○中路
委員 私は、現行の定員の管理方式が定員の膨張抑制という点で一定の役割りを果たしてきたとは思うわけです。しかし、この
中身を見ますと、国民生活に奉仕する諸機構で大変慢性的な定員不足を来しているという反面、いまの
数字の中には入っていませんけれ
ども、たとえば自衛隊や公安
調査庁など含めて不要不急と思われる諸機構の中には大量の過剰定員を温存するという、全体として定員配置のゆがみが一層拡大してきているのじゃないか。たとえば、いまお話しのように十二万八千、十二万で八千減になっていますけれ
ども、その間に防衛庁、施設庁では一万五千人の増になっているわけですね。
こうした定員管理のいまの非常にゆがんだ
やり方が今度の地方支分部局と
附属機関の設置規制を政令以下に移管する、こうした
改正処置とワンセットにして運用されてくると、一層いまの定員配置のゆがみが拡大する危険もあるのじゃないかというふうにも思うわけです。そのことは、行革の指針になっている行管庁の諮問機関であります行政管理基本問題研究会が発表しました「今後における
政府・公共部門の在り方と行政改革」と題する報告を見ましても、国民生活にかかわる行政分野を過剰な公共サービスというようなことで言っているところもありまして、徹底した切り捨てを強調しているという点もありますので、なお心配なわけですけれ
ども、この問題については、たしか昨年の十二月の暮れに、私は党を代表しまして宇野長官ともお会いした際に、私たちの行革についての
考えもお話をしまして、
公務員の定員は全体として現行水準を維持しながら、特に不要不急の機構の定員の削減、国民生活に密着した部門を一層充実するという方向をさらに強めてほしいという私たちの
考えも長官にお述べしてあるわけですが、きょうは時間が限られておりますから、私はこの問題を一例、だけで実情をお話ししたいのです。
先日、これは東京法務局の大森出張所ですが、二月の七日にちょっと視察に行かしていただきました。事情を聞いたわけですけれ
ども、簡単にお話ししますと、東京法務局の大森出張所、機構で言いますと、所長それから七名の登記官を含めまして全員で二十九名ですが、この
数字は五十一年、五十二年、五十三年、五十四年と全く変化しておりません。この出張所は、大田区全域で六十六万四千人からの人口を抱えた地域なんです。ここに来られる司法書士、土地家屋
調査士等だけでも二百七十二名いるわけですが、甲号の登記事件で見ますと、五十一年から五十四年の間に約二五%ふえている。乙号で見ますと四〇%ぐらい仕事がふえているわけですね。しかし、人員はいま言いましたように全く変わりません。私も現場を見てきたのですが、一日に大体六百人から七百人平均して訪ねてこられる。一時間ぐらい待つのです。そして狭いところで、庁舎ですからもちろんクーラーもありません。扇風機しか使えないのですけれ
ども、書類も飛んでしまって全く扇風機も使えないというような中で受付で応対しながら証明の判こを押して、話を聞きながら仕事をするという一人二役みたいにやっているのですね、現場を見ますと。だから
職員も、聞きましたら、二十日間の年次有給休暇があるんだけれ
ども、大体とっている人でも十日に満たない、登記官クラスでは、ばらつきがありますけれ
ども、ほとんどゼロ日だというわけです。役人天国と言われることはとんでもないというお話ですが、登記官がやむを得ず休暇をとる場合は、その登記官の業務を出張所長がかわって仕事をするので所長も同様に年次休暇がほとんどないというようなお話で、所長を初めいろいろお話を聞きましたら、二十九名のところですけれ
ども、最低あと十名か十五名ぐらいはぜひ人員が欲しいんだというお話を聞きました。ここだけじゃなくて、他の登記所もやはり同じような状態だというお話も聞いているのです。
こうした登記の仕事というのは戸籍、供託、行政訴訟、人権擁護、国民の権利と財産を守る行政事務としては大変重要なところですが、こうしたところでこういう慢性的な人員不足が生じている。全国的にも、ちょっと統計をいただいて見てみましたけれ
ども、最近十年間で業務量が、登記業務では二倍以上になっています。若干増員がありますけれ
ども、一〇%、一五%ぐらいという状態で、いまのような現状が訴えられているわけです。これは一例ですが、こうしたところはやはり国民のサービスの部門ですから、充実をさして、数合わせではなくて、不要不急のところは思い切って削減していく。もちろんそこで働いている
皆さんの身分や権利ということを保障しなければなりませんが、配置転換も
考えなければいけない。いまそうした思い切った対応が必要なんじゃないかということを
考えるわけですけれ
ども、こうした私たちの主張について、ひとつ長官のお
考えをお聞きしたいと思うのです。