○木下(元)
委員 結局、あなた方の扱いとしても、扶助協会の要望を大きく抑えるということをやっておられるんですね。抑えられておるから、結局少ない件数として出ておる。
これはあなた方の方も御存じだと思いますが、要望書を見ましても、資金の不足のために「扶助決定にあたっては資金量を考慮し、緊急性、重要性の高いものから順次決定する。」こういう方法をとったとか、あるいは「保証金は原則として支出しない。」とか、こういう措置をとっておる。また「扶助決定を見送ったものは、五二件であるが、各支部の窓口で申込を規制したものはこの数倍にのぼるものとみられる。右の措置に対しは依頼者、受任弁護士から苦情が相次ぎ、各支部の扶助決定にあたる審査
委員、事務担当者の事業意欲にも影響している。」というふうに、扶助協会の方から法務大臣に陳情、要望が出ておるでしょう。結局あなた方は抑えているわけですよ。しかも、件数が少ないということがありますけれ
ども、これは予算の枠が決まっているから、各支部で扱うのに
要件を厳しくして抑えにかかっておる、こういう問題が
一つあると思います。
もう
一つは、やはり宣伝不足であります。PRがものすごく不足しておる。この制度がまだまだ
国民に知られていないわけですね。その点は、たとえば扶助協会が出した「
法律扶助制度概観」というのがありますね、これの六十四ページにも出ておりますが、「
昭和四十年十月に総理府が全国で調査した大権擁護制度に関する世論調査」によると
法律扶助制度を正確に理解している者は、わずかに二・八%にすぎない。」それから「さらに
昭和四十六年二月に総理府が全国の二十歳以上の者三千人を層化二段無作為で抽出し、
法律扶助制度の周知度に関する調査を行った。その調査結果は
法律扶助制度を正確に理解している者はわずかに三%であるという極めて低い
数字を表わしている。」と書いてあるのです。
だから私は、
法務省がもっと
裁判を受ける権利なりあるいは法のもとの平等あるいはまた
訴訟における社会保障といった
考え方をよく踏まえて、
法律扶助というものに本腰を入れて抜本的な取り組みをしてもらいたいと思うのです。五十六年度にはひとつ協会や日弁連ともよく協議をして、その要望を生かした要求を大蔵省にしてもらいたい、こう思うのです。よろしいでしょうか。