○浦井
委員 そこで
富士見産婦人科病院の問題でありますが、これは
国民の
皆さん方、特に御婦人の
皆さんが強い関心を示しておられる。この
事件の成り行きを見詰めておられるわけなんですが、これはやはり健康な御婦人が正常な子宮や卵巣をとられる。それも本来、
国民の健康と
生命を守るべき病院の中で行われるという犯罪である、ここに尽きるだろうと思うわけです。けさ方から
厚生省のいろいろな緊急の措置あるいは恒久的な措置の話を聞いておるわけでありますけれ
ども、やはり手ぬるいと思うわけです。その原因は、一つは事態の
認識が甘いからではないかというふうに私は思えて仕方がないわけです。私もここ一週間ほどの間に所沢へ行って、いろいろな
立場の人たちに会って話を聞いてきたわけで、ひとつ
大臣に実態がどんなのか、どういう状態なのかということを、私の言うことも参考にしながらじっくりと頭の中に入れていただきたい、このように私は思うわけです。
そこで、まず北野早苗の超音波診断装置の無資格診療、診断、こういう件のことでありますけれ
ども、私は防衛医科大学校の産婦人科の小林教授にお会いして、一体これはどういうかっこうでやるのですかと、私も医者の一人ですから聞いたわけです。そうしたら、まず産婦人科に診察に来られた患者さんを内診する。そしてそこで診断をするわけです。そして異常がありそうだと思えば、ここだというふうにメッコを入れて、全体をまんべんなしに診るのではなしに、ここだというふうにメッコを入れて、ここからが大事なんです。ちょっとびろうな話でありますけれ
ども、患者さんの膀胱に尿をためられるだけためてもらう。そしてその上で医師や看護婦やあるいは臨床検査技師などが単独で、あるいは協力をして、この装置にかけて写真を撮る、こういうわけなんです。わかりますね。出てきた写真の判定もかなりむずかしい。かなりそれを専門に勉強した医者でなければむずかしいと言う。これはもちろん医者がやらなければならぬわけです。膀胱に何で尿をためるかということになりますと、普通は御婦人の場合、子宮の前に腸があって、写真を撮っても子宮やら卵巣が写らぬわけです。だからその腸を、膀胱をいっぱいにすることによって、ちょっと後の方や横の方に押しのけて、水分は超音波はきれいに透過しますから、そこで尿をいっぱいためた上で写真を撮る、こういうことになるわけです。
ところが、それでは北野早苗は一体どういう方法でやったかというと、すべての患者に排尿させておるわけです。尿を全部出させてしまっておるわけです。それで下腹部一帯をずっと超音波診断装置でばんばん写真を撮りまくっている。そうなりますと北野の撮った写真に写っておるのは、いままで申し上げてきたように尿がたまっておらないから子宮や卵巣ではなしに、その前で動いておる腸が写っておる、当然こういうことになるわけですよ。防衛医大の小林教授は、北野の撮った写真を何枚も見られたそうだけれ
ども、こう言っておられる。非常に劣悪なしろものである、とにかく腸が写っておるのだから、しかも、それが動いておるのだから、何が何だかわからない、そういう写真のできばえである、読めと言われても読めないしろものだ。この方は超音波の一応の専門家ですが、そういうように言われている。
そして、そこから先がまた問題がある。腸が写って何が何だかわからないような、これはほとんど全例そうなっている、それに、メーカーの講習を受けてきた北野早苗が所見を書き込んだり、あるいは卵巣嚢腫や子宮筋腫というような診断名を書き込んだり、わざわざ子宮や卵巣の絵をかいて、ここに腫瘍があるんだというようなことをシェーマとして書いたり、まさにむちゃくちゃな作文をやっておるわけであります。これが北野の無資格診断、診療のやり方なんです。私も小林教授の言われることが正しいだろうと思います。
それから今度は北野や、あるいは、そこにおる医師は、言うたらこれをネタにして、
新聞によく書いてありますように非常に悪いできものが子宮にできておるから、これをとらなければ、あなたの命は半年ですよとかなんとか、いろいろなことを
精神講話も交えて三十分、四十分説得をして、それで手術をうんと言わせるというようなことをやっておる。しかも、そこにおる五人の常勤の医者は、だれ一人、超音波診断装置の操作もできなければ、解読能力といいますか、それを判定する力もないという状態であるわけなんです。だから言うたら、そこへ診察を受けに行ったら患者さんはベルトコンベヤーシステムに乗って、ずっとおなかを切られて子宮や卵巣をとられるというような状態であるわけなんです。
被害者の方や、あるいは地域の医師会の方々にいろいろお
伺いをしてみますと、私も医者でありますし、
田中さんもそうでありますから、よくおわかりだろうと思うのですけれ
ども、一人で手術しても、あるいは数人で手術しても、少なくとも超音波診断装置の結果がこうだということを見ながら手術するわけです。おなかをあけてみて子宮や卵巣に何の変化がないということであれば、そのままにして縫い合わせる。そんなケースが二度、三度と続いたら、一体この超音波診断装置の判定は正しいのかということで当然疑問がわいて、もう一遍、機械やら操作のやり方やら判定の仕方なんかを原点に返って見直すのはあたりまえになっている。ところが、いまも数字が出ておりましたけれ
ども、それも医者の方はやらずに、どんどんと切っておる。これが私が
指摘をしたい犯罪性のゆえんであるわけなんです。こういう状態なんです。これはあえて
大臣に私、申し上げるわけです。
しかも、これも小林教授その他のお医者さんが言われておるのですけれ
ども、許すことのできないのは二十歳代、三十歳代の若い人の卵巣の全摘出、両方すべてとってしまう、これが非常に多い。こうなれば、これは医者の常識でありますけれ
ども必ずホルモンの欠乏に陥って、いろいろな症状が出て病気になるわけです。そうなったら今度は三週間か四週間に一回ずつデポ女性とかデポ何とかというような女性ホルモンの注射をさせに通わせるわけです。これは保険
局長たしか一回が二百点くらいだと思うのです、保険点数で。二千円ですよ。まず、これを一万円ぐらいで、その都度、注射するわけです。だから、まさにマッチポンプですよ。自分でそういう症状をつくり出しておいて注射に通わせてお金をもうける、こういうかっこうになっておるわけなんです。まさに、これは病院ぐるみの犯罪だと私は断ぜざるを得ないわけであります。
ついでに申し上げておきますと、いまも
田中医務局長の方から自由診療云々のなかなか苦しい御
答弁がありましたけれ
ども、異常に高い値段をキャッシュで取っているわけですよ。たとえば正常分娩で一週間入院しますと、所沢のあの地域では大体二十万円ぐらいだそうです、医師会の
先生方にお聞きをしますと。ところが百万円から百五十万円ぐらい取っておる。
これも非常にどぎつい話になりますけれ
ども、ある御婦人が生理のときのタンポンが取れなくなったので、それを取ってもらうために受診をした。そうすると強引に入院をさせられて、あなたは子宮筋腫だというふうに言われておどかされた。もうそんなことないと思って無理やりに二日間で退院しようとしたら、子宮筋腫をとったときにもらう料金に相当する額であろうと思われる六十万円を請求された、二日間入院しただけで。まあ注射やいろんなことをしたかもわかりませんよ。それからまた、いまも言いましたように、おなかを開腹して何もなかったので何もとらずに縫い合わせたというケースであるのに、料金は切除されたものとして請求をしておるとか、いろいろなことが行われておる。私も行ってびっくりしたわけです。
調査してみて、これはもう私自身も恐ろしくなりました。二度とこんなことがあってはならぬと私は強く感じたわけであります。だから、こういう実情なんだという
認識をはっきりと持っていただきたい。
きのう
大臣は、わが党の辻議員の質問で、被害者に会うということを言われたそうですけれ
ども、私も、もちろん会っていただかなければいかぬと思うのですけれ
ども、もう、けさ方来、各党の同僚議員がずっとやっておりますし、
大臣どうですか、一遍現地に行って
大臣が陣頭指揮をとるんだという気概を見せていただいて、いろいろな
関係者にも会っていただいて、そこで
大臣自身もう一遍、事態をはっきりと
認識する、そして必要なことはすぐに
厚生省のお役人に指示をしてやらす、こういう迅速で、しかも適確な行動をとっていただきたいと思うのです。一遍、所沢に行ってもらいたいと思うのですが、どうですか。