう。
  225. 原俊之

    ○原参考人 そういうことにつきまして私どもも専門的に詳細な資料をみずから確かめることができませんものですから、会長以下技師長の御説明などをたびたび聞きまして、うまくいけばいいがということを念じているだけでございまして、私として、経営委員会として、これをやめたらどうかとか考え直したらどうかというようなことは目下のところ申し上げかねるわけでございます。正直なところ、そういうお答えしかできません。
  226. 水野清

    水野委員 私の申し上げたいのは、先ほど来委員の諸先輩から、公明党の竹内先生、民社党の西村先生から、この衛星の問題あるいはNHKの構造的な赤字の問題について真剣に考えろというお話がありましたが、私は、このことほど構造的に大きな問題はないと思うのです。  そこで今度は、会長に少し重ねて衛星の問題で承りたいのですが、私が聞くところ、別に私は専門家でも何でもない、実はきのう逓信委員会委員部の人を呼んで聞いた、それだけの話でございますから、間違いがあるのかもしれませんが、もしこの放送衛星で、二系統、1チャンネルと3チャンネルになるのでしょう、放送いたしました場合に、一体ローカル放送はどうなるか。現在、NHKが多額の金をかけて全国にローカル放送を出しています。このローカル放送は一体どこへ入れるのか。さっき言ったように受像機、これはどなたかの御質問にありましたが、今度は受像機の問題があります。衛星から来るとその電波をパラボラアンテナで受けて、サイクルが違う、メガサイクルとかは私はよくわかりません、サイクルが違うからいまの受像機に合わせるようなアダプターをつけて、それも一台何か十万円かかるというのでしょう。これも視聴者に対して大変な負担であります。さらに、その受像機を使うそういうシステムをつくることによって、地方の、たとえば山形県の山形市の放送局、鶴岡の放送局、青森の放送局、長崎の放送局、そういうそれぞれの放送局でNHKが大ぜいの番組編成要員を雇ってやっているわけであります。その人たちのつくっているローカル放送というのは一体どこへ行くのですか。
  227. 坂本朝一

    坂本参考人 ローカル放送は現在地上の施設でもって放送しておるわけでございまして、それをやめるというふうには考えておりませんので、ローカル放送そのものは現在のサービスエリアの中にローカル放送として放送されるわけでございますけれども先生のおっしゃる難視を解消するために打ち上げた放送衛星の波の中にいまやっておりますような形でのローカル放送をそのまま組み入れるということは現状では技術的にむずかしい。したがいまして、いまおっしゃいましたようなその地域、地域のローカルをたとえば放送衛星の一定の時間帯の中へ入れる、それは毎日というわけにはまいらないわけですけれども、山形にしてみれば何カ月に一遍というような形で出てくるという工夫もあるいは編成的にはできるのではないか。それから動く絵のローカル放送、それは現状では技術的にはなかなかむずかしいようでございますけれども、多重その他による静止画等の情報でございましたら技術的に可能性もあるということでございますので、そういう方法論を使ってローカルの一助にするということも考えられるのではないだろうか。それから、先般申し上げましたラジオFM等でもローカルを実施しておりますので、それらのこととあわせてローカル問題を考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  228. 水野清

    水野委員 いまのお話では私は非常に不十分だと思うのです。  二系統の全国放送があって、しかも受像機の構造も変わっていくわけです。もう一ついままでのようなテレビの受像機を買わないとローカル放送は見えません。しかもNHKの財政が、先ほどのお話のように非常に厳しい。いいですか。これからだんだん不払いがふえますよ、世の中はそういう時代なんですから。そうなって、しかも収入伸びていかない。片一方では五年に一遍六百億、年間約百億以上、NHKの金だけでも約七十億、これで放送衛星を上げて難視聴のためにやっていく。片一方ではローカル放送も拡充します。それだけのことがNHKに一体できるのか、いまの財政状態で本当にできるのですか。会長として、長期計画の中でいまローカル放送部分的に入れられるというのは私はお答えにならないと思うのです。そうでしょう。もう少しきちっとした展望をお話しいただきたいと思います。
  229. 坂本朝一

    坂本参考人 その大前提に、先ほども先生に御答弁申し上げましたように、現在のテレビ文化が非常に花開いているときにすらテレビそのものが見られないという御世帯が全国で四十数万、それを従来の地上施設で解消するには一千億からかかるということでございますので、やはり何とか早くテレビそのものの情報をお伝えする方法論として衛星を考えたわけでございますので、そこら辺のところをぜひひとつ御理解いただきたい。そして地上施設でも当然老朽更新をいたすわけでございますから、そういうこととの見合いにおいて、五年というサイクルでの放送衛星の問題は経営的に計算の中に立ち得るのではないかというふうに私自身は判断しておるわけでございますけれども、また御叱正があればいただきたいと思う次第でございます。
  230. 水野清

    水野委員 大変先輩に失礼ですが、私はお答えにならないと思います。これは郵政省も補助金を出していらっしゃるわけであります。経営委員会におきましてこういうNHKの基本的な問題についてもう少し掘り下げて御議論を賜らないと、NHK自身が何となく――私はこの放送衛星をやろうと言ったときからのいきさつも知っております。私もその当時漠然と自由民主党の政調会の中で賛成をしたわけでありますから、会長ばかりそう追及できないのですよ。いいですか。あのころは世界じゅう放送衛星を上げる、通信衛星を上げる、そのほかスパイ衛星を上げる国もある。だんだん星を上げる場所がなくなってしまう、だから場所取りみたいな形で、何でもいいから早く上げておこう、権利を取っておこうというような発想が公共官庁の中からNHKからあらゆるところにあって、いわゆる日本人特有の早駆けになってしまいまして、つい毎年毎年予算がついてきた。ここでいよいよ昭和五十八年になって放送衛星が上がるようになった。上がるからには、まさか使わないわけにはいかない。そうでしょう。NHKの内部で、この放送衛星をどう利用するか、ローカルとの問題をどう組み合わせるかということを一体どのくらい検討していらっしゃいますか。私の聞いている範囲では、まだ検討に入っていないというふうにしか聞いていない。あと二年たったら放送ですよ。
  231. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生の御質問にございましたのですが、検討に入ってないことはございません。検討に入っております。大体どの辺まで考えたかということを簡単に申し述べさせていただきたいと思います。  先ほど申し上げましたように、とりあえずいま四十二、三万の方が五十八年度以降におきましては一世帯単価が十五万から二十五万を超えるような地上施策でないと解消できないということで、主目的は難視解消という形でもって放送衛星を上げる計画をしたわけでございます。これが上がると即時に副次的なサービスといいますか、経営に対するメリットというものをわれわれは考えているわけでございます。  まず一つは、おととしの十一月十六日に国土庁の非常災害の訓練のときにも参加して、視聴者の皆さんにも番組でごらんになっていただいたように、非常災害地域からの即時中継ということも放送衛星を利用しまして放送と同時に中継もできる、そういう面におきましてはNHKは非常災害時の国民に対する周知義務というものを持っておりますので、この辺についても副次的なサービスはできるのだろうというふうに判断しております。  それから、都市の受信障害が非常にふえてきております。これにつきましても、すでに実験衛星でもって東京並びに大阪地区でもって高層建築物の受信障害にこれが寄与できるかどうかということも実験いたしまして、十分に受信改善に寄与できるというような副次サービスも考えられる。  それから、東京都でございます小笠原につきましてはまだテレビが見えない。このような離島、僻地につきましての放送波中継並びに単独受信というような形でのサービスということも考えられる。  それから、教育テレビのようなものでございましたならば、先生御高承のように、これは電電公社からいま借りております中継回線の代替機能という形でも副次的に考えられるというふうに考えております。  それから、現在放送波中継で地上局が六千三百局保守しているわけでございますが、辺地に参りますと七段中継ぐらいの中継局があるわけでございます。残念ながらいまのところの技術でもっては七段目のお客様には首都圏並びに大阪圏みたいな基幹局の画質ほどの絵をお届けできないという問題がございますので、こういう放送衛星を使ってそういうところの画質改善にも寄与していこうというようなことも検討しております。  さらに、それ以降の問題でございますが、放送衛星は、外国においても大体五十九年ころには、イギリスもフランスも難視解消を主目的としましてさらに第二世代、第三世代のテレビという考え方でのニューメディアの開発を行っておりますが、そのころにおきますと、今度は日本全土をカバーするという衛星のサービス利用をもちまして、たとえば先ほど会長からもお話がございましたように、静止画放送とか、それから文字多重放送、それから高品位テレビジョン放送、こういうようなことも第三世代におきましてはニューメディアとしても考えられるのじゃなかろうかということで検討を続けている時期でございます。
  232. 水野清

    水野委員 技師長のお話はよくわかるのですが、あなたの御答弁はミクロの議論であって、私はマクロの、NHKがこれから五年、十年先にどうするかということを承っている。放送衛星だって二つしか使い道がないのじゃ困るのです。もちろん国土的に日本全土に大きな地震が起こって地方の放送局が一切使えなくなるとかいろいろなことがあるでしょう。そういうときに使えるのはあたりまえの話。あなたの御答弁は御答弁になっていない。私はそういうふうに受けとめます。  ちょうど技師長が出ておいでになったので、私は今度は技師長の御担当のことを承ろうと思います。これは非常に細かいことでありますが、とれもまたNHKの根幹に触れてまいりますからがまんをしてひとつ聞いていただきたい。  いまここへ皆さんテレビの方が持っていらっしゃるミニハンディ、このことでちょっと承りたい。  NHKはいまミニハンディを何台持っていますか。それから、何カ年で全国の放送局、放送記者がいるところへそれを充足ができますか。それから、いつから使うようになりましたか。簡単でいいですよ。わかって聞いているのですから簡単にやってください。
  233. 高橋良

    ○高橋参考人 簡単に申し上げます。  現在スタジオカメラと同等性能を持ちました中継用のいわゆるハンディカメラ、このミニハンディよりも二キロ大きいハンディカメラでございますが、これがきょう現在百一台ございます。それから、ここにございますような報道取材を目的といたしました小型軽量のミニ――ミニハンディというのはNHKの中のペットネームでございますのでよそには通用しないわけでございますが、報道取材用の小型ビデオカメラにつきましては百三台ございます。それで、五十六年度には地方局まで一台から二台配備が終わるという考え方で計画は進めております。
  234. 水野清

    水野委員 ミニハンディというのはNHKの言葉でした。それは失礼しました。民放ではENG、エレクトロニック・ニューズ・ギャザリングとこう言うのだそうです。私もこれは勉強したばかりなんです。  これは報道の番組の方にも関係しますが、先ほどの人員の問題、機材の問題で関連してきますので、おもしろい例を三つばかり申し上げます。  三、四年前になりますが、私の千葉県の神野寺というところで、千葉県はいろいろ皆さん方に有名で困っておるのですが、トラ騒動があった。トラが逃げちゃった。あのときに民放は早速、民放ですからENGを持ち込んで放送なさいました。何時のニュースでしたか私わかりませんでしたが、ニュースに入ったのでありますが、NHKは当時ミニハンディがなくて、フィルムで映画をとって、それをどこか渋谷へ行って現像したのか横シネへ行って現像したのか知りませんが、三時間おくれてやっとトラの顔がテレビのブラウン管に出たのであります。  それから、一昨年木曽の御岳さんが噴火をしました。このときも、これはやったのですが、民放は飛行機でENGをつけてきれいな画面で放映をした。ところがNHKの方はフィルムであったので画面が非常に悪かった。時間的にも遅かった。こういうことを実は職場の人たちが私がこれを質問すると言ったら電話してきたのですよ。  もっと最近の例を言います。これなんかお恥ずかしい次第ですが、お恥ずかしい次第だけれども私は会長以下NHK理事さんたちによく反省をしてもらうために申し上げますが、この間ローマ法王が羽田においでになりました。そのときにNHKの取材陣は羽田に何人行きましたか。これは田中さんが担当ですね。田中さん。わかっているのですよ、私は。
  235. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  あのときには海外からもたくさんの取材依頼もありましたので数はかなり多かったと思います。正確な数はいまちょっとつかんでおりません。
  236. 水野清

    水野委員 私も正確にはわからないのですけれどもNHKは大きな中継車を持ち込んで五十人近くをローマ法王訪問の取材に投入したというわけです。民放はたった三、四人で、このENGを使って、もう一つ、私初めて聞く機械ですが、FPUという機械があるのですか、何か知らないが、その二つを組み合わせてりっぱに処理をされたというふうに聞いております。  NHKのミニハンディの普及度が落ちているということがこれほどNHKの速報体制をおくらせている。いま先輩の先生から末端をしっかりせよと言った。末端が幾らしっかりしてもだめなんですよ。末端の話じゃないのですよ。参謀本部か心臓部の話なんです。実はミニハンディを買うのがいやな人たちがNHKの周りにうろうろしているからこういうことになる。おわかりですか。何か答弁があれば一遍やってください。
  237. 高橋良

    ○高橋参考人 お言葉を返して恐縮でございますが、このミニハンディにつきましては、五十三年度から導入をいたしまして、先ほど申し上げましたように五十六年度には地方局まで一台から二台全部行き届く。それから、海外総支局の主なところにも配備しようという考え方でおるわけでございます。したがって、五十六年度の報道関係に対する設備関係の重点も、小型ビデオカメラにおきまして、先ほど申し上げましたハンディカメラにつきましては四十一台、ミニハンディカメラにつきましては四十一台、計八十二台の増備計画を立てておるわけでございます。
  238. 水野清

    水野委員 地方へ行ったっていまだ――ことし埋めると言っているんでしょう。委員長、これはひとつよくお調べいただきます、委員長に直訴しているようなものでございますから。地方の民放局はみんなどこでもミニハンディとかENGを配備をしております。NHKだけがいま全国的にまだ配備ができないというのが実情でございます。そのために必要以上の多くの人を抱えて、必要以上の古い機材で、言ってみると竹やりで戦争しているようなものです。そういうことを平気でやらしておって、NHKの基本的な長期見通しがどうであるとか、聴視料の収納率がどうであるとかという末梢的なことを幾ら議論してもだめだと私は思うのです。同じ時間に、片っ方はトラの顔が出てきていて、片っ方は出てこなきゃ、だんだんNHKのニュースを見なくなりますよ。どうですか、会長
  239. 坂本朝一

    坂本参考人 大変厳しい御叱正で、返す言葉もない状況でございますけれども、ただ一言御理解いただきたいのは、このテレビの技術の世界というのは非常に日進月歩でございまして、それでハンディカメラそのものもかなり技術革新が激しいものですから、NHKがその機種を選定して採用するというタイミングをなかなか決断しにくい。いわば老朽化といいますか、すぐ型が古くなるというようなことになりますと、設備投資のむだというようなことにもなりかねないものですから、そういうことについて外少慎重にならざるを得ない。うちの場合は全国組織ということでもございますので、そこら辺のところの窮状もひとつおくみ取りいただきたいと思う次第でございます。
  240. 水野清

    水野委員 ちょっとそれではお答えにならないのですが、私は、この採用しなかったことの幾つかの中に、申し上げると、日放労、NHKの労働組合の干渉があったというふうに聞いております。日放労の文書、私もそこまで持ってこなかったのですが、文書の中に、ミニハンディを使うと、輝度という、要するに目が悪くなるわけですね、テレビをじっと見ていると目がぼうっとするように。そういうようなこともあって、使っては組合員が健康を損ねるから困るという日放労の闘争方針があって、お使いにならなかった。そうすると、ここにいらっしゃる民放の諸君には大変お気の毒ですが、皆さん方はNHKのためにモルモットになっているようなものだ、こう私は思うのですね。まさにそういうことじゃないか。そういうようなことで反対をされた、これはどうも表の理由だというふうに私は感じますが……。  そのほかいろいろな反対理由があるのですがね。NHK放送技術研究所というのを持っておられます。私は前にも、これは無用の長物ではないかなと、かねがね自主開発をしておられるけれども、自主開発をしておつくりになったもので、大ぜいの方が優秀な方々ですが、たくさんの予算を使ってやっておいでになったけれども、結局実った技術というのはわりあいに少ない。実ったものもあるでしょうけれども非常に少ない。しかし、その人たちの開発中のものに対して遠慮をして使わなかった、こういう二つの理由もあると聞いております。  それからもう一つ、これは大変に言いにくいことなんですが、これを申し上げないと問題の核心に触れませんから申し上げますが、NHKに出入りしている業者で、三友というカメラ屋さんがあるそうですね。それからさっきの、フィルムを現像したりなんかする、通称横シネですね、というのがあるのです。まあいいでしょう、社長さんがだれだなんて言わなくたっておわかりでしょうから。ともかく委員長、そういうものがあるのです。こういうところでは、いままでの旧式な資材をずっと毎年たくさん納入をしておった。NHKからたくさんの天下りもいただいておる。ですから、なかなかそういうところの因縁関係を断ち切って新しいミニハンディを買うということができかねる、こういう事情が真相だというふうに聞いておりますが、会長はいかがでございますか。
  241. 坂本朝一

    坂本参考人 私は、全くそういうことではないというふうに考えております。冒頭申し上げましたように、NHK一つ技術革新をするという場合にはやはり全国的影響を考えなければいけないということもございまして、そこら辺のところの問題点が多少御指摘いただくようなことに波及したのではないだろうかと、それは私の責任でございますけれども、いま御指摘のようなことでもってそういうことになったというふうには考えておらない次第でございます。
  242. 高橋良

    ○高橋参考人 ただいま先生、技術的な問題での組合の反対みたいなお話がございましたが、私どもはそのようには受け取っておりません。  まず一点、輝度の問題でございますが、この輝度というのは、私の方で使っておりますミニハンディは、短縮型のサチコン、これはNHKの技術研究所で開発いたしまして、これはすでに外国でもこの工業所有権を使いまして生産し、外国のカメラにも使っておるものでございますが、これについて、最初この輝度の問題というのは、カメラの撮像管の撮像板のところにおきまして、明るいところをかっとこうカメラを振った場合に尾を引くというような問題がありまして、それの改善にちょっとおくれたということは否めない事実でございます。  それから、四十七年から導入してまいりましたハンディカメラ、このカメラより二キロ大きいハンディカメラでございますが、これにつきましてもNHKの技研で開発したものがもとになっております。  それから、三友、横シネからはこういう機械は買っておりません。買っておりますのは、こういうものをつくっておりますソニーと池上通信機に技術指導いたしまして、そこで開発し、つくらしたものでございますので、一応補足させていただきたいと思います。
  243. 水野清

    水野委員 品物とか納入先とか若干違うかもしれませんが、私が言っているのは、横シネから買っているのじゃなくて、横シネにフィルムを現像さしているいままでのいきさつをなかなか切れない。私も職場をともにした先輩がそこへ行っておられるのですから余りそういうことを言いたくないのですけれども、そういうことの余りに基本をお忘れになってしまって、私は、会長にしましても、いま技師長にしても、御答弁がありました、それはそれぞれごもっともでございますが、これもミクロの議論だと思うのです。  NHKのニュースというものは、あまねく国民が見てくれている。信頼をしてくれているのです。それで、そう言ってしまうと民放の方に悪いのですが、NHKのニュースの方が正しいのじゃないかと、半分ぐらい皆思っているのですよ。それなのに片方はトラが出てきてトラが出てこないと、やっぱりこれは何となく、だんだんとNHKの信用というものが地盤沈下します。これは私は大きいと思いますよ、この問題は。皆さん方がいつまでも会長であり、副会長であり、技師長であるわけじゃないのですから、もう少しNHKの十年、二十年先のことを考えて、目の前のことだけをお考えにならないで、さっきの放送衛星の問題も同じであります。少ししっかりやっていただきたいと、かつての先輩に申し上げて大変失礼だと思いますが、私はあえて反省を求めるわけであります。  さらに、非常に言いにくいことでありますが、簡単に触れます。これは御答弁は要りません。さっきの三友であるとか横シネであるとか、こういうところのNHKの外郭団体、納品のいろいろなものを納入しているところ、これはずいぶんいろいろありますよ。紙もあるし、土地もあるし、製本もあるし、何かピアノの会社もあるし、洗たく屋さんもあるし、中にはNHKという肩書きのついたのもあります。さっきの横浜シネマ現像所社長というのもあります。こういう方々が青山会というもの、これはきっと青山に寮があったから青山会という名前をつけたのだと思いますが、青山会という会をおつくりになって、われわれの同僚である某議員のために絶えずお金集めをしていらっしゃる。これも法律に触れるか触れないかわかりません。私も調べてきませんでした。私どももやはり政治生活をしておりますから、いろいろな企業から正当な政治献金を受けてやっております。これも違法かどうかわかりません。ただ、そういうことも、もしさっきのような日放労がミニハンディを使うことにちゅうちょなすった原因にあるのだとするならば、これは仮定の話ですが、これはまことに遺憾である、そういうふうに私は思っているわけでございます。これは御答弁要りません。  次に、これもNHKの組合費の取り方についてちょっと承ります、労務をやっている方に。  NHKは組合費をチェックオフをしていらっしゃる、いわゆる給料から天引きで取っていらっしゃる。これは外国では例が少ないのだそうですが、日本ではもういまどんな大企業でも慣行上普通であるようでございます。そうであるかどうか、ちょっと簡単にお答え願いたい。
  244. 武富明

    武富参考人 お答えいたします。  チェックオフはいたしております。
  245. 水野清

    水野委員 ところで、組合の政治闘争資金という名前の金も、毎月五十円ずつNHKの職員からチェックオフをしていらっしゃるそうですが、本当ですか。
  246. 武富明

    武富参考人 お答えいたします。  私、そこのところはちょっと把握をいたしておりません。ただ、一般の組合費についてチェックオフいたしておりますので、それに準じているかと思います。
  247. 水野清

    水野委員 私は、NHKのある若い職員からその給料の明細、電算機から除かれるのを見ましたから、私の方が正確だろうと思います。
  248. 武富明

    武富参考人 ただいま闘争資金と私承ったのですけれども、政治闘争資金という名で取っているかどうかということについて私ちょっと確信がございませんので、その点は私ちょっと保留をさせていただきたいと思います。
  249. 水野清

    水野委員 きょうは実は労働省に来ていただかなかったのですが、もしこれがそうだとすれば、私はこれは違法ではないかと思うのです。昭和五十五年の六月、五十四年の十月の二回の衆議院選挙にこの月五十円の政治闘争資金というものが、いやあるいはもっと前からだと思いますが、これはチェックオフされております。これはひとつ委員長のお手元で、どういう名目で一体いつからそううものを集めたかということを御検討いただいて、これは法的にいいのか悪いのか、私もそこまで調べてくることはできませんでした。質問として申し上げておきますので、資料として後ほど当委員会に御提出を願います。  いまの私の申し上げた前提が正確なら、管理職側が組合の代表の国会選挙の費用を一生懸命お集めになるというのはきわめて珍しい例だと私は思っております。組合員の中にも思想信条の自由があると思います。自民党を支持している人もあると思いますし、社会党を支持している方もあるし、公明党も民社党も共産党も新自由クラブも、それぞれいろいろな政党を支持している信条を持って私はNHKはいいのだろうと思います。会長いかがですか。
  250. 坂本朝一

    坂本参考人 それはもう政治的な自由でございますから、当然だと思います。
  251. 水野清

    水野委員 そうしますと、このNHKの管理職側でチェックオフをなさる闘争資金、まあ政治闘争資金という名前が正確かどうかわかりませんが、このお金が特定の政党に所属した特定の候補のところにいくとすれば、これは中執か何かでお決めになってやるのでしょうけれどもNHKの職員の個々の諾否をとっていないわけであります。私は、これは違法じゃないかなという気もするわけでございます。これもひとつ後ほど御検討いただきます。  それから、これも聞いても答えられないのじゃないかと思うのですが、NHKは職員を、衆議院の選挙のときには東京二区に大量に地方からも出張させて投入しておられるそうでありますが、本当ですか。
  252. 武富明

    武富参考人 お答えいたします。  これは業務と全然関係がございませんから、業務上の出張は認めておりません。
  253. 水野清

    水野委員 余り時間がありませんから……。そうすると、それぞれの方は休暇をとって組合員としておいでになっている方だというふうにもとれます。しかし、それならばそれで、やはり私はそれぞれの職場で許容範囲があると思うのです。そんなに大ぜいの人が東京へ出てきて選挙運動をやれるなら、NHKの人数はいまほど要らぬ、こういうことになる。大変な、イナゴかバッタのごとく来て、一軒一軒戸をたたいて入ってきておやりになるのだそうであります。こういうことが一体許されるのか。これは組合がやっているということだけであって、職制側は、いわゆる会長以下は全く御存じなかったのか、知って知らないふりをしたのか、ひとつその辺をお聞かせいただきたいと思います。
  254. 坂本朝一

    坂本参考人 そういう事実については、正直言って私は全く存じませんでした。
  255. 水野清

    水野委員 まことに恐縮でございますが、もう相当前のことでございますから、これはお調べをいただきたいと思います。というのは、お調べになることの一つに、五十四年の十月の選挙に、その戸別訪問をしておって警視庁に戸別訪問で逮捕をされたNHKの職員があるはずであります。私は現在名前は聞いておりません。そういう人もおりますから、そういう人を具体的にひとつNHKの内部でよくお調べになりまして、経営委員会でひとつどういう実情であったのか、それは大変細かいことのようでございますが、私は事は大変重大なことだと思います。ひとつお願いを申し上げます。  それから、こういうこともあるのです。これは私自身が経験をいたしました。私の非常に親しい運輸省のかなり高級の官僚であります。その人が、五十四年の十月の選挙の後東京で、私が運輸委員になりまして、一杯やって二人で話をしたとき、君のもとおったNHKは管理職の人も企業ぐるみで労働組合の代表者の方の選挙をやるのか。どういうことですかと言ったら、実はその人の一まあそれをAさんと言います。そのAさんの大学時代の友人がNHKにおって、かなりの管理職の方である。その方が、組合側から言われたのか何か知りませんが、とにかくNHKの中の雰囲気として、管理職も、二十名の名簿を出せ、東京二区の中に住んでいる人の名簿を出せと言われたからおれは書いた、しかし、おれははっきり言うと日放労の委員長さんはきらいだ、きらいなんだが、書かないと内部の迫害を受ける、だから済まないけれども書いたからと電話をかけてきた、留守中君の家にだれかが戸別訪問で行ったら、はは、よく承っております、確かに投票しますと、そう言ってくれといって電話がかかってきた。君のおったところはすごいなという話を聞いたわけであります。そういう例が非常に多いということを私は聞いております。こういうことについては、職制でございますから、会長御存じでしょう。
  256. 坂本朝一

    坂本参考人 選挙の際には、ともかくいやしくもNHKとして政治的に公正を疑われるようなことのないようにということを私の名前で全局に通達を出しております。したがいまして、いま先生のお話を聞いて耳を疑うような心情でございます。
  257. 水野清

    水野委員 これはここであれしても水かけ論ですから、それじゃもう一つ。  NHKというのは奇妙なものがあると思って、私もNHKを去ってからもう二十年近くなりましたが、ずいぶん奇妙なものが次々できてきたと思いますが、これについてもう一つ承ります。これも武富さんの御担当ですから。  いよいよ春闘が始まるわけです。この時期になりますと、NHKでは管理職の人で腕章を巻いて組合闘争に参加をしている人がたくさんいるのでございますが、これは一体どういうことですか。
  258. 武富明

    武富参考人 お答えいたします。  私どもの職員構成の関係から、非常に高職能を持ちながら管理職になれないという層がいまのところ非常にたくさんございます。そういった者をモラールその他の点から考えまして、その専門職能というものは専門分野として従来どおり発揮をさしてもらいながら処遇というものは管理職の処遇をしよう、こういう制度を五十一年からとりました。したがいまして、身分は組合員でございますけれども、処遇は管理職だ、こういう人間が存在をいたしております。これは新聞その他についても同様な例はたくさんあろうかというふうに思います。
  259. 水野清

    水野委員 よそのことはいいのですよ。  そうすると、待遇は管理職で身分は組合員という者がいる、こういうわけですね。簡単でいいですから、何人いますか。
  260. 武富明

    武富参考人 約千人弱でございます。
  261. 水野清

    水野委員 NHKの職員は、きょういただいた資料によると一万六千八百九十五人、そのうちの約千人が管理職か組合員か、要するに待遇は管理職なのに組合員という人がいる、こういうわけであります。そういうふうに理解していいですか。
  262. 武富明

    武富参考人 そのとおりでございます。高職能をその地位で発揮をする、こういうことでございます。
  263. 水野清

    水野委員 そうしますと、これは労組と経営側との問題でしょうけれども、待遇を管理職にしてやるなら、おまえは管理職にする、本人も組合員であるより管理職であった方がうれしいだろうと普通は思うのです。NHKは組合員であることの方が出世をするそうですから、ちょっと違いますが、ともかく、普通のわれわれの常識なら、いまの日本の国の自由社会の常識なら、管理職になりたい。待遇も管理職なのに身分は組合員だ、そういうふうな労使交渉というのは一体いつから生まれて、どこでどういうふうにそういう結果になったのか、御説明をいただきたいと思います。
  264. 武富明

    武富参考人 お答えいたします。  ただいまちょっと御説明を申しましたように、うちの職員構成の中で、いまのところ、管理職つまり経営職になるための一般的な平均年限というのは十八年から十九年かかります。したがいまして、非常に高い能力を持ちながらそのポストにつけないという層が非常に厚く残っている、そこから問題は発しているわけでございます。そしてあくまで、どんな高位の者であっても専門職であるということを希望なさる、そういう向きもございます。たとえばプロデューサーにしても、いま局長級のプロデューサーというものもおりますし、そういう処遇というものは局長というものを与えながら、そして実際は、自身の持った職能というものを専門的に生かす立場、そういうふうな制度を取り入れて、その中の一環としてこの制度を取り入れているわけであります。
  265. 水野清

    水野委員 少し御答弁がずれております。いいですか。チーフディレクターとかチーフアナウンサーで、あくまでも専門職で行きたい、それは職能の問題であって、職制の問題ではないわけです。  それじゃ、私なら私が、何か組専と言うのだそうですね、組合で、専門職というのですかね、組専になった場合、私は管理職になりたいと言ったら、それはなる自由があるのか、いや私は組合に残りたいと言ったら、その自由があるのですか。
  266. 武富明

    武富参考人 この経営職あるいは専門職、専門職能を生かすかあるいは経営職として経営的な立場に立ってもらうか、これは私どもが選択をいたします。本人の希望というものは必ずしもかなうものではございません。
  267. 水野清

    水野委員 ともかく、郵政大臣経営委員長にいまお話を申し上げたことについて、郵政省も――郵政省は監督の責任はないのですか。経営委員長は監督の責任があると思います。  ともかくNHKで千人ぐらいの、待遇は管理職で、労働組合で春になると職場を放棄して赤い腕章をつけてやっている方がいるんだという、これは恐るべきことだと私は思うのでございます。経営委員会におきましても、どうかひとつこういうことも御討議をいただければありがたいと思います。お話があれば、ひとつ御意見を聞かしてください。
  268. 原俊之

    ○原参考人 よく執行部から実情を承りまして、経営委員会の方でも十分論議をしたいと思います。
  269. 水野清

    水野委員 だんだん、余りやりたくない話までやらなければならなくなってきちゃったのですが、まあこれぐらいでやめますが、NHKに、これは会員であるから会員に承りましょう。副会長に承りましょう。  ひなだん会というのがあるのを知っていますか。
  270. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 存じております。
  271. 水野清

    水野委員 それは何ですか。
  272. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 日放労が昭和二十二年に結成されました。その当時組合の役員をやっておった者、それ以後組合の中央の役員をやった者、そういう者の親睦の会でございます。
  273. 水野清

    水野委員 会員は何人ぐらいいらっしゃいますか。
  274. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 ちょっとつまびらかにいたしませんが、二百人ぐらいだと思います。
  275. 水野清

    水野委員 ここに名簿があります。これを拝見しますと、きょうの理事さんの中でも、副会長の中塚さんがひなだん会、さっき言った反町さんもひなだん会、坂倉孝一さんもひなだん会。さっき私がちょっと申し上げたように、NHKでは組合の幹部になると将来重役にもなる、特別職にもなる、これは全国にこういう名簿が配付されているのを見て、私も昔からの先輩やなんかがいるんですが、ああ、あの人はそういう人だったのかと思って感心をしている。しかし、これは結社の自由がありますからちっとも構わないでしょうが、この方々がどうもNHKの中心になって、絶えず横の連絡をとって、人事的に、一般のひなだん会に入ってない人たちからいうと――ひなだんというのは、労働組合の大会のときに壇の上に座るからひなだんということを言うらしい。伊藤先生なんか知っていられるでしょう。そういうことらしいですね。そういう入ってない人との間に、どうも大分取り扱いが違うという説があるんですが、会長、そういうことはあるんですか。
  276. 坂本朝一

    坂本参考人 私は、ひなだん会でございませんので。先生の御指摘のようなことは絶対ないというふうに、私は申し上げたいと思います。
  277. 水野清

    水野委員 それはあるのかないのかわかりませんが、私が聞いている範囲、調べた範囲では非常にあるようでありますし、この方々は、次はだれそれさんを会長に持っていこうかとか、次はだれそれさんをどうしようかとかということを絶えず会合を持ってやっていらっしゃる。この話はいやらしいから、私はこれでやめます。ともかく、もう少し開かれたNHKになって、人事も公平なNHKになっていただきたいというふうに要望をするわけでございます。  いろいろ質問しますと、いろいろ個人的な影響が出てくるものですから。これをもう一つ、やらしていただきましょう。  これはここで議論することじゃないのですが、武富さんが御承知であればお調べになっていただきたいし、こんなことがあっては、たとえ日放労の中でもけしからぬと私は思いますから、会長武富さんがひとつよく御記憶願いたいと思います。  日放労の中に言論保障闘争本部というものがあるんだそうです。これはどういうものかというと、「組合及び議席の不利になることを外に漏らすな。漏らしそうな人物は絶えず監視せよ。」大体こういうことなんだそうです。私は実はこのメモを、NHKの日放労のかなりの方からだと思いますが、匿名で封筒で受け取りました。それで私はわからなかったら、そこで文芸春秋が出てくるわけです。この文芸春秋なんかにも書いてあるのですが、要するに最近NHKがマスコミにいろんなことを書かれる。NHKに不利です。あたりまえです。不利だから、そんなことを漏らしそうな人を社内でマークしろ。どこかから電話がかかってきて、職場をそろっと離れて、NHKから一キロか二キロ離れた渋谷の喫茶店へ行って、週刊誌の記者か何かと――何かと言っては失礼ですが、週刊誌の記者と会ってひそひそネタを提供しているようなことがあればすぐ報告せよ、こういうことなんですね。そういう何かKGBみたいなのがNHKにあるのだそうであります。大変恐ろしいことだと思います。これでNHKが本当に公正、中立な放送が出せるだろうかと私は思っているわけです。  しかも、この「議席」という言葉がまたわからないのです。「議席」とは何だ。四人組時代に毛沢東主席のことを皆主席、主席と、こう言っていた。どうもそれと似たような発想らしい。日放労の委員長と、こう言わないで、「議席」と言うんだそうです。「議席」がこういうふうにおっしゃったと。私はこの辺になってくると異常だと思います。  大変失礼ですが、こんなふうにした会長以下経営陣の皆さん方は、これは重大な過失があります。先ほど申し上げたように、ミニハンディの使用がおくれてNHKの報道体制がだめになった。放送衛星は再来年に上がるわけです。上がるのに一体これをどうするのか。ローカル放送は本当にやめるのか。やめるなんということはできやしないでしょう。結局二重投資でしょう。そんなことについて基本的な物の考え方が一つもできてない。そうでしょう。そんなことでは皆さん方はNHKの五年、十年の計画をお立てになれないと思います。  もうこれ以上あれしますといろいろなことがありますので、ちょうど一時間でございますし、余り皆さん方に御迷惑をかけてもいけませんから私はやめますが、ひとつ大臣経営委員長会長、それぞれ私の申し上げたことに対して御感想を――もう一つ忘れました。  これです。文芸春秋です。これは皆さん方お読みになったでしょう。これ以外も何かいろいろな週刊誌に出ていますね。これがうそなら、なぜ告発をしないのです。私は、実は自分の選挙で千葉局の委託集金をしてくだすっいる方々に大変世話になっています。その人たちが嘆くのです。いままでは行くと簡単に払ってくれたのが、日曜日かなんかねらってやっとアパートかなんかに行って若い夫婦をつかまえる、そうすると早速週刊誌の話だというんです。こんな厚いものは読まない方の方が多いのではないかと思うのですが、週刊誌なんかに出ると、ともかく一軒五分で済むところが三十分も四十分もかかる、言いわけをしなければならぬ。いままで週刊誌NHK及び日放労の委員長について大変いろいろなことが書かれましたが、一遍も告訴をしたとか名誉棄損でどうしたという話を私は聞いていないのであります。もしNHKに対して文芸春秋が不当なことを書いているなら、早速御検討なすって告訴をなすったらいい。まずそれを会長から承って、あと大臣委員長会長から総括的に私の申し上げたことに対して御批判をいただいて、私の質問をやめたいと思います。
  278. 坂本朝一

    坂本参考人 文芸春秋並びにそれに引き続いて発刊されました週刊文春、その中には明らかに誤りと考えられるところもございますしいたしまして、去る月曜日、社長に対して厳重な抗議をいたしました。引き続きどういう対応をするか、わが方といたしましては考えておる次第でございます。
  279. 山内一郎

    山内国務大臣 NHKは公共言論放送機関として自主性によって運営されている。法律的にも保障されております。本当に重要な、重大な使命を帯びているわけでございます。したがって私、この際その水野委員内容には一々触れることは遠慮させていただきますけれども、そういう重大な使命を帯びているNHKが、どうか国民に信頼されるように十分にひとつ運営していただきたい、こういうことを希望しておきます。
  280. 原俊之

    ○原参考人 ただいま山内大臣も言われましたように、また私ども経営委員会としましても、放送法にのっとりまして、その性格の特殊性といいますか、公正な放送事業というものをしっかりやってもらうように、今後経営委員会でも十分話し合って、執行部に対して申すべきことは断固として申し、また忠告もすべきことがあれば忠告もいたしたいと存じております。
  281. 坂本朝一

    坂本参考人 私も協会責任者として国民期待にこたえるべく奮励努力する所存でございます。
  282. 水野清

    水野委員 よろしくお願いします。  以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  283. 佐藤守良

    佐藤委員長 水野清君の質疑は終わりました。  次回は、明十九日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二分散会