○河野洋平君 私は、新自由クラブを代表し、
鈴木総理の
所信表明演説及び当面の
課題について若干の
質問を行いたいと思います。
いま、
わが国は、激動の八〇年代という予測そのままに、きわめて解決のむずかしい
課題に取り巻かれております。しかし、
わが国の
政治は、こうした
状況に対し的確な
対応をしていると一体だれが言えるでしょうか。それよりもむしろ、日本の
政治をねじ曲げようとする警戒すべき徴候が最近になって
政府・
自民党及びその支持勢力の一部に見え隠れし始めた、そう言われておるわけであります。
そこで、私は、まず
鈴木内閣の
基本姿勢について伺いたいと思います。
私は、衆参両院が同時
選挙で空白になったあの約一カ月間、特に故大平
総理が急逝された後の期間に、
国会の意思を聞かなければならないような、国の存立にもかかわる非常事態でも起きたら一体どうなったか、こう
考えると、いまでも慄然とするものがございます。
内閣は
国会から不信任され、しかも首相急死に伴う事務処理
内閣とはいえ、法制上は存在をしておりました。しかしながら、その種の
内閣が、果たして国家の安危に関する重要な決断を一体できたでありましょうか。仮にできたとしても、その決断が何を根拠に真に
国民の信頼にこたえるものと断言できたか、はなはだ疑わしいと思わざるを得ないのであります。
国の安全保障の面から
考えても、このような
政治的空白を一政党の利害からつくり出すようなことは避けるのが当然のことではないでしょうか。健全な
民主主義を育てる上でも、民意を問う機会は多ければ多いほど望ましいということは言うまでもないと思います。また、
二院制のたてまえから言っても、衆参同時
選挙は、それぞれの議院が持つ特性を失わせるものと
考えますが、
総理の同時
選挙に対する御
所見を伺うものであります。
次に、私は、最近特に
論議を呼んでいる
憲法問題について、
総理の
考えをただしておきたいと思います。
はっきりしていることは、
自民党という政党は、党の政綱の中で「
現行憲法の
自主的改正を図る」、こうはっきり明記している改憲政党であるということであります。したがって、奥野法務大臣らの
一連の
発言は、忠実にこの
自民党の本音を吐露したものと私どもは受けとめております。
しかし、これに対して、
総理は
所信表明演説で「
憲法の
理念を堅持する」と述べられるとともに、
鈴木内閣においては
憲法改正は毛頭
考えていない、
改正についての
国民的コンセンサスはできていないと、繰り返し、繰り返し述べておられます。
また、
鈴木内閣の
閣僚の中でも、たとえば宮澤官房長官は昨年十一月、日本のような
憲法を持っていて、それを実践してきたということは、何よりも雄弁に緊張緩和や軍縮へのイニシアチブをとってきたのだ、こう述べておられるなど、外部に向かって積極的にこの
憲法を評価する
発言をされている方もいらっしゃるわけであります。
憲法をめぐる議論が混乱するのは、
自民党がみずからの政綱に
憲法改正を明記していながら、国政
選挙の際には、ほとんどその
憲法改正問題には触れもせず、
内閣は
内閣で、
改正することはないと言うなど、絶えずたてまえと本音が交錯しているからではないでしょうか。(
拍手)
そこで、
総理、私は率直に伺いたいと思います。
総理は、まだ
国民的コンセンサスはないと言われますが、自由
民主党の
方針を重視するあなたの
政治姿勢から
考えて、あなたとあなたの
内閣の
閣僚は、今後
自民党の政綱に沿って
憲法改正への
合意づくりに積極的に努力していくおつもりなのかどうなのか、この点を明確にお答えをいただきたいと思うのであります。もしそうでないならば、あなたとあなたの
閣僚が改憲勢力に利用されることをきっぱりと拒否すべきだと思いますが、いかがでしょうか、御
所見を伺っておきたいと思います。
私たち新自由クラブは、
現行憲法の精神は世界の平和と繁栄のために役立たせるべき崇高な
理念であると
考えます。同時に、種々の世論調査が示すように、
国民の半数以上が
現行憲法の
維持を望むという定着度を見せている以上、との世論に挑戦し、みずから国論の分裂を招くようなことは決して好ましいことではない、こう
考えておることを申し上げたいと思います。
今日、世界の
情勢は、超大国による果てしなき軍拡競争、イラン・イラク
戦争に見られるような局地紛争が相次ぎ、人類がひとしく抱いているはずの国際平和の理想はますます遠ざかる一方かのように見受けられます。
こうした平和の危機の中で、私たちは二年前、当時の園田外務大臣が、参加国の数からも画期的と言われる国連軍縮特別総会で行った
演説を思い起こすべきだと思います。園田外相は「
わが国は人類の先覚者としての誇り高き
憲法の精神に立脚して、
軍事大国の道をとらず、核兵器の廃絶を初めとする世界の軍縮に先進的に取り組む」との
決意を披瀝され、各国代表に大きな感銘を与えたと伝えられております。
近年、軍事問題をめぐる
論議の中で、力に対抗するには力以外に方法がないかのごとき論調が強まっております。しかし、私たちは、
わが国こそが核兵器の廃絶を初めとする世界の軍縮のために最も説得力を持つ
立場にあることを決して忘れてはならないと思います。(
拍手)
このような危険な軍拡競争に、貴重な地球資源とエネルギーが浪費され、それが人類の貧困からの解放を阻み、世界経済の発展にも大きな障害となっているという現実を
考えれば、いまこそ日本は、平和を重んずる高い水準の経済力を持つ国として、世界の軍縮のために主導的かつ具体的な行動を起こすべきであると
考えます。
総理の御
見解をお尋ねをいたします。
次に私は、防衛力の整備とシビリアンコントロールの問題について、
総理のお
考えをただしておきたいと思います。
もとより、私たち新自由クラブは、新しい自由主義政党として、日米安保体制はこれを
維持し、防衛のための質の高い
自衛力の保持は必要であると
考えております。しかし同時に、私たちは、
現行憲法の精神に基づき、
節度ある
自衛力の整備を図ってきたことが、今日の日本の国際的地位の向上に大きな力となっていると
考えております。
たとえばことしの夏、アメリカ上院外交
委員会東アジア太平洋問題小
委員会が公表したいわゆるグレン報告書は、こう述べております。「日本は攻撃的な軍事能力の開発を意識的に差し控える政策をとることによって、かつての敵対的な国々に対し、日本の経済・技術力は軍事的な野心につながるものでもなければ、その他の面でも他の国々の安全を脅かすものでもないことを立証した。こういった見通しが受け入れられたために、日本とその近隣諸国との間に相互の利益となる経済・
政治関係が打ち立てられ、
現状を安定させたいとする共通の利害関係が強まった。」こうグレン報告書は述べておるのであります。
ところが
総理、
政府が来
年度予算の編成に当たって、
防衛費の取り扱いを別枠扱いにするなど、防衛力の強化策を打ち出しつつあるのに便乗して、この立法府の一部にも、ただ単に陸海空自衛隊の戦力を強化しさえすればよいとする
意見が出始めておるのであります。
重ねて申しますが、私たちは
自衛力の整備は必要だと
考えます。しかし、その一方で忘れてならないのは、文民による兵力の統制の
確立ではないでしょうか。私たちには、
政府が
自衛力の強化にばかり熱心で、シビリアンコントロールの強化について何
一つ具体策を示していないのがどうしても気になるのであります。戦闘力の強化に
対応してどう具体的に文民統制を強化されようとするのか、お答えを示していただきたいと思います。
さて、
総理、
わが国は、あなたが述べてこられたように、国際
社会において友好と協調を旨とし、進んで国力にふさわしい貢献をしていくことが必要だと存じます。その場合、最も悪いことは、世界に向かって約束したことを実行しないことであります。
たとえば、私がたびたびこの場所から指摘をしている問題の
一つに国連大学があります。世界の飢餓の問題などに取り組むために五年前に日本が鳴り物入りで誘致した国連大学は、当初
目標とした五億ドルの基金が、現在までのところ一億一千万ドルしか集まっておりません。一億ドルの拠出を約束した
わが国は、一千万ドルがいまだに未拠出のままであり、それどころか、誘致の際に日本が世界に示した公約である国連大学本部への土地、建物の提供であるとか、研究研修センターの建築資金の提供などは全くほおかぶりのままであります。そのために、国連大学はいまだに貸しビルに仮住まいをしているのが実情ではありませんか。
同じような問題に、難民条約への加入問題があります。一九五四年につくられたこの条約に加入していない国は、先進国の中ではもはや
わが国だけというのが実情であり、それは
政府部内の調整が進まないためではありませんか。しかし、
総理、日本が国際
社会に占める地位を
考え、現に国連が強く加入を
期待し続けているというこの事実を重視するならば、一刻も早く難民条約への加入に踏み切るよう、
政府部内、特に外務省、厚生省両省間の調整を急がせるべきだと
考えますが、
政府の御
方針を伺っておきます。
次に、経済問題について、特に
財政再建と
所得税の関連について伺いたいと思います。
今日、サラリーマンが感じている重税感は、渡辺
大蔵大臣の説明にもかかわらず、相当なものであります。それは、
財政再建を
理由に
所得税減税が五十二年以来全く行われず、
所得税の税率が四十九年以来変わらないために、実収入の
伸びをはるかに上回るペースで
所得税がふえているためであります。
たとえば、昨年の家計調査報告では、サラリーマンの税引き前の実収入の
伸びは七%であるのに対して、
所得税は一八・六%もふえ、ことし上半期も
所得税が実収入の三倍近いスピードの負担増となる傾向を続けておるのであります。まさに
増税なしという名の
増税が実態としては進んでいるというわけであり、ことに源泉徴収されるサラリーマンにとっては、いよいよ深刻な、言ってみれば
不公平感が感ぜられているようであります。
所得税は国の税収の四割を占め、そのうちの八割はサラリーマンの源泉徴収分と言われているわけですから、
政府の言う自然増収というのは、実は納税者の一部に対して不公平な負担増を強いることと似た
意味だ、そう私には思えます。
そこで、
総理に伺っておきたいと思います。間接税の
増税などを
考える前に、サラリーマンに偏る過重な負担を軽減する、もしくは公平に扱う、そういうおつもりはございませんでしょうか。世のサラリーマンの不満に対し明確な御
答弁をいただきたいと思います。
財政再建に関連して、
行政改革についても伺っておきたいと思います。
財政再建は行財政改革を含む
歳出削減からというのが圧倒的な
国民世論であります。
総理も
演説で定員
削減の意思を示唆しておられるようでありますが、担当大臣は
就任以来、人減らしには触れずに、省庁いじりはやらないと繰り返し
発言をしておられます。行政の仕事減らしだけで、有効な
歳出削減につながる
行政改革の実を上げることができるかどうか、お伺いしたいと思います。
また、長期かつ総合的な視野を持った
行政改革案策定のために、調査
審議機関を設立する意向とのことでありますが、これに関連して、十六年前、
昭和三十九年九月に行われた臨時行政調査会の答申についてお尋ねしたいと思います。
故佐藤喜一郎氏を会長に、七人の有識者によって二年半も要したこの答申は、千ページ余に上る膨大なもので、いまなお傾聴すべきものが多いのであります。この大半を歴代
自民党内閣が長年放置同然にしていたと
考えれば、新設の調査会の答申の行方も推して知るべしであります。
総理の御
所見と、また調査会の答申をいつまでに求められるおつもりか、あわせてお聞かせ願いたいと思います。
なお、公明党、民社党、新自由クラブ及び
社会民主連合四党が
さきに
合意し、
政府に
申し入れた補助金総額の一割
削減など十項目の
行政改革に対する四党
合意を、先ほど
総理の御
答弁では、参考にする、こう言っておられますけれども、もっと積極的にこの四党
合意の
行政改革を
尊重して、
政府が一日も早く実行されるよう重ねて
要求すると同時に、御
決意を伺いたいと思います。(
拍手)
私は、ここで最近の問題について、二点伺っておきたいと思います。
ことしの夏、日本列島を覆った冷たい夏は、農業はもちろん、夏物を取り扱う中小企業などにまで深刻な影響を与えました。こうした
人々に対し、
政府が被害の実態を早急かつ正確に把握するとともに、緊急融資を初めきめ細かな対策を講じるべきは当然であります。ことに青森、福島など東北から北海道にかけての農家は、被害見込み額が六千億円に上るとも言われる大災害にあえいでおります。こうした農家の救済について、
政府はどんな具体的施策を実行しようとしておられるのか、重ねてお伺いをいたします。
と同時に、専門家の説によれば、日本は来年もまた恐らくことし以上の冷たい夏となる可能性が濃いという説があります。もしそうであるならば、
政府は、冷夏に強い農作物への転換や品種の切りかえといった
長期的視野に立った政策指導を進めておくべきではありませんか。
地震をも含めた自然災害予知のための体制づくりを充実させるべきことも当然と
考えます。来
年度予算でこの面に重点的な配慮を加えるおつもりはないか、あわせてお伺いをいたしておきます。
もう一点、教育立国を主張している
立場から、特に伺いたいのは、もはや
社会問題にまでなっている校内暴力、つまり学校内における暴力についてであります。
あちこちの学校で次々と起きている先生への暴力事件、生徒の間のリンチ事件などは、単純に学校管理の問題とか子供への過保護に原因があるなどと片づけてしまってはいけないと思います。入試地獄の深刻さが子供たちに与えているストレスや学習塾の乱立、家庭における親子の対話不足など、思い当たる学校内暴力の原因を
一つ一つじみちに解決していく努力が必要だと思います。落ちついた家庭教育をしっかりと定着させることのできる教育環境づくりを進めるなど、これらの問題解決に誠実に取り組むお気持ちがおありかどうか伺っておきます。
最後に、私は、
政治倫理の問題についてお尋ねをいたします。
最近の
政治献金にかかわる問題を見ると、私たちは
政治倫理の
確立がいよいよ緊要なものであることを痛感せざるを得ません。
立党以来、
政治腐敗の追放、金のかからない
政治の
実現を主張してきた私たちにも、
国民の皆様から
批判や誤解を受けざるを得ない
部分があったことを、私はまず率直におわびを申し上げます。
私たちは、どんな事情があろうとも、
政治の
浄化に対する私たちの理想を変えるものではありません。むしろ、今回の問題を契機に、
政治資金のあり方などについてより厳しく
対応していかなければならないと
決意を新たにいたしております。
私たち新自由クラブは、個人献金の点検など、辺
大蔵大臣の説明にもかかわらず、相当なものであります。それは、
財政再建を
理由に
所得税減税が五十二年以来全く行われず、
所得税の税率が四十九年以来変わらないために、実収入の
伸びをはるかに上回るペースで
所得税がふえているためであります。
たとえば、昨年の家計調査報告では、サラリーマンの税引き前の実収入の
伸びは七%であるのに対して、
所得税は一八・六%もふえ、ことし上半期も
所得税が実収入の三倍近いスピードの負担増となる傾向を続けておるのであります。まさに
増税なしという名の
増税が実態としては進んでいるというわけであり、ことに源泉徴収されるサラリーマンにとっては、いよいよ深刻な、言ってみれば
不公平感が感ぜられているようであります。
所得税は国の税収の四割を占め、そのうちの八割はサラリーマンの源泉徴収分と言われているわけですから、
政府の言う自然増収というのは、実は納税者の一部に対して不公平な負担増を強いることと似た
意味だ、そう私には思えます。
そこで、
総理に伺っておきたいと思います。間接税の
増税などを
考える前に、サラリーマンに偏る過重な負担を軽減する、もしくは公平に扱う、そういうおつもりはございませんでしょうか。世のサラリーマンの不満に対し明確な御
答弁をいただきたいと思います。
財政再建に関連して、
行政改革についても伺っておきたいと思います。
財政再建は行財政改革を含む
歳出削減からというのが圧倒的な
国民世論であります。
総理も
演説で定員
削減の意思を示唆しておられるようでありますが、担当大臣は
就任以来、人減らしには触れずに、省庁いじりはやらないと繰り返し
発言をしておられます。行政の仕事減らしだけで、有効な
歳出削減につながる
行政改革の実を上げることができるかどうか、お伺いしたいと思います。
また、長期かつ総合的な視野を持った
行政改革案策定のために、調査
審議機関を設立する意向とのことでありますが、これに関連して、十六年前、
昭和三十九年九月に行われた臨時行政調査会の答申についてお尋ねしたいと思います。
故佐藤喜一郎氏を会長に、七人の有識者によって二年半も要したこの答申は、千ページ余に上る膨大なもので、いまなお傾聴すべきものが多いのであります。この大半を歴代
自民党内閣が長年放置同然にしていたと
考えれば、新設の調査会の答申の行方も推して知るべしであります。
総理の御
所見と、また調査会の答申をいつまでに求められるおつもりか、あわせてお聞かせ願いたいと思います。
なお、公明党、民社党、新自由クラブ及び
社会民主連合四党が
さきに
合意し、
政府に
申し入れた補助金総額の一割
削減など十項目の
行政改革に対する四党
合意を、先ほど
総理の御
答弁では、参考にする、こう言っておられますけれども、もっと積極的にこの四党
合意の
行政改革を
尊重して、
政府が一日も早く実行されるよう重ねて
要求すると同時に、御
決意を伺いたいと思います。(
拍手)
私は、ここで最近の問題について、二点伺っておきたいと思います。
ことしの夏、日本列島を覆った冷たい夏は、農業はもちろん、夏物を取り扱う中小企業などにまで深刻な影響を与えました。こうした
人々に対し、
政府が被害の実態を早急かつ正確に把握するとともに、緊急融資を初めきめ細かな対策を講じるべきは当然であります。ことに青森、福島など東北から北海道にかけての農家は、被害見込み額が六千億円に上るとも言われる大災害にあえいでおります。こうした農家の救済について、
政府はどんな具体的施策を実行しようとしておられるのか、重ねてお伺いをいたします。
と同時に、専門家の説によれば、日本は来年もまた恐らくことし以上の冷たい夏となる可能性が濃いという説があります。もしそうであるならば、
政府は、冷夏に強い農作物への転換や品種の切りかえといった
長期的視野に立った政策指導を進めておくべきではありませんか。
地震をも含めた自然災害予知のための体制づくりを充実させるべきことも当然と
考えます。来
年度予算でこの面に重点的な配慮を加えるおつもりはないか、あわせてお伺いをいたしておきます。
もう一点、教育立国を主張している
立場から、特に伺いたいのは、もはや
社会問題にまでなっている校内暴力、つまり学校内における暴力についてであります。
あちこちの学校で次々と起きている先生への暴力事件、生徒の間のリンチ事件などは、単純に学校管理の問題とか子供への過保護に原因があるなどと片づけてしまってはいけないと思います。入試地獄の深刻さが子供たちに与えているストレスや学習塾の乱立、家庭における親子の対話不足など、思い当たる学校内暴力の原因を
一つ一つじみちに解決していく努力が必要だと思います。落ちついた家庭教育をしっかりと定着させることのできる教育環境づくりを進めるなど、これらの問題解決に誠実に取り組むお気持ちがおありかどうか伺っておきます。
最後に、私は、
政治倫理の問題についてお尋ねをいたします。
最近の
政治献金にかかわる問題を見ると、私たちは
政治倫理の
確立がいよいよ緊要なものであることを痛感せざるを得ません。
立党以来、
政治腐敗の追放、金のかからない
政治の
実現を主張してきた私たちにも、
国民の皆様から
批判や誤解を受けざるを得ない
部分があったことを、私はまず率直におわびを申し上げます。
私たちは、どんな事情があろうとも、
政治の
浄化に対する私たちの理想を変えるものではありません。むしろ、今回の問題を契機に、
政治資金のあり方などについてより厳しく
対応していかなければならないと
決意を新たにいたしております。
私たち新自由クラブは、個人献金の点検など、外国との比較で見て相当低く、また有業人口に占める納税人員の割合もかなり低いのが実情であります。このような負担水準の実情や厳しい財政の
現状を
考えますと、財政の再建が成るまでは、物価調整減税を含めまして、
所得税減税は御容赦を願わなければならないと
考えております。
国家公務員の定員管理については、
昭和四十三
年度以来、累次にわたり定員
削減計画を策定し、
計画的な
削減を行っておりますが、一方で国立学校や国立病院などの新たな増員需要に応じながらも、五十五
年度までの十三年間に約九千人の定員減を行ったところであります。今後とも、五十五
年度を初
年度とする第五次定員
削減計画を着実に
実施し、厳正な定員管理を行うことによって公務員数の縮減に努めてまいりたいと思います。
なお、今後は仕事減らしを中心に行政の減量化に取り組むこととし、これを通じて要員の縮減を図るよう努めてまいりたいと存じます。
御指摘の第一次臨調の答申は、
昭和三十九年に行われたものであり、その後の
行政改革の基礎となってまいりました。しかし、その後、行政を取り巻く経済
社会の
情勢が変化してまいりましたので、新しい
時代に即応した行政のあり方について改めて抜本的な検討を行う必要を生じていると判断いたしましたので、新たに臨時に総合的な調査
審議機関を
設置することを検討いたしております。
審議の期間は一応二年程度を
考えております。
行政改革についての四党
合意による御提言は、私も拝見いたしております。せっかくの御提言でありますので、十分参考にさせていただきたいと存じております。
本年の冷害等による被害の実態把握については、農林水産省において調査を進めておりますが、被災農家に対しては天災融資法及び激甚災害法の早期発動の準備を始めており、また、農業共済金の早期支払い、被災地での重点的な公共事業の
実施などの対策を講ずることといたしております。被災農家はまことにお気の毒でありますので、対策に万全を期してまいりたいと存じます。
また、冷夏に強い農作物への転換指導を進めるよう配慮せよとの御
意見でございました。今回の冷害の経験を生かし、そのような方向で試験研究や農業技術、経営指導を進めることを検討いたさせております。
冷夏の中小企業への影響の実態把握につきましては、すでに本年八月、通産、農林水産両省が調査を行ったところであります。同調査結果に基づき、冷夏の影響で経営の安定に支障を生じている中小企業に対しましては、金融面から中小企業体質強化資金助成
制度を機動的に活用することといたしました。また、冷夏の影響で売り上げの減少が著しい業種を中小企業信用保険法の不況業種として追加指定し、信用保証協会の保証を通常の債務保証限度額とは別枠で利用できるよう
措置いたしました。
地震予知につきましては、東海、南関東地域を中心に、関係省庁、大学の分担、協力のもと、予知データの収集、予知体制の強化充実を図ってまいりました。
暴風雨、低温、干ばつ等の予測につきましても、予測精度向上のため、各種観測施設の整備、技術の開発、改善に努めているところであります。
今後とも、地震を含めた自然災害予知の充実を期し、一層の努力を重ねる所存であります。
最近学校内暴力の増加が見られることは、まことに遺憾でございます。学校内暴力の防止のためには、何といっても、教師が生徒一人一人の個性をつかみ、学校や
社会において好ましい人間関係を保つことができる人格を育て上げていくことが肝要でないかと思います。また、生徒の家庭や地域
社会とも密接な連携を図り、教育の場と生徒の心の荒廃を防がなくてはならないと思います。
政治倫理の
確立は、
政治に対する
国民の信頼を得る原点であり、
所信表明でも明らかにしたとおり、当面する緊急の
課題の
一つであると
考えております。
このため、
政府としては、
さきの
通常国会で廃案となった
政治家個人に係る
政治資金の明朗化を図るための
政治資金規正法の
改正案を今
国会に提案し、御
審議をお願いいたしたいと
考えております。
政党法の制定については、
議会制民主主義の
根幹に触れる重大問題でありますし、また、政党本位の
選挙を行うためには
選挙制度をどのように改めるかということにも深くかかわる問題でありますので、政党
制度、
選挙制度の基本的なあり方に関する
論議の推移を見ながら慎重に検討すべきものと
考えております。
なお、
政府の情報の公開につきましては、これまでも白書を初めとする各種
政府刊行物の発行などを通じて努力をしてまいりましたが、さらに、本年五月
政府は
閣議了解を行い、情報公開を一層円滑に行うため所要の改善
措置を講ずることとしたほか、今後の
課題として、各省庁共通の
統一的公開基準の策定、
わが国の実情に合った情報公開に関する法制化の諸問題などについても、幅広く検討を進めることといたしております。(
拍手)