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1980-02-19 第91回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年二月十九日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 木野 晴夫君    理事 逢沢 英雄君 理事 有馬 元治君    理事 唐沢俊二郎君 理事 塚原 俊平君    理事 岩垂寿喜男君 理事 上原 康助君    理事 新井 彬之君 理事 中路 雅弘君    理事 吉田 之久君       麻生 太郎君    上草 義輝君       大城 眞順君    三枝 三郎君       住  栄作君    田名部匡省君       田中 六助君    森  美秀君       山下 徳夫君    伊賀 定盛君       石橋 政嗣君    木原  実君       市川 雄一君    鈴切 康雄君       山田 英介君    辻  第一君       塚本 三郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      小渕 恵三君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      宇野 宗佑君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      関   守君         総理府人事局次         長       川崎 昭典君         行政管理政務次         官       宮崎 茂一君         行政管理庁長官         官房審議官   中  庄二君         行政管理庁行政         管理局長    加地 夏雄君         行政管理庁行政         監察局長    佐倉  尚君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    文田 久雄君         警察庁長官官房         企画審査官   森広 英一君         宮内庁長官官房         秘書課長    長門 保明君         北海道開発庁総         務課長     佐藤  寿君         防衛庁長官官房         法制調査官   中門  弘君         経済企画庁長官         官房参事官   伊藤 敬一君         科学技術庁長官         官房総務課長  尾身 幸次君         法務省民事局第         一課長     藤井 正雄君         大蔵大臣官房企         画官      石坂 匡身君         文部大臣官房総         務課長     古村 澄一君         文部大臣官房企         画官      草場 宗春君         厚生省医務局管         理課長     田中 健次君         農林水産大臣官         房文書課長   山田喜一郎君         通商産業大臣官         房参事官    弘津 匡啓君         運輸大臣官房審         議官      服部 経治君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部施         設課長     岩橋 洋一君         郵政大臣官房文         書課長     富田 徹郎君         労働大臣官房総         務課長     小粥 義朗君         建設大臣官房文         書課長     吉沢 奎介君         自治大学校副校         長       秋田  周君         日本国有鉄道環         境保全部次長  山元啓太郎君         日本国有鉄道運         転局車務課長  大河原昌二君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   藤田 雅弘君         内閣委員会調査         室長      山口  一君     ————————————— 委員の異動 二月十五日  辞任         補欠選任   麻生 太郎君     荒舩清十郎君   上草 義輝君     江崎 真澄君   三枝 三郎君     倉成  正君   住  栄作君     塩崎  潤君   森  美秀君     玉生 孝久君 同日  辞任         補欠選任   荒舩清十郎君     麻生 太郎君   江崎 真澄君     上草 義輝君   倉成  正君     三枝 三郎君   塩崎  潤君     住  栄作君   玉生 孝久君     森  美秀君 同月十八日  辞任         補欠選任   麻生 太郎君     荒舩清十郎君   上草 義輝君     江崎 真澄君   三枝 三郎君     奥野 誠亮君 同日  辞任         補欠選任   荒舩清十郎君     麻生 太郎君   江崎 真澄君     上草 義輝君   奥野 誠亮君     三枝 三郎君 同月十九日  辞任         補欠選任   河本 敏夫君     山下 徳夫君 同日  辞任         補欠選任   山下 徳夫君     河本 敏夫君     ————————————— 二月十五日  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  二五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  附属機関地方支分部局等に関する規定整理  等に関する法律案内閣提出、第九十回国会閣  法第四号)      ————◇—————
  2. 木野晴夫

    木野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、第九十回国会閣法第四号、附属機関地方支分部局等に関する規定整理等に関する法律案議題といたします。  ただいま議題といたしました本案につきましては、第九十回国会においてすでに提案理由説明は聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木野晴夫

    木野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————  附属機関地方支分部局等に関する規定整理   等に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  4. 木野晴夫

    木野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、日本鉄道建設公団理事藤田雅弘君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 木野晴夫

    木野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  6. 木野晴夫

    木野委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩垂寿喜男君。
  7. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 今国会いわば初めての内閣委員会でもございますので、所管事項の問題に直接、間接関係のある問題について質問をしたいと思います。  最初に、総務長官にお越しをいただきましたのでお尋ねをしたいと思うのですが、公務員等退職手当法改正案を今国会提案する方針検討をなさっておられるようでございますが、いつごろ御提案になる予定か、そのことをまずお尋ねをしておきたいと思います。
  8. 小渕恵三

    小渕国務大臣 退職手当法につきましては、現在政府部内で調整を進めておるところでございますが、ほぼ成案を得ておりますので、近日中に提案をいたしたいと存じております。
  9. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 近日中というのはいつごろになるか、閣議決定をいつごろに予定されておられるか、そのことを重ねてお尋ねをしたいと思います。
  10. 小渕恵三

    小渕国務大臣 党との調整もまだ残されておりますが、それがクリアいたしますれば、今週の閣議にお諮りをいたしたいと思っております。
  11. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 今週の閣議というのは二十二日というふうに理解をしてよろしいかどうか。——よろしいですね。  この機会ですから、その改正案骨子をぜひお示しをいただきたいと思います。
  12. 小渕恵三

    小渕国務大臣 前回昭和四十八年に改正をいたしまして民間との調整を図りましたが、今回も同様の思想によりまして、ほぼ一割程度引き下げを目途にいたしております。
  13. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 すでに新聞に出ていますね。出ている新聞もございます。これらはやはり総理府が発表をしたものですか。あるいはその新聞の内容というものは、あなたがあるいは総理府がいまお考えになっている筋道と同じだというふうに理解してよろしゅうございますか。
  14. 小渕恵三

    小渕国務大臣 新聞でいろいろ報道されておりますが、それはそれぞれの記者が各般にわたって取材をされた結果だろうと存じておりますが、発表されておりますような数字先ほど申し上げましたようにほぼ一割程度引き下げということでございますので、大きな差はないと存じております。
  15. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 新聞に発表なさったというかそういうことを明らかにしたことについても、私ども経過として多くの問題点を感じざるを得ないところもございます。それはそれとして、今度の公務員退職手当官民格差というのはいつの調査でございましょうか。
  16. 小渕恵三

    小渕国務大臣 昭和五十二年度における人事院調査の結果を基礎にいたして、法案を作成いたしております。
  17. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 その官民格差中身調査やり方あるいは中身について、これは皆さんが一定の数字をお持ちだろうと思いますから、この際ですからお示しを願いたいと思います。
  18. 小渕恵三

    小渕国務大臣 民間における会社千五百社を対象にいたしまして、事業規模五百人以上五百社、千人以上五百社、百から五百までの間五百社、計千五百社を対象にいたしまして精密な調査をいたしたものでございます。
  19. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 その調査の結果の数字を、この機会ですからお示しを願いたいと思います。
  20. 小渕恵三

    小渕国務大臣 これは法律案を御提出申し上げまして御審議を願う過程で御審査を賜りたいと思いますが、今日まだ当委員会に御審査をお願いいたしておりません段階でございますので、しかるべき時期には提出をいたしまして十分な御審議をいただきたいと思いますので、今日の段階、大変申しわけありませんが、数字を示すことはお許しいただきたいと存じます。
  21. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 その数字の一〇%というのは、数字から照らして、あらゆる階層を照らし合わせてみてそのような格差が出てきているというふうに確信を持って言えますか。
  22. 小渕恵三

    小渕国務大臣 事務当局からの報告を得ておりますことに関しましては、十分な審査をし自信を持って法案を作成できたものだ、こう考えております。
  23. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 先ほどお話しになりましたように、昭和五十二年、一九七七年、つまりいまから三年前の比較が今日正確だという保証が持てますか、人事院資料で。
  24. 小渕恵三

    小渕国務大臣 正確かどうかということは、正確という絶対の自信を持って法案をつくってきたわけでございますが、先生も御案内のとおり、昭和四十八年に二割増しの引き上げをいたしましたときにも、四十五年の調査結果をもとにいたしまして引き上げをいたしておりますことと、今回も時期的にはさかのぼるというお考えもあろうかと思いますが、同様の経過を経たものでございますので、私どもとしては当時の調査がその時点における正確無比なものだ、こういうふうな理解をいたしておる次第でございます。
  25. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 正確無比ということをあなたが発言なさる、あるいは御答弁いただくことに私は少し疑問を感ずるのです。三年前ですよ。三年前の調査というものが今日の時点で正確無比だということを何でおっしゃることができるのか、率直に申し上げて。この辺は私は、やはり古い資料とあえて言いませんけれども、しかし、今日から見るとその後の経過というようなものは、いろいろな意味で変化があるということは事実だろうと思うのです。それらを含めて正確無比とおっしゃるのはいささか言葉が過ぎやしないか、こんなふうに思いますが、いかがですか。
  26. 小渕恵三

    小渕国務大臣 当時調査をいたしました時点におけるその結果を何ら疑うものでないことを申し上げたのでございまして、それと同時に、繰り返して申し上げますが、前回引き上げと同じような手法をもちまして、今回も同様の扱いでこの退職金の査定をいたしましてこの法案提出することといたしたことを申し上げた次第でございます。
  27. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私の言いたいのは、この種のものを扱うときに、人事院というものがあって、そしてそれを調べて、その精密な資料を前提にしてそして数字をはじいていくということが、当該労働者はもちろんですが、国民に対する納得を含めてどうしても必要なものではないかと思うのです。その場合に、どうも三年前の資料で今日を推しはかって、これだよと言って押しつけるというのは、私は適当ではないのじゃないだろうかということを強調したいわけであります。  そこで伺いますけれども民間には退職金制度そのものに加えて、たとえば功労加算とかあるいは定年加算などという制度がございますね。これらの実態というのは、その調査の中にどのように反映されておられるか、あるいはされておらないのか。官民格差ですから、今日の時点における官民格差というものを数字の上で精査するためには、そのことを十分担保しなければならぬと思うのですが、そのことは加わっておりますか。そして加わっているとすれば、それがどのように反映されているか、そこのところを少し細かく御説明願いたいと思います。
  28. 小渕恵三

    小渕国務大臣 申し上げましたように、今回企図いたしておりますことは、あくまでも官民格差の面にウエートを置いて考えておることでございますので、委員指摘のような諸点につきましては、すべて計算の基礎に含めておることは当然のことでございます。
  29. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 そこで、もう一遍お尋ねしますけれども、たとえば勤続二十五年で幾らとか、あるいは勤続三十年で幾らとかという官民格差というものを、もう恐らく法案をつくっていらっしゃるわけですから、大詰めなのですから、お示しいただいてもいいと思うのです。その点は事務当局でも結構ですが、御答弁を煩わしたいと思います。
  30. 川崎昭典

    川崎政府委員 ただいまの御質問でございますが、勤続二十五年の場合に公務員だと幾ら民間だと幾ら、三十年の場合はどう、三十五年の場合はどうというふうに比較してございますが、大体一〇%程度公務員の方が高いという結果になっております。いずれそういった資料は、法案審議の際にまた御提出できると考えております。
  31. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私は、その法案骨子というのをどうしてもお伺いをしたいのです。もちろんそれは提案をなさって審議をするときに説明をすればいいと言われるかもしれませんけれども、これはトータルをすると相当な人数、地方公務員まで含めれば六百万近くなるのじゃないですか。そういう公務員労働者の、言ってしまえば退職金というのは生涯設計の上で欠くことのできない重要な条件だ。それをいきなりぽんと法案でございます、法律でございますといってカットされるというのは、なかなか忍びないものが私はあると思うのであります。その点は皆さんも同じだろうと思うのであります。その点では、そういう官民格差実態というものについてもう少し詳細な御説明を賜りたいとも思います。しかし、それはいま言われたように、一応の大ざっぱな格差の一〇%という数字が出てきました。それをどういう形でこれから退職金減額なさっていこうとなさっているのか。非常に短い期間でやっていくのか、あるいは多少長期的な展望でやるのか。それから、一〇%と言うけれども本当に一〇%なのかどうか。かなり法律が煮詰まってきていると思いますし、与党との折衝もあると思いますので、その辺も含めて、この際明らかにしていただきたいと思います。
  32. 小渕恵三

    小渕国務大臣 引き下げ率につきましては、先ほど申し上げましたような数字めどにいたしておりますし、それから御指摘ありましたように、退職金を受け取られる方々高齢者でございまして、人生設計その他いろいろ考えてまいっておることは事実でございますので、前回引き上げのときと同じ、こう申し上げましたが、引き上げるときは一遍で上げられますけれども引き下げるときには一回で、こういうわけにはいかないかと思いますので、どういう経過期間を置いたらいいかというようなことにつきまして、現在最後の検討を進めておるところでございます。しかし、その期間を置かなければならないのではなかろうかということは、私自身十分承知をいたしております。
  33. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 新聞記者の方が有能なのかどうか知りませんけれども、五十六年、五十七年度で八・三%、勤続二十年以上一律に、三公社五現業などを含め二百万人に影響、こういう見出しで国家公務員退職金減額政府方針が煮詰まった、決まったと書いてあるのです。大筋そのとおりですか。
  34. 小渕恵三

    小渕国務大臣 総理府といたしましては、ほぼそうした線で総理府としての考え方はまとめつつあり、最終的な判断をいたしたいというふうに思っておりますが、申し上げましたように、党の審査を経て政府全体の問題として決定をいたしておりませんものでございますので、よろしく御勘案いただきたいと思います。
  35. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 大筋そういうものだと理解をしたいと思います。よろしいですね。  さて、そうしますと、四十八年の法改正のときには、調査の方法などを含めて人事院を加えて十分話し合って決めてきたという経過がございますね。公務員のいわば生涯設計生活設計、その上で最大問題点である退職金扱いは、やはり前回法改正のときに議論し合ったような手続、あるいはそういう手段というものをどうしてもとるべきではないか、ある程度納得理解が得られるような手続をとるべきではないだろうかというふうに私は思うのです。そういうことをおとりになるおつもりはございませんか。
  36. 川崎昭典

    川崎政府委員 四十八年当時のことでございますが、当時は退職手当を上げてほしいという御要望が非常にございまして、総理府としても人事院にお願いをして調査しておったわけでございますが、各方面からこのように上げてくれという御要望がずいぶん人事院に多かったというふうに聞いております。今回は民間と比べて公務員を下げる必要があるということでございますので、そういった方面から人事院にいろいろ下げてくれという話は出ておらぬわけでございますけれども、こういう非常に職員皆さん方影響の多い話でございますので、機会を見て職員組合とも話し合いをするなど、いろいろな意味で御了解を願いたいと考えてやっておる最中でございます。
  37. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 やっておるといっても、政府で大体こんな方向でやりますと見切り発車みたいな形になっちゃう、これは私は余りいいやり方ではないと思うのです。これからも法案提出までの間に関係公務員と、公務員労働組合の組織と総務長官自身話し合いを重ねながら、その扱いについて十分な協議というか納得というか、そういうことをなさるための御努力をなさるお気持ちがございますかどうか、その点を御答弁いただきたいと思います。
  38. 小渕恵三

    小渕国務大臣 過去にも組合方々とも御要請がありまして会見をいたしまして、私ども考え方も申し述べてきたところでございますが、御希望がありましたことに対しましては、私自身拒否をいたしたこともございませんので、十分御意見は拝聴いたしてまいりたいと思います。
  39. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 退職手当というのは、先ほどから私強調していますように、定年でやめたら、あるいはやめたら、実際問題として後どうするかという、いわば生活設計最大のものだと言っても決して私は過言でないと思うのです。そういう点から言うと、政府が一方的に下げるときだからそれしかしようがないのだと言ったのでは、これはどうにもならぬと思うのです。一方的に法律改正して、それを制度として押しつけるやり方というのは、どうも民主的な労使関係ではないと言わざるを得ない。やはり労使間の合意というもの、これは三公社なんかの場合には団体交渉事項ですよね。それが、自動的に国家公務員のものは決まっちゃうわけですから、実際は自動的に縛られていく、そして地方公務員にまでそれが及んでいく、こういう問題点があるわけですから、やはり法改正をするその前に、労使間の合意というものを得るために最大限努力をする、そのことを改めて要求したいと思いますけれども総務長官の御答弁をいただきたいと思います。
  40. 小渕恵三

    小渕国務大臣 組合との十分な意思の疎通、話し合いということを否定する気持ちは全くございませんので、今後とも話し合いは進めてまいりたいと思います。  ただ、この問題は法律をもって処理をするという仕組みに相なっておりますので、私どもとしては、一方、国会における御審議を待たなければならぬという性格のものであることも承知をせざるを得ないということでございますが、しかし、申し上げましたように、十分組合皆さんの御意向も拝聴し、御要請がありますればお目にかかること、やぶさかでございません。
  41. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 退職手当減額の問題は、これからまた当然議論になっていく問題でございますからそのぐらいにしますが、理事会で配られている第九十一国会法案扱いについて、これを見ますと、総理府本府の検討中の法案ということの中に、週休二日制といいますか、四週五休問題がランクが低いところにひっかかっていますね。これは人事院勧告で出されたわけでしょう。人事院勧告政府は完全に実施するとおっしゃってきたわけでしょう。その法律検討中になっていて、そうでないものが、退職金の見直しにしてもあるいは定年の問題にしても国会に優先的に出てくる、こういういきさつというのはどうもなじまない、少し問題があると言わざるを得ないのです。  総理府は、あるいは政府は、四週五休問題の扱いをこの間の予算委員会でもいろいろ議論がございまして、わが党の大出委員なんかも主張していますけれども総務長官、この問題をどのようにこれから扱われるおつもりか。そして同時に、今国会に必ず提案を願いたいと思うのですが、これについてのスケジュールといいましょうか、あなた自身のお気持ちを率直に御答弁を煩わしたいと思います。
  42. 小渕恵三

    小渕国務大臣 政府は、人事院勧告を尊重するという基本的な姿勢に何らの変更のないことは当然のことでございます。御指摘にありましたように、その取り扱いにつきまして、法案提出整理をいたしまして、印刷をいたしまして国会等に配付する中に、給与法につきましては検討中となされておりますが、この扱いにつきましては、政府部内におきまして——退手法につきましては、委員案内のとおりすでに閣議決定を見ておるものである、それから、御指摘ありませんでしたが、定年関係法律につきましては関係閣僚協議会で今国会提出すべきものと決定をいたしておることにかんがみまして提出予定法案になっておりますが、御指摘週休二日の関係給与法関係につきましては、現在第二回目の週休二日制関係閣僚懇談会を開催をいたしましたが、なお数点の未調整部門が残されておりますために、関係閣僚懇談会におきまして、その取り扱いにつきましてまだ最終的な決定を見ておらないということでございますので、検討法案として印刷をされておるものだ、こういうことに御認識をいただきたいと思います。  そこで、御指摘にありましたように、私自身考え方ということでございますが、先般予算委員会でも本問題御指摘がありまして、週休二日制に関する関係閣僚懇談会の座長は官房長官でございまして、官房長官からも、最大努力をいたしまして今国会法案提出することといたしたいという向きの御答弁がされておりますことでございますので、私もその重要なメンバーと心得ておりますので、そのような趣旨で今国会提出することをめど最大努力を私自身も払ってまいりたい、このように考えております。
  43. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 未調整の部分というのをちょっと教えてくれませんか。どういうところが大きな問題点ですか。
  44. 小渕恵三

    小渕国務大臣 役所の中には少数官署を持っておるところ等ございまして、また交代制の官署、現場を持っておるところ、こういうような役所がございまして、そうしたところが役所の中でまだ話し合いが煮詰まっておらないというようなこともございますし、また一方、いろいろ意見の中には、現在の世論の動向の中に、公務員のあり方について御議論をされる向きもありますが、しかし、未調整の部門といいますと、各役所間に申し上げましたようなところが、人事院勧告にありますように、予算の増高あるいは人員をふやさない、あるいはサービスを低下しないというような条件を満たし得ない、現在の状況ではそういうことであるので、いましばらく省内における調整を待ってほしいというような意見が大きなものでございます。
  45. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 具体的にどこの省ということを言ってくれませんか。この問題に対して非常に大きな抵抗というか、をなさっている役所です。
  46. 川崎昭典

    川崎政府委員 御意見がいろいろな角度からございまして、何省がこういう理由でできないというふうに申し上げられるような状況ではないと思います。
  47. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 そんなことはないでしょう。歴史が長いのですよ。二回にわたって試行をやって、その間にずっと検討したわけでしょう。人事院勧告だって去年出されたわけでしょう。それから時間が余りにもたち過ぎているのですよ。いろいろ議論してきたわけでしょう。だから、どことどこが問題だということを率直に御答弁いただく方が私どもも対応しやすいし、また同時にバックアップもできる、こういう感じなんですが、ぜひ述べていただきたいと思います。
  48. 川崎昭典

    川崎政府委員 非常に忙しい現場を持っておる役所なんかで、予算や定員の増加がなくてはやれないといったような議論もございましたが、非常に時間がかかったせいもございまして、一つの役所内部でも必ずしも皆が同じ意見ではないというようなことがございまして、現在いろいろ議論をして、何とか人事院勧告の線に沿ってやりたいというふうに努力を私どももいたしておりますし、また、各省も私ども努力に対して協力姿勢を相当示してくださっておるわけでございますが、まだ隘路があちこちにございまして、したがいまして、逆に言いましたら何省がこう言っておるからできないんだという御指摘をここで申し上げて、それさえなくなればできるという状況にもなっておりませんので、この省のこの問題が隘路でできないんだというふうに申し上げるのは遠慮させていただきたいと思います。
  49. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 検討する時間がかなり長くある、また現実にあったわけですが、その上に調整努力をなさった。人事院勧告を完全に実施するというのは総理府あるいは政府方針だ。そうすればもうぼつぼつまとめないことにはこれは間に合わぬわけですよ。私は、別にこのことをあめだとは言いませんが、あめとむちという言葉がございますけれども、とにかくむちの方だけいろいろな形で国会に出てくる、あめの方と言っては言葉が過ぎますけれども、これはきわめて不十分と私ども思っています。しかし、それさえ、つまり人事院勧告で歯どめのかかったものまでなかなか出てこないというんではどうにもならぬと思うのです。だから、この推進力はやはり総務長官自身がやっていただかなければならぬわけです。座長は官房長官かもしれません。しかし、推進力にあなたがなって、今国会に必ず出す、出したいという御答弁は、私はぜひ聞きたいと思うのです。先国会でもそれに近いような御答弁をいただいております。だから、その点はやはりきちんと総務長官の決意を、それがないとこれはなかなか前へ進まぬですよ、あっちゃこっちゃ見ていたんでは。前に進むと、今国会に出すという御決意を承りたいと思います。
  50. 小渕恵三

    小渕国務大臣 御指摘のありましたように、今国会にぜひ提出をいたしたい、この決意のもとに努力をいたしてまいりたいと思いますが、先ほど答弁いたしました各省庁間のいろいろな問題もさることながら、問題になっております公務員に対する世の中の風当たり、こういうものも、いわゆる社会的、経済的な要件というものもかなりこの問題に対してブレーキをかけていることも事実なんです。私としては、大体週休二日制とこう新聞に出ますものですから、毎週休むのじゃないか、こういう国民的印象を持っていると思うのです。しかし、委員承知のように、勧告は四週五休でして、そういった点も、われわれのPRも若干足りないかなという気もしますが、やはり社会的世論の中には、公務員からまず休むか、こういうような御批判もありまして、そういった点は誤解に基づくものでしたら最大限解かなければなりませんが、一方、まだ週休二日をやっておらない方々から見れば、わずかなりといえども先行していくのではないかという御不満もなきにしもあらず。そういうことでございますので、私ども、御指摘ありましたように、公務員問題の直接の担当の大臣としては積極的に取り組んでいきたい。と同時にまた、国民世論に対しての理解も深めていかなければならないという任務もある、責任を果たしていきたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、基本的に人事院勧告が昨年八月出て以来今日まで延びてきておることでございますので、政府部内、各省の関係も、私自身関係閣僚懇談会議論を進めることも当然のことでありますが、個別にもいろいろ各大臣と十分話し合いをいたしまして御理解を深めながら、御指摘のような線に何とか持っていきたい、このように決意をいたしておる次第でございます。
  51. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 重ねてお願いをいたしますが、国際的にも週休二日制の普及といいましょうか徹底というものが、東京サミットに参加をした国々を見るまでもなく進んでいる。それから日本においても、民間の普及率というのは非常に高まっている、そういう状況なんです。したがって、公務員だからという議論は、いま総務長官がおっしゃったように、今日ではある程度解消してきているということは言えると思うのです。問題は、政府の姿勢だというふうに私は思います。だから、公務員だけがという議論というものがもし国民の問にあるとすれば、それを説得をし理解を求めていくということの方が、いま非常に重要な時点に来ているのじゃないかというふうに私は思うわけでございまして、今国会にどうしても提案を願いたい。  ちなみに、社会党は過ぐる九十国会で一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案ということで、人事院勧告のとおりの法案提案をし、そして継続審議になっております。その点についても、私どもこれを審議すれば大体満場一致でいくんじゃないかと思うのですけれども、それらをやったんじゃ総理府のかっこうもつかなくなってしまいますから、そういう点でぜひひとつ促進を願いたい、このことをお約束をいただきたいと思うのです。もう一遍御答弁をいただきたいと思います。
  52. 小渕恵三

    小渕国務大臣 最大努力をいたしてまいります。
  53. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 この問題、総務長官にいま御答弁いただいたのですが、行政管理庁長官、これは行政改革とのかかわりを含めていろいろな問題を含んでおりますので、ぜひひとつ行政管理庁長官総務長官をバックアップしていただいて、そういう御努力を願いたいと思いますが、いかがなものでございましょうか。
  54. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 この間は第一回の会合でございましたから、私といたしましては、決して週休二日制を無視するものでもなく、ましてや四週五休制でございますから、その程度のことを無視するものでもございません。ただ、将来週休二日制に持っていこうという肝心な入り口である。だから、この入り口においてはやはり世論の動向も十分に考えながら慎重に対処されてはいかがであろうか、こういう発言をいたしております。
  55. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 行政管理庁長官が慎重にということになると、これはやはりブレーキになっちゃうんだな、いまどき。だから、それはもちろん慎重が必要なことは言うまでもないけれども、やはり今国会に出すために総務長官努力をするとおっしゃっているわけですから、もう一遍、大変恐縮ですが、これをバックアップする姿勢をお示し願いたいと思います。
  56. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 私の立場から申し上げれば、行革促進中に、もしそれを実施するために大変な定員を必要とするとか、あるいはそれに伴う予算を必要とするとかという主張が余りにも大きいときには、やはり私といたしましては慎重に対処という言葉を使わざるを得ませんが、そうしたことも含めまして官房長官最大努力をする、こう言っておりますから、近く恐らく関係閣僚懇談会もあることだろうと思いますので、そうした意味で私たちも他の閣僚諸公のお気持ちも十分しんしゃくもしてまいりたい、かように思っております。
  57. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 行管の長官は行政改革のいわば矢面に立っているわけです。そこで、やはり水をかけるような御発言ということになると前になかなか進みにくくなる、そういう点は十分御配慮願いたい、このことを私から要請をしておきたいと思います。  それから、総務長官お時間がありましょうからもう一問でいいのですが、定年制の扱いというのはどんなスケジュールをお考えですか。
  58. 小渕恵三

    小渕国務大臣 国家公務員定年制につきましては、人事院総裁からの書簡をちょうだいいたしておりまして、六十歳、五カ年の期間を経て実現をしていく方向を示唆いただいております。  政府といたしましては、先ほど申し上げましたように、定年制の関係閣僚会議を設置をいたしまして、第一回会合をいたしまして、その段階関係閣僚におかれましては、今国会にその法案提出をいたすべきであるという御決定をちょうだいいたしまして、総理府として最終的な法案づくりにいま努力をいたしておるところでございます。いずれ、その方向で今国会において御審議を賜ることになろうかと存じます。
  59. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 総務長官、忙しいところをありがとうございました。それでは結構です。  附属機関地方支分部局等に関する規定整理について、実は前国会——前国会というか八十七国会でございますが、私自身が強く主張をしてきたことをもう一遍申し上げなければなりません。  その第一は、法律事項を政省令にゆだねるということは国会審議権が侵害されるおそれがある、あるいは地域住民の意思や要求というものが反映しにくくなる、そういう点で懸念を表明をせざるを得ないということを強調してまいりました。この点について、当時の金井行政管理庁長官に対して私はくどく念を押してきたわけでございます。今回のこの法案国会審議権を侵害するということではなくて、いわばふぞろいをそろいのいいものにするんだというふうに政府の方は答弁をなさっておられます。  ただ、これは釈迦に説法でございますけれども、あえて私から言いますと、国家行政組織法というものが制定をされてきた経過、その中でいわゆる行政機関の法定主義というものが確立をされてきている。それは過去の歴史をさかのぼって、そういう必要があるということで修正の形になって法定主義が生かされてきているという今日の状況から見るならば、何をもってその民意や国会審議権というものをこれから担保なさるおつもりなのか、この点はきわめて漠然とした質問ではございますけれども、もう国家行政組織法にかかわる問題を改めて繰り返すつもりはございませんけれども、その精神に立脚している、そのことにはいささかも変化はない、この法案扱いについて、もう一遍御答弁を煩わしたいものだと思います。
  60. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 この法案に関しましては、先国会より鋭意当委員会におきまして御審議を賜りまして、私からも改めて厚く御礼を申し上げる次第でございます。ただいま岩垂さん申されましたとおりの精神で、われわれといたしましては臨んでおる所存でございます。  もちろん、今日三権分立の一番大切な民主主義の根幹の問題でございますから、われわれ行政府といたしましても、常に立法府と密接な関係を保ちながら十二分に立法府の御意思を尊重して、簡素にして効率的な行政を行いたい、こういう意味で今回の法律におきましても、ただいま仰せのとおりの、でこぼこを改めて、法律にせよ政令にせよ省令にいたしましても、常に立法府の御意見をわれわれといたしましては十二分に拝聴もし、また御審議も煩わしたい、こういう気持ち提案をいたしておるものでございます。
  61. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これから政省令にゆだねられていくとすれば、国民生活に密着した行政機関が一方的に統廃合ということもあり得ましょうし、あるいは廃止ということもあるでしょう。これが行政サービスの低下につながらないか、そこにやはり地域住民のいろんな不安があると思いますけれども、これは念のためにでございますが、そういうことのないように篤と努力をする、そして現実にそういう努力は今日までどれだけやられたか、私もいささか不安に感ずる面があるものですから、長官の御答弁を煩わしておきたいと思います。
  62. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 行政は常にサービスを忘れてはなりませんので、その点に関しましても最大の注意を払いつつ、そして常にそれにふさわしい行政のあり方を推進しておるものでございますが、特に今日までの経緯を考えましても、その点にわれわれといたしましては重点を置いております。  たとえば、国家公務員の定員削減という問題に関しましても、一概にずたずた削減しているのではなくして、やはりその時代にマッチした行政需要というものを満たさなくてはなりませんし、当然国民のニーズに合った行政をしていかなければなりませんので、削減だとは申しながらも、その中におきましては、たとえば学校、病院あるいはまた登記所、そうしたサービスが常にニーズに合うように配慮をいたしまして、その面におきましては決して減を来すことのないように、むしろ純増のような姿において十二分にサービスに心がけておる、そういう気持ちで今後もやっていきたいと思いますし、今日までもやってまいった次第でございます。
  63. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 この法律が通りまして、労働者の配転など労働条件の低下の問題もやはり危惧する一面でございます。これらのことも、この前の委員会では金井前長官にもくどく念を押してまいりましたが、念のためにでございますけれども、もう一遍そういう労働条件の低下ということを防ぐための具体的な御努力を願いたいと思うのですが、いかがでございましょう。
  64. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 今回の行革では、特に人の面に関しましてはいわゆる出血を伴うような整理はしない、こういう気持ちで私もやっております。久しく国家、国民のためにがんばってこられた公務員でございますから、かりそめにもその方々を路頭に迷わすようなことがあってはいけない、だから十二分に配慮をしなくてはならない、こういうふうな気持ちで今回の行革にも臨んでおる次第でございます。  したがいまして、その一つの新しい方法として配置転換等も試みたいと思っておるのでありますが、先般の国会において総定員法御審議のときに国会の決議がついておりますから、この決議は行管庁といたしましても、政府といたしましても十二分に尊重して、御本人の意思を尊重しながらやっていく、こういうふうに考えております。
  65. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 時間が余りございませんので、行政改革について少しお尋ねをしてまいりたいと思いますが、定員の計画削減とか特殊法人の整理とかブロック機関の整理というものが、各省庁一律方式あるいはノルマ主義ということになっているという批判がございます。私もそういう点を指摘をせざるを得ません。この方式ではどうも個別の事情が無視されやすい、形だけのものになってしまうおそれもないとは言えない。そこにはやはり個別の見直しを前提として、一律主義、ノルマ主義ではなくて行政改革に手をつけていく、こういう配慮が必要ではないかと思いますが、その点長官はどのようにお考えになっていらっしゃるか、御答弁をいただきたいと思います。
  66. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 いま特殊法人並びに定員の問題もお触れになられましたが、定員は先ほど申し上げましたようなことで、新しい行政需要に対しましては十分配慮し、今回も、本年度を初年度として第五次の定員削減に入るわけでございますが、その目標は四・三というふうに置いておりますけれども、実は一般職におきましてはもう減が続いておりますので、およそ一割見当定員が削減されるんじゃないだろうか。こういうふうなことでございますから、各省庁、各局、各課にわたりまして、あるいは附属機関等にわたりましても、十二分に個別に審査をして、やはり必要なところは必要である、ややたるみが出たところはもうちょっと整理するとか、いろいろ苦慮をいたしておる次第でございます。  そうしたことが省庁間の配置転換ということであらわれておるわけでございますが、特殊法人に関しましては確かに三つの基準を示しました。一つは、すでに経済社会がどんどんと発展をしておる、だからもういまや間に合わないというふうな特殊法人がありはしないか、あるいは同じ機能を持っておるから一つにした方がいいんじゃなかろうか、あるいは民営に移管した方がいいんじゃなかろうか、こういう観点から主として考えてほしいということを各省庁に申しまして、数がそれぞれあるものでございますから、十以下は一つとか、十一以上は二つ以上と、こういうふうに私から各大臣に要請をいたした経緯がございます。これを一律的と言われればあるいはさようであるかもしれませんが、私といたしましては、御承知のとおりすでに昭和三十九年臨調以来、特殊法人に関しましてはいろいろな機関でこの法人はこうだああだというふうに指摘をされておるわけでございます。したがいまして、各大臣も今回は入閣に際して総理大臣から、行革に協力せよ、こういうふうに言われた次第でございますので、そうしたことを踏まえまして、自主的に各省庁で従来の経緯を踏まえて出してほしい。もちろん、その間、行管庁といたしましても決して拱手傍観しているわけではなくして、私も第一線に乗り出しましたし、本日出席いたしております各政府委員等々も、それぞれ従来の経緯に照らしまして、この法人が望ましい、あの法人が望ましい、こういうふうなことで実は統廃合を進めたという経緯でございます。
  67. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 行政管理庁内部の問題をちょっとお尋ねしたいのですが、行政管理局と行政監察局との関係でございます。実は私も本委員会で地方に調査に行った経験がございます。いまは、機構にしても定員にしても特殊法人に関する権限を持っている行政管理局が主導で行政改革を進めている。やはり行政監察局というのが全国に千人近い職員を擁しているわけですね。その意味では事務、事業の整理だとか合理化、運営の改善というふうな問題を踏まえて、つまり監察局が、そういう実際の手足が動いて、そして行政管理局が対応していくというようなことが必要ではないか、その点がちょっと問題があるのじゃないだろうかという感じもしないわけではございませんので、その内部についてどのようにお感じになっていらっしゃるか。
  68. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 仰せのとおり、行管庁には二つの局がございまして、監察局の方が人員は多く、そのほとんどが地方におることも御指摘のとおりでございます。この監察局は、各府県にもおりまして、常に許可認可あるいは法令、報告さらには補助金、こうした問題に関しましても、市町村役場にまで出かけまして、いろいろと平素から監察をいたしております。だから、中には、余りうるさ過ぎてかなわぬから、あんなやつはよけいなやつだ、こういうふうな逆の声が出る方が多いわけでございますが、時と場合によっては、幾つかのプロジェクトを決めまして、たとえばこういう負担はどうであるとか、あるいは国鉄の仕事に関しても、もう少し部外に委託した方がいいのではないかとか、そういうふうな幾つものプロジェクトを決めまして、それを事詳細にわたって全国的に調べ上げて、補助金等に関しましては、もちろん大蔵省にもこちらからこういうむだがある、こういうふうな合理化の方法があるということを示しておりますが、これが管理局の方に移されて、管理局でいろんな行政監察の結果に基づいた行政の合理化をやっておるわけでございますので、両局の間におきましては、表裏一体となって、少数精鋭でがんばってくれておると私はいつも思っている次第でございます。
  69. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま進めておられる行政改革というのは、どうも官僚主導と言っては言葉が過ぎるかもしれませんが、そういう傾向があるんじゃないかという感じがあるわけです。やはり民間の学識経験者やあるいは職員の代表や、つまり国民的な立場に立って、長期的なビジョンを踏まえた行革というものを議論すべきではないかと私は思うので、行政調査会のようなものをおつくりになるおつもりはないかどうか、長官の御答弁をいただきたいと思います。
  70. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 御承知のとおり、行政監理委員会というものがございまして、私が委員長をやっておりますが、ここにはあらゆる界を代表される方々に寄っていただいて、常に行政のあり方に関しまして審議をし、また御提言をしていただいております。いま仰せの、将来にわたって、官僚主導型でなくて、もう少し民間の声を入れてひとつ何か調査会をつくれ、これも私は一つの大きな御提言であろうと思います。今日、実は行革を望む国民の声は本当に大きいと私は思うのです。しかも、私も相当がんばってやったつもりですが、それでもなおかつまだまだ足りないというふうな声が高うございます。私ももっともだ、こう思います。したがいまして、まだまだやっていきたい、こういうふうに思いますが、いま調査会をつくりますと、何分にも一年、二年、三年というふうな年月をあるいは要するのではないかと思いますので、それはそれとして私ども検討はさしていただきますが、今日の行革そのものに対する国民の要望ということから申し上げれば、五十五年行革は第一弾は打ち上げましたけれども、その第一弾の中のまだ地方ブロック機関であるとか都道府県の機関の問題に関しましてはこれからでございますし、ひとつ着実に一つずつ私実現に移していきたい。そして過般も本会議あるいは予算委員会等々で各委員方々の御質疑にお答え申し上げましたが、第二弾も当然近くその想を固めまして、閣議において決定段階に持ち込みたい、こういうふうに思っておりますので、一つの有力な御提言として私は承っておきたいと思います。
  71. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 宇野長官は行革のパートツーを検討中だといまも言われましたけれども、その内容、非常に大まかなものかもしれませんが、どんなことを考えていらっしゃるか、この際、見解を明らかにしていただきたいと思います。
  72. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 いろいろと検討いたしておりますが、いわゆる検討中でございます。行革は非常にむずかしく、各省庁にまたがります。その省庁に対しまして特殊法人をこれだけ出せということは終わりましたが、私はまだ特殊法人は残っておるような感じがいたします。そこへもってきて、地方ブロックの機関に関しましても各省庁の協力をひとつ要請しなければならない、こういうふうにあれこれ考えますと、各省庁も一つ一つの問題でいま鋭意事務的に詰めておりますので、その事務が詰められておる段階で、次はこうだ、次はこうだとやりますと、また混乱を起こさないとも限りません。したがいまして、お気持ちは十分私もうれしくちょうだいをいたしながら、着実に一つずつ解決をしていきたい。もちろんそのためにはやはり行管庁みずからがリーダーシップを発揮しなくちゃなりませんし、各省庁におきましては、それぞれの大臣諸公みずからがリーダーシップを発揮してくれ、こういうふうに常にお願いいたしておりますので、具体的にこういう問題とああいう問題と言うのは、まだいささか時期としては尚早ではなかろうか、こういうふうに思いますので、せっかくの御質問でございますが、そこら辺でひとつ御勘弁賜りたいと存ずるものであります。
  73. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 先ほど、行政改革に関連をして例の総定員法の成立に際しての首切りや強制配転を禁じた国会の附帯決議があるということ、それを遵守するという政府の態度を改めて確認をいただきました。  その点で言いますと、特殊法人の統廃合に当たってやはり職員の身分問題がどうなっているのか。これは一般の公務員と同様に転職のあっせんなど身分保障を行うことは当然だと思うのですが、それらに対して行管庁長官がきちんとその政治姿勢を明らかに願いたい、このように思います。
  74. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 私、特殊法人の統廃合をやりながら幾つか一政治家として考えたこともあるのですが、やはり時の流れあるいは時代の要請によって、高度成長期には幾つかの特殊法人が設立されましたが、時代の流れとともに、それがいわばもう時代の無用の長物であるというふうな指弾も多々あるわけでありまして、特殊法人に関しましては、その新設そのものから今後は慎重を期してやっていかなければならない。でなければ、せっかく青雲の志に燃えて学業を身につけ、そして入られた人たちが、入った瞬間から自分の入ったところがあしたどうなるかわからないというふうなことは、これはやはり一部において政治の責任であるかもしれぬ、だから、今後はそういうことがないように私は考えてみたい。そのこと自体も今回の五十五年行革の一つの大きなテーマにして、そして十年なら十年を見通すとか、そういうふうな展望の上に立っての特殊法人のあり方なりあるいは行政のあり方というものを考えなくちゃいけないのではないだろうか、こういうふうに思っております。  したがいまして、そこに働いていらっしゃる方々の身分等に関しましても、われわれは当然そういう気持ちで臨まなければならないな、かように存じておる次第でございますが、特殊法人といえどもやはり国家公務員に準ずる存在でございますから、したがいまして、いま官民格差がやかましく言われている面は厳しく国家公務員におきましてもいろいろ検討いたしておるところでございますので、そうした面に関しましては、特殊法人に関しましても十二分に準じて考えなくてはならないな、かように存じますけれども、まずわれわれといたしましては、いわゆる高級官僚の天下りの場所であってはならない、少なくともこういう世論に対してははっきりしたことでおこたえしなくちゃならぬ、こういうふうに思いましたので、その点に関しましては、ここ三、四年の間に常勤役員を三十四名一応カットするというのが精いっぱいでございましたが、幸いにも今回は非常に大きな世論がございますので、この三年間で百二十名プラスアルファ、それだけの常勤役員は整理する、そして極力民間方々を、少なくとも五割は登用して、そしてやはり民間並びに国家としてお互いがよいところを発揮し得るような場所に持っていきたい。そういうふうにするならば、またそこで働いておられる方々もやはり大きな抱負を持って臨んでもらえる。  いま何か知りませんが、もう厄介者扱いされたり、無用の長物視されているものがございますから、そういうものは私はひとつこの際にいろいろの角度から検討はしていきたいと思うのでございます。そうしてやはりそうした中からりっぱな特殊法人を育てていく方が、そうした人の面においてもいいのではなかろうか、かように考えておりまするから、十分そうしたことは考慮に入れながら慎重な配慮のもとに作業を進めていきたいと思っております。
  75. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 時間がなくなってしまったのですが、ブロック機関の統廃合について三月末までに具体案をまとめるということになっていますが、予定どおり進んでいるかどうか、その対象と規模をこの際お示しを願いたいと思います。
  76. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 やはり政府といたしましても与党の意見を尊重しなければなりませんが、与党には行財政調査会というものがありまして、この行財政調査会におきましては、一省庁それぞれブロックは持っておるのだから、少なくとも一つ以上は今回整理をしてしまえ、こういうふうないわば厳命が下されております。その線に従いまして、ただ、先ほど岩垂さん申されましたとおり、一律主義、画一主義というのは余り好ましくないぞということ等もございますので、やはり必要な機関もあろうと思います、地域によりましても、十二分に地域に必要のある機関もあろうと思いますから、そうしたことを慎重に現在配意しながら作業を進めております。したがいまして、現在といたしましては、機関名あるいはまたその地名、それを明らかにするという段階ではございませんので、その点も御了解賜りたいと思います。
  77. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 法案提出予定というのは、時期も含めて変化はないと理解してよろしゅうございますか。
  78. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 法案は四月になると思いますが、今国会提出をいたしたいと考えております。
  79. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 最後に、特殊法人百十一に対して行政監察の対象を広げるための行政管理庁設置法の一部を改正する法律案提案をなさるということを聞いておりますが、この改正案について今日までの経過と、それから行政管理庁長官方針というものをお述べをいただきたいと思います。
  80. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 特殊法人はKDD等不正経理によりまして非常に世論の糾弾を浴びております。しかし、今日までの経緯から申しますと、公社、公団、事業団並びに公庫百十一のうちの四十八、これだけが行管庁設置法によりまして監察の対象であると書かれておるわけですが、特殊法人にはKDDのごとく株式会社もございますし、いろいろな形態でまさに千差万別でありまして、その点はもう少しく監察を厳しくしていくのがいいんじゃないだろうかとかねて思っておりましたが、過般の予算委員会におきましても、公明党を初めといたしましていろいろな政党からそういう点を指摘をされました。したがいまして、私といたしましては百十一全部、今回は十八減りますが、一応現在は百十一あるわけでございますから、百十一全部を対象として、ひとつ法案改正を今国会にお諮りをいたしたい、かように考えております。
  81. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 時間でございますので、以上で終わります。
  82. 木野晴夫

    木野委員長 次に、新井彬之君。
  83. 新井彬之

    ○新井委員 本日は非常に時間も少ないということでございますので、全体的な質疑につきましては、いま長官が御答弁いただきましたような法案提出のときを待ちまして、全体的な質問をさしていただきたいと思うわけでございますが、福田、大平内閣の行政改革の閣議決定及び閣議了解等によるその後の進捗状況については資料としていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  84. 加地夏雄

    ○加地政府委員 御承知のように、今回の五十五年の行政改革以外に、先生御指摘のように一昨々年の五十二年の閣議決定並びに去年の一月の閣議了解、こういう形で三年間にわたって行政改革を進めてまいっておるわけでございます。私ども当然その推進をする立場から、そういった閣議決定なり閣議了解を着実に実施しておりますが、御要望資料につきましては、できるだけ速やかに調製いたしまして御報告を申し上げたい、こういうふうに考えております。
  85. 新井彬之

    ○新井委員 昭和五十五年の行政改革の基本的な考え方と柱につきましては、予算委員会等で大分明らかにされておりますが、もう一度ここで改めてお伺いしておきたいと思います。
  86. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 五十五年行革と名づけましたゆえんは、行革はもういかなる内閣とはいえ常にそのことを考えなければならないというので、五十五年あるいは五十六年、五十七年もあるというふうな意味でまずそういう命名をさしていただきました。  そこで、内容といたしましては四本の柱がございます。一本は特殊法人、二本は地方出先機関、いわゆる地方支分部局でございます。三本目が許可認可、法令及び報告の整理、四番目が補助金の整理、このほかにすでに第一次大平内閣におきまして第五次の定員削減を決めておりますので、以上五本の柱、これが昨年暮れに閣議決定をいたしました五十五年行革のいわばパートワンでございます。
  87. 新井彬之

    ○新井委員 いまもお話がございましたが、こういう問題につきましても、三十九年の臨調のときから非常に大胆な指摘がされまして鋭意努力をされてきたということになっているわけでございますが、概略いままでの焼き直しといいますか、それを少し明確にした程度のことでありまして、とりあえずの、大きな大胆なというようなことは入ってないというぐあいに私は認識をするわけでございますが、長官は、いままでは手形は発行しておったけれども日にちが入っていなかったのだ、こういう言われ方でございます。そこで、今回日にちは入ったのでございますが、手形そのものに今度判こを押すのを忘れておったということになりかねないのじゃないかと思うのでございますが、これは本当に具体的に実現ができるのかどうか、そういう点についての決意といいますか内容といいますか、そういう面をもう一歩聞かしておいていただきたいと思います。
  88. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 臨調以来特に特殊法人に関しましてはしばしばあげつらわれてまいりました。ところが、残念にいたしまして、スクラップ・アンド・ビルドという方式によりまして、高度成長のときには、一つつぶしたが一つふえた、こんなことでついに百十一までなったという経緯がございます。昭和三十八年の時点をつかまえますと、特殊法人の数は九十三でございます。昭和三十九年になりますと、九十三が途端に九十九にふえるというふうな経緯で、それがやがて百十一になるわけでございますが、私といたしましては、いまもお話しのとおりに、臨調におきましてもその後の幾多の閣議了解事項等々におきましても、率直に申し上げましていつやるという日付が入らぬままに、これは問題だよ、統合しなさい、民営に移行しなさい、こういうかけ声ばかりでございましたので、これであってはいけない、こういうふうな感じがございましたので、少なくとも高度経済成長期におけるぜい肉とおぼしきものは全部切りたいというので臨んだわけでございます。したがいまして、今回の行革は本年を第一年度といたしまして、昭和五十九年に至るまる五年間、特に特殊法人に関しましてはそのうちの三年間でやってしまいたい、こういうふうな決意で臨んでおります。  ところが一、二例外はございます。これは過般もいろいろな機会にお話を申し上げましたので、もし御質問あらばお答え申し上げますが、それ以前のものは大体この三年間に統廃合するというので、はっきり日付を入れまして、そしてこれは当然国会の御審議を煩わさなくてはなりません。すでに先週の金曜の閣議におきましてもこの国会にお出しをする統廃合法律決定した次第でございますが、たとえば原子力船に関しましても、これは原子力委員会等々の御意見もございましたが、昭和六十年三月三十一日、つまり一番最終年度にはこの原子力事業団というものは他の特殊法人に統合する、このように法律に、はるかなる先のことかもしれませんが、きちっとその年月を入れてもらって、そして御審議を煩わしたい、こういうふうに考えております。  確かに、いままでは日付がなかったばかりにかけ声だけで一向実現しなかったじゃないかとの御指摘、ごもっともだと思いますので、そういう御指弾が今後はないように、やはり誠心誠意、統廃合を決めたやつはきちっと統廃合していく、こういうふうな決意でございます。
  89. 新井彬之

    ○新井委員 いままでもそういうぐあいに言われてまいったのですが、今回は日付が入ったから間違いないというお話なんですが、いままで行政改革そのものが進まなかった何か要因といいますか、阻害をしておったようなことがあるためにこれが進まなかった。ある意味ではうその手形を国自体が発行して、日にちも入れないような手形を国民に言っていたというような全くばかげたことをいままでの内閣がやってきたということになるわけでございまして、もしそうでなければ、やる気があってやろうとしたのだけれどもなかなか日にち自体も入れられなかったというような阻害要因があったとすれば、一体どういうところに問題点があったのか。宇野長官は非常にやる気がございまして、全く行政改革をやるために出てこられた代議士ではないかと私は思うくらい張り切っておられますので、そういう面について、どのようにしていままでの阻害要因を除去していかれるのか、それをお伺いしておきたいと思います。
  90. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 一言にして申し上げれば、行革は総論賛成、各論反対ということが一番大きな阻害ではなかったであろうかと思います。同時に、私は行管庁長官に就任いたしまして常に各省庁の役人諸公、つまり国家公務員諸公にも申し上げるのですが、あなた方は国家の公務員であって各省庁の公務員ではありません、にもかかわらず特殊法人あるいは許可認可、さらには報告、地方出先、それは何か自分の私物のような感じを抱いておるのではなかろうか、これはすべて国民からお預かりしておるもので、国民からお預かりしておる以上は、その時代の推移にかんがみ、さらには国民のニーズに応じてそうしたものの合理化を常に図らなくちゃならないが、何か自分の私物のような感じをしておるのじゃなかろうか、まずそういうふうな観念から改めてほしいということを申し上げておりますが、率直に申し上げれば、そういうことがいわばいままでのなかなか進みにくかった原因ではなかろうかと私は思います。  もちろん、地方におきましても、地方ブロックの廃止ということになりますと、まだ機関名も地名も挙げておらないにもかかわりませず、やはり方々から、市長さん、知事さん等々からも、何とかうちにあるものはこの際はというふうなことで、それぞれ各政党もお動きになられるようなこともかつてはあったかもしれません。いろいろなことがかつてはあったと思います。しかし今回は、やはり国民が相当大きな期待を寄せておられますので、今回は総論賛成、各論も決して反対ではない、こういうふうな風潮が漸次みなぎっておるのではないか、私はこう思っております。  ただ、申し上げまするのは、臨調以来特に特殊法人に関しましては幾つか議論をされてまいりました。また、各歴代内閣におきましても閣議決定あるいは閣議了解として幾つかの行革をやってまいりましたが、これは必要あらば一覧表を出してもよいと私は考えておりますけれども、大体一つ一つ片づけてまいっておるということでございまして、ただ、特殊法人を考えますと、臨調のときにせっかく統廃合を指摘されておりながら、日付が入っておらないからまだ十五年のうのうとしておる。のうのうとしているか、時代の要請でそのままいたのかわかりませんが、そうしたものも確かにあることはございます。だから、そうしたことも私やはりこの機会に一回洗い直しをしてみたいな、かように存じております。だから、今日まで歴代内閣がすべてサボっておったというわけじゃございません。やはり一つ一つ着実に功を重ねてまいったのではないかと思います。しかし、中にはそういうふうな御指摘の面も少なからずあったということは事実でございますから、私は、この五十五年行革でそうした面もはっきり説明のつくようにしてはいかがであろうか、こういうふうに思っておる次第でございます。
  91. 新井彬之

    ○新井委員 今回の行政改革の立案方法というのが非常に画一的であるし一律的である、各省に任したというようなことがわりかた指摘をされているわけでございますが、本来行管庁といたしましては、そういういろいろな問題点というものを把握し、それを分析をいたしまして、当然要るものは要る、要らないものは要らないということでイニシアチブをとって行革というものを進める、そのための行政管理庁だ、こういうぐあいに私は認識をいたしておりますが、行政管理庁長官としてはいかがお考えになりますか。
  92. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 先ほど説明申し上げました五本の柱に関しましても、行管庁は管理局と監察局がございますが、監察局が全国においてそれぞれの行政のあり方を常に監察いたしております。それをもとに今回四本の柱を進めてまいった次第でございまして、たとえば許可認可にいたしましても、去る国会で御審議を仰いだのがちょうど第八次目でございましたが、これによりまして統廃合整理をいたしましたのが約千五百件。今回報告等も千四百七十七件整理をいたしました。  この間お話を申し上げたかもしれませんが、書類二枚のやつを一枚にしなさい。あるいは一回出しておった書類はもうやめにしなさい、こういうふうなことで整理してその高さ二百メートルだと私は申し上げております。霞ケ関ビルより五十メートル高い。そこまで実はいろいろ各省庁の御協力をいただいて、報告なんかも整理しました。それだけ判こをついたりつかれたりするような行政があったわけでございますね。こうしたことは行管庁の監察を通じまして、常にそのむだなり行政のあり方を指摘してまいりましたので、今回は五本の柱に関しましても十二分にその効果をあらわすことができたのではなかろうか。大蔵省も千六百六十七億の補助金をことしはカットし得た、こう言っておりますが、大体三千八百くらい補助金の種類があると思いますが、少なくともこの四年の間に四分の一にはするのだ、こうやっておる。その調査も、実は各都道府県にあり、さらにはブロックにあるところの行政監察局が主たる自分たちの任務として、少数精鋭主義でやっていてくれると思って感謝しておるのでありますが、日夜を分かたず勉強し調査をした結果であろうと私は確信いたしております。
  93. 新井彬之

    ○新井委員 各省庁というのはなわ張りといいますかそういうものが現実にあることはもう御承知のとおりでございますし、その中で行管が現実に調査をいたしまして、そして要らないものは要らない、要るものは要る、いろいろなことをやられていることは事実だろうと思います。しかしながら、行管そのものがいまのところまだイニシアチブをとって、主導権を握って、特殊法人一つにいたしましてもこれは要らぬのじゃないかというようなことで権限を持ち、それだけの提言をしているというぐあいにはなかなか思えないわけですね。確かに、いまもお話がありましたように、いろいろのことをおやりになっておりますけれども、補助金一つ見ましても、それにかわるべき補助金が出てきたり、総額の上からいけば何にも減ってはいないし逆にふえているような現状があるわけですね。そうしますと、国民の皆さんから見た場合に、言っているけれども一体内容的にはどうなっているのだ、こういうものをなくしてそれでこういうぐあいにしておりますということが明確にまだ映っていないというのは事実だろうと思うわけでございます。  そういう意味で、先ほども提言があったようでございますが、三十九年の臨調、あのような調査会を大々的につくりまして、そして内容的にはもう一度洗い直しをしてやるということが非常に大事ではないか、こういうぐあいに私は思うわけでございますが、いかがでございますか。
  94. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 確かにそうした御提言も有力な御提言であると私は拝聴いたしたいと考えております。先ほども岩垂さんにお答え申し上げましたが、現在の世論から申し上げますと、行革をもっとやれ、なぜやらぬか、こういうことでございます。したがいまして、いろいろ重大な行革があるわけでございますが、何か三年も四年もかかる方に任せてしまって自分たちの責任を軽くしたと言われないとも限らない面がありますから、私はやるだけのことはどんどんやっていきたい、かように考えておる次第でございます。  現在、行政監理委員会というところは経済界からも労働界からもあるいは言論界からも学界からもそれぞれの委員が入っていただいて、常に本当に熱心にやっていただいております。この委員会国会で御承認を得るという重大な委員会でございますので、委員各位も一流のお方がそうした気持ちで今日かかっていただいておりますから、この方々の御意見も尊重しながら、とりあえず国論に応じなければならない面はどんどんといまのような方法でやっていきたいと存じております。いまの新井さんの御提言、決して私は無視するものではございません。一つの大きな提案であるので、耳は傾けさしていただきたいと存じております。
  95. 新井彬之

    ○新井委員 その件につきましても、いまのそういう委員方々の年齢あるいは構成、いろいろ審議の状況等もお伺いしておるわけでございますが、いまの行政改革をやるについてはまだまだ不十分だということはもう明らかではなかろうかと思うわけですね。だけれども、そういうことを言っていると時間がありませんので、次に移ります。  法制局にお伺いをしたいのでございますが、参っておりますか。——一般原則として、法律、政令、省令はどのような事項について規定しているのか、その考え方についてお伺いをしたいと思います。
  96. 関守

    ○関(守)政府委員 お答え申し上げますが、ただいま一般論としてというお話でございますので、一般論としてお答え申し上げます。  法律につきましては、これは国会で御制定になるものでございまして、私から申し上げるまでもないと存じますけれども、御質問のポイントは、法律で定める事項との関連で政令、省令でどういう事項を定められるかということかと存じますので、その点についてお答え申し上げたいと思います。  そこで、行政機関として立法をするということになりますと、これは政令と省令とあるわけでございますけれども、その範囲につきましては、当然のことながら、憲法第四十一条が国会が唯一の立法機関であるというふうに定めております趣旨を損なわない範囲で、したがいまして、たとえば手続に関する事項とか技術的な事項あるいは事態の推移に応じて臨機に措置する必要があることが予想されるというような事項等につきまして、個別的、具体的に法律で委任する場合でありますとか、あるいは法律を実施するために必要な細目的事項を定めるという場合に限って行政機関の立法が認められるということだろうと思います。  そこで、この場合、政令と省令のどちらの形式で立法するかということになりますと、政令の場合には内閣で定めるわけでございますから、より慎重な手続、たとえば各省庁にわたって調整を要するような事項だとか、そういう慎重な手続を要するものが政令の方になろうかと思いますし、また省令の場合には、各省大臣が独自に判断した方が適切であると認められるような事項、非常に具体的な細部的な事項で比較的軽易な事項、そういうものが省令の内容になろうかと思います。
  97. 新井彬之

    ○新井委員 法制局、結構でございます。ありがとうございました。  今回の法律案でございますが、府県単位機関の名称等が法律事項から政令等で定められるように改正されるわけでございますが、それについてのメリットはどのようなことを考えているか、お伺いしたいと思います。
  98. 加地夏雄

    ○加地政府委員 今回の法律案におきましては、  一つは、国の行政組織の基本と申しますか、基準法になっております国家行政組織法の原則の枠内におきまして、現在各省庁あるいは各機関でまちまちになっておりまする附属機関あるいは地方支分部局の法令形式を極力統合したいという考え方で立案したものでございます。その結果といたしまして、現在各省のそういった機関の中でその設置等につきまして法律事項になっている部分が一部政令事項に移管されるということが出てまいるわけであります。  この改正のメリットという点で申し上げますと、先ほど来お話がございますように、今回の五十五年行革におきましてもこういった附属機関、地方支分部局の整理、合理化を進めておるわけでございます。二十九種、二百三十機関についての整理、合理化をやろうということで、五十五年度におきましても約九十六機関の整理考えておるわけであります。  具体的に申し上げますと、たとえば運輸省の海員学校でございますとか、あるいは法務省の少年院とかいったものがございますが、こういった機関は現在その設置につきましては一々法律手続を踏まなくちゃいけない、こういうふうになっておるわけでありまして、この法案をお認めいただきました上は、今回の改革に盛られたそういった事項につきましては従来に比べて簡略な形で統廃合ができるという形になるわけでございます。
  99. 新井彬之

    ○新井委員 行革の柱としてはこういうことは初めなかったのでございますね。それで本来そのつど国会審議を経て設置法の改正が行われて実施に移されてきたものが、この法律が通ることによって、わりかた相当数のものが省けるというようなことがあるわけでございますが、過去における設置法等の提出状況等から推測して、この法案が通過した場合に、今後においておよそ何%くらいが国会審議を経ずに済むことになると予想されておりますか。
  100. 加地夏雄

    ○加地政府委員 この法律案の趣旨がただいま申し上げたようなことでございまして、仮にこの法案が通った場合にどの程度の形になるかというのは、結局、過去に提案を申し上げた実績から判断する以外にないと思いますけれども、具体的に申しますと、たとえば科学技術庁の防災技術センターを筑波に移転した際に、五十三年でございましたか、それだけで科学技術庁設置法の改正をお願いしたわけでございます。そういったものを全体通してみまして、今回の改正の絡みでは件数的にはそれほど大きな形にはなるまい、私どもはそう考えております。実績から見まして、非常に多い場合を考えましてもせいぜい四分の一以下ではなかろうかと考えておるわけでございます。
  101. 新井彬之

    ○新井委員 府県単位機関を政令にし、地方のブロック機関は法律事項に残しておりますけれども、その理由はどのようなことですか。
  102. 加地夏雄

    ○加地政府委員 先ほど申し上げましたように、かつて昭和四十六年に国家行政組織法の改正というものを御提案申し上げたわけであります。その際は今回と違いまして、いわゆる行政組織の中で、各省の中央の内部部局でございますとか、あるいは地方支分部局の中でも基幹組織でございますが、ブロック機関につきましても広範な改正をお願いしたわけであります。これはまさに現在の国家行政組織法の原則を変えるという形で御審議を願ったわけでありますが、御案内のような国会の御判断をいただいたわけであります。  そこで、私どもが今回手をつけましたのは、いま御指摘のようにブロック機関には触れておりません。ブロック機関に触れておらないと申しますのは、たとえば本省の内部部局あるいは部、局の設置とか、こういった行政組織の基幹にかかわる部分は現在の国家行政組織法の基幹に触れる部分である、こういうふうに考えたからでございます。
  103. 新井彬之

    ○新井委員 国家行政組織法上、組織の改廃については政省令事項についての区分の基準はどのようにしておりますか。
  104. 加地夏雄

    ○加地政府委員 国家行政組織法は、たびたび申し上げておりますように、国の行政組織のいわば基準、基幹になる法律でございますが、その中で、たとえば今回お願いしております附属機関あるいは地方支分部局につきましては組織法の八条あるいは九条におきまして、そういうものの設置は「法律の定めるところにより、」こういうふうになっておるわけであります。これがいわば一つの大きな基準になっておるということであります。そこで、その「法律の定めるところにより、」と申しますのは、仮にそれが出張所のような非常に零細な機関でございましても、機関そのものの設置とか総称とかあるいは所掌事務につきましては、これはやはりきちんと法律で決める必要がある、こういうことであるというふうに私ども理解しておりますし、また、各省の設置法におきましてもそういった考え方が定着をしているわけでございます。したがいまして、そういった区分に従いまして法律に基づくもの、政令に基づくものあるいは省令以下のもの、こういう考え方があるわけでございまして、今回の改正案ではそういった省令部分あるいは政令部分につきまして、附属機関、地方支分部局、それぞれ各省まちまちになっているものを統一したい、こういう内容のものでございます。
  105. 新井彬之

    ○新井委員 いまも答弁がありましたけれども、この各省まちまちになっているものを一応統一する、横並びにするということでございますが、農水省設置法では営林支局を法律事項で残しておりますね。これは一体どういうことですか。
  106. 加地夏雄

    ○加地政府委員 農水省の設置法で北海道の四つの営林局を支局にいたしましたのは、御承知のように、五十二年の行政改革の中で方針が決まりまして、一昨年当委員会においてお認めいただいたところでございます。当初政府案といたしましては、ブロック局を廃止する案につきましては支局という形で実はお願いをしたわけではございませんが、いろいろ国会の御審議経過がございまして、支局とする、こういうことに国会の御意思としてお決めいただいたわけであります。  内容につきましては、これは従来の管区局に比べまして、いわゆる管区局の持っておる企画総合調整機能というものを除きまして、一段格が下と申しますか、支局にしたわけでございますが、当時の当委員会における御意思がやはり支局という形で法律上の組織にしておく必要がある、こういうことでございましたので、今回の法律案の御提案を申し上げる際にも、こういった実態と当委員会の御趣旨というものを踏まえまして、これを従来どおり法律の支局という形に残したわけでございます。
  107. 新井彬之

    ○新井委員 いまも説明がありましたように、この農水省設置法はそういう経過をたどって、いま法律事項になっているわけでございます。これは国会の意思を尊重したということになるわけでございますが、この法案の趣旨からいいまして、各省庁の統一を図って機構の機動的、弾力的運用を図るという行管庁の説明からすれば、筋として道理に合わないということになるのではないか、こういうぐあいに思いますが、その辺についてはどのようにお考えになっておりますか。
  108. 加地夏雄

    ○加地政府委員 ただいま申し上げましたように、この営林局の支局の場合は、従来の局に比べまして多少所掌業務の変更がございましたけれども、全体としてブロック機関に準ずる機関としての所掌義務を持っておるわけでございまして、そういう趣旨からも今回政令化の対象にしなかったということでございます。
  109. 新井彬之

    ○新井委員 一つ一つこの中の問題点を探りますと、これはやはり法律に置いておいた方がいい、あるいはこれは省令にした方がいいというような個々別々のいろいろな問題点が出てこようかと思います。そういうわけで、一律にしたときにどういう問題が起こるかということが考えられるわけでございますが、本来、法律事項にしておけば一つ一つが全部審議にかかるわけでございますから、内容も明らかになりますし、それをどのようにすればいいかということも明確になるわけでございます。ところが、いまのように政省令にするというようなことになりますと、どうしても機構の膨張への歯どめというものを考えないといけないということが考えられるわけでございますが、こういう問題についてはどのようにお考えになっておりますか。
  110. 加地夏雄

    ○加地政府委員 行政機構の膨張を抑制すべきであるという考え方、これはもう今日のみならず従来から引き続いて膨張抑制に努めてまいってきたわけであります。それぞれの機関の設置形式が法律であるとか政省令であるということを問わず膨張抑制をすべきである、こういう考え方でやってまいったわけであります。従来法律事項であったものが政省令の段階におろされた場合にそういったある種の歯どめがなくなるのではないか、こういう御指摘も私どもは趣旨としては十分わかるわけでありますけれども、むしろそういうことによって、時代の要請あるいは行政需要の動向に沿いまして行政機構を機動的、弾力的に改廃していくべきである、こういうたてまえから考えますならば、やはりそういった組織法上の形をとることがベターではないか、こういうふうに考えるわけであります。  いずれにいたしましても私どもとしては、従来もそうでございますし、今後引き続き行政改革を推進することを考えまして、機構の膨張抑制を強力に推進する必要があるわけでございます。要は、組織の設置形式がどうであるかということよりも、やはり政府なり行政管理庁がいかなる決意でそういった機構膨張の抑制をしていくか、こういうことにあるのではないかというふうに考えております。いままでの実績をごらんいただきましても、相当な抑制を図ってきておりますし、私どもはやはりそういう方針で、今回の法律改正とはかかわりなく膨張抑制に努めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  111. 新井彬之

    ○新井委員 組織というのは終始一貫膨張へ膨張へと向かう、これが一つの定理でございます。したがいまして、少しでも膨張しやすい方向になった場合は、やはり一つの歯どめを持っておかないといけない、こういうぐあいに考えるわけですね。だから、やはりこれを法律事項として一つ一つの審議を経るということも歯どめの一つになろうかと思うわけです。  仮にこの法律案が成立しても、地方自治法第百五十六条で、国の地方行政機関の設置については国会の承認を経なければ設置できないようになっているから機構の膨張等につながることはない、こういうぐあいに行管庁のお考えを聞いたことがありますが、地方自治法の第百五十六条六項、七項で言われております内容を見ると、多くの機関と支分部局が除かれていることからも、やはりそういう法律的なことも半減されるのじゃないか、こういうぐあいに心配するわけでございますが、そういう問題の担保というものは一体どこでされるのか、お伺いしておきたいと思います。
  112. 加地夏雄

    ○加地政府委員 いま御質問の中にございました地方自治法百五十六条の規定関係、これは今回の法律改正が仮にありましても、この規定関係なく存続するわけでございます。  こういった法律事項を政省令化することに伴う膨張抑制の歯どめをどうするかという御質問でございますが、先ほども申し上げましたように、やはり行政組織というのは常に時勢の変動あるいは行政需要の消長に応じて、それに沿った合理化なり整理をやっていくべきものである、こういうふうに考えました場合に、やはりある一定の機関、もちろんそれが国の行政組織の根幹として非常に大きな問題を持ち、かつ国会の御審議を煩わさなければいけない、こういった問題は別といたしまして、中小型の機関の場合で、しかもそれぞれの内容に応じて軽微なものについては、そういった機動的な運用ができるような形をとるべきではないか。実は臨調もそうでございますし、各方面からもそういう趣旨のことが言われておるわけでございまして、そういった要請が一つあると同時に、それを外すことによって御指摘のような心配もあるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、私どもは、今回のお願いを申し上げておる程度のそういった省令化によって機構膨張の抑制の歯どめができないというふうには考えておりません。むしろ先ほど申し上げましたように、政府なり行政管理庁が毅然とした態度でそういった膨張抑制をやっていくという姿勢が貫かれるかどうか、こういうところにかかっておるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  113. 新井彬之

    ○新井委員 さっきも言いましたように、この百五十六条の第七項の規定ですね。これはほとんどのものがこの法律を適用しないということになっているわけですね。「前項の規定は、司法行政及び懲戒機関、警察機関、検疫機関、防衛庁の機関、税関の出張所及び監視署、税関支署並びにその出張所及び監視署、税務署及びその支署、国税不服審判所の支部、鉄道現業官署、空港事務所その他の航空現業官署、地方郵政監察局、地方郵政局、地方貯金局、地方簡易保険局、郵便局及びこれらの出張所、地方電波監理局の出張所、電波観測所、文教施設、国立の病院及び療養施設、気象官署、海上警備救難機関、航路標識及び水路官署、港湾建設機関、営林署並びに専ら国費を以て行う工事の施行機関については、これを適用しない。」だから、そういうところのものについてはやはり非常に膨張するといいますか、いろいろなことが考えられるわけでございますけれども、そういうことについてよほど担保していただかなければいけない、このように考えておるわけでございますので、それはひとつお願いしたいと思います。  それから、建設省関係にお伺いしたいと思うのでございますが、建設省の関係の筑波移転状況はどのようになっておりますか。
  114. 吉沢奎介

    ○吉沢説明員 お答えいたします。  建設省関係の国土地理院と土木研究所それから建築研究所の三機関でございますが、これは昭和五十三年度の末ごろ筑波地区の施設が大体九〇%程度概成いたしまして、そういうことで各機関ごとに筑波に分室という形で設置いたしまして、逐次職員と物品を移動いたしまして、昭和五十四年度の初めには分室の整備をほぼ完了したというような状況でございます。
  115. 新井彬之

    ○新井委員 この法案提出されたのが五十四年の三月十六日でありますね。それでいまの答弁にありましたように、大部分が移転をしてしまっている。昨年の法案審議時点で移転を大体やっておるわけでございますが、昨年の四月一日付で本来正式に移転をしなければいけなかったわけですね。ところが、この法案が出てきたのが三月十六日でございますし、そんな四月一日にその法案が通るということは状況的には認められないような状況であったわけでございます。それがまた今回こうして継続審議になったり廃案になったりしましてずっときているわけでございますが、こんな場合はやはり単独で、当然建設省としては設置法を出して明確にすれば事足りると思いますけれども、そういうことについてのお考えはどのようにされておったのですか。
  116. 吉沢奎介

    ○吉沢説明員 お答えいたします。  移転につきまして設置法の改正を待った上で行うということは御指摘のとおりだと思います。  ただ、三機関が筑波分室をつくりまして移転を事実上行い始めたということにつきまして若干御説明させていただきたいのでございますが、筑波地区におきまして施設が概成いたしまして、特に実験施設等で大型のものが新しいものができてまいりました。そういう関係で研究者などが早くそういう新しい実験施設で実験を行いたいという要望が非常に強く出てまいりまして、また私どもといたしましても、そういう研究者の要請にこたえて早くそういう実験をさせる、研究を行わせるということが意義があるのじゃないかと考えたわけでございます。  また、三月末から四月という時期は、御承知のように職員の子弟の学校入学という関係もございまして、職員が子弟の教育上早くその時期に間に合うように移転したいという強い要望がございまして、そういったことを考え合わせまして筑波に分室という形で設置いたしました。これは、建設省設置法のたてまえの中で何とかこの問題を処理したいという苦肉の策みたいなものでございますが、そういう形で分室を設置いたしましてそこに逐次移動させたということでございまして、ひとつ御了承いただきたいわけでございます。
  117. 新井彬之

    ○新井委員 いや、別に怒って言っているわけでも何でもないのですけれども、とにかく現実の問題としては職員関係もありますし、いろいろの関係で明確に五十四年の四月一日なら四月一日に移転をしなければいけないんだ。そして職員の方もあるいはまた職場もそこで動かなければいけないというのは当然だと思うのです。ところが、設置法が通らないとそれが認められない、これは法律のたてまえで当然だと思いますね。ところが、移転費というのは五十三年からついておりまして、そういう予定でいっているわけですね。そういうところも行政管理庁として、こういう法案は、五十三年度にいついつから移転をしますということを出してきてもちっともおかしくはなかったと思うのでございますが、三月十六日に出した法律案で四月一日と行政管理庁自体が出している。これは一体行政管理庁として国会審議をどのように思っているか、それをちょっとお伺いしておきたいと思います。
  118. 加地夏雄

    ○加地政府委員 昨年この法案を御提案申し上げる際に、私どもとしては、そういう筑波移転の実態はもちろん十分承知はいたしておったわけでございますが、昨年の行政の簡素効率化という政府全体の方針の中でこの法案提案を決めておったわけでございます。しかも、いま御説明がございましたように、大きな施設でございまして、それが単年度で完成するという形ではなくて、何年かかかって整備を図ってきているわけでございまして、私どもとしても、できますことならば昨年の国会でこの法律案をお認めいただいて、その法律案が成立を見た上で移転をお願いをする、実はこういう方針でやってまいったわけであります。その意味から申し上げましても、一年すでに経過をしておるわけでございまして、できるだけこの法案の御成立をお認めいただきたい、こういう心境でございます。
  119. 新井彬之

    ○新井委員 厚生省なども埼玉にリハビリを設置するときに早速厚生省設置法を出してスムーズにやっているということですね。こういうぐあいに順序を踏んでやればわれわれだって幾らでも協力したい、こういう気持ちがありましても、そういう手続を踏まないことには協力のしようもないということなんですね。  そういうわけで、これは国会審議にかかっておりますからよくわかる問題ですが、これがもし省令とか政令事項になった場合に、全然わからないうちに物が建ったりつぶれたり、いろいろなことが行われるようなことがあってはなりませんし、まして膨張していくようなことになってもいけませんから、もう一度確認をしておきたいわけでございますが、行政管理庁としてそういうことについての歯どめといいますか、チェックといいますか、そういうものはどのようにされるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  120. 加地夏雄

    ○加地政府委員 これまで法律に基づきまして設置されたものが政令あるいは省令という形で設置、改廃が行われるという問題につきましては、先生のいまお話しのような事情も私は理解できないではございませんが、ただ、法律だからそれが完全な意味理解をされ、政省令であるから十分わからない、こういうことではないのでございまして、しかも全体としての機関の設置は、先ほど来申し上げておりますように、いかにささいな出先機関でございましても総称並びにその所掌事務については法律にきちんとした担保があるわけであります。そういう意味において、各省がそういった機関で行政事務を施行する場合に、当然そういった機関の新設について十分なPRもやってまいるでございましょうし、そういう意味理解は十分得られると思っております。  ただ、もう一つ別な点から、いま先生御指摘のように法律事項から政省令におろした場合のいわゆる膨張抑制の歯どめをどうするかというお話でございます。先ほど来重々申し上げて恐縮でございますけれども、私どもは、こういった行政機構の膨張を抑制していくという政府なり行政管理庁がきちんとした態度で臨めば、いまお願い申し上げておるような機関についての法律から政令への移管については十二分にその歯どめがやっていけるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  121. 新井彬之

    ○新井委員 先ほど長官も言われておりましたが、行政改革に対する要望といいますか民意といいますか、そういうものはいま非常に盛り上がっておるところでございます。本来、行政改革というのは何もそんなときだけやるのではなくて、毎日の努力の中で国民の皆さんにサービスができる行政というものの機構ができ上がるものと私は思っておるわけでございますし、そういう意味におきましては、先ほども長官が言われましたように、総論賛成、各論反対というのではなくて、国民全体の利益になるために、またたとえ少しでも奉仕になるために物事を考えていかなければならないということで、われわれとしても協力することにやぶさかではございませんし、積極的に今後とも協力をしていきたい、こういうぐあいに決意をしておるわけでございます。  そこで、最後に長官に対しまして二点だけお伺いして、質問を終わりたいと思うわけでございますが、先ほど質問の中で触れましたように、建設省のこの移転問題一つとりましても、実際には移転費用もつき建物も建っておるにもかかわらず、なかなかその法律案が通らないために移転ができないというようなことで、非常に困っておるようなこともあるわけでございますが、逆の意味考えますと、早く法律を出していただいて、それをわれわれが速やかに審議をして上げて、そして協力していくというのが当然ではなかろうか。したがいまして、本来そういう法律案を出してこないというのは国会軽視にもつながるということにもなるわけでございます。過去のいきさつを見ましても、たびたびそういう問題がございまして、官房長官もこの席に呼ばれて、二度と再びそういうことがないようにいたしますということを言われたようなこともあるようでございますが、この際、国会軽視であるとか手続がおくれるようなことのないように、ひとつ明確に長官の答弁をいただいておきたいと思います。
  122. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 政府といたしましては、当然国会軽視というようなことがいささかもあってはならないと存じております。したがいまして、法案に関しましても、予算関連、関連でない法案、それぞれ二月十四日、三月十四日というリミットを設定いたしまして、内閣といたしましても、極力国会において審議をいただく時間に余裕があるように、そういうふうな気持ちで今日やっておるわけでございます。特に行革に関しましては、やはりてきぱきと御審議を願いたい面も多々あるわけでございますので、ただいまの御発言に対しまして、私といたしましても、十二分にさように心得てまいりたいということを申し上げておきます。
  123. 新井彬之

    ○新井委員 もう一つは提案でございますが、政府においては内閣の組織編成権の強化を図りたいというのがかねてからの懸案ではないか、このように私は推察しているわけでございますが、昭和三十九年九月の臨調答申では、組織、機構の画一性、硬直性の除去、行政運営の効率化などを唱え、大幅に政令以下にすべきであると主張しておるわけでございます。政府はこれらの方針に沿って昭和四十六年以降三回にわたって国家行政組織法改正案を国会提出されてきておりますが、改正案の内容は中央省庁の局、部、附属機関審議会、試験研究機関、医療施設、文教施設等の設置は法律事項から政令に移管するという抜本的な改革案であり、注目に値するものがありましたが、一方これは国会審議権を侵すものであるという反発が野党側に根強くあったわけであります。このようなことから、この法案は一度も審議されることなく廃案になっております。  また、国家行政組織法が成立する際に、昭和二十二年に提出された政府原案におきましても、中央省庁の局、部の新設は政令とするという内容のものでありましたが、衆参両院で政治修正されて現在の法律になった経緯があります。昭和四十六年に提出された改正案もおおむね同様の内容でありましたために批判を受け、議論を呼んだのであります。今回、この法案も、行管庁の取り組み方一つでよくも悪くもなる性格を含んでおります。  昨今、国民の間にも行政改革を求める声が非常に強くなってきており、政府も行政改革の実施を政策の大きな柱に据えております。しかしながら、過去における歴代内閣の実績を見てまいりますならば、言うはやすく行うはかたしと御多分に漏れず、かけ声とは逆にどんどん後退して実効が上がらなかったのが真実であると思います。行政管理庁も過去においてがんばってはみるのだけれども、味方は少なし敵多しで、結局は他省庁等からの圧迫に屈してしまったと、国民の目から見るとこのように映る場面が間々見受けられたのであります。  このような印象が強いものですから、いままでのような弱い行管庁では、今回のこの法案につきましても、行政組織に関する規制をこのように政省令で定められるようになることは逆に政府機構の膨張につながるのではないかという心配がどうしてもついて回るわけであります。  そこで提案でございますが、行政監理委員会昭和四十六年を最後に、以来白書を出しておりませんが、人事院は毎年白書を出しております。これだけ行政改革問題を政府みずからがうたい、国民の間においてもかつてないほどの関心事となっていながら、行管庁が白書の一つも出さないでいること自体きわめて不自然であり、国民の期待にこたえていないと思うわけであります。国民の目の届かないところで不条理な政府機構の膨張が行われることのないよう監視し、国民の目でチェックできるよう、その実態を国民の前に明らかにする必要があります。と同時に、国民の理解と支持も必要になってくるわけであります。さらにまた、法律改正に伴う組織の改廃の大幅な政省令事項への移管、それに対する国民の民主的統制の確保をし、国会がその動きを知ることも担保されなくてはならないわけであります。このような観点から白書のようなものを出す必要があると考えるわけでございます。したがって、行政管理庁では現在行政管理庁設置法の一部改正案検討されているそうでございますが、その中に毎年一回行政管理庁ないしは行政監理委員会から、仮称行政改革白書なり行政管理白書なりを国会提出することを義務づけして、それを法案の中で明文化させるか、あるいは国家行政組織法の中にそのことも盛り込ませるようにすることによって、機構膨張の歯どめを図るということが必要ではなかろうかと思うわけでございますが、この提案について長官の所信をお聞かせ願いたいと思います。
  124. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 仰せのとおり、行政は常に簡素にして効率的でなければならない、これが今回の行革のモットーでございますが、今回だけではなくして、常在行革、常に行革はその精神でなくてはならないと思います。したがいまして、今回提案をいたしております法律もそうした趣旨にのっとっておるわけでございますが、先ほど来数々の御指摘もありましたとおり、ほうっておくと膨張する危険性がある、いかにしてこれらのことを国会が担保するか、私は非常に大切なことだと存じますので、ただいま御提言になりました白書の問題に関しましては、ひとつ今後国家のためにも、国民にもよく行政の内容、あり方等々を承知していただくためにも、貴重な御提言だと思いますから、私といたしましては前向きに検討させていただきたいと存じます。
  125. 新井彬之

    ○新井委員 もう質問は終わりますが、いまは行政需要も非常に多様化して、多くの要望があるわけでございますが、当然国なり地方公共団体がしなければいけない問題、あるいはまたそういうことまでする必要がない問題等もひっくるめましてよく検討いたしたいと思うわけでございます。増税路線というものが否定されて、そしてどうしても財政再建を図らなければいけない現代におきましては、当然行政改革に力を入れまして経費の削減、そしてまたサービスもよりよく効率的にやっていかなければいけない。こういう意味におきまして、公明党といたしましても、今後ともいろいろな面について検討もし、御協力もしてまいりたい、こういうように考えておる次第でございます。それを申し添えまして、質問を終わります。(拍手)
  126. 木野晴夫

    木野委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     午後二時十二分開議
  127. 木野晴夫

    木野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  附属機関地方支分部局等に関する規定整理等に関する法律案議題とし、質疑を続行いたします。中路雅弘君。
  128. 中路雅弘

    ○中路委員 附属機関地方支分部局等に関する規定整理等に関する法律は、もうすでに一度討議をされていますから、簡潔な質疑にしたいと思います。  行革と関連して午前中も御質問がありましたけれども、今後提出予定法案について最初にお聞きしておきたいのです。一つは、地方出先機関の整理統廃合の問題ですが、現在どの辺まで法案の詰めが行われているのか、いつ提出される予定なのか、この問題。それから、全特殊法人を対象にした行政監察の行管設置法の改正案ですが、同じくいつごろ御提出になるのか、最初にお聞きをしたいと思います。
  129. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 出先機関のうち地方ブロックに関する出先機関の整理法案に関しましては、閣議決定をするのが三月三十一日まで、こういうふうに日を切っておりますので、法案作成、提出という段取りに相なりますと、四月の初旬に提案をいたしたい、かように存じております。  ただ、午前中にも他の委員方々にもお答え申し上げておきましたとおり、現在いろいろな角度から検討を重ねております。したがいまして、具体的な機関名あるいはまたその所在地、地名等に関しましては、まだ発表の段階ではございませんが、基本といたしましては、与党の方から少なくとも一省庁一ブロック機関を出すように努力をせよ、こういうふうな指示がございますので、そうしたことを踏まえながら、行管庁といたしましても他の省庁と今日事務的な話し合いを続けているところでございます。  なお、百十一の特殊法人全部に対する監察、これは行政管理庁設置法の改正になるものでございますが、当然できるだけ早い機会にこの国会提出をいたしたい、かように存じております。
  130. 中路雅弘

    ○中路委員 今回のこの継続の案件ですが、行政の簡素化、合理化の推進という閣議了解に基づいて、各省の設置法等を一括改正して、地方出先機関及び附属機関の設置規制の形式を法律から政令以下の命令で定めるように統一しようとされるものですが、この改正対象になっています種類、機関は全体で幾つになりますか。
  131. 加地夏雄

    ○加地政府委員 今回の法律案改正の事項別に申し上げますと、一つは、府県単位機関につきまして、これを従来の法律から政令に移管するという例が五種類、二百二十機関でございます。逆に、現在省令で規制しているものを政令に引き上げるというものもございまして、これは五種類、百七十九機関でございます。  それから第二点目の府県単位未満の機関の名称、位置の省令移管の問題でございますが、これは法務省の入国管理事務所の出張所だけでございまして、一種類、九十九機関でございます。  それからもう一点、ブロック機関の内部組織の主なものといたしまして、たとえば次長とか部の設置について、これを法律から政令に移管するものは十五種類の百十二機関でございます。逆に省令から政令に移管するものが十種類、八十四機関でございます。  以上が地方支分部局の関連でございます。  今度、附属機関の点について申し上げますと、同一類型で複数設置されております附属機関につきましては、その名称、位置等は省令に移管することになりますが、これは二十二種類、二百八十五機関、それから、これは単一の場合でございますけれども附属機関の中で現在法律から省令に移管をするというのが百八十三機関でございます。また、政令から省令に移管するものが一機関、こうなっております。
  132. 中路雅弘

    ○中路委員 いまの改正対象になりましたものを合計しますと、全部で幾つになりますか、種類と機関。
  133. 加地夏雄

    ○加地政府委員 いま申し上げた数を集計いたしますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。
  134. 中路雅弘

    ○中路委員 後で集計していただきたいのですが、相当の種類と機関に及んでいるわけです。  行政組織の機動的、弾力的な運用を図ることと、規制形式のばらつきを是正して規制の形式を統一するということが理由にされているわけですが、私は、これだけでは合理的な十分な根拠が示されていないと思うわけです。  設置規制の形式のばらつきを統一するということになれば、私たちも、行政組織の設置に関してそのすべてを法律事項によることを主張するものではありませんが、この国家行政組織法の立法の趣旨に沿って考えますと、やはり国会による規制を強めていく方向で是正をしていくことがより必要ではないかというふうに考えるわけです。     〔委員長退席、逢沢委員長代理着席〕  行政が国民の権利義務、生活に直接かかわるものであります以上、その組織を法律によって定めるという行政組織法の精神、各種機関の法定主義の原則はやはり守っていかなければならない。行政機関の組織の設置、統廃合を法律事項から政令事項に移すということになりますと、国会のコントロールといいますか、審議権との関連でも空洞化されるおそれもあるわけです。むしろこの国家行政組織法八条、九条の解釈を拡大して、こうした方向で国会のチェックを全部外してしまうということについては、私たちは納得できないわけですが、この問題について前回同僚議員も相当論議をしていますから、詳しくは私たちきょうは論議するつもりはないわけですけれども、私たちは本来国会のコントロールをきちっと強化をしていくべきだというふうに考えるわけですが、今度の改正の問題について、この国会審議との関係で、皆さんのお考えをもう一度お聞きしておきたいと思います。
  135. 加地夏雄

    ○加地政府委員 先ほど質問がございました今回の規制法の対象になる機関数でございますが、全体としては二百四十種類、千百五十機関でございます。  それから、ただいまの御質問でございますが、私どもも、実は今回の法律案を御提案申し上げましたのは、一つは、現在の国家行政組織法の中で、従来の国家行政組織法の原則を崩さない枠内におきまして、各機関、各省まちまちになっておるこういった附属機関、地方支分部局の機関のいわば法令形式を統一しよう、こういう趣旨でございます。結果といたしまして、先ほど申し上げましたように、ある機関につきましては、従来法律の規制を受けたものが政省令に移管されるというものも出てまいるわけでありますけれども、そういう現在の国家行政組織法のたてまえを崩さないという考え方でございまして、国家行政組織法におきましては、法律の定めるところにより設置をする、八条、九条にこういういわば基幹になる規定があるわけでありますが、この法律規定により設置をすると申しますのは、この二十年ないし三十年の間に定着してまいっておりますのは、今回この法案の形でお願いをしておるようなことでございまして、その原則に従った形で御提案を申し上げておる、こういうことでございますので、御懸念をいただくような問題はなかろう、私どもはこういうふうに考えておるわけでございます。
  136. 中路雅弘

    ○中路委員 今度の場合は、さしあたり地方支分部局と附属機関に限定して設置形式、規制の形式を政令以下に移管するとしているわけですが、こうした方向で整理が強まりますと、中央行政機関の内部組織の規制も政令以下に移管していくという方向での問題に道を開くようにもなりますし、この問題は御存じのように国家行政組織法の論議をめぐって、いままでも大きな問題点として論議になっている問題ですから、こういう点で私たちは今度の改正案には賛成しかねるわけであります。  特に、地方支分部局と附属機関に限定されるということですけれども、国家行政機関の定員の四九%がこの地方支分部局、地方の機関に配置されているわけですし、国の行政組織が全国的にどのような配置と規模で、どのような権限を持って業務を分担するかということは行政運営の根幹にかかわる問題でもありますし、特に地方支分部局は行政の第一線に位置して国民と日常的に非常につながりが強い機関が圧倒的に多いわけなんで、その設置や統廃合ということは国民生活に大きな影響を及ぼすものだと思います。  その点で、たとえば今度の法律事項から政令以下に変わる問題で、今度の法案では地方法務局の名称、位置、管轄区域等が入っておりますし、また管区気象台の内部編成、あるいは労働省の婦人少年室、こういったものも挙げられているわけですが、地域の住民と非常にかかわり合いの大きい組織です。もし地域の住民の要求や意思と無関係にこれらの機関の統廃合が行われるということになれば、国民の日常生活にもいろいろ大きな影響を与えると思うのです。この改正案附属機関あるいは地方支分部局のこうした統廃合に全然関係がないとか、あるいはつながらない、あるいはメリットがないということではないということは前回もどこかで御答弁されておるのですが、特に私はこうした危険を心配するわけです。地域の住民の皆さん関係のところの意思ともし関係なくこうした大事なサービスの機関の統廃合等がこうした問題とあわせて行われるということになると大変なことになりますので、長官にひとつこの点をお聞きしたいと思います。
  137. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 今回の法案の内容は、すでに局長からお話がありましたとおり、でこぼこを整理することと、もう一つは、機動性、適応性等々をもって機敏に行政を動かしていくということが必要であろう、こういう観点から提出をさせていただきました。  それはそれといたしまして、やはり常に最小の経費で最大の効果を上げて、なおかつ国民へのサービスを怠ってはならないのが行政でございますから、したがいまして、地方支分部局の整理に関しましても、さようなことを忘却をして、ただ数さえ減らせばいいんだ、あるいは器さえ減らせばいいんだということでは決してなく、やはり国民のニーズあるいは時代の推移、そうしたいろいろなことを勘案しながらやってまいりたいと私は考えておる次第でございます。したがいまして、御指摘の点に関しましては十二分に慎重にやっていきたい、これが私の気持ちであります。
  138. 中路雅弘

    ○中路委員 一例だけちょっとこの危惧についてお話ししたいのですが、先ほどお話しの出先機関の整理、まあブロック機関については三月末までというお話ですが、いずれ第二弾として府県単位の機関についても検討をされるわけですね。最近幾つかの新聞で、たとえば労働省の婦人少年室が全廃の対象に挙げられているというような記事も見たのですが、実は昨年の五月二十二日に本委員会でこの法案審議の際に、私たちの同僚の柴田睦夫議員が婦人少年室の問題を取り上げまして御質問した際にこうした答弁が出ているわけです。  「婦人少年室の問題につきましては、あれは四十三年で十年前のときのことでありまして、」まあ論議になったことがあるわけですね。「その後、婦人少年行政をめぐる情勢、環境というものは非常に変わってきております。私ども一番痛感しておりますのは、婦人労働者が非常にふえてきたということに伴いまして、そういう勤労婦人の労働環境の問題なりあるいは男女平等の問題なり、そういう労働関係に非常に色彩の強い行政需要がふえてきているというふうに思っております。そういう立場からもう一回新たに」この婦人少年室の役割りについては判断しなければいけないというような御答弁もされておりますし、金井国務大臣が、いまのところ婦人少年室の現状を肯定しているという答弁もされているのですが、まあこれは昨年のことですから、今度の整理対象の具体的な名前としてマスコミにも挙げられているということになりますと、ここに言われているように、特に労働婦人の問題というのは行政の上でも大きな問題になっているわけですが、今度これがまた法律事項から外されるわけですから、これとセットされてこういう機関の整理ということが出てきますと、私が先ほど言った危惧が具体的に出てくるわけなんですが、こうした点はまだ御検討はされてないということですか。  それから、特に婦人少年室についてはそういう心配も出てきているわけですね。名前も挙がっているわけですが、いかがですか、長官。
  139. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 府県単位の地方出先機関の整理に関しましては、過般もお答え申し上げたと思いますが、本年六月三十日をめどに具体策を決定する、こういうことになっております。したがいまして、地方の中でも府県単位ということになりますときわめて限られた省庁の出先機関ということになりますので、マスコミ関係も鋭意取材活動をされると、大体どういうものがそこに存在するのかは当然御承知だろうと思いますが、実はまだその対象の機関名とかあるいはまた省庁とか、そうしたことには現在触れておりません。  これは御承知のとおり事務再配分という問題も実はあるわけでございます。あるいは地方自治体との間における地方事務官の問題も絡む面も少なからず、そういうふうないろいろな問題がございますから、したがいまして、行政監理委員会に一任しようではないかということで行政監理委員会が実地に調査をされるなり、いろいろと御検討の上、そのお答えを出していただく、こういうことになっておりますので、行管庁といたしまして、今日ただいま具体的にこれとこれとが対象だとか、これとこれとが整理だとか統合だとか、そういうことは一切ございません。
  140. 中路雅弘

    ○中路委員 くれぐれも単なる数合わせといいますか、そういうことじゃなくて、ひとつ十分その果たしている役割り、行政需要、そういった点を御検討いただきたいと思います。  もう一つ、この問題と関連して定員の削減との関連なのですが、四十二年以降、総定員法等に基づいた計画的な定員削減の組み合わせが行われてきたわけですが、最初にこの定員の推移といいますか、四十二年から五十五年までかけて減と増の推移だけひとつ簡潔にお話し願いたいと思います。
  141. 加地夏雄

    ○加地政府委員 御承知のように、昭和四十三年以来第四次の定員削減をやってまいりまして、さらに五十五年度からは第五次の定員の削減を実施いたしたい、こう思っておりますが、御質問昭和四十三年以降五十四年度までの削減並びに増員の関係をお答え申し上げたいと思います。  四十二年度末定員が、国家公務員の現業、非現業合わせまして八十九万九千人、約九十万でございますが、その中でこの十二年間に十二万八千人の削減をやったわけであります。一方、新しい行政需要がどんどん出てまいるわけでございまして、そういった行政需要に対しましては十二万人の増員をやってまいりました。したがって、四十二年度末定員から比べますと、この五十四年度末では差し引き八千人が縮減を見ておる、こういうことでございます。
  142. 中路雅弘

    ○中路委員 私は、現行の定員の管理方式が定員の膨張抑制という点で一定の役割りを果たしてきたとは思うわけです。しかし、この中身を見ますと、国民生活に奉仕する諸機構で大変慢性的な定員不足を来しているという反面、いまの数字の中には入っていませんけれども、たとえば自衛隊や公安調査庁など含めて不要不急と思われる諸機構の中には大量の過剰定員を温存するという、全体として定員配置のゆがみが一層拡大してきているのじゃないか。たとえば、いまお話しのように十二万八千、十二万で八千減になっていますけれども、その間に防衛庁、施設庁では一万五千人の増になっているわけですね。  こうした定員管理のいまの非常にゆがんだやり方が今度の地方支分部局と附属機関の設置規制を政令以下に移管する、こうした改正処置とワンセットにして運用されてくると、一層いまの定員配置のゆがみが拡大する危険もあるのじゃないかというふうにも思うわけです。そのことは、行革の指針になっている行管庁の諮問機関であります行政管理基本問題研究会が発表しました「今後における政府・公共部門の在り方と行政改革」と題する報告を見ましても、国民生活にかかわる行政分野を過剰な公共サービスというようなことで言っているところもありまして、徹底した切り捨てを強調しているという点もありますので、なお心配なわけですけれども、この問題については、たしか昨年の十二月の暮れに、私は党を代表しまして宇野長官ともお会いした際に、私たちの行革についての考えもお話をしまして、公務員の定員は全体として現行水準を維持しながら、特に不要不急の機構の定員の削減、国民生活に密着した部門を一層充実するという方向をさらに強めてほしいという私たちの考えも長官にお述べしてあるわけですが、きょうは時間が限られておりますから、私はこの問題を一例、だけで実情をお話ししたいのです。  先日、これは東京法務局の大森出張所ですが、二月の七日にちょっと視察に行かしていただきました。事情を聞いたわけですけれども、簡単にお話ししますと、東京法務局の大森出張所、機構で言いますと、所長それから七名の登記官を含めまして全員で二十九名ですが、この数字は五十一年、五十二年、五十三年、五十四年と全く変化しておりません。この出張所は、大田区全域で六十六万四千人からの人口を抱えた地域なんです。ここに来られる司法書士、土地家屋調査士等だけでも二百七十二名いるわけですが、甲号の登記事件で見ますと、五十一年から五十四年の間に約二五%ふえている。乙号で見ますと四〇%ぐらい仕事がふえているわけですね。しかし、人員はいま言いましたように全く変わりません。私も現場を見てきたのですが、一日に大体六百人から七百人平均して訪ねてこられる。一時間ぐらい待つのです。そして狭いところで、庁舎ですからもちろんクーラーもありません。扇風機しか使えないのですけれども、書類も飛んでしまって全く扇風機も使えないというような中で受付で応対しながら証明の判こを押して、話を聞きながら仕事をするという一人二役みたいにやっているのですね、現場を見ますと。だから職員も、聞きましたら、二十日間の年次有給休暇があるんだけれども、大体とっている人でも十日に満たない、登記官クラスでは、ばらつきがありますけれども、ほとんどゼロ日だというわけです。役人天国と言われることはとんでもないというお話ですが、登記官がやむを得ず休暇をとる場合は、その登記官の業務を出張所長がかわって仕事をするので所長も同様に年次休暇がほとんどないというようなお話で、所長を初めいろいろお話を聞きましたら、二十九名のところですけれども、最低あと十名か十五名ぐらいはぜひ人員が欲しいんだというお話を聞きました。ここだけじゃなくて、他の登記所もやはり同じような状態だというお話も聞いているのです。  こうした登記の仕事というのは戸籍、供託、行政訴訟、人権擁護、国民の権利と財産を守る行政事務としては大変重要なところですが、こうしたところでこういう慢性的な人員不足が生じている。全国的にも、ちょっと統計をいただいて見てみましたけれども、最近十年間で業務量が、登記業務では二倍以上になっています。若干増員がありますけれども、一〇%、一五%ぐらいという状態で、いまのような現状が訴えられているわけです。これは一例ですが、こうしたところはやはり国民のサービスの部門ですから、充実をさして、数合わせではなくて、不要不急のところは思い切って削減していく。もちろんそこで働いている皆さんの身分や権利ということを保障しなければなりませんが、配置転換も考えなければいけない。いまそうした思い切った対応が必要なんじゃないかということを考えるわけですけれども、こうした私たちの主張について、ひとつ長官のお考えをお聞きしたいと思うのです。
  143. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 いまも局長から具体的に定員に関しましては御答弁をいたしましたとおりに、決して一律的に削減ばかりを図っているわけではなく、ここ十二年の経緯を考えましても、学校、病院あるいはいま御指摘の登記所、さらには航空行政等々、国民へのサービスを必要とする新規需要に対しましては、不十分ではございましょうけれども、純増というふうな経緯がある次第でございます。したがいまして、今後は、さようなことをも考えながら、一般職の方では一〇%も定員を削減されたという結果に陥っておるというようなこともありますので、この辺のバランスは当然考えて、そしてやはり行政サービスが落ちないようにしていきたいと存じておる次第でございます。  ただ、中路委員が申されました防衛なんか削ったっていいじゃないかというお説に対しましては、これはわれわれはまた別の見解を持っておりますので、はなはだ残念でございますが、同意するわけにはまいりません。しかしながら、行政全般といたしましては、十二分に時代の推移なりあるいは社会情勢の変化、経済情勢の変化等をも考慮しながら、慎重に今後もやっていきたいと存じております。
  144. 中路雅弘

    ○中路委員 法務省も来ていただいていると思いますが、法務省の組合であります全法務の組合から私のところにも、昨年末、法務局の増員に関する要請という陳情もいただいているのです。これを読ましていただきましても、中年職員の急死や職業病というのも大分起きているわけですね、労働の密度が非常に濃くなってきますから。それから、実際には業務の遅滞に対する抜本的な対策がとれませんから、地方公共団体や公社公団の職員、司法書士、土地家屋調査士など年間約七十万以上の部外の人の半ば強制的な応援を受けて、いま何とか業務を処理しているのだ、非常に変則的な状態にあるということを訴えられているわけです。登記関係を中心にして、こうした現状がいま他のところにも普遍的にあるんだろうと思うのですが、直接法務省の方の御意見もお聞きしたいと思うのです。こうした訴えを私はいただいているのですが、大体事実はこういう現状にあるわけですか。
  145. 藤井正雄

    ○藤井説明員 法務局は、いま御指摘のございましたような登記を初めといたしまして、戸籍あるいは国籍、供託、訟務事務、人権擁護といったいろいろな事務を所掌いたしておりまして、特に登記部門におきまして事務量の増加が大変著しい状況にございます。  それで、これに対処するために、私ども年々人の手当てをしていただきたいと増員をお願いしてまいっておりまして、私どもの希望からいたしますと十分ではございませんが、毎年相当数の増員をいただいてこれに対処してまいっているわけでございます。しかし、事務量の増加が大変著しい状況にございますので、職員の健康その他、あるいは職場環境等にも十分配意しなければならず、また、事務を遅滞させるわけにもまいらないために、いろいろ御指摘のございましたような弊害と申しますか、必ずしも好ましからざる事態も起こっておるわけでございまして、こういった外部からの事務応援などは、私ども決してこれを頭から是認しているわけではございませんので、今後できる限りこういった事態は除去していくように努力いたしたい、かように思っておる次第でございます。
  146. 中路雅弘

    ○中路委員 長官、いま法務省も認められておるような現状なわけですね。この点は、定員問題についてもこういった部門についての格段の努力もぜひしていただきたいとお願いしたいのですが、あわせて、せっかく視察に行ったところで、私も痛感したので一言だけこれはどうなっておるのかお聞きしたいのです。  さっき言いましたように、クーラーも何もないわけですね。夏は大変だろうと思うのです。非常に劣悪なところですし、特に六百人から七百人狭いところへお客が来られるわけです。三十分、一時間待たして、もう三時半になったら来ないというんですね。三時半に来ても事務がおくれちゃって受け付けてもらえないから来られないという中で、クーラーもないのです。お聞きをしましたら、大森出張所だけでなくて、練馬、杉並、北出張所、東京法務局だけでもこういう状態だ、同じような状況だというのです。この点はひとつ施設の改善で、省エネルギーといっても省エネルギーをやるあれがないわけれすからね。何とか早急に解決してあげなくてはと思って私は帰ってきたんですが、これは今年度なり来年度なりで解決できるような見通しはあるのですか、要請はされているのですか、この点だけ、現場で痛感したものですから、もしおわかりになりましたら、法務省にお答えを願いたいと思います。
  147. 藤井正雄

    ○藤井説明員 庁舎の冷房につきましては、建設省で定められております一定規模以上の庁舎でございますと、全館に機械冷房が設置されるということになっておりますが、法務局の特に支局、出張所というところになりますと、規模が小さいためにその基準に適合いたしません。そこで私どもの方では、パッケージ型のルームクーラーをできる限り設置してこれにこたえていきたいというふうに考えまして、その方面の予算措置をお願いいたして、年次計画でもって逐次これを推し進めてまいりたいというふうに考えております。現在法務局は支局、出張所を非常に数多く抱えておりまして、全部合わせますと、本局、支局、出張所で千二百九十五庁ほどございます。その中で現在冷房が設置されておりますのが二百四十庁程度でございますので、まだまだ前途は遠いことでございますが、できる限りこれは冷房化を進めていくように努力してまいりたいと思っております。
  148. 中路雅弘

    ○中路委員 これは職員の方だけでなくて、窓口申請者の人たちのためにも、できるだけ早く改善をしていただきたいと思います。  限られた時間ですから、私はこの機会にもう一つお聞きしたいのです。  まず長官にお聞きをしておきたいのですが、特殊法人の整理合理化、これも私たちはまだまだ十分でないと思っているわけです。私たちも特殊法人の整理については一つずつ具体的に検討して積極案もこれから出していきたい、御提案もしていきたいと思っておるわけですが、内容にももっと立ち入った検討も必要だと思います。財政削減のための統廃合というだけではなくて、やはりいま問題になっています天下り問題や、しかも、二、三年の渡り鳥ということも問題になっていますし、役員の退職金、こうしたいろいろ特殊法人の民主化ということも特に必要だと思うのですが、特殊法人の整理統合、それから民主化について、最初に長官に一言、もう少し突っ込んだ御意見をお伺いしておきたいと思います。
  149. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 特殊法人が現在百十一ということはしばしば申し上げましたが、今回十八削減いたしますから、マイナス十八でちょうど九十三ということに相なります。もちろん新設が二つございます。したがいまして、差し引き九十五ということに相なりますが、この数字は、昭和三十八年が九十三で昭和三十九年が九十九というふうな、いわゆる高度成長経済下において、何かどんどんとふくらんだ感じがなきにしもあらずでございます。したがいまして、一応第一次の昭和五十五年行革といたしましては、十八削減をして九十三に持っていったということは、私は、数合わせだけではなくして、それなりの効果を得ることができた、言うならば、戦後かなり大規模な行革を計画し策定することができた、かように存じておりますが、内容がもちろん御指摘のとおり大切でございますので、まず天下り防止のために、この三年間に百二十人プラスアルファ、その常勤役員数を削減いたします。これは昭和五十年以降三年間で三十四名しか削減できなかったという事情等ひとつ御勘案賜るならば、相当思い切ったメスをふるったということも御了解賜りたいと存ずる次第でございますが、もちろん国家公務員の方におきましても、やはり官民格差の是正ということでいろんな方策を講じておりまするから、特殊法人に関しましてもそれに準ずるような方法を今後もとっていきたいと存じております。  特に、午前中にもお答え申し上げましたが、昭和三十九年の臨調がしばしばよき例として引かれますが、臨調以来もうすでに十五、六年たったわけでございますが、残念にいたしまして、そのとき指摘をされている問題法人でありながらまだ命長らえている法人があるじゃないか、こういう指摘は各党からも、また各種団体からも受けておるわけでございまして、今回そうした面に関しましても私はやはり何らかの答えを出すことが必要である、かように考えておる次第でございます。  もちろん中には、各省庁は十分問題視されておる特殊法人であるということを承知しておるのだが、地元が反対なんだというふうなエクスキューズがしばしばございます。地元が反対ならば、どういうところに地元の反対があるか、今回は行政管理庁長官みずからがその関係者に会って、その反対のゆえんをひとつ解明をしなくちゃいかぬ、それにおいて地元の方々のニーズにこたえるような方法もまた見出さなくちゃならない、私はかように存じておりますので、国民の一番大きな期待がいま行革に集中しておるという絶好の機でございますから、私といたしましては、特殊法人のみならず、他のいろんな問題に関しましてもさらに一段とメスをふるいたい、かように考えている次第であります。
  150. 中路雅弘

    ○中路委員 たとえば今度対象に挙げられている中でも、まだ具体策が少し不明確だというのもあると思うのです。たとえば不正経理で国民の非常に強い批判を受けています鉄建公団ですが、私たちは、鉄建公団はすぐ廃止して、必要な部門と人員は国鉄の方へ引き継ぐというのがいいと思っておるわけですが、政府の案の中では、「日本鉄道建設公団については、上越新幹線及び青函トンネルの本体工事が完了した時点において、他との統合等を図る。」となっておりますが、もう少しこのところを明確に、どうされるのですか。
  151. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 鉄建に関しましては、いまお読み賜りましたような内容で閣議決定をいたした次第でございますが、要は昭和五十八年、それが一つのポイントでございます。往々にいたしまして、鉄建は国鉄と統合したらいいというふうな論がまかり通るわけであります。なるほど、それも一つの案であるかもしれませんが、今日の国鉄の状態そのものを考えますと、言うならば、手元不如意でありながら子たくさんである、にもかかわらず、そこへまた鉄建がぞろぞろと子供をたくさん連れて自分のふるさとに帰って、果たしてうまく統合がなされるであろうか、それで特殊法人としての使命が果たせるであろうか等々を勘案いたしますと、国鉄へ統合をすることも一つの案であろうけれども、世界一と言われるトンネル技術等々も鉄建は持っておるわけでございますから、そうしたものを他の部面において大いに発揮するということも必要ではなかろうか。  だから、昭和五十五年を初年度といたした場合に、五、六、七、八というそれだけの期間がございますから、その間に十二分に国鉄の再建策もなされるであろうし、そうしてまた、鉄建においてもいろいろな整理もなされるであろうから、合理化された姿において国鉄へ統合する場合もあろうし、また一部は民営となる場合もあろう。いずれにいたしましても、五十八年になれば鉄建は存在しない。私は、そういうことで、そのまま生き延びてよろしいというわけではないということをそういう文言によりまして表現した、こういうふうにお心得賜りたいと思います。
  152. 中路雅弘

    ○中路委員 あと二十分ぐらいなので、私は、この機会なものですから、鉄建の問題に関連して最後に、きょうは鉄建公団の理事さんもお見えになっていますからお尋ねしたいのです。いま長官が世界一のトンネル技術とおっしゃったのですが、これから御質問するのは、そうじゃないんだ、とんでもないずさんな工事をやっているんだということで一つお話をしたいのです。  長官が世界一のトンネル技術だと言った鉄建公団が、これは四年前、七六年の三月一日に開通した貨物専用線ですが、武蔵野南線約二十五キロ、川崎の新鶴見操車場から東京の府中までのその四分の三を地下トンネルでつくったわけですね。それがもう開通した途端に地震のような大騒ぎで、四年たった今日まだ解決できない。本当は工事が終われば鉄建は国鉄に引き継ぐわけですが、鉄建が後のことを、いま対策をやっているということは、まだこの工事が未完了だということをみずから認めているという、そういうトンネルなんですね。  私はきょうは運輸省、国鉄、鉄建と来ておられますから、具体的なことで最後にお聞きしますので、簡潔に答えていってほしいのですが、まず、この工事をやりますときに、七〇年の六月二十日に、国鉄の東京第二工事局局長と鉄建公団の東京支社長が連名で、川崎の市議会との間で確認書を交わしています。騒音、振動については県条例の基準以下に抑えるように努力する、なお、県条例の基準は、振動〇・三ミリ、騒音では幾らということで確認書を交わされています。いまもこの確認書を守るように努力していくのだということには変わりはないと思うのですが、もう一度この確認書について確認をしておきたいと思うのですが、公団はいかがですか。
  153. 藤田雅弘

    藤田参考人 お答え申し上げます。  当時いたしました確認書につきましては、私ども開業いたしまして、御指摘のように、地盤の関係、地下鉄方式で非常に地盤のやわらかいところの上に家が直ちに移ったというようなこともございまして、県条例に決めました振動よりはるかに多い数値を示したことは事実でございます。これにつきましては、現在私どもといたしましては、当時覚書でお約束いたしました、目標として努力いたしますということについて、今後ともそのとおりでございまして、ここで先生の御質問に対して確認いたします。
  154. 中路雅弘

    ○中路委員 世界一のトンネル技術と長官がおっしゃった鉄建公団が、この仕事をやるときにお話を聞きましたら、具体的な科学的な資料だとかそうした研究の根拠というものはほとんどないのです。住民の皆さんを東京へバスで連れていって、地下鉄の上から電柱のところに耳を当てて大体このくらいの振動ですからと言って確認書に判を押させてずさんな仕事を始められたわけです。だから、いまおっしゃったように、開通した直後に市の公害局も調査しましたし、また、後で私が国会で取り上げた後鉄建公団でも調査をされまして、はるかにこの基準を上回る大変な振動の数値が出てきているわけです。震度三ぐらいの地震が来てもわからないとか、私も見てきましたけれども、振動でストーブの上のやかんや食卓のコップが皆ずれ落ちてしまうわけです。そのトンネルの上にたくさんの人が住んでいるわけですね。  いまそういう現状なわけですけれども、七六年の開通した直後の四月二十三日に公害対策特別委員会で取り上げた際に、当時の環境庁長官が、関係の省庁を集めて任務の分担や対策、被害の実態を調べて抜本的な対策を立てたいというお約束をされておりますし、当時出席された運輸省の鉄道監督局の施設課長も、たとえ一〇〇%貨物線が原因でなくても、家屋の被害については実態調査して鉄建公団を指導して補償したいということもお約束されております。しかし、その後の四年間実態調査をやられましたけれども、実質的な抜本対策というものは全くやられてない。いま家屋の改造の実験テストを一軒やっておられて今度二軒目だそうですが、繰り返し関係皆さんと交渉や協議を行っておられますけれども、基本的な解決にまだ至っていないわけです。  したがって、私はきょう具体的な問題で鉄建公団と国鉄にお尋ねをするわけですが、最近渡辺さんというお宅で防振パットを入れた振動騒音防止工法による工事を行いましたけれども、今度改めてまた別のお宅で工事をやられるというお話を聞いておりますが、もう少しこの対策に予算もふやして、相当の戸数があるわけですから、一軒、二軒の実験ではなくて、いろいろのモデルをつくって、いずれこの工法で対策をやらなければいけないわけですから、そういう点では対象もふやして研究も急いでやる必要があるのじゃないかと思うわけですけれども、公団にこの問題と、それから補償についてのお考え、家屋対策ですね、この問題についてお聞きをしたいのです。
  155. 藤田雅弘

    藤田参考人 現在やっておりますのは、皆さん方とお話をいたしまして、実際どの程度振動とかそういうものがなるであろうかということでいろいろ研究いたしまして、昨年、まだ日本にはできておりませんアメリカのいわゆる防振パットを持ってまいりまして、これで渡辺さんというお宅を、これはちょうど線路わきになるわけでございますがいたしまして、一応の成果をおさめております。地元の方々のお話では、実際トンネルの上にあるお宅でそれを試していただけないかということで、ちょうどトンネルの直上に十三戸ほど家がございますが、そのうちの二階建てのお宅に対しまして、この四月から、防振パット等も改良されたものがございますので、それを使いまして、約三月かかりましてその改装をいたしまして、その結果によりまして、私どもといたしましては、数多くの皆様方のモデル住宅をふやすということよりも、できるだけこういう工法で皆さん方のお宅を改築していったらいかがかということを個々に御相談申し上げて、何しろ開業いたしまして四年たっておりますし、地盤も三、四年で固まっておりますので、長い期間御迷惑をかけるということはどうかと思いますので、そういうことで今後とも個々に誠意を持ってケース・バイ・ケースで御相談をしてまいりたい、さように考えております。
  156. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一問だけいまの問題でお聞きしたいのですが、やはりいろいろの条件がありますから、そういう面ではもう少しデータを科学的にとるという意味でも、対象ももう少しふやすべきではないかと思いますし、もう一つは、いま線路から二十メートルですか補償の対象家屋を挙げておられるわけですが、やはり被害のあるところは、もう少し隣り合っていても対象もふやして、実際に弊害があるところは公団として責任を持っていくという立場で、補償についてもこの対策に当たってほしいと思うのですが、いかがですか。
  157. 藤田雅弘

    藤田参考人 ただいま線路中心から二十メートルに一応該当しています住居が百二十八戸ほどございます。そのほかに、いま先生のおっしゃいましたようなその二十メートルに近接しております住家が二十五戸ございまして、全体で百五十三戸が、現在私どもがいろいろ処置をしなければならない住宅ではないかと考えておるわけでございまして、そういう意味では、先生のおっしゃいました御趣旨には沿っているのではないか、こう考えております。
  158. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほどの防振パットでやられてもやはりなかなか吸収できない。これは一つは、やはり軌道対策が全くなおざりにされ、まだ対策が立てられていないからだと思うのですが、軌道の問題は国鉄だそうですからお尋ねしたいのです。  その前に、まず軌道とまくら木の間にパットを使用するということも、地元では五十四年、昨年の七月からことしの一月までに試みにやってみるという計画を約束されているのですが、いまだ実施されてないというお話ですが、これは今後やられるのですか、どういう事情なんですか。
  159. 山元啓太郎

    ○山元説明員 武蔵野南線の地下のトンネルにつきましては、五十一年の三月開業いたしまして、いま鉄道建設公団の藤田理事のお話しのとおり、鋭意交渉してきたわけでございます。  国鉄といたしましても、いま先生の御質問の軌道の締結装置、まくら木とレールをつなぐところでございますが、このところのパット、これは通常七十トンの力で一センチ沈むというふうなかたさのゴムでございまして、通常東海道であるとか山陽であるとかというところに使っておるわけでございますが、このゴムをやわらかくする、三分の二ぐらい、いま七十トンと申し上げましたが、これを四十トンであるとか五十トンであるとかいうやわらかさに変えるという試験、これはやわらかくしますと列車の走行安定上非常に問題がございますので、鉄道技術研究所におきまして、耐久性であるとか保安上の検査をしておりまして、本件につきましてはことしの一月中旬から六十日間の工期をもちまして、二つの試作品を二カ所において試作しておりまして、来月の半ばには施設を終わります。何分、本件は東海道から東北へ結ぶ重要幹線でございまして、線路の列車の問合いが少のうございますので、その間合いを利用して鋭意やっておる、作業の終了は、来月三月中旬には試作品は終了いたします。
  160. 中路雅弘

    ○中路委員 軌道のもう少し抜本対策として、実は武蔵野南線が余りずさんな工事だったというその反省か教訓があるのだと思いますけれども、たまたまおくれた横浜貨物別線ですかの話を聞きますと、戸塚−大船間ですけれども、スラブ軌道でなくて、軌道下に砕石物を入れて消音効果を非常に上げているという話も聞いています。これは浜松の新幹線公害でも山砂を使用して振動を吸収した、対策を立てたという話を聞いているのですが、こうした問題やあるいはトンネル内の壁、戸塚−大船間で対策をやって、トンネル内の壁に消音工事をしたという話も聞いているのですが、南線でまず失敗してこちらでやってみた、効果があるとすればそれを今度こちらにやってみる。一度工事をやった問題ですけれども、そのぐらいの対策はやらないとまずいんじゃないかと思うのです。この点はぜひ国鉄の方で公団とも相談されて、いまの軌道対策、トンネル内の壁の消音対策の研究を進めて、具体化できるようにしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  161. 山元啓太郎

    ○山元説明員 環境問題につきましては、技術開発は日進月歩でございまして、昭和五十一年三月に開通いたしましたこの武蔵野線につきましては、当時の防振といいますか防音といいますか、そういうものについては最新の知見をもって鉄道建設公団において施工をした。これは国鉄もあわせて公害対策として軌道構造その他についてはやっておったわけでございます。  いま先生御指摘のこの十月開業いたします横浜の貨物別線でございますが、これはその間四年間年月がたっておりまして、その間国鉄は全技術を挙げまして技術開発をやっておりまして、そういうふうな時点の差で相当効果のある防振工法が開発できてそれを供用しておる。これをいま武蔵野南線に施工できないかということでございますが、何分東海道と東北を結ぶ幹線でございますので、道路のように迂回をするとか当分の間運転休止をするとかというふうなことができませんので、先ほど申し上げましたゴムパットをやわらかくするとか締結装置のクリップのバネをやわらかくするとか、そういうふうな試行錯誤を重ねまして、二つの種類を先月の十五日から来月の三月十五日までの間やってみてこれをより改善して施工する所存でございます。
  162. 中路雅弘

    ○中路委員 私はこれは研究技術的にもしていただきたいのですが、いまの最新の、少しでも効果があるということになればやらなければ、開通してこれだけ——私はここで主張していませんけれども、地元の皆さんは夜間を含めてとめろということを言っているんですね。当然なんですよ、そこで生涯住んでいくわけですから。しかも皆さんのところは、たとえばいまとめられないという話でしたが、この前、いつでしたか東北本線で揺れが激しくて問題になったときには、東北本線を一時とめてやったじゃないですか。新幹線でも、古くなってくれば最近は年に何回か半日とめて、それで点検やっているでしょう。それだけの対策をやらなければ、この問題は解決しないんですよ。どういうふうにこれを導入するかということは研究していただいて、こういうことをやれば消音効果があるんだということがあれば、全力を挙げて優先してやっていただくというのが、先ほどお約束された最初の確認を守るという立場であれば、当然私はそれだけの対策はやるべきだと思うのですね。  もう時間が来ていますから一、二点にしますけれども、フラット車輪の問題もたびたび出ている問題です。埼玉の新座の駅で目視してよくわからなかったということで終わっているのですが、これももう少し科学的なあれで、国鉄の技術陣ですからフラット車輪の発見ぐらいはできるわけですし、フラット車輪が大きいですね。家屋に防振対策をやっても、大きいのになれば効果がないということを渡辺さんのお宅でもおっしゃっておるわけですから、フラット車輪の対策についてももう一度研究していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  163. 大河原昌二

    ○大河原説明員 お答えいたします。  フラットの発生の原因をごくかいつまんで申し上げますと、一つは、小雨が降ったレールの状態というのが滑りやすい状態でございまして、こういう状態で走行しますと、瞬間車輪が滑ってかすり傷をつくる。もう一つは、ブレーキの制御機構、ブレーキ弁が、一たん徐行あるいは停止のブレーキを使いましてこれを緩めたときに何百両、何千両に一両ぐらいごくまれなケースでそれが緩まないというケースが一つございます。そういう状態でその貨車を引きずるような形で傷をつける。もう一つは、操車場で貨車をとめるために貨車のサイドについておりますマニュアルのブレーキを取り扱って、これを後に外し忘れるといいますか、この三つのケースがあろうかというふうに考えております。  これに対しまして、私どもの検査の体制を申し上げますと、貨物列車が操車場に到着しましたときに、仕業検査と申しまして、貨車を二名程度でずっと各部を検査しつつ一巡します。この状態で不良貨車がございますと解放いたします。この際に、検査票といいまして、いわゆる自動車で申し上げますと車検の来た貨車は、その際もちろん検査線の方へ解放いたします。そうしまして上位の検査、たとえば二カ月に一遍やります交番検査等、この場合には非常に精密なチェックがございます。こうしまして、一応フラットのある貨車を摘出し、できるだけそういう貨車を走らせないようにという努力をいたしております。ただ、残念ながらこれが絶無という状態にございません。したがいまして、御指摘のようにさらにより科学的な方法等々、今後その原因の除去と、もう一つは、発生した場合になるべく早く解放するという両方の措置を、いま現在もやっておりますが、これからも研究を続けていきたいというふうに考えております。
  164. 中路雅弘

    ○中路委員 時間が来ましたので終わりますけれども、運輸省にもお願いしたいのですが、国鉄、鉄建公団、両方とも最初言いました、確認していただきました確認書を守るように努力するというお約束ですから、これが解決するまで責任を持ってもらわなければいけないということ。特に運輸省にはその点の指導について、四年前にも委員会でお約束をされておるのですけれども、もう少し鉄建や国鉄について具体的な指導をお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
  165. 岩橋洋一

    ○岩橋説明員 御指摘のとおり武蔵野南線につきましては、いろいろ振動、騒音で地元に御迷惑をかけておるようでございます。今後ともいろいろな研究等に努力すると同時に、沿線住民の方と十分話し合って問題の解決に努力するよう国鉄、鉄道建設公団を指導いたしたいと思います。
  166. 中路雅弘

    ○中路委員 これで終わりますが、大臣最後に、鉄建公団ができるときに国鉄も反対したのです、私たちも賛成しなかったのですけれども。鉄建公団をつくって、また国鉄も工事をやっておるわけです。二重にやっておるわけですよ。だから、これは列島改造に乗ってできたわけですけれども、やはり余りちゅうちょされないで、しかも、鉄建公団は世界一の技術とおっしゃったけれども、そうじゃないのです。いまお聞きのようなことをやっておるのです。トンネル工事でも余り資料なしにやっておるのです。同じ鉄道の仕事をやっておるわけですから、もう少し合理的な体制を早くとられた方がいいのではないかという私たちの意見なんです。  その点は他の特殊法人もそうですけれども、こういう問題について私たちも今後具体的にいろいろ御提案もいたしていきたいと思いますけれども、財政削減というだけではなくて、事業の内容についてもよく点検もしていただいて、不正経理でも問題になっていましたから、内部の民主化を含めて今後ともひとつ努力していただきたい、そういう要望をいたしまして、質問を終わらせていただきます。
  167. 逢沢英雄

    ○逢沢委員長代理 吉田之久君。
  168. 吉田之久

    ○吉田委員 去る二月六日に公明党と民社党の間におきまして「行政改革についての要求」というのがまとめられております。それから、きのう二月十八日に日本社会党が「行政改革要求について」という文案をまとめていらっしゃいます。また、わが党は去る五十四年の十二月二十四日に行政改革についての第二次提言というのも政府に提言をいたしております。そういう情勢の中で、いま社会党、公明党、民社党が最後のすり合わせをいたしまして、予算案の修正をめぐる問題をしぼっているわけでございます。その一番の焦点に立っておりますのがやはり行政改革の問題でございます。したがって、長官にそうした問題点の幾つかにピントを当てまして御質問をいたしたいと思うのです。  まず、われわれはこの際、国土庁など中央省庁の廃止統合を行うべきではないかということを提言しているわけですが、長官の方ではいまどのようにお考えでございますか。
  169. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 中央省庁も、行政改革という上から見ました場合には当然その対象になるべきものであると私は考えておりますが、行革というものはやはり着実に実行の効果を上げていかなくてはなりません。さような意味で、今回は個人にたとうるのならば、非常に財政不如意のときに別荘まで持っておるのはぜいたくじゃないか、こういうふうな感触で、特殊法人なりあるいは地方の出先機関なり、また数多くの許認可、さらには法令、報告、補助金、こうしたものはいずれもいわば判こ行政でございますから、そうしたものもあわせて整理をして、そして高度成長期におけるぜい肉をカットしたい、これが内容として進んだものでございます。  したがいまして、仰せのとおり、具体的ないろいろ中央官庁の統廃合に関しましても、指摘される面が少なからずあるとは存じますが、今回私たちは決してそれを無視するわけではございませんけれども、いま申し上げました外の方からひとつ着実に効果を上げていきたい。当然、今後中央省庁の問題も慎重に検討しなければならないであろうとは考えておりますが、今回の行革といたしましては、現在進めているところのものが一応重立った柱である、かように御了解賜りたいと思います。     〔逢沢委員長代理退席、委員長着席〕
  170. 吉田之久

    ○吉田委員 国土庁の廃止については当然対象となるべき問題であろう、無視できない問題である、こういうことのようでございます。しかし、順番としてはもう少し先になるだろうというような言葉のにおわせ方でいらっしゃいますけれども、そういうことでは話にならないと思うのです。私どもは、この行政改革というものはまず隗より始めよ、もちろんすべて整合性を持ちながら、全般的に急速に進められなければならない問題ではありますけれども、それが問題点であるということを長官自身が十分了承しながら、しかもその解決を少し先に延ばそうというようなことでは、政府の姿勢が本当に毅然たるものであるとは国民の目に映らないと私は思うのです。  重ねてお尋ねいたしますけれども、すでに国土庁ともその辺の若干の打診をなさっているのかどうか、あるいは中央の各省庁の廃止統合等については大体いつの時期にやろうとなさっているのか、もう少し具体的に申していただきたい。
  171. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 いま重ねての御質問の中に、私が国土庁を頭の中に描きながら中央の省庁の統合を答弁したようにお考えになったかもしれませんが、私の答弁はさようではなくして、一般論としての中央省庁の統合論ということに関していろいろな議論があると申し上げたわけでございまして、必ずしも国土庁がその対象になっておるんだということを私は申し上げておらないわけでございますので、この点も御了解賜りたいと存じます。  つまり、今回の行革においては、やはり総選挙を通じて国民の声というものが大きく上がりまして、なかんずく天下りの場所であるとされておる特殊法人、そこにおいて不正経理が行われたではないか、けしからぬ、官民格差が大きいがどうするんだ、こういうところからまず始まっておると存じますから、すでに何回もお話を申し上げました四本柱を打ち立てて、一つ一つ着実にやりたい、こういうことであります。いわば個人で考えますと、本家と別荘があって、本家もなぶりたい、別荘もなぶりたいでは、ほとんどが本家に閉じこもってしまって、本家をなぶらせまいとするとか別荘の方はあいまいになってしまうとか、そういうことでございますから、一つ一つ順序を立てて、まず外郭にある別荘から手をつけて、そしてやがて本家の問題も考えなければならない時期は来るであろう、これは慎重に検討しよう、私はこう申しておるわけでございますので、いつごろ出すかとか、もうすでに話をしておるかという問題になりますと、はなはだ御趣意に沿わないかもしれませんが、現在といたしましては、いろんな意見あるいはまたいろんな方法等に関して私なりの情報なり、そうしたものは耳を傾けて聞かしていただいておりますが、これに対しまして具体的に手を染めておるというところは全くございません。
  172. 吉田之久

    ○吉田委員 御答弁でいろいろ決意、構想はよくわかるのですけれども、具体的な面になると、どうも非常にあいまいな点があるように私は感ずるのです。中央省庁についても当然検討しなければならない、それは総論であります。しかし、本当にそれじゃどれを削っていくのかということあたりは考えないと、全然それは口頭禅に終わってしまうと思うのです。何だか最初の御答弁では、国土庁が当然対象になるとおっしゃったように私は聞いたのですけれども、どうもそうでもないようでございまして、いささかがっかりいたしておりますけれども、ともかく出先から整理するんだ、特殊法人から整理するんだ、別荘から整理するんだ、この別荘論議も私はちょっと問題があると思うのですが、本家の中にもずいぶんむだがあると思うのですよ。その辺をほうりっ放しにして外から削っていくんだということでは、やはり国民というのはなかなかびたっとついてこないと思うのです。  私は、そういう点で改めて、中央省庁の統廃合についてさらに真剣な検討をなされるべきである、当然そのやり玉に上がるべきは国土庁であるということを重ねて申し上げておく次第であります。  次に、中央省庁の局、部、課、室及び官は、昭和五十九年までの五年間にわれわれは一割削減することを目標にして総洗い直しをしてはどうかということを提言しているわけでございますが、この辺については長官はいまどのような構想をお持ちでございますか。
  173. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 中央省庁に関しましては、私はいま御答弁申し上げましたようなことでございますので、その組織、機関の内部のことに関しましても、現在のところはそれよりももう少しく国民の要望に合ったところを着実に実行してまいりたい、かように考えておりますので、現在のところ、そこに着手するのがいつかということに関しましては、まだまだ明言ができる段階ではないと私は考えております。  しかしながら、やはり常にむだを省くということは、何も中央省庁あるいは出先に限らず、すべての問題に関しまして目を通さなければならないことは事実でございますので、したがいまして、具体的にどうする、ああするということではなくして、今日といたしましてはまず仕事減らし、器減らしというところから進めておるということ、そのことがひいては中央省庁の仕事にも大きな影響を持ってくるということもひとつお考え賜りたい。私は、そうしたことで四本の柱並びに定員削減という、いわば五本の柱で今日の行革を進めておるということもあわせてお答え申し上げておきます。
  174. 吉田之久

    ○吉田委員 では次に、中央、地方の二重行政をやめて行政を簡素化し、地方分権を進めるために、国の地方出先機関は現業関係を除いて原則として廃止すべきである、われわれはそう考えているわけなんですけれども、この機会に、こういう国の地方出先機関が誕生した歴史的な背景、私たちは、まさにこれは戦時中の遺産である、戦後のあの混乱期における遺産であって、今日、もはやその必要性を持っていないものが多分にある。現に、新幹線が走り、飛行機が飛び、あるいはダイヤル一つで日本じゅうどこからでも東京に連絡がつくこの事態の中で、依然として何十年前に設けられたそういう出先機関というものが温存されなければならないかということに非常に大きな疑問を感じているわけなんです。われわれとしては、この際原則的には全廃する、そういう考え方政府みずから毅然として持たなければならないのではないかというふうに考えておりますけれども、長官のお考え方はいかがでございますか。
  175. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 かねて吉田さんの民社党のお考えはいま申し述べられたところにあるということも、私は重々承知いたしております。もちろん交通なり通信なり非常に発達をいたしましたから、したがいまして、中二階とおぼしき存在の出先機関もあるわけであります。あるいはもう時代の推移とともにすでにお役目を果たしてしまったではないかというふうな出先機関もあるわけでございます。当然そういうものは行政上のいわばぜい肉でございますから、国民のサービスという面から考えましても、むしろ整理すべきである、こういう考えに立っておりますので、現在はブロック機関あるいは府県単位機関等々に分けまして、いわゆる地方支分部局に関しましては相当数の整理統合を図らなければならない。  今日まで、御承知のとおり、すでに食糧事務所におきましては、町村ごとに約三千出張所があったのですが、この三千の出張所をちょうどこの行革で全部終わることになります。同時に、その三千整理をいたしますと、やはり純減といたしまして、八千人の食糧事務所に勤務なさっておった方も、この十年内外の問に全部純減ということに相なります。したがいまして、やはり人がおられるということも十二分に頭に置きながら考えてまいりませんと、ただただ器減らしだけすればいい——そこには人がおられるのだ、その人をどこへ持っていくか。今度は省庁問の配置転換等々、最も新しい方法を考えたわけでございますが、これとても今回は一つの道づけにすぎないと考えております。しかし、お互いに知恵を出しながら、行政需要に見合ったそういう行政というものに関しましては、むだを排するということは非常に大切なことだと思いますが、現在のところ、われわれといたしましても、仰せの趣旨に沿ってむだとおぼしきところにはどんどんとメスを入れてまいりたい。  しかしながら、地方の出先機関と申しましても、やはり第一線で国民のために非常にじかに努力をしていてくれるところもあるわけでございますので、そういうところも十二分にその存在価値を認めながら、こうした大きな行政改革の声が上がっておるときでございますから、われわれといたしましても、行革の手は緩めるつもりはございませんが、一挙にいま全廃だ、宣言せいとおっしゃいましても、もう少しく私はいろいろな角度から検討いたしたい。  ただ、やはりバランスというものも必要でありますし、現在ながめてみて私がこれももう不必要じゃないかと思うものもたくさんあります。だから、そういう問題に関しましては、来る三月三十一日までにはブロックに関しまして私は相当なメスを入れることができるのではないかと、かように存じておりますので、十二分に御趣旨を体しながら、やはり政府といたしましてもそれぞれの存在理由、存在価値を認めつつも、十二分に安い政府としての効果が上がるように考えていきたい、かように存じております。
  176. 吉田之久

    ○吉田委員 われわれも、原則として廃止しなさい、こう言っているわけなんですが、あるものが全部無意味だとは申しておりません。それはそれなりに若干の存在価値を持っているものもあると思うのですけれども、しかし、この際一度大なたをふるうつもりで、原則としては全部なくするんだ、しかし特にこれとこれだけはなおその使命を持っておる、そういうものはそれなりに存在さしていく、やはりこういう態度でいかなければならない。  そこで、私たちはいつも申すのですが、ともかく地方出先機関の整理統合に当たっては、これもまず隗より始めよで、行政管理庁の直轄の部門あるいは大蔵省の直轄の部門、その辺をまずやりなさい、こう言っているわけなんですね。したがって、財務局あるいは財務部、あるいは管区行政監察局、地方行政監察局、この辺の廃止から手をつけなさい、こう申しておりますが、それに対して長官がどのような構想を持っておられるか。  それから同時に、隗より始めなければならないけれども、やはりこういう行政機関というものは絶えず整合性を重んじなければならないと思うのですね。ある部分だけが懸命に裸になったけれども、ほかの部門だけはぬくぬくと暖衣飽食をしておるというようなことであっては、やはり将来国家的に非常に禍根を残すと思うのです。そういう点では、みずから長官の一番権限の及ぶ範囲から範を示されると同時に、いつまでにはどの辺まできちんとやるんだという計画がありませんと、この行政改革というものは大変いびつなものを残す。後でアンバランスだけが生じたというふうなことになっては大変だと思うのですね。この辺はどうお考えですか。
  177. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 一口にブロック機関と申しましても、ブロックの分け方が各省庁によりまして幾つもございます。たとえば北海道を一つのブロックとみなしてしまうという方法もございましょうし、北海道、東北が一つのブロックだ、あるいはまた甲信越も一つのブロックである、いろいろございます。したがいまして、各省庁のブロック機関とは申しましても、七つの場合もあるし八つの場合もあるし、それ以上の場合もある。こういうことでございますから、確かに仰せのとおり裸になる人はいつも裸になって、なかなかのさばっているものは裸にならないというようなことがあってはなりませんから、今回は党の方もその点を十二分に考慮しながら、行管に対しましては各省庁少なくとも一ブロック機関一つずつ出せるように配慮しなさい、こういうふうな指示があったわけはそこら辺にあるのではなかろうかと、私はかように考えております。  したがいまして、このブロック機関に関しましては三月三十一日までですが、府県は行政の事務再配分等々の自治体との関連もございますから、ひとつこれは公正な人たちがあらゆる角度から調べてもらってはいかがであろうか。ということになりますと、国会の御承認で監理委員会というものがあるわけでございますので、この監理委員会にお願いをして、これは六月三十日までにひとつ結論を得ようということになっておりますが、まず隗より始めよというお話になりますとブロック機関のお話になるわけでございます。  したがいまして、このブロック機関に関しましては、これを閣議で各大臣に協力を要請いたしましたときに、もちろん私はまず隗より始めよという話を十分耳にいたしており、国会におきましてもしばしばそのことが要請されておりますから、行政監察局もその対象の一つでございます、同時に、大蔵大臣も、やはり財務局もその対象の一つでございますということを明言され、なおかつ、後日でございますが、大西郵政大臣も、貯金局もその対象の一つである、こういうふうにそれぞれの大臣が、今度は時代の要請、国民の要請に従わなければならないというので、そういうふうなことを閣議で正式に発言をいたしておるような次第でございます。したがいまして、私たちもそういうふうなことによって決意をしておるわけですから、恐らく他省庁におきましても行管の考え方には同意をしていただけるであろう。だから、今日ただいまでは、機関名あるいはまたブロック名、さらには地域名というものは申し上げる段階ではございませんが、そういう御趣旨に沿いまして、その一つ大きな道づけをしたい。これで仰せのとおり完全にできたというわけではございますまい。しかしながら、戦後の経緯等々を考えたり、また、経済社会の発展等を考えました場合には、不要なところは不要なところで器減らしをしていく、仕事減らしをしていく、これは肝要なことだと私は存じております。
  178. 吉田之久

    ○吉田委員 特に、各機関、系統によってブロックの範囲の設定の仕方がいまなおばらばらであるというようなことは、国家の行政体系としても非常におかしいことだと思います。そういう点もあわせて、この辺できちんとブロックの設定というものも必要だし、その中で要らざるものはどんどん廃止していく。そういうことになりますと、もう二月の末でございますね、本当にこの三月の末までにその辺がきちんとまとまるものだろうかどうだろうか。先ほど中路委員も御質問ありましたけれども、私たちもちょっと危惧するわけでございます。あるいは各府県に置いておりますものの検討も六月末、これももうすぐに時間的に経過していくと思います。ましてや非常に広範な、日本じゅうを相手にする問題でございます。その辺で、いささかもその目標設定に狂いを生じないかどうか、重ねてお伺いいたします。
  179. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 特殊法人の整理におきましても、第二次大平内閣がたしか十一月八日出発だと思いますが、その日に総理から指令がございまして、そして私は、十二月十日締め切りというふうなことを申し上げて、タイムリミットをつけたわけでございますが、やはり各省庁協力してくれました。したがいまして、今回は特殊法人とはいささか違う点は、これが地方に大きな影響があるということでございますから、あるいは各市町村において反対の決議がなされたり、あるいは上京がなされたり、それによって国会議員の先生方もそれぞれ動かれたりというようなことがあるいは予想されるかもしれませんが、これはやはりリーダーシップというものを大いに発揮して、時代の要請に合わなくちゃなりませんので、ひとつ総論も賛成、各論も賛成、そういう形で私はリーダーシップをとってまいりたい、かように存じております。
  180. 吉田之久

    ○吉田委員 議会を尊重される態度はよろしゅうございますけれども、よけいな予想までなさる必要はないと思うのですね。大体、そんなことを長官がおっしゃっているということが、いかにも及び腰である証明にもなるような印象を与えますから、今後は断じてそんなことは申されませんように、かたく申し添えておきます。  次に、定員の合理化の問題、定員削減の問題でございますけれども先ほども御質問にありましたように、われわれ国民から見ますと、政府は大変奇妙な手品をやり続けているというふうな気がするんですね。昭和四十三年度から五十四年度の四次にわたる削減計画で国家公務員は十二万八千四百七人削減されたはずであるが、実数は、この十二年間にわずか七千九百二十三人しか減っていない。すなわち政府は、計画的に削減を行っているという一方で、別枠として十二万四百八十四人の新規増員を行っておる。第五次五カ年計画がスタートする来年度も七千五百人の削減を公表しながら、実質は七百七十人減にすぎないのではないか。要するに、一方で定員を減らしました、しかし、当然の新しい需要があるからこれをふやしました、合計精いっぱい抑えておりますということだけでは、本当の行財政改革にはならないと私は思うのです。どのような必要があろうとも、なおかつ思い切って定員を削減していく中でその新しいニーズにこたえていく、それでなければこんなものは行政改革になっておりません。ただ辛うじてブレーキをかけておりますというだけのことだと思うのです。そんなことで問題は解決しないと思うのです。この辺について、もっと定数の減を思い切って大胆にやっていく。新しい増員を認めるべきところがあっても、その分はそれとして、一方で一層減らしていく、こういう姿勢が確立しないと、この行政改革というものはしょせん数字合わせであり、あるいは手品のようなものにすぎないのではないかという印象をぬぐうことはできないと思うのですね。その点はいかがですか。
  181. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 私、いつも申すのですが、やはり国家公務員という方はその誇りのもとに、極力少数精鋭主義でがんばってほしい、いやしくも何か手持ちぶさただなあというふうな方がおられないようにやはり少数精鋭主義でがんばっていただきたい、こういうふうに思っておりますから、実は定員ということでいろいろとその点を勘案いたしておる次第でございます。  もう一つは、日本の国家公務員は世界的な例からながめますと決して多い方ではない。これは吉田委員も御承知のとおり、千人の国民の中で日本はたしか四十六人ぐらいに値し、アメリカ、ドイツ、フランスはそれ以上であり、多く抱えているところは、英国のごときは九十六名、こういうふうに数字が出ておりますから、私は必ずしも多いとは思いません。しかし、日本の領土の広さとアメリカの領土の広さ等々を勘案いたしますと、やはり要るところには要るし、余っているところには余っているんじゃないだろうかということも常にわれわれとしては考えていかなければなりませんから、そうした意味合いにおきまして、定員削減というものを五次にわたりまして実施をしてまいった次第でございます。その結果、この十二年間にわずか八千の純減ではございますが、大変な努力をしたということは重ねて私が申し上げているところでございまして、特に一般職の面におきましては一割に相当する削減であって、相当過重な仕事をさせておる面も少なからずあるということも、いろいろの面の研究におきまして私は承知をしておるわけでございます。  しかしながら一応本年も九十万人の定員に対しまして大体四・二——先ほど、午前中はうかつにも四・三と申し上げましたが、これは四・二に修正させていただきますが、四・二つまり三万七千名、五年間かかって削減しようということでございますから、これはこれなりの効果があるのではないか。つまり公務員とはいえ、少数精鋭主義とはいえ、やはり新陳代謝ということも考えてまいりませんと、余りお年を召した方ばかりで、若い方々がなかなか力を発揮できないということでも困りますので、そういう面に関しましては、まあ裏の話ではございますが、各省庁におきましては肩たたきをしながら、御協力をお願いしながら新陳代謝を図っておる、それを定年管理の中で行っておるということでございます。  片一方の新規行政需要というものは、各府県に国立医大を設け、さらにはまた付属病院を設けたということになりますと、やはり先生も要ります、お医者さんも看護婦も要るというふうなこともございましょうし、さらに、先ほど中路さんにもお答えいたしましたが、登記所で人が足りない、外務省も人が足りない、恐らくいろいろその理由は、私は当然わかる理由だと思います、と。ここら辺にもやはり人をふやしてあげなくてはならない。できたならば、余っているところから足らないところに回したい。それが省庁転換でございますが、それだけで全部が潤うわけではございませんので、極力新規需要の方もこれを抑えながら、定員の方も削減し、新規需要も抑えながら、そして総員の縮減を図る、私は、これがいま一番理想的なことではなかろうかと思ってやっておる次第でございます。  もちろん、行革の財政効果ということになりますと、人減らしが一番手っ取り早い方法でございまして、ときどき、もっと行革で何千億、何兆円上げろというお話がございますが、よく私は申しますが、国家公務員九十万、一人頭四百万として、あした全員やめてください、仮にそういうことができたといたしましても、四、九、三兆六千億の削減にすぎない、こういうふうに思いますと、行政改革からひとつ財政に大いなる貢献をせよと言っても、これは短期ではなかなか無理でございます。やはり長い日で見ていただきますと、私は、財政再建のためにも今回の行政改革は資するところ大なり、かように存じておりまするけれども、やはり現在の方途をもっていたしますのならば、そうした面におきましても非常にむずかしい問題がある。もちろん、定員削減はもっともっとやれ、こういう御激励の言葉として私は受けとめさせていただきまして、現在の国家の行政の実情と合わせながら、極力御趣旨に沿うた線でそうした問題も進めていかなければならない、かように考えておる次第であります。
  182. 吉田之久

    ○吉田委員 長官のお言葉というのはなかなか響きはいいのですけれども、そして後ろ向きには、やったやったと自画自賛なさっているのですけれども、しかし一方、これはむずかしいのだと必ず弁解なさっているのですね。それはわかりますけれども、もう少し蛮勇をふるう決意でいかないと、私はこういうことはなかなか至難なことだと思います。われわれだって人を減らせということは、決して言って喜ばれることではありませんけれども、しかし、新規需要というのは時代の変化なのです。その時代の変化に応じて新しい人を配置すると同時に、時代の変化の中で要らなくなっているところが随所にあらわれているわけですから、それを思い切って削っていく、この荒療治をしないと、その辺を円満に、スムーズにやろうということでは、とても百年河清を待つというようなことに私はなると思うのですね。  特についでにお聞きしておきたいのですが、国家公務員のそういう定員削減と同時に、並行して行われなければならないのは、地方公務員の定員の削減でございます。これは自治省が管理監督されるのでありましょうけれども、地方分権の今日、それぞれ自主性は各都道府県、市町村にあるわけですね。しかし、この辺が同時並行的にバランスをとって進められないと、これもまた将来非常にいびつな現象を起こすと思うのです。これについて長官は現にどのような御指導をなさっておりますか。
  183. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 これは自治大臣の所管事項でございます。しかしながら、行革というものは、わが国の現状を考えますと、地方自治体におきましても極力中央に右へならえをしていただくということは必要でございますので、閣僚間といたしましては、大蔵大臣、官房長官、私並びに自治大臣、この四人がそうした問題に関しますときには関係閣僚会議を開きまして議論いたしておりますので、自治大臣の考え方を、今日おられませんから私がそうした席で聞いておることをお伝えするとするのならば、自治大臣もいま吉田さんが申されたことのような趣旨で考えていかなければならない、こういうふうに申しておられました。
  184. 吉田之久

    ○吉田委員 ただ地方に要請するという程度のことではなしに、かなり厳しい一つの枠のはめ方、当然それは手続を踏んで、協議の上で合意されなければなりませんけれども、ただお願いするだけでは私は問題だと思いますので、その点法的にもどういう手だてを講ずべきであるか、政府の方で御検討なさるべきだと思います。  時間がないので最後に一点だけお伺いいたしますけれども先ほど申しますように、定員を削減しよう、しかし一方において首は切らない、新規需要はある。いろいろと配置転換の問題なんかが出てまいりますが、同時にこの際、公務員定年制を導入するということは喫緊の要請になってきたと思うのです。こういう点につきまして、いよいよ今国会にこの定年制導入の法案提出される用意があるかどうか、あるいはそれが当面年齢を六十歳になさろうとする内容であるかどうか、この点だけお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  185. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 午前中直接の所管大臣である総務長官から御答弁もございましたが、私も公務員定年制に関しましては関係閣僚会議に属しておりますので、そうした立場でお答え申し上げたいと存じます。  先ほど来定員の問題に関しましていろいろ議論を承りまして、私は非常に力強く存じております。この第五次にわたる間に、いろいろ議論はございましょうが、十六万六千名という定員削減をやるわけでございますので、これはそれなりに大きな仕事をしておるということもお認め賜りたいと思いますが、なおかつそうした面がなかなかはかどりにくかったというのは、一つには、民間では五十五歳の定年があるが公務員にはなかったということで、肩たたき一つが非常にむずかしいことであったということも私は隠し得ない事実ではないだろうか、こういうふうに思います。さようなことで、すでに人事院からも、いろいろな形で内閣に昭和六十年に六十歳という定年制をしきなさいというアドバイスがございますので、その線に従いまして作業が進められておりますので、この国会定年制に関する改正法案提出される、こういうふうに私も了解をいたしております。
  186. 吉田之久

    ○吉田委員 いまもお話がありましたとおり、民間努力と比べまして公務員の場合は非常におくれを生じていると思います。それを取り戻し、かつ範を示すために、長官初め関係者の皆さん方が一層懸命の努力を払われることを要請いたしまして、質問を終わります。
  187. 木野晴夫

    木野委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  188. 木野晴夫

    木野委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。岩垂寿喜男君。
  189. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました附属機関地方支分部局等に関する法律案について反対の討論を行います。  本法案は、附属機関、地方支分部局について、各省庁ばらばらになっているものを法律から政令以下にゆだね、政府の一方的な判断によって組織の改廃を行うことができるようにするものであります。  周知のとおり、戦後第二回国会において、現行の国家行政組織法の制定に当たって、部局などの設置を政令で行うことができるとする政府原案が修正され、法律によって設置すべきだとされました。  本会議における委員長報告によれば、政令でやるという考えは戦時中に勅令に委任したと同じ考え方であり、これは新憲法の精神に違反するものであるとして、「官僚的割拠主義から発生する、いわゆる官僚の阿房宮といわれる、厖大なる機構の拡大化を防止し、過去の宿弊を國会の意思によって断固一掃せんとする意図に出たものである」と述べ、部局の設置、所掌事務の範囲を法律事項とすることは第一回国会で確立した原則であると強調しています。  また、昭和四十六年から四十八年にかけて、三回にわたって部局等の設置を法律事項から政令事項に移すことを主なる内容とする国家行政組織法の全面的改正案国会提出しましたが、これは国会審議権を著しく制約するものであるなどの理由によって、一回の審議も行われないまま廃案となっているのであります。  このような経過から見るならば、行政機関の設置、廃止については、原則として国民の代表である国会の意思によって決定されるべきが至当であり、これこそが行政機関法定主義にかなうものであります。  次に問題になるのは、行政機関の設置目的、名称、位置、管轄区域、内部機構など、その設置、統廃合にかかわる基本的事項を立法府の統制から外し、政令以下にゆだねた場合の膨張抑制の歯どめがなくなることに対する懸念であります。行政機構は常に自己増殖し、膨張する傾向があります。政府の一方的な決定による政令で行うとすれば、各省庁間の力関係によって左右されるおそれがあるという点をも指摘せざるを得ません。  第三の問題点は、国民に対するサービスの低下と、そこに働く公務員の労働条件の切り下げについてであります。この点は、国の行政組織がどのような形でどこに設置され、その所掌事務がどのようなものであるかということを国会審議し、その内容を明らかにし、法律で定めることが国民に対する親切であり、サービスであることは申すまでもありません。したがって、これを政府の一方的な判断で統廃合することは国民に対して不親切であり、サービスの低下に結びつかざるを得ません。  また、国家公務員の九割近くが地方出先機関に勤務しています。これらの職員の勤務先が政府の判断で統廃合されるとすれば、少なからぬ公務員が不安定な勤務条件のもとで働かざるを得ないわけであります。これは全体の奉仕者としての公務員が安んじて責務を果たす上で支障が生ずるおそれなしといたしません。  このような点が私どもの本法案に賛成し得ない理由であります。  もとより私どもは、今日の厳しい財政事情のもとで、行政改革の課題を避けて通ることはできないと考えています。わが党は、従来から行政改革については国民と関係者の意思を尊重し、行政機構を簡素化し、能率的な行政を目指すことを主張してきましたが、今日改めて行政改革の推進に当たって、このような慎重な配慮が生かされるよう要請し、討論を終わります。(拍手)
  190. 木野晴夫

    木野委員長 中路雅弘君。
  191. 中路雅弘

    ○中路委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、附属機関地方支分部局等に関する規定整理等に関する法律案に反対の討論を行います。  本法案に対する総括的な見解については、昨年五月二十四日、本委員会において同僚の柴田睦夫議員が述べておりますので、私は、二点について簡潔に反対の意見を述べたいと思います。  今回の法案は、各省庁の設置法等を一括改正して、地方出先機関及び附属機関等の設置規制の形式を政令以下の命令で定めるよう統一しようとするもので、内閣の判断だけで行政機関の再編成ができるようにするものであり、主権在民の憲法のもとで、原則として行政機関は法律によって定めるという行政民主主義に逆行するものであります。  国家行政組織法は、国の行政機関を中央行政機関と地方支分部局及び附属機関に大別し、その設置などについては法律で定めると明確に規定しています。政府、行政管理庁は、今回の法案は規制形式のばらつきを是正し、規制形式を統一するものであることを口実に、法律事項を政令以下に移管しようとしていますが、設置形式のばらつきの是正を口にするなら、国家行政組織法の立法趣旨に基づいて立法府による規制を強化する方向で是正することこそ必要であります。  また、今回の措置が地方支分部局と附属機関に限定されているからといって軽視することはできません。国の行政組織が全国的にどのように配置され、どのような権限を持って業務を分担するかは行政運営の根幹にかかわるからであり、地方支分部局は行政の第一線に位置し、国民との日常的なつながりの最も強い機関が圧倒的だからであります。したがって、その設置、統廃合は日常生活にきわめて大きな影響を及ぼすもので、今回の法案は国民生活に奉仕する諸機構の整理統合を推進するてこになる危険が十分あるもので、以上の理由から、本法案に反対を表明し、討論を終わります。(拍手)
  192. 木野晴夫

    木野委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  193. 木野晴夫

    木野委員長 これより採決に入ります。  附属機関地方支分部局等に関する規定整理等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  194. 木野晴夫

    木野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  この際、行政管理庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。宇野行政管理庁長官
  195. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 ただいま附属機関地方支分部局等に関する規定整理等に関する法律案を可決していただき、ありがとうございました。  御審議の間に賜りました貴重な御意見を体し、一層の行政の改革、合理化に努めてまいる所存でございます。今後ともよろしくお願い申し上げます。(拍手)
  196. 木野晴夫

    木野委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 木野晴夫

    木野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  198. 木野晴夫

    木野委員長 次回は、来る二十一日木曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三分散会      ————◇—————