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城野説明員 地震の
予知を防災に結びつけるということは、人類の大きな夢でございまして、わが国におきましては、
昭和三十八年から
地震予知計画ということを始めまして、現在は四次
計画ということになってございます。そのうち、特に現在の技術レベルと申しますか、先ほど先生の方から御
紹介ございましたような中国で成功したというような例もございまして、現在では、
政府の
関係機関、大学の機関が
地震予知連絡会というところで情報交換をしつつ、科学技術庁に
地震予知推進本部というものを置きまして、必要
予算の確保その他について調整をとりつつ進めているところでございます。
現在の
地震予知のレベルから申し上げますと、これは相当日進月歩でございますけれども、
地震が起こる現象と申しますのが、きわめて間隔があるということがございますし、台風のように連続現象で非常にたくさんの経験を積んでおるということではございませんので、同じような現象が起こればほかのところでもそれの適用ができるかと申しますと、それは必ずしもそうは言えないのでございます。
地震予知の場合の三つの要素というものが言われております。場所と
規模と時間、この三つが正確に言われなければ、防災には直接役立てにくい面がございます。日本の場合におきましては、マグニチュード八
程度の非常に大
規模な
地震につきましては、その
規模、場所というものは測地測量の結果、
地震観測の結果等によりましてかなり確度高く
予知がされるという段階に達しまして、その技術的な水準を踏まえまして、大
規模地震法によります
地域指定を行ったところでございます。
最後の時間という点につきまして、非常にむずかしい点がございます。わが国のように高度の経済、文化、いろいろな利害
関係が錯綜しておる社会におきまして、この時間というものを、あとどのぐらいで
地震が起こるかということを言うことは非常にむずかしいのでございます。また、技術的な水準から言いまして、地殻にひずみがたまって、それが耐え切れなくなって破壊するというその限界の破壊の予測ということにつきましては、大変にむずかしいのでございます。現在の東海
地域におきまして主力を注いでおりますものは、いわゆる主破壊が起こります直前の前兆現象と申しますか先行現象と申しますか、そういう現象をつかまえて、学者の先生方による総合判定を経て、
地震の発生の確率が高いという予測のもとに警戒宣言を出し、一斉に防災行動をとっていただくというシステムをとっておるわけでございます。
それ以外のいわゆる
規模の小さい
地震につきましては、あらわれてまいります異常現象が非常に小さいということもございまして、まだ相当、
観測の密度を一けた上げてやらなければいけないというような問題がありまして、これは将来の
検討課題であろうかというふうに考えておるわけでございます。
東海
地域に関しましては、
東海地震説が唱えられまして以来、先ほど申し上げました
地震の直前
予知に役立つひずみ計、傾斜計、
地震計、検潮儀というような非常にたくさんの
観測項目に関しまして、
整備をずっと続けておりますし、海底にも
地震計を設置しておるというところまでいっておるわけでございます。これを気象庁にテレメーターをいたしまして、二十四時間の監視をやっていただいておる。そういう面から言いますと、見逃しということはほとんどないであろうということが言えると思いますが、一方、そういう異常現象が出てきた場合に、それが主破壊にどのくらいの時間間隔でつながるかということに関しましては、これは正直を申し上げまして経験のない
事項でございますので、そういう意味におきましては、大事をとるという意味では、空振りをする、つまり、
地震の発生があるかもしれないと言っても幸いにも
地震の発生はまだないという事態があることも、一般の方々に御了解を得なければならない点ではないかというふうに考えておる次第でございます。