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1981-05-13 第94回国会 衆議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年五月十三日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 小此木彦三郎君    理事 加藤 六月君 理事 関谷 勝嗣君    理事 楢橋  進君 理事 宮崎 茂一君    理事 福岡 義登君 理事 吉原 米治君    理事 西中  清君 理事 中村 正雄君       佐藤 文生君    近岡理一郎君       永田 亮一君    浜野  剛君       林  大幹君    古屋  亨君       三塚  博君    山村新治郎君       井岡 大治君    伊賀 定盛君       小林 恒人君    関  晴正君       浅井 美幸君    小渕 正義君       三浦  久君    四ツ谷光子君       石原健太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 塩川正十郎君  出席政府委員         運輸大臣官房総         務審議官    石月 昭二君         運輸省船舶局長 野口  節君         運輸省港湾局長 吉村 眞事君         運輸省鉄道監督         局長      杉浦 喬也君         運輸省自動車局         長       飯島  篤君         運輸省航空局長 松井 和治君         海上保安庁長官 妹尾 弘人君  委員外出席者         防衛庁防衛局調         査第二課長   三井 康有君         防衛庁装備局艦         船課長     鈴木 輝雄君         科学技術庁原子         力局原子力開発         機関監理官   井田 勝久君         外務大臣官房外         務参事官    松田 慶文君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       松田 篤之君         社会保険庁年金         保険部業務第一         課長      萩原  昇君         労働省労働基準         局補償課長   林  茂喜君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     加賀山朝雄君         日本国有鉄道常         務理事     半谷 哲夫君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十四日  辞任         補欠選任   小林 恒人君     小野 信一君 同日  辞任         補欠選任   小野 信一君     小林 恒人君 五月七日  辞任         補欠選任   小渕 正義君     塩田  晋君 同日  辞任         補欠選任   塩田  晋君     小渕 正義君 同月十三日  辞任         補欠選任   中馬 弘毅君     石原健太郎君 同日  辞任         補欠選任   石原健太郎君     中馬 弘毅君     ――――――――――――― 四月二十日  気象業務整備拡充に関する請願不破哲三君  紹介)(第三一九一号)  同(上田哲紹介)(第三三六七号)  国鉄地方交通線特別運賃導入反対に関する請  願(小沢貞孝紹介)(第三二八七号)  同(串原義直紹介)(第三二八八号)  同(清水勇紹介)(第三二八九号)  同(下平正一紹介)(第三二九〇号)  同(中村茂紹介)(第三二九一号)  同(林百郎君紹介)(第三二九二号)  身障病者等に対する国鉄施設整備に関する  請願宇野宗佑紹介)(第三三六六号)  重度障害者及び介護者国鉄特急料金割り引き  に関する請願外二件(原田昇左右紹介)(第  三三六八号)  身体障害者に対する運輸行政に関する請願(坂  田道太紹介)(第三三六九号)  同(近岡理一郎紹介)(第三三七〇号) 同月二十二日  測候所夜間閉鎖計画撤回及び気象業務整備  拡充に関する請願小林政子紹介)(第三四  一八号)  同(山花貞夫紹介)(第三五四四号)  三宅島空港滑走路延長促進に関する請願(鈴  切康雄紹介)(第三四一九号)  気象業務整備拡充に関する請願岩佐恵美君  紹介)(第三四二〇号)  同(竹内猛紹介)(第三四二一号)  同(松本善明紹介)(第三四二二号)  同(中島武敏紹介)(第三五一四号)  国内用船外機検査免除に関する請願足立篤  郎君紹介)(第三四二三号)  同(足立篤郎紹介)(第三五一五号)  同(足立篤郎紹介)(第三五四二号)  同(愛野興一郎紹介)(第三五四三号)  重度障害者及び介護者国鉄特急料金割り引き  に関する請願外二件(原田昇左右紹介)(第  三四二四号)  同(加藤紘一紹介)(第三五一六号)  身体障害者に対する運輸行政に関する請願(神  田厚紹介)(第三四四四号) 五月一日  気象業務整備拡充に関する請願高沢寅男君  紹介)(第三六〇二号)  同(玉城栄一紹介)(第三六〇三号)  同(山本政弘紹介)(第三六〇四号)  身体障害者に対する運輸行政に関する請願(愛  野興一郎紹介)(第三六〇五号)  同(野上徹紹介)(第三七〇九号)  同(米沢隆紹介)(第三七一〇号)  国内用船外機検査免除に関する請願足立篤  郎君紹介)(第三六六〇号)  国鉄運賃値上げ反対等に関する請願塚田庄  平君紹介)(第三七〇八号) 同月七日  国内用船外機検査免除に関する請願足立篤  郎君紹介)(第三七三一号)  同(足立篤郎紹介)(第三九四八号)  身体障害者に対する運輸行政に関する請願(小  杉隆紹介)(第三七五八号)  同(池端清一紹介)(第三七八三号)  同(岡田利春紹介)(第三七八四号)  同(北山愛郎紹介)(第三七八五号)  通運事業法廃止反対等に関する請願岩垂寿  喜男君紹介)(第三九三〇号)  同(上田卓三紹介)(第三九三一号)  同(上田哲紹介)(第三九三二号)  同(上原康助紹介)(第三九三三号)  同(枝村要作紹介)(第三九三四号)  同(小川国彦紹介)(第三九三五号)  同(小川省吾紹介)(第三九三六号)  同(小野信一紹介)(第三九三七号)  同(大島弘紹介)(第三九三八号)  同(勝間田清一紹介)(第三九三九号)  同(岡田利春紹介)(第三九四〇号)  同(広瀬秀吉紹介)(第三九四一号)  ハイヤー、タクシーの安全輸送確保等に関する  請願佐藤敬治紹介)(第三九四二号)  同(嶋崎譲紹介)(第三九四三号)  同(武部文紹介)(第三九四四号)  同(高田富之紹介)(第三九四五号)  同(広瀬秀吉紹介)(第三九四六号)  同(山花貞夫紹介)(第三九四七号) 同月八日  交通損害保険士業務資格認定制度創設に関す  る請願楢橋進紹介)(第四〇〇一号)  同(山崎拓紹介)(第四〇〇二号)  私鉄運賃等値上げ反対に関する請願岩佐恵  美君紹介)(第四〇〇三号)  気象業務整備拡充に関する請願金子満広君紹  介)(第四〇〇四号)  気象業務整備拡充に関する請願(辻第一君紹  介)(第四〇〇五号)  同(飛鳥田一雄紹介)(第四一二五号)  国内用船外機検査免除に関する請願足立篤  郎君紹介)(第四〇〇六号)  同(足立篤郎紹介)(第四〇五六号)  同(足立篤郎紹介)(第四一二六号)  重度障害者及び介護者国鉄特急料金割り引き  に関する請願大西正男紹介)(第四〇五七  号)  身体障害者に対する運輸行政に関する請願(田  邉國男君紹介)(第四一〇八号)  通運事業法廃止反対等に関する請願大原亨  君紹介)(第四一二七号) 同月九日  身体障害者に対する運輸行政に関する請願(野  坂浩賢紹介)(第四一七一号)  国内用船外機検査免除に関する請願足立篤  郎君紹介)(第四二四四号)  同(斉藤滋与史君紹介)(第四二四五号)  同(足立篤郎紹介)(第四三〇二号) 同月十一日  気象業務整備拡充に関する請願横山利秋君  紹介)(第四三二五号)  同(金子みつ紹介)(第四四九七号)  交通損害保険士業務資格認定制度創設に関す  る請願鯨岡兵輔紹介)(第四三三九号)  同(辻英雄紹介)(第四四九六号)  国鉄予讃線、土讃線のダイヤ改正等に関する請  願(四ツ谷光子君外一名紹介)(第四四五一  号)  重度障害者及び介護者国鉄特急料金割り引き  に関する請願橋本龍太郎紹介)(第四四五  二号)  身体障害者に対する運輸行政に関する請願(三  浦久君紹介)(第四四五三号)  同(金子みつ紹介)(第四四九八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十二日  東北新幹線の東京駅始発等に関する陳情書  (第一九五号)  国鉄地方交通線確保に関する陳情書  (第一九六号)  同外一件  (第二七七号)  関西新国際空港計画に関する陳情書外三件  (  第二七三号)  国鉄小松島線存続に関する陳情書  (第二七四号)  国鉄美幸線全線開通促進に関する陳情書  (第二七  五号)  国鉄信楽線存続に関する陳情書  (第二七六号)  国鉄丸森線存続等に関する陳情書  (第二七八号)  国鉄鍛冶屋線存続に関する陳情書  (第二七九号)  営団地下鉄千代田線及び関東鉄道常総線の相互  乗り入れ等に関する陳情書  (第二八〇号)  国鉄地方線割増運賃制反対に関する陳情書外一  件  (第二八一号)  重度障害者等及び介護者国鉄特急料金割り引  きに関する陳情書外一件  (第  二八二号)  羽幌測候所夜間業務閉鎖反対に関する陳情書  (第二八  三号)  飯塚測候所夜間業務閉鎖反対に関する陳情書  (第二八四号)  直轄港湾整備事業の施行に伴う事業費一部負担  の軽減に関する陳情書  (第二八五号)  三陸縦貫鉄道工事促進に関する陳情書  (第二  八六号)  四国地域国鉄地方交通線存続等に関する陳情  書  (第二八七号)  四国新幹線鉄道に係るトンネル調査早期着手  に関する陳情書  (第二八八  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  海運に関する件  航空に関する件  日本国有鉄道経営に関する件  港湾に関する件  海上保安に関する件      ――――◇―――――
  2. 小此木彦三郎

    小此木委員長 これより会議を開きます。  陸運海運航空日本国有鉄道経営港湾及び海上保安に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関晴正君。
  3. 関晴正

    関委員 私は、まず第一に、運輸大臣お尋ねをしたいと思います。  運輸大臣は、原子力船開発事業団法律によりますと、第三十八条によって主務大臣、こうおなりになっているわけなんです。主務大臣であるあなたが、昨日の閣議において、また関係閣僚会議において、原子力船定係港青森県の関根浜に定めるようになったと報道されているわけなんです。  この際、お聞きしたいことは、主務大臣は、定係港を定めるに当たっては法律のどこに基づいてこれを定めることになっているかということと、あなたがこれに賛意を表したその理由は何であったのか、この二点を伺いたいと思います。
  4. 野口節

    野口政府委員 最初の、定係港をどうして定めるのかという点でございますが、原子力船開発に当たりましてはそれに相応する陸上施設を必要とするということで、この陸上施設を設置するところを通常定係港、こういうふうに申しているわけでございます。  昨日、十二日に開催されました関係閣僚の打合会におきましては、原子力船むつ」の新定係港につきまして、地元関係者等意向も十分反映した上で、むつ市の関根浜地区候補地として調査したいということを申し入れることが定められたわけでございまして、運輸省といたしましても、科学技術庁がこれから地元と折衝するのに積極的に協力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  5. 関晴正

    関委員 法的根拠において、さきに大湊港を母港にする、定係港にする。そういうところから、その後四者協定が出てまいりまして、大湊母港は撤去をする。そうして具体的に事を進めてきた。その後、また中川科学技術庁長官大湊をお願いする、そういう話が出てまいりまして、その際の話の内容は、とにかく大湊母港が最適地である、全国幾多の港を比べたときにここが最適地である、こういうことで、方針を重ねてとった。しかしながら、そこには無理があった。その無理を承知したために、今度は引き返して新たなる母港を、こういうふうに至ったと思うのです。  幾多の港の中でここは最も適した港であるとの判断を下されて、そこから撤退して、次善の港を探すに当たってはまた相当調査相当期間がかけられるべきだと思うのですが、四月十二日に青森県に長官が来まして、そうして打ち出されてちょうど一カ月です。この一カ月の間に関根浜適地なりとしそ判断されてお定めになったのか。それとも、これは決めたんじゃなくて、この港を調査するということを決めただけなのか。その点お答えいただきます。
  6. 井田勝久

    井田説明員 お答えいたします。  原子力船むつ」の母港につきましては、ただいま先生からお話がございましたように、昨年八月、中川科学技術庁長官から青森県の地元代表方々に、大湊港の再母港化検討をお願いしたわけでございますが、それ以来、何とか大湊港をもう一度使わしていただけないかと鋭意折衝を重ねてきた次第でございます。しかしながら、陸奥湾内栽培漁場を何物にも侵されたくないという漁業者方々の御意見も非常に強いものがございまして、交渉が難航したわけでございます。しかし、漁業者方々も、原子力船開発そのものには反対ではない、母港外洋に移転するなら協力してもよいという感触でありたわけでございます。一方、北村青森県知事からも、青森県内各界各層方々の御意見を聴取された結果といたしまして、青森県内には母港外洋移転を望む声が強いという御報告もいただいたわけでございます。  このような状況の中で、去る四月十日から十二日にかけまして中川長官青森県を訪問されまして、現地の事情をつぶさに視察し、地元方々と率直にお話し合いをしたわけでございます。その結果といたしまして、中川長官ぎりぎりの判断として、政府及び党の機関と協議の上、外洋への新母港設置の実現に向けて努力いたしたいという考えを地元方々にお示ししたわけでございます。その際、北村県知事並びに竹中自民党青森県連会長から、新母港の場所につきましてはむつ市の意向を十分考慮してほしいという御意見があったわけでございます。さらに、その後、五月八日には自民党青森県連方々からも中川長官に、むつ市の関根浜地区候補地として調査に入ってほしいというお話もあったわけでございます。  私どもといたしましては、以上の経緯を踏まえまして、むつ市を含む地元の御意向等も参酌いたしまして関根浜地区候補地として調査を実施することといたしたいと申し上げまして御検討をお願いした次第でございます。
  7. 関晴正

    関委員 私の聞いておるのは、そういう政治的な動きや地元の要望ということであなた方は判断されたとするならば、これは重大な誤りじゃありませんか。母港を決める場合には、幾多条件調査し、そうして適地なり適港なりということで定めるものでしょう。地元自民党県連が、あるいは地元知事が外港にということを要請したかもしれない。だから、それに従ったんだ。主体性はどちらにあるんですか。お答えいただきます。
  8. 井田勝久

    井田説明員 お答えいたします。  現在、原子力発電所等原子力地元に立地させるに当たりましては、考慮すべき点といたしましては、自然条件だけではございませんで、地元住民の御理解、御協力を得られるというような重要な社会条件が整っているということが必要ではないかと私ども考えているわけでございます。そういう幾つかの条件を踏まえまして、「むつ」の新定係港候補地関根浜に選定いたしましたのも、このような自然条件及び社会条件を総合的に判断した結果であると考えております。
  9. 関晴正

    関委員 自然条件が、適地として妥当ですか。
  10. 井田勝久

    井田説明員 お答えいたします。  関根浜地区につきましては、津軽海峡に面しているということもございまして、気象海象は、陸奥湾内に比べますれば厳しいものがあると思われるわけでございます。しかし、同じ津軽海峡に面しておりまして、同じような気象海象条件でございますし、また関根浜とも比較的近い大間には民間のフェリー基地もございます。そして、同港におきましてフェリーの入港、停泊が支障なく行われているというようなこともございます。また、関根浜には小さいながら漁港がございまして、そこに漁船が出入りしているわけでございます。したがいまして、関根浜につきましても、津軽海峡に面した自然の厳しい条件のところではございますが、現在の港湾技術の水準という点から見ましても、また私たちが予備的にいたしました調査結果からいたしましても、港湾施設の配置、防波堤、バース等の規模を適切なものといたしますことによりまして、十分その新定係港整備することができるのではないかと考えている次第でございます。
  11. 関晴正

    関委員 あなた、行ってみましたか。
  12. 井田勝久

    井田説明員 まだ関根浜には訪問しておりません。
  13. 関晴正

    関委員 行ってきた方がございましたら答えてください。
  14. 井田勝久

    井田説明員 関根浜につきましては、その周辺の港のデータ、いろいろなデータがあるわけでございます。そういうものを用いまして、私ども総合的に判断して調査をしているところでございます。
  15. 関晴正

    関委員 あなた、大間フェリーの話をしたが、大間まで何キロありますか。
  16. 井田勝久

    井田説明員 お答えいたします。  五十キロ以下ではないかと思っております。
  17. 関晴正

    関委員 まるで隣の町みたいな話をしてお答えになっておるわけです。五十キロ以上ありますよ。そういうところは、これはまた別です。遠浅でもありませんよ。この関根浜というのはどうです。どのくらいの深さのところですか、この浜は。
  18. 井田勝久

    井田説明員 関根浜は遠浅になっている地点というふうに了解しておりまして、岩盤の上に砂が乗っかっている、そういうような地点であるというふうに聞いております。
  19. 関晴正

    関委員 私が聞いているのは、どのくらい遠浅だかと聞いているのです。  それから、関根浜海岸線というのはどのくらいの長さであるのかということも答えてください。
  20. 井田勝久

    井田説明員 現在、資料を持ってきておりません。後ほどお届けしたいというふうに考えております。
  21. 関晴正

    関委員 冗談じゃないよ、あなた。資料の有無じゃないだろう。子供でもわかるだろう。子供以下じゃないか。いやしくも国が、政府が、責任を持ってわが青森県の関根浜母港にしたいということで打ち出す以上は、きちんとした調査があってしかるべきだと思う。しかも、浜の広さも知らない。長さも知らない。大間の町なんというフェリーのあるところは隣のすぐ近くにでもあるかのような印象を与えるような答弁でごまかそうとしたって、容認できませんよ。  水深十メートルにはどのくらいの距離があると思っています。そのくらいは答えられるでしょう。
  22. 井田勝久

    井田説明員 御説明申し上げます。  四百五十メートルぐらいというふうに思っております。
  23. 関晴正

    関委員 水深十メートルに至るまで四百五十メートルもある。それほどの遠浅のところです。そうして、ここは砂浜です。漂砂、流砂の激しいところです。ここに港をつくろうといったって、一万トン近いところの原子力船がやってきて——やってくることができないでしょう。漁港といってみたところで、三トンか五トンの船の漁港ですよ、いまつくられておるのは。今度来る船は一万トン近いでしょう。将来性を考えるというと、原子力潜水艦もやがてやってくるでしょう。そういうことを考えるというと、これは適地であるかどうかということぐらいは子供にでもわかるはずだ。しかも、ここは暖流、寒流のぶつかるところ、そうして霧の激しいところです。濃いところです。鳴門海峡の渦ならぬ関根浜の渦の巻くところです。それでもあなた方はこれを適地なりと言うのはどこから出てきますか。  どのくらいの金をかけてやれば港がつくられると計算されております。そうして、工事期間をどのぐらいと勘定しています。
  24. 井田勝久

    井田説明員 御説明申し上げます。  今後、立地に関する調査を具体的に進めるわけでございます。先生ただいまお尋ねの、その港の建設費並びに期間につきましては、そういった調査を踏まえて正確に決めるということになろうかと思います。
  25. 関晴正

    関委員 そんなつまらない答弁であなたは青森県の母港を示すのですか。国が物を示すときの態度というのはこんないいかげんなものですか。何年も何年もかかって調査をして、そうして適地はこの大湊なりと判断し、その過程の中に関根浜なんか浮かんできましたか、入ってきましたか、ただの一度も。お答えください。
  26. 井田勝久

    井田説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、地元の方とお話し合いの結果、そういった自然的条件社会的条件、そういうものをあわせまして関根浜に決めたということでございます。
  27. 関晴正

    関委員 愚かなことをおっしゃいますなよ。  ただ、私の言っているのは、いまもお尋ね申し上げてお答えがあったように、どういう浜であるのか、そして、どのくらい検討したのか。そういうような調査というものについて少しの自信もなくて、青森県の自民党県連が来て、また青森県の知事が来て言った。吟味すべき内容は、何ということを言ったかということなんです。そして、どんな資料に基づいてそれを陳情されたか。そういうことについての対処することもなくて、その言葉だけに乗っかかっていって定めるなんというのは、私はもうお話にならないと思う。  この点であなたと問答してもいけませんから、運輸大臣責任あるのはあなたなんですよ。あなたが五閣僚会議においてもオーケーした人でしょう。何をもってあなたはオーケーしたのです。何を根拠としてあなたはよろしいと賛成したのです。お答えもできなくて黙っていたのか、よいとして賛成したのか、どっちなんです。何も言えなくて黙っておったのか。私はこれが残念でならないのです。きのうのニュース、またテレビは、ちゃんとあなたの顔も映っていましたよ。あなたは欠席していませんよ。あなたは主務大臣です。あなたはこれにどれだけ責任自信を持ってオーケーしたのですか、答えてくださいよ。他の者じゃなくて、あなたが答えてください。
  28. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 御承知のように、日本の国はエネルギー資源が非常に少ないものでございますから、原子力平和利用産業利用に有効に使いたい、そういう念願から原子力船開発に向けてわれわれも努力してまいりました。そして、いま研究途中でございますが、いろいろないきさつはございましたけれども、もう一度大湊港を定係港にして研究開発を進めたいということの念願をいたしておりました。これは科学技術庁長官が大変な努力をいたしまして交渉いたしたのでございますが、しかし地元青森県側としては、研究開発には基本的には協力するけれども、陸奥湾ではいまホタテガイを初めとして養殖漁業が非常に進行し、いい状態になってきておる、だから陸奥湾協力せいとおっしゃってもちょっとむずかしい、ついては関根浜外洋のところでどうだろうという提案が実はございまして、いま御質問のございましたように、それは関根浜が最良の地とは私たちも思うてはおりません。しかしながら、こういう研究開発をしていきますときには、どうしても地元協力がなければ進められるものじゃございません。そこで、地元の御意向等を聞いて、外洋で、しかもこの関根浜の辺がいいのではないかという推薦を受けたものでありますから、そこを十分に調査さしてもらいたいということで現在かかっておるところでございます。  ですから、どうしてもやはりその地域の御賛同を得、合意を得た上で最終決定をするということに相なろうと思うのですけれども、しかし、どこを調査するかということはあらかじめ決めて調査しなければ、しかも、この調査をする地点につきましては推薦もあったことでもございますので、そこをやはり重点に調査して、その結果の判断というものはやはり担当者のところでいたすべきだ、こう思うておりまして、そういうことでございますので、われわれも何もここが最適地であるということで決定していったのではないけれども、しかし地元のある程度の、いわば調査をするについての御意見も十分聞いた上で調査に入っておるということは、ひとつ御承知いただきたいと思います。
  29. 関晴正

    関委員 確認しておきたいと思うのだけれども、これは決めたんじゃなくて調査することを決めた、こういうことですか。
  30. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 もちろん調査することを決めたということでございますし、また、それによりまして、その調査の結果、定係港としての具体的な施策等を講じてそれを定係港として利用することについて、われわれも同時に研究もいたさなければならぬと思うております。
  31. 関晴正

    関委員 調査の結果によっては、やはり無理だということになれば、これはやめることもあるのですか。
  32. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 それは、どうしてもというような障害事項があるといたしますならばやむを得ないことかもわかりませんが、いまのところでは、やはり地元の大方の御意見等も聞きまして、ここがいわば代替地として考慮すべき最大の候補地であるということでございますので、その実現にわれわれ鋭意努力してまいりたいと思うております。
  33. 関晴正

    関委員 やはり軽率だと私は思うのです。いやしくも物を決める場合には、決めるための調査であって、決めた後の調査なんということは、これは後先間違いだと思うのです。このことについては、かつて青森県が、むつ小川原開発の問題やあるいは青森県の海を利用する問題等について、幾多過ちを犯しました。まず先に物を決める、決めた後に調査をして不適地とわかってやめた、こういう例は再々あります。もっと早く調査をしておればこんなことはしなくても済むのにということがありました。  私は、いまの場合も、調査をするに従ってこれは大変だということになっていくであろうと思う。こういうことはむだ遣いです。いま行政機構の改革論議がしきりです。それだけに、事を定める方向を打ち出すのには、先に調査ありきでなければならない。いまの場合は、先に自民党県連の要請ありきでしょう。そうして関根浜ありきなんです。こんな間違ったやり方で事を進めるということは、私は容認できません。このことについては、どうせ今後の科学技術委員会の方にまた参りまして取り上げたいと思いますので、きょうは時間もありませんからこの程度にしておきますけれども、とにかく大臣、いいかげんな行政というものはもういいかげんにしてください。原子力行政というものは、試行錯誤の過程をどれだけ繰り返しているかわからない。しかし、事を定めるにはその過程も必要です。必要だけれども、まことに非科学的な声によって試行錯誤を繰り返すなんというのは、全く科学的でないわけです。私は、そういう意味において、いま関根浜を定めるなんということを信じるわけにもいかないのです。きのう決めたかもしれないけれども、これは決まるとは思っていません。長崎から引き揚げることを容認させるための方便にしかすぎないと思っているんです。とにかく遺憾きわまりないこの軽率な行為について、私は激しく批判をしておきます。  次の質問に移りたいと思います。  昨年の一般質問のときにもお尋ねをしておきました福井港の問題であります。福井港の港湾計画の変更の際には、私はいろいろと意見を申し上げておきました。時の運輸大臣にも申し上げておきました。時の港湾局長にも申し上げておきました。そうして、福井港の、言うなれば臨海工業地帯の発展策としてとられておる計画変更、埋め立て工事、この事業の認可に当たって些少なくとも地元漁協との了解、調整、そのことが済まない限りはしてはならない、また港湾審議会においても、その地元との調整を図ることを条件としてこれを容認されているわけです。私はまだ地元との調整が終わったとは思っておりません。もちろん了解はされておりません。最も関係の深い福井の漁協にしても三国の漁協にしても、断固として反対しています。しかも、当初の計画が進められていくに従って、海岸線を覆うてきている流砂、漂砂がまたおびただしくふえていっているわけです。今度の計画がそのまま遂行されると、われわれ漁民にとっては命がなくなると言っている。漁民にとって大事な浜が砂で埋められちゃう、こう言うているわけです。かからなくとも、いま漂砂が海岸線を埋めてきていることを承知しているならば、軽々にもこのことについてのゴーサインは出すべきじゃないし、出されるはずのものではない。にもかかわらず、運輸大臣はこの四月二十三日ゴーサインを出しましたね。調整が終わったと思ってあなたはゴーサインを出したのですか。私はこれを運輸大臣に聞きたいのです。運輸大臣が何と思ってサインされたのですか。何せ福井県には名だたる国会議長もおるのだから、国会議長の手前もあるので、もうサインをしなければなるまいと思ってなされたのかどうか知りませんけれども、とにかくこれもおかしなことです。まあおかしなことばかりやるのが〇〇党と言ったらまたしかられるかもしれぬけれども、とにかくこのことについて、運輸大臣お答えください。
  34. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  福井港の埋め立ての免許の問題でございますが、これにつきましては、四月二十三日付で運輸省が認可を行いました。同日付で福井県が免許を行ったものでございます。     〔委員長退席、楢橋委員長代理着席〕  この件につきまして、公有水面埋立法に基づいて認可をする場合に、私ども考えましたいろいろな問題がございますが、まず「埋立ニ関スル工事ノ施行区域」、この中には現在は漁業権は設定されておらないわけでございますし、また許可漁業等の操業の実態もございません。したがいまして、公有水面埋立法に基づいては、漁業権者等の同意を得るというのが必要条件にはなっておらないわけでございます。それで、免許基準に照らしまして、これに適合しておるという判断で認可をいたしたわけでございます。  しかし、先生ただいま御指摘ございました港湾審議会で港湾計画の変更の問題が論議されました際に、審議会の付帯条件といたしまして、漁業関係者に十分に説明し、調整を図ることという意見がついてございました。そういう付帯条件のついた御答申をいただいておりますので、運輸省から福井県に対しましてその旨をお伝えをし、運輸省からも十分な説明と調整を図るようにということを福井県に言ってございます。現在、福井県はその線で漁業関係者に説明、調整を行っておるというふうに聞いておりますが、今後さらに実施までの間に十分に説明及び調整を図っていくように指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、もう一つ御指摘がございました漂砂の問題でございますが、この漂砂につきましては、港湾計画の変更あるいはその前の策定の段階におきましてもいろいろと検討が加えられております。たとえば沿岸部の流況の観測でございますとか、螢光砂を入れて調査をいたしました結果でございますとか、あるいは先ほど先生御指摘ございました汀線の変化の観測でございますとか、九頭竜川の流下土砂の量との関係検討、そういったことを踏まえ、また潮流関係のシミュレーションによる流況の変化というようなものも検討に加えまして、その結果、漂砂の問題は比較的軽微であるというふうに考えて、港湾計画を適当と認めたものでございます。先生御指摘のように、現在でも季節的に砂がついたり、あるいは季節によってはその砂がなくなったりという状況でございまして、全体としての砂の一方的な動きというような形にはなっていないというふうに判断をいたしております。  しかし、なお今後とも実施の段階でそういった現象を十分に注意して見詰めながら、その点の配慮を怠らないように工事を進めるようにということを港湾管理者に指導いたしてまいりたいと考えております。
  35. 関晴正

    関委員 これは大臣にお答えいただきたいのです。あなたがゴーサインをした方ですからね。盲判じゃないはずですからね。少なくとも中央港湾審議会の条件というのがあるわけです。その条件は、地元関係漁民との調整を図ること。福井港の問題で福井の漁協が反対している。隣の三国の漁協も反対しているのです。なぜ反対しているかというと、初めはあの場所につくられるものというのはいろいろあった。しかし、今度の計画によると、また備蓄の基地をつくって、その基地では一点係留ブイ方式のやり方に変わった。一点係留ブイ方式になると沖合いにタンカーが来る。その沖合いが実は漁民にとっては大事な漁場なんです。その漁場がタンカーによって専有されることはわれわれの生活上大変なことになるということが一つの理由。  もう一つは、県が資料として出されたものの中に、海底にある魚礁の位置が、あたかも障害のないところにあるかのごとく示されておる。このことについては、地元漁協の方からは、間違いがある、誤った測量に基づいて資料が出されているから、これをそのままのんではいけない、こういう強い要請があるわけです。  青森県のむつ小川原のときには、保安林の中の風力をはかって、それを基準として強引にごまかしてやってしまった。私は、天を欺く行為だといって批判しておる。今度福井の場合は、海を欺く行為をして許可をしようとしているから、そんなことはしなさんなと言っている。  そういうことで、この測量の行為についても、確たる信憑性のある、きちんとしたものを出すためには、漁協の方にも地元の方にも、それから何といったってまだ国は権威があるのですから、さほどあるわけでもないが、あるわけなんだから、港湾局の方にも出ていただいて、三者で測量をして、確かなるもの、正確なるもので了解しなさい、その上で事を進めるなり事を考えることが初めでありましょう、こう申し上げておいたわけです。幾ら言っても再測量をしない、これはいけないことです。私は、どんなことがあってもこの測量ぐらいはするであろう、また漁協の了解ぐらいは取りつけてから許可が出るであろう、わが信頼する塩川運輸大臣はきっとそうしてくれるであろう、こう思っておった。私の見るところでは、運輸大臣は大臣の中ではいい方ですから、私はそう思っているのです。あのむずかしい法案についても、あなたはとにかくがんばって、われわれ反対にもかかわらず相当なところまで持っていったんです。私はこれは評価をしているのです。したがって、福井の漁港の問題についても、こんな初歩的な誤りなんかすることはないだろうと思っておった。あなたがおらないときであったけれども、あなたの秘書官に、この誤りだけはせぬようにくれぐれも言ってくれといって、私は陳情にも行ってきているのです。あなたとはときどき会うけれども、会った場所では軽率には物は言えないから、立ち話でもいかぬから言わないできました。それだけに、四月の二十三日にゴーサインが出たときには私はびっくりしたのです。塩川大臣もちっともよくないな、こう思ったのです。  そこで大臣、出されたものをもう一遍やはり保留する力だってあるのですから、また出しておいても、これこれはちゃんとやれという監視の目を開くという能力はあるわけですから、そういう意味において、同意のない限り、漁協の調整がうまくいかぬ限りはこのことは進められては困る、進めるわけにはいかない、こういうふうにきちんと指導をしてほしい、私はこう思うのです。  以上述べたことと、四十九年以来、いまの工事だけでもあの海岸線一帯が砂で二メートル、三メートル、四メートル埋められてきているのです。この状態を見てきてください。場所によっては、出てきて消えたり出てきて消えたり、季節ごとに変化するところもあるけれども、四十九年以来ずっと来ているわけです。このことについては、環境庁のアセスメントの方でも十分注意するようにと出ているはずです。水産庁の方にも、このことについてはよく考えて対処してくれと申し上げておいているところでもあります。そういう問題のところを軽々に、とにかくゴーサインなんか出さぬように私はお願いしたいのであります。  そういう点で、ひとつ大臣、お考えを出してください。
  36. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 いろいろ御心配いただいておりますが、この福井港の埋め立て問題は、先ほども御質問ございましたように、長年にわたる懸案でございまして、そこで私たちがこれを免許いたしましたにつきましては、やはり県を信頼しておるのです。知事も、それから福井市長も、やはり地元の漁業関係者並びにその他の関係者と十分意見を調整し、そしてまた納得してもらうように努力する、それはわれわれの責任でやるからというお話でございます。また、そうなければならぬのは、港湾審議会におきましてもちゃんと付帯条件としてついておるわけでございますから、だから、それは私の方からも何遍も確認した上で免許したことでございます。でございますから、それ以降、四月二十三日以降におきましても、福井市長なりあるいは県当局が、漁業協同組合とずっと話し合っておる経過があります。  ですから、この話し合いといいましょうか、調整と申しましょうか、これがやはりしっかりと行われた上で発足するように、これはわれわれも強く要請いたしておるところでございますので、私たちも改めて知事等にそのことを申し伝えることはいたしておきます。
  37. 関晴正

    関委員 時間ですから、次にまたやります。
  38. 楢橋進

    楢橋委員長代理 吉原米治君。
  39. 吉原米治

    ○吉原委員 きょうは、運輸省並びに大蔵省、労働省三省に来ていただきまして、交通事故の後遺障害の等級の認定について、限られた時間でございますが、質問をしたいと思います。短時間ですから、質問も簡潔にやりますから、答弁もひとつ簡潔にしていただきたいと思います。  実は、昭和五十三年の十月十六日、これは京都で起きた交通事故でございますが、被害者は当時二十一歳になる夜間高校生、名前は内田信哉君という名前でございます。実は、この交通事故の後遺障害等級をめぐって、自賠責保険では算定会が十四級という等級を認定した。それから数カ月後に、これは通勤途上であったために、労災が適用されて、この同じ交通事故の後遺障害の認定について、労災保険は九級と認定をしたというケースなのです。  この事案は、私にしてみれば全く不可解千万な事案であると思うのですが、すなわち、算定会が当初出した十四級という等級の認定に異議申請、再審査の請求をした結果、指定された病院、この場合は京都の第一日赤の権威ある医師の診断書が提出されておるわけでございますが、この同じ診断書をもとに料率算定会と労働省の労災保険とが九級と十四級ですから、かなりの幅のある認定をしておる。  どうしても納得できませんので、きょうはひとつ三省にそれぞれ認定の根拠について最初にお尋ねをしておきたい。  まず最初に、運輸省側から。
  40. 飯島篤

    ○飯島政府委員 お答えいたします。  事案の概要は、いま先生お話のあったとおりでございます。自賠責保険の後遺障害の認定に関する実務といいますのは、自動車保険料率算定会の下部機関でございます調査事務所におきまして、本人の提出に係る後遺障害診断書に基づいて行われるものでございます。この場合、必要に応じて現地顧問医の意見を徴しまして、または指定医の再診断を求めるというようなことに相なっております。調査事務所におきまして認定が困難な場合、異議申し立てのあった場合等においては、自動車保険料率算定会本部に稟議がなされまして、本部の顧問医の意見を徴して後遺障害等級の認定を行うことに相なっております。  具体的に、いまお話のあった事案についてでございますが、算定会におきまして、被害者から提出された後遺障害診断書、傷病名は腰椎捻挫、頸椎捻挫、自律神経失調症ということでございますが、に基づきまして、自賠法施行令別表、後遺障害等級表、第十四級第十号に該当するものとして認定をいたしました。これに基づいて、保険会社が被害者に対して、五十五年四月十一日、保険金七十五万円を支払った。同十六日に被害者から、この認定を不服とする再審査請求が出されまして、算定会は、いまお話がありましたように、被害者に対しまして、京都第一赤十字病院の整形外科、眼科の再診断を受けるよう指示したものでございます。この診断書に基づいて再認定を行った結果が、やはり前回の認定と同様であったという次第でございます。
  41. 吉原米治

    ○吉原委員 次に、大蔵省。
  42. 松田篤之

    松田(篤)説明員 ただいま運輸省の方から御答弁ございましたように、私どもの監督をしております自動車料率算定会というところが、後遺障害の格づけと申しますか、等級づけにつきましては、交通事故自体が一年間に六十万件以上発生いたしまして、後遺障害があるものが約四万件余り毎年発生するわけでございますので、そういったものを公平に、また正しく等級を算定いたしますために、運輸省の方と相談いたしまして、政令に基づきます別表の格づけ基準に従いまして算定をしているわけでございます。  具体的な本件の手続につきましては、先ほど運輸省からお答え申しましたような手順で、再認定という、日赤の病院における再診断も求めました上で、慎重に対処して格づけがされたと聞いております。
  43. 吉原米治

    ○吉原委員 後ほど労働省はお聞きしますが、ちょっといま大蔵省の二課長答弁は、余り認定の根拠が明らかにされてない。運輸省側からいま局長お答えになりましたけれども、そのとおりだと、これは現象面、出てきた結果だけをおっしゃっておるわけで、なぜ再審査をして、また指定したお医者の診断書を持ってこさしてさらに再審査した結果、当初決めた十四級は妥当だ、こういう結論を出された根拠を私はお尋ねしておるわけです。もう一回お答えください。
  44. 松田篤之

    松田(篤)説明員 自動車料率算定会が、再審の請求に対しまして、当初四月に認定をいたしました同じ十四級の十号という該当項目に該当するとして認定いたしましたのは、本件が、先ほど運輸省の方から御答弁もございましたように、本人の訴えに基づきます腰椎の捻挫であるとか頸椎の捻挫であるとか自律神経失調症であるとか、こういった訴え自体が十四級十号に基づきます項目に該当するという認定について、それを覆すに至るような材料が再診の結果もなかったということでございます。
  45. 吉原米治

    ○吉原委員 あなたの方もこの診断書はお持ちになっていらっしゃると思いますが、確かに当初算定会が十四級と決めたときの診断書と、後ほど再審査の段階で出された診断書は、中身は変わってきておると思うのですね。少なくとも視野狭窄という新しい問題が「他覚症状及び検査結果」の欄に指摘をされておる。これは一体どう判断をされておるのでございますか。視野狭窄というこの問題は全然無視されておるのですか。
  46. 松田篤之

    松田(篤)説明員 具体的な案件の格づけの話でございますので、あるいは運輸省の方から御答弁の方が適当かもしれませんが、私どもの聞いておりますところによりますと、視野狭窄というものを症状として認定するためには、いわゆる他覚的所見と申しまして、本人が訴えるという以外に、医者がいろいろな検査をいたしました場合に、確かに目に障害があるということが認定されることが必要だという基準として、運輸省の自賠責保険というものを統一的に運用する立場から、扱っているのが従来の例でございまして、それは確かに本人の訴えとしてはそういった症状があるわけでございますけれども、医学的な医者の診断の他覚的所見としてそういったものがなかなか発見できないということから、これは十四級十号に該当いたします神経症状の一種であるというふうな認定を医者がしているというふうに私どもは聞いております。
  47. 吉原米治

    ○吉原委員 どうもそういうお答えになるかと思って、実は料率算定会の責任者をきょうは呼びたかったのですけれども、きのう決まったきょうでございますから、日数的に間に合わなかって、きょうはおいでになっておりませんけれども、少なくとも「他覚症状及び検査結果」の欄にはっきりと「視野狭窄を示し」ておるという医師の診断書の内容になっておる。  そこで、視野狭窄という眼科の症状と神経障害、これの因果関係ですね。現在の医学をもってその因果関係を解明することができるのでございますか。どう思っていらっしゃるのですか。
  48. 飯島篤

    ○飯島政府委員 先生いま御指摘の医学的な判断ができるのかということについては、私素人で全くわかりませんが、要は専門医の判断にまつしかないというふうに考えざるを得ないのでございます。  それで、いまの点に関連いたしまして、後遺障害の症状につきまして、視力障害、視野障害、複視などがございますが、これらの障害については、これを肯定するに足ります他覚的所見、いま大蔵省の方から答弁がありましたが、前眼部中間透光体、眼底の異常、動眼神経麻痺、眼筋麻痺などの医学的所見が本件についてはなかったということで、眼球の後遺障害とは認めることができなかったということでございます。
  49. 吉原米治

    ○吉原委員 自動車局長は、自動車のことは専門ですがお医者のことは素人、まあそう言っても過言ではないと思うのですね。  そこで、私も率直に申し上げて素人、お医者じゃないのですから素人なんですが、少なくとも私が聞いておる限り、この眼科の障害というものは、神経障害と非常に密接な関係がある。少なくとも現在の医学をもってしては、目の傷といいますか、器質的な障害がなくても神経障害とかなり密接な因果関係がある、そういうふうに聞いておりますし、この診断書によりましても、頭部外傷によって上記のような、つまり視野狭窄という目の障害、眼科の症状が出現することは日常臨床でよく経験されていることだ、こういう医師の所見がある。「事故との因果関係はあるとするのが妥当である」というのが、十一月十三日付のこの日赤病院の眼科医の所見なんですね。ですから、現在の医学をもってすら解明のできない分野については、よりどころとしては医師の予後所見といいますか、そういうものによるしか方法がないんじゃないか。少なくともこの自賠責保険というのは被害者保護の立場でできた法律である限り、私はそういう判断をするのが妥当だと思うのです。  これから労働省にお尋ねをしますが、労働省はなぜ九級と認定したのか、明らかにしてください。
  50. 林茂喜

    ○林説明員 お答えします。  私どもの方の労災保険としましては、御指摘の事案につきましては障害等級の九級と認定をいたしました。九級と認定いたしましたのは、障害補償給付の請求書に添付されました医証によれば、九級に該当する程度の視野狭窄があり、これが外傷性の障害、視神経障害によるものであるというふうに医証がなっておるからでございます。
  51. 吉原米治

    ○吉原委員 大臣に後でお聞きするわけでございますが、はっきり申し上げて、いまの労働省の見解と大蔵省の見解はまるっきり違う。少なくとも自賠責ができたのは、労災よりもはるかに遅い時期に自賠責ができた。自賠責ができたときに、障害等級表というのはそのまま労災の等級表を引用しておる、そのまま使っておる。中身も一緒なんです。同じ物差しで、大蔵省が認可しておる法人、算定会がその基準で症状を見るといいますか、診断書を判断して出す結論がこうまで違うということは一体どういうことなのか。少なくとも自賠責ができた当座は労働省が指導してきた歴史的な経過もある。  そういうことを考えてみますと、少なくとも労働省の労災保険課の方の判断というのがやはり優先をすべき問題じゃなかろうか。今日の委員会で取り上げるまでもいろいろ折衝しました。しかし、どうも一たん出した結論だからもう動かさぬ、こういうかたくなな態度が実は算定会なり大蔵省側にある。同じ法律、同じ物差しで、同じ診断書を見て判断してそれだけの差が出るということは私は不可解千万だ。  そこで大蔵省、あなたの方は認可しておる直接の所管省ですから、現代の医学をしても眼科障害と神経障害との因果関係というのは解明できない。そうだとするなら、最終的には医師の診断書による医師の所見というのをやはり優先的に考えるべきじゃないか。あなたは、症状を裏づける医学的所見がなければ眼球の障害として評価できない、こういう算定会の意見をそのままごもっともだとしていらっしゃるようでございますが、診断書に書かれておる医師の所見というのは、今回の場合、医学的所見に類するものだというふうに理解をすべきじゃないか。少なくとも、労働省が診断書を素直に尊重して判断をされておると同じように、大蔵省の二課長、そういう判断になるのが常識的じゃないのでしょうか。労働省の判断がどこが間違っておるとあなたはおっしゃりたいと思っていらっしゃるのですか、お答え願いたい。
  52. 松田篤之

    松田(篤)説明員 先ほどお答え申し上げましたように、交通事故の件数というのは年間六十万件を上回るものがございまして、後遺障害の認定でも四万四千件余りのものが、年間、後遺障害の等級を認定しなければならないわけでございますので、私どもの監督しております自動車算定会においてその格づけを決定する場合にも、当然、先生御指摘のように、その基準となるものがしっかりあって、その基準に従って公平に定型的に格づけがされる必要があると思います。  いま御指摘の本件のケースにつきましては、まさに現在の医学では解明できない面、いま現在の医学では他覚的所見が全くなくてそういう自覚症状と申しますか、訴えだけがあるようなケースにつきましてどういうふうに認定すべきかということについて、この場合にはこういうふうにすべきだといったきちんとした基準がなければ、私ども監督しております自動車算定会でも扱いに困るわけでございますので、私どもといたしましては、こういったケースについて、医学的に解明できない場合にどうするのだという基準があって、それに従って適切な格づけがされるということが必要だと考えております。  そして、この基準につきましては、自賠責保険でございますので、運輸省の方で示しました政令の別表というところに掲げております格づけの仕方というものと、先生御指摘の、労働省の労災法に基づきます後遺障害の認定の格づけの仕方の方法というものが恐らく具体的に違っているからこそこういう答えが出ているのだと思うのですけれども、こういったもののあり方について十分に検討がなされて、具体的な指示が、私どもの監督しております法人である算定会に対してなされるということが望ましいものだというふうに考えております。
  53. 吉原米治

    ○吉原委員 労働省のそういう認定は、算定会と認定の方法が違うんだ。だから、結論が二つ出てもやむを得ぬ。しかし、原則的にはあってはならぬことなんでしょう。同じ認定基準で大蔵省と労働省がそれだけの判断の仕方が違うというのは、私は不自然だと思います。しかも、歴史的な経過から言って、先ほど言いましたように、少なくともこの条項はどういうふうな理解をしていいかどうかというふうなことまでも労働省に尋ねながら、今日まで来たという経過があるでしょう。しかも、今日では、取り扱う件数が六十万件のうち、労災もあわせて適用するのが四万件もあるということで、扱う件数は確かに算定会の方が多いかもわからぬ。しかし、法律で決め、政令で決められたあの表の理解の仕方というのは、私は労働省の見解に従うべきだと思います。  そういう意味では、認定等級が違ってもやむを得ぬと判断をしていらっしゃるのか、原則的にはあってはならぬと判断をされておるのか、どっちですか、大蔵省。
  54. 松田篤之

    松田(篤)説明員 同じ認定表を使って認定をしておるわけでございますから、その等級が一致することが望ましいともちろん考えておりますけれども、先ほど申しましたように、自動車算定会におきましては、運輸省から示されました基準に従いまして大数のものを公平に扱うという見地から認定をしております。  その場合に、本件のような他覚的所見のないものについては十四級十号に該当するものとして認定をするのだということがこれまでの決められているルールでございまして、そのルール自体を実施官庁でございます大蔵省のもとにある算定会が勝手に変えるわけにはいかないので、そういう意味で、先ほど来同じ答弁を繰り返しているわけでございます。     〔楢橋委員長代理退席、関谷委員長代理     着席〕
  55. 吉原米治

    ○吉原委員 また後ほど突っ込んで聞きたいと思いますが、労働省にちょっとお尋ねをしたいわけです。  九級と認定をされた段階では、自賠責の方ではすでに十四級と決めておる、認定したという経過は承知をなさって九級と認定をしたというふうに承っておりますが、そのとおりでございますか。
  56. 林茂喜

    ○林説明員 先生のおっしゃられるとおり、十四級と自賠責の方で認定されたことを知った後でございます。
  57. 吉原米治

    ○吉原委員 そこで、林課長、少なくとも歴史的な経過からいってあなたの方が一応先輩の格になっておる。算定会が十四級とこれは決めておるけれども、この認定の仕方はおかしいな、おれのところで判断すれば九級になるのになぜ算定会は十四級と決めたのかな、算定会ちょっと、担当者どういう見解かということで、そこでチェックをすることができなかったのかどうなのか。算定会の出した十四級というのがどういう根拠で出したのか、おれのところで検討すれば九級であるのになぜなのか、間違っておるから直すべきじゃないかというのが当然その段階で気がつかなければならぬ。そういう点は全然無意識にやられたのでございますか。
  58. 林茂喜

    ○林説明員 先生言われるとおり、そういう違いがあった場合に連絡をすればよかったかもしれませんけれども、この障害等級は、出される医証が時期的にも違いますし、また医証の内容の評価もいろいろ違うので、そこまで連絡はいたさなかったのでございます。
  59. 吉原米治

    ○吉原委員 通常の場合、しかし算定会と時期的にずれておるわけでございますから、当然両者で話し合うという場面が想定されるわけですが、このケースの場合はそういう話し合いをしなかったということでございますね。  いずれにいたしましても、この両省間の意見の不統一、一つの認定基準に対する見解の不統一があったために、被害者に対して認定に対する不信感をもたらしたことは事実だ、私はこう思うわけでございます。したがって、今後の問題は当然こういうケースが起こらぬようにやってもらわなければなりませんけれども、少なくともこのケースの場合、一方の認定法人が十四級と出しておる、おかしいなという気はありながら、あえて意見調整もせずに九級と労働省は認定されておる。これは何としても私には不可解千万なことでございますから、今後運輸省、大蔵省、労働省、また算定会を交えまして私はより詰めた見解の統一、このケースを含めて今後どうあるべきかということを協議なさる必要があると思うのですが、この点はひとつ大臣、いかがでございますか。そういう必要があると私は判断しますが、大臣としては関係三省と算定会を交えてそのような協議をするような御指導をひとつしていただけますか。
  60. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 こういうケースは、実は私は珍しいのではないかと思うのです。同一の診断書でそれぞれの認定が違うというのは、こういうことは実は聞いてみましたら余りないようでございます。何かそこに事情があったのかどうかは私は知りませんけれども、でございますから、この事実をもってそれでは今後とも労災の認定と自賠責の算定会の認定とを絶えず一致せしめるような協議をする体制というのは、いますぐ私はどうするということはちょっとお答えしにくいと思うのです。  と申しますのは、自賠責にいたしましてもあるいは労災にいたしましても、それぞれ専門のお医者さんが自主的な判断を下される、その意見を聞いて認定しておることでございますし、たとえば自賠責の側から立って申しますならば、その算定会の結論をとやかくこちらの方で意見を申してやるということになれば、せっかく公正な第三者に判定していただくという算定会そのものを、こちらから何か干渉するようなことになってしまいますので、私といたしましては、できるだけ算定会の結論というものは第三者の公正な意見として尊重したいという気持ちを持っておるものでございます。でございますから、私はあえてこれは余り再協議をしろとか介入はいたすべきでないという考え方を持っております。しかし、こんな特異な場合どうしたらいいのかということにつきましては、私もちょっと判断がつかないような状況でございますが、事情をちょっと調べてみまして御返事させていただきたいと思います。
  61. 吉原米治

    ○吉原委員 少なくとも被害者の保護の立場でできた自賠法ですよ。政府側の両省なり三省の意見が食い違って起きたケースでございますし、少なくともだれもが被害者の立場に立てば、十四級と九級といったら金額的にも四、五百万の差があるのです。あれが追っかけて同じく労災も十四級と出たら、おれの症状というのはやはりいかなる角度から検討しても十四級が妥当なものなのか、そう納得しますね。ところが、後から追っかけて数カ月後に出された、少なくとも算定会よりもさらに診断書に基づいて労働基準局におるお医者さんが本人にも面接しておる、親切に審査をしておる、その権威ある労働省側の労災保険が九級と出たら、被害者の立場は、十四級というのは間違っておるのだ、こう人間だれしも思うでしょう。そんなことを思わしておいて、そういう結論を出しておいて、処置なし、策なし、お手上げですというふうなことでは、これは何としてもいただけませんね。これは何としても解決つけてもらわなければ。
  62. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 こういうのがしょっちゅう出てくるということであれば、これはやはり行政としても考えねばいかぬと思うのですけれども、こういうようなのは、私どもいま聞いておりますのでは非常に珍しいケースだということでございますので、でありますだけに、ちょっとこの扱いの判断についてはわれわれも慎重に考えたいということを申し上げておるわけでございます。
  63. 吉原米治

    ○吉原委員 大蔵省に再度、算定会の方の認定が妥当なものなりという自信を持っていらっしゃるかどうか知らぬけれども、担当課長はそういう御認識を持っていらっしゃるけれども、少なくとも京都の久山という眼科のお医者さん、新幹線で飛べば二時間半で京都へ飛ぶでしょう。私は少なくとも主管庁としては、この書かれた診断書の担当医師とお会いになって、この事案については労働省もこういう結論、九級と出しておるし、算定会は十四級と出した、あなたの診断書でそういう認定をせざるを得なかったわけだが、実態はどうでございますかということで、現地のお医者さんに実情を聞いてみるぐらいの熱意はあってしかるべきだと思うのです。いまさら言ってもしようがないですが、いまからでも私は遅くないと思うのです。問題の解決のために私はそのぐらいの熱意を持った調査をすべきだと思いますが、松田課長いかがですか。
  64. 松田篤之

    松田(篤)説明員 先ほど来お答えしておりますように、本問題のポイントは、そういう他覚所見が見当たらずに自覚症状しかない患者さんの場合にどう扱うかという認定の基準の問題でございまして、そういうものにつきましては、運輸省と自算会と十分相談をいたしまして、再保険によって行われる自賠責保険が、国が引き受けてもらえるという場合にはこういう認定基準でやるんですよということで確定された方式としていままで積み重なってきているわけでございます。本問題につきましては、これからもこういったケースをどういうふうに扱うかという基準の問題として明確な決定をしておく必要がございますし、そういったあり方としてどう扱うべきかという議論の一つの材料だとは思いますけれども、具体的に、個別の判断として、その問題が何等級に当たるのが適当かという問題として疑問があるわけではなくて、その判断基準自体が適当なものかどうかという問題があるのではないかと思っております。しかし、その判断基準自体につきましても、いままで私どもは運輸省と目算会とが相談をして決めた方法というのはそれなりの理由があると考えているわけでございまして、具体的に診断書を書いた医師に自算会の者が何回か照会をしておりますけれども、何回か照会をして、その結果判断の違いというものを動かすに至らなかったということでございます。
  65. 吉原米治

    ○吉原委員 また後戻って松田課長お尋ねするのですが、あなたは、他覚的所見がない、こういうことを繰り返し言っておるのですが、現在の医学をもってしては解明できないという一つの聖域がある。そこで、そういうことだからやむを得ず医師の所見に頼らざるを得ぬということを労働省は言っていらっしゃる。医師の所見が、最後尾の「備考」欄と「予後の所見」というところに書いてあるでしょう。「交通事故との因果関係はあるとするのが妥当である」という医師の判断、医師の所見。他覚的所見がないとするなら、最終的なよりどころとしては、素人の判断ではなく、医師の判断にまつ以外に方法はないでしょう。そこをぼくは言っておるのだ。医師の所見を無視して、これはただ単に医師の考え方だ、算定会はそんな考え方は持ちませんということなんですか。医師の所見はどういうふうに理解されておるのですか。
  66. 松田篤之

    松田(篤)説明員 具体的なケースの判断でございますので、私から答弁するのが適当かどうかわかりませんけれども、私の聞いておるところによりますと、算定会の方におきましては、本部にも稟議をいたしまして、本部では、現在の日本の眼科の最高の権威の方にも、現在の医学の水準においてこういつたケースで他覚的所見がないものについてどういうふうに症状を判断すべきかという場合に、これは十四級十号にある神経症状の一種であると判断するのが適当であるという判断を得まして回答していると聞いておりまして、医師の判断といたしましても、算定会の話によりますと誤りはないと聞いているわけでございます。  先生御指摘のように、診断書を書かれましたお医者さんの、他覚的症状はないけれども因果関係があるという点についてまで否定しているわけではございませんで、因果関係はあるのだと思います。しかし、因果関係はございましても、そういうふうな自覚症状しかない、他覚症状の見えない患者さんにつきましては神経症状として十四級に該当すると認定するということが運輸省から示された、自算会が行うべき判断基準となっているわけでございまして、したがいまして、それを私どもの方が動かさせることはなかなかできないというわけでございます。
  67. 吉原米治

    ○吉原委員 そこで、私はいま大臣にもお願いをしたのですが、大臣は、慎重に検討します、そういう意味だとおっしゃったから、慎重にこの問題は三省、なかんずく労働省との間の見解といいますか、これは何が何でも統一をしてもらわなければならぬ、同じ物差しなんですから。物差しのはかり方によっては答えは違うんだ、そんな物差しは私は物差しじゃないと思います。認定基準ではないと思うのです。  そういう意味では、認定基準の中にもっと細かく細分化した細則といいますか、そういうものをつくって、今後の対処の仕方は私はあると思うのです。この基準の細則をつくって、両省が少なくとも同一事案について違った答えは出さないように今後の配慮はできると私は思いますが、すでにこういう二つの結論を出した事案についてどう解決をつけるのか。大臣からむずかしいという答弁がございましたけれども、私はそういう意味で、少なくとも今後の問題も含めて、このケースはこういうところに問題があった、だから、このケースに限り、今回両省間でこういう意見統一をした、自後はこうこうこういうふうに対処します、こういう関係省庁の間で私は協議をされてしかるべきだと思うのですが、大臣、それもできませんか。どうですか。
  68. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 省庁間の協議ということはちょっと勘弁願いたいと思うのです。しかし、さらに私の方は自動車局でございますので、自動車局長とよく相談いたしまして、私はもう全くどうしたらいいか、実は案を持っておりません。持っておりませんが、一回自動車局長とも相談してみたいと思うております。
  69. 吉原米治

    ○吉原委員 それでは、相談の結果、本事案についてはこうこうこういうふうに政府部内で見解を一にした、自後対策はこういうふうに対処しますということについて、私は少なくとも報告書を文書でいただきたい。お約束していただけますか、大臣。
  70. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 何らかの方法で吉原先生に連絡いたします。しかし、その結果に基づいて判定を変えるとかなんとかいうことは、何遍も答弁しておりますように、これは私は自信がないのです。私の考えといたしましても、これは非常なレアケースと申しましょうか、こういうことはめったにないというほどほとんどないようなケースだと言っておりますので、どういうところから来ておるのかという、まずその原因も調べなければいかぬと思うのですが、これはむずかしい高度な医学的なことですから、われわれ判定がつかないと思うのです。でございますから、どうしたらいいかということは全く私はわからない、こう言っておるのですが、それでもなお何らかの方法があるだろうかということについて自動車局長と相談すると申し上げておるのでございまして、相談した結果、それでは改善策をこういうぐあいにとりますということにつきましては、私は率直に申しましていま自信がございませんので、その点はひとつ御了承いただきたいと思うわけです。
  71. 吉原米治

    ○吉原委員 大臣、自信がないとおっしゃいますが、少なくともそういう努力はしていただかなければならない。私は、言った、言わぬという問題があってはいかぬから、労働省はこういう見解、運輸省はこういう見解、大蔵省はこういう見解、この三つの見解に基づいて、少なくともこのケースについては自後対策はかくかくしかじかを講ずるようにします、そういう経過等を含めた文書でひとつ御回答願いたい。等級を変えるという約束をいましろということを言っておるのではないですよ。三省間で問題解決のために努力をなさって、その努力なさった経過をお知らせ願いたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
  72. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 承知いたしました。経過につきましては御報告するようにいたします。
  73. 吉原米治

    ○吉原委員 終わります。
  74. 関谷勝嗣

    ○関谷委員長代理 福岡義登君。
  75. 福岡義登

    ○福岡委員 海上保安庁はお見えになっておるでしょうか。例の原潜の当て逃げ事件についてお伺いしたいのですが、海上保安庁は去る五月七日、衆議院の内閣委員会におきまして、海上保安庁としていろいろ調査をしている、その結果をできるだけ早く取りまとめて報告をする、このように矢山委員の質問に答えられておるのでありますが、その後どういう経過になっておるでしょうか。
  76. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 私どもの調査は、乗組員に対する聞き取り調書を中心といたしたものでございますが、そのまとめも大体ついておりますので、政府部内で公表の時期等については目下打ち合わせておりますが、できるだけ早い機会においてこれを公表いたしたい、かように考えております。
  77. 福岡義登

    ○福岡委員 できるだけ早い機会にという抽象的なことでなくて、大体いつごろをめどに報告をされる予定なんですか。
  78. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 きわめて近い時期に報告いたしたいと思っております。
  79. 福岡義登

    ○福岡委員 海難事故の問題は、当委員会の直接の所管なんであります。したがって、一日も早くこの委員会に報告をしてもらいたい、こう思いますが、いかがですか。
  80. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 たびたび申しておりますように、きわめて早い時期において御報告申し上げたい、かように考えております。
  81. 福岡義登

    ○福岡委員 今国会の会期はあとわずかであります。五月二十日までで、延長されるかどうかいろいろ議論されておるようでありますが、もう幾日もないわけです。委員会の開催日もこの次は十九日になるでしょうか、非常に回数も限られておる。ですから、きわめて早い時期というようにおっしゃいますけれども、国会が終わってからでは報告の機会がないのであります。この国会中に、本委員会調査の結果を報告をするというお約束をいただけますか。
  82. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 当然この国会中という考えでございます。
  83. 福岡義登

    ○福岡委員 わかりました。  次の問題ですが、厚生省お見えになっていますか。船員保険法に基づく給付の請求は関係者から出ておりますか、どうですか。
  84. 萩原昇

    ○萩原説明員 船員保険法に基づきます給付ということでございますと、遺族年金のお話であろうかと思いますが、遺族年金の裁定請求につきましては、船舶所有者の所在するところを所管する社会保険事務所に出すということで、この日昇丸の場合は兵庫県でございます。この場合、扱っておりますものは兵庫県の保険課というところでございますが、現在の段階で裁定請求は出ておりません。
  85. 福岡義登

    ○福岡委員 何らかの事情によって請求がされていないと思うのでありますが、まあ近いうちに請求されるというように聞き及んでおります。問題は、この船員保険法の二十五条一項ないし二項に規定をされておりますが、他に原因が明らかな場合は政府は賠償請求をすることができる、こう書いてある。しかも、給付はその賠償請求の経過を見きわめた後給付をすることも可能である、あるいは先に給付をしておいて、損害賠償事案が解決をしたときに整理されるという方法もあるようであります。私の要望は、給付の申請が出ましたらとりあえず規定に従って給付は行う、損害賠償請求をされるかどうかはその後の段階の話として考えてもらいたい、こういう要望なんでありますが、いかがですか。
  86. 萩原昇

    ○萩原説明員 船員保険法は社会保障給付を規定するものでございますので、裁定請求が出された段階では、遺族の実態を勘案しまして、できるだけ出す方向でやりたいというふうに考えております。実際の損害賠償と申しますのがいかなるものか、あるいはそもそも損害賠償自体に当たるのかどうかという点については、先ほどのお話のように、いろいろ論議のあるところであろうと思いますので、とにかく給付の方を急ぐということで対処いたしたいと思っております。
  87. 福岡義登

    ○福岡委員 大体話はわかったのですが、できるだけということでありますと、できない場合もある、こういうことなんです。これは給付申請そのものに欠陥その他不備があれば別ですけれども、手続が所定の形態を整えておる場合には、ここで言っておりますのは損害賠償請求との関係ですから、損害賠償請求は後に回して給付はまずやるということをはっきりさせていただきたいのです。
  88. 萩原昇

    ○萩原説明員 裁定請求書が出された段階では、そのように対処する用意でございます。
  89. 福岡義登

    ○福岡委員 わかりました。  では、次に移りますが、船舶の救命設備についてであります。日昇丸はああいう事故に遭ったわけですけれども、海上保安庁からの資料を見ますと、必ずしも救命設備というものが機能していない。たとえば救命艇でありますが、ストッパーを外したけれども、おりるまでに十分ぐらいかかる。ですから、とっさの間に合わない。設備自体の構造に問題があるのか、構造は問題ないのだけれどもどこかに故障があったのか。ともかく資料によりますと、ストッパーは外したけれども時間がかかるのでこれを使用できなかった、断念をした、こう書いてある。  それから、救命いかだでありますが、これをおろして、海に飛び込んで乗ったのでありますけれども、二、三人乗ったら底が抜けて使えなくなった、やむを得ずそのいかだの縁にさわって漂流をした、こう書いてある。  それから、救命胴衣を見ましても、六名の人は着装しておったけれども、五名の人は着装してない、答えてない人が二人ある、こう書いてあるのですけれども、これは心がけの問題かもしれませんが、救命胴衣そのものが十分整備されていなかったのかもしれない。  そこで、日昇丸だけでなくて、今後どういう海難事故があるかわかりませんが、船舶の救命設備について、監督官庁である運輸省海上保安庁としては、この機会に再点検されるべきではないか。日昇丸の整備点検の記録をお伺いいたしますと、二年に一回という規定に従って五十四年にやっている。もうちょっとすると二年の期限が来るというようになっておるようでありますが、五十四年当時の点検整備が十分なされておったならば、もう少しこの救命設備が活用できたのではないか。少なくとも救命いかだの底が抜けるなんというようなことはなかったのではないか。二人か三人乗ったら底が抜けたというわけであります。あれは定員は六、七人乗れるのではないかと思うのですが、これなんかは、整備点検をやったとは言っておるけれども、結果としてこういうことになっている。一体どういう御見解でしょうか。
  90. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 船舶安全法に基づく救命設備の点検、これは実は船舶局の方の担当でございまして、私どもはその法令が遵守されているかどうかという観点から物を見る、こういうことでございます。  今回の件に関しましては、確かに救命いかだの底が抜けたというような事実はございますが、所定の時期に所定の検査が行われた、かように承知いたしております。  なお、その他の海事法令の関係につきましては、それぞれ船員局なり船舶局なりで所定の調査はいたすであろう、かように考えております。
  91. 福岡義登

    ○福岡委員 船舶局お見えになっていますか。——来てないの。しかし、きのう、こういう質問するということは通告してある。まあいいですよ。  運輸大臣、どうでしょうか、日昇丸事件を契機にいたしまして、船舶の救命設備について総点検をさせる、あるいは二年に一回という規定をもう少し見直す必要もあるんじゃないか。日昇丸の場合、申し上げましたように、五十四年にやっておるわけですから、規定どおり二年に一回という点検はしておるわけであります。この際、規定そのものの見直しが必要かどうか検討してもらえないかということと、全船舶の救命設備については総点検をさせる、いかがでございましょうか。
  92. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 すべての船舶の点検でございますが、これはあの事件が起こりましてからしばらくいたしまして、船舶局長から各地方海運局長にそれぞれ重点的に、しかも、その重点が全船舶に及ぶように、とりあえず古い船から重点的にという意味でございますが、厳重に、行政指導の面から検査をするようにということの指令は出しております。  それから、検査期間の見直しにつきましては、まだ結論は出ておりませんが、いまのところ、要するに二年を縮める必要はないようにも言われておりまして、それよりも検査を厳重にすること、それから絶えずそういう注意を喚起する方法をもってすればいけるのではないかという意見が、船舶局との間で私たちが交換した意見の中でございました。
  93. 福岡義登

    ○福岡委員 この点は善処を要望いたしまして、次に移りたいと思います。  国鉄経営改善計画についてお伺いしたいと思います。  高木総裁にまずお尋ねをしたいのでありますが、去る五月一日でしたか、再建計画をまとめられまして、運輸大臣に承認の手続をとられたわけであります。一方、国鉄関係の労働組合は五つあるわけでありますが、労働組合の方も、従来になく国鉄の再建については熱心に考えておるようであります。したがって、再建計画案をまとめられるまでに関係組合代表と当然話をされたと思うのでありますが、必ずしも一〇〇%よろしいという合意点に達しておるようでもないようであります。しかし、今後のことを考えてみますと、やはり国鉄の再建の一つの大きい基本は、労使の相互信頼、協力体制をしく以外にこれは期待できないと思うのであります。  そこで、再建計画案をまとめられる、そして運輸大臣に提出されるまでのいわゆる労使間の話し合いというのはどういうようになっておるのか。それから、今後運輸大臣が再建計画を承認されるわけでありますけれども、承認をされました後の労使間の話し合い、そういうものについてお考えをまず聞かせていただきたいと思います。
  94. 高木文雄

    ○高木説明員 数年前からでございますけれども、本社と各労働組合の本部との間におきましては、いわゆる交渉ということとは別に、もろもろの経営問題について随時意見を交換しようじゃないかということを言い出しまして、現在いろいろな問題について、問題があるたびごとに時折協議をするということをいたしております。今回の再建計画につきましても、きわめて重要な事柄でございますから、私自身も、また組合サイドでは委員長も出まして、当然いろいろ事実上の話し合いはいたしておるわけでございます。  その場合の各組合の現在の姿勢といたしましては、何分にも非常に大きな人員削減、合理化計画を含んでおりますから、現状において、現在の案についていいとか悪いとか、わかったとかいう立場にはない、しかし、これはさらに具体的に、どこの職種で、またどこの地域でどのようにしてやり方を変えていくかということについては、労働条件にかかわるものであるから、当然のこととしていわゆる正規の交渉を行った上で積み上げていくのでしょうなということで、それはそのとおりだ、具体的に駅なりヤードなりあるいは乗務員なりについて、いままで何人で仕事をしたのを今度は何人でやってもらいたいということになればこれは交渉の問題に入っていく、それを具体的に詰めていかなければ、全体で漠として七万四千人減らすとかなんとか言ってもわからないのですね、そういう交渉の上でいくんでしょうな、もちろんそのとおりですよ、ただ基本的な全体の考え方として、こんなことで進むつもりだからひとつ理解してもらいたい、こういう話をしておるわけでございます。  ただ、残念なことでございますけれども、実はこういう計画というのはどうしても本社が中心になって取りまとめざるを得ないわけでございまして、地域ごとに積み重ねができるには大変時間がかかることでございますので、現段階では、各管理局と地本の間でもいろいろそういうことについて濃密に話し合いをするというところまではいっていないわけでございますので、組合側といたしましても、今後の問題としては、もう少し、本社と本部だけじゃなくて、地本と管理局との間でもいろいろ話し合いをすることによってこの問題を組合全体としての討論の場に上げられるような雰囲気ができてこないと、現段階ではいいとも悪いとも、余り明快な見解を出し得るまでには至っていないというのが現状でございます。  私どもといたしましては、組合というものの性格上、それぞれの段階で討論が行われて組合の意見というのがまとまってくるのは当然のことでございますから、したがって、まず地本の段階でよく管理局とも話し合いをして、少しでも理解を深めてもらう。望むべくんば、さらに現場の段階においても、交渉とは別の問題として、国鉄経営の実態というものを末端の一人一人の職員にまで少しでもわかってもらうように、部内でのいわば広報宣伝といいますか、理解を求めることをこれから精力的にやってまいりたいと思っております。  恐らく近々何らかの形で運輸大臣から御承認をいただけると思いますので、御承認をいただけましたならば早速それに取りかかりたいというふうな心構えでおるわけでございます。
  95. 福岡義登

    ○福岡委員 時間がありませんので、まとめて二つほど総裁にお願いをしておきたいと思いますが、一つは、再建計画自体について十分話し合っていただきたいということであります。組合の方も幾つか提案をしてきておるわけでありまして、われわれが考えましてももっともだというものも相当ある。ですから、もう今日までのことは過ぎたことでありますからやむを得ぬといたしましても、いろいろ私も意見がありますけれども、それはそれといたしまして、今後運輸大臣の承認が出た以降、その具体化については十分話し合いをしていただきたいということをひとつ要望したい。  それからもう一つは、やはり労使相互間の信頼関係というものがなければ話し合いはできない。そこで、労使関係の改善について、一々は申し上げませんけれども特段の御配慮をしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  そこで、運輸大臣にお願いいたしますが、この再建計画はいつごろ承認されるのであろうかということが一つであります。  それからもう一つは、確かに手続的には総裁がこの計画案をまとめて承認申請の手続をとられたのでありますけれども、伺うところによりますと、計画策定の段階で運輸省としても相談に乗っておられる、また別の言葉で言えば相当深く関与されておる、こう聞いております。したがって、承認の時期と中身について、私どもは申し上げましたような理由で大きな変更はないんじゃないかと思うのですが、その二つについてお考えを聞かしていただきたい。
  96. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 承認につきましてはできるだけ早い時期にいたしたい、その方が国鉄といたしましても準備に万全を期せるであろうと思うております。したがいまして、その時期を早めるためにも、できるだけ早く政府関係部内に協議をと申しましょうか、説明し、了解を得なければならぬと思うておりまして、でき得ればきょうあすじゅうに総理にも説明いたしたいと思うております。それと同時に、各関係省庁にも説明もいたし、了解も得たいと思うておりますこと、それと同時に、将来におきます展望もあわせて考え方をまとめなければならぬだろうと私は思うておりまして、国鉄はこれからも永遠にずっと経営改善を続けていかなければならぬのでございまして、ただ単に六十年ということだけで経営改善が終わるものではございません。それ以降についての考え方、これは数字の問題とかなんかじゃございませんで、ただ取り組んでいきます考え方等につきましても十分国鉄当局の意見も聞いて、その上で認可いたしたいと思うております。
  97. 福岡義登

    ○福岡委員 いつごろという時期は明示していただけなかったんですが、できるだけ早くというお考えのようでありまして、それはそれとしまして、この総裁が出されました再建計画案、これに対しまして私どもも大きな意見を持っております。再建というお考えでつくられた再建計画なんでありますけれども、結果的に国鉄の再建を阻害する要因もこの計画の中になしとしない、あるいは不確定要素が相当含まれている、あるいはある程度の誘導的な施策を必要とする部分もある、私どもも読ましていただいていろいろ意見を持つのであります。  しかし、きょうは時間がありませんので再建計画案そのものについて触れることは差し控えるわけでありますけれども、きょうお伺いしたいと思っておりますのは、いわゆる構造欠損についてであります。この一つだけをお伺いしたいと思うのでありますが、まず再建計画で見ますと、構造欠損というものは、地方交通線の欠損、それから特定人件費の欠損、この二つに集約されていると考えるわけでありますが、そのとおりで間違いないでしょうか。
  98. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 お答えいたします。  大体先生おっしゃいましたように、構造欠損の中心部分、これは特定年金あるいは特定退職手当、こういうものと、それから地方交通線の赤字の分、こういうようなものが国鉄経営努力とまって政府がやっていかなければならないそういう問題の中心であろうか、こう思います。
  99. 福岡義登

    ○福岡委員 そうしますと、地方交通線二千三百億、特定人件費が七千七百億、それから五十六年度助成されております七千三百億、これを加えますと一兆七千三百億になります。それから来年、昭和五十七年度から東北・上越新幹線が大宮から営業開始ということで、この辺もずっと遠い将来は別といたしまして、ここ数年間、少なくとも国鉄の再建のめどとされておる六十年度までは間違っても黒字になるようなことはないと思われる。そこへ、この計画案にも書かれておりますように、昭和六十年度におけるこれら新幹線の資本的経費四千億円というものが除外されておる。こういうものを入れますと二兆数千億円あるいは三兆円に近い構造欠損的な金額になるわけであります。これは大変な金額であります。今度行革で生み出そうとされております経費は大体二兆円をめどにされておる。それに比べてみますと、この二兆数千億円、場合によっては三兆円近いものは大変な金であります。  しかし、国鉄再建法審議のときにわれわれはいろいろと意見を述べ、また大臣のお考えも聞かしていただいたんですが、再建法の柱は、国鉄がまず企業努力をしなさい。再建計画では三十五万人体制、営業面では大体五%程度営業実績を、いわゆる輸送量を伸ばしていこう。そのほか合理化計画というものを考えておる。国民の方には運賃値上げというものを大体物価上昇程度、地方交通線については五年間で五〇%と、こういうんですから、一般の幹線で二五%から三〇%の運賃値上げになる。地方交通線は恐らく八〇%ぐらいの運賃値上げになるんじゃないか。国民の方にもそういう協力を要請する。そうすると、今度は構造欠損に対する政府責任ということになってまいります。  申し上げましたように、非常に金額が大きい、そう簡単にはいかないだろうということは、これは容易に想像できるんであります。しかし、何とかしてもらわなければならない。方法はいろいろあると思っております。一ころ問題になりました陸上特会の問題もあるでしょう。あるいは年金でいえば各共済年金を統合するという方法もあるでしょう。あるいは一般会計から助成されるという方法もあるでしょう。いろいろ方法はあると思うのでありますが、結論として構造欠損については政府責任を持つということになっておるわけでございます。そうならなければいけない。この構造欠損について、運輸大臣政府を代表して、政府責任を持ちますということを当然おっしゃらなければならぬと思うのでありますが、いかがですか。
  100. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 構造的な面から出てまいりました損失金というのは、これはやはり政治問題として考えなければならぬことは当然でございます。でございますから、私は、この行政改革が進められる中で、特に第二臨調等におきまして、現在の国鉄の公共的責任と経済的な分担と申しましょうか、むしろいい機会が与えられておると私は思うておりまして、そこでこの問題は十分に討議してもらいたい。今日まで国鉄は受益者負担の原則に立ってこれを進めてきて、今日運賃は限度まで来ておりますし、したがって構造的な赤字というものはただ単に運賃の値上げとか国鉄の営業努力だけでは解消できない状況があることは当然のことでございます。そうであるとするならば、この際国鉄の公共性というもののあり方とあわせて構造的な欠損というものをどうして処理していくかということの問題になってくると思うておりまして、第二臨時行政調査会等でこれを十分に検討していただく機会を私は待っておる、同時に政府関係、特に財政当局に対しましてもこれの処理、いわば根本的な対策を講じていかない限り国鉄の完全なる独立採算制というものの維持はむずかしい、これは私は訴えてまいりたいと思うております。
  101. 福岡義登

    ○福岡委員 いま運輸大臣は非常に重要なことをおっしゃったと私は伺ったわけであります。国鉄再建法、いろいろ問題がありましたが、結局こういう結果になりました。当時私どもは国鉄再建方策について政府提案とは別の角度から具体的な提案をしてきたわけであります。その経過の中身は別といたしまして、第二次臨調との関係、つまり行革との関係は、国鉄が一般の行革よりも一足先に問題と取り組んだ、私どもはこういう理解をしておったわけです。いま運輸大臣のおっしゃるように、土光臨調、第二次臨調の中で徹底的に議論をしてもらいたいというのなら、それならばこの際の計画は臨調の結論が出るのを待って承認されるべきである。そうでないと、計画そのものが承認されまして、臨調の答申が出てそこでまた別の手直しがされる、これは国鉄再建法の権威にもかかわる。各党がいろいろ英知をしぼって国鉄の再建について審議をしてきたわけですから、この再建計画案が臨調の答申いかんによって、十分議論をしてもらいたいとおっしゃるのでありますから、必ずしも総裁が提出された計画案と一致するとは限らない。むしろこの国鉄経営改善計画というものは、いま政府が取り組んでおられる行革の先取りをした、一足先に国鉄の行革についてわれわれは取り組んだという認識でいままでやってきたのです。  その辺、いまの大臣のお話をそのまま受け取ればどうも釈然としない。ですから、この国鉄再建整備法、それに基、つく経営改善計画と臨調の関係、行革との関係を少し明らかにしていただきたいと思う。
  102. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 福岡先生の議論は、何か私の言いましたのをちょっとこうなっておっしゃっておるような感じがするのですけれども、私が申しておりますのは、構造的な側面から出た構造的欠損の処理ということを言っておるわけでございまして、国鉄再建法が議会で御賛同いただきまして私は感謝しておるわけでございますが、これはあくまでも経営収支を昭和六十年までに健全なものにするという目標に向かっていっておるわけでございます。ただし、先ほども言っておりますように、構造的なものを抱えておっては本当の意味において国鉄が独立採算制として経済性だけを追求する事業として成立しない。だから、構造的な問題についてはどうするかということ、これはわれわれ、財政当局とも何遍もやってまいりましたけれども、根本的な解決は見ないのです。ですから、この際に、むしろ行政改革の議論がされておる行政調査会等においてこの構造的なものを正確に見てもらいたい。国鉄は一兆の赤字だと一言で言われる。けれども、この一兆の中身は何かということについては余り議論されないで、ただ数字だけが言われておる。そうではなくして、われわれが経営改善を目指しておるのは、要するに国鉄の営業面におきます経済性追求の面においての努力はこの程度いたします、しかしながら国鉄の公共的負担、あるいはそれ以外にいわば政治的にかぶってまいりましたそういう構造的なものについての処理は、国鉄だけ、あるいは運輸省だけで解決できるものではございませんので、これはぜひ国民の衆知を集めて、御意見も聞かせてもらいたい、そういうことを言っておるわけでございます。
  103. 福岡義登

    ○福岡委員 わかりました。私の考えておることと余り変わらない。ちょっと私、誤解の面がありましたが、結局、大臣もいまおっしゃったように、構造欠損をどう処理するか、その辺の議論をあちこちでやってもらうことは非常に大切なことなので、これは賛成なのですが、運輸大臣が国会に対しまして、再建法案審議の経過その他から考えて方法はいろいろある、私もいま聞かれればこういう方法が最善であるということは言い切れないものでございますが、ともかく結論として構造欠損というものについては国が責任を持つということだけは明らかにしていただく必要があるのじゃないか。さっき二、三例示いたしましたけれども、例示であって私も自信を持って提案できるようなものではないので、その方法は今後いろいろ検討されるべきだと思うのですが、結論として、改善計画に出されておる構造的欠損については政府が政治的に責任を持つ、こういうことだけははっきりさせていかなければならぬ点だと思うのです。そこなのです。
  104. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 先生おっしゃるように、構造的な問題は、当然政府が政治的に配慮すべき問題であると思うております。
  105. 福岡義登

    ○福岡委員 そこのところをはっきりしていただかないと、国鉄の職員の士気にかかわってくると思うのであります。われわれも努力をするが、政府も、あるいは国民も協力してくれるということが明確にならぬと、やる気が起こらないといいますか、士気にかかわる問題で、いま塩川運輸大臣から全責任を持つというお話を聞きましたので、私も安心するわけでありますが、特に重ねてその点を要望しておきたいと思うのです。  それから、次の問題でございますが、成田空港のアクセス輸送についてであります。  たしか四月一日でしたか、小此木委員長を先頭にいたしまして、私どもは成田空港を見せていただきました。成田空港の整備状況あるいは利用状況あるいは燃料輸送、パイプライン、パイプラインは工事現場のトンネルの中にも入って見せていただきました。いろいろ参考になったわけであります。  その中にいろいろ問題はあるのでありますが、時間がありませんので、アクセス問題についてだけお尋ねをするのでありますが、現在五十五年度実績で、一部推計が入っておるようでありますけれども、航空機の発着回数は六万四千九百七十三回、一日平均にいたしますと百七十八回、乗降客は八百二十一万人、これを一日平均に直しますと二万二千四百九十三人、こうなっているわけであります。成田空港が開港されまして、御案内のように、三年経過いたしました。これだけの乗降客があるのにアクセスが整備されていない。非常にこれは問題であると思うのでありますが、ある意味では運輸行政責任を問われてもやむを得ない事柄であります。  そこで、運輸大臣にお伺いしたいのでありますけれども、現在考えられておるアクセス計画はどういうお考えなのか、そこのところをまず聞かせていただきたいと思うのであります。
  106. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 アクセスの問題は、各種交通機関がございます。特に先生御注目のところは鉄道輸送、それについてのお話だろうと思いますが、本来この鉄道輸送につきましては成田新幹線ということで一部工事はすでに前から実施をしております。しかしながら、地元方々の御了解がなかなか得られないという状態のまま現在に至っておるわけでございますが、アクセスの問題とあわせまして、千葉県の要望といたしまして、かなり大きな住宅団地、こういうような造成等も絡んで、アクセス及び通勤通学輸送対策というような観点で総合的に高速輸送鉄道というものを強く要望されておるということでございます。  この高速輸送鉄道につきましては、大体三つのパターンがあろうかと思います。  そのうちの二つは、成田空港から見ますと、現在工事をいたしております新幹線鉄道に該当する部分の路盤を利用いたしまして、これを通りまして、さらに北千葉ニュータウン部分を通過し、都心に向かうというルートでございますが、この都心に向かうルートが途中で二つに分かれて考えられる。片方は私鉄を利用するというパターン、それからもう一つは国鉄の現在線あるいは建設線を利用するというパターン、この二つに分かれると思います。  それから、第三番目のルートといたしましては、国鉄の在来線を使いまして、成田の駅から若干連絡線をつけまして、先ほどの新幹線の建設路盤を利用いたしまして空港に入るというような国鉄在来線利用型といいますか、そういうようなルートが考えられる。  この三つのルートを一応頭に置きながら検討をしようとしておるところでございます。
  107. 福岡義登

    ○福岡委員 三つあるとおっしゃいましたが、最後の三つ目の部分は暫定措置としていろいろ考えられておると思うのでありますけれども、問題は前段でおっしゃいました新幹線ルートと国鉄を結ぶものあるいは私鉄を結ぶもの、ここに将来計画としてはしぼられるのじゃないかと思うのであります。  そこで、私は時間がありませんので、多くをこれ以上聞くわけにいかないのですが、いずれにしてもおくれておることだけは間違いない。私どもの気持ちをそのまま言わせていただければ、成田新幹線構想がだめになったときに、いわゆる不可能になった時点で当然しかるべき計画が決定されるべきである、それが今日まで延び延びになっておるというのが問題である、行政責任もそこにあるのじゃないか、こういうことなのであります。  そこで、いまおっしゃいました計画の全部を聞くということは時間の関係がありますのでできませんが、要点だけ一つ、これは国鉄でも運輸省でもいいのですが、お聞かせいただきたいと思いますのは、最初の案、一案といいますかA案というか、次におっしゃった新幹線ルート、私鉄、これを二案というかB案というか、それについてでありますが、第一案でいきますと総キロ数はどのぐらいになるのでありますか。
  108. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 いま先生の第一案とおっしゃられたものは、先ほど鉄監局長の御答弁申し上げました国鉄線利用の場合の案だと思いますが、現在私どもの方で、これは決定したわけではございませんが、新幹線にかわって現在建設中の京葉線部分、西船から砂町付近までの建設が進められております京葉線の部分を使いまして、なおかつ、その先都心に向かいましては成田新幹線の起点でありました鍛冶橋まで地下で引き込むという形を一応想定いたしましてルートをはかりますと、約七十一キロになるわけでございます。
  109. 福岡義登

    ○福岡委員 七十一キロのうち在来線を利用できる、たとえば現在の武蔵野線、それからいま湾岸鉄道と言われておる例の京葉線ですかね、そういう成田アクセスには関係なく工事が進められておるもの、あるいは在来線、成田線など、そういう部分はこの七十一キロのうち何キロ含まれているのですか。
  110. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 七十一キロの内容を申し上げますと、空港から西船橋まで、ここで国鉄の在来線にぶつかりますが、そこまでの距離が約四十七キロでございます。これからいま建設中の京葉線に乗ってまいりますが、その京葉線はいま旅客輸送という話が進んでおりますので、いずれこの京葉線が都心に乗り入れるということになりますと、いま私どもが想定いたしております鍛冶橋付近ということも当然考えられますので、それらを含めまして西船−東京鍛冶橋間ということで申し上げますと二十四キロということになるわけでございます。したがいまして、いま先生御質問の京葉線部分の利用できる距離というのは概略二十四キロ程度だと思います。
  111. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 先ほどお尋ねございました日昇丸事件に関しまして、救命ボート並びに救命いかだの検査期間を縮めろという要望が出ておりました。  私はこの事件が起こりましてすぐに船舶局に、こういう不祥事件が再度ないように徹底的な検査の強化を指示いたしました。そのことは現在も実施いたしております。  なお、この機会と言っては語弊がございますけれども、かねてから救命いかだ、ボート等の検査期間をいかにすべきかということは船舶局において検討しておった段階でございまして、ちょうどこの機会にむしろ二年であるのを一年に縮める方がいいのではないかという検討が進んでおりまして、五月一日を一つの時期にいたしまして省令を改正し、二年の検査期間を一年に縮めるという措置をとることに決定いたしました。  私が発言いたしましたことは一部間違っておりましたので、訂正させていただきます。
  112. 福岡義登

    ○福岡委員 もう時間が来たのですが、もう一つお伺いしておきたいのは、いまの在来線、武蔵野線を使う部分、それから湾岸鉄道を使う京葉線の部分、成田アクセスとこれを結合したときに輸送能力に問題があるのじゃないか。特に湾岸鉄道は、お話がありましたように、貨物を対象に考えられておる。最近になって旅客をという要望も出ているというお話でありますが、成田アクセスにこれを併用するということになった場合に輸送能力上問題はないのか、この点いかがですか。
  113. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 いま御質問の点につきましては、いろいろ勉強している段階でありますので固まったものではございませんけれども、私どもがいま想定している範囲内で言いますと、空港の利用客の御利用なさる量、輸送量と、それから新しい線の沿線から発生いたします通勤通学のお客さんの量、それが在来計画されております京葉線の貨物、旅客輸送に重なってくるわけでございます。  その量について想定いたしておりますが、まず一日の輸送量ということから考えますと、これはまず問題はない、輸送力的には十分間に合うということが言えると思います。やはり都市通勤線でありますから、一番問題は通勤時の、たとえば一番ピークになりますラッシュ一時間の輸送能力、輸送量のバランスがどうかということにかかると思いますが、これらにつきましても一応私ども想定している、いま検討している内容で申し上げますと、輸送力的にも十両ないし十五両という編成で、電車運転でありますから相当ヘッドカットもできる、列車回数も相当入るということになりますので、輸送量、輸送力的にも、このラッシュ時間においてもまず輸送力は確保できるというふうに考えております。
  114. 福岡義登

    ○福岡委員 時間が来ましたので、最後に運輸大臣にお伺いしたいのですが、二つお伺いいたします。  一つは、暫定措置で、先ほど鉄監局長からお話がありました第三案、現在の成田線と空港を結ぶ、新幹線構想で工事を進められてきまして、この間現地を私どもも見せてもらいましたが、土屋—成田空港間、成田空港はもうホームまでできまして、線路を敷けばすぐに使えるという状態になっている。以下、土屋までの整備状況も見せてもらいましたが、ほとんどでき上がっている、ちょっと手を加えて線路を敷けば成田線と結ぶことは可能である。当面のいわゆる暫定措置としてこの措置は早急にやっていただきたい、これが暫定措置の話であります。  それから、先ほどもちょっと申し上げたのでありますが、成田新幹線構想が不可能と判断せざるを得なかった時点に、当然新幹線構想と在来線、国鉄線を利用するという方向にこの線を——運輸省からもらいました図面を見ましてもほとんど並行的になっておる線でありますし、いま聞いてみますと全長七十一キロのうち二十四キロは、成田アクセスに関係なく工事中であるかあるいは現在営業中の路線でありますから、そうしますと差し引きいたしますと四十七キロで済むわけであります。工事費の面からもいいのではないかという優位性がある。そのほかいろいろ事情が介在をしておるようにお聞きしますけれども、問題はやはり早くアクセス問題を解決をするということでありますから、ひとつ急いで将来の構想も決めていただきたい。聞くところによりますと五十六年度予算で調査費をつけて検討して結論を出す、こういうようにお考えになっておるようでありますが、私どもは、いまお話を聞きましたような内容ならばそう無理な問題もないように思いますので、一日も早く決めていただきたいと思いますが、この点と、二つお伺いをいたしまして終わりたいと思います。
  115. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 成田アクセスにつきまして、暫定輸送の問題で国鉄当局から非常に強い要望があることは事実でございまして、われわれもこの要望をする理由等も十分承知をいたしておるのでございますが、しかし運輸省といたしましては事態を総合的に見なければならぬのでございまして、国鉄の要望はよく理解できるのでございますけれども、諸般の状況を総合的に解決をするようにして解決いたしたい、こう思うております。  したがって、これから将来の本格的なアクセス、地域開発と兼ねたそういう問題等も含めまして、つまり暫定輸送も含めて現在八十島先生を中心といたしまして専門の関係者から成るところの委員会を構成し、そこで検討をしていただいておりまして、その検討が出次第、それを尊重いたしまして実施計画をつくっていきたい、こう思うております。
  116. 福岡義登

    ○福岡委員 終わります。
  117. 関谷勝嗣

    ○関谷委員長代理 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十七分休憩      ————◇—————     午後一時四分開議
  118. 小此木彦三郎

    小此木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村正雄君。
  119. 中村正雄

    中村(正雄)委員 先般、国鉄運輸省に提出いたしました国鉄経営再建促進特別措置法に基づきまする経営改善計画を拝見させていただきましたが、非常に深刻な内容だというふうに受けとめておるわけです。  特別措置法ができました趣旨というものは、特に国鉄経営に関しまして公共的な部面については政府責任を持とう、企業的な分野については国鉄責任を持って国鉄全体としての再建をやろう、そうして昭和六十年度までに経常経営において収支をとんとんにしようというのが措置法の基本でございまして、言いかえますならば、経営改善について、国鉄自身の力によって経営を改善できる分野と国鉄自身の力ではどうにもできない分野と二つに責任を明確にして、前者については国鉄が全責任を持っていままでの経営姿勢とは違う対処をしよう、後者については政府責任を持とうということであるわけですが、今度出されました収支の試算を見てまいりますると、これの基礎になりました個々の数字はわかりませんが、結論だけ見てまいりますると、五十五年度と六十年度と載っておりますが、特別損益勘定も含めてでありますけれども、六十年度の末において九千九百億円の赤字、こうなっております。五十五年度の赤字と大差ない状態になっております。ただ、国鉄自身の経営努力の結果は、幹線において百億の増収、その他において二千三百億の減収、こうなっております。  運輸大臣にお伺いしたい点は、この国鉄経営改善計画を承認するということは、単年度でなくして、六十年度まで全体について国が責任を持ちまする助成という面についても政府責任を持つという意味のものかどうか、この点について最初にお伺いしたいと思います。
  120. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 昭和六十年までのいわば政府助成というものは現状を延長した状態でいたしておりまして、これにつきましては、まだ正確に大蔵大臣がこれを認定しておるわけではございませんけれども、財政当局と運輸省との間で種々連絡をし、意見も聞いております。でございますから、この計画を承認するに当たりまして、その点を明確にすることが一つの重要な条件である、私はこう思うております。
  121. 中村正雄

    中村(正雄)委員 収支試算によりますると、六十年度まで総括して、単年度約七千三百億、これは国の助成の総額になっておると思いますが、ところが実際問題として、特別損益勘定といいますか、特定人件費等を含めまして、いわゆる構造的な問題の解決をするためには、各年度ごとに七千三百億程度の現状維持の助成でまいりますると、六十年度にこれだけの欠損が出るわけでございますが、そうなりますると、国鉄の努力によりまする企業的な面と国が助成を行わなくてはならない政府責任の分野と両方を合しまして、六十年度までに収支がとんとんになるというふうなことでなければ本当の再建計画にはならないと思うのです。  したがって、運輸大臣がこの改善計画を承認するに当たりましては、政府部内におきまして、五十七年度以降の政府の助成につきましてもやはり相当突き進んだ連絡なりあるいは協議がなければならないと思うのです。したがって、財政問題が非常に困難なときではありますけれども、一般損益勘定だけではなくして特損勘定におきましても、六十年度までに全体として収支ゼロになるように、できれば五十七年度以降の政府の助成についての努力を運輸大臣にお願いしてこの計画の承認というところに持っていっていただきたいと私は思うわけですが、これに対しまして運輸大臣はどういうふうにお考えか、所見を承りたいと思います。
  122. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 先生の御意見、私も同じような感じを持っておるものでございまして、いかにいたしましても構造問題の処理等につきまして、これが最終的な結論が出ないということになれば承認できないということであるとするならば、これは相当時日を要することであろうと思います。でございますから、構造的な問題につきましては、これは今後やはり各方面あるいは各部門から検討もし、対策を講じていかなければならぬと思いますが、しかし当面の国鉄自身の努力によって行います営業的な面につきましては、必要な助成も含めて大蔵当局並びに政府関係部内と話し合いをし、できるだけ早く結論を出したいと思うております。
  123. 中村正雄

    中村(正雄)委員 そうしますと、この改善計画を承認する内容については、いま大臣のおっしゃいましたように、いろいろの今後の交渉の経過等がありますが、一応予算として考えます場合は、たとえば五十七年度の予算あるいは五十八年度の予算、それぞれの単年度の予算ごとに国の助成ということは決めていく、こういうふうに考えなければならないと思うのですが、そういうふうな方向で行かれるわけですか。
  124. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 結果としてそうならざるを得ないと思うております。
  125. 中村正雄

    中村(正雄)委員 そうしますと、少なくとも国鉄のこの改善計画にあります五十五年度の七千三百億、これを引き続いて得るものとしての計画になっているわけですが、この点については構造的な問題は別にしても、たとえば東北・上越の新幹線が開通になりますと、これに伴います欠損は少なくとも六十年度までは出るわけでありますから、そういうものについては一応構造的な欠陥とは別にして当然考えられるというふうに理解していいわけですか、いかがです。
  126. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 運輸省としてはそのように理解しておるわけでございますが、これは政府部内の統一した意見というところにはまだなっておりません。
  127. 中村正雄

    中村(正雄)委員 鉄監局長でいいと思いますが、このままでまいりますると、六十年度末において国鉄の累積赤字はどのくらいの金額になると試算されておられますか。
  128. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 累積赤字は、たな上げした分も含めまして、あるいは特定損失に絡まるものを含めまして約十三兆をちょっと超える形になろうかと思っております。
  129. 中村正雄

    中村(正雄)委員 私の質問が悪かったかもしれませんが、五十五年度から五十九年度末まで、言いかえればこの計画の基礎であります五カ年計画におきまする五カ年間の赤字の累積はどの程度になりますか。
  130. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 いろんな仮定の前提がございますので明確にはまだできませんが、一応一般繰越損益というものの計算をいたしますと、累計約五兆円を超えるものと思います。
  131. 中村正雄

    中村(正雄)委員 この改善計画を見まして、国鉄自身の努力によってやり得る問題につきましては部門別に相当詳しく書いておりますけれども、これも今後の経済情勢の変化その他によってこのとおりの数字の結果が出るかどうかわからないと思いますし、また、いま運輸大臣が努力をされることについては多といたしますけれども、御承知のように、財政再建という国の大きな命題を抱えておりますだけに、現在までの助成が維持できるか、それ以上の助成を期待できるかということも相当疑問だと思います。したがって、政府の方も国鉄の方も、再建についてはこの計画をもう一度根本的に見直さなければならないような時期が来るのではないかというふうにも私は考えるわけでありますが、政府におきましては、いま大臣がおっしゃいましたように、最善の努力をしてもらうといたしまして、国鉄自身の努力の目標について総裁にお尋ねいたしたいと思います。  この「基本方針」の一ページの末尾に「全職員一丸となってサービスの改善、収入の確保及び業務運営の能率化に邁進することとする。」と書かれております。これは再建法の審議のときにも大臣なり総裁が明言されたことでありまして、当然のことであり、これなくして国鉄の再建はできないと思います。特に私は、いろいろ営業成績その他も関係しますけれども、再建できるかどうかということは国鉄職員の認識と努力が基本だと考えるわけで、そういう意味において「基本方針」に書かれておりますことは当を得ていると思うわけです。  それについて私は率直に総裁にお伺いしたいと思うわけですが、確かに国鉄を再建しなくてはいけないぎりぎりのところに国鉄は追い込まれておって、これ以外に再建の道はないということで、総裁以下役員は本当にこの問題と真剣に取り組んでおるというふうに私は見ておりますし、また本社の幹部諸君もそのように国鉄の現状を認識し、その決意も十分読み取れると思います。ただ、これが全職員に浸透するということが一番大切でありますが、私の現状の認識では、本社のそういう責任者と地方局の局長あるいは部長くらいまでは、現状の認識、決意はある程度総裁と同じように浸透いたしておると思いますが、現場管理者に総裁のお考えが浸透しているかどうかという点については非常に疑問がございます。もっと端的に言いますならば、いわゆる地方局の局長の考えと、それを現場長に浸透させまする中間のパイプが、私は詰まっておるのではないかという感じがするわけでございます。  したがって、これは大きな局にはそういうことは少ないかもわかりませんが、たとえば地方局なんかで局長が現場を視察するということになれば、やはり局長が行く場合はすべてきれいごとでいけるような態勢をつくっている、視察が終わったら旧態依然たる姿勢になっているというのが現実の現場の姿勢だと思うわけでございます。局長の考え方が現場長に浸透する中間のパイプが詰まっておる。私は、全職員すべてが総裁と同じような考えになってもらうように総裁は努力をしなければなりませんけれども、それは事実としては非常に困難であり、長年月がかかります。少なくとも現場管理者だけは総裁と同じような認識と決意がなければ、私は国鉄の再建はできないと思う。ところが、現場管理者の認識と決意、方針については、いま言いましたように、パイプが詰まっておると思うのです。  したがって、こういう点について私は一つの提言でございますが、総裁なり副総裁が現実に現場に行って、局長、部長抜きにして現場管理者を集めて、直接総裁の認識、考え方を徹底さすということをやるべきじゃないか、私はそれが全職員に総裁の考え方が浸透する一つの拠点だと考えるわけですが、総裁はどういうふうにお考えになるか、所見を伺いたいと思います。
  132. 高木文雄

    ○高木説明員 ただいま御指摘になりました点は、まことに残念でございますけれども、私もほぼ同感と申しますか、同じような認識を持っております。これは長い国鉄の歴史におきまして、国鉄というのは非常に多くの分業といいますか、それぞれ分担ができておりまして、営業は営業、運転は運転、あるいは保線は保線、それぞれ責任と職務の分界が非常に明快になっておりまして、すべての職場の諸君がそれぞれ与えられた職務を完全に遂行するときに初めて安全、確実、迅速に車両が走るというルールが長い間に積み重なってきております。そのことは普通の、特に民間企業の場合と非常に違っておりますのは、一人一人の職員が、自分が職を奉じておる国鉄経営の状態はどうなっているのかというようなことについては余り関心を持たなくてもよろしい、それぞれの職務を忠実に実行しておればそれでいいんだというような雰囲気が大変強いように私は思うわけでございます。  そこで、どのようにして一人一人の職員に経営の実態なりあるいは国鉄の現状なりというものを認識してもらうかということが非常に大事なことだと思います。おっしゃるように、現場の末端に至るまで、ここに示しました全職員一丸となってサービスの改善なり収入の確保、業務運営の能率化に努めるということにいたしますためには、いろいろな方法を通じて、現場の諸君にも、ただ自分の与えられた職務である運転なり保守なりの仕事をきちっとやっておればよろしいということだけにとどまらず、絶えず経営のことにも頭をめぐらしながら、ということは、逆に言えば、どういうサービスを提供するかということに気を配りながら取り組むような雰囲気をつくっていかなければならぬと思っております。  その方法としては、私どもが直接現場に出向いて説明をし、理解を求めて歩くということ、いまお触れになりましたが、それも非常に重要なことでございますし、そのほかにもいろいろな機会にいろいろな方法で一種の経営教育をやっていかなければならぬと考えておるわけでございます。ここに書きましたことをどのようにして一日も早くそういう体質になじむようにするかということが、今後これを御承認いただきました後、私どもとして全力を投入すべき問題だという点については、まさに御指摘のとおりでございまして、なかなか容易ではございませんが、一生懸命そういう心組みで実行に当たってまいりたいと考えております。
  133. 中村正雄

    中村(正雄)委員 私は、再建のかぎは現場管理者が握っておる、そういうふうに感じているわけでございます。私のこの目で見た事実を基礎にして、二、三具体的な国鉄の運営についてお伺いしたいと思うのです。  実は、卑近な例でありますが、私、去る五日の休みの日、ちょうど家に帰っておりまして、中学に行っている孫たちに誘われて、ハイキングに行こうということで、私、高槻でありますから、嵐山から清滝の方にハイキングに行こうじゃないかと孫に誘われて、いやいやながら腰を上げたわけです。中学へ行っている孫たちですが、五、六人連れを呼んできて、九人で行こう。私の考えでは、古い頭でありますから、国電に乗って京都で乗りかえて、嵯峨でおりて、それから嵐山から清滝に行こう、このコースをとろう。ところが、孫たちは、阪急電車で行けば、同じように桂で一遍乗りかえたらいい、しかも運賃が国鉄の半分以下だ、したがって、時間は十分くらいしか違わないけれども、運賃が半分以下だ、おじいちゃんに負担かけるのは気の毒だから安い方で行きましょう、こう言うわけなんです。中学生が、並行して走っている国鉄と私鉄の運賃を知っておって、そして国鉄の半分以下だから私鉄に乗っていこう、それで阪急電車に乗ったわけなんです。  総裁も御承知のように、あの区間、国鉄と阪急は並行して走っております。五日と言えば、ちょうど私鉄が運賃値上げをする前の日です。しかも、休みの日ですから、乗りました私鉄は超満員、並行して走っている国鉄を見ますると、立っている人は一人もいないわけです。これでは国鉄が幾ら努力しても、これだけの運賃の格差があれば、特に輸送密度の高い都会において、やはり国鉄から私鉄に流れることはやむを得ないだろう。いまこれだけ私鉄に流れておりまする乗客を国鉄が奪い返すことは、もうとうてい困難な作業です。しかも、単年度で達成できるものじゃないわけです。後で運賃を調べたわけですが、やはり阪急の方が半分以下です。今度値上げをしても半分です。そうなりますと、並行線を走っている国鉄と私鉄の運賃政策というものは、この再建計画にも営業努力いろいろ書いておりますけれども、これは相当考えなくてはいかぬのじゃないか。  私、振り返って考えますと、国鉄が赤字になって何とか再建しなくちゃいかぬということで、国鉄内部においてもこういう経理といいますか、数字といいますか、そういう面の意見のみが重要視されて、国鉄の営業活動の面が軽視された結果ではないか。私は、運賃政策の失敗が現在の国鉄の危機を招いておる面も相当あると思うのです。  もう一つの例を引きましても、関西のことでありますが、先般福知山線の一部の電化をやりました。これまた阪急が並行して走っております。相当増発はいたしましたけれども、それに伴いまする乗客はふえておりません。定期旅客は便利になりましたけれども、一般の客は、これだけ運賃の格差があったら、国鉄を利用する人は少ないわけです。御承知のように、通勤定期は、いまはほとんど企業負担でございます。したがって、通勤客は自分の住所を中心にして便利な路線を選択いたしますが、通学とかあるいは一般の旅客は、自分のふところ勘定の利害でどの線を利用するかを決めるわけなんです。国鉄にもやはりいままで特定旅客運賃という制度はあったわけです。したがって、私は、運賃政策の失敗がこういうふうに国鉄の利用客を非常に少なくいたしておるとつくづく感じたわけです。  再建計画にもありますように、これからの運賃政策、営業政策が国鉄再建のかぎになると思うのですが、こういう面について、役員の方どなたでも結構でございますが、今後の方針についてお聞かせ願いたいと思います。
  134. 高木文雄

    ○高木説明員 これまた御指摘のとおり、国鉄経営にとりまして、いま差し迫った問題でございます。特に問題でございますのは大阪を中心とした近畿圏、それから東京周辺の、しばしば例に引かれます中央線と私鉄京王線との関係とか、京浜急行と私どもの東海道線の並行線とか、そういうところで非常にいろいろ問題が起きておるわけでございます。     〔委員長退席、関谷委員長代理着席〕 これは基本的には、長い間国鉄は原則としてキロ当たり幾らという全国単一運賃制度をとってまいりました。それが現在の私鉄の運賃の決め方とうまくマッチしないということで、著しく競争力が運賃面で落ちている地域が生じておるわけでございます。  これをどうしたらいいかという問題でございますが、率直に申しまして、東京、大阪という都市部におきましてはいまの運賃ではコストとの関係で私どもの方がいささかもうけさせていただいている結果になっておりまして、それによって発生します黒字が多少とも地方の赤字の補てんのような形になっておるわけでございますが、国鉄が全国の鉄道網として機能する役割りがだんだん低下してまいりました。地域交通の中においてどういう役割りを果たすべきかという問題のウエートが高まってまいりました段階で、運賃システムをどのようにすべきものかということは大きな課題でございますが、ごくわずかいま勉強を始めたところでございます。この問題は、世界各国におきましてももろもろの交通機関の運賃調整の問題というのは、一、二の特例はございますけれども、どこの国でもどこの都市でも余りうまくいっていないという現状でございまして、なかなかそう簡単にはうまい知恵が生まれてこないのではないかということで弱っておるわけでございます。しかし、いま御指摘のような点は、それらの地域で仕事をしております職員の士気にも関係しておりまして、私どもの方が高くて私鉄さんの方が安いという現状を毎日見ております職員からいたしましても、本社はその辺をどう考えておるのだろうかというようなことについてはしばしば職員の生の声の中からも聞かれておりますし、それから最近では組合の意見としてもそういう点が問題になっております。これはこのまま放置できない問題でございますので、どのような方法でどうやってやるかという知恵を私まだ持ち合わせておりませんけれども、非常に大きな問題だということは考えておるわけでございます。  なお、一部特別運賃ということで関西地区におきまして一種の営業割引はやっておりますけれども、これをやりましてもなおかつ開きが非常に大きいわけでございまして、そうかといって営業割引で私鉄を考えながら運賃を低目に定めるにしましても限界があるということで、いまお示しのように、残念ながら大体倍、半分ということになっておるわけでございます。運賃制度論は私どもが当面大至急努力しなければならぬ問題だという認識を持っておりますけれども、各方面の専門の方々あるいは庶民の声といいますか、皆さんのお知恵を拝借しながら何とか工夫をしてまいりたい。ただ、いつからどういうふうな方法でというところまではまだちょっとヒントもつかみかねておるという現状でございます。  明快なお答えができませんので非常に残念でございますが、一生懸命研究してまいりたいと思います。
  135. 中村正雄

    中村(正雄)委員 これは営業政策としては基本の問題でありますので、早急に御検討願って結論を出していただきたい。特にこういう地域については、運賃は高い、サービスは悪いということで国鉄の不人気ということがますます高まっておるということでありますので、国民から愛される国鉄だというためにも早急に着手すべき問題だと思って指摘したわけでありますので、この点早急に御検討願い、結論を出していただきたいと思います。  もう一つ、これまた現場管理者に関する問題でございますが、四月二十日の東京新聞に出ておりました記事でございます。これは私もたびたび経験し、知っているわけでありますけれども、運賃値上げに反対するという署名運動を国鉄の駅舎の中でやっておって乗客が非常に不便をした、こういうことに対する投書が載っておったわけでございますが、総裁も御承知のように、国鉄の営業用の駅舎の中あるいは国鉄の用地の中ではビラをまいたり署名運動をしてはいけないという立て札がどこにでもあります。ところが、他人のやることについては禁止しておって、国鉄の職員がやることはそのまま認めておる。乗客が非常に不便を感じておるということにもほおかぶりいたしておる、こういう記事でございますが、こういう点については現場の管理者が毅然たる態度をとれば直ちに除去できる問題でございますが、現場管理者の一つの姿勢がこの投書にあらわれておると思うのです。  こういう問題について、現場管理者の管理者としての姿勢と責任ということについて、総裁は今後どう教育していくお考えか、この点の基本についてお伺いいたしたいと思います。
  136. 高木文雄

    ○高木説明員 いろいろな機会に組合が中心になっていろいろのアピール活動ということでビラが張られたり、たれ幕が下がったり、ワッペンをつけたりということが現実問題としてございます。これは甘いかもしれませんが、総体としては減ってきていると思いますが、現実問題としてはまだ一般的に相当残っております。これはある意味では違法行為であるということでございますので、それを見つければ当然のことながら管理者が中心になって除去する、あるいは落書き等の消し方をやるというようなことはやっておりますけれども、いま御指摘のような点が、少しずつは変わってきておりますけれども、どうも思うようにいかないというのが現状でありまして、それは現場の第一線管理者の一種の規律についての物の考え方に甘さがあるからだと考えております。  私どもが、あるいは管理局の幹部諸君が現場に対してそれを除去しなさい、あるいはまたそういうことにならぬようにあらかじめ気を配りなさいということの指導はいたしておりますけれども、管理者自身にそうした問題について事の重要性といいますか、物事の基本についての認識がまだ十分でないという点があるわけでございまして、これは長い間の現場管理のなまぬるさといいますか、そういうものから生まれてきたものだと思います。これは当然きちっとしたものにすべきだということは指導方針としてははっきりしておるのですが、実行に移らぬという点に問題があるわけでございまして、これまた現場管理者の教育を徹底することによって彼らの足腰をしっかりするということをしつこく繰り返し、気を緩めずに続けていく以外にないのではないかと考えております。そうした点が徹底することによって初めて先ほどの一人一人の職員の心構えが変わってくるわけでございますので、指導と教育とを併用しながら早く是正を進めてまいりたいと考えます。
  137. 中村正雄

    中村(正雄)委員 総裁の方針はもっともでありますが、それは今日に始まったことでなくして、前々から国鉄の役員の方のおっしゃっている方針でございます。ただ、私の指摘したいのは基本の問題でありますが、そういうことが現場管理者に認識としても決意としても方針としても徹底しないということは、いわゆる現場管理者に行きますパイプが詰まっておるということの一点に尽きると思うのです。総裁がそのようにお考えになり、恐らく地方局長はそう考えておると思います、あるいは地方の営業部長なり総務部長は考えておると思いますけれども、その出しまする指令なり指示というものを現場管理者に徹底さすための課長、係長というそのパイプが詰まっておる、そこに根本の原因がある。したがって、最初申し上げましたように、局長や部長を相手にせぬと、本社の役員が直接現場に行って、全国で現場長を集めて話をしたって、百カ所や二百カ所には集められるわけですから、そこへ行ってみっちりと総裁の考え方を徹底さすということの方が、現場管理者の考え方、認識を改めさす一番簡単な方法ではないか。私が申し上げた点はそこにあるわけなのです。  結論的に申し上げましたならば、あなたのお考えが現場管理者に通ずるパイプが詰まっておる、このパイプをはっきりさすということが私は国鉄再建の基本だ、こう考えて申し上げておるわけですので、ひとつお考え願いたい、このことを申し上げて、私の質問を終わります。
  138. 関谷勝嗣

    ○関谷委員長代理 四ツ谷君。
  139. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 原潜の当て逃げ問題について、最初に御質問をさせていただきたいと思います。  まず、海上保安庁の長官にお聞きをしたいのですけれども、午前中にも同僚議員の方から御質問がございましたけれども、四月十七日の委員会で、わが党の三浦議員に、海上保安庁が乗組員の皆さん方から聞き取られましたそのことをまとめて、できるだけ早く報告をしたい、こういうふうな御答弁がございました。午前中、大変おもしろい表現だったと私は思うのですけれども、きわめて近いときに報告をするというふうに長官はおっしゃいましたが、五月の二十日が会期末でございます。そういたしますと、本日から二十日までの間のきわめて近い期間、こういうことになると思うのですけれども、一体どういう形で国会に報告をされるおつもりでございますか。
  140. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 午前中の答弁でも申し上げましたとおり、私どもとしましては、大体まとまりができましたので、その時期については政府部内でいま検討いたしておりますが、きわめて近い機会に御報告申し上げたい、かように考えております。
  141. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 重ねてお聞きします。どこで報告されるのですか、国会で報告とおっしゃいますが。
  142. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 発表の仕方といたしましては、いわゆるマスコミに報道をすると同時に国会の方にも出す。これは運輸委員会でございますが、出す、こういうふうに考えております。
  143. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 ところで長官、きわめて近いとおっしゃいましたが、この間、私が土曜日の日に長官のところに伺いまして、いつ発表されるのですかと聞きましたら、総理大臣の帰朝報告を国会の本会議でやられるその前後にとおっしゃったのですけれども、きのうもうすでに総理は国会報告をしておられます。そうすると、前後の前はもうなくなってしまって、後だけになってしまっているのですけれども、きわめて近い期間とおっしゃいますが、何日というふうにおっしゃっていただけますか。いかがです。
  144. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 いま何日と決めておりませんので、したがって、きわめて近いという抽象的な言葉で申し上げているわけでございます。
  145. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 次に、大臣にお聞きしたいのですけれども、八日の日の閣議があったその日に記者会見をされまして、海上保安庁の調査報告を、たしかあのときの新聞によりますと、十二日に外務省に報告をするというふうに運輸大臣おっしゃったように新聞報道で私認めているのですけれども、昨日が十二日でございますが、もう外務省にされましたのか。なぜ外務省にだけ報告をされるのか、その辺はちょっと筋が通らないと思うのですけれども、大臣としては一体どんなおつもりなんでございますか。
  146. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は外務省に説明すると申しましたので、でございますから説明はいたしました。中身についての説明をいたしました。
  147. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 外務省に説明をされたわけですね。そうすると、国会の方にの説明というのはどうなるのですか。私、外務省にというのがちょっと筋が通らないと思うのですけれども。
  148. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 国会に報告書で出したいと思うております。  外務省の方は、報告書がまとまっておらぬと言いましたら、聞き取った内容を断片的でも、整理してきちっと報告書になっておらなくても構わぬから、とにかく話を聞かしてほしいということで報告したのです。
  149. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 それでは、きわめて抽象的で不満足ですけれども、きわめて近い時期にぜひお願いをしたい、運輸委員会でお願いをしたいと思います。  委員長の方にも、運輸委員会を二十日の会期末までに必ず開いていただきまして、委員会報告が受けられますように御検討願えますでしょうか。いかがですか、委員長
  150. 関谷勝嗣

    ○関谷委員長代理 理事会で検討いたします。
  151. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 それでは、中間報告がアメリカから出されましたが、中間報告に関してちょっと二、三御質問をしたいと思うのですが、その前に、日昇丸の乗組員で三等航海士の竹島司さんという方に直接聞いたお話の中から、初めからずっとしまいまで聞いておりますけれども、時間があれですので、二つの問題についてお聞きをしたいと思います。  日昇丸が原潜に衝突をされましたその直後、乗組員の皆さん方が、まだ船が沈まないで甲板の上で右往左往しているときに、P3Cが飛んできた。そして、きわめて低い高度で三回ばかり船の周りを旋回した、こういうことを聞いております。  もう一つは、また再びP3Cが飛んできた。そのときにはすでに乗組員は二つのいかだに分かれて乗っておった。そして、P3Cの方に向かって手を振った。そして、そのとき、海面には油が浮いていた、それから積み荷の綿の梱包が海上に浮かんでおった。  こういうふうなことを竹島さんから聞いているのですけれども、海上保安庁としてもそのように聞いていらっしゃるのでしょうか。
  152. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 先生がお聞きになったお話ほど細かい話というものは、その竹島航海士ですか、竹島さんから聴取はいたしておりません。しかし、似たような証言が外くの人から行われております。
  153. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 似たようなとおっしゃいますけれども、ちょっと大事なことですので。  特に海面に油が浮いていた、それから綿の梱包が浮いておった。似たようなじゃなくて、そのように、表現は違うかもわかりませんけれども、油の問題と積み荷の問題は、海面にあったのかどうかということを聞いておられますか。
  154. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 海面の浮遊物に関する証言はございません。
  155. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 このとき、非常にP3Cの高度が低い。この辺の表現では五百フィートから千フィートというふうになっておりますが、一回目に来たとき三回旋回をしている。二回目も旋回をしているわけなんですけれども、そういう段階で、それほど低いところまで飛行機がおりてきておりながら、遭難の状況をつかむことはできなかったということが、P3Cとしてはどうも私たちには納得ができかねるのですけれども、海上保安庁の方はどういうふうに御判断をしておられますか。納得をしておられますか。見つからないという、遭難の事実がわからなかったということについて納得をしておられるのでしょうか。どうですか。
  156. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 P3Cの行動につきましては、事故直前及び事故直後、二度あるわけでございますが、両方とも行動の詳しい状況については米国の中間報告書にも載っていないわけでございまして、その点については私どもとして目下問い合わせ中でございます。  ただ、非常に低い高度で飛んだから当然見えたではないかという御疑問かと思いますが、その点に関しましては、私どもP3Cの機能等について詳しくは存じませんし、それから乗員が、特に事故後の行動につきましては、あの報告書によりますと、P3Cは日昇丸遭難の事実を知らず、遭難中の貨物船を探すという意識で飛んでいたときに、ボートが、あの波の高さのときに見えるということについてどの程度の期待を持つべきかということについては、先ほども申し上げましたように、P3Cの行動様式がわからない、構造がよくわからない、さらには乗員の練度もよくわからない、こういったことでございますので、私どもとしては目下のところ、結論めいた推定ということはいたしておりません。
  157. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 それでは、中間報告の方に話が、ちょっと長官の方がお入りになりましたので、私の方から言いますと、P3Cには、対潜哨戒機は十人ぐらいの乗員を載せることができて、ここに「計器飛行を行っており、」と書いていますけれども、いわば旋回をするのに計器飛行というのはおかしいということもあるのですが、中間報告に書いてありますのは計器飛行。ところが、計器飛行をやるのはパイロットがやるわけなんですよ。対潜哨戒機は、空を見るんじゃなくて水面下にいる潜水艦を見つける方ですから、パイロットでない人が後ろからいろいろな形で、対潜哨戒機がどうして潜水艦を見つけるかというやり方には三種類あるそうです。肉眼でも見るし、それから電波を使うというふうなこともある、三種類あるそうですけれども、とにかくパイロットだけが計器飛行で海上をよく見ないで飛ぶということはないのですよ。後ろでちゃんと見る専門家がおるのですよ。そういうことは海上保安庁の方は私よりももっといろいろなことで御存じだし、海上保安庁だって海難救助のための飛行機をお持ちなんだから、対潜哨戒機とは違うでしょうけれども大体おわかりになると思うのです。  それともう一つは、どういうふうな構造になっていたかわからない。低空だから見つからなかったのは納得いかないと私が言いましたことについて、空の上から見ると相当高いところからでも海上の状況がよく見えるというふうに言われております。これは百メートルか三百メートルぐらいの下までおりてきておるわけでしょう。  先ほども長官、P3Cの行動についてよくわからないというふうにおっしゃいましたが、重ねてお聞きしますけれども、大体船が沈没をしたときに油が浮くとか積み荷が浮くというのはよくあることだと思うのです。これほどはっきりと乗組員の方が証言をしておられるのに、海上保安庁はずいぶん長い聞き取りをされたそうですね。この竹島さんなんというのは、高知から海上保安庁のある串木野まで三回も呼び出されて、ずいぶん長いこといろいろ聞き取りをされたそうですよ。そのときに、そういうふうな大事なことについて海上保安庁は聞いていらっしゃらないのですか。いかがです。
  158. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 私どもの今回の調査は、通常こういう事故が起きますと過失往来危険罪というものを立件するためにいわゆる司法調書という形の調書をとるわけでございます。そういう場合には、証言の聞き取りの足らないところ、あるいはほかの人の言い分と違うところ、われわれの疑問とするところ、こういったようなところを詳しく聞きただすということをやるわけでございますが、本件につきましては事故の責任はほぼ米国側にある、しかも、その米国側に対しては私どもの司法権が及ばない、こういう観点でございますので、私どもといたしましてはいわゆる司法調書というような形での聞き取りではないわけでございます。  そういったようなことで、船員の皆様方にもきわめて任意に言いたいことだけ言ってもらう、こういう形の調書でございましたために、あるいは先生方の方にはお話しになったかもしれないけれども、こちらには話してくれてないというような部分があるかもしれません。しかしながら、その浮遊物の点については私どもとしては聞き取っていないわけでございます。
  159. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 私は、きょう海上保安庁を詰問するために質問したのじゃないんですけれども、どうも途中でちょっと方向が変わってしまったんですが、この間の委員会でも三浦議員が、アメリカ側の調査をするのに、海難救助の専門家としていろいろな調査項目を注文をつけたらどうだというふうに言ったら、長官は、大体海難救助というのは常識的な範囲でもう項目というのは決まっているんだとおっしゃったじゃありませんか。大体船が沈んだときに油が浮くとか、貨物船だったら積み荷が浮くというのは常識の範囲内じゃないんですか。そういう常識の範囲内の聞き取りも、アメリカに言うどころか、海上保安庁自身がそういうことを聞いていらっしゃらないということは、一体何のために調査をされたんですか。日昇丸に責任がないということだけの追及のためにおやりになったんですか。一体どういうことなんですか。
  160. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 油につきましては、翌日私どもが当該区域を捜索いたしましたときに、浮遊油の流出というものは見ておるわけでございます。しかしながら、日昇丸の船員がそれを見たという証言は実はないわけでございます。
  161. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 もう時間がありませんので、そこばかり追及をしているわけにはいきませんけれども、非常に大事なところだと思うのです。これは中間報告に全然載ってない。P3Cの行動を解明していくためにも非常に必要なところではないかというふうに私は思いますので、海上保安庁としては、いま日昇丸の乗組員の皆さん方はこういうふうな大変な災難にお遭いになって、何遍も聞き取りをされて大変御不満なようでございますけれども、これははっきりさせるために、調査なんだとか聞き取りだとかいうふうなことでなくて、辞を低くして、もう一度この点を、三等航海士はこんなにはっきり言っているのですから、その時点で、どうであったかということを聞いていただきたい、これは御要望したいのですが、よろしくお願いします。  その次に、中間報告の方に移りたいと思うのですけれども、この中間報告を見てみますと、長官がおっしゃるとおりに、原潜は衝突をした直後に日昇丸の方を見て、右舷の方に人が立っているとか、そういうふうなことは一応書いていますけれども、P3Cについては、おっしゃるとおりに、ほとんどどうしたかということが載っていません。この文面から、「P3Cの乗員は、衝突の起こりそうなことも、衝突後の日昇丸の乗組員の災難をも知らなかった。」こういうふうに、これは日本語訳の方ですけれども、六ページに書いています。それから、もうちょっと下の方に、「日昇丸船上の状況を把握していなかった。」これはジョージ・ワシントン、P3Cもと書いてありますから、結局P3Cも船上の状況を把握していなかった、こういうことになるんですが、これをよく見てみますと、衝突後の日昇丸の乗組員の災難は知らなかった、それから日昇丸船上の状況を把握はしていない。しかし、この文面から見て、P3Cが日昇丸の船体を確認したのかどうか、ここのところについて海上保安庁はどのように見ておられるのか、それをちょっと順番に聞いてみたいと思います。  衝突のときにP3Cがどういう行動をしていたのか、P3Cが原潜及び日昇丸の状況をどのように把握したか、この報告書から海上保安庁おわかりですか。いかがです。
  162. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 P3C、特に事故直前のP3Cの行動については、先生御指摘のとおり、あの報告書の中でその行動がつまびらかでないということでございますので、私どもといたしましては外務省を通じて米国側にP3Cの行動についてなお詳細を聞きたいということを問い合わせているわけでございます。
  163. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 いま外務省にお問い合わせ中だということですので、外務省を通してのお問い合わせがわかりましたらまた報告をしていただきたいのですけれども、もう一つ突っ込んで言いますと、日昇丸を、船上の災難の状況あるいは船上の状況は見ていないけれども、日昇丸の船体を確認したというふうに、日昇丸の船は見たというふうに解釈できないでしょうか。いかがですか。
  164. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 原子力潜水艦が日昇丸を認めたということは非常にはっきりしているわけでございますが、P3Cが日昇丸を認めたかどうかということについてはきわめてはっきりしていないわけでございます。その点についてもわれわれとしては疑問に思っているわけでございます。
  165. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 そうすると、長官、もう一度聞きますが、認めているか認めていないかということなんですが、認めたかもわからないという解釈もこの文面からは成り立ちますね。どうでしょうか。だって、ここのところを長官ちょっと読んでみてください。これは長官がアメリカの当局じゃないから、アメリカにかわって答えていただくわけにはいかぬのですけれども、日本文の解釈としてちょっと読んでいただきたいのです。この中間報告の六ページです。「P3Cの乗員は、衝突の起こりそうなことも、衝突後の日昇丸の乗組員の災難をも知らなかった。」だから、「衝突の起こりそうな」ということは、ちょっと時間があれですから省きまして、「日昇丸の乗組員の災難をも知らなかった。」それから、もうちょっと後の方にいきますと、「日昇丸船上の状況を把握していなかった。」ということなんですが、乗組員の状況は把握できなかったけれども、日昇丸の船体は見つけていたのではないかという解釈もこの文章からはできるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  166. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 日昇丸の船上の状況及びその乗組員に関する状況、そういったものについての知らなかったという否定はあるわけでございますが、船そのものを見なかったという否定は確かにないわけでございます。しかし、その船そのものを見たという肯定もないわけでございます。したがって、その点については私どもとしては詳細をもっと知りたいということでございます。
  167. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 そういたしますと、まあいわばどちらでも判断ができる。認めたかもわからないし、認めなかったかもわからない、どちらとも判断ができるという状況ですが、原潜の方は確か日昇丸を見たと。それから、幾分か原潜は日昇丸の状況を把握しているわけですが、P3Cに関しては全然乗組員の災難、船の状況というものを把握していないということになりますと、日本側からとりますと、原潜は自分が衝突したんだからこれは自分に責任がある、しかし、ともに行動しておったアメリカの海軍当局としては共通の責任があるわけです。原潜は衝突したから、もちろん原潜に衝突の責任はあるけれども、最終の責任はアメリカの海軍にあると私は思うのです。  そういたしますと、P3Cが本当に救助の必要を認めなければおかしいと思われる判断材料、それから救助の必要を認められなかった、やむを得なかった、こういうふうな判断材料ですね、それはこの中間報告からは受け取れない。日本側が、原潜の責任はともかくとして、ともに行動しておったP3C、しかも乗組員の方々の報告によりますと、P3Cが二、三回上を飛んでいる、こういうふうになっておりますね。そういうふうなことはこの中間報告には一切書いてありません。一時間二十七分後、これも問題がありますが、一時間二十七分後に該当海域一〇〇%を捜索したときに、P3Cの記述が初めて衝突後出てきているわけです。こういうふうな問題について、非常に中間報告としてはなっていない、こういうふうに思えます。  いま外務省を通してその点は、P3Cがとった行動、それからP3Cがどこまで確認をしておったのかというふうなことについてはお問い合わせ中だというふうにおっしゃいましたけれども、問い合わせをして、また国会に報告をしていただけるのでしょうか、どうでしょうか。その点は非常に重大な問題だと思うのですが。
  168. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 今回の事故に関しまして米国側が現在とっておる立場というものは、いずれ裁判をするということで、関係者一同が実は米国側の裁判において被告になるかもしれない、こういった状況に置かれているわけでございます。したがいまして、その米国側としては、今回のような中間報告を出すということにつきましても、初めはきわめて難色を示していたわけでございます。しかしながら、日米関係等を考慮して、総理訪米に際し、ああいう中間報告をしたということでございますので、私どもの問い合わせに対して、今度は最終的な結論が出るまでの間に、逐次米国側回答があるかどうかということについては、私ども確信が持てないわけでございますが、米国側からそのような点についての回答があれば御報告させていただきたい、かように考えます。
  169. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 それでは、もう一点お聞きしたいのですけれども、衝突して一時間二十七分後にジョージ・ワシントンの艦長が、日昇丸の「損傷を受けていないとの自己の判断を確認するため、P3Cに対し、当該水域に遭難船舶があるか否かを捜索するよう要請した。P3Cは、当該水域を一〇〇%捜索した結果、」こうなっておりますけれども、この「当該水域を一〇〇%捜索した結果、」というのは、一〇〇%という数字を書いてありますからきわめて具体的なようですけれども、われわれから見ますと、この当該水域と言いましても、一体どの範囲を決めて、どういうふうにして一〇〇%というふうになっているのかどうか、海上保安庁はこの点については疑問をお感じになっておりませんか。いかがですか。
  170. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 原文を見ますと、「一〇〇パーセント オブ ザ ローカル エリア」でしたか、当該水域の全部ということで、そのいわゆるローカルエリアというものがどの範囲を指すかということについて私ども承知していないわけでございまして、そういった点に関しましても私どもとしてはなお照会いたしたい、かように考えております。
  171. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 もう時間がありませんので、原潜問題はこれで終わりたいと思うのですが、先ほど長官は、初めは中間報告をいやだと言っていたのを中間報告を出したと多少評価しておられますけれども、これは日米共同声明を出す前にぎくしゃくしたら困るからということで向こうがお出しになって、しかも、この内容は、評価をするような内容でないと私は思います。というのは、私がさっき申し上げました乗組員の話を見ましても、それから朝日新聞等にも「ナゾなお水面下」というように、この中間報告ではやはりアメリカが、日本の日昇丸の皆さん方を見殺しにしたというふうな状況が非常にはっきりしているし、国民としては納得のいかない点がたくさんございます。そういう点について、向こうからお答えがあればいいですがというふうな、そんな態度でこんなことが解決するのかどうかということがございます。  これは最後に大臣にお聞きしたいと思うのですけれども、先ほどから幾つも追及しましたように、わからないことだらけというのが中間報告の内容でございますし、これはアメリカに対して、本当に誠意を持って、国民が納得のできるようなことをちゃんと答える。最終報告が出るということですけれども、最終報告だって、こんな状況では中身は当てにならないと私は思うのです。それに対して日本政府として、直接運輸大臣がなさるわけではないし、外務省にということになると思うのですけれども、運輸大臣としてこの問題にどのように対応をしていかれるおつもりなのか、それをお聞きしたいと思います。
  172. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 非常に不幸な事件が起こりまして、私たちも憂慮しておったのでございますが、具体的にその調査結果をどう活用するかは別といたしまして、アメリカではすでに補償の話にも入ってきております。そういたしますと、われわれといたしましては、先ほど妹尾長官が言っておりますように、その当時の状況調査というものを十分にして、それをもって、わが国がアメリカとの間にこういうことを将来なからしめるためにどうするかという話をしていかなければならぬ。その材料に資するために、われわれは最善の努力を重ねまして、聞き取り得るものはそのまま率直に提出しなければならぬだろうと思うております。
  173. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 それでは、原潜問題はこれで終わらせていただきまして、次に、幾つかのことについて御質問したいと思います。  まず一つは、私鉄運賃の問題なんですけれども、予算の集中審議のときに私の方から質問をさせていただきました。事業報酬の対象資産として建設仮勘定の中に設備投資の借入金の利息を含めて算定をしておられる、これは二重取りになるということで私が御質問させていたださましたら、大臣は検討をお約束いただきましたので、どういうふうに検討されたのか。検討されたのだったらその内容。もし今度の申請に間に合わせていただいているのでしたら、対象資産の減額を各社別にどのくらいしていただいたのか、それもお答えをいただきたいと思います。  あわせまして、併算割引運賃の問題なんですけれども、四月二十三日に私鉄運賃の値上げ申請に対して運輸審議会が答申を出しておられますが、その要望事項の四番目、併算割引運賃について検討するようにというふうな鉄監局の通達を出しておられますね。このことは、各社だけではなくて、民鉄協会としても一緒に検討するようにというふうにも鉄監局の方から言っておられると思うのです。この要望は非常に強いと思うのですけれども、もしこれの検討を始めておられるとしますと、いつごろまでに結論が出て、実施の見込みはいつごろになるだろうか。この二点についてお聞きをしたいと思います。
  174. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 第一番目の、建設仮勘定に計上されております利子相当分が、運賃原価計算上、事業報酬対象資産に入っておりますと二重ではないか、こういう御指摘がございまして、私ども検討をいたしておったわけでございますが、先般運賃の改定の原価を査定いたしました段階におきまして、固定資産に建仮上の金利を導入している会社が五社ございました。そこで、それぞれの五社の中から、金利相当分を事業報酬対象資産から控除いたしまして事業報酬を決めたという査定を実行いたした次第でございます。その分は認めないということで運賃を計算したわけでございます。  第二番目の併算割引運賃制度の導入につきましては、かねてから私どももその導入の拡大につきまして非常に強く関心を持っておったところでございます。今回の私鉄運賃の審議に際しまして、運輸審議会の答申にもございます。私どもも認可に当たりましては、先ほどのお話のように、各社に、併算制運賃の一層の拡充導入につきまして早急に検討してください、こういうことを通達いたしました。また私の口から各社の社長さんにじかにこの旨をお話しいたしました。各社といたしましても民鉄協を中心といたしまして検討を開始しているわけでございますが、具体的にはいろいろな問題が出てまいることになろうかと思います。時期につきましてはいつをめどにというふうに申し上げられませんが、できるだけ早い時期に検討を終わり、またそれを実施に移すようにさらに指導してまいりたいと思います。
  175. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 それでは、時間がありませんので、あと二点続けて質問させていただきます。  一つは、国際障害者年に当たりまして、運輸省の中ではどの部門が、国際障害者年のそういう障害者対策について担当しておられて、どういう計画を持っておられるのか。  それにあわせまして、私鉄ですね、これは通達の中ででも、値上げとともにサービス改善ということで障害者対策については触れておられますが、いわゆる長期にわたる計画というものが出されておりません。ましてや国鉄に至ってはそのとおりだと思いますので、私鉄、国鉄、長期にわたる計画を立てておられるのかどうか、今後立てるようにされるのかどうかということが一問。  もう一つは、これはまたちょっと変わりますけれども、先日わが党の三浦議員の質問によりまして、日航労組の組合員への不当労働行為に対する救済命令を会社側が履行されないということで質問をしましたところ、大臣の方から「近いうちに日本航空の当事者を呼び、十分事情を聞いて、それなりに話し合いの経過等を一回よく聞いた上で、できるだけ早く解決するような方法を、会社自身も努力するように申し伝えたいと思います。」というふうに御答弁願っているわけなんですが、そのようにしていただけましたのかどうかということをお聞きいたしまして、私の質問を終わります。
  176. 石月昭二

    石月政府委員 国際障害者年に当たりまして、運輸省のどの部局がその施策を推進しておるかというお尋ねでございますが、身障者対策につきましては各局にわたりますので、各局個別の問題につきましては陸海空の各担当の所管局でやっております。また、全体にわたります問題につきましては官房の企画部門におきましてその取りまとめ、調整を行っているところでございます。  それから、国際障害者年におきまして現在どのような計画を運輸省として推進しているかというお尋ねでございますけれども、本件につきましては、先生御承知のように、従来から各局ごとに身障者の施設整備というようなハード面、それから運賃割引というような点につきましていろいろ努力してきているところでございますが、それらの成果、特に施設面につきましては、どこにどういう施設整備が行われているかというようなことについて必ずしもPRが十分に徹底していないというような実態を踏まえまして、五十六年度の予算におきまして五千八百万円ほどの予算を計上いたしまして、視覚障害者の方々、それから肢体障害者、車いすの方々、これらの方々に、どこにどういう施設整備してあるかというようなことを点字マップ並びにその他のマップでもって資料をつくりまして配布することにいたしております。そういう形で利用の促進を図っておるわけでございます。  また、将来の施設整備計画の問題でございますけれども、御承知のように、これは自宅から目的地まで一貫して公共交通機関が利用されなければならぬ、そういうことでございますので、部門によっては、たとえば道路については建設省、交通信号については警察庁というような形に関係各省にまたがります。それからまた、障害の種類によって、たとえば車いすの方々と視覚障害の方々と要求する施設整備内容がいろいろ違っておりますので、また、その要求自体が相衝突する場面もあるわけでございますので、それをどの辺に決めたらいいかということにつきまして、先生御承知のように、中央心身障害者対策協議会においてただいまいろいろ協議検討が進められておる状況でございますので、その結果を待ちまして、われわれとしては計画を立てていきたい。  なお、中央心身協の協議結果だけではなくて、運輸政策審議会において、ただいま八〇年代の交通政策ということについていろいろ勉強しておりますが、その中でも身体障害者並びに、たとえば子供を連れた母親といったような交通弱者対策をどうしたらいいかというようなことにつきましては、基本的な考え方を勉強しているところでございます。
  177. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど御質問がございました質疑は三月二十四日に行われたわけでございますが、早速三月二十七日の日に、私自身が担当役員を呼びまして、日航の本問題に対する考え方について説明を求めた次第でございます。また、繰り返し申しておるわけでございますが、できる限り早期に解決するよう重ねて要望をいたしたような次第でございます。これに対しまして、日航の担当役員の説明では、先般議論もございましたが、現在中労委におきます審問、これを尽くすことが必要でありまして、直ちにその審問と別に解決を図るということは困難であるというような説明があったわけでございます。  私どもは、それに対しまして、具体的にいつどういうふうにすべきだというようなところまで立ち入って申し上げる立場ではございませんけれども、別途、御存じのように、労使間で具体案をめぐる話し合いが進められておることでもございますので、本件が平和裏に、なるべく早期に解決されるよう重ねて要望をいたしまして、日航の方も努力をするという約束をいたしたような次第でございます。
  178. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 これで終わります。  どうもありがとうございました。
  179. 関谷勝嗣

    ○関谷委員長代理 次に、西中清君。
  180. 西中清

    ○西中委員 日昇丸事件について御質問をいたしたいと思います。  最初に、大臣にお伺いをいたしたいのですが、八日の閣議後の記者会見で、この衝突事件についての海上保安庁の報告書がまとまったので、訪米中の鈴木首相、伊東外相が帰国後提出するとの意向を明らかにした、こういう報道がなされておるわけでございますけれども、もう御報告になったのでしょうか。
  181. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 外務大臣には私からも説明いたしました。
  182. 西中清

    ○西中委員 それは、いわゆる運輸省としての完全なる報告という意味でございますか。
  183. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 海上保安庁の完全なものというわけではございません。こういうことで事情聴取等を終わりまして、中身は大体こんなことでございますという程度です。
  184. 西中清

    ○西中委員 海上保安庁にお伺いしますが、そうしますと、午前中でしたか、同僚議員の質問に対して、きわめて近いうちに国会に提出するということでございますけれども、一応まとまりを見て外務大臣にもうお出しになった、こう解釈してよろしゅうございますか。
  185. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 私どもが午前中に、報告するとか公表するとか申し上げているのは、完全にまとまった文書でございます。完全にと言いましても、その概要でございますが。ただ、先ほど来の外務省へのという話は、これは米国への照会等の必要がございますので、逐次外務省に必要な事項を連絡している、こういう意味でございます。
  186. 西中清

    ○西中委員 総理には、いつ報告されますか。
  187. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 総理に直接というのは予定は立てておりませんけれども、内閣審議室、あるいは総理の秘書官、あるいは官房長官、こういったルートを通じまして、必要な連絡ということは行っております。
  188. 西中清

    ○西中委員 そこで、外務省おいででございますか。鈴木総理は、日米首脳会談の後、記者会見をなさいまして、この原潜問題について言及をされておるわけですが、アメリカ側が中間報告をしてきた、それに対して、しかし日本も海保が調査や生存者の事情聴取をしてアメリカへ提供する準備をしているので、これを十分参考にして、日本国民が納得できる最終報告を早急にまとめてほしいと要請した。こういうことになっておるのですが、ここで言う意味は、日本側がきちっとした事情聴取をしなければアメリカ側が最終報告を出せない、こういうことを意味しているのですか、その辺はいかがでしょうか。
  189. 松田慶文

    松田(慶)説明員 お答え申し上げます。  総理及び外務大臣が訪米中に米側大統領以下要路の人に本件を提起いたしました際、早急な事態の進展、そして米側の最終報告の提示というものを求めておりますが、それと同時に、それがかなり時間がかかるという見通しのもとに、私どもとしても海上保安庁を中心にいろいろ事態を解明しているので、その調べたことをこれから米側にいずれ出すから、米側としても自分たち調査と突き合わせて、両者の調査の間に不一致のないように、みんなが納得するような事実の解明に努める必要があるという趣旨の御発言をなさっているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、日本側がそういうものを出さなければ向こうが出てこないというふうな相関関係はない、向こうは向こうで部内の司法手続を含めてそれなりの進展を図っておると理解しております。
  190. 西中清

    ○西中委員 大臣は、こういう海難事故といいますか、その主務大臣ですから、当然、総理が日米首脳会談でどのようなお話をされたかお聞きであると思うのですけれども、総理から何らかの報告なりお話をお聞きになっておりますでしょうか。
  191. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 アメリカの方はこの問題につきまして遺憾の意を表し、そして補償はできるだけ早く完全に行いたいという趣旨の発言があったということを聞いております。
  192. 西中清

    ○西中委員 その話し合いの中で、いわゆる日本側がいま大詰めといいますか、報告が大詰めだということですけれども、アメリカ側の最終報告はいつごろになるかというようなことについてはお話し合いがあったのでしょうかなかったのでしょうか、その点はいかがでしょうか。
  193. 松田慶文

    松田(慶)説明員 私どもからは、できるだけ早く、一刻も早くというふうに求めております。これに対しまして、米側からはいつごろまでにというめどは示されておりません。それは米側内部の調査及び責任者の法律上の措置を含む司法手続の段取りがまだ明確ではございませんので、その辺を踏まえて時期は示してきていないところでございます。
  194. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、日本側からアメリカ側に渡す資料、これはいつごろをめどに考えておられますか、大臣。
  195. 松田慶文

    松田(慶)説明員 お答え申し上げます。  先ほどから御論議のとおり、海上保安庁が最終的に調書をまとめられて総理及び国会に御報告になる時期を私どもはお待ちしておりまして、それを米側に示して、われわれの調査はこうであるが、十分参考にするように、不一致のないようにしたい、そういうふうにいたしたいと考えております。
  196. 西中清

    ○西中委員 それは、ごくごくきわめて近い時期に海上保安庁が提出される報告書を米側に送るということですか。
  197. 松田慶文

    松田(慶)説明員 そのとおりでございます。
  198. 西中清

    ○西中委員 事故の内容についてはさまざまな見方があるわけですが、中間報告にはやはり納得しがたい点が非常に多いわけです。時間がございませんから一つ一つというわけにはまいりませんけれども、若干伺っておきたいと思います。  中間報告によりますと、「艦長の最初の通信は、日昇丸が何らの問題もなく事故現場を離れるのを見たというものであった。」こういうように書かれております。しかし、乗務員の証言によりますと、日昇丸は、衝突をされたことにより船はすぐに浸水した、左へ大きく傾き出した、そして十五分後に沈没した、こういうように証言をしているわけでございます。こういう状況にある船に対して、「何らの問題もなく事故現場を離れるのを見た」、こういうふうに報告しておるわけですけれども、船舶の構造上、十五分で沈むというような状態の中で、一体こういうことはあり得ることなのかどうか、その辺の見解をまず伺っておきたい。     〔関谷委員長代理退席、楢橋委員長代理     着席〕
  199. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 日昇丸が衝突によってどのようなダメージを受けたかという詳細については、実はよくわからないわけでございます。私どもとしましては、日昇丸の乗組員の証言で、機関室にできたという傷、それについてはある程度の大きさというように聞いておりますが、それ以外のところにも傷があったのかどうかとか、その辺がよくわからない。それから、潜水艦がどの程度のスピードで日昇丸のどこに当たって、潜水艦のどこがどの程度壊れたのか、この辺がよくわからない。したがって、日昇丸がどの程度のダメージを受けたのか、それから日昇丸が衝突してから沈没するまで十五分といいますけれども、この十五分間の状態というものがどの程度の状態であったのか。それからさらには、米国側の調書に言う日昇丸の衝突地点と沈没個所と推定される場所とは相当の距離がございます。したがいまして、もし両方が正しいとすれば、その距離の間を日昇丸は走っていたということにもなりますし、その辺についてもよくわからない、いろいろと疑問点が多いので、私どもとしてはさらに厳しい調査が続行されて最終結論を得たい、かように考えている次第でございます。
  200. 西中清

    ○西中委員 次に、在日米軍当局は、四月九日の正午ちょっと過ぎに連絡を受けております。ところが、そのときの当局の判断は、中間報告によりますと、「衝突に関係した洋上船舶は重大な損傷を受けなかったと考えた。」こういうように書いてありますね。したがって、翌日の四月十日の朝、海上自衛隊から沈没事故にかかわった米潜水艦の有無の照会を受けながら、そのときの回答は、いまのところ米海軍の潜水艦については該当がない、なお調査中だ、こういう形になっているわけですね。  そこで、お聞きしますけれども、衝突しても大したことがないという判断をすれば日本側に米軍は何も報告する必要はないのだ、こういうことになるのでしょうか。何か当たったのだけれども大したことはない、そういう場合は報告しなくてもいいのか、しなければならないのか、その辺のところはどうでしょうか。
  201. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 米海軍の内部規則がどのようになっているか、私はつまびらかにするところではございませんが、あの報告書を通読いたしました感じといたしましては、潜水艦は、自己の行動の秘匿義務と、それから衝突などをして相手方に損害を与えた場合の救出義務というものの折り合いを見計らっていたというような感じがあの報告書からは読めるわけでございます。したがいまして、相手方にさしたる傷がなければ報告がおくれるか、あるいはしなかったということが米海軍の中で許されているのかどうかということについては、私どもはつまびらかにいたしません。
  202. 西中清

    ○西中委員 この辺は非常に重大な問題ですね。今後の問題として、たとえ軽微であろうが、少なくとも接触をしたということになれば、今回は不幸にして沈没しておりますが、人身事故ということもあるでしょう。この辺のところは運輸省としても、日本政府としても、たとえ軽微であろうとも、損傷はどうであろうとも、即刻報告をするというのが当然の姿勢だと思うのです。この報告書によると、その辺が非常にいいかげんな報告になっておるわけでございますけれども、これに対して、大臣、やはりこれはきちっとアメリカ側に、今後どうするかという点については、ただすべきところはただしておかなければならぬ問題点だと思いますが、いかがですか。
  203. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これが商船同士でございましたら、商船に潜水艦なんてありませんが、当然事故報告もあり、情報はつかめるのですが、相手は軍艦でございましたので、私らの方もなかなか情報をつかみにくかった。しかも、アメリカの海軍の規則ではどうなっているか私も知りませんが、何かすっとかすったかなんか、向こうでもショックがあったことは事実なんで、基地へ帰ってから調べようということで、基地へ帰るまでの間の時間の空白というのがこういう報告のおくれという形で出てきたのではないかなと思うたりいたします。しかし、このことにつきましては外務省を通じまして、何らかの事故がある場合には即刻通報をもらいたいということは当然常識のものと思いまして、私たちは今後速やかなる報告があることを期待しております。
  204. 西中清

    ○西中委員 外務省の方、これは早速外務大臣にお伝えいただきたいと思います。  次に、潜水艦のソーナーについて伺っておきたいのですが、防衛庁来ていただいておりますか。  潜水艦には隠密行動をとるという特性がありますから、水中音というものについては非常に敏感な装置を持っておる。このソーナーの能力ですが、通常この種の原潜の場合、何キロぐらいの探知できる能力を持っておるのでしょうか。また分析は、どのような分析ができるのか、お伺いしておきたいと思います。
  205. 三井康有

    ○三井説明員 お答えいたします。  米国の原潜がどのようなソーナーを装備しているかといいます点につきましては、私ども詳細な資料を持っておらないわけでございますが、一般的に申し上げまして、ソーナーと申しますのは、大きく分けますと、パッシブ方式とアクチブ方式に二別されるわけでございます。パッシブソーナーと申しますものは、目標の音を聞いて判断する。アクチブソーナーと申しますのは、みずから音を出しまして、その反射音をキャッチして探知するということでございます。  そこで、その能力でございますけれども、これはソーナーの性質上、どうしてもそのときどきの水中状況に大きく左右されまして、その第一の要素は、海水の温度が場所によって違うということ、それから海水に含まれる塩分の濃度でありますとか、潮目とか、あるいは海底の地形といったものに大きく左右されます。もし、すべての条件が非常によろしい場合には、パッシブソーナーの場合には数キロないし数十キロ先まで探知できますが、反対条件の悪い場合には数十メートル先のものについても探知はできません。それから、一つにはこれはソーナーの操作員の練度というものにもまた大きく左右されるわけでございます。  それから、どのようなことが識別できるかという点でございますが、これは目標船舶が漁船であるのか、あるいは大型のタンカーであるのか、それとも軍艦であるのかといったような点につきましては、パッシブソーナーを用いた場合には、練度のいい操作員がおりましたら識別はできますけれども、それぞれそれがどういう船なのか、個々の船の名前といったようなところまでは探知は無理でございます。
  206. 西中清

    ○西中委員 中間報告では、衝突事故六分前の四月九日午前十時二十六分、米原潜のソーナーは正常に作動していた、こうなっているのですね。ここで考えられるのは、米原潜がこの六分前にソーナーの探知能力の範囲内まで日昇丸に接近しておったのかどうか、こういう問題ですね。中間報告ではこの原潜の航行速度は明確にされておりませんが、急速に両船が接近しておったことは間違いないと思うのですね。  一体こういう種類の原潜の最高速度はどれくらいか、そして探知できないこの六分間というものは一体どういう距離を指しておるのか、その辺の推定はどういうふうになさっておるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  207. 三井康有

    ○三井説明員 最高速度につきましては、公刊されておる資料等から推測いたしまして、水中におきまして最高で三十数ノットであろうかと思いますが、当該事故が発生しましたときにどのような状況であったのかということは、私ども全く承知いたしておりません。
  208. 西中清

    ○西中委員 まさしくわからぬことばかりなのですけれども、次に、これも中間報告ですが、原潜が潜望鏡でP3Cを確認し、潜望鏡を下げた時点で日昇丸の存在をソーナーがキャッチしたとなっております。その後の原潜側の情報処理の状況を判断しますと、時間的に見て衝突の直後とは思われない、少なくとも六分以内、しかも数分前であったというふうに判断されるわけですが、そういう見解でよろしいのですか、どうですか。  それから両船がどんどん接近してきたわけですから、ソーナーによる情報はますます明確になってくるはずですね。異常接近しておる、こういうことがはっきりしておったんではないかというように判断をしておるのですが、その点はどのように見解を持っておられるか、伺っておきたいと思います。
  209. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 私どもとしては、ソーナーがもう少し早く日昇丸の機関音なり何なりを探知できなかったのかということについては、非常に疑問を持っておりますので、この点についても、なぜソーナーが正常に機能していたにもかかわらず日昇丸をもっと早くキャッチできなかったかということについては、米国側への照会事項の中に入れておるわけでございます。しかし、ソーナーがキャッチする音につきましては、私どもよく存じておらないわけでございますが、かなりの死角というようなものもあるやに聞いております。
  210. 西中清

    ○西中委員 次に、中間報告でまだ疑問の点を挙げます。  衝突によって、日昇丸のエンジンは直ちにストップをしております。したがって、米原潜のソーナーもそのことは感知をしておるはずである、このように私は判断をするわけですね。しかも、その時点、両船間の距離といいますか、それは報告書では千百四十メーターですか、それくらいの距離でございますね。そうすると、異常が認められたか認められないかということは、エンジンの音、千メーター前後でソーナーではキャッチできないのでしょうか。その点はいかがでしょうか。
  211. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 当該原子力潜水艦のソーナーの性能度についても、先ほど申し上げましたように、私どもつまびらかにしておりませんので、その辺はよくわかりません。  もう一つ、日昇丸の機関が直ちに停止したということにつきましても、先ほど申し上げましたように、直ちにというのがどれくらいの時間が経過した後かということについても、なお調査を要するかと思います。
  212. 西中清

    ○西中委員 防衛庁にお聞きしますけれども、距離千百四十メーター、はっきりと相手がわかっているわけですね。そして、船舶に異常があるかないか、ながめておる。少なくとも当たってからエンジンはストップしておるわけですね。その場合に、日本の潜水艦では、エンジンが停止しているかいないかという探知はできますか、できませんか。
  213. 鈴木輝雄

    ○鈴木説明員 先ほど調査課長が申し上げましたように、ソーナーの性能というものは、非常に遠距離まで聞こえる場合もございますが、海象条件その他によっては聞こえないときもございます。それから、方向性がございまして、ある方向では、先ほど海上保安庁長官が申し上げましたように、死角になるところもございますので、その距離千何百メートルかで聞こえなければならぬとか、聞こえるはずはないとか、ちょっと申し上げにくい問題かと思います。
  214. 西中清

    ○西中委員 事実関係に関することですから、慎重な発言はよくわかりますけれども、常識で考えまして千メーターくらいの音が聞こえないなんて、そんな役に立たないソーナーを自衛隊がつけているのですか。そんなことないでしょう。少なくともエンジンがストップしたという時点で、米軍側は、やっぱりこれは少しおかしいぞ、こう考えるのが普通なんですね。ですから、時間がなくなりましたし、まだ何点かあるのですけれども、この中間報告というのは非常に雑いし、問題だらけであります。こういう点は明快に、外務省を通して、大臣、より正確なる報告を受けるように要求を願いたいと思います。  時間を食いましたので、もうあと何点か疑問点があるのですけれども、大臣に、せっかくおいででございますから、お伺いをしておきます。  大臣は、四月二十二日の委員会におきまして、「やはり海上保安庁が海上の警備、救難、そして情報の収集というのを責任を持っておりますので、とりあえず海上保安庁において、海中にどういうものがあるのか、こういうことを探る、知る能力と申しましょうか、それをつけるべきである。いま海上保安庁の船にはそういう海中探査能力はないのでございまして、これを早急につけてその情報を、航行の激しい地域でございますね、航路上の重要航路なんかのところで、その情報を、通航する商船、漁船というものにある程度提供していく、そういうことをやることが自分自身で航行の安全を守る道に通じる、こう思いまして、それを鋭意検討しておるところであります。」とお答えになっておりますね。新聞報道にもこれは出ておるわけですが、いわゆるソーナーといいますか、そういったものをつけるというような御計画でしょう。いま御検討中だと思いますが、確かにこういう事故が発生いたしますことを見ましたり、またソ連が射撃訓練をするというようなこと、いろいろなことを考えますと、ある面で言えばこれは大切なことではないかとも思うのですが、いまどういうようなお考えであるか、まず伺っておきたいと思います。
  215. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これはどんな考えであるかという御質問でございますが、警備並びに救難活動上、これは絶対必要なものだと私は思うておるのです。従来、潜水艦というものが、余り大洋の中でうようよしておらぬときは、その必要もなかったかもわかりません。がしかし、最近、私が運輸大臣に就任しましてからでも原潜問題は二回あるんですね。第一回目は去年の九月でございましたか、ソビエトの原子力潜水艦が火災を起こしまして、これは日本の領海ぎりぎりで通っていったわけです。こういう事件が起こっておるのです。また今度こんなものが起こってきた。そうすると、これはやはり潜水艦というよりも水中が物騒でかなわぬので、これを十分警備する必要がある、警備の対象に入れるべきだという考えでございまして、特に船舶が多数航行する周辺を重点にやはりそういう探査能力を持っておる必要がある、私はそう思いまして、海上保安庁にこのことを指示したということであります。
  216. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、海上保安庁にお伺いしますが、仮に、いま大臣の仰せのように、ソーナーを装備をする、そして海中の状況といいますか、海面といいますか、海域を探査をしていく、こういう作業が海上保安庁に加わるわけでございますけれども、その場合、得た情報というものは一体どういうことになるのかというのが一つの問題点ではなかろうかと私は考えておる。要するに、これはいわば軍事的情報ということに相なるわけでございますが、海上保安庁としては、そういう仕事ができるのかどうなのか、まずお伺いをしておきたいと思います。
  217. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 私どもとしては、いま考えておりますのは海上交通情報と申しますか、海洋交通情報、こういったものが、現在わが国の交通安全担当官庁といたしまして非常に不足いたしておるわけでございます。したがって、水中の話はもちろんのこと、洋上の話に関しましても、この二百海里水域という海面だけに限ってみましても、そこにどのような船舶がどのように動いているかということについて全面的に把握できておらないという状況でございますので、これを何とかシステム化して、日本近海の船あるいは艦艇、こういった交通情報というものを一元的に把握しておきたい、かように考えておるわけでございまして、水中情報に関しましても、その一環として交通安全情報として考えておるわけでございます。
  218. 西中清

    ○西中委員 交通安全上、海難上の事故防止という目的はわかります。しかし、現実問題として、ソーナーを備えつければ、アメリカもソ連も日本の潜水艦も全部これはキャッチできるわけですね。新しい情報といいますか、大体潜水艦は、常識的に言いますと追いかけっこしていますから、一つの情報が出てくればこれは他の情報にもつながってくるわけなんで、その情報の収集を行って、どうして秘密を保持するか。逆に言うと、その行為そのものが、海上保安庁として軍事的な行為につながってくるということを私は指摘をしておる。それは法律上できるかできないか、いかがですか。
  219. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 海上保安庁の庁法の規定を待つまでもなく、海上保安庁は、いかなる場合においても軍隊として組織されているものではございません。したがいまして、私どもとしては、それを軍事情報というような観点から収集する意図もございませんし、また軍事に役立つような形での能力というものは持ち得ないであろう、かように考えております。しかしながら、たとえば潜水艦の情報といいましても、現在、たとえば対潜哨戒機なんかで広域にやっておりますけれども、そういったような非常に綿密なものではございませんで、私どもとしては一番関心があるのは、日本近海の、しかも浅い水域において、せいぜい洋上船舶と衝突するおそれのあるようなところの情報、こういったようなことでございます。
  220. 西中清

    ○西中委員 日本近海の、浅いとかそういうことじゃなくて、少なくとも海上保安庁の行動範囲というものはそれなりにあるわけですね。そこには潜水艦が行動している場合もあり得るわけですね。それがどんどん情報として入ってくるんですよ。  それでは、秘密の保持はどういうようにしてなさるのですか。
  221. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 私どもとしては、ここに潜水艦がいるということは、それは当該軍事当局にとっては秘密かもしれませんけれども、海上交通担当者としては、できるだけ知りたいわけでございます。
  222. 西中清

    ○西中委員 保安庁としては軍事的情報でなくても、使用法によっては軍事的情報になり得るわけですね。その点認めますか。
  223. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 海上保安庁が収集できる程度の情報が軍事的にどの程度の役に立つかということについては、私ども、ちょっとわかりません。
  224. 西中清

    ○西中委員 なり得る可能性はあるでしょう。ゼロではないですね。いかがですか。
  225. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 そこを余りぎりぎりおっしゃいますと、何も知ったらいかぬ、しかし警備をしろ、これは無理な話でございまして、だから長官が言っていますように、これは交通安全上の問題でございますから、純粋にわれわれは任務遂行のためのみしか考えておりません。そこはひとつ御理解いただきたい。ですから、そんな軍事情報介入なんて、そんなつもりはさらさらございませんので、そこはわれわれも分をちゃんと知ってのことでございますから、御安心いただきたいと思います。
  226. 西中清

    ○西中委員 私、海上保安庁や運輸省を疑っているわけではないのです。秘密が漏れるということを恐れているわけでございまして、その辺のところの担保はどういう形でやるのかということをお伺いしておるわけですね。これは何か担保できますか、海上保安庁。
  227. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 失礼な言い方でございますが、何の秘密なのか。海中に何があるということはやはり日本の商船なり漁船に知らしてやることがわれわれの務めでございますから、おっしゃっていることがちょっとわからぬのですが。
  228. 西中清

    ○西中委員 どこの位置にどういう潜水艦がおる、何がおるということは軍事情報になると私は判断します。その見解は少し違うと思う。  それじゃ伺いますけれども、ここで知った情報を漁船なり一般船舶に一々一々どういう手段で連絡をして安全を守るのですか、保安庁。全部打電して、どこに原潜がおる、どこに何がおるということの情報をそこらじゅうにばらまくのですか。
  229. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 私ども、よく承知していないわけでございますけれども、たとえば太平洋に米ソの潜水艦が横行している。こういったものを、いまアメリカの潜水艦がこっちへ行ってソ連の潜水艦がこっちへ行ったというような情報、つかもうとも思っておりませんし、また、つかめないだろうと思っております。私どもが問題としておりますのは、船舶交通のふくそうする水域における一般情報でございまして、たとえば潜水艦多数がそこで訓練をしているというような感じの、そういうような、航行上そこを通航する船舶について一般的に知っておいてもらいたい、そういったような情報が入りましたときには、それこそオープンに航行警報でも何でも流したい、かように考えております。
  230. 西中清

    ○西中委員 その情報は、いま流すとおっしゃったけれども、防衛庁、訓練なり航行なりについての情報を流されてもいいのですか、お伺いしたいと思います。
  231. 三井康有

    ○三井説明員 どのような情報が公開されることになるのか、私どもまだ承知いたしておりませんので、いまの段階では何とも申し上げられないわけでございます。
  232. 西中清

    ○西中委員 防衛庁は軍事的な行動について情報は提供なさいませんね、国会にも。その点はどうですか。
  233. 三井康有

    ○三井説明員 そのとおりでございます。
  234. 西中清

    ○西中委員 その法的根拠は何ですか。
  235. 三井康有

    ○三井説明員 それぞれ事項ごとによって違うと考えております。
  236. 西中清

    ○西中委員 それぞれ事項ごとによって規制がされておるということですね。  海上保安庁にもう一遍お伺いしますが、訓練をしておるとか、また多くの原潜なり潜水艦が集まっている海域であるという情報も一方で流す、これは防衛庁はそういう方針であっても海上保安庁はオープンにする、こういうことですね。いかがでございますか。
  237. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 たとえば、ついせんだって、九日の日でしたか、日本海において自衛隊と米軍の合同演習が行われるということで、それはわが方といたしましては情報をキャッチして航行警報で流したわけでございます。これにつきましては、当該演習というものが海上交通に影響を与え、付近航行船舶に知っておいてもらった方がいいという判断のもとに、私どもとしては、防衛庁と御相談の上、これを航行警報として流すということにいたしたわけでございまして、もちろんわれわれとしても国家機密に属するようなことをどんどん流すというようなことは毛頭考えていないわけでございまして、だけれどもその交通の安全ということが優先するということはやはり考えていきたい、かように考えているわけでございます。
  238. 西中清

    ○西中委員 時間が参りましたのでなんですけれども、どうもまだその辺、機械がキャッチするものですからね。ですから、あってはならぬことですけれども、これはスパイということもあるわけですから、防衛庁は防衛庁で防諜対策というのですか、いろいろとやっているのでしょう。海上保安庁またこれを船につけると、それに対して対応しなければならぬことがいっぱい出てくると思うのです。そういうことも十分配慮しなければ、このソーナーをつけるという問題については非常に問題が多い。その秘密保持という問題と、軍事的行動につながるかつながらないかという問題と、さらに今度は、先ほど来繰り返し強調されておりますけれども、海難事故防止という目的からいけば、これはやはりオープンに公表しなければならぬ、情報を流さなければならない。それはいまおっしゃった訓練だけに限らないと思うのですね。海難事故というのは訓練以外のことでも起こり得るわけなんですから。  そういうことになりますと、これはなかなか問題の多い考え方ではないかというように私は思っておるのです。その辺のところは後日また論議をさせていただきますけれども、慎重にこの問題については対処をしていただきたい、こう思いますが、最後に大臣の御答弁をいただいて、質問を終わります。
  239. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 まさに私たち検討すべき項目を御指摘されたと思うておりまして、私はもう率直にいまの御質問を聞いております。われわれも、そういう問題等もあわせて検討いたさなきやならぬと思うておりまして、仰せのように慎重に対処したいと思うております。
  240. 西中清

    ○西中委員 終わります。
  241. 楢橋進

  242. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 ただいままで大変緊迫した海の話が続きました後で、ローカル空港整備の話といったようなことで、ちょっと恐縮なんですけれども、たまたま本委員会で発言の機会を与えられましたので、日ごろ頭にあったことをちょっと伺わせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  初めに、将来の国内の交通体系というものはどういうふうになっていく見通しであるか、新幹線とか高速道路等が十分整備された場合に国内航空というものの位置はどうなるのか、あるいはまた航空の利点というようなものを生かして新幹線であるとか高速道路の整備はほどほどにするのか、そういった点につきまして、将来の国内航空の位置づけといったようなものをお聞かせいただきたいと思います。
  243. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 お答え申し上げます。  まず、航空輸送の現状でございますけれども、先生御承知のように、現在航空輸送は順調な伸びを示しておりますけれども、日本の国内の総輸送量に占める量的なシェアというものはわずかに〇・一%でございます。距離の要素を加味しましてようやく五十四年度で三・九%という比率になっております。いわば量的にはまだ微々たるものでございますけれども、航空が高速性を持った交通機関であるということ、そして特に長距離輸送あるいは海越え、山越え路線において非常に効果が発揮されるということ。これも実績を見ますと、たとえば東京−札幌間におきます旅客の流動量の航空が占めますシェアは九五%に達しております。また、大阪から高知へ参ります旅客流動量に占めます航空のシェアは八九%に達しております。  こういうような状況でございまして、航空の特性は、実績を見ましても、長距離輸送あるいは海越え、山越えの輸送というのに最も適した交通機関であるということが言えようかと思います。  そして、最近のジェット機の就航によりまして、高速性のほかに、乗っている間の快適性というようなものも著しく増してまいりまして、一般の国民の航空を選好する機運というものは今後もますます強くなってくるのではないかというふうに考えております。  五十五年度は、運賃値上げもございましたし、また一般的な景気の冷え込みもございまして、輸送需要は五十四年度とほぼ横ばいに終わりましたけれども、それに先立つ数年はいずれも二けた台の伸びを示しておりまして、今後も恐らく景気の回復に伴いまして安定した伸びを示してくるんではないだろうかというふうに考えておるところでございます。  私どもは、そういう将来の航空輸送の伸びあるいは航空輸送の特性というようなものを考えまして、今後とも空港の整備というようなものを計画的に推進してまいりたい、かように考えております。
  244. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 現在、第四次全国空港整備計画というようなものが進展中のようでありますけれども、そういたしますと、今後需要がますます増加していくと見通される場合、その第四次の終了以後、また、第五次であるとか、あるいは別な名称になるかもしれませんけれども、引き続き六十年、六十一年以降もさらに整備が進められていくのかどうか、その辺お伺いしたいと思います。
  245. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 ただいま御質問ございましたように、本五十六年度を初年度といたします第四次空港整備五カ年計画というものを現在策定中でございまして、その投資規模につきましてはすでに一兆七千百億円ということで三月十三日に閣議了解をちょうだいいたしたところでございます。現在その具体的な内容について鋭意詰めを行っておるということでございます。  そういう時点で、四次空整が終わりました後の五次空整をどうするというようなことを申し上げるのもいささかいかがかと思われるのでございますが、現在計画いたしております第四次の空港整備五カ年計画、この目玉と申しますか、柱と申しますか、その中心になりますものはやはり東京、大阪両地区の空港の整備ということであろうかと思います。もちろん地方空港のジェット化というものを全く忘れているわけではございませんけれども、第四次の空港整備五カ年計画としては、いわゆる東京、大阪を中心とした航空の二眼レフ構造というようなものが現在航空輸送の特色として言われておりますけれども、その東京、大阪両地区の空港というものが、御承知のような情勢で行き詰まっておる、こういう観点から、第四次空港整備五カ年計画では両地区の空港の整備というものをどうしても中心に据えざるを得ない。ところが、この東京、大阪両地区の空港というのはいずれも規模の大きい事業にならざるを得ないわけでございまして、当然のことながら五カ年というような短期間では終了しないわけでございます。また、地方の空港のジェット化あるいは大型化というものも最近はかなり期間がかかるわけでございます。  そういう観点から、私どもむしろ五カ年計画というよりは十カ年間程度を見通した計画であるべきではないかというふうに考えておるわけでございます。将来の十カ年を見通したその前半五カ年と位置づけるのがむしろ適当ではないだろうかという考え方を持っております。したがいまして、第四次空港整備五カ年計画が終了した後の時点におきまして、私どもとしては引き続き第五次の五カ年計画というものを策定してまいりたいというふうに現在考えておりますが、ただ、これはまだ先の話でございますので確定的に申し上げるわけではございませんが、私どもの気持ちとしてはそういう気持ちを持っておるということをお答え申し上げます。
  246. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 いままでのローカル空港の配置というものを見ますと、沖繩とか離島関係を除きますと、どちらかといいますと、国内交通という観点よりはむしろ昔日本の陸軍が使っていたからとかあるいは海軍が使っていたからそれをたまたま利用している、そういう感がしないでもないのでありますけれども、地方の空港というものは、いままでどのような観点から、また、どのような基準で整備が進められてきたのか、御説明いただきたいと思います。
  247. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 現在、日本の空港の数は、御案内だと思いますが、七十七でございまして、そのうち第一種空港が三、第二種空港が二十三、第三種空港が四十三、その他の空港も合わせまして七十七、こういうことでございます。  私ども、空港の整備を進めるに当たりましては、先ほども御答弁申し上げましたが、国全体の経済計画あるいは全体の交通体系整備の一環といたしまして航空輸送が果たすべき役割りに対応したネットワークを張りめぐらすというために空港の整備を進めておるわけでございまして、空港整備の基本は、先ほども申し上げましたが、第一に、東京と大阪の両地区の空港を整備するということでございます。そして第二に、東京、大阪以外の地方の空港のジェット化、大型化を中心とした整備を進めていく、こういう考え方でございます。  具体的に申し上げますならば、それぞれの地方における航空需要がいかに伸びるかということを私ども算定をいたしまして、それが航空路線を開設するに足るものであるかどうか、また、その建設地における建設計画、そのコストが妥当なものであるかどうか、また空港の設置は、当然のことながら周辺の地域に騒音その他の問題を伴いますので、地元協力が得られるかどうか、こういうような種々の観点から検討をいたします。さらには、先ほど来申し上げました五カ年計画における財政上の制約もございますので、そういう財政事情等も考慮いたしまして、それに合致したものを採択し、整備を進めていく、こういう基本的な考え方でございます。  もちろん、空港の過去の経緯を申し上げますならば、御指摘のように、旧軍の使用しておりました空港を引き続き民間空港として利用したケースもございます。ただ、それらはいずれもその都市に必要な空港として、たまたまそういうものがあったというものを利用したということでございまして、その多くは、すでに、設備が不十分であるということから新しい場所に新空港建設というような形で位置を移転したものが多うございます。したがって、軍の空港があるところに民間空港をつくるということではなくて、民間空港として必要なものを設置する場合に、たまたま旧軍の使用していた空港が使える場合にはそれを有効に活用するという結果として、御指摘のような場合も起こっていったということだと思います。
  248. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 具体的な地名を挙げてちょっと恐縮なんですけれども、青森空港の五十四年度の利用者数というものを見てみますと、十一万六千人程度であります。この航空需要というような点から見ますと、この程度の利用者があれば条件を満たしている、こう理解してよろしいのでしょうか。
  249. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 ちょっと御質問の意味がはっきりしなかったのですが、青森空港の実績は、御指摘のように、五十四年度で申しますと、十一万四千人でございます。現在就航しております機材は、いずれの路線もYS11でございます。ただ、私ども青森空港につきましては、将来の需要見通しを立てまして青森空港の需要というものはかなり大きなものが見込まれるということから、この五十六年度、実施設調査費をつけまして、今後青森空港のジェット化に進むという決定をいたしたような次第でございます。
  250. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 その需要見通しを立てている地域と立ててない地域とがあるようですけれども、どのような地域を対象に需要見通しを立てられるのか、また、その予測というものはどの程度の正確度を持っているものなのか。以前何年か前に予測を立てられたのと現在とを比較していただけばわかると思うのですけれども、そういった点、御説明いただければありがたいと思います。
  251. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 私ども、空港の整備を行います際に、まず、先ほども申し上げましたように、現在のジェット機の発展に対応いたしまして、ジェット化、大型化を進めるということが一つの大きな柱になるわけでございます。したがいまして、現に空港として機能しているもの、この空港についての将来需要をまず算定をいたします。また、現在空港がない地域に新しい空港をつくりたいというようなお話がございますならば、これは現在の空港あるいは現在の航空輸送実績をもとにするわけにはまいりませんが、その場合には別途の手法によりまして、そこにもし空港ができるならばどのくらいの需要があるであろうかという推計をするわけでございます。  また、過去の経緯を申し上げますが、私どもの立てました航空輸送需要見通しとまた現実の実績とがどの程度乖離しているかということを個々の空港について申し上げるのはなかなか困難でございますけれども、私どもといたしましてはもちろんぴたりと当たるというようなことを申し上げるつもりはございませんけれども、おおよその基本的な方向においては私どもの推定いたしました考え方というものは大きく間違っていなかったというふうに自負しております。
  252. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 それでは、第四次の整備計画が終了した後、今度のこの整備計画にローカル空港というものはないようですから、現在でも同じことかもしれませんけれども、現時点で航空機を利用をするのに最も不便な地域ですね、府県単位で結構なんですけれども、あるいはまた客観情勢とか利用効率といった点から、ローカル空港をこれから建設するとすれば、どのような地域に建設するのが一番望ましいか、あるいは可能性があるか、そういった点、見通しがあればお聞かせいただきたいと思います。
  253. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 現在、空港のない地域に空港を建設する可能性ということの御質問かと思います。  私ども、先ほども申し上げましたように、現在の日本を見まして、まだ高速交通機関の恩恵に浴していない地域というものが残されているということは承知をいたしておるつもりでございまして、将来の交通輸送体系のあり方ということにつきましては、現在、私どもの官房が中心になりまして、運輸政策審議会におきまして、そういう地域に高速交通機関を引く場合に、どういう地域は鉄道がよろしいか、どういう場合には空港がよろしいかというようなことが議論されておる段階でございまして、まだ結論を得られる段階ではないと思いますけれども、私どもといたしましてはその運政審の答申も見ながら、また各地方の御計画等も参照しながら考えてまいりたいというふうに考えております。
  254. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 先ほど二眼レフ構造というのですか、東京、大阪を中心に考えているんだというようなお話でありましたけれども、最近のように世の中の経済が活発になり、複雑化してまいりますと、何も東京とか大阪だけが中心ではなくて、地方の時代と言われるように、やはり地方から地方にという利用者も相当あると思われるのです。たとえば秋田空港の場合なんかを調べてみますと、五十四年で十二万何がしかもありまして、青森の全乗客数よりもローカル・ツー・ローカルの方が多い。こういったこともありますし、近代文明であるとか近代の利益といったものは日本国民全体がなるべくすべからく平等に受けられるべきではないか、かようにも考えられますので、今後の空港の整備に当たりましては、そのレフ構造ということばかりにとらわれるのではなく、十分地方の振興発展あるいは地方の人たちの福利の向上につながっていくようになお一層の御配慮をしていただきたい、こう思うのでありますけれども、いかがでしょうか。
  255. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、東京、大阪がわが国の航空輸送に占めます比率は、昭和四十五年においては約九〇%でございました。要するに、航空を利用したお客の九割までが東京か大阪もしくはその両方を利用したお客であったということでございます。それが、十年たちました昭和五十四年では、東京、大阪を利用したお客の比率は七五%になっております。ということは、先生の御指摘のように、いわゆるローカル・ツー・ローカルというお客が約四分の一を占めるに至ってきたということを示しておるわけでございまして、恐らく今後の地方空港の整備の状況に従いまして、ローカル・ツー・ローカルのお客がいまよりもふえるであろうということは容易に予想されるところでございます。したがいまして、私ども東京、大阪と結ぶということのみに目を向けて空港の整備をするのではなくて、あくまでもその空港が仮にできた場合にはどこと結ばれるのかというようなことを広く計算をいたしまして、その空港の必要性を判断するというふうにしてまいりたいというふうに考えております。
  256. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 ちょっと話が変わりますけれども、ことしは国際障害者年で、国としてもいろいろ障害者の方たちの完全参加というようなことに対して骨を折っておられるようでありますけれども、近年、国内航空というものが大変国民の間に定着、普及してまいりまして、障害者の方たちが利用されるというケースも多いんじゃないかと思うのであります。また、体の不自由な障害者の人たちだからこそ、一刻も早く出発地から目的地に着くということが大変効果のあることなのではないか。長い間汽車に揺られているよりは、体が不自由な人は一刻も早く到着する、こういった点から、現在も二五%ですか、航空運賃の割引というものが行われているようであります。ところが、国鉄の方はあれほどの出血といいますか、赤字でありながら、なお努力して五割の割引をやっている。航空会社にもいま少しこの点に対する配慮を指導していただけないものかと考えるのでありますけれども、その辺はいかがでしょうか。
  257. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 航空におきます身障者に対する割引の問題でございますが、御指摘のように、現在割引率は航空運賃の二五%ということになっております。確かに国鉄は割引率五〇%ということでございますけれども、国鉄利用の場合には普通旅客運賃についての割引になっておりますけれども、航空というのは、先生御指摘のように、高速性、快適性という輸送特性を持っておりますので、国鉄と比較をいたしますならば、国鉄の特急を利用する場合に相当するというふうに考えるべきではないか。したがいまして、国鉄の普通運賃と特急料金等を合算いたしましたものに対する割引率ということで見ますと、航空の場合が二五%で、これは路線の区間によって違いますけれども、たとえば東京−大阪をとれば、国鉄の場合は二八・八%、逆にグリーン車まで利用するということになれば、国鉄の利用は二〇・五%ということになるわけでございまして、航空の高速の特性ということを考えて、国鉄との整合性をとって二五%ということにしておるような次第でございます。
  258. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 国鉄の場合は、先ほども申し上げましたように、困難な財政状況のもとでもあれだけの努力をしているわけでありますので、なお航空会社に対して一層の指導をしていただければありがたい、私はこう考えておるところであります。  では、質問を終わります。
  259. 楢橋進

    楢橋委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十八分散会